(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む光学効果層を備えるセキュリティ文書又は物品、及び前記光学効果層を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B41M 3/14 20060101AFI20230905BHJP
B42D 25/369 20140101ALI20230905BHJP
【FI】
B41M3/14
B42D25/369
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513649
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2021073863
(87)【国際公開番号】W WO2022049024
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ロギノフ, エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】カルガーリ, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】デスプラント, クロード‐アラン
【テーマコード(参考)】
2C005
2H113
【Fターム(参考)】
2C005HA04
2C005JB23
2C005KA61
2H113AA01
2H113AA06
2H113BA00
2H113BA01
2H113BA03
2H113BA05
2H113BA09
2H113BB02
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB09
2H113BB10
2H113BB22
2H113BB32
2H113BC09
2H113BC11
2H113CA17
2H113CA25
2H113CA36
2H113CA39
2H113CA47
2H113DA04
2H113DA47
2H113DA49
2H113DA57
2H113DA63
2H113FA43
(57)【要約】
本発明は、例えば銀行券及び身分証明書などのセキュリティ文書を偽造及び違法な複製から保護する分野に関する。特に、本発明は、1つまたは複数の光学効果層(OEL)を備えるセキュリティ文書及び装飾品、並びに前記OELを製造する方法を提供し、前記OELは、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)中に磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含み、人目を引く光学効果を示し、したがって、観察者は、約-45°~約+45°の視野/観察角度で傾けると、OELを簡単に認証できる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元表面を有する基材(x20)と、前記基材(x20)上の1つまたは複数の光学効果層(OEL)とを備えるセキュリティ文書又は装飾品であって、
前記1つまたは複数の光学効果層(OEL)が、主軸線Xを有するとともに少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)中に磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含み、
前記プレートレット形状の顔料粒子の配向が、前記粒子の前記主軸線Xと平行なベクトルであるプレートレットベクトルによって規定され、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の前記プレートレットベクトルが互いに実質的に平行であり、
前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の前記プレートレットベクトルが、前記粒子の位置で前記基材(x20)の前記2次元表面に対して仰角γだけ角度を付けられ、前記仰角γが、
0°よりも大きく30°よりも小さく(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さく(150°<γ<180°)、
それにより、前記1つまたは複数の光学効果層(OEL)が、輝度の最大値に達する輝度の増大と、前記基材(x20)の-45°~+45°の視野角内での輝度の減少とを示す、
セキュリティ文書又は装飾品。
【請求項2】
前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部が、プレートレット形状の光学可変の磁性又は磁化可能な顔料粒子によって構成される、請求項1に記載のセキュリティ文書又は装飾品。
【請求項3】
前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部が、金属色、好ましくは銀色又は金色を呈するプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子によって構成される、請求項1に記載のセキュリティ文書又は装飾品。
【請求項4】
前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な粒子が互いに実質的に平行である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセキュリティ文書又は装飾品。
【請求項5】
1つまたは複数のしるしを更に含み、前記1つまたは複数のしるしが、前記基材(x20)と前記1つまたは複数の光学効果層(OEL)との間に存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のセキュリティ文書又は装飾品。
【請求項6】
前記1つまたは複数の光学効果層(OEL)が、前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)中に磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むとともに、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)中に磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含み、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)が、前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と少なくとも部分的に若しくは完全に重なり合い、又は、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)が、前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と隣り合い、又は、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)が、前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)から離間され、前記第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルが、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)中で前記基材(x20)の前記2次元表面に対して前記粒子の位置で更なる仰角γ’だけ角度付けられ、前記更なる仰角γ’が0°よりも大きく30°よりも小さく(0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さく(150°<γ’<180°)、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が、互いに異なる及び/又は同一平面上にない、請求項1~5のいずれか一項に記載のセキュリティ文書又は装飾品。
【請求項7】
前記仰角γが約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)、好ましくは約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲内である、請求項1~6のいずれか一項に記載のセキュリティ文書又は装飾品。
【請求項8】
2次元表面を有する基材(x20)上に光学効果層(OEL)を生成する方法であって、
a)基材(x20)表面上にプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を塗布するステップであって、前記放射線硬化性コーティング組成物が、コーティング層(x10)を形成するように第1の液体状態にある、ステップと、
b)前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するように、前記コーティング層(x10)を、磁場発生装置(x30)の磁場に対して、前記磁場が実質的に均一である1つまたは複数の領域で曝露するステップであって、前記コーティング層(x10)を支持する前記基材(x20)が、前記磁場が実質的に均一である前記1つまたは複数の領域に設けられ、前記コーティング層(x10)と、前記磁場が実質的に均一である前記1つまたは複数の領域内の磁場の磁力線の接線とが成す角度αが、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<α<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<α<180°)、ステップと、
c)ステップb)と部分的に同時に又はステップb)の後に、前記コーティング層(x10)中の前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の位置及び配向を少なくとも部分的に固定し、前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)を生成するように、前記コーティング層(x10)を硬化ユニット(x40)で少なくとも部分的に硬化させるステップと、
を含み、
前記プレートレット形状の顔料粒子の配向が、前記粒子の主軸線Xと平行なベクトルであるプレートレットベクトルによって規定され、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の前記プレートレットベクトルが互いに実質的に平行であり、前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の前記プレートレットベクトルが、前記粒子の位置で前記基材(x20)の前記2次元表面に対して仰角γだけ角度を付けられ、前記仰角γが0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、
方法。
【請求項9】
前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が第2の主軸線Yを有し、前記プレートレット形状の顔料粒子の配向が、前記粒子の前記第2の主軸線Yと平行なベクトルである第2のプレートレットベクトルによって更に規定され、前記コーティング層(x10)を曝露する前記ステップb)が、前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するように行なわれ、その結果、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルが互いに実質的に平行であるとともに、前記隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の前記第2のプレートレットベクトルが互いに実質的に平行である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップc)が前記ステップb)と部分的に同時に行なわれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光学効果層(OEL)が、前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と、前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)上において少なくとも部分的に、第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)と、を備え、前記第2のプレートレット形状の顔料粒子のそれぞれの配向が、前記第2のプレートレット形状の顔料粒子の前記主軸線Xと平行なベクトルであるプレートレットベクトルによって規定され、隣り合う第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の前記プレートレットベクトルが互いに実質的に平行であり、
前記第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の前記プレートレットベクトルが、前記粒子の位置で前記基材(x20)の前記2次元表面に対して、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ’<180°)更なる仰角γ’だけ角度付けられ、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が、互いに異なる及び/又は同一平面上になく、
前記方法が、
前記ステップc)に続いて、前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)上に、前記第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む第2の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的又は完全に塗布するステップd)であって、前記第2の放射線硬化性コーティング組成物が、第2のコーティング層(x11)を形成するように第1の液体状態にあり、前記第2の放射線硬化性コーティング組成物が、ステップa)の前記放射線硬化性コーティング組成物と同じ又は異なる、ステップd)と、
前記第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するように、前記第2のコーティング層(x11)を、第2の磁場発生装置の第2の磁場に対して、前記第2の磁場が均一である1つまたは複数の領域で曝露するステップe)であって、前記第2のコーティング層(x11)を支持する前記基材(x20)が、前記磁場が実質的に均一である前記1つまたは複数の領域に設けられ、前記第2のコーティング層(x11)と、前記磁場が均一である前記1つまたは複数の領域内の前記第2の磁場の磁力線の接線とが成す角度α’が、0°よりも大きく30°よりも小さく(0°<α’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さく(150°<α’<180°)、前記第2の磁場発生装置が、ステップb)の前記磁場発生装置と同じ又は異なり、α’がαと異なる、ステップe)と、
f)前記第2のコーティング層(x11)を前記第2の磁場に曝露する前記ステップe)と部分的に同時に又は前記ステップe)の後に、前記第2のコーティング層(x11)中の前記第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の位置及び配向を少なくとも部分的に固定し、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)を生成するように、前記第2のコーティング層(x11)を硬化ユニット(x40)で少なくとも部分的に硬化させるステップと、
を更に含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記光学効果層(OEL)が、前記プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と、第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)と、を備え、前記第2のプレートレット形状の顔料粒子のそれぞれの配向が、前記第2のプレートレット形状の顔料粒子の前記主軸線Xと平行なベクトルであるプレートレットベクトルによって規定され、隣り合う第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の前記プレートレットベクトルが互いに実質的に平行であり、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)が、前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)に隣り合う又は前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)から離間し、
前記第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の前記プレートレットベクトルが、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)中において前記粒子の位置で前記基材(x20)の前記2次元表面に対して、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ’<180°)更なる仰角γ’だけ角度付けられ、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が、互いに異なる及び/又は同一平面上になく、
前記方法が、
前記ステップc)に続いて、前記第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む第2の放射線硬化性コーティング組成物を塗布するステップd)であって、前記第2の放射線硬化性コーティング組成物が、第2のコーティング層(x11)を形成するように第1の液体状態にあり、前記第2の放射線硬化性コーティング組成物が、ステップa)の前記放射線硬化性コーティング組成物と同じ又は異なり、前記第2のコーティング層(x11)が、前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)に隣り合う又は前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)から離間する、ステップd)と、
前記第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するように、前記第2のコーティング層(x11)を第2の磁場発生装置の第2の磁場に対して、前記磁場が均一である1つまたは複数の領域で曝露するステップe)であって、前記第2のコーティング層(x11)を支持する前記基材(x20)が、前記磁場が実質的に均一である前記1つまたは複数の領域に設けられ、前記第2のコーティング層(x11)と、前記磁場が実質的に均一である前記1つまたは複数の領域内の前記第2の磁場の磁力線の接線とが成す角度α’が、0°よりも大きく30°よりも小さく(0°<α’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さく(150°<α’<180°)、前記第2の磁場発生装置が、ステップb)の前記磁場発生装置と同じ又は異なり、α’がαと異なる、ステップe)と、
f)前記第2のコーティング層(x11)を前記第2の磁場に曝露する前記ステップe)と部分的に同時に又は前記ステップe)の後に、前記第2のコーティング層(x11)中の前記第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の位置及び配向を少なくとも部分的に固定し、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)を生成するように、前記第2のコーティング層(x11)を硬化ユニット(x40)で少なくとも部分的に硬化させるステップと、
