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特表2023-539138FCC触媒組成物におけるアルミナマトリックス修飾
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】FCC触媒組成物におけるアルミナマトリックス修飾
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/08 20060101AFI20230906BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20230906BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20230906BHJP
   C10G 11/18 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
B01J29/08 A
B01J37/00 F
B01J37/08
C10G11/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512167
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 US2021041605
(87)【国際公開番号】W WO2022039856
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/067,397
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,シンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ストックウェル,デイヴィッド,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ジュンメイ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA08
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA10B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BC15A
4G169BC20A
4G169BC38A
4G169BC42A
4G169BC42B
4G169BC49A
4G169BC53A
4G169CC07
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4G169EB18X
4G169EB18Y
4G169FB30
4G169FB63
4G169FB64
4G169FC07
4G169FC08
4G169FC09
4G169ZA04A
4G169ZA05B
4G169ZB03
4G169ZF02A
4G169ZF02B
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4H129AA02
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4H129CA09
4H129DA04
4H129GA12
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4H129KB05
4H129KC03X
4H129KC03Y
4H129KC04X
4H129KC04Y
4H129KC14X
4H129KC15Y
4H129KC28X
4H129KC28Y
4H129KD09X
4H129KD11X
4H129KD13X
4H129KD31X
4H129KD32X
4H129NA37
(57)【要約】
本技術は、Yゼオライトを含む流動接触分解(FCC)触媒組成物であって、Yゼオライトが、希土類元素又はその酸化物とアルミナマトリックスとを含み、アルミナマトリックスが、y-AhCb又は擬似ベーマイトとドーパントとを含み;ドーパントが、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせから選択される、FCC触媒組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Yゼオライトを含む流動接触分解(FCC)触媒組成物であって、前記Yゼオライトが、希土類元素又はそれらの酸化物とアルミナマトリックスとを含み、
前記アルミナマトリックスが、γ-Al又は擬似ベーマイトとドーパントとを含み;
前記ドーパントが、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせを含む、FCC触媒組成物。
【請求項2】
前記触媒が、前記触媒の総重量に基づいて約5重量%~約30重量%の前記Yゼオライトを含む、請求項1に記載のFCC触媒。
【請求項3】
前記触媒が、前記触媒の総重量に基づいて約10重量%~約25重量%の前記Yゼオライトを含む、請求項1又は2に記載のFCC触媒。
【請求項4】
前記希土類元素が、ランタン又はその酸化物である、請求項1~3のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項5】
前記Yゼオライトが、前記Yゼオライトの総重量に基づいて約0.1重量%~約12重量%の前記希土類元素又はその酸化物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項6】
前記Yゼオライトが、前記Yゼオライトの総重量に基づいて約3重量%~約10重量%の前記希土類元素又はその酸化物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項7】
前記触媒が、前記触媒の総重量に基づいて約15重量%~約65重量%の前記アルミナマトリックスを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項8】
前記触媒が、前記触媒の総重量に基づいて約25重量%~約60重量%の前記アルミナマトリックスを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項9】
前記触媒が、前記触媒の総重量に基づいて約30重量%~約50重量%の前記アルミナマトリックスを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項10】
前記ドーパントが、前記IIIB族金属、前記IVB族金属、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせである、請求項1~9のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項11】
前記アルミナマトリックスが、前記アルミナマトリックスの総重量に基づいて0.01重量%~約10重量%の前記ドーパントを含む、請求項10に記載のFCC触媒。
【請求項12】
前記アルミナマトリックスが、前記アルミナマトリックスの総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%の前記ドーパントを含む、請求項10又は11に記載のFCC触媒。
【請求項13】
前記アルミナマトリックスが、前記アルミナマトリックスの総重量に基づいて約1重量%~約6重量%の前記ドーパントを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項14】
前記ドーパントが、前記IVA族元素、前記VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせである、請求項1~9のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項15】
前記アルミナマトリックスが、前記アルミナマトリックスの総重量に基づいて0.01重量%~約35重量%の前記ドーパントを含む、請求項14に記載のFCC触媒。
【請求項16】
