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特表2023-539022サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法、及びその製品とその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法、及びその製品とその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/196 20060101AFI20230906BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 23/02 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A61K31/196
A61K9/19
A61P7/02
A61P9/10
A61P9/00
A61P23/02
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505731
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 CN2021108541
(87)【国際公開番号】W WO2022022483
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】202010729677.4
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523028105
【氏名又は名称】ジーエヌティー ファーマ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】▲ザン▼威強
(72)【発明者】
【氏名】王占国
(72)【発明者】
【氏名】張▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】付凌燕
(72)【発明者】
【氏名】林茜
(72)【発明者】
【氏名】陳暁麗
(72)【発明者】
【氏名】呂国楊
(72)【発明者】
【氏名】鐘莉銀
(72)【発明者】
【氏名】徐新良
(72)【発明者】
【氏名】祝方猛
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076BB11
4C076CC01
4C076GG07
4C076GG26
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA40
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA64
4C206MA86
4C206NA20
4C206ZA02
4C206ZA06
4C206ZA15
4C206ZA16
4C206ZA22
4C206ZA36
4C206ZA54
(57)【要約】
サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法及びその製品、用途を提供する。具体的には、本発明の方法は、次の過程を含む。注射サルファプロディルを投入する段階、サルファプロディルが完全に溶解された後、濾過する段階、アルカリ性水溶液で濾液のpH値を調節する段階、注射用水を一定量添加する段階、保護のために不活性気体を充填する段階、サルファプロディル溶液を得るために滅菌及び濾過を行い、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を得るために凍結乾燥を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法であって、
サルファプロディルを注射用水に追加して溶解する段階、濾過する段階、アルカリ性物質水溶液を使用して濾過液のpH値を調節する段階、注射用水を投入して定容する段階及び保護のために不活性ガスを満たす段階、サルファプロディル溶液を得るために滅菌濾過を行う段階、その後、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を得るために溶液を凍結乾燥する段階を含む、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法。
【請求項2】
前記濾過と前記滅菌濾過に使用される濾過膜の孔径は、それぞれ独立して0.2~1.0μmである、請求項1に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ性物質は、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選択される、請求項1に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法。
【請求項4】
前記pH値は、8.0~10.0に調節される、請求項1に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法。
【請求項5】
前記滅菌濾過は、前記定容の後、16時間以内に行われる、請求項1に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法。
【請求項6】
前記サルファプロディル溶液の質量体積濃度は、5~20w/v%である、請求項1に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法。
【請求項7】
前記凍結乾燥は、凍結乾燥器で行われ、予備凍結段階、温度回復段階、再冷却段階、1次乾燥a段階、1次乾燥b段階、及び脱着乾燥段階を含み、
前記予備凍結段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を-50~-30℃に低めて1~3時間維持し、
