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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 125/08 20060101AFI20230904BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20230904BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230904BHJP
   C09J 153/00 20060101ALI20230904BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
C09J125/08
C09J11/08
C09J11/06
C09J153/00
C09J153/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513370
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2021073515
(87)【国際公開番号】W WO2022043382
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20305951.4
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20306087.6
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラフェルテ, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】リブラレッソ, ロリアンヌ
(72)【発明者】
【氏名】コマール, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ベリーニ, クレマン
(72)【発明者】
【氏名】シー, チエン ピン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ダンフェン
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040BA192
4J040DB041
4J040DB051
4J040DM001
4J040DM011
4J040HB02
4J040HB37
4J040JA06
4J040JB01
4J040KA26
4J040KA29
4J040KA31
4J040KA35
4J040KA42
4J040LA01
4J040LA06
4J040MA10
4J040MB02
4J040NA05
4J040PA30
(57)【要約】
本発明は、感圧ホットメルト接着剤に関し、特に、リヨセル繊維、特にユーカリ系リヨセル繊維から作製された布地における剥離値が改善された、女性用衛生パッドまたは成人用失禁製品に使用するための感圧ホットメルト位置固定接着剤に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の総重量に対して、
-60以下、好ましくは15~60、より好ましくは20~60の平均硬度ショアAを有する、5~35重量%の少なくとも1つのスチレンブロック重合体成分、
-40~65重量%の少なくとも1つの粘着付与樹脂、
-15~40重量%の少なくとも1つの可塑剤、および
-0~5重量%の少なくとも1つの安定剤
を含む、ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのスチレンブロック重合体成分が、50以下、好ましくは45以下、さらにより好ましくは40以下の平均硬度ショアAを有する、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
組成物の総重量に対して、少なくとも1つの安定剤が0~3重量%の量である、請求項1または2に記載のホットメルト接着剤組成物であって、前記組成物の総重量に対して0~5%の少なくとも1つの添加剤をさらに含む、ホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
重合体成分が、重合体成分の総重量に対して、
-21%以下のスチレンブロック含有量および45以下の硬度ショアAを有する、25~100重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(a)、
-22%~45%のスチレンブロック含有量を有する、0~75重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(b)
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
直鎖スチレンブロック共重合体(a)および直鎖スチレンブロック共重合体(b)のそれぞれの平均分子量(Mn)が、70000g/mol~170000g/molの範囲である、請求項4に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
重合体成分が、重合体成分の総重量に対して、35~100%の共重合体(a)および0~65%の共重合体(b);好ましくは45~100%の共重合体(a)および0~55%の共重合体(b)を含む、請求項4または5に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
重合体成分が、重合体成分の総重量に対して、25~95%の共重合体(a)および5~75%の共重合体(b);好ましくは35~90%の共重合体(a)および10~65%の共重合体(b);より好ましくは45~85%の共重合体(a)および15~55%の共重合体(b)を含む、請求項4または5に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
重合体成分が少なくとも1つの共重合体(a)からなる、請求項4または5に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
共重合体(a)が、SB、SI、SEB、SEP、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;好ましくは、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;より好ましくは、SIS、ランダムブロックSBRおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4~8のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
共重合体(a)の少なくとも1つがランダムブロックSBRである、請求項9に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
共重合体(b)が、SB、SI、SEB、SEP、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;好ましくは、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物から;より好ましくは、SIS、SBS、SEBSおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4~10のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項12】
重合体組成物が、
-60~70%のランダムブロックSBR共重合体(a)および30~40%のSIS共重合体(b);
-75~85%のランダムブロックSBR共重合体(a)および15~25%のSIS共重合体(b);
-30~40%のランダムブロックSBR共重合体(a)および60~70%のSIS共重合体(b);
-45~55%のランダムブロックSBR共重合体(a)および45~55%のSIS共重合体(b);
-20~30%のランダムブロックSBR共重合体(a)および70~80%のSIS共重合体(b);
-60~70%のランダムブロックSBR共重合体(a)および30~40%のSEBS共重合体(b);
-60~70%のSIS共重合体(a)および30~40%のSIS共重合体(b);
-60~70%のSIS共重合体(a)および30~40%のSEBS共重合体(b);
-100%のSIS共重合体(a);
-100%のランダムブロックSBR重合体(a);
-100%の、60~70%のSIS共重合体(a)および30~40%のランダムブロックSBR共重合体(a)からなる共重合体(a)の組成物;
-100%の、45~55%のSIS共重合体(a)および45~55%のランダムブロックSBR共重合体(a)からなる共重合体(a)の組成物;
