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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】イヤピースのポート構成
(51)【国際特許分類】
   H04R 25/00 20060101AFI20230905BHJP
   H04R 1/22 20060101ALI20230905BHJP
   H04R 1/28 20060101ALI20230905BHJP
   H04R 25/02 20060101ALI20230905BHJP
   G10K 11/178 20060101ALI20230905BHJP
   A61F 11/00 20220101ALI20230905BHJP
【FI】
H04R25/00 E
H04R1/22 310
H04R1/28 310Z
H04R25/02 B
G10K11/178 120
G10K11/178 100
A61F11/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509425
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 US2021044992
(87)【国際公開番号】W WO2022035701
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】16/990,358
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・デーリー
(72)【発明者】
【氏名】レイ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ニナド・ガドレ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・マクフィリップス・モリアーティ
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・ダグラス・エンテ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・エム・マッキー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ディー・ドミニジャンニ
【テーマコード(参考)】
5D018
5D061
【Fターム(参考)】
5D018AA08
5D018AD18
5D061FF02
(57)【要約】
イヤピースは、電気音響変換器とハウジングとを含む。ハウジングは電気音響変換器を支持し、ハウジング及び電気音響変換器が共同で、第1の音響空間及び第2の音響空間を画定する。電気音響変換器は、変換器の第1の放射面が音響エネルギーをフロント音響空間内に放射し、変換器の第2の放射面が音響エネルギーを第2の音響空間内に放射するように配置される。フロントポートは、第1の音響空間をハウジングの外側の空間に連結し、リアポートは、第2の音響空間をハウジングの外側の空間に連結する。フロントポート及びリアポートのそれぞれの出口端部は結合されてから、結合された出口空間と出口ポートとを介してハウジングを出る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気音響変換器と、
前記電気音響変換器を支持するハウジングであって、前記ハウジング及び前記電気音響変換器が共同で、第1の音響空間及び第2の音響空間を画定し、前記電気音響変換器は、前記電気音響変換器の第1の放射面が音響エネルギーをフロント音響空間内に放射し、前記電気音響変換器の第2の放射面が音響エネルギーを前記第2の音響空間内に放射するように配置される、ハウジングと、
前記第1の音響空間を、前記ハウジングの外側の空間に連結するフロントポートと、
前記第2の音響空間を、前記ハウジングの外側の前記空間に連結するリアポートと、
を備えたイヤピースにおいて、
前記リアポート及び前記フロントポートのそれぞれの出口端部は、結合された出口空間と出口ポートとを介して前記ハウジングを出る前に結合されていることを特徴とする、イヤピース。
【請求項2】
前記ハウジングはノズルを画定し、前記イヤピースが装着されたときに、前記電気音響変換器がユーザの外耳道に音響的に連結されるように、前記第1の音響空間が前記ノズル内の音響通路に音響的に連結されている、請求項1に記載のイヤピース。
【請求項3】
前記ノズル上に支持され、前記イヤピースが装着されたときにユーザの外耳道と緊密な音響シールを形成するように構成されたイヤチップを更に備えている、請求項2に記載のイヤピース。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記電気音響変換器に電力を供給するための配線を受容するためのレセプタクルを含む、請求項1に記載のイヤピース。
【請求項5】
前記出口ポートは、前記ハウジングの外面に沿ってメッシュで覆われている、請求項1に記載のイヤピース。
【請求項6】
前記出口ポートはチューブを備えている、請求項1に記載のイヤピース。
【請求項7】
前記チューブの出口端がメッシュで覆われている、請求項6に記載のイヤピース。
【請求項8】
前記フロントポートは、前記ハウジングと一体的に形成されている、請求項1に記載のイヤピース。
【請求項9】
前記出口ポートがシールされているときの前記第1の音響空間内の最大圧力は、100dB SPL~120dB SPLである、請求項1に記載のイヤピース。
【請求項10】
前記出口ポートがシールされているときの前記第1の音響空間内の最大圧力は、132dB SPL以下である、請求項1に記載のイヤピース。
【請求項11】
請求項1に記載のイヤピースを備える補聴器であって、
着用時に使用者の耳介の後ろに位置するように構成されたケーシングと、
前記ケーシングを前記イヤピースに連結する配線と、
を更に備えている、補聴器。
【請求項12】
前記ケーシング内に収容された、電池と、マイクロホンと、サウンドプロセッサとを更に備えている、請求項11に記載の補聴器。
【請求項13】
前記ケーシング内に収容された電子機器と、
前記ハウジングに支持されたマイクロホンと、
を更に備え、
前記配線は、前記マイクロホンを前記電子機器に電気的に連結している、請求項11に記載の補聴器。
【請求項14】
前記配線が、フレキシブルプリント回路を備えている、請求項13に記載の補聴器。
【請求項15】
前記配線は、前記電気音響変換器を前記電子機器に電気的に連結している、請求項13に記載の補聴器。
【請求項16】
前記マイクロホンは、ユーザの外耳道で音声を拾い上げるように構成されたフィードバックマイクロホンである、請求項13に記載の補聴器。
【請求項17】
前記マイクロホンは、フィードフォワードノイズキャンセレーションのために、前記ハウジングの外部の領域において周囲雑音を拾い上げるように構成されたフィードフォワードマイクロホンである、請求項13に記載の補聴器。
【請求項18】
前記電子機器は、前記マイクロホンからの入力を使用するアクティブノイズキャンセレーションアルゴリズムを実行するように構成されている、請求項13に記載の補聴器。
【請求項19】
前記ハウジング内に支持された、電池と、マイクロホンと、サウンドプロセッサとを更に備えている、請求項11に記載の補聴器。
【請求項20】
前記電気音響変換器は、前記第1及び第2の放射面を画定するダイヤフラムを備え、前記ダイヤフラムは、6mm未満の直径を有している、請求項11に記載の補聴器。
【請求項21】
前記電気音響変換器は、可動コイル形変換器である、請求項20に記載の補聴器。
【請求項22】
電池と、
第1のマイクロホンと、
サウンドプロセッサと、
送受信機と、
第2のマイクロホンと、
配線と、
を更に備え、
前記電池、前記第1のマイクロホン、前記サウンドプロセッサ、及び送受信部は、前記ケーシング内に収容され、
前記第2のマイクロホンは、前記ハウジングに支持され、
前記配線は、前記ハウジングと前記ケーシングとの間に延在し、前記第2のマイクロホンを前記サウンドプロセッサに電気的に連結している、請求項11に記載の補聴器。
【請求項23】
