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特表2023-538980トラックを用いる車両システム用パワードライブスーパーキャパシタ、誘導式電源及びシステム
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  • 特表-トラックを用いる車両システム用パワードライブスーパーキャパシタ、誘導式電源及びシステム 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】トラックを用いる車両システム用パワードライブスーパーキャパシタ、誘導式電源及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A63H 18/12 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
A63H18/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515942
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 US2021048678
(87)【国際公開番号】W WO2022051371
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/073,079
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522093915
【氏名又は名称】デジタル ドリーム ラブズ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DIGITAL DREAM LABS,LLC
【住所又は居所原語表記】6022 Broad Street,Pittsburgh,Pennsylvania 15206 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト,トーマス
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA08
2C150DA06
2C150EF16
2C150FA03
2C150FA11
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、車両レースキットのバッテリーの代わりに、スーパーキャパシタを使用した電源を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定されたトラック上で動作するように構成された車両用充電可能電源システムであって、
前記トラックのトラックセグメントに接続されており、前記トラッククリップへの前記車両の進入と、前記トラッククリップからの前記車両の離脱とを検知するように動作する少なくとも1つのトラッククリップと、
前記トラッククリップ内に収容されており、前記車両が前記トラッククリップにある場合に誘導コイルに電流を流して非接触電磁場でエネルギーを発生させるように構成された電源アセンブリと、
前記車両に配置されており、電磁場エネルギーを前記車両に電力を供給するための容量に変換及び蓄積するように構成された車両電源アセンブリと、
を備えており、
前記車両がトラッククリップ上を走行する際に、前記車両電源アセンブリのキャパシタが充電される、電源システム。
【請求項2】
前記トラッククリップは、前記トラッククリップが接続されているトラックセグメントの底面と少なくとも同じ幅の平坦な上面を有しており、前記トラッククリップは、前記トラッククリップの上面が前記トラックセグメントの底面に対して静止するように接続される、請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記トラッククリップは前記トラックセグメント内に配置されている、請求項1に記載の電源システム。
【請求項4】
前記トラッククリップは、前記トラックセグメントの上方に延びる2つの対向する側面を有しており、前記車両が前記トラッククリップに入る時点と前記トラッククリップから離れる時点とを決定する少なくとも1組のセンサを含む、請求項1に記載の電源システム。
【請求項5】
前記電源アセンブリは、誘導コイルと、マイクロコントローラユニット、即ちMCUと、1又は複数の高電流ドライバと、直流電源とを備える、請求項4に記載の電源システム。
【請求項6】
前記電源アセンブリはキャパシタを更に備える、請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記トラッククリップへの前記車両の進入及び離脱に関する信号が前記少なくとも1組のセンサから前記マイクロコントローラユニットに送信されることで、前記マイクロコントローラユニットが車両の速度及び加速度を決定することが可能である、請求項4に記載の電源システム。
【請求項8】
前記1又は複数の電流ドライバと前記マイクロコントローラユニットによって、前記誘導コイルに向けられる電流の電圧が制御されて、生成される前記電磁場について所望の共振周波数が生じる、請求項5に記載の電源システム。
【請求項9】
前記車両電源アセンブリは、受電誘導コイル、整流器、DC-DCコンバータ、充電器、通信モジュール、及びスーパーキャパシタを備える、請求項1に記載の電源システム。
