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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】酸素化ジテルペノイド化合物の生成
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/53 20060101AFI20230906BHJP
   C12N 15/60 20060101ALI20230906BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230906BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230906BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230906BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230906BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230906BHJP
   C12P 7/00 20060101ALI20230906BHJP
   C12N 9/02 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C12N15/53 ZNA
C12N15/60
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/63 Z
C12P7/00
C12N9/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511907
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2021073656
(87)【国際公開番号】W WO2022043461
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】PA202000964
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520281963
【氏名又は名称】コペンハーゲン大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン-ランバーグ,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ニコライ,レルヴァド
(72)【発明者】
【氏名】フォーマン,ビクター
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AD99
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA10
4B064DA16
4B064DA20
4B065AA01X
4B065AA15X
4B065AA24X
4B065AA26X
4B065AA30X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA73X
4B065AA77X
4B065AA79X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA02
4B065CA44
4B065CA50
4B065CA51
4B065CA60
(57)【要約】
開示されるのは、酸素化ジテルペノイド化合物の合成のために選択された宿主細胞において、特有のシトクロムP450酵素をコードする遺伝子を挿入すること、および遺伝子を発現させることによるトリプトフェノリド、トリプトニドおよびトリプトリドなどの、酸素化ジテルペノイド化合物の生成のための方法である。さらに開示されるのは、この合成に適した特有のシトクロムP450酵素である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素化ジテルペノイド化合物を生成できる組換え宿主細胞であって、
i.ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成でき;かつ
ii.シトクロムP450活性を有する第一の酵素をコードする第一の異種核酸を含み、シトクロムP450活性を有する前記第一の酵素が、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:74もしくはSEQ ID NO:75で表されるシトクロムP450酵素TwCYP82D274、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポチペプチドであり、14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエンへとミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを変換できる、組換え宿主細胞。
【請求項2】
シトクロムP450活性を有する第二の酵素をコードする第二の異種核酸をさらに含み、シトクロムP450活性を有する前記第二の酵素が、SEQ ID NO:4で表されるシトクロムP450酵素TwCYP71BE86、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポチペプチドである、請求項1に記載の組換え宿主細胞。
【請求項3】
前記第一の異種核酸および前記第二の異種核酸を含みかつ発現し、それにより14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシアベオジエンおよび14-ヒドロキシ-18-アルド-アベオジエンを生成できる、請求項2に記載の組換え宿主細胞。
【請求項4】
シトクロムP450活性を有する第三の酵素をコードする第三の異種核酸をさらに含み、シトクロムP450活性を有する前記第三の酵素が、SEQ ID NO:3で表されるシトクロムP450酵素TwCYP71BE85、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポチペプチドである、前記請求項のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項5】
前記第一の異種核酸および前記第三の異種核酸を含みかつ発現し、それにより14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエンを生成できる、請求項4に記載の組換え宿主細胞。
【請求項6】
前記第一の異種核酸、前記第二の異種核酸および前記第三の異種核酸を含みかつ発現し、それにより14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシアベオジエン、14-ヒドロキシ-18-アルド-アベオジエンおよびトリプトフェノリドを生成できる、請求項4に記載の組換え宿主細胞。
【請求項7】
シトクロムP450活性を有する第四の酵素をコードする第四の異種核酸をさらに含み、シトクロムP450活性を有する前記第四の酵素が、SEQ ID NO:5もしくはSEQ ID NO:76で表されるシトクロムP450酵素TwCYP82D213、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポチペプチドである、前記請求項のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項8】
前記第一の異種核酸、前記第二の異種核酸、前記第三の異種核酸、および前期第四の異種核酸を含みかつ発現し、それにより14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシアベオジエン、14-ヒドロキシ-18-アルド-アベオジエン、トリプトフェノリドおよびトリプトニドを生成できる、請求項7に記載の組換え宿主細胞。
【請求項9】
シトクロムP450活性を有する第五の酵素をコードする第五の異種核酸をさらに含み、シトクロムP450活性を有する前記第五の酵素が、SEQ ID NO:6で表されるシトクロムP450酵素TwCYP82D217、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポチペプチドである、前記請求項のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項10】
シトクロムP450活性を有する第六の酵素をコードする第六の異種核酸をさらに含み、シトクロムP450活性を有する前記第六の酵素が、SEQ ID NO:7で表されるシトクロムP450酵素TwCYP82D275、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポチペプチドである、前記請求項のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項11】
シトクロムB5活性を有する酵素をコードする第七の異種核酸をさらに含み、シトクロムB5活性を有する前記酵素が、SEQ ID NO:8で表されるシトクロムB5酵素 TwB5#1、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポチペプチドである、前記請求項のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項12】
i.ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ;
ii.ミルチラジエンへとゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)を変換できるジテルペンシンターゼ;
iii.組み合わせてミルチラジエンへとGGPPを変換できる2種以上のジテルペンシンターゼの組み合わせ;または
iv.コパリル二リン酸シンターゼおよびミルチラジエンシンターゼ、
の1つまたは複数を発現し、
それによりミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成できる、前記請求項のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項13】
前記ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼが、SEQ ID NO:73もしくはSEQ ID NO:81のアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する機能的ホモログである、請求項12に記載の組換え宿主細胞。
【請求項14】
ミルチラジエンへとGGPPを変換できる、2種以上のジテルペンシンターゼの前記組み合わせが、SEQ ID NO:67で表されるCfTPS1とSEQ ID NO:68で表されるCfTPS3、もしくはSEQ ID NO:77で表されるCftTPS1とSEQ ID NO:78で表されるCftTPS3の組み合わせ、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するその各機能的ホモログの組み合わせである;あるいはSEQ ID NO:69で表されるTwTPS9とSEQ ID NO:70で表されるTwTPS27の組み合わせ、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するその各機能的ホモログの組み合わせである、請求項12~13のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項15】
コパリル二リン酸シンターゼとミルチラジエンシンターゼの前記組み合わせが、SEQ ID NO:71で表されるSmCPSとSEQ ID NO:72で表されるSmKSLの組み合わせ、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するその各機能的ホモログの組み合わせである、請求項12~14のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項16】
原核または真核細胞である、前記請求項のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項17】
サッカロマイセス、シゾサッカロマイセス、クルイベロマイセス、ピキア、カンジダおよびヤロウイアからなる群から選択される種の真核細胞である、前記請求項のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項18】
S.セレビシエである、前記請求項のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項19】
エシェリヒア、バチルス、ラクトバチルスおよびコリネバクテリウムからなるリストから選択される種の原核細胞である、請求項1~16のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項20】
植物細胞であるまたは植物中に含まれ、前記植物が、ニコチアナ・タバカムであってよく、および/または別の多細胞宿主からの細胞である、請求項1~16のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞。
【請求項21】
トリプトニドなどの、酸素化ジテルペノイド化合物の生成のための方法であって、 i.前記請求項のいずれか1項に記載の組換え宿主細胞を提供するステップと;
ii.前記酸素化ジテルペノイド化合物の生成に適した条件下で前記組換え宿主細胞を培養するステップ、
を含む、方法。
【請求項22】
前記酸素化ジテルペノイド化合物が、14-OH-デヒドロアビエタジエン、トリプトフェノリドおよびトリプトニドからなるリストから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記酸素化ジテルペノイド化合物が、トリプトニドである、請求項21~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記トリプトニドを回収するステップと、場合により、精製するステップをさらに含む、請求項22~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
トリプトリドの生成のための方法であって、
i.請求項22~24のいずれか1項に記載の方法に従ってトリプトニドを生成すること、ならびに
ii.トリプトリドへと前記トリプトニドを変換すること、ならびに
iii.場合により、前記トリプトリドを回収することおよび/または精製すること、
を含む、方法。
【請求項26】
酸素化ジテルペノイド化合物の生成のための請求項1~20のいずれかに記載の組換え宿主細胞の使用。
【請求項27】
前記酸素化ジテルペノイド化合物が、14-OH-デヒドロアビエタジエン、トリプトフェノリドおよびトリプトニドからなるリストから選択される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記酸素化ジテルペノイド化合物が、トリプトニドであり、前記トリプトニドが、トリプトリドへとさらに変換される、請求項26に記載の使用。