サウンドプロセッサが、第2のマイクロホンからの入力を使用するアクティブノイズキャンセレーションアルゴリズムを実行するように構成されている、請求項11に記載の補聴器。
【請求項24】
電気音響変換器と、
前記電気音響変換器を支持するハウジングであって、前記ハウジング及び前記電気音響変換器が共同で、第1の音響空間及び第2の音響空間を画定し、前記電気音響変換器は、前記電気音響変換器の第1の放射面が音響エネルギーをフロント音響空間内に放射し、前記電気音響変換器の第2の放射面が音響エネルギーをリア音響空間内に放射するように配置される、ハウジングと、
前記第1の音響空間を、前記ハウジングの外側の空間に連結するフロントポートと、
前記第2の音響空間を、前記ハウジングの外側の前記空間に連結するリアポートと、
前記フロントポート及び前記リアポートを覆うバルブであって、前記バルブが閉じると、前記フロントポート及び前記リアポートを別々に閉じるように配置されたバルブと、
を備えていることを特徴とする、イヤピース。
【請求項25】
電気音響変換器と、
マイクロホンと、
前記電気音響変換器及び前記マイクロホンを支持し、ユーザの外耳道内に少なくとも部分的に収まるようにサイズ決めされたハウジングと、
電子機器と、
前記電子機器を支持し、装着時にユーザの耳介の後ろに位置するように構成されたケーシングと、
前記ケーシングと前記ハウジングとの間に延在し、前記電子機器を前記電気音響変換器及び前記マイクロホンに電気的に連結する配線と、
を備えていることを特徴とする、補聴器。
【請求項26】
前記電子機器は、前記マイクロホンからの入力に基づいて、アクティブノイズキャンセレーションアルゴリズムを実行して、ノイズをキャンセルするための音響エネルギーを、前記電気音響変換器に生成させる信号を生成するように構成されている、請求項25に記載の補聴器。
【請求項27】
電気音響変換器と、
前記電気音響変換器を支持し、ユーザの外耳道内に少なくとも部分的に収まるようにサイズ決めされたハウジングと、
電子機器と、
前記電子機器を支持し、装着時にユーザの耳介の後ろに位置するように構成されたケーシングと、
前記ケーシングと前記ハウジングとの間に延在し、前記電子機器を前記電気音響変換器に電気的に連結する配線と、
前記ハウジングによって支持されたマイクロホンと、
を備え、
前記電子機器は、アクティブノイズキャンセレーションアルゴリズムを実行し、前記マイクロホンからの入力に基づいてノイズをキャンセルする音響エネルギーを前記電気音響変換器に生成させる信号を生成するように構成されていることを特徴とする、補聴器。
【請求項28】
前記電気音響変換器がフルレンジ変換器である、請求項27に記載の補聴器。
【請求項29】
前記電気音響変換器は、可動コイル形変換器である、請求項28に記載の補聴器。
【請求項30】
前記電子機器は、高忠実度音声の伝送をサポートする送受信機を含む、請求項27に記載の補聴器。
【請求項31】
前記マイクロホンが、前記ハウジングによって支持され、前記配線が前記マイクロホンを前記電子機器に電気的に連結している、請求項27に記載の補聴器。
【請求項32】
前記マイクロホンは、前記ユーザの外耳道で音声を拾い上げるように構成されたフィードバックマイクロホンである、請求項31に記載の補聴器。
【請求項33】
前記マイクロホンは、フィードフォワードノイズキャンセレーションのために、前記ユーザの耳介に隣接する空気に音響的に連結されるように構成されたフィードフォワードマイクロホンである、請求項31に記載の補聴器。
【請求項34】
前記ケーシングによって支持された第2のマイクロホンを更に備えている、請求項33に記載の補聴器。
【請求項35】
前記第2のマイクロホンは、マイクロホンアレイを備える、請求項34に記載の補聴器。
【請求項36】
システムであって、
請求項27に記載の補聴器と
前記補聴器に通信可能に連結され、ユーザが前記補聴器の1つ以上の機能を調整することを可能にするソフトウェアプログラムを実行するように構成されたコンピューティングデバイスと、
を備えている、システム。
【請求項37】
前記ソフトウェアプログラムは、ユーザが前記補聴器の信号処理パラメータを調整することを可能にする、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記信号処理パラメータは、前記アクティブノイズキャンセレーションアルゴリズムのためのフィルタ係数を含む、請求項37に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、イヤピースのポート構成に関する。
【発明の概要】
【0002】
下記で言及される全ての実施例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わせることができる。
【0003】
一態様では、イヤピースは、電気音響変換器及びハウジングを含む。ハウジングは電気音響変換器を支持し、ハウジング及び電気音響変換器が共同で、第1の音響空間及び第2の音響空間を画定する。電気音響変換器は、変換器の第1の放射面が音響エネルギーをフロント音響空間内に放射し、変換器の第2の放射面が音響エネルギーを第2の音響空間内に放射するように配置される。フロントポートは、第1の音響空間をハウジングの外側の空間に連結し、リアポートは、第2の音響空間をハウジングの外側の空間に連結する。フロントポート及びリアポートのそれぞれの出口端部は結合されてから、結合された出口空間と出口ポートとを介してハウジングを出る。
【0004】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0005】
いくつかの実装形態では、ハウジングはノズルを画定し、第1の音響空間がノズル内の音響通路に音響的に連結されて、イヤピースが装着されたときに、電気音響変換器がユーザの外耳道に音響的に連結される。
【0006】
いくつかの実装形態では、イヤピースは、ノズル上に支持され、イヤピースが装着されたときにユーザの外耳道と緊密な音響シールを形成するように構成されたイヤチップを含む。
【0007】
場合によっては、ハウジングは、電気音響変換器に電力を供給するための配線を受けるためのレセプタクルを含む。
【0008】
ある場合には、出口ポートは、ハウジングの外面に沿ってメッシュで覆われている。
【0009】
いくつかの例では、出口ポートはチューブを含む。
【0010】
ある例では、チューブの出口端はメッシュで覆われている。
【0011】
いくつかの実装形態では、フロントポートはハウジングと一体的に形成されている。
【0012】
特定の実装形態では、出口ポートがシールされているときの第1の音響空間内の最大圧力は、100dB SPL~120dB SPLである。
【0013】
場合によっては、出口ポートがシールされているときの第1の音響空間内の最大圧力は、132dB SPL以下である。
【0014】
ある場合には、補聴器は、イヤピースと、ケーシングと、ケーシングをイヤピースに連結する配線とを含む。ケーシングは、装着時にユーザの耳介の後ろに位置するように構成される。
【0015】
いくつかの例では、補聴器は、ケーシング内に収容された、電池と、マイクロホンと、サウンドプロセッサとを含む。
【0016】
ある例では、補聴器はまた、ケーシング内に収容された電子機器と、ハウジングによって支持されたマイクロホンとを含み、配線が、マイクロホンを電子機器に電気的に連結する。
【0017】
いくつかの実装形態では、配線はフレキシブルプリント回路を含む。
【0018】
いくつかの実装形態では、配線は、電気音響変換器を電子機器に電気的に連結する。
【0019】
場合によっては、マイクロホンは、ユーザの外耳道で音声を拾い上げるように構成されたフィードバックマイクロホンである。
【0020】
ある場合には、マイクロホンは、フィードフォワードノイズキャンセレーションのために、ハウジングの外部の領域において周囲雑音を拾い上げるように構成されたフィードフォワードマイクロホンである。
【0021】
いくつかの例では、電子機器は、マイクロホンからの入力を使用するアクティブノイズキャンセレーションアルゴリズムを実行するように構成される。
【0022】
ある例では、イヤピースは、ハウジング内に支持された、電池と、マイクロホンと、サウンドプロセッサとを含む。
【0023】
