(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】垂直ロッドバッフル熱交換器のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F28F 9/013 20060101AFI20230906BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20230906BHJP
F28F 13/12 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
F28F9/013 F
F28D7/16 D
F28F13/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512425
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2021073308
(87)【国際公開番号】W WO2022038300
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509162540
【氏名又は名称】ルムス・ノボレン・テクノロジー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】LUMMUS NOVOLEN TECHNOLOGY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ルール, オリヴァー マルコ
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァープ, ヨッヘン アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ブリニョーネ, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フィードラー, フランク
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA29
3L103AA31
3L103AA37
3L103BB01
3L103CC01
3L103CC21
3L103CC35
3L103DD06
3L103DD44
3L103DD45
(57)【要約】
垂直ロッドバッフル熱交換器は、熱除去、凝縮操作、発電、石油化学プラント、廃熱回収などの産業用途に使用できる。上記垂直ロッドバッフル熱交換器は、シェルと、チューブシートと、軸方向に延在する複数の熱交換チューブを有するチューブバンドルと、6枚以上の縦仕切り板と、上記複数の熱交換チューブの軸方向の長さに沿って設けられた複数のロッドバッフルリングとを含んでもよい。少なくとも1枚の縦仕切り板は切り欠き縦仕切り板であってもよい。上記複数のロッドバッフルリングは、横ロッドバッフルおよび縦ロッドバッフルを有してもよい。上記横ロッドバッフルおよび上記縦ロッドバッフルは、上記複数の熱交換チューブの隣接する2つのチューブごとの間の隙間を通過してもよい。上記横ロッドバッフルは、上記切り欠き縦仕切り板の開口部を通過してもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルと、
チューブシートと、
軸方向に延在する複数の熱交換チューブを有するチューブバンドルであって、上記複数の熱交換チューブにUベンドを含むU字チューブバンドルであるチューブバンドルと、
6枚以上の縦仕切り板であって、少なくとも1枚の縦仕切り板が切り欠き縦仕切り板である6枚以上の縦仕切り板と、
上記複数の熱交換チューブの軸方向の長さに沿って設けられた複数のロッドバッフルリングであって、横ロッドバッフルおよび縦ロッドバッフルを有する複数のロッドバッフルリングと
を含む垂直ロッドバッフル熱交換器であって、
上記横ロッドバッフルおよび上記縦ロッドバッフルが、上記複数の熱交換チューブの隣接する2つのチューブごとの間の隙間を通過し、上記横ロッドバッフルが、上記切り欠き縦仕切り板の開口部を通過し、
上記切り欠き縦仕切り板が、下部液封を提供するような上記U字チューブバンドルの下端部までの縦方向の長さで延在し、
上記切り欠き縦仕切り板が、上記U字チューブバンドル内に上記切り欠き縦仕切り板の切り欠き端部を有するような半径方向の長さで延在する、切り欠き縦仕切り板垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項2】
