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特表2023-538853新たに診断されたマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス肺感染症の処置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】新たに診断されたマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス肺感染症の処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7036 20060101AFI20230905BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230905BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 31/133 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 31/7052 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
A61K31/7036
A61P31/04
A61P11/00
A61K9/127
A61K9/72
A61K47/18
A61K47/28
A61K9/12
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/133
A61K47/02
A61K31/7052
A61K31/7048
A61K9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509665
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021048199
(87)【国際公開番号】W WO2022047292
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/072,602
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513204012
【氏名又は名称】インスメッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】メインジ,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ユエン,デイトン
(72)【発明者】
【氏名】ジュマディロヴァ,ジャンナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA24
4C076AA36
4C076AA93
4C076BB01
4C076BB27
4C076DD23
4C076FF16
4C076FF70
4C076GG41
4C084AA22
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA13
4C084MA24
4C084MA35
4C084MA52
4C084MA56
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZB35
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4C086MA03
4C086MA05
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4C086MA56
4C086NA05
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4C086ZA59
4C086ZB35
4C086ZC75
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4C206MA03
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4C206MA72
4C206MA76
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4C206NA06
4C206NA14
4C206ZA59
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
アミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を、少なくとも約6ヶ月の投与期間にわたって患者の肺に投与することを含む、新たに診断された未処置のMAC肺感染症を処置するための方法が提供される。医薬組成物は、ネブライザーを介してエアロゾル化されて、遊離アミカシン又はその薬学的に許容される塩と、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩との混合物を含むエアロゾル化された医薬組成物を提供し、エアロゾル化された医薬組成物は、1回の投薬セッションで1日1回、ネブライザーを介して患者の肺に投与される。処置することは、投与期間中又は投与期間後に、1以上の患者報告アウトカムによって定義される呼吸器症状スコアを改善することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置を必要とする患者における、新たに診断された未処置のマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex)(MAC)肺感染症を処置する方法であって、前記方法は、
(i)複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を、少なくとも約6ヶ月の投与期間にわたって前記患者の肺に投与することであって、前記複数のリポソームの脂質成分が、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)及びコレステロールからなり、前記患者の前記肺への投与は、ネブライザーを介して前記医薬組成物をエアロゾル化して、遊離アミカシン又はその薬学的に許容される塩と、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩との混合物を含むエアロゾル化された医薬組成物を提供すること、及び前記投与期間中、1回の投薬セッションで1日1回、前記ネブライザーを介して前記患者の前記肺に前記エアロゾル化された医薬組成物を投与することを含む、投与すること、並びに
(ii)前記投与期間中、マクロライド系抗生物質及びエタンブトールを前記患者に投与すること
を含み、前記処置が、前記投与期間前の前記患者の呼吸器症状スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に患者報告アウトカム(PRO)によって測定される前記呼吸器症状スコアを改善することを含む、方法。
【請求項2】
前記呼吸器症状スコアが、生活の質質問票-気管支拡張症(QOL-B)又はその修正版の呼吸器領域スコアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記呼吸器症状スコアが、前記生活の質質問票-気管支拡張症(QOL-B)の修正版の前記呼吸器領域スコアを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記生活の質質問票-気管支拡張症(QOL-B)が、「気管支拡張症」という用語を「肺状態」に置換するように修正される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記呼吸器症状スコアを処置することが、重症度の全般的印象評価尺度(PGIS)呼吸器スコアをさらに含み、処置することが、前記処置前の前記患者の前記PGIS呼吸器スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に前記PGIS呼吸器スコアを改善することをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記呼吸器症状スコアが、前記投与期間中に改善される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
呼吸器症状スコアが、前記投与期間の終わりに改善される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記呼吸器症状スコアが、前記投与期間の約1ヶ月後に改善される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記呼吸器症状スコアが、前記投与期間の少なくとも約1ヶ月後に改善される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記呼吸器症状スコアが、前記投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に改善される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記患者の1つ以上の呼吸器症状が、前記投与期間の約3ヶ月後に改善される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記呼吸器症状スコアが、前記投与期間の少なくとも約3ヶ月後に改善される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記呼吸器症状スコアが、前記投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後に改善される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記処置が、前記投与期間前の前記患者の1つ以上の疲労症状と比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に前記患者のPROMIS Fatigue Short Form 7aスコアによって測定される前記1つ以上の疲労症状を改善することをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記処置が、前記投与期間前の前記患者の1つ以上の疲労症状と比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に前記患者のPGIS疲労スコアによって測定される前記1つ以上の疲労症状を改善することをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記患者の前記1つ以上の疲労症状が、前記投与期間中に改善される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記患者の前記1つ以上の疲労症状が、前記投与期間の終わりに改善される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項18】
前記患者の前記1つ以上の疲労症状が、前記投与期間の少なくとも約1ヶ月後に改善される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項19】
前記患者の前記1つ以上の疲労症状が、前記投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に改善される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項20】
前記患者の前記1つ以上の疲労症状が、前記投与期間の少なくとも約3ヶ月後に改善される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項21】
前記患者の前記1つ以上の疲労症状が、前記投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後に改善される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項22】
前記処置が、前記投与期間中又は前記投与期間後に前記患者において陰性MAC喀痰培養を達成することをさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記処置が、前記投与期間中又は前記投与期間後に前記患者においてMAC喀痰培養転換を達成することを含み、前記MAC喀痰培養転換が、2つの連続した陰性MAC喀痰培養として定義される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記処置が、前記投与期間中又は前記投与期間後に前記患者においてMAC喀痰培養転換を達成することを含み、前記MAC喀痰培養転換が、3つの連続した陰性MAC喀痰培養として定義される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記2つの連続する陰性MAC喀痰培養が、約30日間隔である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記3つの連続する陰性MAC喀痰培養が、互いに約30日間隔である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記患者が、前記投与期間中に前記MAC喀痰培養転換を達成する、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記患者が、前記投与期間の終わりに前記MAC喀痰培養転換を達成する、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記患者が、前記投与期間の少なくとも約1ヶ月後に前記MAC喀痰培養転換を達成する、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記患者が、前記投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に前記MAC喀痰培養転換を達成する、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記患者が、前記投与期間の約3ヶ月後に前記MAC喀痰培養転換を達成する、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記患者が、前記投与期間の少なくとも約3ヶ月後に前記MAC喀痰培養転換を達成する、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記患者が、前記投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後に前記MAC喀痰培養転換を達成する、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記処置が、同じ投与期間にわたって前記マクロライド系抗生物質及びエタンブトールを投与されたが、前記医薬組成物は投与されなかった、新たに診断された未処置のMAC肺感染症を有する患者と比較して、1回目の陰性MAC喀痰培養を達成するまでの時間を短縮することをさらに含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記処置が、同じ投与期間にわたって前記マクロライド系抗生物質及びエタンブトールを投与されたが、前記医薬組成物は投与されなかった、新たに診断された未処置のMAC肺感染症を有する患者と比較して、MAC喀痰培養転換を達成するまでの時間を短縮することをさらに含み、前記MAC喀痰培養転換が、2つの連続した陰性MAC喀痰培養として定義される、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記処置が、同じ投与期間にわたって前記マクロライド系抗生物質及びエタンブトールを投与されたが、前記医薬組成物は投与されなかった、新たに診断された未処置のMAC肺感染症を有する患者のMACの再発率と比較して、前記患者のMACの再発率を低下させることをさらに含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記再発性MACが、前記処置前の前記MACと同じ種及びゲノムのものである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記再発性MACが、前記処置前の前記MACと比較して、異なる種のものであるか、又は同じ種であるが異なるゲノムのものである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記処置が、前記処置前の前記患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、前記患者の前記QOL-B非呼吸器領域の前記1つ以上の前記スコアを改善することをさらに含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記患者の前記QOL-B非呼吸器領域の前記1つ以上の前記スコアが、前記投与期間中に改善される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記患者の前記QOL-B非呼吸器領域の前記1つ以上の前記スコアが、前記投与期間の終わりに改善される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記患者の前記QOL-B非呼吸器領域の前記1つ以上の前記スコアが、前記投与期間の少なくとも約1ヶ月後に改善される、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記患者の前記QOL-B非呼吸器領域の前記1つ以上の前記スコアが、前記投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に改善される、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記患者の前記QOL-B非呼吸器領域の前記1つ以上の前記スコアが、前記投与期間の少なくとも約3ヶ月後に改善される、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記患者の前記QOL-B非呼吸器領域の前記1つ以上の前記スコアが、前記投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後に改善される、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記処置が、前記処置前の前記患者が経験した日常活動及び睡眠効率と比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、前記患者のPhilips