(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】ドーパミン機能のバイオマーカーとしての神経メラニン感受性MRIの使用
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
A61B5/055 310
A61B5/055 380
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511787
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 US2021046231
(87)【国際公開番号】W WO2022040137
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521540656
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティー オブ ニューヨーク
(71)【出願人】
【識別番号】521151762
【氏名又は名称】ザ リサーチ ファウンデーション フォー メンタル ハイジーン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス,ギエルモ ホルガ
(72)【発明者】
【氏名】キャシディ,クリフォード ミルズ
(72)【発明者】
【氏名】ウェングラー,ケネス
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA20
4C096AB50
4C096AC01
4C096AD30
4C096BA06
4C096BA42
4C096BA50
(57)【要約】
本明細書に開示される主題は、対象におけるドーパミン機能を決定するための方法に関し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを取得することを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるドーパミン機能を決定するための方法であって、前記方法は、前記対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、前記分析することは、
前記関心脳領域の画像情報を受信することと、
前記画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、前記関心脳領域内のNM濃度を決定することと、
前記NM濃度に基づいて前記ドーパミン機能を決定することと、を含み、
前記ドーパミン機能を前記決定することは、(1)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが増加した場合、ドーパミン機能は増加すること;または(2)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが減少した場合、ドーパミン機能は減少することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記ボクセルごとの分析が、前記関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのトポグラフィーパターンが、前記関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記取得された1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知タスクにおける前記対象の逐行に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記認知タスクが、カテコールアミン関連プロセスを評価する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記カテコールアミン関連プロセスが、ドーパミン関連プロセスを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カテコールアミン関連プロセスが報酬処理を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記脳領域が黒質である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記脳領域が腹側黒質である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記脳領域が外側黒質である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記脳領域が腹外側黒質である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記脳領域が黒質緻密部(SNpc)である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記脳領域が黒質網状部(SNpr)である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記脳領域が腹側被蓋野(VTA)である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、1つ以上のドーパミン機能関連障害を有するか、または有する疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が統合失調症スペクトラム障害を有するか、または有する疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が精神病を患っているか、またはその疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が嗜癖障害を有するか、または有する疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記対象がうつ病を患っているか、またはその疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が晩年うつ病を患っているか、またはその疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が双極性障害を有するか、または有する疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記対象がハンチントン病に罹患しているか、または罹患している疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記対象がパーキンソン病を患っているか、またはその疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が、1つ以上の運動障害を有するか、または有する疑いある、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が精神運動遅滞を有するか、または有する疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、1つ以上の神経精神障害を有するか、または有する疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記対象がコカイン使用障害を有するか、または有する疑いがある、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法であって、前記方法は、前記対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、前記分析することは、
前記関心脳領域の画像情報を受信することと、
前記画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、前記関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、
対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを前記決定することは、(1)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが変更した場合、前記対象は神経精神障害を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、前記対象は神経精神障害を有していない、または発症するリスクがないことを含む、前記方法。
【請求項29】
前記ボクセルごとの分析が、前記関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つのトポグラフィーパターンが、前記関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記取得された1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知タスクにおける前記対象の逐行に関連する、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記認知タスクが、カテコールアミン関連プロセスを評価する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記カテコールアミン関連プロセスが、ドーパミン関連プロセスを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記カテコールアミン関連プロセスが報酬処理を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが増加している、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが減少している、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記脳領域が黒質である、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記脳領域が腹側黒質である、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記脳領域が外側黒質である、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記脳領域が腹外側黒質である、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
前記脳領域が黒質緻密部(SNpc)である、請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記脳領域が黒質網状部(SNpr)である、請求項28に記載の方法。
【請求項43】
前記脳領域が腹側被蓋野(VTA)である、請求項28に記載の方法。
【請求項44】
前記神経精神障害が統合失調症スペクトラム障害を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項45】
前記神経精神障害が精神病を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項46】
前記神経精神障害が嗜癖を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項47】
前記神経精神障害がうつ病を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項48】
前記神経精神障害が晩年うつ病を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項49】
前記神経精神障害が双極性障害を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項50】
前記神経精神障害がハンチントン病を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項51】
前記神経精神障害が精神運動遅滞を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項52】
前記神経精神障害がパーキンソン病を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項53】
前記神経精神障害が1つ以上の運動障害を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項54】
前記神経精神障害がコカイン使用障害を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項55】
対象が認知障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法であって、前記方法は、前記対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、前記分析することは、
前記関心脳領域の画像情報を受信することと、
前記画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、前記関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、
対象が認知障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを前記決定することは、(1)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが変更した場合、前記対象は認知障害を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知障害のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するシグナルを有する場合、前記対象は認知障害を有していない、または発症するリスクがないことを含む、前記方法。
【請求項56】
前記ボクセルごとの分析が、前記関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1つのトポグラフィーパターンが、前記関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記取得された1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知タスクにおける前記対象の逐行に関連する、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記認知タスクが、カテコールアミン関連プロセスを評価する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記カテコールアミン関連プロセスが、ドーパミン関連プロセスを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記カテコールアミン関連プロセスが報酬処理を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが増加している、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが減少している、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
前記脳領域が黒質である、請求項55に記載の方法。
【請求項65】
前記脳領域が腹側黒質である、請求項55に記載の方法。
【請求項66】
前記脳領域が外側黒質である、請求項55に記載の方法。
【請求項67】
前記脳領域が腹外側黒質である、請求項55に記載の方法。
【請求項68】
前記脳領域が黒質緻密部(SNpc)である、請求項55に記載の方法。
【請求項69】
前記脳領域が黒質網状部(SNpr)である、請求項55に記載の方法。
【請求項70】
前記脳領域が腹側被蓋野(VTA)である、請求項55に記載の方法。
【請求項71】
前記認知障害が神経認知障害を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項72】
前記認知障害が記憶機能障害を含む、請求項55記載の方法。
【請求項73】
対象が嗜癖障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法であって、前記方法は、前記対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、前記分析することは、
前記関心脳領域の画像情報を受信することと、
前記画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、前記関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、
対象が嗜癖障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを前記決定することは、(1)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが変更した場合、前記対象は嗜癖障害を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、嗜癖障害のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、前記対象は嗜癖障害を有していない、または発症するリスクがないことを含む、前記方法。