【請求項29】
前記酸素化ジテルペノイド化合物が、1種または複数の分離および/またはクロマトグラフィーステップを用いて回収される、請求項26~28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
シトクロムP450酵素活性を有するかつ配列SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7の1つに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、好ましくは少なくとも96%の配列同一性、好ましくは少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドあるいはシトクロムB5酵素活性を有するかつSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、好ましくは少なくとも96%の配列同一性、好ましくは少なくとも97%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項31】
請求項30に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項32】
請求項31に記載のポリヌクレオチドを含むプラスミド、発現ベクター、発現構築物、または組換え宿主細胞。
【請求項33】
化合物14-OH-デヒドロアビエタジエン。
【請求項34】
以下の式(1)~(17):
【化1】

からなる群から選択される化合物。
【請求項35】
式(6)(F20P2)による化合物である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
式(10)(F15P1)による化合物である、請求項34に記載の化合物。
【請求項37】
式(15)(F15P2)による化合物である、請求項34に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願は、参照により取り込まれるコンピュータ可読形態の配列表を含む。
【0002】
発明の分野
本発明は、酵母細胞などの組換え細胞中の酸素化ジテルペノイド化合物の生成に関する。酸素化ジテルペノイド化合物は、例えば癌などの疾患の医薬処置における使用のための有用な生物活性化合物の合成において中間体または最終化合物として有用である。本発明はさらに、特にそのような化合物の生成に適した、遺伝子、酵素および酵母細胞などの細胞に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
テルペン類は、基本の5炭素構造であるイソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)から作製される多様な化合物群である。ジテルペン類は、化合物ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)をジテルペン構造に変換する酵素ジテルペンシンターゼの作用により作製される、20炭素構造を有する化合物であり、それらは、さらに修飾されて広範囲のジテルペンまたはジテルペノイド化合物を形成することが可能である。ジテルペン類、ジテルペノイド類、それらの誘導体は、例えば医薬品、化粧品、栄養素、香味剤、香料および殺虫剤として広く使用される。天然のまたは操作された細胞においてこれらの化合物の生成を増加させる方法は、当該技術分野に多数存在する。
【0004】
漢方薬の植物であるトリプテリギウム・ウィルフォルディは、ジテルペノイド化合物であるトリプトニドおよびトリプトリドを含む、潜在的な薬理学的特性を有する複数のセスキテルペノイド類、ジテルペノイド類およびトリテルペノイド類を生成することが知られている。酸素化ジテルペノイド化合物であるトリプトリドおよびその誘導体は、潜在的に貴重な薬理学的化合物として同定されており、免疫抑制剤として、および癌の処置のために目下、研究されている。トリプトリドはさらに、COVID-19に対する処置に用いられ得る。トリプトニドは、男性避妊薬として有用であり得る。
【0005】
再生可能な原料から貴重な分子を生成するために操作された微生物を使用することは、従来の生成手段からの望ましい代替法である。しかし、経済的に実現可能な収率、力価および生成能を実現することが、工業化に向けた重大な障壁である。
【0006】
N L Hansenら(2017)は、The Plant Journal 2017, 89, 429-441において、トリプトリドの前駆体であるミルチラジエンというジテルペンにGGPPを変換できるジテルペンシンターゼを記載した。この知見は、The plant Jour-nal 2018, 50-65でP Suら(2018)により、およびJ GuoらのPNAS 2013, 110, 12108-12113で確認された。
【0007】
ミルチラジエンをトリプトリドなどの他のジテルペノイド化合物に変換するための完全な経路は、未だに解明されていない。
【0008】
シトクロムP450酵素(CYP)は、テルペノイドの生合成に関与し、多くのシトクロムP450酵素について、それらが作用する基質、それらがどの化合物を作製しているか、または特定の化合物の生合成におけるそれらの役割に関して何も知られていない。
【0009】
米国特許出願公開第20190270971号は、P450酵素を機能的に発現する微生物宿主細胞の生成能を上昇させるための方法を開示する。この文書は、P450遺伝子が、酵母などの微生物中での性能を改善するためにどのように修飾され得るかを記載し、シトクロムP450リダクターゼとの共発現が収率を改善するのに有益であり得ることが言及されているが、この文書は、トリプトリドと任意の特異的P450酵素またはシトクロム類の間のなんらかのつながりを提供しない。
【0010】
中国特許第108395997号は、増加されたGGPP生成を有する酵母を記載する。この酵母は、ジテルペノイド化合物を合成するために異なるジテルペンシンターゼおよびP450酵素で形質転換される。この特許を支える科学者のチームは、適切なテルペンシンターゼおよびP450酵素を用いる異なるジ-およびトリテルペノイド化合物の合成を開示する更なる特許および特許出願、例えば中国特許第108866029号(friedelin)、中国特許第107058419号(Kauren-type)およびWO2020029564号(Fridelin and amyrins)も支えている。
【0011】
中国特許第110747178号は、トリプトリド合成において役割を有するシトクロムP450酵素をコードするとしてP450遺伝子TwCYP728B70を記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の短い説明
本発明者らは、トリプトフェノリド、トリプトニドおよびトリプトリドなどの酸素化ジテルペノイド化合物を生成する改善された方法を提供することの問題を解決した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一の態様において、本発明は、酸素化ジテルペノイド化合物を生成するための方法に関し、方法は、
a.ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成できる宿主細胞を提供するステップと;
b.シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一の遺伝子で宿主細胞を形質転換するステップと;
c.形質転換された遺伝子の発現に導く条件下で形質転換された細胞を生育し、それにより酸素化されたジテルペノイド化合物が形成されるステップ、
を含み、ここで、
シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一の遺伝子は、SEQ ID NO:1(TwCYP82D274v1)、SEQ ID NO:2(TwCYP82D274v2)、SEQ ID NO:74(TwCYP82D274v3)もしくはSEQ ID NO:75(TwCYP82D274v4)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする。
【0014】
第二の態様において、本発明は、酸素化ジテルペノイド化合物を生成するための方法に関し、シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一の遺伝子で、さらにシトクロムP450活性を有する第二の酵素をコードする第二の遺伝子でおよびシトクロムP450活性を有する第三の酵素をコードする第三の遺伝子で宿主細胞を形質転換することを含み、
ここで、
シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第二の遺伝子は、SEQ ID NO:3(TwCYP71BE85)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードし、
シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第三の遺伝子は、SEQ ID NO:4(TwCYP71BE85)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする。
【0015】
第三の態様において、本発明は、酸素化ジテルペノイド化合物を生成するための方法に関し、上記方法は、宿主細胞が、シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一、第二のおよび第三の遺伝子で形質転換され、さらにシトクロムP450活性を有する第四の酵素をコードする第四の遺伝子で形質転換されることを含み、ここで、
シトクロムP450活性を有する第四の酵素をコードする第四の遺伝子は、SEQ ID NO:5(TwCYP82D213v1)もしくはSEQ ID NO:76(TwCYP82D213v2)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする。
【0016】
本発明により、有用な酸素化ジテルペノイド化合物、トリプトフェノリド、トリプトニドまたはトリプトリドが、提供されてよい。
【0017】
本発明はさらに、本発明の方法において有用であるポリペプチド、ポリヌクレオチド、プラスミドおよび発現構築物、ならびに組換え宿主細胞に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ミルチラジエン生合成遺伝子および選択されたT.ウィルフォルディCYP類を発現するN.ベンサミアナの葉からの抽出物のLCMSプロファイルを示す。TwCYP類は、CfDXS、CfGGPPS、CfTPS1およびCfTPS3と共発現された。「3×STD」は、3種の混合された真の標準(authentic standards):トリプトリド、トリプトニド、およびトリプトフェノリド、の試料のLCMSの実行を表す。実線は、m/z280~380の範囲でのイオンクロマトグラムを表す。破線(- ― -)は、トリプトフェノリドの親イオン[M+H]に対応するm/z313.1800±0.015での抽出されたイオンクロマトグラムを表す。破線(---)は、トリプトニドの親イオン[M+H]に対応するm/z3593.1490±0.015での抽出されたイオンクロマトグラムを表す。LCプロトコル1が、用いられた。より詳細には、実施例1を参照されたい。
図2】遺伝子操作されたサッカロマイセス・セレビシエ(S.セレビシエ)株の抽出物のLCMSプロファイルを示す。バックルグランド株(-)において、ジテルペン生合成酵素をコードする遺伝子SPGGPPS7、CftTPS1、CftTPS3およびTwCPR1が、野生型S.セレビシエのゲノムに組み込まれた。TwCYP82D274v1株において、ジテルペン生合成酵素が、TwCYP82D274v1で発現され、灰色で示される14-OH-デヒドロアビエタジエンとして同定された化合物(3)の形成をもたらした。LC法1が、分析に用いられた。より詳細には、実施例3を参照されたい。
図3】599.85MHzでのCDCl中の14-OH-デヒドロアビエタジエンのH NMRスペクトルを示す。より詳細には、実施例4を参照されたい。
図4】150.83MHzでのCDCl中の14-OH-デヒドロアビエタジエンの13C NMRスペクトルを示す。より詳細には、実施例4を参照されたい。
図5】示される組み込まれた遺伝子組合わせゲノムを有する酵母の抽出物のLCMSプロファイルを示す。全ての酵母株は、spGGPPs7、CftTPS1、CftTPS3およびTwCPR1が組み込まれたゲノムを有する。「0.5ppm 3×STD」は、3種の混合された真の標準:トリプトリド、トリプトニド、およびトリプトフェノリド、の試料のLCMSの実行を表す。非破線(non-dashed lines)は、m/z280~380の範囲のイオンクロマトグラムを表す。破線は、トリプトニドの親イオン([M+H])に対応するm/z359.1490±0.015での抽出されたイオンクロマトグラムを表す。LCプロトコル2が、用いられた。より詳細には、実施例5を参照されたい。
図6】TwCYP類と、トリプテリギウム・ウィルフォルディから単離されたB5タンパク質の異なる変異体の共発現を示す。操作されたS.セレビシエ株の培養物から定量されたトリプトフェノリド、トリプトニドおよび14-OH-デヒドロアビエタジエンのレベル。各列は、操作された酵母株、および選択された化合物のそれらの産出物を表す。個々の株それぞれに組み込まれた遺伝子は、下のパネルに表される。定量は、目的の化合物のそれぞれを表すピークの面積に基づいた。個々のスケールは、化合物のそれぞれに適用される。より詳細には、実施例5を参照されたい。
図7】N.ベンサミアナ(パネルAおよびD)およびS.セレビシエ(パネルBおよびE、表3に列挙された株)における異種遺伝子発現を介してインビボで確立された場合の、トリプトニドの提案された生合成経路における重要な中間体の相対量(バー)を示す。遺伝子発現は、左側の黒い四角により示され、相対量は、バー(3~4の生物学的反復の平均;黒い菱形)により示され、塗りつぶしの白色および灰色は、それぞれ、Twb5#1の発現と非発現を識別する。エラーバーは、標準偏差を表す。「DiTPSs」は、CftTPS1およびCft-TPS3を表す。ピーク面積の定量では、指標の質量許容範囲は、GCMSでは±0.1m/z(ミルチラジエンおよび14-OH-デヒドロアビエタジエン)およびLCMSでは±0.005m/z(他の全化合物)であった。パネルC:アビエタン炭素骨格内のC-19またはC-18からC3へのメチルシフトを説明するワーグナー・メーヤワイン転移反応を含むN.ベエンサミアナおよびS.セレビシエにおけるインビボでのミルチルジエンからトリプトニドへの仮定された生合成経路。
図8】バイオリアクターで生育された場合の酵母株NVJ8.15で生成されたトリプトフェノリドおよびトリプトニドの7日間にわたる蓄積を示す。トリプトニド(黒い実線)およびトリプトフェノリド(黒い点線)のレベルは、各日に採取された培養物の試料中の絶対量(ppm、w/v)を示す。バイオマスは、600nmでの吸収により定量された(灰色の点線)。