上記チューブバンドルを固定し、上記複数のロッドバッフルリング用のスライドウェイとなるように適合された上記シェルの円周上に配置された複数の支持バーをさらに含む、請求項1に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項3】
上記複数の支持バーは、互いに間隔をあけて、上記複数のロッドバッフルリングの円周の周りを90度ずつ回転させて配置されている、請求項2に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項4】
上記シェル上の上記チューブシートに近い、蒸気入口と同様のレベルに設けられた非凝縮性ガス出口をさらに含む、請求項1に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項5】
上記シェル側のエルボ部の近くに設けられた液封円筒部をさらに含む、請求項4に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項6】
上記入口から流入する蒸気を分配するように上記シェルに設けられたインピンジメントプレートをさらに含む、請求項4に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項7】
上記複数のロッドバッフルリングは、
第1のロッドバッフルリングの内面から延在する複数の横ロッドバッフルを有する第1のロッドバッフルリングと、
第2のロッドバッフルリングの内面から延在する複数の縦ロッドバッフルを有する第2のロッドバッフルリングと、
第3のロッドバッフルリングの内面から延在する複数の横ロッドバッフルを有する第3のロッドバッフルリングと、
第4のロッドバッフルリングの内面から延在する複数の縦ロッドバッフルを有する第4のロッドバッフルリングと
いう4つのロッドバッフルリングのセットを含む、請求項1に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項8】
さらに4つのロッドバッフルリングのセットを少なくとも4セット含む、請求項7に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項9】
上記第1のロッドバッフルリング、上記第3のロッドバッフルリング、および上記第4のロッドバッフルリングのうちの2つを含む4つのロッドバッフルリングの第5のセットをさらに含む、請求項8に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項10】
上記複数のロッドバッフルリングの各々は、上記U字チューブバンドルの長さにわたって隣接するロッドバッフルから距離を置いて等間隔に配置されている、請求項1に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項11】
上記6枚以上の縦仕切り板の各々は切り欠き縦仕切り板である、請求項1に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項12】
上記縦仕切り板の各々の幅は3~9ミリメートルである、請求項1に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項13】
上記縦仕切り板間の距離および上記切り欠き縦仕切り板の長さは変化させている、請求項1に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項14】
第1の縦仕切り板と第2の縦仕切り板との間の距離は、上記第2の縦仕切り板と第3の縦仕切り板との間の距離より大きく、
上記第2の縦仕切り板と上記第3の縦仕切り板との間の距離は、上記第3の縦仕切り板と第4の縦仕切り板との間の距離より大きく、
上記第3の縦仕切り板と上記第4の縦仕切り板との間の距離は、上記第4の縦仕切り板と第5の縦仕切り板との間の距離より大きく、
上記第4の縦仕切り板と上記第5の縦仕切り板との間の距離は、上記第5の縦仕切り板と第6の縦仕切り板との間の距離より大きい、請求項13に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【請求項15】
各切り欠き縦仕切り板の切り欠き端部は、上記シェルから垂直方向に距離を置いており、上記切り欠き縦仕切り板の上記垂直距離は、上記第1の縦仕切り板から上記第6の縦仕切り板まで漸減する、請求項14に記載の垂直ロッドバッフル熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、概して熱交換器システムに関する。より詳細には、本明細書に開示される実施形態は、反応熱除去のための垂直ロッドバッフル熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