【請求項10】
前記キャパシタの容量は、前記キャパシタの電荷が車両動作に必要とされる時間に応じて変化し、前記容量は約0.2乃至4.7ファラドの範囲である、請求項9に記載の電力システム。
【請求項11】
固定されたトラック上の車両の電源を充電する方法であって、
少なくとも1つのトラッククリップを前記トラックのトラックセグメントに接続する工程であって、前記トラッククリップは、前記トラッククリップへの前記車両の進入と、前記トラッククリップからの前記車両の離脱とを検知するように動作する、工程と、
前記トラッククリップ内に電源アセンブリを収容する工程であって、前記電源アセンブリは、前記車両が前記トラッククリップにある場合に誘導コイルに電流を流して非接触電磁場でエネルギーを生成するように構成されている、電源アセンブリと、
車両電源アセンブリを前記車両に配置する工程であって、前記車両電源アセンブリは、前記車両に電力を供給するために電磁場エネルギーを変換して容量で格納するように構成されている、工程と、
を含んでおり、
前記車両電源アセンブリのキャパシタは、前記車両がトラッククリップを走行する際に充電される、方法。
【請求項12】
前記トラッククリップは、前記トラッククリップが接続されているトラックセグメントの底面と少なくとも同じ幅の平坦な上面を有しており、前記トラッククリップは、前記トラッククリップの上面が前記トラックセグメントの底面に対して静止するように接続される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記トラッククリップは前記トラックセグメント内に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記トラッククリップは、前記トラックセグメントの上方に延びる2つの対向する側面を有しており、前記車両が前記トラッククリップに入る時点と前記トラッククリップから離れる時点とを決定する少なくとも1組のセンサを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記電源アセンブリが、誘導コイルと、マイクロコントローラユニット、即ちMCUと、1又は複数の高電流ドライバと、直流電源とを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
前記電源アセンブリはキャパシタを更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記トラッククリップへの前記車両の進入及び離脱に関する信号が前記少なくとも1組のセンサから前記マイクロコントローラユニットに送信されて、前記マイクロコントローラユニットが車両の速度及び加速度を決定することが可能である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記1又は複数の電流ドライバと前記マイクロコントローラユニットによって、前記誘導コイルに向けられる電流の電圧が制御されて、生成される前記電磁場について所望の共振周波数が生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記車両電源アセンブリは、受電誘導コイル、整流器、DC-DCコンバータ、充電器、通信モジュール、及びスーパーキャパシタを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記キャパシタの容量は、前記キャパシタの電荷が車両動作に必要とされる時間に応じて変化し、前記容量は約0.2乃至4.7ファラドの範囲である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年9月1日に出願された米国仮出願第63/073,079号の優先権を主張するPCT国際出願であって、当該仮出願は、参照によって全体として本明細書の一部となる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、玩具のレース用又はトラックを用いる車両、セット、及びシステムに関しており、より詳細には、本発明は、そのような車両、セット、及びシステムに給電することに関する。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、玩具レースシステムは、玩具の車両と、車両が走行する相互接続されたトラックとを含む。車両は、限定ではないが、ばね及び/又は電池及び/又は電気モーターを含む様々な手段によって駆動される。幾つかのシステムでは、車両は、トラックの導電ストリップから電流を受け取る。別のシステムでは、車両をトラックに載せる前に充電する必要がある。
【0004】
