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特表2023-539191移動を最小にして係合を最大にする組織アンカー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】移動を最小にして係合を最大にする組織アンカー
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513093
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 US2021050827
(87)【国際公開番号】W WO2022066525
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/083,309
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スカロ、ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】サベージ、パドレイグ ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD01
4C097DD09
4C097DD10
4C097MM09
4C097SB09
4C097SB10
(57)【要約】
植込み可能な装置を軟組織等の組織に固定するための組織アンカーである。アンカーは、アンカーが植え込まれる身体組織とのアンカーの係合、把持、握持等を強化し、改善し、高める等する組織係合構成を有する組織係合部を含む。いくつかの実施形態では、組織係合部は、組織を把持する、そうでなければ係合するように、組織係合部のセクションの間に組織を締め付けるか、挟持するか又は圧縮する。いくつかの実施形態では、組織係合部のセクションが、組織とのアンカーの係合を高めるようにアンカーの他の部分から離れるように拡張する、そうでなければ延びる。いくつかの実施形態では、組織係合部のセクションが、アンカーの他の部分を横切る方向で更に組織内に駆動するように外側にすそ広がりになり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み可能な装置用の組織アンカーであって、近位端及び遠位端を有し、前記遠位端が身体組織内に挿入されるように構成され、前記組織アンカーが、
前記アンカーの前記近位端にあるアンカーヘッドと、
前記アンカーヘッドから前記アンカーの前記遠位端まで遠位側に延びるアンカーシャフトと、
を備え、
前記アンカーシャフトが、組織係合部と駆動部とを備え、
前記組織係合部が、挿入構成と組織係合構成との間でシフトするように前記駆動部に対して移動可能であり、前記挿入構成が、組織内への前記アンカーの挿入を促進し、前記組織係合構成が、前記組織との前記アンカーシャフトの係合を強化する、組織アンカー。
【請求項2】
前記駆動部が、前記アンカーを組織内に駆動するように構成された送りねじを備える、請求項1に記載の組織アンカー。
【請求項3】
前記組織係合部が、アンカーセクションを含み、前記アンカーセクションが、前記組織係合部が前記挿入構成から前記組織係合構成にシフトするときに、前記アンカーセクションの間に組織を挟持するように圧縮する、請求項1又は2に記載の組織アンカー。
【請求項4】
前記アンカーセクションが、螺旋コイルを含み、前記螺旋コイルが、前記組織係合部が前記挿入構成から前記組織係合構成にシフトするにつれて互いに接近するように動いて、前記組織との前記アンカーの係合を強化するように前記コイルの間に組織を把持する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【請求項5】
前記組織係合部が、アンカーセクションを含み、前記アンカーセクションが、前記組織係合部が前記挿入構成から前記組織係合構成にシフトするときに、半径方向外側に延びる、請求項1~4のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【請求項6】
前記アンカーセクションが、前記組織係合部が前記挿入構成から前記組織係合構成にシフトするときに外側に座屈する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【請求項7】
前記アンカーセクションが、前記組織係合部が前記挿入構成から前記組織係合構成にシフトするときに、半径方向外側にすそ広がりになる、請求項1~6のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【請求項8】
前記アンカーセクションが、前記組織係合部が前記挿入構成から前記組織係合構成にシフトするときに格納構成から外側にすそ広がりになる棘を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【請求項9】
前記アンカーセクションが、前記組織係合部が前記挿入構成から前記組織係合構成にシフトするときに外側にすそ広がりになる端部を有する螺旋コイルを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【請求項10】
前記駆動部が、前記組織係合部内に配置され、前記組織係合部が、前記挿入構成と前記組織係合構成との間でシフトするように前記駆動部に対して移動可能な外側アンカーセクションを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【請求項11】
前記組織係合部が、前記駆動部内に配置されるとともにアンカーセクションを含み、前記アンカーセクションが、前記組織係合部が前記挿入構成にあるときの前記駆動部内の格納位置から、前記組織係合部が前記組織係合構成にあるときの前記駆動部から外側に延びた延長位置に、前記駆動部に対して移動可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【請求項12】
植込み可能な装置であって、
フレーム部材と、
前記フレーム部材に結合された少なくとも1つのアンカーであって、近位端及び遠位端を有し、前記遠位端が身体組織内に挿入されるように構成された、少なくとも1つのアンカーと、を備え、
前記アンカーが、
前記アンカーの前記近位端にあるアンカーヘッドと、
前記アンカーヘッドから前記アンカーの前記遠位端まで遠位側に延びるアンカーシャフトと、
組織内への前記アンカーの挿入を促進する挿入構成と、前記アンカーが挿入された前記組織内での前記アンカーの係合を強化する組織係合構成との間でシフト可能である組織係合部と
を備える、植込み可能な装置。
【請求項13】
前記アンカーシャフトが、前記組織係合部を備えるとともに駆動部を更に備え、前記組織係合部が、前記挿入構成と前記組織係合構成との間でシフトするように前記駆動部に対して移動可能であり、前記植込み可能な装置が、前記組織係合部と前記駆動部との間の相対移動を促進するために前記アンカーヘッドに係合するように構成されたアンカーカバーを更に備える、請求項12に記載の植込み可能な装置。
【請求項14】
前記組織係合部が前記駆動部に対して移動して前記組織係合構成になることを可能にするように、前記アンカーが前記挿入構成にあるときに前記駆動部が前記組織係合部との係合から外れて軸方向に動かされることを可能にするべく、前記アンカーカバーが前記駆動部に対して軸方向に前記組織係合部を保持するように構成される、請求項12又は13に記載の植込み型装置。
【請求項15】
前記アンカーカバーが、前記駆動部の近位端に対する相対的な前記組織係合部の近位端の回転を抑制するために前記組織係合部の前記近位端に係合するように構成される一方、前記駆動部と前記組織係合部との間の相対回転により前記組織係合部を前記組織係合構成にシフトさせるために前記組織係合部の遠位端の軸方向移動が可能になる、請求項12~14のいずれか一項に記載の植込み可能な装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、植込み可能な医療装置の分野に関する。より具体的に、本開示は、身体組織内に植え込み可能な装置の分野に関する。特に、本開示は、弁輪形成等の心臓治療のための医療装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
僧帽弁閉鎖不全症(MI)(僧帽弁逆流又は僧帽弁閉鎖不全症とも呼ばれる)は、僧帽弁輪が過度に拡張し、収縮期収縮中に弁尖がもはや効果的に閉鎖又は接合しなくなる、心疾患の一形態である。心室収縮中に血液の逆流が起こり、その結果、心拍出量が減少することがある。例えば、弁輪の周囲に弁輪形成リング又は他の植込み可能な装置を植え込むことにより、僧帽弁をその天然又は改善された構成に復元することを目的とする、経カテーテル修復を含む外科的及び管腔内弁輪形成技法が紹介されている。
【0003】
心臓に装置を植え込む際に遭遇する1つの困難は、アンカーの移動又は引き抜きを伴わずに、インプラントを心臓組織等の軟質材料内に長期間にわたって係留するとともに固定することである。
【0004】
(弁輪構成を修正するために、植込み可能な装置が締め付けられる等の操作がされるときや、処置が完了した後等に)植込み部位における植込み可能な装置の位置決め若しくは接続を補強又は増強し、及び/又は治療部位に対する植込み可能な装置の移動(シフト又は緩み)を低減し、及び/又は治療部位での潜在的な組織損傷を低減し得る、装置、システム、及び方法が歓迎される。
【発明の概要】
【0005】