ロッドバッフル熱交換器は、プレートバッフル熱交換器における流動励起振動を除去するため、1970年にPhilips Petroleum Companyにより生み出された。ロッドバッフル熱交換器は、チューブを支持し、振動に対して固定するためにロッドバッフルを利用するシェル&チューブタイプ熱交換器である。さらに、ロッドバッフルを用いて、シェル側の流れ分布を修正して、シェル側の流れをより乱流にできる。「バッフル」とは、複数の支持ロッドの端部が接続された環状リング(ゆえに「ロッドバッフル」)を指す。ロッドバッフル熱交換器の例は、例えば米国特許第5,642,778号および中国特許第104197751号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に見つけられる。
【0003】
図1に示すように、シェル&チューブ熱交換器10などの従来のロッドバッフル熱交換器は、シェル14に囲まれたロッドバッフルチューブバンドル12を含むことができる。チューブバンドル12内のチューブ28は、複数のロッドバッフルアセンブリ16、18、20、および22で支持されている。ある流体が、入口26からシェル&チューブ熱交換器10のシェル側に入り、チューブ28内の流体と熱交換した後、出口30を介してシェル側から出る。熱交換器のチューブ側を流れる流体は、入口32から熱交換器のエンドキャップ38に入り、出口34を介して熱交換器のエンドキャップ44から出る。したがって、流体は、熱交換器10のエンドキャップ38とチューブシート40とにより画定されるエンドチャンバ36から、チューブ28を通り、同様にエンドキャップ44と他のチューブシート46とにより画定される反対側のエンドチャンバ42へと流れる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される一連の概念を紹介するために提供される。本概要は、請求される主題の重要なまたは必須の特徴を特定することを意図しておらず、請求される主題の範囲を限定する際の補助として使用することも意図していない。
【0005】
一態様において、本明細書に開示される実施形態は、熱除去、凝縮操作、発電、石油化学プラント、廃熱回収などの産業用途に使用できる垂直ロッドバッフル熱交換器に関する。垂直ロッドバッフル熱交換器は、シェルと、チューブシートと、軸方向に延在する複数の熱交換チューブを有するチューブバンドルであって、複数の熱交換チューブにUベンドを有してもよいU字チューブバンドルであるチューブバンドルと、6枚以上の縦仕切り板であって、少なくとも1枚の縦仕切り板が切り欠き縦仕切り板である6枚以上の縦仕切り板と、複数の熱交換チューブの軸方向の長さに沿って設けられた複数のロッドバッフルリングであって、横ロッドバッフルおよび縦ロッドバッフルを有してもよい複数のロッドバッフルリングとを含んでもよい。横ロッドバッフルおよび縦ロッドバッフルは、複数の熱交換チューブの隣接する2つのチューブごとの間の隙間を通過してもよく、横ロッドバッフルは、切り欠き縦仕切り板の開口部を通過してもよい。切り欠き縦仕切り板は、下部液封を提供するような少なくともU字チューブバンドルの下端部までの縦方向の長さで延在してもよい。切り欠き縦仕切り板は、U字チューブバンドル内に切り欠き縦仕切り板の切り欠き端部を有するような半径方向の長さで延在してもよい。
【0006】
1つ以上の態様において、垂直ロッドバッフル熱交換器は、チューブバンドルを固定し、複数のロッドバッフルリング用のスライドウェイとなるように適合されたシェルの円周上に配置された複数の支持バーをさらに含んでもよい。複数の支持バーは、互いに間隔をあけて、複数のロッドバッフルリングの円周の周りを90度ずつ回転させて配置されてもよい。非凝縮性ガス出口が、シェル上のチューブシートに近い、蒸気入口と同様のレベルに設けられてもよい。液封円筒部が、シェル側のエルボ部の近くに設けられてもよい。インピンジメントプレートが、入口から流入する蒸気を分配するようにシェルに設けられてもよい。
【0007】
