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特表2023-538757MAGL阻害剤として有用な複素環化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(54)【発明の名称】MAGL阻害剤として有用な複素環化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20230904BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/4162 20060101ALI20230904BHJP
   C07D 491/052 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/4192 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
C07D487/04 138
A61P29/00
A61P25/28
A61P25/00
A61P25/04
A61P35/00
A61P1/04
A61P1/16
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/22
A61P25/24
A61K31/4162
C07D491/052
A61K31/4192
C07D487/04 139
A61K9/20
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513335
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2021073313
(87)【国際公開番号】W WO2022043284
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20192867.8
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ベンツ,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】グレター,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ホルンスペルガー,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】クロール,カールステン
(72)【発明者】
【氏名】クーン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】マルティン,ライナー・エー
(72)【発明者】
【氏名】オハラ,フィオン
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】リッター,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA08
4C050BB05
4C050BB06
4C050CC04
4C050DD08
4C050DD10
4C050EE03
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC16
4C076CC27
4C076DD28
4C076DD41
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB03
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA21
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、一般式(I):

を有する新規の複素環化合物(式中、X、Y、Z、A、L、B、及びR~Rは、本明細書に記載されるとおりである)、該化合物を含む組成物、該化合物を製造するプロセス、及び該化合物を使用する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
Xは、CH又はNであり;
Y及びZは、CH又はOであり、Y及びZのうちの多くとも1つはOであり;
Lは、共有結合、-CHR-、-O-、-OCH-、-CHO-、-CHOCH-、-CHCH-、-CFCH-、及び-CHCF-から選択され;
Aは、C-C14-アリール、5~14員ヘテロアリール、及び3~14員ヘテロシクリルから選択され;
Bは、1~2個の窒素原子を含む4~10員複素環であり;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、SF、シアノ、C1-6-アルキル、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルコキシ、C-C14-アリール、C-C10-シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、3~14員ヘテロシクリル、C-C14-アリールオキシ、C-C10-シクロアルキルオキシ、3~14員ヘテロシクリルオキシ、及び5~14員ヘテロアリールオキシから選択され、前記3~14員ヘテロシクリル、C-C14-アリール、C-C10-シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、C-C14-アリールオキシ、C-C10-シクロアルキルオキシ、及び5~14員ヘテロアリールオキシのそれぞれは、任意選択的に、ハロゲン、C1-6-アルキル、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルキル及びハロ-C1-6-アルコキシから選択される1~2個の置換基で置換されているか;又は
及びRは、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、任意選択的に1つ又は複数のC1-6-アルキルで置換されている3~14員複素環を形成し;
は、水素及びC1-6-アルキルから選択され;
は、水素、C-C14-アリール及びハロ-C-C14-アリールから選択される)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
XがCH又はNであり;
YがCH又はOであり;
ZがCHである、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
Lが、共有結合、-CHR-、及び-CHO-から選択され;
AがC-C14-アリールであり;
が、ハロゲン、ハロ-C1-6-アルキル、及びハロ-C1-6-アルキルで置換されたC-C10-シクロアルキルから選択され;
が、水素及びハロゲンから選択され;
が水素である、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
Lが、共有結合及び-CHO-から選択され;
AがC-C14-アリールであり;
が、ハロ-C1-6-アルキル、及びハロ-C1-6-アルキルで置換されたC-C10-シクロアルキルから選択され;
が、水素及びハロゲンから選択される、請求項3に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
Lが、共有結合及び-CHO-から選択され;
Aがフェニルであり;
が、CF及び(トリフルオロメチル)シクロプロピルから選択され;
が、水素及びフルオロから選択される、請求項4に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項6】
Bが、1個の窒素原子を含む4~7員複素環であり;
が水素である、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
Bがアゼチジニルであり;
が水素である、請求項6に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
Xが、CH又はNであり;
Y及びZが、CH又はOであり、Y及びZのうちの多くとも1つはOであり;
Lが、共有結合、-CHR-、及び-CHO-から選択され;
AがC-C14-アリールであり;
Bが、1個の窒素原子を含む4~7員複素環であり;
が、ハロゲン、ハロ-C1-6-アルキル、及びハロ-C1-6-アルキルで置換されたC-C10-シクロアルキルから選択され;
が、水素及びハロゲンから選択され;
及びRが、いずれも水素である、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
Xが、CH又はNであり;
Yが、CH又はOであり;
ZがCHであり;
Lが、共有結合及び-CHO-から選択され;
AがC-C14-アリールであり;
Bが、1個の窒素原子を含む4~7員複素環であり;
が、ハロ-C1-6-アルキル、及びハロ-C1-6-アルキルで置換されたC-C10-シクロアルキルから選択され;
が、水素及びハロゲンから選択され;
が水素である、請求項8に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
Xが、CH又はNであり;
Yが、CH又はOであり;
ZがCHであり;
Lが、共有結合及び-CHO-から選択され;
Aがフェニルであり;
Bがアゼチジニルであり;
が、CF及び(トリフルオロメチル)シクロプロピルから選択され;
が、水素及びフルオロから選択され;
が水素である、請求項8に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[rac-(5aR,8aS)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-g]インダゾール-7-イル]メタノン;
[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[rac-(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン;
(-)又は(+)-[(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]-[3-[4-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル]アゼチジン-1-イル]メタノン;
(+)又は(-)-[(1R,9S)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]-[3-[4-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル]アゼチジン-1-イル]メタノン;
(-)又は(+)-[6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル]-[(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン;
(+)又は(-)-[6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル]-[(1R,9S)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン;
(-)又は(+)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(5aR,8aS)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール-7-イル]メタノン;
(+)又は(-)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(5aS,8aR)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール-7-イル]メタノン;
(-)又は(+)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(1S,9R)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン;及び
(+)又は(-)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(1R,9S)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン
から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を製造するプロセスであって、
(a)式2のアミン:
【化2】

(式中、X、Y、及びZは、請求項1~11のいずれか一項に記載されるとおりである)
を、カルボン酸3a:
【化3】

(式中、L、A、B、及びR~Rは、請求項1~11のいずれか一項に記載されるとおりである)
と、CDI、DCC、HATU、HBTU、HOBT、TBTU、TP又はMukaiyama試薬などのカップリング試薬の存在下で、かつ任意選択的に、TEA、DIPEA(Huenig塩基)又はDMAPなどの塩基の存在下で反応させて、式(IB):
【化4】

(式中、X、Y、Z、L、A、B及びR~Rは、請求項1~11のいずれか一項に記載されるとおりである)
の前記化合物を形成すること;あるいは
(b)式2のアミン:
【化5】

(式中、X、Y、及びZは、請求項1~11のいずれか一項に記載されるとおりである)
を、カルボン酸塩化物3b:
【化6】

(式中、L、A、B、及びR~Rは、請求項1~11のいずれか一項に記載されるとおりである)
と、TEA、Huenig塩基、ピリジン、DMAP又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの塩基の存在下で反応させて、式(IB)(式中、X、Y、Z、L、A、B及びR~Rは、請求項1~11のいずれか一項に記載されるとおりである)の前記化合物を形成すること;あるいは
(c)式1の第1のアミン:
【化7】

(式中、A、B、L、並びにR及びRは、請求項1~11のいずれか一項に記載されるとおりである)
を、第2のアミン2:
【化8】

(式中、X、Y、及びZは、請求項1~11のいずれか一項に記載されるとおりである)
と、重炭酸ナトリウムなどの塩基、及びビス(トリクロロメチル)カーボネート、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート又は1,1’-カルボニルジイミダゾールなどの尿素形成試薬の存在下で反応させて、式(IA):
【化9】

(式中、X、Y、Z、L、A、B及びR~Rは請求項1~11のいずれか一項に記載されるとおりである)
の前記化合物を形成すること
を含む、プロセス。
【請求項13】
請求項12に記載のプロセスに従って製造された場合の、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
治療活性物質として使用するための、請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩と、治療上不活性な担体とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための、請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の医薬組成物の使用。
【請求項17】
哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸癌発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための、請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の医薬組成物の使用。
【請求項18】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防において使用するための、請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸癌発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛及び/又は内臓痛の処置又は予防において使用するための、請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項20】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための医薬を調製するための、請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項21】
哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸癌発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための医薬を調製するための、請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項22】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための方法であって、有効量の請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の医薬組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項23】
哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸癌発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための方法であって、有効量の請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の医薬組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項24】
先に記載されるとおりの発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における治療又は予防に有用な有機化合物に関し、特に、哺乳動物における、神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、片頭痛、鬱病、炎症性腸疾患、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛及び/又は内臓痛の処置又は予防のための、モノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エンドカンナビノイド(EC)は、カンナビノイド受容体(CBR)であるCB1及びCB2と相互作用することによって生物学的作用を発揮する、シグナル伝達脂質である。これらは、神経炎症、神経変性及び組織再生を含む複数の生理的過程を調節する(Iannotti,F.A.et al.,Prog.in Lipid Res.2016,62,107)。脳では、主なエンドカンナビノイドである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)はジアシグリセロールリパーゼ(DAGL)により産生され、モノアシルグリセロールリパーゼ、MAGLにより加水分解される。MAGLは2-AGの85%を加水分解する。残りの15%は、ABHD6及びABDH12によって加水分解される(Nomura,D.K.et al.,Science 2011,334,809)。MAGLは脳全体、並びにニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト及びミクログリア細胞を含むほとんどの脳細胞型で発現する(Chanda,P.K.et al.,Mol.Pharmacol.2010,78,996;Viader,A.et al.,Cell.Rep.2015,12,798)。2-AGの加水分解はプロスタグランジン(PG)及びロイコトリエン(LT)の前駆体であるアラキドン酸(AA)の形成をもたらす。AAの酸化的代謝は、炎症組織で増加する。炎症過程に関与するアラキドン酸の酸化の2つの主要な酵素経路には、PGを産生するシクロオキシゲナーゼ、及びLTを産生する5-リポキシゲナーゼが存在する。炎症時に形成される種々のシクロオキシゲナーゼ産物の中で、PGE2は最も重要なものの1つである。これらの産物は、炎症部位、例えば神経変性障害に罹患している患者の脳脊髄液中で検出されており、炎症応答及び疾患進行に寄与すると考えられている。MAGL(Mgll-/-)を欠くマウスは、神経系で2-AGヒドロラーゼ活性を劇的に低下させ、2-AGレベルを上昇させたが、一方でアナンダミド(AEA)及び他の遊離脂肪酸を含む他のアラキドノイル含有リン脂質及び中性脂質種は変化しなかった。逆に、AA及びAA由来プロスタグランジン、並びにプロスタグランジンE2(PGE2)、D2(PGD2)、F2(PGF2)、及びトロンボキサンB2(TXB2)を含む他のエイコサノイドのレベルは強く低下する。ホスホリパーゼA(PLA)酵素はAAの主要な供給源と考えられてきたが、cPLA欠損マウスはそれらの脳においてAAレベルが変化しておらず、AA産生及び脳炎症過程の調節に対する脳におけるMAGLの重要な役割を強化している。
【0003】
神経炎症は、限定されるものではないが、神経変性疾患(例えば、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、並びに不安症及び偏頭痛などの精神障害)を含む、脳の疾患の一般的な病理学的変化の特徴である。脳では、エイコサノイド及びプロスタグランジンの産生が神経炎症過程を制御する。炎症誘発物質リポ多糖類(LPS)は、Mgll-/-マウスにおいて顕著に鈍化した脳エイコサノイドの頑強で時間依存性な増加を生じる。LPS処置はまた、Mgll-/-マウスで予防されるインターロイキン-1-a(IL-1-a)、IL-1b、IL-6、及び腫瘍壊死因子-a(TNF-a)を含む炎症性サイトカインの広範な上昇も誘導する。
【0004】
神経炎症は、中枢神経系、ミクログリア、及びアストロサイトの自然免疫細胞の活性化により特徴付けられる。抗炎症薬は、前臨床モデルにおいて、グリア細胞の活性化並びにアルツハイマー病及び多発性硬化症を含む疾患の進行を抑制し得ることが報告されている(Lleo,A.,Cell.Mol.Life Sci.2007,64,1403)。重要なことに、MAGL活性の遺伝的及び/又は薬理学的破壊はまた、脳におけるミクログリア細胞のLPS誘導活性化も阻害する(Nomura,D.K.et al.,Science 2011,334,809)。
【0005】
その上、MAGL活性の遺伝的及び/又は薬理学的破壊は、限定されるものではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び多発性硬化症を含む神経変性のいくつかの動物モデルにおいて保護的であることが示された。例えば、不可逆的なMAGL阻害剤は、神経炎症及び神経変性の前臨床モデルにおいて広く使用されている(Long,J.Z.et al.,Nat.Chem.Biol.2009,5,37)。このような阻害剤の全身注射は,脳におけるMgll-/-マウス表現型を再現し、これは2-AGレベルの増加、AAレベル及び関連するエイコサノイド産生の減少、並びにLPS誘導神経炎症後のサイトカイン産生及びミクログリア活性化の抑制を含み(Nomura,D.K.et al.,Science 2011,334,809)、これらは共にMAGLが新薬につながるような標的であることを確認している。
【0006】
MAGL活性の遺伝的及び/又は薬理学的破壊に続いて、脳におけるMAGL天然基質、2-AGの内因性レベルが増加する。2-AGは、例えばマウスにおける抗侵害受容効果(Ignatowska-Jankowska B.et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.2015,353,424)及び慢性ストレスモデルにおける鬱病等の精神障害(Zhong P.et al.,Neuropsychopharmacology 2014,39,1763)による疼痛に対して有益な効果を示すことが報告されている。
【0007】
更に、中枢神経系のミエリン化細胞であるオリゴデンドロサイト(OL)及びその前駆細胞(OPC)は、その膜上にカンナビノイド受容体2(CB2)を発現する。2-AGは、CB1及びCB2受容体の内因性リガンドである。カンナビノイドとMAGLの薬理学的阻害との両方が、興奮毒性傷害に対するOL及びOPCの脆弱性を弱め、よって、神経保護的であり得ることが報告されている(Bernal-Chico,A.et al.,Glia 2015,63,163)。加えて、MAGLの薬理学的阻害はマウスの脳におけるミエリン化OLの数を増加させ、MAGL阻害がインビボでミエリン化OLにおけるOPCの分化を促進する可能性を示唆している(Alpar,A.et al.,Nat.Commun.2014,5,4421)。MAGLの阻害はまた、進行型多発性硬化症のマウスモデルにおいて再ミエリン化及び機能回復を促進することも示された(Feliu,A.et al.,J.Neurosci.2017,37,8385)。
【0008】
さらに、近年では、代謝、特に脂質代謝ががん研究において非常に重要視されている。研究者らは、新規の脂肪酸合成が腫瘍の発生に重要な役割を果たすと考えている。多くの研究は、エンドカンナビノイドが、抗増殖、アポトーシス誘導、及び抗転移効果を含む、抗腫瘍形成作用を有することを示した。脂質代謝及びエンドカンナビノイド系の両方に対する重要な分解酵素としてのMAGLは、更に、遺伝子発現特性の一部として、神経膠芽腫を含む腫瘍形成の様々な態様に寄与する(Qin,H.et al.,Cell Biochem.Biophys.2014,70,33;Nomura,D.K.et al.,Cell 2009,140,49;Nomura,D.K.et al.,Chem.Biol.2011,18,846;Jinlong,Y.et al.,Nat.Commun.2020,11,2978)。
【0009】
内在性カンナビノイド系はまた、多くの胃腸の生理学的作用及び生理病理学的作用に関与する(Marquez,L.et al.,PLoS One 2009,4,e6893)。これらの効果は全て、主にカンナビノイド受容体(CBR)、CB1及びCB2を介して駆動される。CB1受容体は、動物及び健康なヒトの消化管全体、特に腸神経系(ENS)及び上皮内層、並びに結腸壁の血管の平滑筋細胞に存在する(Wright,K.et al.,Gastroenterology 2005,129,437;Duncan,M.et al.,Aliment.Pharmacol.Ther.2005,22,667)。CB1の活性化は、制吐作用、抗運動性及び抗炎症効果をもたらし、疼痛を調節するのに役立つ(Perisetti,A.et al.,Ann.Gastroenterol.2020,33,134)。CB2受容体は、形質細胞及びマクロファージ等の免疫細胞、GI管の粘膜固有層(Wright,K.et al.,Gastroenterology 2005,129,437)、及び主に炎症性腸疾患(IBD)に関連するヒト結腸組織の上皮で発現される。CB2の活性化は、炎症促進性サイトカインを減少させることによって抗炎症効果を発揮する。MAGLの発現はUC患者の結腸組織で増加し(Marquez,L.et al.,PLoS One 2009,4,e6893)、2-AGレベルはIBD患者の血漿で増加する(Grill,M.et al.,Sci.Rep.2019,9,2358)。いくつかの動物研究は、IBDの対症療法のためのMAGL阻害剤の可能性を実証している。MAGL阻害は、TNBS誘発マウス大腸炎を予防し、CB1/CB2 MoAを介して局所及び循環炎症マーカーを減少させる(Marquez,L.et al.,PLoS One 2009,4,e6893)。さらに、MAGL阻害は、CB1駆動MoAを介して腸壁の完全性及び腸透過性を改善する(Wang,J.et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.2020,525,962)。
【0010】
結論として、MAGLの作用及び/又は活性化を抑制することは、神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、炎症性腸疾患、腹痛及び過敏性腸症候群に伴う腹痛を処置又は予防するための有望な新たな治療戦略である。更に、MAGLの作用及び/又は活性化の抑制は、神経保護及びミエリン再生を提供するための有望な新しい治療戦略である。したがって、新しいMAGL阻害剤に対するアンメット・メディカル・ニーズが高い。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様では、本発明は、式(I):
【化1】

