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特表2023-539185COVID-19(SARS-CoV-2)組合せ療法のための抗コロナウイルス剤および処置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】COVID-19(SARS-CoV-2)組合せ療法のための抗コロナウイルス剤および処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/57 20060101AFI20230906BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230906BHJP
   A61K 31/4965 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A61K38/57
A61K45/00
A61K31/4965
A61P31/14
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512654
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 RU2020000727
(87)【国際公開番号】W WO2022039619
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】2020127969
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(31)【優先権主張番号】2020127971
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(31)【優先権主張番号】2020127975
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513016895
【氏名又は名称】アレクサンドル・バシリエビッチ・イワシェンコ
(71)【出願人】
【識別番号】513016909
【氏名又は名称】ニコライ・フィリッポビッチ・サブチュク
(71)【出願人】
【識別番号】519311293
【氏名又は名称】イワシェンコ,アレナ・アレクサンドロブナ
(71)【出願人】
【識別番号】522425840
【氏名又は名称】ウラジーミル・グリゴリエビチ・ロギノフ
(71)【出願人】
【識別番号】522425851
【氏名又は名称】ミハイル・タプール
(71)【出願人】
【識別番号】509277338
【氏名又は名称】アンドレイ・アレクサンドロビッチ・イワシェンコ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・バシリエビッチ・イワシェンコ
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ・フィリッポビッチ・サブチュク
(72)【発明者】
【氏名】イワシェンコ,アレナ・アレクサンドロブナ
(72)【発明者】
【氏名】ウラジーミル・グリゴリエビチ・ロギノフ
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル・タプール
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ・アレクサンドロビッチ・イワシェンコ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA44
4C084CA20
4C084DC34
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZB33
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC48
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、COVID-19(SARS-CoV-2)の組合せ療法のための新規の抗ウイルス剤の使用に関する。抗ウイルス剤は、アプロチニン(APR)またはそれをベースとした医薬製剤と、SARS-CoV-2複製阻害剤とを、治療的に有効な量および比率で含む。アプロチニンをベースとした医薬製剤は、である好ましくは、アプロテックス、ヴェロナルカップ、インヒトリル(Inhitril)、コントリカル、コントリセル(Contricel)、トラジロール(登録商標)、インヒプロール(Inhiprol)、アプロチムビン、ゴルドックス(登録商標)、コントリベン、トラスコラン、またはアエルスからなる群から選択される。ファビピラビル(FVP)もしくはレムデシビル(RMD)、またはそれをベースとした医薬製剤は、SARS-CoV-2複製阻害剤として使用することができる。ファビピラビルをベースとした医薬製剤は、好ましくは、アビガン、ファビピラビル、アビファビル、コロナビルまたはファビフルからなる群から選択される。新規の抗コロナウイルス剤の使用は、新規の相乗作用をもたらし、処置時間を有意に短くし、有害な副作用のリスクを減少させることを可能にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプロチニン(APR)またはアプロチニンをベースとした医療用薬物と、SARS-CoV-2複製阻害剤とを、治療的に有効な量および比率で含む、COVID-19(SARS-CoV-2)組合せ療法のための抗コロナウイルス剤。
【請求項2】
アプロチニンをベースとした医療用薬物が、アプロテックス、ヴェロナルカップ、インギトリル、コントリカル、コントリセル、トラジロール(登録商標)、インギプロール、アプロチムビン、ゴルドックス(登録商標)、コントリベン、トラスコラン、またはアエルスからなる群から選択される、請求項1に記載の抗コロナウイルス剤。
【請求項3】
SARS-CoV-2複製阻害剤が、ファビピラビルまたはファビピラビルをベースとした医療用薬物である、請求項1または2に記載の抗コロナウイルス剤。
【請求項4】
ファビピラビルをベースとした医療用薬物が、アビガン、ファビピラビル、アビファビル、コロナビル、またはファビフルからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗コロナウイルス剤。