いくつかの態様において、複数のロッドバッフルリングは、第1のロッドバッフルリングの内面から延在する複数の横ロッドバッフルを有する第1のロッドバッフルリングと、第2のロッドバッフルリングの内面から延在する複数の縦ロッドバッフルを有する第2のロッドバッフルリングと、第3のロッドバッフルリングの内面から延在する複数の横ロッドバッフルを有する第3のロッドバッフルリングと、第4のロッドバッフルリングの内面から延在する複数の縦ロッドバッフルを有する第4のロッドバッフルリングという4つのロッドバッフルリングのセットを有してもよい。垂直ロッドバッフル熱交換器は、4つのロッドバッフルリングのセットを少なくとも4セット含んでもよい。さらに、4つのロッドバッフルリングの第5のセットが、第1のロッドバッフルリング、第3のロッドバッフルリング、および第4のロッドバッフルリングのうちの2つを含んでもよい。複数のロッドバッフルリングの各々は、U字チューブバンドルの長さにわたって隣接するロッドバッフルから距離を置いて等間隔に配置されてもよい。6枚以上の縦仕切り板の各々は切り欠き縦仕切り板であってもよい。縦仕切り板の各々の幅は3~9ミリメートルであってもよい。
【0008】
さらに別の態様では、縦仕切り板間の距離および切り欠き縦仕切り板の長さは変化させてもよい。第1の縦仕切り板と第2の縦仕切り板との間の距離は、第2の縦仕切り板と第3の縦仕切り板との間の距離より大きくてもよい。第2の縦仕切り板と第3の縦仕切り板との間の距離は、第3の縦仕切り板と第4の縦仕切り板との間の距離より大きくてもよい。第3の縦仕切り板と第4の縦仕切り板との間の距離は、第4の縦仕切り板と第5の縦仕切り板との間の距離より大きくてもよい。第4の縦仕切り板と第5の縦仕切り板との間の距離は、第5の縦仕切り板と第6の縦仕切り板との間の距離より大きくてもよい。各切り欠き縦仕切り板の切り欠き端部は、シェルから垂直方向に距離を置いてもよい。切り欠き縦仕切り板の垂直距離は、第1の縦仕切り板から第6の縦仕切り板まで漸減してもよい。
【0009】
他の態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】従来技術に係るシェル&チューブ熱交換器の側面立面図を示す。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態に係るロッドバッフル熱交換器の上面図を示す。
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態に係るロッドバッフル熱交換器の複数のロッドバッフルリングの斜視図を示す。
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態に係るロッドバッフル熱交換器の複数のチューブの部分クローズアップ上面図を示す。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態に係るロッドバッフル熱交換器の部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に説明する。各種の図面における同様の要素は、一貫性のために同様の参照数字で示される場合がある。さらに、以下の詳細な説明において、請求される主題をより十分に理解できるように、多数の特定の詳細が示される。しかしながら、説明される実施形態がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは当業者に明らかであろう。他の例では、不必要に説明を複雑にすることを避けるために、よく知られた特徴は詳細に説明されていない。本明細書で使用される場合、「連結された」または「に連結された」または「接続された」または「に接続された」は、直接的または間接的な接続のいずれかを確立することを示している場合があり、そのように明示的に言及されない限り、いずれかに限定されるものではない。本明細書で使用される場合、流体は、スラリー、液体、気体、および/またはそれらの混合物を指す場合がある。可能な限り、共通または同じ要素を識別するために、図面において同様または同一の参照数字が使用される。図面は必ずしも縮尺通りではなく、図面の特定の特徴および特定の図は、明確化のために縮尺を誇張して示される場合がある。
【0012】
一態様において、本明細書に開示される実施形態は、熱除去、凝縮操作、発電、石油化学プラント、廃熱回収などの産業用途のためのロッドバッフル熱交換器に関する。ロッドバッフル熱交換器は、本開示においてロッドバッフル凝縮器と言い換え可能に呼ばれる場合もある。さらに、ロッドバッフル熱交換器は、垂直バッフルに垂直仕切り板を組み込むことができる。ロッドバッフル熱交換器は、冷却ループにおける重合熱の除去を支援することができる。さらに、ロッドバッフル熱交換器は、従来の凝縮器と比較してより高い凝縮効率を可能にし得る。
【0013】