を更に含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記角度α’が、約5°以上30°未満(5°≦α’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<α’≦175°)、好ましくは約5°~約25°(5°≦α’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦α’≦175°)の範囲内である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記角度αが、約5°以上30°未満(5°≦α<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<α≦175°)、好ましくは約5°~約25°(5°≦α≦25°)又は約155°~約175°(155°≦α≦175°)の範囲内である、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項8~14のいずれか一項に記載の方法によって製造された光学効果層(OEL)。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[001]本発明は、磁気的に配向された磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む光学効果層(OEL)の分野に関する。特に、本発明は、1つまたは複数の光学効果層(OEL)を備えるセキュリティ文書及び装飾物品、並びに前記OELを製造するための方法、及びセキュリティ文書又はセキュリティ物品の偽造防止手段としての並びに装飾目的での前記OELの使用を提供する。
【発明の背景】
【0002】
[002]配向された磁性又は磁化可能な顔料粒子、特に光学可変の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むインク、組成物、コーティング又は層を使用することは、セキュリティ要素の製造のため、例えばセキュリティ文書の分野において、当技術分野で知られている。配向された磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むコーティング又は層は、例えば、米国特許第2,570,856号;米国特許第3,676,273号;米国特許第3,791,864号;米国特許第5,630,877号、及び米国特許第5,364,689号に開示される。セキュリティ文書の保護に有用な、特に魅力的な光学効果をもたらす、配向された磁気カラーシフト顔料粒子を含むコーティング又は層は、国際公開第2002/090002号及び国際公開第2005/002866号に開示される。
【0003】
[003]例えばセキュリティ文書のためのセキュリティ特徴は、一般に、一方では「隠れた」セキュリティ特徴に、他方では「顕在的な」セキュリティ特徴に分類できる。秘密のセキュリティ特徴によって提供される保護は、そのような特徴は検出が困難であるという原則に依存しており、通常、検出には専門の機器及び知識が必要である。これに対し、「顕在的な」セキュリティ特徴は、肉眼的感覚で簡単に検出できるという概念に依存しており、例えば、そのような特徴は、目に見える及び/又は触覚を介して検出可能である場合があるが、作成及び/又はコピーすることは依然として困難である。しかしながら、明白なセキュリティ特徴の有効性は、セキュリティ特徴としての認識のしやすさに大きく依存する。
【0004】
[004]印刷インク又はコーティング中の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、対応する構造化された磁場の印加を通じて、磁気的に誘導された画像、デザイン、及び/又はパターンの生成を可能にし、未だ硬化/硬化していない(すなわち、湿った)コーティング中の磁性又は磁化可能な顔料粒子の局所配向を誘導し、その後、コーティングの硬化が続く。その結果、固定された安定した磁気的に誘導された画像、デザイン、又はパターンが得られる。コーティング組成物中の磁性又は磁化可能な顔料粒子を配向させるための材料及び技術は、例えば、米国特許第2,418,479号、米国特許第2,570,856号;米国特許第3,791,864号、独国特許出願公開第2006848号、米国特許第3,676,273号、米国特許第5,364,689号、米国特許第6,103,361号、欧州特許第0406667号;米国特許出願公開第2002/0160194号;米国特許出願公開第2004/0009308号;欧州特許出願公開第0710508号;国際公開第2002/09002号;国際公開第2003/000801号;国際公開第2005/002866号;国際公開第2006/061301号に開示される。このようにして、偽造に対して非常に耐性のある磁気誘導パターンを生成することができる。対象のセキュリティ要素は、磁性又は磁化可能な顔料粒子又は対応するインク、及び前記インクを印刷し、印刷されたインク内で前記顔料を配向するために使用される特定の技術の両方にアクセスすることによってのみ製造することができる。
【0005】
[005]例えば国際公開第2015/018663号に記載されているように、磁気的に配向された顔料又は粒子を含む顕在的なセキュリティ特徴には、高いコントラスト、輝度、及び反射率が不可欠であることが当技術分野で知られている。
【0006】
[006]光学効果層(OEL)の磁性又は磁化可能な顔料粒子の磁気配向パターンに従って及び観察方向に従って、前記OELは、明るい領域及び暗い領域を表示することができる。OELの特定のゾーンの光学特性は、前記OELを形成するコーティング層内の磁性又は磁化可能な顔料粒子の配向に直接依存する。
【0007】
[007]欧州特許第2484455号は、第1及び第2の曲面を模倣するように配向された顔料粒子を含む第1及び第2の硬化コーティング組成物の一緒に見えるゾーンを含むOELを開示する。欧州特許第2484455号及び[003]で引用されている先行技術、特に国際公開第2004/007095号に開示されるように、曲面を模倣するように配向された顔料粒子を含むコーティング組成物は、コーティング組成物を支持する基材を傾けると(すなわち、観察方向を変えると)移動する明るいゾーンとして、観察者に見える鏡面反射ゾーンを生成する。
【0008】
[008]欧州特許第2846932号は、光学効果層の視野角が変化するときに動いて見える又は現れたり消えたりするように見える明るい領域及び暗い領域のパターンを表示するように配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を伴うOELを開示する。[0046]に開示されているように、粒子は、その形状に基づいて、拡張表面に垂直な方向に最大反射率(最大投影面積)を有し、したがって、直交ビューでは、OELの画像において、明るい領域は、その配向が表面の配向とほぼ一致する粒子に対応する。すなわち、入射光が実質的に同じ(直交)方向に反射されるように、OELの表面に対して小さい角度θを有する粒子に対応する。
【0009】
[009]磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む顕在的なセキュリティ要素を認証する分野では、観察者は、法線方向(すなわち、セキュリティ要素を支持する基材表面に垂直な観察方向)からグレージング角(すなわち、基材表面に実質的に平行な観察方向)まで、すなわち±90°から、その真正性を検証するために、前記セキュリティ要素を傾ける。しかしながら、専門家ではない観察者は、セキュリティ要素について訓練を受けていても、セキュリティ要素が存在する基材の法線から±45°を超えない狭い範囲でセキュリティ要素を傾けるのが一般的である。更に、通りにいる人は、セキュリティ要素の検査/認証に最適な照明条件から常に恩恵を受けるとは限らない。
【0010】
[010]先行技術文献は、磁気的に配向された粒子の配向及び適切な仰角に関する情報を提供しておらず、観察者が従来のように前記要素を認証するプロセスで傾斜させたときに輝度の有意かつ観察可能な変動(すなわち、増大及び減少)を示すOELを生成する。
【0011】
[011]したがって、光学効果層(OEL)及び前記OELを製造する方法に対する必要性が残っており、前記OELは、OELを簡単に認証できるように、通りにいる人に適した観察角度で高度に対照的な高反射性(明るい)及び非反射性(暗い)領域を示すことによって人目を引き、容易に認識できる視覚的外観を示す。
【発明の概要】
【0012】
[012]したがって、本発明の目的は、先行技術の欠陥を克服することである。
【0013】
[013]これは、2次元表面を有する基材(x20)と、前記基材(x20)上の1つまたは複数の光学効果層(OEL)とを備えるセキュリティ文書又は装飾品を提供することによって達成され、
前記1つまたは複数の光学効果層(OEL)は、主軸線Xを有し、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)中にある、磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含み、
プレートレット形状の顔料粒子の配向は、粒子の主軸線Xと平行なベクトルであるプレートレットベクトルによって規定され、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、互いに実質的に平行であり、
プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、粒子の位置で基材の2次元表面(x20)に対して仰角γだけ角度付けられ、前記仰角γは、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲内であり、
それにより、1つまたは複数の光学効果層(OEL)は、輝度の最大値に達する輝度の増大、及び基材(x20)の-45°~+45°までの視野角内での輝度の減少を示す。
【0014】
[014]本明細書に記載の1つまたは複数の光学効果層(OEL)は、一軸配向プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む又は二軸配向プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む。
【0015】
[015]また、1つまたは複数のしるしを更に備える、本明細書に記載のセキュリティ文書又は物品も本明細書に記載されており、前記1つまたは複数のしるしは、基材(x20)と1つまたは複数の光学効果層(OEL)との間に存在する。
【0016】
[016]また、本明細書に記載のセキュリティ文書又は物品であって、1つまたは複数の光学効果層(OEL)が、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)中に磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むとともに、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)中に磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含み、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)が、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と少なくとも部分的に若しくは完全に重なり合い、又は、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)が少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)に隣り合う、又は、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)が少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)から離間し、第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルが、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)において粒子の位置で基材(x20)の2次元表面に対して更なる仰角γ’だけ角度付けられ、更なる仰角γ’が、0°よりも大きく30°よりも小さく((0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さく(150°<γ’<180°)、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が互いに異なる及び/又は同一平面上にない、セキュリティ文書又は物品も記載される。
【0017】
[017]また、本明細書では、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を製造する方法、及び、それによって得られる光学効果層(OEL)についても記載される。2次元表面を有する基材(x20)上に光学効果層(OEL)を生成する方法も本明細書に記載されており、前記方法は、
a)基材(x20)表面上にプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を塗布するステップであって、前記放射線硬化性コーティング組成物がコーティング層(x10)を形成するように第1の液体状態にある、ステップと、
b)プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するように、コーティング層(x10)を、磁場発生装置(x30)の磁場に対して、前記磁場が実質的に均一である1つまたは複数の領域で曝露するステップであって、コーティング層(x10)を支持する基材(x20)が、磁場が実質的に均一である前記1つまたは複数の領域に設けられ、コーティング層(x10)と、磁場が実質的に均一である1つまたは複数の領域内の磁場の磁力線の接線とが成す角度αが、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<α<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<α<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦α<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<α≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦α≦25°)又は約155°~約175°(155°≦α≦175°)の範囲内である、ステップと、
c)ステップb)と部分的に同時に又はステップb)の後に、コーティング層(x10)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の位置及び配向を少なくとも部分的に固定し、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)を生成するように、コーティング層(x10)を硬化ユニット(x40)で少なくとも部分的に硬化させるステップと、
を含み、
プレートレット形状の顔料粒子の配向が、粒子の主軸線Xと平行なベクトルであるプレートレットベクトルによって規定され、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルが互いに実質的に平行であり、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルが、粒子の位置で基材(x20)の2次元表面に対して仰角γだけ角度を付けられ、前記仰角γが0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)。
【0018】
[018]本明細書に記載のコーティング層(x10)を曝露するステップb)は、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルが互いに実質的に平行であるようにプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を一軸配向させるべく行なわれる。或いは、本明細書に記載のコーティング層(x10)を曝露するステップb)は、本明細書に記載の主軸線X及び第2の主軸線Yを有するレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するように行なわれてもよく、配向は、粒子の第2の主軸線Yと平行なベクトルである第2のプレートレットベクトルによって更に規定され、それにより、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、互いに実質的に平行であり、前記隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の第2のプレートレットベクトルは、互いに実質的に平行である。
【0019】
[019]プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と、第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)とを備える光学効果層(OEL)を製造するための方法も本明細書中に記載され、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)は、前記少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)上に少なくとも部分的に又は完全に存在し得る、又は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)に隣り合う、又は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)から離間してもよく、第2のプレートレット形状の顔料粒子のそれぞれの配向は、第2のプレートレット形状の顔料粒子の主軸線Xと平行なベクトルであるプレートレットベクトルによって規定され、隣り合う第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、互いに実質的に平行であり、第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、粒子の位置で基材(x20)の2次元表面に対して更なる仰角γ’だけ角度付けられ、更なる仰角γ’は、0°よりも大きく30°よりも小さく(0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さく(150°<γ’<180°)、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が互いに異なる及び/又は同一平面上にない。
【0020】
[020]本発明は、複雑な操作を必要とせずに、通りにいる人による及び拡散照明条件下での傾斜角の変化時に高度に対照的な高反射(明るい)及び非反射(暗い)領域を示すような、特定の仰角を有する磁気的に配向された磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む光学効果層(OEL)を提供する。したがって、本明細書に記載のOELは、通りにいる人によって容易に認証され得る。
【0021】
[021]ここで、図面及び特定の実施形態を参照して、明細書に記載の1つまたは複数の光学効果層(OEL)を備えるセキュリティ文書又は物品、及び、基材(x20)上に前記OELを製造するための本明細書に記載の方法について更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】通りにいる人が見たOELの正面図を概略的に示し、前記通りにいる人は、2次元表面を有する基板上でOELを容易に認証できるように、-45°~+45°の観察角度でOELを傾斜軸線τの周りで傾ける。
【
図2A】主軸線X及び主軸線Yを有するプレートレット形状の粒子を模式的に示す。
【
図2B】一軸配向プレートレット形状粒子を概略的に示し、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトル(粒子の主軸線Xと平行なベクトル)は、互いに実質的に平行である。
【
図2C】二軸配向プレートレット形状粒子を概略的に示し、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトル(粒子の主軸線Xと平行なベクトル)は、互いに実質的に平行であり、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の第2のプレートレットベクトル(粒子の主軸線Yと平行なベクトル)は、互いに実質的に平行である。
【
図3A】基材(320)上のコーティング層(310)中の磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むOELの断面を概略的に示す。
【
図3B】1つまたは複数の第1のゾーン(310-a)内のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子及び1つまたは複数の第2のゾーン(310-b)内のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む単一の少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)を備えるOELの断面(OELの傾斜軸線τと垂直な面に沿う断面)を概略的に示し、1つまたは複数のゾーン(310-a)内の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ仰角γを有し、1つまたは複数のゾーン(310-b)内の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ更なる仰角γ’を有し、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が互いに異なっている及び/又は同一平面上にない。
