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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(54)【発明の名称】緑膿菌病原性因子LasBの阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 327/32 20060101AFI20230904BHJP
   C07C 323/60 20060101ALI20230904BHJP
   C07F 9/38 20060101ALI20230904BHJP
   C07F 9/40 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/428 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/4406 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/245 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/662 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 31/4192 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
C07C327/32 CSP
C07C323/60
C07F9/38 D
C07F9/40 D
A61K31/167
A61P31/04
A61K31/428
A61K31/426
A61K31/4406
A61K31/4184
A61K31/245
A61K31/662
A61K31/675
A61K31/4192
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513374
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2021073381
(87)【国際公開番号】W WO2022043322
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20192608.6
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517334160
【氏名又は名称】へルムホルツ-ツェントルム・フューア・インフェクツィオーンスフォルシュング・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Helmholtz-Zentrum fur Infektionsforschung GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】509267258
【氏名又は名称】ユニベルシタート デス サーランデス
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100141771
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 宏和
(74)【代理人】
【識別番号】100164345
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100118809
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 育男
(72)【発明者】
【氏名】ドゥチョ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン・ロルフ・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ハウペンタール・ヤーグ
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュ・アンナ・ケー・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】カニー・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】カヤ・カンス
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンチノビッチ・エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ブース・カトリン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター・イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ヤヒアウイ・サミール
(72)【発明者】
【氏名】アブデルサミン・アーメド・サード
(72)【発明者】
【氏名】シュッツ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュムデ・ラビンドラ
(72)【発明者】
【氏名】キーファー・アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
4H006
4H050
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB352
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC39
4C086BC60
4C086BC82
4C086BC84
4C086DA34
4C086DA38
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206HA01
4C206JA52
4C206JA53
4C206JA55
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB35
4H006AA01
4H006AB20
4H050AA01
4H050AB20
4H050AD17
(57)【要約】
本発明は、一般式(Ia)の化合物及び緑膿菌(P. aeruginosa)病原性因子LasBの阻害剤としてのその使用に関する。これらの化合物は、特に緑膿菌によって引き起こされる、細菌感染症の治療に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌感染症の治療に使用するための一般式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容される塩:
(一般式(Ia)において、
Xは、式-PO(OH)、-SH、-C(=O)-NH-OHの基、場合により置換されていてもよいトリアゾリル基、-SR、-PO(OH)(OR)又は-PO(OR)(OR)の基であり;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、又は場合により置換されていてもよいアラルキル基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基;又は一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-C(Me)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-Rの基であり;
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
は、一般式-COR3a又は-CON(R3bの基であり;ここで、R3aは、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり、R3bは、独立して、水素原子、又はアルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基若しくは場合により置換されていてもよいベンジル基から選択され;
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
は、水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基若しくはヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
1aは、水素原子であるか、又はRが一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基である場合、R1a及びRは一緒になって、式-(CH-若しくは-(CH-の基であり得る)。
【請求項2】
細菌感染症の治療のための医薬を調製するための一般式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用:
(一般式(Ia)において、
Xは、式-PO(OH)、-SH、-C(=O)-NH-OHの基、場合により置換されていてもよいトリアゾリル基、-SR、-PO(OH)(OR)又は-PO(OR)(OR)の基であり;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、又は場合により置換されていてもよいアラルキル基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基;又は一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-C(Me)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-Rの基であり;
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
は、一般式-COR3a又は-CON(R3bの基であり;ここで、R3aは、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり、R3bは、独立して、水素原子、又はアルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基若しくは場合により置換されていてもよいベンジル基から選択され;
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
は、水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基若しくはヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
1aは、水素原子であるか、又はRが一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基である場合、R1a及びRは一緒になって、式-(CH-若しくは-(CH-の基であり得る)。
【請求項3】
一般式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効量対象に投与する、細菌感染症に罹患している、又は細菌感染症にかかりやすい対象を治療する方法:
(一般式(Ia)において、
Xは、式-PO(OH)、-SH、-C(=O)-NH-OHの基、場合により置換されていてもよいトリアゾリル基、-SR、-PO(OH)(OR)又は-PO(OR)(OR)の基であり;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、又は場合により置換されていてもよいアラルキル基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基;又は一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-C(Me)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-Rの基であり;
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
は、一般式-COR3a又は-CON(R3bの基であり;ここで、R3aは、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり、R3bは、独立して、水素原子、又はアルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基若しくは場合により置換されていてもよいベンジル基から選択され;
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
は、水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基若しくはヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
1aは、水素であるか、又はRが一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基である場合、R1a及びRは一緒になって、式-(CH-若しくは-(CH-の基であり得る)。
【請求項4】
前記化合物が一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物、又は請求項2に記載の使用、又は請求項3に記載の方法:
(ここで、X、R及びRは、請求項1、2又は3に定義される通りである)。
【請求項5】
前記化合物が、一般式(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)の化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物、又は請求項2に記載の使用、又は請求項3に記載の方法:
(ここで、R及びRは、請求項1、2又は3に定義される通りである)。
【請求項6】
がC1~6アルキル基;1~6個の炭素原子並びにO、S及びNから選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むヘテロアルキル基;C4~10アルキルシクロアルキル基;又はC7~12アラルキル基であり;これらがすべて場合により置換されていてもよい、請求項1、4若しくは5のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項2、4若しくは5のいずれか1項に記載の使用、又は請求項3、4若しくは5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
が場合により置換されていてもよいベンジル基である、請求項1、4若しくは5のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項2、4若しくは5のいずれか1項に記載の使用、又は請求項3、4若しくは5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
が式-CHCH(CHの基である、請求項1、4若しくは5のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項2、4若しくは5のいずれか1項に記載の使用、又は請求項3、4若しくは5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
が、場合により置換されていてもよいアリール基又は場合により置換されていてもよいヘテロアリール基である、請求項1若しくは4~8のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項2若しくは4~8のいずれか1項に記載の使用、又は請求項3~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
が、場合により置換されていてもよいフェニル基、場合により置換されていてもよいナフチル基、又は1若しくは2個の環並びにC、O、N及びSから選択される5~10個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリール基である、請求項1若しくは4~8のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項2若しくは4~8のいずれか1項に記載の使用、又は請求項3~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
が場合により置換されていてもよいフェニル基である、請求項1若しくは4~8のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項2若しくは4~8のいずれか1項に記載の使用、又は請求項3~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
が、一般式-Cy-L-Cyの基であり、一般式において、Cyは、1若しくは2個の環及び3~7個の炭素環構成原子を含む場合により置換されていてもよいシクロアルキレン基、1若しくは2個の環並びにC、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキレン基、場合により置換されていてもよいフェニレン基、又はC、N、O及びSから選択される5若しくは6個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリーレン基であり;Cyは、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;Lは、結合、又は-O-、-S-、-NH-、-CH-、-CO-、-NHCO-、-CO-NH-、-CH-CO-NH-、-NH-CO-CH-、-CH-O-CO-NH-、-NH-CO-O-CH-、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-NHSO-、-SONH-、-CH-SO-NH-、-NH-SO-CH-、-S-CH-、-CH-S-、-NH-CH-、-CH-NH-、-O-CH-若しくは-CH-O-である、請求項1若しくは4~8のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項2若しくは4~8のいずれか1項に記載の使用、又は請求項3~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
Cyが、場合により置換されていてもよいフェニル基、場合により置換されていてもよいビフェニル基、場合により置換されていてもよいナフチル基、1若しくは2個の環並びにC、O、N及びSから選択される5、6、9若しくは10個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、3~7個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、C、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、C、N、S及びOから選択される9若しくは10個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアリール基、又は式-CH(CHPh)Phの基である、請求項12に記載の化合物、又は使用、又は方法。
【請求項14】
Lが、結合、又は-NHCO-、-CO-NH-、-CH-CO-NH-、-NH-CO-CH-、-NHSO-若しくは-SONH-である、請求項12又は13に記載の化合物、又は使用、又は方法。
【請求項15】
Cyが1,4-フェニレン基である、請求項12~14のいずれか1項に記載の化合物、又は使用、又は方法。
【請求項16】
が、一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基又は一般式-CH(R)-Rの基である、請求項1若しくは4~8のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項2若しくは4~8のいずれか1項に記載の使用、又は請求項3~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
が、水素原子、又はC1~6アルキル基、C3~7シクロアルキル基、C、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含むヘテロシクロアルキル基、フェニル基、又はC、N、S及びOから選択される5若しくは6個の環構成原子を含むヘテロアリール基、又は一般式-CH-R6aの基であり、一般式において、R6aは、C3~7シクロアルキル基、C、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含むヘテロシクロアルキル基、フェニル基、又はC、N、S及びOから選択される5若しくは6個の環構成原子を含むヘテロアリール基である、請求項16に記載の化合物、又は使用、又は方法。
【請求項18】
が式-CH(CHの基である、請求項16若しくは17に記載の化合物、又は使用、又は方法。
【請求項19】
が、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいC3~7シクロアルキル基である、請求項16~18のいずれか1項に記載の化合物、又は使用、又は方法。
【請求項20】
が、場合により置換されていてもよいベンズイミダゾール基、又は場合により置換されていてもよいトリアゾール基、又は場合により置換されていてもよいイミダゾール基である、請求項16~19のいずれか1項に記載の化合物、又は使用、又は方法。
【請求項21】
前記細菌感染症が緑膿菌(P. aeruginosa)によって引き起こされる、請求項1若しくは4~20のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項2若しくは4~20のいずれか1項に記載の使用、又は請求項3~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
一般式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容される塩:
(一般式(Ia)において、
Xは、式-PO(OH)、-SH、-C(=O)-NH-OHの基、場合により置換されていてもよいトリアゾリル基、-SR、-PO(OH)(OR)又は-PO(OR)(OR)の基であり;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、又は場合により置換されていてもよいアラルキル基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基;又は一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-C(Me)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-Rの基であり;
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
は、一般式-COR3a又は-CON(R3bの基であり;ここで、R3aは、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり、R3bは、独立して、水素原子、又はアルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基若しくは場合により置換されていてもよいベンジル基から選択され;
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
は、水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基若しくはヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
1aは、水素原子であるか、又はRが一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基である場合、R1a及びRは一緒になって、式-(CH-若しくは-(CH-の基であり得る)。
【請求項23】
前記化合物が一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項22に記載の化合物:
(ここで、X、R及びRは、請求項22に定義される通りである)。
【請求項24】
前記化合物が、一般式(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)の化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項22に記載の化合物:
(ここで、R及びRは、請求項22に定義される通りである)。
【請求項25】
がC1~6アルキル基;1~6個の炭素原子並びにO、S及びNから選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むヘテロアルキル基;C4~10アルキルシクロアルキル基;又はC7~12アラルキル基であり;これらはすべて場合により置換されていてもよい、請求項22~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
が、場合により置換されていてもよいベンジル基である、請求項22~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
が式-CHCH(CHの基である、請求項22~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
が、場合により置換されていてもよいアリール基又は場合により置換されていてもよいヘテロアリール基である、請求項22~27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
が、場合により置換されていてもよいフェニル基、場合により置換されていてもよいナフチル基、又は1若しくは2個の環並びにC、O、N及びSから選択される5~10個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリール基である、請求項22~27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
が、場合により置換されていてもよいフェニル基である、請求項22~27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
が、一般式-Cy-L-Cyの基であり、一般式において、Cyは、1若しくは2個の環及び3~7個の炭素環構成原子を含む場合により置換されていてもよいシクロアルキレン基、1若しくは2個の環並びにC、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキレン基、場合により置換されていてもよいフェニレン基、又はC、N、O及びSから選択される5若しくは6個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリーレン基であり;Cyは、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;Lは、結合、又は-O-、-S-、-NH-、-CH-、-CO-、-NHCO-、-CO-NH-、-CH-CO-NH-、-NH-CO-CH-、-CH-O-CO-NH-、-NH-CO-O-CH-、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-NHSO-、-SONH-、-CH-SO-NH-、-NH-SO-CH-、-S-CH-、-CH-S-、-NH-CH-、-CH-NH-、-O-CH-若しくは-CH-O-である、請求項22~27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
Cyが、場合により置換されていてもよいフェニル基、場合により置換されていてもよいビフェニル基、場合により置換されていてもよいナフチル基、1若しくは2個の環並びにC、O、N及びSから選択される5、6、9若しくは10個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、3~7個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、C、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、C、N、S及びOから選択される9若しくは10個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアリール基、又は式-CH(CHPh)Phの基である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
Lが、結合、又は-NHCO-、-CO-NH-、-CH-CO-NH-、-NH-CO-CH-、-NHSO-若しくは-SONH-である、請求項31又は32に記載の化合物。
【請求項34】
Cyが1,4-フェニレン基である、請求項31~33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
が、一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基又は一般式-CH(R)-Rの基である、請求項22~27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
