(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】成形相互接続デバイス
(51)【国際特許分類】
H05K 1/03 20060101AFI20230906BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230906BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20230906BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20230906BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20230906BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20230906BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
H05K1/03 610H
C08K3/013
C08L67/00
H05K1/03 610R
H05K3/00 N
H05K3/18 A
H05K3/10 E
H01L23/14 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581419
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 US2021041513
(87)【国際公開番号】W WO2022026178
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン・シン
【テーマコード(参考)】
4J002
5E343
【Fターム(参考)】
4J002CF161
4J002CF181
4J002DG056
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002FD016
4J002GQ01
5E343AA16
5E343BB01
5E343BB23
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5E343CC75
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5E343ER04
5E343ER45
5E343GG20
(57)【要約】
基板、および基板上に配置された導電素子を含む成形相互接続デバイスが提供される。基板は、サーモトロピック液晶ポリマーを含むポリマーマトリックス、およびポリマーマトリックス100重量部あたり約10重量部~約80重量部を含有するポリマー組成物を含む。鉱物充填剤は、約25マイクロメートル以下の平均直径を有する。ポリマー組成物は、約1,000ppm以下の量の銅および約2,000ppm以下の量のクロムを含有し、さらに約1×1014オーム以上の表面抵抗率を示す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形相互接続デバイスであって、
サーモトロピック液晶ポリマーを含むポリマーマトリックス、および前記ポリマーマトリックス100重量部あたり約10重量部~約80重量部の鉱物充填剤を含有するポリマー組成物を含む基板であって、前記鉱物充填剤が約25マイクロメートル以下の平均直径を有し、前記ポリマー組成物が、約1,000ppm以下の量の銅および約2,000ppm以下の量のクロムを含有し、さらに前記ポリマー組成物が、IEC62631-3-1:2016に従って決定される約1×10
14オーム以上の表面抵抗率を示す基板、ならびに
前記基板上に配置された導電素子
を含む、前記成形相互接続デバイス。
【請求項2】
前記ポリマー組成物が、式AB
2O
4を有するスピネル結晶を含まず、Aが2の原子価を有する金属カチオンであり、Bが3の原子価を有する金属カチオンである、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項3】
前記ポリマー組成物が亜クロム酸銅を含まない、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項4】
前記ポリマー組成物が、IEC62631-3-1:2016に従って決定される約1×10
12オーム・m以上の体積抵抗率を示す、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項5】
前記ポリマー組成物が、IEC62631-3-1:2016に従って決定される約1×10
16オーム以上の表面抵抗率を示す、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項6】
前記ポリマー組成物が、約0.1オーム・cm未満の固有体積抵抗率を有する導電性充填剤を含まない、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項7】
前記ポリマー組成物が導電性炭素材料を含まない、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項8】
前記ポリマーマトリックスが、前記ポリマー組成物の約30wt.%~約80wt.%を構成する、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項9】
前記液晶ポリマーが約280℃以上の溶融温度を有する、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項10】
前記液晶ポリマーが、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する1種または複数の繰り返し単位を含有し、前記ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が前記ポリマーの約40mol.%以上を構成する、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項11】
前記液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、またはそれらの組合せに由来する繰り返し単位を含有する、請求項10に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項12】
前記液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸に由来する繰り返し単位を前記ポリマーの約30mol.%~約90mol.%の量で含有し、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する繰り返し単位を前記ポリマーの約1mol.%~約30mol.%の量で含有する、請求項11に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項13】
前記液晶ポリマーが、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ヒドロキノン、4,4’-ビフェノール、アセトアミノフェン、4-アミノフェノール、またはそれらの組合せに由来する繰り返し単位をさらに含有する、請求項10に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項14】
前記ポリマー組成物が、ASTM E1461-13に従って決定される約1W/m・K以上の面内熱伝導率および/またはASTM E1461-13に従って決定される約0.2W/m・K以上の面直熱伝導率を示す、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項15】
前記鉱物充填剤が鉱物粒子を含有する、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項16】