使用前に充電を必要とするシステムは、子供(及び大人)にとって苛立たしいことがある。このようなシステムは、ユーザーに対して、何時レースシステムを使用したいかを予測して使用前に数時間まで車両を充電し、その後に、車両及びシステムで遊ぶことを要求するからである。このような予測及び計画により玩具にフラストレーションを感じて、好まない子供もいる。現在市販されている人気のレーストラックシステムの中で、使用前に車両を充電する必要がある例としては、Anki Overdriveシステムがある。Anki Overdrive車両は、10分間のフル充電で約12分間走行する。Anki Overdrive車両は、付属の充電プラットフォーム及びアダプタを使用して充電しなければならない。予め充電が必要なことは、走行時間が比較的短いこと(高速で使用すると短くなる)と相まって、ユーザーに対して遊び方を苛立たしく限定してしまう。また、事前充電と走行時間の短さとは、Anki Overdriveに限った問題ではなく、現在市販されている多くのレーシングシステムと車両に共通する問題である。本発明は、これらの問題及び要求に対処するために、車両がトラックを走行中に車両を充電するパワードライブキャパシタ、誘導式電源及び関連システムを提示する。
【発明の概要】
【0005】
以下の技術の要約は、限定ではないが、Anki Overdriveカーレースキットを含む車両レースキットのバッテリー代替品又は充電器として、スーパーキャパシタを使用する電源を説明する。
【0006】
本明細書で車両用電源アセンブリと称されるスーパーキャパシタは、Anki Overdriveシステム及び他の同様な電動玩具レースシステム及び/又はトラックを用いる車両システムにおける車両のモーター及び電子機器を駆動するために使用されている、限定ではないがニッケル水素電池等の現行のバッテリーを代替又は補完する。
【0007】
ある実施形態では、本発明の電源及びシステムは、既製の技術を再設計することなく、現行のAnki Overdriveスターターキット(又は同様なレースキット)に追加できるように設計されている。この実施形態では、既存のバッテリーの寸法に合ったプリント回路基板(「PCB」)を使用することで、そのバッテリーを本発明の車両電源アセンブリ基板に置き換えることで簡単な製造を可能としている。本発明のシステム及び方法は、以下を含む:(1)少なくとも1つのトラッククリップであって、トラックのトラックセグメントに接続されており、トラッククリップへの車両の進入とトラッククリップからの車両の離脱とを検知するように働く少なくとも1つのトラッククリップ、(2)トラッククリップ内に収容されており、車両がトラッククリップにある場合に誘導コイルに対する電流の向きを通じて非接触電磁場のエネルギーを生成するように構成された電源アセンブリ、(3)車両に配置されており、電磁エネルギーを変換して車両を給電するために容量で格納するように構成された車両電源アセンブリ。本発明のシステム及び方法は、車両がトラッククリップを走行すると、車両電源アセンブリのキャパシタが再充電されるように動作する。
【0008】
本明細書でより詳細に説明されるように、これらの構成要素は、説明されているようにして、又は僅かな変更と共に、現在利用可能な様々な車両レースシステム及び構成要素と共に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の理解を容易にするために、添付の図面と以下の説明とは、好ましい実施形態を示しており、本発明と、その構造、構成、及び動作方法の様々な実施形態と、多くの利点とを理解することができる。添付の図面は、本明細書の一部である。
【0010】
図1A図1Aは、車両レーストラックの一部を示す図であって、具体的には、トラックの側断面と、レーストラックにおける本発明のトラッククリップの一実施形態とを示す。
【0011】
図1B図1Bは、本発明に基づく車両のレーストラックの平面図である。
【0012】
図2図2は、本発明に基づく電源アセンブリの一実施形態のブロック図である。
【0013】
図3A図3Aは車両を示す図であって、車両電源アセンブリが従来の玩具レーシングカーのバッテリーから置き換わっている。
【0014】
図3B図3Bは、本発明の一実施形態に基づく車両電源アセンブリを示す図である。
【0015】
図4図4は、本発明の一実施形態に基づいて電源アセンブリから送られる所望のエネルギーを生成するためのプロセスステップのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が実施され得る例示的な実施形態を説明する。本発明は、しかしながら、多くの様々な方法で実施されてよく、本明細書の説明は、如何なるやり方でも限定的に解釈されるべきではない。とりわけ、以下の発明は、システム、方法、又は装置として実施されてよい。以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。添付の図面は、本明細書の一部となる。
【0017】
本明細書では、特許文献では一般的なように、「ある」という用語は、1つ又は複数を含むように使用される。この文書では、「又は」という用語は、特に断りのない限り、「A又はB」が「AだがBではない」、「BだがAではない」、及び「A及びB」を含むような、非排他的な「又は」を指すために使用される。更に、本明細書で参照されている出版物、特許、及び特許文献は、参照により個別に組み込まれているかのように、その全体が本明細書の一部となる。本明細書と参照により組み込まれた文書との間で語法が一致しない場合、組み込まれた参照文書での語法は本明細書の語法を補足するものとみなされるべきであって、両立しない不一致については本明細書での語法が優先する。
【0018】
