(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】四環系誘導体、その製造方法及びその医薬用途
(51)【国際特許分類】
C07D 471/22 20060101AFI20230906BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20230906BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230906BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230906BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C07D471/22 CSP
A61K31/4985
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512802
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 CN2021113452
(87)【国際公開番号】W WO2022037630
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202010847583.7
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011277650.2
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110323813.4
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110543513.7
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110816014.0
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510116819
【氏名又は名称】浙江海正薬業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang Hisun Pharmaceutical CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.46 Waisha Road,Jiaojiang District,Taizhou,Zhejiang 318000,P.R.China
(71)【出願人】
【識別番号】521508896
【氏名又は名称】上海昂睿医薬技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai Aryl Pharmtech Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building 3, 301 Minqiang Road, Songjiang, Shanghai, 201612, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳友喜
(72)【発明者】
【氏名】程超英
(72)【発明者】
【氏名】▲こん▼亮
(72)【発明者】
【氏名】毛文涛
(72)【発明者】
【氏名】向清
(72)【発明者】
【氏名】趙偉峰
(72)【発明者】
【氏名】趙▲うぇん▼▲うぇん▼
(72)【発明者】
【氏名】和燕玲
(72)【発明者】
【氏名】朱明江
(72)【発明者】
【氏名】叶成
(72)【発明者】
【氏名】胡泰山
(72)【発明者】
【氏名】銭文建
(72)【発明者】
【氏名】陳磊
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB12
4C065CC06
4C065DD05
4C065EE04
4C065HH02
4C065JJ02
4C065KK02
4C065KK04
4C065KK09
4C065LL04
4C065PP03
4C065PP05
4C065PP12
4C065PP17
4C065QQ05
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB01
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、四環系誘導体、その製造方法及びその医薬用途に関する。具体的には、本発明は、一般式(I)で表される四環系誘導体、その製造方法及びその薬学的に許容される塩、ならびに治療剤として、特にK-Ras GTPアーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関する。ただし、一般式(I)における各置換基の定義は、明細書における定義と同じである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)で表される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【化1】
(式中、
Eは
【化2】
からなる群より選択され、
Lは、化学結合又はC
1~C
6のアルキレン基からなる群より選択され;ただし、前記アルキレン基は、アルキル基、ハロゲン及びヒドロキシ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;好ましくは、Lは、化学結合、-CH
2-、-CH
2CH
2-又は-CH(CH
3)-からなる群より選択され;より好ましくは、Lは化学結合であり、
X及びYは、それぞれ独立してN及びCR
cからなる群より選択され、
Zは、O及びNR
6からなる群より選択され、
環Aは、5~8員の単環式ヘテロシクリル基及び5~10員の橋かけヘテロシクリル基からなる群より選択され;ただし、前記単環式ヘテロシクリル基又は橋かけヘテロシクリル基は、1つ又は複数のN、O又はS(O)
rを含み、
環Bは、2つの窒素原子を含む4~12員の複素環であり、
環Cは、アリール基、ヘテロアリール基及び縮合環からなる群より選択され、
R
aは、水素原子及びフッ素からなる群より選択され、
R
bは、水素原子、-CH
2F、-CHF
2、
【化3】
からなる群より選択され、
R
cは、水素原子、ハロゲン、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基又はアルコキシ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;R
cは、ハロゲンであることが好ましく、フッ素又は塩素であることがより好ましく、
R
1は、水素原子、ハロゲン、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基又はアルコキシ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;好ましくは、R
1は水素原子であり、
R
2は、同一または異なって、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-OR
7、-C(O)R
7、-C(O)OR
7、-NHC(O)R
7、-NHC(O)OR
7、-NR
8R
9、-C(O)NR
8R
9、-CH
2NHC(O)OR
7、-CH
2NR
8R
9及び-S(O)
rR
7からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、アルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-OR
7、-C(O)R
7、-C(O)OR
7、-NHC(O)R
7、-NHC(O)OR
7、-NR
8R
9、-C(O)NR
8R
9、-CH
2NHC(O)OR
7、-CH
2NR
8R
9及び-S(O)
rR
7からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され、
R
3は、アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基は、1つ又は複数のR
Aで任意選択的にさらに置換され;好ましくは、R
3はヘテロアリール基であり;
R
Aは、同一または異なって、それぞれ独立して、アルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-OR
7、-C(O)R
7、-C(O)OR
7、-NHC(O)R
7、-NHC(O)OR
7、-NR
8R
9、-C(O)NR
8R
9、-CH
2NHC(O)OR
7、-CH
2NR
8R
9及び-S(O)
rR
7からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、アルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-OR
7、-C(O)R
7、-C(O)OR
7、-NHC(O)R
7、-NHC(O)OR
7、-NR
8R
9、-C(O)NR
8R
9、-CH
2NHC(O)OR
7、-CH
2NR
8R
9及び-S(O)
rR
7からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;ただし、少なくとも1つのR
Aは-S(O)
rR
7であり;好ましくは、R
3は2つのR
Aで置換されたヘテロアリール基であり(ただし、1つのR
Aはアルキル基であり、もう1つのR
Aは-S(O)
rR
7である)、
R
4は、同一または異なって、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、重水素化アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R
7、-C(O)OR
7、-OC(O)R
7、-NR
8R
9、-C(O)NR
8R
9、-SO
2NR
8R
9及び-NR
8C(O)R
9からなる群より選択され;好ましくは、R
4は、水素原子、メチル基、重水素化メチル基又は=Oであり、
R
5は、同一または異なって、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択され、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、
R
6は、水素原子、アルキル基、-C(O)R
13及び-S(O)
2R
13からなる群より選択され、
R
7は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R
10、-C(O)OR
10、-OC(O)R
10、-NR
11R
12、-C(O)NR
11R
12、-SO
2NR
11R
12及び-NR
11C(O)R
12からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され、
R
8及びR
9は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R
10、-C(O)OR
10、-OC(O)R
10、-NR
11R
12、-C(O)NR
11R
12、-SO
2NR
11R
12及び-NR
11C(O)R
12からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;
或いは、R
8及びR
9は、それらが連結している原子とともに4~8員のヘテロシクリル基を形成し;ただし、前記4~8員のヘテロシクリル基は1つ又は複数のN、O又はS(O)
rを含有し、かつ、前記4~8員のヘテロシクリル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R
10、-C(O)OR
10、-OC(O)R
10、-NR
11R
12、-C(O)NR
11R
12、-SO
2NR
11R
12及び-NR
11C(O)R
12からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され、
R
10、R
11及びR
12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アミノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基及びカルボン酸エステル基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され、
R
13は、アルキル基であり、メチル基であることが好ましく、
nは、0、1、2又は3であり、
pは、0、1又は2であり、
qは、0、1又は2であり、
rは、0、1又は2である。)
【請求項2】
下記の一般式(II)で表される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【化4】
(式中、
Gは、O、C=O及びCR
dR
eからなる群より選択され、
Wは、NR
f、O及びCR
dR
eからなる群より選択され、
条件として、GがOである場合、WはCR
dR
eであり;WがNR
fである場合、GはC=Oであり、
R
dとR
eは、同一または異なって、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択され、好ましくは水素原子であり、
R
fは、水素原子、アルキル基及び重水素化アルキル基からなる群より選択され、好ましくはアルキル基又は重水素化アルキル基であり、より好ましくはメチル基又は重水素化メチル基であり、
R
5は、水素原子又はアルキル基であり;ただし、前記アルキル基は好ましくはメチル基であり、
環C、R
2、R
3、R
c、E、L及びnの定義は、請求項1で記載されている通りである。)
【請求項3】
下記の一般式(III)又は(IV)で表される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩である、請求項2に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【化5】
(式中、環C、R
2、R
3、R
5、R
c、E、L、G、W及びnの定義は、請求項2で記載されている通りである。)
【請求項4】
下記の一般式(V)又は(VI)で表される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【化6】
(式中、
R
gは、水素原子、アルキル基及び-SR
7からなる群より選択され、好ましくはメチル基又は-S-CH
3であり、
R
hは水素原子又は、アルキル基であり好ましくはメチル基又はイソプロピル基であり、
R
4はアルキル基及び重水素化アルキル基からなる群より選択され好ましくはメチル基又は重水素化メチル基であり、
R
7は、アルキル基であり、好ましくはメチル基であり、
環C、R
2、R
5、R
c、E及びnの定義は、請求項2で記載されている通りである。)
【請求項5】
Eが、
【化7】
からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
環Cは、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基及びベンゾピラゾリル基からなる群より選択され、好ましくはフェニルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
【化8】
が、
【化9】
からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
cは、ハロゲンであり、好ましくはフッ素又は塩素である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R
2が、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基及び-NR
8R
9からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、アルコキシ基又はシクロアルキル基が、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基及び-NR
8R
9からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され、
R
8及びR
9の定義が、請求項1で記載されている通りである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R
2は、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ基、アミノ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基及び
【化10】
からなる群より選択され、好ましくはヒドロキシ基又はフッ素である、請求項9に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R
3が、
【化11】
からなる群より選択される、
(式中、R
jは、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、-SR
7、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基からなる群より選択され、かつ、少なくとも1つのR
jは-SR
7であり;R
jは、好ましくはアルキル基または-SR
7であり、より好ましくはメチル基、エチル基又はイソプロピル基であり、
R
7は、アルキル基であり、好ましくはメチル基であり、
kは、0、1、2、3、4又は5である。)
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
1つのR
jは、-SR
7であり、
もう1つのR
jは、アルキル基であり;ただし、前記アルキル基は、好ましくはメチル基、エチル基又はイソプロピル基であり、より好ましくはイソプロピル基であり、
R
7は、アルキル基であり;好ましくは、R
7はメチル基であり、
kは2である、請求項11に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
R
3が、
【化12】
からなる群より選択される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
R
4は、アルキル基及び重水素化アルキル基からなる群より選択され、好ましくはメチル基又は重水素化メチル基である、請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
GがOであり、WがCH
2である、請求項2~3のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
GがCH
2であり、WがOである、請求項2~3のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
GがC=Oであり、WがNCH
3である、請求項2~3のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
R
5が水素原子又はメチル基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
Lが、化学結合、-CH
2-、-CH
2CH
2-及び-CH(CH
3)-からなる群より選択され、
