(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】二本鎖切断を単離するための方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20180101AFI20230906BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20230906BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20230906BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20230906BHJP
C12Q 1/25 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C12Q1/68 ZNA
C12Q1/6876 Z
C12N15/09 Z
C12N15/11 Z
C12Q1/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512403
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2021073203
(87)【国際公開番号】W WO2022038291
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501125275
【氏名又は名称】ユニバーシティ カレッジ カーディフ コンサルタンツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・リード
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・ダブス
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ファン・エイク
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ40
4B063QQ42
4B063QR20
4B063QR32
4B063QR36
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、核酸サンプル、理想的にはgDNA内のDNA二本鎖切断(DSB)の数及び性質を決定するための方法;前記核酸サンプルにライゲートさせるための少なくとも複数のオリゴヌクレオチドを含み、少なくとも1つの読み取りシークエンシングプライマーがハイブリダイズすることができる少なくとも第1のハイブリダイゼーション部位(RD1 SP又はRD2 SP)を提供する、上記方法を実施するためのパーツキット;並びに前記キット及び前記方法で使用するためのオリゴヌクレオチドに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための方法であって、
i)DSBを含有することが疑われる核酸のサンプルを、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第1の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第2の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と、
ii)前記サンプルの核酸を断片に断片化する工程と、
iii)前記断片を、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第2の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと断片化された前記核酸の第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、及び第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、断片化された前記核酸の第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び、任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と、
iv)前記断片を変性させて一本鎖核酸を提供する工程と、
v)パートiv)の鎖を群A及び群Bの2群に分離する工程であって、群Aが、第1の末端において、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される第1のハイブリダイゼーション部位及び結合配列とを、別の末端において、パートiii)のオリゴヌクレオチドにより提供される第2のハイブリダイゼーション部位及び更なる配列とをすでにライゲートしている断片であり、群Bが、第1の末端において、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される前記ハイブリダイゼーション部位及び結合配列とを、別の末端において、パートiii)のオリゴヌクレオチドにより提供される第2のハイブリダイゼーション部位及び更なる配列とをいまだライゲートしていない断片である、工程と、
vi)第1及び/又は第2のハイブリダイゼーション部位と結合するプライマーを使用して群Aの鎖を配列決定する工程であって、各配列がDSB切断に相当し、更に塩基対欠損の数及び性質が、各配列を前記サンプルが採取された前記種を代表するゲノムと比較することにより決定可能である、工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の対の前記オリゴヌクレオチドが、断片化された前記核酸を分離するための結合配列を含まない5'結合構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パートi)及びパートiii)の前記オリゴヌクレオチドが入れ替わり、それによって、工程ii)の断片化する工程の後に、前記核酸が、パートiii)の前記オリゴヌクレオチドに最初に曝露され、次に前記核酸が、パートi)の前記オリゴヌクレオチドに曝露される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸サンプルがgDNAである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記5'及び/又は3'結合構造が、リン酸基;トリホスフェート「T尾部」、好ましくはデオキシチミジントリホスフェート「T尾部」;トリホスフェート「A尾部」、好ましくはデオキシアデノシントリホスフェート「A尾部」;少なくとも1つのランダムNヌクレオチド、及び複数のNヌクレオチドのうちの1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記5'及び/又は3'保護構造が、リン酸化活性、ホスファターゼ活性、ターミナルトランスフェラーゼ活性、核酸ハイブリダイゼーション、エンドヌクレアーゼ活性、エキソヌクレアーゼ活性、リガーゼ活性、ポリメラーゼ活性、及びタンパク質結合のうちの任意の1つ又は複数に対する耐性を提供する構造を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記保護構造が、ホスホロチオエート結合、ジデオキシヌクレオチド又は共有結合性ブロック、ホスホラミダイト、C3スペーサーホスホラミダイト(3SpC3)を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
パートi)の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記5'結合構造がリン酸基であり、パートi)の前記第2のオリゴヌクレオチドの前記3'結合構造がトリホスフェート尾部である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
パートi)の前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドが、プールされたサンプルの起源の決定を可能にするヌクレオチドの特定の配列であるインデックス構造も含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
パートi)の前記第1のオリゴヌクレオチドが、5'から3'方向に読み取る場合、5'結合構造、次に、任意選択的に保護構造、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、インデックス配列、前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列、並びに3'結合及び/又は保護構造を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記結合構造がリン酸基である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
パートi)の前記第2のオリゴヌクレオチドが、3'から5'方向に読み取る場合、3'結合構造、次に、任意選択的に保護構造、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション配列(RD1 SP)、インデックス配列、前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列、及び5'結合及び/又は保護構造を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記3'結合構造が、3'デオキシチミジントリホスフェート「T尾部」を含み、ホスホロチオエート結合を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
パートi)の前記第1のオリゴヌクレオチドの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドが、2つの異なる末端保護構造を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
パートiii)の第2のオリゴヌクレオチド対の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記5'結合構造がリン酸基であり、パートiii)の前記第2のオリゴヌクレオチドの前記3'結合構造がトリホスフェート尾部である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
パートiii)の前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドが、プールされたサンプルの起源の決定を可能にするヌクレオチドの特定の配列であるインデックス構造も含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
パートiii)の前記第2のオリゴヌクレオチドが、5'から3'方向に読み取る場合、5'結合構造、次に、任意選択的に、保護構造、任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にする更なる配列、インデックス配列、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)、並びに3'結合及び/又は保護構造を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
パートiii)のこの第2のオリゴヌクレオチド対の第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、2つの異なる末端保護構造を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
パートi)の前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1を有する第1のオリゴヌクレオチド及び配列番号2を有する第2のオリゴヌクレオチド、又は配列番号1若しくは2と少なくとも80%の同一性若しくは相同性を共有するオリゴヌクレオチドを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
パートiii)のオリゴヌクレオチドの前記第2の対が、配列番号3を有する第1のオリゴヌクレオチド、及び配列番号4を有する第2のオリゴヌクレオチド、又は配列番号3若しくは4と少なくとも80%の同一性若しくは相同性を共有するオリゴヌクレオチドを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
パートiii)のオリゴヌクレオチドの前記第2の対の前記第2のオリゴヌクレオチドが、配列番号4~28の配列の任意の1つ、又は配列番号4~28の1つと少なくとも80%の同一性若しくは相同性を共有するオリゴヌクレオチドを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記サンプルが哺乳動物又はヒトである、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
パートi)の前記ライゲーションが、細胞又は組織サンプルを使用してin situ又はin vitroで生ずる、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記サンプルが、工程i)が実施される前に、透過処理剤に曝露される、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記サンプルが、工程i)が実行される前に、アルギニン尾部修復を実施するための少なくとも1つの薬剤に曝露される、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
パートi)が、後続する工程を実施する前に、前記サンプルからgDNAを抽出する工程も含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
パートii)及び/又はパートiv)の後に、約100bp未満若しくは約150bp未満のサイズを有する断片を除去する工程、及び/又は約150bpを上回るサイズを有する断片を保持する工程を更に含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
パートv)の前記分離する工程が、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される前記結合配列を使用してパートナーに結合することによって、パートiv)の群A鎖を任意のその他の鎖から分離することを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される前記結合配列に対する相補的結合鎖が基質に係留され、核酸の前記一本鎖が、係留された相補的結合鎖の近傍又はその上を流れる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
パートvi)が、パートi)の前記第1のオリゴヌクレオチドの結合配列及びパートiii)の前記第2のオリゴヌクレオチドの更なる配列に対するオリゴヌクレオチド/結合部位をその上に係留している基質上で、パートv)において分離された一本鎖がクローン的に増幅されるブリッジ増幅を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記請求項に記載の方法を実施する前に、一本鎖切断を含有するか又はそれを含有することが疑われるサンプルが、前記一本鎖切断が二本鎖切断に確実に変換されるようにライゲートされるか又は切断される、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
gDNAサンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するためのパーツキットであって、
i)オリゴヌクレオチドの第1の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、この第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、オリゴヌクレオチドの第1の対と、
ii)オリゴヌクレオチドの第2の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、及び第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、この第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び、任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、オリゴヌクレオチドの第2の対と
を含むパーツキット。
【請求項33】
gDNAサンプル内のDSBを同定するためのサンプル調製用のキットであって、
i)オリゴヌクレオチドの第1の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にし、TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)で表される配列を含む5'結合構造を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、オリゴヌクレオチドの第1の対と、
ii)オリゴヌクレオチドの第2の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まず、並びに第2のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にし、CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含む3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、オリゴヌクレオチドの第2の対と
を含むキット。
【請求項34】
gDNAサンプル内のDSBを同定するためのサンプル調製用のキットであって、
i)オリゴヌクレオチドの第1の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にし、TCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)で表される配列を含む5'結合構造を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、オリゴヌクレオチドの第1の対と、
ii)オリゴヌクレオチドの第2の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まず、並びに第2のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にし、AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含む3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、オリゴヌクレオチドの第2の対と
を含むキット。
【請求項35】
オリゴヌクレオチドの前記第1の対及び/又は前記第2の対の第1のオリゴヌクレオチドが、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位を含む、請求項33又は34に記載のキット。
【請求項36】
パートi)及び/又はパートii)の前記第1及び前記第2のオリゴヌクレオチドが、プールされたサンプルの起源の決定を可能にするヌクレオチドの特定の配列であるインデックス構造も含む、請求項32又は35に記載のキット。
【請求項37】
配列決定を目的として、第1及び/又は第2のハイブリダイゼーション部位と結合する少なくとも1つのプライマーを更に含む、請求項32、35、又は36のいずれか一項に記載のキット。
【請求項38】
核酸を断片及び/又は一本鎖にそれぞれ断片化及び/又は変性させるための断片化剤及び/又は変性剤を更に含む、請求項32から37のいずれか一項に記載のキット。
【請求項39】
核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、
前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含む第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造を含む第2のオリゴヌクレオチド鎖とを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、
二本鎖アダプター。
【請求項40】
核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、
前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、及びシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含む第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含む第2のより長いオリゴヌクレオチド鎖とを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む
二本鎖アダプター。
【請求項41】
前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドが、プールされたサンプルの起源の決定を可能にするヌクレオチドの特定の配列であるインデックス構造も含む、請求項39又は40に記載のアダプター。
【請求項42】
核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、
配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まない第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にし、CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含む3'結合構造を含む第2のオリゴヌクレオチドとを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、
二本鎖アダプター。
【請求項43】
核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、
配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まない第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にし、AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含む3'結合構造を含む第2のオリゴヌクレオチドとを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、
二本鎖アダプター。
【請求項44】
核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、DSBの鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さないオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含まない工程と
を含む、方法。
【請求項45】
工程d)のオリゴヌクレオチドが、第2のプライマーの領域と同一の配列を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記基質が、第1及び第2の固定されたプライマーを含み、
工程b)のオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションにより、第1の固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含み、
工程d)のオリゴヌクレオチドが、第2の固定されたプライマーの領域と同一の配列を含む、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
工程b)が、
前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第1のアダプターの対が、DSBの鎖の少なくとも3'末端にライゲートされる能力を有し、並びに前記第1のアダプターの対が、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドが3'末端にライゲート可能であり、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程であり、
工程d)が、
前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第2のアダプターの対が、断片化により誘発された切断において、鎖の少なくとも5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターの対の前記第1のオリゴヌクレオチドにライゲートされる能力を有さず、前記第2のアダプターが、第1及び第2の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドが5'末端にライゲート可能であり、第2のプライマーの領域と同一の配列を含み、前記第2のオリゴヌクレオチドが、前記第2のプライマーの領域と同一の前記配列に対して相補的である配列を含まない、工程である、請求項44から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第2のアダプターの対が、
CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチド、及び配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まない配列を含む第2のオリゴヌクレオチド、或いは
AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチド、及び配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まない配列を含む第2のオリゴヌクレオチドを含む、請求項44から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第1のアダプターの対の前記第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドが3'及び/又は5'保護構造を含み、並びに/或いは前記第2のアダプターの対の前記第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドが3'及び/又は5'保護構造を含む、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記第2のアダプターが、前記第1のアダプターの3'改変の存在に起因して、前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さない、請求項44から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
