(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】アポイクオリンを含む発泡性組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/17 20160101AFI20230905BHJP
A61K 31/593 20060101ALI20230905BHJP
A61K 31/522 20060101ALI20230905BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230905BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20230905BHJP
A61K 36/77 20060101ALI20230905BHJP
A61K 36/23 20060101ALI20230905BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230905BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230905BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230905BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230905BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230905BHJP
A61P 25/26 20060101ALI20230905BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20230905BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230905BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230905BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230905BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230905BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20230905BHJP
A61P 3/14 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
A23L33/17
A61K31/593
A61K31/522
A61K36/185
A61K31/137
A61K36/77
A61K36/23
A61P25/20
A61P25/22
A61P29/00
A61P25/28
A61P21/00
A61P25/26
A61P5/00
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/14
A61K38/17
A61P3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512078
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 US2021046614
(87)【国際公開番号】W WO2022040380
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506422227
【氏名又は名称】クインシー バイオサイエンス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】アンダーウッド マーク ワイ.
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C084
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE01
4B018MD02
4B018MD03
4B018MD04
4B018MD05
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4B018MD18
4B018MD20
4B018MD23
4B018MD26
4B018MD27
4B018MD32
4B018MD34
4B018MD36
4B018MD48
4B018MD54
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4B018ME14
4B018MF02
4C076AA29
4C076AA36
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4C076CC01
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4C206AA01
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4C206MA55
4C206MA56
4C206MA57
4C206MA63
4C206NA06
4C206ZA11
(57)【要約】
本発明は一般に、カルシウムホメオスタシスの維持に有用な組成物に関する。本発明は具体的には、カルシウムインバランスに関連する疾患又は症状の予防及び/又は緩和に有用なアポイクオリン含有発泡性組成物に関する。本発明の特定の実施形態はさらに、少なくとも1種の興奮薬(例えばカフェイン等)及び/又はビタミンDを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患を処置するための発泡錠形のサプリメントであって、
有効量のアポイクオリンと、酸性成分及びアルカリ成分を含む発泡対と、を含むことを特徴とするサプリメント。
【請求項2】
さらに少なくとも1種の興奮薬を含む、
請求項1記載のサプリメント。
【請求項3】
前記少なくとも1種の興奮薬は、カフェイン、イェルバ・マテ、エフェドリン、ガラナ又はニンジンから選択されたものである、
請求項2記載のサプリメント。
【請求項4】
前記酸性成分は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、又はこれらの塩から選択されたものである、
請求項1から3までのいずれか1項記載のサプリメント。
【請求項5】