いくつかの実装形態では、電気音響変換器は、第1及び第2の放射面を画定するダイヤフラムを含み、ダイヤフラムは、6mm未満の直径を有する。
【0024】
ある実装形態では、電気音響変換器は、可動コイル形変換器である。
【0025】
場合によっては、補聴器は電池と、第1のマイクロホンと、サウンドプロセッサと、送受信機と、第2のマイクロホンと、配線と、を含む。電池、第1のマイクロホン、サウンドプロセッサ及び送受信部は、ケーシング内に収容されている。第2のマイクロホンはハウジングによって支持され、配線はハウジングとケーシングとの間に延在し、第2のマイクロホンをサウンドプロセッサに電気的に連結する。
【0026】
いくつかの例では、サウンドプロセッサは、第2のマイクロホンからの入力を使用するアクティブノイズキャンセレーションアルゴリズムを実行するように構成される。
【0027】
別の一態様では、イヤピースは、電気音響変換器と、その電気音響変換器を支持するハウジングとを含む。ハウジング及び電気音響変換器は共同で、第1の音響空間及び第2の音響空間を画定する。電気音響変換器は、変換器の第1の放射面が音響エネルギーをフロント音響空間内に放射し、変換器の第2の放射面が音響エネルギーをリア音響空間内に放射するように配置される。フロントポートは、第1の音響空間をハウジングの外側の空間に連結し、リアポートは、第2の音響空間をハウジングの外側の空間に連結する。バルブが、フロントポート及びリアポートを覆って設けられ、バルブが閉じると、フロントポート及びリアポートを別々に閉じるように配置されている。
【0028】
実装形態は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0029】
別の一態様は、電気音響変換器と、マイクロホンと、電気音響変換器及びマイクロホンを支持し、ユーザの外耳道内に少なくとも部分的に収まるようにサイズ決めされたハウジングと、を含む補聴器を特徴とする。補聴器はまた、電子機器と、電子機器を支持し、装着時にユーザの耳介の後ろに位置するように構成されたケーシングと、ケーシングとハウジングとの間に延在し、電子機器を電気音響変換器及びマイクロホンに電気的に連結する配線と、を含む。
【0030】
実装形態は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0031】
いくつかの実装形態では、電子機器は、マイクロホンからの入力に基づいて、アクティブノイズキャンセレーションアルゴリズムを実行して、ノイズをキャンセルするための音響エネルギーを、電気音響変換器に生成させる信号を生成するように構成される。
【0032】
別の一態様は、電気音響変換器と、電気音響変換器を支持し、ユーザの外耳道内に少なくとも部分的に収まるようにサイズ決めされたハウジングと、を含む補聴器を提供する。補聴器はまた、電子機器と、電子機器を支持し、装着時にユーザの耳介の後ろに位置するように構成されたケーシングと、ケーシングとハウジングとの間に延在し、電子機器を電気音響変換器に電気的に連結する配線と、ハウジングによって支持されたマイクロホンと、を含む。電子機器は、マイクロホンからの入力に基づいて、アクティブノイズキャンセレーションアルゴリズムを実行して、ノイズをキャンセルするための音響エネルギーを、電気音響変換器に生成させる信号を生成するように構成される。
【0033】
実装形態は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0034】
いくつかの実装形態では、電気音響変換器は、フルレンジ変換器である。
【0035】
ある実装形態では、電気音響変換器は、可動コイル形変換器である。
【0036】
場合によっては、電子機器は、高忠実度音声の伝送をサポートする送受信機を含む。
【0037】
ある場合には、マイクロホンが、ハウジングによって支持され、配線が、マイクロホンを電子機器に電気的に連結する。
【0038】
いくつかの例では、マイクロホンは、ユーザの外耳道で音声を拾い上げるように構成されたフィードバックマイクロホンである。
【0039】
ある例では、マイクロホンは、フィードフォワードノイズキャンセレーションのために、ユーザの耳介に隣接する空気に音響的に連結されるように構成されたフィードフォワードマイクロホンである。
【0040】
いくつかの実装形態では、補聴器は、ケーシングによって支持された第2のマイクロホンも含む。
【0041】
ある実装形態では、第2のマイクロホンはマイクロホンアレイを含む。
【0042】
場合によっては、補聴器は、コンピューティングデバイスも含むシステムに組み込まれる。コンピューティングデバイスは、補聴器に通信可能に連結され、ユーザが補聴器の1つ以上の機能を調整することを可能にするソフトウェアプログラムを実行するように構成される。
【0043】
ある場合には、ソフトウェアプログラムは、ユーザが補聴器の信号処理パラメータを調整することを可能にする。
【0044】
いくつかの例では、信号処理パラメータは、アクティブノイズキャンセレーションアルゴリズムのためのフィルタ係数を含む。
【0045】
実装形態は、以下の利点のうちの1つ以上を提供し得る。
【0046】
実装形態は、イヤピースなどのデバイスが、その音響ポートの遮断に起因して過度の低周波圧力を意図せずに生成することができない、低い閉塞及び平坦な低周波出力を有するように設計されることを可能にし得る。いくつかの実装形態は、ポートの遮断にかかわらず、イヤピースの出力のより高い一貫性を可能にし得る。補聴デバイスの場合、本明細書で説明される特定の実装形態は、過剰な圧力を生成することなく、標準化された試験に従ってデバイスが試験されることを可能にし得る。
【0047】
1つ以上の実装形態の詳細が、添付図面及び以下の説明において記載される。他の特徴、目的、及び利点は、本説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】典型的な外耳道レシーバ(receiver-in-canal、RIC)補聴器の斜視図である。
図2A】補聴器用の閉ドーム型イヤチップの正面図である。
図2B】補聴器用の開ドーム型イヤチップの正面図である。
図3A】例示的なRIC型補聴器のイヤピースの斜視図である。
図3B図3Aのイヤピースの概略側断面図である。
図4図3Aに従って構成されたイヤピースにおける、シールされたフロントポートとシールされていないフロントポートとの間の音圧レベルの差を示すプロットである。
図5A】本開示に従って構成された、別の例示的なイヤピースの概略側断面図である。
図5B】本開示に従って構成されたイヤピースの、代替的な実装形態を示す概略側断面図である。
図5C】本開示に従って構成されたイヤピースの、代替的な実装形態を示す概略側断面図である。
図5D】本開示に従って構成されたイヤピースの、代替的な実装形態を示す概略側断面図である。
図6図5Aに従って構成されたイヤピースにおける、シールされたフロントポートとシールされていないフロントポートとの間の音圧レベルの差を示すプロットである。
図7】本開示に従って構成された例示的な補聴器の概略図である。
図8A】本開示に従って構成された例示的なシステムの概略図である。
図8B図8Aのシステムからの例示的なコンピューティングデバイスの概略図である。
図9】本開示に従って構成されたイヤピースの、代替的な実装形態を示す概略側断面図である。
図10】本開示に従って構成されたイヤピースの、代替的な実装形態を示す概略側断面図である。
図11A】本開示に従って構成されたイヤピースの、代替的な実装形態を示す概略側断面図である。
図11B】本開示に従って構成されたイヤピースの、代替的な実装形態を示す概略側断面図である。
図12】本開示に従って構成されたイヤカップの概略側断面図である。
図13図12のイヤカップを組み込んだ一対のヘッドホンの概略図である。
【0049】