本開示のこの概要は理解を助けるために与えられており、当業者であれば、本開示の様々な態様及び特徴がそれぞれ、いくつかの事例では別個に、他の事例では本開示の他の態様及び特徴と組み合わせて、有利に使用され得ることを理解するであろう。この概要における要素、構成要素等の包含又は非包含のいずれによっても、特許請求される主題の範囲に関する限定は意図されていない。
【0006】
本開示の様々な原理によれば、近位端及び遠位端を有し、遠位端が身体組織内に挿入されるように構成された組織アンカーであって、その近位端にあるアンカーヘッドと、アンカーヘッドからアンカーの遠位端まで遠位側に延びるアンカーシャフトと、を備えるアンカーが開示される。アンカーシャフトは、組織係合部と駆動部とを含み、組織係合部は、挿入構成と組織係合構成との間でシフトするように駆動部分に対して移動可能である。挿入構成は、組織内へのアンカーの挿入を促進し、組織係合構成は、組織とのアンカーシャフトの係合を強化する。
【0007】
いくつかの実施形態では、駆動部は、アンカーを組織内に駆動するように構成された送りねじを含む。
いくつかの実施形態では、組織係合部は、アンカーセクションを含み、アンカーセクションは、組織係合部が挿入構成から組織係合構成にシフトするときに、アンカーセクションの間に組織を挟持するように圧縮する。いくつかの実施形態では、アンカーセクションは、螺旋コイルを含み、螺旋コイルは、組織係合部が挿入構成から組織係合構成にシフトするにつれて互いに接近するように動いて、組織とのアンカーの係合を強化するようにコイルの間に組織を把持する。
【0008】
様々な実施形態では、組織係合部は、アンカーセクションを含み、アンカーセクションは、組織係合部が挿入構成から組織係合構成にシフトするときに、半径方向外側に延びる。いくつかの実施形態では、アンカーセクションは、組織係合部が挿入構成から組織係合構成にシフトするときに外側に座屈する。いくつかの実施形態では、アンカーセクションは、組織係合部が挿入構成から組織係合構成にシフトするときに、半径方向外側にすそ広がりになる。いくつかの実施形態では、アンカーセクションは、組織係合部が挿入構成から組織係合構成にシフトするときに格納構成から外側にすそ広がりになる棘を含む。いくつかの実施形態では、アンカーセクションは、組織係合部が挿入構成から組織係合構成にシフトするときに外側にすそ広がりになる端部を有する螺旋コイルを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、駆動部は、組織係合部内に配置され、組織係合部は、挿入構成と組織係合構成との間でシフトするように駆動部に対して移動可能である外側アンカーセクションを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、組織係合部は、駆動部内に配置されるとともにアンカーセクションを含み、アンカーセクションは、組織係合部が挿入構成にあるときの駆動部内の格納位置から、組織係合部が組織係合構成にあるときの駆動部から外側に延びた延長位置まで、駆動部に対して移動可能である。
【0011】
様々な実施形態では、駆動部の近位端が、組織係合部が挿入構成にあるときに、駆動部と組織係合部との間の相対的な回転移動を抑制するために組織係合部の近位端に係合し、駆動部の近位端と組織係合部の近位端は、組織係合部を組織係合構成にシフトさせるように駆動部と組織係合部との間の相対的な回転移動を可能にするために、係合から外れるように移動可能である。いくつかの実施形態では、駆動部と組織係合部との間の相対的な回転移動により、組織係合部が組織係合構成にシフトすることが可能になるように、駆動部に対する組織係合部の少なくとも一部分の軸方向移動が可能になる。
【0012】
本開示の様々な原理によれば、植込み可能な装置が提供される。植込み可能な装置は、フレーム部材と、フレーム部材に結合された少なくとも1つのアンカーであって、近位端及び遠位端を有し、遠位端が身体組織内に挿入されるように構成された、少なくとも1つのアンカーとを備える。アンカーは、アンカーの近位端にあるアンカーヘッドと、アンカーヘッドからアンカーの遠位端まで遠位側に延びるアンカーシャフトと、組織内へのアンカーの挿入を促進する挿入構成と、アンカーが挿入された組織内でのアンカーの係合を強化する組織係合構成との間でシフト可能な組織係合部と、を備える。
【0013】
様々な実施形態では、アンカーシャフトは、組織係合部を備えるとともに駆動部を更に備え、組織係合部は、挿入構成と組織係合構成との間でシフトするように駆動部に対して移動可能であり、システムは、組織係合部と駆動部との間の相対移動を促進するためにアンカーヘッドに係合するように構成されたアンカーカバーを更に備える。いくつかの実施形態では、組織係合部が駆動部に対して移動して組織係合構成になることを可能にするように、アンカーが挿入構成にあるときに駆動部が組織係合部との係合から外れて軸方向に動かされることを可能にするべく、アンカーカバーが駆動部に対して軸方向に組織係合部を保持するように構成される。いくつかの実施形態では、アンカーカバーは、駆動部の近位端に対する組織係合部の近位端の回転を抑制するために、組織係合部の近位端に係合するように構成される一方、駆動部と組織係合部との間の相対回転により、組織係合部を組織係合構成にシフトさせるために組織係合部の遠位端の軸方向移動が可能になる。
【0014】
本開示の様々な原理によれば、植込み可能な装置を軟組織に植え込む方法が、植込み可能な装置に結合されたアンカーを軟組織内に前進させるステップと、アンカーが軟組織内に挿入された後に、アンカーを挿入構成から、アンカーが組織上での握持を高めた組織係合構成にシフトさせて、組織に対する植込み可能な装置の固定を強化するステップと、を含む。
【0015】
様々な実施形態では、アンカーは、駆動部及び組織係合部を含み、方法は、駆動部を組織内に駆動するステップと、駆動部に対して組織係合部を移動させて、組織とのアンカーの係合を高めるステップとを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、駆動部を回転させて、組織係合部を組織係合構成に移動させるステップを更に含む。
【0016】
本開示のこれら及び他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から容易に明らかになり、特許請求される発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載される。以下の開示は、態様又は実施形態に関して提示されるが、個々の態様が、別個に、又はその実施形態若しくは任意の他の実施形態の態様及び特徴と組み合わせて、特許請求され得ることを理解されたい。
【0017】
本開示の非限定的な実施形態について、添付図面を参照して例として説明する。添付図面は、概略であり、縮尺どおりに描かれることを意図していない。添付図面は、例示のためのみに提供され、図面内の図に反映された寸法、位置、順序及び相対的なサイズが、変動することがある。例えば、装置は、詳細が識別可能になるように拡大されることがあるが、例えば、送達カテーテル又は内視鏡の作業チャネル内にフィットすることに関連して、縮小されるよう意図されている。図では、同一、略同一又は均等の要素を同じ文字で典型的に表し、同様の要素を100ずつ異なる同様の参照番号で典型的に指定し、重複する説明を省略する。明確さ及び簡潔さのために、全ての図で全ての要素にラベルを付すことはせず、当業者が本開示を理解することを可能にするために図示が必要でない場合には、各実施形態の全ての要素を示すこともしない。
【0018】
詳細な説明は、同様の要素を同様の参照文字で表している、以下の添付図面と併せてより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の様々な態様に従って形成されたアンカーを使用して弁輪に植え込まれて示された心臓弁植込み装置の例を有するヒト心臓弁の概略図。
図2】本開示の様々な原理に従って形成されたアンカーの例を有する心臓弁植込み装置の斜視図。
図3】本開示の様々な態様に従って形成されたアンカーのある実施形態の斜視図。
図4】本開示の様々な態様による組織係合構成における図3と同様のアンカーの立面図。
図5図3と同様のアンカーの断面図。
図6】本開示の様々な原理に従って形成されたアンカーとともに使用され得るアンカーカバーの例の斜視図。
図7図6と同様のアンカーカバーの上端面図。
図8】本開示の様々な態様に従って形成されたアンカーの別の実施形態の斜視図。
図9図8と同様のアンカーの断面図。
図10】本開示の様々な態様による組織係合構成における図8と同様のアンカーの立面図。
図11】本開示の様々な態様に従って形成されたアンカーの別の実施形態の斜視図。
図12図11と同様のアンカーの断面図。
図13】本開示の様々な態様による組織係合構成における図11と同様のアンカーの立面図。
図14】本開示の様々な態様に従って形成され、本開示の様々な態様による組織係合構成において示される、アンカーの別の実施形態の斜視図。
図15】本開示の様々な態様による挿入構成における図15と同様のアンカーの斜視断面図。
図16】本開示の様々な態様による組織係合構成における図14と同様のアンカーの断面図。
図17】本開示の様々な原理に従って形成され、本開示の様々な態様による組織係合構成において示される、アンカーの別の実施形態の斜視図。
図18】本開示の様々な原理に従って形成され、本開示の様々な態様による組織係合構成において示される、アンカーの別の実施形態の斜視図。