前記アルカリ成分は、炭酸水素ナトリウム、重炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸水素ナトリウム、L-リシン炭酸塩、炭酸アルギニン、非晶質炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、又は重炭酸アンモニウムから選択されたものである、
請求項1から4までのいずれか1項記載のサプリメント。
【請求項6】
さらにビタミンDを含む、
請求項1から5までのいずれか1項記載のサプリメント。
【請求項7】
前記ビタミンDはD3コレカルシフェロールである、
請求項6記載のサプリメント。
【請求項8】
カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患を処置するための治療用発泡性組成物であって、
有効量のアポイクオリンと、
有効量のビタミンDと、
少なくとも1種の興奮薬と、
少なくとも1種の酸及び少なくとも1種のアルカリの化合物を含む発泡系と、
を含むことを特徴とする治療用発泡性組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の酸性成分は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、又はこれらの塩から選択されたものである、
請求項8記載の治療用発泡性組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種のアルカリ成分は、炭酸水素ナトリウム、重炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸水素ナトリウム、L-リシン炭酸塩、炭酸アルギニン、非晶質炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、又は重炭酸アンモニウムから選択されたものである、
請求項8又は9記載の治療用発泡性組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の興奮薬は、カフェイン、イェルバ・マテ、エフェドリン、ガラナ又はニンジンから選択されたものである、
請求項8から10までのいずれか1項記載の治療用発泡性組成物。
【請求項12】
前記ビタミンDはD3コレカルシフェロールである、
請求項8から11までのいずれか1項記載の治療用発泡性組成物。
【請求項13】
カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患を処置するための方法であって、
前記処置を要する対象に、請求項1から12までのいずれか1項記載のアポイクオリンを含む治療用発泡性組成物又はサプリメントを投与し、ただし、当該アポイクオリンはその補因子であるセレンテラジンと共に投与されない
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患は睡眠関連の症状又は疾患であり、前記対象にアポイクオリンを投与することにより当該対象の睡眠の質が改善される、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患はエネルギー関連の症状又は疾患であり、前記対象にアポイクオリンを投与することにより当該対象のエネルギーの質が改善される、
請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患は気分関連の症状又は疾患であり、前記対象にアポイクオリンを投与することにより当該対象の気分の質が改善される、
請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患は疼痛関連の症状又は疾患であり、前記対象にアポイクオリンを投与することにより当該対象の疼痛が緩和される、
請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患は記憶関連の症状又は疾患であり、前記対象にアポイクオリンを投与することにより記憶が改善され、当該記憶の改善が、標準的な認知評価でのスコアの改善により示唆される、
請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患は、神経興奮性、筋収縮、膜透過性、細胞分裂、ホルモン分泌、骨鉱化作用、又は虚血による細胞死に関連する症状又は疾患である、
請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記対象の睡眠の質、前記対象のエネルギーの質、若しくは前記対象の気分の質の処置、前記対象の疼痛の緩和、前記対象の記憶の改善、又は、カルシウムインバランスに関連する症状若しくは疾患であって神経興奮性、筋収縮、膜透過性、細胞分裂、ホルモン分泌、骨鉱化作用、若しくは虚血による細胞死に関連する症状若しくは疾患の処置に用いられる、
請求項1から7までのいずれか1項記載のサプリメント。
【請求項21】
前記対象の睡眠の質、前記対象のエネルギーの質、若しくは前記対象の気分の質の処置、前記対象の疼痛の緩和、前記対象の記憶の改善、又は、カルシウムインバラに関連する症状若しくは疾患であって神経興奮性、筋収縮、膜透過性、細胞分裂、ホルモン分泌、骨鉱化作用、若しくは虚血による細胞死に関連する症状若しくは疾患の処置に用いられる、
請求項8から12までのいずれか1項記載の発泡性組成物。
【請求項22】
薬剤として用いられる請求項1から7までのいずれか1項記載のサプリメント。
【請求項23】
薬剤として用いられる請求項8から12までのいずれか1項記載の発泡性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<連邦政府の支援による研究又は開発に関する言明>
無し。
<関連出願の相互参照>
【0002】
本願は米国仮特許出願第63/068,084号(出願日:2020年8月20日)の利益を主張するものであり、その開示内容は全て、参照により本願の開示内容に含まれるものとする。
【0003】
本発明は一般に、カルシウムホメオスタシスの維持に有用な組成物に関する。本発明は具体的には、カルシウムインバランスに関連する疾患又は症状の予防及び/又は緩和に有用なアポイクオリン含有発泡性組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
カルシウムは人体中に5番目に多く含まれる元素であり、主に骨に存在する。体内のカルシウムの99%超は骨格に蓄えられ、骨格はその供給を、血液等の体液や軟部組織に溶けた残りの1%未満のカルシウムと絶えず交換している。この交換の制御の大半は内分泌系に大きく左右され、内分泌系は、血漿中のイオン化したカルシウムの濃度を感知し、この臨界バランスを維持するようにカルシウム交換を指示する。間質液及び軟部組織中の1%のカルシウムのうち、イオン化して可溶性となる割合はごく僅かである。体液及び組織中の上記1%未満のカルシウムは、タンパク質、特にカルシウム結合タンパク質(CaBP)と結合している。CaBPはカルシウムホメオスタシスの維持において機能することが知られている。