図9】トリプトニド生合成に必要とされる遺伝子を発現するがTwCYP82D274v1またはTwCYP82D213v1を置換した遺伝子変異体を有する酵母株が、トリプトフェノリド(パネルA)およびトリプトニド(パネルB)を生成する能力に関係し、類似のLCMSプロファイル(パネルC)をもたらすことを示す。操作された株に存在する遺伝子は、黒い四角により表される。パネルAおよびB:バーは、平均相対量を表し(2~3の生物学的反復、×印)、エラーバーは、標準誤差を示す。左から右に向かって、バーは、酵母株NVJ10-1、NVJ10-3、NVJ10-6、NVJ10-8を表す(表3参照)。パネルC:LCMSで分析された酵母培養物のEIC(m/z280~360)。上から下に向かって、クロマトグラムの対は、酵母株NVJ10-1、NVJ10-3、NVJ10-6、NVJ10-8を表す。
図10】生成された化合物のNMRスペクトル。
図11】生成された化合物のNMRスペクトル。
図12】生成された化合物のNMRスペクトル。
図13】生成された化合物のNMRスペクトル。
図14】生成された化合物のNMRスペクトル。
図15】生成された化合物のNMRスペクトル。
図16】生成された化合物のNMRスペクトル。
図17】生成された化合物のNMRスペクトル。
図18】生成された化合物のNMRスペクトル。
図19】生成された化合物のNMRスペクトル。
図20】生成された化合物のNMRスペクトル。
図21】生成された化合物のNMRスペクトル。
図22】生成された化合物のNMRスペクトル。
図23】生成された化合物のNMRスペクトル。
図24】生成された化合物のNMRスペクトル。
図25】生成された化合物のNMRスペクトル。
図26】生成された化合物のNMRスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0019】
配列の短い説明
SEQ ID NO:1は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCYP82D274v1としても知られる。
【0020】
SEQ ID NO:2は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCYP82D274v2としても知られる。SEQ ID NO:2は、3つの位置だけがSEQ ID NO:1と異なり、それゆえSEQ ID NO:1とSEQ ID NO:2は、同じ遺伝子の異なる対立遺伝子を表すと推測される。
【0021】
SEQ ID NO:3は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCYP71BE85としても知られる。
【0022】
SEQ ID NO:4は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCYP71BE86としても知られる。
【0023】
SEQ ID NO:5は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCYP82D213v1としても知られる。
【0024】
SEQ ID NO:6は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCYP82D217としても知られる。
【0025】
SEQ ID NO:7は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCYP82D275としても知られる。
【0026】
SEQ ID NO:8は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムB5酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwB5#1としても知られる。
【0027】
SEQ ID NO:9は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCPR1としても知られる。
【0028】
SEQ ID NO:10~66は、実施例2にさらに記載される通りのPCRプライマーを示す。
【0029】
SEQ ID NO:67は、プレクトランサス・バルバタスに由来するジテルペンシンターゼTPS1のアミノ酸配列を示す。この酵素は、CfTPS1としても知られる。
【0030】
SEQ ID NO:68は、プレクトランサス・バルバタスに由来するジテルペンシンターゼTPS3のアミノ酸配列を示す。この酵素は、CfTPS3としても知られる。
【0031】
SEQ ID NO:69は、T.ウィルフォルディに由来するテルペンシンターゼTPS9のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwTPS9としても知られる。
【0032】
SEQ ID NO:70は、T.ウィルフォルディに由来するテルペンシンターゼのアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwTPS27としても知られる。
【0033】
SEQ ID NO:71は、サルビア・ミルチオリザに由来するコパリル二リン酸シンターゼCPS1のアミノ酸配列を示す。この酵素は、SmCPSとしても知られる。
【0034】
SEQ ID NO:72は、サルビア・ミルチオリザに由来するミルチラジエンシンターゼKSL1のアミノ酸配列を示す。この酵素は、SmKSLとしても知られる。
【0035】
SEQ ID NO:73は、シネココッカス属に由来するゲネラニルゲネラニル二リン酸シンターゼのアミノ酸配列を示す。この酵素は、SpGGPPs7v1としても知られる。
【0036】
SEQ ID NO:74は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCYP82D274v3としても知られる。
【0037】
SEQ ID NO:75は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCYP82D274v4としても知られる。
【0038】
SEQ ID NO:76は、T.ウィルフォルディに由来するシトクロムP450酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、TwCYP82D213v2としても知られる。
【0039】
SEQ ID NO:77は、プレクトランサス・バルバタスに由来するジテルペンシンターゼTPS1のトランケート型アミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、トランジットペプチドを除去するためにトランケートされた。この酵素は、CftTPS1としても知られる。
【0040】
SEQ ID NO:78は、プレクトランサス・バルバタスに由来するジテルペンシンターゼTPS3のトランケート型アミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、トランジットペプチドを除去するためにトランケートされた。この酵素は、CfTPS3としても知られる。
【0041】
SEQ ID NO:79は、プレクトランサス・バルバタスに由来するDXS酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、CfDXSとしても知られる。
【0042】
SEQ ID NO:80は、S.セレビシエに由来するトランケート型HMGR酵素のアミノ酸配列を示す。この酵素は、SctHMGRとしても知られる。
【0043】
SEQ ID NO:81は、シネココッカス属に由来するゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼのアミノ酸配列を示す。この酵素は、SpGGPPs7v2としても知られる。
【0044】
発明の詳細な記載
本発明の第一の態様により、酸素化ジテルペノイド化合物を生成するための方法が開示され、方法は、
a.ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成できる宿主細胞を提供するステップと;
b.シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一の遺伝子で宿主細胞を形質転換するステップと;
c.形質転換された遺伝子の発現をもたらす条件下で形質転換された細胞を生育し、それにより酸素化されたジテルペノイド化合物が形成されるステップ、
を含み、ここで、
シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一の遺伝子は、SEQ ID NO:1、もしくはSEQ ID NO:1(TwCYP82D274V1)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなるポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする。
【0045】
SEQ ID NO:1を有するポリペプチドは、シトクロムP450活性を有する第一の遺伝子の好ましい例であり、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:74およびSEQ ID NO:75を有するポリペプチドは、そのようなポリペプチドの他の例である。
【0046】
したがって、第一の遺伝子によりコードされる酵素は、ミルチラジエンのジテルペン骨格の14位にOH基を挿入することにより、ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを14-OH-デヒドロアビエタジエンに変換する能力を有する。
【0047】
幾つかの実施形態において、14-OH-デヒドロアビエタジエンの合成は、化合物14-OH-ミルチラジエンを介して行われ、それは続いて14-OH-デヒドロアビエタジエンに変換される。しかし、本発明は、ミルチラジエンを14-OH-デヒドロアビエタジエンに変換するための任意の特別なメカニズムに限定されない。
【0048】
本発明の第一の態様による方法を使用することは、トリプトフェノリド、トリプトニドおよびトリプトリドなどの周知の化合物を含む、医薬使用の酸素化ジテルペノイド化合物の合成における有用な中間体である酸素化ジテルペノイド化合物14-OH-デヒドロアビエタジエンの形成をもたらす。
【化1】
【0049】
本発明の第二の態様において、方法ステップbは、シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一の遺伝子で、さらにシトクロムP450活性を有する第二の酵素をコードする第二の遺伝子およびシトクロムP450活性を有する第三の酵素をコードする第三の遺伝子で宿主細胞を形質転換することを含み、ここで
シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第二の遺伝子は、SEQ ID NO:4、もしくはSEQ ID NO:4(TwCYP71BE86)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなるポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードし、
シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第三の遺伝子は、SEQ ID NO:3、もしくはSEQ ID NO:3(TwCYP71BE85)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなるポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする。
【0050】
この第二の態様において、宿主細胞は好ましくは、酸素化ジテルペノイド化合物であるトリプトフェノリド:(3bR,9bS)-6-ヒドロキシ-9b-メチル-7-プロパン-2-イル-3,3b,4,5,10,11-ヘキサヒドロナフト[2,1-e]イソベンゾフラン-1-オンをさらに生成する。
【化2】
【0051】
トリプトフェノリドは、抗アンドロゲンとして同定された貴重な化合物である。加えてそれは、さらなる生物活性化合物に導くさらなる修飾のための出発点として有用であり得る。
【0052】
本発明の第二の態様の好ましい実施形態において、宿主細胞はさらに、シトクロムB5活性を有しかつSEQ ID NO:8、もしくはSEQ ID NO:8(TwB5#1)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなるポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする第一の遺伝子で形質転換される。驚くべきことに、シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一、第二および第三の遺伝子を発現する同じ細胞中でシトクロムB5活性を有するポリペプチドを発現することは、酸素化ジテルペノイド化合物の有意により高い生成をもたらすことが見出された。生成は、シトクロムB5活性を有するポリペプチドを含まない類似の細胞の生成と比較して、少なくとも50%増加され、好ましくは少なくとも100%、好ましくは少なくとも200%、またはより多く増加される。
【0053】
本発明の第三の態様において、宿主細胞は、シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一、第二および第三の遺伝子で形質転換され、さらにシトクロムP450活性を有する第四の酵素をコードする第四の遺伝子で形質転換され、ここで
シトクロムP450活性を有する第四の酵素をコードする第四の遺伝子は、SEQ ID NO:5、もしくはSEQ ID NO:5(TwCYP82D213v1)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなるポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする。SEQ ID NO:5を有するポリペプチドは、シトクロムP450活性を有する第四の遺伝子の好ましい例であり、SEQ ID NO:76を有するポリペプチドは、そのようなポリペプチドの別の例である。
【0054】
本発明の第三の態様において、形質転換された真核細胞は好ましくは、酸素化ジテルペノイド化合物であるトリプトニドを生成する。
【化3】
【0055】
化合物トリプトニドは、癌において強力な阻害活性を有することが報告された(Fulu Dong et al 2019, The Prostate, Volume 19, issue 11, pages 1284-1293)。この化合物はまた、男性避妊薬としても有用である。さらにこの化合物は、さらなる生物活性化合物をもたらすさらなる修飾のための出発点として有用である。
【0056】
