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特表2023-538971一体化されたCMOS回路を有するMEMSデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】一体化されたCMOS回路を有するMEMSデバイス
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/16 20060101AFI20230905BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20230905BHJP
   H10N 30/20 20230101ALI20230905BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20230905BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20230905BHJP
   H10N 30/076 20230101ALI20230905BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20230905BHJP
   H10N 30/88 20230101ALI20230905BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20230905BHJP
【FI】
B41J2/16 307
B41J2/16 507
B41J2/16 517
B41J2/14 611
B41J2/14 307
H10N30/20
H01L27/092 Z
H01L27/06 102A
H10N30/076
H10N30/853
H10N30/88
H10N30/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513961
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2021074187
(87)【国際公開番号】W WO2022049159
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】2013718.8
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】20205033.2
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520324628
【氏名又は名称】スリーシー プロジェクト マネージメント リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】マカヴォイ,グレゴリー ジョン
【テーマコード(参考)】
2C057
5F048
【Fターム(参考)】
2C057AF93
2C057AK07
2C057AP31
2C057AP53
2C057AP54
2C057AP55
2C057AP61
2C057BA14
5F048AB10
5F048AC03
5F048AC10
5F048BA01
5F048BF02
5F048BF07
5F048BF12
(57)【要約】
MEMSデバイスを製造する方法であって、MEMSデバイスは、可動微小電気機械圧電コンポーネントと、微小電気機械コンポーネントと導通するように構成されたCMOS回路と、を含む、方法。複数のCMOS回路層を基板上に形成して、CMOS回路を形成し、複数のCMOS回路層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む。デバイスのコンポーネント領域において、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分が、除去される。コンポーネント領域中の除去された部分の代わりに、1つ以上のコンポーネント領域層を形成して、可動微小電気機械圧電コンポーネントを形成する。1つ以上のコンポーネント領域層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分とは異なる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法であって、前記MEMSデバイスは、可動微小電気機械圧電コンポーネントと、前記微小電気機械コンポーネントと導通するように構成されたCMOS回路と、を含み、前記方法は、
基板上に複数のCMOS回路層を形成して、前記CMOS回路を形成することであって、前記複数のCMOS回路層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む、形成することと、
前記デバイスのコンポーネント領域において、前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を除去することと、
前記コンポーネント領域中の前記除去された部分の代わりに、1つ以上のコンポーネント領域層を形成して、前記可動微小電気機械圧電コンポーネントを形成することであって、前記1つ以上のコンポーネント領域層は、前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの前記少なくとも1つの前記部分とは異なる、形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの前記少なくとも1つの前記部分を除去することは、前記デバイスの前記コンポーネント領域における前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層の各々の前記部分を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの前記少なくとも1つの前記部分を除去することは、除去されるべき層をエッチングすることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、前記複数のCMOS回路層のうちの隣接する層とは異なる材料から形成され、前記隣接する層は、前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの前記少なくとも1つと同じレベルにある、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のコンポーネント領域層を形成することは、前記除去された部分の代わりにMEMSパッシブ層を堆積させることを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法であって、前記MEMSデバイスは、可動微小電気機械圧電コンポーネントと、前記微小電気機械コンポーネントと導通するように構成されたCMOS回路と、を含み、前記方法は、
基板上に複数のCMOS回路層を形成して、前記CMOS回路を形成することであって、前記1つ以上のCMOS回路層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む、形成することと、
前記デバイスのコンポーネント領域において、前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を除去することと、
前記コンポーネント領域中の前記除去された部分の代わりに、1つ以上のコンポーネント領域層を形成して、前記可動微小電気機械圧電コンポーネントを形成することであって、前記1つ以上のコンポーネント領域層は、前記1つ以上のCMOS回路層のうちの前記少なくとも1つの前記部分とは異なる、形成することと、
を含み、
前記1つ以上のコンポーネント領域層を形成することは、前記除去された部分の代わりにMEMSパッシブ層を堆積させることを含み、
前記MEMSパッシブ層は、前記CMOS回路領域における前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層と重なる、
方法。
【請求項7】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスであって、
一体的に備えられたCMOS回路を有する基板であって、前記CMOS回路は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む複数のCMOS回路層によって形成され、前記MEMSデバイスのCMOS回路領域中に配置されている、基板と、
前記CMOS回路によって制御されるように構成され、かつ前記MEMSデバイスのコンポーネント領域中に配置された、可動微小電気機械圧電コンポーネントであって、前記コンポーネント領域は、前記CMOS回路領域とは異なる、可動微小電気機械圧電コンポーネントと、
を含み、
前記コンポーネント領域は、前記微小電気機械圧電コンポーネントを含む1つ以上のコンポーネント領域層を含み、
前記コンポーネント領域中の前記又は各々の1つ以上のコンポーネント領域層は、前記CMOS回路領域の前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層の各々とは異なる、
MEMSデバイス。
【請求項8】
前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの1つは、MEMSパッシブ層である、請求項7に記載のMEMSデバイス。
【請求項9】
前記MEMSパッシブ層は、前記CMOS回路領域における前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層と重なる、請求項8に記載のMEMSデバイス。
【請求項10】
前記微小電気機械コンポーネントは、複数の微小電気機械コンポーネントであり、各々が前記コンポーネント領域においてそれぞれのノズル開口を画定する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項11】
前記微小電気機械コンポーネントの各々は、前記CMOS回路に電気的に接続され、前記CMOS回路によって制御される、請求項10に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項12】
前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つは、前記基板の第1の表面上に形成され、前記コンポーネント領域において、前記1つ以上のコンポーネント領域層は、前記第1の表面と同一面上となるように延在する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項13】
前記基板は、前記コンポーネント領域中に開口を画定し、前記微小電気機械コンポーネントは、前記開口上に延在する片持ち梁又は隔膜を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項14】
前記微小電気機械コンポーネントは、アクチュエータである、請求項13に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項15】
前記アクチュエータは、圧電アクチュエータである、請求項14に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項16】
前記MEMSデバイスは、プリントヘッドのための液滴吐出器である、請求項14又は請求項15に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項17】
前記1つ以上のコンポーネント領域層は、複数の異なるコンポーネント領域層である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項18】
請求項16に記載の液滴吐出器を含む、プリントヘッド。
【請求項19】
少なくとも1つの液滴吐出器の前記アクチュエータの動作を制御して、前記液滴吐出器からの印刷液の吐出を引き起こすように構成されている、請求項18に記載のプリントヘッドの1つ以上を含むプリンタ。
【請求項20】
印刷液の供給源を更に含む、請求項19に記載のプリンタ。
【請求項21】
