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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】二量体ナフタルイミドコーティング
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/08 20060101AFI20230905BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
A61L31/08
A61L31/14 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511781
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2021046647
(87)【国際公開番号】W WO2022040402
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/068,343
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521141121
【氏名又は名称】アルーセント バイオメディカル,インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー,ケビン エス.
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AC10
4C081BA14
4C081BA15
4C081CE11
4C081DA11
4C081EA06
(57)【要約】
二量体ナフタルイミドコーティングのための安定な製剤、及び該コーティングを形成するための調製方法、二量体ナフタルイミドコーティングされた物品、並びにそれらの滅菌及び保存安定なパッケージング。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
式(I)の化合物:
【化1】
及び
その薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤と、
エタノール、水、及び酢酸を含む溶媒系と、を含み、
前記少なくとも1つの活性剤が、前記溶媒系内で少なくとも8時間分解せず、
前記少なくとも1つの活性剤の少なくとも2%w/wが、前記組成物中で少なくとも8時間可溶化されたままである、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの活性剤の約2%、2.2%、2.4%、2.6%、2.8%、3%、3.2%、3.4%、3.6%、3.8%、又は4%w/wの量が、前記組成物中で少なくとも8時間可溶化されたままである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの活性剤の少なくとも2%w/wが、前記組成物中で10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、又は48時間可溶化されたままである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの活性剤の約2%~約10%w/wの量が、前記組成物中で少なくとも8時間可溶化されたままである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの活性剤の約2%~約10%w/wの量が、前記組成物中で10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、又は48時間可溶化されたままである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの活性剤の約5%w/wの量が、前記組成物中で少なくとも8時間可溶化されたままである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの活性剤の少なくとも5%w/wが、前記組成物中で10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、又は48時間可溶化されたままである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの活性剤が、前記溶媒系内で10、12、14、16、18、20、22、24、30、36、又は48時間分解しない、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項11】
前記溶媒系が、80%~99.2%v/vの範囲の量のエタノールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記溶媒系が、0.05%~5%v/vの範囲の量の酢酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記溶媒系が、0.6%~15%v/vの範囲の量の水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記溶媒系が、エタノール対水対酢酸の体積比が89.5:10:0.5であることを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記溶媒系が、エタノール及び水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記溶媒系が、80%~97%v/vの範囲の量のエタノールを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記溶媒系が、3%~20%v/vの範囲の量の水を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記溶媒系が、エタノール対水の体積比が90:10であることを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1つの酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択され、前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
請求項1に記載の組成物でバルーンをコーティングすることによって調製される、コーティングされたバルーン。
【請求項26】
請求項1に記載の組成物で血管形成術用バルーンをコーティングすることによって調製される血管形成術用バルーン。
【請求項27】
コーティング組成物を安定化する方法であって、
式(I)の化合物:
【化2】
及び
その薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤を、エタノール、酢酸、及び水を含む溶媒系に溶解させることを含み、
前記コーティング組成物の調製から1週間後の前記コーティング組成物中の不純物の総量が、前記組成物中に最初に存在する不純物の総量の3倍未満である、方法。
【請求項28】
前記コーティング組成物の調製から1週間後の前記コーティング組成物中の不純物の総量が、前記組成物中に最初に存在する不純物の総量の2倍未満である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記コーティング組成物の調製から1週間後の前記コーティング組成物中の不純物の総量が、前記組成物中に最初に存在する不純物の総量に実質的に等しい、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記溶媒系が、80%~99.2%v/vの範囲の量のエタノールを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記溶媒系が、0.05%~5%v/vの範囲の量の酢酸を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記溶媒系が、0.6%~15%v/vの範囲の量の水を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒系が、エタノール対水対酢酸の体積比が89.5:10:0.5であることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記溶媒系が、エタノール及び水を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記溶媒系が、80%~97%v/vの範囲の量のエタノールを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記溶媒系が、3%~20%v/vの範囲の量の水を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記溶媒系が、エタノール対水の体積比が90:10であることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項40】
前記コーティング組成物が、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記コーティング組成物が、少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つのルイス酸が、Na+である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記コーティング組成物が、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項45】
前記酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択され、前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
安定化コーティング組成物を形成する方法であって、
式(I)の化合物:
【化3】
及び
その薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤と、エタノール、酢酸、及び水を含む溶媒系と、を含む、コーティング組成物を調製することを含み、
前記コーティング組成物の調製から1週間後の前記コーティング組成物中の不純物の総量が、前記組成物中に最初に存在する不純物の総量の3倍未満である、方法。
【請求項47】
前記コーティング組成物の調製から1週間後の前記コーティング組成物中の不純物の総量が、前記組成物中に最初に存在する不純物の総量の2倍未満である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記コーティング組成物の調製から1週間後の前記コーティング組成物中の不純物の総量が、前記組成物中に最初に存在する不純物の総量に実質的に等しい(「1%未満の増加」として定義される)、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記溶媒系が、80%~99.2%v/vの範囲の量のエタノールを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記溶媒系が、0.05%~5%v/vの範囲の量の酢酸を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記溶媒系が、0.6%~15%v/vの範囲の量の水を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記溶媒系が、エタノール対水対酢酸の体積比が89.5:10:0.5であることを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記溶媒系が、エタノール及び水を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
前記溶媒系が、80%~97%v/vの範囲の量のエタノールを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記溶媒系が、3%~20%v/vの範囲の量の水を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項58】
