(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】セパレータインサート及びセパレータ
(51)【国際特許分類】
B04B 1/06 20060101AFI20230905BHJP
B04B 11/02 20060101ALI20230905BHJP
B04B 13/00 20060101ALI20230905BHJP
B04B 9/12 20060101ALI20230905BHJP
B04B 7/02 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B04B1/06
B04B11/02
B04B13/00
B04B9/12
B04B7/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505775
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2021071876
(87)【国際公開番号】W WO2022033952
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】102020121420.0
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516362920
【氏名又は名称】ジーイーエー ウエストファリア セパレーター グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴーマン, リュディガー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムリヒ, カイ
(72)【発明者】
【氏名】クイター, カトリン
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC06
4D057AD01
4D057AE02
4D057AF01
4D057AF05
4D057BA02
4D057BA04
4D057BA14
4D057BA31
4D057BA43
4D057BB11
4D057BC05
4D057BC11
4D057CB01
4D057CB04
(57)【要約】
本発明は、セパレータ用のセパレータインサートに関するもので、遠心領域において流動性の懸濁液(S)を密度の異なる少なくとも2つの流動性の相(LP、HP)に分離するために構成され、動作中に静止し、複数の開口以外は閉鎖された容器の形態に構成されているハウジング(1)であって、これらの開口は、ハウジング(1)の第1の軸方向境界壁(6)への流動性の懸濁液の供給口(8)として、ハウジング(1)の外側ケーシングにおける異なる密度の流動性の相(LP、HP)の2つの出口(10、11)として、及びハウジング(1)の第2の軸方向境界壁(7)内の再循環入口(9)として構成されているものである、ハウジング(1)と、ハウジング(1)内に配置され、回転軸(D)を中心に回転可能で、複数の開口も有するドラム(3)を有するロータとを備え、分離手段がドラム(3)に配置され、ドラム(3)を有するロータ(2)の軸方向に間隔をあけた2箇所にある磁気軸受装置(4、5)用の少なくとも2つのロータユニット(4b、5b)であって、磁気軸受装置によりドラム(3)を有するロータ(2)が懸垂状態にに保持された状態で、回転可能に取り付られ、稼働中はハウジング内で回転させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心領域において、流動可能な懸濁液(S)を異なる密度の少なくとも2つの流動可能な相(LP、HP)に分離するために構成されたセパレータ用のセパレータインサートであって、
a) 稼働中に静止し、複数の開口以外は閉鎖された容器の形態に構成されたハウジング(1)であって、これらの開口はハウジング(1)の第1の軸方向境界壁(6)に流入する懸濁液用の供給口(8)として、ハウジング(1)の外側ケーシング内で密度が異なる流動性の相(LP、HP)用の2つの出口(10,11)として、及びハウジング(1)の第2の軸方向境界壁(7)内の再循環入口(9)として構成されているハウジング(1)と、
b) ハウジング(1)内に配置され、回転軸(D)を中心に回転可能であり、かつドラム(3)を有するロータ(2)であって、ドラム(3)は複数の開口を有し、ドラム(3)の1以上の第1の開口及び1以上の第2の開口(12a、32a、21、22)は、軽い相及び重い相(LP、HP)のハウジング(1)内への自由な半径方向の開口(21、22)として機能し、ドラム(3)の2つの軸方向端部にて、供給パイプ(12、32)がドラム(3)の更なる2つの開口(12a、22a)に延びて、ドラム(3)に接触しないロータ(2)を備え、
c) 分離手段がドラム(3)に配置され、
d) ドラム(3)を有するロータ(2)の軸方向に間隔をあけて配置された2箇所にて、磁気軸受装置(4、5)用の少なくとも2つのロータユニット(4b、5b)があり、この磁気軸受装置により、ドラム(3)を備えたロータ(2)が懸垂状態に保持された状態で、回転可能に取り付けられ、且つ稼働中にハウジング内で回転させることができる、セパレータインサート。
【請求項2】
セパレータインサート(II)が、セパレータのフレーム(I)に挿入されるために予め組み立てられた交換可能ユニットを形成する、請求項1に記載のセパレータインサート。
【請求項3】
ハウジング(1)とドラム(3)とが、全体的に又は主にプラスチック又はプラスチック複合材料からなる、請求項1又は2に記載のセパレータインサート。
【請求項4】
磁気軸受装置(4、5)用のロータユニット(4b、5b)がドラム(3)の2つの軸端部に配置され、かつ、各給気パイプ(12,32)が、1つのロータユニット(4b、5b)を軸方向に通過する、請求項1乃至3の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項5】
磁気軸受装置(4、5)の一方又は両方は、ドラムの回転及び速度調整に用いられ、且つ磁気軸受装置(4、5)の一方又は両方は、半径方向及び軸方向に軸受するように作用して、稼働中にロータ(2)をドラム(1)から距離を置いてドラム(1)内に吊設した状態を保つ、請求項4に記載のセパレータインサート。
【請求項6】
異なる密度の流動可能な相(LP、HP)のための2つの出口(10,11)の各々が、ハウジング(1)の夫々の捕捉リング室(23,24)に関連する、請求項1乃至5の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項7】
異なる密度の流動可能な相(LP、HP)のための2つの出口(10,11)が、ハウジング(1)上に半径方向又は接線方向に形成される、請求項1乃至6の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項8】
入口(8)が非回転式の供給パイプ(12)によって形成され、該供給パイプ(12)は一端部がハウジング(1)から出て第1の側に出て、特に回転軸(D)の垂直方向の位置合わせとなって、上向き且つ外向きに突出し、かつ、第1の軸方向境界壁(6)を通って、かつ、1つの磁気軸受装置(4)を通ってドラム(3)内に延びるが、ドラム(3)には接触しない、請求項1乃至7の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項9】