5'末端にライゲート可能である前記第2のアダプターの前記オリゴヌクレオチドが、固定されたプライマーの5、10、15、20、21、24個、又はそれ超の塩基と同一の配列を含む、請求項44から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記複数の核酸を変性させて複数の一本鎖核酸を形成する工程を更に含む、請求項44から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記複数の核酸を、固定されたプライマーと相補的核酸とのハイブリダイゼーションに適する条件下で、前記固定されたプライマーを含む基質と接触させる工程を更に含む、請求項44から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記基質にハイブリダイズした任意の核酸に関する配列情報を取得する工程を更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
複数の核酸を含む前記サンプルがgDNAである、請求項44から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
工程が、a)、b)、c)、次にd)の順番で実施されるか、又は
工程が、a)、c)、d)、次にb)の順番で実施され、
前記サンプルが、工程d)及びb)の間で、DSBを引き起こす能力を有するか又はそれを引き起こす能力を有することが疑われる条件に曝露される、請求項44から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記サンプルが、核酸サンプル内の目的とする構造において、DSBを引き起こす能力を有する条件に曝露される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定された第1のプライマーを含む基質と結合するのに適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
1)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と、
2)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、DSBの鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、第2のプライマーにハイブリダイズする能力を有する配列を含む、工程と、
3)前記複数の核酸を断片化する工程と、
4)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さないオリゴヌクレオチドを含み、前記固定された第1のプライマーの領域と同一の配列を含む、工程と、
5)前記複数の核酸を、プライマーの伸長に適する条件下で、前記第2のプライマーと接触させる工程とを含む方法。
【請求項59】
工程2)が、
前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第1のアダプターの対が、DSBの鎖の少なくとも3'末端にライゲートされる能力を有し、並びに前記第1のアダプターの対が、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドが3'末端にライゲート可能であり、第2のプライマーにハイブリダイズする能力を有する配列を含む、工程であり、
工程4)が、
前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第2のアダプターの対が、断片化により誘発された切断において、鎖の少なくとも5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターの対の前記第1のオリゴヌクレオチドにライゲートされる能力を有さず、前記第2のアダプターが、第1及び第2の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが5'末端にライゲート可能であり、前記固定された第1のプライマーの領域と同一の配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記固定された第1のプライマーの領域と同一の前記配列に対して相補的である配列を含まない、工程である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第2のアダプターの対が、
AACCCACTACGCCTCCGCTTTCC(配列番号40)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチドと、
配列GGAAAGCGGAGGCGTAGTGGTT(配列番号36)の5、10、15、20塩基を超える配列を含まないか又は22塩基すべてを含まない第2のオリゴヌクレオチドと
を含む、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項61】
前記第1のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドが3'及び/又は5'保護構造を含み、並びに/或いは前記第2のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドが3'及び/又は5'保護構造を含む、請求項59又は60に記載の方法。
【請求項62】
前記第2のアダプターが、前記第1のアダプターの3'改変の存在に起因して、前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さない、請求項58から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
5'末端にライゲート可能である、前記第2のアダプターのオリゴヌクレオチドが、固定されたプライマーの5、10、15、20、21、24個、又はそれ超の塩基と同一の配列を含む、請求項58から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記複数の核酸を変性させて複数の一本鎖核酸を形成する工程を更に含む、請求項58から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記複数の核酸を、前記固定された第1のプライマーと相補的核酸とのハイブリダイゼーションに適する条件下で、前記固定された第1のプライマーを含む基質と接触させる工程を更に含む、請求項58から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記基質にハイブリダイズした任意の核酸に関する配列情報を取得する工程を更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
複数の核酸を含む前記サンプルがgDNAである、請求項58から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
工程が、1)、2)、3)、4)、次に5)の順番で実施されるか、又は
工程が、1)、3)、4)、2)、次に5)の順番で実施され、
前記サンプルが、工程4)及び2)の間で、DSBを引き起こす能力を有するか又はそれを引き起こす能力を有することが疑われる条件に曝露される、請求項58から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記サンプルが、前記核酸サンプル内の目的とする構造において、DSBを引き起こす能力を有する条件に曝露される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
核酸サンプル内の目的とする構造を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、目的とする構造と関連する核酸を改変する工程を含み、方法が、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供し、前記複数の核酸を、目的とする構造において、核酸の少なくとも一方の鎖を切断する能力を有する条件に曝露し、及び前記複数の核酸を一本鎖核酸に変性させる工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、切断部位の鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と、
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さないオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含まない、工程と
を含む方法。
【請求項71】
前記目的とする構造が、特異的に切断される能力を有する任意の構造である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記目的とする構造が、シクロブタンピリミジンダイマーCPD)、8-オキソグアニン、又は非塩基部位である、請求項70又は71に記載の方法。
【請求項73】
工程d)のオリゴヌクレオチドが、第2のプライマーの領域と同一の配列を含む、請求項70から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記基質が、第1及び第2の固定されたプライマーを含み、
工程b)のオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションにより、第1の固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含み、
工程d)のオリゴヌクレオチドが、第2の固定されたプライマーの領域と同一の配列を含む、請求項70から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
工程b)が、
前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第1のアダプターの対が、切断部位の鎖の少なくとも3'末端にライゲートされる能力を有し、並びに前記第1のアダプターの対が、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドが3'末端にライゲート可能であり、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程であり、
工程d)が、
前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第2のアダプターの対が、断片化により誘発された切断において、鎖の少なくとも5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターの対の前記第1のオリゴヌクレオチドにライゲートされる能力を有さず、前記第2のアダプターが、第1及び第2の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドが5'末端にライゲート可能であり、第2のプライマーの領域と同一の配列を含み、前記第2のオリゴヌクレオチドが、前記第2のプライマーの領域と同一の前記配列に対して相補的である配列を含まない、工程である、請求項70から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記第2のアダプターの対が、
CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチド、及び配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まない配列を含む第2のオリゴヌクレオチド、或いは
AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチド、及び配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まない配列を含む第2のオリゴヌクレオチドを含む、請求項70から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記第1のアダプターの対の前記第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドが、3'及び/又は5'保護構造を含み、並びに/或いは前記第2のアダプターの対の前記第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドが、3'及び/又は5'保護構造を含む、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
前記第2のアダプターが、前記第1のアダプターの3'改変の存在に起因して、前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さない、請求項70から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
5'末端にライゲート可能である、前記第2のアダプターのオリゴヌクレオチドが、固定されたプライマーの5、10、15、20、21、24個、又はそれ超の塩基と同一の配列を含む、請求項70から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記複数の核酸を変性させて複数の一本鎖核酸を形成する工程を更に含む、請求項70から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記複数の核酸を、固定されたプライマーと相補的核酸とのハイブリダイゼーションに適する条件下で、前記固定されたプライマーを含む基質と接触させる工程を更に含む、請求項70から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記基質にハイブリダイズした任意の核酸に関する配列情報を取得する工程を更に含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
複数の核酸を含む前記サンプルがgDNAである、請求項70から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
工程が、a)、b)、c)、次にd)の順番で実施されるか、又は
工程が、c)、d)、a)、次にb)の順番で実施される、請求項70から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、
配列GGAAAGCGGAGGCGTAGTGGTT(配列番号36)の5、10、15、20塩基を超える配列を含まないか又は22塩基すべてを含まない第1のオリゴヌクレオチド鎖と、
前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、AACCCACTACGCCTCCGCTTTCC(配列番号40)で表される配列を含む第2のオリゴヌクレオチドと
を含み、
前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、
二本鎖アダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸サンプル、理想的にはゲノムDNA(gDNA)内のDNA二本鎖切断(DSB)の数及び性質を決定するための方法、前記核酸サンプルにライゲートさせるための少なくとも複数のオリゴヌクレオチドを含む上記方法を実施するためのパーツキット、並びに前記キット及び前記方法で使用するためのオリゴヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
核酸内の切断は、核酸骨格鎖が切断される場合、ゲノム再配列を引き起こすおそれがあるので、細胞及び生物にとって特に危険である。とりわけそのような切断として、一般的にDNA内の二本鎖切断(DSB)(未修復のまま放置された場合、ゲノムの安定性を直接的に損なうので、すべてのDNA損傷のうち最も危険である)が挙げられる。細胞死及び正しい修復の不奏功を引き起こす以外に、DSBは構造的ゲノム異常(体細胞における欠損、挿入、DNA転位、及び有糸分裂組換え事象が含まれる)の形成を介して発癌性となるおそれがある。健常細胞では、細胞周期期間中に、細胞1個当たり最大50個の内因性DSBが形成されるものと推定される。このような低レベルの生理学的切断は、正常な細胞プロセス、例えばDNA複製、転写、及びクロマチンルーピング等の結果として散発的に発生し、又は減数分裂期間中にV(D)J組換え等のプロセスを円滑化するために細胞によりプログラムされた頻発的切断形成に起因してより高レベルで生ずる。V(D)J組換えは適応性免疫系を決定付ける特徴である。それは、B及びT細胞成熟の初期段階において、リンパ球に発達する際に生ずる遺伝子組換えの特有の機構である。それは、体細胞組換えと関係し、またB細胞及びT細胞にそれぞれ見出される、抗体/免疫グロブリン及びT細胞受容体(TCR)のきわめて多様なレパートリーを引き起こす。
【0003】
正常な細胞プロセスを通じて獲得されるDSBに付加して、様々な外因性の物理的及び化学的薬剤、例えば電離放射線、化学療法薬、及びより最近では、CRISPRゲノム編集技術等は、鎖切断、特にゲノムDSBの強力な誘導物質でもある。
【0004】
核酸、特にゲノム内に切断を生成するプロセス及びそれを修復する機構を理解することは、ゲノム医療にとって核心的重要性を有する。ゲノム編集技術の安全な開発を通じてがんの原因や治癒を判定することから、ゲノム内のDNA二本鎖切断の頻度、位置、及び原因を精密且つ正確に測定することは最も重要である。しかしながら、稀な散発的切断事象がきわめて広範囲に及ぶ一方、頻発的切断が高頻度で誘発されることを主な理由として、細胞内の内因性及び外因性/誘発型DSBについて、その全体像を同時にゲノム全域にわたり把握することは困難である。
【0005】
次世代シークエンシング(NGS)が出現したことで、核酸鎖切断、特にDSBと関連するDNA配列をゲノムスケールで検出及び測定する方法について非常に多くの開発が誘発された。これらの方法は大まかに3分類に該当する:
i)切断に対するプロキシとしてタンパク質を使用する間接切断標識(例えばyH2AX ChIP-seq、DISCOVER-seq);
ii)修復された切断の間接標識(例えば、GUID-seq、HTGTS)、及び
iii)細胞内未修復切断端部の直接標識(例えば、BLESS、DSBCapture、END-seq、BLISS)。
【0006】
これらの方法をそれぞれ繰り返しながら、多くの段階的な技術的改善がなされたにもかかわらず、いずれの方法も共通する基本的欠点、すなわちNGSに必要とされる標準的DNAライブラリー調製、後続する標識化、及び配列決定前のPCRによるサンプル内DSBの富化に対する依存性に悩まされている。プロセスのPCR増幅段階において、DNAシークエンシングライブラリー内に有意なバイアスが導入され、その結果、サンプル中に存在するDSBのオリジナルパターンが非直接的で歪められた表現となる。これは、サンプルに含まれるオリジナルのDSB組成物の定量を決定不能にする一般に認められている現象である。全ゲノム/エクソームシークエンシング等の多くのNGSアプリケーションでは、これは重大な問題を代表しない場合もある。しかし、DSB等の特定の特性についてゲノム全域にわたり定量的に測定する場合、シグナル(DSB)がそもそも非常に低いシステムには、PCR増幅バイアスによって高レベルのノイズが導入されてしまう。
【0007】
この欠点を克服するために、DSBが検出される前にPCRにより切断配列を増幅する必要性を回避し、それに加えてDSBシグナルを強化する新規のDNAライブラリー調製プロトコールを設計した。DSB検出におけるシグナル対ノイズ比を改善することにより、サンプル中ゲノム切断の直接測定(1つの配列読み取りがサンプル中に存在する1つの切断、理想的にはDSBに相当する)を実現した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2014/142841A1号
【特許文献2】米国特許出願第2010/0111768A1号
【特許文献3】米国特許第8,951,781号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書において、核酸切断(一般的にDSB)を直接測定するためのINDUCE-seqと呼ばれる本発明者らの新規方法について記載し、更に、様々な異なる生理学的原因の他、誘発された原因によって形成された切断についてその特徴付けを可能にする切断のパターンを特定するその能力を実証する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
INDUCE-seqは、従って、生理学的転写及びDNA複製により引き起こされた低レベルの散発的二本鎖切断、並びに制限酵素又はゲノム編集ヌクレアーゼ、例えばCRISPR-Cas9等により誘発されたより高レベルの頻発性切断の存在を同時に検出することができる。INDUCE-seqは、従ってDNA切断形成の起点及びその修復機構を決定するため、並びにゲノム編集の安全な開発のために使用されうる。
【0011】
本発明の1つの態様では、核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための方法であって、
i)DSBを含有することが疑われる核酸のサンプルを、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第1の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第2のストランドとのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と、
ii)前記サンプルの核酸を断片に断片化する工程と、
iii)前記断片を、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第2の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと断片化された前記核酸の第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、及び第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、断片化された前記核酸の第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と
iv)前記断片を変性させて一本鎖核酸を提供する工程と、
v)パートiv)の鎖を群A及び群Bの2群に分離する工程であって、群Aが、第1の末端において、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される第1のハイブリダイゼーション部位及び結合配列とを、別の末端において、パートiii)のオリゴヌクレオチドにより提供される第2のハイブリダイゼーション部位及び更なる配列とをすでにライゲートしている断片であり、群Bが、第1の末端において、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供されるハイブリダイゼーション部位及び結合配列とを、別の末端において、パートiii)のオリゴヌクレオチドにより提供される第2のハイブリダイゼーション部位及び更なる配列とをいまだライゲートしていない断片である、工程と、
vi)第1及び/又は第2のハイブリダイゼーション部位と結合するプライマーを使用して群Aの鎖を配列決定する工程であって、各配列がDSB切断に相当し、更に塩基対欠損の数及び性質が、各配列をサンプルが採取された前記種を代表するゲノムと比較することにより決定可能である、工程と、
を含む方法が提供される。
【0012】
5'結合構造を含む第2の対のオリゴヌクレオチドは、断片化された前記核酸を分離するための結合配列を含まない場合もある。
【0013】
パートi)及びパートiii)のオリゴヌクレオチドは入れ替わってもよく、それによって工程ii)で断片化された後、核酸は、パートiii)のオリゴヌクレオチドに最初に曝露され、次に該核酸は、パートi)のオリゴヌクレオチドに曝露される。
【0014】
核酸サンプルはgDNAでありうる。
【0015】
5'及び/又は3'結合構造は、リン酸基;トリホスフェート「T尾部」、好ましくはデオキシチミジントリホスフェート「T尾部」;トリホスフェート「A尾部」、好ましくはデオキシアデノシントリホスフェート「A尾部」;少なくとも1つのランダムNヌクレオチド、及び複数のNヌクレオチドのうちの1つを含みうる。5'及び/又は3'保護構造は、リン酸化活性、ホスファターゼ活性、ターミナルトランスフェラーゼ活性、核酸ハイブリダイゼーション、エンドヌクレアーゼ活性、エキソヌクレアーゼ活性、リガーゼ活性、ポリメラーゼ活性、及びタンパク質結合のうちの任意の1つ又は複数に対する耐性を提供する構造を含みうる。保護構造は、ホスホロチオエート結合、ジデオキシヌクレオチド又は共有結合ブロック、ホスホラミダイト、C3スペーサーホスホラミダイト(3SpC3)を含みうる。
【0016】
パートi)の前記第1のオリゴヌクレオチドの5'結合構造はリン酸基でありえ、及びパートi)の前記第2のオリゴヌクレオチドの前記3'結合構造はトリホスフェート尾部でありうる。パートi)の第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、プールされたサンプルの起源の決定を可能にするヌクレオチドの特定の配列であるインデックス構造も含みうる。
【0017】
パートi)の第1のオリゴヌクレオチドは、5'から3'方向に読み取る場合、5'結合構造、次に、任意選択的に保護構造、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、インデックス配列、前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列、並びに3'結合及び/又は保護構造を含みうる。結合構造はリン酸基でありうる。パートi)の第2のオリゴヌクレオチドは、3'から5'方向に読み取る場合、3'結合構造、次に、任意選択的に保護構造、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション配列(RD1 SP)、インデックス配列、前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列、並び五5'結合及び/又は保護構造を含みうる。3'結合構造は、3'デオキシチミジントリホスフェート「T尾部」を、またホスホロチオエート結合も含みうる。
【0018】
パートi)の第1のオリゴヌクレオチド対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、2つの異なる末端保護構造を含みうる。パートiii)の第2のオリゴヌクレオチド対の前記第1のオリゴヌクレオチドの5'結合構造はリン酸基でありえ、及びパートiii)の前記第2のオリゴヌクレオチドの前記3'結合構造はトリホスフェート尾部でありうる。
【0019】
パートiii)の第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、プールされたサンプルの起源の決定を可能にするヌクレオチドの特定の配列であるインデックス構造も含みうる。
【0020】
パートiii)の第2のオリゴヌクレオチドは、5'から3'方向に読み取る場合、5'結合構造、次に、任意選択的に保護構造、任意選択的にブリッジ増幅を可能にする更なる配列、インデックス配列、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)、並びに3'結合及び/又は保護構造を含みうる。
【0021】
パートiii)の第2のオリゴヌクレオチド対の第1又は第2のオリゴヌクレオチドは、2つの異なる末端保護構造を含みうる。
