(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】独立型の高電圧ガルバニック絶縁コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
H01L27/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513946
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 US2021048326
(87)【国際公開番号】W WO2022047350
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ダイヤー ボニフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー アラン ウエスト
(72)【発明者】
【氏名】バイロン ロヴェル ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス コストナー スチュワート
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038AC04
5F038AC05
5F038AC15
5F038AC16
5F038BE07
5F038EZ07
5F038EZ20
(57)【要約】
ガルバニック絶縁コンデンサデバイス(400D)が、半導体基板(402)と、半導体基板の上のPMD層(404)とを含む。PMD層は第1の厚み(T1)を有する。下側金属プレート(412A)がPMD層の上にあり、ILD層(416)が、下側金属プレート上にある。ILD層は第2の厚み(T2)を有する。第2の厚みに対する第1の厚みの比は、約1と約1.55(1.55を含む)の間である。ILD層の上の第1の上側金属プレート(424A)が、第1の面積を有し、ILD層の上の第2の上側金属プレート(424B)が、第2の面積を有する。第2の面積に対する第1の面積の比は、約5よりも大きい。ガルバニック絶縁コンデンサデバイスは、マルチチップモジュールの一部とし得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガルバニック絶縁コンデンサデバイスであって、
半導体基板の上の第1の厚みを有するプレメタル誘電体(PMD)層と、
前記PMD層の上に配置される下側金属プレートと、
前記下側金属プレートの上に配置され、第2の厚みを有するレベル間誘電体(ILD)層であって、前記第2の厚みに対する前記第1の厚みの比が、約1と約1.55の間(1.55を含む)である、前記ILD層と、
前記ILD層の上に配置され、第1の面積を有する第1の上側金属プレートと、
前記ILD層の上に配置され、第2の面積を有する第2の上側金属プレートと、
を含み、
前記第2の面積に対する前記第1の面積の比が、約5よりも大きく約10より小さい、
ガルバニック絶縁コンデンサデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のガルバニック絶縁コンデンサデバイスであって、前記PMD層が、
前記半導体基板の上の第1の酸化物層と、
前記第1の酸化物層の上にあり、前記下側金属プレートに接する、第1の窒素含有誘電体層と、
を含む、ガルバニック絶縁コンデンサデバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のガルバニック絶縁コンデンサデバイスであって、前記ILD層が、
前記下側金属プレートの上の第2の酸化物層と、
前記第2の酸化物層の上にあり、前記第1の金属プレート及び前記第2の上側金属プレートに接する、第2の窒素含有誘電体層と、
を含む、ガルバニック絶縁コンデンサデバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のガルバニック絶縁コンデンサデバイスであって、前記下側金属プレートが静電容量低減開口を含み、前記静電容量低減開口が、前記第2の上側金属プレートの下に位置する、ガルバニック絶縁コンデンサデバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のガルバニック絶縁コンデンサデバイスであって、前記静電容量低減開口が、前記下側金属プレートの一部を前記下側金属プレートの残りの部分から絶縁するトレンチである、ガルバニック絶縁コンデンサデバイス。
【請求項6】
請求項4に記載のガルバニック絶縁コンデンサデバイスであって、前記静電容量低減開口が、前記下側金属プレートを介する円形の開口である、ガルバニック絶縁コンデンサデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のガルバニック絶縁コンデンサデバイスであって、前記下側金属プレート、前記第1の上側金属プレート、及び前記第2の上側金属プレートが、アルミニウムを含む、ガルバニック絶縁コンデンサデバイス。
【請求項8】
マルチチップモジュール(MCM)であって、
第1の電圧レベルで動作するように構成される第1の集積回路を有する第1のダイと、
第2の電圧レベルで動作するように構成される第2の集積回路を有する第2のダイであって、前記第1の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの間の差が約500Vより大きい、前記第2のダイと、
底部金属プレートを介して第2のコンデンサと直列に結合される第1のコンデンサを含む第3のダイと、
を含み、
前記第1のコンデンサが、第1の面積を有する第1の上側金属プレートを含み、前記第1の上側金属プレートが前記第1の集積回路に結合され、前記第2のコンデンサが、第2の面積を有する第2の上側金属プレートを含み、前記第2の上側金属プレートが前記第2の集積回路に結合され、前記第2の面積に対する前記第1の面積の比が5.0またはそれより大きい、
MCM。
【請求項9】
請求項8に記載のMCMであって、前記第1のダイ及び前記第3のダイが、第1のダイ取り付けパッド(DAP)に取り付けられ、前記第2のダイが、前記第1のDAPから導電的に絶縁される第2のDAPに取り付けられる、MCM。
【請求項10】
請求項8に記載のMCMであって、
前記第3のダイが、
半導体基板と、
前記半導体基板上の、第1の厚みを有するプレメタル誘電体(PMD)層と、
前記PMD層と接する下側金属プレートと、