前記微小電気機械コンポーネントは、センサコンポーネントである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項22】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスであって、
一体的に備えられたCMOS回路を有する基板であって、前記CMOS回路は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む複数のCMOS回路層によって形成され、前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層は、前記基板を境界付ける前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つと前記基板との間に画定される第1の面と、前記第1の面に平行にかつ前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの最も遠い1つによって画定される第2の面と、の間にともに延在し、前記CMOS回路は、前記MEMSデバイスのCMOS回路領域中に配置されている、基板と、
前記CMOS回路によって制御されるように構成され、前記MEMSデバイスのコンポーネント領域中に配置された、可動微小電気機械圧電コンポーネントであって、前記コンポーネント領域は、前記CMOS回路領域とは異なる、可動微小電気機械圧電コンポーネントと、
を含み、
前記コンポーネント領域は、前記微小電気機械圧電コンポーネントを含む1つ以上のコンポーネント領域層を含み、前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、前記第2の面から前記第1の面への方向において前記第1の面まで延在し、
前記第1の面まで延在する前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの前記少なくとも1つは、前記基板を境界付ける前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの前記1つとは異なる材料から形成されている、
MEMSデバイス。
【請求項23】
印刷する方法であって、前記方法は、
請求項19に記載のプリンタを含む印刷装置を備えることと、
前記アクチュエータが前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つを撓ませるように、前記1つ以上の液滴吐出器のうちの少なくとも1つを制御し、それによって前記液滴吐出器から印刷液を吐出して前記印刷液を使用して印刷することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体化されたCMOS回路を有する微小電気機械システム(MEMS)デバイス及びかかるデバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSデバイスは、様々な用途において使用されている。典型的に、デバイスは、制御回路を使用して制御される、又は感知回路とインタフェース接続する、MEMSコンポーネントを含む。MEMSコンポーネントの1つのとり得るタイプは、圧電アクチュエータのようなアクチュエータである。
【0003】
圧電アクチュエータの1つの用途は、付加製造、テキスタイル、バイオテクノロジー及び製薬用途でも使用される、インクジェットプリンタを含むプリンタのためのものである。インクジェットプリンタは、インクの液滴を(紙のような)印刷媒体上に押し出すことによって、媒体にデジタル画像を再現するために使用される。多くのインクジェットプリンタは、プリントヘッドのインクジェットノズルからの個々のインク液滴の連続的な吐出が制御される、「ドロップオンデマンド」技術を組み込んでいる。インク液滴は、媒体に付着するのに十分な運動量を有して吐出される。各液滴は、印加される駆動信号に従って吐出され、このことは、インク液滴の連続的なストリームが微細なノズルを通してインクをポンピングすることにより発生させられる連続インクジェットデバイスから、ドロップオンデマンドのインクジェットプリンタを差別化している。
【0004】
ドロップオンデマンド技術の1つの成功例は、圧電インクジェットプリンタである。圧電インクジェットプリンタは、流体チャンバの壁に圧電アクチュエータを組み込んでいる。圧電素子の変形が、圧電アクチュエータの偏向を引き起こし、流体チャンバ内に貯蔵された印刷流体の圧力変化を誘発し、それによってノズルを通した液滴の吐出を引き起こす。
【0005】
WO2018/054917A1は、プリントヘッドのための液滴吐出器であって、基板と一体化され、かつ第1及び第2の電極の間に備えられた圧電アクチュエータを有する、第1及び第2の電極に電気的に接続された、電子コンポーネントを含む、液滴吐出器に関するものである。ノズル形成層を形成する材料は、電子コンポーネント上に延在するとともに、流体チャンバの流体チャンバ出口を画定する。圧電アクチュエータは、ノズル形成層と重なっている。
【0006】
US2011/0169892A1は、インクジェットプリンタのためのノズルであって、インクジェットプリンタは、ノズルポートを画定するルーフ層と、ルーフ層を支持するノズルチャンバ壁を画定する基板層と、基板に取り付けられたアクチュエータアセンブリであって、支持体と、支持体から片持ちされてノズルチャンバ壁内のピストンにおいて終端するレバーアームと、を含むアクチュエータアセンブリと、ピストンとは反対側のレバーアームの端部に備えられたソレノイドであって、可動磁極と、可動磁極から離隔された固定磁極と、を含むソレノイドと、を含む、インクジェットプリンタのためのノズルに関するものである。
【0007】
本開示は、この背景において考案されたものである。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様によれば、微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法が提供される。MEMSデバイスは、微小電気機械コンポーネントと、微小電気機械コンポーネントと導電するように構成された集積回路と、を含む。本方法は、基板上に複数の集積回路層を形成して、集積回路を形成することであって、複数の集積回路層は、複数の集積回路パッシベーション及びメタライズ層を含む、形成することと、デバイスのコンポーネント領域において、複数の集積回路パッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を除去することと、コンポーネント領域中の除去された部分の代わりに、1つ以上のコンポーネント領域層を形成して、可動微小電気機械圧電コンポーネントを形成することであって、1つ以上のコンポーネント領域層は、複数の集積回路パッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分とは異なる、形成することと、を含む。
【0009】
かくして、コンポーネントは、典型的にコンポーネントのためにではなく集積回路中のその機能性のために選択される、集積回路層のうちの少なくともいくつかを含む必要がなく、その結果、コンポーネント領域層は、可動微小電気機械コンポーネントの所望の特性を提供するために特に選択されることができる。かかる特性は、ヤング率、厚さ又は密度を含み得る。
【0010】
更に、コンポーネント領域中の機能的に冗長な層を除去して置き換えることによって、コンポーネントが冗長な層のうちの少なくともいくつかを含む必要がないため、MEMSデバイスが特にコンパクトなものとなり得る。
【0011】
本方法は、典型的には、複数の集積回路パッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を正確に除去することを含むことが、理解されるであろう。換言すれば、少なくとも1つの層の全てが除去されるわけではない。
【0012】
集積回路層は、MEMSデバイスのための集積回路を提供する層であることが、更に理解されるであろう。同様に、コンポーネント領域層は、可動MEMSコンポーネントの一部を形成する任意の層であり、それゆえMEMSデバイスの集積回路の一部を形成しないことが、更に理解されるであろう。
【0013】
複数の集積回路層は、複数のCMOS回路層であっても良い。
【0014】
かくして、本開示の更なる態様によれば、微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法が提供される。MEMSデバイスは、典型的には、可動微小電気機械コンポーネントと、微小電気機械コンポーネントと導電するように構成されたCMOS回路と、を含む。本方法は、基板上に複数のCMOS回路層を形成して、CMOS回路を形成ことであって、複数のCMOS回路層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む、形成することと、デバイスのコンポーネント領域において、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を除去することと、コンポーネント領域中の除去された部分の代わりに、1つ以上のコンポーネント領域層を形成して、可動微小電気機械圧電コンポーネントを形成することであって、1つ以上のコンポーネント層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分とは異なる、形成することと、を含む。
【0015】
かくして、コンポーネント領域は、典型的にコンポーネントのためにではなくCMOS回路中のその機能性のために選択される、CMOS回路層のうちの少なくともいくつかを含む必要がなく、その結果、1つ以上のコンポーネント領域層は、可動微小電気機械コンポーネントの所望の特性を提供するために特に選択されることができる。かかる特性は、ヤング率、厚さ、又は密度を含み得る。
【0016】
1つ以上のコンポーネント領域層は、各々が10ギガパスカルより大きいヤング率を有しても良い。1つ以上のコンポーネント領域層は、各々が1,200ギガパスカル未満、例えば700ギガパスカル未満の、ヤング率を有しても良い。
【0017】
いくつかの例においては、1つ以上のコンポーネント領域層の剛性は、除去された部分の剛性よりも小さい(例えば、半分よりも小さい)。換言すれば、1つ以上のコンポーネント領域層は、それらが置き換えた部分よりも可撓性がある。かくして、可撓性が増大させられる。
【0018】
他の例においては、1つ以上のコンポーネント領域層の剛性は、除去された部分の剛性よりも大きくても良い(例えば、2倍よりも大きい)。かくして、作動力が増大させられ得る。
【0019】
更に、コンポーネントが冗長な層の少なくともいくつかを含む必要がないため、コンポーネント領域中の冗長な層を除去して置き換えることにより、MEMSデバイスが特にコンパクトにされ得る。
【0020】
更に、このアプローチは、特に良好な材料特性及び厚さの公差制御を有するプロセスを使用して、コンポーネント領域層の1つとして、MEMSパッシベーション特徴の堆積を可能とする。CMOS回路は、電気的性能を最適化するために、形成中に複数の加工ステップを受けることが、理解されるであろう。かかる加工ステップは、MEMS機能について重要な機械的及び構造的な側面の損失となり得る。それゆえ、MEMSコンポーネントが形成されるコンポーネント領域中で、CMOSパッシベーション及びメタライズ層の少なくとも一部が除去され置き換えられ得ることが有益である。このことは、複数のMEMSコンポーネントデバイスのアレイについて、特に重要である。したがって、このアプローチは、加工のばらつきを低減し、ウェハの収率を向上させる。
【0021】
複数の集積回路パッシベーション及びメタライズ層は合わせて、集積回路パッシベーション領域によって囲まれた複数の集積回路層内に1つ以上の集積回路メタライズ特徴を形成し得ることが、理解されるであろう。同様に、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層は合わせて、CMOSパッシベーション領域によって囲まれた複数のCMOS回路層内に1つ以上のCMOSメタライズ特徴を形成し得ることが、理解されるであろう。
【0022】
