(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】電池電極を製造するための組成物中で使用するためのカーボンナノチューブの分散体
(51)【国際特許分類】
C01B 32/174 20170101AFI20230905BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20230905BHJP
C01B 32/159 20170101ALI20230905BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20230905BHJP
C08L 33/04 20060101ALI20230905BHJP
C09C 1/48 20060101ALI20230905BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20230905BHJP
H01G 11/36 20130101ALI20230905BHJP
H01G 11/38 20130101ALI20230905BHJP
【FI】
C01B32/174
H01M4/62 Z
C01B32/159
C08K3/04
C08L33/04
C09C1/48
C09D17/00
H01G11/36
H01G11/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512295
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 US2021046688
(87)【国際公開番号】W WO2022040425
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘルリング、ステュアート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴォトルバ - ドルザル、ペーター エル.
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ジリアン
(72)【発明者】
【氏名】シルベスター、ケビン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】シスコ、スコット ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4G146
4J002
4J037
5E078
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA11
4G146AA12
4G146AA15
4G146AC02A
4G146AC03A
4G146AC03B
4G146AC07A
4G146AC07B
4G146AC08A
4G146AC08B
4G146AC09A
4G146AC09B
4G146AC10A
4G146AC10B
4G146AC16A
4G146AD23
4G146AD24
4G146CB10
4G146CB35
4G146CB36
4G146DA07
4J002BG061
4J002DA016
4J002FD116
4J002FD311
4J002GQ02
4J002HA06
4J037AA01
4J037AA02
4J037CC14
4J037EE08
4J037FF11
5E078AA01
5E078AB01
5E078BA15
5E078BA42
5E078BA44
5E078BA52
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA10
5H050CA11
5H050CA17
5H050CB03
5H050CB05
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA10
5H050EA08
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
(57)【要約】
本発明は、有機媒体と、有機媒体中に分散したカーボンナノチューブと、分散剤とを含むカーボンナノチューブの分散体を提供する。本発明は、そのような分散体を含むスラリー組成物、スラリー組成物から生成される電極、及び電極を備える蓄電デバイスを更に提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブの分散体であって、
有機媒体と、
前記有機媒体中に分散したカーボンナノチューブと、
分散剤であって、付加ポリマーであって、アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、20重量%~98重量%、例えば、30重量%~96重量%、例えば、30重量%~90重量%、40重量%~90重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、45重量%~75重量%の量で含む、付加ポリマー、を含む、分散剤と、を含む、分散体。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブを含む、請求項1に記載の分散体。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブが、多層カーボンナノチューブを含む、請求項1に記載の分散体。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブと、多層カーボンナノチューブとを含む、請求項1に記載の分散体。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブが、アームチェア、ジグザグ、又はキラル構成を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブが、官能基で置換されている、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項7】
前記官能基が、カーボンナノチューブを含み、酸素、窒素、又はフッ素を含み得る、請求項6に記載の分散体。
【請求項8】
前記官能基が、カルボニル、ヒドロキシル、アミン、及び/又はアミド官能基を含む、請求項6又は7に記載の分散体。
【請求項9】
前記カーボンナノチューブが、非晶質炭素又は残留触媒を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブが、アーク放電、レーザーアブレーション、化学気相堆積(CVD)、又は高圧一酸化炭素不均化(HiPCO)によって合成される、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項11】
前記単層カーボンナノチューブが、オゾン処理、オゾン及び過酸化水素処理、塩酸処理、又は熱処理で処理される、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項12】
前記多層カーボンナノチューブが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで処理される、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項13】
前記カーボンナノチューブが、10原子量パーセント以下、例えば、5原子量パーセント以下、例えば、2原子量パーセント以下、例えば、1.5原子量パーセント以下、例えば、1原子量パーセント以下、例えば、0.6原子量以下、例えば、0.5原子量パーセント以下の酸素含有量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項14】
前記カーボンナノチューブが、10~2,000m
2/g、例えば、10~1,750m
2/g、例えば、10~1,600m
2/g、例えば、10~1,500m
2/g、例えば、10~1,400m
2/g、例えば、10~1,300m
2/g、例えば、10~1,200m
2/g、例えば、10~1,100m
2/g、例えば、10~1,000m
2/g、例えば、10~900m
2/g、例えば、10~800m
2/g、例えば、10~700m
2/g、例えば、10~600m
2/g、例えば、10~500m
2/g、例えば、10~400m
2/g、例えば、10~300m
2/g、例えば、10~200m
2/g、例えば、10~100m
2/g、例えば、10~50m
2/g、例えば、20~2,000m
2/g、例えば、20~1,750m
2/g、例えば、20~1,600m
2/g、例えば、20~1,500m
2/g、例えば、20~1,400m
2/g、例えば、20~1,300m
2/g、例えば、20~1,200m
2/g、例えば、20~1,100m
2/g、例えば、20~1,000m
2/g、例えば、20~900m
2/g、例えば、20~800m
2/g、例えば、20~700m
2/g、例えば、20~600m
2/g、例えば、20~500m
2/g、例えば、20~400m
2/g、例えば、20~300m
2/g、例えば、20~200m
2/g、例えば、20~100m
2/g、例えば、20~50m
2/g、例えば、50~2,000m
2/g、例えば、50~1,750m
2/g、例えば、50~1,600m
2/g、例えば、50~1,500m
2/g、例えば、50~1,400m
2/g、例えば、50~1,300m
2/g、例えば、50~1,200m
2/g、例えば、50~1,100m
2/g、例えば、50~1,000m
2/g、例えば、50~900m
2/g、例えば、50~800m
2/g、例えば、50~700m
2/g、例えば、50~600m
2/g、例えば、50~500m
2/g、例えば、50~400m
2/g、例えば、50~300m
2/g、例えば、50~200m
2/g、例えば、50~100m
2/g、例えば、100~2,000m
2/g、例えば、100~1,750m
2/g、例えば、100~1,600m
2/g、例えば、100~1,500m
2/g、例えば、100~1,400m
2/g、例えば、100~1,300m
2/g、例えば、100~1,200m
2/g、例えば、100~1,100m
2/g、例えば、100~1,000m
2/g、例えば、100~900m
2/g、例えば、100~800m
2/g、例えば、100~700m
2/g、例えば、100~600m
2/g、例えば、100~500m
2/g、例えば、100~400m
2/g、例えば、100~300m
2/g、例えば、100~200m
2/g、例えば、200~2,000m
2/g、例えば、200~1,7200m
2/g、例えば、200~1,600m
2/g、例えば、200~1,500m
2/g、例えば、200~1,400m
2/g、例えば、200~1,300m
2/g、例えば、200~1,200m
2/g、例えば、200~1,100m
2/g、例えば、200~1,000m
2/g、例えば、200~900m
2/g、例えば、200~800m
2/g、例えば、200~700m
2/g、例えば、200~600m
2/g、例えば、200~500m
2/g、例えば、200~400m
2/g、例えば、200~300m
2/g、例えば、300~2,000m
2/g、例えば、300~1,7300m
2/g、例えば、300~1,600m
2/g、例えば、300~1,500m
2/g、例えば、300~1,400m
2/g、例えば、300~1,300m
2/g、例えば、300~1,200m
2/g、例えば、300~1,100m
2/g、例えば、300~1,000m
2/g、例えば、300~900m
2/g、例えば、300~800m
2/g、例えば、300~700m
2/g、例えば、300~600m
2/g、例えば、300~500m
2/g、例えば、300~400m
2/g、例えば、400~2,000m
2/g、例えば、400~1,7400m
2/g、例えば、400~1,600m
2/g、例えば、400~1,500m
2/g、例えば、400~1,400m
2/g、例えば、400~1,300m
2/g、例えば、400~1,200m
2/g、例えば、400~1,100m
2/g、例えば、400~1,000m
2/g、例えば、400~900m
2/g、例えば、400~800m
2/g、例えば、400~700m
2/g、例えば、400~600m
2/g、例えば、400~500m
2/g、例えば、500~2,000m
2/g、例えば、500~1,7500m
2/g、例えば、500~1,600m
2/g、例えば、500~1,500m
2/g、例えば、500~1,400m
2/g、例えば、500~1,300m
2/g、例えば、500~1,200m
2/g、例えば、500~1,100m
2/g、例えば、500~1,000m
2/g、例えば、500~900m
2/g、例えば、500~800m
2/g、例えば、500~700m
2/g、例えば、500~600m
2/g、例えば、600~2,000m
2/g、例えば、600~1,750m
2/g、例えば、600~1,600m
2/g、例えば、600~1,500m
2/g、例えば、600~1,400m
2/g、例えば、600~1,300m
2/g、例えば、600~1,200m
2/g、例えば、600~1,100m
2/g、例えば、600~1,000m
2/g、例えば、600~900m
2/g、例えば、600~800m
2/g、例えば、600~700m
2/g、例えば、700~2,000m
2/g、例えば、700~1,750m
2/g、例えば、700~1,600m
2/g、例えば、700~1,500m
2/g、例えば、700~1,400m
2/g、例えば、700~1,300m
2/g、例えば、700~1,200m
2/g、例えば、700~1,100m
2/g、例えば、700~1,000m
2/g、例えば、700~900m
2/g、例えば、700~800m
2/g、例えば、800~2,000m
2/g、例えば、800~1,750m
2/g、例えば、800~1,600m
2/g、例えば、800~1,500m
2/g、例えば、800~1,400m
2/g、例えば、800~1,300m
2/g、例えば、800~1,200m
2/g、例えば、800~1,100m
2/g、例えば、800~1,000m
2/g、例えば、800~900m
2/g、例えば、900~2,000m
2/g、例えば、900~1,750m
2/g、例えば、900~1,600m
2/g、例えば、900~1,500m
2/g、例えば、900~1,400m
2/g、例えば、900~1,300m
2/g、例えば、900~1,200m
2/g、例えば、900~1,100m
2/g、例えば、900~1,000m
2/g、例えば、1,000~2,000m
2/g、例えば、1,000~1,750m
2/g、例えば、1,000~1,600m
2/g、例えば、1,000~1,500m
2/g、例えば、1,000~1,400m
2/g、例えば、1,000~1,300m
2/g、例えば、1,000~1,200m
2/g、例えば、1,000~1,100m
2/gのBET表面積を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項15】
前記カーボンナノチューブが、0.15:1.0~1.50:1.0、例えば、0.15:1.0~1.25:1.0、例えば、0.15:1.0~1.0:1.0、例えば、0.20:1.0~1.0:1.0、例えば、0.30:1.0~1.0:1.0、例えば、0.40:1.0~1.0:1.0、例えば、0.50:1.0~1.0:1.0、例えば、0.60:1.0~1.0:1.0、例えば、0.20:1.0~0.80:1.0、例えば、0.30:1.0~0.80:1.0、例えば、0.40:1.0~0.80:1.0、例えば、0.50:1.0~0.80:1.0、例えば、0.20:1.0~0.90:1.0、例えば、0.25:1.0~0.80:1.0、例えば、0.30:1.0~0.75:1.0、例えば、0.30:1.0~0.65:1.0、例えば、0.30:1.0~0.60:1.0、例えば、0.30:1.0~0.55:1.0、例えば、0.30:1.0~0.50:1.0、例えば、0.40:1.0~0.75:1.0、例えば、0.40:1.0~0.65:1.0、例えば、0.40:1.0~0.60:1.0、例えば、0.40:1.0~0.55:1.0、例えば、0.40:1.0~0.50:1.0のラマン分光法2D/Gピーク比を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項16】
前記カーボンナノチューブが、25nm~1mm、例えば、25nm~500ミクロン、例えば、25nm~250ミクロン、例えば、25nm~200ミクロン、例えば、25nm~25ミクロン、例えば、25nm~50ミクロン、例えば、25nm~30ミクロン、例えば、25nm~20ミクロン、例えば、25nm~10ミクロン、例えば、25nm~5ミクロン、例えば、25nm~3ミクロン、例えば、25nm~1ミクロン、例えば、25nm~500nm、50nm~1mm、例えば、50nm~500ミクロン、例えば、50nm~250ミクロン、例えば、50nm~200ミクロン、例えば、50nm~50ミクロン、例えば、50nm~50ミクロン、例えば、50nm~30ミクロン、例えば、50nm~20ミクロン、例えば、50nm~10ミクロン、例えば、50nm~5ミクロン、例えば、50nm~3ミクロン、例えば、50nm~1ミクロン、例えば、50nm~500nm、75nm~1mm、例えば、75nm~500ミクロン、例えば、75nm~250ミクロン、例えば、75nm~200ミクロン、例えば、75nm~75ミクロン、例えば、75nm~50ミクロン、例えば、75nm~30ミクロン、例えば、75nm~20ミクロン、例えば、75nm~10ミクロン、例えば、75nm~5ミクロン、例えば、75nm~3ミクロン、例えば、75nm~1ミクロン、例えば、75nm~500nm、100nm~1mm、例えば、100nm~500ミクロン、例えば、100nm~250ミクロン、例えば、100nm~200ミクロン、例えば、100nm~100ミクロン、例えば、100nm~50ミクロン、例えば、100nm~30ミクロン、例えば、100nm~20ミクロン、例えば、100nm~10ミクロン、例えば、100nm~5ミクロン、例えば、100nm~3ミクロン、例えば、100nm~1ミクロン、例えば、100nm~500nm、例えば、300nm~1mm、例えば、300nm~500ミクロン、例えば、300nm~250ミクロン、例えば、300nm~200ミクロン、例えば、300nm~100ミクロン、例えば、300nm~50ミクロン、例えば、300nm~30ミクロン、例えば、300nm~20ミクロン、例えば、300nm~10ミクロン、例えば、300nm~5ミクロン、例えば、300nm~3ミクロン、例えば、300nm~1ミクロン、例えば、300nm~500nm、例えば、500nm~1mm、例えば、500nm~500ミクロン、例えば、500nm~250ミクロン、例えば、500nm~200ミクロン、例えば、500nm~100ミクロン、例えば、500nm~50ミクロン、例えば、500nm~30ミクロン、例えば、500nm~20ミクロン、例えば、500nm~10ミクロン、例えば、500nm~5ミクロン、例えば、500nm~3ミクロン、例えば、500nm~1ミクロン、例えば、1ミクロン~1mm、例えば、1~500ミクロン、例えば、1~250ミクロン、例えば、1~200ミクロン、例えば、1~100ミクロン、例えば、1~50ミクロン、例えば、1~30ミクロン、例えば、1~20ミクロン、例えば、1~10ミクロン、例えば、1~5ミクロン、例えば、1~3ミクロン、5ミクロン~1mm、例えば、5~500ミクロン、例えば、5~250ミクロン、例えば、5~200ミクロン、例えば、5~100ミクロン、例えば、5~50ミクロン、例えば、5~30ミクロン、例えば、5~20ミクロン、例えば、5~10ミクロン、10ミクロン~1mm、例えば、10~500ミクロン、例えば、10~250ミクロン、例えば、10~200ミクロン、例えば、10~100ミクロン、例えば、10~50ミクロン、例えば、10~30ミクロン、例えば、10~20ミクロン、20ミクロン~1mm、例えば、20~500ミクロン、例えば、20~250ミクロン、例えば、20~200ミクロン、例えば、20~100ミクロン、例えば、20~50ミクロン、例えば、20~30ミクロン、50ミクロン~1mm、例えば、50~500ミクロン、例えば、50~250ミクロン、例えば、50~200ミクロン、例えば、50~100ミクロン、100ミクロン~1mm、例えば、100~500ミクロン、例えば、100~250ミクロン、例えば、100~200ミクロン、100ミクロン~1mm、例えば、100~500ミクロン、例えば、100~250ミクロン、例えば、100~200ミクロン、200ミクロン~1mm、例えば、200~500ミクロン、例えば、200~250ミクロンの長さを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項17】
前記カーボンナノチューブが、0.1~100nm、例えば、0.1~50nm、例えば、0.1~40nm、例えば、0.2~100nm、例えば、0.2~50nm、例えば、0.2~40nm、例えば、0.3~100nm、例えば、0.3~50nm、例えば、0.3~40nm、例えば、0.4~100nm、例えば、0.4~50nm、例えば、0.4~40nmの外径を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項18】
前記カーボンナノチューブが、100:1~100,000,000:1、例えば、100:1~100,000:1、例えば、100:1~50,000:1、例えば、100:1~20,000:1、例えば、100:1~15,000:1、例えば、100:1~1,500:1、例えば、100:1~1,200:1、例えば、500:1~100,000,000:1、例えば、500:1~100,000:1、例えば、500:1~50,000:1、例えば、500:1~20,000:1、例えば、500:1~15,000:1、例えば、500:1~1,500:1、例えば、500:1~1,200:1、1,000:1~100,000,000:1、例えば、1,000:1~100,000:1、例えば、1,000:1~50,000:1、例えば、1,000:1~20,000:1、例えば、1,000:1~15,000:1、例えば、1,000:1~1,500:1、例えば、1,000:1~1,200:1、例えば、10,000:1~100,000,000:1、例えば、10,000:1~100,000:1、例えば、10,000:1~50,000:1、例えば、10,000:1~20,000:1、例えば、10,000:1~15,000:1、例えば、50,000:1~100,000,000:1、例えば、50,000:1~100,000:1のアスペクト比を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項19】
前記カーボンナノチューブが、前記分散体の総固体重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~7.5重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4.5重量%、例えば、0.75~5重量%、例えば、0.75~4重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4.5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3.5重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4.5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4.5重量%、例えば、3重量%~4重量%の量で前記分散体中に存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項20】
前記有機媒体が、ブチルピロリドン、リン酸トリアルキル、1,2,3-トリアセトキシプロパン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、アセト酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテル、シクロヘキサノン、プロピレンカーボネート、ジメチルアジペート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、二塩基性エステル(DBE)、二塩基性エステル5(DBE-5)、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、プロピレングリコールジアセテート、ジメチルフタレート、メチルイソアミルケトン、プロピオン酸エチル、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、飽和及び不飽和の直鎖及び環状ケトン(それらの混合物として、Eastman Chemical CompanyからEastman(商標)C-11 Ketoneとして市販されている)、ジイソブチルケトン、酢酸エステル(HallstarからExxate(商標)1000として市販されている)、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、又はそれらの任意の組み合わせを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項21】
前記有機媒体が、リン酸トリアルキルを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、前記リン酸トリアルキルが、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、又はそれらの組み合わせを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項22】
前記有機媒体が、リン酸トリエチルを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項23】
前記有機媒体が、リン酸トリエチル及びアセト酢酸エチルを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項24】
前記有機媒体が、分散相としての前記カーボンナノチューブと均質な連続相を形成する一次溶媒及び共溶媒を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項25】
前記一次溶媒が、ブチルピロリドン、リン酸トリアルキル、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,2,3-トリアセトキシプロパン、又はそれらの任意の組み合わせを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、かつ彼共溶媒が、アセト酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、及び/又はプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、若しくはそれらの任意の組み合わせなどのグリコールエーテルを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる、請求項24に記載の分散体。
