(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(54)【発明の名称】粉体を分注するための分注装置、分注システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
G01F 13/00 20060101AFI20230904BHJP
G01F 11/00 20060101ALI20230904BHJP
B65B 39/04 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
G01F13/00 341Y
G01F11/00 B
B65B39/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513462
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2021072592
(87)【国際公開番号】W WO2022043094
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500000485
【氏名又は名称】フェルトン ホールディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Ferton Holding SA
【住所又は居所原語表記】rue Saint Maurice 34 CH-2800 Delemont,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ドネ、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ベアニ、フローラン
(72)【発明者】
【氏名】クロージャー、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】フルニエ、マクシム
【テーマコード(参考)】
3E055
【Fターム(参考)】
3E055AA03
3E055AA10
3E055CA01
3E055DA15
3E055DA20
(57)【要約】
粉体(50)を容器(2)から分注するための分注装置(1)が提供される。装置(1)は、第1の側(4)及び第2の側(5)を有する。分注装置(1)は、装置(1)を貫いて延びる粉体通路(10)であって、第1の側(4)から第2の側(5)に粉体(50)を移送するように構成される、粉体通路(10)と、装置(1)を貫いて延びる通気通路(11)であって、第2の側(5)から第1の側(4)に周囲空気を移送するように構成される、通気通路(11)と、を備える。通気通路(11)は、第2の側(5)の表面から通気通路(11)の開口部(18)までの第1の通路長(l1)を有する。さらに、粉体通路(10)は、第2の側(5)の表面から粉体通路(10)の粉体開口部(19)までの第2の通路長(l2)を有する。第1の通路長(l1)は、第2の通路長(l2)よりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体(50)を、好ましくは容器(2)から分注するための分注装置(1)であって、前記装置(1)は第1の側(4)及び第2の側(5)を有し、前記分注装置(1)は、
前記装置(1)を貫いて延びる粉体通路(10)であって、前記第1の側(4)から前記第2の側(5)に粉体(50)を移送するように構成される、粉体通路(10)と、
前記装置(1)を貫いて延びる通気通路(11)であって、前記装置(1)の前記第2の側(5)から前記装置(1)の前記第1の側(4)に周囲空気を移送するように構成される、通気通路(11)と、を備え、
前記通気通路(11)は、前記第2の側(5)の表面から前記通気通路(11)の通気開口部(18)までの第1の通路長(l1)を有し、
前記粉体通路(10)は、前記第2の側(5)の前記表面から前記粉体通路(10)の粉体開口部(19)までの第2の通路長(l2)を有し、
前記第1の通路長(l1)は、前記第2の通路長(l2)よりも大きい、分注装置(1)。
【請求項2】
前記通気通路(11)は、前記第1の側(4)と前記第2の側(5)との間に延びる内側部分(20)と、前記第1の側(4)において、前記第2の側(5)とは反対の方向へと前記装置(1)の外側に延びる外部部分(21)と、を有する、請求項1に記載の分注装置(1)。
【請求項3】
前記外部部分(21)は、前記粉体通路(10)及び前記内側部分(20)の少なくとも一方に対して傾斜している、請求項2に記載の分注装置(1)。
【請求項4】
前記粉体通路(10)は、前記装置(1)の前記第2の側(5)から突出する突出部分(17)を有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の分注装置(1)。
【請求項5】
前記突出部分(17)は、前記突出部分(17)から延びる注ぎ口(16)を有する、請求項4に記載の分注装置(1)。
【請求項6】
前記注ぎ口(16)は、前記粉体通路(10)に対して前記通気通路(11)の反対側に位置するように前記突出部分(17)に配置される、請求項5に記載の分注装置(1)。
【請求項7】
前記装置(1)は雄ねじ(13)を含み、それにより、前記第1の側(4)が容器(2)の内側に面するように、前記装置(1)を前記容器(2)の開口部のねじ山(40)にねじ込むことができる、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の分注装置(1)。
【請求項8】