【0005】
生体が必要な生理的プロセスを行うために必要なカルシウムイオンの濃度は特殊であるため、カルシウムホメオスタシスの維持は身体の健康にとって極めて重要である。医学界では、血漿や体液中の適切なイオンカルシウム濃度は、神経興奮性、筋収縮、膜透過性、細胞分裂、ホルモン分泌及び骨鉱化作用を含めた身体機能に重要であると解されているが、身体機能はこれらに限定されない。カルシウムホメオスタシスの崩壊すなわちカルシウムインバランスは、ガン、心疾患及び神経変性疾患を含む多くの疾患、症状及び状態と関連しているが、疾患、症候群及び状態はこれらに限定されいない。
【0006】
従来、細胞内部と間質液との間のカルシウムの流れを遮断するカルシウムチャネル遮断薬が、高血圧、狭心症、ぜん息、片頭痛及び神経劣化を含むカルシウム関連疾患の予防に有用な製薬として広く処方されてきたが、カルシウム関連疾患はこれらに限定されない。
例えばニモジピンは認知症において、神経劣化の原因となるカルシウムインバランスを緩和し、これにより臨床症状及び認知機能を改善することが判明している。しかし、上記のようなカルシウムチャネル遮断薬の多くは、倦怠感、体液停滞、胸やけ、心拍数の迷走、めまい、胃の不調、稀な副作用として失神、発熱及び過剰出血を含む不所望の副作用を有するが、副作用はこれらに限定されない。
【0007】
上記の進歩にもかかわらず、カルシウムインバランスを緩和又は予防する新規かつ代替の組成物が依然として必要である。
特に、従来の薬剤と比較して副作用が減少した製薬又は栄養機能食品組成物が望まれ、そのような組成物がもし発見されれば、医学界や栄養保健界において長い間望まれていた要請に合致するであろう。
【0008】
また、上記の製薬又は栄養機能食品組成物はどのような年齢の人間でも、またどのような健康レベルの人間でも投与されなければならず、これはしばしば困難となり得る。特に患者は、丸剤、錠剤、カプセル、その他固形投薬型の薬剤配合物を嚥下することを躊躇することが多く、これは特に、その個人が嚥下動作に問題を有する場合に生じる。例えば、咽頭や食道の運動性における問題を原因として生じるヒステリー球や窒息によって嚥下が苦痛となり、配合物の嚥下に嫌悪感が生じることが多い。さらに、咽頭炎及び/又は例えば細菌感染等により咽頭が顕著に腫れ上がり若しくは他の深刻な刺激を受けた患者は、固形の製薬配合物を嚥下することが困難及び/又は不可能であることが多い。患者はまた、製薬配合物の大きさ、形状及び味、経口摂取行動に対する心理的嫌悪感、並びに/又は配合物を嚥下しないという個人的選択により、製薬配合物を経口摂取することを躊躇する場合もある。この点では若年の患者が特に問題となる。しかし、投薬方法の指導を受ける及び/又は配合物中の治療活性成分を要する患者は、その服用量を自己で服用し、又は投与を受けなければならない。よって、カルシウムインバランスを処置するための配合物を含む組成物の治療上有効な量を投与するより良好な方法を提供してほしいという要請が継続的に存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は従来の組成物及び方法に対し、対象の心身の健康の全体的な改善を可能にする種々の利点を提供する。
【0010】
本発明の第1の側面は、カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患を処置するための発泡錠形のサプリメントに関するものである。かかる処置方法は、有効量のアポイクオリンと、酸性成分及びアルカリ成分を含む発泡対と、を含む発泡錠を投与することを含む。前記酸性成分は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、又はこれらの塩とすることができ、前記アルカリ成分は、炭酸水素ナトリウム、重炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸水素ナトリウム、L-リシン炭酸塩、炭酸アルギニン、非晶質炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、又は重炭酸アンモニウムとすることができる。
【0011】
一実施形態では、サプリメントはさらに少なくとも1種の興奮薬を含むことができ、興奮薬はカフェイン、イェルバ・マテ、エフェドリン、ガラナ又はニンジンとすることができる。本発明のさらに他の一実施形態では、サプリメントはビタミンDを含むこともできる。ビタミンDはD3コレカルシフェロールとすることができる。
【0012】
本発明の他の一側面では、治療用発泡性組成物は、カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患を処置するために用いられるものとすることができる。治療用発泡性組成物は、有効量のアポイクオリンと、有効量のビタミンDと、少なくとも1種の興奮薬と、少なくとも1種の酸及び少なくとも1種のアルカリの化合物を含む発泡系と、を含む。前記少なくとも1種の酸性成分は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、又はこれらの塩とすることができる。前記少なくとも1種のアルカリ成分は、炭酸水素ナトリウム、重炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸水素ナトリウム、L-リシン炭酸塩、炭酸アルギニン、非晶質炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、又は重炭酸アンモニウムとすることができる。前記少なくとも1種の興奮薬は、カフェイン、イェルバ・マテ、エフェドリン、ガラナ又はニンジンとすることができる。ビタミンDはD3コレカルシフェロールとすることができる。
【0013】
本発明のさらに他の一側面では、カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患を処置するための方法は、処置を要する対象に、上記のアポイクオリンその他化合物を含む治療用発泡性組成物又はサプリメントを投与することを含み、ただし、当該アポイクオリンはその補因子であるセレンテラジンと共に投与されない。カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患は、睡眠関連、エネルギー関連、気分関連、疼痛関連、又は記憶関連の症状又は疾患とすることができる。アポイクオリンを投与することにより、対象の睡眠の質、エネルギーの質、若しくは気分の質が改善され、又は疼痛が緩和され、又は記憶が改善されて当該改善が標準的な認知評価でのスコアの改善により示唆される。前記カルシウムインバランスに関連する症状又は疾患はさらに、神経興奮性、筋収縮、膜透過性、細胞分裂、ホルモン分泌、骨鉱化作用、又は虚血による細胞死に関連する症状又は疾患とすることができ、当該症状又は疾患は、アポイクオリンが投与されたときに改善される。サプリメント又は発泡性組成物は、上記のカルシウムインバランスに関連するどの症状又は疾患を処置するためにも用いられることができる。サプリメント又は発泡性組成物は薬剤として用いることができる。