前記温度回復段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を-5~5℃に高めて1~3時間維持し、
前記再冷却段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を-50~-30℃に低めて1~3時間維持し、
前記1次乾燥a段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を-30~-25℃に高めて10~30時間維持し、真空度は5~20Paにし、
前記1次乾燥b段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を5~20℃に高めて10~30時間維持し、真空度は5~20Paにし、
前記脱着乾燥段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を10~40℃に高めて10~30時間維持し、真空度は5~20Paにする、請求項1に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法を通じて製造される、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤。
【請求項9】
請求項8に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の神経退行性疾患を予防及び/又は治療するための医薬品製造における用途であって、
前記神経退行性疾患は、ハンチントン病、アルツハイマー病、ピック病、コルサコフ症候群、小脳萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ダウン症候群、グルタル酸血症、てんかん、多発梗塞性認知症及び脳炎中の一つまたは多数から選択される、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の神経退行性疾患を予防及び/又は治療するための医薬品製造における用途。
【請求項10】
請求項8に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の脳血管及び神経系の疾患及び症状を予防及び/又は治療するための医薬品製造における用途であって、
前記脳血管及び神経系の疾患及び症状は、血栓塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管痙攣、脳老化、外傷性脳損傷、外傷性脊髄損傷、心停止、動脈低血圧、低血糖症、低酸素症、組織低酸素症から選択される、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の脳血管及び神経系の疾患及び症状を予防及び/又は治療するための医薬品製造における用途。
【請求項11】
請求項8に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤であって、
ハンチントン病、アルツハイマー病、ピック病、コルサコフ症候群、小脳萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ダウン症候群、グルタル酸血症、てんかん、多発梗塞性認知症及び脳炎中の一つまたは多数から選択される神経退行性疾患を予防及び/又は治療するための、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤。
【請求項12】
請求項8に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤であって、
血栓塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管痙攣、脳老化、外傷性脳損傷、外傷性脊髄損傷、心停止、動脈低血圧、低血糖症、低酸素症、組織低酸素症から選択される脳血管及び神経系の疾患及び症状を予防及び/又は治療するための、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤。
【請求項13】
予防及び/又は治療有効量の請求項8に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を、それを必要とする個体に投与する段階を含む、神経退行性疾患を予防及び/又は治療するための方法であって、
前記神経退行性疾患は、ハンチントン病、アルツハイマー病、ピック病、コルサコフ症候群、小脳萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ダウン症候群、グルタル酸血症、てんかん、多発梗塞性認知症及び脳炎中の一つまたは多数から選択される、神経退行性疾患を予防及び/又は治療するための方法。
【請求項14】
予防及び/又は治療有効量の請求項8に記載のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を、それを必要とする個体に投与する段階を含む、脳血管及び神経系の疾患及び症状を予防及び/又は治療するための方法であって、
前記脳血管及び神経系の疾患及び症状は、血栓塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管痙攣、脳老化、外傷性脳損傷、外傷性脊髄損傷、心停止、動脈低血圧、低血糖症、低酸素症、組織低酸素症から選択される、脳血管及び神経系の疾患及び症状を予防及び/又は治療するための方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
[関連出願の引用]
本出願は、2020年7月27日付け出願の中国特許出願第202010729677.4号「サルファプロディル(Salfaprodil)凍結乾燥粉末注射剤の製造方法、及びその製品と用途」に基づく優先権を主張し、引用の方式で当該特許出願の全体内容を本出願に含む。
【0002】
[技術分野]
