(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】光容量センサ
(51)【国際特許分類】
G06V 40/13 20220101AFI20230906BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20230906BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230906BHJP
G06V 10/143 20220101ALI20230906BHJP
G06V 10/141 20220101ALI20230906BHJP
G06V 40/145 20220101ALI20230906BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20230906BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20230906BHJP
H01L 31/08 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
G06V40/13
G06F3/042 471
G06F3/041 620
G06V10/143
G06V10/141
G06V40/145
H01L27/146 C
H01L27/144 K
H01L31/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512362
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 GB2021052144
(87)【国際公開番号】W WO2022043661
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523057253
【氏名又は名称】アイビーメトリクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IBMETRIX LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン、アロキア
(72)【発明者】
【氏名】バーン、ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4M118
5F149
【Fターム(参考)】
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA02
4M118CA09
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4M118GD04
5F149AA20
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5F149LA09
5F149XB32
(57)【要約】
光容量センサ(29)は、入力面(30)と、入力面(30)の一部(35)を照射するように配置された1つまたは複数の光源(31)とを含む。光容量センサ(29)はまた、入力面(30)の照射部分(35)に接触または近接した物体(39)から反射される1つまたは複数の光源(31)からの光(38)を受け取るように配置された光コンデンサ(32)のアレイ(36)を含む。光コンデンサ(32)のアレイ(36)は、物体(39)の反射パターンを検出するように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力面と、
前記入力面の一部を照射するように配置された1つまたは複数の光源と、
前記入力面の前記照射部分と接触または近接する物体から反射される前記1つまたは複数の光源からの光を受け取るように配置された光コンデンサのアレイと
を含む光容量センサであって、
前記光コンデンサのアレイは、前記物体の反射パターンを検出するように構成される、
前記光容量センサ。
【請求項2】
前記光コンデンサのアレイが、指紋を検出するように構成される、請求項1に記載の光容量センサ。
【請求項3】
前記1つまたは複数の光源が指向性であり、前記入力面に向かって光を放射し、
前記1つまたは複数の光源は、前記光コンデンサのアレイと前記入力面との間に配置される、請求項1または請求項2に記載の光容量センサ。
【請求項4】
前記光コンデンサのアレイが、前記1つまたは複数の光源と前記入力面との間に配置され、前記光容量センサが、
前記1つまたは複数の光源と前記光コンデンサのアレイとの間に配置され、前記光コンデンサが感知する波長範囲内の前記1つまたは複数の光源による直接照射から前記光コンデンサを遮蔽するように構成された光減衰層
をさらに含む、
請求項1または請求項2に記載の光容量センサ。
【請求項5】
前記1つまたは複数の光源が、1つまたは複数の赤外線エミッタを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の光容量センサ。
【請求項6】
前記1つまたは複数の光源が、赤、緑、及び青のエミッタから選択される1つまたは複数のエミッタを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の光容量センサ。
【請求項7】
前記光コンデンサのアレイが、
第1の方向に延在し、第2の異なる方向に離間された複数の第1の電極と、
前記第2の方向に延在し、前記第1の方向に離間された複数の第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極の各交点が前記アレイの光コンデンサを提供するように、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された光容量性材料の層と
を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の光容量センサ。
【請求項8】
前記光コンデンサのアレイが、
第1の方向に延在し、第2の異なる方向に離間された複数の第1の電極と、
前記第2の方向に延在し、前記第1の方向に離間された複数の第2の電極と
を含み、
前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極とは、実質的に同一平面上にあり、前記第1の電極と前記第2の電極の各交点が前記アレイの光コンデンサを提供するように、光容量性材料の層上にまたは前記層より上に配置される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の光容量センサ。
【請求項9】
カバーレンズ及びディスプレイ積層体を有するディスプレイ画面であって、前記ディスプレイ積層体は、請求項1~8のいずれか1項に記載の光容量センサを含み、前記カバーレンズは、前記入力面を提供する、前記ディスプレイ画面。
【請求項10】
前記ディスプレイ積層体がバックライト層を含み、
前記バックライト層は前記1つまたは複数の光源を提供する、または前記バックライト層は前記1つまたは複数の光源を含む、
請求項9に記載のディスプレイ画面。
【請求項11】
前記ディスプレイ積層体が、発光ダイオードのアレイの形の画素層を含み、
前記発光ダイオードのアレイは、前記1つまたは複数の光源を提供する、または前記発光ダイオードのアレイは、前記1つまたは複数の光源を含む、
請求項9に記載のディスプレイ画面。
【請求項12】
前記ディスプレイ積層体が薄膜トランジスタ層を含み、
前記薄膜トランジスタ層は前記光コンデンサのアレイを提供する、または前記薄膜トランジスタ層は前記光コンデンサのアレイを含む、
請求項9~11のいずれか1項に記載のディスプレイ画面。
【請求項13】
前記ディスプレイ積層体が、薄膜トランジスタ層と、別個の光コンデンサ層とを含む、請求項9~11のいずれか1項に記載のディスプレイ画面。
【請求項14】
前記ディスプレイ積層体が表示領域を有し、
前記入力面の前記一部が前記表示領域の第1の領域に対応する、請求項9~13のいずれか1項に記載のディスプレイ画面。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか1項に記載の第2の光容量センサをさらに含み、
前記第2の光容量センサは、前記ディスプレイ領域の前記第1の領域とは異なる第2の領域に対応する前記入力面の一部に関連付けられる、請求項14に記載のディスプレイ画面。
【請求項16】
前記ディスプレイ積層体が表示領域を有し、前記入力面の前記一部が前記表示領域に実質的に対応する、請求項9~13のいずれか1項に記載のディスプレイ画面。
【請求項17】
前記ディスプレイ積層体が、投影型静電容量式タッチセンシングのための導電性トレースを含む、請求項9~16のいずれか1項に記載のディスプレイ画面。
【請求項18】
請求項1~8のいずれか1項に記載の光容量センサまたは請求項9~17のいずれか1項に記載のディスプレイ画面を含むアクセス制御デバイス。
【請求項19】
請求項1~8のいずれか1項に記載の光容量センサ、請求項9~17のいずれか1項に記載のディスプレイ画面、または請求項18に記載のアクセス制御デバイスと、
前記光容量センサに接続され、前記光コンデンサのアレイの容量を測定するように構成されたコントローラと
を含む、装置。
【請求項20】
前記コントローラが、前記光コンデンサのアレイの前記容量の光容量成分を測定するようにさらに構成される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記コントローラは、光容量成分の測定が、
前記光コンデンサのアレイの少なくともサブセットの容量を測定することと、
前記光コンデンサのアレイの前記サブセットの前記容量に基づいて相互作用領域を特定することと、
前記相互作用領域に対応する各光源を停止することと、
前記相互作用領域に対応する各光コンデンサの投影型静電容量成分を測定することと、
前記相互作用領域に対応する光源の少なくともサブセットを作動させることと、
前記相互作用領域に対応する各光コンデンサの総容量を測定することと、
総容量と前記各投影型静電容量成分との差に基づいて、前記相互作用領域に対応する光容量成分を特定することと
を含むように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
請求項17に記載のディスプレイ画面と、
スイッチネットワークを介して、投影型静電容量式タッチセンシング用の導電性トレースと前記光容量センサとに接続されたコントローラと
を含む、装置であって、
前記コントローラは、前記スイッチネットワークを使用して、前記導電性トレースからの投影型静電容量の測定値と、前記光容量センサからの光容量の測定値とを時分割多重するように構成される、
前記装置。
【請求項23】
請求項17に記載のディスプレイ画面と、
前記光容量センサに接続され、前記光コンデンサのアレイの光容量を測定するように構成されたコントローラと、
前記導電性トレースに接続され、前記導電性トレースを使用した投影型静電容量式タッチセンシング用に構成された専用タッチコントローラと
を含む、装置。
【請求項24】
投影型静電容量測定値を使用してユーザ相互作用を検出することに応答して、
前記ユーザ相互作用が、前記入力面に接触しているユーザの手の全部または一部に対応するかどうかを判断し、
前記ユーザ相互作用がユーザの手の全部または一部に対応すると判断することに応答して、1つまたは複数の指紋領域を決定し、
1つまたは複数の指紋領域を決定することに応答して、各指紋領域に対応する光容量を測定する
ように構成された、請求項19~23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記コントローラは、前記入力面より上にまたは前記入力面に接触した前記物体が無い状態で前記1つまたは複数の光源が照射されるとき、前記光コンデンサのアレイの前記測定された容量に対応する基準フレームを記憶し、
前記コントローラは、前記光容量のアレイから測定された前記容量から前記基準フレームを減算するようにさらに構成される、
請求項19~24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記コントローラまたは第1のコントローラが、前記1つまたは複数の光源からの発光を制御するようにさらに構成される、または、
第2のコントローラが、前記1つまたは複数の光源からの発光を制御するように構成される、
請求項19~25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
投影型静電容量を使用してタッチを検出することに応答して、前記コントローラが前記光コンデンサのアレイの容量を測定するようにさらに構成される、請求項19~26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
投影型静電容量を使用したタッチの検出に応答して、
前記コントローラまたは第2のコントローラが、前記1つまたは複数の光源を照射し、
前記コントローラは、前記光コンデンサのアレイの容量を測定するようにさらに構成される、請求項19~26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記1つまたは複数の光源が、1つまたは複数の赤外光源と1つまたは複数の赤色光源とを含み、前記コントローラまたは第2のコントローラが、
前記赤外光源を照射し、前記光コンデンサのアレイから容量の第1のセットを測定し、
前記赤色光源を照射し、前記光コンデンサのアレイから容量の第2のセットを測定する
ように構成され、
前記コントローラは、前記容量の第1のセットと前記容量の第2のセットを比較して、前記入力面より上または前記入力面に接触している物体が人間の皮膚に対応するかどうかを判断する、
請求項19~28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
前記コントローラが、前記1つまたは複数の赤外光源及び前記光容量センサを制御して、前記物体に含まれる1つまたは複数の静脈を検出及び/または画像化するようにさらに構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記装置が、
前記アレイを使用して測定された容量のパターンを、1つまたは複数の認められたパターンのセットと比較し、
前記アレイを使用して測定された前記容量のパターンが前記1つまたは複数の認められたパターンのうちのある認められたパターンと一致することに応答して、信号を出力する
ように構成される、請求項19~30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
前記1つまたは複数の認められたパターンのセットに対する前記容量のパターンの比較が、前記測定された容量のパターンが最小面積を超える相互作用領域に対応することが条件である、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
請求項1から8のいずれか1項に記載の光容量センサ、請求項9~17のいずれか1項に記載のディスプレイ画面、請求項18に記載のアクセス制御デバイス、または請求項19~31のいずれか1項に記載の装置を使用する方法であって、
前記光コンデンサのアレイの容量を測定することを含む、
前記方法。
【請求項34】
前記入力面より上にまたは前記入力面に接触した前記物体が無い状態で前記1つまたは複数の光源が照射されるとき、前記光コンデンサのアレイの前記測定された容量に対応する基準フレームを読み出すまたは取得することと、
前記光容量のアレイを使用して測定された前記容量から前記基準フレームを減算することと
をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記アレイを使用して測定された容量のパターンを、1つまたは複数の認められたパターンのセットと比較することと、
前記アレイを使用して測定された前記容量のパターンが前記1つまたは複数の認められたパターンのうちのある認められたパターンと一致することに応答して、信号を出力することと
をさらに含む、請求項33または請求項33に記載の装置。
【請求項36】
入力面と、
前記入力面を透過する光源からの光を受け取るように配置された光コンデンサのアレイと
