IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シアーズ・マニュファクチュアリング・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特表-車両の座席位置調整システム 図1
  • 特表-車両の座席位置調整システム 図2
  • 特表-車両の座席位置調整システム 図3
  • 特表-車両の座席位置調整システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】車両の座席位置調整システム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/02 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
B60N2/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511777
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2021049455
(87)【国際公開番号】W WO2022055989
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/076,029
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591076268
【氏名又は名称】シアーズ・マニュファクチュアリング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】SEARS MANUFACTURING COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】スヴィタク、テイラー
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ネア、ヴィクラム
(72)【発明者】
【氏名】リンバーグ、ジェフリー
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA19
3B087DE09
(57)【要約】
車両の座席の位置を制御するためのシステムが開示される。このシステムは、部品位置検出装置、座席および部品調整コントローラ、および少なくとも1つのネットワーク通信における制御可能なアクチュエータを含む。座席運転者不在時の測定値は、座席の前後位置又は高さ位置の少なくとも一方の現在値と同様に、座席および部品調整コントローラに伝達される。座席および部品調整コントローラは、座席運転者不在時の測定値を設定値と比較して、運転者が存在するかどうかを判断する。この比較に基づいて運転者が存在しない場合、座席および位置コントローラは移動係数値を計算し、移動係数値により、座席および部品調整コントローラと少なくとも1つの制御可能なアクチュエータとの間の通信が決定される。移動係数値が所望の値と異なる場合、座席および部品調整コントローラは、座席の前後位置又は高さ位置のうちの少なくとも1つを所望の値に合致させるように、少なくとも1つの制御可能なアクチュエータに信号を送る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の座席位置を制御するためのシステムであって、
すべてネットワークで通信するよう構築および構成されている車両の座席、運転者存在検出装置、座席および部品位置検出装置、座席および部品調整コントローラ、並びに少なくとも1つの制御可能アクチュエータを具備し、
前記運転者存在検出装置は、前記車両の座席中の運転者の不在を測定し、さらに前記運転者存在検出装置はこの測定値を前記座席および部品調整コントローラに伝達し、
前記座席および部品位置検出装置は、前記座席の前後位置又は前記座席の高さ位置の少なくとも1つの現在値を測定し、さらに、前記座席および部品位置検出装置は、現在の測定値を前記座席および部品調整コントローラに伝達し、
前記座席および部品調整コントローラは、前記運転者存在検出装置からの前記測定値を設定値と比較して運転者が存在するかどうかを判断し、前記座席および部品調整コントローラが運転者は存在しないと判断した場合、座席および位置コントローラは、前記現在値と所望の値と比較し移動係数値を計算し、前記移動係数値は、前記座席および部品調整コントローラと前記少なくとも1つの制御可能アクチュエータとの交信を判断することを特徴とする、システム。
【請求項2】
さらにコンソールを具備することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記移動係数値が前記所望の値と異なる場合、前記座席および部品調整コントローラは、前記少なくとも1つの制御可能アクチュエータに信号を送り、前記座席の前後位置又は前記座席の高さ位置の少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの制御可能アクチュエータは、前記座席を現在位置から完全に後方位置へと移動させることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの前記運転者存在検出装置は、前記車両の座席に取り付けられたセンサであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