前記アルミナマトリックスが、前記アルミナマトリックスの総重量に基づいて約0.1重量%~約35重量%の前記ドーパントを含む、請求項14又は15に記載のFCC触媒。
【請求項17】
前記アルミナマトリックスが、前記アルミナマトリックスの総重量に基づいて約3重量%~約25重量%の前記ドーパントを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項18】
前記ドーパントが、IIIB族金属、IVA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項19】
前記アルミナマトリックスに存在する前記ドーパントが、ケイ素、ランタン、それらの酸化物、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項20】
前記アルミナマトリックスが、約50重量%~約99重量%のγ-Al又は擬似ベーマイト相を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項21】
前記アルミナマトリックスが焼成される、請求項1~20のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項22】
前記アルミナマトリックスが未焼成である、請求項1~20のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項23】
結合剤、アルミナゲル、解膠ベーマイト、擬似ベーマイト、カオリン、遷移アルミナ、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項24】
前記触媒が、前記触媒の総重量に基づいて約5重量%~約25重量%の結合剤を含む、請求項23に記載のFCC触媒。
【請求項25】
前記結合剤がコロイダルシリカである、請求項23又は24に記載のFCC触媒。
【請求項26】
前記触媒が、前記触媒の総重量に基づいて0重量%~約10重量%のアルミナゲル、又は解膠ベーマイトゲルを含む、請求項23~25のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項27】
前記触媒が、約0.1~約0.7のゼオライト対マトリックス(Z/M)比を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項28】
前記触媒が微小球の形態である、請求項1~27のいずれか一項に記載のFCC触媒。
【請求項29】
FCC触媒を調製するためのプロセスであって:
アルミナマトリックス材料を含む第1のスラリーを、約8ミクロン以下のD90粒径分布まで粉砕し、希土類元素若しくはその酸化物を含むYゼオライトを含む第2のスラリーを、約5ミクロン以下のD90粒径分布まで粉砕することか;
又は希土類元素若しくはその酸化物を含む前記Yゼオライト及び前記アルミナマトリックス材料を含むスラリー混合物を、約5ミクロン以下のD90粒径分布まで共粉砕することと;
前記アルミナマトリックス及び前記Yゼオライトを1つ以上の追加成分と合わせ、混合物を得ることと;
前記混合物を噴霧乾燥して微小球を形成することと;
前記微小球を焼成して前記FCC触媒を得ることと;
を含み、
前記アルミナマトリックスが、γ-Al及びドーパントを含み;
前記ドーパントが、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせを含む、プロセス。
【請求項30】
前記第1のスラリー及び前記第2のスラリー又は前記スラリー混合物を酸と合わせ、pHを約5以下まで調整することを更に含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記pHが約3~約5である、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記酸が、ギ酸、HNO、HCl、又は任意の他の一塩基酸から選択される、請求項30又は31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記微小球が、約65ミクロン~約125ミクロンの平均粒径を有する、請求項29~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記微小球が、約950°F~約1650°Fの温度で焼成される、請求項29~33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記触媒が、前記触媒の総重量に基づいて約5重量%~約30重量%の前記Yゼオライトを含む、請求項29~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項36】
前記触媒が、前記触媒の総重量に基づいて約15重量%~約65重量%の前記アルミナマトリックスを含む、請求項29~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
前記ドーパントが、前記IIIB族金属、前記IVB族金属、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせである、請求項29~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記アルミナマトリックスが、前記アルミナマトリックスの総重量に基づいて0.01重量%~約10重量%の前記ドーパントを含む、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記ドーパントが、前記IVA族元素、前記VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせである、請求項29~38のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項40】
前記アルミナマトリックスが、前記アルミナマトリックスの総重量に基づいて0.01重量%~約35重量%の前記ドーパントを含む、請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
前記ドーパントが、ケイ素、ランタン、それらの酸化物、又はそれらの組み合わせである、請求項29~40のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記1つ以上の追加成分が、結合剤、アルミナゲル、解膠ベーマイト、擬似ベーマイト、カオリン、遷移アルミナ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項29~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
触媒組成物であって:
希土類元素若しくはその酸化物を含むYゼオライト及びアルミナマトリックス材料を含む第1のFCC触媒と;
前記第1のFCC触媒とは異なる第2のFCC触媒と;
任意選択的に、前記第1及び第2のFCC触媒とは異なる追加のFCC触媒と;
を含み、
前記アルミナマトリックスが、γ-Al又は擬似ベーマイトとドーパントとを含み;
前記ドーパントが、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせを含む、触媒組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、全般的には、流動接触分解(FCC)触媒組成物に関する。特に、本技術は、修飾アルミナマトリックスを有するFCC触媒に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一態様では、本技術は、Yゼオライトを含む流動接触分解(FCC)触媒組成物であって、Yゼオライトが、希土類元素又はそれらの酸化物とアルミナマトリックスとを含み、アルミナマトリックスが、γ-Al又は擬似ベーマイトとドーパントとを含み;ドーパントが、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせから選択される、FCC触媒組成物を提供する。
【0003】