本発明は、トラックを用いる車両がトラックを走行している間にそれら車両を充電するパワードライブキャパシタ、誘導式電源、及び関連するシステムである。本発明は、車両が充電可能なリチウムバッテリ(又はリチウムポリマーバッテリ)で駆動される玩具のレース用車両とシステムとで働く。本発明の利点は、使用前に(普通は別の充電ステーションで)充電する必要があったレーシングカーとシステムとに本発明を組み込む場合に最も当てはまる。本発明は、既存のレース車両及びシステムと組み合わせることができるが、新しい車両及びレースシステム、ロボット、又は、ベーストラックを使用する他の種類の玩具の構成要素として組み込まれて、販売されてもよい。本発明の目的のために、トラックは、任意の形状、サイズ、又は形態を有してよい。
【0019】
非限定的な例は、レースカー及びトラックシステムであろう。従来、レースカーは、トラック上でレースをする前に充電する必要があった。しかしながら、本発明は、充電されていない車を直ぐに使用することを可能にする。より具体的には、ユーザーは、トラッククリップと関連する電源アセンブリとが接続されているトラックに車を置く。しばらくすると(本例では約60秒)、車とトラッククリップのインジケーター(例えば、緑色の光)が、緑色のような予め設定された色に光る。車がトラック周りで駆動されるレース時間は、無制限になる。トラッククリップとトラックに接続された関連電源アセンブリの上を車が通るたびに、車両電源アセンブリのスーパーキャパシタが充電される。ユーザーがレースを中断することにした場合、車は休止モードになり、ほとんど電流が流れない。充電の大半がスーパーキャパシタに残っているので、ユーザーは、1時間後、2時間後、又は8時間後などに、レースを続けることができる。
【0020】
図1A及び図1Bに示すように、トラッククリップ11は、任意の直線状のトラックピース10(又は既製システムの同様なトラックピース)の下に取り付けられる。ある実施形態では、クリップ11はトラックピース10にスナップ留めされるが、他の形態のアタッチメントが利用されてもよい。クリップ11の各側面には、少なくとも1組の近接センサ12A及び近接センサ12Bが埋め込まれている。ある実施形態では、センサ11は赤外線センサであるが、車両又車13の動きを検出するように作用するような形態及び種類のセンサが使用されてよい。特に、図1Aを参照すると、左側のトラック10又はトラック10Aのセンサ12A及び12Bは、車両13がクリップ11に入る時点を特定して、車両13の速度及び加速度の計算を支援する。図1Aでは、車両13は矢印Aの方向に左から右に移動しており、第1の組のセンサ12A及びセンサ12Bは、後述するように、車両13と車両13の速度とを検出するように動作する。複数組のセンサ12A及びセンサ12Bを用いて、車両13の加速又は減速が検出されてよい。クリップ11はまた、インジケータライト16A及びインジケータライト16Bを有しており、それらは、車両13がトラッククリップ11内の電源アセンブリ20の上を走行する際に、車両13が充電されていると点灯し、及び/又は、緑色などの特定の色を生じる。本発明のトラッククリップ11は、様々な形状、サイズ、及びブランドのトラックピース10に適合するように様々な寸法に設計されてよい。
【0021】
或いは、本発明のトラッククリップ11は、任意の同様なトラックを用いる車両システムについて設計されて組み込まれてよい。例えば、クリップ11は、レースコースの直線トラックに直接埋め込まれてよい。別の実施形態では、図1Bに示すように、オプションのトラックアセンブリが使用されてよい。このオプションのトラックアセンブリは、矢印Bで示される第2の「ピットストップ」レーン10Aを提供する。トラッククリップ11は、この代替レーン10Aに配置されてよく、これにより、ピットストップのようなレース用途のために、メイントラック10に合流し、又はメイントラック10から降ることができる。図1Bの破線19は、直線トラック10の構成を示している(直線トラック10上に示された代替的ピットストップレーン10Aを除去)。
【0022】
本発明の標準的なスターターキットには1つのクリップ11のみが必要とされており、当該キットは一定の長さを有しており、4台の車13を使用することができる。より大きなトラック配置では、より多くのクリップ11を追加して、トラック10の広い領域にわたって全ての車13の充電を保証することができる。必要とされる追加のクリップ11の数を評価して特定するために、所定の速度で車13をトラックを回って移動させるテストコース走行を行い、必要なエネルギーを算出し、必要であれば更なるクリップ11を追加することも可能である。また、システムは、トラック10の特定の長さに対して望ましいクリップ11の数をリストアップしたチャートを提供してよい。
【0023】
図2を参照すると、電源アセンブリ20は、トラッククリップ11の平坦面(又は平坦部分)14内にて、トラック10の幅未満で埋め込まれている。電源アセンブリ20は、誘導コイル21と、マイクロコントローラユニット、即ちMCU22と、1又は複数の大電流ドライバ23と、直流、即ちDC電源24とを含む。動作中、電源24は電源アセンブリ20に電圧を供給する。ある実施形態では、図2に示すように、USBアダプタ25が使用されて電流を供給する。代替的な実施形態では、USBアダプタ25はまた、ユーザーからMCU22への外部通信を提供し、MCU22からユーザーへの出力を提供するために使用されてよい。USBアダプタ25が提供する電圧は、少なくとも5ボルトである。この電圧は、より速い速度とより長い距離の能力を車両13にもたらすために増加させてよい。コンセントや様々な外部バッテリーに接続する従来のワイヤー又はプラグのような、他の従来型のエネルギー源又はアダプタが同様の電圧範囲で使用されてよい。電流及び電力を供給するためにコンセントを使用する場合、AC電流をDC電流に変換するコンバータが必要とされる。