【請求項26】
前記一次溶媒が、50重量%~99重量%、例えば、65重量%~90重量%、例えば、75重量%~85重量%の量で存在し、前記共溶媒が、1重量%~50重量%、例えば、10重量%~35重量%、例えば、15重量%~25重量%の量で存在し、前記重量%が、前記有機媒体の総重量に基づく、請求項24又は25に記載の分散体。
【請求項27】
前記有機媒体が、180℃で80g/分m
2超、例えば、180℃で90g/分m
2超、例えば、180℃で100g/分m
2超の蒸発速度を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項28】
前記有機媒体が、前記分散体の総重量に基づいて、20%~99.9%、例えば、30%~99.9%、例えば、40%~99.9%、例えば、50%~99.9%、例えば、60%~99.9%、例えば、70%~99.9%、例えば、80%~99.9%、例えば、85%~99.9%、例えば、87.5%~99.9%、例えば、90%~99.9%、例えば、91%~99.9%、例えば、92%~99.9%、例えば、93%~99.9%、例えば、94%~99.9%、例えば、95%~99.9%、例えば、95.5%~99.9%、例えば、96%~99.9%、例えば、96.5%~99.9%、例えば、97%~99.9%、例えば、97.5%~99.9%、例えば、98%~99.9%、例えば、98.5%~99.9%、例えば、90%~99%、例えば、91%~99%、例えば、92%~99%、例えば、93%~99%、例えば、94%~99%、例えば、95%~99%、例えば、95.5%~99%、例えば、96%~99%、例えば、96.5%~99%、例えば、97%~99%、例えば、97.5%~99%、例えば、98%~99%、例えば、98.5%~99%、例えば、90%~98%、例えば、91%~98%、例えば、92%~98%、例えば、93%~98%、例えば、94%~98%、例えば、95%~98%、例えば、95.5%~98%、例えば、96%~98%、例えば、96.5%~98%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項29】
前記分散剤が、前記カーボンナノチューブと相溶性のある少なくとも1つの相と、前記有機媒体と相溶性のある少なくとも1つの相とを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項30】
前記分散剤が、反応性基と尾部基とを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項31】
前記反応性基が、シラン、カルボン酸、ホスホン酸、四級アンモニウムイオン、かかる酸素、窒素、若しくはフッ素含有基(例えば、ヒドロキシル、アミンなど)を水素結合することが可能な基、又はそれらの塩を含み、前記尾部基が、カーボンナノチューブ同士の相互作用を防止するのに役立つ第2の官能基を含む、請求項29に記載の分散体。
【請求項32】
前記分散剤が、官能基を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項33】
前記官能基が、活性水素官能基、複素環基、及びそれらの任意の組み合わせを含む、請求項32に記載の分散体。
【請求項34】
前記官能基が、ヒドロキシル基、一級若しくは二級アミノ基、アミド基、カルボン酸基、チオール基、ラクタム、ラクトン、エポキシド、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項32又は33に記載の分散体。
【請求項35】
前記分散剤が、β-ヒドロキシ官能性酸と後反応されるエポキシド官能基を含む、請求項34に記載の分散体。
【請求項36】
前記分散剤が、酸官能基を含み、かつ前記分散剤が、350~17,570g/酸当量、例えば、878~12,000g/酸当量、例えば、1,757~7,000g/酸当量の理論的酸当量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項37】
前記付加ポリマーが、α、β-エチレン系不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項38】
前記α、β-エチレン系不飽和カルボン酸が、マレイン酸又はその無水物、フマル酸イタコン酸、これらのジカルボン酸の半エステル、及びそれらの任意の組み合わせを含む、請求項37に記載の分散体。
【請求項39】
前記α、β-エチレン系不飽和カルボン酸の前記残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成し得る、請求項37又は38に記載の分散体。
【請求項40】
前記アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸の前記アルキルエステルが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項41】
前記付加ポリマーが、アルキル基中に4~7個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項42】
前記アルキル基中に4~7個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸の前記アルキルエステルが、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項41に記載の分散体。
【請求項43】
前記アルキル基中に4~7個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、2重量%~70重量%、例えば、2重量%~60重量%、例えば、5重量%~50重量%、10重量%~40重量%、例えば、15重量%~35重量%を構成する、請求項41又は42に記載の分散体。
【請求項44】
前記付加ポリマーが、前記アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項45】
前記アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸の前記アルキルエステルが、オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項44に記載の分散体。
【請求項46】
前記アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸の前記アルキルエステルの残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、2重量%~70重量%、例えば、2重量%~60重量%、例えば、5重量%~50重量%、10重量%~40重量%、例えば、15重量%~35重量%を構成する、請求項44又は45に記載の分散体。
【請求項47】
前記付加ポリマーが、前記アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、請求項1~43のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項48】
前記付加ポリマーが、ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項49】
前記ヒドロキシアルキルエステルが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項48に記載の分散体。
【請求項50】
前記ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%を構成する、請求項48又は49に記載の分散体。
【請求項51】
前記付加ポリマーが、複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項52】
前記複素環基を含むエチレン性不飽和モノマーが、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項51に記載の分散体。
【請求項53】
前記複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~99重量%、例えば、0.5重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、5重量%~30重量%、8重量%~27重量%を構成し得る、請求項51又は52に記載の分散体。
【請求項54】
前記付加ポリマーが、自己架橋用モノマーの残基を含む構成単位を含み、かつ前記付加ポリマーが、自己架橋用付加ポリマーを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項55】
前記自己架橋用モノマーが、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、若しくはこれらの任意の組み合わせを含むN-アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドモノマー、又はイソシアナートエチル(メタ)アクリレートを含むブロックイソシアネート基を含有する自己架橋用モノマーを含む、請求項54に記載の分散体。
【請求項56】
前記自己架橋用モノマーの残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%を構成し得る、請求項54又は55に記載の分散体。
【請求項57】
前記付加ポリマーが、ホスホン酸、リン酸エステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、ホスフィン酸、ホスフィン酸エステル、スルフィン酸、スルフィン酸エステル、又はそれらの任意の組み合わせを含む他の官能化α、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項58】
前記ホスホン酸、リン酸エステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、ホスフィン酸、ホスフィン酸エステル、スルフィン酸、又はスルフィン酸エステルを含む他の官能化α、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%以下~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成する、請求項57に記載の分散体。
【請求項59】
前記付加ポリマーが、不飽和シラン基含有モノマーの残基を含む構成単位を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項60】
前記不飽和シラン基含有モノマーが、ビニルトリアルコキシシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項59に記載の分散体。
【請求項61】
前記不飽和シラン基含有モノマーの残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%以下~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成する、請求項59又は60に記載の分散体。
【請求項62】
前記付加ポリマーが、ビニルアルキルオキサゾリジノンモノマーの残基を含む構成単位を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項63】
前記ビニルアルキルオキサゾリジノンモノマーが、ビニルメチルオキサゾリジノン(VMOX)、ビニルエチルオキサゾリジノン、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項62に記載の分散体。
【請求項64】
前記ビニルアルキルオキサゾリジノンモノマーの残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%以下~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成する、請求項62又は63に記載の分散体。
【請求項65】
前記付加ポリマーが、ポリ(アルキレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマーの残基を含む構成単位を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項66】
前記ポリ(アルキレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマーが、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマー、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマー、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項65に記載の分散体。
【請求項67】
前記ポリ(アルキレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマーの残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%以下~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成する、請求項65又は66に記載の分散体。
【請求項68】
前記付加ポリマーが、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレン、及びビニルトルエンを含むビニル芳香族化合物、アクリロニトリル若しくはメタクリロニトリルを含む有機ニトリル、塩化アリル若しくはアリルシアニドなどのアリルモノマー、1,3-ブタジエン若しくは2-メチル-1,3-ブタジエンを含むモノマージエン、又はアセトアセトキシエチルメタクリレートを含むアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、又はそれらの任意の組み合わせを含む他のα、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項69】
前記他のα、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位が、前記付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%を構成し得る、請求項68に記載の分散体。
【請求項70】
前記付加ポリマーが、100℃若しくは100℃未満のTgを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項71】
前記付加ポリマーが、-50~+70℃、例えば、-50~+60℃、例えば、-50~+50℃、例えば、-50~+40℃、例えば、-50~+25℃、例えば、-50~+20℃、例えば、-50~+15℃、例えば、-50~+10℃、例えば、-50~+5℃、例えば、-50~0℃、例えば、-40~+50℃、例えば、-40~+40℃、例えば、-40~+25℃、例えば、-40~+20℃、例えば、-40~+15℃、例えば、-40~+10℃、例えば、-40~+5℃、例えば、-40~0℃、例えば、-30~+50℃、例えば、-30~+40℃、例えば、-30~+25℃、例えば、-30~+20℃、例えば、-30~+15℃、例えば、-30~+10℃、例えば、-30~+5℃、例えば、-30~0℃、例えば、-20~+50℃、例えば、-20~+40℃、例えば、-20~+25℃、例えば、-20~+20℃、例えば、-20~+15℃、例えば、-20~+10℃、例えば、-20~+5℃、例えば、-20~0℃、例えば、-15~+50℃、例えば、-15~+40℃、例えば、-15~+25℃、例えば、-15~+20℃、例えば、-15~+15℃、例えば、-15~+10℃、例えば、-15~+5℃、例えば、-15~0℃、例えば、-10~+50℃、例えば、-10~+40℃、例えば、-10~+25℃、例えば、-10~+20℃、例えば、-10~+15℃、例えば、-10~+10℃、例えば、-10~+5℃、例えば、-10~0℃、例えば、-5~+50℃、例えば、-5~+40℃、例えば、-5~+25℃、例えば、-5~+20℃、例えば、-5~+15℃、例えば、-5~+10℃、例えば、-5~+5℃、例えば、-5~0℃、例えば、-0~+50℃、例えば、-0~+40℃、例えば、-0~+25℃、例えば、-0~+20℃、例えば、-0~+15℃のTgを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項72】
前記分散剤が、ポリビニルピロリドンを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項73】
前記分散剤が、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEOX)を含む直鎖又は非環式アミドポリマーを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項74】
前記分散剤が、1つ又は1つより多いポリエポキシドポリマー、ポリアミドポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリ尿素ポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリ酸ポリマー、及びポリエステルポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項75】
前記分散剤が、pH誘発性レオロジー変化をもたらす界面活性剤、イオン性液体、アルカリ膨張性レオロジー修飾剤、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項76】
前記分散剤が、2,500~100,000g/モル、例えば、2,500~75,000g/モル、例えば、2,500~50,000g/モル、例えば、2,500~25,000g/モル、例えば、2,500~20,000g/モル、例えば、2,500~15,000g/モル、例えば、2,500~12,500g/モル、例えば、2,500~10,000g/モル、例えば、2,500~7,500g/モル、5,000~100,000g/モル、例えば、5,000~75,000g/モル、例えば、5,000~50,000g/モル、例えば、5,000~25,000g/モル、例えば、5,000~20,000g/モル、例えば、5,000~15,000g/モル、例えば、5,000~12,500g/モル、例えば、5,000~10,000g/モル、例えば、5,000~7,500g/モル、7,500~100,000g/モル、例えば、7,500~75,000g/モル、例えば、7,500~50,000g/モル、例えば、7,500~25,000g/モル、例えば、7,500~20,000g/モル、例えば、7,500~15,000g/モル、例えば、7,500~12,500g/モル、例えば、7,500~10,000g/モル、10,000~100,000g/モル、例えば、10,000~75,000g/モル、例えば、10,000~50,000g/モル、例えば、10,000~25,000g/モル、例えば、10,000~20,000g/モル、例えば、10,000~15,000g/モル、例えば、10,000~12,500g/モルの重量平均分子量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項77】
前記分散剤が、5,000~200,000g/モル、例えば、5,000~150,000g/モル、例えば、5,000~100,000g/モル、例えば、5,000~50,000g/モル、例えば、5,000~40,000g/モル、例えば、5,000~30,000g/モル、例えば、5,000~25,000g/モル、例えば、5,000~20,000g/モル、例えば、5,000~15,000g/モル、10,000~200,000g/モル、例えば、10,000~150,000g/モル、例えば、10,000~100,000g/モル、例えば、10,000~50,000g/モル、例えば、10,000~40,000g/モル、例えば、10,000~30,000g/モル、例えば、10,000~25,000g/モル、例えば、10,000~20,000g/モル、例えば、10,000~15,000g/モル、15,000~200,000g/モル、例えば、15,000~150,000g/モル、例えば、15,000~100,000g/モル、例えば、15,000~50,000g/モル、例えば、15,000~40,000g/モル、例えば、15,000~30,000g/モル、例えば、15,000~25,000g/モル、例えば、15,000~20,000g/モル、20,000~200,000g/モル、例えば、20,000~150,000g/モル、例えば、20,000~100,000g/モル、例えば、20,000~50,000g/モル、例えば、20,000~40,000g/モル、例えば、20,000~30,000g/モル、例えば、20,000~25,000g/モルの数平均分子量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項78】
前記分散剤が、前記分散体の総固体重量に基づいて、0.5重量%~40重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、3重量%~40重量%、例えば、4重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、15重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、0.5重量%~30重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、2重量%~30重量%、例えば、3重量%~30重量%、例えば、4重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、15重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.5重量%~25重量%、例えば、1重量%~25重量%、例えば、2重量%~25重量%、例えば、3%~25%、例えば、4重量%~25重量%、例えば、5重量%~25重量%、例えば、10重量%~25重量%、例えば、15重量%~25重量%、例えば、20重量%~25重量%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項79】
前記分散剤が、前記分散体の総固体重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも4重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%、例えば、少なくとも20重量%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項80】
カーボンナノチューブの分散剤に対する重量比が、250:1~1:1、例えば、100:1~2:1、例えば、75:1~3:1、例えば、50:1~5:1、例えば、25:1~1:1、例えば、25:1~2:1、例えば、25:1~3:1、例えば、25:1~4.1、例えば、25:1~5:1、例えば、25:1~7.5:1、例えば、25:1~10:1、例えば、25:1~15:1、例えば、20:1~1:1、例えば、20:1~2:1、例えば、20:1~3:1、例えば、20:1~4.1、例えば、20:1~5:1、例えば、20:1~7.5:1、例えば、20:1~10:1、例えば、20:1~15:1、例えば、10:1~1:1、例えば、10:1~2:1、例えば、10:1~3:1、例えば、10:1~4.1、例えば、10:1~5:1、例えば、10:1~7.5:1である、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項81】
前記分散体が、前記カーボンナノチューブ及び前記分散剤の残基を含むカーボンナノチューブ-分散剤付加物を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項82】
前記カーボンナノチューブが、官能基とメラミンとの反応によって官能化されて、メラミン官能化カーボンナノチューブを形成する、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項83】
前記メラミン官能化カーボンナノチューブが、前記分散剤と更に反応されて、前記メラミン官能化カーボンナノチューブ及び前記分散剤の残基を含む前記カーボンナノチューブ-分散剤付加物を形成する、請求項82に記載の分散体。
【請求項84】
前記分散体が、別に添加された架橋剤を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項85】
前記別に添加された架橋剤が、アミノプラスト樹脂、ブロックポリイソシアネート、ポリエポキシド、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項84に記載の分散体。
【請求項86】
前記分散体が、カーボンナノチューブ以外の導電剤を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項87】
前記カーボンナノチューブ以外の導電剤が、炭素質材料、例えば、活性炭、アセチレンブラック及びファーネスブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンファイバ、フラーレン、カーボンナノリボン(グラフェンナノリボン)、及びそれらの任意の組み合わせを含む、請求項86に記載の分散体。
【請求項88】
前記カーボンナノチューブ以外の導電剤のカーボンナノチューブに対する重量比が、1,000:1、例えば、少なくとも750:1、例えば、少なくとも400:1、例えば、少なくとも300:1、例えば、少なくとも200:1、例えば、少なくとも150:1、例えば、少なくとも125:1、例えば、少なくとも100:1、例えば、少なくとも75:1、例えば、少なくとも50:1、例えば、少なくとも25:1、例えば、少なくとも20:1、例えば、少なくとも15:1、例えば、少なくとも13:1、例えば、少なくとも10:1、例えば、少なくとも5:1、例えば、5以下:1、例えば、10以下:1、例えば、15以下:1、例えば、20以下:1、例えば、25以下:1、例えば、50以下:1、例えば、75以下:1、例えば、100以下:1、例えば、125以下:1、例えば、150以下:1、例えば、200以下:1、例えば、300以下:1、例えば、400以下:1、例えば、75以下:1であり得る、請求項86又は87に記載の分散体。
【請求項89】
前記分散体が、フルオロポリマーを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項90】
