(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】細胞収集及び収集された細胞の保護をするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
A61B10/02 150
A61B10/02 300D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512131
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021046314
(87)【国際公開番号】W WO2022040189
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517166712
【氏名又は名称】パヴメド・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PAVMed Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】アクログ,リーシャン
(72)【発明者】
【氏名】デグズマン,ブライアン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤズベック,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ブーティレット,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ギフォード,ジェシー
(57)【要約】
細胞収集の方法及びシステムに関する。本開示の方法及びシステムは、拡大した直径を有する収集状態と、収集状態の直径よりも小さい直径を有する回収状態との間で変換可能な収集機構と、搬送機構とを備え、搬送機構は、収集機構が取り付けられた遠位端を有し、細胞収集の対象部位に収集機構を配置するように構成される。本開示の方法及びシステムは、収集機構を収集状態と回収状態との間で変換させるための作動機構をも含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞収集のシステムであって、
拡大した直径を有する収集状態と前記収集状態の直径よりも小さい直径を有する回収状態との間で変換可能な細胞収集機構と、
前記細胞収集機構が取り付けられた遠位端を有し、前記細胞収集機構を細胞収集の対象部位に配置するように構成された搬送機構と、
前記細胞収集機構を前記収集状態と前記回収状態との間で変換させ、前記細胞収集機構が前記搬送機構から独立して移動できるようにする作動機構と、
を備える、
システム。
【請求項2】
前記作動機構は、前記収集状態と、前記回収状態と、ナビゲーション状態とのうちの少なくとも2つの状態の間で前記細胞収集機構の変換を制御するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記細胞収集機構は、
細胞収集面を有する拡張可能材料と、
前記拡張可能材料に沿って離間され、前記拡張可能材料の周りに配置された複数のリングと、
を含み、
前記拡張可能材料は、複数の前記リングの円周よりも小さい第1の円周から複数の前記リングの円周よりも大きい第2の円周まで拡張するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記細胞収集機構は、前記細胞収集機構が曲がることを可能にする複数のストラットを備える管状構造である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記細胞収集機構は、中心軸に沿って線形的に加えられる軸力が適用されたときに曲がるように構成されている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記細胞収集機構は、半径方向外向きに加えられる内力が適用されたときに曲がるように構成されている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記管状構造は、熱エネルギーが適用されたときに曲がるように構成されている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記細胞収集機構は、熱エネルギーが適用されたときに拡張するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記細胞収集機構は、複数の折り目及び曲がりで構成され、
複数の前記折り目及び前記曲がりは、前記収集状態では細胞収集のための形状に拡張可能であり、前記回収状態では収縮可能である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記細胞収集機構は、複数のスロットを備える剛性管状構造であって、前記収集状態にあるとき、内部拡張可能材料が複数の前記スロットから押し出されて拡張することを可能にする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記内部拡張可能材料は、前記回収状態にあるとき、複数の前記スロットの内部及び前記剛性管状構造の内部に収縮する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記細胞収集機構は、前記収集状態にあるとき、中心軸から扇状に広がる複数のタインにより構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
複数の前記タインが扇状に広がることは、拡張可能材料と、スライド可能なシースと、熱エネルギーと、これらの組み合わせとのうちの少なくとも1つによって制御される、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
複数の前記タインの遠位端は、前記回収状態にあるとき、複数の前記タインの他の部分よりも小さい直径となるように収縮可能である、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記細胞収集機構は、マンドレルロッド、及びサンプリング用の複数のアームを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記細胞収集機構の付近の撮像装置を更に含み、対象部位における前記細胞収集機構の位置特定及び位置決めを補助する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記細胞収集機構に隣接する固定装置を更に含み、前記細胞収集機構の移動を制限する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記固定装置は拡張可能な本体を含む、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
細胞収集装置であって、
近位端及び遠位端を有し、ナビゲーション状態と、収集状態と、回収状態とのうちの少なくとも1つの間で変換可能である細胞収集機構と、
近位端及び遠位端を有し、前記遠位端が前記細胞収集機構の前記近位端に結合された搬送機構と、
を備える、
細胞収集装置。
【請求項20】
細胞収集の方法であって、
ナビゲーション状態にある細胞収集機構を体内に挿入するステップであって、前記細胞収集機構は、ナビゲーション状態と、収集状態と、回収状態とのうちの少なくとも1つの間で変換可能である、前記ナビゲーション状態にある細胞収集機構を体内に挿入するステップと、
前記細胞収集機構を細胞収集の対象部位にナビゲーションするステップと、
前記細胞収集機構を前記ナビゲーション状態から前記収集状態へ移行させるように、作動機構を作動するステップと、
前記細胞収集機構の少なくとも1つの表面上に細胞を収集するように、前記細胞収集の部位において前記細胞収集機構を移動させるステップと、
収集された細胞を保護するために、前記細胞収集機構を前記収集状態と前記回収状態との間で変換するように、前記作動機構を作動するステップと、
前記細胞収集機構を取り除くステップと、
を含む、
方法。
【請求項21】
前記細胞収集機構が回収状態にある間に、前記細胞収集機構は、回収中の希釈及び汚染から収集された細胞を保護する、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
細胞収集の方法であって、
搬送機構に結合された拡張可能な細胞収集機構を食道に挿入するステップと、
前記収集機構と周囲の食道壁との間の接触を可能にするように、対象部位において前記収集機構を拡張するステップと、
前記対象部位で細胞を収集するように、前記食道壁との接触を維持しながら前記収集機構を移動させるステップと、
前記収集機構を折り畳むステップと、
を含む、
方法。
【請求項23】
前記収集機構を食道に挿入するステップにおいて、前記収集機構はバルーンである、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記収集機構を食道に挿入するステップにおいて、前記収集機構は金属材料を含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記収集機構を移動させるステップにおいて、前記収集機構を平行移動させること、前記収集機構を回転させること、前記収集機構を振動させること、又は、これらの組み合わせを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記収集機構を移動させるステップは、前記収集機構を前記食道壁に沿って少なくとも1センチメートル(cm)平行移動させることを更に含む、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記収集機構を移動させるステップは、前記収集機構を前記食道壁に沿って少なくとも2cmから5cm平行移動させることを更に含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記収集機構を移動させるステップは、前記搬送機構を移動させることによって前記収集機構を移動させることを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記収集機構を移動させるステップは、前記搬送機構とは独立して前記収集機構を移動させることを含む、