(式中、X、Y、Z、A、L、B及びR~Rは、本明細書に記載されるとおりである)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0012】
一態様では、本発明は、本明細書に記載される式(IA)又は(IB)の化合物を製造するプロセスであって、
(a)式2のアミン:
【化2】

(式中、X、Y、及びZは、本明細書に記載されるとおりである)
を、カルボン酸3a:
【化3】

(式中、L、A、B、及びR~Rは、本明細書に記載されるとおりである)
と、CDI、DCC、HATU、HBTU、HOBT、TBTU、TP又はMukaiyama試薬などのカップリング試薬の存在下で、かつ任意選択的に、TEA、DIPEA(Huenig塩基)又はDMAPなどの塩基の存在下で反応させて、式(IB):
【化4】

(式中、X、Y、Z、L、A、B及びR~Rは、本明細書に定義されるとおりである)
の化合物を形成すること;あるいは
(b)式2のアミン:
【化5】

(式中、X、Y、及びZは、本明細書に記載されるとおりである)
を、カルボン酸塩化物3b:
【化6】

(式中、L、A、B、及びR~Rは、本明細書に記載されるとおりである)
と、TEA、Huenig塩基、ピリジン、DMAP又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの塩基の存在下で反応させて、式(IB)(式中、X、Y、Z、L、A、B及びR~Rは、本明細書に定義されるとおりである)の化合物を形成すること;あるいは
(c)式1の第1のアミン:
【化7】

(式中、A、B、L、並びにR及びRは、本明細書に記載されるとおりである)
を、第2のアミン2:
【化8】

(式中、X、Y、及びZは、本明細書に記載されるとおりである)
と、重炭酸ナトリウムなどの塩基、及びビス(トリクロロメチル)カーボネート、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート又は1,1’-カルボニルジイミダゾールなどの尿素形成試薬の存在下で反応させて、式(IA):
【化9】

(式中、X、Y、Z、L、A、B及びR~Rは本明細書に定義されるとおりである)
の化合物を形成すること
を含む、プロセスを提供する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載のプロセスに従って製造される場合の、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物と、治療上不活性な担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、哺乳動物におけるモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)を阻害するための、本明細書に記載される式(I)の化合物、又は本明細書に記載される医薬組成物の使用を提供する。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸癌発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
本発明の特定の態様、実施形態又は実施例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分又は基は、両立しない場合を除き、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示された特徴の全て、及び/又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の全ては、そのような特徴及び/又は工程の少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わされ得る。本発明は、いずれの前述の実施形態の細部にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な1つ若しくは任意の新規な組合せ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の任意の新規な1つ若しくは任意の新規な組合せに及ぶ。
【0020】
「アルキル」という用語は、一価又は多価、例えば、1~12個の炭素原子を有する一価又は二価の直鎖又は分岐飽和炭化水素基を指す。いくつかの好ましい実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子(「C1-6-アルキル」)、例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子を含む。他の実施形態では、アルキル基は、1~3個の炭素原子、例えば、1、2、又は3個の炭素原子を含む。アルキルのいくつかの非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル及び2,2-ジメチルプロピルが挙げられる。アルキルの特に好ましいが非限定的な例は、メチルである。
【0021】
用語「アルコキシ」とは、酸素原子を介して親分子部分に結合した、上で定義されたアルキル基を指す。アルコキシ基は、特に指示されない限り、1~12個の炭素原子を含む。いくつかの好ましい実施形態では、アルコキシ基は、1~6個の炭素原子(「C1-6-アルコキシ」)を含む。他の実施形態では、アルコキシ基は、1~4個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、アルコキシ基は、1~3個の炭素原子を含む。アルコキシ基のいくつかの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ及びtert-ブトキシが挙げられる。アルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、メトキシである。
【0022】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)又はヨード(I)を指す。好ましくは、「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)又はブロモ(Br)を指す。「ハロゲン」又は「ハロ」の特に好ましいが非限定的な例は、フルオロ(F)及びクロロ(Cl)である。
【0023】
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、3~10個の環炭素原子の、飽和又は部分不飽和の、単環式又は二環式の炭化水素基を指す(「C-C10シクロアルキル」)。いくつかの好ましい実施形態では、シクロアルキル基は、3~8個の環炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。「二環式シクロアルキル」とは、2つの炭素原子を共有する2つの飽和炭素環からなるシクロアルキル部分(すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、又は1つ若しくは2つの環原子の鎖であるかのいずれかである)及びスピロ環部分(すなわち2つの環が1つの共通の環原子を介して接続されている)を指す。好ましくは、シクロアルキル基は、3~6個の環炭素原子、例えば、3、4、5又は6個の炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。シクロアルキルのいくつかの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。シクロアルキルの特に好ましい例はシクロプロピルである。
【0024】
用語「ヘテロシクリル」及び「ヘテロシクロアルキル」とは、本明細書において交換可能に使用され、3~10個の環原子、好ましくは3~8個の環原子からなる飽和又は部分的に不飽和な単環式又は二環式、好ましくは単環式の環系を指す。ここで、1、2、又は3個の該環原子は、N、O、及びSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。好ましくは、前記環原子の1~2個は、N及びOから選択され、残りの環原子は炭素である。「二環式ヘテロシクリル」とは、2つの環原子を共有する2つの環からなる複素環部分(すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、又は1つ若しくは2つの環原子の鎖であるかのいずれかである)及びスピロ環部分(すなわち2つの環が1つの共通の環原子を介して接続されている)を指す。ヘテロシクリル基のいくつかの非限定的な例としては、アゼチジン-3-イル、アゼチジン-2-イル、オキセタン-3-イル、オキセタン-2-イル、1-ピペリジル、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、2-オキソピロリジン-1-イル、2-オキソピロリジン-3-イル、5-オキソピロリジン-2-イル、5-オキソピロリジン-3-イル、2-オキソ-1-ピペリジル、2-オキソ-3-ピペリジル、2-オキソ-4-ピペリジル、6-オキソ-2-ピペリジル、6-オキソ-3-ピペリジル、モルホリノ、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イル、及び2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イルが挙げられる。ヘテロシクリル基のいくつかの好ましいが非限定的な例としては、アゼチジニル及び2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イルが挙げられる。
【0025】
「アリール」という用語は、計6~14環員(「C-C14-アリール」)、好ましくは、6~12環員、より好ましくは6~10環員を有する単環式、二環式、又は三環式の炭素環式環系であり、ここで、系の少なくとも1つの環は芳香族である。アリールのいくつかの非限定的な例としては、フェニル及び9H-フルオレニル(例えば、9H-フルオレン-9-イル)が挙げられる。アリールの特に好ましい、但し非限定的な例はフェニルである。
【0026】
「ヘテロアリール」という用語は、合計5~14個の環員、好ましくは5~12個の環員、より好ましくは5~10個の環員を有する多価の単環式又は二環式の環系を指し、ここで、系の少なくとも1つの環は芳香族であり、系の少なくとも1つの環は1つ以上のヘテロ原子を含む。好ましくは、「ヘテロアリール」は、O、S及びNから独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む5~10員ヘテロアリールを指す。最も好ましくは、「ヘテロアリール」は、O、S及びNから独立して選択される1~2個のヘテロ原子を含む5~10員ヘテロアリールを指す。ヘテロアリールのいくつかの好ましいが非限定的な例としては、チアゾリル(例えば、チアゾール-2-イル);オキサゾリル(例えば、オキサゾール-2-イル);5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル;1,2,4-オキサジアゾール-5-イル;ピリジル(例えば2-ピリジル);ピラゾリル(例えばピラゾール-1-イル);イミダゾリル(例えばイミダゾール-1-イル);ベンゾオキサゾリル(例えばベンゾオキサゾール-2-イル)及びオキサゾロ[5,4-c]ピリジン-2-イルが挙げられる。
【0027】
複素環又はヘテロ芳香環は、結果として安定した構造を生じるいかなるヘテロ原子又は炭素原子においても、該複素環の付属基へ付着することができ、環原子のいずれかは任意に置換されている。
【0028】
「シアノ」という用語は、-CN(ニトリル)基を指す。
【0029】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。好ましくは、「ハロアルキル」とは、アルキル基の1、2又は3個の水素原子が、ハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。ハロアルキルの特に好ましいが非限定的な例は、トリフルオロメチル(CF)及びトリフルオロエチル(例えば、2,2,2-トリフルオロエチル)である。
【0030】
「ハロアルコキシ」という用語は、アルコキシ基の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルコキシ基を指す。好ましくは、「ハロアルコキシ」とは、アルコキシ基の1、2又は3個の水素原子が、ハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルコキシ基を指す。ハロアルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、トリフルオロメトキシ(-OCF)である。
【0031】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、上で定義されたアリール基を指す。アリールオキシの好ましいが非限定的な例は、フェノキシである。
【0032】
「シクロアルキルオキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、先に定義されたシクロアルキル基を指す。シクロアルキルオキシの好ましいが非限定的な例は、シクロプロポキシである。
【0033】
「ヘテロアリールオキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、先に定義されたヘテロアリール基を指す。ヘテロアリールオキシの好ましいが非限定的な例は、ピリジルオキシ(例えば、2-ピリジルオキシ、3-ピリジルオキシ又は4-ピリジルオキシ)である。
【0034】
「ヘテロシクリルオキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、先に定義されたヘテロシクリル基を指す。ヘテロシクリルオキシの好ましいが非限定的な例は、アゼチジニルオキシである。
【0035】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的に又はその他望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸(特に塩酸)等の無機酸と、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等の有機酸で形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に添加することにより調製され得る。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩等が含まれるがこれらに限定されない。有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等の塩が含まれるがこれらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容され得る塩は、塩酸塩である。
【0036】
「保護基」(PG)という用語は、化学反応が、合成化学において慣用的に関連する意味において、別の保護されていない反応部位で選択的に行われ得るように、多官能性化合物中の反応部位を選択的にブロックする基を意味する。保護基は適切な時点で除去することができる。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基又はヒドロキシ保護基である。具体的な保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)及びベンジル(Bn)である。さらなる具体的な保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)及びフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である。より具体的な保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)である。例示的な保護基及び有機合成におけるそれらの用途は、例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wutts,5th Ed.,2014,John Wiley&Sons,New Yorkによる「Protective Groups in Organic Chemistry」に記載されている。
【0037】
「尿素形成試薬」という用語は、第1のアミンを第2のアミンと反応させ、それによって尿素誘導体を形成する種にすることができる化合物を指す。尿素形成試薬の非限定的なとしては、ビス(トリクロロメチル)カーボネート、ホスゲン、クロロ蟻酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート、及び1,1’-カルボニルジイミダゾールが挙げられる。Sartori,G.et al.,Green Chem.2000,2,140に記載されている尿素形成試薬は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0038】
式(I)の化合物は、数個の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体又はジアステレオ異性体のラセミ体の混合物の形態で存在することができる。好ましい実施形態にいて、本発明による式(I)の化合物は、本明細書に記載されるように、それぞれ、式(Ia)又は(Ib)のcis-エナンチオマーである。
【0039】
Cahn-Ingold-Prelog則によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置のものであり得る。
【0040】
略語「MAGL」とは、酵素モノアシルグリセロールリパーゼを指す。用語「MAGL」及び「モノアシルグリセロールリパーゼ」とは、本明細書において交換可能に使用される。
【0041】
本明細書で使用される「処置」という用語には、(1)状態、障害若しくは症状を抑制すること(例えば、疾患の発症又は維持処置の場合には疾患の再発、疾患の少なくとも1つの臨床症候又は無症状性症候の発症を停止、低減又は遅延させること);及び/又は(2)症状を緩和すること(すなわち、状態、障害若しくは症状、又はその臨床症候若しくは無症状性症候の少なくとも1つの退行を引き起こすこと)が含まれる。処置されるべき患者に対する利益は、統計的に有意であるか、又は少なくとも患者若しくは医師にとって認識可能であるかのいずれかである。しかしながら、疾患を処置するために患者へ医薬が投与される場合、結果は必ずしも有効な処置でなくともよいことが理解されるであろう。
【0042】
本明細書で使用される「予防」という用語は、状態、障害若しくは症状に罹患し得る又はこれらに罹患しやすい素因を有し得るが、当該状態、障害又は症状の臨床症候又は無症状性症候をいまだ経験していない又は示していない哺乳動物、特にヒトにおいて生じる当該状態、障害又は症状の臨床症候の出現を防止又は遅延させることを含む。
【0043】
用語「神経炎症」とは、本明細書で使用される場合、神経系の2つの部分の主要な組織成分である神経組織の急性及び慢性炎症に関する。中枢神経系(central nervous system:CNS)の脳及び脊髄、並びに末梢神経系(peripheral nervous system:PNS)の分岐末梢神経。慢性神経炎症は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び多発性硬化症などの神経変性疾患と関連している。急性神経炎症は、通常、例えば外傷性脳損傷(traumatic brain injury:TBI)の結果として、中枢神経系の損傷直後に起こる。
【0044】
用語「外傷性脳損傷」(「TBI」、「頭蓋内損傷」としても知られる)は、急速な加速若しくは減速、衝撃、爆風波、又は発射体による貫通などの外部の機械的力に起因する、脳の損傷に関する。
【0045】
用語「神経変性疾患」は、ニューロンの死を含む、ニューロンの構造又は機能の進行性喪失に関連する疾患に関連する。神経変性疾患の例としては、限定されるものではないが、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び筋萎縮性側索硬化症が挙げられる。
【0046】
用語「精神障害」(精神疾患又は精神系障害とも呼ばれる)は、生活において苦痛又は機能不良を引き起こす可能性のある行動又は精神パターンに関する。このような特徴は、持続性、再発性、及び寛解性又は単回エピソードとして生じることがある。精神障害の例としては、不安症及び鬱病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
用語「疼痛」は、実際の又は潜在的な組織損傷に関連する不快な感覚的及び感情的経験に関連する。疼痛の例としては、侵害受容性疼痛、慢性疼痛(特発性疼痛を含む)、化学療法誘発性神経障害を含む神経障害性疼痛、幻肢痛、及び梅毒性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。疼痛の特定の例は、神経障害性疼痛であり、これは、身体的感情(すなわち、体性感覚系)に関与する神経系のいずれかの部分に影響を及ぼす損傷又は疾患によって引き起こされる。一実施形態では、「疼痛」は、切断術又は開胸術から生じる神経障害性疼痛である。一実施形態では、「疼痛」は、化学療法誘発性神経障害である。
【0048】
用語「神経毒性」は、神経系における毒性に関連する。これは、天然又は人工の毒性物質(神経毒)に曝されると、神経系の正常な活動が変化して、神経組織に損傷が生じることで発生する。神経毒性の例としては、化学療法、放射線処置、薬物療法、薬物乱用、及び臓器移植に使用される物質への曝露、並びに重金属、特定の食品及び食品添加物、農薬、工業用及び/又は洗浄用溶媒、化粧品、及びいくつかの天然に存在する物質への曝露から生じる神経毒性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
用語「がん」とは、新生物又は腫瘍の存在によって特徴付けられる疾患であって、細胞の異常で制御不能な増殖に起因する疾患を指す(そのような細胞は「がん細胞」である)。本明細書で使用される場合、がんという用語は、明示的に、肝細胞癌腫、結腸癌発生、及び卵巣がんを含むが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用される「哺乳動物」という用語には、ヒト及び非ヒトの両方が含まれ、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ、ウシ、ウマ及びブタが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい実施形態において、用語「哺乳動物」とは、ヒトを指す。
【0051】
本発明の化合物
第1の態様において、本発明は、式(I):
【化10】