前記溶媒系が、エタノール対水の体積比が90:10であることを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
前記コーティング組成物が、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
前記少なくとも1つの酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記コーティング組成物が、少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも1つのルイス酸が、Na+である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記コーティング組成物が、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択され、前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
コーティングされた物品を滅菌する方法であって、
コーティングを備える前記コーティングされた物品を放射線滅菌プロセスに供することを含み、
滅菌後に前記コーティング中に存在する不純物の総量が、25%未満増加し、
前記コーティングされた物品の前記コーティングが、式(I)の化合物:
【化4】
及び
その薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤を含む、方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記放射線滅菌プロセスが、二酸化窒素滅菌、ガンマ線照射、及び電子ビーム処理から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
滅菌後に前記コーティング中に存在する不純物の総量が、10%未満増加する、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
滅菌後に前記コーティング中に存在する不純物の総量が、5%未満増加する、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
滅菌後に前記コーティング中に存在する不純物の総量が、1%未満増加する、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
前記コーティングされた物品の前記コーティングが、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項73】
前記少なくとも1つの酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記コーティングされた物品の前記コーティングが、少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項75】
前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
請求項65に記載の方法によって製造される、滅菌されたコーティングされた物品。
【請求項77】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤を含む安定化コーティングでコーティングされた物品を調製するための方法であって、前記方法が、
式(I)の化合物:
【化5】
及び
その薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤と、エタノール、酢酸、及び水を含む溶媒系と、を含むコーティング組成物を調製することと、
前記コーティング組成物を物品の表面の少なくとも一部分に塗布することと、
前記溶媒系を蒸発させて、コーティングされた物品を形成することと、
前記コーティングされた物品を密封可能な容器内にパッケージングすることと、
前記容器内からの酸素の濃度を低減することと、
前記容器に少なくとも1つの乾燥剤を添加することと、
前記コーティングされた物品及び少なくとも1つの乾燥剤を備える前記酸素パージされた容器を密封することと、を含む、方法。
【請求項78】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記少なくとも1つの活性剤が、パッケージング後24ヶ月で10%を超えて分解しない、請求項77又は78に記載の方法。
【請求項81】
前記少なくとも1つの活性剤が、パッケージング後24ヶ月で5%を超えて分解しない、請求項77又は78に記載の方法。
【請求項82】
前記少なくとも1つの活性剤が、パッケージング後24ヶ月で1%を超えて分解しない、請求項77又は78に記載の方法。
【請求項83】
前記容器内の酸素の濃度が、窒素でパージすることによって低減される、請求項77に記載の方法。
【請求項84】
前記密封可能な容器が、ホイルパウチである、請求項77に記載の方法。
【請求項85】
前記乾燥剤が、シリカゲルパケットである、請求項77に記載の方法。
【請求項86】
前記コーティング組成物及び/又は前記コーティングが、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む、請求項77に記載の方法。
【請求項87】
前記少なくとも1つの酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記コーティング組成物及び/又は前記コーティングが、少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項77に記載の方法。
【請求項89】
前記少なくとも1つのルイス酸が、Na+である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記コーティング組成物及び/又は前記コーティングが、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項77に記載の方法。
【請求項91】
前記酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択され、前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項90に記載の組成物。
【請求項92】
式(I)の化合物から選択される少なくとも1つの活性剤及びその薬学的に許容される塩を含むコーティングを有する物品のコーティングを安定化するための方法であって、前記方法が、
式(I)の化合物:
【化6】
及び
その薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤と、エタノール、酢酸、及び水を含む溶媒系と、を含むコーティング組成物を調製することと、
物品の表面の少なくとも一部分を前記コーティング組成物でコーティングして、コーティングされた物品を形成することと、
前記コーティングされた物品を密封可能な容器内にパッケージングすることと、
前記容器内からの酸素の濃度を低減することと、
前記容器に少なくとも1つの乾燥剤を添加することと、
前記コーティングされた物品及び少なくとも1つの乾燥剤を備える前記酸素パージされた容器を密封することと、を含む、方法。
【請求項93】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記少なくとも1つの活性剤が、パッケージング後24ヶ月で10%を超えて分解しない、請求項92又は93に記載の方法。
【請求項96】
前記少なくとも1つの活性剤が、パッケージング後24ヶ月で5%を超えて分解しない、請求項92又は93に記載の方法。
【請求項97】
前記少なくとも1つの活性剤が、パッケージング後24ヶ月で1%を超えて分解しない、請求項92又は93に記載の方法。
【請求項98】
前記容器内の酸素の濃度が、窒素でパージすることによって低減される、請求項92に記載の方法。
【請求項99】
前記密封可能な容器が、ホイルパウチである、請求項92に記載の方法。
【請求項100】
前記乾燥剤が、シリカゲルパケットである、請求項92に記載の方法。
【請求項101】
前記コーティング組成物及び/又は前記コーティングが、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む、請求項92に記載の方法。
【請求項102】
前記少なくとも1つの酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択される、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記コーティング組成物及び/又は前記コーティングが、少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項92に記載の方法。
【請求項104】
前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記コーティング組成物及び/又は前記コーティングが、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項92に記載の方法。
【請求項106】
前記酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択され、前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤を含むコーティングでコーティングされた室温保存安定なパッケージングされた物品であって、
式(I)の化合物:
【化7】
及び
その薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤を含む前記コーティングでコーティングされた前記物品を、低減された酸素雰囲気中で収容する密封可能な容器と、
少なくとも1つの乾燥剤と、を備える、室温保存安定な包装物品。
【請求項108】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記少なくとも1つの活性剤が、パッケージング後24ヶ月で10%を超えて分解しない、請求項107又は108に記載の方法。
【請求項111】
前記少なくとも1つの活性剤が、パッケージング後24ヶ月で5%を超えて分解しない、請求項107又は108に記載の方法。
【請求項112】
前記少なくとも1つの活性剤が、パッケージング後24ヶ月で1%を超えて分解しない、請求項107又は108に記載の方法。
【請求項113】
前記乾燥剤が、シリカゲルパケットである、請求項107に記載の方法。
【請求項114】
前記コーティングされた物品の前記コーティングが、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む、請求項107に記載の方法。
【請求項115】
前記少なくとも1つの酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記コーティングされた物品の前記コーティングが、少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項107に記載の方法。
【請求項117】
前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記コーティングされた物品の前記コーティングが、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項107に記載の方法。
【請求項119】
前記酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択され、前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
コーティングであって、
式(I)の化合物:
【化8】
及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤を含み、
前記コーティングが、物品の表面の少なくとも一部分を覆う、コーティング。
【請求項121】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである、請求項120に記載のコーティング。
【請求項122】
前記少なくとも1つの活性剤が、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である、請求項120に記載のコーティング。