【0022】
パートi)のオリゴヌクレオチドは、配列番号1を有する第1のオリゴヌクレオチド及び配列番号2を有する第2のオリゴヌクレオチド、又は配列番号1若しくは2と少なくとも80%の同一性若しくは相同性を共有するオリゴヌクレオチドを含みうる。パートiii)のオリゴヌクレオチドの第2の対は、配列番号3を有する第1のオリゴヌクレオチド、及び配列番号4を有する第2のオリゴヌクレオチド、又は配列番号3若しくは4と少なくとも80%の同一性若しくは相同性を共有するオリゴヌクレオチドを含みうる。パートiii)のオリゴヌクレオチドの前記第2の対の第2のオリゴヌクレオチドは、配列番号4~28の配列のいずれか1つの配列、又は配列番号4~28の1つと少なくとも80%の同一性若しくは相同性を共有するオリゴヌクレオチドを含みうる。
【0023】
サンプルは、哺乳動物又はヒトのサンプルでありうる。パートi)のライゲーションは、細胞又は組織サンプルを使用してin situ又はin vitroで生じうる。サンプルは、工程i)が実施される前に透過処理剤に曝露されうる。サンプルは、工程i)が実施される前に、アルギニン尾部修復を実施するための少なくとも1つの薬剤に曝露されうる。
【0024】
パートi)は、次工程を実施する前にgDNAを前記サンプルから抽出する工程も含みうる。
【0025】
方法は、パートii)及び/又はパートiv)の後に、約100bp未満若しくは約150bp未満のサイズを有する断片を除去する工程、及び/又は約150bpを上回るサイズを有する断片を保持する工程を更に含みうる。
【0026】
パートv)の分離する工程は、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される前記結合配列を使用してパートナーに結合することによって、パートiv)の群A鎖を任意のその他の鎖から分離することを含みうる。
【0027】
パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される、前記結合配列に対する相補的結合鎖は、基質に係留されてもよく、及び核酸の前記一本鎖は、係留された相補的結合鎖の近傍又は上部を流れる。
【0028】
パートvi)は、パートv)において分離された一本鎖が、パートi)の第1のオリゴヌクレオチドの結合配列、及びパートiii)の第2のオリゴヌクレオチドの更なる配列に対するオリゴヌクレオチド/結合部位をその上に係留した基質上でクローン的に増幅されるブリッジ増幅を含みうる。
【0029】
特許請求された方法を実施する前に、一本鎖切断が二本鎖切断に確実に変換されるように、一本鎖切断を含有するか又はそれを含有することが疑われるサンプルがライゲート又は切断されうる。
【0030】
本発明の別の態様では、gDNAサンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するためのパーツキットであって、
i)オリゴヌクレオチドの第1の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、この第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、オリゴヌクレオチドの第1の対と、
ii)オリゴヌクレオチドの第2の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、及び第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、この第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び、任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、オリゴヌクレオチドの第2の対と
を含むパーツキットが提供される。
【0031】
本発明の別の態様では、gDNAサンプル内のDSBを同定するためのサンプル調製用のキットであって、
i)オリゴヌクレオチドの第1の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造を含み、TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)で表される配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、オリゴヌクレオチドの第1の対と、
ii)オリゴヌクレオチドの第2の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まず、並びに第2のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、オリゴヌクレオチドの第2の対と
を含むキットが提供される。
【0032】
本発明の別の態様では、gDNAサンプル内のDSBを同定するためのサンプル調製用のキットであって、
i)オリゴヌクレオチドの第1の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造を含み、ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)で表される配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、オリゴヌクレオチドの第1の対と、
ii)オリゴヌクレオチドの第2の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まず、並びに第2のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、オリゴヌクレオチドの第2の対と
を含むキットが提供される。
【0033】
オリゴヌクレオチドの第1の対及び/又は第2の対の第1のオリゴヌクレオチドは、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位を含みうる。パートi)及び/又はパートii)の第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、プールされたサンプルの起源の決定を可能にするヌクレオチドの特定の配列であるインデックス構造を含みうる。
【0034】
キットは、シークエンシングを目的とする第1及び/又は第2のハイブリダイゼーション部位と結合する少なくとも1つのプライマーを更に含みうる。キットは、核酸を断片及び/又は一本鎖にそれぞれ断片化及び/又は変性させるための断片化剤及び/又は変性剤を更に含みうる。
【0035】
本発明の別の態様では、核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含む第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造を含む第2のオリゴヌクレオチド鎖とを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、二本鎖アダプターが提供される。
【0036】
本発明の別の態様では、核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、及びシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含む第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び、任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含む第2のより長いオリゴヌクレオチド鎖とを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、二本鎖アダプターが提供される。
【0037】
アダプターは、プールされたサンプルの起源の決定を可能にするヌクレオチドの特定の配列であるインデックス構造を含む第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含みうる。
【0038】
本発明の別の態様では、核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まない第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含む第2のオリゴヌクレオチドとを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む二本鎖アダプターが提供される。
【0039】
本発明の別の態様では、核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まない第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含む第2のオリゴヌクレオチドとを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、二本鎖アダプターが提供される。
【0040】
本発明の別の態様では、核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、DSBの鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と、
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さないオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含まない、工程と
を含む方法が提供される。
【0041】
工程d)のオリゴヌクレオチドは、第2のプライマーの領域と同一の配列を含みうる。基質は、第1及び第2の固定されたプライマーを含みうる;工程b)のオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションにより、第1の固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含みうる;並びに工程d)のオリゴヌクレオチドは、第2の固定されたプライマーの領域と同一の配列を含みうる。
【0042】
一実施形態では、工程b)は、複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第1のアダプターの対が、DSBの鎖の少なくとも3'末端にライゲートされる能力を有し、並びに前記第1のアダプターの対が、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが3'末端にライゲート可能であり、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程であり、
工程d)は、複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第2のアダプターの対が、断片化により誘発された切断において鎖の少なくとも5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターの対の第1のオリゴヌクレオチドにライゲートされる能力を有さず、第2のアダプターが、第1及び第2の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが、5'末端にライゲート可能であり、第2のプライマーの領域と同一の配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第2のプライマーの領域と同一の前記配列に対して相補的である配列を含まない、工程である。
【0043】
方法の一実施形態では、第2のアダプターの対は、
CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチドと、配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まない配列を含む第2のオリゴヌクレオチドとを含むか、或いは
AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチドと、配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まない配列を含む第2のオリゴヌクレオチドとを含む。
【0044】
第1のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、3'及び/又は5'保護構造を含むことができ、並びに/或いは第2のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、3'及び/又は5'保護構造を含む。一実施形態では、第2のアダプターは、第1のアダプターの3'改変の存在に起因して、第1のアダプターにライゲートされる能力を有さない。
【0045】
一実施形態では、5'末端にライゲート可能である第2のアダプターのオリゴヌクレオチドは、固定されたプライマーの5、10、15、20、21、24個、又はそれ超の塩基と同一の配列を含む。
【0046】
方法は、複数の核酸を変性させて複数の一本鎖核酸を形成する工程を更に含みうる。方法は、複数の核酸を、固定されたプライマーと相補的核酸とのハイブリダイゼーションに適する条件下で、固定されたプライマーを含む基質と接触させる工程を更に含みうる。方法は、基質にハイブリダイズした任意の核酸に関する配列情報を取得する工程を更に含みうる。
【0047】
方法の一実施形態では、複数の核酸を含むサンプルはgDNAである。
【0048】
いくつかの実施形態では、工程は、a)、b)、c)、次にd)の順番で実施される。その他の実施形態では、工程は、a)、c)、d)、次にb)の順番で実施され、その場合サンプルは、工程d)及びb)の間でDSBを引き起こす能力を有するか、又はそれを引き起こす能力を有することが疑われる条件に曝露される。
【0049】
いくつかの実施形態では、サンプルは、核酸サンプル内の目的とする構造においてDSBを引き起こす能力を有する条件に曝露される。
【0050】
本発明の別の態様では、核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定された第1のプライマーを含む基質と結合するのに適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
1)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と、
2)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、DSBの鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、第2のプライマーにハイブリダイズする能力を有する配列を含む、工程と、
3)前記複数の核酸を断片化する工程と、
4)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含むが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さず、前記固定された第1のプライマーの領域と同一の配列を含む、工程と、
5)前記複数の核酸を、プライマーの伸長に適する条件下で、前記第2のプライマーと接触させる工程と
を含む方法が提供される。
【0051】
一実施形態では、工程2)は、複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第1のアダプターの対が、DSBの鎖の少なくとも3'末端にライゲートされる能力を有し、前記第1のアダプターの対が、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが3'末端にライゲート可能であり、第2のプライマーにハイブリダイズする能力を有する配列を含む、工程であり、
工程4)は、複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第2のアダプターの対が、断片化により誘発された切断において、鎖の少なくとも5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターの対の第1のオリゴヌクレオチドにライゲートされる能力を有さず、第2のアダプターが、第1及び第2の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが5'末端にライゲート可能であり、固定された第1のプライマーの領域と同一の配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記固定された第1のプライマーの領域と同一の配列に対して相補的である配列を含まない、工程である。
【0052】
第2のアダプターの対は、AACCCACTACGCCTCCGCTTTCC(配列番号40)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチド、及び配列GGAAAGCGGAGGCGTAGTGGTT(配列番号36)の5、10、15、20塩基を超える配列を含まないか又は22塩基すべてを含まない第2のオリゴヌクレオチドを含みうる。
【0053】
第1のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、3'及び/又は5'保護構造を含むことができ、並びに第2のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、3'及び/又は5'保護構造を含む。一実施形態では、第2のアダプターは、第1のアダプターの3'改変の存在に起因して、第1のアダプターにライゲートされる能力を有さない。
【0054】
一実施形態では、5'末端にライゲート可能な第2のアダプターのオリゴヌクレオチドは、固定されたプライマーの5、10、15、20、21、24個、又はそれ超の塩基と同一の配列を含む。
【0055】
方法は、複数の核酸を変性させて複数の一本鎖核酸を形成する工程を更に含みうる。方法は、複数の核酸を、固定された第1のプライマーと相補的核酸とのハイブリダイゼーションに適する条件下で、前記固定された第1のプライマーを含む基質と接触させる工程を更に含みうる。方法は、基質にハイブリダイズした任意の核酸に関する配列情報を取得する工程を更に含みうる。~を含むサンプルは、gDNAでありうる。
【0056】
一実施形態では、工程は1)、2)、3)、4)、次に5)の順番で実施される。別の実施形態では、工程は1)、3)、4)、2)、次に5)の順番で実施され、その場合、サンプルは、工程4)及び2)の間でDSBを引き起こす能力を有するか又はそれを引き起こす能力を有することが疑われる条件に曝露される。
【0057】
一実施形態では、サンプルは、核酸サンプル内の目的とする構造においてDSBを引き起こす能力を有する条件に曝露される。
【0058】
本発明の別の態様では、核酸サンプル内の目的とする構造を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、目的とする構造と関連する核酸を改変する工程を含み、方法が、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供し、前記複数の核酸を、目的とする構造において、核酸の少なくとも一方の鎖を切断することができる条件に曝露し、及び前記複数の核酸を一本鎖核酸に変性させる工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、切断部位の鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と、
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含むが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さず、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含まない工程と
を含む方法が提供される。
【0059】
目的とする構造は、特異的に切断される能力を有する任意の構造でありうる。目的とする構造は、シクロブタンピリミジンダイマー(CPD)、8-オキソグアニン、又は非塩基部位でありうる。
【0060】
工程d)のオリゴヌクレオチドは、第2のプライマーの領域と同一の配列を含みうる。基質は第1及び第2の固定されたプライマーを含みうる;工程b)のオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションにより、第1の固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含みうる;及び工程d)のオリゴヌクレオチドは、第2の固定されたプライマーの領域と同一の配列を含みうる。
【0061】
一実施形態では、工程b)は、複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第1のアダプターの対が、切断部位の鎖の少なくとも3'末端にライゲートされる能力を有し、並びに前記第1のアダプターの対が、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが3'末端にライゲート可能であり、ハイブリダイゼーションにより、基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む工程であり、
工程d)は、複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第2のアダプターの対が、断片化により誘発された切断において、鎖の少なくとも5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターの対の第1のオリゴヌクレオチドにライゲートされる能力を有さず、第2のアダプターが、第1及び第2の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが、5'末端にライゲート可能であり、第2のプライマーの領域と同一の配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、第2のプライマーの領域と同一の前記配列に対して相補的である配列を含まない工程である。
【0062】
一実施形態では、第2のアダプターの対は、
CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチド、及び配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まない配列を含む第2のオリゴヌクレオチド、或いは
AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチド、及び配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まない配列を含む第2のオリゴヌクレオチド
を含む。
【0063】
第1のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、3'及び/又は5'保護構造を含むことができ、並びに/或いは第2のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、3'及び/又は5'保護構造を含むことができる。一実施形態では、第2のアダプターは、第1のアダプターの3'改変の存在に起因して、第1のアダプターにライゲートされる能力を有さない。
【0064】
5'末端にライゲート可能である第2のアダプターのオリゴヌクレオチドは、固定されたプライマーの5、10、15、20、21、24個、又はそれ超の塩基と同一の配列を含みうる。
【0065】
一実施形態では、方法は、複数の核酸を変性させて複数の一本鎖核酸を形成する工程を更に含む。一実施形態では、方法は、複数の核酸を、固定されたプライマーと相補的核酸とのハイブリダイゼーションに適する条件下で、固定されたプライマーを含む基質と接触させる工程を更に含む。一実施形態では、方法は、基質にハイブリダイズした任意の核酸に関する配列情報を取得する工程を更に含む。
【0066】
一実施形態では、複数の核酸を含むサンプルはgDNAである。一実施形態では、工程は、a)、b)、c)、次にd)の順番で実施される。別の実施形態では、工程は、c)、d)、a)、次にb)の順番で実施される。
【0067】
本発明の別の態様では、核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、配列GGAAAGCGGAGGCGTAGTGGTT(配列番号36)の5、10、15、20塩基を超える配列を含まないか又は22塩基すべてを含まない第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、AACCCACTACGCCTCCGCTTTCC(配列番号40)で表される配列を含む第2のオリゴヌクレオチドとを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、二本鎖アダプターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】INDUCE-seqの概要を示す図である。固定及び透過処理された細胞におけるin situ切断標識は、完全長の化学的改変済みP5シークエンシングアダプターを末端調製済みのDSBにライゲートすることにより実施される。次に化学的改変済みの半機能的なP7アダプターを使用して、ゲノムDNAが、抽出、断片化、末端調製、及びライゲートされる。得られたDNAライブラリーは、機能的DSB標識断片(P5:P7)と非機能的ゲノムDNA断片(P7:P7)の混合物を含有する。後続するINDUCE-seqライブラリーのシークエンシングにより、DNA標識断片が富化され、そしてすべてのその他の非機能的DNAが除去される。INDUCE-seqライブラリー調製はPCRフリーであるので、取得された各シークエンシング読み取りは、単一の標識DSB末端に相当する。
【
図2】フローセル富化アダプターデザインの詳細な概略図を示す図である。(a)配列決定用の完全長アダプターライゲート済みdsDNA断片の構造。3' P5及びP7アダプターがフローセルとハイブリダイズする。シークエンシングプライマーは、第1及び第2のシークエンシング読み取り期間中に、読み取り1シークエンシングプライマー(RD1 SP)及び読み取り2シークエンシングプライマー(RD2 SP)配列に結合する。インデックスは、ライブラリープール内の異なるサンプルの区別を可能にする。(b)INDUCE-seqライブラリー中に存在するDNA断片の構造。DSBライゲート済み断片のみが、配列決定に必要とされるすべてのアダプターコンポーネントから構成される。(c)INUCE-seqライブラリーをシークエンシングフローセルに負荷すると、P5アダプター配列の3'末端のハイブリダイゼーションを介してDSBライゲート済み断片が富化する。その他の断片は、フローセルと相互作用することができず、除去される。
【
図3-1】
図3a:代替的DSBシークエンシング技術と比較したとき、INDUCE-seqは比類のない感度及びダイナミックレンジを実証する図である。(a)INDUCE-seqは、きわめて頻発性の誘発型DSB及び単一の内因性DSBを同時に、高分解能を有して検出する。制限エンドヌクレアーゼHindIIIを用いてin situで切断した後の、HEK293T細胞由来ゲノムの10mbセクションに対してマッピングされたINDUCE-seq読み取りのゲノムブラウザビュー。(上段パネル)高レベル(10mb、0~1000読み取り)で概観したとき、きわめて頻発性の酵素誘発型切断が読み取りの大半を占める。(下段パネル)より接近したズーム(ピンク色のハイライト部分、500kb、0~20読み取り)では、未処置サンプル、及び頻発性HindIII誘発型切断(緑色のハイライト部分)の両方に存在する低レベル単一内因性切断が明らかとなる。
