IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナノプラッズ テクノロジーズ リミテッドの特許一覧

特表2023-539037プラズマ反応器およびプラズマ化学反応
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】プラズマ反応器およびプラズマ化学反応
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20230906BHJP
   B01J 12/02 20060101ALI20230906BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20230906BHJP
   C01B 32/40 20170101ALI20230906BHJP
   C01B 3/24 20060101ALI20230906BHJP
   C01B 3/36 20060101ALI20230906BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20230906BHJP
   C07C 11/24 20060101ALI20230906BHJP
   C07C 2/80 20060101ALI20230906BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
H05H1/24
B01J12/02 Z
B01J19/00 A
C01B32/40
C01B3/24
C01B3/36
C01B3/04 B
C07C11/24
C07C2/80
B01J19/08 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508537
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 IB2021057174
(87)【国際公開番号】W WO2022029663
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/061,939
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523041780
【氏名又は名称】ナノプラッズ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】メドベージェフ,ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】マルニ,ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】ゴレリック,エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】ミスラフスキー,ボリス
(72)【発明者】
【氏名】イリエフ,ロマン
【テーマコード(参考)】
2G084
4G075
4G140
4G146
4H006
【Fターム(参考)】
2G084AA26
2G084BB02
2G084CC03
2G084CC08
2G084CC23
2G084CC32
2G084DD14
2G084DD17
2G084DD21
2G084DD55
4G075AA05
4G075BA01
4G075BA05
4G075BA10
4G075BB05
4G075BD09
4G075BD12
4G075CA15
4G075CA17
4G075CA47
4G075CA57
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB21
4G075EB41
4G075EC21
4G075FB02
4G140DA03
4G140DB04
4G140EA03
4G140EA05
4G146JA01
4G146JB04
4G146JC01
4G146JD02
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC23
4H006BD81
(57)【要約】
本開示は、化学の分野に関し、ナノ秒パルス放電による高活性化障壁を有する気相における吸熱反応の刺激のための方法およびデバイスを提供する。これは、例えば、メタンのCO官能基化、HS解離、水素および合成ガス製造、アンモニア合成および解離の処理などに使用され得る。いくつかの実施形態は、ガス流の存在下でのナノ秒パルス放電によるプラズマ化学反応の刺激に関連する方法およびデバイスを含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ秒パルス放電生成を伴うプラズマ化学反応器であって、
ガス注入およびガス排出システムを有する1つまたは複数の円筒状チャネルと、
各チャネル内の高電圧正極および高電圧負極と、
電極端部に近い局所的な接線方向ガス速度を増加させるための各チャネル内のガス旋回システムとを備え、
前記パルス放電発生の周波数はfであり、
前記接線方向ガス速度は、f×5×10-3m/sより速い、プラズマ化学反応器。
【請求項2】
前記ガス旋回システムは、オーガ形状の電極アイソレータと、1つまたは複数の電極内の接線方向チャネルと、前記ガス注入システムおよび/または前記ガス排出システム内の接線方向チャネルとを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各正極および各負極は、円筒形状を有し、少なくとも1つの電極は、前記電極本体内の接線方向チャネルと、平坦端部上の等しい長さのロッドの円形列とを有し、接線方向チャネルを有しない少なくとも1つの電極は、ガス回転方向に沿って減少する長さを有するロッドの円形列を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
電源は、高電圧ダイオードおよびコンデンサを有するN対の半波整流器によって各N個のチャネルの前記正極および前記負極に交流電圧を供給し、各対の一方の整流器は前記正極を正に帯電させ、他方の整流器は前記負極を負に帯電させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
高電圧インダクタおよび/または高電圧コンデンサは、各半波整流器の前記ダイオードに直列に接続される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記電源は、半波フライバックを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記電源は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)セミブリッジを有する全波プッシュプル回路を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記電源は、中間点変圧器一次巻線を有するIGBTセミブリッジを有する全波プッシュプル回路である、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記電源は、IGBTブリッジを有する全波プッシュプルである、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
CO2含有ガスが前記プラズマ化学反応器の入口に供給され、前記CO2がプラズマによってCOと酸素とに変換される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
CO2とメタンとの混合物を含有するガスが前記プラズマ化学反応器の入口に供給され、前記CO2とメタンが合成ガスに変換される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
メタン含有ガスが前記プラズマ化学反応器の入口に供給され、前記メタンがアセチレンと水素とに変換される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
H2S含有ガスが前記プラズマ化学反応器の入口に供給され、前記H2Sが硫黄と水素とに変換される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
アンモニア含有ガスが前記プラズマ化学反応器の入口に供給され、前記アンモニアが窒素と水素とに変換される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
窒素と水素との混合物を含有するガスが前記プラズマ化学反応器の入口に供給され、前記窒素および水素がアンモニアに変換される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年8月6日に出願された米国仮特許出願第63/061939号の優先権の利益を主張するものであり、この内容全体は、参照により本願明細書に援用される。
【0002】
本開示は、化学の分野に関し、ナノ秒パルス放電による高活性化障壁を有する気相における吸熱反応の刺激のための方法およびデバイスを提供する。これは、例えば、メタンのCO官能基化、HS解離、水素および合成ガス製造、アンモニア合成および解離の処理などに使用され得る。いくつかの実施形態は、ガス流の存在下でのナノ秒パルス放電によるプラズマ化学反応の刺激に関連する方法およびデバイスを含む。
【背景技術】
【0003】
プラズマは、例えば、合成天然ガスの製造、COおよびHSの変換などにおいて、高活性化エネルギーによる化学反応を促進するための強力なツールと見なされ得る。プラズマベースの技術は、バリア放電およびパルス放電、電気アーク、またはマイクロ波放電を利用して、非平衡プラズマを発生させるプラズマ化学反応を生成することができる。非平衡プラズマの名前の由来は、ガス分子が比較的低温のままであり得る(ガス分子の温度が上昇しないか、または大幅に上昇しない可能性がある)一方で、プラズマ中の電子が分子を解離およびイオン化するのに十分高いエネルギーを有するという事実にある。
【0004】
プラズマ化学反応の生成のためのプラズマパラメータは、エネルギー消費を低減する一方で、所望の生成物の収率を増加させるように選択され得る。直接的な化学反応を刺激するために、プラズマは試薬の分子を解離または励起して、ラジカルまたは他の活性粒子を生成し、これらが互いに反応して所望の生成物を発生させることができる。
【0005】
このような反応を生じさせるための様々な技術が本明細書に記載されている。
【0006】
第1のケースでは、ソース分子は、十分なエネルギーを有する電子と直接衝突することによって解離され得る。この場合、プラズマの重要な特性は電場の電圧であり、より具体的には、電場電圧とガス濃度との比である。この比は、ガス分子との衝突の間に電場内の電子によって獲得されるエネルギーが、ラジカルまたは活性粒子を形成する所望のプロセスに十分であるかどうかを決定する。
【0007】
このような技術は、例えば、https://hal.sorbonne-universite.fr/hal-01367345に発表されているOskanら著の論文「DBD in burst mode:solution for more efficient CO2 conversion」(Plasma Sources Science and Technology、IOP Publishing、2016年、25(5)、p.055005を参照)に記載されている間欠バリア放電を含むバリア放電を介して、非平衡プラズマを発生させるために使用され得る。
【0008】
この技術は、例えば、Moon Soo Bakら著の論文「Nanosecond-Pulsed Discharge Plasma Splitting of Carbon Dioxide」(IEEE TRANSACTIONS ON PLASMA SCIENCE、Vol.43 、NO.4、2015年4月、pp.1002~1007を参照)に記載されているようなパルス放電にも適用され得る。
【0009】
しかしながら、記載されているバリア放電およびパルス放電技術では、変換プロセス効率が低くなり得る。
【0010】
非平衡プラズマの1つの問題は、ガスの加熱をもたらす電子が受ける全てのタイプのエネルギー損失(衝突、分子の振動励起などを含む)が不可逆的であることである。残念ながら、これらのタイプの損失は、通常、分子解離エネルギーよりもはるかに大きく、反応の熱効果(エンタルピー)よりもさらに大きい。このため、非平衡プラズマのエネルギー効率(プロセスの全エネルギー損失における熱効果の割合)は、通常低く、約10%~20%である。
【0011】
代替案は、特別な反応室内のガス分子を、それらが反応の活性化障壁を乗り越えるのに十分な温度まで加熱することである。この場合、加熱は有用なプロセスであり、より多くの熱発生をもたらすプロセスは損失ではない。
【0012】
しかしながら、反応室が加熱される場合、別の問題が存在する。すなわち、全ての分子が加熱され、必要とする試薬の加熱および解離だけでなく、反応の最終生成物の加熱および解離にもエネルギーが使われるということである。この場合、変換率およびプロセスのエネルギー効率を低下させる逆反応から重大な問題が生じる。
【0013】
この問題に対処するための1つの解決策は、反応生成物をその形成後に(例えば、場合によっては、形成後できるだけ早く)高温領域から除去することである。逆反応を抑制するこの方法により、所望の生成物の収率およびプラズマ化学プロセスのエネルギー効率を高めることができる。このアプローチを、プラズマ化学反応の生成物のクエンチングと呼ぶことができる。
【0014】
