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特表2023-538789心臓内において人工腱索にかかるテンションを調整可能にするための装置、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(54)【発明の名称】心臓内において人工腱索にかかるテンションを調整可能にするための装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513504
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 US2021051722
(87)【国際公開番号】W WO2022072210
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/085,390
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ギース、トロイ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】コウデラ、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロール、ジェームズ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シューイ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】キリーン、ラリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】エッゲルト、ジョエル ティ.
(72)【発明者】
【氏名】アボット、アーロン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB09
4C097CC05
4C097SB10
(57)【要約】
人工腱索のテンションを調整及び設定するための装置、システム、及び方法。人工腱索は、弁尖クリップと組織アンカーとの間に結合可能である。人工腱索が内部を通って延びるロッキングアセンブリは、弁尖のテンションを調整するために人工腱索が可動であるテンション調整形態と、弁尖のテンションを設定又は固定するために、人工腱索がロッキングアセンブリに対して動くのを阻止又は防止又はロックされるテンション設定又はロック形態との間でシフト可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁の弁尖と乳頭筋又は心臓壁との間に延びる人工腱索のテンションを調整するためのシステムであって、
心臓弁の弁尖及び前記人工腱索と係合されるように構成された弁尖クリップと、
乳頭筋又は心臓壁と係合されるように構成されたアンカーと、
前記弁尖クリップと前記アンカーとの間に延びる人工腱索と、
前記アンカーと関連付けられたロッキングアセンブリであって、前記人工腱索が前記ロッキングアセンブリに対して相対的に動いて、前記弁尖のテンションを増大又は低下させることを可能にするテンション調整形態と、前記ロッキングアセンブリに対する前記人工腱索の相対的な動きを阻止して、前記弁尖のテンションを設定するテンション設定形態との間で選択的にシフト可能であるように構成されたロッキングアセンブリと
を備える、システム。
【請求項2】
前記ロッキングアセンブリは、ハウジングと、前記ロッキングアセンブリを前記テンション調整形態と前記テンション設定形態との間でシフトさせるために、前記ハウジングに画成された長手方向キャビティ内で可動な可動ロッキング要素とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記可動ロッキング要素は、前記ハウジング内の前記長手方向キャビティ内で軸方向に可動なキャリッジ、ローラ、オーガ、又は組織係合要素のうちの1つを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記可動ロッキング要素に沿って通路が規定され、当該通路に沿って前記人工腱索が延びる、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ハウジング内の前記長手方向キャビティは、ロッキング領域とテンション調整領域とを規定し、
前記可動ロッキング要素が前記テンション調整領域内にあるとき、前記人工腱索は前記可動ロッキング要素に対して可動であり、
前記通路の一部分が前記可動ロッキング要素の外側部分に沿って延び、
前記可動ロッキング要素の外側部分に沿って延びる前記通路の前記一部分に沿って延びる前記人工腱索の1つ以上の部分は、前記可動ロッキング要素が前記弁尖のテンションを設定するために前記ロッキング領域内にあるときには、前記可動ロッキング要素と前記テンション調整領域との間に挟まれる、請求項2~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
スタイレットと前記可動ロッキング要素とを結合するように構成された結合器をさらに備え、前記人工腱索は、前記スタイレット、前記結合器、及び前記可動ロッキング要素を通って軸方向に延びるとともに、前記可動ロッキング要素の外側部分に沿って延びる前記通路の前記一部分まで前記可動ロッキング要素を通って横断し、前記ハウジングを横断して前記弁尖クリップまで延びる、請求項2~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
スタイレットをさらに備え、該スタイレットは、前記テンション調整形態と前記テンション設定形態との間で前記ロッキングアセンブリをシフトさせるべく前記可動ロッキング要素を動かすように、前記可動ロッキング要素と係合可能である、請求項2~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記アンカーは、本体部分と、組織係合部分から遠位に延びる組織係合部分と、前記本体部分から近位に延びるロッキング部分とを備え、
前記ハウジングは、前記アンカーの前記ロッキング部分の一部分である、請求項2~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
人工腱索のテンションを調整するための装置であって、
人工腱索と、
長手方向キャビティを内部に画成しているハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記人工腱索が前記ハウジングに対して動くことを可能にするテンション調整形態と、前記ハウジングに対する前記人工腱索の動きを阻止するテンション設定形態との間で、前記ハウジングの前記長手方向キャビティ内で軸方向に可動な可動ロッキング要素を有する、ロッキングアセンブリと、
前記可動ロッキング要素から延び、前記ハウジングに対して前記可動ロッキング要素を動かすためにアクチュエータと係合するように構成された、結合器と
を備える、装置。
【請求項10】
心臓に対して前記人工腱索の端部を堅固に固定するべく前記心臓の組織に係合するように構成された組織係合要素をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記可動ロッキング要素は、キャリッジ、ローラ、オーガ、又は組織係合要素のうちの1つを備える、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記可動ロッキング要素に沿って通路が規定され、前記通路に沿って前記人工腱索が延びる、請求項9~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記通路の一部分は、前記可動ロッキング要素を横断して延びる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記通路の一部分は前記可動ロッキング要素の外側部分に沿って延びる、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記ハウジング内の前記長手方向キャビティは、ロッキング領域とテンション調整領域とを規定し、
前記人工腱索は、前記可動ロッキング要素が前記テンション調整領域内にあるときには、前記可動ロッキング要素に対して可動であり、
前記可動ロッキング要素の外側部分に沿って延びる前記通路の前記一部分に沿って延びる前記人工腱索の1つ以上の部分は、前記可動ロッキング要素が、弁尖のテンションを設定するために前記ロッキング領域内にあるときには、前記可動ロッキング要素と前記テンション調整領域との間に挟まれる、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、心臓を修復するための医療装置、システム、及び方法に関する。より詳細には、本開示は、心臓に人工腱索を送達して植え込むための医療装置、システム、及び方法に関する。さらにより詳細には、本開示は、心臓内で人工腱索のテンションを調整するための医療装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓房室弁機能不全(atrioventricular heart valve malfunctions)を含む心疾患は、患者の心拍出量を低下させ、これにより、患者の生活の質を低下させ、且つ寿命を縮める。心臓を通る適切な血流は、とりわけ、心臓弁、例えば、周期的に開閉して血液が一方向に流れることを可能にする軟組織の弁尖(leaflet)を含む心臓房室弁によって、調整される。健康的な弁尖は、反対方向の血流(逆流)を防止する。弁尖から乳頭筋まで延びる腱索は、例えば収縮期の閉鎖中に乳頭筋へ負荷を分配することによって、及び弁尖が心房内へと揺れ動く(flailing)ことを防止することによって、弁尖の適切な機能を支援する。腱索の不適切な機能は、心臓弁において封鎖を形成する弁尖の能力を損なう。伸長、断裂、肥厚、退縮、石灰化、弾力性のない伸張又は弾力性における他の変化等のような腱索不全の様々な欠陥が、心臓弁の不適切な閉鎖及び/又は揺れ動く弁尖を生じ得、これは、もはや、正常な心機能のための弁封鎖を形成する能力を有していないかもしれない。
【発明の概要】
【0003】
将来的な介入のオプションを維持しながら、心臓弁、例えばその弁尖を修復するために、低侵襲の解決法が必要とされている。さらに、心疾患の治療を改善するために心臓の1つ以上の腱索を再配置、修復、及び/又は置換するための装置、システム、及び方法への改良が必要である。
【0004】
本開示の本概要は、理解の助けとなるように与えられ、及び当業者は、本開示の様々な態様及び特徴のそれぞれが、場合によっては別々に、又は他の場合には本開示の他の態様及び特徴と組み合わせて、好都合に使用されてもよいことを理解するであろう。本概要において、要素、構成要素等の包含又は非包含のいずれかによる、特許請求する主題の範囲に関する限定は意図していない。
