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特表2023-539215幹細胞由来ベータ様細胞のインビトロ集団およびその新規のマーカーをスクリーニングするための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】幹細胞由来ベータ様細胞のインビトロ集団およびその新規のマーカーをスクリーニングするための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6881 20180101AFI20230906BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20230906BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230906BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20230906BHJP
   A61K 35/39 20150101ALI20230906BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20230906BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230906BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C12Q1/6881 Z
C12Q1/04
C12Q1/6869 Z
C12N5/071
A61K35/39
A61K35/545
A61P3/10
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513207
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2021073782
(87)【国際公開番号】W WO2022043518
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20193349.6
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャネット・シュリヒティング・キェルケゴール
(72)【発明者】
【氏名】テス・ツァイ-シュー・ルー
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ53
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS24
4B063QS36
4B063QX01
4B065AA93X
4B065BA25
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB51
4C087BB64
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZB21
4C087ZC35
(57)【要約】
本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ細胞集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、移植前に当該細胞のインビボ機能性を予測するための、特異的マーカーまたはそれらの組み合わせを発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。本発明はまた、多能性幹細胞由来ベータ様細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞は、天然のヒトベータ細胞中に存在しない1つ以上のマーカーを含むか、または当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞とは異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法であって、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する前記ベータ様細胞を特定する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記ベータ様細胞が、RNAseqによってスクリーニングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団であって、前記集団が、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含み、前記ベータ様細胞が、移植後にインスリン発現および分泌を維持する、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
【請求項4】
前記ベータ様細胞の少なくとも55%が、SOX11、FREM2、DCC、BASP1、CHRNA3、およびELALV2から選択される1つ以上のマーカーを発現し、前記マーカーが、天然のヒトベータ細胞中に存在しない、請求項3に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
【請求項5】
前記ベータ様細胞の少なくとも80%が、ACVR1C、MARCKSL1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、およびHMGCS1から選択される1つ以上のマーカーを発現し、前記マーカーの発現レベルが、天然のヒトベータ細胞中の前記マーカーの発現よりも平均して少なくとも約1 log倍の変化である、請求項3に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
【請求項6】
前記ベータ様細胞が、G6PC2をさらに発現する、請求項3に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
【請求項7】
前記多能性幹細胞が、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞である、請求項3~6のいずれか一項に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
【請求項8】
前記ベータ様細胞が、移植後にグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を示す、請求項3~7のいずれか一項に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
【請求項9】
1つ以上のマーカーが、移植後に平均血漿c-ペプチドレベルと正の相関を示す、請求項3~8のいずれか一項に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
【請求項10】
前記ベータ様細胞が、移植後に血中グルコースの低下を示す、請求項3~9のいずれか一項に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
【請求項11】
1型糖尿病の治療に使用するための、請求項3~10のいずれか一項に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
【請求項12】
請求項3~10のいずれか一項に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ細胞集団と、細胞培養培地と、を含む、細胞組成物。
【請求項13】
請求項3~10のいずれか一項に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ細胞集団を含む、埋め込み型装置。
【請求項14】
請求項3~10のいずれか一項に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団を含む、凍結保存細胞培養物。
【請求項15】
1型糖尿病の治療方法であって、その治療を必要とする人に、請求項3~10のいずれか一項に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の特異的マーカーを発現するベータ様細胞を特定することによって、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関する。本発明はまた、特異的マーカー、天然のヒトベータ細胞中に存在しないか、または天然のヒトベータ細胞とは異なる発現レベルを有する1つ以上のマーカーを発現するベータ様細胞を含む、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関する。
【背景技術】
【0002】
1型糖尿病患者は、ヒトドナーからの膵島の移植を用いて治療され得、一部の患者は、インスリン非依存性を達成する。しかしながら、ドナー膵島は不足しており、かつ可変品質を有し、したがって、多能性幹細胞由来ベータ様細胞は、膵島の魅力的な代替手段を提供する。
【0003】
インビトロ分化の間、ヒト多能性幹細胞は、様々な化学的および生物学的因子を使用して分化され、異なる内分泌細胞型を含む異種膵島様細胞クラスターをもたらす。
【0004】
古典的なベータ細胞マーカーには、インスリン(INS)、ならびにPDX1およびNKX6.1などの標準転写因子が含まれる。従来、これらのマーカーを使用して、幹細胞由来ベータ様細胞を特定していた。すべての幹細胞由来ベータ様細胞は、インビトロでの古典的なベータ細胞マーカーの発現によって、天然のヒトベータ細胞と表現型的に類似しているように見え得るが、すべての幹細胞由来ベータ様細胞が移植後にインスリンを発現および分泌するわけではないため、それらは異なる。古典的なベータ細胞マーカーは、移植後にインスリン発現および分泌を維持する、インビトロでの幹細胞由来ベータ様細胞を特定するには不十分である。PDX1などの古典的なベータ細胞マーカーの一部は、移植前に天然のヒトベータ細胞の表現型に類似し得るが、移植後にそれらの表現型を変化させ得る、望ましくない細胞集団または細胞集団の選択に向かって、幹細胞からベータ様細胞へのインビトロ分化プロトコル最適化をもたらすインビボ機能に負に相関しさえする。