第1の供給パイプ(12)は、前記ハウジング(1)を貫通して前記ロータ(2)の回転軸に同軸に、前記ハウジング(1)内をさらに軸方向に延び、前記回転可能なドラム(3)内に延び、前記他端部-自由出口端部が分配器(13)の前、又は分配器(13)内にて終端し、該分配器(13)は前記ドラム(3)内に配置されて、前記ドラム(3)と一緒に回転し、前記分配器(13)によって懸濁液を遠心室内に導くことができる、請求項1乃至8の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項10】
前記ドラム(3)が、異なる直径の少なくとも2つの部分(18,19)を有し、異なる直径の部分にて異なる密度の相(LP、HP)をドラム(3)から排出するために、ドラム(3)の外側ケーシング内に少なくとも1つ以上の出口(21,22)が設けられ、該出口は夫々ドラム(3)の外側ケーシング内の1つ以上の開口、特にノズル状の開口を有し、これにより、夫々の捕捉リング室(23,24)内への自由な出口(21,22)を形成する、請求項1乃至9の何れかに記載のセパレータインサート。、
【請求項11】
夫々の軽い又は重い相(LP又はHP)に対する夫々の出口(10,11)が、各捕捉リング室(24,25)の最下点に形成される、請求項1乃至10の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項12】
2つの出口(10又は11)のうちの1つから出現する軽い相又は重い相(LP、HP)が、ポンプ(28)を備えた排出ライン(29)によってハウジング(1)から離れるように搬送され、再循環入口(9)に開口した分岐ライン(30)が設けられ、軽い相又は重い相(LP、HP)をドラムに戻すための再循環ラインが形成される、請求項1乃至11の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項13】
再循環される軽い相又は重い相(HP)が、ポンプ(28)によってドラム(3)に送り込まれる、請求項1乃至12の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項14】
再循環入口(9)は第2の供給パイプ(32)を備え、該第2の供給パイプ(32)はハウジング(1)の第2の軸方向境界壁(7)を通過し、ドラム(3)と共に回転しないドラム内の第2の分配器(33)に開口する第2の供給管(32)から構成される、請求項1乃至13の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項15】
制御可能な調節弁(31)が設けられ、該調節弁(31)によって、再循環入口(9)が遮断されたり、完全に開放されたり、部分的に開放される、請求項1乃至14の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項16】
軽い相(LP)及び/又は重い相(HP)のパラメータを求めることができる少なくとも1つの測定器を備える、請求項1乃至15の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項17】
分離手段としてセパレータディスクのスタック(17)がドラム(3)に挿入される、請求項1乃至16の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項18】
その構成要素のすべてが、予め組み立てられたユニットに組み立てられ、生産物に接触する構成要素の全てが、プラスチック又は他の非磁性材料で作られている、請求項1乃至17の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項19】
供給パイプ(12,32)と出口(10,11)が、ノズルの形でハウジング(1)から外側に突出し、これらのノズルが、ハウジング(1)に封止された形で接続されるか、又はハウジング(1)と一体的に形成される、請求項1乃至18の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項20】
供給パイプ(12,32)の開口と出口(10,11)を除き、ハウジングが気密に封止された構成である、請求項1乃至19の何れかに記載のセパレータインサート。
【請求項21】
フレーム(I)と、フレーム上に交換可能に配置された請求項1乃至20の何れかに係るセパレータインサート(II)とを有するセパレータ。
【請求項22】
磁気軸受装置(4、5)のステータユニット(4a、5a)を有して、間隔をおいて配置された受け部(I-4、I-5)が形成されており、受け部(I-4、I-5)間にセパレータインサート(II)が回転方向に固定されて交換可能に挿入される、請求項21に記載のセパレータ。
【請求項23】
受け部(I-4、I-5)と磁気軸受装置(4、5)のステータユニット(4a、5a)との相対距離が、セパレータインサート(II)を交換するために調整可能である、請求項22に記載のセパレータ。
【請求項24】
セパレータインサート(II)のハウジング(1)は、形状嵌合及び/又は圧力嵌合されて、回転方向に固定された方法でフレーム(I)に締結される、請求項22又は23に記載のセパレータ。
【請求項25】
ハウジング(1)と少なくとも1つの受け部(I-4又はI-5)、望ましくは受け部(I-4及びI-5)と、少なくとも1つのステータユニット、望ましくはステータユニット(4a、5a)が、受け部又は受け部(I-4及び/又はI-5)上に回転方向に固定された方法でハウジング(1)に保持されるための対応する形状嵌合手段(41a、41b)を備えることを特徴とする請求項23に記載のセパレータ。
【請求項26】
少なくとも1つの制御装置が備えられており、この制御装置を用いて、特に、測定装置を用いた1つ以上の測定結果を使用することによって、軽い相又は重い相(LP、HP)の再循環量が制御されるか、又は調節される、請求項21乃至25の何れかに記載のセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に従ったセパレータ用のセパレータインサート、及びそのようなセパレータインサートを含むセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で定義されているセパレータは、遠心分離領域で出発製品としての流動可能な懸濁液を密度の異なる相に分離するために使用されるものである。使用されるセパレータの蒸気滅菌は、多種多様な用途に必要である。出願人を介して市場に導入されたディスクスタックを有する比較的「小型の」蒸気滅菌可能セパレータは、6000m2相当の浄化面積を有するセパレータ「CSC6」である。しかし、実験室のような状況では、この機械はまだ比較的大きなものである。市販されているディスクスタックを備えた公知のセパレータは、スピンドルによって駆動され、スピンドルは、モータによって直接、又はギアボックスを介して駆動される。
さらに、公知の機械は、ステンレススチール製である。このような理由から、フィルタは現在、遠心分離機の代わりに、実験室で非常に頻繁に使用されている。ディスクスタックを備え、使い捨てのプラスチック部品を備えたセパレータの場合(1回使用技術-事前に認定されたプラスチック部品を1回で使用する技術)、蒸気滅菌(SIP-定置滅菌)は必要ではない。該セパレータはバイオテクノロジ分野での利用に特に適している。