図19】本開示の様々な原理に従って形成され、本開示の様々な態様による組織係合構成において示される、アンカーの別の実施形態の斜視図。
図20図19と同様のアンカーの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明は、例示的な実施形態を示す図面を参照して読まれるべきである。本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、従って、変動し得ることを理解されたい。本明細書で議論する全ての装置、システム、及び方法は、本開示の1つ以上の原理に従って実施される装置、システム、及び/又は方法の例である。ある実施形態の各例は、説明のために提供され、これらの原理を実施するための唯一の方法ではなく、単なる例である。よって、図面中の要素、構造又は特徴への言及は、本開示の実施形態の例への言及として理解されるべきであり、図示の特定の要素、構造又は特徴に本開示を限定するものとして理解されるべきではない。開示された原理を実施する方法の他の例が、本開示を読んだ当業者には想起されるであろう。実際に、本主題の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本開示において様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示又は説明される特徴は、別の実施形態とともに使用されて、また更なる実施形態をもたらすことができる。よって、本主題は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等の範囲内に入るそのような修正及び変形を包含することが意図される。
【0021】
本開示は、本出願において様々な詳細さのレベルで説明されていることが理解されるであろう。特定の例では、当業者が本開示を理解するのに必要でない詳細、又は他の詳細の認識を困難にする詳細が、省略されていることがある。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲を超えて限定することを意図するものではない。別様に定義されない限り、本明細書で使用する技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものとして理解されるべきである。本明細書で開示及び特許請求される装置及び/又は方法は全て、本開示に照らして、過度の実験を伴わずに作製及び実行することができる。
【0022】
本明細書で使用する場合、「近位」は、装置を使用するとき(例えば、装置を患者内に導入するとき、又は植込み、配置若しくは送達の間)等に、ユーザ(医療専門家、臨床医、技術者、オペレータ又は医師等、これらの用語は、限定又はその他を意図せずに互換的に使用する)等に最も近い方向又は位置を指し、「遠位」は、装置を使用するとき(例えば、装置を患者内に導入するとき、又は植込み、配置若しくは送達の間)等に、ユーザから最も遠い方向又は位置を指す。「長手方向」は、要素のより長い又はより大きい寸法に沿って延びることを意味する。「中心」は、中心点を少なくとも概ね二等分することを意味し、「中心軸」は、開口部に関して、開口部の中心点を少なくとも概ね二等分する線であって、開口部が、例えば、管状要素、ストラット、チャネル又はボアを備えるときに、開口部の長さに沿って長手方向に延びる線を意味する。
【0023】
本開示の原理によれば、アンカーが、治療部位(例えば、人体内又は人体上の治療部位の組織)でのアンカーの保持及び植込み可能な装置の固定を改善するために、組織(例えば、軟組織)との係合を改善するように構成される。本開示の一態様によれば、アンカーが、組織内へのアンカーの挿入を促進する挿入構成と、アンカーが植え込まれる組織内でのアンカーの保持を改善する組織係合構成との間で移動又はシフトする、少なくとも1つの組織係合部を有するように構成される。いくつかの実施形態では、アンカーは、アンカーヘッド及びアンカーシャフトを有し、組織係合部は、アンカーシャフトの一部分である。いくつかの実施形態では、アンカーは、組織係合部と結合され、アンカーを組織内に駆動するように構成された、駆動部を含む。駆動部は、組織内に駆動され、組織と係合されるように構成された、送りねじを含んでもよい。挿入構成では、組織係合部は、実質的にコンパクトであってもよく、そうでなければ、駆動部とともに組織内への組織係合部の挿入を促進するように、駆動部の近くに配置され、かつ/又はそれと位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、駆動部が組織係合部を作動させると、組織係合部は挿入構成と組織係合構成との間を移動する。例えば、いくつかの実施形態では、組織係合部と駆動部との間の相対移動により、例えば相対的な回転移動等により、組織係合部が挿入構成と組織係合構成との間で移動することが可能になるか又はそうした移動が引き起こされる。いくつかの実施形態では、組織係合部と駆動部は、一緒に回転するように選択的に回転結合され、それらの間の相対回転を可能にするように選択的に結合解除される。
【0024】
本開示の様々な原理に従って形成された改良された組織アンカーは組織係合部を含み、該組織係合部は、アンカーが植え込まれる身体組織とのアンカーの係合、把持、握持等を強化し、改善し、高める等する組織係合構成を有する。いくつかの実施形態では、組織係合部は、組織係合部のセクションの間に組織を締め付けるか、挟持するか又は圧縮して、組織を把持するか、又は別様に組織に係合する。いくつかの実施形態では、組織係合部のセクションが、アンカーの他の部分から離れるように拡張して若しくは別様に延びて、組織内への更なる埋め込みを行う、又は組織に対する組織係合部の設置面積若しくは表面積を大きくする、及び/又は組織内での保持を高め、アンカーの後退若しくはその他を抑制若しくは防止する、及び/又は組織の「移動(walk)」を最小限にする若しくは排除する等する。代替的又は追加的に、組織係合部のセクションが、アンカーの他の部分を横切る方向で組織内に更に駆動するために外側にすそ広がりになってもよい。
【0025】
本開示の1つ以上の態様又は原理に従って形成された改良されたアンカーが、植込み可能な装置に設けられ(例えば、植込み可能な装置に結合されるか又は取り付けられ)、植込み可能な装置を治療部位の組織に固定又は係留するために使用され得る。1つ以上のアンカーが設けられてもよい。アクチュエータ、駆動シャフト又は駆動部(これらの用語は、本明細書では限定を意図せずに互換的に使用する)が、アンカーに係合して、アンカーを組織内に前進させ又は駆動し、任意選択で、必要に応じてアンカーを後退させてもよい。いくつかの実施形態では、アンカーは、アクチュエータと係合されるように構成されたラッチ若しくはカプラ、又は送達及び/若しくは展開装置に設けられ、植込み可能な装置を送達及び/若しくは展開及び/若しくは調節及び/若しくは別様に操縦若しくは操作するように設けられ構成された別のラッチを含む。
【0026】
本開示のある態様によれば、アンカーの組織係合部と駆動部とが選択的に回転結合される又は結合解除されるある実施形態では、駆動部は、組織係合部に対して回転結合された又は結合解除された位置にあるときに、組織係合部を挿入構成と組織係合構成との間でシフトさせるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、駆動部と組織係合部は、組織内に駆動されるように一緒に回転する。そして、駆動部と組織係合部は、互いから係合解除又は結合解除されてもよく、駆動部が組織係合部に対して回転することで、組織係合部は挿入構成から組織係合構成に構成を変更する又はそうした変更が可能になる。アクチュエータが、組織係合部と駆動部を一緒に回転させるために、また(組織係合部を回転させずに)駆動部を個別に回転させるために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、組織係合部と駆動部は、一緒に回転するように、相互係合され、結合され、連動等される(これらの用語は、本明細書では限定を意図せずに互換的に使用する)とともに、組織係合部と駆動部とを係合解除し、結合解除し、分離等するため、そうでなければ、組織係合部とは別個の駆動部の作動のような、駆動部と組織係合部との別個の作動等によって、組織係合部が挿入構成から組織係合構成にシフトすること又はそうしたシフトを可能とするために、アンカーカバーが設けられ得る。アンカーカバーが、組織係合部と駆動部との間の所望の相対位置を維持するために、追加的又は代替的に使用されてもよい。
【0027】
本開示の態様によれば、少なくとも1つの改良されたアンカーを備えた植込み可能な装置が提供される。アンカーは、植込み可能な装置の一部、又は植込み可能な装置から独立したものと見なされてもよい。植込み可能な装置は、本体部材若しくは本体又はフレーム部材若しくはフレーム(これらの用語は、本明細書では限定を意図せずに互換的に使用する)を有し、1つ以上のアンカーが、植込み可能な装置の本体又はフレーム等、植込み可能な装置に結合され、組織に対して植込み可能な装置を固着、固定又は係留するように形作られ、構成される。アンカーの1つ以上が、上述のように、アンカーが植え込まれる組織とのアンカーの係合、把持、握持等を強化し、改善し、高める等するように、本開示の様々な原理に従って形成される。植込み可能な装置は、僧帽弁等の心臓弁のカスタム再形成のために構成されてもよい。いくつかの実施形態では、フレームは、近位端及び遠位端を有する概ね管状のフレームであり、改良されたアンカーの少なくとも1つが、フレームの遠位端から遠位側に延び、心臓組織内に前進可能である。いくつかの実施形態では、フレームは、複数のストラットで形成され、隣り合うストラットが、フレームの近位端に近位先端を形成し、フレームの遠位端に遠位先端を形成する。本開示の原理に従って形成されたアンカーが、組織に対して植込み可能な装置を係留するために、1つ以上の遠位先端に設けられてもよい。アンカーの改良された構成は、組織係合及び/若しくはアンカー保持を高め、並びに/又は組織の「移動」及び/又はアンカーの後退を抑制若しくは防止し、それにより、植込み可能な装置の有効性を高め得る。