本発明の第三の態様の好ましい実施形態において、宿主細胞はさらに、シトクロムB5活性を有しかつSEQ ID NO:8、もしくはSEQ ID NO:8(TwB5#1)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなるポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする第五の遺伝子で形質転換される。驚くべきことに、シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一、第二、第三および第四の遺伝子を発現する同じ細胞中でシトクロムB5活性を有するポリペプチドを発現することは、酸素化ジテルペノイド化合物の有意により高い生成をもたらすことが見出された。生成は、シトクロムB5活性を有するポリペプチドを含まない類似の細胞の生成と比較して、少なくとも50%増加され、好ましくは少なくとも100%、好ましくは少なくとも200%、またはより多く増加される。
【0057】
本発明の第三の態様のさらに好ましい実施形態において、宿主細胞は、シトクロムP450活性を有する第五の酵素をコードする第六の遺伝子および/またはシトクロムP450活性を有する第六の酵素をコードする第七の遺伝子でさらに形質転換され、ここで
シトクロムP450活性を有する第五の酵素をコードする第六の遺伝子は、SEQ ID NO:6、もしくはSEQ ID NO:6(TwCYP82D217)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなるポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードし、
シトクロムP450活性を有する第六の酵素をコードする第七の遺伝子は、SEQ ID NO:7、もしくはSEQ ID NO:7(TwCYP82D275)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなるポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする。驚くべきことに、シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第六および/または第七の遺伝子を発現することは、酸素化ジテルペノイド化合物の有意により高い生成をもたらすことが見出された。好ましくは生成は、シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第六および/または第七の遺伝子を含まない類似の細胞の生成と比較して、少なくとも10%増加され、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、またはより多く増加される。
【0058】
第一、第二、第三、第四、第五、第六および第七の遺伝子は、1種または複数の異種核酸などの、1種または複数の核酸分子に含まれてよい。シトクロムP450活性を有する第一の酵素をコードする異種核酸は本明細書において、「第一の異種核酸」と称され得る。シトクロムP450活性を有する第二の酵素をコードする異種核酸は本明細書において、「第二の異種核酸」と称され得る。シトクロムP450活性を有する第三の酵素をコードする異種核酸は本明細書において、「第三の異種核酸」と称され得る。シトクロムP450活性を有する第四の酵素をコードする異種核酸は本明細書において、「第四の異種核酸」と称され得る。シトクロムP450活性を有する第五の酵素をコードする異種核酸は本明細書において、「第五の異種核酸」と称され得る。シトクロムP450活性を有する第六の酵素をコードする異種核酸は本明細書において、「第六の異種核酸」と称され得る。シトクロムB5活性を有する酵素をコードする異種核酸は本明細書において、「第七の異種核酸」と称され得る。これは、組換え宿主細胞が合計で7種の異種核酸を含まなければならないことを示唆するのではなく、幾つかの実施形態において、細胞は、第一、第二、第三、第四、第五、第六および第七の異種核酸の1つまたは複数のみを含む。
【0059】
本発明の方法により生成された酸素化ジテルペノイド化合物は、生物合成または化学合成によりさらに修飾されてよい。これに関連して、生物合成は、本発明の遺伝子を含む宿主細胞が本発明の方法により生成された酸素化ジテルペノイド化合物を修飾する能力を有するさらなる酵素をコードするよりさらなる追加的遺伝子の1つをさらに提供される方法として理解される。
【0060】
本発明の方法により生成された酸素化ジテルペノイド化合物の化学修飾は、酸素化ジテルペノイド化合物の回収の前に培養ブロスで直接実施されてよく、またはそれは、回収された酸素化ジテルペノイド化合物で実施されてもよい。
【0061】
トリプトリドへのトリプトニドの還元は、有機合成により実現され得る。そのような合成の例は、C-14ケトン上の水素化物による求核攻撃による還元である。この理由で、水素化ホウ素ナトリウムは、適当な溶媒、例えば水またはMetOH中の中和pHでこの反応を触媒するための適切な薬剤である。
【0062】
1つの好ましい実施形態において、本発明の方法により生成されたトリプトニドは、化合物トリプトリドに変換され、トリプトリドは、免疫抑制剤であると報告され、かつ癌治療における使用のために目下、研究されている。
【化4】
【0063】
宿主細胞
ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成できる宿主細胞は、原則として任意のそのような細胞であってよい。細胞は、ミルチラジエンおよび/もしくはデヒドロアビエタジエンを自然に生成する細胞であってよく、またはそれは、これらの化合物の一方もしくは両方を生成するように操作された細胞であってもよい。
【0064】
ミルチラジエンは、少なくとも幾つかの環境下で、デヒドロアビエタジエンへと自然に変換され得ると考えられ、それゆえ本発明は、デヒドロアビエタジエンに自然に変換されるミルチラジエンを生成する細胞を用いて実施されてよく、またはそれは、ミルチラジエンからデヒドロアビエタジエンへの変換を容易にする酵素を含む細胞で実施されてよい(J. Zi, et al., Organic & Biomolecular Chemistry 2013, 11, 7650-7652参照)。
【0065】
ミルチラジエンの合成は一般的に、GGPPの形成で始まる。GGPPは、1つのジメチルアリルピロリン酸(DMAP)分子と3つのイソペンテニルピロリン酸(IPP)分子の縮合により合成されてよく、典型的にはゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ、例えばシネココッカス属に由来し、SEQ ID NO:73またはSEQ ID NO:81で示されたアミノ酸配列を有するSpGGPPs7酵素により触媒される。
【0066】
GGPPは、ジテルペンシンターゼの作用により、または2種以上のジテルペンシンターゼの組合わされた作用により、例えばプレクトランサス・バルバタス由来でSEQ ID NO:67および68のアミノ酸配列を有する2種のジテルペンシンターゼCfTPS1とCfTPS3、もしくはSEQ ID NO:77で表されるCftTPS1とSEQ ID NO:78で表されるCftTPS3の組合わせ;T.ウィルフォルディ由来でSEQ ID NO:69および70のアミノ酸配列を有する2種のジテルペンシンターゼTwTPS9およびTwTPS27の組合わせ;またサルビア・ミルチオリザ由来でSEQ ID NO:71のアミノ酸配列を有するコパリル二リン酸シンターゼSmCPSと、サルビア・ミルチオリザ由来でSEQ ID NO:72のアミノ酸配列を有するミルチラジエンシンターゼSmKSLの組合わせ、によりミルチラジエンに変換される。
【化5】
【0067】
ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成する宿主細胞を提供するための1つの好ましい方法は、GGPPを生成する宿主細胞を選択すること、およびGGPPからミルチラジエンへの形質転換を触媒するジテルペンシンターゼで細胞を形質転換すること、である。あるいは、GGPPを生成するように遺伝子操作された宿主細胞が、出発点として用いられてもよい。
【0068】
GGPPからミルチラジエンへの形質転換を触媒するジテルペンシンターゼで宿主細胞を形質転換するための技術は、先行技術、例えばN L Hansenら(2017)のThe Plant Journal 2017, 89, 429-441(参照により本明細書に取り込まれる)、P Suら(2018)のThe plant Journal 2018, 50-65、およびJ. Guo, et al., Proceedings of the National Academy of Sciences 2013, 110, 12108-12113に記載され、これらの発表に開示された手順および方法は、本発明における使用のための宿主細胞を提供するためにも有用である。
【0069】
宿主細胞は、真正細菌もしくは古細菌などの原核細胞;または植物細胞、動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞もしくは酵母細胞などの真核細胞であってよい。
【0070】
事実上、全ての真核細胞は、それらの生合成のためにGGPPを生成するが、幾つかの実施形態では真核細胞は、増加された量のGGPPを生成し、それは、増加された量のGGPPを生成しない類似の真核生物に比較してミルチラジエンの生成を増加させ得る。真核細胞においてGGPPを増加させるための方法はまた、先行技術に記載されている。
【0071】
宿主細胞は、単細胞の生物体であってよく、またはそれは、多細胞の生物体、例えば植物内に含まれてもよい。本発明による宿主細胞としての使用に適した植物または植物細胞の例としては、トウモロコシ(ジー・メイズ)、ナタネ(ブラシカ・ナプス、ブラシカ・ラパ亜種)、アルファルファ(メディカゴ・サティバ)、米(オリザ・サティバ)、ライ麦(セカレ・セレール)、ソルガム(ソルガム・バイカラー、ソルファム・ブルガレ)、ヒマワリ(ヘリアンサス・アニュアス)、小麦(トリチカム・エスティバムおよび他の種)、ライ小麦、ライ麦(セカレ)、大豆(グリシン・マックス)、タバコ(ニコチアナ・タバカム)、ジャガイモ(ソラヌム・ツベロサム)、ピーナッツ(アラキス・ヒポガエア)、綿(ゴシピウム・ヒルスツム)、サツマイモ(イポメア・バタタス)、カッサバ(マニホット・エスクレンタ)、コーヒー(コフィア属)、ココナッツ(ココス・ヌシフェラ)、パイナップル(アナナス・コモスス)、シトラス(カンキツ属)、ココア(テオブロマ・カカオ)、茶(カメリア・シネンシス)、バナナ(バショウ属.)、アボカド(ペルセア・アメリカナ)、イチジク(フィカス・カシカ)、グアバ(サイジウム・グアジャバ)、マンゴー(マンギファー・インディカ)、オリーブ(オレア・オウロパエア)、パパイア(カリカ・パパイア)、カシュー(カシュー亜種)、マカダミア(マカダミア・インテルグリフォリア)、アーモンド(プリムス・アミグダルス)、リンゴ(マルス属)、セイヨウナシ(ナシ属)、プラムおよびサクランボの木(スモモ属)、スグリ(クラント他)、ブドウ、キクイモ(ハンニチバナ属)、非穀物草(イネ科)、糖および飼料用ビート(ベータ・ブルガリス)、チコリ、オーツ麦、大麦、野菜または観賞植物、作物植物(例えば、穀物および豆類、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ、タピオカ、米、ソルガム、キビ、カッサバ、大麦、エンドウ、テンサイ、サトウキビ、大豆、ナタネ、ヒマワリおよび他の根、塊茎または種子作物)が挙げられる。他の重要な植物は、果樹、作物樹、森林樹、または香辛料もしくは医薬製品としての使用のために生育された植物(メンサ属、クローブ、ヨモギ属、イブキジャコウソウ属、ラベンデュラ属、ネギ属、ヒペリカム、ニチニチソウ属、ビンカ属、パパベル属、ジギタリス属、インドジャボク属、バニラ属、ペトルシリウム(Petrusilium)属、ユーカリプツス、ティーツリー、トウヒ属、マツ属、アビエス属、ジュニペルス属であってよい。本発明で使用され得る園芸用植物としては、レタス、エンダイブ、ならびにキャベツ、ブロッコリー、およびカリフラワー、ニンジンおよびカーネーションおよびゼラニウムを含むアブラナ科野菜を挙げることができる。
【0072】
植物はまた、タバコ、ウリ科植物、ニンジン、イチゴ、ヒマワリ、トマト、コショウおよびキクであり得る。
【0073】
植物のさらなる例としては、穀物植物、例えば油糧種子植物またはマメ科植物が挙げられる。目的の種子は、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム、ライ麦などの穀物の種を含む。油糧種子植物としては、綿、大豆、ベニバナ、ヒマワリ、アブラナ、トウモロコシ、アルファルファ、ヤシ、ココナッツなどが挙げられる。マメ科植物としては、インゲンおよびエンドウが挙げられる。インゲンとしては、グアー、イナゴ豆、コロハ種子、大豆、ソラマメ(garden beans)、ササゲ、緑豆、ライマビーン、空豆(fava bean)、レンズ豆、ヒヨコマメが挙げられる。
【0074】
特別な好ましい植物種としては、フィスコミトレラ・パテンスなどのフィスコミトレラ属;アラビドプシス・サリアナなどのシロイヌナズナ属;ニコチアナ・ベンサミアナなどのタバコ属.;クラミドモナス・レインハルドティなどのクラミドモナス属およびナンノクロロプシス・オセアニカなどのナンノクロロプシス属が挙げられる。
【0075】
本発明による使用のための適切な真核細胞の例としては、アガリクス、アスペルギルス、カンジダ、エレモセシウム、フザリウム/ギベレラ、クルイベロマイセス、レチポルス、レンチヌス、ファフィア、ファネロケーテ、ピキア、フィスコミトレラ、ロドトルラ、サッカロマイセス、シゾサッカロマイセス、スファセロマ、キサントフィロマイセス、またはヤロウイアなどの真菌細胞が挙げられる。そのような属からの例示的種としては、レンチヌス・チグリヌス、レチポルス・スルフレウス、ファネロケーテ・クリソスポリウム、ピキア・パストリス、シベルリンドネラ・ジャディニイ、フィスコミトレラ・パテンス、ロドツルラ・グルチヌス、ロドトルラ・ムキラギノーサ、ファフィア・ロドジーマ、キサントフィロマイセス・デンドロウス、フザリウム・フジクロイ/ギベレラ・フジクロイ、カンンジダ・ウティリス、カンンジダ・グラブラータ、カンジダ・アルビカンス、およびヤロウイア・リポリティカが挙げられる。
【0076】
幾つかの実施形態において、宿主細胞は、ギベレラ・フジクロイ、クルイベロマイセス・ラクティス、シゾサッカロマイセス・ポンベ、アスペルギルス・ニゲル、ヤロウイア・リポリティカ、アシュブヤ・ゴシピイ(Ashbya・gossypii)、またはS.セレビシエなどの子嚢菌であり得る。
【0077】
幾つかの実施形態において、宿主細胞は、ブラケスレア・トリスポラ、デュナリエラ・サリナ、ヘマトコッカス・プルビアリス、クロレラ属、ウンダリア・ピンナティフィダ、サルガッサム、ラミナリア・ジャポニカ、セネデスムス・アルメリエンシスなどの藻類細胞であり得る。
【0078】
幾つかの実施形態において、宿主細胞は、バチルス細胞、例えばバチルス・サブチリス;エシェリヒア細胞、例えばエシェリヒア・コリ細胞;ラクトバチルス細胞;ラクトコッカス細胞;ストレプトマイセス細胞、ストレプトコッカス細胞、コリネバクテリウム細胞;アセトバクター細胞;アシネトバクター細胞;またはシュードモナス細胞などの原核生物であり得る。
【0079】
幾つかの実施形態において、宿主細胞は、シネコシスティス属またはシネココッカス属などの藍藻細胞であり得る。
【0080】