を含む光容量センサであって、
前記光コンデンサのアレイは、レーザ点スポットを検出するように構成される、
前記光容量センサ。
【請求項37】
入力面と、
前記入力面の一部を照射するように配置された1つまたは複数の光源と、
前記入力面の前記照射部分と接触または近接する物体から反射される前記1つまたは複数の光源からの光を受け取るように配置された光コンデンサのアレイと、
コントローラと
を含むシステムであって、前記コントローラは、
前記光コンデンサのアレイを使用した投影型静電容量スキャンに基づいて、1つまたは複数のタッチを検出し、
前記光コンデンサのアレイを使用して取得された光容量測定値に基づいて、前記1つまたは複数のタッチのうちの少なくとも1つに対応する指紋パターンを取得する
ように構成される、
前記システム。
【請求項38】
ディスプレイをさらに含み、前記システムはタッチスクリーンシステムである、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記1つまたは複数の光源が1つまたは複数の赤外光源を含み、
前記コントローラが、対応する光容量の測定中に前記赤外光源の少なくとも1つをパルスするように構成される、請求項38または請求項38に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光容量センサに関し、詳細には、反射光のパターンを検出するための光容量センサに関する。光容量センサは、指紋やその他の特徴的なパターンの検出などの生体認証に使用することができる。光容量センサは、タッチスクリーンディスプレイパネルに組み込むことができる。
【背景技術】
【0002】
光容量効果は、波長範囲内の光の照射に応答して、材料の空間電荷分布が変化することに関連している。その材料がコンデンサの電極間に組み込まれている場合、コンデンサの容量の変化を測定することに基づいて、照明の存在及び/または強度を決定することができる。
【0003】
J.C.Anderson(1982)「Theory of photo-capacitance in amorphous silicon MIS structures」、Philosophical Magazine B,46:2,151-161,1982,DOI:10.1080/13642818208246431は、シリコン金属-絶縁体-半導体(MIS)構造における光容量効果の理論的取り扱いについて記載している。
【0004】
D.Caputo、G.de Cesare、A.Nascetti、F.Palma、M.Petri「Infrared photodetection at room temperature using photocapacitance in amorphous silicon structures」Appl.Phys.Lett.72,1229(1998);https://doi.org/10.1063/1.121022は、室温での容量測定により赤外光を検出できる、アモルファスシリコン材料に基づくデバイスについて記載している。
【0005】
M.Tucci,D.Caputo「Study of capacitance in hydrogenated amorphous silicon phototransistors for imaging arrays」Journal of Non-Crystalline Solids 338-340(2004)780-783,https://doi.org/10.1016/j.jnoncrysol.2004.03.090は、大面積イメージングシステムへの適用性を判断するために、水素化アモルファスシリコンフォトトランジスタの容量の研究について記載している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、入力面と、入力面の一部を照射するように配置された1つまたは複数の光源とを含む光容量センサが提供される。光容量センサはまた、入力面の照射部分と接触または近接する物体から反射される1つまたは複数の光源からの光を受け取るように配置された光コンデンサのアレイを含む。光コンデンサのアレイは、物体の反射パターンを検出するように構成される。
【0007】
反射パターンは、アルベドパターン、カラーパターン、及び/またはレリーフパターンに対応し得る。反射パターンは、指紋及び/または皮膚隆線の別のパターンに対応し得る。
【0008】
光コンデンサのアレイは、指紋を検出するように構成することができる。
【0009】
アレイ内の光コンデンサ間のピッチ/間隔は、1mm未満であってよい。アレイ内の光コンデンサ間のピッチ/間隔は、0.5mm未満であってよい。アレイ内の光コンデンサ間のピッチ/間隔は、指紋隆線を解像するのに十分に小さくてよい。光コンデンサのアレイは、人間の皮膚隆線のパターンを検出するように構成することができる。
【0010】
各光コンデンサは、不規則な結晶性または多結晶性材料を含み得る、またはそれらから形成することができる。各光コンデンサは、サブギャップ光子エネルギーを吸収できる材料のバンドギャップにトラップ状態を含む材料を含み得る、またはその材料から形成することができる。各光コンデンサは、アモルファスシリコン、アモルファス半導体酸化物、有機材料などのうちの1つまたは複数を含み得る、またはそれらから形成することができる。
【0011】
「近接」という用語は、アレイ内の光コンデンサのピッチ/間隔が与えられた場合に反射パターンが解像できるように、物体が入力面に十分近いことを指してよい。最大距離は、他の要因の中でも特に、光源によって供給される光の分散及び反射パターンの空間周波数に依存し得る。例えば、指紋、写真、文書などを読み取るためには、近接とは、コリメート光源またはレーザ光源の場合は1mm以下、非コリメート光源の場合は0.1mm以下を指してよい。指先または手の形状を検出するためには、距離はより大きくてよく、例えばコリメート光源またはレーザ光源の場合は100mm以下、非コリメート光源の場合は10mm以下であってよい。静脈などの皮下組織の解像などの困難な用途では、コリメート光源またはレーザ光源の場合、近接とは0.5mm以下を指してよい。
【0012】
光容量センサは、パッシブセンサ及び/またはパッシブセンシング層の一部として実装することができる。光容量センサは、アクティブセンサ及び/またはアクティブセンシング層の一部として実装することができる。光容量センサは、ボタン、タッチパッド、タッチパネル、タッチスクリーンディスプレイなどの一部として実装することができる。
【0013】
光容量センサは、入力面が、水、または光源(複数可)によって放射された波長で透過性があり、光コンデンサ(複数可)が感知できる任意の他の流体によって濡れている、及び/またはそれらに沈んでいる場合、動作可能であってよい。
【0014】
1つまたは複数の光源は、指向性であってよく、入力面に向かって光を放射することができる。1つまたは複数の光源は、光コンデンサのアレイと入力面との間に配置することができる。
【0015】
光コンデンサのアレイは、1つまたは複数の光源と入力面との間に配置することができる。光容量センサはまた、1つまたは複数の光源と光コンデンサのアレイとの間に配置された光減衰層を含み得る。光減衰層は、光コンデンサが感知する波長範囲内の1つまたは複数の光源による直接照射から光コンデンサを遮蔽するように構成することができる。
【0016】
光減衰層はパターニングされてよい。光減衰層は不透明であってよく、実質的にまたは完全に光を遮断することができる。光減衰層は、選択的に光を遮断することができ、波長範囲内の光を遮断するように構成されたフィルタの形をとってよい。光減衰層は、偏光子の形をとってよい。
【0017】
1つまたは複数の光源は、1つまたは複数の赤外線エミッタを含み得る。赤外線エミッタは、発光ダイオードを含み得る、または発光ダイオードの形をとってよい。赤外線エミッタは、800nmと2,500nmの間の(及び、それを含む)の範囲のピーク発光に対応し得る。
【0018】
1つまたは複数の光源は、赤、緑、及び青のエミッタから選択される1つまたは複数のエミッタを含み得る。赤色エミッタは、発光ダイオードを含み得る、または発光ダイオードの形をとってよい。赤色エミッタは、700nmと635nmの間の(及び、それを含む)範囲のピーク発光に対応し得る。
【0019】
光コンデンサのアレイは、第1の方向に延在し、第2の異なる方向に離間された幾つかの第1の電極を含み得る。光コンデンサのアレイは、第2の方向に延在し、第1の方向に離間した幾つかの第2の電極を含み得る。光コンデンサのアレイは、第1の電極と第2の電極との各交点がアレイの光コンデンサを提供するように、第1の電極と第2の電極との間に配置された光容量性材料の層を含み得る。
【0020】
光コンデンサのアレイは、第1の方向に延在し、第2の異なる方向に離間された幾つかの第1の電極を含み得る。光コンデンサのアレイは、第2の方向に延在し、第1の方向に離間された複数の第2の電極を含み得る。複数の第1の電極及び複数の第2の電極は、実質的に同一平面上にあってよく、第1の電極と第2の電極との各交点がアレイの光コンデンサを提供するように、光容量性材料層上に、または光容量性材料層より上に配置されてよい。
【0021】
光コンデンサのアレイは、順番に、第1の方向に延在し、第2の異なる方向に離間された幾つかの第1の電極、誘電体層、第2の方向に延在し、第1の方向に離間された幾つかの第2の電極、及び光容量性材料の層を含み得る。光コンデンサのアレイは、順番に、光容量性材料の層、第1の方向に延在し、第2の異なる方向に離間された幾つかの第1の電極、誘電体層、及び第2の方向に延在し、第1の方向に離間された幾つかの第2の電極を含み得る。
【0022】
光コンデンサのアレイは、第1の方向に延在し、第2の異なる方向に離間された幾つかの第1の電極を含み得る。光コンデンサのアレイは、第2の方向に延在し、第1の方向に離間された複数の第2の電極を含み得る。複数の第1の電極及び複数の第2の電極は、実質的に同一平面上にあってよく、光容量性材料の層は、第1及び第2の電極と実質的に同一平面上にあってよく、第1の電極と第2の電極を分離するギャップに配置されてよい。
【0023】
光容量センサはまた、投影型静電容量測定のための1つまたは複数の導電性トレースを含み得る。
【0024】
ディスプレイ画面は、カバーレンズとディスプレイ積層体を含み得る。ディスプレイ積層体は、第1の態様による光容量センサを含み得る。カバーレンズは、入力面を提供することができる。
【0025】
ディスプレイ積層体は、バックライト層を含み得る。バックライト層は、1つまたは複数の光源を提供することができる、またはバックライト層は、1つまたは複数の光源を含み得る。バックライト層は、1つまたは複数の光源と1つまたは複数の追加の発光体とを含み得る。バックライト層は、1つまたは複数の光源から構成することができる。
【0026】
ディスプレイ積層体は、発光ダイオードのアレイの形の画素層を含み得る。発光ダイオードのアレイは、1つまたは複数の光源を提供することができる、または発光ダイオードのアレイは、1つまたは複数の光源を含み得る。画素層は、1つまたは複数の光源と1つまたは複数の追加の発光体とを含み得る。画素層は、1つまたは複数の光源から構成することができる。
【0027】
ディスプレイ積層体は、薄膜トランジスタ層を含み得る。薄膜トランジスタ層は光コンデンサのアレイを提供することができる、または薄膜トランジスタ層は光コンデンサのアレイを含む。光容量センサは、薄膜トランジスタ層の一部として実装することができる。光容量センサは、ゲートと接続されたソース及びドレインとの間にコンデンサを形成するために、短絡されたソース及びドレインを有する薄膜トランジスタの形をとってよい。
【0028】
ディスプレイ積層体は、薄膜トランジスタ層及び別個の光コンデンサ層を含み得る。別個の光コンデンサ層は、光コンデンサのアレイを提供及び/または画定することができる。
【0029】
ディスプレイ積層体は、表示領域を有し得る。入力面の(照射された)部分は、表示領域の第1の領域に対応し得る。
【0030】
ディスプレイ画面はまた、第1の態様による第2の光容量センサを含み得る。第2の光容量センサは、表示領域の第1の領域とは異なる第2の領域に対応する入力面の部分に関連付けられてよい。
【0031】
ディスプレイ積層体は表示領域を有し、入力面の(照射された)部分は実質的に表示領域に対応し得る。入力面の(照射された)部分は、それが表示領域の90%以上に対応する場合、実質的に表示領域に対応し得る。
【0032】
ディスプレイ積層体は、投影型静電容量式タッチセンシング用の導電性トレースを含み得る。
【0033】
アクセス制御デバイスは、光容量センサまたはディスプレイ画面を含み得る。
【0034】
アクセス制御デバイスは、例えば、プリンタ、医療装置、ドア、エレベータ(リフト)制御盤、自動車、オートバイ、自転車、ならびに、ブルドーザ、バックホー、掘削機などの建築設備や、航空機、軍用設備等の機器の作動に使用することができる。アクセス制御デバイスは、例えば、薬品キャビネット、産科及び出産ユニットなどの病棟、ホテルの客室ドア、ホテルの裏口のドア、またはアクセスを制御したいその他の任意の部屋もしくは空間などの機器の作動に使用することができる。
【0035】
装置は、前述の光容量センサ、ディスプレイ画面、及び/またはアクセス制御デバイスを含み得る。装置はまた、光容量センサに接続され、光コンデンサのアレイの容量を測定するように構成されたコントローラを含み得る。
【0036】
コントローラは、光コンデンサのアレイの容量の光容量成分を測定するようにさらに構成することができる。
【0037】
コントローラは、光容量成分の測定が、光コンデンサのアレイの少なくともサブセットの容量を測定することを含むように構成することができる。光容量成分を測定することはまた、光コンデンサのアレイのサブセットの容量に基づいて相互作用領域を決定することを含み得る。
【0038】
光容量成分を測定することは、相互作用領域に対応する各光源を停止し、相互作用領域に対応する各光コンデンサの投影型静電容量成分を測定することも含み得る。光容量成分を測定することはまた、相互作用領域に対応する光源の少なくともサブセットを作動させることを含み得る。光容量成分を測定することはまた、相互作用領域に対応する各光コンデンサの総容量を測定することを含み得る。光容量成分を測定することはまた、総容量と各投影型静電容量成分との差に基づいて、相互作用領域に対応する光容量成分を決定することを含み得る。
【0039】
光コンデンサのアレイのサブセットは、光コンデンサのすべてを含み得る。光源のサブセットは、光源のすべてを含み得る。光源のサブセットは、特定の色のすべての光源を含み得る。例えば、ディスプレイは赤(R)、緑(G)、青(B)の画素を含んでよく、すべての画素を非アクティブにして投影型静電容量成分を測定し、続いて、総容量の測定のために赤色(R)光源のみを作動させてよい。他の例では、ディスプレイはまた、ディスプレイ表面の少なくとも一部にわたってIR光源を含んでよく、IR光源のみが、光容量成分を決定する目的で再度作動されてよい。
【0040】
光源を停止及び作動させるプロセスは、例えば平均化によって光容量成分を洗練するために任意の回数、繰り返すことができる。光源が2色以上の色を含む場合、光源を停止及び作動させるプロセスを1回または複数回繰り返して、総容量の測定ごとに1色の光源のみを作動させることができる。このようにして、利用可能な光源の異なる色ごとに光容量成分を独立して取得することができる。
【0041】
光コンデンサのアレイは、前述のように、複数の第1の電極と複数の第2の電極との間の交点の形をとってよい。そのような場合、コントローラは、送信機出力を使用して第1の電極を駆動し、受信機入力を使用して第2の電極を監視することができる。各送信機出力は、異なる周波数を有する駆動信号を提供することができる。
【0042】
