(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(54)【発明の名称】電子部品、特に光起電太陽電池の構造を製造するための印刷版および当該印刷版を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B41N 1/24 20060101AFI20230904BHJP
B41C 1/14 20060101ALI20230904BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20230904BHJP
H01L 31/0224 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
B41N1/24
B41C1/14 101
B41M1/12
H01L31/04 260
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513336
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2021071424
(87)【国際公開番号】W WO2022043003
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】102020122181.9
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595014653
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツール フエルデルング デア アンゲヴァンテン フォルシュング エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】テプナー,ゼバスチアン
(72)【発明者】
【氏名】ジングラー,マリウス
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ネイ,リンダ
(72)【発明者】
【氏名】リンゼ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クレメント,フロリアン
【テーマコード(参考)】
2H084
2H113
2H114
5F251
【Fターム(参考)】
2H084AA14
2H084BB07
2H084BB09
2H084CC10
2H113BA09
2H113BA10
2H113BC12
2H113CA17
2H114AA09
2H114AB02
2H114AB04
2H114AB05
2H114AB17
2H114BA10
2H114DA03
2H114DA14
2H114EA04
2H114GA11
5F251AA01
5F251CB27
5F251DA03
5F251FA10
5F251GA04
(57)【要約】
本発明は、電子部品、特に光起電太陽電池の構造を製造するための印刷版に関し、スクリーンフレームと、複数の細長いスクリーン要素を有する平面状の織物として形成されているスクリーンとを有し、前記スクリーンは、前記スクリーンフレーム内に配置されており、前記スクリーンは、印刷ペーストが通過可能である少なくとも一つの印刷領域と印刷ペーストが通過不可能である少なくとも一つの遮断領域とを有する。本発明は、前記細長いスクリーン要素がガラス繊維、炭素繊維および/またはカーボンナノチューブから形成されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品、特に光起電太陽電池の構造を製造するための印刷版であって、
スクリーンフレームと、複数の細長いスクリーン要素を有する平面状の織物として形成されているスクリーンとを有し、前記スクリーンは、前記スクリーンフレーム内に配置されており、前記スクリーンは、印刷ペーストが通過可能である少なくとも一つの印刷領域と、印刷ペーストが通過不可能である少なくとも一つの遮断領域とを有する印刷版において、
前記細長いスクリーン要素は、ガラス繊維、炭素繊維および/またはカーボンナノチューブから形成されていることを特徴とする印刷版。
【請求項2】
前記織物は、15N/cmより大きい、好ましくは20N/cmより大きい、最も好ましくは25N/cmより大きい引張応力にて前記スクリーンフレーム内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の印刷版。
【請求項3】
前記スクリーン要素の直径は、10μmより小さい、特に6μmよりも小さい、好ましくは2μmよりも小さいことを特徴とする、請求項1または2に記載の印刷版。
【請求項4】
前記スクリーンフレームは、縁領域において、張設された前記織物を前記スクリーンフレームと少なくとも部分的に接合する領域を有するように構成されていることを特徴とする、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の印刷版。
