(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】高V値及び低V値導波路を有するアクロマティックな分光デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 6/125 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
G02B6/125 301
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513337
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 US2021051341
(87)【国際公開番号】W WO2022066658
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】アルボレ マーク アラン
(72)【発明者】
【氏名】ウー イ-クエイ
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147BA01
2H147BA05
2H147BE14
2H147BE17
2H147BE22
2H147BE23
2H147CD02
2H147EA13A
2H147EA14B
2H147GA22
(57)【要約】
光学スプリッタの構成を開示する。光学スプリッタは、入力導波路と、自由伝搬領域と、出力導波路アレイとを含んでもよい。入力導波路は、自由伝搬領域内の光が回折し、かつ広い波長範囲に渡って遠視野角で同じ光強度を提供し得るに足る狭さであってもよい。入力導波路は、垂直次元において高いV値を、かつ水平次元において低いV値を有してもよい。自由伝搬領域においては、光の波長が全て同一角度で回折することから、光は、出力導波路に達すると、出力導波路の各々において類似する光学パワーを有し得る。さらに、出力導波路の幅及びスペーシングは、光の位相面の非均一な光学パワー分布を軽減するために変わってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学スプリッタであって、
波長範囲の光を自由伝搬領域へ入力するように構成される1つの入力導波路であって、前記入力導波路は、前記波長範囲の光に渡り前記自由伝搬領域の入力エッジにおいてモードサイズと波長との間に比例関係を達成するように構成され、
前記自由伝搬領域は、前記入力エッジ、及び前記入力エッジ上で前記入力導波路へ光学的に結合され、かつ前記入力導波路から前記波長範囲の光を受信するように構成される出力エッジを有し、これにより、光の位相面が生成される、1つの入力導波路と、
前記自由伝搬領域の前記出力エッジへ光学的に結合される出力導波路アレイと、を備え、前記出力導波路アレイの各導波路は、前記自由伝搬領域から各導波路により受信される光の局所位相面に対して予め決められた角度に位置合わせされる、光学スプリッタ。
【請求項2】
前記入力導波路は、第1の次元において高いV値を、かつ第2の次元において低いV値を有し、これにより、前記波長範囲の光に渡って同一の回折角で光が回折され、
前記出力導波路アレイにおける中心チャネルの出力導波路は、前記出力導波路アレイの外側チャネルの出力導波路より狭い幅を有し、
前記出力導波路アレイにおける複数の出力導波路は、均一に離間され、かつ、
前記予め決められる角度は、前記自由伝搬領域から各導波路により受信される光の前記局所位相面に対して略直角である、
請求項1に記載の光学スプリッタ。
【請求項3】
前記出力導波路アレイにおける少なくとも2つの導波路は、異なる幅を有し、かつ、
前記出力導波路アレイにおける少なくとも幾つかの導波路は、互いの間に非均一なスペーシングを有する、
請求項1に記載の光学スプリッタ。
【請求項4】
前記入力導波路は、光を前記自由伝搬領域の回折方向に弱く閉じ込める、請求項1に記載の光学スプリッタ。
【請求項5】
前記出力導波路アレイにおける少なくとも1つの導波路の幅は、少なくとも部分的に、前記自由伝搬領域内の回折光の強度に依存する、請求項1に記載の光学スプリッタ。
【請求項6】
前記入力導波路の第1の次元は、少なくとも部分的に前記入力導波路の第1のV値に依存し、
前記入力導波路の第2の次元は、少なくとも部分的に前記入力導波路の第2のV値に依存し、かつ、
前記第1のV値は、前記第2のV値より大きい、
請求項1に記載の光学スプリッタ。
【請求項7】
第1の次元において測定される入力導波路モードは、前記自由伝搬領域の導波路モードに一致し、これにより、光学損失が低減される、請求項1に記載の光学スプリッタ。
【請求項8】
前記出力導波路アレイにおける各導波路に結合される光は、前記波長範囲の光に渡って各導波路に対し同じパワーを有する、請求項1に記載の光学スプリッタ。
【請求項9】
前記入力導波路は、第1の入力導波路であり、
前記光学スプリッタは、前記第1の入力導波路に隣接して位置合わせされかつ前記自由伝搬領域へ光学的に結合される第2の入力導波路をさらに備え、かつ、
前記第1及び第2の入力導波路は、光を前記自由伝搬領域へと入力するように対称に位置合わせされる、
請求項1に記載の光学スプリッタ。
【請求項10】
光学スプリッタであって、
第1の次元において高いV値を、第2の次元において低いV値を有しかつ波長範囲の光を入力するように構成される1つの入力導波路と、
入力エッジ及び出力エッジを有するスラブ導波路であって、前記スラブ導波路は、前記入力導波路へ光学的に結合されかつ前記入力導波路から光を受信するように構成される、スラブ導波路と、
前記出力導波路のうちの幾つかが中心チャネルの出力導波路でありかつ前記出力導波路のうちの他の導波路が外側チャネルの出力導波路であるように前記スラブ導波路の前記出力エッジに渡って位置合わせされる出力導波路アレイとを備え、前記出力導波路アレイの各導波路は、略同一の光学パワーを有する前記波長範囲の光を受信するように配置される、光学スプリッタ。
【請求項11】
前記入力導波路は、垂直次元において前記高いV値を、かつ水平次元において前記低いV値を有し、
前記入力導波路のモードサイズは、前記水平次元において、前記波長範囲の光における波長に比例し、
前記スラブ導波路において、回折角は、前記水平次元において、前記波長範囲の光に渡って同一であり、かつ、
中心チャネルのスペーシングは、前記出力導波路アレイにおける前記中心チャネルの出力導波路で均一であり、かつ外側チャネルのスペーシングは、前記中心チャネルの出力導波路における前記均一なスペーシングより小さい、
請求項10に記載の光学スプリッタ。
【請求項12】
前記入力導波路又は前記出力導波路アレイのうちの少なくとも一方は、ストリップ導波路である、請求項10に記載の光学スプリッタ。
【請求項13】
前記出力導波路アレイにおける複数の導波路は、非均一な幅を有し、かつ、
少なくとも1つの導波路の幅は、前記出力導波路アレイにおける1つの出力導波路で受信される光強度に関連する、
請求項10に記載の光学スプリッタ。
【請求項14】
前記出力導波路アレイは、互いから均一に離間され、かつ、
中心チャネルの出力導波路の幅は、外側チャネルの出力導波路の外部チャネル幅より狭く、これにより、前記出力導波路アレイの各出力導波路により受信される光強度の量が等化される、
請求項10に記載の光学スプリッタ。
【請求項15】
前記光の波長範囲は、1ミクロンである、請求項10に記載の光学スプリッタ。
【請求項16】
前記スラブ導波路に入射する光強度は、前記出力導波路アレイの前記中心チャネル出力導波路においてより高く、かつ前記出力導波路アレイの前記外側チャネル出力導波路において減少し、
前記出力導波路アレイにおける中心チャネルの複数の出力導波路は、前記外側チャネルの出力導波路より狭く、これにより、前記出力導波路アレイに渡って均一な光強度が受信され、かつ、
中心チャネルの前記複数の出力導波路は、互いから同じ距離で離間される、
請求項10に記載の光学スプリッタ。
【請求項17】
前記出力導波路アレイの外側チャネルの出力導波路の幅は、隣接するチャネルの出力導波路の幅の半分であり、かつ、
前記外側チャネルの出力導波路間のスペーシングは、前記隣接するチャネルの出力導波路の均一なスペーシングの半分である、
請求項16に記載の光学スプリッタ。
【請求項18】
光学スプリッタであって、
波長範囲の光に渡って光を入力するためのストリップ導波路と、
前記ストリップ導波路から前記波長範囲の光を受信するように構成されるスラブ導波路と、
前記スラブ導波路から前記波長範囲の光を受信するように位置合わせされる出力導波路アレイとを備え、また、前記出力導波路アレイにおける出力導波路のセットが受信する光の光学パワーは同量であり、
ストリップ導波路のモードサイズは、前記波長範囲の光における1つの波長に比例し、かつ、
前記スラブ導波路における光の回折角は、前記波長範囲の光に渡って類似する、光学スプリッタ。