より好ましくは、Lが化学結合である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
前記化合物が、
【化13】
である、請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
【化14】
上記の一般式(IA)の化合物を上記の一般式(IB)の化合物と塩基性条件下で反応させ、さらに任意選択的に保護基を除去することにより上記の一般式(I)の化合物を得る工程を含む(式中、X
1は脱離基であり、好ましくは塩素であり、環A、環B、環C、R
1~R
5、X、Y、Z、E、L、n、p及びqの定義は、請求項1で記載されている通りである。)、請求項1に記載の一般式(I)の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩を製造する方法。
【請求項22】
下記の一般式(IA)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体その薬学的に許容される塩。
【化15】
(式中、環A、環B、環C、R
1~R
5、X、Y、Z、L、n、p及びqの定義は、請求項1で記載されている通りである。)
【請求項23】
前記化合物が、
【化16】
である、請求項22に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
有効量の請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩と、
薬学的に許容される担体、賦形剤又はそれらの組み合わせとを含有する、医薬組成物。
【請求項25】
K-Ras GTPアーゼ阻害剤(K-Ras GTPアーゼ阻害剤は、好ましくはKRAS G12C阻害剤である)の製造における、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩、或いは請求項24に記載の医薬組成物の使用。
【請求項26】
KRAS変異によって媒介される疾患を治療するための医薬品の製造における請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩、或いは請求項24に記載の医薬組成物の使用であって、
前記KRAS変異によって媒介される疾患は、好ましくはがんであり、
ただし、前記がんは、好ましくは膵臓がん、結腸直腸癌、肺癌、多発性骨髄腫、子宮癌、胆管癌、胃癌、膀胱癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、横紋筋肉腫、皮膚有棘細胞癌、子宮頸癌、および精巣胚細胞癌からなる群より選択され、より好ましくは膵臓がん、結腸直腸癌及び肺癌であり、
ただし、前記KRAS変異は、好ましくはKRAS G12C変異である、使用。
【請求項27】
がんを治療するための医薬品の製造における、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩、或いは請求項24に記載の医薬組成物の使用であって、
前記がんは、膵臓がん、結腸直腸癌、肺癌、多発性骨髄腫、子宮癌、胆管癌、胃癌、膀胱癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、横紋筋肉腫、皮膚有棘細胞癌、子宮頸癌、精巣胚細胞癌からなる群より選択され、好ましくは膵臓がん、結腸直腸癌、又は肺癌である、使用。
【請求項28】
前記肺癌が非小細胞肺癌である、請求項26又は27に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本出願は、以下の中国特許出願の優先権を主張する。
1)発明の名称「四環系誘導体及びその製造方法と医薬用途」である2020年8月21日に中国特許庁に出願された中国特許出願202010847583.7
2)発明の名称「四環系誘導体、その製造方法及びその医薬用途」である2020年11月16日に中国特許庁に出願された中国特許出願202011277650.2
3)発明の名称「四環系誘導体、その製造方法及びその医薬用途」である2021年3月26日に中国特許庁に出願された中国特許出願202110323813.4
4)発明の名称「四環系誘導体、その製造方法及びその医薬用途」である2021年5月19日に中国特許庁に出願された中国特許出願202110543513.7
5)発明の名称「四環系誘導体、その製造方法及びその医薬用途」である2021年7月20日に中国特許庁に出願された中国特許出願202110816014.0
上記優先権出願のそれぞれの内容は、援用により全体として本明細書に組み込まれる。
本発明は、四環系誘導体、その製造方法及びその誘導体を含む医薬組成物、ならびに治療剤として、特にK-Ras GTPアーゼ阻害剤としてのそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
RASは、189個アミノ酸を有し、原形質膜と結合し、GDP又はGTPに結合する一連の関連する単量体球状タンバク質(21kDa分子量)を表す。正常な発達や生理学的条件下では、RASは成長因子やその他の様々な細胞外シグナルを受け取ることにより活性化され、細胞の成長、生存、移動及び分化などの機能の調節を担っている。RASは分子スイッチとして機能し、アクティブなシグナル伝達立体配座がGTPに結合し、非アクティブな立体配座がGDPに結合するように、RASタンパク質のオン/オフ状態がヌクレオチドへの結合により決定される。RASは結合されたGDPを含む場合、休眠又は静止又はオフ状態にあり、「非アクティブ」である。細胞が特定の成長促進刺激物に曝露されて応答する際、RASは誘導され、それに結合されたGDPをGTPに変換する。GTPが結合されると、RASは「オン」になり、他のタンパク質(その「下流のターゲット」)と相互作用して他のタンパク質を活性化させることができる。RASタンパク質自体は、GTPを加水分解してGDPに戻すことにより自身をオフ状態にする極めて低い固有の能力を持っている。RASをオフに変換するには、RASと相互作用し、GTPからGDPへの変換を大幅に促進するGTPアーゼ活性化タンパク質(GAPs)と呼ばれる外因性タンパク質が必要である。GAPと相互作用し、またGTPをGDPに変換する能力に影響を与えるいずれかのRASの変異は、延長された前記タンパク質の活性化を引き起こし、そして成長と分裂を続けるように細胞に伝える延長されたシグナルが生じた。このように、これらのシグナルにより細胞が成長および分裂するので、過度に活性化されたRASシグナル伝達は最終的にがんにつながる恐れがある。
【0003】
構造的に、RASタンパク質には、グアニンヌクレオチドの結合と加水分解(GTPアーゼ反応)であるRASの酵素活性を担うGドメインが含まれ、またCAAXボックスと呼ばれるC端延長領域も含まれる。C端延長領域が翻訳されて修飾されたタンパク質が膜に標的化される可能性がある。Gドメインは約21~25kDaのサイズであり、リン酸結合ループ(P-ループ)を含む。P-ループは、ヌクレオチドに結合するタンパク質のポケットを表し、ヌクレオチドの結合と加水分解に必要な保存性アミノ酸残基(グリシン12、スレオニン26及びリジン16)を持つドメインの剛性部分である。Gドメインは、いわゆるスイッチI領域(残基30~40)とスイッチII領域(残基60~76)をさらに含む。I領域とII領域ともタンパク質の動的部分であり、この動的部分は、静止状態と負荷状態の間で変換する能力を持つため、「ばね仕掛け」メカニズムと呼ばれることがよくある。主な相互作用としては、スレオニン-35とグリシン-60およびGTPのγ-リン酸により形成される水素結合であり、スイッチI領域及びスイッチII領域をそれぞれアクティブな立体配座を維持する。GTPが加水分解されてリン酸塩が放出された後、この二つの領域は非アクティブなGDP立体配座に緩和された。
【0004】
RASファミリーのメンバーの中で、KRAS(85%)は最も発癌性変異に見られ、NRAS(12%)およびHRAS(3%)はあまり見られない。KRAS変異は、米国で最も死亡率の高い3種類のがんである膵臓がん(95%)、結腸直腸癌(45%)及び肺癌(25%)でよく見られ、多発性骨髄腫、子宮癌、胆管癌、胃癌、膀胱癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、横紋筋肉腫、皮膚有棘細胞癌、子宮頸癌、精巣胚細胞癌などを含む他の種類のがんでもKRAS変異が見られるが、乳がん、卵巣がん及び脳腫瘍ではめったに見られない(<2%)。非小細胞肺癌(NSCLC)で、KRAS G12Cは最も一般的な変異であり、KRAS変異のほぼ半分を占め、続いてよく見られる変異はG12V及びG12Dである。非小細胞肺癌では、特定の対立遺伝子の変異頻度の増加は、喫煙により誘発された代表的な変異(G:CからT:Aへの置換)に起因することが多く、KRAS G12C(GGTからTGTへ)及びG12V(GGTからGTTへ)変異をもたらす。
【0005】
大規模なゲノム研究により、G12Cを含む肺癌KRAS変異は、NSCLCにおける他の既知のドライバー発癌性変異(EGFR、ALK、ROS1、RET及びBRAFを含む)と相互的に排他的であり、肺癌におけるKRAS変異の独自性が示されている。一方、KRAS変異は、STK11、KEAP1及びTP53などの特定の共変異と同時に発生することが多く、それらは変異したRASと協力して細胞を非常に悪性かつ攻撃的な腫瘍細胞に変換する。
【0006】
この3つのRAS癌遺伝子は、ヒトのがんで最も頻繁に変異する遺伝子ファミリーを構成している。残念なことに、30年以上の研究努力にもかかわらず、臨床的に有効な抗RAS療法はまだなく、小分子を使用してこの遺伝子を標的とすることは挑戦である。従って、当技術分野では、RAS(例えば、K-RAS、H-RAS及び/又はN-RAS)を標的とし、それを用いてがんなどの様々な疾患を治療するための小分子が緊急に必要とされている。
【0007】
現在、KRAS阻害剤の臨床開発競争は国内外で激しく、その中で、Mirati Therapeutics Inc社が開発したKRASアーゼ阻害剤であるMRTX-849は、進行性固形腫瘍、転移性結腸・直腸癌及び転移性非小細胞肺癌などの疾患の予防と治療のための第II相臨床試験に入った。AMG-510(アムジェン社、phase3)を含む他のKRAS阻害剤も開発中である。初期の臨床研究により、KRAS阻害剤が非小細胞肺癌患者の疾患進行を制御して緩和し、進行性肺癌及び大腸癌患者の腫瘍サイズを低下させることができることが示されている。現在、WO2020047192、WO2019099524及びWO2018217651などを含む一連のKRAS阻害剤に関する特許出願が公表されている。KRAS阻害剤の研究と応用がある程度進んでいるが、既存のKRAS阻害剤は、有効性と安全性の面でまだ満足のいくものではなく、改善の余地がまだ大きく、新たなKRAS阻害剤の研究と開発を続ける必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、下記一般式(I)で表される四環系誘導体、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩が、有効なKRAS阻害剤として使用でき、良好な有効性及び安全性を有することを研究の中で意外に見出した。
【0009】
そこで、第1の態様においては、本発明は、下記の一般式(I)で表される四環系誘導体、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩を提供し、
【0010】
【0011】
式中、
【0012】
【0013】
Lは、化学結合及びC1~C6のアルキレン基からなる群より選択され;ただし、前記アルキレン基は、アルキル基、ハロゲン及びヒドロキシ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;好ましくは、Lは、化学結合、-CH2-、-CH2CH2-又は-CH(CH3)-からなる群より選択され;より好ましくは、Lは化学結合であり、
X及びYは、それぞれ独立して、N又はCRcからなる群より選択され、
Zは、O及びNR6からなる群より選択され、
【0014】
環Aは、5~8員の単環式ヘテロシクリル基及び5~10員の橋かけヘテロシクリル基からなる群より選択され;ただし、前記単環式ヘテロシクリル基又は橋かけヘテロシクリル基は、1つ又は複数のN、O又はS(O)rを含み、
環Bは、2つの窒素原子を含む4~12員の複素環であり、
環Cは、アリール基、ヘテロアリール基及び縮合環からなる群より選択され、
【0015】
Raは、水素原子及びフッ素からなる群より選択され、
【0016】
【0017】
Rcは、水素原子、ハロゲン、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基又はアルコキシ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;Rcは、好ましくはハロゲンであり、より好ましくはフッ素又は塩素であり、
【0018】
R1は、水素原子、ハロゲン、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基又はアルコキシ基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;R1は、好ましくは水素原子であり、
【0019】
R2は同一または異なって、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-NHC(O)R7、-NHC(O)OR7、-NR8R9、-C(O)NR8R9、-CH2NHC(O)OR7、-CH2NR8R9及び-S(O)rR7からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、アルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、オキソ基(=O)、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-NHC(O)R7、-NHC(O)OR7、-NR8R9、-C(O)NR8R9、-CH2NHC(O)OR7、-CH2NR8R9及び-S(O)rR7からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され、
【0020】
R3は、アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基は、1つ又は複数のRAで任意選択的にさらに置換され;R3は、好ましくはヘテロアリール基であり、
【0021】
RAは、同一または異なって、それぞれ独立して、アルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-NHC(O)R7、-NHC(O)OR7、-NR8R9、-C(O)NR8R9、-CH2NHC(O)OR7、-CH2NR8R9及び-S(O)rR7からなる群より選択され、ただし、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、アルキル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-OR7、-C(O)R7、-C(O)OR7、-NHC(O)R7、-NHC(O)OR7、-NR8R9、-C(O)NR8R9、-CH2NHC(O)OR7、-CH2NR8R9及び-S(O)rR7からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;ただし、少なくとも1つのRAは-S(O)rR7であり;好ましくは、R3は2つのRAでさらに置換されたヘテロアリール基であり、ただし、1つのRAは、アルキル基であり、もう1つのRAは-S(O)rR7からなる群より選択され、
【0022】
R4は、同一または異なって、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、重水素化アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R7、-C(O)OR7、-OC(O)R7、-NR8R9、-C(O)NR8R9、-SO2NR8R9又は-NR8C(O)R9からなる群より選択され;好ましくは、R4は、水素原子、メチル基、重水素化メチル基又は=Oであり、
【0023】
R5は、同一または異なって、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択され、好ましくは、水素原子又はアルキル基であり、
R6は、水素原子、アルキル基、-C(O)R13及び-S(O)2R13からなる群より選択され、
R7は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R10、-C(O)OR10、-OC(O)R10、-NR11R12、-C(O)NR11R12、-SO2NR11R12及び-NR11C(O)R12からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され、
【0024】
R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R10、-C(O)OR10、-OC(O)R10、-NR11R12、-C(O)NR11R12、-SO2NR11R12及び-NR11C(O)R12からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;
【0025】
或いは、R8及びR9は、それらが連結している原子とともに4~8員のヘテロシクリル基を形成し;ただし、前記4~8員のヘテロシクリル基は1つ又は複数のN、O又はS(O)rを含有し、かつ前記4~8員のヘテロシクリル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R10、-C(O)OR10、-OC(O)R10、-NR11R12、-C(O)NR11R12、-SO2NR11R12及び-NR11C(O)R12からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され、
【0026】
R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アミノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基及びカルボン酸エステル基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され、
R13はアルキル基であり、好ましくはメチル基であり、
【0027】
nは、0、1、2又は3であり、
pは、0、1又は2であり、
qは、0、1又は2であり、
rは、0、1又は2でありる。
【0028】
本発明の好適な実施形態においては、一般式(I)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩は、下記の一般式(II)で表される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩であり、
【0029】
【0030】
式中、
Gは、O、C=O及びCRdReからなる群より選択され、
Wは、NRf、O及びCRdReからなる群より選択され、
条件としては、GがOである場合、WはCRdReであり;WがNRfである場合、GはC=Oであり、