前記フルオロポリマーが、室温及び室圧で前記有機媒体中に分散され、前記有機媒体が、その中に分散した前記フルオロポリマーの溶解温度において、10g/分m
2未満の蒸発速度を有する、請求項89に記載の分散体。
【請求項91】
前記有機媒体中に分散した前記フルオロポリマーの前記溶解温度が、77℃未満、例えば、70℃未満、例えば、65℃未満、例えば、60℃未満、例えば、55℃未満、例えば、50℃未満、例えば、30℃~77℃、例えば、30℃~70℃、例えば、30℃~65℃、例えば、30℃~60℃、例えば、30℃~55℃、例えば、30℃~50℃である、請求項90に記載の分散体。
【請求項92】
前記分散剤がまた、前記フルオロポリマーを分散させることを補助する、請求項90又は91に記載の分散体。
【請求項93】
前記分散体が、前記フルオロポリマーを分散させるための第2の分散剤を含む、請求項90又は91に記載の分散体。
【請求項94】
前記フルオロポリマーが、前記有機媒体中に可溶化される、請求項89に記載の分散体。
【請求項95】
前記分散体が、分散したフルオロポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項1~89又は94のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項96】
前記分散体が、フルオロポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項1~88のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項97】
前記分散体が、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノンなどのケトンを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項98】
前記分散体が、エチレン又はプロピレングリコールのC
1~C
4アルキルエーテルなどのエーテルを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項99】
前記分散体が、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項100】
前記分散体が、アルキルアンモニウム塩コポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項101】
前記分散体が、オレフィンブロック無水マレイン酸コポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項102】
前記分散体が、ビニルピロリドンコポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項103】
前記分散体が、ポリビニルピロリドンを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項104】
前記分散体が、活性炭を実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項105】
前記分散体が、N-メチル-2-ピロリドンを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の分散体。
【請求項106】
請求項1~105のいずれか一項に記載の分散体と、電気化学的活性物質と、結合剤とを含む電池電極を生成するためのスラリー組成物。
【請求項107】
集電体と、前記集電体上に形成されたフィルムとを備える電極であって、前記フィルムが、請求項106に記載のスラリー組成物から堆積される、電極。
【請求項108】
前記集電体が、前記スラリー組成物を堆積させる前に、前処理組成物で前処理される、請求項107に記載の電極。
【請求項109】
前記電極が、正極である、請求項107又は108に記載の電極。
【請求項110】
前記電極が、負極である、請求項107又は108に記載の電極。
【請求項111】
請求項107~110に記載の電極と、対電極と、電解質と、を備える、蓄電デバイス。
【請求項112】
前記蓄電デバイスが、セル、電池、電池パック、二次電池、キャパシタ、又はスーパーキャパシタを備える、請求項111に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月19日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第63/067,585号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、電池などの蓄電デバイス内で使用するための電極を製造する際に組成物中で使用され得るカーボンナノチューブ分散体に関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロニクス業界では、小型で軽量な電池を電源とするより小型のデバイスを製造する傾向がある。炭素質材料及びシリコン(酸化物)などの負極と、リチウム金属酸化物などの正極とを有する電池は、比較的高い電力及び低い重量を提供することができる。そのような電極は、典型的には、有機溶媒と、結合剤と、活性物質(例えば、炭素質材料又はリチウム金属酸化物)と、必要に応じて導電剤と、を含む、溶媒スラリーから生成される。
【0004】
現在、最適な結合剤は、ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)であり、最適な有機溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)である。NMP中に溶解したPVDF結合剤は、電極組成物中の全ての活性成分の優れた接着性及び相互接続性を提供する。残念ながら、NMPは、有毒物質であり、健康及び環境の問題を生じさせるので、PVDF結合剤の溶媒としてのNMPを置き換えることが望ましいであろう。しかしながら、NMPは、多くの他の有機溶媒中に可溶性でないPVDFを溶解させる能力で、幾分独特である。
【0005】
導電剤は、典型的には、カーボンブラック又はグラファイトであった。カーボンナノチューブは、その良好な導電性及び高アスペクト比のために興味深いものであり、リチウムイオン電池の正極及び負極材料に添加されると、三次元導電性ネットワークを形成し、それにより、容量及びサイクル寿命の向上など、電池の性能特性の向上をもたらし得る。しかしながら、カーボンナノチューブのナノサイズは、乾燥したカーボンナノチューブの取り扱いに制限を要し、かつカーボンナノチューブは、適切に分散させることが困難であり、それにより、電池性能の低下をもたらすことが証明されている。加えて、NMPベースのスラリーに使用される分散剤は、電池電極スラリーに使用される代替溶媒系との相溶性を欠く場合がある。
【0006】
したがって、電極形成組成物を調製する際に使用するために、及び電池及び他の蓄電デバイス用の高品質の電極を生成するために、N-メチル-2-ピロリドンの代替物を使用して、カーボンナノチューブ分散体を提供することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、有機媒体と、有機媒体中に分散したカーボンナノチューブと、分散剤とを含むカーボンナノチューブの分散体を提供する。
【0008】
本発明はまた、本発明の分散体と、電気化学的活性材料と、結合剤とを含む電池電極を生成するためのスラリー組成物を提供する。
【0009】
本発明は、集電体と、集電体上に形成されたフィルムとを備える電極であって、フィルムが、本発明のスラリー組成物から堆積される、電極、を更に提供する。
【0010】
本発明は、本発明の電極と、対電極と、電解質とを備える蓄電デバイスを更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2A、及び
図2Bは鋼基材に塗布されるときの組成物の一部分の挙動を示す、比較及び本発明のカーボンナノチューブ分散組成物の写真である。
【
図3】比較及び本発明のカーボンナノチューブ分散体のせん断速度に対する粘度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、有機媒体と、有機媒体中に分散したカーボンナノチューブと、分散剤と、を含む、カーボンナノチューブの分散体に関する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「カーボンナノチューブ」という用語は、最大数百ナノメートルの直径を有する中空チューブ構造を形成する、六角形のタイルパターン(すなわち、グラフェンのシート)に共有結合された炭素原子の1つ又は1つより多い円筒形の層を含む炭素同素体を指す。「グラフェン」という用語は、ハニカム結晶格子内に高密度に詰め込まれている、sp
2結合された炭素原子の1原子厚の平面シートを指す。「単層カーボンナノチューブ」は、炭素原子の単一の円筒形層を指す。「多層カーボンナノチューブ」は、分子間力によって結合された炭素原子の2つ若しくは2つより多い層、又は円筒形中空コアの周りに数回巻き上げられた、炭素原子の単一層を指す。例えば、以下に示されように(T.Belin et al.,Characterization Methods of Carbon Nanotubes:A Review,119MATERIALS SCIENCE AND ENGINEERING B105-18(2005)より)、多層カーボンナノチューブは、(a)のような円筒形の断面形状、(b)のような多角形の断面形状を有するか、又は(c)のような円筒形若しくは多角形の中空コアの周りに巻き上げられた単層の炭素原子であり得、(a)及び(b)は、ロシア人形モデルと称され、(c)は、羊皮紙モデルと称されることがある。
【化1】
【0014】
カーボンナノチューブはまた、グラフェンのシートの六角形格子に対するローリング軸に基づいて分類される。例えば、以下に示されるように(N.Saifuddin et al.,Carbon Nanotubes:A Review on Structure and Their Interaction With Proteins,2013 JOURNAL OF CHEMISTRY,Article ID676815(2013))、格子は、アームチェア、ジグザグ、又はキラル構成を有し得る。構成は、カーボンナノチューブのキラリティ及び他の特性(光学的、機械的、及び電子的特性を含む)を決定する(n、m)表記法を使用して表され得る。n及びmの値は、原子Aを通過するチューブの軸に平行なカットによって、チューブを薄く切って開くことと、ストリップを、その原子及び結合が、ストリップの反対の端部に原子Aの2つの半片(A1及びA2)を有する架空のグラフェンシートのものと一致するように、平面上に平らに巻き戻すことと、原子A1から2つの独立した線形ベクトルa1及びa2を描くことと、A1からA2までのベクトルが、線形結合nu+mvとして書かれた場合に、A2の位置に到達するための、各ベクトルに沿った原子の数を測定することと、によって決定され得、ここで、n及びmは、整数であり、線形結合は、(n、m)として記され得る。
【化2】
【0015】
カーボンナノチューブは、それらの製造及び、特に、チューブの末端における精製の方法に応じて、官能基又は他の欠陥で置換され得る。例えば、カーボンナノチューブは、酸素、硫黄、窒素、フッ素、又は他の置換原子を含み得、例えば、カルボニル、ヒドロキシル、チオール、アミン、及び/又はアミド官能基を含み得る。非晶質炭素及び残留触媒、例えば、鉄又はニッケルも、他の不純物に加えて存在し得る。例示的なカーボンナノチューブ合成プロセスとしては、アーク放電、レーザーアブレーション、化学気相堆積(CVD)、及び高圧一酸化炭素不均化(HiPCO)が挙げられる。カーボンナノチューブのいくつかの一般的な合成後処理又は修飾としては、オゾン処理、オゾン及び過酸化水素処理、塩酸処理、水酸化ナトリウム/カリウム処理、及び/又は熱処理が挙げられる。
【0016】
カーボンナノチューブは、当該技術分野で使用される様々な技術によって特徴付けられ得る。例えば、X線光電子分光法(XPS)が、使用され得、窒素、酸素、硫黄、又はフッ素/ハロゲン含有量を測定し、不純物及び官能化のレベルを示し得る。ラマン分光法を使用して、純度のレベル、すなわち、カーボンナノチューブを構成するグラフェンシートが、どの程度本来の純粋さを保っているかを示すことができる。BET測定を使用して、カーボンナノチューブの表面積を測定することができ、この測定は、カーボンナノチューブ構造(例えば、単層対多層ナノチューブ)の性質、及び理論値に対する測定値を変える可能性のあるナノチューブ構造の官能化及び欠陥によって影響される。最後に、電子顕微鏡を使用して、カーボンナノチューブの表面、並びに粒子の形状及びサイズを分析することもできる。
【0017】
カーボンナノチューブは、10原子量パーセント以下、例えば、5原子量パーセント以下、例えば、2原子量パーセント以下、例えば、1.5原子量パーセント以下、例えば、1原子量パーセント以下、例えば、0.6原子量以下、例えば、0.5原子量パーセント以下のヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素、フッ素、又は他のハロゲン)含有量を有し得る。カーボンナノチューブのヘテロ原子含有量は、D.R.Dreyer et al.,Chem.Soc.Rev.39,228-240(2010)に記載されたようなXPSを使用して決定され得る。
【0018】
カーボンナノチューブは、1,000個の総原子(炭素及びヘテロ原子)のうちの1個のヘテロ原子、例えば、500個のうちの1個、例えば、250個のうちの1個、例えば、200個のうちの1個、例えば、150個のうちの1個、例えば、100個のうちの1個、例えば、75個のうちの1個、例えば、60個のうちの1個、例えば、50個のうちの1個、例えば、40個のうちの1個、例えば、35個のうちの1個、例えば、30個のうちの1個、例えば、25個のうちの1個、例えば、17.5個のうちの1個、例えば、15個のうちの1個、例えば、12.5個のうちの1個、例えば、10個のうちの1個の量で、ヘテロ原子含有量を有し得る。
【0019】
カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの総原子数(炭素及びヘテロ原子)のモルパーセントとして、少なくとも0.1%、例えば、少なくとも、例えば、少なくとも0.2%、例えば、少なくとも0.4%、例えば、少なくとも0.5%、例えば、少なくとも0.67%、例えば、少なくとも1%、例えば、少なくとも1.3%、例えば、少なくとも1.67%、例えば、少なくとも2%、例えば、少なくとも2.5%、例えば、少なくとも2.85%、例えば、少なくとも3.3%、例えば、少なくとも4%、例えば、少なくとも5.7%、例えば、少なくとも6.67%、例えば、少なくとも8%、例えば、少なくとも10%のヘテロ原子濃度を有し得る。カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの総原子数(炭素及びヘテロ原子)のモルパーセントとして、
10%以下、例えば、8%以下、例えば、6.67%以下、例えば、5.7%以下、例えば、4%以下、例えば、3.3%以下、例えば、2.85%以下、例えば、2.5%以下、例えば、2%以下、例えば、1.67%以下、例えば、1.3%以下、例えば、1%以下、例えば、0.67%以下、例えば、0.5%以下、例えば、0.4%以下、例えば、0.2%以下、例えば、0.1%以下のヘテロ原子濃度を有し得る。カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの総原子数(炭素及びヘテロ原子)のモルパーセントとして、0.1%~10%、例えば、0.1%~8%、例えば、0.1%~6.67%、例えば、0.1%~5.7%、例えば、0.1%~4%、例えば、0.1%~3.3%、例えば、0.1%~2.85%、例えば、0.1%~2.5%、例えば、0.1%~2%、例えば、0.1%~1.67%、例えば、0.1%~1.3%、例えば、0.1%~1%、例えば、0.1%~0.67%、例えば、0.1%~0.5%、例えば、0.1%~0.4%、例えば、0.1%~0.2%、例えば、0.2%~10%、例えば、0.2%~8%、例えば、0.2%~6.67%、例えば、0.2%~5.7%、例えば、0.2%~4%、例えば、0.2%~3.3%、例えば、0.2%~2.85%、例えば、0.2%~2.5%、例えば、0.2%~2%、例えば、0.2%~1.67%、例えば、0.2%~1.3%、例えば、0.2%~1%、例えば、0.2%~0.67%、例えば、0.2%~0.5%、例えば、0.2%~0.4%、例えば、0.4%~10%、例えば、0.4%~8%、例えば、0.4%~6.67%、例えば、0.4%~5.7%、例えば、0.4%~4%、例えば、0.4%~3.3%、例えば、0.4%~2.85%、例えば、0.4%~2.5%、例えば、0.4%~2%、例えば、0.4%~1.67%、例えば、0.4%~1.3%、例えば、0.4%~1%、例えば、0.4%~0.67%、例えば、0.4%~0.5%、例えば、0.5%~10%、例えば、0.5%~8%、例えば、0.5%~6.67%、例えば、0.5%~5.7%、例えば、0.5%~4%、例えば、0.5%~3.3%、例えば、0.5%~2.85%、例えば、0.5%~2.5%、例えば、0.5%~2%、例えば、0.5%~1.67%、例えば、0.5%~1.3%、例えば、0.5%~1%、例えば、0.5%~0.67%、例えば、0.67%~10%、例えば、0.67%~8%、例えば、0.67%~6.67%、例えば、0.67%~5.7%、例えば、0.67%~4%、例えば、0.67%~3.3%、例えば、0.67%~2.85%、例えば、0.67%~2.5%、例えば、0.67%~2%、例えば、0.67%~1.67%、例えば、0.67%~1.3%、例えば、0.67%~1%、例えば、1%~10%、例えば、1%~8%、例えば、1%~6.67%、例えば、1%~5.7%、例えば、1%~4%、例えば、1%~3.3%、例えば、1%~2.85%、例えば、1%~2.5%、例えば、1%~2%、例えば、1%~1.67%、例えば、1%~1.3%、例えば、1.3%~10%、例えば、1.3%~8%、例えば、1.3%~6.67%、例えば、1.3%~5.7%、例えば、1.3%~4%、例えば、1.3%~3.3%、例えば、1.3%~2.85%、例えば、1.3%~2.5%、例えば、1.3%~2%、例えば、1.3%~1.67%、例えば、1.67%~10%、例えば、1.67%~8%、例えば、1.67%~6.67%、例えば、1.67%~5.7%、例えば、1.67%~4%、例えば、1.67%~3.3%、例えば、1.67%~2.85%、例えば、1.67%~2.5%、例えば、1.67%~2%、例えば、2%~10%、例えば、2%~8%、例えば、2%~6.67%、例えば、2%~5.7%、例えば、2%~4%、例えば、2%~3.3%、例えば、2%~2.85%、例えば、2%~2.5%、例えば、2.5%~10%、例えば、2.5%~8%、例えば、2.5%~6.67%、例えば、2.5%~5.7%、例えば、2.5%~4%、例えば、2.5%~3.3%、例えば、2.5%~2.85%、例えば、2.85%~10%、例えば、2.85%~8%、例えば、2.85%~6.67%、例えば、2.85%~5.7%、例えば、2.85%~4%、例えば、2.85%~3.3%、例えば、3.3%~10%、例えば、3.3%~8%、例えば、3.3%~6.67%、例えば、3.3%~5.7%、例えば、3.3%~4%、例えば、4%~10%、例えば、4%~8%、例えば、4%~6.67%、例えば、4%~5.7%、例えば、5.7%~10%、例えば、5.7%~8%、例えば、5.7%~6.67%、例えば、6.67%~10%、例えば、6.67%~8%、例えば、8%~10%のヘテロ原子濃度を有し得る。
【0020】
閉じた単層CNTの理論上の最大表面積は、1315m2/gであるが、合成ステップ又は合成後の修飾ステップ中に逸脱が生じる可能性がある。カーボンナノチューブは、少なくとも10m2/g、例えば、少なくとも20m2/g、例えば、少なくとも50m2/g、例えば、少なくとも100m2/g、例えば、少なくとも200m2/g、例えば、少なくとも250m2/g、例えば、少なくとも300m2/g、例えば、少なくとも400m2/g、例えば、少なくとも500m2/g、例えば、少なくとも550m2/g、例えば、少なくとも600m2/g、例えば、少なくとも800m2/g、例えば、少なくとも1,000m2/gのBET表面積を有し得る。カーボンナノチューブは、2,000m2/g以下、例えば、1,750m2/g以下、例えば、1,600m2/g以下、例えば、1,500m2/g以下、例えば、1,400m2/g以下、例えば、1,300m2/g以下、例えば、1,200m2/g以下、例えば、1,100m2/g以下、例えば、1,000m2/g以下、例えば、900m2/g以下、例えば、800m2/g以下、例えば、700m2/g以下、例えば、600m2/g以下、例えば、500m2/g以下、例えば、400m2/g以下、例えば、300m2/g以下、例えば、200m2/g以下、例えば、100m2/g以下、例えば、50m2/g以下のBET表面積を有し得る。カーボンナノチューブは、10~2,000m2/g、例えば、10~1,750m2/g、例えば、10~1,600m2/g、例えば、10~1,500m2/g、例えば、10~1,400m2/g、例えば、10~1,300m2/g、例えば、10~1,200m2/g、例えば、10~1,100m2/g、例えば、10~1,000m2/g、例えば、10~900m2/g、例えば、10~800m2/g、例えば、10~700m2/g、例えば、10~600m2/g、例えば、10~500m2/g、例えば、10~400m2/g、例えば、10~300m2/g、例えば、10~200m2/g、例えば、10~100m2/g、例えば、10~50m2/g、例えば、20~2,000m2/g、例えば、20~1,750m2/g、例えば、20~1,600m2/g、例えば、20~1,500m2/g、例えば、20~1,400m2/g、例えば、20~1,300m2/g、例えば、20~1,200m2/g、例えば、20~1,100m2/g、例えば、20~1,000m2/g、例えば、20~900m2/g、例えば、20~800m2/g、例えば、20~700m2/g、例えば、20~600m2/g、例えば、20~500m2/g、例えば、20~400m2/g、例えば、20~300m2/g、例えば、20~200m2/g、例えば、20~100m2/g、例えば、20~50m2/g、例えば、50~2,000m2/g、例えば、50~1,750m2/g、例えば、50~1,600m2/g、例えば、50~1,500m2/g、例えば、50~1,400m2/g、例えば、50~1,300m2/g、例えば、50~1,200m2/g、例えば、50~1,100m2/g、例えば、50~1,000m2/g、例えば、50~900m2/g、例えば、50~800m2/g、例えば、50~700m2/g、例えば、50~600m2/g、例えば、50~500m2/g、例えば、50~400m2/g、例えば、50~300m2/g、例えば、50~200m2/g、例えば、50~100m2/g、例えば、100~2,000m2/g、例えば、100~1,750m2/g、例えば、100~1,600m2/g、例えば、100~1,500m2/g、例えば、100~1,400m2/g、例えば、100~1,300m2/g、例えば、100~1,200m2/g、例えば、100~1,100m2/g、例えば、100~1,000m2/g、例えば、100~900m2/g、例えば、100~800m2/g、例えば、100~700m2/g、例えば、100~600m2/g、例えば、100~500m2/g、例えば、100~400m2/g、例えば、100~300m2/g、例えば、100~200m2/g、例えば、200~2,000m2/g、例えば、200~1,7200m2/g、例えば、200~1,600m2/g、例えば、200~1,500m2/g、例えば、200~1,400m2/g、例えば、200~1,300m2/g、例えば、200~1,200m2/g、例えば、200~1,100m2/g、例えば、200~1,000m2/g、例えば、200~900m2/g、例えば、200~800m2/g、例えば、200~700m2/g、例えば、200~600m2/g、例えば、200~500m2/g、例えば、200~400m2/g、例えば、200~300m2/g、例えば、300~2,000m2/g、例えば、300~1,7300m2/g、例えば、300~1,600m2/g、例えば、300~1,500m2/g、例えば、300~1,400m2/g、例えば、300~1,300m2/g、例えば、300~1,200m2/g、例えば、300~1,100m2/g、例えば、300~1,000m2/g、例えば、300~900m2/g、例えば、300~800m2/g、例えば、300~700m2/g、例えば、300~600m2/g、例えば、300~500m2/g、例えば、300~400m2/g、例えば、400~2,000m2/g、例えば400~1,7400m2/g、例えば、400~1,600m2/g、例えば、400~1,500m2/g、例えば、400~1,400m2/g、例えば、400~1,300m2/g、例えば、400~1,200m2/g、例えば、400~1,100m2/g、例えば、400~1,000m2/g、例えば、400~900m2/g、例えば、400~800m2/g、例えば、400~700m2/g、例えば、400~600m2/g、例えば、400~500m2/g、例えば、500~2,000m2/g、例えば、500~1,750m2/g、例えば、500~1,600m2/g、例えば、500~1,500m2/g、例えば、500~1,400m2/g、例えば、500~1,300m2/g、例えば、500~1,200m2/g、例えば、500~1,100m2/g、例えば、500~1,000m2/g、例えば、500~900m2/g、例えば、500~800m2/g、例えば、500~700m2/g、例えば、500~600m2/g、例えば、600~2,000m2/g、例えば、600~1,750m2/g、例えば、600~1,600m2/g、例えば、600~1,500m2/g、例えば、600~1,400m2/g、例えば、600~1,300m2/g、例えば、600~1,200m2/g、例えば、600~1,100m2/g、例えば、600~1,000m2/g、例えば、600~900m2/g、例えば、600~800m2/g、例えば、600~700m2/g、例えば、700~2,000m2/g、例えば、700~1,750m2/g、例えば、700~1,600m2/g、例えば、700~1,500m2/g、例えば、700~1,400m2/g、例えば、700~1,300m2/g、例えば、700~1,200m2/g、例えば、700~1,100m2/g、例えば、700~1,000m2/g、例えば、700~900m2/g、例えば、700~800m2/g、例えば、800~2,000m2/g、例えば、800~1,750m2/g、例えば、800~1,600m2/g、例えば、800~1,500m2/g、例えば、800~1,400m2/g、例えば、800~1,300m2/g、例えば、800~1,200m2/g、例えば、800~1,100m2/g、例えば、800~1,000m2/g、例えば、800~900m2/g、例えば、900~2,000m2/g、例えば、900~1,750m2/g、例えば、900~1,600m2/g、例えば、900~1,500m2/g、例えば、900~1,400m2/g、例えば、900~1,300m2/g、例えば、900~1,200m2/g、例えば、900~1,100m2/g、例えば、900~1,000m2/g、例えば、1,000~2,000m2/g、例えば、1,000~1,750m2/g、例えば、1,000~1,600m2/g、例えば、1,000~1,500m2/g、例えば、1,000~1,400m2/g、例えば、1,000~1,300m2/g、例えば、1,000~1,200m2/g、例えば、1,000~1,100m2/gのBET表面積を有し得る。本明細書で使用される場合、「BET表面積」という用語は、定期刊行物「The Journal of the American Chemical Society」,60,309(1938)に記載されるブルナウアー-エメット-テラー法に基づき、ASTMD3663-78基準に従って窒素吸着によって決定される特定の表面積を指す。