前記下側金属プレート上の、第2の厚みを有するレベル間誘電体(ILD)層であって、前記第2の厚みに対する前記第1の厚みの比が約1と約1.55の間である、前記ILD層と、
前記ILD層に接する、前記第1の上側金属プレート及び前記第2の上側金属プレートと、
を含む、MCM。
【請求項11】
請求項10に記載のMCMであって、前記下側金属プレートが、前記第2の上側金属プレートの下に位置する静電容量低減開口を含む、MCM。
【請求項12】
請求項10に記載のMCMであって、前記下側金属プレート、前記第1の上側金属プレート、及び前記第2の上側金属プレートが、アルミニウムを含む、MCM。
【請求項13】
集積回路チップを形成するプロセスであって、
第1の厚みを有するプレメタル誘電体(PMD)層を半導体基板上に形成することと、
前記PMD層の上に下側金属プレートを形成することと、
第2の厚みを有するレベル間誘電体(ILD)層を前記下側金属プレート上に形成することであって、前記第2の厚みに対する前記第1の厚みが約1.0と約1.55の間である、前記ILD層を形成することと、
前記ILD層の上に第1の上側金属プレート及び第2の上側金属プレートを形成することと、
を含み、
前記第1の上側金属プレートが第1の面積を有し、前記第2の上側金属プレートが第2の面積を有し、前記第2の面積に対する前記第1の面積の比が5.0よりも大きい、プロセス。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスであって、前記PMD層を形成することが、
前記半導体基板の上に第1の酸化物層を形成することと、
前記第1の酸化物層上に第1の窒素含有誘電体層を形成することと、
を含む、プロセス。
【請求項15】
請求項14に記載のプロセスであって、前記ILD層を形成することが、
前記下側金属プレートの上に第2の酸化物層を形成することと、
前記第2の酸化物層上に第2の窒素含有誘電体層を形成することと、
を含む、プロセス。
【請求項16】
請求項15に記載のプロセスであって、前記第2の窒素含有誘電体層を介して絶縁トレンチを形成することを含み、前記絶縁トレンチが、前記第1の上側金属プレート及び前記第2の上側金属プレートを囲む、プロセス。
【請求項17】
請求項16に記載のプロセスであって、
前記第1の上側金属プレートと、前記第2の上側金属プレートと、前記ILD層の一部との上に誘電体オーバーコート層を形成することと、
前記誘電体オーバーコート層を介して第1のコンタクト開口及び第2のコンタクト開口を形成することと、
を含み、
前記第1のコンタクト開口が前記第1の上側金属プレートの上にあり、前記第2のコンタクト開口が前記第2の上側金属プレートの上にある、プロセス。
【請求項18】
請求項17に記載のプロセスであって、
前記誘電体オーバーコート層上にポリイミド層を形成することと、
前記ポリイミド層を介して第1のアクセス開口及び第2のアクセス開口を形成することと、
を含み、
前記第1のアクセス開口が前記第1のコンタクト開口の上にあり、前記第2のアクセス開口が前記第2のコンタクト開口の上にある、プロセス。
【請求項19】
請求項13に記載のプロセスであって、前記下側金属プレートを形成することが、前記下側金属プレートを介して静電容量低減開口を形成すること含み、前記静電容量低減開口が、前記第2の上側金属プレートの下に位置する、プロセス。
【請求項20】
請求項19に記載のプロセスであって、前記静電容量低減開口を形成することが、前記下側金属プレートの一部を前記下側金属プレートの残りの部分から絶縁する円形のトレンチを形成することを含む、プロセス。
【請求項21】
請求項19に記載のプロセスであって、前記静電容量低減開口を形成することが、前記下側金属プレートを介して円形の開口を形成することを含む、プロセス。
【請求項22】
請求項13に記載のプロセスであって、
前記下側金属プレートを形成することが、サブトラクティブエッチングを用いて第1のアルミニウム層をパターン化することと、
前記第1の上側金属プレート及び前記第2の上側金属プレートを形成することが、サブトラクティブエッチングを用いて第2のアルミニウム層をパターン化することと、
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明される実装は、概して、半導体デバイスの分野に関し、より詳細には、独立型の高電圧ガルバニック絶縁コンデンサに関するが、これに限定されるわけではない。
【背景技術】
【0002】
従来のガルバニック絶縁コンデンサデバイスは、典型的に、シリコンウェハ上に構築される個別の集積回路に埋め込まれる構成要素として集積されていた。高められた絶縁能力を実現するために、これらのコンデンサは、典型的に、マルチチップモジュール(MCM)内の二つのダイ間で直列に対になった等面積のものであり、一方のダイは、そのシリコン基板が低電位であり、別のダイは、そのシリコン基板が高電位であり、そのため、各コンデンサは、MCM両端間の総電圧差の半分しか感知しない。以前は、独立型のガルバニック絶縁には、ポリイミド/金/ポリイミド/金/ポリイミド変圧器が用いられていた。これらのガルバニック絶縁変圧器デバイスは、面積が大きく、コストが高く、シリコンベースのコンデンサよりも絶縁動作電圧が低い。
【発明の概要】
【0003】
説明される実装は、埋め込みコンデンサを用いることと比較してコストを削減するために、マルチチップモジュールに集積され得る低コストの独立型のガルバニック絶縁コンデンサを提供する。直列コンデンサが共通基板上に設けられ、下側プレートが連結され、電気的に浮遊した状態になる。独立型のガルバニック絶縁コンデンサの製作は、誘電体/金属/誘電体/金属のみを含むシンプルなプロセスフローを用いて高電圧絶縁構成要素を生成する。
【0004】
独立型のガルバニック絶縁コンデンサを含むチップがMCMに用いられ、独立型のガルバニック絶縁コンデンサが高電圧デバイスと共にダイ取り付けパッド(DAP)上に配置される場合、ガルバニック絶縁直列コンデンサ対を形成する二つのコンデンサは非対称な面積を有するように製作される。一実装において、第2のコンデンサの面積に対する第1のコンデンサの面積の比は、約5と約10の間である。底部コンデンサプレートと頂部コンデンサプレートとの間にある層間誘電体(ILD)層に対する、基板と底部コンデンサプレートとの間にあるプレメタル誘電体(PMD)層の厚みの比は、約1~約1.55の間の値に最適化されて、高電圧コンデンサと低電圧コンデンサとの間の電界が均衡され得る。このような実装は、寸法、動作電圧、及びウェハコストの点でこのような独立型のガルバニック絶縁コンデンサの能力を改善することが期待されるが、特定の請求項に明示的に記載されない限り、特定の結果が、説明される発明の要件になることはない。