【0005】
一態様では、本主題は、患者の体内に人工腱索を送達し、及び人工腱索のテンションを調整するための医療装置、システム、及び方法の分野に関する。
説明される又はさもなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、心臓弁の弁尖と乳頭筋又は心臓壁との間に延びる人工腱索のテンションを調整するためのシステムが、人工腱索と、心臓弁の弁尖及び人工腱索と係合されるように構成された弁尖クリップと、乳頭筋又は心臓壁と係合されるように構成されたアンカーと、アンカーと関連付けられるロッキングアセンブリを含む。様々な実施形態では、ロッキングアセンブリは、人工腱索がロッキングアセンブリに対して相対的に動いて、弁尖のテンションを増大又は低下させることを可能にするテンション調整形態と、ロッキングアセンブリに対する人工腱索の相対的な動きを阻止して、弁尖のテンションを設定するテンション設定形態との間で選択的にシフト可能であるような構成にされている。
【0006】
いくつかの実施形態では、ロッキングアセンブリは、ハウジングと、ロッキングアセンブリをテンション調整形態とテンション設定形態との間でシフトさせるために、ハウジング内に画成された長手方向キャビティ内で可動な可動ロッキング要素とを含む。いくつかの実施形態では、可動ロッキング要素は、ハウジング内の長手方向キャビティ内で軸方向に可動なキャリッジ、ローラ、オーガ、又は組織係合要素のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、可動ロッキング要素に沿って通路が規定され、当該通路に沿って人工腱索が延びる。いくつかの実施形態では、ハウジング内の長手方向キャビティは、ロッキング領域とテンション調整領域とを規定し、可動ロッキング要素がテンション調整領域内にあるとき、人工腱索は可動ロッキング要素に対して可動であり、通路の一部分が可動ロッキング要素の外側部分に沿って延び、及び可動ロッキング要素の外側部分に沿って延びる通路の一部分に沿って延びる人工腱索の一部分は、可動ロッキング要素が弁尖のテンションを設定するためにロッキング領域内にあるとき、可動ロッキング要素とテンション調整領域との間に挟まれる。いくつかの実施形態では、システムは、スタイレットをさらに含み、該スタイレットは、ロッキングアセンブリをテンション調整形態とテンション設定形態との間でシフトさせるべく可動ロッキング要素を動かすように、可動ロッキング要素と係合可能である。いくつかの実施形態では、システムは、さらに、スタイレットと可動ロッキング要素とを結合するように構成された結合器を含み、人工腱索は、スタイレット、結合器、及び可動ロッキング要素を通って軸方向に延びるとともに、可動ロッキング要素の外側部分に沿って延びる通路の一部分まで可動ロッキング要素を通って横断し、ハウジングを横断して弁尖クリップまで延びる。
【0007】
いくつかの実施形態では、システムは、スタイレットをさらに含み、該スタイレットは、ロッキングアセンブリをテンション調整形態とテンション設定形態との間でシフトさせるべく可動ロッキング要素を動かすように、可動ロッキング要素と係合可能である。
【0008】
いくつかの実施形態では、アンカーは、本体部分と、組織係合部分から遠位に延びる組織係合部分と、本体部分から近位に延びるロッキング部分とを含み、及びハウジングは、アンカーのロッキング部分の一部分である。
【0009】
説明される又はさもなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、人工腱索のテンションを調整するための装置は、人工腱索;長手方向キャビティを内部に画成しているハウジング;ハウジング内に配置され、及び人工腱索がハウジングに対して動くことを可能にするテンション調整形態と、ハウジングに対する人工腱索の動きを阻止するテンション設定形態との間で、ハウジングの長手方向キャビティ内で軸方向に可動な可動ロッキング要素を有する、ロッキングアセンブリ;及び可動ロッキング要素から延び、及びハウジングに対して可動ロッキング要素を動かすためにアクチュエータと係合するように構成された、結合器を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、装置は、さらに、心臓の組織に係合して、人工腱索の端部を心臓に対して堅固に固定する(anchor)ように構成された組織係合要素を含む。
いくつかの実施形態では、可動ロッキング要素は、キャリッジ、ローラ、オーガ、又は組織係合要素のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、可動ロッキング要素に沿って通路が規定され、それに沿って人工腱索が延びる。いくつかの実施形態では、通路の一部分は、可動ロッキング要素を横断して延びる。その代わりに、又はそれに加えて、いくつかの実施形態では、通路の一部分が可動ロッキング要素の外側部分に沿って延びる。いくつかの実施形態では、ハウジング内の長手方向キャビティは、ロッキング領域とテンション調整領域とを規定し、可動ロッキング要素がテンション調整領域内にあるとき、人工腱索は可動ロッキング要素に対して可動であり、可動ロッキング要素の外側部分に沿って延びる通路の一部分に沿って延びる人工腱索の一部分は、可動ロッキング要素が、弁尖のテンションを設定するためにロッキング領域内にあるときには、可動ロッキング要素とテンション調整領域との間に挟まれる。
【0011】
本開示の様々な原理によれば、心臓弁の弁尖と乳頭筋又は心臓壁との間に延びる人工腱索のテンションを調整するための方法も開示されている。方法は、人工腱索テンション付与及びロッキング装置のロッキングアセンブリを通して人工腱索を延在させること、ロッキングアセンブリがテンション調整形態にあるときに、弁尖のテンションを増大又は低下させるために、ハウジングに対して人工腱索を動かすこと、及び、所望の弁尖のテンションに達したとき、人工腱索及び弁尖のテンションを設定するためにロッキングアセンブリをテンション設定形態にシフトさせることを含む。
【0012】
一態様では、ハウジングに対して人工腱索を動かすことは、さらに、可動ロッキング要素を動かすために、ロッキングアセンブリの可動ロッキング要素とスタイレットを結合させることを含む。いくつかの実施形態では、ロッキングアセンブリは可動ロッキング要素を含み、方法は、さらに、可動ロッキング要素を人工腱索と関連付けて、ロッキングアセンブリがテンション設定形態にあるときに、人工腱索がハウジングに対して動くのを阻止されるようにすることを含む。
【0013】
本開示のこれらの及び他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明からすぐに分かり、特許請求する発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている。以下の開示は、態様又は実施形態に関して提示されているが、個々の態様は、別々に又はその実施形態若しくは任意の他の実施形態の態様及び特徴と組み合わせて特許請求され得ることが認識されるべきである。
【0014】
本開示の非限定的な実施形態は、添付図面を参照して例として説明され、添付図面は概略であり、縮尺通りであることを意図していない。添付図面は、説明のために提供されるにすぎず、図面の各図に反映される寸法、位置、順序、及び相対的なサイズは異なってもよい。例えば、装置は、詳細が認識できるように拡大されているかもしれないが、例えば、送達カテーテルや内視鏡のワーキングチャンネルに収まることに関連して縮尺されることを意図している。各図では、同一又はほぼ同一又は等価の要素は、一般に、同じ参照符号によって表され、及び同様の要素は、一般に、100増分されて異なる同様の参照符号で指定され、冗長な記載が省略される。明瞭及び簡潔にするために、当業者が本開示を理解することを可能にするために説明が必要ではない場合、全ての図において全ての要素に符号が付されているわけでも、各実施形態の全ての要素が図示されているわけでもない。
【0015】
詳細な説明は、添付図面と併せてより良好に理解され、添付図面では、同様の参照符号が同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の態様に従って形成された人工腱索テンション付与及びロッキング装置によって僧帽弁輪を修復するために図示の心臓弁修復装置の例が植え込まれている状態の、ヒトの心臓の断面略図。
図2A】仮想線で示されているハウジング部分を備える、本開示の原理に従って形成された人工腱索テンション付与及びロッキング装置の斜視図。
図2B】仮想線で示されているハウジング部分を備える図2Aのような人工腱索テンション付与及びロッキング装置をロック解除形態で示す線IIB-IIB矢視断面図。
図2C図2Bと同様であるが、ロック形態で示す、人工腱索テンション付与及びロッキング装置の断面図。
図2D】人工腱索テンション付与及びロッキング装置から係合解除された、本開示の原理に従って形成されたアクチュエータを示す、図2Cのものと同様の断面図。
図3A】仮想線で示されているハウジング部分を備える、本開示の原理に従って形成された人工腱索テンション付与及びロッキング装置の斜視図。
図3B】仮想線で示されているハウジング部分を備える図3Aのような人工腱索テンション付与及びロッキング装置をロック解除形態で示す線IIIB-IIIB矢視断面図。
図3C図3Bのものと同様であるが、ロック形態で示す、人工腱索テンション付与及びロッキング装置の断面図。
図4A】仮想線で示されているハウジング部分を備える、本開示の原理に従って形成された人工腱索テンション付与及びロッキング装置の斜視図。
図4B】仮想線で示されているハウジング部分を備える図4Aのような人工腱索テンション付与及びロッキング装置をロック解除形態で示す線IVB-IVB矢視断面図。
図4C図4Bのものと同様であるが、ロック形態で示す、人工腱索テンション付与及びロッキング装置の断面図。
図5A】仮想線で示されているハウジング部分を備える、本開示の原理に従って形成された人工腱索テンション付与及びロッキング装置の斜視図。
図5B】仮想線で示されているハウジング部分を備える図5Aのような人工腱索テンション付与及びロッキング装置をロック解除形態で示す線VB-VB矢視断面図。
図5C図5Bのものと同様であるが、ロック形態で示す、人工腱索テンション付与及びロッキング装置の断面図。
図6A】本開示の原理に従って形成された人工腱索テンション付与及びロッキング装置の斜視図。
図6B】仮想線で示されているハウジング部分を備える図6Aのような人工腱索テンション付与及びロッキング装置をロック解除形態で示す線VIB-VIB矢視断面図。
図6C図6Bのものと同様であるが、ロック形態で示す、人工腱索テンション付与及びロッキング装置の断面図。
図6D】代替的な形態のアクチュエータを備える、図6A図6Cのような人工腱索テンション付与及びロッキング装置の立面図。