【0005】
移植後にインスリン発現および分泌を維持する幹細胞由来ベータ細胞集団のインビトロ集団の特定は、分化ベータ様細胞の製品性能、評価、および産生に不可欠である。したがって、移植後にインスリン発現および分泌を維持する幹細胞由来ベータ様細胞のインビトロ集団を定義する新しいマーカーを特定する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0007】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも55%が、SOX11、FREM2、DCC、BASP1、CHRNA3、およびELALV2から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0008】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも80%が、ACVR1C、MARCKSL1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、およびHMGCS1から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも約1 log倍の変化(at least about 1 average log fold change)である。
【0009】
一態様では、本発明は、1型糖尿病の治療に使用するためのベータ様細胞を含む多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関する。
【0010】
一態様では、本発明は、本発明によって得られるベータ様細胞を含む多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団と、細胞培養培地と、を含む、細胞組成物に関する。
【0011】
一態様では、本発明は、本発明によって得られるベータ様細胞を含む多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団を含む埋め込み型装置に関する。
【0012】
一態様では、本発明は、1型糖尿病の治療方法に関し、その治療を必要とする人に、本発明によって得られるベータ様細胞を含む多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団を投与することを含む。
【0013】
一態様では、本発明は、本発明によって得られるベータ様細胞を含む多能性幹細胞由来細胞の凍結保存インビトロ集団に関する。
【0014】
一態様では、本発明は、移植前のベータ様細胞またはインスリン産生細胞を含む多能性幹細胞のインビトロ集団を提供する。
【0015】
本発明はまた、例示的な実施形態の開示から明らかになるであろうさらなる問題も解決し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1Aは、幹細胞由来細胞を得るための8つの異なる(改変された)プロトコルから、および死体ヒト膵島細胞からサンプリングされたすべての細胞のT分布型確率的近傍埋め込み(tSNE)投影を示すグラフである。図1Bは、26個の細胞クラスターのtSNE投影を示すグラフであり、各クラスターは、類似の遺伝子発現プロファイルを有する細胞からなる。
図2図2は、X軸上に幹細胞由来クラスター番号、およびY軸上にベータ細胞スコアを示すグラフである。これは、すべての細胞のヒトベータ細胞遺伝子モジュールスコアリングに基づいて、幹細胞由来ベータ様細胞クラスター番号14、15、および26が、天然のヒトベータ細胞クラスター番号16にほぼ類似することを示す。
図3図3は、X軸上に天然の膵島サブタイプ、およびY軸上にベータ細胞スコアを示すグラフである。ベータ細胞遺伝子セットにおいてスコアリングが高いすべての細胞を、天然のヒトベータ細胞として分類した。
図4図4は、幹細胞由来ベータ様細胞のインビトロ集団に特有の遺伝子発現プロファイルを示すグラフである。天然のヒトベータ細胞(クラスター16)を、幹細胞由来ベータ様細胞(クラスター14、15、および26)と比較した。天然のヒトベータ細胞のUPT中央値(これは、RNA品質の尺度である)は、0に等しい。幹細胞由来ベータ様細胞のUPT中央値は、天然のヒトベータ細胞よりも大きかった。プロットは、箱ひげ図を使用した初代または天然のヒトベータ細胞と幹細胞由来ベータ様細胞との間の平均発現差、および単一ドットを使用した個々の細胞における発現を示す。各列の下には、発現を示さない細胞のパーセンテージが示される。
図5図5は、インビボでの移植前後の幹細胞由来細胞を示す図である。これは、一部の幹細胞由来細胞が、インビボ曝露後にインスリン陽性のままではないことを示す。移植前後の幹細胞由来細胞のNKX6.1、インスリン、およびグルカゴン染色は、細胞が移植前に天然のヒトベータ細胞と類似しているように見えるが、移植後にインスリン発現および分泌が有意に異なることを示す。
図6図6は、X軸上にクラスター14、15、および26中の細胞のパーセンテージ、ならびにY軸上に移植の8週間後の平均ヒトC-ペプチドを示すグラフである。これは、幹細胞由来ベータ様細胞と、インビボ曝露の8週間後に分泌されたヒトC-ペプチドとの間の正の相関を示す。異なる(改変された)分化プロトコルを使用して生成された細胞を移植されたSCID-ベージュ動物において測定されたC-ペプチドレベルは、クラスター14、15、および26の蓄積サイズと正の相関を示す。
図7図7は、古典的なベータ細胞マーカーNKX6.1、SYT13、NKX2.2、PDX1、PDX1+/NKX6.1+、PAX4が、SCIDマウスにおける移植の8週間後に、平均ヒトC-ペプチドと負の相関を有することを示すグラフである。
図8図8a)上部パネルは、SLC30A8が幹細胞由来ベータ細胞集団に富んでいることを示すグラフである。図8a)下部パネルは、PDX1の広範な発現を示すグラフである。図8b)上部パネルは、SLC30A8がSCIDマウスの移植後8週間後に平均ヒトc-ペプチドと正に相関していることを示すグラフである。図8b)下部パネルは、PDX1がSCIDマウスの移植の8週間後に平均ヒトc-ペプチドに負に相関していることを示すグラフである。
図9図9a)は、ACVR1Cが天然のヒトベータ細胞中で発現されていないことを示す。図9b)は、ACVR1Cが幹細胞由来細胞培養物内の細胞のサブセットをマークすることを示す。図9c)は、ACVR1C発現がインビボ機能に正に相関することを示すグラフである。
図10図10a)上部パネルは、クラスター14、15、および26中のPCDH7の高発現を示すtSNEプロットである。図10a)下部パネルは、クラスター14、15、および26中のPCP4の高発現を示すtSNEプロットである。図10b)上部パネルは、PCDH7と、SCID-ベージュマウスにおける8週間のインビボ曝露後の平均ヒトC-ペプチドとの正の相関を示すグラフである。図10b)下部パネルは、PCP4と、SCID-ベージュマウスにおける8週間のインビボ曝露後の平均ヒトC-ペプチドとの正の相関を示すグラフである。
図11図11a)は、G6PC2発現を示すtSNEプロットである。図11b)は、ナノストリングによって測定されたG6PC2 mRNAの大量発現が、SCIDマウスにおける移植の8週間後の循環する平均ヒトC-ペプチドの形態でのインビボインスリン分泌に相関することを示すグラフである。図11c)は、ナノストリングによって測定されたG6PC2 mRNAの大量発現が、グルコースエキセンジン4およびIBMX/ホルスコリン攻撃接種中に分泌されたヒトC-ペプチドの形態でのインビトロインスリン分泌に相関することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、1つ以上の特異的マーカーを発現するベータ様細胞を特定することを含む、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関する。本発明のマーカーおよび方法は、移植後にインスリン発現および分泌を維持するベータ様細胞の移植前の特定を可能にする。これは、本発明に従って特定された幹細胞由来ベータ様細胞が、古典的なベータ細胞マーカーの発現に基づいて特定された幹細胞由来ベータ様細胞とは異なり、移植後にそれらの表現型を変化させないため、可能である。
【0018】
さらに、本発明は、移植後にインスリン発現および分泌を維持する幹細胞由来ベータ様細胞の特定における、特定の新規のマーカーまたは古典的なベータ細胞マーカーの適用を提供する。
【0019】
さらに、本発明は、天然のヒトベータ細胞中に存在しないか、または天然のヒトベータ細胞よりも幹細胞由来ベータ細胞のインビトロ集団において高い発現レベルを有するマーカーの検出によって、移植後にインスリン発現および分泌を維持するベータ様細胞の特定を可能にする。
【0020】
本発明に従った一態様では、マーカー遺伝子およびそれらの組み合わせは、分化効率、品質、および性能を評価するために、移植後にインスリン発現および分泌を維持する幹細胞由来ベータ細胞を特定または精製するために、プロテオミクス、フローサイトメトリー、免疫組織化学などのタンパク質ベースのアッセイ、またはRNAシークエンシング、qPCRプローブベースの検出などであるがこれらに限定されないRNAベースのアッセイ、および他の分析方法またはスクリーニング方法で使用するためのものである。