請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年8月19日に出願された米国仮特許出願第63/067,620号に対する優先権を主張し、その出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、物質の収集及び収集された物質の保護に適したシステム及び方法に関する。具体的には、本開示は、細胞を収集し、体内からの移動中に収集された細胞を保護するために使用できるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、患者から所望の物質及び細胞を簡便且つ無痛の方法で取得することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
細胞収集及び収集された細胞の保護をするために改良が求められている。本開示は、他の望ましい特性を有することに加えて、このニーズに応じて、更なる解決策を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の例示的な実施形態によれば、細胞収集のためのシステムが提供される。当該システムは、拡張された直径を有する収集状態と収集状態の直径よりも小さい直径を有する回収状態との間で変換可能な収集機構と、収集機構が取り付けられた遠位端を有し、収集機構を細胞収集の対象部位に配置するように構成された搬送機構と、を備える。当該システムは、収集機構を、収集状態と回収状態との間で変換させるための作動機構を更に備える。
【0006】
本発明の態様によれば、システムは、ナビゲーション状態と、収集状態と、回収状態とのうちの少なくとも2つの状態の間で細胞収集機構の変換を制御する作動機構を更に含む。細胞収集機構は、細胞収集面を有する拡張可能材料と、拡張可能材料の周りに配置され、拡張可能材料に沿って離間している複数のリングとを含むことができ、拡張可能材料は、複数のリングの円周よりも小さい第1の円周から複数のリングの円周よりも大きい第2の円周まで拡張するように構成される。
【0007】
本発明の態様によれば、細胞収集機構は、細胞収集機構が曲がることを可能にする複数の軸方向のカットを有する管状構造である。当該管状構造は、管状構造の中心軸に向かって横方向の力が加えられると曲がるように構成することができる。管状構造は、管状構造内から軸方向外向きに加えられる内力が適用されたときに曲がるように構成することができる。内力は、管状構造内に位置する拡張可能材料によって加えることができる。管状構造は、ニチノールを含む金属材料から作ることができる。一実施形態では、管状構造は、収集状態で曲がって拡張する弾性ニチノールカットストラット(cut struts)とすることができる。管状材料は、収集状態では細胞収集のための形状となるように拡張可能であって、回収状態では収縮可能である複数の折り目及び曲がりで構成される。細胞収集機構は、複数のスロットを備える剛性の管状構造であって、収集状態にあるとき、内部拡張可能材料が複数のスロットから押し出されて拡張することを可能にすることができる。内部拡張可能材料は、回収状態にあるとき、複数のスロット内及び剛性の管状構造内に収縮することができる。
【0008】
本発明の態様によれば、細胞収集機構は、収集状態にあるときに円周方向に広がる複数のタイン(tines)により構成された管状材料である。拡張可能材料は、複数のタインが扇状に広がる(fan out)ことを制御することができる。複数のタインが扇状に広がることを制御するために、複数のタイン上をスライドするようにシース(sheath)を配置することができる。複数のタインの遠位端は、回収状態にある複数のタインの他の部分よりも小さい直径となるように収縮することができる。細胞収集機構は、カテーテルシャフト(catheter shaft)、マンドレルロッド(mandrel rod)、及びサンプリング用の複数のばね鋼アームなどの搬送機構を含むことができる。
【0009】
本発明の例示的な実施形態によれば、細胞収集装置が提供される。当該細胞収集装置は、近位端及び遠位端を有し、ナビゲーション状態と、収集状態と、回収状態とのうちの少なくとも1つの間で変換可能な細胞収集機構と、近位端と遠位端を有し、遠位端が細胞収集機構の近位端に結合された搬送機構と、を備える。
【0010】
本発明の例示的な実施形態によれば、細胞収集の方法が提供される。当該方法は、ナビゲーション状態にある細胞収集機構を体内に挿入するステップであって、細胞収集機構は、ナビゲーション状態と、収集状態と、回収状態とのうちの少なくとも1つの間で変換可能である、前記ナビゲーション状態にある細胞収集機構を体内に挿入するステップと、細胞収集機構を細胞収集の対象部位にナビゲーションするステップと、細胞収集機構をナビゲーション状態から収集状態へ移行させるように、作動機構を作動するステップと、を含む。この方法はまた、細胞収集機構の少なくとも1つの表面上に細胞を収集するように、細胞収集の部位において細胞収集機構を移動させるステップと、収集された細胞を保護するために、細胞収集機構を収集状態と回収状態との間で変換するように、作動機構を作動するステップと、細胞収集機構を取り除くステップとを含む。
【0011】
本発明の態様によれば、細胞収集機構が回収状態にある間に、細胞収集機構は、回収中の希釈及び汚染から収集された細胞の保護を提供する。
【0012】
本開示のこれら及び他の特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本開示に係る収集システムを示す図である。
【
図1B】本開示に係る収集システムを示す図である。
【
図3B】本開示に係る収集機構の端面断面図である。
【
図3C】本開示に係る収集機構の端面断面図である。
【
図4B】本開示に係る収集機構の端面断面図である。
【
図4C】本開示に係る収集機構の端面断面図である。
【
図4D】本開示に係る収集機構の端面断面図である。
【
図5A】本開示に係る様々な収集機構の側面図である。
【
図5B】本開示に係る様々な収集機構の側面図である。
【
図5C】本開示に係る様々な収集機構の側面図である。
【
図8A】本開示の別の実施形態に係る収集機構を示す図である。
【
図8B】本開示の別の実施形態に係る収集機構を示す図である。
【
図8C】本開示の別の実施形態に係る収集機構を示す図である。
【
図9A】本発明の一実施形態による、収集機構の動きを最小限に抑えるために収集機構に隣接する固定装置を有するシステムを示す図である。
【
図9B】本発明の一実施形態による、収集機構の動きを最小限に抑えるために収集機構に隣接する固定装置を有するシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の例示的な実施形態は、物質の収集及び収集された物質の保護に適したシステム及び方法に関する。具体的には、本開示は、体内から細胞を収集し、収集された細胞を保護するために使用できるシステム及び方法に関する。本開示のシステムは、細胞収集のために作動される収集機構を体内の対象部位に挿入するために使用することができる。収集機構は、様々な機能のために、様々な状態間で変換することができる。例えば、収集機構は、ナビゲーション状態と、収集状態と、回収状態との任意の組み合わせに変換することができる。ナビゲーション状態は、身体管腔を引っかかったり、損傷したり、又は身体管腔の機能に干渉したりすることなく、収集機構を身体管腔内でのナビゲーションに適したコンパクトな形状に変換することを含むことができる。収集状態は、収集機構のサイズ及び/又は形状を修正して、収集機構の少なくとも1つの表面が身体管腔に接触し、そこから物質をサンプリングできるようにすることを含むことができる。この状態は、収集機構のサンプリング面のサイズ及び形状を拡張することを含むことができる。収集が完了すると、収集機構が回収状態に変換され、システムが身体管腔から取り除かれる間に、収集された物質を保護することができる。ナビゲーション状態と同様に、回収状態は、システムが取り除かれる間に、身体管腔を引っかかったり、損傷したり、又は身体管腔の機能に干渉したりすることなく、収集機構を身体管腔内でのナビゲーションに適したコンパクトな形状に変換することができる。場合によっては、収集機構は、ナビゲーション状態と回収状態とでは、サイズ及び形状が実質的に同じであってもよい。他の例では、回収状態は、ナビゲーション状態よりも更に変換することができる。
【0015】
図1Aから
図9Bは、全体を通して同様の部分を同様の参照番号で示し、本開示による、細胞収集及び収集された細胞の保護のための改善された動作の例示的な実施形態又は複数の実施形態を示す。本開示は、図面に示す例示的な実施形態又は複数の実施形態を参照して説明されるが、多くの代替形態で本開示を具現化できることを理解されたい。当業者は、本発明の開示の精神及び範囲を逸脱することなく、開示された実施形態のパラメータ、例えば、要素又は材料のサイズ、形状、又は種類などを変更し、異なる方法で実施することができることを更に理解されたい。
【0016】