【請求項5】
COVID-19(SARS-CoV-2)組合せ療法であって、アプロチニン(APR)またはそれをベースとした医療用薬物と、SARS-CoV-2複製阻害剤とを、治療的に有効な量および比率で含む請求項1に記載の抗コロナウイルス剤を、COVID-19を有する患者に投与することを含む、療法。
【請求項6】
SARS-CoV-2複製阻害剤が、ファビピラビルまたはファビピラビルをベースとした医療用薬物である、請求項5に記載の療法。
【請求項7】
ファビピラビルをベースとした医療用薬物が、アビガン、ファビピラビル、アビファビル、コロナビル、またはファビフルからなる群から選択される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
アプロチニンをベースとした医療用薬物が、アプロテックス、ヴェロナルカップ、インギトリル、コントリカル、コントリセル、トラジロール(登録商標)、インギプロール、アプロチムビン、ゴルドックス(登録商標)、コントリベン、トラスコラン、またはアエルスからなる群から選択される、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
アプロチニン(APR)またはそれをベースとした医療用薬物と、SARS-CoV-2複製阻害剤とを、治療的に有効な量および比率で含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のCOVID-19(SARS-CoV-2)組合せ療法のための抗コロナウイルス剤の使用。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか一項に記載のコロナウイルス疾患COVID-19(SARS-CoV-2)の組合せ療法のための医薬品キットであって、
外部要因から薬物を保護する包装に入れられた、
A.その投与に好適な、完成した医薬品の形態での、または完成した製品の成分の形態での、治療的に有効な量のアプロチニン(APR);
B.完成した医薬品の形態での治療的に有効な量のSARS-CoV-2複製阻害剤
を、APRと複製阻害剤との治療的に有効な比率で含み、さらに、
C.使用説明書
を含む、医薬品キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、COVID-19(SARS-CoV-2)組合せ療法のための新規の抗コロナウイルス剤、ならびにCOVID-19の防止および処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2019年の中国武漢における新しいコロナウイルス(後にSARS-CoV-2と命名)の突然の大発生は、すぐに世界的なパンデミックを引き起こし、人間社会への毒性コロナウイルスの3回目の導入を記録し、医療システムだけでなく世界経済にも影響を及ぼした。8月19日の朝には、世界のコロナウイルス感染者総数は、188か国で2205万人を超え、1410万人が回復し、779,557人が死亡した。
【0003】
SARS-CoV-2コロナウイルスは、流行期間中における高い変異率を特徴とする、いわゆるRNAウイルスのグループに属する。SARS-CoV-2は比較的低い変異率を有するという事実にもかかわらず、異なる免疫特徴および毒性を有する新しいコロナウイルスの突然変異が早くから報告されている。
【0004】
SARS-CoV-2が深刻な脅威を世界の公衆衛生と経済性にもたらすことを考えれば、新規の有力な抗コロナウイルス薬を探し出すことが適切と思われる。
【0005】
SARS-CoV-2(COVID-19)の防止および処置ならびに疫学的な制御への有効なアプローチは、それでもなお極めて不十分である。SARS-CoV-2(COVID-19)の防止および処置のための治療剤の集中的な探索は、世界で進行中である。この目的を達成するために、世界保健機関および各国の健康問題の担当省は一時的に、以前は他のウイルス感染(インフルエンザ、AIDS、エボラなど)を対象とした既存の治療剤を使用するコロナウイルス感染の防止、診断および処置のためのガイドラインを絶えずアップデートしてきた。
【0006】
なかでも、COVID-19と戦うことが報告された最初の薬物は、SARS-CoV-2複製阻害剤であるファビピラビル(FVP)[https://static-0.rosminzdrav.ru/ system/attachments/attaches/000/050/584/original/03062020_ %D0%9CR_COVID-19_v7.pdf]およびレムデシビル(RMD)[https://nypost.com/ 2020/05/01/fda-approves-remdesivir-as-emergency-coronavirus-treatment/]であり、加えて、SARS-CoV-2細胞侵入阻害剤であるアプロチニン(APR)も報告されている[可能性のあるCOVID-19治療として、A.Azimi.の、TMPRSS2阻害剤、ブロムヘキシン、アプロチニン、カモスタットおよびナファモスタット[file:///C:/Users/av/Downloads/ TMPRSS2inhibitors.pdf]。
【0007】
FVP(6-フルオロ-3-ヒドロキシ-2-ピラジンカルボキサミド、ファビピラビル、RN:259793-96-9CA)は、COVID-19に対する抗ウイルス活性を有し、200mgのFVPを含有する錠剤の形態の多数の薬物の一部であり、その例としては、アビガン[https://www.cdc.gov.tw/File/ Get/ht8jUiB_MI-aKnlwstwzvw]、ファビピラビル[https://www. singlecare.com/blog/news/favilavir-for-coronavirus/]、アビファビル[https://medum.ru/avifavir]、アレプリビル[https://www.rbc.ru/rbcfreenews/5ef4f1219a7947ef 15c93899]コロナビル(Coronavir)[https://www.rbc.ru/rbcfreenews/5f05d1f69a7947c3dcc66cf7]、およびファビフル(FabiFlu)[https://myhep.com.ua/preparaty/oncology/fabiflu/]が挙げられる。