が、水素原子、又はC1~6アルキル基、C3~7シクロアルキル基、C、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含むヘテロシクロアルキル基、フェニル基、又はC、N、S及びOから選択される5若しくは6個の環構成原子を含むヘテロアリール基、又は一般式-CH-R6aの基であり、一般式において、R6aは、C3~7シクロアルキル基、C、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含むヘテロシクロアルキル基、フェニル基、又はC、N、S及びOから選択される5若しくは6個の環構成原子を含むヘテロアリール基である、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
が式-CH(CHの基である、請求項35若しくは36に記載の化合物。
【請求項38】
が、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいC3~7シクロアルキル基である、請求項35~37のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
が、場合により置換されていてもよいベンズイミダゾール基又は場合により置換されていてもよいトリアゾール基又は場合により置換されていてもよいイミダゾール基である、請求項35~37のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
請求項22~39のいずれか1項に記載の化合物と、場合により、1つ以上の担体物質及び/又は1つ以上のアジュバント及び/又は1つ以上のさらなる抗菌化合物とを含む医薬組成物。
【請求項41】
細菌感染症の治療に使用するための、請求項22~39のいずれか1項に記載の化合物又は請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
緑膿菌(P. aeruginosa)によって引き起こされる細菌感染症の治療に使用するための、請求項22~39のいずれか1項に記載の化合物又は請求項40に記載の医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)病原性因子LasBの新規阻害剤に関する。これらの化合物は、特に緑膿菌によって引き起こされる、細菌感染症の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
緑膿菌は、グラム陰性菌であり、今日最も重要な病原体の1つとしてWHOによって位置付けられている(World Health Organization. Global Priority List of Antibiotic-Resistant Bacteria to Guide Research, Discovery, and Development of New Antibiotics. WHO 2017)。この日和見細菌は院内感染の約10%を引き起こし、免疫無防備状態患者及び嚢胞性線維症患者の間で高い発生率を有する(Magill, S. S.; Edwards, J. R.; Bamberg, W.; Beldavs, Z. G.; Dumyati, G.; Kainer, M. A.; Lynfield, R.; Maloney, M.; McAllister-Hollod, L.; Nadle, J.; et al. N. Engl. J. Med. 2014, 370, 1198-1208; Richards, M. J.; Edwards, J. R.; Culver, D. H.; Gaynes, R. P. Pediatrics 1999, 103, e39; Valenza, G.; Tappe, D.; Turnwald, D.; Frosch, M.; Koenig, C.; Hebestreit, H.; Abele-Horn, M. J. Cyst. Fibros. 2008, 7, 123-127; Sorde, R.; Pahissa, A.; Rello, J. Infect. Drug Resist. 2011, 4, 31-41)。強力な抗生物質の開発は、市場に効率的な治療薬がないため緊急に必要とされている(Mesaros, N.; Nordmann, P.; Plesiat, P.; Roussel-Delvallez, M.; Eldere, J. Van; Glupczynski, Y.; Laethem, Y. Van; Jacobs, F.; Lebecque, P.; Malfroot, A.; et al. Clin. Microbiol. Infect. 2007, 13, 560-578; Taubes, G. Science 2008, 321, 356-361)。この作業は、病原体の高い固有抵抗によって複雑になる(Hancock, R. E. W.; Speert, D. P. Drug Resist. Updat. 2000, 3, 247-255; Strateva, T.; Yordanov, D. J. Med. Microbiol. 2009, 58, 1133-1148)。
【0003】
緑膿菌は、外膜の透過性が特に低く、細胞への抗生物質の侵入を妨げる(Nikaido, H.; Yoshimura, F. J. Bacteriol. 1982, 152, 636-642)。さらに、その排出ポンプは、望ましくない抗菌剤を細胞外に効率的に輸送し、その誘導性染色体β-ラクタマーゼは、対応するβ-ラクタム抗生物質を不活性化することができる(Pos, K. M. Biochim. Biophys. Acta - Proteins Proteomics 2009, 1794, 782-793; Moreira, M. A. S.; Souza, E. C. de; Moraes, C. A. de. Brazilian J. Microbiol. 2004, 35, 19-28; Hancock, R. E. W.; Woodruff, W. A. Clin. Infect. Dis. 1988, 10, 770-775; Li, X. Z.; Livermore, D. M.; Nikaido, H. Antimicrob. Agents Chemother. 1994, 38, 1732-1741)。さらに困難なのは、緑膿菌株の変異的な耐性率の上昇である(Thomson, J. M.; Bonomo, R. A. Curr. Opin. Microbiol. 2005, 8, 518-524)。例えば、フルオロキノロン及びアミノグリコシド耐性は、最大30%に達している(Gasink, L. B.; Fishman, N. O.; Weiner, M. G.; Nachamkin, I.; Bilker, W. B.; Lautenbach, E. Am. J. Med. 2006, 119, 19-25; Poole, K. Antimicrob. Agents Chemother. 2005, 49, 479-487)。さらに、緑膿菌による感染症の治療に使用されるほぼすべての薬物(例えばセファロスポリン類及びカルバペネム類)に対する耐性が記載されている(Obritsch, M. D.; Fish, D. N.; MacLaren, R.; Jung, R. Pharmacotherapy 2005, 25, 1353-1364; ASCP Susceptibility Testing Group. United States Geographic Bacteria Susceptibility Patterns. Am. J. Clin. Pathol. 1996, 106, 275-281)。これらの事実は、新しい治療選択肢の緊急の必要性を強調している。
【0004】
細菌の生存能力を標的とする従来の戦略に加えて、近年、微生物感染症と戦うための代替アプローチとして細菌の病原性を標的とすることに特別に注意が払われている(Dickey, S. W.; Cheung, G. Y. C.; Otto, M. Nat. Rev. Drug Discov. 2017, 16, 457-471; Rasko, D. A.; Sperandio, V. Nat. Rev. Drug Discov. 2010, 9, 117-128)。病原性因子は病原性細菌の間で一般的であり、それらの宿主を損傷するか又はその免疫応答を回避することによって作用する(Strateva, T.; Mitov, I. Ann. Microbiol. 2011, 61, 717-732)。病原性因子の阻害剤は細菌の病原性を低下させ、このようにして宿主の免疫系によって、又は抗生物質の助けを借りて病原体の排除を可能にする(Heras, B.; Scanlon, M. J.; Martin, J. L. Br. J. Clin. Pharmacol. 2015, 79, 208-215; Clatworthy, A. E.; Pierson, E.; Hung, D. T. Nat. Chem. Biol. 2007, 3, 541-548)。わずかな化合物しか臨床的承認に達していないが、多くのインビトロ及びインビボ研究がこの戦略の有効性を裏付けている(Wagner, S.; Sommer, R.; Hinsberger, S.; Lu, C.; Hartmann, R. W.; Empting, M.; Titz, A. J. Med. Chem. 2016, 59, 5929-5969)。この新しいアプローチの主な利点は、細菌に対する選択圧が低下し、したがって耐性発現のリスクが低くなることである。さらに、これらの抗病原性剤は、共生細菌に害を及ぼさない。
【0005】
緑膿菌の周知の抗病原性標的はエラスターゼLasBである。この細胞外亜鉛含有プロテアーゼは、組織の病原性侵入において役割を果たし、主に急性感染中に関連すると考えられている(Liu, P. V. J. Infect. Dis. 1974, 130, S94-S99)。これは、肺組織及び血管の重要な成分であるエラスチンを分解する能力を有する(Morihara, K.; Tsuzuki, H.; Oka, T.; Inoue, H.; Ebata, M. J. Biol. Chem. 1965, 240, 3295-3304)。さらに、LasBは、肺のフィブリン、コラーゲン及びサーファクタントタンパク質を分解することができ、ヒト免疫グロブリンA及びG、サイトカインガンマインターフェロン及び腫瘍壊死因子αの不活性化、並びに抗菌性ペプチドLL-37の分解による宿主の免疫の低下にも関与する(Heck, L. W.; Morihara, K.; McRae, W. B.; Miller, E. J. Infect. Immun. 1986, 51, 115-118; Heck, L. W.; Alarcon, P. G.; Kulhavy, R. M.; Morihara, K.; Mestecky, M. W.; Russell, J. F. J. Immunol. 1990, 144, 2253-2257; Holder, I. A.; Wheeler, R. Can. J. Microbiol. 1984, 30, 1118-1124; Galloway, D. R. Mol. Microbiol. 1991, 5, 2315-2321; Parmely, M.; Gale, A.; Clabaugh, M.; Horvat, R.; Zhou, W. Infect. Immun. 1990, 58, 3009-3014; Mariencheck, W. I.; Alcorn, J. F.; Palmer, S. M.; Wright, J. R. Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 2003, 28, 528-537; Schmidtchen, A. et al. Mol. Microbiol. 2002, 46, 157-168)。
【0006】
LasBは魅力的な抗病原性標的であるので、いくつかのLasB阻害剤がこれまで文献に記載されている:ストレプトマイセス・ニグレセンス(Streptomyces nigrescens)由来のストレプトマイセス・メタロプロテアーゼ阻害剤TK-23(SMPI)及びホスホラミドンなどの天然産物(Oda, K.; Koyama, T.; Murao, S. Biochim. Biophys. Acta 1979, 571, 147-156; Nishino, N.; Powers, J. C. J. Biol. Chem. 1979, 255, 3482-19)、チオール又はヒドロキサメート基などの金属キレート化モチーフを含有する小ペプチド(Kessler, E.; Israel, M.; Landshman, N.; Chechick, A.; Blumberg, S. Infect. Immun. 1982, 38, 716-723; Cathcart, G. R. A.; Quinn, D.; Greer, B.; Harriott, P.; Lynas, J. F.; Gilmore, B. F.; Walker, B. Antimicrob. Agents Chemother. 2011, 55, 2670-2678; Burns, F. R.; Paterson, C. A.; Gray, R. D.; Wells, J. T. Antimicrob. Agents Chemother. 1990, 34, 2065-2069)、並びにヒドロキサメート、チオール又はメルカプトアセトアミド基を有する小合成分子(Zhu, J.; Cai, X.; Harris, T. L.; Gooyit, M.; Wood, M.; Lardy, M.; Janda, K. D. Chem. Biol. 2015, 22, 483-491; Adekoya, O. A.; Sjoeli, S.; Wuxiuer, Y.; Bilto, I.; Marques, S. M.; Santos, M. A.; Nuti, E.; Cercignani, G.; Rossello, A.; Winberg, J. O.; et al. Eur. J. Med. Chem. 2015, 89, 340-348)、並びにトロポロンに基づく化合物(Fullagar, J. L.; Garner, A. L.; Struss, A. K.; Day, J. A.; Martin, D. P.; Yu, J.; Cai, X.; Janda, K. D.; Cohen, S. M. Chem. Commun. 2013, 49, 3197-3199)。
【0007】
近年、強力なLasB阻害剤としての-アリールメルカプトアセトアミド類の基が記載されている(Kany, A. M.; Sikandar, A.; Haupenthal, J.; Yahiaoui, S.; Maurer, C. K.; Proschak, E.; Koehnke, J.; Hartmann, R. W. ACS Infect. Dis. 2018, 4, 988-997)。上記文献に記載されている最も有望な化合物(化合物36)の結晶構造は、結合ポケット内の2つの分子の存在を明らかにした。単一分子で活性部位を占有するために、一連の-ベンジルアミド/-アルキルアミド誘導体が合成されている。しかしながら、このアプローチは、初期リガンドの阻害効力を改善することができなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】World Health Organization. Global Priority List of Antibiotic-Resistant Bacteria to Guide Research, Discovery, and Development of New Antibiotics. WHO 2017
【非特許文献2】Magill, S. S.; Edwards, J. R.; Bamberg, W.; Beldavs, Z. G.; Dumyati, G.; Kainer, M. A.; Lynfield, R.; Maloney, M.; McAllister-Hollod, L.; Nadle, J.; et al. N. Engl. J. Med. 2014, 370, 1198-1208
【非特許文献3】Richards, M. J.; Edwards, J. R.; Culver, D. H.; Gaynes, R. P. Pediatrics 1999, 103, e39
【非特許文献4】Valenza, G.; Tappe, D.; Turnwald, D.; Frosch, M.; Koenig, C.; Hebestreit, H.; Abele-Horn, M. J. Cyst. Fibros. 2008, 7, 123-127
【非特許文献5】Sorde, R.; Pahissa, A.; Rello, J. Infect. Drug Resist. 2011, 4, 31-41
【非特許文献6】Mesaros, N.; Nordmann, P.; Plesiat, P.; Roussel-Delvallez, M.; Eldere, J. Van; Glupczynski, Y.; Laethem, Y. Van; Jacobs, F.; Lebecque, P.; Malfroot, A.; et al. Clin. Microbiol. Infect. 2007, 13, 560-578
【非特許文献7】Taubes, G. Science 2008, 321, 356-361
【非特許文献8】Hancock, R. E. W.; Speert, D. P. Drug Resist. Updat. 2000, 3, 247-255
【非特許文献9】Strateva, T.; Yordanov, D. J. Med. Microbiol. 2009, 58, 1133-1148
【非特許文献10】Nikaido, H.; Yoshimura, F. J. Bacteriol. 1982, 152, 636-642
【非特許文献11】Pos, K. M. Biochim. Biophys. Acta - Proteins Proteomics 2009, 1794, 782-793
【非特許文献12】Moreira, M. A. S.; Souza, E. C. de; Moraes, C. A. de. Brazilian J. Microbiol. 2004, 35, 19-28
【非特許文献13】Hancock, R. E. W.; Woodruff, W. A. Clin. Infect. Dis. 1988, 10, 770-775
【非特許文献14】Li, X. Z.; Livermore, D. M.; Nikaido, H. Antimicrob. Agents Chemother. 1994, 38, 1732-1741
【非特許文献15】Thomson, J. M.; Bonomo, R. A. Curr. Opin. Microbiol. 2005, 8, 518-524
【非特許文献16】Gasink, L. B.; Fishman, N. O.; Weiner, M. G.; Nachamkin, I.; Bilker, W. B.; Lautenbach, E. Am. J. Med. 2006, 119, 19-25
【非特許文献17】Poole, K. Antimicrob. Agents Chemother. 2005, 49, 479-487
【非特許文献18】Obritsch, M. D.; Fish, D. N.; MacLaren, R.; Jung, R. Pharmacotherapy 2005, 25, 1353-1364
【非特許文献19】ASCP Susceptibility Testing Group. United States Geographic Bacteria Susceptibility Patterns. Am. J. Clin. Pathol. 1996, 106, 275-281
【非特許文献20】Dickey, S. W.; Cheung, G. Y. C.; Otto, M. Nat. Rev. Drug Discov. 2017, 16, 457-471
【非特許文献21】Rasko, D. A.; Sperandio, V. Nat. Rev. Drug Discov. 2010, 9, 117-128
【非特許文献22】Strateva, T.; Mitov, I. Ann. Microbiol. 2011, 61, 717-732
【非特許文献23】Heras, B.; Scanlon, M. J.; Martin, J. L. Br. J. Clin. Pharmacol. 2015, 79, 208-215
【非特許文献24】Clatworthy, A. E.; Pierson, E.; Hung, D. T. Nat. Chem. Biol. 2007, 3, 541-548
【非特許文献25】Wagner, S.; Sommer, R.; Hinsberger, S.; Lu, C.; Hartmann, R. W.; Empting, M.; Titz, A. J. Med. Chem. 2016, 59, 5929-5969
【非特許文献26】Liu, P. V. J. Infect. Dis. 1974, 130, S94-S99
【非特許文献27】Morihara, K.; Tsuzuki, H.; Oka, T.; Inoue, H.; Ebata, M. J. Biol. Chem. 1965, 240, 3295-3304
【非特許文献28】Heck, L. W.; Morihara, K.; McRae, W. B.; Miller, E. J. Infect. Immun. 1986, 51, 115-118
【非特許文献29】Heck, L. W.; Alarcon, P. G.; Kulhavy, R. M.; Morihara, K.; Mestecky, M. W.; Russell, J. F. J. Immunol. 1990, 144, 2253-2257
【非特許文献30】Holder, I. A.; Wheeler, R. Can. J. Microbiol. 1984, 30, 1118-1124
【非特許文献31】Galloway, D. R. Mol. Microbiol. 1991, 5, 2315-2321
【非特許文献32】Parmely, M.; Gale, A.; Clabaugh, M.; Horvat, R.; Zhou, W. Infect. Immun. 1990, 58, 3009-3014
【非特許文献33】Mariencheck, W. I.; Alcorn, J. F.; Palmer, S. M.; Wright, J. R. Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 2003, 28, 528-537
【非特許文献34】Schmidtchen, A. et al. Mol. Microbiol. 2002, 46, 157-168
【非特許文献35】Oda, K.; Koyama, T.; Murao, S. Biochim. Biophys. Acta 1979, 571, 147-156
【非特許文献36】Nishino, N.; Powers, J. C. J. Biol. Chem. 1979, 255, 3482-19
【非特許文献37】Kessler, E.; Israel, M.; Landshman, N.; Chechick, A.; Blumberg, S. Infect. Immun. 1982, 38, 716-723
【非特許文献38】Cathcart, G. R. A.; Quinn, D.; Greer, B.; Harriott, P.; Lynas, J. F.; Gilmore, B. F.; Walker, B. Antimicrob. Agents Chemother. 2011, 55, 2670-2678
【非特許文献39】Burns, F. R.; Paterson, C. A.; Gray, R. D.; Wells, J. T. Antimicrob. Agents Chemother. 1990, 34, 2065-2069
【非特許文献40】Zhu, J.; Cai, X.; Harris, T. L.; Gooyit, M.; Wood, M.; Lardy, M.; Janda, K. D. Chem. Biol. 2015, 22, 483-491
【非特許文献41】Adekoya, O. A.; Sjoli, S.; Wuxiuer, Y.; Bilto, I.; Marques, S. M.; Santos, M. A.; Nuti, E.; Cercignani, G.; Rossello, A.; Winberg, J. O.; et al. Eur. J. Med. Chem. 2015, 89, 340-348
【非特許文献42】Fullagar, J. L.; Garner, A. L.; Struss, A. K.; Day, J. A.; Martin, D. P.; Yu, J.; Cai, X.; Janda, K. D.; Cohen, S. M. Chem. Commun. 2013, 49, 3197-3199
【非特許文献43】Kany, A. M.; Sikandar, A.; Haupenthal, J.; Yahiaoui, S.; Maurer, C. K.; Proschak, E.; Koehnke, J.; Hartmann, R. W. ACS Infect. Dis. 2018, 4, 988-997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、緑膿菌病原性因子LasBの新規阻害剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般式(Ia)の化合物、
【0011】
又は、その薬学的に許容される塩、に関し、
【0012】
【化1】
【0013】
一般式(Ia)において、
【0014】
Xは、式-PO(OH)、-SH、-C(=O)-NH-OHの基、場合により置換されていてもよいトリアゾリル基、-SR、-PO(OH)(OR)又は-PO(OR)(OR)の基であり;
【0015】
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、又は場合により置換されていてもよいアラルキル基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基;又は一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-C(Me)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-Rの基であり;
【0016】
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
【0017】
は、一般式-COR3a又は-CON(R3bの基であり;ここで、R3aは、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり、R3bは、独立して、水素原子、又はアルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基若しくは場合により置換されていてもよいベンジル基から選択され;
【0018】
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
【0019】
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
【0020】
は、水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基若しくはヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
【0021】
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
【0022】
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
【0023】
1aは、水素原子であるか、又はRが一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基である場合、R1a及びRは一緒になって、式-(CH-若しくは-(CH-の基であり得る。
【0024】
本発明はさらに、一般式(I)の化合物、
【0025】
又は、その薬学的に許容される塩、に関し、
【0026】
【化2】
【0027】
一般式(I)において、
【0028】
Xは、式-PO(OH)、-SH、-C(=O)-NH-OHの基、場合により置換されていてもよいトリアゾリル基、-SR、-PO(OH)(OR)又は-PO(OR)(OR)の基であり;
【0029】