【0028】
改良された組織アンカー、改良されたアンカーを有する植込み可能な装置、並びに改良された組織アンカーの使用方法及び1つ以上の改良されたアンカーを有するインプラントの展開方法のこれら及び他の有益な態様について、以下でより詳細に説明する。本開示の実施形態は、僧帽弁を具体的に参照して説明され得るが、本明細書に開示される原理は、例えば、三尖弁輪を含む、任意の弁輪の再建を促進するように容易に適合され得、及び/又は任意の他の拡張、弁不全、弁漏出、及び他の同様の心不全状態に同様に恩恵をもたらし得る。さらに、本明細書に開示される原理は、心臓に植え込まれる装置以外の他の植込み可能な装置に適用されてもよい。
【0029】
改良された組織アンカー、改良された組織アンカーを有する植込み可能な装置、及びその使用方法の様々な実施形態について、ここで添付図面に示す例を参照して説明する。本明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、本開示の原理による1つ以上の特定の特徴、構造及び/又は特性が、実施形態に関連して含まれ得ることを示す。しかし、そのような言及は、全ての実施形態が特定の特徴、構造及び/又は特性を含むこと、あるいは、ある実施形態が全ての特徴、構造及び/又は特性を含むことを必ずしも意味しない。いくつかの実施形態は、1つ以上のそのような特徴、構造及び/又は特性を、それらの様々な組合せで含むことがある。さらに、本明細書の様々な箇所における「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、全てが同じ実施形態を必ずしも指しておらず、必ずしも他の実施形態と相互排他的な別個の又は代替的な実施形態でもない。特定の特徴、構造及び/又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、そのような特徴、構造及び/又は特性は、反対のことが明確に述べられていない限り、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連しても使用され得ることを理解されたい。そのような特徴、構造及び/又は特性は、単独で使用又は提示され得るか、あるいは、特徴、構造及び/又は特性の多数の可能な組合せ及び部分的組合せの全てを説明するには煩雑すぎるので、本開示の一部と見なされる代替的な実施形態を作り出すために、互いに様々な組合せで使用又は提示され得ることを更に理解されたい。さらに、いくつかの実施形態によって呈示され得るが、他の実施形態によっては呈示され得ない様々な特徴、構造及び/又は特性について説明する。同様に、いくつかの実施形態の場合に特徴、構造及び/若しくは特性又は要件となり得るが、他の実施形態の場合に特徴、構造及び/若しくは特性又は要件となり得ない、様々な特徴、構造及び/若しくは特性又は要件について説明する。従って、本発明は、本明細書に具体的に記載された実施形態のみに限定されない。
【0030】
ここで図面を参照すると、以下の説明では、アンカーの様々な図示された実施形態の間で同様の要素又は構成要素については概ね、100を加えた同じ参照番号で指定し、重複する説明を省略していることが理解されるであろう。共通の特徴は共通の参照要素によって識別し、また、説明を簡潔にするために、共通の特徴については概ね説明を概ね繰り返さないこととする。明確さのために、同じ参照符号を有する全ての構成番号には符号を付していない。
【0031】
本開示の1つ以上の態様に従って形成されたアンカーの恩恵を受け得る、展開/送達装置又はシステム102を使用して心臓弁輪内に植え込まれている植込み可能な装置100の例が、図1に示されており、図2にはより詳細に示されている。本例の植込み可能な装置100は、心臓弁(例えば、図示するような僧帽弁、又は三尖弁)のカスタム再形成等の弁輪形成のための植込み可能な装置であり、植え込まれる/固定される弁輪VAの形状を修正するために、折り畳み構成と拡張構成との間で、またそれらの間の位置で移動することができる。植込み可能な装置100が送達/展開されて植え込まれる治療部位TSの位置を特定するために、並びに/又は植込み中及び調節中に植込み可能な装置100の構成及び/若しくは位置を観察するために、撮像カテーテル104が使用され得る。様々な配置能力及び撮像能力を有する操縦可能な送達装置及びシステムの例が、米国特許第10,335,275号「Methods For Deployment of Heart Valve Devices Using Intravascular Ultrasound Imaging」(2019年7月2日発行)に記載されており、この特許は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。保持装置又は送達装置その他によって圧縮、後退又は非拡張(これらの用語は、本明細書では限定を意図せずに互換的に使用する)構成で保持され得る植込み可能な装置100は、治療部位TSに到達すると、図1に示すように、展開、配置及び植込みのために拡張可能になる。例えば、拡張状態に向かって付勢される形状記憶材料又は超弾性材料(例えば、ニチノール)でフレームが形成される場合、拡張が自然に起こり得る。代替的な実施形態では、例えば、拡張可能な展開装置(例えば、膨張可能なバルーン等)の使用によってフレーム内に加えられる力を使用して、拡張が機械的に制御されてもよい。
【0032】
図2を参照すると、植込み可能な装置100の図示の例は、心臓弁又は他の心臓特徴部の付近に配置され得るフレーム部材110を含む。フレーム部材110は、フレーム中心軸FAに関して概ね対称であり得るが、対称である必要はない。フレーム部材110は、概ね管状の形状を形成し得る。本明細書では、用語「管状」は、円形形状及び他の丸みを帯びた形状、そうでなければ別様に閉じた形状を含むものと理解される。フレーム部材110は、形状、サイズ、寸法及び/又は構成を変更するように構成され得る。例えば、フレーム部材110は、事前送達、送達、組織係合、係留、調節(例えば、締め付け)等、展開の異なる段階中に様々な形状、サイズ、寸法、構成等を呈し得る。
【0033】
フレーム部材110は、フレーム部材110の全体又は一部を形成し得る1つ以上のストラット112から形成され得る。ストラット112は、金属合金、ニッケルチタン若しくは他の金属の合金等の形状記憶材料、金属合金、プラスチック、ポリマー、複合材、他の好適な材料、又はそれらの組み合わせで形成された細長い構造部材を含み得る。一実施形態では、ストラット112は、同一のモノリシックな材料片(例えば、管素材)から形成されてもよい。よって、ストラット112への言及は、同一の同じ広がりを持つ構成要素の異なる部分を指すことがある。代替的に、ストラット112への言及は、別個に形成され、(任意選択で、溶接又は他の方法等によって恒久的に)一緒に取り付けられる構成要素を指すことがある。いくつかの実施形態では、ストラット112は、近位先端114及び遠位先端116を形成するように着脱可能に結合される別個の構成要素であってもよい。代替的に、モノリシックな材料片から形成される場合、材料は、近位先端114及び遠位先端116を画定するように、切断され、そうでなければ形成されてもよい。
【0034】
図2に示すように、植込み可能な装置100のある実施形態の図示の例では、複数の締付けカラー120(カラー、スリーブ、締付けスリーブ、スライダ又はナットとして代替的に参照され、これらの用語は、本明細書では限定を意図せずに互換的に使用し、簡潔さのために概ねカラーが参照される)が、フレーム部材110の近位先端114にフレーム部材110の近位端111で担持され、複数の組織アンカー1000が、フレーム部材110の遠位先端116に沿う等してフレーム部材110の遠位端113で担持される。図示の実施形態では、フレーム部材110の近位端111は、送達/展開システム102に向かって近位側に向けられ、それによって係合又は担持され、フレーム部材110の遠位端113は、送達/展開システム102から遠位側に延び、治療部位TSと係合される端部である。植込み可能な装置100が送達される様式及び向きに応じる等、フレーム部材110の代替的な構成が、本開示の範囲内及び趣旨内にあることが理解されるであろう。
【0035】
カラー120が被さる近位先端114に対して当該カラー120が前進し又は引き込まれることにより、そのような先端で接合されたストラット112の相対位置が調節される。そのような調節により、治療部位TSのサイズ、形状、構成、寸法等のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすように(弁輪の形状をその適正な機能又は能力のために復元又は補正するように等)、フレーム部材110のサイズ、形状、構成、寸法等のうちの少なくとも1つの調節(例えば、隣り合うストラット112をそれぞれ接近又は離間させる時のフレームの後退/圧縮又は拡張)がもたらされる。カラー120は、カラー120内のねじに係合するねじ付きカラーアクチュエータ130と係合し、(軸方向移動に対して保持された)カラーアクチュエータ130の回転によってカラー120の軸方向移動を引き起こすことによる等、様々な方式で調節され得る。所望に応じて、カラー120を作動させる(例えば、移動、前進、後退させる等)ために設けられたアクチュエータのラッチによる係合のために、ラッチ132がカラーアクチュエータ130に設けられ得る。