【請求項5】
前記印刷領域は、少なくとも部分的に長手方向軸とチャネル幅(w)とを有する細長いチャネル開口部として構成されており、前記チャネル幅(w)は、40μmよりも小さく、好ましくは20μmよりも小さく、最も好ましくは10μmよりも小さいことを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の印刷版。
【請求項6】
少なくとも一つの前記スクリーン要素は、前記チャネル開口部の前記長手方向軸に対して0°に等しくない角度で配置されることを特徴とする、請求項5に記載の印刷版。
【請求項7】
前記印刷領域において、前記印刷領域の面積に対する前記細長いスクリーン要素によって前記印刷領域が覆われている面積に対する比から算出される面積比SUIが、0.5より大きい、好ましくは0.75より大きい、特に好ましくは1よりも大きいことを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の印刷版。
【請求項8】
前記細長いスクリーン要素は、対毎に互いに対して平行または直交するように配置されていることを特徴とする、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の印刷版。
【請求項9】
スクリーンフレームと、複数の細長いスクリーン要素を有する平面状のスクリーンと、印刷ペーストが通過可能な少なくとも一つの印刷領域と、印刷ペーストが通過不可能な遮断領域と、を有する印刷版を製造するための方法であって、
ガラス繊維および/または炭素繊維および/またはカーボンナノチューブの形態である前記細長いスクリーン要素は、接合ステップにおいて可撓性を有する平面状の織物、特に織布またはノンクリンプ織物へと接合され、
前記平面状の織物は、張設ステップにおいて縁領域において前記スクリーンフレームに配置されて前記スクリーンフレームと接合されることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記織物は、15N/cmより大きい、好ましくは20N/cmより大きい、最も好ましくは25N/cmより大きい引張応力において前記スクリーンフレーム内に配置されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
コーティングステップにおいて印刷ペーストが通過不可能な遮断層、好ましくはエチレン‐プロピレン‐ジエンゴムを含む遮断層が前記スクリーンに配置され、
構造化ステップにおいて印刷ペーストが通過可能な印刷領域を形成するために前記遮断層に細長いチャネル開口部が好ましくはレーザを用いて形成されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記チャネル開口部はチャネル幅を有し、前記チャネル幅は、40μmよりも小さく、好ましくは20μmよりも小さく、最も好ましくは10μmよりも小さいことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
分離ステップにおいて、ステンシル・ブランク、特には薄肉金属板がレーザを用いて印刷ステンシルに加工され、前記ステンシル・ブランクにおいて細長いチャネル開口部が形成され、
組み立てステップにおいて、前記印刷ステンシルが前記スクリーンの前記印刷領域に配置されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電子部品、特に光起電太陽電池の表面に印刷版を用いて印刷ペーストを塗布するための方法であって、スキージを用いて印刷ペーストが前記印刷版を通過して前記電子部品の基板上に塗布される方法において
請求項1から8のうちいずれか一項の印刷版が用いられることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による電子部品、特に光起電太陽電池の構造を製造するための印刷版および請求項9の前提部分による当該印刷版を製造するための方法に関する。
更に、本発明は、請求項14の前提部分による、電子部品、特に光起電太陽電池の表面に印刷版を用いて印刷ペーストを塗布するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体部品やプリント回路基板などの電子部品の製造、特に光起電太陽電池の製造において、印刷ペーストを所定の、典型的には線状、特に直線状の構造に塗布することが多くの製造プロセスで必要である。
【0003】
印刷ペーストは、部品の金属線導電構造および/または接触構造を形成するために金属粒子を含み得る。別法としてまたはさらに加えて印刷ペーストは、半導体を処理するための各物質、特に前記部品の半導体材料において各ドーピング領域を形成するためのドーピング要素を有し得る。