(式中、
Xは、CH又はNであり;
Y及びZは、CH又はOであり、Y及びZのうちの多くとも1つはOであり;
Lは、共有結合、-CHR-、-O-、-OCH-、-CHO-、-CHOCH-、-CHCH-、-CFCH-、及び-CHCF-から選択され;
Aは、C-C14-アリール、5~14員ヘテロアリール、及び3~14員ヘテロシクリルから選択され;
Bは、1~2個の窒素原子を含む4~10員複素環であり;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、SF、シアノ、C1-6-アルキル、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルコキシ、C-C14-アリール、C-C10-シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、3~14員ヘテロシクリル、C-C14-アリールオキシ、C-C10-シクロアルキルオキシ、3~14員ヘテロシクリルオキシ、及び5~14員ヘテロアリールオキシから選択され、前記3~14員ヘテロシクリル、C-C14-アリール、C-C10-シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、C-C14-アリールオキシ、C-C10-シクロアルキルオキシ、及び5~14員ヘテロアリールオキシのそれぞれは、任意選択的に、ハロゲン、C1-6-アルキル、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルキル及びハロ-C1-6-アルコキシから選択される1~2個の置換基で置換されているか;又は
及びRは、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、任意選択的に1つ又は複数のC1-6-アルキルで置換されている3~14員複素環を形成し;
は、水素及びC1-6-アルキルから選択され;
は、水素、C-C14-アリール及びハロ-C-C14-アリールから選択される)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0052】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供し、式(I)の化合物は、次の式(IA):
【化11】

(式中、X、Y、Z、A、L、B及びR~Rは、本明細書に記載されるとおりである)
の化合物である。
【0053】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供し、式(I)の化合物は、次の式(IB):
【化12】

