IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシコン・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(54)【発明の名称】凍結乾燥硬化ポリマー発泡体プラグ
(51)【国際特許分類】
   A61L 24/00 20060101AFI20230904BHJP
   A61L 24/06 20060101ALI20230904BHJP
   A61L 24/10 20060101ALI20230904BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A61L24/00
A61L24/00 240
A61L24/06
A61L24/00 250
A61L24/00 310
A61L24/10
A61B17/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513381
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 IB2021057060
(87)【国際公開番号】W WO2022043795
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】17/005,075
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ゴドベイン・サリム・エイ
(72)【発明者】
【氏名】デアングリス・アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】ダーナラジ・スリデビ
【テーマコード(参考)】
4C081
4C160
【Fターム(参考)】
4C081AC03
4C081CA18
4C081CD11
4C081DA12
4C160DD55
4C160DD62
4C160MM08
4C160MM32
(57)【要約】
本発明は、反応性部分の実質的に全てが凍結乾燥前に反応している反応性部分を有する少なくとも一対の共反応性ポリエチレングリコール、又は生体材料と反応性ポリエチレングリコールとのブレンド、又は血漿由来の生体材料反応生成物のポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグに関し、プラグは、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性部分を有する少なくとも一対の共反応性ポリエチレングリコールのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグであって、前記反応性部分の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応しており、前記プラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグ。
【請求項2】
少なくとも1つの生体材料利用可能な求電子反応性部分と、求核反応性部分を有する少なくとも1つの反応性ポリエチレングリコールとのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグであって、前記反応性部分の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応しており、前記プラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグ。
【請求項3】
フィブリノーゲンの自己反応性誘導体と、自己反応性フィブリン(フィブリノーゲン)誘導体を生成する活性化因子成分とのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体フィブリンプラグであって、前記フィブリノーゲン誘導体の反応性基の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応してフィブリンプラグを形成しており、前記フィブリンプラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体フィブリンプラグ。
【請求項4】
1つ又は2つ以上の経路を有する肺又は気管支組織を封止する方法であって、請求項2に記載の発泡体プラグを欠陥に挿入することを含む、方法。
【請求項5】
40μmより大きい1つ又は2つ以上の穿孔を有する、請求項2に記載のプラグ。
【請求項6】
40μmより大きい1つ又は2つ以上の成型又は切断された穿孔を有する、請求項2に記載のプラグ。
【請求項7】
約0.4~2mmの適用前直径を有する、請求項2に記載の生検後プラグ。
【請求項8】
約10~20mmの適用前直径を有する、請求項2に記載の腫瘍除去後プラグ。
【請求項9】
造影剤を更に含む、請求項2に記載のプラグ。
【請求項10】
治療剤を更に含む、請求項2に記載のプラグ。
【請求項11】
合成ポリマー成分(4アームPEG-アミン及び4アームPEG-SG)の前記反応生成物である、請求項1に記載のプラグ。
【請求項12】
固体発泡構造体が、界面活性剤を更に含む、請求項3に記載のプラグ。
【請求項13】
発泡構造体が、機械的完全性及び安定性を増強するのに十分な第XIII因子を含む、請求項3に記載のフィブリンプラグ。
【請求項14】
1つ若しくは2つ以上のリブ付きセクション、1つ若しくは2つ以上の返し部、及び/又は波形トポグラフィを有する1つ若しくは2つ以上の領域を有する、請求項2に記載のプラグ。
【請求項15】
前記リブ付きセクション、返し部又は波形領域が、凍結乾燥後に成型及び/又は切断又は成形されたものである、請求項2に記載のプラグ。
【請求項16】
請求項2に記載のプラグの近くに液体封止剤を適用することを更に含む、方法。
【請求項17】
請求項2に記載のプラグが、針生検処置後に同軸針を通過することによって適用される、方法。
