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  • 特表-窓ガラス熱センサ 図1a
  • 特表-窓ガラス熱センサ 図1b
  • 特表-窓ガラス熱センサ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】窓ガラス熱センサ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/84 20060101AFI20230906BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20230906BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
H05B3/84
B60S1/02 310
B60S1/62 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511793
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2021073048
(87)【国際公開番号】W WO2022043183
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20193474.2
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ラロワイヨ, グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】マッソン, ジャン
(72)【発明者】
【氏名】サルトナエ, ヤニック
【テーマコード(参考)】
3D225
3K034
【Fターム(参考)】
3D225AA02
3D225AA04
3D225AC09
3D225AD02
3D225AD03
3D225AD12
3D225AD14
3D225AD22
3D225AG78
3K034AA02
3K034AA04
3K034AA15
3K034AA16
3K034BB05
3K034JA10
(57)【要約】
本発明は、窓ガラスであって、前記窓ガラスの温度を測定するための温度感知デバイスを含む窓ガラスに関する。温度感知デバイスは、熱伝導性両面テープを介して窓ガラスに固定される。本発明は、温度感知デバイス自体にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラス(1)であって、前記窓ガラス(1)は、前記窓ガラス(1)の温度を測定するための温度感知デバイス(2)を含み、前記温度感知デバイス(2)は、
a.第1の面及び第2の面を有する第1のプリント回路基板(3)、
b.前記プリント回路基板(3)の前記第1の面上に固定されたサーミスタ(4)、
c.前記サーミスタ(4)に接続され、且つ前記プリント回路基板(3)の前記第2の面の表面に出る第1の対のコネクタ(5)、
d.前記プリント回路基板(3)の前記第1の面上に固定された熱伝導性両面テープ(6)
を含み、前記温度感知デバイス(2)は、前記熱伝導性両面テープ(6)を介して前記窓ガラス(1)に固定される、窓ガラス(1)。
【請求項2】
前記プリント回路基板(3)の容積は、0.22cm未満であり、その最大面積は、1.1cm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の窓ガラス(1)。
【請求項3】
- 前記窓ガラス上に分散された銀プリント(7)
をさらに含むことを特徴とし、及び前記温度感知デバイスは、
- 前記銀プリントに接続され、且つ前記プリント回路基板(3)の前記第2の面の表面に出る第2の対のコネクタ
をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の窓ガラス(1)。
【請求項4】
前記窓ガラス(1)は、カメラ又はライダーのカバーガラスであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の窓ガラス(1)。
【請求項5】
前記窓ガラス(1)は、自動車のフロントガラス、サイドライト又はバックライトであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の窓ガラス(1)。
【請求項6】
前記窓ガラス(1)は、自動車のトリム要素であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の窓ガラス(1)。
【請求項7】