【請求項19】
前記出力導波路アレイの第1の出力導波路と、隣接する第2の出力導波路との間のスペーシングは、非均一であって、前記第1の出力導波路及び隣接する前記第2の出力導波路により受信される光学パワーに依存し、
前記スラブ導波路の光の位相面は、円筒形の位相面を有し、
前記出力導波路アレイにおける各導波路は、前記スラブ導波路内の光の局所位相面に対して垂直に位置合わせされ、かつ、
前記出力導波路アレイは、ストリップ導波路である、
請求項18に記載の光学スプリッタ。
【請求項20】
前記出力導波路アレイは、変化する導波路幅を有し、これにより、前記スラブ導波路から受信される光学パワーが等化される、請求項18に記載の光学スプリッタ。
【請求項21】
前記出力導波路アレイは、変化する導波路幅を有し、かつ、
前記出力導波路アレイにおける各出力導波路ペア間のスペーシングは低減され、これにより、前記導波路の各々により受信される光の量が増す、
請求項18に記載の光学スプリッタ。
【請求項22】
前記出力導波路アレイにおける各出力導波路間の非均一なスペーシングは、前記出力導波路アレイにおける各出力導波路が1ミクロンに及ぶ前記波長範囲の光に渡って均一な光強度の光を受信するように、前記出力導波路の各々により受信される前記光強度を基礎とする、請求項18に記載の光学スプリッタ。
【請求項23】
前記ストリップ導波路は、第1の次元において高いV値を、かつ第2の次元において低いV値を有し、かつ、
前記第1の次元におけるストリップ導波路のモードは、前記スラブ導波路の導波路モードに一致し、これにより、光学損失が低減される、
請求項18に記載の光学スプリッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光を分割するための光学システムに関する。より具体的には、本明細書に記載する実施形態は、ある次元において高いV値を有しかつ別の次元において低いV値を有する導波路を用いて光を分割するためのアクロマティック光学システムに関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本PCT(特許協力条約)特許出願は、2020年9月25日に出願された米国仮特許出願第63/083,691号、及び2021年9月20日に出願された米国非仮特許出願第17/479,943号に対する優先権を主張するものであり、これらの出願の内容は、参照によりその全体が開示に含まれる。
【背景技術】
【0003】
概して、光学システムは、日常的なデバイスにおいて用いるための複数の光源を使用し得る。これらのシステムは、複数の出力光を有し得、逆多重化又は分割され得るという理由で、出力光の方が光源より多く存在することもある。光学システムは、光源により放たれる光を分割する光分割システムを用い、かつデマルチプレクサ、回折格子、光学スプリッタといった異なる構成要素を含み得る。これらの分割用構成要素は、サイズ、光学効率、エネルギー効率、波長依存性又は非依存性、等々といった様々な点で互いに異なり得る。実施例によっては、カスケード光分割システムが使用されることがあるが、該光学システムは、カスケード光分割の段数に伴って規模が増大する傾向があり、サイズが不合理なまでに増大し得る。他の実施例では、スタースプリッタが用いられることがあるが、光が伝搬する自由伝搬領域は、入力導波路と出力導波路との間に多大な光学損失を引き起こす可能性がある。スタースプリッタは、サイズが適切であり得るとしても、所定の光学システムで使用するには光学パワー損失が大きすぎることがあり、よって、小型で光学損失の少ない光学システムが望ましいものであり得る。他の実施例において、光分割システムは、光の広範な波長範囲に渡って一貫した機能を果たし得ない。
【発明の概要】
【0004】
本開示において記載するシステム、デバイス、方法及び装置の実施形態は、光を分割または結合するための光学デバイスに関する。また、スタースプリッタを基礎とする光学デバイスを用いて光を分割するためのシステム、デバイス、方法及び装置についても記載する。実施例によっては、光学スプリッタは、光が1つの入力導波路上に入力され得、かつ光が任意数の出力導波路上に出力され得る限りにおいて、1×Nスプリッタとして機能してもよい。光学スプリッタは、入力導波路と、自由伝搬領域と、出力導波路アレイとを含んでもよい。実施例によっては、狭い入力導波路は、自由伝搬領域へ光を提供し得、この場合、入力導波路は、自由伝搬領域における回折が、約1ミクロンをスパンするといった広い波長範囲に渡って遠視野角で類似する光強度を提供し得るに足る狭さである。入力導波路は、均一な回折角を提供し得る、波長に比例するモードサイズを有してもよい。大部分又は全ての波長が、類似する又は同一の角度で回折する場合、光は、出力導波路に達すると、出力導波路の各々において類似する又は同一の光学パワーを有し得る。
【0005】
実施例によっては、本開示は、光学スプリッタについて記載する。該光学スプリッタは、波長範囲の光を自由伝搬領域へ入力するように構成される1つの入力導波路であって、該入力導波路は、波長範囲の光に渡り自由伝搬領域の入力エッジにおいてモードサイズと波長との間に比例関係を達成するように構成され、該自由伝搬領域は、入力エッジ、及び入力エッジ上で入力導波路へ光学的に結合され、かつ入力導波路から波長範囲の光を受信するように構成される出力エッジを有する、1つの入力導波路と、自由伝搬領域の出力エッジへ光学的に結合される出力導波路アレイとを含んでもよく、該出力導波路アレイの各導波路は、自由伝搬領域から各導波路により受信される光の局所位相面に対して予め決められた角度(たとえば、略直角)に位置合わせされる。実施例によっては、入力導波路は、第1の次元において高いV値を、かつ第2の次元において低いV値を有し、出力導波路アレイにおける中心チャネルの出力導波路は、出力導波路アレイの外側チャネルの出力導波路より狭い幅を有し、入力導波路は、波長範囲の光に渡って同一の回折で光を回折させ、かつ出力導波路アレイにおける複数の出力導波路は、均一に離間される。さらに、出力導波路アレイにおける少なくとも2つの導波路は、異なる幅を有し、かつ出力導波路アレイにおける少なくとも幾つかの導波路は、互いの間に非均一なスペーシングを有する。
【0006】
実施例によっては、入力導波路は、光を自由伝搬領域の回折方向に弱く閉じ込める。実施例によっては、出力導波路アレイにおける少なくとも1つの導波路の幅は、少なくとも部分的に、自由伝搬領域内の回折光の強度に依存する。実施例によっては、入力導波路の第1の次元は、少なくとも部分的に入力導波路の第1のV値に依存し、入力導波路の第2の次元は、少なくとも部分的に入力導波路の第2のV値に依存し、第1のV値は、第2のV値より大きい。実施例によっては、第1の次元において測定される入力導波路モードは、自由伝搬領域の導波路モードに一致し、これにより、光学損失が低減される。実施例によっては、出力導波路アレイにおける各導波路に結合される光は、波長範囲の光に渡って各導波路に対し同じパワーを有する。さらに、入力導波路は、第1の入力導波路であり、
光学スプリッタは、第1の入力導波路に隣接して位置合わせされかつ自由伝搬領域へ光学的に結合される第2の入力導波路を含んでもよく、これらの第1及び第2の入力導波路は、光を自由伝搬領域へと入力するように対称に位置合わせされる。
【0007】
実施例によっては、本開示は、光学スプリッタについて記載する。該光学スプリッタは、第1の次元において高いV値を、第2の次元において低いV値を有しかつ波長範囲の光を入力するように構成される1つの入力導波路と、入力エッジ及び出力エッジを有するスラブ導波路であって、該スラブ導波路は、入力導波路へ光学的に結合されかつ入力導波路から光を受信するように構成される、スラブ導波路と、出力導波路のうちの幾つかが中心チャネルの出力導波路でありかつ出力導波路のうちの他の導波路が外側チャネルの出力導波路であるようにスラブ導波路の出力エッジに渡って位置合わせされる出力導波路アレイとを含んでもよく、該出力導波路アレイの各導波路は、略同一の光学パワーを有する光を受信するように配置される。実施例によっては、入力導波路は、垂直次元において高いV値を、かつ水平次元において低いV値を有し、入力導波路のモードサイズは、波長範囲の光における波長に比例し、スラブ導波路において、回折角は、波長範囲の光に渡って同一であり、中心チャネルのスペーシングは、出力導波路アレイにおける中心チャネルの出力導波路で均一であり、かつ外側チャネルのスペーシングは、外側チャネルの出力導波路における均一なスペーシングの半分の大きさである。実施例によっては、入力導波路は、ストリップ導波路であってもよく、かつ出力導波路アレイは、ストリップ導波路である。実施例によっては、出力導波路アレイにおける複数の導波路は、非均一な幅を有し、かつ少なくとも1つの導波路の幅は、出力導波路アレイのこの出力導波路における局所位相面に関連づけられる。
【0008】