複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層は、複数のCMOSパッシベーション層及び複数のCMOSメタライズ層を含んでも良い。
【0023】
1つ以上のコンポーネント領域層は、1つ以上のCMOS回路層のうちの少なくとも1つの部分とは、少なくとも部分的に異なるものである。
【0024】
1つ以上のコンポーネント領域層は、複数の少なくとも2つの異なるコンポーネント領域層であっても良い。
【0025】
CMOSパッシベーション及びメタライズ層の文脈におけるメタライズは、集積回路のコンポーネント間の、又は集積回路と集積回路に対する外部コネクタとの間の相互接続部を提供する、CMOS回路のような集積回路の実質的に任意の領域であると、理解されるであろう。メタライズ領域は、アルミニウム、銅、アルミニウム銅合金、又はその他の任意の好適な合金のような金属から形成されても良い。
【0026】
CMOSパッシベーション及びメタライズ層の文脈におけるパッシベーションは、集積回路のトランジスタ表面のような1つ以上のコンポーネントを、環境中の電気的及び/又は化学的条件から隔離することによって、CMOS回路のような集積回路に電気的安定性を提供する、集積回路の実質的に任意の領域であると、理解されるであろう。パッシベーション領域は、酸化物、窒化物、炭化物、これらの積層体のようなこれらの組み合わせのような、絶縁材料から形成されても良い。
【0027】
基板は、典型的には、シリコンから形成される。基板は、シリコンウェハから形成されても良い。
【0028】
「メタライズ領域」及び「パッシベーション領域」という用語は、当業者には良く理解されていることが、理解されるであろう。
【0029】
CMOS回路は、典型的には、CMOS回路が制御回路(すなわちコントローラ)として機能するよう合わせて動作可能な複数のトランジスタを形成する、複数の回路層を更に含む。理解されるように、CMOSメタライズ層又はCMOSパッシベーション層のための典型的な製造プロセスは、その上への更なる層の装着のために層を調製する研磨ステップを含む。研磨(時々、化学機械研磨(CMP)ステップと呼ばれる)は、典型的には、明確に画定された境界を有する、層の局所的なサブ領域のみにおいて行うことは不可能である。それゆえ、典型的には、層全体が研磨される。この理由のため、CMOSパッシベーション及びメタライズ層は、基板全体にわたって装着され、それらが望ましくない基板の任意の領域において、後に除去される必要があることが、理解されるであろう。
【0030】
複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を除去することは、デバイスのコンポーネント領域中の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つよりも多くの部分を除去することを含んでも良い。複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を除去することは、デバイスのコンポーネント領域中の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層の各々の部分を除去することを含んでも良い。
【0031】
かくして、CMOSパッシベーション及びメタライズ層のいずれもコンポーネント領域中には残らず、したがって、デバイスのコンポーネント領域は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層とは異なる層から完全に形成され得る。
【0032】
複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を除去することは、除去されるべき層をエッチングすることを含んでも良い。かくして、集積回路の製造において一般的に使用される簡単なプロセスを使用して、層が除去され得る。
【0033】
エッチングは、深部反応性イオンエッチング(DRIE)であっても良い。代替的に、エッチングは、CMOSパッシベーション及びメタライズ層における1つ以上のパッシベーション領域の除去のための標準的なパッシベーションエッチングであっても良い。
【0034】
エッチングは、基板と複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層とのアセンブリの途中の位置までのみであっても良い。
【0035】
エッチングは、基板と反対側の、コンポーネント領域の側から実行されても良い。かくして、エッチングは、基板までのコンポーネント領域中の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を除去することができる。
【0036】
1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、複数のCMOS回路層のうちの隣接する層とは異なる材料から形成されても良い。隣接する層は、1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つと同じレベルにあっても良い。かくして、1つ以上のコンポーネント領域層の、それらが備えられるときに置き換える複数のCMOS回路層と比較して異なる機能特性は、異なる材料構成を使用して実現されても良い。この材料は、複数のCMOS回路層のうちのいずれの層に使用されるいずれの材料とも異なっていても良い。
【0037】
他の例においては、1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、複数のCMOS回路層のうちの隣接する層とは異なる厚さを有するように形成されても良い。この場合には、1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、隣接する層と同じ材料から形成されても良い。1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、単層として形成されても良いし、又は異なる材料の積層体として形成されても良い。
【0038】
1つ以上のコンポーネント領域層を形成することは、除去された部分の代わりにMEMSパッシブ(例えば、パッシベーション)層を堆積させることを含んでも良い。MEMSパッシブ層は、コンポーネント領域の外の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層の上に延在していても良い。MEMSパッシブ層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層におけるCMOSパッシベーション領域とは異なる材料から形成されても良い。他の例においては、MEMSパッシブ層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層におけるCMOSパッシベーション領域と同じ材料ではあるが、異なる厚さで形成されても良いし、単層でも良いし、又は異なる材料の積層でも良い。かくして、MEMSパッシブ層は、コンポーネント領域における微小電気機械コンポーネントの構造における使用に特に好適であるよう構成される。
【0039】
MEMSパッシブ層は、MEMSコンポーネントの動作中に機能的に関与する任意の更なるコンポーネント領域層とは異なる層であっても良い。
【0040】
いくつかの例においては、MEMSパッシブ層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層から形成されるCMOSパッシベーション領域としての使用に好適でない材料から形成されても良い。
【0041】
更なる側面から見ると、本開示は、一体的に備えられたCMOS回路を有する基板を含む、微小電気機械システム(MEMS)デバイスを提供する。CMOS回路は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む複数のCMOS回路層によって形成される。CMOS回路は、MEMSデバイスのCMOS回路領域内に配置される。MEMSデバイスは、集積回路によって制御されるように構成され、MEMSデバイスのコンポーネント領域中に配置された、可動微小電気機械コンポーネントを更に含む。コンポーネント領域は、CMOS回路領域とは異なる。コンポーネント領域は、微小電気機械コンポーネントを含む1つ以上のコンポーネント領域層を含む。コンポーネント領域中のこの又は各々の1つ以上のコンポーネント領域層は、集積回路領域の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層の各々とは異なる。
【0042】
かくして、コンポーネントは、CMOS回路のCMOSパッシベーション又はCMOSメタライズ層としての機能性のために選択されない層から形成される。
【0043】
CMOS回路領域は、基板の平面と平行な方向において、コンポーネント領域に隣接していても良い。
【0044】
基板は、その上に複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つが形成された、第1の表面を含んでいても良い。コンポーネント領域において、コンポーネント領域層は、第1の表面と同一面上となるように延在しても良い。
【0045】
1つ以上のコンポーネント領域層のうちの1つは、MEMSパッシブ層であっても良い。かくして、更なるコンポーネント領域層は、集積回路領域中の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層に対して電気的安定性及び化学的隔離を提供され得る。
【0046】
1つ以上のコンポーネント領域層は時々、置換層と呼ばれ得る。
【0047】
MEMSパッシブ層は、集積回路領域中の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層と重なっても良い。かくして、MEMSパッシブ層は、CMOS回路コンポーネントに対して、環境からの更なる電気的及び化学的な隔離を提供しても良い。
【0048】
MEMSパッシブ層は、CMOS回路の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のCMOSメタライズ領域への電気的接続を提供するための開口を、その中に画定しても良い。電気的接続は、MEMSメタライズコンポーネントを介して提供されても良く、CMOSメタライズ領域を、微小電気機械コンポーネントの第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも一方に接続する。
【0049】
本方法は、MEMSパッシブ層に開口を形成することを含んでも良い。開口は、エッチングによって形成されても良い。エッチングは、深部反応性イオンエッチング、DRIE又は標準的なCMOSパッシベーションエッチング方法であっても良い。
【0050】
MEMSデバイスは、微小電気機械コンポーネント、MEMSパッシブ層、及びMEMSメタライズ層を重ねた、カプセル化層を含んでも良い。本方法は、例えば堆積によってカプセル化層を形成することを含んでも良い。
【0051】
基板は、そのコンポーネント領域中に開口を画定しても良い。微小電気機械コンポーネントは、開口上に延在する片持ち梁を含んでも良い。微小電気機械コンポーネントは、開口上に延在する隔膜を含んでも良い。
【0052】
以上に説明された開口のうちの1つ以上は、エッチングされた側面を有していても良い。
【0053】
本方法は、そのコンポーネント領域において、基板に開口を形成することを含んでも良い。かくして、基板における開口がコンポーネント領域中に形成されると、1つ以上のコンポーネント領域層は、コンポーネント領域において基板から解放され、それによって、コンポーネント領域の外のデバイスの部分に対して、より容易に撓む(すなわち動かされる)ようになる。
【0054】
基板における開口は、エッチングによって形成されても良い。エッチングは、深部反応性イオンエッチング、DRIE、又は異方性ウェットエッチングのような他の方法であっても良い。
【0055】