【請求項123】
酢酸を更に含む、請求項120~122のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項124】
少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む、請求項120~123のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項125】
前記少なくとも1つの酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択される、請求項124に記載のコーティング。
【請求項126】
少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項120~123のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項127】
前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項126に記載のコーティング。
【請求項128】
少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含む、請求項120~123のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項129】
前記酸化防止剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトロメタミンから選択され、前記少なくとも1つのルイス酸が、Naである、請求項128に記載のコーティング。
【請求項130】
前記物品が、血管形成術用バルーンである、請求項120~129のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項131】
コーティング物品が包装されてから24ヶ月後に、前記コーティング中に最初に存在する不純物の総量と比較して、前記コーティング中の不純物の総量が、0%~30%未満増加する、請求項120~130のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項132】
滅菌後の前記コーティング中の不純物の総量が、0%~30%未満増加する、請求項120~130のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項133】
前記コーティングが、乾燥状態にある、請求項120~132のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項134】
前記コーティングが、液体状態にある、請求項120~132のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項135】
前記コーティングが、約90~99.8重量%の前記少なくとも1つの活性剤を含む、請求項120~134のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項136】
前記コーティングが、約5μg/mm~約10μg/mmの厚さを有する、請求項120~135のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項137】
前記コーティングが、約7.5μg/mmの厚さを有する、請求項120~136のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項138】
前記コーティングが、約6.5μg/mmの厚さを有する、請求項120~136のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項139】
前記コーティングが、約1μg/mm~約5μg/mmの厚さを有する、請求項120~135のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項140】
前記コーティングが、約2.3μg/mmの厚さを有する、請求項120~135及び139のいずれか一項に記載のコーティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年8月20日に出願された米国特許出願第63/068,343号からの優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、二量体ナフタルイミドコーティングのための新規の安定な製剤、及び該コーティングを形成するための調製方法を提供する。本開示はまた、二量体ナフタルイミドコーティングされた物品、並びにその滅菌及び保存安定なパッケージングに関する。
【背景技術】
【0003】
ある特定の二量体ナフタルイミド化合物は、以前に開示されている。例えば、米国特許第6,410,505号B2を参照されたい。例えば、二量体ナフタルイミド化合物、2,2’-((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(6-((2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-1,3(2H)-ジオン)、別名10-8-10二量体、6-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-2-[2-[2-[2-[6-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-1,3-ジオキソベンゾ[de]イソキノリン-2-イル]エトキシ]エトキシ]エチル]ベンゾ[de]イソキノリン-1,3-ジオン、2,2’-[1,2-エタンジイルビックス(ethanediylbix)(オキシ-2,1-エタンジイル)]ビス[6-({2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチル}アミノ)-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-1,3(2H)-ジオン]、及び1H-ベンズ[de]イソキノリン-1,3(2H)-ジオン,2,2’-[1,2-エタンジイルビス(オキシ-2,1-エタンジイル)]ビス[6-[[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチル]アミノ]-(9Cl)、並びに本明細書では式(I)の化合物と称されるものが、開示されている。同文献。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、式(I)の化合物:
【化1】
及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤を含む新規のコーティング製剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エタノール、水、及び酢酸を含む溶媒系内で、好適な量の式(I)の化合物及び/又は薬学的に許容される塩が可溶化されたままであり、感知し得る程に分解しないことが、驚くべきことに、かつ意外なことに見出された。
【0006】
本開示はまた、コーティングされた物品を提供し、この物品は、式(I)の化合物:
【化2】
及びその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1つの活性剤を含むコーティンでコーティングされる。いくつかの実施形態では、コーティングは、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、ルイス酸を更に含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を含む。
【0007】
式(I)の化合物及び/又は薬学的に許容される塩は、エチレンオキシド滅菌プロセスに供されたコーティングされた物品中で、顕著に分解することが、見出された。更に、放射線滅菌プロセスに供されたときに、不純物濃度に変化がなかったか、又は最小限の増加があったことが、驚くべきことに、かつ意外なことに見出された。いくつかの実施形態では、放射線滅菌プロセスは、二酸化窒素滅菌、ガンマ線照射、及び電子ビームから選択される。
【0008】
更に、式(I)の化合物及び/又は薬学的に許容される塩は、室温で保存された、コーティングされた物品中で顕著に分解することが、見出された。少なくとも1つの酸化防止剤を更に含むコーティング中で、式(I)の化合物の、室温での経時的な分解速度が低下したことが、驚くべきことに、かつ意外なことに見出された。また、少なくとも1つのルイス酸を更に含むコーティング中で、式(I)の化合物の、室温での経時的な分解速度が低下したことも、驚くべきことに、かつ意外なことに見出された。また、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含むコーティング中で、式(I)の化合物の、室温での経時的な分解速度が低下したことも、驚くべきことに、かつ意外なことに見出された。また、物品が、低減された酸素及び低減された湿度のパッケージング内に保存された場合、不純物濃度の増加は最小限であったことも、驚くべきことに、かつ意外なことに見出された。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】エチレンオキシド(EtO)処理、ガンマ線照射、又は電子ビームによる滅菌に供された、コーティングされたバルーン上の式(I)の化合物のHPLCクロマトグラムを示す。クロマトグラムは、ガンマ線又は電子線滅菌について、式(I)の化合物の不純物の量の最小限の増加を示す。
図2】本明細書に記載のコーティングされた物品中の不純物の総量を示す。
図3】コーティングが、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)又はトロメタミンを含有する場合、コーティングされた物品中の不純物の形成が、経時的に減少することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、以下の定義を適用するものとする。
【0011】
本明細書で使用される場合、単数の用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、複数の参照を含む。
【0012】
本明細書で使用される「及び/又は」という語句は、このように結合された要素、すなわち、いくつかの場合において結合的に存在し、他の場合において分離的に存在する要素のうちの「いずれか又は両方」を意味する。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」は、「含む」などの開放的な言語と併せて使用される場合、いくつかの実施形態において、Aのみ(任意選択的に、B以外の要素を含む)、他の実施形態では、Bのみ(任意選択的に、A以外の要素を含む)、更に他の実施形態では、A及びBの両方(任意選択的に、他の要素を含む)などを指すことができる。
【0013】
ある量が、別の量に「実質的に等しい」と記載される場合、それは、2つの量の間に1%未満の差異があることを意味する。例えば、一定期間後の不純物の総量が、最初に存在した不純物の総量と実質的に等しいと記載されている場合、それは、不純物の総量が、1%未満増加したことを意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「式(I)の化合物」は、化合物の立体構造形態のうちの1つ以上を含む。別段の定めのない限り、互変異性体形と共存する本明細書に示される化合物は、本開示の範囲内である。加えて、別段の定めのない限り、本明細書に示される構造はまた、1つ以上の同位体的に濃縮された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、重水素又はトリチウムによる水素の置換、又は13C-又は14C-濃縮炭素原子による炭素原子の置換を除いて、示される構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。
【0015】
式(I)の化合物は、構造:
【化3】