【
図3-2】代替的DSBシークエンシング技術と比較したとき、INDUCE-seqは比類のない感度及びダイナミックレンジを実証する図である。(b)HindIII標的部位におけるINDUCE-seq読み取りのマッピングにより、単一ヌクレオチド切断マッピングの精密性が実証される。この図は、TACTCAAGCTTACCCCTA(配列番号35)及びGGGGGGTAAGCTTGAGTA(配列番号43)を含む。(c)HindIII処理サンプル及びコントロールサンプルについて細胞毎に測定された切断の定量化。INDUCE-seqは、サンプル間で3桁の幅を有して1細胞当たりの切断を定量的に検出する。(d及びe)酵素HindIII及びEcoRVによりin vitroで切断された制限部位の検出における、INDUCE-seq及びDSBCapture間の比較。(d)配列決定され、そしてゲノムに対してアライメントされた読み取りについて、INDUCE-seqを使用した場合、より多くの割合が制限部位に対してマッピングされた。(e)1/800の細胞を使用しても、INDUCE-seqは、EcoRVについてDSBCaptureにより同定された割合(93.7%)と類似した割合のHindIII制限部位(92.7%)を同定した。
【
図3-3】代替的DSBシークエンシング技術と比較したとき、INDUCE-seqは比類のない感度及びダイナミックレンジを実証する図である。(f)INDUCE-seqを使用したときの誘発型DSB検出のダイナミックレンジ。HindIIIオンターゲット配列(AAGCTT)において同定された切断に付加して、複数の1bp及び2bpミスマッチオフターゲット部位も同定された。INDUCE-seqは、8桁(HindIIIオンターゲット部位において同定された約150百万個の切断~最も稀なオフターゲットにおいて同定され5個の切断)にわたり誘発型切断事象を測定した。
【
図3-4】代替的DSBシークエンシング技術と比較したとき、INDUCE-seqは比類のない感度及びダイナミックレンジを実証する図である。(g)DiVA生存細胞においてAsiSI誘発型切断を検出した際の、INDUCE-seq、DSBCapture、及びBLISSの間の比較。配列決定された読み取りの数(上段)を、各実験において同定されたAsiSI部位の数と比較する(下段)。INDUCE-seqは、DSBCaptureの1/40の読み取り、及びBLISSの1/23の読み取りを使用しながら、より多くの数のAsiSI部位を高感度に検出する。
【
図4-1】INDUCE-seqはCRISPR/Cas9誘発型オン及びオフターゲットDSBを高感度に発見及び定量することを示す図である。(a)EMX1 sgRNAについて、INDUCE-seqを使用して同定されたオフターゲット配列及び切断の数。この図は、GAGTCCGAGCAGAAGAAGAANGG(配列番号44)を含む。
【
図4-2】INDUCE-seqはCRISPR/Cas9誘発型オン及びオフターゲットDSBを高感度に発見及び定量することを示す図である。(b)INDUCE-seqは、細胞集団内のEMX1誘発型DSB形成の動力学を明らかにする。各サンプルについて読み取り1百万個当たりの検出された切断の数を定量することで、細胞ヌクレオフェクション直後のオン及びオフターゲットの両方における高Cas9活性が明らかとなった。(c)INDUCE-seqにより同定されたオフターゲットの、細胞に基づく方法であるGUID-seq、BLISS、及びHTGTSに加えて、確立されたin vitro法であるCIRCLE-seq及びDigenome-seqとの比較。INDUCE-seqは、in vitroアプローチによってのみこれまで同定可能であった多くのオフターゲットを検出する。細胞に基づく現行法のいずれよりも実質的に多くのオフターゲット部位が同定される。INDUCE-seqは、他のいずれの方法によっても検出されない複数のオフターゲットも同定する。(d)INDUCE-seqにより同定されたオフターゲットにおけるインデル頻度を測定するためのアンプリコン-シークエンシング。アンプリコンシークエンシングは、INDUCE-seqにより同定された60個のオフターゲットのうち4個しか同定できなかったが、またバックグラウンドインデル偽発見率0.1%により制約を受ける。これらの知見は、EMX1 RNPヌクレオフェクション後の48時間時点においてEMX1オフターゲットインデル頻度を測定したこれまでの試験と整合する。
【
図5】INDUCE-seq及び現行DSBマッピングワークフローの比較を示す図である。(a)INDUCE-seqワークフローの概要。INDUCE-seqライブラリーを配列決定すると、1読み取りが1切断に相当する定量的アウトプットが生成する。(b)DSBCapture、BLISS、及びEND-seqワークフローの概要。標準的なライブラリー構築後に配列決定した場合、1読み取りが1DSBに相当しないアウトプットが生成する。
【
図6】INDUCE-seq及びBLISS NGSライブラリーについて、配列決定された読み取りの数と定義されたDSBの数との間の比較を示す図である。(a)個々のINDUCE-seq実験から得られた、配列決定されたINDUCE-seq読み取りの数及び定義された切断の数の散布図。(b)個々のBLISS実験から得られた、正しい読み取り1(R1)バーコードプレフィックスを用いて配列決定されたBLISS読み取りの数、及びUMI補正を使用して重複除去した後の定義された切断の数を示す散布図。
【
図7-1】HEK293細胞におけるDSBホットスポットのゲノムブラウザビューを示す図である。(a)ch17 DSBホットスポットの11kbビュー。紫色の矢印は、右側が標識されたDSB末端(+鎖)を表し、また青色矢印は左側が標識されたDSB末端(-鎖)を表す。頻発性DSBがホットスポット領域全体を通じて均等に分布している。
【
図7-2】HEK293細胞におけるDSBホットスポットのゲノムブラウザビューを示す図である。(b)chr11 DSBホットスポットの5kbビュー。頻発性DSBがプラス及びマイナス鎖上の異なる位置において検出可能である。
【
図8】INDUCE-seqで使用されるオフターゲットディスカバリーパイプラインの概略図を示す図である。
図8の配列は配列番号44である。
【
図9】INDUCE-seqを使用するCRISPRオフターゲットディスカバリーはきわめて再現性が高いことを示す図である。(a)r1及びr2タイムコース実験において検出されたEMX1オフターゲット数の間の比較。(b)独立した両実験において同定されたCRISPRオフターゲット部位において見出された切断数を示す散布図。
【
図10-1】INDUCE-seq、CIRCLE-seq、ガイド-seq、及びBLISSにより同定されたオフターゲットの交点を表すベン図を示す図である。(a)独立した実験r1から、0~30h時間単離状態に置かれたサンプルについて計算したオーバーラップの図。
【
図10-2】INDUCE-seq、CIRCLE-seq、ガイド-seq、及びBLISSにより同定されたオフターゲットの交点を表すベン図を示す図である。(b)独立した実験r2から、0~30h時間単離状態に置かれたサンプルについて計算したオーバーラップの図。
【
図10-3】INDUCE-seq、CIRCLE-seq、ガイド-seq、及びBLISSにより同定されたオフターゲットの交点を表すベン図を示す図である。(c)セットr1について、すべての時点からのオーバーラップを統合した図。(d)セットr2について、すべての時点からのオーバーラップを統合した図。(e)すべてのINDUCE-seqサンプルを統合したときの方法間で計算したオーバーラップの図。
【
図11-1】CRISPR誘発型オン及びオフターゲットにおけるDSBパターンは、編集結果と相関関係を有することを示す図である。180bpにわたる、(a)EMX1オンターゲット(表示の配列は、上から下に向かって配列番号45~65である)のカバレッジトラック及び最高位オフターゲット。各標的部位周辺の40bp領域のクローズアップビューは、通常のCas9誘発型平滑末端化DSBではなく、個々の1bpオーバーハンギング切断パターンを示す。各部位における対応するインデルスペクトルは、観測された切断部位に関連して突然変異の位置を示す。
【
図11-2】CRISPR誘発型オン及びオフターゲットにおけるDSBパターンは、編集結果と相関関係を有することを示す図である。180bpにわたる、(b)OT-1(表示の配列は、上から下に向かって配列番号66~87である)のカバレッジトラック及び最高位オフターゲット。各標的部位周辺の40bp領域のクローズアップビューは、通常のCas9誘発型平滑末端化DSBではなく、個々の1bpオーバーハンギング切断パターンを示す。各部位における対応するインデルスペクトルは、観測された切断部位に関連して突然変異の位置を示す。
【
図11-3】CRISPR誘発型オン及びオフターゲットにおけるDSBパターンは、編集結果と相関関係を有することを示す図である。180bpにわたる、(c)OT-2(表示の配列は、上から下に向かって配列番号88~105である)のカバレッジトラック及び最高位オフターゲット。各標的部位周辺の40bp領域のクローズアップビューは、通常のCas9誘発型平滑末端化DSBではなく、個々の1bpオーバーハンギング切断パターンを示す。各部位における対応するインデルスペクトルは、観測された切断部位に関連して突然変異の位置を示す。
【
図12-1】例示的化学修飾を表す例示的実施形態を示す図である。
【
図13】完全に機能的なアダプターの前に半機能的アダプターがライゲートされる例示的な実施形態を示す図である。この図は、人工的に誘発されたDSBの検出に関する実施形態について例証する。例えば、ヌクレアーゼにより引き起こされたオフターゲットDSBの検出に関する。
【
図14】本発明の方法をビーズシークエンシング技術に適用するための例示的ワークフローを示す図である。
【
図15】ビーズシークエンシング技術と共に使用するための例示的アダプターを示す図である。
【
図16】一方の鎖に影響を及ぼすDNA損傷を検出する例示的な実施形態を示す図である。この実施形態は、完全に機能的なアダプターの前に半機能的アダプターをライゲーションすることを含みする。
【
図17】CRISPR塩基編集-シトシンベースエディター(CBE)のin vitro検出を表す例示的な実施形態を示す図である。
【
図18】CRISPR塩基編集-アデニンベースエディター(ABE)のin vitro検出を表す例示的な実施形態を示す図である。
【0069】
Table 1(表1).本発明の好ましい実施形態に基づくアダプター配列の例。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明の1つの態様では、核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための方法であって、
i)DSBを含有することが疑われる核酸のサンプルを、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第1の対に曝露する工程であって、
その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第2の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と
ii)核酸サンプル、理想的にはgDNAを断片に断片化する工程と、
iii)前記断片を、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第2の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記断片の第1の鎖とのライゲーションを、理想的には前記第1の対の前記オリゴヌクレオチドの結合から離れた部位において可能にする5'結合構造、及び第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記断片又は前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と
iv)前記断片を変性させて一本鎖核酸を提供する工程と、
v)パートiv)の鎖を群A及び群Bの2群に分離する工程であって、群Aが、第1の末端において、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される第1のハイブリダイゼーション部位及び結合配列とを、別の末端において、パートiii)のオリゴヌクレオチドにより提供される第2のハイブリダイゼーション部位及び更なる配列とをすでにライゲートしている断片であり、群Bが、第1の末端において、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供されるハイブリダイゼーション部位及び結合配列とを、別の末端において、パートiii)のオリゴヌクレオチドにより提供される第2のハイブリダイゼーション部位及び更なる配列とをいまだライゲートしていない断片である、工程と
vi)第1及び/又は第2のハイブリダイゼーション部位と結合するプライマーを使用して群Aの鎖を配列決定する工程であって、各配列が切断、一般的には1DSBに相当する、工程と
を含む方法が提供される。任意選択的に、更に、塩基対欠損の数及び性質が、各配列をサンプルが採取された前記種を代表するゲノムと比較することにより決定可能である。
【0071】
本発明の方法の工程は、一回又は一箇所において実施される必要はない。例えば、1つの態様では、本発明の方法は、DSBの選択及び単離を可能にする方式で標識された核酸サンプルの調製を可能にする。従って、本発明の1つの態様では、核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するためのサンプル調製方法であって、
i)DSBを含有することが疑われる核酸のサンプルを、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第1の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第2の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と、
ii)核酸サンプル、理想的にはgDNAを断片に断片化する工程と、
iii)前記断片を、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第2の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記断片の第1の鎖とのライゲーションを、任意選択的に、前記第1の対の前記オリゴヌクレオチドの結合から離れた部位において可能にする5'結合構造、及び第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記断片の第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と
を含む方法が提供される。
【0072】
或いは、本発明の方法は、鎖が群A及び群Bに分離されるまで実施されうるが、また配列決定する工程は個別に実施されうる。従って、方法は、任意のDSBがすでに選択及び単離された核酸サンプルの調製を可能にする。従って、一実施形態では、核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するためのサンプル調製方法であって、
i)DSBを含有することが疑われる核酸のサンプルを、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第1の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第2の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と、
ii)核酸サンプル、理想的にはgDNAを断片に断片化する工程と、
iii)前記断片を、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第2の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記断片の第1の鎖とのライゲーションを、任意選択的に、前記第1の対の前記オリゴヌクレオチドの結合から離れた部位において可能にする5'結合構造、及び第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記断片の第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び、任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と、
iv)前記断片を変性させて一本鎖核酸を提供する工程と、
v)パートiv)の鎖を群A及び群Bの2群に分離する工程であって、群Aが、第1の末端において、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される第1のハイブリダイゼーション部位及び結合配列とを、別の末端において、パートiii)のオリゴヌクレオチドにより提供される第2のハイブリダイゼーション部位及び更なる配列とをすでにライゲートしている断片であり、群Bが、第1の末端において、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供されるハイブリダイゼーション部位及び結合配列とを、別の末端において、パートiii)のオリゴヌクレオチドにより提供される第2のハイブリダイゼーション部位及び更なる配列とをいまだライゲートしていない断片である、工程と
を含む方法が提供される。
【0073】
本発明の1つの態様では、核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための方法であって、
i)DSBを含有することが疑われる核酸のサンプルを、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第1の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と
ii)核酸サンプル、例えばgDNAを断片に断片化する工程と、
iii)前記断片を、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第2の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の第2のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドが、前記断片の第2の鎖と結合するための3'結合構造、及び任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と、
iv)前記断片を変性させて一本鎖核酸を提供する工程と、
v)パートiv)の鎖を群A及び群Bの2群に分離する工程であって、群Aが、第1の末端において、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される結合配列、及び任意選択的に別の末端において、パートiii)のオリゴヌクレオチドにより提供される、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列をすでにライゲートしている断片であり、群Bが、第1の末端において、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される結合配列、及び任意選択的に別の末端において、パートiii)のオリゴヌクレオチドにより提供されるブリッジ増幅を可能にするための結合配列をいまだライゲートしていない断片である、工程と、
vi)群Aの鎖を配列決定する工程であって、各配列が切断、一般的には1DSBに相当し、任意選択的に、更に、塩基対欠損の数及び性質が、各配列をサンプルが採取された前記種を代表するゲノムと比較することにより決定可能である、工程と
を含む方法が提供される。上記で議論した通り、方法は、工程i)、ii)、及びiii)、又はi)、ii)、iii)、iv)、及びv)、又はすべての工程を含みうる。
【0074】
特別な実施形態では、5'結合構造を含む第2の対のオリゴヌクレオチドは、断片化された前記核酸を分離するための結合配列を含まない。
【0075】
本発明の複数の実施形態では、パートi)及びパートiii)のオリゴヌクレオチドは入れ替わってもよく、それによって核酸は、パートiii)のオリゴヌクレオチドに最初に曝露され、次にパートi)のオリゴヌクレオチドに曝露される。
【0076】
本発明の一実施形態において、パートi)及びパートiii)のオリゴヌクレオチドは入れ替わってもよく、それによって核酸は、パートiii)のオリゴヌクレオチドに最初に曝露され、そして断片化後、次に核酸断片はパートi)のオリゴヌクレオチドに曝露される。
【0077】
パートi)及びパートiii)の入れ替えを伴う実施形態は、誘発されたDSBを検出するための方法にとって特に重要である。そのような実施形態では、サンプルは断片化されてもよく、そして工程iii)が次に実施されてもよい。その後、サンプルはDSBを潜在的に誘発するように処理されてもよく、そして誘発後に、工程i)が実施されてもよい。DSBが導入される実施形態は、本明細書において更に議論されるが、またそれにはヌクレアーゼ等のオフターゲット効果を検出するための実施形態が含まれる。
図13、
図17、及び
図18は特別な実施形態について例証する。
【0078】
本発明の方法では、オリゴヌクレオチドの前記対のいずれもアダプターでありうるか又はアダプターとして知られうる。
【0079】
本明細書においてアダプター(又はアダプター(複数))と呼ぶ場合、それは遺伝子工学におけるリンカーを指し、またそれは他のDNA分子の末端にライゲート可能であるオリゴヌクレオチドである。アダプターは二本鎖でありうる。二本鎖アダプターは、両方の末端に平滑末端を有するように、又は一方の末端において粘着末端化し、他方において平滑末端となるように合成されうる。アダプターは短くてもよく、また化学的に合成されてもよい。
【0080】
オリゴヌクレオチドの第1の対は、基質との結合を、前記基質に固定されたオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを介して可能にするように構成されうるが、その場合、固定されたオリゴヌクレオチドは、固定点に対して、5'末端が近位側、及び3'末端が遠位側になるように配向する。例えば、DSBの鎖の3'末端にライゲートされる第1の対のオリゴヌクレオチド(すなわち、5'結合構造を含んだオリゴヌクレオチド)は、固定されたオリゴヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補的でありうる。相補性の範囲は、ハイブリダイゼーションを介して固定されたオリゴヌクレオチドと結合するのを可能にしうる。オリゴヌクレオチドの第2の対は、基質との結合を、前記基質に固定されオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを介して可能にしないように構成されうるが、その場合、固定されたオリゴヌクレオチドは、固定点に対して、5'末端が近位側、及び3'末端が遠位側となるように配向する。例えば、断片化された部位の鎖の3'末端にライゲートされる第2の対のオリゴヌクレオチド(すなわち、5'結合構造を含んだオリゴヌクレオチド)は、ハイブリダイゼーションを介して結合可能となるには、任意の固定されたオリゴヌクレオチドに対する相補性が不十分でありうる。いくつかの実施形態では、例えば、後続するブリッジ増幅を可能にするために、断片化された部位の鎖の5'末端に結合した第2の対のオリゴヌクレオチド(すなわち、3'結合構造を含むオリゴヌクレオチド)は、固定されたオリゴヌクレオチドと少なくとも部分的に同一の配列でありうる。別の実施形態では、例えば、ビーズ-エマルジョン増幅法を可能にするために、その他の配置が使用されうる(例えば、
図14を参照)。
【0081】
一実施形態では、核酸サンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたオリゴヌクレオチドを含む基質と結合するのに適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
i)DSBを含有することが疑われる核酸のサンプルを、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第1の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、前記結合配列が、固定されたオリゴヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第2の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と、
ii)核酸サンプル、理想的にはgDNAを断片に断片化する工程と、
iii)前記断片を、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第2の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記断片の第1の鎖とのライゲーションを、理想的には前記第1の対の前記オリゴヌクレオチドの結合から離れた部位において可能にする5'結合構造、第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第1のオリゴヌクレオチドが、固定されたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする能力を有する配列を含まず、並びに第2のより長いオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記断片の第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と
を含む方法が提供される。
【0082】
DSB関連核酸は、DSBの一方の側に配置される核酸である。従って、DSB関連核酸の配列決定は、例えばゲノム内のDSBの場所が同定されるのを可能にする。
【0083】
一実施形態では、本発明の方法は、Illumina P5及びP7アダプターと併用されるように設計される。従って、特別な実施形態では、第2のオリゴヌクレオチド対は、配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まない。別の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチド対は、配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まない。
【0084】
従って、特別な実施形態では、工程iii)は、
前記断片を、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第2の対に曝露する工程であって、
その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記断片の第1の鎖とのライゲーションを、理想的には、前記第1の対の前記オリゴヌクレオチドの結合から離れた部位において可能にする5'結合構造、及び第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含み、オリゴヌクレオチドの第2の対が、配列番号30の5、10、15、20、若しくは24塩基を超える配列を含まず、及び/又は配列番号31の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まない、