【0021】
ラマン分光法は、炭素質材料(例えば、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック、CNTなど)の性質を決定するための有用な技術である。全てのsp2炭素系は、C-C結合延伸から生じる、Gバンド(「グラファイト」から)と呼ばれる1500cm-1~1600cm-1の範囲のラマンスペクトル内のピークを有する。このピークは、ひずみ効果に敏感であり、ピークの形状及び多重度を使用して、ナノカーボン種(例えば、グラフェンナノチューブとカーボンナノチューブと)を識別することができる。グラフェン炭素系のラマンスペクトルの別の注目すべき特徴が、2500~2800cm-1にあるピークであり、分散G’バンド(又は2Dバンド)と呼ばれる。ピークの形状及び多重度2Dバンドは、ナノカーボン種(例えば、グラフェンナノチューブ及びカーボンナノチューブ)の性質に固有のものである。2Dピークは、グラフェンのシート内の層の数を割り当てるのに、並びにSWCNTとMWCNTとを識別するのに役立ち得る。これら2つのピークのピーク強度の比率は、ナノサイズのsp2炭素種間の区別を容易にする。本明細書で使用される場合、「2D/Gピーク比」という用語は、ラマンスペクトルにおける2500~2800cm-1の2Dピークの強度の、ラマンスペクトルにおける1,500~1600cm-1のGピークの強度に対する比を指す。結晶性グラフェンの完璧な単一シートの場合、2D/Gピーク比は、2:1であり、分子は、グラフェンの層の数が増加するにつれて、大きさが減少するであろう。カーボンナノチューブは、少なくとも少なくとも0.15:1.0、例えば、少なくとも0.20:1.0、例えば、少なくとも0.25:1.0、例えば、少なくとも0.30:1.0、例えば、少なくとも0.40:1.0、例えば、少なくとも0.50:1.0、例えば、少なくとも0.55:1.0、例えば、少なくとも0.60:1.0のラマン分光法2D/Gピーク比を有し得る。カーボンナノチューブは、1.50以下:1、例えば、1.25以下:1.0、例えば、1.0以下:1.0、例えば、0.90以下:1.0、例えば、0.80以下:1.0、例えば、0.75以下:1.0、例えば、0.65以下:1.0、例えば、0.60以下:1.0、例えば、0.55以下:1.0のラマン分光法2D/Gピーク比を有し得る。カーボンナノチューブは、0.15:1.0~1.50:1.0、例えば、0.15:1.0~1.25:1.0、例えば、0.15:1.0~1.0:1.0、例えば、0.20:1.0~1.0:1.0、例えば、0.30:1.0~1.0:1.0、例えば、0.40:1.0~1.0:1.0、例えば、0.50:1.0~1.0:1.0、例えば、0.60:1.0~1.0:1.0、例えば、0.20:1.0~0.80:1.0、例えば、0.30:1.0~0.80:1.0、例えば、0.40:1.0~0.80:1.0、例えば、0.50:1.0~0.80:1.0、例えば、0.20:1.0~0.90:1.0、例えば、0.25:1.0~0.80:1.0、例えば、0.30:1.0~0.75:1.0、例えば、0.30:1.0~0.65:1.0、例えば、0.30:1.0~0.60:1.0、例えば、0.30:1.0~0.55:1.0、例えば、0.30:1.0~0.50:1.0、例えば、0.40:1.0~0.75:1.0、例えば、0.40:1.0~0.65:1.0、例えば、0.40:1.0~0.60:1.0、例えば、0.40:1.0~0.55:1.0、例えば、0.40:1.0~0.50:1.0のラマン分光法2D/Gピーク比を有し得る。
【0022】
カーボンナノチューブは、少なくとも25nm、例えば、少なくとも50nm、例えば、少なくとも75nm、例えば、少なくとも100nm、例えば、少なくとも300nm、例えば、少なくとも500nm、例えば、少なくとも1ミクロン、例えば、少なくとも5ミクロン、例えば、少なくとも10ミクロン、例えば、少なくとも20ミクロン、例えば、少なくとも50ミクロン、例えば、少なくとも100ミクロン、例えば、少なくとも200ミクロン、又は200ミクロンより長い長さを有し得る。カーボンナノチューブは、25mm以下、例えば、15mm以下、例えば、10mm以下、例えば、5mm以下、例えば、1mm以下、例えば、500ミクロン以下、例えば、250ミクロン以下、例えば、200ミクロン以下、例えば、100ミクロン以下、例えば、50ミクロン以下、例えば、30ミクロン以下、例えば、20ミクロン以下、例えば、10ミクロン以下、例えば、5ミクロン以下、例えば、3ミクロン以下、例えば、1ミクロン以下、例えば、500nm以下の長さを有し得る。カーボンナノチューブは、25nm~25mm、例えば、25nm~15mm、例えば、25nm~10mm、例えば、25nm~5mm、例えば、25nm~1mm、例えば、25nm~500ミクロン、例えば、25nm~250ミクロン、例えば、25nm~200ミクロン、例えば、25nm~25ミクロン、例えば、25nm~50ミクロン、例えば、25nm~30ミクロン、例えば、25nm~20ミクロン、例えば、25nm~10ミクロン、例えば、25nm~5ミクロン、例えば、25nm~3ミクロン、例えば、25nm~1ミクロン、例えば、25nm~500nm、例えば、50nm~25mm、例えば、50nm~15mm、例えば、50nm~10mm、例えば、50nm~5mm、例えば、50nm~1mm、例えば、50nm~500ミクロン、例えば、50nm~250ミクロン、例えば、50nm~200ミクロン、例えば、50nm~50ミクロン、例えば、50nm~50ミクロン、例えば、50nm~30ミクロン、例えば、50nm~20ミクロン、例えば、50nm~10ミクロン、例えば、50nm~5ミクロン、例えば、50nm~3ミクロン、例えば、50nm~1ミクロン、例えば、50nm~500nm、例えば、75nm~25mm、例えば、75nm~15mm、例えば、75nm~10mm、例えば、75nm~5mm、例えば、75nm~1mm、例えば、75nm~500ミクロン、例えば、75nm~250ミクロン、例えば、75nm~200ミクロン、例えば、75nm~75ミクロン、例えば、75nm~50ミクロン、例えば、75nm~30ミクロン、例えば、75nm~20ミクロン、例えば、75nm~10ミクロン、例えば、75nm~5ミクロン、例えば、75nm~3ミクロン、例えば、75nm~1ミクロン、例えば、75nm~500nm、例えば、100nm~25mm、例えば、100nm~15mm、例えば、100nm~10mm、例えば、100nm~5mm、例えば、100nm~1mm、例えば、100nm~500ミクロン、例えば、100nm~250ミクロン、例えば、100nm~200ミクロン、例えば、100nm~100ミクロン、例えば、100nm~50ミクロン、例えば、100nm~30ミクロン、例えば、100nm~20ミクロン、例えば、100nm~10ミクロン、例えば、100nm~5ミクロン、例えば、100nm~3ミクロン、例えば、100nm~1ミクロン、例えば、100nm~500nm、例えば、300nm~25mm、例えば、300nm~15mm、例えば、300nm~10mm、例えば、300nm~5mm、例えば、300nm~1mm、例えば、300nm~500ミクロン、例えば、300nm~250ミクロン、例えば、300nm~200ミクロン、例えば、300nm~100ミクロン、例えば、300nm~50ミクロン、例えば、300nm~30ミクロン、例えば、300nm~20ミクロン、例えば、300nm~10ミクロン、例えば、300nm~5ミクロン、例えば、300nm~3ミクロン、例えば、300nm~1ミクロン、例えば、300nm~500nm、例えば、500nm~25mm、例えば、500nm~15mm、例えば、500nm~10mm、例えば、500nm~5mm、例えば、500nm~1mm、例えば、500nm~500ミクロン、例えば、500nm~250ミクロン、例えば、500nm~200ミクロン、例えば、500nm~100ミクロン、例えば、500nm~50ミクロン、例えば、500nm~30ミクロン、例えば、500nm~20ミクロン、例えば、500nm~10ミクロン、例えば、500nm~5ミクロン、例えば、500nm~3ミクロン、例えば、500nm~1ミクロン、例えば、1ミクロン~25mm、例えば、1ミクロン~15mm、例えば、1ミクロン~10mm、例えば、1ミクロン~5mm、例えば、1ミクロン~1mm、例えば、1~500ミクロン、例えば、1~250ミクロン、例えば、1~200ミクロン、例えば、1~100ミクロン、例えば、1~50ミクロン、例えば、1~30ミクロン、例えば、1~20ミクロン、例えば、1~10ミクロン、例えば、1~5ミクロン、例えば、1~3ミクロン、例えば、5ミクロン~25mm、例えば、5ミクロン~15mm、例えば、5ミクロン~10mm、例えば、5ミクロン~5mm、例えば、5ミクロン~1mm、例えば、5~500ミクロン、例えば、5~250ミクロン、例えば、5~200ミクロン、例えば、5~100ミクロン、例えば、5~50ミクロン、例えば、5~30ミクロン、例えば、5~20ミクロン、例えば、5~10ミクロン、例えば、10ミクロン~25mm、例えば、10ミクロン~15mm、例えば、10ミクロン~10mm、例えば、10ミクロン~5mm、例えば、10ミクロン~1mm、例えば、10~500ミクロン、例えば、10~250ミクロン、例えば、10~200ミクロン、例えば、10~100ミクロン、例えば、10~50ミクロン、例えば、10~30ミクロン、例えば、10~20ミクロン、例えば、20ミクロン~25mm、例えば、20ミクロン~15mm、例えば、20ミクロン~10mm、例えば、20ミクロン~5mm、例えば、20ミクロン~1mm、例えば、20~500ミクロン、例えば、20~250ミクロン、例えば、20~200ミクロン、例えば、20~100ミクロン、例えば、20~50ミクロン、例えば、20~30ミクロン、例えば、50ミクロン~25mm、例えば、50ミクロン~15mm、例えば、50ミクロン~10mm、例えば、50ミクロン~5mm、例えば、50ミクロン~1mm、例えば、50~500ミクロン、例えば、50~250ミクロン、例えば、50~200ミクロン、例えば、50~100ミクロン、例えば、100ミクロン~25mm、例えば、100ミクロン~15mm、例えば、100ミクロン~10mm、例えば、100ミクロン~5mm、例えば、100ミクロン~1mm、例えば、100~500ミクロン、例えば、100~250ミクロン、例えば、100~200ミクロン、100ミクロン~1mm、例えば、100~500ミクロン、例えば、100~250ミクロン、例えば、100~200ミクロン、例えば、200ミクロン~25mm、例えば、200ミクロン~15mm、例えば、200ミクロン~10mm、例えば、200ミクロン~5mm、例えば、200ミクロン~1mm、例えば、200~500ミクロン、例えば、200~250ミクロンの長さを有し得る。
【0023】
個々のカーボンナノチューブは、少なくとも0.1nm、例えば、少なくとも0.2nm、例えば、少なくとも0.3nm、例えば、少なくとも0.4nmの外径を有し得る。個々のカーボンナノチューブは、100nm以下、例えば、50nm以下、例えば、40nm以下の外径を有し得る。個々のカーボンナノチューブは、0.1~100nm、例えば、0.1~50nm、例えば、0.1~40nm、例えば、0.2~100nm、例えば、0.2~50nm、例えば、0.2~40nm、例えば、0.3~100nm、例えば、0.3~50nm、例えば、0.3~40nm、例えば、0.4~100nm、例えば、0.4~50nm、例えば、0.4~40nmの外径を有し得る。
【0024】
カーボンナノチューブは、それらの高いアスペクト比のために、ほぼ一次元であると考えられる。例えば、カーボンナノチューブは、少なくとも100:1、例えば、少なくとも500:1、例えば、少なくとも1,000:1、例えば、少なくとも10,000:1、例えば、少なくとも15,000:1、例えば、少なくとも50,000:1のアスペクト比(カーボンナノチューブの長さの外径に対する比較)を有し得る。カーボンナノチューブは、100,000,000以下:1、例えば、100,000以下:1、例えば、50,000以下:1、例えば、20,000以下:1、例えば、15,000以下:1、例えば、1,500以下:1、例えば、1,200以下:1のアスペクト比を有し得る。カーボンナノチューブは、100:1~100,000,000:1、例えば、100:1~100,000:1、例えば、100:1~50,000:1、例えば、100:1~20,000:1、例えば、100:1~15,000:1、例えば、100:1~1,500:1、例えば、100:1~1,200:1、例えば、500:1~100,000,000:1、例えば、500:1~100,000:1、例えば、500:1~50,000:1、例えば、500:1~20,000:1、例えば、500:1~15,000:1、例えば、500:1~1,500:1、例えば、500:1~1,200:1、1,000:1~100,000,000:1、例えば、1,000:1~100,000:1、例えば、1,000:1~50,000:1、例えば、1,000:1~20,000:1、例えば、1,000:1~15,000:1、例えば、1,000:1~1,500:1、例えば、1,000:1~1,200:1、例えば、10,000:1~100,000,000:1、例えば、10,000:1~100,000:1、例えば、10,000:1~50,000:1、例えば、10,000:1~20,000:1、例えば、10,000:1~15,000:1、例えば、50,000:1~100,000,000:1、例えば、50,000:1~100,000:1のアスペクト比を有し得る。
【0025】
カーボンナノチューブは、分散体の総固体重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも0.75重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも1.5重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%の量で、分散体中に存在し得る。カーボンナノチューブは、分散体の総固体重量に基づいて、10重量%以下、例えば、7.5重量%以下、例えば、5重量%以下、例えば、4.5重量%以下、例えば、4重量%以下、例えば、3.5重量%以下、例えば、3重量%以下の量で、分散体中に存在し得る。カーボンナノチューブは、分散体の総固体重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~7.5重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~4.5重量%、例えば、0.75~5重量%、例えば、0.75~4重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4.5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3.5重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~5重量%、例えば、1.5重量%~4.5重量%、例えば、1.5重量%~4重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、2重量%~4.5重量%、例えば、3重量%~4重量%の量で、分散体中に存在し得る。
【0026】
本発明によれば、分散体は、有機媒体を更に含む。本明細書で使用される場合、「有機媒体」という用語は、有機媒体の総重量に基づいて、50重量%未満の水を含む液体媒体を指す。そのような有機媒体は、有機媒体の総重量に基づいて、40重量%未満の水、又は30重量%未満の水、又は20重量%未満の水、又は10重量%未満の水、又は5重量%未満の水、又は1重量%未満の水、又は0.1重量%未満の水を含み得るか、若しくは水を不含、すなわち、水0.00重量%であり得る。有機溶媒は、有機媒体の総重量に基づいて、50重量%超、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも99重量%、例えば、少なくとも99.9重量%、例えば、100重量%の有機媒体含む。有機溶媒は、有機媒体の総重量に基づいて、50.1重量%~100重量%、例えば、70重量%~100重量%、例えば、80重量%~100重量%、例えば、90重量%~100重量%、例えば、95重量%~100重量%、例えば、99重量%~100重量%、例えば、99.9重量%~100重量%を構成する。
【0027】
有機媒体は、例えば、ブチルピロリドン、リン酸トリアルキル、1,2,3-トリアセトキシプロパン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、アセト酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテル、シクロヘキサノン、プロピレンカーボネート、ジメチルアジペート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、二塩基性エステル(DBE)、二塩基性エステル5(DBE-5)、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、プロピレングリコールジアセテート、ジメチルフタレート、メチルイソアミルケトン、プロピオン酸エチル、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、飽和及び不飽和の直鎖及び環状ケトン(それらの混合物として、Eastman Chemical CompanyからEastman(商標)C-11 Ketoneとして市販されている)、ジイソブチルケトン、酢酸エステル(HallstarからExxate(商標)1000として市販されている)、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、又はそれらの組み合わせを含み得る。リン酸トリアルキルは、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチルなどを含み得る。
【0028】
有機媒体は、例えば、ブチルピロリドン、リン酸トリアルキル、1,2,3-トリアセトキシプロパン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、アセト酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、プロピレンカーボネート、ジメチルアジペート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、二塩基性エステル(DBE)、二塩基性エステル5(DBE-5)、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、プロピレングリコールジアセテート、ジメチルフタレート、メチルイソアミルケトン、プロピオン酸エチル、1-エトキシ-2-プロパノール、飽和及び不飽和の直鎖及び環状ケトン(それらの混合物として、Eastman Chemical CompanyからEastman(商標)C-11 Ketoneとして市販されている)、ジイソブチルケトン、酢酸エステル(HallstarからExxate(商標)1000として市販されている)、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、又はそれらの組み合わせを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0029】
有機媒体は、分散相としてのカーボンナノチューブと均質な連続相を形成する一次溶媒及び共溶媒を含み得る。一次溶媒及び共溶媒の両方が、有機溶媒を含み得る。一次溶媒は、例えば、ブチルピロリドン、リン酸トリアルキル、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,2,3-トリアセトキシプロパン、又はそれらの組み合わせを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり得る。共溶媒は、例えば、アセト酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、及び/又はプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルなどのグリコールエーテルを含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなり得る。一次溶媒は、有機媒体の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも65重量%、例えば、少なくとも75重量%の重量で存在し得、かつ99重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、85重量%以下の量で存在し得る。一次溶媒は、有機媒体の総重量に基づいて、50重量%~99重量%、例えば、65重量%~90重量%、例えば、75重量%~85重量%の量で存在し得る。共溶媒は、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%の量で存在し得、かつ50重量%以下、例えば、35重量%以下、例えば、25重量%以下の量で存在し得る。共溶媒は、有機媒体の総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、5重量%~35重量%、例えば、10重量%~35重量%、例えば、12.5重量%~30重量%、例えば、15重量%~25重量%の量で存在し得る。
【0030】
有機媒体は、必要に応じて、180℃で80g/分m2超、例えば、180℃で90g/分m2超、例えば、180℃で100g/分m2超の蒸発速度を有し得る。
【0031】
有機媒体は、分散体の総重量に基づいて、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも87.5重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも91重量%、例えば、少なくとも92重量%、例えば、少なくとも93重量%、例えば、少なくとも94重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも95.5重量%、例えば、少なくとも96重量%、例えば、少なくとも96.5重量%、例えば、少なくとも97重量%、例えば、少なくとも97.5重量%、例えば、少なくとも98重量%、例えば、少なくとも98.5重量%、例えば、99重量%、例えば、少なくとも99.5重量%、例えば、99.9重量%の量で存在し得る。有機媒体は、分散体の総重量に基づいて、99.9重量%以下、例えば、99重量%以下、例えば、98重量%以下の量で存在し得る。有機媒体は、分散体の総重量に基づいて、20%~99.9%、例えば、30%~99.9%、例えば、40%~99.9%、例えば、50%~99.9%、例えば、60%~99.9%、例えば、70%~99.9%、例えば、80%~99.9%、例えば、85%~99.9%、例えば、87.5%~99.9%、例えば、90%~99.9%、例えば、91%~99.9%、例えば、92%~99.9%、例えば、93%~99.9%、例えば、94%~99.9%、例えば、95%~99.9%、例えば、95.5%~99.9%、例えば、96%~99.9%、例えば、96.5%~99.9%、例えば、97%~99.9%、例えば、97.5%~99.9%、例えば、98%~99.9%、例えば、98.5%~99.9%、例えば、90%~99%、例えば、91%~99%、例えば、92%~99%、例えば、93%~99%、例えば、94%~99%、例えば、95%~99%、例えば、95.5%~99%、例えば、96%~99%、例えば、96.5%~99%、例えば、97%~99%、例えば、97.5%~99%、例えば、98%~99%、例えば、98.5%~99%、例えば、90%~98%、例えば、91%~98%、例えば、92%~98%、例えば、93%~98%、例えば、94%~98%、例えば、95%~98%、例えば、95.5%~98%、例えば、96%~98%、例えば、96.5%~98%の量で存在し得る。
【0032】
分散体は、分散剤を更に含む。分散剤は、カーボンナノチューブを分散させることを補助する。分散剤は、カーボンナノチューブと相溶性のある少なくとも1つの相を含み得、有機媒体と相溶性のある少なくとも1つの相を更に含み得る。例えば、分散剤は、2つの異なる官能基、すなわち反応性基及び尾部基から構成され得る。反応性基としては、シラン、カルボン酸、スルホン酸基、ホスホン酸、複素環(例えば、ピリジン、イミダゾール、エポキシドなど)、四級ホスホニウムイオン及び四級アンモニウムイオン、かかる酸素、窒素、硫黄若しくはフッ素含有基(例えば、ヒドロキシル、アミンなど)を水素結合することが可能な基、又はそれらの塩が挙げられ得る。本明細書で使用される場合、分散剤に関する「反応性基」は、化学反応、イオンペアリング、水素結合、分散力、又は化学吸着のいずれかによって、カーボンナノチューブの表面と相互作用することができる官能基として定義される。尾部基は、カーボンナノチューブ同士の相互作用を防止するのに役立ち、したがって、凝集を防止し、分散/脱凝集を促進する第2の官能基を含む。
【0033】
分散体は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は4つより多くの異なる分散剤を含み得る。分散剤は、カーボンナノチューブ及び有機媒体の両方と相溶性のある相を有する任意の材料を含み得る。本明細書で使用される場合、「相溶性」という用語は、経時的に実質的に均質であり、そうあり続けるであろう他の材料とのブレンドを形成する材料の能力を意味する。例えば、分散剤は、ポリマー、界面活性剤、イオン性液体、生体高分子、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0034】