【請求項18】
請求項2に記載のプラグが、10~20mmの直径を有し、腫瘍組織の除去から生じる肺経路の直径以下のアプリケータを使用して適用される、方法。
【請求項19】
請求項2に記載のプラグが、スタイレットを使用して同軸針(0.69~1.8mm)を通過する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に肺経路の封止に適した凍結乾燥硬化ポリマーヒドロゲル発泡体プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
水溶液の存在下で吸収及び膨潤するポリマー材料を意味するヒドロゲルは、様々な形態で知られている。吸収、膨潤するが溶解しない能力は、親水性ポリマー鎖の物理的又は化学的架橋によるものである。ヒドロゲルは、モノマー、プレポリマー又は既存の親水性ポリマーから出発して調製され得る。
【0003】
経皮経胸腔針生検手技が知られている。画像誘導経皮経胸腔針生検(image-guided percutaneous transthoracic needle biopsy、PTNB)は、気管支原性がん腫などの病的状態が疑われる患者のための確立された手技である[1]。この手技の目的は、細胞学的又は組織学的試験のために組織を得ることである。この手技は、典型的には、放射線専門医による画像誘導で実施される。利用される画像化モダリティには、蛍光透視法、コンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)、及び超音波が含まれる。超音波は、最も安全で、最も迅速で、最も安価な方法であるが、しかしながら、それは非常に表面的な試料でのみ有用である[2]。病変が超音波に好適でない場合、CTが、好ましい画像化モダリティである[2]。
【0004】
PTNBは、針の種類によって分類される。微細針吸引生検は、細胞学的標本を提供するために実施され、より大きな直径の切断針は、組織学的標本を生成する[2]。歴史的に、切断針は、合併症の比較的高い発生率と関連してきたが、自動切断針の導入により、最近の研究では、微細針吸引と切断針との間では同等の率であることが実証された[2]。
【0005】
PTNBの間、吸引(18~22ゲージ)又は切断針(14~20ゲージ)が、試料回収のために画像誘導下に置かれる[1]。同軸技法を使用して、肺経路内の複数回の通過を可能にし、胸膜穿刺の数を低減し得る[3]。この技法では、薄壁の誘導針(13~19ゲージ)が最初に挿入され、病変に局在化され、その後、吸引又は切断針が挿入される[1]。
【0006】
この手技は、安全及び有効であると考えられるが、気胸の発生率は、12~61%の範囲で依然として顕著であり、2~15%は胸部排液を必要とする[2、4]。気胸のリスクは、病変が胸膜に隣接していない場合に顕著に増加する[5]。ほとんどの合併症は、生検直後又は生検後最初の1時間以内に生じる。したがって、この手技の後に、患者は、穿刺部位を下にして配置され、少なくとも1時間監視下に置かれる[1、2]。患者は、息切れ、胸痛、及び低酸素症を呈する場合がある[6]。ほとんどの急性症候性気胸は、胸部X線写真を介して検出できる。気胸が観察された患者は、気胸の解消を早めるために酸素が投与される[1]。
【0007】
経気管支針吸引(Transbronchial needle aspiration、TBNA)は、縦隔リンパ節の試料採取を可能にする低侵襲性の技法である。気管支内超音波検査(endobronchial ultrasonography、EBUS)を組み込むと、縦隔構造の正確な定義が可能である[7]。近代のデバイスは、超音波気管支鏡を針に組み込み、対象領域のリアルタイム可視化を可能にする。肺がんスクリーニングにおけるEBUS-TBNAの診断率は、95.7%もの高い感度で報告されている[8]。結果として、EBUS-TBNAは、縦隔リンパ節を試料採取するための標準的治療として広く採用されるようになってきている[9]。
【0008】
EBUSデバイスは、トランスデューサ及びプロセッサからなる。トランスデューサは、音波を生成及び受信する。プロセッサは、反射された音を統合し、画像を生成する。プローブは、気道との接触を改善するために膨張させることができるバルーンを含む。EBUS-TBNAデバイスは、超音波線形処理アレイ及び後退可能な針を含む[10]。EBUS-TBNAは、本来、専用の22ゲージ吸引針で実施されていたが、より大きな21ゲージ針が、ごく最近導入された[11]。EBUS-TBNAは、気管支鏡の外径(6.9mm)によって制限されるため、レベル9の気管支の近くの管腔において行われる[10、12]。合併症は、EBUS-TBNAでは非常に低いが、気胸の発生率は依然として顕著である。気胸率は、EBUS-TBNA後に0.53%~16.7%と推定されている[9、12]。
【0009】
世界中のほとんどの施設において、TBNA又はPTNB間の選択は、標準化された戦略をまだ欠いている[13]。選択は、典型的には、手術者の経験又は機関のリソースなどの環境要因によって影響される。臨床シナリオに基づく確立されたアルゴリズムはない。しかしながら、PTNBは、典型的には、臓側胸膜付近の病変に好ましく、TBNAは気道付近の病変に好ましい。
【0010】
気胸の拡大が観察される患者は、胸腔チューブの配置で治療される必要がある[1]。しかしながら、気胸率を低減させるための普遍的に受け入れられているアプローチはない[14]。気胸の発生率を低減させるために複数の解決策が採用されてきた。何人かの著者は、気胸の割合を低減させるために、迅速なロールオーバー[14]並びに深い呼気及び息止め技法[15]を含む技法を調査したが、これらの技法は、0.1~15.7%のリスク低減で、軽度/中程度の効果しか示さなかった[15]。
【0011】