前記鉱物粒子が、タルク、マイカ、シリカまたはそれらの組合せを含む、請求項14に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項17】
前記鉱物充填剤が鉱物繊維を含有する、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項18】
前記鉱物繊維が珪灰石を含む、請求項17に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項19】
前記鉱物繊維が、約40~約220マイクロメートルのメジアン長を有する、請求項17に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項20】
前記鉱物繊維が約2~約50のアスペクト比を有する、請求項17に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項21】
前記ポリマー組成物が、1,000s
-1のせん断速度および前記組成物の溶融温度を15℃超える温度で、ISO試験No.11443:2014に従って決定される約10~約250Pa・sの溶融粘度を有する、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項22】
前記導電素子が金属を含む、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項23】
前記基板に相互接続パターンの形でチャネルが形成され、前記導電素子が前記チャネル内に配置された、請求項1に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項24】
前記導電素子が第1の金属層および第2の金属層を含む、請求項23に記載の成形相互接続デバイス。
【請求項25】
前記基板の表面をレーザーでアブレーションして相互接続パターンを形成するステップ、および前記相互接続パターン内の前記基板上に前記導電素子を堆積させるステップを含む、請求項1に記載の成形相互接続デバイスを形成するための方法。
【請求項26】
前記導電素子が、前記相互接続パターン内にシード層を堆積させ、その後その上に金属を電解メッキすることを含むプロセスによって形成される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記シード層が導電性ペーストを含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出題の相互参照
[0001]本出願は、いずれも参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第63/057,345号(出願日2020年7月28日)、第63/057,349号(出願日2020年7月28日)、第63/057,353号(出願日2020年7月28日)、ならびに米国特許出願第17/178,292号(出願日2021年2月18日)、第17/178,295号(出願日2021年2月18日)、第17/178,312号(出願日2021年2月18日)、および第17/184,948号(出願日2021年2月25日)の出願利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]様々な電子構成部品を形成するために、その上に導電素子または経路が形成されたプラスチック基板を含む成形相互接続デバイス(MID)がしばしば形成される。したがって、このようなMIDデバイスは、集積印刷導体または回路レイアウトを有する三次元成型部品である。MIDは、典型的に、コンピュータ制御されたレーザービームがプラスチック基板上を移動し、導電経路が位置する場所でその表面を活性化するレーザーディレクトストラクチャリング(「LDS」)プロセスを使用して形成される。レーザーディレクトストラクチャリングデバイスのプラスチック基板を形成するために、様々な材料が提案されている。例えば、そのような材料の1つは、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、および亜クロム酸銅(Cu2CrO4)のブレンドである。レーザーディレクトストラクチャリングプロセスでは、亜クロム酸銅が割れて金属原子を放出し、これが後続の無電解銅メッキプロセスで結晶成長の核として作用し得る。その利点にもかかわらず、レーザーディレクトストラクチャリング材料の限界の1つは、スピネル結晶が特定の状況下で組成物の性能に悪影響を及ぼす傾向があることである。さらに、潜在的な環境上の懸念のために、銅およびクロムなどの重金属の使用を最小限に抑えることがますます望ましくなっている。そのため、現在、従来のLDSプロセスを使用せずに導電素子を容易に形成することができる成形相互接続デバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]本発明の一実施形態によると、基板、および基板上に配置された導電素子を含む成形相互接続デバイスが開示される。基板は、サーモトロピック液晶ポリマーを含むポリマーマトリックス、およびポリマーマトリックス100重量部あたり約10重量部~約80重量部の鉱物充填剤を含有するポリマー組成物を含む。鉱物充填剤は、約25マイクロメートル以下の平均直径を有する。ポリマー組成物は、約1,000ppm以下の量の銅および約2,000ppm以下の量のクロムを含有し、さらにIEC62631-3-1:2016に従って決定される約1×1014オーム以上の表面抵抗率を示す。
【0004】
[0004]本発明の他の特色および態様が、以下により詳細に記載される。
[0005]本発明の完全かつ実施可能な開示が、当業者に対するその最良の形態を含め、添付の図面への参照を含む本明細書の残り部分でより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0006]電子デバイスを形成するために利用可能な製造プロセスの一実施形態のフロー図である。
【
図2】[0007]
図1に示された製造プロセスの斜視図であり、電子デバイスの形成中のキャリア上の様々な段階での基板が示される。
【
図3】[0008]キャリアから分離した後の
図2に示された電子デバイスの斜視図である。
【
図4】[0009]
図1に示す製造プロセスで使用可能なリールツーリールキャリアの一実施形態の斜視図である。
【
図5】[0010]基板上に導電素子を形成するための一実施形態の概略図である。
【
図6】[0011]
図1の製造プロセスで利用可能な追加のステップを示すフロー図である。
【
図7】[0012]自動車用ライトの形態の電子デバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図8】[0013]
図7に示された電子デバイスの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0014]本考察は、例示的な実施形態の説明にすぎず、本発明のより広範な態様を制限するものではないことが当業者によって理解される。
[0015]一般に、本発明は、基板およびその上に配置された導電素子を含有する成形相互接続デバイスに関する。基板は、鉱物充填剤およびサーモトロピック液晶ポリマーを含有するポリマーマトリックスを含むポリマー組成物を含有する。これらおよびポリマー組成物の他の成分の特定の性質とともにそれらの相対濃度を選択的に制御することにより、本発明者は、得られる組成物が、従来のレーザーディレクトストラクチャリングシステムを使用せずに容易にメッキ可能であることを発見した。例えば、鉱物充填剤は、基板上に相互接続パターンを形成するために使用される技術(例えば、レーザーアブレーション)を実質的に妨害しないように十分に小さいサイズを有してもよい。より詳細には、鉱物充填剤は、例えばレーザー回折分析器(例えば、Microtrac S3500)によって決定される約25マイクロメートル以下、一部の実施形態では約0.1~約15マイクロメートル、一部の実施形態では約0.5~約14マイクロメートル、一部の実施形態では約1~約13マイクロメートルのメジアン径を有してもよい。相互接続パターンの作成を妨害しないことに加えて、上述したサイズ特徴を有する鉱物充填剤は、成型機器を通ってより容易に移動することもでき、これによりポリマーマトリックス内の分布が向上し、表面欠陥の生成が最小になると考えられる。