さらに入力装置を具備することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記入力装置は、所望の前後座席位置又は座席高さ位置を保存する動作が可能な、前記座席および部品調整コントローラ内のメモリであることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記所望の前後座席位置の値又は所望の座席高さ位置の値又はその両方は、前記メモリにあらかじめ読み込まれていることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記所望の前後座席位置又は所望の座席高さ位置は、運転者により設定されることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
さらにタイマーを具備することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記タイマーは、0秒、0.1秒、0.25秒、1秒、又は10秒の時間値を有することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記座席および部品調整コントローラは、前記時間値が満了した後にのみ前記制御可能アクチュエータに信号を送ることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記座席および部品調整コントローラは、前記運転者存在検出装置が、前記時間値が満了する前に運転者の存在を測定した場合、前記タイマーをリセットすることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
座席を調整する方法であって、
車両の座席に運転者が存在することを判断するステップと、
現在の、座席の前後位置又は高さ位置の少なくとも1つを判断するステップと、
前記運転者が存在しないときの移動係数値を計算するステップと、
前記移動係数値が正のとき、制御可能アクチュエータを動かし前記座席を所望の位置に移動させるステップと、
を具備する方法。
【請求項15】
前記所望の位置は、完全に後方位置であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記車両の座席に前記運転者が不在であることは、設定されたタイマー値が満了した後、判断されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
車両の座席の位置の調整を制御する装置であって、
a.運転者存在検出装置であって、前記運転者存在検出装置は、運転者の存在又は不在を測定する、装置と、
b.座席および部品位置検出装置であって、前記座席および部品位置検出装置は、前記座席の前後位置又は高さ位置の少なくとも1つの現在位置の値を測定する、装置と、
c.前記運転者存在検出装置と前記座席および部品位置検出装置とに動作可能に接続された座席および部品調整コントローラであって、前記コントローラは、前記運転者存在検出装置と前記座席および部品位置検出装置とから情報を受信して処理するよう構成され、運転者が存在しない場合、
i.移動係数を計算し、
ii.前記移動係数を所望の座席位置の値と比較し、
iii.前記移動係数が前記所望の座席位置の値と異なるとき、制御可能アクチュエータに前記座席を移動させるよう自動的に指令する、
コントローラと、
を具備する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2020年9月9日に出願された米国仮出願番号63/076029号に基づく優先権を主張し、その内容は全て本願に組み込むものとする。
【0002】
本発明は、車両の座席に関し、より詳細には、作業車両への乗降中の運転者の体感を向上させるための車両の座席の調整の改善に関する。
【背景技術】
【0003】
本開示は、一般的には車両の座席調整システムに関し、より詳細には、運転者不在状態での車両の座席の位置を自動的に調製するシステムと方法に関する。
【0004】
商用セミ車両、建設用および農耕用作業車などの多くの大型車は、寸法と形状のために、運転者座席を、座席があまり人間工学的ではなく、苦労せずに座席や車両に出入りするのに便利ではないような方法で設置されている。一般的に座席は調整可能ではあるが、多くの運転者は、特に運転者が短時間で出入りする場合には、車両への乗降が容易になるように座席を調整することに時間を掛けない。
【0005】
自動車車両の場合とは異なり、作業車両においては、車両が動作中に運転者が車両に出入りすることはよくあることである。このことが行われる一つの理由は、車両の機能をチェックまたは調整するためである。残念なことに、それらの車両への出入りは、車両の大きさ、車両の座席の位置、および、車両のコンソールのような他の部品からみて、人間工学的に難しいことが想像される。乗降中に運転者が感じる利便性および人間工学性の欠如は、運転者の疲労及び一般的な不満の原因となり得る。
【0006】
座席位置による運転者の乗降の際の体験に対しては、作業車両において十分には取り組まれてきてはいない。車両が動作中に運転者が車両に出入りするときに運転者へ最大の安心感と快適性をもたらす能動的自動座席位置調整システムが必要である。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、運転者が座席に存在するのか存在しないのかについての信号に応答して、望ましい座席位置と比較して座席位置を調整する車両の座席調整システムを目指すものである。この車両の座席位置調整システムは、車両の座席、運転者存在検出装置、座席および部品調整コントローラ、並びに全て動作可能に通信を行う制御可能アクチュエータを備える。