【0003】
国際公開公報2014/000829号より、流動可能な生産物を異なる相に分離するためのセパレータが知られており、このセパレータは、ドラム下部とドラム上部とを備えた回転可能ドラムと、ドラム内に配置され、遠心分離場において固体の懸濁液を処理するため、又は遠心分離場において重い固体状の相を軽い相から分離するための手段を有しており、ここでドラム下部、ドラム上部、洗浄化手段の要素のうち、1つ、いくつか、又は全てがプラスチック又はプラスチック複合材料で構成されている。
このようにして、ドラムの一部、望ましくはドラム全体-好ましくは入口及び出口システム又は領域と一緒に-発酵ブロス等の医薬製品の処理に関して特に関心があり利点のある単一用途のために構成することが可能である。なぜなら、対応する生産物バッチの処理の動作後に、好ましくは生産物バッチの処理中の連続動作の後で、ドラムの生産物接触部分の清掃を実施する必要がなく、ドラム全体として交換することができるからである。特に衛生面からこのセパレータは非常に有利である。この使い捨て可能なドラムと駆動装置との間の物理的分離を達成するためには、駆動装置とドラムとの間の接触のない連結が有利である。
【0004】
さらなる展開例がドイツ特許公開公報10 2017 128 027号に示されており、そこでは軸受装置が磁気軸受装置として構成されており、磁気軸受装置の1つもまた、作動中に懸濁液内に保持されているドラムを回転させるための駆動装置として使用されることが好ましい。これにより、このセパレータインサートの交換が非常に容易に取り扱えるので、ドラムを回転させ支持するための機械的要素が不要となり、1回使用のためのセパレータインサートを備えたセパレータとしての構成が有利となる。これらの利点はまた、本発明によって利用される。
【0005】
このような背景の下で、分離工程をよりよく制御できるように、一方向要素として使用又は構成することができる一般的なセパレータインサートを構成することが、本発明の目的である。好ましくは、分離した重い相の密度や軽い相の洗浄化を調整できる可能性もまた、簡単な方法で提供される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1の主題によってこの目的を解決する。すなわち、遠心分離場中の流動可能な懸濁液を、異なる密度の少なくとも2つの流動可能な相に分離するように構成されたセパレータ用のセパレータインサートであって、次のものを含む。
a) 稼働中に静止し、複数の開口以外は閉鎖された容器の形態に構成されたハウジングであって、これらの開口はハウジングの第1の軸方向境界壁に流入する懸濁液用の供給口として、ハウジングの外側ケーシング内で密度が異なる流動性の相用の2つの出口として、及びハウジングの第2の軸方向境界壁内の再循環入口として構成されているハウジングと、
b) ハウジング内に配置され、回転軸を中心に回転可能であり、かつドラムを有するロータであって、ドラムは複数の開口を有し、ドラムの1以上の第1の開口及び1以上の第2の開口は、軽い相及び重い相のハウジング内への自由な半径方向の開口として機能し、ドラムの2つの軸方向の各端部にて、供給パイプがドラムの更なる2つの開口に延びて、ドラムに接触しないロータを備え、
c) 分離手段がドラムに配置され、
d) 磁気軸受装置のための少なくとも2つのロータユニットが、ドラムを備えたロータ上の2つの軸方向に離間した2つの点に配置され、この磁気軸受装置により、ドラムを備えたロータが懸垂状態に保持された状態で、回転可能に取り付けられ、且つ稼働中にハウジング内で回転させることができる。
【0007】
有利なことに再循環入口は、ドラム及びハウジング上に設けられており、分離工程を特によく制御することを可能にする。したがって、ドラムの開口は、a)のハウジングの開口と有利に関連している。
【0008】
セパレータインサートが、セパレータのフレーム上のステータユニットに挿入するための予め組み立てられた交換可能なユニットを形成することがこの文脈で好ましい。相互作用において、ロータ及びステータユニットは磁気軸受装置を形成する。これらにより、ドラムは軸方向及び半径方向に支持され、懸架状態に保持されることができる。
「稼働中」とは、ロータが回転している間、又は遠心処理中を意味する。
【0009】
簡単で実用的であるため、ロータユニットがドラムの軸方向両端部に配置され、2つの対応するステータユニットがセパレータのフレーム上に形成されることが好ましい。このようにして、磁気軸受装置がドラムの軸方向両端部に形成される。
【0010】
また、2つの磁気軸受装置の少なくとも一方は、好ましくは、ドラムの回転駆動装置を表し、この駆動装置は、ドラムを自由に調節可能な速度で、又は自由に選択可能な回転方向で駆動するのにも適している。この文脈では、一方又は両方の磁気軸受装置が、半径方向及び軸方向の軸受として作用し、稼働中に容器内の懸架装置内のロータを磁気軸受装置から離れた位置に保持することができることが好ましい。
【0011】
セパレータインサートが予め組み立てられたユニットとして構成されることは、特に有利であり、実際的である。特に、本製品と接触する本セパレータインサートの全構成要素は、プラスチック又は他の非磁性材料でできており、全体として交換することができ、使用後に完全に廃棄することができる。したがって、セパレータインサートの蒸気滅菌、及び付随的な洗浄はもはや不要である。
【0012】
供給パイプの各々は、磁気軸受装置の1つを軸方向に通過することが有利であるが、供給パイプが互いに同軸上で取り囲み、磁気軸受装置の1つのみを軸方向に一緒に通過することも可能である。
夫々の軸受装置は、ラジアル軸受装置に加えて、ドラム及び/又は回転駆動装置のための軸方向軸受装置も提供するが、恒久的に磁気的及び/又は電磁的に作用することができる。
【0013】
好ましい構成によれば、異なる密度の流動可能な相のための2つの出口は、ハウジングの1つ以上の捕捉リング室と関連しており、相が出口から排出される前にハウジング内に別々に捕捉されることができることが提供される。
【0014】
供給開口が非回転式の供給パイプによって形成され、該供給パイプは一端部がハウジングから第1の側に、特に回転軸の垂直方向の位置合わせとなって、上向き且つ外向きに突出し、かつ、第1の軸方向境界壁を通って、かつ、1つの磁気軸受装置を通ってドラム内に延びるが、ドラムには接触しないことが、さらに単純に構成によって提供され得る。
外周では、供給パイプは、封止された方法でハウジング内に挿入されるか、又は、ハウジングと一体的に形成されるのが好ましい。
【0015】
さらに、供給パイプが、ハウジングを通過して、ロータの回転軸に同軸に、その後ハウジングの内側を回転可能なドラム内に軸方向にさらに延びて、その他端部-自由出口端部-がドラムと共に回転する分配器の前にあるか、又は分配器内にある。懸濁液は、この供給パイプを通して遠心室に供給される。
【0016】
次いで、実施が容易な更なる実施形態によれば、ドラムは異なる直径の少なくとも2つの部分を有し、異なる密度の各相をドラムから排出するために、異なる直径の部分におけるドラムの外側ケーシング内に少なくとも1つ以上の出口が設けられ、該出口は夫々ドラムの外側ケーシング内の1つ以上の開口、特にノズル状の開口を有し、従って、自由な出口を夫々の捕捉リング室内に形成することが提供される。