【0007】
[0016]基板は、レーザーディレクトストラクチャリングシステムを使用せずにメッキすることができるため、ポリマー組成物は、レーザー活性化可能な添加剤として亜クロム酸銅(CuCr2O4)を使用せずに有益に形成することができる。この点に関して、得られるポリマー組成物は、一般にクロムおよび/または銅を含まなくてもよい。例えば、クロムは、約2,000ppm(「ppm」)以下、一部の実施形態では約1,500ppm以下、一部の実施形態では約1,000ppm以下、一部の実施形態では約0.001~約500ppmの量で組成物中に存在してもよく、一方、銅は一般に、約1,000ppm以下、一部の実施形態では約750ppm以下、一部の実施形態では約500ppm以下、一部の実施形態では約0.001~約100ppmの量で組成物中に存在する。銅およびクロムの含有量は、X線透視法(例えば、Si-PiNダイオード検出器を備えたInnov-X Systems Model a-2000X線蛍光分光器)などの公知の技術を使用して決定することができる。当然ながら、クロム酸銅とは別に、ポリマー組成物は、他の種類の従来のレーザー活性化可能な添加剤、例えば、式AB2O4を有するスピネル結晶を一般に含まない場合もあり、Aは2の原子価を有する金属カチオン(例えば、カドミウム、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、スズ、またはチタン)であり、Bは3の原子価を有する金属カチオン(例えば、クロム、鉄、アルミニウム、ニッケル、マンガン、またはスズ)である(例えば、MgAl2O4、ZnAl2O4、FeAl2O4、CuFe2O4、MnFe2O4、NiFe2O4、TiFe2O4、FeCr2O4、またはMgCr2O4)。ポリマー組成物は、そのようなスピネル結晶を含まなくてもよい(すなわち、0wt.%)か、またはそのような結晶は、約1wt.%以下、一部の実施形態では約0.5wt.%以下、一部の実施形態では約0.001wt.%~約0.2wt.%の量のような低い濃度でのみ存在してもよい。
【0008】
[0017]ポリマー組成物は、成形相互接続デバイスで使用するための良好な絶縁特性を基板に付与するのを助けるために、比較的高度の電気抵抗を示すこともできる。表面抵抗率は、例えば、例えばIEC62631-3-1:2016に従って約20℃の温度で決定される約1×1014オーム以上、一部の実施形態では約1×1015オーム以上、一部の実施形態では約1×1016オーム以上、一部の実施形態では約1×1017オーム以上であってもよい。体積抵抗率は、同様に、例えばIEC62631-3-1:2016に従って約20℃の温度で決定される約1×1012オーム・m以上、一部の実施形態では約1×1013オーム・m以上、一部の実施形態では約1×1014オーム・m以上、一部の実施形態では約1×1015オーム・m以上であってもよい。そのような値を達成するのを助けるために、組成物は、高度な電気伝導率を有する従来の材料を一般に含まないことが一般に望ましい。例えば、ポリマー組成物は、例えば約20℃の温度で決定される約1オーム・cm未満、一部の実施形態では約0.1オーム・cm未満、一部の実施形態では約1×10-8~約1×10-2オーム・cmの固有体積抵抗率を有する導電性充填剤を一般に含まなくてもよい。このような導電性充填剤の例として、例えばグラファイト、導電性カーボンブラック、炭素繊維、グラフェン、カーボンナノチューブなどの導電性炭素材料;金属(例えば、金属粒子、金属フレーク、金属繊維など);イオン液体などを挙げることができる。通常、そのような導電性材料の存在を最小限に抑えることが望ましいが、それにもかかわらず、それらは特定の実施形態でポリマー組成物の約5wt.%以下、一部の実施形態では約2wt.%以下、一部の実施形態では約1wt.%以下、一部の実施形態では約0.5wt.%以下、一部の実施形態では約0.001wt.%~約0.2wt.%の量のような比較的少ないパーセンテージで存在してもよい。
【0009】
[0018]ここで、本発明の種々の実施形態をより詳細に記載する。
I.ポリマー組成物
A.ポリマーマトリックス
[0019]ポリマーマトリックスは、一般にポリマー組成物の約30wt.%~約90wt.%、一部の実施形態では約30wt.%~約80wt.%、一部の実施形態では約40wt.%~約75wt.%、一部の実施形態では約50wt.%~約70wt.%の量の1種または複数の液晶ポリマーを典型的に含有する。液晶ポリマーは、一般的に棒状構造を有し、それらの溶融状態(例えば、サーモトロピックネマチック状態)で結晶挙動を示すことができる限り、「サーモトロピック」と分類される。ポリマーは、約280℃以上、一部の実施形態では約280℃~約400℃、一部の実施形態では約290℃~約390℃、一部の実施形態では約300℃~約380℃のような比較的高い溶融温度を有する。そのようなポリマーは、当技術分野で公知のように1つまたは複数の種類の繰り返し単位から形成されてもよい。液晶ポリマーは、例えば、一般に以下の式(I):
【0010】
【0011】
(式中、
環Bは、置換または非置換の6員アリール基(例えば、1,4-フェニレンまたは1,3-フェニレン)、置換または非置換の5または6員アリール基に縮合した置換または非置換の6員アリール基(例えば2,6-ナフタレン)、あるいは置換または非置換の5または6員アリール基に連結した置換または非置換の6員アリール基(例えば4,4-ビフェニレン)であり;
Y1およびY2は、独立してO、C(O)、NH、C(O)HN、またはNHC(O)である)
によって表される1つまたは複数の芳香族エステル繰り返し単位を含有してもよい。
【0012】
[0020]典型的に、Y1およびY2の少なくとも1つはC(O)である。そのような芳香族エステル繰り返し単位の例として、例えば芳香族ジカルボン酸繰り返し単位(式I中Y1およびY2はC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位(式I中Y1はOであり、Y2はC(O)である)、ならびにこれらの種々の組合せを挙げることができる。
【0013】
[0021]例えば、4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにこれらの組合せなどの芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が利用されてもよい。特に好適な芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)である。利用される場合、ヒドロキシカルボン酸(例えばHBAおよび/またはHNA)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約40mol.%以上、一部の実施形態では約45mol.%以上、一部の実施形態では約50mol.%~100mol.%を構成する。一実施形態では、例えば、HBAに由来する繰り返し単位は、ポリマーの約30mol.%~約90mol.%、一部の実施形態ではポリマーの約40mol.%~約85mol.%、一部の実施形態ではポリマーの約50mol.%~約80mol.%を構成してもよい。同様に、HNAに由来する繰り返し単位は、ポリマーの約1mol.%~約30mol.%、一部の実施形態ではポリマーの約2mol.%~約25mol.%、一部の実施形態ではポリマーの約3mol.%~約15mol.%を構成してもよい。