実施例によっては、出力導波路アレイは、互いから均一に離間され、かつ中心チャネルの出力導波路の幅は、外側チャネルの出力導波路の幅より狭く、これにより、出力導波路アレイの各出力導波路により受信される光学パワーの量が等化される。実施例によっては、光の波長範囲は、1ミクロンである。実施例によっては、スラブ導波路に入射する光学パワーは、出力導波路アレイの中心チャネルにおいてより高く、出力導波路アレイの外側チャネルにおいて減少し、導波路アレイにおける中心チャネルの複数の出力導波路は、外側チャネルの出力導波路より狭く、これにより、出力導波路アレイに渡って均一な光学パワーが受信され、かつ中心チャネルの複数の出力導波路は、互いから同じ距離で離間される。実施例によっては、出力導波路アレイの外側チャネルの出力導波路は、幅が隣接するチャネルの出力導波路の幅の半分であり、外側チャネルの出力導波路間の外側チャネルスペーシングは、隣接するチャネルの出力導波路のチャネルスペーシングの半分である。
【0009】
実施例によっては、本開示は、光学スプリッタについて記載する。該光学スプリッタは、波長範囲の光に渡って光を入力するためのストリップ導波路と、ストリップ導波路から波長範囲の光を受信するように構成されるスラブ導波路と、スラブ導波路から波長範囲の光を受信するように位置合わせされる出力導波路アレイとを含んでもよく、また、出力導波路アレイにおける各出力導波路が受信する光の光学パワーは同量であり、ストリップ導波路のモードサイズは、光の波長における1つの波長に比例し、かつスラブ導波路における光の回折角は、波長範囲の光に渡って類似している。実施例によっては、出力導波路アレイの第1の出力導波路と、隣接する第2の出力導波路との間のスペーシングは、非均一であって、第1の出力導波路及び隣接する第2の出力導波路により受信される光学パワーに依存し、スラブ導波路の光の位相面は、円筒形の位相面を有し、出力導波路アレイにおける各導波路は、スラブ導波路内の光の局所位相面に対して垂直に位置合わせされ、かつ出力導波路アレイは、ストリップ導波路である。実施例によっては、ストリップ導波路は、第1の次元において高いV値を、かつ第2の次元において低いV値を有し、かつ第1の次元におけるストリップ導波路のモードは、スラブ導波路の導波路モードに一致し、これにより、光学損失が低減される。さらに、出力導波路アレイにおける各出力導波路間の非均一なスペーシングは、各出力導波路が1ミクロンに及ぶ波長範囲の光に渡って光の均一な光学パワーを受信するように、出力導波路の各々により受信される光学パワーを基礎とする。さらに、出力導波路アレイは、変化する導波路幅を有し、これにより、スラブ導波路から受信される光学パワーが等化される。
【0010】
上述の例示的な態様及び実施形態に加えて、更なる態様及び実施形態が、図面を参照し、以下の説明を検討することによって、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】1×8カスケーディングスプリッタを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図におけるクロスハッチング又はシェーディングの使用は、全般的に、隣接する要素間の境界を明確にするために、又、図の視認性を促進するためにも提供されている。したがって、クロスハッチング又はシェーディングの有無のいずれも、添付の図に示す任意の要素に関する、特定の材料、材料特性、要素の比率、要素の寸法、同様に図示されている要素の共通性、又は任意の他の特質、属性、若しくは特性に対する、いかなる選好又は要件も、伝達又は指示するものではない。
【0013】
様々な特徴及び要素(並びに、それらの集合及びグループ化)の(相対的又は絶対的な)比率及び寸法、並びに、それらの間に提示されている境界、分離、及び位置関係は、単に本明細書で説明される様々な実施形態の理解を容易にするために、添付の図に提供されているものに過ぎず、したがって、必ずしも一定の縮尺で提示又は図示されていない場合があり、それらの図を参照して説明されている実施形態を除外して、図示されている実施形態に対する、いかなる選好又は要件も示すことを意図するものではない点を理解されたい。
【0014】
ここで、添付図面に図示される代表的な実施形態が詳細に説明される。以下の説明は、これらの実施形態を1つの好ましい実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。反対に、以下の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される記載された実施形態の趣旨及び範疇に含むことができるような、代替形態、修正形態及び均等物を包含することを意図している。
【0015】
方向を示す用語、例えば、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「~の上(above)」、「~の下(below)」、「~の真下(beneath)」、「前(front)」、「後(back)」、「~の上(over)」、「~の下(under)」、「左(left)」、「右(right)」、等々は、一部の構成要素の、後述する一部の図面におけるその方向性に関連して使用される。種々の実施形態における構成要素は、多くの異なる向きに配置され得るので、方向を示す用語は、例示を目的として使用されているに過ぎず、いかなる方法でも制限するものではない。方向を示す用語は、広く解釈されることを意図しており、そのため、異なる様式で配置される構成要素を除外すると解釈すべきではない。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「当接する」とは、2つの要素が、共通の境界を共有するか、又は他の方式で互いに接触することを意味し、その一方で、用語「隣接する」とは、2つの要素が互いに近接しており、互いに接触する場合がある(又は、接触しない場合もある)ことを意味する。それゆえ、当接している要素はまた、隣接もしているが、逆は必ずしも真ではない。互いに「結合され」ている2つの要素は、恒久的に、若しくは取り外し可能に、互いに物理的に結合されている場合があり、及び/又は、動作可能に、若しくは機能的に、互いに結合されている場合もある。更には、互いに「光学的に結合」されている2つの要素は、一方の要素から他方の要素に光が通過することを可能にし得る。
【0017】
以下の実施例の説明では、実践することが可能な特定の実施例が実例として示されている、添付図面が参照される。それら様々な実施例の範囲から逸脱することなく、他の実施例を使用することができ、構造上の変更を実施することができる点を理解されたい。
【0018】
概して、光学システムは、分割され得る光を放射する複数の光源を使用し得、よって、出力ポートの数は、光源の数より多くなり得る。光源により放射される光を分割するためには、様々な光分割システムが使用されてもよく、これらは、デマルチプレクサ、回折格子、光学スプリッタ、等々といった異なる構成要素を含み得、かつそのサイズ、光学効率、エネルギー効率、波長依存性又は非依存性、これらの任意の組合せ、等々が互いに異なってもよい。
【0019】
実施例によっては、多波長光は、光分割システム内のカスケード段を用いて分割されてもよく、光分割システムのサイズは、カスケード光分割段の数に伴って増加し得る。すなわち、使用される光分割段が多いほど、光分割システムは、大きくなる。カスケード式光学スプリッタの数は、出力ポートの数に比例することから、これらの光分割システムは不当に大きくなり得、よって全体的な光学システムへ容易には組み込まれ得ない。さらに、カスケード式の光スプリッタは、全体としての光学システムに望ましくない光ビートを導入することがある。
【0020】
実施例によっては、光は、マルチモード干渉計を用いて分割されてもよい。概して、マルチモード干渉計は、カスケーディングスプリッタより小さいものであり得、10ナノメートル~50ナノメートルなどの小さい波長範囲に渡って一貫した性能を有し得るが、約1ミクロンに及び得る広帯域の波長範囲に渡って一貫した性能を有することには適さない場合がある。
【0021】
他の実施例では、スタースプリッタが、入力導波路、自由伝搬領域及び出力導波路と組み合わされて光の分割に使用され得る。入力導波路は、典型的には、伝搬領域の平面内に閉込めがほとんどない自由伝搬領域において終端する。スタースプリッタのサイズは、別の出力導波路が、フットプリントを著しく増加させることなく追加され得るという理由で、出力ポートの数によりスケーリングされ得ない。しかしながら、光の伝搬経路である自由伝搬領域は、入力導波路と出力導波路との間に多大な光学損失を引き起こす可能性がある。スタースプリッタは、サイズが適切であり得るとしても、所定の光学システムで使用するには光学パワー損失が大きすぎることがあり、よって、小型で光学損失の少ない光学システムが望ましいものであり得る。さらに、スタースプリッタは、性能が波長依存性であり得、また、約1ミクロンに及び得る広帯域の波長範囲に渡って一貫した性能を有することには適さない場合もある。