基板における開口は、微小電気機械コンポーネントとは反対側の基板の側面から形成されても良い。基板における開口は、1つ以上のコンポーネント領域層まで延在しても良い。基板における開口は、MEMSパッシブ層まで延在しても良い。このようにして、基板における開口がエッチングによって形成される場合、1つ以上のコンポーネント領域層は、エッチングストップとして機能するように構成されても良い。換言すれば、エッチングは、典型的には、エッチングストップよりも先には進行しない。
【0056】
MEMSデバイスは、MEMSパッシブ層及びカプセル化層の開口を通して、基板によって少なくとも部分的に画定された流体チャンバとMEMSデバイスの外部環境との間で流体を通過させるための、MEMSパッシブ層及びカプセル化層を通るノズル開口を更に含んでも良い。
【0057】
微小電気機械コンポーネントは、複数の微小電気機械コンポーネントであっても良い。複数の微小電気機械コンポーネントの各々は、コンポーネント領域においてそれぞれのノズル開口を画定しても良い。かくして、MEMSデバイスは、複数のノズル開口を含んでも良い。微小電気機械コンポーネントの各々は、CMOS回路に電気的に接続されても良い。微小電気機械コンポーネントの各々は、CMOS回路によって制御されるように構成されても良い。かくして、CMOS回路によって、複数の微小電気機械コンポーネントに制御が提供され得る。
【0058】
方法は、ノズル開口を形成することを更に含んでも良い。ノズル開口は、エッチングによって形成されても良い。エッチングは、深部反応性イオンエッチング、DRIE又はその他の従来のCMOSパッシベーションエッチングであっても良い。ノズル開口は、基板とは反対側のMEMSデバイスの側面から形成されても良い。
【0059】
いくつかの例においては、ノズル開口は、基板開口の形成の前に形成されても良い。他の例においては、ノズル開口は、基板開口の形成に後続して形成されても良い。
【0060】
微小電気機械コンポーネントは、圧電コンポーネントであっても良い。換言すれば、微小電気機械コンポーネントは、微小電気機械コンポーネントにおいて機能的に使用される圧電材料の1つ以上の領域を含んでも良い。
【0061】
微小電気機械コンポーネントは、アクチュエータであっても良い。
【0062】
アクチュエータは、圧電アクチュエータであっても良い。
【0063】
アクチュエータは、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に備えられた圧電アクチュエータ本体と、を含んでも良い。第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層の1つ以上のCMOSメタライズ領域を介して、CMOS回路に電気的に接続されても良い。
【0064】
圧電コンポーネントは、典型的には、第1の電極と第2の電極との間に備えられた圧電体を含む。当該第1及び第2の電極の少なくとも一方は、典型的には、少なくとも1つの電子コンポーネント(例えば、CMOS回路の)に電気的に接続される。圧電体は、典型的には、450℃よりも低い温度で加工可能な1つ以上の圧電材料を含む(例えば、当該材料から形成される)。
【0065】
300℃を超えると、一体化された電子コンポーネント(例えば、CMOS電子コンポーネント)は典型的には劣化し始め、デバイスの動作を損ない、効率を低下させる。450℃を超えると、一体化された電子コンポーネント(例えば、CMOS電子コンポーネント)は典型的には、更に大きく劣化する。それゆえ、450℃よりも低い温度で加工可能な圧電材料の使用は、少なくとも1つの電子コンポーネント(例えば、駆動回路)に対する大きな損傷なく、圧電コンポーネントの加工を可能とし、当該少なくとも1つの電子コンポーネントとの一体化を可能とする。
【0066】
圧電体が、300℃よりも低い温度で加工可能な1つ以上の圧電材料を含んでも良い(例えば、当該材料から形成されても良い)。300℃よりも低い温度で加工可能な圧電材料の使用は、少なくとも1つの電子コンポーネント(例えば、駆動回路の)に対する損傷を更に少なくして、圧電コンポーネントの加工を可能とし、当該少なくとも1つの電子コンポーネントとの一体化を可能とする。300℃よりも低い温度で加工可能な圧電材料の使用は、典型的に、単一の基板(例えば、単一の基板ウェハ)上における複数のMEMSデバイスの大規模な製造から、機能するデバイスの高い収率が達成されることを可能とする。
【0067】
圧電コンポーネントを少なくとも1つの電子コンポーネント(例えば、駆動電子回路)と一体化することにより、個別の駆動電子回路を提供する必要性が低減又は除去される。それゆえ、多数の圧電コンポーネントが、1つのチップ上に近接して一体化されることができ、チップ当たりのコンポーネントを増加させ、デバイス全体のサイズを減少させ、圧電MEMSコンポーネントを有する既存のMEMSデバイスを用いて達成可能なものよりも高いコンポーネント密度を可能とし得る。単一のチップにおける一体化に伴うその他の利点は、最終的な製造コストの削減、モジュール性、及びデバイスの信頼性を含む。
【0068】
450℃より下(又は300℃よりも下)で加工可能な圧電材料は、典型的に、より高温での加工を必要とする圧電材料よりも劣る圧電特性(例えば、より低い圧電定数)を有する。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のような高温加工可能な圧電材料から形成される圧電アクチュエータは、他の全ての要因が等しい場合、窒化アルミニウム(AlN)のような低温加工可能な圧電材料から形成される圧電アクチュエータよりも、1のオーダーだけ大きな力を発揮することが可能である。
【0069】
1つ以上の圧電材料は、典型的には、圧電コンポーネントが450℃よりも低い(又は300℃よりも低い)温度で製造可能となるように、450℃よりも低い(又は300℃よりも低い)温度で加工可能(例えば、堆積可能、必要とされる場合にはアニーリング可能)である。450℃よりも低い(又は300℃よりも低い)温度での圧電コンポーネントの製造は、基板と一体化された少なくとも1つの電子コンポーネントとの、圧電コンポーネントの一体化を可能にする。
【0070】
それゆえ、圧電体は、典型的には、450℃よりも低い(又は300℃よりも低い)温度で(例えば、1つ以上の圧電材料の堆積、及び必要とされる場合にはアニーリングによって)形成可能である。
【0071】
1つ以上の圧電材料は、典型的には、450℃よりも低い(又は300℃よりも低い)基板温度で加工可能(例えば、堆積可能、必要とされる場合にはアニーリング可能)である。換言すれば、基板の温度は、典型的には、1つ以上の圧電材料の加工(例えば、堆積、及び必要とされる場合にはアニーリング)中に、450℃(又は300℃)には到達しないか、又はそれを超えない。圧電体の形成中、基板の温度は、典型的には、450℃(又は300℃)に到達しないか、又はそれを超えない。圧電コンポーネントの製造中、基板の温度は、典型的には、450℃(又は300℃)に到達しないか、又はそれを超えない。MEMSデバイス(例えば、その全体)の製造中、基板の温度は、450℃(又は300℃)に達しないか、又はそれを超えなくても良い。
【0072】
圧電体は、1つの圧電材料を含んでも良い(例えば、それから形成されても良い)。代替としては、圧電体は、1つよりも多い圧電材料を含んでも良い(例えば、それらから形成されても良い)。
【0073】
圧電体は、アルミニウム及び窒素と、任意にスカンジウム、イットリウム、チタン、マグネシウム、ハフニウム、ジルコニウム、スズ、クロム、ホウ素から選択される1以上の元素と、を含むセラミック材料を含んでも良い(例えば、それから形成されても良い)。
【0074】
圧電体は、窒化アルミニウム(AlN)を含んでも良い(例えば、それから形成されても良い)。
【0075】
圧電体は、酸化亜鉛(ZnO)を含んでも良い(例えば、それから形成されても良い)。
【0076】
1つ以上の圧電材料は、窒化アルミニウム及び/又は酸化亜鉛を含んでも良い(例えば、それらからなっても良い)。
【0077】
窒化アルミニウムは、純粋な窒化アルミニウムからなっても良い。代替としては、窒化アルミニウムは、1つ以上の元素を含んでも良い(すなわち、窒化アルミニウムは、窒化アルミニウム化合物を含んでも良い)。窒化アルミニウムは、スカンジウム、イットリウム、チタン、マグネシウム、ハフニウム、ジルコニウム、スズ、クロム、ホウ素のうちの1つ以上の元素を含んでも良い。
【0078】
圧電体は、窒化スカンジウムアルミニウム(ScAlN)を含んでも良い(例えば、それから形成されても良い)。窒化スカンジウムアルミニウム中のスカンジウムの割合は、典型的には、製造可能性の限度内でd31圧電定数を最適化するように選択される。例えば、ScAl1-xNにおけるxの値は、典型的には、0<x≦0.5の範囲から選択される。スカンジウムの大きな割合は、典型的には、d31の大きな値(すなわち、より強い圧電効果)に帰着する。窒化スカンジウムアルミニウム中のスカンジウムの質量%(すなわち重量%)は、典型的には、5%よりも大きい。窒化スカンジウムアルミニウム中のスカンジウムの質量%(すなわち重量%)は、典型的には、10%よりも大きい。窒化スカンジウムアルミニウム中のスカンジウムの質量%(すなわち重量%)は、典型的には、20%よりも大きい。窒化スカンジウムアルミニウム中のスカンジウムの質量%(すなわち重量%)は、典型的には、30%よりも大きい。窒化スカンジウムアルミニウム中のスカンジウムの質量%(すなわち重量%)は、典型的には、40%よりも大きい。窒化スカンジウムアルミニウム中のスカンジウムの質量%(すなわち重量%)は、50%以下であっても良い。
【0079】
窒化アルミニウム化合物(特に窒化スカンジウムアルミニウム)を含む窒化アルミニウム、及び酸化亜鉛は、450℃よりも下で、より好ましくは300℃よりも下で堆積され得る圧電材料である。窒化アルミニウム化合物(特に窒化スカンジウムアルミニウム)を含む窒化アルミニウム、及び酸化亜鉛は、450℃よりも下で、より好ましくは300℃よりも下で物理的蒸着(例えば、スパッタリング)により堆積され得る圧電材料である。窒化アルミニウム化合物(特に窒化スカンジウムアルミニウム)を含む窒化アルミニウム、及び酸化亜鉛は、典型的には、堆積の後にアニーリングを必要としない圧電材料である。
【0080】
圧電体は、450℃よりも下で、より好ましくは300℃よりも下で物理的蒸着によって堆積された窒化アルミニウム(例えば、窒化アルミニウム化合物、例えば、窒化スカンジウムアルミニウム)及び/又は酸化亜鉛を含んでも良い(例えば、それらから形成されても良い)。
【0081】
圧電体は、1つ以上のIII-V族及び/又はII-VI族半導体(すなわち周期律表のIII族及びV族及び/又はII族及びVI族からの元素を含む化合物半導体)を含んでも良い(例えば、それから形成されても良い)。かかるIII-V族半導体及びII-VI族半導体は、典型的には、六方晶系のウルツ鉱型結晶構造で結晶化する。六方晶系のウルツ鉱型結晶構造で結晶化するIII-V族半導体及びII-VI族半導体は、典型的には、その非中心対称の結晶構造により、圧電性である。
【0082】
圧電体は、非強誘電性圧電材料を含んでも良い(例えば、当該材料から形成されても良いし、又は当該材料からなっても良い)。1つ以上の圧電材料は、1つ以上の非強誘電体圧電材料であっても良い。強誘電体材料は、典型的には、強い印加電場の下で(すなわち堆積後の)ポーリングが必要である。非強誘電性圧電材料は、典型的には、ポーリングを必要としない。
【0083】
圧電体は、典型的には、30pC/N未満、より典型的には20pC/N未満、又は更に典型的には10pC/N未満の大きさを有する、圧電定数d31を有する。1つ以上の圧電材料は、典型的には、30pC/N未満、より典型的には20pC/N未満、又は更に典型的には10pC/N未満の大きさを有する、圧電定数d31を有する。
【0084】
1つ以上の圧電材料は、典型的には、CMOS互換性がある。これによって、1つ以上の圧電材料は、典型的には、CMOS電子構造を損傷する物質を含んでいないか、又は、典型的には、かかる物質を使用することなく加工可能(例えば、堆積可能、及び必要とされる場合にはアニーリング可能)であることが、理解されるであろう。例えば、1つ以上の圧電材料の加工(例えば、堆積、及び必要とされる場合にはアニーリング)は、典型的には、(塩酸のような)酸(例えば、強酸)及び/又は(水酸化カリウムのような)アルカリ(例えば、強アルカリ)の使用を含まない。