化学名2,2’-((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(6-((2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-1,3(2H)-ジオン)、6-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-2-[2-[2-[2-[6-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-1,3-ジオキソベンゾ[de]イソキノリン-2-イル]エトキシ]エトキシ]エチル]ベンゾ[de]イソキノリン-1,3-ジオン、2,2’-[1,2-エタンジイルビックス(オキシ-2,1-エタンジイル)]ビス[6-({2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチル}-アミノ)-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-1,3(2H)-ジオン]、若しくは1H-ベンゾ[de]イソキノリン-1,3(2H)-ジオン,2,2’-[1,2-エタンジイルビス(オキシ-2,1-エタンジイル)]ビス[6-[[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチル]アミノ]-(9Cl)によって、又は化学情報検索サービス機関(CAS)登録番号438200-66-9によって記載され得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「分解する(degrade)」、「分解する(degrades)」、及び「分解」は、化学物質、例えば、少なくとも1つの活性剤が別の化学物質に化学変換されることを指すために互換的に使用され得る。いくつかの実施形態では、1つの化学物質の分解は、1つ以上の不純物の出現又は量の増加をもたらし得、これは、1つ以上の不純物を投与された被験者に望ましくない影響を有し得る。
【0017】
化学物質、例えば、少なくとも1つの活性剤の分解は、化学化合物を検出及び/又は区別するために当技術分野で一般的に使用される方法、例えば、液体クロマトグラフィー(「LC」)及び/又は質量分析を使用して評価され得る。
【0018】
化学物質、例えば、少なくとも1つの活性剤が、「分解しない」と本明細書に記載される場合、それは、特定の時点において残存する化学物質の初期量の少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも98.75%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.25%、少なくとも99.3%、少なくとも99.35%、少なくとも99.4%、少なくとも99.45%、少なくとも99.5%、少なくとも99.55%、少なくとも99.6%、少なくとも99.65%、少なくとも99.7%、少なくとも99.75%、少なくとも99.8%、少なくとも99.85%、少なくとも99.9%、又は少なくとも99.95%が、存在することを意味する。いくつかの実施形態において、分解は、LCによって決定される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「不純物」という用語は、望ましくない化学物質を指す。不純物の起源は、本明細書に記載の組成物の成分の分解、例えば、少なくとも1つの活性剤の分解であり得るか、又は不純物は、組成物の調製中に導入され得る。1つ以上の不純物の存在は、化学化合物を検出及び/又は区別するために当技術分野で一般的に使用される方法、例えば、液体クロマトグラフィー(「LC」)及び/又は質量分析を使用して評価され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、不純物の総量は、15重量%未満、14重量%未満、13重量%未満、12重量%未満、11重量%未満、10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2.5重量%未満、2重量%未満、1.5重量%未満、1.25重量%未満、1重量%未満、0.95重量%未満、0.9重量%未満、0.85重量%未満、0.8重量%未満、0.75重量%未満、0.7重量%未満、0.65重量%未満、0.6重量%未満、0.55重量%未満、0.5重量%未満、0.45重量%未満、0.4重量%未満、0.35重量%未満、0.3重量%未満、0.25重量%未満、0.2重量%未満、0.15重量%未満、0.1重量%未満、又は0.05重量%未満である。いくつかの実施形態では、不純物の量は、LCによって決定される。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「LC」は、液体クロマトグラフィーを意味し、高速液体クロマトグラフィー及び超高速液体クロマトグラフィーをそれぞれ指す「HPLC」及び「UPLC」を含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、「コーティング組成物」又は「組成物」という用語は、一般に、本開示の少なくとも1つの活性剤及び溶媒系を含む組成物を指す。コーティング組成物は、例えば、本開示に記載の方法によって、物品に塗布され得る。本明細書で使用される場合、「コーティング」という用語は、一般に、物品の表面の少なくとも一部を覆うために物品に塗布された後の組成物を指す。コーティングは、液体状態、固体状態、又は液体状態と固体状態との間の任意の中間状態であり得る。固体状態(「乾燥状態」とも呼ばれる)は、コーティング組成物が物品に塗布された後に、溶媒系、又は溶媒系の成分が、コーティング組成物から部分的に又は完全に蒸発又は除去された後に達成され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、組成物又はコーティング中の式(I)の化合物の重量パーセントは、以下の式に従って、LC分析に基づいて決定され得る。
【数1】
式中、
Samp=サンプル注入における式(I)の化合物のピーク面積応答
Std=全ての作業標準注入における式(I)の化合物の平均ピーク面積応答
Std=標準の濃度(mg/mL)
calc=組成物又はコーティング中の式(I)の化合物の計算濃度(mg/mL)
【0024】
いくつかの実施形態では、組成物又はコーティング中の不純物の重量パーセントは、以下の式に従って、LC分析に基づいて決定され得る。
【数2】
式中、
SampI=サンプル注入における不純物のピーク面積応答
=不純物レベルの標準注入における式(I)の化合物の平均ピーク面積応答
【0025】
コーティング組成物
本明細書では、少なくとも1つの活性剤及び溶媒系を含むコーティング組成物が、提供される。いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む。いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、少なくとも1つのルイス酸を更に含む。いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含む。本明細書では、溶媒系に少なくとも1つの活性剤を溶解させることを含む、コーティング組成物を安定化する方法が、提供される。いくつかの実施形態では、方法は、溶媒系に少なくとも1つの酸化防止剤を溶解させることを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、溶媒系に少なくとも1つのルイス酸を溶解させることを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、溶媒系に少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を溶解させることを更に含む。本明細書では、少なくとも1つの活性剤及び溶媒系を含むコーティング組成物を調製することを含む、安定化コーティング組成物を形成する方法が、更に提供される。いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む。いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、少なくとも1つのルイス酸を更に含む。いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の体積当たり1重量%~10重量%の範囲の量で存在する。
【0027】
コーティング
本明細書では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティングが、提供される。「コーティング」という用語は、一般に、物品の表面の少なくとも一部に塗布された後のコーティング組成物を指す。いくつかの実施形態では、例えば、物品に塗布された直後に、コーティングは、少なくとも1つの活性剤及び溶媒系を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、溶媒系を含まない。いくつかの実施形態では、コーティングは、塗布前のコーティング組成物と比較して、低減された量の溶媒系を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、コーティング組成物中に以前存在した溶媒系の1つ以上の成分のみを含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、少なくとも1つの酸化防止剤を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、少なくとも1つのルイス酸を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、少なくとも1つの活性剤、溶媒系の1つ以上の成分、及び少なくとも1つの酸化防止剤を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、式(I)の化合物、酢酸、及びトロメタミンを含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、液体状態である。いくつかの実施形態では、コーティングは、固体状態又は乾燥状態である。いくつかの実施形態では、コーティングは、液体状態と固体状態又は乾燥状態との間の中間状態である。いくつかの実施形態では、コーティングされた物品のコーティングの厚さは、約5μg/mm~約10μg/mmの範囲である。いくつかの実施形態では、コーティングされた物品のコーティングの厚さは、約7.5μg/mmである。いくつかの実施形態では、コーティングされた物品のコーティングの厚さは、約6.5μg/mmである。いくつかの実施形態では、コーティングされた物品のコーティングの厚さは、約1μg/mm~約5μg/mmの範囲である。いくつかの実施形態では、コーティングされた物品のコーティングの厚さは、約2.3μg/mmである。いくつかの実施形態では、コーティングは、約90~99.8重量%の少なくとも1つの活性剤を含む。
【0028】
少なくとも1つの活性剤
本明細書では、少なくとも1つの活性剤及び溶媒系を含むコーティング組成物又はコーティングが、提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、二量体ナフタルイミド及びその薬学的に許容される塩、例えば、米国特許第6,410,505(B2)号に開示されている二量体ナフタルイミドから選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの活性剤は、式(I)の化合物である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの活性剤は、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである。それは、IUPAC名6-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-2-[2-[2-[2-[6-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-1,3-ジオキソ-ベンゾ[de]イソキノリン-2-イル]エトキシ]エトキシ]エチル]ベンゾ[de]イソキノリン-1,3-ジオンを有する遊離塩基のジアセテート塩である。
