(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】ソフトスイッチング電流形コンバータを制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512142
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 US2021046919
(87)【国際公開番号】W WO2022040537
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504466834
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】メイジャー,ミカエル ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】カンデュラ,ラジェンドラ プラサド
(72)【発明者】
【氏名】ディバン,ディーパック エム.
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730BB23
5H730BB62
5H730CC02
5H730DD02
5H730FD21
5H730FF05
5H730FF19
(57)【要約】
本開示の例示的な実施形態は、ソフトスイッチング電流形コンバータと共に使用するための共振モジュールおよび感知回路を提供する。共振モジュールは、共振スイッチと、共振インダクタと、共振コンデンサとを備える。共振インダクタは、共振スイッチと電気的に直列に接続されている。共振コンデンサは、直列接続された共振スイッチおよび共振コンデンサと並列に接続されている。共振モジュールは、第1および第2の感知回路をさらに備える。第1の感知回路は、共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が負であることを示す第1の感知信号を生成するように構成されている。第2の感知回路は、共振コンデンサの両端間の電圧が所定の閾値以下であることを示す第2の感知信号を生成するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトスイッチング電流形コンバータと共に使用するための共振モジュールであって、
共振スイッチと、
前記共振スイッチと電気的に直列に接続されている共振インダクタと、
前記直列に接続されている共振スイッチおよび共振コンデンサと並列に接続されている共振コンデンサと、
前記共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が負であることを示す第1の感知信号を生成するように構成されている第1の感知回路と、
前記共振コンデンサの両端間の電圧が所定の閾値以下であることを示す第2の感知信号を生成するように構成されている第2の感知回路と、を備える共振モジュール。
【請求項2】
前記第1の感知信号を前記ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラに送信するように構成されている、請求項1に記載の共振モジュール。
【請求項3】
前記第2の感知信号を前記ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラに送信するように構成されている、請求項1に記載の共振モジュール。
【請求項4】
前記共振スイッチを制御するように構成されている制御論理回路をさらに備える、請求項1に記載の共振モジュール。
【請求項5】
前記制御論理回路は、前記第1および第2の感知信号を受信し、前記第1および第2の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、前記共振スイッチを制御するように構成されている、請求項4に記載の共振モジュール。
【請求項6】
前記制御論理回路は、前記第2の感知信号が前記共振コンデンサの両端間の電圧が前記所定の閾値以下であることを示すとき、前記共振スイッチをオンにして、前記共振インダクタと前記共振コンデンサとの間での共振を開始するように構成されている、請求項5に記載の共振モジュール。
【請求項7】
前記制御論理回路は、前記ソフトスイッチング電流形コンバータの1つまたは複数の他の共振モジュール間で感知信号を送受信するようにさらに構成されている、請求項6に記載の共振モジュール。
【請求項8】
前記所定の閾値は可変値である、請求項1に記載の共振モジュール。
【請求項9】
前記制御論理回路および前記ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラのうちの少なくとも1つは、前記第1の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、前記所定の閾値を変更するように構成されている、請求項8に記載の共振モジュール。
【請求項10】
前記制御論理回路および前記ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラのうちの少なくとも1つは、前記ソフトスイッチング電流形コンバータのスイッチングサイクルの共振フェーズの後のゼロ電圧スイッチング遷移状態の間に、前記共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が所定の期間よりも長い期間にわたって負であることを前記第1の感知信号が示す場合、前記所定の閾値を増加するように構成されている、請求項9に記載の共振モジュール。
【請求項11】
前記制御論理回路および前記ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラのうちの少なくとも1つは、前記ソフトスイッチング電流形コンバータのスイッチングサイクルの共振フェーズの後のゼロ電圧スイッチング遷移状態の間に、前記共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が前記所定の期間よりも短い期間にわたって負であることを前記第1の感知信号が示す場合、前記所定の閾値を減少するように構成されている、請求項10に記載の共振モジュール。
【請求項12】
前記ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラは、前記ソフトスイッチング電流形コンバータのスイッチングサイクルの共振フェーズの後に、前記共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が負であることを前記第1の感知信号が示す場合、前記ソフトスイッチング電流形コンバータの前記ブリッジの少なくとも1つにおける少なくとも1つのスイッチをオンにして、次のアクティブスイッチング状態に遷移するように構成されている、請求項1に記載の共振モジュール。
【請求項13】
前記ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラは、前記第1の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、前記所定の閾値を変更するように構成されている、請求項8に記載の共振モジュール。
【請求項14】
前記所定の閾値は固定値である、請求項1に記載の共振モジュール。
【請求項15】
前記第1の感知回路は、前記共振コンデンサと並列に接続されている、請求項1の共振モジュール。
【請求項16】
前記第1の感知回路は、オプトカプラと直列に接続された感知抵抗器を備える、請求15に記載の共振モジュール。
【請求項17】
前記直列に接続された感知抵抗器および前記オプトカプラは、ツェナーダイオードと逆並列に接続されている、請求項16に記載の共振モジュール。
【請求項18】
前記直列に接続された感知抵抗器および前記オプトカプラはさらに、バイアス抵抗器と並列に接続されている、請求項17に記載の共振モジュール。
【請求項19】
感知コンデンサが、前記直列に接続された感知抵抗器およびオプトカプラと直列に接続され、前記感知コンデンサと前記直列に接続された感知抵抗器およびオプトカプラとの直列接続が、前記共振コンデンサと並列に接続されている、請求項18に記載の共振モジュール。
【請求項20】
前記オプトカプラは、前記第1の感知信号を生成するように構成されている、請求項17に記載の共振モジュール。
【請求項21】
前記ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラとインターフェース接続するように構成されている通信リンクをさらに備える、請求項1に記載の共振モジュール。
【請求項22】
前記第2の感知回路は、前記共振コンデンサと並列に接続されている、請求項1の共振モジュール。
【請求項23】
前記第2の感知回路は、基準コンデンサと、直列オプトカプラ感知回路と、直列感知抵抗器と、直列ダイオードとを備える、請求項22に記載の共振モジュール。
【請求項24】
前記第2の感知回路は、前記基準コンデンサと並列に接続された放電回路をさらに備える、請求項23に記載の共振モジュール。
【請求項25】
前記放電回路は、直列に接続された制御可能スイッチおよび放電抵抗器をさらに備える、請求項24に記載の共振モジュール。
【請求項26】
前記放電回路を絶縁し、給電するように構成されている、絶縁DC/DCコンバータをさらに備える、請求項25に記載の共振モジュール。
【請求項27】
前記放電回路の制御可能スイッチを制御し、前記所定の閾値を制御する制御論理回路であって、比較回路と、デジタルアイソレータと、周波数-電圧変換回路とを備える制御論理回路をさらに備える、請求項24に記載の共振モジュール。
【請求項28】
前記第2の感知回路は、電圧基準を提供するツェナーダイオードと、オプトカプラ感知回路と、直列感知抵抗器と、直列ダイオードと、容量性分圧器とを備える、請求項22に記載の共振モジュール。
【請求項29】
前記第2の感知回路は、反対向きの少なくとも2つのツェナーダイオードの直列接続と、直列感知抵抗器と、直列オプトカプラ感知回路と、容量性分圧器と、抵抗性分圧器とを備える、請求項22に記載の共振モジュール。
【請求項30】
前記ソフトスイッチング電流形コンバータは、DCリンクを備え、
前記共振モジュールは、前記DCリンクと並列に電気的に接続されている、請求項1に記載の共振モジュール。
【請求項31】
前記共振モジュールと前記DCリンクとの間に直列に接続されたリーク管理ダイオードをさらに備える、請求項30に記載の共振モジュール。
【請求項32】
前記ソフトスイッチング電流形コンバータは、DCリンクを備え、
前記共振モジュールは、前記共振コンデンサと直列に接続されたリーク管理ダイオードをさらに備え、
前記共振モジュールの前記共振コンデンサと前記リーク管理ダイオードとの直列接続は、前記DCリンクと並列に接続される、請求項1に記載の共振モジュール。