【
図3C】磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)と、磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)とを備えるOELの断面を概略的に示し、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)と部分的に重なり合い、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)中の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ仰角γを有し、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)中の実質的に全ての第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ更なる仰角γ’を有し、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が互いに異なっている及び/又は同一平面上にない。
【
図3D】磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)と、磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)とを備えるOELの断面を概略的に示し、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)と完全に重なり合い、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)中の全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ仰角γを有し、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)中の全ての第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ更なる仰角γ’を有し、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が互いに異なっている及び/又は同一平面上にない。
【
図3E】磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)と、磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)とを含むOELの断面を概略的に示し、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)に隣り合い、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)中の全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ仰角γを有し、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)中の全ての第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ更なる仰角γ’を有し、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が互いに異なっている及び/又は同一平面上にない。
【
図4A1】基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を一軸配向するのに適した磁場発生装置(430)の断面を概略的に示し、前記装置(430)が棒双極子磁石を備え、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(410)を支持する基材(420)が角度αで前記領域Aに設けられる。
【
図4A2】基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を一軸配向するのに適した磁場発生装置(430)を概略的に示し、前記装置(430)は、同じ磁気方向を有する2つの棒双極子磁石(M1、M2)と鉄のヨーク(Y)とから成り、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(410)を支持する基材(420)が特定の角度αで前記領域Aに設けられる。
【
図4B1】基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するのに適した磁場発生装置(430)(左)及び前記装置(430)の断面(右)を概略的に示し、前記装置(430)は、千鳥状又はジグザグ状に配置される4つの双極子磁石(M1~M4)の線形配置から成り、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の長方形A及びA’として示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(410)を支持する基材(420)が角度αで前記領域A(又は代わりに領域A’)に設けられる。
【
図4B2】基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するのに適した磁場発生装置(430)(左)及び前記装置(430)の断面(右)を概略的に示し、前記装置(430)は、反対の磁気方向を有する2つの双極子磁石(M1、M2)から成り、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の長方形A及びA’として示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(410)を支持する基材(420)が角度αで前記領域A(又は代わりに領域A’)に設けられる。
【
図4B3】基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するのに適した磁場発生装置(430)(左)及び前記装置(430)の断面(右)を概略的に示し、前記装置(430)は、同じ磁気方向を有する2つの双極子磁石(M1、M2)から成り、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(410)を支持する基材(420)が角度αで前記領域Aに設けられる。
【
図4B4】基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するのに適した磁場発生装置(430)(左)及び前記装置(430)の平面図(右)を概略的に示し、前記装置(430)は、5つの双極子磁石(M1~M5)を備えるハルバッハアレイから成り、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(410)を支持する基材(420)が角度αで前記領域Aに設けられる。
【
図4B5】基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性顔料粒子又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するのに適した磁場発生装置(430)の断面を概略的に示し、前記装置(430)は、それぞれがマグネットワイヤコイル(図示せず)によって取り囲まれた磁石棒(M1~M4)を備える4つの構造を備えるハルバッハシリンダセンブリから成り、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(410)を支持する基材(420)が角度αで前記領域Aに設けられる。
【
図4B6】基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するのに適した磁場発生装置(430)(左)及び前記装置(430)の平面図(右)を概略的に示し、前記装置(430)は、8つの棒双極子磁石(M1~M8)のアセンブリから成り、前記アセンブリは、第1の棒双極子磁石(M4)及び2つの棒双極子磁石(M1、M6)を備える第1のセットと、第1の棒双極磁石(M5)及び2つの第2の棒双極磁石(M3;M8)を備える第2のセットと、第3の棒双極磁石(M2、M7)の第1の対とを備え、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(410)を支持する基材(420)が角度αで前記領域Aに設けられる。
【
図5A1】基材(520)上のコーティング層(510)中に含まれるプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を二軸配向するのに適した磁場発生装置(530)及び硬化装置(540)の斜視図(
図5A1)及び断面図(
図5A2~
図5A3)を概略的に示す。磁場発生装置(530)は、交互のN-S磁気方向を有して一列に配置された9個の棒双極子磁石(M1~M9)を備え、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の平行六面体Aとして示される)で磁場発生装置(530)の磁場の磁場(例示目的で、磁石M3~M9が
図5A2に示され、磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(510)を支持する基材(520)が角度αで前記領域Aに設けられ、
図5A3は、硬化装置(540)による少なくとも部分的な硬化ステップが磁気配向ステップと同時に部分的に実行されるプロセスを示す。
【
図5A2】基材(520)上のコーティング層(510)中に含まれるプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を二軸配向するのに適した磁場発生装置(530)及び硬化装置(540)の斜視図(
図5A1)及び断面図(
図5A2~
図5A3)を概略的に示す。磁場発生装置(530)は、交互のN-S磁気方向を有して一列に配置された9個の棒双極子磁石(M1~M9)を備え、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の平行六面体Aとして示される)で磁場発生装置(530)の磁場の磁場(例示目的で、磁石M3~M9が
図5A2に示され、磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(510)を支持する基材(520)が角度αで前記領域Aに設けられ、
図5A3は、硬化装置(540)による少なくとも部分的な硬化ステップが磁気配向ステップと同時に部分的に実行されるプロセスを示す。
【
図5A3】基材(520)上のコーティング層(510)中に含まれるプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を二軸配向するのに適した磁場発生装置(530)及び硬化装置(540)の斜視図(
図5A1)及び断面図(
図5A2~
図5A3)を概略的に示す。磁場発生装置(530)は、交互のN-S磁気方向を有して一列に配置された9個の棒双極子磁石(M1~M9)を備え、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の平行六面体Aとして示される)で磁場発生装置(530)の磁場の磁場(例示目的で、磁石M3~M9が
図5A2に示され、磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(510)を支持する基材(520)が角度αで前記領域Aに設けられ、
図5A3は、硬化装置(540)による少なくとも部分的な硬化ステップが磁気配向ステップと同時に部分的に実行されるプロセスを示す。
【
図6A】基材(620)上のコーティング層(610)中に含まれるプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を一軸配向するための磁場発生装置(630)及び硬化装置(640)の正面図を概略的に示す。磁場発生装置(630)は、長方形のアセンブリとして配置された2つの棒双極子磁石(M1、M2)及び2つの磁極片(P1、P2)を備え、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一である1つの領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(630)の磁場の磁場(磁力線が、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、コーティング層(610)を支持する基材(620)が角度αで前記領域Aに設けられる。
【
図6B1】
図6B1は、少なくとも部分的な硬化ステップが磁気配向ステップと同時に部分的に実行されるプロセスを示す。
【
図6B2】
図6B2は、少なくとも部分的な硬化ステップが磁気配向ステップに続いて実行されるプロセスを示す。
【
図7A-1】OELの写真画像を示し、前記OELは、
図5に示される方法及び装置を使用することによって得られる。
【
図7A-2】OELの写真画像を示し、前記OELは、
図5に示される方法及び装置を使用することによって得られる。
【
図7A-3】OELの写真画像を示し、前記OELは、
図5に示される方法及び装置を使用することによって得られる。
【
図7B】
図7Aに示されて異なる仰角γを有する二軸配向顔料粒子を含むOELの輝度値の曲線を示し、OELは、黒色基材上に配置された透明PET基材上に印刷されている。y軸は、OELの写真の100x100ピクセル領域で計算された任意の単位でOELの明るさを表わし、x軸は観察角度θを表わす。
【
図8-1】二軸配向顔料粒子を含み、
図3Dと同様のOELの写真画像を示し、前記OELは、
図5に示される方法及び装置を使用することによって得られる。
【
図8-2】二軸配向顔料粒子を含み、
図3Dと同様のOELの写真画像を示し、前記OELは、
図5に示される方法及び装置を使用することによって得られる。
【
図9A】
図9A~
図9Bは、約20°の仰角γを有する一軸配向顔料粒子を含む2つのOELの輝度値の曲線を示し、ここでOELは黒色基材上(
図9A)又は白色基材上(
図9B)に配置された透明PET基材上に印刷されている。y軸は、OELの写真の100x100ピクセル領域で計算された任意の単位でOELの明るさを表わし、x軸は観察角度θを表わす。
【
図9B】
図9A~
図9Bは、約20°の仰角γを有する一軸配向顔料粒子を含む2つのOELの輝度値の曲線を示し、ここでOELは黒色基材上(
図9A)又は白色基材上(
図9B)に配置された透明PET基材上に印刷されている。y軸は、OELの写真の100x100ピクセル領域で計算された任意の単位でOELの明るさを表わし、x軸は観察角度θを表わす。
【
図10】
図7A及び
図8に示される写真画像を異なる観察角度θで撮影するための装置を概略的に示し、この装置は、積分球(IS)、照明源(L)、カメラ(C)、及び、サンプル(S)用の可動ホルダ(H)を備え、カメラ(C)及び可動ホルダ(H)は、サンプルの観察角度θを変化させるようにプレート(P)上に固定される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[022]説明目的で図に示される磁場発生装置(x30)の磁場の磁力線(N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)はシミュレーションによって得られたものであり、前記磁場シミュレーションは、ソフトウェアVizimag 3.19を用いて実行された。
【0024】
定義
[023]以下の規定は、本明細書で議論され、特許請求の範囲で引用される用語の意味を解釈するために使用されるものである。
【0025】
[024]本明細書で使用される「少なくとも1つ」という用語は、1つ又は複数、例えば、1つ又は2つ又は3つを規定することを意味する。
【0026】
[025]本明細書で使用される「約」及び「実質的に」という用語は、対象の量又は値が、指定された特定の値又はその近傍の他の値であり得ることを意味する。一般に、特定の値を示す「約」及び「実質的に」という用語は、その値の±5%以内の範囲を示すことを意図している。一例として、「約100」という語句は、100±5の範囲、すなわち95~105の範囲を示す。一般に、「約」という用語が使用される場合、本発明による同様の結果又は効果を指示値の±5%の範囲内で得ることができると予期され得る。
【0027】
[026]「実質的に平行」という用語は、少なくとも1mm2のコーティング層表面上で、又は少なくとも約100個の粒子上で、平行配列から平均して2°以下のずれを指す。
【0028】
[027]本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、前記群の要素の全て又は1つのみが存在し得ることを意味する。例えば、「A及び/又はB」は、「Aのみ、又はBのみ、又はAとBの両方」を意味するものとする。「Aのみ」の場合、この用語はBが存在しない、すなわち、「AのみでBは存在しない」可能性を包含する。
【0029】
[028]本明細書で使用される「含む(備える)」という用語は、非排他的で無制限であることを意図している。したがって、例えば、化合物Aを含む(備える)コーティング組成物は、A以外の他の化合物を含んでもよい。しかし、「含む(備える)」という用語は、その特定の実施形態として、「~から本質的になる」及び「~から成る」のより限定的な意味も包含する。例えば、「A、B、及び必要に応じてCを含む(備える)混合物」は、(本質的に)A及びBからなるか、又は(本質的に)A、B及びCからなる場合もある。
【0030】
[029]本明細書で使用される「光学効果層(OEL)」という用語は、配向された磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むコーティング層を意味し、前記磁性又は磁化可能な顔料粒子は磁場によって配向され、配向された磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁気的に誘導された画像を形成するために、その配向及び位置が固定/凍結される(すなわち、硬化後)。
【0031】
[030]「コーティング組成物」という用語は、固体基材上に光学効果層(OEL)を形成することができ、排他的ではないが好ましくは印刷法によって適用できる任意の組成物を指す。コーティング組成物は、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子及び本明細書に記載の結合剤を含む。
【0032】
[031]本明細書で使用される「湿潤」という用語は、少なくとも部分的に未だ硬化していないコーティング層、例えばプレートレット形状の磁性顔料粒子又は磁化可能な顔料粒子がそれらに作用する外力の影響下で未だその位置及び向きを変えることができるコーティングを指す。
【0033】
[032]「セキュリティ文書」という用語は、通常、少なくとも1つのセキュリティ特徴によって偽造又は詐欺から保護されている文書を指す。セキュリティ文書の例には、有価証券及び有価商品が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
[033]「セキュリティ特徴」という用語は、認証目的で使用できる画像、パターン、又はグラフィック要素を示すために使用される。
【0035】
[034]本明細書が「好ましい」実施形態/特徴に言及する場合、これらの「好ましい」実施形態/特徴の組み合わせも、「好ましい」実施形態/特徴のこの組み合わせが技術的に意味のあるものである限り、開示されていると見なされるものとする。
【0036】
[035]本発明は、2次元表面を有する基材(x20)と、前記基材(x20)上の1つまたは複数の光学効果層(OEL)とを備えるセキュリティ文書及び装飾品を提供し、前記OELは、磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子に基づき、基材の(x20)の配向は、1つまたは複数の光学効果層(OEL)のそれぞれの位置で基材の2次元表面(x20)に垂直な基材(x20)に対する局所法線ベクトルである基材ベクトルによって規定される。
【0037】