【0008】
COVID-19の成人用量は、体重<75kgの患者の場合、初日(以降、1日目)に、1600mgを2回、それに続いて2~10日(以降、2~10日目)、600mgを2回、体重75~90kg(両端の値を含む)の患者の場合、1日目に、2000mgを2回、次いで2~10日目に、800mgを1日2回、体重>90kgの患者の場合、1日目に、2400mgを2回、2~10日目に、1000mgを1日2回である。全ての用量は、44mg/kg~64mg/kgの範囲である。療法期間は、ウイルスの排除が確認された場合、10日またはそれ未満である[https://static-0.rosminzdrav.ru/system/attachments/ attaches/000/050/584/ original/03062020_%D0%9CR_COVID-19_v7.pdf]。
【0009】
ウイルス感染(COVID-19)の処置において、RMD(エチルブチル(2S)-2-(((S)-(((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノピロロ(2,1-f)(1,2,4)トリアジン-7-イル)-5-シアノ-3,4-ジヒドロキシアセトフェノン-2-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)-プロパノエート、すなわちレムデシビル、RN:1809249-37-3CA)は、注射(100mg)の場合、使い捨てのバイアル中の滅菌された保存剤非含有の凍結乾燥粉末として使用される。凍結乾燥粉末の未開封のバイアルは、30℃(86°F)未満の温度で貯蔵できる。凍結乾燥したRMD粉末は、使用前に19mlの滅菌注射用水に溶解および希釈され、加えて、輸注バッグ中で生理食塩水を用いて希釈される[https://www.fda.gov/ media/137566/download]。RMDは、注射(5mg/ml)の場合、単回用量バイアル中の濃縮溶液として使用される。COVID-19の場合の成人用量:静脈内に200mg、1回の負荷用量(1日目)、次いで静脈内に100mg、1日1回の維持用量(2日目~5または10日目)。侵襲的な機械的人工呼吸および/または体外式膜型人工肺(ECMO)を含む療法期間は、10日であり;侵襲的な機械的人工呼吸および/またはECMOが必要ではない場合、合計5~10日である[https://www.drugs.com/dosage/ remdesivir.html]。
【0010】
APR(RN:9087-70-1)は、ウシの肺から得られたポリペプチドである。アプロチニンは、カリクレイン-キニン系をブロックする。アプロチニンは、総タンパク質分解活性および個々のタンパク質分解酵素の活性の両方を阻害する。これは、プロテアーゼ(例えばプラスミン、キニノゲナーゼ、トリプシン、キモトリプシン、カリクレイン、例えば線維素溶解を活性化するものなど)の多価阻害剤である。APRは、血液の線維素溶解活性を低減し、線維素溶解を阻害し、凝固障害において止血作用を有する。APRは、臨床において50年を超えて使用されており、100,000~1,000,000KIUの静脈内、ジェットまたは滴下投与のための用量での使用が推奨されている。アプロチニン活性は、カリクレイン不活性化単位(KIU)で表される。100,000KIUは、14mgのアプロチニンに相当する[A.V. OvcharenkoおよびO.P. Zhirnov. Antiviral Research 1994、23、107~118]。
【0011】
APRは、静脈内投与のための溶液、静脈内および輸注投与のための溶液、および吸入のためのエアロゾルを調製するために凍結乾燥物として適用された多数の薬物の一部であり、その例としては、以下が挙げられる:アプロテックス(Aprotex)、凍結乾燥物、133,000KIU/バイアル、賦形剤(EXC):ラクトース、水酸化ナトリウム;ヴェロナルカップ(Vero-Narcap)、凍結乾燥物、30000TIU/バイアル(1TIU=1.33KIU)、EXC:ラクトース、水酸化ナトリウム(http://www.webvidal.ru/2011/drug/LP_12027.htm];インギトリル(Ingitril)、凍結乾燥物、10000TIU/バイアル[https://www.vidal.ru/drugs/ingitril_6970];コントリカル(Contrykal)、10000TIU、EXC:mannitol//www.vidal.ru/drugs/contrykal_37338sides;コントリセル(Kontrisel)、凍結乾燥物、10000KIU/バイアル、EXC:注射の場合、アンプル中、溶媒として2mlの0.9%塩化ナトリウム溶液と共に、乳糖一水和物、クエン酸三ナトリウム[https://medplaza.uz/drugs/drug/kontrisel];トラジロール(Trasilol)(登録商標)、注射用の溶液、50mlのボトル当たり500,000KIU)、EXC:塩化ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液(pH調整のため)、注射用水[https://med.obozrevatel.com/lekarstva/trasilol.htm];インギプロール(Ingiprol)、輸注のための溶液、10000KIU/ml、2mlアンプル、および輸注のための溶液を調製するための凍結乾燥物[https://www.rlsnet.ru/tn_index_id_5562.htm;https://www.webapteka.ru/drugbase/name506.html];アプロチムビン(Aprotimbin)、注射用の溶液、100,000KIUおよび500,000KIU、10mlアンプル[http://dalinsaat.net/aprotimbin/];ゴルドックス(Gordox)(登録商標)、注射用の溶液、100,000KIU、10mlアンプル、EXC:85mgの塩化ナトリウム、100mgのベンジルアルコール、10mlまでの注射用水[https://www.eapteka.ru/goods/id21876/;https://pharmacy-new.org/gordox-ampoules];コントリベン(Contriven)、注射用水、10000KIU/mlのアプロチニン、1mlアンプル、EXC:塩化ナトリウム、注射用水[https://tabletki.ua/%D0%9A%D0%BE%D0%BD%D1%82%D1%80%D0%B8%D0%B2%D0%B5%D0%BD/#%D0%A1%D0%BE%D1%81%D1%82%D0%B0%D0%B2];トラスコラン(Trascolan)、注射用水、100,000KIUおよび500,000KIU、10mlアンプル[https://www.rlsnet.ru/tn_index_id_3198.htm];アエルス(Aerus)、吸入投与されるエアロゾル、それぞれ容量30または20mlの金属(アルミニウム)シリンダー中、投与デバイス(バルブ)を使用、35000KIU(350用量)または25000KIU(250用量)、EXC:0.045mlの噴射剤HFC-134A(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、0.000045mlのペパーミントリーフ油、0.0075mlの96%エタノール、0.0035mlの96%グリセロール、および純水(EurPh);1用量のエアロゾルのアエルス(登録商標)は、85KIUであり、推奨される1日用量は2000KIUを超えない[https://www.rlsnet.ru/tn_index_id_44141.htm]。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】https://static-0.rosminzdrav.ru/system/attachments/attaches/000/050/584/original/03062020_%D0%9CR_COVID-19_v7.pdf
【非特許文献2】https://nypost.com/2020/05/01/fda-approves-remdesivir-as-emergency-coronavirus-treatment/
【非特許文献3】file:///C:/Users/av/Downloads/TMPRSS2inhibitors.pdf
【非特許文献4】https://www.cdc.gov.tw/File/Get/ht8jUiB_MI-aKnlwstwzvw
【非特許文献5】https://www.singlecare.com/blog/news/favilavir-for-coronavirus/
【非特許文献6】https://medum.ru/avifavir
【非特許文献7】https://www.rbc.ru/rbcfreenews/5ef4f1219a7947ef15c93899
【非特許文献8】https://www.rbc.ru/rbcfreenews/5f05d1f69a7947c3dcc66cf7
【非特許文献9】https://myhep.com.ua/preparaty/oncology/fabiflu/
【非特許文献10】https://www.drugs.com/dosage/remdesivir.html
【非特許文献11】A.V.OvcharenkoおよびO.P.Zhirnov. Antiviral Research 1994、23、107~118
【非特許文献12】http://www.webvidal.ru/2011/drug/LP_12027.htm
【非特許文献13】https://www.vidal.ru/drugs/ingitril_6970
【非特許文献14】mannitol//www.vidal.ru/drugs/contrykal_37338sides
【非特許文献15】https://medplaza.uz/drugs/drug/kontrisel
【非特許文献16】https://med.obozrevatel.com/lekarstva/trasilol.htm
【非特許文献17】https://www.rlsnet.ru/tn_index_id_5562.htm
【非特許文献18】https://www.webapteka.ru/drugbase/name506.html
【非特許文献19】http://dalinsaat.net/aprotimbin/
【非特許文献20】https://www.eapteka.ru/goods/id21876/;https://pharmacy-new.org/gordox-ampoules
【非特許文献21】https://tabletki.ua/%D0%9A%D0%BE%D0%BD%D1%82%D1%80%D0%B8%D0%B2%D0%B5%D0%BD/#%D0%A1%D0%BE%D1%81%D1%82%D0%B0%D0%B2
【非特許文献22】https://www.rlsnet.ru/tn_index_id_3198.htm
【非特許文献23】https://www.rlsnet.ru/tn_index_id_44141.htm
【発明の概要】
【0013】
本発明者らは、驚くべきことに、COVID-19(SARS-CoV-2)組合せ療法における、SARS-CoV-2複製阻害剤とアプロチニン(APR)またはそれをベースとした薬物とを、治療的に有効な量および比率で含む、抗ウイルス剤と組み合わされた薬剤の使用が、処置の効能を著しく増加させることを発見した。特定には、そのような使用は、処置を有意に促進し、不要な副作用のリスクを低減することができる。
【0014】
迅速な使用、外部要因からの保護のために、加えてウイルスを含む様々な疾患の処置のための組み合わされた薬物の貯蔵寿命を延長するために、医薬品キットは、包装されて使用されることが公知である。これは、このようなキットの使用方法を記載する(例えば、特許RU2661028C2およびRU2571687C2を参照)。
【0015】
発明の変化形の1つは、COVID-19(SARS-CoV-2)組合せ療法のための、SARS-CoV-2複製阻害剤とアプロチニン(APR)またはそれをベースとした薬物とを、治療的に有効な量および比率で含む、抗ウイルス剤と組み合わされた薬剤の使用であり、それにより、患者ケアの有効性の有意な増加がもたらされる。特定には、そのような使用は、処置時間を有意に短くし、不要な副作用のリスクを低減することができる。