プラズマ化学反応を行うための技術は、2012年4月19日に公開された米国特許出願公開第2012/0090985(A1)号に記載されている。この技術は、逆流渦として構造化されたガス流を通って移動するグライディングアークを使用する特別なプラズマ化学反応器を伴う。グライディングアーク放電の形状を図1に示す。第1の絶縁破壊後に形成されるプラズマアークフィラメントは、ガス流およびアーク伸長によって移動および伸長し始めて、反応器の動作電圧および電力の増加を引き起こす。ここで、(100)はプラズマ化学反応器であり、100aは接地電極であり、100bは高電圧電極であり、101は全消弧点を示し、102は最大エネルギーが伝達されるときに発生したグライディングアークの点を示し、103はグライディングアーク点火点を示し、104はDC電源を示し、105はガス入口を示し、106は反応器を示し、107はガス流によるプラズマフィラメント伸張を示す。
【0015】
電極に電圧を印加した後、最も狭いギャップで絶縁破壊が起こる。その後、絶縁破壊後に発生した電気アークは、ギャップが最も狭い箇所からガス流中を移動し始め、その結果、アークフィラメントが伸長する。このアークフィラメントに印加される電圧は、フィラメント長が増加するために高くなる。この電圧が、ギャップが最も狭い箇所における新たな絶縁破壊に十分な電圧になった瞬間に、二次絶縁破壊が起こり、プロセスが何度も継続する。この反復モードは、回転グライディングアークなどの異なるタイプのグライディングアークの特徴である(Angjian Wu、Xiaodong Li、Jianhua Yan、Jian Yang、Changming Du、Fengsen Zhu、Jinyuan Qian著、「Co-generation of hydrogen and carbon aerosol from coalbed methane surrogate using rotating gliding arc plasma」(Applied Energy、Vol.195、2017年6月1日、pp67~79を参照))。回転グライディングアークの電圧および電流波形を図2に示す。回転グライディングアークは、静止アーク長モードでも機能し得ることに留意されたい。
【0016】
グライディングアークプラズマ反応器は、生成物をプラズマチャネルに通すことによって生成物をクエンチする問題を部分的に解決することができるが、この解決策はまた、ガスに対するプラズマチャネルの速度(滑り速度)が約1メートル/秒と比較的遅いという事実から生じるいくつかの欠点を有する。したがって、反応生成物の少なくとも一部は二次処理を受けることになり、これは、逆反応の著しい寄与につながり、プロセスの変換率およびエネルギー効率を低下させる。
【0017】
一方では、高温ゾーンにおいて適切なガス変換条件を提供し、同時に、反応生成物の効果的なクエンチングを提供するシステムが必要とされている。そのようなシステムは、変換効率およびエネルギー効率を著しく高め得る。そのようなシステムの1つが、国際出願PCT/RU2019/000696号明細書に記載されている。記載されているシステムの1つの目的は、正反応を刺激し、逆反応を最小限に抑えることによって、ガス/ガス混合物を所望の生成物に変換するプロセスの効率を高めることである。
【0018】
この効果を達成するために、所与の速度で反応室内を移動するガス/ガス混合物の流れにおいてパルス放電を発生させ、反応室内に配置された電極を接続するプラズマチャネルを生成することを含む、プラズマ化学ガス/ガス混合物変換プロセスが開示される。
【0019】
開示される方法は、高温プラズマチャネル内で生成される反応生成物のクエンチングを低減する。反応室内を所与の速度で移動するガス/ガス混合物の流れは、変換のための試薬の新たな部分を供給すると同時に、形成されたばかりのプラズマチャネルを迅速に消滅させるのを助け、その結果、その持続時間を制限する。
【0020】
高電圧電源ユニットは、約10~500ナノ秒間持続し、約20~300kHzの周波数を有する高温プラズマチャネルの形態で、電極間にパルス放電を発生させる。
【0021】
この解決策は非常に効率的であるが、さらなる改善が依然として必要である。例えば、この必要性に対処することができる本明細書に記載のシステムおよび技術はさらに、とりわけ、電源からプラズマへのエネルギー伝達のエネルギー効率、電極寿命、およびシステムスケーラビリティを含むエネルギー効率の観点から、種々の改良点を提供する。これらの問題は、例えば、反応器設計の改善によって、ならびに反応器内部のガス流速および方向制御の態様を制御することによって対処され得る。
【発明の概要】
【0022】
ガス流中のパルス放電の安定化、電源からプラズマへのエネルギー伝達効率を含むエネルギー効率の向上、およびプラズマ化学反応器のスケーラビリティを目的とする方法および装置が開示される。反応器内のガス流速および方向を制御することによってプラズマパラメータを制御することは、いくつかの重要な課題を提示する。プラズマフィラメントがガス流によって引き伸ばされて電圧を増加させ、電流を減少させるグライディングアーク放電とは対照的に、ナノ秒パルス放電システムでは、プラズマフィラメントが約100ナノ秒間しか存在せず、パルス間の時間の間にプラズマフィラメントが存在しないので、ガス流はプラズマフィラメントにほとんど影響を及ぼさない(図2および図3)。図2において、201はガス流によって引き伸ばされた連続的に存在するプラズマフィラメントに対応し、202は古いプラズマフィラメントが消滅して新しいプラズマフィラメントを生成する瞬間に対応し、203は絶縁破壊点に対応し、204は新しいアークに対応し、205は伸長に対応する。図3において、301はプラズマが存在しない時間に対応する。プラズマフィラメントは、302のようなナノ秒絶縁破壊時間中にのみ存在する。ガス流速によるこの時間の間のガス分子の変位は無視できる。この場合、1つの解決策は、プラズマフィラメント自体を移動させるのではなく、プラズマフィラメントを消滅させた後に高温の励起ガストレースを移動させるというものである。ナノ秒高温プラズマ放電における次の絶縁破壊位置は、先行パルスの後に残っている高温かつ励起されたガスの残留トレースによって決まる(または少なくとも影響を受ける)。このようなトレースを移動させることによって、後続の絶縁破壊位置が制御され得る(図4)。図4は、プラズマ反応システムの一部を示す。このシステムは、アノード401およびカソード402を含む。記載されているシステムでは、ガスは、軸方向ガス流として方向403に沿って流され得、第1の絶縁破壊404が生じ、その結果、高温かつ励起されたガストレース405が生じ得る。記載されているシステムにおいて、ガスは、接線方向ガス流として方向406に沿って流され得る。高温かつ励起されたガストレース(405、407、409)は、接線方向ガス流(406、408、410)の影響下で移動することができ、新しい場所で第2の絶縁破壊が発生し得る(411)。
【0023】
放電ギャップが異なる場所で異なる場合、絶縁破壊電圧は、先行パルストレースをより長いギャップの位置の方向へ移動させることによって制御され得る(図5)。図5は、プラズマ反応システムの一部を示す。このシステムは、アノード(501)およびカソード(502)を含む。記載されているシステムでは、ガスは、軸方向ガス流として方向503に沿って流され得、第1の絶縁破壊504が生じ、その結果、高温かつ励起されたガストレース505が生じ得る。記載されているシステムにおいて、ガスは、接線方向ガス流として方向506に沿って流され得る。高温かつ励起されたガストレース(505、507、509)は、接線方向ガス流(506、508、510)の影響下で移動することができ、新しい場所で第2の絶縁破壊が発生し得る(511)。
【0024】
このような制御を達成するために、いくつかの開示される実施形態は、反応器内部の特定の領域において接線方向ガス速度を生成することができるプラズマ反応器設計要素を含み得る。この接線方向ガス速度は、後続の絶縁破壊の位置を制御するために、高温かつ励起されたガストレースの変位を引き起こし、その変位を制御するために利用され得る。開示される実施形態はまた、プラズマチャネル内部の領域においてガス旋回を引き起こし、および/または制御するためのデバイスを含む、プラズマチャネル設計を含み得る。
【0025】
開示される実施形態はさらに、システムスケーラビリティを促進し、電気効率を高めるためのマルチチャネル設計を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】グライディングアーク形状およびプラズマフィラメント伸長機構を示す図である。
図2】グライディングアーク電圧および電流波形を示す図である。
図3】ガス流中のナノ秒高温プラズマパルス放電を示す図である。
図4】接線方向ガス流を用いてナノ秒高温プラズマパルス放電の絶縁破壊位置を制御する態様を示す図である。
図5】接線方向ガス流を用いてナノ秒高温プラズマパルス放電の絶縁破壊電圧を制御する態様を示す図である。
図6】接線方向ガス流の影響を受けるナノ秒高温プラズマパルス放電のいくつかの連続パルスの写真である。
図7】開示される例示的な実施形態に係る、接線方向ガス流を伴うナノ秒高温プラズマパルス放電のオーガ形状アイソレータを有するアノード設計を示す図である。
図8】開示される例示的な実施形態に係る、接線方向ガス流を伴うナノ秒高温プラズマパルス放電の可変ピン長およびオーガ形状アイソレータを有するカソード設計を示す図である。
図9】開示される例示的な実施形態に係る、接線方向ガス流を伴うナノ秒高温プラズマパルス放電のアノードカソードアセンブリを有するプラズマチャネルを示す図である。
図10】開示される例示的な実施形態に係る、接線方向ガス流を伴うナノ秒高温プラズマパルス放電の4個のチャネルを有するプラズマ反応器を示す図である。
図11】開示される例示的な実施形態に係る、接線方向ガス流を伴うナノ秒高温プラズマパルス放電の97個のチャネルを有するプラズマ反応器を示す図である。
図12】開示される例示的な実施形態に係る、ナノ秒高温プラズマパルス放電の1本のチャネルを有するプラズマ反応器を示す図である。
図13】開示される例示的な実施形態に係る、ナノ秒高温プラズマパルス放電の4本のチャネルを有するプラズマ反応器の略図である。
図14】開示される例示的な実施形態についてのアノード、カソード、および総電圧の波形を示す図である。
図15】開示される例示的な実施形態に係る、オーガ形状電極、追加のガス旋回システム、および可変長カソードピンを有する設計のための全電圧波形を示し、またこれらの修正を伴わない設計のための全電圧波形を示す図である。
図16】いくつかの実施形態に従うプラズマ化学反応器を示す図である。
図17】例示的な電極構成を示す図である。
図18】いくつかの実施形態に従う放電画像である。
図19】例示的なプラズマ変換器におけるCO2解離の実験結果を示す図である。
図20】例示的なプラズマ変換器におけるCO2/CH4混合物変換の実験結果を示す図である。
図21】例示的なH2S解離試験中に反応器壁上にスケール付着した固体硫黄を示す図である。
図22】例示的なプラズマ反応器および関連する構成要素を示す図である。
図23】例示的なプラズマ反応器および関連する構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ガス流中の高温プラズマパルス放電に基づくプラズマ化学反応器のさらなる開発は、電源からプラズマへのエネルギー伝達のエネルギー効率、電極寿命、およびシステムスケーラビリティを含むエネルギー効率に関連するいくつかの課題を伴う。開示される実施形態および技術は、他の潜在的な特徴の中でもとりわけ、プラズマフィラメントをパルスごとに1つの電極点から別の電極点にジャンプさせ、適切に十分に高いレベルで絶縁破壊の電圧を安定させ、電源からプラズマへの効率的なエネルギー伝達を提供し、および/または任意の所望の容量までプラズマ反応器の規模を拡大する能力を提供し得る。開示される実施形態はまた、大幅に改善された電極寿命を提供し得る。
【0028】
(先行プラズマフィラメント位置に対して)新しい位置への新しいプラズマフィラメントの変位を刺激するために、開示される実施形態は、プラズマフィラメントの消滅後に高温かつ励起されたガストレースの移動を可能にし得る。先行プラズマフィラメントからのトレースに関連する位置およびパラメータは、次のプラズマフィラメントに関連する位置および絶縁破壊電圧を決定する(または影響を与える)。例えば、低温ガスによる最初の絶縁破壊が約30kVの電圧で発生する場合、次の絶縁破壊は、高温かつ励起されたガストレースの存在のために、3分の1の電圧(約10kV)で発生し得る。したがって、先行パルスからの高温かつ励起されたガストレースの制御は、後続のプラズマフィラメントパラメータおよび位置を制御するために重要であり得る。このような制御により、特定の電極点の過熱および溶融を防止するために、パルスごとに1つの電極点から別の電極点へプラズマフィラメントをジャンプさせることができ、このことが電極寿命を大幅に延ばすことができる。さらに、このような制御は、局所的なガス過熱により、そのような局所的なガス過熱が生じる場所に関連する絶縁破壊電圧の変動(例えば、低下)が生じうるため、絶縁破壊電圧を安定化させるために重要であり得る。このようなプラズマフィラメントの挙動の一例を図6に示す。
【0029】
先行パルスの後の残留する高温かつ励起されたガストレースによって影響されるナノ秒高温プラズマ放電における新しい絶縁破壊位置を制御するための1つの要素は、次の絶縁破壊が生じる前にこのトレースをある距離だけ移動させることである。場合によっては、この移動は、先行フィラメントに対して垂直方向への平行移動を含み得る。そのような移動を発生させるために、開示される実施形態は、プラズマチャネルの特定の領域において垂直接線方向ガス速度を生成し得る。場合によっては、この接線速度Vtangは、Vtang>f×10-3m/sより速く、ここで、fは放電パルス周波数であり、変位10-3mは隣接する電極ピン間の特性距離である。開示される実施形態は、50kHzの典型的な周波数において、約50m/sの接線速度を生成し得る。開示される実施形態は、この速度を生成するために、プラズマチャネル内に旋回デバイスを含み得る。場合によっては、ガス旋回システムが、チャネルの入口および出口に含まれてもよい。開示される実施形態は、記載されている接線方向ガス流速を生成するための任意の好適な設計を含み得る。場合によっては、オーガ形状を有する電極アイソレータが、アノードおよびカソードのアイソレータに使用されてもよい(図7および図8参照)。
