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特表2023-538836バフィーコート試料に使用するための膵臓癌診断用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】バフィーコート試料に使用するための膵臓癌診断用組成物
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6886 20180101AFI20230905BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20230905BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20230905BHJP
   C12N 15/24 20060101ALN20230905BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20230905BHJP
【FI】
C12Q1/6886 Z
G01N33/50 P ZNA
G01N33/68
C12N15/24
C12Q1/686 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507694
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 KR2021010329
(87)【国際公開番号】W WO2022031072
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0098845
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523037691
【氏名又は名称】ヒューベット バイオ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヒョン ファ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソビン
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CA26
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA36
2G045FB02
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
膵臓癌診断のためのバイオマーカー、前記バイオマーカーを検出可能な製剤を含む膵臓癌診断用組成物、およびこれを用いた膵臓癌診断方法に関するものであって、血液由来バフィーコート試料に使用するためのことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上を検出可能な製剤を含み、
血液由来バフィーコート(buffy coat)に使用するためのものである、
膵臓癌診断用組成物。
【請求項2】
前記バフィーコートは、血液の遠心分離時、上部の血漿層と下部の赤血球層の間に形成された全体白血球層であって、血液を次の条件(1)~(3)から選択された一つ以上の条件で遠心分離して上から順次に得られた血漿層(上)、バフィーコート層(中間)、および赤血球層(下)のうちの中間のバフィーコート層から得られるものである、請求項1に記載の膵臓癌診断用組成物:
(1)温度:2~30℃;
(2)速度:300g~2000g;および
(3)時間:5~20分間。
【請求項3】
前記バフィーコートは、血液を次の条件(1)~(3)から選択された一つ以上の条件で遠心分離して上から順次に得られた血漿層(上)、バフィーコート層(中間)、および赤血球層(下)のうちの中間のバフィーコート層から得られるものである、請求項1に記載の膵臓癌診断用組成物:
(1)温度:4~25℃;
(2)速度:500g~1800g;および
(3)時間:7~20分間。
【請求項4】
前記検出可能な製剤は、インターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上と結合する小分子化合物、蛋白質、ペプチド、および核酸分子からなる群より選択された1種以上である、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の膵臓癌診断用組成物。
【請求項5】
請求項1~3のうちのいずれか一項の膵臓癌診断用組成物を含む、膵臓癌診断用キット。
【請求項6】
血液由来バフィーコート(buffy coat)に使用するためのものである、請求項5に記載の膵臓癌診断用キット。
【請求項7】
対象から分離された血液試料からインターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上を検出する段階を含み、
前記血液試料は血液由来バフィーコート(buffy coat)である、
膵臓癌診断に情報を提供する方法。
【請求項8】
前記検出する段階以後に、
前記血液試料内に前記バイオマーカーが存在するか、正常試料より高い水準で存在する場合、前記試料または前記試料が由来した対象を膵臓癌患者と確認する段階
を追加的に含む、請求項7に記載の膵臓癌診断に情報を提供する方法。
【請求項9】
前記バフィーコートは、血液の遠心分離時、上部の血漿層と下部の赤血球層の間に形成された全体白血球層であって、血液を次の条件(1)~(3)から選択された一つ以上の条件で遠心分離して上から順次に得られた血漿層(上)、バフィーコート層(中間)、および赤血球層(下)のうちの中間のバフィーコート層から得られるものである、請求項7に記載の膵臓癌診断に情報を提供する方法:
(1)温度:2~30℃;
(2)速度:300g~2000g;および
(3)時間:5~20分間。
【請求項10】
前記バフィーコートは、血液を次の条件(1)~(3)から選択された一つ以上の条件で遠心分離して上から順次に得られた血漿層(上)、バフィーコート層(中間)、および赤血球層(下)のうちの中間のバフィーコート層から得られるものである、請求項7に記載の膵臓癌診断に情報を提供する方法:
(1)温度:4~25℃;
(2)速度:500g~1800g;および
(3)時間:7~20分間。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
膵臓癌診断のためのバイオマーカー、前記バイオマーカーを検出可能な製剤を含む膵臓癌診断用組成物、およびこれを用いた膵臓癌診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオマーカー(Biomarker)とは外部的な影響により生命体内部で誘発された変化を見つけ出す指標を意味し、癌、神経系疾患など各種疾病を診断するか特定治療剤の効能を予測するための用途として研究が活発に行われている。
【0003】
一方、膵臓(Pancreas)は胃の後ろ側に位置した20cm程度の長さの消化液とホルモンを分泌する臓器であって、一般に膵臓癌といえば膵管癌を意味するものであり得る。膵臓癌は洋式食事が普遍化されるにつれて次第に増加する傾向であり、主に男性に多く発生すると知られており、死亡率が高い。膵臓癌は、初期には症状がよく現れなくて早期発見が難しく、喫煙、コーヒー、飲酒、肉食中心の食事習慣、糖尿、慢性膵臓炎、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(リンチ症候群)などの病歴とβ-ナフチルアミン(Beta-naphthylamine)、ベンジジン(Benzidine)などの物質が原因と知られている。
【0004】
膵臓癌は、初期には別に症状が感じられず、すでに全身転移が起こった後に痛みと体重減少などの症状が現れるのが普通なので、死亡率が非常に高い。
【0005】
したがって、膵臓癌の早期診断法の開発が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一例は、インターロイキン28(Interleukin 28;IL-28)、インターロイキン29(Interleukin 29;IL-29)、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上を含む、膵臓癌診断のためのバイオマーカーを提供する。前記バイオマーカーは、血液のバフィーコート(buffy coat)で検出または分析するためのものであってもよい。
【0007】
他の例は、インターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上を検出可能な製剤を含む、膵臓癌診断用組成物または膵臓癌診断用キットを提供する。前記膵臓癌診断用組成物または膵臓癌診断用キットは、血液のバフィーコートに使用するためのものであってもよい。
【0008】
他の例は、対象から分離された血液試料でインターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上を検出する段階を含む、膵臓癌診断方法または膵臓癌診断に情報を提供する方法を提供する。前記血液試料は、血液のバフィーコートを含むものであってもよい。前記検出する段階は、血液試料でインターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上の存在有無および/または水準を測定する段階を含むことができる。
【0009】
他の例は、インターロイキン28(Interleukin 28;IL-28)、インターロイキン29(Interleukin 29;IL-29)、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上のバイオマーカー、または前記バイオマーカーの検出可能な製剤の膵臓癌診断に使用するための用途および/または膵臓癌診断剤の製造に使用するための用途を提供する。前記膵臓癌診断またはバイオマーカーの検出は、血液のバフィーコート(buffy coat)で行うことであってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、より詳しく説明する:
【0011】
膵臓癌診断
本明細書で、“膵臓癌”は、膵臓にできる腫瘍を総称するものであって、漿液性嚢胞腫瘍、粘液性嚢胞腫瘍、膵管内乳頭粘液性腫瘍、固形乳頭状腫瘍、リンパ上皮性嚢腫、嚢腫性奇形腫などの嚢胞腫瘍のような陽性腫瘍、および膵管腺癌腫、腺房細胞癌腫、神経内分泌腫瘍などの悪性腫瘍などを例示することができる。本明細書で提供されるバイオマーカーによって診断可能な膵臓癌は前記膵臓癌から選択でき、例えば、悪性腫瘍から選択できるが、これに制限されるわけではない。
【0012】
本明細書で、“診断”は、特定疾病または疾患に対する対象(subject)の感受性(susceptibility)を判定すること、対象が特定疾病または疾患を現在有しているかどうかを判定すること、特定疾病または疾患にかかった対象の予後(prognosis)(例えば、前-転移性または転移性癌状態の同定、癌の段階決定、治療に対する癌の反応性決定、など)を判定すること、またはテラメトリックス(therametrics)(例えば、治療効能に対する情報を提供するために客体の状態をモニタリングすること)などを含むことができる。