産業用途における従来のロッドバッフル熱交換器は、水平に配置されるため、通常は非常に大きく重い。さらに、従来の垂直ロッドバッフル熱交換器は、小型でより短い縦方向バッフルプレートを使用している。従来の垂直ロッドバッフル熱交換器は、サイズおよび容量が大きくなった現代の重合反応器には十分ではない。例えば、従来の垂直ロッドバッフル熱交換器は、サイズおよび容量を大きくした場合、液面が低すぎ、その後、蒸気流がショートカットすることによるシャットダウンを引き起こし得る。
【0014】
したがって、本開示における1つ以上の実施形態を用いることで、当業者には明らかであろうが、そのような課題を克服するとともに、従来のロッドバッフル熱交換器に対するさらなる利点を提供することができる。1つ以上の実施形態において、ロッドバッフル熱交換器は、ロッドバッフル熱交換器内のチューブの周りのガス速度を増加させ、熱交換係数に関して運転範囲を増加させることができる。本明細書の実施形態によれば、ロッドバッフル熱交換器は、延長したバッフルプレートを含むことで、液面をより低くして、重合プロセスの運転範囲を拡大させることができる。1つ以上の実施形態において、延長した縦方向バッフルプレートは、冷却水温度が予期せず変化した際のプラントシャットダウンのリスクを低減し、より高い処理能力でプラントを運転することを可能にし得る。熱交換器におけるロッドバッフルの配置は、ロッドバッフルがより均一に分布することで、向上した振動保護を提供する。さらに、ロッドバッフル熱交換器は、運転サイクルにわたって信頼性および性能を高めることができる。全体として、ロッドバッフル熱交換器は、製品エンジニアリング、ロッドバッフル製造に関連するリスク、組立時間の短縮、ハードウェアコストの削減、ならびに重量および包装材料の削減を最小限に抑えることができる。
【0015】
本明細書の実施形態によれば、ロッドバッフル熱交換器は、複数の縦方向バッフルプレートを含んで、蒸気速度を増加させて熱伝達をより効率的にすることができる。非限定的な例では、ロッドバッフル熱交換器は6枚の縦方向バッフルプレートを有してもよい。1つ以上の実施形態において、防振効果を向上させるために、ロッドバッフル熱交換器の横ロッドおよび縦ロッドの支持を分割してより均一に分布させてもよい。さらに、低レベルでも液封を維持して運転柔軟性を高めるために、縦方向バッフルプレートの長さを、U字バンドルの少なくとも全長をカバーするように長くしてもよい。
【0016】
1つ以上の実施形態では、ロッドバッフル熱交換器は、6枚以上の延長した縦仕切り板など、1枚以上の延長した縦仕切り板を有する垂直ロッドバッフル凝縮器であってよい。延長した縦仕切り板は、チューブの周りのガス速度を増加させることによって、垂直ロッドバッフル凝縮器の凝縮効率をより高くできる。さらに、延長した縦仕切り板は、液面をより低くできる延長したバッフルプレートによって、熱交換係数に関して運転範囲を増加させることができる。
【0017】
図2を参照すると、
図2は、本開示の1つ以上の実施形態に係るロッドバッフル熱交換器100の上面図を示す。ロッドバッフル熱交換器100は6枚以上の縦仕切り板101を含んでもよい。6枚以上の縦仕切り板101は、ロッドバッフル熱交換器100のチューブバンドル102内に挿入されてもよい。チューブバンドル102はシェル103に囲まれている。シェル103の周りには複数の計器ノズル120が配置されてもよい。計器ノズル120は、ロッドバッフル熱交換器100におけるレベル測定、温度測定などの測定など、ロッドバッフル熱交換器100での各種の測定を提供できる。さらに、チューブシート119が6枚以上の縦仕切り板101の上に設けられてもよい。1つ以上の実施形態において、縦仕切り板101間の距離Dは変化させてもよい。非限定的な例では、第1の縦仕切り板101aと第2の縦仕切り板101bとの間の距離Dは、第2の縦仕切り板101bと第3の縦仕切り板101cとの間の距離より大きくてよい。第2の縦仕切り板101bと第3の縦仕切り板101cとの間の距離は、第3の縦仕切り板101cと第4の縦仕切り板101dとの間の距離より大きくてもよい。第3の縦仕切り板101cと第4の縦仕切り板101dとの間の距離は、第4の縦仕切り板101dと第5の縦仕切り板101eとの間の距離より大きくてもよい。第4の縦仕切り板101dと第5の縦仕切り板101eとの間の距離は、第5の縦仕切り板101eと第6の縦仕切り板101fとの間の距離より大きくてもよい。縦仕切り板101の各々の幅Wが3~9mmの値、例えば8mmの値を有することがさらに想定される。
【0018】