【0017】
ドラムは、この目的のために単一円錐形又は二重円錐形とすることができる。また、ドラムは1つ又は複数の円筒形部分を有することもできる。さらに、ドラムは、いくつかの部品、特に、上部部品及び下部部品から構成されてもよく、これらの部品は、内部の構成要素及びそれらのアセンブリの取り付け後に(例えば、接着又は溶接によって一緒に接合されるのが)好ましい。同様に、ハウジングは、いくつかの部品、特に上側部品及び下側部品で構成することができ、これらの部品は、内部の構成要素-特にロータ-及びそれらの組立体-の取り付け後に、互いに(例えば、接着又は溶接によって)接続されることが好ましい。
【0018】
典型的には、出口の1つは、最大の内径を有する部分に設置され、別の出口は、ドラムの比較的小径の部分に設置される。
【0019】
さらなる実用的な構成によれば、各軽い相又は重い相のための夫々の出口が、夫々の捕捉リング室の最下点に形成されることが提供され得る。出口はハウジングの外側にノズルを持つことができ、該ノズルはハウジングの外周に封止されているので、ホース等はこのように容易に接続することができる。また、ホースは、ノズル上に予め組み立てることができ、完全にかつ必要であれば、無菌封止される。ノズルは、例えば、半径方向に、接線方向に、又は斜めに、延びることができる。
次いで、好適な構成によれば、出口の一方から出る軽い相又は重い相が、ポンプを備えた排出ラインによってハウジングから離れて搬送され、再循環入口内に開口した分岐ラインが設けられ、これにより、再循環ラインが、軽い相又は重い相の少なくとも一部をドラムに戻すために形成されることが可能である。軽い相又は重い相を供給パイプに戻すことも、特定の用途に役立つ場合がある。このようにして、分離工程の制御可能性あるいは調節可能性は大幅に改善される。重い相は、特に有利な結果をもたらすので、再循環されることが好ましい。
【0020】
構成上実施が容易な変形例によれば、再循環されるべき軽い相又は重い相は、ポンプによってドラム内に送り込まれることができる。
更なる実施の形態によれば、その後、構造的に有利かつコンパクトな態様で、再循環入口が第2の供給パイプを有し、この供給パイプはハウジングの第2の軸方向境界壁を通過し、ドラム内の第2の分配器に開口する。この分配器は、稼働中にはドラムと共に回転せず、それにより再循環された相が回転ドラム内に移送される。供給パイプと分配器も一体として製造することができる。分配器は、半径方向又は円周方向の偏移に影響を与える。
【0021】
外周では、この供給パイプは封止された状態でハウジングに挿入することも、またそれと一体に形成することもできる。
次いで、制御可能な調整弁が提供され、それによって再循環入口が遮断されるか、又は完全に、又は部分的に開放され得ることが、便宜的に、有利に提供され得る。調整弁を制御することにより、より重い固体相HPの正確に計量した部分をドラムに戻すことができる。この結果、分離工程の最適化が実現される。
【0022】
さらに、付随的に、第1の相及び/又は第2の相のパラメータを決定することができ、及び/又は、さらに制御装置が提供されて、該制御装置を用いて、特に測地装置を用いた1以上の測定結果を用いることによって再循環が制御され、又は調節される。
付随的に、調節弁の制御は、パラメータが測定される規制の枠内で行うことができる。
【0023】
測定装置によって記録された第2の相HPの測定値、例えば、その密度、透明度、流量は、制御装置に転送され、そこで制御弁は、次いで、調整アルゴリズムを用いて特定の開口直径に調節することができる。
さらに、分離手段、特にディスクスタックがドラム内に配置されることが好ましい。
【0024】
このセパレータは、比較的高速でも可変での運転に適している。さらに、セパレータはワンオフ加工にも良好に使用することができ、例えば、流動可能な発酵ブロスの製品バッチを、例えば、例えば、100L(リットル)から数千L、例えば、4000Lの懸濁液として遠心分離して、異なる相に分離し、その後、廃棄することにも使用することができる。
ここで、特別な利点は、セパレータの生産物に接触する全ての構成要素は、予め製造され既に無菌のユニットとして設置され、稼働され、その後廃棄することができることである。
この予め製造されたユニットは、少なくとも、ドラムを備えたロータ、分離ディスク、供給物の分配器及びロータ磁石又はロータユニット並びに入口及び出口を備えたハウジングから構成される。さらに、ユニットは、入口及び出口ライン(例えば、ホース)、並びに生産物に接触する測定装置又は他の構成要素を含み、これらは1回の使用が意図され、使用後にセパレータユニットとともに廃棄される。
【0025】
更なる利点は、回転軸の第1の垂直配列における下側の軸方向軸受に加えて、例えばドラムの反対側の端部、又は場合によってはドラム内にも、更なる軸方向軸受が設けられることである。これは、ドラムの回転軸が垂直に配置されることを可能にするが、その代わりに、垂直からも有利に傾斜することができるからである。回転軸の任意の配置が可能である。したがって、回転軸は、例えば、垂直から30°から60°例えば45°の角度で傾斜することができ、又は、水平に配列した方法で延在することもでき、すなわち、垂直に対して90°傾いて配列することもできる。さらに、供給開口部が底部に配置され、円錐形の分離ディスクが上方に開くように、装置全体を180°だけ回転させることも可能である。このようにすると、ドラムに対する貯蔵の問題を引き起こすことがない。
【0026】
ここでは、「回転軸の第1の垂直方向」又は下方と考える限り、これは、記載された回転軸の垂直方向における遠心分離機の要素の位置が、実現可能又は実現されることを意味する。しかし、実際には、その後、回転軸を垂直方向の配列に対して傾いて配列することもできる。この場合、LP、HP相の出口は、それぞれの捕捉リング室の垂直最下点に配置されることが望ましい。
【0027】
軸受ユニット及び/又は駆動ユニットの一方が、ドラムをその下端で第1の垂直方向に半径方向に支持し回転させるように構成されているとさらに有利である。
最後に、ハウジングが、供給パイプ及び出口のための開口部のみを有し、それ以外は密閉されていることが有利に提供され得る。この目的のために、供給パイプ及び出口は、ノズルのようにハウジングから外向きに突き出し、これらのノズルは、封止された方法でハウジングに接続されるか、あるいは、ハウジングと一体的に形成されるようにすることができる。
【0028】
また、本発明は、セパレータに関連する請求項の1つに記載のフレーム及び交換可能セパレータインサートを有するセパレータを提供する。
この本発明のセパレータは、使い捨て可能な「ドラム」及び「ハウジング」構成要素を有する使い捨て可能なモジュールを有するセパレータの作成を容易にし、一方、少なくともフレームと軸受及び駆動アセンブリの部品は、再利用可能である。
【0029】
本発明により、使い捨てのセパレータインサートを使用することができるセパレータを製造することができ、このセパレータは、生産物と接触する全ての構成要素が、1回の使用後に廃棄することができるプラスチック又は他の非磁性材料で作られるように構成されることが望ましい。従って、使用後の洗浄は必要ない。このように、セパレータ及びその操作は、大幅に安価にすることができる。磁石は必要に応じてリサイクルすることができる。