【0085】
複数の電極を有する複数のアクチュエータのような、代替のアクチュエータ設計も可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0086】
本方法は、MEMSパッシブ層上に微小電気機械コンポーネントを堆積させることを含んでいても良い。微小電気機械コンポーネントは、物理的蒸着(PVD)法を使用して堆積されても良い。具体的には、圧電アクチュエータ本体は、典型的には、物理的蒸着法を使用して堆積される。
【0087】
圧電アクチュエータ本体は、1つ以上のPVD堆積可能な圧電材料を含んでも良い。
【0088】
MEMSデバイスは、プリントヘッドのための液滴吐出器であっても良い。かくして、アクチュエータは、プリントヘッドから液滴を排出するために使用され得る。換言すれば、本開示は、プリントヘッドに及んでも良い。プリントヘッドは、インクジェットプリントヘッドであっても良い。液滴吐出器は、インクジェットプリントヘッドのための(例えば、インクジェットプリントヘッドにおける使用のために構成された)液滴吐出器であっても良い。液滴吐出器は、インクジェット液滴吐出器であっても良い。
【0089】
プリントヘッドは、印刷電子回路の製造における使用のための流体(例えば、機能性流体)を印刷するように構成されても良い。
【0090】
プリントヘッドは、生物学的流体を印刷するように構成されても良い。生物学的流体は、典型的には、例えば、DNA又はRNAのようなポリヌクレオチド、微生物、及び/又は酵素といった、生物学的高分子を含む。プリントヘッドは、希釈剤又は試薬のような、生物学的な又はバイオテクノロジーの用途において使用される、他の流体を印刷するように構成されても良い。
【0091】
プリントヘッドは、ボクセルプリントヘッド(すなわち3D印刷、例えば付加印刷における使用のために構成されたプリントヘッド)であっても良い。
【0092】
プリントヘッドは、典型的には、プリンタのためのものである。かくして、本開示は、1つ以上のプリントヘッドを含むプリンタに及ぶ。プリンタは、印刷されるオブジェクトの所望の外観(例えば、色)及び/又は形状及び/又は機能を生成するために印刷材料(例えば、インクのような印刷液)を排出するように構成された、実質的に任意の装置であることが、理解されるであろう。プリンタは、基材(例えば、紙)上にカラーインクを印刷するように構成された、2Dプリンタであっても良い。他の例においては、プリンタは、プリンタの1つ以上のプリントヘッドから印刷材料を排出することによって3Dオブジェクトを生成するように構成された、付加製造デバイス(すなわち3Dプリンタ)であっても良い。
【0093】
かくして、別の側面から見ると、本開示は、以上に説明されたMEMS液滴吐出器を含む1つ以上のプリントヘッドを備えるプリンタに及ぶものである。プリンタは、MEMS圧電アクチュエータの動作を制御して、1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つを撓ませ、それによってそこから印刷液を排出することによって、MEMS液滴吐出器から印刷液(例えば、インク)を排出するように構成されても良い。プリンタは、印刷液の供給源を更に含んでも良い。印刷液の供給源は、印刷液カートリッジであっても良い。
【0094】
更なる側面から見ると、本開示は、印刷の方法にも及ぶ。本方法は、以上に説明されたようなプリンタを含む印刷装置を提供することを含む。この装置は、印刷液の供給源を含む。この装置は、印刷液の供給源を含む。印刷液(例えば、インク)の供給源は、プリンタの一部であっても良い。プリンタは、各々が以上に説明されたような1つ以上の液滴吐出器を含む、1つ以上のプリントヘッドを含む。本方法は、アクチュエータが1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つを撓ませ、それによって液滴吐出器から印刷液を吐出するように、1つ以上の液滴吐出器のうちの少なくとも1つを制御することを含む。かくして、プリンタは、印刷するために印刷液を使用する。
【0095】
アクチュエータは、PMUT又はスピーカのような、音を発生させるためのものであっても良い。アクチュエータは、流体ポンプのためのものであっても良い。
【0096】
微小電気機械コンポーネントは、センサコンポーネントであっても良い。センサコンポーネントは、圧電センサコンポーネントであっても良い。換言すれば、微小電気機械コンポーネントの動きは、CMOS回路に伝導可能な電気信号に変換されても良い。センサコンポーネントは、マイクロフォン、圧力センサ、又はバイオセンサであっても良い。
【0097】
本開示の更に別の態様によれば、一体的に備えられたCMOS回路を有する基板を含む、微小電気機械システム(MEMS)デバイスが提供される。CMOS回路は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む複数のCMOS回路層によって形成され、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層は合わせて、1つ以上のCMOSパッシベーション領域によって囲まれた複数のCMOSメタライズ領域を画定する。複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層は、基板を境界付ける複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つによって画定される第1の面と、第1の面に平行に、かつ複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの最も遠い1つによって画定される第2の面と、の間にともに延在する。CMOS回路は、MEMSデバイスのCMOS回路領域内に配置される。MEMSデバイスは、集積回路によって制御されるように構成され、MEMSデバイスのコンポーネント領域に配置された、可動微小電気機械コンポーネントを更に含む。コンポーネント領域は、CMOS回路領域とは異なる。コンポーネント領域は、微小電気機械コンポーネントを含む1つ以上のコンポーネント領域層を含む。1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、第1の面まで延在する。第1の面まで延在する1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、基板を境界付ける複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つとは異なる。
【0098】
かくして、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層と同じ平面において、MEMSデバイスのコンポーネント領域中の対応する層が異なる。
【0099】
典型的には、第1の面まで延在する1つ以上のコンポーネント領域層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層に隣接している。第1の面まで延在する1つ以上のコンポーネント領域層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層と同じ基板の側から延在しても良い。第1の面まで延在する1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、第2の面から第1の面への方向において延在しても良い。
【0100】
第1の面は、基板を境界付ける複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つと基板との間の境界として画定されても良い。
【0101】
いくつかの例においては、第1の面まで延在する1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、基板を境界付ける複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つとは異なる材料から形成されている。他の例においては、第1の面まで延在する1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、基板を境界付ける複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つと同じ材料から形成されているが、異なる厚さを有する。
【0102】
MEMSパッシブ層の厚さは、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層の合わさせた厚さよりも小さくても良い。代替としては、MEMSパッシブ層の厚さは、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層の合わせた厚さよりも大きくても良い。
【0103】
MEMSパッシブ層は、コンポーネント領域において、CMOS回路領域におけるものと実質的に同様の厚さを有していても良い。
【0104】
コンポーネント領域における、基板から離れる方向に面するMEMSパッシブ層の表面は、CMOS回路領域における、基板から離れる方向に面するMEMSパッシブ層の表面と、実質的に同一面上にあっても良い。
【0105】
MEMSパッシブ層は、複数の層から形成されても良く、複数の層は、少なくとも2つの異なる材料から形成される。
【0106】
MEMSデバイスは、CMOS回路領域の外に備えられた複数の微小電気機械コンポーネントを含んでも良い。CMOS回路は、複数の微小電気機械コンポーネントのうちの1つ以上と電気的に通信していても良い。
【0107】
MEMSデバイスは、コンポーネント領域の外に備えられた複数のCMOS回路を含んでも良い。複数のCMOS回路は、異なるタイプの複数のCMOS回路を含んでも良い。複数のCMOS回路は、少なくとも1つのHV CMOS回路と、少なくとも1つのLV CMOS回路と、を含んでも良い。これに加えて又は代替として、複数のCMOS回路は、1つ以上のディープトレンチ隔離(DTI)構造によって分割されても良い。
【0108】
いくつかの例においては、各CMOS回路は、CMOS回路領域の外に備えられた複数の微小電気機械コンポーネントのそれぞれの1つと電気的に通信している。
【0109】
基板は、1つ以上の接着パッドを含んでも良い。
【0110】
MEMSデバイスは、微小電気機械コンポーネントが、1つ以上のコンポーネント領域層のうちの1つとして備えられたMEMSメタライズ層を介して、CMOS回路に電気的に接続されるように構成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
本発明の例示的な実施形態が、以下の図を参照しながらここで説明される。
【0112】
図1】プリントヘッドの形をとる微小電気機械システムデバイスの一例を示す。
図2】微小電気機械システムデバイスの更なる例を示す。
図3a-3f】本開示の一態様による微小電気機械システムデバイスの製造の段階を示す。
図4-8】本開示の態様による微小電気機械システムデバイスの更なる例を示す。
図9】本開示の態様による微小電気機械システムデバイスを形成する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
図1は、微小電気機械システムのプリントヘッドの模式的な説明図である。微小電気機械システム(MEMS)プリントヘッド100は、基板(図示されていない)上の、基板上のMEMSパッシベーション領域104の形をとる、1つ以上の、この場合には複数の、非CMOSパッシベーション領域104を囲む、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)パッシベーション領域102の形をとる、集積回路パッシベーション領域102を有して形成されている。図1に示される図において、基板は、CMOSパッシベーション領域102及び非CMOSパッシベーション領域104を含む被覆領域によって隠されていることが、理解されるであろう。非CMOSパッシベーション領域104は、そこに1つ以上のMEMSコンポーネントを備えるのに好適である。
【0114】
