IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

<>
  • 特表-汗検知装置 図1
  • 特表-汗検知装置 図2
  • 特表-汗検知装置 図3
  • 特表-汗検知装置 図4
  • 特表-汗検知装置 図5
  • 特表-汗検知装置 図6
  • 特表-汗検知装置 図7
  • 特表-汗検知装置 図8
  • 特表-汗検知装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(54)【発明の名称】汗検知装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230904BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20230904BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A61B5/00 N
G01N33/50 X
G01N33/483 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513451
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2021073353
(87)【国際公開番号】W WO2022043305
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20193659.8
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン マーク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ファン リースハウト ロン マルティヌス ラウレンチウス
(72)【発明者】
【氏名】ペルセルス エドゥアルド ゲラルド マリエ
(72)【発明者】
【氏名】フアイブレグツ ローレンシア ヨハンナ
(72)【発明者】
【氏名】クルーン バート
【テーマコード(参考)】
2G045
4C117
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB12
2G045FA11
4C117XB01
4C117XD05
4C117XE06
4C117XE36
4C117XE43
(57)【要約】
汗検知装置100が提供される。装置は、皮膚104に対して配置される本体102を備える。本体には、皮膚領域から汗を受けるための凹部108が画定されている。装置は、皮膚領域の汗孔110から凹部内に突出している離散した汗滴106を検出するように構成された光学検出アセンブリ114と、光学検出アセンブリ114によって汗滴が検出された後に、凹部108から汗滴106を取り去って輸送するように構成された流体システム116とをさらに備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に対して配置されるための本体であって、皮膚領域から汗を受けるための凹部が前記本体に画定されている、当該本体と、
前記皮膚領域の汗孔から前記凹部内に突出する離散した汗滴を検出するための光学検出アセンブリと、
前記光学検出アセンブリによって前記汗滴が検出された後、前記汗滴を前記凹部から取り去って輸送するための流体システムと
を備える、汗検知装置。
【請求項2】
前記光学検出アセンブリが、
光学検出器と、
光を前記光学検出器に運ぶ導波路であって、前記導波路と前記凹部内に突出する前記汗滴との間で接触する際に光が前記導波路から導出するように配置された、当該導波路と
を備えた、請求項1に記載の汗検知装置。
【請求項3】
前記光学検出アセンブリが、前記導波路によって前記光学検出器に運ばれる光を供給するための照光ユニットを備えた、請求項2に記載の汗検知装置。
【請求項4】
周囲光が通過して前記導波路に供給される窓を備え、前記周囲光が前記導波路によって前記光学検出器に運ばれる、請求項2又は請求項3に記載の汗検知装置。
【請求項5】
前記導波路の外側表面が部分的に前記凹部の境界を定め、前記外側表面が、前記光学検出器によって前記汗滴が検出された後、前記汗滴を汗収集器及び/又は分析物センサに向けて輸送し、任意選択的に、前記外側表面が、前記汗滴の前記輸送のための表面張力勾配材料を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の汗検知装置。
【請求項6】
前記光学検出器に光を運ぶための基準導波路を備え、前記基準導波路によって運ばれる光が前記凹部内の汗によって影響を受けないように、前記基準導波路が前記凹部から光学的に遮蔽されている、請求項2から5のいずれか一項に記載の汗検知装置。
【請求項7】
前記光学検出アセンブリが、
アクティブ画素センサ・アレイと、
前記汗滴の検出を可能にするように、前記アクティブ画素センサ・アレイによって受光される前記皮膚領域の画像を結像するレンズ装置と
を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の汗検知装置。
【請求項8】
前記凹部から前記レンズ装置に光が通過する光学窓を備える汗検知装置であって、前記光学窓の表面が、部分的に前記凹部の境界を定め、前記光学検出アセンブリによって前記汗滴が検出された後に前記汗滴を汗収集器及び/又は分析物センサに向けて輸送し、任意選択的に、前記表面が前記汗滴の前記輸送のための表面張力勾配材料を含む、請求項7に記載の汗検知装置。
【請求項9】
前記光学検出アセンブリが、前記凹部を照明するための光源を備えた、請求項7又は請求項8に記載の汗検知装置。
【請求項10】
単一の汗腺タイプに固有の、前記汗滴中の分析物の存在を検出するための分析物センサと、
前記光学検出アセンブリによって集められたデータから、前記汗滴が検出された前記皮膚領域の範囲を特定し、前記分析物センサから受信された、検出された前記分析物の前記存在に基づいて、前記汗腺タイプを前記範囲に割り当てる、プロセッサと
を備える、請求項1から9までのいずれか一項に記載の汗検知装置。
【請求項11】
前記光学検出アセンブリによって集められたデータから、前記汗滴の成長速度を決定し、
前記光学検出アセンブリによって集められたデータから、前記汗滴が検出された前記皮膚領域の範囲を特定し、
前記汗滴の前記成長速度に基づいて、汗腺タイプを前記範囲に割り当てる、プロセッサを備える、請求項1から9までのいずれか一項に記載の汗検知装置。
【請求項12】
前記光学検出アセンブリによって集められたデータから、前記汗滴が検出された前記皮膚領域の範囲を特定し、
前記光学検出アセンブリによって集められたデータから、前記範囲で検出された汗孔外観特性に基づいて汗腺タイプを決定し、
前記汗孔外観特性に基づいて、汗腺タイプを前記範囲に割り当てる、プロセッサを備える、請求項1から9までのいずれか一項に記載の汗検知装置。
【請求項13】
前記汗孔外観特性が、汗孔毛嚢に関するパラメータを含む、請求項12に記載の汗検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汗検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2019/210240A1では、発汗速度、又は、装置着用者の生理学的状態に関連する、汗の中の1つ又は複数の分析物の濃度を測定するように構成された、可撓性で身体にぴったり合う汗検知装置が開示されている。
【0003】
Bergamini G.らによる「Ratiometric sweat secretion optical test in cystic fibrosis,carriers and healthy subjects」、JOURNAL OF CYSTIC FIBROSIS、ELSEVIER、オランダ、vol.17、no.2、2017年12月29日(2017-12-29)、186~189ページ、ISSN:1569-1993、DOI:10.1016/J.JCF.2017.12.003では、個々の人間の汗腺における発汗速度を測定する簡略化された手順が開示されている。