したがって、他の者らは、自家血餅[16]、フィブリン糊[17]、及びゼラチン状発泡体[18、19]を含む様々な封止剤材料の経路への滴下を調査してきたが、いずれも日常業務における広範な使用を達成していない[19]。これらの方法はまた、変動する結果、おそらく手術者依存及び実際の変動の結果に悩まされてきた[20]。自家血餅は、中程度の効力を示したが、手術室での長い調製時間に悩まされる。フィブリン糊及びゼラチン技法は、いくつかの有望な公表されたデータを実証してきたが、それらは広範に研究されていない。
【0012】
ごく最近では、合成ポリエチレングリコールプラグが、BioSentry Tract Sealant System(Angiodynamics)の一部として開発されている[20~22]。無作為化多施設臨床試験において、BioSentryは、対照群(69%)よりも統計的に大きい、85%の患者において気胸の不在をもたらした[21]。しかしながら、プラグの固体性質は、21日までに異物巨細胞反応及びヒドロゲルのカプセル化を誘導する[23]。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、反応性部分を有する少なくとも一対の共反応性ポリエチレングリコールのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグであって、反応性部分の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応しており、プラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグに関する。平均細孔径は、マイクロCT分析を使用して決定され、平均は、細孔の体積の少なくとも約80%が範囲内にある値を表す。
【0014】
本発明はまた、少なくとも1つの生体材料利用可能な求電子反応性部分と、求核反応性部分を有する少なくとも1つの反応性ポリエチレングリコールとのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグであって、反応性部分の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応しており、プラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグに関する。
【0015】
本発明はまた、フィブリノーゲンの自己反応性誘導体と、自己反応性フィブリン(フィブリノーゲン)誘導体を生成する活性化因子成分とのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体フィブリンプラグであって、フィブリノーゲンの実質的に全てが、凍結乾燥前に活性化されてフィブリンプラグを形成しており、フィブリンプラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体フィブリンプラグに関する。
【0016】
本発明はまた、前述の例のうちのいずれかによる発泡体プラグを欠損に挿入又はそうでなければ送達することによって、1つ又は2つ以上の経路を有する肺又は気管支組織を封止する方法に関する。別の実施形態では、本方法は、本明細書に記載のプラグに近くで液体封止剤を適用するステップを更に含む。別の実施形態では、プラグは、針生検処置後に同軸針を通過することによって適用され得る。別の実施形態では、プラグは、10~20mmの直径を有し得、腫瘍組織の除去から生じる肺経路の直径以下のアプリケータを使用して適用される。別の実施形態では、本明細書に記載のプラグは、スタイレットを使用して同軸針(0.69~1.8mm)を通過し得る。
【0017】
本明細書に記載の発泡体プラグは、穿孔器などの機械的手段を使用して導入された100μmより大きい1つ又は2つ以上の穿孔を有し得る。本明細書に記載の発泡体プラグは、200μmより大きい1つ又は2つ以上の成型又は切断された穿孔を有し得る。一実施形態では、本明細書に記載の生検後プラグは、約0.4~2mmの適用前直径を有し得る。一実施形態では、本明細書に記載の腫瘍除去後プラグは、約10~20mmの適用前直径を有し得る。一実施形態では、本明細書に記載のプラグは、造影剤及び/又は治療剤を更に含み得る。
【0018】
一実施形態では、本明細書に記載のプラグは、合成ポリマー成分(4アームPEG-アミン(5k)及び4アームPEG-SG(20k))の反応生成物である。一実施形態では、本明細書に記載のプラグは、界面活性剤で安定化されている固体の発泡構造体であり得る。
【0019】
一実施形態では、本発明は、発泡構造体が機械的完全性及び安定性を増強するのに十分な第XIII因子を含む、フィブリンプラグである。
【0020】
一実施形態では、本明細書に記載のプラグは、1つ若しくは2つ以上のリブ付きセクション、1つ若しくは2つ以上の返し部、及び/又は波形トポグラフィを有する1つ若しくは2つ以上の領域を有し得る。リブ付きセクション、返し部又は波形領域は、凍結乾燥後に成型及び/又は切断又は成形され得る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、経皮的又は気管支内アプローチを介して腫瘍除去及び/又は腫瘍結節の生検後に肺経路に適用され得、好ましくは円筒形状を有する、予め形成され、重合され、凍結乾燥された、生合成、合成、又は生物学的発泡体プラグ又は穿孔された発泡体プラグに関する。プラグを、大きな肺経路(最大直径20mm)又は針生検経路の封止(0.41~1.8mm又は13~22針ゲージ)に利用し得る。大きなプラグは、肺経路の直径以下であるアプリケータを使用して適用され得る。アプリケータは、肺経路内に挿入され、プラグが挿入されるにつれて後退することができる。経皮アプローチの場合、針経路プラグは、同軸針を介して挿入され得る。プラグは、スタイレットを使用して同軸針を通過させることができる。気管支内アプローチの場合、適切な気管支内カテーテル系が使用され得る。発泡体プラグは、水和すると直ちに膨張して、機械的封止を形成し得る。
【0022】