(式中、X、Y、Z、A、L、B及びR~Rは、本明細書に記載されるとおりである)
の化合物である。
【0054】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
Xは、CH又はNであり;
Yは、CH又はOであり;
Zは、CHである、化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0055】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
Lは、共有結合、-CHR-、及び-CHO-から選択され;
Aは、C-C14-アリールであり;
は、ハロゲン、ハロ-C1-6-アルキル、及びハロ-C1-6-アルキルで置換されたC-C10-シクロアルキルから選択され;
は、水素及びハロゲンから選択され;
は、水素である、化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0056】
好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
Lは、共有結合及び-CHO-から選択され;
Aは、C-C14-アリールであり;
は、ハロ-C1-6-アルキル、及びハロ-C1-6-アルキルで置換されたC-C10-シクロアルキルから選択され;
は、水素及びハロゲンから選択される、化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0057】
特に好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
Lは、共有結合及び-CHO-から選択され;
Aは、フェニルであり;
は、CF及び(トリフルオロメチル)シクロプロピルから選択され;
は、水素及びフルオロから選択される、化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0058】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
Bは、1個の窒素原子を含む4~7員複素環であり;
は、水素である、化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0059】
好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
Bは、アゼチジニルであり;
は、水素である、化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0060】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
Xは、CH又はNであり;
Y及びZは、CH又はOであり、Y及びZのうちの多くとも1つはOであり;
Lは、共有結合、-CHR-、及び-CHO-から選択され;
Aは、C-C14-アリールであり;
Bは、1個の窒素原子を含む4~7員複素環であり;
は、ハロゲン、ハロ-C1-6-アルキル、及びハロ-C1-6-アルキルで置換されたC-C10-シクロアルキルから選択され;
は、水素及びハロゲンから選択され;
及びRは、いずれも水素である、化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0061】
好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
Xは、CH又はNであり;
Yは、CH又はOであり;
Zは、CHであり;
Lは、共有結合及び-CHO-から選択され;
Aは、C-C14-アリールであり;
Bは、1個の窒素原子を含む4~7員複素環であり;
は、ハロ-C1-6-アルキル、及びハロ-C1-6-アルキルで置換されたC-C10-シクロアルキルから選択され;
は、水素及びハロゲンから選択され;
は、水素である、化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0062】
特に好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
Xは、CH又はNであり;
Yは、CH又はOであり;
Zは、CHであり;
Lは、共有結合及び-CHO-から選択され;
Aは、フェニルであり;
Bは、アゼチジニルであり;
は、CF及び(トリフルオロメチル)シクロプロピルから選択され;
は、水素及びフルオロから選択され;
は、水素である、化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0063】
好ましい実施形態では、本発明は、ZがCHである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0064】
一実施形態では、本発明は、Lが共有結合、-CH-、及び-CHO-から選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0065】
好ましい実施形態では、本発明は、Lが共有結合及び-CHO-から選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0066】
一実施形態では、本発明は、Aが、C-C14-アリールである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0067】
好ましい実施形態では、本発明は、Aがフェニルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0068】
一実施形態では、本発明は、Bが1個の窒素原子を含む4~7員複素環である、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0069】
好ましい実施形態では、本発明は、Bがアゼチジニル及び2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イルから選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0070】
特に好ましい実施形態では、本発明は、Bがアゼチジニルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0071】
一実施形態では、本発明は、Rがハロゲン、ハロ-C1-6-アルキル、及びハロ-C1-6-アルキルで置換されたC-C10-シクロアルキルから選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0072】
好ましい実施形態では、本発明は、Rがハロ-C1-6-アルキル、及びハロ-C1-6-アルキルで置換されたC-C10-シクロアルキルから選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0073】
特に好ましい実施形態では、本発明は、RがCF及び(トリフルオロメチル)シクロプロピルから選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0074】
一実施形態では、本発明は、Rが水素及びハロゲンから選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0075】
好ましい実施形態では、本発明は、Rが水素及びフルオロから選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0076】
好ましい実施形態では、本発明は、Rが水素である、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0077】
好ましい実施形態では、本発明は、Rが水素である、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0078】
一実施形態では、本発明は、以下から選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する:
[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[rac-(5aR,8aS)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-g]インダゾール-7-イル]メタノン;
[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[rac-(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン;
(-)又は(+)-[(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]-[3-[4-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル]アゼチジン-1-イル]メタノン;
(+)又は(-)-[(1R,9S)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]-[3-[4-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル]アゼチジン-1-イル]メタノン;
(-)又は(+)-[6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル]-[(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン;
(+)又は(-)-[6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル]-[(1R,9S)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン;
(-)又は(+)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(5aR,8aS)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール-7-イル]メタノン;
(+)又は(-)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(5aS,8aR)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール-7-イル]メタノン;
(-)又は(+)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(1S,9R)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン;及び
(+)又は(-)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(1R,9S)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン。
【0079】
好ましい実施形態では、本発明は、以下から選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する:
(-)又は(+)-[(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]-[3-[4-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル]アゼチジン-1-イル]メタノン;及び
(-)又は(+)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(5aR,8aS)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール-7-イル]メタノン。
【0080】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)に係る化合物の薬学的に許容され得る塩、特に塩酸塩を提供する。さらに特定の実施形態では、本発明は、遊離塩基として本明細書に記載の式(I)に係る化合物を提供する。
【0081】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、その中の1つ以上の原子が異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されることにより同位体標識される。かかる同位体標識された(すなわち、放射性標識された)式(I)の化合物は、本開示の範囲内であると考えられる。式(I)の化合物に組み込むことができる例示的な同位体としては、それぞれ、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iが挙げられるが、これらに限定されない。ある種の同位体標識された式(I)の化合物、例えば、放射性同位体を組み込むものは、薬物及び/又は基質組織分布研究において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち、H及び炭素-14、すなわち、14Cは、それらの組込みの容易さ及び即時検出手段を考慮すれば、この目的に関して特に有用である。例えば、式(I)の化合物は、所与の同位体の1、2、5、10、25、50、75、90、95、又は99%で濃縮することができる。
【0082】
より重い同位体、例えば重水素、すなわちHなどによる置換を行うと代謝安定性がより高くなり、例えば、インビボ半減期が長くなるか又は必要な投薬量は少なくなり、結果として特定の治療的利点が得られ得る。
【0083】
11C、18F、15O及び13Nなどのポジトロン放出同位体での置換は、基質受容体占有を検査するためのポジトロン放出断層撮影(Positron Emission Topography:PET)研究において有用であり得る。同位体標識された式(I)の化合物は、一般的に、当業者に既知の従来の技法により、又は前に用いられた同位体標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用することによって、以下に記述される実施例に記載されるものに類似するプロセスにより調製され得る。
【0084】
製造プロセス
一態様では、本発明はまた、本明細書に記載の式(I)の化合物を製造するプロセスを提供する。
【0085】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次的又は収束的な合成経路で行うことができる。本発明の合成は、以下の一般的なスキームで示される。得られた生成物の反応及び精製を行うために必要な技術は、当業者に知られている。以下のプロセスの説明において使用される置換基及び指標は、反対に示されない限り、本明細書で与えられる意義を有する。
【0086】
出発物質、中間体又は式(I)の化合物のうちの1つが、1つ又は複数の反応工程の反応条件下で安定でないか又は反応性である1つ又は複数の官能基を含む場合、適切な保護基(「Protective Groups in Organic Chemistry」、T.W.Greene及びP.G.M.Wutts著、第5版、2014、John Wiley&Sons、New Yorkに記載されているような)を、重要な工程の前に、当技術分野で周知の方法を適用して導入し得る。そのような保護基は、文献に記載の標準的な方法を用いて、合成の後の段階で除去することができる。
【0087】
出発物質又は中間体が立体中心を含む場合、式(I)の化合物はジアステレオマー又はエナンチオマーの混合物として得ることができ、これは、当該技術分野で周知の方法、例えばキラルHPLC、キラルSFC、又はキラル結晶化によって分離することができる。ラセミ化合物は、例えば、光学的に純粋な酸との結晶化によって、又はキラル吸着剤若しくはキラル溶出剤のいずれかを使用する特異的なクロマトグラフ方法により対掌体を分離することによって、ジアステレオマー塩を介してそれらの対掌体に分離することができる。立体中心を含む出発物質及び中間体を分離して、ジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された出発物質及び中間体を得ることも、同様に可能である。式(I)の化合物の合成においてこのようなジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された出発物質及び中間体を使用すると、典型的には、式(I)のそれぞれのジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された化合物が得られる。
【0088】
当業者は、式(I)の化合物の合成において(他の方法が望まれない限り)、「直交保護基戦略(orthogonal protection group strategy)」を適用することで、分子中の他の保護基に影響を与えることなく、いくつかの保護基を一度に1つずつ切断することができることを認識するであろう。直交保護の原理は当該技術分野で周知であり、また、文献にも記載されている(例えば、Barany,G.,Merrifield,R.B.,J.Am.Chem.Soc.1977,99,7363;Waldmann,H.et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1996,35,2056)。
【0089】
当業者は、反応の順序が中間体の反応性及び性質に応じて変化し得ることを認識するであろう。
【0090】
より詳細には、式(I)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、又は類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に知られている。また、記載された反応に影響を及ぼす文献に記載された反応条件については、例えば、以下を参照されたい:Richard C.Larock,2nd Ed.,1999,John Wiley&Sons,New Yorkによる「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations」。溶媒の有無にかかわらず反応は容易に行うことができた。使用される溶媒の性質に関しては、それが反応又は関与する試薬に悪影響を及ぼさず、かつそれが試薬を少なくともある程度溶解することができるならば、特に制限はない。記載された反応は広範囲の温度にわたって起こる可能性があり、正確な反応温度は本発明にとって重要ではない。-78℃~還流までの温度範囲で記載された反応を行うのが便利である。反応に要する時間もまた、多くの因子、特に反応温度及び試薬の性質に依存して、大きく変動し得る。しかしながら、記載された中間体及び化合物を産生するには、通常、0.5時間~数日の期間で充分である。反応順序はスキームに示された順序に限定されないが、出発物質及びそれらのそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序を自由に変更することができる。
【0091】
出発物質若しくは中間体が市販されていない場合、又はそれらの合成が文献に記載されていない場合には、類似物質についての既存の手順に類推して、又は実験の項目で概説されているように、調製することができる。
【0092】
本明細書では以下の略語が使用される:
AcOH=酢酸、ACN=アセトニトリル、Bn=ベンジル、Boc=tert-ブチルオキシカルボニル、CAS RN=化学アブストラクト登録番号、Cbz=ベンジルオキシカルボニル、DAST=(ジエチルアミノ)三フッ化硫黄、DBU=1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、DEAD=アゾジカルボン酸ジエチル、DIAD=アゾジカルボン酸ジイソプロピル、DMAP=4-ジメチルアミノピリジン、DME=ジメトキシエタン、DMEDA=N,N’-ジメチルエチレンジアミン、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、dppf=1,1ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、EDC HCl=N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、EI=電子衝撃、ESI=エレクトロスプレーイオン化、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、h=時間、FA=ギ酸、HATU=1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシドヘキサフルオロフォスフェート、HBTU=O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロホスフェート、HOBt=1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、iPrMgCl=イソプロピルマグネシウムクロリド、LG=脱離基、LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、min=分、mL=ミリリットル、MPLC=中圧液体クロマトグラフィー、MS=質量スペクトル、nBuLi=n-ブチルリチウム、TP=プロピルホスホン酸無水物、PG=保護基、Pd/C=活性炭上パラジウム、R=任意の基、RT=室温、SFC=超臨界流体クロマトグラフィー、TBME=tert-ブチルメチルエーテル、TEA=トリエチルアミン、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、Hal=ハロゲン。
【0093】
X、Y、Z、B、R、L、A、R及びRが本明細書に記載されるとおりである式IAの化合物は、文献手順と同様に、及び/又は例えばスキーム1に示されるように合成することができる。
【化13】
【0094】
したがって、化合物1を、ビス(トリクロロメチル)カーボネートのような尿素形成試薬の存在下において、好適な塩基、及び、例えばDCM中の炭酸水素ナトリウム等の溶媒を用いて中間体2と反応させて、式Iの化合物を得る(工程a)。さらなる尿素形成試薬としては、ホスゲン、クロロ蟻酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート、又は1,1’-カルボニルジイミダゾールが挙げられるが、これらに限定されない。この種の反応及びこれらの試薬の使用は、文献に広く記載されている(例えば、Sartori,G.et al.,Green Chem.2000,2,140;Ghosh,A.K.et al.,J.Med.Chem.2015,58,2895)。当業者は、中間体として形成された塩化カルバモイルの反応性及び安定性のために、並びに望ましくない対称的な尿素副産物の形成を回避するために、試薬の添加順序がこの種の反応において重要であり得ることを認識するであろう。
【0095】
X、Y、Z、B、R、L、A、R及びRが本明細書に記載されるとおりである式IBの化合物は、文献手順と同様に、及び/又は例えばスキーム2に示されるように合成することができる。
【化14】
【0096】
したがって、中間体2を活性化形態のカルボン酸3a(G=OH)又はカルボン酸塩化物3b(G=Cl)とカップリングさせて、化合物IBを得ることができる(工程a)。このタイプのアミドカップリングは、文献に広く記載されており、好適な溶媒、例えばDMF、DMA、DCM又はジオキサン中、任意に塩基(例えば、TEA、DIPEA(Huenig塩基)又はDMAP)の存在下で、CDI、DCC、HATU、HBTU、HOBT、TBTU、TP又はMukaiyama試薬(Mukaiyama,T.,Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.1979,18,707)等のカップリング試薬を使用することによって達成することができる。
【0097】
あるいは、カルボン酸3aは、無溶媒又は任意にDCM等の溶媒中で、例えば塩化チオニル又は塩化オキサリルで処理することによって、それらの酸塩化物3bに変換することができる。0℃から溶媒又は溶媒混合物の還流温度の範囲の温度で、DCM又はDMF等の適切な溶媒及び塩基(例えばTEA、ヒューニッヒ塩基、ピリジン、DMAP又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミド)中で酸塩化物と中間体2とをその後反応させると、化合物IBが得られる(工程a)。
【0098】
いくつかの実施形態では、三環式ピロリジン中間体2は、それぞれタイプ2a及び2bの中間体である。QがCHであるタイプ2aの中間体及びQがOであるタイプ2bの中間体は、当業者に周知の方法によって、スキーム3に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化15】
【0099】
中間体6(Q=CH)又は10(Q=O)が市販されていない場合、それらは、例えばKubas,H.et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2013,23,6370などの文献手順と同様に、DCMなどの溶媒中、TFAなどの適切な酸の存在下で、2-シクロヘキセン-1-オン(4)及び2H-ピラン-3(6H)-オン(9)をそれぞれN-(メトキシメチル)-N-[(トリメチルシリル)メチル]ベンゼンメタンアミンと反応させることによって調製することができる(工程a)。
【0100】
次いで、中間体6及び10をそれぞれ、例えばトルエン中、好ましくは高温で1,1-ジメトキシ-N,N-ジメチルメタンアミンと反応させて、中間体7及び11をそれぞれ得ることができる(工程b)。
【0101】
中間体7を、MeOHなどの適切な溶媒中、NaOHなどの適切な塩基の存在下、0℃~溶媒の沸点の範囲の温度でヒドラジン二塩酸塩で環化して、中間体8を得ることができる(工程c)。
【0102】
中間体8中のベンジル基は、当業者に公知の方法によって、例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wutts,5th Ed.,2014,John Wiley&Sons,New Yorkによる「Protective Groups in Organic Chemistry」に記載されているように除去することができ、例えば、MeOH中の木炭上パラジウムなどの適切な溶媒中で適切な触媒を使用する水素化によって、中間体2aが得られる(工程d)。
【0103】
中間体11を、0℃~溶媒の沸点の範囲の温度で、EtOHなどの適切な溶媒中、任意にNaOHなどの適切な塩基の存在下で、ヒドラジン一水和物で環化して、中間体12を得ることができる(工程c)。
【0104】
中間体12中のベンジル基は、工程dについて上述したように除去することができ、中間体2bが得られる。
【0105】
いくつかの実施形態では、三環式ピロリジン中間体2は、タイプ2cの中間体である。タイプ2cの中間体は、当業者に周知の方法、及びスキーム4に概説される一般的な合成手順によって例示される方法によって調製することができる。
【化16】
【0106】
中間体6を、室温~溶媒の沸点の範囲の温度で、DMFなどの適切な溶媒中、酢酸アンモニウムの存在下で1-アジド-4-ニトロベンゼンと反応させて、中間体13を得ることができる(工程a)。
【0107】
中間体13中のベンジル基をスキーム3、工程dに記載のように除去して、中間体2cを得ることができる(工程c)。
【0108】
いくつかの実施形態では、三環式ピロリジン中間体2は、タイプ2dの中間体である。タイプ2dの中間体は、当業者に周知の方法、及びスキーム5に概説される一般的な合成手順によって例示される方法によって調製することができる。
【化17】
【0109】
4H-ピラン-4-オン14とN-(メトキシメチル)-N-[(トリメチルシリル)メチル]ベンゼンメタンアミン(5)とを、ACNなどの適切な溶媒中、室温~溶媒の沸点の温度範囲で反応させて、中間体15を得る(工程a)。
【0110】
当技術分野で周知の条件を適用する中間体15中の二重結合の還元、例えば、EtOAc若しくはMeOH又はそれらの混合物などの適切な溶媒中の木炭上パラジウムなどの適切な触媒の存在下での水素化により、中間体16が得られる(工程b)。
【0111】
スキーム4、工程aに記載の酢酸アンモニウムの存在下での中間体16と1-アジド-4-ニトロベンゼンの反応により、中間体17が得られる(工程c)。
【0112】
いくつかの実施形態では、中間体1は、タイプ1aの中間体である。R、R、R、A及びBが本明細書に記載されるとおりである中間体1aは、当技術分野で公知の方法によって、及びスキーム6に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化18】
【0113】
PGが好適な保護基を示し、Xが臭化物又はヨウ化物である、市販されているか又は糖技術分野で公知の方法によって調製された中間体18は、市販されているか又は当技術分野で公知の方法によって調製された化合物19との根岸、ヘック、スティル、鈴木、薗頭又はバックワルド・ハートウィッグ(Buchwald-Hartwig)のカップリング反応等のクロスカップリング反応に供することができ、FGは、例えばクロロ、ブロモ、ヨード、-OSOアルキル(例えば、メシレート(メタンスルホネート))、-OSOフルオロアルキル(例えば、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート))又は-OSOアリール(例えば、トシレート(p-トルエンスルホネート))等の好適な官能基を示す。このタイプの反応は文献に広く記載されており、当業者に周知である(工程a)。
【0114】