様々な実装形態の図面は必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図するものであり、したがって、発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号付けは、図面間の同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1を参照すると、典型的な外耳道レシーバ型(RIC)補聴器100は、ユーザの耳(耳介)の後ろに位置するように設計されたケーシング104内に収容された電池、マイクロホン、及びサウンドプロセッサを含む耳掛け部102を含む。補聴器100のこの耳掛け部102は、小さなワイヤ106を有し、この小さなワイヤ106は、ユーザの外耳道内に位置するように設計されたイヤピース108に、ユーザの耳の周りを通って入るように設計されている。イヤピース108は、「レシーバ」又は「ドライバ」としても知られるスピーカを担持する。
【0051】
従来のRIC型補聴器は、ユーザの外耳道に係合するために、イヤピース上に柔軟性のあるチップを含むことが多く、これは、イヤピースをユーザの外耳道内の所定の位置に保持するのに役立つ。これらのイヤチップ又は「ドーム」は、典型的には、i)閉鎖型:ユーザの外耳道と緊密な音響シールを形成する(図2Aの「閉ドーム200」を参照)であるか、又はii)開放型:音響エネルギーがユーザの外耳道の内外に移動することを可能にする、多数の大開口204を有する(図2Bの「開ドーム202」を参照)。
【0052】
閉ドーム構成は、閉塞効果として知られるものに悩まされる。閉塞効果は、外耳道の音響遮断に起因して、ユーザ自身の声の低域周波数成分を増幅する。ユーザの声に起因する振動は、頭部を通って外耳道内に移動する。耳が閉塞されていない場合、関連する圧力は、耳から逃れるが、耳が閉塞されて圧力が逃げることができない場合、低周波数成分は、ユーザの耳の内部で全体的に増幅されてしまう。耳を閉塞することにより、更なる問題が生じるが、それは、外耳道の遮断が、ユーザの声の高域周波数成分が頭部の周囲を移動して耳に戻ることを阻害するということである。これらの2つの問題は、典型的には、ユーザの声が「ブーミー」又は「くぐもっている」と知覚される望ましくない自声品質を生じる。「自声」は、発話中にユーザがユーザ自身の声を知覚することを指す。
【0053】
開ドーム(すなわち「低閉塞」)構成は、この閉塞効果を軽減するが、別の問題を引き起こす。低閉塞インイヤデバイスは、典型的には、外耳道からデバイス及び外耳道の外側への漏出経路を有する。この漏出は、耳に到達し得る、製品が生成した低周波圧力を減少させる。そのような構成において平坦な応答を得るために、デバイスは、より閉塞性の高いデバイスに対して、低い周波数においては、過剰な空気圧縮を生成しなければならない。多くの潜在的な構成では、この漏出経路は、例えば、フィッティング不良、耳垢、又は異物によって、閉塞又はシールされる可能性がある。これは、デバイスが、設計によって意図されるよりも高い圧力を外耳道内に生成することをもたらし得る。これらのより高い圧力は、規制上の又は安全上の限界を超えるおそれがある。本開示は、これらの不具合が、デバイスによって潜在的に生成される圧力に対してより小さい増加しかもたらさないように、イヤピースのアーキテクチャが設計され得るという認識に少なくとも部分的に基づく。
【0054】
図3A及び図3Bは、RIC型補聴器のための例示的なイヤピース300を示す。イヤピース300は、イヤバッド302及びイヤチップ304を含む。イヤバッド302は、電気音響変換器308(すなわち、スピーカ又はドライバ)を支持するハウジング306を含む。ハウジング306及び電気音響変換器308は共同で、第1の(フロント)音響空間310及び第2の(リア)音響空間312を画定する。電気音響変換器308は、変換器308の第1の(フロント)放射面が音響エネルギーをフロント音響空間310内に放射し、変換器308の第2の(リア)放射面が音響エネルギーをリア音響空間312内に放射するように配置される。
【0055】
ハウジング306はまた、イヤチップ304に連結されるように構成されたノズル314を画定する。フロント音響空間310は、ノズル314内の音響通路316に音響的に連結されており、例えば、イヤピース300が装着されたときに、電気音響変換器308がユーザの外耳道に音響的に連結され得る。ハウジング306はまた、電気音響変換器308に電力を供給するための配線を受けるためのレセプタクル318を画定する。
【0056】
イヤチップ304は、ノズル314上に支持され、一対のフロントポートを含む。すなわち、それぞれ第1のフロントポート320a及び第2のフロントポート320bである。ハウジング306はまた、フロント音響空間310をハウジング306の外部の領域に音響的に連結する第3のフロントポート322を画定する。3つのフロントポートが示され説明されているが、より少ない又はより多いポートがあってもよい。ポートは、開放穴、スクリーンで覆われた穴、又は所望の音響挙動をもたらす任意の他の構成からなってもよい。いくつかの構成では、第3のフロントポート322は、小さい音響漏れを示し、第1及び第2のフロントポート320a、320bは、比較的大きい音響漏れを提供する。イヤピース300はまた、リア音響空間312をハウジング306の外側の空間に連結するリアポート324を含む。リアポート324は、主に、ドライバ上のリア空間の有効剛性を低減し、環境変化による過圧を防止するように機能し、一方、フロントポート(複数可)320a、320b、322は、外耳道内の過剰な低周波圧力を防止し、閉塞を低減する。
【0057】
図3A及び図3Bに示すイヤピース300では、第1及び第2のフロントポート320a、320bが、例えば、不適切なフィッティング、耳垢、又は異物によってシールされている場合、鼓膜において大きな圧力が発生する可能性がある。また、いくつかの試験手順は、これらのポートが試験中にシールされることを要求し得るということに留意されたい。システムが、そのフロントポートに起因する大きな漏出と、この漏出を補うための大きなドライバ出力との両方を有する場合、上記のようにすることで、これらの試験中に人工的に高い圧力を示すであろう。
【0058】
図4は、図3Aに従って構成されたイヤピースにおける、シールされた及びシールされていないフロントポート320a、320b、322についての比較の一例を示す。曲線400は、フロントポート320a、32b、422がシールされているときと、フロントポート320a、320b、422が開放されているときとの、ボルト当たりの発生圧力の差を示す。図4に見られるように、フロントポート302a、320b、及び322が特に700Hz未満の周波数時にシールされているとき、音圧レベルの著しい増加が起こる。
【0059】
図5Aは、本開示に従って構成された別の例示的なイヤピース500を示す。図5Aに示す構成の1つの目標は、デバイスの音響ポートのいかなる所与の遮断に対しても、デバイス性能の変化が意図せずに高いSPLを生成する可能性を生じさせないことを保証する助けとなることである。副次的な利益としては、提案されたデバイスが、標準化された試験中に非典型的な高圧を生成しないということである。
【0060】
イヤピース500は、イヤバッド502及びイヤチップ504を含む。イヤバッド502は、電気音響変換器508(すなわち、スピーカ又はドライバ)を支持するハウジング506を含む。電気音響変換器508は、可動コイル形変換器であってもよい。電気音響変換器508は、例えば、直径6mm未満、例えば、直径3mm~5.5mm、例えば、直径4.3mm~5.4mmのダイヤフラムを有する、フルレンジマイクロドライバであってもよく、例えば、2018年4月10日に発行された「Electro-acoustic driver having compliant diaphragm with stiffening element」と題された米国特許第9,942,662号、及び/又は2020年3月31日に発行された「Fabricating an integrated loudspeaker piston and suspension」と題された米国特許第10,609,489号に説明されるもの等であってもよく、それらの開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される場合、「フルレンジ」とは、約20Hz~約20kHzの周波数を生成することができることを意味するように意図される。
【0061】