分散剤は、ブロックポリマー、ランダムポリマー、又は勾配ポリマーの形態のポリマーを含み得、ポリマーの異なるブロック中のプレゼントの相は、それぞれ、ポリマー全体にランダムに含まれるか、又はポリマー骨格に沿って漸次、程度の差はあるが、密に存在する。分散剤は、この目的を果たすための任意の好適なポリマーを含み得る。例えば、ポリマーは、とりわけ、エチレン系不飽和モノマー、ポリエポキシドポリマー、ポリアミドポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリ尿素ポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリア酸ポリマー、及びポリエステルポリマーを重合することによって生成される付加ポリマーを含み得る。分散剤はまた、本発明の分散体を組み込むスラリー組成物の結合剤の追加の成分として機能し得る。
【0035】
分散剤の反応性基は、様々な官能基を含み得る。官能基は、例えば、活性水素官能基、複素環基、及びそれらの組み合わせを含み得る。本明細書で使用される場合、「活性水素官能基」という用語は、JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,Vol.49,page3181(1927)に記載されているゼレウィチノフ(Zerewitinoff)試験によって決定される、イソシアネートと反応性である基を指し、例えば、ヒドロキシル基、一級又は二級アミノ基、カルボン酸基、及びチオール基を含む。本明細書で使用される場合、「複素環基」という用語は、環構造中の炭素に加えて、例えば、酸素、窒素、又は硫黄などの少なくとも1個の原子を有する環状部分などの、環中に少なくとも2つの異なる元素を含有する環状基を指す。複素環基の非限定的な例としては、エポキシド、ラクタム、及びラクトンが挙げられる。加えて、エポキシド官能基が付加ポリマー上に存在する場合、分散剤上のエポキシド官能基は、β-ヒドロキシ官能性酸と後反応されてもよい。β-ヒドロキシ官能性酸の非限定的な例としては、クエン酸、酒石酸、及び/又は3-ヒドロキシ-2-ナフト酸などの芳香族酸が挙げられる。エポキシド官能基の開環反応により、分散剤上にヒドロキシル官能基が生じるであろう。
【0036】
酸官能基が存在する場合、分散剤は、少なくとも350g/酸当量、例えば少なくとも878g/酸当量、例えば少なくとも1,757g/酸当量の理論的酸当量を有し得、かつ17,570g/酸当量以下、例えば12,000g/酸当量以下、例えば7,000g/酸当量以下であり得る。分散剤は、350~17,570g/酸当量、例えば878~12,000g/酸当量、例えば1,757~7,000g/酸当量の理論的酸当量を有し得る。
【0037】
上述したように、分散剤は、付加ポリマーを含み得る。付加ポリマーは、以下で考察されるような1つ又は1つより多くのα、β-エチレン系不飽和モノマーに由来し、その残基からなる構成単位を含んでいてもよく、かかるモノマーの反応混合物を重合して調製してもよい。モノマーの混合物は、1つ又は1つより多くの活性水素基含有エチレン系不飽和モノマーを含み得る。反応混合物はまた、複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーを含み得る。本明細書で使用される場合、複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーは、環構造内の炭素に加えて、例えば、酸素、窒素、又は硫黄などの少なくとも1つのα、βエチレン系不飽和基、及び少なくとも1つの原子を有する環状部分を有するモノマーを指す。複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの非限定的な例としては、とりわけ、エポキシ官能性エチレン系不飽和モノマー、ビニルピロリドン、及びビニルカプロラクタムが挙げられる。反応混合物は、他のエチレン系不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、及び以下に記載される他のものを更に含み得る。
【0038】
付加ポリマーは、1つ又は1つより多くの(メタ)アクリルモノマーの残基を含む構成単位を含む(メタ)アクリルポリマーを含み得る。(メタ)アクリルポリマーは、1つ又は1つより多くの(メタ)アクリルモノマー、及び必要に応じて、他のエチレン系不飽和モノマーを含むα、β-エチレン系不飽和モノマーの反応混合物を重合させることによって、調製され得る。本発明で使用される場合、「(メタ)アクリルモノマー」という用語は、アクリル酸、メタクリル酸、及びそこから由来するモノマー(アクリル酸及びメタクリル酸のアルキルエステルなどを含む)を指す。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリルポリマー」という用語は、1つ若しくは1つより多くの(メタ)アクリルモノマーの残基に由来するか、又は1つ若しくは1つより多くの(メタ)アクリルモノマーの残基を含む構成単位を含むポリマーを指す。モノマーの混合物は、1つ又は1つより多くの活性水素基含有(メタ)アクリルモノマー、複素環基を含むエチレン系不飽和モノマー、及び他のエチレン系不飽和モノマーを含み得る。(メタ)アクリルポリマーは、反応混合物中のグリシジルメタクリレートなどのエポキシ官能性エチレン系不飽和モノマーを用いて調製され得、得られたポリマー上のエポキシ官能基を、クエン酸、酒石酸、及び/又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸などのβ-ヒドロキシ官能性酸と後反応させて、(メタ)アクリルポリマー上のヒドロキシル官能基を生じさせることができる。
【0039】
付加ポリマーは、α、β-エチレン系不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位を含んでもよい。α、β-エチレン系不飽和カルボン酸の非限定的な例としては、アクリル酸及びメタクリル酸などの最大10個の炭素原子を含有するものが挙げられる。他の不飽和酸の非限定的な例は、マレイン酸又はその無水物、フマル酸及びイタコン酸などのα、β-エチレン系不飽和ジカルボン酸である。また、これらのジカルボン酸の半分のエステルが用いられ得る。α、β-エチレン系不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%、例えば少なくとも5重量%を含み得、かつ50重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下であり得る。α、β-エチレン系不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成し得る。付加ポリマーは、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、2重量%~50重量%、例えば2重量%~20重量%、例えば2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%、例えば1重量%~5重量%の量でα、β-エチレン系不飽和カルボン酸を含む反応混合物に由来し得る。分散剤中のα、β-エチレン系不飽和カルボン酸の残基を含む構成単位を含めると、少なくとも1つのカルボン酸基を含む分散剤が得られ、分散体への安定性を提供するのに役立ち得る。
【0040】
付加ポリマーは、アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を含んでよい。アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの非限定的な例としては、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも45重量%、例えば、少なくとも50重量%を含み得、かつ98重量%以下、例えば、96重量%以下、例えば、90重量%以下、例えば、80重量%以下、例えば、75重量%以下であり得る。アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、20重量%~98重量%、例えば、30重量%~96重量%、例えば、30重量%~90重量%、40重量%~90重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、45重量%~75重量%を含み得る。付加ポリマーは、アルキル基中に1~3個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、20重量%~98重量%、例えば、30重量%~96重量%、例えば、30重量%~90重量%、40重量%~90重量%、例えば、40重量%~80重量%、例えば、45重量%~75重量%の量で含む反応混合物から誘導され得る。
【0041】
付加ポリマーは、アルキル基中に4~7個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を含んでよい。アルキル基中に4~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの非限定的な例としては、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、及びへプチル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル基中に4~7個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%、例えば、少なくとも20重量%を構成し得、かつ70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、35重量%以下、例えば、25重量%以下、例えば、20重量%以下であり得る。アルキル基中に4~7個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、2重量%~70重量%、例えば、2重量%~60重量%、例えば、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%~35重量%、例えば、2重量%~25重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、5重量%~35重量%、例えば、5重量%~25重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、10重量%~35重量%、例えば、10重量%~25重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、15重量%~70重量%、例えば、15重量%~60重量%、例えば、15重量%~50重量%、例えば、15重量%~40重量%、例えば、15重量%~35重量%、例えば、15重量%~25重量%、例えば、15重量%~20重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、20重量%~35重量%、例えば、20重量%~25重量%を構成し得る。付加ポリマーは、反応混合物であって、アルキル基中に4~7個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、2重量%~70重量%、例えば、2重量%~60重量%、例えば、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%~35重量%、例えば、2重量%~25重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、5重量%~35重量%、例えば、5重量%~25重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、10重量%~35重量%、例えば、10重量%~25重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、15重量%~70重量%、例えば、15重量%~60重量%、例えば、15重量%~50重量%、例えば、15重量%~40重量%、例えば、15重量%~35重量%、例えば、15重量%~25重量%、例えば、15重量%~20重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、20重量%~35重量%、例えば、20重量%~25重量%の量で含む、反応混合物、に由来し得る。
【0042】
付加ポリマーは、アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を含んでよい。アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの非限定的な例としては、オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)が挙げられる。アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%、例えば、少なくとも20重量%を構成し得、かつ70重量%以下、例えば、60重量%以下、例えば、50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、35重量%以下、例えば、25重量%以下、例えば、20重量%以下であり得る。アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、2重量%~70重量%、例えば、2重量%~60重量%、例えば、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%~35重量%、例えば、2重量%~25重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、5重量%~35重量%、例えば、5重量%~25重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、10重量%~35重量%、例えば、10重量%~25重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、15重量%~70重量%、例えば、15重量%~60重量%、例えば、15重量%~50重量%、例えば、15重量%~40重量%、例えば、15重量%~35重量%、例えば、15重量%~25重量%、例えば、15重量%~20重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、20重量%~35重量%、例えば、20重量%~25重量%を構成し得る。付加ポリマーは、反応混合物であって、アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、2重量%~70重量%、例えば、2重量%~60重量%、例えば、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%~35重量%、例えば、2重量%~25重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、5重量%~70重量%、例えば、5重量%~60重量%、例えば、5重量%~50重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、5重量%~35重量%、例えば、5重量%~25重量%、例えば、5重量%~20重量%、例えば、10重量%~70重量%、例えば、10重量%~60重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、10重量%~35重量%、例えば、10重量%~25重量%、例えば、10重量%~20重量%、例えば、15重量%~70重量%、例えば、15重量%~60重量%、例えば、15重量%~50重量%、例えば、15重量%~40重量%、例えば、15重量%~35重量%、例えば、15重量%~25重量%、例えば、15重量%~20重量%、例えば、20重量%~70重量%、例えば、20重量%~60重量%、例えば、20重量%~50重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、20重量%~35重量%、例えば、20重量%~25重量%の量で含む、反応混合物、に由来し得る。
【0043】
代替的に、付加ポリマーは、アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。付加ポリマーは、アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を、かかる構成単位が、付加ポリマーの総重量に基づいて、3重量%未満の量で存在する場合、「実質的に含まない」。付加ポリマーは、アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を、かかる構成単位が、付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%未満の量で存在する場合、「本質的に含まない」。付加ポリマーは、アルキル基中に8~22個の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの残基を含む構成単位を、かかる構成単位が、付加ポリマー中に存在しない、すなわち、付加ポリマーの総重量に基づいて0.0重量%である場合、「完全に含まない」。
【0044】
付加ポリマーは、ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位を含んでもよい。ヒドロキシアルキルエステルの非限定的な例として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%を含み得、かつ30重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下であり得る。ヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%の量でヒドロキシアルキルエステルを含む反応混合物に由来し得る。分散剤中のヒドロキシアルキルエステルの残基を含む構成単位の包含は、少なくとも1つのヒドロキシル基を含む分散剤をもたらす(ただし、ヒドロキシル基は他の方法によって包含され得る)。ヒドロキシアルキルエステルの包含から生じるヒドロキシル基(又は他の手段によって組み込まれる)は、ヒドロキシル基と反応する基を有する自己架橋用モノマーが付加ポリマーに組み込まれるときに、例えば、アミノプラスト、フェノールプラスト、ポリエポキシド、及びブロックポリイソシアネートなどのヒドロキシル基と反応する官能基を含む別に添加される架橋剤と、又は付加ポリマーに存在するN-アルコキシメチルアミド基又はブロックイソシアナート(isocyanato)基と反応し得る。
【0045】
付加ポリマーは、複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含み得る。複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの非限定的な例としては、とりわけ、エポキシ官能性エチレン系不飽和モノマー、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、及びビニルカプロラクタム、ビニルピリジンが挙げられる。複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも5重量%、例えば少なくとも8重量%を含み得、かつ99重量%以下、例えば50重量%以下、例えば40重量%以下、例えば30重量%以下、例えば27重量%以下であり得る。複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~99重量%、例えば0.5重量%~50重量%、例えば1重量%~40重量%、例えば5重量%~30重量%、8重量%~27重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.5重量%~50重量%、例えば1重量%~40重量%、例えば5重量%~30重量%、8重量%~27重量%の量で複素環基を含むエチレン系不飽和モノマーを含む反応混合物に由来し得る。
【0046】
上記のように、付加ポリマーは、自己架橋用モノマーの残基を含む構成単位を含んでもよく、付加ポリマーは、自己架橋用付加ポリマーを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「自己架橋用モノマー」という用語は、分散剤上に存在する他の官能基と反応し得る官能基を、単一の分散剤又は2つ若しくは2つより多くの分散剤の間の架橋に組み込むモノマーを指す。自己架橋用モノマーの非限定的な例としては、N-アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドモノマー、例えば、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びN-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、並びにブロックイソシアネート基を含有する自己架橋用モノマー、例えば、イソシアナート基が硬化温度でブロック解除される化合物と反応する(「ブロックされた」)イソシアナートエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。好適なブロッキング剤の例としては、イプシロン-カプロラクトン及びメチルエチルケトキシムが挙げられる。自己架橋用モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%を含み得、かつ30重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下であり得る。自己架橋用モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%の量で自己架橋用モノマーを含む反応混合物に由来し得る。
【0047】
付加ポリマーは、ホスホン酸、リン酸エステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、ホスフィン酸、ホスフィン酸エステル、スルフィン酸、又はスルフィン酸エステルを含む他の官能化α、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を更に含み得る。そのようなモノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも5重量%を構成し得、かつ50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下であり得る。そのようなモノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%以下~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成し得る。付加ポリマーは、反応混合物であって、ホスホン酸、リン酸エステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、ホスフィン酸、ホスフィン酸エステル、スルフィン酸、又はスルフィン酸エステルを含むα、β-エチレン系不飽和モノマーを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%以下~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%の量で含む、反応混合物、に由来し得る。
【0048】
付加ポリマーは、不飽和シラン基含有モノマーの残基を含む構成単位を含んでもよい。不飽和シラン基含有モノマーの非限定的な例としては、ビニルトリアルコキシシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。不飽和シラン基含有モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも5重量%を構成し得、かつ50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下であり得る。不飽和シラン基含有モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成し得る。付加ポリマーは、反応混合物であって、不飽和シラン基含有モノマーを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%の量で含む、反応混合物、に由来し得る。
【0049】
付加ポリマーは、ビニルアルキルオキサゾリジノンモノマーの残基を含む構成単位を含んでもよい。ビニルアルキルオキサゾリジノンモノマーの非限定的な例としては、ビニルメチルオキサゾリジノン(VMOX)、ビニルエチルオキサゾリジノンなどが挙げられる。ビニルアルキルオキサゾリジノンモノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも5重量%を構成し得、かつ50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下であり得る。ビニルアルキルオキサゾリジノンモノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成し得る。付加ポリマーは、反応混合物であって、ビニルアルキルオキサゾリジノンモノマーを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%の量で含む、反応混合物、に由来し得る。
【0050】
付加ポリマーは、ポリ(アルキレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマーの残基を含む構成単位を含み得る。ポリ(アルキレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマーの非限定的な例としては、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマー、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマーなどが挙げられる。ポリ(アルキレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも5重量%を構成し得、かつ50重量%以下、例えば、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、20重量%以下、例えば、10重量%以下、例えば、5重量%以下であり得る。ポリ(アルキレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%を構成し得る。付加ポリマーは、反応混合物であって、ポリ(アルキレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートモノマーを、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、1重量%~50重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、1重量%~10重量%、2重量%~50重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、2重量%~30重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%、例えば、1重量%~5重量%の量で含む、反応混合物、に由来し得る。