図1A及び1Bを参照すると、いくつかの実施形態では、収集機構102を身体108に挿入し、収集機構102の状態を制御し、収集が完了すると収集機構102を身体108から取り除くように、システム100を提供することができる。収集機構102を身体108内への挿入、及び細胞収集の対象部位へのナビゲーションを容易にするために、システム100は、収集機構102に結合された搬送機構104、例えば、細長いカテーテル又はカテーテルシャフトなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、システム100は、収集機構102のナビゲーション、収集機構102の1つ又は複数の機能の作動、及び/又は収集機構102の休止を補助するための作動機構106も含むことができる。システム100は、システム100のナビゲーション及び使用、そして、対象部位における収集機構102の位置特定及び位置決めを補助するために、システムの任意の組み合わせとともに使用することができる。例えば、システム100は、超音波、内視鏡検査、蛍光透視検査などの使用によって補助することができる。それに加えて、又は代替として、システム100が対象部位へ前進するときに、収集機構102のナビゲーション、位置特定、及び/又は位置決めを補助するために、システム100は、撮像装置107、例えば、収集機構102の付近のカメラなどを備えることができる。一実施形態では、撮像装置107は、収集機構102と搬送機構104との間の接合部に位置することができる。そこに撮像装置107を配置することにより、オペレーターが収集機構102を対象部位に配置して位置決めする能力を高めることができる。もちろん、撮像装置107は、撮像装置107が対象部位での収集機構の位置特定及び位置決めを補助するために使用できる限り、システム100に沿った任意の位置に配置することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、収集機構102は、異なる機能を実行するために異なる状態間で変換できる構造とすることができる。例えば、収集機構102は、ナビゲーション状態、収集状態、及び回収状態のうちの少なくとも2つの状態の間で変換可能であるように構成することができる。ナビゲーション状態では、収集機構102は、体内で安全な横断を可能にするサイズ及び形状、例えば、身体管腔内でのナビゲーションのために縮小されたサイズであって、患者によって飲み込まれるように、又は患者に挿管されることができるようにサイズ及び形状とすることができる。収集状態では、収集機構102は、身体108の管腔内の少なくとも1つの表面との接触を可能にするサイズ及び形状、例えば、身体108の管腔の1つ又は複数の表面と接触するための増大したサイズであってもよい。いくつかの実施形態では、収集状態において、収集機構102は、収集状態の直径よりも小さい直径を有する回収状態の直径よりも、大きい直径を有するように拡張することができる。回収状態では、収集機構102は、収集された物質の保護及び身体108からの収集機構102の除去の両方を可能にするサイズ及び形状、例えば、身体108の管腔から外へのナビゲーションのために縮小されたサイズであってもよい。異なる状態のそれぞれは、収集機構102のサイズ及び形状の異なる組み合わせを有することができる。
【0018】
例えば、収集機構102は、身体108から細胞110を収集し、その後、収集された細胞110を失うことなく身体から取り除くための保護状態に変換されることができるように、構成の任意の組み合わせを含むことができる。例えば、収集機構102は、身体108内で横断するためのナビゲーション状態と、細胞110を収集するための細胞収集状態と、収集された細胞110を保護するための回収状態との間で変換することができる修正可能な形状又は表面を有する。収集機構102に加えて、システム100は、収集機構102の挿入、制御、及び除去を可能にするように設計された構造の任意の組み合わせを含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、続けて
図1A及び1Bを参照すると、搬送機構104は、収集機構102の変換を補助するように構成することができる。搬送機構104は、収集機構102を複数の状態間で変化させるために多数の異なる機構を含むことができ、収集機構102の具体的な構成に基づいて変化することができる。いくつかの実施形態では、搬送機構104は、収集機構102の作動、拡張、状態変換を引き起こすために、管腔を含み、収集機構102との間で流体を移送又は除去することができる。例えば、搬送機構104は、作動機構106から流体(例えば、液体、気体など)を受け取り、作動又は休止させるために収集機構102へ、又は収集機構102から流体を移送することができる。いくつかの実施形態では、搬送機構104は、収集機構102の作動又は休止のための機械的機構であるか、又は機械的機構を含むことができる。例えば、搬送機構104は、テザー(tether)、シース(sheath)などを含むことができ、その動きが収集機構102の状態を機械的に変更することができる。搬送機構104は、別の実施形態では、ワイヤ又は任意の機構を含むか、又はワイヤ又は任意の機構であってもよく、これらによって、熱エネルギーを収集機構102に供給して、収集機構102を収縮状態から拡張させることができる。収集機構102の変換を補助することに加えて、搬送機構104は、収集機構102を体内に運ぶことができる構造の任意の組み合わせを含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、搬送機構104はまた、収集機構102の1つ又は複数の機能を作動又は休止させるために、作動機構106として機能するか、又は作動機構106に結合することができる。作動機構106のリザーバは、搬送機構104を介して作動手段を提供するための受動的又は能動的な供給源の任意の組み合わせであることができる。例えば、作動機構106は、搬送機構104を通して収集機構102に、又は収集機構102からポンプされる流体(例えば、液体、気体など)を含むリザーバを有することができる。作動機構106は、別途に、別のポンピングシステムに接続されたポンプを含むことができる。
【0021】
作動機構106は、搬送機構104を介して、収集機構102の変換を開始及び実行させるための構成要素又は制御の任意の組み合わせを含むことができる。一実施形態では、作動機構106は、収集機構102の状態を変更するために手動で制御又は操作することができる任意の手持ちの機械制御又は構成要素を含むことができる。別の実施形態では、作動機構106は、作動ボタン、スイッチ、入力などの任意の組み合わせを含み、搬送機構104を通して流体を圧送するためのポンプを始動させて、収集機構102を複数の状態間で変換させることができる。更に、作動機構106は、手動的又は自動的機構の任意の組み合わせを含むことができ、収集機構102のその状態を変更することができる。代替的に、又はそれに加えて、作動機構106は、収集機構102の変換を制御するために、搬送機構104及び/又は収集機構102を手動で上下にスライドさせることができるシースを含むことができる。作動機構106はまた、収集機構102に送達される熱エネルギーを活性化するためのソースを含むことができる。作動機構106を使用して、以下の状態のうちの少なくとも2つ、具体的には、ナビゲーション状態、収集状態、及び回収状態の間で収集機構102の変換を制御することができる。
【0022】
収集機構102、搬送機構104、及び作動機構106は、別個の構成要素であるか、又は互いに結合されて一体化された構成要素であって、システム100を構成する。いくつかの実施形態では、収集機構102と搬送機構104とは、近位端と遠位端とを有し、搬送機構104の遠位端は、細胞収集機構102の近位端に結合するように構成されている。構成要素は、当技術分野で知られている方法、例えば、溶接、接着剤、機械的結合などの任意の組み合わせを使用して一緒に結合することができる。収集機構102と搬送機構104とは、取り外し可能に結合するか、又は固定的結合することができる。いくつかの実施形態では、搬送機構104は、細胞収集の対象部位に収集機構102を配置するように構成することができる。例えば、搬送機構104は、湾曲したチャネルをナビゲートできるように十分な柔軟性を有するとともに、チャネルを通って(例えば、押す力を加えることによって)前進するのに十分な剛性も備えるように構成することができる。収集機構102と搬送機構104とは、身体108への挿入及び身体108内でのナビゲーションにおいて安全である材料の任意の組み合わせにより構成することができる。例えば、収集機構102と搬送機構104とは、生物医学的に安全な材料により構成することができる。
【0023】
図2Aから
図2Cを参照すると、いくつかの実施形態では、収集機構102は、拡張可能材料210、及び実質的に剛性の材料により構成された複数のリング212又は隆起から構成することができる。拡張可能材料210は、力が加えられると拡張できる材料の任意の組み合わせを含むことができる。例えば、拡張可能材料210は、シリコン又は他の弾性タイプの材料であることができる。いくつかの実施形態では、拡張可能材料210は、搬送機構104と流体的連通することができる。これによって、搬送機構104を使用して、拡張可能材料210を加圧又は減圧して、拡張可能材料210を拡張させるか又は収縮させることができる。例えば、搬送機構104は、作動機構106の作動に応答して、流体を受け取り、拡張可能材料210の内部キャビティに移送することで、拡張可能材料210を加圧そして拡張させるか、又は減圧そして収縮させることができる。代わりに、又はそれに加えて、収集機構102を構成する拡張可能材料210は、熱エネルギーに晒されると膨張するシリコン若しくは弾性材料、又は同様の特性を有する任意の材料であることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの状態において、拡張可能材料210は、複数のリング212によって取り囲まれるか、又は複数のリング212に結合される。言い換えれば、複数のリング212は、拡張可能材料210に沿って離間して配置され、拡張可能材料210の周りに円周方向に配置することができる。例えば、拡張可能材料210は、複数のリング212の線形円周内に配置された単一の拡張可能な構成要素であってもよく、又は収集機構は、複数のリング212のそれぞれの間に個別に取り付けられた複数の拡張可能な構成要素であってもよい。複数のリング212は、収集機構102の加圧に応答して、拡張可能材料210が複数のリング212の寸法を通り抜けて外側に拡張するのに十分な余地を提供するように離間することができる。同様に、複数のリング212は、拡張可能材料210がそれを通って拡張する際にその形状を維持するのに十分な剛性を有することができる。いくつかの実施形態では、拡張可能材料210は、複数のリング212の円周よりも小さい第1の円周から、複数のリング212の円周よりも大きい第2の円周まで拡張するように構成することができる。
