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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(54)【発明の名称】プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
C07D401/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513348
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2021073378
(87)【国際公開番号】W WO2022043320
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】2013383.1
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ロフチック,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】グラニエー,ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼット,ナタリー
【テーマコード(参考)】
4C063
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC25
4C063DD10
4C063EE10
(57)【要約】
ピペコリン酸から化合物を合成するためのin-situ方法、前記方法によって得られたおよび/または得ることができる化合物、およびフレーバー組成物における前記化合物の使用、例えばフレーバー組成物の冷却剤としての使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペコリン酸から式(V)で表される化合物をin-situ形成するための方法であって、ここで、in-situ方法は溶媒の存在下で行われ、ここで、溶媒は約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒、水、またはそれらの混合物であり、
ここで、方法は以下を含む:
(a)ピペコリン酸を、塩基の存在下で、式(Ia)で表される酸クロリドと反応させるか、またはピペコリン酸を、任意に塩基の存在下で、式(Ib)で表される酸無水物と反応させて、式(II)で表される化合物を形成すること、
【化1】

(b)式(II)で表される化合物を式(III)で表される化合物と反応させて、式(IV)で表される化合物を形成すること、
【化2】

(c)式(IV)で表される化合物をアンモニウム源と反応させて、式(V)で表される化合物を形成すること、
【化3】

式中、
R1、R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、O、S、NおよびFから独立して選択される3個までのヘテロ原子を任意に含む炭化水素基を形成し;
式(III)、(IV)および(V)で表される化合物のフェニル基は、n個のR4置換基で置換されており、ここでnはゼロ、1、2、3、4または5であり;
各R4は、独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、5個までのハロゲン原子を任意に含むC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、3個までのハロゲン原子を任意に含むC1-C6アルコキシ、C1-C3アルコキシ-C1-C3-アルキル、およびC3-C7シクロアルキルから選択され;
B+は、塩基によって提供されるカチオンであり;および
Xはハロゲンである、
前記方法。
【請求項2】
塩基が、金属リン酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩基が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物または式(III)で表される化合物に対して、少なくとも2当量の塩基を使用する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応、および/または式(IV)で表される化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応が、相間移動触媒の存在下で行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
相転移触媒がテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
溶媒が芳香族溶媒、例えばトルエンなどのアルキルベンゼン溶媒である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
溶媒が非芳香族溶媒、例えば2-メチルテトラヒドロフランである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(IV)で表される化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応が、約50℃~約120℃の範囲の温度で行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
アンモニウム源が酢酸アンモニウムまたはアンモニアと酢酸との混合物である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応が、約90℃~約120℃の範囲の温度で行われる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
R1、R2およびR3が結合している炭素原子がキラル中心であり、およびキラリティが反応を通してずっと変化しない、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
R1が、水素およびメチルから選択され;および/または
R2が、水素、C1-C2アルキルおよびC2-C3アルケニルから選択され;および/または
R3が、C1-C3アルキル、1個または2個の二重結合を含有するC2-C5アルケニル、C1-C3アルコキシ、C1-C4アルキル-C(O)-、C1-C4アルキル-S-、C1-C4アルキル-SCH2-、C1-C4アルケニル-S-、C1-C4アルキル-S(O)-、C1-C4アルキル-S(O)2-、C1-C4アルケニル-S(O)-、C1-C4アルケニル-S(O)2-、-SH、CF3S-、シクロプロピル、シクロブチル、メチルで任意に置換されるフリル、およびC1-C6フルオロ-アルキルから選択される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
R1、R2およびR3がそれらが結合している炭素原子と一緒になって、3-チアブタ-2-イル、2-メチル-3-チアブタ-2-イル、3-チアペンタ-2-イル、4-チアペンタ-2-イル、2-チアプロパ-1-イル、2-メチル-3-チアペンタ-2-イル、3-オキソ-3-チアブタ-2-イル、3-オキソ-2-メチル-3-チアブタ-2-イル、3-オキソ-3-チアペンタ-2-イル、4-オキソ-4-チアペンタ-2-イル、2-オキソ-2-チアプロパ-1-イル、3-オキソ-2-メチル-3-チアペンタ-2-イル、ブタ-2-イル、ペンタ-2-イル、ブタ-3-エン-2-イル、ペンタ-3-エン-2-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ペンタ-2-エン-2-イル、ブタ-1-エン-2-イル、ペンタ-1-エン-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、2-メチルペンタ-2-イル、2-メチルブタ-3-エン-2-イル、3-メチルブタ-2-イル、3-メチルブタ-3-エン-2-イル、3-メチルブタ-2-エン-2-イル、2,3-ジメチルブタ-2-イル、2,3-ジメチルペンタ-2-イル、2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル、2,3-ジメチルペンタ-3-エン-2-イル、2-メチルペンタ-3-エン-2-イル、プロパ-2-イル、プロパ-1-イル、エチル、シクロプロピル、1,1-ジメチルシクロプロパ-2-イル、1-メチルシクロプロパ-2-イル、1-メチルシクロプロパ-1-イル、3-チアヘキサ-5-エン-2-イル、2-メチル-3-チアヘキサ-5-エン-2-イル、1-メルカプトエタ-1-イル、2-メルカプトプロパ-2-イル、3,3,3-トリフルオロプロパ-2-イル、2-メチル-3,3,3-トリフルオロプロパ-2-イル、1-(2-フリル)エタ-1-イル、1-(5-メチルフラ-2-イル)エタ-1-イル、2-(2-フリル)プロパ-2-イル、1-(3-フリル)エタ-1-イル、1-(5-メチルフラ-3-イル)エタ-1-イル、2-(3-フリル)プロパ-2-イル、1-(2-テトラヒドロフリル)エタ-1-イル、2-(2-テトラヒドロフリル)プロパ-2-イル、1-(3-テトラヒドロフリル)エタ-1-イル、2-(3-テトラヒドロフリル)プロパ-2-イル、1-シクロプロピルエタ-1-イル、2-シクロプロピルプロパ-2-イル、1-シクロブチルエタ-1-イル、2-シクロブチルプロパ-2-イル、シクロブチル、シクロペンチル、ペンタ-2-エン-3-イル、1-メトキシプロパ-1-イル、1-メトキシエタ-1-イル、1,1,1-トリフルオロブタ-3-イル、および3-チアシクロブタ-1-イルから選択される炭化水素基を形成する、
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式(V)で表される化合物が、2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オン、2-(メチルチオ)-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、2-メチル-2-(メチルチオ)-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、または2,2-ジメチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オンである、
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ピペコリン酸からの本明細書に記載のとおりの式(V)で表される化合物のin-situ形成、具体的に2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オン((2S)-2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オン、またはラセミ混合物を包含する)、2-(メチルチオ)-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、2-メチル-2-(メチルチオ)-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オンおよび、2,2-ジメチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オンの冷却剤の形成のための方法に関する。本発明は、さらに、該方法によって得られた、および/または得ることができる該化合物、該化合物のフレーバー組成物における使用、例えばフレーバー組成物における冷却剤としての使用、該フレーバー組成物の消費者向製品における使用、該化合物を含むフレーバー組成物、および該フレーバー組成物を含む消費者向製品に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