【0004】
前述の構造を形成するには、スクリーン印刷を用いて印刷ペーストを前記部品の表面における一つまたは複数の局所領域に塗布することが知られている。この場合、スクリーンフレームおよびスクリーンからなる印刷版が用いられる。前記スクリーンは、平面状の織物として形成されている。前記スクリーンに対してステンシルが配置されており、当該ステンシルは各開口部または前記ステンシルから省かれた各領域によって前記印刷ペーストが通過可能な印刷領域を画定し、さらには前記ステンシルによって覆われている、前記印刷ペーストが通過不可能な遮断領域を画定する。平面状の織物として形成されている前記スクリーンは、複数の細長いスクリーン要素を有し、当該各スクリーン要素は一般に互いに間隔をあけて平行に延伸するか互いに直交するように延伸する。
【0005】
前記印刷ペーストを前記電子部品の表面に塗布するには、前記印刷ペーストを少なくとも前記印刷版の前記印刷領域に塗布する。前記印刷ペーストが前記印刷版に塗布される際に、前記スクリーンは前記印刷ペーストが当該印刷版を直ちに貫通するのを防止する。一般的に、前記印刷ペーストはスキージを用いて付加的な力が付与されてはじめて前記印刷領域において前記印刷版を通過し、特に前記スクリーンを通過して前記部品の表面上に前記印刷ペーストが塗布される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より狭い幅を有する線状構造を形成することに対する需要は益々高まり続けている。したがって、線状構造を形成するための、印刷領域によって画定される各チャネルは、当該要求に対応する狭い幅を有する必要がある。
【0007】
従来公知の印刷版の欠点として、印刷版自体の構造による最小チャネル幅を下回ることができない点があるが、これはさもなければ前記印刷ペーストの線状構造が不均一あるいは非連続的に塗布されるためである。
【0008】
したがって、本発明は、印刷ペーストからなる幅の狭い線状領域の形成を可能にする印刷版を提供するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本課題は、請求項1による印刷版、請求項9による印刷版を製造するための方法および請求項14による印刷ペーストを塗布するための方法によって解決される。有利な各実施態様は、各従属請求項より得られる。
【0010】
本発明による印刷版は、好ましくは、本発明による印刷版を製造するための方法、特に当該方法の好ましい実施形態によって製造される。本発明による印刷版を製造するための方法は、好ましくは、本発明による印刷版、特に好ましくは当該印刷版の有利である実施形態を製造するために適用される。
【0011】
電子部品、特に光起電太陽電池の構造を製造するための本発明による印刷版は、スクリーンフレームと、複数の細長いスクリーン要素を有する平面状の織物として形成されているスクリーンとを有する。
【0012】
前記スクリーンは、好ましくは引張応力が付与された状態で前記スクリーンフレーム内に配置されている。
【0013】
前記スクリーンは、前記印刷ペーストが通過可能である少なくとも一つの印刷領域と、印刷ペーストが通過不可能である少なくとも一つの遮断領域とを有する。
【0014】
重要なのは、前記細長いスクリーン要素は、ガラス繊維、炭素繊維および/またはカーボンナノチューブとして形成されていることである。
【0015】
本発明は、印刷版の印刷領域とすることが可能である最小チャネル幅にとって、スクリーンフレーム内に前記細長いスクリーン要素が配置される際の引張応力が重要なパラメータであるという出願人の知見に基づくものである。
したがって、前記細長いスクリーン要素に特に高い引張応力を可能にする材料を用いることで、特に幅を狭くした線状の各要素を形成することができる。
【0016】
本出願人は、実験および計算により、材料固有の高い引張応力が得られるように前記各スクリーン要素の製造材料を適合させ、一ライン当たりのスクリーン要素の数(一般に1インチ当たりの各スクリーン要素数で示される)とスクリーン要素の直径とを減少させることに成功した。
【0017】
本出願人の検討によると、前記細長いスクリーン要素がガラス繊維、炭素繊維および/またはカーボンナノチューブとして形成されていることによって、特に平面状の織物として形成されているスクリーンの最大布張力と、これに伴って狭いチャネル幅を有する、塗布された構造の印刷品質と、が向上されることが示されている。
【0018】
ガラス繊維および炭素繊維からなるスクリーン要素を用いることで、4,900メガパスカルの範囲の引張応力を得ることが可能である。前記細長いスクリーン要素をカーボンナノチューブとして形成することにより、63,000メガパスカルの引張応力を得ることが可能である。
【0019】