この例においては、MEMSプリントヘッド100は、CMOSトランジスタ領域108の形をとる集積回路トランジスタ領域108を囲む、具体的にはCMOS隔離構造106の形をとる集積回路隔離構造106(高電圧隔離キャップ又は高電圧ディープトレンチ絶縁特徴のような)を更に含む。CMOS隔離構造106及びCMOSトランジスタ領域108は、CMOSパッシベーション領域102によって非CMOSパッシベーション領域104から離隔される。MEMSプリントヘッド100は、CMOSパッシベーション領域102を介してCMOSに接続された接着パッド110を更に含む。MEMSメタライズライン112は、CMOSトランジスタ領域108を、非CMOSパッシベーション領域104の1つにおけるMEMSコンポーネント(図示されていない)に電気的に接続する。このようにして、非CMOSパッシベーション領域104中のMEMSコンポーネントは、CMOSトランジスタ領域108によって制御され、コントローラとして機能することができる。
【0115】
この例においては、CMOSパッシベーション領域102は、MEMSパッシベーション領域104のような非CMOSパッシベーション領域104のものとは異なる材料から形成されている。このようにして、非CMOSパッシベーション領域104のために使用される材料は、CMOSパッシベーション領域102における使用に好適な材料である必要はなく、その代わり、非CMOSパッシベーション領域104におけるMEMSコンポーネントにおけるその機能性のために特に選ばれる材料であることが、理解されるであろう。他の例においては、CMOSパッシベーション領域102は、非CMOSパッシベーション領域104と同じ材料から形成されるが、異なる厚さを有するなど、他の点では異なるものである。
【0116】
以下に更に説明されるように、CMOSパッシベーション領域102は、典型的には、堆積材料の複数の層の堆積によって形成される。
【0117】
この例においては、MEMSコンポーネントは、典型的には、インクの液滴を排出するように制御可能な圧電アクチュエータであり、当業者には理解されるように、インクジェットプリントヘッドの液滴吐出器として機能する。
【0118】
図2は、センサ又はアクチュエータのような微小電気機械システムデバイスの更なる例を示す。図1と同様に、MEMSデバイス200は、CMOSパッシベーション領域202の形をとる集積回路パッシベーション領域202と、CMOSパッシベーション領域202に囲まれた非CMOSパッシベーション領域204と、CMOSパッシベーション領域202中に備えられた複数の接着パッド210と、を含む。非CMOSパッシベーション領域204は、CMOSパッシベーション層領域202を通してメタライズ接続(図示されていない)を介してCMOSチップに電気的に接続された、1つ以上のMEMSコンポーネントを含む。この例においては、MEMSコンポーネントは、圧電微小機械加工超音波トランスデューサ(PMUT)、マイクロフォン、又はその他の圧力センサのような、センサコンポーネントである。このようにして、コンパクトなMEMSセンサデバイスを提供され得る。他の例においては、MEMSコンポーネントは、PMUT、スピーカ又は流体ポンプにおける使用のためのもののような、アクチュエータコンポーネントである。図1を参照しながら説明されたプリントヘッドと同様に、非CMOSパッシベーション層領域204は、CMOSパッシベーション層領域202としての使用に好適でない材料のような、CMOSパッシベーション層領域202を形成するために使用される材料とは異なる材料から形成される。
【0119】
図1及び2に示される例は、本明細書の他の箇所で説明されるように、より高い収率のプロセスを提供することもできる。
【0120】
図3a~3fは、本開示の一態様による微小電気機械システムデバイスの製造の段階を示す。
【0121】
図3aは、第1の表面322と、第1の表面322の反対側に備えられた第2の表面324と、を有する、シリコンウェハ基板320の形をとる基板320の提供を示す。CMOS基板領域330の形をとる集積回路基板領域330は、基板320に備えられ、この例においては基板320のCMOS領域320aにおいて第1の表面322から基板320の中へと延在する。CMOS基板領域330は、典型的には、標準的なCMOS製造方法によって基板上に形成される。例えば、集積化CMOS基板領域は、物理的蒸着、化学的蒸着、電気化学的堆積、分子線エピタキシー、原子層堆積、イオン注入、光パターニング、反応性イオンエッチング、プラズマ照射のうちの1つ以上の方法によって堆積され得る。CMOS領域320aは、以下に図3c~3fを参照しながら更に説明されるように、基板のコンポーネント領域320bとは異なる。
【0122】
続いて、図3bに示されるように、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340を、CMOS基板領域330と重なるように基板320の第1の表面322上に形成して、CMOS基板領域330に電気的安定性及び環境からの化学的隔離を提供し、またメタライズ相互接続部342を介してCMOS基板領域330への及び/又はCMOS基板領域330からの電気接続を提供する。メタライズ相互接続部342は、アルミニウムから形成される。他の例においては、メタライズ相互接続部342は、銅、アルミニウム銅合金、又はその他の合金元素のような、他の電気導体から形成されても良い。この例においては、メタライズ相互接続部342は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340においてCMOSメタライズ構造を提供する。CMOS基板領域330並びに複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340は合わせて、CMOS回路を形成する。
【0123】
複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340は、堆積及び/又は微小機械加工によってのように、当業者に知られている任意の好適なプロセスを使用して形成される。
【0124】
このようにして、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340は合わせて、CMOSパッシベーション領域によって囲まれた、複数のCMOS回路層内に1つ以上のCMOSメタライズ特徴を形成する。
【0125】
次に、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340の部分が、基板320のコンポーネント領域320bにおいて、基板320のCMOS領域320aから離れるように除去される。このようにして、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340のために使用される材料又は構造が、コンポーネント領域320bに関連しては使用されないようにされ得る。
【0126】
CMOS領域320a中の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340の除去なしで、エッチングによって、具体的には本例における深部反応性イオンエッチング(DRIE)又は従来のCMOSパッシベーション除去方法によって、コンポーネント領域320bにおいて、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340が除去される。このステップにおいては、基板320のいずれも又は実質的にいずれも除去されない。複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340の壁面は、壁面と複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340の最外側面との間の角度が鈍角となるように、基板320の第1の表面322に対して90度未満の角度をなすが、他の例においては、この角度は90度にまでなっても良いことが、理解されるであろう。この例においては、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340の全てがコンポーネント領域320bにおいて除去されるが、他の例においては、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340のいくつかのみはコンポーネント領域320bにおいて除去されても良いことが、理解されるであろう。
【0127】
コンポーネント領域320bにおける複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340の除去に続いて、更なるパッシベーション層350がアセンブリの上に、具体的にはコンポーネント領域320bの外の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340の残りの部分の上に、並びにコンポーネント領域320b中の基板320の第1の表面322の上に、堆積される。このようにして、基板320の第1の表面322は、CMOS領域320aにおいて複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340をその上に堆積させ、コンポーネント領域320bにおいて更なるパッシベーション層350をその上に堆積させたものとなる。更なるパッシベーション層350は時々、MEMSパッシベーション層350と呼ばれる。この例においては、更なるパッシベーション層350は、基板320の第1の表面322に垂直な方向に均一な厚さを有するように堆積される。換言すれば、CMOS領域320aにおける更なるパッシベーション層350の厚さは、コンポーネント領域320bにおける更なるパッシベーション層の厚さと実質的に同一である。更なるパッシベーション層350は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340のいずれとも異なる材料から形成される。具体的には、更なるパッシベーション層350は、形成されるべきMEMSデバイスのコンポーネント領域320b中に備えられるべきMEMSコンポーネントの構造的及び機能的要件に基づいて選択された材料から形成される。更なるパッシベーション層350は、CMOS基板領域330、並びに複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340のコンポーネントに、電気的及び化学的安定性のような保護を提供する。
【0128】
更なるパッシベーション層350は、典型的には、1.0マイクロメートル~10マイクロメートルの厚さを有する。この例においては、更なるパッシベーション層350の厚さは、約2マイクロメートルである。これに加えて、更なるパッシベーション層350は、典型的には、非常に低いヤング率を有し、それゆえ、アクチュエータの動作(以下に説明される)に実質的に影響を与えない。
【0129】
次に、圧電アクチュエータ360の形をとる微小電気機械システム(MEMS)コンポーネント360が、更なるパッシベーション層350の外側面352上に堆積される。この例においては、圧電アクチュエータ360は、各々が別個に堆積された複数の層から形成される。圧電アクチュエータ360は、第1の電極362及び第2の電極364、並びに第1の電極362と第2の電極364との間に備えられた圧電体366を含む。圧電体366は、MEMSデバイスが完全に組み立てられたときに圧電挙動を呈するように構成されているが、更なるパッシベーション層350上への圧電アクチュエータ360の初期堆積の後に圧電体366に装着されても良いことが、理解されるであろう。
【0130】
圧電アクチュエータ360及び更なるパッシベーション層350は、CMOS基板領域330への損傷が低減されるか又は完全に回避され得る温度のような環境条件において、堆積され得る材料及びMEMSデバイスを形成するための加工が可能である材料から、各々が形成される必要があることが、理解されるであろう。好適なかかる温度は、450℃より低い。圧電体366のための好適な材料は、窒化アルミニウム(AlN)である。
【0131】
圧電アクチュエータ360は、そこに画定された開口370を備え、その目的は、図3fを参照しながら以下に更に説明される。