【0016】
したがって、本発明の主題は、特定された新しい組み合わされた抗コロナウイルス剤、および前記抗コロナウイルス剤を使用してCOVID-19(SARS-CoV-2)を有する患者を処置するための方法である。
【0017】
組合せ療法における新しい抗コロナウイルス剤の使用は、当業界公知ではなく、当業者に明白ではない新しい相乗作用をもたらす。
【0018】
本発明の変化形の1つは、コロナウイルス疾患COVID-19(SARS-CoV-2)の組合せ療法のための新しい医薬品キットであって、
外部要因から薬物を保護する包装に入れられた、
A.その投与に好適な、完成した医薬品の形態での、または完成した製品の成分の形態での、治療的に有効な量のアプロチニン(APR)と;
B.その投与に好適な、完成した医薬品の形態での、または既製の薬物の成分の形態での、治療的に有効な量のSARS-CoV-2複製阻害剤と
を、APRと複製阻害剤との治療的に有効な比率で含み:さらに、
C.使用説明書
を含む、医薬品キットである。
【0019】
したがって、本発明の主題は、上述した新しい抗コロナウイルス剤の組合せ、および前記抗コロナウイルス剤を使用してCOVID-19(SARS-CoV-2)を有する患者を処置するための方法である。本発明の主題はまた、コロナウイルス疾患COVID-19(SARS-CoV-2)の組合せ療法のための特定された医薬品キットを使用する方法であって、治療的に有効な量および比率でのキットの成分、すなわち、アプロチニン(APR)とSARS-CoV-2複製阻害剤またはそれをベースとした完成した薬物との、COVID-19を有する患者への同時のまたは逐次的な投与からなる、方法でもある。
【0020】
組合せ療法における新しい抗コロナウイルス剤の使用は、最先端技術でまだ知られておらず当業者に明白ではない新しい相乗作用をもたらす。
【0021】
したがって、この発明の組合せ剤を使用すると、COVID-19で入院した臨床ステータス4の患者の、2ポイントの臨床的改善の中央値が5日で達成され、すなわちFVP処置の場合(8日)より1.6倍速く、APR処置の場合(11日)より2.2倍速く、さらに、C反応性タンパク質濃度の正常化の中央値(CRPは、体内の急性炎症プロセスの存在または非存在を示す)が1日で達成され、すなわちこれは、FVP処置の場合の13分の1の短さであり、APR処置の場合の9分の1の短さであった(表1)。
【0022】
患者の血液におけるCRP指標の正常化にかかる時間は大幅に低減され、これは、この発明の組合せ剤を使用した場合の相乗効果の存在を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明を説明するために使用される用語の定義を以下に列挙する。
【0024】
用語「薬物療法剤」は、確立された薬理活性を有する物質または物質の混合物を指し、防止的または治療的な目的のために使用される。
【0025】
用語「医療用薬物」は、完成した剤形での薬物療法剤を指す。
【0026】
用語「医薬組成物」は、医薬的に許容され、薬理学的に適合性を有する増量剤、溶媒、希釈剤、担体、賦形剤、分配剤および受容剤、送達のための物質、例えば保存剤、安定剤、増量剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、増粘剤、甘味料、矯味矯臭剤、芳香剤、抗細菌剤、殺真菌剤、潤滑剤、および長期送達のための制御剤からなる群から選択される薬物療法剤および少なくとも1つの追加の成分を含む組成物を指し、これらの選択および比率は、投与および投薬の性質および経路によって決まる。好適な懸濁化剤の例は、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレン、ソルビトールおよびソルビトールエーテル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物である。微生物からの防御は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、ソルビン酸などを使用して提供することができる。前記組成物はまた、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含んでいてもよい。組成物の持続的な作用は、活性成分の吸収を減速させる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンを使用して達成することができる。好適な担体、溶媒、希釈剤、および送達のための物質の例としては、注射の場合、水、エタノール、多価アルコールおよびそれらの混合物、天然油(例えばオリーブ油)、ならびに有機エステル(例えばオレイン酸エチル)が挙げられる。増量剤の例は、ラクトース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどである。崩壊剤および分配剤の例は、デンプン、アルギン酸およびその塩、ならびにケイ酸塩である。潤滑剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、および高分子量のポリエチレングリコールである。
【0027】
用語「不活性増量剤」は、本明細書で使用される場合、医薬組成物を形成するために使用され、概して安全で非毒性であり、生物学的にもそれ以外の方式でも別段の問題がない化合物を指し、動物およびヒトの医薬的使用のための許容できる賦形剤を含む。
【0028】
この発明の化合物は、個々に投与してもよいが、それらは、一般的に、予期される薬物投与経路および標準的な製薬上の実施に応じて選ばれる1種またはそれより多くの医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合物で投与されると予想される。
【0029】
用語「治療的に有効な量」は、本明細書で使用される場合、対象における疾患の症状を軽減するのに必要な物質または薬物の量を指す。物質または薬物の用量は、それぞれの特定のケースにおいて個々の要求を満たすものと予想される。前記用量は、処置しようとする疾患の重症度、患者の年齢および全身状態、患者の処置のために使用される他の薬物療法、投与の様式および経路、ならびに担当医師の経験のような多数の要因に応じて広範囲に変更することができる。