【0014】
本願明細書及び特許請求の範囲を参酌すれば、本発明の他の対象、特徴及び利点が明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
I.総論
本発明の材料及び方法を説明する前に、本発明は種々変更可能であるから、ここで記載されている特定の方法や材料に限定されるものではないと解される。また、ここで使用されている用語用法はあくまで特定の実施形態を説明する目的で用いられるものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると解すべきである。
【0016】
本願明細書及び添付の特許請求の範囲における「1つ(a, an)」及び「前記(the)」との単数形は、文脈から別段の事情が明確に導き出されない限り、複数の場合を含む点に留意すべきである。「1つ(a, an)」、「1つ又は複数」及び「少なくとも1」との用語も、本願明細書では置き換え可能となり得る。また、「備える」、「含む」及び「有する」との用語も置き換え可能となり得る点に留意すべきである。
【0017】
別段の定義がない限り、本願にて用いられている技術科学用語は全て、本発明が属する分野における通常の知識を有する者によって通常理解されるものと同一の意味を有する。本発明の実施又は試験では、本願に記載されている方法及び材料と類似の又は均等な全ての方法及び材料を使用することができるが、以下では好適な方法及び材料を説明する。本願にて具体的に記載されている刊行物及び特許は全て、本発明において使用可能な刊行物で報告されている化学物質、器具、統計的分析、方法の説明及び開示を含めたあらゆる目的のために、参照により本願の記載内容に組み込まれているものとする。本願明細書で引用されている全ての参考文献は、当該分野における技術水準を示すもの捉えるべきである。本願にて記載されている事項はいずれも、本発明が先の発明による上記の開示により前になされたものと認められるべきではないとの自白と解すべきものではない。
【0018】
II.本発明
イクオリンは、元々発光クラゲやその他の海洋生物から単離された発光タンパク質である。イクオリン複合体は、22,285ダルトンのアポイクオリンタンパク質と、分子酸素と、発光団のセレンテラジンとを含む。この複合体に3個のCalf-イオンが結合すると、セレンテラジンが酸化してセレンテラマイドとなり、それと同時に二酸化炭素を放出して青色に発光する。イクオリンは細胞から出たり分泌されたりするものではなく、また、細胞内で区画化されたり隔絶されるものでもない。よって、比較的長期間にわたるCa2+変化を検出するためにイクオリン測定が用いられてきた。複数の実験系において、細胞負荷から数時間から数日後にイクオリン発光が検出された。また、イクオリンは細胞機能や胚成長を阻害しないことも知られている。
【0019】
イクオリン複合体はそのCa2÷依存性発光のため、細胞内Ca2+指示薬として広く使用されてきた。オワンクラゲ・イクオリンは具体的に以下の目的(1)~(4)のために使用されてきた:(1)ニコチン様コリン作動薬に対する副腎の個々のコリン親和細胞の分泌反応を分析する目的、(2)心筋損傷の際のCa2+放出の役割を明らかにする目的、(3)受精時のCa2+の大量放出をデモンストレーションする目的、(4)発育中のヒヨコ筋芽細胞における筋小胞体Ca2÷ポンプ圧出の調節を調査する目的、(5)注入量が3ピコリットル程度と少量のマイクロピペットをキャリブレーションする目的。
【0020】
アポイクオリンの分子量は約22kDaである。アポイクオリンは、アポイクオリンのジスルフィド結合を還元することによりイクオリンを再生するために用いることができる。カルシウム負荷されたアポエクオリンは、基質が結合された未反応の発光タンパク質と同じ緻密なスキャフォールドと、同じ全体的な折り畳みパターンとを有する。
【0021】
従来、オワンクラゲからイクオリンを精製するためには研究室で抽出作業を行う必要があったが、その精製物はかなり不均質であったり、調査対象の生物に対して毒性を有することが時々あった。2トンのクラゲから得られる精製発光タンパク質は、典型的には約125mgである。それに対して、組み換えイクオリンは好適には、遺伝子操作された大腸菌からアポイクオリンを精製し、その後インビトロで高純度のセレンテラジンでイクオリン複合体を再形成することにより生成される。本発明に有用なアポイクオリンが記載されており、当業者に知られている精製方式及び/又は合成によって商業的に入手可能となっている。S. Inouye, S. Zenno, Y. Sakaki, and F. Tsuji. High level expression and purification of apoaequorin. (1991) Protein Expression and Purification 2, 122-126。
【0022】
本発明は、対象のカルシウムバランスを修正又は維持するために当該対象にアポイクオリン含有発泡性組成物を投与することに関するものである。血漿及び体液中のイオンカルシウム濃度の維持は、神経興奮性、筋肉収縮、膜透過性,細胞分裂,ホルモン分泌,骨鉱化作用、又は虚血後の細胞死の予防を含めた、多種多様な身体機能に重要であると考えられているが、かかる身体機能はこれらに限定されない。カルシウムホメオスタシスの崩壊すなわちカルシウムインバランスは、多くの疾患、症状及び状態を引き起こす及び/又は関連していると考えられている。かかる疾患、症状及び状態には、睡眠の質、エネルギー質,気分の質、記憶の質、及び疼痛知覚に関連するものが含まれる。CaBPの研究により、CaBPは、適切なイオンカルシウムレベルの維持において作用する保護因子となっているとの認識が得られた。
【0023】
本発明はさらに、アポイクオリン含有発泡性組成物の投与にも関する。好適な一実施形態のアポイクオリン含有発泡性組成物は、少なくとも1種の興奮薬をさらに含む。少なくとも1種の興奮薬の非限定的な例には、カフェイン,イェルバ・マテ,エフェドリン,ガラナ、及びニンジンが含まれ得る。さらに他の好適な一実施形態では、アポイクオリン含有発泡性組成物はさらにビタミンDを含むことができる。さらに他の一実施形態では、好適な一態様のアポイクオリン含有発泡性組成物は、少なくとも1種の興奮薬及びビタミンDの両方を含む。