Rd及びReは、同一または異なって、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択され、好ましくは水素原子であり、
Rfは、水素原子、アルキル基及び重水素化アルキル基からなる群より選択され、好ましくはアルキル基又は重水素化アルキル基であり、より好ましくはメチル基又は重水素化メチル基であり、
R5は、水素原子又は、アルキル基であり;ただし、前記アルキル基は好ましくはメチル基であり、
環C、R2、R3、Rc、E、L及びnの定義は、一般式(I)で記載されている通りである。
【0031】
本発明の好適な実施形態においては、一般式(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩は、下記の一般式(III)又は(IV)で表される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩であり、
【0032】
【0033】
式中、環C、R2、R3、R5、Rc、E、L、G、W及びnの定義は、一般式(II)で記載されている通りである。
【0034】
本発明の好適な実施形態においては、一般式(I)又は(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩は、下記の一般式(V)又は(VI)で表される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩であり、
【0035】
【0036】
式中、
Rgは、水素原子、アルキル基及び-SR7からなる群より選択され、好ましくはメチル基又は-S-CH3であり、
Rhは、水素原子又はアルキル基であり、好ましくはメチル基又はイソプロピル基であり、
R4は、アルキル基及び重水素化アルキル基からなる群より選択され、好ましくはメチル基又は重水素化メチル基であり、
R7は、アルキル基であり、好ましくはメチル基であり、
環C、R2、R5、Rc、E及びnの定義は、一般式(II)で記載されている通りである。
【0037】
本発明の好適な実施形態において、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、
【0038】
【0039】
本発明の好適な実施形態において、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、
【0040】
【0041】
本発明の好適な実施形態において、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、Rcはハロゲンであり、好ましくはフッ素又は塩素である。
【0042】
本発明の好適な実施形態において、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、
R2は、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基及び-NR8R9からなる群より選択され;ただし、前記アルキル基、アルコキシ基又はシクロアルキル基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基及び-NR8R9からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換され;より好ましくは、R2は、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ基、アミノ基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基及び
【0043】
【0044】
からなる群より選択され;さらにより好ましくは、R2はヒドロキシ基又はフッ素であり、
R8及びR9の定義は、一般式(I)で記載されている通りである。
【0045】
本発明の好適な実施形態において、一般式(I)、(II)、(III)又は(IV)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、
R3は、
【0046】
【0047】
式中、
Rjは、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、-SR7ハロアルキル基及びハロアルコキシ基からなる群より選択され、少なくとも1つのRjは-SR7からなる群より選択され;Rjは、好ましくはアルキル基及び-SR7であり、より好ましくはメチル基、エチル基又はイソプロピル基であり、
R7は、アルキル基であり、好ましくはメチル基であり、
kは、0、1、2、3、4又は5であり。
【0048】
本発明の好適な実施形態においては、一般式(I)、(II)、(III)又は(IV)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、
R3は、
【0049】
【0050】
式中、
Rjは、水素原子、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、-SR7ハロアルキル基及びハロアルコキシ基からなる群より選択され、少なくとも1つのRjは-SR7であり;Rjは、好ましくはアルキル基又は-SR7であり、より好ましくはメチル基、エチル基又はイソプロピル基であり、
条件としては、
1つのRjは-SR7であり、
もう1つのRjは、アルキル基であり;ただし、前記アルキル基は、好ましくはメチル基、エチル基又はイソプロピル基であり、より好ましくはイソプロピル基であることであり、
R7は、アルキル基であり;好ましくは、R7はメチル基であり、
kは2である。
【0051】
本発明の好適な実施形態においては、一般式(I)、(II)、(III)又は(IV)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩は、
【0052】
【0053】
本発明の好適な実施形態において、一般式(I)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、R4はアルキル基及び重水素化アルキル基からなる群より選択され、好ましくはメチル基又は重水素化メチル基である。
【0054】
本発明の好適な実施形態において、一般式(II)、(III)又は(IV)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、GがOであり、WがCH2である。
【0055】
本発明の好適な実施形態において、一般式(II)、(III)又は(IV)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、GがCH2であり、WがOである。
【0056】
本発明の好適な実施形態において、一般式(II)、(III)又は(IV)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、GがC=Oであり、WがNCH3である。
【0057】
本発明の好適な実施形態において、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、R5が水素原子又はメチル基である。
【0058】
本発明の好適な実施形態において、一般式(I)、(II)、(III)又は(IV)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、
Lが化学結合、-CH2-、-CH2CH2-および-CH(CH3)-からなる群より選択され;より好ましくは、Lが化学結合である。
【0059】
本発明の好適な実施形態において、一般式(I)、(II)、(III)又は(IV)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、
Lは化学結合であり、かつR3はヘテロアリール基であり、
より好ましくは、Lは化学結合であり、かつR3はメチルチオ基(-S-CH3)で置換されたヘテロアリール基であり、
特に好ましくは、Lは化学結合であり、かつR3はメチルチオ基で置換されたピリジル基であり、
特に好ましくは、Lは化学結合であり、かつR3は
【0060】
【0061】
である。
或いは、本発明の好適な実施形態において、一般式(V)和(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、Rgが-S-CH3である。
【0062】
本発明の好適な実施形態において、一般式(I)、(II)、(III)又は(IV)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩としては、
環Cは二環式ヘテロアリール基又はナフチル基であり、前記二環式ヘテロアリール基又はナフチル基は、ヒドロキシ基又はアミノ基で任意選択的に置換され、
より好ましくは、前記
【0063】
【0064】
本発明の代表的な化合物としては、以下の表に記載されている化合物及びその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない:
【0065】
【0066】
【0067】
注:構造式とその構造式に付けられた名前が一致ではない場合は、構造式が優先する。
【0068】
また、本発明は、
【0069】
【0070】
一般式(IA)の化合物を一般式(IB)の化合物と塩基性条件下で反応させ、任意選択的に保護基をさらに除去し、一般式(I)の化合物を得る工程を含む(式中、X1は脱離基であり、好ましくは塩素であり、環A、環B、環C、R1~R5、X、Y、Z、E、L、n、p及びqの定義は、一般式(I)で記載されている通りである)、一般式(I)の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩を製造する方法を提供する。
【0071】
さらに、本発明は、一般式(IA):
【0072】
【0073】
(式中、環A、環B、環C、R1~R5、X、Y、Z、L、n、p及びqの定義は、一般式(I)で記載されている通りである。)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体その薬学的に許容される塩を提供する。
【0074】
一般式(IA)の代表的な化合物としては、以下の表に記載されている化合物、及びその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
【0076】
別の態様においては、本発明は、有効量の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩と、任意選択的な薬学的に許容される担体、賦形剤又はそれらの組み合わせとを含む医薬組成物を提供する。
【0077】
別の態様においては、本発明は、K-Ras GTPアーゼを阻害する方法を提供し、前記方法は、有効量の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩と、任意選択的な薬学的に許容される担体、賦形剤又はそれらの組み合わせとを含む医薬組成物を対象(患者及び健常被検者を含む)に投与することを含み、K-Ras GTPアーゼは、好ましくはKRAS G12Cアーゼである。
【0078】
また、本発明は、KRAS変異によって媒介される疾患を治療するための医薬品の製造における、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物の使用を提供する。ここで、前記KRAS変異によって媒介される疾患はがんであり、前記がんは、膵臓がん、結腸直腸癌、肺癌、多発性骨髄腫、子宮癌、胆管癌、胃癌、膀胱癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、横紋筋肉腫、皮膚有棘細胞癌、子宮頸癌、及び精巣胚細胞癌からなる群より選択され、好ましくは膵臓がん、結腸直腸癌及び肺癌である。前記肺癌は、好ましくは非小細胞肺癌である。前記KRAS変異は、好ましくはKRAS G12C変異である。
【0079】
別の態様においては、本発明は、K-Ras GTPアーゼ阻害剤の製造における、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物の使用を提供する。K-Ras GTPアーゼ阻害剤は、好ましくはKRAS G12C阻害剤である。
【0080】
本発明の別の態様は、KRAS変異によって媒介される疾患を予防及び/又は治療する方法に関する。該方法は、治療有効量の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオ異性体、ジアステレオ異性体若しくはそれらの混合物の形態若しくはその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物を患者に投与することを含む。ここで、前記KRAS変異は、好ましくはKRAS G12C変異である。
【0081】
また、本発明は、がんを治療するための医薬品の製造における、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)若しくは(VI)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩、或いはその医薬組成物の使用を提供する。前記がんは、膵臓がん、結腸直腸癌、肺癌、多発性骨髄腫、子宮癌、胆管癌、胃癌、膀胱癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、横紋筋肉腫、皮膚有棘細胞癌、子宮頸癌、及び精巣胚細胞癌からなる群より選択され、好ましくは膵臓がん、結腸直腸癌及び肺癌である。ここで、前記肺癌は、好ましくは非小細胞肺癌である。
【0082】
本発明の医薬製剤は、局所、経口、経皮、経直腸、経膣、非経口、鼻腔内、肺内、眼内、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、膀胱内、皮内、腹腔内、皮下、角質下、又は吸入により投与することができる。有効成分を含む医薬組成物としては、錠剤、糖錠剤、トローチ、水若しくは油性懸濁液、分散性粉末、分散性顆粒、エマルジョン、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、又はシロップ剤若しくは錬金薬などの経口投与に適した形態であってもよい。錠剤は、有効成分と、錠剤の製造に適した混合のための非毒性の薬学的に許容される賦形剤とを含んでもよい。
【0083】
本発明の製剤としては、単位用量の形態で存在するのが好適である。前記製剤は、製薬技術において周知の任意の方法により製造することができる。担体物質と組み合わせることにより単一剤形を生成できる有効成分の量は、治療される宿主及び特定の投与様式に応じて変化することができる。担体物質と組み合わせることにより単一剤形を生成できる有効成分の量とは、通常、治療効果を生じることが可能な化合物の量を指す。
【0084】
本発明に係る化合物の局所又は経皮投与のための剤形には、粉末、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液、パッチ及び吸入剤が含まれる。活性化合物は、無菌条件下で薬学的に許容される担体と混合することができ、必要とされる任意の防腐剤、緩衝剤又は推進薬と混合することができる。
【0085】
本発明に係る化合物が医薬品の形態でヒト及び動物に投与される場合、前記化合物は、単独で又は医薬組成物の形態で提供されてもよい。前記医薬組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせる有効成分を例えば0.1%~99.5%(より好ましくは、0.5%~90%)含有することができる。
【0086】
薬学的に許容される担体の例としては、以下に限定されないが、例えば、(1)ラクトースや、グルコース、スクロースなどの糖、(2)コーンスターチやポテトスターチなどのデンプン、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、(4)粉末トラントガム、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)カカオバターや座薬ワックスなどの賦形剤、(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油などの油、(10)プロピレングリコールなどのジオール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱性物質を含まない水(pyrogen-free water)、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液(Ringer’s solution)、(19)エタノール、(20)リン酸緩衝液、(21)シクロデキストリンのようなナノ粒子に連結されている標的化リガンド、例えば、AccurinsTM、及び(22)ポリマーベースの組成物などの医薬製剤に使用される他の非毒性の適合性物質が挙げられる。
【0087】
薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、以下に限定されないが、例えば、(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及びその類似体などの水溶性酸化防止剤、(2)アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール及びその類似体などの油溶性酸化防止剤、及び(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸及びその類似体などの金属キレート剤がが挙げられる。固体剤形(例えば、カプセル剤、トローチ丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤及びその類似体)としては、クエン酸ナトリウムやリン酸二カルシウムなどの1つ又は複数の薬学的に許容される担体、及び/又は(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及/又はケイ酸などの充填剤又は増量剤、(2)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアラビアゴムなどの結合剤、(3)グリセリンなどの保湿剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(5)パラフィンなどの溶解遅延剤、(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(7)セチルアルコール及ステアリン酸モノグリセリドなどの湿潤剤、(8)カオリン及びベントナイトなどの吸収剤、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物などの潤滑剤、及び(10)着色剤のうちの任意の1つを含有することができる。液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及び錬金薬を含有することができる。液体剤形は、有効成分に加えて、当技術分野で一般的に使用される、水又は他の溶媒などの不活性希釈剤;エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、油(特に綿実油、ピーナッツ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフランメタノール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの可溶化剤や乳化剤を含有することができる。