【0013】
本明細書で、膵臓癌の診断は、対象での前記膵臓癌の発病有無および/または発病の可能性(危険性)を確認することを意味することができる。
【0014】
膵臓癌診断のためのバイオマーカー
本明細書で、膵臓癌診断のためのバイオマーカーとして、インターロイキン28(Interleukin 28;IL-28)、インターロイキン29(Interleukin 29;IL-29)、またはこれらの組み合わせが提供される。本明細書に記載されたバイオマーカーは、蛋白質および/またはこれを暗号化する遺伝子を意味することができる。
【0015】
一具体例で、前記膵臓癌診断のためのバイオマーカーはインターロイキン28であってもよい。他の具体例で、前記膵臓癌診断のためのバイオマーカーはインターロイキン28およびインターロイキン29の組み合わせであってもよい。他の具体例で、前記膵臓癌診断のためのバイオマーカーはインターロイキン29であってもよい。
【0016】
前記バイオマーカーは、正常対照群試料に対比して膵臓癌患者試料で発現水準が有意に高いことを特徴とする。
【0017】
“インターロイキン29(Interleukin 29、IL-29)”は‘インターフェロンラムダ-1(Interferon lambda-1)’とも呼ばれ、染色体19番に位置するIL-29遺伝子によってコーディングされる蛋白質であって、螺旋形のサイトカインファミリー(helical cytokine family)に属し、III型インターフェロンに該当する。本明細書で、IL-29はヒト由来のものであってもよく、例えば、NCBI Accession No.NP_742152.1(配列番号2)であってもよいが、これに制限されるわけではない。IL-29を暗号化する遺伝子はヒト由来のものであってもよく、例えば、NCBI Accession No.NM_172140.2と表示できるが、これに制限されるわけではない。
【0018】
“インターロイキン28(Interleukin 28、IL-28)”は2種のアイソフォームIL-28A(またはInterferon lambda-2(IFNL2)とも称する)およびIL-28B(またはInterferon lambda-3(IFNL3)とも称する)を有するサイトカインの一種であって、ウイルスなどの感染に対する免疫防御作用を果たす。本明細書で、IL-28AおよびIL-28Bはヒト由来のものであってもよく、例えば、IL-28AはNCBI Accession No.NP_742150.1(配列番号3)(NM_172138.2)と表示され、IL-28BはNCBI Accession No.NP_742151.2(配列番号3)(NM_172139.4)と表示できるが、これに制限されるわけではない。IL-28AおよびIL-28Bをそれぞれ暗号化する遺伝子はヒト由来のものであってもよく、例えば、NCBI Accession No.NM_172138.2(IL-28A)、NCBI Accession No.NM_172139.4(IL-28B)と表示できるが、これに制限されるわけではない。本明細書に使用されたものとして、IL-28はIL-28A、IL-28B、またはこれら全てを意味することができ、例えば、IL-28Aを意味することができる。
【0019】
前記バイオマーカーの具体的事項を下記の表1に例示した:
【表1】
【0020】
バイオマーカーの検出可能な製剤
本明細書で、バイオマーカーの検出は、試料でのバイオマーカーの存在有無および/またはバイオマーカーの水準(濃度)を測定するのを意味することができる。
【0021】
本明細書で、バイオマーカー、即ち、インターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上を検出可能な製剤は、前記バイオマーカーに結合可能な全ての小分子化合物、蛋白質、核酸分子から選択できる。
【0022】
一例で、前記バイオマーカーがインターロイキン28、およびインターロイキン29からなる群より選択された1種以上の蛋白質である場合、前記バイオマーカーの検出可能な製剤は前記蛋白質に結合する蛋白質(例えば、抗体、抗体の抗原結合断片、抗体の抗原結合断片を含む抗体類似体、受容体、など)、ペプチド、核酸分子(例えば、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドなど)、小分子化合物(chemical、small molecule)、などからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0023】
他の例で、前記バイオマーカーがインターロイキン28暗号化遺伝子、およびインターロイキン29暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上の遺伝子(全長DNA、cDNA、またはmRNA)である場合、前記バイオマーカーの検出可能な製剤は前記遺伝子に結合(または混成化)可能な核酸分子(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドなど;例えば、プライマー、プローブ、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)、小分子化合物などからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0024】
前記バイオマーカーの検出可能な製剤は、蛍光物質、発色物質、発光物質、放射性同位元素、重金属などの通常の標識物質で標識されるか標識されていないものであってもよい。
【0025】