-27~37%のランダムブロックSBR共重合体(a)、27~37%のSIS共重合体(b)および30~40のSEBS共重合体(b)
からなる群から選択される、請求項4~11のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項13】
共重合体(a)の少なくとも1つがランダムブロックSBRである、請求項4~11のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項14】
163℃で500~8000mPa.s、好ましくは500~4000mPa.s、より好ましくは800~3000MPa.sのブルックフィールド粘度を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項15】
プロピレン系重合体を含まないことを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項16】
衛生使い捨て物品を布地上に接着するための、請求項1~15のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物の使用。
【請求項17】
衛生使い捨て物品が、不織衛生使い捨て物品から、好ましくは成人用失禁製品および女性用ケア製品からなる群から選択される、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
布地が、天然または合成繊維;好ましくは綿、ナイロン、ポリエステル、他の人工繊維およびそれらの混合物;より好ましくは、リヨセル繊維;さらに好ましくはユーカリ系リヨセル繊維を利用して製造される、請求項16または17に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧ホットメルト接着剤に関し、特に、リヨセル繊維、特にユーカリ系リヨセル繊維から作製された布地における剥離値が改善された、女性用衛生パッドまたは成人用失禁製品に使用するための感圧ホットメルト位置固定接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品(パッドまたはブリーフ)、女性用ケア製品(ナプキンまたはパッド)および外科用マスクなどの多種多様な使い捨て不織布製品の構築において長年使用されてきた。これらの物品は、体液の受容および収容を目的とし、通常、皮膚に対してまたは皮膚に近接して着用される。感圧ホットメルトが伝統的に使用されてきた1つの特定の用途は、女性用ケア物品を女性の下着に接着させることである。これは、使用中に物品が所定の位置に留まるように物品が確実に接着されるが、下着上に残留物を残すことなく、または下着に損傷を与えることなく除去することもできるように、精確なバランスの接着特性を必要とする。歴史的に、これらの感圧ホットメルト接着剤は、スチレンブロック共重合体を使用して配合されてきた。
【0003】
今日の下着市場は、他の多くの産業と同様に、材料および設計の両方において著しい変化を経験している。伝統的に、下着の多くは、天然綿、合成ナイロンおよびポリエステルなどの世界の異なる地域にわたって同様の特性を示す布地を利用して製造されていた。下着はまた、特定の特性および特質を有する他の合成布、表面処理されているものなど、より地域固有の布地を利用して製造されていた。ユーザの期待、受容性および快適性をさらに高めるために、代替の布地を利用して下着を提供する必要性が依然として存在する。例えば、近年、リヨセル繊維、特にユーカリ系リヨセル繊維から製造された下着が商品化されている。リヨセル繊維を製造するための適切な方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、1981年1月20日に公開された米国特許第4,246,221号明細書、2018年6月14日に公開されたPCT出願国際公開第2018/104330号パンフレットおよび2009年3月26日に公開されたPCT出願国際公開第2009/036481号パンフレットに記載されている。リヨセル布地はセルロースから作製され、環境に優しく、丈夫、低アレルギー性で、通気性があり、下着を乾いた状態に保つ。
【0004】
ホットメルト接着剤組成物は、様々な用途で知られている。実際、国際公開第2010/143653号は、ロール状医療用粘着テープに関し、より詳細には、透気性および伸縮性に優れた不織布を支持体として有し、剥離ライナーを介さずに直接巻き付けられる感圧性医療用粘着テープに関する。特開2013067782号公報は、重量平均分子量200,000~2,000,000の接着性樹脂、顔料、分散剤および硬化剤を含み、光学接着剤から形成された接着剤層を含む光学接着剤に関する。欧州特許出願公開第3433330号明細書は、好ましくはテキスタイル支持体、および乾燥重合体分散体の形態であり、支持体の少なくとも片面に塗布される接着剤塊から作製された接着剤テープに関する。重合体は、95~100重量%のn-ブチルアクリレートおよび/または2-エチルヘキシルアクリレートと、酸または酸無水物官能基を有する、0~5重量%のエチレン性不飽和モノマーとから作製される。欧州特許出願公開第3144363号明細書は、第1の薬剤と第2の薬剤とを含む木材接着剤に関する。第1の薬剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびスチレン-ブタジエンゴム重合体を含み、第2の薬剤は、重合体の第四級アミンを含む。米国特許出願公開第2006/0229411号明細書は、少なくとも1つのSBSトリブロック共重合体を含む異なるスチレン/ブタジエン共重合体の組み合わせを使用して、イソプレン含有重合体を使用せずに配合されたホットメルト感圧接着剤に関する。米国特許出願公開第2015/0203725号明細書は、特に女性用衛生パッドまたは成人用失禁製品に使用するためのホットメルト接着剤組成物であって、他の化合物の中でもとりわけ、スチレン含有量が30重量%を超え、ジブロック含有量が30重量%を超えるスチレン-ブタジエン-スチレンブロック重合体を含む第1のスチレンブロック共重合体と、第1のスチレンブロック共重合体よりもジブロック含有量が低いイソプレンまたはブタジエンのいずれかの中間ブロックを有することができる第2のスチレンブロック共重合体とを含むホットメルト接着剤組成物に関する。
【0005】
公知のホットメルト接着剤は、異なる種類の布地に良好な接着を示すが、リヨセル繊維などの人工繊維、特にユーカリ系リヨセル繊維では、剥離性能の重要な損失があるため、接着性は満足のいくものではない。
【0006】
したがって、様々な材料および布地において、良好な接着をもたらす、衛生使い捨て物品に適したホットメルト接着剤組成物が必要とされている。より詳細には、リヨセル繊維、特にユーカリ系リヨセル繊維から作製された布地における衛生使い捨て物品の良好な接着をもたらすホットメルト接着剤組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の目的は、組成物の総重量に対して、60以下、好ましくは15~60、より好ましくは20~60の平均硬度ショアAを有する、5~35重量%の少なくとも1つのスチレンブロック重合体成分;40~65重量%の少なくとも1つの粘着付与樹脂;15~40重量%の少なくとも1つの可塑剤;および0~5重量%の少なくとも1つの安定剤を含む、ホットメルト接着剤組成物を提供することである。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの安定剤は、0~3重量%の量であり、ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、0~5%の少なくとも1つの添加剤をさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、21%以下のスチレンブロック含有量および約45以下の硬度ショアAを有する、約25~約100重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(a)、22%~約45%のスチレンブロック含有量を有する、約0~約75重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(b)を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、35~100%の共重合体(a)および0~65%の共重合体(b);好ましくは45~100%の共重合体(a)および0~55%の共重合体(b)を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、25~95%の共重合体(a)および5~75%の共重合体(b);好ましくは35~90%の共重合体(a)および10~65%の共重合体(b);より好ましくは45~85%の共重合体(a)および15~55%の共重合体(b)を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、重合体成分は、少なくとも1つの共重合体(a)からなる。