【0014】
[0022]また、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにこれらの組合せなどの芳香族ジカルボン酸に由来する芳香族ジカルボン酸繰り返し単位が利用されてもよい。特に好適な芳香族ジカルボン酸として、例えばテレフタル酸(「TA」)、イソフタル酸(「IA」)、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)を挙げることができる。利用される場合、芳香族ジカルボン酸(例えば、IA、TA、および/またはNDA)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約1mol.%~約50mol.%、一部の実施形態では約2mol.%~約40mol.%、一部の実施形態では約5mol.%~約30mol.%を構成する。
【0015】
[0023]他の繰り返し単位もポリマーに利用することができる。例えば、特定の実施形態では、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(または4,4’-ビフェノール)、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにこれらの組合せなどの芳香族ジオールに由来する繰り返し単位が利用されてもよい。特に好適な芳香族ジオールとして、例えばヒドロキノン(「HQ」)および4,4’-ビフェノール(「BP」)を挙げることができる。利用される場合、芳香族ジオール(例えば、HQおよび/またはBP)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約1mol.%~約30mol.%、一部の実施形態では約2mol.%~約25mol.%、一部の実施形態では約5mol.%~約20%を構成する。また、芳香族アミド(例えば、アセトアミノフェン(「APAP」))および/または芳香族アミン(例えば、4-アミノフェノール(「AP」)、3-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンなど)に由来するものなどの繰り返し単位が利用されてもよい。利用される場合、芳香族アミド(例えば、APAP)および/または芳香族アミン(例えば、AP)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約0.1mol.%~約20mol.%、一部の実施形態では約0.5mol.%~約15mol.%、一部の実施形態では約1mol.%~約10mol.%を構成する。また、ポリマーに種々の他のモノマー繰り返し単位が導入されてもよいことが理解されるべきである。例えば、特定の実施形態では、ポリマーは、脂肪族または脂環式ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミンなどの非芳香族モノマーに由来する1つまたは複数の繰り返し単位を含有してもよい。当然ながら、他の実施形態では、ポリマーは非芳香族(例えば、脂肪族または脂環式)モノマーに由来する繰り返し単位を含まないという点で「全芳香族」であってもよい。
【0016】
[0024]必ずしも必要ではないが、液晶ポリマーは、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸(「NDA」)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)またはこれらの組合せなどの、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸およびナフテン系ジカルボン酸に由来する繰り返し単位を比較的低い含有量で含有する限り、「低ナフテン」ポリマーであってもよい。つまり、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNAまたはHNAとNDAの組合せ)に由来する繰り返し単位の合計量は、典型的にポリマーの約15mol.%以下、一部の実施形態では約10mol.%以下、一部の実施形態では約1mol.%~約8mol.%である。
【0017】
B.鉱物充填剤
[0025]上述のように、ポリマー組成物は、ポリマーマトリックス内に分布された1種または複数の鉱物充填剤も含有する。そのような鉱物充填剤は、典型的にポリマーマトリックス100重量部あたり約10~約80部、一部の実施形態では約20~約70部、一部の実施形態では約30~約60部を構成する。鉱物充填剤は、例えば、ポリマー組成物の約5wt.%~約70wt.%、一部の実施形態では約10wt.%~約60wt.%、一部の実施形態では約10wt.%~約55wt.%、一部の実施形態では約25wt.%~約40wt.%を構成してもよい。
【0018】
[0026]鉱物粒子、鉱物繊維(または「ウィスカー」)など、およびそのブレンドのように、ポリマー組成物に利用される鉱物充填剤の性質は変化してもよい。好適な鉱物繊維として、例えばシリケート、例えばネオシリケート、ソロシリケート、イノシリケート(例えば、珪灰石などのカルシウムイノシリケート;トレモライトなどのカルシウムマグネシウムイノシリケート;アクチノライトなどのカルシウムマグネシウム鉄イノシリケート;アントフィライトなどのマグネシウム鉄イノシリケートなど)、フィロシリケート(例えば、パリゴルスカイトなどのアルミニウムフィロシリケート)、テクトシリケートなど;硫酸カルシウムなどの硫酸塩(例えば、脱水または無水石膏);鉱物ウール(例えば、ロックまたはスラグウール)などに由来するものを挙げることができる。商品名NYGLOS(登録商標)(例えば、NYGLOS(登録商標)4WまたはNYGLOS(登録商標)8)でNyco Mineralsから入手可能な珪灰石繊維などのイノシリケート(例えば、カルシウムイノシリケートまたはCaSiO3)が特に好適である。そのような珪灰石繊維は、例えば、およそ50%のCaO、およそ50%のSiO2、ならびに様々な他の微量成分、例えばFe2O3、Al2O3、MnO、MgO、TiO2、およびK2Oを含有してもよい。前述のように、鉱物繊維は、一般に、例えばレーザー回折分析器(例えば、Microtrac S3500)によって決定される約25マイクロメートル以下、一部の実施形態では約0.1~約15マイクロメートル、一部の実施形態では約0.5~約14マイクロメートル、一部の実施形態では約1~約13マイクロメートルのメジアン径のような小さなサイズを有する。鉱物繊維はまた、狭いサイズ分布を有してもよい。つまり、繊維の少なくとも約60体積%、一部の実施形態では繊維の少なくとも約70体積%、一部の実施形態では繊維の少なくとも約80体積%が、上記の範囲内のサイズを有してもよい。上述のように小さなメジアン径を有することに加え、鉱物繊維は、得られるポリマー組成物の特性をさらに向上させるのを助けるために、比較的高いアスペクト比(メジアン長をメジアン径で除したもの)を有してもよい。例えば、鉱物繊維は、約1.1~約100、一部の実施形態では約2~約50、一部の実施形態では約4~約30、一部の実施形態では約8~約20のアスペクト比を有してもよい。そのような鉱物繊維のメジアン長は、例えば、例えばレーザー回折分析器(例えば、Microtrac S3500)によって決定される約1~約300マイクロメートル、一部の実施形態では約5~約250マイクロメートル、一部の実施形態では約40~約220マイクロメートル、一部の実施形態では約60~約200マイクロメートルの範囲であってもよい。
【0019】