一例で、前記バイオマーカーがインターロイキン28、およびインターロイキン29からなる群より選択された1種以上の蛋白質である場合、前記バイオマーカーの検出は通常の酵素反応、蛍光、発光および/または放射線検出などのような通常の蛋白質検出(または測定または分析)方法を通じて行うことができ、具体的に、免疫クロマトグラフィー(Immunochromatography)、免疫組織化学染色、酵素結合免疫吸着分析(enzyme linked immunosorbent assay:ELISA)、放射線免疫測定法(radioimmunoassay:RIA)、酵素免疫分析(enzyme immunoassay:EIA)、蛍光免疫分析(Floresence immunoassay:FIA)、発光免疫分析(luminescence immunoassay:LIA)、ウェスタンブロッティング(Western blotting)、マイクロアレイ法、フローサイトメトリー分析法などからなる群より選択された方法によって測定できるが、これに制限されるわけではない。
【0026】
他の例で、前記バイオマーカーがインターロイキン28暗号化遺伝子、およびインターロイキン29暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上の遺伝子(全長DNA、cDNA、またはmRNA)である場合、前記バイオマーカーの検出は通常の遺伝子検出(または測定または分析)方法を用いて行うことができる。例えば、前記遺伝子と混成化可能なプライマー、プローブ、アプタマー、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する通常の遺伝子分析方法、具体的に、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR;例えば、qPCR、real-time PCR、real-time qPCRなど)、FISH(fluorescent in situ hybridization)、マイクロアレイ法、などを用いて測定することができるが、これに制限されるわけではない。一具体例で、前記プライマーは前記遺伝子(全長DNA、cDNA、またはmRNA)の塩基配列中の連続する5~1000bp、例えば10~500bp、20~200bp、または50~200bpの遺伝子断片を検出することができるものであって、前記遺伝子断片の3'-末端および5'-末端それぞれの連続する5~100bp、例えば、5~50bp、5~30bp、または10~25bp部位と混成化可能な(例えば、相補的な)塩基配列を含むプライマー対であってもよい。前記プローブ、アプタマー、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは全長が5~1000bp、5~500bp、5~200bp、5~100bp、5~50bp、5~30bp、または5~25bpであるものであってもよく、インターロイキン28またはインターロイキン29を暗号化する遺伝子(全長DNA、cDNA、またはmRNA)の塩基配列中の連続する5~1000bp、5~500bp、5~200bp、5~100bp、5~50bp、5~30bp、または5~25bpの遺伝子断片と結合可能であるか混成化可能な(例えば、相補的)塩基配列を有するものであってもよい。前記‘結合可能である’とは前記遺伝子の全部または一部と共有結合などの化学的および/または物理的結合によって結合できるのを意味することができ、前記‘混成化可能である’とは前記遺伝子部位の塩基配列と80%以上、例えば90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、または100%の配列相補性を有することによって相補的結合が可能であるのを意味することができる。
【0027】
膵臓癌診断用組成物およびキット
本明細書で提供される膵臓癌診断用組成物は、前述のバイオマーカーの検出可能な製剤を含むものであってもよい。
【0028】
本明細書で提供される膵臓癌診断用キットは、前述のバイオマーカーの検出可能な製剤またはこれを含む膵臓癌診断用組成物、および前記検出手段を含むものであってもよい。前記検出手段は、前記バイオマーカーの検出可能な製剤で検出したバイオマーカーの存在有無および/または水準を定性的および/または定量的に分析することができる手段であってもよい。一例で、前記検出手段は、前述の蛋白質および/または遺伝子検出方法に使用するための手段のうちから選択されたものであってもよい。
【0029】
一例で、前記キットはRT-PCRキット、DNAチップキット、ELISAキット、蛋白質チップキット、ラピッド(rapid)キットまたはMRM(Multiple reaction monitoring)キットであってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0030】
膵臓癌診断方法
本明細書で提供される膵臓癌診断用組成物および診断方法(または診断に情報を提供する方法)は、対象から分離された血液試料でインターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上のバイオマーカーを検出する段階を含むことができる。
【0031】
前記方法において、前記バイオマーカーを検出する段階は、前記試料内のバイオマーカーの存在有無確認、バイオマーカーの水準(濃度)測定、またはこれら全てを行う段階であってもよい。前記方法において、前記試料内に前記バイオマーカーが存在するか、比較対象試料(対照群)より高い水準で存在する場合、前記試料または前記試料が由来した対象を膵臓癌患者と診断(または確認または決定)することができる。