例えば、室温から溶媒又は溶媒混合物の沸点の間の温度で、適切な溶媒(例えば、ジオキサン、ジメトキシエタン、水、トルエン、DMF又はそれらの混合物)及び適切な塩基(例えば、NaCO、NaHCO、KF、KCO又はTEA)中、好適な触媒(例えば、トリフェニルホスフィンとのジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)又は酢酸パラジウム(II))を使用して、中間体18を、市販されているか、又は例えば、Dennis G.Hall(Ed.),1st Ed.,2005,John Wiley&Sons,New Yorkによる「Boronic Acids-Preparation and Applications in Organic Synthesis and Medicine」に記載され文献の手順を使用して調製された、アリール又はヘテロアリールボロン酸19a(FG=B(OH))又はボロン酸エステル19b(FG=例えば、4,4,5,5-テトラメチル-2-フェニル-1,3,2-ジオキサボロラン(ピナコール)エステル)と反応させて、中間体20を得ることができる(工程a)。このタイプの鈴木反応は文献に広く記載されており(例えば、Suzuki,A.,Pure Appl.Chem.1991,63,419;Suzuki,A.,Miyaura,N.,Chem.Rev.1995,95,2457;Suzuki,A.,J.Organomet.Chem.1999,576,147;Polshettiwar,V.et al.,Chem.Sus.Chem.2010,3,502)、当業者に周知である。あるいは、アリール-又はヘテロアリール-トリフルオロボレート19c(FG=BF)を、室温から溶媒又は溶媒混合物の沸点の間の温度で、トルエン、THF、ジオキサン、水又はそれらの混合物等の溶媒中、炭酸セシウム又はリン酸カリウム等の好適な塩基の存在下で、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)又はジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-パラジウム(II)ジクロロメタン付加物等のパラジウム触媒を適用して、クロスカップリング反応に使用することができる(工程a)。
【0115】
あるいは中間体18を、室温から溶媒又は溶媒混合物の沸点の間の温度で、好適な触媒及び溶媒、例えばDMF中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(0)を用いて、アリール又はヘテロアリールスタンナン19d(FGはSn(アルキル)であり、アルキルが置換可能なn-ブチル又はメチルである)と反応させて、中間体20を得ることができる(工程a)。そのタイプのスティル反応は当技術分野で周知であり、Farina,V.et al.,Org.React.1997,50,1;Cordovilla,C.et al.,ACS Catal.2015,5,3040などの文献に記載されている。
【0116】
さらに、中間体18を、室温から溶媒の沸点の間の温度で、適切な触媒及び溶媒系、例えば、DMA中の[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)及びヨウ化銅(I)、又はTHF若しくはDMF中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を使用して、商業的に入手可能であるか、又は文献の方法によって調製されるかのいずれかの、アリール又はヘテロアリール亜鉛ハロゲン化物19e(FGはZnHal及びHal、好ましくは臭化物又はヨウ化物である)と反応させて、中間体20を得ることができる(工程a)。そのタイプの根岸反応は当技術分野で周知であり、Gavryushin,A.et al.,Org.Lett.,2005,7,4871;Haas,D.et al.,ACS Catal.2016,6,1540;Negishi,E.-I.,Acc.Chem.Res.1982,15,340などの文献にも記載されている。あるいは、中間体20は、文献の方法(例えば、DMAなどの適切な溶媒中のクロロトリメチルシラン及び1,2-ジブロモエタンの存在下での18とZn粉末との反応)を適用することによって、Xが例えばヨージドである中間体18を対応する亜鉛種に最初に変換し、続いて亜鉛種をアリール-又はヘテロアリールブロミド-又はヨージドと、前述の条件下でカップリングさせることによって調製し得る。
【0117】
あるいは、Xが好ましくは臭化物である中間体18を、DMEのような溶媒中の無水炭酸ナトリウム等の好適な塩基の存在下で、[Ir{dF(CF)ppy}(dtbpy)]PF([4,4’-ビス(1,1-ジメチルエチル)-2,2’-ビピリジン-N1,N1’]ビス[3,5-ジフルオ-2-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル-N]フェニル-C]イリジウム(III)ヘキサフルオロホスフェート)、NiClグライム(ジクロロ(ジメトキシエタン)ニッケル)、4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ジピリジル及びトリス(トリメチルシリル)シランのようなニッケル触媒等の適切な光触媒を使用して、420nmの青色光ランプの照射下でFGが臭化物を表すアリール-又はヘテロアリールブロミド19fとの交差求電子カップリングに供することができる。このタイプの反応は、Zhang,P.et al.,J.Am.Chem.Soc.2016,138,8084;Prier,C.K.et al.,Chem.Rev.2013,113,5322などの文献に記載されている(工程a)。
【0118】
さらに、LGが好ましくはヨウ素である中間体18を、室温と溶媒の沸点の間の温度で、iPrOH、ジオキサン、THF又はDME、好ましくはiPrOHのような適切な溶媒中、rac-(1R,2R)-2-アミノシクロヘキサン-1-オール及びナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドのような適切な塩基の存在下で、ヨウ化ニッケル(II)のような適切なニッケル触媒を使用して、任意にマイクロ波加熱を適用して、アリールボロン酸21(FG=B(OH))とSuzuki-Miyauraクロスカップリング反応させて、中間体22を得ることができる。このタイプの反応は、Dequirez,G.et al.,ChemistrySelect 2017,2,8841などの文献に記載されている(工程c)。
【0119】
中間体22を、前述のクロスカップリング方法の1つを適用して化合物R-FG23と反応させて、中間体20を提供することができる(工程d)。
【0120】
中間体22中のブロモ又はヨード置換基を、文献に記載されている方法に従って、又は工程aで概説したようにボロン酸又はボロン酸エステル(例えばピナコールエステル)に変換して中間体24を得ることができる(工程e)。
【0121】
中間体24は、例えば、FGが例えば臭素又はヨウ素である化合物R-FG23との鈴木カップリング反応を用いて、工程aに記載される条件を適用して、中間体20に変換することができる(工程f)。
【0122】
当技術分野で公知の方法又は記載した方法を適用することによって、中間体20から保護基を除去すると、例えば、中間体1aが得られる(工程b)。
【0123】
いくつかの実施形態では、中間体1は、タイプ1bの中間体である。R、R、R、R、A及びBが本明細書に記載されるとおりである中間体1bは、スキーム7に概説される一般的な合成手順によって例示することができる様々な条件によって調製することができる。
【化19】
【0124】
MXが例えばLi又はMgCl、MgBr又はMgIであるタイプ25の有機金属化合物を、PGが適切な保護基、例えばBoc基である中間体26に添加すると、中間体27が得られる(工程a)。このタイプの反応は当技術分野で周知であり、文献(Walsh,D.A.et al.,J.Med.Chem.1989,32,105;He,S.et al.,J.Med.Chem.2014,57,1543;Senter,T.et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2015,25,2720)に記載されている。MX=MgHalであり、HalがCl、Br又はIである化合物25(グリニャール試薬)が市販されていない場合、それらは、例えば、任意に触媒量のヨウ素の存在下で、0℃~溶媒の沸点の範囲の温度で、THFなどの適切な溶媒中で、対応するハロゲン化アリール又はハロゲン化ヘテロアリール19gとマグネシウムとの反応によって調製され得る(工程d)。あるいは、リチウムハロゲン交換反応を、THF、ジエチルエーテル、n-ペンタン、n-ヘキサン又はそれらの混合物、好ましくはTHFのような溶媒中、-20℃~-78℃の温度範囲で、好ましくは-78℃で、LiHMDS又はnBuLi、好ましくはnBuLiの溶液を使用して、ハロゲン化アリール又はヘテロアリール19gと行なって、対応するリチウム化アリール又はヘテロアリール中間体(M=Li)を生成することができる。in situで調製したリチウム化アリール又はヘテロアリール中間体を、THFなどの溶媒中、好ましくは-78℃の温度で、PGがBoc基などの適切な保護基であるタイプ26のケトンに求核付加させて、対応する第三級アルコール27を得る(工程a)。
【0125】
MeOHなどの溶媒中のジオキサン中の4M HCl、又は好ましくはDCM中のTFAなどの酸性条件を使用して、酸不安定性保護基(例えば、Boc保護基)を任意に同時に除去して、中間体27中の三級ヒドロキシ基のその後の脱離により、対応するオレフィン中間体28が得られる(工程b)。
【0126】
THF、MeOH、EtOH、EtOAc又はそれらの混合物などの溶媒中、好ましくはTHF中、Pd(OH)又はPd/Cなどの触媒を使用した、例えば水素の大気圧下での、オレフィン28の不均一接触水素化により、タイプ1bの中間体が得られる(工程c)。
【0127】
中間体26は商業的に入手可能であり、及び/又は、Ashton,K.S.et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2011,21,5191;WO2012/155199;WO2016/180536;Hutchings,K.M.et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2008,18,5087;WO2007/117557;Zhang,X.,MacMillan,D.W.C.,J.Am.Chem.Soc.2017,139,11353;Liu,F.et al.,J.Med.Chem.2017,60,5507などの文献に記載される方法と同様に調製することができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、中間体1は、タイプ1cの中間体である。R、R、R、A及びBが本明細書に記載されるとおりである中間体1cは、当技術分野で周知の方法によって、及びスキーム8に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化20】
【0129】
PGが適切な保護基であるケトン29は、市販されているか、又は当該技術分野で公知の方法によって調製されるかのいずれかであり、例えば、THF、メチル-THF、又はDMSO等の好適な溶媒中でタイプ30aのアルキリデントリフェニルホスホランとウィティッヒ反応させて、中間体31を得ることができる(工程a)。ホスホラン30a、対応するホスホニウム塩を、THF、ジオキサン、又はメチルTHF等の好適な溶媒中にてnBuLi、NaH、又はKOtBu等の好適な塩基で処理することによって形成することができ、これを単離してもよく、又はin situで使用してもよい。同様に、ホスホニウム塩は、トルエン等の好適な溶媒中のアリール/ヘテロアリール/複素環置換ハロゲン化アルキル(ハロゲン化物は、Cl、Br、及びIである)、及びトリフェニルホスフィンから容易に入手可能である。加熱を適用して反応を加速するか、又は反応を完了させることができる(例えば、「Preparation,Properties and Reactions of Phosphonium Salts」by H.J.Cristau,F.Plenat in The Chemistry of Organophosphorus Compounds:Phosphonium Salts,Ylides And Phosphoranes(Patai’s Chemistry of Functional Groups),Vol.3,Frank R.Hartley(Ed.),Series Editor:Prof.Saul Patai,John Wiley&Sons,New York)。
【0130】
あるいは、中間体31は、ケトン29及びホスホネート30bを用いるホーナー・ワズワース・エモンズ(Horner-Wadsworth-Emmons:HWE)反応を使用して得ることができ、Rは、アルキル、例えばメチル又はエチルである。ホスホネート30bは、THF中のNaH、nBuLi、又はKOtBu等の好適な塩基及び溶媒を用いてin situ でα金属化される(工程a)。ホスホネート30bは、例えば、アリール/ヘテロアリール/複素環式ハロゲン化物(ハロゲン化物は、Cl、Br、及びIである)を市販の亜リン酸トリアルキルでアルキル化することによるアルブゾフ反応を使用して、容易に調製される(例えば、Brill,T.B.,Landon,S.J.,Chem.Rev.1984,84,577)。
【0131】
両方のタイプのオレフィン化反応は、文献に広く記載されている(例えば、Bisceglia,J.A.,Orelli,L.R.,Curr.Org.Chem.2015,19,744;Maryanoff,B.E.,Reitz,A.B.,Chem.Rev.1989,89,863;Wadsworth Jr.,W.S.,Org.React.1977,25,73;Nicolaou,K.C.,Hartner,M.W.,Gunzner,J.L.,Nadin,A.,Liebigs Ann./Recueil 1997,1283;Stec,W.J.,Acc.Chem.Res.1983,16,411)。
【0132】
EtOAc、MeOH、又はAcOHなどの適切な溶媒又は溶媒混合物中での木炭上パラジウムといった好適な触媒の存在下において、例えば水素を用いて中間体31中の二重結合を還元すると、化合物32が得られる(工程b)。
【0133】
当該技術分野で公知の方法(例えば、0℃~室温の温度でDCM中TFA又はジオキサン中4MのHClを用いるBoc基、MeOH、EtOH、EtOAc、又はそれらの混合物等の好適な溶媒中の木炭上のPd又はPd(OH)といった好適な触媒の存在下で水素を用いるCbz基、及び、例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wutts,5th Ed.,2014,John Wiley&Sons,New Yorkによる「Protective Groups in Organic Chemistry」に記載のような基)を適用して、中間体32由来の保護基を除去すると、中間体1cが得られる(工程c)。
【0134】
いくつかの実施形態では、中間体1は、タイプ1dの中間体である。R、R、R、A及びBが本明細書に記載されるとおりである中間体1dは、当技術分野で周知の方法によって、及びスキーム9に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化21】
【0135】
タイプ33のアルコールは、PGがCbz、Boc、又はBn等の好適な保護基である中間体34と、トリフェニルホスフィン等の適当なホスフィン及びDEAD又はDIAD等のアゾジカルボン酸ジアルキルを、THF等の好適な溶媒中で用いて光延反応させることにより、中間体19を得ることができる(工程a)。そのタイプの光延反応は、文献に広く記載されている(例えば、Fletcher,S.,Org.Chem.Front.2015,2,739;Kumara Swamy,K.C.,et al.,Chem.Rev.2009,109,2551)。
【0136】
文献の方法、及び、例えば下記スキーム8、工程cに記載した方法を適用することによって中間体35から保護基を除去すると、中間体1Dが得られる(工程b)。
【0137】
あるいは、中間体35は、化合物36でアルキル化することができるアルコール33から調製してもよく、ここで、LGは、0℃と溶媒の沸点との間の温度で適切な溶媒(例えば、DMF中水素化ナトリウム)中において好適な塩基を用いる、好適な脱離基、例えば塩素、臭素、ヨウ素、OSOアルキル(例えば、メタンスルホネート)、OSOフルオロアルキル(例えば、トリフルオロメタンスルホネート)、又はOSOアリール(例えば、p-トルエンスルホネート)である(工程c)。
【0138】
更に、中間体35は、工程cで記載された条件下において、化合物37によるタイプ34のアルコールのアルキル化を介して合成することができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、中間体1は、タイプ1eの中間体である。R、R、R、A及びBが本明細書に記載されるとおりである中間体1eは、スキーム10に概説される一般的な合成手順によって例示することができる様々な条件によって調製することができる。
【化22】
【0140】
タイプ33のアルコールは、PGがCbz、Boc、又はBn等の好適な保護基である中間体38と、トリフェニルホスフィン等の適当なホスフィン及びDEAD又はDIAD等のアゾジカルボン酸ジアルキルを、THF等の好適な溶媒中で用いて光延反応させることにより、中間体39を得ることができる(工程a)。そのタイプの光延反応は、文献に広く記載されている(例えば、Fletcher,S.,Org.Chem.Front.2015,2,739;Kumara Swamy,K.C.,et al.,Chem.Rev.2009,109,2551)。
【0141】
文献の方法、及び、例えば下記スキーム8、工程cに記載した方法を適用することによって中間体39から保護基を除去すると、中間体1eが得られる(工程b)。
【0142】
あるいは、中間体39は、化合物40でアルキル化することができるアルコール33から調製してもよく、LGは、0℃と溶媒の沸点との間の温度のDMFといった適切な溶媒中において、CsCO、Huenig塩基又はNaH等の好適な塩基を用いる好適な脱離基、例えば塩素、臭素、ヨウ素、OSOアルキル(例えば、メタンスルホネート)、OSOフルオロアルキル(例えば、トリフルオロメタンスルホネート)、又はOSOアリール(例えば、p-トルエンスルホネート)である(工程c)。
【0143】
例えばスキーム1、工程aに記載の条件を用いて中間体1eを中間体2と反応させると、R、R、R、A、B、X、Y及びZは本明細書で定義されるとおりであるタイプICの化合物が得られる。
【化23】
【0144】
あるいは、タイプICの化合物は、スキーム11に従って調製され得る。
【化24】
【0145】
タイプ33のアルコールは、中間体41と、トリフェニルホスフィンなどの適当なホスフィン及びDEAD又はDIADなどのアゾジカルボン酸ジアルキルを、THFなどの好適な溶媒中で用いて光延反応させることにより、化合物IDを得ることができる(工程a)。そのタイプの光延反応は、文献に広く記載されている(例えば、Fletcher,S.,Org.Chem.Front.2015,2,739;Kumara Swamy,K.C.,et al.,Chem.Rev.2009,109,2551)。
【0146】
あるいは、化合物ICは、化合物42でアルキル化することができるアルコール33から直接調製してもよく、ここで、LGは、0℃と溶媒の沸点との間の温度のDMFといった適切な溶媒中において、CsCO、Huenig塩基又はNaHなどの好適な塩基を用いる好適な脱離基、例えば塩素、臭素、ヨウ素、OSOアルキル(例えば、メタンスルホネート)、OSOフルオロアルキル(例えば、トリフルオロメタンスルホネート)、又はOSOアリール(例えば、p-トルエンスルホネート)である(工程b)。
【0147】
いくつかの実施形態では、中間体1は、タイプ1fの中間体である。R、R、R、A及びBが本明細書に記載されるとおりである中間体1fは、当技術分野で公知の方法によって、及びスキーム12に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化25】
【0148】
中間体44は、0℃~溶媒の沸点の間の温度で、適切な溶媒中(例えば、DMF又はTHF中)、適切な塩基、例えば水素化ナトリウム、Huenig塩基又はカリウムtert-ブトキシドを使用した、LGが塩素、臭素、ヨウ素、OSOアルキル(例えばメタンスルホネート)、OSOフルオロアルキル(例えばトリフルオロメタンスルホネート)又はOSOアリール(例えば、p-トルエンスルホネート)などの適切な脱離基である化合物43とのアルキル化によって、市販されているか、又は当業者に公知の方法によって調製され、PGがCbz、Boc又はBnなどの適切な保護基であるアルコール34から調製することができる(工程a)。
【0149】
当該技術分野で公知の方法(例えば、0℃~室温の温度でDCM中TFAを用いるBoc基、MeOH、EtOH、EtOAc、又はそれらの混合物等の好適な溶媒中の木炭上のPd又はPd(OH)といった好適な触媒の存在下で水素を用いるCbz基、及び、例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wutts,5th Ed.,2014,John Wiley&Sons,New Yorkによる「Protective Groups in Organic Chemistry」に記載のような基)を適用して、中間体44由来の保護基を除去すると、中間体1fが得られる(工程b)。
【0150】
いくつかの実施形態では、中間体1は、タイプ1gの中間体である。R、R、R、A及びBが本明細書に記載されるとおりである中間体1gは、スキーム13に概説される一般的な合成手順によって例示することができる様々な条件によって調製することができる。
【化26】
【0151】
タイプ45のアルコールは、PGがCbz、Boc、又はBn等の好適な保護基である中間体38と、トリフェニルホスフィン等の適当なホスフィン及びDEAD又はDIAD等のアゾジカルボン酸ジアルキルを、THF等の好適な溶媒中で用いて光延反応させることにより、中間体46を得ることができる(工程a)。そのタイプの光延反応は、文献に広く記載されている(例えば、Fletcher,S.,Org.Chem.Front.2015,2,739;Kumara Swamy,K.C.,et al.,Chem.Rev.2009,109,2551)。
【0152】
文献の方法、及び、例えば下記スキーム4工程cに記載した方法を適用することによって中間体46から保護基を除去すると、中間体1fが得られる(工程b)。
【0153】
あるいは、中間体46は、化合物40でアルキル化することができるアルコール45から調製してもよく、LGは、0℃と溶媒の沸点との間の温度のDMFといった適切な溶媒中において、CsCO、Huenig塩基又はNaH等の好適な塩基を用いる好適な脱離基、例えば塩素、臭素、ヨウ素、OSOアルキル(例えば、メタンスルホネート)、OSOフルオロアルキル(例えば、トリフルオロメタンスルホネート)、又はOSOアリール(例えば、p-トルエンスルホネート)である(工程c)。
【0154】
いくつかの実施形態では、中間体1は、それぞれ、タイプ1g及び1hの中間体である。R、R、R、A及びBが本明細書に記載されるとおりであるタイプ1g及び1hの中間体は、当業者に周知の方法によって、スキーム14に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化27】
【0155】
市販されている、又は当技術分野で公知の方法によって調製されたアルデヒド47を、例えばスキーム8、工程aに記載されている条件を使用して、それぞれタイプ30aのアルキリデントリフェニルホスホラン及びホスホネート30bを使用して、ウィティヒ反応又はホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応に供して、中間体48を得ることができる(工程a)。
【0156】
文献の条件又はスキーム5、工程b若しくはスキーム7、工程cに記載の条件を適用して中間体48中の二重結合を還元すると、化合物49が得られる(工程b)。
【0157】
当技術分野で公知の方法を適用し、スキーム8、工程cに概説されるように、中間体49から保護基を除去すると、中間体1eが得られる(工程c)。
【0158】
当技術分野で公知の方法を適用し、スキーム8、工程cに概説されるように、中間体48から保護基を除去すると、中間体1fが得られる(工程d)。
【0159】
別の実施形態では、中間体1は、タイプ1gの中間体である。R、R、R、A及びBが本明細書に記載されるとおりであるタイプ1gの中間体は、当技術分野で周知の方法によって、スキーム15に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化28】
【0160】
PGが例えばBoc、Cbz、又はBn保護基などの好適な保護基を意味する誘導体50中のカルボン酸官能性は、市販されているか、又は当該技術分野で公知の方法によって調製されるかのいずれかであり、文献に広く記載されている方法を適用することで酸塩化物(LG=Cl)又はワインレブアミド(LG=NMeOMe)へと変換することで、中間体51を得ることができる(工程a)。
【0161】
中間体51は、市販されているか、又は当該技術分野で公知の方法によって合成されるかのいずれかであり、以下に記載されるようなタイプ52の化合物と反応させることで、中間体53を産生することができる(工程b)。
【0162】
化合物53は、DAST、Deoxo-Fluor(ビス(2-メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド)又はアミノジフルオロスルフィニウムテトラフルオロボラート(例えば、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩及びTEA又はDBUの存在下における、XtalFluor-E(登録商標)、XtalFluor-M(登録商標))などの適切なフッ素化剤を、DCM又はACNなどの好適な溶媒中で用いるデオキシフッ素化反応によって、化合物54へと更に変換することができる(工程c)。
【0163】
文献の方法、及び、例えば下記スキーム8、工程cに記載した方法を適用することによって中間体54から保護基を除去すると、中間体1gが得られる(工程d)。
【0164】
化合物52が市販されていない場合、これらは文献の方法と同様に調製することができる。例えば、適当な溶媒、例えばTHF、ヘキサン、又はそれらの混合物中のnBuLi又はLiHMDSといった好適な塩基を用いて、-78℃~室温の範囲の温度で任意に置換された複素環55中の反応性メチル基を脱プロトン化することで、中間体52が得られる。ここで、MX=Liである(工程e)。
【0165】
MX=MgHalであり、HalがCl、Br、又はIである化合物52(グリニャール試薬)は、THFなどの好適な溶媒中、任意に触媒量のヨウ素の存在下において、0℃と溶媒の沸点との間の範囲の温度で、対応する置換ベンジルハロゲン化物56とマグネシウムとの反応によって調製することができる(工程f)。
【0166】
別の実施形態では、中間体1は、タイプ1hの中間体である。R、R、R、A及びBが本明細書に記載されるとおりであるタイプ1hの中間体は、当技術分野で周知の方法によって、スキーム16に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化29】
【0167】
PGが例えばBoc、Cbz、又はBn保護基などの好適な保護基を意味する中間体57中のカルボン酸官能性は、市販されているか、又は当該技術分野で公知の方法によって調製されるかのいずれかであり、例えば、文献に広く記載されている方法を適用することで酸塩化物(LG=Cl)又はワインレブアミド(LG=NMeOMe)へと変換することで、中間体58を得ることができる(工程a)。
【0168】
中間体58は、市販されているか、又は当該技術分野で公知の方法によって合成されるかのいずれかであり、以下に記載されるようなタイプ59の化合物と反応させることで、中間体60を産生することができる(工程b)。
【0169】
化合物60は、DAST、Deoxo-Fluor(ビス(2-メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド)又はアミノジフルオロスルフィニウムテトラフルオロボラート(例えば、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩及びTEA又はDBUの存在下における、XtalFluor-E(登録商標)、XtalFluor-M(登録商標))などの適切なフッ素化剤を、DCM又はACNなどの好適な溶媒中で用いるデオキシフッ素化反応によって、化合物61へと更に変換することができる(工程c)。
【0170】
文献の方法、及び、例えば下記スキーム8、工程cに記載した方法を適用することによって中間体61から保護基を除去すると、中間体1hが得られる(工程d)。
【0171】
化合物59が市販されていない場合、これらは文献の方法と同様に調製することができる。例えば、THF、n-ヘキサン、又はそれらの混合物などの好適な溶媒中において-78℃~室温の範囲の温度で、nBuLi、secBuLi、tertBuLi、LiHMDS、NaH、KHなどの適切な塩基を用いて、任意に置換されたアリール又はヘテロアリール環62を脱プロトン化すると、中間体59が得られる。ここで、使用される塩基に応じて、MX=Li、Na、又はKである(工程e)。
【0172】
MX=MgHalであり該HalがCl、Br、又はIである化合物59(グリニャール試薬)は、マグネシウムの直接挿入(例えば、触媒量のヨウ素、LiCl又はRiekeマグネシウムの存在下の粉末、有機ハロゲン化物の任意の存在下における、削状マグネシウム)による、又はHalが好ましくは臭素若しくはヨウ素である63を、0℃と溶媒の沸点との間範囲の温度で、ジエチルエーテル若しくはTHFなどの好適な溶媒中における、iPrMgCl(任意に、LiClの存在下で)などのアルキルマグネシウムハロゲン化物で処理することによるハロゲン-マグネシウム交換による、対応する任意に置換されたアリール又はヘテロアリールハロゲン化物63の反応によって調製することができる(工程f)。
【0173】
一態様では、本発明は、本明細書に記載される式(IA)又は(IB)の化合物を製造するプロセスであって、
(d)式2のアミン:
【化30】