【請求項33】
ソフトスイッチング電流形コンバータの共振タンクを制御する方法であって、
前記共振タンクは、共振スイッチと、前記共振スイッチと電気的に直列に接続された共振インダクタと、前記直列に接続された共振スイッチおよび共振コンデンサと並列に接続された共振コンデンサとを備え、
前記共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が負であることを示す第1の感知信号を生成するステップと、
前記共振コンデンサの両端間の電圧が所定の閾値以下であることを示す第2の感知信号を生成するステップと、を備える方法。
【請求項34】
前記第1の感知信号を、前記ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラに送信するステップをさらに備える、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の感知信号を、前記ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラに送信するステップをさらに備える、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
制御論理回路において、前記第1および前記第2の感知信号を受信するステップと、
前記制御論理回路を用いて、受信した前記第1および第2の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、前記共振スイッチを制御するステップと、をさらに備える、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の感知信号が、前記共振コンデンサの両端間の電圧が前記所定の閾値以下であることを示すとき、前記制御論理回路を用いて、前記共振スイッチをオンにして、前記共振インダクタと前記共振コンデンサとの間の共振を開始するステップをさらに備える、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記所定の閾値は可変値である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記受信した第1の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、前記所定の閾値を変更するステップをさらに備える、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記所定の閾値を変更するステップは、前記ソフトスイッチング電流形コンバータのスイッチングサイクルの共振フェーズの後のゼロ電圧スイッチング遷移状態の間に、前記共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が所定の期間よりも長い期間にわたって負であることを前記第1の感知信号が示す場合、前記所定の閾値を増やすステップを備える、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記所定の閾値を変更するステップは、前記ソフトスイッチング電流形コンバータのスイッチングサイクルの共振フェーズの後のゼロ電圧スイッチング遷移状態の間に、前記共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が前記所定の期間よりも短い期間にわたって負であることを前記第1の感知信号が示す場合、前記所定の閾値を減らすステップを備える、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記制御論理回路は、共振スイッチゲートドライバ集積回路を備える、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記所定の閾値は固定値である、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記ソフトスイッチング電流形コンバータはDCリンクを備え、前記共振タンクは、前記DCリンクと並列に電気的に接続されている、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記ソフトスイッチング電流形コンバータは、前記共振タンクと直列に接続されたリーク管理ダイオードをさらに備え、前記共振タンクと前記リーク管理ダイオードとの直列接続は、前記DCリンクに並列に接続されている、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の感知信号および/または前記第2の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、前記ソフトスイッチング電流形コンバータの効率を増加するように、前記ソフトスイッチング電流形コンバータによって実行されるスイッチングサイクルの1つまたは複数の特性を変更するステップをさらに備える、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
前記スイッチングサイクルの1つまたは複数の特性を変更するステップは、前記スイッチングサイクルのZVS遷移状態の期間を減らすステップを備える、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の感知信号および/または前記第2の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、変調方略の精度を改善し、前記ソフトスイッチング電流形コンバータの線形性を拡張および/または改善し、前記ソフトスイッチング電流形コンバータによって生成される波形の品質を改善し、および/または高調波ひずみを低減するように、前記ソフトスイッチング電流形コンバータによって実行されるスイッチングサイクルの1つまたは複数のタイミング特性を測定するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
前記スイッチングサイクルの1つまたは複数のタイミング特性を測定するステップは、前記スイッチングサイクルのZVS遷移状態の期間を測定するステップを備える、請求項48に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2020年8月20日に出願された米国仮出願第63/068,280号の利益を主張するものであり、当該米国仮出願は、参照により、以下に完全に記載されているものとしてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示の様々な実施形態は、概して、ソフトスイッチング電流形コンバータ(soft-switching current source converter)のための共振モジュールおよび感知回路、ならびに当該コンバータの共振タンクを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高周波絶縁の有無にかかわらず、ソフトスイッチングコンバータは、長年にわたり、標準的なハードスイッチングパワーエレクトロニクスに対しての有望な代替デバイスであった。ソフトスイッチングコンバータの用途は、家庭用電化製品から高電力変換および大電力システムにまで及ぶ。このようなソフトスイッチングコンバータは、一般的に直流(DC)、単相または多相の交流(AC)電源と負荷とをインターフェース接続し、従来のハードスイッチ型のコンバータよりも高いスイッチング周波数および/または高い効率でエネルギー変換を行う。これらの魅力的な特徴にもかかわらず、共振コンバータは、トポロジーの複雑さ、制御オーバーヘッド、およびソフトスイッチング動作の制限された範囲という理由により、これまで採用が制限されている。
【0004】
2つの新規のソフトスイッチングコンバータ、すなわち、米国特許第10,491,098号およびPCT公開第WO2020/023471号(これらは、以下に完全に記載されているものとしてその全体が参照により組み込まれる)に開示されているソフトスイッチングソリッドステートトランス(S4T)、および、PCT公開第WO2021/041465号(これも、以下に完全に記載されているものとしてその全体が参照により組み込まれる)に開示されているソフトスイッチング電流形インバータ(SSCSI)は、上述の認識を変え、制御および電力変換の段階において複雑さを追加することなく、ソフトスイッチングの利点を広範囲の用途においてもたらすことが期待されている。これら2つのソフトスイッチングコンバータは、標準的なパルス幅変調制御および技法が、主電力デバイスを駆動するのに適用可能な共振遷移コンバータであり、ソフトスイッチング動作は、コンバータのスイッチング状態の転流中に挿入される固有の共振遷移状態を通して実現される。動作および制御の原理は基本的に異なるが、
図1に示される高周波絶縁を有する三相-三相構成のS4T、および
図2に示される電気車両ドライブトレイン構成のSSCSIの両方は、最小共振タンク回路に依存して共振遷移を実現し、全ての主電力デバイスに対してゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作を可能にする。共振インダクタL
r、共振コンデンサC
r、および逆阻止補助共振スイッチS
rからなる当該共振回路は、本質的に、コンバータDCリンクの状態から共振遷移および共振フェーズを分離し、共振シーケンスの制御において、さらなる自由度を提供する。補助スイッチを適切にゲート制御することにより、コンバータの負荷レベルに関係なく、入力/出力の電圧、電流および電力範囲の全体に対して、ソフトスイッチング動作を保証することが可能である。
【0005】
しかしながら、共振タンクの非常に高速な動態のため、この補助スイッチを正確かつ精密に制御し、および共振シーケンスを適切なタイミングで実施することは、利用可能な感知量、従来のセンサ技術、および既存の制御アプローチでは、困難であり、かつ高価となることが証明されている。開ループまたは半閉ループ形式がこれまで使用されてきたが、この場合、必要なゲーティングおよびタイミング情報は固定されるか、または複雑でしばしば非リアルタイムの計算をしたうえでコンバータの動作状態から推定されている。この結果、特に、モータ駆動用途など、電源電圧および負荷電圧の幅広い変動が予想される用途の場合に、または異なる電圧および周波数で動作する多数の電源および負荷をインターフェース接続するマルチポートコンバータの場合に、コンバータの過渡状態または故障中において許容できないデバイスの電圧ストレスがもたらされ、通常の動作条件下でのソフトスイッチング動作が妨害される恐れがある。
【0006】