ピペコリン酸は、様々な化合物の形成のための出発材料として使用され得る。とりわけ、ピペコリン酸は、本明細書に記載のとおりの式(V)で表される化合物の形成のための出発材料として使用され得る。しかしながら、これらの方法は、一般に、次のステップを実施する前に、中間化合物の単離および精製を伴う数多のステップを必要とする。したがって、例えば、中間体化合物を単離および精製する必要性を低減することができる、改善されたまたは代替の方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
概要
本発明の第1の側面に従って、ピペコリン酸から式(V)で表される化合物をin-situ形成するための方法が提供され、ここで、in-situ方法は溶媒の存在下で行われ、ここで、溶媒は約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒、水、またはそれらの混合物であり、
ここで、方法は以下を含む:
(a)ピペコリン酸を、塩基の存在下で、式(Ia)で表される酸クロリドと反応させるか、またはピペコリン酸を、任意に塩基の存在下で、式(Ib)で表される酸無水物と反応させて、式(II)で表される化合物を形成すること、
(b)式(II)で表される化合物を式(III)で表される化合物と反応させて、式(IV)で表される化合物を形成すること、および
(c)式(IV)で表される化合物をアンモニウム源と反応させて、式(V)で表される化合物を形成すること、
ここで、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)で表される化合物の構造は、以下の通りである:
【化1】

式中、
R1、R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、O、S、NおよびFから独立して選択される3個までのヘテロ原子を任意に含む炭化水素基を形成し;
式(III)、(IV)および(V)で表される化合物のフェニル基は、n個のR4置換基で置換されており、ここでnはゼロ、1、2、3、4または5であり;
各R4は、独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、5個までのハロゲン原子を任意に含むC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、3個までのハロゲン原子を任意に含むC1-C6アルコキシ、C1-C3アルコキシ-C1-C3-アルキル、およびC3-C7シクロアルキルから選択され;
B+は、塩基によって提供されるカチオンであり;および
Xはハロゲンである。
【0004】
本発明の第2の側面に従って、その任意の態様を包含する、本発明の第1の側面の方法によって得られた、および/またはそれによって得ることができる式(V)で表される化合物、が提供される。
本発明の第3の側面に従って、その任意の態様を包含する、本発明の第2の側面の式(V)で表される化合物のフレーバー組成物における使用が提供される。例えば、式(V)で表される化合物は、フレーバー組成物において冷却剤として使用され得る。
【0005】
本発明の第4の側面に従って、その任意の態様を包含する、本発明の第2の側面の式(V)で表される化合物を含むフレーバー組成物が提供される。
本発明の第5の側面に従って、その任意の態様を包含する、本発明の第4の側面のフレーバー組成物を含む消費者向製品が提供される。
本発明の第6の側面に従って、その任意の態様を包含する、本発明の第4の側面のフレーバー組成物の消費者向製品における使用が提供される。
【0006】
本発明のある態様は、以下の利点の1以上を提供し得る:
- ピペコリン酸から式(V)で表される化合物を作製するためのin-situ方法;
- 精製および単離のステップの数の低減;
- 方法を通してずっと同じ溶媒の使用;
- 反応の終了時に溶媒をリサイクルすることができる;
- R1、R2およびR3によって形成される炭化水素基のキラリティは、反応を通してずっと、同じままである;
- 酸クロリドおよび式(III)で表される化合物は自社で作製でき、粗製および溶液で使用でき、よって涙液試薬(lachrymal reagents)への曝露を低減できる;
- 副反応としての酸クロリドの加水分解の低減;
- よりマイルドな反応条件;
- 必要な試薬の量または数の低減(例として、第1の反応ステップでカルボン酸が脱プロトン化されるため、第2の反応ステップで追加の塩基を添加する必要がない);
- 第3の反応ステップに必要なアンモニウム源の量の低減(例として、分けて添加することおよび/または反応温度および/または水の除去に起因する);
- 許容し得る収率;
- 許容し得る選択性。
【0007】
本発明の規定された側面の任意の具体的な1以上に関連して提供される詳細、例および好ましいものは、本明細書でさらに記載され、本発明のすべての側面に等しく適用されるであろう。本明細書に記載された態様、例および好ましいものの組み合わせは、これらのすべての可能なバリエーションで、本明細書で特に示されない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0008】
詳細な記載
本発明は、ピペコリン酸から式(V)で表される化合物を、ワークアップおよび単離の前にin situ 形成できるという驚くべき発見に基づくものである。
【0009】
したがって、ピペコリン酸から式(V)で表される化合物をin-situ形成するための方法が本明細書に提供され、ここで、in-situ方法は、溶媒の存在下で行われ、ここで、溶媒は、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒、水、またはそれらの混合物であり、ここで、方法は、以下を含む:
(a)ピペコリン酸を、塩基の存在下で、式(Ia)で表される酸クロリドと反応させるか、またはピペコリン酸を、任意に塩基の存在下で、式(Ib)で表される酸無水物と反応させて、式(II)で表される化合物を形成させること、
【化2】

(b)式(II)で表される化合物を式(III)で表される化合物と反応させて、式(IV)で表される化合物を形成すること、
【化3】
【0010】
(c)式(IV)で表される化合物をアンモニウム源と反応させ、式(V)で表される化合物を形成すること、
【化4】

式中、
R1、R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、O、S、NおよびFから独立して選択される3個までのヘテロ原子を任意に含む炭化水素基を形成し;
式(III)、(IV)および(V)で表される化合物のフェニル基は、n個のR4置換基で置換されており、ここでnはゼロ、1、2、3、4または5であり;
各R4は、独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、5個までのハロゲン原子を任意に含むC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、3個までのハロゲン原子を任意に含むC1-C6アルコキシ、C1-C3アルコキシ-C1-C3-アルキル、およびC3-C7シクロアルキルから選択され;
B+は、塩基によって提供されるカチオンであり;および
Xはハロゲンである。
【0011】
本明細書に使用されるとき、語句「ピペコリン酸から式(V)で表される化合物をin-situ形成する」は、反応全体が単一の反応混合物で行われ、および形成される任意の中間化合物(例として、式(II)、および(IV)で表される化合物)は、最終生成物(すなわち、式(V)で表される化合物)を形成するために、これに続くステップを行う前に単離または精製されない方法を指す。換言すれば、ピペコリン酸の式(II)で表される化合物への変換、式(II)で表される化合物の式(IV)で表される化合物への変換、および式(IV)で表される化合物の式(V)で表される化合物への変換は、式(II)で表される化合物または式(IV)で表される化合物の単離または精製無しで、同じ反応混合物で行われる。このin-situ形成は、例えば、フローまたはバッチプロセスで行ってもよい。
【0012】
本明細書に記載の方法は、ピペコリン酸から式(V)で表される化合物を形成するためのin-situ方法であるが、これは式(V)で表される化合物を得るために必要ではなく、式(V)で表される化合物を得るために、1以上の単離または精製ステップが、本明細書に記載のステップ1、2および3の各々の後に行われ得ることは認識されよう。
【0013】
式(II)で表される化合物の式(IV)で表される化合物への変換は、ピペコリン酸の式(II)で表される化合物への変換に付随してもよいし、これに続いてもよい。
式(IV)で表される化合物の式(V)で表される化合物への変換は、式(II)で表される化合物から式(IV)で表される化合物への変換と同時に付随してもよいし、続いてもよい。
【0014】
「付随して」とは、両方の変換反応が反応混合物で同時に起こるように、各変換ステップの試薬が反応混合物に同時に添加されることを意味する。
【0015】
「続いて」とは、反応の次のステップのための試薬(例として、式(Ia)で表される酸クロリド、式(Ib)で表される酸無水物、式(III)で表される化合物および/またはアンモニウム源)の少なくともいくつかが、反応の最初のステップが部分的にまたは完全に完了した後に反応混合物に添加されることを意味する。例えば、式(III)で表される化合物は、ピペコリン酸の式(II)で表される化合物への完全なまたは不完全な変換の後に反応混合物に添加され得る。例えば、アンモニウム源は、式(II)で表される化合物から式(IV)で表される化合物への完全なまたは不完全な変換の後に、反応混合物に添加され得る。前の変換が不完全であった場合、続くステップのための試薬の添加は、両方の変換反応が反応混合物で同時に行われる期間をもたらし得る。しかしながら、最初に、続く変換ステップの不在下で先の変換ステップが行われる期間が存在する。続く変換は同じ反応混合物で行われ、中間化合物の単離または精製は行われず、したがって続く変換は、本開示に従ったin-situ反応となる。
【0016】
代替的に、本明細書に上で記載のとおりの式(V)で表される化合物をin-situ形成するための方法は、以下を含む:
(a)ピペコリン酸を、式(III)で表される化合物と、塩基の存在下で反応させて、式(VI)で表される化合物を形成すること、
【化5】

(b)式(VI)で表される化合物を、式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物と反応させて、式(IV)で表される化合物を形成すること、および
(c)式(IV)で表される化合物を、アンモニウム源と反応させ、式(V)で表される化合物を形成すること、
ここで、式(Ia)、(Ib)、(III)、(IV)および(V)で表される化合物の構造は、上に示したとおりである。
【0017】
この代替方法において、アンモニウム源との反応ステップ3は、酸クロリド/酸無水物との反応の前に、任意に行うことができる。
しかしながら、代替法では、ピペコリン酸は選択的なアミン保護基で保護されていなければならない。次いで、保護基は、式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物とのこれに続く反応の前に除去されなければならない。