ACTIWATCH SPECTRUM PROアクティグラフィー装置によって測定される日常活動及び睡眠効率を改善することをさらに含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記患者の前記日常活動及び睡眠効率が、前記投与期間中に改善される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記患者の前記日常活動及び睡眠効率が、前記投与期間の少なくとも約1ヶ月後に改善される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記患者の前記日常活動及び睡眠効率が、前記投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に改善される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記患者の前記日常活動及び睡眠効率が、前記投与期間の少なくとも約3ヶ月後に改善される、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記患者の前記日常活動及び睡眠効率が、前記投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後に改善される、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記処置が、同じ投与期間にわたって前記マクロライド系抗生物質及びエタンブトールを投与されたが、前記医薬組成物は投与されなかった、新たに診断された未処置のMAC肺感染症を有する患者のアミカシン最小発育阻止濃度(MIC)≧128μg/mLによるMAC単離の発生率と比較して、前記患者のアミカシンMIC≧128μg/mLによるMAC単離の発生率を低下させることをさらに含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記投与期間が約6ヶ月~約36ヶ月である、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記投与期間が約6ヶ月~約30ヶ月である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記投与期間が約6ヶ月~約24ヶ月である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記投与期間が約6ヶ月~約18ヶ月である、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記投与期間が約6ヶ月~約12ヶ月である、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記投与期間が約12ヶ月~約36ヶ月である、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記投与期間が約12ヶ月~約24ヶ月である、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記投与期間が約12ヶ月である、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
前記投与期間が約18ヶ月である、請求項53に記載の方法。
【請求項62】
前記投与期間が約24ヶ月である、請求項53に記載の方法。
【請求項63】
前記投与期間が少なくとも約12ヶ月である、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記1回の投薬セッション中、前記エアロゾル化された医薬組成物が、約15分未満で投与される、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記1回の投薬セッション中、前記エアロゾル化された医薬組成物が、約10分~約14分で投与される、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記医薬組成物が、約500mg~約650mgのアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記医薬組成物が、約590mgのアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記アミカシン又はその薬学的に許容される塩が、アミカシン硫酸塩である、請求項1~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記複数のリポソームが、単層ベシクル、多層ベシクル、又はそれらの混合物を含む、請求項1~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記医薬組成物が、約70~約75mg/mLのアミカシン又はその薬学的に許容される塩;約32~約35mg/mLのDPPC;及び約16~約17mg/mLコレステロールを含む、請求項1~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記医薬組成物が、約70mg/mLのアミカシン硫酸塩;約30~約35mg/mLのDPPC;及び約15~約17mg/mLのコレステロールを含む、請求項1~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記医薬組成物が、約1.5%(w/w)のNaClをさらに含む、請求項70又は71に記載の方法。
【請求項73】
アミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む前記医薬組成物が、約6.5のpHを有する、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記マクロライド系抗生物質が、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、カルボマイシンA、ジョサマイシン、キタマイシン、ミデカマイシン、オレアンドマイシン、ソリスロマイシン、スピラマイシン、トロレアンドマイシン、タイロシン、ロキシスロマイシン、又はそれらの組み合わせである、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記マクロライド系抗生物質がアジスロマイシンである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
アジスロマイシンが1日1回経口投与される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記アジスロマイシンが錠剤の形態である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記アジスロマイシンが約250mgの投与量で投与される、請求項75~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記マクロライド系抗生物質がクラリスロマイシンである、請求項74に記載の方法。
【請求項80】
前記マクロライド系抗生物質がエリスロマイシンである、請求項74に記載の方法。
【請求項81】
エタンブトールが1日1回経口投与される、請求項1~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記エタンブトールが、約15mg/kgの投与量で前記患者に投与される、請求項1~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
アミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む前記医薬組成物が、水性分散液である、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記医薬組成物の体積が、約8mL~約10mLである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記医薬組成物の体積が、約8.4mLである、請求項83又は84に記載の方法。
【請求項86】
前記患者が非空洞性肺疾患を有する、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記患者が非嚢胞性線維症肺疾患を有する、請求項1~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記新たに診断された、未処置のMAC肺感染症が、未処置の、MACの陽性喀痰培養に基づいて最初に診断されたMAC肺感染症として定義される、請求項1~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記新たに診断された、未処置のMAC肺感染症が、以前のMACの陽性喀痰培養に基づいて以前に診断されたMAC肺感染症の後、MACの新たな陽性喀痰培養に基づいて診断された未処置のMAC肺感染症として定義され、前記以前に診断されたMAC肺感染症が処置され、前記以前に診断されたMAC肺感染症の前記処置が、MACの陰性喀痰培養が達成されたときに中止され、MACの前記陰性喀痰培養が、前記以前に診断されたMAC肺感染症の前記処置の前記中止の6ヶ月超後にMACの前記新たな陽性喀痰培養に戻る、請求項1~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
MACの前記陰性喀痰培養が、前記以前に診断されたMAC肺感染症の前記処置の前記中止の約6ヶ月~約12ヶ月後にMACの前記新たな陽性喀痰培養に戻る、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
MACの前記陰性喀痰培養が、前記以前に診断されたMAC肺感染症の前記処置の前記中止の約6ヶ月~約9ヶ月後にMACの前記新たな陽性喀痰培養に戻る、請求項89又は90に記載の方法。
【請求項92】
前記以前に診断されたMAC肺感染症の前記処置が、前記患者のMAC喀痰培養転換が達成されたときに中止され、前記MAC喀痰培養転換が、2つの連続した陰性MAC喀痰培養として定義され、前記以前に診断されたMAC肺感染症の前記処置が、前記2つの連続した陰性MAC喀痰培養の2回目が達成されたときに中止され、前記2つの連続した陰性MAC喀痰培養の前記2回目が、前記以前に診断されたMAC肺感染症の前記処置の前記中止の少なくとも6ヶ月後にMACの前記新たな陽性喀痰培養に戻る、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記2つの連続した陰性MAC喀痰培養の前記2回目が、前記以前に診断されたMAC肺感染症の前記処置の前記中止の約6ヶ月~約12ヶ月後にMACの前記新たな陽性喀痰培養に戻る、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記2つの連続した陰性MAC喀痰培養の前記2回目が、前記以前に診断されたMAC肺感染症の前記処置の前記中止の約6ヶ月~約9ヶ月後にMACの前記新たな陽性喀痰培養に戻る、請求項92又は93に記載の方法。
【請求項95】
前記組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の約96重量%~約100重量%が、噴霧前にリポソーム複合体化されている、請求項1~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の約96重量%~約99重量%が、噴霧前にリポソーム複合体化されている、請求項1~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の約96重量%~約98重量%が、噴霧前にリポソーム複合体化されている、請求項1~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記脂質成分対アミカシン又はその薬学的に許容される塩の重量比が、約0.6:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)~約0.8:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)である、請求項1~97のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年8月31日に出願された米国仮特許出願第63/072,602号からの優先権を主張し、その開示は参照によりその全体が援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[0002] マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex)(MAC)によって引き起こされる非結核性抗酸菌(NTM)肺疾患は、湿性咳嗽、疲労、息切れ、発熱、体重減少、肺機能の低下、及び喀血の症状と関連する、生命を脅かす可能性があり、進行性破壊性疾患である。これは、気管支拡張症又はCOPDなどの、他の慢性衰弱性基礎肺疾患を併発することが多い。NTM肺疾患が肺併存基礎疾患を有しない患者に発生した場合、それは進行性肺疾患に関連付けられてきた。
【0003】
[0003] MAC肺疾患の現在の処置は、主に結核の処置に基づく多剤レジメンである。MAC肺疾患の推奨は、マクロライド、エタンブトール、及びリファマイシンを含む3剤抗生物質レジメンである。レジメンは、陰性への培養転換を超えて12ヶ月間投与されるが、抗菌療法の期間は18ヶ月を超えることが多い。参照によりその全体が本明細書に援用されるJohnson and Odell.Nontuberculous mycobacterial pulmonary infections.J Thoracic Dis.2014;6(3):210-220を参照されたい。静脈内アミカシン又は筋肉内ストレプトマイシンは、線維空洞型疾患又は重度の結節性/気管支拡張性疾患を有する患者に推奨される。しかし、最適な処置法は未だ確立されていない。静脈内アミノグリコシドの使用は、肺組織への浸透が不十分であり、肺胞マクロファージによる取り込みが不十分であること(参照によりその全体が本明細書に援用されるZhang et al.Afatinib decreases p-glycoprotein expression to promote adriamycin toxicity of A549T Cells.J Cell Biochem.2018;119,414-423を参照)、及び全身への高曝露又は長期曝露による聴器毒性、平衡感覚の喪失、及び腎機能障害の可能性(それぞれ参照によりその全体が本明細書に援用されるKovacevic et al.Therapeutic monitoring of amikacin and gentamicin in critically and noncritically ill patients.J Basic Clinical Pharm.2016;7:65-69;Rybak et al.Prospective evaluation of the effect of an aminoglycoside dosing regimen on rates of observed nephrotoxicity and ototoxicity.Antimicrobial Agents and Chemotherapy.1999;43(7):1549-1555を参照)により、制限される。
【0004】