【0021】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0022】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、DLK1、およびMAFBから選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0023】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、CHRNA3、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、DLK1、およびMAFBから選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0024】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、CHRNA3、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、LBH、およびDLK1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0025】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、ACVR1Cと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0026】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、FREM2と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0027】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、CHRNA3と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0028】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、DCCと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0029】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、SOX11と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0030】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、MARCKSL1と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0031】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、BASP1と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0032】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、STARD10と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0033】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、AMBPと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0034】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、ST6GALNAC5と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0035】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、HMGCS1と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0036】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、ELAVL2と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0037】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、PCP4と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0038】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、PCDH7と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0039】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、NEFLと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0040】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、PLAGL1と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0041】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、EGFL7と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0042】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、RAD21と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0043】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、RTN1と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0044】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、PLXNA2と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0045】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、LBHと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0046】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、NEFMと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0047】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、SLC30A8と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0048】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、DLK1と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0049】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、MAFBと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0050】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法に関し、方法は、ISL1と組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む。
【0051】
インビトロ細胞集団におけるタンパク質および核酸マーカーの発現を評価するための方法には、定性的逆転写酵素ポリメアーゼ連鎖反応(qualitative reverse transcriptase polymearse chain reaction)(RT-PCR)、ノーザンブロット、in situハイブリダイゼーション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Asubel et al.,eds.2001 supplementを参照されたい)、および切片材料の免疫組織化学分析などの免疫測定法、ウェスタンブロッティング、ならびにインタクトな細胞中でアクセス可能であるマーカーについては、フローサイトメトリー分析(FACS)(例えば、Harlow and Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press(1998)を参照されたい)が含まれる。
【0052】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0053】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%のベータ様細胞を含む。
【0054】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含み、当該ベータ様細胞は、移植後にインスリン発現および分泌を維持する。
【0055】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%のベータ様細胞を含み、当該ベータ様細胞は、移植後にインスリン発現および分泌を維持する。
【0056】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、DLK1、およびMAFBから選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0057】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、DLK1、およびMAFBから選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含み、当該ベータ様細胞は、移植後にインスリン発現および分泌を維持する。