【0018】
本明細書に記載のin-situ方法は、溶媒の存在下で行われ、ここで、溶媒は、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒であるか、または溶媒は水であるか、または溶媒は有機溶媒と水との混合物である。換言すれば、方法の全てのステップ(本明細書に記載のステップ1、2および3の全てを包含する)は、溶媒の存在下で行われ、ここで、溶媒は、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒であるか、または溶媒は水であるか、または溶媒は有機溶媒と水との混合物である。驚くべきことに、および有利なことに、溶媒として水または約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒を選択することにより、続く各ステップのための溶媒の変更が不要となり、よって、方法全体をin-situ方法としてワンポッドで実施できることを可能にすることが見出された。溶媒としての水または約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒の選択は、不純物および副生成物の形成を最小限に抑えることに役立ち得る。ある態様において、溶媒は、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒である。
【0019】
ある態様において、有機溶媒は、約60℃以上、または約70℃以上、または約80℃以上、または約90℃以上、または約100℃以上、または約110℃以上の沸点を有する。
ある態様において、有機溶媒は、約150℃以下、または約140℃以下、または約130℃以下、または約120℃以下の沸点を有する。
例えば、有機溶媒は、約60℃~約150℃、または約70℃~約120℃、または約80℃~約140℃、または約90℃~約130℃、または約100℃~約120℃の範囲の沸点を有していてもよい。
【0020】
1以上の本明細書に記載のin-situ方法のステップ(例として、本明細書に記載のステップ1、2および3のすべて、または方法のすべてのステップ)は、溶媒の沸点未満、例えば約50℃~約160℃の範囲の沸騰温度を有する有機溶媒の沸点未満である温度で行われてもよい。代替的に、本明細書に記載のin-situ方法のステップの1以上(例として、本明細書に記載のステップ1、2および3のすべて、または方法のステップのすべて)は、還流下の条件下で行われてもよい。これは、蒸発に起因して方法中に反応混合物から溶媒が失われるのを防ぐためのものであり得る。
【0021】
1以上の本明細書に記載のin-situ方法のステップ(例として、本明細書に記載のステップ1、2および3のすべて、または方法のすべてのステップ)は、反応中に反応混合物から溶媒が失われるのを防ぐために、閉鎖管内またはオートクレーブ内で行われてもよい。これは、例えば、使用する溶媒の沸騰温度よりも高い温度を可能にし得る。したがって、比較的低い沸点を有する溶媒(例として、MTBE)を使用し得る。
【0022】
1以上の本明細書に記載のin-situ方法のステップ(例として、本明細書に記載のステップ1、2および3のすべて、または方法のステップのすべて)は、反応物が分解する温度よりも低い温度で行われてもよい。方法の各ステップの温度は、同じであっても異なっていてもよい。
【0023】
例えば、in-situ方法の各工程を、反応速度を最大化する温度で実行することを可能にするが、反応物の分解を避けるのに十分低い溶媒(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒)を選択することが有利であり得る。
【0024】
約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒は、例えば、極性溶媒または非極性溶媒であり得る。溶媒の極性は、0℃における溶媒の誘電率(比誘電率)を決定することにより測定してもよい。誘電率が15未満の溶媒は、非極性溶媒であるとみなし得る。誘電率が15以上の溶媒は極性溶媒とみなし得る。
【0025】
約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒は、例えば、水と非混和性であってもよい(すなわち、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒の混合物が、全ての割合で水と混合して均質な溶液を形成することは不可能である)。
約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒は、例えば、芳香族溶媒または非芳香族溶媒であり得る。
【0026】
芳香族溶媒は、例えば、窒素、酸素、硫黄、およびフッ素などのハロゲンから選択される1以上のヘテロ原子を含んでもよい。芳香族溶媒は、例えば、1以上のヘテロ芳香族基を含んでもよい。芳香族溶媒は、例えば、炭素原子および水素原子のみから構成される芳香族溶媒であってもよい。アルキルベンゼンは、炭素原子および水素原子のみから構成される芳香族溶媒の例である。アルキルベンゼン溶媒はまた、非極性溶媒の例でもある。アルキルベンゼン溶媒は、ベンゼン環上の1以上の水素原子がアルキル基で置き換えられたベンゼン基を含む。各アルキル基は、例えば、独立して、1~5個の炭素原子、例えば、1~3個の炭素原子、例えば、1または2個の炭素原子を含んでもよい。トルエンおよびキシレンは、アルキルベンゼン溶媒の例である。ジクロロベンゼンなどのハロベンゼン(1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたベンゼン)は、芳香族溶媒の例である。
【0027】
非芳香族溶媒は、例えば、窒素、酸素、硫黄、およびフッ素などのハロゲンから選択される1以上のヘテロ原子を含んでもよい。非芳香族溶媒は、例えば、1以上の非芳香族複素環基を含んでもよい。メチルテトラヒドロフラン、例えば2-メチルテトラヒドロフランは、複素環基を含む非芳香族溶媒の例である。非芳香族溶媒は、例えば、エーテルであってもよい。メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)は、非芳香族エーテル溶媒の例である。非芳香族溶媒は、例えば、炭素原子および水素原子のみから構成される非芳香族溶媒であってもよい。炭素原子および水素原子のみから構成される非芳香族溶媒は、例えば、鎖状(例として、分枝鎖または直鎖)または環状であってもよい。ヘプタンは、鎖状直鎖非芳香族溶媒の例である。ジクロロメタンなどのハロアルカン(1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたアルカン)溶媒は、非芳香族溶媒の例である。ハロアルカン溶媒は、例えば、方法が閉鎖管内またはオートクレーブ内で実施される場合に特に使用され得る。
【0028】
ある態様において、非芳香族溶媒は、窒素、酸素および硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含んでもよい。
とりわけ、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒は、アルキルベンゼン溶媒であり得る。例えば、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒は、トルエンであり得る。
【0029】
ステップ1 - ピペコリン酸の式(II)で表される化合物への変換
本明細書に記載のin-situ方法は、ピペコリン酸を、(a-i)塩基の存在下で、式(Ia)で表される酸クロリドと、または(a-ii)任意に塩基の存在下で、式(Ib)で表される酸無水物と反応させて、式(II)で表される化合物を形成することを含み得る。例えば、本明細書に記載のin-situ方法は、ピペコリン酸を、塩基の存在下で、式(Ia)で表される酸クロリドと反応させて、式(II)で表される化合物を形成することを含み得る。
【0030】
ピペコリン酸は商業的に入手し得る。それは、以下の化学構造を有する:
【化6】
【0031】
式(Ia)で表される酸クロリドは、以下の化学構造を有し、
【化7】

式中、R1、R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、O、S、NおよびFから独立して選択される3個までのヘテロ原子を任意に含む炭化水素基を形成する。
【0032】
式(Ia)で表される酸クロリドは、例えば、商業的に入手してもよく、または、例えば、カルボン酸を塩化チオニル(SOCl2)、塩化オキサリル(COCl2)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)と反応させること、またはチオ乳酸をジメチル硫酸と反応させ、その後の塩素化、例えば、塩化チオニル(SOCl2)との塩素化などの多数の合成経路によって作製してもよい。
【0033】
式(Ib)で表される酸無水物は、以下の化学構造を有し、
【化8】
式中、R1、R2およびR3は、式(Ia)で表される酸クロリドに関して定義したとおりである。
【0034】
酸無水物は、例えば、商業的に入手してもよく、または、例えば、式(Ia)で表される酸クロリドを対応するカルボン酸と反応させること、または後者を無水酢酸と反応させることなどの多数の合成経路によって作製してもよい。
【0035】
用語「O、S、NおよびFから選択される3個までのヘテロ原子を任意に含む炭化水素基」は、炭素原子および水素原子ならびに任意に酸素原子、硫黄原子、窒素原子およびフッ素原子のみを含む基を指す。酸素原子、硫黄原子、窒素原子およびフッ素原子の最大の合計数は3個である。
【0036】
R1、R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、例えば、O、SおよびFから選択される3個までのヘテロ原子を任意に含む炭化水素基を形成してもよい。R1、R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、例えば、3個までのSであるヘテロ原子を任意に含む炭化水素基を形成してもよい。
R1、R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、例えば、ゼロ個のヘテロ原子を含む炭化水素基を形成してもよい(すなわち、炭素原子および水素原子のみを含む炭化水素基を形成する)。
【0037】
R1、R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、例えば、O、S、NおよびFから独立して選択される1個または2個のヘテロ原子と共に炭素原子および水素原子を含む炭化水素基を形成してもよい。R1、R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、例えば、O、SおよびFから独立して選択される1個または2個のヘテロ原子と共に炭素原子および水素原子を含む炭化水素基を形成してもよい。
R1、R2およびR3が結合している炭素原子は、例えば、キラル中心であってもよい。ある態様において、R1、R2およびR3が結合している炭素原子はキラル中心であり、およびキラリティは反応を通してずっと変化しないままである。
【0038】