【0022】
実施例によっては、スタースプリッタにおいて典型的に使用されるものより狭い入力導波路を起点とすれば、自由伝搬領域へ提供される光は、拡張又は散開し得る。実施例によっては、入力導波路が狭いほど、自由伝搬領域における光の回折速度が上がり得る。自由伝搬領域における回折は、約1ミクロンに及ぶような広い波長範囲に渡り、遠視野角において類似の光強度をもたらし得る。大部分又は全ての波長が、類似する角度又は同一の角度で回折する場合、光は、出力導波路に達すると、出力導波路の各々において大部分又は全ての波長で類似する光学パワーを有し得る。本明細書において「同一の」という用語が使用される場合(例えば、同一の角度、同一の光学パワー、同一の回折、同一の回折角度、等々)、「同一の」という用語が、同一であることに加えて、性能にさほど影響しない程度に類似していること、及び/又は標準的な測定公差内で同じであること、をも意味し得ることは、理解され得る。さらに、本明細書において「約」という用語が使用される場合、この用語は、確定された仕様内で合理的に許容される5~10パーセントの変動を含み得ることも理解され得る。
【0023】
本明細書では、入力導波路と、自由伝搬領域と、出力導波路アレイとを含む光学スプリッタを開示する。入力導波路は、波長範囲の光における光のモードサイズと波長との間に比例関係を達成し得、かつ自由伝搬領域へ光学的に結合される。自由伝搬領域は、入力及び出力エッジを有してもよく、かつ入力導波路から波長範囲の光を受信してもよく、入力導波路は、自由伝搬領域の入力エッジへ光学的に結合されてもよい。入力導波路は、回折角が光の広範な波長範囲に渡って同一であるに足る狭さであってもよい。導波路は各々、自由伝搬領域の出力エッジへ光学的に結合されかつ自由伝搬領域の出力エッジを横切って位置合わせされてもよく、複数の出力導波路は各々、波長範囲の光における光の局所位相面に対して予め決められた角度(例えば、略垂直又は他の任意の適切な角度)で配置される。位相面とは、伝搬波面の位相である。実施形態によっては、モードサイズと波長との比例関係が厳密な比例である必要はない。モードサイズと波長との関係は、比例関係に対してプラスマイナス10パーセントであってもよい。本明細書で使用する「比例する」という用語は、1つのオブジェクト、要素又は属性(集合的に、「オブジェクト」)が、別の数学関数によって直に変わる、又はある特定の数学関数に従って変わる関係を包含するだけでなく、オブジェクトの変化が主として別のオブジェクトに依存するインスタンスも含む。言い換えれば、あるオブジェクトは、その分散量が、他のオブジェクトに対する直接的又は数学的分散の10%以内である場合に、別のオブジェクトに比例する。
【0024】
実施例によっては、入力導波路は、光学スプリッタの自由伝搬領域の導波路モードに合致するように、垂直次元において高いV値を、かつ水平次元において低いV値を有してもよい。概して、高いV値(例えば、垂直次元)は、結果的に低い光学損失を生じ得、一方で、低いV値(例えば、水平次元)は、結果的に波長非依存性を生じ得る。光学スプリッタの自由伝搬領域の導波路モードに合致するための垂直次元における高いV値、及び水平次元における低いV値は、光学損失を低減し得る。実施例によっては、幅及びスペーシングは、均一な光学パワー結合を提供しかつシステムの合計光学損失を低減するために、アレイにおける出力導波路間で変わってもよい(例えば、非均一であってもよい)。さらに、中心チャネルの出力導波路の幅は、外側チャネルの出力導波路より狭くてもよい。さらに、出力導波路間のスペーシングは、均一であっても、出力導波路へ結合される光の光学パワーに基づいて変わってもよい。
【0025】
以下、これらの実施形態及び他の実施形態について、
図1~
図6を参照して考察する。しかしながら、当業者であれば、これらの図に関して本明細書に与えられた発明を実施するための形態は説明を目的とするものに過ぎず、限定するものとして解釈されるべきではないことを容易に理解するであろう。
【0026】
図1は、1×8カスケーディングスプリッタを示すブロック図である。1×8カスケーディングスプリッタ100は、入力光102と、1×4スプリッタ104と、中間光路106a~106dと、1×2スプリッタ108a~108dと、出力光112a~112dとを含んでもよい。
図1において、1×8スプリッタ100は、入力102を介して単一の光入力を受信し、かつ8つの異なる出力ポート、即ち出力112a~112dを有する。このタイプの分割システムは、出力ポートの数が増えるにつれてサイズが大きくなり得、よって、最新の電子デバイスの多くがそうであるように、空間が厳密に制御される、又は貴重である用途には適さないことがある。
【0027】
入力102は、入力光を1×4スプリッタ104へ提供する入力導波路であってもよい。入力光は、光源により提供されてもよく、光源は、フォトニクスデバイスへ接続されても、別段でフォトニクスデバイスに一体化されてもよい。実施例によっては、フォトニクスデバイスとして、レーザ、発光ダイオード、半導体レーザ、コヒーレント光源、セミコヒーレント光源、これらの任意の組合せ、等々などの2つ以上の光源が含まれてもよい。実施例によっては、フォトニクスデバイスは、フォトニクス及び/又は光学的機能及び構成要素を有するデバイスである。フォトニクスデバイスは、光学スプリッタを含んでもよい。
【0028】
第1の分割段において、1×4スプリッタ104は、4つの中間光路106a~106dの間で光を等しく分割しかつ出力してもよい。実施例によっては、各分割段に関連づけられる光学損失が存在し得る。実施例によっては、中間光路106a~106dは、1×4スプリッタ104へ光学的に結合されかつそこから光を受信する導波路であってもよい。また、中間光路106a~106dは、1×2スプリッタ108a~108dへ光学的に結合されてもよく、かつ1×2スプリッタ108a~108dへ光を提供してもよい。1×2スプリッタ108a~108dは各々、出力光112a~112dを提供してもよい。1×2スプリッタ108aは、2つの光出力112aを提供してもよく、1×2スプリッタ108bは、2つの光出力112bを提供してもよく、以下同様である。
図1に示されているように、1×2スプリッタ108aは、中間光路106aからの光を分割して、この分割光を光出力112aに沿って提供してもよく、1×2スプリッタ108bは、中間光路106bからの光を分割して、この分割光を出力光112bに沿って提供してもよく、以下同様である。1×4スプリッタ104と同様に、1×2スプリッタ108a~108dは各々、その入力光を等しく分割して、こうした分割光を出力光112上に出力してもよい。第2の分割段(例えば、1×2スプリッタ108a~108d)も同じく、システム100に光学損失を導入することがある。
【0029】
また、1×8スプリッタ100は、分割段が追加される毎にサイズが増大し得る。例えば、1×4スプリッタ104が使用される代わりに、入力102は、1×2スプリッタへ提供されてもよく、次に、これらの2出力の各々について、4つの中間出力を達成すべく別の組の1×2スプリッタが使用されてもよい。記載するこの実施例では、追加の分割段が加えられることから、この例示的なシステムは、
図1に示されているシステムより大きなものとなり得る。光学システムが組み込まれるフォームファクタデバイスは、ますます小さくなっていくことから、カスケーディングスプリッタは、モバイルデバイスなどのより小さいフォームファクタデバイスに合理的に組み込まれるにはサイズが大きすぎる場合がある。
【0030】
図2Aは、例示的な導波路を示すブロック図である。入力導波路200は、光の大部分又は全ての波長が伝搬領域内で類似の、又は同一の角度で回折し得るという点で、自由伝搬領域において光の波長とは無関係であり得る遠視野角を生成し得る。先に考察したように、スタースプリッタとは異なり、狭い入力導波路を用いて光を光学スプリッタの自由伝搬領域へ入力する場合、自由伝搬領域における回折は、結果的に、約1ミクロンまでをスパンするといった広い波長範囲に渡って遠視野角で類似する光強度をもたらし得る。本明細書では、1ミクロンの波長範囲について記載しているが、光学スプリッタが、100ナノメートル以下などの1ミクロン未満の全ての光波長で同様に機能し得ることは、理解され得る。入力光は、伝搬領域において散開しながら、入力導波路から出力導波路へ向かって伝搬領域内を回折方向に伝搬してもよい。大部分又は全ての波長が類似する、又は同一の角度で回折する場合、光が出力導波路に達すると、出力導波路の各々における出力光は、同一の、又は類似する光学パワーを有し得る。これを達成するための1つの方法は、モードサイズと波長との間の比例関係が達成され得る限りにおいて波長に依存するモードサイズを生成する、入力導波路200を使用することである。光の回折角は、光の波長においてモードサイズが波長に比例するとき、類似したものであり得る。さらに、光の回折角は、波長に対するモードサイズの割合によって決定され得、これにより、波長非依存の回折角がもたらされ得る。ある実施例において、約3ミクロンの光波長で1モードの光をサポートする導波路の幅は、約1.5ミクロンの光波長で1モードの光をサポートする同じ導波路の2倍であり得る。