[0004] 処置を開始していない新たに診断されたMAC肺感染症を有する患者、特に有効性の尺度として患者報告アウトカムを含む処置方法に対する未だ満たされていない医療ニーズが存在する。本発明は、このニーズ及び他のニーズに対処するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
[0005] 本出願は、処置を必要とする患者における、新たに診断された未処置のマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex)(MAC)肺感染症を処置する方法を提供する。
【0006】
[0006] 一実施形態において、方法は、
(i)複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を、少なくとも約6ヶ月の投与期間にわたって患者の肺に投与することであって、複数のリポソームの脂質成分が、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)及びコレステロールからなり、患者の肺への投与は、ネブライザーを介して医薬組成物をエアロゾル化して、遊離アミカシン又はその薬学的に許容される塩と、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩との混合物を含むエアロゾル化された医薬組成物を提供すること、及び投与期間中、1回の投薬セッションで1日1回、ネブライザーを介して患者の肺にエアロゾル化された医薬組成物を投与することを含む、投与すること、並びに
(ii)投与期間中、マクロライド系抗生物質及びエタンブトールを患者に投与すること
を含み、処置することは、ベースライン、すなわち投与期間前に測定された患者の呼吸器症状スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に患者報告アウトカム(PRO)によって測定される呼吸器症状スコアを改善することを含む。さらなる実施形態において、呼吸器症状スコアは、生活の質質問票-気管支拡張症(QOL-B)又はその修正版の呼吸器領域スコアである。一実施形態において、呼吸器症状スコアは、「気管支拡張症」という用語を「肺状態」に置換することによって修正されたQOL-Bの呼吸器領域スコアである。
【0007】
[0007] さらなる実施形態において、呼吸器症状スコアは、投与期間の約1ヶ月後に改善される。さらなる実施形態において、投与期間は、約12~約24ヶ月である。別の実施形態において、呼吸器症状スコアは、投与期間の少なくとも約1ヶ月後に改善される。またさらなる実施形態において、呼吸器症状スコアは、投与期間の約1~約3ヶ月後に改善される。
【0008】
[0008] 投与期間は、一実施形態において、約12ヶ月~約36ヶ月である。
【0009】
[0009] 一実施形態において、処置することは、投与期間中又は投与期間後に患者においてMAC喀痰培養転換を達成することを含む。MAC喀痰培養転換は、一実施形態において、2つの連続した陰性MAC喀痰培養として定義される。一実施形態において、患者は、投与期間中にMAC喀痰培養転換を達成する。一実施形態において、患者は、投与期間の約3ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。またさらなる実施形態において、患者は、投与期間の少なくとも約3ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。またさらなる実施形態において、患者は、投与期間の約3ヶ月~約6ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。またさらなる実施形態において、患者は、投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。
【0010】
[0010] 一実施形態において、投与期間は約6ヶ月~約12ヶ月である。別の実施形態において、投与期間は、約12ヶ月である。別の実施形態において、投与期間は、約12~約24ヶ月である。別の実施形態において、投与期間は、約12~約36ヶ月である。一実施形態において、投与期間は12ヶ月であり、呼吸器症状スコアは投与期間の約1ヶ月後、すなわち処置開始から約13ヶ月後に評価される。
【0011】
[0011] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、医薬組成物は、約500mg~約650mgのアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0012】
[0012] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、医薬組成物は、約590mgのアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0013】
[0013] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、医薬組成物は、約70mg/mLのアミカシン硫酸塩;約30~約35mg/mLのDPPC;約15~約17mg/mLのコレステロールを含む。さらなる実施形態において、医薬組成物は、約70mg/mLのアミカシン硫酸塩;約32mg/mLのDPPC;約16mg/mLコレステロールを含む。
【0014】
[0014] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、医薬組成物は、約8mL~約10mLの体積を有する水性分散液である。さらなる実施形態において、医薬組成物の体積は、約8.4mLである。
【0015】
[0015] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、マクロライド系抗生物質はアジスロマイシンである。
【0016】
[0016] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、患者は非空洞性MAC肺疾患を有する。別の実施形態において、患者は非嚢胞性線維症肺疾患を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面の簡単な説明
図1】[0017]図1は、実施例1及び2に示される研究の対象の適格性のフローチャートである。難治性=MAC処置6ヶ月以上で、培養が陽性のままである;再発=処置の中止後6ヶ月未満で陽性培養に戻った、処置の中止及び陰性培養の記録として定義される処置の成功。
図2】[0018]図2は、実施例1による試験デザインの模式図である。ALIS:アミカシンリポソーム吸入懸濁液;AZI:アジスロマイシン250mg;ELC:空のリポソーム対照(ALISに対応するプラセボ);EOS:試験終了;EOT:処置終了;ETH:エタンブトール15mg/kg;R:ランダム化。
図3】[0019]図3は、実施例2による試験デザインの模式図である。ALIS:アミカシンリポソーム吸入懸濁液;AZI:アジスロマイシン250mg;ELC:空のリポソーム対照(ALISに対応するプラセボ);EOS:試験終了;EOT:処置終了;ETH:エタンブトール15mg/kg;R:ランダム化。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
[0020] 本明細書中で使用される場合、「約」という用語は、「約」が修飾する対象のプラス又はマイナス10パーセントを指す。
【0019】
[0021] 「処置すること」という用語は、一実施形態において、以下を含む:(1)状況、障害又は状態を患っているか又はそれにかかりやすい可能性があるが、その状況、障害又は状態の臨床又は亜臨床症状を経験又は示していない対象において発生する、状況、障害又は状態の臨床症状の出現を防止又は遅延させること;(2)状況、障害又は状態を阻害すること(例えば、疾患の発生を、又は維持療法の場合にはその少なくとも1つの臨床若しくは亜臨床症状の再発を、停止、低減又は遅延させること);及び/又は(3)状態を緩和すること(例えば、状況、障害若しくは状態、又はその臨床若しくは亜臨床症状の少なくとも1つの退行を引き起こすこと)。一実施形態において、「処置すること」は、状況、障害又は状態を阻害すること(例えば、疾患の発生を、又は維持療法の場合にはその少なくとも1つの臨床若しくは亜臨床症状の再発を、停止、低減又は遅延させること)を指す。別の実施形態において、「処置すること」は、状態を緩和すること(例えば、状況、障害若しくは状態、又はその臨床若しくは亜臨床症状の少なくとも1つの退行を引き起こすことによる)を指す。治療される対象に対する利益は、処置前の同じ対照の状況又は状態と比較して、若しくは未処置の対照対象の状況又は状態と比較して、統計学的に有意であるか、又は利益は、対象又は医師が少なくとも知覚可能である。本明細書に記載の一態様では、処置することは、投与期間中又は投与期間後(例えば、投与期間終了の1ヶ月後)の患者報告アウトカム(PRO)によって測定される呼吸器症状スコアの改善を指す。例えば、一実施形態における呼吸器症状スコアは、生活の質質問票-気管支拡張症(QOL-B)又はその修正版の呼吸器領域スコアを含む。一実施形態において、呼吸器症状スコアは、「気管支拡張症」という用語を「肺状態」に置換するように修正されたQOL-Bの呼吸器領域スコアを含む。別の実施形態において、呼吸器症状スコアは、QOL-Bの呼吸器領域スコアのサブセット又はその修正版、すなわち、QOL-Bにおける9つの症状クエリーのサブセットを含む。さらなる実施形態において、QOL-Bの呼吸器領域スコアは、「気管支拡張症」という用語を「肺状態」に置換するように修正される。
【0020】
[0022] 本明細書で使用される場合、「新たに診断された未処置のマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex)(MAC)肺感染症」とは、以下のいずれかを指す:
(i)患者が以前にMAC肺感染症の処置を受けていない、未処置の、陽性MAC喀痰培養に基づいて最初に診断されたMAC肺感染症、又は
(ii)未処置の続発性MAC肺感染症で、次の特徴を有するもの:陰性MAC喀痰培養の記録に基づいてMAC肺感染症処置を最初に中止し、以前のMAC肺感染症処置の中止後6ヶ月超で陽性MAC喀痰培養に戻った対象。
【0021】
[0023] 本明細書で使用される場合、「培養転換」又は「MAC培養転換」は、約1ヶ月間隔又は約30日間隔の、少なくとも2つの連続する陰性MAC喀痰培養を指す。一実施形態において、培養転換は、約1ヶ月又は約30日間隔の、2つの連続する陰性MAC喀痰培養を指す。一実施形態において、培養転換は、約1ヶ月又は約30日間隔の、3つの連続する陰性MAC喀痰培養を指す。
【0022】
[0024] 「有効量」は、所望の治療応答をもたらすのに十分な、本発明で使用されるアミカシン又はその薬学的に許容される塩の量を意味する。本明細書で提供される医薬組成物の有効量は、遊離アミカシン及びリポソーム複合体化アミカシン、又はその薬学的に許容される塩の両方を含む。例えば、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、一実施形態において、リポソーム二重層と複合体化されているか、リポソーム二重層内に封入されているか、又はそれらの組み合わせである、アミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0023】
[0025] 「リポソーム分散液」は、複数のリポソームを含む溶液又は懸濁液を指す。
【0024】
[0026] 本明細書中で使用される場合、「エアロゾル」は、液体粒子の気体状懸濁液である。本明細書で提供されるエアロゾルは、リポソーム分散液の粒子を含む。
【0025】
[0027] 「ネブライザー」又は「エアロゾル発生器」は、液体を気道へ吸入できるサイズのエアロゾルに変換する装置である。肺(pneumonic)、超音波式、電子式ネブライザー、例えば、受動的電子メッシュ式ネブライザー、能動的電子メッシュ式ネブライザー及び振動メッシュ式ネブライザーは、特定のネブライザーが、所要の性質を有するエアロゾルを所要の排出速度で放出する場合、本発明とともに使用するのに適している。
【0026】
[0028] バルク液体を空気圧で小さな液滴に変換するプロセスは、微粒化と呼ばれる。空気圧式ネブライザーの操作は、液体微粒化のための推進力として、加圧された気体の供給を必要とする。超音波式ネブライザーは、液体リザーバー中の圧電素子によって導入された電力を使用して、液体を呼吸できる液滴に変換する。様々なタイプのネブライザーがRespiratory Care,Vol.45,No.6,pp.609-622(2000)に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。「ネブライザー」及び「エアロゾル発生器」という用語は、明細書全体を通じて交換可能に使用される。「吸入装置」、「吸入システム」及び「アトマイザー」も、文献中で「ネブライザー」及び「エアロゾル発生器」という用語と交換可能に使用される。
【0027】
[0029] 「質量中央径」又は「MMD」は、レーザー回折又はインパクター測定により決定され、質量基準の平均粒径である。
【0028】
[0030] 「空気力学的中央径」又は「MMAD」は、水性エアロゾル液滴の空気力学的分離に関して正規化され、インパクター測定、例えば、アンダーセンカスケードインパクター(ACI)又は次世代インパクター(NGI)により決定される。一実施形態において、気体の流速は、アンダーセンカスケードインパクター(ACI)によれば毎分28リットルであり、次世代インパクター(NGI)によれば毎分15リットルである。「幾何標準偏差」又は「GSD」は、空気力学的粒径分布の幅の尺度である。
【0029】
[0031] 「薬学的に許容される塩」には、酸及び塩基付加塩の両方が含まれる。一実施形態において、薬学的に許容される塩は、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的に又はその他の点で望ましくないものではない、薬学的に許容される酸付加塩である。薬学的に許容される酸付加塩は、塩酸(HCl)、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などであるがこれらに限定されない無機酸で形成されていてもよく、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、樟脳酸、樟脳-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソグルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸(例えば、乳酸塩として)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酢酸(例えば、酢酸塩として)、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、及びウンデシレン酸などであるがこれらに限定されない有機酸で形成されていてもよい。一実施形態において、薬学的に許容される塩は、HCl、TFA、乳酸塩、又は酢酸塩である。別の実施形態において、薬学的に許容される塩は硫酸塩である。
【0030】
[0032] 本明細書を通して、特定の量について数値範囲が提供される。これらの範囲は、その中の全ての部分範囲を含むことを理解されたい。したがって、「50~80」の範囲には、その中の全ての可能な範囲(例えば、51~79、52~78、53~77、54~76、55~75、60~70など)が含まれる。さらに、所与の範囲内の全ての値は、それによって包含される範囲の端点であってもよい(例えば、50~80の範囲は、55~80まで、50~75などの端点を有する範囲を含む)。
【0031】
[0033] 本出願は、処置を必要とする患者における、新たに診断された未処置のマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex)(MAC)肺感染症を処置する方法を提供する。一実施形態において、方法は、
(i)複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を、少なくとも約6ヶ月の投与期間にわたって患者の肺に投与することであって、複数のリポソームの脂質成分が、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)及びコレステロールからなり、
患者の肺への投与は、ネブライザーを介して医薬組成物をエアロゾル化して、遊離アミカシン又はその薬学的に許容される塩と、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩との混合物を含むエアロゾル化された医薬組成物を提供すること、及び投与期間中、1回の投薬セッションで1日1回、ネブライザーを介して患者の肺にエアロゾル化された医薬組成物を投与することを含む、投与すること、並びに
(ii)投与期間中、マクロライド系抗生物質及びエタンブトールを患者に投与すること