前記粉体を、放出方向に沿って前記粉体通路(10)を通して移送することができ、前記粉体通路(10)は、前記放出方向に垂直である平面において測定される第1のサイズを有する断面を有し、前記通気通路(11)は、前記放出方向に垂直な平面において測定される第2のサイズを有する断面を有し、前記第1のサイズに対する前記第2のサイズの比は、0.75より小さい、好ましくは0.4より小さい、より好ましくは0.25より小さい、最も好ましくは0.1より小さい、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の分注装置(1)。
【請求項9】
前記通気通路(11)の前記断面の前記第2のサイズは、前記第2の側(5)から前記通気開口部(18)に向かって増大している、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の分注装置(1)。
【請求項10】
前記粉体通路(10)は、まっすぐに延びる、及び/又は、前記第2の側(5)から前記粉体開口部(19)までの前記粉体通路の延長部に沿って一定の第1の断面積を有する断面を有し、前記第1の断面積が、前記粉体が移送される放出方向に平行である方向に沿って測定される、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の分注装置(1)。
【請求項11】
前記分注装置(1)は、中心軸を有する円筒形の基本形状を有し、前記中心軸に対して半径方向に測定されたとき、前記第2の側(5)における前記通気通路の開口部と前記第2の側(5)における前記粉体通路の開口部との間に第1の距離が確立されており、前記粉体開口部(19)と前記通気開口部(18)との間に第2の距離が確立されており、前記第2の距離に対する前記第1の距離の比は、0.75より小さい、好ましくは0.5より小さい、最も好ましくは0.25より小さい、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の分注装置(1)。
【請求項12】
前記装置(1)は、前記粉体通路(10)及び前記通気通路(11)を覆うように前記装置(1)の前記第2の側(5)に取り付けられるように構成される蓋要素(3)をさらに含み、前記装置(1)は、前記装置(1)の前記第2の側(5)に雌ねじ(15)を有し、前記蓋要素(3)は、前記装置(1)の前記雌ねじ(15)にねじ込まれる雄ねじ(31)を有する、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の分注装置(1)。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の分注装置(1)と、
前記分注装置(1)が取付け可能である開口部を含む密閉容器(3)であって、前記容器(2)が好ましくはアルミニウムボトルである、前記密閉容器(3)と、を備える、分注システム。
【請求項14】
前記容器(2)は、0.05mm、好ましくは0.3mm~1.2mm、より好ましくは約0.9mmの壁厚を有する、請求項13に記載の分注システム。
【請求項15】
粉体を分注するための方法であって、
密閉された開口部を有し、かつ粉体(50)を含む容器(2)を準備するステップと、
前記開口部を開くステップと、
請求項1~12のいずれか1項に記載の分注装置(1)を前記開口部に取り付けるステップと、
重力の方向に対して前記装置(1)の前記通気通路(11)が前記粉体通路(10)の上方にあるように、前記容器(2)を吐出姿勢に傾けるステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を分注するための分注装置、分注システム、及び粉体、特に歯科用粉体の分注方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯からステイン及び着色を除去し、歯のバイオフィルムを除去する目的で、歯科分野で使用されるエアポリッシュ技術において粉体が使用されることがある。この粉体ブラスト技術(powder blasting technique)では、通常、低研磨性の粉体が使用される。
【0003】
粉体を歯腔内で使用すると、装置の準備中又は治療中にダスト(dust)が発生する。このダストは望ましくない。この問題を回避する目的で、水に溶けるために体内に留まることのない可溶性の粉体が選ばれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水溶性粉体を使用すると、経年劣化が発生する。空気中の湿気によって粉体の粒子の表面に水の層が形成され得、これにより粒子径(すなわち粒子の凝集)及び流動性の挙動に関して粒子が変化する。また、水溶性粉体では粉体の結晶学的な変化も発生することがあり、粉体の特性に影響を与え得る。この湿気による影響の最終的な結果として、粉体の流動性が損なわれるため、使用している吐出装置において使用できなくなることがある。特に、吐出装置の内側で粉体の目詰まりが発生し、粉体の研磨性や効率性が損なわれることがある。言い換えれば、一定期間保管されている間に粉体が劣化する(すなわち粉体が経年劣化する)。
【0005】