【0088】
懸濁液としては、活性化合物に加えて、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、水酸化アルミニウム酸化物、ベントナイト、寒天及びトラントガム、ならびにそれらの混合物などの懸濁助剤を含有することができる。
【0089】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤及びゲル剤としては、活性化合物に加えて、動物性脂肪及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラントガム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリシロキサン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又はそれらの混合物などの賦形剤を含有することができる。
【0090】
粉末及びスプレー剤としては、活性化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、カルシウムシリケート及びポリアミド粉末又はこれらの混合物などの賦形剤を含有することができる。前記スプレー剤としては、クロロフルオロ炭化水素などの他の通常の推進薬、及びブタンやプロパンなどの揮発性の非置換炭化水素を含有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】
図1は、試験例6において本発明に係る化合物17により処理したNCI-H358細胞異種移植腫瘍を有するBALB/cヌードマウスにおける腫瘍体積の変化図である。
【
図2】
図2は、試験例6において本発明に係る化合物17により処理したNCI-H358細胞異種移植腫瘍を有するBALB/cヌードマウスの体重の変化図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
反対の記載がない限り、明細書及び特許請求の範囲において本発明で使用されるいくつかの用語は、以下のように定義される。
【0093】
「化学結合」とは、示された置換基が存在せず、この置換基の両端が直接連結して化学結合を形成していることを意味する。
【0094】
「アルキル基」とは、基又は基の一部とした場合、C1~C20の直鎖又は分岐鎖を含む脂肪炭化水素基を指す。アルキル基としては、好ましくはC1~C10のアルキル基であり、より好ましくはC1~C6のアルキル基であり、又はC1~C4のアルキル基である。アルキル基の実例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換又は非置換のものであってもよい。
【0095】
「アルケニル基」とは、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素-炭素二重結合からなる上記で定義されるアルキル基を指し、代表的な実例としては、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-、2-又は3-ブテニル基などが挙げられるが、これらに限定されないが。好ましくはC2~C10のアルケニル基であり、より好ましくはC2~C6のアルケニル基であり、最も好ましくはC2~C4のアルケニル基である。アルケニル基は、任意の置換又は非置換のものであってもよい。
【0096】
「アルキニル基」とは、1つの炭素-炭素三重結合を含む脂肪炭化水素基を指し、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。アルキニル基としては、好ましくはC2~C10のアルキニル基であり、より好ましくはC2~C6のアルキニル基であり、最も好ましくはC2~C4のアルキニル基である。アルキニル基の実例としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-、2-又は3-ブチニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、置換又は非置換のものであってもよい。
【0097】
「アルキレン基」とは、二価のアルキル基である。アルキレン基としては、好ましくはC1~C10のアルキレン基であり、より好ましくはC1~C6のアルキレン基であり、特に好ましくはC1~C4のアルキレン基である。アルキレン基の実例としては、メチレン基、エチレン基、-CH(CH3)2、プロピリデン基などが挙げられるが、これらに限定されない。アルキレン基は、置換又は非置換のものであってもよい。
【0098】
「シクロアルキル基」とは、飽和又は部分的に飽和した単環式、縮合多環、橋かけ環及びスピロ環の炭素環を指す。シクロアルキル基としては、好ましくはC3~C12のシクロアルキル基であり、より好ましくはC3~C8のシクロアルキル基であり、最も好ましくはC3~C6のシクロアルキル基である。単環式シクロアルキル基の実例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくはシクロプロピル基、シクロヘキセニル基である。シクロアルキル基は、任意の置換又は非置換のものであってもよい。
【0099】
「ヘテロシクリル基」、「複素環」又は「複素環の」は、本願において互換的に使用でき、環構成原子の1つ又は複数が酸素、窒素、硫黄原子などのヘテロ原子である非芳香族ヘテロシクリル基を指し、単環式、縮合多環、橋かけ環及びスピロ環を含む。5~7員の単環式環又は7~10員の二環式環又は三環式環を有することが好ましく、窒素、酸素及び/又は硫黄からなる群より選択される1、2又は3個の原子を含有することができる。「ヘテロシクリル基」の実例としては、モルホリニル基、オキセタニル基、チオモルホリニル基、テトラヒドロピラニル基、1,1-ジオキソチオモルホリニル基、ピペリジニル基、2-オキソピペリジニル基、ピロリジニル基、2-オキソピロリジニル基、ピペラジン-2-オン、8-オキサ-3-アザ-ビスシクロ[3.2.1]オクチル基及びピペラジニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基は、置換又は非置換のものであってもよい。
【0100】
「アリール基」とは、1つ又は2つの環を含む炭素環式芳香族系を指し、前記環が縮合の方式で連結されることができる。「アリール基」という用語は、フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基の芳香基などの単環式又は二環式のアリール基を含む。好ましくはアリール基はC6~C10のアリール基であり、より好ましくはアリール基はフェニル及びナフチル基である。アリール基は、置換又は非置換のものであってもよい。
【0101】
「ヘテロアリール基」とは、芳香族である5~6員の単環式環又は8~10員の二環式環を指し、窒素、酸素及び/又は硫黄からなる群より選択される1~4個の原子を含有することができる。「ヘテロアリール基」は、好ましくは二環式ヘテロアリール基であり、実例としては、以下に限定されないが、例えば、フラニル基、ピリジル基、2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、チエニル基、イソキサゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3-チアジアゾリル基、ベンゾジオキソリル基、ベンゾチエニル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、1,3-ジオキソ-イソインドリル基、キノリニル基、インダゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイソキサゾリル基、
【0102】
【0103】
が挙げられる。ヘテロアリール基は、置換又は非置換のものであってもよい。
【0104】
「縮合環」とは、2つ以上の環状構造が互いに一対の原子を共有する多環式基であって、そのうちの1つ又は複数の環が1つ又は複数の二重結合を含有することができるが、少なくとも1つの環が完全に共役したπ電子を有しないという芳香族系を指す。ここでは、環原子としては、窒素、酸素又はS(O)r(rは、0、1又は2である。)から選択された0個、1個又はそれ以上のヘテロ原子であり、他の環原子としては炭素である。縮合環としては、好ましくは二環式又は三環式縮合環であり、該二環式縮合環は、好ましくはアリール基又はヘテロアリール基と単環式ヘテロシクリル基又は単環式シクロアルキル基との縮合環である。「縮合環」としては、好ましくは7~14員であり、より好ましくは8~10員であり、実例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
「アルコキシ基」とは、(アルキル基-O-)の基を指す。アルキル基は本明細書で定義されている通りである。好ましくは、C1~C6及びC1~C4のアルコキシ基である。その実例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
「ハロアルキル基」とは、アルキル基が1つ又は複数のハロゲンで任意選択的にさらに置換された基を指し、ただし、アルキル基は本明細書で定義されている通りである。
【0110】
「重水素化アルキル基」とは、アルキル基が1つ又は複数の重水素原子で任意選択的にさらに置換された基を指し、アルキル基は本明細書で定義されている通りである。「重水素化アルキル基」としては、好ましくは、モノ重水素化メチル基、ジ重水素化メチル基、及びトリ重水素化メチル基を含む重水素化メチル基であり、より好ましくはトリ重水素化メチル基である。
【0111】
「ヒドロキシアルキル基」とは、アルキル基が1つ又は複数のヒドロキシ基で任意選択的にさらに置換された基を指し、ただし、アルキル基は本明細書で定義されている通りである。
【0112】
「ハロアルコキシ基」とは、(アルキル基-O-)のアルキル基が1つ又は複数のハロゲンで任意選択的にさらに置換された基を指し、ただし、アルコキシ基は本明細書で定義されている通りである。
【0113】
「ヒドロキシ基」とは、-OH基を指す。
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
「アミノ基」とは、-NH2を指す。
「シアノ基」とは、-CNを指す。
「ニトロ基」とは、-NO2を指す。
「ベンジル基」とは、-CH2-フェニル基を指す。
「カルボキシ基」とは、-C(O)OHを指す。
【0114】
「カルボン酸エステル基」とは、-C(O)O-アルキル基又は-C(O)O-シクロアルキル基を指し、ただし、アルキル基、シクロアルキル基の定義は、上記通りである。
【0115】
「DMSO」とは、ジメチルスルホキシドを指す。
「BOC」とは、tert-ブトキシカルボニル基を指す。
「Ts」とは、p-トルエンスルホニルを指す。
「T3P」とは、プロピルリン酸無水物を指す。
「DPPA」とは、ジフェニルホスホリルアジドを指す。
「DEA」とは、ジエチルアミンを指す。
「TFA」とは、トリフルオロ酢酸を指す。
「CaCl2」とは、塩化カルシウムを指す。
「MgCl2」とは、塩化マグネシウムを指す。
「KCl」とは、塩化カリウムを指す。
「NaCl」とは、塩化ナトリウムを指す。
「Glucose」とは、グルコースを指す。
「HEPES」とは、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸を指す。
「EGTA」とは、エチレングリコールビス(2-アミノエチルエーテル)四酢酸を指す。
【0116】
「置換の」とは、原子団内の1つ又は複数の水素原子、好ましくは最大5、より好ましく1~3個の水素原子が、それぞれに独立して、対応する数の置換基で置換されることを意味する。いうまでもなく、置換基はそれらの可能な化学的位置のみにあり、また、その置換が可能なのか又は不可能なのかは、当業者が過度の努力なしに決定(実験又は理論により)できるものである。例えば、遊離水素を有するアミノ基又はヒドロキシ基は不飽和(例えば、オレフィン性)結合を有する炭素原子と結合した場合、不安定となる可能性がある。
【0117】
本明細書に記載されている「置換」又は「置換の」とは、特に断りのない限り、基がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基、アミノ基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、=O、-C(O)R7、-C(O)OR7、-NHC(O)R7、-NHC(O)OR7、-NR8R9、-C(O)NR8R9、-CH2NHC(O)OR7、-CH2NR8R9及び-S(O)rR7からなる群より選択される1つ又は複数の基で置換され得ることを意味する。
【0118】
ここでは、R7は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択される。ただし、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R10、-C(O)OR10、-OC(O)R10、-NR11R12、-C(O)NR11R12、-SO2NR11R12及び-NR11C(O)R12からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換されている。
【0119】
R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択される。ただし、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R10、-C(O)OR10、-OC(O)R10、-NR11R12、-C(O)NR11R12、-SO2NR11R12及び-NR11C(O)R12からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換されている。
【0120】
或いは、R8及びR9は、それらが連結している原子とともに4~8員のヘテロシクリル基を形成する。ただし、4~8員のヘテロシクリル基は、1つ又は複数のN、O又はS(O)rを含み、前記4~8員のヘテロシクリル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、=O、-C(O)R10、-C(O)OR10、-OC(O)R10、-NR11R12、-C(O)NR11R12、-SO2NR11R12及び-NR11C(O)R12からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換されている。
【0121】
R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アミノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選択される。ただし、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、ヒドロキシ基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基及びカルボン酸エステル基からなる群より選択された1つ又は複数の置換基で任意選択的にさらに置換されている。
【0122】
rは、0、1又は2である。
【0123】
本発明に係る化合物は、不斉中心又はキラル中心を含み、従って異なる立体異性体形態で存在し得る。予想されるのは、本発明に係る化合物のすべての立体異性体形態としては、ジアステレオ異性体、エナンチオ異性体、アトロプ異性体(atropisomer)及び幾何(立体配座)異性体、ならびにラセミ体混合物のようなそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。これらのすべての形態は本発明の範囲内である。
【0124】
特に断りのない限り、本発明に記載されている構造は、この構造のすべての異性体(例えば、ジアステレオ異性体、エナンチオ異性体、アトロプ異性体及び幾何(立体配座)異性体)形態、例えば、各不斉中心のR及びS立体配置、(Z)及び(E)二重結合異性体、ならびに(Z)及び(E)配座異性体をさらに含む。従って、本発明に係る化合物の個々の立体異性体及びエナンチオ異性体混合物、ジアステレオ異性体混合物及び幾何(立体配座)異性体混合物は、本発明の範囲内である。
【0125】
「薬学的に許容される塩」とは、上記の化合物の元の生物活性を保持した上で医薬用途に適した特定の塩類を指す。式(I)で示される化合物の薬学的に許容される塩としては、金属塩、適切な酸と形成されたアミン塩であってもよい。
【0126】
「医薬組成物」とは、本明細書に記載されている一つまたは複数の化合物又はその生理学的に薬学的に許容される塩又はプロドラッグと他の化学成分との混合物と、生理学的に薬学的に許容される担体や賦形剤などの他の任意の成分とを含有することを意味する。医薬組成物は、生体への投与を促進し、有効成分の吸収、ひいては生物活性の発揮を促進することを目的とする。
【0127】
本発明に係る化合物の合成方法
本発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術案を採用する。
【0128】
本発明の一般式(I)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくはその薬学的に許容される塩の製造方法は、一般式(IA)の化合物を一般式(IB)の化合物と塩基性条件下で反応させ、任意選択的に保護基をさらに除去し、一般式(I)の化合物を得る工程を含む。
【0129】
【0130】
式中、
X1は脱離基であり、好ましくは塩素であり、
環A、環B、環C、R1~R5、X、Y、Z、E、L、n、p及びqの定義は、一般式(I)で記載されている通りである。
【0131】
以下、実施例を併せて本発明をさらに説明するために使用されるが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0132】
実施例においては、式(I)で表される代表的な化合物の製造及び関連する構造同定データが記載されている。なお、以下の実施例は、本発明を限定するのではなく、本発明を説明するために用いられている。1HNMRスペクトルはブルカー装置(400MHz)で測定したものであり、化学シフトがppmで表される。テトラメチルシランを内部標準(0.00ppm)として使用した。1HNMRの表示方法:s=一重線、d=二重線、t=三重線、m=多重線、br=ブロード、dd=二重線の二重線、dt=三重線の二重線。結合定数が提供される場合、その単位はHzである。
【0133】
マススペクトルはLC/MS機器で測定したものであり、イオン化モードがESI又はAPCIであった。
【0134】
薄層クロマトグラフィー用シリカゲルプレートとしては、煙台黄海HSGF254又は青島GF254シリカゲルプレートを使用した。薄層クロマトグラフィー(TLC)に使用されるシリカゲルプレートの規格は0.15mm~0.2mm、薄層クロマトグラフィー分離精製物の規格は0.4mm~0.5mmであった。
【0135】
カラムクロマトグラフィーには、一般的に、煙台黄海シリカゲル200~300メッシュのシリカゲルを担体として使用した。
【0136】