よって、平面状の織物として形成されている前記スクリーンは、15N/cmより大きい、好ましくは20N/cmより大きい、最も好ましくは25N/cmより大きい引張応力において前記スクリーンフレーム内に配置される。
【0020】
本出願人の検討によると、本発明の印刷版における前記各スクリーン要素の材料選択によって引張応力を増加させることにより、各スクリーン要素の直径を著しく減少させられることが示されている。
このことは、各スクリーン要素の直径は、当該直径を大きくすることによって、さらに大きな引張応力を達成可能にするパラメータであることを考えると驚くべきことである。従来公知の印刷版は、前記各スクリーン要素の直径を大きくすることにより布張力、すなわち前記細長いスクリーン要素の引張応力を所望するように増加させていた。これに対して本発明の印刷版は、材料の選択により小さな直径でありながら高い布張力を得ることが可能となる。
【0021】
本出願人の検討によると、前記印刷版が以下の引張張力と前記細長いスクリーン要素の各直径とを有するように形成されるのが好ましいことが示されている:
【0022】
【0023】
前述の各パラメータの好ましい範囲によって、狭いチャネル幅を達成でき、これに伴って前記印刷ペーストを用いて形成される線状構造の幅を小さくすることが可能となる。
【0024】
本出願人の検討によると、前記細長いスクリーン要素をガラス繊維および/または炭素を用いて形成する場合、1インチ当たり50個のスクリーン要素から1インチ当たり3000個のスクリーン要素の範囲内となるスクリーン要素の密度とすることが好ましいことが示されている。前記細長いスクリーン要素をカーボンナノチューブを用いて形成する場合、1インチ当たり50個のスクリーン要素から1インチ当たり10,000個のスクリーン要素の範囲で配置される。
【0025】
特に前記細長いスクリーン要素をガラス繊維または炭素を用いて形成する場合、1インチ当たり280個のスクリーン要素から1インチ当たり950個のスクリーン要素、また前記細長い各スクリーン要素をカーボンナノチューブを用いて形成する場合、1インチ当たり70個のスクリーン要素から1インチ当たり2025個のスクリーン要素を配置することが有利である。
【0026】
前記各スクリーン要素の前述した各密度は、前記印刷版の少なくとも前記印刷領域に形成されることが好ましく、さらに前記印刷領域および前記遮断領域に形成されることが好ましい。
【0027】
前述のとおり、本発明による印刷版は、特に印刷ペーストからなる細長い線状構造を製造するのに適している。したがって、前記印刷領域は、少なくとも部分的に細長いチャネル開口部、特に線状のチャネル開口部、好ましくは直線状のチャネル開口部として、好ましくは長手方向に延伸してチャネル幅(b)を有するように形成されることが有利である。
前記チャネル幅(b)は、好ましくは40μmよりも小さく、さらに好ましくは20μmよりも小さく、特に好ましくは10μmよりも小さい。
【0028】
平面状の織物として形成されている前記スクリーンは、少なくとも第一のグループの細長いスクリーン要素を有することが好ましく、当該グループの前記細長いスクリーン要素は、互いに対して平行に、さらに好ましくは互いに対して等間隔に配置されている。
前記印刷領域において少なくとも一つの直線状のチャネル開口部が設けられている場合、前記チャネル開口部は前記チャネル開口部の長手方向軸に対して0°に等しくない角度で配置されることが好ましい。
【0029】
特にDE 10 2019 122 126.9に記載される角度と最大チャネル幅とを設けることが有利である。当該文献は、参照により完全に含まれるものとする。
特に前記印刷領域の前述の少なくとも一つの直線状のチャネルと前記印刷領域のスクリーン要素とが±0.1°の公差において角度をなし、前記角度は11.31°、14.04°、18.44°、26.57°、45°、33.69°、特に11.31°、14.04°、18.44°、26.57°、33.69°からなるグループより選択されることが有利である。
【0030】
これによりDE 10 2019 122 126.9より公知であるように、前記チャネル開口部内における前記各スクリーン要素の各ノットを有利に減少させることが可能である。
【0031】
前記印刷版の平面状の織物として形成された前記スクリーンは、少なくとも第二のグループの細長いスクリーン要素を有することが有利であり、前記第二のグループの前記細長いスクリーン要素は、互いに対して平行且つ好ましくは互いに対して等間隔に配置されている。
【0032】
特に前記第一のグループおよび前記第二のグループの前記各スクリーン要素が30°から150°、好ましくは60°から120°、特に好ましくは85°から95°、好ましくは90°の範囲の角度をなすことが有利である。
【0033】
特に前記印刷版の前記細長いスクリーン要素が完全に前述の第一および第二のグループに割り当てられていることが有利である。