したがって、空気から来る湿気に対して粉体を保護することが不可欠である。先行技術では、粉体を充填して保管するためにソフトパウチが使用されている。これらのパウチは、湿気に対する良好なバリアを確保するために、間にアルミニウム箔を挟んでいる。第1の問題として、これらのパウチは一回限りの使用である。第2の問題として、パウチの周囲の長いシール部分が弱い部分であり、湿気が侵入して、外部の湿度と同じになってしまうことがある。さらに、粉体を保護するために金属製のキャニスタが使用されている。しかしながら、このようなキャニスタは、粉体を吐出装置に充填することが実用的ではなく手間がかかるため、予防用粉体に使用するには適さない。さらに、金属製のキャニスタの剛性のために、キャニスタを変形させて粉体をキャニスタから押し出すことができない。その結果、粉体が注出口に詰まったり、こぼれたりして、正しい投与が不可能である。さらに、キャニスタの中に粉体が残ってしまい、適切に吐出できないことがある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、粉体の経年劣化を防止又は抑制する密閉容器から粉体を規定量だけ分注することを可能にする、分注装置、分注システム、及び分注方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の分注装置、請求項13に記載の特徴を含む分注システム、及び請求項14に記載の特徴を含む粉体の分注方法を提供することにより、上記の問題を解決する。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、粉体を、好ましくは密閉容器から分注するための分注装置であって、装置は第1の側及び第2の側を有し、分注装置は、装置を貫いて延びている粉体(powder)通路であって、粉体を第1の側から第2の側へ移送するように構成される、粉体通路と、装置を貫いて延びている通気通路であって、周囲空気を装置の第2の側から装置の第1の側へ移送するように構成されている、通気通路と、を備え、通気通路は、第2の側の表面からその通気開口部までの第1の通路長を有し、粉体通路は、第2の側の表面からその粉体開口部までの第2の通路長を有し、第1の通路長が第2の通路長よりも大きい、分注装置、が提供される。
【0009】
好ましくは、このような通気通路は、使用時にボトルの内側に面する第1の側と、使用時にボトルから離れる方に面する第2の側との間に延びている、分注装置の内側の内側部分と、第1の側において、第2の側とは反対の方向へと装置の外側に延びている外部部分と、を有する。すなわち、外部部分は、第1の側と第2の側とを結ぶことによって規定される方向に垂直な平面から見て、0°~180°、好ましくは30°~150°の間の任意の角度で第1の側から離れる方向に延びていてもよい。
【0010】
特に、本分注装置は、リザーバから粉体を分注するように意図されており、第1の側がリザーバに面しており、第2の側がリザーバから離れる方に面している。これは、容器に取り付けられる分注装置、又は容器のヘッド部である分注装置(すなわち、分注装置が容器の恒久的な構成要素である場合、もしくは容器の一体部分である場合)に適用される。
【0011】
本発明の一態様によれば、本分注装置は、分注用キャップである。さらに、本分注装置は、平面視において円形形状を有する。本分注装置は、粉体通路及び通気通路が中を貫いて延びている本体を有する。本分注装置を使用すると、容器から粉体を規定の方法で分注することができる。すなわち、調節された方式又は一回用量の方式で、粉体通路を通して容器から粉体を吐出することができる。粉体が比較的小さい空洞又は容積に充填される場合であっても、本分注装置を使用して、制御可能かつスムーズな方法で粉体を適宜分注することができる。容器は、円筒形状(例えばボトル)を有し、その軸方向の側面に開口部を有する。すなわち、容器が直立した姿勢にある場合、開口部は容器の最上位置にある。
【0012】
この効果は、分注プロセス中に容器内に空気を入れることのできる通気通路を設けることによって達成される。すなわち、粉体通路を通して粉体のみを容器から吐出することができる。同時に、出ていく粉体によって生じる容積の損失を補うために、容器内に空気を導入することができる。その結果、粉体通路を通る粉体の流れは連続的かつスムーズであり、フラッシュ効果は発生しない。フラッシュ効果は、粉体が通路を通って移送され、空気が同じ通路を通って反対方向に吸引される場合に発生し得る。本発明によれば、容器内への空気の導入と、容器外への粉体の吐出とが互いに良好に分離されている。結果として、例えばボトルを傾けることによって粉体の流出を容易に制御することができる。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、容器から吐出される粉体の体積を補うための適切な空気の導入を確保する目的で、通気通路は、粉体通路と比較して、第2の側の表面からそれぞれの通路の開口部に向かって測定される場合、より長い通路長を有する。したがって、容器内に位置する通気開口部は、分注プロセス中に吐出姿勢又は傾いた姿勢にある(すなわち粉体の上方に位置する)ときに、容器内の空気容積部と連通している。このような吐出姿勢は、特に、粉体が容器から流れ出るように、重力の軸に垂直な平面に対して容器が傾けられたときに、粉体が容器から出ることができる傾斜姿勢である。
【0014】
さらに、分注装置が容器に取り付けられている場合、通気通路は容器内に突出している。一方、粉体開口部は、分注装置の第1の側の表面と同一平面上にある。その結果、容器内に収容されている粉体全体を容器外に吐出することができる。代替的に、粉体通路も容器内に突出している。いずれの場合も、通気通路の通路長は、粉体通路の通路長よりも長い。その結果、それぞれの開口部は、それぞれの機能に最も適した特定の位置に配置される。すなわち、粉体通路の開口部(すなわち粉体開口部)は、開口部が容器内に収容されている粉体と連通するように配置されている。一方、通気通路の開口部(すなわち通気開口部)は、開口部が容器内の空気容積部と連通するように配置されている。上記の位置は、容器の形状及び構造に依存する。さらに、上記の位置は、容器内に収容されている粉体の量にも依存する。一般には、容器が吐出姿勢にある場合に粉体開口部が容器の最も低い位置に配置されるように、粉体開口部を配置することが有利である。一方、通気開口部は、重力の方向に対して粉体開口部に対し容器内でより高い位置に配置される。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、容器内への通気通路の延長部(すなわち第1の側からの突出量)は、第1の側からの粉体通路の延長部よりも長い。さらに、通気通路のうち分注装置の第1の側から延びる部分は、可撓性である。その結果、分注装置が容器に取り付けられる場合に、この部分を容器の開口部を通して容器内に容易に挿入することができる。例えば、通気通路の延長部は、ゴムもしくはプラスチックなどの可撓性材料製である、及び/又は、可撓性であるように接合部を含む。通気通路の延長部は、通気通路の外部部分と称される。