を含み、処置することは、ベースライン、すなわち投与期間前に測定された患者の呼吸器症状スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に患者報告アウトカム(PRO)によって測定される呼吸器症状スコアを改善することを含む。例えば、一実施形態における呼吸器症状スコアは、生活の質質問票-気管支拡張症(QOL-B)又はその修正版の呼吸器領域スコアを含む。一実施形態において、呼吸器症状スコアは、「気管支拡張症」という用語を「肺状態」に置換するように修正されたQOL-Bの呼吸器領域スコアを含む。別の実施形態において、呼吸器症状スコアは、QOL-Bの呼吸器領域スコアのサブセット又はその修正版、すなわち、QOL-Bにおける9つの症状クエリーのサブセットを含む。さらなる実施形態において、QOL-Bの呼吸器領域スコアは、「気管支拡張症」という用語を「肺状態」に置換するように修正される。
【0032】
[0034] さらなる実施形態において、処置することは、投与期間前の患者のQOL-B呼吸器領域スコアと比較して、処置開始後12ヶ月又は13ヶ月の患者のQOL-B呼吸器領域スコアを改善することを含む。
【0033】
[0035] 一実施形態において、新たに診断された未処置のMAC肺感染症は、未処置の、MAC喀痰培養陽性に基づいて最初に診断されたMAC肺感染症として定義される。すなわち、処置を必要とする患者は、MAC喀痰培養陽性に基づいてMAC肺感染症の最初(1回目)及び現在の診断を受けており、患者は現在のMAC肺感染症の処置を開始していない。
【0034】
[0036] 別の実施形態において、新たに診断された、未処置のMAC肺感染症は、未処置の続発性MAC肺感染症で、次の特徴を有するものである:陰性MAC喀痰培養の記録に基づいてMAC肺感染症処置を最初に中止し、以前に診断されたMAC肺感染症の処置の中止後、以前のMAC肺感染症処置の中止後6ヶ月以上(例えば、約6ヶ月、約6ヶ月~約12ヶ月、又は約6ヶ月~約9ヶ月)で陽性MAC喀痰培養に戻った対象。
【0035】
[0037] さらなる実施形態において、MACの新たな陽性の喀痰培養の前に、患者は、以前に診断されたMAC肺感染症の処置の中止から少なくとも6ヶ月後に、MACの少なくとも1つの陰性の喀痰培養を提供する。
【0036】
[0038] 一実施形態において、以前に診断されたMAC肺感染症が処置され、以前に診断されたMAC肺感染症の処置は、患者のMAC喀痰培養転換が達成されたときに中止され、MAC喀痰培養転換は、少なくとも2つの連続した陰性MAC喀痰培養として定義され、例えば、以前に診断されたMAC肺感染症の処置は、2つの連続した陰性MAC喀痰培養の2回目が達成されたときに中止され;2つの連続した陰性MAC喀痰培養の2回目は、以前に診断されたMAC肺感染症の処置の中止の少なくとも6ヶ月(例えば、約6ヶ月、約6ヶ月~約12ヶ月、又は約6ヶ月~約9ヶ月)後にMACの新たな陽性喀痰培養に戻る。一実施形態において、MAC喀痰培養物は、約30日間隔で患者から得られる。
【0037】
[0039] 一実施形態において、処置を必要とする患者は、以前に1回目のMAC肺感染症と診断されており、患者は、新たなMAC喀痰培養陽性に基づいてMAC肺感染症の2回目の及び現在の診断を受けており、患者は2回目及び現在のMAC肺感染症の処置を開始していない。
【0038】
[0040] 別の実施形態において、以前に診断されたMAC肺感染症は、2回目に診断されたMAC肺感染症であり、処置を必要とする患者は、新たなMAC喀痰培養陽性に基づいてMAC肺感染症の3回目及び現在の診断を受けており、患者は3回目及び現在のMAC肺感染症の処置を開始していない。
【0039】
[0041] また別の実施形態において、以前に診断されたMAC肺感染症は、3回目に診断されたMAC肺感染症であり、処置を必要とする患者は、新たなMAC喀痰培養陽性に基づいてMAC肺感染症の4回目及び現在の診断を受けており、患者は4回目及び現在のMAC肺感染症の処置を開始していない。
【0040】
[0042] 一実施形態において、患者は非空洞性MAC肺疾患を有する。
【0041】
[0043] 別の実施形態において、患者は非嚢胞性線維症肺疾患を有する。
【0042】
[0044] 別の実施形態において、患者は、非空洞性非嚢胞性線維症肺疾患を有する。
【0043】
[0045] 一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩を含むリポソーム分散液であり、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、(i)リポソーム二重層と複合体化されているか、(ii)リポソーム二重層内に封入されているか、又は(iii)それらの組み合わせである。上記のように、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩の実施形態には、アミキシン又はその薬学的に許容される塩が複数のリポソームに封入されている実施形態が含まれる。リポソームは、捕捉されたある体積の水を含有する、完全に閉じた脂質二重層の膜である。リポソームは、単層ベシクル(単一の膜二重層を有する)又は多重膜ベシクル(複数の膜二重層を特徴とするタマネギ様構造であり、それぞれが水層で隣と分離されている)、又はそれらの組み合わせであり得る。二重層は、疎水性の「テール」領域及び親水性の「ヘッド」領域を有する2つの脂質単分子層で構成されている。膜二重層の構造は、脂質単分子層の疎水性(非極性)の「テール」が、二重層の中心に向かって配向し、親水性の「ヘッド」が水性相に向かって配向するものである。アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、水相、又は疎水性二重層相、又はリポソーム二重層の界面ヘッドグループ領域あり得る。一実施形態において、医薬組成物は、複数のリポソームの二重層内に封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0044】
[0046] 一実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。別の実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン二硫酸塩である。
【0045】
[0047] 一実施形態において、医薬組成物の噴霧前に、組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%は、リポソーム複合体化されている。さらなる実施形態において、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。またさらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0046】
[0048] 別の実施形態において、組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の少なくとも約97重量%は、噴霧前にリポソーム複合体化されている。さらなる実施形態において、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。またさらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0047】
[0049] 別の実施形態において、医薬組成物の噴霧前に、組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の約70重量%~約100重量%、約80重量%~約99重量%、約85重量%~約99重量%、約90重量%~約99重量%、約95重量%~約99重量%、又は約96重量%~約99重量%は、リポソーム複合体化されている。別の実施形態において、医薬組成物の噴霧前に、組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の約95重量%~約99重量%は、リポソーム複合体化されている。さらなる実施形態において、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。またさらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0048】
[0050] リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩のパーセンテージは、一実施形態において、米国特許第4,752,425号に記載の方法によって測定することができ、その開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩のパーセンテージは、別の実施形態において、米国特許第9,566,234号に記載の方法によって測定され、その開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0049】
[0051] いくつかの実施形態において、複数のリポソームの脂質成分は、約19:1(DPPC:コレステロール)~約1:1(DPPC:コレステロール)、又は約9:1(DPPC:コレステロール)~約1:1(DPPC:コレステロール)、又は約4:1(DPPC:コレステロール)~約1:1(DPPC:コレステロール)、又は約2:1(DPPC:コレステロール)~約1:1(DPPC:コレステロール)の範囲のDPPC/コレステロールモル比を有するDPPC及びコレステロールからなる。さらなる実施形態において、DPPCとコレステロールは、約2:1(DPPC:コレステロール)モル比を有する。
【0050】
[0052] 一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物中の脂質(すなわち、脂質成分)対アミカシン又はその薬学的に許容される塩の重量比は、約0.1:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)~約1:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)、例えば、約0.1:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)、約0.2:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)、約0.3:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)、約0.4:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)、約0.5:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)、約0.6:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)、約0.7:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)、約0.8:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)、約0.9:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)、又は約1:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)である。別の実施形態において、脂質対アミカシン又はその薬学的に許容される塩の重量比は、約0.3:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)~約1:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)である。別の実施形態において、脂質対アミカシン又はその薬学的に許容される塩の重量比は、約0.5:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)~約0.9:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)である。別の実施形態において、脂質対アミカシン又はその薬学的に許容される塩の重量比は、約0.6:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)~約0.8:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)である。別の実施形態において、脂質対アミカシン又はその薬学的に許容される塩の重量比は、約0.65:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)~約0.75:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)である。別の実施形態において、脂質対アミカシン又はその薬学的に許容される塩の重量比は、約0.7:1(脂質:アミカシン又はその薬学的に許容される塩)である。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0051】
[0053] 一実施形態において、本明細書で提供されるリポソームは、患者の粘液及びバイオフィルムを効果的に透過するのに十分小さい。いくつかの実施形態において、光散乱によって測定される複数のリポソームの平均直径は、約100nm~約400nm、又は約150nm~約350nm、又は約200nm~約300nm、又は約250nm~約300nmである。さらなる実施形態において、光散乱によって測定される複数のリポソームの平均直径は、約150nm~約350nmである。またさらなる実施形態において、光散乱によって測定される複数のリポソームの平均直径は、約260nm~約280nmである。
【0052】
[0054] 一実施形態において、本明細書に記載のリポソーム組成物は、米国特許出願公開第2013/0330400号、米国特許第7,718,189号、国際公開第2019/191627号、及び国際公開第2019/213398号に示された方法の1つによって製造されており、その各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により援用される。
【0053】
[0055] 一実施形態において、本明細書に記載の方法は、ネブライザーを介した吸入により、複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩(例えば、アミカシン硫酸塩)を含む医薬組成物を患者の肺に投与することを含む。一実施形態において、組成物中に提供されるアミカシン又はその薬学的に許容される塩の量は、約450mg、約500mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg又は約610mgである。別の実施形態において、組成物中に提供されるアミカシン又はその薬学的に許容される塩の量は、約500mg~約600mg、又は約500mg~約650mg、又は約525mg~約625mg、又は約550mg~約600mgである。別の実施形態において、組成物中に提供されるアミカシン又はその薬学的に許容される塩の量は、約500mg~約650mgである。別の実施形態において、組成物中に提供されるアミカシン又はその薬学的に許容される塩の量は、約590mgである。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0054】
[0056] 一実施形態において、医薬組成物は水性リポソーム分散液である。さらなる実施形態において、医薬組成物の体積は、約8mL~約10mLである。またさらなる実施形態において、医薬組成物の体積は、約8.4mLである。
【0055】
[0057] 一実施形態において、患者に投与されるアミカシン又はその薬学的に許容される塩の量は、約560mgであり、8.4mLの組成物で提供される。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。別の実施形態において、患者に投与されるアミカシン又はその薬学的に許容される塩の量は、約590mgであり、8.4mLの組成物で提供される。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。別の実施形態において、患者に投与されるアミカシン又はその薬学的に許容される塩の量は、約600mgであり、8.4mLの組成物で提供される。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0056】