図6E】代替的な形態のアクチュエータを備える、図6A~6Dのような人工腱索テンション付与及びロッキング装置の立面図。
図7A】アンカー部分が体内組織内の適所にある状態の、仮想線で示されている複数の要素を備える、本開示の原理に従って形成された人工腱索テンション付与及びロッキング装置の斜視図。
図7B】ハウジング部分が仮想線で示されている図7Aのような人工腱索テンション付与及びロッキング装置を体内組織内のロック位置で示す線VIIB-VIIB矢視断面図。
図7C図7Bのものと同様であるが、体内組織内のロック解除位置で示す、人工腱索テンション付与及びロッキング装置の断面図。
図7D】挿入形態で示し、図7Aのような人工腱索テンション付与及びロッキング装置で使用可能なアンカー部分の代替的な実施形態の立面図。
図7E】アンカリング形態で示す、図7Dのアンカー部分の立面図。
図7F】挿入形態で示し、図7Aのような人工腱索テンション付与及びロッキング装置で使用可能なアンカー部分の代替的な実施形態の立面図。
図7G】アンカリング形態で示す、図7Fのアンカー部分の立面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明は、説明に役立つ実施形態を示す図面を参照して読まれるべきである。本開示は、説明する特定の実施形態に限定されず、そのようなものとして変わり得ることを理解されたい。本明細書で説明する全ての装置及びシステム及び方法は、この開示の1つ以上の原理に従って実施される装置及び/又はシステム及び/又は方法の例である。ある実施形態の各例は、説明のために提供され、これらの原理を実施するための唯一の方法ではなく、単なる例である。それゆえ、図面の要素又は構造又は特徴への言及は、本開示の実施形態の例への言及であると認識されるべきであり、本開示を図示の特定の要素、構造、又は特徴に限定すると理解されるべきではない。この開示を読むと、当業者には、開示の原理を実施する手法の他の例が浮かぶであろう。実際、当業者には、本主題の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本開示において様々な修正及び変形がなされ得ることが明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示又は説明される特徴は、別の実施形態と一緒に使用されて、さらなる実施形態を生じ得る。それゆえ、本主題は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に入るため、そのような修正及び変形を網羅するものとする。
【0018】
本開示は、本出願において様々な詳細さの度合いで説明されることが認識される。場合によっては、当業者が本開示を理解するために必要ではない詳細、又は他の詳細を把握するのを困難にする詳細は、省略されているかもしれない。本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、添付の特許請求の範囲を越えて限定するものではない。別段の定義がなければ、本明細書で使用される専門用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されているものであると理解されるべきである。本明細書で開示及び特許請求される装置及び/又は方法は全て、本開示を踏まえて、必要以上に実験することなく、行われ且つ実行され得る。
【0019】
本明細書で使用される、「近位」は、装置を使用するとき等に(例えば、患者の体内に装置を導入する、又は植え込み、配置、若しくは送達の最中)、使用者(医療専門家又は臨床医又は技術者又はオペレータ又は医師等(これらの用語は、限定を意図せずに又は別の方法で、区別しないで使用される)等に最も近い方向又はロケーションを指し、且つ「遠位」は、装置を使用するとき等に(例えば、患者の体内に装置を導入する、又は植え込み、配置、若しくは送達の最中)、使用者から最も遠い方向又はロケーションを指す。「長手方向」は、要素のより長い又は大きい寸法に沿って延びていることを意味する。「中心」は、中心点を通って少なくともほぼ2等分することを意味し、且つ「中心軸」は、開口に対して、開口の中心点を通って少なくともほぼ2等分する線であって、開口が例えばチューブ状要素、ストラット、チャンネル、キャビティ、又はボアを含むときに、開口の長さに沿って長手方向に延びる線を意味する。
【0020】
本開示の様々な原理及び態様によれば、心臓弁の1つ以上の弁尖が、弁尖と心室壁及び/又は乳頭筋との間に延びる人工腱索を心臓に植え込むことによって、再配置及び/又は修復される。人工腱索のテンションを調整及び/又は設定するための装置を含む装置及びシステムの様々な実施形態が、本明細書で開示されており、及び/又は人工腱索を植え込む及び/又はそのテンションを調整する及び/又はそのテンションを設定するためにそのような装置及び/又はシステムを使用する方法(例えば低侵襲方法)が、心臓弁の修復に使用するために、本明細書で開示されている。人工腱索テンション付与及びロッキングシステム100の例が、僧帽弁を参照して図1に示されている。人工腱索テンション付与及びロッキングシステム100は、他の文脈、例えば三尖弁の修復でも使用され得ることが認識される。人工腱索102の一方の端部は、修復されるべき弁尖Lの自由縁に取り付けられ(例えば、弁尖クリップ104、例えばばねクリップによって)、及び人工腱索102の他方の端部は、心臓H(例えば、心室壁又は乳頭筋VW)に接続される(例えば、アンカー110、例えば心室アンカーによって)。人工腱索102(例えば、その長さ及び/又はテンション)は、弁尖Lを調整/修復するために、例えば弁Vを通る血液の逆流を最小限にするように、弁尖クリップ104とアンカー110の相対位置を調整するために(例えば、弁尖クリップ104及びアンカー110をより近くする又はさらに離れるようにするために)、調整される。
【0021】
いくつかの実施形態では、心臓弁を修復するための装置及びシステムは、カテーテル又は他の適切な送達装置によって、治療部位(例えば、僧帽弁又は二尖弁)まで送達される。システムは、使用者が本開示の装置を操作できるようにするために、その近位端部に配置された1つ以上の制御装置を有し得る。認識されるように、送達装置の具体的特性は、送達装置が、使用者が心臓内の標的ロケーションに本開示の装置を送達し、植え込み、操作することを可能にするような構成にされている限り、本開示にとって決定的ではない。本開示の装置の送達、係合、及び操作は、公知の可視化技術、例えばX線透視検査、超音波、心腔内心エコー法(ICE(intracardiac echocardiography))、経食道心エコー法等の使用によって容易にされ得ることも認識されるであろう。
【0022】
送達カテーテルは、心室内の治療部位まで前進させられる。弁尖クリップ104(例えばばねクリップ)が、送達カテーテルの脇に、例えば弁尖把持機構内に収納されるように、製造され得るか、又は他の方法で設けられ得る。ひとたびカテーテルが治療部位に到達したら、弁尖クリップ104は開かれて、弁尖L(例えば、弁尖の自由縁)を捕らえるように配置されて、そこに固定される。医用画像が、弁尖クリップ104のロケーション及び弁尖L上でのそのつかみの状態(purchase)の質を確認するために使用され得る。つかみの状態及び/又はロケーションが望ましくない場合、弁尖クリップ104は開放位置へ戻され得るとともに、弁尖クリップ104の配置が満足のいくものになるまで弁尖把持ステップが繰り返され、その後、弁尖クリップ104は、図1に示すように弁尖L上に上の適所に置かれる。
【0023】
様々な適切な材料のいずれか、例えば、限定されるものではないが、縫合材料、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はePTFE(延伸PTFE)から形成された人工腱索102が、弁尖クリップ104と、人工腱索102を心室壁VW(例えば、乳頭筋)に堅固に固定するような構成にされた心室アンカー110との間に延びる。いくつかの実施形態では、追加的な人工腱索フィラメント102a、102b等が、心室アンカー110から延びる人工腱索102と、弁尖クリップ104との間に延び得る。心室アンカー110を展開して心室壁VWに固定するために、遠位カテーテルヘッドは、心房内の弁Vの上方に配置される。ワーキングチャンネルが送達カテーテルから出るように前進させられ、及び医用画像が使用されて、所望の心室アンカーのロケーションに対してワーキングチャンネルを配置するのを支援し得る。心室アンカーに取り付けられたロッド又はアクチュエータ又はスタイレット(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)が、心室アンカーをワーキングチャンネルから押し出すことによって、心室の心臓組織内に心室アンカーを展開するために使用され得る。医用画像は、心室アンカーのロケーション及び心臓組織へのつかみの状態の質を確認するために使用され得る。つかみの状態及び/又はロケーションが望ましくない場合、スタイレットが、心室アンカーをワーキングチャンネル内へ引っ込めるために使用され得るとともに、心室アンカーの配置が満足のいくものになるまで心室アンカー展開ステップが繰り返され、その後、心室アンカーは、図1に示すように適所に置かれる。
【0024】
心室アンカー110の配置を検証するための、例えば医用画像を使用する最終チェックが実施され得る。心室アンカー110の配置が満足のいくものであると、ワーキングチャンネルは、任意選択的に、カテーテル内へ引っ込められ得る。ワーキングチャンネルは、所望の場合には、テンションを付与している間は、心室アンカー110と結合されたままとなってもよいことが認識される。スタイレットは、心室アンカーと結合されたままである。
【0025】
本開示の原理によれば、アンカー110は、人工腱索102のテンションを調整する及び/又は人工腱索102のテンションを設定又はロック又は修正/固定する(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)ために、本開示の様々な態様及び原理に従って形成された人工腱索テンション付与及びロッキングシステム100と関連付けられる。様々な実施形態では、アンカー110は、組織係合部分112、本体部分114(そこから組織係合部分112が延びる)、及びロッキング部分116を含む。ロッキング部分116は、アンカー本体部分114から延び得る、又はそれによって形成若しくはそれと結合され得る、又はそれと他の方法で関連付けられ得る(例えば、それとは別個であり、それに結合される)。添付図面に示す様々な実施形態にさらに詳細に示され、及び下記でさらに詳細に説明されるテンション付与及びロッキング装置(又は少なくともその複数の部分又は構成要素)が、ハウジング118内に配置され、そのハウジングは、アンカー110のロッキング部分116と関連付けられ(例えば、その一部分であるか、又は別個であり、それに結合される)、及び人工腱索102と結合可能とし得る。