【0030】
プラズマチャネル内でのガス旋回を可能にし、それを制御するための他の構成は、図7に示すように、アノード電極自体に接線方向孔(701)を含み得る。そのような構成は、パルス間でのプラズマフィラメント位置の移動を制御する際に重要であり得る位置(電極端部に近い位置など)において望ましい接線速度を生成することができる。
【0031】
いくつかの開示される実施形態はまた、電圧制御(例えば、特定の最小絶縁破壊電圧レベルを維持すること、絶縁破壊電圧の著しい降下を回避することなど)および安定化を可能にする電極構成を含み得る。場合によっては、そのような構成は、可変長電極ピンを含み得る。可変長電極ピン(801)を含む例示的なカソードが、図8に示されている。 円筒状プラズマチャネル(900)内のオーガ形状アイソレータ上に組み立てられた接線方向孔(902)を含むアノードと可変ピン長(901)を含むカソードとの例が図9に示されている。そのような構成は、プラズマ化学反応の刺激に有利な他の動作特性のうち特に、安定した電圧を生成し得る。
【0032】
とりわけ、マルチチャネル反応器を含む、開示される実施形態の特徴は、任意の所望の容量へのスケールアップを可能にし得る。そのようなマルチチャネル反応器は、マルチチャネル反応器内のチャネルのうちの1つまたは複数のチャネルについて本明細書で説明される特徴および動作特性のうちのいずれかを含み得る。場合によっては、任意の所望の反応器容量を提供するために、共通の流れ入口および出口を有する多くの同様の平行チャネルが採用され得る。4チャネル反応器の一例を図10に示す。各チャネルは、各チャネルを通るガス流の均等化を促進するように構成された接線方向孔を有するガス注入システムを有する。
【0033】
マルチチャネル反応器に含まれるチャネルの数は、任意の好適な/望ましい容量を有する反応器モジュールを提供するために増やすことができる。さらなるスケーリングは、反応器を形成するために使用されるモジュールの数を増やすことによって実現され得る。97本のプラズマチャネルを有するプラズマ反応器モジュールの1つの例示的な構成が図11に示されている。
【0034】
例えば、プラズマチャネルに関連付けられる(例えば、直接設置される)ガス旋回要素によって、開示されるプラズマ化学反応器の動作中に供給される絶縁破壊電圧の安定化は、いくつかの利点を有し得る。場合によっては、そのような安定化は、電源からプラズマへのエネルギー伝達のエネルギー効率を含むエネルギー効率を大幅に高めることができる。場合によっては、本明細書で説明する他の技術に加えて、高電圧変圧器と電極との間に設けられた帯電整合回路を使用して、絶縁破壊電圧を少なくとも部分的に安定させることができる。そのような回路は、図12で概略的に表されている。図12において、1201はドライバを示し、1202はバリアック(110V、20A)を示し、1203はドライバ信号を示し、1204はダイオードブリッジ(4X60EPF12)を示し、1205はコンデンサ(6x820μF、200V)を示し、1206は+500Vであり、1207は3ターンの一次巻線を示し、1208はパワーモジュールを示し、1209は220ターンの二次巻線を示し、1210はインダクタ(5.5mHn)を示し、1211はコンデンサ(550pF)を示し、1212はコンデンサ(各500pF)を示し、1213はプラズマチャネルを示し、12014は高電圧整流器/電流安定器を示し、1215はIGBTモジュール(CM200DU-24NFH)を示し、1216はIGBTモジュール(CM200DU-24NFH)を示す。図示されているように、この回路は、直列に接続され、各々が高電圧ダイオードおよびコンデンサを含む2つの半波整流器上に装荷されたインダクタおよびコンデンサを含み得る。場合によっては、1つの整流器は、正に帯電したアノードを含み、別の整流器は、負に帯電したカソードを含み得る。このような整合回路の帯電は、高電圧変圧器によって生成される電圧の矩形パルスのフラットトップ上に電圧振動を生成し得る。このような振動は、高電圧変圧器における電圧信号の周波数よりも高い(例えば、10倍以上高い)特性周波数において、徐々に準連続帯電を生成し得る。この準連続帯電は、帯電エネルギー損失を低減または防止することができる(図14)。図14において、1400は電圧と時間のプロットであり、1401は総電圧に対応し、1402はアノード電圧に対応し、1403はカソード電圧に対応する。場合によっては、変圧器の動作周波数の少なくとも2倍の放電破壊周波数を達成することが望ましい場合がある。図14に示すように、変圧器の動作周波数は約25kHzであるが、放電破壊は約50kHzで安定する。説明されている準連続帯電プロセスは、帯電エネルギー損失を低減または最小化し得る。図14に示されている概略図では、IGBTブリッジによって給電される高電圧変圧器が使用された。しかしながら、他の例は、フライバックおよび/またはプッシュプルセミブリッジ構成を含み得る。さらに、他のトランジスタタイプを使用することもできる。
【0035】
高電圧変圧器と電極との間の記載されている整合回路はまた、1つの高電圧変圧器およびインバータからの電力を所望の数のチャネルに分割するために使用され得る。そのような分割構成(例えば、4つのチャネルへの分割)の例が、図15に示されている。図15では、1501は、ガス旋回および昇圧システムの改変を伴わない設計に対応する、時間に対する電圧のプロットを示しており、1502は、設計オーガ形状電極、追加のガス旋回システム、および可変長カソードピンに対応する、時間に対する電圧のプロットを示している。図15に示されている例は、4つのチャネルへの分割を含むが、他の数のチャネルが同様に設けられてもよい。プラズマチャネル内のガス旋回を促進するための説明されている構成に関連する、説明されているプラズマチャネルの絶縁破壊電圧の安定化および制御は、単一の高電圧変圧器およびインバータによって給電されるいくつかの異なるプラズマチャネルの同時動作の動作効率(他の利点の中でも特に)を著しく向上させ得る。さらに、説明されている構成および技術は、絶縁破壊電圧安定化を促進し、帯電エネルギー損失を低減しまたは最小限に抑え、任意の所望の数のプラズマチャネルへのシステム容量スケーラビリティを可能にし、プラズマ化学反応器の効率を向上させ得る。
【0036】
本開示の実施形態はまた、以下のセクションで説明するように、1つまたは複数の特徴を含み得る、または1つまたは複数のプロセスで使用され得る。
【0037】
プラズマは、例えば合成ガス生成、CO2解離、H2S解離などの高い活性化エネルギーによる化学反応を実行するための強力な機器を提供することができる。しかし、電気アークまたはマイクロ波放電などの通常のプラズマ技術は、プラズマ化学用途にとっていくつかの欠点を有し得る。例えば、逆化学反応を回避しながら、直接化学反応(例えば、最初の試薬を物質に伝達する化学反応)を行うための条件を維持する際に、これらのタイプのシステムには課題があり得る。プラズマ化学では、これはクエンチングと呼ばれ、高温反応ゾーンからの反応生成物の迅速な除去を含む。
【0038】
開示されるアプローチは、クエンチングのための効率的な解決策を提供し得る。このタイプの放電は、ガスの一連の電気絶縁破壊を含み得、これは、例えば、新しい場所で毎回現れて消滅する細い針として観察され得る。このようにして、望ましい生成物を生成し、プラズマチャネルを迅速に消滅させることによって逆化学反応を実質的に回避するために、初期試薬を処理することができる。そのような絶縁破壊の周波数は、高流量のガスの効率的な処理を行う100kHz以下である。
【0039】
図16は、高周波でのアノードとカソードとの間の高温プラズマチャネルの生成および消滅の原理に基づく例示的なプラズマ化学反応器を示す。図16は、ガス注入モジュール(1)、アノード(2)、アノード高電圧コネクタ(3)、放電箱(4)、カソード(5)、カソード高電圧コネクタ(6)、ガス排出モジュール(7)、および特別な電気特性を有する高電圧電源を示す。
【0040】
カソードおよびアノードの一方または両方は、図17(9)に示すようなディスク形状を有し得る。場合によっては、アノードおよびカソードは、鋭い端部を有するディスク形状、またはいくつかの針を有するディスク形状を有し得る。
【0041】
高周波のアノードとカソードとの間の高温プラズマチャネルの生成および消滅の原理に基づくプラズマ化学反応器は、図16(1)のガス注入モジュール、図16(2)のアノード、図16(3)のアノード高電圧コネクタ、図16(4)の放電箱、図16(5)のカソード、図16(6)のカソード高電圧コネクタ、図16(7)のガス排出モジュール、および静電容量(nF)>平均電流(A)×100以上の静電容量を有する出力コンデンサCを備えた高電圧電源を含み得る。
【0042】
加えて、開示される例示的なシステムは、供給ガス流とは独立して放電ゾーンを通るガス速度を増加させるために、追加のガスポンプによってガスを再循環させ得る。
【0043】
開示されるシステムは、図16(8)の電源の出力コネクタに並列に設置された追加の高電圧コンデンサを含み得る。
【0044】
開示される例示的なシステムは、作動ガスの流れをアノードからカソードへ(またはその逆へ)方向付けることができる。
【0045】
図18は、開示される例示的な実施形態に従う放電画像を示す。
【0046】
開示される例示的なシステムにおいて、カソードおよびアノードの形状および材料のいずれかまたは両方は、様々な組み合わせで、以下のうちの1つまたは複数を含み得る。
・ディスク、
・鋭いエッジを有するディスク、
・いくつかの針を有するディスク、および、
・貫通孔を有する円錐体
【0047】
いくつかの実施形態では、青銅BRX、タングステン、チタン、およびモリブデンが電極材料として使用され得る。
【0048】
開示される例示的なシステムのセットアップは、以下の任意の組み合わせを含み得る。
・スパーク放電器を通る作動ガスの流量を調整するステップ、
・放電器における作動ガス圧を調整するステップ、
・電極間の距離を変化させるステップ、および
・電極間の放電電圧を変化させるステップ
開示されるプラズマ反応器の例示的な特徴は、高い電気効率、プラズマ化学プロセスのエネルギー効率の改善(最小限のエネルギーコスト)、寿命を延長させて部品を交換する必要性を低減することができる堅牢で信頼できる電極設計、および極めてコンパクトなプラズマ反応器設計を含む。
【0049】
開示されるシステムの例示的な使用は、CO解離を含む。図19は、例示的なプラズマ変換装置におけるCO解離を示す。例示的なCO解離プロセスは、排気ガス中のCOの削減(例えば、CO排出量削減)、液体燃料へのCO変換(例えば、CO排出量削減)、宇宙用途でのCOからの酸素生成、および水素生成(電気分解プロセスの置換)のために使用され得る。
【0050】
合成ガス製造(例えば、CH/CO混合物から)の方法も開示する。例示的なプロセスは、水素製造のためのCO/CH変換および/または電気エネルギーおよびメタンを使用した液体燃料へのCO変換のために使用され得る。合成ガスは、CH/CO混合物から製造され得る。
【0051】
図20は、プラズマ変換装置における例示的なCO2/CH4混合物のCOおよびHへの変換の実験結果と、異なる混合物組成についての流量に対するエネルギーコストの依存性とを示す。図20において、2001は1.46のCH/CO比に対応し、2002は0.45のCH/CO比に対応し、2003は0.95のCH/CO比に対応し、2004は0.67のCH/CO比に対応する。
【0052】
硫化水素(HS)解離の方法も開示する。HS変換は、石油・ガス精製プラントにおける重要なプロセスの1つである。従来のクラウス法に基づく技術は、重大な欠点を有する(プロセスのために生成された主要な生成物、すなわち水素がHOに変換され、その結果失われる)。一方、水素および硫黄へのHS解離の例示的なプラズマプロセスは、解離のエネルギーコストが約1eV/HS分子である場合、より効率的であり得る。いくつかの実施形態では、プラズマプロセスは、HSを2つの有用な生成物、すなわち水素(回収され得る)と固体硫黄とに変換する。硫化水素(HS)解離後、固体硫黄は、反応器壁から溶融除去され得る。硫黄は、静電集塵によってガス流から除去され得る。図21は、HS解離試験中に反応器壁にスケール付着された固体硫黄を示す。
【0053】
ガス混合物のプラズマ変換の技術は、CO利用(CO排出量削減など)および水素製造を含む、多くの潜在的用途のための効果的な手段を提供し得る。開示されている例示的なシステムは、以下のような利点を提供することができる。
・エネルギー効率
・動作コスト
・簡単で、信頼性があり、コンパクトな設計
【0054】
開示される例示的なシステムはまた、例えば、C→C+HおよびC→C+Hに従って、エタンをエチレンに、またはプロパンをプロピレンに変換するために使用され得る。
【0055】
さらに、開示される例示的なシステムは、ブタンおよび/またはイソブテンをブチレンおよびイソブチレンに変換するために使用され得る。例えば、C10→ C+Hである。
【0056】
さらに、開示されるシステムは、アセチレンを合成するために使用され得る。例えば、CH(一般にC2x+2)→ C+2Hである。
【0057】
いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、水素ガスを製造するために使用され得る(例えば、水素燃料電池を燃料補給する際に使用するため)。
【0058】
本明細書に開示されているプラズマ反応器は、様々な構成を有し得る。いくつかの実施形態では、プラズマ反応器は、プラズマ反応器の機能性の1つまたは複数の態様を提供するための様々な構成要素と関連付けられてもよい、またはそれらを含んでもよい。そのような構成要素は、限定的ではないが、1つまたは複数の電源ユニット、電源回路、ガス流量調整器、センサなどを含み得る。そのような構成要素はまた、プラズマ反応器の1つまたは複数の機能を自動的に制御または実施するための1つまたは複数の処理ユニット(例えば、マイクロコントローラまたは他のタイプの論理デバイス)を含み得る。そのような処理ユニットは、様々な電源部品(例えば、制御ユニットで受信されたフィードバックに基づく)、回路要素、ガス流量調整デバイスなどの自動制御によって、プラズマフィラメント生成および/またはプラズマフィラメントタイミングを制御し得る。開示されるプラズマ反応器は、1つまたは複数の論理ベースのコントローラを使用して自動的に制御され得るが、いくつかの実施形態では、開示されるプラズマ反応器は、アナログ電子部品を使用して実装され得る。説明されているプラズマフィラメントを生成および消滅させるための1つのそのような実施例が、図22に示されている。図22において、2201は高電圧変圧器、2202は高電圧ダイオードブリッジ、2203は整流コンデンサ、2204は高電圧抵抗器、2205はパルス出力コンデンサ、2206はプラズマ化学反応器を示している。
【0059】
図22のこの例では、高電圧変圧器およびダイオードブリッジは、整流コンデンサ上に高電圧を生成し得る。高電圧抵抗器は、パルス出力コンデンサの充電のための所望のレベルの電流を制御または提供し得る。プラズマ化学反応器の電極を絶縁破壊するのに十分な電圧まで充電した後、パルス出力コンデンサは、プラズマ化学反応器内のプラズマチャネルを通して放電して、プラズマフィラメントを形成し得る。極性が変化すると、プラズマフィラメントはガス流によって消滅し得る。プラズマフィラメント生成およびその後のプラズマフィラメントの消滅のプロセスは、任意の所望の期間にわたって連続的に繰り返され得る。
【0060】
様々な電圧および抵抗が、上述のプラズマ反応器および関連する電子部品において使用され得る。一例では、実験セットアップは、整流コンデンサに印加される60kVの出力電圧の使用を含んでいた。高電圧抵抗器は100kΩとした。パルス出力コンデンサは350pFとした。これらの構成要素を用いて、結果として生じるプラズマフィラメント生成/消滅サイクルは、約60kHzの周波数を有する。プラズマ化学反応器を通したパルス出力コンデンサの放電のための回路の実効インダクタンスは、0.5μHnであった。電流パルス持続時間およびプラズマフィラメント寿命は約150ナノ秒であった。
【0061】
プラズマ反応器および関連する構成要素の別の例が図23に示されている。図23において、2301は高電圧高周波変圧器、2302は電圧増幅装置、2303は高電圧ダイオード、2304は高電圧コンデンサ、2305はパルス出力コンデンサ、2306はプラズマ化学反応器を示している。
【0062】
ダイオードおよびコンデンサに基づく高電圧変圧器および電圧増幅装置スキームは、パルス出力コンデンサの望ましい電流充電を提供し得る。絶縁破壊に十分な電圧まで充電した後、プラズマ化学反応器パルス出力コンデンサは、プラズマチャネルを通して放電して、プラズマフィラメントを形成し得る。極性の変化の瞬間(または信号極性の変化後のある時点)に、プラズマフィラメントは、ガス流によって消滅し得る。プロセスは連続的に繰り返され得る。
【0063】
一例では、実験セットアップは、100pFの乗算コンデンサを含んでいた。高周波高電圧変圧器を、30kHzおよび60Hzの周波数でそれぞれ動作させた。パルス出力コンデンサは300pFとした。その結果、プラズマパルス周波数はそれぞれ30kHzおよび60kHzであった。プラズマ化学反応器を通したパルス出力コンデンサの放電回路の実効インダクタンスは、それぞれ0.5μHn、0.125μHnおよび0.03μHnであった。電流パルス持続時間およびプラズマフィラメント寿命は、それぞれ180ナノ秒、80ナノ秒および30ナノ秒であった。
【0064】
いくつかのさらなる例示的な実施形態は、以下を含む。
オン時間よりも長いオフ時間を有する例示的な反応器
【0065】
いくつかの実施形態では、プラズマ反応器は、プラズマフィラメントが存在しないドウェル時間(オフ時間)が、プラズマフィラメントが存在するときのプラズマ放電間隔(オン時間)よりも著しく長くなるように、プラズマフィラメントを繰り返し生成および消滅させ得る。いくつかの実施形態では、より長いオフ時間は、後続のフィラメントがそれらの先行フィラメントとは異なる経路を辿ることを可能にする(効率の向上につながる)のに重要であり得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、電極対と、ガスを電極対の場所に送達するように構成されたガス入口と、電極対間に時変電圧を生じさせるように構成された電源とを備え、時変電圧は、複数の連続放電間隔の各々が電極対間にプラズマフィラメントが存在しないドウェル間隔によって複数の放電間隔のうちの別の放電間隔から時間的に分離されるように、複数の連続放電間隔の各々の間に電極対間にプラズマフィラメントの生成を生じさせるように構成され、平均ドウェル間隔時間は、平均放電間隔時間の少なくとも10倍である、プラズマ反応器が提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、電極対と、ガスを電極対の場所に送達するように構成されるガス入口と、電極対間に時変電圧を生じさせるように構成された電源と、複数の放電間隔の各々が電極対の間にプラズマフィラメントが存在しないドウェル間隔によって複数の放電間隔のうちの別の放電間隔から時間的に分離されるように、複数の連続放電間隔の各々の間に電極対間にプラズマフィラメントを生成するように電源を制御するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを備え、平均ドウェル間隔時間は、平均放電間隔時間の少なくとも10倍である、プラズマ反応器が提供される。
【0068】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、プラズマフィラメントを少なくとも10分間にわたって毎秒少なくとも50,000回点火および消滅させるために、電極対へのエネルギー供給を制御するように構成される。
【0069】
いくつかの実施形態では、複数の放電間隔の各々の持続時間は実質的に同じである。
【0070】
いくつかの実施形態では、ドウェル間隔の平均持続時間の放電間隔の平均持続時間に対する比は、少なくとも50である。
【0071】
いくつかの実施形態では、ドウェル間隔の平均持続時間の放電間隔の平均持続時間に対する比は、少なくとも100である。
【0072】
いくつかの実施形態では、複数の放電間隔のうちの少なくとも1つの放電間隔の持続時間は、複数の放電間隔のうちの別の放電間隔の持続時間と異なる。
【0073】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、複数の放電間隔の平均持続時間を約50ナノ秒から200ナノ秒にして、ドウェル間隔の平均持続時間を約500ナノ秒から15,000ナノ秒にするように電源を制御するように構成される。
【0074】
いくつかの実施形態では、一対の電極間の距離は、約2cm~10cmである。
【0075】
いくつかの実施形態では、一対の電極間の距離は、約5cm~7cmである。
【0076】
いくつかの実施形態では、各々の放電間隔の間に生成されるプラズマフィラメントの平均直径は、約50マイクロメートル~1000マイクロメートルである。
【0077】
いくつかの実施形態では、電極対のうちの少なくとも一方の電極は、その遠位端の表面から延在する1つまたは複数の針構造を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、一対の電極のうちの少なくとも一方の電極はハフニウムを含む。
逆反応を低減するための例示的なプラズマフィラメント不活性化
【0079】
いくつかの実施形態では、プラズマフィラメントが化学反応を生じさせた後、逆反応が生じないように十分な期間にわたってプラズマフィラメントを消滅させる。
【0080】
化学反応を促進するためのプラズマ発生器を含むいくつかの実施形態では、プラズマ発生器は、反応室と、反応室内のアノードおよびカソードであって、アノード・カソード間にエネルギーを送達するための回路に接続されるアノードおよびカソードと、アノードおよびカソードの領域に少なくとも1つの反応ガスを供給するためのガス流入口と、ガス流入口を通る反応ガス流を制御するための弁であって、アノードおよびカソードの領域に流入する反応ガスの量を調整するように構成された弁と、エネルギーを回路に送達し、回路にエネルギーが送達されないときの第1の平均サイクル時間が回路にエネルギーが送達されるときの第2の平均サイクル時間よりも十分に長くなるようにサイクルにおけるエネルギー送達を調整して、化学反応に続く逆反応を制限するように構成された電源とを含み得る。
【0081】
化学反応を促進するためのプラズマ発生器を含むいくつかの実施形態では、プラズマ発生器は、反応室と、反応室内のアノードおよびカソードであって、アノード・カソード間にエネルギーを送達するための回路に接続されるアノードおよびカソードと、アノードおよびカソードの領域に少なくとも1つの反応ガスを供給するためのガス流入口と、ガス流入口を通る反応ガス流を制御するための弁と、エネルギーを回路に送達するように構成された電源と、アノードおよびカソードの領域に流入する反応ガスの量を調整するように弁を制御し、回路にエネルギーが送達されないときの第1の平均サイクル時間が回路にエネルギーが送達されるときの第2の平均サイクル時間よりも十分に長くなるように電源から回路へのサイクルにおけるエネルギー送達を調整して化学反応に続く逆反応を制限するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1の平均サイクル時間は、第2の平均サイクル時間よりも少なくとも50倍長い。
【0083】
いくつかの実施形態では、第2の平均サイクル時間は約200ナノ秒未満である。
介在ドウェル時間を有する例示的な高周波プラズマ放電
【0084】
いくつかの実施形態では、開示されるプラズマ反応器は、高周波数(例えば、50kHzまたは100kHzを上回る)であるが、生成されるプラズマフィラメント事象間にドウェル時間をインターリーブして、プラズマフィラメントを繰り返し生成および消滅させ得る。いくつかの実施形態では、高周波数動作およびインターリーブドウェル時間は、プラズマ放電を連続的に維持する他のシステム(例えば、マイクロ波プラズマシステム)に比べて性能を改善する重要な要素であり得る。例えば、高周波数および比較的長いドウェル時間は、ガス状反応生成物の急速なクエンチングをもたらし、このことが効率改善につながり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、電極対と、ガスを電極対の場所に送達するように構成されたガス入口と、プラズマ放電が電極対間で発生しないドウェル時間だけ互いに時間的に離隔された一連の周期的プラズマ放電事象を電極対間に発生させるために電極対間に時変電圧を生じさせ、少なくとも50kHzの周波数で周期的プラズマ放電事象を発生させるように構成された電源とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0086】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、電極対と、ガスを電極対の場所に送達するように構成されたガス入口と、電源と、プラズマ放電が電極対間で発生しないドウェル時間だけ互いに時間的に離隔された一連の周期的プラズマ放電事象を電極対間に発生させるために電極対間に時変電圧を生じさせ、少なくとも50kHzの周波数で周期的プラズマ放電事象を発生させるように構成された少なくとも1つのプロセッサとを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0087】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、周期的プラズマ放電事象を少なくとも100kHzの周波数で発生させるように構成される。
【0088】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、ドウェル時間の持続時間を各プラズマ放電事象の平均持続時間の少なくとも10倍の長さにするように構成される。
【0089】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、ドウェル時間の持続時間を各プラズマ放電事象の平均持続時間の少なくとも100倍の長さにするように構成される。
【0090】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、各プラズマ放電事象の平均持続時間を約50ナノ秒~約150ナノ秒にし、ドウェル時間の持続時間を少なくとも1500ナノ秒にするように構成される。
【0091】
いくつかの実施形態では、各プラズマ放電事象の平均持続時間は、約50ナノ秒~約150ナノ秒であり、ドウェル時間の持続時間は、少なくとも10,000ナノ秒である。
【0092】