[0058] 一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約60~約90mg/mL、約60~約80mg/mL、約65~約85mg/mL、約70~約80mg/mL、又は約70~約75mg/mLのアミカシン、又はその薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態において、組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の約96重量%~約99重量%は、噴霧前にリポソーム複合体化されている。さらなる実施形態において、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。またさらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。別の実施形態において、医薬組成物は、約60~約80mg/mLのアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態において、組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の約96重量%~約99重量%は、噴霧前にリポソーム複合体化されている。さらなる実施形態において、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。またさらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。別の実施形態において、医薬組成物は、約70~約75mg/mLのアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態において、組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の約96重量%~約99重量%は、噴霧前にリポソーム複合体化されている。さらなる実施形態において、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。またさらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。別の実施形態において、医薬組成物は、約70mg/mLのアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態において、組成物中に存在するアミカシン又はその薬学的に許容される塩の約96重量%~約99重量%は、噴霧前にリポソーム複合体化されている。さらなる実施形態において、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、複数のリポソームに封入されたアミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。またさらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0057】
[0059] 一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約25~約40mg/mLのDPPCを含む。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約30~約40mg/mLのDPPCを含む。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約35~約40mg/mLのDPPCを含む。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約30~約35mg/mLのDPPCを含む。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約32~約35mg/mLのDPPCを含む。
【0058】
[0060] 一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約10~約20mg/mLのコレステロールを含む。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約15~約20mg/mLのコレステロールを含む。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約15~約17mg/mLのコレステロールを含む。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約16~約17mg/mLのコレステロールを含む。
【0059】
[0061] さらに別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約25~約40mg/mLのDPPC及び約10~約20mg/mLのコレステロールを含む。さらなる実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約26~約39mg/mLのDPPC及び約11~約19mg/mLのコレステロールを含む。なおさらなる実施形態において、医薬組成物は、約60~約80mg/mLのアミカシン又はアミカシン硫酸塩を含む。なおさらなる実施形態において、医薬組成物は、約65~約75mg/mLのアミカシン又はアミカシン硫酸塩を含む。
【0060】
[0062] 一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)、約0.5%(w/w)~約3%(w/w)、約0.5%(w/w)~約2%(w/w)、約0.75%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.25%(w/w)、約1.5%(w/w)、約1.75%(w/w)、約2.0%(w/w)、又は約2.5%(w/w)のNaClを含む。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)のNaClを含む。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約0.5%(w/w)~約2%(w/w)のNaClを含む。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約1.5%(w/w)のNaClを含む。
【0061】
[0063] 一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約6~約7のpHを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、約6.5のpHを有する。
【0062】
[0064] 一実施形態において、医薬組成物はアミカシン硫酸塩を含む。リポソームアミカシン硫酸塩組成物の密度は、約1.05グラム/mLであり;一実施形態において、1用量あたりおよそ8.4グラムのリポソームアミカシン硫酸塩組成物が組成物中に存在する。さらなる実施形態において、組成物の全量が、それを必要とする患者に投与される。
【0063】
[0065] 一実施形態において、医薬組成物は、以下の表1に提供される組成物の1つである。
【0064】
【表1】
【0065】
[0066] アミカシン(例えば、アミカシン硫酸塩)濃度を増加させるだけでは、投与時間が短縮されない可能性があることに留意すべきである。例えば、一実施形態において、脂質対アミカシン比は一定であり、アミカシン濃度が増加すると(したがって、2つの比が、例えば、重量基準で約0.7:1に固定されるため、脂質濃度が増加する)、溶液の粘度も増加し、これにより噴霧時間が遅くなる。
【0066】
[0067] 一実施形態において、本明細書に記載の方法は、MAC肺感染症の処置を必要とする患者に、リポソームアミカシン(例えば、アミカシン硫酸塩)組成物を、ネブライザーによる吸入によって投与することを含む。ネブライザーは、患者の肺への送達のために、組成物のエアロゾルミストを提供する。
【0067】
[0068] 一実施形態において、ネブライザーは、メッシュ式電子ネブライザー、肺(pneumonic)(ジェット)ネブライザー、超音波式ネブライザー、呼吸強化式(breath enhanced)ネブライザー、及び呼吸作動式ネブライザーから選択される。一実施形態において、ネブライザーは携帯用である。別の実施形態において、ネブライザーは、米国特許出願公開第2013/0330400号に記載のネブライザーの1つであり、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
【0068】
[0069] 肺(pneumonic)ネブライザーの動作の原理は、当業者に一般に知られており、例えば、Respiratory Care,Vol.45,No.6,pp.609-622(2000)に記載され、参照によりその全体が明細書に援用される。簡潔には、加圧気体の供給は、空気圧式ネブライザー中での液体微粒化のための推進力として使用される。圧縮気体が送達され、これが陰圧の領域をもたらす。次いで、エアロゾル化される溶液が気体流中に送達され、せん断されて液膜となる。この膜は不安定であり、表面張力のために破れて液滴となる。次いで、小さな粒子、すなわち、以下に説明するMMAD及びFPF特性を有する粒子は、エアロゾル流中にバッフルを配置することによって形成できる。肺(pneumonic)ネブライザーの一実施形態において、気体及び溶液が出口ポート(ノズル)を出てバッフルと相互作用する前に混合される。別の実施形態において、液体及び気体が出口ポート(ノズル)を出るまで混合は起こらない。一実施形態において、気体は、空気、O及び/又はCOである。
【0069】
[0070] 一実施形態において、液滴のサイズ及び排出速度は、肺(pneumonic)ネブライザー中で調整することができる。しかし、噴霧される組成物、及び組成物の性質(例えば、リポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩のパーセンテージ)がネブライザーの改良により変更されるかを考慮すべきである。例えば、一実施形態において、本発明の排出速度及び液滴サイズを達成するために、気体速度及び/又は医薬組成物の速度が修正される。それに加えて、又はその代わりに、気体及び/又は溶液の流速を調整して、液滴サイズ及び排出速度を達成することができる。例えば、一実施形態において、気体速度の増加は、液滴サイズを減少させる。一実施形態において、本発明の液滴サイズ及び排出速度を達成するために、医薬組成物流対気体流の比率が調整される。一実施形態において、液体対気体の流れの比率の増加により粒径が増加する。
【0070】
[0071] 一実施形態において、肺(pneumonic)ネブライザーの排出速度は、液体リザーバーの充填容積を増加させることによって増加する。理論に拘束されることを望むものではないが、排出速度の増加は、ネブライザー内のデッドボリュームの減少による可能性がある。一実施形態において、噴霧時間は、流れを増加させてネブライザーに動力を供給することによって低減される。例えば、Clay et al.(1983).Lancet 2,pp.592-594及びHess et al.(1996).Chest 110,pp.498-505を参照されたい。
【0071】
[0072] 一実施形態において、噴霧プロセス中にエアロゾルを捕捉するためにリザーバーバッグが使用され、その後、吸入によって患者にエアロゾルが提供される。別の実施形態において、本明細書で提供されるネブライザーは、バルブつき開放口設計を含む。この実施形態において、患者がネブライザーを通して吸入するとき、ネブライザーの排出量が増加する。呼気相の間、一方向バルブはネブライザーチャンバーからそれるように患者フローを転換する。
【0072】
[0073] 一実施形態において、本明細書で提供されるネブライザーは、持続的ネブライザーである。言い換えれば、1用量を投与する間、医薬組成物をネブライザーに再充填する必要はない。むしろ、ネブライザーは、少なくとも8mLの限度容量又は少なくとも10mLの限度容量を有する。
【0073】
[0074] 一実施形態において、本明細書で提供されるネブライザーは、空気圧縮機を使用せず、したがって、空気流を生じない。一実施形態において、エアロゾルは、装置の混合チャンバーに入るエアロゾルヘッドにより生成される。患者が吸入するとき、混合チャンバーの後ろにある一方向吸入バルブを介して空気が混合チャンバーに入り、マウスピースを通って患者までエアロゾルを運ぶ。息を吐くと、患者の息が装置のマウスピースにある一方向呼気弁を通って流れる。一実施形態において、ネブライザーは、混合チャンバー内にエアロゾルを生成し続け、次いで、これを患者が次の呼吸で吸引する。このサイクルは、ネブライザーの薬剤リザーバーが空になるまで続く。
【0074】
[0075] 一実施形態において、有効量の医薬組成物の噴霧時間は、約20分未満、約18分未満、約16分未満、又は約15分未満である。一実施形態において、有効量の医薬組成物の噴霧時間は、約15分未満である。一実施形態において、有効量の医薬組成物の噴霧時間は、約10分~約14分である。
【0075】
[0076] 一実施形態において、噴霧時に、約20重量%~約50重量%のリポソーム複合体化アミカシン若しくはその薬学的に許容される塩、又は複数のリポソームに封入されたアミカシン若しくはその薬学的に許容される塩が、リポソームへのせん断応力のため、リポソーム複合体から放出される。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。別の実施形態において、噴霧時に、約25重量%~約45重量%のリポソーム複合体化アミカシン若しくはリポソーム封入アミカシン又はその薬学的に許容される塩がリポソーム複合体から放出される。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。別の実施形態において、噴霧時に、約30重量%~約40重量%のリポソーム複合体化アミカシン若しくはリポソーム封入アミカシン又はその薬学的に許容される塩がリポソーム複合体から放出される。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0076】
[0077] 噴霧時に、一実施形態において、噴霧後のリポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩の量は、アミカシン又はその薬学的に許容される塩の総重量の約45%~約85%、約50%~約80%、又は約56%~約77%である。これらのパーセンテージは、本明細書では「噴霧後の会合アミカシン又はその薬学的に許容される塩のパーセント」とも呼ばれる。一実施形態において、噴霧後の会合アミカシン又はその薬学的に許容される塩のパーセントは、アミカシン又はその薬学的に許容される塩の総重量の約50%~約80%である。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。別の実施形態において、噴霧後の会合アミカシン又はその薬学的に許容される塩のパーセントは、アミカシン又はその薬学的に許容される塩の総重量の約56%~約77%である。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。一実施形態において、エアロゾル化組成物(すなわち、噴霧後)は、約56%~約77%のリポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩、及び約23%~約44%の遊離アミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。一実施形態において、エアロゾル化組成物(すなわち、噴霧後)は、約65%~約75%のリポソーム複合体化アミカシン又はその薬学的に許容される塩、及び約25%~約35%の遊離アミカシン又はその薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0077】
[0078] 一実施形態において、噴霧後の会合アミカシン又はその薬学的に許容される塩のパーセントは、冷却トラップ内での凝縮によって空気からエアロゾルを回収することによって測定され、続いて、遊離及び会合アミカシン又はその薬学的に許容される塩について液体がアッセイされる。さらなる実施形態において、アミカシン又はその薬学的に許容される塩は、アミカシン硫酸塩である。
【0078】
[0079] 本明細書に記載の組成物を噴霧すると(すなわち、MAC肺感染症の処置を必要とする患者への投与のために)、エアロゾル化された組成物が形成され、一実施形態において、エアロゾル化された組成物の空気力学的中央径(MMAD)は、アンダーセンカスケードインパクター(ACI)で測定して、約1.0μm~約4.2μmである。一実施形態において、エアロゾル化された組成物のMMADは、ACIで測定して約3.2μm~約4.2μmである。一実施形態において、エアロゾル化された組成物のMMADは、次世代インパクター(NGI)で測定して約1.0μm~約6μmである。さらなる実施形態において、エアロゾル化された組成物のMMADは、NGIで測定して約3μm~約5.5μmである。さらなる実施形態において、エアロゾル化された組成物のMMADは、NGIで測定して約4.1μm~約5.3μmである。
【0079】
[0080] エアロゾル化された組成物の微粒子割合(FPF)は、一実施形態において、アンダーセンカスケードインパクター(ACI)で測定して約64%以上、又は次世代インパクター(NGI)で測定して約51%以上である。一実施形態において、エアロゾル化された組成物のFPFは、ACIで測定して約70%以上、NGIで測定して約51%以上、又はNGIで測定して約60%以上である。
【0080】
[0081] 一実施形態において、マクロライド系抗生物質は、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、カルボマイシンA、ジョサマイシン、キタマイシン、ミデカマイシン、オレアンドマイシン、ソリスロマイシン、スピラマイシン、トロレアンドマイシン、タイロシン、ロキシスロマイシン、又はそれらの組み合わせである。さらなる実施形態において、マクロライド系抗生物質は経口投与される。