関連する態様では、本技術は、FCC触媒を調製するためのプロセスであって:
アルミナマトリックス材料を含む第1のスラリーを、約8ミクロン以下のD90粒径分布まで粉砕することか、若しくは希土類元素若しくはその酸化物を有するYゼオライトを含む第2のスラリーを、約5ミクロン以下のD90粒径分布まで粉砕することか;又は
希土類元素若しくはその酸化物を含むYゼオライト及びアルミナマトリックス材料を含むスラリー混合物を、約5ミクロン以下のD90粒径分布まで共粉砕することと;
アルミナマトリックス及びYゼオライトを1つ以上の追加成分と合わせ、混合物を得ることと;
混合物を噴霧乾燥して微小球を形成することと;
微小球を焼成してFCC触媒を得ることと
を含み、
アルミナマトリックスが、γ-Al又は擬似ベーマイトとドーパントとを含み;ドーパントが、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせから選択される、プロセスを提供する。
【0004】
別の態様では、本技術は、任意の実施形態において、本明細書に記載のプロセスに従って調製される組み込まれたFCC触媒を提供する。
【0005】
別の態様では、本技術は、希土類元素若しくはその酸化物を有するYゼオライト及びアルミナマトリックス材料を含む第1のFCC触媒と;第1のFCC触媒とは異なる第2のFCC触媒と;任意選択的に、第1及び第2のFCC触媒とは異なる追加のFCC触媒と;を含む触媒組成物であって、アルミナマトリックスが、γ-Al又は擬似ベーマイトとドーパントとを含み;ドーパントが、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせから選択される、触媒組成物を提供する。
【0006】
別の関連する態様では、本技術は、炭化水素供給物を分解する方法であって、上記供給物を任意の実施形態において本明細書で記載されるFCC触媒を含むFCC触媒と接触させることを含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下で、様々な実施形態について説明する。特定の実施形態は、網羅的な説明として、又は本明細書で論じられるより広範な態様を限定するものとして意図されていないことに留意されたい。特定の実施形態に関連して説明される1つの態様は、必ずしもその実施形態に限定されてはおらず、任意の他の実施形態で実施することができる。
【0008】
本明細書で使用する場合、「約」は、当業者により理解されることになり、用いられる文脈に応じてある程度変化することになる。当業者に明らかではない用語が使用されている場合、それが使用されている文脈を前提として、「約」は、特定の用語の±10%までを意味する。
【0009】
要素を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)における用語である「1つの(a、an)」、「その(the)」、及び同様の指示語の使用は、本明細書で別途指示がない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の双方を含むと解釈される。本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書で別途指示がない限り、範囲内に含まれる各個別の値を個別に参照する簡略法として機能することのみを意図し、各個別の値は、本明細書で個別に列挙されているのと同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に記載した全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって別に明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意及び全ての例又は例示的言葉(例えば「など」)の使用は、実施形態をより良好に説明することのみを意図したものであり、別途記載されない限り、請求項の範囲を限定することはない。本明細書中のいかなる言葉も、請求されていない要素を必須なものとして示すと解釈されるべきではない。
【0010】
本明細書で使用する場合、用語「触媒」は、反応を促進する材料を指す。
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「流動接触分解」又は「FCC」は、原油の高沸点の高分子量炭化水素留分をより価値の高いガソリン、オレフィンガス及び他の生成物へと転化させるという、製油所での転化プロセスを指す。
【0012】
「分解」は、典型的なFCCプロセス条件を指す。典型的なFCCプロセスは、450℃~650℃の反応温度、600℃~850℃の触媒再生温度で実行される。接触分解は、商業的に非常に大規模に適用される石油精製プロセスである。接触分解及び特に流動接触分解(FCC)は、重質炭化水素供給物をガソリンなどのより軽質の生成物に変換し、範囲留分を蒸留するために日常的に使用される。分解された生成物は、ガス、ガソリン、軽質ガス油、及び重質サイクルガス油を含む一連の生成物に分割される。いくつかのより重質の炭化水素は、反応器に再循環されてもよい。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「供給物」は、高沸点及び高分子量を有する原油の部分を指す。FCCプロセスでは、炭化水素供給物がFCCユニットのライザセクションに注入され、ここで、供給物は、触媒再生器からライザ反応器に循環した高温触媒との接触時に、より軽質でより価値のある生成物に分解される。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「ゼオライト」は、酸素イオンの広範な三次元ネットワークに基づく骨格を有し、実質的に均一な細孔分布を有する結晶性アルミノシリケートを指す。
【0015】
本明細書で使用する場合、用語「微小球」は、カオリン粘土及びその他の材料(遷移アルミナなど)の噴霧乾燥及び任意選択的に焼成により予備成形して得ることができる触媒粒子を指す。当事者によって理解されるように、微小球は、必ずしも完全な球形である必要はない。加えて、本明細書で開示される微小球は、流動接触プロセスで利用することができる。
【0016】
ガソリン、軽質オレフィン、及び軽質サイクル油の精製製品は、ボトム留分よりも常に有益である。有益な留分の1つを選択的に生成することができる触媒組成物は、精製所にとって望ましい。Yゼオライトはガソリン留分に対してより選択的であるが、粘土マトリックス又はアルミナマトリックスなどのマトリックス成分は、軽質オレフィン及び軟質サイクル油(LCO)に対してより選択的であることが一般に知られている。しかしながら、組成、相、酸性度、及び多孔性において異なる特性を有する異なるマトリックス成分は、製品の選択性において重要な役割を果たし得る。
【0017】
本技術は、Yゼオライトが存在する流動接触分解(FCC)触媒に組み込まれる様々な特性を有する修飾アルミナマトリックスを提供する。アルミナマトリックスとしては、ベーマイト、バイヤライト、ギブサイト、γ-アルミナの単一若しくは混合相、及び/又はその他の遷移-Al相が挙げられても良く、ここでアルミナマトリックスは、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素(又はそれらの酸化物)から選択される1つ以上の元素でドープされる。特に、アルミナマトリックスは、La、Ce、及び/又はSiでドープされていてもよい。驚くべきことに、本明細書に記載の修飾アルミナマトリックスを含むFCC触媒は、コークス及びボトム留分を制限することが発見された。更に、これらのFCC触媒は、製品の1つが他の製品よりも有利な場合に、製油所向けにガソリン又は軽質オレフィンのいずれかを選択的により多く生成することが発見された。
【0018】