【0025】
続いて
図2Aから
図2Cを参照すると、いくつかの実施形態では、収集機構102は、例えば、細胞110を収集するように構成された、収集機構102の周りの収集面211を有することができる。収集面211は、テクスチャ、表面材料、形状などの任意の組み合わせを有する拡張可能材料210を含み、所望の物質を捕捉するように構成することができる。拡張可能材料210は、物質を移動させてその表面に付着させ、そして、回収するために物質をその表面に維持するように構成することができる。そのような材料の例は、所望の物質を捕捉し、付着させ、そして回収するために保持することを容易にすることができる形状記憶発泡体、連続気泡発泡体、編物材料、様々な布地材料、フック及びループシステム、ガーゼ、又は任意の他の粗面化又はテクスチャ加工された表面材料を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、収集機構102は、体内のナビゲーション及び/又は物質の収集を補助するコーティングを含むことができる。例えば、複数のリング212は、拡張可能材料210のナビゲーション及び移動のために潤滑コーティングを有することができ、拡張可能材料210は、ターゲット細胞110を引き付ける/付着させるコーティングを含むことができる。
【0026】
搬送機構104、拡張可能材料210、及び複数のリング212の組み合わせを使用して、システム100を異なる状態に移行させて、本開示の収集プロセスを実行することができる。
図2Aに示すように、システム100が収集の所望の部位(例えば、身体108内)に配置されると、収集機構102は収集状態に移行することができる。収集機構102を収集状態に変換するために、いくつかの実施形態では、搬送機構104を介して拡張可能材料210に圧力を加えて、複数のリング212の間のギャップを通して拡張可能材料210を拡張することができる。拡張可能材料210は、複数のリング212よりも大きな円周のサイズまで、複数のリング212によって規定される領域の外側へ拡張し続けることができる。拡張可能材料210が拡張した形状である状態では、
図2Aに示すように、拡張可能材料210の表面は、身体の側面と接触するように配置され、身体上の物質を収集することができる。例えば、収集機構102は、身体108の管腔に挿入され、加圧されて拡張し、身体108の側壁に接触して、細胞110を拡張可能材料210の表面に収集することができる。
【0027】
図2B及び
図2Cを参照すると、いくつかの実施形態では、収集が行われた後、拡張可能部材210を回収状態に移行させることができる。収集機構102を回収状態に変換するために、いくつかの実施形態では、搬送機構104を介して、拡張可能材料210に負圧を加えることができ(又は正圧の適用を撤去する)、これによって、複数のリング212の間のギャップを通して拡張可能材料210を収縮させる。拡張可能材料210は、複数のリング212の円周よりも小さい円周のサイズに、複数のリング212によって規定される領域内に収縮し続けることができる。拡張可能材料210が収縮又は弛緩した形状である状態では、
図2Bに示されるように、拡張可能材料210の表面上の収集された物質を、収集機構102が取り除かれる間に保護することができる。例えば、拡張可能材料210の表面に付着した細胞110は、拡張可能材料によって引っ張られ、複数のリング212の間に形成された凹部内に入ることができる。
【0028】
図2Cを参照すると、いくつかの実施形態では、搬送機構104を介して拡張可能材料210に更に負圧を加えて、拡張可能材料210を更に収縮させるか、及び/又は収集機構102の全長を圧縮することができる。この負圧の適用により、収集機構102、特に拡張可能材料210を2方向において収縮させることができる。例えば、拡張可能材料210の内部に十分な負圧を加えて、拡張可能材料を半径方向に収縮させることができる。これによって、複数のリング212を互いに向かって線形的に引っ張られ、複数のリング212の間の空間の量を減少させることによって、身体108に露出される領域を減少させることができる。
図2Cに示されるように、拡張可能材料210を更に収縮させることによって、収集されたサンプル物質は、実質的に封入ポケットを形成することによって更に保護される。例えば、拡張可能材料210の表面に付着した細胞110は、拡張可能材料で引っ張られ、複数のリング212の間に形成されたポケット内に入ることができる。これらのポケットは、拡張可能材料110上における収集された物質を完全にカプセル化又は実質的にカプセル化することで、収集された物質の潜在的な損失を抑えることができる。正圧を加えて収集機構102を2方向において膨張させるときと同様な機能を提供することができる。
【0029】
正圧及び負圧の適用は、当技術分野で知られているシステム又は方法の任意の組み合わせを使用して適用することができる。例えば、自動又は手動システムの任意の組み合わせを使用することによって、ポンプ、油圧装置、ピストンなどの任意の組み合わせを作動することができる。例えば、注射器を使用して、正圧を生成するために、(搬送機構104を介して)収集機構102に流体を加え、負圧を生成するために、収集機構102から流体を除去することができる。
【0030】
図3Aから
図3Cを参照すると、いくつかの実施形態では、収集機構102は、形状記憶拡張可能部材310であってもよく、当該形状記憶拡張可能部材310は、加えられた圧力又は力の変化に応じて、様々な状態となるように、様々な形状の間で変化することができる。形状記憶拡張可能部材310は、ナビゲーション状態、収集状態、及び回収状態に利用できる対称的又は非対称的形状又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。拡張可能材料310は、力が加えられると拡張できる材料の任意の組み合わせを含むことができる。例えば、拡張可能材料310は、シリコン又は他の弾性タイプの材料であることができる。いくつかの実施形態では、拡張可能材料310は、搬送機構104と流体的連通することができる。これによって、搬送機構104を使用して、拡張可能材料310を加圧又は減圧して、拡張可能材料310を拡張又は収縮させることができる。例えば、搬送機構104は、作動機構106の作動に応答して、流体を受け取って、拡張可能材料310の内部キャビティに移送し、拡張可能材料310を加圧して拡張させるか又は減圧して収縮させることができる。代替的に、又はそれに加えて、収集機構102を構成する拡張可能材料310は、熱エネルギーに晒されると膨張するシリコン若しくは弾性材料、又は同様な特性を有する任意の材料であってもよい。
【0031】
図3Aを参照すると、いくつかの実施形態では、収集機構102は、拡張可能材料310から形成された管状の形状を有してもよい。管状の収集機構102は、搬送機構104の延長部であってもよく、又は搬送機構104の遠位端に取り付けられた別個の構成要素であってもよい。
【0032】
図3B及び
図3Cを参照すると、収集機構102は、ナビゲーション状態/回収状態から収集状態に移行することができる。いくつかの実施形態では、収集機構102のナビゲーション状態/回収状態では、拡張可能材料310は、
図3Bに示すように、収集機構102の円周の周りに配置された複数の折り目及び曲がりを有する弛緩状態にある。正圧が収集機構102に加えられると、拡張可能材料310は拡張することができる。これによって、折り目及び曲がりは半径方向において外側に押し出され、
図3Cに示すように、収集に適した十分に均一な表面が形成される。収集のために、拡張可能材料310は、テクスチャ、表面材料、形状などの任意の組み合わせで構成することができ、所望の物質を捕捉し、その表面に物質を付着させ、そして回収するためにその物質を表面に維持するように構成することができる。そのような材料の例は、所望の物質を捕捉し、付着させ、そして回収するために保持することを容易にすることができる形状記憶発泡体、連続気泡発泡体、編物材料、様々な布地材料、フック及びループシステム、ガーゼ、又は任意の他の粗面化又はテクスチャ加工された表面材料を含むことができるが、これらに限定されない。収集機構102はまた、体内のナビゲーション及び/又は物質の収集を補助するコーティングを含むことができる。いくつかの実施形態では、拡張可能材料310の表面タイプ及びコーティングは、位置及び機能に基づいて変化することができる。例えば、複数の折り目は、拡張可能材料310がその拡張状態にあるとき、ターゲット細胞110を引き付ける/付着させるテクスチャ及び/又はコーティングを含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、収集機構102を利用して拡張可能材料310上に物質を収集した後、収集機構102を安全に取り除くために、それをナビゲーション状態/回収状態に変換することができる。例えば、負圧(又は正圧の撤去)を収集機構102に加えて、
図3Bに示すように、拡張可能材料310を引っ込ませ、その自然形状に戻らせることができる。自然形状にあるとき、拡張可能材料310は複数の折り目を含み、これらの折り目は、拡張可能材料310の表面上の任意の収集された物質を保護することができる。正圧及び負圧の適用は、当技術分野で知られているシステム又は方法の任意の組み合わせを使用して適用することができる。例えば、自動又は手動システムの任意の組み合わせを使用することによって、ポンプ、油圧装置、ピストンなどの任意の組み合わせを作動することができる。例えば、注射器を使用して、正圧を生成するために、(搬送機構104を介して)収集機構102に流体を加え、負圧を生成するために、収集機構102から流体を除去することができる。