「O、S、NおよびFから選択される3個までのヘテロ原子を任意に含む炭化水素基」は、例えば、1~15個までの炭素原子を含んでもよい。例えば、「O、S、NおよびFから選択される3個までのヘテロ原子を任意に含む炭化水素基」は、2~15個の炭素原子を含んでもよい。例えば、「O、S、NおよびFから選択される3個までのヘテロ原子を任意に含む炭化水素基」は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の炭素原子を含んでもよい。
【0039】
R1、R2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、例えば、3-チアブタ-2-イル、2-メチル-3-チアブタ-2-イル、3-チアペンタ-2-イル、4-チアペンタ-2-イル、2-チアプロパ-1-イル、2-メチル-3-チアペンタ-2-イル、3-オキソ-3-チアブタ-2-イル、3-オキソ-2-メチル-3-チアブタ-2-イル、3-オキソ-3-チアペンタ-2-イル、4-オキソ-4-チアペンタ-2-イル、2-オキソ-2-チアプロパ-1-イル、3-オキソ-2-メチル-3-チアペンタ-2-イル、ブタ-2-イル、ペンタ-2-イル、ブタ-3-エン-2-イル、ペンタ-3-エン-2-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ペンタ-2-エン-2-イル、ブタ-1-エン-2-イル、ペンタ-1-エン-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、2-メチルペンタ-2-イル、2-メチルブタ-3-エン-2-イル、3-メチルブタ-2-イル、3-メチルブタ-3-エン-2-イル、3-メチルブタ-2-エン-2-イル、2,3-ジメチルブタ-2-イル、2,3-ジメチルペンタ-2-イル、2,3-ジメチルブタ-3-エン-2-イル、2,3-ジメチルペンタ-3-エン-2-イル、2-メチルペンタ-3-エン-2-イル、プロパ-2-イル、プロパ-1-イル、エチル、シクロプロピル、1,1-ジメチルシクロプロパ-2-イル、1-メチルシクロプロパ-2-イル、1-メチルシクロプロパ-1-イル、3-チアヘキサ-5-エン-2-イル、2-メチル-3-チアヘキサ-5-エン-2-イル、1-メルカプトエタ-1-イル、2-メルカプトプロパ-2-イル、3,3,3-トリフルオロプロパ-2-イル、2-メチル-3,3,3-トリフルオロプロパ-2-イル、1-(2-フリル)エタ-1-イル、1-(5-メチルフラ-2-イル)エタ-1-イル、2-(2-フリル)プロパ-2-イル、1-(3-フリル)エタ-1-イル、1-(5-メチルフラ-3-イル)エタ-1-イル、2-(3-フリル)プロパ-2-イル、1-(2-テトラヒドロフリル)エタ-1-イル、2-(2-テトラヒドロフリル)プロパ-2-イル、1-(3-テトラヒドロフリル)エタ-1-イル、2-(3-テトラヒドロフリル)プロパ-2-イル、1-シクロプロピルエタ-1-イル、2-シクロプロピルプロパ-2-イル、1-シクロブチルエタ-1-イル、2-シクロブチルプロパ-2-イル、シクロブチル、シクロペンチル、ペンタ-2-エン-3-イル、1-メトキシプロパ-1-イル、1-メトキシエタ-1-イル、1,1,1-トリフルオロブタ-3-イル、3-チアシクロブタ-1-イル、1-(N-メチルアミノ)エタ-1-イル、および1-(N,N-ジメチルアミノ)エタ-1-イルから選択される炭化水素基を形成してもよい。
【0040】
R1、R2およびR3は、例えば、各々独立して、水素、アルキル(鎖状アルキル基(直鎖および分枝鎖)ならびにシクロアルキル基を包含する)、アルケニル、アルコキシ、アルキル-C(O)-、アルキル-S-、アルキル-S-アルキル(例として、アルキル-S-CH2-)、アルケニル-S-、アルキル-S(O)-、アルキル-S(O)2-、アルケニル-S(O)-、アルケニル-S(O)2-、-SH、CF3S-、アルキルで任意に置換されるフリル(例として、2-フリルまたは3-フリル)(例として、メチルで任意に置換されるフリル)およびフルオロ-アルキルから選択されてもよい。
【0041】
R1、R2およびR3は、例えば、各々独立して、水素、鎖状C1-C4-アルキル、C3-C4-シクロアルキル、1個または2個の二重結合を含むC2-C5アルケニル、C1-C3-アルコキシ、C1-C4-アルキル-C(O)-、C1-C4-アルキル-S-、C1-C4-アルキル-S-C1-C4-アルキル(例としてC1-C4-アルキル-S-CH2-)、C1-C4-アルケニル-S、C1-C4-アルキル-S(O)-、C1-C4-アルキル-S(O)2-、C1-C4-アルケニル-S(O)-、C1-C4-アルケニル-S(O)2-、-SH、CF3S-、C1-C4-アルキルで任意に置換されるフリル(例として、2-フリルまたは3-フリル)(例として、メチルで任意に置換されるフリル)およびC1-C6-フルオロ-アルキル(例として、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチルまたはジフルオロエチル)から選択されてもよい。
【0042】
R1は、例えば、水素およびC1-C4-アルキルから選択されてもよい。例えば、R1は水素およびメチルから選択されてもよい。
R2は、例えば、水素、C1-C4-アルキル、および1個または2個の二重結合を含むC2-C5-アルケニルから選択されてもよい。例えば、R2は、水素、C1-C2-アルキル、およびC2-C3-アルケニルから選択されてもよい。例えば、R2はメチルであってもよい。
【0043】
R3は、例えば、C1-C4アルキル、1個または2個の二重結合を含むC2-C5アルケニル、C1-C3アルコキシ、C1-C4-アルキル-C(O)-、C1-C4-アルキル-S-、C1-C4-アルキル-SCH2-、C1-C4-アルケニル-S-、C1-C4-アルキル-S(O)-、C1-C4-アルキル-S(O)2-、C1-C4-アルケニル-S(O)-、C1-C4-アルケニル-S(O)2-、-SH、CF3S-、シクロプロピル、シクロブチル、メチルで任意に置換されるフリル(例として、2-フリルまたは3-フリル)、およびC1-C6-フルオロ-アルキル(例として、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチルまたはジフルオロエチル)から選択されてもよい。例えば、R3は、C1-C4アルキル、1個または2個の二重結合を含むC2-C5アルケニル、およびC1-C4-アルキル-S-から選択されてもよい。例えば、R3は、C1-C2アルキル、1個の二重結合を含むC2-C3 アルケニル、およびC1-C2-アルキル-S-から選択されてもよい。例えば、R3は、エチル、エテニル、および-SCH3から選択されてもよい。
【0044】
例えば、R1は、水素およびC1-C4-アルキルから選択されてもよく、R2は、水素、C1-C4-アルキル、および1個または2個の二重結合を含むC2-C5-アルケニルから選択されてもよく、およびR3は、C1-C4アルキル、1個または2個の二重結合を含むC2-C5アルケニル、C1-C3アルコキシ、C1-C4-アルキル-C(O)-、C1-C4-アルキル-S-、C1-C4-アルキル-SCH2-、C1-C4-アルケニル-S-、C1-C4-アルキル-S(O)-、C1-C4-アルキル-S(O)2-、C1-C4-アルケニル-S(O)-、C1-C4-アルケニル-S(O)2-、-SH、CF3S-、シクロプロピル、シクロブチル、メチルで任意に置換されるフリル(例として、2-フリルまたは3-フリル)、およびC1-C6-フルオロ-アルキル(例として、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチルまたはジフルオロエチル)から選択されてもよい。
【0045】
例えば、R1は、水素およびメチルから選択されてもよく、R2は、水素、C1-C2-アルキル、およびC2-C3-アルケニルから選択されてもよく、およびR3は、C1-C4アルキル、1個または2個の二重結合を含むC2-C5アルケニル、C1-C3アルコキシ、C1-C4-アルキル-C(O)-、C1-C4-アルキル-S-、C1-C4-アルキル-SCH2-、C1-C4-アルケニル-S-、C1-C4-アルキル-S(O)-、C1-C4-アルキル-S(O)2-、C1-C4-アルケニル-S(O)-、C1-C4-アルケニル-S(O)2-、-SH、CF3S-、シクロプロピル、シクロブチル、メチルで任意に置換されるフリル(例として、2-フリルまたは3-フリル)、およびC1-C6-フルオロ-アルキル(例として、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチルまたはジフルオロエチル)から選択されてもよい。
【0046】
例えば、R1は、水素およびメチルから選択されてもよく、R2は、C1-C2-アルキルでもよく、およびR3は、C1-C4アルキル、1個または2個の二重結合を含むC2-C5アルケニル、およびC1-C4-アルキル-S-から選択されてもよい。
例えば、R1は、水素およびメチルから選択されてもよく、R2はメチルであってもよく、およびR3はエチル、エテニルまたは-SCH3であってもよい。
【0047】
式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物は、例えば、反応混合物に未処理のまま、または溶媒(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸騰温度を有する有機溶媒)中の溶液として、添加してもよい。
式(III)で表される化合物は、例えば、反応混合物に未処理のまま、または溶媒(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸騰温度を有する有機溶媒)中の溶液として添加してもよい。これは、例えば、刺激性化合物への曝露を低減することに役立ち得る。
【0048】
ピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、好ましくは、塩基の存在下で行われ得る。塩基は、ピペコリン酸のカルボン酸を脱プロトン化する。したがって、ピペコリン酸を脱プロトン化するのに適した任意の塩基を使用し得る。塩基は、例えば、無機塩基または有機塩基であってもよい。
無機塩基の例は、金属リン酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩およびそれらの組合せを包含する。
有機塩基の例は、トリブチルアミンなどのアルキルアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、およびそれらの組合せを包含する。
【0049】
塩基は、例えば、金属リン酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩またはそれらの組み合わせであってもよい。金属は、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であってもよい。式(II)で表されるB+は、例えば、金属リン酸塩、金属水酸化物または金属炭酸塩の金属カチオンであってもよい。
とりわけ、塩基は、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される、金属水酸化物であり得る。
【0050】
さらに、塩基は、ピペコリン酸と式(Ia)、または(Ib)で表される化合物との反応の結果として形成される任意の酸を中和してもよく、例えば塩基は、ピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドとの反応の結果として形成されるHClを中和してもよい。したがって、式(Ia)で表される酸クロリドに対して少なくとも約2当量の塩基を使用し得る(ピペコリン酸を脱プロトン化するために1当量、および形成された酸(例として、ピペコリン酸を式(Ia)で表される酸クロリドと反応させたときに形成されるHCl)を中和するために1当量)。例えば、式(Ia)で表される酸クロリドに対して、約2当量~約4当量、または約2当量~約3当量の塩基が使用され得る。