【0032】
本明細書で提供される膵臓癌診断方法または膵臓癌診断に情報を提供する方法は、
(a)対象から分離された血液試料でインターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上のバイオマーカーを検出する段階、および
(b)前記血液試料内に前記バイオマーカーが存在するか、比較対象試料(正常試料)より高い水準で存在する場合、前記試料または前記試料が由来した対象を膵臓癌患者と診断(または確認または決定)する段階
を含むことができる。
【0033】
また、前記バイオマーカーの測定が試料内バイオマーカー水準を測定することである場合、前記方法は、
(a)対象から分離された血液試料でインターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上のバイオマーカーの水準を測定する段階、および
(b)(i)前記血液試料で測定されたバイオマーカー水準を比較対象試料内のバイオマーカーの水準と比較する段階、
(ii)試料で測定されたバイオマーカーの水準が比較対象試料より高い場合、前記試料または前記試料が由来した対象を膵臓癌患者と診断(または確認または決定)する段階、または
(iii)前記段階(i)および(ii)の全て
を含むことができる。任意に、前記方法は、前記段階(b)(段階(i)および/または(ii))以前に、比較対象試料内のバイオマーカーの水準を測定する段階を追加的に含むことができる。
【0034】
本明細書で、“バイオマーカーの水準が高い”というのは、試料内バイオマーカーの濃度または前記バイオマーカーを発現する細胞の数が比較対象試料に対比して約1.1倍以上、約1.2倍以上、約1.3倍以上、約1.5倍以上、約1.8倍以上、約2倍以上、約2.5倍以上、約3倍以上、約3.5倍以上、約4倍以上、約4.5倍以上、または約5倍以上であることを意味することができる。
【0035】
本明細書で提供される膵臓癌診断方法または膵臓癌診断に情報を提供する方法は、前記検出する段階、比較する段階、または診断する段階以後に、
(c)膵臓癌患者と診断された対象に膵臓癌治療を行う段階
を追加的に含むことができる。
【0036】
前記膵臓癌治療は、膵臓癌治療剤(例えば、抗ガン剤:5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)、ゲムシタビン(gemcitabine)、タルセバ(tarceva;エルロチニブ(erlotinib))、抗体など)の投与のような化学的療法、放射線治療、外科的手術、またはこれらのうちの2以上の組み合わせを意味することができる。
【0037】
血液試料
本明細書で提供される膵臓癌診断用組成物、キット、および方法の適用可能な診断対象試料または血液試料は診断対象から得られた(または分離されたまたは由来した)液体生検(liquid biopsy)、例えば、血液、血清、血漿、および/またはこれらから分離された細胞を含むものであってもよく、一例で、前記試料は診断対象から分離されたバフィーコートを含むものであってもよい。
【0038】
本明細書で、バフィーコート(buffy coat)は、血液の遠心分離時、上部の血漿(plasma)層と下部の赤血球層の間に形成された全体白血球層を意味するものであって、血液中の血漿と赤血球を除いた成分(例えば、単核球、顆粒球、リンパ球など)の混合物であり、末梢血液単核球(peripheral blood mononuclear cell;PBMC)と明確に区別される意味として使用される(図3参照)。本明細書で使用された血液試料は血液由来バフィーコートであってもよく、末梢血液単核球のみからなる試料ではないのであってもよい。一例で、バフィーコートは、血液を次の条件(1)~(3)から選択された一つ以上(1、2、または3)の条件で遠心分離して上から順次に得られた血漿層(上)、バフィーコート層(中間)、および赤血球層(下)のうちの中間のバフィーコート層から得られたものであってもよい:
(1)温度:2~30℃、2~28℃、2~25℃、2~23℃、2~20℃、2~18℃、2~15℃、2~13℃、2~10℃、2~8℃、2~6℃、2~5℃、2~4℃、3~30℃、3~28℃、3~25℃、3~23℃、3~20℃、3~18℃、3~15℃、3~13℃、3~10℃、3~8℃、3~6℃、3~5℃、3~4℃、4~30℃、4~28℃、4~25℃、4~23℃、4~20℃、4~18℃、4~15℃、4~13℃、4~10℃、4~8℃、4~6℃、4~5℃、5~30℃、5~28℃、5~25℃、5~23℃、5~20℃、5~18℃、5~15℃、5~13℃、5~10℃、5~8℃、5~6℃、10~30℃、10~28℃、10~25℃、10~23℃、10~20℃、10~18℃、10~15℃、10~13℃、15~30℃、15~28℃、15~25℃、15~23℃、15~20℃、15~18℃、20~30℃、20~28℃、20~25℃、または20~23℃;
(2)速度:300g~2000g、300g~1800g、300g~1500g、300g~1300g、300g~1000g、500g~2000g、500g~1800g、500g~1500g、500g~1300g、500g~1000g、600g~1000g、700g~1000g、800g~1000g、500g~900g、600g~900g、700g~900g、800g~900g、500g~800g、600g~800g、または700g~800g;および
(3)時間:5~20分、7~20分、9~20分、5~15分、7~15分、9~15分、5~12分、7~12分、または9~12分間。