本発明は、医薬品製剤の技術分野に属し、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法、それによって製造されたサルファプロディル凍結乾燥粉末注射、製品及び医薬用途に関する。
【0003】
〔背景技術〕
サルファプロディル(Salfaprodil)は、化学名が2-ヒドロキシ-5-[2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]安息香酸カリウムであり、構造式は次のようである。
【0004】
【化1】
【0005】
サルファプロディルは、中間強度のN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗剤であるとともに強力な抗酸化剤として二重神経保護作用をし、NMDA受容体媒介の興奮毒性と身体の酸化ストレス反応とを同時に遮断することができる。神経機能保護効果が28日以上持続可能であり、広範囲な神経保護作用とともに治療時間窓(therapeutic time window)を確張する。
【0006】
CN1309703Cは、脳血管及び神経系の疾患及び症状において、通常的または病理学的な神経系疾患を治療するのにサルファプロディルを使用可能であると開示している。具体的には、サルファプロディルは、血栓塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管痙攣、脳老化、外傷性脳損傷、外傷性脊髄損傷、心停止、動脈低血圧、低血糖症、低酸素症、組織低酸素症に使用される。サルファプロディルは、ハンチントン病、アルツハイマー病、小脳変性、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ダウン症候群、てんかん、多発梗塞性認知症、脳炎などの神経退行性疾患にも効果的に使用可能である。
【0007】
従来の凍結乾燥製剤は、工法が多様であり、各種の注射用粉末に幅広く使用されている。しかし、従来技術のうち、他の品種に使用される工法(例えば、CN104771369Bのフルダラビンリン酸塩の凍結乾燥工法)で注射用サルファプロディルを製造する場合、凍結乾燥の際、薬効が異なる有効成分の結晶化挙動の差異のため、製品が均一且つ微細な結晶形態を形成し難い。また、再溶解の後、製品に沈殿が発生し、安定性が低下し、外観に明らかな分層が現れるなどの欠陥が発生する。したがって、注射用サルファプロディルに好適な凍結乾燥製剤工法の開発が至急に求められている。
【0008】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の凍結乾燥技術を用いて注射用サルファプロディルを製造するときに存在する欠陥を解消するため、本発明は、成形性に優れ、凍結乾燥前の溶液の外観が澄んでおり、凍結乾燥物の再溶解性が良くて再溶解後の透明度が優秀であり、不純物の含量が低くて安定性に優れ、品質管理が可能な注射用サルファプロディルの製造方法、及びそれによって製造される製品を提供する。
【0009】
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、次のような方法で実現される。
【0010】
第一、本発明は、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法を提供し、次の過程を含む。サルファプロディルを注射用水に追加して溶解する段階、濾過する段階、アルカリ性物質水溶液を使用して濾過液のpH値を調節する段階、注射用水を投入して定容する段階及び保護のために不活性ガスを満たす段階、サルファプロディル溶液を得るために滅菌濾過を行う段階、その後、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を得るために溶液を凍結乾燥する段階を含む。
【0011】
望ましくは、前記製造方法において、前記濾過と前記滅菌濾過に使用される濾過膜の孔径は、それぞれ独立して0.2~1.0μmである。
【0012】
より望ましくは、前記製造方法において、濾過及び滅菌濾過に使用される濾過膜の材質は、それぞれ独立して、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン(N6/N66)、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。
【0013】
望ましくは、前記製造方法で使用されるアルカリ性物質は、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムから選択される。
【0014】
望ましくは、前記製造方法において、アルカリ性物質水溶液の濃度は、0.1~1.0Mである。
【0015】
望ましくは、前記製造方法において、pH値は8.0~10.0に調節される。
【0016】
望ましくは、前記製造方法において、不活性気体は、アルゴンまたは窒素である。
【0017】
望ましくは、前記製造方法において、滅菌濾過は、定容の後、16時間以内に行われる。
【0018】
望ましくは、前記製造方法において、サルファプロディル溶液の質量体積パーセント濃度は5~20w/v%である。
【0019】
望ましくは、前記製造方法において、凍結乾燥は凍結乾燥器で行われ、予備凍結段階、温度回復段階、再冷却段階、1次乾燥a段階、1次乾燥b段階、及び脱着乾燥(desorption drying)段階を含む。
【0020】
より望ましくは、前記予備凍結段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を-50~-30℃に低めて1~3時間維持する。
【0021】
より望ましくは、前記温度回復段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を-5~5℃に高めて1~3時間維持する。
【0022】
より望ましくは、前記再冷却段階において、凍結乾燥器の板層温度を-50~-30℃に低めて1~3時間維持する。
【0023】