理論に束縛されるものではないが、ゼオライト及びマトリックスは、流動接触分解の製品選択性において役割を果たすと考えられている。単位格子サイズ(UCS)数でも表されるYゼオライト中の希土類元素の存在も、製品の選択性に影響を与える可能性がある。希土類元素含有量が高いか、又はUCSが高いと、水素化物の移動が大きくなり、その結果、オレフィン収率が低下し、ガソリン収率が増加する。他方では、希土類元素含有量が低いか又はUCSが低いと、オレフィン性が高い製品が得られる場合がある。表面積が大きく、Z/M比が低いマトリックスは、オレフィンの選択性/収率を高める可能性がある。本発明者らは、本技術の組み込まれたFCC触媒がオレフィン生成に有利な低いZ/Mを有し、本明細書に記載されるように異なるアルミナマトリックスの場合、FCC触媒はまた異なる製品の選択性を示すことを見出した。
【0019】
一態様では、Yゼオライトが、希土類元素又はそれらの酸化物とアルミナマトリックスとを含み、アルミナマトリックスが、γ-Al又は擬似ベーマイトとドーパントとを含み;ドーパントが、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせから選択される、Yゼオライトを含む流動接触分解(FCC)触媒組成物が提供される。本明細書で記載される任意の実施形態では、FCC触媒は組み込まれた触媒である。
【0020】
本明細書で開示される任意の実施形態では、触媒は、触媒の総重量に基づいて約5重量パーセント(「重量%」)~約30重量%のYゼオライトを含み得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、触媒は、Yゼオライトを、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%の量、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の量で含み得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、Yゼオライトは、約5重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約22重量%、約12重量%~約20重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で存在し得る。
【0021】
FCC触媒のYゼオライトは、希土類元素又はその酸化物を含み得、ここで希土類元素は、イットリウム、スカンジウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ルテチウム、イッテルビウム、ガドリニウム、セリウム、ランタン、又はそれらのいずれか2つ以上の混合物である。本明細書で開示される任意の実施形態では、Yゼオライトは、ランタン又はその酸化物を含み得る。
【0022】
任意の実施形態では、Yゼオライトは、Yゼオライトの総重量に基づいて約0.1重量%~約12重量%の希土類元素又はその酸化物を含み得る。例えば、Yゼオライトは、希土類元素又はその酸化物を、約0.1重量%、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で含み得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、Yゼオライトは、希土類元素又はその酸化物を、約0.1重量%~約12重量%、約1重量%~約12重量%、約3重量%~約10重量%、約4重量%~約9重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で含み得る。
【0023】
FCC触媒は、触媒の総重量に基づいて約15重量%~約65重量%で存在し得るアルミナマトリックスを含み得る。例えば、FCC触媒は、アルミナマトリックスを、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で含み得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、アルミナマトリックスを、約15重量%~約65重量%、約25重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で含み得る。
【0024】
任意の実施形態では、ドーパントは、IIIB族金属、IVB族金属、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせであり得る。好適なIIIB族金属、IVB族金属、又はそれらの酸化物としては、希土類元素、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、又はそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。本明細書で開示される任意の実施形態における希土類元素ドーパントは、ランタニド系元素を含み得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、ドーパントは、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、又はそれらのいずれか2つ以上の混合物であり得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、ドーパントは、IIIB族金属又はその酸化物であり得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、IIIB族金属又はその酸化物は、ランタンであり得る。
【0025】
アルミナマトリックスは、IIIB族金属、IVB族金属、又はそれらの酸化物であるドーパントを含み得、ここで、アルミナマトリックスは、ドーパントを、アルミナマトリックスの総重量に基づいて約0.01重量%~約10重量%の量で含む。アルミナマトリックス中の、IIIB族金属、IVB族金属、又はそれらの酸化物のドーパントの好適な量は、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲であり得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、アルミナマトリックス中の、IIIB族金属、IVB族金属、又はそれらの酸化物から選択されるドーパントの量は、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、約1重量%~約6重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲であり得る。
【0026】
本明細書で開示される任意の実施形態におけるアルミナマトリックスは、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれのいずれか2つ以上の組み合わせであるドーパントを含み得る。好適なIVA族元素、VA族元素、又はそれらの酸化物としては、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、リン(P)、ビスマス(Bi)、又はそれらのいずれか2つ以上の混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。本明細書で開示される任意の実施形態では、ドーパントは、IVA族元素又はその酸化物であり得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、IVA族元素又はその酸化物は、ケイ素であり得る。
【0027】
本明細書で開示される任意の実施形態におけるアルミナマトリックスは、IVA族元素、VA族元素、又はそれらの酸化物から選択されるドーパントを含み得、ここで、アルミナマトリックスは、ドーパントを、アルミナマトリックスの総重量に基づいて約0.01重量%~約35重量%の量で含む。アルミナマトリックス中の、IIIB族金属、IVB族金属、又はそれらの酸化物から選択されるドーパントの好適な量は、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約3重量%、約5重量%、約7重量%、約9重量%、約11重量%、約13重量%、約15重量%、約17重量%、約19重量%、約21重量%、約23重量%、約25重量%、約27重量%、約29重量%、約31重量%、約33重量%、約35重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、アルミナマトリックス中の、IIIB族金属、IVB族金属、又はそれらの酸化物は、約0.01重量%~約35重量%、約0.1重量%~約35重量%、約3重量%~約25重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲であり得る。
【0028】
本明細書で開示される任意の実施形態では、ドーパントは、IIIB族金属若しくはその酸化物、IVA族元素若しくはその酸化物、又はそれらの組み合わせであり得る。例えば、ドーパントは、ケイ素、ランタン、又はそれら混合物であり得る。
【0029】
本明細書で開示される任意の実施形態では、アルミナマトリックスは、アルミナマトリックスの総重量に基づいて約50重量%~約99重量%のγ-Al又は擬似ベーマイト相を含み得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、アルミナマトリックスは、γ-Al又は擬似ベーマイト相を、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、約99重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で含み得る。
【0030】
本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、焼成アルミナマトリックス又は未焼成アルミナマトリックスを含み得る。いくつかの実施形態では、アルミナマトリックスは、焼成されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルミナマトリックスは、未焼成であってもよい。
【0031】
FCC触媒は、1つ以上の追加の材料を更に含み得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、結合剤、アルミナゲル、解膠ベーマイト、擬似ベーマイト、カオリン、遷移アルミナ、又はそれらの2つ以上の組み合わせを更に含み得る。
【0032】
本明細書で開示される任意の実施形態では、触媒は結合剤を更に含み得る。任意のこのような結合剤は、FCC触媒の総重量に基づいて約5重量%~約25重量%で存在し得る。結合剤の他の好適な量は、約5重量%、約7重量%、約9重量%、約11重量%、約13重量%、約15重量%、約17重量%、約19重量%、約21重量%、約23重量%、約25重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得る。好適な結合剤としては、コロイダルシリカ、シリカヒドロゾル、アルカリケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)、又はそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、アルミナゲル、解膠ベーマイトゲル、又はそれら混合物を含み得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、アルミナゲル又は解膠ベーマイトゲルを、FCC触媒の総重量に基づいて0重量%~約10重量%の量で含み得る。アルミナゲル及び/又は解膠ベーマイトゲルの好適な量は、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得るが、これらに限定されない。本明細書で開示される任意の実施形態では、γ-Alに加えてアルミナマトリックスは、η-Al、δ-Al、θ-Al、κ-Al、χ-Al、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含み得るがこれらに限定されないその他の遷移アルミナ相を更に含み得る。更に又は或いは、いくつかの実施形態では、アルミナマトリックスは、バイヤライト、ギブサイト、ベーマイト、又はそれらの混合物の単一又は混合相を更に含み得る。
【0034】
本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、約0.1~約0.7のゼオライト対マトリックス(Z/M)比を有し得る。本明細書で記載されるように、用語「Z/M」(又は「ゼオライト対マトリックス比」)は、ゼオライトの表面積対マトリックスの表面積の比を指す。本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲のZ/Mを有し得る。
【0035】
本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、任意の便利な形式で提供され得る。例えば、任意の実施形態では、FCC触媒は、微小球に成形されてもよい。本明細書で開示される任意の実施形態では、微小球は、約65ミクロン~約120ミクロンの平均粒径を有し得る。好適な微小球の粒径は、約65ミクロン、約70ミクロン、約75ミクロン、約80ミクロン、約85ミクロン、約90ミクロン、約95ミクロン、約100ミクロン、約105ミクロン、約110ミクロン、約115ミクロン、約120ミクロン、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得るが、これらに限定されない。
【0036】
関連する態様では、本技術は、FCC触媒を調製するためのプロセスであって:
アルミナマトリックス材料を含む第1のスラリーを、約8ミクロン以下のD90粒径分布まで粉砕することか、若しくは希土類元素若しくはその酸化物を有するYゼオライトを含む第2のスラリーを、約5ミクロン以下のD90粒径分布まで粉砕することか;又は
希土類元素若しくはその酸化物を含むYゼオライト及びアルミナマトリックス材料を含むスラリー混合物を、約5ミクロン以下のD90粒径分布まで共粉砕することと;
アルミナマトリックス及びYゼオライトを1つ以上の追加成分と合わせ、混合物を得ることと;
混合物を噴霧乾燥して微小球を形成することと;
微小球を焼成してFCC触媒を得ることと
を含み、
アルミナマトリックスが、γ-Al又は擬似ベーマイトとドーパントとを含み;ドーパントが、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせから選択される、プロセスを提供する。
【0037】
本明細書で開示される任意の実施形態では、プロセスは、第1のスラリーを、約8ミクロン未満、約7.5ミクロン未満、約7ミクロン未満、約6.5ミクロン未満、約6ミクロン未満、約5.5ミクロン未満、約5ミクロン未満、約4.5ミクロン未満、約4ミクロン未満、約3.5ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2.5ミクロン未満、約2ミクロン未満、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲のD90粒径まで粉砕することを含み得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、プロセスは、第1のスラリーを、約8ミクロン未満~約2ミクロン、約5ミクロン未満~約2ミクロン、約4ミクロン未満~約2ミクロン、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲のD90粒径まで粉砕することを含み得る。
【0038】
本明細書で開示される任意の実施形態では、プロセスは、第2のスラリーを、約5ミクロン未満、約4.5ミクロン未満、約4ミクロン未満、約3.5ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2.5ミクロン未満、約2ミクロン未満、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲のD90粒径まで粉砕することを含み得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、プロセスは、第1のスラリーを、約5ミクロン未満~約2ミクロン、約4ミクロン未満~約2ミクロン、約3.5ミクロン未満~約2ミクロン、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲のD90粒径まで粉砕することを含み得る。