【0036】
概して、各アンカー1000は、異なる遠位先端116に関連付けられる。いくつかの実施形態では、アンカー1000は、フレーム部材110に結合されたアンカーハウジング1002を通って進む。アンカー1000は、フレーム部材110を植え込むか又はフレーム部材110の位置を調節するために、フレーム部材110に対して遠位側に弁輪VA内に前進させられるとともに、フレーム部材110を取り除くか、又はその位置を調節するために引っ込められる。アンカー1000は、概して、アンカー1000の近位端1001にあるアンカーヘッド1010と、アンカーヘッド1010からアンカー1000の遠位端1003に向かって遠位側に延びるアンカーシャフト1020とを含み得る。アンカーシャフト1020は、アンカー1000の回転により、フレーム部材110に対してアンカー1000が前進又は後退するように、螺旋状の部分又はセクションを含み得る。(螺旋シャフトの形態等の)アンカーシャフト1020は、関連するアンカーハウジング1002の有無にかかわらず、フレーム部材110の関連する遠位先端116の一部に結合され、それを通って延び得る。ラッチ1012は、アンカーヘッド1010に設けられるか又は形成され得るとともに、アンカー1000を作動させる(例えば、移動、前進、後退させる等)ために設けられたアクチュエータの対応するラッチによって係合されるように構成され得る。
【0037】
本開示の様々な原理に従って形成されたアンカー1000が、組織内への挿入を促進するコンパクト構成等の挿入構成と、アンカー1000によって組織に固定された植込み可能な装置の保持を強化する等、アンカー1000が組織との係合を強化するように形作られる組織係合構成とを含む、1つ以上の構成を有する。いくつかの実施形態では、2つ以上の構成を有するアンカー1000が、少なくとも2つの部分を有するアンカーシャフト1020を有しており、該少なくとも2つの部分は、挿入構成と組織係合構成との間でアンカーシャフト1020をシフトさせるために互いに対して移動可能である。
【0038】
本開示の様々な原理に従って形成された一実施形態では、図3図5に示すように、アンカー1100が、アンカー1100の近位端1101にあるアンカーヘッド1110と、アンカーヘッド1010からアンカー1100の遠位端1103まで遠位側に延びるアンカーシャフト1120とを含む。図示のアンカーシャフト1120は、駆動部1130及び組織係合部1140を含む。(アンカーヘッド1110から近位側に延びるラッチ1112の回転時等の)アンカーヘッド1110の作動により、駆動部1130が組織内に駆動される(又は、反対方向の移動の場合は、そこから後退させられる)。駆動部1130と組織係合部1140は、アンカー1100が図3に示すような挿入構成にあるときに、一緒に回転するように回転結合され得る。理解され得るように、挿入構成では、組織係合部1140は、アンカー1100の長手方向軸LAに対して概ね軸方向に延び、組織内への挿入を促進するため等にアンカーシャフト1120の駆動部1130の少なくとも送りねじ1132セクションと概ね位置合わせされる。
【0039】
アンカーシャフト1120が、アンカー1100を組織に固定するほどに十分に前進させられると、アンカー1100は、図4に示すように、組織係合構成にシフト又は変形することが可能になり得る。組織係合構成では、組織係合部1140は、把持が強化された構成に、又は係留した形状若しくは構成に、若しくは組織に係合した形状若しくは構成に(これらの用語は、本明細書では限定を意図せずに、相互にまた他の関連用語と互換的に使用する)再構成され、シフトされ、若しくは変形され、又はその他の態様にされる(これらの用語は、本明細書では限定を意図せずに互換的に使用する)。図3及び図4に示す例では、組織係合部1140は、それが挿入された組織上での握持を高めるために形状又は構成を変更又はシフトさせる、外側アンカーセクション1142を有する。図3図5の実施形態では、外側アンカーセクション1142は、コイル状外側アンカーセクションの形態であって、この形態では、組織係合部1140のコイル状外側アンカーセクション1142の各巻きの間に間隙が存在し得る(図3に示すような)挿入構成から、コイル状セクションの巻きの少なくともいくつかが互いにより接近した(図4に示すような)組織係合構成に圧縮される。組織係合部1140のコイル状外側アンカーセクション1142の巻きが互いにより接近して動くことにより、挿入構成にあるときにアンカー1100が挿入され、コイル状外側アンカーセクション1142の巻きの間に延びている組織が挟持され得、そうでなければ把持され得、それにより、組織係合部1140による組織上でのアンカー1100の握持又は把持(これらの用語は、本明細書では限定を意図せずに互換的に使用する)を強化するか又は高める。
【0040】
理解され得るように、アンカー1100が図3図5の実施形態における構成間でシフトするために、駆動部1130及び組織係合部1140は、又は駆動部1130及び組織係合部1140の少なくとも一部は、互いに対して移動する。図3図5の実施形態では、駆動部1130と組織係合部1140は、選択的に(アンカー1100の長手方向軸LAに沿って)軸方向に移動し、一緒にかつ互いに対して回転する。特に、挿入構成において、駆動部1130と組織係合部1140とは、(アンカー1100を組織内に駆動するために、アンカーヘッド1110のラッチ1112の回転によって促進される等)組織内へのアンカー1100の挿入中に一緒に回転するように、互いに係合又は結合されており、概して互いに対して軸方向に移動しない。(図4に示すような)組織係合構成にシフトするために、組織係合部1140は、組織係合構成にシフトするように駆動部1130に対して移動することができる。
【0041】
図3図5の実施形態では、駆動部1130は、アンカー1100の挿入及び/又は組織の貫通及び/又は組織内へのアンカー1000の駆動を促進するように構成された送りねじ1132の形態であり得る、並びに/あるいは送りねじを含み得る。例えば、送りねじ1132は、鋭利な遠位端1133と、組織内への送りねじ1132の貫通及び/又は前進を促進する外ねじ1135とを含み得る。送りねじ1132の前進は、概して駆動部1130と組織係合部1140とが一緒に回転するように回転結合されているときに、同様にアンカー1100の組織係合部1140も組織内に前進させる。そのような結合は、本開示の範囲内で様々な様式で達成され得る。例えば、図3図5の実施形態では、図3を参照して最も容易に分かるように、駆動部1130と組織係合部1140とは、(アンカーヘッド1110を形成すると見なし得る)当該駆動部1130と組織係合部1140のそれぞれの近位端1131、1141で、連動要素1134、1144(例えば、キー又は突起に係合するキー溝又は戻り止め)等によって係合して、相対的な回転移動に対して回転をロックされる(例えば、制限される)。より具体的に、図示の実施形態では、駆動部1130の近位端1131は、キー溝又は戻り止め1134を含み、その中に、組織係合部1140の近位端1141のキー又は突起1144が延びて、駆動部1130と組織係合部1140との間の回転移動を抑制又は防止する。逆の配置(組織係合部1140がキー溝又は戻り止めを有し、駆動部1130がキー又は突起を有する)が、本開示の範囲内であることが理解されるであろう。組織係合部1140に対する駆動部1130の更なる遠位側への移動、及び駆動部1130に対する組織係合部1140の更なる近位側への移動を抑制又は防止するために、任意選択で、フランジ1136が、(キー溝1134が形成された)駆動部1130の近位端1131に形成され得る。
【0042】
アンカー1100が治療部位TSで組織内に十分に挿入されると、組織係合部1140は、組織係合構成にシフトするように作動され得る。図3図5の実施形態では、駆動部1130は、組織係合構成にシフトするように組織係合部1140を作動させ得る。特に、駆動部1130の連続した回転により、組織係合構成にシフトするように組織係合部1140が作動し得る。そのような作動は、組織係合部1140の一部分が駆動部1130に対して回転可能であることにより、及び、組織係合部1140の近位部分が駆動部1130の近位部分に軸方向へ移動することを抑制しつつ、組織係合部1140の遠位部分が駆動部1130に対して移動可能であることにより、達成され得る。図5を参照して理解され得るように、組織係合部1140は、駆動セクション1146を含み得る。該駆動セクション1146は、駆動部1130の送りねじ1132セクションの外ねじ1135に係合する内ねじ1145を有する。いくつかの実施形態では、内ねじ1145は、駆動セクション1146の内側表面(コイル状外側アンカーセクション1142の個々の巻きよりも、アンカー1100の長手方向軸LAに沿ってより大きな軸方向範囲を有する、円筒形セクション等)に形成される。他の実施形態では、送りねじ1132の外ねじ1135に係合するための内ねじ1145を有するナットが、組織係合部1140に形成される(例えば、その一部として機械加工される)か又は別個に形成されてその上に設けられる。概して、駆動セクション1146は、駆動部1130の遠位端1133に係合するように組織係合部1140の遠位端1143に隣接して設けられ得る。しかし、図示の位置よりも近位側の位置が、本開示の範囲内である。