【0030】
概して、ウイルスを軽減または排除するために、処置の開始時に、より高い負荷用量が与えられ、それに続き用量は、感染爆発を防止するのに十分なレベルに低減される。
【0031】
用語「対象」は、哺乳動物を指し、その例としては、これらに限定されないが、ウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ、シチメンチョウ、スイギュウ、ラマ、ダチョウ、イヌ、ネコ、およびヒトなどが挙げられ、ヒト対象が最も好ましい。
【0032】
以下はこの発明の具体的な実施態様の詳細な説明であるが、これらのデータは、出願人の特許請求の範囲を限定することなく本発明を例示するものである。述べられた特許請求の範囲内で本発明の様々な改変が可能である。
【0033】
COVID-19で入院した臨床ステータス4の患者の2ポイントの臨床的改善の中央値が5日で達成され(表1)、これは、すなわちFVP処置の場合(8.0日)より1.6倍より速く、APR処置の場合(11日)より2.2倍速かった。
【0034】
体内の急性炎症プロセスの存在または非存在を明らかにする重要なインジケーターの1つは、患者の血液中のC反応性タンパク質(CRP)の濃度である。正常なCRP濃度は、5mg/lであり、これは年齢または性別に依存しない[https://sosudinfo.ru/krov/c-reaktivnyj-belok/]。COVID-19患者では、CRP濃度の有意な増加が観察され、これは、患者の体内における急性炎症プロセスの存在を示す。
【0035】
表5からわかるように、FVPで処置した患者は、初期のCRP=67.5(45.3~108.6)mg/lを有し、CRP正常化の中央値は8日であった(表1)。
【0036】
APRで処置した患者は、初期のCRP=21.5±8.2mg/lを有し(表8)、CRP正常化の中央値は11日であった(表1)。
【0037】
この発明の組合せ剤で処置した患者は、類似の初期のCRP値=38.7±7.5mg/lを有し(表2)、CRP正常化の中央値はちょうど1日であり、すなわち、この発明の組合せ剤を使用した場合、CRP正常化は、FVPおよびAPRそれぞれでの処置の場合より8倍および11倍速く起こった。これは、ことを示すこの発明の組合せ剤での患者の処置において、患者の体内における急性炎症プロセスの抑制は、組合せ剤(FVPおよびAPR)の個々の成分での処置の場合よりはるかに有効であり、すなわち抗炎症性作用の相乗効果がある。
【0038】
COVID-19の重度の経過を予測する重要なマーカーの1つは、血餅の主成分である繊維状タンパク質であるフィブリンの破壊中に形成されたDダイマーである。Dダイマーの濃度増加は、体内での小さい血餅の形成の指標である。Dダイマー試験は、2つの因子すなわち凝血(血液凝固)および線維素溶解(血餅の溶解)を1回で評価することを可能にする。マーカーは、循環系疾患(静脈瘤、血栓形成傾向、肺塞栓症など)の症例においてそれらの間の不均衡を時期的に適切に検出することを可能にする。Dダイマー濃度の有意な増加は、死亡率の強い予測変数である。このインジケーターは、初期の有用なマーカーであり、疾患の危険なフェーズに入りつつある患者において決定されなければならない。通常、Dダイマーは、250ng/ml(0.55μg FEU/ml)を超えないと予想される[https://aif.ru/health/coronavirus/pokazateli_smerti_uchenye_obnaruzhili_markery_tyazhelogo_techeniya_covid-19. http://cardiobook.ru/d-dimer/. https://www.diagnos.ru/procedures/analysis/koagulogramma/d-dimer]。
【0039】
入院した臨床ステータス4のCOVID-19を有する患者の血液におけるベースラインのDダイマー濃度値は55.5±142.5ng/mlであり(表2)、この発明の組合せ剤での処置のちょうど5日後に正常に戻った。SARS-CoV-2の排除も迅速であり(中央値3.5日)、体温は1日で正常化した(表1)。
【0040】
コンピューター断層撮影データによれば、14日目に、この発明の組合せ剤で処置した全ての患者(100%)が肺損傷における改善を示したが、FVPで処置した患者の場合、数値は72.7%であり、肺損傷を有する患者の9.1%が不変であり、患者の18.2%が肺損傷の悪化を示した。APRで処置した患者の場合、この数値は60.0%であり、肺損傷を有する患者の40.0%が不変であった(表1)。
【0041】
結果として、この発明の薬剤は、ヒトコロナウイルスの組合せ療法において、その成分の効能を著しく超える高い効能を実証した。
【0042】
研究中に重篤な有害事象は報告されなかった。一部のケースで記録された有害反応の重症度は軽度または中程度であり、ほとんどの場合追加の処置を必要としなかった。
【0043】
【表1】
【0044】
投与されるSARS-CoV-2複製阻害剤とAPRとの有効量は、上記で列挙され、これらの化合物にとって一般的な量である。薬剤成分の臨床的な投薬量は、患者の年齢、性別、体重、および疾患ステータスに応じて変更することができる。成分の有効な比率は、患者に投与しようとする対応する活性成分の有効量によって決定されることになる。
【0045】
ヒトコロナウイルス疾患の組合せ療法で使用される薬剤は、周知の薬物療法剤:アプロテックス、ヴェロナルカップ、インギトリル、コントリカル、コントリセル、トラジロール(登録商標)、インギプロール、アプロチムビン、ゴルドックス(登録商標)、コントリベン、トラスコラン、またはアエルスから選択されるAPRを含有する完成した剤形であってもよい。
【0046】
SARS-CoV-2複製阻害剤は、アビガン、ファビピラビル、アビファビル、アレプリビル、コロナビル、またはファビフルなどのFPVまたはFPVを含有する完成した剤形であってもよい。
【0047】
FPVは、患者に、経口的に投与され、APRおよびRMDは、非経口的に投与される(例えば、静脈内に、皮下に、腹腔内に、吸入によって、スプレーまたは点滴として)。
【0048】
APRの場合、好ましい1日用量は、疾患の重症度および投与経路によって決まり、500,000KIU~1,000,000KIUの範囲で様々である。