【請求項74】
前記ボクセルごとの分析が、前記関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記少なくとも1つのトポグラフィーパターンが、前記関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記取得された1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知タスクにおける前記対象の逐行に関連する、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記認知タスクが、カテコールアミン関連プロセスを評価する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記カテコールアミン関連プロセスが、ドーパミン関連プロセスを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記カテコールアミン関連プロセスが報酬処理を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが増加している、請求項73に記載の方法。
【請求項81】
前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが減少している、請求項73に記載の方法。
【請求項82】
前記脳領域が黒質である、請求項73に記載の方法。
【請求項83】
前記脳領域が腹側黒質である、請求項73に記載の方法。
【請求項84】
前記脳領域が外側黒質である、請求項73に記載の方法。
【請求項85】
前記脳領域が腹外側黒質である、請求項73に記載の方法。
【請求項86】
前記脳領域が黒質緻密部(SNpc)である、請求項73に記載の方法。
【請求項87】
前記脳領域が黒質網状部(SNpr)である、請求項73に記載の方法。
【請求項88】
前記脳領域が腹側被蓋野(VTA)である、請求項73に記載の方法。
【請求項89】
前記嗜癖障害がコカイン使用障害を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項90】
前記嗜癖障害がニコチン使用障害を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項91】
前記嗜癖障害がアルコール使用障害を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項92】
前記嗜癖障害がメタンフェタミン使用障害を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項93】
前記嗜癖障害がアヘン使用障害を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項94】
前記嗜癖障害が行動嗜癖を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項95】
対象がパーキンソン病を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定する方法であって、前記方法は、前記対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、前記分析することは、
前記関心脳領域の画像情報を受信することと、
前記画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、前記関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、
対象がパーキンソン病を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを前記決定することは、(1)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、パーキンソン病のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが減少した場合、前記対象はパーキンソン病を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、パーキンソン病のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、前記対象はパーキンソン病を有していない、または発症するリスクがないことを含む、前記方法。
【請求項96】
前記ボクセルごとの分析が、前記関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記少なくとも1つのトポグラフィーパターンが、前記関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記取得された1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知タスクにおける前記対象の逐行に関連する、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記認知タスクが、カテコールアミン関連プロセスを評価する、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記カテコールアミン関連プロセスが、ドーパミン関連プロセスを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記カテコールアミン関連プロセスが報酬処理を含む、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記脳領域が黒質である、請求項95に記載の方法。
【請求項103】
前記脳領域が腹側黒質である、請求項95に記載の方法。
【請求項104】
前記脳領域が外側黒質である、請求項95に記載の方法。
【請求項105】
前記脳領域が腹外側黒質である、請求項95に記載の方法。
【請求項106】
前記脳領域が黒質緻密部(SNpc)である、請求項95に記載の方法。
【請求項107】
前記脳領域が黒質網状部(SNpr)である、請求項95に記載の方法。
【請求項108】
前記脳領域が腹側被蓋野(VTA)である、請求項95に記載の方法。
【請求項109】
対象が精神運動遅滞を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定する方法であって、前記方法は、前記対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、前記分析することは、
前記関心脳領域の画像情報を受信することと、
前記画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、前記関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、
対象が精神運動遅滞を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを前記決定することは、(1)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、精神運動遅滞のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが減少した場合、前記対象は精神運動遅滞を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)前記1つ以上のNM-MRIスキャンが、精神運動遅滞のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、前記対象は精神運動遅滞を有していない、または発症するリスクがないことを含む、前記方法。
【請求項110】
前記対象がうつ病を患っている、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記対象が晩年うつ病を患っている、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
前記ボクセルごとの分析が、前記関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む、請求項109に記載の方法。
【請求項113】
前記少なくとも1つのトポグラフィーパターンが、前記関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記取得された1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知タスクにおける前記対象の逐行に関連する、請求項109に記載の方法。
【請求項115】
前記認知タスクが、カテコールアミン関連プロセスを評価する、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記カテコールアミン関連プロセスが、ドーパミン関連プロセスを含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記カテコールアミン関連プロセスが報酬処理を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項118】
前記取得された1つ以上のNM-MRIスキャンが、前記対象の歩行速度タスクの遂行に関連する、請求項109に記載の方法。
【請求項119】
前記取得された1つ以上のNM-MRIスキャンが、前記対象の処理速度タスクの逐行に関連する、請求項109に記載の方法。
【請求項120】
前記脳領域が黒質である、請求項109に記載の方法。
【請求項121】
前記脳領域が腹側黒質である、請求項109に記載の方法。
【請求項122】
前記脳領域が外側黒質である、請求項109に記載の方法。
【請求項123】
前記脳領域が腹外側黒質である、請求項109に記載の方法。
【請求項124】
前記脳領域が黒質緻密部(SNpc)である、請求項109に記載の方法。
【請求項125】
前記脳領域が黒質網状部(SNpr)である、請求項109に記載の方法。
【請求項126】
前記脳領域が腹側被蓋野(VTA)である、請求項109に記載の方法。
【請求項127】
前記方法が第2の画像化方法と共に使用される、請求項1~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記第2の画像化方法が陽電子放出断層撮影法(PET)を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記第2の画像化方法が構造的MRIを含む、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
前記第2の画像化方法が、機能的MRI(fMRI)を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項131】
前記第2の画像化方法が、血中酸素レベル依存(BOLD)fMRIを含む、請求項127に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において引用されるすべての特許、特許出願、および出版物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。これらの刊行物の開示は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0002】
この特許開示には、著作権保護の対象となる資料が含まれている。著作権の所有者は、米国特許商標庁の特許出願書または記録に記載されている特許文書または特許開示に関しては何人による完全な複写にも異存はないが、それ以外の場合は全ての著作権を保有する。
【0003】
政府の支援
本明細書に記載された研究は、国立研究所の健康補助金番号R01MH114965、R01MH117323、R01DA020855、及びUL1TR001873によって全体的または部分的に支援された。したがって、米国政府は、本発明に対して特定の権利を有する。
【0004】
関連出願
本出願は、2020年8月17日出願の米国仮特許出願第63/066,744号に対する優先権及び利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0005】
磁気共鳴画像法(MRI)は、脳の解剖学的構造及び生理学的プロセスの画像を形成するために医学で使用される画像化技術である。MRIスキャナーは、強力な磁場、磁場勾配、及び電波を使用して画像を生成する。
【発明の概要】
【0006】
特定の態様において、本発明は、対象におけるドーパミン機能を決定するための方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、NM濃度に基づいてドーパミン機能を決定することと、を含み、ここで、ドーパミン機能を決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが増加した場合、ドーパミン機能は増加すること;または(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが減少した場合、ドーパミン機能は減少することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、ボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、脳領域は黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0010】
いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上のドーパミン機能関連障害を有するか、または有する疑いがある。対象は統合失調症スペクトラム障害を持っているか、または持っている疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、精神病を患っているか、またはその疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は嗜癖障害を有するか、または有する疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、うつ病を患っているか、またはその疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、晩年うつ病を患っているか、またはその疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は双極性障害を有するか、または有する疑いがある。
【0011】
いくつかの実施形態では、対象は、ハンチントン病を患っているか、またはその疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、パーキンソン病を患っているか、またはその疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の運動障害を有するか、または有する疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、精神運動遅滞を有するか、または有する疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の神経精神障害を有するか、または有する疑いがある。いくつかの実施形態では、対象はコカイン使用障害を有するか、または有する疑いがある。
【0012】
特定の態様において、本発明は、対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、ここで、対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが変更した場合、対象は神経精神障害を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、対象は神経精神障害を有していない、または発症するリスクがないことを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するためのボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するために取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが増加している。いくつかの実施形態では、1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが減少している。
【0015】
いくつかの実施形態では、対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための脳領域は、黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0016】