【0004】
Wine J.J.らによる「In Vivo Readout of CFTR Function:Ratiometric Measurement of CFTR-Dependent Secretion by Individual,Identifiable Human Sweat Glands」、PLOS ONE、vol.8、no.10、2013年10月24日(2013-10-24)、1~16ページでは、生体内のCFTRの働きを評価するために、各対象者の複数の(~50個の)個別の識別された汗腺についてCFTR依存性及びCFTR非依存性の汗分泌を並行してモニタリングし、比較するバイオアッセイが開示されている。
【0005】
病気/健康状態及び健やかさを示すバイオマーカの、非侵襲的、半連続的で長期のモニタリングは、例えば、脱水、ストレス、睡眠、子供の健康のモニタリング、及び周術期のモニタリングにおいて必要とされている。
【0006】
汗、涙液、及び唾液は、すべて非侵襲的に採取することができる。汗は特に手に入りやすい生体液であり、対象者の生理機能及び代謝に関する豊富な情報源である。
【0007】
臨床に関連する汗の成分のいくつかの例としては、脱水をモニタリングするためのNa、Cl、及び/又はK、(敗血症に関連する)炎症の早期警告としての乳酸、糖尿病患者及び新生児に対するグルコース、並びに睡眠時無呼吸及びストレスのモニタリングに関連するコルチゾールがある。
【0008】
重い慢性疾患を有する患者、術前又は術後の患者、及び高齢者などのハイリスク患者の、汗のバイオマーカをモニタリングする装置を使用した継続的なモニタリングにより、通常は複数の血液サンプルを繰り返し採取することで行われる定期的なバイオマーカ抽出検査よりも高い品質の診断情報を提供することができる。そのような継続的なモニタリングは、病院の設備又はその他の場所で行われる。人間の汗は、単独で、又は皮脂の脂質との混合物として、皮膚装着型装置におけるバイオマーカ測定用の容易に手に入る供給源である。例えば、コレステロールは、心血管疾患の発症のリスク上昇に関連付けられた重要なバイオマーカである。炎症マーカ又はインターロイキン(例えば、TNF-a、IL-6)などのサイトカインは、リウマチ及び乾癬性関節炎における関節障害並びに腸疾患の、免疫応答及び検出又は疾患モニタリングにおいて重要な役割を担う。
【0009】
適切な捕捉種(抗体、アプタマ、分子インプリントポリマーなど)を使用してエクリン/アポクリン汗で検出することができるバイオマーカの例として、尿素、クレアチニン、コレステロール、トリグリセリド、ステロイドホルモン(コルチゾール)、グルコース、メラトニンなどの低分子化合物;IL-1α、IL-1β、IL-6、TNFα、IL-8、及びTGF-βIL-6などのサイトカイン、システインプロテイナーゼ、DNAseI、リゾチーム、Zn-α2-糖タンパク質、システインリッチ分泌タンパク質-3、ダームシジンを含むペプチド及びタンパク質;並びにC型肝炎ウイルスなどの大型バイオマーカが挙げられる。
【0010】
Mena-Bravo及びde Castroが 「Sweat:A sample with limited present applications and promising future in metabolomics」、J.Pharm.Biomed.Anal.90、139~147(2014)で要約しているように、汗の検知から得られる結果はばらつきが大きくなり得て、血液及び汗のサンプルから決定される値の間では、様々なバイオマーカについて相関がないように見えることが判明している。この点において、当分野のこれまでの研究は、袋又は布に大量の汗を収集するなどの比較的粗いサンプリング手法を含んでいた。そのような手法の欠陥が、相関がないように見える要因になってきた可能性がある。Mena-Bravo及びde Castroの調査では、分析に十分な量を発汗することの難しさ、サンプルの蒸発の問題、適切なサンプリング装置の不足、訓練を受けた人員の必要性、及びサンプリング量の正規化に関する問題に関して、従来の汗検知手法のさらなる主要な不満を強調している。
【0011】
皮膚から汗が出たほぼ直後にウェアラブル・センサを汗と接触させることで、これらの問題に対処しようとする取り組みが行われてきた。例としては、「Fully integrated wearable sensor arrays for multiplexed in situ perspiration analysis」、Nature529、509~514(2016)でGaoらによって提示されたウェアラブル・パッチがある。パッチは、Na、K、グルコース、乳酸、及び皮膚温度を測定するためのセンサ・アレイを備えている。しかしながら、この研究は、センサ自体の開発及び統合に焦点が当てられており、明らかに重要でありながら汗のサンプル収集に関する問題には対処していない。汗のサンプル収集は、主に、皮膚とセンサとの間に数cmサイズの吸収パッドを配置することによって行われる。十分な量の汗が生じると(したがって、運動している人を対象に検査が行われる)、パッドは分析用の汗を吸収し、新たに発生した汗がパッドを満たして古い汗を「洗い流す」であろうと想定される。しかしながら、センサの時間依存応答は、蓄積効果のために、一定時間にわたる実際のバイオマーカのレベルを直接反映しない可能性がある。公開されているセンサに対するサンプルの収集及び提示が良好に制御できない場合もあり、長時間にわたる連続的で信頼性の高い検知は困難である。また、そのようなパッチは、通常の条件下で生じる微量の汗、すなわち汗腺あたり1分間に数ナノリットル程度を扱うようには設計されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、改良された汗検知装置を提供することである。本発明は、独立請求項によって定義される。従属請求項は、有利な実施形態を定義している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様によると、皮膚に対して配置されるための本体であって、皮膚領域から汗を受ける凹部が画定されている、当該本体と、皮膚領域の汗孔から凹部内に突出する離散した汗滴を検出するように構成された光学検出アセンブリとを備える汗検知装置が提供される。
【0014】
光学検出アセンブリは、個別の汗孔から突出する離散した汗滴の検出を可能にするので、汗検知装置は、個別の汗腺からの発汗のモニタリングを可能にし、汗腺からは汗孔が延在している。
【0015】
個別の汗腺の汗排出挙動をそのように光学的に調査することは、汗腺ごとの発汗速度の決定が可能になり、それによって例えば、汗中の分析物濃度を計算された血中濃度に転換できることなどの、様々な関連する利点を有する。代替的又は追加的に、個別の汗腺の汗排出挙動の光学的調査は、汗腺の汗腺タイプ、換言するとエクリンであるかアポクリンであるかを識別するプロセスに使用される。
【0016】
汗検知装置は、光学検知アセンブリによって汗滴が検出された後、凹部から汗滴を取り去って輸送するように構成された流体システムを備える。これにより、皮膚領域で連続して生じる汗滴を計数しやすくなる。
【0017】
実施例の第1のセットでは、光学検出アセンブリは、光学検出器と、光を光学検出器に運ぶ導波路とを備え、導波路は、導波路と凹部内に突出する汗滴との間で接触する際に導波路から光が導出されるように配置されている。
【0018】
導出により、光学検出器で検出される光強度が、汗滴が導波路に接触しないシナリオに比べて低下することになる。この比較的簡単な検出原理は、例えば、フォトダイオードなどの比較的単純で低コストの光学検出器を使用して実施可能であるという利点がある。
【0019】
光学検出アセンブリは、例えば、導波路によって光学検出器に運ばれる光を供給するための照光ユニットを備える。
【0020】