【0049】
FPVの場合、好ましい成人用量は、疾患の重症度に応じて、体重<75kgの患者の場合、1日目に1200~1600mgを2回、それに続いて2~10日目に400~600mgを1日2回であり、体重75~90kg(両端の値を含む)の患者の場合、1日目に2000mgを2回、それに続いて2~10日目に800mgを1日2回であり、体重>90kgの患者の場合、1日目に2400mgを2回、2~10日目に1000mgを1日2回である。全ての用量は、44mg/kg~64mg/kgの範囲である。療法期間は、ウイルスの排除が確認された場合、10日またはそれ未満である。
【0050】
RMDの場合、好ましい成人用量は、静脈内に200mgを1日目に1回、それに続いて、静脈内に100mgを1日1回の維持用量(2日目~5または10日目)である。
【0051】
抗コロナウイルス成分の用量の範囲は、緩和しようとする状態の重症度に応じて変更してもよい。それぞれ個々の対象につき、個体の要求および組合せ療法に供される患者を処置したり、または追跡したりする人の専門的な判断に従って、具体的な投薬レジメンおよびスケジュールを長期にわたり調整できることが理解されるものとする。
【0052】
組合せ療法は、逐次的であってもよく、これは、最初に、一方の成分で患者を処置し、次いで、例えば、各処置段階が本発明の異なる成分を含むか、または両方の成分を同時に投与できる場合、別の成分で処置することを意味する。
【0053】
逐次的な療法は、1つの成分での処置の終わりから、第2の成分での処置の開始までに、かなり時間をおいてもよい。両方の成分での同時の処置は、1種の1日用量で行ってもよいし、または異なる用量で行ってもよい。
【0054】
抗コロナウイルス成分であるAPRおよびFPVを治療的に有効な量で含む薬剤がより好ましい。
【0055】
コロナウイルス疾患の組合せ療法のために、併存する治療薬物は、この発明の抗コロナウイルス剤と組み合わせて、それと適合する場合、有用であり得るものを使用することができる。
【0056】
本発明による併存する治療薬物としては、鎮痛薬(アセチルサリチル酸、パラセタモール)、血管強化薬(ジオスミン)、全身性の使用のための抗菌薬(アベロックス、アジスロマイシン、アモキシリン)、酵素阻害剤と組み合わせたアモキシリン(レボフロキサシン、メロペネム、メトロニダゾール、セファゾリン、セフトリアキソン)、全身性作用のための抗ヒスタミン剤、抗凝血剤(フラキシパリン、エノキサパリン)、ベータブロッカー(ビソプロロール、メトプロロール)、カルシウムチャンネル遮断薬(アムロジピン、チフェジピン(tifedipine))、ビタミン(アスコルビン酸、ビタミンC)、脂質低下薬(ロスバスタチン)、利尿薬(スピロノラクトン、ヒポチアジド(hypothyazide)、インダパミド、フロセミド)、免疫抑制剤(トシリズマブ、エタネルセプト)、全身性の使用のためのコルチコステロイド(デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン)、血漿交換および灌流溶液(グルコース、塩化ナトリウム、ステロファンディン(sterofundin)等張液)、胃酸の異常に関連する疾患の処置のための薬物(オメプラゾール)、心疾患の処置のための薬物(カルディケット(cardiket)、ニトログリセリン)、甲状腺疾患の処置のための薬物(L-チロキシン)、閉塞性呼吸器疾患の処置のための薬物(フェノテロール)、レニン-アンジオテンシン系に影響を与える薬物(バルサルタン、ロサルタン、ロリスタ、エナラプリル)、全身性の使用のための抗ウイルス薬(ロピナビル、リトナビル)、止瀉剤(アシポール(Acipol)、ディオスメクチトール(diosmectitol)、スルファサラジン(sulfosalazine))、鎮咳薬および風邪の処置のための療法剤(アンブロキソール、アセチルシステイン、ムカルチン(mucaltin))、抗腫瘍性ホルモン薬(タモキシフェン)、胃腸疾患および代謝性疾患の処置のための他の薬物(アデメチオニン)、糖尿病の処置のための薬物(アピドラ(apidra)、レベミル、メトホルミン、ノボミックス)などが挙げられる。
【0057】
この発明は、これらに限定されないが、以下の実施例によって例示される。
【実施例1】
【0058】
実施例1.中程度のCOVID-19および臨床ステータス4で入院した患者におけるこの発明の組合せ剤での処置の効能
この臨床研究では、別々に静脈内APRおよび経口FPVを受けた、中程度のCOVID-19および臨床ステータス4で入院した10人の患者を扱った。表2に、患者の人口統計学的特徴および他のベースラインの特徴を示す。
【0059】
【表2】
【0060】
臨床治験は、臨床治験プロトコールに従って、ロシアのスモレンスク診療所で実行された。
【0061】
基本の目標:以下のパラメーターを使用して、COVID-19および臨床ステータス4で入院した患者における抗コロナウイルス剤(静脈内APR+経口FPV)の効能を評価し比較すること:
・10日目までのSARS-CoV-2ウイルスの排除にかかる時間;
・10日目までのCRP正常化にかかる時間;
・10日目までのDダイマー正常化にかかる時間。
【0062】
追加の目的:COVID-19で入院した患者における以下の薬物の効能および安全性のパラメーターの評価:
・体温の正常化にかかる時間(<37℃);
・ベースライン値に対する4日目、5日目、6日目、10日目、および14日目における実験パラメーターにおける変化の動力学:総血球数(好中球、白血球の数、およびそれらの比率、血小板の数)、CRP、凝固グラフ(Dダイマー、フィブリノーゲン、クイック値、INR);
・ベースライン値に対する4日目、5日目、6日目、10日目および14日目における実験パラメーターにおける変化の動力学:総血球数(好中球および白血球の数ならびにそれらの比率、血小板の数)、CRP、凝固グラフ(Dダイマー、フィブリノーゲン、クイック値、INR);
・臨床的改善の順序尺度における2ポイントでの臨床ステータス改善の頻度または14日目前の病院からの退院;
・集中治療室(ICU)への移動の頻度、非侵襲的換気(NIV)の頻度、人工肺換気(ALV)の頻度、および死亡率;
・自覚症状、身体検査、生命徴候、実験室試験、およびECGに基づく様々な重症度の有害事象(AE)および重篤な有害事象(SAE)の頻度。