いくつかの実施形態では、神経精神障害は統合失調症スペクトラム障害を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は精神病を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は嗜癖を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害はうつ病を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は晩年うつ病を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は双極性障害を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、神経精神障害はハンチントン病を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は、精神運動遅滞を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は、パーキンソン病を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は、1つ以上の運動障害を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害はコカイン使用障害を含む。
【0018】
特定の態様において、本発明は、対象が認知障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、ここで、対象が認知障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが変更した場合、対象は認知障害を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知障害のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するシグナルを有する場合、対象は認知障害を有していない、または発症するリスクがないことを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、対象が認知障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するためのボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、対象が認知障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するために取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、対象が認知障害を有するどうかか、または認知障害を発症するリスクがあるかどうかを決定するための1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが増加している。いくつかの実施形態では、1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが減少している。
【0022】
いくつかの実施形態では、対象が認知障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための脳領域は、黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0023】
いくつかの実施形態では、認知障害は神経認知障害を含む。いくつかの実施形態では、認知障害は記憶機能障害を含む。
【0024】
特定の態様において、本発明は、対象が嗜癖障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、ここで、対象が嗜癖障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、嗜癖障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが変更した場合、対象は嗜癖障害を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、嗜癖障害のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、対象は嗜癖障害を有していない、または発症するリスクがないことを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、対象が嗜癖障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するためのボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、対象が嗜癖障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するために取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが増加している。いくつかの実施形態では、1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが減少している。
【0027】
いくつかの実施形態では、脳領域は黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0028】
いくつかの実施形態では、嗜癖障害は、コカイン使用障害を含む。いくつかの実施形態では、嗜癖障害はニコチン使用障害を含む。いくつかの実施形態では、嗜癖障害はアルコール使用障害を含む。いくつかの実施形態では、嗜癖障害はメタンフェタミン使用障害を含む。いくつかの実施形態では、嗜癖障害はアヘン使用障害を含む。いくつかの実施形態では、嗜癖障害は、行動嗜癖を含む。
【0029】
特定の態様において、本発明は、対象がパーキンソン病を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定する方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、ここで、対象がパーキンソン病を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、パーキンソン病のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが減少した場合、対象はパーキンソン病を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、パーキンソン病のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、対象はパーキンソン病を有していない、または発症するリスクがないことを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、対象がパーキンソン病を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するためのボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、対象がパーキンソン病を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するために取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、脳領域は黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0033】
特定の態様において、本発明は、対象が精神運動遅滞を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定する方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、ここで、対象が精神運動遅滞を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、精神運動遅滞のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが減少した場合、対象は精神運動遅滞を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、精神運動遅滞のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、対象は精神運動遅滞を有していない、または発症するリスクがないことを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、対象はうつ病を患っている。いくつかの実施形態では、対象は晩年うつ病を患っている。
【0035】
いくつかの実施形態では、対象が精神運動遅滞を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するためのボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、対象が精神運動遅滞を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するために取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。いくつかの実施形態では、取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、対象の歩行速度タスクの遂行に関連する。いくつかの実施形態では、取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、対象の処理速度タスクの遂行に関連する。
【0037】
いくつかの実施形態では、脳領域は黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のうちのいずれか1つが、第2の画像化方法と共に使用される。いくつかの実施形態では、第2の画像化方法は陽電子放出断層撮影法(PET)を含む。いくつかの実施形態では、第2の画像化方法は構造的MRIを含む。いくつかの実施形態では、第2の画像化方法は、機能的MRI(fMRI)を含む。いくつかの実施形態では、第2の画像化方法は、血中酸素レベル依存(BOLD)fMRIを含む。
【0039】
本特許または出願書類は、少なくとも1つのカラー図面を含む。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】A~Bは、MRI画像を示す図である。(A)すべての参加者からの空間的に正規化されたNM-MRI画像を平均化することによって作成されたMNI空間の中脳のテンプレートである。黒質(SN)は、高強度の領域としてはっきりと見える。(B)MNI空間のSN(黄色、すべての参加者の完全なSNカバレッジを確保するための過度に包括的なマスク)と大脳脚参照領域(シアン)のマスクをNM-MRIテンプレートでトレースし、コントラスト対ノイズ比の計算のためにすべての参加者に適用した(方法)。
【
図2】A~Dは、コカイン使用者と対照との間の比較を示す図である。Aは、コカイン使用者と対照との間のNM-MRIシグナルの診断群の違いを示す図である。散布図は、コカイン使用ボクセル内で平均化された、抽出されたNM-MRIシグナル(CNR)(上のパネル、Cで定義)、リーブワンアウト(LOO)手順で定義されたコカイン使用ボクセル(中央のパネル)、及び診断に基づいて分割された参加者のSN全体(下のパネル)を示す。共変量を調整した後のNM-MRIシグナルに対する診断群の効果を示す結果を補完するために(B及びテキストで報告された統計)、これらの散布図は、生の未調整のNM-MRIシグナルにおける診断群の違いを示している。Bは、コカイン使用ボクセルから抽出されたシグナルに基づいて診断群を分離する際のNM-MRIシグナルの感度と特異性を表示する受信者動作特性曲線(上のパネル)、リーブワンアウト手順で定義されたコカイン使用ボクセル(中央パネル)、及びSN全体(下のパネル)を示す図である。黒い線は、年齢、ヘッドコイル、及びタバコ使用の共変量に対して調整されたNM-MRIシグナルを表す。灰色の線は、調整されていないNM-MRIシグナルを表す。Cは、コカイン使用者が対照よりも高いNM-MRIシグナルを示したボクセルのマップ(赤で示され、ロバストな線形回帰、p<0.05片側)である。このボクセルのセットは、チャンスレベルを上回っていた(p
修正=0.025、順列検定)。Dは、すべてのSNボクセルの診断群効果のt統計を示す同じ分析のしきい値なしの結果を示す図である。コカイン使用者でNM-MRIシグナルが高かったボクセルは赤で表示され、コカイン使用者でシグナルが低かったボクセルは青で表示される。
【
図3】健康及びコカイン使用障害における、線条体のサイトゾル、小胞、及びシナプスプール間のドーパミンのトラフィッキングと、その後のSNにおけるNMの蓄積(曲がった矢印)を示す概略図である。破線のボックスは、灰色のシナプス前ドーパミンニューロンと緑色のシナプス後線条体ニューロンの間の線条体シナプスの模式的な詳細を示す。左:サイトゾルドーパミンプールは、通常はNMに変換され、中脳のSN内のシナプス前ドーパミンニューロンの細胞体に生涯にわたって徐々に蓄積される。右:先行文献でPETで観察されたドーパミン放出の減少及びここで報告されたNM-MRIシグナルの増加を含む、コカイン使用障害で観察された変化を説明するための理論的シナリオが提示されている。VMAT2の減少は、PET及び死後研究とも一致しており、次の両方を説明できる:VMAT2発現の減少は、小胞ドーパミンを減少させ、NMが合成されるサイトゾルドーパミンプールを増加させる。データの別の解釈については、テキストを参照されたい。
【
図5】実施例2に提示された研究の人口統計学的及び臨床的特徴を示す図である。
【
図6】A~Bは、ベースラインNM-MRI CNRがベースラインでの歩行速度と相関することを示す。aは、NM-MRI CNRが、すべての対象の平均NM-MRI CNR画像に重ねられた歩行速度(緑のボクセル)の単一タスク測定値と正の相関(P<0.05、ボクセルレベルで閾値化)があるSN-VTAボクセルのマップである。bは、視覚化目的で歩行速度に対してプロットされた有意なボクセルから抽出された平均NM-MRI CNRを示す散布図である。これらのプロットされたデータは、0.49のピアソン相関係数を示しているが、この効果の有意なボクセルの選択を考えると、この効果サイズの推定値は膨らんでいる可能性がある。
【
図7】A~Bは、ベースラインNM-MRI CNRの二次分析が、関心領域またはボクセルごとの分析において3週間のL-DOPA治療後の歩行速度の変化を予測しないことを示す。aは、歩行速度に対してプロットされた
図6aの有意な(緑)ボクセルから抽出された平均NM-MRI CNRを示す散布図である。これらのプロットされたデータのピアソン相関係数は0.10である。bは、ボクセルから抽出された平均NM-MRI CNRを示す散布図であり、ここで、NM-MRI CNRは、3週間のL-DOPA治療後の歩行速度の変化と正の相関があった(N=64;P<0.05、ボクセルレベルで閾値化)。これらのプロットされたデータのピアソン相関係数は0.17である。
【
図8】A~Cは、NM-MRI CNRが3週間のL-DOPA治療後に有意に増加することを示している。aは、すべての対象の平均NM-MRI CNR画像に重ねられた3週間のL-DOPA後にNM-MRI CNRが有意に増加した(P<0.05、ボクセルレベルで閾値化;赤いボクセル)SN-VTAボクセルのマップである。bは、すべてのSN-VTAボクセルを含む治療後のNM-MRI CNRの対象全体の平均変化を示すヒストグラムであり、通常は右側のゼロにシフトする(NM-MRI CNRの増加を示す)。視覚化の目的で、高さは、L-DOPAボクセルの数(N=200;赤いバーはaのボクセルに対応する)またはその他のSN-VTAボクセルの数(つまり、有意ではないボクセル;N=1607)のいずれかに比例する。例えば、L-DOPAボクセルのボクセル比率が0.2であるバーは40ボクセルに対応し、他のSN-VTAボクセルのボクセル比率が0.2であるバーは321ボクセルに対応する。cは、6人の対象(各対象全体で一貫した増加を強調するために、それぞれ異なる色で表示)のベースライン(L-DOPA前)及び3週間のL-DOPA治療後(L-DOPA後)のaにおける有意な(赤)ボクセルから抽出された平均NM-MRI CNRを示すラダープロットである。
【発明の詳細な説明】
【0041】
定義
以下は、本明細書で使用される用語の定義である。本明細書の群または用語に提供される最初の定義は、特に指示されない限り、本明細書全体を通してその群または用語に個々に適用するか、または別の群の一部として適用する。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0042】
文脈による明確な別段の定めがない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含まれる。特許請求の範囲および/または明細書中で用語「含む」と組み合わせて使用する場合の用語「a」または「an」の使用は、「1つ」を意味し得るが、同時に「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つまたは複数の」の意味とも矛盾しない。