【0008】
このシステムを動作させる方法もまた考えられている。
【0009】
詳細な説明と添付の図面を考慮することにより他の態様も明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、車両の座席位置調整システムの部品のブロック線図である。
図2図2は、ボタンのような入力装置を示す車両の座席位置調整システムの例示の座席である。
図3図3は、車両の座席位置調整システムのタッチスクリーン入力装置である。
図4図4は、図1に示す車両の座席調整コントローラにより実行される、本開示による座席および部品位置調整の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理の理解を促進することを目的として、ここでは、以降の明細書に説明され図面に図解された実施形態を参照する。したがって本開示の範囲に対する制限を意図するものではないことは理解されよう。さらに、本開示は、図解された実施形態に対する変更および修正を含み、本開示が含まれる技術分野の当業者に通常生じるであろう、本開示の原理のさらなる活用も含まれる。
【0012】
本開示の車両の座席および部品位置調整システムは、車両に出入りする際の運転者の快適性を最大化するように座席とコンソールの位置を調整する自動的で双方向性のシステムを提供する。運転者の存在に基づく車両の座席および部品位置調整システムが開示される。本システムは、多数の異なるタイプの電動化座席に適用することができる。一実施形態では、車両で使用する車両の座席および部品位置調整システムは、相互通信範囲内に、車両の座席、座席および部品位置コントローラ、制御可能アクチュエータ、並びに、運転者存在検出装置を含む。運転者存在検出装置は、コントローラに信号を伝達するために動作可能であり、コントローラは、ントロール可能アクチュエータに、座席又はコンソールなどの車両内部部品の位置を調整するために指示を行うための動作が可能である。この調整は、運転者が存在こと又は予めプログラムされた値に従う。このシステムにおける調整可能な車両部品は、座席の前後位置、座席の高さ、コンソールの位置を含むが、これらに限定されない。
【0013】
図1に示すように、車両の座席および部品位置調整システムの一態様では、1つ以上の運転者存在検出装置が、座席にいる運転者の存在に関する情報を提供する。運転者存在検出装置10は、座席又はサスペンションに統合することができる。検出装置は、スイッチ又はセンサとすることができる。一実施形態では、運転者存在検出装置10がスイッチである場合、スイッチは、運転者の存在又は不在を明らかに示すものである、座席の重量を検出する。運転者存在検出装置10は、座席および部品位置調整コントローラ12によって使用される信号の生成を可能とする様々な形態をとることができ、信号はシート内の運転者の存在を示す。
【0014】
特定の実施形態では、1つ以上の座席および部品位置検出装置14、16、18、20が、車両の座席又はコンソールなどの車両部品の位置に関する情報を提供する。一実施形態では、座席および部品位置検出装置は、座席の前後位置を決定し通信することができる前後位置検出装置14である。この実施形態又は追加の実施形態では、座席又は部品位置検出装置は、座席の座席高さ位置を決定することができる座席高さ位置検出装置16である。さらに別の実施形態では、コンソール位置検出装置18は座席および部品検出装置である。さらに別の実施形態では、座席の旋回位置検出装置20が考えられる。
【0015】
座席位置検出装置の検出値は、抵抗値の変化や磁場の変化、デジタルパルスやソナーなどで測定できる。当業者は、座席又は部品の実際の位置に関連する情報が測定によって得られる限り、測定方法又は測定の値の形式は限定されないことを理解する。例えば、上記の実施形態の1つでは、センサに基づくポテンショメータが座席の高さ位置を測定する。センサは、供給電圧とセンサ位置に基づいてレシオメトリック電圧を出力する。ただし、パルス幅変調(PWM)、Inter-Integrated Circuit (I2C)、Serial Peripheral Interface (SPI)、Controller Area Network (CAN)、およびLocal Interconnect Network (LIN)のような、電流又はデジタル出力のような、適用可能な他のセンサ出力も考えられる。当業者には理解されるように、座席および部品位置検出装置14、16、18、20は、様々なタイプの検出器とすることができ、当技術分野で知られているような様々な方法で統合することができる。唯一の制限要因は、座席位置および部品検出器が、前後位置、高さ位置、旋回位置、又はこれらの位置の1つ以上の位置により座席の位置を感知することができ、又はコンソールなどの車両部品の位置を感知することができることである。一実施形態では、単一の検出器が座席の前後位置および高さ位置を測定する。別の実施形態では、1つの検出器が座席の前後位置を測定し、別の検出器が座席の高さを測定する。検出器の数又は形式は、限定されるものではない。単一のポテンショメータ検出器は、正確なフィードバックが即座に得られるという点で有利な場合がある。別の実施形態では、加速度計センサを使用することができる。しかし、加速度計を使用する実施形態では、加速度計データを正確な位置データにさらに変換する必要があるため、加速度計を使用したデータは実時間データからずれている可能性がある。さらに別の実施形態では、いくつかのセンサを使用することができる。安全上重要な部品を扱う場合や、センサの故障の可能性が許容できない場合は、複数のセンサを使用することが重要な場合がある。例として、ステア・バイ・ワイヤシステムやフライ・バイ・ワイヤシステムなどがある。