【0039】
本明細書で開示される任意の実施形態では、プロセスは、第1のスラリー及び第2のスラリー又はスラリー混合物を酸と合わせ、pHを約5.0以下まで調整することを更に含み得る。例えば、本明細書の任意の実施形態では、pHは、約5.0、約4.5、約4.0、約3.5、約3.0、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲のpHに調整され得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、第1のスラリー及び第2のスラリー又はスラリー混合物の酸との混合は、pHを約3.0~約5.0に調整し得る。好適な酸としては、ギ酸、HNO、HCl、その他の一塩基酸、又はそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0040】
微小球は、約65ミクロン~約120ミクロンの平均粒径を有し得る。好適な微小球の平均粒径は、約65ミクロン、約70ミクロン、約75ミクロン、約80ミクロン、約85ミクロン、約90ミクロン、約95ミクロン、約100ミクロン、約105ミクロン、約110ミクロン、約115ミクロン、約120ミクロン、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得るが、これらに限定されない。本明細書で開示される任意の実施形態では、微小球は、約65ミクロン~約120ミクロン、約75ミクロン~約105ミクロン、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の平均粒径を有し得る。
【0041】
焼成は、約950°F(510℃)~約1650°F(899℃)の温度で実施され得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、温度は、約950°F(510℃)、約1000°F(538℃)、約1050°F(566℃)、約1100°F(593℃)、約1150°F(621℃)、約1200°F(649℃)、約1250°F(677℃)、約1300°F(704℃)、約1350°F(732℃)、約1400°F(760℃)、約1450°F(788℃)、約1500°F(816℃)、約1550°F(843℃)、約1600°F(871℃)、約1650°F(899℃)、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲であり得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、焼成温度は、約950°F(510℃)~約1650°F(899℃)、約1050°F(566℃)~約1350°F(732℃)、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲であり得る。
【0042】
本明細書で記載されるプロセスは、記載されるようなFCC触媒を形成する。形成されるFCC触媒は、FCC触媒の総重量に基づいて約5重量%~約30重量%のYゼオライトを含み得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、プロセスに従って得られるFCC触媒は、Yゼオライトを、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%の量、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の量で含み得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、Yゼオライトは、約5重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約22重量%、約12重量%~約20重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で存在し得る。
【0043】
形成されるFCC触媒は、アルミナマトリックスを、FCC触媒の総重量に基づいて約15重量%~約65重量%の量で含む。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、アルミナマトリックスを、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で含み得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、アルミナマトリックスを、約15重量%~約65重量%、約25重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で含み得る。
【0044】
アルミナマトリックスは、IIIB族金属、IVB族金属、又はそれらの酸化物であるドーパントを含み得、ここで、アルミナマトリックスは、ドーパントを、アルミナマトリックスの総重量に基づいて約0.01重量%~約10重量%の量で含む。ドーパントの好適な量は、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲であり得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、ドーパントの量は、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、約1重量%~約6重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲であり得る。
【0045】
アルミナマトリックスは、IVA族元素、VA族元素、又はそれらの酸化物であるドーパントを含み得、ここで、アルミナマトリックスは、ドーパントを、アルミナマトリックスの総重量に基づいて約0.01重量%~約35重量%の量で含む。このようなドーパントの好適な量は、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約3重量%、約5重量%、約7重量%、約9重量%、約11重量%、約13重量%、約15重量%、約17重量%、約19重量%、約21重量%、約23重量%、約25重量%、約27重量%、約29重量%、約31重量%、約33重量%、約35重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、アルミナマトリックス中の、IVA族元素、VA族元素、又はそれらの酸化物は、約0.01重量%~約35重量%、約0.1重量%~約35重量%、約3重量%~約25重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲であり得る。
【0046】
本明細書で開示される任意の実施形態では、ドーパントは、IIIB族金属若しくはその酸化物、IVA族元素若しくはその酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせであり得る。例えば、ドーパントは、ケイ素、ランタン、又はそれら混合物から選択され得る。
【0047】
本明細書で開示される任意の実施形態では、アルミナマトリックスは、アルミナマトリックスの総重量に基づいて約50重量%~約99重量%のγ-Al又は擬似ベーマイト相を含み得る。例えば、アルミナマトリックスは、γ-Al又は擬似ベーマイト相を、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、約99重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で含み得る。
【0048】
本明細書で開示される任意の実施形態では、本明細書で記載されるプロセスに従って調製されるFCC触媒は、焼成アルミナマトリックス又は未焼成アルミナマトリックスを含み得る。いくつかの実施形態では、アルミナマトリックスは、焼成されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルミナマトリックスは、未焼成であってもよい。