[036]装飾品の典型的な例としては、ぜいたく品、化粧品包装、自動車部品、電子/電化製品、家具及び爪用品が挙げられるがこれらに限定されない。或いは、本明細書に記載の1つまたは複数のOELは、例えばラベルなどの補助基材上に備えられ、その結果、別のステップで装飾品に移されてもよい。
【0038】
[037]セキュリティ文書は、有価証券及び有価商品を含むが、これらに限定されない。有価証券の典型的な例としては、紙幣、証書、切符、小切手、バウチャー、会計スタンプ及び税ラベル、契約書など、パスポート、身分証明書、ビザ、運転免許証、銀行カード、クレジットカード、取引カード、アクセス文書又はカード、入場券、公共交通機関のチケット、学位記又は称号などの身分証明書、好ましくは紙幣、身分証明書、権利付与文書、運転免許証、及びクレジットカードが挙げられるが、これらに限定されない。「価値のある商品」という用語は、包装材料、特に化粧品、栄養補助食品、医薬品、アルコール、タバコ製品、飲料又は食品、電気/電子製品、布地又は宝飾品、すなわち偽造から保護される物品、及び/又は、例えば本物の薬などのパッケージの内容を保証するための違法な複製を指す。これらの包装材料の例としては、認証ブランドラベル、不正開封防止ラベル、及びシールなどのラベルが挙げられるが、これらに限定されない。開示された基材、セキュリティ文書、及び装飾品は、本発明の範囲を制限することなく、例示の目的のみに与えられていることが指摘される。或いは、本明細書に記載の1つまたは複数のOELは、例えばセキュリティスレッド、セキュリティストライプ、ホイル、デカール、窓又はラベルなどの補助基材上に備えられ、その結果、別のステップでセキュリティ文書に移されてもよい。
【0039】
[038]本明細書に記載の1つまたは複数のOELの形状は、連続的又は不連続的であり得る。一実施形態によれば、1つまたは複数のOELの形状は、独立して、1つまたは複数のしるし、点及び/又は線を表わす。セキュリティ文書及び装飾品が2つ以上、すなわち2つ、3つなどのOELを備える実施形態では、前記OELは隣り合っていてもよく、又は離間していてもよい。
【0040】
[039]本明細書で言及されるように、本明細書で説明される人目を引くOELにより、観察者は、約-45°~約+45°の間で傾けることで、それらを容易に認証することができる。目を引く視覚的外観は、輝度のシャープでコントラストのあるスイッチオン/スイッチオフ効果として見られ、輝度の最大値に達するような輝度値の増大、及び、その後の、約-45°~約+45°の視野角/観察角内での前記輝度の減少から成り、前述輝度の変化は肉眼で観察可能である。
【0041】
[040]
図1に示されるように、通りにいる人は、通常、-45°~+45°の観察角度を伴って傾斜軸τの周りでOELを傾け、前記OELは、i)垂直/経度軸線の周りで傾けることができ(上/下の動き)、又は、ii)水平/緯度軸線の周りで傾けることができる(左/右の動き)。しかしながら、任意の他の種類の傾斜軸線もτも使用され得る。
【0042】
[041]セキュリティ文書又は装飾品単一のOELを備える実施形態では、人目を引く視覚的外観は、i)垂直/経度軸線の周りで又はii)水平/緯度軸線の周りで傾けると見られ得る。
【0043】
[042]セキュリティ文書又は装飾品が少なくとも2つのOELを備える実施形態では、i)垂直/経度軸線の周りで又はii)水平/緯度軸線の周りで傾けると、前記2つのOELの両方の目を引く視覚的外観を見ることができ、或いは、前記2つのOELのうちの1つの人目を引く視覚的外観は、垂直/経度軸線の周りで傾けると見られ、一方、前記2つのOELの他方の人目を引く視覚的外観は、水平/緯度軸線の周りで傾けると見られ得る。
【0044】
[043]プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物並びにコーティング層(x10)並びに少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)に備えられる。本明細書に記載されるように、本明細書に記載される方法は、コーティング層(x10)を第2の状態まで少なくとも部分的に硬化させるステップc)を含み、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、現在の位置及び配向で固定され、前記層内で移動したり回転したりできない。本明細書で使用する場合、「コーティング層(x10)を少なくとも部分的に硬化させる」とは、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が、採用された位置及び配向で固定/凍結され、もはや移動及び回転できないことを意味する(当該技術分野では、粒子の「固定」とも称される)。
【0045】
[044]本明細書に記載されているように、本明細書に記載の1つまたは複数の光学効果層(OEL)は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層中に磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む。好ましくは、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、約5重量%~約40重量%、より好ましくは約10重量%~約30重量%の量で存在し、重量パーセントは、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層の総重量に基づく。好ましくは、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、約5重量%~約40重量%、より好ましくは約10重量%~約30重量%の量で存在し、重量パーセントは、本明細書に記載の放射線硬化性コーティング層の総重量に基づく。
【0046】
[045]本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、それらの非球形に起因して、硬化バインダ材料が少なくとも部分的に透明である入射電磁放射に対して非等方性反射率を有すると規定される。本明細書で使用される場合、「非等方性反射率」という用語は、粒子によって特定の(視野/観察)方向(第2の角度)に反射される第1の角度からの入射放射の割合が、粒子の配向の関数であること、すなわち、第1の角度に対する粒子の配向の変化が視野/観察方向への異なる大きさの反射をもたらす可能性があることを意味する。好ましくは、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、約200~約2500nm、より好ましくは約400~約700nmの一部又は全波長範囲において、入射電磁放射に対して非等方性反射率を有し、それにより、粒子の向きが変化すると、その粒子による特定の方向への反射が変化する。当業者に知られているように、本明細書に記載の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、従来の顔料粒子が粒子の配向とは無関係に同じ色及び反射率を示すという点で、従来の顔料とは異なり、本明細書に記載の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、粒子の配向に依存する反射若しくは色、又はその両方を示す。一次元粒子と見なすことができる針状の顔料粒子とは対照的に、プレートレット形状の顔料粒子は、粒子の主な拡張面を規定するX軸及びY軸を有する(
図2A)。換言すれば、
図2Aに示されるように、プレートレット形状の顔料粒子は、それらの寸法の縦横比が大きいため、2次元粒子であると考えることができ、寸法X及びYは、寸法Zより実質的に大きい。プレートレット形状の顔料粒子は、当技術分野ではオブラート粒子又はフレークとも呼ばれる。そのような顔料粒子は、顔料粒子を横切る最長の寸法に対応する主軸線Xと、やはり前記顔料粒子内にあるXに垂直な第2の主軸線Yとで説明することができる。
【0047】
[046]プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の配向は、粒子の主軸線Xと平行なベクトルであるプレートレットベクトルによって規定され、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、互いに実質的に平行であり(
図2B参照)、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、粒子の位置で基材(x20)の2次元表面に対して本明細書に記載される仰角γだけ角度付けられる。本明細書に記載の仰角γは、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、好ましくは、又は約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)である。より好ましくは、仰角γは、約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲である。
【0048】
[047]仰角が0°のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むOELは、区別できず、一般的には溶媒ベースのインクに分散された非磁性顔料で模倣することができ、溶媒が蒸発すると顔料は0°の仰角をとらされる。
【0049】
[048]例えば
図3Aに示されるように、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、本明細書に記載の仰角αで前述のように配向される。換言すれば、仰角はプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の主軸線Xと基材(x20)の2次元表面とによって形成され、ここで、前記仰角γは、光学効果層(OEL)の断面で測定され(例えば、後述するようなコノスコピックスキャトロメータ又は顕微鏡を用いて)及び反時計回りに測定されるときに、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)である。より好ましくは、仰角γは、約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲である。
【0050】
[049]プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が例えば
図2Bに示されるように一軸配向している実施形態では、プレートレット形状の顔料粒子の配向は、粒子の主軸線Xと平行なベクトルであるプレートレットベクトルによって規定され、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、互いに実質的に平行であり、すなわち、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の主軸線Xのみが互いに実質的に平行である(言い換えると、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ仰角γを有する)。
【0051】
[050]プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が例えば
図2Cに示されるように二軸配向している実施形態では、プレートレット形状の顔料粒子の配向は、粒子の主軸線Xと平行なベクトルであるプレートレットベクトルによって規定され、ここで、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、互いに実質的に平行であり、粒子の第2の軸線Yと平行なベクトルである第2のプレートレットベクトルによって更に規定され、ここで、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは互いに実質的に平行であり、前記隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の第2のプレートレットベクトルは互いに実質的に平行である。プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が例えば
図2Cに示される二軸配向である実施形態では、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、互いに実質的に平行であり、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の主軸線Xが互いに実質的に平行である(言い換えれば、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ仰角γを有する)だけでなく、隣り合うプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の主軸線Yも互いに実質的に平行である。プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が例えば
図2Cに示されるように二軸配向されている実施形態では、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な粒子が実質的に互いに平行である。
【0052】
[051]本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の適切な例としては、コバルト(Co)、鉄(Fe)、及びニッケル(Ni);鉄、マンガン、コバルト、ニッケル又はそれらの2つ以上の混合物の磁性合金;クロム、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル又はこれらの2つ以上の混合物の磁性酸化物;又はそれらの2つ以上の混合物から成る群から選択される磁性金属を含む顔料粒子が挙げられるが、これらに限定されない。金属、合金、及び酸化物に関する「磁性」という用語は、強磁性又はフェリ磁性の金属、合金、及び酸化物を指す。クロム、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、又はそれらの2つ以上の混合物の磁性酸化物は、純粋な酸化物又は混合酸化物であり得る。磁性酸化物の例としては、ヘマタイト(Fe2O3)、磁鉄鉱(Fe3O4)、二酸化クロム(CrO2)、磁性フェライト(MFe2O4)、磁性スピネル(MR2O4)、磁性ヘキサフェライト(MFe12O19)、磁性オルソフェライト(RFeO3)、磁気ガーネットM3R2(AO4)3などの酸化鉄が挙げられるがこれらに限定されず、ここで、Mは2価の金属、Rは3価の金属、Aは4価の金属を表わす。
【0053】
[052]本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の例としては、コバルト(Co)、鉄(Fe)、又はニッケル(Ni);及び、鉄、コバルト又はニッケルの磁性合金などの磁性金属のうちの1つまたは複数から形成される磁性層Mを備える顔料粒子が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、前記磁性又は磁化可能な顔料粒子は、1つまたは複数の更なる層を備える多層構造であってもよい。好ましくは、1つまたは複数の更なる層は、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、及び、酸化アルミニウム(Al2O3)、より好ましくは二酸化ケイ素(SiO2)などの金属フッ化物から成る群から選択される1つまたは複数から独立して形成される層A、;又は、金属及び金属合金から成る群から選択される、好ましくは反射金属及び反射金属合金から成る群から選択される、より好ましくはアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、更に好ましくはアルミニウム(Al)から成る群から選択される1つまたは複数から独立して形成される層B;又は、上記のような1つまたは複数の層Aと、上記のような1つまたは複数の層Bとの組み合わせである。上記の多層構造であるプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の典型的な例としては、A/M多層構造、A/M/A多層構造、A/M/B多層構造、A/B/M/A多層構造、A/B/M/B多層構造、A/B/M/B/A/多層構造、B/M多層構造、B/M/B多層構造、B/A/M/A多層構造、B/A/M/B多層構造、B/A/M/B/A/多層構造が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、層A、磁性層M及び層Bは、上記のものから選択される。
【0054】
[053]一実施形態によれば、好ましいプレートレット形状の磁性又は磁化可能な粒子の少なくとも一部は、プレートレット形状の光学的に可変な磁性又は磁化可能な顔料粒子によって構成される。光学的可変顔料とは、明度の変化、又は明度の変化と色相の変化の組み合わせを示す顔料を指す。一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性粒子又は磁化可能な粒子の少なくとも一部は、金属色、より好ましくは銀色又は金色を呈する粒子によって構成される。
【0055】
[054]インク、コーティング組成物、又は本明細書に記載の光学可変の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むコーティング層を支持する物品又はセキュリティ文書を人間の肉眼的感覚を使用して想定し得る偽造から容易に検出、認識、及び/又は、区別できるようにする、光学可変の磁性又は磁化可能な顔料粒子のカラーシフト特性によって提供される明らかな安全性に加えて、光学可変の磁性又は磁化可能な顔料粒子の光学特性は、OELの認識のための機械可読ツールとしても使用することができる。したがって、光学可変の磁性又は磁化可能な顔料粒子の光学的特性は、顔料粒子の光学的(例えば、スペクトル)特性が解析され、したがって偽造抵抗を増大させる認証プロセスにおいて、秘密の又は半秘密のセキュリティ特徴として同時に使用することができる。
【0056】
[055]OELにおけるプレートレット形状の光学可変の磁性又は磁化可能な顔料粒子の使用は、セキュリティ文書の用途におけるセキュリティ特徴としてのOELの重要性を高める。これは、そのような材料が、セキュリティ文書印刷業界に限定されており、一般に販売されていないためである。
【0057】
[056]好ましくは、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁性薄膜干渉顔料粒子、磁性コレステリック液晶顔料粒子、磁性材料を含む干渉被覆顔料粒子、及びそれらの2つ以上の混合物から成る群から選択される。
【0058】
[057]磁性薄膜干渉顔料粒子は、当業者に知られており、例えば、米国特許第4,838,648号、国際公開第2002/073250号、欧州特許第0686675号、国際公開第2003/000801号、米国特許第6,838,166号、国際公開第2007/131833号、欧州特許第2402401号、国際公開第2019/103937号、国際公開第2020/006286号及びそこで引用された文書に開示されている。好ましくは、磁性薄膜干渉顔料粒子は、5層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子及び/又は6層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子及び/又は7層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子、及び/又は1つまたは複数の多層ファブリペロー構造を組み合わせた多層構造を有する顔料粒子を含む。
【0059】
[058]好ましい5層のファブリペロー多層構造は、吸収体/誘電体/反射体/誘電体/吸収体多層構造からなり、反射体及び/又は吸収体も磁性層であり、好ましくは反射体及び/又は吸収体は、ニッケル、鉄及び/若しくはコバルトを含む磁性層、並びに/又はニッケル、鉄及び/若しくはコバルトを含む磁性合金、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物である。
【0060】
[059]好ましい6層のファブリペロー多層構造は、吸収体/誘電体/反射体/磁性体/誘電体/吸収体の多層構造から成る。
【0061】
[060]好ましい7層ファブリペロー多層構造は、米国特許第4,838,648号に開示されているような吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体/吸収体多層構造から成る。
【0062】
[061]1つまたは複数のファブリペロー構造を組み合わせた多層構造を有する好ましい顔料粒子は、国際公開第2019/103937号に記載されたものであり、少なくとも2つのファブリペロー構造の組み合わせから成り、前記2つのファブリペロー構造は、独立して、反射層、誘電体層及び/又は吸収層を独立して含み、反射体及び/又は吸収層はそれぞれ、独立して、1つまたは複数の磁性材料を含み、及び/又は、磁性層は2つの構造間に挟まれる。国際公開第2020/006/286号及び欧州特許出願公開第3587500号は、多層構造を有する更に好ましい顔料粒子を開示する。