ハウジング506及び電気音響変換器508は共同で、第1の(フロント)音響空間510及び第2の(リア)音響空間512を画定する。電気音響変換器508は、変換器508の第1の(フロント)放射面が音響エネルギーをフロント音響空間510内で生成し、変換器508の第2の(リア)放射面が音響エネルギーをリア音響空間512内で生成するように配置される。
【0062】
ハウジング506はまた、イヤチップ504に連結されるように構成されたノズル514を画定する。フロント音響空間510は、ノズル514内の音響通路516に音響的に連結されており、例えば、イヤピース500が装着されたときに、電気音響変換器508がユーザの外耳道に音響的に連結され得る。ハウジング506はまた、電気音響変換器508に電力を供給するための配線を受けるためのレセプタクル518を画定する。ハウジング506は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PCB/ABS)、ポリエーテルイミド(PEI)、又はステレオリソグラフィ(SLA)樹脂などの硬質プラスチックから、例えば型成形により、形成されてもよい。
【0063】
図示の例では、イヤチップ504は、イヤバッド502のノズル514を受け入れるように構成された中空通路520を有する中空円筒の形状である。イヤチップ504は、人の外耳道内に少なくとも部分的にフィットするように構成される。イヤチップ504は、イヤバッド502を受け入れ、かつ/又はイヤバッド502の上に装着されるように構成された本体522を含む。本体522は、第1の端部524と、第1の端部524の反対側の第2の端部526とを含む。本体522は、第1の端部524と第2の端部526との間に延在する内壁528を更に含む。内壁528は、音波を伝導するように構成され得る中空通路520を画定し、取り囲む。本体522はまた、第1の端部524において内壁528に接続された外壁530を含む。外壁530は、内壁528から離れて、第2の端部526に向かって延びている。図示の例では、外壁530はドーム状の形状である。しかしながら、円錐台形などの他の形状も考えられる。加えて、ノズル514を含まずにイヤチップがハウジング506によって支持される実装形態が企図される。図5Aに示す例では、イヤチップ504は、ユーザの外耳道との間に緊密な音響シールが形成されるように、ポートも開口もない閉鎖型である。図5Aに示す例では、イヤチップ504は、ユーザの外耳道との間に緊密な音響シールが形成されるように、ポートも開口もない閉鎖型である。
【0064】
中空円筒の形状のイヤチップ504が図示され説明されてきたが、イヤチップ504は、いかなる特定の形状にも限定されず、他の形状が企図される。
【0065】
本体522は、例えば、シリコーン、ポリウレタン、ポリノルボルネン(例えば、D-NOV GmbH(オーストリア、ウィーン)から入手可能なNorsorex(登録商標)材料)、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び/又はフルオロエラストマーを含む、任意の好適な軟質可撓性材料から作製されることができる。いくつかの実装形態では、内壁528及び外壁530は、例えば付加製造プロセス又は2ショット式型成形プロセスにおいて、異なる材料から形成され得る。場合によっては、内壁528は、例えば、ノズル514への良好な連結を確実にするために、より高いデュロメータ値の材料から形成されてもよく、外壁530は、例えば、柔軟性(良好な音響シールを確実にするため)及び快適性のために、より低いデュロメータ値の材料から形成されてもよい。あるいは又は更に、イヤチップの1つ以上の部品は、実質的に剛性の材料から個人の耳にフィットするようにカスタム型成形されてもよい。更に、いくつかの実装形態は、イヤチップを含まなくてもよい。そのような場合、イヤバッドの1つ以上の部品は、個人の耳にフィットするように、例えば実質的に剛性の材料からカスタム型成形されてもよい。
【0066】
イヤピース500は、フロント音響空間510をハウジング506の外側の空間に連結するフロントポート532と、リア音響空間512をハウジング506の外側の空間に連結するリアポート534とを含む。リアポート534は、主に、ドライバ上のリア空間の有効剛性を低減し、環境変化による過圧を防止するように機能し、一方、フロントポート532は、外耳道内の過剰な低周波圧力を防止し、閉塞を低減する。
【0067】
いくつかの例では、フロントポートは、チューブの形態で実装されていてもよい。フロントポートチューブは、ハウジング306と一体的に形成されていてもよい。代替的に又は追加的に、フロントポートチューブは、金属、例えばステンレス鋼で作られていてもよい。フロントポートチューブは、フロント音響空間310の壁の内側に据え付けられた金属チューブを含んでいてもよい。ハウジング306はプラスチックで作られていてもよく、フロントポートチューブはそのプラスチックに熱かしめされていてもよい。チューブは、実質的にまっすぐであってもよく、又はその長さに沿って湾曲していてもよい。本明細書で使用される場合、「直径」は、円形断面についての円の直径、及び非円形断面(例えば、正方形、長方形、又は実質的に半円形の断面)についての等価の直径を包含することが意図される。あるいは、フロントポートは、穴、例えば、開放された穴又はメッシュで覆われた穴の形態であり得る。
【0068】
場合によっては、リアポート534は、チューブの形態で実装されていてもよい。チューブは、ハウジング506と一体的に形成されていてもよい。代替的に又は追加的に、チューブは、金属、例えばステンレス鋼で作られていてもよい。チューブは、リア音響空間512の壁の内側に据え付けられた金属チューブを含んでいてもよい。ハウジング506はプラスチックで作られていてもよく、チューブはそのプラスチックに熱かしめされていてもよい。代替的に、リアポートは、穴、例えば、開放穴又はスクリーンで覆われた穴の形態で実装されてもよい。チューブは、実質的にまっすぐであってもよく、又はその長さに沿って湾曲していてもよい。本明細書中で使用される場合、「直径」は、円形断面についての円の直径、並びに非円形断面(例えば、正方形、長方形、又は実質的に半円形の断面)についての等価直径を包含することが意図される。
【0069】
特に、フロントポート532の入口端は、イヤピース500の内部にあり、それをイヤピース500の外部で遮断する唯一の方法は、イヤピース500のノズル514を遮断することである。これは、ノズル514をブロックすることが、いかなる人工的に高い製品生成音圧も耳に入らないように防止し得るので、望ましい可能性がある。また、リアポート534及びフロントポート532のそれぞれの出口端部は結合されてから、結合された出口空間536と出口ポート538とを介して製品を出るということに留意されたい。これが意味するのは、どちらも、他方を塞がずに塞ぐことができないということを意味する。塞がれた状態では、出口ポートのインピーダンスが増加し、それによってフロント音響空間510及びリア音響空間512が音響的に短絡され、フロントポート532のみを塞ぐことによって生じたであろう圧力に対して、耳における圧力が減少する。これは、最大圧力の低下も結果としてもたらすように設計することができる。いくつかの実装形態では、出口ポート538がシール(遮断)されているときのフロント音響空間510内の最大圧力は、100dB SPL~120dB SPLである。場合によっては、出口ポート538がシールされているときのフロント音響空間510内の最大圧力は、132dB SPL以下である。
【0070】
出口ポート538は、メッシュ(例えば、金属スクリーン)で覆われた穴540(図5A)、開放された穴542(図5B)、チューブ544(図5C)、又は複数の穴、例えば、複数の、メッシュで覆われた穴又は開放穴546(図5D)等の様々な形態をとり得る。図5Cのチューブ544の出口端は、メッシュで覆われていても覆われていなくてもよい。出口空間のサイズ及び出口ポートのインピーダンスは、開放及びシール条件下で所望の性能を提供するように調整されてもよい。更に、単一の出口ポートのみが示されているが、出口は多数の開口部を含むことができる。
【0071】