【0051】
付加ポリマーは、他のα、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を含んでもよい。他のα、β-エチレン系不飽和モノマーの非限定的な例としては、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレン及びビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;アクリロニトリル及びメタクリロニトリルなどの有機ニトリル、塩化アリル及びアリルシアニドなどのアリルモノマー;1,3-ブタジエン及び2-メチル-1,3-ブタジエンなどのモノマージエン;並びにアセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)などのアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート(自己架橋用であり得る)が挙げられる。他のα、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%を含み得、かつ30重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下であり得る。他のα、β-エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位は、付加ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%を含み得る。付加ポリマーは、反応混合物に使用される重合性モノマーの総重量に基づいて、0.5重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%、2重量%~10重量%、例えば2重量%~5重量%の量で他のα、β-エチレン系不飽和モノマーを含む反応混合物に由来し得る。
【0052】
付加ポリマーはまた、ポリビニルピロリドンを含み得る。
【0053】
付加ポリマーはまた、直鎖又は非環式アミドポリマーを含み得る。これらの非限定的な例としては、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEOX)が挙げられる。
【0054】
付加ポリマーはまた、アルカリ膨潤性レオロジー修飾剤、例えば、アルカリ膨潤性エマルション(ASE)、疎水基変性型アルカリ膨潤性エマルション(HASE)、ATRPスターポリマー、及びpH誘発性レオロジー変化を提供する他の物質を含んでもよい。アルカリ膨潤性レオロジー修飾剤は、エチレン系不飽和モノマーの残基を含む構成単位を有する付加ポリマーを含み得る。例えば、アルカリ膨潤性レオロジー修飾剤は、以下の残基を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる構成単位を有する付加ポリマーを含み得る:(a)2~70重量%、例えば20~70重量%、例えば25~55重量%、例えば35~55重量%、例えば40~50重量%、例えば45~50重量%のモノエチレン系不飽和カルボン酸と、(b)20~80重量%、例えば35~65重量%、例えば40~60重量%、例えば40~50重量%、例えば45~50重量%のC1~C6アルキル(メタ)アクリレートと、(c)0~3重量%、例えば0.1~3重量%、例えば0.1~2重量%の架橋用モノマー、及び/又は(d)0~60重量%、例えば0.5~60重量%、例えば10~50重量%のモノエチレン系不飽和アルキルアルコキシレートモノマーのうちの少なくとも1つ(重量%は、付加ポリマーの総重量に基づいている)。ASEレオロジー修飾剤は、(a)及び(b)を含み得、必要に応じて(c)を更に含み得、HASEレオロジー修飾剤は、(a)、(b)、及び(d)を含み得、必要に応じて(c)を更に含み得る。(c)が存在する場合、pH依存性レオロジー修飾剤は、架橋pH依存性レオロジー修飾剤と称され得る。酸基が低pHで高いプロトン化度(すなわち、中和されていない)を有する場合、レオロジー修飾剤は水に不溶であり、組成物を厚くしないが、酸がより高いpH値で実質的に脱プロトン化される(すなわち、実質的に中和される)場合、レオロジー修飾剤は可溶性又は分散性(ミセル又はマイクロゲルなど)になり、組成物を増粘させる。
【0055】
(a)モノエチレン系不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸などのC3~C8モノエチレン系不飽和カルボン酸、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0056】
(b)C1~C8アルキル(メタ)アクリレートは、C1~C6アルキル(メタ)アクリレート、例えば、C1~C4アルキル(メタ)アクリレートを含み得る。C1~C8アルキル(メタ)アクリレートは、非置換C1~C8アルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、又はそれらの組み合わせなどを含み得る。
【0057】
(c)架橋用モノマーは、ポリエチレン系不飽和モノマー、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチルプロパンジアリルエーテル、テトラアリルペンタエリスリトール、トリアリルペンタエリスリトール、ジアリルペンタエリスリトール、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ビスフェノールAジアリルエーテル、メチレンビサクリルアミド、アリルスクロースなど、並びにそれらの組み合わせを含み得る。
【0058】
(d)モノエチレン系不飽和アルキル化エトキシレートモノマーは、重合性基、疎水性基、及びポリ(アルキレンオキシド)鎖の二価ポリエーテル基を有するモノマー、例えば約5~150個のエチレンオキシド単位、例えば6~10個のエチレンオキシド単位、及び必要に応じて0~5個のプロピレンオキシド単位を有するポリ(エチレンオキシド)鎖を含み得る。疎水性基は、典型的には、6~22個の炭素原子を有するアルキル基(ドデシル基など)又は8~22個の炭素原子を有するアルカリール基(オクチルフェノールなど)である。二価ポリエーテル基は、典型的には、疎水性基を重合性基に連結する。二価ポリエーテル基連結基及び疎水性基の例としては、ビシクロヘプチル-ポリエーテル基、ビシクロヘプテニル-ポリエーテル基、又は分岐C5~C50アルキル-ポリエーテル基が挙げられ、ビシクロヘプチル-ポリエーテル又はビシクロヘプテニル-ポリエーテル基は、1つ又は1つより多くの環状炭素原子上で、炭素原子当たり1つ又は2つのC1~C6アルキル基で必要に応じて置換されていてもよい。
【0059】
上述のモノマーに加えて、アルカリ膨潤性レオロジー修飾剤は、他のエチレン系不飽和モノマーを含み得る。例えば、ヒドロキシル、アミノ、アミド、グリシジル、チオール、及び他の官能基などの官能基で置換された置換アルキル(メタ)アクリレートモノマー、フッ素を含有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、芳香族ビニルモノマーなどが挙げられる。代替的に、アルカリ膨潤性レオロジー修飾剤は、そのようなモノマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、アルカリ膨潤性レオロジー修飾剤は、モノマーの構成単位が、仮に存在したとしても、アルカリ膨潤性レオロジー修飾剤の総重量に基づいて、それぞれ、0.1重量%未満又は0.01重量%未満の量で存在する場合、そのモノマーを実質的に含まないか、又は本質的に含まない。
【0060】
モノマー及び相対量は、得られた付加ポリマーが、100℃又は100℃未満のTgを有するように選択され得る。得られた付加ポリマーは、例えば、少なくとも-50℃、例えば、少なくとも-40℃、例えば、-30℃、例えば、-20℃、例えば、-15℃、例えば、-10℃、例えば、-5℃、例えば、0℃のTgを有し得る。得られた付加ポリマーは、例えば、+70℃以下、例えば、+60℃以下、例えば、+50℃以下、例えば、+40℃以下、例えば、+25℃以下、例えば、+15℃以下、例えば、+10℃以下、例えば、+5℃以下、例えば、0℃以下のTgを有し得る。得られた付加ポリマーは、例えば、-50~+70℃、例えば、-50~+60℃、例えば、-50~+50℃、例えば、-50~+40℃、例えば、-50~+25℃、例えば、-50~+20℃、例えば、-50~+15℃、例えば、-50~+10℃、例えば、-50~+5℃、例えば、-50~0℃、例えば、-40~+50℃、例えば、-40~+40℃、例えば、-40~+25℃、例えば、-40~+20℃、例えば、-40~+15℃、例えば、-40~+10℃、例えば、-40~+5℃、例えば、-40~0℃、例えば、-30~+50℃、例えば、-30~+40℃、例えば、-30~+25℃、例えば、-30~+20℃、例えば、-30~+15℃、例えば、-30~+10℃、例えば、-30~+5℃、例えば、-30~0℃、例えば、-20~+50℃、例えば、-20~+40℃、例えば、-20~+25℃、例えば、-20~+20℃、例えば、-20~+15℃、例えば、-20~+10℃、例えば、-20~+5℃、例えば、-20~0℃、例えば、-15~+50℃、例えば、-15~+40℃、例えば、-15~+25℃、例えば、-15~+20℃、例えば、-15~+15℃、例えば、-15~+10℃、例えば、-15~+5℃、例えば、-15~0℃、例えば、-10~+50℃、例えば、-10~+40℃、例えば、-10~+25℃、例えば、-10~+20℃、例えば、-10~+15℃、例えば、-10~+10℃、例えば、-10~+5℃、例えば、-10~0℃、例えば、-5~+50℃、例えば、-5~+40℃、例えば、-5~+25℃、例えば、-5~+20℃、例えば、-5~+15℃、例えば、-5~+10℃、例えば、-5~+5℃、例えば、-5~0℃、例えば、-0~+50℃、例えば、-0~+40℃、例えば、-0~+25℃、例えば、-0~+20℃、例えば、-0~+15℃のTgを有し得る。低温で許容できる電池性能を確実にするために、0℃を下回る、より低いTgが望ましい場合がある。
【0061】
付加ポリマーは、重合性モノマーが、溶媒又は溶媒の混合物を含む有機媒体中に溶解され、転換が完了するまでフリーラジカル開始剤の存在下で重合される、従来のフリーラジカル開始溶液重合技術によって調製され得る。付加ポリマーを生成するために使用される有機媒体は、例えば、リン酸トリエチルなどのリン酸トリアルキルなど、有機媒体に関して上記で考察されたものを含む、任意の好適な有機溶媒又は溶媒の混合物を含み得る。
【0062】
フリーラジカル開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(α、γ-メチルバレロニトリル)、過安息香酸三級ブチル、過酢酸三級ブチル、過酸化ベンゾイル、過酸化二三級ブチル及び過酸化三級アミル2-エチルヘキシルカーボネートなどのモノマーの混合物中に可溶性であるものがある。
【0063】
必要に応じて、アルキルメルカプタンなどのモノマー、例えば、三級-ドデシルメルカプタン、メチルエチルケトンなどのケトン、クロロホルムなどのクロロハイドロカーボンの混合物中に可溶性である連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤は、様々なコーティング塗布に必要な粘度を有する生成物を与えるように、分子量を制御する。三級-ドデシルメルカプタンは、モノマーのポリマー生成物への高い転化率をもたらすので、好ましい。
【0064】
付加ポリマーを調製するために、溶媒を最初に加熱して還流してもよく、フリーラジカル開始剤を含有する重合性モノマーの混合物をゆっくりと還流溶媒に添加してもよい。次いで、重合性モノマーの混合物の総重量に基づいて、遊離モノマー含有量を1.0パーセントを下回るように、通常は0.5パーセントを下回るように低減するように、重合温度で保持する。
【0065】
付加ポリマーはまた、アニオン性及び/又はカチオン性重合を使用して調製されてもよい。
【0066】
上述したように、分散剤は、界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤などの任意の好適な界面活性剤を含み得る。
【0067】
上述したように、分散剤は、イオン性液体を含み得る。イオン性液体は、大気圧(101,325Pa)において400℃未満又は400℃に等しい温度で、例えば、100℃未満の温度で、例えば、75℃未満又は75℃に等しい温度で、例えば、室温(すなわち、25℃)未満又は室温に等しい温度で液体である塩である。イオン性液体は、カチオン及びアニオンを含む。好適なカチオンとしては、例えば、イミダゾリウム基、ピリジニウム基、ピロリジニウム基、ホスホニウム基、アンモニウム基、グアニジニウム基、イソウロニウム基、チオウロニウム基、及びスルホニウム基が挙げられ得る。好適なアニオンとしては、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物などのハロゲン化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(FAP)、トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸塩、メチルサルフェート、オクチルサルフェート、チオシアネート、有機ホウ酸塩、p-トルエンスルホネート、過塩素酸塩、及びジシアナミドが挙げられ得る。イオン性液体は、上記のカチオンとアニオンとの任意の組み合わせを含んでもよく、列挙されていない他の好適なカチオン又はアニオンが、使用されてもよい。具体的な非限定的な例としては、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘクスフルオロホスフェート(hexfluorophosphate)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
上述したように、分散剤は、生体高分子を含んでもよい。生体高分子は、DNA、キトサン、グルコースオキシダーゼ、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0069】
分散剤は、少なくとも2,500g/モル、例えば、少なくとも5,000g/モル、例えば、少なくとも7,500g/モル、そのような少なくとも10,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。分散剤は、100,000g/モル以下、例えば、75,000g/モル以下、例えば、50,000g/モル以下、例えば、25,000g/モル以下、例えば、20,000g/モル以下、例えば、15,000g/モル以下、例えば、10,000g/モル以下、例えば、7,500g/モル以下の重量平均分子量を有し得る。分散剤は、2,500~100,000g/モル、例えば、2,500~75,000g/モル、例えば、2,500~50,000g/モル、例えば、2,500~25,000g/モル、例えば、2,500~20,000g/モル、例えば、2,500~15,000g/モル、例えば、2,500~12,500g/モル、例えば、2,500~10,000g/モル、例えば、2,500~7,500g/モル、5,000~100,000g/モル、例えば、5,000~75,000g/モル、例えば、5,000~50,000g/モル、例えば、5,000~25,000g/モル、例えば、5,000~20,000g/モル、例えば、5,000~15,000g/モル、例えば、5,000~12,500g/モル、例えば、5,000~10,000g/モル、例えば、5,000~7,500g/モル、7,500~100,000g/モル、例えば、7,500~75,000g/モル、例えば、7,500~50,000g/モル、例えば、7,500~25,000g/モル、例えば、7,500~20,000g/モル、例えば、7,500~15,000g/モル、例えば、7,500~12,500g/モル、例えば、7,500~10,000g/モル、10,000~100,000g/モル、例えば、10,000~75,000g/モル、例えば、10,000~50,000g/モル、例えば、10,000~25,000g/モル、例えば、10,000~20,000g/モル、例えば、10,000~15,000g/モル、例えば、10,000~12,500g/モルの重量平均分子量を有し得る。
【0070】
分散剤は、少なくとも少なくとも5,000g/モル、例えば、少なくとも10,000g/モル、例えば、少なくとも15,000g/モル、そのような少なくとも20,000g/モルの数平均分子量を有し得る。分散剤は、200,000g/モル以下、例えば、150,000g/モル以下、例えば、100,000g/モル以下、例えば、50,000g/モル以下、例えば、40,000g/モル以下、例えば、30,000g/モル以下、例えば、20,000g/モル以下、例えば、15,000g/モル以下の数平均分子量を有し得る。分散剤は、5,000~200,000g/モル、例えば、5,000~150,000g/モル、例えば、5,000~100,000g/モル、例えば、5,000~50,000g/モル、例えば、5,000~40,000g/モル、例えば、5,000~30,000g/モル、例えば、5,000~25,000g/モル、例えば、5,000~20,000g/モル、例えば、5,000~15,000g/モル、10,000~200,000g/モル、例えば、10,000~150,000g/モル、例えば、10,000~100,000g/モル、例えば、10,000~50,000g/モル、例えば、10,000~40,000g/モル、例えば、10,000~30,000g/モル、例えば、10,000~25,000g/モル、例えば、10,000~20,000g/モル、例えば、10,000~15,000g/モル、15,000~200,000g/モル、例えば、15,000~150,000g/モル、例えば、15,000~100,000g/モル、例えば、15,000~50,000g/モル、例えば、15,000~40,000g/モル、例えば、15,000~30,000g/モル、例えば、15,000~25,000g/モル、例えば、15,000~20,000g/モル、20,000~200,000g/モル、例えば、20,000~150,000g/モル、例えば、20,000~100,000g/モル、例えば、20,000~50,000g/モル、例えば、20,000~40,000g/モル、例えば、20,000~30,000g/モル、例えば、20,000~25,000g/モルの数平均分子量を有し得る。
【0071】
分散剤は、分散体の総固体重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも4重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%、例えば、少なくとも20重量%の量で、分散体中に存在し得る。分散剤は、分散体の総固体重量に基づいて、40重量%以下、例えば、30重量%以下、例えば、25重量%以下の量で、分散体中に存在し得る。分散剤は、分散体の総固体重量に基づいて、0.5重量%~40重量%、例えば、1重量%~40重量%、例えば、2重量%~40重量%、例えば、3重量%~40重量%、例えば、4重量%~40重量%、例えば、5重量%~40重量%、例えば、10重量%~40重量%、例えば、15重量%~40重量%、例えば、20重量%~40重量%、例えば、0.5重量%~30重量%、例えば、1重量%~30重量%、例えば、2重量%~30重量%、例えば、3重量%~30重量%、例えば、4重量%~30重量%、例えば、5重量%~30重量%、例えば、10重量%~30重量%、例えば、15重量%~30重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、0.5重量%~25重量%、例えば、1重量%~25重量%、例えば、2重量%~25重量%、例えば、3%~25%、例えば、4重量%~25重量%、例えば、5重量%~25重量%、例えば、10重量%~25重量%、例えば、15重量%~25重量%、例えば、20重量%~25重量%の量で、分散体中に存在し得る。
【0072】
カーボンナノチューブの分散剤に対する重量比は、250:1~1:1、例えば、100:1~2:1、例えば、75:1~3:1、例えば、50:1~5:1、例えば、25:1~1:1、例えば、25:1~2:1、例えば、25:1~3:1、例えば、25:1~4.1、例えば、25:1~5:1、例えば、25:1~7.5:1、例えば、25:1~10:1、例えば、25:1~15:1、例えば、20:1~1:1、例えば、20:1~2:1、例えば、20:1~3:1、例えば、20:1~4.1、例えば、20:1~5:1、例えば、20:1~7.5:1、例えば、20:1~10:1、例えば、20:1~15:1、例えば、10:1~1:1、例えば、10:1~2:1、例えば、10:1~3:1、例えば、10:1~4.1、例えば、10:1~5:1、例えば、10:1~7.5:1であり得る。
【0073】
分散体は、必要に応じて、カーボンナノチューブ及び分散剤の残基を含むカーボンナノチューブ-分散剤付加物を更に含み得る。例えば、分散剤は、カーボンナノチューブ上に存在する官能基と反応する官能基を含み得、反応性官能基は、反応して、付加物中のカーボンナノチューブと分散剤とを結合する共有結合を形成し得る。カーボンナノチューブ及び分散剤上に存在する好適な官能基は、上記で考察されている。
【0074】
加えて、カーボンナノチューブは、メラミンとの反応によって官能化されて、メラミン官能化カーボンナノチューブを形成し得る。次いで、カーボンナノチューブ-分散剤付加物を形成するために、メラミン官能化ナノチューブが、分散剤と反応され得る。
【0075】
上述のように、分散体は、必要に応じて、分散剤との反応のために別に添加された架橋剤を更に含み得る。架橋剤は、有機媒体中に可溶性又は分散性であり、存在する場合、カルボン酸基及びヒドロキシル基などの分散剤の活性水素基と反応性であるべきである。好適な架橋剤の非限定的な例としては、アミノプラスト樹脂、ブロックポリイソシアネート、及びポリエポキシドが挙げられる。
【0076】
架橋剤として使用するためのアミノプラスト樹脂の例は、メラミン又はベンゾグアナミンなどのトリアジンをホルムアルデヒドと反応させることによって形成されるものである。これらの反応生成物は、反応性N-メチルロール基を含有する。通常、これらの反応性基を、それらの混合物を含むメタノール、エタノール、ブタノールでエーテル化して、それらの反応性を調節する。アミノプラスト樹脂の化学調製及び使用については、Dr.Oldringによって編集された「The Chemistry and Applications of Amino Crosslinking Agents or Aminoplast」,Vol.V,Part II,page21 ff.;John Wiley&Sons/Cita Technology Limited,London,1998を参照されたい。これらの樹脂は、MAPRENAL MF980などの商標MAPRENAL(登録商標)で、並びにCytec Industriesから入手可能なCYMEL303及びCYMEL1128などの商標CYMEL(登録商標)で、市販されている。
【0077】
ブロックポリイソシアネート架橋剤は、典型的には、イソシアネート基が、ε-カプロラクトン及びメチルエチルケトキシムなどの材料と反応(「ブロック化」)するイソシアネート二量体及びその三量体を含む、トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートである。硬化温度では、ブロッキング剤は、(メタ)アクリルポリマーと関連するヒドロキシル官能基と反応性であるイソシアネート官能基を露出させるブロックを解除する。ブロックポリイソシアネート架橋剤は、DESMODUR BLとしてCovestroから市販されている。
【0078】
ポリエポキシド架橋剤の例は、エポキシ含有(メタ)アクリルポリマー、例えば、他のビニルモノマーと共重合したグリシジルメタクリレートから調製したもの、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルなどの多価フェノールのポリグリシジルエーテル;並びに3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、及びビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-メチル)アジペートなどの脂環式ポリエポキシドである。
【0079】
分散剤の架橋を促進することに加えて、架橋用モノマー及び別に添加された架橋剤と関連付けられるものを含む架橋剤は、分散剤の活性水素官能基などの親水性基と反応して、これらの基が、リチウムイオン電池において問題となる可能性のある水分を吸収することを防止する。
【0080】
別に添加された架橋剤は、最大15重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、2重量%~15重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~5重量%の量で分散体中に存在し得、重量%は、結合剤固形分の総重量に基づく。
【0081】
本発明の分散体は、必要に応じて、カーボンナノチューブ以外の導電剤を更に含んでもよい。カーボンナノチューブ以外の導電剤の非限定的な例としては、炭素質材料、例えば、活性炭、アセチレンブラック及びファーネスブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンファイバ、フラーレン、カーボンナノリボン(グラフェンナノリボン)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0082】
カーボンナノチューブ以外の導電剤(ECA)のカーボンナノチューブに対する重量比は、少なくとも1,000:1、例えば、少なくとも750:1、例えば、少なくとも400:1、例えば、少なくとも300:1、例えば、少なくとも200:1、例えば、少なくとも150:1、例えば、少なくとも125:1、例えば、少なくとも100:1、例えば、少なくとも75:1、例えば、少なくとも50:1、例えば、少なくとも25:1、例えば、少なくとも20:1、例えば、少なくとも15:1、例えば、少なくとも13:1、例えば、少なくとも10:1、例えば、少なくとも5:1であり得る。カーボンナノチューブ以外の導電剤のカーボンナノチューブに対する重量比は、5以下:1、例えば、10以下:1、例えば、15以下:1、例えば、20以下:1、例えば、25以下:1、例えば、50以下:1、例えば、75以下:1、例えば、100以下:1、例えば、125以下:1、例えば、150以下:1、例えば、200以下:1、例えば、300以下:1、例えば、400以下:1、例えば、75以下:1であり得る。