【0063】
[062]好ましくは、本明細書に記載の反射層は、独立して、金属及び金属合金から成る群から選択される、好ましくは反射金属及び反射金属合金から成る群から選択される、より好ましくはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びそれらの合金から成る群から選択される、更に好ましくはアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)及びそれらの合金から成る群から選択される1つまたは複数、更により好ましくはアルミニウム(Al)から形成される。好ましくは、誘電体層は、独立して、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化セリウム(CeF3)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化アルミニウムナトリウム(例えば、Na3AlF6)、フッ化ネオジム(NdF3)、フッ化サマリウム(SmF3)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化リチウム(LiF)、酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)などの金属酸化物から成る群から選択される、より好ましくはフッ化マグネシウム(MgF2)及び二酸化ケイ素(SiO2)から成る群から選択される1つまたは複数、更に好ましくはフッ化マグネシウム(MgF2)から形成される。好ましくは、吸収層は、独立して、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、それらの金属酸化物、それらの金属硫化物、それらの金属炭化物、及びそれらの金属合金から成る群から選択される、より好ましくはクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、それらの金属酸化物、及びそれらの金属合金から成る群から選択される、更により好ましくはクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びそれらの金属合金から成る群から選択される1つまたは複数から形成される。好ましくは、磁性層は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及び/若しくはコバルト(Co);並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性合金;並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含む。7層ファブリペロー構造を備える磁性薄膜干渉顔料粒子が好ましい場合、磁性薄膜干渉顔料粒子は、Cr/MgF2/Al/Ni/Al/MgF2/Cr多層構造から成る7層ファブリペロー吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体/吸収体多層構造を備えることが特に好ましい。
【0064】
[063]本明細書に記載の磁性薄膜干渉顔料粒子は、人の健康及び環境に対して安全であると見なされて、例えば5層ファブリペロー多層構造、6層ファブリペロー多層構造、及び7層ファブリペロー多層構造に基づいている多層顔料粒子であってもよく、前記顔料粒子は、約40重量%~約90重量%の鉄、約10重量%~約50重量%のクロム及び約0重量%から約30重量%のアルミニウムを含む、実質的にニッケルを含まない組成を有する磁性合金を含む1つまたは複数の磁性層を含む。人間の健康及び環境にとって安全であると考えられる多層顔料粒子の典型的な例は、欧州特許第2402401号に見ることができ、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
[064]光学的に可変な特性を示す適切な磁性コレステリック液晶顔料粒子としては、磁性単層コレステリック液晶顔料粒子及び磁性多層コレステリック液晶顔料粒子が挙げられるが、これらに限定されない。そのような顔料粒子は、例えば国際公開第2006/063926号、米国特許第6,582,781号及び米国特許第6,531,221号に開示される。国際公開第2006/063926号は、単層及びそれから得られた、磁化性などの追加の特定の特性を有する高い光沢及びカラーシフト特性を有する顔料粒子を開示している。開示された単層及び顔料粒子は、単層を粉砕することによって得られ、三次元的に架橋されたコレステリック液晶混合物及び磁性ナノ粒子を含む。米国特許第6,582,781号及び米国特許第6,410,130号は、配列A1/B/A2を含むプレートレット形状のコレステリック多層顔料粒子を開示し、ここで、A1及びA2は、同一であっても又は異なっていてもよく、それぞれ少なくとも1つのコレステリック層を備え、Bは層A1及びA2によって伝達された光の全て又は一部を吸収する中間層であり、前記中間層に磁気特性を付与する。米国特許第6,531,221号は、配列A/B及び任意にCを含むプレートレット形状のコレステリック多層顔料粒子を開示し、A及びCは磁気特性を付与する顔料粒子を含む吸収層であり、Bはコレステリック層である。
【0066】
[065]1つまたは複数の磁性材料を含む適切な干渉被覆顔料粒子としては、1つまたは複数の層でコーティングされたコアから成る群から選択される基材から成る構造が挙げられるが、これらに限定されず、コア又は1つまたは複数の層の少なくとも1つが磁気特性を有する。例えば、好適な干渉被覆顔料粒子は、上記のものなどの磁性材料で作られたコアを含み、前記コアは、1つまたは複数の金属酸化物で作られた1つまたは複数の層でコーティングされているか、又は、合成又は天然雲母、層状ケイ酸塩(タルク、カオリン、及び絹雲母など)、ガラス(ホウケイ酸塩など)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、グラファイト、及びこれらの2つ以上の混合物から形成されるコアから成る構造を有する。更に、着色層などの1つまたは複数の更なる層が存在してもよい。
【0067】
[066]本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、好ましくは、約2μm~約50μmのサイズd50を有する(直接光学粒度測定法により測定)。
【0068】
[067]本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、コーティング組成物及びコーティング層で発生する可能性のある劣化から粒子を保護するため、並びに/又は前記コーティング組成物及びコーティング層へのそれらの組み込みを容易にするために、表面処理されてもよく、一般に腐食防止剤及び/又は湿潤剤を使用することができる。
【0069】
[068]例えば
図3Aに示される一実施形態によれば、本明細書に記載のOELは、磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた単一の少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)を備え、実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ仰角γを有する。
【0070】
[069]例えば
図3B~
図3Eに示される一実施形態によれば、本明細書に記載のOELは、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む2つのゾーンを備え、1つのゾーン内の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は実質的に同じ仰角γを有し、他のゾーン内の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ更なる仰角γ’を有し、仰角γは、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲内であり、更なる仰角γ’は、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ’≦175°)、より好ましくは、約5°~約25°(5°≦γ’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ’≦175°)の範囲内であり、前記仰角γ及び更なる仰角γ’は互いに異なる(好ましくは、それらは少なくとも10°異なる)及び/又は同一平面上にない。
【0071】
[070]仰角γ及び更なる仰角γ’が異なるプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むOELの一実施形態によれば、更なる仰角γ’は、以下の値、すなわち、γ’=180°-γを有し、例えば、γ’が20°の場合、γ’が160°になる(すなわち、2つのゾーンの磁気配向パターンは実質的に対称である)。
【0072】
[071]例えば
図3Bに示される一実施形態によれば、本明細書に記載のOELは、1つまたは複数の第1のゾーン(310-a)内のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子及び1つまたは複数の第2のゾーン(310-b)内のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む単一の少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)を備え、1つまたは複数の第1のゾーン(310-a)内の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ仰角γを有し、1つまたは複数の第2のゾーン(310-b)内の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ更なる仰角γ’を有し、仰角γは、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲内であり、更なる仰角γ’は、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ’≦175°)、より好ましくは、約5°~約25°(5°≦γ’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ’≦175°)の範囲内であり、前記仰角γ及び更なる仰角γ’は互いに異なる(好ましくは、それらは少なくとも10°異なる)及び/又は同一平面上にない。
【0073】
[072]例えば
図3C~
図3Eに示される一実施形態によれば、本明細書に記載のOELは、磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)を備え、実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ仰角γを有するとともに、磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)を更に備え、第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、粒子の位置で基材(x20)の2次元表面に対して更なる仰角γ’だけ角度付けられ、更なる仰角γ’は、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さく(150°<γ’<180°)、前記仰角γ及び更なる仰角γ’は互いに異なる。少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と少なくとも部分的に若しくは完全に重なり合っている、又は、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)に隣り合っている、又は、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)から離間している。
【0074】
[073]例えば
図3Cに示される一実施形態によれば、本明細書に記載のOELは、2つの少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310及び311)を備える。OELは、i)本明細書に記載のように磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)、及び、ii)磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)を備え、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)と部分的に重なり合い、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)中の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は実質的に同じ仰角γを有し、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)中の実質的に全ての第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、実質的に同じ更なる仰角γ’を有し、仰角γは、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲内であり、更なる仰角γ’は、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ’≦175°)、より好ましくは、約5°~約25°(5°≦γ’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ’≦175°)の範囲内であり、前記仰角γ及び更なる仰角γ’は互いに異なる(好ましくは、それらは少なくとも10°異なる)及び/又は同一平面上にない。
【0075】
[074]例えば
図3Dに示される一実施形態によれば、本明細書に記載のOELは、2つの少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310及び311)を備える。OELは、i)本明細書に記載のように磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)、及び、ii)磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)を備え、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)に完全に重なり合い、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)中の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が実質的に同じ仰角γを有し、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)中の実質的に全ての第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が実質的に同じ仰角γ’を有し、仰角γは、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲内であり、更なる仰角γ’は、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ’≦175°)、より好ましくは、約5°~約25°(5°≦γ’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ’≦175°)の範囲内であり、前記仰角γ及び更なる仰角γ’は互いに異なる(好ましくは、それらは少なくとも10°異なる)及び/又は同一平面上にない。
【0076】
[075]例えば
図3Eに示される一実施形態によれば、本明細書に記載のOELは、2つの少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310及び311)を備える。OELは、i)本明細書に記載のように磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)、及び、ii)磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)を備え、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)に隣り合う(
図3E)、又は、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)から離間し(図示せず)、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(310)中の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が実質的に同じ仰角γを有し、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(311)中の実質的に全ての第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が実質的に同じ更なる仰角γ’を有し、仰角γは、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲内であり、更なる仰角γ’は、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ’≦175°)、より好ましくは、約5°~約25°(5°≦γ’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ’≦175°)の範囲内であり、前記仰角γ及び更なる仰角γ’は互いに異なる(好ましくは、それらは少なくとも10°異なる)及び/又は同一平面上にない。
【0077】
[076]本明細書に記載の基材(x20)は、好ましくは、セルロース、紙含有材料、ガラス、金属、セラミック、プラスチック及びポリマー、金属化プラスチック又はポリマー、複合材料、及びそれらの2つ以上の混合物又は組み合わせなどの紙又は他の繊維材料(織布及び不織繊維材料を含む)から成る群から選択される。典型的な紙、紙状又は他の繊維材料は、アバカ、綿、亜麻、木材パルプ、及びそれらのブレンドを含むがこれらに限定されない様々な繊維から形成される。当業者にはよく知られているように、銀行券には綿及び綿/麻混紡が好まれ、銀行券以外のセキュリティ文書には木材パルプが一般的に使用されている。別の実施形態によれば、本明細書に記載の基材(x20)は、プラスチック及びポリマー、金属化プラスチック又はポリマー、複合材料、並びにそれらの2つ以上の混合物又は組み合わせに基づく。プラスチック及びポリマーの適切な例としては、ポリエチレン(PE)及び二軸配向ポリプロピレン(BOPP)を含むポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリアミド、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)などのポリエステル、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレン2,6-ナフトエ酸)(PEN)、及びポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。Tyvek(登録商標)の商標で販売されているものなどのスパンボンドオレフィン繊維も基材として使用することができる。金属化プラスチック又はポリマーの典型的な例としては、表面に金属が連続的又は非連続的に配置された上記のプラスチック又はポリマー材料が挙げられる。金属の典型的な例としては、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、それらの合金、及び前述の金属の2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。前述のプラスチック又はポリマー材料の金属化は、電着プロセス、高真空コーティングプロセス、又はスパッタリングプロセスによって行なうことができる。複合材料の典型的な例としては、限定されないが、紙と、上記のものなどの少なくとも1つのプラスチック又はポリマー材料との多層構造又は積層体、並びに上記のものなどの紙状又は繊維状材料に組み込まれたプラスチック及び/又はポリマー繊維が挙げられる。勿論、基材は、充填剤、サイジング剤、増白剤、加工助剤、強化剤又は湿潤強化剤などの、当業者に知られている更なる添加剤を含むことができる。本明細書に記載のOELが、例えば指の爪のラッカーを含む装飾目的又は美容目的で使用される場合、前記OELは、爪、付け爪、又は動物若しくは人間の他の部分を含む他のタイプの基材上で生成され得る。本明細書に記載の基材(x20)は、ウェブ、シート、スレッドリール、フィルムリール、ロールのラベル、又はラベルストックの形態であってもよい。