コントローラは、第1の電極の数よりも少ない数の送信機出力を有してよく、各送信機出力は、それぞれのマルチプレクサを介して2つ以上の第1の電極に接続されてよい。マルチプレクサからの出力は、光容量センサ内で空間的にグループ化された第1の電極のサブセットに接続されてよい。換言すれば、各送信機出力は、第1の電極のサブセットに対応する光容量センサの特定のストライプまたはストリップに対応する第1の電極に多重化されてよい。あるいは、2つ以上のマルチプレクサからの出力は、第1の電極の1つまたは複数の空間的にグループ化されたサブセット内で、各第1の電極がそれぞれのマルチプレクサを介して異なる送信機出力に接続可能であるようにインターリーブされてよい。この後者のオプションによって、第1の電極のサブセットに対応する光容量センサの特定のストライプまたはストリップ内のすべての第1の電極が同時に測定のために駆動されることを可能にすることができる。
【0043】
コントローラは、第2の電極の数よりも少ない数の受信機入力を有する場合があり、受信機入力は、送信機出力及び第1の電極に関して記載した任意の方法で第2の電極に多重化されてよい。
【0044】
装置は、ディスプレイ画面を含んでよく、ディスプレイ積層体は、投影型静電容量式タッチセンシング用の導電性トレースと、スイッチネットワークを介して投影型静電容量式タッチセンシング用の導電性トレース及び光容量センサに接続されたコントローラとを含む。コントローラは、スイッチネットワークを使用して、導電性トレースからの投影型静電容量の測定値と、光容量センサからの光容量の測定値とを時分割多重化するように構成することができる。
【0045】
装置は、ディスプレイ画面を含んでよく、ディスプレイ積層体は、投影型静電容量式タッチセンシング用の導電性トレースと、光容量センサに接続され、光コンデンサのアレイの光容量を測定するように構成されたコントローラと、導電性トレースに接続され、導電性トレースを使用して投影型静電容量式タッチセンシング用に構成された専用タッチコントローラとを含む。
【0046】
装置は、投影型静電容量測定値を使用してユーザ相互作用を検出することに応答して、ユーザ相互作用が入力面と接触しているユーザの手の全部または一部に対応するかどうかを判断するように構成することができる。装置は、ユーザ相互作用がユーザの手の全部または一部に対応すると判断することに応答して、1つまたは複数の指紋領域を決定するように構成することができる。装置は、1つまたは複数の指紋領域を決定することに応答して、各指紋領域に対応する光容量を測定するように構成することができる。
【0047】
コントローラは、入力面より上にまたは入力面に接触した物体が無い状態で1つまたは複数の光源が照射されるとき、光コンデンサのアレイの測定された容量に対応する基準フレームを記憶することができる。コントローラは、光容量のアレイから測定された容量から基準フレームを減算するようにさらに構成することができる。
【0048】
コントローラは、1つまたは複数の光源からの発光を制御するようにさらに構成することができる。あるいは、第2のコントローラは、1つまたは複数の光源からの発光を制御するように構成することができる。
【0049】
装置は、投影型静電容量を使用してタッチを検出することに応答して、コントローラが光コンデンサのアレイの容量を測定するようにさらに構成するこすることができる。
【0050】
装置はまた、投影型静電容量を使用してタッチを検出することに応答して、コントローラまたは第2のコントローラが1つまたは複数の光源を照射させ、コントローラが光コンデンサのアレイの容量を測定するように構成することができる。
【0051】
1つまたは複数の光源は、1つまたは複数の赤外光源と1つまたは複数の赤色光源とを含み得る。コントローラまたは第2のコントローラは、赤外光源を照射させ、光コンデンサのアレイから容量の第1のセットを測定するように構成することができる。コントローラまたは第2のコントローラはまた、赤色光源を照射させ、光コンデンサのアレイから容量の第2のセットを測定するように構成することができる。コントローラは、容量の第1のセット及び容量の第2のセットを比較して、入力面より上のまたは入力面に接触している物体が人間の皮膚に対応するかどうかを判断するように構成することができる。
【0052】
コントローラは、赤外光と赤色光の反射の違いが酸素を含む人間の組織と一致するかどうかを検出することによって、入力面より上のまたは入力面に接触している物体が人間の皮膚に対応するかどうかを判断するように構成することができる。このようにして、指紋の複製を使用するセンサのスプーフィングを検出し、防止することができる。
【0053】
コントローラは、1つまたは複数の赤外光源及び光容量センサを制御して、物体に含まれる1つまたは複数の静脈を検出及び/または画像化するようにさらに構成することができる。
【0054】
装置は、アレイを使用して測定された容量のパターンを、1つまたは複数の認められたパターンのセットと比較するように構成することができる。装置はまた、アレイを使用して測定された容量のパターンが1つまたは複数の認められたパターンのうちのある認められたパターンと一致することに応答して、信号を出力するように構成することができる。
【0055】
1つまたは複数の認められたパターンのセットに対する容量のパターンの比較は、測定された容量のパターンが最小面積を超える相互作用領域に対応することが条件であってよい。相互作用領域のサイズは、光容量センサから得られる光容量測定値、及び/または光容量センサ及び/または導電性トレースから得られる投影型静電容量測定値に基づいて決定されてよい。
【0056】
この条件により、比較が最小面積に基づいていることを保証することができ、これは、誤った一致を減らし、セキュリティを向上させるのに役立ち得る。装置がディスプレイを含み、相互作用領域が比較のために不十分である場合、より完全な測定を可能にするために指(または手のひらなど)を再度置くようにユーザに通知するメッセージを表示するようにディスプレイを制御することができる。
【0057】
信号は、例えば、プリンタ、医療装置、ドア、エレベータ(リフト)制御盤、自動車、オートバイ、自転車、ならびに、ブルドーザ、バックホー、掘削機などの建築設備や、航空機、軍用設備などの機器を作動させることができる。信号は、例えば、薬品キャビネット、産科及び出産ユニットなどの病棟、ホテルの客室ドア、ホテルの裏口のドア、またはアクセスを制御したい任意の他の部屋もしくは空間などの機器を作動させることができる。
【0058】
本発明の第2の態様によれば、光容量センサ、ディスプレイ画面、アクセス制御デバイス、及び/または装置を使用する方法であって、光コンデンサのアレイの容量を測定することを含む方法が提供される。
【0059】
方法は、光容量センサ、ディスプレイ画面、アクセス制御デバイス、及び/または装置の任意の特徴に対応する特徴を含み得る。
【0060】
方法はまた、入力面より上にまたは入力面に接触した物体が無い状態で1つまたは複数の光源が照射されるとき、光コンデンサのアレイの測定された容量に対応する基準フレームを読み出しまたは取得することを含むことができる。方法はまた、光容量のアレイを使用して測定された容量から基準フレームを減算することを含み得る。
【0061】
方法はまた、アレイを使用して測定された容量のパターンを、1つまたは複数の認められたパターンのセットと比較することを含み得る。方法はまた、アレイを使用して測定された容量のパターンが1つまたは複数の認められたパターンのうちのある認められたパターンと一致することに応答して、信号を出力することを含み得る。
【0062】
本発明の第3の態様によれば、入力面と、入力面を透過する光源からの光を受け取るように配置された光コンデンサのアレイとを含む光容量センサが提供される。光コンデンサのアレイは、レーザ点スポットを検出するように構成される。
【0063】
レーザ点スポットを検出するように構成された光コンデンサのアレイの構成は、1mmから5mmの間(及びそれを含む)のアレイとの間隔に対応し得る。
【0064】
第3の態様の光容量センサは、第1の態様による光容量センサ、ディスプレイ画面及び/または装置、及び/または第2の態様による方法の任意の特徴に対応する特徴を含み得る。
【0065】
本発明の第4の態様によれば、入力面を含むシステムが提供される。システムはまた、入力面の一部を照射するように配置された1つまたは複数の光源を含む。システムはまた、入力面の照射部分と接触または近接する物体から反射される1つまたは複数の光源からの光を受け取るように配置された光コンデンサのアレイを含む。システムはまた、光コンデンサのアレイを使用した投影型静電容量スキャンに基づいて1つまたは複数のタッチを検出するように構成されたコントローラを含む。コントローラはまた、光コンデンサのアレイを使用して取得された光容量測定値に基づいて、1つまたは複数のタッチのうちの少なくとも1つに対応する指紋パターンを取得するように構成される。
【0066】
第4の態様のシステムは、第1の態様による光容量センサ、ディスプレイ画面及び/または装置、及び/または第2の態様による方法の任意の特徴に対応する特徴を含み得る。
【0067】
システムはまた、ディスプレイを含んでよく、システムはタッチスクリーンシステムであってよい。
【0068】
1つまたは複数の光源は、1つまたは複数の赤外光源を含んでよい、またはその形をとってよい。コントローラは、対応する光容量の測定中に赤外光源のうちの少なくとも1つをパルスするように構成することができる。赤外光源は、近赤外光源であってよい。「ストローブ」という用語が、「パルス」という用語の代わりに使用されてもよい。
【0069】
本発明の特定の実施形態を、添付の図面を参照して、例としてここに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図2E】ナノワイヤマット電極の概略平面図である。
【
図3】第1の光容量センサを概略的に示す図である。
【
図4】第1の光容量センサに関連するアクティブセンシング層を概略的に示す図である。
【
図5】第2の光容量センサを概略的に示す図である。
【
図6】第1のディスプレイ下積層体の概略断面図である。
【
図7】第2のディスプレイ下積層体の概略断面図である。
【
図10】第1のインセル積層体の概略断面図である。
【
図11】第2のインセル積層体の概略断面図である。
【
図12】第3のオンセル積層体の概略断面図である。
【
図13】第4のオンセル積層体の概略断面図である。
【
図14】第1の表示レイアウトの概略平面図である。
【
図15】第2の表示レイアウトの概略平面図である。
【
図16】第3の表示レイアウトの概略平面図である。
【
図17】第4の表示レイアウトの概略平面図である。
【
図18】
図11の第2のインセル積層体の特定の例の概略断面図である。
【
図19】
図18に示す薄膜トランジスタ(TFT)集積光コンデンサの概略断面図である。
【
図20】光容量センシングのためのシステムを概略的に示す図である。
【
図21】投影型静電容量及び光容量の別個の読み出し構成を概略的に示す図である。
【
図22A】投影型静電容量及び光容量の時分割多重化された読み出し構成を概略的に示す図である。
【
図22B】
図22Aに示す時分割多重読み出し構成のタイミングを概略的に示す図である。
【
図23】投影型静電容量及び光容量の組み合わされた読み出し構成を概略的に示す図である。
【
図25】第3の光容量センサの電極の概略平面図である。
【
図26】第3の光容量センサの電極間の電気力線を概略的に示す図である。
【
図27】第3の光容量センサの変更形態の電極間の電気力線を概略的に示す図である。
【
図28】
図23に示す組み合わされた読み出し構成の相互作用領域、暗領域、及び測定領域を概略的に示す図である。
【
図29】
図23に示す組み合わされた読み出し構成のタイミングを概略的に示す図である。
【
図30】A及びBは、
図29に示す異なる期間中に取得された測定値を概略的に示す図である。
【
図31】
図23に示す組み合わされた読み出し構成を実装するための第1のアドレス指定方式を概略的に示す図である。
【
図32】
図23に示す組み合わされた読み出し構成を実装するための第2のアドレス指定方式を概略的に示す図である。
【
図33】A~Dは、手/手のひら全体の投影型静電容量センシング、及び光容量センシングのための対応する測定領域を概略的に示す図である。
【
図34】A及びBは、異なる力が加えられたユーザタッチに対応する関連領域を概略的に示す図である。
【
図35】A及びBは、異なる力が加えられたユーザタッチに対応する関連領域を概略的に示す図である。
【
図36】A及びBは、異なる力が加えられたユーザタッチに対応する関連領域を概略的に示す図である。
【
図37】第4の光容量センサを含むプレゼンテーションシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下の説明では、類似の部分は、類似の参照番号で示される。
【0072】
スマートフォン、タブレット、及び他のデバイスへの迅速なアクセスを提供するなど、様々な目的で生体認証の使用が増加している。生体認証は、例えば金融取引の認証など、ソフトウェアアプリケーション内で使用することもできる。生体認証の他の用途については、以下に記載する。
【0073】
1つの既存の技術は、例えばユーザの指からの可視光反射と、その後の光検出器アレイを使用した指紋の検出に基づいている。指紋センサは、多くの場合、ディスプレイとは別のボタンにまたはボタンの下に設けられている。例えば、表示領域を犠牲にすることなく指紋バイオメトリクスの使用を可能にするために、ディスプレイと同じ領域内に指紋センサを配置できれば、望ましい。
【0074】
本明細書は、以下に記載する他の用途の中でも特に、ユーザ/アプリケーション認証などのための統合されたディスプレイ内指紋リーダを提供するために使用できる光容量センサに関する。光検出器(例えば、フォトダイオード)に基づく先行技術のアプローチとは対照的に、本明細書は、入力面(例えば、電話画面)の近くにまたは接触して置かれたパターン(例えば、指紋)から反射された光を検出することができる光コンデンサのアレイを使用することを提案する。光コンデンサを使用すると、ディスプレイ内にパターンセンサを配置する際の柔軟性を高めることができる。例えば、一部の例では、指からの赤外赤色(IR)反射を使用することができ、これはその後、光コンデンサアレイによって検出される。これは、ディスプレイモジュールで使用されるほとんどの材料のIR吸収が制限または低減されているという点で有利であり、ディスプレイ積層体内の様々な高さでの光コンデンサアレイの配置を可能にする。
【0075】
本明細書による光容量センサの空間分解能は、読み取ろうとする反射パターンのタイプに応じて調整することができる。例えば、一体化されたディスプレイ内アレイを使用して指紋を検出するために、光コンデンサは、すべての(RGB)画素またはすべてのR、G、Bサブ画素に配置することができる。高解像度ディスプレイの場合、読み取ろうとするパターンの空間スケールによって必要な解像度が決まるため、n番目ごとの画素(nは正の整数)で十分な場合がある。
【0076】
本明細書による光容量センサは、静電容量式タッチセンシングと組み合わせて(または静電容量式タッチセンシングと統合して)使用することができる。光コンデンサの位置に関して柔軟性を増し得る要因は、静電容量式タッチと光容量が2つの異なる相互作用モードであるため、これらの非同時に読み出すことである。
【0077】
他のデバイスの中でも特に、本明細書による光容量センサは、いわゆる「インセル」、「オンセル」、「ハイブリッドインセル」ソリューション、及び/またはそれらの将来の変形形態など、組み込みタッチソリューションを使用する現在のディスプレイアーキテクチャに埋め込むことができる。
【0078】
光容量
図1を参照すると、光コンデンサ1が示されている。
【0079】
光コンデンサ1は、第1の電極3と第2の電極4との間に光容量性材料層2を含む。光容量性材料2は、光容量効果を示す材料である。理論に縛られることは望まないが、光容量効果の簡単な説明は、本明細書の理解を助けると思われる。
【0080】
光容量は、光にさらされたときの材料2の荷電状態の変化を表す。この荷電状態の変化は、いわゆる幾何学的容量とは異なる。幾何学的容量は、材料に固有であり、暗容量と見なすことができる。
【0081】