[0027]他の好適な鉱物充填剤は、鉱物粒子である。前述のように、鉱物粒子は、例えばレーザー回折分析器(例えば、Microtrac S3500)によって決定される約25マイクロメートル以下、一部の実施形態では約0.1~約15マイクロメートル、一部の実施形態では約0.5~約14マイクロメートル、一部の実施形態では約1~約13マイクロメートルのメジアン径を有してもよい。粒子の形状は、例えば顆粒状、フレーク形状などのように所望通り異なってもよい。例えば約4以上、一部の実施形態では約8以上、一部の実施形態では約10~約500などの比較的高いアスペクト比(例えば、平均直径を平均厚さで除したもの)を有するフレーク形状の粒子が利用されてもよい。同様に、そのようなフレーク形状の粒子の平均厚さは、約2マイクロメートル以下、一部の実施形態では約5ナノメートル~約1マイクロメートル、一部の実施形態では約20ナノメートル~約500ナノメートルであってもよい。それらの形状およびサイズにかかわらず、粒子は典型的に、天然および/もしくは合成シリカまたはケイ酸塩鉱物、例えばタルク、マイカ、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、パイロフィライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、珪灰石、シリカなどから形成される。タルク、マイカおよびシリカが特に好適である。例えば、白雲母(KAl2(AlSi3)O10(OH)2)、黒雲母(K(Mg,Fe)3(AlSi3)O10(OH)2)、金雲母(KMg3(AlSi3)O10(OH)2)、紅雲母(K(Li,Al)2-3(AlSi3)O10(OH)2)、海緑石(K,Na)(Al,Mg,Fe)2(Si,Al)4O10(OH)2)などを含む任意の形態のマイカが一般的に利用されてもよい。白雲母ベースのマイカが、ポリマー組成物で使用するのに特に好適である。
【0020】
[0028]鉱物充填剤の種類および相対量を選択的に調整することによって、本発明者は、ポリマー組成物をメッキすることができるだけでなく、ポリマー組成物の他の特性に大きな影響を与えることなく熱伝導率を高めることができることを発見した。とりわけ、これにより、組成物は、「ホットスポット」を迅速に排除することができ、使用中に全体の温度を低下させることができるように、得られる電子デバイスから離れる熱伝達のための熱経路を作成することが可能になる。組成物は、例えば、ASTM E 1461-13に従って決定される約1W/m・K以上、一部の実施形態では約1.2W/m・K以上、一部の実施形態では約1.5W/m・K以上、一部の実施形態では約1.8W/m・K以上、一部の実施形態では約2~約5W/m・Kの面内熱伝導率を示してもよい。組成物はまた、ASTM E 1461-13に従って決定される約0.2W/m・K以上、一部の実施形態では約0.3W/m・K以上、一部の実施形態では約0.4W/m・K以上、一部の実施形態では約0.5~約2W/m・Kの面直熱伝導率を示してもよい。注目すべきことに、そのような熱伝導率は、高度の固有熱伝導率を有する従来の材料を使用することなく達成できることが発見された。例えば、ポリマー組成物は、一般に50W/m・K以上、一部の実施形態では100W/m・K以上、一部の実施形態では150W/m・K以上の固有熱伝導率を有する充填剤を含まなくてもよい。そのような高い固有熱伝導率の材料の例として、例えば窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素マグネシウム、グラファイト(例えば、膨張化グラファイト)、炭化ケイ素、カーボンナノチューブ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、アルミニウム粉末、および銅粉末を挙げることができる。通常はそのような高い固有熱伝導率の材料の存在を最小にすることが望ましいが、それらは、それにもかかわらず、特定の実施形態ではポリマー組成物の約5wt.%以下、一部の実施形態では約2wt.%以下、一部の実施形態では約1wt.%以下、一部の実施形態では約0.5wt.%以下、一部の実施形態では約0.001wt.%~約0.2wt.%の量のような比較的低いパーセンテージで存在してもよい。
【0021】
C.任意選択の成分
[0029]ガラス繊維、衝撃改質剤、滑剤、顔料(例えば、カーボンブラック)、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、難燃剤、垂れ防止添加剤、核形成剤(例えば、窒化ホウ素)、ならびに特性および加工性を向上させるために添加される他の材料などの、多種多様なさらなる添加剤もポリマー組成物に含まれてもよい。例えば、滑剤は、ポリマー組成物の約0.05wt.%~約1.5wt.%、一部の実施形態では約0.1wt.%~約0.5wt.%(重量)の量でポリマー組成物中に利用されてもよい。そのような滑剤の例として、脂肪酸エステル、その塩、エステル、脂肪酸アミド、有機リン酸エステル、およびエンジニアリングプラスチック材料の加工において滑剤として一般的に使用されるタイプの炭化水素ワックスが挙げられ、これらの混合物が含まれる。好適な脂肪酸は、典型的に約12~約60個の炭素原子の骨格炭素鎖を有し、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、モンタン酸、オクタデシン酸、パリン酸などである。好適なエステルとして、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、ワックスエステル、グリセロールエステル、グリコールエステル、および複合エステルが挙げられる。脂肪酸アミドとして、脂肪第一級アミド、脂肪第二級アミド、メチレンおよびエチレンビスアミド、ならびに例えばパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N,N’-エチレンビスステアラミドなどのアルカノールアミドが挙げられる。また、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸の金属塩;パラフィンワックス、ポリオレフィンおよび酸化ポリオレフィンワックス、ならびに微結晶性ワックスを含む炭化水素ワックスも好適である。特に好適な滑剤は、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸カルシウム、またはN,N’-エチレンビスステアラミドなどのステアリン酸の酸、塩、またはアミドである。
【0022】
[0030]ポリマー組成物の成分(例えば、液晶ポリマー、鉱物充填剤など)は、一緒に溶融加工またはブレンドすることができる。成分は、バレル(例えば、円筒形バレル)内に回転可能に取り付けられて収容されている少なくとも1つのスクリューを含み、スクリューの長さに沿って、フィードセクションおよびフィードセクションの下流に位置する溶融セクションを画定することができる押出機に、別々にまたは組み合わせて供給することができる。押出機は、単軸または二軸押出機であってもよい。スクリューの速度は、所望の滞留時間、せん断速度、溶融加工温度などを達成するように選択することができる。例えば、スクリュー速度は、1分あたり約50~約800回転(「rpm」)、一部の実施形態では約70~約150rpm、一部の実施形態では約80~約120rpmの範囲であってもよい。また、溶融ブレンド中の見掛けのせん断速度は、約100秒-1~約10,000秒-1、一部の実施形態では約500秒-1~約5000秒-1、一部の実施形態では約800秒-1~約1200秒-1の範囲であってもよい。見掛けのせん断速度は、4Q/πR3(式中、Qはポリマー溶融体の体積流量(「m3/秒」)であり、Rはそれを通って溶融ポリマーが流れる毛細管(例えば、押出機ダイ)の半径(「m」)である)に等しい。それが形成される特定の方法にかかわらず、得られるポリマー組成物は、優れた熱特性を有することができる。例えば、ポリマー組成物の溶融粘度は、ポリマー組成物が小さい寸法を有する金型の空洞内に容易に流入することができるように十分に低くてもよい。1つの特定の実施形態では、ポリマー組成物は、1000秒-1のせん断速度で決定される約10~約250Pa・s、一部の実施形態では約15~約200Pa・s、一部の実施形態では約20~約150Pa・s、一部の実施形態では約30~約100Pa・sの溶融粘度を有してもよい。溶融粘度は、ISO試験No.11443:2014に従い、組成物の溶融温度よりも15℃高い温度(例えば、約325℃の溶融温度に対して約340℃)で決定されてもよい。