代替的又は追加的に、汗検知装置は、周囲光が通過して導波路に供給される窓を備える。この場合、周囲光は導波路によって光学検出器まで運ばれる。このようなやり方で周囲光を使用することにより、電動照光ユニットが不要になり、それによって汗検知装置の消費電力が削減される。
【0021】
いくつかの実施形態では、汗検知装置は、汗の中の分析物を検知するように構成された汗収集器及び/又は分析物センサを備える。
【0022】
導波路の外側表面は、部分的に凹部の境界を定め、光学検出器によって汗滴が検出された後、汗滴を汗収集器及び/又は分析物センサに向けて輸送するように構成されている。
【0023】
このように導波路は、離散した汗滴の検出を補助すること、及び光学検出された汗滴の、下流の汗検出器及び/又は分析物センサへの輸送を補助することの2つの目的を果たす。
【0024】
導波路の外側表面は、汗滴の輸送のための表面張力勾配材料を含み得る。そのような表面張力勾配材料は、例えば、表面上に親水性部分及び疎水性部分を有する導波路の外側表面によって提供され、これらの部分は外側表面に沿った濡れ性勾配を提供するように配置されている。
【0025】
光学検出アセンブリは、光を光学検出器に運ぶための基準導波路を備える。本実施例では、基準導波路によって運ばれる光が凹部内の汗に影響されないように、基準導波路が凹部から光学的に遮蔽されている。
【0026】
基準導波路を通過する光の強度は、導波路を通過する光と比較できる基準を提供するので、そのような基準導波路は汗滴の検出を補助する。これにより、導波路に接触する離散した汗滴に対応する、導波路によって運ばれる光の強度の低下を識別しやすくなる。
【0027】
そのような基準導波路は、汗滴の光学的検出に周囲光を利用する場合に特に有用である。これは、基準導波路によって、光学検出システムが周囲光レベルの変化を考慮することが可能になるためである。
【0028】
実施例の別のセットでは、光学検出アセンブリは、上記の導波路/光学的検出器構成の代わりに、又はそれに加えて、アクティブ画素センサ・アレイと、汗滴の検出を可能にするような、アクティブ画素センサ・アレイによって受光される皮膚領域の画像を結像するように構成されたレンズ装置とを備える。
【0029】
撮像機能を有する光学検出アセンブリには、導波路/光学検出器構成によって提供される情報に加えて、追加の情報を提供する機能による利点がある。例えば、アクティブ画素センサ・アレイによって、汗腺タイプを区別するのに使用可能な情報により簡単にアクセスできるようになる。
【0030】
アクティブ画素センサ・アレイは、例えば、電荷結合素子(CCD)センサ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサであり得る。
【0031】
汗検知装置は凹部からレンズ装置に光を透過させる光学窓を備え、光学窓の表面は、部分的に凹部の境界を定め、光学検知アセンブリによって汗滴が検出された後に、汗滴を汗収集器及び/又は分析物センサに向けて輸送するように構成されている。
【0032】
このように、光学窓は、離散した汗滴の検出を補助すること、及び光学検出された汗滴の、下流の汗検出器及び/又は分析物センサへの輸送を補助することの2つの目的を果たす。
【0033】
光学窓の表面は、例えば、汗滴を輸送するための、例えば実施例の第1のセットに関連して上述したタイプの、表面張力勾配材料を含む。
【0034】
凹部を照明するための光源が光学検出アセンブリに含まれている。これにより、汗滴の撮像が容易になる。
【0035】
実施形態において、汗検知装置は、単一の汗腺タイプに固有の、汗滴中の分析物の存在を検出する分析物センサと、光学検出アセンブリによって集められたデータから、汗滴が検出された皮膚領域の範囲を識別し、分析物センサから受信された、検出された分析物の存在に基づいて、汗腺タイプを当該範囲に割り当てるように構成されたプロセッサとを備える。
【0036】
このように、汗腺固有の分析物に基づいて、汗滴の排出の元となった汗腺タイプを割り当てることができる。特定の分析物は、一方の汗腺タイプによっては排出されるが、他方の汗腺タイプによっては排出されないか又は無視できる量しか排出されないことが知られている。例えば、汗腺は、そのような汗腺固有の分析物の検出に基づいて、又は別の方法で、エクリン腺又はアポクリン腺のいずれかであると割り当てられる。
【0037】
代替的又は追加的に、汗検知装置は、光学検出アセンブリによって集められたデータから汗滴の成長速度を決定し、光学検出アセンブリによって集められたデータから汗滴が検出された皮膚領域の範囲を特定し、汗滴の成長速度に基づいて、汗腺タイプを当該範囲に割り当てるように構成されたプロセッサを備える。
【0038】
急性のストレス又は痛みのある状態においては、エクリン腺は非常に速く発汗し得るとともに、約2秒以内に複数の腺で大量の汗が生じることが知られている。例えば、光学検出アセンブリが1~2秒以内に汗腺又は汗腺のグループからの、そのような急速で大量の発汗を検出した場合、すべてのそのような腺はエクリン腺としてラベリングされ/割り当てられる。
【0039】
代替的又は追加的に、汗検知装置は、光学検出アセンブリによって集められたデータから汗滴が検出された皮膚領域の範囲を特定し、光学検出アセンブリ、例えば、上記のアクティブ画素センサ・アレイによって集められたデータから、当該範囲で検出された汗孔外観特性に基づいて汗腺タイプを決定し、汗孔外観特性に基づいて汗腺タイプを当該範囲に割り当てるように構成されたプロセッサを備える。
【0040】
この場合、光学検出アセンブリは、2つの汗腺タイプの異なる光学的に検出可能な特性を区別して、これらのタイプを互いに区別するために使用される。最も明確な差別化要因は、アポクリン腺は毛嚢に付随しており、そのためほとんどのアポクリン腺は体毛が存在する位置において汗滴を生成することである。したがって、汗孔外観特性は、例えば、汗孔毛嚢に関するパラメータを含む。
【0041】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して、より詳細に、非限定的な実施例を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】実施例による汗検知装置を模式的に描写する断面図である。
図2図1に示す装置に含まれる光学検出器からの信号の時間に対するグラフである。
図3】別の実施例による汗検知装置を模式的に描写する断面図である。
図4】さらに別の実施例による汗検知装置を模式的に描写する断面図である。
図5】さらなる実施例による汗検知装置のブロック図である。
図6】実施例による汗検知装置の使用を示すフローチャートである。
図7】別の実施例による使用を示すフローチャートである。
図8】さらに別の実施例による使用を示すフローチャートである。
図9】さらなる実施例による使用を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
詳細な説明及び具体的な実施例は、本装置の例示的な実施形態を示しており、例示のみを目的とし、本発明の範囲を限定することは意図してないことを理解されたい。本発明の装置のこれら及びその他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面からより良好に理解されるであろう。図は、単に模式的なものであり、縮尺に合わせて描かれていない。図全体を通して、同一の参照数字は、同一又は類似した部分を示すために使用されている。
【0044】
汗検知装置が提供される。この装置は、皮膚に対して配置される本体を備える。皮膚領域から汗を受けるために、凹部が本体に画定されている。この装置は、皮膚領域の汗孔から凹部内に突出する離散した汗滴を検出するように構成された光学検出アセンブリをさらに備える。
【0045】
汗の中の分析物/バイオマーカの濃度を測定することにより、人物の病状及び/又は健康状態への知見が得られる。しかしながら、血液中の特定のバイオマーカの濃度が、最もよく病像を表す、すなわち「ゴールド・スタンダード」であると考えられる。汗の濃度は汗の量に依存し(多く発汗すると薄くなる)、汗の生成源、例えば汗がエクリン腺又はアポクリン腺のどちらから生じたのかにも依存する。そこで、汗センサを「較正」し、汗の中の測定されたバイオマーカ濃度から対応する血液値への変換/転換を正確に実行するために、汗腺ごとに発汗速度を推定することが必要である。