【0132】
図3eに示されるように、更なるパッシベーション層350の部分であって、CMOS領域320a中の複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層340におけるメタライズ相互接続部342に隣接する部分は、特にそうでなければ更なるパッシベーション層350に隣接するメタライズ相互接続部342との接点を露出させるために、この例においては、エッチングによって除去される。エッチングは、典型的には、DRIEプロセス又はCMOSパッシベーションエッチングプロセスである。このようにして、更なるパッシベーション層350を通って窪み375が画定される。続いて、MEMSメタライズ相互接続部380が、窪み375の内側端部において露出したメタライズ相互接続部342と、圧電アクチュエータ360の電極362、364の少なくとも一方、この例においては第1の電極362と、の間で、更なるパッシベーション層350上に堆積される。このようにして、CMOS基板領域330からの制御信号は、メタライズ相互接続部342、MEMSメタライズ相互接続部380、及び第1の電極362を介して、圧電アクチュエータ360に提供され得ることが、理解されるであろう。
【0133】
MEMSメタライズ相互接続部380は、典型的には、アルミニウムから形成される。他の例においては、MEMSメタライズ相互接続部380は、銅、アルミニウム銅合金、又はその他の合金のような、異なる電気伝導体材料から形成される。
【0134】
次に、図3fに示されるように、液滴吐出器300の形をとるMEMSデバイス300を提供するために、更なるステップが完了される。更なるステップは、圧電アクチュエータ360の形をとるMEMSデバイス360、MEMSメタライズ相互接続部380、及び更なるパッシベーション層350を被覆するカプセル化層385を更なる堆積を含む。更なるステップはまた、更なる除去ステップを含む。
【0135】
この例における更なる除去ステップは、液滴吐出器の構造的特徴を画定するために実行される。具体的には、ノズル構造395が、コンポーネント領域320bにおける更なるパッシベーション層350の材料の除去によって画定される。ノズル構造395は、圧電アクチュエータ360中に画定された開口370内に画定されるように、かつ流体チャンバ390(以下に説明される)の幅よりも小さい幅を有するように構成される。
【0136】
更に、基板320は、コンポーネント領域320bにおいて除去され、少なくとも流体チャンバ390の領域を画定する。流体チャンバ390は、基板を第2の表面324から第1の表面322までエッチングすることによって形成され、このエッチングは、基板と更なるパッシベーション層350(又はノズル構造395)との間の界面において止まる。このエッチングは、典型的には、DRIEプロセスである。かくして、MEMSデバイス300が形成される。
【0137】
流体チャンバ390中に備えられた1つ以上の流体の液滴は、当業者には理解されるように、CMOS基板領域330によって制御される圧電アクチュエータ360の作動によって、ノズル395を介して排出されるように制御されても良い。もちろん、更なる制御回路からの制御信号は、更なる電気接続部(図示されていない)を介して、CMOS基板領域330に提供されても良い。この例においては、適切に動作するために、流体チャンバ390は完全に流体で満たされている。
【0138】
更なるパッシベーション層350を形成するための材料は、流体がチャンバ390内に収容されることを確実にし、また一貫した液滴の指向性を確実にするために、流体をはじくものとなるように選択されることが、理解されるであろう。更なるパッシベーション層350の材料は、典型的には、プリントヘッドの保守のために最適な表面を提供するために平坦とされる。
【0139】
図4~8は、本開示の態様による微小電気機械システムデバイスの更なる例を示す。特に説明しない限り、図4~8に示されるMEMSデバイスの実施形態の特徴は、以下に指摘する差異を除けば、図3a~3eに関連するものと実質的に同一であると理解されるべきである。
【0140】
図4は、更なるパッシベーション層450が、図3a~3eに示される厚さよりも小さい厚さを有するように形成された、液滴吐出器400を示す。
【0141】
図5は、更なるパッシベーション層550が、CMOS領域520a及びコンポーネント領域520bの両方において、基板520と対向する更なるパッシベーション層550の第1の表面552が、基板520から同じ垂直距離にあるように形成されている、液滴吐出器500を示す。換言すれば、CMOS領域520aにおける更なるパッシベーション層550の厚さは、コンポーネント領域における更なるパッシベーション層550の厚さよりも小さい。このようにして、CMOS領域520aにおけるMEMSパッシベーション層550を通した接続長は、CMOS領域520aにおけるMEMSパッシベーション層550の厚さがコンポーネント領域520bにおけるものと同じである場合よりも、短くなり得る。かくして、電気的接続性が改善される。更に、更なるパッシベーション層550の平面状の第1の表面552を確実にすることによって、プリントヘッドのワイピング及びキャッピングの保守システム要件も改善される。
【0142】
図6は、更なるパッシベーション層650が複数の層650a、650b、650cである、液滴吐出器600を示す。複数の層の各々は、典型的には、圧電アクチュエータ660の形をとるMEMSコンポーネントのための所望の構造的機能を提供するように選択される。
【0143】
図7は、液滴吐出器が、複数の圧電アクチュエータ760a、760b、760cの形をとる複数のMEMSコンポーネント760a、760b、760cを含む、液滴吐出器700を示す。第1の圧電アクチュエータ760aは、CMOS基板領域730に電気的に接続されている。各圧電アクチュエータ760a、760b、760cは、ノズルを備えられる。図示されていないが、典型的には、CMOS基板領域730が圧電アクチュエータ760a、760b、760cの各々を制御するために使用され得るように、各圧電アクチュエータ760a、760b、760cがCMOS基板領域730に電気的に接続されることが、理解されるであろう。
【0144】
図8は、図7に示された液滴吐出器と類似するが、複数のCMOS基板領域830a、830bを含む、液滴吐出器800を示す。この例においては、第1のCMOS基板領域830aは、低電圧CMOS基板領域830aであり、第2のCMOS基板領域830bは、高電圧CMOS基板領域830bである。低電圧CMOS基板領域830aは、ディープトレンチ隔離(DTI)特徴835aによって高電圧CMOS基板領域830bから分離されている(すなわち、電気的に安定化されるなど、電気的に隔離されている)。更なるDTI特徴835bは、高電圧CMOS基板領域830bと、基板820のコンポーネント領域820b中に画定された流体チャンバ890と、の間に備えられる。
【0145】
本図に示されるMEMSデバイスの表現は、単に概略的な説明のために示されたものであり、定縮尺又は定比率のものとみなされることを意図されていないことが、理解されるであろう。
【0146】
図9は、本開示の態様による微小電気機械システムデバイスを形成する方法を示すフロー図である。方法900は、以上に説明された図3a~3fを参照しながら説明されたものと実質的に同様である。簡潔に述べると、方法900は、MEMSデバイスのコンポーネント領域中の1つ以上のCMOSパッシベーション層及び/又はCMOSメタライズ層をMEMS層で置き換えることによって、MEMSデバイスを形成する方法である。このようにして、MEMSコンポーネントは、CMOSパッシベーション層及び/又はCMOSメタライズ層としてのその有用性のために選択されたものとは異なる材料から形成され得る。
【0147】
具体的には、方法900は、可動微小電気機械コンポーネントと、微小電気機械コンポーネントと導通するように構成されたCMOS回路と、を含むMEMSデバイスを製造する方法である。方法900は、複数のCMOSパッシベーション層及び複数のCMOSメタライズ層を含むCMOS回路を形成すること910を含む。典型的には、CMOS回路は、CMOS回路がコントローラとして形成されるように構成された、複数のトランジスタを含むように形成される。電気信号は、複数のCMOSメタライズ層を介してCMOS回路と交換され得る。
【0148】
CMOS回路の形成910に続いて、方法900は、デバイスのコンポーネント領域における複数のCMOSパッシベーション層及び/又は複数のCMOSメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を除去すること920を含む。以上に説明されたように、この部分は、典型的には、DRIEプロセスのようなエッチングプロセスによって除去される。
【0149】
部分の除去920の後、方法900は、除去された部分の代わりに1つ以上のコンポーネント領域層を形成すること930を含む。1つ以上のコンポーネント領域層は、コンポーネント領域中に形成され、可動微小電気機械コンポーネントを形成する。有意にも、除去された部分とは異なる材料から、1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つを形成することによって、その結果のMEMSデバイスは、MEMSコンポーネントの機能をサポートするために特に選択された構造的特徴をMEMSコンポーネント内に有することができる。
【0150】
方法900は任意に、コンポーネント領域において基板をエッチングして(940)、そこに基板開口を画定することを更に含む。典型的には、基板開口は、基板とコンポーネント領域中の1つ以上のコンポーネント領域層との間の境界まで、基板内で延在するように構成される。いくつかの例においては、エッチングするステップは、基板を通って進行し、基板とコンポーネント領域中の1つ以上のコンポーネント領域層との間の境界において止まるように構成される。このようにして、コンポーネント領域中の1つ以上のコンポーネント領域層は、基板から解放され、撓む能力を向上させ得る。
【0151】
要約すると、微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法(900)が提供される。MEMSデバイスは、可動微小電気機械圧電コンポーネント(360)と、微小電気機械コンポーネントと導通するように構成されたCMOS回路(330、340、342)と、を含む。本方法は、複数のCMOS回路層(330、340、342)を形成すること(910)であって、1つ以上のCMOS回路層は、複数のCMOSパッシベーション層及び複数のCMOSメタライズ層(340)を含む、形成することと、デバイスのコンポーネント領域(320b)において、複数のCMOSパッシベーション層及び/又は複数のCMOSメタライズ層(340)のうちの少なくとも1つの部分を除去すること(920)と、コンポーネント領域において1つ以上のコンポーネント領域層(350、352、364、366)を形成して、可動微小電気機械コンポーネント(360)を形成すること(930)と、を含む。1つ以上のコンポーネント領域層は、1つ以上のCMOS回路層のうちの少なくとも1つの部分とは異なる材料から形成される。
【0152】
本明細書の説明及び請求項を通して、単語「含む(comprise)」及び「包含する(contain)」及びそれらの変形は、「含む(including)がこれに限定されない」を意味し、それらは他のコンポーネント、整数又はステップを意図するものではなく、またこれらを排除するものでもない。本明細書の説明及び請求項を通して、文脈上他に必要とされない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、文脈上他に必要とされない限り、単数形と同様に複数形を企図するものとして理解されるべきである。
【0153】