【0043】
本明細書に使用されているように、「約」という用語は、本明細書において、約、概ね、おおよそ、またはその領域内を意味するために使用される。「約」という用語が数値範囲と共に使用されるとき、これは、記載される数値の上下にその境界を拡張させることによって、その範囲を修飾する。一般的に、「約」という用語は、本明細書において、20%の変動で上または下に(より高くまたはより低く)、明記される値を超える、及びそれ未満の数値を修飾するために使用される。
【0044】
本明細書で使用される「対象」という用語は、脊椎動物を指す。一実施形態では、対象は哺乳動物または哺乳動物種である。一実施形態では、対象はヒトである。一実施形態では、対象は健康な成人である。他の実施形態において、対象は、非ヒト脊椎動物であり、非ヒト霊長類、実験動物、家畜、競走馬、飼いならされた動物、及び飼いならされていない動物を含むがこれらに限定されない。一実施形態では、「ヒト対象」という用語は、健康な成人の集団を意味する。
【0045】
本明細書で使用される「患者」という用語は、ヒトまたは動物を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「対照スキャン」という用語は、病状のない健康な対象からのベースラインスキャン、または同じ対象が病理学的状態を発症する前の、その対象からのベースラインスキャンを指す。「対照スキャン」は、対象のスキャンとの比較、及び対象のスキャンにおける病状の決定に利用することができる。
【0047】
非限定的な実施形態
特定の態様において、本発明は、対象におけるドーパミン機能を決定するための方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、NM濃度に基づいてドーパミン機能を決定することと、を含み、ここで、ドーパミン機能を決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが増加した場合、ドーパミン機能は増加すること;または(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが減少した場合、ドーパミン機能は減少することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、ボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、脳領域は黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0051】
いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上のドーパミン機能関連障害を有するか、または有する疑いがある。対象は統合失調症スペクトラム障害を持っているか、または持っている疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、精神病を患っているか、またはその疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は嗜癖障害を有するか、または有する疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、うつ病を患っているか、またはその疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、晩年うつ病を患っているか、またはその疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は双極性障害を有するか、または有する疑いがある。
【0052】
いくつかの実施形態では、対象は、ハンチントン病を患っているか、またはその疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、パーキンソン病を患っているか、またはその疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の運動障害を有するか、または有する疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、精神運動遅滞を有するか、または有する疑いがある。いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の神経精神障害を有するか、または有する疑いがある。いくつかの実施形態では、対象はコカイン使用障害を有するか、または有する疑いがある。
【0053】
特定の態様において、本発明は、対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、ここで、対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが変更した場合、対象は神経精神障害を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、対象は神経精神障害を有していない、または発症するリスクがないことを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するためのボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するために取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが増加している。いくつかの実施形態では、1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが減少している。
【0056】
いくつかの実施形態では、対象が神経精神障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための脳領域は、黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0057】
いくつかの実施形態では、神経精神障害は統合失調症スペクトラム障害を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は精神病を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は嗜癖を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害はうつ病を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は晩年うつ病を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は双極性障害を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、神経精神障害はハンチントン病を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は、精神運動遅滞を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は、パーキンソン病を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害は、1つ以上の運動障害を含む。いくつかの実施形態では、神経精神障害はコカイン使用障害を含む。
【0059】
特定の態様において、本発明は、対象が認知障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、ここで、対象が認知障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが変更した場合、対象は認知障害を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、認知障害のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するシグナルを有する場合、対象は認知障害を有していない、または発症するリスクがないことを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、対象が認知障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するためのボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、対象が認知障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するために取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、対象が認知障害を有するどうかか、または認知障害を発症するリスクがあるかどうかを決定するための1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが増加している。いくつかの実施形態では、1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが減少している。
【0063】
いくつかの実施形態では、対象が認知障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための脳領域は、黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0064】
いくつかの実施形態では、認知障害は神経認知障害を含む。いくつかの実施形態では、認知障害は記憶機能障害を含む。
【0065】
特定の態様において、本発明は、対象が嗜癖障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定するための方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、ここで、対象が嗜癖障害を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、嗜癖障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが変更した場合、対象は嗜癖障害を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、嗜癖障害のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、対象は嗜癖障害を有していない、または発症するリスクがないことを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、対象が嗜癖障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するためのボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、対象が嗜癖障害を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するために取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが増加している。いくつかの実施形態では、1つ以上のNM-MRIスキャンは、神経精神障害のない1つ以上の対照スキャンと比較してシグナルが減少している。
【0068】
いくつかの実施形態では、脳領域は黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0069】
いくつかの実施形態では、嗜癖障害は、コカイン使用障害を含む。いくつかの実施形態では、嗜癖障害はニコチン使用障害を含む。いくつかの実施形態では、嗜癖障害はアルコール使用障害を含む。いくつかの実施形態では、嗜癖障害はメタンフェタミン使用障害を含む。いくつかの実施形態では、嗜癖障害はアヘン使用障害を含む。いくつかの実施形態では、嗜癖障害は、行動嗜癖を含む。
【0070】
特定の態様において、本発明は、対象がパーキンソン病を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定する方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、ここで、対象がパーキンソン病を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、パーキンソン病のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが減少した場合、対象はパーキンソン病を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、パーキンソン病のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、対象はパーキンソン病を有していない、または発症するリスクがないことを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、対象がパーキンソン病を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するためのボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、対象がパーキンソン病を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するために取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、脳領域は黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0074】
特定の態様において、本発明は、対象が精神運動遅滞を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定する方法を提供し、この方法は、対象のドーパミン関連の関心脳領域の1つ以上のニューロメラニン(NM)-磁気共鳴画像法(NM-MRI)スキャンを分析することを含み、ここで、分析することは、関心脳領域の画像情報を受信することと、画像情報に基づいてボクセルごとの分析を使用して、関心脳領域内のNM濃度を決定することと、を含み、ここで、対象が精神運動遅滞を有するかどうか、または発症するリスクがあるかどうかを決定することは、(1)1つ以上のNM-MRIスキャンが、精神運動遅滞のない1つ以上の対照スキャンと比較してNMシグナルが減少した場合、対象は精神運動遅滞を有する、または発症するリスクがあること;あるいは(2)1つ以上のNM-MRIスキャンが、精神運動遅滞のない1つ以上の対照スキャンのシグナルに匹敵するNMシグナルを有する場合、対象は精神運動遅滞を有していない、または発症するリスクがないことを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、対象はうつ病を患っている。いくつかの実施形態では、対象は晩年うつ病を患っている。
【0076】
いくつかの実施形態では、対象が精神運動遅滞を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するためのボクセルごとの分析は、関心脳領域内の少なくとも1つのトポグラフィーパターンを決定することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトポグラフィーパターンは、関心脳領域における細胞数の変化を含む少なくとも1つのパターンを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、対象が精神運動遅滞を有するかどうか、または発症する危険性があるかどうかを決定するために取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、認知タスクにおける対象の逐行に関連する。いくつかの実施形態では、認知タスクは、カテコールアミン関連プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは、ドーパミン関連プロセスを含む。いくつかの実施形態では、カテコールアミン関連プロセスは報酬処理を含む。いくつかの実施形態では、取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、対象の歩行速度タスクの遂行に関連する。いくつかの実施形態では、取得された1つ以上のNM-MRIスキャンは、対象の処理速度タスクの遂行に関連する。
【0078】
いくつかの実施形態では、脳領域は黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹外側黒質である。いくつかの実施形態では、脳領域は、黒質緻密部(SNpc)である。いくつかの実施形態では、脳領域は黒質網状部(SNpr)である。いくつかの実施形態では、脳領域は腹側被蓋野(VTA)である。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法のうちのいずれか1つが、第2の画像化方法と共に使用される。いくつかの実施形態では、第2の画像化方法は陽電子放出断層撮影法(PET)を含む。いくつかの実施形態では、第2の画像化方法は構造的MRIを含む。いくつかの実施形態では、第2の画像化方法は、機能的MRI(fMRI)を含む。いくつかの実施形態では、第2の画像化方法は、血中酸素レベル依存(BOLD)fMRIを含む。