【0046】
このため、汗孔から突出する離散した汗滴の検出が可能な光学検出アセンブリを汗検知装置に組み込むことが提案されている。このようなやり方で、単一汗腺のレベルでの発汗の詳細を把握することができる。そのような詳細は、例えば、次いでバイオマーカ濃度を計算された血液値に転換するのに使用される。
【0047】
図1は、実施例による汗検知装置100を示している。汗検知装置100は、本体102を備える。図1に示すように、本体102は、皮膚104に対して配置される。
【0048】
本体102は、例えば、発汗モニタリングの目的で対象者によって装着できるウェアラブル・パッチ内に含まれる。そのような非限定的な実施例では、汗検知装置100はウェアラブル・パッチを備え、又は特定の実施例では、汗検知装置100はウェアラブル・パッチによって定義される。
【0049】
実施形態において、本体102は、対象者に固定可能である。例えば、本体102は、適切な生体適合性粘着剤を使用して、皮膚104の表面に貼り付けられる。あるいは、本体102は、本体102を対象者の身体部位に取り付けるための留め具、例えばストラップによって、皮膚104の表面に対して保持される。
【0050】
本体102は、皮膚104上に配設することが可能な任意の適切な材料、例えばシリコーン・ゴムなどのポリマーで形成され得る。本体102がポリマーの場合、本体102は、皮膚104の表面にぴったり合わせて貼ることを可能にするのに十分な可撓性を有する。
【0051】
本体102を形成する材料及び/又は本体102の外部表面上のコーティングは、汗滴106を検出するのに使用される波長の光を透過させない。これは、外乱光が汗滴106の光学検出と干渉する可能性を最小限にするためである。汗滴106の光学検出について、以下でより詳細に説明する。
【0052】
本体102において、凹部108が画定されている。図1に示すように、凹部108は、汗滴106を排出する汗孔110から、汗滴106が直接突出することができる空間を提供する。図1のハッシュ化された範囲で模式的に表されるように、汗孔110は、汗腺112から皮膚104の表面に汗を運ぶ。
【0053】
汗検知装置100は、離散した汗滴106を検出するように構成された光学検出アセンブリ114を備える。光学検出アセンブリ114は任意の適切な設計、ただし、単一の汗孔110から突出する離散した汗滴106、換言すると個別の汗滴106を検出できる設計を有する。
【0054】
光学検出アセンブリ114の検出原理は、非撮像式及び/又は撮像式である。
【0055】
非撮像式検出原理には、簡潔で低コストという利点がある。一方、撮像機能を有する光学検出アセンブリ114には、さらなる情報、例えば、以下でより詳細に説明されるように、汗腺タイプをより簡単に区別するのに使用できる情報を提供する機能による利点がある。
【0056】
凹部108の大きさは、凹部108内に突出する離散した汗滴106が、隣接する汗孔110から突出する1つ又は複数の汗滴106と合体することなく、又は少なくとも合体する前に光学検出アセンブリ114によって検出可能であるような大きさである。しかしながら、汗滴106が光学検出アセンブリ114の検出領域から十分に素早く取り去られて輸送されるならば、凹部108の大きさにそのような要件は必要ない。
【0057】
非撮像式検出原理の場合、汗腺112は皮膚上にばらついた分布に位置しているので、非撮像式検出原理用の凹部108の大きさの算出は、統計的なアプローチで行うことができる。実施例として、WO2021074010A1に詳細に記載されているように、凹部108と重なる活性汗腺112の数に関連付けられた確率を推定するのにポアソン分布が使用できる。例えば、座った状態では、1cmあたり約10個の汗腺が活性状態にある。凹部108の表面積が1mmである場合、この面積に平均0.1個の活性汗腺112があることになる。ポアソン分布に従うと、凹部108と重なる活性汗腺112がゼロである確率は90.5%、活性汗腺が1つである確率は9%、活性汗腺が2つ以上である確率は0.5%である。したがって、凹部108と重なる活性汗腺112が1つである確率は、活性汗腺が2つ以上である確率の18倍である。本実施例では、2つ以上の凹部108、例えば、10個より多い凹部が必要であり、そのうちの少なくとも1つにおいて活性汗腺112が凹部108と重なり、その結果、汗滴106が凹部108内に突出する。
【0058】
しかしながら、光学検出アセンブリ114が、単一の汗孔110から突出する複数の離散した汗滴106を検出するために、1つの活性汗腺112のみが1つの凹部108と重なっている必要はない。また、凹部108の大きさは、汗滴106が光学検出アセンブリ114の検出領域から十分に素早く取り去られて輸送されるならば、2つ以上の活性汗腺112が1つの凹部108と重なることができるように選択することができる。そのような場合、光学検出アセンブリ114は、凹部108に突出する活性汗腺112の推定数を考慮することによって、汗孔110から凹部に突出する離散した汗滴106を検出することができる。
【0059】
以下でより詳細に説明される撮像検出原理の場合、凹部108の大きさに対する要件はない。
【0060】
光学検出アセンブリ114は、個別の汗孔110から突出する離散した汗滴106の検出を可能にするので、汗検知装置100は、個別の汗腺112からの発汗のモニタリングを可能にする。
【0061】
光学検出された汗滴106が光学検出アセンブリ114の検出領域から十分に素早く取り去られて輸送されるならば、汗滴106の数を数えることも可能である。
【0062】
この目的で、汗検知装置100は、光学検出された汗滴106を凹部108から取り去って輸送するように構成された流体システム116、例えばマイクロ流体システム116を備える。
【0063】
実施形態では、流体システム116、例えばマイクロ流体システムは、汗の中の分析物を検知するように構成された分析物センサ(図1では図示せず)を備える。分析物センサは、例えば、汗に含有される分析物の濃度を検知するように構成されている。
【0064】
非限定的な実施例では、流体システム116は、光学検出アセンブリ114によって検出された各汗滴106を分析物センサに輸送するように構成されている。
【0065】
光学検出アセンブリ114は、皮膚領域で生じている汗滴106の数を数えることを可能にし、分析物センサは、光学検出アセンブリ114によって検出された各汗滴106中の分析物の濃度を検出する。本汗検知装置100は、このように、汗腺112ごとの分析物濃度を決定する単一装置100ソリューションを提供する。
【0066】
代替実施例では、分析物の検知は、分離したセンサ装置によって実行される。
【0067】
好ましくは、流体システム116は、各汗滴106を、同じ汗孔110からの後続の汗滴106の形成速度よりも速い速度で輸送する。
【0068】
より一般的には、流体システム116は、例えば、汗滴106を凹部108から取り去って、例えば分析物センサ及び/又は汗収集器(図示せず)に向けて輸送することを補助する表面張力勾配材料でコーティングされた表面を備える。
【0069】
特に、汗滴106は凹部108から取り去られてこの表面に沿って輸送され、この表面は、装置100の使用中に汗滴106が下って移動する化学的勾配を有している。
【0070】
エレクトロウェッティング技法は、そのような化学的勾配の代わりに、又はそれに加えて使用される。そのようなエレクトロウェッティング技法は、汗滴106を凹部108から取り去って、例えば分析物センサ及び/又は汗収集器に向けて移動させるために、表面の濡れ性の過渡的な変異を生じさせる電界を使用する。
【0071】
別の実施例では、流体システム116は、汗滴106を蒸発によって輸送して取り去るように構成される。
【0072】