したがって、上述した問題に対処する、重要なタイミング情報を抽出し、ソフトスイッチング電流形コンバータの共振タンクを制御するための改善されたシステムおよび方法が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、ソフトスイッチング電流形コンバータと共に使用するための共振モジュールおよび感知回路、ならびにソフトスイッチング電流形コンバータの1つまたは複数の共振スイッチおよび1つまたは複数のブリッジスイッチを制御する方法に関する。本開示の例示的な実施形態は、ソフトスイッチング電流形コンバータと共に使用するための共振モジュールを提供する。共振モジュールは、共振スイッチと、共振インダクタと、共振コンデンサとを備えることができる。共振インダクタは、共振スイッチと電気的に直列に接続することができる。共振コンデンサは、直列に接続されている共振スイッチおよび共振コンデンサと並列に接続することができる。共振モジュールは、共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が負であることを示す第1の感知信号を生成するように構成されている第1の感知回路をさらに備えることができる。共振モジュールは、共振コンデンサの両端間の電圧が所定の閾値以下であることを示す第2の感知信号を生成するように構成されている第2の感知回路をさらに備えることができる。
【0008】
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかにおいて、共振モジュールは、第1の感知信号をソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラに送信するように構成されることができる。
【0009】
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかにおいて、共振モジュールは、第2の感知信号をソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラに送信するように構成されることができる。
【0010】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、共振モジュールは、共振スイッチを制御するように構成されている制御論理回路をさらに備えることができる。
【0011】
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかにおいて、制御論理回路は、第1および第2の感知信号を受信し、第1および第2の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、共振スイッチを制御するように構成されることができる。
【0012】
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかにおいて、制御論理回路は、第2の感知信号が共振コンデンサの両端間の電圧が所定の閾値以下であることを示すとき、共振スイッチをオンにして、共振インダクタと共振コンデンサとの間の共振を開始するように構成されることができる。
【0013】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、制御論理回路は、ソフトスイッチング電流形コンバータの1つ以上の他の共振モジュール間で感知信号を送受信するように、さらに構成されることができる。
【0014】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、所定の閾値は可変値であり得る。
【0015】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、制御論理回路およびソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラのうちの少なくとも1つは、第1の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、所定の閾値を変更するように構成されることができる。
【0016】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、制御論理回路またはソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラのうちの少なくとも1つは、ソフトスイッチング電流形コンバータのスイッチングサイクルの共振フェーズ後のゼロ電圧スイッチング遷移状態の間に、共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が所定の期間よりも長い期間にわたって負であることを第1の感知信号が示す場合、所定の閾値を増加するように構成されることができる。本明細書で使用される場合において、共振フェーズとは、共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が負であることを第1の感知回路が示さない共振シーケンスのフェーズのことである。本明細書で使用される場合において、所定の閾値を増加することとは、所定の閾値をより正にする(すなわち、その電圧値を以前の値よりも大きくする)ことを意味する。
【0017】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、制御論理回路またはソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラのうちの少なくとも1つは、電流コンバータのスイッチングサイクルの共振フェーズ後のゼロ電圧スイッチング遷移状態の間、共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が、所定の期間よりも短い期間にわたって負であることを第1の感知信号が示す場合、所定の閾値を減少するように構成される。本明細書で使用される場合において、所定の閾値を減少することとは、所定の閾値をより負にすること(すなわち、その電圧値を以前の値より小さくすること)を意味する。
【0018】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラは、ソフトスイッチング電流形コンバータのスイッチングサイクルの共振フェーズの後に共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が負であることを第1の感知信号が示す場合、少なくとも1つのブリッジスイッチをオンにして、次のアクティブスイッチング状態に遷移するように構成されることができる。
【0019】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、所定の閾値は、固定値であり得る。
【0020】
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかにおいて、第1の感知回路は、共振コンデンサと並列に接続されることができる。
【0021】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、第1の感知回路は、オプトカプラと直列に接続されている感知抵抗器を備えることができる。
【0022】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、直列に接続されている感知抵抗器およびオプトカプラは、ツェナーダイオードと逆並列に接続されることができる。
【0023】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、直列に接続されている感知抵抗器およびオプトカプラはさらに、バイアス抵抗器と並列に接続されることができる。
【0024】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、オプトカプラは、第1の感知信号を生成するように構成されることができる。
【0025】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、共振モジュールは、ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラとインターフェース接続するように構成されている通信リンクをさらに備えることができる。
【0026】
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかにおいて、第2の感知回路は、共振コンデンサと並列に接続されることができる。
【0027】
本明細書に開示される実施形態のいずれにおいて、第2の感知回路は、基準コンデンサと、直列オプトカプラ感知回路と、直列感知抵抗器と、直列ダイオードとを備えることができる。
【0028】
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかにおいて、第2の感知回路は、基準コンデンサと並列に接続されている放電回路をさらに備えることができる。
【0029】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、放電回路は、直列に接続されている制御可能なスイッチおよび放電抵抗器をさらに備えることができる。
【0030】
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかにおいて、共振モジュールは、放電回路を絶縁し、給電するように構成されている、絶縁DC/DCコンバータをさらに備えることができる。
【0031】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、共振モジュールは、放電回路の制御可能なスイッチを制御し、所定の閾値を制御する制御論理回路であって、比較回路と、デジタルアイソレータと、周波数-電圧変換回路とを備える制御論理回路をさらに備えることができる。
【0032】
本明細書に開示される実施形態のいずれにおいて、第2の感知回路は、電圧基準を提供するツェナーダイオードと、オプトカプラ感知回路と、直列感知抵抗器と、直列ダイオードと、容量性分圧器とを備えることができる。
【0033】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、第2の感知回路は、反対向きの少なくとも2つのツェナーダイオードの直列接続と、直列感知抵抗器と、直列オプトカプラ感知回路と、容量性分圧器と、抵抗性分圧器とを備えることができる。
【0034】
本明細書に開示される実施形態のいずれにおいて、ソフトスイッチング電流形コンバータは、DCリンクを備えることができる。共振モジュールは、DCリンクと並列に電気的に接続することができる。DCリンクは、限定はしないが、直列インダクタ、シャントインダクタ、またはシャント変圧器を含む、多くの異なるDCリンクであり得る。