【0016】
本発明の一態様によれば、通気通路は、第1の側から第2の側へ通気通路を通過しようとする粉体を阻止するように構成されている逆止弁を含む。すなわち、逆止弁は、空気が分注装置の第2の側から第1の側へ通過することを可能にするが、粉体が通気通路を通って容器から出ることを阻止するように構成されている。代替的又は追加的に、通気通路は、粉体が通気通路を通って容器から出るのを阻止するように構成されているふるい部材を含む。したがって、一部の粉体が通気開口部を通って通気通路に入った場合でも、粉体は分注装置の第2の側へ通気通路を通過することができない。ふるい部材は、通気通路の外部部分と、分注装置内に位置する内側部分との接合部に配置されている。
【0017】
本発明の一態様によれば、粉体は、炭酸水素ナトリウム、グリシン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、エリスリトール、ヒドロキシルアパタイト、タガトース、又はトレハロースなどの低研磨性歯科用粉体である。さらに、粉体は、親水性を有し、それにより、周囲の空気の湿気によって粉体の粒子の表面に水の層が形成され、これが、粉体の特性に悪影響を及ぼし得る。この影響には時間がかかり、粉体の経年劣化とみなされる。
【0018】
本発明の一態様によれば、粉体のこの経年劣化を回避又は遅らせるために、粉体は密閉容器に保管される。容器は、湿気が容器内に入らないような気密性である。容器は、分注装置が取り付けられる開口部を有する。さらに、容器の開口部は、容器の唯一の開口部である。さらに、容器は、剛性材料製である。したがって、容器は、使用者によって容易に変形できないように構成されている。すなわち、例えば、粉体を押し出すために容器を圧縮することはできない。容器は、アルミニウム製である。容器は、少なくとも0.05mm、好ましくは0.3mm~1.2mm、より好ましくは約0.9mmの壁厚を有する。分注装置は、係合機構によって容器に取り付けられる。係合機構は、分注装置を容器に迅速かつ容易に取り付けることを可能にするスナップ機構である。さらに、係合機構は、密封された状態で分注装置を容器に取り付けるように構成されている。したがって、分注装置は、容器を密封するように分注装置と容器との間に挟まれた密封手段(例えば密封リング)を含む。さらに、係合機構は、ねじ山である。
【0019】
本発明の一態様によれば、分注装置の第1の側と分注装置の第2の側は、互いに反対側にある。分注装置が容器に取り付けられている場合、第1の側は容器の内側に面し、第2の側は容器の外側に面する。分注装置は、その第1の側に第1の表面を有し、その第2の側に第2の表面を有する。第1の側及び第2の側は、分注装置の中心軸に直交している。
【0020】
本発明の一態様によれば、粉体通路は、分注装置を貫いて延びている管状の通路である。粉体通路は、分注装置の中心点を通って延びている。言い換えれば、粉体通路は、中心に位置するように分注装置内に配置されている(例えば分注装置が円形形状を有する場合)。その結果、容器が傾けられて吐出姿勢にある場合、粉体通路は通気通路に対して、より低い位置に配置される。したがって、粉体が粉体通路を通って容易に移送される。
【0021】
本発明の一態様によれば、通気通路は、分注装置を貫いて延びている管状の通路である。通気通路は、粉体通路の直径と比較して、より小さい直径を有する。したがって、粉体は、通気通路によって容易には吐出されない。さらに、通気通路は、分注装置において偏心して配置されている。すなわち、通気通路は、分注装置の縁部に配置されている。その結果、容器がその吐出姿勢にある場合、通気通路は、粉体通路に対してより高い位置に位置する。その結果、空気は、粉体通路を通ってではなく、通気通路を通って容器内に入る。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、第1の通路長及び第2の通路長は、第2の側に面する分注装置の表面から、反対側に配置されているそれぞれの通路の端部(すなわち開口部)まで測定される。さらに、通路長は、それぞれの通路の中心線の長さである。言い換えれば、通路長は、それぞれの通路の中心線の展開長である。第2の側とは反対側の通路の開口部は、それぞれの通路の端部とみなされる。より詳細には、第1の側の又はその近傍の粉体開口部において、粉体が粉体通路に入ることができる。同様に、第2の側の反対側における通気開口部において、空気が通気通路から出ることができる。さらに、分注装置は、異物(例えば水、空気など)が粉体通路を通って容器内に入ることを防止するために、粉体通路内に逆止弁を含む。さらに、通気通路は、(上述のように)粉体が通気通路を通って容器から吐出されることを防止するために、逆止弁を含む。したがって、通路の各々は、それが構成されている目的のために使用される。
【0023】