【0058】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、CHRNA3、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、DLK1、およびMAFBから選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0059】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、CHRNA3、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、DLK1、およびMAFBから選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含み、当該ベータ様細胞は、移植後にインスリン発現および分泌を維持する。
【0060】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、CHRNA3、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、LBH、およびDLK1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0061】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、CHRNA3、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、LBH、およびDLK1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含み、当該ベータ様細胞は、移植後にインスリン発現および分泌を維持する。
【0062】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、ACVR1Cと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0063】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、FREM2と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0064】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、CHRNA3と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0065】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、DCCと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0066】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、SOX11と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0067】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、MARCKSL1と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0068】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、BASP1と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0069】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、STARD10と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0070】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、AMBPと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0071】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、ST6GALNAC5と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0072】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、HMGCS1と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0073】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、ELAVL2と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0074】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、PCP4と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0075】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、PCDH7と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0076】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、NEFLと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0077】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、PLAGL1と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0078】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、EGFL7と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0079】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、RAD21と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0080】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、RTN1と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0081】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、PLXNA2と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0082】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、LBHと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0083】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、NEFMと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0084】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、SLC30A8と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0085】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、DLK1と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0086】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、MAFBと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0087】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、集団は、ISL1と組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む。
【0088】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも55%が、SOX11、FREM2、DCC、BASP1、CHRNA3、およびELALV2から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0089】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも85%が、SOX11を含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0090】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも75%が、FREM2を含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0091】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも85%が、DCCを含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0092】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも75%が、BASP1を含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0093】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも80%が、CHRNA3を含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0094】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも55%が、ELALV2を含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0095】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも80%が、ACVR1C、MARCKSL1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、およびHMGCS1から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも約1 log倍の変化である。