図6は、図5Aに従って構成されたイヤピースにおける、シールされた出口ポートとシールされていない出口ポート538とを比較した例(差分曲線)を示す。曲線600は、出口ポート538がシールされている場合と、出口ポート538が開いている場合とのボルト当たりの発生圧力の差を示す。図4に示されるものと比較して、シールされた場合とシールされていない場合との間の差が小さいということに留意されたい。
【0072】
図7は、図5Aのイヤピース500と、ユーザの耳(耳介)の後ろに位置するように設計された耳掛け部702とを含む例示的な補聴器700を示す。耳掛け部702は、ケーシング704を含み、そのケーシング704は、サウンドプロセッサ708を含む電子機器706と、電子機器708に電力を供給する電池710と、マイクロホン712とを収容する。場合によっては、マイクロホン712は、アレイ状に構成され得る複数のマイクロホンを含み得る。サウンドプロセッサ708は、マイクロホン712から信号を受信し、ビームステアリング、ヌル形成、利得、圧縮、及び/又はアクティブノイズキャンセレーション(例えば、フィードフォワードアクティブノイズキャンセレーション)を含む1つ以上の処理動作を実行する。
【0073】
電子機器706はまた、送受信機回路714を含み得る。送受信機回路714は、電気音響変換器508によるレンダリングのためのストリーミング音声(例えば、高忠実度音声)の受信を含む、無線信号を送信及び受信し得る。送受信機回路714は、デジタル音声ファイルを記憶及び/又は再生する、スマートフォン、又はラップトップ若しくはパーソナルコンピュータ等の任意の他の好適なデジタル音声再生デバイス等のデータソースと無線通信してもよい。代替的又は追加的に、送受信機回路714は、例えばステレオ再生又はビーム形成のために、例えば2つの補聴器間でデジタル音声コンテンツを伝送するために、第2の、コンパニオン補聴器と通信するように構成されてもよい。送受信機回路714は、Bluetooth、Bluetooth Low Energy(BLE)、Wi-Fi(例えば、IEEE 802.11a/b/g/n)、WiMAX(IEEE 802.16)、Zigbee、UWB、NFMI、又は任意の他の適切な無線通信プロトコルを含む任意の適切な無線通信プロトコルを使用して、例えば、データソース又は第2の、コンパニオン補聴器と通信してもよい。
【0074】
送受信機回路714はまた、スマートフォンなどのコンピューティングデバイス上で実行されるソフトウェアアプリケーションとの通信を可能にし得る。ソフトウェアアプリケーションは、セルフチューニングのために用いられて、ユーザがDSPフィルタを調整してオーディオ(オーディオデータソースから来る高忠実度オーディオ又はマイクロホン712(例えば、マイクロホンアレイ)から送達されるオーディオのいずれか)を同調させることを可能にする。
【0075】
電子機器706は、オーディオ増幅器、アナログ-デジタル(A/D)変換器(例えばアナログマイクロホン信号をデジタル形式に変換するための変換器)、デジタル-アナログ(D/A)変換器(例えば電気音響変換器508による変換のためにデジタルオーディオ信号をアナログ形式に変換するための変換器)、及び様々な電子構成要素の動作を制御するためのマイクロコントローラを、更に含み得る。
【0076】
補聴器700のこの耳掛け部分702は、ユーザの耳の周りを通ってイヤピース500内に延びるように設計された配線718を含む。配線718は、イヤピースと耳掛け部分との間に延びる共通導管(例えば、シース又はチューブ)内に担持された複数のワイヤを含んでもよい。配線718は、電気音響変換器508に電力を供給する。配線718はまた、イヤピース500のハウジング506内に支持されたマイクロホン720(例えば、フィードバックマイクロホン)に電子機器706を連結するために使用されてもよい。配線718は、フレキシブルプリント回路を含んでもよい。すなわち、1つ以上のフレキシブルプリント回路及び/又は配線718は、ハウジング506内の1つ以上のフレキシブルプリント回路に連結され得る。
【0077】
マイクロホン720は、ユーザの外耳道で音声を拾い上げるように構成される。マイクロホン720からの入力は、フィードバックアクティブノイズキャンセレーションのために、サウンドプロセッサ708にフィードバックされ得る。マイクロホン720は、「FeedBack microphone adaptor for noise canceling headphone」と題され、2018年7月3日に発行された米国特許第10,015,581号(その開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、電気音響変換器508によって支持されていてもよい。
【0078】
いくつかの実装形態では、代替的に又は追加的に、補聴器700は、イヤピース500のハウジング506によって支持され(例えば、その上に又はその中に支持され)、ユーザの耳介に隣接する空気に音響的に連結されるように配置されたマイクロホン722(例えば、フィードフォワードマイクロホン)を含み得る。マイクロホン722からの入力は、フィードフォワードアクティブノイズキャンセレーションのために、配線718を介してサウンドプロセッサ708にフィードバックされ得る。
【0079】
図8Aは、図7の補聴器700及びコンピューティングデバイス802(例えば、スマートフォン)を含む、システム800を示す。補聴器700及びコンピューティングデバイス802は、それぞれの送受信機を介して、無線ネットワーク804a上で無線通信することができる。上述したように、コンピューティングデバイス802は、音声を補聴器700に提供するように構成されてもよい。コンピューティングデバイス802はまた、再生、トランスポート制御、例えば、再生/一時停止、及び/又は音量若しくはイコライゼーション制御のために、音声コンテンツを選択するのに使用され得る。いくつかの実装形態では、コンピューティングデバイス802は、2015年9月8日に発行された「Hearing assistance device control」という名称の米国特許第9,131,321号に記載されているような、ユーザが補聴器のための信号処理パラメータを調整することを可能にするソフトウェアプログラムを実行することができる。
【0080】
場合によっては、システム800は、第2の、コンパニオン補聴器700’を含み得る。コンピューティングデバイス802は、第2の補聴器700’と直接(例えば、無線ネットワーク804bを介して)又は(第1の)補聴器700を介して無線で通信するように構成されてもよい。更に、補聴器700、700’は、例えば無線ネットワーク804cを介して音声データ又は制御情報を共有するために、互いに無線で通信するように構成されてもよい。
【0081】
図8Bを参照すると、コンピューティングデバイス802は、他の構成要素の中でも、プロセッサ852、メモリ864、ディスプレイ854などの入力/出力デバイス、通信インターフェース866、及び送受信機868を含む。デバイス802はまた、追加のストレージを提供するために、マイクロドライブ又は他のデバイス等の記憶デバイスを提供されてもよい。構成要素802、852、864、854、866、及び868の各々は、様々なバスを使用して相互接続され、構成要素のうちのいくつかは、共通マザーボード上に、又は必要に応じて他の様式で実装され得る。
【0082】
プロセッサ852は、メモリ864に記憶された命令を含む、コンピューティングデバイス802内の命令を実行することができる。プロセッサは、別個の複数のアナログ及びデジタルプロセッサを含むチップのチップセットとして実装されてもよい。プロセッサは、例えば、ユーザインターフェースの制御、デバイス802によって実行されるアプリケーションの制御、デバイス802による無線通信などの、デバイス802の他の構成要素の調整を行い得る。
【0083】