実施形態では、光学検出アセンブリ114は、光学検出器118と、光学検出器118に光を運ぶための導波路120とを備える。図1に示すように、導波路120は、汗滴106と導波路120の外側表面との間で接触がなされる際に、光が導波路120から導出するように配置されている。
【0073】
換言すると、導波路120は、装置100の皮膚に面した側に配置され、1つ又は複数の汗腺112が存在する位置において、凹部108によって皮膚104から間隔を空けてわずかに上方にある。
【0074】
この目的のために任意の適切な光学検出器118が使用され得る。光学検出器118は、導波路120によってそこに運ばれている光の強度を検出するように構成されている。したがって、光学検出器118は、フォトダイオードなどの感光性素子を備えてよく、又はそれで構成されてもよい。
【0075】
この導出は、図1に模式的に描写されている。光ビーム122Aが導波路120の汗滴106によって接触されている部分に入射するとき、汗滴106によって導出が起こり、光ビーム122Bは光学検出器118に到達しない。これは、汗滴106が導波路120と接触するとき、導波路120内を運ばれている光が汗滴106の中に屈折するように、導波路120の屈折率が汗滴106の屈折率に十分近いためである。
【0076】
汗滴106が存在しない場合に導波路120-空気界面で発生する全内部反射とは対照的に、この屈折により、光学検出器118によって検出される光強度が、導波路120に接触する汗滴106がないシナリオと比較して低くなる。
【0077】
図2は、光学検出器118からの信号、例えば強度信号Iの、時間tに対するグラフを示している。強度124A、124Bの2つの別々の落ち込みは、それぞれ、導波路120に接触する2つの離散した汗滴106に対応する。したがって、例示的な汗検知装置100により、皮膚領域における1つの汗腺112又は複数の汗腺112によって生成された離散した汗滴106を比較的簡単に数えることが可能になることを、図2は説明している。
【0078】
汗検知装置100に含まれるプロセッサ(図1では図示せず)は、例えば、光学検出器118によって検出された信号の変動の数に基づいて、汗滴106の数を数えるように構成される。
【0079】
さらに、光学検出アセンブリ114により、汗滴106のサイズ又は体積の推定が可能になる。そのような推定は、強度低下の大きさに基づいて行うことができる。強度が大きく低下するほど、汗滴106は大きい。
【0080】
したがって非限定的な実施例では、プロセッサは、それぞれの離散した汗滴106に対応する、光学検出器118によって検出された信号の変化の大きさに基づいて、それぞれの検出された汗滴106の体積を決定するように構成されている。
【0081】
導波路120の外側表面は、例えば、光学検出器118によって汗滴106が検出された後、汗滴106を汗検知装置100に含まれている汗収集器及び/又は分析物センサに向けて輸送するように構成されている。汗滴106の輸送方向は、図1では、破線矢印126で表されている。
【0082】
導波路120の外側表面は、例えば、先述したように、汗滴106を汗収集器及び/又は分析物センサに向けて輸送するための表面張力勾配材料を含んでいる。
【0083】
そのような表面張力勾配材料は、例えば、表面上に親水性部分及び疎水性部分を有する導波路120の外側表面よって提供され、これらの部分は外側表面に沿った濡れ性勾配を提供するように配置されている。例えば、外側表面を疎水性のCH3-部分及び親水性のOH-部分で官能化して汗滴106を輸送するための化学勾配を形成する(Morgenthalerら、Langmuir、2003年、19(25)、10459~10462ページ)。
【0084】
そのような親水性/疎水性領域は、濡れ性勾配が導波路120の外側表面に沿って実質的に連続的に変化するように、分子レベルで設けられる。そのような化学勾配は、例えば、導波路120の外側表面を官能化するグラフトポリマー鎖によって実現される。代替的又は追加的に、段階的な濡れ性勾配を実現するように、外側表面上にμm寸法の親水性/疎水性領域が設けられる。好ましくは、この領域は、汗収集器及び/又は分析物センサの方向における外側表面の全長にわたって、徐々に変化する分布を有するように配置される。
【0085】
導波路120の外側表面が表面張力勾配材料を含んでいる場合、導波路120は、光学検出アセンブリ114に含まれるとともに、汗検知装置100の流体システム116の一部を形成する。これは、汗検知装置100の簡潔性、及び製造性を向上させるのに役立つ。
【0086】
実施形態において、汗検知装置100は、導波路120によって光学検出器118に運ばれる光を供給する照光ユニット128Aを備える。この目的のために、照光ユニット128Aによって放出される光が光学検出器118によって検出可能ならば、任意の適切な照光ユニット128Aを使用することができる。例えば、照光ユニット128Aは、発光ダイオード、フィラメント電球などを含み得る。
【0087】
図1に示す非限定的な実施例では、照光ユニット128Aは本体102の側面に配置され、導波路120は1本の凹部108の少なくとも一部に沿って延在している。換言すると、導波路120は、少なくとも部分的に凹部108の境界を定めている。凹部108の大きさは、例えば、少なくとも1つ又は2つの汗孔110が凹部108内に汗を排出し得るような大きさである。
【0088】
図1には示していないが、複数の照光ユニット128Aによって導波路120内に光が供給されることも同様に考えられる。
【0089】
1cmあたりの汗腺112の数は、身体上の場所ごとに20個と600個との間で変動し、より典型的には100~200個の間で変動する。
【0090】
活性汗腺の数112は、身体上の場所、活動レベル、及び温度に依存する。典型的には、対象者が座っている状態のとき、汗腺112のうちの約10%が活性化している。
【0091】
10個の活性汗腺112から汗をサンプリングすると仮定すると、必要な皮膚領域は、1~5cmから0.2~0.5cmまで変動し得る。
【0092】
凹部108の長さ及び幅は、例えば、それぞれ、1~100mm、好ましくは2~100mm、より好ましくは5~30mmの範囲である。
【0093】
凹部108の面積は、例えば、1~100mm、好ましくは2~100mm、より好ましくは5~30mmである。
【0094】
非限定的な実施例では、皮膚領域は円形で、2~100mm、好ましくは5~30mmの範囲の直径である。
【0095】
凹部108の深さは、例えば10~100μm、例えば、20~30μmなどであり、この凹部108の深さにわたって、汗滴106が汗孔110から導波路120に向かって突出する。
【0096】
隣接する汗腺112からの2つの汗滴106が導波路120に同時に接触することは、考えられるが可能性は低いとみなされる。この場合、汗検知装置100は、汗滴106のうちの1つだけを検出する。このリスクは、例えば導波路120のスケールを制御すること、すなわち縮小することで、低減することができる。例えば、汗検知装置100は、以下でより詳細に説明されるように、多重の導波路構造120を備えてよい。
【0097】
したがって、図1に示す非限定的な実施例では、光学検出アセンブリ114は、マイクロ光学部品とみなすことができ、このマイクロ光学部品114は、照明源、換言すると照光ユニット128Aに接続された導波路120、及び感光性素子、例えばフォトダイオードを備えた光学検出器118の形態をとる。
【0098】
図1に示す照光ユニット128Aの代替として又はそれに加えて、汗検知装置100は、図3に示すように窓130を含んでよく、これを通して周囲光が導波路120内に供給される。この場合、周囲光は導波路120によって光学検出器118に運ばれる。
【0099】
そのような窓130により、図1に示すタイプの電動照光ユニット128Aを含む必要がなくなる。このようにして、図3に示す汗検知装置100には、消費電力の改善、換言すると消費電力の低減という利点がある。これは、装置100の搭載構成要素に電力供給するために装置100に含まれている1つ又は複数のバッテリ(図示せず)を長持ちさせるのに役立つ。これは、汗検知装置100が、数時間又は数日間などの比較的長期間にわたって対象者をモニタリングする必要があるときに、特に重要である。