別段の指定がない限り、以下の実例では、すべての温度は摂氏温度であり、出発原料及び試薬としては、市販されているか又は既知の方法に従って合成したものを使用した。ただし、市販の原料及び試薬をさらに精製せずにそのまま使用した。別段の指定がない限り、市販のメーカーには、SAHNGHAI HAOHONG BIOMEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD.、Shanghai Shaoyuan Co. Ltd.、Bide Pharmatech Ltd.、Sun Chemical Technology(Shanghai) Co., Ltd.、及びLinkChem Co., Ltd.などが含まれるが、これらに限定されない。
【0137】
CD3OD:重水素化メタノール。
CDCl3:重水素化クロロホルム。
DMSO-d6:重水素化ジメチルスルホキシド。
特に断りのない限り、実施例において反応の溶液は水溶液を指す。
【0138】
化合物をカラムクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーの溶離剤系で精製した。ただし、溶媒系は、A:石油エーテルと酢酸エチルとの溶媒系、B:ジクロロメタンとメタノールとの溶媒系、C:ジクロロメタンと酢酸エチルとの溶媒系、D:ジクロロメタンとエタノールとの溶媒系、E:テトラヒドロフラン/石油エーテルの溶媒系、または、F:テトラヒドロフランとメタノールである。溶媒系における溶媒の体積比は化合物の極性によって異なるが、醋酸などの酸性試薬又はトリエチルアミンなどの塩基性試薬を少量加えて調整してもよい。
実施例1-化合物7
【0139】
(2R,4aR)-3-アクリロイル-10-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0140】
【0141】
【0142】
ステップ1
6-クロロ-5-フルオロ-2-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)アミノ)ニコチン酸
【0143】
2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミン1d(21.46g、142.86mmol)をテトラヒドロフラン200mLに溶解し、-78℃まで冷却し、窒素雰囲気下、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0M、238.11mL)を滴下し、-78℃で15分間攪拌を続けた後、2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチン酸1a(20g、95.24mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液を滴下した。-78℃で1時間反応した後、25℃で3時間反応を続けた。反応終了後、反応液を氷水100mLに注ぎ、メチル-tert-ブチルエーテル(100mL)を加えた。水相の酸塩基度を2M希塩酸でpH=4に調整し、分液し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、6-クロロ-5-フルオロ-2-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)アミノ)ニコチン酸7a(15g、46.33mmol)を収率48.65%で得た。
【0144】
MS m/z(ESI):323.8[M+1]+
【0145】
ステップ2
3-(6-クロロ-5-フルオロ-2-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)-2-ニトロ-3-オキソプロピオン酸エチル
【0146】
6-クロロ-5-フルオロ-2-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)アミノ)ニコチン酸7a(5g、15.44mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(50mL)に溶解し、炭酸カリウム(6.40g、46.33mmol)と2-ニトロ酢酸エチル(6.17g、46.33mmol)を加え、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド(7.89g、30.89mmol)をさらに加え、25℃で3時間反応させた。酢酸エチル10mLと飽和食塩水10mLを加え、分液し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:E系)で単離し、3-(6-クロロ-5-フルオロ-2-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)-2-ニトロ-3-オキソプロピオン酸エチル7b(2.3g、5.24mmol)を収率33.94%で得た。
【0147】
MS m/z(ESI):438.9[M+1]+
【0148】
ステップ3
7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2,4(1H,3H)-ジオン
【0149】
3-(6-クロロ-5-フルオロ-2-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)アミノ)ピリジン-3-イル)-2-ニトロ-3-オキソプロピオン酸エチル7b(2.3g、5.24mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、炭酸セシウム(2.56g、7.86mmol)を加え、50℃で16時間攪拌して反応させた。反応終了後、25℃に冷却し、酢酸エチル10mLと飽和食塩水10mLを加え、分液し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:E系-F系)で単離し、7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2,4(1H,3H)-ジオン7c(1.7g、4.33mmol)を収率82.58%得た。
【0150】
MS m/z(ESI):393.0[M+1]+
【0151】
ステップ4
4,7-ジクロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2(1H)-オン
【0152】
7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2,4(1H,3H)-ジオン7c(400mg、1.02mmol)を塩化ホスホリル(3mL)に溶解し、90℃で1時間反応させた。LC-MSにより、反応の進行を監視した。反応終了後、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:E系)で単離し、4,7-ジクロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2(1H)-オン7d(350mg、851.14μmol)を収率83.58%で得た。
【0153】
MS m/z(ESI):410.8[M+1]+
【0154】
ステップ5
(3R,6R)-1-N-tert-ブトキシカルボニル-4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-3-ニトロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-3-カルボン酸メチル
【0155】
4,7-ジクロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2(1H)-オン7d(1.3g、3.16mmol)をアセトニトリル(15mL)に溶解し、1-(t-ブチル)-3-メチル(3R,6R)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル1j(1.63g、6.32mmol)を加え、80℃で16時間反応させた。LC-MSにより、反応の進行を監視した。反応終了後、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:E系)で単離し、(3R,6R)-1-N-tert-ブトキシカルボニル-4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-3-ニトロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-3-カルボン酸メチル7e(1g、1.58mmol)を収率49.97%で得た。
【0156】
MS m/z(ESI):633.0[M+1]+
【0157】
ステップ6
(3R,6R)-1-N-tert-ブトキシカルボニル-4-(3-アミノ-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-3-カルボン酸メチル
【0158】
(3R,6R)-1-N-tert-ブトキシカルボニル-4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-3-ニトロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-3-カルボン酸メチル7e(1g、1.58mmol)とラネーニッケル(10mg、157.96μmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、水素置換を3回行い、水素ガス雰囲気下、25℃で2時間反応させた。ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮させ、粗生成物(3R,6R)-1-N-tert-ブトキシカルボニル-4-(3-アミノ-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-3-カルボン酸メチル7f(0.83g、1.38mmol)を得、次の反応にそのまま使用した。収率が87.13%であった。
【0159】
MS m/z(ESI):603.3[M+1]+
【0160】
ステップ7
(2R,4aR)-10-クロロ-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-メチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0161】
(3R,6R)-1-N-tert-ブトキシカルボニル-4-(3-アミノ-7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-3-カルボン酸メチル7f(0.83g、1.38mmol)と炭酸カリウム(570.64mg、4.13mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、50℃で1時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル10mLと飽和食塩水10mLを加え、分液し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、粗生成物(2R,4aR)-10-クロロ-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-メチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル7g(0.7g、1.23mmol)を得、次の反応にそのまま使用した。
【0162】
MS m/z(ESI):571.0[M+1]+
【0163】
ステップ8
(2R,4aR)-10-クロロ-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0164】
(2R,4aR)-10-クロロ-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-メチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル7g(0.7g、1.23mmol)、ヨードメタン(521.98mg、3.68mmol)及び炭酸カリウム(508.27mg、3.68mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、25℃で16時間反応させた。酢酸エチル10mLと水10mLを加え、分液し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:E系)で単離し、(2R,4aR)-10-クロロ-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル7h(0.45g、769.14μmol)を収率62.74%で得た。
【0165】
MS m/z(ESI):585.0[M+1]+
【0166】
ステップ9
(2R,4aR)-10-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0167】
(2R,4aR)-10-クロロ-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル7h(0.12g、205.10μmol)、(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸7i(192.05mg、615.31μmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(23.70mg、20.51μmol)及びリン酸カリウム(217.68mg、1.03mmo)を水0.2mLと1,4-ジオキサン1mLの混合溶媒に溶解し、窒素置換を3回行い、窒素雰囲気下、100℃で16時間反応させた。LC-MSにより、反応の進行を監視した。反応終了後、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:E系)で単離し、(2R,4aR)-10-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル7j(0.1g、122.41μmol)を収率59.68%で得た。
【0168】
MS m/z(ESI):817.4[M+1]+
【0169】
ステップ10
(2R,4aR)-10-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0170】
(2R,4aR)-10-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル7j(0.1g、122.41μmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(300mg、2.63mmol)を加え、20℃で16時間反応させた。減圧下で濃縮させ、粗生成物(2R,4aR)-10-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン7k(100mg、136.85μmol)を得、次の反応にそのまま使用した。
【0171】
MS m/z(ESI):617.5[M+1]+
【0172】
ステップ11
(2R,4aR)-3-アクリロイル-10-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0173】
アクリル酸(18.33mg、254.41μmol)、(2R,4aR)-10-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン7k(110mg、150.54μmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(194.56mg、1.51mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解し、プロピルリン酸無水物(191.59mg、301.08μmol、純度50%)を加え、25℃で16時間反応させた。反応終了後、水20mLを加え、酢酸エチル(20mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物を分取液体クロマトグラフで単離し(分離カラム:Boston Prime C18、150×30mm I.D.、5μm;移動相A:水(0.05%NH3H2O+10mMのNH4HCO3)、移動相B:アセトニトリル;流速:25mL/min)、(2R,4aR)-3-アクリロイル-10-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン7(30mg)を得た。
【0174】
MS m/z(ESI):671.1[M+1]+
実施例2-化合物8及び化合物9
【0175】
(2R,4aR,8R)-3-アクリロイル-10-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン8
(2R,4aR,8S)-3-アクリロイル-10-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン9
【0176】
【0177】
【0178】
(2R,4aR)-3-アクリロイル-10-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン7(30mg)を分取SFCキラル分離(カラムタイプ:(s,s)WHELK-O1、250×30mm I.D.、5μm;移動相:A for CO2 and B for EtOH(0.1%NH3H2O);カラム圧力:100bar;流速:70mL/min;検出波長:220nm;カラム温度:40℃)で精製した後、単一配座の化合物8(短い保持時間のほう)及び単一配座の化合物9(長い保持時間のほう)を得た。
【0179】
単一配座の化合物8(短い保持時間のほう):
MS m/z(ESI):671.1[M+1]+
2.05mg;保持時間3.446分;キラル純度100%ee。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ8.46(d, J =4.9 Hz,1H),8.02-7.83(m,3H),7.25(d, J =4.9 Hz,1H),7.10-6.80(m,3H),6.24-6.08(m,1H),5.82-5.69(m,1H),5.17-4.37(m,2H),4.08-3.92(m,1H),3.75(br dd, J =3.9、13.8 Hz,1H),3.34(s,3H),3.02-2.71(m,3H),1.83(s,3H)、1.62-1.45(m,3H),1.11(br d, J =6.6 Hz,3H), 0.99(br d, J =6.5 Hz,3H).
【0180】
単一配座の化合物9(長い保持時間のほう):
MS m/z(ESI):671.1[M+1]+
9.35mg;保持時間4.235分;キラル純度100%ee。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ8.47(d, J =4.8 Hz,1H),8.00-7.87(m,3H),7.25(d, J =4.9 Hz,1H),7.09-6.83(m,3H),6.23-6.09(m,1H),5.76-5.69(m,1H),5.10-4.42(m,2H),4.13-3.96(m,1H),3.75( dd, J =4.0、14.0 Hz,1H),3.37(s,3H),3.32-3.22(m,2H)、2.99-2.77(m,1H)、2.00(s,3H)、1.60-1.51(m,3H),1.05(br d, J =6.6 Hz,3H), 0.92(br d, J =6.6 Hz,3H).