【0081】
[0082] 一実施形態において、マクロライド系抗生物質は、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、又はそれらの組み合わせである。別の実施形態において、マクロライド系抗生物質はクラリスロマイシンである。別の実施形態において、マクロライド系抗生物質はエリスロマイシンである。別の実施形態において、マクロライド系抗生物質はアジスロマイシンである。さらなる実施形態において、マクロライド系抗生物質は経口投与される。またさらなる実施形態において、マクロライド系抗生物質(例えば、アジスロマイシン)は、1日1回(QD)投与される。一実施形態において、エタンブトールは経口投与される。さらなる実施形態において、エタンブトールは、1日1回(QD)投与される。
【0082】
[0083] アミカシン又は薬学的に許容されるその塩、マクロライド系抗生物質(例えば、アジスロマイシン)、及びエタンブトールを含む医薬組成物は、一実施形態において、絶食又は食事が与えられている状態で、毎日ほぼ同じ時間(例えば、一日の任意の時間)にQD投与され得る。
【0083】
[0084] 一実施形態において、約100mg~約350mgのアジスロマイシンが1日1回経口投与される。別の実施形態において、約150mg~約300mgのアジスロマイシンが1日1回経口投与される。別の実施形態において、約200mg~約300mgのアジスロマイシンが1日1回経口投与される。別の実施形態において、約250mgのアジスロマイシンが1日1回経口投与される。一実施形態において、アジスロマイシンは錠剤剤形として経口投与される。
【0084】
[0085] 一実施形態において、約10mg/kg~約25mg/kgのエタンブトールが1日1回経口投与される。別の実施形態において、約10mg/kg~約20mg/kgのエタンブトールが1日1回経口投与される。別の実施形態において、約15mg/kgのエタンブトールが1日1回経口投与される。一実施形態において、エタンブトールは錠剤剤形として経口投与される。
【0085】
[0086] 一実施形態において、アジスロマイシン250mg及びエタンブトール15mg/kgは、食事を伴い又は伴わず、QDで経口摂取される。さらなる実施形態において、アジスロマイシン及び/又はエタンブトールは、錠剤剤形で経口投与される。
【0086】
[0087] 本明細書で提供される方法の一実施形態において、投与期間は約6ヶ月~約12ヶ月である。別の実施形態において、投与期間は、少なくとも約12ヶ月である。別の実施形態において、投与期間は、約12ヶ月である。別の実施形態において、投与期間は、約12~約36ヶ月である。さらなる実施形態において、投与期間は、約12~約30ヶ月である。なおさらなる実施形態において、投与期間は、約12~約24ヶ月である。
【0087】
[0088] 本明細書に記載の実施形態において、この方法は、生活の質質問票-気管支拡張症(QOL-B)、重症度の全般的印象評価尺度(PGIS)呼吸器、PROMIS Fatigue Short Form 7a(PROMIS F-SF 7a)、疲労の全般的印象評価尺度(PGIS)などの1つ以上のPRO手段から生成されたPROによって測定される治療応答を提供する。具体的には、本明細書で提供される処置方法は、投与期間中又は投与期間後(例えば、投与期間終了の1ヶ月後)に患者報告アウトカム(PRO)によって測定される呼吸器症状スコアを改善することを含む。例えば、一実施形態における呼吸器症状スコアは、QOL-B又はその修正版の呼吸器領域スコアを含む。一実施形態において、呼吸器症状スコアは、「気管支拡張症」という用語を「肺状態」に置換するように修正されたQOL-Bの呼吸器領域スコアを含む。別の実施形態において、呼吸器症状スコアは、QOL-Bの呼吸器領域スコアのサブセット又はその修正版、すなわち、QOL-Bにおける9つの症状クエリーのサブセットを含む。さらなる実施形態において、QOL-Bの呼吸器領域スコアは、「気管支拡張症」という用語を「肺状態」に置換するように修正される。
【0088】
[0089] QOL-Bは、非CF気管支拡張症を有する成人の症状、機能、及び健康関連の生活の質を評価するために使用される、検証済みの自己管理及び報告型のアウトカム質問票である。全体が参照により本明細書に援用される、Quittner et al.Quality of Life Questionnaire-Bronchiectasis:final psychometric analyses and determination of minimal important differences scores.Thorax.2016;71(1):26-34を参照されたい。これは、1週間の想起期間にわたってアウトカムを測定する。質問票は8領域(身体、役割、活力、感情、社会、処置の負担、健康認識、呼吸器)に対し37項目を含む。37項目はそれぞれ1~4のスコアが付けられ、8つのスケールスコアはそれぞれ0~100点のスケールで標準化されており、スコアが高いほど症状が少ないか、機能及び生活の質が良いことを表す。スコアは、身体、役割、活力、感情、社会、処置の負担、健康認識、呼吸器の7つの領域について計算される。呼吸器領域については、患者は、1~4のスケール(「全くない」、「少し」、「中程度」、又は「かなり」に対応)で、(i)胸の詰まりを感じるかどうか;(ii)日中咳をしているかどうか;(iii)粘液を喀出しなければならなかったかどうかについて尋ねられた。喀痰は色によっても特徴付けられる:透明、透明から黄色、黄緑色、茶色がかった暗色、緑色に微量の血液、又は不明。患者はまた、1から4のスケール(「全くない」、「時々」、「頻繁」、又は「常に」に対応する)で、(i)大半の活動で息切れがあったかどうか;(ii)喘鳴があったかどうか;(iii)胸の痛みがあったかどうか;(iv)会話中に息切れがあったかどうか;(v)咳のために夜中に目が覚めたかどうかについて尋ねられる。患者は、1週間の想起期間にわたって呼吸器領域の質問に対する自らの回答を分類するよう求められる。
【0089】
[0090] 本明細書に記載のMAC肺感染症の処置方法のいくつかの実施形態において、処置することは、投与期間中又は投与期間後に呼吸器領域スコアを改善することを含む。呼吸器領域スコアの改善は、QOL-Bの呼吸器症状のサブセットの改善を含み得るが、質問された全ての症状ではないことを理解されたい。
【0090】
[0091] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、処置前(すなわち、投与期間前)の患者の呼吸器領域スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に患者のQOL-Bの呼吸器領域スコアを改善することを含む。一実施形態において、患者のQOL-B呼吸器領域スコアは、投与期間中に改善される。別の実施形態において、患者の呼吸器領域スコアは、投与期間の終わりに改善される。また別の実施形態において、患者のQOL-B呼吸器領域スコアは、投与期間の約1ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、患者のQOL-B呼吸器領域スコアは、投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、患者のQOL-B呼吸器領域スコアは、投与期間の約3ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、患者のQOL-B呼吸器領域スコアは、投与期間の少なくとも約3ヶ月後に改善される。さらにまた別の実施形態において、患者のQOL-B呼吸器領域スコアは、投与期間の約3ヶ月~約6ヶ月後に改善される。別の実施形態において、患者のQOL-B呼吸器領域スコアは、投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後に改善される。
【0091】
[0092] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、処置前の患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアを改善することをさらに含む。さらなる実施形態において、患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアは、投与期間中に改善される。別の実施形態において、患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアは、投与期間の終わりに改善される。別の実施形態において、患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアは、投与期間の約1ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアは、投与期間の少なくとも約1ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアは、投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に改善される。さらにまた別の実施形態において、患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアは、投与期間の約3ヶ月後に改善される。さらに別の実施形態において、患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアは、投与期間の少なくとも約3ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアは、投与期間の約3ヶ月~約6ヶ月後に改善される。さらにまた別の実施形態において、患者のQOL-B非呼吸器領域の1つ以上のスコアは、投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後に改善される。
【0092】
[0093] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、処置前の患者の1つ以上の呼吸器症状と比較して、投与期間中又は投与期間後に患者のPGIS呼吸器スコアによって測定される1つ以上の呼吸器症状を改善することを含む。PGIS呼吸器スコアは、症状の重症度の単純分類評価である。スケールは0=全くなし~5=極めて重度である。一実施形態において、PGIS呼吸器スコアによって測定される1つ以上の呼吸器症状は、投与期間中に改善される。別の実施形態において、PGIS呼吸器スコアによって測定される1つ以上の呼吸器症状は、投与期間の終わりに改善される。別の実施形態において、患者の1つ以上の呼吸器症状は、投与期間の約1ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、PGIS呼吸器スコアによって測定される1つ以上の呼吸器症状は、投与期間の少なくとも約1ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、PGIS呼吸器スコアによって測定される1つ以上の呼吸器症状は、投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、PGIS呼吸器スコアによって測定される1つ以上の呼吸器症状は、投与期間の約3ヶ月後に改善される。さらにまた別の実施形態において、PGIS呼吸器スコアによって測定される1つ以上の呼吸器症状は、投与期間の少なくとも約3ヶ月後に改善される。さらにまた別の実施形態において、PGIS呼吸器スコアによって測定される1つ以上の呼吸器症状は、投与期間の約3ヶ月~約6ヶ月後に改善される。さらにまた別の実施形態において、PGIS呼吸器スコアによって測定される1つ以上の呼吸器症状は、投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後に改善される。
【0093】
[0094] PROMIS F-SF 7aは、軽度の主観的な疲れた感覚から、日常活動を実行する能力及び家族又は社会的役割における正常な機能を低下させる可能性が高い、圧倒的、衰弱性、且つ持続する疲労感まで、過去7日間の様々な自己申告による症状を評価する自己管理式質問票である。全体が参照により本明細書に援用される、Ameringer et al.Psychometric Evaluation of the Patient-Reported Outcomes Measurement Information System Fatigue-Short Form Across Diverse Populations.Nurs Res.2016;65(4):279-289を参照されたい。疲労は、疲労の経験(頻度、持続時間、及び強度)並びに疲労が身体的、精神的、及び社会的活動に及ぼす影響の7項目に分けられる。回答の選択肢は、1=全くない~5=常に、の範囲の5段階リッカート尺度である。PROMIS F-SF 7aは疾患特異的ではなく、普遍的である。一実施形態において、疲労スコアの計算は、定性的研究の結果に基づいて決定される。
【0094】
[0095] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、処置前の患者の1つ以上の疲労症状と比較して、投与期間中又は投与期間後に患者のPROMIS F-SF 7aスコアによって測定される1つ以上の疲労症状を改善することを含む。別の実施形態において、PROMIS F-SF 7aスコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間中に改善される。別の実施形態において、PROMIS F-SF 7aスコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の終わりに改善される。また別の実施形態において、PROMIS F-SF 7aスコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の約1ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、PROMIS F-SF 7aスコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の少なくとも約1ヶ月後に改善される。さらにまた別の実施形態において、PROMIS F-SF 7aスコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に改善される。さらに別の実施形態において、PROMIS F-SF 7aスコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の約3ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、PROMIS F-SF 7aスコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の少なくとも約3ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、PROMIS F-SF 7aスコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の約3ヶ月~約6ヶ月後に改善される。一実施形態において、PROMIS F-SF 7aスコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後に改善される。
【0095】
[0096] PGIS疲労スコアは、症状の重症度の単純分類評価である。スケールは0=全くなし~5=極めて重度である。本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、処置前の患者の1つ以上の疲労症状と比較して、投与期間中又は投与期間後に患者のPGIS疲労スコアによって測定される1つ以上の疲労症状を改善することを含む。一実施形態において、PGIS疲労スコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間中に改善される。別の実施形態において、PGIS疲労スコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の終わりに改善される。別の実施形態において、PGIS疲労スコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の約1ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、PGIS疲労スコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の少なくとも約1ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、PGIS疲労スコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、PGIS疲労スコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の約3ヶ月後に改善される。さらにまた別の実施形態において、PGIS疲労スコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の少なくとも約3ヶ月後に改善される。また別の実施形態において、PGIS疲労スコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の約3ヶ月~約6ヶ月後に改善される。さらに別の実施形態において、PGIS疲労スコアによって測定される1つ以上の疲労症状は、投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後に改善される。