【0035】
本明細書に開示される実施形態のいずれにおいて、ソフトスイッチング電流形コンバータは、共振モジュールとDCリンクとの間に直列に接続されているリーク管理ダイオードを備えることができる。
【0036】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、共振モジュールは、DCリンクと直列に接続されているリーク管理ダイオードをさらに備えることができる。
【0037】
本開示の別の実施形態は、ソフトスイッチング電流形コンバータの共振タンクを制御する方法を提供する。共振タンクは、共振スイッチと、共振スイッチと電気的に直列に接続されている共振インダクタと、直列に接続されている共振スイッチおよび共振コンデンサと並列に接続されている共振コンデンサとを備えることができる。本方法は、共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が負であることを示す第1の感知信号を生成するステップと、共振コンデンサの両端間の電圧が所定の閾値以下であることを示す第2の感知信号を生成するステップとを含むことができる。
【0038】
本明細書で開示される実施形態のいずれかにおいて、本方法は、第1の感知信号をソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラに送信するステップをさらに含むことができる。
【0039】
本明細書で開示される実施形態のいずれかにおいて、本方法は、第2の感知信号をソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラに送信するステップをさらに含むことができる。
【0040】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、本方法は、制御論理回路において、第1および第2の感知信号を受信するステップと、受信した第1および第2の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、制御論理回路を用いて、共振スイッチを制御するステップとをさらに含むことができる。
【0041】
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかにおいて、本方法は、第2の感知信号が、共振コンデンサの両端間の電圧が所定の閾値以下であることを示すとき、共振インダクタと共振コンデンサとの間の共振を開始するように、制御論理回路を用いて、共振スイッチをオンにするステップをさらに含むことができる。
【0042】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、所定の閾値は可変値であり得る。
【0043】
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかにおいて、本方法は、受信した第1の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、所定の閾値を変更するステップをさらに含むことができる。
【0044】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、所定の閾値を変更することは、第1の感知信号が、ソフトスイッチング電流形コンバータのスイッチングサイクルの共振フェーズ後のゼロ電圧スイッチング遷移状態の間に、共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が所定の期間よりも長い期間にわたって負であることを示す場合、所定の閾値を増加することを含むことができる。
【0045】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、ソフトスイッチング電流形コンバータは、複数の共振モジュールを備えることができ、各共振モジュールは、第1および第2の感知信号をそれぞれ生成する第1および第2の感知回路を有し、本明細書に開示される方法において、ソフトスイッチング電流形コンバータのコントローラは、複数の共振モジュールのうちの1つまたは複数からの第1および/または第2の感知信号を使用して、ソフトスイッチング電流形コンバータの様々な態様を制御することができる。
【0046】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、所定の閾値を変更することは、第1の感知信号が、ソフトスイッチング電流形コンバータのスイッチングサイクルの共振フェーズ後のゼロ電圧スイッチング遷移状態の間に、共振コンデンサの両端間の電圧の時間微分が所定の期間よりも短い期間にわたって負であることを示す場合、所定の閾値を減少することを含むことができる。
【0047】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、制御論理回路は、共振スイッチゲートドライバ集積回路を備えることができる。
【0048】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、所定の閾値は、固定値であり得る。
【0049】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、本方法は、第1の感知信号および/または第2の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、ソフトスイッチング電流形コンバータの効率を増加するように、ソフトスイッチング電流形コンバータによって実行されるスイッチングサイクルの1つまたは複数の特性を変更するステップをさらに含むことができる。
【0050】
本明細書に開示される実施形態のいずれにおいて、スイッチングサイクルの1つまたは複数の特性を変更するステップは、スイッチングサイクルのZVS遷移状態の期間を減少することを含むことができる。
【0051】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、本方法は、第1の感知信号および/または第2の感知信号に少なくとも部分的に基づいて、変調方略の精度を改善し、ソフトスイッチング電流形コンバータの線形性を拡張および改善し、ソフトスイッチング電流形コンバータによって生成される波形の品質を改善し、および/または高調波ひずみを低減するように、ソフトスイッチング電流形コンバータによって実行されるスイッチングサイクルの1つまたは複数のタイミング特性を測定するステップをさらに含むことができる。
【0052】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、スイッチングサイクルの1つまたは複数のタイミング特性を測定するステップは、スイッチングサイクルのZVS遷移状態の持続時間を測定するステップを含むことができる。
【0053】
本開示の上記の態様および他の態様は、以下の「詳細な説明」および添付の図面において説明される。実施形態の他の態様および特徴は、図面と併せて特定の例示的な実施形態の以下の説明を検討することで、当業者には明らかになるであろう。本開示の特徴は、特定の実施形態および図に関連して論じられ得るが、本開示の全ての実施形態は、本明細書で論じられる特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。さらに、1つまたは複数の実施形態は、特定の有利な特徴を有するものとして説明され得るが、そのような特徴のうちの1つまたは複数はまた、本明細書で説明される様々な実施形態とともに使用されてもよい。同様に、例示的な実施形態は、デバイス、システム、または方法の実施形態として以下で説明され得るが、そのような例示的な実施形態は、本開示の様々なデバイス、システム、および方法において実装され得ることを理解されたい。
【0054】
以下に示す本開示の特定の実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、より良く理解されるであろう。本開示を例示する目的で、特定の実施形態が図面に示される。しかしながら、本開示は、図面に示される実施形態の厳密な配置および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本開示の実施形態と共に使用するための、高周波絶縁を有するソフトスイッチングソリッドステート変圧器(S4T)における、従来の三相-三相AC/AC実装を提供する図である。
【0056】
【
図2】本開示の実施形態と共に使用するための、典型的な電気車両モータ駆動構成におけるソフトスイッチング電流形インバータ(SSCSI)を提供する図である。
【0057】
【
図3】本開示の例示的な実施形態による共振モジュールを提供する図である。
【0058】
【
図4】本開示の例示的実施形態による、集積された補助スイッチゲートドライバおよび感知回路と、オプションの制御論理回路とを伴う共振モジュールを提供する図である。
【0059】
【
図5】本開示の例示的実施形態による、集積された感知を伴う2つの共振モジュールを使用した、高周波数分離を伴う三相-三相AC/AC構成における例示的なS4T実装を提供する図である。
【0060】
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、識別された主動作モードを有するDCリンク電圧(v
Lm)および電流(i
m)を示す、三相AC/AC構成におけるS4Tスイッチングサイクルを示す図である。
【0061】
【
図7】本開示の例示的な実施形態による、第1の感知回路を提供する図である。
【0062】
【
図8】本開示の例示的実施形態による、入力状態ゲーティング期間および回路A放電信号を伴う共振シーケンス構造を提供する図である。
【0063】
【
図9】本開示の例示的な実施形態による、アクティブ状態適用時間に対するZVS遷移状態の影響と、第1の感知回路からの第1の感知信号を使用する例示的な補正機構とを示す図である。
【0064】
【
図10】本開示の例示的実施形態による、第1の感知回路の実験的検証を示す図である。
【0065】
【
図11】本開示の例示的実施形態による、シーケンスの前後の任意の電圧レベルを伴う、共振シーケンスを示す図である。
【0066】
【
図12】本開示の例示的実施形態による、第2の感知回路を提供する図である。
【0067】
【
図13A】本開示の例示的な実施形態による、第2の感知回路を提供する図である。
【
図13B】本開示の例示的な実施形態による、第2の感知回路を提供する図である。
【0068】
【
図14】本開示の例示的な実施形態による、第1感知信号および第2感知信号を用いたプリチャージ制御方法を示す図である。