プロセッサ852は、制御インターフェース858と、ディスプレイ854に連結されたディスプレイインターフェース856とを介して、ユーザと通信することができる。ディスプレイ854は、例えば、TFT LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)若しくはOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、又は他の適切なディスプレイ技術であってもよい。ディスプレイインターフェース856は、グラフィカル情報及び他の情報をユーザに提示するためにディスプレイ854を駆動するための、適切な回路を備え得る。制御インターフェース858は、ユーザからコマンドを受信し、プロセッサ852へ提供するためにそれらを変換し得る。加えて、外部インターフェース862は、プロセッサ852と通信して、デバイス802に他のデバイスとの近距離通信を可能にし得る。外部インターフェース862は、例えば、いくつかの実装形態においては有線通信を提供してもよく、他の実装形態において無線通信を提供してもよく、複数のインターフェースが使用されてもよい。
【0084】
メモリ864は、コンピューティングデバイス802内に情報を記憶する。メモリ864は、1つ以上のコンピュータ可読媒体、1つ以上の揮発性メモリユニット、又は1つ以上の不揮発性メモリユニットのうちの、1つ以上のものとして実装され得る。拡張メモリ874も提供され、例えば、SIMM(Single In Line Memory Module)カードインターフェースを含み得る拡張インターフェース872を介して、デバイス802に接続され得る。そのような拡張メモリ874は、デバイス802のための追加的な記憶空間を提供することができ、又はデバイス802のためのアプリケーション若しくは他の情報を記憶することもできる。具体的には、拡張メモリ874は、上述のプロセスを実行又は補足するための命令を含むことができ、セキュア情報も含むことができる。したがって、例えば、拡張メモリ874は、デバイス802のためのセキュリティモジュールとして提供されてもよく、デバイス802の安全な使用を可能にする命令でプログラムされてもよい。更に、ハッキング不可能な方法でSIMMカード上に識別情報を配置するなど、追加情報とともに、SIMMカードを介して安全なアプリケーションを提供することができる。
【0085】
メモリは、例えば、後述するように、フラッシュメモリ及び/又はNVRAMメモリを含んでもよい。一実装形態では、コンピュータプログラム製品は、情報キャリアの形で有形に具現化される。コンピュータプログラム製品は、実行されると、上述したような1つ以上の方法を実行する命令を含む。情報キャリアは、メモリ864、拡張メモリ874、プロセッサ852上のメモリ、又は例えば送受信機868若しくは外部インターフェース862を介して受信され得る伝搬信号などの、コンピュータ可読媒体若しくは機械可読媒体である。
【0086】
デバイス802は、通信インターフェース866を介して無線通信し得るが、この通信インターフェース866は、必要に応じてデジタル信号処理回路を含み得る。通信インターフェース866は、とりわけ、GSM音声コール、SMSメール、EMSメール、又はMMSメール、CDMA、TDMA、PDC、WCDMA(登録商標)、CDMA2000、又はGPRSなど、様々なモード又はプロトコルの下で通信を提供することができる。そのような通信は、例えば、無線周波数送受信機868を通して行われてもよい。加えて、Bluetooth、WiFi、又は他のそのような送受信機(図示せず)等を使用して、短距離通信が行われてもよい。加えて、全地球測位システム(Global Positioning System、GPS)受信機モジュール870は、追加のナビゲーション関連及び位置特定関連の無線データを、デバイス802に提供してもよく、これらのデータは、デバイス802上で実行されるアプリケーションによって適宜使用されてもよい。
【0087】
デバイス802はまた、ユーザから話された情報を受信し、それを使用可能なデジタル情報に変換し得る、オーディオコーデック860を使用して可聴的に通信してもよい。オーディオコーデック860は、同様に、例えば、デバイス802のハンドセット内のスピーカなどを通して、ユーザのための可聴音を生成し得る。そのような音は、音声通話からの音を含んでもよく、記録された音(例えば、音声メッセージ、音楽ファイルなど)を含んでもよく、デバイス802上で動作するアプリケーションによって生成された音も含んでもよい。
【0088】
コンピューティングデバイス802は、図に示されるように、多くの異なる形態で実装され得る。例えば、それは携帯電話880として実装されてもよい。それはまた、スマートフォン882、携帯情報端末、タブレットコンピュータ、又は他の同様のモバイルデバイスの一部として実装され得る。
【0089】
他の実装形態
図5Aに関して上述した例では、イヤチップ504は、ユーザの外耳道との間に緊密な音響シールが形成されるように、ポートも開口もない閉鎖型である。しかしながら、いくつかの実装形態では、イヤチップは、均圧ポート又は開口を含んでもよい。ただし、イヤチップ内のいかなるポートもハウジング内の均圧ポートよりもはるかに小さいことを条件とする。
【0090】
共通の出口ポートに連結された単一のリアポート及び単一のフロントポートを含む実装形態について説明してきたが、いくつかの実装形態は、リアポート及びフロントポートの複数の対を含んでいてよく、例えば、各対が対応する出口ポートに連結されていてよい。例えば、図9は、イヤピース900を示すが、このイヤピース900は、第1のフロントポート532及び第1のリアポート534を含み、これらの出口は、第1の出口空間536内で連結されてから、第1の出口ポート538を介してイヤピース900から出る。またイヤピース900は、第2のフロントポート902及び第2のリアポート904を含み、これらの出口は、第2の出口空間906内で連結されてから、第2の出口ポート908を介してイヤピース900から出る。フロントポート532、902は、フロント音響空間510を、ハウジング506の外部の領域に音響的に連結し、リアポート534、904は、リア音響空間512を、ハウジング506の外部の領域に音響的に連結する。上述した実装形態と同様に、出口ポート538、908は、メッシュで覆われていても覆われていなくてもよく、チューブを含んでいても含まなくてもよい。複数の出口ポートの使用は、完全なシールの可能性を低減し得るが、それでもなお、出口ポートのいずれか一方又は両方がシールされる場合、依然として圧力増加を緩和するのに役立つ。また、複数のフロントポート及び/又は複数のリアポートを同じ出口空間に組み合わせることも可能である。複数のポート経路が使用される場合、それらは、寸法/音響インピーダンスにおいて同一であっても異なっていてもよい。
【0091】
イヤピース900はまた、ユーザの外耳道内の音声を拾い上げるために第1の音響空間510に音響的に連結されたマイクロホン720(例えば、フィードバックマイクロホン)を含み得る。代替的に又は追加的に、イヤピース900は、フィードフォワードノイズキャンセレーションのために周囲雑音を拾い上げるように、イヤピース500のハウジング506によって支持されるマイクロホン722(例えば、フィードフォワードマイクロホン)を含み得る。
【0092】
図10を参照すると、別の一実装形態では、イヤピース1000は、出口空間を省略した上で、フロントポート532及びリアポート534を覆うバルブ120を有して作製され得る。なお、バルブ1002が閉鎖される場合、バルブ1002が、フロントポート532及びリアポート534を、別々に閉鎖するようになっている。この場合、フロント音響空間510及びリア音響空間512は音響的に短絡することがない。代わりに、マスポート534のシールは、システムの剛性を増加させると思われるが、耳内又は2cmのカプラ内における音圧は、図4に示されるシールされた場合に対しては低減されるが、図6に示されるシールされた場合ほどは低減されないと思われる。イヤピース1000は、ユーザの外耳道内の音声を拾い上げるために第1の音響空間510に音響的に連結されたマイクロホン720(例えば、フィードバックマイクロホン)を含み得る。代替的に又は追加的に、イヤピース1000は、フィードフォワードノイズキャンセレーションのために周囲雑音を拾い上げるように、イヤピース500のハウジング506によって支持されるマイクロホン722(例えば、フィードフォワードマイクロホン)を含み得る。
【0093】
可動コイル型電気音響変換器を使用する実装形態について説明してきたが、いくつかの実装形態は、平衡電機子ドライバを利用することができる。例えば、いくつかの実装形態は、ベント型平衡電機子ドライバを利用することができるが、このドライバは、ダイヤフラムの第1の側から放射された音響出力を、イヤピースの第1の音響空間に連結されたノズルを通して送達し、ダイヤフラムの第2の側から放射された音響エネルギーをイヤピースの第2の音響空間にベントする。
