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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20230906BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20230906BHJP
   C23C 16/448 20060101ALI20230906BHJP
   H01L 21/365 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/18
C23C16/448
H01L21/365
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023510473
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 KR2021010455
(87)【国際公開番号】W WO2022045629
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0106991
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0099417
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510149600
【氏名又は名称】ジュソン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ドクホ
(72)【発明者】
【氏名】ク ヒョンホ
(72)【発明者】
【氏名】マ チャンス
(72)【発明者】
【氏名】パク エジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ サンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ミンソク
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA16
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA42
4K030BA45
4K030BA47
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA01
4K030EA03
4K030FA01
4K030GA01
4K030HA01
4K030JA05
4K030JA06
4K030KA17
4K030KA41
4K030LA15
4K030LA16
4K030LA18
5F045AB40
5F045AC07
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045DP03
5F045EE02
5F045EF05
(57)【要約】
本発明は、基板処理装置に係り、さらに詳しくは、基板の上に薄膜を蒸着するための基板処理装置に関する。本発明の実施形態に係る基板処理装置は、少なくとも一種が[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルインジウム(DADI)を含む複数種の原料ガスをそれぞれ供給するための複数の原料ガス供給部と、前記複数の原料ガス供給部がそれぞれ接続され、前記複数種の原料ガスが供給される供給速度よりも遅い通過速度を有するように内部空間が設けられたガス混合部と、前記ガス混合部と接続され、前記内部空間において混合された原料ガスが与えられる反応空間を有するチャンバーと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つが[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルインジウム(DADI)を含む複数の原料ガスをそれぞれ供給するための複数の原料ガス供給部と、
前記複数の原料ガス供給部がそれぞれ接続され、前記複数種の原料ガスが供給される供給速度よりも遅い通過速度を有するように内部空間が設けられたガス混合部と、
前記ガス混合部と接続され、前記内部空間において混合された原料ガスが与えられる反応空間を有するチャンバーと、
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の原料ガス供給部は、
複数の原料ガスを生成するための複数の原料物質がそれぞれ液体の状態で貯留される複数の原料貯留器と、
前記複数の原料貯留器と前記ガス混合部とをそれぞれつなぐ流路を形成する複数本の原料ガス配管と、
を備え、
前記内部空間は、前記複数種の原料ガスが通過する方向と交わる断面積が、前記複数本の原料ガス配管にそれぞれ形成された流路の断面積の和よりもさらに大きく形成される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ガス混合部とチャンバーとをつなぐ流路を形成する混合ガス配管をさらに備え、
前記混合ガス配管に形成された流路は、前記複数種の原料ガスが通過する方向と交わる前記内部空間の断面積よりも小さな断面積を有する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記混合ガス配管に形成された流路は、前記複数本の原料ガス配管にそれぞれ形成された流路の断面積の和よりも大きな断面積を有する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記内部空間は、前記複数の原料ガス供給部から単位時間当たりに供給可能な複数の原料ガスの最大の体積よりも大きな体積を有するように設けられる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記複数の原料ガス供給部は、前記複数の原料貯留器にそれぞれキャリアガスを供給するための複数のキャリアガス供給器をさらに備え、