デバイスの一実施形態は、アルブミンなどのタンパク質性成分と、ポリエチレングリコール-スクシンイミジルグルタレート(polyethylene glycol-succinimidyl glutarate、PEG-SG)成分との生合成の組み合わせからなる発泡体プラグであり、約30~45体積%の空気/気体含有量を有し、それは完全に架橋され、-80℃で急速に凍結され、次いで凍結乾燥に供されている。アルブミン成分は、ヒト血清アルブミンなどの天然であってもよく、又は組換えにより産生されてもよい。アルブミンは、発泡体形成混合物中に約100~300mg/ml、好ましくは約100mg/mlの濃度で提供される。PEG-SG成分は、約50mg/mlの濃度で発泡体形成混合物に添加された、約1000~20,000ダルトンの分子量を有する、2、3、4、6、8アームポリエチレングリコールスクシンイミジルグルタレート、より好ましくは4アームポリエチレングリコールスクシンイミジルグルタレート(4-arm polyethylene glycol succinimidyl glutarate、PEG-SG4)であり得る。
【0023】
凍結乾燥発泡体プラグにおいて多孔性の3つの潜在的な供給源が存在する:1)ポリマー構造体の多孔性(100~1000オングストローム)、2)凍結乾燥プロセスによって導入された多孔性(20~40μm)、3)発泡による多孔性(20~270μm)。この特定の系では、発泡によって導入された細孔が水和速度の加速を生成すると考えられている。得られたプラグは、湿潤及び/又は適用の前は、(半径方向及び軸方向に)弾性で、変形可能で、圧縮可能で、可撓性である。
【0024】
完全に架橋又は完全に反応したとは、全てのSG基が利用可能な求核剤と反応したことを意味しない。いくつかのSG基は、架橋前又は架橋中に加水分解する場合がある。加えて、いくつかのSG及び/又は求核基は、立体障害により反応に利用できない。求電子剤及び求核剤の種類及び量並びに反応のpHによって定義される、選択された反応条件下で、全ての利用可能な基がそれらの対応する反応物と反応したことを意図する。
【0025】
-80℃で混合物を約1時間以下で急速に凍結するステップは、凍結ステップ後に得られる生成物が、再現可能な特性に影響を与える氷結晶の均質な分布を有するため有利である。
【0026】
好ましい凍結乾燥サイクル条件は、以下のサイクル時間で、-70℃の凝縮器温度で凍結乾燥機で維持された。
【0027】
【表1】
【0028】
デバイスの第2の実施形態では、発泡体プラグは、約30~45%の空気/気体含有量を有するPEGベース発泡体を形成するように、マルチアームポリエチレングリコールPEG-アミン及びマルチアームPEG-SGなどの合成ポリマー成分のみの反応生成物からなり、発泡体構造体は、ポリソルベート-20などの界面活性剤の添加によって安定化され、利用可能な部分を実質的に完全に反応させ、-80℃で凍結され、約0.69~1.8mmの直径で凍結乾燥される。得られたプラグは、強靭で、弾性で、変形可能で、可撓性である。
【0029】
PEG-アミン成分は、線状二官能性ポリ(エチレングリコール)アミン又はnアームポリ(エチレングリコール)アミン(式中、nは、2以上の整数である)などのポリ(エチレングリコール)アミンマクロマーからなる。この実施形態の場合の好ましいPEG-アミンは、4つのアーム及び少なくとも5000ダルトン(5k)の分子量を有する。
【0030】
PEG-SG成分は、線状二官能性ポリ(エチレングリコール)SG又はnアームポリ(エチレングリコール)SG(式中、nは、2以上の整数である)などのポリ(エチレングリコール)SGマクロマーからなる。この実施形態の場合の好ましいPEG-SGは、4つのアーム及び少なくとも5000ダルトン(5k)の分子量を有する。
【0031】
デバイスの第3の実施形態は、血漿由来の生物発泡体であり得る。かかる血漿由来の生物学的発泡体は、急速な重合を回避するために低活性(2~50IU/mL)でフィブリノーゲン成分をトロンビンなどの活性化因子と組み合わせ、所望のレベルの約30~45%の空気/気体含有量で空気/気体を導入することによって作製され得る。利用可能なフィブリンが重合したら、得られた生物学的発泡体を-80℃で凍結し、凍結乾燥する。
【0032】
上記の発泡体プラグの各々は、乾燥状態での使用のために包装され、滅菌され、適用され、これは、プラグが周囲環境の結果以外の顕著な水分を含有しないことを意味する。より好ましくは、プラグは、通常の室内条件下で8%未満、より好ましくは約5%未満、最も好ましくは3%未満の含水量を有するとして乾燥していると考えられる。
【0033】
上記の発泡体プラグの各々は、プラズマ由来成分、合成反応性ポリマー及び/又は重合性反応基を有する生体材料の反応生成物である。本出願の目的のために、反応生成物は、全て又は実質的に全ての利用可能な反応性基を、好ましくは少なくとも2つの反応性基を有する、共反応性部分及び/又は化学架橋剤と反応させるのに適切な時間及び条件に供されている材料を指す。
【0034】
上記の発泡体プラグは、肺漏防止(pneumostasis)及び止血制御を達成するために、生合成、合成、又は生物学的液体封止剤と組み合わせて適用され得る。プラグと組み合わせて使用される液体封止剤は、使用直前に予め混合される求核剤(例えば、アルブミン又はPEG-アミン)及びPEG-SGの液体溶液、又は生物学的液体封止剤(すなわち、フィブリノーゲン成分と、フィブリノーゲン活性化因子又は重合剤とを含有するフィブリン封止剤製剤)を含み得る。これらの液体封止剤は、発泡体プラグの挿入前、挿入中、又は挿入後に適用され得る。液体封止剤は、肺の内部及び表面に封止を形成して空気漏れを防止するのに十分な時間、5秒~5分間、架橋する必要がある。
【0035】