一実施形態において、発酵槽での生育に適した宿主細胞が、選択される。本発明により組換え宿主細胞を生育することは、本発明の酸素化ジテルペノイド化合物の生成のために宿主細胞を生育する簡便な方法である。
【0081】
別の実施形態において、宿主細胞は、光屈性細胞であり、細胞は、温室または光バイオリアクタで培養される。
【0082】
遺伝子および酵素
本発明の組換え宿主細胞は、ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成できる。ミルチラジエンは、自然にデヒドロアビエタジエンに変換されてよく、またはそれは、ミルチラジエンからデヒドロアビエタジエンへの変換を容易にする酵素により変換されてよい。
【0083】
本明細書の先に記載された通り、ミルチラジエンの合成は通常、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼによる1つのジメチルアリルピロリン酸(DMAP)分子と3つのイソペンテニルピロリン酸(IPP)分子の縮合によるGGPPの形成で始まる。
【0084】
組換え宿主細胞、および組換え宿主細胞におけるGGPPの合成を触媒する酵素をコードする異種核酸は一般に、当該技術分野で公知であり、例えばWO2015/113570号を参照されたい。加えて、多くの宿主生物体は、生来GGPPを生成でき、異種核酸はしたがって、GGPPの生成に必ずしも必要でないかもしれない。
【0085】
幾つかの実施形態において、組換え宿主細胞は、SEQ ID NO:73もしくはSEQ ID NO:81で表されるゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼSpGGPPs7などのゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ、またはそれらに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含む。
【0086】
次に、GGPPは、1種または複数のジテルペンシンターゼ、コパリル二リン酸シンターゼおよび/またはミルチラジエンシンターゼの作用によりミルチラジエンに変換されてよい。
【0087】
幾つかの実施形態において、組換え宿主細胞は、ジテルペンシンターゼCfTPS1(SEQ ID NO:67)およびCfTPS3(SEQ ID NO:68)、もしくはCftTPS1(SEQ ID NO:77)およびCftTPS3(SEQ ID NO:78)などの1種もしくは複数のジテルペンシンターゼ、またはそれらに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する各機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする1種または複数の異種核酸を含む。
【0088】
幾つかの実施形態において、組換え宿主細胞は、ジテルペンシンターゼTwTPS9(SEQ ID NO:69)およびTwTPS27(SEQ ID NO:70)などの1種もしくは複数のジテルペンシンターゼ、またはそれらに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する各機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする1種または複数の異種核酸を含む。
【0089】
幾つかの実施形態において、組換え宿主細胞は、コパリル二リン酸シンターゼSmCPS(SEQ ID NO:71)とミルチラジエンシンターゼSmKSL(SEQ ID NO:72)の組合わせなどの1種もしくは複数のコパリル二リン酸シンターゼと1種もしくは複数のミルチラジエンシンターゼの組合わせ、またはそれらに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する各機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドを含む。
【0090】
さらなる態様において、本発明は、シトクロムP450の酵素活性を有しかつ配列SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、およびEQ ID NO:7の1つに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドに関する。
【0091】
さらなる態様において、本発明は、シトクロムB5活性を有しかつSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドに関する。
【0092】
本発明はまた、シトクロムP450の酵素活性を有しかつ配列SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、およびEQ ID NO:7の1つに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする、あるいはシトクロムB5活性を有しかつSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド配列または遺伝子に関する。
【0093】
好ましい実施形態において、シトクロムP450活性を有する第一、第二、第三、第四、第五および第六の酵素の1つまたは複数は、SEQ ID NO:1(TwCYP82D274v1)、SEQ ID NO:2(TwCYP82D274v2)、SEQ ID NO:74(TwCYP82D274v3)、SEQ ID NO:75(TwCYP82D274v4)、SEQ ID NO:3(TwCYP71BE85)、SEQ ID NO:4(TwCYP71BE86)、SEQ ID NO:5(TwCYP82D213v1)およびSEQ ID NO:76(TwCYP82D213v2)の任意の1つによるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する各機能的ホモログ、またはその成熟ポチペプチドを含む、またはそれからなる。
【0094】
幾つかの実施形態において、シトクロムP450活性を有する第一の酵素をコードする第一の異種核酸は、SEQ ID NO:1(TwCYP82D274v1)、SEQ ID NO:2(TwCYP82D274v2)、SEQ ID NO:74(TwCYP82D274v3)、SEQ ID NO:75(TwCYP82D274v4)で表されるTwCYP82D274、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログをコードする。
【0095】
幾つかの実施形態において、シトクロムP450活性を有する第二の酵素をコードする第二の異種核酸は、SEQ ID NO:4で表されるシトクロムP450酵素TwCYP71BE86、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログをコードする。
【0096】
幾つかの実施形態において、シトクロムP450活性を有する第三の酵素をコードする第三の異種核酸は、SEQ ID NO:3で表されるシトクロムP450酵素TwCYP71BE85、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログをコードする。
【0097】
幾つかの実施形態において、シトクロムP450活性を有する第四の酵素をコードする第四の異種核酸は、SEQ ID NO:5で表されるシトクロムP450酵素TwCYP82D213v1もしくはSEQ ID NO:76(TwCYP82D213v2)で表されるTwCYP82D213v2、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログをコードする。
【0098】
幾つかの実施形態において、シトクロムP450活性を有する第五の酵素をコードする第五の異種核酸は、SEQ ID NO:6で表されるシトクロムP450酵素TwCYP82D217、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログをコードする。
【0099】
幾つかの実施形態において、シトクロムP450活性を有する第六の酵素をコードする第六の異種核酸は、SEQ ID NO:7で表されるシトクロムP450酵素TwCYP82D275、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログをコードする。
【0100】
幾つかの実施形態において、シトクロムB5活性を有する酵素をコードする第七の異種核酸は、SEQ ID NO:8で表されるシトクロムB5酵素TwB5#1、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログをコードする。
【0101】
幾つかの実施形態において、組換え宿主細胞が提供され、
i.ここで宿主細胞は、ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成でき;
ii.SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:74もしくはSEQ ID NO:75のTwCYP82D274、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
ここで上記細胞は、14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエンを生成できる。
【0102】
幾つかの実施形態において、組換え宿主細胞が提供され、
i.ここで宿主細胞は、ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成でき;
ii.SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:74もしくはSEQ ID NO:75のTwCYP82D274、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
iii.SEQ ID NO:4のTwCYP71BE86、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
ここで上記細胞は、14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシアベオジエンおよび/または14-ヒドロキシ-18-アルド-アベオジエンを生成できる。
【0103】
幾つかの実施形態において、組換え宿主細胞が提供され、
i.ここで宿主細胞は、ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成でき;
ii.SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:74もしくはSEQ ID NO:75のTwCYP82D274、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
iii.SEQ ID NO:4のTwCYP71BE86、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
iv.SEQ ID NO:3のTwCYP71BE85、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
ここで上記細胞は、14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシアベオジエン、14-ヒドロキシ-18-アルド-アベオジエンおよび/またはトリプトフェノリドを生成できる。
【0104】
幾つかの実施形態において、組換え宿主細胞が提供され、
i.ここで宿主細胞は、ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成でき;
ii.SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:74もしくはSEQ ID NO:75のTwCYP82D274、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
iii.SEQ ID NO:4のTwCYP71BE86、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
iv.SEQ ID NO:3のTwCYP71BE85、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
V.SEQ ID NO:75もしくはSEQ ID NO:76のTwCYP82D213、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
ここで上記細胞は、14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシアベオジエン、14-ヒドロキシ-18-アルド-アベオジエン、トリプトフェノリドおよび/またはトリプトニドを生成できる。
【0105】
幾つかの実施形態において、組換え宿主細胞が提供され、
i.ここで宿主細胞は、ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成でき;
ii.SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:74もしくはSEQ ID NO:75のTwCYP82D274、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
iii.SEQ ID NO:4のTwCYP71BE86、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
iv.SEQ ID NO:3のTwCYP71BE85、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
V.SEQ ID NO:75もしくはSEQ ID NO:76のTwCYP82D213、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
vi.SEQ ID NO:8のTwB5#1、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
ここで上記細胞は、上記酵母がTwB5#1またはその上記機能的ホモログを発現しないことを除き、同一の酵母細胞の少なくとも2倍、少なくとも3倍など、少なくとも4倍など、少なくとも5倍などである力価を有するトリプトニドを生成できる。
【0106】
幾つかの実施形態において、組換え宿主細胞が提供され、
i.ここで宿主細胞は、ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成でき;
ii.SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:74もしくはSEQ ID NO:75のTwCYP82D274、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
iii.SEQ ID NO:4のTwCYP71BE86、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