【0100】
代替的又は追加的に、光学検出アセンブリ114は、光を光学検出器118に運ぶための基準導波路132を備える。基準導波路132は、基準導波路132によって運ばれる光が凹部108内の汗によって影響を受けないように、凹部108から光学的に遮蔽されている。
【0101】
図3に示す非限定的な実施例では、導波路120及び基準導波路132は、凹部108を横切って互いに平行に延在して示されているが、導波路120及び基準導波路132は、互いに光学的に隔てられていることに留意されたい。
【0102】
図3では図示されていないが、光学検出器118は、導波路120によって運ばれる光を検知するための第1の光学検知素子、例えばフォトダイオードと、基準導波路132によって運ばれる光を検知するための第2の光学検知素子、例えばフォトダイオードとを備える。
【0103】
基準導波路132を通過する光の強度は、導波路120を通過する光と比較できる基準を提供するので、そのような基準導波路132は汗滴106の検出を補助する。これにより、導波路120の外側表面に接触する離散した汗滴106に対応する導波路120によって運ばれる光の強度の低下を識別しやすくなる。
【0104】
そのような基準導波路132は、汗滴106の光学的検出に周囲光を利用する図3に示す非限定的な実施例において、特に有用である。これは、基準導波路132によって、光学検出システム114が周囲光レベルの変化を考慮することが可能になるためである。
【0105】
換言すると、基準導波路132によって運ばれる基準光133は、測定中の周囲光レベルの変化を考慮する較正として使用することができる。
【0106】
より一般的には、プロセッサが汗検知装置100に含まれているとき、プロセッサは、基準導波路132によって運ばれる光の強度と、導波路120によって運ばれる光の強度との間の比較に基づいて、離散した汗滴106を検出するように構成される。
【0107】
上記で軽く触れたように、光学検出アセンブリ114は、離散した汗滴106を検出する撮像機能を有することができる。実施形態では、光学検出アセンブリ114は、皮膚領域を撮像するためのアクティブ画素センサ・アレイ134を備える。
【0108】
任意の適切なアクティブ画素センサ・アレイ134が、この目的で利用され得る。アクティブ画素センサ・アレイ134は、例えば、電荷結合素子(CCD)センサ若しくは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサを備えてよく、又はそれらで構成されてよい。適切なアクティブ画素センサ・アレイ134の設計は、例えば、デジタル・カメラの分野で知られている。
【0109】
図4に示す非限定的な実施例では、光学検出アセンブリ114は、汗滴106の検出を補助するような、アクティブ画素センサ・アレイ134によって受光される皮膚領域の画像を結像するように構成されたレンズ装置136を備える。撮像マイクロレンズ・アレイなどの、任意の適切なレンズ装置136が考えられる。
【0110】
レンズ装置136、例えばマイクロレンズ・アレイは、装置100の皮膚に面した側に配置され、汗腺112が存在し、またレンズ装置136の各レンズの焦点が適度に合った位置において、皮膚104から凹部108を介して間隔を空けてわずかに上方にある。レンズ装置136は、アクティブ画素センサ・アレイ134と凹部108との間に対応して配設される。
【0111】
図4に示すように、汗検知装置100は、凹部108を照明する光源128Bも含み得る。これにより、皮膚領域の撮像、及び汗滴106の検出が容易になる。発光ダイオード、フィラメント電球などの、任意の適切な光源128Bが考えられる。
【0112】
図4では、光源128Bが凹部108を一方の側から照明するように示されているが、これは本発明を限定することを意図していない。光源128Bは、例えば、2方向、例えば向かい合う側から凹部108を照明するように配置されてもよい。
【0113】
レンズ装置136と凹部108との間には、光学窓138が設けられている。
【0114】
図4において矢印で表されるように、汗滴106から反射された又は散乱された光は、レンズ装置136、例えばマイクロレンズ・アレイを通過し、レンズ装置136は汗滴106をアクティブ画素センサ・アレイ134、例えばCCDアレイ上に撮像する。
【0115】
図4に示す非限定的な実施例では、アクティブ画素センサ・アレイ134と、レンズ装置136、例えばマイクロレンズ・アレイと、光学窓138とを備えた光学検出アセンブリ114は、汗検知装置100に組み込まれたときに個別の汗腺112からの発汗をモニタリングすることが可能な撮像マイクロ光学部品とみなすことができる。
【0116】
汗滴106のサイズは、画像のサイズとアクティブ画素センサ・アレイ134上に入射する光強度との両方を分析することで測定することができる。凹部108内で形成される汗滴106の数、及び個別の汗腺112からの発汗のオン/オフ時間を数えることもできる。
【0117】
一般的に、典型的には数μmのピッチを有するアクティブ画素センサ・アレイ134、例えばCCDアレイの解像度は、典型的には10~100μmのピッチを有するレンズ装置136、例えばマイクロレンズ・アレイの解像度をはるかに超える。結果として、単一のマイクロレンズ素子からの光を捉える多くの画素素子が存在する。したがって、コンピュータ光学のアプローチは、汗滴106の形成の詳細をさらに評価するために使用することができる。
【0118】
図4は、非偏光照明を使用した比較的単純な撮像構成を例示しているとみなすことができるが、これは本発明を限定すること意図していない。汗検知装置100が偏光照明及び/又は偏光検出を利用して、画像及び検出された信号の品質を向上させることも可能である。
【0119】
さらに、図4では1本の凹部108に沿った横方向の照明が例示されているが、ビーム・スプリッタ光学構成、例えば偏光ビーム・スプリッタ光学構成を使用することによって、皮膚104の表面の法線方向から照明及び検出を実行することも可能である。そのようなビーム・スプリッタ光学構成は、光記憶システムの分野で知られている。
【0120】
非限定的な実施例では、光学検出アセンブリ114は、光電式容積脈波記録法(PPG)モジュールを備えている。本実施例では、PPGモジュールは光源128Bに動作可能に連結され、光源128Bから放出された光の少なくとも一部が、皮膚104に入射する。皮膚104で反射された光は、アクティブ画素センサ・アレイ134によって受けられる。例えばPPGモジュールに含まれるプロセッサは、アクティブ画素センサ・アレイ134によって受けられた光の周波数領域に基づいて心拍を検出するように構成されている。プロセッサは、アクティブ画素センサ・アレイ134が受ける光の強度の変化に基づいて、凹部108内の汗滴106の存在も検出する。
【0121】
光学的に検出される汗滴106は、分析物が検知される汗滴106に対応することが望ましい。したがって、汗検知装置100は上記の分析物センサを備える。
【0122】
図1及び図3に描写された非限定的な実施例と同様に、図4に示す汗検知装置100は、光学検出された汗滴106を凹部108から取り去って輸送するための流体システム116、例えばマイクロ流体システムを備える。汗滴106は、先述したように、例えば汗収集器及び/又は分析物センサに輸送される。
【0123】
光学窓138の表面は、光学検出された汗滴106を汗収集器及び/又は分析物センサに向けて輸送するように構成された表面張力勾配を有する材料で処理されている。この材料については、図1で描写された導波路120の外側表面に関連して、既に上記で説明した。分析物センサは、例えば、流体システム116、例えばマイクロ流体システムに含まれ、表面張力勾配によって、分析物検知のために汗滴106が流体システム116に輸送される。
【0124】