(式中、X、Y、及びZは、本明細書に記載されるとおりである)
を、カルボン酸3a:
【化31】

(式中、L、A、B、及びR~Rは、本明細書に記載されるとおりである)
と、CDI、DCC、HATU、HBTU、HOBT、TBTU、TP又はMukaiyama試薬などのカップリング試薬の存在下で、かつ任意選択的に、TEA、DIPEA(Huenig塩基)又はDMAPなどの塩基の存在下で反応させて、式(IB):
【化32】

(式中、X、Y、Z、L、A、B及びR~Rは、本明細書に定義されるとおりである)
の化合物を形成すること;あるいは
(e)式2のアミン:
【化33】

(式中、X、Y、及びZは、本明細書に記載されるとおりである)
を、カルボン酸塩化物3b:
【化34】

(式中、L、A、B、及びR~Rは、本明細書に記載されるとおりである)
と、TEA、Huenig塩基、ピリジン、DMAP又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの塩基の存在下で反応させて、式(IB)(式中、X、Y、Z、L、A、B及びR~Rは、本明細書に定義されるとおりである)の化合物を形成すること;あるいは
(f)式1の第1のアミン:
【化35】

(式中、A、B、L、並びにR及びRは、本明細書に記載されるとおりである)
を、第2のアミン2:
【化36】

(式中、X、Y、及びZは、本明細書に記載されるとおりである)
と、重炭酸ナトリウムなどの塩基、及びビス(トリクロロメチル)カーボネート、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート又は1,1’-カルボニルジイミダゾールなどの尿素形成試薬の存在下で反応させて、式(IA):
【化37】