【0031】
入力導波路200は、入力導波路200を基板の平面内又は水平次元内に弱く閉じ込めることにより、波長との比例関係を達成するモードサイズを生成してもよい。
図2Aに示されているように、入力導波路200は、第1のクラッド層202と、伝搬領域205と、第2のクラッド層204とを有してもよい。第1のクラッド層202及び第2のクラッド層204は、二酸化ケイ素、酸化物材料又は他の任意の適切な誘電体であってもよく、一方で、伝搬領域205は、シリコンであってもよい。
図2Aにおいて、光は、
図2Aに示す描画図の中へ、又は外へと伝搬し得る。実施例によっては、クラッド層202及び204は、
図2A及び
図2Bに示されている境界を越えて延在してもよい。さらに、
図2A、
図2Bには示されていないが、入力導波路200は、クラッド層により、伝搬領域205内の光の伝搬方向を除いて、伝搬領域205の周りの各方向に閉じ込められてもよい。概して、閉込めに使用される材料は、シリコンが作用し得るものより低い屈折率を有する任意の材料(例えば、二酸化ケイ素)であってもよい。光伝搬を伝搬領域205に閉じ込めるには、窒化ケイ素又は任意数のポリマーなどの他の材料も機能し得る。
【0032】
入力導波路200の物理的サイズは、第1及び第2の標的V値並びに入力導波路により伝送される光の波長に基づいて設定されてもよい。V値及び光の波長は、本明細書で考察しているように、モードサイズを生成するために使用される。実施例によっては、入力導波路200は、第1の次元(例えば、垂直次元)が約2~5ミクロンでありかつ第2の次元(例えば、水平次元)が1ミクロン未満である伝搬領域を有してもよい。ある実施例において、入力導波路は、垂直次元が3ミクロン、水平次元が0.6ミクロンであってもよい。これらのサイズは、例えば、1.4ミクロン~2.4ミクロンの波長を有する光を伝送する矩形断面の入力導波路に使用されてもよい。
【0033】
V値は、正規化された周波数であって、ファイバが伝送できるモードの数を決定する。本明細書で使用する「高V」及び「低V」は、相対的な用語である。具体的には、高いV値は、複数モードの光をサポートするものであり、一方で、低いV値は、単一モードの光をサポートするものである。本明細書に記載するデバイスは、ある波長範囲に渡って動作するように構成されていることから、これらの文脈における高いV値及び低いV値が、この波長範囲に渡るシングルモード光又はマルチモード光への適用を意図されていることは、認識されるべきである。したがって、所与の導波路に関わる実際の値は、標的波長範囲に依存する。さらに、これらの光波長及び入力導波路の前述のサイズを所与として、第1の(又は、「高い」)V値は3以上であり、かつ第2の(又は、「低い」)V値は3未満である。多くの実施形態は、それらのサイズが異なる場合であっても、この同じカットオフ、例えば、3以上である高いV値、3未満である低いV値、を使用してもよい。他の実施形態では、高いV値ではなく低いV値が3であってもよい。概して、多くの実施形態では、高いV値と低いV値との間のカットオフは、光がシングルモード光からマルチモード光に遷移する場合に生じ、導波路を通って伝搬する光の波長、並びに導波路のサイズによって変わり得る。したがって、入力導波路は、例えば、導波路のサイズが第1の軸に沿ってより小さく、第2の軸に沿ってより大きい場合に、第1の軸に関して低いV値を有し、かつ第2の軸に関して高いV値を有してもよい。
【0034】
導波路は、ウェーハ平面の短軸(例えば、
図2Aに示すような水平次元)に沿って光の波長より小さいものであり得ることから、入力導波路200を通って伝搬する光は、この1次元において弱く閉じ込められてもよく、よって、適切なモードサイズが生成される。さらに、これにより、サイズが波長にほぼ比例する光モードを生成する導波路がもたらされ得る。
【0035】
入力導波路200の幾何学的形状は、図示されているように、第1の次元(この場合、垂直次元)において高いV値を、かつ第2の次元(この場合、水平次元)において低いV値を有する。入力導波路200は、垂直次元で高いV値を、かつ水平次元で低いV値を有することから、入力導波路の光モードは、光学分割デバイスの自由伝搬領域の導波路モードに一致し得、これにより、光学損失が低減され得る。低いV値は、モードサイズと波長との比例関係を達成させることになり、よって、高い指数近似に従う入力導波路の場合、高いV値の次元(例えば、垂直次元)は、V値が高い全ての波長について、単一軸におけるコモンモードサイズを画定する。
【0036】
図2Bは、別の導波路の一実施例を示す。入力導波路201は、
図2Aの入力導波路200と同様に機能し得る。入力導波路201は、第1のクラッド層202と、伝搬領域205と、第2のクラッド層204と、ベース206とを含んでもよい。第1のクラッド層202及び第2のクラッド層204は、二酸化ケイ素、酸化物材料又は他の任意の適切な誘電体であってもよく、一方で、伝搬領域205は、シリコンであってもよい。
図2Aの描画では、光は、導波路沿いに、よってページ内外へと伝搬し得る(例えば、
図2Aは、導波路の一端方向を見る導波路205の断面図である)。ベース206は、製造を容易にするために、導波路の土台として含まれてもよい。ベース206の厚さは、
図2Aの入力導波路200と比較して入力導波路201の機能性を実質的に変化させることなく、製造上の制約を緩和するに足るものであるべきである。
【0037】
図3は、光学スプリッタの一実施例を示す。光学スプリッタ300は、入力導波路から光を受信して、光を8つの出力導波路上に出力してもよい。
図3を参照して、8つの出力導波路について説明するが、これは、単に説明を目的とするものであって、任意数の出力導波路が使用されてもよい。
図3において使用されている入力導波路及び出力導波路の数は、単に説明を目的とするものであり、1×N光学スプリッタには、任意数の出力導波路が使用されてもよい。さらに、入力導波路は、単に説明を目的として使用されるものであり、よって、この光学スプリッタには、M×Nスプリッタ(Mは、光学スプリッタの入力導波路の数であり、Nは、出力導波路の数である)などの場合のように、2つ、3つ又はこれを超える入力導波路が使用されてもよい。さらに、任意の実施形態に関して本明細書で記載しているように、任意数の入力導波路が任意数の出力導波路と共に使用されてもよく、かつ任意数の入力ポートが任意数の出力ポートと共に使用されてもよい。さらに、実施例によっては、入力導波路の数は、2以上であってもよく、かつ全ての入力導波路により画定される合計エリア(例えば、自由伝搬領域の入力面に沿った中心線からの最大距離)は、自由伝搬領域の長さ又は出力ポートもしくは導波路アレイの長さ(出力面に沿った中心線からの最大距離)より遙かに小さくてもよい。
【0038】
本明細書で使用する特有の実施例は、単に説明を目的として提供されるものである。光学スプリッタ300は、全てが比較的小さい形状因子を保持しながら、全ての出力導波路に渡り、かつ約1ミクロンに及ぶ波長範囲の光を通じて略均一なパワーを生成し得る。さらに、
図3~
図6において、入力導波路、自由伝搬領域及び出力導波路は、全て同じパターンを有するが、光が通って伝搬しかつ互いに光学的に結合される別々の要素であってもよい。
【0039】
光学スプリッタ300は、入力導波路305と、自由伝搬領域310と、複数の出力導波路315a~315hとを含んでもよい。自由伝搬領域310は、入力導波路305及び複数の出力導波路315a~315hに類似する材料から形成されてもよい。実施例によっては、自由伝搬領域310並びに入力導波路305及び出力導波路315a~315hは、二酸化ケイ素などの酸化物材料又は同じ光閉込め機能を提供する他の任意の誘電体であり得る、クラッド領域320によって囲まれてもよい。クラッド領域320は、
図3に描かれている境界を越えて延在してもよい。他の実施例において、クラッド領域320は、光学スプリッタ300の外周を密に取り囲んでもよい。本明細書において、「複数の出力導波路」及び「導波路のアレイ」という用語は、同義に使用され得る。光学スプリッタ300は、入力導波路305が、その高V値/低V値の設定に起因して光を特有のモードサイズに閉じ込め得るという点で、一般的なスタースプリッタとは異なり得る。さらに、出力導波路は、局所位相面及び光学パワーの変動を考慮するように構成され、かつ互いから離間される。さらに、入力導波路305は、