実施例3-化合物10
【0181】
(2R,4aR)-3-アクリロイル-10-(6-アミノ-3-クロロピリジン-2-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0182】
【0183】
【0184】
ステップ1
(2R,4aR)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-10-(トリメチルスタニル)-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0185】
(2R,4aR)-10-クロロ-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル7h(0.1g、170.92μmol)、ヘキサメチルジチン(139.99mg、427.30μmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(19.75mg、17.09μmol)を1,4-ジオキサン(1mL)に溶解し、窒素置換を3回行い、窒素雰囲気下、110℃で16時間反応させた。減圧下で濃縮させ、得られた残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:E系)で単離し、(2R,4aR)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-10-(トリメチルスタニル)-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル10a(95mg、133.16μmol)を収率77.91%で得た。
【0186】
MS m/z(ESI):714.8[M+1]+
【0187】
ステップ2
(2R,4aR)-10-(6-アミノ-3-クロロピリジン-2-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0188】
(2R,4aR)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-10-(トリメチルスタニル)-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル10a(40mg、56.07μmol)、6-ブロモ-5-クロロピリジン-2-アミン10b(13.96mg、67.28μmol)、ヨウ化第一銅(1.07mg、5.61μmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.24mg、2.80μmol)を1,4-ジオキサン(0.5mL)に溶解し、窒素置換を3回行い、窒素雰囲気下、100℃で16時間反応させた。減圧下で濃縮させ、得られた残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:E系)で単離し、(2R,4aR)-10-(6-アミノ-3-クロロピリジン-2-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル10c(15mg、22.15μmol)を収率39.51%で得た。
【0189】
MS m/z(ESI):677.3[M+1]+
【0190】
ステップ3
(2R,4aR)-10-(6-アミノ-3-クロロピリジン-2-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0191】
(2R,4aR)-10-(6-アミノ-3-クロロピリジン-2-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル10c(30mg、44.30μmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1g、8.77mmol)を加え、20℃で16時間反応させた。減圧下で濃縮させ、粗生成物(2R,4aR)-10-(6-アミノ-3-クロロピリジン-2-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン10d(30mg、51.99μmol)を得、次の反応にそのまま使用した。
【0192】
MS m/z(ESI):577.0[M+1]+
【0193】
ステップ4
(2R,4aR)-3-アクリロイル-10-(6-アミノ-3-クロロピリジン-2-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0194】
アクリル酸(4.41mg、61.14μmol)、(2R,4aR)-10-(6-アミノ-3-クロロピリジン-2-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン10d(25mg、36.18μmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(46.75mg、361.76μmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解し、プロピルリン酸無水物(46.04mg、72.35μmol、純度50%)を加え、25℃で16時間反応させた。反応終了後、水20mLを加え、酢酸エチル(20mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物を分取液体クロマトグラフで単離し(分離カラム:Boston Prime C18、150×30mm I.D.、5μm;移動相A:水(0.05%NH3H2O+10mMのNH4HCO3)、移動相B:アセトニトリル;流速:25mL/min)、(2R,4aR)-3-アクリロイル-10-(6-アミノ-3-クロロピリジン-2-イル)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン10(13mg、20.60μmol)を収率56.94%で得た。
【0195】
MS m/z(ESI):631.4[M+1]+
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ8.46(dd, J = 2.3,4.8 Hz,1H),8.09-7.99(m,1H),7.49(d, J=8.8 Hz,1H),7.26(dd, J =4.9、12.3 Hz,1H),7.10-6.80(m,1H),6.52(d, J =8.9 Hz,1H),6.33(br s、2H),6.22-6.11(m,1H),5.83-5.70(m,1H),5.10-4.29(m,2H),4.09-3.92(m,1H),3.74(dd, J =4.0、14.1 Hz,1H),3.3-3.33(m,3H),2.97-2.72(m,2H)、2.46-2.36(m,1H)、2.04-1.75(m,3H),1.61-1.49(m,3H),1.14-0.83(m,6H).
実施例4-化合物11
【0196】
(2R,4aR)-3-アクリロイル-11-フルオロ-10-(3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0197】
【0198】
【0199】
ステップ1
(2R,4aR)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-10-(3-メトキシナフタレン-1-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0200】
(2R,4aR)-10-クロロ-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル7h(100mg、170.92μmol)、(3-メトキシナフタレン-1-イル)ボロン酸11a(103.58mg、512.76μmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(19.75mg、17.09μmol)及びリン酸カリウム(181.40mg、854.60μmol)を水0.3mLと1,4-ジオキサン1.5mLの混合溶媒に溶解し、窒素置換を3回行い、窒素雰囲気下、100℃で16時間反応させた。LC-MSにより、反応の進行を監視した。減圧下で濃縮させ、得られた残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:E系)で単離し、(2R,4aR)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-10-(3-メトキシナフタレン-1-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル11b(0.1g、141.48μmol)を収率82.78%で得た。
【0201】
MS m/z(ESI):707.7[M+1]+
【0202】
ステップ2
(2R,4aR)-11-フルオロ-10-(3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0203】
(2R,4aR)-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-10-(3-メトキシナフタレン-1-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル11b(70mg、99.04μmol)をジクロロメタン5mLに溶解し、三臭化ホウ素(1.40g、5.59mmol)を加え、20℃で16時間反応させた。メタノール10mLを加えて反応をクエンチし、減圧下で濃縮させ、水20mLを加えて反応を希釈し、酢酸エチル(20mL×2)で洗浄し、水相を収集し、水相を凍結乾燥し、粗生成物(2R,4aR)-11-フルオロ-10-(3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン11c(100mg、168.73μmol)を得た。
【0204】
MS m/z(ESI):593.4[M+1]+
【0205】
ステップ3
4-((2R,4aR)-3-アクリロイル-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-2,3,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-10-イル)ナフタレン-2-イル アクリル酸ブチル
【0206】
(2R,4aR)-11-フルオロ-10-(3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン11c(100mg、168.73μmol)及びトリエチルアミン(85.37mg、843.65μmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、10℃で塩化アクリロイル(15.27mg、168.73μmol)を滴下し、10~20℃で16時間反応させた。LC-MSにより、反応の進行を監視した。反応終了後、水10mLを加え、ジクロロメタン(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、粗生成物4-((2R,4aR)-3-アクリロイル-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-2,3,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-10-イル)ナフタレン-2-基 アクリル酸ブチル11d(150mg、214.05μmol)を得、次の反応にそのまま使用した。
【0207】
MS m/z(ESI):701.2[M+1]+
【0208】
ステップ4
(2R,4aR)-3-アクリロイル-11-フルオロ-10-(3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0209】
4-((2R,4aR)-3-アクリロイル-11-フルオロ-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-2,3,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-10-イル)ナフタレン-2-イル アクリル酸ブチル11d(150mg、214.05μmol)をテトラヒドロフラン1mLに溶解し、水酸化リチウム一水和物(26.95mg、642.16μmol)水溶液(1mL)を滴下し、15℃で16時間反応させた。LC-MSにより、反応の進行を監視した。反応終了後、1M希塩酸を滴下してpHを7に調整し、酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物を分取液体クロマトグラフで単離し(分離カラム:Boston Prime C18、150×30mm I.D.、5μm;移動相A:水(0.05%NH3H2O+10mMのNH4HCO3)、移動相B:アセトニトリル;流速:25mL/min)、(2R,4aR)-3-アクリロイル-11-フルオロ-10-(3-ヒドロキシナフタレン-1-イル)-8-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン11(26mg、40.20μmol)を収率18.78%で得た。
【0210】
MS m/z(ESI):647.2[M+1]+
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 10.02(s,1H),8.42-8.37(m,1H),8.14-8.04(m,1H),7.75(d, J =8.3 Hz,1H),7.45-7.33(m,2H),7.27-7.12(m,3H),7.11-6.83(m,2H),6.22-6.12(m,1H),5.83-5.71(m,1H),5.05(br d, J = 13.8 Hz,1H),4.81(br s、1H),4.63(br d, J = 13.3 Hz,1H),4.46(s,1H),4.07-3.95(m,1H),3.77(dd, J =4.1、14.2 Hz,1H),3.54-3.41(m,2H),3.29-3.22(m,1H),2.95-2.79(m,1H)、2.07-1.81(m,3H),1.64-1.52(m,3H),1.14-0.84(m,6H).
実施例5-化合物16
【0211】
(2R,4aR)-3-アクリロイル-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
ステップ1
3-イソシアネート-2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン
【0216】
2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-アミン16a(3.38g、18.45mmol、特許WO2020239077に従って発明者らが自分で製造したもの)をテトラヒドロフラン(20mL)に加え、摂氏ゼロ度まで冷却し、トリエチルアミン(1.86g、18.45mmol)を加え、トリホスゲン(5.48g、18.45mmol)をバッチでゆっくりと加え、摂氏ゼロ度で0.5時間反応させ、ろ過し、3-イソシアネート-2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン16b(3.83g)を収率100%で得、精製せずに、そのまま次の直接反応に行った。
【0217】
ステップ2
N-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-ニトロアセトアミド
【0218】
ニトロメタン(1.12g、18.45mmol)をテトラヒドロフラン(20mL)に加え、摂氏ゼロ度まで冷却し、カリウムtert-ブトキシド(4.41g、36.9mmol)を加え、摂氏ゼロ度で0.5時間反応させ、3-イソシアネート-2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン16b(3.83g、18.45mmol)をゆっくりと滴下し、反応終了後、酢酸エチル(30mL)と水(30mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(30mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、N-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-ニトロアセトアミド16c(2.2g)を収率44.95%で得た。
【0219】
MS m/z(ESI):270.1[M+1]+
【0220】
ステップ3
N-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-ニトロ-3-オキソ-3-(2,5,6-トリクロロピリジン-3-イル)プロピオンアミド
【0221】
N-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-ニトロアセトアミド16c(820mg、3.05mmol)、2,5,6-トリクロロニコチン酸4a(686.25mg、3.05mmol)、テトラメチルフルオロウレアヘキサフルオロホスフェート(1.2g、4.57mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(923mg、7.1mmol)をアセトニトリル(20mL)に加え、室温で3時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル(30mL)と水(30mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(30mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、N-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-ニトロ-3-オキソ-3-(2,5,6-トリクロロピリジン-3-イル)プロピオンアミド16e(1.2g)を収率82.56%で得た。
【0222】
MS m/z(ESI):477.1[M+1]+
【0223】
ステップ4
6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2,4(1H,3H)-ジオン
【0224】
N-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-ニトロ-3-オキソ-3-(2,5,6-トリクロロピリジン-3-イル)プロピオンアミド16e(1.2g、2.52mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に加え、炭酸セシウム(1.6g、5.04mmol)を加え、85℃に加熱し、一晩反応させた。反応終了後、酢酸エチル(30mL)と水(30mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(30mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2,4(1H,3H)-ジオン16f(980mg)を収率87.64%で得た。
【0225】
MS m/z(ESI):441.1[M+1]+
【0226】
ステップ5
4,6,7-トリクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2(1H)-オン
【0227】
6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2,4(1H,3H)-ジオン16f(610mg、1.38mol)を塩化ホスホリル(10mL)に加え、110℃に加熱し、3時間反応させ、反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、PHを塩基性に調整し、ジクロロメタン(50mL)を加えて抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、4,6,7-トリクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2(1H)-オン16g(460mg)を収率72.24%で得た。
【0228】
MS m/z(ESI):459.1[M+1]+
【0229】
ステップ6
1-(t-ブチル)-3-メチル(3R,6R)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル
【0230】
4,6,7-トリクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2(1H)-オン16g(460mg、1mmol)、1-(t-ブチル)-3-メチル(3R,6R)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル1j(309.42mg、1.15mmol)をアセトニトリル(20mL)に加え、アルゴン雰囲気下、一晩還流させた。反応終了後、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(20mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、1-(t-ブチル)-3-メチル(3R,6R)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル16i(544mg)を収率80%で得た。
【0231】
MS m/z(ESI):681.1[M+1]+
【0232】
ステップ7
1-(t-ブチル)-3-メチル(3R,6R)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-アミノ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル
【0233】
1-(t-ブチル)-3-メチル(3R,6R)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸16i(544mg、800μmol)をアセトニトリル(20mL)に加え、摂氏ゼロ度まで冷却し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(520.0mg、4.0mmol)とトリクロロシラン(379.26mg、2.5mmol)を加え、室温で2時間反応させ、反応終了後、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(20mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、1-(t-ブチル)-3-メチル(3R,6R)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-アミノ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル16j(420mg)を収率81.37%で得た。
【0234】
MS m/z(ESI):651.1[M+1]+
【0235】
ステップ8
(2R,4aR)-10,11-ジクロロ-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-メチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0236】
1-(t-ブチル)-3-メチル(3R,6R)-4-(6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-アミノ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル16j(420mg、651.22μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に加え、炭酸カリウム(179.73mg、1.31mmol)を加え、室温で3時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(20mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、(2R,4aR)-10,11-ジクロロ-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-メチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル16k(330mg)を収率82.04%で得た。
【0237】
MS m/z(ESI):619.1[M+1]+
【0238】
ステップ9
(2R,4aR)-10,11-ジクロロ-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0239】
(2R,4aR)-10,11-ジクロロ-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-メチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル16k(330mg、533.98μmol)及び炭酸カリウム(147.72mg、1.06mmol)をアセトン(10mL)に加え、ヨードメタン(149.46mg、1.06mmol)を滴下し、2時間加熱して還流させた。反応終了後、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(20mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、(2R,4aR)-10,11-ジクロロ-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル16l(300mg)を収率87.34%で得た。
【0240】
MS m/z(ESI):633.1[M+1]+
【0241】
ステップ10
(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0242】
(2R,4aR)-10,11-ジクロロ-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル16l(300mg、474.68μmol)、カリウム(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)トリフルオロボレート(155.22mg、712.02μmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリド(52.84mg、71.21μmol)及び酢酸カリウム(139.16mg、1.42mmol)を混合溶媒(1,4-ジオキサン:水=10:3)13mLに加え、100℃に加熱し、5時間反応させた。反応終了後、反応液を室温に冷却し、ろ過し、ろ液を収集し、酢酸エチル(20mL)と水(10mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(10mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル16m(150mg)を収率43.67%で得た。
【0243】
MS m/z(ESI):709.1[M+1]+
【0244】
ステップ11
(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0245】
(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル16m(150mg、207.75μmol)をジクロロメタン(5mL)に加え、摂氏ゼロ度まで冷却し、塩酸ジオキサン溶液(4M、2mL)を滴下し、室温で2時間反応させた。反応終了後、氷水をに注ぎ、ジクロロメタン(50mL)を加えて抽出し、水相を飽和炭酸ナトリウム水溶液で弱塩基性に調整し、酢酸エチル10mLと水(10mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(10mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン16n(80mg)を収率64.19%で得た。
【0246】
MS m/z(ESI):609.1[M+1]+
【0247】
ステップ12
(2R,4aR)-3-アクリロイル-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0248】
(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン16n(80mg、131.34μmol)をジクロロメタン(5mL)に加え、摂氏ゼロ度まで冷却し、トリエチルアミン(26.53mg、262.68μmol)を滴下し、塩化アクリロイル(12.92mg、142.71μmol)のジクロロメタン溶液をゆっくりと滴下し続け、摂氏ゼロ度で反応を続けた。反応終了後、室温でジクロロメタン(10mL)と水(10mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(10mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮させ、得られた残留物を分取分離し、精製して生成物(2R,4aR)-3-アクリロイル-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン16(25mg)を収率27.08%で得た。
【0249】
MS m/z(ESI):663.1[M+1]+
1H NMR(400mHz, CDCl3) δ8.61(d, J =5.3 Hz,1H),8.29(s,1H),7.74(s,1H),7.24(d, J = 2.0 Hz,1H),7.11(d, J =5.4 Hz,1H),7.08 -6.99(m,1H),6.73 -6.70(m,1H),6.69(t, J = 1.3 Hz,1H),6.36(dd, J = 16.9、2.0 Hz,1H),5.81(dd, J = 10.6、1.9 Hz,1H),5.07(s,1H),4.77(d, J = 14.0 Hz,1H),3.82(dd, J = 14.1,4.4 Hz,1H),3.64(d, J =4.0 Hz,1H),3.49(s,3H),3.22(d, J = 12.2 Hz,1H),3.00(dd, J = 12.0,3.6 Hz,1H)、2.53 - 2.46(m,1H)、2.45(s,3H)、1.68(s,3H)、1.20(d, J =6.7 Hz,3H), 0.95(d, J =6.7 Hz,3H).