先行技術に対して、本発明の一態様は、粉体(例えば歯科用粉体)を剛性容器から、規定の正確に制御可能な方法で分注するために使用される分注装置を提供する。この目的は、特に、分注プロセス中に容器内に空気を導入する通気通路を設けることによって、達成される。その結果、粉体は容器からスムーズに吐出される。さらに、本発明は、容器がほぼ空である場合、又は容器内に少量の粉体のみが存在するときに、特に有利である。この理由として、粉体を吐出することにより容器内の粉体体積が減少することによって生じる真空が、通気通路を通して空気を導入することによって抑制されるためである。一方、容器内に多量の粉体が存在する場合、粉体は重力により粉体自身によって容器から押し出される(すなわち生じた真空の影響はずっと小さい)。さらに、通気開口部が粉体中に没した場合であっても、依然として通気通路を通って空気が容器内に入り得ることに留意されたい。本発明のこの態様の構成では、特に、空気が粉体通路ではなく通気通路を利用して容器内に入るという効果が提供される。したがって、粉体は、粉体通路を通ってスムーズに吐出される。
【0024】
好ましくは、通気通路は、装置内に延びている内側部分と、第1の側において装置の外側に延びている外部部分とを有する。
本発明のさらなる態様によれば、分注装置が容器に取り付けられている場合、外部部分は容器内に突出している。外部部分は、内側部分とは異なる材料製である。例えば、外部部分は、可撓性材料製である。内側部分又は内部部分は、分注装置を貫いて延びている貫通孔である。外部部分は、内側部分と連通するように第1の表面において分注装置に接続されているチューブ又はホースである。外部部分は、常に動作位置に戻るように、十分な剛性及び/又は弾性を有する。動作位置において、外部部分は、容器内の空気容積部と連通している。言い換えれば、動作位置では、通気開口部が、粉体開口部の位置と比べて、より高い位置に位置している。その結果、容器から粉体が吐出されると、容器内に空気が導入される。さらに、外部部分は、半円を描くように湾曲している。すなわち、通気開口部は、分注装置の第1の側に面している。代替的に、外部部分は、例えば1/4円を描くように湾曲している。したがって、通気開口部は、粉体開口部から十分に離れて配置されている。さらに、通気通路は、湾曲した進路を有する。例えば、通気通路は、少なくとも1つの円を描く進路又は経路を有する。結果として、分注プロセス中に、通気通路を通って粉体が移送されることが回避される。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、粉体通路は、分注装置の中心軸に沿って延びている。さらに、内側部分は、粉体通路と平行に延びており、外部部分は、中心軸に対して傾斜している。さらに、外部部分は、中心軸に対して傾斜している。その結果、外部部分は、容器の内側の空気容積部と連通しており、通気開口部は、粉体開口部から間隔を空けている。したがって、容器が傾けられている場合、通気通路によって空気が容器内に容易に導入される。
【0026】
好ましくは、外部部分は、粉体通路に対して傾斜している。
本発明のさらなる態様によれば、外部部分は、粉体通路の少なくとも一部に対して傾斜している。例えば、外部部分は、分注装置の第1の側又はその近傍において、粉体開口部の軸方向軸に対して傾斜している。したがって、通気開口部と粉体開口部とが、互いに十分に隔てられている。その結果、粉体通路を通した粉体の吐出と、通気通路を通した空気の導入とが、スムーズに行われる。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、内側部分の通路長と外部部分の通路長は、基本的に同じである。その結果、通気通路を通って流れる空気の流れ抵抗は、通気通路を通って粉体が移動するのを防止するのに最適な関係にある。
【0028】
好ましくは、粉体通路は、装置の第2の側から突出する突出部分を有する。
本発明のさらなる態様によれば、突出部分(以下では単に突出部と称する)は、分注装置の第2の側の第2の表面からの粉体通路の延長部である。代替的に、突出部は、分注装置を貫いて延びている粉体通路と比較して、異なる断面を有する。好ましくは、突出部の断面は、粉体のための増加した吐出断面を提供する。すなわち、増加した断面に起因して、粉体の流速が減少する。その結果、使用者は、粉体を適切に投入することができる。さらに、例えば、突出部は、粉体を規定量だけ分注することができるような三角形の断面を有する。すなわち、使用者は、分注される粉体の量を正確に投入することができる。さらに、突出部は、片側に開いた断面を有する。すなわち、突出部は、ダクトとして構成されている。その結果、使用者は、粉体通路によって移送される粉体の量を適時認識し、したがって容器を傾ける角度を適合させることができる。したがって、容器から吐出される粉体の量を良好に調節することができる。
【0029】
好ましくは、突出部分は、突出部分から延びている注ぎ口を有する。
本発明のさらなる態様によれば、注ぎ口は、粉体の分注性をさらに向上させる。さらに、注ぎ口は、その先端に向かうにつれて注ぎ口の断面が小さくなるようなテーパ形状を有する。したがって、本分注装置は、小さな補充開口部のみを有する装置に補充するために使用することができる。このような場合であっても、使用者は、粉体を目標外にこぼすことなく、容器から粉体を容易に分注することができる。
【0030】
好ましくは、注ぎ口は、粉体通路に対して通気通路の反対側に位置するように、突出部分に配置されている。
本発明のさらなる態様によれば、注ぎ口は、突出部の断面の最大で半分にわたって延びる部分のみにおいて、突出部に配置されている。すなわち、突出部の断面の他方の半分には、注ぎ口が設けられていない。その結果、通気通路が重力に対して粉体通路の上方にあるように、容器をどのように傾けるべきかを識別するための指標として、注ぎ口が追加的に使用される。したがって、注ぎ口は、粉体通路の軸方向軸を基準として通気通路とは反対側に位置する。さらに、使用者は、容器から粉体を規定量だけ吐出することを支援するために注ぎ口を自動的に使用するので、使用者は、容器を好ましい方向及び向きに自動的に保持して傾けることができる。すなわち、通気通路が粉体通路の上方に配置される動作位置にある。このように、容器から粉体を規定量だけ吐出することが達成される一方で、空気が通気通路を通って容器内にスムーズに導入される。