【0026】
テンション付与及びロッキング装置は、(例えば弁尖上の人工腱索102のテンションを調整するために)人工腱索102がテンション付与及びロッキング装置に対して動くことを可能にするテンション調整形態を有する。人工腱索102のテンションの調整は、追加的な長さの人工腱索102を繰り出して、若しくは解放して、若しくは送り込んで(例えば、人工腱索102を遠位に動かして)、人工腱索102に作用するテンション若しくは人工腱索102の内部に作用するテンション若しくは人工腱索102のテンションを低下させること、又は人工腱索102を引き寄せて、若しくは引っ込めて(例えば、人工腱索102を近位に動かして)、人工腱索102に作用するテンション若しくは人工腱索102の内部に作用するテンション若しくは人工腱索102のテンションを増大させることを含む。テンション付与及びロッキング装置はまた、(例えば、弁尖の人工腱索102のテンションを設定又は固定又は制限するために)テンション付与及びロッキング装置に対する人工腱索102の動きを阻止若しくは防止若しくはロックするテンション設定又はロッキング(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)形態を有する。テンション付与及びロッキング装置は、テンション調整形態とロッキング形態との間で交互に(いずれかの方向に)選択的にシフト可能又は可動である。アクチュエータ(添付図面に示され且つ下記でさらに詳細に説明されるテンション付与及びロッキング装置の様々な実施形態と併せてさらに詳細に図示及び説明される)が、テンション付与及びロッキング装置の構成要素に結合されるか又はそれと係合されて、テンション付与及びロッキング装置をテンション調整形態とロッキング形態との間で選択的にシフトするか又は動かして、人工腱索102の選択的な動き及び/又はテンションを可能にする。
【0027】
いくつかの実施形態では、人工腱索102は、カテーテルの近位端部から、カテーテル内を通って又はそれに沿って、テンション付与及びロッキング装置内へと及びその内部を通って(及び、任意選択的に、アンカー110内も通って)弁尖Lまで連続的に延び、ここで、人工腱索102は、弁尖クリップ104等を用いて弁尖Lに堅固にと固定される。人工腱索102は、カテーテルの近位端部からテンションを付与され、弁尖クリップ104とアンカー110との間の距離を短くして、弁尖Lの機能を修復し得る。いくつかの実施形態では、人工腱索102は、送達システムの近位端部に隣接するロケーションからテンションを付与され得る。そのようなテンションは、弁尖クリップ104とアンカー110との間の距離を短くするために実施され得る。テンションを低下させることが望ましい場合、人工腱索102は選択的に解放されて、人工腱索102の長さを長くして、弁尖クリップ104とアンカー110との間の距離を長くし、それにより、それらの間のテンションを低下させる。テンション付与及びロッキング装置は、所望のテンションを調整するために、例えば人工腱索102上又はその内部でのテンション量を増減させるために、人工腱索102をロックしたり及び解放したりすることを可能にする。
【0028】
近位カテーテルハンドルから心室アンカーまで延びるロッキングスタイレット又はアクチュエータ(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)が設けられ得る。スタイレット又はアクチュエータの遠位端部に結合特徴が設けられて、テンション付与及びロッキング装置に係合し得る。ロッキングスタイレットを操作することによって、オペレータがテンション付与及びロッキング装置を操作(例えば、ロック又はロック解除)して、例えば人工腱索102にテンションを加えている最中又はテンションがない最中に、例えば人工腱索102のテンションを調整するために人工腱索102をロック又はロック解除することを可能にする。スタイレットは、金属又は高分子材料(例えば、PEBAX(登録商標)等の比較的硬質のポリマー)で形成され得る。任意選択的に、スタイレットの操作(例えば、回転)の効果に関して使用者に追加的なフィードバックをもたらすために、ワイヤが追加され得る。弁尖にテンションを付与する人工腱索102の効果及び弁の機能は、医用画像下で観察され得、並びにロッキングスタイレット及び人工腱索を操作することによるさらなるテンションの付与若しくはテンションの緩和が、所望の弁尖修復が達成されるまで、実施され得る。冒された心臓弁の可視化された逆流特性によって明らかにされ得るように、人工腱索に過度にテンションが付与される場合、テンション付与及びロッキング装置は解放され得るとともに、弁尖クリップ104とアンカー110との間の距離は、それらの間の人工腱索102の長さを長くすることによって、長くされて、人工腱索102内のテンションを低下させ得る。テンション調整ステップは、必要に応じて又は指示されるように繰り返され得る。人工腱索102のテンション及び弁の修復に満足すると、人工腱索102はカテーテルから取り外され、さらにカテーテルは心臓から除去される。その後、処置は終了され得るか、又は追加的な人工腱索102が植え込まれ得る。いくつかの実施形態では、1本以上の人工腱索102が1つ以上の弁尖クリップ104に結合され得る。処置が完了すると、ロッキングスタイレット又はアクチュエータは、テンション付与及びロッキング装置から取り外される。テンション付与及びロッキング装置からロッキングスタイレットを引っ込める行為によって、テンション付与及びロッキング装置の近位で人工腱索を切断し得る。代替的に、ロッキングスタイレットは、アンカーから取り外され、及びカテーテル全体と一緒に体から除去され得る。その後、人工腱索は、その人工腱索を切断できる新しいカテーテルに吊るされ得る。その後、人工腱索切断カテーテルは、例えば、テンション付与及びロッキング装置の近位で人工腱索を切断するように、配置され得る。その後、余分な人工腱索及び人工腱索切断カテーテルは、体内から除去される。代替的に、(例えば、選択された/予め決められた長さの)予め切断された人工腱索が使用され得るため、配置後の切断は必要ではなく、及び処置の終了後に、予め切断された人工腱索の近位端部は、単に適所に置かれる(例えば、テール部を残す)。処置は終了され得るか、又は追加的な人工腱索が植え込まれ得る。
【0029】
本開示の様々な態様を供し及び本開示の様々な原理に従って形成された人工腱索テンション付与及びロッキング装置の様々な実施形態が、添付図面に示されている。単純にするために、本明細書では、人工腱索テンション付与及びロッキング装置ではなく、単にテンション付与及びロッキング装置と称する。本明細書で開示するテンション付与及びロッキング装置のそれぞれは、人工腱索のテンションに影響を及ぼすような構成にされたテンション付与及びロッキング要素を有するロッキングアセンブリを含む。ロッキングアセンブリは、(例えば人工腱索のテンションを調整するために)人工腱索がロッキングアセンブリの他の構成要素に対して実質的に自由に動くテンション調整形態と、(例えば人工腱索のテンションを調整するために)ロッキングアセンブリの他の構成要素に対する人工腱索の動きが抑制又は阻止又は防止又はロックされている(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)テンション設定又はロッキング形態との間で、シフトする又は動く。いくつかの実施形態では、テンション付与及びロッキング要素は可動ロッキング要素を含み、これと、人工腱索は、人工腱索のテンションを調整するために関連付けられる。可動ロッキング要素は、ロッキングアセンブリをロック形態とテンション調整形態との間でシフトさせるように選択的に可動である。いくつかの実施形態では、可動ロッキング要素は、テンション付与及びロッキング装置が配置されるハウジングの長手方向軸LAに沿って動く。いくつかの実施形態では、ロッキング要素は、ロッキングアセンブリの他の構成要素に対する人工腱索の動きに影響を及ぼすように人工腱索と係合又は相互作用するような形状及び構成にされる。
【0030】
テンション付与及びロッキング装置は、アンカー110と関連付けられ得る、例えばそれに結合される又はそれと共に形成される(例えば、そのハウジング構成要素を共有する)。テンション付与及びロッキング装置がアンカー110と関連付けられ得る実施形態では、アンカー110のロッキング部分116は、アンカー本体部分114から延び得る又はそれと結合され得る又はそれと同一の広がりを持ち得る(例えば、その延長部として)。テンション付与及びロッキング装置、又は少なくともその複数の構成要素、例えばそのロッキングアセンブリは、例えばロッキング部分116の、ハウジング118内に収納され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング118は、ロッキング部分116とは別個とし得る又はそこから延び得る又は他の方法でそれと関連付けられ得ることが認識される。
【0031】
本開示の実施形態のテンション付与及びロッキング装置は、例えば弁尖と乳頭筋/心臓壁との間に、例えば所望のテンションを加える等のために、人工腱索上に作用するテンション又は人工腱索のテンション又は人工腱索の内部(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)に作用するテンションの調整及び/又はロック(例えば、設定又は固定)を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、人工腱索102は、送達カテーテル及びアクチュエータによって、実質的にハウジング118の長手方向軸LAに沿って、ハウジング118に入り、並びにハウジング118の側面から出得る。いくつかの実施形態では、他の構成要素は送達カテーテル内を通って延び、及び人工腱索102は、その代わりに、送達カテーテルに沿って延びて(例えば、外側、任意選択的にオーバーチューブ(overtube)内)、ハウジング118の側面を通ってハウジング118に入る。様々な本開示の実施形態では、テンション付与及びロッキング装置は、例えば制御要素又はアクチュエータを使用することによって、必要な場合又は望まれる場合にテンションを再調整可能にするようにテンションの設定及び解放を可能にするために、可逆的なロック及びロック解除を可能にする。心臓が活発に鼓動している間にテンション及びロックは調整され得る。一実施形態の様々な特徴は、別の実施形態の特徴と共に又はその代わりに使用され得ることが認識される。従って、本明細書で説明する特徴は、そのような特徴が組み合わせられて、人工腱索テンション付与及びロッキング装置に供され得、本明細書で開示する様々な利点を提供する手法の例として、様々な組み合わせで示される。
【0032】