【0083】
代替的に、分散体は、カーボンナノチューブ以外の導電剤を実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。分散体は、カーボンナノチューブ以外の導電剤が、導電剤及びカーボンナノチューブの総重量に基づいて、1重量%未満の量で存在する場合、カーボンナノチューブ以外の導電剤を「実質的に含まない」。分散体は、カーボンナノチューブ以外の導電剤が、導電剤及びカーボンナノチューブの総重量に基づいて、0.01重量%未満の量で存在する場合、カーボンナノチューブ以外の導電剤を「本質的に含まない」。分散体は、カーボンナノチューブ以外の導電剤が、カーボンナノチューブ生成の不純物として以外に分散体中に存在しない、すなわち、0.001重量%未満である場合、カーボンナノチューブ以外の導電剤を「完全に含まない」。
【0084】
分散体の導電剤は、カーボンナノチューブを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0085】
分散体は、必要に応じて、フルオロポリマーを含み得る。フルオロポリマーは、フッ化ビニリデンの残基を含む(コ)ポリマーを含み得る。フッ化ビニリデンの残基を含む(コ)ポリマーの非限定的な例は、ポリフッ化ビニリデンポリマー(PVDF)である。本明細書で使用される場合、「ポリフッ化ビニリデンポリマー」は、高分子量のホモポリマー、コポリマー、及びターポリマーを含む、ホモポリマー、バイナリコポリマーなどのコポリマー、及びターポリマーを含む。このような(コ)ポリマーとしては、少なくとも50モル%、例えば、少なくとも75モル%、及び少なくとも80モル%、及び少なくとも85モル%のフッ化ビニリデン(二フッ化ビニリデンとしても既知である)の残基を含有するものが挙げられる。フッ化ビニリデンモノマーは、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、及び本発明のフルオロポリマーを製造するために、フッ化ビニリデンと容易に共重合する任意の他のモノマーからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと共重合してもよい。フルオロポリマーはまた、PVDFホモポリマーも含んでもよい。
【0086】
フルオロポリマーは、少なくとも50,000g/mol、例えば、少なくとも100,000g/molの重量平均分子量を有する高分子量PVDFを含んでよく、50,000g/mol~1,500,000g/mol、例えば、100,000g/mol~1,000,000g/molの範囲であってよい。PVDFは、例えば、KYNARの商標でArkemaから、HYLARの商標でSolvayから、及び内モンゴルの3F Wanhao Fluorochemical Co.,Ltdから市販されている。
【0087】
フルオロポリマーは、ナノ粒子を含み得る。本発明で使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、1,000nm未満の粒径を有する粒子を指す。フルオロポリマーは、少なくとも50nm、例えば、少なくとも100nm、例えば、少なくとも250nm、例えば、少なくとも300nmの粒径を有し得、かつ900nm以下、例えば、600nm以下、例えば、450nm以下、例えば、400nm以下、例えば、300nm以下、例えば、200nm以下であり得る。フルオロポリマーナノ粒子は、50nm~900nm、例えば、100nm~600nm、例えば、250nm~450nm、例えば、300nm~400nm、例えば、100nm~400nm、例えば、100nm~300nm、例えば、100nm~200nmの粒径を有し得る。本明細書で使用される場合、「粒径」という用語は、フルオロポリマー粒子の平均直径を指す。本開示で言及される粒径は、以下の手順により決定された:フルオロポリマーを、アルミニウム走査電子顕微鏡(SEM)スタブに取り付けられた炭素テープのセグメント上に分散させることによって、試料を調製した。余分な粒子を圧縮空気で炭素テープから吹き飛ばした。次いで、試料を、Au/Pdで20秒間スパッタコーティングし、次いで、高真空下で、Quanta250 FEG SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)で分析した。加速電圧を20.00kVに設定し、スポットサイズを3.0に設定した。調製した試料上の3つの異なる領域から画像を収集し、ImageJソフトウェアを使用して、各領域から10個のフルオロポリマー粒子の直径を測定し、合計30個の粒径測定値について、これらを一緒に平均化して、平均粒径を決定した。
【0088】
フルオロポリマーが存在する場合、有機媒体は、フルオロポリマーが、室温及び標準圧力(例えば、約23℃及び約1バールの大気圧)で溶解されるのとは対照的に、有機媒体中に分散されるように、必要に応じて選択され得る。組成物の温度が上昇するにつれて、フルオロポリマーは、溶解し得、有機媒体は、必要に応じて、その中に分散したフルオロポリマーの溶解温度において、10g/分m
2未満の蒸発速度を有し得る。蒸発速度は、ASTM D3539(1996)を使用して測定され得る。本発明によれば、有機媒体中に分散したフルオロポリマーの溶解温度は、混合物の複素粘度を、温度の関数として測定することによって決定され得る。この技術は、有機媒体中に(他の種類のポリマーに加えて)混合されたフルオロポリマーに適用され得、この場合、かかる混合物の不揮発性固体の総質量は、混合物の総質量の45%などの44%~46%である。複素粘度は、50ミリメートルのコーン及び温度制御式プレートを使用して、Anton-Paar MCR301レオメータで測定することができる。フルオロポリマー混合物の複素粘度は、毎分10℃の温度ランプレート、1Hzの周波数、及び90Paの応力振幅セットポイントを用いて、20℃~少なくとも75℃の温度範囲にわたって測定される。有機媒体中のフルオロポリマーの溶解は、温度が上昇するにつれて複素粘度が急激に増加することによって示される。溶解温度は、温度上昇に伴う粘度の変化率が最も高い温度として定義され、複素粘度のLog
10の温度に対する一次微分値が最大に達する温度を決定することによって、計算される。以下の表は、Inner Mongolia 3F Wanhao Fluorochemical Co.Ltd.からのPVDF T-1(PVDF T-1は、約330~380nmの粒径及び約130,000~160,000g/モルの重量平均分子量を有する)を使用して、列挙される様々な溶媒又は溶媒混合物中で、この方法に従って決定された溶解温度を示す。
【表1】
【0089】
有機媒体中に分散したフルオロポリマーの溶解温度は、77℃未満、例えば、70℃未満、例えば、65℃未満、例えば、60℃未満、例えば、55℃未満、例えば、50℃未満であり得る。有機媒体中に分散したフルオロポリマーの溶解温度は、30℃~77℃、例えば、30℃~70℃、例えば、30℃~65℃、例えば、30℃~60℃、例えば、30℃~55℃、例えば、30℃~50℃の範囲であり得る。溶解温度は、上記で考察された方法に従って測定され得る。
【0090】
分散剤は、存在する場合、必要に応じて、フルオロポリマーを分散させることを補助するようにも機能し得る。そのような場合、分散剤は、フルオロポリマーと相溶性である少なくとも1つの相を有する。
【0091】
フルオロポリマーは、有機媒体中に可溶化され得る。
【0092】
分散体は、分散したフルオロポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、分散体は、分散したフルオロポリマーが、仮に存在したとしても、分散体の総重量に基づいて、0.5重量%未満の量で存在する場合、分散したフルオロポリマーを「実質的に含まない」。本明細書で使用される場合、分散体は、分散したフルオロポリマーが、仮に存在したとしても、分散体の総重量に基づいて、0.1重量%未満の量で存在する場合、分散したフルオロポリマーを「本質的に含まない」。本明細書で使用される場合、分散体は、分散したフルオロポリマーが、分散体中に存在しない、すなわち、分散体の総重量に基づいて、0.00重量%である場合、分散したフルオロポリマーを「完全に含まない」。
【0093】
分散体は、フルオロポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、分散体は、フルオロポリマーが、仮に存在したとしても、分散体の総重量に基づいて、0.5重量%未満の量で存在する場合、フルオロポリマーを「実質的に含まない」。本明細書で使用される場合、分散体は、フルオロポリマーが、仮に存在したとしても、分散体の総重量に基づいて、0.1重量%未満の量で存在する場合、フルオロポリマーを「本質的に含まない」。本明細書で使用される場合、分散体は、フルオロポリマーが、分散体中に存在しない、すなわち、分散体の総重量に基づいて、0.00重量%である場合、フルオロポリマーを「完全に含まない」。
【0094】
分散体は、有機媒体、有機媒体中に分散したカーボンナノチューブ、及び分散剤を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなり得る。
【0095】
分散体は、リン酸トリアルキル、有機媒体中に分散したカーボンナノチューブ、及び分散剤を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる有機媒体を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0096】
分散体は、リン酸トリアルキル並びにアセト酢酸エチル、有機媒体中に分散したカーボンナノチューブ、及び分散剤を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる有機媒体を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0097】
上述のように、本発明はまた、上記で考察したような分散体と、電気化学的活性材料と、結合剤とを含む電池電極を生成するためのスラリー組成物に関する。
【0098】
スラリー組成物は、電気化学的活性材料を含み得る。スラリーに含有される電気化学的活性材料を構成する材料は、特に限定されず、対象となる蓄電デバイスの種類に従って、好適な材料が選択され得る。
【0099】
電気化学的活性材料は、正極の活性材料として使用するための材料を含み得る。電気化学的活性材料は、リチウムを組み込むことができる材料(リチウムインターカレーション/デインターカレーションによる組み込みを含む)、リチウム変換可能な材料、又はそれらの組み合わせを含み得る。リチウムを組み込むことができる電気化学的活性材料の非限定的な例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiFePO4、LiCoPO4、LiMnO2、LiMn2O4、Li(NiMnCo)O2、Li(NiCoAl)O2、炭素コーティングされたLiFePO4、及びそれらの組み合わせが挙げられる。リチウム変換可能な材料の非限定的な例としては、硫黄、LiO2、FeF2並びにFeF3、アルミニウム、スズ、SnCo、Fe3O4、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
電気化学的活性材料は、負極の活性材料として使用するための材料を含み得る。電気化学的活性材料は、グラファイト、チタン酸リチウム、ケイ素化合物、スズ、スズ化合物、硫黄、硫黄化合物、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0101】
電気化学的活性材料は、スラリーの総固体重量に基づいて、45重量%~99重量%、例えば、50重量%~99重量%、例えば、55重量%~99重量%、例えば、60重量%~99重量%、例えば、65重量%~99重量%、例えば、85重量%~99重量%、例えば、95重量%~99重量%、例えば、97重量%~99重量%、例えば、98重量%~99重量%、例えば、55~98重量%、例えば、65重量%~98重量%、例えば、70重量%~98重量%、例えば、80重量%~98重量%、例えば、90重量%~98重量%、例えば、91重量%~98重量%、例えば、91重量%~95重量%、例えば、94重量%~98重量%、例えば、95重量%~98重量%、例えば、96重量%~98重量%、例えば、94%~99%、例えば、95%~99%、例えば、96%~99%、例えば、97%~99%の量で、スラリー中に存在し得る。
【0102】
結合剤は、フルオロポリマー、分散剤、及び別に添加された架橋剤を含み得、これらの各々は、上述されている。
【0103】
フルオロポリマーは、結合剤固形分の総重量に基づいて、40重量%~100重量%、例えば、40重量%~96重量%、例えば、50重量%~95重量%、例えば、50重量%~90重量%、例えば、70重量%~90重量%、例えば、80重量%~90重量%の量で、結合剤中に存在し得る。
【0104】
分散剤は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、例えば、1重量%~6重量%、例えば、1.3重量%~4.5重量%、例えば、1.9重量%~2.9重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。
【0105】
別に添加された架橋剤は、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、0.001重量%~5重量%、例えば、0.002重量%~2重量%、例えば、0.002重量%~1重量%、例えば、0.005重量%~0.5重量%、例えば、0.005重量%~0.3重量%、例えば、0.1重量%~5重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。
【0106】
本明細書で使用される場合、「樹脂固形分」という用語は、「結合剤固形分」と同義に使用され得、フルオロポリマーと、存在する場合、分散剤と、別に添加される架橋剤とを含む。本明細書で使用される場合、「結合剤分散体」という用語は、有機媒体中の結合剤固形分の分散体を指す。
【0107】
フルオロポリマーは、40重量%~96重量%、例えば、50重量%~90重量%の量で結合剤中に存在し得、分散剤は、2重量%~20重量%、例えば、5重量%~15重量%の量で存在し得、付加ポリマーは、10重量%~60重量%、20重量%~60重量%、例えば、30重量%~60重量%、例えば、10重量%~50重量%、例えば、15重量%~40重量%、例えば、20重量%~30重量%、例えば、35重量%~35重量%の量でスラリー組成物中に存在し得、別に添加される架橋剤は、最大15重量%、例えば、1重量%~15重量%の量で存在し得、重量%は、結合剤固形分の総重量に基づく。有機媒体は、結合剤分散体の総重量に基づいて、20重量%~70重量%、例えば、30重量%~60重量%の量で、結合剤分散体中に存在する。
【0108】
結合剤固形分は、スラリーの総固体重量に基づいて、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%の量で、スラリー中に存在し得る。
【0109】
本発明のスラリー組成物は、必要に応じて、カーボンナノチューブ以外の導電剤を更に含み得る。導電剤の非限定的な例としては、炭素質材料、例えば、活性炭、アセチレンブラック及びファーネスブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンファイバ、フラーレン、カーボンナノリボン(グラフェンナノリボン)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。導電性材料はまた、100m2/g超のBET表面積などの高表面積を有する任意の活性炭を含み得る。いくつかの実施例では、導電性カーボンは、100m2/g~1000m2/g、例えば、150m2/g~600m2/g、例えば、100m2/g~400m2/g、例えば、200m2/g~400m2/gのBET表面積を有し得る。いくつかの実施例では、導電性カーボンは、約200m2/gのBET表面積を有し得る。好適な導電性カーボン材料は、Cabot Corporationから市販されているLITX200である。上述のように、グラフェンは、導電剤として使用され得る。グラフェンの典型的なBET表面積は、300~1600m2/gの範囲である。いくつかの例では、グラフェンの測定された表面積は、2000m2/gを超え得る。
【0110】
カーボンナノチューブを含む導電剤は、スラリーの総固体重量に基づいて、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%、例えば、1重量%~3重量%、例えば、1重量%~2重量%、例えば、2重量%~20重量%、例えば、2重量%~10重量%、例えば、2重量%~8重量%、例えば、2重量%~6重量%、例えば、2.5重量%~5重量%、例えば、5重量%~10重量%の量で、スラリー中に存在し得る。
【0111】
カーボンナノチューブは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、少なくとも0.001重量%、例えば、少なくとも0.0025重量%、そのような少なくとも0.005重量%、例えば、少なくとも0.0075重量%、例えば、少なくとも0.01重量%、例えば、0.025重量%、例えば、0.05重量%、例えば、少なくとも0.075重量%、例えば、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも0.25重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも0.75重量%、例えば、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。カーボンナノチューブは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、2重量%以下、例えば、1重量%以下、例えば、0.5重量%以下の量で、スラリー組成物中に存在し得る。カーボンナノチューブは、スラリー組成物の総固体重量に基づいて、0.001重量%~2重量%、例えば、0.0025重量%~2重量%、例えば、0.005重量%~2重量%、例えば、0.075重量%~2重量%、例えば、0.01重量%~1重量%、例えば、0.025重量%~1重量%、例えば、0.05重量%~1重量%、例えば、0.075重量%~1重量%、例えば、0.1重量%~1重量%、例えば、0.1重量%~2重量%、例えば、0.25重量%~1重量%、例えば、0.25重量%~2重量%、例えば、0.5重量%~1重量%、例えば、0.5重量%~2重量%、例えば、0.75重量%~1重量%、例えば、0.75重量%~2重量%、例えば、0.025重量%~0.5重量%、例えば、0.05重量%~0.5重量%、例えば、0.075重量%~0.5重量%、例えば、0.1重量%~0.5重量%の量で、スラリー組成物中に存在し得る。
【0112】
有機媒体と、電気化学的活性材料と、カーボンナノチューブと、必要に応じて、カーボンナノチューブ以外の導電性材料と、結合剤と、必要に応じて、追加の有機媒体と、必要に応じた成分とを含む電極スラリー組成物は、成分を組み合わせてスラリーを形成することによって調製され得る。これらの物質は、撹拌器、ビーズミル、又は高圧ホモジナイザーなどの既知の手段で撹拌することによって一緒に混合することができる。
【0113】
電極スラリー組成物の製造のための混合及び撹拌については、満足のいく分散条件を満たす程度にこれらの成分を撹拌することができるミキサーを選択すべきである。分散の程度は、粒ゲージで測定され得、混合及び分散は、好ましくは、100ミクロン又は100ミクロンより大きい凝集塊が存在しないことを確実にするために実施される。この条件を満たすミキサーの例としては、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、粉砕機、押出機、ローターステータ、パグミル、超音波分散機、ホモジナイザー、遊星ミキサー、ホバートミキサー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0114】
スラリー組成物は、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも55重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも65重量%、例えば、少なくとも71重量%、例えば、少なくとも75重量%の固体含有量を有し得、かつ90重量%以下、例えば、85重量%以下、例えば、75重量%以下であり得、重量%は、スラリー組成物の総重量に基づく。スラリー組成物は、スラリー組成物の総重量に基づいて、30重量%~90重量%、例えば、40重量%~85重量%、例えば、50重量%~85重量%、例えば、55重量%~85重量%、例えば、60重量%~85重量%、例えば、65重量%~85重量%、例えば、71重量%~85重量%、例えば、75重量%~85重量%の固体含有量を有し得る。
【0115】
本発明はまた、集電体と、集電体上に形成されたフィルムとを含む電極に関し、フィルムは、上述の電極スラリー組成物から堆積される。電極は、正極又は負極であり得、上述のスラリー組成物を集電体の表面に塗布してコーティングフィルムを形成し、続いてコーティングフィルムを乾燥及び/又は硬化することによって製造され得る。コーティングフィルムは、少なくとも1ミクロン、例えば、1~500ミクロン(μm)、例えば、1~150μm、例えば、25~150μm、例えば、30~125μmの厚さを有し得る。コーティングフィルムは、架橋コーティングを備え得る。集電体は、導電性材料を含み得、導電性材料は、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、及びそれらの合金、並びにステンレス鋼などの金属を含み得る。例えば、集電体は、メッシュ、シート、又は箔の形態のアルミニウム又は銅を含み得る。集電体の形状及び厚さは、特に限定されないが、集電体は、約0.001~0.5mmの厚さを有するメッシュ、シート、又は箔など、約0.001~0.5mmの厚さを有し得る。
【0116】
加えて、集電体は、スラリー組成物を堆積させる前に、前処理組成物で前処理され得る。本明細書で使用される場合、「前処理組成物」という用語は、集電体と接触すると、集電体表面と反応し、集電体表面を化学的に変化させ、それに結合して保護層を形成する組成物を指す。前処理組成物は、群IIIB及び/又はIVB金属を含む前処理組成物であり得る。本明細書で使用される場合、「IIIB及び/又はIVB族金属」という用語は、例えば、Handbook of Chemistry and Physics,63rd edition(1983)に示されるように、元素のCAS周期表のIIIB族又はIVB族にある元素を指す。該当する場合、金属自体が使用され得るが、基IIIB及び/又はIVB金属化合物も使用され得る。本発明で使用される場合、「IIIB族及び/又はIVB族金属化合物」という用語は、元素のCAS周期表のIIIB族又はIVB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。好適な前処理組成物及び集電体を前処理するための方法は、米国特許第9,273,399号、第4欄、第60行~第10欄、第26行に記載されており、この引用部分は、参照により本明細書に組み込まれる。前処理組成物を使用して、正極又は負極を生成するために使用される集電体を処理することができる。
【0117】
スラリー組成物を集電体に塗布する方法は、特に限定されない。スラリー組成物は、ドクターブレードコーティング、ディップコーティング、リバースロールコーティング、ダイレクトロールコーティング、グラビアコーティング、押出コーティング、浸漬、又はブラッシングによって塗布され得る。スラリー組成物の塗布量は、特に限定されないが、有機媒体が除去された後に形成されるコーティングの厚さは、25~150ミクロン(μm)、例えば、30~125μmであり得る。
【0118】
該当する場合、塗布後のコーティングフィルムの乾燥及び/又は架橋は、例えば、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃、例えば、50~145℃、例えば、60~120℃、例えば、65~110℃の高温で加熱することによって行われ得る。加熱の時間は、温度に多少依存するであろう。一般的に、温度が高いほど、硬化に必要な時間は短くなる。通常、硬化時間は、5~60分などの少なくとも5分間である。温度及び時間は、(該当する場合)硬化フィルム中の分散剤が架橋される、すなわち、分散剤ポリマー鎖上の共反応性基、例えば、カルボン酸基及びヒドロキシル基、及びアミノプラストのN-メチルロール並びに/若しくはN-メチルロールエーテル基、ブロックポリイソシアネート架橋剤のイソシアネート基、又は自己硬化分散剤の場合、N-アルコキシメチルアミド基又はブロックイソシアネート基の間に共有結合が形成されるように、十分でなければならない。硬化又は架橋の程度は、メチルエチルケトン(MEK)などの溶媒に対する耐性として測定され得る。試験は、ASTM D-540293に記載されているように実行される。1往復運動であるダブルラブの数が報告される。この試験は、しばしば「MEK耐性」と称される。したがって、分散剤及び架橋剤(自己硬化分散剤及び別に添加された架橋剤を有する分散剤を含む)は、結合剤組成物から単離され、フィルムとして堆積され、結合剤フィルムが加熱される温度及び時間で加熱される。次に、報告されたダブルラブ数を伴うMEK耐性について、フィルムを測定する。したがって、架橋分散剤は、少なくとも50ダブルラブ、例えば、少なくとも75ダブルラブのMEK耐性を有するであろう。また、架橋分散剤は、下記の電解質の溶媒に対して実質的に耐溶媒性であり得る。コーティングフィルムを乾燥させる他の方法としては、周囲温度乾燥、マイクロ波乾燥、及び赤外線乾燥が挙げられ、コーティングフィルムを硬化させる他の方法としては、電子ビーム硬化及びUV硬化が挙げられる。
【0119】
リチウムイオン蓄電デバイスの放電中、リチウムイオンは、負極から放出され、電流を正極に伝えることができる。このプロセスは、デインターカレーションとして知られるプロセスを含み得る。充電中、リチウムイオンは、正極中の電気化学的活性材料から負極中に移動し、負極中に存在する電気化学的活性材料中に埋め込まれる。このプロセスは、インターカレーションとして知られるプロセスを含み得る。
【0120】
本発明はまた、蓄電デバイスに関する。本発明による蓄電デバイスは、本発明のスラリー組成物から調製された上記の電極を使用するステップによって製造され得る。蓄電デバイスは、電極、対電極、及び電解質を備える。電極、対電極、又は両方は、1つの電極が正極であり、1つの電極が負極である限り、本発明の電極を含み得る。本発明による蓄電デバイスは、セル、電池、電池パック、二次電池、コンデンサ、及びスーパーコンデンサを含む。
【0121】
蓄電デバイスは、電解液を含み、一般的に使用される方法に従って、セパレータなどの部品を使用するステップによって製造することができる。より具体的な製造方法として、負極と正極とを、それらの間のセパレータとともに組み立て、得られたアセンブリを、電池の形状に従って、圧延又は折り曲げて、電池容器に入れ、電解液を電池容器に注入し、電池容器を密封する。電池の形状は、コイン、ボタン又はシートのように、円筒形、正方形、又は平面であってもよい。