図5は、汗検知装置100のブロック図を示している。汗検知装置100は、上記の光学検出アセンブリ114と、プロセッサ140とを備えている。図5において、光学検出アセンブリに対応するブロック114とプロセッサに対応するブロック140との間の矢印によって表されるように、光学検出アセンブリ114からのデータがプロセッサ140によって受信される。
【0125】
プロセッサ140は、例えば、汗滴106の数を記録するように構成され、いくつかの実施例では、先述したように、各汗滴106のサイズ又は体積を推定するように構成されている。
【0126】
実施形態では、プロセッサ140は、光学検出アセンブリ114から受信したデータを使用して、汗腺112あたりの発汗速度を決定するように構成されている。
【0127】
図5に示す非限定的な実施例では、汗検知装置100は、分析物センサ142を備えている。分析物センサ142は、汗の中の分析物を検知するように構成されている。
【0128】
分析物センサ142は、図1図3、及び図4に模式的に描写された汗検知装置100の本体102内に収容された上記の流体システム116に含まれる。
【0129】
分析物センサ142は、好ましくは、先述したように、汗に含有されている分析物の濃度を検知するように構成されている。
【0130】
より一般的には、図5において分析物センサに対応するブロック142とプロセッサに対応するブロック140との間の矢印で表されるように、分析物センサ142からのデータがプロセッサ140によって受信される。
【0131】
プロセッサ140は、例えば、本体102がウェアラブル・パッチに含まれるとき、本体102に含まれる搭載処理ユニットに含まれてよく、及び/又は、本体102とは物理的に分離した外部のデータ処理装置内に設けられてもよい。後者の場合、光学検出アセンブリ114及び/又は分析物センサ142からのデータは、例えば無線で、外部のデータ処理装置に送信される。そのような無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)などの適切な無線通信プロトコルを介して行われる。
【0132】
エクリン汗腺112又はアポクリン汗腺112のどちらから生じているのかを判定することが望ましい。これは、これらの汗腺タイプは、それぞれ異なるバイオマーカ濃度の汗を生成するからである。
【0133】
この2つのタイプの汗腺の間では、解剖学的な差異と機能的な差異との両方があることが明らかになっている。エクリン汗腺の分泌コイルは、3つの異なる細胞型を有し、それらはすべてエクリン汗腺からの汗の分泌における役割がある。これらの細胞型のうちの1つで、エクリン汗腺でしか見られない細胞型が、暗細胞である。暗細胞は細胞質で高電子密度の顆粒を含有し、これらは、糖タンパク質、金属、及び抗菌性ダームシジンなどの多くの成分を分泌することで知られている。ダームシジンはエクリン汗腺によってのみ分泌される抗菌ペプチドで、皮膚上の細菌を直接攻撃する。我々の汗の中の、最も豊富な10個の分泌タンパク質のうち、45%がダームシジンである。ダームシジンはアポクリン汗から単離することができず、アポクリン汗腺では発現しない。したがって、ダームシジンはエクリン汗腺を識別するのに適した分析物/バイオマーカである。
【0134】
さらに、いくつかのタンパク質及びペプチド、例えば、システインプロテイナーゼ、DNAse I、リゾチーム、Zn-α2-糖タンパク質、システインリッチ分泌タンパク質-3、及びダームシジンが、エクリン汗内で識別されてきた。
【0135】
臨床に関連する特有のアポクリン汗成分の指標が明らかになってきており、下記の表2を参照されたい。アポクリン腺は、pH5~6.5の半透明の濁った粘性のある液体を、微量ではあるが皮膚上に分泌する。継続的に分泌するエクリン汗腺とは異なり、アポクリン腺は周期的な噴出で分泌を行う。アポクリン汗は、皮脂腺が同じ毛嚢内に開口しているので、皮脂と混ざって皮膚表面に現れる。濁りは、非溶解性の非水成分によって生じる可能性があり、例えば皮脂の脂肪酸は水に溶けない。腋窩における第3の腺タイプであるアポエクリン腺の存在について、なお議論が続いている。この場合、アポクリン汗及びアポエクリン汗の混合物内における成分の濃度を、エクリン腺による希釈を補正して決定することについての分析となる。
【0136】
【表1】
【0137】
アポクリン腺は、限られた数の身体上の場所、例えば腋窩に見られる。着目したのは、アポクリン汗中のアポクリン腺から単独で排出される汗成分の濃度を確定することである。しかしながら、エクリン腺も存在するため、アポクリン汗は未知の要素で希釈され、したがって上記の濃度決定が不明瞭になる。
【0138】
汗検知装置100は、汗滴106がいつ生成されるかのみならず、それがエクリン腺又はアポクリン腺のどちらから生じたのかを識別することが可能であるようなやり方で使用することができる。このやり方で、測定されたバイオマーカ濃度、例えば上記分析物センサ142を使用して測定されたバイオマーカ濃度は、例えば血中バイオマーカ濃度と相関するように適切に変換することができる。
【0139】
この目的のため、以下の例示的なアプローチが採用できる。このアプローチは、アポクリン汗腺をエクリン汗腺と区別するのに使用される較正段階から始まる。
【0140】
そのため、汗検知装置100の、例えばウェアラブル・パッチに含まれる本体102は、アポクリン腺とエクリン腺との両方が存在する皮膚104の場所、例えば腋窩上に配置される。
【0141】
したがって、実施形態では、分析物センサ142は、単一の汗腺タイプ、例えばアポクリン又はエクリンに固有の、光学検出された汗滴106の中の分析物の存在を検出するように構成されている。この非限定的なケースでは、汗検知装置100は上記のアクティブ画素センサ・アレイ134を含み、プロセッサ140は、アクティブ画素センサ・アレイ134によって集められたデータから、汗滴106が検出された皮膚領域の範囲を特定するように構成されている。
【0142】
代替実施形態では、図1から図3の非撮像アプローチの、例えば多重の導波路構造120を使用した変形例は、有利にもアクティブ画素センサ・アレイ134に置き換わることができる。そのような多重の導波路構造120は、異なる汗孔110を異なる導波路120に割り当てることを可能にする。このように、皮膚領域のマッピングが可能になる(ただし、アクティブ画素センサ・アレイ134によって典型的に提供されるものと比較してより低い解像度となる)。
【0143】
プロセッサ140は、分析物センサ142から受信した分析物の存在に基づいて、又はその他の方法で、汗腺タイプを当該範囲に割り当てるようにさらに構成されている。
【0144】
汗滴106が汗孔110から凹部108内に突出していることが検出されるので、汗滴106の検出領域は、汗孔110及び関連付けられた汗腺112の領域に対応する。
【0145】
アクティブ画素センサ・アレイ134は、例えば、アクティブ画素センサ・アレイ134、例えばCCDアレイのx,y平面における汗滴106の座標を使用して、汗滴106が検出された皮膚領域の範囲を特定する。
【0146】
汗検知装置100は、本実施形態では、汗滴106が生じたことに留意し、皮膚領域における汗滴106の場所/領域にも留意するように構成されている。次いで汗滴106は、マイクロ流体システム116を介して分析物センサ142に輸送され、分析物/バイオマーカ濃度が確定される。例えば、アポクリン固有のバイオマーカが存在する場合、汗腺112はアポクリンとラベリングされ、そうでない場合エクリンとラベリングされる。
【0147】
上記の汗腺識別原理の代替として又はそれと組み合わせて使用され得る別の実施形態では、プロセッサ140は、光学検出アセンブリ114によって集められたデータから、汗滴106の成長速度を決定し、光学検出アセンブリ114によって集められたデータから、汗滴106が検出された皮膚領域の範囲を特定するように構成されている。次いで、プロセッサ140は、汗滴106の成長速度に基づいて汗腺タイプを当該範囲に割り当てる。
【0148】
この場合、汗検知装置100は、汗滴106が生じたこと、及び、例えばアクティブ画素センサ・アレイ134のx,y平面内に記録される汗滴106の場所/領域のみならず、汗滴106が生じた速度にも留意するように構成されている。