より望ましくは、前記1次乾燥a段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を-30~-25℃に高めて10~30時間維持し、このときの真空度は5~20Paである。
【0024】
より望ましくは、前記1次乾燥b段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を5~20℃に高めて10~30時間維持し、このときの真空度は5~20Paである。
【0025】
より望ましくは、脱着乾燥段階において、前記凍結乾燥器の板層温度を10~40℃に高めて10~30時間維持し、このときの真空度は5~20Paである。
【0026】
望ましくは、前記製造方法には、充填、コーキング、キャッピング、及び/又は包装などが含まれる。
【0027】
第二、本発明は、前記製造方法によって製造されたサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を提供する。
【0028】
望ましくは、前記サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤において、サルファプロディルが唯一の薬効有効成分である。
【0029】
第三、本発明は、神経退行性疾患の予防及び/又は治療のための医薬品製造に前記サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を提供する。
【0030】
望ましくは、神経退行性疾患は、ハンチントン病、アルツハイマー病、ピック病、コルサコフ症候群、小脳萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ダウン症候群、グルタル酸血症、てんかん、多発梗塞性認知症、及び脳炎から一つ以上が選択される。
【0031】
第四、本発明は、脳血管及び神経系の疾患、症状の予防及び/又は治療のための医薬品製造への使用のための前記サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の用途を提供する。
【0032】
望ましくは、脳血管及び神経系の疾患、症状は、血栓塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管痙攣、脳老化、外傷性脳損傷、外傷性脊髄損傷、心停止、動脈低血圧、低血糖症、低酸素症、及び組織低酸素症から一つ以上が選択される。
【0033】
第五、本発明は、神経退行性疾患の予防及び/又は治療のための前記サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の用途を提供する。
【0034】
望ましくは、神経退行性疾患は、ハンチントン病、アルツハイマー病、ピック病、コルサコフ症候群、小脳萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ダウン症候群、グルタル酸血症、てんかん、多発梗塞性認知症、及び脳炎から一つ以上が選択される。
【0035】
第六、本発明は、脳血管及び神経系の疾患の予防及び/又は治療のための前記サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の用途を提供する。
【0036】
望ましくは、脳血管及び神経系の疾患、症状は、血栓塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管痙攣、脳老化、外傷性脳損傷、外傷性脊髄損傷、心停止、動脈低血圧、低血糖症、低酸素症、及び組織低酸素症から一つ以上が選択される。
【0037】
第七、本発明は、予防及び/又は治療有効量のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を、それを必要とする個体に投与することを含む、神経退行性疾患の予防及び/又は治療に使用される方法を提供する。
【0038】
望ましくは、神経退行性疾患は、ハンチントン病、アルツハイマー病、ピック病、コルサコフ症候群、小脳萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ダウン症候群、グルタル酸血症、てんかん、多発梗塞性認知症、及び脳炎から一つ以上が選択される。
【0039】
第八、本発明は、予防及び/又は治療有効量のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を、それを必要とする個体に投与することを含む、脳血管及び神経系の疾患、症状の予防及び/又は治療に使用される方法を提供する。
【0040】
望ましくは、脳血管及び神経系の疾患及び症状は、血栓塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管痙攣、脳老化、外傷性脳損傷、外傷性脊髄損傷、心停止、動脈低血圧、低血糖症、低酸素症、及び組織低酸素症から一つ以上が選択される。
【0041】
〔発明の効果〕
本発明は、従来技術に比べて以下のような有益な効果を有する。
【0042】
(1)本発明の方法によって凍結乾燥粉末注射剤を製造する場合、凍結乾燥前の溶液が澄んでおり、肉眼で見える異物がない。
【0043】
(2)本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、乳白色の粉末であって粉体が微細であり、構造が均一である。
【0044】
(3)本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、再溶解性に優れ、再溶解後の溶液が淡黄色であって透明度が良好である。
【0045】
(4)本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、水分の含量が低い。
【0046】
(5)本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、原料に比べて不純物の含量が増加せず、効果的に管理可能である。