【0078】
[077]本明細書に記載の1つまたは複数のOELがセキュリティ文書上にある場合、セキュリティレベル及び前記セキュリティ文書の偽造及び違法複製に対する耐性を更に高める目的で、基材は、印刷、コーティング、又はレーザーマーク若しくはレーザー穿孔されたしるし、透かし、セキュリティスレッド、繊維、プランシェット、発光化合物、窓、ホイル、デカール、及びこれらの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。セキュリティレベルを更に高め、セキュリティ文書の偽造及び違法複製に対する耐性を高めるという同じ目的で、基材は、1つまたは複数のマーカー物質又はタガント及び/又は機械可読物質(例えば、発光物質、UV/可視/IR吸収性物質、磁性物質、及びそれらの組み合わせ)を含んでもよい。
【0079】
[078]一実施形態によれば、基材(x20)及び本明細書に記載の1つまたは複数のOELを備えるセキュリティ文書及び装飾品は、1つまたは複数のパターンを更に含み、それらのそれぞれは独立してしるしの形状を有し、基材(x20)と1つまたは複数のOELとの間には、前記1つまたは複数のパターンが存在する(言い換えれば、1つまたは複数のOELSが1つまたは複数のパターンと少なくとも部分的に重なり合う)。本明細書で使用される用語「しるし」及び「複数のしるし」は、識別マーク又は標識又はパターンからなる連続層及び不連続層を意味するものとする。好ましくは、本明細書に記載のしるしは、コード、記号、英数字記号、モチーフ、幾何学的パターン(例えば、円、三角形、及び正多角形又は不規則多角形)、文字、単語、数字、ロゴ、図、肖像画、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。コードの例としては、エンコードされた英数字データ、1次元バーコード、2次元バーコード、QRコード(登録商標)、データマトリックス、及びIR読み取りコードなどのエンコードされたマークが挙げられる。本明細書に記載の1つまたは複数のしるしは、立体のしるし及び/又はラスター(raster)のしるしであってもよい。
【0080】
[079]一実施形態によれば、基材(x20)と、本明細書に記載の1つまたは複数のOELとを備えるセキュリティ文書及び装飾品は、1つまたは複数のプライマー層を更に含み、前記1つまたは複数のプライマー層は、基材(x20)と1つまたは複数のOELとの間に存在する。これにより、本明細書に記載の1つまたは複数のOELの品質が向上する又は接着が促進される可能性がある。そのようなプライマー層の例は、国際公開第2010/058026号で見出すことができる。
【0081】
[080]汚れ又は耐薬品性及び清浄性による耐久性を向上させ、したがって、本明細書に記載の1つまたは複数のOELを備えるセキュリティ文書又は装飾品の流通寿命を延ばす目的で、又はそれらの美的外観(例えば、光学的光沢)を変更する目的で、1つまたは複数の保護層を1つまたは複数のOEL上に塗布することができる。存在する場合、1つまたは複数の保護層は、一般に保護ワニスから形成される。保護ワニスは、放射線硬化性組成物、熱乾燥性組成物、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。好ましくは、1つまたは複数の保護層は放射線硬化性組成物であり、より好ましくはUV-Vis硬化性組成物である。保護層は、一般に、OELの形成後に塗布される。
【0082】
[081]本明細書に記載のOELは、基材(x20)上に直接に設けることができ、基材上に永続的に残る(紙幣用途又はラベル用途など)。或いは、OELは、製造目的で一時的な基材上に設けられてもよく、その後、OELはそこから取り除かれる。
【0083】
[082]或いは、1つまたは複数の接着剤層が、1つまたは複数のOEL上に存在してもよく、又は、基材(x20)上に存在してもよく、前記1つまたは複数の接着剤層は、1つまたは複数のOELが設けられる側とは反対の基材の側にある、及び/又は、1つまたは複数のOELと同じ側で且つ1つまたは複数のOEL上にある。したがって、1つまたは複数の接着剤層を1つまたは複数のOEL又は基材に塗布することができ、前記1つまたは複数の接着剤層は、硬化ステップが完了した後に塗布される。そのような対象物は、機械及びかなりの労力を必要とする印刷又はその他のプロセスを伴うことなく、あらゆる種類の文書又はその他の物品若しくはアイテムに付着することができる。或いは、本明細書に記載の1つまたは複数のOELを備える本明細書に記載の基材は、別の転写ステップで文書又は物品に適用できる転写箔の形態であってもよい。この目的のために、基材には剥離コーティングが設けられ、その上に1つまたは複数のOELが形成される。
【0084】
[083]本発明は、本明細書に記載の2次元表面を有する基材(x20)上に本明細書に記載の1つまたは複数の光学効果層(OEL)を製造する方法を提供する。
【0085】
[084]本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の基材(x20)表面上に、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を塗布するステップa)を含み、前記放射線硬化性コーティング組成物は、コーティング層(x10)としてのその塗布を可能にし且つ顔料粒子が層内で移動及び回転できる未だ少なくとも部分的に硬化されていない(すなわち、湿った)状態にある第1の液体状態にある。本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、基材(x20)表面上に設けられるようになっているため、放射線硬化性コーティング組成物は、少なくともバインダ材料と、磁性又は磁化可能な顔料粒子とを含み、前記組成物は、所望の印刷又はコーティング機器でのその処理を可能にする形態を成す。好ましくは、前記ステップa)は、好ましくは、スクリーン印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、凹版印刷(当技術分野では彫刻銅版印刷、彫刻鋼金型印刷とも呼ばれる)、パッド印刷、及びカーテンコーティングから成る群から選択される、より好ましくは、スクリーン印刷、グラビア印刷、パッド印刷、及びフレキソ印刷、更により好ましくは、スクリーン印刷、グラビア印刷、及びフレキソ印刷から成る群から選択される印刷プロセスによって行なわれる。
【0086】
[085]本明細書に記載の方法は、プレートレット形状の磁気又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するように磁場発生装置(x30)の磁場にコーティング層(x10)を曝露するステップb)を更に含み、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルは、粒子の位置で基材(x20)の2次元表面に対して仰角γだけ角度付けられ、前記仰角γは、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)、より好ましくは、約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲内である。
【0087】
[086]プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の配向及び本明細書に記載される仰角γは、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を、磁場が実質的に均一な(すなわち、関心領域全体にわたって実質的に一定の大きさ及び方向を有する磁場(一軸配向の場合)、又は、平面に実質的に閉じ込められた磁場(二軸配向の場合))1つまたは複数の領域(点線長方形A及びA’として図示される)で本明細書に記載される磁場発生装置(x30)の磁場に供することによって得られ、コーティング層(x10)を支持する基材(x20)は、コーティング層(x10)と、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域内の磁場発生装置(x30)の磁場の磁力線の接線とが成る角度αを伴って前記1つまたは複数の領域に設けられる。角度αは、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<α<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<α<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦α<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<α≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦α≦25°)又は約155°~約175°(155°≦α≦175°)の範囲内である。
【0088】
[087]本明細書に記載のステップb)は、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を一軸又は二軸配向するように実施される。磁性又は磁化可能な顔料粒子がそれらの主軸線のみが磁場によって拘束されるような態様で配向される一軸配向とは対照的に(
図2B)、二軸配向を実行することは、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子がそれらの2つの主軸線X及びYが拘束されるように配向させられる(
図2C)ことを意味する。すなわち、それぞれのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、顔料粒子の平面内に長軸を有し且つ顔料粒子の平面内に直交する短軸を有すると考えることができる。プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の軸線Y及びYはそれぞれ、磁場に従って配向させられる。効果的に、これは、互いに実質的に平行になるように空間内で互いに接近している隣り合うプレートレット形状の磁性顔料粒子をもたらす。別の言い方をすれば、二軸配向は、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の平面を整列させ、その結果、前記顔料粒子の平面は、隣り合う(全ての方向で)プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の平面に対して実質的に平行になるように配向される。
【0089】
[088]一実施形態によれば、ステップb)は、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を一軸配向するように実施される。本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を一軸配向するための適切な磁場発生装置は限定されない。
【0090】
[089]
図4A1に示される一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を一軸配向するための適切な磁場発生装置(430)は、棒双極子磁石からなる。
図4A1に示されるように、基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域(点線の長方形Aとして示される)で本明細書に記載の磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線は、N極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、前記1つまたは複数の領域で磁力線が互いに実質的に平行であり、コーティング層(410)を支持する基材(420)は、本明細書に記載の角度αを伴って前記1つまたは複数の領域に設けられる。
【0091】
[090]
図4A2に示される一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を一軸配向するための適切な磁場発生装置(430)は、同じ磁気方向を有する2つの棒双極子磁石(M1、M2)と鉄ヨーク(Y)とを備えるアセンブリから成り、前記磁場発生装置は、米国特許第7,047,883号に記載される。
図4A2に示されるように、基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域(点線の長方形Aとして示される)で本明細書に記載の磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線がN極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、磁力線は、前記1つまたは複数の領域で互いに実質的に平行であり、コーティング層(410)を支持する基材(420)は、本明細書に記載の角度αで前記1つまたは複数の領域に設けられる。
【0092】
[091]
図6A~
図6Bに示されて以下の例で使用される一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を一軸配向するための適切な磁場発生装置(630)は、2つの棒双極子磁石(M1、M2)と2つの磁極片(P1、P2)を備える長方形のアセンブリから成る。基材(620)上のコーティング層(610)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(630)の磁場(磁力線がN極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、磁力線は、前記領域で互いに実質的に平行であり、コーティング層(610)を支持する基材(620)は、本明細書に記載の角度αで前記1つまたは複数の領域に設けられる。
【0093】
[092]別の実施形態によれば、ステップb)は、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するように実施される。本明細書に記載の方法が、磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向させるようにコーティング層(x10)を本明細書に記載の磁場発生装置(x30)の磁場に曝露するステップを含む実施形態では、コーティング層(x10)は、前記磁場発生装置に2回以上曝露されてもよい。本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を二軸配向するための適切な磁場発生装置は限定されない。当業者に知られているように、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の二軸配向は、X軸とY軸の両方の主軸線が揃うまでその方向を変えて粒子を強制的に振動させる動的磁場(すなわち、時間可変/時間依存磁場)を必要とする。換言すれば、二軸配向は、磁場発生装置に関してプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含むコーティング層(x10)の付随しない動きを必要とする。
【0094】
[093]国際公開第2018/019594号の
図10に示されている一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するための適切な磁場発生装置(430)は、千鳥状又はジグザグ状に配置される少なくとも4つの磁石(M1~M4)の線形配置から成る。
図4B1に示されるように、基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域(点線の長方形A,A’として示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線がN極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、磁力線は、前記1つまたは複数の領域で互いに実質的に平行であり、コーティング層(410)を支持する基材(420)は、本明細書に記載の角度αで前記1つまたは複数の領域に設けられる。欧州特許第出願公開2157141号は、
図5に同様の適切な磁場発生装置を開示し、磁場発生装置は、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するために使用することができ、千鳥状に又はジグザグ状に配置される少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つの磁石の線形配置から成る。
【0095】
[094]
図4B2及び国際公開第2018/019594号の
図8A~
図8Bに示される一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するための適切な磁場発生装置(430)は、反対の磁気方向を有する2つの双極子磁石(M1、M2)から成る。
図4B2に示されるように、基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域(点線の長方形A,A’として示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線がN極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、磁力線は、前記1つまたは複数の領域で互いに実質的に平行であり、コーティング層(410)を支持する基材(420)は、本明細書に記載の角度αで前記1つまたは複数の領域に設けられる。
【0096】
[095]
図4B3及び国際公開第2018/019594号の
図7A~
図7Bに示される一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するための適切な磁場発生装置(430)は、同じ磁気方向を有する2つの双極子磁石(M1、M2)から成る。
図4B3に示されるように、基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線がN極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、磁力線は、前記1つまたは複数の領域で互いに実質的に平行であり、コーティング層(410)を支持する基材(420)は、本明細書に記載の角度αで前記1つまたは複数の領域に設けられる。
【0097】
[096]
図4B4及び国際公開第2018/019594号の
図3A~
図3Bに示される一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するための適切な磁場発生装置(430)は、5つの双極子磁石(M1~M5)を備えるハルバッハ配列から成る。
図4B4に示されるように、基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線がN極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、磁力線は、前記1つまたは複数の領域で互いに実質的に平行であり、コーティング層(410)を支持する基材(420)は、本明細書に記載の角度αで前記1つまたは複数の領域に設けられる。
【0098】
[097]
図4B5及び国際公開第2016/083259号の
図12Aに示される一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するための適切な磁場発生装置(430)は、それぞれがマグネットワイヤコイル(図示せず)に囲まれた磁石棒(M1~M4)を備える4つの構造を備えるハルバッハシリンダセンブリから成る。
図4B5に示されるように、基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線がN極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、磁力線は、前記1つまたは複数の領域で互いに実質的に平行であり、コーティング層(410)を支持する基材(420)は、本明細書に記載の角度αで前記1つまたは複数の領域に設けられる。
【0099】
[098]
図4B6及び同時係属出願の欧州特許第20176506.2号の
図2Aに示される一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するための適切な磁場発生装置(430)は、8個の棒双極子磁石(M1~M8)のアセンブリから成り、前記アセンブリは、第1の棒双極子磁石(M4)及び2つの第2の棒双極子磁石(M1、M6)を備える第1のセットと、第1の棒双極子磁石(M5)及び2つの第2棒双極子磁石(M3;M8)を備える第2のセットと、第3の棒双極子磁石(M2、M7)の第1の対とを備える。