【0039】
本明細書で、診断対象はヒト、猿などを含む霊長類、マウス、ラットなどを含む齧歯類などを含む哺乳類のうちから選択され、膵臓癌診断を必要とする個体であってもよい。
【0040】
本明細書で、比較対象試料は正常(例えば、膵臓癌を病まない)個体から得られた(または分離されたまたは由来した)試料であって、例えば、前記正常個体はヒト、猿などを含む霊長類、マウス、ラットなどを含む齧歯類などを含む哺乳類のうちから選択されたものであって前記診断対象と同種の個体であってもよく、比較対象試料は前記比較対象からこれから得られた(または分離されたまたは由来した)血液、血清、血漿、および/またはこれらから分離された細胞を含むものであってもよく、具体的に、バフィーコートを含むものであってもよい。
【0041】
膵臓癌治療剤のスクリーニング
他の例で、候補化合物処理時の前記バイオマーカーの水準を測定して膵臓癌治療薬物の候補物質をスクリーニングする方法を提供する。
【0042】
より具体的に、前記スクリーニング方法は、
生物試料に候補化合物を接触させる段階;
前記生物試料でのインターロイキン28、インターロイキン29、およびこれらの暗号化遺伝子からなる群より選択された1種以上のバイオマーカーの水準を測定する段階;および
前記候補化合物を接触させた生物試料でのバイオマーカーの水準を候補物質を接触させない生物試料でのユビキチン分解酵素および/またはこれを暗号化する遺伝子の水準と比較する段階
を含むことができる。
【0043】
前記比較する段階は、同一な生物試料に対して候補化合物接触(処理)前後のバイオマーカーの水準をそれぞれ測定してこれを比較するか、生物試料のうちの一部にのみ候補化合物を接触させ、候補化合物を接触させた部分と候補化合物を接触させない部分のバイオマーカーの水準をそれぞれ測定してこれを比較することによって行うことができる。
【0044】
前記候補化合物を接触させた生物試料でのバイオマーカーの水準が候補物質を接触させない生物試料でのバイオマーカーの水準より減少した場合、即ち、前記候補化合物が生物試料でバイオマーカー水準を減少させるか発現を阻害した場合、前記候補化合物を膵臓癌の予防および/または治療薬物の候補物質と判断することができる。
【0045】
前記生物試料は、生体、例えば、膵臓癌患者から得られた(または分離されたまたは由来した)血液、血清、血漿、および/またはこれらから分離された細胞を含むものであってもよく、具体的に、バフィーコートを含むものであってもよい。
【0046】
前記候補化合物は、各種化合物、例えば、小分子化合物、蛋白質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、植物または動物の抽出物などからなる群より選択されたものであってもよい。
【0047】
前記生物試料でのバイオマーカーの水準測定は、通常の遺伝子または蛋白質定量検出手段によって測定するか、および/または測定された結果を評価して行うことができる。その具体的な測定手段は前述の通りである。
【発明の効果】
【0048】
本発明によって、患者由来血液のみで非浸湿的であり、簡単でありながらも高い正確度で膵臓癌を早期に診断することができるので、既存の組織検査が必要であって早期診断が難しかった問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】膵臓癌患者と正常人から得られたバフィーコート試料とPBMC試料でのIL-29の発現量差を示すグラフである。
図2】膵臓癌患者と正常人から得られたバフィーコート試料とPBMC試料でのIL-28の発現量差を示すグラフである。
図3】バフィーコート試料準備過程をPBMC試料と比較して例示的に示す模式図である。
図4】同一人膵臓癌患者から得られたバフィーコート試料とPBMC試料でのIL-28の発現量(上)およびIL-29の発現量(下)を示すグラフである。
図5a】膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-28発現量を正常人PBMC試料のIL-28発現量と比較した結果を示すグラフである。
図5b】膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-28発現量を正常人バフィーコート試料のIL-28発現量と比較した結果を示すグラフである。
図6a】膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-29発現量を正常人PBMC試料のIL-29発現量と比較した結果を示すグラフである。
図6b】膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-29発現量を正常人バフィーコート試料のIL-29発現量と比較した結果を示すグラフである。
図7a】膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-28発現量を正常人試料のIL-28発現量(PBMC試料とバフィーコート試料のIL-28発現量平均値)と比較した結果を示すグラフである。
図7b】膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-29発現量を正常人試料のIL-29発現量(PBMC試料とバフィーコート試料のIL-29発現量平均値)と比較した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明を実施例および試験例を通じてさらに詳しく説明する。しかし、これら実施例および試験例は本発明を例示するためのものであって、本発明を制限するものと解釈されてはならない。