【0005】
一態様において、ガルバニック絶縁コンデンサデバイスの実装が説明される。ガルバニック絶縁コンデンサデバイスは、半導体基板の上に配置される第1の厚みを有するPMD層を含む。PMD層の上に下側金属プレートが配置され、下側金属プレートの上にレベル間誘電体(ILD)層が配置される。ILD層は、第2の厚みを有し、第2の厚みに対する第1の厚みの比は約1~約1.55の間とする。第1の面積を有する第1の上側金属プレート及び第2の面積を有する第2の上側金属プレートがILD層の上に配置される。第2の面積に対する第1の面積の比は、約5よりも大きく、約10よりも小さい。
【0006】
別の態様において、マルチチップモジュールの実装が説明される。マルチチップモジュールは、第1の電圧レベルで動作するように構成される第1の集積回路を有する第1のダイと、第2の電圧レベルで動作するように構成される第2の集積回路を有する第2のダイとを含み、第1の電圧レベルと第2の電圧レベルとの差は約500Vよりも大きい。マルチチップモジュールはさらに、底部金属プレートを介して第2のコンデンサと直列に結合される第1のコンデンサを含む第3のダイを含む。第1のコンデンサは、第1の面積を有し、第1の集積回路に結合される第1の上側金属プレートを含む。第2のコンデンサは、第2の面積を有し、第2の集積回路に結合される第2の上側金属プレートを含む。第2の面積に対する第1の面積の比は、5.0又はそれより大きい。
【0007】
さらに別の態様において、集積回路を形成するプロセスの実装が説明される。このプロセスは、半導体基板の上に第1の厚みを有するPMD層を形成することと、PMD層の上に下側金属プレートを形成することとを含む。下側金属プレートの上に第2の厚みを有するILD層が形成される。第2の厚みに対する第1の厚みの比は、約1.0~約1.55の間である。ILD層の上に、第1の面積を有する第1の上側金属プレート及び第2の面積を有する第2の上側金属プレートが形成され、第2の面積に対する第1の面積の比は、5.0よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本説明の実装は、同様の参照符号が同様の要素を示す添付図面の図において例として図示されるが、これに限定されるものではない。この説明における「或る」又は「一つの」実装に対する異なる参照は、必ずしも同じ実装に対する参照ではなく、そのような参照は少なくとも一つを意味し得る。また、特定の特徴、構造、又は特性が或る実装に関連して記載される場合、明示的に記載されるかどうかに関わらず、他の実装に関連してこのような特徴、構造、又は特性を達成することは当業者の知識の範囲内である。本明細書で用いられるように、「結合する」という用語は、無線接続を含み得る「通信可能に結合する」の場合のように限定されない限り、間接的又は直接的な電気接続を意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は直接電気接続によるもの、又は、他のデバイス及び接続を介する間接電気接続によるものとし得る。添付の図面は、図面の部分間の関係が明示的に述べられている場合を除き、一定の縮尺で描かれているとは限らず、寸法の比較は図面から推測されるべきではない。
【0009】
本説明の一つ又は複数の例示の実装を図示するために、添付の図面が本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。様々な利点及び特徴を、下記の詳細な説明を添付の特許請求の範囲と併せ読み、添付の図面を参照して説明する。
【0010】
【
図1】或る例示の実装に係る独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスを用い得るマルチチップモジュールを示す。
【0011】
【
図1A】異なるコンデンサ面積比及びPMD/ILD比を有する独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスのRTB(ramp-to-breakdown)試験の結果を示すグラフを提供する。
【0012】
【
図2A】或る実装に従った独立型の直列結合高電圧ガルバニック絶縁コンデンサを含むチップの或る要素の上面図を示す。
【0013】
【
図2B】或る実装に従った、
図2Aの第2のコンデンサの断面を示す。
【0014】
【
図2C】或る実装に従った二セットのガルバニック絶縁コンデンサを含むチップを示す。
【0015】
【
図3A】或る実装に従った独立型の高電圧ガルバニック絶縁コンデンサを含むICチップの或る要素の上面図を示す。
【0016】
【
図3B】或る実装に従った、
図3Aの第2のコンデンサの有効コンデンサ寸法に対する改変を示す。
【0017】
【
図4A】或る実装に従った、
図3AのICチップを形成するプロセスの或る段階におけるICチップの断面を示す。
【
図4B】或る実装に従った、
図3AのICチップを形成するプロセスの或る段階におけるICチップの断面を示す。
【
図4C】或る実装に従った、
図3AのICチップを形成するプロセスの或る段階におけるICチップの断面を示す。
【
図4D】或る実装に従った、
図3AのICチップを形成するプロセスの或る段階におけるICチップの断面を示す。
【
図4E】或る実装に従った、
図3AのICチップを形成するプロセスの或る段階におけるICチップの断面を示す。
【0018】
【
図4A1】或る実装に従った、ICチップを形成するプロセスのそれぞれの段階に対応するICチップの上面図を示す。
【
図4B1】或る実装に従った、ICチップを形成するプロセスのそれぞれの段階に対応するICチップの上面図を示す。
【
図4C1】或る実装に従った、ICチップを形成するプロセスのそれぞれの段階に対応するICチップの上面図を示す。
【
図4D1】或る実装に従った、ICチップを形成するプロセスのそれぞれの段階に対応するICチップの上面図を示す。
【
図4E1】或る実装に従った、ICチップを形成するプロセスのそれぞれの段階に対応するICチップの上面図を示す。
【0019】
【
図5】或る実装に従った、集積回路を形成するプロセスのフローチャートを示す。
【0020】
【
図5A】