【0030】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である。
【0031】
溶媒系
本明細書で使用される場合、溶媒系は、少なくとも1つの溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、エタノール、水、及び酢酸を含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、コーティング組成物の80体積%~99.2体積%の範囲の量のエタノールを含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、コーティング組成物の0.6体積%~15体積%の範囲の量の水を含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、コーティング組成物の0.05~5体積%の範囲の量の酢酸を含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、コーティング組成物の0.5体積%の量の酢酸を含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、エタノール対水対酢酸の体積比を含み、89.5:10:0.5であることを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、溶媒系は、エタノール及び水を含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、コーティング組成物の80体積%~97体積%の範囲の量のエタノールを含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、コーティング組成物の3体積%~20体積%の範囲の量の水を含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、エタノール対水の体積比が90:10であることを含む。
【0033】
少なくとも1つの酸化防止剤
いくつかの実施形態では、コーティング組成物又はコーティングは、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む。任意の理論に束縛されるものではないが、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤の分解を遅らせるか、又は完全に防止するために、少なくとも1つの酸化防止剤が、添加され得、酸化防止剤は、コーティング組成物中の不純物の出現を遅らせるか、又は完全に防止し得、及び/又は酸化防止剤は、コーティングされた物品のコーティング中の不純物の出現を遅らせるか、又は完全に防止し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの酸化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン及びトロメタミンから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの酸化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエンである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの酸化防止剤は、トロメタミンである。
【0035】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの酸化防止剤は、コーティング組成物の体積当たり0.05重量%~1重量%の範囲の量で存在する。
【0036】
少なくとも1つのルイス酸
いくつかの実施形態では、コーティング組成物又はコーティングは、少なくとも1つのルイス酸を更に含む。任意の理論に束縛されるものではないが、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤の分解を遅らせるか、又は完全に防止するために、少なくとも1つのルイス酸が、添加され得、ルイス酸は、コーティング組成物中の不純物の出現を遅らせるか、又は完全に防止し得、及び/又はルイス酸は、コーティングされた物品のコーティング中の不純物の出現を遅らせるか、又は完全に防止し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのルイス酸は、Na+である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのルイス酸は、NaClの形態である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのルイス酸は、KClの形態である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのルイス酸は、K、Mg2+、又はCa2+である。
【0038】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物又はコーティングは、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を更に含む。
【0039】
コーティング組成物及びコーティング特性
活性剤の溶解度
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングが、本明細書に提供され、重量当たり少なくとも2重量%(w/w)が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングが、本明細書に提供され、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後10時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、30時間、36時間、又は48時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、約2%、2.2%、2.4%、2.6%、2.8%、3%、3.2%、3.4%、3.6%、3.8%、又は4%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、不純物の量は、LCによって決定される。
【0040】
例えば、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化された量が、最終的にコーティングされた物品中の少なくとも1つの活性剤の量に影響を及ぼす可能性があるため、コーティング組成物又はコーティングであって、一定量、例えば、少なくとも2%w/wの少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が有利であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングであって、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後10時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後12時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後14時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後16時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後18時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後20時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、可溶化された量は、LCによって決定される。
【0042】
いくつかの実施形態では、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後1日間(24時間)、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後30時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後36時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後2日間(48時間)、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、可溶化された量は、LCによって決定される。
【0043】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングであって、少なくとも2%w/wが、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、約2.2%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、約2.4%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、約2.6%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、約2.8%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。
【0044】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングであって、少なくとも3%w/wが、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、約3%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、約3.2%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、約3.4%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、少なくとも8時間、組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、約3.6%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、約3.8%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングであって、少なくとも4%w/wが、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、約4%w/wの量の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。
【0046】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングであって、重量当たり少なくとも5重量%又は約5重量%(w/w)の少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングであって、少なくとも5%w/w又は約5%w/wの少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後10時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、30時間、36時間、又は48時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。
【0047】