したがって、前記細長いスクリーン要素は、対毎に互いに対して平行または直交するように配置されていることが好ましい。
【0034】
本出願人の検討によると、前記印刷領域の面積に対する、前記細長いスクリーン要素により前記印刷領域が覆われている面積の比から算出される面積比SUIが、前記印刷領域において0.5より大きい、好ましくは0.75より大きい、特に1よりも大きいことが好ましいことが示されている。
これにより印刷ペーストを有利な低圧で、特にスキージを用いて前記スクリーンを通過させて、前記部品の表面に塗布するのに有利な開口比が得られる。
【0035】
前述のとおり本発明による印刷版は、複数の細長いスクリーン要素を有する。
前記スクリーン要素が互いに接続されており、特に一つまたは複数の細長く、可撓性を有するスクリーン要素-基本要素を前記スクリーンフレームの領域において折り返すことによって形成することは本発明の範囲内にある。
【0036】
前述した課題は、さらにスクリーンフレームと、複数の細長いスクリーン要素を有する平面状のスクリーンと、印刷ペーストが通過可能な少なくとも一つの印刷領域と、印刷ペーストが通過不可能な遮断領域とを有する印刷版を製造するための方法によって解決される。
【0037】
重要なのは、前記細長いスクリーン要素がガラス繊維および/または炭素繊維および/またはカーボンナノチューブの形態で形成され、接合ステップにおいて可撓性を有する平面状の織物、特に織布またはノンクリンプ織物へと接合されることである。
前記平面状の織物は、張設ステップにおいて縁領域において前記スクリーンフレームに配置されて前記スクリーンフレームと好ましくは引張応力の付与下において接合される。
【0038】
これにより本発明による印刷版に関して述べた利点が得られる。特に前述したように前記織物が15N/cmより大きい、好ましくは20N/cmより大きい、最も好ましくは25N/cmより大きい引張応力にて前記スクリーンフレーム内に配置されることが有利である。
【0039】
前記織物の引張応力は、前記細長いスクリーン要素が引張応力の付与下において特に製造に使用されるスクリーンフレーム内に配置された後に、特に好ましくは前記遮断領域を形成するのに用いられる材料を用いて固定されることによって得られることが好ましい。
よって当該有利である実施形態においては前記織物の引張応力を必ずしも例えば前記印刷版の前記スクリーンフレームなどのフレーム内に張設することによって付与する必要はない。固定材料、特に前記遮断領域を画定するステンシルの材料を用いた固定により、前記織物の引張応力を、外側フレームを使用せずとも固定することが可能となる。
【0040】
別の好ましい実施態様では、前記織物の引張応力は、前記スクリーンが引張応力の付与下において前記フレーム内に配置されて前記フレームに固定されることによって得られる。
【0041】
別の有利である実施形態において前記織物の引張応力の形成は、前記織物を前記印刷版の前記スクリーンフレーム内に張設し、材料、好ましくは前記遮断領域を形成するのに用いられる材料、特に前記遮断領域を画定するステンシルの材料を用いて前記織物を固定することを組みわせることによって実施される。
【0042】
コーティングステップにおいて、印刷ペーストが通過不可能な遮断層、好ましくはエチレン‐プロピレン‐ジエンゴムを含む遮断層がスクリーンに形成されることが有利である。
【0043】
構造化ステップにおいて、前記遮断層における前記印刷領域のための開口部、特に好ましくは細長いチャネル開口部が形成されることが好ましい。前記開口部は、レーザを用いて、特にレーザアブレーションを用いて形成されることが好ましい。これにより前記一つまたは複数の印刷領域の正確かつ安価な形成が可能となる。
【0044】
よって当該開口部は、前記印刷ペーストが通過可能な印刷領域を形成する。
【0045】
前記印刷ステンシルにおいて、少なくとも一つのチャネル開口部が形成されることが有利であり、当該チャネル開口部は線状、特に好ましくは直線状に形成されて、40μmよりも小さい、好ましくは20μmよりも小さい、最も好ましくは10μmよりも小さいチャネル幅を有する。
【0046】
開口ステップにおいて、ステンシル・ブランク、特には薄肉金属板がレーザを用いて印刷ステンシルに加工されることが有利であって、この際、前記ステンシル・ブランクにおいて細長いチャネル開口部、好ましくは直線状のチャネル開口部が除去され、組み立てステップにおいて前記印刷ステンシルが前記スクリーンに配置される。
【0047】
したがって、当該有利な実施形態においては、前記印刷ステンシルにおける前記印刷領域の画定が前記印刷ステンシルが前記スクリーンに配置される前に実施される。これにより一つまたは複数の前記印刷領域を形成する際に前記スクリーンを損傷することが防止される。
【0048】