窓ガラスの温度を測定するための温度感知デバイスであって、前記温度感知デバイスは、
a.第1の面及び第2の面を有する第1のプリント回路基板、
b.前記プリント回路基板の前記第1の面上に固定されたサーミスタ、
c.前記サーミスタに接続され、且つ前記プリント回路基板の前記第2の面の表面に出る対のコネクタ、
d.前記プリント回路基板の前記第1の面上に固定された熱伝導性両面テープ
を含み、前記温度感知デバイスは、前記熱伝導性両面テープを介して前記窓ガラスに固定され得る、温度感知デバイス。
【請求項8】
前記プリント回路基板(3)の容積は、0.22cm未満であり、その最大面積は、1.1cm未満であることを特徴とする、請求項7に記載の温度感知デバイス。
【請求項9】
前記温度感知デバイスは、前記プリント回路基板(3)の前記第2の面の表面に出る第2の対のコネクタをさらに含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の温度感知デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、感知デバイスを備えた窓ガラスの分野に関する。より具体的には、本発明は、窓ガラスの温度を測定するための温度感知デバイスを含む窓ガラスに関する。
【0002】
本発明は、窓ガラスの温度を測定するための温度感知デバイスにも関する。
【背景技術】
【0003】
今日、窓ガラスを加熱できることが有用である。このような窓ガラスは、ビル内又は自動車内などの様々な用途で使用され得る。窓ガラスを加熱することは、窓ガラスの曇り取りだけでなく、霜取りも可能にする。窓ガラスの霜取り及び/又は曇り取りを行うことは、自律運転の領域において最も重要である。窓ガラスの背後のセンサ(カメラ、ライダー、雨センサ、光センサなど)は、窓ガラス上の霧及び/又は氷に起因する擾乱なく検出することができなければならない。
【0004】
窓ガラスを加熱することと共に、窓ガラスの温度を知ることは、加熱機能を活性化又は非活性化すべきときを知ることを可能にする。窓ガラス自体の温度を測定するために、通常、温度センサが窓ガラス自体に溶着される。欧州特許出願公開第2896269号明細書において説明されるように、鉛含有半田が、電気的接続要素と窓ガラスとの間に発生する機械的応力を補償し得る高延性を有していても、廃車指令(End of Life Vehicles Directive)2000/53/ECは、鉛含有半田を使用することを許容しない。この指令の目的は、使い捨て電子機器の大規模な増加から生じる、製品からの極めて問題のある部品を禁止することである。この指令は、自動車セクタにおいて適用されるが、鉛フリー半田を使用することが環境のためによりよいため、他の用途でも著しい利点を有し得る。
【0005】
導電性構造に対して鉛フリー半田付けを行うための多くの電気的接続要素が提案されている。一例として、米国特許出願公開第20070224842号明細書、欧州特許出願公開第1942703号明細書、国際公開第2007110610号パンフレット、欧州特許出願公開第1488972号明細書及び欧州特許出願公開第2365730号明細書が参照される。半田だけでなく、溶着される部分の形状(厚さ、サイズなど)及び材料が熱応力の回避に関して決定的な重要性を担う。適切に選択されない場合、半田において亀裂を生じ得、不良接続のリスク及びさらに溶接される部分の剥離を伴う。窓ガラス上に温度センサを溶着することは、非常に複雑な手順である。
【0006】
多様な用途のために十分に小さいであろうセンサによって温度を測定する必要もある。今日、自動車セクタのみではないが、特に自動車セクタにおいて、電子部品の微細化に向かう傾向がある。この傾向は、以前にはアクセス可能でなかった場所にこれらの電子部品を置くこと及び/又はより多くの電子的部分を同じ場所上に置くことを許容する。
【0007】
したがって、従来技術の欠点がない、窓ガラスの温度を測定する解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、窓ガラスであって、前記窓ガラスの温度を測定するための温度感知デバイスを含む窓ガラスに関する。温度感知デバイスは、第1の面及び第2の面を有する第1のプリント回路基板を含む。温度感知デバイスは、プリント回路基板の前記第1の面上に固定されたサーミスタも含む。温度感知デバイスは、サーミスタに接続され、且つプリント回路基板の前記第2の面の表面に出る第1の対のコネクタを含む。温度感知デバイスは、プリント回路基板の前記第1の面上に固定された熱伝導性両面テープも含む。温度感知デバイスは、熱伝導性両面テープを介して窓ガラスに固定される。