光容量は、キャリアトラップが支配的な不規則な材料で観察される場合がある。照明の存在下で価電子帯から伝導帯への移動が起こり、(それによって利用可能な光電流が生成される)結晶(または規則的な材料)とは異なり、不規則な材料では、照明(波長/エネルギーに依存)が、価電子帯状態から局在トラップ状態への電子の移動を誘発する可能性がある。これらの電子はトラップされたままになり、ある時点で価電子帯に戻る。この期間中、トラップされた状態でのキャリアの不動性によって光電流は無いが、容量の変化があり、容量の変化は、照明を検出する手段として利用することができる。
【0082】
入射放射線の波長またはエネルギーは、光容量を発生させる電子の移動動力学において重要な役割を果たす。不規則な材料では、局所的で深い欠陥状態がバンドギャップエネルギー内に分布する場合がある。例えば、a-Si:Hのバンドギャップは1.7eVであるが、アモルファス酸化物半導体(AOS)は3eVを超える場合がある。バンドギャップエネルギーよりも小さいエネルギーの光子が不規則な半導体に入射すると、拡張(価電子帯または伝導帯)状態からの電子または正孔が励起されて、深い欠陥状態またはテール状態を埋める場合があり、これは、材料の荷電状態と内部電界分布を変化させる電荷トラップのプロセスを規定する。前述のように、これらのトラップされた電荷は固定されているため、光電流には寄与せずに、代わりに次のように表すことができる光容量に寄与する。
【数1】
ここで、Vは、光コンデンサ、例えば、光コンデンサ1の電極間に印加される電位、Q
totalは全電荷、Q
trapはトラップ状態に関連する電荷、Q
Conductiveは電極、例えば第1の電極3及び第2の電極4上の電荷である。結果として、総容量C
totalは、トラップ状態による光容量C
photoと、電極の空間的分離と形状から生じる暗(または幾何学的)容量C
darkの合計であると見なすことができる。
【数2】
【0083】
追加容量Cphotoは、例えば、パッシブコンデンサ(光コンデンサ1)、トランジスタ、ダイオード、または例えばタッチパネル業界で配備されているものから適合された任意の他の適切な回路の形のデバイス構成など、様々な方法で測定することができる。実装アーキテクチャの例を以下に説明する。
【0084】
周波数応答に関しては、有用な信号(つまり、Cphoto)は、低周波数、例えば数百Hzで取得することができ、この周波数は、静電放電、電源ノイズ、または任意の他の形態の低周波ノイズによって誘導されるノイズが存在し得る周波数範囲よりも十分に高い。周波数が増加すると、例えば数kHzを超えると、トラップ放出プロセスが消失するため、追加の容量Cphotoの測定が困難になるか、完全に消失する場合がある。
【0085】
材料の考慮事項
光容量センサの光容量性層2としての使用を考慮し得る、フラットパネル産業で使用される不規則な材料がいくつかある。適切な材料には、パッシブ透明導電体として使用されるインジウムスズ酸化物は含まれない。
【0086】
不規則な材料は、多くの場合、薄膜トランジスタ(TFT)の活性層として使用される。例えば、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)(本明細書で、例として使用する)に続いて、様々な有機半導体、より最近では、アモルファス半導体酸化物、例えばインジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(IGZO)が使用される。
【0087】
例えば、a-Si:Hは、太陽電池や可視光検出用のフォトダイオードで広く使用されており、アクティブマトリックス液晶ディスプレイ(LCD)、またはアクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイの基礎を形成する薄膜トランジスタ(TFT)スイッチで使用される従来の材料である。特に、a-Si:H材料は非常に不規則であり、分布トラップ状態の濃度が高くなる。実際、通常、アモルファス酸化物半導体(AOS)よりも3~4桁高くなる。ただし、a-Si:Hは、よりバンドギャップの低い材料であり、可視光放射(吸収は主に緑色でピークに達する)及びより低いエネルギーを構成する近赤外線を良好に吸収する。対照的に、AOS対応物は高バンドギャップ材料であり、一般に可視光に対して透過性があるが(吸収は濃い青色とUVでピークに達する)、近赤外線では吸収を示し、やや弱いものの、光容量応答には十分である。
【0088】
材料が可視光で照らされたときの光電流の生成に依存する光検出器(例えば、フォトダイオード)やフォトトランジスタの動作原理とは対照的に、低エネルギー(長波長)放射に対する材料の応答は光電流によるものではなく、光容量により、電荷をトラップする代わりに(電荷トラップ)、不規則な性質がトラップ状態を生じさせ、低エネルギー放射でさえも十分に吸収する。電荷トラップの解放プロセスは、容量の測定に使用される刺激信号の周波数、例えば最大、数kHzを受け入れることができる。
【0089】
光コンデンサの電極
光コンデンサ1を形成するために使用される第1の電極3及び第2の電極4は、少なくともいくらかの入射光が光容量性層2に到達することを可能にすることを条件として、特に限定されない。
【0090】
例えば、
図2A~2Iも参照すると、様々な可能な電極タイプが示されている。
【0091】
特に
図2Aを参照すると、メッシュ電極5が示されている。
【0092】
メッシュ電極5は、例えば、水平線及び垂直線で形成された導電性グリッド6の形をとり、光が光容量性層2に通過できるギャップ7のアレイを残す。導電性グリッド6は、金属、またはグリッド6を形成するように処理され得る任意の他の導電性材料から形成することができる。第1の電極3及び第2の電極4のいずれかまたは両方は、メッシュ電極5の形をとってよい。
【0093】
特に
図2Bを参照すると、フレーム電極8が示されている。
【0094】
フレーム電極8は、光コンデンサ1の周囲に沿った導電性ストリップ9の形をとり、光が光容量性層2に通過できる開口部10を残す。導電性ストリップ9は、金属、またはストリップ9を形成するように処理され得る任意の他の導電性材料から形成することができる。第1の電極3及び第2の電極4のいずれかまたは両方は、フレーム電極8の形をとってよい。
【0095】
特に
図2Cを参照すると、櫛型電極11が示されている。
【0096】
櫛型電極11は、第2の導体13の細長い領域と噛み合って蛇行ギャップ14を残す細長い領域を有する第1の導体12の形をとる。導体12、13は、金属、または導体12、13を形成するために処理され得る任意の他の導電性材料から形成することができる。第1の導体12及び第2の導体13は、互いに接続されて、第1の電極3または第2の電極4を形成することができる。
【0097】
あるいは、第1の導体12が第1の電極3を提供し、第2の導体13が第2の電極4を提供し、光容量性材料2が蛇行ギャップ14を埋めて、層構造の光コンデンサ1ではなく平面構造を有する光コンデンサを形成することができる。
【0098】
特に
図2Dを参照すると、蛇行電極15が示されている。
【0099】
蛇行電極15は、蛇行経路をたどる導電性トラック16の形をとり、導電性トラック16の平行のセクション間に開口部17を残し、その開口部を通って、光が光容量性層2に通過することができる。導電性トラック16は、金属、または導電性トラック16を形成するために処理され得る任意の他の導電性材料から形成することができる。第1の電極3及び第2の電極4のいずれかまたは両方は、蛇行電極15の形をとってよい。
【0100】
特に
図2Eを参照すると、ナノワイヤマット電極18が示されている。
【0101】
ナノワイヤマット電極18は、導電性ナノワイヤ19のマットの形をとり、ナノワイヤマット電極18に導電性を提供するのに十分な密度であるが、光容量性層2に光が達するのを遮るほどの密度及び/または厚さではない。導電性ナノワイヤ19は、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ(単層または多層)、または任意の他の適切な導電性ナノワイヤであってよい。第1の電極3及び第2の電極4のいずれかまたは両方は、ナノワイヤマット電極18の形をとってよい。
【0102】
特に
図2Fを参照すると、ピラー構造の電極20が示されている。
【0103】
ピラー構造電極20は、ロッド/カラム/ピラー21の規則的または不規則なアレイにパターニングされた透明な導電性材料の形をとる。例えばインジウムスズ酸化物(ITO)などの任意の透明導電性材料を使用することができる。第1の電極3及び第2の電極4のいずれかまたは両方は、ピラー構造電極20の形をとってよい。第1の電極3及び第2の電極4のピラー21が互いに貫入するように互いに向かって延びる場合、容量を増加させることができる。
【0104】
特に
図2Gを参照すると、透明電極22が示されている。
【0105】
透明電極22は、透明導電材料、例えばITOの連続領域23の形をとる。第1の電極3及び第2の電極4のいずれかまたは両方は、透明電極22の形をとってよい。
【0106】
特に
図2Hを参照すると、不透明電極24が示されている。
【0107】
不透明電極24は、不透明導電材料、例えば金属層の連続領域25の形をとる。一部の例では、第1の電極3及び第2の電極4のいずれでも測定されるパターンから離れている方が不透明な電極の形をとってよく、対の他の電極は光が光容量性材料2まで到達することを可能にする電極の形をとる。あるいは、不透明電極24は、一部の光が光容量性材料2まで透過されるように非常に薄くてよい。
【0108】
特に
図2Iを参照すると、多孔性電極26が示されている。
【0109】
多孔性電極26は、光容量性層2に光が通過できる面積分率の空隙28を含む多孔性導電層27の形をとる。多孔性導電層27は、金属、または多孔性導電層27を形成するために処理され得る任意の他の導電性材料から形成することができる。第1の電極3及び第2の電極4のいずれかまたは両方は、多孔性電極26の形をとってよい。
【0110】
光容量センサ
図3も参照すると、光容量センサ29が示されている。
【0111】
光容量センサ29は、入力面30、1つまたは複数の光源31、及び光コンデンサ32のアレイ36(
図4)を含む。入力面30は、例えば、ガラス、またはポリエチレンテレフタレート(PET)もしくはポリカーボネート(PC)などの透明プラスチックから形成された透明層33によって提供される。入力面30は、光源(複数可)31とは反対側に面する透明層33の面であり、透明層33は、光源(複数可)31に面する第2の面34を有する。1つまたは複数の光源31は、放射光37で入力面33の部分35(
図14)を(すなわち、透明層33を通して)照射するように配置される。
【0112】
図4も参照すると、光コンデンサ32は、アレイ36、例えば、
図4に示される二次元デカルトアレイに配置される。アレイ36は、N行及びM列の光コンデンサ32を含んでよく、N及びMはそれぞれ2以上の整数であり、N及びMは等しくても異なっていてもよい。N行のn番目、及びM列のm番目に対応する光コンデンサ32の容量をC
nmとする。別段の指定がない限り、光コンデンサ32への参照、C
nmは、幾何学的寄与C
darkではなく、光容量寄与C
photoを指すと見なされるべきである。幾何学的寄与C
darkは、光容量センサ29の較正中にわずかな違いが考慮されるが、すべての光コンデンサ32で同じであると想定される。光コンデンサ32のアレイ36は、入力面30の照射部分35(
図14)と接触または近接する物体39からの放射光37の反射に対応する反射光38を受け取るように配置される。光コンデンサ32のアレイ36は、物体39の反射パターンを検出するように構成される。
【0113】
図3では、反射パターンは、例えば指紋(親指の指紋を含む)に対応する皮膚隆線として示されている。これは、物体39の表面のレリーフ(高さ)によって形成された反射パターンの例である。しかしながら、光容量センサ29を使用して検出するための反射パターンは、物体39の表面のレリーフによって生成される反射パターンに限定されない。一般に、光容量センサ29は、空間的に変化する反射率のパターンを生成できる物体39のアルベドパターン、カラーパターン、または任意の他のパターンの形で反射パターンを検出するために採用することができる。特に、人間の皮膚隆線の検出は、指紋(親指の指紋を含む)に限定されず、掌紋、または皮膚の隆線と谷の特徴的なパターンを有する体の任意の他の部分にも適用することができる。
【0114】
アレイ36内の光コンデンサ32のピッチ(または間隔)は、測定したい物体39の反射パターンを解像するのに十分な空間分解能を提供するように構成されるべきである。
図3及び
図4に示される指紋測定の例では、光コンデンサ32の行及び列の間隔は、指紋を形成する皮膚隆線などの人間の皮膚隆線を検出できるように十分に小さくなければならない。しかし、一般に、アレイ36を形成する光コンデンサ32間のピッチまたは間隔は、所望の用途に合わせて調整することができ、1mm未満、0.5mm未満、関連するディスプレイ画面の画素の間隔に等しくするなど、であってよい。
【0115】
各光コンデンサ32は、前述のように光容量性材料層2を含み、光コンデンサ1の構造を有し得る。あるいは、以下にさらに記載するように、各光コンデンサ32は、ソース電極とドレイン電極が短絡している以外は、薄膜トランジスタ(TFT)と類似の構造を有し得る(
図19)。各光コンデンサ32の光容量性材料層2は、サブギャップ光子エネルギーを吸収することができる材料のバンドギャップにトラップ状態を含むように、不規則な結晶性または多結晶性材料を含み得る、またはそれらから形成することができる。各光コンデンサ32の光容量性材料層2は、アモルファスシリコン、アモルファス半導体酸化物、有機材料などのうちの1つまたは複数を含み得る、またはそれらから形成することができる。
【0116】
光容量センサ29は、パッシブセンサ及び/またはパッシブセンシング層の一部(図示せず)として実装されてよい。
図4に示す例では、光容量センサ1は、アクティブセンシング層40の一部として実装される。
【0117】
アクティブセンシング層40は、数Mの送信線41を含み、各送信線は、各信号源42に接続される。アクティブセンシング層40はまた、数Nの受信線43を含み、各受信線は、各検出器回路44に接続される。光コンデンサ32Cnmは、M本の送信線41のm番目をN本の受信線43のn番目に接続する。使用中、アレイ36は、時変信号で送信線41を一度に1つずつ励起し、接続された光コンデンサ32の容量Cmnを各検出器回路44を使用して受信線43から検出しながら、スキャンされる。検出は、各光コンデンサ32によって蓄えられた電荷、送信線41と受信線43との間の時変信号の位相差、または容量測定のための当技術分野で既知の他の技術に基づいてよい。例えば、m番目の送信線41が時変信号で励起される場合、光容量32Cm1、Cm2、・・・、CmNが測定され、その後、m+1番目の送信線の励起によって、光コンデンサ32の次のセットを測定する。
【0118】
他の例では、単一の信号源42が、マルチプレクサ(図示せず)を使用して送信線41のそれぞれに接続されてもよく、またはMよりも少ない数の信号源42が、対応する数のマルチプレクサ(図示せず)を使用して送信線41のグループに接続されてもよい。一部の例では、単一の検出器回路44が、マルチプレクサ(図示せず)を使用して受信線43のそれぞれに接続されてもよく、またはMよりも少ない数の検出器回路44が、対応する数のマルチプレクサ(図示せず)を使用して受信線43のグループに接続されてよい。
【0119】
図3に示す光容量センサ29の例では、光コンデンサ32のアレイ36は、1つまたは複数の光源31と入力面30との間に配置される。その結果、反射光38に加えて、放射光37が光コンデンサ32に衝突し得る。これを軽減し、監視された光容量C
mnの光容量C
photoの成分の変化に対する検出感度を実質的に制限するための可能なアプローチがいくつかある。
【0120】
第1のアプローチは、放射光37からの光容量を、各光コンデンサ32の幾何学的寄与C
darkを含むベースライン容量C
baseに単純に含めることである。例えば、光容量の寄与C
photoが、放射光37からの寄与C
emitと、反射光38からの寄与C
reflectに分割される場合、所望の信号C
Reflectは次のように取得することができる。
【数3】
ベースライン容量C
baseは次のとおりである。
【数4】
【0121】