【0096】
一実施形態では、平均したlog倍の変化は、目的の細胞クラスターとすべての他の細胞クラスターとの間の平均したlog倍の変化と等しい。
【0097】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも95%が、ACVR1Cを含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも2 log倍の変化である。
【0098】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも95%が、MARCKSL1を含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも約2 log倍の変化である。
【0099】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも95%が、STARD10を含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも1 log倍の変化である。
【0100】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも90%が、AMBPを含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも2 log倍の変化である。
【0101】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも85%が、ST6GALNAC5を含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも約1 log倍の変化である。
【0102】
一実施形態では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも80%が、HMGCS1を含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも約1 log倍の変化である。
【0103】
一態様では、本発明は、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも80%が、ACVR1C、MARCKSL1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、およびHMGCS1から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%大きい。
【0104】
一実施形態では、本発明は、移植後にインスリン発現および分泌を維持するベータ様細胞を含む、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関する。
【0105】
一実施形態では、本発明は、ベータ様細胞を含む多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、細胞集団は、移植後にグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を示す。
【0106】
一実施形態では、応答は、インビトロGSIS応答である。一実施形態では、応答は、インビボGSIS応答である。一実施形態では、GSIS応答は、天然のヒトベータ細胞の応答に類似する。
【0107】
一実施形態では、本発明は、ベータ様細胞を含む多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、1つ以上のマーカーが、移植後に平均血漿c-ペプチドレベルと正の相関を示す。
【0108】
一実施形態では、本発明は、ベータ様細胞を含む多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞は、移植後に血中グルコースの低下を示す。
【0109】
一実施形態では、本発明は、ベータ様細胞を含む多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞は、グルコース応答性である。
【0110】
一実施形態では、本発明は、ベータ様細胞を含む幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞は、移植後にグルコース応答性である。
【0111】
一実施形態では、本発明は、ベータ様細胞を含む幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞は、移植後に強化されたC-ペプチドレベルを示す。
【0112】
一実施形態では、本発明は、ベータ様細胞を含む幹細胞由来細胞のインビトロ集団に関し、ベータ様細胞は、移植後に改善されたインスリンレベルを示す。
【0113】
本発明に従った一実施形態では、ベータ様細胞を含む幹細胞由来細胞のインビトロ集団は、移植後に血中グルコースの低下を示す。
【0114】
一態様では、本発明は、少なくとも15%のベータ様細胞が、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する多能性幹細胞由来細胞の細胞集団と、細胞培養培地と、を含む、インビトロ細胞培養物または組成物に関する。
【0115】
一態様では、本発明は、ベータ様細胞の少なくとも55%が、SOX11、FREM2、DCC、BASP1、CHRNA3、およびELALV2から選択される1つ以上のマーカーを含む、多能性幹細胞由来細胞の細胞集団と、細胞培養培地と、を含む、インビトロ細胞培養物または組成物に関し、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0116】
一態様では、本発明は、ベータ様細胞の少なくとも80%が、ACVR1C、MARCKSL1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、およびHMGCS1から選択される1つ以上のマーカーを含む、多能性幹細胞由来細胞の細胞集団と、細胞培養培地と、を含む、インビトロ細胞培養物または組成物に関し、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも1 log倍の変化である。
【0117】
一実施形態では、本発明の細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、および/または幹細胞ベータ様細胞は、ヒト細胞である。
【0118】
一実施形態では、幹細胞は、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞である。
【0119】
一態様では、本発明は、幹細胞由来細胞のインビトロ集団を含む、埋め込み型装置に関し、少なくとも15%のベータ様細胞が、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する。
【0120】
一態様では、本発明は、幹細胞由来細胞のインビトロ集団を含む、埋め込み型装置に関し、ベータ様細胞の少なくとも55%が、SOX11、FREM2、DCC、BASP1、CHRNA3、およびELALV2から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0121】
一態様では、本発明は、幹細胞由来細胞のインビトロ集団を含む、埋め込み型装置に関し、ベータ様細胞の少なくとも80%が、ACVR1C、MARCKSL1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、およびHMGCS1から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも1 log倍の変化である。
【0122】
一態様では、本発明は、1型糖尿病の治療方法に関し、方法は、その治療を必要とする人に、幹細胞由来細胞のインビトロ集団を投与することを含み、少なくとも15%のベータ様細胞が、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する。
【0123】
一態様では、本発明は、1型糖尿病の治療方法に関し、方法は、その治療を必要とする人に、幹細胞由来細胞のインビトロ集団を投与することを含み、ベータ様細胞の少なくとも55%が、SOX11、FREM2、DCC、BASP1、CHRNA3、およびELALV2から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0124】
一態様では、本発明は、1型糖尿病の治療方法に関し、方法は、その治療と必要とする人に、幹細胞由来細胞のインビトロ集団を投与することを含み、ベータ様細胞の少なくとも80%が、ACVR1C、MARCKSL1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、およびHMGCS1から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも1 log倍の変化である。
【0125】
一態様では、本発明は、幹細胞由来細胞の凍結保存集団に関し、少なくとも15%のベータ様細胞が、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する。
【0126】