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、又は場合により置換されていてもよいアラルキル基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基;又は一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-C(Me)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-CH-C(=O)-NH-Rの基、又は一般式-CH(R)-Rの基であり;
【0030】
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
【0031】
は、一般式-COR3a又は-CON(R3bの基であり;ここで、R3aは、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり、R3bは、独立して、水素原子、又はアルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基若しくは場合により置換されていてもよいベンジル基から選択され;
【0032】
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
【0033】
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
【0034】
は、水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基若しくはヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
【0035】
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基であり;
【0036】
は、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、場合により置換されていてもよいアラルキル基又は場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基である。
【0037】
好ましくは、Xは、式-PO(OH)、-SH、-C(=O)-NH-OHの基、又はトリアゾリル基である。
【0038】
本発明はさらに、一般式(I)の化合物、
【0039】
又は、その薬学的に許容される塩、に関し、
【0040】
【化3】
【0041】
一般式(I)において、
【0042】
Xは、式-SH、-PO(OH)、-SR、-PO(OH)(OR)又は-PO(OR)(OR)の基であり;
【0043】
は、場合により置換されていてもよいアリール基又は場合により置換されていてもよいヘテロアリール基であり;
【0044】
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;
【0045】
は、一般式-COR3a又は-CON(R3bの基であり;ここで、R3aは、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり、R3bは、独立して、水素原子、又はアルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基若しくは場合により置換されていてもよいベンジル基から選択され;
【0046】
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
【0047】
は、アルキル基、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいベンジル基である。
【0048】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(II)の化合物、
【0049】
又は、その薬学的に許容される塩、に関し、
【0050】
【化4】
【0051】
一般式(II)において、R及びRは、上記又は下記で定義される通りである。
【0052】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(II)の化合物、
又は、その薬学的に許容される塩、に関し、
【0053】
【化5】
【0054】
一般式(II)において、
【0055】
は、場合により置換されていてもよいアリール基又は場合により置換されていてもよいヘテロアリール基であり;
【0056】
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよい。
【0057】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(III)の化合物、
【0058】
又は、その薬学的に許容される塩、に関し、
【0059】
【化6】
【0060】
一般式(III)において、R及びRは、上記又は下記で定義される通りである。
【0061】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(III)の化合物、
又は、その薬学的に許容される塩、に関し、
【0062】
【化7】
【0063】
一般式(III)において、
【0064】
は、場合により置換されていてもよいアリール基又は場合により置換されていてもよいヘテロアリール基であり;
【0065】
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよい。
【0066】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(IV)の化合物、
又は、その薬学的に許容される塩、に関し、
【0067】
【化8】
【0068】
一般式(IV)において、R及びRは、上記又は下記で定義される通りである。
【0069】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(V)の化合物、
又は、その薬学的に許容される塩、に関し、
【0070】
【化9】
【0071】
一般式(V)において、R及びRは、上記又は下記で定義される通りである。
【0072】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(VI)の化合物、
又は、その薬学的に許容される塩、に関し、
【0073】
【化10】
【0074】
一般式(VI)において、R及びRは、上記又は下記で定義される通りである。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下の好ましい実施形態は、一般式(I)、(Ia)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物に独立して適用される。
【0076】
好ましくは、Rは、場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、又は場合により置換されていてもよいアラルキル基若しくは場合により置換されていてもよいヘテロアラルキル基である。
【0077】
さらに好ましくは、Rは、場合により置換されていてもよいアリール基又は場合により置換されていてもよいヘテロアリール基である。
【0078】
さらに好ましくは、Rは、場合により置換されていてもよいフェニル基、場合により置換されていてもよいナフチル基、又は1若しくは2個の環並びにC、O、N及びSから選択される5~10個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリール基である。
【0079】
特に好ましくは、Rは、場合により置換されていてもよいフェニル基、又は1若しくは2個の環並びにC、O、N及びSから選択される5、6、9若しくは10個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリール基である。
【0080】
さらに好ましくは、Rは、C、O、N及びSから選択される5又は6個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリール基である。
【0081】
より好ましくは、Rは、場合により置換されていてもよいフェニル基である。
【0082】
さらに好ましくは、Rは、一般式-Cy-L-Cyの基であり、ここで、Cyは、1若しくは2個の環及び3~7個の炭素環構成原子を含む場合により置換されていてもよいシクロアルキレン基、1若しくは2個の環並びにC、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキレン基、場合により置換されていてもよいフェニレン基、又はC、N、O及びSから選択される5若しくは6個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリーレン基であり;Cyは、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり、これらはすべて場合により置換されていてもよく;Lは、結合、又は-O-、-S-、-NH-、-CH-、-CO-、-NHCO-、-CO-NH-、-CH-CO-NH-、-NH-CO-CH-、-CH-O-CO-NH-、-NH-CO-O-CH-、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-NHSO-、-SONH-、-CH-SO-NH-、-NH-SO-CH-、-S-CH-、-CH-S-、-NH-CH-、-CH-NH-、-O-CH-若しくは-CH-O-である。
【0083】
好ましくは、Cyは、場合により置換されていてもよいフェニル基、場合により置換されていてもよいビフェニル基、場合により置換されていてもよいナフチル基、1若しくは2個の環並びにC、O、N及びSから選択される5、6、9若しくは10個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロアリール基、3~7個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいシクロアルキル基、C、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、C、N、S及びOから選択される9若しくは10個の環構成原子を含む場合により置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアリール基、又は式-CH(CHPh)Phの基である。
【0084】
さらに好ましくは、Lは、結合、又は-NHCO-、-CO-NH-、-CH-CO-NH-、-NH-CO-CH-、-NHSO-若しくは-SONH-である。
【0085】
さらに好ましくは、Cyは、1,4-フェニレン基である。
【0086】
さらに好ましくは、Rは、一般式-CH(R)-C(=O)-NH-Rの基である。
【0087】
さらに好ましくは、Rは、一般式-CH(R)-Rの基である。
【0088】
さらに好ましくは、Rは、水素原子、又はC1~6アルキル基、C3~7シクロアルキル基、C、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含むヘテロシクロアルキル基、フェニル基、又はC、N、S及びOから選択される5若しくは6個の環構成原子を含むヘテロアリール基、又は一般式-CH-R6aの基であり、ここで、R6aは、C3~7シクロアルキル基、C、N、O及びSから選択される3~7個の環構成原子を含むヘテロシクロアルキル基、フェニル基、又はC、N、S及びOから選択される5若しくは6個の環構成原子を含むヘテロアリール基である。
【0089】
特に好ましくは、Rは、-CH(CH基である。
【0090】
さらに好ましくは、Rは、場合により置換されていてもよいフェニル基又は場合により置換されていてもよいC3~7シクロアルキル基であり;特に場合により置換されていてもよいフェニル基である。
【0091】
さらに好ましくは、Rは、場合により置換されていてもよいベンズイミダゾール基又は場合により置換されていてもよいトリアゾール基又は場合により置換されていてもよいイミダゾール基である。
【0092】
さらに好ましくは、Rは、以下の一般式の基であり:
【0093】
【化11】
【0094】
ここで、各「.....」は互いに独立して、単結合又は二重結合を示し、各環中の少なくとも1つの「.....」は、二重結合であり;
及びAは、それぞれ互いに独立して、CH、N、NH、O又はSを示し;
Bは、RB1又は一般式-Y-RB2の基であり、ここで、
B1は、水素原子、ハロゲン原子、CN、CF、CH-OH;NRT1T2;又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基若しくはヘテロアラルキル基であり、これらの基はすべて場合により置換されていてもよく:
T1及びRT2は、それぞれ互いに独立して、水素原子又は(C~C)アルキル基を示し、これは、ハロゲン原子、OH、=O及びNHから選択される1個以上の同一の又は異なる基で置換されていてもよく;
Yは、-O-又は-S-であり;
B2は、水素原子、又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基若しくはヘテロアラルキル基であり、これらの基はすべて場合により置換されていてもよい。
【0095】
さらに好ましくは、Rは、以下の一般式の基であり:
【0096】
【化12】
【0097】
ここで、各「.....」は互いに独立して、単結合又は二重結合を示し、少なくとも1つの「.....」は、二重結合であり;
及びCは、それぞれ互いに独立して、C又はNを示し;
、C及びCは、それぞれ互いに独立して、CH、N、NH、O又はSを示し;
Dは、場合により置換されていてもよいアリール基又は場合により置換されていてもよいヘテロアリール基である(特に好ましくは、Dは場合により置換されていてもよいフェニル基である)。
【0098】
さらに好ましくは、RはC1~6アルキル基;1~6個の炭素原子並びにO、S及びNから選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むヘテロアルキル基;C4~10アルキルシクロアルキル基;又はC7~12アラルキル基であり;これらはすべて場合により置換されていてもよい。
【0099】
特に好ましくは、Rは、C1~6アルキル基;1~6個の炭素原子並びにO、S及びNから選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むヘテロアルキル基;又は一般式-CH-R21の基であり、ここで、R21は、C3~7シクロアルキル基、COOH、COOMe又は場合により置換されていてもよいフェニル基である。
【0100】
さらに、特に好ましくは、Rは、C1-4アルキル基;又は一般式-CH-R21の基であり、ここで、R21は、C3~6シクロアルキル基、OMe、COOH、COOMe又は場合により置換されていてもよいフェニル基である。好ましくは、R21は、非置換であるか、又はOH、NO及びMeから独立して選択される1若しくは2個の置換基で置換されたフェニル基であり;さらに好ましくは、R21は、非置換のフェニル基である。
【0101】
より好ましくは、Rは、場合により置換されていてもよいベンジル基(すなわち、場合により置換されていてもよい式-CH-Phの基)である。さらに好ましくは、Rは、非置換のベンジル基である。
【0102】
さらに好ましくは、Rは、iso-ブチル基(すなわち、式-CHCH(CHの基)である。
【0103】
「場合により置換されていてもよい」という用語は、非置換であるか、又は1個以上の(特に、1、2若しくは3個;好ましくは、1若しくは2個)置換基によって置換された基を指す。
【0104】
基R及び/又は基Rが1個より多い置換基を含む場合、これらの置換基は独立して選択され、すなわち、これらは同じであっても異なっていてもよい。
【0105】
基R及び/又は基Rがシクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基などの環式基で置換されている場合、この環式基は、単結合若しくは二重結合を介して基R及び/若しくは基Rに結合していてもよく、又はこの環式基は、基R及び/若しくは基Rに環化若しくは縮合していてもよい。イサチン(Isatin)は、置換フェニル基の一例である。
【0106】
置換基の例は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、並びにOH基、SH基、NH基、-SOH基、-SONH基、-COOH基、-COOMe基、-COMe(Ac)基、-NHSOMe基、-SONMe基、-CHNH基、-NHAc基、-SOMe基、-CONH基、-CN基、-NHCONH基、-NHC(NH)NH基、-NOHCH基、-N基及び-NO基である。置換基のさらなる例は、C~C10アルキル基、C~C10アルケニル基、C~C10アルキニル基、C~C10ヘテロアルキル基、C~C18シクロアルキル基、C~C17ヘテロシクロアルキル基、C~C20アルキルシクロアルキル基、C~C19ヘテロアルキルシクロアルキル基、C~C18アリール基、C~C17ヘテロアリール基、C~C20アラルキル基及びC~C19ヘテロアラルキル基;特に、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cヘテロアルキル基、C~C10シクロアルキル基、C~Cヘテロシクロアルキル基、C-C12アルキルシクロアルキル基、C~C11ヘテロアルキルシクロアルキル基、C~C10アリール基、C~Cヘテロアリール基、C~C12アラルキル基及びC~C11ヘテロアラルキル基、さらに好ましくはC~Cアルキル基及びC~Cヘテロアルキル基である。
【0107】
好ましい置換基は、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、並びに式-OH、-O-C1~6アルキル(例えば、-OMe、-OEt、-O-Pr、-O-Pr、-O-Bu、-O-Bu及び-O-Bu)、-NH、-NHC1~6アルキル、-N(C1~6アルキル)、-COOH、-COOMe、-COMe、-COCF、-NHSOMe、-SONMe、-SOH、-SONH、-CONH、-CHNH、-CN、-C1~6アルキル(例えば、-Me、-Et、-Pr、-Pr、-Bu、-Bu、-Bu及び-CF)、-SH、-S-CO-C1~6アルキル、-S-C1~6アルキル、-NHAc、-NO、-C≡CH、-NHCONH、-SOMe、-SOCF、フェニル、-C3~6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル)及びC、N、S及びOから選択される3~6個の環構成原子を含むヘテロシクロアルキルの基である。
【0108】
さらに好ましい置換基は、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br)並びに式-OH、-O-C1~6アルキル(例えば、-OMe、-OEt、-O-Pr、-O-Pr、-O-Bu、-O-Bu及び-O-Bu)、-NH、-NHC1~6アルキル、-N(C1~6アルキル)、-COOH、-COOMe、-COMe、-NHSOMe、-SONMe、-SOH、-SONH、-CONH、-CHNH、-CN、-C1~6アルキル(例えば、-Me、-Et、-Pr、-Pr、-Bu、-Bu、-Bu及び-CF)、-SH、-S-CO-C1~6アルキル、-S-C1~6アルキル、-NHAc、-NO、-C≡CH、-NHCONH、-SOMe及びシクロプロピルの基である。
【0109】
置換基は、特に好ましくは、ハロゲン(特にF及びCl)、-Me、-CF、-OMe、-OH、-COOH、-CONH、-COOMe、-COMe及び-NOから独立して選択される。
【0110】
置換基は、さらに特に好ましくは、ハロゲン(特にF及びCl)、-Me、-CF、-OMe、-OH、-COOH、-COOMe、-COMe及び-NOから独立して選択される。
【0111】
本発明の最も好ましい化合物は、実施例に開示される化合物又はその塩である。
【0112】
本発明の好ましい実施形態を任意の所望の様式で組み合わせることがさらに好ましい(例えば、Rの任意の実施形態はRの任意の実施形態と組み合わせることができる)。
【0113】
例えば「フェニレン」のような接尾辞「-エン」は、対応する二価の基を指す。
【0114】
アルキルという表現は、1~20個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、特に1~10個(例えば、1、2、3又は4個)の炭素原子を含む飽和の直鎖又は分岐炭化水素基、例えばメチル(Me、CH)基、エチル(Et)基、-プロピル(Pr)基、iso-プロピル(Pr)基、-ブチル(Bu)基、iso-ブチル(Bu)基、sec-ブチル(Bu)基、tert-ブチル(Bu)基、-ペンチル基、iso-ペンチル基、-ヘキシル基、2,2-ジメチルブチル基又は-オクチル基を指す。
【0115】
特に好ましいアルキル基は、C1~6アルキル基であり;さらに好ましいアルキル基は、C1~4アルキル基である。
【0116】
1~6アルキルという表現は、1~6個の炭素原子を含む飽和の直鎖又は分岐炭化水素基を指す。C1~4アルキルという表現は、1~4個の炭素原子を含む飽和の直鎖又は分岐炭化水素基を指す。例は、メチル基、エチル基、-プロピル基、iso-プロピル基、-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基又はtert-ブチル基である。
【0117】
アルケニル及びアルキニルという表現は、2~20個の炭素原子、好ましくは2~15個の炭素原子、特に2~10個(例えば、2、3又は4個)の炭素原子を含む少なくとも部分的に不飽和の直鎖又は分岐炭化水素基、例えばエテニル(ビニル)基、プロペニル(アリル)基、イソプロペニル基、ブテニル基、エチニル(アセチレニル)基、プロピニル基(例えばプロパルギル基)、ブチニル基、イソプレニル基又はヘキサ-2-エニル基を指す。好ましくは、アルケニル基は、1又は2個(特に好ましくは1個)の二重結合を有し、アルキニル基は、1又は2個(特に好ましくは1個)の三重結合を有する。
【0118】
さらに、アルキル、アルケニル及びアルキニルという用語は、1個以上の水素原子がハロゲン原子(好ましくはF又はCl)で置き換えられた基、例えば2,2,2-トリクロロエチル又はトリフルオロメチル基を指す。
【0119】
ヘテロアルキルという表現は、1個以上(好ましくは1~8個;特に好ましくは1、2、3又は4個)の炭素原子が、酸素原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、セレン原子、ケイ素原子若しくは硫黄原子で(好ましくは酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子で)又はSO若しくはSO基で置き換えられたアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を指す。ヘテロアルキルという表現はさらに、カルボン酸又はカルボン酸から誘導された基、例えばアシル基、アシルアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルオキシアルキル基、カルボキシアルキルアミド基又はアルコキシカルボニルオキシ基を指す。さらに、ヘテロアルキルという用語は、1個以上の水素原子がハロゲン原子(好ましくはF又はCl)で置き換えられた基を指す。
【0120】
好ましくは、ヘテロアルキル基は、1~12個の炭素原子と、酸素、窒素及び硫黄(特に酸素及び窒素)から選択される1~8個のヘテロ原子とを含む。特に好ましくは、ヘテロアルキル基は、1~6個(例えば1、2、3又は4個)の炭素原子と、酸素、窒素及び硫黄(特に酸素及び窒素)から選択される1、2、3又は4個(特に1、2又は3個)のヘテロ原子とを含む。C~C10ヘテロアルキルという用語は、1~10個の炭素原子と、O、S及び/又はN(特にO及び/又はN)から選択される1、2、3、4、5又は6個のヘテロ原子とを含むヘテロアルキル基を指す。C~Cヘテロアルキルという用語は、1~6個の炭素原子と、O、S及び/又はN(特にO及び/又はN)から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子とを含むヘテロアルキル基を指す。C~Cヘテロアルキルという用語は、1~4個の炭素原子と、O、S及び/又はN(特にO及び/又はN)から選択される1、2又は3個のヘテロ原子とを含むヘテロアルキル基を指す。
【0121】
さらに好ましくは、ヘテロアルキルという表現は、1個以上(好ましくは1~6;特に好ましくは1、2、3又は4個)の炭素原子が酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子又はCO基若しくはSO基若しくはSO基で置き換えられた、上記で定義されたアルキル基(直鎖又は分岐)を指し;この基は、好ましくは、1~6個(例えば、1、2、3又は4個)の炭素原子と、酸素、窒素及び硫黄(特に酸素及び窒素)から選択される1、2、3又は4個(特に1、2又は3個)のヘテロ原子とを含み;この基は、好ましくは、1個以上の(好ましくは1~6個;特に好ましくは1、2、3又は4個)のフッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素原子又はOH基、=O基、SH基、=S基、NH基、=NH基、N基、CN基若しくはNO基で置換されていてもよい。
【0122】
ヘテロアルキル基の例は、一般式:R-O-Y-、R-S-Y-、R-SO-Y-、R-SO-Y-、R-N(R)-SO-Y-、R-SO-N(R)-Y-、R-N(R)-Y-、R-CO-Y-、R-O-CO-Y-、R-CO-O-Y-、R-CO-N(R)-Y-、R-N(R)-CO-Y-、R-O-CO-N(R)-Y-、R-N(R)-CO-O-Y-、R-N(R)-CO-N(R)-Y-、R-O-CO-O-Y-、R-N(R)-C(=NR)-N(R)-Y-、R-CS-Y-、R-O-CS-Y-、R-CS-O-Y-、R-CS-N(R)-Y-、R-N(R)-CS-Y-、R-O-CS-N(R)-Y-、R-N(R)-CS-O-Y-、R-N(R)-CS-N(R)-Y-、R-O-CS-O-Y-、R-S-CO-Y-、R-CO-S-Y-、R-S-CO-N(R)-Y-、R-N(R)-CO-S-Y-、R-S-CO-O-Y-、R-O-CO-S-Y-、R-S-CO-S-Y-、R-S-CS-Y-、R-CS-S-Y-、R-S-CS-N(R)-Y-、R-N(R)-CS-S-Y-、R-S-CS-O-Y-、R-O-CS-S-Y-の基であり、ここで、Rは水素原子、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基又はC~Cアルキニル基であり;Rは、水素原子、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基又はC~Cアルキニル基であり;Rは、水素原子、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基又はC~Cアルキニル基であり;Rは、水素原子、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基又はC~Cアルキニル基であり、Yは、結合、C~Cアルキレン基、C~Cアルケニレン基又はC~Cアルキニレン基であり、各ヘテロアルキル基は、少なくとも1個の炭素原子を含み、1個以上の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子で置き換えられていてもよい。
【0123】
ヘテロアルキル基の具体例は、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、-プロピルオキシ、iso-プロピルオキシ、-ブトキシ、tert-ブチルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、-CHCHOH、-CHOH、-SOMe、-NHAc、メトキシエチル、1-メトキシエチル、1-エトキシエチル、2-メトキシエチル若しくは2-エトキシエチル、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、イソプロピルエチルアミノ、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ジイソプロピルアミノエチル、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、エノールエーテル、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、アセチル、プロピオニル、ブチリルオキシ、アセチルオキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロピオニルオキシ、アセチルアミノ若しくはプロピオニルアミノ、カルボキシメチル、カルボキシエチル若しくはカルボキシプロピル、-エチル--メチル-カルバモイル又は-メチル-カルバモイルである。ヘテロアルキル基のさらなる例は、ニトリル(-CN)基、イソニトリル基、シアネート基、チオシアネート基、イソシアネート基、イソチオシアネート基及びアルキルニトリル基である。
【0124】