【0024】
ビタミンDは、カルシウム、鉄、マグネシウム、リン酸塩及び亜鉛の腸吸収を増大する脂溶性のセコステロイドの一群である。ビタミンDは、皮膚が日光の紫外線にさらされることにより体内で生成される。ビタミンDはまた、例えば魚類、魚肝油、卵黄等の自然に存在する食品中や、強化された乳製品や穀物品にも含まれる。食事性サプリメントにおいて、ビタミンDの最も一般的な2つの化合物形態は、ビタミンD3(コレカルシフェロール)及びビタミンD2(エルゴカルシフェロール)である。
【0025】
ビタミンDは生理的に不活性の脂溶性ビタミンであり、活性化のためには体内で2回ヒドロキシル化しなければならない。1回目のヒドロキシル化は肝臓で行われ、ビタミンDを「カルシフェジオール」としても知られている25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]に変換する。2回目のヒドロキシル化は主に腎臓で行われ、「カルシトリオール」としても知られている生理活性の1,25-ジヒドロキシビタミンD[1,25(OH)2D]を形成する。ビタミンDのこの活性形態であるカルシトリオールはホルモンとして血中で循環し、血流中のカルシウム及びリン酸塩の濃度を調節して、骨の正常な成長と再構築とを促進する。
【0026】
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨の正常な鉱化を行えるようにして低カルシウムテタニーを予防するために適度な血清カルシウム及びリン酸塩の濃度を維持する。ビタミンDはまた、骨成長と、骨芽細胞及び破骨細胞による骨再構築にも用いられる。ビタミンDはまた、細胞成長、神経筋及び免疫機能の調節、並びに炎症の軽減にも関与することが分かっている。
【0027】
本発明の好適な一配合物は、対象のカルシウムバランス及びビタミンDレベルを修正又は維持するために当該対象にアポイクオリン及びビタミンD含有発泡性組成物を投与することに関するものである。ビタミンD欠乏は、カルシウムインバランスの一因となり得る。血漿及び体液中のイオンカルシウム濃度の維持は、神経興奮性、筋肉収縮、膜透過性、細胞分裂、ホルモン分泌、骨鉱化作用、又は虚血後の細胞死の予防を含めた、多種多様な身体機能に重要であると考えられているが、かかる身体機能はこれらに限定されない。カルシウムホメオスタシスの崩壊すなわちカルシウムインバランスは、多くの疾患、症状及び状態を引き起こす及び/又は関連していると考えられている。かかる疾患、症状及び状態には、睡眠の質、エネルギー質,気分の質、記憶の質、及び疼痛知覚に関連するものが含まれる。CaBPの研究により、CaBPは、適切なイオンカルシウムレベルの維持において作用する保護因子となっているとの認識が得られた。
【0028】
ビタミンDレベルの維持は、カルシウム吸収、細胞成長、神経筋及び免疫機能の調節、並びに炎症の軽減に重要であると考えられている。ビタミンD欠乏は、骨組織が適切に鉱化しない疾患であるくる病と最も関連が深く、骨軟化や骨格変形に繋がる。米国医学研究所のガイドラインでは、骨の健康を最大限にするために推奨されるビタミンDの推奨食事許容量(RDA)は、1~70歳の成人で600国際単位(IU)、70歳を超える成人で800IUと定められている。
【0029】
よって、特定の実施形態では本発明の方法は、カルシウムインバランスを処置するため、カルシウムインバランスの進行を遅延するため、カルシウムインバランスの開始を予防するため、並びに、カルシウムインバランスの再発を予防及び/又は処置するための活性成分としてアポイクオリン(及びオプションとしてビタミンD及び/又は少なくとも1種の興奮薬)を発泡性配合物で投与することを含む。他の実施形態では本発明は、公知の治療値又は栄養機能値を有する1つ又は複数の追加の作用物質と共にアポイクオリンを発泡性配合物で投与することを含む方法を提供する。アポイクオリンの特に好適な用途は、睡眠、エネルギー、気分、記憶及び疼痛知覚の質に関連する1つ又は複数の症状及び疾患の処置である。
【0030】
本願明細書でいう「処置」との用語は、予防的処置及び疾患寛解処置の両方を含む。本願明細書でいう「減少」、「緩和」、「抑制」及び「阻害」との用語は、小さくなる又は少なくなるという通常理解される意味を有する。本願明細書でいう「進行」との用語は、範囲若しくは重症度の増加、進展、成長又は悪化を意味する。本願明細書でいう「再発」との用語は、疾患の寛解後の復活を意味する。
【0031】
本願明細書でいう「投与」との用語は、患者、組織、器官又は細胞をアポイクオリンに接触させることをいう。本願明細書でいう「投与」とは、インビトロすなわち試験管内で遂行することができ、又は、インビボすなわち人間等の生物の細胞内若しくは組織内で遂行することができる。好適な実施形態では本発明は、本発明において使用可能な上記の発泡性配合物又は組成物を患者又は対象に投与することを含む。「患者」あるいは「対象」は、本願では等価的に用いられているが、(1)アポイクオリンの投与によって治療可能若しくは処置可能なカルシウムインバランス関連疾患を有する、又は、(2)アポイクオリンの投与により予防可能なカルシウムインバランス関連疾患にかかりやすい哺乳類、好適には人間をいう。
【0032】
本願明細書でいう「有効量」又は「治療上有効な量」との文言は、毒性、刺激又はアレルギー反応等の過度に有害な副作用を生じることなく所望の治療反応を得るために十分な活性物質の量をいう。具体的な「有効量」は、具体的な処置対象状態、患者の体調、処置を受ける動物の種類、処置時間、並行して行われる治療の性質(かかる治療がある場合)、及び使用される具体的な配合物、並びに化合物又はその誘導体の構造等の要因によって変わることが明らかである。この場合において、(1)カルシウムインバランス関連疾患の予防、(2)カルシウムインバランス関連疾患の逆転又は安定化、のうち一方又は両方を達成する量が、「治療上有効な量」とみなされる。最適な有効量は、当業者が通常の実験によって容易に特定することができる。
【0033】
対象に経口投与するための特定の好適な発泡性配合物では、アポイクオリンは約10mg/doseの用量で製薬配合物に配合され、対象に対する推奨用量は約10mg/日(すなわち1日あたりカプセル1個)である。経口投与用の他の好適なアポイクオリン含有発泡性配合物では、組成物又は配合物はさらに少なくとも1種の興奮薬を含む。
【0034】