特に好ましい発泡体は、5kDa~20kDaの分子量を有する3つ(3)より多い求電子基を有する25~100mg/mLのマルチアームPEGを、約50~200mg/mLのアルブミンと反応させることによって形成され得、約30~45%の空気含有量であり得る。特に好ましい反応製剤は、75mg/mLの4アームPEG-SG(20k)、10%濃度のアルブミン(100mg/mLを意味する)を含み、概して、%は、100mLの水、50mMの炭酸緩衝液(pH=9.0)中の物質のグラム数を指す。
【0036】
好ましい発泡体プラグは、プラグのより速い水による浸透を可能にする発泡体の多孔性構造の結果として、速い水和時間を示し、機械的封止の増加のためのプラグのより速い膨潤をもたらす。体積増加は、元の発泡体(容器)寸法に基づいて制御され得る。
【0037】
好ましい発泡体プラグはまた、移植される材料の質量が低減し、治癒中のより速い吸収を可能にするように、発泡体が大きなパーセンテージの空気(又は気体)からなるため、速い吸収時間を示す。PEG発泡体の吸収時間は、PEG架橋剤の生分解性に基づいて更に調整可能である。血漿生物学的発泡体の吸収時間は、生物学的発泡体中のフィブリノーゲン及び第XIII因子の量を変化させることによって調節され得る。
【0038】
好ましい発泡体プラグは、肺経路への挿入及びその後の即時機械的封止のための拡張を可能にする、柔軟で圧縮可能な発泡体である。発泡体の形状は、経路内の組織上に差圧を生成するために、円筒形又は先細であり得る。
【0039】
好ましい発泡体プラグは、発泡体が、呼吸している肺の自然な動きとともに膨張及び収縮し得るように、いったん水和されると十分な可撓性を有する。
【0040】
好ましい発泡体プラグは、発泡体の大部分が空気(又は気体)を含有し、液相が体積の55~70%のみを占め、すなわち発泡体プラグの体積の30~45%が気体であるため、高い体積対質量比を有する。
【0041】
好ましい発泡体プラグは、X線撮像中に使用される造影剤である、オムニパーク及びHexopaqueとしても知られているイオヘキソールなどの造影剤を任意選択で含み得る。後者の造影剤は、PEG-アルブミン発泡体の品質に影響を与えないことが示されている。
【0042】
本発明は、気胸を予防するために経皮又は気管支内生検手技後に肺経路に適用される、好ましくは、円筒形の、凍結乾燥された、生合成、合成又は生物学的発泡体プラグを記載する。経皮アプローチは、針生検手技(直径0.41~1.8mm)又は腫瘍結節を除去するためのコアリング手技(直径<20mm)のいずれかを含み得る。発泡体プラグは、水和すると直ちに膨張して、機械的封止を形成し得る。発泡体プラグは、気腫及び止血制御を達成するために、生合成、合成、又は生物学的液体封止剤と組み合わせて適用され得る。
【0043】
デバイスの一実施形態は、タンパク質性成分(例えば、アルブミン)と、ポリエチレングリコールスクシンイミジルグルタレート成分(PEG-SG)(30~45%空気/気体含有量)との生合成の組み合わせからなる発泡体プラグ又は穿孔された発泡体プラグであり、それは、完全に架橋され、-80℃で凍結され、0.41~1.8mmの直径で凍結乾燥される。得られたプラグは、強靭で、弾性で、変形可能で、可撓性である。プラグは、針生検手技の後に同軸針を通過させることができる。
【0044】
デバイスの別の実施形態では、生合成プラグは、10~20mmの直径を有し得、腫瘍組織の除去から生じる肺経路の直径以下の小さいアプリケータを使用して適用され得る(<20mm)。アプリケータは、肺経路内に挿入され、プラグが挿入されるにつれて後退することができる。
【0045】
デバイスの別の実施形態では、生分解性材料は、放射線不透過性のための非イオン性造影剤(例えば、イオヘキソール)と組み合わされ得る。造影剤は、後日、部位の位置特定を可能にし得る。
【0046】
デバイスの別の実施形態では、生分解性材料は、磁気共鳴撮像による検出を容易にするために造影剤と組み合わされ得る。造影剤は、後日、部位の位置特定を可能にし得る。
【0047】
デバイスの別の実施形態では、生分解性材料は、放射線検出方法のための放射性薬剤と組み合わされ得る。放射性薬剤は、後日、部位の位置特定を可能にし得る。
【0048】
デバイスの別の実施形態では、生分解性材料は、治療剤と組み合わされ得る。治療剤(例えば、化学療法剤)は、がんの管理のための局所的な薬物送達を提供し得る。
【0049】
デバイスの第2の実施形態では、発泡体は、合成ポリマー成分(例えば、4アームPEG-アミン(5k)及び4アームPEG-SG(20k))のみの反応生成物であり、約30~45体積%の空気/気体含有量を有するPEGベースの発泡体及び実質的に全ての利用可能な反応性部分が反応した界面活性剤(例えば、ポリソルベート-20)で安定化された発泡体構造を形成し、それは、-80℃で凍結され、0.41~1.8mmの直径で凍結乾燥される。得られたプラグは、強靭で、弾性で、変形可能で、可撓性である。プラグは、スタイレットを使用して同軸針(0.69~1.8mm)を通過させることができる。
【0050】
デバイスの別の実施形態では、合成プラグは、10~20mmの直径を有し得、腫瘍組織の除去から生じる肺経路の直径以下のアプリケータを使用して適用され得る(<20mm)。アプリケータは、肺経路内に挿入され、プラグが挿入されるにつれて後退することができる。
【0051】
デバイスの第3の実施形態では、発泡体は、低活性で、フィブリノーゲンをトロンビンなどのフィブリノーゲン活性化因子又は重合剤と組み合わせ、空気又は気体を導入することによって混合物を発泡させることによって得られるフィブリンからなり得る。通気されたフィブリンを重合させ、-80℃で凍結し、直径0.41~1.8mmで凍結乾燥する。得られたプラグは、強靭で、弾性で、変形可能で、可撓性である。プラグは、スタイレットを使用して同軸針(0.69~1.8mm)を通過させることができる。
【0052】
デバイスの別の実施形態では、生物学的プラグは、20mm未満の直径を有し得、腫瘍組織の除去から生じる肺経路の直径以下の小さいアプリケータを使用して適用され得る(約20mm)。アプリケータは、肺経路内に挿入され、プラグが挿入されるにつれて後退することができる。