図4B6に示されるように、基材(420)上のコーティング層(410)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(430)の磁場の磁場(磁力線がN極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、磁力線は、前記1つまたは複数の領域で互いに実質的に平行であり、コーティング層(410)を支持する基材(420)は、本明細書に記載の角度αで前記1つまたは複数の領域に設けられる。
【0100】
[099]
図5A1~3に示されて以下の例で使用される一実施形態によれば、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するのに適した磁場発生装置(530)は、N-S磁気方向が交互になって一列に配置された9個の棒双極子磁石(M1~M5)を備えるアセンブリから成る。
図5A2に示されるように、基材(520)上のコーティング層(510)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域(点線の長方形Aとして示される)で磁場発生装置(530)の磁場の磁場(磁力線がN極からS極へと指し示す矢印を伴う線として示される)に曝露され、磁力線は、前記1つまたは複数の領域で互いに実質的に平行であり、コーティング層(510)を支持する基材(520)は、本明細書に記載の角度αで前記1つまたは複数の領域に設けられる。
【0101】
[0100]当業者に知られているように、コーティング層(x10)を支持する基材(x20)が静的であるか又は
図4B1~
図4B6及び
図5に示される磁場発生装置に付随して移動する(すなわち、磁場発生装置と同じ速度で移動する)場合、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子は、前記装置への曝露時に一軸配向される。
【0102】
[0101]磁性又は磁化可能な顔料粒子の本明細書に記載の磁気配向中、コーティング層(x10)を支持する基材(x20)は、1つまたは複数の非磁性材料から形成される非磁性支持プレート(x40)上に配置されてもよい。
【0103】
[0102]本明細書に記載の方法は、ステップb)と部分的に同時に又はそれに続いて、コーティング層(x10)中のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の位置及び配向を少なくとも部分的に固定し、本明細書に記載の少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)を生成するように、コーティング層(x10)を本明細書に記載の硬化ユニット(x40)で少なくとも部分的に硬化させるステップc)を更に含み、本明細書に記載の仰角γは、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦γ≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ≦175°)の範囲内である。
【0104】
[0103]本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を二軸配向するように工程b)が実施される実施形態に関し、本明細書に記載の硬化ユニット(x40)でコーティング層(x10)を少なくとも部分的に硬化するステップc)は、好ましくはステップb)と部分的に同時に実施される。
【0105】
[0104]
図3Bに示されて上記で説明された実施形態などの1つまたは複数のOELを調製するための1つの実施形態、すなわち、前記OELが、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を1つまたは複数の第1のゾーン(x10-a)に含むとともにプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を1つまたは複数の第2のゾーン(x10-b)に含む単一の少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)を備える又はこのコーティング層(x10)から成り、磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が、1つまたは複数の第1のゾーン(x10-a)で仰角γを有するとともに、1つまたは複数の第2のゾーン(x10-b)で更なる仰角γ’を有して組み込まれ、仰角γ及び更なる仰角γ’が、独立して、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ,γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ,γ’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ,γ’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ、γ’≦175°)、より好ましくは、約5°~約25°(5°≦γ、γ’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ,γ’≦175°)の範囲内であり、前記仰角γ及び仰角γ’が互いに異なる及び/又は同一平面上にない、実施形態によれば、方法は、
本明細書に記載の基材(x20)表面上に、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を適用するステップa)と、
コーティング層(x10)を、本明細書に記載の角度αで本明細書に記載の磁場が実質的に均一な1つまたは複数の領域にコーティング層(x10)を支持する基材(x20)が設けられた状態で、本明細書に記載の磁場発生装置(x30)の磁場に曝露するステップb)と、
c)選択的硬化ユニット(x50)を用いてコーティング層(x10)の1つまたは複数の第1の領域を選択的に少なくとも部分的に硬化して、プレートレット形状の磁性粒子又は磁化可能な粒子の少なくとも一部をそれらの採用された位置及び配向に固定し、コーティング層(x10)の1つまたは複数の第2のゾーンが照射に曝露されないままであるようにするステップであって、前記ステップが、ステップb)と部分的に同時に又はステップb)に続いて実施される、ステップと、
d)プレートレット形状の磁性粒子又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向するように、コーティング層(x10)を、第2の磁場が均一な1つまたは複数の領域で、第2の磁場発生装置の第2の磁場に曝露するステップであって、コーティング層(x10)を支持する基材(x20)が、磁場が実質的に均一である1つまたは複数の領域に設けられ、コーティング層(x10)と、磁場が実質的に均一である1つまたは複数の領域内の第2の磁場の磁力線の接線とが成す角度α’が、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<α’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<α’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦α’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<α’≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦α’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦α’≦175°)の範囲内であり、α’がαとは異なる、ステップと、
e)コーティング層(x10)を第2の磁場発生装置の磁場に曝露するステップd)と部分的に同時に又はそれに続いて、本明細書に記載される硬化ユニット(x40)でコーティング層(x10)を少なくとも部分的に硬化させるステップe)と、
を含む。
【0106】
[0105]
図3C~
図3Dに示されて上記で説明された実施形態などの1つまたは複数のOELを調製するための1つの実施形態、すなわち、前記OELが、i)磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と、ii)磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)とを備える又はこれらから成り、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)が少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と部分的又は完全に重なり合い、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)中の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が実質的に同じ仰角γを有し、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)中の実質的に全ての第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が実質的に同じ更なる仰角γ’を有し、第2のプレートレット形状の顔料粒子のそれぞれの配向が、本明細書に記載のプレートレットベクトルによって規定され、第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルが、粒子の位置で基材(x20)の2次元表面に対して更なる仰角γ’だけ角度付けられ、仰角γ及び更なる仰角γ’が、独立して、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ,γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ,γ’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ,γ’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ,γ’≦175°)、より好ましくは、約5°~約25°(5°≦γ,γ’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ,γ’≦175°)の範囲内であり、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が互いに異なる及び/又は同一平面上にない、1つの実施形態によれば、方法は、
本明細書に記載の基材(x20)表面上に、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を塗布するステップa)と、
本明細書に記載の角度αで本明細書に記載の磁場が実質的に均一である1つまたは複数の領域にコーティング層(x10)を支持する基材(x20)が設けられた状態で本明細書に記載の磁場発生装置(x30)の磁場にコーティング層(x10)を曝露するステップb)と、
ステップb)と部分的に同時又はそれに続いて、本明細書に記載の硬化ユニット(x40)でコーティング層(x10)を少なくとも部分的に硬化するステップc)と、
ステップc)に続いて、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)上に、第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む第2の放射線硬化性コーティング組成物を部分的(
図3C)又は完全(
図3D)のいずれかで塗布するステップd)であって、前記第2の放射線硬化性コーティング組成物が、第2のコーティング層(x11)を形成するように第1の液体状態にあり、前記第2の放射線硬化性コーティング組成物が、ステップa)の放射線硬化性コーティング組成物と同じ又は異なる、ステップd)と、
第2プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向させるように、第2の磁場が均一である1つまたは複数の領域で第2のコーティング層(x11)を第2の磁場発生装置の第2の磁場に曝露するステップe)であって、第2のコーティング層(x11)を支持する基材(x20)が前記1つまたは複数の領域に設けられ、第2のコーティング層(x11)と、磁場が実質的に均一である1つまたは複数の領域内の第2の磁場の磁力線の接線とが成す角度α’が、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<α’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<α’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦α’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<α’≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦α’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦α’≦175°)の範囲内であり、第2の磁場発生装置が、ステップb)の磁場発生装置と同じ又は異なり、α’がαとは異なる、ステップe)と、
第2のコーティング層(x11)を第2の磁界発生装置に曝露するステップe)と部分的に同時に又はそれに続いて、第2のコーティング層(x11)中の第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の位置及び配向を少なくとも部分的に固定し、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)を生成するように、硬化ユニット(x40)で第2のコーティング層(x11)を少なくとも部分的に硬化させるステップf)と、
を含む。
【0107】
[0106]
図3Eに示されて上記で説明された実施形態などの1つまたは複数のOELを調製するための1つの実施形態、すなわち、前記OELが、i)磁気的に配向されたプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と、ii)磁気的に配向された第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が組み込まれた、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)とを備える又はこれらから成り、前記少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)が少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)と隣り合い(
図3E)又は少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)から離間し(図示せず)、少なくとも部分的に硬化されたコーティング層(x10)中の実質的に全てのプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が実質的に同じ仰角γを有し、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)中の実質的に全ての第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子が実質的に同じ更なる仰角γ’を有し、第2のプレートレット形状の顔料粒子のそれぞれの配向が、本明細書に記載のプレートレットベクトルによって規定され、第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子のプレートレットベクトルが、粒子の位置で基材(x20)の2次元表面に対して更なる仰角γ’だけ角度付けられ、仰角γ及び更なる仰角γ’が、独立して、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<γ,γ’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<γ,γ’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦γ,γ’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<γ,γ’≦175°)、より好ましくは、約5°~約25°(5°≦γ,γ’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦γ,γ’≦175°)の範囲内であり、前記仰角γ及び更なる仰角γ’が互いに異なる及び/又は同一平面上にない、1つの実施形態によれば、方法は、
本明細書に記載の基材(x20)表面上に、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を塗布するステップa)と、
本明細書に記載の角度αで本明細書に記載の磁場が実質的に均一である1つまたは複数の領域にコーティング層(x10)を支持する基材(x20)が設けられた状態で本明細書に記載の磁場発生装置(x30)の磁場にコーティング層(x10)を曝露するステップb)と、
ステップb)と部分的に同時又はそれに続いて、本明細書に記載の硬化ユニット(x40)でコーティング層(x10)を少なくとも部分的に硬化するステップc)と、
ステップc)に続いて、第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む第2の放射線硬化性コーティング組成物を塗布するステップd)であって、前記第2の放射線硬化性コーティング組成物が、第2のコーティング層(x11)を形成するように第1の液体状態にあり、前記第2のコーティング層(x11)がコーティング層(x10)に隣り合う(
図3E)又はコーティング層(x10)から離間し(図示せず)、前記第2の放射線硬化性コーティング組成物が、ステップa)の放射線硬化性コーティング組成物と同じ又は異なる、ステップd)と、
第2の磁場が均一である1つまたは複数の領域で第2のコーティング層(x11)を第2の磁場発生装置の磁場に曝露して、第2プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の少なくとも一部を配向させるステップe)であって、第2のコーティング層(x11)を支持する基材(x20)が、第2のコーティング層(x11)と、磁場が均一である1つまたは複数の領域内の第2の磁場の磁力線の接線とが成す角度α’で前記1つまたは複数の領域に設けられ、角度α’が、0°よりも大きく30°よりも小さい(0°<α’<30°)又は150°よりも大きく180°よりも小さい(150°<α’<180°)、好ましくは約5°以上30°未満(5°≦α’<30°)又は150°よりも大きく約175°以下(150°<α’≦175°)、より好ましくは約5°~約25°(5°≦α’≦25°)又は約155°~約175°(155°≦α’≦175°)の範囲内であり、第2の磁場発生装置が、ステップb)の磁場発生装置と同じ又は異なり、α’がαとは異なる、ステップe)と、
第2のコーティング層(x11)を第2の磁界発生装置に曝露するステップe)と部分的に同時に又はそれに続いて、第2のコーティング層(x11)中の第2のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子の位置及び配向を少なくとも部分的に固定し、少なくとも部分的に硬化された第2のコーティング層(x11)を生成するように、硬化ユニット(x40)で第2のコーティング層(x11)を少なくとも部分的に硬化させるステップf)と、
を含む。
【0108】
[0107]適切な硬化ユニット(x40)は、高出力発光ダイオード(LED)ランプ、又は中圧水銀アーク(MPMA)若しくは化学線源としての金属蒸気アークランプなどのアーク放電ランプを備える紫外可視硬化ユニット用の機器を含む。本明細書に記載の選択的硬化ユニット(x50)は、コーティング層の一部として形成されるパターンに対応する1つまたは複数の空隙を含む、1つまたは複数の固定又は取り外し可能なフォトマスクを備え得る。1つまたは複数の選択的硬化ユニット(x50)は、欧州特許出願公開第2 468 423号に開示されている走査レーザービーム、国際公開第2017/021504号に開示されている発光ダイオード(LED)のアレイ、又は同時係属中の特許出願PCT/EP2019/087072に開示されている個別にアドレス可能な化学線エミッターのアレイを備える化学線LED源(x41)など、アドレス指定可能であり得る。