図2の入力導波路205とは異なるパターンを有するが、双方は、互いに類似して機能し、かつ類似する、又は等しい物理的特性(V値及び物理的サイズなど)を有する。同様に、入力導波路405及び505は、入力導波路205及び305と比較して類似の機能及び特性を有してもよい。さらに、出力導波路315、415、515及び615は、対応する各図において異なる長さを有するように描かれていることがあるが、これは、単に説明を目的とするものである。実施形態によっては、これらの出力導波路は、同一の長さであっても、類似の長さであってもよい。同様に、出力導波路315、415、515、615は、湾曲した出力エッジを有するものとして示されているが、実施形態によっては、出力導波路315、415、515、615の出力エッジは、直線状、角状または他の形状であってもよく、或いは隣接する、又は当接する光学要素へ効率的に結合するように成形されてもよい。入力導波路305、405、505及び605は、所定の長さとして描かれているが、入力導波路は、任意の長さであってもよい。同様に、入力導波路305、405、505及び605は、湾曲した入力エッジを有するものとして示されているが、実施形態によっては、入力導波路305、405、505及び605の入力エッジは、直線状、角状または他の形状であってもよく、或いは隣接する、又は当接する光学要素へ効率的に結合するように成形されてもよい。
【0040】
実施例によっては、入力導波路305は、自由伝搬領域310へ光学的に結合されてもよく、自由伝搬領域310に光を提供してもよく、かつ自由伝搬領域310で終端してもよい。入力導波路を通って伝搬する光は、約1ミクロンに及び得る広範な波長範囲の光であり得る。自由伝搬領域310は、入力導波路305から波長範囲の光を受信するように構成されてもよく、この光は、自由伝搬領域310内で自由に伝搬しかつ回折し得る。概して、入力導波路305が狭いほど、自由伝搬領域310において光が回折する、又は散開する速度が上がり得る。
図2A及び
図2Bを参照して先に述べたように、入力導波路305は、狭くてもよく、よって、光を波長程度であるモードサイズに閉じ込める。
【0041】
実施例によっては、入力導波路305は、ストリップ導波路であってもよく、出力導波路315a~315hもまたストリップ導波路であってもよい。実施例によっては、出力導波路315a~315hは、代わりにリブ導波路であっても、ストリップ導波路とリブ導波路との何らかの組合せであってもよい。さらに、自由伝搬領域310は、スラブ導波路であってもよい。導波路が全て、光を導波路へ閉じ込めるために低指数のクラッド領域により包囲されてもよいことは、理解され得る。概して、本明細書に記載する導波路は、伝搬領域の両側にクラッド層を有するコア又は伝搬領域を含んでもよい。さらに、導波路の伝搬領域は、自由伝搬領域が、光が回折して散開し得る領域であるという理由で、光学スプリッタの自由伝搬領域とは区別的である。
【0042】
光は、入力導波路305から自由伝搬領域310へ進むと、ほぼ同一の角度で回折して、全ての波長で類似して再現され得る略ガウス回折波面を形成し得る。自由伝搬領域310内の回折光は、広範な波長範囲に渡って略同一(又は、同一)の遠視野角を形成するように伝搬し得る。波長範囲における異なる波長の光が略同一の角度で回折する場合に、光が出力導波路に到達すると、導波路は各々、略同一の、又は同一の光学パワーを有する光を出力し得る。波長に比例し得るモードサイズを提供することにより、遠視野角は、波長に非依存となり得る。実施例によっては、垂直次元における入力導波路モードは、自由伝搬領域310の導波路モードに略一致し得、これにより、光学損失が低減される。
【0043】
実施例によっては、波長に依存しかつ波長に比例する導波路モードサイズを生成することにより、光は、全ての成分波長に関して同一角度で回折し得、よって、光の波長に非依存であり得る遠視野角が提供される。導波路のモードサイズが、導波路を通過する光から結果的に生じるモードサイズであることは、理解され得る。実施例によっては、
図2Aを参照して説明したように、垂直次元に高いV値を、かつ水平次元に低いV値(又は、導波路の方向性に依存してその逆)を有する入力導波路305を用いることにより、遠視野角は、波長に非依存であってもよい。
【0044】
実施例によっては、自由伝搬領域310は、入力エッジ380と、出力エッジ381とを含んでもよく、入力導波路は、入力エッジ380へ光学的に結合されてもよい。光学スプリッタ300の出力導波路315a~315hは、自由伝搬領域310の出力エッジ381へ結合されてもよい。さらに、複数の出力導波路315a~315hは各々、光の局所位相面へ予め決められた個別の角度(例えば、略垂直又は他の任意の適切な角度)で位置合わせされてもよい。
図3に示す自由伝搬領域の変形例310では、光は、自由伝搬領域を通り伝搬して回折するにつれて、略円筒形の位相面であり得る位相面を有し得る。
【0045】
所与の出力導波路の位置、幅及び角度は、集合的に、出力導波路へと結合される光の量に影響を及ぼし、よって、その各々は、特定の出力導波路へ結合する所与の光を達成するように選択されてもよい。たとえば、各導波路は、好ましくは、出力導波路に結合する光及び光学パワーの量を増やすために、局所位相面に対して垂直に位置合わせされてもよいが、他の点では全く同じ導波路であって損失が増大するとしても、他の角度である可能性もあることは、認識されるべきである。実施例によっては、導波路315a~315hのアレイは、好ましくは、円形曲線(例えば、入力導波路が自由伝搬領域に出合う場所を中心とする)に沿って位置合わせされてもよく、よって、各導波路は、同じ位相面に沿って位置合わせされる。導波路315a~315hのアレイは、他の曲線に沿って位置合わせされる場合もあるが、これらの他の曲線に関連づけられる損失が許容可能なものであって、全体的なシステム仕様の範囲内であることを条件とする点は、認識されるべきである。
図3に示すように、出力導波路315aは、各出力導波路が、特定の出力導波路に達する光の局所位相面に対して(略)垂直に配置されることから、自由伝搬領域310に対して出力導波路315fとは異なる角度にあってもよい。
【0046】
図3に示すように、少なくとも幾つかの出力導波路は、異なる幅を有してもよく、これらの幅は、出力導波路アレイの中心に対する当該出力導波路の位置によって変わってもよい。すなわち、出力導波路の幅は、非均一であってもよい。
図3に示すように、出力導波路315d及び315eは、アレイの中心により近づけて位置合わせされることから、より狭いものであり得るのに対して、出力導波路315a及び315hは、出力導波路アレイの外側へとさらに遠くへ位置合わせされることから、幅がより広くなり得る。実施例によっては、出力導波路315a~315hの幅は、少なくとも部分的に、自由伝搬領域310内の回折光の強度に依存し得る。したがって、導波路の幅は、導波路の、自由伝搬領域の中心線からの距離が増すにつれて増加してもよい。図示されているように、出力導波路の互いに対する中心間スペーシングもまた、出力導波路がアレイの外側に向かって幅を増すにつれて増大し得るが、出力導波路のスペーシングは、均一であってもよく(例えば、隣接する導波路同士の側壁又はエッジ間の距離は、考察対象がどの導波路ペアであるかに関わらず同じであってもよく)、又は、互いから同一距離で離間されてもよい。光学パワー及び/又は光強度は、光が自由伝搬領域310のエッジに向かって散開するにつれて低減し得ることから、出力導波路は、アレイのエッジに向かってより広くなり得る。
【0047】
実施例によっては、全体システム効率は、光の全ての波長に渡って略同一であってもよく、よって、出力導波路は、光の全ての波長に渡って同一のパワー又は略同一のパワーを有する。
【0048】
図4Aは、別の光学スプリッタの一実施例を示す。
図4Aは、本明細書に記載される、かつアウトカプラを含むより大きい光学システムに組み込まれる光学スプリッタの一実施例を示す。図示されているように、光学スプリッタ400は、入力導波路405と、自由伝搬領域410と、出力導波路415a~415gのアレイと、クラッド領域420とを含んでもよい。光学スプリッタ400は、本明細書に記載され、かつ
図3の光学スプリッタ300をも参照して説明される任意の適切な方法で構成されてもよい。さらに、出力導波路415a~415gのアレイは、
図3に示す出力導波路の一部を描写したものであってもよい。
図3を参照して先に述べたように、出力導波路は、自由伝搬領域315内の位相面に沿って光を結合してもよい。出力導波路は各々、光の局所位相面に対して垂直に位置合わせされてもよく、よって、各出力導波路は、異なる位相の光を有してもよい。