【0047】
(6)本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、6ヶ月加速試験前後の各種のパラメータがほぼ同一に維持され、安定性に優れる。
【0048】
〔発明を実施するための形態〕
まず、本発明は、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の新規な製造方法を提供する。
【0049】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「サルファプロディル(Salfaprodil)」は、一つ以上の物理的形態が存在する2-ヒドロキシ-5-[2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]安息香酸カリウム(potassium 2-hydroxyl-5-[2,3,5,6-tetrafluoro-4-(trifluoromethyl)benzylamino]benzoate)、又は、薬剤学的に許容される塩、水和物、溶媒和物を示す。
【0050】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「凍結乾燥粉末注射剤」は、無菌環境で一つ以上の薬効有効成分(または原料)を一つ以上の賦形剤に混合するか又は溶剤(または溶媒)に溶解し、一定の加工処理を経て(例えば、凍結乾燥)製造された固形粉末製剤を示す。
【0051】
具体的には、前記製造方法には、以下の過程が含まれる。
【0052】
サルファプロディルを注射用水に入れて溶解した後、濾過する。アルカリ性物質水溶液で濾液のpH値を調節し、注射用水を入れて定容した後、不活性気体を充填して保護する。滅菌濾過した後、サルファプロディル溶液を収得し、凍結乾燥する。
【0053】
特に言及しない限り、本発明で使われる「注射用水」は、中国薬局方(または、米国薬局方、欧州薬局方、日本薬局方)における「注射用水」の関連規定に適合する水を意味する。
【0054】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「溶解浄化」は、サンプルを清くなるまで又は肉眼で見える混濁や沈殿がないまで溶剤に溶解する作業若しくは過程を言う。
【0055】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「濾過」は、外力の作用下に、固体粒子を含む不均質分散系(例えば、懸濁液または固体粒子エアロゾル)の連続相(例えば、懸濁液の液体または固体粒子エアロゾル中の気体)を特定の分離媒質(例えば、濾過紙または濾過膜)に通過させて分散相(例えば、不均質分散系の固体粒子)を捕獲することで、二つの相を分離する作業または過程を意味する。多重分散系が懸濁液である場合、分離媒質を通過する液体連続相は「濾液」であり、分離媒質によって捕獲された固体分散相は「濾過ケーキ」になる。特に言及しない限り、本発明で使われる「濾液」と「濾過ケーキ」の定義は上記の通りである。
【0056】
一部の望ましい実施方法において、前記製造方法の濾過は、濾過膜を通して行われる。
【0057】
一部の望ましい実施方法において、前記濾過用濾過膜の気孔は0.2~1.0μmであり、望ましくは0.2~0.5μm、より望ましくは0.45μmである。
【0058】
一部の望ましい実施方法において、前記濾過用濾過膜の材質は、PES、PTFE、N6/N66、PVDFから一つ以上が選択される。
【0059】
一部の望ましい実施方法において、前記製造方法は、アルカリ性物質水溶液を使用して濾液のpH値を調節する。
【0060】
一部のより望ましい実施方法において、前記製造方法のアルカリ性物質は、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムから選択され、望ましくは、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、より望ましくは水酸化カリウムである。
【0061】
一部のより望ましい実施方法において、前記アルカリ性物質水溶液のモル濃度は0.1~1.0mol/Lであり、望ましくは0.1~0.5mol/Lである。
【0062】
一部のより望ましい実施方法において、前記アルカリ性物質水溶液は、濾液のpHを8.0~10.0に調節する。
【0063】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「定容」は、定量容器(例えば、メスフラスコ)を使用して物質を一定濃度まで溶解または希釈するとき、最終的に液体を移す器具(例えば、点滴器またはピペット)を用いて容器の目盛線まで溶媒を正確且つ精密に添加する作業または過程を言う。簡単に、定容とは固定された容量に調整することを意味する。
【0064】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「不活性気体」または「化学的不活性気体」は、一般的な試験環境で化学反応が起きない気体状物質を意味する。元素周期表の0族に属し、「不活性気体」に通称されるヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)が含まれ、一般条件で化学反応しない窒素(N)、二酸化炭素(CO)も含まれる。
【0065】
一部の望ましい実施方法において、前記製造方法の不活性気体保護過程は、不活性気体を使用して定容された物質に不活性雰囲気を提供する。
【0066】
一部の望ましい実施方法において、前記製造方法の不活性気体保護過程は、アルゴンまたは窒素を使用して定容された物質に不活性雰囲気を提供する。