本発明の特定の態様、実施形態又は例と関連して記載された特徴、整数、特性又はグループは、それと非互換的でない限り、本明細書に記載された他の任意の態様、実施形態又は例に適用可能であると理解されるべきである。添付される請求項、要約及び図面)を含む、本明細書に開示された特徴の全て、及び/又はそのように開示された任意の方法又はプロセスのステップの全ては、かかる特徴及び/又はステップの少なくともいくつかが相互に排他的であるような組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。本発明は、いずれの前述の実施形態の詳細にも限定されるものではない。本発明は、添付される請求項、要約及び図面)を含む、本明細書において開示された特徴の任意の新規なもの、若しくは任意の新規な組み合わせに、又は、そのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの任意の新規なもの、若しくは任意の新規な組み合わせに及ぶものである。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法であって、前記MEMSデバイスは、可動微小電気機械圧電コンポーネントと、前記微小電気機械コンポーネントと導通するように構成されたCMOS回路と、を含み、前記方法は、
基板上に複数のCMOS回路層を形成して、前記CMOS回路を形成することであって、前記複数のCMOS回路層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む、形成することと、
前記デバイスのコンポーネント領域において、前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を除去することと、
前記コンポーネント領域中の前記除去された部分の代わりに、1つ以上のコンポーネント領域層を形成して、前記可動微小電気機械圧電コンポーネントを形成することであって、前記1つ以上のコンポーネント領域層は、前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの前記少なくとも1つの前記部分とは異なる、形成することと、
を含み、
前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの1つは、MEMSパッシブ層であり、
前記1つ以上のコンポーネント領域層を形成することは、前記MEMSパッシブ層上に前記微小電気機械コンポーネントを堆積させることを含む、
方法。
【請求項2】
前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの前記少なくとも1つの前記部分を除去することは、前記デバイスの前記コンポーネント領域における前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層の各々の前記部分を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの前記少なくとも1つの前記部分を除去することは、除去されるべき層をエッチングすることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、前記複数のCMOS回路層のうちの隣接する層とは異なる材料から形成され、前記隣接する層は、前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの前記少なくとも1つと同じレベルにある、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のコンポーネント領域層を形成することは、前記除去された部分の代わりにMEMSパッシブ層を堆積させることを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法であって、前記MEMSデバイスは、可動微小電気機械圧電コンポーネントと、前記微小電気機械コンポーネントと導通するように構成されたCMOS回路と、を含み、前記方法は、
基板上に複数のCMOS回路層を形成して、CMOS回路を形成することであって、前記複数のCMOS回路層は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む、形成することと、
前記デバイスのコンポーネント領域において、前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの少なくとも1つの部分を除去することと、
前記コンポーネント領域中の前記除去された部分の代わりに、1つ以上のコンポーネント領域層を形成して、前記可動微小電気機械圧電コンポーネントを形成することであって、前記1つ以上のコンポーネント領域層は、前記複数のCMOS回路層のうちの前記少なくとも1つの前記部分とは異なる、形成することと、
を含み、
前記1つ以上のコンポーネント領域層を形成することは、前記除去された部分の代わりにMEMSパッシブ層を堆積させることを含み、
前記MEMSパッシブ層は、前記CMOS回路領域における前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層と重なる、
方法。
【請求項7】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスであって、
一体的に備えられたCMOS回路を有する基板であって、前記CMOS回路は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む複数のCMOS回路層によって形成され、前記MEMSデバイスのCMOS回路領域中に配置されている、基板と、
前記CMOS回路によって制御されるように構成され、かつ前記MEMSデバイスのコンポーネント領域中に配置された、可動微小電気機械圧電コンポーネントであって、前記コンポーネント領域は、前記CMOS回路領域とは異なる、可動微小電気機械圧電コンポーネントと、
を含み、
前記コンポーネント領域は、前記微小電気機械圧電コンポーネントを含む1つ以上のコンポーネント領域層を含み、
前記コンポーネント領域中の前記又は各々の1つ以上のコンポーネント領域層は、前記CMOS回路領域の前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層の各々とは異なり、
前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの1つは、MEMSパッシブ層であり、
前記MEMSパッシブ層は、前記CMOS回路領域における前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層と重なり、
前記微小電気機械コンポーネントは、前記MEMSパッシブ層上に堆積され、
前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つは、前記基板の第1の表面上に形成され、
前記コンポーネント領域において、前記1つ以上のコンポーネント領域層は、前記第1の表面と同一面上となるように延在する、
MEMSデバイス。
【請求項8】
前記微小電気機械コンポーネントは、複数の微小電気機械コンポーネントであり、各々が前記コンポーネント領域においてそれぞれのノズル開口を画定する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項9】
前記微小電気機械コンポーネントの各々は、前記CMOS回路に電気的に接続され、前記CMOS回路によって制御される、請求項に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項10】
前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つは、前記基板の第1の表面上に形成され、前記コンポーネント領域において、前記1つ以上のコンポーネント領域層は、前記第1の表面と同一面上となるように延在する、請求項1~6、請求項8、又は請求項9のいずれか一項に記載の方法
【請求項11】
前記基板は、前記コンポーネント領域中に開口を画定し、前記微小電気機械コンポーネントは、前記開口上に延在する片持ち梁又は隔膜を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項12】
前記微小電気機械コンポーネントは、アクチュエータである、請求項11に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項13】
前記アクチュエータは、圧電アクチュエータである、請求項12に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項14】
前記MEMSデバイスは、プリントヘッドのための液滴吐出器である、請求項12又は請求項13に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項15】
前記1つ以上のコンポーネント領域層は、複数の異なるコンポーネント領域層である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項16】
請求項14に記載の液滴吐出器を含む、プリントヘッド。
【請求項17】
少なくとも1つの液滴吐出器の前記アクチュエータの動作を制御して、前記液滴吐出器からの印刷液の吐出を引き起こすように構成されている、請求項16に記載のプリントヘッドの1つ以上を含むプリンタ。
【請求項18】
印刷液の供給源を更に含む、請求項17に記載のプリンタ。
【請求項19】
前記微小電気機械コンポーネントは、センサコンポーネントである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法又はMEMSデバイス。
【請求項20】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスであって、
一体的に備えられたCMOS回路を有する基板であって、前記CMOS回路は、複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層を含む複数のCMOS回路層によって形成され、前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層は、前記基板を境界付ける前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの1つと前記基板との間に画定される第1の面と、前記第1の面に平行にかつ前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの最も遠い1つによって画定される第2の面と、の間にともに延在し、前記CMOS回路は、前記MEMSデバイスのCMOS回路領域中に配置されている、基板と、
前記CMOS回路によって制御されるように構成され、前記MEMSデバイスのコンポーネント領域中に配置された、可動微小電気機械圧電コンポーネントであって、前記コンポーネント領域は、前記CMOS回路領域とは異なる、可動微小電気機械圧電コンポーネントと、
を含み、
前記コンポーネント領域は、前記微小電気機械圧電コンポーネントを含む1つ以上のコンポーネント領域層を含み、前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つは、前記第2の面から前記第1の面への方向において前記第1の面まで延在し、
前記第1の面まで延在する前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの前記少なくとも1つは、前記基板を境界付ける前記複数のCMOSパッシベーション及びメタライズ層のうちの前記1つとは異なる材料から形成され、
前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの1つは、MEMSパッシブ層であり、
前記微小電気機械コンポーネントは、前記MEMSパッシブ層上に堆積される、
MEMSデバイス。
【請求項21】
印刷する方法であって、前記方法は、
請求項17に記載のプリンタを含む印刷装置を備えることと、
前記アクチュエータが前記1つ以上のコンポーネント領域層のうちの少なくとも1つを撓ませるように、前記1つ以上の液滴吐出器のうちの少なくとも1つを制御し、それによって前記液滴吐出器から印刷液を吐出して前記印刷液を使用して印刷することと、を含む、方法。
【国際調査報告】