(式中、X、Y、Z、L、A、B及びR~Rは本明細書に定義されるとおりである)
の化合物を形成すること
を含む、プロセスを提供する。
【0174】
一態様では、本発明は、本明細書に記載のプロセスのいずれか1つに従って製造される場合、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0175】
MAGL阻害活性
本発明の化合物は、MAGL阻害剤である。したがって、一態様では、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害するための、本明細書に記載される式(I)の化合物の使用を提供する。
【0176】
さらなる態様では、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害する方法で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0177】
更なる態様では、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害する医薬の調製のための、本明細書に記載される式(I)の化合物の使用を提供する。
【0178】
さらなる態様では、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害するための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0179】
アラキドン酸を生じる天然基質である2-アラキドノイルグリセロールの加水分解に続いて酵素活性を決定することで、MAGL阻害活性について化合物をプロファイリングした。続いて、質量分析を行ってもよい。このアッセイは、以下、「2-AGアッセイ」と略記する。
【0180】
2-AGアッセイを、384ウェルのアッセイプレート(PP、Greiner、カタログ番号784201)中で、総体積20μLで実施した。化合物希釈物を、ポリプロピレンプレート中、100%DMSO(VWR Chemicals 23500.297)中にて3倍希釈ステップで作成して、アッセイにおける最終濃度範囲を12.5μM~0.8pMとした。0.25μLの化合物希釈物(100%DMSO)を、アッセイ緩衝液(50mM TRIS(GIBCO、15567-027)、1mM EDTA(Fluka、03690-100mL)、0.01%(v/v)Tween)中の9μLのMAGLに添加した。振盪後、プレートを室温で15分間インキュベートした。反応を開始するために、アッセイ緩衝液中の10μLの2-アラキドノイルグリセロールを加えた。アッセイにおける最終濃度は、50pM MAGL及び8μM 2-アラキドノイルグリエロールであった。振盪後、室温で30分間インキュベーションした後、4μMのd8-アラキドン酸を含有する40μLのアセトニトリルを添加して、反応をクエンチした。アラキドン酸の量を、オンラインSPEシステム(Agilent Rapidfire)を三重四重極質量分析計(Agilent 6460)と組み合わせて追跡した。C18 SPEカートリッジ(G9205A)を、アセトニトリル/水液体セットアップで使用した。質量分析計は、アラキドン酸について303.1→259.1、d8-アラキドン酸について311.1→267.0の質量遷移に従って、負エレクトロスプレイモードで操作した。化合物の活性は強度比(アラキドン酸/d8-アラキドン酸)に基づいて算出した。
【表1】
【0181】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物、及び本明細書に記載のそれらの薬学的に許容され得る塩又はエステルを提供し、ここで、該式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容され得る塩又はエステルは、本明細書に記載のMAGLアッセイで測定した場合、MAGL阻害に対するIC50が25μM未満、好ましくは10μM未満、より好ましくは5μM未満である。
【0182】
一実施形態では、本明細書に記載の式(I)の化合物、及びそれらの薬学的に許容され得る塩又はエステルは、本明細書に記載のMAGLアッセイで測定した場合、IC50(MAGL阻害)値が0.000001μM~25μMの間であり、特定の化合物は、IC50値が0.000005μM~10μMの間であり、更に特定の化合物は、IC50値が0.00005μM~5μMの間である。
【0183】
本発明の化合物の使用
一態様では、本発明は、治療的活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0184】
さらなる態様では、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0185】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経炎症及び/又は神経変性疾患の処置又は予防のための本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0186】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置又は予防のための本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0187】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置又は予防のための本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0188】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置又は予防のための本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0189】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置又は予防のための本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0190】
一態様では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、片頭痛、うつ病、肝細胞癌腫、結腸癌発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛及び/又は疼痛に伴う痙縮の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0191】
好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病及び/又はパーキンソン病の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0192】
特に好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0193】
一態様では、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防において使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0194】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経炎症及び/又は神経変性疾患の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0195】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0196】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0197】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置又は予防で使用するための本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0198】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0199】
一態様では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、片頭痛、うつ病、肝細胞癌腫、結腸癌発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛及び/又は疼痛に伴う痙縮の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0200】
好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病及び/又はパーキンソン病の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0201】
特に好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0202】
一態様では、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0203】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経炎症及び/又は神経変性疾患の処置又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0204】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0205】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0206】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0207】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0208】
さらなる態様では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、片頭痛、うつ病、肝細胞癌腫、結腸癌発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛及び/又は疼痛に伴う痙縮の処置又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0209】
好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病及び/又はパーキンソン病の処置又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0210】
特に好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症の処置又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0211】
一態様では、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための方法であって、有効量の、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0212】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経炎症及び/又は神経変性疾患の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)又はその薬学的に許容され得る塩の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0213】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)又はその薬学的に許容され得る塩の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0214】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)又はその薬学的に許容され得る塩の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0215】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)又はその薬学的に許容され得る塩の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0216】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)又はその薬学的に許容され得る塩の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0217】
さらなる態様では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、片頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸癌発症、卵巣がん、神経因性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛及び/又は内臓痛の処置又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0218】
好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病及び/又はパーキンソン病の処置又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0219】
特に好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症の処置又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0220】
医薬組成物及び投与
一態様では、本発明は、本明細書に記載される式(I)の化合物と、治療上不活性な担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0221】
一実施形態では、本発明は、実施例11及び12に開示される医薬組成物を提供する。
【0222】
式(I)の化合物並びにその薬学的に許容され得る塩及びエステルは、医薬として(例えば、医薬製剤の形態で)使用することができる。医薬製剤は、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、エマルション又は懸濁液の形態)、経鼻(例えば、点鼻薬の形態)、又は直腸(例えば、坐薬の形態)などで、体内に投与することができる。しかしながら、投与は、筋肉内又は静脈内(例えば、注射液の形態)などで非経口的(parentally)に行うこともできる。
【0223】
式(I)の化合物並びにその薬学的に許容され得る塩及びエステルは、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセルの製造のための薬学的に不活性な無機又は有機アジュバントで処理することができる。ラクトース、コーンスターチ若しくはその誘導体、タルク、ステアリン酸、又はその塩等は、例えば、錠剤、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセルのアジュバントとして使用することができる。
【0224】
軟質ゼラチンカプセルに適したアジュバントは、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体物質、及び液体ポリオール等である。
【0225】
溶液及びシロップ剤の製造に適したアジュバントは、例として、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコース等である。
【0226】
注射溶液のための適切なアジュバントは、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等である。
【0227】
坐剤のための適切なアジュバントは、例として、天然又は硬化した油、ワックス、油脂、半固体又は液体ポリオール等である。
【0228】
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、又は酸化防止剤を含有することができる。本発明の医薬製剤は更に、他の治療上価値のある物質を含むことができる。
【0229】
投薬量は広範に変化させることができ、当然、各特定の場合における個々の要件に適合させる。一般に、経口投与の場合、約0.1mg~20mg/kg体重、好ましくは約0.5mg~4mg/kg体重(例えば、約300mg/人)の毎日の投薬量を、好ましくは1~3の個々の投与量に分けて、例えば同じ量で構成し得るのが適切であろう。しかしながら、それが示されている場合、本明細書で与えられた上限を超えることができることは明らかである。
【実施例
【0230】
本発明は、以下の実施例を参照することによってより充分に理解される。しかしながら、特許請求の範囲は、本実施例の範囲に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0231】
調製例がエナンチオマーの混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載の方法によって、又は当業者に公知の方法、例えばキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルSFC)若しくは結晶化等によって、分離することができる。
【0232】
特に記載のない限り、全ての反応例及び中間体は、アルゴン雰囲気下で調製した。
【0233】
本発明は、以下の実施例を参照することによってより充分に理解される。しかしながら、特許請求の範囲は、本実施例の範囲に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0234】
調製例がエナンチオマーの混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載の方法によって、又は当業者に公知の方法、例えばキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルSFC)若しくは結晶化等によって、分離することができる。
【0235】
特に記載のない限り、全ての反応例及び中間体は、アルゴン雰囲気下で調製した。
【0236】
実施例1
[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[rac-(5aR,8aS)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-g]インダゾール-7-イル]メタノン
【化38】
【0237】
3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン4-メチルベンゼンスルホン酸(120mg、285μmol、1.0当量;CAS RN 2135785-94-1)のACN(1mL)中の懸濁液に、TEA(202mg、279μL、2mmol、7.0当量)を添加し、引き続いてジ(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メタノン(46.9mg、285μmol、1.0当量;CAS RN 41864-22-6)を一度に添加した。混合物を室温で60分間撹拌した。rac-(5aR,8aS)-1,4,5,5a,6,7,8,8a-オクタヒドロピロロ[3,4-g]インダゾール塩酸塩(114mg、285μmol、1.0当量;BB 1)のACN(0.5mL)中の溶液を加えた後、混合物を70℃で20時間撹拌した。反応混合物を完全に蒸発させ、生成物を、ACN:水(0.1% TEAを含有)(20:80~98:2)の勾配を使用する分取HPLC(Gemini NXカラム)によって精製して、表題化合物を無色泡状物として得た(12mg、10%)。MS(ESI):m/z=439.3[M+H]
【0238】
実施例2
[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[rac-(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン
【化39】
【0239】
rac-(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン(44mg、266μmol、1.0当量;BB 2)のACN(1mL)中混濁溶液に、TEA(260μL、1.86mmol、7.0当量)を添加し、引き続いてジ(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メタノン(43.7mg、266μmol、1.0当量)を一度に添加した。懸濁液を室温で1.25時間撹拌した。3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン4-メチルベンゼンスルホン酸(112mg、266μmol、1.0当量;CAS RN 2135785-94-1)の添加後、撹拌を50℃で一晩続けた。反応混合物を蒸発させ、残渣を水及びEtOAcに溶解し、層を分離した。水層をEtOAcで2回抽出した。有機層を水で1回洗浄し、MgSO上で乾燥し、フィルタにかけ、シリカゲルで処理し、蒸発させた。化合物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって4gのカラム上で、n-ヘプタン:EtOAc/EtOH 3/1(100:0~0:100)の勾配で溶出するMPLCシステムを用いて精製した。DCM:MeOH(100:0~90:10)の勾配で溶出するMPLC(ISCO)システムを使用する4gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーによる別の精製により、表題化合物を無色固体として得た(24mg、21%)。MS(ESI):m/z=441.3[M+H]
【0240】
実施例3及び実施例4
(-)又は(+)-[(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]-[3-[4-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル]アゼチジン-1-イル]メタノン
【化40】

及び
(+)又は(-)-[(1R,9S)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]-[3-[4-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル]アゼチジン-1-イル]メタノン
【化41】
【0241】
rac-(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン(100mg、605μmol、1.0当量;BB 2)のACN(2.5mL)中混濁溶液に、TEA(591μL、4.24mmol、7.0当量)を添加し、引き続いてジ(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メタノン(99.4mg、605μmol、1.0当量)を一度に添加した。懸濁液を室温で1.25時間撹拌して、透明な溶液を得た。3-(4-(1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル)フェニル)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート(250mg、605μmol、1.0当量;BB 3)の添加後、撹拌を50℃で一晩続けた。反応混合物を蒸発させた。残渣を水及びEtOAcに溶解し、層を分離した。水層をEtOAcで2回抽出した。有機層を水で1回洗浄し、MgSO上で乾燥し、フィルタにかけ、蒸発させた。ラセミ生成物を、MeOH:二酸化炭素(15:85)の定組成混合物を使用して分取SFC(OJ-Hカラム)で分離すると、(-)又は(+)-[(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]-[3-[4-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル]アゼチジン-1-イル]メタノン(57mg、22%;第1の溶出化合物)が無色固体として(MS(ESI):m/z=433.3[M+H])、及び(+)又は(-)-[(1R,9S)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]-[3-[4-[1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル]アゼチジン-1-イル]メタノン(59mg、23%;第2の溶出化合物)が無色固体として(MS(ESI):m/z=433.3[M+H])得られた。
【0242】
実施例5及び実施例6
(-)又は(+)-[6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル]-[(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン
【化42】

及び
(+)又は(-)-[6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル]-[(1R,9S)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン
【化43】
【0243】
rac-(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン(64mg、387μmol、1.0当量;BB 2)のACN(1.5mL)中混濁溶液に、TEA(392mg、540μL、3.87mmol、10.0当量)を添加し、引き続いてジ(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メタノン(63.6mg、387μmol、1.0当量)を一度に添加した。懸濁液を室温で1.25時間撹拌して、透明な溶液を得た。6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン2,2,2-トリフルオロ酢酸(131mg、387μmol、1.0当量;BB 4)のDCM(1.5mL)中溶液を添加した後、撹拌を50℃で一晩続けた。反応混合物を蒸発させた。残渣を水及びEtOAcに溶解し、層を分離した。水層をEtOAcで2回抽出した。有機層を水で1回洗浄し、MgSO上で乾燥し、フィルタにかけ、蒸発させた。生成物を、ACN:水(0.1% TEA含有)(20:80~98:2)の勾配を使用する分取HPLC(Gemini NXカラム)によって精製した。ラセミ生成物(無色の油状物、40mg)を、EtOH(0.8% NHOAc):n-ヘプタン(60:40)の定組成混合物を使用する分取キラルHPLC(Chiralpak-NRカラム)によって分離すると、(-)又は(+)-[6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル]-[(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン(13mg、8%;第1の溶出化合物)が無色固体として(MS(ESI):m/z=415.3[M+H])、及び(+)又は(-)-[6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル]-[(1R,9S)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン;(13mg、8%;第2の溶出化合物)が無色固体として(MS(ESI):m/z=415.3[M+H])得られた。
【0244】
実施例7及び実施例8
(-)又は(+)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(5aR,8aS)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール-7-イル]メタノン
【化44】

及び
(+)又は(-)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(5aS,8aR)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール-7-イル]-メタノン
【化45】
【0245】
rac-(5aR,8aS)-1,4,5,5a,6,7,8,8a-オクタヒドロピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール(90mg、548μmol、1.0当量;BB 5)のMeCN(2mL)中混濁溶液に、TEA(535μL、3.84mmol、7.0当量)を添加し、引き続いてジ(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メタノン(90mg、548μmol、1.0当量)を一度に添加した。懸濁液を室温で1.25時間撹拌して、透明な溶液を得た。3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン4-メチルベンゼンスルホン酸(231mg、548μmol、1.0当量;CAS RN 2135785-94-1)の添加後、撹拌を50℃で一晩続けた。反応混合物を蒸発させた。残渣を水及びEtOAcに溶解し、層を分離した。水層をEtOAcで2回抽出した。有機層を水で1回洗浄し、MgSO上で乾燥し、フィルタにかけ、蒸発させた。MeOH:二酸化炭素(30:70)の定組成混合物を使用して分取SFC(AD-Hカラム)によってラセミ生成物を分離すると、(-)又は(+)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(5aR,8aS)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール-7-イル]メタノン(66mg、27%;第1の溶出化合物)が淡褐色固体として(MS(ESI):m/z=440.4[M+H])、及び(+)又は(-)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(5aS,8aR)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール-7-イル]-メタノン(55mg、22%;第2の溶出化合物)が淡褐色固体として(MS(ESI):m/z=440.4[M+H]得られた。
【0246】
実施例9及び実施例10
(-)又は(+)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(1S,9R)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン
【化46】