例えば、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化された量が、最終的にコーティングされた物品中の少なくとも1つの活性剤の量に影響を及ぼす可能性があるため、コーティング組成物又はコーティングであって、一定量、例えば、少なくとも5%w/w又は約5%w/wの少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が有利であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又は活性剤であって、少なくとも5%w/w又は約5%w/wの少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである、コーティング組成物又は活性剤、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも5%w/w又は約5%w/wが、コーティング組成物の調製後10時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも5%w/w又は約5%w/wが、コーティング組成物の調製後12時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも5%w/w又は約5%w/wが、コーティング組成物の調製後14時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも5%w/w又は約5%w/wが、コーティング組成物の調製後16時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも5%w/w又は約5%w/wが、コーティング組成物の調製後18時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも5%w/w又は約5%w/wが、コーティング組成物の調製後20時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、可溶化された量は、LCによって決定される。
【0049】
いくつかの実施形態では、少なくとも5%w/w又は約5%w/wが、コーティング組成物の調製後1日間(24時間)、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも5%w/w又は約5%w/wが、コーティング組成物の調製後30時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも5%w/w又は約5%w/wが、コーティング組成物の調製後36時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、少なくとも5%w/w又は約5%w/wが、コーティング組成物の調製後2日間(48時間)、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、可溶化された量は、LCによって決定される。
【0050】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングであって、最大約10%w/wの少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングであって、最大約10%w/wの少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後10時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、30時間、36時間、又は48時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。
【0051】
例えば、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化された量が、最終的にコーティングされた物品中の少なくとも1つの活性剤の量に影響を及ぼす可能性があるため、コーティング組成物又はコーティングであって、一定量、例えば、最大約10%w/wの少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が有利であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングであって、最大約10%w/wの少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後少なくとも8時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、最大約10%w/wが、コーティング組成物の調製後10時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、最大約10%w/wが、コーティング組成物の調製後12時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、最大約10%w/wが、コーティング組成物の調製後14時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、最大約10%w/wが、コーティング組成物の調製後16時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、最大約10%w/wが、コーティング組成物の調製後18時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、最大約10%w/wが、コーティング組成物の調製後20時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、可溶化された量は、LCによって決定される。
【0053】
いくつかの実施形態では、最大約10%w/wが、コーティング組成物の調製後1日間(24時間)、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、最大約10%w/wが、コーティング組成物の調製後30時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、最大約10%w/wが、コーティング組成物の調製後36時間、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、最大約10%w/wが、コーティング組成物の調製後2日間(48時間)、コーティング組成物又はコーティング中に可溶化されたままである。いくつかの実施形態では、可溶化された量は、LCによって決定される。
【0054】
コーティング組成物及びコーティング安定性
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティング組成物又はコーティングであって、少なくとも1つの活性剤が、コーティング組成物の調製後10時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、30時間、36時間、又は48時間、分解しない、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、分解は、LCによって決定される。
【0055】
例えば、(1)少なくとも1つの活性剤の濃度が、予測可能であるため、(2)コーティングを備えるコーティングされた物品が、被験者に投与される場合、少なくとも1つの活性剤の分解生成物が、有害な影響を有し得るため、及び/又は(3)コーティング組成物が、コーティングされた物品の製造の前に調製され得、過剰なコーティング組成物が、後の使用のために保存されることがあるため、コーティング組成物の調製後、少なくとも1つの活性剤が、特定の期間分解しないコーティング組成物又はコーティングが、有利であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の調製後10時間、分解しない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の調製後12時間、分解しない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の調製後14時間、分解しない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の調製後16時間、分解しない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の調製後18時間、分解しない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の調製後20時間、分解しない。いくつかの実施形態において、分解は、LCによって決定される。
【0057】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の調製後1日間(24時間)、分解しない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の調製後30時間、分解しない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の調製後36時間、分解しない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、コーティング組成物の調製後2日間(48時間)、分解しない。いくつかの実施形態において、分解は、LCによって決定される。
【0058】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から10時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、30時間、36時間、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、5週間、10週間、20週間、又は1年後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4.5%未満、4%未満、3.5%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.45%未満、0.4%未満、0.35%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満、0.1%未満、又は0.05%未満増加する。いくつかの実施形態において、不純物の量は、LCによって決定される。
【0059】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から24時間後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~5%未満増加する。いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から24時間後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~1%未満増加する。いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から24時間後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.5%未満増加する。いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から24時間後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.25%未満増加する。いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から24時間後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.05%未満増加する。いくつかの実施形態において、不純物の量は、LCによって決定される。
【0060】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から2日後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~5%未満増加する。いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から2日後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~2.5%未満増加する。いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から2日後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~1%未満増加する。いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から2日後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.5%未満増加する。いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から2日後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.25%未満増加する。いくつかの実施形態では、コーティング組成物の調製から2日後に、コーティング組成物又はコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.05%未満増加する。いくつかの実施形態において、不純物の量は、LCによって決定される。