このアプローチは、例えば静電容量式タッチに使用される既存の容量測定システムでは、通常、絶対値ではなく容量の変化のみに関係するため、既存の容量測定システムで簡単に実装することができる。
【0122】
放射光37の光コンデンサ32への影響を排除するための第2のアプローチは、指向性のある幾つかの光源31を使用し、光源31を光コンデンサ32間のギャップに配置して、光37を入力面30に向けて放出することである。そのような互い違いの配置(すなわち、光コンデンサ32及び光源31の相互貫入アレイ)は、入力面30を依然として照射しながら、光コンデンサ32に衝突する放射光37の量を最小限に抑えることができる。
【0123】
放射光37の光コンデンサ32への影響を排除するための別のアプローチは、光コンデンサ32と光源(複数可)31との間に配置されたオプションのパターニングされた光減衰層45を使用することである。光減衰層45は、少なくとも光コンデンサ32が感知する波長範囲内で、1つまたは複数の光源31からの放射光37による直接照射から光コンデンサ32を遮蔽するように構成される。例えば、光減衰層45は、アレイ36を形成する光コンデンサ32間の空間に対応するギャップ46を含み得る。光減衰層45は不透明であってよく、実質的にまたは完全に放射光37を遮断することができる。あるいは、光減衰層45は、選択的に光を遮断することができ、光コンデンサ32が感知する波長範囲内の光を遮断するように構成されたフィルタの形をとってよい。さらなる代替形態では、放射光37が偏光されている場合、光減衰層45は、偏光された放射光37を遮断する偏光子であってよい。
【0124】
光減衰層45は、
図3に示すように、光コンデンサ32とは別の層であってよい。しかしながら、一部の例では、光減衰層45は、各光コンデンサ32と統合されてよい。例えば、第1の電極3及び第2の電極4の最下部は、不透明電極24または偏光子としてパターニングされた電極であってよい。
【0125】
光コンデンサ32は、光源(複数可)31と入力面30との間に配置される必要は無い。
【0126】
例えば、
図5も参照すると、第2の光容量センサ47が示されている。
【0127】
第2の光容量センサ47は、光容量センサ29(以下、「第1の」光容量センサ29と呼ぶ)と同じであるが、1つまたは複数の光源31が指向性であり、光37を入力面30に向かって放射し、1つまたは複数の光源31は、光コンデンサ32のアレイ36と入力面30との間に(垂直に、すなわち図示のz軸に沿って)配置される。
【0128】
例えば、1つまたは複数の光源31は、光コンデンサ32間のギャップ上に配置されて、相互貫入アレイ(または、例えば、光コンデンサ32に対応するギャップを有する単一の大面積エミッタ)を形成する幾つかの光源31を含み得る。このようにして、物体39のパターンから反射された光は、光源31の間のギャップを通過して、光コンデンサ32に到達することができる。あるいは、光源(複数可)31が反射光38に対して透過的である場合、1つまたは複数の光源31は、下にある光コンデンサ32に横方向に重なる(または完全にカバー)することができる。
【0129】
さらに別の例では、光コンデンサ32及び指向性光源31は実質的に同一平面上にあってよい。
【0130】
光容量センサ29,47は、ボタン、タッチパッド、タッチパネル、タッチスクリーンなどの一部として実装することができる。光容量センサ29、47の利点は、入力面30が水または任意の他の流体によって湿潤及び/またはそれらに沈んでいる場合でも、光源(複数可)31によって放射され、光コンデンサ32が感知する波長で流体が透過的であるという条件で動作可能であり得るということである。
【0131】
1つまたは複数の光源31は特に限定されず、発光ダイオード(LED)または有機発光ダイオード(OLED)などの単一の大面積発光体の形をとってよい。あるいは、1つまたは複数の光源31は、単一タイプの発光体(例えば、LEDまたはOLED)のアレイ、またはサブ画素のアレイを形成することができ、各サブ画素は、2つ以上の異なるタイプ(例えば、色)の発光体を含む。一部の例では、光源(複数可)31は、ディスプレイデバイスの1つまたは複数の画素またはサブ画素によって提供されてよい。
【0132】
1つまたは複数の光源31の一部またはすべては、赤外線(IR)エミッタ、例えばIR LEDまたはIR OLEDの形をとってよい。赤外線エミッタは、800nmと2,500nmの間の(及び、それを含む)の範囲のピーク発光に対応し得る。1つまたは複数の光源31の一部またはすべては、赤、緑、及び青のエミッタから選択されるエミッタ、例えばLEDまたはOLEDの形をとってよい。サブ画素は、例えば、赤色光源31、緑色光源31及び青色光源31を含み得る。
【0133】
光容量センサ29、47は、投影型静電容量測定のための1つまたは複数の導電性トレース(図示せず)をオプションで含み得る。あるいは、光コンデンサ32を画定する電極を使用して、順次(時分割多重)、または光容量の測定と同時に、静電容量式タッチ測定を行うこともできる。
【0134】
ディスプレイ画面との統合
光容量センサ29、47は、物体39の反射パターンを測定するためのスタンドアロンセンサとして使用することができるが、光容量センサ29、47は、広範囲の異なるディスプレイタイプと、これらのディスプレイタイプ内の多様な位置に統合することもできる。そのような一体型ディスプレイのカバーレンズは、入力面30を提供することができる。
【0135】
例えば、光容量センサ29、47は、アクティブマトリクス液晶ディスプレイ(AMLCD)及び/またはアクティブマトリクスOLED(AMOLED)アーキテクチャに埋め込まれてよい。照射時の容量変化の原理により、光容量センサ29、47は、容量の変化にも依存する既存の静電容量式タッチシステムでの実装に完全に適合し得る。光容量性層2を提供するアモルファス層は、任意の既存の静電容量式タッチパネルにパッシブ誘電体層として統合することができ、または他の例では、別個の読み出しという点で独立した層であるが、同じ読み出しインフラストラクチャを使用して、維持することができる。
【0136】
ディスプレイ下アーキテクチャ
光容量センサ29、47は、ディスプレイの画素層の下に配置することができ、各光コンデンサ32は、ディスプレイに接続されている標準タッチコントローラ(図示せず)に供給される標準読み出しを有し得る単純なパッシブコンデンサとして構成することができる。タッチコントローラ(図示せず)は、光コンデンサ32のアレイ36を別個の期間内に読み出して静電容量式タッチ測定を行うことができる。
【0137】
例えば、
図6を参照すると、第1のディスプレイ下積層体48が示されている。
【0138】
第1のディスプレイ下積層体48は、基板49と入力面30との間の方向に積層され、光コンデンサ32のアレイ36、コリメート層50、TFT層51、発光層52(光源(複数可)31を提供する)、偏光層53、オプションの静電容量式タッチ電極層54、及びカバーガラス55を含む。層36、50、51、52、53、54は、基板49上に支持され、積層体は、光学的に透明な接着剤(OCA)56の層でカバーガラス55に結合される。第1のディスプレイ下積層体48は一般に、例えば、LEDまたはOLEDタイプのディスプレイパネル及び類似したものに対応する。
【0139】
コリメート層50は、光コリメートフィルムとしても知られる光制御フィルム(LCF)であり、透過光の方向性を調整するように構成された光学フィルムの形をとる。コリメート層50は、例えば、マイクロレンズアレイ、ピンホールアレイ、または光導波グリッドの形をとってよい。コリメート層50は、画像面に対して所定の入射角で最大の透過率を提供し、用途の要件に応じて所与の極座標に沿って画像のカットオフまたはブラックアウトを提供する。TFT層51は、発光層52を形成する画素の照明を制御する。発光層52は、LED、OLED、またはウルトラLED(uLED)の形の発光体の画素またはサブ画素から形成される。発光層52は、標準的なRGB画素ディスプレイの形をとってよい、あるいは、各サブ画素は赤、緑、青、及びIR発光体を含み得る。
【0140】
カバーガラス55は、例えばガラス、透明ポリマなど、タッチスクリーンディスプレイに使用するのに適した任意の材料であってよい。
【0141】
図7も参照すると、第2のディスプレイ下積層体57が示されている。
【0142】
第2の62ディスプレイ下積層体57は、基板49と入力面30との間の方向に積層され、光コンデンサ32のアレイ36、バックライト層58(光源(複数可)31を提供する)、光学層59、TFT層、液晶(LC)層60、カラーフィルタ(CF)及びブラックマトリックス(BM)層61、オプションの静電容量式タッチ電極層54、OCA及び偏光子層62、ならびにカバーガラス55を含む。第2の62ディスプレイ下積層体57は一般に、例えば、バックライト付きLCDパネルまたは類似のものに対応する。
【0143】
TFT層51は、CF及びBM層61のカラーフィルタと組み合わせて、LC層60によって画定される画素のスイッチングを制御する。バックライト層58は、光源(複数可)31及び放射光37を提供する。
【0144】
第1のディスプレイ下積層体48及び第2のディスプレイ下積層体57のいずれにおいても、タッチ電極層54はオプションであり、省略されてもよい。タッチ電極層54は、存在する場合、ユーザのタッチを検出するために使用することができる。
【0145】
ディスプレイ上(またはオンセル)アーキテクチャ
図8も参照すると、第1のディスプレイ上(または「オンセル」)積層体63が示されている。
【0146】
第1のオンセル積層体63は、第1のディスプレイ下積層体48と同じであるが、光コンデンサ32のアレイ36が、基板49とTFT層51との間の代わりに、偏光子53(オプションの静電容量式タッチ電極54が上に示されている)とOCA層56の間にある。オプションで、アレイ36と発光層52との間の任意の位置に光減衰層45を含めることができる。
【0147】
第1のオンセル積層体63は、標準のオンセル静電容量式タッチアーキテクチャを連想させ、アレイ36は、静電容量式タッチ積層体に統合することができ、静電容量式タッチと同じ読み出し技術及びタッチコントローラ(図示せず)を使用して読み出すことができる。好ましくは、静電容量式タッチ信号と光容量信号は混合されず、代わりに読み出しのために時分割多重化される。このようにして、静電容量式タッチと同じ読み出しインフラストラクチャを使用して光容量測定を統合し、電子回路を簡素化することができる。あるいは、光容量測定は、静電容量式タッチ機能への個別の読み出し電子回路を有し得る。
【0148】
図9も参照すると、第2のディスプレイ上(または「オンセル」)積層体65が示されている。
【0149】
第2のオンセル積層体64は、第2のディスプレイ下積層体57と同じであるが、光コンデンサ32のアレイ36が、基板49とバックライト層58の間の代わりに、CF&BM層61(オプションの静電容量式タッチ電極54が上に示されている)と、OCA及び偏光子層62の間にある。オプションで、基板49は、反射器65として構成されてよい。オプションで、アレイ36とバックライト層58との間の任意の位置に光減衰層45を含めることができる。
【0150】
第2のオンセル積層体64は、静電容量式タッチとの統合に関して、第1のオンセル積層体に対応する利点を有する。
【0151】
ディスプレイ内(またはインセル)アーキテクチャ
図10も参照すると、第1のディスプレイ内(またはインセル)積層体66が示されている。
【0152】
第1のインセル積層体66は、第1のディスプレイ下積層体48または第1のオンセル積層体63と同じであるが、別個の層である代わりに、光コンデンサ32のアレイ36はTFT層51と一体化されている。このように、光コンデンサ32は、TFTを画定するのと同じアモルファスSi層を使用して、光容量性材料層2を提供し、製造を簡素化し、層の数を減らすことができる。ソース電極とドレイン電極を一緒に短絡することにより、TFT構造を変更して光コンデンサ32を提供できるため、さらなる統合も可能である(
図19)。使用中、短絡されたソース電極及びドレイン電極とゲート電極との間で、対応する光容量C
photoを読み取ることができる。
【0153】
TFT層51用の低温ポリシリコン(LTPS)トランジスタで動作するスマートフォンには、光容量性材料層2として使用するためのa-Si:Hが既に含まれている場合がある。実際に、LTPSは多くの場合、レーザ結晶化されたa-Si:Hから形成される。結果として、アレイ36とTFT層51を単一の材料層から製造することにより、光容量センサが組み込まれたディスプレイの製造の数と複雑さを相乗的に削減することができる。
【0154】
アレイ36からの容量の読み出しは、例えば適切な論理ゲーティングを介して、標準的な静電容量式タッチとは別の期間にタッチコントローラ(図示せず)によって容量が読み出される前述の任意のタッチパネルと同じである。
【0155】
図10も参照すると、第2のディスプレイ内(またはインセル)積層体67が示されている。
【0156】
第2のインセル積層体67は、第2のディスプレイ下積層体57または第2のオンセル積層体64と同じであるが、別個の層である代わりに、光コンデンサ32のアレイ36がTFT層51と一体化されている。オプションで、光減衰層45を、TFT及び光容量性層36、51とバックライト層58の間に含めることができる。
【0157】
第2のインセル積層体67は、第1のインセル積層体66と同様の利点を提供するが、LCディスプレイアーキテクチャに対してである。
【0158】
オンディスプレイ(またはオンセル)アーキテクチャ
図12も参照すると、第3のオンセル積層体68が示されている。
【0159】
第3のオンセル積層体68は、第1のオンセル積層体63と同じであるが、アレイ36が、偏光層53とカバーガラス55の間ではなく、発光層52と偏光層53との間に移動されている。オプションで、アレイ36と発光層52との間の任意の位置に光減衰層45を含めることができる。
【0160】
図13も参照すると、第4のオンセル積層体69が示されている。
【0161】
第4のオンセル積層体69は、第3のオンセル積層体64と同じであるが、アレイ36が、CF及びBM層61とカバーガラス55との間ではなく、LC層60とCF及びBM層61との間に移動されている。オプションで、アレイ36とバックライト層58との間の任意の位置に光減衰層45を含めることができる。
【0162】
第3のオンセル積層体68及び第4のオンセル積層体69の両方について、静電容量式タッチ電極54は、発光層52及びLC層60の上にそれぞれ位置する。光コンデンサ32のアレイ36の光容量性層2は、TFT層51と同じまたは同等の材料で作ることができるが、その実装はパッシブコンデンサの形であってよい(
図1参照)。
【0163】
様々な異なるディスプレイ積層体を記載したが、本明細書による光容量センサ29、47の使用は、明示的に記載したディスプレイ積層体に限定されず、光容量センサ29、47は、任意のタイプのディスプレイアーキテクチャの層間に追加(または互換性のある場合は統合)することができる。
【0164】
照射範囲
照射部分35(
図14)は、一般に、光コンデンサ32のアレイ36の範囲に対応する。例えば、ディスプレイでは、表示画素は、入力面30を提供するカバーガラス55全体を実質的に照らすことができる。しかしながら、照射部分35は、光コンデンサ32のアレイ36の上にある入力面30の部分とみなされる。
【0165】
図14も参照すると、第1の表示レイアウト70が示されている。
【0166】
デバイス71は、表示領域72を含む。第1の表示レイアウト70では、光容量センサ29、47に対応する照射部分35は、表示領域72の第1の領域73に対応する。
図14に示す例では、第1の領域73は、表示領域72の縁に実質的に沿って延びる。しかしながら、表示領域72内の第1の領域73の形状、相対サイズ、及び相対位置は、
図14の特定の例に限定されない。例えば、第1の領域73は、表示領域72の中央に位置することができる。
【0167】