シクロアルキルという表現は、1個以上の環(好ましくは1又は2個)を含み、3~14個の環構成炭素原子、好ましくは3~10個(特に3、4、5、6又は7個)の環構成炭素原子を含む飽和又は部分的に不飽和(例えば、シクロアルケニル基)の環式基を指す。シクロアルキルという表現はさらに、1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子又はOH基、=O基、SH基、=S基、NH基、=NH基、N基若しくはNO基で置き換えられた基、したがって、例えばシクロヘキサノン、2-シクロヘキセノン又はシクロペンタノンなどの環式ケトンを指す。シクロアルキル基のさらなる具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、スピロ[4,5]デカニル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基、シクロヘキサジエニル基、デカリニル基、ビシクロ[4.3.0]ノニル基、テトラリン基、シクロペンチルシクロヘキシル基、フルオロシクロヘキシル基又はシクロヘキサ-2-エニル基である。好ましくは、シクロアルキルという表現は、1個以上(好ましくは1又は2個)の環を含み、3~14個の環構成炭素原子、好ましくは3~10個(特に3、4、5、6又は7個)の環構成炭素原子を含む飽和環式基を指す。
【0125】
ヘテロシクロアルキルという表現は、1個以上(好ましくは1、2又は3個)の環構成炭素原子が酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、セレン原子、リン原子若しくは硫黄原子で(好ましくは酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子で)又はSO基若しくはSO基で置き換えられた上記で定義されたシクロアルキル基を指す。ヘテロシクロアルキル基は、好ましくは1又は2個の環及び3~10個(特に3、4、5、6又は7個)の(好ましくは、C、O、N及びSから選択される)環構成原子を有する。ヘテロシクロアルキルという表現はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子又はOH基、=O基、SH基、=S基、NH基、=NH基、N基若しくはNO基で置換された基を指す。例は、ピペリジル基、プロリニル基、イミダゾリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基(例えば、-N(CHCHO)、ウロトロピニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロチオフェニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフリル基又は2-ピラゾリニル基、並びにラクタム類、ラクトン類、環式イミド類及び環式無水物類である。
【0126】
アルキルシクロアルキルという表現は、上記の定義によるシクロアルキル基、及びアルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基の両方を含む基、例えばアルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキルシクロアルケニル基、アルケニルシクロアルキル基及びアルキニルシクロアルキル基を指す。アルキルシクロアルキル基は、好ましくは、1又は2個の環及び3~10個(特に3、4、5、6又は7個)の環構成炭素原子を含むシクロアルキル基、並びに1又は2~6個の炭素原子を有する1又は2個のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基(特にアルキル基)を含む。
【0127】
ヘテロアルキルシクロアルキルという表現は、1個以上(好ましくは1、2又は3個)の炭素原子が酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、セレン原子、リン原子若しくは硫黄原子で(好ましくは酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子で)又はSO基若しくはSO基で置き換えられた上記で定義されたアルキルシクロアルキル基を指す。ヘテロアルキルシクロアルキル基は、好ましくは、3~10個(特に3、4、5、6又は7個)の環構成原子を有する1又は2個の環と、1又は2~6個の炭素原子を有する1又は2個のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はヘテロアルキル基(特にアルキル基又はヘテロアルキル基)とを含む。そのような基の例は、アルキルヘテロシクロアルキル基、アルキルヘテロシクロアルケニル基、アルケニルヘテロシクロアルキル基、アルキニルヘテロシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルヘテロシクロアルキル基及びヘテロアルキルヘテロシクロアルケニル基であり、環式基は、飽和又はモノ-、ジ-若しくはトリ-不飽和である。
【0128】
アリールという表現は、1個以上の環及び6~14個の環構成炭素原子、好ましくは6~10個(特に6個)の環構成炭素原子を含む芳香族基を指す。アリールという表現はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子によって、又はOH基、SH基、NH基、N基若しくはNO基によって置換された基を指す。例は、フェニル(Ph)基、ナフチル基、ビフェニル基、2-フルオロフェニル基、アニリニル基、3-ニトロフェニル基又は4-ヒドロキシフェニル基である。
【0129】
ヘテロアリールという表現は、1個以上の環及び5~14個の環構成原子、好ましくは5~10個(特に5又は6又は9又は10個)の環構成原子を含み、1個以上(好ましくは1、2、3又は4個)の酸素、窒素、リン又は硫黄環構成原子(好ましくはO、S又はN)を含む芳香族基を指す。ヘテロアリールという表現はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子によって、又はOH基、SH基、N基、NH基若しくはNO基によって置換された基を指す。例は、ピリジル基(例えば、4-ピリジル)、イミダゾリル基(例えば、2-イミダゾリル)、フェニルピロリル基(例えば、3-フェニルピロリル)、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、インドリル基、インダゾリル基、テトラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、4-ヒドロキシピリジル(4-ピリドニル)基、3,4-ヒドロキシピリジル(3,4-ピリドニル)基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イソオキサゾリル基、インダゾリル基、インド-リル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ベンズチアゾリル基、ピリダジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピロリル基、プリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、ピリミジル基、2,3’-ビフリル基、ピラゾリル基(例えば、3-ピラゾリル基)及びイソキノリニル基である。
【0130】
アラルキルという表現は、上記の定義によるアリール基、並びにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及び/若しくはシクロアルキル基の両方を含む基、例えば、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールシクロアルキル基、アリールシクロアルケニル基、アルキルアリールシクロアルキル基及びアルキルアリールシクロアルケニル基を指す。アラルキルの具体例は、フェニルシクロペンチル、シクロヘキシルフェニル並びにトルエン、キシレン、メシチレン、スチレン、塩化ベンジル、-フルオロトルエン、1-インデン、テトラリン、ジヒドロナフタレン、インダノン、クメン、フルオレン及びインダンから誘導される基である。アラルキル基は、好ましくは、6~10個の炭素原子、並びに1又は2~6個の炭素原子を含む1若しくは2個のアルキル基、アルケニル基及び/若しくはアルキニル基、並びに/又は3、4、5、6又は7個の環構成炭素原子を含むシクロアルキル基をそれぞれが含む1又は2個の芳香環系(特に1又は2個の環)を含む。
【0131】
ヘテロアラルキルという表現は、上記の定義によるアリール基及び/若しくはヘテロアリール基、並びにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及び/若しくはヘテロアルキル基及び/若しくはシクロアルキル基及び/若しくはヘテロシクロアルキル基の両方を含む基を指す。ヘテロアラルキル基は、好ましくは、5又は6~9又は10個の(好ましくは、C、N、O及びSから選択される)環構成原子と、1又は2~6個の炭素原子を含む1若しくは2個のアルキル基、アルケニル基及び/若しくはアルキニル基、並びに/又は1~6個の炭素原子並びにO、S及びNから選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む1若しくは2個のヘテロアルキル基、並びに/又は3、4、5、6又は7個の環構成炭素原子をそれぞれが含む1若しくは2個のシクロアルキル基、並びに/又は1、2、3又は4個の酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む3、4、5、6又は7個の環構成原子をそれぞれが含む1若しくは2個のヘテロシクロアルキル基とを含む、1又は2個の芳香環系(特に1又は2個の環)を含む。
【0132】
例は、アリールヘテロアルキル基、アリールヘテロシクロアルキル基、アリールヘテロシクロアルケニル基、アリールアルキルヘテロシクロアルキル基、アリールアルケニルヘテロシクロアルキル基、アリールアルキニルヘテロシクロアルキル基、アリールアルキルヘテロシクロアルケニル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロアリールアルケニル基、ヘテロアリールアルキニル基、ヘテロアリールヘテロアルキル基、ヘテロアリールシクロアルキル基、ヘテロアリールシクロアルケニル基、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル基、ヘテロアリールアルキルシクロアルキル基、ヘテロアリールアルキルヘテロシクロアルケニル基、ヘテロアリールヘテロアルキルシクロアルキル基、ヘテロアリールヘテロアルキルシクロアルケニル基及びヘテロアリールヘテロアルキルヘテロシクロアルキル基であり、環式基は飽和又はモノ-、ジ-若しくはトリ-不飽和である。具体例は、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾイル、フタリジル、2-若しくは3-エチルインドリル、4-メチルピリジノ、2-、3-若しくは4-メトキシフェニル、4-エトキシフェニル、2-、3-若しくは4-カルボキシフェニルアルキル基である。
【0133】
既に上記で述べたように、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヘテロアルキルシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル及びヘテロアラルキルという表現はまた、フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子によって、又はOH基、=O基、SH基、=S基、NH基、=NH基、N基若しくはNO基によって置換された基を指す。
【0134】
ハロゲンという用語は、F、Cl、Br又はIを指す。
【0135】
アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基が1個より多い環を含む場合、これらの環は、単結合又は二重結合を介して互いに結合していてもよく、又はこれらの環は、環化又は縮合又は架橋されていてもよい。
【0136】
それらの置換のために、本発明の化合物は、1個以上のキラリティ中心を含み得る。したがって、本発明は、すべての純粋なエナンチオマー及びすべての純粋なジアステレオマーの両方、並びに任意の混合比のそれらの混合物も含む。本発明はさらに、本発明の化合物のすべてのシス/トランス異性体及びそれらの混合物も含む。本発明はさらに、本発明の化合物のすべての互変異性形態を含む。
【0137】
本発明はさらに、本明細書に記載の1つ以上の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を、場合により1つ以上の担体物質及び/又は1つ以上のアジュバントと組み合わせて含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、さらなる抗菌化合物を含有してもよい。
【0138】
本発明の化合物又は医薬組成物は、さらなる抗菌化合物と組み合わせて投与され得る。
【0139】
本発明はさらに、特に緑膿菌によって引き起こされる、細菌感染症の治療に使用するための本明細書に記載の化合物又は医薬組成物を提供する。
【0140】
本発明はさらに、特に緑膿菌によって引き起こされる、細菌感染症の治療に使用するための医薬を調製するための本明細書に記載の化合物又は本明細書に定義の医薬組成物を提供する。
【0141】
十分に塩基性の化合物の薬学的に許容される塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸のような生理学的に許容される鉱酸の塩;又はメタンスルホン酸、-トルエンスルホン酸、乳酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸及びサリチル酸のような有機酸の塩である。さらに、十分に酸性の化合物は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩若しくはマグネシウム塩;アンモニウム塩;又は有機塩基塩、例えばメチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、エタノールアミン塩、水酸化コリン塩、メグルミン塩、ピペリジン塩、モルホリン塩、トリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン塩、リジン塩若しくはアルギニン塩を形成してもよく、これらはすべて、本明細書に記載の化合物の塩のさらなる例でもある。
【0142】
本明細書に記載の化合物は、溶媒和されていてもよく、特に水和されていてもよい。溶媒和/水和は、製造プロセス中に、又は最初は水を含まない化合物の吸湿性の結果として起こり得る。溶媒和物及び/又は水和物は、例えば、固体又は液体の形態で存在し得る。
【0143】
本明細書に記載の化合物、それらの薬学的に許容される塩、溶媒和物及び水和物、並びに製剤及び医薬組成物の治療的使用も本発明の範囲内である。
【0144】
一般に、本明細書に記載の化合物及び医薬組成物は、当技術分野で公知の確立された許容され得る様式を使用して投与される。
【0145】
経口投与の場合、そのような治療的に有用な剤は、以下の経路の1つによって投与することができる:経口、例えば錠剤、糖衣錠、コーティング錠、丸剤、半固体、軟若しくは硬カプセル、例えば軟及び硬ゼラチンカプセル、水性若しくは油性溶液、乳剤、懸濁剤又はシロップとして、非経口、例えば静脈内、筋肉内及び皮下注射など、例えば注射用溶液又は懸濁剤として、坐剤として直腸に、吸入又は吹入によって、例えば粉末製剤として、微結晶として、又は噴霧剤(例えば液体エアロゾル)として、経皮、例えば活性成分を含有する膏薬などの経皮薬物送達システム(TDDS)、又は鼻腔内。そのような錠剤、丸剤、半固体、コーティング錠、糖衣錠及び硬質、例えばゼラチン、カプセルの製造のために、治療的に有用な製品は、例えばラクトース、スクロース、グルコース、ゼラチン、麦芽、シリカゲル、デンプン若しくはそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸若しくはそれらの塩、乾燥スキムミルクなどのような薬学的に不活性な無機又は有機賦形剤と混合され得る。軟カプセルの製造のために、例えば、植物油、石油、動物油若しくは合成油、ワックス、脂肪及びポリオールのような賦形剤を使用することができる。液体溶液、乳剤若しくは懸濁剤若しくはシロップの製造のために、賦形剤、例えば水、アルコール、食塩水、デキストロース水溶液、ポリオール、グリセリン、脂質、リン脂質、シクロデキストリン、植物油、石油、動物油若しくは合成油を使用することができる。脂質が特に好ましく、好ましくはリン酸緩衝食塩水(pH=7~8、好ましくは7.4)中のリン脂質(天然起源のものが好ましい;300~350nmの粒径を有することが特に好ましい)がより好ましい。坐剤の場合、例えば、植物油、石油、動物油若しくは合成油、ワックス、脂肪及びポリオールのような賦形剤を使用することができる。エアロゾル製剤の場合、この目的に適した圧縮ガス、例えば酸素、窒素及び二酸化炭素を使用することができる。薬学的に有用な剤はまた、保存、安定化のための添加剤、例えばUV安定剤、乳化剤、甘味料、芳香剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、コーティング添加剤及び酸化防止剤を含有し得る。
【0146】
一般に、体重約80kgの成人への経口投与又は非経口投与の場合、約1mg~約10,000mg、好ましくは約5mg~約1,000mgの1日投与量が適切であるべきだが、指示された場合、上限を超えてもよい。1日投与量は、単回用量若しくは分割用量として投与することができ、又は非経口投与の場合、持続注入若しくは皮下注射として投与することができる。
【0147】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、対象の緑膿菌病原性因子LasBを阻害する方法であって、有効量の一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0148】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、細菌感染症を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量の一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0149】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、細菌感染症を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0150】
グラム陽性病原体クロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium histolyticum)(近年、ハゼワヤ・ヒストリチカ(Hathewaya histolytica)と改名されている)、C.テタニ(C. tetani)及びバチルス・セレウス(Bacillus cereus)は、病原性因子としてコラゲナーゼColH及びColG(クロストリジウム・ヒストリチクム)、ColT(C.テタニ)及びColQ1(B.セレウス株Q1)を産生し、これらは、これらの細菌に由来する感染症の治療のための魅力的な標的である(Schoenauer, E.; Kany, A. M.; Haupenthal, J.; Huesecken, K.; Hoppe, I. J.; Voos, K.; Yahiaoui, S.; Elsaesser, B.; Ducho, C.; Brandstetter, H.; Hartmann, R. W. J. Am. Chem. Soc. 2017, 139, 12696-12703)。本発明の化合物はまた、これらのコラゲナーゼの強力な阻害剤である。
【実施例
【0151】
I.一般手順:
【0152】
スキーム1:α-置換--アリールメルカプトアセトアミド及びα-置換--ヘテロアリールメルカプトアセトアミドの合成
【0153】
【化13】
【0154】
(a)亜硝酸ナトリウム、6M HCl、-5℃~室温、(b)EDC・HCl、DCM、室温又はClCOEt、EtN、THF、室温;(c)チオ酢酸カリウム、アセトン、室温;(d)NaOH、MeOH、室温
【0155】
一般手順A:2-クロロアルカン酸(1)の合成
アミノ酸(1.0当量)を窒素雰囲気下で6M塩酸(2mL/mmol又は大部分が溶解するまで)に溶解し、-5℃に冷却した。亜硝酸ナトリウム(3.5当量)を水(0.3mL/mmolアミノ酸)に溶解し、ゆっくり滴加した。混合物を室温に加温しながら一晩撹拌した。反応混合物をEtOAc/THF(3:1、3倍)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過した。溶媒を減圧下で除去して粗生成物を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0156】
一般手順B-1:N-アリール-2-ハロ-2-アルキルアセトアミド誘導体(3)の合成
2-ハロアルカン酸(1.2当量)(粗生成物としての2-クロロアルカン酸(1)又は市販の2-ブロモアルカン酸(2))及びEDC・HCl(1.2当量)を、対応するアニリン(1.0当量)のDCM溶液に添加した。得られた混合物を、出発物質のアニリンが消費されるまで(TLC又はLC-MSによって監視)室温で撹拌した。得られた溶液を1M HCl及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物をさらに精製することなく次の工程に使用するか、又はカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。
【0157】
一般手順B-2:N-ヘテロアリール-2-ハロ-2-アルキルアセトアミド誘導体(3)の合成
2-ハロアルカン酸(1.0当量)(粗生成物としての2-クロロアルカン酸(1)又は市販の2-ブロモアルカン酸(2))をTHFに溶解した。EtN(1.0当量)をこの溶液に室温で添加し、続いてクロロギ酸エチル(1.1当量)を滴加した。対応する複素環式アミン(0.8当量)の溶液をTHFに溶解し、この混合物に滴加した。反応物を室温で一晩撹拌した。THFを蒸発させ、粗固体をDCMに溶解し、溶液をKHCO水溶液(10%wt)及び水で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0158】
一般手順C:N-アリール-2-チオアセチル-2-アルキルアセトアミド誘導体及びN-ヘテロアリール-2-チオアセチル-2-アルキルアセトアミド誘導体(4)の合成
-アリール-2-ハロ-2-アルキルアセトアミド誘導体又は-ヘテロアリール-2-ハロ-2-アルキルアセトアミド誘導体(1.0当量)((3)精製又は粗)をアセトンに溶解し、チオ酢酸カリウム(2.0当量)を溶液に添加した。得られた混合物を、完全に変換するまで(TLC又はLC-MSによって監視)室温で撹拌した。真空下で濃縮した後、得られた残渣をHOで希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗残渣をカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。
【0159】
一般手順D:N-アリール-2-メルカプト-2-アルキルアセトアミド誘導体及びN-ヘテロアリール-2-メルカプト-2-アルキルアセトアミド誘導体(II)の合成
NaOH(3.0当量)を、アルゴン雰囲気下、化合物4(1.0当量)のMeOH溶液に添加した。反応物を室温で撹拌した。反応混合物を2M HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。得られた有機層を0.5M HCl溶液及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。複素環式誘導体の場合、HClの代わりに、Amberlite IR-120を用いてpHを酸性値に調整した。生成物を純粋なものとして得たか、又はカラムクロマトグラフィー若しくは分取HPLCを使用して精製した。
【0160】
スキーム2:ホスホン酸誘導体の合成
【0161】
【化14】
【0162】
(a)EDC・HCl、DCM、室温;(b)P(OEt)、無希釈、150℃;(c)i)TMSBr、DCM、室温;ii)MeOH、室温。
【0163】
一般手順E:ジエチルホスホネート誘導体(5)の合成
-アリール-2-ブロモ-2-アルキルアセトアミド誘導体(3)(1.0当量)を、亜リン酸トリエチル(10当量)に懸濁し、還流冷却器を装備し、150℃に加熱し、合計18時間撹拌した。未反応の亜リン酸トリエチルの大部分を真空中で蒸発させ、得られた油をカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0164】
一般手順F:ホスホン酸誘導体(III)の合成
ジエチルホスホネート(5)(1.0当量)の乾燥DCM溶液に、ブロモトリメチルシラン(5.0当量)を15分間かけて滴加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、MeOHを添加し、室温で30分間撹拌して、先に形成されたTMSエステルを切断した。溶媒を真空中で濃縮し、得られた油を分取HPLCによって精製した。
【0165】
スキーム3:α-ホスホン酸(2d)の合成
【0166】
【化15】
【0167】
(a)HBr、NaNO、HO、0℃~室温、2時間、定量的、(b)EtOH、触媒HSO、還流、2時間、81%、(c)P(OEt)、無希釈、150℃;48時間、44%、(d)NaOH、EtOH、0℃~室温、48時間、98%。
【0168】
2-ブロモ-4-メチルペンタン酸(2a)
10.5gのラセミ体ロイシン1(80.0mmol、1.0当量)を48% HBr(80mL)及び72mLの蒸留水に溶解した。混合物を0℃に冷却し、NaNO(8.82g、128.0mmol、1.6当量)の20mL蒸留水溶液を2時間にわたって滴加した。混合物を室温まで加温し、一晩撹拌した。その後、分液漏斗に移し、アセトン(4×100mL)で抽出した。合わせた有機層を蒸留水(400mL)及び飽和NaCl水溶液(400mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。化合物2a(15.06g、80.0mmol、定量的)を淡黄色液体として得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0169】
エチル2-ブロモ-4-メチルペンタノエート(2b)
α-ブロモ酸2a(15.06g、80.0mmol、1.0当量)に、濃硫酸(30μL/mmol)のエタノール(2mL/mmol)溶液を添加し、混合物を2時間還流した。その後、溶液を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。EtO(150mL)を添加し、有機層を飽和NaHCO水溶液(150mL)で洗浄し、続いて飽和NaCl水溶液(150mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。化合物2b(14.45g、64.7mmol、収率81%)を淡黄色液体として、さらに精製することなく次の工程に使用した。
【0170】
2-(ジエトキシホスホリル)-4-メチルペンタノエート(2c)
α-ブロモエステル2b(14.45g、64.7mmol、1.0当量)及びP(OEt)(22.41mL、129.4mmol、2.0当量)を混合し、48時間、150℃に加熱した。その後、混合物を室温まで冷却し、EtO(350mL)を添加した。混合物を分液漏斗に移し、飽和NaCl水溶液(2×350mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン/EtOAc 1:1)を使用して精製し、化合物2c(7.93g、28.3mmol、44%)を淡黄色油として得た。1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ ppm: 4.18-4.24 (m, 2H), 4.11-4.17 (m, 4H), 3.00-3.07 (m, 1H), 1.95-2.07 (m, 1H), 1.55-1.66 (m, 2H), 1.33 (dt, 6H, J = 2.3, 7.0 Hz), 1.28 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 0.92 (d, 3H, J = 6.1 Hz), 0.89 (d, 3H, J = 6.3 Hz). 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ ppm: 169.4 (d, J = 5.5 Hz), 62.7 (d, J = 6.4 Hz), 62.6 (d, J = 6.4 Hz), 61.3, 44.5, 43.4, 35.5 (d, J = 5.5 Hz), 26.9 (d, J = 14.7 Hz), 22.9, 21.2, 16.4 (d, J = 3.7 Hz), 16.3 (d, J = 3.7 Hz), 14.1. 31P NMR (CDCl3, 202 MHz) δ ppm: 23.4.