【0096】
[0097] いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法から得られる治療応答は、患者からの喀痰試料の微生物学的評価、例えば、陰性MAC喀痰培養、又は本明細書で2つの連続した陰性MAC喀痰培養として定義されるMAC喀痰培養転換の達成、MACの再発率、及びアミカシン最小発育阻止濃度(MIC)≧128μg/mLによるMAC単離の発生率によって測定される。
【0097】
[0098] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、投与期間中又は投与期間後に患者の陰性MAC喀痰培養を達成することを含む。
【0098】
[0099] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、同じ投与期間にわたってマクロライド系抗生物質及びエタンブトールを投与されたが、本医薬組成物は投与されなかった、新たに診断された未処置のMAC肺感染症を有する患者と比較して、1回目の陰性MAC喀痰培養を達成するまでの時間を短縮することを含む。
【0099】
[00100] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、投与期間中又は投与期間後に患者においてMAC喀痰培養転換を達成することを含む。さらなる実施形態において、患者は、投与期間中にMAC喀痰培養転換を達成する。また別の実施形態において、患者は、投与期間の終わりにMAC喀痰培養転換を達成する。また別の実施形態において、患者は、投与期間の約1ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。また別の実施形態において、患者は、投与期間の少なくとも約1ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。また別の実施形態において、患者は、投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。さらに別の実施形態において、患者は、投与期間の約3ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。また別の実施形態において、患者は、投与期間の少なくとも約3ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。さらに別の実施形態において、患者は、投与期間の約3ヶ月~約6ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。また別の実施形態において、患者は、投与期間の約3ヶ月~約12ヶ月後にMAC喀痰培養転換を達成する。
【0100】
[00101] 別の実施形態において、処置することは、患者において持続的な培養転換を達成することを含む。本明細書に記載の実施形態において、持続的培養転換とは、培養転換が達成された後に陰性MAC喀痰培養が継続的に存在することを指す。例えば、一実施形態において、持続的培養転換は、培養転換後約1ヶ月、培養転換後約1ヶ月及び約3ヶ月、培養転換後約1ヶ月及び約6ヶ月、培養転換後約1ヶ月及び約9ヶ月、又は培養転換後約1ヶ月後及び約12ヶ月で陰性MAC喀痰培養を有する患者を指す。
【0101】
[00102] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、同じ投与期間にわたってマクロライド系抗生物質及びエタンブトールを投与されたが、本医薬組成物は投与されなかった、新たに診断された未処置のMAC肺感染症を有する患者と比較して、MAC喀痰培養転換を達成するまでの時間を短縮することを含む。
【0102】
[00103] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、同じ投与期間にわたってマクロライド系抗生物質及びエタンブトールを投与されたが、本医薬組成物は投与されなかった、新たに診断された未処置のMAC肺感染症を有する患者のMACの再発率と比較して、患者のMACの再発率を低下させることを含む。一実施形態において、再発性MACは、処置前のMACと同じ種及びゲノムのものである。別の実施形態において、再発性MACは、処置前のMACと比較して、異なる種のものであるか、又は同じ種であるが異なるゲノムのものである。
【0103】
[00104] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、同じ投与期間にわたってマクロライド系抗生物質及びエタンブトールを投与されたが、本医薬組成物は投与されなかった、新たに診断された未処置のMAC肺感染症を有する患者のアミカシン最小発育阻止濃度(MIC)≧128μg/mLによるMAC単離の発生率と比較して、患者のアミカシン最小発育阻止濃度(MIC)≧128μg/mLによるMAC単離の発生率を低下させることを含む。
【0104】
[00105] いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法から生じる治療応答は、アクティグラフィーによって、例えば、アクティグラフィー装置を使用した日常活動及び睡眠効率によって測定される。
【0105】
[00106] 本明細書に開示される方法の一実施形態において、処置することは、処置前の患者が経験した日常活動及び睡眠効率と比較して、又は同じ投与期間にわたってマクロライド系抗生物質及びエタンブトールを投与されたが、本医薬組成物は投与されなかった、新たに診断された未処置のMAC肺感染症を有する患者の日常活動及び睡眠効率と比較して、投与期間中又は投与期間後に、患者のPhilips ACTIWATCH SPECTRUM PROアクティグラフィー装置によって測定される日常活動及び睡眠効率を改善することを含む。さらなる実施形態において、患者の日常活動及び睡眠効率は、投与期間中に改善される。またさらなる実施形態において、患者の日常活動及び睡眠効率は、投与期間の終わりに改善される。またさらなる実施形態において、患者の日常活動及び睡眠効率は、投与期間の約1ヶ月後に改善される。またさらなる実施形態において、患者の日常活動及び睡眠効率は、投与期間の少なくとも約1ヶ月後に改善される。またさらなる実施形態において、患者の日常活動及び睡眠効率は、投与期間の約1ヶ月~約3ヶ月後に改善される。またさらなる実施形態において、患者の日常活動及び睡眠効率は、投与期間の約3ヶ月後に改善される。またさらなる実施形態において、患者の日常活動及び睡眠効率は、投与期間の少なくとも約3ヶ月後に改善される。またさらなる実施形態において、患者の日常活動及び睡眠効率は、投与期間の約3ヶ月~約6ヶ月後に改善される。またさらなる実施形態において、患者の日常活動及び睡眠効率は、投与期間後約3ヶ月~約12ヶ月まで改善される。
【0106】
[00107] 一実施形態において、本明細書で提供される方法は、患者にリファマイシン化合物を投与することをさらに含む。さらなる実施形態において、リファマイシン化合物は、リファンピン、リファブチン、リファペンチン、リファキシミン、又はそれらの組み合わせである。またさらなる実施形態において、リファマイシン化合物はリファンピンである。
【0107】
[00108] 一実施形態において、本明細書の方法は、患者にリファマイシン化合物を投与することを除外する。
【実施例
【0108】
実施例
[00109] 以下の実施例を参照することによって、本発明をさらに説明する。しかし、実施例は、上記の実施形態と同様に、例示的なものであり、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0109】
実施例1-マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex)(MAC)によって引き起こされる新たに診断された非結核性抗酸菌(NTM)肺感染症を有する成人対象における、患者報告アウトカム手段の検証
[00110] 処置を開始していない、非空洞性肺疾患及び新たに診断された(初発性又は続発性)MAC肺感染症を有する患者に対する、未だ満たされていない医療ニーズが存在する。現在、MAC肺疾患を有する患者の症状を評価するための検証済みの患者報告アウトカム(PRO)手段はない。この実施例は、処置を開始していない、非空洞性肺疾患及び新たに診断された(初発性又は続発性)MAC肺感染症を有する成人対象における、PRO手段を検証するためのランダム化、二重盲検、プラセボ対照、活性対照薬、多施設試験を説明する。この試験では、例えば、MAC肺疾患集団内のQOL-B及びPROMIS F-SF 7aのPRO手段を検証するために、MAC肺疾患集団内でのアミカシンリポソーム吸入懸濁液(ALIS)ベースのレジメンのPROエンドポイントの領域の特定(最新の心理測定法による)、信頼性、有効性、及び応答性(対象内の有意義な変化)を示すエビデンスを生成することを目的として、PRO手段から生成されたデータを評価する。この試験で検証された手段は、実施例2に記載される別の試験で臨床的利益を評価するために使用される。
【0110】
[00111] この試験で使用されるALISは、NDA 207356(ARIKAYCE(登録商標))の下で承認されたARIKAYCE(登録商標)医薬品である。ALISはアミカシンの持続放出性脂質組成物であり、多剤バックグラウンドレジメン療法を最低6ヶ月連続して行った後に陰性喀痰培養を達成しない患者の組み合わせ抗菌薬レジメンの一部としてのマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex)(MAC)肺感染症の処置のための代替的な処置の選択肢が限られているか、又はそれを有しない成人に適応とされる。
【0111】
[00112] ALISの空のリポソーム対照(ELC)と呼ばれる対応するプラセボは、アミカシン原薬の非存在下でALISと同じ賦形剤を使用する。ALISとそれに対応するプラセボ(ELC)の製剤組成の比較を表2に示す。
【0112】
【表2】
【0113】
[00113] 希釈ELCの製造プロセスは、ALISに使用されたものと同様のリポソーム形成処理プロセスと及び同じ設備を使用する。ELCの製造プロセスは、注入及びリポソーム形成中にアミカシン硫酸塩が1.9%塩化ナトリウムに置換されるALISと同等のリポソームを産生するように開発された。リポソームが形成されると、1.5%の塩化ナトリウムを使用して標的脂質濃度、例えば5%ELCへの脱ろ過が開始される。
【0114】
[00114] 2つの対照薬、アジスロマイシン及びエタンブトールの錠剤は、市販の供給源から得られる。
【0115】
方法
対象適格基準
[00115] この臨床試験について試験中の患者集団には、処置を開始していない非空洞性肺疾患及び新しい診断(初発性又は続発性)のMAC肺感染症を有する成人が含まれる(図1)。以下の表3は、試験の選択基準を提供する。
【0116】
【表3】
【0117】
[00116] 以下の表4は、試験の特定の除外基準を提供する。
【0118】
【表4】
【0119】
試験デザイン
[00117] 図2は、試験デザイン及び処置期間の模式図である。試験は、ALISベースのレジメンの有効性及び安全性の正確な評価を可能にする、処置群の割り当て及び微生物学的結果に対する盲検化を含む二重盲検法で実施される。この試験には、活性対照薬も含まれており、これは、ALISの増分利益の決定を可能にし、試験集団にとって適切で効率的且つ正確な対照である。
【0120】
[00118] 適格な対象は、2つの処置レジメンのいずれかを受けるように、ベースラインで1:1の比率でランダム化される:ALIS+アジスロマイシン(AZI)+エタンブトール(ETH)又は空のリポソーム対照(ELC)+AZI+ETHを6ヶ月間、次いで全ての抗MAC処置を1ヶ月間中止し、7ヶ月目にEOSの最終評価を行う。ALIS590mg又はELCは、およそ6分間~最長15分間にわたる噴霧による吸入によって、1日1回(QD)投与される。ネブライザーシステムは、PARI Pharma GmbH(ドイツ)の子会社であるPARI Respiratory Equipment(バージニア州リッチモンド)によって製造されている。アジスロマイシン250mg錠剤及びエタンブトール15mg/kg錠剤は、食事を伴い又は伴わず、QDで経口摂取される。スクリーニング期間は、最長約-70日間~-28日間(約2.5ヶ月)である。試験期間は、スクリーニング来院からEOSまで最長9.5ヶ月である。EOSは、最後の対象の最後の来院の日付として定義される。
【0121】
[00119] ランダム化は、MAC肺感染の領域及び病歴(初発性又は続発性)によって層別化される。ベースライン後、対象は、1ヶ月目、3ヶ月目、5ヶ月目、6ヶ月目/処置終了(EOT)、及び7ヶ月目/試験終了(EOS)で、クリニック来院のために試験施設に戻る。試験来院の日に、PRO手段の収集後及び喀痰の収集後に、試験担当者によって試験薬が試験施設で投与される。
【0122】
[00120] 2ヶ月目及び4ヶ月目の来院には、クリニックでの予約は必要でない。これらの非来クリニック来院では、AE及び併用薬が評価され、対象は喀痰サンプルを出して送る必要がある。6ヶ月目/EOTの来院で、対象は全ての試験処置を中止し、1ヶ月の処置停止期間にわたってフォローされ、その間、いかなる新しいMAC肺感染症の医学的又は非医学的治療の開始も避けるべきである。
【0123】
[00121] 7ヶ月目/EOSで、対象はプロトコルで指定された全ての評価及びEOS手順を完了する。
【0124】
[00122] MAC肺疾患集団内で検証されるPROを表5に示す。
【0125】
【表5】
【0126】
[00123] 患者報告検証変数を表6に示す。
【0127】
【表6】
【0128】
【表7】
【0129】
[00124] 臨床/デジタル検証変数には、次のものが含まれる。
1.パーセント予測努力呼気肺活量(ppFEV
【0130】
[00125] 2.喀痰培養
[00126] 喀痰試料の微生物学的評価は、二次効果測定に使用される。
【0131】
[00127] 試験中、投与前の喀痰又は誘発喀痰サンプル(約2mL)が試験来院時に必要である。良好な喀痰試料が得られる確率を高めるために、各評価で各対象から2つの喀痰サンプルを採取する。対象は、予定された来院の前日に1つの喀痰サンプルを出し、それを予定された来院に持ち込み、来院の日に1つの喀痰サンプルを試験薬の投与前に出す。スクリーニングでは、対象は来院日に1つの喀痰サンプルを出し、スクリーニング来院の次の週に1つの喀痰を出す。対象が自発的に喀痰を出すことができない場合、喀痰が誘発され得る。喀痰誘発後、対象が合理的な努力にもかかわらず喀痰を出すことができない場合、これはその時点で乾性として記録される。予定された来院時、喀痰が採取されると(自然に又は誘発により)試験薬を投与できる。
【0132】
[00128] 微生物学的評価のために、喀痰試料は、寒天培地(固体)に加えてブロス培地(液体)中で培養され、最大6週間保持される。この時間が経過するまで、陰性の培養結果は報告されない。
【0133】
[00129] 同時感染による他の細菌の増殖(例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、M.アブセサス(M.abscessus)、他のNTM)が報告される。MAC増殖のコロニー数が報告される。市販のRNAプローブ(AccuProbe,Gen Probe,Inc.,GenoType NTM-DR Ver 1.0,Hain Lifescience)を使用してMACの分離株を同定し、続いて分子法を使用して種を同定する。全体が参照により本明細書に援用される、Cousins et al.Multiplex PCR provides a low-cost alternative to DNA probe methods for rapid identification of Mycobacterium avium and Mycobacterium intracellulare.J Clin Microbiol.1996;34(9):2331-2333を参照されたい。MICを使用した標準的な抗生物質感受性検査は、マイコバクテリア分離株に対して定期的に実施される。それぞれ全体が参照により本明細書に援用される、CLSI.Performance Standards for Susceptibility Testing of Mycobacteria,Nocardia spp,and Other Aerobic Actinomycetes.1st ed.CLSI standard M62.Wayne PA:Clinical Laboratory Standards Institute;2018;CLSI.Susceptibility Testing of Mycobacteria,Nocardia spp,and Other Aerobic Actinomycetes.3rd ed.CLSI standard M24.Wayne PA:Clinical Laboratory Standards Institute;2018;Forbes et al.M48-A.Laboratory Detection and Identification of Mycobacteria;Approved Guideline.Clinical and Laboratory Standard Institute.2008;28(17)を参照されたい。