前記複数のキャリアガス供給器から供給されるキャリアガスの供給量をそれぞれ調節するための制御部をさらに備える、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記内部空間において混合される原料ガスの混合比に比例するようにキャリアガスの供給量をそれぞれ調節する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記複数の原料貯留器は、
[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルインジウム(DADI)を含む原料物質が貯留される第1の原料貯留器と、
トリメチルガリウム(TMG)及びトリエチルガリウム(TEG)のうちの一方を含む原料物質が貯留される第2の原料貯留器と、
ジエチル亜鉛(DEZ)及びジメチル亜鉛(DMZ)のうちのどちらか一方を含む原料物質が貯留される第3の原料貯留器と、
を備える、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記複数の原料ガス供給部は、
前記複数の原料貯留器をそれぞれ加熱するための複数の原料貯留器ヒーターをさらに備え、
前記制御部は、前記複数の原料貯留器が互いに異なる温度に保たれるように前記複数の原料貯留器ヒーターを制御する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記混合ガス配管を加熱するための混合ガス配管ヒーターをさらに備え、
前記制御部は、前記混合ガス配管が30~150℃の温度に保たれるように前記混合ガス配管ヒーターを制御する、請求項6に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に係り、さらに詳しくは、基板の上に金属酸化物薄膜を蒸着するための基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物薄膜、例えば、有機金属酸化物薄膜は、低電力及び高い移動度といった卓越した特徴を有することから、半導体素子、ディスプレイ装置、又は太陽電池などにおいて、基板の上に形成される保護層、透明伝導層、又は半導体層として用いられている。
【0003】
金属酸化物薄膜は、インジウム(In)及びガリウム(Ga)のうちの少なくとも一方がドープされた亜鉛(Zn)酸化物、例えば、酸化インジウム亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化ガリウム亜鉛(GZO:Gallium Zinc Oxide)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO:Indium Gallium Zinc Oxide)などから形成可能であり、このような金属酸化物薄膜は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)の組成比に応じて種々の特性を有することになる。
【0004】
従来には、金属酸化物薄膜を、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)が一定の組成比で組成されたターゲット(target)を用いたスパッターリング(Sputtering)蒸着方式を用いて基板に蒸着していた。しかしながら、このようなスパッターリング方式では、金属酸化物薄膜の組成比がターゲットの組成比に固定されて、蒸着される金属酸化物薄膜の組成比を変更しようとする場合にターゲットそれ自体を変えることを余儀なくされるという不都合があった。また、スパッターリング方式の場合、初期のスパッターリング工程に際しては優れた薄膜特性を示すものの、薄膜蒸着の回数が増えるにつれて、意図せずにターゲットの組成が変化して蒸着される金属酸化物薄膜の特性が変化してしまうという不都合があった。このため、スパッターリング工程の場合、頻繁にターゲットを変えることを余儀なくされるという欠点があり、これは、生産性の低下とコストの高騰につながるという不都合が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2009-0117543号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、化学蒸着方式を用いて、基板の上に金属酸化物薄膜を蒸着することのできる基板処理装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、金属酸化物薄膜の組成比を容易に制御することのできる基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る基板処理装置は、少なくとも一種が[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルインジウム(DADI)を含む複数種の原料ガスをそれぞれ供給するための複数の原料ガス供給部と、前記複数の原料ガス供給部がそれぞれ接続され、前記複数種の原料ガスが供給される供給速度よりも遅い通過速度を有するように内部空間が設けられたガス混合部と、前記ガス混合部と接続され、前記内部空間において混合された原料ガスが与えられる反応空間を有するチャンバーと、を備える。
【0009】
前記複数の原料ガス供給部は、複数の原料ガスを生成するための複数の原料物質がそれぞれ液体の状態で貯留される複数の原料貯留器と、前記複数の原料貯留器と前記ガス混合部とをそれぞれつなぐ流路を形成する複数本の原料ガス配管と、を備え、前記内部空間は、前記複数種の原料ガスが通過する方向と交わる断面積が、前記複数本の原料ガス配管にそれぞれ形成された流路の断面積の和よりもさらに大きく形成されてもよい。
【0010】
前記基板処理装置は、前記ガス混合部とチャンバーとをつなぐ流路を形成する混合ガス配管をさらに備え、前記混合ガス配管に形成された流路は、前記複数種の原料ガスが通過する方向と交わる前記内部空間の断面積よりも小さな断面積を有していてもよい。