一態様では、本発明は、幹細胞由来細胞の凍結保存集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも55%が、SOX11、FREM2、DCC、BASP1、CHRNA3、およびELALV2から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーは、天然のヒトベータ細胞中に存在しない。
【0127】
一態様では、本発明は、幹細胞由来細胞の凍結保存集団に関し、ベータ様細胞の少なくとも80%が、ACVR1C、MARCKSL1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、およびHMGCS1から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーの発現レベルは、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも1 log倍の変化である。
【0128】
定義:
別段の定めのない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実践は、別段の指示がない限り、当業者に公知の化学、生化学、生物物理学、分子生物学、細胞生物学、遺伝学、免疫学、および薬理学の従来の方法を用いる。
【0129】
すべての見出しおよび小見出しが、本明細書では便宜上使用されているだけであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0130】
本明細書で提示する任意およびすべての例または例示的な語句(例えば「など(such as)」)の使用は、単に本発明をより明瞭にするという意図しかなく、別段の請求がない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中のいずれの語句も、特許請求されないいかなる要素も本発明の実施に必須であることを示すと解釈すべきではない。
【0131】
本出願全体を通して、細胞を分化させるためのプロセスを指す場合の「方法」および「プロトコル」という用語は、互換的に使用され得る。
【0132】
また、本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連する記載された項目のうちの1つ以上のうちのいずれかおよびすべての可能な組み合わせ、ならびに代替(「または」)で解釈される場合の組み合わせの欠如を指し、かつそれらを包含する。さらに、本発明はまた、本発明のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の特徴または特徴の組み合わせが除外または省略され得ることも企図する。
【0133】
本明細書で使用される場合、「a」は「1つ以上」を意味する。
【0134】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段の指示がない限り、プラスまたはマイナス10%、例えばプラスまたはマイナス5%を意味する。
【0135】
本明細書で使用される場合、「細胞集団」という用語は、インビトロであってもインビボであってもよい細胞の定義された群を指す。好ましい実施形態では、本発明に従った細胞集団は、インビトロ細胞集団である。
【0136】
幹細胞
幹細胞は、自己複製前駆細胞、非複製前駆細胞、および最終分化細胞を含む、子孫細胞を産生するために自己複製および分化の両方を行う単一細胞レベルでの能力によって定義される未分化細胞である。幹細胞はまた、複数の胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)からの様々な細胞系統の機能細胞にインビトロで分化し、かつ移植後に複数の胚葉の組織を生じさせ、胚盤胞への注射後に全部ではないが実質的にほとんどの組織に寄与する能力を特徴とする。
【0137】
幹細胞は、発生能によって次に分類される:(1)全能性(すべての胚および胚体外細胞型を生じさせることができることを意味する)、(2)多能性(すべての胚細胞型を生じさせることができることを意味する)、(3)多分化能性(細胞系統のサブセットを生じさせることができるが、すべて特定の組織、臓器、または生理系内であることを意味する(例えば、造血幹細胞(HSC)は、HSC(自己複製)、血液細胞制限少能性前駆細胞、ならびに血液の正常な構成成分であるすべての細胞型および要素(例えば、血小板)を含む子孫を産生することができる))、(4)少能性(多分化能性幹細胞よりも細胞系統のより制限されたサブセットを生じさせることができることを意味する)、ならびに(5)単能性(単一細胞系統を生じさせることができることを意味する(例えば、精子形成幹細胞))。
【0138】
ヒト多能性幹細胞
本明細書で使用される場合、「ヒト多能性幹細胞」(hPSC)は、任意のヒト源由来であり得、かつ適切な条件下で、3つすべての胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)の誘導体である異なる細胞型の子孫を産生することができる細胞を指す。hPSCは、8~12週齢SCIDマウスにおいて奇形腫を形成する能力、および/または組織培養中で3つすべての胚葉の特定可能な細胞を形成する能力を有し得る。ヒト多能性幹細胞の定義には、ヒト胚性幹細胞(hESC)(例えば、Thomson et al.(1998)、Heins et al.(2004)を参照されたい、ならびに人工多能性幹細胞(iPSC)(例えば、Yu et al.(2007)、Takahashi et al.(2007)を参照されたい)が含まれる。本明細書に記載される様々な方法および他の実施形態は、様々な源からのhPSCを必要または利用し得る。例えば、使用に適したhPSCは、発生中の胚から得られ得る。加えて、またはあるいは、好適なhPSCは、樹立細胞株および/またはヒト人工多能性幹(hiPS)細胞から得られ得る。
【0139】
ES細胞株はまた、子宮外胚を破壊することなく、かつ臨床転帰に影響を及ぼすことなく、単一割球から誘導することもできる(Chung et al.(2006)およびKlimanskaya et al.(2006))。
【0140】
胚盤胞由来幹細胞
本明細書で使用される場合、「胚盤胞由来幹細胞」という用語は、BS細胞と表され、ヒト形態は、「hBS細胞」と呼ばれる。文献中、細胞はしばしば、胚性幹細胞、より具体的には、ヒト胚性幹細胞(hESC)と呼ばれる。
したがって、本発明で使用される多能性幹細胞は、例えば、WO03/055992およびWO2007/042225に記載されるように、胚盤胞から調製される胚性幹細胞であり得るか、または市販のhBS細胞もしくは細胞株であり得る。しかしながら、例えば、Yu,et al.(2007)、Takahashi et al.(2007)、およびYu et al.(2009)に開示されるようなOCT4、SOX2、NANOG、およびLIN28などの、ある特定の転写因子で成体細胞を処置することによって、多能性細胞に再プログラム化される分化成体細胞を含む、任意のヒト多能性幹細胞が本発明で使用され得ることがさらに想定される。
【0141】
ヒト胚性幹細胞
本明細書で使用される場合、「ヒト胚性幹細胞」または「hESC」という用語は、ヒト胚の内部細胞塊に由来する幹細胞を指す。ヒト胚性幹細胞は、未分化状態で無限に自己再生することができる。さらに、ヒト胚性幹細胞は、多能性であり、外胚葉、内胚葉、および中胚葉の3つの主要な胚葉のすべての誘導体に分化することができることを意味する。
【0142】
ヒト人工多能性幹細胞
本明細書で使用される場合、「ヒト人工多能性幹細胞」または「hIPSC」という用語は、体細胞を再プログラミングして、胚様多能性状態に戻すことによって生成された幹細胞を指す。人工多能性幹細胞は、未分化状態で無限に自己再生することができる。人工多能性幹細胞はまた、外胚葉、内胚葉、および中胚葉の3つの主要な胚葉のすべての誘導体に分化することができる。
【0143】
分化
本明細書で使用される場合、「分化する」または「分化」は、細胞が未分化状態から分化状態に、または分化状態からより分化した状態に進行するプロセスを指す。細胞は、分化状態にあり得るが、特定の細胞型に完全には分化していない。
【0144】
「分化因子」という用語は、膵臓細胞に添加されて、それらの内分泌細胞への分化を強化する化合物を指し、内分泌細胞は、インスリン産生ベータ細胞も含有する。
【0145】
一実施形態では、細胞の分化は、1つ以上の分化因子を含む培地中で細胞を培養することを含む。
【0146】
胚体内胚葉細胞(DE細胞)
胚体内胚葉細胞は、マーカーSOX17の発現を特徴とする。DEのさらなるマーカーは、FOXA2およびCXCR4である。
【0147】
「SOX17」(SRY-ボックス17)は、本明細書で使用される場合、胚発生の制御および細胞運命の決定に関与する転写因子のSOX(SRY関連HMG-ボックス)ファミリーのメンバーである。
【0148】
「FOXA2」(フォークヘッドボックスA2)は、本明細書で使用される場合、DNA結合タンパク質のフォークヘッドクラスのメンバーである。
【0149】
「CXCR4」(C-X-Cモチーフケモカイン受容体4)は、本明細書で使用される場合、ストローマ細胞由来因子1に特異的なCXCケモカイン受容体である。
【0150】
DE誘導プロトコルの非限定的な例は、従来のD’Amourプロトコル(Novocell,Nature Biotec 2006,2008)、およびWO2012/175633(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるプロトコルである。
【0151】
膵臓内胚葉細胞(PE細胞)
膵臓内胚葉細胞は、少なくとも5% NKX6.1+/PDX1+二重陽性のマーカーの発現を特徴とする。PEのさらなるマーカーは、PTF1AおよびCPA1である。
【0152】
「PDX1」は、本明細書で使用される場合、膵臓発生に関わるホメオドメイン転写因子を指す。
【0153】
「NKX6.1」は、本明細書で使用される場合、NKX転写因子ファミリーのメンバーである。
【0154】