【実施例
【0051】
実施例1:試料の準備
1.1.バフィーコート(buffy coat)試料の準備
膵臓癌で膵臓癌バイオマーカーの発現変化を確認するために、膵臓癌患者の血液由来バフィーコート(buffy coat)でIL-29、およびIL-28のmRNA発現を確認した。また、比較のために、膵臓癌を病まない一般人(以下、正常人と称する)血液由来のバフィーコートに対しても同一な試験を行った。
【0052】
まず、膵臓癌患者および正常人(正常対照群)の血液5ccをEDTAチューブに採取して常温に保管した。血液が入ったEDTAチューブを4℃で800gで10分間遠心分離した。血漿、バフィーコート、そして赤血球の順に分離された血液から血漿を除去しバフィーコート250μlを回収して-80℃に保管した。
【0053】
NucleoSpin(登録商標) RNA Blood kit(MACHEREY-NAGEL)を用いて推奨するプロトコルによって、冷凍保管されたバフィーコート250μlからtotal RNAを抽出した。1μgのRNAを使用してcDNA合成した。cDNA合成kitは、GoScriptTM Reverse Transcription system kit(Promega)を使用した。
【0054】
1.2.末梢血液単核球(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)試料の準備
膵臓癌で膵臓癌バイオマーカーの発現変化を確認するために、膵臓癌患者の血液由来末梢血液単核球でIL-29、およびIL-28(IL-28A)のmRNA発現を確認した。また、比較のために、膵臓癌を病まない一般人(以下、正常人と称する)血液由来の末梢血液単核球に対しても同一な試験を行った。
【0055】
まず、膵臓癌患者および正常人(正常対照群)の血液5ccをEDTAチューブに採取して常温に保管した。血液の粘度が高い場合、単核球の分離が難しいので、1X PBSに1:1に希釈して準備した。15mlコニカルチューブ(conical tube)に比重差のあるリンパ球分離溶液(LymphosepTM、L0560-500、biowest)を準備し、フィコールの上に血液サンプルが混ざらないように添加した。加速と減速を最小にして800gで30分間遠心分離すると、比重の異なる血漿、末梢血液単核球(PBMC)、Lymphosep、顆粒球と赤血球の順に分離される。中間に白い細胞層(単核球)を別途に回収した後、PBSを添加して400gで3分間遠心分離しながら2回洗浄した後に使用し、残りは-80℃に保管した。
【0056】
前記のように準備されたPBMCにTrizol 1mlを添加して、凝っている細胞を浮遊させた後、クロロホルム(chloroform)200μlを添加して12,000gで15分間遠心分離した。一番上の透明な上澄み液のみ分離して上澄み液と同一な量のイソプロパノール(isopropanol)を入れてよく混合した後、12,000gで15分間遠心分離した。上澄み液を全て除去し75%エタノール(ethanol)1mlを添加して12,000gで10分間遠心分離して洗浄した。上澄み液を全て除去し1時間十分に乾燥させた。Nuclease free water30μlを添加してRNA pelletを十分に溶かしてRNA濃度を測定し、cDNA合成に1μgのRNAを使用した。cDNA合成はGoScriptTM Reverse Transcription system kit(Promega)を使用した。
【0057】
実施例2.Real-time qPCR
前記実施例1で準備された試料での遺伝子発現はReal-time qPCRで測定し、前記Real-time qPCRはprobe-based multiplex PCRで行った。Multiplex PCRのために、マーカーであるIL-29(GenBank Accession No.NM_172140.2)、およびIL-28A(GenBank Accession No.NM_172138.2;以下、IL-28と称する)それぞれのプローブはFAM dyeで標識し、内部対照遺伝子(Reference gene)として使用するためのGAPDHはHEX dyeで標識した。プライマーとプローブは、IDT(Integrated DNA Technologies, Inc.)で購入して使用した。
【0058】
試料で各遺伝子発現を確認するために、GoTaq(登録商標) Probe qPCR Master Mix(Promega)のプロトコルによって最終ボリューム20μlに合わせて準備した。遺伝子発現試験はQuantStudio 3, 5 Real-Time PCRシステム(Applied Biosystems)装備を使用して行い、装備のソフトウェアで提供するStandard Cycling条件下で行われた。Real-time qPCR結果は試料で測定されたIL-29、およびIL-28のmRNA発現水準であるCt値とGAPDH mRNA発現水準Ct値を抽出し、試料のIL-29、およびIL-28 mRNA発現水準とGAPDH mRNA発現水準の差を計算して得られたΔCt値で示した。mRNA発現を比較するための全てのデータはΔCtを使用して分析した。
【0059】
使用されたプライマーとプローブの核酸配列(5’→3’)を下記の表1に示した:
【表2】
【0060】
実施例3:各試料でのマーカー発現測定
【0061】
前記実施例2で行われたReal-time qPCRの結果を図1および図2にそれぞれ示した。
【0062】