iv.SEQ ID NO:3のTwCYP71BE85、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
V.SEQ ID NO:75もしくはSEQ ID NO:76のTwCYP82D213、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
vi.SEQ ID NO:8のTwB5#1、またはそれに対して少なくとも80%、少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%などの配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、
ここで上記細胞は、発酵媒体中で生育でき、発酵の7日後の上記発酵媒体は、
- 少なくとも3ppmのトリプトニドおよび/または
- 少なくとも1ppmのトリプトフェノリド
を含む。
【0107】
前述の組換え宿主細胞は、複数の異なる理由のためミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成することが可能であり得る。例えば、宿主細胞は内因的に、ミルチラジエンを生成することが可能であり得る。あるいは組換え宿主細胞は、ジテルペン生合成酵素であるSEQ ID NO:73もしくはSEQ ID NO:81のSPGGPPS7、SEQ ID NO:67のCfTPS1、SEQ ID NO:77のCftTPS1、SEQ ID NO:68のCfTPS3、SEQ ID NO:78のCftTPS3および/またはSEQ ID NO:9のTwCPR1などの、ミルチラジエンの生成に関与する1種または複数の酵素、あるいはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する各機能的ホモログ、あるいはその成熟ポチペプチドをコードする1種または複数の異種核酸配列を含んでよい。
【0108】
シトクロムP450活性を有する第一(例えば、TwCYP82D274)、第二(例えば、TwCYP71BE86)、第三(例えば、TwCYP71BE85)、第四(例えば、TwCYP82D213)、第五(例えば、TwCYP82D217)および第六(例えば、TwCYP82D275) の酵素およびシトクロムB5活性を有する酵素(例えば、TwB5#1)の機能的ホモログは、酵母細胞において関連のタンパク質を発現すること、およびそれらが本明細書の以下に記載される特異的化合物を生成できるかどうかを評定すること、により検証されてよい。
【0109】
TwCYP82D274(SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:74またはSEQ ID NO:75)の機能的ホモログを発現し、かつ
i.ジテルペン生合成酵素SPGGPPS7v2(SEQ ID NO:81)、CftTPS1(SEQ ID NO:77)、CftTPS3(SEQ ID NO:78)およびTwCPR1(SEQ ID NO:9)、
をさらに発現する酵母細胞は好ましくは、14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエンを生成できる。
【0110】
TwCYP71BE86(SEQ ID NO:4)の機能的ホモログを発現し、かつ
i.ジテルペン生合成酵素SPGGPPS7v2(SEQ ID NO:81)、 CftTPS1(SEQ ID NO:77)、CftTPS3(SEQ ID NO:78)およびTwCPR1(SEQ ID NO:9);ならびに
ii.TwCYP82D274(SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2)、
をさらに発現する酵母細胞は好ましくは、14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシアベオジエンおよび14-ヒドロキシ-18-アルド-アベオジエンを生成できる。
【0111】
TwCYP71BE85(SEQ ID NO:3)の機能的ホモログを発現し、かつ
i.ジテルペン生合成酵素SPGGPPS7v2(SEQ ID NO:81)、CftTPS1(SEQ ID NO:77)、CftTPS3(SEQ ID NO:78)およびTwCPR1(SEQ ID NO:9);
ii.TwCYP82D274(SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2);ならびに
iii.TwCYP71BE86(SEQ ID NO:4)、
をさらに発現する酵母細胞は好ましくは、14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシアベオジエン、14-ヒドロキシ-18-アルド-アベオジエンおよびトリプトフェノリドを生成できる。
【0112】
TwCYP82D213(SEQ ID NO:5またはSEQ ID NO:76)の機能的ホモログを発現し、かつ
i.ジテルペン生合成酵素SPGGPPS7v2(SEQ ID NO:81)、CftTPS1(SEQ ID NO:77)、CftTPS3(SEQ ID NO:78)およびTwCPR1(SEQ ID NO:9);
ii.TwCYP82D274(SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2);
iii.TwCYP71BE86(SEQ ID NO:4);ならびに
iv.TwCYP71BE85(SEQ ID NO:3)、
をさらに発現する酵母細胞は好ましくは、14-ヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシデヒドロアビエタジエン、3,14-ジヒドロキシアベオジエン、14-ヒドロキシ-18-アルド-アベオジエン、トリプトフェノリドおよびトリプトニドを生成できる。
【0113】
TwB5#1(SEQ ID NO:8)の機能的ホモログを発現し、かつ
i.ジテルペン生合成酵素SPGGPPS7v2(SEQ ID NO:81)、CftTPS1(SEQ ID NO:77)、CftTPS3(SEQ ID NO:78)およびTwCPR1(SEQ ID NO:9);
ii.TwCYP82D274(SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2);
iii.TwCYP71BE86(SEQ ID NO:4);
iv.TwCYP71BE85(SEQ ID NO:3);ならびに
v.TwCYP82D213(SEQ ID NO:5またはSEQ ID NO:76)、
をさらに発現する酵母細胞は好ましくは、上記酵母がTwB5#1の上記機能的ホモログを発現しないことを除き、同一の酵母細胞の少なくとも2倍、少なくとも3倍など、少なくとも4倍など、少なくとも5倍などである力価を有するトリプトニドを生成できる。
【0114】
好ましい実施形態において、シトクロムB5活性を有する酵素は、SEQ ID NO:8(TwB5#1)によるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する機能的ホモログ、またはその成熟ポチペプチドを含む、またはそれからなる。
【0115】
本発明のポリヌクレオチドは、植物のT.ウィルフォルディもしくは密接に関連する植物などのポリペプチドを自然に生成する生物体からのクローニングにより提供されてよく、またはそれは、当該技術分野で公知の技術に基づくポリヌクレオチド配列の化学合成により生成されてよい。ポリヌクレオチドは、自然に見出される配列と同一の配列を有してよく、またはそれは、自然に見出されない配列を有してよく、例えば配列は、特定の選択された宿主細胞のためにコドン最適化されてよい。
【0116】
本発明のポリペプチドは、植物のT.ウィルフォルディもしくは関連の生物体などのポリペプチドを自然に生成する生物体から提供されてよく、またはそれらは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを適切な宿主細胞に挿入することおよび発現させること、および各遺伝子で形質転換された宿主細胞を含む培養ブロスからポリペプチドを回収すること、により提供されてよい。適切な選択された組換え宿主細胞から本発明のポリペプチドを提供することが、好ましい。
【0117】
適切な宿主細胞中で遺伝子を形質転換し発現させるために、遺伝子は通常、適切な調節エレメントに動作可能に連結され、かつ固有の選択された宿主細胞に適した発現ベクターに挿入される。適切な調節エレメントを選択すること、適切な発現ベクターを構築すること、および選択された宿主細胞を形質転換することは、平均的な実施者の技能の範囲内であり、本発明は、そのようなエレメントの任意の特定の選択に限定されない。
【0118】
本発明の遺伝子を含む作製された宿主細胞は、遺伝子が発現され酸素化ジテルペノイド化合物が形成される条件下で、コンテナ、例えば発酵槽または振とうフラスコ中で適切に生育される。生育が停止したら、または充分に多量の酸素化ジテルペノイド化合物が培養ブロス中に蓄積されたら、酸素化ジテルペノイド化合物は、さらに修飾され培養ブロスから回収されてよい。
【0119】
配列同一性は、2種のアミノ酸またはヌクレオチド配列の間の類似性の尺度として理解される。配列同一性は、最初に2つの配列をアライメントすること、2つの配列が同じアミノ酸残基またはヌクレオチドを含有する位置の数をカウントすること、およびアライメントの全長で同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する位置の数としての同一性%を計算すること、により計算される。
【0120】
複数のアルゴリズムが、開発されており、当業者に入手可能である。
【0121】
本明細書および特許請求の範囲において、アミノ酸配列の配列同一性は、デフォルトパラメータ(BLOSUM 62マトリックス、ギャップオープンペナルティ 11;ギャップエクステンドペナルティ 1、Exp. Thr 10)を用いるNCBI BLAST+ペアワイズアライメントアルゴリズムを利用して計算され、ヌクレオチド配列の配列同一性は、デフォルトパラメータ(マッチ/ミスマッチスコア 1、-3;ギャップオープンペナルティ 5;ギャップエクステンドペナルティ 2;exp. Thr 10)を用いるNCBI BLAST+ペアワイズアライメントアルゴリズムを利用して計算される。NCBI BLAST+プログラムは、Madeira F el at(2019) NAR 47: W636-W641にさらに記載される。
【0122】
実施例
材料と方法
ニコチアナ・ベンサミアナの遺伝子操作
トリプテリギウム・ウィルフォルディCYP遺伝子が、過去に(1~4)に記載された構築物および方法を用いて、植物材料からクローニングされ、ジテルペン生合成遺伝子CfDXS(SEQ ID NO:79)またはSctHMGR(SEQ ID NO:80)、CfGGPPSまたはSpGGPPS7(SEQ ID NO:81)、CfTPS1(SEQ ID NO:67)またはCftTPS1(SEQ ID NO:77)、およびCfTPS3(SEQ ID NO:68)またはCft-TPS3(SEQ ID NO:78)とニコチアナ・ベンサミアナ中で共発現された。遺伝子サイレンシングのサプレッサp19がまた、共発現された。手短に述べると、それぞれが個々のジテルペン生合成遺伝子またはトリプテリギウム・ウィルフォルディCYP(TwCYP)を含有するバイナリベクターが、アグロバクテリウム中に形質転換された。それぞれが特異的プラスミドを含有するアグロバクテリウムの液体培養物が、TwCYPの特異的組合わせの共発現のために混合された。
【0123】
サッカロマイセス・セレビシエの遺伝子操作および操作されたS.セレビシエのための生育条件
培地
YPD培地:20g/L Bacto(商標)ペプトン、10g/L Bacto(商標)酵母エキス、20g/Lグルコース。ウラシル不含合成完全(SC)培地:1.92g/Lウラシル不含酵母合成ドロップアウト培地サプリメント(Sigma-Aldrich Co. LLC.カタログ番号Y1501)、6.7g/L アミノ酸不含酵母培養用ニトロゲンベース(Sigma-Aldrich Co. LLC.カタログ番号Y0626)、20g/Lグルコース。フィード・イン・タイム(FIT)は、EnPump200(Enpresso GmbH)に基づき、製品に同封されたプロトコルに従って作成された。寒天プレート:寒天を含むSC培地(15g/L)。
【0124】
親株におけるウラシル栄養要求性が、5-フルオロオロチン酸(5-FOA、0.74g/L)およびウラシル(30mg/L)を含有するウラシル不含SC培地の寒天プレート上でURA3機能の欠如について選択することにより導入された。
【0125】
酵母形質転換体は、ウラシル不含SC寒天プレートで単離された。
【0126】
ミルチラジエン由来ジテルペノイドの単離のための操作するS.セレビシエ株の流加発酵
全ての操作されたS.セレビシエ株は、過去に記載されたものと類似のフィード・イン・タイム(FIT;m2p-labs)アプローチ(挿入物の参考資料 Formanら、2018)を利用して、96ディープウェルプレートで培養された。トリプトニド経路における重要な中間体の単離および精製のために、選択された操作されたS.セレビシエ株が、2L Biostat(登録商標)Aバイオリアクター(Sartorius AG)を用いて流加発酵槽で培養された。流加発酵は、バッチグルコース200mLおよびバッチソルトミックス300mLを含有してオートクレーブ処理により事前に準備されたリアクタータンク(撹拌羽を有する)への100mLの開始培養物の添加により開始された。5mLのビタミンミックス、5mLのマイクロエレメント(micro elements)および0.5mLの微量元素もまた、添加された。バイオリアクターでの培養は、以下の条件下(モニタリングされ自動制御された)で開始された:pH=5、温度=30℃、溶解酸素(DO)=20%。pHは、水酸化アンモニウム(32%)および硫酸(10%)の供給により制御された一方で、溶解酸素は、撹拌しながら混和された送気により制御された。発泡レベルもまた、消泡エマルジョン(35119、Serva Electrophoresis GmbH)の添加により調整された。バイオリアクターでの18時間の開始培養後に、1.3%の割合でのフィード溶液の供給が、開始された。発酵工程は7日間継続し、培養物を毎日採取した。
【0127】
LC-MS分析のための操作されたS.セレビシエの抽出
遺伝子操作されたS.セレビシエ株が、96ウェルプレート中の培地0.5mL中に移され、350rpmのオービタルシェーキングしながら30℃で3日間生育された。抽出のために、S.セレビシエ培養物の0.1mLが、1.5mLガラスバイアルに移された。0.4mLのuHPLC等級のMeOHが、添加された。S.セレビシエ抽出物は、0.22μm 96ウェルフィルタープレート(Merck Millipore、ドイツ ダルムシュタット)を用いることにより濾過され、LC-MS分析の前に4℃で貯蔵された。
【0128】
LC-MS分析のためのジテルペノイド代謝産物の抽出