【0013】
いくつかの実施形態では、共重合体(a)は、SB、SI、SEB、SEP、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;好ましくは、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;より好ましくは、SIS、ランダムブロックSBRおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、共重合体(a)は、SB、SI、SEB、SEP、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;好ましくは、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;より好ましくは、SIS、ランダムブロックSBR、SEBSおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、共重合体(b)は、SB、SI、SEB、SEP、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;好ましくは、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物から;より好ましくは、SIS、SBS、SEBSおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、重合体組成物は、60~70%のランダムブロックSBR共重合体(a)および30~40%のSIS共重合体(b);75~85%のランダムブロックSBR共重合体(a)および15~25%のSIS共重合体(b);30~40%のランダムブロックSBR共重合体(a)および60~70%のSIS共重合体(b);45~55%のランダムブロックSBR共重合体(a)および45~55%のSIS共重合体(b);20~30%のランダムブロックSBR共重合体(a)および70~80%のSIS共重合体(b);60~70%のランダムブロックSBR共重合体(a)および30~40%のSEBS共重合体(b);60~70%のSIS共重合体(a)および30~40%のSIS共重合体(b);60~70%のSIS共重合体(a)および30~40%のSEBS共重合体(b);100%のSIS共重合体(a);100%のランダムブロックSBR重合体(a);100%の、60~70%のSIS共重合体(a)および30~40%のランダムブロックSBR共重合体(a)からなる共重合体(a)の組成物;100%の、45~55%のSIS共重合体(a)および45~55%のランダムブロックSBR共重合体(a)からなる共重合体(a)の組成物;27~37%のランダムブロックSBR共重合体(a)、27~37%のSIS共重合体(b)および30~40のSEBS共重合体(b);30~40%のSIS共重合体(a)、17~27%のSEBS共重合体(a)および38~48%のSIS共重合体(b)からなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、組成物は、163℃で500~8,000mPa.s、好ましくは500~4,000mPa.s、より好ましくは800~3,000MPa.sのブルックフィールド粘度を有する。
【0018】
本発明の第2の目的は、衛生使い捨て物品を布地上に接着するためのホットメルト接着剤組成物の使用を提供することである。
【0019】
いくつかの実施形態では、衛生使い捨て物品は、不織衛生使い捨て物品から、好ましくは成人用失禁製品および女性用ケア製品からなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、布地は、天然または合成繊維;好ましくは綿、ナイロン、ポリエステル、他の人工繊維およびそれらの混合物;より好ましくは、リヨセル繊維;さらに好ましくはユーカリ系リヨセル繊維を利用して製造される。
【0021】
本発明は、上述の必要性に対処することを可能にする。特に、本発明は、様々な材料および布地上の衛生使い捨て物品に対する良好な接着をもたらす感圧ホットメルト接着剤組成物を提供する。さらに、本発明は、リヨセル繊維、特にユーカリ系リヨセル繊維などの人工繊維から得られた布地を含む任意の適切な布地上の衛生使い捨て物品に対する良好な接着をもたらすホットメルト接着剤組成物を提供することを可能にする。特に、驚くべきことに、本発明による感圧ホットメルト接着剤組成物は、改善された剥離性能を有して、ユーカリ系リヨセル繊維などの人工繊維から作製された布地上に衛生使い捨て物品を接着することを可能にすることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明では、本発明を限定することなくより詳細に説明する。
【0023】
定義
「ホットメルト」という用語は、本明細書では、接着剤組成物が基材上に塗布されるために少なくとも120℃、好ましくは少なくとも140℃で加熱される必要があることを説明するために使用される。したがって、ホットメルト接着剤組成物は、23℃で固体である。
【0024】
「SBBS」とは、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレントリブロック共重合体を意味する。
【0025】
「SBS」とは、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合体を意味する。
【0026】
「SEBS」とは、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレントリブロック共重合体を意味する。
【0027】
「SEPS」とは、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレントリブロック共重合体を意味する。
【0028】
「SEEPS」とは、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレントリブロック共重合体を意味する。
【0029】
「SIBS」とは、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合体を意味する。
【0030】
「SIS」とは、スチレン-イソプレン-スチレントリブロック共重合体を意味する。
【0031】
「SBC」とは、スチレントリブロック共重合体およびスチレンジブロック共重合体を含む、少なくとも1つのスチレンブロックを含む共重合体を意味する。
【0032】
「ランダムブロックSBR」とは、ランダムブロックスチレンブタジエン共重合体(スチレンの一部がポリスチレンブロックとして存在する)を意味する。
【0033】
「ランダムブロックSIR」とは、ランダムブロックイソプレンブタジエン共重合体(スチレンの一部がポリスチレンブロックとして存在する)を意味する。
【0034】
「SB」とは、スチレン-ブタジエンジブロック共重合体を意味する。
【0035】
「SI」とは、スチレン-イソプレンジブロック共重合体を意味する。
【0036】
「SEB」とは、スチレン-エチレン-ブチレンジブロック共重合体を意味する。
【0037】
「SEP」とは、スチレン-エチレン-プロピレンジブロック共重合体を意味する。
【0038】
「ジブロック含有量」とは、重合体成分中のジブロック共重合体の重量割合を意味する。
【0039】
ホットメルト接着剤組成物
第1の態様では、本発明は、組成物の総重量に対して、
-60以下、好ましくは15~60、より好ましくは20~60の平均硬度ショアAを有する、5~35重量%の少なくとも1つのスチレンブロック重合体成分、
-40~65重量%の少なくとも1つの粘着付与樹脂、
-15~40重量%の少なくとも1つの可塑剤、および
-0~5重量%の少なくとも1つの安定剤
を含む、ホットメルト接着剤組成物に関する。
【0040】
有利には、ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、
-60以下、好ましくは15~60、より好ましくは20~60の平均硬度ショアAを有する、5~35重量%の少なくとも1つのスチレンブロック重合体成分、
-40~65重量%の少なくとも1つの粘着付与樹脂、
-15~40重量%の少なくとも1つの可塑剤、
-0~3重量%の少なくとも1つの安定剤、および
-0~5重量%の少なくとも1つの添加剤
を含むことができる。
【0041】
スチレンブロック重合体成分