【0061】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物又はコーティングであって、コーティング組成物の調製から10時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、30時間、36時間、2日、3日、4日、5日、6日、又は1週間後の、コーティング組成物又はコーティング中の不純物の総量が、コーティング組成物又はコーティング中に最初に存在する不純物の総量の5倍未満である、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、不純物の量は、LCによって決定される。
【0062】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物又はコーティングであって、コーティング組成物の調製から10時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、30時間、36時間、2日、3日、4日、5日、6日、又は1週間後の、コーティング組成物又はコーティング中の不純物の総量が、コーティング組成物又はコーティング中に最初に存在する不純物の総量の4倍未満である、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、不純物の量は、LCによって決定される。
【0063】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物又はコーティングであって、コーティング組成物の調製から10時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、30時間、36時間、48時間後の、コーティング組成物又はコーティング中の不純物の総量が、コーティング組成物又はコーティング中に最初に存在する不純物の総量の3倍未満である、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、不純物の量は、LCによって決定される。
【0064】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物又はコーティングであって、コーティング組成物の調製から10時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、30時間、36時間、2日、3日、4日、5日、6日、又は1週間後の、コーティング組成物中の不純物の総量が、コーティング組成物又はコーティング中に最初に存在する不純物の総量の2倍未満である、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、不純物の量は、LCによって決定される。
【0065】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物又はコーティングであって、コーティング組成物の調製から10時間、12時間、16時間、18時間、20時間、24時間、30時間、36時間、2日、3日、4日、5日、6日、又は1週間後の、コーティング組成物又はコーティング中の不純物の総量が、コーティング組成物又はコーティング中に最初に存在する不純物の総量と実質的に等しい、コーティング組成物又はコーティング、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、不純物の量は、LCによって決定される。
【0066】
コーティングされた物品
本明細書では、コーティング組成物でコーティングされた物品を調製する方法であって、少なくとも1つの活性剤及び溶媒系を含むコーティング組成物を調製することと、コーティング組成物を物品の表面の少なくとも一部分に塗布することと、溶媒系を蒸発させて、コーティングを備えるコーティングされた物品を形成することと、を含む、方法、が提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、物品は、医療機器である。いくつかの実施形態では、物品は、バルーン、例えば、血管形成術用バルーンである。いくつかの実施形態では、コーティングされたバルーンは、バルーンをコーティング組成物でコーティングし、それによりコーティングを形成することによって、調製される。いくつかの実施形態では、血管形成術用バルーンは、血管形成術用バルーンをコーティング組成物でコーティングし、それによりコーティングを形成することによって、調製される。
【0068】
滅菌方法
コーティングされた物品を滅菌する方法であって、コーティングされた物品のコーティングが、少なくとも1つの活性剤を含む、方法、が本明細書に提供される。コーティングされた物品を該滅菌する方法に供することによって製造される、滅菌されたコーティングされた物品が、本明細書に更に提供される。いくつかの実施形態では、コーティングされた物品を滅菌する方法は、コーティングされた物品を放射線滅菌プロセスに供することを含む。いくつかの実施形態では、放射線滅菌プロセスは、二酸化窒素滅菌、ガンマ線照射、及び電子ビーム処理から選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、二量体ナフタルイミド及びその薬学的に許容される塩、例えば、米国特許第6,410,505(B2)号に開示されている二量体ナフタルイミドから選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの活性剤は、式(I)の化合物である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの活性剤は、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩から選択される。
【0070】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの活性剤は、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である。
【0071】
いくつかの実施形態では、コーティングされた物品を滅菌する方法であって、滅菌後にコーティング内に存在する不純物の総量が、0%~30%未満、29%未満、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4.5%未満、4%未満、3.5%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.45%未満、0.4%未満、0.35%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満、0.1%未満、又は0.05%未満増加する、方法、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、不純物の総量は、コーティングされた物品の滅菌から1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、5日、1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、16ヶ月、18ヶ月、20ヶ月、24ヶ月、又は36ヶ月後に測定される。
【0072】
いくつかの実施形態において、分解は、LCによって決定される。
【0073】
任意の理論に束縛されるものではないが、いくつかの実施形態では、コーティングされた物品を滅菌する方法であって、少なくとも1つの活性剤が、分解しない、方法、が有利であり得、例えば、少なくとも1つの活性剤の濃度が、予測可能であり、及び/又はコーティングを備えるコーティングされた物品が被験者に投与される場合、少なくとも1つの活性剤の分解生成物が、有害な影響を有し得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、5%~15%未満増加する。いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、15%未満増加する。いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、10%未満増加する。いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、5%未満増加する。
【0075】
いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~5%未満増加する。いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~2.5%未満増加する。いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.5%未満増加する。いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~1%%未満増加する。いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.5%未満増加する。いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.25%未満増加する。いくつかの実施形態では、滅菌後にコーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.05%未満増加する。いくつかの実施形態では、不純物の量は、LCによって決定される。
【0076】
パッケージング
本明細書では、少なくとも1つの活性剤を含む安定化コーティング組成物でコーティングされた物品を調製する方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの活性剤及び溶媒系を含むコーティング組成物を調製することと、コーティング組成物を物品の表面の少なくとも一部分に塗布することと、溶媒系を蒸発させて、コーティングを備えるコーティングされた物品を形成することと、コーティングされた物品を密封可能な容器内にパッケージングすることと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、容器内からの酸素の濃度を低減する工程と、少なくとも1つの乾燥剤を容器に添加する工程と、コーティングされた物品と少なくとも1つの乾燥剤とを備える酸素パージされた容器を密封する工程と、を更に含む。
【0077】
本明細書では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティングを有する物品のコーティングを安定化するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの活性剤及び溶媒系を含むコーティング組成物を調製することと、物品の表面の少なくとも一部分をコーティング組成物でコーティングして、コーティングを備えるコーティングされた物品を形成することと、コーティングされた物品を密封可能な容器内にパッケージングすることと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、容器内からの酸素の濃度を低減する工程と、少なくとも1つの乾燥剤を容器に添加する工程と、コーティングされた物品と少なくとも1つの乾燥剤とを備える酸素パージされた容器を密封する工程と、を更に含む。
【0078】
本明細書では、少なくとも1つの活性剤を含むコーティングでコーティングされた保存安定なパッケージングされた物品が、提供される。いくつかの実施形態では、パッケージングされた物品は、少なくとも1つの活性剤を含むコーティングでコーティングされた物品と、少なくとも1つの乾燥剤とを、低減された酸素雰囲気中で収容する密封可能な容器を備える。