【0030】
セパレータインサートの製造後、不純物が入らないように、セパレータインサート全体は封入ユニットとして提供される。この目的のために、ノズルは封止され、着脱自在に閉じることができる。したがって、ホース部分は、開閉可能なコネクタを備えたノズル上に配置され、該コネクタを用いて、セパレータモジュール、又はこの場合、セパレータインサートがバッグ又はタンク、ホース又はパイプラインのような供給及び排出システムの更なる要素に接続され得る。
【0031】
軸受装置が互いに離れたフレーム上に取り付けられ、そのフレームの間にセパレータインサートを回転方向に固定して挿入できるようになっていれば、簡単で安全である。
この目的のために、制御盤上の受け部の相対距離が、セパレータインサートを変更できるように調整可能であることがさらに提供される。
【0032】
さらに、セパレータインサートが、回転方向に固定された態様で、形状嵌合及び/又は圧力嵌めでフレームに固定されることができる。
特に単純な変形例によれば、この目的のために、ハウジングと前述の受け部のうちの少なくとも1つ又は全てが、ハウジングをフレーム又はステータユニット上に回転方向に固定して保持するための対応する形状嵌合手段を有する。
この目的のために、フレームのステータユニットは、例えば、それぞれ軸方向に突出する複数のピンを有し、夫々のセパレータインサートは、例えば軸方向に延びるハウジング上に対応する止まり穴を、凹部(ここでは図示せず)として有することができる。
【0033】
これらの対応する形状嵌合手段の位置は、また、ステータユニット4a、5a及びロータユニット4b、5bの互いに対する機能的に必要な位置を規定する。これは、特に、ユニット4a、5a、4b、5bの精密な中心化に関係し、これは、一方のユニットが他方のユニットの内側に同軸上に位置することである。必要に応じて、(上下からの)保持力を、受け部によって軸方向にハウジングに作用させて、必要に応じて摩擦保持することもできる。
【0034】
対応する形状嵌合手段は、セパレータインサートが一方の向きでしか使用できないことを確実にするために、対称的に配置されるが、非対称的に配置することもできる。
また、少なくとも1つの制御装置が備えられており、該制御装置を用いて、光又は重い相の再循環量、特に測定装置を用いた1つ以上の測定結果を制御又は規制することができる場合も提供される。
本発明の有利な構成は、従属形式の請求項から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下では、図面を参照しながら例示的な実施形態によって本発明をより詳細に説明し、さらに有利な変形例及び構成についても説明する。以下に議論される例示的な実施形態は、本発明を最終的に説明することを意図したものではないが、図示されていない変形例及び等価物も実現可能であり、また、特許請求の範囲によってカバーされることが強調される。
【
図1】セパレータの交換可能なセパレータインサートの概略図であり、供給及び排出システム、及びセパレータ又はセパレータインサートの制御ユニットをともに示す。
【
図2】
図1の方法で、再利用可能なフレームと交換可能なセパレータインサートを備えたセパレータの概略図を示す。
【
図3】
図1及び
図2の交換可能なセパレータインサートと該セパレータインサートの上に配置されたホース部の斜視図を示す。
【
図4】
図2のセパレータインサートを除去したセパレータの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図2は、再利用可能なフレームIと、生産物-懸濁液S-を異なる密度の相HP、LPに遠心分離する交換可能なセパレータインサートIIを備えたセパレータを示す。
セパレータインサートIIは、好ましくは、予め作成されたユニットとして構成される。特に、セパレータインサートIIは、全体として交換又は置換が可能な使い捨てセパレータインサートとして構成され、予め組み立てられたユニットとして構成され、そのユニットは、全体的に、又は主としてプラスチック又はプラスチック複合材料で作られる。
【0037】
セパレータインサートは、
図1及び
図3に例として別々に示される。セパレートインサートは、生産物バッチを処理した後に廃棄され、新しいセパレータインサートIIに交換される。
このようなセパレータは、生産物の処理に有用かつ有利になり得て、遠心分離処理中に生産物(流動可能な懸濁液又はその相)内に不純物が混入すること、又はセパレータの洗浄及び消毒が非常に高価であったり、まったく不可能であったりすることを非常に高い確実性を以って排除することができる。
【0038】
フレームIは、制御盤I-1を有する。制御盤I-1は、ローラI-3を備えたキャリッジI-2に取り付けられることはできるが、必ずしも必要ではない。受け部I-4とI-5は、稼働中にセパレータインサートIIを受け入れ、保持するために、制御盤I-1に配置される。好ましくは、セパレータインサートIIの第1の軸方向端部が下方から上部の受け部I-4内に突出し、セパレータインサートIIの下端部が上方から他方の受け部I-5内に突出する。
【0039】
夫々の受け部I-4及びI-5において、2つの駆動装置及び磁気軸受装置4及び5の夫々のステータユニット4a、5aが配置され得る。このための制御及びパワー電子装置は、フレームI、例えば、制御盤I-1に配置され得る。
ここでは、これらの受け部I-4とI-5は、フレームIの制御盤I-1から横に突き出しており、高さを調整可能な方法で、制御盤I-1に配置され得る。
【0040】
対応する形状嵌合手段41a、41bが、受け部I-4及びI-5上と、稼働中に回転しないセパレータインサートIIのハウジング1上に形成されて、セパレータをステータユニット4a、5a内に回転方向に固定して挿入することができる。上部及び下部のステータユニット4a、5aは夫々、互いに位置合わせされた軸を有することができる。
【0041】
セパレータインサートIIを交換するために、ステータユニット4a、5aを備えた2つの受け部I-4、I-5が、制御盤I-1上に配置されており、受け部が軸方向に、例として、ここでは垂直方向に、特に、互いに置換可能に動くことができる。
【0042】
この場合、例えば、フレームI上のステータユニット4a、5aを有する受け部I-4、I-5が、軸方向に離れて、再び互いに向かって移動でき、セパレータインサートIIを交換する、即ち、古いセパレータインサートIIをフレームIから除去し、それを新しいセパレータインサートと交換することができることが有利である。この目的のために、更に、軸受装置4、5のステータユニット4a、5aを備えた受け部I-4及びI-5の相対距離を調節して、セパレータインサートIIを交換できるようにすることができる。
【0043】
さらに、セパレータインサートIIが、回転方向に固定された方法で、形状嵌合及び/又は圧力嵌めされた方法で、フレームIに取り付けられることが可能である。特に簡単な変形例によれば、ハウジング1及びステータユニット4a、5aは、ハウジング1をステータユニット上、ひいてはフレームI上に回転方向に固定するために、この目的のために突起(例えばピン)及び凹部(例えば孔)のような対応する形状嵌合手段を有することができる。対応する形状嵌合手段もまた、フレームI上に直接形成することができる。