ホットメルト接着剤組成物は、約60以下、好ましくは約15~約60、より好ましくは約20~約60の平均硬度ショアAを有するスチレンブロック重合体成分を含む。「スチレンブロック重合体成分」とは、少なくとも1つのSBCからなる成分、すなわち、スチレントリブロック共重合体およびスチレンジブロック共重合体を含む少なくとも1つのスチレンブロックを含む共重合体を意味する。「スチレンブロック重合体成分」および「重合体成分」という用語は互換的に使用される。重合体成分の平均硬度ショアAは、重合体成分を形成するスチレンブロック共重合体の硬度ショアAから以下のように計算される:[各共重合体の硬度ショアAに重合体成分中のその重量割合を掛けたもの]の合計を100で割る。例えば、平均硬度ショアAは、約55以下、または約50以下、または約45以下、または約40以下、または約35以下、または約30以下であり得る。
【0042】
好ましい実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、
-50以下、好ましくは45以下、より好ましくは40以下の平均硬度ショアAを有する、5~35重量%の少なくとも1つのスチレンブロック重合体成分、
-40~65重量%の少なくとも1つの粘着付与樹脂、
-15~40重量%の少なくとも1つの可塑剤、および
-0~5重量%の少なくとも1つの安定剤
を含む。
【0043】
ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、約5~約35%、好ましくは約10~約30%、より好ましくは約15~約25%の重合体成分を含む。
【0044】
重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、
-約21%以下のスチレンブロック含有量および約45以下の硬度ショアAを有する、約25~約100重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(a)、
-約22%~約45%のスチレンブロック含有量を有する、約0~約75重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(b)
を含むことができる。
【0045】
重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、
-約21%以下のスチレンブロック含有量および約50以下の硬度ショアAを有する、約25~約100重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(a)、
-約22%~約45%のスチレンブロック含有量を有する、約0~約75重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(b)
を含むことができる。
【0046】
好ましい実施形態では、本明細書で定義される直鎖スチレンブロック共重合体(a)および直鎖スチレンブロック共重合体(b)のそれぞれの平均分子量(Mn)は、70000g/mol~170000g/molの範囲である。
【0047】
一実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、
-50以下、好ましくは15~50、より好ましくは20~50の平均硬度ショアAを有する、5~35重量%の少なくとも1つのスチレンブロック重合体成分、
-40~65重量%の少なくとも1つの粘着付与樹脂、
-15~40重量%の少なくとも1つの可塑剤、および
-0~5重量%の少なくとも1つの安定剤
を含み、
重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、
-21%以下のスチレンブロック含有量および45以下の硬度ショアAを有する、25~100重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(a)、
-22%~45%のスチレンブロック含有量を有する、0~75重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(b)
を含み、
直鎖スチレンブロック共重合体(a)および直鎖スチレンブロック共重合体(b)のそれぞれの平均分子量(Mn)は、70000g/mol~170000g/molの範囲である。
【0048】
平均分子量(Mn)は、較正用ポリスチレン標準を使用して、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定することができる。
【0049】
「スチレンブロック含有量」とは、共重合体の総重量割合あたりの、ポリスチレンブロック中に存在するスチレン部分の重量割合を意味する。
【0050】
スチレンブロック共重合体(a)(本明細書では「共重合体(a)」)は、約10~約21%のスチレンブロック含有量を有してもよい。例えば、重合体(a)は、約20%以下(約10~約20%)、または約19%以下(約10~約19%)、または約18%以下(約10~約18%)のスチレンブロック含有量を有し得る。
【0051】
スチレンブロック共重合体(b)(本明細書では「共重合体(b)」)は、約22%~約45%のスチレンブロック含有量を有してもよい。例えば、重合体(b)は、約23%から(約23~約45%)、または約24%から(約24~約45%)、または約25%から(約25~約45%)のスチレンブロック含有量を有し得る。
【0052】
スチレンブロック共重合体の硬度ショアAは、標準方法NF EN ISO 686に従って15秒で測定される。
【0053】
重合体(a)は、約15~約50、好ましくは約20~約50の硬度ショアAを有し得る。重合体(a)は、約15~約45、好ましくは約20~約45の硬度ショアAを有し得る。
【0054】
重合体(b)は、約60を超える、好ましくは60超~約90の硬度ショアAを有し得る。
【0055】
重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、約35~約100%の共重合体(a)および約0~約65%の共重合体(b);好ましくは約45~約100%の共重合体(a)および約0~約55%の共重合体(b);より好ましくは約55~約100%の共重合体(a)および約0~約45%の共重合体(b)を含み得る。あるいは、重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、約35~約45%の共重合体(a)および約55~約65%の共重合体(b)を含み得る。あるいは、重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、約25~約35%の共重合体(a)および約65~約75%の共重合体(b)を含み得る。
【0056】
一実施形態では、重合体成分は、少なくとも1つの共重合体(a)および少なくとも1つの共重合体(b)からなる。この実施形態では、重合体成分は、共重合体(a)および(b)以外のスチレンブロック共重合体を含まない。重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、約25~約95%の共重合体(a)および約5~約75%の共重合体(b);好ましくは約35~約90%の共重合体(a)および約10~約65%の共重合体(b);より好ましくは約45~約85%の共重合体(a)および約15~約55%の共重合体(b)を含み得る。例えば、重合体成分は、約5~約10%の共重合体(a)および約90~95%の重合体(b)、または約10~約15%の共重合体(a)および約85~90%の重合体(b)、または約15~約20%の共重合体(a)および約80~85%の重合体(b)、または約20~約25%の共重合体(a)および約75~80%の重合体(b)、または約25~約30%の共重合体(a)および約70~75%の重合体(b)、または約30~約35%の共重合体(a)および約65~70%の重合体(b)、または約35~約40%の共重合体(a)および約60~65%の重合体(b)、または約40~約45%の共重合体(a)および約55~60%の重合体(b)、または約45~約50%の共重合体(a)および約50~55%の重合体(b)、または約50~約55%の共重合体(a)および約45~50%の重合体(b)、または約55~約60%の共重合体(a)および約40~45%の重合体(b)、または約60~約65%の共重合体(a)および約35~40%の重合体(b)、または約65~約70%の共重合体(a)および約30~35%の重合体(b)、または約70~約75%の共重合体(a)および約25~30%の重合体(b)、または約75~約80%の共重合体(a)および約20~25%の重合体(b)、または約80~約85%の共重合体(a)および約15~20%の重合体(b)、または約85~約90%の共重合体(a)および約10~15%の重合体(b)、または約90~約95%の共重合体(a)および約5~10%の重合体(b)を含み得る。
【0057】
代替の実施形態では、重合体成分は、少なくとも1つの共重合体(a)、すなわち約100%の少なくとも1つの共重合体(a)からなる。この実施形態では、重合体成分は、共重合体(a)以外の、共重合体(b)を含むスチレンブロック共重合体を含まない。