図4Aにおいて、出力導波路アレイは、導波路415a~415gを含む。出力導波路415a~415gは、導波路チャネルが略同一の光学パワーを受信し得るように、均一に離間されかつ異なる非均一な幅であってもよい。光学パワーは、自由伝搬領域410の中心に向かってより大きくなり得、かつエッジに向かって低下し得ることから、中心チャネルの出力導波路が外側チャネルの出力導波路より狭いものであり得ることは、理解され得る。415c及び415dなどの中心チャネル出力導波路間の中心チャネルスペーシングは、主に製造技法によって制限されてもよく、かつ均一であってもよい。
【0049】
インスタンスによっては、出力導波路415a~415gは、アウトカプラ430a~430gにより受信される光が異なる位相を有し得るように構成されてもよい。すなわち、出力導波路415a~415gは、異なる位相425a~425gを有する光をアウトカプラ430a~430gに提供してもよい。言い換えれば、出力導波路415a~415gは、異なる群遅延を有する光を提供してもよい。出力導波路430a~430gからの光は、プリズム、ミラー、レンズ、コリメータ、これらの任意の組合せ、等々といった任意タイプの光学要素へ提供され得ることから、アウトカプラ430a~430gは、単に説明を目的として使用されている。実施例によっては、出力導波路430a~430gは、光をサンプル測定のために提供しても、光監視のために基準検出器へ提供してもよい。実施例によっては、導波路は、複数の出力導波路からの光が1つのアウトカプラにより受信され得るように、グループに分割されてもよい。この実施例において、グループ化された出力導波路は、対応するアウトカプラよりもグループ内のお互いにより近づけて位置合わせされてもよい。出力導波路をグループ化することで、これにより、導波路グループ毎に「単一出力」の効果が生成され得る。さらに他の実施形態において、一部の出力導波路は、互いに異なる位相を提供し得るが、グループ化された出力導波路内部の出力導波路は、対応するアウトカプラへ同じ位相の光を提供してもよい。
【0050】
先の、出力導波路が局所位相面に対して垂直に位置合わせされるという考察においては、導波路は、(導波路が曲線上の複数の点に対して同時に垂直となることは不可能であることから)空間における1点において、局所位相面に対し垂直に位置合わせされることが認識されるべきである。この点は、(例えば、導波路を導波路により取り囲まれる局所位相面の平均傾斜に対して垂直となるように位置合わせすることにより)損失を最小限に抑えることを促進すべく選択され得るが、局所位相面の曲がりに起因して生じる全ての損失に対処することはできない場合がある。このことは、出力導波路が大きくなるにつれて強まり、よって、外側の導波路に偏って影響を及ぼし得る。たとえば、
図4Aに示す出力導波路では、中心に位置合わせされる出力導波路(例えば、415d)の方がより小さいことから、これらは、より少ない位相面の曲がりに出合う(よって、位相面は、より厳密に平面波に近似するであろう)。一方で、外側の出力導波路(例えば、415a及び415g)は、より大きく、よって、より大きい量の曲がりに出合う。これらの理由から、所与の1つの出力導波路を(各々、自由伝搬領域に対する角度が異なる)2つのより小さい導波路に分割して、個々の導波路が出合う位相面の曲がりをより小さくすることが望ましい場合がある。
【0051】
図4Bは、出力導波路アレイを有する別の光学スプリッタの一実施例を示す。光学スプリッタ450は、
図4Aに示す出力導波路の代替配置として示される出力導波路アレイを含んでもよい。
図3を参照して先に述べたように、出力導波路は、自由伝搬領域310内の位相面に沿って光を結合してもよい。出力導波路は各々、その局所的な光位相面に対して垂直に位置合わせされてもよく、よって、各出力導波路は、異なる位相の光を受け入れる、又は受信してもよい。
図4Bにおいて、光学スプリッタ450は、導波路455a1~455g1を含む。出力導波路455a1~455g1は、非均一に離間され、かつ導波路チャネルが略同一の光学パワーを受信し得るように、類似する、又は異なる幅を有してもよい。出力導波路455a1~455g1は、異なる位相465a1~465g1を有する光をアウトカプラ470a1~470g1へ提供してもよい。
【0052】
光学スプリッタ450は、外側チャネルの出力導波路を複数のより小さい出力導波路で置き換えることにより、
図4Aを参照して説明した問題を軽減し得る。具体的には、
図4Aにおける外側チャネルの出力導波路415aは、
図4Bにおけるより小さい外側チャネルの出力導波路455a1及び455a2で置き換えられてもよい。たとえば、内側チャネルの出力導波路455dの幅517は、外側チャネルの導波路455a1、455a2、455g1、455g2の幅518より広い。さらに、
図4Aにおける外側チャネルの出力導波路415bは、
図4Bに示すように、より小さい外側チャネルの出力導波路455b1及び455b2で置き換えられてもよい。複数のより小さい外側チャネル出力導波路を用いることにより、各出力導波路は、増大された均一の局所強度によって照射され得、かつ出力導波路は、局所位相面に一致するようにシフトされ得る。
【0053】
外側チャネルの出力導波路455a1は、光を光路465a1に沿ってアウトカプラ470a1へ出力してもよく、かつ外側チャネルの出力導波路455a2は、光を光路456a2に沿ってアウトカプラ470a2へ出力してもよい。アウトカプラ470a1、470a2は、互いに対して、内側チャネルの出力導波路から光を受信するアウトカプラ470c、470dより近くに位置合わせされてもよい。外側チャネルのアウトカプラ470a1、470a2は、発射される光の2つの部分が、アウトカプラ470dなどの内側チャネルの単一のアウトカプラからの光の単一部分として機能するに足る近さで位置合わせされてもよい。外側チャネルの出力導波路455a1、455a2のサイズ及びスペーシングに起因して、これらの導波路からの光は、2つのアウトカプラ470a1及び470a2によりあたかも単一であるかのように発射されてもよい。外側チャネルのこれらのより小さい出力導波路455a1、455a2は、外側チャネルのアウトカプラを介して、互いに近い同一の(又は、ほぼ同一の)位相を有する光を発射してもよい。したがって、発射される光の光学パワーは、結合し得、よって、
図4Aにおける外側チャネルの単一の出力導波路415aにより発射される光の光学パワーと同一である場合も、類似する場合もある。実施例によっては、光路465a1~465g1は、空気、1つ又は複数の導波路を通って、かつ/又は光を対応するアウトカプラへと方向づけ得る他の光学要素を通って伝搬してもよい。
【0054】
図4Aの光学スプリッタ400は、より広い外側チャネルの導波路を用いることにより局所的な強度変動を補償し得るが、外側チャネルの導波路のサイズが中心チャネルの導波路の約2倍になると、光学損失は、外側チャネルのより小さい出力導波路の数を増やした
図4Bの光学スプリッタ450を用いて、より良好に軽減され得る。外側チャネルにおける増大された数のより小さい出力導波路は、出力導波路の密度及び/又はスペーシングを変えることにより、光のガウス回折波面の非均一な強度を減じ得る。
図4Bは、外側チャネルの単一の出力導波路に取って代わり得る外側チャネルの2つのより小さい出力導波路を単に例示を目的として示すものであり、外側チャネルの出力導波路に取って代わり得る導波路は、2つまたは他の任意の数であってもよい。外側チャネルのより小さい複数の出力導波路を用いる分割機能は、低い合計光学損失及び波長非依存性を提供し得る。
【0055】
実施例によっては、
図4Bの出力導波路455a1~455g1間のスペーシングは、均一なスペーシングであっても、半均一なスペーシングであってもよい。実施例によっては、中心チャネルの出力導波路と外側チャネルの出力導波路との間の中心チャネルスペーシングは、光の位相面の非均一な光学パワー分布を減じるために互いに異なってもよい。中心チャネルの出力導波路は、位相面が平面波のそれに近いものであり得ることから、均一な中心チャネルスペーシングを有してもよく、一方で、外側チャネルの出力導波路455a1と455a2との間及び455b1と455b2との間の外側チャネルスペーシングは、中心チャネルの出力導波路の均一なスペーシングの半分であってもよい。外側チャネルの出力導波路のスペーシングは、外側チャネルの出力導波路455a1及び455a2のサイズが中心チャネルの出力導波路455dの半分であり得ることから、均一なスペーシングの半分であってもよい。さらに、出力導波路455a1及び455a2は、単一のチャネル出力として扱われ得ることから、スペーシングは、出力導波路のサイズが半分でありかつ2つの出力導波路が単一のチャネルと同じスペーシングで使用されるという理由で、より小さくてもよく、かつ均一なスペーシングの半分であってもよい。
【0056】