ここで図面を参照すると、本開示の原理に従って形成されたテンション付与及びロッキング装置200のある実施形態の例が、アンカー210と関連付けられているとして図2Aに示されている(他の形態が本開示の範囲内にあるものの)。アンカー210は、アンカー210の本体部分214から遠位に延びるアンカー210の遠位端部211において、組織係合部分212(組織、例えば心臓組織内へ係合及び/又は堅固に固定するような構成にされる)を含む。ロッキング部分216が、アンカー210の本体部分214から近位に延びる。テンション付与及びロッキング装置200のロッキングアセンブリ230が、ハウジング218内に収納され得る。該ロッキングアセンブリ230は、いくつかの実施形態では、図2B図2C、及び図2Dに示し並びに下記でさらに詳細に説明するように、アンカー210のロッキング部分216と関連付けられる。人工腱索202は、テンション付与及びロッキング装置200の近位端部203内へ延びて、ハウジング218内のロッキングアセンブリ230のテンション付与及びロッキング装置構成要素と係合されるか又は相互作用し(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)(人工腱索202のテンションの調整及び/又は設定を可能にするために)、及びハウジング218に設けられた出口開口又はアパーチャ又は窓217から出るように延びて、心臓弁尖まで延び、そこで、人工腱索202の自由端部が、図1を参照して説明したように弁尖クリップ等によって堅固にと固定され得る。図示の実施形態では、人工腱索202は、ハウジング218の長手方向軸LAに沿って実質的に軸方向に延びるとともに、カテーテル220及びスタイレット222を通ってハウジング218内へと延びる。しかしながら、上述の通り、人工腱索202用の他の入口点が本開示の範囲及び趣旨内にある。ここで、テンション付与及びロッキング装置200及びロッキングアセンブリ230の様々な構成要素、並びにそれらの人工腱索202との相互作用が示されている、図2B図2C、及び図2Dを参照して説明するように、スタイレット222は、ハウジング218内の長手方向ボア又はキャビティ219(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用され、用語ボアは、円形の断面形状に限定されない)と係合されて、テンション付与及びロッキング装置200のロッキングアセンブリ230を作動させる。
【0033】
図2Bに示すスタイレット形態の例では、スタイレット222は、ハウジング218内の長手方向ボア又はキャビティ219の近位部分のねじ部分内でねじ係合されるねじ付き遠位端部223を含む。スタイレット222はまた、テンション付与及びロッキング装置200のロッキングアセンブリ230の可動要素、例えばキャリッジ234から延びる(及び任意選択的にそれに結合される)結合器232を係合する。結合器232はまた、スタイレット222によって回転式に遠位に前進させられる又は近位に引っ込められるように、ハウジング218の長手方向キャビティ219内でねじ係合され得る。そのようなものとして、スタイレット222及び結合器232は、スタイレット222の回転を結合器232へ伝達させて、長手方向キャビティ219内で結合器232を回転させることを可能にするように係合される。そのような係合の例は、限定されるものではないが、キー内のロック形態、例えば、スタイレット222及び結合器232の一方にある非円形の突起がスタイレット222及び結合器232の他方にある対応する非円形のボアに係合する形態、スタイレット222及び結合器232の一方に設けられたスロットと、スタイレット222及び結合器232の他方にある長手方向に延びるリブ、並びに当業界で公知の又は従来公知のような相対的な回転運動に抗するようにロックする他の係合を含む。また、結合器232は、結合器232が軸方向に前進する又は引っ込むときには、キャリッジ234の軸方向の前進又は引っ込みを引き起こすが、キャリッジ234とハウジング218との間の相対的な回転は引き起こさないように、キャリッジ234に結合される(その理由は明らかにされる)。そのような係合の例は、限定されるものではないが、結合器232の遠位に延びる部分(例えば、結合器232のねじ部分から遠位に延びる)に沿って周囲に延びるリブが、キャリッジ234内の周囲に延びる溝内へ係合し、及び結合器232の遠位に延びる部分を受け入れること、並びに相対的な回転運動に抗するようにロックする他の係合を含む。図示の実施形態では、キャリッジ234は、長手方向キャビティ219のねじ部分に対して遠位にある、ハウジング218内の長手方向キャビティ219の一部分内に配置される。長手方向キャビティ219は、第1の直径を有するテンション調整領域219aと、第2の直径を有するロッキング領域219bとを含み得、第1の直径は第2の直径よりも大きくて、人工腱索202上又はその内部でのテンションの調整を可能にする(下記でさらに詳細に説明するように)。本明細書で使用される、用語「直径」は、一般的に、長手方向寸法に対して直角の寸法、例えば幅寸法であると理解され、円形の形状又は断面の寸法に限定されない。ロッキング領域219bは、テンション調整領域219aに対して長手方向キャビティ219の直径を狭くすることによって、例えば、ロッキング領域219bにおいて長手方向キャビティ219内へ延びてその直径を狭める肩部又は他の突出部によって、形成され得る。図示の実施形態では、テンション調整領域219aは、テンション付与及びロッキング装置200の近位端部203よりもテンション付与及びロッキング装置200の遠位端部201の近くにある。しかしながら、逆の形態が本開示の範囲内にある。
【0034】
テンション付与及びロッキング装置200が送達される(及びアンカー210が展開又は組織に固定される)と、キャリッジ234は、図2Bに示すように、テンション調整領域219a内に配置される。人工腱索202は、キャリッジ234を部分的に通り及びその外側部分に部分的に沿って形成されるような通路236に沿って延びて、キャリッジ234と結合され、その後、ハウジング218内にある出口217を経由してハウジング218から出る。例えば、人工腱索202は、(例えば、スタイレット222を通って長手方向キャビティ229、及び結合器232を通って長手方向キャビティ239から出ることにより)キャリッジ234と係合するために、末梢部分236bに沿い(例えば、キャリッジ234の外側部分に沿って)、且つ、横断部分236cを通って(例えば、キャリッジ234を横断して延びており、キャリッジ234がハウジング218内の長手方向キャビティ219に沿って軸方向に移動すると、人工腱索202がキャリッジ234と一緒に、ハウジング218の長手方向軸LAに沿って軸方向に動くようにする)、通路236の長手方向部分236a(例えば、キャリッジ234内で軸方向に延びる長手方向ボア)内を通って延び得る。キャリッジ234がテンション調整領域219aにあると、人工腱索202は、通路236に沿って、並びにキャリッジ234及びロッキングアセンブリ230及びアンカー210に対して概ね自由に可動であり、人工腱索202におけるテンション、又は人工腱索202に作用するテンション、又は人工腱索202のテンションの調整を可能にする。人工腱索202のテンションは、(例えばテンションを増大させるために)人工腱索202を近位に引き寄せることによって、又は(例えばテンションを低下させるために)追加的な人工腱索202を遠位に送り込み若しくは繰り出し、若しくは他の方法で解放し若しくは送り込むことによって(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)、調整され得る。
【0035】
ひとたび人工腱索202内又は上の所望のテンションに達したら、テンションは、固定又は設定又はロックされ得る(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)。スタイレット222が作動(例えば、回転)されて、結合器232を近位に(テンション付与及びロッキング装置200の近位端部203の方へ向かって)動かされるように作動させ、それにより、キャリッジ234を近位に動かす。図2Cに示すように、キャリッジ234の通路236の外面部分に沿って延びる人工腱索202の部分がロッキング領域219bに臨むように、キャリッジ234が長手方向キャビティ219内でロッキング領域219bの方へ向かって進行されると、人工腱索202のその部分がキャリッジ234とロッキング領域219bとの間に捕捉され又は保持される。それにより、人工腱索202のテンションが固定され得る。さらにテンションを調整することが望まれる場合、スタイレット222が作動(例えば、回転)されて、キャリッジ234を遠位に(テンション付与及びロッキング装置200の遠位端部201の方へ向かって)動かし、人工腱索202上でのロッキング領域219bの保持を解放し、(例えば、テンションを低下させるために追加的な長さの人工腱索202を繰り出す若しくは解放する若しくは送り込むことによって、又はテンションを増大させるために人工腱索202を近位に引き寄せる若しくは引っ込めることによって)人工腱索202のテンションを調整可能にし得る。人工腱索202上で所望のテンションに達したと判定すると、スタイレット222は、結合器232から切り離されて(例えばハウジング218内の長手方向キャビティ219のねじ部分のねじ山から係合解除するためにスタイレット222を連続的に回転させることによって)、除去され得る。それゆえ、人工腱索202の一部分は、ハウジング218のロッキング部分216内にロックされ得るとともに、ハウジング218から近位に延びる人工腱索202は、切断され得るとともに、人工腱索202は、心臓組織と弁尖との間に堅固にと固定されて適所に置かれ、腱索として機能する。
【0036】
図2A図2Dの実施形態では、キャリッジ234は、実質的に四角形の断面を有し得る。図2A図2Dのロッキングアセンブリ230と同様であるが、実質的に丸みを帯びた断面のキャリッジを有する、ロッキングアセンブリの代替的な形態が、図3A図3Cに示すテンション付与及びロッキング装置300と関連して示されている。ロッキングアセンブリ330のキャリッジ334は、図2A図2Dに示し且つそれを参照して説明するロッキングアセンブリ230のキャリッジ234と実質的に同じ又は同様に機能し、いくつかの追加的な特徴又は利点がある。キャリッジ234、334のある程度の違い以外の、図2A図2D及び図3A図3Cのそれぞれのテンション付与及びロッキング装置200及び300は、実質的に同じ又は同様の手法で配置され及び動作し得ることが認識される。例えば、テンション付与及びロッキング装置300は、組織係合部分312、本体部分314、及びロッキング部分316を有するアンカー310と関連付けられて示される)。簡潔にするために、及び便宜上、及び限定を意図せずに、同様の機能を備える同様の要素は、値を100だけ変えた同じ参照符号によって指示され、それらの同様の要素並びにその機能及び動作の上述の記載を参照する。