図1は、膵臓癌患者と正常人から得られたバフィーコート試料(膵臓癌患者52人、正常人44人)とPBMC試料(膵臓癌患者54人、正常人19人)でのIL-29の発現量差を示すグラフである。図1から確認されるように、バフィーコート試料の場合、膵臓癌患者でのIL-29の平均ΔCt値が正常人と比較して有意に減少した反面、PBMC試料では膵臓癌患者のIL-29の平均ΔCt値が正常人に対比してむしろ増加し、その差も有意味な程度に示されなかった。前記得られた結果から、正常人と比較して、膵臓癌患者でIL-29の発現水準が有意に増加することが分かり、このような膵臓癌患者でのIL-29発現水準変化様相はPBMC試料と有意味な差を示すことが確認された。
【0063】
図2は膵臓癌患者と正常人から得られたバフィーコート試料(膵臓癌患者51人、正常人43人)とPBMC試料(膵臓癌患者50人、正常人19人)でのIL-28の発現量差を示すグラフである。図2から確認されるように、バフィーコート試料の場合、膵臓癌患者でのIL-28の平均ΔCt値が正常人と比較して有意に減少した反面、PBMC試料では膵臓癌患者のIL-28の平均ΔCt値が正常人に対比してむしろ増加し、その差も有意味な程度に示されなかった。前記得られた結果から、正常人と比較して、膵臓癌患者でIL-28の発現水準が有意に増加することが分かり、このような膵臓癌患者でのIL-28発現水準変化様相はPBMC試料と有意味な差を示すことが確認された。
【0064】
前記結果を総合する時、IL-29、およびIL-28は全て膵臓癌患者と正常人の間の発現水準が有意な差を示して膵臓癌マーカーとして有用であり、これらマーカーを使用する場合、PBMC試料と比較してバフィーコート試料からより有意性高い結果を得ることができるのを示す。また、IL-29、およびIL-28のうち、特にIL-28が膵臓癌患者と正常人の間で最も大きな差を示した。
【0065】
実施例4:同一人に由来したバフィーコートとPBMC試料の比較
同一人(膵臓癌患者(P.C);3人)から、実施例1.1を参照してバフィーコート試料を準備し、実施例1.2を参照してPBMC試料を準備した。前記準備されたバフィーコート試料とPBMC試料に対して、実施例2を参照してIL-29およびIL-28のmRNA発現水準(ΔCt)を測定した。
【0066】
前記得られたIL-29およびIL-28のmRNA発現水準の平均値を図4に示した(サンプル数:バフィーコート試料3;PBMC試料3)。図4に示されているように、PBMC試料と比較して、バフィーコート試料でのIL-29およびIL-28のmRNA発現水準(ΔCt)が顕著に高く示された。
【0067】
前記のように得られた膵臓癌患者(同一人)由来のバフィーコート試料およびPBMC試料での結果を膵臓癌を病まない正常人から得られた正常人バフィーコート試料および正常人PBMC試料での結果と比較して図5a、5b、6a、6b、7a、および7bに示した(結果は全て平均値で表現される)。
【0068】
図5aは、正常人PBMC試料のIL-28発現水準に対比して、膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-28発現水準を比較した結果を示し;図5bは、正常人バフィーコート試料のIL-28発現水準に対比して、膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-28発現水準を比較した結果を示す(サンプル数:正常人バフィーコート試料43;膵臓癌バフィーコート試料3;正常人PBMC試料19;膵臓癌PBMC試料3)。
【0069】
図6aは、正常人PBMC試料のIL-29発現水準に対比して、膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-29発現水準を比較した結果を示し;図6bは、正常人バフィーコート試料のIL-29発現水準に対比して、膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-29発現水準を比較した結果を示す(サンプル数:正常人バフィーコート試料44;膵臓癌バフィーコート試料3;正常人PBMC試料19;膵臓癌PBMC試料3)。
【0070】
図7aは、正常人試料のIL-28発現水準(PBMC試料のIL-28発現水準およびバフィーコート試料のIL-28発現水準を統合して得られた平均値)に対比して、膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-28発現水準を比較した結果を示し;図7bは、正常人試料のIL-29発現水準(PBMC試料のIL-29発現水準およびバフィーコート試料のIL-29発現水準を統合して得られた平均値)に対比して、膵臓癌患者由来のバフィーコート試料およびPBMC試料のIL-29発現水準を比較した結果を示す(サンプル数:正常人バフィーコート試料43(IL-28の場合)または44(IL-29の場合);膵臓癌バフィーコート試料3;正常人PBMC試料19;膵臓癌PBMC試料3)。
【0071】
図5a、5b、6a、6b、7a、および7bに示されているように、PBMC試料の場合、正常人と膵臓癌患者間のIL-28発現水準およびIL-29発現水準の有意味な差が観察されない反面、バフィーコート試料の場合には正常人と膵臓癌患者間のIL-28発現水準およびIL-29発現水準の顕著な差が確認された。このような結果は、バフィーコート試料でIL-28および/またはIL-29の水準を測定することによってより正確且つ効率的に膵臓癌患者を診断することができるのを示す。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
【配列表】
2023538836000001.app
【国際調査報告】