【0031】
好ましくは、分注装置は、雄ねじを含み、それにより、第1の側が容器の内側に面するように、容器の開口部のねじ山にねじ込むことができる。
本発明のさらなる態様によれば、分注装置の本体の外側に、ねじ山が形成されている。本体は、円錐又は円柱の形状を有する。ねじ山は、分注装置を容器にしっかりと保持するように構成されている。すなわち、ねじ山は、十分な数の巻き数、好ましくは2~5の巻き数を提供する。
【0032】
好ましくは、分注装置は、その外周に密封手段を含む。
本発明のさらなる態様によれば、密封手段は、分注装置を囲むように分注装置に配置されているシールリングである。分注装置が容器に取り付けられている場合、密封手段は、分注装置と容器との間に挟まれている。密封手段は、分注装置が容器に取り付けられている場合に、容器内に湿気が入ることを妨げるように構成されている。
【0033】
好ましくは、粉体は、放出方向に沿って粉体通路を通って移送され、粉体通路は、放出方向に垂直である平面において測定される第1の(面積)サイズを有する断面を有し、通気通路は、放出方向に垂直な平面において測定される第2の(面積)サイズを有する断面を有し、第1のサイズに対する第2のサイズの比は、0.75より小さい、好ましくは0.4より小さい、より好ましくは0.25より小さい、最も好ましくは0.1より小さい。通気通路を粉体通路よりもかなり小さく寸法設定することが可能であることが判明した。その結果、粉体を移送するために、比較的大きな第1の断面積を使用することが可能である。言い換えれば、通気通路は粉体通路のサイズに影響を与えない。さらには、交換される気体の量が制限される。
【0034】
好ましくは、通気通路の断面の第2のサイズは、第2の側から通気開口部に向かって増大している。
特に、粉体通路は、まっすぐに延びている、及び/又は、第2の側から粉体開口部までのその延長部に沿って一定の第1の断面積を有する断面を有し、第1の断面積は、粉体が移送される放出方向に平行である方向に沿って測定される。したがって、有利なことに、粉体通路の内側における粉体の移送中の流れの乱れを回避することが可能である。
【0035】
特に、分注装置は、中心軸を有する円筒形の基本形状を有し、中心軸に対して半径方向に測定されたとき、第2の側における通気通路の開口部と粉体通路の開口部との間に第1の距離が確立されており、粉体開口部と通気開口部との間に第2の距離が確立されており、第2の距離に対する第1の距離の比は、0.75より小さい、好ましくは0.5より小さい、最も好ましくは0.25より小さい。言い換えれば、第2の距離は、第1の距離よりも著しく大きい。その結果、粉体及び気体がそれぞれの開口部から出るときに、通気される気体が、移送される粉体の近くに配置されることを回避することができる。
【0036】
好ましくは、分注装置は、パワー(power)通路及び通気通路を覆うように装置の第2の側に取り付けられるように構成されている蓋要素、をさらに含む。
本発明のさらなる態様によれば、蓋要素は、粉体通路及び通気通路を閉じるためのカバーとして構成されている。蓋要素は、分注装置に(すなわち分注装置の第2の側において)取り外し可能に取付け可能である。蓋要素は、分注要素の第2の側から延びている突出部も覆うように構成されている。蓋要素は、分注装置に取り外し可能に取り付けられるためのスナップ嵌め機構を含む。代替的に、蓋要素は、分注装置に恒久的に取り付けられており、開位置と閉位置との間で可動であるように構成されている。好ましくは、蓋要素は、一体型ヒンジを介して分注装置に可動であるように固定されている。しかしながら、蓋要素は、任意の他の適切な接続手段を使用して分注装置に取り付けられてもよい。
【0037】
好ましくは、分注装置は、装置の第2の側に雌ねじを有し、蓋要素は、装置の雌ねじにねじ込まれるように、雄ねじを有する。追加の利点として、蓋要素が第2の用途を有することができる。すなわち、容器が空になった時点で、分注装置を取り外して廃棄することができ、次いで蓋要素によって容器を閉じることができる。そのような容器が例えばアルミニウムボトルである場合、蓋要素がそのようなボトルを閉じて、これを飲料用ボトルとして長年使用することができ、捨てる必要がない。蓋要素は、多機能目的を有する。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、蓋要素は、分注装置にしっかりと固定される。さらに、第2の側における分注装置の雌ねじは、容器のねじ山にも適合する。言い換えれば、蓋要素の雄ねじは、第1の側における分注装置の雄ねじと同じねじ山である。その結果、容器と蓋要素との間に分注装置を取り付けることなく、蓋要素を容器に直接ねじ込むこともできる。したがって、蓋要素の複数の用途が可能になる。
【0039】
好ましくは、蓋要素は、蓋要素が分注装置に取り付けられている場合に、粉体通路及び通気通路を気密に密封するように、密封要素を備えている。
本発明のさらなる態様によれば、蓋要素が分注装置に取り付けられている場合、容器内の粉体が、湿気から確実に保護される。その結果、容器内に収容されている粉体の経年劣化が著しく抑制される。したがって、粉体を劣化させることなく長期にわたって保存することができる。
【0040】
好ましくは、蓋要素は、アルミニウム又はプラスチック製である。
本発明のさらなる態様によれば、蓋要素は、湿気に対するバリアである。したがって、容器内への湿気の侵入が確実に防止される。
【0041】
本発明のさらなる態様によれば、分注システムが提供され、この分注システムは、上に定義されている分注装置と、分注装置が取付け可能である開口部を含む密閉容器であって、容器が好ましくはアルミニウムボトルである、密閉容器と、を備えている。