II.基板
[0031]上記に示したように、ポリマー組成物は、その上にメッキされた導電素子を有する基板に利用される。基板は、様々な異なる成型技術を使用して形成されてもよい。好適な技術として、例えば射出成型、低圧射出成型、押出圧縮成型、ガス射出成型、発泡射出成型、低圧ガス射出成型、低圧発泡射出成型、ガス押出圧縮成型、発泡押出圧縮成型、押出成型、発泡押出成型、圧縮成型、発砲圧縮成型、ガス圧縮成型などを挙げることができる。例えば、ポリマー組成物が注入され得る金型を含む射出成型システムが利用されてもよい。ポリマーマトリックスが予め固化しないように、注入器内の時間を制御し、最適化することができる。サイクル時間に達し、バレルが排出のために満杯になると、ピストンを使用して金型の空洞に組成物を注入してもよい。圧縮成型システムも利用されてもよい。射出成型と同様に、ポリマー組成物の所望の物品への成形も金型内で行われる。組成物は、自動化されたロボットアームによってピックアップされることなどにより、任意の公知の技術を使用して圧縮金型に配置されてもよい。金型の温度は、固化を可能にするために所望の時間にわたってポリマーマトリックスの固化温度以上に維持されてもよい。その後、成型品を溶融温度未満の温度にすることによって固化させてもよい。得られた製品を脱型してもよい。各成型プロセスのサイクル時間は、十分な結合を達成するため、またプロセス全体の生産性を向上させるためにポリマーマトリックスに合わせて調整することができる。
【0023】
[0032]得られるポリマー組成物は、様々な有益な機械的特性を示すことができる。例えば、組成物は、23℃でISO試験No.179-1:2010に従って測定して約10kJ/m2、一部の実施形態では約15~約60kJ/m2、一部の実施形態では約20~約50kJ/m2のノッチなしシャルピー衝撃強度を示してもよい。組成物はまた、約20~約500MPa、一部の実施形態では約50~約400MPa、一部の実施形態では約60~約350MPaの引張強度;約0.5%以上、一部の実施形態では約0.8%~約15%、一部の実施形態では約1%~約10%の引張破断歪み;および/または約5,000MPa~約30,000MPa、一部の実施形態では約7,000MPa~約25,000MPa、一部の実施形態では約10,000MPa~約20,000MPaの引張弾性率を示してもよい。引張特性は、23℃でISO試験No.527:2019に従って決定されてもよい。組成物はまた、約40~約500MPa、一部の実施形態では約50~約400MPa、一部の実施形態では約100~約350MPaの曲げ強度;約0.5%以上、一部の実施形態では約0.8%~約15%、一部の実施形態では約1%~約10%の曲げ破断歪み;および/または約7,000MPa以上、一部の実施形態では約9,000MPa以上、一部の実施形態では約10,000MPa~約30,000MPa、一部の実施形態では約12,000MPa~約25,000MPaの曲げ弾性率を示してもよい。曲げ特性は、23℃でISO試験No.178:2019に従って決定されてもよい。組成物はまた、1.8MPaの特定の荷重でASTM D648-07(技術的にISO試験No.75-2:2013と同等である)に従って測定して約180℃以上、一部の実施形態では約190℃~約280℃の荷重たわみ温度(DTUL)を示してもよい。
【0024】
[0033]特定の場合、ポリマー組成物は、特にアンテナシステムにおいて成形相互接続デバイスを利用することが望ましい場合に、良好な電気的特性も有することができる。例えば、ポリマー組成物は、周波数2GHzでスプリットポスト共振法によって決定される約4以上、一部の実施形態では約5以上、一部の実施形態では約6以上、一部の実施形態では約8~約30、一部の実施形態では約10~約25、一部の実施形態では約12~約24の高い比誘電率を示してもよい。このような高い比誘電率は、薄い基板を形成する能力を促進し、また、最小レベルの電気干渉のみで同時に動作する複数の導電素子(例えば、アンテナ)の利用を可能にすることができる。エネルギーの損失率の指標である誘電正接も、周波数2GHzでスプリットポスト共振法によって決定される約0.3以下、一部の実施形態では約0.2以下、一部の実施形態では約0.1以下、一部の実施形態では約0.06以下、一部の実施形態では約0.04以下、一部の実施形態では約0.001~約0.03のように比較的低くてもよい。特に、比誘電率および誘電正接は、約-30℃~約100℃の温度などの様々な温度に曝露された場合でも、上述の範囲内に維持され得る。例えば、本明細書に記載される熱サイクル試験に供される場合、熱サイクル後の比誘電率の初期比誘電率に対する比は、約0.8以上、一部の実施形態では約0.9以上、一部の実施形態では約0.95~約1.1であってもよい。同様に、高温に曝露された後の誘電正接の初期誘電正接に対する比は、約1.3以下、一部の実施形態では約1.2以下、一部の実施形態では約1.1以下、一部の実施形態では約1.0以下、一部の実施形態では約0.95以下、一部の実施形態では約0.1~約0.95、一部の実施形態では約0.2~約0.9であってもよい。誘電正接の変化(すなわち、初期誘電正接-熱サイクル後の誘電正接)も、約-0.1~約0.1、一部の実施形態では約-0.05~約0.01、一部の実施形態では約-0.001~0の範囲であってもよい。
III.導電素子
[0034]1種または複数の導電素子は、メッキ(例えば、電解メッキ、無電解メッキなど)、印刷(例えば、デジタル印刷、エアロゾルジェット印刷など)などの様々な公知の金属堆積技術のいずれかを使用して基板上に堆積されてもよい。導電素子は、金属、例えば金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅およびそれらの混合物または合金などの様々な導電性材料のうちの1種または複数を含有してもよい。一実施形態では、例えば、導電素子は、銅および/またはニッケル(例えば、純粋またはその合金)を含んでもよい。所望により、金属堆積プロセスを促進するために、最初に基板上にシード層が形成されてもよい。堆積技術としてメッキが利用される場合、プロセスは所望通り変化してもよい。特定の実施形態では、例えば、プロセスは、最初に所望の回路相互接続パターンに基づいて基板の表面にパターンを形成することを含んでもよい。これは、レーザーアブレーションまたはパターニング、プラズマエッチング、紫外線処理、酸エッチングなどの様々な公知の技術を使用して達成されてもよい。
【0025】
[0035]それにもかかわらず、基板上に所望のパターンを形成した後、パターン化された領域を任意選択で活性化プロセスに供し、その後の金属堆積のために準備してもよい。このプロセスの間、パターン化された基板を、パラジウム、白金、イリジウム、ロジウムなどの金属、およびそれらの混合物を含有する活性化溶液に接触させてもよい。パラジウムが特に好適である。表面が上記のように調整されると、無電解および/または電解メッキなどにより、パターン化された基板上で第1の金属層がその上に形成されてもよい。無電解メッキは、表面に堆積した金属がさらなる堆積のための触媒として作用する自己触媒反応によって生じることがある。典型的に、ニッケルおよび/または銅は、パターン化された基板の表面に無電解メッキされる。無電解ニッケルメッキは、例えば、ニッケル塩(例えば、硫酸ニッケル)を含有する溶液を使用して達成することができる。パターン化された基板を金属溶液に接触させ、電流に供して金属の堆積を開始させる電解メッキが利用されてもよい。所望により、パターン化された基板を1つまたは複数の追加ステップに供し、最終的な金属コーティング層を形成してもよい。例えば、第2の金属層は、第1の金属層(例えば、電解および/または無電解メッキされた銅および/またはニッケル)の上に電解堆積されてもよい。第2の金属層は、例えば、銅またはニッケルを含んでもよい。特定の実施形態では、銅および/またはニッケルなどの1種または複数の追加の金属層も、第2の金属層上に電解堆積されてもよい。