例えば、ピペコリン酸に対して、少なくとも約1当量の式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物が、使用され得る。
【0051】
式(II)で表される化合物は、以下の化学構造を有し:
【化9】

式中、R1、R2およびR3は、式(Ia)で表される酸クロリドおよび式(Ib)で表される酸無水物に関して定義したとおりであり、B+は、塩基によって提供されるカチオンである。例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムをそれぞれ塩基として使用する場合、B+はNa+またはK+であり得る。
【0052】
ピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、例えば、相間移動触媒の存在下で行われ得る。とりわけ、式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、溶媒(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒)が非極性溶媒である場合、または溶媒が有機溶媒と水との混合物である場合、相間移動触媒の存在下で行われ得る。相間移動触媒の使用は、例えば、反応の収率を増加させるように作用し、および/または式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物の加水分解を低減させ得る。
【0053】
「相間移動触媒」は、ある相から別の相への物質の移行を促進する物質を指す。相間移動触媒は、例えば、式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物の水相への移行を、それがピペコリン酸と反応する場合、具体的に、溶媒(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒)が非極性溶媒である場合に、促進するように作用し得る。
【0054】
in-situ反応に使用されるある溶媒または塩基は、例えば、相間移動触媒としてもまた作用し得る。例えば、メチル-テトラヒドロフラン(Me-THF)などの部分的に水溶性の溶媒は、相間移動触媒として機能し得る。金属リン酸塩または金属炭酸塩は、例えば、相間移動触媒として作用し得る。in-situ反応に使用される溶媒または塩基が相間移動触媒として作用する場合、追加の相間移動触媒を使用する必要がない場合がある。したがって、金属リン酸塩または金属炭酸塩が塩基として使用される場合、追加の相間移動触媒を使用する必要がない場合がある。
【0055】
相間移動触媒は、例えば、金属ハロゲン化物(例として、ヨウ化カリウムまたはヨウ化ナトリウム)であってもよい。
相間移動触媒は、例えば、第4級アンモニウム塩(NR4 +、式中、Rはアルキル基またはアリール基である)または有機ホスホニウム塩(PR4 +、式中、Rは水素、アルキル、アリールまたはハロゲン化物である)であってもよい。
【0056】
相間移動触媒として使用されてもよい第4級アンモニウム塩の例は、ベンジルトリエチルアンモニウム塩(例として、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド)、メチルトリカプリルアンモニウム塩(例として、メチルトリカプリルアンモニウムニクロリド)、メチルトリブチルアンモニウム塩(例として、メチルトリブチルアンモニウムクロリド)、メチルトリオクチルアンモニウム塩(例として、メチル-トリオクチルアンモニウムクロリド)、およびテトラ-n-ブチルアンモニウム塩を包含する。相間移動触媒として使用されてもよいホスホニウム塩の例は、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム塩(例として、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミド)である。
例えば、相間移動触媒は、テトラ-n-ブチルアンモニウム塩、例えばテトラ-n-ブチルアンモニウムハライド、例えばテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)であってもよい。
【0057】
式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、任意の好適なpH、例えば約7.0~約15.0または約8.0~約14.0または約9.0~約14.0または約10.0~約15.0のpH範囲で行われてもよい。
【0058】
式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、例えば、少なくとも約12.5のpHで行われてもよい。例えば、ピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、少なくとも約13.0のpHで行われてもよい。式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、例えば、約14.5までのpHで行われてもよい。例えば、式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、例えば、約14.0までまたは約13.5までのpHで行われてもよい。例えば、式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、例えば、約12.5~約14.5または約12.5~約13.5の範囲のpHで行われてもよい。反応混合物のpHは、例えば、式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応を通してずっと維持されてもよい。反応混合物のpHは、例えば、時間および反応混合物に添加される塩基の量を制御することによって維持されてもよい。これは、例えば、pH電極を使用して反応混合物のpHを連続的にモニタリングすることを伴ってもよい。ピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応中に反応混合物のpHを制御することは、例えば、酸クロリドまたは酸無水物の加水分解を最小化するのに役立ち得る。
【0059】
式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、例えば、少なくとも約-10℃の温度で行われてもよい。例えば、式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、少なくとも約-5℃または少なくとも約0℃の温度で行われてもよい。例えば、式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、約40℃まで、または約35℃まで、または約30℃まで、または約25℃まで、または約20℃まで、または約15℃まで、または約10℃までの温度で行われてもよい。例えば、式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、約-10℃~約40℃、または約-5℃~約30℃、または約0℃~約20℃、または約0℃~約15℃または約0℃~約5℃の範囲の温度で行われてもよい。
【0060】
式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、例えば、ピペコリン酸および/または式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物が分解する温度よりも低い温度で行われてもよい。
【0061】
式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、例えば、約30秒から約5時間の範囲の時間にわたって行われてもよい。例えば、式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応は、例えば、約30秒から約1時間または約1分~約30分または約1分~約15分または約1分~約5分の範囲の時間にわたって行われてもよい。ピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応による式(II)で表される化合物の形成は、例えば、反応が完了するまで行われてもよい。
【0062】
ステップ2-式(II)で表される化合物の式(IV)で表される化合物への変換
本明細書に記載のin-situ方法は、本明細書に記載の式(II)で表される化合物を式(III)で表される化合物と反応させて式(IV)で表される化合物を形成することをさらに含んでよい。
式(III)で表される化合物は、以下の化学構造をし:
【化10】

式中、式(III)で表される化合物のフェニル基はn個のR4置換基で置換されており、ここでnは0、1、2、3、4または5であり、
各R4置換基(存在する場合)は、ハロゲン(例として、F、ClまたはBr)、シアノ(C≡N)、ニトロ(-NO2)、5個までのハロゲン原子(例えば、5個までのF原子)を任意に含む鎖状C1-C6-アルキル(直鎖または分枝)(例として、CH3、CF3またはCHF2)、C2-C6-アルケニル(例として、1個または2個の二重結合を含む)(例として、-CH=CH2)、任意に3個までのハロゲン原子(例として、3個までのF原子)を含むC1-C6-アルコキシ(例として、-OCH3、-OCF3、-OCHF2、-OCH2F)、C1-C3-アルコキシ-C1-C3-アルキル(例として、2-メトキシ-エチル)、およびC3-C7-シクロアルキル(例として、シクロプロピルまたはシクロブチル)、およびXはハロゲンである。
【0063】
式(III)で表される化合物は、例えば、商業的に入手してもよく、または、例えば、アルミニウムクロリド触媒と共に、クロロアセチルクロリドを使用したベンゼンまたは置換ベンゼンのフリーデル-クラフトアシル化、またはスルフリルクロリド(SO2Cl2)または1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントインまたはN-クロロスクシンイミドとの対応するアセトフェノンの塩素化によって作製してもよい。
【0064】
例えば、R4は、5個までのハロゲン原子(例として、5個までのF原子)を任意に含む鎖状C1-C6-アルキル(直鎖または分枝)(例として、CH3、CF3またはCHF2)であってもよい。例えば、R4はメチルであってもよい。
例えば、式(III)で表される化合物のフェニル基は、1個または2個のR4置換基で置換されていてもよい。例えば、式(III)で表される化合物のフェニル基は、メチルである1つのR4置換基で置換されていてもよい。
【0065】
例えば、式(III)で表される化合物のフェニル基は、5個のR4置換基で置換されていてもよい。例えば、式(III)で表される化合物のフェニル基は、5個のR4置換基で置換されていてもよく、そのすべてがメチルである。
例えば、Xは、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。例えば、Xは塩素であってもよい。
【0066】