【0058】
共重合体(a)は、SB、SI、SEB、SEP、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;好ましくは、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;より好ましくは、SIS、ランダムブロックSBR、SEBSおよびそれらの混合物からなる群から;さらにより好ましくは、SIS、ランダムブロックSBRおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。適切な共重合体(a)は、Kraton CorporationからKraton(登録商標)D1161(SIS、スチレンブロック含有量約15%、ジブロック含有量約19%、硬度ショアA約31)の商品名で、TSRC CorporationからVector(登録商標)4114A(SIS、スチレンブロック含有量約15%、ジブロック含有量約42%、硬度ショアA約27)の商品名で、SinopecからSinopec(登録商標)1126(SIS、スチレンブロック含有量約16%、ジブロック含有量約50%、硬度ショアA約28)の商品名で、Dynasol GroupからSolprene(登録商標)1205(ランダムブロックSBR、スチレンブロック含有量約17.5%、ランダムスチレン含有量約7.5%、硬度ショアA約27)の商品名で、Versalis(Eni)からEuroprene(登録商標)1205(ランダムブロックSBR、スチレンブロック含有量約18%、ランダムスチレン含有量約7%、硬度ショアA約27)の商品名で、SinopecからSinopec(登録商標)2605(ランダムブロックSBR、スチレンブロック含有量約18%、ランダムスチレン含有量約7%、硬度ショアA約27)の商品名で、Ningbo Jinhai Chenguang Chemical CorporationからJH8161(SIS、スチレンブロック含有量約16%、ジブロック含有量約50%、硬度ショアA約25)の商品名で、およびKraton CorporationからKraton(登録商標)G1657(SEBS、スチレンブロック含有量約13%、ジブロック含有量約30%、硬度ショアA約47)の商品名で市販されている。
【0059】
共重合体(b)は、SB、SI、SEB、SEP、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から;好ましくは、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物から;より好ましくは、SIS、SBS、SEBSおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。適切な共重合体(b)は、日本ゼオン株式会社からQuintac(登録商標)3280(SIS、スチレンブロック含有量約25%、ジブロック含有量約17%、硬度ショアA約61)の商品名で、Polimeri Europa(Eni)からEuroprene(登録商標)SOL TE9326(SIS、スチレンブロック含有量約30%、ジブロック含有量約15%、硬度ショアA約61)の商品名で、Versalis(Eni)からEuroprene(登録商標)SOL T166(SBS、スチレンブロック含有量約30%、ジブロック含有量約10%、硬度ショアA約72)の商品名で、TSRC CorporationからTaipol(登録商標)6153(SEBS、スチレンブロック含有量約29%、ジブロック含有量約0%、硬度ショアA約79)の商品名で、Kraton CorporationからKraton(登録商標)G1726(SEBS、スチレンブロック含有量約30%、ジブロック含有量約70%、硬度ショアA約77)の商品名で市販されている。
【0060】
一実施形態では、ホットメルト組成物(重合体組成物)は、ラジアルスチレンブロック共重合体を実質的に含まない。
【0061】
一実施形態では、重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、
-約21%以下のスチレンブロック含有量および約45以下の硬度ショアAを有する、約25~約100重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(a);
-約22%~約45%のスチレンブロック含有量を有する、約0~約75重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(b)
を含み、より好ましくはそれらからなり、
共重合体(a)は、SIS、ランダムブロックSBRおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0062】
一実施形態では、重合体成分は、重合体成分の総重量に対して、
-約21%以下のスチレンブロック含有量および約45以下の硬度ショアAを有する、約25~約100重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(a);
-約22%~約45%のスチレンブロック含有量を有する、約0~約75重量%の少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(b)
を含み、より好ましくはそれらからなり、
共重合体(a)は、SB、SI、SEB、SEP、SBBS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SIBS、SIS、ランダムブロックSBR、ランダムブロックSIR、およびそれらの混合物からなる群から選択され;
共重合体(a)の少なくとも1つは、ランダムブロックSBRである。好ましくは、ホットメルト組成物中のランダムブロックSBRの含有量は、ホットメルト組成物の総重量に基づいて11重量%未満、より好ましくは7重量%未満である。
【0063】
例えば、ホットメルト組成物は、以下の重合体組成物を含み得る:
-約60~約70%のランダムブロックSBR共重合体(a)および約30~約40%のSIS共重合体(b);
-約75~約85%のランダムブロックSBR共重合体(a)および約15~約25%のSIS共重合体(b);
-約30~約40%のランダムブロックSBR共重合体(a)および約60~約70%のSIS共重合体(b);
-約45~約55%のランダムブロックSBR共重合体(a)および約45~約55%のSIS共重合体(b);
-約20~約30%のランダムブロックSBR共重合体(a)および約70~約80%のSIS共重合体(b);
-約60~約70%のランダムブロックSBR共重合体(a)および約30~約40%のSEBS共重合体(b);
-約60~約70%のSIS共重合体(a)および約30~約40%のSIS共重合体(b);
-約60~約70%のSIS共重合体(a)および約30~約40%のSEBS共重合体(b);
-約100%のSIS共重合体(a);
-約100%のランダムブロックSBR重合体(a);
-約100%の、約60~約70%のSIS共重合体(a)および約30~約40%のランダムブロックSBR共重合体(a)からなる共重合体(a)の組成物;
-約100%の、約45~約55%のSIS共重合体(a)および約45~約55%のランダムブロックSBR共重合体(a)からなる共重合体(a)の組成物;
-約27~約37%のランダムブロックSBR共重合体(a)、約27~約37%のSIS共重合体(b)および約30~約40のSEBS共重合体(b);
-約30~約40%のSIS共重合体(a)、約17~約27%のSEBS共重合体(a)および約38~約48%のSIS共重合体(b)。
【0064】
好ましくは、ホットメルト組成物は、
-約100%の、約60~約70%のSIS共重合体(a)および約30~約40%のランダムブロックSBR共重合体(a)からなる共重合体(a)の組成物;または
-約100%の、約45~約55%のSIS共重合体(a)および約45~約55%のランダムブロックSBR共重合体(a)からなる共重合体(a)の組成物
を含む。
【0065】
一実施形態では、スチレンブロック重合体成分は、水素化スチレンブロック共重合体を含まない。
【0066】
水素化スチレンブロック共重合体は周知である。それは、SEBS、SEB、SEP、SEPS、SBS、SBBS、SEEPS、SIBSであり得る。
【0067】
好ましい実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、例えばプロピレン-エチレン共重合体などのプロピレン系重合体を含まない。プロピレン-エチレン共重合体の例は、ExxonMobilからのVistamaxx 6202であり得る。
【0068】