工程である。
【0085】
本発明の好ましい方法では、オリゴヌクレオチドの前記対の前記5'又は3'結合構造は、リン酸基;トリホスフェート「T尾部」、好ましくはデオキシチミジントリホスフェート「T尾部」;トリホスフェート「A尾部」、好ましくはデオキシアデノシントリホスフェート「A尾部」;少なくとも1つのランダムNヌクレオチド、好ましくは複数のNヌクレオチド、又は前記アダプターと前記DSBとの結合を可能にする任意のその他の公知の結合基のうちの1つを含む。
【0086】
核酸サンプルは、DSBを含む能力を有する任意のDNAサンプルでありうる。本発明の好ましい実施形態では、前記核酸サンプルはgDNAである。
【0087】
なおもより理想的には、パートi)の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記5'結合構造はリン酸基であり、パートi)の前記第2のオリゴヌクレオチドの前記3'結合構造は、トリホスフェート尾部である。
【0088】
本発明の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドの前記第1の対の前記5'及び/又は3'保護構造は、リン酸化活性、ホスファターゼ活性、ターミナルトランスフェラーゼ活性、核酸ハイブリダイゼーション、エンドヌクレアーゼ活性、エキソヌクレアーゼ活性、リガーゼ活性、ポリメラーゼ活性、及びタンパク質結合のうちの任意の1つ又は複数に対する耐性を提供する構造を含む。これは、例えばホスホロチオエート結合、ホスホロアミダイトスペーサー、リン酸基、2'-O-メチル基、反転デオキシ及びジデオキシ-T改変、ロックド核酸塩基、ジデオキシヌクレオチド等、但しこれらに限定されない、当業者にとって公知の任意の手段により達成可能である。これらの構造が提供する活性の例をTable 2(表2)に示す。
【0089】
好ましくは、パートi)の前記第1のオリゴヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼ活性に対する耐性を提供する3'保護構造、例えばホスホロチオエート結合等を含む。付加的又は代替的に、前記3'保護構造は、リガーゼ活性及び/又はポリメラーゼ活性、理想的には5'>3'ポリメラーゼ活性に対する耐性も提供し、そして例えば、ジデオキシヌクレオチド又は理想的にはホスホラミダイトの形態の物理的ブロック、特にC3スペーサーホスホラミダイト(3SpC3)、又は当業者にとって公知の任意のその他の保護構造、例えばエキソヌクレアーゼ活性、及び/又はリガーゼ活性、及び/又はポリメラーゼ活性に対する耐性を提供するTable 2(表2)内のもの等である。
【0090】
なおもより好ましくは、パートi)の前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、プールされたシークエンシングライブラリーの起源の決定を可能にする、換言すれば、プールされたシークエンシングライブラリーの多重化解除を可能にするヌクレオチドの特定の配列(例えば、GATCT)であるインデックス構造も含む。理想的には、インデックス構造は、前記ハイブリダイゼーション部位と前記結合配列との間に位置する。
【0091】
最も好ましくは、パートi)の前記第1のオリゴヌクレオチドは、5'から3'方向に読み取る場合、5'結合構造(理想的には、結合構造はリン酸基である)、次に、任意選択的に、保護構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、インデックス配列、前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列、並びに3'結合及び/又は保護構造を含む。好ましくは、前記保護構造は、エキソヌクレアーゼ活性、リガーゼ活性、及び/又はポリメラーゼ活性のうちの任意の1つ又は複数に対する耐性を提供する。
【0092】
最も好ましくは、パートi)の前記第2のオリゴヌクレオチドは、3'から5'方向に読み取る場合、3'結合、次に、任意選択的に、保護構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション配列(RD1 SP)、インデックス配列、前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列、並びに5'結合及び/又は保護構造を含む。好ましくは、前記保護構造は、エキソヌクレアーゼ活性、リガーゼ活性、及び/又はポリメラーゼ活性のうちの任意の1つ又は複数に対する耐性を提供する。理想的には、結合構造は3'である。
【0093】
本発明の好ましい実施形態では、パートi)の前記第1のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチド対の一方であり、またこの第1のオリゴヌクレオチド対の第2のオリゴヌクレオチドは、前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、5'及び3'保護構造を含み、好ましくは、エキソヌクレアーゼ活性、リガーゼ活性、及び/又はポリメラーゼ活性のうちの任意の1つ又は複数に対する耐性を提供する。従って、ある特定の実施形態では、5'又は3'リン酸基は、本発明を実現させるのに使用されるオリゴヌクレオチドから失われている。
【0094】
本発明の好ましい実施形態では、パートi)の前記第1のオリゴヌクレオチドは、ライゲートしたDSBを配列決定するのに使用されるハイブリダイゼーション部位(/配列)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するのに使用される結合配列の両方を含有する。しかしながら、当業者は、パートi)の第2のオリゴヌクレオチドも、ライゲートしたDSBを配列決定するのに使用されるハイブリダイゼーション部位(/配列)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するのに使用される結合配列の両方を含有することも可能であると認識する。これは、配列決定する工程及び分離する工程のいずれも、配列決定するのに使用されるプライマーの性質、及び分離するのに使用されるオリゴヌクレオチドの性質により決定されるためである。最も一般的には、全オリゴヌクレオチドの方向、すなわち少なくとも第1及び/又は第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP及びRD2 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列、及び、任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための更なる配列の方向は、パートv)の分離する工程が実行されるとき、群A鎖のみが前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を使用して抽出されうるような方向である。更に、この方向は、パートvi)の配列決定する工程が実行されるとき、群A鎖のみが架橋されうる(ブリッジ増幅配列が存在するとき)ような配列でもある。
【0095】
なおもより理想的には、パートi)の第1のオリゴヌクレオチド対の第1又は第2のオリゴヌクレオチドは、2つの異なる末端保護構造を含む。
【0096】
なおもいっそうより好ましくは、パートi)のこの第1のオリゴヌクレオチド対の第2のオリゴヌクレオチドは、「A尾部が付加された」DNA断片とのライゲーション用の基質を提供するための3'デオキシチミジントリホスフェート「T尾部」、及び理想的にはホスホロチオエート結合も含み、それによってエキソヌクレアーゼ活性に対する耐性が付与される。
【0097】
本発明のいっそう更に好ましい方法では、パートiii)の第2のオリゴヌクレオチド対の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記5'結合構造はリン酸基であり、パートiii)の第2のオリゴヌクレオチド対の前記第2のオリゴヌクレオチドの前記3'結合構造はトリホスフェート尾部である。
【0098】
本発明の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドの前記第2の対の前記5'及び/又は3'保護構造は、リン酸化活性、ホスファターゼ活性、ターミナルトランスフェラーゼ活性、核酸ハイブリダイゼーション、エンドヌクレアーゼ活性、エキソヌクレアーゼ活性、リガーゼ活性、ポリメラーゼ活性、及びタンパク質結合のうちの任意の1つ又は複数に対する耐性を提供する構造を含む。これは、例えば、ホスホロチオエート結合、ホスホロアミダイトスペーサー、リン酸基、2'-O-メチル基、反転デオキシ及びジデオキシ-T改変、ロックド核酸塩基、ジデオキシヌクレオチド等、但しこれらに限定されない、当業者にとって公知の任意の手段により達成可能である。これらの構造が提供する活性の例をTable 2(表2)に示す。
【0099】
好ましくは、パートiii)の前記第1のオリゴヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼ活性に対する耐性を提供する3'保護構造、例えばホスホラミダイトスペーサー等も含む。付加的又は代替的に、前記3'保護構造は、リガーゼ活性、及び/又はポリメラーゼ活性、理想的には5'>3'ポリメラーゼ活性に対する耐性も提供し、そして、例えばジデオキシヌクレオチド、又は理想的にはホスホラミダイト、特に3スペーサーホスホラミダイト(3SpC3)の形態の物理的ブロック、或いは当業者にとって公知の任意のその他の保護構造、例えばエキソヌクレアーゼ活性、及び/又はリガーゼ活性、及び/又はポリメラーゼ活性に対する耐性を提供するTable 2(表2)内のもの等である。
【0100】
なおもより好ましくは、パートiii)の前記第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、プールされたシークエンシングライブラリーの起源の決定を可能にする、換言すれば、プールされたシークエンシングライブラリーの多重化解除を可能にするヌクレオチドの特定の配列(例えば、GATCT)であるインデックス構造も含む。理想的には、インデックス構造は、前記ハイブリダイゼーション部位と前記更なる配列(存在する場合)との間に位置する。
【0101】
なおもより理想的には、パートiii)のこの第2のオリゴヌクレオチド対の第1又は第2のオリゴヌクレオチドは、2つの異なる末端保護構造を含む。
【0102】
最も好ましくは、パートiii)の前記第2のオリゴヌクレオチドは、5'から3'方向に読み取る場合、5'結合及び/又は保護構造、任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための更なる配列、インデックス配列、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)、並びに3'結合及び/又は保護構造を含む。好ましくは、保護構造のいずれか又は両方は、エキソヌクレアーゼ活性、リガーゼ活性、及び/又はポリメラーゼ活性のうちの任意の1つ又は複数に対する耐性を提供する。
【0103】
本発明の好ましい実施形態では、パートiii)の前記第2のオリゴヌクレオチドは、このオリゴヌクレオチド対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、好ましくは、エキソヌクレアーゼ活性、リガーゼ活性、及び/又はポリメラーゼ活性のうちの任意の1つ又は複数に対する耐性を提供する5'及び3'保護構造を含む。従って、ある特定の実施形態では、本発明を実現させるのに使用されるオリゴヌクレオチドは、5'又は3'リン酸基が失われている。
【0104】
なおもいっそうより好ましくは、パートiii)のこの第2のオリゴヌクレオチドは、理想的にはホスホロチオエート結合と共に、「A尾部が付加された」DNA断片とのライゲーション用の基質を提供するための3'デオキシチミジントリホスフェート「T尾部」を含み、それによってエキソヌクレアーゼ活性に対する耐性が付与される。
【0105】
本発明の好ましい実施形態では、パートi)の前記ライゲーションは、細胞若しくは組織懸濁物を使用してin situ若しくはin vitroで生じ、また無処理細胞においても同様に生ずる。いっそうより好ましくは、この工程は、細胞又は組織を化学的、電子的、機械的、又は生理学的に透過処理することにより促進され、それによってライゲートされる前記オリゴヌクレオチドは、DSB部位へのアクセスを確保することができ、そしてその末端結合構造、例えばリン酸を介してDSB部位にライゲートされる。好ましくは、細胞は、溶解バッファー内でのインキュベーションにより透過処理される。なおもいっそうより好ましくは、前記DSB部位は、前記オリゴヌクレオチドとのライゲーション前に修復されたアルギニン尾部である。
【0106】
認識される通り、更なる処理の前に、オリゴヌクレオチド/アダプターの前記第1の対をDSBにライゲートすることで、同定されたDSBが真の事象であり、後続する処理工程の結果ではなく、従って処理のアーチファクトを表すものではないことが保証される。
【0107】
本発明のいっそう更に好ましい実施形態では、パートi)には、後続する工程を実施する前に、任意の従来手段、例えば抽出バッファー等を使用してgDNAを前記細胞から抽出する工程も含まれる。
【0108】
本発明の好ましい実施形態では、工程ii)は、当技術分野において公知の任意の手段、例えば超音波処理又はタグメンテーション等により、gDNAをより小さい断片に断片化する工程を含む。
【0109】
本発明のいっそう更に好ましい実施形態では、前記方法は、パートii)及び/又はパートiv)の後に、約100bp未満、より好ましくは約150bp未満のサイズを有する断片を除去すること、及び150bpを上回るサイズを有する断片を保持することからなる任意選択的な工程を更に含む。当業者により認識されるように、この工程は、形成された可能性のあるあらゆるオリゴヌクレオチド鎖/ダイマーを有利に取り除くが、さもなければその後配列アーチファクトに寄与する。これは、理想的には、従来手段を使用して、例えばBioruptor Sonicator、及びSPRIビーズ(GC Biotech社、CNGS-0005)を使用して150bp未満の断片を取り除くサイズ選択工程を使用して実行可能である。又は、好ましい範囲、例えば、非限定的に150~1000bp、理想的には200~800bp、より理想的には250~750bp、及びいっそう最も好ましくは300~500bp等内の断片について選択する。
【0110】
本発明のいっそう更に好ましい実施形態では、パートv)の前記分離する工程は、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される前記結合配列を使用してパートナーに結合することによって、パートiv)の群A鎖を任意のその他の鎖から分離することを含む。一般的に、パートi)のオリゴヌクレオチドにより提供される前記結合配列に対する相補的結合鎖は、基質に係留され、そして核酸の前記一本鎖は、係留された相補的結合鎖の近傍又はその上を流れる。
【0111】
本発明のいっそう更に好ましい方法では、パートvi)は、パートv)において分離された一本鎖が、パートi)の第1のオリゴヌクレオチドの結合配列、及びパートiii)の第2のオリゴヌクレオチドの更なる配列に対するオリゴヌクレオチド/結合部位をその上に係留している基質上でクローン的に増幅されるブリッジ増幅を含む。このように、群A断片の一本鎖は、前記基質上の両末端に結合してブリッジ増幅を円滑化することができる。なおもいっそうより好ましくは、前記配列決定する工程は、標識されたヌクレオチド(それぞれが配列情報の読み取りを提供するシークエンスエクステンドとして読み取られる特徴的なシグナルを発する)の使用を利用する合成シークエンシングにより実行されうる。一般的に、いくつかの鎖がパラレルプロセスにおいて配列決定される。好ましい場合には、インデックス配列はDSBから分離して配列決定されてもよく、従ってDSBが配列決定される前に、核酸の起源を表示することができる。或いは、2つのインデックスが配列決定され、従って同時に読み取られてもよい。
【0112】
特別な実施形態では、パートi)のオリゴヌクレオチドの第1の対は、TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチド、及びAATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含む第2のオリゴヌクレオチドを含む。
【0113】
別の実施形態(先行するパラグラフの主題と組み合わせ可能である)では、オリゴヌクレオチドの第2の対は、配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まない配列の第1のオリゴヌクレオチド、及びCAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含む第2のオリゴヌクレオチドを含む。
【0114】
特別な実施形態では、パートi)のオリゴヌクレオチドの第1の対は、ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチド、及びCAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含む第2のオリゴヌクレオチドを含む。
【0115】
別の実施形態(先行するパラグラフの主題と組み合わせ可能である)では、オリゴヌクレオチドの第2の対は、配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まない第1のオリゴヌクレオチド、及びAATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含む第2のオリゴヌクレオチドを含みうる。
【0116】
配列番号30、31、32、及び34は、1~12個、1~10個、1~8個、1~5個、1~3個、2個、又は1個の改変、例えば置換、欠損、又は挿入等を含みうる。一実施形態では、改変は置換である。
【0117】
本発明の更に好ましい実施形態では、パートi)のオリゴヌクレオチドの前記第1の対は、配列番号1を有する第1のオリゴヌクレオチド、及び配列番号2を有する第2のオリゴヌクレオチド、又はそれと少なくとも80%の同一性若しくは相同性、及びより好ましくは、それと81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、若しくは100%(増加するほど好ましい)の同一性若しくは相同性を共有するオリゴヌクレオチドを含む。配列番号1及び配列番号2で表されるオリゴヌクレオチドは、1~12個、1~10個、1~8個、1~5個、1~3個、2個、又は1個の改変、例えば置換、欠損、又は挿入等を含みうる。一実施形態では、改変は置換である。相同性は、本明細書で使用される場合、類似性と呼ばれる場合もある。
【0118】
本発明の更に好ましい実施形態では、パートi)のオリゴヌクレオチドの前記第1の対は、配列GATCGGAAGAGCGTCGTGTAGGGAAAGAGTGT[インデックス]TCGGTGGTCGCCGTATCATTCからなる、又は1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、2個、若しくは1個の改変、例えば置換、欠損、若しくは挿入等を含む第1のオリゴヌクレオチドを含む。パートi)のオリゴヌクレオチドの第1の対は、配列AATGATACGGCGACCACCGA[インデックス]ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCTからなる、又は1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、2個、若しくは1個の改変、例えば置換、欠損、若しくは挿入等を含む第2のオリゴヌクレオチドを更に含みうる。
【0119】
本発明の更に好ましい実施形態では、パートi)のオリゴヌクレオチドの前記第1の対は、配列GATCGGAAGAGCGTCGTGTAGGGAAAGAGTGT(配列番号37)、インデックス、及びTCGGTGGTCGCCGTATCATTC(配列番号38)からなる第1のオリゴヌクレオチドを含む。パートi)のオリゴヌクレオチドの第1の対は、配列AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)、インデックス、ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(配列番号39)からなる第2のオリゴヌクレオチドを更に含みうる。インデックスは任意の塩基(n)でありえ、また例えば長さ5~15又は6~10塩基対でありうる。配列番号34、37、38、及び39は、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、2個、又は1個の改変、例えば置換、欠損、又は挿入等を含みうる。一実施形態では、改変は置換である。
【0120】
本発明の更なる実施形態では、パートi)のオリゴヌクレオチドの前記第1の対は、配列番号3、インデックス、及び配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)を含む第1のオリゴヌクレオチドを含む。パートi)のオリゴヌクレオチドの第1の対は、5'から3'の順番で、CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)の配列、インデックス、及び配列GTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCT(配列番号33)を含む第2のオリゴヌクレオチドを更に含みうる。インデックスは任意の塩基(n)でありえ、そして例えば、長さ5~15又は6~10塩基対でありうる。配列番号3、30、32、及び33は、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、2個、又は1個の改変、例えば置換、欠損、又は挿入等を含みうる。一実施形態では、改変は置換である。
【0121】
本発明の更に好ましい実施形態では、パートiii)のオリゴヌクレオチドの前記第2の対は、配列番号3を有する第1のオリゴヌクレオチド、及び配列CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT[インデックス]GTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTの第2のオリゴヌクレオチド、又はそれと少なくとも80%の同一性若しくは相同性、より好ましくは、それと81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、若しくは100%(増加するほど好ましい)の同一性若しくは相同性を共有するオリゴヌクレオチドを含む。配列番号3で表されるオリゴヌクレオチドは、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、2個、又は1個の改変、例えば置換、欠損、又は挿入等を含みうる。CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT[インデックス]GTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTで表されるオリゴヌクレオチドは、1~12個、1~10個、1~8個、1~5個、1~3個、2個、又は1個の改変、例えば置換、欠損、又は挿入等を含みうる。一実施形態では、改変は置換である。
【0122】
本発明の更に好ましい実施形態では、パートiii)のオリゴヌクレオチドの前記第2の対は、配列番号3を有する第1のオリゴヌクレオチド、及び5'から3'の順番でCAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)、インデックス、及び配列GTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCT(配列番号33)の配列を有する第2のオリゴヌクレオチドを含む。インデックスは任意の塩基(n)でありえ、そして例えば、長さ5~15又は6~10塩基対でありうる。オリゴヌクレオチドは、配列番号3、32、又は33のいずれかと80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の同一性又は相同性を有する配列を含みうる。配列番号3、32、又は33は、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、2個、又は1個の改変、例えば置換、欠損、又は挿入等を含みうる。一実施形態では、改変は置換である。
【0123】
本発明のいっそう更に好ましい実施形態では、パートiii)のオリゴヌクレオチドの前記第2の対の前記第2のオリゴヌクレオチドは、配列番号4~28、30~34、37~39、若しくは41~42の配列の任意の1つ、又はそれと少なくとも80%の同一性若しくは相同性、及びより好ましくは、それと81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、若しくは100%(増加するほど好ましい)の同一性若しくは相同性を共有するオリゴヌクレオチドを含む。配列番号4~28、30~34、37~39、又は41~42は、1~12個、1~10個、1~8個、1~5個、1~3個、2個、又は1個の改変、例えば置換、欠損、又は挿入等を含みうる。一実施形態では、改変は置換である。
【0124】
好ましい実施形態では、前記サンプルは、哺乳動物、理想的にはヒトサンプルである。
【0125】
本発明の更なる態様によれば、理想的にはgDNAサンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するのに適するパーツキットであって、
i)オリゴヌクレオチドの第1の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、この第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、第1の対と、
ii)オリゴヌクレオチドの第2の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、及び第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、この第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び任意選択的にブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、第2の対と
を含むパーツキットが提供される。
【0126】
本発明の好ましいキットでは、前記キットは、配列決定を目的として、第1及び/又は第2のハイブリダイゼーション部位と結合する少なくとも1つのプライマーを更に含む。
【0127】
なおもより好ましくは、前記キットは、核酸を断片及び/又は一本鎖にそれぞれ断片化及び/又は変性させるための断片化剤及び/又は変性剤を更に含む。
【0128】
本発明の別の態様では、gDNAサンプル内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するのに適するパーツキットであって、
i)オリゴヌクレオチドの第1の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、この第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、第1の対と、