【0034】
図4Aから
図4Dを参照すると、いくつかの実施形態では、収集機構102は、複数の貫通スロット414を有する管状構造412を含むことができる。管状構造412は、ステンレス鋼管などの剛性材料で構成することができる。いくつかの実施形態では、管状構造412は、拡張可能材料410を収容し、拡張可能材料410の周りに配置することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの状態において、拡張可能材料210は、管状構造412の内面によって取り囲まれるか、又は管状構造412の内面に結合することができる。拡張可能材料410は、力が加えられると拡張できる材料の任意の組み合わせを含むことができる。例えば、拡張可能材料410は、シリコン又は他の弾性タイプの材料であるができる。代替的に、又はそれに加えて、収集機構102を構成する拡張可能材料410は、熱エネルギーに晒されると膨張するシリコン若しくは弾性材料、又は同様な特性を有する任意の材料であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、拡張可能材料410は、所定の形状に拡張するカスタム形状のバルーンである。例えば、
図4Bに示すように、拡張可能材料410は、完全に拡張したとき、四つ葉のクローバー形状であることができる。いくつかの実施形態では、拡張可能材料410は、搬送機構104と流体的連通することができる。これによって、搬送機構104を使用して、拡張可能材料410を加圧又は減圧して、拡張可能材料410をそれぞれ拡張又は収縮させることができる。例えば、搬送機構104は、作動機構106の作動に応答して、流体を受け取って、拡張可能材料410の内部キャビティに移送し、拡張可能材料410を加圧して拡張させるか又は減圧して収縮させることができる。代替的に、拡張可能材料410が熱膨張性材料を含む場合には、搬送機構104を使用して熱エネルギーを拡張可能材料410に導入するか又は終了させることで、拡張可能材料410を拡張状態と収縮状態との間で変化させることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、複数のスロット414は、拡張可能材料410が収集状態に移行するときに、拡張可能材料410が、管状構造412内から押し出され、管状構造412を通って外側に拡張できるようなサイズ及び形状とすることができる。複数のスロット414は、拡張可能材料410がそれを通って突出することを可能にする形状の任意の組み合わせを含むことができる。複数のスロット414は、加圧に応答して、拡張可能材料210が複数のスロット414の寸法を通り抜けて外側に拡張するのに十分な空間を提供するように離間することができる。同様に、管状構造412は、拡張可能材料410がそれを通って拡張するときにその形状を維持するのに十分な剛性を有することができる。いくつかの実施形態では、拡張可能材料410は、管状構造412の円周よりも小さい第1の円周から、管状構造412の円周よりも大きい第2の円周まで拡張するように構成することができる。拡張可能材料410の形状に応じて、拡張可能材料の一部が拡張して複数のスロット414を超えると、例えば
図4Bに示すように、半径方向に更に拡張することができる。半径方向の拡張は、拡張可能材料410上の収集のためのより大きな表面積を提供することができる。
【0037】
続いて
図4Aから
図4Cを参照すると、いくつかの実施形態では、収集機構102は、例えば、細胞110を収集するための収集面を有することができる。収集面は、所望の物質を捕捉するように設計されたテクスチャ、表面材料、形状などの任意の組み合わせを有する拡張可能材料410を含むことができる。そのような材料の例は、所望の物質を捕捉し、付着させ、そして回収するために保持することを容易にすることができる形状記憶発泡体、連続気泡発泡体、編物材料、様々な布地材料、フック及びループシステム、ガーゼ、又は任意の他の粗面化又はテクスチャ加工された表面材料を含むことができるが、これらに限定されない。拡張可能材料410は、物質を移動させてその表面に付着させ、そして、回収するために物質をその表面に維持するように構成することができる。いくつかの実施形態では、収集機構102は、体内のナビゲーション及び/又は物質の収集を補助するコーティングを含むことができる。例えば、管状構造412は、拡張可能材料410のナビゲーション及び移動のために潤滑コーティングを有することができ、拡張可能材料410は、ターゲット細胞110を引き付ける/付着させるコーティングを含むことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、内部拡張可能材料410は、例えば、
図4Cに示すように、回収状態に移行したときに、複数のスロット414内及び管状構造412内に収縮するように構成することができる。回収状態にあるとき、身体108から収集装置102を取り除く間に、収集された物質を保護することができる。
【0039】
搬送機構104、管状構造412、及び拡張可能材料410の組み合わせを使用して、システム100を異なる状態に移行させて、本開示の収集プロセスを実行することができる。
図4Bに示すように、システム100が収集の所望の部位(例えば、身体108内)に配置されると、収集機構102は収集状態に移行することができる。収集機構102を収集状態に変換するために、いくつかの実施形態では、搬送機構104を介して拡張可能材料410に圧力又は熱エネルギーを加えて、管状構造412間の複数のスロット414を通して拡張可能材料410を拡張させることができる。拡張可能材料410は、管状構造412よりも大きな円周のサイズまで、複数のスロット414によって規定される領域の外側へ拡張し続けることができる。拡張可能材料410が拡張した形状である状態では、
図4Bに示すように、拡張可能材料410の表面は、身体108の側面と接触するように配置され、身体上の物質を収集することができる。例えば、収集機構102は、身体108の管腔に挿入され、加圧されて拡張し、身体108の側壁に接触して、細胞110を拡張可能材料410の表面に収集することができる。
【0040】
図4Cを参照すると、いくつかの実施形態では、収集が行われた後、拡張可能部材410を回収状態に移行させることができる。収集機構102を回収状態に変換するために、いくつかの実施形態では、搬送機構104を介して、拡張可能材料410に負圧を加えるか(又は正圧の適用を撤去する)又は拡張可能材料410への熱エネルギーを終了させることができ、これによって、管状構造412の複数のスロット414を通して拡張可能な材料410を収縮させる。拡張可能材料410は、管状構造412の円周よりも小さい円周のサイズに、管状構造412によって規定される領域内に収縮し続けることができる。拡張可能材料410が収縮又は弛緩した形状である状態では、
図4Cに示されるように、拡張可能材料410の表面上の収集された物質を、収集機構102が取り除かれる間に保護することができる。例えば、拡張可能材料410の表面に付着した細胞110は、管状構造412内に保護するように、拡張可能材料によって引っ張られ、複数のスロット414の間に形成された凹部内に入ることができる。
【0041】
正圧及び負圧の適用は、当技術分野で知られているシステム又は方法の任意の組み合わせを使用して適用することができる。例えば、自動又は手動システムの任意の組み合わせを使用することによって、ポンプ、油圧装置、ピストンなどの任意の組み合わせを作動することができる。例えば、注射器を使用して、正圧を生成するために、(搬送機構104を介して)収集機構102に流体を加え、負圧を生成するために、収集機構102から流体を除去することができる。同様に、収集機構102への熱エネルギーの適用は、当技術分野で知られているシステム又は方法の任意の組み合わせを使用して提供することができる。
【0042】
図4Dを参照すると、いくつかの実施形態では、拡張可能材料410は、管状構造412の周りに巻き付けることができ、複数のスロット414内に少なくとも部分的に引っ込めることができる。この構成では、収集状態において、拡張可能材料410は、管状構造412から複数のスロット414の外へ、半径方向において外向きに拡張して、例えば、
図3Cに示す形状と同様に、実質的に均一な収集形状を形成することができる。
図4Dに示す構成において、拡張可能材料410は、収集状態にあるとき、形状の任意の組み合わせを有することができる。形状に関わらず、物質が弾性部材の表面に収集された後、
図4Aから
図4Cを参照して説明したように、負圧を加えるか、又は熱エネルギーを終了させることで、拡張可能材料410を実質的に管状構造412の周り及び複数のスロット414内に収縮させることができる。
【0043】
図5Aから
図5Cを参照すると、いくつかの実施形態では、収集機構102は、内部に複数のストラット(struts)、例えば、軸方向のカット514を有する管状構造512であることができる。管状構造512は、力の適用に応じて管状構造512が屈曲するか又は曲がることを可能にする材料の任意の組み合わせにより構成することができる。例えば、管状構造512は、ニチノールを含む金属材料から作ることができる。一実施形態では、管状構造512は、曲がって拡張する弾性ニチノールカットストラットから作ることができる。複数の軸方向のカット514は、例えば、
図5Bに示すように、管状構造512が曲がることを可能にするようなサイズ及び形状とすることができる。代替の実施形態では、管状構造512は、軸方向のカット514の代わりに、