【0079】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、二量体ナフタルイミド及びその薬学的に許容される塩、例えば、米国特許第6,410,505(B2)号に開示されている二量体ナフタルイミドから選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの活性剤は、式(I)の化合物である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの活性剤は、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩から選択される。
【0080】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤は、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)ジアセテートである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの活性剤は、2,2’-((((((((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミニウム)である。
【0081】
いくつかの実施形態では、コーティングされた物品のコーティングは、約90~99.8重量%の少なくとも1つの活性剤を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、コーティングされた物品のコーティングは、少なくとも1つの酸化防止剤を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの酸化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン及びトロメタミンから選択される。
【0083】
いくつかの実施形態では、コーティング物品のコーティングは、少なくとも1つのルイス酸を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのルイス酸は、Naである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのルイス酸は、NaClの形態である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのルイス酸は、KClの形態である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのルイス酸は、K、Mg2+、又はCa2+である。
【0084】
いくつかの実施形態では、コーティングされた物品のコーティングは、少なくとも1つの酸化防止剤及び少なくとも1つのルイス酸を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、方法は、容器内からの酸素の濃度を低減する工程を含む。いくつかの実施形態では、容器内の酸素の濃度は、窒素でパージすることによって低減される。
【0086】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの乾燥剤を容器に添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、乾燥剤は、シリカゲルパケットである。
【0087】
いくつかの実施形態では、方法は、コーティングされた物品を密封可能な容器内にパッケージングする工程を含む。いくつかの実施形態では、密封可能な容器は、ホイルパウチである。
【0088】
いくつかの実施形態では、パッケージングされた物品であって、パッケージングから24ヵ月後に存在する不純物の総量が、0%~30%未満、29%未満、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4.5%未満、4%未満、3.5%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.45%未満、0.4%未満、0.35%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満、0.1%未満、又は0.05%未満増加する、パッケージングされた物品、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、分解は、LCによって決定される。
【0089】
いくつかの実施形態では、パッケージングされた物品であって、パッケージングから36ヵ月後に存在する不純物の総量が、0%~30%未満、29%未満、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4.5%未満、4%未満、3.5%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.45%未満、0.4%未満、0.35%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満、0.1%未満、又は0.05%未満増加する、パッケージングされた物品、が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、分解は、LCによって決定される。
【0090】
任意の理論に束縛されるものではないが、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの活性剤が分解しないパッケージングされた物品が、有利であり得、例えば、少なくとも1つの活性剤の濃度が、予測可能であり、及び/又はコーティングを備えるコーティングされた物品が被験者に投与される場合、少なくとも1つの活性剤の分解生成物が、有害な影響を有し得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、5%~15%未満増加する。いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、15%未満増加する。いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、10%未満増加する。いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、5%未満増加する。
【0092】
いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、0%~5%未満増加する。いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、0%~2.5%未満増加する。いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.5%未満増加する。いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、0%~1%未満増加する。いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.5%未満増加する。いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.25%未満増加する。いくつかの実施形態では、パッケージング後コーティング中に存在する不純物の総量が、0%~0.05%未満増加する。いくつかの実施形態では、不純物の量は、LCによって決定される。
【0093】
本明細書における開示をより完全に理解され得るようにするために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示的な目的のみのためのものであり、いかなる方法においても本開示を限定するものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【実施例
【0094】
略語
以下の略語が、本明細書で使用される。
・HPLC=高圧液体クロマトグラフィー
・TFA=トリフルオロ酢酸
・UPLC=超高性能液体クロマトグラフィー
【0095】
本開示のコーティング組成物を調製するための一般的な方法及び実験の詳細を以下に示す。
【0096】
試薬
次の実施例で使用される賦形剤及び試薬は、処方又は薬学的グレード、又はそれ以上である。
【0097】
純度評価
組成物の純度をUPLC又はHPLCによって分析した。
【0098】
実施例1:コーティング組成物
例示的な溶媒系及び比較溶媒系を表1に列挙している。
【表1】
【0099】
表1に列挙される非限定的な例示的な溶媒系及び比較溶媒系を、示される濃度で、溶媒系の成分を組み合わせることによって調製した。次いで、得られた混合物を、無色透明の混合物が得られるまで、室温で混合した。次いで、式(I)の化合物を、示される量で添加し、黄色/オレンジ色の半透明混合物が得られるまで、得られた混合物を室温で混合した。
【0100】
実施例2:溶媒系の溶解性及び安定性の研究
溶媒系の溶解性及び安定性を決定した。結果を下表に示す。
【表2】
【0101】
見て分かるように、エタノール/水(90:10)溶媒系及びエタノール、水、酢酸(89.5:10:0.5)溶媒系のみが、溶解性及び安定性の両方を示した。
【0102】
実施例3:コーティングされたバルーンの調製
エタノールと、水と、酢酸とを89.5:10:0.5の体積比で組み合わせることによって、溶媒系を調製した。次いで、得られた混合物を、無色透明の混合物が得られるまで、室温で混合した。次いで、式(I)の化合物を、示される量で添加し、黄色/オレンジ色の半透明混合物が得られるまで、得られた混合物を室温で混合した。この混合物を、ピペット法により5mm×60mmのバルーンに塗布した。次いで、コーティングされたバルーンを乾燥させて、溶媒を蒸発させた。10μg/mmのコーティング厚を有する、コーティングされたバルーンを得た。コーティングされたバルーン上の式(I)の化合物の計算された量は、7759μgであった。
【0103】
実施例4:コーティングされたバルーンの滅菌
実施例3からのコーティングされたバルーンを、エチレンオキシド滅菌(EO)、ガンマ滅菌(ガンマ)、又は電子ビーム滅菌(電子ビーム)のいずれかによって滅菌した。対照バルーンのグループは、未処理のままにした(対照)。滅菌後、コーティングされたバルーンの各々上のコーティングのサンプルを除去及び分析した。結果を表3に要約し、図1に示す。驚くべきことに、式(I)の化合物を含むコーティングでは、コーティングされた物品が、放射線滅菌プロセス、特にガンマ線照射及び電子ビーム処理に供された後、式(I)の化合物が安定であることが、見出された。不純物濃度に変化がないか、又はその増加は最小限であることが、観察された。
【表3】
【0104】
実施例5:コーティングされたバルーンのパッケージング
パッケージングされた、コーティングされたバルーンを以下のように調製した。実施例3からのコーティングされたバルーンをホイルパウチ内に配置した。窒素でパージすることにより、ホイルパウチ内の酸素の濃度を低減した。乾燥剤をホイルパウチに添加した後、コーティングされたバルーンと、乾燥剤とを備える酸素パージされたホイルパウチを密封した。
【0105】
パッケージング後の様々な時点で、コーティングされたバルーンをそのパッケージングから取り出した。コーティングされたバルーン上のコーティングのサンプルを除去及び分析した。結果を図2に示す。驚くべきことに、コーティングされたバルーンが、低減された酸素及び低減された湿度のパッケージング内に保存される場合、不純物濃度の増加が最小限であったことが、見出された。
【0106】
実施例6:室温安定性
式(I)の化合物(「10-8-10化合物」)でコーティングされた血管形成術用バルーンを、0、3、6、及び12ヶ月の期間にわたって、25℃での安定性について試験した。表4に記載の生成物を25℃で保存した。
【表4】
【0107】
25℃、60%RHで0、3、6、12、18、及び24ヶ月保存後、各物品のサンプルを採取した。図3の結果に見られるように、試験時間の各々において、BHT又はトロメタミンを含むコーティング中に、式(I)の化合物のみを含むコーティングよりも驚くほど少量の主不純物が、LCによって検出された。
図1
図2
図3
【国際調査報告】