1つ以上の実施形態において、6枚以上の縦仕切り板101のうち1枚以上は、チューブバンドル102に設けられた切り欠き縦仕切り板104であってもよい。切り欠き縦仕切り板104の各々は、シェル103から垂直距離Dnにある切り欠き端部105を有していてもよい。切り欠き縦仕切り板104の各々は変化させた垂直距離Dnを有していてもよい。切り欠き縦仕切り板104の垂直距離Dnは、第1の縦仕切り板101aから第6の縦仕切り板101fまで漸減してもよい。非限定的な例では、第1の縦仕切り板101aの垂直距離Dnは、第2の縦仕切り板101bの垂直距離より大きくてもよい。第2の縦仕切り板101bの垂直距離は、第3の縦仕切り板101cの垂直距離より大きくてもよい。第3の縦仕切り板101cの垂直距離は、第4の縦仕切り板101dの垂直距離より大きくてもよい。第4の縦仕切り板101dの垂直距離は、第5の縦仕切り板101eの垂直距離より大きくてもよい。第5の縦仕切り板101eの垂直距離は、第6の縦仕切り板101fの垂直距離より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、垂直距離Dnの値は、蒸気が次の仕切りへと通過するのに十分な面積が切り欠き縦仕切り板104とシェル103との間に存在するように選択される。さらに、各切り欠き端部105によって、隣接する各切り欠き縦仕切り板104がシェル103から反対方向に終端するように、隣接する各切り欠き縦仕切り板104を180度配向させてもよい。
【0019】
引き続き
図2を参照すると、シェル103上のチューブシート119に近い、入口108と同様のレベル(周方向の位置)に出口107が設けられてもよい。いくつかの実施形態において、出口107は非凝縮性ガス出口であってもよく、入口108は蒸気入口であってもよい。入口108から、蒸気はロッドバッフル熱交換器100に入り、6枚以上の縦仕切り板101により画定される流路(ブロック矢印F参照)を流れて、出口107から出てもよい。さらに、シェル103上のロッドバッフル熱交換器100のエルボ部109aの下に液封円筒部109が設けられてもよい。エルボ部109aは、出口107および入口108を形成するシェル103の一部であってもよい。さらに、入口108から流入する蒸気を分配するために、インピンジメントプレート110がシェル103に設置されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、6枚以上の縦仕切り板101がチューブバンドル102の複数のチューブ106を仕切るように、複数のチューブ106がチューブバンドル102内で軸方向に延在していてもよい。1つ以上の実施形態において、チューブバンドル102は、複数のチューブ106がベンドを有するようなU字チューブバンドルであってもよい。切り欠き縦仕切り板104は、切り欠き端部105がチューブバンドル102内にあるような半径方向の長さで延在することがさらに想定される。切り欠き縦仕切り板104の半径方向の長さは、シェル103に付着した端部から切り欠き端部105まで測定してもよい。切り欠き縦仕切り板104の縦方向の最小長さは、チューブ106がU字チューブバンドル102内に設けられる最下点より長い。切り欠き縦仕切り板104を少なくともU字チューブバンドルの端部まで縦方向に延在させることによって、下部液封が得られ、ロッドバッフル熱交換器100の運転範囲が増加する。
【0021】
図3に示すように、1つ以上の実施形態では、ロッドバッフル熱交換器100は、複数のチューブ(
図2の106参照)の軸方向軸Axに沿って分布する複数のロッドバッフルリング111、112、113、114を含んでもよい。例示目的のみで、
図3は4つのロッドバッフルリング111、112、113、114とともに示されているが、ロッドバッフル熱交換器100は、本開示の範囲から逸脱することがない限り、任意の数のロッドバッフルリングを有してもよい。さらに、複数の支持バー115がシェル(
図2の103参照)の円周上に配置されてもよく、これらは、チューブバンドル(
図2の102参照)を固定するために用いられ、複数のロッドバッフルリング111、112、113、114用のスライドウェイとして機能してもよい。非限定的な例では、ロッドバッフル熱交換器100は、支持バー115が複数のロッドバッフルリング111、112、113、114の円周の周りに90度刻みで存在するよう等間隔に配置された4つの支持バー115を有してもよい。
【0022】
1つ以上の実施形態では、複数のロッドバッフルリング111、112、113、114は4つを1セットとして設けられてもよい。複数のロッドバッフルリング111、112、113、114は、各ロッドバッフルリングが、隣接するロッドバッフルリングから90度回転したような構成であってもよい。複数のロッドバッフルリング111、112、113、114を前後に90度ずらして配置することによって、ロッドバッフル熱交換器100は、液溜まりの現象を解消し、複数のチューブ(