【0049】
プロセスは、1つ以上の追加の材料を第1のスラリー若しくは第2のスラリー又はスラリーの混合物と合わせることを更に含み得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、第1のスラリー若しくは第2のスラリー又はスラリーの混合物は、結合剤、アルミナゲル、解膠ベーマイト、擬似ベーマイト、カオリン、遷移アルミナ、又はそれらの2つ以上の組み合わせを更に含み得る。
【0050】
本明細書で開示される任意の実施形態では、本明細書で記載されるプロセスに従って調製されるFCC触媒は、結合剤を更に含み得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、結合剤を、FCC触媒の総重量に基づいて約5重量%~約25重量%の量で含み得る。結合剤の好適な量は、約5重量%、約7重量%、約9重量%、約11重量%、約13重量%、約15重量%、約17重量%、約19重量%、約21重量%、約23重量%、約25重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得る。好適な結合剤としては、コロイダルシリカ、シリカヒドロゾル、アルカリケイ酸塩、又はそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書で開示される任意の実施形態では、本明細書で記載されるプロセスに従って調製されるFCC触媒は、アルミナゲル、解膠ベーマイトゲル、又はそれらの混合物を含み得る。例えば、本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、アルミナゲル又は解膠ベーマイトゲルを、FCC触媒の総重量に基づいて0重量%~約10重量%の量で含み得る。アルミナゲル及び/又は解膠ベーマイトゲルの好適な量は、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得るが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で開示される任意の実施形態では、本明細書で記載されるプロセスに従って調製されるFCC触媒は、約0.1~約0.7のZ/M比を有し得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、FCC触媒は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲のZ/Mを有し得る。
【0053】
本明細書で開示される任意の実施形態では、微小球は、約65ミクロン~約120ミクロンの平均粒径を有し得る。好適な微小球の粒径は、約65ミクロン、約70ミクロン、約75ミクロン、約80ミクロン、約85ミクロン、約90ミクロン、約95ミクロン、約100ミクロン、約105ミクロン、約110ミクロン、約115ミクロン、約120ミクロン、又はこれらの値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得るが、これらに限定されない。
【0054】
別の態様では、本技術は、任意の実施形態において、本明細書に記載のプロセスに従って調製される組み込まれたFCC触媒を提供する。
【0055】
別の態様では、本技術は、希土類元素若しくはその酸化物を有するYゼオライト及びアルミナマトリックス材料を含む第1のFCC触媒と;第1のFCC触媒とは異なる第2のFCC触媒と;任意選択的に、第1及び第2のFCC触媒とは異なる追加のFCC触媒と;を含む触媒組成物であって、アルミナマトリックスが、γ-Al又は擬似ベーマイトとドーパントとを含み;ドーパントが、IIIB族金属、IVB族金属、IVA族元素、VA族元素、それらの酸化物、又はそれらのいずれか2つ以上の組み合わせを含む、触媒組成物を提供する。
【0056】
本明細書で開示される任意の実施形態では、組成物は、触媒組成物の総重量に基づいて約1重量%~約99重量%の第1のFCC触媒を含み得る。第1のFCC触媒の好適な量は、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量、約99重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得る。例えば、第1の触媒は、組成物の総重量に基づいて約1重量%~約99重量%、約5重量%~約85重量%、約10重量%~約70重量%、約15重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、又はこれらのいずれかの値を含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で存在し得る。本明細書で開示される任意の実施形態では、第1のFCC触媒は、任意の実施形態において本明細書で記載されるFCC触媒である。
【0057】
本明細書で開示される任意の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて約1重量%~約99重量%の第2のFCC触媒を含み得る。1つ以上の追加FCC触媒の好適な量は、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量、約99重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得る。例えば、1つ以上の追加FCC触媒は、組成物の総重量に基づいて約1重量%~約99重量%、約5重量%~約85重量%、約10重量%~約70重量%、約15重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、又はこれらのいずれかの値を含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で存在し得る。
【0058】
本明細書で開示される任意の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて約1重量%~約99重量%の追加のFCC触媒を任意選択的に含み得る。任意選択の追加のFCC触媒の好適な量は、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量、約99重量%、又は前述の値のいずれか2つを含む及び/若しくはその間の任意の範囲を含み得る。例えば、任意選択の追加のFCC触媒は、組成物の総重量に基づいて約1重量%~約99重量%、約5重量%~約85重量%、約10重量%~約70重量%、約15重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、又はこれらのいずれかの値を含む及び/若しくはその間の任意の範囲の量で存在し得る。
【0059】
別の関連する態様では、本技術は、炭化水素供給物を分解する方法であって、上記供給物を任意の実施形態において本明細書で記載されるFCC触媒を含むFCC触媒と接触させることを含む、方法を提供する。
【0060】
このように一般的に記載される本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、それらの実施例は、例示のために提供され、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0061】
実施例1:焼成アルミナマトリックスに組み込まれたFCC触媒の調製及び評価。表1は、試料A~Cに記載されるFCC触媒を作成するために使用される2つのアルミナマトリックス材料(AM1及びAM2)の特性を提供する。AM1及びAM2は、γ-(γ)-Alとしてのアルミナ相の大部分と、χ-及びα-Alなどのいくつかの他の少量の相とともに高温で焼成されている。
【0062】
【表1】
【0063】
組み込まれたFCC試料A~Cは、一般に、以下の工程により調製した:
1.材料の粒子の90%、すなわちD90が約8ミクロン未満になるまで、スラリー中のアルミナマトリックス材料(AM1又はAM2)を粉砕する。