前述した課題は、さらに電子部品、特に光起電太陽電池の表面に印刷版を用いて印刷ペーストを塗布するための方法によって解決され、この際スキージを用いて印刷ペーストが前記印刷版を通過して前記電子部品の基板上に塗布される。重要なのは、本発明による印刷版、特に当該印刷版の好ましい実施形態が用いられることである。その結果、幅の狭い印刷ペーストの線状構造を前記電子部品の表面上に有利に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】フラットベッド・スクリーン印刷のための、本発明の第一の実施形態の印刷版を有する、第一の実施形態のスクリーン印刷装置を示した概略側面図である。
【
図2】回転式スクリーン印刷のための、本発明の第二の実施形態の印刷版を有する、第二の実施形態のスクリーン印刷装置を示した概略側面図である。
【
図4】
図3の印刷版を下方から見た概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下において、さらなる有利な各特徴と好ましい実施形態について、各実施形態および各図を用いて説明する。
図1から
図4は概略図であり、縮尺に忠実ではない図を示している。各図における同一の各符号は、同一または同一の機能を有する各要素を示すものである。
【0051】
図1において、スクリーン印刷装置の第一の実施形態が側面図として示されている。前記装置は、フラットベッド・スクリーン印刷を実施するように形成されている。
【0052】
前記装置は、スクリーン印刷版1として形成された、本発明による印刷版の第一の実施形態を有し、当該印刷版はフラットベッド・スクリーン印刷版として形成されている。スクリーン印刷版1は、所定の構造を形成するために部分的にスクリーン印刷ペースト2が通過可能であり、部分的に前記スクリーン印刷ペースト2が通過不可能であるように形成されている。このことは
図3および
図4を用いて後で詳しく説明する。
【0053】
ここでの印刷ペースト2は金属粒子を含む印刷ペーストであり、当該印刷ペーストは熱処理後、光起電太陽電池として形成された電子部品の前面に、それ自体公知である接触グリッドの形態の金属接触構造を形成するために用いられる。
【0054】
前記装置は、スキージ3を有し、当該スキージは前記スキージの上方に図示されている矢印で示される方向に沿って、図示されない電動手段を用いて可動である。これによりスクリーン印刷ペースト2がスクリーン印刷版1の上に塗布され、通過可能な各箇所においてスクリーン印刷版1を貫通するため、スクリーン印刷ペーストからなる構造4が基板5の上に塗布される。
【0055】
ここでの基板5は、エミッタとベースとを形成するためのpドープ領域とnドープ領域とを既に有するシリコンウェハとして形成されている。よって、基板5は太陽電池の前駆体を構成し、太陽電池を完成させるにはさらに半導体基板5の前面に金属接触構造を配置する必要がある。
【0056】
前記装置は、半導体基板を供給および排出するための供給ユニットを有し、当該供給ユニットは(図示されない)コンベアベルトを有し、当該コンベアベルトの上に複数のシャトルが配置されている。
図1において上部に基板5が配置されているシャトル6の一例が図示されている。
【0057】
図2において別法の実施形態としてスクリーン印刷版1’として形成された、本発明による印刷版の第二の実施形態を有する第二の印刷装置が図示されている。当該印刷装置は、回転式スクリーン印刷方法を実施するように形成されている。
【0058】
図1および
図2との比較により明らかであるように、いくつかの要素は同一であるように形成されて配置されている。
しかしながら、重要なのは
図2による第二の実施形態においてはスクリーン印刷版1’が円筒形状を有する筒型スクリーンとして形成されていることである。
【0059】
スキージ3は、円筒状に形成されたスクリーン印刷版1’の内部に配置されているため、印刷ペーストからなる構造4を基板5上に形成するために印刷ペースト2がスクリーン印刷版1’の内部からスクリーン印刷版を通過して外側に押し出される。
【0060】
このため、筒型スクリーンとして形成されたスクリーン印刷版1’は、回転軸1aを有し、各モータ手段を用いて円弧矢印で示される方向に回転可能である。よって、回転軸1aは、
図2において図平面に対して垂直に配置されている。
【0061】
同時に、基板5とスクリーン印刷版1’の外面との間における相対速度が、スクリーン印刷版1’と基板5との間における接点においてゼロまたは少なくとも無視できるほど低くなるように、半導体基板5はシャトル6を用いて直線矢印で示される方向に移動される。
【0062】
これに対し、スキージ3は回転動作を行わないため、スクリーン印刷版1’の内部の印刷ペースト2はスクリーン印刷版1’の回転動作によってスキージ3に対して押圧され、前記スキージを用いて前記スクリーン印刷版を通過して基板5上に塗布される。
【0063】