ii)オリゴヌクレオチドの第2の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の第2のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドが、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造、及びブリッジ増幅を可能にするための結合配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、第2の対と
を含むパーツキットが提供される。
【0129】
本発明の1つの態様では、gDNAサンプル内のDSBを同定するためのサンプルを調製するのに適するキットであって、
i)オリゴヌクレオチドの第1の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造を含み、TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)で表される配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む第1の対と、
ii)オリゴヌクレオチドの第2の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか、又は24塩基すべてを含まず、並びに第2のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、第2の対と
を含むキットが提供される。
【0130】
本発明の別の態様では、gDNAサンプル内のDSBを特定するためのサンプルを調製するのに適するキットであって、
i)オリゴヌクレオチドの第1の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造を含み、ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)で表される配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、任意選択的に3'結合構造を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、第1の対と、
ii)オリゴヌクレオチドの第2の対であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まず、及び任意選択的に5'結合構造を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、第2の対と
を含むキットが提供される。
【0131】
配列番号30、31、32、及び34は、1~12個、1~10個、1~8個、1~5個、1~3個、2個、又は1個の改変、例えば置換、欠損、又は挿入等を含みうる。一実施形態では、改変は置換である。
【0132】
パートi)の第2のオリゴヌクレオチドは3'結合構造を含みうるが、またパートii)の第1のオリゴヌクレオチドは5'結合構造を含みうる。オリゴヌクレオチドの第1及び第2の対の第1のオリゴヌクレオチドは、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)を含みうる。
【0133】
本発明の更なる態様によれば、理想的には核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、シークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含む第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造を含む第2のオリゴヌクレオチド鎖とを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、二本鎖アダプターが提供される。
【0134】
本発明の更なる態様によれば、理想的には核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するための二本鎖アダプターであって、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、及びシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含む第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、前記DSBの第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び、任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含む第2のより長いオリゴヌクレオチド鎖とを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、二本鎖アダプターが提供される。
【0135】
本発明の更なる態様によれば、核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するのに適する二本鎖アダプターであって、
配列ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号30)の5、10、15、若しくは20塩基を超える配列を含まないか又は24塩基すべてを含まない第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号32)で表される配列を含む第2のオリゴヌクレオチドとを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、
二本鎖アダプターが提供される。第1のオリゴヌクレオチドは5'結合構造を含みうる。
【0136】
本発明の更なる態様によれば、核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するのに適する二本鎖アダプターであって、
配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、若しくは15塩基を超える配列を含まないか又は20塩基すべてを含まない第1のオリゴヌクレオチド鎖と、前記オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の鎖とのライゲーションを可能にする3'結合構造を含み、AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)で表される配列を含む第2のオリゴヌクレオチドとを含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、
二本鎖アダプターが提供される。第1のオリゴヌクレオチドは5'結合構造を含みうる。
【0137】
本発明の1つの態様では、核酸サンプル内のDSBを同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたプライマーを含む基質との結合に適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、DSBの鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と、
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さないオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含まない、工程と
を含む方法が提供される。断片化により誘発された切断において鎖の5'末端にライゲートされる能力を有する第2のアダプターのオリゴヌクレオチドは、第2のプライマーの領域と同一の配列を含みうる。
【0138】
いくつかの実施形態では、複数の核酸を含むサンプル内の核酸は、工程b)~d)において二本鎖化している。その他の実施形態では、核酸は、工程b)~d)において一本鎖化しうる。いっそう更なる実施形態では、核酸は、いくつかの工程において二本鎖化し、またその他において一本鎖化しうる(例えば、
図16を参照)。二本鎖アダプターと一本鎖核酸とのライゲーションを伴う複数の実施形態では、アダプターは、「splint oligo」を含みうる。Splint oligoは、ランダムヌクレオチド、例えば6~8個のランダムヌクレオチド等を含みうるが、また核酸サンプルにライゲートしないアダプターのオリゴヌクレオチドの3'末端に配置される。Splint oligoはライゲーションプロセスにおいて役立ちうる。
【0139】
一実施形態では、核酸サンプル内のDSBを同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、第1の固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、及び前記第1の固定されたプライマー及び第2のプライマーの使用を含む増幅に適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、DSBの鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む工程と、
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さないオリゴヌクレオチドを含み、第2のプライマーの領域と同一の配列を含む、工程と
を含む方法が提供される。
【0140】
第1の固定されたプライマー及び第2のプライマーの使用を含む増幅に適する核酸サンプルは、第1の固定されたプライマーと同一の配列のプライマー及び第2のプライマーと同一の配列のプライマーにより増幅される能力を有するサンプルである。増幅に対する適合性は溶液の状態で決定されうる。
【0141】
いくつかの実施形態では、第2のプライマーは基質に固定されない。例えば、基質はビーズでありうるが、また増幅はビーズ-エマルジョン増幅法を介して実施されうる。
【0142】
その他の実施形態では、第2のプライマーは基質に固定される。例えば、基質はフローセルでありうるが、また増幅はブリッジ増幅を介して実施されうる。
【0143】
いくつかの実施形態では、アダプターは一本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0144】
その他の実施形態では、アダプターは、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含む。そのような実施形態では、第1のアダプターの対は、DSBの鎖の少なくとも3'末端にライゲートされる能力を有し、並びに第1のアダプターの対は、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、その場合、第1のオリゴヌクレオチドは3'末端にライゲート可能であり、ハイブリダイゼーションにより、基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む。それに加えて、そのような実施形態では、第2のアダプターの対は、断片化により誘発された切断において、鎖の少なくとも5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし第1のアダプターの対の第1のオリゴヌクレオチドにライゲートされる能力を有さず、その場合、第2のアダプターは第1及び第2の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを含み、その場合、第1のオリゴヌクレオチドは5'末端にライゲート可能であり、第2のプライマーの領域と同一の配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドは、第2のプライマーの領域と同一の前記配列に対して相補的である配列を含まない。
【0145】
従って、一実施形態では、核酸サンプル内のDNA DSBを同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、第1の固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適し、前記第1の固定されたプライマー及び第2のプライマーの使用を含む増幅に適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターの対に曝露する工程であって、
前記第1のアダプターの対が、DSBの鎖の少なくとも3'末端にライゲートされる能力を有し、並びに前記第1のアダプターの対が少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが3'末端にライゲート可能であり、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と、
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第2のアダプターの対が、断片化により誘発された切断において鎖の少なくとも5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターの対の第1のオリゴヌクレオチドにライゲートされる能力を有さず、第2のアダプターが、第1及び第2の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが5'末端にライゲート可能であり、第2のプライマーの領域と同一の配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、第2のプライマーの領域と同一の前記配列に対して相補的である配列を含まない、工程と
を含む方法が提供される。
【0146】
いくつかの実施形態では、基質は、第1の固定されたプライマー及び第2の固定されたプライマーを含む。固定されたプライマーは、いくつかの実施形態では、ブリッジ増幅期間中にプライマーとして作用するのに適する可能性がある。
【0147】
従って、一実施形態では、核酸サンプル内のDNA DSBを同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、第1及び第2の固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、第1のアダプターが、DSBの鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、第1の固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と、
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含むが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さず、第2の固定されたプライマーの領域と同一の配列を含む、工程と
を含む方法が提供される。
【0148】
その他の実施形態では、アダプターは、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含むアダプター対である。従って、核酸サンプル内のDNA DSBを同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、第1及び第2の固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第1のアダプターの対が、DSBの鎖の少なくとも3'末端にライゲートされる能力を有し、並びに前記第1のアダプターの対が、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが3'末端にライゲート可能であり、ハイブリダイゼーションにより、第1の固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と、
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第2のアダプターの対が、断片化により誘発された切断において鎖の少なくとも5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターの対の第1のオリゴヌクレオチドにライゲートされる能力を有さず、第2のアダプターが第1及び第2の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを含み、5'末端にライゲート可能であるオリゴヌクレオチドが、第2の固定されたプライマーの領域と同一の配列を含み、他方のオリゴヌクレオチドが、第2の固定されたプライマーの領域と同一の前記配列に対して相補的である配列を含まない、工程と
を含む方法が提供される。
【0149】
本明細書において議論されるように、いくつかの実施形態では、サンプル内の核酸は、工程a)~d)の期間中、二本鎖分子として維持されうる。従って、特別な実施形態では、方法は、複数の二本鎖核酸を変性させて複数の一本鎖核酸を形成する工程を更に含みうる。これは、いくつかの実施形態では、「工程e)」でありうる。
【0150】
特別な実施形態では、方法は、
複数の一本鎖核酸を、固定されたプライマーと相補的核酸とのハイブリダイゼーションに適する条件下で、固定されたプライマーを含む基質と接触させる工程を更に含みうる。これは、いくつかの実施形態では、「工程f)」でありうる。
【0151】
本明細書で開示される方法の工程i)と関連付けて開示される構造は、工程b)にも適用可能である。本明細書で開示される方法の工程ii)と関連付けて開示される構造は、工程c)にも適用可能である。本明細書で開示される方法の工程iii)と関連付けて開示される構造は、工程d)にも適用可能である。本明細書で開示される方法の工程iv)と関連付けて開示される構造は、工程e)にも適用可能である。本明細書で開示される方法の工程v)と関連付けて開示される構造は、工程f)にも適用可能である。
【0152】
基質は、固体表面、例えばフローセル、ビーズ、スライド、又は膜の表面等でありうる。特に、基質はフローセルでありうる。基質は、パターン化又は非パターン化されたフローセルでありうる。基質は、ガラス、石英、シリカ、金属、セラミック、又はプラスティックを含みうる。基質表面は、ポリアクリルアミドマトリックス又はコーティングを含みうる。
【0153】
本明細書で使用される場合、用語「フローセル」は、当技術分野、特に合成によるシークエンシングの分野における通常の意味を有するように意図されている。例示的フローセルとして、核酸シークエンシング装置で使用されるもの、例えばIllumina、Inc.社(San Diego、Calif.)より市販されているGenome Analyzer(登録商標)、MiSeq(登録商標)、NextSeq(登録商標)、HiSeq(登録商標)、若しくはNovaSeq(登録商標)プラットフォーム、又はLife Technologies社(Carlsbad、Calif.)より市販されているSOLiD(商標)若しくはIon Torrent(商標)シークエンシングプラットフォームのためのフローセル等が挙げられるが、但しこれらに限定されない。それらを製造及び使用するための例示的フローセル及び方法は、例えば、国際公開第2014/142841A1号;米国特許出願第2010/0111768A1号及び米国特許第8,951,781号においても記載されている。
【0154】
基質は、固定されたプライマー、例えばブリッジ増幅のためのフォアワード及びリバースプライマーとして共に作用することができる2種類のプライマーを含みうる。基質への固定とは、プライマーが二本鎖核酸を変性させるような条件下でも基質に結合することを意味する。例えば、プライマーは、基質と共有的に結合しうる。プライマーは、固定点に対して、5'末端が近位側となり、そして3'末端がより遠位側となるように配向する。そのような配置は当技術分野において標準的である。
【0155】
工程は、工程c)、工程d)、次に工程b)の順番で実施されうる。この順番は、既存DSBを検出するための実施形態とは異なり、DSBがサンプル内で誘発される可能性がある実施形態にとって特に重要である。ローマ数字により定義される工程を特徴とする本発明の記載内容を参照しながら、工程は、工程ii)、工程iii)、次に工程i)の順番で実施されうる。そのような実施形態では、DSBは、第2のアダプターのライゲーションの後、及び第1のアダプターのライゲーションの前に誘発されうる。例えば
図13を参照されたい。DSBの誘発は、サンプルを、DSBを引き起こす能力を有するか又は引き起こす能力を有することが疑われる条件に曝露する工程を含みうる。
【0156】
工程d)が工程b)の前に実施される複数の実施形態では、工程d)のアダプターは、工程b)のアダプターと工程d)のアダプターとのライゲーションを妨げる3'及び/又は5'保護構造を含みうる。保護構造は、第1のアダプターが第2のアダプターにライゲートされる能力を有さないようにしうる。そのような実施形態では、ライゲーションは第1のアダプターが存在する前に行われるので、第2のアダプターは第1のアダプターとのライゲーションが不能のままに留まる。
【0157】
いくつかの実施形態では、工程は、工程b)、工程c)、及び工程d)の順番で実施され、その場合、工程b)は、細胞内又はin situで実施される。その他の実施形態では、工程は、工程c)、工程d)、次に工程b)の順番で実施され、その場合、工程c)は、核酸サンプルの単離後にin vitroで実施される。
【0158】
従って、一実施形態では、核酸サンプル内のDSBを同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、その順番に、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と、
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含まず、任意選択的に、第2のプライマーの領域と同一の配列を含む、工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、DSBの鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし第2のアダプターにライゲートされる能力を有さないオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と
を含む方法が提供される。
【0159】
工程a)において、複数の二本鎖核酸を含むサンプルは、DSBを含む能力を有する任意のDNAサンプル、例えばgDNA等でありうる。
【0160】
本明細書に開示される方法のいずれについても、サンプルはDSBを含有しうるか、又はDSBを導入するその可能性のある方式で処置済みでありうる。
【0161】
例えば、本明細書に開示される方法は、DNA傷害、又は一本鎖に限定される変化を検出するのに使用されうる。従って、本明細書に開示される方法は、核酸サンプル内の目的とする構造を検出及び/又は定量するためのものでありうる。例として、二本鎖DNAの一方の鎖内の損傷は、DSBに酵素的に変換されうるが、それは次に本明細書に開示される方法により検出可能である。
【0162】
いくつかの例では、損傷は一本鎖切断でありうる。その他の例では、損傷は核酸サンプル内の塩基変化のである。例えば、本明細書に開示される方法は、CRISPR/Cas誘発型塩基編集、例えばシトシン塩基エディター又はアデノシン塩基エディター等を検出するためのものでありうる。そのような編集は、本明細書に開示されるようにDSBに変換され、そして検出されうる。
図17及び
図18は、例示的な実施形態を例証する。
【0163】
従って、一実施形態では、方法は、目的とする構造又は損傷を含むか又はそれを含むことが疑われる複数の核酸を含むサンプルを提供する工程、及び目的とする構造又は損傷をDSBに変換する能力を有する条件にサンプルを曝露する工程を含む。
【0164】
そのような実施形態では、方法は、損傷のDSBへの変換、b)、c)、若しくはd)順番でありうるか、又はc)、d)、損傷のDSBへの変換、及びb)の順番でありうる。
【0165】
その他の実施形態では、サンプルは、ヌクレアーゼ、例えば転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR/Casエンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ等、又は任意の制限エンドヌクレアーゼを用いて処置済みでありうるが、また方法はオフターゲット効果を検出するためのものでありうる。サンプルは、薬剤、例えば有望な治療等剤を用いて、前記薬剤がDSB又はオフターゲットDSBを引き起こす能力を有するか確認するために処置済みでありうる。
【0166】
本明細書に開示される方法は、核酸と結合するタンパク質の部位を同定するのに使用されうる。例えば、サンプルは、目的とするタンパク質に対して特異的なタンパク質結合剤、例えば抗体等と接触しうるが、その場合、目的とするタンパク質はDNAに結合する可能性がある。DNAは、目的とするタンパク質と接触済みのサンプルでありうる。タンパク質結合剤はヌクレアーゼと直接的又は間接的に会合することができ、従って目的とするタンパク質が結合する任意の部位においてDSBを形成する。任意のDSBが、次に本明細書に開示される方法により検出されうる。方法論は、Cleavage Under Targets and Release Using Nuclease(CUT&RUN)(標的下での切断とヌクレアーゼを用いた放出法)でありうる。従って、方法は、工程a)、サンプルを、目的とするタンパク質と接触させる工程、サンプルを、目的とするタンパク質と直接的又は間接的に会合してタンパク質が結合する核酸内にDSBを形成する能力を有するヌクレアーゼと接触させる工程、工程b)、工程c)、次に工程d)を含みうる。この順番は、方法が工程b)まで細胞内で実施される実施形態にとって特に有用である。或いは、方法は、工程a)、工程c)、工程d)、サンプルを、目的とするタンパク質と接触させる工程、サンプルを、目的とするタンパク質と直接的又は間接的に会合してタンパク質が結合する核酸内にDSBを形成する能力を有するヌクレアーゼと接触させる工程、次に工程b)を含みうる。この順番は、in vitro実施形態にとって特に有用である。
【0167】
その他の実施形態では、DSBは既知の部位又は標的部位において故意に誘発されうる。例えば、更なる分析のために、本発明の方法が目的とする配列を単離するのに使用可能であるように、前記目的とする配列内に、標的が定められたヌクレアーゼ、例えばCRIPSR/Cas又はTALEN等が、DSBを誘発するのに使用されうる。目的とする配列は、特定の遺伝子、全エクソーム、又はゲノム内の特定の遺伝子座でありうる。従って、一実施形態では、方法は、サンプルを、目的とする配列内に標的を定めてDSBを誘発する能力を有するヌクレアーゼと接触させる工程を含む。
【0168】
本発明の方法は、ウイルス若しくは細菌挿入事象、又はウイルス若しくは細菌挿入事象により引き起こされたDNA傷害を検出するためのものでありうる。これらの事象は、ゲノムに挿入された細菌及びウイルスと関連する固有の遺伝子配列によって測定可能である。本発明の方法は、従ってDSB中間構造を介して生じうる、このような外来DNA挿入部位を明らかにすることができる。
【0169】