ホットメルト接着剤組成物は、163℃で約500~約8,000mPa.s、好ましくは約500~約4,000mPa.s、より好ましくは約800~約3,000MPa.sのブルックフィールド粘度を有し得る。ブルックフィールド粘度は、約163℃の温度で、ブルックフィールド粘度計、Spindle 27型を使用して、標準方法ASTM法D-3236に従って測定される。
【0069】
ホットメルト組成物は、リヨセル繊維に対して、少なくとも約0.236N/cm(0.6N/インチ)、好ましくは0.236N/cm(0.6N/インチ)~1.181N/cm(3N/インチ)、より好ましくは0.236N/cm(0.6N/インチ)~0.984N/cm(2.5N/インチ)の平均剥離性能を有し得る。例えば、組成物は、リヨセル繊維に対して、少なくとも約0.276N/cm(0.7N/インチ)、または少なくとも約0.315N/cm(0.8N/インチ)、または少なくとも約0.354N/cm(0.9N/インチ)、または少なくとも約0.394N/cm(1.0N/インチ)の平均剥離性能を有し得る。リヨセル繊維に対する剥離性能は、以下に記載する「パッド付着法」と題する方法に従って測定される。ホットメルト組成物は、多種多様な基材、特に布地上の接着剤として使用することができるが、本発明者らは、約22%のスチレンブロック含有量および約60を超える硬度ショアAを有する少なくとも1つの直鎖スチレンブロック共重合体(b)からなる重合体成分を含む組成物を含む従来のホットメルト組成物とは対照的に、この組成物がユーカリ系リヨセル繊維上の接着剤としての使用に特に適していることを示した。
【0070】
粘着付与樹脂
ホットメルト接着剤組成物は、粘着付与樹脂(粘着付与剤)を含む。ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、約40~約65重量%、好ましくは約45~約60重量%、より好ましくは約50~約55重量%の粘着付与樹脂を含む。
【0071】
適切な粘着付与樹脂は、重合体成分と適合性であり、接着特性を拡張し、特異的接着を改善するものである。本明細書で使用される場合、「粘着付与樹脂」という用語は、以下を含む:
-主にオレフィンおよびジオレフィンからなるモノマーの重合から得られる脂肪族石油炭化水素樹脂、およびそれらの水素化誘導体;
-環状石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;
-芳香族石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;
-芳香族変性脂環式樹脂およびその水素化誘導体;
-中程度に低温でのフリーデル・クラフツ触媒の存在下でのテルペン炭化水素(例えば、ピネンとして知られているモノテルペン)の重合から一般に得られるポリテルペン樹脂、およびそれらの水素化誘導体;
-天然テルペンの共重合体および三元共重合体(例えば、スチレン/テルペン、α-メチルスチレン/テルペンおよびビニルトルエン/テルペン);
-天然および変性ロジン(例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン、重合ロジン、ロジンエステルおよびそれらの水素化誘導体);
-天然および変性ロジンのグリセロールおよびペンタエリスリトールエステル(例えば、ペイルウッドロジン(pale wood rosin)のグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、ペイルウッドロジンのペンタエリスリトールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、トール油ロジンのペンタエリスリトールエステル、およびロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステル);ならびに、
-フェノール変性テルペン樹脂(例えば、テルペンおよびフェノールの酸性媒体中での縮合から得られる樹脂製品)。
【0072】
一実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、主にオレフィンおよびジオレフィンからなるモノマーならびにそれらの水素化誘導体の重合から得られる脂肪族石油炭化水素樹脂である粘着付与樹脂(a)を含む。脂肪族石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体は、C5オレフィン、C9オレフィン、ジ-シクロ-ペンタジエン(DCPD)およびそれらの混合物に基づき得る。適切な粘着付与樹脂は、Eastman Chemical CompanyからEastotac(登録商標)H100W(完全水素化樹脂C5)の商品名で、ExxonMobil ChemicalからEscorez(登録商標)2203LC(樹脂C5/C9)の商品名で、KolonからSukorez(登録商標)SU 120(完全水素化樹脂DCPD)、Sukorez(登録商標)SU 210(完全水素化樹脂DCPD/C5)、Sukorez(登録商標)SU 420(部分水素化樹脂DCPD/C9)およびSukorez(登録商標)SU525(完全水素化樹脂DCPD)の商品名で、Eastman Chemical CompanyからRegalite(登録商標)S7125(部分水素化樹脂C9)の商品名で、Hanwha Solutions/chemical CorporationからHS-130(水素化樹脂DCPD)の商品名で、Tianjin Luhua ChemicalからLuhorez HD1120(水素化樹脂DCPD)の商品名で、EastmanからEastotac(登録商標)H100W(完全水素化樹脂C5)の商品名で、およびEastmanからRegalite(登録商標)S7125(部分水素化C9)の商品名で、Henghe Materials and Science Technology Co.LTDからHenghe HM1000(水素化樹脂DCPD/C9(3%))の商品名で、およびHenghe Materials and Science Technology Co.LTDからHenghe H5-1001(完全水素化樹脂C5)の商品名で市販されている。
【0073】
別の実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、天然および変性ロジンならびにそれらの水素化ロジンからなる粘着付与樹脂(b)を含む。適切な粘着付与樹脂は、DRTからForal(登録商標)DX(完全水素化ロジン樹脂)およびEastmanからForal(登録商標)AX-E(完全水素化ロジン樹脂)の商品名で市販されている。
【0074】
別の実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、上記のように、粘着付与樹脂(a)と粘着付与樹脂(b)との混合物からなる粘着付与樹脂;好ましくは、組成物の総重量に対して約57%~約77%の粘着付与樹脂(a)および約23~約43%の粘着付与樹脂(b)からなる粘着付与樹脂;より好ましくは、組成物の総重量に対して約62%~約72%の粘着付与樹脂(a)および約28~約38%の粘着付与樹脂(b)からなる粘着付与樹脂を含む。
【0075】
粘着付与樹脂は、約50℃~約140℃の環球式軟化点(ASTM E28によって測定)を有し得る。
【0076】
可塑剤
本発明のホットメルト接着剤組成物は、可塑剤を含む。可塑剤は、固体または液体可塑剤であってもよい。
【0077】
ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、約15~約40重量%、好ましくは約20~約35重量%、より好ましくは約25~約30重量%の可塑剤を含む。
【0078】
可塑剤は、ナフテン油およびパラフィン油、オレフィンオリゴマー、低分子量重合体、安息香酸グリコール、植物油および動物油、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択され得る。
【0079】
可塑剤は、ホットメルト接着剤組成物に良好な加工性を付与し得る。また、可塑剤は、ホットメルト接着剤の接着力や耐用温度(使用温度)を実質的に低下させることなく、所望の粘度制御をもたらすこともできる。
【0080】
ナフテン油およびパラフィン油は、ナフテン炭化水素(例えば、脂肪族、飽和または不飽和のC4~C7員炭化水素環;好ましくは、脂肪族、飽和または不飽和のC4~C6員環(シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどのシクロアルカンを含む))、パラフィン炭化水素(飽和、直鎖または分岐鎖アルカン)および芳香族炭化水素(単環式または多環式であってもよい芳香族炭化水素環、好ましくは芳香族C6員炭化水素環)の混合物からなる石油系油である。
【0081】
ナフテン油およびパラフィン油の分類は、油中の各タイプの炭化水素の量に基づいて行われる。典型的には、可塑剤の総重量に対して、パラフィン油は少なくとも約50重量%のパラフィン炭化水素含有量を有し、ナフテン油は約30%~約40重量%のナフテン炭化水素含有量を有する。