【0080】
従来のMRIは、多くの機能性CNS障害における臨床転帰を予測するために必要なデータを提供しない。しかし、MRIを使用して脳内のニューロメラニンのレベルを検出する最近の方法が開発されている。この新しい技術は、パーキンソン病、うつ病、統合失調症、嗜癖、及び脳内のニューロメラニン沈着の変化またはニューロメラニン含有ニューロンの喪失を伴うその他の障害を含む、特定の神経疾患及び精神疾患の臨床的進行、重症度、及び反応を予測できるアウトカム指標を提供することが期待されている。
【0081】
ニューロメラニン(「NM」)は、生涯にわたって蓄積するドーパミン及びノルアドレナリン合成の黒色色素生成物である。ニューロメラニンを検出できるMRI技術は、これらの障害の病態生理学への洞察を提供できる。また、疾患の進行、臨床的重症度、及び治療への反応に関して有用な臨床データを提供することもできる。
【0082】
ドーパミン及び/またはノルエピネフリン系の画像化は、このタイプの臨床関連情報を提供することができる。過剰なドーパミンは、統合失調症の発症、症状の重症度、及び治療反応に関連している。低ドーパミンレベルは、パーキンソン病の発症及び症状の重症度に関連している。さらに、ドーパミンシグナル伝達のレベルは、疾患の重症度と治療反応を予測する。同様の結果は、うつ病やその他の障害でも示されている。
【0083】
特に、以前のアプローチは、領域全体または部分領域(例えば、黒質全体またはその中の解剖学的に定義された小領域全体)におけるニューロメラニンの測定に限定されており、このニューロメラニン感受性MRIによって得られる高い空間解像度を利用していない。黒質内のニューロンの異なる集団は、異なる機能と解剖学的接続を持っているため、これは重要である。一実施形態では、本明細書に開示される主題は、ボクセルにわたるニューロメラニン感受性MRIシグナルの変動性を利用するためのボクセル単位の方法の開発及び検証に関するものであり、これは、神経精神疾患全体の臨床応用のためのニューロメラニン感受性MRIの価値を大幅に高める可能性を秘めている。したがって、NM-MRIは、このシステムに影響を与える神経精神障害に関連する、ドーパミンシステムの完全性または機能(例えば、ドーパミンの合成、伝達、及び貯蔵)のマーカーとして使用できる。
【0084】
一実施形態では、本明細書に記載の主題は、コカイン使用障害ならびに他の形態の薬物中毒及び行動嗜癖で起こる、カテコラミン系の病理学的変化または機能的変化を評価するためのニューロメラニンイメージングの使用に関する。これらは、ドーパミン系の調節不全が、より直接的ではあるが侵襲的なイメージング手段(例えば、ドーパミン受容体陽電子放出断層撮影法)を使用して繰り返し観察されている状態である。ニューロメラニン感受性MRIデータは、嗜癖または嗜癖を発症するリスク、重症度、疾患の進行、治療反応、及び/または臨床転帰のバイオマーカーとして使用する可能性がある。ニューロメラニン感受性MRI法は、問題のあるコカインの使用、重症度、またはその発症のリスクを追跡する客観的なバイオマーカーの必要性を満たしている。ニューロメラニン感受性MRIは、侵襲的/放射線イメージング手段(例えば、PET)の安全な代替手段として使用できる。ニューロメラニン感受性MRIは、放射線への反復被ばくのリスクを考慮すると現在はできない進行のモニタリングにも使用できる。ニューロメラニン感受性MRIは、非侵襲的であり、より安価で安全であり、臨床現場での取得がより容易である。解剖学的解像度が大幅に向上し(5~10倍)、関連する脳構造内の解剖学的詳細を解決できる。
【0085】
一実施形態では、本明細書に開示される主題は、コカイン使用障害及び他のタイプの嗜癖行動など、ドーパミン系の調節不全に関連する障害を特徴付けるためのニューロメラニン感受性磁気共鳴画像法(MRI)プラットフォームに関する。検証済みのボクセル単位の分析方法を使用して、高度な空間解像度で、黒質などのドーパミン作動性脳領域内の地形パターンを決定する。これらのパターンは、様々な神経精神障害におけるドーパミン作動性機能と細胞損失を特徴付けるために使用できる。この技術は非侵襲的であり、統合失調症、精神病、神経変性疾患、及び嗜癖のような行動を含む、様々なカテコラミン作動性障害の患者の転帰を監視及び予測するために使用できる。
【0086】
いくつかの実施形態では、ニューロメラニンMRIシグナルは、ニューロメラニン濃度、線条体のドーパミンレベル、黒質血流、及び統合失調症の精神病の重症度を決定するために使用できる(Cassidy CM,Zucca A,Girgis RR,Baker SC,Weinstein JJ,Sharp ME,Bellei C,Valmadre A,Vanegas N,Kegeles LS,Brucato G,Kang UJ,Sulzer D,Zecca L,Abi-Dargham A,Horga G.Neuromelanin-sensitive MRI as a noninvasive proxy measure of dopamine function in the human brain.Proc Natl Acad Sci U S A.2019 Mar 12;116(11):pp.5108-5117)。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される主題は、ドーパミン機能関連障害を含む、ドーパミン系の調節不全に関連する障害を特徴付けるためのニューロメラニン感受性磁気共鳴画像法(MRI)プラットフォームに関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される主題は、高度な空間解像度で、黒質などのドーパミン作動性脳領域内の地形パターンを決定するための、検証済みのボクセル単位の分析方法の使用に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される主題は、非侵襲的で安価な方法に関するものであり、縦方向の画像化に適している。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される主題は、様々なドーパミン機能関連障害(すなわち、神経変性疾患、うつ病、嗜癖障害、精神病、統合失調症)の治療結果を監視及び予測するためのイメージングバイオマーカーとして使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される主題は、疾患の重症度を決定するための診断バイオマーカー(例えば、状態間の鑑別診断のため)、疾患進行の予後指標及び/または障害(遺伝的、環境的、及び臨床リスク)を発症するリスク、ならびに治療反応の予測指標(例えば、個別化された治療選択を支援するため)として使用することができる。いくつかの実施形態では、神経精神医学的状態は、統合失調症スペクトラム障害、精神病性疾患、及び他の状態で表される精神病症状(認知症、気分障害、産後症候群)、嗜癖(コカイン、ニコチン、アルコール、メタンフェタミン、アヘン剤、行動嗜癖)、うつ病(晩年うつ病を含む)、双極性障害、ハンチントン病、加齢による精神運動の遅滞及びその他の老化に関連する状態、パーキンソン病、ならびにその他の運動障害及び症状(例えば、MSA、PSP、パーキンソニズム症状、ジスキネジア、ジストニア)を含む。
【0088】
本明細書に開示される主題の非限定的な潜在的適用には、薬物または行動嗜癖のイメージングバイオマーカーとして、神経精神障害を有する患者の治療結果を監視すること、疾患の重症度に基づいて患者を層別化すること、嗜癖(すなわち、物質使用、行動)を発症するリスクを予測すること、臨床試験の結果を予測すること、及び研究ツールとして、さまざまな神経精神疾患の根底にあるインビボドーパミン機能障害を特徴付けることが含まれる。
【実施例】
【0089】
本発明のより完全な理解を容易にするために、以下に実施例を提供する。以下の実施例は、本発明を作成及び実施する例示的な様式を説明するものである。しかし、本発明の範囲は、これらの実施例に開示された特定の実施形態に限定されず、これらの実施例は、説明のみを目的としており、代替方法を利用して同様の結果を得ることができる。
【0090】
実施例1-ニューロメラニン感受性MRIによって明らかにされたコカイン中毒における黒質のドーパミン異常の証拠
要約
目的:最近の証拠は、ヒト脳におけるドーパミン機能を調査するための新規ツールとして、ニューロメラニン感受性MRI(NM-MRI)の使用を支持している。この研究の目的は、この障害が鈍化したシナプス前線条体ドーパミンと関連していることを示す以前の画像化研究に基づいて、年齢と性別が一致した対照と比較して、コカイン使用障害のNM-MRIシグナルを調査することであった。
【0091】
方法:NM-MRI及びT1強調画像を、コカイン使用障害を有する20人の参加者及び35人の対照から取得した。NM-MRIシグナルにおける診断群の影響を、黒質(SN)内のボクセルごとの分析を使用して決定した。NM-MRIが報酬処理の変化と関連しているかどうかを調査するために、20人のコカイン使用者と17人の対照のサブセットも、Monetary Incentive Delayタスクを使用して機能的MRIイメージングを受けた。
【0092】
結果:対照と比較して、コカイン使用者は、SNの腹外側領域においてNM-MRIシグナルが有意に増加した(線形回帰;修正p=0.025、順列検定;受信者動作特性曲線下面積=0.83)。探索的分析では、NM-MRIシグナルと、金銭的報酬を予想している間の腹側線条体の活性化との間に有意な相関関係は見られなかった。
【0093】
結論:以前の画像化研究が線条体におけるドーパミンシグナル伝達の減少を示していることを考えると、SNにおけるNM-MRIシグナルの増加の発見は、コカイン使用障害の病態生理学への追加の洞察を提供する。1つの解釈は、コカイン使用障害は、サイトゾルプールと小胞プールとの間のドーパミンの再分配に関連しており、ニューロメラニンの蓄積を増加させる。したがって、この研究は、NM-MRIが嗜癖のドーパミン系を調査するための実用的なイメージングツールとして機能できることを示唆している。
【0094】
序文
ドーパミン機能の変化は、ドーパミン取り込み、受容体密度、及びドーパミン放出の測定を含む、陽電子放出断層撮影法(PET)を使用して、コカイン使用障害において以前に実証されている(1)。PETで測定された、コカイン使用者における覚醒剤誘発性シナプス前ドーパミン放出の減少は、よく再現され(1~4)、再発を含むコカイン使用障害のより難治性の症状と関連している(1、2)。しかし、PETは嗜癖におけるドーパミンシグナル伝達に関する重要な洞察を提供できるが、費用がかかり、かなりの専門的なインフラストラクチャが必要である。さらに、若い、危険にさらされている集団での縦断試験及び研究での使用は、放射能被ばくによって制限される。
【0095】
最近の研究は、ニューロメラニン感受性磁気共鳴画像法(NM-MRI)が、ドーパミン機能及び完全性の補完的な非侵襲的代理尺度を提供し得ることを示唆している(5、6)。ニューロメラニン(NM)は、サイトゾルドーパミンの変換から生成される色素であり、黒質(SN)のドーパミンニューロンに生涯にわたって徐々に蓄積する(7)。ニューロメラニンは鉄に結合し、MRIを使用して画像化できる常磁性複合体を形成する(6、8、9)。NM-MRIは、パーキンソン病におけるSN神経変性後のニューロメラニン枯渇を確実に捉えることができる(6、10)。重要なことに、この技術は、神経変性がなくてもドーパミン機能の変化を捉えることができ(5、11)、ドーパミン合成の刺激がNM合成を促進するというインビトロの証拠と一致している(12、13)。
【0096】
特に、黒質のサブ領域内のNM-MRIシグナルは、精神病に関連して増加し(5)、精神病におけるドーパミンシグナル伝達の増加のPET所見と一致している(14)。さらに、NM-MRIシグナルは、シナプス前ドーパミン放出のPET測定と中脳の安静時血流との両方と直接相関する(5)。したがって、一実施形態では、本明細書に開示される主題は、NM-MRIが、明白な神経変性を伴わない精神障害を研究するための有用性を有するドーパミン作動性経路における機能的変化の代理尺度を提供することを実証する。
【0097】
ここで、ドーパミン機能障害を伴う障害であるコカイン使用障害において同様の変化を検出できるかどうかを調べるために、NM-MRIを初めて使用した。この目的のために、本明細書の主な分析は、黒質におけるNM-MRIシグナルに対する診断群の効果について試験した。理論に拘束されるものではないが、以前のPET研究(1、3)に基づいて、コカイン使用障害はNM-MRIシグナルの低下に関連すると考えられている。探索的分析では、コカイン使用障害におけるNM-MRIシグナル強度の変化とMonetary Incentive Delayタスク中の血行力学的脳反応との間の評価された関連性が評価された。このタスクで報酬を期待している間の腹側線条体の活性化は、薬物及び行動嗜癖で一貫して減少する(18、19)ドーパミン(16,17)に関連する報酬処理(15)の堅牢な機能的読み出しを提供することが示されている。腹側線条体は腹側被蓋野と背内側SNからの投影を受け取るため(20、21)、SNのNM-MRIシグナルと腹側線条体の報酬関連の活性化との関係が調査された。
【0098】
方法
参加者
この研究は、ニューヨーク州精神医学研究所の治験審査委員会によって承認された。すべての参加者は、同意説明文書を提供した。コカインを使用している参加者は、中等度から重度のコカイン使用障害のDSM-V基準を満たしており、他の現在の第1軸の診断や現在の医学的疾患はなかった。他の物質使用障害(タバコとコカインを除く)は除外基準であった。選択時点で、これらの参加者は喫煙コカインを積極的に使用しており、これは尿毒物学によって検証された。参加者は、スキャンの前に最低5日間コカインを控える必要があり、これは尿中の薬物検査(隔日で実施)によって確認された。参加者は、スキャンの前に少なくとも1時間はタバコの使用を控えた。タバコを使用している群とタバコを使用していない対照群も含まれていた。スクリーニング手順は、身体検査、心電図、及び臨床検査を含んだ。すべての参加者は、広告と口コミで募集された。対照は、現在または過去の第1軸障害(タバコ使用障害を除く)、神経障害の病歴、または現在の主要な医学的疾患のヒトが除外された。合計で、58人の男性が研究に参加した。3人の参加者(コカイン使用者1人と対照2人)は、NM-MRI画像が使用できないため除外された(参加者の動き[中脳に影響を与える明確に見える、スミアリングまたはバンディングのアーティファクトを示す、n=2]または不適切な画像スタックの配置[n=1]のため)。したがって、
図4に示すように、20人のコカイン使用者、及び35人の年齢と性別が一致した対照で、合計55人の参加者が分析のために保持された。すべての参加者は、知覚された社会的支援の多次元尺度(22)及びベックうつ病インベントリ(23)を含む自己報告アンケートに回答した。
【0099】
NM-MRI取得
磁気共鳴(MR)画像は、先行研究(5)の方法に従って、32チャネル、フェーズドアレイノバヘッドコイルを使用して、GE Healthcare 3TMR750スキャナーですべての試験参加者について取得した。ロジスティクス上の理由から、代わりに8チャンネルのインビボヘッドコイルを使用して、いくつかのスキャン(全スキャンの7%、合計55のうち4)を取得した。NM-MRI画像は、次のパラメーターを持つ磁化移動コントラスト(2D GRE-MT)を使用した2D勾配応答エコーシーケンスを使用して取得した:繰り返し時間(TR)=260ms;エコー時間(TE)=2.68ms;フリップ角=40°;面内解像度=0.39×0.39mm2;部分的な脳のカバレッジの視野(FoV)=162×200;行列=416×512;スライス数=10;スライスの厚さ=3mm;スライスギャップ=0mm;磁化移動周波数オフセット=1,200Hz;励起数(NEX)=8;取得時間=8.04分間。スライス処方プロトコルは、画像スタックを前交連-後交連ラインに沿って配置することと、上部スライスを第三脳室の床から3mm下に配置することで構成されていた(詳細については、(5)を参照)。このプロトコルは、中脳と周囲の構造のSN含有部分のカバレッジを提供した。NM-MRI画像(下記参照)の前処理をサポートするために、全脳の高解像度T1強調構造MRIスキャンも、高速スポイルグラジエントエコーシーケンス(反転時間=500ms、TR=6.37ms、TE=2.59ms、フリップ角=11°、FoV=256×256、スライス数=244、等方性ボクセルサイズ=1.0mm3)、または場合によっては、3D BRAVOシーケンス(反転時間=450ms、TR≒7.85ms、TE≒3.10ms、フリップ角=12°、FoV=240×240、スライス数=220、等方性ボクセルサイズ=0.8mm3)を使用して取得した。NM-MRI画像の品質は、取得直後にアーティファクトがないか視覚的に検査し、時間が許す限り、必要に応じてスキャンを繰り返した。
【0100】
NM-MRI前処理