HRMS (ESI+) calculated for C12H26O5P [M+1]+ 281.1518, found: 281.1503.
【0171】
2-(ジエトキシホスホリル)-4-メチルペンタン酸(2d)
化合物2c(7.93g、28.3mmol、1.0当量)をEtOH(270mL)に溶解し、NaOH(2.15g、53.88mmol、2.0当量)蒸留HO(100mL)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。LC-MSを使用して進行を監視した。完了後、混合物を分液漏斗に移し、蒸留水(300mL)及びEtO(400mL)を添加し、層を分離した。HCl(6M)を使用して水層をpH=1に酸性化し、EtOAc(3×300mL)で抽出した。合わせたEtOAc層を飽和NaCl水溶液(2×500mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。化合物2d(6.63g、26.29mmol、98%)を淡黄色油として得、これをさらに精製することなく使用した。1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ ppm: 8.33 (br s, 2H), 4.13-4.25 (m, 4H), 3.07 (ddd, 1H, J = 3.1, 11.3, 23.0 Hz), 1.99 (dddd, 1H, J = 4.8, 8.5, 11.4, 13.5 Hz), 1.58-1.70 (m, 1H), 1.49-1.57 (m, 1H), 1.33 (dt, 6H, J = 2.7, 7.1 Hz), 0.92 (d, 3H, J = 6.6 Hz), 0.89 (d, 3H, J = 6.6 Hz). 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ ppm:171.9 (d, J = 3.7 Hz), 63.7 (d, J = 6.4 Hz), 62.9 (d, J = 6.4 Hz), 44.4, 43.4, 35.6 (d, J = 5.5 Hz), 26.8 (d, J = 13.8 Hz), 23.0, 21.2, 16.3 (d, J = 2.8 Hz), 16.2 (d, J = 2.8 Hz).31P NMR (CDCl3, 202 MHz) δ ppm: 24.3. HRMS (ESI+) calculated for C10H22O5P [M+1]+ 253.1205, found: 253.1191.
【0172】
スキーム4:二環式ホスホネートの合成
【0173】
【化16】
【0174】
(a)2d、EDC・HCl、DCM、室温又はTBTU、NMM、DCM(若しくはDMF)、0℃~室温;(b)TMSBr、DCM、室温;ii)MeOH、室温。
【0175】
一般手順G:ジエチルホスホネート誘導体(5a)の合成
アニリン(市販、又は文献、以下の一般手順G-1、G-2、G-3、G-4で与えられる実施例に見出すことができる従来のプロトコルに従って合成)(1.0当量)、2-(ジエトキシホスホリル)-4-メチルペンタン酸(2d)(1.2当量)及び-メチルモルホリン(2.5当量)をDCM又はDMFに溶解した。反応混合物を氷浴で冷却し、TBTU(1.5当量)を添加した。温度を30分間維持し、次いで室温まで加温した。別の代替経路として、TBTU/NMMの代わりに、EDC・HCl(2.0当量)、HOBt(2.0当量)及びDIPEA(2.5当量)を使用した。両方の場合において、反応混合物を一晩撹拌し、次いで、水及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物をさらに精製することなく次の工程に使用するか、又はカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。
【0176】
一般手順G-1:アミドリンカー(CONH及びCH CONH)を用いたアニリンの合成
対応するカルボン酸(1.2当量)をDCMに溶解し、EDC・HCl(1.2当量)を添加し、続いてtert-ブチル(4-アミノフェニル)カルバメート(1.0当量)を添加した。反応混合物を室温で撹拌した。沈殿物が形成された場合、それを濾過し、DCMで洗浄した。沈殿物が形成されなかった場合、出発材料の消費後、反応混合物を1M HCl(×2)及び飽和NaCl水溶液(×1)で洗浄し、カラムクロマトグラフィーで精製した。得られた生成物を0℃でDCM/TFA混合物(3:1)に懸濁した。次いで、混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。EtOAcを添加し、2.5M NaOH(×2)及び飽和NaCl水溶液(×2)で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望のアニリンを得た。
【0177】
一般手順G-2:スルホンアミドリンカー(SO NH及びCH SO NH)を用いたアニリンの合成
tert-ブチル(4-アミノフェニル)カルバメート(1.0当量)をDCMに溶解し、0℃に冷却した。EtN(1.2当量)を添加し、続いて対応する塩化スルホニル(1.1当量)を添加した。反応混合物を室温で8時間撹拌した。沈殿物を濾過し、濾液をカラムクロマトグラフィーで精製した。得られた生成物を0℃でDCM/TFA混合物(3:1)に懸濁した。次いで、混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。EtOAcを添加し、2.5M NaOH(×2)及び飽和NaCl水溶液(×2)で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望のアニリンを得た。
【0178】
一般手順G-3:エーテルリンカー(CH O)を用いたアニリンの合成
tert-ブチル(4-ヒドロキシフェニル)カルバメート(1.0当量)をDMFに溶解した。炭酸カリウム(2.0当量)を添加し、反応混合物を15分間撹拌した。次いで、対応する臭化ベンジルを15分間滴加し、室温で一晩撹拌したままにした。水を添加し、EtOAc(×3)で抽出し、有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた生成物を0℃でDCM/TFA混合物(3:1)に懸濁した。次いで、混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。EtOAcを添加し、2.5M NaOH(×2)及び飽和NaCl水溶液(×2)で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望のアニリンを得た。
【0179】
一般手順G-4:リンカーを用いないアニリンの合成
アリールアミン(1.0当量)を密閉管に入れ、続いて対応するボロン酸(1.5当量)、NaOH 2M、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.02当量)及びジオキサン/HOの混合物(4:1、v:v)を入れた。反応混合物をNでフラッシュし、マイクロ波照射(150℃、150W)に20分間供した。室温まで冷却した後、EtOAc/HO(1:1、v:v)の混合物を添加して反応を停止させた。水層をEtOAc(×3)で抽出した。有機層を飽和NaCl水溶液(1×)及び水(1×)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーを使用して残渣を精製した。
【0180】
スキーム5:ホスホネート亜鉛結合モチーフを有するジペプチド誘導体の合成
【0181】
【化17】
【0182】
(a)IBCF、NMM、-20℃ THF、30分、(b)i)HCl(ジオキサン中4M)、室温、12時間、ii)2d、TBTU、NMM、DMF、0℃~室温、12時間、c)TMSBr、室温、12時間、分取HPLC。
【0183】
一般手順H:アニリン置換誘導体(6)の合成
対応するBoc保護アミノ酸(1.0当量)をTHF(0.1M)に溶解し、-20℃に冷却した。次いで、NMM(2.5当量)及びクロロギ酸イソブチル(1.0当量)を滴加した。反応混合物をこの温度で30分間撹拌し、次いで、THF(1M)に溶解したアニリン(1.0当量)を添加した。反応混合物が室温に達した後、これをEtOAcで希釈した。有機相をKHSO(1N)溶液、飽和NaHCO溶液及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー精製により、対応するペプチドを得た。
【0184】
一般手順I:蛍光体含有ジペプチド(5b)の合成
Boc保護ペプチド(1.0当量)をDCM(0.1M)に溶解し、HCl(10.0当量、ジオキサン中4M)で0℃で処理した。混合物を室温まで加温し、完全に変換した後(TLC)、溶媒を減圧下で除去すると、結晶性塩酸塩が残存し、これを続いてDMF(0.1M)に溶解した。2-(ジエトキシホスホリル)-4-メチルペンタン酸2d(1.1当量)をこの溶液に添加し、反応混合物を0℃に冷却した。TBTU(1.1当量)及びNMM(2.5当量)によってカップリングを達成した。反応混合物を室温まで加温し、完全に変換した後(TLC)、EtOAcで希釈し、1N KHSO溶液、飽和NaHCO溶液及び飽和NaCl水溶液で連続的に洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、残渣をさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0185】
スキーム6:トリアゾール誘導体の合成
【0186】
【化18】
【0187】
(a)i)HCl(ジオキサン中4M)、DCM、室温;18時間、ii)TBTU、NMM、DMF 0℃~室温、22時間;(b)CuSO・5HO、アスコルビン酸Na、BuOH/HO/MeOH(2:2:1)室温、14時間;(c)TMSBr、DCM、室温、一晩、分取HPLC。
【0188】
一般手順J:アルキニルジエチルホスホネート(8)の合成
以前に報告(https://doi.org/10.1002/anie.201601564)されたように合成されたアルキン成分7(1.0当量)をDCM(10mL/mmol)に溶解し、HCl(10.0当量、ジオキサン中4M)を室温で添加した。混合物を18時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。その間に、DMF(5mL/mmol)中の化合物2d(1.1当量)及びTBTU(1.2当量)の混合物を0℃に冷却し、NMM(2.5当量)を添加した。反応混合物を30分間撹拌し、次いでBoc脱保護アルケニルアミノ酸をDMF(5mL/mmol)に溶解し、0℃で滴加した。混合物を22時間撹拌し、室温に加温した。EtOAcを添加した後、続いて有機層を飽和NaHCO水溶液、1M HCl、水及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を自動combiflash精製(Teledyne ISCO)によって精製した。
【0189】
一般手順K:ジエチルホスホネートを含有する1H-1,2,3-トリアゾール(5c)の合成
(https://doi.org/10.1016/j.ejmech.2019.06.007)に従って合成した対応するアルケニルジエチルホスホネート(1.0当量)及びアジド(1.1当量)のBuOH/HO/MeOH(2:2:1、10mL/mmol)溶液をアルゴンでパージした。アスコルビン酸ナトリウム(20mol%)及びCuSO・5HO(10mol%)を添加し、反応混合物を室温で14時間撹拌した。次いで、飽和EDTA溶液を添加し、混合物をEtOAc(×3)で抽出し、合わせた有機層を飽和NHCl水溶液及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。無水NaSO上で乾燥させ、濾過した後、溶媒を減圧下で除去して標記化合物を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0190】
スキーム7:イミダゾール誘導体の合成
【0191】
【化19】
【0192】
(a)i)HCl(ジオキサン中4M)、DCM、室温;18時間、ii)TBTU、NMM、DMF 0℃~室温、22時間;(b)TMSBr、DCM、室温、一晩、分取HPLC。
【0193】
スキーム8:ベンゼン環化ヘテロペンタサイクルの合成
【0194】
【化20】
【0195】
(a)TBTU、NMM、DMF、0℃~室温、2d;(b)HOAc/トルエン(1:1)、110℃、3時間;(c)i)HCl(1,4-ジオキサン中4M)、DCM、18時間、室温;ii)TBTU、NMM、DMF、0℃~室温、21時間、d)TMSBr、DCM、室温、21時間、分取HPLC。
【0196】
一般手順L:ベンゼン環化ヘテロペンタサイクル(11)の合成
対応するBoc保護アミノ酸(1.0当量)をDMF(10mL/mmol)に溶解した。0℃に冷却した後、NMM(1.1当量)及びTBTU(1.1当量)を続いて添加した。反応混合物を30分間撹拌し、対応する求核剤(1.0)を添加した。3日後、飽和NHCl水溶液を添加し、混合物をEtOAc(×3)で抽出し、続いて飽和NaHCO水溶液及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物をトルエン(5mL)に再溶解し、HOAc(5mL)を添加した。混合物を還流下で3時間加熱し、飽和NaHCO水溶液をゆっくり添加することによって急冷した。20分間撹拌した後、混合物をEtOAc(×3)で抽出し、1M HClで洗浄した。続いて、飽和NaHCO水溶液(×4)及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した後、標記化合物を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0197】
スキーム9:ヒドロキサム酸誘導体の合成
【0198】
【化21】
【0199】
(a)i)NaOH、EtOH/HO、室温、ii)EDC・HCl、DCM、室温;b)NHOH、KCN、MeOH、室温。
【0200】
一般手順M:エチルエステル誘導体(12)の合成
2-アルキルマロン酸ジエチル(1.0当量)をEtOH/HO(4:1)に溶解し、NaOH(1.2当量)を添加した。反応物を室温で一晩撹拌した。EtOHを減圧下で蒸発させ、飽和NaHCO水溶液を添加し、DCMで抽出した。有機層を廃棄した。水層を6M HClで酸性化し、DCMで抽出した。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られたモノ酸(1.2当量)及びEDC・HCl(1.2当量)を、対応するアニリン(1.0当量)のDCM溶液に添加した。得られた混合物を、出発物質のアニリンが消費されるまで(TLC又はLC-MSによって監視)室温で撹拌した。得られた溶液を1M HCl及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。
【0201】
一般手順N:ヒドロキサム酸誘導体(IV)の合成
エチルエステル誘導体12(1.0当量)をMeOHに溶解した。NHOH 50重量% HO(メタノールと同じ体積)を添加し、続いてKCN(0.2当量)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、得られた油を分取HPLCによって精製した。
【0202】
スキーム10:トリアゾール誘導体の合成
【0203】
【化22】
【0204】
a)1-1,2,3-トリアゾール、KCO、アセトン、70℃
【0205】
一般手順O:1H-1,2,3-トリアゾール(V)及び2H-1,2,3-トリアゾール(VI)誘導体の合成。
-アリール-2-ブロモ-2-アルキルアセトアミド誘導体3(1.0当量)をクリンプバイアルに入れ、アセトンに溶解した。1-1,2,3-トリアゾール(1.1当量)及びKCO(1.1当量)を添加し、混合物を70℃に一晩加熱した。EtOAcを添加し、有機層を水及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を分取HPLCによって精製した。
【0206】
II.合成例

実施例1
2-クロロ-3-フェニルプロパン酸。
【0207】
【化23】
【0208】
2-クロロ-3-フェニルプロパン酸を、D,L-フェニルアラニン(1.00g、6.0mmol)及び亜硝酸ナトリウム(1.46g、21.2mmol)を使用して、一般手順Aに従って調製した。粗生成物を淡黄色油(1.05g、94%)として得、さらに精製することなく使用した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 7.37-7.24 (m, 5H), 4.51 (dd, J = 7.8, 6.9 Hz, 1H), 3.42 (dd, J = 14.0, 6.7 Hz, 1H), 3.21 (dd, J = 14.1, 7.9 Hz, 1H). MS (ESI-) m/z 183.25 (M-H)-, 147.23 (M-H-HCl)-.
【0209】
2-クロロ-N,3-ジフェニルプロパンアミド。
【0210】
【化24】
【0211】
2-クロロ-,3-ジフェニルプロパンアミドを、2-クロロ-3-フェニルプロパン酸(934mg、5.06mmol)、EDC・HCl(786mg、5.06mmol)及びアニリン(385μL、4.22mmol)を使用して、一般手順B-1に従って調製した。精製は、自動フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=100:0~0:100)によって行った。生成物を白色固体として得た(404mg、31%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6 ) δ ppm: 7.95 (s, 1H), 7.60-7.52 (m, 2H), 7.38-7.28 (m, 6H), 7.27-7.19 (m, 1H),7.11-7.04 (m, 1H), 4.76 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 3.41 (dd, J = 13.8, 7.2 Hz, 1H), 3.13 (dd, J = 13.9, 7.8 Hz, 1H). MS (ESI+) m/z 260.08 (M+H)+.
【0212】
S-(1-オキソ-3-フェニル-1-(フェニルアミノ)プロパン-2-イル)エタンチオエート。
【0213】
【化25】
【0214】
-(1-オキソ-3-フェニル-1-(フェニルアミノ)プロパン-2-イル)エタンチオエートを、2-クロロ-,3-ジフェニルプロパンアミド(242mg、0.93mmol)及びチオ酢酸カリウム(196mg、1.86mmol)を使用して、一般手順Cに従って調製した。精製は、自動フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=100:0~0:100)によって行った。生成物を無色油として得た(127mg、46%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 7.96 (br s, 1H), 7.46 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.33-7.22 (m, 6H), 7.12-7.07 (m, 1H), 4.30 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 3.46 (dd, J = 14.1, 8.5 Hz, 1H), 3.01 (dd, J = 14.1, 7.1 Hz, 1H), 2.38 (s, 3H), 1.59 (s, 3H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ ppm: 197.3, 168.3, 137.6, 137.6, 129.2, 128.9, 128.6, 127.0, 124.4, 119.8, 48.5, 35.7, 30.4. MS (ESI+) m/z 300.17 (M+H)+, 258.10 (M-Ac+2H)+.