【0134】
[00130] スクリーニング及び/又はベースライン喀痰試料でのMAC種及び遺伝子型は、全ゲノム配列決定(Illumina Nextseq500TM)によって同定される。喀痰培養転換を達成し、その後の喀痰培養(ブロス又は寒天)が陽性である対象では、全ゲノム配列決定によるタイプ分類も実施される。
【0135】
[00131] この試験のMAC培養評価の定義を表7に示す。
【0136】
【表8】
【0137】
[00132] 3.アミカシンMIC≧128μg/mLで単離されたMACの評価
【0138】
[00133] 4.アクティグラフィー
[00134] Philips ACTIWATCH SPECTRUM PROアクティグラフィー装置は腕時計に似ており、着用者の活動を感知する。試験期間を通して、対象はこれを継続的に着用するものとする。収集されたデータは、各クリニック来院時又は在宅ケア来院中にダウンロードされる。
【0139】
アウトカム評価
[00135] 試験の目的及びエンドポイントの一部を表8に示す。
【0140】
【表9】
【0141】
統計分析
[00136] 横断的検証はベースラインで実施され、最新の心理測定法(探索的因子分析、項目反応理論モデル、並びに対応する局所依存性及び特異項目機能の評価)、内部一貫性、併存的妥当性、及び既知グループ妥当性で構成される。
【0142】
[00137] スクリーニングとベースラインの間でPGISに変化がないと報告している対象における、スクリーニングとベースラインの間の試験・再試験信頼度の信頼性。PGISアンカーは、QOL-B呼吸器領域及びPROMIS F-SF 7aにそれぞれ適用される呼吸器及び疲労PGISを備えた、PRO固有のものとなる。
【0143】
[00138] アンカーベースの方法によって推定され、ベースラインとEOSの間のeCDF及びePDFによって検証された対象内の有意義な変化(7ヶ月目)。利用されるアンカーには、PGIS及び培養転換が含まれる。
【0144】
[00139] 統計分析計画(SAP)に別段の記載がない限り、副次的エンドポイントに関する全ての要約は、利用可能なデータに基づいて治療意図(ITT)解析対象集団を利用する。
【0145】
[00140] 分類別副次的エンドポイントの報告には、基本的な統計、ロジスティック回帰によって導き出された推定値が含まれ、必要に応じて、結果として得られる対応する95%信頼区間(CI)とともに、率、率差、及びオッズ比の推定値が含まれる。
【0146】
[00141] 継続的な副次的エンドポイントの報告には、基本的な統計、応答変数及び処置としてのベースライン並びに従属変数回帰としてのベースラインからの変化による共分散分析(ANCOVA)モデルから得られた推定値が含まれ、必要に応じて、対応する95%CIを含む推定値が含まれる。
【0147】
[00142] 分散分析及びロジスティック回帰モデルには、ランダム化層の調整が含まれない場合がある。これは、層の各組み合わせ内のカウントが小さいことが予想されるためである。
【0148】
[00143] 培養転換までの時間は、カプラン・マイヤー法によって要約される。
【0149】
[00144] 安全性データの分析は、安全性解析対象集団(少なくとも1用量のALIS、ELC、AZI、又はETHを投与された、ランダムに割り当てられた全ての対象)に対して実施される。各処置群の安全性パラメーターには、ベースラインとEOTの間の有害事象(AE)の発生、併用薬の使用、並びに臨床検査値(血清化学、血液学、尿検査)、バイタルサインの測定値、及び身体検査所見(体重を含む)の変化が含まれる。有害事象は、医薬品規制用語集(MedDRA)辞書の最新版に従ってコード化される。全てのAE、試験実施者が処置関連であると判断したAE、重篤な有害事象(SAE)、及び試験からの離脱の原因となったAEの要約が提示される。血液学、化学、及び尿検査の値は、経時的な処置群ごとに、及び来院ごとに要約される。
【0150】
実施例2-マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex)(MAC)によって引き起こされる新たに診断された非結核性抗酸菌(NTM)肺感染症を有する成人対象における、アミカシンリポソーム吸入懸濁液(ALIS)ベースのレジメンの有効性及び安全性の評価
[00145] この実施例は、実施例1で検証されたPRO手段、例えば、QOL-B及びPROMIS F-SF 7aを使用した、実施例1に記載の、処置を開始していない、非空洞性肺疾患及び新たに診断された(初発性又は続発性)MAC肺感染症を有する成人対象における、実施例1に記載の、アミカシンリポソーム吸入懸濁液(ALIS)ベースのレジメンの有効性及び安全性を評価するためのランダム化、二重盲検、プラセボ対照、活性対照薬、多施設試験を説明する。この試験はまた、試験集団における持続的な無処置の喀痰培養転換率におけるALISベースのレジメンの有効性及び安全性を評価することを目的とする。
【0151】
方法
対象適格基準
[00146] この臨床試験について試験中の患者集団には、処置を開始していない非空洞性肺疾患及び新しい診断(初発性又は続発性)のMAC肺感染症を有する成人が含まれる。対象の適格基準は、実施例1の試験のものと同じであり、図1並びに表3及び4に示されている。
【0152】
試験デザイン
[00147] 図3は、試験デザイン及び処置期間の模式図である。実施例1の試験と同様に、この試験は、処置群の割り当て及び微生物学的結果に対する盲検化を含む二重盲検法で実施され、活性対照薬を含む。
【0153】
[00148] 処置を開始していない、新たに診断された(初発性又は続発性)MAC肺感染症を有する適格な対象は、2つの処置レジメンのいずれかを受けるように、ベースラインで1:1の比率でランダム化される:ALIS+アジスロマイシン(AZI)+エタンブトール(ETH)又は空のリポソーム対照(ELC)+AZI+ETHを12ヶ月間、次いで全てのMAC処置を3ヶ月間中止し、15ヶ月目にEOSの最終評価を行う。ALIS及びELCの組成は、実施例1の表2に記載の通りである。ALIS590mg又はELCは、およそ6分間~最長15分間にわたる噴霧による吸入によって、1日1回(QD)投与される。ネブライザーシステムは、PARI Pharma GmbH(ドイツ)の子会社であるPARI Respiratory Equipment(バージニア州リッチモンド)によって製造されている。アジスロマイシン250mg錠剤及びエタンブトール15mg/kg錠剤は、食事を伴い又は伴わず、QDで経口摂取される。スクリーニング期間は、最長およそ-70日間~-28日間(およそ2.5ヶ月)である。各対象の試験期間は、スクリーニング来院からEOSまで最長17.5ヶ月である。EOSは、最後の対象の最後の来院の日付として定義される。
【0154】
[00149] ランダム化は、MAC肺感染の領域及び病歴(初発性又は続発性)によって層別化される。ベースライン後、対象は、1ヶ月目、3ヶ月目、5ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、11ヶ月目、12ヶ月目/EOT、13ヶ月目、及び15ヶ月目/EOSで、クリニック来院のために試験施設に戻る。EOT:処置終了;EOS:試験終了。
【0155】
[00150] 2、4、7、8、及び10ヶ月目の来院には、クリニックでの予約は必要でない。これらの非来クリニック来院時に、有害事象(AE)及び併用薬が評価され、試験薬摂取の評価のためにeDiaryデータが収集され、対象は喀痰サンプルを提供及び発送する必要がある。
【0156】
[00151] 12ヶ月目/EOTの来院で、対象は全ての試験処置を中止し、3ヶ月の無処置期間にわたってフォローされ、その間、MAC肺感染症の医学的又は非医学的治療が行われるべきではない。
【0157】
[00152] 13ヶ月目に、対象はプロトコルで指定された全ての評価を完了する。15ヶ月目/EOSで、対象はプロトコルで指定された全ての評価及び最終EOS手順を完了する。
【0158】
[00153] 対象は、次のPRO評価を完了する。
【0159】
[00154] 1.QOL-B
[00155] QOL-B質問票は、試験来院時に記入される。対象は質問票を電子的に自己管理する。QOL-B質問票は、指定された試験来院で実施される最初の評価となる。呼吸器スコアの計算は、定性的研究の結果に基づいて決定されるQOL-B手段内の選択された項目から導き出される。
【0160】
[00156] 2.PROMIS F-SF 7a
[00157] PROMIS F-SF 7aは、試験来院時に完了する。対象は質問票を電子的に自己管理する。PROMIS F-SF 7aは、指定された試験来院で実施される2番目の評価となる。疲労スコアの計算は、定性的研究の結果に基づいて決定される。
【0161】
[00158] 3.PGIS-呼吸器
[00159] PGIS呼吸器は、試験来院時に完了する。対象は質問票を電子的に自己管理する。
【0162】
[00160] 4.PGIS-疲労
[00161] PGIS疲労は、試験来院時に完了する。対象は質問票を電子的に自己管理する。
【0163】
アウトカム評価
[00162] 試験の特定の目的及びエンドポイントを表9に示す。
【0164】
【表10】
【0165】
[00163] 試験の有効性評価における主要な変数は、QOL-Bの呼吸器スコアである。QOL-B質問票は、試験来院時に記入される。対象は質問票を電子的に自己管理する。呼吸器スコアの計算は、定性的研究の結果に基づいて決定されるQOL-B手段内の選択された項目から導き出される。
【0166】
[00164] 喀痰試料の微生物学的評価は、二次効果測定に使用される。
【0167】
[00165] 試験中、投与前の喀痰又は誘発喀痰試料(約2mL)が試験来院時に必要である。良好な喀痰試料が得られる確率を高めるために、各評価で各対象から2つの喀痰サンプルを採取する。対象は、予定された来院の前日に1つの喀痰サンプルを提供し、来院の日に1つの喀痰サンプルを試験薬の投与前に出す。スクリーニングでは、対象は来院の初日に1つの喀痰サンプルを提供し、スクリーニング来院の次の週に1つの喀痰サンプルを提供する。対象が自発的に喀痰を出すことができない場合、喀痰が誘発され得る。喀痰誘発後、対象が合理的な努力にもかかわらず喀痰を出すことができない場合、これはその時点で乾性として記録される。予定された来院時、喀痰が採取されると(自然に又は誘発により)試験薬を投与できる。
【0168】
[00166] 微生物学的評価のために、喀痰試料は、寒天培地(固体)に加えてブロス(液体)中で培養され、最大6週間保持される。この時間が経過するまで、陰性の培養結果は報告されない。
【0169】
[00167] 同時感染による他の細菌の増殖(例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、M.アブセサス(M.abscessus)、他のNTM)が報告される。MAC増殖のコロニー数が報告される。市販のRNAプローブ(AccuProbe,Gen Probe,Inc.,GenoType NTM-DR Ver 1.0,Hain Lifescience)を使用してMACの分離株を同定し、続いて分子法を使用して種を同定する。全体が参照により本明細書に援用される、Cousins et al.Multiplex PCR provides a low-cost alternative to DNA probe methods for rapid identification of Mycobacterium avium and Mycobacterium intracellulare.J Clin Microbiol.1996;34(9):2331-3を参照されたい。MICを使用した標準的な抗生物質感受性検査は、マイコバクテリア分離株に対して定期的に実施される。それぞれ全体が参照により本明細書に援用される、Clinical and Laboratory Standards Institute.Laboratory detection and identification of mycobacteria;approved guideline.CLSI Document M48-A.Clinical and Laboratory Standards Institute,Wayne,PA:CLSI,2008;Forbes et al.M48-A.Laboratory Detection and Identification of Mycobacteria;Approved Guideline.Clinical and Laboratory Standard Institute.2008;28(17)を参照されたい。
【0170】
[00168] スクリーニング及び/又はベースライン喀痰試料でのMAC種及び遺伝子型は、全ゲノム配列決定(Illumina Nextseq500TM)によって同定される。喀痰培養転換を達成し、その後の喀痰培養(ブロス又は寒天)が陽性である対象では、全ゲノム配列決定によるタイプ分類も実施される。
【0171】
[00169] この試験のMAC培養評価の定義を表10に示す。
【0172】
【表11】
【0173】
[00170] この試験に含まれる他のアウトカム評価は、上記のPROMIS Fatigue Short Form 7a(PROMIS F-SF 7a)、PGIS呼吸器、PGIS疲労、及びアクティグラフィーである。実施例1の試験と同様に、この試験のアクティグラフィーは、対象が装着したPhilips ACTIWATCH SPECTRUM PROアクティグラフィー装置の使用を含む。装置は着用者の活動を感知する。収集されたデータは、各クリニック来院時又は在宅ケア来院中にダウンロードされる。
【0174】
統計分析
[00171] 主要エンドポイント及び重要な副次的エンドポイントの分析は、治療意図(ITT-ランダム化された全ての対象)集団で実施される。0.05のアルファ(両側)での有意性が達成された場合、ALIS処置の優位性が宣言される。その場合にのみ、重要な副次的エンドポイントの検査が進められる(アルファ0.05、両側)。
【0175】
[00172] 主要エンドポイントの分析は、ベースラインから13ヶ月目までのPROの変化における処置群間の差異を評価する。対応する95%信頼区間(CI)と合わせた処置効果の試験及び推定では、因子として処置群、ベースラインスコア、及び層別化変数(初発性又は続発性のMAC肺感染症の病歴)を用いた共分散分析(ANCOVA)を利用する。
【0176】
[00173] 15ヶ月目の喀痰転換持続性の重要な副次的エンドポイントの分析では、ロジスティック回帰モデルを利用して、オッズ比及び対応する95%CIを推定する。ALISが主要エンドポイントで優れていると宣言される場合にのみ、処置群間の割合の差の試験は、有意水準0.05のアルファ、両側で実行される。
【0177】
[00174] 安全性データの分析は、安全性解析対象集団(すなわち、任意の量の試験薬を投与された、ランダムに割り当てられた全ての対象)に対して実施される。各処置群につき提示される安全性パラメーターには、ベースラインとEOTの間のAEの発生、併用薬の使用、並びに臨床検査値(血清化学、血液学、尿検査)、心電図(ECG)、バイタルサインの測定値、及び身体検査所見(体重を含む)の変化が含まれる。有害事象は、医薬品規制用語集(MedDRA)辞書Version 23.0以降の最新版に従ってコード化される。全てのAE、試験実施者が処置関連であると判断したAE、重篤な有害事象(SAE)、及び試験からの離脱の原因となった有害事象の要約が提示される。血液学、化学、及び尿検査の値は、経時的な処置群ごとに、及び来院ごとに要約される。
【0178】
[00175] 説明された発明は、その特定の実施形態を参照して説明されたが、当業者は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、均等物を代用することができることを理解すべきである。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、1つ又は複数のプロセスステップを、記載された発明の客観的精神及び範囲に採用するために、多くの修正が行われ得る。そのような修正は全て、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0179】
[00176] 本明細書で参照される特許、特許出願、特許出願公開、学術論文、及びプロトコルは、あらゆる目的で、参照によりその全体が援用される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】