【0037】
図2A図2Cの人工腱索202のように、図3A図3Cに示す人工腱索302は、スタイレット322及びカテーテル320を通ってロッキング装置300の近位端部303内へ、並びに結合器332を通って長手方向キャビティ339を通って延びて、キャリッジ334と係合し始め得る。また図2A図2Dに示す人工腱索202及びキャリッジ234のように、図3A図3Cに示す人工腱索302は、キャリッジ334の外側部分に部分的に沿って及びそれを部分的に横断して形成された通路336に沿って延びるため、人工腱索302は、キャリッジ334がハウジング318内で長手方向キャビティ319に沿って軸方向に移動すると、ハウジング318の長手方向軸LAに沿って軸方向に動かされる。しかしながら、図2A図2Dに示すロッキングアセンブリ230に示すキャリッジ234とは対照的に、図3A図3Cに示すロッキングアセンブリ330のキャリッジ334は、通路336の長手方向部分336a(例えば、キャリッジ334内の長手方向ボア)から通路336の外面部分336bへの出口点と、通路336の外面部分336bからキャリッジ334を通る通路336の横断部分336c内への入口点との間に周溝335を有する。周溝335は、人工腱索302がキャリッジ334とハウジング318内の長手方向キャビティ319のロッキング領域319bとの間に挟まれ得る2つのピンチポイント337a、337bを提供又は規定し得る。キャリッジ334がテンション調整領域319a(当該テンション調整領域319aでは、通路336内での人工腱索302の比較的抑制されていない動きによって、人工腱索302のテンションの調整を可能にする)からロッキング領域319b(例えば、図示の例ではテンション付与及びロッキング装置300の遠位端部301の方へ向かって)へ動くため、人工腱索302は、ピンチポイント337a、337bと長手方向キャビティ319の内壁との間に挟まれるようになり、それにより、人工腱索302内のテンションを固定する。
【0038】
いくつかの実施形態では、クロック機構340が、例えばハウジング318を通る人工腱索302の経路を案内するために(例えば、ハウジング318に出口317が設けられている状態で、キャリッジ334に沿って又はその周りに人工腱索302用の通路336を配置することによって)、長手方向キャビティ319内でのキャリッジ334の回転を阻止するために設けられ得る。例えば、戻り止め又はリブ又は突出部342(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)が、キャリッジ334に設けられて、ハウジング318内の対応する溝344及び/又は窓346に係合し得る。他の形態は本開示の範囲内にあることが認識される。
【0039】
図3A図3Cのテンション付与及びロッキング装置300のロッキングアセンブリ330と同様であるが、人工腱索がキャリッジに対して延びる経路が異なるロッキングアセンブリを備える、テンション付与及びロッキング装置400の代替的な形態が、図4A図4Cに示されている。テンション付与及びロッキング装置400は、テンション付与及びロッキング装置300と関連付けられるアンカー310と同様の、組織係合部分412、本体部分414、及びロッキング部分416を備える、関連のアンカー410を有し得る。簡潔にするために、及び便宜上、及び限定を意図せずに、図3A図3Cに示す実施形態の例におけるものと同様の機能を備える、図4A図4Cに示す実施形態の例の同様の要素は、値を100だけ変えて同じ参照符号で指示され、それらの同様の要素並びにその機能及び動作の上述の記載を参照する。
【0040】
図4A図4Cの実施形態は、図3A図3Cの実施形態において使用されているものよりも硬い人工腱索402と一緒に使用するのにより好適とし得る。より詳細には、人工腱索402は、入口415を通して人工腱索402の第1及び第2の自由端部を挿入することによって、ロッキングアセンブリ430に対して適所に挿入され得る。人工腱索402の一方の端部は、結合器432内の長手方向キャビティ439を通って、並びにスタイレット422及びカテーテル420を通って延びる。人工腱索402の他方の端部は、キャリッジ434を通って(当該キャリッジ434を貫通する横断通路436cを通って)延び、入口415に実質的に対向するハウジング418内の出口417から出る。傾斜通路436aが、人工腱索402を入口415から結合器432内の長手方向キャビティ439まで及び/又は横断通路436cまで、出口417を通って出るように、案内し得る。
【0041】
結合器432内の長手方向キャビティ439を通る人工腱索402の長手方向の広がりは、接続通路436bに沿ってキャリッジ434を通って、横断通路436cに沿って延び及びハウジング418内の出口417から出る人工腱索402の横方向の広がりへ移行する。接続通路436bは、ハウジング418の軸方向の広がりに対して角度がつけられており、人工腱索402の方向を軸方向の広がりからキャリッジ434を通って横方向の広がりまで移行して出口417から出るようにするために、比較的大きな曲率半径をもたらし得る。
【0042】
図4A図4Cに示す実施形態の例におけるように、ロッキングアセンブリ430のキャリッジ434は、ロッキングアセンブリ330のキャリッジ334と同様の丸みを帯びた断面を有する。それゆえ、キャリッジ434は、ハウジング418の長手方向キャビティ419内でのキャリッジ434の回転を阻止するために、クロック機構440から同様に恩恵を受け得る。また、図3A図3Cに示す実施形態の例におけるように、図4A図4Cに示すロッキングアセンブリ430のキャリッジ434は周溝435を有し、キャリッジ434がテンション調整領域419aからハウジング418内の長手方向キャビティ419のロッキング領域419bへシフトされるとき、周溝を越えて人工腱索402が(一般的に直角に又は垂直に)延びる。周溝435は、人工腱索402がキャリッジ434とハウジング418内の長手方向キャビティ419のロッキング領域419bとの間に挟まれ得る2つのピンチポイント437a、437bを提供又は規定し得る。キャリッジ434がテンション調整領域419a(ここでは、通路436内での人工腱索402の比較的抑制されていない動きによって、人工腱索402のテンションを調整可能にする)からロッキング領域419bへ(例えば、図示の例ではテンション付与及びロッキング装置400の遠位端部401の方へ向かって)動くとき、人工腱索402は、ピンチポイント437a、437bと長手方向キャビティ419の内壁との間に挟まれるようになり、それにより、人工腱索402内でのテンションを固定する。
【0043】
テンション付与及びロッキング装置200、300、400では、ロッキングアセンブリ230、330、430は、キャリッジの形態の可動要素を含む。可動要素は、テンション付与及びロッキング装置200、300、400のハウジング218、318、418に対して動かされて、ロッキングアセンブリ230、330、430を、(例えば、人工腱索202、302、402のテンションの調整を可能にするために)人工腱索202、302、402がロッキングアセンブリ230、330、430に対して選択的に可動であるテンション調整形態と、ロッキングアセンブリ230、330、430に対する人工腱索202、302、402の動きが阻止又は防止されて(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)、人工腱索202、302、402のテンションを固定又は設定又はロックする(これらの用語は、限定を意図せずに、本明細書では区別しないで使用される)テンション設定又はロッキング形態との間でシフトさせる。本開示の原理に従って形成されたテンション付与及びロッキング装置のロッキングアセンブリ230、330、430の可動要素は、図2A図2D及び図3A図3C及び図4A図4Cに示した例に対して説明した以外の他の形態を有し得ることが認識される。
【0044】
図5A図5Cに示す、テンション付与及びロッキング装置500の別の例では、ロッキングアセンブリ530は、ローラ534等の転動体の形をしている可動要素を有し得る。転動体は、(例えば人工腱索502のテンションを調整している最中に)人工腱索502の動きと共に転がり、及び実質的にシリンダー状又は実質的に球状とし得る。テンション付与及びロッキング装置500のロッキングアセンブリ530は、可動要素及びハウジングの形態に関して変化があるにもかかわらず、テンション付与及びロッキング装置200、300のロッキングアセンブリ230、330と実質的に同じ又は同様に機能する。特に、人工腱索502は、テンション付与及びロッキング装置500の近位端部503内へ延びるとともにロッキングアセンブリ530と相互作用するためにハウジング518の長手方向キャビティ519内へ延び、且つ、テンション付与及びロッキング装置200、300に関して上述したのと同様の手法で弁尖に固定されるように、ハウジング518に設けられた出口517を経由してハウジング518から出る。ロッキングアセンブリ530の可動要素は、アクチュエータによって、例えばカテーテル520の端部にあるスタイレット522によって、ハウジング518内のテンション調整領域519aとロッキング領域519bとの間(例えば、テンション付与及びロッキング装置500の近位端部503と遠位端部501との間)で動かされ得る。簡潔にするために、及び便宜上、及び限定を意図せずに、同様の機能を備える図2A図2D及び図3A図3C及び図4A図4Cに示したものと同様の要素が、値を100だけ変えて同じ参照符号で指示され、それらの同様の要素並びにその機能及び動作の上述の記載を参照する。図5A図5Cのテンション付与及びロッキング装置500のロッキング及びテンション調整機能は、図2A図2D及び図3A図3C及び図4A図4Cのテンション付与及びロッキング装置200、300、400のロッキング及びテンション調整機能とそれぞれ実質的に同じ又は同様であるが、ロッキングアセンブリ230、330、430の可動要素は形態が異なるため、その機能についてさらに詳細に説明する。
【0045】