【0122】
電解液は液体であってもゲルであってもよく、電池として効果的に機能することができる電解液は、負極活性材料及び正極活性材料の種類に従って蓄電デバイスに使用される既知の電解液の中から選択することができる。電解液は、好適な溶媒中に溶解された電解質を含有する溶液であってもよい。電解質は、リチウムイオン二次電池のための従来から既知のリチウム塩であり得る。リチウム塩の例としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiB(C6H5)4、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、LiB4CH3SO3Li、及びCF3SO3Liが挙げられる。上記電解質を溶解するための溶媒は、特に限定されず、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート及びジエチルカーボネートなどのカーボネート化合物、γ-ブチルラクトンなどのラクトン化合物、トリメトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2-エトキシエタン、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランなどのエーテル化合物、並びにジメチルスルホキシドなどのスルホキシド化合物が挙げられる。電解液中の電解質の濃度は、0.5~3.0モル/L、例えば0.7~2.0モル/Lであり得る。
【0123】
分散体は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、分散体は、NMPが、仮に存在したとしても、分散体の総重量に基づいて、5重量%未満の量で存在する場合、NMPを「実質的に含まない」。本明細書で使用される場合、分散体は、NMPが、仮に存在したとしても、分散体の総重量に基づいて、0.3重量%未満の量で存在する場合、NMPを「本質的に含まない」。本明細書で使用される場合、分散体は、NMPが分散体中に存在しない、すなわち、分散体の総重量に基づいて、0.0重量%である場合、NMPを「完全に含まない」。
【0124】
分散体は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノンなどのケトンを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。
【0125】
分散体は、エチレン又はプロピレングリコールのC1~C4アルキルエーテルなどのエーテルを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。
【0126】
分散体は、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。
【0127】
分散体は、アルキルアンモニウム塩コポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。
【0128】
分散体は、オレフィンブロック無水マレイン酸コポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。
【0129】
分散体は、ビニルピロリドンコポリマーを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。
【0130】
分散体は、ポリビニルピロリドンを実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。
【0131】
分散体は、活性炭を実質的に含まないか、本質的に含まないか、又は完全に含まなくてもよい。
【0132】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、広義に、オリゴマー並びにホモポリマー及びコポリマーの両方を指す。「樹脂」という用語は、「ポリマー」と交換可能に使用される。
【0133】
「アクリル」及び「アクリレート」という用語は、互換的に使用され(そうすることで意図された意味を変えることがない限り)、別様に明確に示されない限り、アクリル酸、それらの無水物並びに誘導体、例えば、C1~C5アルキルエステル、低級アルキル置換アクリル酸、例えば、C1~C2置換アクリル酸、例えば、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸など、及びそれらのC1~C4アルキルエステルを含む。「(メタ)アクリル」又は「(メタ)アクリレート」という用語は、示される物質、例えば(メタ)アクリレートモノマーのアクリル/アクリレート及びメタクリル/メタクリレート形態の両方をカバーすることを意図している。「(メタ)アクリルポリマー」という用語は、1つ又は1つより多くの(メタ)アクリルモノマーから調製されたポリマーを指す。
【0134】
本明細書で使用される場合、分子量は、ポリスチレン標準物質を使用するゲル透過クロマトグラフィーによって決定される。別途示されない限り、分子量は、重量平均ベースである。本明細書で使用される場合、「重量平均分子量」又は「(Mw)」という用語は、Waters410示差屈折計(RI検出器)を有するWaters2695分離モジュール、580Da~365,000Daの分子量を有する直鎖ポリスチレン標準物質、0.5mL/分の流速での溶出液としての、0.05Mの臭化リチウム(LiBr)を有するジメチルホルムアミド(DMF)、及び分離のための1つのShodex Asahipak GF-510 HQカラム(300×7.5mm、5μm)を使用して、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定される重量平均分子量(Mw)を意味する。
【0135】
本明細書で使用される「ガラス転移温度」という用語は、理論的値であり、T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.(Ser.II)1,123(1956)及びJ.Brandrup,E.H.Immergut,Polymer Handbook 3rd edition,John Wiley,New York,1989によるモノマー電荷のモノマー組成に基づくFOXの方法によって計算されるガラス転移温度である。
【0136】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、実質的に含まないという用語は、成分が、仮に存在したとしても、分散体又はスラリー組成物の総重量に基づいて、5重量%未満の量で存在することを意味する。
【0137】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、本質的に含まないという用語は、成分が、仮に存在したとしても、分散体又はスラリー組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の量で存在することを意味する。
【0138】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、完全に含まないという用語は、成分が、スラリー組成物中に存在しない、すなわち、分散体又はスラリー組成物の総重量に基づいて、0.00重量%であることを意味する。
【0139】
本明細書で使用される場合、「全固形分」という用語は、本発明の分散体又はスラリー組成物の不揮発性成分を指し、具体的には、有機媒体を除外する。
【0140】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という用語は、記載された材料又はステップ、並びに特許請求された本発明の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響しないものを含む。
【0141】
本明細書で使用される場合、「からなる」という用語は、記載されていない全ての元素、ステップ、又は構成成分を除外する。
【0142】
詳細な説明の目的のために、本発明が、相反することが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形及びステップシーケンスが想定され得ることが理解されるべきである。更に、任意の動作例以外、又は別途示される場合、値、量、パーセンテージ、範囲、部分範囲、及び端数を表すものなどの全ての数は、用語が明示的に現れなくても、「約」という言葉が前にあるかのように読むことができる。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、均等論の原理の適用を特許請求の範囲の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。クローズ又はオープンエンドの数値範囲が本明細書に記載される場合、数値範囲内又は数値範囲に包含される全ての数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、及び端数は、これらの数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、及び端数がそれらの全体が明示的に書き出されているかのように、本出願の元の開示に特異的に含まれ、かつそれに属するものとみなされるべきである。
【0143】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の例において記載される数値は、できる限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に得られる特定の誤差を本質的に含有する。
【0144】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、複数の用語は、別途示されない限り、その単数の対応物を包含することができ、その逆もまた同様である。例えば、本明細書では、「1つ(an)」の電気化学的活性材料、「1つ(an)」のフルオロポリマー、「1つ(an)」の分散剤、及び「1つ(a)」の導電剤に言及するが、これらの成分の組み合わせ(すなわち、複数)を使用することができる。加えて、本明細書では、「及び/又は」がある特定の例で明示的に使用され得るが、別途明記されない限り、「又は」の使用は、「及び/又は」を意味する。
【0145】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する」、及び同様の用語は、本出願の文脈において「含む(comprising)」と同義であることが理解され、したがって、オープンエンドであり、追加の非記述又は非記載の要素、材料、構成成分、又は方法ステップの存在を除外しない。本明細書で使用される場合、「からなる」は、任意の不特定の要素、構成成分、又は方法ステップの存在を除外するために、本出願の文脈において理解される。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、特定の要素、材料、構成成分、又は方法ステップ、記載されているものの「基本的かつ新規の特徴に物質的に影響を及ぼさないもの」を含むように、本出願の文脈において理解される。本発明の様々な実施形態は、「含む」という観点から記述されてきたが、本質的にからなるか又はからなる実施形態も、本発明の範囲内である。
【0146】
本明細書で使用される場合、「上(on)」、「上に(onto)」、「上に塗布される(applied on)」、「上に塗布される(applied onto)」、「上に形成される(formed on)」、「上に堆積される(deposited on)」、「上に堆積される(deposited onto)」という用語は、表面上に形成される、重ねられる、堆積される、又は提供されるが必ずしも表面と接触しないことを意味する。例えば、基材「上に堆積された」組成物は、スラリー組成物と基材との間に位置する、同じ又は異なる組成物の1つ又は1つより多くの他の介在するコーティング層の存在を排除しない。
【0147】
本発明の特定の実施形態が詳細に説明されているが、本開示の全体的な教示に照らして、それらの詳細に対する様々な修正及び代替案が開発され得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、開示される特定の構成は、添付の特許請求の範囲の全容並びにその任意の及び全ての等価物を与える本発明の範囲についてのみの例示であり、限定ではないことを意味する。
【0148】
本発明を例示することは、以下の実施例であるが、しかしながら、本発明をそれらの詳細に限定するとみなすべきではない。別途示されない限り、以下の実施例における、並びに本明細書の全体を通して、全ての部及びパーセンテージは、重量によるものである。
【実施例】
【0149】
化学物質サプライヤ:全てのアクリルモノマーは、BASF又はDow Chemical Companyから入手可能である。Trigonoxは、AkzoNobelから入手可能である。PVDFは、Shanghai 3F(T-1 PVDF、「PVDF1」)及びSolvay(PVDF Solef5130、「PVDF2」)から入手した。リン酸トリエチル(「TEP」)及びアセト酢酸エチル(「EAA」)は、いずれもEastman Chemical Companyから入手可能である。導電性炭素LITX200は、Cabotから入手した。NMC622も、Targrayから入手可能である。Resimene HM-2608(イソブタノール中の90%活性物質)は、INEOSから入手した。Resimene HM-2608の10%活性物質溶液をTEP(「添加剤溶液Z」)中で調製した。カーボンナノチューブを乾燥粉末形態で得た。及びTuball(CNT-2)。Miralonパルプ(「CNT-1」)は、Huntsmanから入手可能な多層カーボンナノチューブ(以前は、カーボンナノチューブパルプとしてNanocomp Technologiesから入手可能)であり、200m2/gのBET表面積を有し、TUBALL(「CNT-2」)は、1.6±0.4nmの幅、5ミクロン超の長さ、及び300m2/g超のBET表面積を有する、OCSiAlから入手可能な単層カーボンナノチューブである。
【0150】
アクリル樹脂分散剤の合成
以下の表は、実施例で使用される溶媒、ラジカル開始剤、又はアクリルモノマーの略語又は商品名を含む。
【表2】
【0151】
一般的な合成手順:アクリル樹脂分散剤を、以下の手順に従って、以下の表に提供されるモノマー組成物を使用して調製した。4首丸底フラスコに、リン酸トリエチル(TEP、添加1)を添加し、フラスコを機械的撹拌ブレード、熱電対、及び還流凝縮器とともにセットアップした。窒素雰囲気下で、TEP溶媒が入ったフラスコを120℃の設定点まで加熱した。別の容器内での完全混合を使用して、モノマー溶液を調製した。TEP(添加2)中のTrigonox131の溶液を調製し、360分にわたって、添加漏斗を介してフラスコ内に添加した。開始剤溶液の開始から5分後に、モノマー溶液を、300分にわたって、第2の添加漏斗を介してフラスコ内に添加した。モノマー供給が完了した後、モノマー添加漏斗をすすいだTEP(すすぎ1)。開始剤供給が完了した後、開始剤添加漏斗をTEPですすいだ(すすぎ2)。次いで、反応を120℃に60分間保持した。60分間保持した後、反応を冷却し、好適な容器に注いだ。アクリル樹脂分散剤組成物の固形分含有量を、各組成物の実施例において、以下の手順により測定した:Fisher Scientificのアルミニウム計量皿を、分析天秤を使用して計量した。空皿の重量を小数点以下4桁まで記録した。約0.5gの分散剤を、秤量した皿に添加し、皿及びアクリル樹脂溶液の重量を小数点以下第4位まで記録した。次に、約3.5gのアセトンを、計量皿に添加した。アクリル樹脂溶液とアセトンとを含有する皿を実験室オーブンに入れ、オーブン温度を110℃に設定し、1時間乾燥させた。皿及び乾燥アクリル樹脂を、分析天秤を使用して秤量した。皿及び乾燥アクリル樹脂の重量を、小数点以下第4位まで記録した。固形分含有量は、以下の式を使用して決定した:固形分%=100×[(皿及び乾燥アクリル樹脂の重量)-(空の皿の重量)]/[(皿及びアクリル樹脂の重量)-(空の皿の重量)]。樹脂A、B、C、及びDの固形分重量%は、全て51%であった。
【表3】
【0152】
実施例1:結合剤組成物及びCNT-1分散体の調製
比較結合剤組成物1:PVDF-2の8%溶液を、窒素ブランケット下のガラスジャー内のNMP中で調製した。溶液を撹拌し、120℃で3時間加熱して、溶解を確実にした。この材料を比較結合剤として使用した。
【0153】
結合剤組成物2:結合剤組成物2を、樹脂A、樹脂B、樹脂C、PVDF1、及びPVDF2を以下の重量比、アクリル樹脂分散剤1.75部、PVDF5.48部、TEP44.94部、及びEAA1.0部で添加した、TEP及びEAAの混合物に調製した。アクリル樹脂A対樹脂B対樹脂Cの重量比は、2.0対1.0対1.2であり、PVDF-1対PVDF-2の重量比は、1.86対1.00であった。結合剤組成物2を2つの別の操作で調製した。まず、高せん断混合下で、41.1部のTEPに樹脂Cを添加した。この混合物に、PVDF2を添加した。第2のステップは、高せん断混合下での、3.54部のTEP及び1.0部のEAAの添加を伴った。TEP/EAA混合物に、樹脂A及び樹脂Bを、続いてPVDF1を添加した。最後に、両方の混合物を組み合わせて、結合剤組成物2を得た。結合剤組成物2は、12.0(重量)%の総固形分を有した。
【0154】
結合剤組成物3:PVDF-2及び樹脂Bの8.5%固形分溶液を、窒素充填グローブバッグ内で調製した。材料の全てを、蓋を有する大きなガラスジャーに添加し、溶解が発生するまで、周囲温度で撹拌した。結合剤組成物3の作製に使用された材料の比は、38.7部のTEP、3.14部のPVDF-2、及び1.0部の樹脂Bであった。
【0155】
結合剤組成物4:結合剤組成物4は、樹脂Dが樹脂Bに置き換わったことを除いて、結合剤組成物3と同じ方法で調製された。結合剤組成物4の作製に使用された材料の比は、38.7部のTEP、3.14部のPVDF-2、及び1.0部の樹脂Dであった。
【0156】
CNT-1分散体の調製:CNT-1の分散体を、以下の表2の成分、及び非対称遠心高速ミキサー(Flack Tek,INC.speed mixer DAC400.1 FVZ)及び高せん断3ロールミキサー(Keith Machinery Corp、Anthony2.5”×5”、シリアル番号30984)を組み合わせた以下の一般的な手順を使用して、調製した。分散体を100gスケール上で調製した。容器に、溶媒、結合剤組成物(PVDF及び分散剤)、及びCNT-1を添加した。高速非対称遠心ミキサーのための段階混合手順(800rpmで30秒間、2000rpmで30秒間、及び2750rpmで30秒間)を開発した。温度を35℃未満に維持するために、混合ごとに10分の間隔を伴って、この混合手順を3回繰り返した。温度をIRサーマルプローブメータによって測定した。高速混合後、CNT-1分散体を、25rpmで、高せん断速度3ロールミキサーで混合する。遠心混合手順を繰り返して、CNT-1分散体の均一性を確実にした。
【表4】
【0157】
CNT分散体比較例:この分散体は、上記の手順に従って、CNT-1、比較結合剤組成物1、及びNMPを組み合わせることによって調製した。最終分散体は,1.5重量%CNT-1であり、総組成物に基づいて、8.6%の総固形分を有した。
【0158】
CNT分散体本発明1:この分散体は、上記の手順に従って、CNT-1、結合剤組成物2、及びTEPを組み合わせることによって調製した。最終分散体は、1.5重量%CNT-1であり、総組成物に基づいて、12.5%の総固形分を有した。
【0159】
CNT分散体本発明2:この分散体は、上記の手順に従って、CNT-1、結合剤組成物3、及びTEPを組み合わせることによって調製した。最終分散体は、1.5重量%CNT-1であり、総組成物に基づいて、8.6%の総固形分を有した。
【0160】
CNT分散体本発明3:この分散体は、上記の手順に従って、CNT-1、結合剤組成物4、及びTEPを組み合わせることによって調製した。最終分散体は、1.5重量%CNT-1であり、総組成物に基づいて、8.6%の総固形分を有した。
【0161】
CNT-1分散体の分析及び特性評価
分散体の質は、光学顕微鏡(Keyence、ワンショット3D測定顕微鏡、及びモデルNo.VR3200)によって検査される。良好な分散体は、平坦で開いたシートレット及び細長いCNTを有する一方、質の悪い分散体は、らせん状の、分岐及び凝集したCNTを示す。
図1A、
図1B、
図1C、及び
図1Dに示される顕微鏡写真を比較すると、本発明の分散体組成物(
図1B、
図1C、及び
図1D)は、対照分散剤(
図1A)と比較して、より良好な分散体(カールするのではなく扁平なCNT)の品質を示す。
図2A及び
図2Bはまた、比較CNT-1分散体(
図2A)及び本発明1のCNT-1分散体(
図2B)の比較を示しており、本発明のCNT-1分散体が、より均一な外観、より良好な流体特性を有し、より容易にフィルムにキャスティングされることを示す(ドクターブレードを使用して、一方、比較CNT-1分散体は、やや縮んでいるように見える。
【0162】
CNT分散体の粘度は、レオメータ(Anton Paar、MCR301、シリアル番号80689782)によって分析した。
図3に示されるように、本発明の結合剤組成物3及び4を有するCNT分散体は、対照CNT分散体と同じ固形分レベルで、減少した粘度を有した。
【0163】
したがって、これらの実験結果に基づいて、それらを含むアクリル樹脂分散剤及び結合剤組成物は、標準のPVDF-NMP系と比較して、CNT-1の分散品質を改善した。
【0164】
実施例2:CNT-2を用いた正極スラリーの調製
正極スラリー(比較スラリーS5及び本発明のスラリーS6)を作製するための一般的な手順:窒素充填グローブバッグ内で、結合剤溶液をTEP/EAAの混合物で希釈し、Thinkyカップに添加した。次に、導電性炭素(及び、該当する場合、CNT-2)を添加し、木製ブレードを用いて手で混合した。Thinkyカップにキャップをして、グローブバッグから取り出した。カーボンの分散体は、遠心ミキサーを使用して達成した。均質になると、カーボンスラリーをグローブバッグに戻し、キャップを外して、活性物質を添加した。活性物質/カーボンスラリーを、木製ブレードを使用して手で混合し、キャップをして、グローブバッグから取り出した。活性材料の分散は、遠心ミキサーを使用して達成した。均質になると、カーボン/活性物質スラリーをグローブバッグに戻し、キャップを外して、添加剤溶液を添加した。完全に配合されたカソードスラリーを、木製ブレードを使用して手で混合し、キャップをして、グローブバッグから取り出した。カソードスラリー成分の全ての最終的な分散を、遠心ミキサーを使用して完了した。
【0165】
CNTを含まない比較正極スラリーの調製-スラリーS5:このスラリーは、98グラムのスケール上で、活性物質96%対導電性カーボン2%対結合剤2%の重量比で調製した。表3は、方法1によるスラリーS5の調製に使用された成分の正確な重量を提供する。スラリーの固形分重量%は、73%であった。
【表5】
【0166】
本発明のCNT含有正極スラリーの調製-スラリーS6:このスラリーは、104グラムのスケール上で、活性物質96%対導電性カーボン1.9%対CNT-2 0.1%対結合剤2%の重量比で調製した。表4は、方法1によるスラリーS6の調製に使用された成分の正確な重量を提供する。スラリーの固形分重量%は、67%であった。
【表6】
【0167】
カソードスラリーの粘度に対するCNT-2の影響の評価
スラリーS5及びS6のレオロジーを上述の方法で収集した。結果が、表5に示されており、CNT-2の添加が、スラリーの粘度を有意に増加させている。
【表7】
【0168】
スラリーS5及びS6からの正極フィルムの調製:スラリーS5及びスラリーS6からキャスティングされた電極フィルムを、ドローダウンテーブル上の3~5ミルドローダウンバーを使用して、アルミ箔上に調製した。堆積されたフィルムを、電気オーブン内で、各オーブン内において順次55℃及び120℃で2分間、硬化させた。カレンダープレスを使用して、フィルムを35%の気孔率にプレスし、フィルムは、95~105ミクロン以内の乾燥フィルム厚さを有した。フィルムのコーティング密度は、S5及びS6からキャスティングされた両方の電極について、約25mg/cm2であった。
【0169】
スラリーS5及びS6からの正極フィルムの特性評価:スラリーS5及びS6からキャスティングされた、硬化及びプレスされた正極フィルムを、接着性及び電気抵抗率について評価した。これらの分析の結果を表6に示し、データ収集の方法を、以下の段落で説明する。
【0170】
コーティングされた電極のストリップを0.5インチに切断し、3M 444両面テープを使用して、電着塗装鋼パネルに固定した。MARK-10 ESM303上での50mm/分の速度での90度剥離試験を使用して、S5及びS6プロデュース正極の両方について、被覆電極の2つのストリップの接着強度を評価した。この試験は、本明細書では、剥離強度試験と称される。
【0171】
HIOKI電極抵抗計(HIOKI RM26111)を使用して、CNTを有する、及びCNTを有しないこれらの正極コーティングの抵抗率を測定した。電極の3つの異なる領域で抵抗率データを収集して、精度のために、平均値を使用した。カソードのバルク抵抗率は、コーティング中の電荷輸送の障壁を示す。より高い抵抗率は、導電率が低いこと、したがって、電荷輸送が鈍いことを意味し、より低い抵抗率について、その逆もあり得る。電極コーティングにおけるより良好な電荷輸送(より低い抵抗率)は、電池の電力性能(高速充放電)を可能にする。
【表8】
【0172】
スラリーS5及びS6からの正極フィルムの速度能力:電極を半電池コインセル中で試験した。調製した電極を直径10mmのディスクに切断した。リチウム金属を対電極として使用し、電解質は、EC/EMC(3:7、v:v)中の75μLの1.0M LiPF
6であった。電池セルをBio-Logic BCS-805試験機で評価した。セルをC/10で4サイクル、C/3で10サイクル、1Cで5サイクル、及び2Cで4サイクル試験した。以下の表7に示されるように、速度能力の間の唯一の有意な差は、2Cで発生し、(電極S6中の)CNT-2の添加が、より良好な性能を有する。
【表9】
【0173】
これらの結果は、正極スラリー組成物へのCNTの添加が、接着性の両方を改善し、体積抵抗率を低減することを実証する。接着性及びより低い電気抵抗の両方のより良好な性能は、電池性能の向上につながることが多いであろう。これは、実際に、単なる導電性添加剤としての炭素の使用に対して、導電性炭素を伴うCNTを使用する場合に当てはまる。
【0174】
本明細書に記載及び例示される広範な本発明の概念から逸脱することなく、上述の開示に照らして、多数の修正及び変形が可能であることが当業者によって理解されるであろう。したがって、前述の開示は、本出願の様々な例示的な態様の単なる例示であり、本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にある多数の修正及び変形が、当業者によって容易に行われ得ることが理解されるべきである。
【国際調査報告】