【0053】
デバイスの別の実施形態では、フィブリン発泡体は、第XIII因子を使用して架橋され、発泡体の機械的完全性及び安定性を増強し得る。デバイスの別の実施形態では、プラグは、プラグの圧力下での押し出しに抵抗する能力を改善するために、リブ付き特徴を含むように製作され得る。
【0054】
デバイスの別の実施形態では、プラグは、プラグの圧力下での押し出しに抵抗する能力を改善するために、過大寸法を有し得る。
【0055】
デバイスの別の実施形態では、プラグは、穿孔、取り外し可能なピンを有する型などを介して製作されたプラグの水和及び再吸収を改善するために、更なる細孔を有し得る。
【0056】
デバイスの別の実施形態では、プラグは、スタイレットを使用して挿入される。デバイスの別の実施形態では、プラグは、空気圧を使用して所望の位置まで挿入される。デバイスの別の実施形態では、プラグは、円筒形メッシュで保持され、位置に移動され、プラグは、メッシュを拡張することによって展開される。
【実施例
【0057】
実施例1:生合成、合成、及び生物学的プラグ製剤
1.生合成液:75mg/mLの4アームPEG-SG-20k、10%のアルブミン、50mMの炭酸塩(pH=9.0)
2.生合成高密度発泡体:75mg/mLの4アームPEG-SG-20k、10%のアルブミン、50mMの炭酸塩(pH=9.0)(2:1の液体対空気の比、66%空気)
3.生合成低密度発泡体:75mg/mLの4アームPEG-SG-20k、10%のアルブミン、50mMの炭酸塩(pH=9.0)(1:2の液体対空気の比、33%空気)
4.合成液:75mg/mLの4アームPEG-SG-20k、57mg/mLの4アームPEG-NH2-5k、50mMの炭酸塩(pH=9.0)
5.フィブリン封止剤
【0058】
これらの製剤をリン酸緩衝生理食塩水中で水和した。5分及び10分での水和による質量の増加を測定した。合成製剤は、生合成及びフィブリン封止剤製剤よりも5倍多く水和した。生合成製剤とフィブリン封止剤製剤との間で水和に顕著な差はなかった。約82%の水和が5分までに生じたが、5分と10分との間で水和に顕著な差があった。合成製剤は、他の製剤よりも顕著に大きい水和を示したが、合成製剤は、凝集特性が乏しい。これは、顕著に低い引張剛性及び引張極限応力によって実証されている。この凝集特性の低減は、針経路における封止性の乏しさをもたらす。
【0059】
実施例2:
75mg/mLの4アームPEG-SG-20k、10%のアルブミン、50mMの炭酸塩(pH=9.0)の生合成製剤を試験した。試験した各群について、750mgのPEG-SG4-20kを5mLの100mM炭酸緩衝液(pH=9.0)に溶解した。PEG-SG4-20kを20mLスリップチップシリンジに充填し、プランジャを以下の表に対応する目盛りに位置決めした。5mLの20%のアルブミンを20mLシリンジに充填し、プランジャを以下の表に対応する目盛りに位置決めした。二重シリンジコネクタを使用してシリンジを接続し、溶液を20回通過させた。シリンジを直ちに針に接続し、数滴が評価されるまで発泡体をゆっくりと絞り出した。次いで、針先をゴム栓に突き刺し、針をシリンジから取り外した。完全に架橋したら、針をゴム栓から取り外した。
【0060】
【表2】
【0061】
製剤の発泡は、生合成製剤の水和速度を増加させた。0%(固体)、33%、及び66%の空気含有量を有する生合成製剤内で発泡の影響を評価した。発泡プラグ(33%及び66%空気)は、固体プラグよりも約2.5倍多く水和した。33%及び66%空気のプラグの間に顕著な差はなかったが、発泡プラグは固体プラグよりも顕著に水和された。
【0062】
0、15、30、45及び60%の空気含有量を試験した。凍結乾燥発泡体中の空気含有量は、5分での水和に対して有意な効果(p<0.01、一元配置ANOVA)を有した。具体的には、45%の空気含有量は、0及び15%の空気の発泡体よりも有意に大きい水和を示した。加えて、等分散についての検定は、全ての群における分散が有意に異なることを示した(p<0.01)。したがって、2つの分散について一連の検定を行ったところ、60%空気含有発泡体の分散が30%及び45%空気含有発泡体よりも有意に大きいことが示され、60%空気を有する発泡体の水和速度が一致しないことが実証された。
【0063】
凍結乾燥発泡体中の空気含有量は、10分での水和に対して有意な効果(p<0.01、一元配置ANOVA)を有した。具体的には、30%以上の空気含有量を有する発泡体は、0及び15%の空気発泡体よりも有意に大きい水和を示した。30%、45%及び60%発泡体の分散は、10分で有意に異ならなかった。したがって、30%~45%の空気含有量の予め形成された凍結乾燥発泡体プラグは、5分で最小の分散を有する最良の水和をもたらす。30%~60%の空気含有量の発泡体は、10分で最良の水和をもたらす。
【0064】
実施例3:エクスビボ結果
発泡体プラグ試作品を、エクスビボブタ肺モデルにおいて気腫を達成するそれらの能力について評価した。このモデルでは、肺摘採物を試験当日に新たに採取し、試験まで湿った状態に保った。試験の前に、肺を人工呼吸器上に置き、虚脱肺胞を動員した(目標は虚脱無気肺胞を開くことである)。試験時に、肺をRespironics人工呼吸器に接続して、換気循環中の圧力を正確に制御した。圧力は、25水柱cmの吸気圧及び5水柱cmの呼気圧(20水柱cmの差)に設定した。
【0065】
肺に12mm穿孔器(Acu-punch)で肺穿刺欠損を作製し、これを人工呼吸器及び循環に接続した。欠損サイズは、穿孔後に測定され、膨張した肺において直径約1.5cm及び深さ3cmであった。欠損における空気漏れは、気泡試験で重度として評価された。試作品を適用した場合、肺を拡張させたままにするために、圧力を10水柱cmの吸気圧及び10水柱cmの呼気圧(変化なし)に低減させた。
【0066】