図5B及び図5Cを参照して説明すると、テンション付与及びロッキング装置500のハウジング518(例示的な実施形態において、組織係合部分512、本体部分514、及びロッキング部分516を有するアンカー510と関連付けられるとして示されている)はテンション調整領域519aを有しており、テンション調整領域519aは、ロッキング領域519bの(例えば、実質的に同じ方向において)対応する寸法よりも大きい少なくとも1つの寸法を有していることが認識される。ローラ534がテンション調整領域519a内に配置されると、人工腱索502は、通路536に沿ってローラ534の周り(例えば、ローラ534の中央セクションの周り)を実質的に自由に動き、テンションの調整を可能にし得る。例えばスタイレット522の作動によって、ローラ534がロッキング領域519b内へ動かされると、人工腱索502は、長手方向キャビティ519の狭小内壁間に挟まれるか又は捕らえられてさらなる動きが防止され、それにより、人工腱索502のテンションを設定する。ローラ534は人工腱索502のテンションが調整されるときに回転し得るため、ローラ534はスタイレット522によって係合される(例えば、スタイレット522によって接触される)。それによって、例えばスタイレット522の遠位端部521をローラ534の端部538(例えば端部は、人工腱索502が通路536に沿って延びる中間セクションよりも大きい直径を有する)に当接させて、人工腱索がローラ534の周りに延びる際に、人工腱索502を跨ぐか又はそうでなければ人工腱索502に干渉しないようにする。それゆえ、スタイレット522は、ローラ534を近位に引く傾向のある人工腱索502からのテンションに抗して、特定の位置にローラ534を保持し得る。いくつかの実施形態では、遠位端部521は、スタイレット522の遠位端部に回転可能に結合された結合器532から延び、人工腱索502のテンションを調整するためのスタイレット522の回転(スタイレット522をテンション付与及びロッキング装置500の遠位端部501の方へ向かって遠位に前進させるか、又はスタイレット522をテンション付与及びロッキング装置500の近位端部503の方へ向かって近位に引っ込めるために)によって、ローラ534に対する遠位端部521の回転を引き起こさない。人工腱索502のテンションを設定するようにスタイレット522が作動されるため(例えば近位に引き出されることによって)、ローラ534は、人工腱索502がローラ534と長手方向キャビティ519との間に保持されるまで、(ローラ534の周りに延びる人工腱索502のテンションによって引かれることによって)ロッキング領域519bの方へ向かって動く。図2A図2D及び図3A図3C及び図4A図4Cのテンション付与及びロッキング装置200、300、400のそれぞれにおけるように、図5A図5Cのテンション付与及びロッキング装置500は、所望のテンションが達成されるまで、人工腱索502のテンションの調整を可能にし、所望のテンションが達成された時点で、テンション付与及びロッキング装置500は、テンション設定又はロッキング形態へシフトされ得(例えばロッキング要素、例えばロッキングアセンブリ530のローラ534をロッキング領域519bへ動かすことによって)、且つスタイレット522は、テンション付与及びロッキング装置500から切り離され得る又は除去され得る。
【0046】
図6A図6Cのテンション付与及びロッキング装置600は、図2A図2D図3A図3C図4A図4C図5A図5Cのテンション付与及びロッキング装置200、300、400、500のそれぞれのものとは別の形態の、ロッキングアセンブリ630の可動要素を有する。特に、図6A図6Cのテンション付与及びロッキング装置600のロッキングアセンブリ630の可動要素は、コイルオーガ634の形をしている。簡潔にするために、及び便宜上、及び限定を意図せずに、同様の機能を備える、図2A図2D図3A図3C図4A図4C図5A図5Cのものと同様の要素は、値を100だけ変えて同じ参照符号で指示され、それらの同様の要素並びにその機能及び動作の上述の記載を参照する。図6A図6Cのテンション付与及びロッキング装置600のロッキング及びテンション調整機能は、図2A図2D図3A図3C図4A図4C図5A図5Cのテンション付与及びロッキング装置200、300、400、500のロッキング及びテンション調整機能のそれぞれと実質的に同じ又は同様であるが、ロッキングアセンブリ230、330、430、530、630の可動要素は形態が異なるため、機能についてさらに詳細に説明する。
【0047】
より詳細には、図6A図6Cを参照して説明すると、及び図6B及び図6Cを参照するとより明白に認識され得るように、人工腱索602は、テンション付与及びロッキング装置600のハウジング618(これは、例示的な実施形態において、組織係合部分612、本体部分614、及びロッキング部分616を有するアンカー610と関連付けられるとして示されている)内へ、例えば入口615を経由して横方向に延びる。ロッキングアセンブリ630の可動要素の周辺又は外側部分の周りに延びる代わりに、人工腱索602は、オーガ634のコイルを通って延びる。上述のテンション付与及びロッキング装置200、300におけるように、スタイレット622は、ロッキングアセンブリ630と結合器632を介して結合される。結合器632は、軸方向の動き(テンション付与及びロッキング装置600の長手方向軸LAに沿った)に抗して固定され得るが、ハウジング618に対する回転は可能である(例えば、結合器632とハウジング618との間の円周リブと溝の係合)。スタイレット622(実施形態のこの例では、カテーテル620から延びるとして示されている)の回転によって、オーガ634を作動させて回転させ、人工腱索602の部分を近位に(テンション付与及びロッキング装置600の近位端部603の方へ向かって)又は遠位に(テンション付与及びロッキング装置600の遠位端部601の方へ向かって)運ぶ。テンション調整形態では、人工腱索602は、ハウジングを通って、並びにオーガ634を通り、且つオーガ634を横切って自由に動く。しかしながら、オーガ634が回転されて、出口617から離れるように延びる人工腱索602の部分を動かすと、人工腱索602は、オーガ634とハウジング618内の長手方向キャビティ619との間に挟まれてロッキング位置になり、そこでは、そのテンションが実質的に固定される。いくつかの実施形態では、入口615はスロットの形をしており、オーガ634が作動されるか又はテンション調整形態とテンション設定又はロッキング形態との間で動かされるときに、人工腱索602が、挟まれることなく、そこを通過できるようにする。
【0048】
結合器632へのスタイレット622の回転運動の移動を容易にするために、鉄道車両型の連結が、図示のように使用され得る。特に、スタイレット622及び結合器632は、互いに相互に係合又は連結するような形状にされた端部を有し、スタイレット622及び結合器632を相対的な回転運動に抗してロックし得る。スタイレット622及び結合器632は、図6Bに示すようにスタイレット622及び結合器632内のルーメンを通って延びるロッキングスタイレット624を使用することによって、それらの連結された端部の係合解除を引き起こす(例えば、スタイレット622及び結合器632の長手方向軸に対して直角の端部の動きで)相対運動に抗して、固定され得る。代替的に、図6Dに示すように、スタイレット622及び結合器632の上側を覆って延びるロッキングスタイレット624’が、スタイレット622及び結合器632を、それらの連結された端部の係合解除を引き起こす相対運動に抗して、固定し得る。スタイレット622及び結合器632の係合するロッキング端部の代替的な形状は、図6Eに示されている。図示の形態は非限定的な例であり、及び他の形態は本開示の範囲内にあることが認識される。
【0049】
ロッキングアセンブリ730の可動要素の別の形態が、図7A図7Cに示されている。簡潔にするために、及び便宜上、及び限定を意図せずに、同様の機能を備える、図2A図2D図3A図3C図4A図4C図5A図5C図6A図6Cに示すものと同様の要素が、値を100だけ変えて同じ参照符号で指示され、それらの同様の要素並びにその機能及び動作の上述の記載を参照する。
【0050】
図7A図7Cのテンション付与及びロッキング装置700では、ロッキングアセンブリ730の可動要素は、テンション付与及びロッキング装置700のハウジング718(これは、例示的な実施形態において、組織係合部分712、本体部分714、及びロッキング部分716を有するアンカー710と関連付けられるとして示されている)に対して動くような構成にされた組織係合可動要素734を含む。アクチュエータシャフト720の形をしているようなアクチュエータが、ハウジング718に設けられた長手方向キャビティ719を通って延びて、組織係合可動要素734(テンション付与及びロッキング装置700の遠位端部701から延びる)を、人工腱索702のテンションが実質的に固定されているテンション設定又はロッキング形態と、人工腱索702のテンションが調整され得るテンション調整形態との間で動かす。より詳細には、人工腱索702は、テンション付与及びロッキング装置700のハウジング718内へ、例えば入口715を経由して横方向に延び、組織係合可動要素734を通る(この例では、横断して通る)通路736を通過し、及びハウジング718から出口717を通って出て、人工腱索702が固定される弁尖まで延びる。図7B図7Cを比較すると認識され得るように、組織係合可動要素734が、図7Bに示すように組織内で係合されるとき、人工腱索702は、通路736の端部と入口715及び出口717のいずれか又は双方の端部との間に挟まれ得る。シャフト722を近位に(テンション付与及びロッキング装置700の近位端部703の方へ向かって)動かすことや、組織係合可動要素734が(図7Bに示すように)ロッキング範囲で組織内へ挿入される前は、もはや、(図7Cに示されているように)人工腱索702は挟まれておらず、且つ、そのテンションは、所望通りに調整され得る。図示の実施形態では、入口715、出口717、及び通路736はそれぞれ長尺状にされており、シャフト722が軸方向に動かされるときに、人工腱索702を軸方向に動かすことを可能にする。入口715及び出口717のみ、又は通路736のみが長尺状にされているような他の形態は、本開示の範囲及び趣旨内にある。
【0051】
やり状の組織係合遠位端部750を備える組織係合可動要素734が、図7A図7Cに示されているが、他の形態は本開示の範囲内にある。例えば、組織係合可動要素734は、挿入形態とテンション設定若しくはロッキング形態との間で選択的に可動な組織係合遠位端部を有し得る。例えば、図7D図7Gに示すような、可動アームを備える組織係合遠位端部は、テンション付与及びロッキング装置700のロッキングアセンブリ730内に設けられているような、組織係合可動要素734に設けられ得る。図7D及び図7Eに示す実施形態では、ロッキングアーム752は、シャフト部分754と一体的に(その一部として)形成され得る。ロッキングアーム752は、組織係合可動要素734が組織に挿入される又は固定される又は植え込まれるときには、図7Dに示すような挿入形態にある(例えば、シャフト部分754の周囲輪郭と同一平面上にある及び/又は適合する)とし得るとともに、シャフト部分754から、例えば図7Eに示すようなアンカリング形態へと外向きに延びて(例えば、ひとたび組織係合可動要素734が最初に組織に挿入されたら、シャフト部分754が近位へ動くと、引き離される)、組織係合可動要素734を組織内の適所に保持し得る。代替的に、図7F及び図7Gに示すように、ロッキングアーム752’は、シャフト部分754’とは別々に形成され、及び例えばピボット755を介してそれに旋回可能に結合され得る。ロッキングアーム752’は、組織係合可動要素734が組織に挿入される又は固定される又は植え込まれるときには、図7Fに示すように、コンパクトな挿入形態にあるとし得(例えばシャフト部分754に沿って長手方向に延びる)、及びシャフト部分754から、図7Gに示すようなアンカリング形態へと外向きに延びて(例えば、ひとたび組織係合可動要素734が最初に組織に挿入されたら、シャフト部分754が近位へ動くと、引き離される)、組織係合可動要素734を組織内の適所に保持し得る。いくつかの実施形態では、ロッキングアーム752、752’は対称的とし得る。いくつかの実施形態では、2つ以上のロッキングアーム、例えば2つ以上のロッキングアーム752、752’が設けられてもよい。