実施形態によっては、外側チャネルの出力導波路455a1及び455a2の幅は、外側チャネルの隣接する出力導波路455b1及び455b2の幅の半分であってもよい。同様に、外側チャネルの導波路455g1及び455g2の幅は、外側チャネルの隣接する導波路455f1及び455f2の幅の半分であってもよい。さらに、外側チャネルの出力導波路455a1及び455a2により受信される合計パワーは、外側チャネルの出力導波路455a1及び455a2と外側チャネルの隣接する出力導波路455b1及び455b2との間の幅変動に起因して、他の単一の導波路(外側チャネルの隣接する出力導波路455b1及び455b2など)により受信されるパワーに類似する量の光学パワーを受信してもよい。
【0057】
実施形態によっては、外側チャネルのグループ化された出力導波路455a1及び455a2は、外側チャネルの隣接する出力導波路455b1、455b2の一方と同量の光を集めることもある。さらに、外側チャネルのグループ化された出力導波路455a1及び455a2は、外側チャネルの他のグループ化された出力導波路と同量の光(例えば、光学パワー)を集めてもよい。外側チャネルのグループ化された出力導波路455a1、455a2の各々により提供される光は、外側チャネルの出力導波路455a1、455a2間で均等に分配されても、分配されなくてもよい。同様に、出力導波路の任意のグループにおいて、その出力導波路グループ内の各出力導波路により提供される光(例えば、光学パワー)は、該グループ内の各出力導波路間で均等に分配されても、分配されなくてもよい。さらに、外側チャネルのグループ化された出力導波路455a1、455a2における各出力導波路は、同じ位相の光を集めるように位置合わせされてもよい。概して、ある出力導波路グループ内の各出力導波路は、収集される光がグループ内の他の出力導波路と同じ位相であり得るように、自由伝搬領域に対して位置合わせされてもよい。
【0058】
図5は、光学スプリッタの一実施例を示す。光学スプリッタ500は、出力導波路のスペーシングが、類似する光学パワーを保持しながら、該出力導波路へ結合される光の光学パワーに基づいて変えられ得ることを示している。光学スプリッタ500は、入力導波路505と、自由伝搬領域510と、クラッド領域520と、出力導波路515a~515iのアレイとを含む。
図5において、合計光学損失は、出力導波路のスペーシングを調整することにより低減されてもよい。実施例によっては、第1及び第2の出力導波路間のスペーシングは、自由伝搬領域から第1及び第2の出力導波路の各々へと結合される光学パワーに依存し得る。
【0059】
図5において、出力導波路のスペーシングは、中心チャネルの出力導波路、及び外側チャネルの出力導波路へと結合される光学パワーに基づいて決定されてもよい。中心チャネルの出力導波路515e及び515fは、中心チャネルの出力導波路が均一かつ高い光学パワーを有する光と結合するように、入力導波路の略中心に置かれてもよい。さらに、中心チャネルの出力導波路515e及び515fは、自由伝搬領域510から、出力導波路へと結合される第1の光学パワーを受け入れてもよい。隣接する次の出力導波路515dは、第1の光学パワーの80%を受け入れてもよく、よって、出力導波路515eと515dとの間のスペーシングは、出力導波路515eと515fとの間のスペーシングの80%であってもよい。さらに、隣接する次の出力導波路515cは、第1の光学パワーの60%を受け入れてもよく、よって、出力導波路515cと515dとの間のスペーシングは、出力導波路515eと515fとの間のスペーシングの60%であってもよく、以下、
図5における残りの出力導波路についても同様である。たとえば、内側チャネルの出力導波路515e及び515d間、並びに内側チャネルの出力導波路515e及び515f間の幅517は、外側チャネルの出力導波路515c及び515b間、並びに外側チャネルの出力導波路515g及び515h間の幅518より広くてもよい。同様に、幅519は、幅517及び幅518の全てより小さくてもよい。
図5において、出力導波路515a~515iは、出力導波路515a~515iに渡って受信される光学パワーの均一性を保持し得る。
【0060】
図6は、2×3光学スプリッタの一実施例を示す。2×3光学スプリッタ600は、第1の入力導波路605aと、第2の入力導波路605bと、クラッド領域620と、自由伝搬領域610と、3つの出力導波路615a~615cとを含んでもよい。
図6において、2つの入力ポート及び3つの出力ポートは、単に説明を目的として使用され、よって、2×N光学スプリッタには、任意の数の出力ポートが使用されてもよい。さらに、2つの入力ポートは、単に説明を目的として使用され、よって、この光学スプリッタには、M×Nスプリッタ(Mは、光学スプリッタの入力ポートの数であり、Nは、出力ポートの数である)などの場合のように、3つ又はこれを超える入力ポートが使用されてもよい。実施例によっては、第1及び第2の入力導波路605a及び605bは、上流光源から、そうでなければそれを出力導波路615a~615cに分割する前に結合される必要があると思われる光を受信してもよい。さらに、実施例によっては、入力ポート又は導波路の数は、2以上であり、かつ全ての入力ポート又は導波路により画定される合計エリア(例えば、自由伝搬領域の入力面に沿った中心線からの最大距離)は、自由伝搬領域の長さ又は出力ポートもしくは導波路アレイの長さ(出力面に沿った中心線からの最大距離)より遙かに小さくてもよい。
【0061】
図6において、第1及び第2の入力導波路605a及び605bには、
図3及び
図5を参照して説明した単一の入力導波路に類似する低い光学損失が発生し得る。入力ポートの数が増すにつれて存在し得る光学損失が少量あり得るが、第2の入力導波路605bを追加してもなお、生じる光学損失は許容可能な低さであり得る。さらに、2入力導波路光学スプリッタ600は、1×Nスタースプリッタを有するカスケーディング2×1カプラを含むシステムより低い損失を有し得、かつ2入力導波路光学スプリッタ600は、より小さいフォームファクタを有し得る。
【0062】
実施例によっては、第1及び第2の入力導波路605a及び605bは、互いに類似する導波路パラメータを有してもよく、かつ
図3及び
図5を参照して説明した単一の入力導波路と異なっていなくてもよい。たとえば、第1及び第2の入力導波路605a及び605bは、垂直次元に高いV値を有し、かつ水平次元に低いV値を有してもよい。
【0063】
第1の入力導波路605aは、製造プロセスが第2の入力導波路の追加に関連づけられるあらゆる光学損失の低減を可能にすることから、第2の入力導波路605bに近接して位置合わせされてもよい。概して、第1及び第2の入力導波路605a及び605bは、互いに隣接して、かつ単一の入力導波路が単一の入力導波路光学スプリッタ内に位置合わせされ得るポジションを中心として対称に位置合わせされてもよい。他の実施例において、第1及び第2の入力導波路605a、605は、単一の入力導波路が典型的に位置合わせされ得る場所に対して対称に位置合わせされなくてもよい。
【0064】
更には、プロセスのステップ、又は方法のステップは、連続的な順序で説明することができるが、そのようなプロセス及び方法は、任意の好適な順序で機能するように構成することができる。換言すれば、本開示で説明することが可能なステップの、いずれの連続又は順序も、その順序でステップが実行されるという要件を、それ自体で示すものではない。更には、いくつかのステップは、(例えば、或る1つのステップが、他のステップの後に説明されていることにより)同時には実施されないものとして説明又は示唆されているにもかかわらず、同時に実行される場合もある。更には、或るプロセスの、図面におけるその説明による例示は、例示されているプロセスが、そのプロセスに対する他の変形及び修正を排除することを示唆するものではなく、例示されているプロセス、又はそのステップのうちのいずれかが、1つ以上の実施例に必要であることを示唆するものでもなく、例示されているプロセスが、好ましいものであることを示唆するものでもない。
【0065】
本開示による方法及び装置の、代表的な適用例が、本セクションで説明されている。これらの実施例は、前後関係を追加し、説明する実施例の理解を助けることのみを目的として提供される。それゆえ、説明される実施例は、特定の詳細のうちの一部又は全てを伴わずに実践することができる点が、当業者には明らかとなるであろう。他の適用例が可能であり、それゆえ以下の実施例は、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0066】
添付図面を参照して、本開示の実施例が十分に説明されてきたが、様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなるであろう点に留意されたい。そのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、本開示の実施例の範囲内に含まれるものとして理解されたい。
【国際調査報告】