このようにして、電話機またはタブレットコンピュータなどのデバイス71のディスプレイの領域73に、ユーザの指紋(指紋には親指の指紋が含まれる)を感知できる光容量センサ29、47を設けることができる。これにより、指紋認証を使用して、例えば、表示領域72を別のボタンまたはリーダに犠牲にすること無く、電話のロックを解除及び/または取引を許可することができる。
【0168】
図15も参照すると、第2の表示レイアウト74が示されている。
【0169】
第2の表示レイアウト74は、第1の表示レイアウト70と同じであり、第1の領域73とは異なる表示領域72の第2の領域75に対応する照射部分35を有する追加の光容量センサ29、47をさらに含む。
図15に示す例では、第1の領域73は、表示領域72の第1の縁に沿って延び、第2の領域75は、表示領域72の反対側の第2の縁に沿って延びる。しかし、別個の領域73、75の2つの形状、位置、及び相対的なサイズいずれも、意図する用途に応じて規定することができる。
【0170】
図16も参照すると、第3の表示レイアウト76が示されている。
【0171】
第3の表示レイアウト76は、第1の表示レイアウト70と同じであるが、第1の領域73が表示領域72の周囲全体に延びている。
【0172】
しかしながら、照射部分35は、表示領域72の領域73、75のみに限定されず、一部の例では、照射部分35は、表示領域72と同一の広がりを持ち得る。例えば、
図17も参照すると、第4の表示レイアウト77が示され、照射部分35が表示領域72と同一の広がりを持っている。
【0173】
TFT層に光コンデンサを集積した例
図18及び19も参照して、光コンデンサ32のアレイ36をTFT層51内に集積する1つの例示的な方法を提供するために、第2のインセル積層体67の特定の例78を記載する。
【0174】
図示の例では、バックライト層58は、白色LED79(またはOLED)及びIR LED80(またはOLED)の混じり合ったものを含む。バックライト層58とTFT層51の間には、バックライト拡散層81、光学フィルム層82、第1の偏光層83、及びTFT層51の片側に電気的接続を提供するパターニングされた導電層84が積層される。
【0175】
TFT層51は、CF及びBM層61の青色フィルタ86に対応する青色画素85、CF及びBM層61の緑色フィルタ88に対応する緑色画素87、CF及びBM層61の赤色フィルタ90に対応する赤色画素89、及びTFT集積光コンデンサ91を含む。
【0176】
特に
図19を参照すると、各TFT集積光コンデンサ91は、光容量特性を有する半導体領域93を支持する誘電体層92を含む。ソース電極94は半導体領域93の片側に堆積され、ドレイン電極95は反対側に堆積されて、ソース電極94とドレイン電極95との間のチャネルを画定する。ゲート96は、半導体領域93に対して誘電体92の反対側に堆積される。第1の導電性トレース97はゲート電極96に接続し、第2の導電性トレース98はソース電極94とドレイン電極95の両方に接続される。その結果、ソース電極94とドレイン電極95とが互いに短絡される。容量C
photoは、ゲート96と結合されたソース電極94及びドレイン電極95との間で測定される。
【0177】
このようにして、TFT集積光コンデンサ91は、TFT層51に接続する導電性トレースのレイアウトを変更する必要があるだけで、TFT85、87、89を画定する画素と同一の構造を有することができる。これにより、TFT集積光コンデンサ91を、従来のディスプレイTFT層の製造にほぼシームレスに追加することが可能になる。
【0178】
青色画素85、緑色画素87、及び赤色画素89のそれぞれは、バックライト付きLCDディスプレイの画素の従来の構成を有する。
【0179】
CF及びBM層61はまた、従来のブラックマトリックス(BM)材料99を含む。好ましくは、BM材料99は、IR LED/OLED80によって放射されるIR波長に対して透過的であり、その結果、放射光37が入力面30及び物体39に到達し、反射光38がTFT集積光コンデンサ91に到達することができる。追加的または代替的に、BM材料99は、例えば入力面30とTFT集積光コンデンサ91との間で放射光37及び反射光38の通過を可能にする追加の開口部(図示せず)を含み得る。
【0180】
CF及びBM層61とカバーガラス55との間に、順番に、第2の偏光層100、光学的に透明な接着層101及び第3の偏光層102が積層される。
【0181】
光容量センサを含む装置
図20も参照すると、システム110が示されている。
【0182】
システムは、光容量センサ29、47及びコントローラ112を含む装置111を含む。
【0183】
コントローラ112は、リンク113を介して光容量センサ29、47に接続され、コントローラ112は、光コンデンサ32のアレイ36の容量Cmnを測定するように構成される。
【0184】
前述の例に関連して、コントローラ112はタッチコントローラであってよく、システム110はまた、光容量センサ29、47が下にある、上にある、または一体化されたディスプレイを含み得る。換言すれば、システム110及び装置111は、電話、タブレットコンピュータなどのより大きなデバイスの一部であってよい。
【0185】
あるいは、システム110は、以下に記載するように、電話またはタブレット以外のデバイスのためのアクセス制御システムの一部を形成することができる。
【0186】
コントローラ112は、1つまたは複数のプロセッサ114、揮発性メモリ115、及び不揮発性ストレージ116を含む。不揮発性ストレージ116は、光コンデンサ32のアレイ36の容量Cmnを測定し、本明細書に記載の他の機能を実行するようにコントローラを制御するためのプログラムコード117を記憶する。コントローラ112はまた、信号源42を制御するための出力を含むか、または容量Cmnを直接測定するための時変信号を直接出力することができる。同様に、コントローラ112はまた、1つまたは複数の検出器回路44を含み得る。一部の例では、光容量センサ29、47を組み込んだ電話、タブレットコンピュータなどのデバイスは、必要なデータ処理容量、揮発性及び不揮発性ストレージの一部またはすべてを備えることができる。
【0187】
オプションで、コントローラ112は、入力面より上にまたは入力面に接触した物体39が無い状態で1つまたは複数の光源が照射される場合の光コンデンサのアレイ36の測定された容量Cbaseに対応する基準フレーム118を、ストレージ116に記憶することができる。コントローラは、前述の式(3)を実装するために、光コンデンサ32のアレイ36から測定された容量Cmnから基準フレーム118を減算するように構成することができる。
【0188】
オプションで、コントローラ112は、光容量センサ29、47の1つまたは複数の光源31からの発光を制御するようにさらに構成することができる。そのような例では、電力を節約するために、コントローラ112は、光コンデンサ32のアレイ36の容量Cmnを測定したい場合にのみ、光源31を照射させることができる。例えば、光源31がRGBディスプレイに統合されたIRエミッタの形をとる場合、IRエミッタは常に照射する必要が無い場合がある。ディスプレイが静電容量式タッチセンシング機能を含む場合、コントローラ112は、入力面30に触れている誰かの指紋パターンを測定するために、静電容量式タッチ検出に応答してIRエミッタ(光源31)を照射させることができる。
【0189】
従来の容量性指紋センシングと比較して、指紋(または他の皮膚パターン)センシング用の光コンデンサの考えられる利点の1つは、検出された指紋パターンが生きている人間に対応することをチェックできる可能性にある。例えば、従来の容量性指紋センシングは電気伝導度に基づいており、モックアップされた指紋パターンを使用してスプーフィングすることができる。
【0190】
赤、緑、青、及びIR発光能力を有するディスプレイと一体化された光容量センサ29、47を使用して、接触物体39中の酸化ヘモグロビンの存在をチェックすることができる。例えば、コントローラ112は、赤色光源31(画素/サブ画素)のみを照射し、アレイ36からの容量の第1のセットCmnを測定し、次に、IR光源31(画素/サブ画素)のみを照射して、アレイ36から容量の第2のセットを測定することができる。容量の第1のセット及び容量の第2のセットCmnを比較することによって、コントローラ112は、赤色波長及びIR波長での反射率の比率を決定し、それによって生きている人間の皮膚をスプーフィングされた指紋パターンと区別することができる。空間分解能はパターン自体にのみ必要であるため、赤色波長とIR波長での反射率の比率の決定は、精度を向上させるために集約された測定値を使用して実行できることに留意されたい。
【0191】
コントローラ112が、光コンデンサ32のアレイ36から容量Cmnのパターンを測定すると、パターンは、1つまたは複数の認められたパターン119のセットと比較されてよい。認められた各パターン119は、例えば、システム110に関連付けられたデバイスまたは機器を使用すること、またはシステム110に関連付けられたエリアに入ることが許可された人の指紋に対応し得る。コントローラ112によって行われる比較は、容量Cmnの測定パターンの相対回転に敏感であってはならない(すなわち、コントローラ112は、一方または両方のパターンに回転変換を適用する能力を有するべきである)。認められたパターン119は、有線または無線リンク121を使用してコントローラ112と通信する安全な記憶装置120に記憶されてよい。あるいは、認められたパターン(複数可)119は、コントローラ112のストレージ116に内部的に記憶されてよい。アレイ36を使用して測定された容量Cmnのパターンが認められたパターン119のいずれかと一致する場合、コントローラ112は、有線または無線リンク122を使用して、光容量センサ29、47に関連付けられた機器123に、許可されたユーザが検出されたことを示す信号を出力する。
【0192】
システム110が、電話機、タブレットコンピュータ、またはプリンタや医療機器のアイテムなどの他のデバイスの一部として統合される場合、プロセス全体がそのデバイスの内部にあってよい(すなわち、機器123は、システム110を含むデバイスの単に残りの部分であってよい)。
【0193】
スタンドアロン装置として実装される場合、装置111は、例えば、プリンタ、医療装置、ドア、エレベータ制御盤、自動車、オートバイ、自転車、ならびにブルドーザ、バックホー及び掘削機などの建築設備や、航空機、軍用設備などの機器123のアクセス制御デバイスとして機能することができる。追加的または代替的に、装置111は、薬剤キャビネット、産科及び出産ユニットなどの病棟、ホテルの客室ドア、ホテルの裏口のドア、またはアクセスを制御したい任意の他の部屋もしくは空間へのアクセスを提供するドアまたはロックのアクセス制御デバイスとして機能することができる。
【0194】
変更形態
当然ながら、上述の実施形態に多くの変更を加えることができる。そのような変更は、光容量センサ、生体認証センサ、及び/または指紋及び/または他の特有のパターンのスキャナの設計及び使用において既知であり、本明細書で前述した特徴の代わりにまたはそれらに加えて使用し得る同等及び他の特徴を含み得る。一実施形態の特徴は、別の実施形態の特徴によって置き換えられてよい、または補足されてよい。
【0195】
パターン検出に使用される本明細書の光容量センサの可能な用途は、携帯電話へのアクセスのための手形の複数の指の同時スキャンを含み得るが、これらに限定されず、汎用ディスプレイ、HIDデバイスで安全なアプリ内及び表面セキュリティ指紋認識を可能にし、安全なアプリ内及び表面セキュリティ指紋認識を可能にする。サービスの配信時点での承認の証明などのエンジニアリング用途を含むその他の用途。オーディットトレールを提供することを含むさらなる用途。
【0196】
さらに別の用途には、医療用ディスプレイ、コンピュータ、MRIもしくはその他の診断機械、または任意の他の医療機器(例えば、許可されたスタッフのみが医療装置の制御にアクセスできる)、アプリケーション内認可(例えば、処方箋の印刷)、オーディットトレールなどが含まれる。
【0197】
光容量センサ29、47は、例えば薄い手術用手袋または他のタイプのPPE手袋を通して読み取ることができる波長を使用することによって、手袋を通してセキュリティを可能にするように構成することができる。
【0198】
光容量センサ29、47は、例えば、病院、研究所、またはアクセス制御を必要とする任意の他の施設におけるカード、コード及び/または鍵セキュリティを置き換えるために使用することができる。光容量センサ29、47は、例えば、ドアハンドル、ドアプッシュプレート、ロックなどに直接組み込むことができる。
【0199】
投影型静電容量と光容量の個別の読み出し
前述の積層体48、57、63、64、66、67、68、69は、投影型静電容量測定用の専用電極54を含み得る。前述のように、このような構成のオプションの1つは、光容量及び静電容量式タッチ機能用の別個の読み出し電子回路を含めることである。
【0200】
例えば、
図21も参照すると、別個の読み出し構成124の概略図が示されている。
【0201】
別個の読み出し構成124は、投影型静電容量式タッチ電極126に結合された静電容量式タッチコントローラ125と、光容量センサ27、47に結合された光容量コントローラ127とを含む。光容量コントローラ127は、光容量センサ29、47を形成する光コンデンサ32、91のアレイ36の光容量を測定するように構成される。静電容量式タッチコントローラ125は、投影型静電容量式タッチ電極126(例えば、適切な導電性トレースの形で)を使用する投影型静電容量式タッチセンシング用に構成される。静電容量式タッチコントローラ125は、駆動信号128を投影型静電容量式タッチ電極126に提供し、対応する受信信号129に基づいてユーザ相互作用を検出するための静電容量を決定する。同様に、光容量コントローラ127は、駆動信号130を光容量センサ29、47に提供し、対応する受信信号131を使用して、前述の反射パターンを決定することができる。
【0202】
静電容量式タッチコントローラ125及び/または光容量コントローラ127の出力及び入力は、多重化されて、それぞれのコントローラ125、127上のチャネル数よりも多い数の電極をスキャン可能にすることができる。
【0203】
投影型静電容量測定及び光容量測定のための駆動信号128、130は異なっていてもよい。例えば、投影型静電容量式タッチ電極127(またはそれらの間の交点)の時定数は、光コンデンサ32の時定数と異なってよい。さらに、かつ有利なことに、投影型静電容量測定及び光容量測定のために駆動信号128、130を周波数多重化すると、2つの測定間のクロストークが減少する。
【0204】
投影型静電容量式タッチ電極126は、例えば、前述の静電容量式タッチ電極層54の形をとってよい。システム110/装置111に別個の読み出し構成124を使用することができ、その場合、光容量コントローラ127は、前述のコントローラ112の形をとってよい。同様に、光容量コントローラ127は、本明細書に記載の光容量センサ29、47の光容量を測定するように構成された任意のコントローラによって提供されてよい。
【0205】
一部の例では、静電容量式タッチコントローラ125及び光容量コントローラ127は、単一のデバイスの別個のチャネルによって提供されてよい。例えば、静電容量式タッチコントローラは、K個のチャネルを含んでよく、そのうちの最初の1からk個は、投影型静電容量測定専用であり(静電容量式タッチコントローラ125を提供する)、残りのk+1からK個のチャネルは、光容量測定専用である(光容量コントローラ127を提供する)。
【0206】
静電容量式タッチコントローラ125は、自己静電容量測定または相互静電容量測定に使用することができる。
【0207】
投影型静電容量と光容量の時分割多重読み出し
投影型静電容量測定と光容量測定に別個の電子回路(または少なくとも専用チャネル)を使用することは必須ではない。投影型静電容量測定用の専用電極54と個別の光コンデンサ32、91の別個の層36とを含む積層体48、57、63、64、66、67、68、69の別のオプションは、単一の静電容量式タッチコントローラを使用し、投影型静電容量と光容量の測定値を時分割多重化することである。このようにして、光容量測定は、静電容量式タッチと同じ読み出しインフラストラクチャを使用して統合され、電子回路を簡素化することができる。