「PTF1A」は、本明細書で使用される場合、膵臓転写因子1複合体(PTF1)の構成成分であり、哺乳動物膵臓発生において役割を果たすことが知られているタンパク質である。
【0155】
「CPA1」は、本明細書で使用される場合、亜鉛メタロプロテアーゼのカルボキシペプチダーゼAファミリーのメンバーである。この酵素は、膵臓で産生される。
【0156】
WO2014/033322に記載されるプロトコルは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0157】
内分泌前駆細胞(EP細胞)
内分泌前駆細胞は、内分泌細胞運命に委ねられるEP細胞の特徴であるマーカーNGN3、NeuroD、およびNKX2.2の発現を特徴とする。
【0158】
「NGN3」は、本明細書で使用される場合、塩基性ループ-ヘリックス-ループ転写因子のニューロゲニンファミリーのメンバーである。
【0159】
「NKX2.2」および「NKX6.1」は、本明細書で使用される場合、NKX転写因子ファミリーのメンバーである。
【0160】
「NeuroD」は、本明細書で使用される場合、塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)転写因子のNeuroDファミリーのメンバーである。
【0161】
WO2015/028614に記載されるプロトコルは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0162】
天然のヒトベータ細胞
本明細書で使用される場合、「天然のヒトベータ細胞」または「初代ベータ細胞」という用語は、ヒト体内のグルコースまたは分泌促進剤に応答してインスリンを産生する細胞を指す。
【0163】
幹細胞由来細胞
本明細書で使用される場合、「幹細胞由来細胞」または「多能性幹細胞由来細胞」という用語は、さらなる分化の可能性を有するか、または最終分化細胞であるが、移植後に必ずしもインスリン分泌を示すとは限らない、多能性幹細胞の分化によって得られる細胞を指す。
【0164】
幹細胞由来ベータ細胞
本明細書で使用される場合、「ベータ様細胞」、または「幹細胞由来ベータ細胞」、または「SC-β細胞」、または「幹細胞由来ベータ様細胞」、または「インビトロでの幹細胞由来ベータ細胞」は、幹細胞に由来し、PDX1、NKX6.1、INSなどの天然のヒトベータ細胞の少なくとも1つのマーカーを発現する細胞を指し、天然のインスリン分泌に類似する、グルコースに応答したインビトロおよび/またはインビボインスリン分泌を示す。WO2017/144695に記載されるプロトコルは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0165】
スクリーニング
本明細書で使用される場合、「スクリーニング」という用語は、遺伝子型のある特定の表現型を有する1つ以上の細胞の存在に基づいて、細胞または細胞集団を検出、特定、精製、選択、または特徴付けすることを指す。表現型および遺伝子型は、マーカーの発現に基づいて確立されてもよい。一実施形態では、特定することは、細胞を特徴付けるマーカーの発現レベルに従って細胞を分類することを指す。好ましい実施形態では、本発明に従ったスクリーニングは、インビトロで実施される。
【0166】
発現レベル
本明細書で使用される場合、「発現レベル」という用語は、細胞中の遺伝子発現および/または遺伝子産物活性の程度を指す。発現レベルは、任意の絶対単位または正規化された単位で(対照参照の公知の発現レベルに対して)決定され得る。
【0167】
マーカー
本明細書で使用される場合、「マーカー」という用語は、細胞によって作製された自然発生の特定可能な発現を指し、これは、細胞のある特定の特性に相関し得、細胞または細胞集団を特定、予測、または特徴付ける働きをする。マーカーは、遺伝子と呼ばれる場合がある。マーカーは、mRNAまたはタンパク質、例えば、細胞表面上のタンパク質の形態であってもよい。
【0168】
本明細書で使用される場合、マーカーに言及する「発現」という用語は、検出され得る分子の細胞における欠如または存在を指す。ある実施形態では、発現される分子は、mRNAまたはタンパク質である。マーカーの発現は、mRNAまたはタンパク質レベルなど、任意の好適なレベルで検出され得る。当業者であれば、細胞をマーカーの陽性発現または陰性発現によって定義することができること、すなわち、細胞の特性および状態を、ある特定のマーカーの発現およびその欠如に基づいて等しく相互に関連付けてもよいことを容易に理解するであろう。特異的マーカーに言及する場合、発現の存在または欠如は、それぞれ、+(プラス)または-(マイナス)で示されてもよい。
【0169】
本明細書で使用される場合、「ACVR1C」は、アクチビンA受容体1C型である。
【0170】
本明細書で使用される場合、「AMBP」は、アルファ-1-ミクログロブリン/ビクニン前駆体である。
【0171】
本明細書で使用される場合、「BASP1」は、脳豊富膜結合シグナルタンパク質1である。
【0172】
本明細書で使用される場合、「CHRNA3」は、コリン作動性受容体のニコチン性アルファ3サブユニットである。
【0173】
本明細書で使用される場合、「DCC」は、ネトリン1受容体をコードする遺伝子である。
【0174】
本明細書で使用される場合、「DLK1」は、デルタ様非標準ノッチリガンドである。
【0175】
本明細書で使用される場合、「EGFL7」は、EGF様ドメインマルチプル7である。
【0176】
本明細書で使用される場合、「ELAVL2」は、胚性致死、異常視覚、ショウジョウバエ様2である。
【0177】
本明細書で使用される場合、「FREM2」は、FRAS1関連細胞外マトリックス2である。
【0178】
本明細書で使用される場合、「G6PC2」は、グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット2である。
【0179】
本明細書で使用される場合、「HMGCS1」は、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAシンターゼ1である。
【0180】
本明細書で使用される場合、「ISL1」は、ISL LIMホメオボックス1である。
【0181】
本明細書で使用される場合、「LBH」は、WNTシグナル伝達経路のLBH調節因子である。
【0182】
本明細書で使用される場合、「MAFB」は、MAF bZIP転写因子Bである。
【0183】
本明細書で使用される場合、「MARCKSL1」は、MARCKS様1である。
【0184】
本明細書で使用される場合、「NEFL」は、ニューロフィラメント光である。
【0185】
本明細書で使用される場合、「NEFM」は、ニューロフィラメント媒体である。
【0186】
本明細書で使用される場合、「PCDH7」は、プロトカドヘリン7である。
【0187】
本明細書で使用される場合、「PCP4」は、プルキンエ細胞タンパク質4である。
【0188】
本明細書で使用される場合、「PLAGL1」は、PLAG1様亜鉛フィンガー1である。
【0189】
本明細書で使用される場合、「PLXNA2」は、プレキシンA2である。
【0190】
本明細書で使用される場合、「RAD21」は、RAD21コヘシン複合体成分である。
【0191】
本明細書で使用される場合、「RTN1」は、レチクロン1である。
【0192】
本明細書で使用される場合、「SLC30A8」は、溶質担体ファミリー30メンバー8である。
【0193】
本明細書で使用される場合、「SOX11」は、SRY-ボックス転写因子11である。
【0194】
本明細書で使用される場合、「STARD10」は、StAR関連脂質輸送ドメイン含有10である。
【0195】
本明細書で使用される場合、「ST6GALNAC5」は、ST6 N-アセチルガラクトサミニドアルファ-2,6-シアルイルトランスフェラーゼ5である。
【0196】
インスリン発現または産生
インスリン発現または産生は、インスリンタンパク質および/またはインスリンRNAを合成する細胞の能力である。好ましい実施形態では、本発明のベータ様細胞は、移植後にインスリン発現を維持する。
【0197】
インスリン分泌
インスリン分泌は、インスリンを放出する細胞の能力である。好ましい実施形態では、本発明のベータ様細胞は、移植後にインスリン分泌を維持する。
【0198】
培養培地/組成物
細胞の増殖を支持するように設計された固体、液体、または半固体。様々な種類の商業用培地が、様々な種類の細胞を増殖させるために使用される。好ましい実施形態では、本発明に従った細胞培養物または組成物は、インビトロ細胞培養物または組成物である。
【0199】
本明細書に別段の示唆がない限り、単数形で提示される用語は、複数の状況も含む。
【0200】
本発明は、以下の非限定的な実施形態によってさらに説明される。
1. 多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団におけるベータ様細胞をスクリーニングするための方法であって、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現するベータ様細胞を特定する工程を含む、方法。
2. ベータ様細胞が、RNAseqによってスクリーニングされる、実施形態1に記載の方法。
3. ベータ様細胞が、qPCR、ネステッドPCR、ddPCR、またはそれらの組み合わせを使用してスクリーニングされる、実施形態1または2に記載の方法。
4. 多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団であって、前記集団が、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含む、多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