各スクリーン印刷版1および1’は、基本的に同じ構造を有するが、スクリーン印刷版1は平らな長方形の形状を有するのに対してスクリーン印刷版1’の形状は円筒の外面に相当する。
【0064】
したがって、各スクリーン印刷版1および1’は、それぞれ本発明による印刷版の各実施形態を示すものであって、当該印刷版はスクリーンフレームを有し、当該スクリーンフレーム内にスクリーン印刷織布として形成されている平面状の織物がスクリーンとして引張応力の付与下において配置されている。
【0065】
図1によるスクリーン印刷版の場合、スクリーンフレームおよびスクリーンは長方形に形成されている。
【0066】
図2によるスクリーン印刷版の場合、スクリーンは円筒の外面として形成されている。
前記スクリーンフレームは、リング状の各要素を有し、当該各要素は外面形状を有する前記スクリーンの両縁に配置されている。前記織物は、前記リング状の各要素に接合されることが好ましい。
【0067】
図1によるスクリーン印刷版の場合、引張応力は、実質的に前記スクリーンを前記スクリーンフレーム内に張設することによって形成される。
図2による前記スクリーン印刷版の場合、前記引張応力は、実質的に前記スクリーン印刷織布を前記ステンシルによって固定することによって形成される。
別法による実施形態において、前記リング状の各要素間に追加的な各ウェブが設けられているため、前記スクリーンを張設することによって前記引張応力が得られる。
【0068】
これら両方のスクリーン印刷版の場合において、ステンシルを用いて複数の細長く、直線状の、ここでは長方形の各開口部が形成されているため、当該各開口部が印刷ペーストが通過可能な印刷領域を形成するのに対して、ステンシル自体は印刷ペーストが通過不可能な遮断領域を形成する。
【0069】
図3では、
図1の装置のスクリーン印刷版1を通る断面が図示されている。
【0070】
スクリーン印刷版1は、長方形のフレーム1aを有し、当該フレームの中にスクリーン印刷織布1bとして形成された平面状の織物が張設されている。
【0071】
スクリーン印刷織布1bは、複数の織布要素として形成された、細長いスクリーン要素を有し、当該スクリーン要素は、第一の要素方向と、垂直である要素方向とに配置されている。前記第一の要素方向は、
図3において図平面に対して垂直な方向であり、相応して第二の要素方向は
図3において図平面に対して平行な方向である。
【0072】
スクリーン印刷織布1bにおいて、ステンシル1cはそれ自体公知である方法でエマルジョンから形成されて配置されている。
【0073】
ステンシル1cは、複数の開口部を有し、当該各開口部はそれぞれ直線状の細長いチャネル1dとして形成されている。スクリーン印刷版1の各チャネルは、互いに対して平行且つ
図3の図平面に対して垂直に延在し、ここでは同一の幅を有する。
図3において三つのチャネル1dが例示的に図示されている。
【0074】
ここで
図3において上方から前記スキージを用いてスクリーン印刷ペーストがスクリーン印刷版1に押圧されると、前記スクリーン印刷ペーストは各チャネル1dの領域においてのみスクリーン印刷版を通過可能であるため、前記チャネルのポジティブ型に対応したスクリーン印刷ペーストからなる構造が
図3の下方にある基板上に形成される。当該構造は、対応する複数の互いに平行に隣接して配置される、スクリーン印刷ペーストからなる各線からなる。
【0075】
図4は、
図3のスクリーン印刷版1を下方から見た背面図を示す。
各チャネル1dの下方にスクリーン印刷織布1bの各織布要素が延在しているため、ステンシル1cの各開口部の領域、すなわち各チャネル1dの領域において、スクリーン印刷版が完全には開口していないことが概略的に図示されている。
【0076】
図1で示される印刷版の場合、細長いスクリーン要素は繊維直径が5μmであり、繊維密度が1インチ当たり1500本であるガラス繊維から形成されている。引張応力は、4000メガパスカルである。
【0077】
本実施形態の別の実施様態では、細長いスクリーン要素が前述の各パラメータを有する炭素繊維から形成されている。
【0078】
図2の印刷版は、カーボンナノチューブによって形成される細長いスクリーン要素を有する。この各スクリーン要素の直径は0.5μmであり、繊維密度は1インチ当たり5000個のスクリーン要素である。各スクリーン要素は、40,000メガパスカルの引張応力でスクリーンフレームに配置されている。
【0079】
これにより、狭いチャネル幅を実現することができるという利点が得られる。ここでのチャネル幅は、第一の実施形態では10μmであり、第二の実施形態では5μmである。
【符号の説明】
【0080】
1 スクリーン印刷版
1’ スクリーン印刷版
1a フレーム
1b スクリーン印刷織布
1c ステンシル
1d チャネル
2 印刷ペースト
3 スキージ
4 構造
5 基板(半導体基板)
6 シャトル
【国際調査報告】