【0215】
2-メルカプト-N,3-ジフェニルプロパンアミド(1)。
【0216】
【化26】
【0217】
2-メルカプト-,3-ジフェニルプロパンアミドを、-(1-オキソ-3-フェニル-1-(フェニルアミノ)プロパン-2-イル)エタンチオエート(127mg、0.42mmol)及びNaOH(50mg、1.3mmol)を使用して、一般手順Dに従って調製した。精製は、自動フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=100:0~0:100)によって行った。生成物を白色固体として得た(46mg、43%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.02 (br s, 1H), 7.46 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.36-7.29 (m, 4H), 7.29-7.23 (m, 4H), 7.14 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 3.72 (dd, J = 14.8, 6.6 Hz, 1H), 3.38 (dd, J = 13.8, 6.5 Hz, 1H), 3.24 (dd, J = 13.8, 6.8 Hz, 1H), 2.11 (d, J = 8.9 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ ppm: 169.5, 137.3, 137.2, 129.4, 129.0, 128.6, 127.1, 124.8, 120.0, 45.9, 41.5. HRMS (ESI+) calculated for C15H15NOS [M+H]+ 258.0947, found 258.0943.
【0218】
実施例2
S-(4-メチル-1-オキソ-1-(p-トリルアミノ)ペンタン-2-イル)エタンチオエート。
【0219】
【化27】
【0220】
-(4-メチル-1-オキソ-1-(-トリルアミノ)ペンタン-2-イル)エタンチオエートを2工程で合成した。第1の工程は、-トルイジン(80mg、0.75mmol)、2-ブロモ-4-メチルペンタン酸(175mg、0.90mmol)、EDC・HCl(172mg、0.90mmol)及びDCM(5mL)を使用して、一般手順B-1に従って実施した。反応物を室温で5時間撹拌した。得られた粗生成物をさらに精製することなく次の工程に使用した。第2の工程は、第1の工程から得られた粗生成物、チオ酢酸カリウム(171mg、1.49mmol)及びアセトン(7mL)を使用して、一般手順Cに従って達成した。反応物を室温で2.5時間撹拌した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100% DCM)を使用して精製した。生成物をベージュ色固体として得た(131mg、63%(2工程にわたって))。1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 10.23 (s, 1H), 7.46 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.10 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.27 (br t, J = 7.5 Hz, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 1.88-1.75 (m, 1H), 1.62-1.40 (m, 2H), 0.95 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 0.88 (d, J = 6.5 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 194.5, 168.6, 136.2, 132.6, 129.1, 119.4, 46.4, 41.7, 30.3, 25.9, 22.5, 22.1, 20.5. HRMS (ESI+) calculated for C15H22NO2S [M+H]+ 280.1371, found 280.1358.
【0221】
2-メルカプト-4-メチル-N-(p-トリル)ペンタンアミド(2)。
【0222】
【化28】
【0223】
2-メルカプト-4-メチル--(-トリル)ペンタンアミドを、-(4-メチル-1-オキソ-1-(-トリルアミノ)ペンタン-2-イル)エタンチオエート(90mg、0.32mmol)、NaOH(39mg、0.97mmol)及びMeOH(5mL)を使用して、一般手順Dに従って合成した。反応物を室温で2時間撹拌した。粗生成物を分取HPLC(HO(HCOOH 0.05%)-CHCN(HCOOH 0.05%):9.0~1.0から0.0~10.0)を使用して精製した。生成物をベージュ色固体として得た(38mg、50%、MP=90℃)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 9.99 (s, 1H), 7.47 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.11 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 3.51 (br t, J = 7.8 Hz, 1H), 2.93 (s, 1H), 2.25 (s, 3H), 1.84-1.73 (m, 1H), 1.67-1.56 (m, 1H), 1.54-1.43 (m, 1H), 0.91 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.86 (d, J = 6.5 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 170.9, 136.5, 132.4, 129.2, 119.2, 44.4, 39.9, 25.8, 22.2, 22.1, 20.5. HRMS (ESI+) calculated for C13H20NOS [M+H]+ 238.1266, found 238.1254.
【0224】
【表1】
【0225】
【0226】
【0227】
実施例63
ジエチル(4-メチル-1-オキソ-1-(p-トリルアミノ)ペンタン-2-イル)ホスホネート。
【0228】
【化29】
ジエチル(4-メチル-1-オキソ-1-(-トリルアミノ)ペンタン-2-イル)ホスホネートを2工程で合成した。第1の工程は、-トルイジン(92mg、0.85mmol)、2-ブロモ-4-メチルペンタン酸(200mg、1.02mmol)、EDC・HCl(196mg、1.02mmol)及びDCM(15mL)を使用して、一般手順B-1に従って実施した。反応物を室温で5時間撹拌した。得られた粗生成物をさらに精製することなく次の工程に使用した。第2の工程は、第1の工程から得られた粗生成物及び亜リン酸トリエチル(1.5mL、17.1mmol)を使用して、一般手順Eに従って達成した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=1:1)を使用して精製した。生成物を白色固体として得た(114mg、39%(2工程にわたって))。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.41 (s, 1H), 7.39 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.08 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.21-4.08 (m, 4H), 2.97 (ddd, J = 22.6, 11.3, 3.5 Hz, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.09-1.99 (m, 1H), 1.77-1.68 (m, 1H), 1.61-1.52 (m, 1H), 1.32 (q, J = 7.1 Hz, 6H), 0.97-0.91 (m, 6H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ ppm: 165.6 (J = 1.8 Hz), 135.3, 133.8, 129.4, 119.8, 63.0 (J = 7.4 Hz), 62.8 (J = 6.4 Hz), 45.2 (J = 128.6 Hz), 35.8 (J = 4.6 Hz), 26.6 (J = 13.8 Hz), 23.2, 21.2, 20.8, 16.4 (J = 1.8 Hz), 16.4 (J = 2.8 Hz). MS (ESI+) m/z 342.2 [M+H]+.
【0229】
(4-メチル-1-オキソ-1-(p-トリルアミノ)ペンタン-2-イル)ホスホン酸(63)。
【0230】
【化30】
【0231】
(4-メチル-1-オキソ-1-(-トリルアミノ)ペンタン-2-イル)ホスホン酸を、ジエチル(4-メチル-1-オキソ-1-(-トリルアミノ)ペンタン-2-イル)ホスホネート(110mg、0.32mmol)、ブロモトリメチルシラン(213μL、1.61mmol)及びDCM(6mL)を使用して、一般手順Fに従って合成した。反応物を室温で一晩撹拌した。次いで、MeOH(10mL)を添加し、反応混合物をさらに30分間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を分取HPLC(CHCN(HCOOH 0.05%)-HO(HCOOH 0.05%):1.0:9.0から10.0:0.0)を使用して精製した。生成物を白色固体として得た(56mg、71%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 9.84 (s, 1H), 7.47 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.07 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 2.95 (ddd, J = 22.4, 11.4, 2.9 Hz, 1H), 2.22 (s, 3H), 1.99-1.89 (m, 1H), 1.51-1.34 (m, 2H), 0.87-0.82 (m, 6H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 167.6 (J = 4.6 Hz), 137.0, 131.8, 129.0, 119.0, 46.0 (J = 126.8 Hz), 35.8 (J = 3.7 Hz), 26.5 (J = 14.7 Hz), 23.3, 21.4, 20.5. 31P NMR (202 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 20.1. HRMS (ESI-) calculated for C13H19NO4P [M-H]- 284.1057, found 284.1058.
【0232】
実施例95
スキーム11:リンカーを含まないビフェニル誘導体の合成。
【0233】
【化31】
【0234】
(a)Pd(PPh、ジオキサン/HO(4:1、v:v、3mL)、NaOH(2M)、マイクロ波(150℃、150W、20分);b)EDC・HCl、DCM、室温、2時間;c)i)TMSBr、DCM、室温、一晩;ii)MeOH、室温。
【0235】
ジエチル(1-((2-(4-イソプロポキシフェニル)ピリミジン-5-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート。
【0236】
【化32】
【0237】
ジエチル(1-((2-(4-イソプロポキシフェニル)ピリミジン-5-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネートを、一般手順G-4に従って合成した2-(4-イソプロポキシフェニル)ピリミジン-5-アミン(60mg、0.26mmol)、2d(100mg、0.40mmol)、EDC・HCl(100mg、0.52mmol)のDCM(5mL)を使用して、一般手順Gに従って合成した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 0%~3%)を使用して精製した。生成物を白色固体として得た(84mg、69%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm:10.27 (s, 1H), 8.79 (s, 2H), 7.90 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.69 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.50 (hept, J = 6.0 Hz, 1H), 4.32 - 4.17 (m, 2H), 4.10 (p, J = 7.2 Hz, 2H), 3.34 (ddd, J = 22.8, 11.3, 2.8 Hz, 1H), 2.17 - 2.06 (m, 1H), 1.60 - 1.52 (m, 1H), 1.43 (dtd, J = 13.1, 10.2, 2.9 Hz, 1H), 1.31 (ddd, J = 19.2, 12.6, 6.2 Hz, 12H), 0.86 (dd, J = 13.1, 6.5 Hz, 6H). MS (ESI+) m/z 464 [M+H]+.
【0238】
(1-((2-(4-イソプロポキシフェニル)ピリミジン-5-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホン酸(95)。
【0239】
【化33】
【0240】
(1-((2-(4-イソプロポキシフェニル)ピリミジン-5-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホン酸(95)を、ジエチル(1-((2-(4-イソプロポキシフェニル)ピリミジン-5-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート(65mg、0.14mmol)、ブロモトリメチルシラン(100μL、0.72mmol)及びDCM(4mL)を使用して、一般手順Fに従って合成した。反応物を室温で一晩撹拌した。次いで、MeOH(4mL)を添加し、反応混合物をさらに30分間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を分取HPLC(CHCN(HCOOH 0.05%)-HO(HCOOH 0.05%)を使用して精製した。生成物を白色固体として得た(41mg、72%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 10.46 (s, 1H), 9.05 (s, 2H), 8.24 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.01 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 4.70 (dt, J = 12.1, 6.0 Hz, 1H), 3.04 (ddd, J = 22.4, 11.1, 2.3 Hz, 1H), 2.00 (ddd, J = 15.4, 10.0, 3.7 Hz, 1H), 1.61 - 1.35 (m, 2H), 1.30 (d, J = 6.0 Hz, 6H), 0.88 (d, J = 6.3 Hz, 6H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 169.24, 169.20, 159.76, 158.52, 147.75, 132.71, 129.72, 129.36, 115.87, 69.75, 47.05, 46.05, 36.10, 36.06, 26.98, 26.87, 23.59, 22.28, 21.82. 31P NMR (202 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 18.93. MS (ESI+) m/z 408 [M+H]+.
【0241】
実施例108
スキーム12:スルホンアミドリンカーを有するビフェニル誘導体の合成。
【0242】
【化34】
【0243】
(a)i)EtN、DCM、0℃~室温、8時間、ii)TFA、DCM、室温、2時間、b)EDC・HCl、DCM、室温、一晩、c)TMSBr、DCM、室温、一晩。
【0244】
N-(4-アミノフェニル)-3,4-ジクロロベンゼンスルホンアミド。
【0245】
【化35】
【0246】
-(4-アミノフェニル)-3,4-ジクロロベンゼンスルホンアミドを、DCM(10mL)中、tert-ブチル(4-アミノフェニル)カルバメート(300mg、1.44mmol)、EtN(240μL、1.73mmol)及び3,4-ジクロロベンゼンスルホニルクロリド(250μL、1.58mmol)を使用して、一般手順G-2に従って合成した。反応混合物を室温で8時間撹拌した。沈殿物を濾過し、濾液をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=7/3)で精製し、tert-ブチル(4-((3,4-ジクロロフェニル)スルホンアミド)フェニル)カルバメート(316mg、52%)を得た。得られたtert-ブチル(4-((3,4-ジクロロフェニル)スルホンアミド)フェニル)カルバメートを3.5mLのDCM/TFA(3:1)に懸濁し、室温で2時間撹拌した。後処理後、-(4-アミノフェニル)-3,4-ジクロロベンゼンスルホンアミド(193mg、81%)をベージュ色固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 9.65 (br s, 1H), 7.81 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.54 (dd, J = 8.5, 2.1 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.40 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.01 (br s, 2H). MS (ESI-) m/z 314.99 [M-H]-.
【0247】
ジエチル(1-((4-((3,4-ジクロロフェニル)スルホンアミド)フェニル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート。
【0248】
【化36】
【0249】
ジエチル(1-((4-((3,4-ジクロロフェニル)スルホンアミド)フェニル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネートを、DCM(5mL)中、-(4-アミノフェニル)-3,4-ジクロロベンゼンスルホンアミド(84mg、0.26mmol)、2d(100mg、0.40mmol)、EDC・HCl(100mg、0.52mmol)、HOBt(80mg、0.52mmol)及びDIPEA(110μL、0.62mmol)を使用して、一般手順Gに従って合成した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=3/7)を使用して精製した。生成物を白色泡状物として得た(84mg、58%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 10.27 (br s, 1H), 10.11 (s, 1H), 7.88 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.83 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.61 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 7.49-7.44 (m, 2H), 7.05-7.00 (m, 2H), 4.06-3.95 (m, 4H), 3.15 (ddd, J = 22.6, 11.3, 3.1 Hz, 1H), 1.98-1.88 (m, 1H), 1.49-1.29 (m, 2H), 1.18 (dt, J = 9.1, 7.1 Hz, 6H), 0.85 (d, J = 6.6 Hz, 6H). MS (ESI+) m/z 551.12 [M+H]+.
【0250】
(1-((4-((3,4-ジクロロフェニル)スルホンアミド)フェニル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホン酸(108)。
【0251】
【化37】
【0252】
(1-((4-((3,4-ジクロロフェニル)スルホンアミド)フェニル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホン酸を、ジエチル(1-((4-((3,4-ジクロロフェニル)スルホンアミド)フェニル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート(80mg、0.14mmol)、ブロモトリメチルシラン(100μL、0.72mmol)及びDCM(4mL)を使用して、一般手順Fに従って合成した。反応物を室温で一晩撹拌した。次いで、MeOH(4mL)を添加し、反応混合物をさらに30分間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を分取HPLC(CHCN(HCOOH 0.05%)-HO(HCOOH 0.05%):1.0:9.0から10.0:0.0)を使用して精製した。生成物を白色固体として得た(48mg、70%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 10.22 (s, 1H), 9.92 (s, 1H), 7.89 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 7.51-7.46 (m, 2H), 7.01-6.97 (m, 2H), 2.93 (ddd, J = 22.5, 11.3, 2.8 Hz, 1H), 1.97-1.88 (m, 1H), 1.49-1.34 (m, 2H), 0.83 (d, J = 6.4 Hz, 6H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 167.8 (d, J = 5.5 Hz), 139.66, 136.86, 135.99, 132.15, 131.73, 131.51, 128.40, 126.85, 122.33, 119.82, 46.0 (d, J = 126.8 Hz), 35.7 (d, J = 3.7 Hz), 26.4 (d, J = 14.7 Hz), 23.2, 21.3. 31P NMR (202 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 19.8. HRMS (ESI-) calculated for C18H20Cl2N2O6PS [M-H]- 493.0162, found 493.0156.
【0253】
実施例147
スキーム13:メチレンリンカーを有するビフェニル誘導体の合成。
【0254】
【化38】
【0255】
(a)EtN(3当量)、DCM、室温、16時間、b)TFA(5当量)、DCM、室温、19時間、c)EDC・HCl(1.2当量)、HOBt(1.2当量)、DIPEA(2.4当量)、DMF、室温、18時間、d)TMSBr(7当量)、DCM、室温、23時間。
【0256】
Tert-ブチル-(S)-(1-(4-クロロベンジル)ピペリジン-3-イル)カルバメート。
【0257】
【化39】
【0258】
加熱乾燥した50mLシュレンク管に、()-3-(Boc-アミノ)ピペリジン(200.3mg、1mmol、1当量)及び4-クロロベンジルブロミド(205.5mg、1mmol、1当量)を添加し、乾燥DCM(2.5mL、0.4m)に溶解し、続いて窒素雰囲気下でEtN(303.6mg、418.1μL、3mmol、3当量)を添加した。反応混合物を室温で撹拌し、反応の完了後(LCMS、16時間)、水(5mL)を添加し、反応混合物をDCM(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去して、標記化合物を灰白色固体(322mg)として得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0259】
(S)-1-(4-クロロベンジル)ピペリジン-3-アミン。
【0260】
【化40】
【0261】
50mLシュレンク管中で、粗tert-ブチル-()-(1-(4-クロロベンジル)ピペリジン-3-イル)カルバメート(322mg、約0.99mmol、1当量)をDCM(3mL、0.4m)に溶解した。得られた溶液にTFA(383μL、5当量)を添加し、反応混合物を室温で撹拌し続けた。反応の完了後(LCMS、19時間)、溶媒を減圧下で除去して油状残渣を得、これを2M NaOH溶液で処理し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去して、標記化合物を油(207mg)として得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0262】
ジエチル(1-(((S)-1-(4-クロロベンジル)ピペリジン-3-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート。
【0263】
【化41】
【0264】
4mLガラスバイアルに、()-1-(4-クロロベンジル)ピペリジン-3-アミン(50mg、約0.22mmol、1当量)、2-(ジエトキシホスホリル)-4-メチルペンタン酸2d(84.2mg、0.33mmol、1.5当量)、HOBt・HO(68.2mg、0.44mmol、2当量)を添加し、DMF(1.5mL)に溶解した。得られた溶液に、EDC・HCl(85.3mg、0.44mmol、2当量)及びDIPEA(93μL、0.53mmol、2.4当量)を添加し、反応物を室温で撹拌し続けた。完全に変換した後(LCMS、18時間)、水(5mL)及びEtOAc(5mL)を反応物に添加した。有機相を除去し、水相をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSOのパッドに通し、濾過し、減圧下で濃縮して、標記化合物(55mg)を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0265】
(1-(((S)-1-(4-クロロベンジル)ピペリジン-3-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホン酸(147)。
【0266】
【化42】
【0267】
加熱乾燥した25mLシュレンク管に、粗ジエチル(1-((()-1-(4-クロロベンジル)ピペリジン-3-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート(53mg、0.115mmol、1当量)及び乾燥DCM(1mL)をアルゴン下で添加した。得られた溶液にブロモトリメチルシラン(107μL、0.81mmol、7当量)を滴加し、反応物を室温で撹拌し続けた。反応の完了後(LCMS、23時間)、MeOH(2mL)を添加し、室温で30分間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、粗生成物を分取HPLCで精製して、標記化合物を白色アモルファス固体(21mg、0.052mmol、45%)として得た。
ジアステレオマーの混合物:
主ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 10.05 (s, 1H), 7.72-7.24 (m, 4H), 4.43-4.18 (m, 2H), 4.08-3.92 (m, 1H), 3.44-3.04 (m, 2H), 3.00-2.30 (m, 3H), 1.98-1.80 (m, 2H), 1.80-1.62 (m, 2H), 1.54-1.27 (m, 3H), 0.81 (dd, J = 6.4, 5.8 Hz, 6H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ 169.4, 158.6 (dd, J = 31.2, 30.6 Hz), 134.8, 133.8, 133.7, 129.3, 58.7, 54.3, 51.0, 45.9 (d, J = 124.0 Hz), 43.9, 36.0, 26.9 (t, J = 14.5 Hz), 23.6, 21.8. 31P NMR (202 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 19.7.
副ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 10.05 (s, 1H), 8.39-7.77 (m, 4H), 4.47-4.18 (m, 3H), 3.44-3.04 (m, 2H), 3.00-2.30 (m, 3H), 1.98-1.80 (m, 2H), 1.80-1.62 (m, 2H), 1.54-1.27 (m, 3H), 0.81 (dd, J = 6.4, 5.8 Hz, 6H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ 169.7, 158.6 (dd, J = 31.2, 30.6 Hz), 134.9, 133.8, 133.7, 129.2, 58.7, 54.3, 51.5, 45.6 (d, J = 125.0 Hz), 43.9, 27.8 (dd, J = 33.1, 15.6 Hz), 23.6, 21.8. 31P NMR (202 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 19.6.
HRMS (ESI+) calculated for C18H29ClN2O4P [M+1]+ 403.1553, found 403.1537.
【0268】
実施例151
Tert-ブチル(3-((3,4-ジクロロフェニル)カルバモイル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート。
【0269】
【化43】
【0270】
3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(46.6mg、0.205mmol、1.0当量)を、以前に記載されたように(https://doi.org/10.1002/ejoc.201701296)調製し、DMF(2mL)に溶解し、0℃に冷却し、TBTU(73.0mg、0.23mmol、1.1当量)を添加し、続いてNMM(24μL、0.23mmol、1.1当量)を添加した。反応混合物を指示された温度で1時間撹拌し、次いで、3,4-ジクロロアニリン(33mg、0.205mmol)を添加した。16時間撹拌し、室温に加温した後、EtOAcを添加し、続いて飽和NaHCO溶液、1M HCl、水及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標記化合物を無色固体(42mg、0.113mmol、55%)として得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ ppm: 7.77-7.76 (m, 1 H), 7.38-7.37 (m, 2 H), 7.12 (bs, 1 H), 5.00 (bs, 1 H), 2.37 (s, 6 H), 1.47 (s, 9 H). 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ ppm: 167.4, 136.8, 132.9, 130.6, 121.4, 118.8, 53.8, 45.1, 28.4. MS (ESI+): m/z [M+H]+ = 372
【0271】
ジエチル(1-((3-((3,4-ジクロロフェニル)カルバモイル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート。
【0272】
【化44】
【0273】
標記化合物を一般手順Iに従って調製した。tert-ブチル(3-((3,4-ジクロロフェニル)カルバモイル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート(40mg、0.108mmol)及びHCl(0.27mmol、1.08mmol、ジオキサン中4M)を脱保護に使用した。2-(ジエトキシホスホリル)-4-メチルペンタン酸2d(30mg、0.119mmol)、NMM(31μL、0.298mmol)及びTBTU(43mg、0.131mmol)をペプチドカップリングに使用して、標記化合物を黄色油として得(36.7mg、0.073mmol、67%)、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。MS(ESI+):m/z[M+H]=506。
【0274】
(1-((3-((3,4-ジクロロフェニル)カルバモイル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホン酸(151)。
【0275】
【化45】
【0276】
標記化合物を一般手順Fに従って調製した。ジエチル(1-((3-((3,4-ジクロロフェニル)カルバモイル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート(36mg、0.071mmol)及びブロモトリメチルシラン(47μL、0.356mmol)を使用して、分取HPLCによる精製後、標記化合物を無色固体(8.6mg、0.019mmol、27%)として得た。
ジアステレオマーの混合物 1H NMR (500 MHz, acetone-d 6) δ ppm: 8.05 (d, J = 2.3 Hz, 1 H), 7.62 (dd, J = 8.9 Hz, J = 2.3 Hz, 1 H), 7.44 (d, J = 8.9 Hz, 1 H), 3.02-2.94 (m, 1 H), 2.40 (s, 6 H), 2.01-1.98 (m, 1 H), 1.65-1.61 (m, 1 H), 1.59-1.53 (m, 1 H), 0.92 (d, J = 6.3 Hz, 6 H). 13C NMR (126 MHz, acetone-d 6) δ ppm: 169.9, 167.8, 138.9, 131.6, 130.4, 125.6, 121.0, 119.3, 53.8, 45.8, 45.0, 44.8, 38.2, 35.7, 26.7, 22.6, 21.0. 31P NMR (202 MHz, acetone-d 6) δ ppm: 24.7, 24.6. HRMS (ESI+) calculated for C18H24Cl2N2O5P [M+H]+ 449.0794, found: 449.0798.
【0277】
実施例152
Tert-ブチル(S)-(1-((3,4-ジクロロフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート。
【0278】
【化46】
【0279】
tert-ブトキシカルボニル)-L-バリン(434mg、2.0mmol、1.0当量)をTHF(20mL、0.1M)に溶解し、-20℃まで冷却した。次いで、NMM(0.55mL、2.5当量)及びクロロギ酸イソブチル(0.259mL、1.0当量)を滴加した。反応混合物をこの温度で30分間撹拌し、次いで、THF(1M)に溶解したアニリン(324mg、2mmol、1.0当量)を添加した。反応混合物が室温に達した後、これをEtOAcで希釈した。有機相をKHSO(1N)溶液、飽和NaHCO水溶液及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン/EtOAc 9:1)による精製によって、対応するtert-ブチル()-(1-((3,4-ジクロロフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメートを得た(523.8mg、1.44mmol、収率72%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.85 (br s, 1H), 7.70 (br s, 1H), 7.2-7.3 (m, 2H), 5.27 (br d, 1H, J = 8.2 Hz), 4.06 (br t, 1H, J = 7.6 Hz), 2.15 (br d, 1H, J = 6.1 Hz), 1.47 (s, 9H), 1.03 (dd, 6H, J = 2.7, 6.7 Hz). 13C NMR (126 MHz, CDCl3,) δ ppm: 170.7, 137.2, 132.5, 130.2, 121.2, 118.6, 61.1, 30.5, 28.3, 19.3, 18.4. HRMS (ESI+) calculated for C16H23Cl2N2O3 [M+H]+ 361.1080, found 361.1080.
【0280】
(1-(((S)-1-((3,4-ジクロロフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホン酸(152)。
【0281】
【化47】
【0282】
tert-ブチル()-(1-((3,4-ジクロロフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート(100.0mg、0.28mmol、1.0当量)をDCM(0.1M)に溶解し、HCl(0.69mL、10.0当量、ジオキサン中4M)で0℃で処理した。混合物を室温まで加温し、完全に変換した後(TLC)、溶媒を減圧下で除去すると、結晶性塩酸塩が残存し、これを続いてDMF(2.8mL、0.1M)に溶解した。2-(ジエトキシホスホリル)-4-メチルペンタン酸2d(77.7mg、0.308mmol、1.1当量)をこの溶液に添加し、反応混合物を0℃に冷却した。TBTU(98.9mg、0.308mmol、1.1当量)及びNMM(0.08mL、2.5当量)によってカップリングを達成した。反応混合物を室温まで加温し、完全に反応した後(TLC)、EtOAcで希釈し、1N KHSO溶液、飽和NaHCO溶液及び飽和NaCl水溶液で連続的に洗浄した。NaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した後、残渣ジエチル(1-((()-1-((3,4-ジクロロフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート(136.7mg、0.28mmol、定量的)をさらに精製することなく次の工程に使用した。ジエチルホスホネートジペプチド(136.7mg、0.28mmol)のDCM(0.1M)溶液に、ブロモトリメチルシラン(0.26mL、1.93mmol)を15分間かけて滴加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、MeOHを添加し、室温で30分間撹拌して、先に形成されたTMSエステルを切断した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、質量トリガー検出を使用して、Phenomenex Gemini C18カラム(250×4.6mm、粒径5μm)を備えたWaters Autopurifier System(APS)によって精製して、ジペプチド152(51.7mg、0.12mmol、43%)を白色アモルファス固体として得た。
ジアステレオマーの混合物:
主ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, MeOH-d 4,) δ ppm: 8.04 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.62 (dd, 1H, J = 2.4, 8.9 Hz), 7.42 (d, 1H, J = 8.9 Hz), 4.45 (d, 1H, J = 5.0 Hz), 3.24 (ddd, 1H, J = 2.7, 11.6, 23.3 Hz), 2.42 (qd, 1H, J = 6.9, 12.1 Hz), 1.47-1.61 (m, 3H), 0.9-1.1 (m, 19H), 0.99 (d, 3H, J = 7.02 Hz), 0.98 (d, 3H, J = 6.87 Hz), 0.95 (d, 6H, J = 6.56 Hz). 13C NMR (126 MHz, MeOH-d 4) δ ppm: 172.7, 172.5 (d, J = 4.6 Hz), 139.6, 133.2, 131.5, 128.2, 123.5, 121.6, 60.7, 47.1, 46.0, 36.3 (d, J = 4.6 Hz), 31.2, 28.4 (d, J = 15.6 Hz), 23.7, 21.8, 19.9, 17.8 31P NMR (202 MHz, MeOH-d4) δ ppm: 22.7.
副ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, MeOH-d 4) δ ppm: 7.92 (dd, 1H, J = 0.61, 1.83 Hz), 7.44-7.46 (m, 1H), 4.27 (d, 1H, J = 7.48 Hz), 3.24 (ddd, 1H, J = 2.7, 11.9, 22.4 Hz), 1.95-2.20 (m, 2H), 1.28-1.35 (m, 2H), 1.05 (d, 3H, J = 6.71 Hz), 1.00 (d, 3H, J = 6.71 Hz), 0.92 (d, 3H, J = 6.10 Hz), 0.90 (d, 3H, J = 6.26 Hz). 13C NMR (126 MHz, MeOH-d 4) δ ppm: 172.6, 172.0 (d, J = 4.6 Hz), 139.7, 133.5, 131.7, 128.1, 122.8, 120.8, 61.5, 46.8, 45.8, 37.3 (d, J = 4.6 Hz), 32.3, 28.1 (d, J = 15.6 Hz), 23.8, 21.9, 19.1. 31P NMR (202 MHz, MeOH-d4) δ ppm: 22.4. HRMS (ESI+) calculated for C17H26Cl2N2O5P [M+H]+ 439.0956, 439.0935.
【0283】
実施例170
スキーム14:化合物170として例示したトリアゾール誘導体の合成。
【0284】
【化48】
【0285】
(a)i)HCl(ジオキサン中4M)、DCM、室温、18時間;ii)TBTU、NMM、DMF 0℃~室温、22時間、76%(2工程にわたって);(b)CuSO・5HO、アスコルビン酸Na、BuOH/HO/MeOH(2:2:1)室温、14時間、84%;(c)TMSBr、DCM、室温、23時間、分取HPLC、26%。
【0286】
ジエチル(4-メチル-1-(((S)-4-メチルペント-1-イン-3-イル)アミノ)-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート。
【0287】
【化49】
【0288】
以前に報告されたように(https://doi.org/10.1002/anie.201601564)合成した、化合物tert-ブチル()-(4-メチルペント-1-イン-3-イル)カルバメート(282mg、1.43mmol)を、DCM(11mL)に溶解し、HCl(2.85mL、11.4mmol、ジオキサン中4M)を室温で添加して、対応するBoc脱保護アルキニルアミン塩酸塩を得た。混合物を18時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。その間に、DMF(7.5mL)中の化合物2d(396mg、1.57mmol)及びTBTU(562mg、1.75mmol)の混合物を0℃に冷却し、NMM(0.91mL、3.58mmol)を添加した。反応混合物を30分間撹拌し、次いで、先に調製したBoc脱保護アルキニルアミン塩酸塩をDMF(7.5mL)に溶解し、0℃で滴加した。混合物を22時間撹拌し、室温に加温した。EtOAcを添加した後、続いて有機層を飽和NaHCO水溶液、1M HCl、水及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を自動combiflash精製(Teledyne ISCO)によって精製し、359mgのジエチル(4-メチル-1-((()-4-メチルペント-1-イン-3-イル)アミノ)-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート(1.08mmol、2工程にわたって76%)を得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 6.68-6.58 (m, 1 H), 4.67-4.64 (m, 1 H), 4.18-4.09 (m, 4 H), 2.87-2.80 (m, 1 H), 2.24-2.23 (m, 1 H), 1.99-1.93 (m, 2 H), 1.70-1.61 (m, 1 H), 1.56-1.52 (m, 1 H), 1.34-1.30 (m, 6 H), 1.02-1.00 (m, 6 H), 0.95-0.90 (m, 6 H). MS (ESI+): m/z [M+H]+ = 332.
【0289】
ジエチル(1-(((S)-1-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルプロピル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート。
【0290】
【化50】
【0291】
文献(https://doi.org/10.1016/j.ejmech.2019.06.007)に従って合成した4-アジド-1,2-ジクロロベンゼン(170mg、0.904mmol)及び(4-メチル-1-((()-4-メチルペント-1-イン-3-イル)アミノ)-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート(293mg、0.89mmol)を含む2mLのBuOH/HO/MeOH(2:2:1)溶液をアルゴンでパージした。アスコルビン酸Na(20mol%)及びCuSO・5HO(10mol%)を添加し、反応混合物を室温で14時間撹拌した。次いで、飽和EDTA溶液を添加し、混合物をEtOAc(×3)で抽出し、合わせた有機層を飽和NHCl水溶液及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。NaSO上で乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させて標記化合物(394mg、0.759mmol、84%、ジアステレオマーの混合物)を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。MS(ESI+):m/z[M+H]=520。
【0292】
(1-(((S)-1-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルプロピル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホン酸(170)。
【0293】
【化51】
【0294】
標記化合物を一般手順Fに従って調製した。52mg(0.100mmol)の化合物ジエチル(1-((()-1-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-1-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルプロピル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネートを使用し、分取HPLC(12mg、0.026mmol、26%、による精製後、標記化合物を得た。
ジアステレオマーの混合物:
主ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, MeOH-d 4) δ ppm: 8.44 (s, 1 H), 8.10-8.09 (m, 1 H), 7.83-7.80 (m, 1 H), 7.75-7.73 (m, 1H), 4.99-4.97 (m, 1 H), 3.03-2.96 (m, 1 H), 2.35-2.30 (m, 1 H), 2.13-2.06 (m, 1 H), 1.49-1.43 (m, 2 H), 1.06-0.98 (m, 6 H), 0.87-0.84 (m, 6 H). 31P NMR (202 MHz, MeOH-d 4) δ ppm: 22.3.副ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, MeOH-d 4) δ ppm: 8.58 (s, 1 H), 8.10-8.09 (m, 1 H), 7.83-7.80 (m, 1 H), 7.73-7.70 (m, 1H), 5.08-5.07 (m, 1 H), 3.17-3.12 (m, 1 H), 2.42-2.35 (m, 1 H), 2.02-1.98 (m, 1 H), 1.61-1.51 (m, 2 H), 0.98-0.95 (m, 6 H). 31P NMR (202 MHz, MeOH-d 4,) δ ppm: 22.3. HRMS (ESI+) calculated for C18H26Cl2N4O4P [M+H]+ 463.1063, found: 463.1065.
【0295】
実施例171
スキーム15:化合物171として例示したイミダゾール誘導体の合成。
【0296】
【化52】
【0297】
(a)i)HCl(ジオキサン中4M)、DCM、室温;18時間、ii)TBTU、NMM、DMF 0℃~室温、22時間;(b)TMSBr、DCM、室温、一晩、分取HPLC 26%。
【0298】
ジエチル(1-(((S)-1-(5-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロピル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート。
【0299】
【化53】
【0300】
対応するイミダゾリルアミノ酸誘導体tert-ブチル()-(1-(5-(3,4-ジクロロフェニル)-1-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロピル)カルバメートを、文献で以前に報告されたように(https://doi.org/10.1016/j.ejmech.2016.08.070)合成した。tert-ブチル()-(1-(5-(3,4-ジクロロフェニル)-1-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロピル)カルバメート(77mg、0.200mmol)をDCM(2mL)に溶解し、HCl(0.25mL、1.00mmol、ジオキサン中4M)を添加した。出発材料が完全に消費された後(LCMS)、溶媒を蒸発させて、()-1-(5-(3,4-ジクロロフェニル)-1-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-アミン塩酸塩を得、これをさらに精製することなくカップリング工程に使用した。DMF(2mL)中、前述の()-1-(5-(3,4-ジクロロフェニル)-1-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロパン-1-アミン塩酸塩、化合物2d(51mg、0.200mmol)、TBTU(70.6mg、0.220mmol)、NMM(53μL、0.500mmol)を使用し、一般手順Iを使用して標記化合物を合成した。自動combiflash精製(Teledyne ISCO)により、標記化合物(22mg、0.042mmol、21%)をジアステレオマーの混合物として得た。MS(ESI+):m/z[M+H]=519。
ジアステレオマーの混合物:
主ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 7.88 (bs, 1 H), 7.54 (dd, J = 8.2 Hz, J = 1.8 Hz, 1 H), 7.39 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 7.25 (bs, 1 H), 5.26-5.23 (m, 1 H), 4.20-4.09 (m, 4 H), 3.00-2.93 (m, 1 H), 2.76-2.68 (m, 1 H), 2.18-2.11 (1 H), 1.70-1.61 (m, 1 H), 1.52-1.44 (m, 1 H), 1.34 (dd, J = 6.10 Hz, 3 H), 1.30 (dd, J = 7.1 Hz, 3 H), 1.02 (d, J = 6.8 Hz, 3 H), 0.94 (dd, J = 7.1 Hz, 6 H), 0.90 (d, J = 6.7 Hz, 3 H). 31P NMR (202 MHz, CDCl3) δ ppm: 26.3.
副ジアステレオマー(選択されたシグナル):1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 7.93 (d. J = 1.8 Hz, 1 H), 7.64 (dd, J = 8.4 Hz, J = 1.8 Hz, 1 H), 7.41 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.08-4.04 (m, 4 H), 3.09-3.03 (m, 1 H), 2.58-2.51 (m, 1 H). 31P NMR (202 MHz, CDCl3) δ ppm: 26.5.