【0044】
以下に、
図1を参照して、好ましいセパレータインサートIIの構造を、セパレータの駆動及び軸受システムの構造、セパレータの制御システム及びセパレータの供給及び排出システムと共に、より詳細に説明する。
【0045】
図1によれば、セパレータのセパレータインサートIIは、ハウジング1と、ハウジング1に挿入され、稼働中にハウジング1に対して回転可能なロータ2とを有する。ロータ2は、回転軸Dを有しており、回転軸Dは上下に一直線である。
【0046】
セパレータインサートIIのロータ2はまた、回転可能なドラム3を有する。ロータ2は、それぞれの磁気軸受装置4、5によって回転軸方向に互いに離間する2箇所に回転可能に取り付けられている。好ましくは、回転軸の2つの軸方向端部に回転可能に取り付けられる。この場合、セパレータインサートは磁気軸受装置4、5のロータユニット4b、5bを有する。これに対して、磁気軸受装置4、5のステータユニット4a、5aは、フレームI-1上に配置されている。
磁気軸受装置4、5は、好ましくは半径方向及び軸方向に作用し、好ましくはハウジング1から距離を置いてハウジング1内にロータ2を懸垂状態で保持する。
【0047】
この文脈では、ロータユニット4b、5bは、本質的に磁石の内輪のように、特に永久磁石で形成することができ、再利用可能なステータユニット4a、5aは、本質的に外輪のように形成されて、ロータ2の軸方向及び半径方向の軸受(例えば、頂部)、又は代替的に回転駆動(例えば、底部)の軸受となる。
従って、ロータユニット4b及び/又は5bは、セパレータ駆動部の一部として、回転システム又はロータの一部を構成する。換言すれば、駆動装置のロータは、かくして遠心分離機のドラムの一部である。
【0048】
磁気軸受装置4、5の一方又は両方は、従って、ハウジング1内のドラム3と共にロータ2を回転させるための駆動装置としても追加的に使用されるのが好ましい。この場合、夫々の磁気軸受装置は、磁気軸受と駆動装置を組み合わせたものを形成する。
磁気軸受装置4、5は、稼働中にドラム3をその端部で全体的に協働して軸方向及び半径方向に支持する軸方向及び/又は半径方向の軸受として構成され得て、稼働中にドラム3を全体的に吊り下げ保持し回転させる。
【0049】
磁気軸受装置4及び5は、同じ又はほぼ同じ基本構成を有することができる。特に、2つの磁気軸受装置4、5のうちの1つのみを補助的に駆動装置として使用することもできる。このように、磁気軸受装置4,5の対応する構成要素は、夫々の場合においてセパレータインサートII上-そのロータ2上に-及びフレームI上の他の対応する構成部分-に形成される。一方又は両方のステータユニット4a,5aは、磁気軸受装置の電磁部品を駆動するための制御及びパワー電子機器に電気的に接続することもできる。
夫々の磁気軸受装置4、5は、例えば、電磁気的原理と永久磁石の原理との組み合わせに従って作動することができる。
【0050】
少なくとも軸方向の下側に作用する磁気軸受装置5は、ロータ2をハウジング1内で軸方向に吊設させた状態に保つ役割を果たすのが好ましい。磁気軸受装置5は、1つ又は複数の第1の永久磁石を、例えばロータの下側に有することができ、さらに、永久磁石を同軸に取り囲むフレーム上の受け部上に電磁石を有することができる。ロータの駆動は電磁的に達成できる。しかし、回転する永久磁石を介した駆動も実現できる。
【0051】
このような軸受及び駆動装置は、例えば、Levitronix社(商標)が遠心ポンプを駆動するために使用している(ヨーロッパ特許2273124号)。また、本仕様の範囲内で使用することもできる。
例えば、第1のLevitronixモータ「ボトム」を駆動装置として使用することができ、これは、半径方向及び軸方向に同時にドラムを磁気的に支持する。さらに、第2のLevitronixモータ-例えば、作動中の制御を除く構造において同一のもの-を設けることができ、これは磁気軸受装置4として、ヘッドでロータ2を半径方向及び軸方向に支持することができる。
【0052】
ロータ速度は、制御装置37又は磁気軸受装置4,5用の別個の制御装置の助けを借りて、可変的に調整することができる。同様に、ロータ2の回転方向は、制御装置で特定及び変更することができる。
稼働中、ロータ2が回転することにより、軸方向に吊り下げられた状態で半径方向の中心に保持される。好適には、ロータ2は、ドラム3とともに、1,000回転/分、好適には5,000回転から10,000回転/分の間の速度で、また場合によっては、20,000回転/分までの速度で作動される。回転の結果発生する遠心力は、後述するように、懸濁液を分離して、異なる密度の異なる流動性の相LP、HPに処理されるように導き、その放出に導く。生産物バッチは連続稼動で処理される。これは、懸濁液から分離された相が、再び稼動中にドラムから完全に排出されることを意味する。
【0053】
これにより、1回使用のために構成されるセパレータ用のセパレータインサート及びハウジングを作ることが非常に可能となり、このことは、発酵ブロス等の医薬生産物の処理にとって特に興味深く、有利である。
なぜなら、生産物バッチの処理中に、望ましくは連続稼働で対応する生産物バッチを処理するために稼動した後、セパレータインサート全体を交換することができるので、ドラムの洗浄を行う必要がないからである。任意で、磁石のような個々の要素を適切にリサイクルすることができる(ドイツ特許公開公報10 2017 128 027号も参照)。
【0054】
ハウジング1は、プラスチック又はプラスチック複合材料から作られるのが好ましい。ハウジング1は、円筒状であってもよく、円筒状の外側ケーシングを有し、その端部には、2つの半径方向に延在する境界壁6、7(カバー及びベース)が形成される。
【0055】
ドラム3は、遠心領域において流動性の懸濁液Sを、異なる密度の少なくとも2つの相LP、HPに遠心分離するために使用され、相は例えば、より軽い液体相及び重い固体相又は重い液体相であリ得る。
好ましい構成では、ロータ2及びそのドラム3は、垂直な回転軸Dを有するが、ハウジング1とロータ2は、空間的にも異なる向きとすることができる。以下の説明は、表示されている垂直方向を指す。空間の方向が異なる場合、新しい方向に合わせて配置が変わる。さらに、1つ又は両方の出口-未だ記載されていない-は、任意に異なる配置が可能である。
【0056】
ドラムを備えたセパレータのロータ2も、プラスチック又はプラスチック複合材料で作られるのが好ましい。
ドラム3は、少なくとも一部においては、円柱状及び/又は円錐形であることが望ましい。ロータ2及びハウジング1の他の要素についても同様である(ただし、磁気軸受装置4,5の構成要素は除く)。
【0057】
ハウジング1はコンテナ状に構成されており、少数の開口を除いて(以下に記載される)、有利に密封されている。
これらの開口は、第1の軸方向境界壁6内の-ここでは上側-供給開口8と、第2の軸方向境界壁7内の-ここでは下側-の再循環入口9を、ハウジング1の周方向外側ケーシングと周方向外側壁内の2つの出口10、11である。
【0058】
ドラム3はハウジングの開口に機能的に関連した開口を有する。
ドラム3の第1及び第2の開口は、半径方向の出口21、22の役目を果たす(出口は、円周方向に分布されるようにドラム3上に設けられてもよく、したがって、夫々の場合に幾つかの第1及び第2の開口がドラム3上に設けられてもよい)。供給パイプ12、32は、記載されるように夫々の場合にドラム3の2つの軸方向端部の2つの更なる開口12a、32a内に延在する。