式(III)で表される化合物は、例えば、反応混合物に未処理のまま、または溶媒(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸騰温度を有する有機溶媒)中の溶液として添加してもよい。これは、例えば、式(IV)で表される化合物を作製するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応を通してずっと、撹拌可能な混合物を維持することに役立ち得る。溶液の使用は、例えば、刺激性化合物への曝露を低減することに役立ち得る。
【0067】
例えば、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、約50℃~約160℃、例えば約60℃~約150℃、例えば約80℃~約130℃、例えば約90℃~約120℃、例えば約100℃~約110℃の範囲の温度で実施してもよい。
【0068】
式(IV)の化合物は、以下の化学構造を有し:
【化11】

式中、R1、R2およびR3は、式(Ia)、(Ib)および(II)で表される化合物に関して本明細書に定義されるとおりであり、R4およびnは、式(III)で表される化合物に関して本明細書に定義されるとおりである。
【0069】
式(IV)で表される化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、例えば、相間移動触媒の存在下で行ってもよい。とりわけ、式(IV)で表される化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、溶媒(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒)が非極性溶媒である場合に、相間移動触媒の存在下で行ってもよい。
【0070】
相間移動触媒は、式(II)で表される化合物を形成するためのピペコリン酸と式(Ia)で表される酸クロリドまたは式(Ib)で表される酸無水物との反応が相間移動触媒の存在下で行われた反応混合物中に既に存在していてもよい。したがって、式(IV)で表される化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応のための反応混合物に、さらなる相間移動触媒を添加する必要がない場合がある。
【0071】
相間移動触媒は、例えば、式(III)で表される化合物の、それが式(II)で表される化合物と反応して式(IV)で表される化合物を形成する、水相への移行を促進し得る。次いで、式(IV)で表される化合物は、有機層(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒)へ移行し得る。
相間移動触媒は、例えば、本明細書中のステップ1に関して定義されるとおりであってもよい。例えば、相間移動触媒は、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)などのアンモニウム塩であってもよい。
【0072】
例えば、式(IV)の化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応の間に、反応混合物にさらなる塩基を添加する必要はない場合がある。これは、例えば、式(II)で表される化合物のカルボン酸が既に脱プロトン化されているからであろう。
【0073】
式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、例えば、反応混合物の還流を得るための温度および圧力で実施してもよい。例えば、反応混合物の還流温度は、水などの混合物中の他の成分の存在に起因して、溶媒(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒)の還流温度と異なる場合があり(例として、より低い)、これは、例えば、共沸混合物の形成をもたらし得る。
【0074】
式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、例えば、式(II)で表される化合物および/または式(III)で表される化合物が分解する温度より低い温度で実施してもよい。
例えば、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、約50℃以上、例えば約60℃以上、例えば約70℃以上、例えば約80℃以上の温度で実施されてもよい。
【0075】
例えば、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、約160℃以下、例えば約150℃以下、例えば約140℃以下、例えば約130℃以下、例えば約120℃以下、例えば約110℃以下、例えば約100℃以下の温度で実施してもよい。
例えば、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、約50℃~約160℃、例えば約60℃~約120℃、例えば約70℃~約100℃の範囲の温度で実施してもよい。
【0076】
式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、例えば、カルボン酸が脱プロトン化されるならば、任意の好適なpHで実施してもよい、例えば、約7.0以上、または約8.0以上、または約9.0以上、または約10.0以上のpH。
式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、例えば、約12.0以上、例えば約12.5以上のpHで実施してもよい。式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、例えば、約14.0以下、例えば約13.5以下のpHで実施してもよい。例えば、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、約12.0~約14.0または約12.5~約13.5の範囲のpHで実施されてもよい。
【0077】
式(IV)で表される化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、例えば、約30秒~約5時間の範囲の時間にわたって行われてもよい。例えば、式(IV)で表される化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、約30秒~約1時間、または約1分~約30分、または約1分~約15分、または約1分~約5分の範囲の時間にわたって行われてもよい。式(IV)で表される化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、例えば、反応が完了するまで行われてもよい。これは、例えば、ガスクロマトグラフィー分析により決定され得る。
【0078】
有機溶媒を使用する場合、例えば、式(IV)で表される化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応後、および式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応前に、反応混合物から水を除去してもよい。水を除去することの1つの利点は、反応を加速させる反応温度を上昇させることである。例えば、式(IV)で表される化合物を形成するための式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応が完了した後、および式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応の形成の前に、反応混合物から水を除去してもよい。水は、例えば、任意の好適な方法によって除去され得る。例えば、水は共沸蒸留により除去してもよい。反応の生成物(式(IV)で表される化合物)は、有機層(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒を含む)に残留していてもよい。これは、例えば、より高い温度で還流を実施することにより、ステップ3をより高い温度で実施することを有利に可能にし得る。
【0079】
ステップ3-式(IV)で表される化合物の式(V)で表される化合物への変換
本明細書に記載のin-situ方法は、本明細書に記載のとおりの式(IV)で表される化合物をアンモニウム源と反応させて式(V)で表される化合物を形成することをさらに含む。
式(V)で表される化合物は、以下の化学構造を有し:
【化12】

式中、R1、R2、R3、R4およびnは、本明細書に式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、および(IV)で表される化合物に関して定義されるとおりである。
【0080】
式(V)で表される化合物は、例えば、2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オン((2S)-2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オン、またはラセミ混合物を包含する)、2-(メチルチオ)-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、2-メチル-2-(メチルチオ)-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン、または2,2-ジメチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オンであってもよい。
【0081】
アンモニウム源は、例えば、式(IV)で表される化合物を式(V)で表される化合物に変換するのに好適な任意のアンモニウム源であり得る。
アンモニウム源は、例えば、酢酸アンモニウムまたはギ酸アンモニウムのようなカルボン酸アンモニウムであってもよい。アンモニウム源は、例えば、アンモニアとカルボン酸(RCO2H、式中、Rは水素またはアルキル基である)との混合物であってもよい。例えば、アンモニウム源は、酢酸アンモニウム、またはアンモニアと酢酸との混合物であってもよい。
【0082】
酢酸アンモニウムなどの好適なアンモニウム源は、商業的に入手可能である。
アンモニウム源は、例えば、水中の溶液として反応混合物に添加してもよい。溶液は、例えば、アンモニウム源を高濃度で溶解した状態に保つために、反応混合物に添加する前に加熱してもよい。水との溶液中のアンモニウム源を添加することは、例えば、未反応のアンモニウム源の蓄積を防止するのを助ける。
【0083】
例えば、式(IV)で表される化合物に対して約5当量以下のアンモニウム源を使用してもよい。例えば、式(IV)で表される化合物に対して約4等量以下または約3当量以下のアンモニウム源を使用してもよい。例えば、式(IV)で表される化合物に対して約1当量以上、または約2当量以上のアンモニウム源を使用してもよい。
【0084】
アンモニウム源は、例えば、水溶液で反応混合物に添加されてもよいし、またはその自然な形態(すなわち、溶液中ではない)、例えば固体として、反応混合物に添加されてもよい。ある態様において、アンモニウム源は、例えば固体として、その自然な形態で反応混合物に添加されてもよく、これは、例えば、反応に導入される水の量を最小化する点で有利であり得る。
【0085】
アンモニウム源は、例えば、分けて(すなわち、すべて1回で行うのとは対照的に別々のバッチで)反応混合物に添加してもよい。これは、反応をより効率的にすることに役立つことができ、なぜならアンモニウム源の溶液中の水の存在に起因する反応混合物中の水の割合が最小化されるためである。例えば、アンモニウム源は、少なくとも2、または3または4の部分で反応混合物に添加されてもよい。例えば、アンモニウム源が反応混合物に添加される場合、それは少なくとも2または少なくとも3の部分、例えば2~6の部分または3~6の部分、または2~4の部分または3~4の部分で添加されてもよい。例えば、アンモニウム源が水溶液で反応混合物に添加される場合、それは滴下方式で添加されてもよい。