【0026】
[0036]
図1、4および5を参照すると、基板および導電素子を有する成形相互接続デバイスを形成するためのプロセスの一実施形態がより詳細に示される。
図1のステップ1に示すように、リードフレーム54を形成するためにアーム56が延びる外側領域を含有するキャリア40が提供される。
図4に示すように、キャリア40は、例えばバルクソースリール68aから繰り出され、その後第2リール68bに集められてもよい。キャリア40は、典型的に金属(例えば、銅もしくは銅合金)または他の好適な導電材料から形成される。所望であれば、アーム56は、そこに設けられた開口部58を含有することもできる。キャリアホール52は、同様に、キャリア40が製造ラインに沿って連続的に横断できるように、キャリア40の外側部分上に位置してもよい。
図1のステップ2において、本発明のポリマー組成物から形成されてもよい基板42は、その後リードフレーム54の上に成型(例えば、オーバーモールド)されてもよい。フィンガー56の開口部58に対応する開口部60を基板42に設けてもよい。
【0027】
[0037]基板42がリードフレーム54の上に成型されると、次に導電素子(回路トレース)が形成されてもよい。このような導電素子は、様々な公知の金属堆積技術によって、例えばメッキ(例えば、電気メッキ、無電解メッキなど)、印刷(例えば、デジタル印刷、エアロゾルジェット印刷など)などによって形成されてもよい。所望により、金属堆積プロセスを促進するために、最初に基板上にシード層が形成されてもよい。例えば、
図1のステップ3および3Aでは、最初に基板42の表面上にシード層44を堆積させてもよく、これによりキャリア40によって形成された内部バスバー43をシード層44に電気的に接続することができる。その後、金属(例えば、銅、ニッケル、金、銀、スズ、鉛、パラジウムなど)によってシード層44を堆積させ、導電素子62を含有する部分46を形成してもよい(ステップ4)。一実施形態では、例えば、キャリア40に電位を印加し、その後電気メッキ浴に配置することによって電解メッキを行うことができる。また、導電素子(トレース)と回路の内部層との間に電気経路を作成するために、基板の表面にビアを任意選択で成型することができる。これらの導電素子は、キャリア部分に「電気バスバー」を作成し、それにより堆積される導電ペーストを塗布した後に導電素子をメッキすることが可能になる。所望により、基板の表面は、レーザーアブレーション、プラズマエッチング、紫外線処理、フッ素化などの様々な公知の技術を使用して粗面化され、その後メッキされてもよい。とりわけ、このような粗面化は、所望の相互接続パターンでのメッキを促進するのに役立つ。例えば
図5を参照すると、この目的のためにレーザーを利用するプロセスの一実施形態がより詳細に示される。より詳細には、
図5のステップ9に示すように、最初にレーザー70を利用して基板42の表面をアブレーションし、相互接続パターン66を形成するチャネル72を作成することができる。
図5のステップ10では、次にインクジェットプロセス、エアロゾルプロセス、またはスクリーニングプロセスなどの任意の公知の技術によって、シード層として導電性ペースト74をチャネル72内に配置してもよい。あるいは、ペーストの使用に代えておよび/または加えて、メッキプロセス(例えば、無電解メッキ)を利用してシード層を形成することもできる。しかし、利用する場合、ペースト74が基板42に十分に接着することを保証することを助けるために、
図5のステップ11に例示するように、堆積したペースト74をレーザーまたはフラッシュ熱76を通して任意選択で焼結してもよい。任意選択で焼結されると、
図5のステップ12に示されるようにペースト74は金属でメッキ(例えば、電解メッキ)され、導電素子62(電子回路トレース)を形成する。
IV.
電子構成部品
[0038]本発明の成形相互接続デバイスは、プリント回路板、フレックス回路、コネクタ、熱管理機能、EMIシールド、大電流導体、RFID装置、アンテナ、無線電力デバイス、センサ、MEMS装置、LEDデバイス、マイクロプロセッサ、メモリデバイス、ASIC、受動デバイス、インピーダンス制御デバイス、電気機械装置、センサ、またはこれらの組合せなどの多種多様な電子構成部品に利用されてもよい。特定の実施形態では、電子構成部品の基板は、「個片化されたキャリア部分」上に成型されてもよく、これは一般に、キャリア部分がより大きなキャリア(例えば、結合または連続)から分離されていることを意味する。
【0028】
[0039]再び
図1を参照すると、例えば、はんだ付け、ワイヤボンディングなどの様々な技術のいずれかを使用して1つまたは複数の追加部分50を基板42に接続することによって(ステップ6)、電子構成部品が形成されてもよい。特定の実施形態では、部分50を接続する前に、はんだマスク48を任意選択で適用することができる(ステップ5)。その後、得られた電子構成部品をキャリア40から分離してもよい。
図2~3は、例えば、形成の様々な段階における電子構成部品22の一実施形態を示す。ステップAでは、例えば、成型前のキャリア40が示される。ステップBは、キャリア部分40上に成型され、導電素子62が適用された後の基板42を示す。ステップCおよびDでは、任意選択のピンコンタクトおよび回路の金属化を追加して、完成した電子デバイスを形成してもよい(ステップE)。その後、完成した電子構成部品22は、
図3に示されるように隣接するキャリア40から分離され、個片化されたキャリア部分40を含有する電子構成部品22を形成することができる。得られた電子構成部品は、様々な種類の電子部分、例えば光源(例えば、ライト、例えばトンネル灯ヘッドランプ用発光ダイオード(「LED」))など)用のハウジング、またはコンピュータ、電話、電子制御装置などで使用されるような他の電子機器を含有する。このような製品は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、または推進力のために電力を使用する他の種類の車両(まとめて「電気自動車」と呼ぶ)などの車両(例えば、自動車、バス、オートバイ、ボートなど)に特に有用である場合がある。
【0029】
[0040]例えば、
図7~8を参照すると、自動車製品で使用するためのライト20の形態である電子構成部品の一実施形態が示される。ライト20は、ハウジング24、電子デバイス22(
図2も参照されたい)、およびライトパイプ28を含む。ハウジング24は、
図8に示すように、2つの部品24aおよび24bで形成されてもよい。ハウジング24は、そこを通る通路34を形成する壁32、および壁32を通って延び、通路34と連通する開口部36を有する。開口部36は、通路34に対して横方向であってもよい。電子構成部品22は、ハウジング30の通路34内に取り付けられてもよい。ライトパイプ28は、ハウジング30の開口部36を通って延び、本明細書に記載されるように電子構成部品22の部分50の1つまたは複数として形成される発光ダイオード(LED)38の上に取り付けられる。
図6は、ライト20を形成するための代表的なプロセスを示す。ステップ7および8は、例えば、電子構成部品22が他のデバイスから個片化され、ハウジング24およびライトパイプ28とアセンブルされることを示す。構成部品22が形成された後、通路34内に取り付けられ、ハウジング24の部品24aおよび24bが一緒にアセンブルされる。ピンコンタクト64は露出したままである。ライトパイプ28は、ハウジング24の開口部36を通して取り付けられ、LED38の上方に設けられる。
【0030】