【0059】
有利なことに、供給開口8は、回転不可能な供給パイプ12によって形成され、該供給パイプ12は、一端部が上部でハウジング1から外方に突出し、上部の境界壁6を通ってドラム3内に延びるが、ドラム3には触れない。外周では、供給パイプ12は、ハウジング1内に、例えば溶接又は接着によって封止された形で挿入されるか、あるいは、任意に、プラスチックの射出成形部品としてハウジングと一体化された形で作られる。供給パイプ12はまた、プラスチック製でもよい。
【0060】
供給パイプ12は、ハウジング1及び一方の磁気軸受装置4を介してロータ2の回転軸に同軸に通り、次にハウジング1のさらに内側で回転可能なドラム3の開口12a内に軸方向に延び、他端部-自由出口端部-がドラム3内で終わる。
従って、ハウジングの開口12-供給パイプ-は、機能的にドラムの開口12aと関連している。
【0061】
供給パイプ12は、ドラム3と共に回転することができる分配器13内でドラム3内に開口する。分配器13は、管状の分配器シャンク14及び分配器脚部15を有する。分配器脚部15内に1つ以上の分配器チャネル16が形成される。ここでは、円錐状のセパレータディスク17から成るセパレータディスクスタックを、分配器13上に配置することができる。分配器13及びセパレータディスク17は、プラスチック製でもよい。
【0062】
ドラム3は異なる直径の部分を有し、異なる密度の相の排出が異なる直径の部分で行われる。好ましい-しかし必須ではない-構成において、ここでのドラム3は、異なる直径の少なくとも2つの円筒部18、19を有する。
これらに隣接して、ドラム3上に1つ以上の円錐状の移行領域を形成することができる。ドラム3はまた、内側(ここでは図示せず)上のその中心軸方向領域において全体として単一又は二重の円錐形構成を有することができる。そして、より重い相HPの排出は、特に最大の内径部で行われる。
【0063】
図示のように、ドラム3は、より小さな直径の下側の円筒部20を有することができ、該円筒部上/円筒部内に下側の磁気軸受のロータユニット5bが形成され、円筒部20は円錐状部20aに一体化され、次に、ここでは、より大きな直径の円筒部19、次いで、円錐状部分18a、次いで、より小さい直径の上側の円筒部18に一体化され、上側の円筒部18の上に上側の磁気軸受装置4のロータユニット4bが形成される。
【0064】
2つ以上の出口21、22が、異なる直径の部分18、19内のドラム3の外側ケーシングに設けられて、ドラム3から異なる密度の相を排出する。
これらの出口21、22は、さらに、ドラム3の外側ケーシング内の1つ以上の開口、特にノズル状の開口として形成されることが望ましい。このように、出口21、22はいわゆる「自由な」出口として構成されている。
【0065】
ここで、より小さな直径の部分18における第1の出口21は、より軽い相LPを排出し、より大きい-ここでは「最大」直径の部分19における第2の出口22はより重い相HPを排出する役割を果たす。
【0066】
ドラム3から出てくる相は、ハウジング1の軸方向に離れた捕捉リング室23、24内でハウジング1に集められる。これらの捕捉リング室23,24は、遮断された相が夫々捕捉リング室23,24の出口10,11の一方に導かれるように設計されている。
これは、夫々の出口10、11が夫々の捕捉リング室23、24の最下点に位置するという点で達成することができる。捕捉リング室23、24は、半径方向内側に開いており、遠心分離中に、夫々の出口21又は22から流出する液体が、本質的に、同じ軸レベルにある関連する捕捉リング室23、24内にのみ流出されるように構成されている。
【0067】
相を放出する機能を持たない更なる第3の室25は、任意に第2の捕捉リング室24の下方に形成することができる。この室25は、任意に漏れ排出溝(ここには示されていない)を有することができる。
第1及び第2の捕捉リング室23、24は、第1の壁26によって互いに隔てられていてもよく、第1の壁26はこの場合は円錐状であり、ハウジング1の外側ケーシングから内向きだけでなく上向きに円錐状に延び、半径方向においてドラム3の前方から離れた位置で終端する。
【0068】
また、第2の捕捉リング室24は、円錐壁27によって、下向きに境界を定められてもよく、該円錐壁27はハウジング1の外側ケーシングから内向きだけでなく上向きにも円錐状に延び、半径方向においてドラム3から離れた位置で終端する。
【0069】
夫々の捕捉リング室の最低点において、夫々の生産物の相LP及びHPは、夫々の出口10、11を通ってハウジング1から排出されることが好ましい。ノズルが各出口10,11の領域内のハウジング1の外側に設けられて、ライン等を容易に接続することができる。これらのノズルは、次に、ハウジングと直接的に形成され得るか、あるいは、ハウジングに粘着的に付着され得る。このノズルはまた、プラスチック製であることが望ましい。ハウジング1は、例えば、接着又は溶接封止された方法で互いに連結された幾つかのプラスチック部品から構成され得る。
【0070】
さらに、2つの生産物の相LP、HPのうちの1つであるHP、好ましくは、2つの派生された生産物の相LP、HPのうちの1つであるより重い生産物の相HPは、部分的にドラム3に再循環させることができる。
特に、この重い相HPが、ライン29を通ってポンプ28によって出口11からポンプ排出されるということが提供される。このライン29はホースとして構成され得る。
【0071】
このラインはホースの形を取ることができ、付随的に、ポンプの吸引側に緩衝槽又はバッグを備えることもできる。これは、ライン29から分岐する分岐ライン30である。
この分岐ライン30はホースとしても構成することができる。分岐ライン30及び/又は分岐ライン30への分岐の下流(流れの方向)のライン29の両方は、制御可能な、特に電気的に制御可能な調節弁31を有することができる。調整弁は、中間位置(半開等)だけでなく、開位置及び閉位置を有することができる。
【0072】
分岐ライン30は、再循環入口9に開口し、該開口は第2の-この場合にはドラム3及びハウジング1の下側-の端部で形成することができ、入口とは反対を向いている。このようにして、重い相HPがドラム3に戻される再循環ラインが形成される。
【0073】
再循環入口9は、第2の供給パイプ32を含み、該第2の供給パイプ32は第1の供給パイプ12と類似しているが、下方から第2の、ここでは下側の、半径方向に延びる境界壁7を通ってドラム3内に延び、下から、ここでは下方へ、半径方向に延びる境界壁をドラム3に延び、第2の分配器33内で終端し、及び/又は第2の分配器33に接続され、第2の分配器33の分配器チャネル34は半径方向に延びる。第2の供給パイプも非回転構成であり、密閉された状態でハウジング1に接続されている。
【0074】
従って、2つの分配器13,33が設けられている。第1の分配器13は、作動中にドラム3と共に回転し、第2の分配器33は、作動中にドラムと共に回転しないことが好ましい。再循環される相(この場合はHP)は、この分配器を通じてドラムにポンプで戻される。
【0075】