その他の実施形態では、本明細書に開示される方法は、治療剤、例えば遺伝子療法等と関連するリスクを評価するのに使用されうる。例えば、本明細書に開示される方法は、患者から採取されたサンプルに適用されうるが、その場合、サンプルは、前記患者に対するオフターゲット効果のリスク、性質、又は頻度を決定するために、治療剤を用いて処置済みである。従って、本明細書に開示される方法は、目的とする薬剤により誘発されるような、患者固有のDSBパターン及びその頻度を提供することによる個人に特化した医療にとって有用でありうる。従って、一実施形態では、方法は、対象からサンプルを取得する工程、及び前記サンプルを、薬剤、例えば治療剤等に曝露する工程を含みうる。方法は、曝露後のサンプル中の任意の損傷又はDSBの性質及び/又は頻度を決定する工程を含みうる。本発明の工程の順番は、本明細書に記載されるように任意でありうる。
【0170】
本明細書に開示される方法は、DSBを引き起こす能力を有する任意の薬剤によるサンプルの汚染を検出するのに使用されうる。
【0171】
本明細書に開示される方法は、人工的に組織化したゲノム又は合成ゲノムの安定性を測定するのに使用されうる。
【0172】
本明細書に開示される方法は、遺伝毒性学におけるNext-Generation risk assessment(NGRA)(次世代リスク評価)で使用されうる。NGRAは、動物テストを使用せずに安全性を保証するために、新規アプローチ方法論(NAM)を統合する曝露主導式、仮説駆動型リスクアセスメントアプローチとして定義される。DSBは遺伝毒性曝露の直接測定法であり、また本発明の方法により定量可能である。従って、本発明の方法は、遺伝毒性曝露の定量化を必要とするリスクアセスメントに使用されうる。
【0173】
まとめとして、DSBを含有することが疑われる核酸のサンプルは、自然発生的なDNA傷害に起因して、潜在的にDSBを引き起こす薬剤を用いた処置に起因して、目的とする部位におけるDSBの計画的誘発に起因して、又は任意のその他の理由から、前記DSBを含有しうる。
【0174】
工程b)において、条件は、第1のアダプターとDSBとのライゲーションを可能にする。第1のアダプターは、DSBの鎖の3'末端にライゲートする能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、DSBの鎖の5'末端にライゲートする能力を有する別のオリゴヌクレオチドも含みうる。従って、第1のアダプターは、DSBと共有結合的にリンクしている。ライゲーションは直接的又は間接的でありうる。例えば、ライゲーションは、DSBに導入される追加のヌクレオチドでありうる。或いは、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの対はDSBにライゲートされうるが、また第1のアダプターは、前記オリゴヌクレオチド(単数又は複数)にライゲートされうる。ライゲーションの方法は、本明細書に開示されるように任意でありうる。第1のアダプターの対の2つのオリゴヌクレオチドは完全に相補的でありうる。
【0175】
第1のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、3'及び/又は5'保護構造を含みうる。これらの保護構造は、本明細書に開示されるいずれか、特に本明細書で開示される方法の工程i)に関連して議論されるオリゴヌクレオチドの第1の対と関連付けて開示されるいずれかでありうる。
【0176】
第1のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、本明細書で開示される方法の工程i)に関連して議論されるオリゴヌクレオチドの第1の対と関連付けて開示される任意の特性を含みうる。特に、第1のアダプターの対は、工程i)に関連して議論されるオリゴヌクレオチドの第1の対と関連付けて開示される配列を含んでも、また含まなくてもよい。
【0177】
第1のアダプターは、3'末端にライゲート可能なオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む。これは、ライゲートした第1のアダプターの対が一本鎖に変性するとき、一方の鎖は、基質に固定されたプライマーに対して相補的であることを意味する。アダプターは、洗浄又は重合工程期間中に放出されない結合を可能にするのに十分な長さの相補的配列を含む。相補的な領域の長さは、5、10、15、20、21、24個、又はそれ超の塩基でありうる。或いは、相補的な領域は、5、10、15、20、21、24個、又はそれ超の相補的な塩基を含みうる。
【0178】
工程c)は、本明細書において議論されるような任意の断片化方法を含みうる。
【0179】
工程d)において、条件は核酸と第2のアダプターとのライゲーションを可能にする。第2のアダプターは、断片化部位において5'末端にライゲートする能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、また断片化部位において3'末端にライゲートする能力を有するオリゴヌクレオチドを含みうる。ライゲーションの方法は、本明細書に開示されるように任意でありうる。
【0180】
第2のアダプターは、第1のアダプターにライゲートする能力を有さない。特別な実施形態では、この防止策は、第1のアダプター上への3'保護構造(単数)の組み込みによる。関連する実施形態では、この防止策は、第1のアダプター対上への5'及び/又は3'保護構造(複数)の組み込みに起因する。特に、第1のアダプターの第1のオリゴヌクレオチド(すなわち、3'末端に結合する能力を有するオリゴヌクレオチド)は、アダプターがこの鎖にライゲートするのを防止するために、3'保護構造、例えばスペーサーC3 3'鎖ターミネーター等を含みうる(
図12を参照)。
【0181】
第2のアダプター対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、3'及び/又は5'保護構造を含みうる。これらの保護構造は、本明細書に開示されるいずれか、特に本明細書で開示される方法の工程iii)に関連して議論されるオリゴヌクレオチドの第2の対と関連付けて開示されるいずれかでありうる。
【0182】
工程d)が工程b)の前に実施される複数の実施形態では、第2のアダプター対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは3'及び/又は5'保護構造を含みうるが、また少なくとも1つの保護構造は、工程b)のアダプターが工程d)のアダプターにライゲートするのを防止しうる。例えば、3'末端に結合する能力を有する第2のアダプターのオリゴヌクレオチドは、3'保護構造、例えばスペーサーC3 3'鎖ターミネーター等を含みうる。
【0183】
第2のアダプター対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、本明細書で開示される方法の工程iii)に関連して議論されるオリゴヌクレオチドの第2の対と関連付けて開示される任意の特性を含みうる。特に、第2のアダプター対は、工程iii)に関連して議論されるオリゴヌクレオチドの第2の対と関連付けて開示される配列を含んでもよく、また含まなくてもよい。
【0184】
第2のアダプター対はタグメンテーションにより導入されうる。従って、第2のアダプターの断片化とライゲーションは同一工程でありうる。例えば、工程c)及びd)は併合可能である。
【0185】
第2のアダプターは、5'末端にライゲート可能なオリゴヌクレオチドを含み、基質に固定されたプライマーの少なくとも一部分と同一の配列を含む。従って、このオリゴヌクレオチドが重合期間中にテンプレートとしてふるまうとき、新たな鎖には、前記プライマーにハイブリダイズする能力を有する配列が含まれる。従って、アダプター配列の関連する領域及びプライマーの関連する領域の長さは、この機能にふさわしくあるべきである。同一領域の長さは、5、10、15、20、21、24個、又はそれ超の塩基でありうる。第2のアダプター内の他方のオリゴヌクレオチドは、このいわゆる同一領域に対して相補的な配列を含まない。従って、第2のアダプターは、ハイブリダイゼーションを介して基質に結合する能力を有さない。
【0186】
工程f)の後、方法は、任意のハイブリダイズした核酸を、固定されたプライマーの伸長に適する条件下でポリメラーゼと接触させて、ハイブリダイズした核酸に対して相補的なヌクレオチドの鎖である核酸を合成する工程を更に含みうる。新規に形成された核酸は次に増幅されうる。いくつかの実施形態では、増幅用のプライマーも基質に固定され、また例えばブリッジ増幅に適しうる。このプロセスは当技術分野において公知であり、そして核酸のクローンクラスターを形成する。その他の実施形態では、例えば基質がビーズであるいくつかの実施形態の場合、増幅用のプライマーは溶液状態でありえる。増幅された核酸は、次に通常の方式で、例えば合成による配列決定法(sequencing-by-synthesis)により配列決定されうる。アダプターは、シークエンシングプライマーが結合するための部位を含み、このプロセスを支援しうる。アダプターは、本明細書に開示されるようなインデックスも含みうる。
【0187】
従って、一実施形態では、方法は、工程f)において基質にハイブリダイズした任意の核酸に関する配列情報を取得する工程g)を更に含みうる。
【0188】
工程g)を含む方法は、核酸サンプル内のDNA DSBを同定するための方法と呼ぶことができる。
【0189】
本明細書で開示される方法の工程vi)と関連付けて開示される特性は、工程g)にも適用可能である。
【0190】
AATGATACGGCGACCACCGA(配列番号34)又はそのバリアントを含むオリゴヌクレオチドを含む生成物又は方法の任意の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC(配列番号41)、又は配列番号34について定義されるバリアントを含みうる。配列番号31を含むか又は配列TCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号31)の5、10、15、又は20塩基以下を含むオリゴヌクレオチドを含む生成物又は方法の任意の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、配列番号38若しくは42を含みうるか、或いは配列GTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT(配列番号42)の5、10、15、20、25、若しくは29塩基以下、又は配列TCGGTGGTCGCCGTATCATTC(配列番号38)の5、10、15、若しくは19塩基以下を含みうる。
【0191】
図16は、目的とする特性、例えば二本鎖DNAの一本鎖内の損傷等が、本発明の方法により同定される実施形態について開示する。目的とする特性は、特異的に切断される能力を有する任意の特性でありうる。例えば、任意の特性は、目的とする特性の部位において二本鎖DNAの一本鎖の切断を引き起こす。目的とする特性は、例えばシクロブタンピリミジンダイマー(CPD)、8-オキソグアニン、非塩基部位、及び任意のこれらの組合せでありうる。複数の実施形態では、目的とする特性を含むDNAの鎖が切断され、そして二本鎖サンプルが変性を受けうるが、その結果3'末端が生じ、これにアダプターがライゲートされうる。
【0192】
従って、本発明の1つの態様では、核酸サンプル内の目的とする特性を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、目的とする特性と関連する核酸を改変する工程を含み、方法が、
a)複数の核酸を含むサンプルを提供し、前記複数の核酸を、目的とする特性において、核酸の少なくとも一方の鎖を切断する能力を有する条件に曝露し、及び前記複数の核酸を一本鎖核酸に変性させる工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、切断部位の鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と、
c)前記複数の核酸を断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さないオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含まない、工程と
を含む方法が提供される。断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有する第2のアダプターのオリゴヌクレオチドは、第2のプライマーの領域と同一の配列を含みうる。
【0193】
DNA DSBを同定する方法と関連付けて開示されるすべての特性は、目的とする特性を同定するための方法にも関連する。特に、核酸サンプル内の目的とする特性を同定するためのサンプル調製方法の工程b)、c)、及びd)は、核酸サンプル内のDNA DSBを同定するためのサンプル調製方法について開示される工程b)、c)、及びd)と同一でありうる。アダプターは、DSBの同定について開示されるものと同一でありえ、また方法は、本明細書で開示される任意の基質にハイブリダイズするのに適するライブラリーを調製するためのものでありうる。二本鎖アダプターと一本鎖核酸とのライゲーションを含む実施形態の場合、本明細書に開示されるようなsplint oligoが含まれうる。
【0194】
いくつかの実施形態では、工程は、c)、d)、a)、次にb)の順番で実施されうる。これは
図16に示す順番である。従って、一実施形態では、核酸サンプル内の目的とする特性を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、目的とする特性と関連する核酸を改変する工程を含み、方法が、以下の順番で、
c)複数の核酸を含むサンプルを断片化する工程と、
d)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含まず、任意選択的に第2のプライマーの領域と同一の配列を含む、工程と
a)前記複数の核酸を、目的とする特性において、核酸の少なくとも一方の鎖を切断する能力を有する条件に曝露し、及び前記複数の核酸を一本鎖核酸に変性させる工程と、
b)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、前記第1のアダプターが、切断部位の鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし第2のアダプターにライゲートされる能力を有さないオリゴヌクレオチドを含み、ハイブリダイゼーションにより、前記基質に固定されたプライマーに結合する能力を有する配列を含む、工程と
を含む方法が提供される。
【0195】
DNA DSBを同定する方法と関連付けて開示されるすべての下流工程及び特性も、目的とする特性を同定するための方法に関連する。特に、方法は、サンプルを一本鎖核酸に変性させる、例えば任意の二本鎖アダプターを変性させる工程を含みうる。方法は、複数の核酸を、固定されたプライマーと相補的核酸とのハイブリダイゼーションに適する条件下で、固定されたプライマーを含む基質と接触させる工程を更に含みうる。それに加えて、方法は、基質にハイブリダイズした任意の核酸に関する配列情報を取得する工程を更に含みうる。
【0196】
別の実施形態では、核酸サンプル内の目的とする特性を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、目的とする特性と関連する核酸を改変する工程を含み、方法が、
α)複数の核酸を含むサンプルを、目的とする特性において、核酸の少なくとも一方の鎖を切断する能力を有する条件に曝露し、及び前記複数の核酸を一本鎖核酸に変性させる工程と、
β)サンプルを、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第1の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と、
γ)前記サンプルの核酸を断片に断片化する工程と、
δ)前記断片を、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第2の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、断片化された前記核酸の第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と
を含む方法が提供される。
【0197】
いくつかの実施形態では、工程の順番は、工程γ)、工程δ)、工程α)、次に工程β)でありうる。従って、別の実施形態では、核酸サンプル内の目的とする特性を同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定されたプライマーを含む基質と結合するのに適するように、目的とする特性と関連する核酸を改変する工程を含み、方法が、以下の順番で、
γ)核酸サンプルを核酸断片に断片化する工程と、
δ)前記断片を、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第2の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、第2のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD2 SP)を含み、第2のより長いオリゴヌクレオチドが、前記第2の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して一部相補的であり、断片化された前記核酸の第2の鎖と結合するための3'結合構造、前記ハイブリダイゼーション部位に対して相補的な配列、及び任意選択的に、ブリッジ増幅を可能にするための結合配列である更なる配列を含み、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と、
α)サンプルを、目的とする特性において、核酸の少なくとも一方の鎖を切断する能力を有する条件に曝露し、及び複数の核酸を一本鎖核酸に変性させる工程と、
β)サンプルを、ライゲーション条件下で、オリゴヌクレオチドの第1の対に曝露する工程であって、その対の第1のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドと前記DSBの第1の鎖とのライゲーションを可能にする5'結合構造、第1のシークエンシングプライマーが結合することができるハイブリダイゼーション部位(RD1 SP)、及び前記DSBをDSBのプールから分離するための結合配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1の対の前記第1のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造を含む、工程と
を含む方法が提供される。
【0198】
方法は、
ε)断片を変性させて一本鎖核酸を提供する工程
を更に含みうる。
【0199】
方法は、
ζ)パートε)の鎖を群A及び群Bの2群に分離する工程であって、群Aが、第1の末端において、パートβ)のオリゴヌクレオチドにより提供される第1のハイブリダイゼーション部位及び結合配列とを、別の末端において、パートδ)のオリゴヌクレオチドにより提供される第2のハイブリダイゼーション部位及び更なる配列とをすでにライゲートしている断片であり、群Bが、第1の末端において、パートβ)のオリゴヌクレオチドにより提供されるハイブリダイゼーション部位及び結合配列とを、別の末端において、パートδ)のオリゴヌクレオチドにより提供される第2のハイブリダイゼーション部位及び更なる配列とをいまだライゲートしていない断片である、工程を更に含みうる。
【0200】
方法は、
η)第1及び/又は第2のハイブリダイゼーション部位と結合するプライマーを使用して、群Aの鎖を配列決定する工程を更に含みうる。
【0201】
本発明の更なる態様では、方法は、特にビーズに基づくシステムと共に使用するのに適するように構成されうる。例えば、Ion Torrentシークエンシング。特別な実施形態を
図14及び
図15に例示する。
【0202】
従って、本発明の1つの態様では、核酸サンプル内のDNA DSBを同定するためのサンプル調製方法であって、調製が、固定された第1のプライマーを含む基質と結合するのに適するように、DSB関連核酸を改変する工程を含み、方法が、
1)複数の核酸を含むサンプルを提供する工程と、
2)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターに曝露する工程であって、第1のアダプターが、DSBの鎖の3'末端にライゲートされる能力を有するオリゴヌクレオチドを含み、第2のプライマーにハイブリダイズする能力を有する配列を含む、工程と、
3)前記複数の核酸を断片化する工程と、
4)前記複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターに曝露する工程であって、前記第2のアダプターが、断片化により誘発された切断において、鎖の5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターにライゲートされる能力を有さないオリゴヌクレオチドを含み、前記固定された第1のプライマーの領域と同一の配列を含む、工程と、
5)前記複数の核酸を、プライマーの伸長に適する条件下で第2のプライマーと接触させる工程と
を含む方法が提供される。
【0203】
複数の核酸を含むサンプルは、本明細書に開示されるように任意でありうる。特に、サンプルは、DSBを含有することが疑われる場合があり、DSBを引き起こす能力を有するか、若しくはそれを引き起こす能力を有することが疑われる薬剤を用いて処理される場合があり、又はDSBに変換可能である目的とする特性を含むか、若しくは含むことが疑われる場合がある。サンプルは、特異的に切断される能力を有する目的とする特性を含みうる。
【0204】
サンプルは、DSBを含む能力を有する任意のDNAサンプル、例えばgDNAでありうる。
【0205】
特別な実施形態では、工程2)は、
複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第1のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第1のアダプターの対が、DSBの鎖の少なくとも3'末端にライゲートされる能力を有し、並びに前記第1のアダプターの対が、少なくとも部分的に相補的である第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが3'末端にライゲート可能であり、第2のプライマーにハイブリダイズする能力を有する配列を含む、工程であり、
工程4)は、
複数の核酸を、ライゲーションを促進する条件下で、第2のアダプターの対に曝露する工程であって、前記第2のアダプターの対が、断片化により誘発された切断において鎖の少なくとも5'末端にライゲートされる能力を有するが、しかし前記第1のアダプターの対の第1のオリゴヌクレオチドにライゲートされる能力を有さず、第2のアダプターが、第1及び第2の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドが、5'末端にライゲート可能であり、固定された第1のプライマーの領域と同一の配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、前記固定された第1のプライマーの領域と同一の前記配列に対して相補的である配列を含まない、工程である。
【0206】
特別な実施形態では、5'末端にライゲート可能な第2のアダプターの対のオリゴヌクレオチドは、AACCCACTACGCCTCCGCTTTCC(配列番号40)で表される配列の5、10、15、20個、若しくは23塩基すべてを含む。他方のオリゴヌクレオチドは、配列GGAAAGCGGAGGCGTAGTGGTT(配列番号36)の5、10、15、20塩基を超える配列を含まないか又は22塩基すべてを含まない配列のオリゴヌクレオチドである。
【0207】
配列番号36及び配列番号40で表されるオリゴヌクレオチドは、1~12個、1~10個、1~8個、1~5個、1~3個、2個、又は1個の改変、例えば置換、欠損、又は挿入等を含みうる。一実施形態では、改変は置換である。
【0208】
第1のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、3'及び/又は5'保護構造を含みうる。これらの保護構造は、本明細書に開示されるいずれか、特に本明細書で開示される方法の工程i)に関連して議論されるオリゴヌクレオチドの第1の対と関連付けて開示されるいずれかでありうる。
【0209】
第2のアダプターの対の第1及び/又は第2のオリゴヌクレオチドは、3'及び/又は5'保護構造を含みうる。これらの保護構造は、本明細書に開示されるいずれか、特に本明細書で開示される方法の工程iii)に関連して議論されるオリゴヌクレオチドの第2の対と関連付けて開示されるいずれかでありうる。
【0210】
特別な実施形態では、第2のアダプターは、第1のアダプターの3'改変の存在に起因して、第1のアダプターにライゲートされる能力を有さない。例えば、C3 3'鎖ターミネーター。
【0211】
5'末端にライゲート可能である第2のアダプターのオリゴヌクレオチドは、相補鎖が生成されるとき、前記相補鎖が、ハイブリダイゼーションによりプライマーが結合することができる領域を含むように、第2のプライマーの領域と同一の配列を含む。第2のプライマーの領域と同一のこの配列は、固定されたプライマーの5、10、15、20、21、24個、又はそれ超の塩基と同一でありうる。
【0212】
方法は、複数の核酸を変性させて複数の一本鎖核酸を形成する工程を更に含みうる。この工程の特性は、本発明のその他の実施形態と関連付けて本明細書に開示されるいずれかでありうる。
【0213】
方法は、複数の核酸を、固定された第1のプライマーと相補的核酸とのハイブリダイゼーションに適する条件下で、前記固定された第1のプライマーを含む基質と接触させる工程を更に含みうる。例えば、ライゲートされたアダプターを有する核酸サンプルは、次に基質、例えば固定されたプライマーを含むビーズ等に結合しうる。プライマーは、固定点に対して5'末端が近位側となり、そして3'末端がより遠位側となるようにビーズに固定されうる。
【0214】
基質、例えばビーズ等が、同一の配列を有する核酸の複数のコピーを提示するように、ルーチン技術が使用されうる。
【0215】
方法は、基質にハイブリダイズした任意の核酸に関する配列情報を取得する工程を更に含みうる。このプロセスを支援するために、アダプターはシークエンシングプライマーが結合するための部位を含みうる。アダプターは、このプロセスを支援するためのインデックス配列を含みうる。
【0216】
本発明の更なる態様によれば、核酸サンプル、例えばgDNAサンプル等内のDNA二本鎖切断(DSB)を同定するのに適する二本鎖アダプターであって、
AACCCACTACGCCTCCGCTTTCC(配列番号40)で表される配列を含む第1のオリゴヌクレオチドと、
配列GGAAAGCGGAGGCGTAGTGGTT(配列番号36)の5、10、15、20塩基を超える配列を含まないか又は22塩基すべてを含まない配列の第2のオリゴヌクレオチドとを含み、
前記オリゴヌクレオチドのいずれか又は両方が3'及び/又は5'保護構造をそれぞれ含む、二本鎖アダプターが提供される。
【0217】
下記の特許請求の範囲及び先行する本発明の説明において、表現言語又は必要な示唆に起因して文脈より別途要求とされる場合を除き、言葉「~を含む(comprises)」又は変化形、例えば「~を含む(comprises)」若しくは「~を含むこと(comprising)」等は包括的な意味で使用され、すなわち、記載された特性の存在を特定するが、しかし本発明の様々な実施形態における更なる特性の存在又は追加を排除しない。
【0218】
本明細書で引用された任意の特許又は特許出願を含むすべての参考資料は、本明細書により参照により組み込まれている。参考資料のいずれかが先行技術を構成するという承認はなされていない。更に、先行技術のいずれかが当技術分野における共通の一般的知識の一部を構成するという承認はなされていない。