図5のプロセスの一部とし得る付加的な要素を提供する。
【
図5B】
図5のプロセスの一部とし得る付加的な要素を提供する。
【
図5C】
図5のプロセスの一部とし得る付加的な要素を提供する。
【
図5D】
図5のプロセスの一部とし得る付加的な要素を提供する。
【
図5E】
図5のプロセスの一部とし得る付加的な要素を提供する。
【
図5F】
図5のプロセスの一部とし得る付加的な要素を提供する。
【
図5G】
図5のプロセスの一部とし得る付加的な要素を提供する。
【
図5H】
図5のプロセスの一部とし得る付加的な要素を提供する。
【
図5I】
図5のプロセスの一部とし得る付加的な要素を提供する。
【0021】
【
図6A】ベースライン絶縁コンデンサの断面を示す。
【0022】
【
図6B】マルチチップモジュールにおいて用いられる
図6Aのベースライン絶縁コンデンサ600を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、本発明の具体的な実装を添付の図を参照して詳細に説明する。本発明の実装の下記の詳細な説明において、本発明をより完全に理解するために、多くの具体的な細部が記載されている。しかし、本発明は、これらの具体的な細部なしに実施され得る。他の例において、説明が不必要に煩雑になることを避けるために、周知の特徴は詳細に説明してない。
【0024】
図6Aは、(具体的に示さない)付加的な回路要素を含むICチップに組み込み得るベースライン絶縁コンデンサ600Aの断面を示す。付加的な回路要素は、例えば、トランジスタ(例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、高電圧トランジスタ、高周波トランジスタ、pチャネル及び/又はnチャネル電界効果トランジスタ(PFET/NFET)など)、抵抗器、ダイオード、コンデンサ、インダクタ、並びに他の適切な要素を含み得る。付加的な回路要素が形成されると、一例において酸化シリコンを含み得る(具体的に示さない)PMDが、ICチップ上に形成され、PMD上に(やはり具体的に示さない)第1の金属化層が形成される。第1のILD層602は、一例において酸化シリコンであり、第1の金属化層上に形成され、第2の金属化層が、第1のILD層602上に形成される。ベースライン絶縁コンデンサ600Aにおいて、第2の金属化層は下側金属プレート604を含む。
【0025】
第2のILD層606、第3のILD層608、及び第4のILD層609が各々、順次形成される。一実装において、第2のILD層606、第3のILD層608、及び第4のILD層609の各々は、二酸化シリコンを含む。図に示す実装において、第4のILD層609は、二酸化シリコン層610、酸窒化シリコン層612、及びの窒化シリコン層614を含む複数の層を有する。上側金属プレート616を含む第5の金属層が、第4のILD層609上に形成される。図に示す実装において、下側金属プレート604と上側金属プレート616との間に配置されるコンデンサILD611は、約9.7μmである。
【0026】
絶縁トレンチ618が、窒化シリコン層614及び酸窒化シリコン層612を介して形成されている。絶縁トレンチ618は、上側金属プレート616を囲み、酸窒化シリコン層612及び窒化シリコン層614の界面を通る漏れ電流から保護する。ベースライン絶縁コンデンサ600の最大動作電圧は、この横方向絶縁破壊故障モードを低減又は除去することによって改善される。保護オーバーコート619が、二酸化シリコン層620及び酸窒化シリコン層622を含み、保護オーバーコート619の上にポリイミド層624が形成される。
【0027】
一例において、保護オーバーコート619は、上側金属プレート616を含む第5の金属化層上に形成され、それに続いて、保護オーバーコート619がパターン化及びエッチングされて、コンタクト開口623が形成される。次いで、ポリイミド層624が、保護オーバーコート619の上に形成され、露光、現像、及び硬化によってコンタクト開口623の上に開口626がつくられて、上側金属プレート616の少なくとも幾つかの部分が露出される。
【0028】
図6Bは、ベースライン絶縁コンデンサ600を用い得るマルチチップモジュール(MCM)600Bを示す。MCM600Bにおいて、第1のダイ630が第1の高電圧コンデンサ632を含み、第2のダイ634は、第2の高電圧コンデンサ636を含む。第1のダイ630は、第1のダイ取り付けパッド(DAP)638上に取り付けられ、第1の電圧で動作する。第2のダイ634は、第2のDAP640上に取り付けられ、第2の電圧で動作する。第1の電圧と第2の電圧の電位差は、500ボルトよりも大きくし得、例えば、1000~1500Vとし得る。一実装において、第1の高電圧コンデンサ632は、1000Vの動作電圧で動作する(具体的に示さない)回路に結合される下側金属プレートを有し、第2の高電圧コンデンサ636は、約5Vの動作電圧で動作する(具体的に示さない)回路に結合される下側金属プレートを有する。第1の高電圧コンデンサ632及び第2の高電圧コンデンサ636は、ダイ間接続642を介して直列に接続され、ダイ間接続642は、第1の高電圧コンデンサ632の上側金属プレートを、第2の高電圧コンデンサ636の上側金属プレートに接合して、二つのダイ間で行われる通信を可能にする。
【0029】
図1は、第1のダイ102、第2のダイ104、及び第3のダイ106を含むマルチチップモジュール(MCM)100を示す。第1のダイ102は、MCM100において送信機によって表される第1の集積回路108を含む。第1の集積回路108は、例えば500Vよりも高い高電圧である第1の電圧レベルで動作する。第2のダイ104は、MCM100において受信機によって表される第2の集積回路110を含む。第2の集積回路110は、例えば、約5Vまたはそれより低い低電圧である第2の電圧レベルで動作する。第3のダイ106は、独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスであり、下側金属プレート112を共有する第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2を含む。第1のコンデンサC1は、第1の上側金属プレート114を有し、第2のコンデンサC2は、第2の上側金属プレート116を有する。第1のダイ102は、第1のダイ間コネクタ118を介して第1の上側金属プレート114に結合され、第2のダイ104は、第2のダイ間コネクタ120を介して第2の上側金属プレート116に結合される。MCM100において、第1のダイ102及び第3のダイ106は、第1のダイ取り付けパッド(DAP)122に取り付けられ、第2のダイ104は、第2のDAP124に取り付けられる。