【0042】
本発明のさらなる態様によれば、容器は、気密容器である。その結果、容器内に湿気が入らないため、粉体の経年劣化が抑制される、又は遅くなる。
好ましくは、容器は、0.05mm、好ましくは0.3mm~1.2mm、より好ましくは約0.9mmの壁厚を有する。
【0043】
本発明のさらなる態様によれば、容器は、容器内に収容されている粉体が、容器の壁を通して入る湿気にさらされないように密閉するように構成されている。その結果、粉体の経年劣化が防止される、又は遅くなる。
【0044】
分注装置に関連して述べた上記の特徴及び利点は、システムにも適用可能である。
本発明のさらなる態様によれば、粉体を分注する方法が提供され、この方法は、密閉された開口部を有し、かつ粉体を含む容器を準備するステップと、開口部を開くステップと、上記で定義された分注装置を開口部に取り付けるステップと、装置の通気通路が重力の方向に対して粉体通路の上方にあるように、容器を傾けるステップと、を含む。
【0045】
装置に関連して説明した利点及び特徴は、本方法にも適用可能であり、その逆も同様である。
明示的に記載されていない場合、個々の実施形態又はその個々の態様及び特徴は、記載されている本発明の範囲を限定又は拡大することなく、互いに組み合わせる、又は交換することが可能であり、これは、そのような組合せ又は交換に意味があり、本発明の趣旨に沿っている場合である。本発明の一実施形態に関して記載されている利点は、適用可能な限り、本発明の他の実施形態の利点でもある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の一実施形態に係る分注システム及び蓋要素の概略断面図であって、要素が互いに間隔を空けて配置されている概略断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る分注システム及び蓋要素の概略断面図であって、要素が互いに取り付けられている概略断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る分注装置と、容器との概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る分注装置と、吐出姿勢にある容器との概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、分注装置1、蓋要素3、及び容器2の断面図を示している(容器は一部のみ描かれている)。第一に、分注装置1について説明する。
本実施形態では、分注装置1は、容器2の開口部にねじ込まれるように構成されている円形のキャップである。分注装置1は、容器2の方に面している第1の側4と、容器2から離れる方に面している第2の側4とを有する。分注装置1は、分注装置本体12を備えている。さらに、分注装置1は、中心軸Cに沿って分注装置1を貫いて(すなわち本体12を貫いて)延びている粉体通路10を含む。粉体通路10は、分注装置1の中心に位置するように分注装置1内に配置されている。粉体通路10は、第2の側5とは反対側に粉体開口部19を有する。粉体通路10は、第1の側4から第2の側5に、粉体50を移送するように構成されている。すなわち、容器2の内側から容器2の外側までである。したがって、粉体50は、分注装置1の第1の側4における粉体開口部19から粉体通路10に入ることができる。分注装置1の第1の側4における粉体開口部19は、分注装置1の本体12の表面と同一平面上にある(すなわち粉体開口部19は、第1の側4において本体12の表面と同一平面上にある)。第2の側5において、粉体通路10は、第2の側5から突出している突出部17を有する。すなわち、突出部17は、第2の側5において本体12から突出している。さらに、突出部17は、粉体50を規定量だけ分注することを可能にする注ぎ口16を有する。粉体通路10は、第2の側5における本体12の表面から第1の側4における粉体開口部19まで測定された粉体通路長l2を有する。
【0048】
さらに、分注装置1は、分注装置1を貫いて(すなわち本体12を貫いて)延びている通気通路11を有する。通気通路11は、分注装置1内に偏心して配置されている。通気通路11は、内側部分又は内部部分20と、外側部分又は外部部分21とから構成されている。内側部分20は、本体12を貫いて延びている。外部部分21は、本体12の外側に延びている。すなわち、外部部分21は、分注装置1の第1の側4から突出している。内側部分20は、中心軸Cに平行に延びている。外部部分21は、中心軸Cに対して傾斜している。通気部分11は、第2の側5とは反対側に通気開口部18を有する。すなわち、通気開口部18は、第2の側5よりも第1の側4に近い。より詳細には、通気通路11の外部部分21が、通気開口部18を有する。さらに、通気通路11は、第1の通路長l1を有する。より詳細には、第1の通路長l1は、第2の側5における本体12の表面から通気開口部18まで測定される。第1の通路長l1は、第2の通路長l2よりも長い。その結果、通気開口部18は、粉体開口部19から間隔を空けている。すなわち、粉体50を容器2から吐出するために容器2が傾けられても、通気通路11は容器2内の空気容積部と連通することができる。
【0049】
さらに、分注装置1は、雄ねじ13を有し、それにより、分注装置1を容器2の雌ねじ40にねじ込むことができる。分注装置1は、分注装置1と容器2とが互いに接続された場合に分注装置1と容器2の間を密封するように、分注装置1の雄ねじ13に隣接して分注装置1の本体12上に配置されている密封手段14をさらに含む。さらに、分注装置1は、分注装置1の第2の側5に雌ねじ15を有する。雌ねじ15は、後述する蓋要素3に接続されるように構成されている。
【0050】