以前の研究(5)と同様に、SPM12を使用してNM-MRIスキャンを前処理して、標準化されたMNI空間でのボクセル単位の分析を可能にした。NM-MRIスキャンを、最初に参加者のT1強調スキャンに登録した。次に、T1強調画像を使用して組織のセグメンテーションを実行した。NM-MRIスキャンは、すべての研究参加者から生成された灰白質及び白質テンプレートを使用してDARTELルーチンを使用してMNI空間に正規化した。平滑化されていない、正規化されたNM-MRIスキャンのリサンプリングされたボクセルサイズは1mmであり、等方性であった。すべての画像は、各前処理ステップの後に視覚的に検査された。次に、カスタムMatlab(Mathworks)スクリプトを使用して、強度の正規化と空間平滑化を実行した。各参加者とボクセルvのコントラスト対ノイズ比(CNR)は、NM含有量が最小であることが知られている白質路である大脳脚の参照領域RRからのNM-MRIシグナル強度Iの相対差として、次のように計算した:CNR
V=(I
v-モード(I
RR))/モード(I
RR)。参照領域とSNのテンプレートマスクは、MNI空間のテンプレートNM-MRI画像を手動でトレースすることによって作成された(すべての研究参加者からの正規化されたNM-MRIスキャンの平均、詳細については
図1と以前のレポートを参照されたい(5))。モード(I
RR)は、マスク内のすべてのボクセルの分布のヒストグラムに適合するカーネル平滑化関数から各参加者について計算された。得られたNM-MRIコントラスト対ノイズ比マップは、1mmの半値全幅ガウスカーネルで空間的に平滑化された。
【0101】
NM-MRI分析
すべての分析はMatlabで行った。以前の研究(5)に続いて、主な分析は、SNマスクのコントラスト対ノイズ比の値のボクセル単位の分析で構成されていた。このアプローチは、おそらく機能的に異なるSNニューロン亜集団(20)に対応し、以前にドーパミン作動性病態生理に対して高い感受性を示した(5)地形的変化を捕捉する。特に、主要なボクセルごとの分析では、SNマスク内のすべてのボクセルvでのコントラスト対ノイズ比(NMシグナル)を次のように予測する堅牢な線形回帰分析(Matlabのrobustfit関数)を介して、コカイン使用者と対照との間の特定の違いを調べた:
【数1】
ここで、タバコの使用(1日あたりのタバコの本数)、ヘッドコイル、及び年齢を迷惑共変量として使用した。年齢とニューロメラニンの蓄積との既知の関係を考えると、年齢を修正することが重要であることに注意されたいい(7)。以前の研究(5)と同様に、群由来のテンプレートSNマスクは、不完全なSNカバレッジまたは極端な値のために欠損値を持つ参加者データポイントを検閲した後に使用された(コントラスト対ノイズ比が-8%未満またはコントラスト対ノイズ比が40%を上回る;対象ごとに平均71±195ボクセルまたは全SNボクセルの4%が検閲された)。複数の比較を修正し、以前の研究(5)に再び従うために、効果の空間的範囲は、正または負の方向のNMシグナルで診断上の違い(コカイン使用者と対照の間)を示すボクセルk(隣接または非隣接)の数として定義された(p<0.05、片側の回帰係数β
1のt検定のボクセルレベルの高さのしきい値;この結果は、p<0.01というより厳密な高さのしきい値でも有意なままであったことに注意されたい)。次いで、NMシグナルの個々のマップに関して診断ラベルをランダムにシャッフルする順列試験に基づいて有意性試験を決定した。これにより、10,000個の並べ替えられたデータセットのそれぞれについて空間範囲の尺度が提供され、真のデータで効果の空間範囲kを偶然に観察する確率を計算するための帰無分布を形成した。したがって、このテストでは、効果の空間範囲kが偶然に予想されるよりも大きいかどうかを判断することにより、複数の比較を修正する(p
修正<0.05;10,000順列)。
【0102】
SNにおけるボクセル単位の効果のより詳細なトポグラフィー記述のために、SNボクセルにわたる事後多重線形回帰分析を使用して、SNマスク内のx(正中線からの絶対距離)、y、及びz方向のMNIボクセル座標の関数として効果の強度を予測した。完全を期すために、SNマスク全体の平均NMシグナルに対して関心領域分析も実施した。この関心領域分析は、迷惑共変量としてヘッドコイル、年齢、及び不完全なSNカバレッジ(有/無)を含む堅牢な線形回帰分析で構成されていた。
【0103】
診断群に基づいて参加者を分離するNM-MRIの能力は、主要なボクセルごとの分析で特定されたボクセル中の平均NM-MRIシグナルに基づいて、効果サイズ推定値及び受信者動作特性曲線の下の面積を計算することによって、コカイン使用障害に関連することが決定された(以下、「コカイン使用ボクセル」と呼ぶ;すなわち、主要なボクセルごとの分析、またはリーブワンアウト手順に続くボクセルごとの分析を介して診断効果を示すボクセル)。リーブワンアウト手順を使用して、ボクセル選択によって偏りのない効果サイズの測定値を取得した。特定の参加者について、関心変数がNM-MRIシグナルに関連するボクセルは、この(差し出された)参加者を除くすべての参加者を含む分析で最初に特定された。差し出された参加者の平均シグナルは、このボクセルのセットから計算された。この手順をすべての参加者に対して繰り返したので、各参加者は、それらを除外した分析から得られた抽出された平均NM-MRIシグナル値を取得した。Cohen’s d及びf2効果サイズ測定値の信頼区間は、ブートストラップによって決定された。
【0104】
共変量としての年齢及びタバコ使用を伴う、コカイン使用ボクセルから抽出されたNM-MRIシグナルに対する部分的相関は、臨床測定値に関連した。p<0.05のLilliefors検定によれば、臨床測定値が正規分布していないため、部分的(ノンパラメトリック)スピアマン相関を使用した。
【0105】
fMRI法
研究参加者のうち37人(コカイン使用者20人、対照者17人)でfMRIデータを収集した。血中酸素レベル依存(BOLD)fMRIは、参加者がMonetary Incentive Delayタスクを完了している間に取得した。エコー平面画像は、次のパラメーターで取得した。繰り返し時間(TR)=1500ms;エコー時間(TE)=27ms;フリップ角=60°;面内解像度=3.5×3.5mm2;スライス厚さ=4mm;スライスギャップ=1mm。それぞれ12.1分間続いて2回実行した。fMRI画像は、スライス時間補正、再調整、T1加重スキャンへのコレジストレーション、標準化されたMNI空間への空間正規化、スムージング(半値カーネルで全幅6mm)など、SPM12の標準的な方法を使用して前処理された。採用されたMonetary Incentive Delayタスクは、金銭的報酬(1ドルまたは5ドル)、金銭的損失(1ドルまたは5ドル)、または結果なし(0ドル)に関するフィードバックの後続の受信に関連する視覚的合図(幾何学的形状)の提示を含む標準バージョン(24)と同様であった。タスクは、5つの条件に均等に分割された110回の試行で構成されていた。金を稼ぐことまたは損失を回避することは、参加者に視覚的な合図に従ってキーをすばやく押すことで、確率的に達成された。キーを押すのに利用できる時間は、練習テスト中の参加者の運動速度に基づいてパーソナライズされた。第1レベルのモデルには、予測期間(ボタンを押した後、フィードバック前の期間として定義)、見込み期間(合図の提示後、ボタンを押す前)、及び結果期間(フィードバックが配信された時)の5つの条件すべてのボックスカーリグレッサーが含まれていた。迷惑なリグレッサーには、24のモーションパラメーター(6つのモーションパラメーターとそれらの2乗、導関数、及び2乗導関数)、及び2回の実行に対応するセッション固有のインターセプトが含まれていた。以前の研究(15)と同様に、報酬予測中の活性化は、5ドルと0ドルの獲得条件の対比によって定義された。各参加者について、腹側線条体のマスク内のこのコントラストからのシグナル(線条体の公開されている機能的マスク//osf.io/jkzwp/から)が抽出された。腹側線条体は、このタスクを使用する際に最も一般的に調査される脳構造であり(19)、このタスク中に報酬関連の活動の堅牢で信頼性の高い読み出しを提供することが示されている(25)。NM-MRIとの関係を決定するために、線形回帰を使用して、診断の効果、コカイン使用ボクセルのNM-MRIシグナル、及び年齢とタバコの使用を制御する腹側線条体の予測BOLD活動に対するNM-MRIシグナルによる診断の相互作用を調査した。
【0106】
結果
黒質におけるNM-MRIシグナルに対する診断の効果
コカイン使用者と対照との間の違いについての先験的ボクセル分析
SN内で主に腹横方向に位置するボクセルのサブセットは、対照と比較してコカイン使用者において有意に増加したNM-MRIシグナル(コントラスト対ノイズ比)を示した(p<0.05で1775個のボクセルのうち344個、年齢、ヘッドコイル、及び1日あたりのタバコについて堅牢な線形回帰制御;p
修正=0.025、順列検定;ピークボクセルMNI座標[x、y、z]:6、-26、-17mm;
図2Bを参照)。この比較的軽い喫煙者のサンプルでは、タバコの使用はNM-MRIシグナルの違いと有意に関連していなかった(267のSNボクセルは、一次線形回帰モデルで1日あたりのタバコと正の相関を示すシグナルを示した、p
修正=0.054)。
【0107】
ボクセルごとの分析において、コカイン使用者が対照と比較して増加したNM-MRIシグナルを示したボクセルから抽出された平均NM-MRIシグナル値に基づいて、(コカイン使用ボクセル、
図2Bにおいて赤色で示され、これらのボクセルから抽出された値が
図2Aの上部パネルに示す)、コカイン使用障害の診断は、NM-MRIシグナルに中程度から大きな影響を与えた(Cohen’s d=1.34、95%信頼区間[CI]=0.91~1.90、Cohen’s f
2=0.46、95%CI=0.19~0.95;偏りのないリーブワンアウトCohen’s d=0.77、95%CI=0.35~1.27、Cohen’s f2=0.15、95%CI=0.02~0.43;すべての推定値は、年齢、ヘッドコイル、及びタバコの使用について調整されたNM-MRIシグナルに基づく)。コカイン使用ボクセルから抽出された調整されたNM-MRIシグナルの診断上の違いは、研究サンプルのサブセットを分析して交絡の可能性に対処する場合、中程度から大規模のままであった(教育年数の制御:Cohen’s d=0.76、95%CI=0.22~1.39、n=38;抑うつ症状の制御:Cohen’s d=0.84、95%CI=0.31~1.52、n=37;知覚された社会的支援の制御:Cohen’s d=1.06、95%CI=0.52~1.72、n=37;非タバコ使用者の除外:Cohen’s d=1.05、95%CI=0.50~1.74、n=28;8チャンネルコイルでスキャンした参加者の除外:Cohen’s d=1.38、CI=0.93~1.97、n=51)。さらに、ほとんどのコカイン使用者は、コカイン使用ボクセルから抽出された調整済みのNM-MRIシグナルに基づいて、35のすべての対照と比較して正常に分類できた(受信者動作特性曲線の下の面積[AUC]=0.83、偏りのないリーブワンアウトAUC=0.71;
図2)。
【0108】
完全を期すために、関心領域分析を使用して全SN内で平均化されたNM-MRIシグナルを調べた。ここでもまた、コカイン使用者は、対照と比較してNM-MRIシグナルの有意な増加を示した(t49=2.07、p=0.044、Cohen’s d=0.62、95%CI=0.19~1.12、年齢、ヘッドコイル、及びタバコの使用について堅牢な線形回帰制御、ならびに不完全なSNカバレッジ;AUC=0.69)。
【0109】
黒質におけるNM-MRIシグナルとコカイン使用重症度の測定値との間の関係の探索的分析
コカイン使用ボクセルから抽出されたNM-MRIシグナルがコカイン使用の重症度と相関しているかどうかがテストされ、使用期間(ρ=-0.33、p=0.18)または1週間あたりコカインに費やされた金額(ρ=-0.08、p=0.74;年齢とタバコの使用についての部分的なスピアマン相関の制御)との有意な相関は見られなかった。
【0110】
黒質におけるNM-MRIシグナルと報酬予測に対する腹側線条体応答との間の関係の探索的分析
コカイン使用障害におけるNM-MRI所見とドーパミン関連回路機能障害との関係を調査するために、fMRI BOLD活性化を、金銭的報酬を見越して腹側線条体で測定した。予想どおり、すべての参加者にわたって、BOLDシグナルは、報酬を予期しない場合と比較して、報酬を予期する場合に腹側線条体でより高かった(t36=2.56、p=0.015、予期中の[5ドル~0ドル]コントラストの1サンプルt検定)。しかし、腹側線条体におけるこの報酬関連の活性化は、群間で差がなく(β=0.038、t32=0.72、p=0.48)、すべての参加者のコカイン使用ボクセルのNM-MRIシグナルと相関していなかった(β=-0.015、t32=-1.52、p=0.14)。また、腹側線条体の報酬関連の活性化に対するNM-MRIシグナル相互作用による群もなかった(p=0.24;年齢とタバコの使用についての線形回帰制御)。
【0111】
考察
コカイン使用障害を有する個体のSNにおけるNM-MRIシグナルの増加を示すデータが本明細書に提示される。この増加はSN全体に存在するのではなく、腹側及び外側のSNサブ領域でより優勢であった。NM-MRIシグナルが、実験用調製物中の合成メラニンの濃度(8)及び死後中脳組織中のNM濃度(5)を反映し、SN中のNMの蓄積がドーパミン機能に依存すること(5、12、13)を考えると、これらの調査結果は、コカイン使用者が、ドーパミン作動性機能障害を示している可能性があるこれらのSNサブ領域で上昇したNM濃度を示すことを示唆している。
【0112】
以前のPET研究では、コカイン使用障害においてシナプス前ドーパミンが鈍化することを示していたことを考えると、コカイン使用者におけるNMシグナルの上昇という発見は驚くべきものであった(1~4)。ただし、この不一致は、この障害におけるドーパミンシグナル伝達の病態生理学への追加の洞察を提供する。線条体でのドーパミン放出の鈍化とSNでの上昇したNMとの組み合わせは、対照と比較してコカイン使用者ではドーパミンの分布が異なることを示唆している。シナプス小胞に集中するドーパミンが少なく、サイトゾルプールにドーパミンが多いということは、小胞からのドーパミン放出を推定するPET研究と、サイトゾルのドーパミン濃度に基づいて蓄積するNMのイメージングとの間の相違を説明できる(12、26)。一方、コカイン使用障害がドーパミン合成の全体的かつ持続的な減少と関連していた場合、PETとNM-MRIシグナルの両方の減少が予想されていたであろう。
【0113】
コカイン使用障害が小胞貯蔵とサイトゾル貯蔵との間のドーパミンの再分配を伴うという仮説を支持する多くの以前の研究がある(この仮説のグラフ表示については、
図3を参照)。慢性的なコカイン曝露は、小胞モノアミン輸送体2(VMAT2)発現の減少と関連しており、これは、小胞プールのドーパミンを減少させ、サイトゾルプールのドーパミンを増加させる。VMAT2の減少は、慢性的にコカインを自己投与する非ヒト霊長類(27)及びヒトのコカイン使用者(28)で示されている。ヒトの死後研究でも、コカイン使用者の線条体VMAT2の減少が示されている(29~31)。
【0114】
コカイン使用障害におけるVMAT2発現の鈍化は、PETで見られるシナプス前ドーパミン放出の減少を説明でき(1~4)、この集団で見られる[18F]DOPA蓄積の減少も説明できる(32)。これは、シナプス小胞に集中する放射性トレーサーに依存する可能性が高いからである(33)。VMAT2発現の低下は、中脳におけるNM形成の上昇と相関することも示されている(12、34)。コカインの使用は、D2自己受容体及び他のいくつかのタンパク質の発現の変化と関連していることが示されているが(1、35)、これらの変化は一般に、NMの蓄積とドーパミンの放出の両方を同じ方向にシフトさせる。一方、VMAT2の変化は、観察された変化が反対方向に起こっていることの簡潔な説明として際立っている。まとめると、これらの画像化研究は、コカインの使用が小胞プールのドーパミンの低下とサイトゾルコンパートメントの高濃度に関連していることを示唆している。ただし、この仮説を確認するには、コカイン使用者のVMAT2とドーパミン放出を中脳のNM-MRIと組み合わせてイメージングする研究が必要である。コカインの使用がサイトゾルドーパミンを確実に増加させる場合、このコンパートメント内のドーパミンの酸化が反応性キノン種を形成するため、これはニューロンにリスクをもたらす可能性がある(36)。しかし、コカイン使用者におけるドーパミン細胞死の増強(37)またはパーキンソン病リスク(38)の明確な証拠はない。
【0115】
主な調査結果の別の解釈として、コカイン使用者におけるNM上昇は、PETによって捕捉されない可能性がある、参加者の生涯にわたって発生したドーパミンの反復エピソードサージに起因するというものである。NM顆粒は細胞死後にのみ除去されるため(26)、したがって、ドーパミン機能の長期的なレポーターとして機能するため、コカイン使用の遠い過去の歴史(コカイン消費中に急激に過剰なドーパミンにつながる可能性がある)でさえ、NM-MRIシグナルの持続的な増加として現れる可能性がある。この可能性に対処するには、今後の縦断的研究が必要になるであろう。
【0116】