【0208】
例えば、
図22A及び22Bも参照すると、時分割多重読み出し構成132が概略的に示されている。
【0209】
時分割多重読み出し構成132は、スイッチネットワーク134を介して投影型静電容量式タッチ電極126及び光容量センサ29、47に接続されたコントローラ133を含む。コントローラ133は、スイッチネットワーク134を制御することによって、投影型静電容量式タッチセンシングと光容量センサからの光容量の測定とを交互に実行するように時分割多重化するように構成される。
【0210】
特に
図22Bを参照すると、t
0~t
1、t
2~t
3、t
4~t
5などの第1の期間中、スイッチネットワークは、コントローラ133を投影型静電容量式タッチ電極126に接続する。第1の期間に散在するのは、t
1~t
2、t
3~t
4、t
5~t
6などの第2の期間であり、その間、スイッチネットワークは、光容量測定のために、コントローラ133を光容量センサ29、47に接続する。
【0211】
投影型静電容量式タッチ電極126は、例えば、前述の静電容量式タッチ電極層54の形をとってよい。時分割多重読み出し構成132は、システム110/装置111に使用することができ、この場合、コントローラ133は、前述のコントローラ112の形をとってよい。
【0212】
スイッチネットワーク134はさらに、多重化を提供して、K個のチャネルを有するコントローラ133が、第1の投影型静電容量測定期間t0~t1、t2~t3、t4~t5の間にK個を超える駆動/センス線をスキャンし、及び/または第2の光容量測定期間t1~t2、t3~t4、t5~t6の間に、K個を超える光コンデンサ32をスキャンするようにできる。
【0213】
投影型静電容量と光容量の組み合わせ読み出し
前述のように、光コンデンサ32、91を画定する電極を使用して、静電容量式タッチ測定を、順次(時分割多重化)、または光容量の測定と同時に行うこともできる。そのような例では、別個の投影型静電容量式電極54、126を省略して、センサ/ディスプレイ積層構造を簡素化することができる。
【0214】
例えば、
図23も参照すると、組み合わされた読み出し構成135が示されている。
【0215】
組み合わされた読み出し構成135は、コントローラ136及び光容量センサ29、47を含む。組み合わされた読み出し構成135では、コントローラ136は、各光コンデンサ32、91の静電容量を2回以上測定し、光源31を調整して、光コンデンサ32の照明に対応する第1の測定値と、相互作用部位の下の光源31が照らしていない「暗」状態に対応する第2の測定値との対を少なくとも取得する。
【0216】
組み合わされた読み出し構成135は、システム110/装置111に使用されてよく、この場合、コントローラ136は、前述のコントローラ112の形をとってよい。
【0217】
前述の光コンデンサ32、91の構造のいずれも、それらを画定する電極はいずれも、ユーザの指及び/または導電性スタイラスに結合する幾何学的静電容量成分を含み、投影型静電容量によるタッチセンシングを可能にするので、組み合わされた読み出し構成135に使用することができる。
【0218】
しかしながら、組み合わされた読み出し構成135は、他の構成にも適用することができる。
【0219】
例えば、
図24~26も参照すると、集積されたタッチ及び光容量センサ137(以下、「第3の光容量センサ」)の構造及び動作が示されている。
【0220】
第3の光容量センサ137は、前述のように、光容量性材料層2を任意の既存の静電容量式タッチパネルのパッシブ誘電体層として組み込むことができるという理解に基づいている。
【0221】
第3の光容量センサ137は、第1の方向xに延在し、第2の異なる方向yに離間された、幾つかの、例えばN個の第1の電極1381、1382、...、138Nを含む。第3の光容量性センサ137はまた、第2の方向yに延在し、第1の方向xに離間された幾つかの、例えばM個の第2の電極1391、1392、...、139Nを含む。光容量性材料2の層140は、第1の電極138と第2の電極139の各交点が第3の光容量性センサ137のアレイ36の光コンデンサ141を提供するように、第1の電極138と第2の電極139との間に配置される。例えば、N個の第1の電極138nのn番目とM個の第2の電極139mのm番目との交点は、静電容量Cn,mを有する光コンデンサ141n,mを提供する。
【0222】
特に
図26を参照すると、層140は、各光コンデンサ140
n,mの誘電体を提供する。層140を形成する光容量性材料2が照射されると、誘電率が変化し、第1の電極138
nと第2の電極139
mの間の電気力線142の分布が変更される。このように、静電容量C
n,mは近くの導電性物体に幾何学的に結合し(投影型静電容量式タッチの通常の方法で)、応答の光容量成分を介して照明も記録する。
【0223】
層140と第1の電極138との間に任意の数の追加の誘電体層(図示せず)を挿入することができ、及び/または層140と第2の電極139との間に任意の数の追加の誘電体層(図示せず)を挿入することができる。
【0224】
光容量性材料2の層140は、第1の電極138と第2の電極139との間に配置される必要はない。
【0225】
例えば、
図27も参照すると、別の構成では、第1の電極138と第2の電極139は代わりに、実質的に同一平面上にあってよい/同じ表面上に配置されてよい。同一平面(または実質的に同一平面)の電極のそのような構成は、静電容量式タッチの分野で知られており、例えば、電極138、139が交差する絶縁体の局所パッチを使用し、電極138と電極139の、(最小化されている)オーバーラップ領域ではなく、両電極間のフリンジ電界に関連する静電容量を測定する。例えば、相互静電容量式タッチセンシング用のダイヤモンドパターン電極。
【0226】
第1の電極138及び第2の電極139は、第1の電極と第2の電極の各交点がアレイの光コンデンサを提供するように、光容量性材料2の層140上に、または、それより上に配置される。
図27に描かれた力線142によって示されるように、光容量性材料2の下の層140は依然として相互作用し、同一平面電極間の静電容量を変更する。
【0227】
層140と第1の電極138、139との間に任意の数の追加の誘電体層(図示せず)を挿入することができる。
【0228】
第3の光容量センサ137は、ディスプレイ143、例えば、LCD、OLED、または任意の他のタイプのディスプレイ上に配置(またはその一部として統合)することができる。カバー144、例えばカバーガラス55は、電極138、139を保護し、入力面30を提供するために、第3の光容量センサ137を使用して結合するか、または他の方法で固定することができる。例えば、カバー144は、第3の光容量センサ137がディスプレイ143の上にある(またはその一部を形成する)ときに、光学的に透明な接着剤145を使用して結合することができる。
【0229】
第1の電極138及び第2の電極139は、いずれも、光容量性材料2の層140のどちらかの側に配置されることに限定されず、また、光容量性材料2の層140上もしくは層140より上の同一平面上に配置されることに限定されない。一般に、第1の電極138及び第2の電極139に対する層140の相対位置は、第1及び第2の電極を接続する電界線が光容量性材料2を通過する必要性によってのみ制限される。例えば、第3の光ーのさらなる変形形態では、第1の電極138及び第2の電極139は、非光容量性誘電体層(図示せず)によって分離されてよく、光容量性材料2の層140の1つまたは1対が、第1の電極138及び第2の電極139より上及び/または下に配置されてよい。換言すれば、層は、光容量性材料2の層140、第1の電極138、非光容量性誘電体層(図示せず)、第2の電極139、及びオプションで、光容量性材料2の第2の層140の順序で積層されてよい。
【0230】
別の変形形態では、第1の電極138及び第2の電極139は実質的に同一平面上にあって、基板上に支持されてよく、光容量性材料2の層140は、第1の電極138及び第2の電極139と実質的に同一平面上にあり、電極138と電極139の間の空間を埋めるようにパターニングされている。
【0231】
図28~30Bも参照して、組み合わされた読み出し構成135を使用する方法を記載する。
【0232】
まず、コントローラ136が、従来の投影型静電容量モード、例えば第1の周波数(または第1のセットの周波数)で第3の光容量センサ137をスキャンする。投影型静電容量モードでは、N個の第1の電極138のすべて及び/またはM個の第2の電極139のすべてより少ない電極がスキャンされてよい。これは、例えば指紋センシング用の電極138、139のピッチが50ミクロンのオーダーであるのに対し、従来の投影型静電容量式タッチは5mmのオーダーのピッチを使用し得るからである。
【0233】
したがって、コントローラ136は、光コンデンサ32、91、141のアレイ36の少なくともサブセットの容量を測定することができる。あるいは、投影型静電容量センシングのために、幾つかの第1の電極138を一緒にグループ化することができ、及び/または幾つかの第2の電極139を一緒にグループ化することができる。一部の例では、すべての電極138、139を投影型静電容量センシングに使用することができる。
【0234】
例えば、指146が入力面30に押し付けられるなどのユーザ相互作用が検出されると、コントローラ136は、投影型静電容量データを使用して、相互作用領域147(
図28の破線)を決定する。
【0235】
相互作用領域147によって境界付けられた暗領域148(鎖線)(相互作用領域147全体であってもよい)内で、コントローラ136は、光容量測定に特に使用される光源と下にある任意のディスプレイ143の画素の両方を含むすべての光源31を停止する。特に
図29の、例えば時間t
0~t
1及びt
2~t
3を参照されたい。
【0236】
局所照明がない場合、各光コンデンサの容量は、暗領域148(暗領域148全体であってもよい)の測定領域149内の各光コンデンサ32、47、141について測定される。特に
図30Aを参照すると、これは、入力面30から反射された光に起因する光容量からの寄与がない、幾何学的静電容量成分C
geoの測定値を提供する。
【0237】
コントローラ136は、測定領域149(暗領域148及び/または相互作用領域147と等しい場合がある)に対応する光源31の少なくともサブセットを作動させる。次に、測定領域149内の各光コンデンサ32、47、141について総容量C
totalが測定される。特に
図30Bを参照すると、各総容量C
totalは、それぞれの非照射(または暗)容量C
geoからの変化ΔCを示し、ΔC=C
total-C
geoであり、この変化ΔCは光容量信号に対応する。変化ΔCは、入力面30を通る光の完全な透過(すなわち、光が層140を1回通過する)に対応する値C
transと、入力面30または入力面の1つもしくはすぐ上の物体からの完全な反射に対応する別の値C
reflとの間の範囲にある。重要な点は、測定された変化ΔCを使用して、物体39の反射パターンを測定できることである。
【0238】
光源31のサブセットは、測定領域149内の光源31のすべてを含み得る、または特定の色のすべての光源31に限定することができる。例えば、ディスプレイ143は、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の画素を含んでよく、投影型静電容量成分Cgeoを測定するために全て非活性化されてよく、その後、総容量Ctotalを測定するために、赤色(R)光源のみを作動させてよい。一部の例では、ディスプレイ143によって提供される光源31の異なる色、例えばR、G及びBを順次照射して、色固有の光容量測定値を取得し、物体39、例えばユーザの指146のカラー画像化を可能にすることができる。一部の例では、ディスプレイ143は、少なくとも1つの領域にIR光源(図示せず)を含んでよく、光容量成分ΔCを決定する目的でIR光源のみを再作動させることができる。色の画像化、特にIR測定値の追加により、例えば、人の指紋の画像を使用したスプーフィングを防止するために、酸素を含む人間の皮膚を検出可能にすることができる。スプーフィングに対する追加のセキュリティを提供するために、ユーザの脈拍を検出するのに十分な期間にわたって測定を延長することができる。
【0239】
光源31の停止及び作動のプロセスは、例えば、異なる期間(例えば、t
1~t
2及びt
3~t
4)の間に測定された値を平均することによって、光容量成分ΔCを精緻化するために、何度でも繰り返すことができる。特に
図29を参照すると、2サイクルが示されているが、任意の数のサイクルを使用することができる。光源31が2つ以上の色を含み、2つ以上が測定に使用される場合、これらは次々に実行されてもよいし、すべての光源31を停止する期間によって分離されてもよい。
【0240】
組み合わされた読み出し構成のアドレス指定方式
組み合わされた読み出し構成135は、投影型静電容量式タッチセンシング及び光容量測定の両方に使用される電極をアドレス指定する一部の具体例を参照することによってさらに理解することができる。
【0241】
図31も参照すると、組み合わされた読み出し構成135のための第1のアドレス指定方式160が示されている。
【0242】
第1のアドレス指定方式160は、第3の光容量センサ137の例を使用し、投影型静電容量式タッチ検出及び光容量測定の両方のために第1の電極138及び第2の電極139を利用する。第1のアドレス指定方式160は、組み合わされた読み出し構成135の特定の実施態様である。
【0243】
第1のアドレス指定方式160は、駆動信号128、130を光容量センサ160に出力するように構成された駆動モジュール161を含む。駆動モジュール161は、コントローラ136の一部を形成し、第3の光容量センサ137の第1の電極138の数Nよりも少ない数の送信機出力162
1、...、162
6を有する。以下の説明に関して、第1の電極は
図31でa1からf5までのラベルを付けている。各送信機出力162は、それぞれのマルチプレクサ164を介して、2つ以上の第1の電極138、a1、...、f5のグループに接続される。例えば、第1の送信機出力162
1は、マルチプレクサ164
1によって第1の電極f1、f2、f3、f4、及びf5に接続される。マルチプレクサ164
1、...、164
6は、送信機スイッチネットワーク165(例えば、コントローラ136によって提供される、またはその一部を形成する)によって提供されてよい(またはその一部を形成することができる)。
【0244】
各マルチプレクサ164からの出力は、第3の光容量センサ137内で空間的にグループ化された第1の電極のサブセット(例えば、a1、a2、a3、a4)に接続される。換言すると、各送信機出力162は、第3の光容量センサ137の特定のストライプまたはストリップに対応する第1の電極138、a1、...、f5に多重化することができる。第1の電極138、a1、...、f5の異なるグループに対応するストライプは、
図31において水平鎖線によって示される。
【0245】
各送信機出力162が送信機スイッチネットワーク165によって接続される出力は、コントローラ136のプロセッサ(図示せず)によって提供される第1の制御信号166によって管理される。一般に、コントローラ136は、駆動モジュール161などの特定の要素に加えて、1つまたは複数のデジタル電子プロセッサ(図示せず)、ランダムアクセスメモリ(図示せず)、及び不揮発性ストレージ(図示せず)を含み得る。駆動モジュール161、送信機スイッチネットワーク164、及び以下に記載するコントローラ136のさらなる構成要素は、ハードウェア回路によって、コントローラ136の1つまたは複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって提供されてよい。
【0246】
第1の電極138、a1、...、f5の間隔は、測定したい反射パターンの解像を可能にするために十分に細かくあるべきである。例えば、指紋測定の場合、第1の電極138、a1、...、f5のピッチは50μmのオーダーであってよく、各送信機チャネル162は、マルチプレクサ164によって、80個の別個の第1の電極138、a1、...、f5(