【0016】
座席の前後位置は、座席ベースの前端から、車両の前方(前方)に向かう車両床上の基準点までの縦位置によって測定することができる。しかし、車両の座席と合致した可動関係にある任意の部品を含む他の基準点を、車両の固定部品に取り付けられた任意の部品と組み合わせて、車両の座席の前後位置の測定のために使用することができる。
【0017】
車両の座席および位置調整コントローラ12内のプロセッサのようなプロセッサ内のソフトウェア又はファームウェアは、検出器14、16、18、20から電流信号又は電圧信号のいずれかの信号を受信し、その信号から運転者が座席に存在すること、及び座席又は車両部品の位置を決定し、又は少なくとも、運転者が座席に存在すること及び/又は座席及び/又は車両部品の位置を示す値を測定する。次いで、コントローラ12は、この生の信号を計算し、工学値に変換する。座席の位置を決定するための、この生の信号は、ミリメートルのような距離、又は移動のパーセンテージに対応する電圧とすることができる。
【0018】
多くの実施形態では、コントローラはタイマー21を有する。タイマーにより、運転者ーが座席から降りたが、座席の一般的な操作エリアにとどまっている状況を考慮に入れることができる。また、運転者が一時的に席を離れたことによる、大きな揺れによって運転者存在検出装置10が作動するような場合にも役立つ。タイマー値は、予め決定しておくか、ユーザが調整可能であるか、又は特定の実施形態ではその両方である。タイマーを有する実施形態では、コントローラ12がアクチュエータに進入又は退出を支援する位置に移動するように指示する前に、タイマー値が満了する必要がある。タイマー値の例として、0、0.1、0.25、1、および10秒が含まれるが、これらの値に限定することを意図するものではない。このスパン内の任意の値も考えられる。障害を持つ運転者にとって特に有利な値のような、より大きな値も可能である。タイマー値が満了し、リセットされた場合、次のタイマー値が同じ値である必要はない。これは、タイマー値が満了しないまま、タイマーがリセットされた場合にも当てはまる。例えば、1番目のタイマー値は10秒であるが、2番目のタイマー値はわずか5秒とすることもできる。
【0019】
コントローラ12は、システムの様々な部品と直接的又は間接的に交信することができる。直接的通信のために、検出器10、14、16、18などの部品は、適切な配線によってコントローラ12に直接接続することができる。コントローラ12との通信は、アナログ信号又はデジタル信号に基づくことができ、LIN、CAN、UART、SPIなどのさまざまな通信プロトコルに従うことができる。代替的に、コントローラ12と特定の部品との間の通信は、さまざまな既知のワイヤレス通信プロトコルを使用してワイヤレスにすることができる。
【0020】
ここに示すように、単一のコントローラ12が開示されている。ただし、システム内のコントローラの数に制限はない。たとえば、親/子のようにした、2つのコントローラが存在する場合がある。この場合は、コントローラはデータを収集するが、マスターコントローラーからの指示を待ち、その後アクチュエータへの動作指令を行う。さらに別の実施形態では、1つのコントローラが位置情報を収集することができるが、別のコントローラがアクチュエータへの動作指令を行う責任を負う。さらに別の実施形態では、車両に複数の座席がある場合に、1つの親コントローラと複数の子コントローラが存在する場合がある。
【0021】
本開示による車両の座席位置調整システムは、1つ以上の制御可能なアクチュエータ22、24、26、28によって実施される。コントローラ12は、少なくとも運転者存在検出器からの信号受信に応答して、アクチュエータに信号を送り、車両床に対して相対的に車両の座席又は車両部品を移動させる。運転者が検出されない場合、コントローラ12は、アクチュエータに車両の座席を車両床に対する相対的な設定位置に移動するように指示する。この位置は、座席に出入りするための運転者の経験を最大限生かした位置に対応している。この位置は、前後の位置、高さの位置、旋回位置、又は複数のこれらの位置とすることができる。一般に、コントローラ12から信号を受信して座席又は部品の位置を自動的に調整する電気モータなどの任意のアクチュエータが、ここでは考慮される。一実施形態では、制御可能アクチュエータは、座席のベースを動かすために座席に接続されたモータなどの動力システムを含む。他の実施形態では、制御可能なアクチュエータは、座席の高さを上げ下げできる動力システムに関連する動力システムを含む。
【0022】
一実施形態では、車両の形式に応じて、運転者存在検出器10が、運転者が存在しないと判断した場合、この情報はコントローラ12に伝達され、コントローラ12はアクチュエータ20/22に信号を送り、座席を下げ、最も後方の位置、つまり車両の前部から離れた位置に座席を配置する。別の実施形態では、座席の高さだけが変更される。例えば、座席への乗降をより便利にするために、制御可能なスライドアクチュエータ22は、座席に運転者がもはや存在しないことを運転者存在検出装置がコントローラに伝達したときに、座席を可能な限り後方に移動させることができる。多くの作業車両では、座席を完全に後方に移動させると、運転者がまだ走行中の車両から離れた場合に、運転者が車両に再び乗り込むのがより便利になる。特定の実施形態では、座席は、車両の電力状態に関係なく、設定された期間、電力を維持する。しかし、運転者が座席に座っていないときに、必ずしも座席を完全に後方位置に移動する必要はないことを理解すべきである。座席を前後に移動させる任意の位置を選択できる。座席の高さも座席の旋回も連続して調整できる。