【0067】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「滅菌濾過」または「濾過滅菌」は、濾過方式を用いてサンプルの細菌を処理し、無菌目的を達成する作業または過程を意味する。通常、滅菌濾過は微細な孔径の細菌濾過装置を使用しなければならず、薄膜細菌濾過器(細菌濾過メンブレンとも称し、略してメンブレンともする。孔径は、主に、0.45μmと0.22μmの二種があり、後者の滅菌効果がより優れる)、セラミック細菌濾過器、石綿細菌濾過器、焼結ガラス細菌濾過器などが含まれる。
【0068】
一部の望ましい実施方法において、前記製造方法の滅菌濾過は、同様に濾過膜を通して行われる。
【0069】
一部のより望ましい実施方法において、前記滅菌濾過用濾過膜の孔径は0.20~0.22μmである。
【0070】
一部のより望ましい実施方法において、前記滅菌濾過用濾過膜の材質は、同様にPES、PTFE、N6/N66、PVDFから一つ以上が選択される。
【0071】
一部のより望ましい実施方法において、前記滅菌濾過は、定容過程が完了した後、16時間以内に行われる。望ましくは、12時間以内、より望ましくは8時間以内に行われる。
【0072】
一部の望ましい実施方法において、前記製造方法のサルファプロディル溶液は、適切な質量体積パーセント濃度を維持することで、後続の凍結乾燥過程が順調に行われるようにする。
【0073】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「質量体積パーセント濃度」(または「質量濃度」)は、単位体積(例えば、1mまたは1L)溶液に含まれた溶質の質量数(例えば、1gまたは1mg)を意味し、単位は通常g/mまたはmg/Lで表す。特に言及しない限り、本発明で使われる用語「w/v%」は、溶液100mL当り溶質のグラム数、すなわち「g/100mL」を意味する。
【0074】
一部のより望ましい実施方法において、適切な質量体積パーセント濃度は、5~20w/v%である。
【0075】
一部の望ましい実施方法において、前記製造方法の凍結乾燥には、凍結乾燥器で行われ、予備凍結、温度回復、再冷却、1次乾燥(1次乾燥は、温度変化に応じてa段階とb段階とに細分される)、脱着乾燥(desorption drying)段階が含まれる。
【0076】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「凍結乾燥」は、水分含有物質(例えば、水分含有薬液、すなわち、本発明のサルファプロディル溶液)を氷点以下で凍結して水を氷に変換(凝固)させ、真空条件で氷を水蒸気に変換(昇華)させ、これを除去する作業または過程を意味する。物質を凍結装置で予め凍結させた後、乾燥装置で乾燥しても良く、直接乾燥装置で急速真空を通じて凍結した後乾燥しても良い。昇華過程で発生する水蒸気は、凝縮装置の凝縮作用で除去され、昇華過程に必要な気化熱は一般に熱輻射または熱伝導によって供給される。
【0077】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「凍結乾燥器」は、凍結乾燥作業を行う機器または装備を意味し、主にサンプル収納装置(急速冷凍チャンバ、乾燥チャンバ、オプション後処理チャンバなどを含む)、冷凍装置、真空装置、加熱装置、制御装置から構成される。凍結乾燥器の作動原理は、次のようである。前処理を経て凍結乾燥サンプルが急速冷凍チャンバに移送されて凍結され、乾燥チャンバに移送されて昇華及び脱水が行われた後、最後に後処理チャンバに移送されて後処理が行われる。冷凍装置は急速冷凍チャンバに必要な冷却容量を提供し、真空装置は乾燥チャンバに低気圧条件を形成する。加熱装置はサンプルに昇華潜熱を提供し、制御装置はその他の装置の実行/中断/停止などの命令を制御するのに使用される。
【0078】
一部のより望ましい実施方法において、凍結乾燥過程を進行するとき、予備凍結段階で前記凍結乾燥器の板層温度を-50~-30℃に低めて1~3時間維持する。
【0079】
一部のより望ましい実施方法において、凍結乾燥過程を進行するとき、温度回復段階で前記凍結乾燥器の板層温度を-5~5℃に高めて1~3時間維持する。
【0080】
一部のより望ましい実施方法において、凍結乾燥過程を進行するとき、再冷却段階で前記凍結乾燥器の板層温度を-50~-30℃に低めて1~3時間維持する。
【0081】
一部のより望ましい実施方法において、凍結乾燥過程を進行するとき、1次乾燥a段階で前記凍結乾燥器の板層温度を-30~-25℃に高めて10~30時間維持し、真空度は5~20Paである。
【0082】
一部のより望ましい実施方法において、凍結乾燥過程を進行するとき、1次乾燥b段階で前記凍結乾燥器の板層温度を5~20℃に高めて10~30時間維持し、真空度は5~20Paである。
【0083】
一部のより望ましい実施方法において、凍結乾燥過程を進行するとき、脱着乾燥段階で前記凍結乾燥器の板層温度を10~40℃に高めて10~30時間維持し、真空度は5~20Paである。
【0084】
選択的に、本発明のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造方法には、充填(または、小包装)、コーキング、キャッピング、及び/又は包装など過程が含まれる。充填(または、小包装)、コーキング、キャッピング、及び/又は包装のうちの一つ以上を製造方法に導入することで、最終的に特定容器(例えば、アンプルまたはバイアル)、規格、包装形式の凍結乾燥粉末注射剤を得ることができ、これは後続の保管及び運搬、販売、使用に便利である。
【0085】
また、本発明は、前記製造方法によって製造されたサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を提供する。
【0086】
一部の望ましい実施方法において、前記凍結乾燥粉末注射剤は、一つの薬効有効成分、すなわちサルファプロディルのみを含む。
【0087】
また、本発明は、神経退行性疾患の予防及び/又は治療のための医薬品製造に前記サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を提供する。
【0088】