図5Cに示すように、螺旋状ストラット516を設けることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、管状構造512は、管状構造512の中心軸に沿って力が加えられると曲がるように構成することができる。例えば、当該力(すなわち、軸力)は、遠位端及び/又は近位端に加えられて、中心軸に沿って線形的に遠位端と近位端とを互いに向かって押すことができる。管状構造512の遠位端と近位端とが中心軸に沿って互いに向かって線形的に押されるか又は引っ張られると、管状構造512の中間部分は、端部の前進に対応するように中心軸から離れて半径方向に曲がることができる。このような構成では、軸力を取り除くか、中心軸に沿って遠位端と近位端とを互いに離れるように押すことによって、曲がりのない状態(non-bow state)又は折り畳まれた状態(collapsed state)に回復させることができることを理解されたい。また、
図5B及び
図5Cにより提供される設計を示しているが、管状構造512上のストラット514又はストラット516、及びそれらの構成は、ストラットが中心軸から半径方向に曲がることができる限り、任意の構成を組み込むことができることを理解されたい。
【0045】
いくつかの実施形態では、管状構造512は、超弾性材料から構成することができ、当該超弾性材料は、管状構造512の内側から、軸を離れるように半径方向外向きに適用される内力を受けたときに曲がるように構成することができる。内力は、管状構造512内に配置される拡張可能材料510によって適用することができる。拡張可能材料510は、管状構造512の内部から半径方向の拡張を引き起こすことができる。管状構造512の直径は、拡張可能な材料510の拡張に対応することができる。このような設計では、適用された力を除去することによって、曲がりのない状態又は折り畳まれた状態に戻ることができることを理解されたい。
【0046】
いくつかの実施形態では、拡張可能材料510は、そこに加えられる正圧と負圧とのそれぞれに応答して拡張と収縮とをするように構成することができる。例えば、正圧と負圧とは、本明細書でより詳細に述べたように、拡張可能材料510と流体的連通する搬送機構104によって拡張可能材料510に加えることができる。正圧及び負圧の適用は、当技術分野で知られているシステム又は方法の任意の組み合わせを使用して適用することができる。例えば、自動又は手動システムの任意の組み合わせを使用することによって、ポンプ、油圧装置、ピストンなどの任意の組み合わせを作動することができる。例えば、注射器を使用して、正圧を生成するために、(搬送機構104を介して)収集機構102に流体を加え、負圧を生成するために、収集機構102から流体を除去することができる。
【0047】
図5Aに示すように、収集機構102は、
図5Aに示すナビゲーション/回収状態と、
図5B及び
図5Cに示す収集状態との間で移行することができる。収集状態にあるとき、管状構造512と拡張可能材料510とのいくつかの組み合わせは、1つ又は複数の収集面を有することができる。例えば、管状構造512の端部は、拡張可能な材料510上で断片化された細胞(scrapped cells)110を収集するために、身体108の表面をスクラップする(scrap)ように使用することができる。管状構造512及び/又は拡張可能材料510は、テクスチャ、表面材料、形状などの任意の組み合わせで構成することができ、所望の物質を捕捉し、その表面に物質を付着させ、そして回収するために(例えば、保護される回収状態で)その物質を表面に維持するように構成することができる。そのような材料の例は、所望の物質を捕捉し、付着させ、そして回収するために保持することを容易にすることができる形状記憶発泡体、連続気泡発泡体、編物材料、様々な布地材料、フック及びループシステム、ガーゼ、又は任意の他の粗面化又はテクスチャ加工された表面材料を含むことができるが、これらに限定されない。収集機構102はまた、体内のナビゲーション及び/又は物質の収集を補助するコーティングを含むことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、管状構造512は、当技術分野で知られている任意の形状記憶材料であって、当該形状記憶材料は、自然状態で曲がった状態にデフォルトすることができ、スリーブ516が拡張可能材料510の上に配置され、管状構造512を曲がりのない状態又は折り畳まれた状態に圧縮することができる。このようにして、対象部位において、スリーブ516が取り外されると、管状構造512は、曲がった状態又は拡張状態に戻ることができる。
【0049】
別の実施形態では、管状構造512は任意の形状記憶材料から作ることができ、自然状態では、管状構造512は曲がりのない状態又は折り畳まれた状態にある。この実施形態では、管状構造512は、当技術分野で知られている材料から作ることができ、当該材料は、熱エネルギーを加えることで、管状構造512を折り畳まれた状態から拡張状態に移行させることができる。熱エネルギーの適用が終了すると、管状構造512はその折り畳まれた状態に戻ることができる。更なる実施形態では、管状構造512は、形状記憶材料から作ることができ、その自然状態では、折り畳まれた状態又は曲がりのない状態にある。この実施形態では、管状構造512は、当技術分野で知られている材料から作ることができ、周囲付近で熱に晒されると、管状構造512を折り畳まれた状態から拡張状態に移行させることができる。その目的のために、スリーブを使用して折り畳まれた状態の管状構造512を覆い、熱に晒されること及びその後の拡張が所望されるまでに、周囲の熱から管状構造を保護することができる。
【0050】
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、収集機構102は、形状記憶を有する管状構造612と、複数のタイン(tines)614を形成する複数のカットとを含むことができる。例えば、管状構造612は、ニチノールを含む金属材料から作ることができる。一実施形態では、管状構造612は、予め形成された形状を有する弾性ニチノールにより構成ことができる。いくつかの実施形態では、管状構造612の複数のタイン614は、
図6に示すように、自然に外側に広がるように構成することができる。管状構造612は、力の適用に応答して複数のタイン614が折り曲がるか又は屈曲することを可能にする材料の任意の組み合わせから構成することができる。複数のタイン614は、中心軸から自然に、及び/又は、例えば、内部の又は外部の力の適用に応じるか又は熱エネルギーに応じて扇形に広がるように構成することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、収集機構102は、管状構造612の上に配置され、管状構造612及び複数のタイン614の上をスライドするようにサイズ及び形状設計された保護シース616を備えることができる。シース616は、シース616を複数のタイン614上でスライドさせてタインをシース616の直径に実質的に一致させるように、複数のタイン614の形状を制御することができる材料の任意の組み合わせにより構成することができる。同様に、シース616を取り除くと、複数のタイン614が、管状構造612の主幹から外向きに広がり、例えば、記憶された形状になる。いくつかの実施形態では、複数のタイン614の遠位端は、先細りの形状で構成することができる。これによって、複数のタイン614の遠位端は、複数のタイン614の残りの部分よりも小さい直径に収縮して、回収状態の間の保護を提供することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、拡張可能材料610を管状構造612内に配置することができる。拡張可能材料610は、拡張時に複数のタイン614を押し出して、その形状を制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、拡張可能材料610は、拡張可能材料610が収縮時に複数のタイン614を内側に引っ張るように、複数のタイン614に繋ぐことができる。いくつかの実施形態では、拡張可能材料610は、それに加えられた正圧及び負圧のそれぞれに応答して拡張及び収縮するように構成することができる。例えば、正圧及び負圧は、本明細書でより詳細に説明したように、拡張可能材料610と流体的連通している搬送機構104によって拡張可能材料610に加えることができる。正圧及び負圧の適用は、当技術分野で知られているシステム又は方法の任意の組み合わせを使用して適用することができる。例えば、自動又は手動システムの任意の組み合わせを使用することによって、ポンプ、油圧装置、ピストンなどの任意の組み合わせを作動することができる。例えば、注射器を使用して、正圧を生成するために、(搬送機構104を介して)収集機構102に流体を加え、負圧を生成するために、収集機構102から流体を除去することができる。
【0053】
図6を参照すると、収集機構102は、
図6に示すように、ナビゲーション/回収状態と収集状態との間で移行することができる。ナビゲーション状態から収集状態への移行は、シース616を複数のタイン614から遠ざけるようにスライドさせて複数のタイン614を扇状に広げることと、又は、拡張可能材料610を加圧して複数のタイン614を外側に押すこととの任意の組み合わせによって達成することができる。収集状態にあるとき、複数のタイン614と拡張可能材料610とのいくつかの組み合わせは、1つ又は複数の収集面を有することができる。管状構造612、複数のタイン614、及び/又は拡張可能材料610は、テクスチャ、表面材料、形状などの任意の組み合わせで構成することができ、所望の物質を捕捉し、その表面に物質を付着させ、そして回収するためにその物質を表面に維持するように構成することができる。収集機構102はまた、体内のナビゲーション及び/又は物質の収集を補助するコーティングを含むことができる。例えば、管状部材612のタインのない部分は、潤滑コーティングを含むことができる。複数のタイン614と拡張可能材料610との両方は、細胞収集のために組み合わせて機能するように構成することができる。例えば、複数のタイン614の縁部は、拡張可能な材料610上で断片化された細胞(scrapped cells)110を収集するために、身体108の表面をスクラップする(scrap)ように使用することができる。