【0301】
(1-(((S)-1-(5-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロピル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホン酸(171)
【0302】
【化54】
【0303】
標記化合物を一般手順Fに従って調製した。DCM(0.5mL)中、ジエチル(1-((()-1-(5-(3,4-ジクロロフェニル)-1-イミダゾール-2-イル)-2-メチルプロピル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート(22mg、0.042mmol)及びブロモトリメチルシラン(28μL、0.212mmol)を使用した。分取HPLCによる精製によって、標記化合物を無色固体(5.2mg、0.011mmol、26%、ジアステレオマーの混合物)として得た。
ジアステレオマーの混合物:
主ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, MeOH-d 4) δ ppm: 8.09 (d, J = 1.8 Hz, 1 H), 7.88 (s, 1 H), 7.79 (dd, J = 8.4 Hz, J = 1.7 Hz, 1 H), 7.62 (d,J = 8.64 Hz, 1 H), 5.21 (d, J = 5.0 Hz, ), 3.33-3.25 (m, 1 H), 2.52-2.46 (m, 1 H), 2.10-2.04 (m, 1 H), 1.62-1.53 (m, 2 H), 1.09 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.01 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 0.95 (dd, J = 5.7 Hz, 6 H). 13C NMR (126 Mhz, MeOH-d 4) δ ppm: 174.3, 151.1, 134.5, 132.9, 132.5, 131.1, 128.9, 126.8, 117.6, 61.7, 54.1, 47.6 36.0, 32.3, 28.8, 23.5, 22.1, 19.4, 17.5, 14.6. 31P NMR (202 MHz, MeOH-d 4) δ ppm: 19.7.
副ジアステレオマー(選択されたシグナル):1H NMR (500 MHz, MeOH-d 4) δ ppm: 8.04 (d, J = 2.1 Hz, 1 H), 7.97 (d, J = 1.8 Hz, 1 H), 7.89 (bs, 1 H), 7.63 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 3.18-3.16 (m, 1 H), 2.42-2.38 (m, 1 H), 1.54-1.53 (m, 2 H), 1.13 (d, J =6.7 Hz, 3 H), 0.92 (d, J = 6.4 Hz, 3 H), 0.90 (d, J = 6.4 Hz, 3 H). 13C NMR (126 MHz, MeOH-d 4) δ ppm: 134.6, 132.7, 128.8, 126.9, 54.9, 32.7, 23.6, 22.0, 19.7.
【0304】
実施例172
スキーム16:化合物172として例示したベンズイミダゾール誘導体の合成。
【0305】
【化55】
【0306】
(a)TBTU、NMM、DMF、0℃~室温、2d、定量的;(b)HOAc/トルエン(1:1)、110℃、3時間;(c)i)HCl(1,4-ジオキサン中4M)、DCM、室温、18時間;ii)TBTU、NMM、DMF、0℃~室温、21時間、97%(3工程にわたって);d)TMSBr、DCM、室温、21時間、分取HPLC、1.2%。
【0307】
Tert-ブチル(S)-(1-((2-アミノ-5-フェノキシフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート。
【0308】
【化56】
【0309】
一般手順Lを使用して標記化合物を合成した。Boc-Val-OH(543mg、2.50mmol)をDMF(25mL)に溶解し、NMM(302μL、2.75mmol)、続いてTBTU(894mg、2.75mmol)を0℃で添加した。反応混合物をこの温度で30分間撹拌し、4-フェノキシベンゼン-1,2-ジアミン(500mg、2.5mmol)を添加した。室温まで一晩加温した後、反応物を飽和NaHCO水溶液で急冷し、EtOAc(×3)で抽出した。続いて、合わせた有機層を1M HCl、水及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を茶色泡状物として得(1.00g、2.50mmol、定量的)、さらに精製することなく次の工程に使用した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 7.62 (bs, 1 H), 7.34-7.31 (m, 2 H), 7.11-7.08 (m, 2 H), 7.02-7.00 (m, 2 H), 6.42-6.39 (m, 2 H), 5.11 (bs, 1 H), 3.99-3.97 (m, 1 H), 2.31-2.23 (m, 1 H), 1.46 (s, 9 H), 1.07 (dd, J = 6.71 Hz, 3 H), 1.04 (dd, J = 6.71 Hz, 3 H). MS (ESI+): m/z [M+H]+ = 400.
【0310】
Tert-ブチル(S)-(2-メチル-1-(5-フェノキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)プロピル)カルバメート。
【0311】
【化57】
【0312】
一般手順Lを使用して標記化合物を合成した。tert-ブチル()-(1-((2-アミノ-5-フェノキシフェニル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート(200mg、1.00mmol)を5mLのトルエン/HOAc(1:1)に溶解し、還流下で3時間加熱した(予熱油浴)。室温に冷却した後、飽和NaHCO水溶液をpH=9になるまで慎重に添加した。次いで、溶液を20分間撹拌し、EtOAc(×3)で抽出し、飽和NaHCO水溶液(×4)、水(×2)、及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標記化合物を橙色固体(191mg、0.500mmol、定量的)として得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。MS(ESI+):m/z[M+H]=382。
【0313】
ジエチル(4-メチル-1-(((S)-2-メチル-1-(5-フェノキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)プロピル)アミノ)-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネート。
【0314】
【化58】
【0315】
tert-ブチル()-(2-メチル-1-(5-フェノキシ-1-ベンゾ[]イミダゾール-2-イル)プロピル)カルバメート(159mg、0.417mmol)をDCM(4mL)に溶解し、次いでHCl(1,4-ジオキサン中4M、1.04mL、4.17mmol)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。その間に、DMF(2.5mL)中の2-(ジエトキシホスホリル)-4-メチルペンタン酸2d(116mg、0.459mmol)及びTBTU(181mg、0.505mmol)の混合物を0℃に冷却し、NMM(121μL、1.15mmol)を添加した。反応混合物を30分間撹拌し、次いで、DMF(2.5mL)に溶解したBoc脱保護ベンズイミダゾールアミノ酸誘導体を0℃で滴加した。21時間撹拌した後、EtOAc及び1M HClを添加し、水層をEtOAc(×2)で抽出した。合わせた有機層を水及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。NaSO上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧下で除去し、標記化合物を茶色がかった樹脂(208mg、0.405mmol、97%)として得た。標記化合物をさらに精製することなく次の工程に使用した。MS(ESI+):m/z[M+H]=516。
【0316】
(4-メチル-1-(((S)-2-メチル-1-(5-フェノキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)プロピル)アミノ)-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホン酸(172)。
【0317】
【化59】
【0318】
標記化合物を一般手順Fに従って調製した。166mg(0.322mmol)のジエチル(4-メチル-1-((()-2-メチル-1-(5-フェノキシ-1-ベンゾ[]イミダゾール-2-イル)プロピル)アミノ)-1-オキソペンタン-2-イル)ホスホネートを使用し、分取HPLCによる精製後、標記化合物を得た(1.74mg、0.004mmol、1.2%)。

ジアステレオマーの混合物:
主ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6,) δ ppm: 8.14-8.12 (m, 1 H), 7.53-7.51 (m, 1 H), 7.37-7.33 (m, 2 H), 7.13-7.05 (m, 2 H), 6.97-6.95 (m, 2 H), 4.94-4.91 (m, 1 H), 3.28-3.22 (m, 1 H), 2.32-2.26 (m, 1 H), 1.87-1.81 (m, 1 H) 1.50-1.37 (m, 2 H), 0.98-0.96 (m, 3 H), 0.93-0.92 (m, 3 H), 0.87-0.86 (m, 6 H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 169.8, 158.6, 156.2, 151.9, 130.5, 123.1, 118.1, 60.2, 53.7, 36.5, 32.4, 27.3 (d, J = 14.7 Hz), 23.5, 22.0, 19.8, 18.8. 31P NMR (202 MHz, DMSO-d6) δ ppm: 20.7.副ジアステレオマー(選択されたシグナル):1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 8.45-8.43 (m, 1 H), 7.49-7.48 (m, 1 H), 6.92-6.89 (m, 2 H), 5.13-5.11 (m, 1 H), 1.96-1.92 (m, 1 H), 0.78-0.76 (m, 6 H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 170.71, 158.5, 157.4, 152.1, 123.4, 118.2, 115.1, 53.2, 34.9, 30.6, 26.8 (d, J = 14.7 Hz), 23.4, 21.9, 19.7, 17.4. 31P NMR (202 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 20.9.

HRMS (ESI+) calculated for [M+H]+: 460.1996, found: 460.1982.
【0319】
実施例173
エチル4-メチル-2-(p-トリルカルバモイル)ペンタノエート。
【0320】
【化60】
【0321】
エチル4-メチル-2-(-トリルカルバモイル)ペンタノエートを、ジエチル2-アルキルマロネート(645mg、2.98mmol)、EtOH/HO(30mL、4:1)及びNaOH(143mg、3.58mmol)を使用して、一般手順Mに従って合成した。反応物を室温で一晩撹拌した。得られたモノ酸(505mg、2.68mmol)及びEDC・HCl(515mg、2.68mmol)を、-トルイジン(240mg、2.23mmol)のDCM(20mL)溶液に添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。後処理後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Hex/EtOAc=8/2)を使用して精製した。生成物を橙色結晶として得た(441mg、71%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.45 (br s, 1H), 7.42 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.13 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 4.31-4.17 (m, 2H), 3.43 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 2.32 (s, 3H), 1.94-1.80 (m, 2H), 1.69-1.61 (m, 1H), 1.35-1.28 (m, 3H), 0.96 (d, J = 6.6 Hz, 6H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ ppm: 173.2, 166.4, 135.0, 134.0, 129.4, 119.8, 61.7, 52.4, 40.8, 26.4, 22.5, 22.0, 20.9, 14.1. MS (ESI+): m/z [M+H]+ = 278
【0322】
-ヒドロキシ-2-イソブチル-N -(p-トリル)マロンアミド(173)。
【0323】
【化61】
【0324】
-ヒドロキシ-2-イソブチル- -(-トリル)マロンアミドを、エチル4-メチル-2-(-トリルカルバモイル)ペンタノエート(100mg、0.36mmol)、MeOH(2mL)、HO(2mL)中NHOH 50重量%、及びKCN(4.7mg、0.07mmol)を使用して、一般手順Nに従って合成した。混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で濃縮し、得られた油を分取HPLC(CHCN(HCOOH 0.05%)-HO(HCOOH 0.05%):1.0:9.0から10.0:0.0)によって精製した。生成物を白色固体として得た(49mg、52%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 10.54 (s, 1H), 9.66 (s, 1H), 9.00 (s, 1H), 7.45 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.10 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.18 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 2.24 (s, 3H), 1.67 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.47 (dquin, J = 13.4, 6.7, 6.7, 6.7, 6.7 Hz, 1H), 0.87 (br d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.87 (br d, J = 6.6 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 167.6, 166.5, 136.3, 132.4, 129.2, 119.4, 49.9, 38.1, 25.8, 22.5, 22.3, 20.5. HRMS (ESI+) calculated for C14H21N2O3 [M+H]+ 265.1547, found 265.1545.
【0325】
実施例174及び実施例177
4-メチル-N-(p-トリル)-2-(1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ペンタンアミド(174)及び4-メチル-N-(p-トリル)-2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)ペンタンアミド(177)。
4-メチル--(-トリル)-2-(1-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ペンタンアミド(174)及び4-メチル--(-トリル)-2-(2-1,2,3-トリアゾール-2-イル)ペンタンアミド(177)を、2-ブロモ-4-メチル--(-トリル)ペンタンアミド(70mg、0.25mmol)(一般手順B-1に従って合成)、アセトン(7mL)、1-1,2,3-トリアゾール(18.7mg、0.27mmol)及びKCO(37.4mg、0.27mmol)を使用して、一般手順Oに従って合成した。粗生成物を分取HPLC(CHCN(HCOOH 0.05%)-HO(HCOOH 0.05%):1.0:9.0から10.0:0.0)によって精製し、生成物174(20.3mg、30%)及び生成物177(30mg、45%)を白色固体として得た。
【0326】
4-メチル-N-(p-トリル)-2-(1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ペンタンアミド(174)。
【0327】
【化62】
【0328】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 10.53 (s, 1H), 8.30 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 0.6 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.16 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.61 (dd, J = 9.8, 6.1 Hz, 1H), 2.25 (s, 3H), 2.16-2.06 (m, 1H), 2.01-1.93 (m, 1H), 1.31-1.20 (m, 1H), 0.93 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.90 (d, J = 6.6 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 166.6, 135.7, 133.3, 133.1, 129.3, 123.9, 119.5, 61.6, 40.4, 24.5, 22.4, 21.5, 20.5. HRMS (ESI+) calculated for C15H21N4O [M+H]+ 273.1710, found 273.1708.
【0329】
4-メチル-N-(p-トリル)-2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)ペンタンアミド(177)。
【0330】
【化63】
【0331】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 10.35 (s, 1H), 7.83 (s, 2H), 7.45 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.11 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 5.46 (dd, J = 9.3, 6.0 Hz, 1H), 2.34-2.28 (m, 1H), 2.24 (s, 3H), 1.99 (ddd, J = 13.8, 7.8, 6.2 Hz, 1H), 1.47-1.36 (m, 1H), 0.91 (t, J = 6.2 Hz, 6H). 13C NMR (126 MHz, DMSO-d 6) δ ppm: 166.2, 135.9, 134.5, 132.9, 129.2, 119.4, 65.8, 24.5, 22.5, 21.7, 20.5. HRMS (ESI+) calculated for C15H21N4O [M+H]+ 273.1710, found 273.1708.
【0332】
III.生物学的評価
LasBに対する活性:
本発明の化合物の活性を、Kany, A. M.; Sikandar, A.; Haupenthal, J.; Yahiaoui, S.; Maurer, C. K.; Proschak, E.; Koehnke, J.; Hartmann, R. W. ACS Infect. Dis. 2018, 4, 988-997に記載の手順に従って決定した。
【0333】
α-ベンジル化誘導体:
【0334】
【表2】
【0335】
エナンチオマーの活性:
立体中心の配置が活性に影響を及ぼすかどうかを解明するために、実施例1及び4の化合物のエナンチオマー(キラルカラムからの溶出順序に従って標識されたE1及びE2)を、分取HPLCを用いてキラルカラムを使用して分離し、独立して試験した。両方のエナンチオマーに活性であったが、2つの配置間で活性の差が観察された(表3)。両方の化合物について、E2エナンチオマーはより活性が高かった。
【0336】
【表3】
【0337】
アッセイ中にラセミ化が起こらないことを確実にするために、メタノール及び水性緩衝液(50mMトリス、pH7.2、2.5mM CaCl)中での配置安定性を試験した。CDスペクトルは1時間にわたって変化せず、この間はラセミ化が起こらないことを示した。
【0338】
選択性:
亜鉛含有ヒト酵素の阻害は、LasB阻害剤について頻繁に記載されており、選択的化合物の開発に深刻な困難をもたらす。特に、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の阻害は回避されるべきである。この問題をさらに調査するために、3つの誘導体(実施例1、5及び8の化合物)を、6つのMMP、ADAM17(TACE)、HDAC-3及びHDAC-8を含むいくつかのヒトオフターゲットに対するそれらの選択性について試験した(表4)。化合物の選択性はMMPs及びHDACsについて特に高いが、ADAM17の阻害はかなり強力であった。
【0339】
【表4】
【0340】
細胞毒性:
実施例1及び5の化合物は、細胞系統HepG2、HEK293及びA549に対して毒性はなかった(表5)。さらに、本発明の化合物の抗菌効果を排除するために、緑膿菌PA14に対する阻害効果を評価した。これは、細菌の生存能力ではなく病原性を標的とすることが目的であったため、重要である。結果は、両方の化合物について、PA14に対するMIC値並びに細胞系統における細胞毒性(IC50値)が100μMよりも大きく、したがって問題がなかったことを示す。
【0341】
【表5】
【0342】
α-アルキル化誘導体:
α位にアルキル置換基を有する化合物は活性に非常に有利であり、マイクロモル以下のIC50値をもたらす(表6及び7)。これらの中で、芳香族コア及びiso-ブチル鎖上に4-Me置換基を有する実施例2の化合物は、最も有望な化合物の1つであることが証明され、したがって、選択性及び細胞毒性に関してさらに調査した(表8)。
【0343】
【表6】
【0344】
【表7】
【0345】
【表8】
【0346】
実施例2の化合物は、インビトロLasB阻害アッセイにおいて印象的な活性を示し、広範囲のヒト酵素に対する高い選択性を示し、インビトロで細胞毒性の徴候がないので、より高度な安全性スクリーニングに供した(表9)。hERGカリウムチャネルの阻害に関するIC50値は、>10μMであると決定された。さらに、5つのヒトCYP450アイソフォームに対する実施例2の化合物の効果を決定し、阻害が弱いか又は全くないことを示したことは特に重要である。さらに、実施例2の化合物を、ミニエームス(mini-Ames)復帰突然変異アッセイを使用して分析したところ、125μg/mLまで遺伝毒性は観察されなかった。
【0347】
【表9】
【0348】
さらに、実施例2の化合物をマウスにおいて薬物動態(PK)研究に供した(表10)。10mg/kgの用量で静脈内(i.v.)注射した場合、2時間にわたって血液中で検出可能である。予備的な結果は、高いクリアランス及び低い全体的な曝露を示すが、分布の体積は良好な組織浸透を説明するであろう。
【0349】
【表10】
【0350】
α-カルボキシメチル誘導体:
実施例54の化合物(表1)は、LasBに対して以下の活性を示した:IC50=3.9±0.4μm。
【0351】
複素環式誘導体:
【0352】
【表11】
【0353】
ホスホン酸誘導体:
【0354】
【表12】
【0355】
【0356】
【0357】
【表13】
【0358】
【0359】
【0360】
【0361】
【0362】
【0363】
【0364】
【0365】
【0366】
【表14】
【0367】
【0368】
すべてのホスホネートは、優れた選択性及び細胞毒性プロファイルを示し、PA14細菌増殖の阻害も示さない(表15、表17及び表18)。
【0369】
【表15】
【0370】
【表16】
【0371】
【表17】
【0372】
【表18】
【0373】
実施例63及び170の化合物は、インビトロLasBアッセイにおいて印象的な活性を示し、広範囲のヒト酵素に対する高い選択性を示し、インビトロで細胞毒性の徴候がなかったので、それらをより高度な安全性スクリーニングに供した(SafetyScreen44パネル、Eurofins CEREP製)。このスクリーニングは、GPCR、トランスポーター、イオンチャネル、核受容体、キナーゼ及び他の非キナーゼ酵素を含む44個の異なる標的を含む。実施例63及び170の化合物は、試験したすべての標的の対照特異的結合の阻害を示さなかった(1.0E~0.5Mの化合物濃度で22%未満の阻害)。
【0374】
ヒドロキサム酸誘導体:
【0375】
【表19】
【0376】
【表20】
【0377】
トリアゾール誘導体:
【0378】
【表21】
【0379】
【表22】
【国際調査報告】