【0011】
前記混合ガス配管に形成された流路は、前記複数本の原料ガス配管にそれぞれ形成された流路の断面積の和よりも大きな断面積を有していてもよい。
【0012】
前記内部空間は、前記複数の原料ガス供給部から単位時間当たりに供給可能な複数の原料ガスの最大の体積よりも大きな体積を有するように設けられてもよい。
【0013】
前記複数の原料ガス供給部は、前記複数の原料貯留器にそれぞれキャリアガスを供給するための複数のキャリアガス供給器をさらに備え、前記複数のキャリアガス供給器から供給されるキャリアガスの供給量をそれぞれ調節するための制御部をさらに備えていてもよい。
【0014】
前記制御部は、前記内部空間において混合される原料ガスの混合比に比例するようにキャリアガスの供給量をそれぞれ調節してもよい。
【0015】
前記複数の原料貯留器は、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルインジウム(DADI)を含む原料物質が貯留される第1の原料貯留器と、トリメチルガリウム(TMG)及びトリエチルガリウム(TEG)のうちのどちらか一方を含む原料物質が貯留される第2の原料貯留器と、ジエチル亜鉛(DEZ)及びジメチル亜鉛(DMZ)のうちのどちらか一方を含む原料物質が貯留される第3の原料貯留器と、を備えていてもよい。
【0016】
前記複数の原料ガス供給部は、前記複数の原料貯留器をそれぞれ加熱するための複数の原料貯留器ヒーターをさらに備え、前記制御部は、前記複数の原料貯留器が互いに異なる温度に保たれるように前記複数の原料貯留器ヒーターを制御してもよい。
【0017】
前記基板処理装置は、前記混合ガス配管を加熱するための混合ガス配管ヒーターをさらに備え、前記制御部は、前記混合ガス配管が30~150℃の温度に保たれるように前記混合ガス配管ヒーターを制御してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態に係る基板処理装置によれば、酸化物薄膜を蒸着するための複数の原料ガスを均一に混合して基板の上に与えることができる。
【0019】
また、基板の上に蒸着される酸化物薄膜の組成を所望の特性に応じて容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の概略的な様子を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るガス混合部を経由して原料ガスが移動する様子を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るガス混合部を一方向から眺めた様子を示す図である。
図4】本発明の実施形態に従い反応空間にプラズマが形成される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は、以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明を説明するに当たって、同じ構成要素に対しては同じ参照符号を付し、図面は、本発明の実施形態を正確に説明するために大きさが部分的に誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置の概略的な様子を示す図である。また、図2は、本発明の実施形態に係るガス混合部を経由して原料ガスが移動する様子を示す図であり、図3は、本発明の実施形態に係るガス混合部を一方向から眺めた様子を示す図である。
【0023】
図1から図3を参照すると、本発明の実施形態に係る基板処理装置は、少なくとも一種が[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルインジウム(DADI)を含む複数種の原料ガスをそれぞれ供給するための複数の原料ガス供給部100a、100b、100cと、前記複数の原料ガス供給部100a、100b、100cがそれぞれ接続され、前記複数種の原料ガスが供給される供給速度よりも遅い通過速度を有するように内部空間Iが設けられたガス混合部200と、前記ガス混合部200と接続され、前記内部空間Iにおいて混合された原料ガスが与えられる反応空間を有するチャンバー400と、を備える。
【0024】
本発明の実施形態に係る基板処理装置は、原料ガス(Source gas)と反応ガス(reactant gas)を供給して基板Sの上に薄膜を蒸着する薄膜蒸着工程を行うことができる。ここで、薄膜蒸着工程は、基板Sの上にインジウム(In)及びガリウム(Ga)のうちの少なくとも一方がドープされた亜鉛(Zn)酸化物、例えば、酸化インジウム亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化ガリウム亜鉛(GZO:Gallium Zinc Oxide)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO:Indium Gallium Zinc Oxide)などの金属酸化物薄膜を蒸着する工程であってもよい。以下では、基板Sの上にIGZO金属酸化物薄膜を蒸着するための基板処理装置を例にとって説明するが、本発明の実施形態は、この他にも、基板Sの上に様々な金属酸化物薄膜を蒸着する工程に適用可能であるということはいうまでもない。
【0025】
原料ガス供給部は複数設けられ、複数の原料ガス供給部100a、100b、100cは、基板Sの上に薄膜を蒸着するための複数の原料ガスをガス混合部200にそれぞれ供給する。基板Sの上にIGZO金属酸化物薄膜を蒸着するために、複数の原料ガス供給部100a、100b、100cのうちのいずれか一つは、図1に示すように、([3-(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルインジウム)(DADI)を含む原料ガスを供給するための第1の原料ガス供給部100aであってもよい。DADIを含む原料ガスは、インジウム(In)ガスを与えるために供給されるものであって、複数の原料ガス供給部100a、100b、100cは、この他にも、ガリウム(Ga)ガスを供給するための第2の原料ガス供給部100b及び亜鉛(Zn)ガスを供給するための第3の原料ガス供給部100cを備えていてもよい。