【0030】
2020年5月28日に公開された米国特許出願公開番号2020/0168534-A1(以下、‘534出願)は、本願と同じ出願人による出願であり、参照により本明細書に組み込まれており、MCMにおいて用いられ得る独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスを開示する。‘534出願は、MCM100において示される実装において、高電圧の第1のDAP122との容量性結合により、下側金属プレート112が、第1のDAP122と第2のDAP124の間の中間点電圧に対して浮遊しないことを開示している。また、第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2が対称的な領域を有して構築される場合、容量性結合により、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2との間に非対称の電界が生じる。この場合、最も高い電界を担う第1のコンデンサC1は、早期絶縁破壊故障のリスクが高くなる。したがって、幾つかの例において、第1のコンデンサC1及び第2のンデンサC2などの独立型のガルバニック絶縁コンデンサは、対称的な静電容量を実現するために非対称な面積を有する必要がある。非対称な面積が必要になり得るので、最適な領域比の更なる検討を行った。
【0031】
図1Aは、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2との間の幾つかの異なるコンデンサ面積比、例えば、1、3.6、6.5、及び9.3などの比を有する独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスの異なる実装のRTB(ramp-to-breakdown:絶縁破壊まで電圧を上昇)試験の結果を示すグラフを提供する。また、コンデンサの下側金属プレート112が第3のダイ106において電気的に浮遊しているので、下側金属プレート112と(具体的に示さない)基板との間の絶縁破壊が、高電圧性能を制限し得る。したがって、プレメタル誘電体の3つの異なる厚みが、0.91、1.45、及び1.55のPMD/ILD比で試験を行い、コンデンサ比とPMD/ILD厚み比の最適な組み合わせが決定された。実験データは、PMD/ILD厚み比及びコンデンサ面積比を共に最適化することによって、絶縁破壊強度の増大が実現され得ることを示している。ILD厚みがPMD厚みより大きい場合、底部プレートと基板との間の早期絶縁破壊故障モードが支配的になるので、強力な絶縁能力が得られない。非対称コンデンサ面積比を調整することに加え、デバイスの絶縁能力を高めるためにPMDの厚みをILDの厚みよりも大きくすることが有利となり得る。これらの結果に基づいて、PMD/ILD比が1よりも大きく、コンデンサ面積比が5よりも大きいと、最大絶縁能力が得られる。一実施例において、最適な組み合わせは、コンデンサ面積比6.5及びPMD/ILD比1.55からなるものであった。PMD及びILDの総厚みは、製造上の問題によって制限される。誘電体の厚い層は、典型的な製造環境においてデバイスを容易に処理し得ない程度まで、基板にかかる応力を増大させる。また、誘電体の厚みが増加するにつれて、誘電体はますますひび割れを起こしやすくなる。したがって、過剰なウェハの反り及び誘電体のひび割れが生じると、誘電体の総厚みが制限され、そのため、典型的な製造環境において実現され得るPMD/ILD比が制限される。
【0032】
対称コンデンサを用いて形成される第1の独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスと、非対称コンデンサを用いて形成される第2の独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスとを対比した、電界モデル化の一例を下記の表1に示す。表1は、非対称コンデンサ面積が補正する電界不均衡を示す。
【0033】
対称コンデンサを用いる第1の独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスにおいて、下側金属プレートの下のPMD厚みは10μmであり、上側金属プレートと下側金属プレートとの間のILD厚みは10.9μmである。第2のコンデンサC2の平均電界は、5kVrms、93.7Vrms/μmでモデル化され、一方、第1のコンデンサC1の平均電界は、5kVrms、372Vrms/μmでモデル化されたものである。この大きな電界差により、C1の平均電界とC2の平均電界との比は3.81になり、これは許容できないほど高い。これは、それにより独立型のガルバニック絶縁体の高電圧能力が制限されるからである。
【0034】
対照的に、非対称コンデンサを用いる第2の独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスにおいて、第2のコンデンサC2に対する第1のコンデンサC1の面積比は9.1であり、下側金属プレートの下のPMD厚みが15μmである一方、上側金属プレートと下側金属プレートとの間のILD厚みは10.9pmのままであった。この実装において、第2のコンデンサC2の平均電界は、5kVrms、226Vrms/μmにおけるものであり、第1のコンデンサC1の平均電界は、5kVrms、244Vrms/μmにおけるものであった。この非対称実装に対するC1平均電界とC2平均電界との間の比は、はるかに一層バランスが取れた状態である1.08であった。
【0035】
図2Aは、独立型のガルバニック絶縁デバイス200Aの或る実装におけるコンデンサを形成する金属プレートを図示する上面図を示し、
図2Bは、
図2Aにおいて示した独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスの一部を介する断面200Bを示す。
図2Aと
図2Bとの間で同様の番号付けが維持され、
図2A及び
図2Bは一緒に説明される。独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイス200は、厚いPMD層208(その一部のみが