【0250】
【0251】
ステップ1
6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2,4(1H,3H)-ジオン
【0252】
6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2,4(1H,3H)-ジオン16f(500mg、1.13mmol)をジオキサン(20mL)と水(5mL)の混合溶媒に加え、(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)ボロン酸16o(386mg、2.26mmol)、炭酸ナトリウム(220mg、2.26mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(12.7mg、0.01mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、100℃に一晩加熱した。反応終了後、ろ過し、ろ液を収集し、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を加えて抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、生成物6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2,4(1H,3H)-ジオン16p(530mg、1mmol)を収率72.24%で得た。
【0253】
MS m/z(ESI):531.1[M+1]+
【0254】
ステップ2
4,6-ジクロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2(1H)-オン
【0255】
6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2,4(1H,3H)-ジオン16p(530mg、1mmol)を塩化ホスホリル(10mL)に加え、110°Cに加熱して3時間反応させた。反応液を氷水に注ぎ、飽和炭酸ナトリウム溶液で系を塩基性に調整し、ジクロロメタン(50mL)を加えて抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、生成物4,6-ジクロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2(1H)-オン16q(439.2mg、800μmol)を収率80%で得た。
【0256】
MS m/z(ESI):549.1[M+1]+
【0257】
ステップ3
1-(t-ブチル)3-メチル(3R,6R)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル
【0258】
4,6-ジクロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-1,8-ナフチリジン-2(1H)-オン16q(267mg、487.8μmol)及び1-(t-ブチル)3-メチル(3R,6R)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル1j(196.8mg、731.7μmol)をアセトニトリル(20mL)に加え、アルゴン雰囲気下、一晩還流させた。反応終了後、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(20mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、生成物1-(t-ブチル)3-メチル(3R,6R)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル16r(300mg、390.24μmol)を収率80%で得た。
【0259】
MS m/z(ESI):771.1[M+1]+
【0260】
ステップ4
1-(t-ブチル)3-メチル(3R,6R)-4-(3-アミノ-6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル
【0261】
1-(t-ブチル)3-メチル(3R,6R)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-3-ニトロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル16r(300mg、390.24μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)とアセトニトリル(10mL)の混合溶媒に加え、0℃まで冷却し、ジイソプロピルエチルアミン(176mg、1.75mmol)とトリクロロシラン(188.92mg、1.38mmol)を加え、室温で2時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(20mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、生成物1-(t-ブチル)3-メチル(3R,6R)-4-(3-アミノ-6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル16s(230mg、320μmol)を収率82.04%で得た。
【0262】
MS m/z(ESI):741.1[M+1]+
【0263】
ステップ5
(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-メチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0264】
1-(t-ブチル)3-メチル(3R,6R)-4-(3-アミノ-6-クロロ-7-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)-6-メチルピペラジン-1,3-ジカルボン酸エステル16s(230mg、320μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に加え、炭酸カリウム(88.32mg、640μmol)を加え、室温で3時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(20mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:A系)で精製し、生成物(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-メチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル16t(182mg、256.48μmol)を収率80.04%で得た。
【0265】
MS m/z(ESI):709.1[M+1]+
【0266】
ステップ6
(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル
【0267】
(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2-メチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル16t(182mg、256.48μmol)及び炭酸カリウム(70.89mg、512.9μmol)をアセトン(5mL)に加え、ヨードメタン(72.46mg、512.96μmol)を滴下し、2時間加熱して還流させた。反応終了後、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(20mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:B系)で精製し、生成物(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル16u(150mg、207.75μmol)を収率81%で得た。
【0268】
MS m/z(ESI):723.1[M+1]+
【0269】
ステップ7
(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0270】
(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-5,7-ジオキソ-1,2,4,4a,5,6,7,8-オクタヒドロ-3H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸tert-ブチル16u(150mg、207.75μmol)をジクロロメタン(5mL)に加え、0°Cまで冷却し、三臭化ホウ素(1M、13.34mL)を滴下し、室温に戻して一晩反応させた。反応終了後、氷水(50mL)に注ぎ、ジクロロメタン(50mL)を加えて抽出し、水相を飽和炭酸ナトリウム水溶液で弱塩基性に調整し、酢酸エチル(10mL)と水(10mL)を加えて抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し(10mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、粗生成物(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン16n(80mg、131.34μmol)を収率64.19%で得た。
【0271】
MS m/z(ESI):609.1[M+1]+
【0272】
ステップ8
(2R,4aR)-3-アクリロイル-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン
【0273】
(2R,4aR)-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン16n(80mg、131.34μmol)をジクロロメタン(5mL)に加え、0°Cまで冷却し、トリエチルアミン(26.53mg、262.68μmol)を滴下し、塩化アクリロイル(12.92mg、142.71μmol)のジクロロメタン溶液をゆっくりと滴下し続け、0°Cで反応を続けた。反応終了後、室温でジクロロメタン(10mL)と水(10mL)を加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し(10mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮させ、得られた残留物を分取液体クロマトグラフで単離し(分離カラム:AKZONOBEL Kromasil;250×21.2mm I.D.;5μm;移動相A:0.05%TFA+H2O、移動相B:アセトニトリル;流速:20mL/min)、生成物(2R,4aR)-3-アクリロイル-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン16(25mg、37.76μmol)を収率27.08%で得た。
【0274】
MS m/z(ESI):663.1[M+1]+
1H NMR(400mHz, CDCl3) δ8.61(d, J =5.3 Hz,1H),8.29(s,1H),7.74(s,1H),7.24(d, J = 2.0 Hz,1H),7.11(d, J =5.4 Hz,1H),7.08 -6.99(m,1H),6.73 -6.70(m,1H),6.69(t, J = 1.3 Hz,1H),6.36(dd, J = 16.9、2.0 Hz,1H),5.81(dd, J = 10.6、1.9 Hz,1H),5.07(s,1H),4.77(d, J = 14.0 Hz,1H),3.82(dd, J = 14.1,4.4 Hz,1H),3.64(d, J =4.0 Hz,1H),3.49(s,3H),3.22(d, J = 12.2 Hz,1H),3.00(dd, J = 12.0,3.6 Hz,1H)、2.53 - 2.46(m,1H)、2.45(s,3H)、1.68(s,3H)、1.20(d, J =6.7 Hz,3H),0.95(d, J =6.7 Hz,3H).
実施例6-化合物17及び化合物18
【0275】
【0276】
(2R,4aR)-3-アクリロイル-11-クロロ-10-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-8-(2-イソプロピル-4-(メチルチオ)ピリジン-3-イル)-2,6-ジメチル-2,3,4,4a,6,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,3-c][1,8]ナフチリジン-5,7-ジオン16(45mg)を分取SFCキラル分離(カラムタイプ:ChiralPak AD、250×30mm I.D.、10μm、250×30mm I.D.、10μm;移動相:A for CO2 and B for Ethanol;カラム圧力:100bar;流速:80mL/min;検出波長:220nm;カラム温度:38℃)で精製した後、単一配座の化合物17(短い保持時間のほう)及び単一配座の化合物18(長い保持時間のほう)を得た。
【0277】
単一配座の化合物17(短い保持時間のほう):
MS m/z(ESI):663.2[M+1]+
20mg;保持時間1.109分;キラル純度100%ee。
【0278】
単一配座の化合物18(長い保持時間のほう):
MS m/z(ESI):663.3[M+1]+
10mg;保持時間2.525分;キラル純度99.28%ee。
【0279】
生物学的評価
試験例1. 本発明に係る化合物とKRAS G12Cタンパク質との共有結合能力の測定
【0280】
以下の方法は、本発明に係る化合物のインビトロ条件下での組換えヒトKRAS G12Cタンパク質への共有結合能力を測定するために使用された。
【0281】
実験手順は次のように簡単に説明された。反応緩衝液(20mMのHEPES、150mMのNaCl、1mMのMgCl2、1mMのDTT)を使用して組換えヒトKRAS G12Cタンパク質(aa1-169)を調製し、4μMの濃度で予備とした。被験化合物をDMSOに溶解して10mMストック溶液として調製し、その後反応緩衝液を使用して希釈して予備とした。まず、ウェルに、反応緩衝液で希釈した被験化合物(反応系の最終濃度を3μMとした)1.5μLを加え、その後反応緩衝液23.5μLを加えてよく混合し、その後4μMの組換えヒトKRAS G12Cタンパク質25μLを加え、室温条件下で5分間インキュベートした後、酢酸5μLを加えて反応を停止させ、サンプルをバイアルに移した。Agilent 1290/6530装置を使用して被験化合物のKRAS G12Cタンパク質への共有結合の比率を検出した。ただし、サンプルは液相クロマトカラム(XBridge Protein BEH C4、300Å、3.5μm、2.1mm×50mm)で分析され、検出過程中、移動相Aを0.1%ギ酸水溶液、移動相Bをアセトニトリルとした。移動相溶出プログラムとしては、0~0.5分、移動相Aが95%、2.5分である際、移動相Aを30%に変えて0.5分維持し、3.1分で移動相Aを95%に変えて1.9分維持し、流速が0.5mL/minであった。最後に、MassHunter Workstation Software Bioconfirm Version B.08.00ソフトウェアを用いてデータを分析し、被験化合物の3μMの濃度で5minインキュベートした条件でのKRAS G12Cタンパク質への共有結合率(Binding Rate)を得、表1に示す。