【0026】
複数の原料ガス供給部100a、100b、100cは、複数の原料ガスを生成するための複数の原料物質がそれぞれ貯留される複数の原料貯留器110a、110b、110c、及び前記複数の原料貯留器110a、110b、110cと前記ガス混合部200とをそれぞれつなぐ流路を形成する複数本の原料ガス配管120a、120b、120cを備えていてもよい。複数の原料ガス供給部100a、100b、100cが第1の原料ガス供給部100a、第2の原料ガス供給部100b、及び第3の原料ガス供給部100cを備える場合、第1の原料ガス供給部100aは、第1の原料貯留器110a及び第1の原料ガス配管120aを備え、第2の原料ガス供給部100bは、第2の原料貯留器110b及び第2の原料ガス配管120bを備え、第3の原料ガス供給部100cは、第3の原料貯留器110c及び第3の原料ガス配管120cを備えていてもよい。
【0027】
原料貯留器は、それぞれ内部に貯留空間を有する筒状を呈していてもよく、貯留空間には、原料ガスを生成するための原料物質が貯留される。ここで、第1の原料貯留器110aには、インジウム(In)ガスを生成するための第1の原料物質が貯留されてもよく、第1の原料物質は、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルインジウム(DADI)を含んでいてもよい。また、第2の原料貯留器110bには、ガリウム(Ga)ガスを生成するための第2の原料物質が貯留されてもよく、第2の原料物質は、トリメチルガリウム(TMG)及びトリエチルガリウム(TEG)のうちのどちらか一方を含んでいてもよい。一方、第3の原料貯留器110cには、亜鉛(Zn)ガスを生成するための第3の原料物質が貯留されてもよく、第3の原料物質は、ジエチル亜鉛(DEZ:Diethylzinc)及びジメチル亜鉛(DMZ:Dimethylzinc )のうちのどちらか一方を含んでいてもよい。ここで、第1の原料物質、第2の原料物質、及び第3の原料物質は、液体の状態で第1の原料貯留器110a、第2の原料貯留器110b、及び第3の原料貯留器110cにそれぞれ貯留されてもよい。
【0028】
ここで、複数の原料ガス供給部は、前記複数の原料貯留器110a、110b、110cをそれぞれ加熱するための複数の原料貯留器ヒーター140a、140b、140cをさらに備えていてもよい。すなわち、第1の原料ガス供給部100aは、第1の原料貯留器110aを加熱するための第1の原料貯留器ヒーター140aを備え、第2の原料ガス供給部100bは、第2の原料貯留器110bを加熱するための第2の原料貯留器ヒーター140bを備え、第3の原料ガス供給部100cは、第3の原料貯留器110cを加熱するための第3の原料貯留器ヒーター140cを備えていてもよい。第1の原料貯留器ヒーター140a、第2の原料貯留器ヒーター140b、及び第3の原料貯留器ヒーター140cは、第1の原料貯留器110a、第2の原料貯留器110b、及び第3の原料貯留器110cをそれぞれ加熱することができ、これにより、液体の状態を有する第1の原料物質、第2の原料物質、及び第3の原料物質は気化されることが可能になる。ここで、複数の原料貯留器ヒーター140a、140b、140cは、それぞれ第1の原料貯留器110a、第2の原料貯留器110b、及び第3の原料貯留器110cをそれぞれ取り囲むヒーティングジャケット(heating jacket)の形態で設けられてもよい。
【0029】
また、複数の原料ガス供給部100a、100b、100cは、前記複数の原料貯留部にそれぞれキャリアガスを供給するための複数のキャリアガス供給器130a、130b、130cをさらに備えていてもよい。すなわち、第1の原料ガス供給部100aは、第1の原料貯留器110aにキャリアガスを供給するための第1のキャリアガス供給器130aを備え、第2の原料ガス供給部100bは、第2の原料貯留器110bにキャリアガスを供給するための第2のキャリアガス供給器130bを備え、第3の原料ガス供給部100cは、第3の原料貯留器110cにキャリアガスを供給するための第3のキャリアガス供給器130cを備えていてもよい。第1のキャリアガス供給器130a、第2のキャリアガス供給器130b、及び第3のキャリアガス供給器130cは、第1の原料貯留器110a、第2の原料貯留器110b、及び第3の原料貯留器110cにそれぞれキャリアガスを供給することができ、これにより、各原料貯留器内において原料物質が気化した第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスは、それぞれガス混合部200に供給されることが可能になる。ここで、キャリアガスとしては、不活性ガス、例えば、アルゴン(Ar)ガス、水素(H)ガス、窒素(N)ガス及びヘリウム(He)ガスのうちのいずれか一種のガスが使用可能である。
【0030】
複数本の原料ガス配管120a、120b、120cは、複数の原料貯留器110a、110b、110cとガス混合部200とをそれぞれつなぐ流路を形成する。複数本の原料ガス配管120a、120b、120cは、第1の原料貯留器110aとガス混合部200とをつなぐ第1の原料ガス配管120a、第2の原料貯留器110bとガス混合部200とをつなぐ第2の原料ガス配管120b、及び第3の原料貯留器110cとガス混合部200とをつなぐ第3の原料ガス配管120cを備えていてもよい。ここで、第1の原料ガス配管120a、第2の原料ガス配管120b、及び第3の原料ガス配管120cは、それぞれ内部に流路を形成するパイプの形状を呈していてもよい。また、第1の原料ガス配管120aの一方の端及び他方の端は、それぞれ第1の原料貯留器110a及びガス混合部200に接続され、第2の原料ガス配管120bの一方の端及び他方の端は、それぞれ第2の原料貯留器110b及びガス混合部200に接続され、第3の原料ガス配管120cの一方の端及び他方の端は、それぞれ第3の原料貯留器110c及びガス混合部200に接続されてもよく、図示はしないが、各原料ガス配管には、少なくとも一つの弁が配設されてもよいということはいうまでもない。