いくつかの実施形態では、一対の電極間の距離は、約2cm~10cmである。
【0093】
いくつかの実施形態では、一対の電極間の距離は、約5cm~7cmである。
【0094】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、各プラズマ放電事象が電極対間にプラズマフィラメントを生成させ、プラズマフィラメントの平均半径を約50マイクロメートル~1000マイクロメートルにするように構成される。
介在ドウェル時間を生成するための例示的なフィラメント不安定性の制御
【0095】
いくつかの実施形態では、開示されるプラズマ反応器において、プラズマフィラメントを消滅させるために周期的な不安定性が導入され得る。不安定性は、電極対に印加される電圧信号の極性の変化によって生成され、このことにより、例えば、反応室を通って流れるガスによってフィラメントを消滅させることが可能になる。
【0096】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、反応室と、反応室内の電極対と、電圧および電流のうちの少なくとも一方を電極対間で正極性と負極性との間で変化させて、正極性の期間中にプラズマ点火を開始し、負極性のそれぞれの期間中に、生成されたプラズマフィラメントに不安定性を生じさせるように構成された電源と、生成されたプラズマフィラメントが印加電圧の正極性のそれぞれの期間中に維持され、負極性のそれぞれの期間中および生成されたプラズマフィラメントの不安定性の発生後に消火するように、生成されたプラズマフィラメントの領域にガスを方向付けるように構成された少なくとも1つのガス流導管とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0097】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、反応室と、反応室内の電極対と、電源と、電圧および電流のうちの少なくとも一方を電極対間で正極性と負極性との間で変化させて、正極性の期間中にプラズマ点火を開始し、負極性のそれぞれの期間中に、生成されたプラズマフィラメントに不安定性を生じさせるように構成された少なくとも1つのプロセッサと、生成されたプラズマフィラメントが印加電圧の正極性のそれぞれの期間中に維持され、負極性のそれぞれの期間中および生成されたプラズマフィラメントの不安定性の発生後に消火するように、生成されたプラズマフィラメントの領域にガスを方向付けるように構成された少なくとも1つのガス流導管とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0098】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、電極対間の電圧が正極性から負極性に変化するときに、生成されたプラズマフィラメントの不安定性を開始させるように構成される。
【0099】
いくつかの実施形態では、変動電圧は周期的であり、変動電圧の単一サイクルは、正極性部分および負極性部分を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、生成されたプラズマフィラメントは正極性部分の中に少なくとも部分的に入る放電時間の間維持され、負極性部分および正極性部分の一部を含むドウェル時間の間、プラズマフィラメントは電極対間に存在せず、ドウェル時間は放電時間より長い。
【0101】
いくつかの実施形態では、生成されたプラズマフィラメントは、プラズマフィラメントが電極対間に存在しないドウェル時間よりも持続時間が短い放電時間の間、維持される。
【0102】
いくつかの実施形態では、ドウェル時間は、放電時間の少なくとも10倍の長さである。
【0103】
いくつかの実施形態において、ドウェル時間は、放電時間の少なくとも100倍の長さである。
【0104】
いくつかの実施形態では、変動電圧は鋸歯状波形を有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、生成されたプラズマフィラメントの領域に向けられるガスは、0.1~50リットル/分の流速を有する。
フィラメントの点火および消火を制御する例示的なガス流速
【0106】
いくつかの開示されている実施形態では、ガス流速は、繰り返されるプラズマフィラメント点火および消火を可能にするのに重要であり得る。いくつかの実施形態では、ガス流量が高すぎる場合、フィラメントは点火せず、ガス流量が低すぎる場合、フィラメントは消滅しない。したがって、ガス流が制御され得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、反応室と、電極対と、極大値と極小値との間で周期的に変化する時変電圧を電極対間に生じさせるように構成された電源と、プラズマフィラメント生成を可能にし、かつ生成されたプラズマフィラメントの消火を時変電圧の連続する極大値間で生じさせるように選択された流量で、ガスを電極対の領域に方向付けるように制御された少なくとも1つのガス導管とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0108】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、反応室と、電極対と、極大値と極小値との間で周期的に変化する時変電圧を電極対間に生じさせる電源を制御するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、プラズマフィラメント生成を可能にし、かつ生成されたプラズマフィラメントの消火を時変電圧の連続する極大値間で生じさせるように選択された流量で、ガスを電極対の領域に方向付けるように制御された少なくとも1つのガス導管とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0109】
いくつかの実施形態では、反応器は、ガス流導管に関連付けられたガス弁をさらに備え、少なくとも1つのプロセッサは、繰り返しフィラメント生成および消火を引き起こす流量でガスを送達するようにガス弁を制御するように構成される。
【0110】
いくつかの実施形態では、反応器は、フィラメント生成および消火のうちの少なくとも一方を検出し、弁を調整するためにプロセッサに出力を提供するセンサをさらに備える。
【0111】
いくつかの実施形態では、反応器は、ガス流量を検出し、弁を調整するためにプロセッサに出力を提供するセンサをさらに備える。
【0112】
いくつかの実施形態では、生成されたプラズマフィラメントの領域に向けられるガスは、0.1~50リットル/分の流速を有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、時変電圧は少なくとも50kHzの周波数を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、プラズマフィラメント生成は、少なくとも50kHzのレートで生じる。
【0115】
いくつかの実施形態では、時変電圧は、少なくとも100kHzの周波数を有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、プラズマフィラメント生成は、少なくとも100kHzのレートで生じる。
効率を高めるための例示的な回転ガス流
【0117】
いくつかの実施形態では、ガス流は、運動の主要軸流成分に加えて、運動の回転流成分を有し得る。この回転流は、システムの効率にとって重要であり得、層流のみに依存する管型反応器システムの最大5倍(またはそれ以上)の効率をもたらし得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、反応室と、反応室内の電極対と、電極対に電気的に接続され、電極対間に印加される時変電圧に応答して、プラズマ放電が発生しないドウェル時間期間によって時間的に分離される周期的プラズマ放電事象を電極対間に発生させるように構成された電源と、電極対を通る軸に対する運動の長手方向成分および回転成分の両方をガス流が含むように、ガス流を電極対の領域に方向付けるように構成された少なくとも1つのガス導管とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0119】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、反応室と、反応室内の電極対と、電極対に電気的に接続された電源と、電極対に印加される時変電圧に応答して、プラズマ放電が発生しないドウェル時間期間によって時間的に分離される周期的プラズマ放電事象を電極対間に発生させるように電源を制御するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、電極対を通る軸に対する運動の長手方向成分および回転成分の両方をガス流が含むように、ガス流を電極対の領域に方向付けるように構成された少なくとも1つのガス導管とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0120】
いくつかの実施形態では、反応器は、ガス流量を調整するために、ガス導管に関連付けられた少なくとも1つの弁をさらに備える。
【0121】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの弁を制御して、0.1リットル/分~50リットル/分の長手方向流速を有するガス流を生じさせるように構成される。
【0122】
いくつかの実施形態では、運動の回転成分は、周期的プラズマ放電事象中に生成されるプラズマフィラメントの平均直径以上の距離だけガス流中の分子を変位させるのに十分である。
【0123】
いくつかの実施形態では、ガス流の運動の回転成分は、周期的プラズマ放電事象中に生成されたプラズマフィラメントをスプライン状の経路に沿って進ませる。
【0124】
いくつかの実施形態では、ドウェル時間は、周期的プラズマ放電事象に関連する放電時間の少なくとも10倍の長さである。
【0125】
いくつかの実施形態では、ドウェル時間は、周期的プラズマ放電事象に関連する放電時間の少なくとも100倍の長さである。
【0126】
いくつかの実施形態では、周期的プラズマ放電事象は、少なくとも50kHzの周波数で生じる。
【0127】
いくつかの実施形態では、周期的プラズマ放電事象は、少なくとも100kHzの周波数で生じる。
新しい経路を辿る例示的な後続フィラメント
【0128】
いくつかの実施形態では、オン時間よりもオフ時間を長くすることにより、各々の新しいプラズマフィラメントは、先行フィラメントとは異なる経路を辿ることができる。この特徴は、生成された各フィラメントが、クエンチされた反応生成物よりも多くの未反応の反応物質に曝露されることを確実にするのに役立ち、このことは反応器効率を高めることができる。
【0129】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、反応室と、反応室内の電極対と、電極対間に時変電圧を生じさせるように構成された電源とを備え、時変電圧は、複数の放電間隔の各々が電極対間にプラズマフィラメントが存在しないドウェル間隔によって複数の放電間隔のうちの別の放電間隔から時間的に分離されるように、複数の放電間隔の各々の間に電極対間にプラズマフィラメントを生成することができるように構成され、ドウェル間隔の持続時間は、後続の放電間隔の間に生成される後続のプラズマフィラメントが、先行放電間隔の間に生成される先行プラズマフィラメントが辿る経路とは異なる経路をたどるようにするのに十分である、プラズマ反応器が提供される。
【0130】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、反応室と、反応室内の電極対と、電源と、複数の放電間隔の各々の間に電極対間にプラズマフィラメントを生成することができるように構成された時変電圧を電極対間に生じさせるように電源を制御し、複数の放電間隔の各々が電極対間にプラズマフィラメントが存在しないドウェル間隔によって複数の放電間隔のうちの別の放電間隔から時間的に分離されるように電源を制御し、ドウェル間隔の持続時間が、後続の放電間隔の間に生成される後続のプラズマフィラメントが先行放電間隔の間に生成される先行プラズマフィラメントが辿る経路とは異なる経路をたどるようにするのに十分であるように電源を制御するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0131】
いくつかの実施形態では、平均ドウェル間隔は、平均放電間隔の少なくとも10倍の長さである。
【0132】
いくつかの実施形態では、平均ドウェル間隔は、平均放電間隔の少なくとも50倍の長さである。
【0133】
いくつかの実施形態では、平均ドウェル間隔は、平均放電間隔の少なくとも100倍の長さである。
【0134】
いくつかの実施形態では、平均放電間隔の持続時間は50ナノ秒~150ナノ秒であり、平均ドウェル間隔の持続時間は少なくとも2500ナノ秒である。
【0135】
いくつかの実施形態では、平均ドウェル間隔の持続時間は少なくとも10,000ナノ秒である。
【0136】
いくつかの実施形態では、平均ドウェル間隔の持続時間は少なくとも15,000ナノ秒である。
【0137】
いくつかの実施形態では、放電間隔は、少なくとも50kHzの周波数で生じる。
【0138】
いくつかの実施形態では、放電間隔は、少なくとも100kHzの周波数で生じる。
例示的なガス流監視および改善措置
【0139】