図2Bに示される)と接して形成される下側金属プレート202を含む。下側金属プレート202は、第1の上側金属プレート204Aと下側金属プレート202との間に形成される第1のコンデンサと、第2の上側金属プレート204Bと下側金属プレート202の間に形成される第2のコンデンサとの双方に共有される。一実装において、第1の上側金属プレート204A、第2の上側金属プレート204B、及び下側金属プレート202は、アルミニウムから形成されており、第1のコンデンサと第2のコンデンサの面積比は、5.0またはそれより大きく、例えば6.5である。
【0036】
下側金属プレート202上に厚いILD層210が形成され、第1の上側金属プレート204A及び第2の上側金属プレート204Bは、ILD層210に接して形成される。PMD層208及びILD層210はいずれも多層誘電体から形成され得、その正確な組成は、この説明には関係しない。一実装において、PMD層208及びILD層210はいずれも、誘電体材料の複数の層から形成され、誘電体材料の複数の層は、二酸化シリコン、酸窒化シリコン、及び/又は窒化シリコンを含み得る。断面200Bで示される実装において、ILD層210は、二酸化シリコンの一つ又は複数の厚い層211を含み、その上に酸窒化シリコン層212(例えば、100nm~700nm)及び窒化シリコン層214(例えば、300nm~1000nm)が、第1の上側金属プレート204A及び第2の上側金属プレート204Bの形成前に形成されている。第1の金属プレート204A及び第2の金属プレート204Bの形成後、絶縁トレンチ216が、第1の上側金属プレート204A及び第2の上側金属プレート204Bの周りに形成される。絶縁トレンチ216は、窒化シリコン層214及び酸窒化シリコン層212を介して延在するが、任意選択として、窒化シリコン層214を介し、酸窒化シリコン層212を部分的にのみ介して延在し得る。
【0037】
第1の保護オーバーコート層218が、第1の上側金属プレート204Aと、第2の上側金属プレート204Bと、ILD層210の露出部分との上に形成される。第1の保護オーバーコート層218上に第2の保護オーバーコート層220が形成される。一実装において、第1の保護オーバーコート層218は、二酸化シリコンであり、第2の保護オーバーコート層220は、酸窒化シリコンである。、第1の金属プレート204A及び第2の金属プレート204Bの一部を露出するように第1のコンタクト開口206A及び第2のコンタクト開口206Bが同時に形成されて、コンタクトを提供する。
図2Aに、第1のコンタクト開口206A及び第2のコンタクト開口206Bを示す。コンタクト開口の最小寸法が、より小さな第2の上側金属プレート204Bの寸法の下限になる。最終的に、ポリイミド層222が、第2の保護オーバーコート層220上に形成される。(具体的に示さない)第1のアクセス開口及び第2のアクセス開口207Bが、第1のコンタクト開口206A及び第2のコンタクト開口206Bを露出するようにポリイミド層222に形成される。
【0038】
図2Cは、第1のガルバニック絶縁デバイス201A及び第2のガルバニック絶縁デバイス201Bを含む単一のダイ200Cを示し、ダイ上の窒化シリコン/酸窒化シリコン層を介する、例えば絶縁トレンチ216などの、絶縁トレンチの配置を主に示す。第1のガルバニック絶縁デバイス201Aは下側金属プレート202Aを含み、下側金属プレート202Aは、(具体的に示さない)ILD層によって第1の上側金属プレート204A1及び第2の上側金属プレート204A2から離される。第1のコンタクト開口206A1が、第1の上側金属プレート204A1の一部を露出させ、第2のコンタクト開口206A2が、第2の上側金属プレート204A2の一部を露出させる。同様に、第2のガルバニック絶縁デバイス201Bは、下側金属プレート202Bを含み、下側金属プレート202Bは、(具体的に示さない)ILD層によって第1の上側金属プレート204B1及び第2の上側金属プレート204B2から離される。第1のコンタクト開口206B1が、第1の上側金属プレート204B1の一部を露出させ、第2のコンタクト開口206B2が、第2の上側金属プレート204B2の一部を露出させる。ダイ上の(具体的に示さない)窒化シリコン/酸窒化シリコン層を介して形成される絶縁トレンチ216は、第1のガルバニック絶縁デバイス201A及び第2のガルバニック絶縁デバイス201Bの各々の周り、並びに、第1の上側金属プレート204A1と第2の上側金属プレート204A2との間、及び第1の上側金属プレート204B1と第2の上側金属プレート204B2との間を延在する。一実施例において、(具体的に示さない)付加的な独立型のガルバニック絶縁デバイスがダイ200C上に形成される。
【0039】
図3Aはガルバニック絶縁デバイス300を示し、ガルバニック絶縁デバイス300は、ガルバニック絶縁デバイス200Aよりも占有する面積が小さいが、同じ面積比を提供する。ガルバニック絶縁デバイス300は、下側金属プレート302と、第1の上側金属プレート304Aと、第2の上側金属プレート304Bと、第1のコンタクト開口306Aと、第2のコンタクト開口306Bとを含む。前述したように、コンタクト開口の寸法は、ガルバニック絶縁デバイスの寸法を制限する一つの要因である。この実装において、コンタクト開口306Bの寸法、したがって第2の上側金属プレート304Bの寸法をさらに小さくすることはできなかった。したがって、出願人は、第2のコンデンサの有効寸法を縮小するために、下側金属プレート302における静電容量低減開口を用いることに頼った。
【0040】
幾つかの実施例において、デバイスの総ダイ面積と、直列コンデンサの総静電容量とを共に低減することが必要である。そのため、コンデンサ間の必要な面積比(>5)も維持しながら、上側及び下側金属プレートの面積が低減され得る。