【0031】
ガス混合部200には、複数の原料ガス供給部100a、100b、100cがそれぞれ接続され、前記複数種の原料ガスが供給される供給速度よりも遅い通過速度を有するように内部空間Iが設けられる。このようなガス混合部200は、ミキサー(Mixer)を備えていてもよい。
【0032】
ガス混合部200は、内部空間Iを有する筒状を呈していてもよく、第1の原料ガス配管120a、第2の原料ガス配管120b、及び第3の原料ガス配管120cは、前記内部空間Iに連通するように配設される。このとき、第1の原料ガス配管120a、第2の原料ガス配管120b、及び第3の原料ガス配管120cを介してそれぞれガス混合部200に供給される第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスは、内部空間Iを通過しつつ混合され、混合された原料ガスは、ガス混合部200に接続されるチャンバー400に与えられる。
【0033】
このとき、図2に示すように、第1の原料ガスが第1の原料ガス配管120a内においてガス混合部200に向かって移動する速度を第1の供給速度V1aとし、第2の原料ガスが第2の原料ガス配管120b内においてガス混合部200に向かって移動する速度を第2の供給速度V1bとし、第3の原料ガスが第3の原料ガス配管120c内においてガス混合部200に向かって移動する速度を第3の供給速度V1cとしたとき、ガス混合部200の内部空間Iは、複数種の原料ガスが第1の供給速度V1a、第2の供給速度V1b、及び第3の供給速度V1cよりも遅い通過速度V2にて前記内部空間Iを通過するように形成されてもよい。すなわち、ガス混合部200の内部空間Iは、複数種の原料ガスが第1の供給速度V1a、第2の供給速度V1b、及び第3の供給速度V1cのうち最も遅い供給速度よりも遅い通過速度V2にて前記内部空間Iを通過する形状に形成されてもよい。この場合、第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスは、内部空間Iに供給されながら移動する速度が減少することになって、これにより、第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスは、ガス混合部200から排出されないうちに内部空間I内において均一に混合できるのに十分な時間を確保することが可能になる。
【0034】
このために、ガス混合部200に設けられる内部空間Iは、図3に示すように、複数種の原料ガスが通過する方向と交わる断面積S2が、前記複数本の原料ガス配管120a、120b、120cにそれぞれ形成された流路の断面積S1a、S1b、S1cの和よりも大きく形成されてもよい。ここで、複数種の原料ガスが通過する方向と交わる断面積S2とは、内部空間Iを第1の原料ガスが内部空間Iを通過する経路、第2の原料ガスが内部空間Iを通過する経路、及び第3の原料ガスが内部空間Iを通過する経路といずれも交わる平面に切り取ったとき、内部空間Iの断面積S2のことをいう。このように、複数種の原料ガスが通過する方向と交わる断面積S2が、前記複数本の原料ガス配管120a、120b、120cにそれぞれ形成された流路の断面積S1a、S1b、S1cの和よりも大きく形成される部分は、内部空間Iの少なくとも一部であってもよい。
【0035】
ここで、複数種の原料ガスが通過する方向と交わる断面積S2が、前記複数本の原料ガス配管にそれぞれ形成された流路の断面積S1a、S1b、S1cの和よりも大きいように内部空間Iが形成される場合、一般に、第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスは、それぞれ第1の供給速度V1a、第2の供給速度V1b、及び第3の供給速度V1cよりも遅い通過速度V2にて内部空間Iを通過することになる。しかしながら、この場合であっても、内部空間Iの体積が十分に大きく形成されない場合、第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスが内部空間Iを通過する通過速度V2は遅くならないことがある。このため、内部空間Iは、複数の原料ガス供給部100a、100b、100cから単位時間当たりに供給可能な複数の原料ガスの最大の体積よりも大きな体積を有するように設けられてもよい。すなわち、ガス混合部200に設けられる内部空間Iは、第1の原料ガス供給部100aから単位時間当たりに供給可能な第1の原料ガスの最大の体積、第2の原料ガス供給部100bから単位時間当たりに供給可能な第2の原料ガスの最大の体積及び第3の原料ガス供給部100cから単位時間当たりに供給可能な第3の原料ガスの最大の体積を足し合わせた体積よりも大きな体積を有するように設けられてもよい。これにより、内部空間Iに供給される第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスは、それぞれどのような供給速度にて供給される場合であっても、内部空間I内において各供給速度よりも遅い通過速度V2を有することになる。
【0036】
本発明の実施形態に係る基板処理装置は、ガス混合部200とチャンバー400とをつなぐ流路を形成する混合ガス配管310をさらに備えていてもよい。前述したように、ガス混合部200の内部空間Iにおいては、第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスが混合され、混合された原料ガスは、ガス混合部200の外部に設けられるチャンバー400の反応空間に与えられる。このとき、混合ガス配管310は、内部に流路を形成するパイプの形状に設けられて、ガス混合部200とチャンバー400とをつなぐ流路を形成する。ここで、混合ガス配管310は、原料ガス供給部の数よりも少ない本数で設けられてもよく、図示のごとく、一本で設けられてもよい。