【0069】
【
図15】本開示の例示的な実施形態による、回路Bの閾値検出電圧の制御を通してt
ZVSDを基準値に調整するプリチャージ制御方法の閉ループ制御実装形態を提供する図である。
【0070】
【
図16】本開示の例示的な実施形態による、三相AC/AC S4Tの共振シーケンス中のプリチャージ制御原理の実験的実証を提供する図である。
図16Aは、入力ベクトルのハードスイッチングターンオン(不完全共振シーケンス)を示す図である。
図16Bは、入力ベクトルのソフトスイッチングターンオン(完全共振シーケンス)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本開示の原理および特徴の理解を容易にするために、様々な例示的な実施形態が以下に説明される。本明細書に開示される実施形態の様々な要素を構成するものとして以下に記載される構成要素、ステップ、および材料は、例示的なものであり、限定的なものではないことが意図される。本明細書に記載される構成要素、ステップ、および材料と同じまたは同様の機能を実行する多くの適切な構成要素、ステップ、および材料は、本開示の範囲内に包含されることが意図される。本明細書で説明されないそのような他の構成要素、ステップ、および材料は、本明細書で開示される実施形態の開発後に開発される同様の構成要素またはステップを含むことができるが、それらに限定されるものではない。
【0072】
本明細書で開示されるのは、共振タンク回路と2つの新規な感知回路とを集積した小型で、低コストの、内蔵型の共振モジュールであって、固有の制御方法を通して、共振タンクの補助共振スイッチの単純かつ信頼性のあるサブスイッチングサイクル制御と、ソフトスイッチング電流形コンバータ(従来から導入されているS4TコンバータおよびSSCSIコンバータを含むがこれらに限定されない)における共振シーケンスタイミングとを可能にする共振モジュールである。共振モジュール内で、これらの2つの感知回路、すなわち、第1の感知回路(本明細書では「回路A」とも呼ばれる)および第2の感知回路(本明細書では「回路B」とも呼ばれる)は、
図3に示されるように、共振タンク回路と直接インターフェース接続することができ、共振回路の状態を監視して、これらの期間の真の閉ループ制御のために共振シーケンス中に使用される重要なタイミング情報を提供することができる。これらの感知回路は、共振回路の高速の動態を正確に追跡するために、低伝搬遅延および高帯域幅で、本明細書に説明される固有のサブスイッチングサイクル制御方法に必要とされる最小量の情報を感知するように特に設計されることができる。これはまた、既存の検知技術のコストの何分の1かで、かつ今日現在で利用可能な最高クラスのセンサよりも低い伝搬遅延で実現することができる。
【0073】
以下に説明する共振モジュール、検知回路、および技術は、通常条件および過渡条件の両方の下で、ソフトスイッチング電流形コンバータの安全で安定したソフトスイッチング動作を保証するための、単純で、費用効果が高く、堅牢な解決策を提供することができる。電圧ストレスレベルは、大きな過渡状態およびコンバータの故障中を含めて、サブスイッチングサイクルベースで制御することができ、共振タンクの損失を最小限に抑えることができる。さらに、回路Aからの情報は、特に軽負荷での条件において、コンバータの波形品質を改善するために使用することもできる。これらの感知回路および技術は、マルチスイッチングサイクルレベルでのコンバータの制御のために使用される、より高いレベルの変調方略にとらわれず、動作実装において使用される共振タンク回路の数にかかわらず、内蔵型共振モジュールを形成するためのS4TコンバータおよびSSCSIコンバータのすべての変形形態に適用することができる。
【0074】
実装をさらに単純化し、より大きな集積化へと有利に働くために、共振モジュールの提案された感知回路、および開示された制御方法の一部を実現する、あるレベルの論理回路は、共振回路の補助スイッチ(本明細書では「共振スイッチ」と呼ばれることもある)のゲートドライバと直接的に集積化することができる。いくつかの実施形態では、共振スイッチは、逆阻止スイッチであり得る。本明細書で使用される場合において、「逆阻止スイッチ」という用語は、一方向に電流を伝導し、両方向へ電圧が印加されることを阻止するスイッチまたはスイッチアセンブリを指す。共振回路の補助スイッチのゲートドライバとの集積により、DC/DC電源絶縁などの回路間のいくつかの共通回路機能が共有されることができる。加えて、オプションの制御論理回路は、以下に説明される高速動作サブスイッチングサイクル制御方法を、最小の制御遅延での共振モジュールの半自律的動作のために、直接、補助スイッチレベルにおいて実現することができる。そのような集積共振モジュール構成の例示的な実装形態を
図4に示す。
【0075】
用途およびトポロジーの変形形態に応じて、本明細書で開示されるような感知回路で増強された共振タンク回路と、オプションの制御論理回路とからなる、いくつかの提案される共振モジュールが、コンバータにおいて使用される。いくつかの実施形態では、共振モジュールは、コンバータのコントローラとインターフェース接続することが可能であり、感知情報および制御信号を送信および受信し、提案されたサブスイッチングサイクル制御方法を実施するために、感知情報および制御信号を送信および受信することができる。さらに、共振モジュール間のオプションの高速通信リンクを使用して、高速過渡情報を転送し、故障モードの場合を含む共振モジュールの動作を調整することができる。共振モジュール間のこの追加でのオプションの直接通信リンクは、コンバータのコントローラが共振モジュール間での通信を扱う用途では必要とされない場合がある。いくつかの例示的な共振モジュールを使用する、
図1に示されるS4Tの例示的な実装が、
図5に示される。提案する感知回路および関連する制御方法を以下に説明する。
【0076】
回路A:放電監視回路および関連する制御方法
【0077】
本明細書において「回路A」とも呼ばれる第1の感知回路、および回路Aによって生成される第1の感知信号を使用する制御方法について、以下に説明する。
【0078】
ソフトスイッチング電流形コンバータにおける共振コンデンサの放電の監視
【0079】
上記で説明したように、第1の感知回路(回路A)は、共振モジュールの共振タンク回路内の共振コンデンサC
rの放電を監視するように構成され得る。特に、第1の感知回路は、共振コンデンサC
rの両端間の電圧の時間微分(本明細書では電圧変化率とも呼ばれる)が負であることを判定するように構成することができる。S4T及びSSCSIは共振遷移コンバータであって、共振回路の共振コンデンサが放電されているとき、スイッチングサイクル全体を通して、ZVS遷移状態の間に電力デバイスのZVSターンオンおよびターンオフが行われる。本明細書で使用される場合、共振コンデンサが放電されるとは、
図3に示されるように、共振コンデンサに並列に接続されたDCリンクを通る電流が、少なくとも部分的に共振コンデンサを通って循環するときに正であるように測定されるときに、共振コンデンサから流れ出る電流「i
Cr」が正であることを意味する。共振コンデンサが放電されることは、本明細書では「コンデンサがプリチャージされる」とも呼ばれる。本明細書で使用され、
図3に示されるように、共振コンデンサの両端間の電圧「V
Cr」は、本明細書で詳述されるように測定された場合において、共振コンデンサから流れ出る電流が正であるとき、またはコンデンサが放電されているときに、電圧が減少する(本明細書では「より負になる」と呼ばれることもある)ように測定される。コンバータのタイプ(S4TまたはSSCSI)および実装に応じて、1つまたは複数の共振回路およびモジュールを使用して、ソフトスイッチング動作を可能にすることができ、スイッチングサイクルの構造は、最終用途に依存することができるが、放電の監視は、依然として、スイッチングサイクル全体を通してZVS遷移状態を識別し、正確に位置付けることによって、すべてのS4TおよびSSCSIの変形形態に対して普遍的な重要性を有し得る。一般性を失うことなく、
図1に示されるAC/AC三相S4Tコンバータは、以下の例として使用され得る。ZVS遷移状態が強調された、対応する典型的なスイッチングサイクル、および対象となる波形が
図6に示されている。
【0080】
図6に示すように、スイッチングサイクルは、DCリンクの両端間に様々な電圧、この場合はV
act1、V
act2、V
act3、およびV
act4を印加する一連の「アクティブ状態」と、DCリンク電流をゼロ電圧でバイパスする「フリーホイーリング状態」0とを含む。これらの状態は、最も正の電圧から始まって、最も負の電圧まで連続的に印加することができる。
図6に示されるように、1つのZVS遷移状態が、減少する電圧の任意の2つの隣接する状態の間に挿入されて、コンバータのソフトスイッチング動作を可能としている。より正の電圧レベルへの遷移が必要とされる場合、共振シーケンスを使用し、サイクルに挿入することができる。
【0081】
アクティブ状態の数、順序、および持続時間を決定するために使用される、より高いレベルの変調プロセスにかかわらず、アクティブ状態から次のアクティブ状態への遷移は、他の要因の中でもとりわけ、遷移の前後の電圧レベル、およびDCリンク電流レベルに応じて、未知の可変持続時間のZVS遷移状態中に起こり得る。同様に、使用される共振シーケンスの数およびスイッチングサイクルにおける共振シーケンスの位置とは無関係に、完全な共振シーケンスは、次の入力電圧レベルへのZVS遷移段階で終了する。加えて、完全な共振シーケンス持続時間も未知で可変であり、共振前後のアクティブ状態の電圧を含むいくつかの要因に非線形に依存し得る。
【0082】
共振シーケンスの持続時間およびZVS遷移の持続時間を推定するいかなるの試みも、複雑な計算を必要とする可能性があり、これは、リアルタイムで実行することが困難または不可能であり、あいまいな推定値をもたらす可能性がある。したがって、本明細書に開示される「回路A」は、生成される共振コンデンサ放電監視信号(すなわち、第1の感知信号)によって示されるように、スイッチングサイクルを通してZVS遷移フェーズを正確に位置付けること、ならびにZVS遷移フェーズの持続時間を正確に測定することによって、有益な情報を提供することができる。この情報は、以下に提示される2つのサブスイッチングサイクル制御方法において使用することができ、すべてのS4TおよびSSCSIコンバータの変形形態に適用することができる。
【0083】
回路Aの例示的な実装形態
【0084】
第1の感知回路(「回路A」)の例示的な実装が、
図7に示されている。
図7に示されるように、回路Aは、共振回路コンデンサC
rに並列に接続することができ、感知コンデンサC