【0219】
本発明の各態様の好ましい特性は、その他の態様のいずれかと関連付けて記載される通りでありうる。
【0220】
工程i)、ii)、iii)等を特徴とする発明の記載と関連付けて開示される特性は、いずれも工程a)、b)、c)等を特徴とする発明の記載と関連付けて開示される特性と併合可能である。工程a)、b)、c)等を特徴とする発明の記載と関連付けて開示される特性は、いずれも工程i)、ii)、iii)等を特徴とする発明の記載と関連付けて開示される特性と併合可能である。
【0221】
本発明のその他の特性は下記の実施例から明らかとなる。一般論として、本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲及び図面を含む)で開示される特性において、そのあらゆる新規のもの又はあらゆる新規の組合せに及ぶ。従って、本発明の特別な態様、実施形態、又は実施例に関連して記載されている特性、整数、特徴、化合物、又は化学部分は、本明細書に記載される任意のその他の態様、実施形態、又は実施例に、それらと矛盾しない限り適用されるものと理解される。
【0222】
それに加えて、別途記載されない限り、本明細書で開示される任意の特性は、同一又は類似目的にかなう代替特性に置き換わりうる。
【0223】
下記の図を具体的に参照しながら、本発明を例示目的に限定してここに記載する。
【実施例】
【0224】
方法
細胞培養及び処置
HEK293、HEK293T、及びU2OS DIvA細胞を、10% FBS(Life technologies社)が補充されたDMEM(Life technologies社)内、37℃、5% CO2において培養した。HEK293細胞を、パルスコードCM-130を備えたLonza 4D-Nucleofector Xユニットを使用しながら、細胞3.5×105個当たり224pmolのリボヌクレオタンパク質(RNP)を用いてヌクレオフェクトした。ヌクレオフェクション後の0、7、12、24、及び30時間において、INDUCE-seq処理用として細胞を採取した。AsiSI依存性DSB誘発を刺激するために、DIvA細胞を、300nM 4OHT(Sigma社、H7904)を用いて4時間処置した。
【0225】
Cas9タンパク質及びsgRNA
EMX1(GAGTCCGAGCAGAAGAAGAA; 配列番号29)を標的とするガイドRNAを、完全長非改変型sgRNAオリゴヌクレオチドとして合成した(Synthego社)。Cas9タンパク質を社内生成したが(AstraZeneca社)、それにはN末端 6xHNタグが含まれた。
【0226】
INDUCE-seq法
細胞を、ポリ-D-リジン(Greiner bio-one社、655940)で事前コーティングされた96ウェルプレートに、約1×105個/ウェルの密度で播種し、そして4%パラホルムアルデヒド(PFA)(Pierce社、28908)中、室温(rt)で10分間架橋した。細胞を1×PBS内で洗浄してホルムアルデヒドを取り除き、そして4℃で最長30日間保管した。NDUCE-seq法を、細胞を透過処理することにより開始した。インキュベーション工程間において、細胞を1×PBS内、rtで洗浄した。細胞を、溶解バッファー1(10mMトリス-HCL(pH8)、10mM NaCl、1mM EDTA、0.2%トリトンX-100、pH8、4℃)内、rtで1時間インキュベートすることにより透過処理し、溶解バッファー2(10mMトリス-HCL、150mM NaCl、1mM EDTA、0.3% SDS、pH8、25℃)内、37℃での1時間インキュベーションがそれに後続した。透過処理した細胞を、1×CutSmart(登録商標)バッファー(NEB社、B7204S)内で3回洗浄し、そしてNEB Quick Blunting Kit(E1201L)+100μg/mL BSAを使用して、50μLの最終容積内、rtで1時間、平滑末端修復した。次に、細胞を1×CutSmart(登録商標)バッファー内で3回洗浄し、そしてNEBNext(登録商標)dA- Tailing Module(NEB社、E6053L)を50μLの最終容積で使用しながら、37℃で30分間、A尾部付加処理を行って、一本鎖dATPを二本鎖DNAの3'末端に付加した。A尾部付加処理を施した細胞を、1×CutSmart(登録商標)バッファー内で3回洗浄し、次に1×T4 DNA Ligase Buffer(NEB社、B0202S)内、rtで5分間インキュベートした。A尾部付加処理を施した末端を、T4 DNAリガーゼ(NEB社、M0202M)+0.4μMのP5アダプターを50μLの最終容積で使用するライゲーションにより、16℃で16~20時間標識した。ライゲーション後に、過剰のP5アダプターを、細胞を洗浄バッファー(10mM トリス-HCL、2M NaCl、2mM EDTA、0.5%トリトンX-100、pH8、25℃)内、rtで10回洗浄する(各洗浄工程、2分間インキュベート)ことにより除去した。細胞を、PBS内で1回、次にヌクレアーゼフリーのH2O(IDT、11-05-01-04)内で1回洗浄した。最終容積100μLのDNA抽出バッファー(10mMトリス-HCL、100mM NaCl、50mM EDTA、1.0% SDS、pH8、25℃)+1mg/mLプロテイナーゼK(Invitrogen社、AM2584)内、rtで細胞を5分間インキュベートすることにより、ゲノムDNAを抽出した。細胞溶解物を、1.5mL Eppendorf RNA/DNA LoBindチューブ(Fisher Scientific社、13-698-792)に移し、そして800rpmで振盪させながら65℃で1時間インキュベートした。Genomic DNA Clean & Concentrator(商標)-10(Zymo Research社、D4010)を使用してDNAを精製し、そして100μLのElution Bufferを使用して溶出させた。ライブラリー調製に進む前に、1μLのサンプル及びQubit DNA HS Kit(Invitrogen社、Q32854)を使用してDNA収率を評価した。Bioruptor Sonicatorを使用してゲノムDNAを300~500bpに断片化し、そしてSPRIビーズ(GC Biotech社、CNGS-0005)を使用してサイズ選択を行い、150bp未満の断片を除去した。NEBNext(登録商標)ULTRA(商標)II DNA Module(NEB社、E7546L)を使用して、断片化及びサイズ選択後のDNAを末端修復した。7.5μMの改変された半機能的P7アダプターを使用しつつ、USER酵素添加を省略しながら、断片化及び末端修復されたDNAを、製造業者の指示に従い、NEBNext(登録商標)ULTRA(商標)II Ligation Module(NEB社、E7595L)を使用してライゲーション反応に直接添加した。ライゲーション後のシークエンシングライブラリーを、SPRIビーズを使用して精製した。SPRIビーズを使用してライブラリーを更に2回精製し、そして200bp未満の断片をサイズ選択・除去して残留アダプターDNAを除去した。最終的なクリーンライブラリーを、KAPA Library Quantification Kit for Illumina(登録商標)Platform(Roche社、07960255001)を使用するqPCRにより定量した。サンプルをプールし、そしてシークエンシング用に、SpeedVacを使用して所望の体積まで濃縮した。シークエンシングを、1x75bp High Capacityフローセルを使用するIllumina NextSeq 550上で実施した。
【0227】
INDUCE-seqアダプター
すべての改変されたINDUCE-seqアダプターオリゴヌクレオチドを、IDT社から購入した。一本鎖のオリゴヌクレオチドを、サーモサイクラーを使用しながら、95℃において5分間加熱し、そして25℃までゆっくりと冷却することにより、Nuclease-free Duplex Buffer(IDT社、11-01-03-01)内、10μMの最終濃度においてアニーリングした。アダプターオリゴヌクレオチドの構造の概要を
図2に提示する。
【0228】
HindIIIによるin situ DSB誘発
パイロットINDUCE-seq実験を、制限酵素HindIII-HF(登録商標)(NEB社、R3104S)を使用しながら、DSBをHEK293T細胞内でin situ誘発することにより実施した。このプロセスは、完全INDUCE-seq法について記載されているものと同一であったが、但し末端を平滑末端化する前にDSB誘発を追加した。細胞を透過処理した後に、50U HindIII-HF(登録商標)を使用しながら、1×CutSmart(登録商標)Buffer内、50μLの最終容積においてDSBを誘発した。消化を37℃で18時間実施した。
【0229】
INDUCE-seqデータ分析パイプライン
多重化解除されたFASTQファイルを取得し、そしてデフォルト設定を使用しながら、Trim Galore!(Krueger、2015)を通過させて読み取りの3'末端に位置するアダプター配列を除去した。FastQC(Andrews、2010)を使用して、配列決定データの質を評価した。BWA-mem(Li及びDurbin、2009)を使用して、ヒト参照ゲノム(GRCh37/hg19)に対して読み取りをアライメントした後、低アライメントスコア(MAPQ<30)によりマッピングされたアライメントを、SAMtools(Liら、2009)を使用して除去し、そしてソフトクリップされた読み取りについて、特別製のAWKスクリプトを使用してフィルター処理を行い、正確なDSBアサインメントを保証した。得られたBAMファイルを、bedtools bam2bed機能(Quinlan及びHall、2010)を使用してBEDファイルに変換し、その後読み取り座標のリストを、マッピング可能性不良、染色体末端、及び不完全な参照ゲノムコンティグの領域を使用してフィルター処理を行い、これらの特性をデータから取り除いた。DSB位置を、鎖の向きに対して読み取りの上流に位置する最初の5'ヌクレオチドとして指定し、そして「切断末端」BEDファイルとしてアウトプットした。本来の頻発性DSB事象を保持しつつ、光学的重複の排除に注意を払った。各読み取りIDを維持することにより、フローセルのX及びY位置情報を、特別製のAWKスクリプトを使用して光学的重複をフィルター除去するのに使用した。最終アウトプットは、定量化された単一ヌクレオチド切断位置のリストを含有するBEDファイルであった。
【0230】
HEK293T細胞におけるHindIII誘発型DSB分析
HindIII標的配列AAGCTTから最大2bpのミスマッチを許容しながら、ツールSeqKit locate(Shenら、2016)を使用して、hg19内HindIII標的部位の位置をin silicoで最初に予測した。これらの予測された部位と重複する切断の数を、bedtools intersectを使用して計算した。DSBCapture EcoRV実験(Lensingら、2016)と比較するために、1部位当たり5箇所以上の切断とするカバレッジ閾値と同一の閾値を、各HindIII誘発型切断部位を定義するのに使用した。
【0231】
DIvA細胞におけるAsiSI誘発型DSBの検出及び分析
AsiSI標的部位の位置を、HindIIIの場合と同様に計算したが、但しミスマッチを許容せず、また配列GCGATCGCを使用した。DIvA細胞はメスであるので、Y染色体上に存在する部位を、chr1-Xについて1211部位を残して除去した。真のAsiSI誘発型切断を厳密に計算するために、8bp AsiSI部位を、予測された切断位置において、1bpゲノム間隔まで低下させた。これは、プラス鎖上の6位及びマイナス鎖上の3位において、各8bpゲノム間隔を2つの1bp間隔まで低下させた。ダイレクトオーバーラップを、次にbedtools intersectを使用して、1bp切断末端位置と予測されたAsiSI切断部位の間で計算した。各オーバーラップについて真のAsiSI誘発型切断部位とみなされるためには、鎖の方向の一致を要件とした。
【0232】
CRISPRオフターゲット分析パイプライン
Cas-OFFinder(Baeら、2014)のコマンドラインバージョンを使用して、第1のセットについてスペーサー及びカノニカルPAMを合わせて最大6個のミスマッチ、並びに第2のセットについて最大7個のミスマッチを許容しながら、hg19内のEMX1について2セットの潜在的オフターゲット部位を最初に予測した。次に、予測された配列の両セットを、PAMに対して近位側12ヌクレオチドとして定義されるシード領域内のミスマッチ数に基づきフィルター処理した。各セットを、シード内で最大2、3、4、及び5個のミスマッチについてフィルター処理し、異なるミスマッチフィルタリングパラメーターを有する8ファイルからなるセットを生成した。CRISPR誘発型DSBを定義するために、各23bp予測部位を、PAMから3bp上流の予想されたCRISPR切断位置に隣接する2bp間隔まで最初に低下させた。オーバーラップを、次にbedtools intersectを使用して、これらの2bp予想切断領域とINDUCE-seq 1bp切断末端位置の間で計算し(Quinlan及びHall、2010)、予想されたCRISPR切断部位において同定されたDSBのセットを復帰させた。最終的に、CRISPR部位とオーバーラップするDSBを、部位ミスマッチ数及び該部位において検出された切断の数に基づきフィルター処理した。真のオフターゲット部位として保持される1より多くのDSBオーバーラップを有するためには、n超のミスマッチを有する部位を要件とした。切断オーバーラップの各セットを、ミスマッチ数>2、>3、>4、及び>5を使用してフィルター処理し、その結果、各INDUCE-seqサンプルについて合計32のフィルター条件及びオフターゲットデータセットを得た。
【0233】
CRISPRオフターゲット検出法間でのオーバーラップの計算
EMX1オフターゲット部位を、代替的法であるCIRCLE-seq、Digenome-seq、GUIDE-seq、BLISS、及びHTGTSと比較した。ゲノム間隔ファイルを、個々のオフターゲット検出法毎に生成した。各方法により検出されたEMX1オフターゲットのオーバーラップを、bedtools intersectを使用して計算した(Quinlan及びHall、2010)。
【0234】
突然変異結果のAmplicon-seqバリデーション
アンプリコンシークエンシングDNAライブラリーを、EMX1についてINDUCE-seqにより同定されたオフターゲットに隣接するrhAmpSeq RNase-H依存性プライマー(IDT)の特別製のパネルを使用して調製した。マルチプレックスPCRを、rhAmpSeq HotStart Master Mix 1(特別製のプライマー混合物)、及び10ngのゲノムDNAを使用して、製造業者の指示に従い実施した。PCR産物を、SPRIビーズを使用して精製し、そしてイルミナシークエンシングP5及びP7インデックス配列を、rhAmpSeq HotStart Master Mix 2を使用しながら、第2のマルチプレックスPCRを通じて組み込んだ。得られたシークエンシングライブラリーをプールし、そして2x 150bpケミストリーを備えたIllumina NextSeq 550 Mid Outputフローセルを使用して配列決定した。オン及びオフターゲットにおける編集結果を、下記のパラメーター: CRISPRessoPooled -q30 -ignore_substitutions -max_paired_end_reads_overlap151と共にCRISPRessoソフトウェア(Pinelloら、2016)v2.0.32を使用して決定した。インデル頻度を、CRISPRessoCompareを使用して比較した。
【0235】
結果
INDUCE-seqによる切断測定を、2ステージ、PCRフリーライブラリー調製により実現する(
図1及び
図5)。ステージ1は、完全長の化学的に改変されたP5アダプターとDSB末端とのライゲーションにより、in situ末端調製済みDSBを標識する工程から構成される。ステージ2では、抽出、断片化、及び末端調製されたgDNAを、第2の化学的に改変された半機能的P7アダプターを使用してライゲートする。P5及び半機能的P7アダプターの両方を含む、得られたDSB標識済みDNA断片は、Illuminaフローセと相互作用することができ、そしてその後、シングルリードシークエンシングを使用して配列決定する。P5アダプターを有さないDNA断片は、フローセルにハイブリダイズするのに必要な配列を欠いているので、非機能的なまま留まる。この方法論は、機能的に標識されたDSB配列の富化及びすべてのその他のゲノムDNA断片の除去(そうしなければシステムノイズに寄与する)を可能にする。切断増幅を回避することで、単一のシークエンシング読み取りが、単一の標識されたDSB末端に相当するシークエンシングアウトプットが生成する(
図5aと
図5bを比較、
図8aを参照)。この新規性は、シークエンシングによるDSBの直接測定、従って定量を可能にし、ゲノム内DSBの正確な測定における主要な進歩を代表する。
【0236】
in situ切断標識した後、現在利用可能なDSB検出法であるBLISS、DSBCapture、及びEND-seqは、いずれもDSB標識DNA断片を残存するゲノムDNAから分離するための富化プロトコールを採用する。これには、PCRに基づくライブラリー調製及びシークエンシングが後続する(
図5b)。この増幅法に基づくアプローチからは、単一の読み取りが単一の切断に相当せず、DSB定量を試みるのにPCRエラー補正プロトコール、例えば固有の分子識別子(UMI)等が必要とされるシークエンシングアウトプットがもたらされる(
図5b及び
図6b)(Yanら、2017)。重要なこととして、新規INDUCE-seqのライブラリー調製及びアダプターの併用は、任意の公表済みin situ DSB標識プロトコールと適合性がある。
【0237】
INDUCE-seq方法論の特性を実証するために、高忠実度HindIII制限エンドヌクレアーゼを使用して、固定され、透過処理が施された細胞内で、定義されたDSBを誘発した後に、どのようにINDUCE-seqがゲノム全域にわたりDSBを測定するかまず調査した。このアプローチは、BLISS、END-seq、及び/DSBCaptureの各方法のベンチマーク化にこれまで使用されてきた。
図3aに示すように、INDUCE-seqは、任意の形態のエラー補正を必要とせずに、同一サンプル内から数億ものきわめて頻発性のHindIII誘発型DSBを、何十万といったより低レベルの内因性DSBに付加して同時に検出する。これは、ゲノム内の内因性DSBの正確な定量及び特徴付けを初めて可能にする。
図7は、HEK293細胞においてINDUCE-seqを使用する内因性DSB検出の例を示す。全体として、これらの観察から、INDUCE-seqを用いれば、きわめて広いダイナミックレンジ及び高感度を実現可能であることは明らかである。
図3bは、INDUCE-seqは予想されるHindIII切断パターンを検出することを示しており、そこでは、フォアワード鎖及びリバース鎖の両鎖上において、フォアワード及びリバースシークエンシング読み取りの2つの半重複性対称ブロックが既知のHindIII切断部位に対してマッピングされる。これは、INDUCE-seqは、単一ヌクレオチド分解能でDSB末端構造を正確に測定するのに使用可能であることを確認する。HindIIIにより細胞を処置した後に、未処置細胞1個当たり10未満の内因性切断から処置後の細胞1個当たり3000個を超える誘発型切断まで、細胞1個当たりの切断が劇的に増加することを測定した。これは、INDUCE-seqは、細胞1個当たりの切断(breaks-per-cell)を3桁にわたり定量的に測定する能力を有することを実証する(
図3c)。EcoRV誘発型切断を検出するために方法DSBCaptureを使用する等価な実験と比較することで、全体及びアライメント後のINDUCE-seq読み取りの両方について、そのより多くの割合が制限部位に対してマッピングされたことが判明した。アライメント後の読み取りの96.7%が制限部位に対して有意にマッピングされ、切断検出の忠実性においてDSBCaptureよりも25%改善することが示された(
図3d)。重要なこととして、INDUCE-seqが使用した細胞はDSBCapture実験の1/800であったが、EcoRVについてDSBCaptureにより同定された割合(93.7%)と類似した割合(92.7%)のHindIII制限部位を同定した(
図3e)。配列AAGCTTを含むオンターゲットHindIII部位に付加して、ミスマッチ塩基が1個か2個異なる様々なHindIIIオフターゲット配列において、実質的な数のDSBが同定された(
図3f)。INDUCE-seqにより測定されたHindIII誘発型DSBの合計数は、オンターゲット部位における約150,000,000個から、最低ランキングのオフターゲット部位ではわずか5個のDSBまでその範囲は及んだ。従って、INDUCE-seqは8桁にわたり切断を定量的に検出し、切断検出のダイナミックレンジが他法よりもはるかに増強されていることが実証される。DiVA生存細胞内のAsiSI部位において誘発されたDSBを測定する類似実験を実施したときにも、感度の増強がやはり観察された。対応するDSBcapture実験の1/40、及びBLISSの1/23というより少ない読み取りについて配列決定したにもかかわらず、INDUCE-seqは230箇所のAsiSI部位において切断の存在を検出した。これは、BLISSにより検出された214部位、及びDSBCaptureにより検出された121部位よりも増加したことを表す。これは、現行の切断検出法のいずれよりも、INDUCE-seqは有意に高感度、有効であること、従って費用効果が大きいことを実証する(
図3g)。
【0238】
INDUCE-seqによる切断検出の特徴を立証しながら、次にそれを、ゲノム内CRISPR/Cas9誘発型オン及びオフターゲットDSBの検出に適用した。この分析は、CRISPRに基づく療法を開発するための安全性プロファイリングにおいて核心的重要性を有する。広範に特徴付けられたEMX1 sgRNAを用いてHEK293細胞のRNPヌクレオフェクションを行った後、ヌクレオフェクション後の0、7、12、24、及び30時間において、特別製のデータ分析パイプラインの定義に従いオフターゲットを決定した(
図4a、
図8、及び
図9)。
図3aは、EMX1について、オンターゲットにおいて検出された切断数、及び60箇所のオフターゲットのそれぞれも示し、ミスマッチは標的部位と比較して2bp~6bp異なる。
【0239】
この実験は、EMX1ガイドによる切断誘発の動態プロファイルを明らかにし、CRISPR/Cas9編集プロセスの機構に対する見識を提供する。
図4bに示すように、オン及びオフターゲット活性の大部分が、ヌクレオフェクションの直後及びタイムコースの初期段階においてに観察された。これらの結果は、このsgRNAによる編集の迅速性を実証する。既存技術と比較したとき、INDUCE-seqは、代替的な細胞に基づく方法であるGUIDE-seq、BLISS、及びHTGTSより有意に性能がすぐれていること、並びにin vitroオフターゲットディスカバリー方法論であるCIRCLE-seq及びDigenome-seqを使用してしかこれまでに同定されなかったいくつかの部位を捕捉することが判明した。重要なこととして、INDUCE-seqは、任意のその他の方法によりこれまでに検出されなかった新規オフターゲット切断部位も検出する(
図4c及び
図10)。
【0240】
最終的に、同一サンプル由来のDNAを使用しながら、INDUCE-seqにより同定されたこれらのオン及びオフターゲット切断部位における編集結果を、アンプリコンシークエンシングを使用して測定した。アンプリコンシークエンシングのみが、バックグラウンド偽発見率0.1%を上回るインデルを検出することができる。従って、オンターゲットにおいて、及びタイムコース全体を通じて同定されたオフターゲット部位60箇所のうち4箇所においてのみ、編集のエビデンスを検出した(
図4d)。この観察は、EMX1 RNPを用いてHEK293細胞をヌクレオフェクションした後の48時間の時点において、0.1%を上回るインデル頻度で5個のオフターゲットを同定した過去の同一試験と整合する(
図4d、右端のカラム、48時間)。このデータは、INDUCE-seqは、アンプリコンシークエンシングを使用するインデルの検出において可能である感度よりもはるかに高い感度を有してCRISPR誘発型オフターゲットDSBを検出及び定量化することができることを実証する。この観察から、ゲノム編集の安全性を評価するために、編集結果を検出するためのより高感度な方法に対する必要性が明白となる。興味深いことに、オンターゲット部位及び上位2つのオフターゲット部位の両方において切断パターン及び後続するインデルプロファイルを綿密に調査することで、編集結果を反映し、またそれと相関関係を有するsgRNA特異的切断パターンが明らかとなる(
図11)。これにより、CRISPR誘発型切断部位において観測されたDSBパターンを使用して、オン及びオフターゲット部位の両方における最終的な編集結果を予測する可能性が高まる。
【0241】
考察
本発明者らは、ゲノム内DSBの次世代シークエンシングのためのDNAライブラリーを調製する、新規PCRフリー方法論を開発した。これは、細胞内切断末端の直接測定を初めて可能にする。本発明者らのアプローチは、PCR増幅(標準的なNGSライブラリー調製において一般的に採用される)と関連するDSBに関する不良なシグナル対ノイズ比の問題を克服する。新規INDUCE-seqアダプターデザインは、その増幅の必要性を回避しながら、標識されたDSB配列を富化させるために、シークエンシングフローセルが使用されるのを実質的に可能にする。シグナル対ノイズ比の改善は、むしろ、細胞内に見出される真の生理学的DSBと関連しない、サンプル調製期間中に生成されるノイズ性の切断末端をフィルター処理することにより達成される。本発明者らは、ある範囲の異なる用途において、ゲノムDSBを測定するためのINDUCE-seqの特徴を実証する。低レベルの内因性切断及び高レベルの制限酵素誘発型切断を、同時に高感度且つ定量的に検出するその能力を明らかにする。これは、複雑且つコストの嵩むエラー補正法(自ずと制約や欠点を有する)を必要としなければこれまで可能ではなかった。本発明者らの結果を、現在利用可能な切断検出法と比較して、INDUCE-seqが、その正確性及び感度に関してのみならず、その単純性、スケーラビリティ、利便性、及び費用対効果に関してもいかに改善するかについて実証する。これらは、CRISPRゲノム編集用の合成ガイドについて、その安全性プロファイリングを評価するのに使用可能であるアッセイの全必須特性である。EMX1 sgRNAによりオン及びオフターゲット編集の両方を検出するため現行DSB検出法のいくつかと比較して、INDUCE-seqがどのような性能を有するか実証する。5つのその他の方法により累積的に測定されたオフターゲット部位の多くを検出することに付加して、INDUCE-seqは、現行法が検出することができない、有意な数の新規オフターゲット部位も同定することを明らかにする。治療モダリティーとしてゲノム編集を将来開発するための安全性プロファイリング及び合成ガイドRNAデザインにとって、INDUCE-seqは非常に重要な方法となりうることが示唆される。そのような特性には、ゲノム全域にわたる突然変異、一本鎖切断及びギャップ、並びに切断に変換されうるその他の種類のDNA傷害が含まれる。INDUCE-seq及びその派生的なアッセイ法の開発は、一定範囲内の異なる生物医学用途において重要な示唆を有しうる。
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【配列表】
【国際調査報告】