図31は、見やすくするために5分割のみを示している)の領域に接続されてよい。対照的に、典型的な投影型静電容量式タッチセンシングパネルは、数mm、例えば5mmの電極ピッチを使用することができる。
【0247】
スキャン時間を短縮するために、各送信機出力1621、...、1626は、駆動信号128、130の周波数分割多重化を使用して同時に駆動されて、チャネルのグループ間のクロストークを最小限に抑えることができる。
【0248】
投影型静電容量センシングの場合、各グループ(例えば、a1~a5、またはe1~35)内のすべての電極をスキャンするのは、時間がかかりすぎる、及び/または不必要な場合がある。代わりに、第1の電極138、a1、...、f5のサブセットが、投影型静電容量モードのために駆動してよい。例えば、a3、b3、c3、d3、e3、及びf3など、送信機チャネル162ごとに1つの第1の電極138のみを使用することができる。
【0249】
代替として、投影型静電容量センシング中に、グループごとに2つ以上(またはすべて)の第1の電極138をまとめて駆動するために(スイッチネットワーク166を使用して)一緒に接続することができる。例えば、第1の電極b1、b2、b3、b4、及びb5は、一緒に接続され、投影型静電容量センシングモードで単一の電極として駆動することができる。
【0250】
投影型静電容量センシングモードがユーザタッチを検出することに応答して、送信機スイッチネットワーク165を使用して、高解像度光容量測定のために、測定領域149に対応するすべての第1の電極138、a1、...、f5をアドレス指定して駆動することができる。例えば、ユーザの指を低解像度で検出し、続いて測定領域149を高解像度でスキャンして、ユーザの指紋を抽出することができる。これを、記憶したデータと比較して、ユーザが電話のロックを解除すること、またはバンキングアプリなどの高セキュリティアプリケーション(または「アプリ」)を開くことを許可するかどうかを判断することができる。
【0251】
さらに、一部の例では、光容量スキャンの前に、相互作用領域147のサイズ及び/または形状の精密推定を取得するために、第1の電極138のa1、...、f5の大部分を使用して、粗く検出されたタッチ位置に限局して第2の投影型静電容量スキャンを行うことができる。
【0252】
第2の電極139は、第1の電極138と同様の寸法であり、例えば同じピッチである。以下の説明のために、第3の光容量性センサ137の第2の電極139は、
図31においてg1~k5までラベル付けされている。
【0253】
受信側では、第2の電極139、g1、...、k5のグループが、各マルチプレクサ168によって各増幅器172に接続される。例えば、第2の電極g1、g2、g3、g4、及びg5は、マルチプレクサ168
1によって第1の増幅器172
1に接続される。構成は送信機側に類似しており、第2の電極139の各グループ(例えば、h1~h5、j1~j5など)は、
図31に垂直の点線で示されている第3の光容量センサ137のストリップまたはストライプに対応する。
【0254】
マルチプレクサ1681、...、1685は、受信機スイッチネットワーク167によって提供される、またはその一部として形成される。受信機スイッチネットワーク167は、駆動モジュール161及び/または送信機スイッチネットワーク165と同様にコントローラ136の一部である。受信機スイッチネットワーク167を通る接続経路は、コントローラ136のプロセッサ(図示せず)によって提供される第2の制御信号169によって管理される。
【0255】
投影型静電容量センシングモードの場合の第1の電極138、a1、...、f5のアドレス指定と同様に、第2の電極139、g1、...、k5のそれぞれをスキャンまたは監視する必要はない。代わりに、マルチプレクサ168ごとに1つの第2の電極139を監視してよく、例えば、第2の電極139、g3、h4、i3、j3、及びk3を、投影型静電容量によるタッチセンシングに関して監視してよい。同様に、2つ以上の第2の電極139、g1、...、k5を一緒に接続し、単一の電極として監視することができる。
【0256】
各増幅器1711、...、1715の出力は、それぞれの帯域通過フィルタ1741、...、1745を通過し、アナログ/デジタル変換器(ADC)1751、...、1755によってデジタル領域に変換される。増幅器171、フィルタ174、及びADCの各セットは、フロントエンドモジュール171の受信機チャネルを構成する。フロントエンドモジュール171は、駆動モジュール161、送信機スイッチネットワーク165及び受信機スイッチネットワーク167と同様に、コントローラ136によって提供される、またはその一部として形成される。受信機出力1701、...、1705は、投影型静電容量モードのタッチ位置と光容量モードの物体39の反射パターンとを決定するために、コントローラ136のプロセッサ(図示せず)に渡される。
【0257】
このように、既存の投影型静電容量式タッチコントローラを使用する従来のタッチセンシングは、制御電子回路の変更を最小限に抑えて、同じタッチコントローラを使用する光容量測定と組み合わせることができる。さらに、光容量性材料2の層140が静電容量式タッチセンサ/タッチスクリーンの既存の任意の誘電体層に置き換わることができるので、タッチセンサ積層体または構造に必要な変更は最小限である。
【0258】
指紋の生体認証では、投影型静電容量測定値に基づいて決定された測定領域149のみをスキャンすることが有利であるが、アレイ36内のすべての光容量141をスキャンすることが有用な用途もある。例えば、組み合わされた読み出し構成135及び第1のアドレス指定方式160で構成された電話またはタブレットコンピュータを使用して、文書をスキャンしてファイルにすることができる。
【0259】
同様に、ユーザは、テクスチャ、素材、生地などをスキャンするために、本明細書に記載のように装備及び構成されたデバイスを使用することができる。光容量性スキャンを使用して取得した情報はオンラインストアに送信され、ユーザが購入したい適合したテクスチャ、素材、生地などを特定するのに役立つ。
【0260】
図31は、第3の投影型静電容量センサ137の全領域にわたる細かいピッチへの第1の電極138及び第2の電極139の再分割を示しているが、他の例では、ハイブリッドアドレス指定方式が使用されてよい。例えば、一部の送信機出力162のみが、細かい解像度の第1の電極168(及び、同様に、第2の電極169及び受信機チャネルに対して)多重化されてよく、その結果、電極の総数と製造の複雑さを軽減しながら、細かい解像度の第1の電極168及び第2の電極169が交差する領域が、高解像度の光容量測定(例えば、生体認証のための指紋の測定など)に使用することができる。
【0261】
第1のアドレス指定方式160は、第3の光容量センサ137を使用して示されているが、同じまたは同等のアドレス指定方式が、第1の光容量センサ32または第2の光容量センサ47に適用されてよい。
【0262】
図32も参照すると、第2のアドレス指定方式180が示されている。
【0263】
第2のアドレス指定方式180は、送信機チャネル162と第1の電極138、a1、...、g5との間のルーティング、及び第2の電極139、g1、...、k5と受信機チャネル172、174、175との間のルーティングを除いて、第1のアドレス指定方式160と同一である。
【0264】
特に、第1の電極138、a1、...、f5の空間的にグループ化されたサブセットに接続される代わりに、マルチプレクサ164
1、...、164
6の出力は、第1の電極138、a1、...、f5の1つまたは複数の空間的にグループ化されたサブセット内で、そのグループの各第1の電極138、a1、...、f5が、それぞれのマルチプレクサ164を介して異なる送信機出力162に接続可能なようにインターリーブされる。例えば、
図32のマルチプレクサ164
2の出力は、第1の電極b1、c2、d3、e4及びf5に接続されている。一方、測定領域149に対応する第1の電極e1、e2、e3、e4、及びe5は、それぞれのマルチプレクサ164
1、164
2、164
3、164
4、164
5(周波数分割多重化駆動信号130を使用)を介して、それぞれの送信機出力162
1、162
2、162
3、162
4、及び162
5によって同時に駆動することができる。受信機スイッチネットワーク167も同様に構成される。
【0265】
この第2のアドレス指定方式180は、第1のアドレス指定方式160よりも複雑であるが、間隔の狭い電極138、139を同時に駆動及び/または監視する能力があるため、例えばユーザの指紋を測定するためのより高速な高解像度光容量スキャンを可能にすることができる。
【0266】
手/手のひら検出
投影型静電容量測定を使用してタッチ位置を特定し、続いて高解像度の光容量スキャンによって、例えば指紋を取得する方法について記載したが、本明細書のシステム及び方法は、瞬時の単一のタッチ及び/または指紋に限定されない。
【0267】
例えば、
図33A~33Cも参照すると、手/手のひら全体を検出することができる。
【0268】
特に
図33aを参照すると、ユーザの手182は(通常)5本の指146
1、...、146
5を有する。
【0269】
特に
図33Bを参照すると、手全体が入力面30に押し付けられた場合、対応する相互作用領域147は手の輪郭に対応する。
【0270】
装置111が、投影型静電容量能力と光容量能力を、例えば、別個の読み出し構成124、時分割多重読み出し構成132、または組み合わされた読み出し構成135を使用して組み合わせることによって、適切な測定領域147(必要に応じて暗領域148)を決定するために、1つまたは複数の相互作用領域147の形状及び/またはサイズを分析するようにさらに構成することができる。
【0271】
特に
図33Cを参照すると、装置111は、ユーザ相互作用、すなわち検出された相互作用領域147が、入力面30と接触しているユーザの手182の全部または一部に対応するかどうかを判断し、その検出された相互作用領域147がユーザの手の全部または一部に対応すると判断することに応答して、指146
1、...、146
5の端に対応する指紋領域の形で1つまたは複数の測定領域149を決定することができる。
図33Cに示す例では、装置111は、各指及び親指の端を識別し、対応する測定領域149
1、...、149
5を割り当てる。次に、各測定(指紋)領域149
1、...、149
5に対応する光容量を測定することができる。
【0272】
他の測定領域149も画定することができる、例えば、セキュリティを強化するために、ユーザの手のひらの皮膚隆線のパターンを指紋データに追加することができる。
【0273】
測定領域149の異なるサイズ及び/または形状は、異なる色の光源31を使用する光容量イメージングのために規定することができる。例えば、
図33Dも参照すると、測定領域183
1、...、183
5は、表面下静脈のIRイメージング(好ましくは、近IR、NIR)のために画定されてよい。静脈イメージング用の測定領域183
1、...、183
5は、指紋用のそれぞれの測定領域149
1、...、149
5よりも各指146
1、...、146
5に沿ってさらに延びていてよい。ユーザの皮膚の下の静脈のパターンも特徴的であり、スプーフィング(複製を使用した偽造など)が困難であるため、静脈イメージングはスプーフィングの防止に役立ち得る。スキャン時間と消費電力を削減するために、指紋スキャンよりも静脈イメージングのスキャン解像度を低くすることができる。
【0274】
認証目的では、より大きな異なるパターンのうちの類似領域の一致を避けるために、十分に広い領域が測定されることを保証する必要がある。
【0275】
図34Aも参照すると、ユーザの指146と入力面30との第1の接触領域184
1が示されており、グリッドを形成する破線によって視覚的に示される投影型静電容量スキャンの解像度が示されている。対応する第1の相互作用領域147
1を
図34Bに示す。
【0276】
図35Aも参照すると、ユーザの指146と入力面30との第2の接触領域184
2が示されており、対応する第2の相互作用領域147
2が
図35Bに示されている。
【0277】
図36Aも参照すると、ユーザの指146と入力面30との第3の接触領域184
3が示されており、対応する第3の相互作用領域147
3が
図36Bに示されている。
【0278】
接触領域184の異なるサイズは、ユーザが指146を入力面30に押し付ける異なる圧力に関連する。一般に、指146を強く押すほど、接触領域184が大きくなり、対応する指紋/親指の指紋のより多くが、光容量スキャンのための入力面30に接触する、または十分に接近する。
【0279】
装置111は、相互作用領域1471、1472、1473のみを測定するため、相互作用領域1471、1472、1473の面積(及び任意の形状)を分析する必要がある。1つまたは複数の認められたパターン119のセットに対する光容量のパターンの比較は、相互作用領域147(より具体的には、異なる場合は対応する測定領域)が最小面積を超えることを条件として行うことができる。例えば、第1の相互作用領域1471及び第2の相互領域1472は十分に大きく(例えば、閾値を超える)、指紋/親指の指紋の有意の割合を取得することができると判断され得るが、第3の相互作用領域1473は小さすぎる可能性がある。
【0280】
相互作用領域147のサイズは、投影型静電容量測定値のみに基づいて、または投影型静電容量測定値と光容量測定値との組み合わせを使用して決定することができる。
【0281】
装置111がディスプレイを含み、相互作用領域147が比較には不十分であると判断される場合、より完全な測定が可能になるように、指(または手のひらなど)を置きなおすように及び/またはもっと強く押し付けるようにユーザに知らせるメッセージを表示するようにディスプレイを制御することができる。
【0282】
送信ベースの光容量センシング
光コンデンサ32、47、141を使用して、入力面に接触または近接する(例えば<1mm)物体39から反射される光源31からの光を検出するように構成される例を記載した。
【0283】
しかし、光コンデンサ32、47、141のアレイ36、及び前述の関連する読み出し及びアドレス指定方式は、他の用途に適用することもできる。
【0284】
例えば、
図37も参照すると、プレゼンテーションシステム190が示されている。
【0285】
プレゼンテーションシステム190は、入力面30と、入力面30を透過する光源193からの光192を受け取るように配置された光コンデンサ32、47、141のアレイ36とを含む第4の光容量センサ191を含む。光源193は、高度にコリメートされた光源であり、発散角194が小さく、例えばレーザポインタである。光コンデンサ32、47、141のアレイ36の要素間の間隔は、レーザ点スポットを検出するように構成されるべきであり、例えば、約1mmから5mmの間である。プレゼンテーションシステム190はまた、第4の光容量センサ191の光容量を監視するように構成されたコントローラ195を含む。
【0286】
ここでの入力面30は、大型ディスプレイ画面、プロジェクタが向けられるスマートスクリーン、及び視聴者に対して大規模にコンテンツを表示する同様のシステムに対応し得る。第4の光容量センサ191を追加することにより、発表者は、レーザポインタを使用して表示されたコンテンツと相互作用し、マウスまたはトラックボールと同様の機能のカーソルを提供することができる。
【0287】
特許請求の範囲は、本願において、特徴の特定の組み合わせに対して説明したが、当然ながら、本発明の開示の範囲は、明示的もしくは暗示的のどちらかで本明細書に開示する任意の新規特徴もしくは特徴の任意の新規組み合わせまたはそれらの任意の一般化をも、それらがいずれかの請求項で現在特許請求されているのと同じ発明に関するか否か、及びそれらが本発明が軽減するのと同じ技術的な問題のいずれかまたはすべてを軽減するか否かに関わらず、含む。出願人は、本明細書により、本願の、またはそこから派生する任意の追加の出願の遂行中に、新しい請求項が、そのような特徴及び/またはそのような特徴の組み合わせに対して考案され得る旨を通知する。
【国際調査報告】