【0109】
[0108]セキュリティ文書又は装飾品が、本明細書に記載の基材(x20)、本明細書に記載の1つまたは複数のOEL、及び基材(x20)と1つまたは複数のOELとの間の本明細書に記載の1つまたは複数のパターンを備え、それらのそれぞれが独立して証印の形状を有する、一実施形態によれば、本明細書に記載の方法は、証印の形状を有する1つまたは複数のパターンの形態で組成物を塗布するステップを含み、前記ステップは、本明細書に記載のステップa)の前に行なわれる。本明細書に記載の1つまたは複数のパターンの形態で組成物を塗布するステップは、カーテンコーティング、スプレーコーティング、エアロゾルジェット印刷、電気流体力学的印刷、及びインクジェット印刷などの非接触流体マイクロディスペンシングプロセスによって実行されてもよく、又は、オフセット印刷、スクリーン印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、凹版印刷(当技術分野では、彫刻銅板印刷、彫刻鋼金型印刷とも呼ばれる)から成る群から選択される印刷プロセスによって実行されてもよい。
【0110】
[0109]また、本明細書には、1つまたは複数の印刷ユニット、1つまたは複数の磁場発生装置(x30)、及び1つまたは複数の硬化ユニット(x40)を備える印刷装置も記載され、1つまたは複数の印刷ユニット、1つまたは複数の磁場発生装置(x30)及び1つまたは複数の硬化ユニット(x40)は、固定された印刷ユニットの後、固定された硬化ユニットの前に固定磁場発生装置(x30)が配置されるように、順次及び交互の固定位置で配置される。
【0111】
[0110]また、本明細書には、回転磁気シリンダと、本明細書に記載の1つまたは複数の磁場発生装置(x30)とを備える印刷装置が記載され、前記1つまたは複数の磁場発生装置(x30)は、回転磁気シリンダ並びにフラットベッド印刷ユニット及び本明細書に記載の1つまたは複数の磁場発生装置(x30)を備える印刷アセンブリの周方向溝又は軸方向溝に取り付けられ、前記1つまたは複数の磁場発生装置(x30)はフラットベッド印刷ユニットの凹部に取り付けられる。
【0112】
[0111]回転磁気シリンダは、印刷若しくはコーティング装置内で、又は印刷若しくはコーティング装置と組み合わせて使用され、又はその一部となるように、及び、本明細書に記載の磁場発生装置(x30)のうちの1つまたは複数を支持するようになっている。一実施形態では、回転磁気シリンダは、高速印刷で連続的に作動する回転式、枚葉式又は巻紙式の工業用印刷機の一部である。
【0113】
[0112]フラットベッド印刷ユニットは、印刷若しくはコーティング装置内で、又は印刷若しくはコーティング装置と組み合わせて使用され、又はその一部となるように、及び、本明細書に記載の磁場発生装置(x30)のうちの1つまたは複数を支持するようになっている。一実施形態では、フラットベッド印刷ユニットは、不連続的に作動する枚葉印刷機の一部である。
【0114】
[0113]本明細書に記載の回転磁気シリンダ又は本明細書に記載のフラットベッド印刷ユニットを備える印刷装置は、本明細書のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を備えるコーティング層(x10、x11)をその上に有する本明細書に記載のような基材を供給するための基材フィーダを含んでもよい。本明細書に記載の回転磁気シリンダを備える印刷装置の実施形態では、基材は、シート又はウェブの形態で基材フィーダによって供給される。本明細書に記載のフラットベッド印刷ユニットを備える印刷装置の一実施形態では、基材はシートの形態で供給される。
【0115】
[0114]本明細書に記載の回転磁気シリンダ又は本明細書に記載のフラットベッド印刷ユニットを備える印刷装置は、本明細書に記載のプレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を本明細書に記載の基材(x20)上に塗布するためのコーティング又は印刷ユニットを含んでもよい。本明細書に記載の回転磁気シリンダを備える印刷装置の一実施形態では、コーティング又は印刷ユニットは、回転式の連続プロセスに従って動作する。本明細書に記載のフラットベッド印刷ユニットを備える印刷装置の一実施形態では、コーティング又は印刷ユニットは、線形の不連続プロセスに従って機能する。
【0116】
[0115]本明細書に記載の回転磁気シリンダ又は本明細書に記載のフラットベッド印刷ユニットを含む印刷装置は、本明細書に記載の磁場発生装置(x30)によって磁気的に配向され、それによって顔料粒子の配向及び位置を固定して、本明細書に記載の1つまたは複数のOELを生成する、プレートレット形状の磁性又は磁化可能な顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させるための本明細書に記載の硬化ユニット(x40)を含んでもよい。
【0117】
例
[0116]例及び比較例は、表1に示される配合のUV-Vis硬化性スクリーン印刷インク並びに以下に記載される第1及び第2の磁気アセンブリを使用することによって実行された。
【表1】
【0118】
[0117]本発明に係る例E1~E8は、水平/緯度軸の周りに傾けると人目を引く視覚的外観を示した。人目を引く視覚的外観は、輝度のシャープで対照的なスイッチオン/スイッチオフ効果として見られ、輝度の最大値に到達するための輝度値の増大と、その後、約-45°及び約+45°の視野角/観察角内での前記輝度の減少から成る。
【0119】
二軸配向用磁場発生装置(
図5)
[0118]磁気アセンブリ(530)を使用して、顔料粒子を二軸配向させた。磁気アセンブリ(530)は、9個の棒双極子磁石(M1~M9)を備えていた。
【0120】
[0119]9個の棒双極子磁石(M1~M9)のそれぞれは、以下の寸法、すなわち、100mm(L1)x10mm(L2)x10mm(L3)を有していた。磁場発生装置(530)は、250mmx150mmx12mmの寸法を有するポリオキシメチレン(POM)製の非磁性ホルダ(図示せず)に埋め込まれた。9個のバーダイポールマグネット(M1~M9)は、NdFeB N40製である。
【0121】
[0120]9個の棒双極子磁石(M1~M9)は、互いに約10mmの距離(d1)で一列に配置され、9個の棒双極子磁石(M1~M9)の上面は面一であった。9個の棒双極子磁石(M1~M9)のそれぞれの磁軸は、前記磁石の厚さ(L3)と実質的に平行であり、隣り合う2つの磁石(M1~M9)の磁気方向は反対方向(交互磁化)を指していた。
【0122】
[0121]
図5A1~
図5A2に示されるように、磁場は実質的に均一であり、磁力線は領域Aにおいて実質的に同一平面上にあった。
【0123】
一軸配向用磁場発生(
図6)
[0122]磁場発生装置(630)を使用して、顔料粒子を一軸配向させた。磁場発生装置(630)は、2つの棒双極子磁石(M1、M2)及び2つの磁極片(P1、P2)を備えた。
【0124】
[0123]2つの棒双極子磁石(M1、M2)のそれぞれは、以下の寸法、すなわち、40mm(L1)x40mm(L2)x10mm(L3)を有していた。2つの棒双極子磁石(M1、M2)はNdFeB N40製である。
【0125】
[0124]2つの棒双極磁石(M1、M2)は、互いに約40mmの距離(d1)にあった。2つの棒双極磁石(M1、M2)のそれぞれの磁気軸は、前記磁石の長さ(L1)に実質的に平行であり、前記2つの棒双極磁石(M1、M2)の磁気方向は同じ方向を指していた。
【0126】
[0125]2つの極片(P1、P2)のそれぞれは、60mm(L4)x40mm(L5)x3mm(L6)の寸法を有していた。2つの磁極片(P1、P2)は鉄(ARMCO(登録商標))でできていた。
【0127】
[0126]2つの棒双極子磁石(M1、M2)及び2つの磁極片(P1、P2)は、中央に長方形の立方体のボイドを有する長方形の立方体を形成するように配置され、前記ボイドは、磁場が存在する領域Aから成り、磁磁場は実質的に均一であり、2つの磁極片(P1、P2)間の距離(d2)が約40mm、すなわち2つの磁極片(P1、P2)間の距離(d2)が2つの棒双極子磁石(M1、M2)の長さ(L1)となるように、磁力線は互いに実質的に平行であった。
【0128】
E1~E5及びC1~C3(図3A、図5、図7)
[0127]各サンプルについて、表1のUV-Vis硬化性スクリーン印刷インクを、PET(FolexからのBG71カラーレーザープリンター&コピー機OHPフィルム、厚さ100マイクロメートル、45mmx30mm)片(520)上に塗布し、コーティング層(40mmx25mm)(510)を形成し、この場合、20μmの厚さを有するコーティング層(510)を形成するために、前記塗布ステップは、90Tスクリーンを使用する実験室用スクリーン印刷装置で実施された。
【0129】
[0128]コーティング層(510)がまだ濡れていて、まだ少なくとも部分的に硬化していない状態である間に、基材(520)を高密度ポリエチレン(HDPE)製の支持プレート(300mmx40mmx1mm)の中央の上に置いた。基材(520)及びコーティング層(510)を支持する支持プレートを、約10cm/秒の速度で磁場発生装置(530)(
図5に示すように)のそばを、基材(520)に面する磁場発生装置(530)の表面とコーティング層(510)の最も近い端との間で、約20mmの距離(d5)にわたって移動させ、前記最も近いコーティング層(510)の縁部と磁場発生装置(530)の底面との間の高さは、棒双極子磁石(M1~M9)の長さの半分(1/2xL1)である。基材(520)及びコーティング層(510)を支持する支持プレートは、コーティング層(510)と、磁場が均一な領域A内の磁場発生装置(530)の磁場の磁力線の接線とが成す角度αを採用しながら同時に移動し、前記角度αは、約1°(E1)、5°(E2)、10°(E3)、20°(E4)、25°(E5)、30°(C1)、40°(C2)、及び50°(C3)の値を有する。
【0130】
[0129]コーティング層(510)は、
図5A1~
図5A3に示すように、独立して、棒双極子磁石(M1~M9)の長さ(L1)の中心に関して約15mmの距離(d4)を隔てて基材経路の上方で、8番目と9番目の棒双極子磁石(M8及びM9)との間の空間の傍で、及び、約10mmの距離(d3)を隔てて9番目の棒双極子磁石(M9)の傍に配置される硬化ユニット(540)(PhoseonからのUVLEDランプ(FireFly395nm、4W/cm
2))によって少なくとも部分的に硬化された。
【0131】
E6(
図3D、
図5、
図8)
[0130]表1のUV-Vis硬化性スクリーン印刷インクを、一片のPET(FolexからのBG71カラーレーザープリンター&コピー機OHPフィルム、厚さ100マイクロメートル、45mmx30mm)(520)上に塗布して、「A」(6mm)(510)の形状を有する第1のコーティング層(510)を形成し、前記塗布ステップは、厚さ約20μmのコーティング層(510)を形成するために90Tスクリーンを使用する実験室用スクリーン印刷装置を用いて実施された。
【0132】
[0131]コーティング層(510)が未だ濡れていて、未だ少なくとも部分的に硬化していない状態である間に、基材(520)を、高密度ポリエチレン(HDPE)から形成される支持プレート(300mmx40mm)の中央の上端に置いた。基材(520)及びコーティング層(510)を支持する支持プレートを、磁場発生装置(530)(
図5に示すように)の傍で約10cm/秒の速度で、基材(520)に面する磁場発生装置(530)の表面とコーティング層(510)の最も近い縁部との間で約20mmの距離(d5)を隔てて移動させ、また、前記最も近いコーティング層(510)の縁部と磁場発生装置(530)の底面との間の高さは、棒双極子磁石(M1~M9)の長さの半分(1/2xL1)である。基材(520)及びコーティング層(510)を支持する支持プレートは、コーティング層(510)と磁場が均一である領域A内の磁場発生装置(530)の磁場の磁力線の接線とが成す角度αを採用しながら、同時に移動され、角度αの値は約20°であった。
【0133】
[0132]第1のコーティング層(510)は、E1~E5及びC1~C3と同じ条件/位置の下で、硬化ユニット(540)によって少なくとも部分的に硬化された。
【0134】
[0133]各サンプルについて、表1のUV-Vis硬化性スクリーン印刷インクを、既に塗布されたコーティング層(510)の上に塗布して、「T」(6mm)の形状を有する第2のコーティング層(511)を形成し、前記塗布ステップは、約20μmの厚さを有するコーティング層(511)を形成するように、90Tスクリーンを使用する実験用スクリーン印刷装置を用いて行なわれた。
【0135】
[0134]第2のコーティング層(511)が未だ濡れており、未だ少なくとも部分的に硬化していない状態である間に、角度α’が約160°であることを除いて第1のコーティング層(510)と同じ条件下で基材(520)を磁場発生装置(530)の磁場に曝露した。
【0136】
[0135]第2のコーティング層(511)は、E1~E5及びC1~C3と同じ条件/位置の下で、硬化ユニット(540)によって少なくとも部分的に硬化された。
【0137】
E7~E8(図3A、図6、図9)
[0136]表1のUV-Vis硬化性スクリーン印刷インクを、一片のPET(FolexからのBG71カラーレーザープリンター&コピー機OHPフィルム、厚さ100マイクロメートル、45mmx30mm)(620)上に塗布して、コーティング層(40mmx25mm)(610)を形成し、前記塗布ステップは、約20μmの厚さを有するコーティング層(610)を形成するように、90Tスクリーンを使用する実験室用スクリーン印刷装置を用いて行なわれた。
【0138】
[0137]コーティング層(610)が未だ濡れており、未だ少なくとも部分的に硬化していない状態である間に、基材(620)を高密度ポリエチレン(HDPE)製の支持プレート(60mmx40mmx1mm)の中央の上端に置いた。
【0139】
[0138]基材(620)及びコーティング層(510)を支持する支持プレートは、コーティング層(610)と磁場が均一である領域A内の磁場発生装置(630)の磁場の磁力線の接線とが成す角度αを採用しながら、
図6に示されるように磁気アセンブリ(630)の空隙の中心に配置され、角度αの値は約20°であった。
【0140】
[0139]サンプルE7については、約1秒後、コーティング層(610)は、
図6B1に示されるように、硬化ユニット(640)(UVLEDランプ(PhoseonからのFireFly 395nm、4W/cm2))によって少なくとも部分的に硬化された。
【0141】
[0140]サンプルE8については、磁場への曝露に続いて、基材(620)及びコーティング層(610)を支持する支持プレートを、磁気アセンブリ(630)から約1cmの距離(d
i)だけ離して移動させ、コーティング層(610)は、
図6B2に示すように、Phoseon(FleTypeFireFlex 50x75mm、395nm、8W/cm
2)のUV-LEDランプ(640)に約0.5秒間露光されて硬化された。
【0142】
配向ステップ中の角度αとコーティング層(x10)中の顔料粒子の仰角γとの相関
[0141]前述の方法中の角度αと仰角γとの間の相関関係は、国際公開第2019/038371号に開示された方法に従ってコノスコピックスキャトロメータ測定を使用して前記仰角γを測定することによって、及び、SEM写真(以下の寸法、すなわち、10mm×10mm×30mmを有するエポキシマトリックス(Technicol 9461)に埋め込むことによるサンプル調製の標準的な方法を使用するZEISS EVO HD15)コーティング層(x10)の断面上の5つの隣り合う顔料粒子の選択の仰角を測定することによって評価された。結果を表2に示す。
【表2】
【0143】
[0142]コノスコピックスキャトロメータ測定は、国際公開第2019/038371号、
図4A(EckhartdOpticsLLC、5430Jefferson Ct、White Bear Lake、MN 55110から取得;http://eckop.com)に記載されているように、コノスコピックスキャトロメータを使用して実施された。仰角γは、約1mm
2のコーティング層表面で測定された。すなわち、報告された値は、約1000個の粒子で平均化された。
【0144】
[0143]SEM測定は、SEM顕微鏡(ZEISS EVO HD15、倍率x500)を用いて、サンプルのミクロトーム切片(
図3に示されるように、基材表面及びコーティング層の厚さに垂直で、傾斜軸に垂直な切片面)で行なった。コーティング層を支持する基材は、まず最初に、以下の寸法、すなわち、10mm×10mm×30mmを有するサンプルを作成するためにミクロトームスライスを切断及び研磨する前に室温で24時間乾燥させたままだったエポキシ樹脂(Technicol9461)に個別に埋め込まれた。報告された値は、5つの粒子で平均化された。
【0145】
[0144]表2に示されるように、角度αと測定された仰角γとの間には優れた相関関係があった。
【0146】
様々な観察角度θでの輝度
[0145]サンプルを紙基材(それぞれ黒色又は白色)上に配置してスコッチテープで固定した。
図10に示すように、コーティング層(x10、x11)、PET基材(x20)、及び紙基材を支持するアセンブリを、積分球(Dongguan Yaoke Instrumentからの内径1m)の傾斜ホルダ上に個別に配置した。アセンブリは、PET基材表面から約100cmの距離を隔てて配置された照明源(電球(30W、100%電力))で照明された。
【0147】
[0146]カメラ(Nikon D800、レンズNikkor 105/2.8 ED、シャッター速度1/200秒、絞りf/36、ISO6400)を、アセンブリと照明源との間の仮想線上に、PET基材から約50cmの距離を隔てて配置した。画像は3680x2456ピクセル(TIFF)で取得された。
【0148】
[0147]
図1に示すように、アセンブリを支持するホルダを、前記ホルダが観察角度α=50°、40°、30°、20°、10°、0°、-5°、-10°、-15°、-20°、-25°、-30°、-35°、-40°、-45°、-50°、-55°、-60°、-65°、及び-70°(θ<0°は、アセンブリの上端縁がカメラの近くにあることに対応し、θ>0°は、アセンブリの下端縁がカメラの近くにあることに対応する)で観察されるように回転させた。
【0149】
[0148]異なる観察角度でのE1~E5及びC1~C3のそのように得られた写真を
図7Aに示し、異なる観察角度でのE6のそのように得られた写真を
図8に示す。
【0150】
[0149]E1~E5、E7~E8、及びC1~C3の輝度は、AdobePhotoshop(登録商標)を使用し、コーティング層(x10、x11)、PET基材(x20)及び紙基材を備える各個々のアセンブリの100ピクセルx100ピクセル領域の輝度の平均を計算することによって評価した。
図7Bは、E1~E5及びC1~C3の輝度を報告することによって得られたグラフを示し、
図9は、-50°~+70°(x軸:観察角度θ[度、°];y軸:輝度(任意単位))で変化する異なる観察角度θでの輝度E7~E8を報告することによって得られたグラフを示す。輝度曲線は、プレート(P)の存在に起因して球体の僅かにしか照らされていない領域の結果として非対称である。
【0151】
[0150]
図7A~
図7Bに示されるように、E1~E5(0°<γ<30°、特に5°≦γ<30°、5°≦γ≦25°)の光学効果層は、人目を引く効果、並びに、約-45°及び約+45°の視野角/観察角度内で輝度の最大値に到達するための輝度の容易に観察可能な増大、及びその後の前記輝度値の減少を示した。
【0152】
[0151]E1(1°)は、約-10°の観察角度θでの最大輝度を示し、E2(5°)は、約-15°の観察角度θでの最大輝度を示し、E3(10°)は、約-25°の観察角度θでの輝度の最大値を示し、E4は、約-35°の観察角度θでの輝度の最大値を示し、E5は、約-40°の観察角度θでの輝度の最大値を示した。
【0153】
[0152]
図8に示すように、「A」の形状を有するE6の第1のコーティング層(
図5の510、
図3Dの310)は、約+40°の観察角度での輝度の最大値を伴って約0°~約+50°の観察角度で見ることができ、一方、「T」の形状を有する第2の/上端コーティング層(
図5の511、
図3Dの311)は、約-35°の観察角度での輝度の最大値を伴って-15°~約-65°で見ることができる。
【0154】
[0153]
図9A(黒色基材)及び
図9B(白色基材)に示すように、E7~E8は、E7の場合は-(20°~25°)、E8の場合は-(10°~15°)の観察角度θで輝度の最大値を伴う容易に観察できる輝度の増減を示した。
【国際調査報告】