【0063】
研究設計:
10人全ての患者が組合せ薬物を受けた(表3)。錠剤でのFPVに加えて、患者の状態に応じて、500,000KIU~1,000,000KIUのAPRを、5日間にわたり1日1回、点滴によって静脈内投与した(15~20分間ゆっくり):75kg未満の体重の患者の場合、状態に応じて、1日目に、1200~1600mgを2回、それに続いて、2~10日目に、400~600mgを1日2回;体重75kg~90kgの患者の場合(両端の値を含む)、1日目に、2000mgを2回、それに続いて、2~10日目に、800mgを1日2回;90kgを超える体重の患者の場合、1日目に、2400mgを2回、次いで2~10日目に、1000mgを1日2回(表3)。
【0064】
【表3】
【0065】
患者の状態に応じて、COVID-19疾患と併存して、患者は、それぞれの併存する療法を受けた(表4)。
【0066】
【表4】
【0067】
表1に、この発明の組合せ剤で処置した、中程度のCOVID-19、臨床ステータス4で入院した患者の治癒速度を示す。
【実施例2】
【0068】
実施例2.臨床ステータス4で入院したCOVID-19患者に適用したファビピラビル(FPV)での処置の効能。
【0069】
この臨床研究では、経口FPVを受けた11人の患者を扱った。治験は、臨床治験プロトコールに従って、ロシアのスモレンスク診療所で実行された。治験は、全ての試験で、全ての患者に対して同一のプロトコールを使用した。表5に、患者の人口統計学的な特徴および他のベースラインの特徴を示す。
【0070】
【表5】
【0071】
基本の目標:COVID-19および臨床ステータス4で入院した患者におけるファビピラビル(FPV)の効能を評価するために、以下のパラメーターを使用した:
・10日目までのSARS-CoV-2ウイルスの排除にかかる時間;
・10日目までのCRP正常化にかかる時間。
【0072】
・追加の目的は、実施例1の場合と同じである。
【0073】
研究設計:
全ての11人の患者が、以下のように経口FPVを錠剤の形態で受けた:75kg未満の体重の患者の場合、患者の状態に応じて、1日目に、1200~1600mgを2回、それに続いて、2~10日目に、400~600mgを1日2回;体重75kg~90kgの患者の場合(両端の値を含む)、1日目に、2000mgを2回、それに続いて、2~10日目に、800mgを1日2回;90kgを超える体重の患者の場合、1日目に、2400mgを2回、それに続いて、2~10日目に、1000mgを1日2回(表6)。
【0074】
【表6】
【0075】
患者の状態に応じて、COVID-19疾患と併存して、患者は、それぞれの併存する療法を受けた(表7)。
【0076】
【表7】
【0077】
表1に、ファビピラビルで処置したCOVID-19で入院した臨床ステータス4の患者の治癒速度を示す。
【実施例3】
【0078】
実施例3.COVID-19および臨床ステータス4で入院した患者に適用されたアプロチニン(APR)での処置の効能。
【0079】
この臨床研究では、IV APRを受けた10人の患者を扱った。表8に、患者の人口統計学的な特徴および他のベースラインの特徴を示す。
【0080】
【表8】
【0081】
臨床治験は、臨床治験プロトコールに従って、ロシアのスモレンスク診療所で実行された。治験は、全ての試験で、全ての患者に対して同一のプロトコールを使用した。
【0082】
基本の目標:臨床ステータス4で入院したCOVID-19患者におけるIV APRの効能を評価するために、以下のパラメーターを使用した:
・10日目までのSARS-CoV-2ウイルスの排除にかかる時間;
・10日目までのCRP正常化にかかる時間;
・10日目までのDダイマー正常化にかかる時間。
【0083】
追加の目的:実施例1の場合と同じ。
【0084】
研究設計:
10人全ての患者が、1,000,000KIUのAPRを、3日間にわたり1日1回、点滴によって静脈内で投与された(15~20分間ゆっくり)(表9)。
【0085】
【表9】
【0086】
患者の状態に応じて、COVID-19疾患と併存して、患者は、それぞれの併存する療法を受けた(表10)。
【0087】
【表10】
【0088】
表1に、アプロチニンで処置した、COVID-19で入院した臨床ステータス4の患者の治癒速度を示す。
【実施例4】
【0089】
実施例4.コロナウイルス疾患の組合せ療法のための薬物のキット。
【0090】
コロナウイルス疾患の組合せ療法のための薬物のキットは、外部要因から薬物を保護する包装に入れられた、必要な治療的に有効な量および比率(表2)での完成した薬物で構成され、さらに使用説明書を含有する。APR凍結乾燥物を、以下のAPR:アプロテクス(Aproteks)、インギトリル、コントリカル(Kontrikal)、コントリセルを含有する完成した医薬品として;注射および輸注のための溶液として[トラジロール(登録商標)、インギプロール、アプロチムビン、ゴルドックス(登録商標)、コントリベン、トラスコラン(Traskolan)];または吸入のためのエアロゾルとして[アエルス;およびそれらのアナログ]使用した。FVPを含有する完成した医薬品として、アビガン、アビファビル、ファビピラビル、コロナビル、ファビフルおよびそれらのアナログを使用した。[https://myhep.com.ua/preparaty/oncology/fabiflu/]。
【0091】
【表11-1】
【0092】
【表11-2】
【0093】
臨床研究は、以下を含むCOVIDで入院した患者の3つのグループで構成された:静脈内APR+経口FPを受けた10人の患者(グループ1)、経口FPを受けた11人の患者(グループ2)、静脈内APRを受けた10人の患者(グループ3)。患者は、キット番号1~番号3の組み合わされた薬剤を受けた。表に、患者の人口統計学的および他のベースラインの特徴を提示する。表1に、COVID-19および臨床ステータス4を有する入院患者の、この発明の抗コロナウイルス剤と組み合わされた処置の効能およびその成分を示す。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、医薬および獣医学分野で使用することができる。
【国際調査報告】