2.希土類元素又はその酸化物を含有するYゼオライト(REUSY)をスラリー中で、D90が約5ミクロン未満になるまで粉砕する。
3.粉砕前、粉砕中、又は粉砕後にスラリーのpHを約5未満のpHに一塩基酸(すなわちギ酸)で調整する。
4.粉砕されたアルミナマトリックス材料(AM1又はAM2)及びREUSYを、コロイダルシリカ(Nalco 2326)、解膠アルミナ(PB950)、カオリンスラリー、及び結晶性ベーマイト(Torアルミナ)と混合する。
5.混合物を噴霧乾燥して、約65ミクロン~約125ミクロンの平均粒径を有する微小球を形成する。
6.得られた微小球を950°F~1650°Fの温度で焼成した。
【0064】
これらのスラリー成分は、同時に又は順番に混合して、噴霧乾燥に好適なスラリー混合物を生成し、微小球に成形することができる。
【0065】
以下の表2は、試料A~Cの配合組成及び特性を提供する。
【0066】
【表2】
【0067】
表2で示されるように、試料A~Cは、異なるREO、UCS、及びYゼオライトの含有量、及び異なるアルミナマトリックスを有する。1450°F/24h/100%で蒸気不活性化した後、これらの試料は低いsZ/M(0.4~0.6)を有する。試料Cは、AM2のNa含有量が高いため、Zの安定性が低くなる。試料B及びCの両方で、類似のsZSA及びsUCSを有する。これらの試料の評価には、CRU(循環ライザユニット)試験が使用された。76%の一定の転化率での結果を、同等のインサイチュYゼオライトFCC触媒対照と比較して以下の表3にまとめる。
【0068】
【表3】
【0069】
上記表3に示されるように、例示的な組み込まれたFCC触媒試料A~Cは、対照のインサイチュFCC触媒と比較して改善されたコークス選択性を示した。結果は、Yゼオライト含有量(Z/M)又はREO(UCS)の変化がボトムのアップグレードに小さな影響を与えることを示した。同じAM1の場合、試料A及びBのZ/MとREO(UCS)を変えると、他の製品の選択性に影響する。試料Aと比較して、試料Bは、より高いUCS並びにより高いLPG及びオレフィンの選択性を示した。試料Cと比較した試料A及びB’の製品分布の結果は、アルミナマトリックスの特性が製品の選択性に影響を与えることを示した。換言すれば、AM1を含有するFCC触媒はより多くのLPG/オレフィンを生成し、AM2はより多くのガソリンを生成した。したがって、FCC触媒組成物中のAM1(3.5重量%のLaドーパント)はC4=の場合に非常に有益であり、AM2(0.2重量%のSiOドーパント)は低オレフィン/LPGを有する優れたガソリンを生成する。上記で示されるとおり、プロトタイプのCRU試験は、例示的なFCC触媒試料A~Cが、対照のインサイチュFCC触媒と比較して9~10%良好なボトムアップグレーディングを示したことを実証している。
【0070】
実施例2:未焼成アルミナマトリックスに組み込まれたFCC触媒の調製及び評価。主に擬似ベーマイト相を含む未焼成アルミナマトリックスの概要を表4に示す。表4は、アルミナマトリックス材料(AM3~AM8)の配合及び特性を提供する。
【0071】
【表4】
【0072】
試料D~Iの組み込まれたFCC触媒は、上記の実施例1に記載された手順に従って調製された。以下の表5で示されるように、FCC触媒試料D~Iは、異なる含有量で修飾されたドーパント(すなわち、Si及び/又はLa)を有するアルミナマトリックス材料AM3~AM8を組み込む。
【0073】
【表5】
【0074】
ACE試験は、以下のACE試験結果が、高Siドープ及び/又はいくらかのLaドープによるアルミナマトリックスの修飾が、同じアルミナ相の製品選択性に影響を与えることを示すことであった。特に、未焼成アルミナマトリックスのSi及び/又はLaドープは、コークス及び水素の形成を減少させ、ボトムアップグレーディングを改善する。
【0075】
【表6】
【0076】
特定の実施形態を図示及び記載してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されるそのより広範な態様における技術から逸脱することなく、当該技術分野における通常の技術に従って、それらに変更及び修正を行うことができることを理解されたい。
【0077】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的には開示されていないいかなる要素、制限の不在下でも好適に実施することができる。したがって、例えば、「を含んでいる(comprising)」、「を含んでいる(including)」、「を含有している(containing)」などの用語は、広範に且つ制限なしで読まれるべきである。更に、本明細書で用いられる用語及び表現は、説明の用語として使用されており、制限の用語としては使用されておらず、そのような用語及び表現の使用において、示され、記載される特徴又はその部分のいかなる等価物も除外する意図は存在せず、主張される技術の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。更に、「から本質的になる」という語句は、具体的に引用される複数の要素、及び主張される技術の基本的且つ新規の特徴に実質的に影響しない追加の要素を含むように理解される。「からなる」という語句は、明記されていないいかなる要素も除外する。
【0078】
本開示は、本出願に記載の特定の実施形態に関して限定されるものではない。多くの修正及び変更は、当業者に明らかになるように、その主旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本開示の範囲内の機能的に等価の方法及び組成は、本明細書に列挙されるものに加えて、上述の説明から当業者に明らかとなる。そのような修正及び変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲、及びそのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲によってのみ限定されるべきである。本開示が、もちろん変動し得る、特定の方法、試薬、化合物、又は組成物に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載するためのものにすぎず、限定を意図するものではないこともまた理解されたい。
【0079】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュグループに関して記載されている場合、当業者は、本開示がまた、マーカッシュグループの任意の個々のメンバー又はそのメンバーのサブグループの観点から記載されることを認識するであろう。
【0080】
当業者に理解されるように、あらゆる全ての目的のために、特に書面による説明を提供する観点から、本明細書に開示される全ての範囲はまた、あらゆる全ての可能な部分範囲及びそれらの部分範囲の組み合わせも包含する。いかなる範囲の列挙も、少なくとも等しい半分、1/3、1/4、1/5、1/10などに分解される同じ範囲を十分に記載及び可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下位の1/3、中間の1/3、及び上位の1/3などに容易に分解することができる。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「超」、「未満」などの全ての用語は、列挙された数を含み、上記に考察した下位範囲に後に分解することができる範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は、個々の各メンバーを含む。
【0081】
本明細書で参照される、全ての刊行物、特許出願、発行された特許、及び他の文書は、個々の各刊行物、特許出願、発行された特許、又は他の文書の全体が、参照により本明細書に組み込まれるように具体的且つ個々に示されるように参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる本文に含有される定義は、それらが本開示における定義と矛盾する範囲まで除外される。
【0082】
他の実施形態は、後続の特許請求の範囲に記載されている。
【国際調査報告】