【0037】
ここで、混合ガス配管310に形成された流路は、複数種の原料ガスが通過する方向と交わる前記内部空間Iの断面積S2よりも小さな断面積S3を有していてもよい。第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスがガス混合部200内において十分に混合されれば、混合された原料ガスは、再び通過速度V2よりも速い速度V3にてチャンバー400の反応空間に与えられる必要がある。このため、混合ガス配管310に形成された流路は、複数種の原料ガスが通過する方向と交わる内部空間Iの断面積S2よりも小さな断面積S3を有するように形成される。
【0038】
また、混合ガス配管310に形成された流路は、前記複数本の原料ガス配管120a、120b、120cにそれぞれ形成された流路の断面積S1a、S1b、S1cの和よりも大きな断面積S3を有していてもよい。前述したように、第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスは、第1の原料ガス配管120a、第2の原料ガス配管120b、及び第3の原料ガス配管120cをそれぞれ第1の供給速度V1a、第2の供給速度V1b、及び第3の供給速度V1cにて移動する。このとき、混合ガス配管310に形成された流路の断面積S3を複数本の原料ガス配管にそれぞれ形成された流路の断面積S1a、S1b、S1cの和よりも大きく形成することにより、混合された原料ガスの移動速度V3により第1の原料ガス配管部120a、第2の原料ガス配管部120b、及び第3の原料ガス配管部120c内における第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスの移動速度V1、V2、V3が制限されなくなる。一方、図示はしないが、混合ガス配管310にも少なくとも一つの弁が配設されてもよいということはいうまでもない。
【0039】
本発明の実施形態に係る基板処理装置は、複数の原料ガス供給部100a、100b、100cをそれぞれ制御するための制御部900をさらに備えていてもよい。ここで、制御部900は、複数のキャリアガス供給器130a、130b、130cから供給されるキャリアガスの供給量をそれぞれ調節することができる。第1の原料貯留器110aに供給されるキャリアガスの供給量が増えると、ガス混合部200に供給される第1の原料ガスの供給量は増え、第1の原料貯留器110aに供給されるキャリアガスの供給量が減ると、ガス混合部200に供給される第1の原料ガスの供給量は減る。これは、第2の原料ガス及び第3の原料ガスの場合にも同様である。したがって、制御部900は、第1のキャリアガス供給器130a、第2のキャリアガス供給器130b、及び第3のキャリアガス供給器130cから供給されるキャリアガスの供給量をそれぞれ調節して、ガス混合部200に供給される第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスの供給量を調節することができる。これにより、ガス混合部200内において混合される原料ガスは、様々な混合比で組成されることができ、この理由から、様々な組成を有する金属酸化物薄膜を基板の上に蒸着することが可能になる。
【0040】
さらに、制御部900は、複数の原料貯留器110a、110b、110cが互いに異なる温度に保たれるように複数の原料貯留器ヒーター140a、140b、140cを制御することができる。前述したように、第1の原料は、インジウム(In)ガスを生成するための原料を含んでいてもよく、第2の原料は、ガリウム(Ga)ガスを生成するための原料を含んでいてもよく、第3の原料は、亜鉛(Zn)ガスを生成するための原料を含んでいてもよい。このように、第1の原料、第2の原料、及び第3の原料は互いに異なる原料であって、それぞれ互いに異なる蒸気圧を有するため、各原料を気化させるための温度もまた互いに異なってくることになる。したがって、制御部900は、第1の原料貯留器110a、第2の原料貯留器110b、及び第3の原料貯留器110cが各原料を気化させるのに必要とされる互いに異なる温度に保たれるように複数の原料貯留器ヒーター140a、140b、140cを制御することができる。ここで、制御部900は、25~150℃の範囲内において、第1の原料貯留器110a、第2の原料貯留器110b、及び第3の原料貯留器110cが互いに異なる温度に保たれるように複数の原料貯留器ヒーター140a、140b、140cを制御することができる。
【0041】
一方、図示はしないが、複数本の原料ガス配管110a、110b、110c、ガス混合部200、及び混合ガス配管310は、前記複数の原料貯留器ヒーター140a、140b、140cとは別途に設けられたヒーターにより加熱されることができる。すなわち、複数本の原料ガス配管110a、110b、110cは、複数本の原料ガス配管ヒーター(図示せず)により加熱され、ガス混合部200は、ガス混合器ヒーター(図示せず)により加熱され、混合ガス配管310は、混合ガス配管ヒーター320により加熱されることができる。これは、複数本の原料ガス配管110a、110b、110c、ガス混合部200、及び混合ガス配管310内において各原料ガス又は混合ガスからパーティクルが生じてしまうことを防ぐためである。このように、複数本の原料ガス配管110a、110b、110c、ガス混合部200、及び混合ガス配管310が加熱される場合、制御部900は、パーティクルが生じてしまうことを防ぐために、複数本の原料ガス配管110a、110b、110c、ガス混合部200、及び混合ガス配管310が30~150℃の範囲内の温度に保たれるように複数本の原料ガス配管ヒーター(図示せず)、ガス混合器ヒーター(図示せず)、及び混合ガス配管ヒーター320を制御することができる。これは、複数本の原料ガス配管110a、110b、110c、ガス混合部200、及び混合ガス配管310が30℃未満の温度を有する場合、配管などの内部においてパーティクルが生じてしまうという不都合が生じ、150℃を超える温度を有する場合、配管などにダメージが生じたり、配管が破損されたりするという不都合が生じる虞があるからである。