【0054】
続けて、
図6に示されるように、収集機構102は、収集状態からナビゲーション/回収状態に戻ることができる。ナビゲーション状態への移行は、シース616を複数のタイン614に向かって、複数のタイン614上をスライドさせて、複数のタイン614を圧縮してより小さな円周に戻させることと、又は拡張可能材料610に負圧を加えて、複数のタイン614を引っ張るか又は内側に戻させることとの任意の組み合わせによって達成することができる。いくつかの実施形態では、複数のタイン614の遠位端は、回収状態にあるとき、複数のタイン514及びシース516の残りの部分よりも小さい直径に収縮することができる。複数のタイン514の遠位端が残りのタイン及びシース516よりも小さい円周を有するとき、複数のタイン514の圧縮は、その上に収集された物質(例えば、シースによってスクラップされたもの)を失うことなく行うことができる。いくつかの実施形態では、シース516は、内視鏡内のルーメンに置き換えることができる。
【0055】
図7Aから
図7Cを参照すると、いくつかの実施形態では、収集機構102は、搬送機構104の遠位端712内に配置することができる。一実施形態では、収集機構102は、マンドレルロッド(mandrel rod)714と、細胞のサンプリング又は収集のための複数のばね鋼アーム710とを含む。マンドレルロッド714及び複数のばね鋼アーム710は、遠位端712内に配置することができ、搬送機構104のキャビティ内で移動するように構成することができる。複数のばね鋼アーム710は、その上に細胞収集面を形成することができる。いくつかの実施形態では、複数のばね鋼アーム710のそれぞれの近位端は、マンドレルロッド714の遠位端に結合することができる。マンドレルロッド714を使用して、複数のばね鋼アーム710を前進させて遠位端712から突出させることができる。複数のばね鋼アーム710が遠位端712から突出したとき、アーム710は、例えば、
図7Bに示すように、マッシュルームの形状に広がることができる。複数のばね鋼アーム710が遠位端712の外側に広がると、複数のばね鋼アーム710は、
図7Cに示すように、対象部位でその外面に接触してその上の物質を収集することができる。同様に、収集された材料の保護及び安全な収集のために、複数のばね鋼アーム710は、マンドレルロッド714をアームの近位端に向かって引き戻すことによって、
図7Dに示すように、遠位端712に(例えば、保護された回収状態で)後退させることができる。
【0056】
次に、
図8Aから
図8Cを参照すると、細胞を収集するシステム100の別の実施形態が示されている。システム100は、一実施形態では、収集機構102を搬送機構104の遠位端812内に配置できるように構成することができる。一実施形態では、収集機構102は、マンドレルロッド814と、細胞のサンプリング又は収集のための傘形の機構810とを含む。マンドレルロッド814と傘形の機構810は、
図8Aに示すように、反転されて折り畳まれた状態で遠位端812内に配置することができ、搬送機構104のキャビティ内で移動及び移行するように構成することができる。傘形の機構810は、
図8Bに示されているように、複数のアーム815を含み、複数のアーム815のそれぞれは、細胞収集面816を有する。細胞収集面816は、傘形の機構810が搬送機構104の遠位端812を越えて前進し、ひっくり返されて拡張された状態に移行したときに露出することができる。図示のように、複数のアーム815は、それらの近位端においてマンドレルロッド814の遠位端に結合することができる。一実施形態では、マンドレルロッド814を使用して、
図8Bに示すように、傘形の機構810を前進させて遠位端812から突出させることができる。搬送機構104の遠位端812を越えてひっくり返されて拡張された状態では、アーム815は、それらの外面816が対象部位に接触して物質、例えば、細胞を収集できるように操縦することができる。材料が収集された後、収集された材料を保護するために、マンドレルロッド814を引っ込めて、傘形の機構810及びそのアーム815を、
図8Cに示すように、反転されて折り畳まれた状態で遠位端812に引き戻すことができる。
【0057】
次に、
図9Aから
図9Bを参照すると、システム100は、固定装置、例えば、バルーン901を更に含むことができる。バルーン901は、固定システム100が食道などの体管900内の適所に留まることを補助するように構成されている。これは、治療中に、収集機構102を対象部位902から移動又は移行させる可能性がある多くの力が存在する場合があるためである。例えば、嚥下又は吐き気などに関連する筋肉収縮は、収集機構102を押したり引いたりすることができ、それによって収集機構を体管900で上下に移動させることができる。同様に、システム100のオペレーターが治療中に搬送機構104を不注意に押したり引いたりすることによって、収集機構102は対象部位から離れることがある。これは、オペレーターが収集機構102を対象部位に係合させる必要がある場合には特に問題となる可能性がある。更に、収集機構102は、収縮した状態で対象部位まで前進し、そして治療中に膨張することがよくある。収集機構102が拡張するにつれて、特に体管900のその部分が不均一な直径を有する(例えば、狭くなる又は広くなる)場合、収集機構102が対象部位から離れて移動する可能性がある。
【0058】
バルーン901は、一実施形態では、
図9Aに示すように、バルーン901が収集機構102の遠位に配置されるように、収集機構102から軸方向に離間することができる。バルーン901は、その構成により、搬送機構104及び収集機構102の後退を阻止することによって、固定収集機構102が体管900内の所定の位置に留まるのを補助するように構成することができる。そのような構成では、バルーン901は、体管900の開口部903の直径よりも相対的に大きい寸法に拡張するように構成されてもよく、これにより、バルーン901が開口部903を超えて配置されて拡張されたときに、バルーン901が開口部903を通って引き抜かれるのを防ぐことができる。バルーン901及び収集機構102は搬送機構104に連結されているため、したがって、例えば、対象部位902における収集機構102の位置は、体管900内で確保することができる。
【0059】
一例として、
図9Aに示すように、バルーン901は、食道が胃に結合する胃食道接合部の開口部903を越えて配置することができる。バルーン901は、胃食道接合部を越えて胃内に配置され、開口部902の直径よりも大きい寸法まで胃内で拡張することができる。膨張すると、バルーン901は、胃食道接合部の開口部902を通って戻ることができず、したがって、バルーン901は、運搬機構104及び収集機構102が食道から引っ張られ、対象部位903から離れるのを防ぐように機能することができる。
【0060】
バルーン901を拡張するために、搬送機構104は、一実施形態では、バルーン901と流体的連通する管腔904を備えて、流体、例えば、気体、液体などをバルーン901内に導入してバルーン901を拡張させることができる。収集機構102が拡張可能な本体であることを理解されたい。管腔904は、搬送機構104に沿って、管腔905とは別個の管腔として設けることができる。管腔905は、少なくとも1つの側面開口部906を介して収集機構102に流体を導入するために使用される。
【0061】
更に、
図9Aに示すように、収集機構102とバルーン901との間の軸方向距離は、操作手順に応じて、バルーン901が開口部903を越えて配置されたとき、収集機構102は、対象部位902に隣接して配置できるように設けることができる。例えば、下部食道を治療する場合、下部食道は、胃食道接合部の開口部903に近く、固定のためにバルーン901を、開口部903を越えて配置するため、収集機構102とバルーン901との間の軸方向距離は比較的小さくてもよい。逆に、上部食道を治療する場合、上部食道は胃食道接合部の開口部903から離れており、固定のためにバルーン901を、開口部903を越えて配置するため、収集機構102とバルーン901との間の軸方向距離は比較的大きく設けることができる。そのために、本発明の様々な実施形態によれば、患者の食道の平均的長さが約25センチメートルであると仮定すると、下部食道を治療する場合、収集機構102とバルーン901との間の軸方向距離は、約0から5センチメートルの範囲であり、中部食道を治療する場合、約5から15センチメートルの範囲であり、上部食道を治療する場合、約15から25センチメートルの範囲である。当然ながら、収集機構102とバルーン901との間の軸方向距離の変動は、本開示の範囲内で想定され、当業者は、本開示の教示及び人体解剖学に関する一般的な知識を考慮して、具体的な用途に応じて適切な軸方向距離を認識するであろう。
【0062】
次に、
図9Bを参照すると、一実施形態では、システム100内の収集機構102とバルーン901との間の軸方向距離の変更を容易にするために、バルーン901は、収集機構102が結合された搬送機構104の管腔905内にスライド可能に配置される細長い部材907に結合することができる。細長い部材907は、一実施形態では、バルーン901を拡張するために流体をバルーン901に導入することができる経路908を備えることができる。この実施形態では、収集機構102が搬送機構104に連結され、バルーン901が搬送機構104の管腔905内にスライド可能に配置される細長い部材907に結合されているため、バルーン901が拡張され、胃食道接合部の開口部903に対して固定されると、収集機構102とバルーン901との間の軸方向距離は、食道などの体管内で収集機構102を拡張する前に、収集機構102をバルーン901から遠ざけたり近づけたりすることによって調整することができる。収集機構102は、