【0052】
本開示の装置、システム、及び方法は、心疾患を治療するために、単独で又は他の装置、システム、及び方法と一緒に、例えば、限定されるものではないが、それぞれ2020年7月2日出願の米国特許出願第16/919,769号明細書(表題「弁尖と乳頭筋又は心臓壁との間で人工腱索を調整可能にテンションさせるための装置、システム、及び方法(DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS FOR ADJUSTABLY TENSIONING AN ARTIFICIAL CHORDAE TENDINEAE BETWEEN A LEAFLET AND A PAPILLARY MUSCLE OR HEART WALL)」)、米国特許出願第16/919,782号明細書(表題「心臓弁の弁尖をクランプするための装置、システム、及び方法(DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS FOR CLAMPING A LEAFLET OF A HEART VALVE)」)、米国特許出願第16/919,794号明細書(表題「乳頭筋又は心臓壁に人工腱索を堅固に固定するための装置、システム、及び方法(DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS FOR ANCHORING AN ARTIFICIAL CHORDAE TENDINEAE TO A PAPILLARY MUSCLE OR HEART WALL)」)、及び米国特許出願第16/919,806号明細書(表題「人工腱索のための装置、システム、及び方法(DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS FOR ARTIFICIAL CHORDAE TENDINEAE)」)(それらそれぞれの全体を参照することにより本書に援用する)に説明されているような装置、システム、及び方法と一緒に、使用され得る。そこに説明されている装置の例は、本開示の実施形態又は1つ以上の特徴を組み込むために修正されてもよい。本明細書で説明する全ての装置及び方法は、この開示の1つ以上の原理に従って実施される装置及び/又は方法の例である。これらの例は、これらの原理を実施する唯一の方法ではなく、単なる例である。それゆえ、図面の要素又は構造又は特徴への言及は、本開示の実施形態の例への言及として認識される必要があり、本開示を図示の特定の要素、構造、又は特徴に限定すると理解されるべきではない。開示の原理を実施する手法の他の例は、この開示を読めば当業者には思いつくであろう。
【0053】
本開示の実施形態は、僧帽弁に具体的に言及して説明され得るが、本明細書で開示するようなテンション付与及びロッキング装置は、例えば三尖弁輪を含むいずれかの弁輪の修復や修正に関連して使用されてもよく、及び/又は任意の他の同様の拡張、弁不全、弁の漏れ、及び構成要素を心臓組織に堅固に固定することを含む他の同様の心不全状態に利益をもたらし得る。テンション付与及びロッキング装置の実施形態は、心臓弁インプラント装置に関して説明されたが、本開示の原理は、体内で使用される、例えば、特に軟組織の領域及び/又はインプラントが設置される組織に規則的な動きのある領域において体内に植え込まれる他のタイプの装置に関連して使用されるテンション付与及びロッキング装置に応用され得ることがさらに認識される。
【0054】
本開示の実施形態は、心臓組織へ選択的にアクセスするための医療装置及びシステム(例えば、大腿静脈等を通って挿入される経管装置)に具体的に言及して説明され得るが、そのような医療装置及びシステムは、体内でのコード様要素のテンションを必要とする様々な医療処置において使用され得ることが認識されるべきである。開示の医療装置及びシステムはまた、異なるアクセス点及びアプローチ、例えば、経皮的、内視鏡的、腹腔鏡下、又はこれらの組み合わせによって挿入され得る。
【0055】
当業者には、本議論は、実施形態の説明に役立つ例の記載にすぎず、本開示のより広範囲の態様を限定するものではないことを理解されたい。上述の議論は、広範な応用性があり、及び説明及び記載のために提示されており、本開示を本明細書で開示した形式又は複数の形式に限定するものではない。様々な追加、修正、及び置換が、本開示の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、本明細書で開示した実施形態になされ得ることを理解されたい。特に、当業者には、本開示の原理は、その概念、趣旨、若しくは範囲、又はその特性から逸脱することなく、他の形式、構造、配置構成、比率で、並びに他の要素、材料、及び構成要素を備えて供され得ることが明白になろう。例えば、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で、1つ以上の態様、実施形態、又は形態にまとめられる。しかしながら、本開示のいくつかの態様、実施形態、又は形態の様々な特徴は、代替的な態様、実施形態、又は形態と組み合わせられ得ることが理解されるべきである。本開示は実施形態に関して提示されるが、本主題の所望の特性及び/又は利益のうちの少なくともいくつか又は本主題の様々な別々の特徴を達成するために、そのような個々の特徴が提示される必要はないことが認識されるべきである。当業者は、本開示の原理又は趣旨又は範囲から逸脱することなく、本開示は、多くの修正の上で、又は構造、配置構成、大きさ、材料、構成要素の修正の上で、使用され得、そうでなければ、特定の環境及び動作条件に特に適合される本開示の実施において使用され得ることを認識するであろう。例えば、一体的に形成されていると示されている要素が複数の部分で構成されてもよく、又は複数の部分として示される要素が一体的に形成されてもよく、要素の動作は、逆にされても、他の方法で変えられてもよく、要素のサイズや寸法が変えられてもよい。同様に、動作若しくは行為若しくは処置は特定の順序で説明されるが、これは、そのような特定の順序を必要とすると、又は全ての動作若しくは行為若しくは処置が所望の結果を達成するために実施されると理解されるべきではない。さらに、他の実装例が以下の特許請求の範囲内にある。場合によっては、特許請求の範囲内に列挙される行為は異なる順序で実施され得、それでも、所望の結果を達成する。それゆえ、本開示の実施形態は、あらゆる点で、限定ではなく説明であるとみなされるものとし、特許請求する主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されており、及び上述の記載又は特定の実施形態又は本明細書で説明若しくは図示した配置構成に限定されない。上記を考慮して、いずれかの実施形態の個々の特徴は、別々に又はその実施形態若しくは任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて使用されてもよく、及び特許請求され得、主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されており、及び上述の記載に限定されない。
【0056】
上述の記載及び以下の特許請求の範囲では、以下のことが認識される。本明細書で使用される語句「少なくとも1つ」、「1つ以上」、及び「及び/又は」は、有効性(operation)において接続的及び離接的の双方である、制約のない表現である。用語「a」、「an」、「the」、「第1」、「第2」等は、複数を除外しない。例えば、本明細書で使用される用語「a」又は「an」エンティティは、1つ以上のそのエンティティを指す。そのようなものとして、用語「a」(又は「an」)、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」は、本明細書では区別しないで使用され得る。全ての方向の指示内容(例えば、近位、遠位、上部、下部、上向き、下向き、左、右、横方向、長手方向、前、後ろ、頂部、底部、上方、下方、垂直、水平、半径方向、軸方向、時計回り、反時計回り等)は、読者が本開示を理解するのを支援するための識別目的で使用されているにすぎず、及び/又は関連の要素の領域を互いに区別する働きをし、及び、特にこの開示の位置、向き、又は使用に関して関連の要素を限定するものではない。接続の指示内容(例えば、取り付けられる、結合される、接続される、及び接合される)は広く解釈され、別段の指示がない限り、一群の要素間の中間部材及び要素の相対運動を含み得る。そのようなものとして、接続の指示内容は、必ずしも、2つの要素が直接及び互いに固定関係で接続されていることを暗示しない。識別の指示内容(例えば、主、副、第1、第2、第3、第4等)は、重要性又は優先度を暗示することを意図せず、1つの特徴を別の特徴から区別するために使用される。以下の特許請求の範囲は、これを参照することにより本詳細な説明に援用され、各特許請求項は、本開示の別個の実施形態としてそれ自体に基づく。特許請求の範囲の参照符号は、単に例を明確にするために提供され、及び特許請求の範囲を何ら限定するとみなされない。
【0057】
以下の特許請求の範囲は、これを参照することにより本詳細な説明に援用され、各特許請求項は、本開示の別個の実施形態としてそれ自体に基づく。特許請求の範囲では、用語「備える/備えている(comprises/comprising)」は、他の要素又はステップの存在を排除しない。さらに、個々の特徴は、異なる特許請求項に含まれてもよいが、これらは、おそらく、好都合に組み合わせられてもよく、及び異なる特許請求項に含むことは、特徴の組み合わせが実現可能及び/又は好都合ではないことを暗示しない。さらに、単数形の指示内容は複数を排除しない。用語「a」、「an」、「the」、「第1」、「第2」等は複数を除外しない。特許請求の範囲での参照符号は、単に例を明確にするために提供され、及び特許請求の範囲を何ら限定するとみなされない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
【国際調査報告】