LCMS分析のための酵母培養の試料が、酵母培養物と5ppmアンドログラホリドが添加されたメタノールを、毎日のバイオリアクター試料では1:19比(v/v)および96ディープウェル培養では1:4比(v/v)で混合することにより1.5mLガラスバイアル中で調製された。混合は、室温で振とうしながら30分進行した。タバコ試料のために、1.5mlガラスバイアルに配置された2枚の円盤状の葉(径=3cm)が、室温で1時間振とうしながら、1mLのメタノール抽出溶液により抽出された。LCMS分析の前に、試料は、0.22μM96ウェルプレートフィルター(Merck Millipore、ドイツ ダルムシュタット)に通され、5℃で貯蔵された。
【0129】
LC-MS分析:
メタノール(MeOH)抽出物が、Bruker Compact ESI-QTOF-MS(Bruker)システムに連結されたUltimate 3000 UHPLC+ Focused system(Dionex Corporation、カリフォルニア州サニーベール)を用いて分析された。試料は、流速0.3mL/分ならびに水中の0.05%(v/v)ギ酸(溶媒A)およびアセトニトリル中の0.05%(v/v)ギ酸(溶媒B)からなる移動相により40_Cにて保持されたKinetex XB-C18カラム(100×2.1mm ID、1:7μm粒子径、100Å孔径;Phenomenex Inc.、カリフォルニア州トーランス)で分離された。
【0130】
2種のLCプロトコルが利用された:
LC法1:0~0.5分、10%B;0.5~21分、10%Bから80%Bへの直線的増加;21~31分、90%Bへ;31~34分、100%Bへ;34~39分、100%B;39~40分、100%Bから10%Bへの直線的減少。
【0131】
LC法2:0~0.5分、20%B;0.5~11分、20%Bから80%Bへの直線的増加;11~20分、90%Bへ;20~22分、100%Bへ;22~27分、100%B;27~28分、100%Bから20%Bへの直線的減少。
【0132】
LC法3:0~0.5分、20%B;0.5~9分、20%Bから100%Bへの直線的増加;9~11分、100%B;11~11.5分、100%Bから20%Bへの直線的減少;11.5~15分、20%B。
【0133】
GC-MS分析のためのジテルペノイド代謝産物の抽出
GCMS分析のための酵母培養の試料が、1:4比(v/v)で酵母培養物と純粋なメタノールを混合することにより1.5mLガラスバイアル中で調製された。短時間の混合の後、非極性成分が、ヘキサン中に液-液抽出され、1:1比(v/v)で混合することおよび1時間振とうすることにより、10ppmの1-エイコセンを添加された。タバコ試料では、1.5mlガラスバイアル中に配置された2枚の円盤状の葉(径=3cm)が、1時間の振とうにより、1mLの同じヘキサン溶液で抽出された。GCMS分析の前に、ヘキサン層は、新しいバイアルに移された。
【0134】
ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)分析
GC-MS分析が、Agilent HP-5MSカラム(Agilent Technologies)20m×0.18mm内径、0.18μm膜厚)を有するShimadzu GCMS-QP2010 Ultra(Shimadzu Corp.)で実行された。水素が、50cm/秒の一定の直線速度でキャリアガスとして用いられ、注入容量は、250℃で1μLであった(スプリットレスモード)。オーブンのプログラムは、80℃で2分間、20℃/分で180℃に上昇させ、10℃/分の速度で300℃に上昇させ、20℃/分の速度で310℃に上昇させ、3分間保持した。データは、CDFフォーマットで保存され、MZmine2で処理された。
【0135】
ミルチラジエン由来ジテルペノイドの相対的定量
酵母培養物中の相対的化合物量は、特徴的イオンの正規化ピーク面積に基づいた(MZmine2ソフトウエアで標的とされる特色の検出を利用して得られたデータ)。以下のイオンのシグナルが、定量された:1:ミルチラジエン m/z91.1、2:14-ヒドロキシアビエタジエン m/z189.1、3:F15P1 m/z303.2318、4:F20P2 m/z283.2059、5:F15P2 m/z299.2002、6:トリプトフェノリド m/z313.1794、8:トリプトニド m/z359.1481。LCMSおよびGCMSデータの場合、それぞれ、5ppmおよび100ppmの質量偏差が、許容された。
【0136】
内部標準アンドログラホリドのベースピークイオンのピーク面積(m/z315.1947)が、正規化に用いられた。
【0137】
絶対定量
トリプトフェノリド(FT65732、CarboSynth)およびトリプトニド(FT65197、CarboSynth)の絶対定量が、メタノール中で調製された真の標準と、最終濃度5ppmの内部標準(アンドログラホリド)の同時分析により実行された。定量は、正規化ピーク面積に基づき、標準反応曲線(トリプトフェノリド0.05、0.5、1、2ppm;トリプトニド0.5、1、2、10、20ppm)の直線外挿の傾きから計算された。
【0138】
NMR分析のための操作されたS.セレビシエ株からのミルチラジエン由来化合物の単離および精製
本発明の化合物は、バイオリアクター培養酵母株NVJ8.15およびNVJ3.10から単離され、NMRにより構造的に解明された。ブロスとメタノール溶解細胞(細胞:メタノール=1:4v/v)の組み合わされた酢酸エチル抽出物が最初に、ロータリーエバポレーションを介してCelite S(登録商標)(06858、Sigma-Aldrich)の存在下で乾燥された。化合物が次に、UV吸収による検出および蒸発光散乱検出(ELSD)を備えるpuriFlash(登録商標)5.250(Interchim、フランス モンリュソン)装置を用いる連続分画により単離された。これは、それぞれ、順相分離および逆相分離のための、カラム(C1)PF-15SIHP-F0025(OV002A、Interchim)および(C2) US5C18HQ-100/300(SSP750、Interchim)のどちらかを具備した。
【0139】
Celite S(登録商標)/粗抽出物のドライミックスの最初の予備分画が、手動でパッキングされたドライローディングカラムからロードするカラム(参考資料9)を用いて実現された。分離は、移動相ヘキサン(A)および酢酸エチル(B)、一定の流速15mL/分を利用して行われ、100%メタノールでの最終的な洗浄ステップが続いた。目的の化合物が、UVおよびELSDにより検出され、収集された。収集された画分は、さらなる分画またはNMR試験に先立ち、LC-MS法3を用いるLCMSおよびTLC分析により連続して評価された。複数の化合物を含む画分からの目的の化合物の追加的精製が、C1を用いる追加的順相画分またはC2を用いる逆相カラム分画により実行された。
【0140】
C2での逆相精製のために、試料が、ロータリーエバポレーションを利用して蒸発させられ、2mLのメタノール中に再懸濁された。試料は、事前調整されたカラムC2に直接注入された。C2の移動相は、溶媒C:脱イオン水および溶媒D:アセトニトリルからなり、それぞれが、0.05%(v/v)ギ酸で酸性化された。32mL/分の一定の流速が、増加する濃度の溶媒Dによる溶媒の直線勾配で、利用された。目的の化合物が、ELSDおよびUVにより検出され、収集された。
【0141】
追加的な逆相精製が、Shimadzu HPLC(SPD-M20Aダイオードアレイ検出器、FRC-10Aフラクションコレクター、DGU-20A5脱ガス装置、LC-20ATポンプ、CBM-20Aシステムコントローラ、CTO-10AS VPカラムオーブン、SIL-10APオートサンプラ)上のセミ分取Phenomenex Luna 5μm C18(2) 100Å 250x10mm(全多孔性)(Phenomenex, Inc.,米国カリフォルニア州トーランス)カラムへの100μLの複数回の注入により実行された。移動相は、50%から100%にDの量を増加させるCとDの直線勾配であった。目的の化合物が、210nmでのUV吸収により検出され、収集された。
【0142】
質量スペクトル
質量スペクトルが、以下のESIおよびMS設定によりm/z50~1200の走査範囲での陽イオンモードで取得された:キャピラリー電圧、4000V;エンドプレートオフセット(end plate offset)、500V;乾性ガス温度、220℃;8L/分の乾性ガス流速;ネブライザの圧力、2×10Pa(2バール);インソースCIDエネルギー 0eV;ヘキサポールRF 50Vpp;四重極イオンエネルギー、4eV;コリジョンセルエネルギー、7eV。クロマトグラムの生データは、ギ酸ナトリウム内部標準を用いて較正され、次にBrukerのDataAnalysis 4.3(Build 110.102.1532)(64ビット)を用いてmzMLフォーマットとしてエクスポートされた。MZmine ver2.53が、LC-MSクロマトグラムを視覚化するために用いられた。
【0143】
バイオリアクター出発培地およびフィード培地のための培地レシピ
バッチグルコース:
グルコース一水和物 55g/L
【0144】
バッチソルトミックス:
硫酸アンモニウム 25g/L
一塩基性リン酸カリウム 5g/L
硫酸マグネシウム五水和物 1.7g/L
【0145】
フィードグルコース:
グルコース一水和物 880g/L
【0146】
フィードソルトミックス:
一塩基性リン酸カリウム 21.6g/L
硫酸マグネシウム五水和物 24.24g/L
硫酸カリウム 8.4g/L
硫酸ナトリウム 0.672g/L
【0147】
調製の注意点:バッチおよびフィードソルトミックスと、バッチおよびフィードグルコースは、Milli-Q水中に成分を溶解すること、およびオートクレーブ処理により滅菌すること、により別個のBlueCapボトル中で調製された。
【0148】
フィーディング溶液
フィーディング溶液は、500mLのフィードグルコースを500mLのフィードソルトミックス、10mLのビタミンミックス、10mLのマイクロエレメントおよび1mLの微量元素と混合することにより作製された。
【0149】
実施例1:ニコチアナ・ベンサミアナにおける発現
目的の遺伝子(GOI)の特異的組合わせを共発現するN.ベンサミアナの葉材料が、アグロバクテリウムインフィルトレーションの7日後に回収された。1mLのメタノール(MeOH)が、2枚の円盤状の葉(径=2cm)に添加された。抽出は、200rpmでのオービタルシェーキングの下、室温で実行された。200μLの抽出物が、0.22μm 96ウェルフィルタープレート(Merck Millipore、ドイツ ダルムシュタット)を用いることにより濾過され、LC-MS分析の前に4℃で貯蔵された。図1は、得られたLCMSプロファイルを示す。結果は、SEQ ID NO:1を有する酵素をコードするCYP82D274V1で形質転換されたN.ベンサミアナ細胞が14-OH-デヒドロアビエタジエンの生成をもたらすことを示し;細胞がさらに、それぞれアミノ酸配列SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:4を有する酵素をコードするCYP71BE85およびCYP71BE86で形質転換された場合、トリプトフェノリドが形成され;および細胞がSEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有する酵素をコードするCYP82D213でさらに形質添加された場合、トリプトニドが形成される。さらに、SEQ ID NO:6の配列を有し、遺伝子CYP82D217によりコードされる酵素は、トリプトフェノリドおよびトリプトニドの生成を増加させることが、認められ得る。
【0150】
実施例2:S.セレビシエ株の構築
株の構築
親酵母株は、S.セレビシエS288C(NCYC 3608;National Collection of Yeast Cultures、英国 ノーウィック)であった。
【0151】
株の遺伝子型および供給源が、表3に列挙される。
【0152】
構築された酵母株は、酢酸リチウム形質転換法を用いて作製された(8)。機能的URA3のない親株は、以下の手順によりコンピテントにされた:グリセロール原液から5mlのYPD培地中に接種し、30℃で一夜生育。その後、一夜培養物の3mLを50mLのYPD培地に移し、4~5時間生育を続けた後、4000RPMで10分間遠心分離し、その後、上清を廃棄する。細胞はその後、滅菌水での2回の洗浄(1回目は25mLで、2回目は1mLで)および0.4mLの滅菌水中での再懸濁の後、形質転換できる状態であった。
【0153】
コンピテント酵母細胞の形質転換は、以下の手順により実行された:指定されたNotI消化されたプラスミド(それぞれ2μL)の混合物がそれぞれ、10μLのコンピテント酵母細胞に添加され、60μLのPEG 3350(50%w/v)、9μLのLiAc(1M)および12.5μLの煮沸されたサケ精子DNA(10mg/ml)と混合された。得られた混合物は次に、42℃で40分間インキュベートされ、その後細胞が、遠心分離(3000RPMで5分間)および上清の除去により収集された。細胞はその後、100μLの滅菌水中に再懸濁され、ウラシル不含SC寒天プレート上に塗り広げられた。単離された形質転換体は、30での2日間のインキュベーション後に単一コロニーとして出現した。遺伝子構築物の挿入が、表1に見出される遺伝子および構築物に特異的なプライマーを利用して、コロニーPCRにより確認された。コロニーPCRでは、酵母コロニーが、50μLの20mM NaOH中に再懸濁され、99℃で15分間インキュベートされた。1μLのコロニー懸濁液が、PCRに用いられた。
【表1】
【0154】
S.セレビシエゲノム操作のための遺伝子構築物の組み立て
プラスミド名およびコードされた遺伝子構築物が、表2に列挙される。全てのプラスミドは、過去に記載されたUSERクローニングにより作製された(5)。また、最大で6個の遺伝子構築物の同時ゲノム組み込みのために、およびAsiSI/Nb.BsmI USERカセットを含んで、アッセンブラ-1、-2および-3と名付けられた親ベクターが、過去に記載された通りUSERクローニングのために調製された(6)。USER適合性PfuX7ポリメラーゼ(7)によるPCR増幅に用いられるプライマーは、表1に列挙される。この作業において使用されおよび作製されたベクターは、表3に列挙される。
【0155】
S.セレビシエのためのコドン最適化された遺伝子は、米国サンフランシスコのTWIST Biosciencesから取得された。以下の表において接頭辞「CO_」で表された全ての遺伝子は、コドン最適化された。コドン最適化された遺伝子は、プライマーがコドン最適化された遺伝子中の任意のヌクレオチド変化にハイブリダイゼーションを適応させるように修飾されたこと以外は、先の表1に記載されたものと同一のプライマーを用いて増幅された。コドン最適化された遺伝子の増幅のためのプライマーは、J. Andersen-Ranberg et al., Expanding the Landscape of Diterpene Structural Diversity through Stereochemically Controlled Combinatorial Biosynthesis. Angewandte Chemie International Edition, n/a (2016)にも開示される。
【表2】
【表3】
【0156】