senseと、感知抵抗器R
senseと、低伝搬遅延オプトカプラ(または同様の機能を提供する他のデバイス/回路)とを備える。ツェナーダイオードD
z(または同様の機能を提供する他のデバイス/回路)は、所望の感度レベルを提供しながら過剰な感知電流I
senseをバイパスすることによって損傷電流レベルからオプトカプラを保護するためのオプトカプラ分岐であり、R
senseに並列に追加される。ノイズ耐性を高めるために、用途に応じて、ツェナーダイオードと並列にオプションのバイアス抵抗器R
sbを追加してもよい。
【0085】
回路Aは、以下のように、共振回路コンデンサC
rの放電を監視することができる。C
senseおよびC
rは、主共振電流I
resのための容量性電流分割器を形成する。電流I
senseのごく一部は、以下のように回路Aを流れる。
【数1】
C
senseは、I
sense<<I
res、すなわちC
senseがC
rよりも数桁小さくなり得るように選択され、これによりコストを低減することができる。さらに、回路Aを追加することは、共振回路とコンバータの動作とに干渉しない。
【0086】
ツェナーダイオード電圧Vz、感知抵抗器Rsense、およびオプションのバイアス抵抗器Rsbは、オプトカプラピックアップ電流および電圧、最大動作電流および電圧、最大共振電流、ならびに感知される目標最小放電共振電流(Ires_min>0)に従って選択することができる。
【0087】
Ires≧Ires_minであり、Crが放電されていることを意味するとき、Isense≧0であり、感知電流の一部は、感知抵抗器およびオプトカプラのダイオードを流れることができ、フォトトランジスタをオンにする。残りの感知電流は、必要であれば、ツェナーダイオードによってバイパスすることができる。同様に、Ires≦0であり、Crが充電されているか、または回路が開いていることを示すとき、Isense≦0であり、ツェナーダイオードは、感知電流の全てをバイパスすることができ、フォトトランジスタを開いたままにする。0≦Ires≦Ires_minの場合、共振コンデンサは放電されているが、共振電流は感知回路の感度未満であり、フォトトランジスタはオフである。
【0088】
結果として生じるフォトトランジスタのスイッチングは、プルダウン構造または一体化されたプッシュプル段を有するオプトカプラも使用され得るという理解の下で、プルアップ抵抗器を介してコントローラの論理レベルVccにスケーリングされ得る。したがって、回路Aは、コントローラ論理レベルに適合する最小の伝搬遅延を有する別個の信号を生成し、共振タンクコンデンサCrの放電を高い忠実度で監視するための低コストでの解決策を提供することができる。コンデンサCrはまた、オプトカプラが影響を受けるdv/dtを制限し、より低コストのオプトカプラの使用を可能にすることに留意されたい。
【0089】
回路Aによって生成される放電信号は、次に説明する2つの新規なサブスイッチングサイクル制御方法において使用することができる。
【0090】
共振制御方法の終了
【0091】
図8に示すように、完全な共振シーケンスは、次の入力アクティブ状態(この例ではV
act1)へのZVS遷移フェーズにて終了する。このことは、アクティブ状態に対応するコンバータブリッジ内のスイッチが、ソフトスイッチング動作を発生させるために、最終ZVS遷移状態中の任意の瞬間にゲートオンされ得ることを意味する。より具体的には、この期間の前または後の任意の時点でスイッチをオンにすることは、ハードスイッチング動作につながり、
図8で強調されるように回避されるべきである。より高いレベルのコンバータのコントローラは、典型的には、共振シーケンス持続時間および共振シーケンス内の最終ZVS遷移状態位置についての情報を有さない。従来の実装形態は、許容可能な期間内でスイッチのゲートオンを人工的に位置決めしようとするために、固定の共振シーケンス持続時間が仮定される日和見的な手法を使用することであり、成功する保証はなかった。別の従来の手法は、複雑な計算により、共振シーケンス持続時間および最終的なZVS遷移状態の位置決めを推定することであり、多くの場合、上述した方法に関連する欠点および不確実性に加えて、リアルタイムで実施するにはあまりにも極端な手法である。これらのアプローチは両方とも、固定の電圧変換比を有する用途に対しては定常状態の条件下で許容可能な性能をもたらすことができるが、過渡モード下および広い入力/出力電圧変動に対してソフトスイッチング遷移を保証することができない。
【0092】
本明細書において「共振制御の終了」と呼ばれる、提案される新規の制御方法において、対象の共振モジュールの回路Aからの放電信号(すなわち、第1の感知信号)は、
図8に示されるように、共振シーケンス内の最終ZVS遷移フェーズを正確に位置付け、入力アクティブ状態のためにコンバータブリッジ内の適切なデバイスをオンにするようにコントローラをトリガするために使用されることができる。これは、広い入力/出力電圧エクスカーションを伴う用途および多数の入力および出力を伴う実装を含むすべての用途の変形例に対して、定常状態および過渡状態の両方の下で、ソフトスイッチング動作のための許容可能の期間に、入力スイッチがオンにされるであろうことを保証することができる。これにより、ソフトスイッチング電流形コンバータのクラスの安全性および性能を著しく改善することができる。
【0093】
この例示的な制御方法は、すべてのS4TおよびSSCSI実装(または他のソフトスイッチング電流形コンバータ)に、および特定の用途によって使用される任意の数の共振タンク/モジュールに適用することができる。複数の共振モジュールおよび第1の感知回路が使用される場合、結果として生じる数の回路A感知回路からの放電信号(すなわち、第1の感知信号)は、適切な入力アクティブ状態ゲーティング期間を検出し、対応するスイッチをゲートオンするために、調整および利用されることができる。
【0094】
ZVS遷移時間の測定方法
【0095】
共振または準共振コンバータに関して、S4TおよびSSCSIにおける主電力スイッチの転流の瞬間は、ソフトスイッチング特徴を可能にする共振遷移プロセスのため、知られていない。このことは、すべてのアクティブ状態間に存在する、前述のZVS遷移状態を有する典型的なS4Tスイッチングサイクルについての
図9に示されている。コンバータのコントローラが、アクティブ状態の終了時に、次の状態へのスイッチング状態変化をトリガする一方で、何らかのより高いレベルの変調方式に続いて、新しい状態が実際に適用される時間は、2つの状態間のZVS遷移時間によって減少される。
図9のアクティブ状態2(V
act2)を例にとると、コントローラによって目標とされる印加時間に対応する「仮想の」印加時間(T
act2_v)、ZVS遷移時間(t
ZVS2)、および実際の印加時間(T
act2)は、以下のようにすることができる。
【数2】
【0096】
適切に設計することにより、これらのZVS遷移の総持続時間は、総サイクル持続時間と比較して低く保つことができる。しかし、これらの遷移は、コンバータの負荷レベルが減少するにつれて、アクティブ状態における無視できない部分にますます達する可能性があり、特に軽負荷の条件下で、入力および出力上の全高調波ひずみ(THD)が増加することになる。上述したように、ZVS遷移状態の持続時間は未知であり、サブスイッチングサイクルベースで変化する可能性があるので、入力量および出力量に対する標準的な閉ループ制御は、この変動性および関連するTHDの影響に対処するために必要となる帯域幅を提供しない可能性がある。
【0097】
したがって、本開示のいくつかの実施形態では、適切な回路Aおよび共振モジュールからの放電信号は、アクティブ状態間のZVS遷移の持続時間を考慮するために使用されることができる。本明細書で「ZVS遷移時間の測定」と呼ばれるこの新規な補正方法では、適切な共振コンデンサ放電信号(すなわち、第1の感知信号)をコントローラに送信して、ZVS遷移状態の持続時間を対応するアクティブ状態に「ブランクアウト」し、実際の適用時間を目標値に近づけることができる。再び
図9のアクティブ状態2の例をとると、回路2からの放電信号はZVS遷移状態の持続時間t
ZVS2の値を与え、その結果、コントローラは、t
ZVS2を加えた目標の実際の印加時間T
act2に等しくなるように、状態2の仮想の持続時間T
acr2_vを選択する。
【数3】
【0098】
この場合も、この制御方法は、使用される、より高いレベルの変調スキームを含むS4TまたはSSCSI(または他の)コンバータの動作実装、ならびに共振モジュールおよび関連する回路Aの数にとらわれないものとすることができる。
【0099】
例示的な放電監視回路Aの実装は、機能性を実証するために、典型的なS4Tコンバータにおいて試験されている。2つの共振モジュールが、ブリッジごとに1つ備えられた、2つの回路Aセンサとともに、本実装形態で使用された。得られた実験波形を
図10に示す。
図10に示されるように、両方の回路Aセンサは、それぞれの共振コンデンサの放電を正確に監視し、感知信号Sensor
Br1およびSensor
Br2は、それぞれ、I
resBr1>0およびI
resBr2>0のときにハイに設定される。
【0100】
回路B:電圧閾値検出回路および関連する制御方法
【0101】
次に、本明細書において「回路B」とも呼ばれる第2の感知回路、および回路Bによって生成される第2の感知信号を使用する制御方法について説明する。
【0102】
ソフトスイッチング電流形コンバータにおける共振コンデンサ電圧の閾値検出
【0103】
本明細書に開示される、コンバータおよび共振シーケンスのサブスイッチングサイクル制御のための第2の感知情報とは、共振モジュールの共振タンク回路内の共振コンデンサCrにおける閾値電圧レベルの検出である。
【0104】
再び、一般性を失うことなく、
図1に示されるAC/AC三相S4Tコンバータが、以下では例として使用される。シーケンスの前後に任意の電圧レベルを有する典型的な共振シーケンスが、
図11に示されている。
【0105】
すべてのソフトスイッチング電流形コンバータの変形態様(例えば、S4TまたはSSCSI)の下で、共振シーケンスは、ブリッジが、より正の「アクティブベクトル」電圧レベルに遷移するときに使用され得る。この遷移がZVSソフトスイッチング条件下で起こるために、完全な共振シーケンスを2つのアクティブベクトル間に挿入することができる。ここで、第1のアクティブベクトル電圧は、より負であるか、または第2の「より正の」アクティブベクトル電圧より小さい。これは、共振タンクのレベルにおいて、共振素子C
rとL
rとの間の共振をトリガするために、ブリッジのすべての電力デバイスをオフにし、共振タンクの補助スイッチ(本明細書では「補助スイッチ」または「共振スイッチ」と呼ばれることもある)をゲートオンすることによって実現される。