【0043】
組織係合部1140を作動させるために、駆動部1130と組織係合部1140は、互いに対して回転可能になるように回転係合から解放され得る。いくつかの実施形態では、駆動部1130は、駆動部1130を組織係合部1140に対して軸方向に移動させること等により、組織係合部1140に対して軸方向に移動することになって、連動要素1134、1144を係合解除するように移動させられ得る。フランジ1136が、駆動部1130の近位端1131に設けられる場合、駆動部1130の軸方向移動により、フランジ1136が、組織係合部1140の近位端1141の突起1144から近位側に離れるように移動して、(例えば、フランジ1136が突起1144上で回転することを可能にすることにより)組織係合部1140に対する駆動部1130の回転が可能になる。駆動セクション1146が送りねじ1132と回転係合されたままである間の組織係合部1140に対する駆動部1130の連続した回転により、駆動セクション1146が、駆動部1130の送りねじ1132セクションに沿って軸方向に近位側に移動する。駆動セクション1146が近位側に移動するにつれて、コイル状外側アンカーセクション1142は、そのコイルの巻きを締め付けるか又は圧縮し、それらの間に組織を把持するか又は挟み込み、それにより、アンカー1100が挿入された組織に対する把持又は握持を高める。アンカー1100が十分に固定されると、駆動部1130と組織係合部1140は、それらの間の相対的な回転移動を抑制又は防止する等、再係合され、それにより、図5に示す組織係合構成に組織係合部1140を保持し得る。
【0044】
理解されるように、駆動部1130は、駆動部1130の近位端1131のラッチ1112の係合と軸方向移動とによって軸方向に移動され得る。組織係合部1140に対する駆動部1130の軸方向移動を促進するために、図6及び図7に示すようなアンカーカバー140が使用され得る。図6を参照して理解され得るように、アンカーカバー140は、アンカー1100の近位端1101に係合するように構成されたアンカー係合遠位端143を含む。アンカーカバー140のアンカー係合遠位端143は、組織係合部1140の近位端1141の(近位側に延び得る)突起1144が受容される切欠き145を含み得る。アンカーカバー140の(例えば、タブの形態であり得る)遠位側に延びるアンカー係合セクション146は、駆動部1130が組織係合部1140との係合から外れて軸方向に近位側に移動するときに、組織係合部1140の近位端1141が駆動部1130とともに近位側に移動しないように、当該組織係合部1140の近位端1141を保持する。アンカーカバー140のアンカー係合セクション146はまた、組織係合部1140の突起1144に横方向に係合して、駆動部1130に対する組織係合部1140の回転を抑制する。アンカーカバー140の遠位端143は、図7に見ることができるように、通路144を有し、それを通して、駆動部1130の近位端1131が、近位側に延びて、駆動部1130と組織係合部1140との間の相対回転を可能にするためにアンカーシャフト1120の組織係合部1140からの係合解除を促進し得る。駆動部1130と組織係合部1140を再係合するために、駆動部1130の近位端1131のラッチ1212にかかる張力が解放され得る。
【0045】
2つ以上の構成の間でシフトする部分を備えたシャフトを有するアンカーの様々な他の構成が、本開示の範囲内であることが理解されるであろう。2つ以上の構成の間でシフトする(アンカーヘッド1210から遠位側に延びる)アンカーシャフト1220を有し、本開示の原理に従って形成されたアンカー1200の別の実施形態が、図8図10に示されている。図8図10のアンカー1200は、挿入構成と組織係合構成との間を移動する組織係合部1240を有する。挿入構成(図8及び図9に示す)では、組織係合部1240が、アンカー1200の長手方向軸LAに対して実質的に軸方向に延び、(組織内への挿入を促進するため等に)少なくともアンカーシャフト1220の駆動部1230の送りねじ1232セクションと実質的に整合する。組織係合構成では、組織係合部1240は、外側アンカーセクション1242を有する。外側アンカーセクション1242は、外側に拡張又は延びること等によって、形状又は構成を変更又はシフトして、アンカー1200とそれが植え込まれる組織との係合を強化する。より具体的に、図10を参照して理解され得るように、外側アンカーセクション1242は、組織係合部1240の遠位端1243が近位側に移動するときに、組織係合構成で外側に座屈するか又は曲がる。
【0046】
図3図5に示すアンカー1100と同様に、図8図10のアンカー1200の組織係合部1240は、例えば図9に示すように、駆動セクション1246を含み得る。該駆動セクション1246は、駆動部1230の送りねじ1232セクションの外ねじ1235に係合する内ねじ1245を有する。駆動部1230の近位端1231と組織係合部1240の近位端1241はそれぞれ、図3図5の実施形態に関して上述したように、一緒に回転するために係合したり、一緒に回転しないために係合から外れたりし得る(またアンカー1200のアンカーヘッド1210を形成するように一緒と見なされ得る)。説明を簡潔にするために、図3図5のアンカー1100の駆動部1130及び組織係合部1140の係合及び移動の説明が参照され、その一般原理が、図8図10のアンカー1200の駆動部1230及び組織係合部1240に適用され得るものとする。駆動部1230が組織係合部1240から係合解除され(例えば、駆動部1230の近位端1231及び組織係合部1240の近位端1241を回転ロック係合から外れるように移動させるために近位側に移動することによって)、(例えば、駆動アクチュエータによるラッチ1212の係合時及び回転時に)回転され続けると、駆動セクション1246の内ねじ1245は、駆動部1230の送りねじ1232セクションの外ねじ1235に沿って近位側に進む。組織係合部1240の近位端1241が、(図7及び図8に示すような、並びに図3図5の実施形態を参照して説明するような、アンカーカバー140等によって)軸方向移動に対して保持されるので、駆動セクション1246(及び組織係合部1240の遠位端1243)は、近位側に移動し、外側アンカーセクション1242を外側に座屈させる。いくつかの実施形態では、組織係合部1240の外側アンカーセクション1242は、組織係合部1240の近位端1241と遠位端1243との間で組織係合部1240内で長手方向に延びるスリット1247によって画定され、外側アンカーセクション1242の座屈、拡張又は外側への延び(これらの用語は、本明細書では限定を意図せずに互換的に使用する)を可能にする。レーザ切断により付勢することで、外側アンカーセクション1242の壁は所望の構成で遠位側/外側に座屈し得る。
【0047】
図3図5の実施形態と同様に、図8図10のアンカー1200の駆動セクション1246の内ねじ1245は、駆動セクション1246の内面に直接形成されてもよく、又はナットが、組織係合部1240に形成される(例えば、その一部として機械加工される)か又は別個に形成されて組織係合部に設けられる。概して、駆動セクション1246は、駆動部1230の遠位端1233に係合するように、組織係合部1240の遠位端1243に隣接して設けられ得る。しかし、図示の位置よりも近位側の位置が、本開示の範囲内である。例えば、組織係合部1240の遠位端1243は、送りねじ1232の任意選択で鋭利な遠位端1233が組織を貫通するのを支援するために、リーディング遠位先端1248を含み得る。
【0048】
アンカーシャフト1320を有するアンカー1300の別の実施形態が図11図13に示されており、(アンカーヘッド1310から遠位側に延びる)アンカーシャフト1320は、アンカーシャフト1320が、組織内への挿入を促進するように形作られる及び構成される挿入構成と、組織係合部1340が外側に拡張し又は延びて、アンカーシャフト1320とそれが挿入される組織との係合を強化するか又は高める組織係合構成との間でシフト可能又は移動可能である。アンカー1300の組織係合部1340の拡張を促進する長手方向スリットの代わりに、図11図13に示すアンカー1300の組織係合部1340の外側アンカーセクション1342は、複数の(例えば、3つの)螺旋コイルで形成される。アンカーシャフト1320の組織係合部1340の駆動セクション1346が、アンカー1300の駆動部1330の送りねじ1332セクションの外ねじ1335に係合する内ねじ1345を含む。駆動セクション1346が、(上述のようにアンカーカバー140との係合等によって相対的な軸方向移動が実質的に拘束され、アンカーヘッド1310に沿って、近位端1331、1341で、組織係合部1340に対して駆動部1330を回転させること等によって)近位側に移動すると、外側アンカーセクション1342の螺旋コイルは、外側に拡張し、軸方向に収縮又は圧縮もし、それにより、アンカー1300を組織内に更に係合させ得、また組織係合部1340のコイルの間に組織を挟持又は保持し得る。所望であれば、外側アンカーセクション1342の螺旋コイルのうちの1つ以上の遠位端は、アンカーシャフト1320の組織係合部1340が組織内に駆動するのを促進するために、鋭利な端部又はフック1348を含み得る。送りねじ1332の遠位端1333も、鋭利な端部を有し得る。いくつかの実施形態では、螺旋コイルは、組織内の組織係合部1340の設置面積を更に大きくするために、組織係合部1340が組織係合構成に移動するにつれて、外側にすそ広がりになるか又は外広がりになるように構成されてもよい。