[0041]電子構成部品は、デスクトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、携帯型電子デバイス、自動車機器などの様々な他の種類のデバイスにも利用することができる。1つの好適な構成では、電子構成部品は、利用可能な内部空間が比較的小さい、比較的コンパクトなポータブル電子構成部品のハウジング内に形成される。好適なポータブル電子構成部品の例として、携帯電話、ラップトップコンピュータ、小型ポータブルコンピュータ(例えば、ウルトラポータブルコンピュータ、ネットブックコンピュータおよびタブレットコンピュータ)、腕時計デバイス、ペンダントデバイス、ヘッドホンおよびイヤホンデバイス、無線通信機能付きメディアプレーヤー、携帯コンピュータ(パーソナルデジタルアシスタントと呼ぶこともある)、リモートコントローラ、グローバルポジショニングシステム(GPS)デバイス、携帯ゲームデバイスなどが挙げられる。また、電子構成部品は、携帯デバイスのカメラモジュール、スピーカー、またはバッテリーカバーなどの他の構成部品と一体化させることもできる。
【0031】
[0042]本発明は、以下の実施例を参照してより良好に理解することができる。
【実施例】
【0032】
試験方法
[0043]溶融粘度:溶融粘度(Pa・s)は、Dynisco LCR7001キャピラリーレオメーターを使用して、せん断速度1,000s-1および溶融温度を15℃超える温度で、ISO試験No.11443:2021に従って決定されてもよい。レオメーターオリフィス(ダイ)は、直径1mm、長さ20mm、L/D比20.1、および入口角180°を有していた。バレルの直径は9.55mm+0.005mm、ロッド長さは233.4mmであった。
【0033】
[0044]溶融温度:溶融温度(「Tm」)は、当技術分野で公知のように示差走査熱量測定(「DSC」)によって決定されてもよい。溶融温度は、ISO試験No.11357-2:2020によって決定される示差走査熱量測定(DSC)のピーク溶融温度である。DSC手順に基づき、TA Q2000装置上で行うDSC測定を使用し、ISO標準10350に記述されるように、試料を1分あたり20℃で加熱および冷却した。
【0034】
[0045]荷重たわみ温度(「DTUL」):荷重たわみ温度は、ISO試験No.75-2:2013(技術的にASTM D648と同等である)に従って決定されてもよい。より詳細には、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの試験片試料を、指定の荷重(最大外部繊維応力)が1.8メガパスカルであるエッジワイズ三点屈曲試験に供してもよい。検体をシリコーン油浴中に下げ、検体が0.25mm(ISO試験No.75-2:2013では0.32mm)たわむまで温度を1分あたり2℃で上昇させる。
【0035】
[0046]引張弾性率、引張応力および引張伸び:引張特性は、ISO試験No.527:2019(技術的にASTM D638と同等である)に従って試験されてもよい。弾性率および強度の測定は、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの同じ試験片試料で行われてもよい。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は1または5mm/分であってもよい。
【0036】
[0047]曲げ弾性率、曲げ応力および曲げ伸び:曲げ特性は、ISO試験No.178:2019(技術的にASTM D790と同等である)に従って試験されてもよい。この試験は、64mmの支持スパン上で実施されてもよい。試験は、切断されていないISO 3167マルチパーパスバーの中心部で行われてもよい。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は2mm/分であってもよい。
【0037】
[0048]ノッチなしおよびノッチ付きシャルピー衝撃強度:シャルピー特性は、ISO試験No.ISO179-1:2010(技術的にASTM D256-10、方法Bと同等である)に従って試験されてもよい。この試験は、タイプ1検体サイズ(長さ80mm、幅10mm、および厚さ4mm)を使用して行われてもよい。ノッチ付き衝撃強度を試験する場合、ノッチはタイプAノッチ(0.25mmベース半径)であってもよい。検体は、一本歯フライス盤を使用してマルチパーパスバーの中心から切り出してもよい。試験温度は23℃であってもよい。
【0038】
[0049]比誘電率(「Dk」)および誘電正接(「Df」)。比誘電率(または相対静的誘電率)および誘電正接は、Baker-Jarvis, et al., IEEE Trans. on Dielectric and Electrical Insulation, 5(4), p.571(1998)およびKrupka, et al., Proc. 7thInternational Conference on Dielectric Materials: Measurements and Applications, IEEE Conference Publication No. 430(Sept. 1996)に記載のような公知のスプリットポスト誘電体共振法を使用して決定される。より詳細には、80mm×90mm×3mmの大きさを有する板試料を、2つの固定された誘電体共振器の間に挿入した。共振器により、検体の平面における誘電率成分を測定した。5つの試料を試験し、平均値を記録する。スプリットポスト共振器を使用して、1GHz~2GHzのような低ギガヘルツ領域で誘電測定を行うことができる。熱サイクル後のこれらの特性の試験では、検体を温度制御室に入れ、-30℃~100℃の温度範囲内で加熱/冷却してもよい。まず、温度100℃に到達するまで試料を加熱し、到達したらすぐに冷却する。温度が-30℃に到達したら、検体を直ちに100℃に到達するまで再び加熱する。3時間の期間内に23回の加熱/冷却サイクルを行ってもよい。
【0039】
[0050]表面/体積抵抗率:表面および体積抵抗率の値は、一般にIEC62631-3-1:2016またはASTM D257-14に従って決定される。この手順によると、標準検体(例えば、1メートルの立方体)を2つの電極の間に配置する。電圧を60秒間印加し、抵抗を測定する。表面抵抗率は、電位勾配(V/m単位)と単位電極長あたりの電流(A/m単位)の商であり、一般に絶縁材料の表面に沿った漏れ電流に対する抵抗を表す。電極の4つの端が正方形を画定するため、商において長さを約分して表面抵抗率をオームで報告するが、より説明的な単位であるオームパースクエアを見ることも一般的である。また、体積抵抗率は、材料中の電流に平行な電位勾配の電流密度に対する比として決定される。SI単位では、体積抵抗率は、その材料の1メートルの立方体の対向面間の直流抵抗(オーム・m)に数値的に等しい。
【0040】
実施例
[0051]本明細書に記載される成形相互接続デバイスの基板に使用される試料が形成される。試料は、液晶ポリマー(「LCP1」)、Nyglos(商標)8(メジアン径12μm、アスペクト比13:1、およびメジアン長156μmの珪灰石繊維)、カーボンブラック顔料、ならびにGlycolube(商標)Pを含有する。LCP1は、HBA60mol.%、HNA5mol.%、BP12mol.%、TA17.5mol.%およびAPAP5mol.%から形成される。配合は、18mm単軸押出機を使用して実施する。試料を射出成型して板(60mm×60mm)にする。
【0041】
【0042】
[0052]得られた試料を熱的および機械的特性について試験する。結果を以下の表2に記載する。
【0043】
【0044】
[0053]本発明のこれらおよび他の修正および変形は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者によって実施可能である。さらに、種々の実施形態の態様は、全体的または部分的の両方で相互交換可能であることが理解されるべきである。さらに、当業者は、上述の記載が単なる例示であり、したがってそのような添付の特許請求の範囲にさらに記載される本発明を制限するものではないことを理解する。
【国際調査報告】