いくつかの実施形態では、ガス流量は、開示されている反応器の複数の態様にとって重要なパラメータであり得る。したがって、ガス流量を監視し、流量が所定範囲外である場合に1つまたは複数の改善措置を取るための制御システムは、反応器の動作および性能にとって重要であり得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、プラズマ反応器のための制御システムは、プラズマ反応器を通るガス流と併せてプラズマフィラメントを周期的に点火および消滅させるように構成され、制御システムは、プラズマ反応器を通るガス流量の指示を受信し、ガス流量の受信された指示が、プラズマフィラメントの周期的消滅を可能にするのに十分な閾値未満の現在のガス流量を示すかどうかを判断し、現在のガス流量が閾値未満であると判断された場合に、少なくとも1つの改善措置を開始するように構成される少なくとも1つのプロセッサを備える。
【0141】
いくつかの実施形態では、改善措置は、警告を発することを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、警告は、可聴警告または可視警告のうちの少なくとも一つを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、改善措置は、プラズマ反応器内のガス流量を増加させることを含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、改善措置は、少なくとも1つのポンプの動作速度を増加させることを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、改善措置は、プラズマ反応器を停止させることを含む。
例示的な並列経路反応器
【0146】
いくつかの実施形態では、各流路内に少なくとも1対の電極が配置された複数の平行なガス流路を有するプラズマ反応器は、単一流路反応器よりも大幅に高い安定性を提供することができる。このような反応器は、例えば、ガス流の変動によって引き起こされる悪影響を受けにくい可能性がある。
【0147】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、反応器流路を有する反応器と、流路内の第1のガス流動室であって、反応器流路内に第1の副流路を画定する第1のガス流動室と、第1のガス流動室内に配置された第1の電極対と、反応器流路内の少なくとも1つの第2のガス流動室であって、反応器流路内に第2の副流路を画定し、第1の副流路および第2の副流路が実質的に平行である、第2のガス流動室と、少なくとも1つの第2のガス流動室内に配置された少なくとも1つの第2の電極対と、第1のガス流動室および少なくとも第2のガス流動室の各々内でのプラズマフィラメントの連続的な生成および消火を可能にするために、第1の電極対および第2の電極対の各々に少なくとも1つの時変電圧を生じさせるように構成された少なくとも1つの電源とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0148】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学種を1つまたは複数の反応生成物に変換するためのプラズマ反応器であって、反応器流路を有する反応器と、流路内の第1のガス流動室であって、反応器流路内に第1の副流路を画定する第1のガス流動室と、第1のガス流動室内に配置された第1の電極対と、反応器流路内の少なくとも1つの第2のガス流動室であって、反応器流路内に第2の副流路を画定し、第1の副流路および第2の副流路が実質的に平行である、第2のガス流動室と、少なくとも1つの第2のガス流動室内に配置された少なくとも1つの第2の電極対と、少なくとも1つの電源と、第1のガス流動室および少なくとも1つの第2のガス流動室の各々内でのプラズマフィラメントの連続的な生成および消滅を可能にするために、第1の電極対および第2の電極対の各々に少なくとも1つの時変電圧を生じさせるように構成された少なくとも1つのプロセッサとを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0149】
いくつかの実施形態では、第1の電極対または第2の電極対のうちの少なくとも一方は、第1の電極対間または第2の電極対間の電場軸が、それぞれのガス流動室の流路に平行に配置されるように、それぞれのガス流動室に対して配向される。
【0150】
いくつかの実施形態では、第1の電極対または第2の電極対のうちの少なくとも一方は、第1の電極対間または第2の電極対間の電場軸が、それぞれのガス流動室の流路に対して非ゼロ角度で配置されるように、それぞれのガス流動室に対して配向される。
【0151】
いくつかの実施形態では、第1の電極対または第2の電極対のうちの少なくとも一方は、第1の電極対間または第2の電極対間の電場軸が、それぞれのガス流動室の流路に対して約90度の角度で配置されるように、それぞれのガス流動室に対して配向される。
【0152】
いくつかの実施形態では、プラズマ反応器は、少なくとも3つのガス流動室を含み、それらの長手方向軸は、実質的に平行であり、三角形の頂点上にある。
【0153】
いくつかの実施形態では、プラズマ反応器は、六方最密配置の複数のガス流動室を含み、その長手方向軸は互いに実質的に平行である。
例示的なCO 解離装置
【0154】
いくつかの実施形態では、開示されるプラズマ反応器の潜在的に重要な使用事例は、二酸化炭素、周知の産業汚染物質、および温室効果ガスの解離を含み得る。開示される反応器は、様々な発生源からの二酸化炭素排出を低減するために使用することができるだけでなく、システムは、現在の技術では不可能である4eV/mol未満の効率を提供することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、二酸化炭素を一酸化炭素と酸素とに解離するためのプラズマ反応器であって、ガス流路を画定する二酸化炭素反応室と、反応室内の入口であって、ガス流路に二酸化炭素を供給するように構成された入口と、ガス流路内に配置された電極対と、電極対間でプラズマフィラメントの生成を可能にするために、電極対間に電圧を生じさせるように構成された電源であって、プラズマフィラメントが電極対間に存在するときにプラズマフィラメントが二酸化炭素と相互作用し、二酸化炭素の一酸化炭素と酸素とへの解離を生じさせることができるように、電極対間に供給される電圧を経時的に変化させて電極間でプラズマフィラメントを繰り返し形成し消滅させるように制御するようにも構成された電源と、反応室から一酸化炭素と酸素とを排出するように構成された反応室内の少なくとも1つの出口とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0156】
いくつかの実施形態では、二酸化炭素を一酸化炭素と酸素に解離するためのプラズマ反応器であって、ガス流路を画定する二酸化炭素反応室と、反応室内の入口であって、ガス流路に二酸化炭素を供給するように構成された入口と、ガス流路内に配置された電極対と、電源と、電極対間でプラズマフィラメントの生成を可能にするために、電極対間に電圧を生じさせ、プラズマフィラメントが電極対間に存在するときにプラズマフィラメントが二酸化炭素と相互作用し、二酸化炭素の一酸化炭素と酸素とへの解離を生じさせることができるように、電極対間に供給される電圧を経時的に変化させて電極間でプラズマフィラメントを繰り返し形成し消滅させるように制御するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、反応チャンバから一酸化炭素と酸素とを排出するように構成された反応室内の少なくとも1つの出口とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0157】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、フィラメントが電極対間に存在しない期間が、フィラメントが電極対間に存在する期間より長くなるように、フィラメント形成およびフィラメント消滅を制御するように構成される。
【0158】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、プラズマフィラメントが電極対間に存在しないドウェル間隔をインターリーブすることによって、連続フィラメント放電間隔を時間的に分離させるようにさらに構成され、インターリーブドウェル間隔の平均長さは、複数の放電間隔の平均持続時間の少なくとも10倍の長さである。
【0159】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、0.1リットル/分~50リットル/分の長手方向流速を有するように二酸化炭素の供給量を制御するように構成される。
【0160】
いくつかの実施形態では、反応器は、二酸化炭素の供給量に運動の回転成分を付与するように構成された少なくとも1つのガス流制御要素をさらに含み、運動の回転成分は、複数のプラズマ放電間隔の間に生成されたプラズマフィラメントの平均直径以上の距離だけ二酸化炭素の供給量における二酸化炭素分子を変位させるのに十分である。
【0161】
いくつかの実施形態では、インターリーブドウェル間隔の平均長さは、フィラメント形成間隔の平均持続時間の少なくとも50倍の長さである。
【0162】
いくつかの実施形態では、インターリーブドウェル間隔の平均長さは、複数のフィラメント形成間隔の平均持続時間の少なくとも100倍の長さである。
【0163】
いくつかの実施形態では、プラズマフィラメントの生成は、少なくとも50kHzのレートで生じる。
【0164】
いくつかの実施形態では、プラズマフィラメントの生成は、少なくとも100kHzのレートで生じる。
CO 排出量を削減するための余剰エネルギーの例示的な再利用
【0165】
いくつかの実施形態では、プラズマ発生器は、産業プラントからの余剰エネルギーを使用して、CO2を分解するプラズマ発生器に電力供給するために、産業プラントの出口に設置され得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、産業プロセスにおいて余剰エネルギーを使用して産業プロセスによって生成される二酸化炭素排出量を低減するシステムであって、余剰エネルギー源に接続可能であり、電源に電気的に接続された電極対を含むプラズマ発生器と、プラズマ発生器を産業プロセスの二酸化炭素出口に関連付けて、産業プロセスからの二酸化炭素排出物が電極対の領域に流入することを可能にする入口と、一連のプラズマフィラメントを形成させ、別のフィラメントが形成される前に各フィラメントを消滅させることによって中断させ、その結果、電極対の領域内の二酸化炭素を変換して炭素と酸素とに解離させるためにプラズマ発生器にエネルギーを供給するように構成された電源とを備えるシステムが提供される。
【0167】
いくつかの実施形態では、産業プロセスにおいて余剰エネルギーを使用して産業プロセスによって生成される二酸化炭素排出量を低減するシステムであって、余剰エネルギー源に接続可能であり、電源に電気的に接続された電極対を含むプラズマ発生器と、プラズマ発生器を産業プロセスの二酸化炭素出口に関連付けて、産業プロセスからの二酸化炭素排出物が電極対の領域に流入することを可能にする入口と、一連のプラズマフィラメントを形成させ、別のフィラメントが形成される前に各フィラメントを消滅させることによって中断させ、その結果、電極対の領域内の二酸化炭素を変換して炭素と酸素とに解離させるためにプラズマ発生器へのエネルギーの供給を制御するための少なくとも1つのプロセッサとを備えるシステムが提供される。
【0168】
いくつかの実施形態では、第1のフィラメント消滅と次の第2のフィラメント形成との間の時間は、第1のフィラメントまたは第2のフィラメントが持続する時間の少なくとも50倍の長さである。
例示的なプラズマ生成XeF
【0169】
いくつかの実施形態では、開示されるプラズマ反応器の潜在的に重要な使用事例は、メタンとキセノンのプラズマ支援組み合わせによるフッ化キセノン生成である。
【0170】
いくつかの実施形態では、フッ化キセノンを生成するためのプラズマ反応器であって、ガス流路を画定するフッ化キセノン反応室と、反応室内の少なくとも1つの入口であって、ガス流路にフッ化炭素ガスおよびキセノンガスの供給量を供給するように構成された少なくとも1つの入口と、ガス流路内に配置された電極対と、電極対間でプラズマフィラメントの生成を可能にするように構成された時変電圧を電極対間に生じさせ、プラズマフィラメントが電極対間に存在するときにプラズマフィラメントがキセノンガスおよびフッ化炭素ガスと相互作用し、相互作用がフッ化キセノンの形成を引き起こすように、プラズマフィラメントを電極間で繰り返し形成しおよび消滅させるように時変的に電極対間に供給される電圧を制御するように構成された電源と、反応室からフッ化キセノンを排出するように構成された反応室内の少なくとも1つの出口とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0171】
いくつかの実施形態では、フッ化キセノンを生成するためのプラズマ反応器であって、ガス流路を画定するフッ化キセノン反応室と、反応室内の少なくとも1つの入口であって、ガス流路にフッ化炭素ガスおよびキセノンガスの供給量を供給するように構成された少なくとも1つの入口と、ガス流路内に配置された電極対と、電源と、電極対間でプラズマフィラメントの生成を可能にするように構成された時変電圧を電極対間に生じさせ、プラズマフィラメントが電極対間に存在するときにプラズマフィラメントがキセノンガスおよびフッ化炭素ガスと相互作用し、相互作用がフッ化キセノンの形成を引き起こすように、プラズマフィラメントを電極間で繰り返し形成しおよび消滅させるように時変的に電極対間に供給される電圧を制御するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、反応室からフッ化キセノンを排出するように構成された反応室内の少なくとも1つの出口とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0172】