【0086】
式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、例えば、反応混合物の還流を得るための温度および圧力で実施してもよい。反応混合物の還流温度は、例えば、水などの混合物中の他の成分の存在に起因して、溶媒(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒)の還流温度と異なる場合があり(例として、それより低い)、これは、例えば、共沸混合物をもたらし得る。
式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、例えば、式(IV)で表される化合物および/またはアンモニウム源が分解する温度より低い温度で実施してもよい。
【0087】
例えば、式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、約50℃以上、例えば約60℃以上、例えば約70℃以上、例えば約80℃以上、例えば約90℃以上、例えば約100℃以上の温度で実施されてもよい。
例えば、式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、約160℃以下、例えば約150℃以下、例えば約140℃以下、例えば約130℃以下、例えば約120℃以下、例えば約110℃以下の温度で実施されてもよい。
【0088】
式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、例えば、約1.0以上、例えば約2.0以上のpHで実施してもよい。式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、例えば、約14.0以下、例えば約12.0以下、または約10.0以下、または約8.0以下、または約7.0以下、または約6.0以下のpHで実施されてもよい。例えば、式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、約1.0~約14.0または約1.0~約8.0または約1.0~約7.0または約2.0~約6.0の範囲のpHで実施してもよい。これは、例えば、反応のステップ3の間に生成された酸(例として、酢酸)の蓄積に起因し得る。
【0089】
式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、例えば、約30分~約10時間の範囲の時間にわたって行われてもよい。例えば、式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、約1時間から約8時間、または約2時間から約7時間の範囲の時間にわたって行われてもよい。式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、例えば、反応が完了するまで行われてもよい。これは、例えば、ガスクロマトグラフィー分析によって決定してもよい。
【0090】
有機溶媒が使用される場合において、例えば、式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応の間に、反応混合物から水を除去してもよい。例えば、水は、式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応の間に、反応混合物から連続的に除去されてもよい。例えば、水は、Dean-Stark水分離器を使用して除去してもよい。反応の生成物(式(V)で表される化合物)は、有機層(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒を含む)に残留してもよい。
【0091】
さらなるステップ
式(V)で表される化合物を形成するための式(IV)で表される化合物とアンモニウム源との反応は、例えば、式(V)で表される化合物を含む層(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒を含んでもよい有機層)を中和すること、および/または水で洗浄することが続いてもよい。水での洗浄は、例えば、式(V)で表される化合物を含む層(例として、有機層)が中和された後に生じ得る。
【0092】
例えば、式(V)で表される化合物は、任意の好適な方法、例えば結晶化によって、単離(例として、約50℃~約160℃の範囲の沸点を有する有機溶媒を含み得る有機層から単離)され得る。例えば、式(V)で表される化合物は、合成を通してずっと溶媒として使用され得る溶媒(例えば、トルエン、またはMe-THF)から直接結晶化されてもよく、よって、合成および結晶化ステップ全体を通して溶媒を変更する必要がないという利点を提供する。または、溶媒を切り替えることによって式(V)で表される化合物を結晶化してもよい。次いで、式(V)で表される化合物は、さらなる精製ステップを受けてもよい。
【0093】
反応に使用される溶媒に依存して、溶媒の切り替えが、嗅覚的に純粋な品質および/または式(V)で表される化合物のより高い回収率を得るために有利であり得る。結晶化に好適な溶媒は、これらに限定されないが、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、およびヘプタン/イソプロパノール、ヘプタン/エタノール、またはメチルtert-ブチルエーテル/酢酸エチルなどの混合物から選択され得る。
【0094】
式(V)で表される化合物の使用
本明細書では、例えば、本明細書に記載の方法によって得られた、または得ることができる式(V)で表される化合物がさらに提供される。
式(V)で表される化合物は、例えば、フレーバー組成物において使用され得る。とりわけ、式(V)で表される化合物は、フレーバー組成物において冷却剤として使用され得る。
したがって、本明細書では、本明細書に記載の式(V)で表される化合物を含むフレーバー組成物も提供される。
【0095】
本明細書に記載のフレーバー組成物は、例えば、粘膜に接触する任意の消費者向製品に組みこんでもよい。例えば、消費者向製品は、食品製品、飲料、チューインガム、タバコ製品、タバコ代替品、デンタルケア製品、パーソナルケア製品(リップケア製品を包含する)、または性的健康およびインティメイトケア製品であってもよい。
したがって、本明細書では、本明細書に記載のフレーバー組成物を含む消費者向製品も提供される。
【0096】
ここで、具体的な態様を記載する以下の非限定的な例を参照して、方法をさらに記載する。
例1:2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オン(式(V)で表される化合物)の調製のためのワンポット手順
10lの反応器に窒素を流し、室温でピペコリン酸(DL-ピペコリン酸、Xiamen Synress Import and Export Co., Ltd、(800g、6.2mol))およびテトラブチルアンモニウムブロミド(100g、0.3mol)を投入した。水(1630g)、トルエン(1127g)および水酸化ナトリウム(32%、1664g、13.3mol)を攪拌溶液(102rpm)に順次添加した。攪拌速度を上げ(186rpm)、混合物を5℃に冷却した(Tj:-15℃)。反応混合物の温度を3℃と5℃の間に保ちながら、2-メチルブタノイルクロリド(747g、6.2 mol)を2時間かけて滴加した。添加後、混合物を1時間撹拌した後、温度を45℃に上げ、固体2-クロロ-1-(p-トリル)エタン-1-オン(1077g、6.3 mol)を15分かけて分けて添加した。
【0097】
次いで、混合物を90℃(Tj:110℃)に1時間15分加熱し、その後、混合物のGC分析は、1-(2-メチルブタノイル)ピペリジン-2-カルボン酸の、2-オキソ-2-(p-トリル)エチル1-(2-メチルブタノイル)ピペリジン-2-カルボキシラートへの完全変換を示した。次いで、反応混合物を50℃まで冷却し(Tj:50℃)、撹拌を停止し、水層を底部バルブを通して濁ったオレンジ色の有機層から除去した。反応器に残留している混合物にトルエン(607g)を添加した。溶液を撹拌し(160rpm)、水を共沸的に除去しながら加熱して還流した(89~114℃、Tj:145℃)。すべての水を除去し、還流温度が最終温度(114℃)に達した後、酢酸アンモニウム(477g、6.2mol)の最初の部分を添加した。反応混合物を還流で45分間撹拌し、反応によって生じた水を共沸的に除去した。もう一部分の酢酸アンモニウム(477g、6.2mol)を添加し、反応時間3時間後に最後の部分の酢酸アンモニウム(477g、6.2mol)を添加し、GCによる分析が完全な変換を示すまで還流での撹拌を70分間継続した。反応混合物を50℃に冷却し、水(500g)および水酸化ナトリウム(2M、1000g)を撹拌された混合物に添加した。次いで、水酸化ナトリウム(2M、2700g)を加えることにより混合物のpHをpH7に調整した。生成物溶液を再び加熱して還流して共沸乾燥させ(Tj:145℃)、次いで、溶液をおよそ0℃に冷却し(Tj:0℃)、24時間攪拌(70rpm)を続けた。赤い混合物中に形成された微細な結晶を、4lのブフナー漏斗を通した塊の濾過によって除去し、次いで、冷たいメチル-t-ブチルエーテル(4℃、1000ml)で2回洗浄した。
【0098】
固形生成物を真空乾燥し、2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オン(838g、2.5mol、40%収率)を白い固体として得た。M.p.: 156.3 °C. GC/MS (EI): m/z (%): 325 (10) [M+], 268 (2), 240 (100), 224 (3), 185 (10), 159 (2), 142 (1), 84 (2), 57 (4). 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 413K, 立体異性体と互変異性体との混合物) δ = 11.32 (br s, 1H), 7.61(br m, 2H), 7.28 (br s, 1H), 7.14 (br m, 2H), 5.63 (br m, 1H), 4.06 (br m, 1H), 3.29 (br m, 1H), 2.76 (m, 1H), 2.31 (s, 3H), 2.23 (br m, 1H), 1.83 - 1.60 (m, 5H), 1.49 -1.33 (m, 2H), 1.09 - 1.05 (2d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.91 -0.85 (2t, J = 7.4 Hz, 3H) ppm. 13C NMR (125 MHz, DMSO-d6, 413K, 立体異性体と互変異性体との混合物, HSQC & HMBC実験から抽出されたシフト) δ 174.4 (s), 146.8 (s), 139.6 (s), 134.3 (s), 132.1 (s), 128.1 (2d), 123.7 (2d), 110.9 (d), 47.5 ( d), 40.1 (t), 35.6 (d), 27.6 (t), 26.0 (t), 24.7 (t), 19.8 (q), 19.0 (t), 16.3 (q), 10.5 (q) ppm.