特に言及しない限り、本発明で使われる用語「神経退行性疾患」は、漸進的に発達して障害、ひいては死亡を誘発し得る複雑な疾病を意味する。特定ニューロンの大量損失を特徴とし、主に筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)などが含まれる。
【0089】
一部の望ましい実施方法において、前記神経退行性疾患は、ハンチントン病(HD)、アルツハイマー病(AD)、ピック病(PD)、コルサコフ症侯群(KS)、小脳変性、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、ダウン症候群(DS)、グルタル酸血症、てんかん、多発梗塞性認知症、脳炎から一つ以上が選択される。
【0090】
また、本発明は、脳血管及び神経系の疾患、症状の予防及び/又は治療のための医薬品製造に前記サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を提供する。
【0091】
一部の望ましい実施方法において、前記脳血管及び神経系の疾患及び症状は、血栓塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管痙攣、脳老化、外傷性脳損傷、外傷性脊髄損傷、心停止、動脈低血圧、低血糖症、低酸素症、組織低酸素症から一つ以上が選択される。
【0092】
また、本発明は、神経退行性疾患の予防及び/又は治療のための医薬品に前記サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を提供する。
【0093】
一部の望ましい実施方法において、前記神経退行性疾患は、ハンチントン病、アルツハイマー病、ピック病、コルサコフ症侯群、小脳変性、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ダウン症候群、グルタル酸血症、てんかん、多発梗塞性認知症、及び脳炎から一つ以上が選択される。
【0094】
また、本発明は、脳血管及び神経系の疾患及び症状の予防及び/又は治療のための医薬品に前記サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を提供する。
【0095】
一部の望ましい実施方法において、前記脳血管及び神経系の疾患及び症状は、血栓塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管痙攣、脳老化、外傷性脳損傷、外傷性脊髄損傷、心停止、動脈低血圧、低血糖症、低酸素症、組織低酸素症から一つ以上が選択される。
【0096】
また、本発明は、予防及び/又は治療有効量のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を、それを必要とする個体に投与することを含む、神経退行性疾患の予防及び/又は治療に使用される方法を提供する。
【0097】
一部の望ましい実施方法において、前記神経退行性疾患は、ハンチントン病、アルツハイマー病、ピック病、コルサコフ症侯群、小脳変性、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ダウン症候群、グルタル酸血症、てんかん、多発梗塞性認知症、及び脳炎から一つ以上が選択される。
【0098】
最後に、本発明は、予防及び/又は治療有効量のサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を、それを必要とする個体に投与することを含む、脳血管及び神経系の疾患、症状の予防及び/又は治療に使用される方法を提供する。
【0099】
一部の望ましい実施方法において、前記脳血管及び神経系の疾患及び症状は、血栓塞栓症、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳血管痙攣、脳老化、外傷性脳損傷、外傷性脊髄損傷、心停止、動脈低血圧、低血糖症、低酸素症、組織低酸素症から一つ以上が選択される。
【0100】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。実施例は、本発明の技術方案をさらに理解させるためのものであり、当業者であれば本発明がこれら実施例に限定されないことを理解できるであろう。当業者は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明を修正することができ、このような等価形式の修正も本発明の保護範囲に属する。特に言及しない限り、下記の実施例に使われた医薬品、試薬、材料、器具はすべて通常の商業的手段を通じて取得可能である。
【0101】
[実施例1]サルファプロディルの製造
CN1309703Cに開示の方法に従って2-ヒドロキシ-5-[2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]安息香酸カリウムを製造する。
【0102】
室温及び窒素保護下で5-アミノサリチル酸(102g)とトリエチルアミン(100mL)を乾燥DMF(8,000mL)に溶解し、溶液に2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド(123g)を添加する。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、真空で溶媒を除去する。エチルアセテート/水で抽出し、有機層を水と食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を蒸留除去した後、残留物をエーテル/n-ヘキサン(1:10)で溶出、結晶化して白色固体2-ヒドロキシ-5-[2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]安息香酸カリウム(160g)を得る。
【0103】