いくつかの実施形態では、生成されたフッ化キセノンはXeFを含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、フッ化炭素ガスの供給量は、CF(テトラフルオロ炭素)を含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、0.1リットル/分~50リットル/分のガス流路に沿った長手方向流速を有するキセノンガスの供給量およびフッ化炭素ガスの供給量を含むガス混合物の流れを制御するようにさらに構成される。
【0175】
いくつかの実施形態では、反応器は、キセノンガスの供給量およびフッ化炭素ガスの供給量を含むガス混合物に運動の回転成分を付与するように構成された少なくとも1つのガス流制御要素をさらに含み、運動の回転成分は、複数のプラズマ放電間隔の間に生成されたプラズマフィラメントの平均直径以上の距離だけガス混合物中の分子を変位させるのに十分である。
【0176】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、プラズマフィラメントが電極対間に存在しないドウェル間隔をインターリーブすることによって、連続フィラメント形成間隔を時間的に分離させるようにさらに構成され、インターリーブドウェル間隔の平均長さは、複数のフィラメント形成間隔の平均持続時間の少なくとも10倍の長さである。
【0177】
いくつかの実施形態では、インターリーブドウェル間隔の平均長さは、複数の放電間隔の平均持続時間の少なくとも50倍の長さである。
【0178】
いくつかの実施形態では、インターリーブドウェル間隔の平均長さは、複数の放電間隔の平均持続時間の少なくとも100倍の長さである。
【0179】
いくつかの実施形態では、プラズマフィラメントの生成は、少なくとも50kHzのレートで生じる。
【0180】
いくつかの実施形態では、プラズマフィラメントの生成は、少なくとも100kHzのレートで生じる。
例示的なプラズマ生成合成ガス
【0181】
いくつかの実施形態では、開示されるプラズマ反応器のさらなる潜在的に重要な使用事例は、現在のマイクロ波システムの約半分のエネルギーを使用する合成ガス生成である。
【0182】
いくつかの実施形態では、合成ガスを生成するためのプラズマ反応器であって、ガス流路を画定する合成ガス反応室と、反応室内の少なくとも1つの入口であって、ガス流路に炭素および酸素を含有する第1のガスと水素を含有する第2のガスの供給量を供給するように構成された少なくとも1つの入口と、ガス流路内に配置された電極対と、プラズマフィラメントが電極対間に存在するときにプラズマフィラメントが第1のガスおよび第2のガスと相互作用し、相互作用が合成ガスの形成を引き起こすように、プラズマフィラメントを電極間で繰り返し形成しおよび消滅させるように時変的に電極対間に電圧を生じさせ、電極間の電圧を変化させるように構成された電源と、反応室から合成ガスを排出するように構成された反応室内の少なくとも1つの出口とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0183】
いくつかの実施形態では、合成ガスを生成するためのプラズマ反応器であって、ガス流路を画定する合成ガス反応室と、反応室内の少なくとも1つの入口であって、ガス流路に炭素および酸素を含有する第1のガスと水素を含有する第2のガスの供給量を供給するように構成された少なくとも1つの入口と、ガス流路内に配置された電極対と、電源と、プラズマフィラメントが電極対間に存在するときにプラズマフィラメントが第1のガスおよび第2のガスと相互作用し、相互作用が合成ガスの形成を引き起こすように、プラズマフィラメントを電極間で繰り返し形成しおよび消滅させるように時変的に電極対間に電圧を生じさせ、電極間の電圧を変化させるように構成された少なくとも1つのプロセッサと、反応室から合成ガスを排出するように構成された反応室内の少なくとも1つの出口とを備えるプラズマ反応器が提供される。
【0184】
いくつかの実施形態では、第1のガスはCO2を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、第2のガスはCHを含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、合成ガスは、一酸化炭素と水素との混合物を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、第1のガスと第2のガスとの混合物は、ガス流路に沿って0.1リットル/分~50リットル/分の長手方向流速を有する。
【0188】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、プラズマフィラメントが電極対間に存在しないドウェル間隔をインターリーブすることによって、連続フィラメント形成間隔を時間的に分離させるようにさらに構成され、インターリーブドウェル間隔の平均長さは、複数のフィラメント形成間隔の平均持続時間の少なくとも10倍の長さである。
【0189】
いくつかの実施形態では、反応器は、第1のガスおよび第2のガスを含むガス混合物に運動の回転成分を付与するように構成された少なくとも1つのガス流制御要素をさらに含み、運動の回転成分は、複数のプラズマ放電間隔の間に生成されたプラズマフィラメントの平均直径以上の距離だけガス混合物中の分子を変位させるのに十分である。
【0190】
いくつかの実施形態では、インターリーブドウェル間隔の平均長さは、複数のフィラメント形成間隔の平均持続時間の少なくとも50倍の長さである。
【0191】
いくつかの実施形態では、インターリーブドウェル間隔の平均長さは、複数のフィラメント形成間隔の平均持続時間の少なくとも100倍の長さである。
【0192】
いくつかの実施形態では、プラズマフィラメントの生成は、少なくとも50kHzのレートで生じる。
【0193】
いくつかの実施形態では、プラズマフィラメントの生成は、少なくとも100kHzのレートで生じる。
【0194】
以下の説明は、本開示の実施形態に従ういくつかの追加の実施例を示すものである。
実施例1
【0195】
パルスプラズマ化学反応器を使用して、CO→CO+1/2OなどによってCOをCOと酸素とに変換するための例示的なプロセスを実証した。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。両電極とも図17(11)に示す形状を有するものとした。各電極は、タングステンロッドを有する銅シリンダーとして作製した。両電極において、ガス流は銅部分の中心孔を通過する。
【0196】
電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約300ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0197】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0198】
注入CO流量: 1.2m/h
【0199】
電源出力電力:900W
【0200】
再循環ポンプ流量:30m/h
【0201】
石英チャンバ内径: 40mm
【0202】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0203】
CO:15%
【0204】
:7.5%
実施例2
【0205】
パルスプラズマ化学反応器を使用して、CO→CO+1/2Oなどの反応においてCOをCOと酸素とに変換するための例示的なプロセスを実証した。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。両電極とも図17(10)に示す形状を有するものとした。各電極は銅製とした。両電極において、ガス流は銅部分の中心孔を通過した。電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約300ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0206】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0207】
注入CO流量: 1.2m/h
【0208】
電源出力電力:1200W
【0209】
再循環ポンプ流量:30m/h
【0210】
石英チャンバ内径: 40mm
【0211】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0212】
CO:13%
【0213】
:6.5%
実施例3
【0214】
パルスプラズマ化学反応器を使用して、反応CO→CO+1/2OにおいてCOをCOと酸素とに変換するためのプロセスを実証した。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。カソード電極は、図17(10)に示す形状を有するものとした。カソードは銅製とした。アノードは、図17(11)に示す形状を有するものとした。アノードは、タングステンロッドを有する銅シリンダーとして作製した。両電極において、ガス流は銅部分の中心孔を通過する。電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約300ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0215】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0216】
注入CO流量: 1.2m/h
【0217】
電源出力電力:950W
【0218】
再循環ポンプ流量:30m/h
【0219】
石英チャンバ内径: 40mm
【0220】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0221】
CO:14%
【0222】
:7%
実施例4
【0223】
パルスプラズマ化学反応器を使用して、反応CO→CO+1/2OにおいてCOをCOと酸素とに変換するためのプロセスを実証した。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。両電極とも図17(11)に示す形状を有するものとした。各電極は、タングステンロッドを有する銅シリンダーとして作製した。両電極において、ガス流は銅部分の中心孔を通過する。電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約300ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0224】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0225】
注入CO流量: 1.2m/h
【0226】
電源出力電力:930W
【0227】
再循環ポンプ流量:20m/h
【0228】
石英チャンバ内径: 40mm
【0229】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0230】
CO:15%
【0231】
:7.5%
実施例5
【0232】
パルスプラズマ化学反応器を使用して、反応CO→CO+1/2OにおいてCOをCOと酸素とに変換するためのプロセスを実証した。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。両電極とも図17(11)に示す形状を有するものとした。各電極は、タングステンロッドを有する銅シリンダーとして作製した。両電極において、ガス流は銅部分の中心孔を通過する。電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約300ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0233】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0234】
注入CO流量: 1.2m/h
【0235】
電源出力電力:1000W
【0236】
再循環ポンプ流量:15m/h
【0237】
石英チャンバ内径: 40mm
【0238】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0239】
CO:14%
【0240】
:7.0%
実施例6
【0241】
パルスプラズマ化学反応器を使用して、反応CO→CO+1/2OにおいてCOをCOと酸素とに変換するためのプロセスを実証した。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。両電極とも図17(11)に示す形状を有するものとした。各電極は、タングステンロッドを有する銅シリンダーとして作製した。両電極において、ガス流は銅部分の中心孔を通過する。電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約300ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0242】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0243】
注入CO流量: 1.2m/h
【0244】
電源出力電力:900W
【0245】
再循環ポンプ流量:30m/h
【0246】
石英チャンバ内径: 40mm
【0247】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0248】