図2中の106参照)上で凝縮物の高流束流を実現することができる。非限定的な例では、4つのロッドバッフルリングのセットにおける第1のロッドバッフルリング111は、第1のロッドバッフルリング111の内面111bから延在する複数の横ロッドバッフル111aを有していてもよい。4つのロッドバッフルリングのセットにおける第2のロッドバッフルリング112は、第2のロッドバッフルリング112の内面112bから延在する複数の縦ロッドバッフル112aを有していてもよい。4つのロッドバッフルリングのセットにおける第3のロッドバッフルリング113は、第3のロッドバッフルリング113の内面113bから延在する複数の横ロッドバッフル113aを有していてもよい。4つのロッドバッフルリングのセットにおける第4のロッドバッフルリング114は、第4のロッドバッフルリング114の内面114bから延在する複数の縦ロッドバッフル114aを有してもよい。
【0023】
ここで
図4を参照すると、1つ以上の実施形態において、
図4は、第1および第3のロッドバッフルリング111、113の横ロッドバッフル111a、113aと第2および第4のロッドバッフルリング112、114の縦ロッドバッフル112a、114aとによって間隔をあけられている複数のチューブ106の部分クローズアップ上面図を示す。
【0024】
図4に示すように、横ロッドバッフル111a、113aは、X軸方向に隣接するチューブ(106)間の隙間115を通過する。縦ロッドバッフル112a、115aは、Y軸方向に隣接するチューブ(106)間の隙間116を通過する。さらに、横ロッドバッフル111a、113aは、切り欠き縦仕切り板(
図2の104参照)の開口部を通過してもよい。横ロッドおよび縦ロッド間の距離を大きくすることによって、複数のチューブ106内の液体凝縮物の流れが制限されにくくなくなり、複数のチューブ106の支持が複数のチューブ106の長さにわたってより均一に分布し得る。
【0025】
ここで
図5を参照すると、1つ以上の実施形態において、
図5は、ロッドバッフル熱交換器100の部分図を示す。
図5に示すように、複数のチューブ106は、長さLで延在するU字チューブバンドルなどのチューブバンドル102内にあってもよい。当業者であれば、U字チューブバンドル102によって、複数のチューブ106の全長がU字チューブバンドル102の長さLより大きくなるように、複数のチューブ106を例えばUベンド118のように曲げることができる方法を理解するであろう。これにより、ロッドバッフル熱交換器100は、コンパクトなままでより長いチューブ106を有し、ロッドバッフル熱交換器100の全体の設置面積を減少させることができる。さらに、入口108は、チューブバンドル102の前面側の上部にある一方、出口107は、チューブバンドル102の背面側にある。出口107が入口108よりも小さい直径を有することがさらに想定される。
【0026】
図5に示すように、1つ以上の実施形態において、ロッドバッフル熱交換器100は、横ロッドを有するロッドバッフルリングの8セットと縦ロッドを有するロッドバッフルリングの8セットとが存在するように、
図3で説明されるような4つのロッドバッフルリング111、112、113、114のセットを4セット有してもよい。さらに、ロッドバッフル熱交換器100は、ロッドバッフルリングの順序がU字チューブバンドル102内のUベンド118から111、111、113、114となるように、2つの第1のロッドバッフルリングを含んで構成された4つのロッドバッフルリングの第5のセットを含んでもよい。Uベンド118の最下点が、ロッドバッフル熱交換器100内の最も低いロッドバッフルリングと一致することがさらに想定される。ロッドバッフルリング111、112、113、114の各々は、ロッドバッフルリング111、112、113、114がU字チューブバンドルの長さLにわたって等間隔に配置されるように、隣接するロッドバッフルから距離Drbを置いて配置されてもよい。さらに、ロッドバッフルリング111、112、113、114の各々は、ロッドバッフルリングが均一な厚さを有するように、厚さTを有してもよい。U字チューブバンドルの後方部117が防振グリッド構造を有することがさらに想定される。
【0027】
限られた数の実施形態に関して本開示を説明したが、本開示の恩恵を受ける当業者であれば、本明細書に記載されるような本開示の範囲を逸脱することなく他の実施形態を考案し得ることを認識するであろう。したがって、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【国際調査報告】