【0024】
コイルに通電して、トラック10又はトラック10Aを介して車両電源構成要素30(図3に示す)の受電誘導コイル31と結合する非接触電磁誘導場を送るために、電流が誘導コイル21に向けられる。コイル21に向けられる電圧の量は1又は複数の高電流ドライバ23によって制御され、生成される非接触電磁誘導場の所望の共振周波数を生じるために、高電流ドライバ23は、MCU22によって指示されたようにコイル21のコイルを発振させる。コイル21は、ある実施形態ではTXコイルであるが、誘導に使用可能な他の既知の種類のコイルが使用されてよい。ドライバ23及びMCU22は、説明した本発明のシステムで使用可能な標準的な構成要素である。コイル21を介して十分なエネルギーが供給されることを保証するため、MCU22と併せてキャパシタ26も使用されて、コイル21に通電するために十分な電流が供給される。
【0025】
関係する大電流のために、コイル21の連続的な充電は可能ではない。このため、上述したように、センサ12A及びセンサ12Bが用いられて、パワードライブクリップ11に入る車13を検出する。センサ12A及びセンサ12BはMCU22に接続されており、それらによって、車13の速度がMCUコントローラ22によって計算され、MCU22は、その後、車13が電源アセンブリ20上を走行している間に生成される非接触電磁場に必要とされるパルス又は場の「オン時間」を指示する。このプロセスは、車13へのフル充電を確実にするために、どれだけのエネルギーがその車のクリップ13に送られるかを決定する。より具体的には、車両13の速度が、センサ12A及びセンサ12Bによって検出された車両13の前輪と後輪の通過の時間差を測定することによって決定される。前輪と後輪の間の距離は予め設定されて一定にされており、この時間差は速度決定のためにMCU22に送られる。元の組のセンサ12A及びセンサ12Bの間の距離もプリセットされており、決定された車両13の速度に基づいて、MCU22はまた、車両13が電源アセンブリ20に移動した時点と、車両13が電源アセンブリ20上にいる時間とを決定する。
【0026】
MCU22はまた、コイル21によって伝えられる電力の大きさと期間とを決定する。コイル21は、長時間電力を供給することはできない。その過程で熱が発生するからである。例えば、25ワットの電力が生じると、かなりの熱が発生するであろう。故に、発電の「オン時間」は、車両13が電力を受け取ることができる期間に限定する必要がある。故に、更なる実施形態では、MCU22は、外部の鉄材がコイル21に接触したか否かを検出することができる。この検出は、コイル21から周期的な短いパルスを低エネルギーで発することによってバースト検出を使用する既知のプロセスを通じて行われる。このパルスは、例えば、1秒ごとに発生させることができる。この同じプロセスは、標準的な金属探知器で使用されている。MCU22は、コイル21によって生成された波形を監視及びサンプリングするように動作し、外部の鉄材がトラック10又はトラック10A上にある場合、この波形は歪む。
【0027】
同時に、電力は、同じプロセスによって再度充電されるまで、所定のトラックの長さにわたって所望の速度で車両13を動かすのに十分である必要がある。MCU22は、この決定を、とりわけ、(1)車両13の速度、(2)トラック10の長さ、(3)コイル21に送られる電圧量、(4)コイル21のターン数、(5)車両13の所望の最高速度、(6)再充電までの所望の周回数に基づいて行う。速度及び距離に関する所望の性能に基づいて、コイル21の電力は、MCU22を介して約5ワットから25ワットまで変化してよい。
【0028】
この場の「オンタイム」は、MCU22による計算に応じて、レースの実際の燃料効率をシミュレーションするために変化させることができる。また、フォーミュラ1のレーシングカーのように、ピットレーン10Aを走行中に車13を減速させることも可能である。これは、車の運転方法に応じて燃料が制限されるNASCARと同様である。車13の速度は、典型的には、スマートフォン又はスマートタブレットのアプリケーションを介してユーザーによって制御され、このアプリケーションは、本発明では扱われない別個の構成要素を介して車13と通信する。
【0029】