【0282】
【0283】
結論:本発明に係る化合物は、KRAS G12Cタンパク質と良好な共有結合率を有する。
【0284】
試験例2.本発明に係る化合物のNCI-H358細胞増殖への阻害活性
以下の方法は、本発明に係る化合物によるNCI-H358細胞増殖の影響を測定するために使用された。NCI-H358細胞(KRAS G12C変異を含む)は、中国科学院上海生命科学研究院細胞資源センターから購入し、10%ウシ胎児血清、100Uペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン及び1mMのピルビン酸ナトリウムを含むRPMI 1640培地で培養した。細胞の生存能力は、CellTiter-Glo(R)Luminescent Cell Viability Assayキット(Promega、カタログ番号G7573)によって測定された。
【0285】
実験方法は、キットの説明書の手順に従って操作され、次のように簡単に説明された。被験化合物は、まずDMSOに溶解して10mMストック溶液として調製し、その後培地で希釈し、化合物の最終濃度が1000nM~0.015nMの範囲になるように試験サンプルとして調製した。対数増殖期の細胞を96ウェル細胞培養プレートに1ウェルあたり800細胞の密度で播種し、37℃、5%CO2インキュベーターで一晩培養した後、被験化合物を加えてから120時間培養し続けた。培養終了後、50μL体積のCellTiter-Glo検出液を各ウェルに加え、5分間振とうし、10分間静置した後、マイクロプレートリーダーのLuminescenceモードでサンプルの各ウェルの発光値を読み取った。対照群(0.3%DMSO)の数値と比較することにより各濃度点での化合物のパーセント阻害率を算出し、その後GraphPad Prism5ソフトウェアで化合物濃度対数-阻害率について非線形回帰分析を行い、化合物による細胞増殖阻害のIC50値を得、表2に示す。
【0286】
【0287】
結論:本発明に係る化合物は、NCI-H358(ヒト非小細胞肺癌)細胞に対して良好な増殖阻害効果を有する。
【0288】
試験例3.本発明に係る化合物によるNCI-H358細胞中のp-ERK1/2の阻害活性
以下の方法は、本発明に係る化合物がNCI-H358細胞中のp-ERK1/2に対して阻害する活性を測定するために使用された。この方法では、Cisbio社のAdvanced phospho-ERK1/2(Thr202/tyr204)キット(カタログ番号64AERPEH)を使用し、詳細な実験操作は、キットの説明書を参照することができる。NCI-H358細胞(KRAS G12C変異を含む)は、中国科学院上海生命科学研究院細胞資源センターから購入した。
【0289】
実験手順は次のように簡単に説明された。NCI-H358細胞を、10%ウシ胎児血清、100Uペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン及び1mMのピルビン酸ナトリウムを含むRPMI 1640完全培地に培養した。NCI-H358細胞を96ウェルプレートに1ウェルあたり30000個で播種し、培地として完全培地を使用し、37℃、5%CO2インキュベーターで一晩培養した。被験化合物をDMSOに溶解して10mMストック溶液として調製し、その後RPMI 1640基礎培地で希釈し、対応する濃度の被験化合物を含むRPMI 1640基礎培地90μLを各ウェルに加え、反応系における被験化合物の最終濃度を1000nM~0.015nMの範囲にし、細胞培養器に入れて3時間40分間培養した。その後、最終濃度が5nMになるように、RPMI 1640基礎培地で調製したhEGF(ロシュより購入、カタログ番号11376454001)10μLを加え、インキュベーターを入れて20分間培養した。細胞上清を捨て、氷浴したPBSで細胞を洗浄した後、各ウェルに45μLの1×cell phospho/total protein lysis buffer(Advanced phospho-ERK1/2キット成分)を加えて分解し、96ウェルプレートを氷上で30分間分解した後、Advanced phospho-ERK1/2(Thr202/tyr204)キットの説明書に従って分解液を検出した。最後に、マイクロプレートリーダーのTF-FRETモードで304nMの励起波長で発光波長620nM及び665nMの各ウェルの蛍光強度を測定し、各ウェルの665/620の蛍光強度比を算出した。対照群(0.1%DMSO)の蛍光強度比と比較することにより、各濃度での被験化合物のパーセント阻害率を算出し、GraphPad Prism5ソフトウェアで被験化合物濃度対数値-阻害率について非線形回帰分析を行い、化合物のIC50値を得、表3に示す。
【0290】
【0291】
結論:本発明に係る化合物は、NCI-H358細胞中のp-ERK1/2に対して良好な増殖阻害効果を有する。
【0292】
試験例4.本発明に係る化合物のhERGカリウムイオンチャネルへの阻害活性
1、細胞培養
1.1 この試験で使用した細胞として、hERG cDNAをトランスフェクトしてhERGチャネルを安定して発現するCHO細胞株(デンマークSophion Bioscience社より提供)を使用し、細胞世代がP17であった。細胞をHam’s F12培地、10%(v/v)不活化ウシ胎児血清、100μg/mLのハイグロマイシンB、100μg/mLのジェネティシン(すべてインビトロジェンから購入)を含む培地に培養した。
【0293】
1.2 CHO hERG細胞を上記の培養液を含むペトリ皿で増殖させ、37℃、5%CO2含むインキュベーターで培養した。電気生理学的実験の24~48時間前に、CHO hERG細胞をペトリ皿に置いた円形ガラススライドに移し、上記と同じ培養液及び培養条件下で増殖させた。各円形ガラススライド上のCHO hERG細胞の密度は、ほとんどの細胞が独立した単一のものであるように要求された。
【0294】
2.実験溶液
次の溶液(Sophionが推奨したもの)を電気生理学的記録に使用した。
【0295】
【0296】
3.電気生理学的記録過程
3.1 電気生理学的記録システム
完全に自動化されたQPatchシステム(Sophion、デンマーク)を、全細胞電流の記録に使用した。細胞を-80mVの電圧でクランプされた。細胞クランプ電圧を+20mVに脱分極してhERGカリウムチャネルを活性化し、2.5秒後に-50mVにクランプして不活性化を無効にし、外向きテール電流を生成した。テール電流ピークは、hERG電流の大きさの尺度として使用された。
【0297】
3.2 QPatch実験手順
初期段階で膜透過性の全細胞配置状態に達した後、安定化に達するまで細胞を少なくとも120秒記録した。そして全過程で、上記の電圧パターンを、15秒ごとに細胞に適用した。上記のパラメータ閾値の記録では、安定した細胞のみが、薬物治療の過程に入ることを許された。0.1%ジメチルスルホキシド(溶媒)を含む外液を細胞に適用し、ベースラインを確立し、電流を3分間安定させた。化合物溶液の添加後、細胞を化合物の効果が安定状態又は限界の4分間に達するまで試験環境にとどまった。化合物の異なる濃度勾配の試験実験では、クランプされた細胞に化合物を低濃度から高濃度まで添加した。化合物試験完了後、電流が安定状態に戻るまで外液で細胞を洗浄した。
【0298】
4、化合物の準備
4.1 10mMの化合物ストック溶液を細胞外液で段階希釈により最終にμM濃度に希釈した。
4.2 最高の試験濃度を30μMとして、30、10,3、1,0.3及び0.1μMの6つの濃度にした。
4.3 30μMの化合物のDMSOの最終濃度が0.3%であることを除いて、他の濃度の化合物溶液中のDMSOの最終濃度が0.1%であった。すべての化合物溶液に対しては、化合物を完全に溶解させるために、5~10分間超音波処理に付し振とうした。
【0299】
5.データ分析
試験データを、Sophionが提供されるQpatch分析ソフトウェア、Excel及びGraphpad Prismなどで分析した。
【0300】
6.実験結果
本発明に係る化合物のhERG電流への阻害結果を表4に示す。
【0301】
【0302】
結論:心臓hERGカリウムイオンチャネルに対する薬物の阻害は、薬物がQT延長症候群を引き起こす主な理由である。実験結果から、本発明に係る化合物17は、心臓hERGカリウムイオンチャネルに対して有意な阻害効果を有さず、高用量で心毒性の副作用を回避できることが分かった。
【0303】
試験例5.本発明に係る化合物のICRマウスにおける薬物動態研究
1.実験の目的
ICRマウスを被試動物とし、比較例1及び本発明の実施例17の化合物をマウスに胃内投与し、LC/MS/MS法で異なる時点での血漿中の薬物濃度を測定し、マウス体内における本発明に係る化合物の薬物動態特性を考察した。
【0304】
2.実験方案
2.1 実験薬品と動物
比較例1:実施例17の化合物
北京維通利華実験動物技術有限公司から購入したICRマウス、雄、体重29.2~34.9g。
【0305】
2.2 薬剤の調製
胃内投与製剤の調製:適量の被験化合物を秤量し、適量のDMSO:PEG200=5%:95%(v/v)を加え、ボルテックスして振とうし、最終調製濃度を0.5mg/mLとして溶液を調製した。
【0306】
2.3 投与
ICRマウス、被験化合物胃内群(各群9匹)。
胃内群:一晩絶食後に胃内投与し(投与量5mg/kg、投与体積10mL/kg)、投与4時間後に摂食した。
【0307】
3.操作
胃内群:投与前と投与後0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間及び24時間に眼窩静脈から約100μLの血液を採取した。
全血サンプルをEDTA-K2抗凝固剤管に入れた。(遠心条件:1500g、10分間)遠心分離で血漿を収集した。この上層血漿を分析まで-40~-20℃で保存した。
LC-MS/MSにより、化合物を胃内投与した後にマウス血漿中の被験化合物の含有量を測定した。
【0308】
4.薬物動態パラメータの結果
本発明に係る化合物の薬物動態パラメータを表5に示す。
【0309】
【0310】
結論:比較例1と比較して、本発明に係る化合物17は、薬物動態吸収が良好であり、血中薬物濃度、曲線下面積及び半減期が比較例1よりも有意に優れており、良好な薬物動態特性を有する。
【0311】
注:比較例1は、WO2021083167A1の化合物Z27-2であり、WO2021083167A1の実施例27に従って製造され、具体的な構造は以下の通りである:
【0312】
【0313】
試験例6.NCI-H358細胞BALB/cヌードマウスの皮下移植モデルにおける本発明に係る化合物の薬力学試験
1.実験の目的
この試験は、NCI-H358(ヒト非小細胞肺癌)細胞株BALB/cヌードマウスの皮下移植動物モデルにおける、経口胃内投与により1日1回で14日間投与された本発明に係る化合物17の抗腫瘍効果及び安全性を評価するために行われた。
【0314】
2.被験物質の調製
2.1 ブランク投与製剤の調製:
DMA(ジメチルアセトアミド):30%Solutol HS 15:Saline(生理食塩水)=10:10:80(v/v/v)を含む適量の体積の製剤をブランク群投与試験液として調製した。
【0315】
2.2 化合物17の経口投与製剤の調製
適量の化合物17を10mLの遠心管に秤量,適量のDMAを加え、ボルテックスして振とうし、固形物を完全に溶解させ、さらに適量の体積の30%Solutol HS 15を加え、ボルテックスして振とうし、よく混合し、さらに生理食塩水を加え、DMA:30%Solutol HS 15:Salineの比率を10:10:80(v/v/v)にし、濃度が1mg/mLの投与製剤を調製した。
【0316】
3.実験動物
江蘇集萃薬康生物科技有限公司から購入した12匹のBALB/cヌードマウス、雌、6~7週齢(腫瘍細胞接種時のマウスの週齢)、ライセンス番号:SCXK(蘇)2019-0009、動物認証番号:202113149。
【0317】
4.細胞培養
NCI-H358細胞を、10%ウシ胎児血清、1%ピルビン酸ナトリウム及び1%グルタミンを含むRPMI 1640培養液に培養した。指数増殖期のNCI-H358細胞を収集し、ヌードマウスへの皮下腫瘍接種に適した濃度まで細胞をPBSに再懸濁した。
【0318】
5.動物接種とグループ分け
雌BALB/cヌードマウスの背中の右側に約3.7×106NCI-H358細胞を皮下接種し、腫瘍の平均体積が約100~150mm3に達したとき、腫瘍の大きさに応じてランダムにグループ分けし、各群6匹ずつに2群に分けた。
【0319】
6.動物への投与と観察
腫瘍接種後、皮下移植腫瘍モデルを構築した。各治療群及び溶媒対照群に14日間経口胃内投与した。動物の体重を毎日測定し、腫瘍体積を週に2回測定した。
【0320】
腫瘍体積(TV)、相対的腫瘍増殖率(T/C)、相対的腫瘍阻害率(TGI)及び腫瘍阻害率(IR)を次の計算式により算出した。
(1)TV(腫瘍体積、tumor volume)=1/2×a×b2、ただし、a、bはそれぞれ腫瘍の長さと幅を表す。
(2)T/C(相対的腫瘍増殖率、%)=TRTV/CRTV×100%、ただし、TRTVは治療群のRTV、CRTVは対照群のRTVである。
(3)TGI%(腫瘍増殖阻害率)=(1-T/C)×100%、ただし、TとCはそれぞれ治療群と対照群のある特定の時点での相対的腫瘍体積である。
(4)IR(%)(腫瘍重量腫瘍阻害率)=(1-TWt/TWc)×100%、ただし、TWtは治療群の腫瘍重量、TWcは対照群の腫瘍重量である。
【0321】
7.結果
本発明に係る化合物17により処理したNCI-H358細胞BALB/cヌードマウスのヌードマウス異種移植腫瘍の腫瘍体積変化図を
図1に示す。
本発明に係る化合物17により処理したNCI-H358細胞BALB/cヌードマウスのヌードマウス異種移植腫瘍の腫瘍体重変化図を
図2に示す。
【0322】
【0323】
【0324】
表6~7、
図1~2から分かるように、10mg/kg(po、qd)の用量で、本発明に係る化合物(化合物17を例とした)は、14日以内にNCI-H358細胞に基づくマウスインビボ腫瘍モデルの確立に対して有意な増殖阻害効果を有し、有意な体重変化が見られなく、良好な安全性と耐性を有する。
【国際調査報告】