【0099】
2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オンの結晶性形態は、銅K-β、放射線を使用して得られたその粉末X線回折パターンにおいて、2-θ(deg)8.93, 9.59, 11.66, 12.44, 12.95, 14.53, 15.91, 17.13, 17.89, 18.43, 19.21, 19.51, 19.90, 20.76, 22.59, 25.06, 27.03, 27.77, 28.81, 29.79, 32.08に主要なピークを有することを特徴とする。
【0100】
例2:(2S)-2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オン
開示された手順により、(S)-メチルブタノイルクロリドから調製した。
【化13】
分光分析データは、例1におけるラセミ生成物のものと同一である。
【0101】
例3:2-(メチルチオ)-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オン
開示された手順により、2-(メチルチオ)プロパノイルクロリドを調製した。
GC/MS (EI): m/z (%): 357 (5) [M+], 342(7), 268 (11), 240 (100), 185 (11), 159 (5), 117 (4), 89 (10). 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 413K, mixture of stereoisomers and tautomers) δ 11.56 -11.06 (br m, 1H), 7.69 -7.43 (br m, 2H), 7.34 -7.24 (br m, 1H), 7.23 -7.07 (br m, 2H), 5.69 & 5.58 (2 br m, 1H), 4.04 (br m, 1H), 3.91 -3.87 (br m, 1H), 3.51 -3.13 (br m, 1H), 2.37 -2.27 (br m, 1H), 2.32 (br s, 3H), 2.09 & 2.08 (2 br s, 3H), 1.91 -1.41 (br m, 5H), 1.44 & 1.42 (2 br d, J = 6.7 Hz, 3H) ppm. 13C NMR (125 MHz, DMSO-d6, T = 413K, 立体異性体と互変異性体との混合物, HSQC & HMBC実験から抽出されたシフト) δ 169.7 (s), 146.4 (s), 137.7 (s), 134.2 (s), 131.4 (s), 128.0 (2d), 123.7 (2d), 110.9 (d), 47.5 (d), 40.8 (t), 37.7 (d), 27.4 (t), 24.3 (t), 19.7 (q), 18.8 (t), 17.0 (q), 11.0 (q)ppm.
【0102】
例4: 2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オン(式(V)で表される化合物)の調製のためのワンポット手順
5lの反応器に窒素を流し、室温でピペコリン酸(DL-ピペコリン酸、Xiamen Synress Import and Export Co. Ltd, (400g、3.1mol))、リン酸カリウム(98%、738g、3.4mol)および水酸化カリウム(85%、184g、2.8mol)を投入した。水(1280g)および2-メチルテトラヒドロフラン(547g)を順次添加し、混合物を4℃に冷却した。2-メチルブタノイルクロリド(373g、3.1mol)を、反応混合物の温度を15℃より下に保ちながら、1時間かけて滴加した。添加に続いて、混合物を1時間撹拌した後、温度を45℃に上げ、固体2-クロロ-1-(p-トリル)エタン-1-オン(97%、571g、3.3mol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(9.98g、0.03mol)の混合物を15分間かけて分けて添加した。
【0103】
次いで、混合物を76℃(Tj:95℃)に1時間30分加熱し、その後、混合物のGC分析は、1-(2-メチルブタノイル)ピペリジン-2-カルボン酸の、2-オキソ-2-(p-トリル)エチル1-(2-メチルブタノイル)ピペリジン-2-カルボキシラートへの完全変換を示した。次いで、反応混合物を60℃に冷却し、撹拌を停止し、濁った薄いオレンジ色の有機層から水層を底弁で除去した。反応器に残留している混合物に、2-メチルテトラヒドロフラン(1025g)を添加した。溶液を撹拌し(160rpm)、加熱して還流し(85℃、Tj:110℃)、水を共沸除去しながら酢酸アンモニウム(1462g、18.6mol、98%)を分割添加した。GCによる分析で完全な変換が確認され、反応によって生じた水が共沸的に除去されるまで、反応混合物を還流で一晩攪拌した。反応混合物を60℃に冷却し、水(1000g)で1回、水酸化ナトリウム(2M、1000g)で3回、および水(1000g)で4回洗浄してpH7にした。生成物溶液を再び過熱して還流して共沸乾燥し(Tj:115℃)、次いで、溶液を0℃(Tj:0℃)に冷却して、撹拌(50rpm)を24時間継続させた。オレンジ色の混合物中に形成された微細な結晶を、ブフナー漏斗を通した塊の濾過によって除去し、次いで、冷たいメチル-t-ブチルエーテル(4℃、400ml)で2回洗浄した。
【0104】
固体生成物を真空乾燥し、2-メチル-1-(2-(5-(p-トリル)-1H-イミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)ブタン-1-オン(390g、1.2mol、39%収率)を白い固体として得た。M.p.: 156.3 °C. GC/MS (EI): m/z (%): 325 (10) [M+], 268 (2), 240 (100), 224 (3), 185 (10), 159 (2), 142 (1), 84 (2), 57 (4). 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 413K, 立体異性体と互変異性体との混合物) δ = 11.32 (br s, 1H), 7.61(br m, 2H), 7.28 (br s, 1H), 7.14 (br m, 2H), 5.63 (br m, 1H), 4.06 (br m, 1H), 3.29 (br m, 1H), 2.76 (m, 1H), 2.31 (s, 3H), 2.23 (br m, 1H), 1.83 -1.60 (m, 5H), 1.49 -1.33 (m, 2H), 1.09 - 1.05 (2d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.91 -0.85 (2t, J = 7.4 Hz, 3H) ppm. 13C NMR (125 MHz, DMSO-d6, 413K, 立体異性体と互変異性体との混合物, HSQC & HMBC実験から抽出されたシフト) δ 174.4 (s), 146.8 (s), 139.6 (s), 134.3 (s), 132.1 (s), 128.1 (2d), 123.7 (2d), 110.9 (d), 47.5 ( d), 40.1 (t), 35.6 (d), 27.6 (t), 26.0 (t), 24.7 (t), 19.8 (q), 19.0 (t), 16.3 (q), 10.5 (q) ppm.
【0105】
上記は、限定することなく、本発明のある態様を広範に記載している。当業者に容易に明らかになるようなバリエーションおよび改変は、添付の請求項で定義されるとおりの本発明の範囲内にあることが意図される。
【国際調査報告】