図11に示すように、完全な共振シーケンスは、共振コンデンサが放電され、入力アクティブベクトルのスイッチがオンにゲート制御されて、ZVSが確実にオンになるZVS遷移状態にて終了する。これは、「共振制御方法の終了」において、ZVS遷移が発生するための許容可能な期間を検出するために、回路Aがどのように使用され得るかを説明する際に、すでに詳述されている。
図11に示すように、共振シーケンスの前後のアクティブ電圧レベル、図中のV
outgoingおよびV
incomingのそれぞれに応じて、共振タンクの補助スイッチS
rのゲートオンを可変遅延t
dSrで適切に遅延させることによって、共振シーケンスの開始時に追加のZVS遷移状態を柔軟に挿入することができる。ZVS遷移状態を追加することで、必要に応じて、共振コンデンサが、より負の電圧レベルに達することを可能にすることによって、共振コンデンサをさらにプリチャージして、入力電圧レベルへの最終的なZVS遷移を伴う完全な共振シーケンスを確実にすることができる。
【0106】
ブリッジのデバイスのターンオフと補助スイッチのゲーティングオンとの間に柔軟に遅延tdSrが追加され得る共振タンクの補助スイッチのゲーティングにおけるこの自由度は、電力、電圧、および電流の範囲全体にわたるソフトスイッチング電流形コンバータのソフトスイッチング動作を可能にするための重要な機構であり得る。コンバータ動作条件に応じて、必要であれば、共振コンデンサは、この追加のZVS遷移状態および補助スイッチ遅延Srを通じてプリチャージすることができる。本質的に、出力電圧レベル及び入力電圧レベルが|Voutgoing|<Vincomingである場合には、補助スイッチのゲートオンを遅延させることができ、一方、|Voutgoing|>Vincomingである場合には、遅延は必要ない。補助スイッチの適切なゲーティングによる共振シーケンスにおいて追加される自由度によって、本質的に、コンバータのZVS動作を、電圧および電力条件から独立させることができる。
【0107】
したがって、補助スイッチSrのゲーティングは、コンバータの適切な動作において重要であり得るが、実際の実装においては困難であることが証明されている。補助スイッチのゲーティングにおける固定のtdSr遅延の実装は、Voutgoingがコンバータ動作条件とともに変動するにつれて可変であり、多くの場合、容認できないデバイス電圧ストレスをもたらす可能性があり、ひいては、共振コンデンサおよび電力スイッチにわたって可変の最大の負および正の電圧ストレスを設定し得る。また、コンバータのソフトスイッチング動作を保証することは、特に広い電圧範囲を有する用途に対して非常に困難であり得る。最後に、固定の共振コンデンサのプリチャージ持続時間tdSrは、多くの場合、異常または故障状態において、パワーデバイスに対して大きな過電圧を生成する可能性があり、コンバータの故障につながり得る。
【0108】
別の従来の手法は、計算を通じてVoutgoingおよびVincomingの関数として、必要とされるプリチャージ時間および遅延tdSrを推定することである。しかしながら、共振タンクは高次回路であり、必要とされる遅延/プリチャージ時間は、他の要因の中でもとりわけ、タンク受動素子値、Voutgoing、Vincoming、およびDCリンク電流値を含む、いくつかのパラメータおよび量に非線形に依存し得る。必要とされる計算は、リアルタイムで実行するには、不可能ではないにしても、複雑かつ困難である可能性があり、計算において使用される可変量に対する感知帯域幅が制限される可能性があり、制限された動的性能が制限され、コンバータ過渡中に大きな過電圧が発生することになる。さらに、測定において避けられない構成要素の変動性および誤差は、大きな近似誤差をもたらし、スプリアスハードスイッチング動作を誘発する可能性がある。事前に計算されたtdSr遅延値が使用されるオフライン計算およびルックアップテーブルアプローチを伴う代替実装形態が可能であり得るが、テーブルへの入力として使用される高速変動量に対しての限定された測定帯域幅に依然として悩まされ、したがって、コンバータ過渡現象の場合において過電圧が発生することとなる。
【0109】
これらの問題に対処するために、本明細書で開示されるのは、共振シーケンスの正確な制御および補助スイッチSrのゲーティングを実現するために、共振コンデンサをプリチャージするために必要な場合に追加される追加のZVS遷移状態中に、共振コンデンサ電圧(本明細書では「第2の感知信号」と呼ばれる)上の閾値電圧レベルを検出するために使用される第2の感知回路「回路B」である。典型的には1MHzをはるかに上回るダイナミクスを有する共振シーケンス中の共振コンデンサの全電圧エクスカーションを追跡して、電圧の正確かつ連続的な感知を極めて困難にするのではなく、共振コンデンサ電圧が目標閾値電圧レベルを交差する瞬間、すなわち、共振コンデンサ電圧が閾値電圧レベル以下であり、閾値電圧レベルよりも負である瞬間を検出することのみが、これらのコンバータおよび提案される制御方法において使用される。この最小限の感知情報は、低コストかつ低遅延の感知回路である回路Bを使用する提案された共振モジュールにおいて、ならびに全てのS4TおよびSSCSIコンバータの変形形態において(ならびに他のコンバータにおいて)、正確に捕捉することができる。
【0110】
本明細書に開示される新しい「プリチャージ制御方法」は、回路Aからの放電信号(第1の感知信号)とともに、回路Bからの閾値検出(第2の感知信号)を活用して、必要に応じて適切な遅延tdSrを伴って、共振モジュール内および共振シーケンス中の補助共振スイッチSrのゲーティングを制御するための単純で費用効果が高く信頼できる解決策を提供し、全てではないが、ほとんどの電力、電圧、および電流条件下でコンバータのソフトスイッチング動作を確実にすることができる。以下に説明するこの制御方法は、コンバータを安全に動作させ、パワーデバイスの電圧能力を最大限に利用するために、コンバータの過渡現象中および故障中を含む、デバイス電圧ストレスを最小限に制限することができる。共振タンクにおける損失も、最小限に抑えることができる。
【0111】
回路Bの例示的な実装形態
【0112】
回路Bは、共振コンデンサの電圧V
crが所与の閾値電圧-V
th以下になる瞬間を、最小の伝搬遅延および高帯域幅で検出するための、単純で費用効果の高い解決策を提供する。用途に応じて、回路Bの閾値電圧-V
thは、固定であってもよいし、可変/制御可能であってもよい。
図12は、制御可能な閾値電圧-V
thを有する例示的な実装を示す。
【0113】
図12に示す回路Bの例示的な実装形態では、共振モジュールにおける共振回路の共振コンデンサの両端に直接接続された、新規の「感知段」を使用する。「感知段」は、基準コンデンサC
refと、オプトカプラ感知回路と、直列感知抵抗器R
senseと、直列ダイオードとを備える。いくつかの用途では、単一のダイオードの電圧阻止能力が十分でない場合があり、その代わりに、必要に応じて、適切な平衡およびRCスナバネットワークとともに、複数のダイオードの直列接続が使用され得る。直列ダイオードは、V
Cr≦-V
thに対して順方向バイアスされることができ、感知段を流れる対応する電流は、オプトカプラ感知回路をトリガすることができる。これにより、次に、V
Cr≦-V
thである瞬間を検出するために、コントローラによって使用される論理信号(第2の感知信号)を生成することができる。
【0114】
オプトカプラ感知回路は、回路Aと同じ原理および設計上の考慮事項に従うことができる。直列の感知抵抗器Rsenseおよび基準コンデンサCrefは、最小感知遅延、十分なVth閾値制御動態、および低電力損失を保証しながら、センサを流れる最大感知電流を制限するように選択することができる。感知回路のパルス動作原理から生じる閾値電圧Vth上の電圧リップルを最小限に抑えるために、基準コンデンサCrefに十分なエネルギーを貯めることができる。
【0115】
基準コンデンサC
refの両端間に「調整段」を接続して、その電圧V
thを調整し、閾値検出電圧を決定することができる。単純なヒステリシス制御を使用する、この調整段の例示的な実装を
図12に示す。制御可能なスイッチ(MOSFETまたはIGBT)と放電抵抗器R
egとの直列接続からなる放電回路が、基準コンデンサC
refの両端間に接続される。制御可能なスイッチは、必要に応じて、R
egを介して基準コンデンサを放電するためにゲートオンされる。スイッチの電圧定格は、センサで検出される最大閾値電圧の大きさによって決定することができ、放電抵抗器R
egは、放電電流を制限し、閾値電圧に対して適切な制御帯域幅を提供するように、その抵抗値が決定される。アクティブスイッチの「ローサイド」構成を使用して、制御論理回路と基準コンデンサとの間にて、絶縁要件を追加することを回避することができる。
【0116】
例示的な閾値電圧の制御論理は、以下のように動作する。基準コンデンサの両端間の電圧Vthは、抵抗性分圧器を介して感知され、ヒステリシス構成の比較器に供給される。ヒステリシス段の出力電圧は、任意で論理回路に供給され、外部「イネーブル」信号「EN」を介して、基準コンデンサ電圧調整を無効にする可能性を提供する。この構成は、いくつかの用途において、エネルギーを節約し、放電回路の電力定格を減少するために使用され得る。結果として生じる制御信号は、放電回路のスイッチを制御するゲートドライバに供給される。比較器はまた、次に説明されるように、コントローラによって設定される基準電圧Vthrefを受け取り、放電回路のスイッチをトリガして、Vthを所定の誤差帯域(ヒステリシス帯域)内に保つ。ヒステリシス帯域、および対応する比較回路は、放電スイッチの調整精度と最大動作周波数とのトレードオフから選択することができる。
【0117】
図12に示される例示的な実装の最後の段は、「絶縁段」である。この絶縁段は、調整回路とコントローラとの間の絶縁し、電子機器およびゲートドライバの動作に使用される、絶縁された電力を生成する。この例示的な実装形態では、絶縁は、単純な絶縁DC/DCコンバータを介して提供され、コントローラからの制御信号は、従来のデジタルアイソレータを使用して絶縁される。ヒステリシス比較器に供給される基準電圧V
threfは、チャージポンプ回路およびアクティブフィルタリングに基づく周波数-電圧変換を使用して、コントローラによって送信されるデジタル信号F
Vthから局所的に生成される。この構成においては、より高度な変換技法がより要求の厳しい用途で使用され得るが、絶縁を伴う単純かつ費用効果の高いデジタルアナログ変換が提供される。
【0118】
いくつかの用途では、V
th=csteを有する固定の閾値電圧検出で十分であり得る。固定の閾値電圧を有する回路Bの簡略化されたバージョンの例示的な実装を、