動作中、図4に示すように、MCU22は、方法の以下のステップを制御する:(ステップ41)電源アセンブリ20の範囲内にある物体を確認するための短い(例えば、1ミリ秒パルス)周期的な放射(例えば、1秒毎);(ステップ42)車両13が検出されるとセンサ12A及びセンサ12Bからの送信を受信;(ステップ43)車両速度を決定;(ステップ44)コイル21から送る所望のエネルギーを決定;(ステップ45)車両13が電源アセンブリ21上にある場合に、及び/又は充電が起こっている場合に、(MCU22に接続されている)インジケータライト16A及びインジケータライト16Bを起動。この最後のステップは任意であるが、インジケータライトは他の機能を実行してよい。例えば、インジケータライト16A及びインジケータライト16Bは、レースの開始(例えば、赤から緑へ)又はレースの終了を知らせるように制御されてよい。これは、レース会場のスタート用レーシングライトと非常によく似ており、アプリケーションや他のドライバとのレースの際に、リアルな興奮を一層加える。また、ステップ43に関連して、MCU22は、必要に応じて、センサ12A及びセンサ12Bとコイル21との間の距離に応じて、車両13がコイル21上方に位置する時間を決定してよい。この決定は、車両13の速度と、センサ12A及びセンサ12Bとコイル21の間の既知の距離とに基づいて行われる。この時間の決定は、コイル21からの電力伝達の早過ぎる又は後れた活性化とそれに関連する不必要な熱の発生とを排除する。
【0030】
図3A及び図3Bを参照すると、車両電源アセンブリ30は、バッテリーの代わりの電源として、車両13にクリップ留められ、又は挿入されてよい。電源アセンブリ30は、誘導受電コイル31、整流器32、DC-DCコンバータ33、充電器34、通信モジュール35、及びスーパーキャパシタ36を含む。動作中、車13が標準的なトラック10又はピットレーン10Aのクリップ11を通過すると、誘導コイル21によって生成された非接触電磁場が受電コイル31と結合する。受電コイルは、好ましくはRXコイルであるが、他のコイル形態が用いられてもよい。受電コイル31は、車両13に取り付けるためのクリップ又は内部インサートの何れかを介して、車両13の底部付近に配置される。車両電源アセンブリ30が車両13にクリップ留めされている場合、受電コイル31は、車両13のシャーシ下にあるPCBに配置される。アセンブリ30が車両13に配置されると、受電コイル31は同様にアセンブリ30の底部に配置される。これらの実施形態の何れでも、少なくとも1~2mmの空隙が必要とされる。その後、受電コイル31に電流が生じて、整流器32によって整流され、フィルタリングされ、スーパーキャパシタ36の充電に向けられる。具体的には、整流器32はAC電流をDC電流に変換する。DC-DCコンバータ33は、その電流の電圧を調整する。充電器34は、車両13に電力を供給する。この電力は、標準的なバッテリーの充電、切れたバッテリーの活性化、又はその他のバッテリーの代替を含む、代替的方法で提供されてよい。通信モジュールは、車両電源アセンブリ30の電圧を含む動作パラメータについて、Bluetooth(登録商標)などによるユーザーへの無線通信を生成する。スーパーキャパシタ36の静電容量値は、そのキャパシタの電荷がどのくらい持続する必要があるかに依存するであろう。これらの値は、キャパシタ36の大抵の実施形態では、約0.2F(ファラド)から4.7Fの範囲となるであろう。なお、この値は、車両13の大きさと、構成要素30に利用可能な内部空間とによって制限されることがある。
【0031】
キャパシタ36の静電容量が大きいことから、蓄えられたエネルギーは時間と共に消散して、トラックに沿って車13を移動させるモーターを給電する。車13がトラッククリップ11に入るたびに、車13はスーパーキャパシタ36を充電し、トラックレイアウトの次の一周を完了するために十分なエネルギーを与える。これにより、トラック上の車13の走行時間を無限にすることができる。車13がどのように運転されるかに応じて、この充電は約60秒から数分又は数時間続く。
【0032】
車13がトラックに置かれると、キャパシタ36は大抵の場合放電しており、エネルギーを有さない。このため、車13が少なくとも1時間トラックから離れていた場合においてレースを開始する前に車13をクリップ11に置くことで、キャパシタ36を充電することができる。
【0033】
以上説明したように、本発明のパワードライブクリップ及びシステムは、様々な既製のレースシステムと組み合わせること、又は、販売前のシステムに組み込むことができる。トラックの長さと、車両の電力需要と、使用されている車両の数とに応じて、任意の数のパワードライブクリップ及びシステムがレーストラックで使用されてよい。パワードライブクリップ及びシステムは、メインのレーストラックに一体化されてよく、サイドトラック又はピットレーンに組み込まれてもよい。更に、本発明はレーストラックに関連して説明されたが、鉄道模型、ロボット、ドローンなど、基本的に電源を必要とするものであれば何でも、同様のバッテリー構造を動力に使用する他のトラックを用いる玩具又は装置に組み込むことができることは、当業者には明らかであろう。
【0034】
本発明は、その具体的な実施形態を参照しながら詳細に説明されたが、実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更又は修正を加えることができることは、当業者には明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に入ることを条件に、本発明の全ての修正及び変形を含むことが意図されている。とりわけ、本発明は、方法又は装置として具現化することができる。本発明の様々な実施形態の詳細な説明は、限定的な意味で取られるべきではない。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】