【0149】
急性のストレス又は痛みがある状態においては、エクリン腺は非常に速く発汗し得るとともに、約2秒以内に複数の腺で大量の汗が生じることが知られている。例えば、アクティブ画素センサ・アレイ134が、1~2秒以内に汗腺112又は汗腺112のグループからの、そのような急速で大量な発汗を検出した場合、すべてのそのような汗腺112はエクリン腺としてラベリングされ/割り当てられる。
【0150】
非限定的な実施例では、汗検知装置100は、電気皮膚反応(GSR)センサも含む。そのようなGSRセンサで測定されたスパイクは、エクリン腺からの発汗を示す発汗ピークがちょうど発生したことを確認するために、例えばプロセッサ140によって、使用される。
【0151】
上記の汗腺識別原理のいずれか若しくは両方の代替として又はそれらと組み合わせて使用され得る別の実施形態では、プロセッサ140は、光学検出アセンブリ114によって集められたデータから、汗滴106が検出された皮膚領域の範囲を特定し、光学検出アセンブリ114、例えばアクティブ画素センサ・アレイ134によって集められたデータから、当該範囲で検出された汗孔外観特性に基づいて汗腺タイプを決定するよう構成されている。次いで、プロセッサ140は、汗孔外観特性に基づいて汗腺タイプを当該範囲に割り当てる。
【0152】
この場合、撮像光学系は、好ましくは、2つの汗腺タイプの異なる視認可能な特性を区別して、これらのタイプを互いに区別するために使用される。最も明確な差別化要因は、アポクリン腺は毛嚢に付随しており、そのためほとんどのアポクリン腺は、体毛が存在する位置において汗滴106を生成することである。体毛は通常、エクリン腺の口における典型的な開口部(約50μmの直径を有する)よりもやや長い(少なくとも500~10000μm)ので、毛嚢において生成された汗滴106は、アポクリン腺によって生成されたと決定され得る。
【0153】
したがって、非限定的な実施例では、汗孔特性は、汗孔の毛嚢に関するパラメータを含む。パラメータは、例えば、汗孔の検出直径に対する汗孔毛嚢の検出された大きさの比率である。
【0154】
皮膚領域の汗腺112、又は皮膚領域の汗腺112の少なくとも大部分の(較正段階における)割り当て/ラベリングに続いて、プロセッサ140は、この情報を使用してどのタイプの汗腺112が測定段階中に発汗したかを確定するように構成されている。
【0155】
非限定的な実施例では、プロセッサ140は、所与の光学検出された汗滴106から、汗滴106を生成していると較正段階中に決定された汗腺タイプに応じて、分析物濃度を収集及び/又は測定するか否かを決定するように構成されている。
【0156】
そのような決定は、例えば、汗滴106の生成が行われるときに望ましい測定に基づいて行われる。
【0157】
図6は、上記の実施形態のいずれかによる汗検知装置100の使用例200のフローチャートを提供する。使用例200は、本体に画定された凹部が皮膚領域から汗を受けるように本体を皮膚に対して配置すること202と、皮膚領域の汗孔から凹部内に突出する離散した汗滴を光学的に検出すること204とを含む。
【0158】
図7は、別の実施例による使用例300のフローチャートを提供する。使用例300は、皮膚領域の汗孔から突出する離散した汗滴を検出するように配置された光学検出アセンブリによって集められたデータから、汗滴が検出された皮膚領域の範囲を特定すること302を含む。汗滴が汗孔から突出していることが検出されるので、前述のように、検出された領域が汗孔及び関連付けられた汗腺の領域に相当する。
【0159】
使用例300は、単一の汗腺タイプに固有の汗滴中の分析物の存在の兆候を受けること304をさらに含む。単一の汗腺タイプは、前述のようにアポクリン又はエクリンである。ステップ306では、分析物の存在の兆候に基づいて当該範囲に汗腺タイプが割り当てられる。
【0160】
図8は、さらに別の実施例による使用例400のフローチャートを提供する。使用例400は、皮膚領域の汗孔から突出する離散した汗滴を検出するように配置された光学検出アセンブリによって集められたデータから、汗滴が検出された皮膚領域の範囲を特定すること402を含む。使用例400は、光学検出アセンブリによって集められたデータから、汗滴の成長速度を決定すること404をさらに含む。ステップ406では、汗滴の成長速度に基づいて汗腺タイプが当該範囲に割り当てられる。
【0161】
図9は、さらなる実施例による使用例500のフローチャートを提供する。使用例500は、皮膚領域の汗孔から突出する離散した汗滴を検出するように配置された光学検出アセンブリによって集められたデータから、汗滴が検出された皮膚領域の範囲を特定すること502を含む。使用例500は、光学検出アセンブリ、例えばアクティブ画素センサ・アレイによって集められたデータから、当該範囲内で検出された汗孔外観特性に基づいて汗腺タイプを決定すること504をさらに含む。ステップ506では、汗孔外観特性に基づいて汗腺タイプが当該範囲に割り当てられる。
【0162】
汗孔外観特性は、例えば、前述したように汗孔の毛嚢に関するパラメータを含む。
【0163】
フローチャートでは図示されていないが、使用例300、400、500は、(その後の測定段階中に)分析物濃度を検出することと、汗腺タイプの当該範囲への割り当てを使用して、検出された分析物濃度を有する汗の生成を司るのは、どのタイプの汗腺かを決定することとをさらに含み得る。
【0164】
代替的又は追加的に、使用例300、400、500は、汗滴を生成していると(較正段階中に)決定された汗腺タイプに従って、所与の光学検出された汗滴から分析物濃度を収集及び/又は測定するか否かを決定することを含み得る。そのような決定は、例えば、汗滴の生成が行われる瞬間に望まれる測定に基づいて行うことができる。
【0165】
使用例300、400、500は、上記の汗検知装置100に含まれるプロセッサ140によって実施され得る。
【0166】
要約すると、本発明は、例えばマイクロレンズ・アレイ136又は導波路120を含むマイクロ光学部品を汗検知装置100に組み込むことを提案する。マイクロ光学部品は、単一の汗腺112からの光学情報を光学センサ118、134に渡すように構成されている。このようなやり方で、単一腺レベルでの発汗の詳細(例えば、汗滴106のサイズ及び/又はエクリン腺対アポクリン腺の区別の詳細)は、蓄積され、任意選択で後にバイオマーカ濃度の転換に使用することができる。光学検出アセンブリ/光学システム114は、本質的に撮像式であっても、又は非撮像式であってもよく、先に説明したように、エクリン腺及び/又はアポクリン腺を評価するように構成されてよい。
【0167】
本開示は、健康及び健やかさを示すバイオマーカの、非侵襲的、半連続的で長期のモニタリング、例えば、脱水、ストレス、睡眠、子供の健康のモニタリング、及び周術期のモニタリングに適用することができる。一般的な対象者モニタリングに適用可能であるだけでなく、本発明は、特に、一般病棟及び集中治療室での患者の急な悪化に対する早期警告、又は睡眠障害の調査に適用できる。現在、測定は、患者が医師に会うときに抽出検査のやり方でのみ行われ得るが、本開示は、そのような抽出検査測定を行う際にも有用に適用することができることに留意されたい。
【0168】
開示された実施形態の他の変形例は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲を研究すれば、特許請求の範囲による発明を実施する当業者であれば、理解し、実施することができる。特許請求の範囲において、「備える/含む」という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数であることを排除するものではない。相互に異なる従属請求項に記載された方策は、有利にも組み合わせて使用することができる。特許請求の範囲に記載された参照符号は、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】