製薬活性成分の摂取及び/又は吸収の確率を向上するため、発泡性成分を含む製薬配合物を用いることができる。配合物又は組成物は、例えば錠剤、粉末、カプセル、ペレット等の固形とすることができ、この固形物は、経口摂取前に水系賦形剤とさらに混合される。本発明により投与可能な組成物は、公知の溶解、混合、顆粒化、又は錠剤形成処理によって調製することができる。経口投与のためには、アポイクオリン又はその生理学的に許容される誘導体、例えば塩、エステル、N-オキシド等が、当該目的のために慣用されている添加物、例えば賦形剤、安定剤、不活性の希釈剤等と混合され、慣用手法によって、投与に適した形態、例えば錠剤、コーティング錠、ハード若しくはソフトゼラチンカプセル、水溶液、アルコール溶液又は油溶液等に変換される。配合物は、例えば水系食品又は飲料等の水系賦形剤に含有され、攪拌され又はかき混ぜられることができ、水系賦形剤は例えば少なくとも約0.1ml等の最小量の水を含む。賦形剤は介護者によって選択され若しくは患者によって選択されることができ、又は単に、直に摂取するときの患者の口内の唾液及び/若しくは他の水含有液体とすることができる。発泡性配合物は賦形剤に添加されたときにガスを発生し、このガスが発泡を生じさせ、賦形剤中で当該配合物が崩壊するときに製薬活性成分を放出する。製薬活性成分を投与するため、賦形剤は患者によって経口摂取される。
【0035】
「発泡」との用語は一般に、液体又は混合物からのガスの離脱を意味する(Hawley's Chemical Dictionary, 第432頁以降、2001年)。よって、本願明細書でいう「発泡性配合物」との用語は一般に、例えば水との接触等の適切な条件下で1種又は複数種のガスを発生する組成物又は成分の混合物をいう。
【0036】
本願明細書でいう「水系賦形剤」との用語は、少なくとも最小量の水を含む媒体又は担体、例えば食品等をいう。よって、水系賦形剤は少量の水を含む少量含水賦形剤とすることができ、又は、多量の水を含む賦形剤とすることもできる。
【0037】
本願明細書でいう「食品」との用語は、安全かつ消費可能な液体、半固体又は固体の全ての物質をいう。よって食品には、全ての種類及び年齢の哺乳類によって消費可能な全ての飲料及び全ての食物が含まれる。
【0038】
アポイクオリンを含む発泡性配合物を形成するためには、例えば錠剤、粉末、カプセル、ペレット等の不活性の賦形剤中に配合物を含めることができる。適切な不活性賦形剤の例は、例えば乳糖、ショ糖又は又はコーンスターチ等の従来の錠剤基剤と、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン等の結合剤、又はコーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等の崩壊剤、又はステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤と、を組み合わせたものである。
【0039】
適切な油系賦形剤又は溶媒の例は、例えばヒマワリ油又は魚肝油等の植物油又は動物油である。組成物は乾燥顆粒とすることができ、また湿潤顆粒とすることもできる。例として、水又は油等の滅菌液体があり、これは界面活性剤及び他の薬学上許容可能なアジュバントを添加したものであり、又はこれらが無添加のものである。油の例には、石油、動物油、植物油、又は合成油があり、例えばピーナッツオイル、大豆油又は鉱油等である。一般的には、水、食塩水、含水ブドウ糖及び関連する糖溶液、並びに、例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコール等のグリコール類が好適な液体担体である。
【0040】
発泡を生じるガスはほとんどが二酸化炭素であり、この二酸化炭素は酸と塩基との反応により導出される。よって、発泡系又は発泡対は典型的には、少なくとも1種の酸及び少なくとも1種のアルカリの化合物を含む。よって発泡錠は、(1)活性成分と(2)酸と(3)アルカリの化合物、の少なくとも3つの成分から成る。
【0041】
水の存在下で反応してガスを発生させる酸成分及び塩基成分は多く知られている。例えば、クエン酸,酒石酸,リンゴ酸,フマル酸,アジピン酸,コハク酸等の酸及び複数の酸の組み合わせは、水中で炭酸塩又は炭酸塩源と反応してCO2ガスを発生させる。適切な酸には、食品酸、無水酸、及び酸性塩が含まれるが、これらは限定列挙ではない。食品酸の例には、クエン酸,酒石酸,リンゴ酸,フマル酸,アジピン酸,コハク酸等が挙げられる。上記酸の無水物は、一般に水の存在下で分解して反応酸を発生させる無水物として使用することができる。酸性塩は一般に水中又は水系賦形剤の水分中で解離して反応酸種を生成する。適切な酸性塩の例には、リン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性クエン酸塩及び重亜硫酸ソーダが含まれるが、これらは限定列挙ではない。水に対する酸又はその供給源の全体的な可溶性は個別具体的に変わるものであり、当業者であれば明らかである。ガス発生における酸の有効性及びガスの発生量は一般に、発泡性配合物中の酸型の水溶性に依存する。
【0042】
適切な炭酸塩源は、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等の金属の乾燥固形炭酸塩、重炭酸塩及びセスキ重炭酸塩が含まれるが、これらは限定列挙ではない。適切な炭酸塩の例には、炭酸水素ナトリウム、重炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸水素ナトリウム、L-リシン炭酸塩、炭酸アルギニン、及び非晶質炭酸カルシウムが含まれるが、これらは限定列挙ではない。炭酸アンモニウムや重炭酸アンモニウムも適切な炭酸塩である。また、配合物中に含まれる塩基性成分として、上記の炭酸塩源の任意の組み合わせを使用することもできる。塩基性成分が過剰であることにより、塩基性の賦形剤及び/又は塩基性の口内環境が提供されること、味覚マスキング特性が提供されること、その他数多くの利点を含めた利点が奏される。発泡成分を含む一例の製薬配合物では、ガス発生性の発泡成分は一般に、組成物の総重量の約5%~約85%でなければならない。
【0043】
発泡錠の組成物は潤滑剤を含むこともでき、これは好適には、透明な溶液を形成するために水溶性化合物から選択される。このような潤滑剤の例として、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸、ポリエチレングリコール(PEG)4000超、アラニン、グリシンが挙げられる。
【0044】