【0042】
チャンバー400は、ガス混合部200と接続され、ガス混合部200の内部空間Iにおいて混合された原料ガスが混合ガス配管310を介して与えられる反応空間を有する。すなわち、チャンバー400は、所定の反応空間を設け、これを気密に保持する。チャンバー400は、概ね円形状若しくは四角い形状の平面部及び平面部から上向きに延びた側壁部を備えて所定の反応空間を有する胴体410と、概ね円形状又は四角い形状に胴体410の上に位置して反応空間を気密に保持する蓋体420と、を備えていてもよい。しかしながら、チャンバー400は、これに何ら限定されるものではなく、基板Sの形状に対応する様々な形状に製作可能である。
【0043】
また、本発明の実施形態に係る基板処理装置は、チャンバー400内に設けられ、前記チャンバー400内に提供される基板Sを支持するための基板支持部500と、前記基板支持部500と対向して配置されるように前記チャンバー400内に設けられ、前記基板支持部500に向かって工程ガスを吹き付けるためのガス吹付け部600と、前記チャンバー400内にプラズマを生じさせるように電源を供給するRF電源700と、をさらに備えていてもよい。
【0044】
基板支持部500には、薄膜形成工程のためにチャンバー400内に提供された基板Sが載置されてもよい。基板支持部500は、基板Sが載置されて支持できるように、例えば、静電チャックなどが設けられて基板Sを静電ジャックにより吸着・保持することもでき、真空吸着や機械的な力により基板Sが支持可能な基板支持台を備えていてもよい。
【0045】
ガス吹付け部600は、前記チャンバー400の内部、例えば、蓋体420の下面に配設され、ガス吹付け部600の内部には、混合された原料ガスを供給するための原料ガス供給経路及び反応ガスを供給するための反応ガス供給経路が形成される。ここで、原料ガス供給経路には、前述した混合ガス配管310が接続され、反応ガス供給経路には、例えば、酸素などを含む反応ガスを供給するための反応ガス配管800が接続されてもよい。このとき、原料ガス供給経路及び反応ガス供給経路は、互いに独立に、かつ、互いに分離されるように形成されて、混合された原料ガス及び反応ガスが互いに混合されないように分離して基板Sの上に供給することができる。
【0046】
ガス吹付け部600は、上フレーム610及び下フレーム620を備えていてもよい。ここで、前記上フレーム610は、前記蓋体420の下面に着脱自在に結合されるとともに、上面の一部、例えば、上面の中心部が前記蓋体420の下面から所定の距離だけ離れる。これにより、前記上フレーム610の上面と前記蓋体420の下面との間の空間において原料ガスが拡散されることが可能になる。また、前記下フレーム620は、前記上フレーム610の下面に一定の間隔だけ離れて配設される。これにより、前記下フレーム620の上面と前記上フレーム610の下面との間の空間において反応ガスが拡散されることが可能になる。前記上フレーム610と前記下フレーム620とは、外周面に沿って繋がり合って内部に離隔空間を形成して一体に形成されてもよく、別途の密封部材により外周面を密閉する仕組みとなっていてもよいということはいうまでもない。
【0047】
原料ガス供給経路は、混合ガス配管310から与えられる原料ガスが前記蓋体420の下面と前記上フレーム610との間の空間において拡散されて、前記上フレーム610及び前記下フレーム620を貫通してチャンバー400の内部に供給されるように形成されてもよい。また、前記反応ガス供給経路は、反応ガス配管800から与えられる反応ガスが前記上フレーム610の下面と前記下フレーム620の上面との間の空間において拡散されて、前記下フレーム620を貫通してチャンバー400の内部に供給されるように形成されてもよい。前記原料ガス供給経路及び前記反応ガス供給経路は、互いに連通していなくてもよく、これにより、前記原料ガス及び反応ガスは、それぞれ混合ガス配管310及び反応ガス配管800からガス吹付け部600を経て前記チャンバー400の内部に分離して供給されることが可能になる。
【0048】
前記下フレーム620の下面には、第1の電極630が配設されてもよく、前記下フレーム620の下側及び第1の電極630の外側には、所定の間隔だけ離れて第2の電極640が配設されてもよい。このとき、下フレーム620と第2の電極640とは、外周面に沿って繋がり合って形成されてもよく、別途の密封部材により外周面を密閉する仕組みとなっていてもよいということはいうまでもない。
【0049】
このように、第1の電極630及び第2の電極640が配設される場合、原料ガスは、第1の電極630を貫通して基板Sの上に吹き付けられてもよく、反応ガスは、第1の電極630と第2の電極640との間の離隔空間を介して基板Sの上に吹き付けられてもよい。
【0050】
下フレーム620と第2の電極640のうちのどちらか一方には、RF電源700からRF電力が印加されてもよい。図4は、本発明の実施形態に従い反応空間にプラズマが形成される様子を示す図であり、図4においては、下フレーム620が接地され、第2の電極640にRF電力が印加される仕組みを例にとって示している。下フレーム620が接地される場合、前記下フレーム620の下面に配設された第1の電極630もまた接地される。したがって、第2の電極640にRF電力700が印加される場合、前記ガス吹付け部600と前記基板支持部500との間には、第1の活性化領域、すなわち、第1のプラズマ領域P1が形成され、前記第1の電極630と前記第2の電極640との間には、第2の活性化領域、すなわち、第2のプラズマ領域P2が形成されることが可能になる。