これらの調査結果の機能的重要性の最初の試験として、SN内のコカイン使用ボクセルにおけるNM-MRIシグナルが、報酬システム関数の堅牢なプローブであるMonetary Incentive Delayタスク中の腹側線条体における報奨期待へのfMRI応答と相関するかどうかを調べた(15、19、25)。有意な相関は見られなかった。コカイン使用者の異常は、主な投射を腹側線条体に送る「大脳辺縁系」SNまたは腹側被蓋野[過度に包括的なSNマスクの背内側領域(21)]の近くに集中していないため、これはおそらく驚くべきことではない。むしろ、トポグラフィー分析は、群の違いが腹側(または「認知」)SN(21)で優勢であることを示した。これは、認知の柔軟性やその他の高次機能に関与すると考えられている背側線条体への突出した突起を持つサブ領域である。コカイン使用者のドーパミン機能に関するPETイメージング研究では、背側線条体のドーパミン作動性変化の一貫した証拠が発見されたが、腹側線条体にも顕著な変化が見られた。興味深いことに、コカイン使用者がSNの背側線条体投影領域でNM-MRIシグナルの増加を示すが、腹側線条体投影領域では増加を示していないという観察結果は、この集団の腹側線条体ではなく背側でVMAT2が大幅に減少したという以前の観察結果と一致している(28、31)。この解剖学的パターンの根底にあるものは何であれ、認知機能を補助する黒質線条体回路がコカイン使用障害において重要である可能性があること、今後の研究が、報酬タスクに加えて高次認知プロセスを調査することにより、この障害におけるNM-MRIシグナル変化の機能的重要性を判断するためのより良い位置付けになる可能性があることを強調している。
【0117】
この研究の主な制限は、比較的小さい、完全に男性のサンプルである。しかし、物質使用障害におけるNM-MRIのこの最初の報告は、この集団におけるドーパミン機能を測定するためのこの方法の可能性を支持している。物質の使用を調査するための唯一の以前のNM-MRI研究は、精神病患者の小群におけるSN面積のサイズの予備評価であった。併存物質使用のある精神病患者は、非使用患者よりも大きなSN面積を示した(39)。物質使用障害における死後組織のNM濃度を調査した以前の研究はなく、これは調査結果に収束的なサポートを提供するための重要な将来の方向性となるであろう。一般化の問題に対処するには、特にNM-MRIとタバコの使用の間の傾向レベルの関係を示す調査結果に照らして、さらなる研究が必要である(これは、より大きなサンプルまたはヘビーなタバコ使用者で有意に達する可能性がある)。NMシグナルの増加がVMAT2のダウンレギュレーションによるものであると仮定すると(27、28)、報告されたNM-MRI表現型は、VMAT2に影響を与えるコカインまたは他の薬物に特異的である可能性がある[VMAT2との関係はあまり明確ではないが、おそらくメタンフェタミンを含む(1)]。本明細書のデータにおいて、NM-MRIシグナルとコカイン使用期間との間に有意な相関関係がないことは驚くべきことである。NMが時間の経過とともに蓄積することを考えると、使用期間が長くなると、コカイン使用者に観察される異常が誇張されることが予想される。しかし、有意な関係がないのは、参加者全員が長年にわたってコカインを使用していたため、本明細書に開示されたサンプルの使用期間の範囲が限られているからであるかもしれない。NM-MRIシグナルは単一の生物学的プロセスを反映していないが、ドーパミン合成(12)、小胞へのドーパミン移動(34)、またはドーパミン細胞死(6)の変化によって変化し得る。本明細書に記載の調査結果は、以前のPETイメージングレポートに照らして解釈できるため、このような非特異性は、画像測定に共通しており(40、41)、神経生物学的メカニズムの三角測量におけるマルチモーダル研究の有用性を主張している。NM-MRIの結果の解釈は、コカイン使用者のドーパミン細胞死の増強がないことにより単純化されるが(37)、NM-MRIの結果の解釈は、変化したNM蓄積と組み合わされた実質的な細胞死を示す障害においてはより困難になるかもしれいない。
【0118】
ここで、NM-MRI証拠は、コカイン使用者における異常なNM蓄積について提示されており、これは先行研究と一致するドーパミン機能障害の間接的な指標である。したがって、本明細書に開示される主題は、NM-MRIを嗜癖の有望な研究ツールとして位置付け、覚醒剤使用障害の候補バイオマーカーとしてのその開発を支持する。嗜癖におけるドーパミンの中心的な役割とNM-MRIデータ取得の容易さを考えると、この方法は、特にリスクのある若い集団を研究し、PETを使用して研究するのが困難であったドーパミン変化の縦方向の軌跡を説明する機会を与えるため、嗜癖におけるドーパミンの変化の理解を進める可能性がある。
【0119】
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【0120】
実施例2-晩年うつ病におけるニューロメラニン感受性MRIシグナルと精神運動遅滞との間の関連
要約
晩期うつ病(LLD)は、処理速度の低下及び歩行速度の低下を伴うことが多い、高齢者に蔓延し、障害をもたらす状態である。これらの症状は、ドーパミン機能の障害に関連しており、レボドパ(L-DOPA)によって改善されることもある。この研究では、LLDを有する33人の高齢者が募集され、ドーパミン機能の代用尺度であるニューロメラニン感受性磁気共鳴画像法(NM-MRI)と、数字記号テスト及び歩行速度パラダイムによって測定されたベースライン遅滞との関連性を判断した。二次分析では、3週間のL-DOPAを受けたこれらの患者のサブセット(N=15)におけるL-DOPA治療反応を予測するNM-MRIの能力も評価された。これらの患者のさらなるサブセット(N=6)は、NM-MRIシグナルに対するL-DOPA治療の効果を評価するために、ベースライン時及び治療後にNM-MRIでスキャンされた。より低いベースラインNM-MRIは、より遅いベースライン歩行速度(1,807の黒質-腹側被蓋野(SN-VTA)ボクセルのうち346、P修正=0.038)と相関しており、特により内側、前部、及び背側のSN-VTAにおいてそうであることが分かった。二次分析では、ベースラインのNM-MRIと、歩行速度、処理速度、またはうつ病の重症度の治療関連の変化との関連性を示すことができなかった(すべてのP修正>0.361)。ベースラインと比較して、L-DOPAによる治療の3週間後のNM-MRIシグナルの増加の証拠が見つかった(1,807のSN-VTAボクセルのうち200;P修正=0.046)。全体として、この調査結果は、NM-MRIがLDD患者の歩行速度の変動に敏感であることを示しており、この非侵襲的MRI測定が、高齢者の神経精神医学におけるドーパミン関連の精神運動遅滞の有望なマーカーを提供し得ることを示唆している。
【0121】
序文
晩年うつ病(LLD)は、高齢者の間で蔓延し、障害を引き起こす状態であり、しばしば再発し、慢性化する可能性があり、抗うつ薬に反応しないことが多い(1~4)。動機付けの欠如、処理速度の低下、及び歩行障害はLLD表現型の顕著な側面であり、ドーパミン作動性機能不全が重要な病態生理学的役割を果たしている可能性があることを示唆している(5~7)。これらの特徴は、抗うつ薬治療の予後不良因子であり(8)、より広義には、死亡を含む健康への悪影響の前兆となる(9、10)。最近の研究では、カルビドパ/レボドパ(L-DOPA)単剤療法が、選択された線条体サブ領域でドーパミンの利用可能性を高めることにより、うつ病の高齢者の処理速度、歩行速度、及び抑うつ症状を大幅に改善することが示唆されている(11)。しかし、LLDは不均一で病因的に複雑な障害であり、ドーパミン欠乏症の個人を特定し、治療をパーソナライズするための非侵襲的でスケーラブルな方法の必要性を示唆している。この方向への最初のステップとして、ここではニューロメラニン感受性磁気共鳴画像法(NM-MRI)がLDDのドーパミン関連表現型、特に精神運動遅滞を捕捉する能力をテストした。
【0122】
精神運動遅滞は、LDDにとって非常に臨床的に重要であり、ドーパミン機能に関連付けられている。LLDでは、処理速度の低下は、抗うつ薬に対する急性反応の低下(8)及び認知症のリスクの上昇(12)を予測し、歩行速度の低下は、転倒(13)、障害(14)、及び死亡(6)のリスクを増加させる。高齢者の精神運動遅滞は、加齢に伴うドーパミン伝達の減少に少なくとも部分的に起因すると考えられており(15~17)、中線条体ドーパミン作動性伝達を歩行速度に関連付けるヒト及び前臨床研究と一致している(18、19)。この関連性を考えると、精神運動遅滞の存在は、LDDの病態生理学の中心となる潜在的なドーパミン作動性欠損を示している可能性があり(7)、L-DOPAなどのプロドーパミン作動性治療によって改善される可能性がある。実際、以前の研究では、歩行速度が低下しているLLD患者では、L-DOPA単剤療法が中線条体ドーパミン伝達を正常化することにより、精神運動遅滞と抑うつ症状を改善できることが示された(11)。これらの結果は励みになるが、歩行速度の低下はドーパミン欠損の間接的かつ非特異的なマーカーであり、NM-MRIなどのより直接的な測定が、L-DOPA治療から最も恩恵を受ける可能性のあるLDD患者の選択を最適化できることを示唆している。
【0123】
NM-MRIは、NMに富む領域におけるニューロメラニン(NM)濃度の視覚化を可能にする非侵襲的イメージング技術である(20、21)。NMは、黒質(SN)のドーパミン作動性ニューロンに蓄積するドーパミン代謝の産物である(22~25)。SNのNM-MRIイメージングはドーパミン機能のマーカーとして最近検証され、NM-MRIシグナルは線条体のドーパミン放出能力の陽電子放出断層撮影法(PET)測定と相関し、精神疾患に関連するドーパミン機能障害を捉える(20)。したがって、NM-MRIは、少なくとも一部のLDD患者を含むドーパミン機能不全の患者の治療選択のための潜在的なバイオマーカーとして独自に適しており、その非侵襲性、費用対効果、及び電離放射線の欠如を考えると、広く採用される可能性がある。
【0124】
本研究の目的は、NM-MRIが精神運動遅滞の潜在的なバイオマーカーとして適しているかを判断し、LLDにおけるL-DOPA治療反応を予測及び監視するその能力の試験を開始することであった。理論に拘束されるものではないが、処理が遅い人や歩行が遅い人は、NM-MRIで測定したドーパミン機能が低いと考えられる。さらに、小さなサンプルの二次分析では、L-DOPA治療後の精神運動遅滞の改善を予測するNM-MRIの能力を調査した。患者のさらなるサブセットにおける分析では、L-DOPA治療に関連するドーパミン機能の経時的変化を捕捉するNM-MRIの感度も調査した。
【0125】
方法及び材料
対象
本明細書に記載された研究は、New York State Psychiatric Institute(NYSPI)のAdult and Late Life Depression Research Clinicで実施され、NYSPI Institutional Review Boardによって承認された。LLDに関する研究プログラムには、多数の治療及び病態生理学的研究が含まれる。サンプルサイズを増やすために、同様の選択基準を持ち、同じNM-MRIシーケンスを利用する2つの研究からデータを集約した。最初の研究(N=18;研究1)は、抗うつ薬治療試験であり、そこからベースラインデータのみが使用された。2番目の研究(N=15;研究2)は非盲検のL-DOPA試験であり、そこからベースラインと治療後のデータが使用された(L-DOPA前及びL-DOPA後のデータセット)。これらの15人のうち、L-DOPAを投与した後のフォローアップNM-MRIデータは6人で収集された。分析に含まれるサンプルの詳細については、
図5を参照されたい。すべての対象(N=33;研究1+研究2)は、Diagnostic and Statistical Manualの5大うつ病性障害、気分変調症、または他に特定されていないうつ病と診断された60歳以上の成人外来患者であり、標準化された尺度(うつ病のハミルトン評価尺度[Hamilton Rating Scale for Depression;HRSD]が16以上、またはCenter for Epidemiologic Studies-Depression Rating Scaleが10以上)で最小の抑うつ症状スコアを持っていた。薬物乱用または依存を示し、精神病性障害、双極性障害、または認知症の可能性があると診断され、ベースラインで24以下のMini Mental Status Examinationスコア、2を上回るHRSD自殺項目、または7であるClinical Global Impressions-Severityスコアを持っている対象はすべて除外された。急性または重度の医学的疾患、可動性を制限する変形性関節症もしくは関節疾患、MRIの禁忌、または過去4週間以内に向精神薬もしくはドーパミンに影響を与えることが知られている他の薬で治療された対象も除外された。
【0126】
評価
Wechsler Adult Intelligence Scale-III(26)からのDigit Symbolテストを使用して、処理速度を評価した。歩行速度は、研究参加者が15フィートの歩行コースを通常または正常の速度で歩く単一のタスクとしてm/sで測定された。2回の試行が完了し、最終的な歩行速度の測定値は、これら2回の試行の平均として記録された。うつ病の重症度は、24項目のHRSDを使用して評価した。
【0127】
研究1のデザイン
評価及びMRIデータは、抗うつ治療を開始する前のベースラインで得た(N=18)。詳細については、clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01931202を参照されたい。
【0128】
研究2のデザイン
この研究への参加には、歩行速度の低下も必要であった(15分コースにわたる平均歩行速度が1m/s未満として定義される)。評価及びMRIデータは、L-DOPA治療を開始する前のベースラインで得た(N=15)。MRIスキャンの後、対象はカルビドパ37.5mg/レボドパ150mgを1日1回(午前9時)服用し始めた。この投与量で1週間後、対象はカルビドパ37.5mg/レボドパ150mgを1日2回(午前9時と午後5時)服用するように指示された。治療の3週間目、対象はカルビドパ37.5mg/レボドパ150mgを1日3回(午前9時、午後12時、午後5時)服用した。参加者は、上記のように、研究全体を通して同じ投与タイミングを維持するように指示された。これらの参加者のサブセット(N=6)は、治療後の評価が行われた3週目の訪問後に、治療後のMRIスキャンを受けた。研究手順の完全な説明については、以前に発行された主な結果の原稿を参照されたい(11)。詳細については、clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02744391を参照されたい。処理速度と歩行速度は、ベースラインで評価され、その後、L-DOPA治療中は毎週(すなわち、0~3週目)評価された。評価は、午後1時頃に実施し、時間帯の影響と、最後の午前のL-DOPA投与からの持続時間(4時間と予想される)を制御した。HRSDも0週目と3週目に実施した。処理速度、歩行速度、及びHRSDの変化を3週目と0週目の差とした。
【0129】
磁気共鳴画像法
脳の磁気共鳴画像は、32チャネルフェーズドアレイノバヘッドコイルを使用して、GE MR750 3.0Tスキャナですべての参加者について獲得した。NM-MRIデータは、次のパラメーターを持つ磁化移動コントラスト(2D GRE-MT)を使用した2Dグラジエントリコールエコーシーケンスを使用して取得した(20):繰り返し時間(TR)=260ms;エコー時間(TE)=2.68ms;フリップ角=40°;面内解像度=0.39×0.39mm2;部分的な脳のカバレッジの視野(FoV)=162×200;行列=416×512;スライス数=10;スライスの厚さ=3mm;スライスギャップ=0mm;磁化移動周波数オフセット=1,200Hz;励起数(NEX)=8;取得時間=8.04分間。スライス処方プロトコルは、画像スタックを前交連-後交連ラインに沿って配置することと、上部スライスを第三脳室の床から3mm下に配置することで構成されており、脳の中央の矢状面で見たものであった。このプロトコルは、中脳(及び脳幹を囲む皮質と皮質下構造)のSN含有部分のカバレッジを提供し、臨床集団が許容しやすい短いスキャンを使用して、高い面内空間解像度を備えている。NM-MRIデータの前処理のために、全脳の高解像度T1強調3D BRAVO構造MRIスキャンが次のパラメーターで取得した:反転時間=450ms、TR=7.85ms、TE=3.10ms、フリップ角=12°、FoV=240×240、マトリックス=300×300、スライス数=220、等方性ボクセルサイズ=0.8mm3)。
【0130】
NM-MRIデータは、SPMとANTを組み合わせるパイプラインを使用して前処理され、高い試験再試験信頼性を達成することが以前に示された(27)。パイプラインは次のステップで構成されていた。(1)「antsBrainExtraction.sh」を使用したT1w画像の脳抽出;(2)「antsRegistrationSyN.sh」(リジッド+アフィン+変形可能syn)を使用して、脳から抽出されたT1w画像をMNI空間に空間的に正規化する;(3)「antsRegistrationSyN.sh」(リジッド)を使用して、NM-MRI画像をT1w画像にコレジストレーションする;(4)「antsApplyTransforms」を使用して、ステップ(2)と(3)で推定された変換を組み合わせた単一ステップ変換によるMNI空間へのNM-MRI画像の空間正規化;(5)「ResampleImage」を使用して、空間的に正規化されたNM-MRI画像を1mmの等方性解像度にリサンプリングする;(6)「SPM-Smooth」を使用した、半値全幅1mmのガウスカーネルを使用した、空間的に正規化されたNM-MRI画像の空間平滑化。次に、前処理されたNM-MRI画像を使用して、NM-MRIコントラスト比(CNR)マップを推定した。各ボクセルでのNM-MRI CNRは、最小限のNMを有することが知られている白質路の領域である大脳脚(ICC)のシグナル強度からの特定のボクセル(IV)でのNM-MRIシグナル強度のシグナル差の割合として次のように計算した:
【数2】
ここで、モード(ICC)は、CCマスク(20)内のすべてのボクセルのヒストグラムのカーネル平滑化関数適合から各参加者について計算した。
【0131】
統計分析
アプリオリな分析は、より低いベースラインNM-MRI CNRがより遅い精神運動変数と相関するという仮説を試験した(数字記号及び歩行速度;N=33;研究1+研究2)。二次分析では、ベースラインNM-MRI CNRがこれらの精神運動変数のL-DOPA誘発改善(スピーディング)を予測するかどうかを調査した(N=15;研究2)。これらの効果は、Cassidy et al.で検証されたボクセルごとの分析アプローチを使用して、黒質-腹側被蓋野(SN-VTA)複合体内でテストされた(20)。簡単に言うと、この方法では、堅牢な線形回帰分析と、順列検定を使用した回帰係数の有意性検定を使用する。アプリオリな仮説(モデル1)をテストするために使用された線形モデルは、
【数3】
であり、ここで、β
1-3は関心変数であり、β
4-6は関心のない共変量である。二次分析(モデル2)の線形モデルは
【数4】
であり、ここで、β
1-3は関心変数であり、β
4-9は関心のない共変量である。対象となるすべての変数を1つのモデルに含めることで、効果の特異性が向上すると同時に、回帰係数のt検定の自由度を調整することで偽陽性を防ぐ、より保守的な検定が提供される(28)。有意な効果を示すボクセルの数は、順列テストを通じて有意であると判断され、ここで、関心のない共変量を一定に保ちながら、関心変数のランダムな順列の10,000回の反復が実行された。詳細についてはCassidy et al.を参照されたい(20)。このボクセルごとの順列テストは、ボクセル間の複数の比較を修正し、機能的MRI研究で使用される方法と同様に、偽陽性に対する適切な保護を提供する(29)。
【0132】
探索的分析において、L-DOPA治療の3週間後にNM-MRI CNRの変化を検出できるかどうかも調査した(N=6;研究2からのサブセット)。L-DOPA治療前後のNM-MRI CNR値を比較するノンパラメトリックの符号ランク検定が使用された以外、同様のボクセルごとの分析手法を使用した。有意な効果を示すボクセルの数は、各対象のL-DOPA治療前及び治療後のラベルのランダムな割り当てを10,000回繰り返してヌル分布を導出する順列テストによって有意であると判断された(すなわち、対象のL-DOPA治療前のNM-MRI CNR値がL-DOPA治療後の値として割り当てられ、L-DOPA治療後の値がL-DOPA治療前の値として割り当てられる確率は50%)。
【0133】
ベースラインの歩行速度とPETによるドーパミン機能測定値を比較する効果サイズを使用した先験的検出力分析(19)は、33人の対象のベースラインサンプル(両側、α=0.05)において効果を検出する検出力が85%であるが、15人の対象のL-DOPAサンプルにおいて検出力が50%のみであることを示した。したがって、前者のサンプル(モデル1)の分析は、アプリオリなテストとして十分に有効であった。後者の探索的性質を考慮して、アプリオリ及び二次テストでは追加の修正は実行しなかった。これは、完全性と説明の目的で提示されている。
【0134】
研究2からのフォローアップNM-MRIサブセットにおける潜在的な選択バイアスを排除するために、ピアソンカイ二乗検定またはMann-Whitney U検定を使用して、研究2の参加者の中の、3週間のL-DOPA治療後にフォローアップNM-MRIスキャンを受けた参加者(N=6)と、治療後にフォローアップNM-MRIスキャンを受けなかった参加者(N=9)との人口統計学的及び臨床的特徴を比較した。
【0135】
結果
サンプル特徴
サンプルの臨床的及び人口学的特徴を
図5に提供する。33人の対象すべてについて、平均年齢は71.8±6.5歳であり、63.6%は女性であり、平均教育年数は16.8±2.5年であり、平均歩行速度は0.97±0.32m/sであり、平均数字記号スコアは36.8±10.7であり、平均HRSDは20.7±6.6であった。フォローアップNM-MRIスキャンを受けた研究2の対象と、フォローアップNM-MRIスキャンを受けなかった研究2の対象との間に有意差は観察されなかった。
【0136】
ベースライン歩行速度はベースラインNM-MRIに関連する
理論に縛られることなく、33人のLLD患者においてNM-MRIによって測定されるように、処理がより遅い個人及び歩行がより遅い個人は、より低いドーパミン機能を示すであろうというアプリオリな仮説が調査された(研究1+研究2)。ボクセル単位の線形回帰モデル(モデル1)は、SN-VTAマスク内のNM-MRI CNRを歩行速度、数字記号スコア、及びHRSDの関数として予測し、年齢、性別、及び学歴を共変量として使用した。これにより、NM-MRI CNRが歩行速度と正の相関を示すSN-VTAボクセルのセットが明らかになった(P<0.05、堅牢な線形回帰での1,807のSN-VTAボクセルのうち346;P
修正=0.038、順列検定;
図7)。対照的に、数字記号スコア(P<0.05で1,807のSN-VTAボクセルのうち194;P
修正=0.121、順列検定)またはHRSD(P<0.05で1,807のSN-VTAボクセルのうち19;P
修正=0.731、順列検定)には有意な影響はなかった。歩行速度とNM-MRI CNRとの関係のトポグラフィー分析は、より内側(β
|x|=0.02、t
1803=2.40、P=0.016)、前方(β
y=0.14、t
1803=25.8、P=10
-124)、及び背側(β
z=-0.05、t
1803=-6.62、P=10
-10)のSN-VTAボクセルでより強い関係が発生する傾向があることを示した[x(正中線からの絶対距離)、y、及びz方向の座標の関数として、SN-VTAボクセル全体の歩行速度効果のt統計を予測する多重線形回帰分析:オムニバスF
3,1803=297、P=10
-155]。
【0137】
二次分析では、ベースラインNM-MRIとL-DOPA治療による精神運動速度の変化との間の関連性を示せなかった
二次分析において、ベースライン及び治療後の両方の精神運動評価(研究2)を用いて、15人の患者におけるベースラインNM-MRIシグナルと、3週間のL-DOPA治療後の精神運動速度の変化との間の関係を調べた。この関係のより厳密で空間的に制約されたテストとして、3週間のL-DOPA治療後の歩行速度の変化と、ベースラインの歩行速度と正の相関がある346のSN-VTAボクセル(
図1の緑のボクセル)の平均NM-MRI CNRとの間に関係があるかどうかを最初に決定した。ここでは、ベースラインNM-MRI CNRと歩行速度の変化との間に関係がないことがわかった(t
1,9=0.71、P=0.49;ベースライン歩行速度、年齢、性別、及び学歴について調整する歩行速度の変化の影響に関する堅牢な線形回帰テスト;
図7)。仮説のより寛大なテストとして、ボクセルごとの分析が行われ、このボクセルごとの分析では、各対象について、各ボクセルのSN-VTAマスク内のベースラインNM-MRI CNRを使用したL-DOPA治療後の歩行速度の変化と数字記号スコアとの関係を調査した(モデル2)。繰り返しになるが、ベースラインNM-MRI CNRと歩行速度の変化(P<0.05での1,807のSN-VTA ボクセルのうち64、ベースラインの歩行速度、ベースラインの数字記号スコア、ベースラインのHRSD年齢、性別、及び学歴について調整する、歩行速度の変化、数字記号スコアの変化、及びHRSDの変化の影響に関する堅牢な線形回帰テスト;P修正=0.377、順列検定)との間、数字記号スコアの変化(P<0.05で1,807のSN-VTAボクセルのうち69、P修正=0.361、順列検定)との間、またはHRSDの変化(P<0.05での1,807のSN-VTAボクセルのうち67、P修正=0.371、順列検定)との間に関係は見つからなかった。
【0138】
L-DOPA治療によるSN-VTAにおけるNM-MRI CNRの増加
探索的分析において、利用可能なベースライン及び治療後のMRIデータを用いて、6人の患者において3週間のL-DOPA治療後にNM-MRIシグナルが変化したかどうかも調べた(研究2サブセット)。この目的のために、各対象について、各ボクセルでのSN-VTAマスク内のベースラインと治療後のNM-MRI CNRとの差をテストするノンパラメトリックボクセルワイズ分析が行われた。これにより、治療後のスキャンでNM-MRI CNRが有意に高かった一連のSN-VTAボクセルが明らかになった(P<0.05で1,807のSN-VTAボクセルのうち200、ベースライン時と治療後におけるNM-MRI CNRの差に関するサインランク検定;P
修正=0.046、順列検定;
図8)。
【0139】
考察
この研究では、LLDを有する高齢者におけるNM-MRIデータと精神運動速度との間の関係を調査し、SN-VTA複合体の内側、前部、及び背部におけるNM-MRIシグナルの低下が歩行速度の低下と関連していることを見出した。L-DOPA治療を受けた対象の小さなサンプルの二次分析では、ベースラインNM-MRIが治療後の精神運動速度の変化を予測することは発見していなかった。さらに、探索的分析では、3週間のL-DOPA治療がNM-MRIシグナルの有意な増加と関連していることが観察された。
【0140】
NM-MRIシグナルの低下によって示されるドーパミン機能低下の所見は、より遅い歩行速度と関連しており、以前の文献に基づく先験的な仮説と一致する(19)。例えば、最近の研究では、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT、rs4680;持続性ドーパミンを調節する)の遺伝子多型と歩行速度との関係が特定されている(30、31)。さらに、脳小血管疾患の高齢患者では、歩行低下は黒質線条体ドーパミンの減少に起因する(32)。より一般的には、加齢に伴う運動機能障害における背側大脳基底核のドーパミン機能を示唆する強力な理論的基盤が提案されており(33)、この領域におけるドーパミン作動性バイオマーカーの必要性を支持している。
【0141】
NM-MRIシグナルによって示されるドーパミン機能が数字記号スコアと関連しないという発見は、ドーパミン機能と処理速度を関連付ける仮説または以前の報告と一致しなかった。サンプルサイズが限られているため(N=33)、数字記号スコアとドーパミン機能との間に関連性がないと結論付ける能力が制限されており、これに対処するには、より大きなサンプルでの研究が必要である。ドーパミンは理論的には処理速度に関連しているが(34)、ドーパミンシグナル伝達のニューロイメージングベースの測定値と処理速度タスクのパフォーマンスを関連付ける経験的証拠はまちまちである。これまでで最大の研究(N=181人の健康な成人)では、線条体ラクロプリドPET D2受容体結合と処理速度との間に有意な相関関係は示されなかった(35)。しかし、小規模な研究では、処理速度とドーパミン機能との間に小さいながらも有意な関連性が観察されている(16、36)。出願人は、ドーパミンシグナル伝達と数字記号スコアとの間の有意な相関関係を実証した研究を知らない。したがって、数字記号テストの運動要件と速度依存性は、ドーパミン機能への関連を理論的に示唆しているが、より複雑な関係がある可能性がある(37)。さらに、高齢者(38、39)とうつ病(40~42)の両方の集団で運動速度と注意力が損なわれているが、これらの欠陥はしばしば微妙であり、数字記号テストでは検出されない(43)。そして、これらの臨床集団における障害のメカニズムは、ドーパミン作動性ではない可能性がある。
【0142】
L-DOPA治療を受けた対象(N=15)の少数のサンプルの二次分析では、ベースラインNM-MRIと治療後の精神運動速度の変化との間の関連は見られなかった。これは仮説とは対照的であり、サンプルサイズが小さいため統計的検出力が不足しているからであるかもしれない。これらの結果がより大きなサンプルサイズで得られた場合、ベースラインのドーパミン機能が精神運動機能の変化に関するL-DOPAの有効性を予測できないことを示唆している可能性がある。
【0143】
探索的分析において、L-DOPA治療後のNM-MRIシグナルの有意な増加が観察され、L-DOPA治療が利用可能な線条体ドーパミンを増加させている可能性が高いが、参加者はその増加に対して異なる反応を示しているという考えを支持している(11)。この加齢に伴うプロセスは非常にゆっくりと発生し、ここで評価された3週間よりもかなり長い時間スケールでのみ検出可能であるため、観察された変化が経時的な自然なNM蓄積によるものであるとは考えにくい(44)。さらに、サンプルサイズは限られているが(N=6)、NM-MRIの優れた再現性は、NM-MRIシグナルの観察された増加が実際にNM濃度の増加によるものであることを示唆している(27)。この結果は、NM-MRIがL-DOPAによって誘導される合成を含むドーパミン機能を測定することを裏付けるさらなる証拠を提供する(45)。この結果はまた、NM-MRIが以前に考えられていたよりも短いタイムスケールでNMの変化に驚くほど敏感であり得ることを示唆している(46)。サンプルサイズの制限を考えると注意が必要であり、さらなる調査が必要であるが、大きなサンプルで複製された場合、この発見は、NM-MRIがドーパミン作動性治療反応のモニタリングに適し得ることを示唆している。
【0144】
歩行速度とNM-MRIシグナルとの間の関係のトポグラフィー分析の結果は、より強い関係がSN-VTAの内側、前部、及び背側領域で生じることを示した。対照的に、NM-MRIデータは、PDでのシグナルの大幅な減少が、より外側、後方、及び腹側のボクセルで優勢になる傾向があることを示している(20、47)。さらに、組織病理学的研究では、PD関連のニューロン損失が主にSNの腹外側層で発生することもわかっており(48、49)、最近の自由水イメージング研究では同様の空間パターンが特定されている(50、51)。最近の研究では、NM-MRIを使用して、PDの2つの運動サブタイプにおけるSNのシグナル強度を分析し、患者は、対照とともに、姿勢不安定性、歩行困難優勢または振戦優勢のいずれかに分類された。対照と比較した場合、両方のPDサブタイプでSNの外側部分で有意なシグナル減衰が検出され、振戦優勢群と比較して、姿勢不安定性、歩行困難優勢患者のSNの内側部分でも深刻なシグナル減衰が観察された(52)。まとめると、トポロジーの所見は、動きが鈍くなった、うつ状態の対象が通常、PDの臨床的徴候(例えば、歯車様硬直、凍結、振戦など)を示さないという事実に加えて、LLD患者のサンプルが潜在性PD患者のサンプルではない可能性が高いことを裏付けている。
【0145】
ここで、ドーパミン機能及びLDD関連変化の代理マーカーとしてNM-MRIを使用した。これは、NM-MRIがex vivo組織サンプルのNM濃度を捕捉し、それがドーパミン伝達の増加と相関することを示す以前の研究によって裏付けられ(20)、ドーパミン合成の増強がNM蓄積の増加をもたらすという発見と一致する(53、54)。LDDの病態生理におけるNM自体の役割は仮定されていないが、パーキンソン病への関与が提案されている。NMはSNのドーパミン作動性ニューロンにおける主要な鉄貯蔵分子であり、細胞質ドーパミンの蓄積を防ぐことによって神経保護効果を提供する(53、55)。しかし、鉄過剰の状態では、NMは神経毒性の役割を果たし(56)、細胞外空間に放出されたNMはミクログリアの活性化とその後の神経変性を引き起こす可能性がある(57)。このことを考えると、結果は遅滞及びL-DOPAとNM合成経路自体の変化に関連するドーパミン機能の変化を反映していると解釈されるが、後者の可能性は除外できず、今後の研究で検討する必要がある(例えば、PETドーパミンとNM-MRI測定を同時に組み合わせる)。
【0146】
現在の研究のいくつかの制限は議論する価値がある。この研究でのL-DOPAの非盲検投与は、期待値に基づくプラセボ効果につながった可能性があるが、いくつかの証拠は、これらの効果が若い成人に比べてうつ病の高齢者で減少することを示唆している(58)。それでも、観察された改善の一部は、これらの期待、及び研究スタッフとの治療的相互作用、または自発的な改善に起因する可能性がある。NM-MRIが治療反応を予測できないことが判明したのはもっともらしいことであり、これらの効果と二次分析の比較的小さなサンプルサイズ(N=15)が組み合わされているからである。
【0147】
結論として、LLD患者では、SN-VTAにおけるNM-MRIシグナルとベースラインの歩行速度との間に関連が見られたが、3週間のL-DOPA治療後の歩行速度または処理速度の変化とは関連が見られなかった。より大きなサンプルを使用した二重盲検プラセボ対照デザインを使用する今後の研究は、適切な検出力で治療効果を完全に調べ、NM-MRIとプラセボ効果との関係を決定し、L-DOPA治療下でのNM-MRIシグナル変化の経時変化を確立するために保証されている。
【0148】
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