希釈剤、リガンド、緩衝剤、甘味料、香料、着色料、可溶化剤、崩壊剤、湿潤剤、その他一般に使用される賦形剤等の従来の賦形剤を配合物に添加することができる。適切な香料剤には天然香料や人工香料が含まれ、ペパーミントやメントール等のミント、人工バニラ、シナモン、種々の果物香料等が可能であり、かかる香料剤は単独で又は混合されて使用される。香料は一般に、各個人の好みに応じて変わる量で使用され、例えば、最終組成物の重量の約0.5~約3重量%の範囲の量とすることができる。
【0045】
甘味料を使用する場合には、本発明は、天然甘味料及び人工甘味料の両方を含めた当該分野において周知の甘味料を含めることができる。よって、追加の甘味料は以下のものから選択することができるが、以下の甘味料例は限定列挙ではない:例えばショ糖、グルコース(コーンシロップ)、転化糖、果糖、及びこれらの混合物等の糖類、サッカリン、及び例えばナトリウム塩又はカルシウム塩等のサッカリンの種々の塩、シクラミン酸、及び例えばナトリウム塩等のシクラミン酸の種々の塩、例えばアスパルテーム等のジペプチド甘味料、ジヒドロカルコン、グリチルリチン、ステビア(ステビオシド)、並びに、例えばソルビトール、ソルビトールシロップ、マンニトール、キシリトール等の糖アルコール。また追加の甘味料として、米国特許RE26,959号に記載されている非発酵性糖代替物(水素化デンプン加水分解物)が考えられる。また、独国特許発明第2,001,017.7号明細書に記載の合成甘味料3,6-ジヒドロ-6-メチル-1-1-2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシド、特にカリウム(アセスルファム-K)、そのナトリウム塩及びカルシウム塩も使用可能である。一般に甘味料の量は、甘味料の種類と最終製品の所望の味とに応じて変わる。例えば、天然甘味料の使用量は約5重量%にまで及び得るのに対し、人工甘味料の使用量は約1重量%にまで及び得る。
【0046】
本発明において使用可能な着色剤には、例えば二酸化チタン等の顔料が含まれ、かかる顔料は最大約1重量%の量、好適には最大約0.6重量%の量で含めることができる。また着色剤は、食品、薬物及び化粧品用に適した他の染料であってFD&C染料等として知られている他の染料を含むこともできる。上記の幅広い用途において受入可能な材料は、好適には水溶性の材料である。例として、FD&C青色No.2として知られているインジゴイド染料が含まれ、これは5,5’-インジゴチンジスルホン酸の二ナトリウム塩である。また、FD&C緑色No.1として知られている染料はトリフェニルメタン染料を含み、4-[4-Nエチル-p-スルホベンジルアミノ]ジフェニルメチレン][1-(N-エチル-N-p-スルホニウムベンジル)-2,5-シクロヘキサジエニミンの一ナトリウム塩である。全てのFD&C及びD&C染料並びにその化学構造についての記載全文は、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, in Volume 5、第857~884頁に記載されているので、その記載内容は参照により本願の開示内容に含まれるものとする。
【0047】
製薬配合組成物はさらに、液体又は凍結乾燥若しくは他の態様で乾燥した配合物を含むことができ、また、種々の緩衝成分の希釈剤(例えばトリス-HC1、酢酸塩、リン酸塩等)、pH及びイオン強度、表面への吸収を防止するための添加剤、例えばアルブミン又はゼラチン等、洗浄剤(例えばTween(登録商標)20、Tween(登録商標)80、Pluronic(登録商標)F68、胆汁酸塩等)、可溶化剤(例えばグリセロール、ポリエチレングリセロール等)、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム等)、防腐剤(例えばチメロサール、ベンジルアルコール、パラベン等)、増量剤若しくは張度調整剤(例えば乳糖、マンニトール等)、複数のポリマーの共有結合、例えばポリエチレングリコールとタンパク質との共有結合、金属イオンとの錯体形成、又は、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸若しくはヒドロゲル等の特定のポリマー化合物に材料を組み込むこと、若しくはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、ラメラベシクル、マルチラメラベシクル、赤血球ゴースト若しくはスフェロプラストに材料を組み込むことを含むことができる。かかる組成物は、物理的状態、可溶性、安定性、インビボ放出速度、及びインビボ排出速度(rate of in vivo clearance)に影響を及ぼす。放出制御組成物又は徐放性組成物は、配合物を親油性のデポ剤(例えば脂肪酸、ワックス、油等)に含ませたものを含む。
【0048】
例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン又はポリプロリン等の水溶性ポリマーの共有結合によって修飾された化学物質は、静脈注射を行った後の血中半減期が、未修飾状態の対応する化合物より大幅に長いことが分かっている。かかる修飾は水溶液における当該化学物質の可溶性を改善し、凝集を無くし、化合物の物理的及び化学的安定性を向上させ、化合物の免疫原性及び反応性を大幅に低減することができる。その結果、未修飾状態の物質よりも上述のポリマー物質アブダクトの投与の頻度が少なくなり、又は投与量が少なくなり、これにより所望のインビボ生理活性を達成することができる。
【0049】
活性成分を含有する組成物の調製は、当該技術分野において周知となっている。治療活性成分は、薬学上許容可能であり当該活性成分に対して適合性を有する賦形剤と混合されることが多い。適切な賦形剤としては例えば、水、食塩水、ブドウ糖、グリセロール、若しくはエタノール等、又はこれらの組み合わせが挙げられる。組成物はさらに、活性成分の有効性を向上させる補助物質、例えば湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤等を少量含むこともできる。
【0050】
発泡性組成物には、中和状態の薬学上許容可能な塩の形態で活性成分を配合することができる。薬学上許容可能な塩には酸付加塩が含まれ、この酸付加塩は、例えば塩酸又はリン酸等の無機酸、又は例えば酢酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸を用いて形成されるものである。遊離カルボキシル基から形成される塩は、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、若しくは水酸化第二鉄等の無機塩基から得ることも可能であり、又は、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基から誘導することもできる。
【0051】