【0023】
独立して、又は前後座席アクチュエータ22で調節できる、別のアクチュエータは、座席高さアクチュエータ24を含む。座席高さアクチュエータは、当技術分野で周知であり、ここではこれ以上詳細に論じない。しかしながら、座席高さアクチュエータは、座席高さ調節に使用される1つ以上の部品、例えば、ソレノイド、コンプレッサなどを含むことができることを理解すべきである。当業者は、コントローラからの信号に応答して車両の座席の高さを調節することができる任意の座席高さアクチュエータを使用できることを理解している。
【0024】
コントローラ12の信号は、座席に運転者が存在するかどうかに基づいて、アクチュエータ22、24、26、28に送信される。一実施形態では、コントローラ信号は、車両の走行状態とは無関係に送信される。さらに別の実施形態では、コントローラ信号は、ノブ又はタッチスクリーンなどの入力デバイスを介して運転者によって手動で送信することができる。ノブの例を図2に示す。タッチスクリーンの例を図3に示す。システムにタッチスクリーンが存在する場合、運転者は、座席が使用されている場合の希望の座席位置と、座席が空いている場合の希望の位置を、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を介して設定でき、設定結果の信号がコントローラに送信され、座席位置又は部品位置アクチュエータ22、24、26、28に指令して、座席が所望の位置となるよう調整する。このような場合、運転者は、車両の座席に座っている間に座席の位置を変更し、座席の占有に基づいて事前にプログラムされた値を無効にすることができる。さらに、実施形態のいずれにおいても、運転者が車両の座席を占有するたびに座席の位置を調整する必要がないように、運転者の好みに基づいて座席の位置を事前に設定し、コントローラ12内に保存することができる。これらの事前設定値は、図2および図3に示すような入力デバイスを使用して入力できる。
【0025】
運転者がシステムに座席位置の好みを設定すると、それらの好みがメモリに保存され、座席の占有状態に基づいて比較が行われ、座席の望ましい位置が座席の現在の位置から逸脱しているかどうかが判断される。所望の位置が異なる場合、コントローラ12は、アクチュエータ22、24、26、28に信号を送って、座席又はコンソールなどの車両部品を所望の位置に移動させる。さまざまな設定がコントローラ12内に保存可能であり、必要に応じて運転者が稼働させる。コントローラ内に様々な設定を保存することにより、車両の複数の運転者がそれぞれの所望の座席設定を保存することができる。
【0026】
運転者が座席から離れていることに基づいて座席位置が変更された場合、運転者が再び座席を占有し、運転者の存在が再度確認されると、コントローラは座席の望ましい位置を現在の位置と比較し、現在の位置と望ましい位置に差がある場合は、座席を望ましい位置に移動するように制御可能アクチュエータに信号を送る。
【0027】
一実施形態では、コントローラ12は、図4に示すフローチャートに従うステップを指令する。
【0028】
図4に示されるように、第1のステップにおいて、コントローラ12は、車両の座席および部品位置調整システムが機能しているかどうかを決定する(ステップ1)。システムが機能している場合、コントローラ12は、運転者存在検出器10によって生成された値又は信号を受信又は収集する(ステップ2)。運転者が不在の場合は、タイマー21が始動する(ステップ3)。運転者が座席にいない状態でタイマー21が満了すると(ステップ4)、コントローラ12は、制御可能なアクチュエータ22、24、26、28に座席を、出入りが最適になるよう設定された、又は運転者によりあらかじめ設定された、別の位置に移動するように指令する(ステップ5)。タイマー21のタイマー値が満了する前に運転者が座席にいるか又は座席を占有している場合、コントローラ12はフィードバックループでタイマー21をリセットし、座席はその運転者存在時の設定位置に留まる(ステップ5)。
【0029】
一例では、運転者存在検出器10は、猫や荷物などの座席上の軽い物体ではなく、座席内の車両運転者の存在を示す値をコントローラ12に送信する。この場合、コントローラ12は、運転者存在検出器10からの信号を、運転者であることを示す閾値と比較できる値に変換する。この閾値は、コントローラ12内のメモリに保存することができる。
【0030】
コントローラ12が運転者は存在しないと判断した場合、座席の高さを変更する必要はない。運転者が存在しない場合、座席の高さは調整されず、アクチュエータ22、24、26、28は停止する(ステップ6)。
【0031】
一実施形態では、車両がオンのとき、コントローラ12は、図4のフローチャートループによって示されるステップを連続的に実行するように構成される。特定のシナリオでは、運転者はキーを回すだけでシステムの電源をオンにすることができる。他の例では、車両は、リモートスタートの使用などを通じて、運転者が存在しない状態でシステムに電力を供給する。場合によっては、運転者が座席に着く前に事前調整が必要である。
【0032】
本開示は、説明のためのものであり、限定するためのものではないと考えなければならない。特定の実施形態のみが提示されており、本開示の精神の範囲内に入るすべての変更、修正、およびさらなる応用が保護されることが望まれることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】