図3Bにおいて、第2の上側金属プレート304Bによって表される第2のコンデンサの面積が、上側金属プレート307及び下側金属プレート309の2つの可能な実装として示されている。上側金属プレート307の最小面積は、コンタクト開口306Bの寸法によって制限され、コンタクト開口306Bの寸法は、ワイヤボンド製造要件によって決定される。左側に示す下側金属プレート309の第1の実装において、静電容量低減開口は、領域309Bを下側金属プレート302の残りの部分から絶縁するように下側金属プレートを介してエッチングされたトレンチ309Aである。領域309Bはもはや下側プレート302に接続されておらず、下側金属プレート309及び上側金属プレート307によって形成されるコンデンサの総面積が効果的に減少する。上側金属プレート307の部分307Aは、下側プレート309と合致しないので、静電容量を付加しない。そのため、コンデンサの有効寸法は、上側有効領域307B及び下側有効領域309Cによって示される。静電容量低減開口が、下側有効領域309Cのみを残して領域内のすべての金属を除去する下側金属プレート302を介する円形の開口309Dである場合、同様の結果を得ることができる。小さい方のコンデンサの有効面積を低減することによって、所望の面積比を維持しながら、大きい方のコンデンサの面積も低減することができる。
【0041】
図4A~
図4Eは、プロセスの様々な段階におけるガルバニック絶縁コンデンサデバイス400の断面を示し、
図4A1~
図4E1は、ガルバニック絶縁コンデンサデバイス400の対応する上面図を示す。いずれの場合も、XがA、B、C、D、Eのいずれかに等しい
図4X1は、対応する
図4Xの断面を切り取る切断線を示す平面図である。
【0042】
図4Aにおいて、ガルバニック絶縁コンデンサデバイス400Aは、半導体基板402上に形成された、第1の厚みT1を有するPMD層404を含む。一実装において、半導体基板402はシリコンであるが、他の基板も利用し得る。一実装において、PMD層404は、基板402上に形成される第1の酸化物層406と、第1の酸化物層406上に形成される第1の窒素含有誘電体層409とを含む。一実装において、第1の酸化物層406は、厚い二酸化シリコン層であり、第1の窒素含有誘電体層409は、第1の酸化物層406上の第1の酸窒化シリコン層408と、第1の酸窒化シリコン層408上の第1の窒化シリコン層410とを含む。第1の金属層412が、PMD層404と接して形成されており、下側金属プレート412Aを提供する。静電容量低減開口414が、より小さい第2のコンデンサの位置に形成されている。この実装において、静電容量低減開口414は、下側金属プレート412Aから領域412Bを絶縁するトレンチである。
図3Bに示したように、静電容量低減開口414は、領域412Bとして現在示されている領域内のすべての金属が除去された円形又は他の形状を有する開口としてもよい。
図4A1において、静電容量低減開口414は、下側金属プレート412A内の円形のトレンチ414である。
【0043】
ガルバニック絶縁コンデンサデバイス400Bにおいて、下側金属プレート412上にILD層416が形成されており、ILD層416は、第2の厚みT2を有する。一実装において、第2の厚みT2に対する第1の厚みT1の比は、約1~約1.55の間である。一実装において、ILD層416は、下側金属プレート412上に形成される第2の酸化物層418と、第2の酸化物層418上に形成される第2の窒素含有誘電体層421とを含む。一実装において、第2の酸化物層418は、厚い二酸化シリコン層であり、第2の窒素含有誘電体層は、第2の酸化物層418上の第2の酸窒化シリコン層420及び第2の酸窒化シリコン層420上の第2の窒化シリコン層422である。
図4B1において、目に見える唯一の特徴はILD層416の表面であり、静電容量低減開口414は点線で示されている。
図4Bは、静電容量低減開口414の上で平坦化されたILD層416を示すが、幾つかの実施例において、ILD層416は平坦化されず、静電容量低減開口414の上の誘電体スタックに何らかの形状的特徴(topography)が存在し得る。ILD層416の厚みが増加するにつれて、この形状的特徴は減少する。
【0044】
図4Cは、第2の金属層424がパターン化されて、ILD層416と接する第1の上側金属プレート424A及び第2の上側金属プレート424Bを形成した後の、ガルバニック絶縁コンデンサデバイス400Cを示す。図示する実装において、下側金属プレート412Aを形成するために用いられる第1の金属層412と、第1の上側金属プレート424A及び第2の上側金属プレート424Bを形成するために用いられる第2の金属層424とが、サブトラクティブエッチングを用いてアルミニウムから形成される。他の実装において、金属層412、424は、ダマシンプロセスを用いて銅から形成され得る。第1の上側金属プレート424A及び第2の上側金属プレート424Bの形成後、第2の窒素含有誘電体層421を介して絶縁トレンチ425が形成されている。絶縁トレンチ425は、第1の上側金属プレート424A及び第2の上側金属プレート424Bの各々を囲む。
図4C1は、ILD層416と接する第1の上側金属プレート424A及び第2の上側金属プレート424Bを示し、静電容量低減開口414はここでも点線で示す。静電容量低減トレンチ414の上でILD層416が平坦化されない場合、上側金属プレート424Bは何らかの形状的特徴を有し得る。
【0045】
図4Dは、保護オーバーコート層426の形成後のガルバニック絶縁コンデンサデバイス400Dを示し、保護オーバーコート層426は、一実装において、二酸化シリコン層428及び酸窒化シリコン層430を含む。第1のコンタクト開口432A及び第2のコンタクト開口432Bが、第1の上側金属プレート424A及び第2の上側金属プレート424Bに接するように形成されている。
図4D1は、保護オーバーコート層426、並びに第1の上側金属プレート424A及び第2の上側金属プレート424Bをそれぞれ露出させる、第1のコンタクト開口432A及び第2のコンタクト開口432Bを示す。保護オーバーコート層426は、デバイス上の形状的特徴の上で平坦化されているように示すが、幾つかの実施例において、層426は平坦化されない。
【0046】
図4Eは、保護オーバーコート層426上のポリイミド層434の形成後のガルバニック絶縁コンデンサデバイス400Eを示す。コンデンサに接するために用いられるコンタクト開口432を露出させるように、アクセス開口436が形成されている。
図4E1において、第1の上側金属プレート424A及び第2の上側金属プレート424Bは各々、ポリイミド層434を介してコンタクト開口432及びアクセス開口436によって露出される。
【0047】