アポイクオリンの塩は好適には、薬学上許容可能な塩であるが、他の塩も、本発明の発泡性組成物の調製又はその薬学上許容可能な塩の調製に使用可能であり得る。適切な薬学上許容可能な塩には酸付加塩が含まれ、この酸付加塩は例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸等の薬学上許容可能な酸の溶液とアポイクオリンの溶液とを混合することにより形成することができる。
【0052】
さらに、本願明細書に記載されているアポイクオリン含有発泡性組成物は、栄養機能食品組成物の形態で提供することも可能であり、この栄養機能食品組成物は、アポイクオリンが種々の有害なカルシウムインバランス関連障害の開始を予防したり、又は当該障害を減少させたり、又は安定化するものである。本願明細書において「栄養機能食品」又は「栄養機能食品組成物」との用語は、疾患の予防及び/又は処置を含めた医学的健康上のメリットを提供する食品又は食品の一部をいう。本発明の栄養機能食品組成物に活性成分として含まれるものをアポイクオリンのみとすることができ、又は代替的に、本発明の栄養機能食品組成物はさらに、ビタミン、補酵素、ミネラル、ハーブ、アミノ酸等の総摂取量を増加することによって食事を補助するため、上掲のような物質を含む食事性サプリメントと混合することができる。
【0053】
よって本発明は、患者に栄養機能的メリットを提供する方法であって、アポイクオリンを含む栄養機能食品発泡性組成物を患者に投与するステップを含む方法を提供するものである。かかる組成物は一般に「栄養機能食品上許容可能な担体」を含み、本願において「栄養機能食品上許容可能な担体」とは、経口用に適した上記の薬学上許容可能な担体を含む経口投与用に適した全ての担体をいう。よって本発明は、患者が経口摂取できなかった薬剤を、従来より簡便で患者フレンドリーな媒体で患者に経口投与する、より優れたメカニズムを提供するものである。
【0054】
特定の実施形態では、本発明の栄養機能食品発泡性組成物は食事性サプリメントを含み、この食事性サプリメントは機能的に定義すると、免疫向上剤、抗炎症剤、抗酸化剤、抗ウィルス剤、又はこれらの組み合わせを含む。
【0055】
免疫向上剤及び/又は抗ウィルス剤は創傷治癒を促進し、免疫機能を改善するために有用であり、免疫向上剤や抗ウィルス剤はトウモロコシの花のエキス、エキナセア属のハーブ、サンブカ属のハーブのエキス、又はゴールデンシールのエキスを含む。ゲンゲ属のハーブは、天然状態又は加工状態のどちらにおいても効果的な免疫向上剤となる。ゲンゲ属は、骨髄の幹細胞の発達とリンパ組織の能動免疫細胞を刺激する。亜鉛及びその生物活性の塩、例えばグルコン酸亜鉛や酢酸亜鉛等も、感冒の処置において免疫向上剤として作用する。
【0056】
抗酸化剤としては、天然の含硫アミノ酸であるアリシンが挙げられ、これは血中の抗酸化酵素のレベルを引き上げる作用をする。アリシンを含むハーブ又はハーブエキス、例えばニンニク等も、効果的な抗酸化剤である。カテキン類や、カテキン類を含む緑茶等のハーブのエキスも、効果的な抗酸化剤である。ゲンゲ属のエキスも抗酸化活性を示す。ケルセチン、ヘスペリジン、ルチン、及びそれらの混合物等のバイオフラボノイドも、抗酸化剤として有効である。バイオフラボノイドの主な有益な役割は、体内においてビタミンCが酸化することを防止することであり得る。これにより、より多くのビタミンC又はアスコルビン酸を体内で利用できるようになる。
【0057】
ケルセチン等のバイオフラボノイドは効果的な抗炎症剤でもあり、そのまま本発明の組成物において使用することができる。また、抗炎症ハーブサプリメントや、植物又はハーブから得られた抗炎症成分を、本発明の組成物において抗炎症剤として使用することができる。これらのサプリメントや抗炎症成分として、パイナップルに含まれるタンパク質分解酵素であるブロメライン、イラクサの茶及びエキス、ウコン、ウコンのエキス、又はウコンから単離された黄色色素であるクルクミンが挙げられる。
【0058】
本発明で使用できる他の1つのサプリメントとして、ショウガ属のハーブに由来するジンジャーがある。ジンジャーは、ジンゲロール等の化合物と、その関連化合物であるショウガオールとにより強心作用を有することが分かっており、また、めまいや前庭障害の処置においてメリットを有する。また、ジンジャーは悪心や胃疾患の治療にも効果的である。
【0059】
関節炎その他関節疾患の疼痛を処置するための組成物では、軟部組織の再構築、特に軟骨の再構築を補助するサプリメントが有用である。グルコサミン、グルコサミン硫酸塩、コンドロイチンは、エルク・ベルベット・アントラー(Elk Velvet Antler)等の種々の供給源から得ることができる。海洋性脂質複合体、オメガ3脂肪酸複合体、及び魚油も、関節炎に関連する疼痛の処置に有用であることが知られている。
【0060】
片頭痛の治療に有効なサプリメントには、ナツシロギクとイチョウが挙げられる。ナツシロギクの主な活性成分はセスキテルペンラクトンパルテノリドであり、血管の血管痙攣活動により疼痛を引き起こすプロスタグランジンの分泌を阻害する。ナツシロギクも抗炎症性を示す。魚油はその血小板安定作用と抗血管痙攣作用により、片頭痛の処置に有用となり得る。イチョウハーブも、動脈を安定させて血行を改善することにより片頭痛の処置を補助する。
【0061】
上掲のサプリメントの一部についてその薬学的効果を説明したが、本発明では他のサプリメントを使用することもでき、その効果については科学文献において十分に示されている。
【0062】
下記の非限定的な例を参酌すれば、本発明をより理解することができる。
【0063】
III.実施例
実施例1
本実施例は、特に好適なアポイクオリン含有組成物を記載したものであり、この組成物は、13.8mgのアポイクオリンと、27.8mgのビタミンD3(コレカルシフェロール)乾燥100,000 IU/gと、135mgの無水カフェイン顆粒EPと、500mgのソルビトールBPと、417 キシリトールDCと、80mgのコーンスターチと、2mgのリボフラビン5-リン酸ナトリウムと、45mgのサッカリンナトリウムBPと、250mgの(nat)オレンジ香料と、40mgのビーツ粉末と、1450mgの無水クエン酸と、1040mgの重炭酸水素ナトリウムと、を含む。キシリトールDC成分は、キシリトールとナトリウムカルボキシメチルセルロースとを含む。ビタミンD3成分は、ショ糖と、アカシアと、コーンスターチと、中鎖トリグリセリドと、二酸化ケイ素と、ビタミンD3と、DL-α-トコフェロールとを含む。(nat)オレンジ香料成分は、マルトデキストリンと、香料調製物と、二酸化ケイ素と、天然香料物質と、ビタミンEとを含む。ビート粉末成分は濃縮ビート根果汁と、マルトデキストリンと、クエン酸とを含む。錠剤の総重量は4000mgである。
【表1】
【国際調査報告】