CO:15%
【0249】
:7.5%
実施例7
【0250】
パルスプラズマ化学反応器を使用した、反応CO+CH→2CO+2Hにおいて、50%のCOと50%のCHとの混合物を合成ガス(COとHとの混合物)に変換するプロセス。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。両電極とも図17(11)に示す形状を有するものとした。各電極は、タングステンロッドを有する銅シリンダーとして作製した。両電極において、ガス流は銅部分の中心孔を通過する。電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約200ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0251】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0252】
注入CO流量: 1.2m/h
【0253】
注入CH流量: 1.2m/h
【0254】
電源出力電力:1300W
【0255】
再循環ポンプ流量:30m/h
【0256】
石英チャンバ内径: 40mm
【0257】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0258】
CO:15%
【0259】
:15%
実施例8
【0260】
パルスプラズマ化学反応器を使用して、反応CO+CH→2CO+2Hにおいて、50%のCOと50%のCHとの混合物を合成ガス(COとHとの混合物)に変換するプロセスを実証した。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。両電極とも図17(11)に示す形状を有するものとした。各電極は、タングステンロッドを有する銅シリンダーとして作製した。両電極において、ガス流は銅部分の中心孔を通過する。電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約200ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0261】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0262】
注入CO流量: 1.2m/h
【0263】
注入CH流量: 1.2m/h
【0264】
電源出力電力:1100W
【0265】
再循環ポンプ流量:20m/h
【0266】
石英チャンバ内径: 40mm
【0267】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0268】
CO:15%
【0269】
:15%
実施例9
【0270】
パルスプラズマ化学反応器を使用して、反応CO+CH→2CO+2Hにおいて、50%のCOと50%のCHとの混合物を合成ガス(COとHとの混合物)に変換するプロセスを実証した。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。両電極とも図17(11)に示す形状を有するものとした。各電極は、タングステンロッドを有する銅シリンダーとして作製した。両電極において、ガス流は銅部分の中心孔を通過する。電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約200ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0271】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0272】
注入CO流量: 1.2m/h
【0273】
注入CH流量: 1.2m/h
【0274】
電源出力電力:900W
【0275】
再循環ポンプ流量:10m/h
【0276】
石英チャンバ内径: 40mm
【0277】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0278】
CO:15%
【0279】
:15%
実施例10
【0280】
パルスプラズマ化学反応器を使用して、反応CO+CH→2CO+2Hにおいて、50%のCOと50%のCHとの混合物を合成ガス(COとHとの混合物)に変換するプロセスを実証した。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。両電極とも図17(11)に示す形状を有するものとした。各電極は、タングステンロッドを有する銅シリンダーとして作製した。両電極において、ガス流は追加の接線方向孔を通過して回転流を生成する。中心孔を閉じた。
【0281】
電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約200ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0282】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0283】
注入CO流量: 1.2m/h
【0284】
注入CH流量: 1.2m/h
【0285】
電源出力電力:1100W
【0286】
再循環ポンプ流量:30m/h
【0287】
石英チャンバ内径: 40mm
【0288】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0289】
CO:15%
【0290】
:15%
実施例11
【0291】
パルスプラズマ化学反応器を使用して、反応CO+CH→2CO+2Hにおいて、50%のCOと50%のCHとの混合物を合成ガス(COとHとの混合物)に変換するプロセスを実証した。最初のCOを、石英シリンダーに同軸に挿入された2つの電極(アノードおよびカソード)を有するプラズマ反応器に注入した。両電極とも図17(11)に示す形状を有するものとした。各電極は、タングステンロッドを有する銅シリンダーとして作製した。両電極において、ガス流は追加の接線方向孔を通過して回転流を生成する。中心孔を閉じた。電源出力部を電極に接続した。出力コンデンサは300pFとした。このようにして、反復的な高温プラズマフィラメントの形成および消滅が得られた。プラズマフィラメントの寿命は約200ナノ秒であった。繰り返し周波数は60kHzであった。反応器中の望ましいガス速度は、再循環ガスポンプを使用することによって達成された。
【0292】
実験のパラメータは以下の通りである。
【0293】
注入CO流量: 1.2m/h
【0294】
注入CH流量: 1.2m/h
【0295】
電源出力電力:900W
【0296】
再循環ポンプ流量:20m/h
【0297】
石英チャンバ内径: 40mm
【0298】
生成ガス濃度は以下の通りである。
【0299】
CO:15%
【0300】
:15%
【0301】
反応器構成および動作パラメータの実施例(実験中に得られた例示的な結果と共に)を以下のセクションに示す。
実施例12
【0302】
大気圧におけるメタン/水素の70/30混合物からのアセチレンの生成を実証した。
【0303】
ガス流量(再循環ライン)は20m/hとした。カソードは、接線流の方向に減少する可変長を有するタングステンピンを有するものとした。アノードは、それぞれ直径6mmの6つの接線方向孔を有する。絶縁破壊周波数は52kHzとした。カソードピンとアノードピンとの間のギャップは40mmとした。電極ゾーンにおけるガスの計算接線速度は30m/sであり、これはf×5×10-4=25m/sより速い。
【0304】
電源は、高電圧ダイオードおよびコンデンサを有する1対の半波整流器に搭載されたIGBTブリッジ回路図および高電圧変圧器に基づくものとし、対の一方の整流器が正極を正に帯電させ、他方の整流器が負極を負に帯電させ、整流器に直列にインダクタおよびコンデンサを設置した(図12)。
【0305】
実験中、プラズマ位置の回転が得られ、安定した絶縁破壊電圧は9~10kV領域内であった。電源からプラズマへのエネルギー伝達効率は82%であった。アセチレン分子生成のプラズマエネルギーコストは、1分子当たり8eVであった。
実施例13
【0306】
大気圧におけるメタン/水素の70/30混合物からのアセチレンの生成を実証した。
【0307】
ガス流量(再循環ライン)は10m/hとした。カソードは、接線流の方向に減少する可変長を有するタングステンピンを有するものとした。アノードは、それぞれ直径6mmの6つの接線方向孔を有する。絶縁破壊周波数は52kHzとした。カソードピンとアノードピンとの間のギャップは40mmとした。電極ゾーンにおけるガスの計算接線速度は15m/sであり、これはf×5×10-4=25m/sより遅い。
【0308】
電源は、高電圧ダイオードおよびコンデンサを有する1対の半波整流器に搭載されたIGBTブリッジ回路図および高電圧変圧器に基づくものとし、対の一方の整流器が正極を正に帯電させ、他方の整流器が負極を負に帯電させ、整流器に直列にインダクタおよびコンデンサを設置した(図12)。
【0309】
実験中、プラズマ位置の回転は得られず、電極ピンへのプラズマフィラメントの付着が検出された。絶縁破壊電圧は6~10kVの範囲内であった。電源からプラズマへのエネルギー伝達効率は65%であった。アセチレン分子生成のプラズマエネルギーコストは、1分子当たり8.5eVであった。
実施例14
【0310】
大気圧におけるCOの解離を実証した。ガス流量(再循環ライン)は20m/hとした。カソードは、接線流の方向に減少する可変長を有するタングステンピンを有するものとした。アノードは、それぞれ直径6mmの6つの接線方向孔を有する。絶縁破壊周波数は52kHzとした。カソードピンとアノードピンとの間のギャップは40mmとした。電極ゾーンにおけるガスの計算接線速度は30m/sであり、これはf×5×10-4=25m/sより速い。
【0311】
電源は、IGBTセミブリッジ回路図と、中間点を有する一次巻線を有する高電圧変圧器とに基づくものとした。変圧器を高電圧ダイオードおよびコンデンサを有する1対の半波整流器に搭載し、対の一方の整流器が正極を正に帯電させ、他方の整流器が負極を負に帯電させ、整流器に直列にインダクタおよびコンデンサを設置した(図12)。
【0312】
実験中、プラズマ位置の回転が得られ、電極ピンへのプラズマフィラメントの付着は検出されなかった。絶縁破壊電圧は8~9kVの範囲内であった。電源からプラズマへのエネルギー伝達効率は80%であった。CO生成のプラズマエネルギーコストは、1分子当たり4.2eVであった。
実施例15
【0313】
大気圧におけるCOの解離を実証した。放電箱は4つのチャネル(図10)を有するものとした。ガス流量(再循環ライン)は20m/hとした。カソードは、接線流の方向に減少する可変長を有するタングステンピンを有するものとした。アノードは、それぞれ直径6mmの6つの接線方向孔を有するものとした。絶縁破壊周波数は12kHzとした。カソードピンとアノードピンとの間のギャップは40mmとした。電極ゾーンにおけるガスの計算接線速度は8m/sであり、これはf×5×10-4=6m/sより速い。
【0314】
電源は、IGBTセミブリッジ回路図と、中間点を有する一次巻線を有する高電圧変圧器とに基づくものとした。変圧器を高電圧ダイオードおよびコンデンサを有する4対の半波整流器に搭載し、対の一方の整流器が正極を正に帯電させ、他方の整流器が負極を負に帯電させ、各々の対の整流器に直列にインダクタおよびコンデンサを設置した(図13)。図13において、1301はインダクタ(5.5mHn)を示し、1302は-30kVの点を示し、1303は+30kVの点を示し、1304はパワーモジュールを示し、1305は二次巻線(220ターン)を示し、1306は一次巻線(3ターン)を示し、1307は+500Vの点を示し、1308はIGBTモジュール(CM200DU-24NFH)を示し、1309はIGBTモジュール(CM200DU-24NFH)を示し、1310はコンデンサ(6x820μF、200V)を示し、1311はダイオードブリッジ(4x60EPF12))を示し、1312はドライバを示し、1313はバリアック(110V、20A)を示す。
【0315】
実験中、プラズマ位置の回転が得られ、電極ピンへのプラズマフィラメントの付着は検出されなかった。絶縁破壊電圧は8~9kVの範囲内であった。電源からプラズマへのエネルギー伝達効率は81%であった。CO生成のプラズマエネルギーコストは、1分子当たり4.1eVであった。
実施例16
【0316】
大気圧におけるNHの解離を実証した。ガス流量(再循環ライン)は20m/hとした。カソードは、接線流の方向に減少する可変長を有するタングステンピンを有するものとした。アノードは、それぞれ直径6mmの6つの接線方向孔を有するものとした。絶縁破壊周波数は52kHzとした。カソードピンとアノードピンとの間のギャップは40mmとした。電極ゾーンにおけるガスの計算接線速度は30m/sであり、これはf×5×10-4=25m/sより速い。
【0317】
電源は、IGBTセミブリッジ回路図と、中間点を有する一次巻線を有する高電圧変圧器とに基づくものとした。変圧器を高電圧ダイオードおよびコンデンサからなる1対の半波整流器に搭載し、対の一方の整流器が正極を正に帯電させ、他方の整流器が負極を負に帯電させ、整流器に直列にインダクタおよびコンデンサを設置した(図12)。
【0318】
実験中、プラズマ位置の回転が得られ、電極ピンへのプラズマフィラメントの付着は検出されなかった。絶縁破壊電圧は9~10kVの範囲内であった。電源からプラズマへのエネルギー伝達効率は80%であった。NH解離のプラズマエネルギーコストは、1分子当たり3.5eVであった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】