無水エタノール(500mL)に2-ヒドロキシ-5-[2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]安息香酸カリウム(100g)を添加し、撹拌条件で完全に溶解するまで50℃まで昇温する。溶液を10℃に冷やした後、無水水酸化カリウムエタノール溶液で前記溶液のpHを6.8~7.0に調節する。室温で2時間撹拌して結晶を析出、濾過、乾燥した後、乳白色粉末のサルファプロディル(102g)を得る。HPLC検査の結果、純度は99.7%以上である。
【0104】
[実施例2]サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造
サルファプロディル(3,000g)を注射用水(30L)に溶かして浄化した後、孔径0.45μmのPES材質濾過膜で濾過する。0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液で濾液のpHを8.2に調節し、注射用水を添加して60Lに定容する。溶液にアルゴンガスを充填して保護し、8時間以内に孔径0.22μmのPES材質濾過膜で滅菌濾過してサルファプロディル溶液を得る。
【0105】
前記サルファプロディル溶液をバイアルに満たしてガラス瓶を凍結乾燥器に入れる。30分以内に凍結乾燥器の板層温度を-50℃に低めて1時間維持した後、板層温度を-5℃に高めて1時間維持する。再び板層温度を-50℃に低めて1時間維持する。その後、板層温度を-30℃に高めて真空度5Paを維持しながら10時間維持する。次いで、板層温度を10℃に高めて真空度5Paを維持しながら10時間維持する。窒素ガスを40kPaで充填し、コーキング、キャッピング、包装する。
【0106】
[実施例3]サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造
サルファプロディル(1,500g)を注射用水(13L)に溶かして浄化した後、孔径0.45μmのPVDF材質濾過膜で濾過する。0.5mol/Lの水酸化カリウム水溶液で濾液のpHを9.0に調節し、注射用水を添加して18Lに定容する。溶液にアルゴンガスを充填して保護し、4時間以内に孔径0.22μmのPVDF材質濾過膜で滅菌濾過してサルファプロディル溶液を得る。
【0107】
前記サルファプロディル溶液をバイアルに満たしてガラス瓶を凍結乾燥器に入れる。60分以内に凍結乾燥器の板層温度を-40℃に低めて2時間維持した後、板層温度を0℃に高めて2時間維持する。再び板層温度を-40℃に低めて2時間維持する。次いで、板層温度を-25℃に高めて真空度10Paを維持しながら20時間維持した後、板層温度を10℃に高めて真空度10Paを維持しながら20時間維持する。その後、板層温度を25℃に高めて真空度10Paを維持しながら20時間維持する。窒素ガスを65kPaで充填し、コーキング、キャッピング、包装する。
【0108】
[実施例4]サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の製造
サルファプロディル(3,750g)を注射用水(15L)に溶かして浄化した後、孔径0.45μmのPTFE材質濾過膜で濾過する。0.8mol/Lの水酸化カリウム水溶液で濾液のpHを9.8に調節し、注射用水を添加して19Lに定容する。溶液にアルゴンガスを充填して保護し、2時間以内に孔径0.22μmのPTFE材質濾過膜で滅菌濾過してサルファプロディル溶液を得る。
【0109】
前記サルファプロディル溶液をバイアルに満たしてガラス瓶を凍結乾燥器に入れる。90分以内に凍結乾燥器の板層温度を-30℃に低めて3時間維持した後、板層温度を5℃に高めて3時間維持する。再び板層温度を-30℃に低めて3時間維持する。次いで、板層温度を-20℃に高めて真空度20Paを維持しながら30時間維持した後、板層温度を5℃に高めて真空度20Paを維持しながら30時間維持する。その後、板層温度を40℃に高めて真空度20Paを維持しながら30時間維持する。窒素ガスを90kPaで充填し、コーキング、キャッピング、包装する。
【0110】
実施例2~4において、サルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤の外観(<中国薬局方>2015年版4部通則)、再溶解時間、溶液透明度及び色相(<中国薬局方>2015年版付録IX B)、水分(<中国薬局方>2015年版4部通則0832)、関連物質(<中国薬局方>2015年版4部通則0512)、安定性などの項目を考察した結果を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
実施例2~4を通じて、本発明による3個ロットのサルファプロディル凍結乾燥粉末注射剤を製造し、各ロットの製品は、すべて以下のような効果を奏した。
【0113】
(1)本発明の方法によって凍結乾燥粉末注射剤を製造する場合、凍結乾燥前の溶液が住んでおり、肉眼で見える異物がない。
【0114】
(2)本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、乳白色の粉末であって粉体が微細であり、構造が均一である。
【0115】
(3)本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、再溶解性に優れ(再溶解時間10s以内)、再溶解後の溶液が淡黄色であって透明度が良好である。
【0116】
(4)本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、水分の含量が低い(0.2%以下)。
【0117】
(5)本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、原料に比べて不純物の含量が増加せず、効果的に管理可能である。
【0118】
(6)本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、6ヶ月加速試験前後の各種のパラメータがほぼ同一に維持され、安定性に優れる。
【国際調査報告】