実施例3:酵母サッカロマイセス・セレビシエにおける発現
抽出および代謝産物の分析
遺伝子操作されたS.セレビシエ株は、96ウェルプレート中の0.5mLの培地に移され、350rpmでオービタルシェーキングしながら30℃で3日間生育された。抽出のために、0.1mLのS.セレビシエ培養物が、1.5mLガラスバイアルに移された。0.4mLのuHPLC等級のMeOHが、添加された。S.セレビシエ抽出物は、0.22μm 96ウェルフィルタープレート(Merck Millipore、ドイツ ダルムシュタット)を用いることにより濾過され、LC-MS分析の前に4℃で貯蔵された。
【0157】
抽出物のLCMSプロファイルが、図2に見出され得、そこで、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を有する酵素をコードするTwCYP82D274V1でバックグランド株を形質転換することが14-OH-デヒドロアビエタジエンの形成をもたらすことが、観察され得る。
【0158】
実施例4:NMR分析による14-OH-デヒドロアビエタジエンの検出
実施例3において14-OH-デヒドロアビエタジエンとして同定された化合物が、NMRにより分析されて、その同一性を確認した。
【0159】
NMRのための精製
操作された酵母からのトリプトリド中間体の精製
目的の所望の化合物を生成する操作された酵母が、10mLのYDP中のSC寒天から接種され、30℃で一夜生育された。5mLの一夜培養物が、500mLのFIT培地に接種され、30℃で5日間生育された。目的の化合物が、500mLのEtAcにより培養物から抽出された。溶媒が、ロータリーエバポレーションにより除去され、分析物は、ヘキサンに再懸濁された。抽出は、3回繰り返された。ヘキサン抽出物は、Supelclean(商標) Florisil(登録商標)/Na2SO4 SPE Tube(Sigma-Aldrich)にアプライされ、分析物は、EtAC:ヘキサン1:99から5:95への段階的勾配を利用してカラムから溶出された。各画分は、LC-MSまたはGC-MSのどちらかで分析され、目的の化合物を含有する画分が、NMR分析用に選択された。
【0160】
NMR分析
NMRデータが、13Cおよび1Hに最適化された5mm極低温冷却DCHプローブを具備したBruker Avance III HD 600MHz NMR分光計(1H 動作周波数599.85MHz)(Bruker Biospin、ドイツ カールスルーエ)で取得された。NMRデータは、300Kに温度を平衡化したCDCl3(Euriso-top、99.8原子%D)中の5mmチューブにおいて記録され、ロックパラメータ(lock parameters)の最適化、グラジエントシミング、およびレシーバゲインの設定は全て、Topspin ver. 3.2およびIconNMR ver. 4.7.5(Bruker Biospin、ドイツ カールスルーエ)により自動制御された。1Hおよび13C化学シフトは、それぞれpH7.26ppmおよびpC77.16ppmでの残留溶媒シグナルに参照された。1D 1Hおよび13C NMRスペクトルは、30°パルスおよび64kデータポイントで取得され、256kデータポイントに0埋めされ、1Hスペクトルは、12kHzのスペクトル幅、遅延時間1秒、およびデータ取得時間2.7秒で取得された。13Cスペクトルは、Waltz16コンポジットパルスデカップリングスキームを利用して1Hデカップリングされた。2D等核および異核実験は、直接次元では4096(HMBC)、2048(DQF-COSYおよびROESY)、または1024(多重度編集HSQC)データポイントで、および間接次元では256(DQF-COSY、HMBCおよびROESY)または128(多重度編集HSQC)データポイントで取得された。2D NMRデータは、F1では1kにゼロ埋めされ、F2ではポイントの数の2倍にゼロ埋めされ、F1では前方線形予測に従った(LPBIN=0)。NMRデータの処理は、Topspin ver. 4.0.9(Bruker Biospin、ドイツ カールスルーエ)を利用して実行された。
【0161】
14-OH-デヒドロアビエタジエンのNMR分光データが、表4に示される。
【表4】
【0162】
599.85MHzでのCDCl中の14-OH-デヒドロアビエタジエンのH NMRスペクトルが、図3に示され、150.83MHzでのCDCl中の14-OH-デヒドロアビエタジエンの13C NMRスペクトルが、図4に示され、化合物の同一性を確認する。
【0163】
実施例5:トリプトフェノリドおよびトリプトニドの生成をもたらす遺伝子のS.セレビシエにおける発現
これは、S.セレビシエにおけるトリプトフェノリドおよびトリプトニドの生成をもたらす遺伝子発現の効果を評定するための予備試験であった。
【0164】
実施例2で作製されたバックグランド酵母株がさらに、それぞれが個々のジテルペン生合成遺伝子またはトリプテリギウム・ウィルフォルディCYP(TwCYP)を含有するベクターで形質転換された。
【0165】
抽出物のLCMSプロファイルが、図5に認められ得、そこで、それぞれSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有する酵素をコードするTwCYP82D274V1、TwCYP71BE85およびTwCYP71BE86を含むバックグランド株を形質転換することがトリプトフェノリドの形成をもたらし、さらにSEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有する酵素をコードするCYP82D213での形質転換がトリプトニドの形成をもたらすことが、認められ得る。
【0166】
図6は、作製された形質転換体の抽出物中で検出された酸素化ジテルペノイド化合物の含量の概要を示す。
【0167】
左のパネルは、トリプトフェノリドおよびトリプトニドの含量を示し、右のパネルは、14-OH-デヒドロアビエタジエンの含量を示す。SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を有する酵素をコードする遺伝子TwB5#1の発現は、トリプトフェノリドおよびトリプトニドの有意により高い生成をもたらした。
【0168】
遺伝子TwB5#2~6は、トリプトフェノリドまたはトリプトニドの生成を増加させない他のT.ウィルフォルディシトクロムB5遺伝子である(配列は提供されない)。
【0169】
実施例6:S.セレビシエおよびN.ベンサミアナにおける酸素化ジテルペノイド化合物の生成
全ての操作されたS.セレビシエ株およびN.ベンサミアナは、本明細書の先の「材料と方法」の節に記載された通り培養された。同様に、テルペノイド代謝産物が、抽出され、LC-MS、GC-MSおよびNMRにより分析され、また本明細書の先に記載された通り定量された。
【0170】
実験の生物体が酵母であること、および異種遺伝子が生物体中で安定にトランスフェクトされていることが、好ましく、なぜならこれが最も正確で再現性のある結果を与えるからである。
【0171】
結果が、図7~9に示される。図から明確に認められ得る通り、酵母細胞とタバコ植物ほど異なる生物体が両者とも、本発明の方法に従って提案されたトリプトニド生合成経路の請求された重要な中間体を高い力価で生成できる。
【0172】
また生成された他の重要な化合物のNMRスペクトルが、図10~26に示される。生成された化合物のNMR分光データが、以下の表5~21に示される。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】

参考資料

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5. H. H. Nour-Eldin, B. G. Hansen, M. H. H. Norholm, J. K. Jensen, b. A. Halkier, Advancing uracil-excision based cloning towards an ideal technique for cloning PCR fragments. Nucleic Acids Research 34, e122 (2006).
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項目
1.酸素化ジテルペノイド化合物を生成できる、組換え宿主細胞であって、ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成でき、シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第一の遺伝子で形質転換されており、この酵素が、ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを14-OH-デヒドロアビエタジエンに変換できる、組換え宿主細胞。
2.第一の遺伝子が、SEQ ID NO:1(TwCYP82D274V1)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする、項目1の組換え宿主細胞。
3.さらに、
シトクロムP450活性を有する第二の酵素をコードする第二の遺伝子と、シトクロムP450活性を有する第三の酵素をコードする第三の遺伝子、
を含み、ここで
シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第二の遺伝子が、SEQ ID NO:4(TwCYP71BE86)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードし、
シトクロムP450活性を有する酵素をコードする第三の遺伝子が、SEQ ID NO:3(TwCYP71BE85)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする、
項目1または2の組換え宿主細胞。
4.シトクロムB5活性を有しかつSEQ ID NO:8(TwB5#1)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする遺伝子をさらに含む、項目3の組換え宿主細胞。
5.シトクロムP450活性を有する第四の酵素をコードする第四の遺伝子をさらに含み、ここで
シトクロムP450活性を有する第四の酵素をコードする第四の遺伝子が、SEQ ID NO:5(TwCYP82D213)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする、
項目3または4の組換え宿主細胞。
6.シトクロムP450活性を有する第五の酵素をコードする第五の遺伝子および/またはシトクロムP450活性を有する第六の酵素をコードする第六の遺伝子をさらに含み、ここで
シトクロムP450活性を有する第五の酵素をコードする第五の遺伝子が、SEQ ID NO:6(TwCYP82D217)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードし;
シトクロムP450活性を有する第六の酵素をコードする第六の遺伝子が、SEQ ID NO:7(TwCYP82D275)に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチドをコードする、
項目5の組換え宿主細胞。
7.ミルチラジエンおよび/またはデヒドロアビエタジエンを生成できる宿主細胞が、
a.ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ;
b.GGPPをミルチラジエンに変換できるジテルペンシンターゼ;
c.組み合わせでGGPPをミルチラジエンに変換できる2種以上のジテルペンシンターゼの組み合わせ;または
d.コパリル二リン酸シンターゼおよびミルチラジエンシンターゼ、
をコードする1種または複数の遺伝子(複数可)で形質転換された組換え細胞である、上記項目のいずれかによる組換え宿主細胞。
8.ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼが、SEQ ID NO:73またはSEQ ID NO:81を含むポリペプチドである、項目7の組換え宿主細胞。
9.GGPPをミルチラジエンに変換できる2種以上のジテルペンシンターゼの組み合わせが、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含むポリペプチドと、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含むポリペプチドと、の組合わせである、またはSEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含むポリペプチドと、SEQ ID NO:70のアミノ酸配列を含むポリペプチドの組み合わせである、項目7の組換え宿主細胞。
10.コパリル二リン酸シンターゼとミルチラジエンシンターゼとの組み合わせが、SEQ ID NO:71のアミノ酸配列を含むポリペプチドとSEQ ID NO:72のポリペプチドを含むポリペプチドの組合わせである、項目7の組換え宿主細胞。
11.原核細胞および真核細胞から選択される、上記項目のいずれかによる組換え宿主細胞。
12.エシェリヒア、バチルス、ラクトバチルスおよびコリネバクテリウムの種から選択される原核細胞である、項目11による組換え宿主細胞。
13.サッカロマイセス、シゾサッカロマイセス、クルイベロマイセス、ピキア、カンジダおよびヤロウイアの種から選択される真核細胞である、項目11の組換え宿主細胞。
14.S.セレビシエ細胞である、項目11の組換え宿主細胞。
15.酸素化ジテルペノイド化合物の生成のための上記項目のいずれかによる組換え宿主細胞の使用。
16.酸素化ジテルペノイド化合物が、14-OH-デヒドロアビエタジエン、トリプトフェノリドおよびトリプトニドから選択される、項目15の使用。
17.酸素化ジテルペノイド化合物が、トリプトニドであり、このトリプトニドが、トリプトリドにさらに変換される、項目16の使用。
18.酸素化ジテルペノイド化合物が、1種または複数の分離および/またはクロマトグラフィーステップを利用して回収される、項目15~17の1つによる使用。
19.シトクロムP450酵素活性を有しかつ配列SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8の1つに対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、好ましくは少なくとも98%の配列同一性、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその成熟ポリペプチド。
20.項目19のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
21.項目20のポリヌクレオチドを含むプラスミド、発現ベクター、発現構築物または組換え宿主細胞。
22.化合物14-OH-デヒドロアビエタジエン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2023-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023539092000001.app
【国際調査報告】