【0009】
本発明は、温度感知デバイスも提案する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、添付図面を参照して例としてさらに説明され、添付図面では、同様の参照符号は、様々な図における同様の要素を指す。これらの例は、例示として提供され、限定として提供されるものではない。添付図面は、概略図であり、原寸に比例しない。添付図面は、決して本発明を限定しない。より多くの利点がいくつかの例によって説明される。
【0011】
図1a】本発明の第1の実施形態を示す。
図1b】本発明の第1の実施形態の断面図を示す。
図2】本発明の第2の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、特定の実施形態に関して且ついくつかの図面を参照して説明されるが、本発明は、それらに限定されず、特許請求の範囲のみによって限定される。本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる特徴のいくつかを含み、他の特徴を含まないが、様々な実施形態の特徴の組み合わせは、当業者によって理解されるように、本発明の範囲内にあり、様々な実施形態を形成することを意図される。例えば、以下の特許請求の範囲では、特許請求される実施形態の任意のものが任意の組み合わせで使用され得る。
【0013】
本発明は、窓ガラスの温度を測定するための温度感知デバイスを含む窓ガラスを提案する。
【0014】
温度感知デバイスは、第1の面及び第2の面を有する第1のプリント回路基板を含む。プリント回路基板(PCB)は、非導電性基板のシート層上及び/又は非導電性基板のシート層間に積層された銅の1つ又は複数のシート層からエッチングされた導電性トラック、パッド及び他の特徴を使用することにより、電気的又は電子部品を機械的に支持し、電気的に接続する。部品は、一般的に、PCBにそれらを電気的に接続し、且つ機械的に固定するためにPCB上に半田付けされる。
【0015】
PCBは、最終的な光学的機能及び/又は熱機能による擾乱を回避するために、窓ガラスの最も暖かい点に特に配置されず、最も適切な点に配置される。制御システムの温度閾値は、加熱中に窓ガラス温度が安全温度を超えないことを保証するために、熱シミュレーションに従って窓ガラス上のPCB局在化のために調節される。
【0016】
PCBを使用することは、非常に単純且つ低コストの要素の利点がある。PCBを使用することは、任意の部品(温度の規制を行うことができるチップ又は別の特徴を温度感知デバイスに追加するためのプロセッサなど)を容易に追加することも可能にする。
【0017】
温度感知デバイスは、プリント回路基板の前記第1の面上に固定されたサーミスタも含む。サーミスタは、その抵抗が温度に依存するタイプの抵抗器である。したがって、サーミスタは、温度に関する情報を供給し得る。温度に依存して変動する周波数を有する信号を与える電子的サーミスタも存在する。サーミスタは、第1のプリント回路基板又はプリント回路基板に部品を固定するための当業者に知られた任意の他の手段に溶着され得る。サーミスタは、低コストの部品である。
【0018】
温度感知デバイスは、第1の対のコネクタも含む。これらのコネクタは、サーミスタに接続され、且つプリント回路基板の第2の面の表面に出る。これらのコネクタは、例えば、電流をサーミスタに提供し、且つ/又は温度に関する情報をサーミスタから取り出すためにサーミスタに接続することを可能にする。
【0019】
温度感知デバイスは、熱伝導性両面テープも含む。熱伝導性両面テープは、プリント回路基板の第1の面上に固定される。熱伝導性両面テープは、プリント回路基板を窓ガラスに、且つしたがって温度感知デバイスを窓ガラスに固定することを可能にする。熱伝導性両面テープは、窓ガラスに接しているため、サーミスタに窓ガラスの温度を測定させる。
【0020】
熱伝導性両面テープは、低コストの要素である。熱伝導性両面テープは、温度感知デバイスを窓ガラス上に固定するための非常に単純な方法(特に窓ガラス上に溶着される温度感知デバイスと比較して)も可能にする。熱伝導性両面テープは、非常に低い制約を窓ガラス自体に適用するという利点もある。
【0021】
本発明は、部品自体が低コストであるため、低コストの利点を与える。本発明は、特に自動車セクタにおいて非常に重要であり得る相対的に小さいフットプリントも提示する。
【0022】
本発明の一実施形態によると、プリント回路基板の容積は、0.22cm未満であり、その最も大きい面積は、1.1cm未満である。
【0023】