さらに、通気通路11の外部部分21は、剛性材料製である。外部部分21の長さ及び/又は傾斜は、分注装置1が容器2に取り付けられる場合に、外部部分21が容器2の開口部を通ることができるように構成されている。図示されていないさらなる実施形態では、外部部分21は、弾性材料製である。その結果、外部部分は、より長い延長部を有することができる。すなわち、外部部分21は、容器2内に外部部分21を挿入するときに変形され得る。外部部分21が容器2内に配置されると、外部部分21は、その弾性により元の形状をとることができる。したがって、容器が粉体によってほぼ完全に充填されている、及び/又は容器が傾けられている場合でも、容器2内の空気容積部と確実に連通する通気通路11を提供することが可能である。
【0051】
第二に、容器2は、アルミニウム製の密閉された剛性容器である。本実施形態では、容器2は、ボトルの形状を有する。容器2は、その軸方向の一方の側に、1つのみの開口部を有する。容器2は、その開口部に雌ねじ40を有し、この雌ねじ40に、分注装置1の雄ねじ13を、ねじ込むことによって接続することができる。さらに、容器2は、0.9mmの壁厚を有する。その結果、容器は、周囲空気からの湿気が容器2の壁を通過して容器2の内側に侵入することがないような気密性を有する。その結果、容器50内に収容された粉体50は、湿気にさらされることによる経年劣化が起こりにくい。
【0052】
有利には、容器2は、粉体50が充填されて、開口部の縁に接着された箔(図示せず)で閉じられている。さらなる実施形態では、箔はアルミニウム製である。箔は、容器2と共に分注装置1を使用する前に除去される。
【0053】
第三に、蓋要素3は、分注要素1の第2の側5を覆うように、分注装置2の雌ねじ15にねじ込まれるように構成されている雄ねじ31を含む。さらに、蓋要素3は、蓋要素3と分注装置1とが互いに取り付けられた場合に、蓋要素3と分注装置1との間を密封するように構成されている密封要素30を含む。
【0054】
図2では、蓋要素3が分注装置1に取り付けられている。さらに、分注装置1が容器2に取り付けられている。本実施形態では、通気開口部18は、容器2の内壁の近くに位置している。これにより得られる効果として、容器2が吐出姿勢となるまで傾けられると、粉体通路10を通して粉体50を分注することができ、通気通路は、依然として通気通路11を通して容器2内に空気を導入するための位置にある。したがって、粉体50をスムーズかつ連続的に分注することができる。
【0055】
図3には、本発明のさらなる実施形態が描かれている。本実施形態は、通気通路11の外部部分21が湾曲しているという点で上記の実施形態と異なる。したがって、容器2が傾けられた場合に、粉体50が通気通路11内に容易には入らない。さらに、
図3では、蓋要素3が示されていないが、
図2に描かれた実施形態と同様に、分注装置1に取り付けられてもよい。
【0056】
図4には、
図3に描かれているものと同じ実施形態が描かれている。しかしながら、
図4では、容器2と、容器2に取り付けられている分注装置1とが、容器2から粉体を分注するように吐出姿勢に傾けられている。通気開口部18は、容器2の内側の空気容積部と連通している。すなわち、外部通路21は、粉体50の層を貫いて延びており、その後、空気容積部の中に延びている。その結果、容器2の外への粉体50のスムーズかつ連続的な分注を確実にすることができる。
【0057】
図示していないさらなる実施形態では、通気通路11の外部部分21は、ほぼ容器2の底部まで延びている。したがって、容器2が上下逆の姿勢となるように傾けられている場合でも、容器2内への空気の導入を達成することができる。
【0058】
以下では、本発明に係る分注装置1を使用して粉体を分注する方法について説明する。最初に、分注装置1を容器2に取り付ける。この状態では、容器2は直立している。その後、使用者は、粉体50を充填する対象に突出部分17が方向付けられるように、容器2を傾けることができる。さらに、容器2を、重力に対して突出部17より低い位置に注ぎ口16が位置するような向きにする。したがって、容器2の内側では、通気通路11が自動的に粉体通路10の上方に配置される。すなわち、注ぎ口16は、分注プロセス中に容器2をどのような向きにするべきかを知るための指標として使用される。しかしながら、容器2をどのように保持するかを確認するために、他のあらゆる適切な指標を使用することができる。通気開口部18が粉体開口部19の上方に位置していることにより、空気が通気通路11を通って容器2に容易に入ることができる。その結果、粉体通路10を通って、粉体50のみが吐出される。結果として、粉体50をこぼすことなく、容器2から粉体50をスムーズに吐出することができる。
【0059】
粉体50を充填する対象が十分に充填されたら、容器2を直立姿勢にする。粉体50の経年劣化を避ける目的で、容器2を気密に密封するために、容器2を蓋要素3で覆うことができる。蓋要素3は分注装置1と容器2の両方に取り付けることができるため、分注装置1を容器につけたままにするかどうかは、使用者の判断による。いずれの場合にも、粉体50は、気密に密封された状態で容器2内に保存することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 分注装置
2 容器
3 蓋要素
4 第1の側
5 第2の側
10 粉体通路
11 通気通路
12 分注装置本体
13 分注装置の雄ねじ
14 分注装置の密封要素
15 分注装置の雌ねじ
16 注ぎ口
17 粉体通路の突出部
18 通気開口部
19 粉体開口部
20 通気通路の内側部分
21 通気通路の外部部分
30 蓋要素の密封要素
31 蓋要素の雄ねじ
40 容器の雌ねじ
50 粉体
C 中心軸
l1 通気通路長
l2 粉体通路長
【国際調査報告】