【0082】
好ましい実施形態では、可塑剤はパラフィン油である。
【0083】
適切な可塑剤は、NynasからNyflex(登録商標)223およびNyflex(登録商標)222B(ナフテン油)の商品名で、SonnebornからParol(登録商標)(パラフィン油)、Kaydol(登録商標)(パラフィン油)の商品名で、ErgonからOlympus(登録商標)L500の商品名で、Exxon MobilからPrimol(登録商標)352および382の商品名で、CalumetからCalsol(登録商標)5550の商品名で、およびPetrochina Karamay Petrochemical Co.LTDからKaramay N4010(ナフテン油)の商品名で市販されている。
【0084】
オリゴマーは、約100~約10,000g/molの平均分子量を有するポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプロペン、水素化ブタジエンなどからなる群から選択され得る。
【0085】
植物油および動物油は、通常の脂肪酸のグリセロールエステルおよびその重合生成物から選択され得る。
【0086】
安定剤(抗酸化剤)
ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは少なくとも1つの安定剤(抗酸化剤)も含む。
【0087】
ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、約0~約5重量%、好ましくは0~約3重量%、より好ましくは約0.1~約3重量%、より好ましくは約0.1~2重量%の安定剤を含む。
【0088】
適切な安定剤は、上記の重合体を保護し、それにより、接着剤の製造および塗布中、ならびに最終製品の周囲環境への通常の曝露中に通常生じる熱および酸化的分解反応の影響から全接着剤系を保護するのを助けるために組み込まれる。このような分解は、通常、ホットメルト接着剤組成物の外観、物性および性能特性の劣化によって現れる。
【0089】
適用可能な安定剤の中には、高分子量ヒンダードフェノール類および多官能フェノール類、例えば硫黄およびリン含有フェノール類がある。ヒンダードフェノール類は当業者に周知であり、そのフェノール性ヒドロキシル基に近接して立体的にかさ高いラジカルも含有するフェノール化合物として特徴を明らかにすることができる。特に、第三級ブチル基は、一般に、フェノール性ヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つでベンゼン環上に置換される。ヒドロキシル基の近傍にこれらの立体的にかさ高い置換ラジカルが存在することは、その延伸頻度およびそれに対応してその反応性を遅延させるのに役立つ。この立体障害により、フェノール化合物にその安定化特性がもたらされる。代表的なヒンダードフェノール類としては、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3-5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;ペンタエリスリトールテトラキス-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;n-オクタデシル-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4.4’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチルチオ)-1,3,5トリアジン;2,3,6トリス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチル-フェノキシ)-1,3,5トリアジン;ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート;2-(n-オクチル-チオ)エチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートおよびソルビトールヘキサ-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネートが挙げられる。
【0090】
これらの安定剤の性能は、以下と併せて利用することによりさらに高められる:(1)共力剤、例えば、チオジプロピオン酸エステルおよび亜リン酸エステルなど;例えば、それぞれジアルリルチオジプロピオネート(DLTDP)およびトリス(ノニルフェニル)ホスファイト(TNPP)が挙げられる;ならびに(2)キレート剤および金属不活性化剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸、その塩およびジサリチラルプロピレンジイミン。
【0091】
適切な抗酸化剤は、BASFからIrganox(登録商標)1010(テトラキス(メチレン(3,5-ジ-ter-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン)、Irgafos(登録商標)168(トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスフェート)の商品名で、およびShuangjianからChinox(登録商標)1010(ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート))の商品名で、Everspring ChemicalからEvernox(登録商標)1010およびEverfos(登録商標)168の商品名で、SongwonからSongnox(登録商標)10および1680の商品名で市販されている。
【0092】
その他の添加剤
ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、好ましくは0~5%の量の少なくとも1つの添加剤をさらに含んでもよい。
【0093】
ホットメルト接着剤組成物は、少なくとも1つのワックスをさらに含んでもよい。ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、約0~約5重量%、好ましくは約0~約3重量%のワックスを含んでもよい。一実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総重量に対して、約0.1~約5重量%、好ましくは約0.1~約3重量%のワックスを含んでもよい。あるいは、ホットメルト接着剤組成物は、ワックスを含まなくてもよい。ワックスの存在は、ホットメルト接着剤の接着結合特性を著しく低下させることなく、ホットメルト接着剤の溶融粘度を低下させることを可能にする。これらのワックスはまた、温度性能に影響を与えることなく組成物の開放時間またはセットアップ時間を短縮するために使用される。
【0094】
ホットメルト接着剤組成物は、不活性着色剤(例えば二酸化チタン)、充填剤(例えば、タルク、炭酸カルシウム、粘土、シリカ、マイカ、ウォラストナイト、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラスマイクロスフェア、セラミックマイクロスフェア、熱可塑性マイクロスフェアおよびそれらの混合物)、界面活性剤、スチレンブロック共重合体以外のさらなる重合体、架橋剤、核形成剤、反応性化合物、難燃性鉱物剤もしくは有機剤、紫外線(UV)もしくは赤外線(IR)光吸収剤、およびUVもしくはIR蛍光剤からなる群から選択されるさらなる添加剤を含んでもよい。これらの任意の補助添加剤は、当技術分野で周知である。
【0095】
追加の重合体は、ポリオレフィン、非晶質ポリ-アルファ-オレフィン、エチル-ビニル-アセテート重合体(EVA)、ポリアミド、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。ホットメルト接着剤は、組成物の総重量に対して、約0~約5重量%の少なくとも1つの追加の重合体を含んでもよい。
【0096】
使用
第2の態様では、本発明は、衛生使い捨て物品を布地に接着するための、上記のホットメルト接着剤組成物の使用に関する。
【0097】
衛生使い捨て物品は、不織衛生使い捨て物品から;好ましくは、使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品(パッドまたはブリーフ)、女性用ケア製品(ナプキンまたはパッド)および外科用マスクからなる群から;より好ましくは、成人用失禁製品(パッドまたはブリーフ)および女性用ケア製品(ナプキンまたはパッド)から選択され得る。
【0098】
布地は、綿、ナイロン、ポリエステル、他の人工繊維およびそれらの混合物を含む天然または合成繊維を利用して製造され得る。
【0099】