図9Bに示すように、拡張可能な本体であるべきであることを理解されたい。拡張可能な本体は、搬送機構104に対してしっかりと封止されて、拡張可能な本体内からの流体の漏れを確実に防止することができる。細長い部材907は、例えば、収集機構102に長手方向/軸方向の剛性を追加することと、システム100の遠位部分への導管アクセスを提供することと、及び/又は遠位固定バルーンを膨張させるか又は収縮させるための導管を提供することとを含む目的のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを果たすことができる。
【0063】
所望に応じて、本発明の実施形態によれば、収集機構102とバルーン901との間の距離を容易に決定することを可能にするマーキング909を細長い部材907に設けることができる。当然ながら、マーキング909は、体管900内の収集機構102の位置を適切に表示するために利用することもできる。一実施形態では、マーキング909は、当技術分野で知られている画像化方法により容易に識別可能な材料で提供することができる。例えば、マーキングに使用される材料は、蛍光剤、発光物、又は、超音波、内視鏡検査、蛍光透視検査など、当技術分野で利用可能な画像処理プロトコルによって容易に識別される任意の材料で構成することができる。様々な実施形態において、細長い部材907は、例えば、収集機構102に長手方向/軸方向の剛性を追加することと、システム100の遠位部分への導管アクセスを提供することと、及び/又は遠位固定バルーン901を膨張させるか又は収縮させるための導管を提供することとを含む目的のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを果たすことができる。更に、所望に応じて、搬送機構104の動きとは無関係に収集機構102の動きを容易にすることができるように、
図9B又は本明細書のいずれかの図に示す実施の形態を当技術分野で知られている設計で構成することができる。
【0064】
固定装置(例えば、バルーン901)は、収集機構102の遠位に位置するように示されているが、代わりに、固定装置(例えば、バルーン901)は、収集機構102の近位に配置されてもよいことを理解されたい。このような実施形態では、収集機構102が対象部位902に配置されると、バルーン901を拡張することができる。これによって、対象部位902に対する収集機構102の位置を固定し、対象部位902から離れて開口部903を通って外に出るような収集機構102の移動を最小限に抑えるか又は排除する。
【0065】
更に、バルーン901として開示しているが、固定装置は、一般に、収集機構102に関連して上述した膨張可能又は拡張可能な構成のいずれかを具現化できることを理解されたい。また、固定装置は、胃食道接合部の開口部903よりも比較的大きい直径に拡張して固定装置をそこに固定することができる限り、任意の幾何学的設計で構成することができることを理解されたい。更に、本明細書の固定装置は、本出願で開示又は図示される実施形態又は設計のいずれかに関連して使用することができる。
【0066】
動作中に、本開示のシステム100は、体内の物質の収集に使用することができる。システム100の構造及び構成に応じて、収集機構(例えば、収集機構102)は、ナビゲーション状態、収集状態、及び回収状態のうちの少なくとも1つの間で変換可能である。異なる状態は、具体的な目的のために利用するように、収集機構102及び/又はシステム100の他の構成要素を変更することができる。例えば、ナビゲーション状態は、収集機構102のサイズ及び/又は形状を変更して、収集機構102を体内又は体外の所望の位置に安全且つ快適に誘導することができる。別の例では、収集状態は、収集機構102のサイズ及び/又は形状を変更して、所定の場所で安全且つ快適に収集機構102を使用して所望のサンプリング物質を収集することができる。別の例では、回収状態は、収集機構102のサイズ及び/又は形状を変更して、サンプリングされた物質を保護するとともに、システム100を身体から安全且つ快適に除去するための収集機構102のサイズ及び/又は形状を提供することができる。回収状態もまた可逆又は変換可能である必要がある。これによって、例えば、システム100が身体から取り除かれた後、保護されたサンプルを取得して、例えば、分析/試験することができる。
【0067】
システム100は、先ず収集機構102をナビゲーション状態で身体108内に挿入することによって、細胞収集に使用することができる。収集機構102は、身体108内で、サンプリングされる領域を含む関心のある場所までナビゲートすることができる。収集機構102は、細胞収集の対象部位に誘導された後、作動機構106によって作動することができる。いくつかの実施形態では、作動機構106を使用して、収集機構102のナビゲーション状態から収集状態への変換を開始することができる。収集状態になると、収集メカニズム102は細胞収集サイトにあり、収集メカニズム102は、身体108と接触し、収集メカニズム102の少なくとも1つの表面上に細胞を収集することができる。いくつかの実施形態では、収集機構102を様々な方法で動かすことによって、収集を補助することができる。例えば、収集機構102は、細胞110を良好に収集するように、垂直又は水平に平行移動(すなわち、前後に移動)、/又は回転、又はそれらの組み合わせの動きをすることが可能である。更に、細胞の収集を最適化するために、収集機構102は、対象部位の位置及び向きに応じて、対象部位の周囲に約1cm未満から約5cmまでの範囲で、身体108などの血管壁に沿って垂直方向(すなわち、軸方向)又は水平方向に平行移動するようにすることができる。加えて、又は代わりに、収集機構は、例えば、作動機構106の補助によって振動することができる。
【0068】
収集機構102の移動は、搬送機構104及び収集機構102がアセンブリとして移動することによって達成できることを理解されたい。別の実施形態では、収集機構102は、例えば、作動機構106を介して、搬送機構104とは独立して個別に移動することができる。例えば、作動機構106は、搬送機構104に沿って延びるワイヤ又は細長い部材であることができ、その遠位端で収集機構102に結合することができる。そのようにして、収集機構102の移動は、搬送機構104とは独立した作動機構106によって制御することができる。
【0069】
収集が達成されると、収集メカニズム102は、収集状態から回収状態に変換することができる。変換は、作動機構を作動して、収集機構102を収集状態と回収状態との間で変換させることによって開始することができる。収集機構102が回収状態にあるとき、収集された細胞を保護するように、任意の収集された物質を収集機構102内に配置することができる。その後、収集機構102は、収集された物質(例えば、細胞110)の回収及び分析のために取り除くことができる。
【0070】
本明細書で使用されるとき、用語「comprises」及び「comprising」は、排他的ではなく包括的であると解釈されることを意図している。本明細書で使用される用語「例示(exemplary)」、「例(example)」、及び「illustrative」は、「例示(example)、instance、又はillustrationとして利用する」ことを意味することを意図しており、他の構成と比較して好ましい又は有利な構成を示すか、又は示していないこととして解釈されるべきではない。本明細書で使用されるとき、「約(about)」、「一般的に(generally)」、及び「概ね(approximately)」という用語は、特性、パラメータ、サイズ、及び寸法の変動など、主観的又は客観的な値の範囲の上限及び下限に存在し得る変動をカバーすることを意図している。非限定的な一例において、「約」、「一般的に」、及び「概ね」という用語は、+10パーセント以下、又は-10パーセント以下を意味する。非限定的な一例において、「約」、「一般的に」、及び「概ね」という用語は、関連分野の当業者によって考えられるほど十分に近い意味を含む。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、当業者によって理解されるように、作用、特性、特性、状態、構造、項目、又は結果の完全又はほぼ完全な範囲若しくは程度を指す。例えば、「実質的に」円形である物体は、物体が数学的に決定可能な限界まで完全に円であるか、又は当業者によって認識若しくは理解されるようにほぼ円であることを意味する。絶対的な完全性からの逸脱の正確的な許容範囲は、具体的な状況に依存する場合がある。しかし、一般的に、仮に絶対的且つ完全な完成が達成され又は獲得された場合と同様な全体的結果を有するとき、完全性に近いと言える。当業者に理解されるように、「実質的に」の使用は、作用、特性、特性、状態、構造、項目、又は結果の完全若しくはほぼ完全な欠如を指す否定的な意味合いで使用される場合にも同様に適用可能である。
【0071】
前述の説明を考慮すれば、本開示の多数の修正及び代替的実施形態が当業者には明らかであろう。したがって、本説明は、単に例示として解釈されるべきであり、本開示を実行するための最良の形態を当業者に教示することを目的としている。構造の詳細は、本開示の精神から逸脱することなく大幅に変更することができ、また、添付の請求項の範囲内にある全ての変更に係る排他的使用が保護される。本明細書において、実施形態は、明確且つ簡潔に記述できるように記載されているが、本発明から逸脱することなく、実施形態を様々な組み合わせ又は分離をすることができると意図されており、理解されるであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲及び適用される法の規則によって必要とされる範囲にのみ限定されることが意図されている。
【0072】
以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載された本発明の全ての一般的及び特有な特徴をカバーするものであることも理解されるべきである。また、発明の範囲の全ての記述、言語の問題として、それに含まれる。
【国際調査報告】