【0094】
いくつかの実装形態は、複数の平衡電機子を含み得る。1つの例は、単一のハウジング内に、2つの平衡平衡電機子を含み、2つのダイヤフラムを有する。それらのダイヤフラムのそれぞれのフロント側は、ハウジング内で連結され、開口又はノズルを介して、フロント音響空間に音響的に連結される。それらのダイヤフラムのリア側は、ハウジング内では分離されており、リア音響空間内に別々にベントする。
【0095】
以上、RIC型補聴器のためのイヤピースの実装形態が示され説明されたが、リアポート及びフロントポートの連結は、他の用途、例えば、完全外耳道挿入型(CIC)、外耳道挿入型(ITC)、又は耳内(ITE)型補聴器のためのイヤピース、及びヘッドホン、例えば、有線又は無線ヘッドホン、及び耳内式又は耳回り式ヘッドホンのためのイヤピースに有益であり得る。
【0096】
更に、イヤピースが、イヤバッドと、イヤバッドに連結されたイヤチップとを含む実装形態について説明してきたが、図11Aは、イヤチップのないイヤバッド1102を含む、イヤピース1100の別の一実装形態を示す。イヤバッド1102は、ユーザの外耳道に直接係合して、それらの間に音響シールを形成するように構成される。イヤバッド1102は、電気音響変換器1108(すなわち、スピーカ又はドライバ)を支持するハウジング1106を含む。ハウジング1106及び電気音響変換器1108は共同で、第1の(フロント)音響空間1110及び第2の(リア)音響空間1112を画定する。電気音響変換器1108は、変換器1108の第1の(フロント)放射面が音響エネルギーをフロント音響空間1110内に放射し、変換器1108の第2の(リア)放射面が音響エネルギーをリア音響空間1112内に放射するように配置される。
【0097】
ハウジング1106はまた、ユーザの外耳道に直接係合してそれらの間に音響シールを形成するように構成されたノズル1114を画定する。フロント音響空間1110は、ノズル1114内の音響通路1116に音響的に連結されており、例えば、イヤピース1100が装着されたときに、電気音響変換器1108がユーザの外耳道に音響的に連結され得る。ハウジング1106はまた、電気音響変換器1108に電力を供給するための配線を受けるためのレセプタクル(図示せず)を画定してもよい。場合によっては、ハウジング1106はまた、マイクロホン、電池、及び/又はサウンドプロセッサを支持し得る。
【0098】
イヤピース1100は、フロント音響空間1110をハウジング1106の外側の空間に連結するフロントポート1132と、リア音響空間1112をハウジング1106の外側の空間に連結するリアポート1134とを含む。図5Aに関して上に論じた実装形態と同様に、リアポート1134及びフロントポート1132のそれぞれの出口端部は結合されてから、結合された出口空間1136と、出口ポート1138とを介して製品を出る。出口ポート1138は、チューブ、メッシュ、又は穴等の様々な形態をとり得る。イヤピース1100は、ユーザの外耳道内の音声を拾い上げるために第1の音響空間510に音響的に連結された、マイクロホン720(例えば、フィードバックマイクロホン)を含み得る。代替的に又は追加的に、イヤピース1000は、フィードフォワードノイズキャンセレーションのために周囲雑音を拾い上げるように、イヤピース500のハウジング506によって支持されるマイクロホン722(例えば、フィードフォワードマイクロホン)を含み得る。
【0099】
図11Aは、耳内型補聴器に有用であり得る構成を示し、図11Bは、外耳道内型又は完全外耳道内型構成に有益であり得る、イヤピース1100’の代替的な構成を示す。これに関して、図11Bの構成は、出口ポート1138を、ノズル1114に隣接するハウジング1106の表面(図11Aに示されるような場所)から、ノズル1114に対向するハウジング1106の表面に再配置している。
【0100】
図12は、耳回り式ヘッドホン用のイヤピース1200を示す。イヤピース1200は、イヤカップ1202及び耳覆いクッション1204を含む。イヤカップ1202は、電気音響変換器1208(すなわち、スピーカ又はドライバ)を支持するハウジング1206を含む。ハウジング1206及び電気音響変換器1208は共同で、第1の(フロント)音響空間1210及び第2の(リア)音響空間1212を画定する。電気音響変換器1208は、変換器1208の第1の(フロント)放射面が音響エネルギーをフロント音響空間1210内に放射し、変換器1208の第2の(リア)放射面が音響エネルギーをリア音響空間1212内に放射するように配置される。ハウジング1206は、プラスチック、例えばABSプラスチックなどの剛性を有する材料から形成されてもよい。耳覆いクッション1204は、ユーザの耳を円周方向に取り囲み、デバイスが装着されたときにフロント音響空間1210とユーザの頭部との間に音響シールを提供するように構成される。耳覆いクッション1204は、発泡体から形成されてもよい。
【0101】
イヤピース1200は、フロント音響空間1210をハウジング1206の外側の空間に連結するフロントポート1232と、リア音響空間1212をハウジング1206の外側の空間に連結するリアポート1234とを含む。上述した実装形態と同様に、リアポート1234及びフロントポート1232のそれぞれの出口端部は、一つに結合されてから、結合された出口空間1236と出口ポート1238とを介して製品を出てもよい。
【0102】
図13は、図12のイヤカップ1200を組み込んだ例示的な一対のヘッドホン1300を示す。ヘッドホン1300は、図12に従って構成された一対のイヤピース1200と、2つのイヤピース1200どうしを機械的に連結するバンド1302とを含む。イヤカップ1200(2つが示されている)は、バンド1302に対するイヤピース1200の関節運動を可能にするくびき状結合部1304を介してバンドに連結されてもよい。
【0103】
複数の実装形態を説明してきた。それにもかかわらず、本明細書に記載される本発明の概念の範囲から逸脱することなく追加の改変を行うことができ、したがって、他の実装形態も以下の請求項及び本出願人が権利を有し得るその他の請求項の範囲内にあるということが理解されるであろう。
【0104】
本明細書において、様々な例について記載及び例解してきたが、当業者であれば、様々な他の手段、及び/若しくは、機能を実施し、かつ/又は結果、及び/若しくは、本明細書に記載の1つ以上の利点を得るための構造を容易に着想し、こうした変更形態、及び/若しくは変形形態の各々は、本明細書に記載の例の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載のパラメータ、寸法、材料、及び構成の全てが例示的であること、更に、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、特定の用途、又は本発明の教示が使用される用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者であれば、日常的な実験を行うだけで、本明細書に記載されている特定例に相当する多くの等価物を認識又は確認することができるであろう。したがって、前述の例は、例示のみとして提示されたものであり、添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内で、明確に記載、特許請求された以外の方法で例を実施することができるということを理解されたい。本開示の例は、本明細書に記載の各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。更に、2つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法のいかなる組み合わせも、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
【図
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
【国際調査報告】