試作品適用後、典型的には、肺が依然として拡張され、陽圧下にある間に、試作品に局所圧迫を1分間かけた。性能を試験するために、低圧で開始して、25水柱cmの吸気圧及び5水柱cmの呼気圧(20水柱cm差)まで増加させて肺を換気した。気泡試験は、生理食塩水を穿刺部位に通し、空気漏れの存在及び重症度を記録することによって実施された。追加の課題のために、換気圧を、40水柱cmの吸気圧及び5水柱cmの呼気圧(35水柱cmの差)に増加させた。圧力試験後、試作品を穿刺部位から引き抜き、周囲組織への接着を定性的に評価した。試験された特定の試作品は、各画像のキャプションに記載される。両方の発泡体プラグ試作品は、フィブリン封止剤、Evicel又はPEG-アルブミン液体封止剤と組み合わせて使用した場合、20及び35水柱cmの両方で空気漏れを封止した。
【0067】
実施例4:
針経路封止試作品を、エクスビボブタ肺モデルにおいて評価した。試験の目的は、経皮又は胸腔鏡下針肺生検後に肺における胸膜及び実質病変を閉鎖するための、事前形成されたプラグ/ペースト封止剤試作品の肺漏防止有効性を評価することであった。試験当日に肺摘採物を新たに採取した。試験の直前に、肺を人工呼吸器上に置き、虚脱肺胞を動員した。肺をRespironics人工呼吸器に接続して、換気循環中の圧力を正確に制御した。肺を順応させるために、圧力は、25水柱cmの吸気圧及び5水柱cmの呼気圧(20水柱cmの差)に設定した。
【0068】
針生検中、人工呼吸器を10水柱cmの定圧(10水柱cmの吸気圧及び呼気圧)に設定することによって肺を拡張させた。針経路は、3cmの深さに位置決めされた同軸針ポートを通して挿入された19ゲージの生検針を使用して肺に作製された。試作品プラグは、市販のプラグアセンブリ及びスタイレットを使用して針経路内に挿入されるか、又はスタイレットを使用してプラグを位置に押し込むことによって手動で挿入された。
【0069】
試作品適用/挿入後、少なくとも3分の持続時間により、陽圧(10水柱cm)下の間、試作品が肺内で膨張及び/又は重合することができた。封止性能を試験するために、肺を20水柱cmの圧の差(25水柱cmの吸気圧及び5水柱cmの呼気圧、すなわち20水柱cmの差)で換気した。生理食塩水での気泡試験を実施して、空気漏れの存在及び重症度を評価した。特定の試作品について得られた結果を以下に示す。
【0070】
結果:
試作品:凍結乾燥Surgifoam/Surgiflo PEG液体プラグ(L1-6)。20水柱cmの圧でわずかな漏れが観察された。漏れは、未処置の針経路欠損に対して有意に低減した。
【0071】
試作品:凍結乾燥Evicelフィブリン封止剤プラグ(L1-7)。20水柱cmの圧でわずかな漏れが観察された。漏れは、未処置の針経路欠損に対して有意に低減した。
【0072】
試作品:凍結乾燥生合成液体(PEG-SG4+アルブミン)プラグ(L2-1)。20水柱cmの圧で漏れは観察されなかった。
【0073】
試作品:凍結乾燥生合成発泡体プラグ(2:1液体対空気)(L2-5)。20水柱cmの圧で換気した場合、ピーク圧力でわずかな漏れが観察された。漏れは、未処置の針経路欠損に対して有意に低減した。
【0074】
PCT
PCT1.反応性部分を有する少なくとも一対の共反応性ポリエチレングリコールのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグであって、反応性部分の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応しており、プラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグ。
【0075】
PCT2.少なくとも1つの生体材料利用可能な求電子反応性部分と、求核反応性部分を有する少なくとも1つの反応性ポリエチレングリコールとのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグであって、反応性部分の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応しており、プラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグ。
【0076】
PCT3.フィブリノーゲンの自己反応性誘導体と、自己反応性フィブリン(フィブリノーゲン)誘導体を生成する活性化因子成分とのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体フィブリンプラグであって、フィブリノーゲン誘導体の反応性基の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応してフィブリンプラグを形成しており、フィブリンプラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体フィブリンプラグ。
【0077】
PCT4.前述のいずれかに記載の発泡体プラグを欠損に挿入することを含む、1つ又は2つ以上の経路を有する肺又は気管支組織を封止する方法。
【0078】
PCT5.40μmより大きい1つ又は2つ以上の穿孔を有する、PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグ。
【0079】
PCT6.40μmより大きい1つ又は2つ以上の成型又は切断された穿孔を有する、PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグ。
【0080】
PCT7.約0.4~2mmの適用前直径を有する、PCT1~3のいずれか1つに記載の生検後プラグ。
【0081】
PCT8.約10~20mmの適用前直径を有する、PCT1~3のいずれか1つに記載の腫瘍除去後プラグ。
【0082】
PCT9.造影剤を更に含む、PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグ。