第2の分配器33は、一種の回転不可能な分配器ディスクとして構成することができ、この分配器ディスクは、回転軸に垂直に整列され、また、1つ又は複数の半径方向に延びる上位の分配器チャネル34を有することができ、分配器チャネル34を用いて再循環される相HPは、ドラムに入るときに、ドラム3に径方向外側にポンプで送られ、好ましくは、ドラムの周方向及び回転方向に送られる。分配器33内の分配器チャネル34が、稼働中の回転方向に沿ってスパイラル的に延びることを便宜的に提供することができる。
【0076】
この場合、ディスク状である分配器33は、回転ドラム3内に液体を移送するのに使用できる程度まで、ドラム内に半径方向に突出し、ドラムの下部開口32aを通って軸方向に液体が逃げないようにする。
その代わりに、分配器から流出する液体は、回転ドラム3によって-例えば、図示されていないリブ/チャネルを用いて-周速まで、ドラム内で加速される。
【0077】
軽い方の相LPは、半径roでドラム3から離れる。半径roから上部出口10を通ってハウジング1に流れ込み、その勢いによって捕捉リング室23の中を周回する。セパレータの動作について、簡単に以下に説明する。
【0078】
第1に、セパレータには再利用可能な構成要素を備えている。該構成要素には、磁気軸受装置のフレームI及び駆動部及びステータユニット4a、5aが含まれる。該構成要素にはさらに制御装置37が含まれる。
次に、セパレータインサートIIが提供されて、ハウジングIに取り付けられる。
【0079】
また、このセパレータインサートは、好ましくは、バッグ、タンク、ポンプなどの容器だけでなく、さらなるライン(ここには示されていない)に接続することができる少なくともホース及びノズルを有することができる。
そして、パイプやホース等を接続した後、懸濁液を回転ドラム(供給開口8)に送り込み、回転ドラムで軽い相LPと重い相HPに遠心分離する。
【0080】
より大きな密度のより重い相HPは、分離チャンバ内のドラム3内で半径方向外側に流れる。そこでは、相HPは、半径ruにてドラムを離れる。
より軽い相LPは、分離チャンバ内のドラム3内で半径方向内向きに流れ、分配器のシャフト上のチャネル38を通って上方に上昇する。そこでは、相LPは、半径roにてドラムを離れる。ディスクスタック内の2つの相間の分離ゾーンの半径は、半径roと半径ruの比及び開口の数及びサイズによって調整することができ、従って、個々の相の流量を協調させることができる。
【0081】
軽い相LP及び重い相HPは共に、連続稼働中に出口21,22を介してドラム3から開口を経て自由に排出される。
重い相の一部は再循環入口9及び分配器33を介してドラム3に戻される。このように、重い相の密度は容易に影響を与えられ、分離プロセスは最適化される。
特に、調節弁31を好適に制御することによって、重い相HPの一部をこのようにしてドラム3に戻すことができる。この結果、分離プロセスの最適化が実現される。制御装置37は、制御のために用いられる。
【0082】
任意に、調節弁31の制御は調節の範囲内で行われ得、その目的のために、パラメータ-ここでは重い相HP-が測定装置35で測定される。これは、制御装置37へのタイプの接続36によって示される。測定装置35を用いて、第2の相HPのパラメータ、例えばその密度が決定され、調節弁は、調節アルゴリズム(破線-接続36)に基づいて、制御装置37で制御された方法で、開閉され、完全に又は部分的に閉じられることができる。
【0083】
例えば、分離した重い相の密度を調整するために、遠心機の出口で例えば重い相の密度測定(測定装置35)を行うことができる。この測定値は、制御装置37に送られ(点線)、設定値と比較される。所定の設定点、例えば密度設定点にまだ達していない場合には、分離された重い相HPの一部を調整弁を介してドラム3の分離チャンバに戻すことができる。このプロセスにより、分離された重い相HPの密度の実際の値を、あらかじめ決められた設定点以上/設定点に等しく設定することが可能になる。この調整は、例えば、PIDコントローラを用いて実行することができる。
【0084】
生産物によっては、別の測定値、例えば、透明度、導電率、体積流量、pH値に基づいて調節を行うこともできる。
また、体積バランス又は質量バランスに基づいて調節を行い、したがって所望の固体相の密度を設定することも考えられる。更なる調節は、流量又は供給量又はドラム速度及び/又はこれらのパラメータの組み合わせに基づくことができる。
【0085】
他の用途では、ドラムの速度又は供給物内の体積流量に影響を与えるために言及された測定値を使用することも有用である場合がある。例えば、測定で重い相の密度が不十分であることが判明した場合には、供給量が変更されたり、ドラム速度が適切な方法で変更されることができる。
重い相HPのために提案された測定は、軽い相LPの放出においても代替的に、あるいは追加的に実施することができる。例えば、軽い相で濁りが検出された場合、この濁りは供給量を調整するための制御変数として用いられ、ドラム回転数を適切に調整するための制御変数として用いられる。
【0086】
原理的には、回転軸Dの位置は、本実施例では自由に選択可能である、何故なら2つの磁気軸受装置4及び5からなる磁気軸受装置によってこれが可能となるからである。回転軸Dの位置は、垂直又は水平であってもよく、又は任意の傾きを有してもよい。軽い相LPの自由な放出は、回転軸Dの位置に基づいて構成によって調整することができる。何れかの相HP、LPのポンプダウンが行われれば、これは絶対に必要なものではない。
【0087】
製薬産業における細胞分離は、本発明によるセパレータの1つの可能な用途を形成する。性能範囲は、100I-4000Iの範囲の発酵槽からのブロスの加工及び実験室用途に意図されている。
セパレータが使用される他の産業分野には、化学、医薬品、酪農技術、再生可能原料、石油及びガス、飲料技術、鉱物油なども考えられる。
【0088】
第2の実施形態の変形例における
図1、
図3、
図4のセパレータインサートIIの変形例では、セパレータインサートの形状嵌合手段41a、41b及びフレームI上に設けられた対応する形状嵌合手段を、フレームIとセパレータインサートIIとの間だけの片側に設けることができ、それによってセパレータインサートIIをフレームIに対して軸方向及びねじれ係止することも可能になり、これにより、とりわけ、構造の複雑さが低減される。
【符号の説明】
【0089】
フレーム I
制御盤 I-1
キャリッジ I-2
ローラ I-3
受け部 I-4, I-5
セパレータインサート II
ハウジング 1
ロータ 2
ドラム 3
磁気軸受装置 4, 5
ステータユニット 4a, 5a
ロータユニット 4b, 5b
半径方向の境界壁 6, 7
供給開口 8
再循環入口 9
出口 10, 11
供給パイプ 12
開口 12a
分配器 13
分配器シャンク 14
分配器脚部 15
分配器チャネル 16
セパレータディスク 17
円筒形部分 18, 19, 20
円錐形部分 18a, 20a
出口 21, 22
捕捉リング室 23, 24
室 25
円錐形壁 26, 27
ポンプ 28
ライン 29
分岐ライン 30
調整弁 31
供給パイプ 32
開口 32a
分配器 33
分配器チャネル 34
測定装置 35
接続 36
制御装置 37
チャネル 38
形状嵌合手段 41a, 41b,42
回転軸 D
懸濁液 S
相 LP、HP
半径 ro、ru
【国際調査報告】