【0049】
組織係合部1340の駆動セクション1346が、組織係合部1340の遠位端1343に隣接して示されているが、駆動セクション1346は、外側アンカーセクション1342の螺旋コイルの遠位端の更なる独立した移動が所望される場合、更に近位側に配置されてもよいことが理解されるであろう。さらに、駆動セクション1346は、組織係合部1340に溶接又は機械加工された別個の部品(例えば、ナット)として形成されてもよく、又は組織係合部1340の中実片若しくはセクションから形成(例えば、レーザ切断)されてもよいことが理解されるであろう。図11図13のアンカー1300の他の特徴、構成要素及びセクションは、図3図5のアンカー1100及び/又は図8図10のアンカー1200の対応する特徴、構成要素及びセクションと実質的に同じ又は同様の様式で配置及び動作することができる。従って、説明を簡潔にするため及び便宜を図るために、また限定を意図せずに、共通の機能を有する共通の要素が、値が100だけ異なる同じ参照文字で示され、同様の要素及び動作の上記の説明が参照される。
【0050】
アンカーシャフト1420を有するアンカー1400の別の実施形態が図14図18に示されており、アンカーシャフト1420は、アンカーシャフト1420が組織内への挿入を促進するように形作られる及び構成される挿入構成と、組織係合部1440が外側に拡張し又は延びて、アンカーシャフト1420とそれが挿入される組織との係合を強化するか又は高める組織係合構成との間でシフト可能又は移動可能である。アンカー1200、1300の内側駆動部1230、1330の外側又は周囲に配置された外側アンカーセクション1242、1342を有する組織係合部1240、1340を有するアンカー1200、1300の上述の実施形態とは対照的に、図14図18のアンカー1400の組織係合部1440は、アンカーシャフト1420の外側駆動部1430内に配置される。図14図18の実施形態の外側駆動部1430は、螺旋送りねじ1432の形態であり、螺旋送りねじ1432は、送りねじ1432の遠位端1433で(任意選択で鋭利な)リーディング遠位先端1438を組織と係合させる等によって組織内に駆動されて、組織を貫通し、(その近位端1431をアンカーカバー140とともにアンカーヘッド1410に沿って回転させる等によって)駆動部1430を回転させて、アンカーシャフト1420を組織内に前進させる。組織係合部1440は、1つ以上の弾性的に付勢された組織係合棘1442を有し、組織係合棘1442は、アンカーシャフト1420の設置面積を大きくし、及び/又は組織とのアンカーシャフト1420の係合を改善するために、アンカーシャフト1420が挿入された組織内に延びるように、図14及び図16に示すように、アンカーシャフト1420の駆動部1430の開口又は窓1437を通って延び得る。
【0051】
図14図16のアンカー1400の組織係合部1440を挿入構成から組織係合構成にシフトさせるために、組織係合部1440は、駆動部1430に対して移動することが可能である。挿入構成では、組織係合部1440の近位端1441の1つ以上の外側に延びるフランジ1436が、図15に示すように、駆動部1430の近位端1431の肩部又はフランジ1444によって保持され、組織係合部1440と駆動部1430との間の相対的な軸方向移動を抑制する。駆動部1430に対する組織係合部1440の回転により、フランジ1436が解放され、付勢要素1450(例えば、バネ)が、図14及び図16に示すように、駆動部1430に対して近位側に組織係合部1440を付勢する。図16を参照して理解され得るように、付勢要素1450は、組織係合部1440の遠位端1443と駆動部1430内の棚状部(リッジ)1439との間に配置され得るが、他の配置も本開示の範囲内である。よって、組織係合棘1442は、(図15に示すように)それらが駆動部1430内に拘束又は閉じ込められる位置から、図14及び図16に示すように、組織係合棘1442がアンカーシャフト1420から外側に延び得る位置まで移動し得る。組織係合棘1442は、駆動部1430に対する組織係合部1440の近位側への軸方向移動時等に駆動部1430の窓1437の隣に配置されると、外側に延びるように弾性的に付勢され得る。いくつかの実施形態では、組織係合棘1442は、アンカーシャフト1420の駆動部1430及び組織係合部1440のそれぞれの近位端1431、1441をロック解除しながら、窓1437との位置ずれを防止するように形状設定することができる。
【0052】
組織係合棘1442は、組織係合部1440の他のセクションとは別個に形成され、それと係合され得る。例えば、組織係合棘1442は、組織係合部1440の外部にある1つ以上の溝1447内に係合するセクションを有するリング、カラー又はベース1449(これらの用語は、本明細書では限定を意図せずに互換的に使用する)から延び得る。組織係合棘1442は、駆動部1430の窓1437を通って延びる。それにより、そこを通って延びた時点で、組織係合部1440に対する回転移動を拘束されてもよい。組織係合棘1442は、組織係合部1440に対する回転移動を拘束されなくてもよい。好ましくは、組織係合棘1442の少なくとも一部分が、組織係合部1440が挿入構成にある間に窓1437を通って延びて、組織係合棘1442と窓1437との位置合わせを維持し、その結果、組織係合部1440が組織係合構成に移動する時に、組織係合棘1442は、窓1437を通って半径方向外側に延びて拡張構成になるように配置される。拡張構成になると、組織係合棘1442は、組織とのアンカー1400の組織係合を高める、及び/又はアンカーの後退を防止する、及び/又は組織の「移動」を防止する。
【0053】
図14図16のアンカー1400と同様の組織係合部1440に対する様々な修正が、本開示の範囲内であることが理解されるであろう。例えば、仮想線の外側駆動部1430’を有するアンカー1400’を示す図17に示すように、組織係合棘1442’は、2つ以上の構成要素として形成され得る。特に、図14図16に示す実施形態の各棘1442は、共通のリング、カラー又はベース1449から延びているが、図17の実施形態の棘1442’は、別個のベース1449’(例えば、円形ベースではなく2つ以上の半円形ベース)から延びてもよい。さらに、図14図18の実施形態のベース1449、1449’、1449’’は、組織係合部1440の円周又は外周に様々な程度で延びるリングの形態であってもよい。仮想線の外側駆動部1430’’を有するアンカー1400’’を示す図18の実施形態に示すように、ベース1449’’が、組織係合部1440’’の円周又は外周に部分的にのみ延び、ベース1449’’の開放リングの端部の間に視認可能な間隙を残してもよい。図14図18に示す様々な組織係合棘1442、1442’、1442’’を参照して理解され得るように、設けられる棘の数は様々であり得る。
【0054】
図14図18の実施形態にあるように外側駆動部1430の窓を通って内側組織係合部1440から延びる棘の代わりに、アンカー1500は、図19及び図20に示すように、組織係合部1540の遠位端1543から延びる組織係合棘1542を含む。アンカー1500の挿入中、(図19に仮想線で示す)駆動部1530と組織係合部1540は、一緒に回転するように回転係合され得る。例えば、アンカーヘッド1510は、アンカーカバー140が駆動部1530と組織係合部1540との間の相対回転を抑制するように、アンカーカバー140によって係合されるように構成され得る。アンカーシャフト1520が組織内の所望の位置まで前進させられると、組織係合部1540は、(アンカーヘッド1510からのアンカーカバー140の係合を解放する等によって)駆動部1530に対して回転できるようになり、それにより、それらの間で相対的な回転移動ができるようになり得る。図20を参照して理解され得るように、組織係合部1540と駆動部1530は、(組織係合部1540と駆動部1530を軸方向で一緒に保持するために)ねじ係合され得、駆動部1530に対する組織係合部1540の連続した回転により、組織係合棘1542が、組織係合部1540の遠位端1543で外側駆動部1530を越えて外側に延びて、アンカー1500が挿入された組織内に係合するまで、組織係合部1540が、駆動部1530に対して遠位側に前進することが可能になる。図14図16図17又は図18のアンカーのいずれも、組織係合棘を組織内に前進させるために、付勢要素の代わりに、アンカー1500の組織係合部と駆動部のねじ係合と同様のものを使用してもよいことを理解されたい。
【0055】