【0083】
PCT10.治療剤を更に含む、PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグ。
【0084】
PCT11.合成ポリマー成分(4アームPEG-アミン及び4アームPEG-SG)の反応生成物である、PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグ。
【0085】
PCT12.固体発泡構造体が、界面活性剤を更に含む、PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグ。
【0086】
PCT13.発泡構造体が、機械的完全性及び安定性を増強するのに十分な第XIII因子を含む、PCT1~3のいずれか1つに記載のフィブリンプラグ。
【0087】
PCT14.1つ若しくは2つ以上のリブ付きセクション、1つ若しくは2つ以上の返し部、及び/又は波形トポグラフィを有する1つ若しくは2つ以上の領域を有する、PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグ。
【0088】
PCT15.リブ付きセクション、返し部又は波形領域が、凍結乾燥後に成型及び/又は切断又は成形されたものである、PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグ。
【0089】
PCT16.PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグの近くに液体封止剤を適用することを更に含む、方法。
【0090】
PCT17.PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグが、針生検処置後に同軸針を通過することによって適用される、方法。
【0091】
PCT18.PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグが、10~20mmの直径を有し、腫瘍組織の除去から生じる肺経路の直径以下の小さいアプリケータを使用して適用される、方法。
【0092】
PCT19.PCT1~3のいずれか1つに記載のプラグが、スタイレットを使用して同軸針(0.69~1.8mm)を通過する、方法。
【0093】
〔実施の態様〕
(1) 反応性部分を有する少なくとも一対の共反応性ポリエチレングリコールのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグであって、前記反応性部分の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応しており、前記プラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグ。
(2) 少なくとも1つの生体材料利用可能な求電子反応性部分と、求核反応性部分を有する少なくとも1つの反応性ポリエチレングリコールとのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグであって、前記反応性部分の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応しており、前記プラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体プラグ。
(3) フィブリノーゲンの自己反応性誘導体と、自己反応性フィブリン(フィブリノーゲン)誘導体を生成する活性化因子成分とのポリマー反応生成物である、乾燥した凍結乾燥発泡体フィブリンプラグであって、前記フィブリノーゲン誘導体の反応性基の実質的に全てが、凍結乾燥前に反応してフィブリンプラグを形成しており、前記フィブリンプラグが、約30~45%の全体細孔空隙率、及び平均細孔が概して20~95μmである微孔性構造を有する、乾燥した凍結乾燥発泡体フィブリンプラグ。
(4) 1つ又は2つ以上の経路を有する肺又は気管支組織を封止する方法であって、実施態様2に記載の発泡体プラグを欠陥に挿入することを含む、方法。
(5) 40μmより大きい1つ又は2つ以上の穿孔を有する、実施態様2に記載のプラグ。
【0094】
(6) 40μmより大きい1つ又は2つ以上の成型又は切断された穿孔を有する、実施態様2に記載のプラグ。
(7) 約0.4~2mmの適用前直径を有する、実施態様2に記載の生検後プラグ。
(8) 約10~20mmの適用前直径を有する、実施態様2に記載の腫瘍除去後プラグ。
(9) 造影剤を更に含む、実施態様2に記載のプラグ。
(10) 治療剤を更に含む、実施態様2に記載のプラグ。
【0095】
(11) 合成ポリマー成分(4アームPEG-アミン及び4アームPEG-SG)の前記反応生成物である、実施態様1に記載のプラグ。
(12) 固体発泡構造体が、界面活性剤を更に含む、実施態様3に記載のプラグ。
(13) 発泡構造体が、機械的完全性及び安定性を増強するのに十分な第XIII因子を含む、実施態様3に記載のフィブリンプラグ。
(14) 1つ若しくは2つ以上のリブ付きセクション、1つ若しくは2つ以上の返し部、及び/又は波形トポグラフィを有する1つ若しくは2つ以上の領域を有する、実施態様2に記載のプラグ。
(15) 前記リブ付きセクション、返し部又は波形領域が、凍結乾燥後に成型及び/又は切断又は成形されたものである、実施態様2に記載のプラグ。
【0096】
(16) 実施態様2に記載のプラグの近くに液体封止剤を適用することを更に含む、方法。
(17) 実施態様2に記載のプラグが、針生検処置後に同軸針を通過することによって適用される、方法。
(18) 実施態様2に記載のプラグが、10~20mmの直径を有し、腫瘍組織の除去から生じる肺経路の直径以下のアプリケータを使用して適用される、方法。
(19) 実施態様2に記載のプラグが、スタイレットを使用して同軸針(0.69~1.8mm)を通過する、方法。
【国際調査報告】