図5は、本願の一実装に従った集積回路チップを形成するプロセス500、具体的には、ガルバニック絶縁コンデンサデバイスを形成する集積回路チップを形成するプロセス、を示すフローチャートを提供する。プロセス500は、半導体基板上にPMD層を形成すること(505)から開始される。PMD層は第1の厚みを有する。下側金属プレートがPMD層の上に形成される(510)。次いで、ILD層が下側金属プレート上に形成される(515)。ILD層は第2の厚みを有し、第2の厚みに対する第1の厚みの比は約1.0~約1.55の間とする。次いで、第1の上側金属プレート及び第2の上側金属プレートが、ILD層の上に形成される(520)。第1の上側金属プレートは第1の面積を有し、第2の上側金属プレートは第2の面積を有し、第2の面積に対する第1の面積の比は、約5.0よりも大きい。一実装において、第2の面積に対する第1の面積の比は、約10未満である。一実装において、第2の面積に対する第1の面積の比は、約6.5である。
【0048】
図5A~
図5Iは各々、プロセス500の要素の更なる詳細、又はプロセス500のための付加的な要素のいずれかを提供する。
図5Aにおいて、PMD層を形成するプロセスは、第1の酸化物層が半導体基板の上に形成され(525)、第1の窒素含有誘電体層が第1の酸化物層上に形成される(530)一実装のためにさらに定義される。一実装において、第1の窒素含有誘電体層は、第1の酸窒化シリコン層及び第1の窒化シリコン層を含み得る。
図5Bにおいて、ILD層を形成するプロセスは、第2の酸化物層が下側金属プレートの上に形成され(535)、第2の窒素含有誘電体層が第2の酸化物層上に形成される(540)一実装のためにさらに定義される。ここで、第2の窒素含有誘電体層は、第2の酸窒化シリコン層及び第2の窒化シリコン層を含む。
【0049】
プロセス500が行われた後、
図5Cは、第2の窒素含有誘電体層を介して絶縁トレンチを形成する付加的な要素545を提供し、絶縁トレンチは、第1の上側金属プレート及び第2の上側金属プレートを囲む。
図5Dは、第1の上側金属プレートと、第2の上側金属プレートと、ILD層の一部との上に誘電体オーバーコート層を形成し(550)、誘電体オーバーコート層を介して第1のコンタクト開口及び第2のコンタクト開口を形成する(555)、更なる付加的な要素を提供する。第1のコンタクト開口は、第1の上側金属プレートの上にあり、第2のコンタクト開口は、第2の上側金属プレートの上にある。一実装において、保護オーバーコート層は、二酸化シリコン層及び酸窒化シリコン層を含む。誘電体オーバーコート層上にポリイミド層を形成し(560)、ポリイミド層を介して第1のアクセス開口及び第2のアクセス開口を形成する(565)、更なる付加的な要素が
図5Eに示されている。第1のアクセス開口は第1のコンタクト開口の上にあり、第2のアクセス開口は第2のコンタクト開口の上にある。
【0050】
図5Fにおいて、一実装における下側金属プレートを形成すること(510)の一部として、静電容量低減開口が下側金属プレートを介して形成され(570)、静電容量低減開口は第2の上側金属プレートの下に配置される。
図5Gに示す一実装において、静電容量低減開口を形成する要素(570)は、下側金属プレートの一部を下側金属プレートの残りの部分から絶縁する円形のトレンチを形成すること(575)を含む。
図5Hに示す一実装において、静電容量低減開口を形成する要素(570)は、下側金属プレートを介して円形の開口を形成する(580)ことを含む。
【0051】
図4A~
図4Eに関して前に説明し、
図5Iに示す実装において、下側金属プレートを形成する要素(510)は、サブトラクティブエッチングを用いて第1のアルミニウム層をパターン化すること(585)を含み、第1の上側金属プレート及び第2の上側金属プレートを形成する要素(520)は、サブトラクティブエッチングを用いて第2のアルミニウム層をパターン化すること(590)を含む。具体的に示さない他の実装において、下側金属プレートを形成することは、ダマシン処理を用いて第1の銅層を形成することを含み、第1の上側金属プレート及び第2の上側金属プレートを形成することは、ダマシン処理を用いて第2の銅層を形成することを含む。
【0052】
出願人は、独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイス、独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスを含むマルチチップモジュール、及び独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスを含む集積回路を製作するプロセスを説明した。説明した実装において、第1のコンデンサは、第2のコンデンサの面積の約5倍~約10倍の間の面積を有する。独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスのためのPMD層の厚みは、ILD層の厚みの約1倍~約1.55倍の間である。総ダイ面積及び総静電容量の両方を減少させるための幾つかの実施例において、第2の上側金属プレートの下の下側金属プレートを介して静電容量低減開口をエッチングすることによって、第2のコンデンサの実効寸法が削減され得る。
【0053】
説明された独立型のガルバニック絶縁コンデンサデバイスの利点には、次の利点の一つ又は複数が含まれ得る。
・製作プロセスが、低コストで、シンプルであり、パターンレベルが、金属‐1、金属‐2、絶縁トレンチ、保護オーバーコート層を介するコンタクト開口、及びポリイミド層を介するアクセス開口のための五つのみである。
・シンプルなレイアウト変更によるダイ寸法及び総直列容量を調節することが可能である。
・金属‐1の層は、金属‐2の上側プレートに容量性結合するためだけに用いられ、そのため深いビアは不要である。
・多くの異なる機能を有するデバイスに対する絶縁を提供するようにMCM内に集積され得る。
【0054】
様々な実装を示し、詳細に説明してきたが、特許請求の範囲は、いかなる特定の実装又は例にも限定されない。上述の発明を実施するための形態はいずれも、任意の特定の構成要素、要素、工程、動作、又は機能が、特許請求の範囲に含まれなければならないほど必須であることは示唆しない。単数形の要素についての言及は、明示的に記述されていない限り、「一つのみ」を意味せず、「一つ又は複数」を意味する。当業者には既知である、上述の実装の要素に構造的及び機能的に等価なものは全て、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含される。したがって、当業者であれば、本明細書に記載される例示の実装が、以下に添付される特許請求の範囲の趣旨及び範囲内で様々な改変及び変更を伴って実施され得ることが理解されよう。
【国際調査報告】