本明細書で説明するような組織アンカーが、図1及び図2に示すような植込み可能な装置において、また関連する送達システム及び使用方法とともに、並びに弁輪再建のためにアンカーを配置するための機構、又は以下の特許及び特許出願で説明されるような他の植込み可能な装置と併せて使用されてもよく、それらはそれぞれ、あらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み込まれることを理解されたい。2010年9月30日公開の「DEVICE FOR TRANSLUMINAL RESHAPING OF A MITRAL VALVE ANNULUS」と題する米国特許出願公開第2010/0249920号、2015年11月10日発行の「ADJUSTABLE ENDOLUMINAL MITRAL VALVE RING」と題する米国特許第9,180,005号、2015年11月24日発行の「DEVICE FOR TRANSLUMENAL RESHAPING OF A MITRAL VALVE ANNULUS」と題する米国特許第9,192,471号、2017年4月4日発行の「MITRAL VALVE INVERSION PROSTHESES」と題する米国特許第9,610,156号、2017年10月24日発行の「RECONFIGURING TISSUE FEATURES OF A HEART ANNULUS」と題する米国特許第9,795,480号、2017年12月26日発行の「VALVE REPLACEMENT USING ROTATIONAL ANCHORS」と題する米国特許第9,848,983号、2019年6月18日発行の「SYSTEMS AND METHODS FOR RESHAPING A HEART VALVE」と題する米国特許第10,321,999号、2019年7月2日発行の「METHODS FOR DELIVERY OF HEART VALVE DEVICES USING INTRAVASCULAR ULTRASOUND IMAGING」と題する米国特許第10,335,275号、2020年2月4日発行の「IMPLANTABLE DEVICE AND DELIVERY SYSTEM FOR RESHAPING A HEART VALVE ANNULUS」と題する米国特許第10,548,731号、及び/又は2020年2月11日発行の「IMPLANTABLE DEVICE AND DELIVERY SYSTEM FOR RESHAPING A HEART VALVE ANNULUS」と題する米国特許第10,555,813号。
【0056】
植込み可能な装置を身体組織に固定するように構成された組織アンカーの様々な実施形態について、図示し、説明してきた。本開示の実施形態は、心臓組織に植え込むための医療装置及びシステム(例えば、大腿静脈等に挿通される経腔的装置)を具体的に参照して説明され得るが、開示されるアンカー並びに関連するシステム及び方法は、軟組織及び/又は規則的移動を伴う組織に植え込まれ、強化された組織保持能力の恩恵を受け得る装置等の他の植込み可能な装置と関連しても使用され得ることを理解されたい。
【0057】
本明細書に開示されるアンカーの大部分は、CNC(コンピュータ数値制御)フライス盤及び/又は旋盤によって製造することができる。コイル、スリット及び連動要素等のいくつかの特徴部は、レーザ切断及びEDM(放電加工)を使用して作ることができる。ほとんどの構成要素は、ポリマー(ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等)又は金属(例えば、ニチノール、316Lステンレス鋼等のステンレス鋼等)から作ることができる。本明細書に開示される棘の概念は、所望の偏向に対処するためにニチノールから作られ得る。
【0058】
前述の議論は、広範な用途を有し、例示及び説明のために提示されており、本明細書に開示される1つ以上の形態に本開示を限定することを意図していない。本開示の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される実施形態に様々な追加、修正及び置換が施され得ることが理解されるであろう。特に、本開示の原理が、その概念、趣旨、範囲又は特性から逸脱することなく、他の形態、構造、配置、比率で、また他の要素、材料及び構成要素によって具現化され得ることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、本開示の様々な特徴は、本開示を円滑にするために、1つ以上の態様、実施形態又は構成に一緒に纏められる。しかし、本開示の特定の態様、実施形態又は構成の様々な特徴が、代替的な態様、実施形態又は構成に組み合わされ得ることを理解されたい。本開示は、実施形態に関して提示されるが、本主題の様々な別個の特徴は、本主題又はそのような個々の特徴の所望の特性及び/又は恩恵のうちの少なくともいくつかを達成するために、全てが存在する必要はないことを理解されたい。当業者は、本開示が、本開示の原理、趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の環境及び動作要件に特に適合された、多くの修正又は本開示の実践に際して使用される構造、配置、比率、材料、構成要素その他の修正とともに使用され得ることを理解するであろう。例えば、一体的に形成されるとして示された要素が、複数の部品で構成されてもよく、又は複数の部品として示された要素が、一体的に形成されてもよく、要素の動作が、逆にされてもよく、そうでなければ変更されてもよく、要素のサイズ又は寸法が変更されてもよい。同様に、動作、アクション又は工程が特定の順序で説明されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような特定の順序を必要とする、又は全ての動作、アクション若しくは工程が行われるべきであると理解されるべきではない。加えて、他の実装形態が、以下の特許請求の範囲内にある。場合によっては、特許請求の範囲に記載されたアクションは、異なる順序で行うことができ、それでも望ましい結果を達成することができる。従って、現在開示される実施形態は、全ての点で例示であって、限定ではないと見なされるべきであり、特許請求される主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、前述の説明、又は本明細書で説明若しくは図示される特定の実施形態若しくは構成に限定されない。前述の事項をふまえて、任意の実施形態の個々の特徴が、別個に、又はその実施形態若しくは任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また特許請求されることができ、主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、前述の説明に限定されない。
【0059】
前述の説明及び以下の特許請求の範囲では、以下の事項が理解されるであろう。本明細書で使用する「少なくとも1つの」、「1つ以上の」及び「及び/又は」の文言は、接続的及び離接的の両方としてはたらくオープンエンドの表現である。「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「第1の」、「第2の」等の用語は、複数を除外しない。例えば、用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」の実体は、本明細書で使用する場合、1つ以上のその実体を指す。従って、用語「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)、「1つ以上の」及び「少なくとも1つの」は、本明細書では互換的に使用することができる。方向に関する全ての言及(例えば、近位、遠位、上側、下側、上向き、下向き、左、右、横、長手、前、後、頂部、底部、上、下、垂直、水平、半径方向、軸方向、時計回り、反時計回り等)は、読者による本開示の理解を助けるために識別目的でのみ使用され、並びに/あるいは、関連し合う要素の領域を互いに区別する役割を果たし、特に本開示の位置、向き又は使用に関して、関連する要素を限定しない。接続に関する言及(例えば、取り付けられる、結合される、接続される、及び接合される)は、広義に解釈されるべきであり、別様の指摘がない限り、要素の集合間の中間部材及び要素間の相対移動を含み得る。従って、接続に関する言及は、2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを必ずしも暗示しない。識別に関する言及(例えば、一次、二次、第1の、第2の、第3の、第4の等)は、重要性又は優先度を暗示することを意図せず、1つの特徴を別の特徴から区別するために使用される。以下の特許請求の範囲は、この「発明を実施するための形態」に参照によって組み込まれ、各請求項は、それ自体が本開示の別個の実施形態として独立している。特許請求の範囲における参照符号は、明確にする例として単に提供されており、いかなる方法でも特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0060】
以下の特許請求の範囲は、この「発明を実施するための形態」に参照によって組み込まれ、各請求項は、それ自体が本開示の別個の実施形態として独立している。特許請求の範囲では、「備える(comprises)/(comprising)」という用語は、他の要素又はステップの存在を除外しない。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含まれることがあるが、これらは、場合によっては有利に組み合わされてもよく、異なる請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが実現可能でないこと、及び/又は有利でないことを暗示しない。加えて、単数の参照は、複数を除外しない。「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「第1の」、「第2の」等の用語は、複数を除外しない。特許請求の範囲における参照符号は、明確にする例として単に提供されており、いかなる方法でも特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】