好ましい実施形態では、布地は、リヨセル繊維、より好ましくはユーカリ系リヨセル繊維を利用して製造される。したがって、本発明は、特に、衛生使い捨て物品、特に失禁用製品(パッドまたはブリーフ)または女性用ケア製品(ナプキンまたはパッド)を、リヨセル繊維、好ましくはユーカリ系リヨセル繊維から作製された布地に接着するための上記のホットメルト組成物の使用に関する。「リヨセル繊維」(「リヨセル属の繊維」または「溶媒紡糸繊維」としても知られる)とは、溶媒紡糸法によって得られる繊維を意味し、セルロースは、誘導体を形成することなく水性第三級アミンオキシドに直接溶解され、溶液が紡糸されるか、またはセルロース繊維は、誘導体を形成することなく有機溶媒にセルロースを溶解し、乾式湿式紡糸法またはメルトブローン法によって前記溶液から繊維を押し出すことによって製造される。リヨセルは、BISFA(国際化繊協会)によって割り当てられた一般名である。
【0100】
リヨセル繊維は、当技術分野で公知の従来繊維である。リヨセル繊維を製造するための適切な方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、1981年1月20日に公開された米国特許第4,246,221号明細書、2018年6月14日に公開されたPCT出願国際公開第2018/104330号パンフレットおよび2009年3月26日に公開されたPCT出願国際公開第2009/036481号パンフレットに記載されている。
【0101】
一般に、リヨセル法では、木材をチップ化し、化学的に消化してリグニンを除去し、機械的に粉砕して湿潤パルプにするのに十分に軟化させる。このパルプは漂白されてもよい。次いで、それを連続シート状に乾燥させ、スプールに巻き取る。N-メチルモルホリンN-オキシドなどの第三級アミンN-オキシドは、ほとんどの場合、単独でまたは水と共にリヨセル法における溶媒として使用される。N-メチルピペリジン-N-オキシド、N-メチルピロリドン-オキシド、およびジメチルシクロヘキシルアミンオキシドなどの他の溶媒も使用することができる。パルプをN-オキシド溶媒に溶解し、「ドープ」と呼ばれる溶液を得る。この工程中、セルロースに第三級N-オキシド溶媒を含浸させる。次いで、セルロース溶液を押出しまたは空気中への紡糸によって成形する。より詳細には、この溶液は、紡糸口金、様々な人工繊維と共に使用される装置を通って圧送される。紡糸口金にはシャワーヘッドのように小さな孔が穿孔されており、溶液が孔を通って押し出されると、フィラメントの連続ストランドが出てくる。繊維は、セルロース分子を整列させるために空気中で引っ張られ、リヨセル繊維にその特徴的な高強度などの改善された物性が付与される。次いで、繊維をアミンオキシドの別の溶液に浸漬し、これを今度は希釈して、繊維ストランドを作る。次いで、それらを脱ミネラル水で洗浄する。リヨセル繊維は次に乾燥領域に進み、そこで水を蒸発させる。次いで、ストランドは仕上げ領域に進み、そこで、繊維の将来の使用に応じて石鹸またはシリコーンまたは他の薬剤であり得る潤滑剤が塗布される。この工程は、基本的には、梳綿および紡糸して糸にする前の、梳き均し(detangler)である。乾燥させて完成した繊維は、この段階ではトウと呼ばれる形態であり、連続した長さのフィラメントの大きな撚られていない束である。トウの束は、繊維を圧縮して繊維に質感およびかさ高さを与える機械であるクリンパに運ばれる。捲縮加工された繊維は、精梳綿のような動作を行う機械式カーダによって梳綿され、ストランドを分離して配列する。梳綿されたストランドは切断され、製織工場に出荷するためにベール化される。生セルロースの巻き出しから繊維のベール化までの全製造過程は、約2時間かかる。この後、リヨセルは多くの様式で加工され得る。これは、綿またはウールなどの別の繊維で紡糸されてもよい。得られた糸は、他の任意の布地と同様に織るまたは編むことができ、柔らかいスエード調からシルク調まで様々な仕上げを施すことができる。
【0102】
リヨセル繊維は、高い引張強度、高い湿潤弾性率および高いループ強度を有する。
【実施例
【0103】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明する。
【0104】
以下の材料を使用した:
-可塑剤1:Nynas製のNyflex(登録商標)223(ナフテン油);
-可塑剤2:Sonneborn製のParol(登録商標)(パラフィン油);
-可塑剤3:Petrochina Karamay Petrochemical Co.LTD製のKaramay N4010(ナフテン油);
-樹脂1:DRT製のForal(登録商標)DX(完全水素化ロジン樹脂);
-樹脂2:Kolon製のSukorez(登録商標)SU 210(完全水素化樹脂DCPD/C5);
-樹脂3:Kolon製のSukorez(登録商標)SU 420(部分水素化樹脂DCPD/C9;
-樹脂4:Hanwha Solutions/chemical Corporation製のHanwha HS-130(水素化樹脂DCPD);
-樹脂5:Henghe Materials and Science Technology Co.,LTD.製のHenghe HM1000(水素化樹脂DCPD/C9(3%));
-樹脂6:Henghe Materials and Science Technology Co.,LTD.製のHenghe H5-1001(完全水素化樹脂C5);
-重合体(a1):Sinopec製のSinopec(登録商標)1126(SIS、スチレンブロック含有量約16%、ジブロック含有量約50%、硬度ショアA約28);
-重合体(a2):Dynasol Group製のSolprene(登録商標)1205(ランダムブロックSBR、スチレンブロック含有量約17.5%、ランダムスチレン含有量約7.5%、硬度ショアA約27);
-重合体(a3):Ningbo Jinhai Chenguang Chemical Corporation製のJH8161(SIS、スチレンブロック含有量約16%、ジブロック含有量約50%、硬度ショアA約25);
-重合体(a4):Kraton Corporation製のKraton(登録商標)G1657(SEBS、スチレンブロック含有量約13%、ジブロック含有量約30%、硬度ショアA約47);
-重合体(b1):日本ゼオン株式会社製のQuintac(登録商標)3280(SIS、スチレンブロック含有量約25%、ジブロック含有量約17%、硬度ショアA約61);
-重合体(b2):Polimeri Europa(Eni)製のEuroprene(登録商標)SOL TE9326(SIS、スチレンブロック含有量約30%、ジブロック含有量約15%、硬度ショアA約61);
-重合体(b3):Kraton Corporation製Kraton(登録商標)G1726(SEBS、スチレンブロック含有量約30%、ジブロック含有量約70%、硬度ショアA約77);
-抗酸化剤:BASF製のIrganox(登録商標)1010(テトラキス(メチレン(3,5-ジ-ter-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン)。
【0105】
平均硬度ショアA(重合体成分)
平均硬度ショアAは、以下のように計算される:[各共重合体の硬度ショアAに重合体成分中のその重量割合を掛けたもの]の合計を100で割る。
【0106】
ブルックフィールド粘度
ブルックフィールド粘度は、約163℃の温度で、ブルックフィールド粘度計、Spindle 27型を使用して、標準方法ASTM法D-3236に従って測定される。
【0107】
剥離性能
剥離性能は、「パッド付着法」と題する以下の方法に従って測定される。
-装置:テーブルコータ;
-パッド材料:剥離ライナーである第1の基材と、ポリエチレン非通気性バックシートまたは布状バックシート(不織布)のいずれかである第2の基材とを、テーブルコータを使用して感圧ホットメルト接着剤で組み立てる。
-下着材料:約80~約85%のユーカリ系リヨセル繊維を含む下着;
-接着剤の塗布:接着剤を、約150℃の温度のスロットパターン、約25gsmの追加分、14m/分~100m/分のコーティング速度、および第2の基材上の10mPaの圧縮で、第1の基材(剥離ライナー)上に塗布する。試験前に、積層体を23℃で最低24時間保管する。
-試験実行:
・幅約2.54cm(1インチ)および長さ約15cmで積層体を切断する;
・試験前に下着を40℃で3回洗浄する;
・第1の基材(剥離ライナー)を除去し、下着を第2の基材(バックシート)上の接着剤側に適用する;および
・0.6kgのローラーを1,500mm/分の速度で前後に適用する;
・動力計を使用して500mm/分で試料を剥離する(6回の測定);
・6つの測定値から平均剥離性能を計算し、基準組成物の平均剥離性能と比較する。
【0108】
基準の組成物C1とは対照的に、本発明による組成物C2、C3およびC4は、ユーカリ系リヨセル繊維に対して満足のいく剥離性能を示し、不織衛生使い捨て物品の布地への接着の改善を達成する。
【国際調査報告】