図13Aに示す。この例示的な実装形態では、共振コンデンサ電圧V
crは、最初に、共振モジュールの共振コンデンサと並列に接続された容量性分圧器を介してスケールダウンされる。次に、このスケールダウンされた電圧は、上述したものと同様の構成を有する感知段に供給される。この固定の閾値電圧の実現のために、基準コンデンサは、
図13に示されるようなツェナーダイオードと同じくらい単純であり得る固定の電圧基準によって置き換えられる。センサの動作電圧に応じて、検出ダイオードおよび電圧基準は、適切な平衡ネットワークおよびスナバ回路を有する複数の低電圧素子の直列接続によって実現することができる。この簡略化された実装形態では、調整段および絶縁段は使用されず、センサによって検出される固定の閾値電圧は、固定の電圧基準またはツェナーダイオード特性、および容量性分圧器のスケーリング比(電圧比または変換比と呼ばれることもある)の選択によって決定される。
【0119】
固定の閾値電圧を有する回路Bの簡略化されたバージョンの別の例示的な実装を、
図13Bに示す。この例示的な実装形態では、共振コンデンサ電圧V
Crは、最初に、共振モジュールの共振コンデンサと並列に接続された容量性分圧器を介してスケールダウンされる。追加の抵抗性分圧器が、容量性分圧器と並列に追加され、同じ基準中間点に接続されて、スケールダウンされた電圧において発生する定常状態のオフセットを軽減する。容量性分圧器及び抵抗性分圧器の両方は、同様のスケーリング比を有するように設計される。次に、このスケールダウンされた電圧は、上述したものと同様の構成を有する感知段に供給される。この固定の閾値電圧を実装する場合、基準コンデンサは、
図13Bに示されるように、反対向きに直列接続された2つのツェナーダイオードと同じくらい単純であり得る固定の電圧基準によって置き換えられる。これにより、検出ダイオードを付加する必要性をなくすことが出来る。この簡略化された実装形態では、調整段および絶縁段は使用されず、センサによって検出される固定の閾値電圧は、固定の電圧基準またはツェナーダイオード特性と容量性および抵抗性分圧器のスケーリング比との選択によって決定される。
【0120】
ソフトスイッチング動作を可能にするために使用される共振タンクの数は、コンバータタイプ(例えば、S4TまたはSSCSI)および構成、ならびに集積された共振タンク回路を伴う共振モジュールの数に依存することができ、回路Bは、それに応じて調整されることができる。さらに、スイッチングサイクルごとに複数の共振シーケンスが使用される用途では、共振センサごとに2つ以上の閾値電圧を検出することが有益であり得る。これは、共振モジュールを形成するために、共振回路ごとに複数の回路Bセンサを実装することによって実現することができる。実際に使用される回路Bの数にかかわらず、センサの基本構造は、不変のままであることができ、必要に応じて単純に複製することができる。対応する閾値検出信号は、全ての応用変形例に関連することができ、以下に説明されるような新規の共振シーケンス制御方法を確立するために使用され、調整されることができる。
【0121】
プリチャージ制御方法
【0122】
共振モジュールレベルでは、「プリチャージ制御」方法は、共振タンクの補助スイッチS
rのための適切なゲーティングを生成するために、2つの新規な感知回路(上述の回路Aおよび回路B)からのデータを使用することができる。これら2つの回路は、最小の遅延を有することができ、優れた制御帯域幅をもたらし、コンバータが過渡状態になった場合、および故障した場合でも、安全な動作を保証するのに十分である。本質的に、新しい制御方法では、
図14に示すように、補助スイッチS
rのゲートオンを、回路Bによって生成される電圧閾値検出信号と同期させる。これにより、共振モジュールの共振コンデンサのプリチャージが堅牢に制御されることになり、コンデンサの電圧は、補助スイッチS
rをオンにすることによって共振をトリガする前に、回路Bによって設定された閾値電圧-V
thに一貫してプリチャージされ得る。共振コンデンサの目標のプリチャージを達成するのに必要なS
rのゲーティングに対する遅延を導出するために、可変量(V
outgoing、V
incoming、DCリンク電流)の正確な感知が必要とされ得る従来の手法とは異なり、この新規な方法では、最小の遅延で、上述の低コストセンサ回路を使用して正確に達成され得る共振コンデンサ電圧に対する閾値の検出を使用することができる。従来の方法と、この新しい制御方法とにおける別の違いは、ゲート遅延の推定に基づく間接制御に依存する代わりに、閾値電圧を検出することによって、共振コンデンサのプリチャージ電圧を目標値に直接制御することができるという点にある。これにより、直接感知を通してコンデンサのプリチャージを-V
thの目標値に制限することによって、コンバータが過渡状態になった場合、または故障した場合であっても、安全に動作することができる。最後に、この単純な補助スイッチゲーティング方略は、感知回路からのローカル感知データと、最小限の制御遅延で共振モジュールの半自律的動作のためのいくつかの追加の制御論理回路とを使用して、共振モジュール内でオプションにて実施することができる。
【0123】
共振モジュールの共振コンデンサの目標プリチャージ電圧(-V
th)が、共振の終わりにおける入力アクティブベクトルに対するZVS遷移状態を有する、完全な共振シーケンスを保証するのに十分であることが望ましい場合がある。完全な共振シーケンスは、以下のように、回路Aのコンデンサ放電信号(すなわち、第1の感知信号)を使用して検出することができる。上述の提案された「共振終了の制御方法」では、共振コンデンサが放電を開始し、共振シーケンスの終了を知らせるとすぐに、入力アクティブベクトルのスイッチがオンにゲート制御され得る。共振シーケンスが完了した場合、すなわち、スイッチのソフトスイッチングターンオンが生じた場合、非ゼロ持続時間t
ZVSDを伴うZVS遷移状態が、入力ベクトルに対するソフトスイッチングのために生じ得る。これに対して、共振シーケンスが不完全である場合、すなわち、共振の終わりにおける共振コンデンサの電圧が十分に大きくない場合、入力ベクトルに対してハードスイッチングが生じる可能性があり、回路Aによって検出されるZVS移行状態の持続時間t
ZVSDがゼロに近くなる可能性がある。したがって、回路Aの放電信号から最終のZVS遷移状態の持続時間を測定することにより、
図14に示すように、共振シーケンスが完了したかどうかを判定するための、単純かつ堅牢な方法を提供することができる。
【0124】
この技法は、回路Bによって検出され、補助スイッチがゲートオンされる共振コンデンサにおける目標閾値電圧の「閉ループ」制御を形成するために、提案されるプリチャージ制御方法に使用されることができる。例示的な制御ブロック図が
図15に示されており、回路Aで測定された共振後のZVS遷移状態の持続時間は、標準的な閉ループ制御技法を使用して、スイッチS
rがオンにされる閾値電圧を増加または減少することによって、目標持続時間に調整することができる。
【0125】
この閉ループ制御の原理は、
図1の三相AC/AC S4T実装において実験的に例示され、
図16に示される。ハードスイッチング動作は、共振後に回路Aから放電信号が存在しないことによって
図16Aにおいて実験的に観察され、
図16Bにおいてプリチャージ閾値電圧を増加させることによって補正されて、入力ベクトルのZVSターンオンを確認する満足なZVS遷移状態持続時間(この例ではセンサBr1上で400ns)を測定した。
【0126】
目標の共振コンデンサプリチャージ電圧の「閉ループ」制御の帯域幅は、閾値電圧を適切なソフトスイッチング動作を保証するのに必要な最小値に調整することによって、安定性を保証し、最小デバイス電圧ストレスをもたらすように選択することができる。このプロセスにおいては、共振タンク損失も最小化することができる。コンバータが過渡状態の場合、または故障した場合、この制御ループでは、閾値の検出によって、回路Bを介した直接感知を通じて、すべての条件下で最大電圧ストレスを制限することができるので、特別な対処を行う必要がなく、堅牢な制御方法が実現される。
【0127】
固定の閾値電圧を検出する回路Bの変形例が使用される用途では、閾値電圧に対する「閉ループ」制御は可能ではない場合がある。閾値電圧は、全ての電圧条件下でソフトスイッチングをもたらす値に設定および固定され得るが、これは、コンバータ利用率および共振タンク損失に関して最適ではない場合がある。しかしながら、電圧ストレス及びプリチャージ時間(S
rゲーティングの遅延による)は、回路Bによる閾値電圧の検出を介して、共振モジュールレベルで依然として直接制御することができ、
図14に詳述されるように、コンバータの過渡状態および故障状態の場合にもおける、コンバータの安全動作につながる。
【0128】
この場合でも、共振タンク回路及び共振モジュールレベルで説明されるこの制御方法は、変調スキームおよび使用される共振モジュールの数を含む、S4TまたはSSCSIコンバータ(または他のコンバータ)の動作実装に依存しない。これらの同じ原理は、拡張することで、システム内のすべての共振モジュールおよび関連する感知回路に適用することができる。
【0129】
本明細書に開示される実施形態および特許請求の範囲は、それらの適用において、説明に記載され、図面に示される構成要素の構造および配置の詳細に限定されないことを理解されたい。むしろ、説明および図面は、想定される実施形態の例を提供する。本明細書に開示される実施形態および特許請求の範囲はさらに、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践および実行されることが可能である。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明のためのものであり、特許請求の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【0130】
したがって、当業者であれば、本出願および特許請求の範囲が基づく概念が、本出願において提示される実施形態および特許請求の範囲のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、およびシステムの設計の基礎として容易に利用され得ることを理解するであろう。したがって、特許請求の範囲がそのような等価な構成を含むものとみなされることが重要である。
【0131】
さらに、前述の要約書の目的は、米国特許商標庁および一般公衆、特に特許および法律用語または語法に精通していない当業者を含む公衆が、本出願の技術的開示の性質および本質を一瞥して迅速に判断できるようにすることである。要約書は、本出願の特許請求の範囲を定義することを意図するものでも、特許請求の範囲を限定することを決して意図するものでもない。
【国際調査報告】