【0051】
図4に示すように、混合された原料ガスは、実線にて示された矢印に沿ってチャンバー400内に供給され、反応ガスは、点線にて示された矢印に沿ってチャンバー400内に供給されることができる。混合された原料ガスは、第1の電極630の内部を貫通してチャンバー400の内部に供給され、反応ガスは、第1の電極630と第2の電極640との間の離隔空間を介してチャンバー400の内部に供給されることができる。
【0052】
前記第1の電極630及び基板支持部500が接地され、前記第2の電極640に電源が供給される場合、前記ガス吹付け部600と前記基板支持部500との間には、第1の活性化領域、すなわち、第1のプラズマ領域P1が形成され、前記第1の電極630と前記第2の電極640との間には、第2の活性化領域、すなわち、第2のプラズマ領域P2が形成される。
【0053】
したがって、混合された原料ガスが前記第1の電極630を貫通して供給される場合、前記混合された原料ガスは、前記ガス吹付け部600の外部に形成される第1のプラズマ領域P1において活性化される。また、反応ガスが前記第1の電極630と前記第2の電極640との間の離隔空間を介して供給される場合、前記反応ガスは、前記ガス吹付け部600の内部に相当する前記第1の電極630と前記第2の電極640との間、すなわち、第2のプラズマ領域P2から第1のプラズマ領域P1までの領域にわたって活性化される。したがって、本発明の実施形態に係る基板処理装置は、混合された原料ガスと反応ガスを互いに異なる大きさのプラズマ領域において活性化させることができる。なお、混合された原料ガスと反応ガスが互いに異なる大きさのプラズマ領域において活性化されることにより、金属酸化物薄膜を蒸着するための最適な供給経路に各ガスを振り分けることができる。
【0054】
以下では、本発明の実施形態に係る基板処理方法についてさらに詳しく説明する。本発明の実施形態に係る基板処理方法は、前述した基板処理装置を用いて行われ、このため、基板処理装置と関わって前述した内容と重複する説明は省略する。
【0055】
基板Sの上に薄膜を蒸着するために、まず、チャンバー400の反応空間を低圧雰囲気に形成する。
【0056】
次いで、基板Sの上に混合された原料ガスを吹き付けて混合された原料ガスに含まれている有機物質前駆体を基板Sの上に吸着させる原料ガスの吹き付け工程を行う。
【0057】
原料ガスの吹き付け工程は、第1の原料貯留器110a、第2の原料貯留器110b、及び第3の原料貯留器110cに液体の状態で貯留された第1の原料物質、第2の原料物質、及び第3の原料物質を加熱して気化させた後、第1の原料貯留器110a、第2の原料貯留器110b、及び第3の原料貯留器110cにそれぞれキャリアガスを供給して、ガス混合部200に第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスを供給する。
【0058】
このとき、ガス混合部200に供給された第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスは、原料ガス配管を介した供給速度よりも、ガス混合部200の内部空間Iにおいて通過する速度が減少することになり、これにより、第1の原料ガス、第2の原料ガス、及び第3の原料ガスは、ガス混合部200の内部空間Iにおいて均一に混合されることが可能になる。混合された原料ガスは、混合ガス配管310を介してチャンバー400内のガス吹付け部600に供給される。
【0059】
次いで、ガス吹付け部600に供給される混合された原料ガスを遮断し、基板Sの上にパージガスを吹き付けて基板Sの上に吸着されずに残留する有機物質前駆体をパージする。
【0060】
次いで、チャンバー400のガス吹付け部600に供給されるパージガスを遮断し、基板Sの上に反応ガスを吹き付けるとともに、プラズマを生じさせて基板Sに吸着された有機物質前駆体と反応ガスとを反応させる反応ガスの吹き付け工程を行う。
【0061】
基板Sの上に吹き付けられる反応ガスは、プラズマにより活性化され、活性化された反応ガスは、基板に吸着された有機物質前駆体と反応し、これにより、基板の上に2成分系または3成分系の酸化物薄膜が形成されることが可能になる。
【0062】
次いで、チャンバー400のガス吹付け部600に供給される反応ガスを遮断し、これと同時に、基板Sの上にパージガスを吹き付けてチャンバー400の反応空間内に存在する未反応ガスをパージする(または、取り除く)反応ガスのパージ工程を行う。このような混合された原料ガスの吹き付け工程、原料ガスのパージ工程、反応ガスの吹き付け工程及び反応ガスのパージ工程は、一つのサイクル(cycle)をなし、混合された原料ガスの吹き付け工程、原料ガスのパージ工程、反応ガスの吹き付け工程、及び反応ガスのパージ工程からなるサイクルを複数回繰り返し行って基板Sの上に酸化物薄膜を蒸着することになる。
【0063】
このように、本発明の実施形態によれば、酸化物薄膜を蒸着するための複数の原料ガスを均一に混合して基板の上に与えることができる。なお、基板の上に蒸着される酸化物薄膜の組成を所望の特性に応じて容易に変更することができる。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態が特定の用語を用いて説明及び図示されたが、これらの用語は、単に本発明を明確に説明するためのものに過ぎず、本発明の実施形態及び記述された用語は、特許請求の範囲の技術的思想及び範囲から逸脱することなく、種々の変更及び変化が加えられるということは明らかである。これらの変形された実施形態は、本発明の思想及び範囲から個別的に理解されてはならず、本発明の特許請求の範囲内に属するものというべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】