本発明の第2の実施形態によると、窓ガラスは、窓ガラス上に分散された銀プリントをさらに含む。銀プリントは、プリント回路基板の第2の面の表面に出る第2の対のコネクタに接続される。この第2の対のコネクタは、銀プリント上に電流を流すこと及びしたがって窓ガラスを加熱することを可能にする。
【0024】
埋め込み型導電性ワイヤの使用又は窓ガラス上に分散された導電性被覆の使用など、当業者に知られた窓ガラスを加熱する他の方法が存在する。これらの他の方法も前述の銀プリントの代わりに使用され得る。
【0025】
本発明の一実施形態によると、窓ガラスは、カメラ又はライダーのカバーガラスである。窓ガラスは、カバーガラスを使用する任意の種類のセンサ(雨センサ、光センサなど)のカバーガラスでもあり得る。
【0026】
本発明の一実施形態によると、窓ガラスは、自動車のフロントガラス、サイドライト又はバックライトである。自動車は、車、バン、大型トラック、建設及び採掘機、産業車両、モーターバイク、バス、路面電車、列車、飛行機、ヘリコプターなどを含む。窓ガラスは、ドローン、風車、計測機器、気象ステーション、交通解析システム、セキュリティ及び/若しくはクラウド解析システム又は工業用ロボット上で使用され得る。
【0027】
本発明の一実施形態によると、窓ガラスは、自動車のトリム要素である。トリム要素は、その魅力を増加させるか又はいくつかの非美的部分をマスクするために、自動車の内部又は外部に追加され得る物品を指す。そのいくつかは、乗客によって引き起こされ得る望ましくない損傷から車両内部又は外部の特定の部分を保護するために使用される一方、他のものは、美観のためのみのものである。例えば、ガラストリム要素は、車トランクカバー、Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラー(車の窓エリアの垂直又はほぼ垂直な支持体)(プロファイル図において前部から後部への移動順にAピラー、Bピラー、Cピラー又は(大型車における)Dピラーと呼ばれる)のカバー又はダッシュボード、コンソール、ドアトリムなどの上のインテリアトリム要素のカバーとして使用される。このようなガラストリム要素は、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第3325417号明細書、欧州特許第3325418号明細書及び欧州特許第3429893号明細書に記載されている。
【0028】
本発明は、先に説明したような温度感知デバイスも提案する。
【0029】
図1aを参照すると、窓ガラス(1)は、温度感知デバイス(2)を含む。
【0030】
温度感知デバイス(2)は、第1の面及び第2の面を有する第1のプリント回路基板(3)を含む。
【0031】
サーミスタ(4)がプリント回路基板(3)の第1の面上に固定される。サーミスタ(4)は、この図において、第1のプリント回路基板(3)の下にあるという事実を表すために本図では点線矩形として表される。
【0032】
温度感知デバイス(2)は、サーミスタ(4)に接続される少なくとも第1の対のコネクタ(5)も含む。これらのコネクタ(5)は、プリント回路基板(3)の第2の面の表面に出るために第1のプリント回路基板(3)と交差する。
【0033】
サーミスタ(4)が固定されるプリント回路基板(3)の第1の面は、熱伝導性両面テープ(6)によって少なくとも部分的に覆われる。熱伝導性両面テープ(6)は、この図において、第1のプリント回路基板(3)の下にあるという事実を表すためにこの図では点線矩形として表される。
【0034】
図1bは、熱伝導性両面テープ(6)を介して窓ガラス(1)上に固定された温度感知デバイス(2)の断面図を表す。この図で分かるように、サーミスタ(4)は、窓ガラス(1)と直接接触するのではなく、熱伝導性両面テープ(6)を介して接触する。
【0035】
図2は、本発明の第2の実施形態を示す。窓ガラス(1)は、温度感知デバイス(2)を依然として含む。窓ガラス(1)は、前記窓ガラス上に分散された銀プリント(7)をさらに含む。この銀プリントは、プリント回路基板(3)の第2の面の表面に出る第2の対のコネクタに接続される。
【0036】
本発明は、添付図面及び上記の説明で示され、詳細に説明されたが、このような図及び説明は、説明的又は例示的であり、したがって限定的でないと考えるべきである。上記の説明は、本発明のいくつかの実施形態を詳述している。しかし、上記の説明が文章においてどのように詳細に記載されていても、本発明は、多くの方法で実施され得ることが理解される。本発明は、開示された実施形態に限定されない。
図1a
図1b
図2
【国際調査報告】