及び
(+)又は(-)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(1R,9S)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン
【化47】
【0247】
rac-(1S,9R)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン(73mg、439μmol、1.0当量;BB 6)のMeCN(1.5mL)中混濁溶液に、TEA(429μL、3.08mmol、7.0当量)を添加し、引き続いてジ(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メタノン(72.1mg、439μmol、1.0当量)を一度に添加した。懸濁液を室温で2時間撹拌した。3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン4-メチルベンゼンスルホン酸(185mg、439μmol、1.0当量;CAS RN 2135785-94-1)の添加後、撹拌を50℃で1.5時間続けた。懸濁液が形成され、これを室温に冷却後、フィルタにかけた。生成物を、ACN:水(0.1% TEA含有)(20:80~98:2)の勾配を使用する分取HPLC(Gemini NXカラム)によって精製した。MeOH:二酸化炭素(30:70)の定組成混合物を使用して分取SFC(AD-Hカラム)によってラセミ生成物を分離すると、(-)又は(+)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(1S,9R)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン(53mg、27%;第1の溶出化合物)が淡褐色固体として得られ、(MS(ESI):m/z=442.3[M+H])、及び(+)又は(-)-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-イル]-[(1R,9S)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン-11-イル]メタノン(29mg、15%;第2の溶出化合物)が淡褐色固体として(MS(ESI):m/z=442.3[M+H])得られた。
【0248】
構成要素の合成
BB 1
rac-(5aR,8aS)-1,4,5,5a,6,7,8,8a-オクタヒドロピロロ[3,4-g]インダゾール塩酸塩
【0249】
工程1:rac-(3aS,5Z,7aR)-2-ベンジル-5-(ジメチルアミノメチレン)-1,3,3a,6,7,7a-ヘキサヒドロイソインドール-4-オン
【0250】
rac-(3aR,7aS)-2-ベンジルオクタヒドロ-4H-イソインドール-4-オン(200mg、872μmol、1.0当量;CAS RN 163484-15-9)の無水トルエン(1.5mL)中溶液に、Ar下、1,1-ジメトキシ-N,N-ジメチルメタンアミン(232μL、1.74 mmol、2.0当量;CAS RN 4637-24-5)を添加し、混合物を密閉管中111℃で3時間及び130℃で19時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液を蒸発させ、淡褐色油状物をさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0251】
工程2:rac-(5aR,8aS)-7-ベンジル-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-g]インダゾール
【0252】
rac-(3aS,5Z,7aR)-2-ベンジル-5-(ジメチルアミノメチレン)-1,3,3a,6,7,7a-ヘキサヒドロイソインドール-4-オン(248mg、872μmol、1.0当量)及びヒドラジン二塩酸塩(91.5mg、872μmol、1.0当量)のMeOH中溶液に、0℃のNaOH(1.74ml、3.49mmol、4.0当量;水中2M)を滴下し、混合物を密閉管中77℃で撹拌した。反応混合物を半飽和NHCl水溶液及びEtOAcに注ぎ、層を分離した。水層をEtOAcで2回抽出した。有機層をブラインで1回洗浄し、MgSOで乾燥させ、フィルタにかけ、蒸発させて、所望の化合物を黄色泡状物として得た(147mg、57%)。MS(ESI):m/z=254.2[M+H]
【0253】
BB 2
rac-(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン
【0254】
工程1:rac-(3aR,7aS)-2-ベンジル-3,3a,4,7a-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3,4-c]ピロール-7-オン
【0255】
N-ベンジル-1-メトキシ-N-((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン(2mL、7.82mmol、1.05当量;CAS RN 93102-05-7)及び2H-ピラン-3(6H)-オン(729mg、7.43mmol、1.0当量;CAS RN 98166-23-5)の無水トルエン(20mL)中溶液に、TFA(57.2μL、743μmol、1.0当量)を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。透明な淡黄色溶液にTEA(104μL、743μmol、0.1当量)を添加し、混合物をシリカゲルで処理し、蒸発させた。化合物を、n-ヘプタン:EtOAc/EtOH 3/1(100:0~0:100)の勾配で溶出するMPLCシステムを使用する40gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を黄色油状物として得た(1.15g、61%)。MS(ESI):m/z=232.2[M+H]
【0256】
工程2:rac-(3aR,6E,7aS)-2-ベンジル-6-(ジメチルアミノメチレン)-3,3a,4,7a-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3,4-c]ピロール-7-オン
【0257】
アルゴン下、rac-(3aR,7aS)-2-ベンジル-3,3a,4,7a-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3,4-c]ピロール-7-オン(395mg、1.71mmol、1.0当量)の無水トルエン(3mL)中溶液に、1,1-ジメトキシ-N,N-ジメチルメタンアミン(454μL、3.42 mmol、2.0当量;CAS RN 4637-24-5)を添加し、混合物を130℃で一晩撹拌した。溶液を蒸発させると、所望の化合物が褐色油状物(515mg)として得られ、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。MS(ESI):m/z=287.3[M+H]
【0258】
工程3:rac-(1S,9R)-11-ベンジル-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン
【0259】
rac-(3aR,6E,7aS)-2-ベンジル-6-(ジメチルアミノメチレン)-3,3a,4,7a-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3,4-c]ピロール-7-オン(480mg、1.68 mmol、1.0当量)及びヒドラジン一水和物(122μL、2.51mmol、1.5当量)のEtOH(1mL)中の混合物を、密閉管中にて85℃で2時間加熱した。シリカゲルを添加し、懸濁液を蒸発させた。化合物を、n-ヘプタン:EtOAc/EtOH 3/1(80:20~0:100)の勾配で溶出するMPLC(ISCO)システムを使用する12gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を淡黄色ゴム状物として得た(89mg、21%)。MS(ESI):m/z=256.3[M+H]
【0260】
工程4:rac-(1S,9R)-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン
【0261】
rac-(1S,9R)-11-ベンジル-7-オキサ-3,4,11-トリアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン(85mg、333μmol、1.0当量)のMeOH(2mL)及びEtOAc(1mL)中溶液に、Pd/C(20mg、18.8μmol、0.06当量;重量10%)を添加し、混合物を水素雰囲気下、50℃及び20barで19時間撹拌した。懸濁液を室温に冷却し、フィルタにかけた。濾液を完全に蒸発させて無色油状物(55mg、100%)を得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。MS(ESI):m/z=166.1[M+H]
【0262】
BB 3
3-(4-(1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル)フェニル)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート
【0263】
tert-ブチル3-(4-(1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキシレート(12.23g、35.8 mmol、1.0当量;CAS RN 2377009-83-9)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(7.16g、37.6mmol、1.05当量)のEtOAc(122mL)中の混合物を、1時間加熱還流した。懸濁液を氷浴中で2時間にわたって冷却し、次いでフィルタにかけた。濾過ケークを少量の冷EtOAc(20mL)で洗浄して、所望の化合物を無色固体として得た(13.4g、90%)。MS(ESI):m/z=242.2[M+H]
【0264】
BB 4
6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン2,2,2-トリフルオロ酢酸
【0265】
工程1:(2,4-ジフルオロフェニル)メチル-トリフェニルホスホニウムブロミド
【0266】
MeCN(10mL)中のトリフェニルホスフィン(1.27g、4.83mmol、1.0当量)及び1-(ブロモメチル)-2,4-ジフルオロベンゼン(1.0g、620μl、4.83mmol、1.0当量)の混合物を80℃で3時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、TBME(100mL)を添加した。固体を濾別し、いくらかのTBMEで洗浄して、所望の化合物を無色固体として得た(2.18g、96%)。MS(ESI):m/z=389.2[M-Br]
【0267】
工程2:tert-ブチル6-[(4,6-ジフルオロシクロヘキサ-2,4-ジエン-1-イル)メチレン]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート
【0268】
(2,4-ジフルオロフェニル)メチル-トリフェニルホスホニウムブロミド(1.7g、3.62mmol、1.0当量)の乾燥THF(10mL)中溶液に、-78℃でLHMDS(7.24ml、7.24mmol、2.0当量;THF中1M)を添加した。反応混合物を-78℃で2時間攪拌した。混合物を氷浴温度まで温めた。2~5℃で、tert-ブチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート(1.53g、7.24mmol、2.0当量;CAS RN 1181816-12-5)を添加し、混合物を85℃で一晩撹拌した。室温に冷却した後、TBMEを添加し、形成された懸濁液をフィルタにかけた。濾液を蒸発させ、残渣を、n-ヘプタン:EtOAc(100:0~30:70)の勾配で溶出するMPLCシステムを使用する50gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を無色固体として得た(352mg、30%)。MS(ESI):m/z=266.2[M+2H-tBu]
【0269】
工程3:tert-ブチル6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート
【0270】
tert-ブチル6-[(4,6-ジフルオロシクロヘキサ-2,4-ジエン-1-イル)メチレン]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート(350mg、1.09mmol、1.0当量)のEtOAc(10mL)中溶液に、Pd/C(116mg、109μmol、0.1当量;重量10%)を添加し、混合物を水素雰囲気(1 bar)下、室温で2時間撹拌した。懸濁液をフィルタにかけ、濾液を蒸発させると、所望の化合物が無色固体(345mg、98%)として得られた。MS(ESI):m/z=268.2[M+2H-tBu]
【0271】
工程4:6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン2,2,2-トリフルオロ酢酸
【0272】
DCM(1mL)中のtert-ブチル6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート(55mg、170μmol、1.0当量)の溶液に、TFA(52.4μL、680μmol、4.0当量)を加え、溶液を室温で20時間撹拌した。混合物を蒸発乾固させた。残渣を無水トルエンと混合し、蒸発させて所望の生成物を得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。MS(ESI):m/z=224.2[M+H]
【0273】
BB 5
rac-(5aR,8aS)-1,4,5,5a,6,7,8,8a-オクタヒドロピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール
【0274】
工程1:rac-(5aR,8aS)-7-(シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-イルメチル)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール
【0275】
rac-(3aR,7aS)-2-ベンジルオクタヒドロ-4H-イソインドール-4-オン(215mg、938μmol、1.0当量;CAS RN 163484-15-9)及び1-アジド-4-ニトロベンゼン(200mg、1.22mmol、1.3当量;CAS RN 1516-60-5)のDMF(2mL)中混合物に、Ar下で酢酸アンモニウム(361mg、4.69mmol、5.0当量)を添加し、暗色溶液を80℃で4時間撹拌した。反応混合物を水及びEtOAc上に注ぎ、層を分離した。水層をEtOAcで2回抽出した。有機相中への所望の生成物の明確な分布はない。したがって、全ての層を蒸発させ、合わせた。生成物を、ACN:水(0.1% TEA含有)(20:80~98:2)の勾配を使用する分取HPLC(Gemini NXカラム)によって精製して、所望の化合物を淡褐色ゴム状物として得た(39mg;16%)。MS(ESI):m/z=255.3[M+H]
【0276】
工程2:rac-(5aR,8aS)-1,4,5,5a,6,7,8,8a-オクタヒドロピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール
【0277】
rac-(5aR,8aS)-7-(シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-イルメチル)-4,5,5a,6,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-e]ベンゾトリアゾール(153mg、602μmol、1.0当量)のMeOH(3mL)中溶液に、Pd/C(18mg、16.9μmol、0.03当量;重量10%)を添加し、混合物を水素雰囲気下(20bar)、60℃で18時間撹拌した。懸濁液を室温に冷却し、フィルタにかけた。濾液を完全に蒸発させて無色油状物(93mg、94%)を得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。MS(ESI):m/z=165.1[M+H]
【0278】
BB 6
rac-(1S,9R)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン
【0279】
工程1:rac-(4aR,7aR)-6-ベンジル-4a,5,7,7a-テトラヒドロピラノ[2,3-c]ピロール-4-オン
【0280】
Ar下、MeCN(12mL)中の4H-ピラン-4-オン(2.75g、28.6mmol、1.0当量;CAS RN 108-97-4)及びN-ベンジル-1-メトキシ-N-((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン(7.32mL、28.6mmol、1.0当量)の溶液を44℃で40時間撹拌した。次いで、別のバッチのN-ベンジル-1-メトキシ-N-((トリメチルシリル)メチル)メタンアミン(3.66mL、14.3mmol、0.5当量)を添加し、週末にわたって44℃で撹拌を続けた。88時間後、シリカゲルを添加し、混合物を蒸発させた。化合物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって40gのカラム上で、n-ヘプタン:EtOAc(100:0~0:100)の勾配で溶出するMPLC(ISCO)システムを用いて精製した。n-ヘプタン:EtOAc(100:0~20:80)の勾配で溶出するMPLC(ISCO)システムを使用する40gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーを使用する第2の精製工程により、所望の化合物が淡褐色油状物(0.92g、13%)として得られた。MS(ESI):m/z=230.2[M+H]
【0281】
工程2:rac-(4aR,7aR)-6-ベンジル-2,3,4a,5,7,7a-ヘキサヒドロピラノ[2,3-c]ピロール-4-オン
【0282】
rac-(4aR,7aR)-6-ベンジル-4a,5,7,7a-テトラヒドロピラノ[2,3-c]ピロール-4-オン(1.2g、5.23mmol、1.0当量)のEtOAc(5mL)及びMeOH(5mL)中溶液に、Pd/C(111mg、105μmol、0.02当量;重量10%)を添加した。懸濁液を水素雰囲気(1bar)下、室温で一晩撹拌し、次いで、フィルタにかけた。濾液をシリカゲルで処理し、蒸発させた。化合物を、n-ヘプタン:EtOAc(100:0~0:100)の勾配で溶出するMPLCシステムを使用する12gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を淡褐色油状物として得た(0.41g、30%)。MS(ESI):m/z=232.2[M+H]
【0283】
工程3:rac-(1S,9R)-11-ベンジル-8-オキサ-3,4,5,11-テトラアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン
【0284】
rac-(4aR,7aR)-6-ベンジル-2,3,4a,5,7,7a-ヘキサヒドロピラノ[2,3-c]ピロール-4-オン(190mg、821μmol、1.0当量)及び1-アジド-4-ニトロベンゼン(175mg、1.07mmol、1.3当量;CAS RN 1516-60-5)のDMF(1.5mL)中混合物に、Ar下で酢酸アンモニウム(317mg、4.11mmol、5.0当量)を添加し、溶液を密閉管中80℃で15時間撹拌した。反応混合物を、ACN:水(0.1% TEA含有)(20:80~98:2)の勾配を使用する分取HPLC(Gemini NXカラム)によって精製して、所望の化合物を淡褐色泡状物として得た(55mg;26%)。MS(ESI):m/z=257.2[M+H]
【0285】
工程4:rac-(1S,9R)-8-オキサ-3,4,5,11-テトラアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン
【0286】
rac-(1S,9R)-11-ベンジル-8-オキサ-3,4,5,11-テトラアザトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカ-2(6),4-ジエン(113mg、441μmol、1.0当量)のMeOH(4mL)中溶液に、Pd/C(27mg、25.4μmol、0.06当量;重量10%)を添加し、混合物を水素雰囲気下(20bar)、60℃で36時間撹拌した。懸濁液を室温に冷却し、フィルタにかけた。濾液を完全に蒸発させて無色油状物(73mg、100%)を得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。MS(ESI):m/z=167.1[M+H]
【0287】
実施例11
式(I)の化合物は、以下の組成の錠剤を製造するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用することができる。
【0288】
1錠あたり
有効成分 200mg
微結晶セルロース 155mg
コーンスターチ 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20mg
425mg
【0289】
実施例12
式(I)の化合物は、以下の組成のカプセルを製造するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用することができる。
【0290】
カプセルあたり
有効成分 100.0mg
コーンスターチ 20.0mg
ラクトース 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
220.0mg
【国際調査報告】