5. 集団が、ACVR1C、FREM2、CHRNA3、DCC、SOX11、MARCKSL1、BASP1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、HMGCS1、ELAVL2、PCP4、PCDH7、NEFL、PLAGL1、EGFL7、RAD21、RTN1、PLXNA2、LBH、NEFM、SLC30A8、DLK1、MAFB、およびISL1から選択される1つ以上のマーカーと組み合わせて、NKX6.1を発現する少なくとも15%のベータ様細胞を含み、当該ベータ様細胞が、移植後にインスリン発現および分泌を維持する、実施形態4に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
6. ベータ様細胞の少なくとも55%が、SOX11、FREM2、DCC、BASP1、CHRNA3、およびELALV2から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーが、天然のヒトベータ細胞中に存在しない、実施形態4または5に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
7. ベータ様細胞の少なくとも85%が、SOX11を含み、当該マーカーが、天然のヒトベータ細胞中に存在しない、実施形態4~6のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
8. ベータ様細胞の少なくとも75%が、FREM2を含み、当該マーカーが、天然のヒトベータ細胞中に存在しない、実施形態4~6のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
9. ベータ様細胞の少なくとも85%が、DCCを含み、当該マーカーが、天然のヒトベータ細胞中に存在しない、実施形態4~6のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
10. ベータ様細胞の少なくとも75%が、BASP1を含み、当該マーカーが、天然のヒトベータ細胞中に存在しない、実施形態4~6のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
11. ベータ様細胞の少なくとも80%が、CHRNA3を含み、当該マーカーが、天然のヒトベータ細胞中に存在しない、実施形態4~6のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
12. ベータ様細胞の少なくとも55%が、ELALV2を含み、当該マーカーが、天然のヒトベータ細胞中に存在しない、実施形態4~6に記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
13. ベータ様細胞の少なくとも75%が、SOX11、FREM2、DCCを含み、当該マーカーが、天然のヒトベータ細胞中に存在しない、実施形態4~9のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
14. ベータ様細胞の少なくとも55%が、BASP1、CHRNA3、ELAVL2を含む、実施形態10~12のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
15. ベータ様細胞の少なくとも80%が、ACVR1C、MARCKSL1、STARD10、AMBP、ST6GALNAC5、およびHMGCS1から選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーの発現レベルが、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも約1 log倍の変化である、実施形態4または5に記載のインビトロ集団多能性幹細胞由来細胞。
16. ベータ様細胞の少なくとも90%が、ACVR1C、MARCKSL1、STARD10、AMBPから選択される1つ以上のマーカーを含み、当該マーカーの発現レベルが、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも約1 log倍の変化である、実施形態15に記載のインビトロ集団多能性幹細胞由来細胞。
17. ベータ様細胞の少なくとも95%が、ACVR1Cを含み、当該マーカーの発現レベルが、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも2 log倍の変化である、実施形態15または16に記載のインビトロ集団多能性幹細胞由来細胞。
18. ベータ様細胞の少なくとも95%が、MARCKSL1を含み、当該マーカーの発現レベルが、天然のヒトベータ細胞中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも約2 log倍の変化である、実施形態15または16に記載のインビトロ集団多能性幹細胞由来細胞。
19. ベータ様細胞の少なくとも95%が、STARD10を含み、当該マーカーの発現レベルが、天然のヒトベータ中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも1 log倍の変化である、実施形態15または16に記載のインビトロ集団多能性幹細胞由来細胞。
20. ベータ様細胞の少なくとも90%が、AMBPを含み、当該マーカーの発現レベルが、天然のヒトベータ中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも2 log倍の変化である、実施形態15または16に記載のインビトロ集団多能性幹細胞由来細胞。
21. ベータ様細胞の少なくとも85%が、ST6GALNAC5を含み、当該マーカーの発現レベルが、天然のヒトベータ中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも約1 log倍の変化である、実施形態15に記載のインビトロ集団多能性幹細胞由来細胞。
22. ベータ様細胞の少なくとも80%が、HMGCS1を含み、当該マーカーの発現レベルが、天然のヒトベータ中の当該マーカーの発現よりも平均して少なくとも約1 log倍の変化である、実施形態15のいずれか1つに記載のインビトロ集団多能性幹細胞由来細胞。
23. 当該細胞が、G6PC2をさらに発現する、先行実施形態4~22のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
24. 多能性幹細胞が、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞である、実施形態1~23のいずれか1つに記載のインビトロ集団。
25. ベータ様細胞を含む当該集団が、移植後にインスリン発現および分泌を維持する、先行実施形態4~24のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
26. ベータ様細胞を含む集団が、移植後にグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を示す、先行実施形態4~25のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
27. 1つ以上のマーカーが、移植後に平均血漿c-ペプチドレベルと正の相関を示す、先行実施形態4~26のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
28. ベータ様細胞を含む集団が、移植後に血中グルコースの低下を示す、先行実施形態4~27のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
29. 医薬として使用するための、先行実施形態4~28のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
30. 糖尿病の治療に使用するための、先行実施形態4~28のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
31. 1型糖尿病の治療に使用するための、先行実施形態4~28のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団。
32. 先行実施形態4~28のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞と、細胞培養培地と、を含む、細胞培養物または組成物。
33. 先行実施形態4~28のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団を含む、埋め込み型装置。
34. 1型糖尿病の治療方法であって、その治療を必要とする人に、先行実施形態4~28のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団を投与することを含む、方法。
35. 先行実施形態4~28のいずれか1つに記載の多能性幹細胞由来細胞のインビトロ集団を含む、凍結保存細胞培養物。
36. 細胞集団の少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%が、生存可能である、実施形態35に記載の多能性幹細胞由来細胞の凍結保存集団。
【0201】
略語リスト
+ve:陽性
AGN:AGN 193109
ALK5:アクチビン受容体様キナーゼ、
BC:ベータ細胞
DE:胚体内胚葉
EP:内分泌前駆細胞
GCG:グルカゴン
hBS:ヒト胚盤胞由来幹
hBSC:ヒト胚盤胞由来幹細胞
hES:ヒト胚性幹
hESC:ヒト胚性幹細胞
hiPSC:ヒト人工多能性幹細胞
hPSC:ヒト多能性幹細胞
LDN:LDN193189
PAX4:ペアードボックス4
PE:膵臓内胚葉
RT:室温
SCID:重症複合免疫不全
SYT13:シナプトタグミン13
T3:トリヨードチロニン
【0202】
実施例1
幹細胞由来ベータ様細胞の亜集団は、移植後にインスリン分泌に寄与する
幹細胞由来細胞は、遺伝子発現、分子特性、グルコース感知、およびインスリン分泌に基づき異種である。この実験の目的は、移植後にインスリン産生に寄与する幹細胞由来細胞またはベータ様細胞の亜集団を特定することであった。プロトコル関連の細胞異種性を高めるために、ヒト胚性幹細胞(hESC)を、以下の表1に提供される段階的分化プロトコルの8つの異なる改変を使用して、内分泌細胞クラスターに分化させた。hESCを、胚体内胚葉(DE)、続いて膵臓内胚葉(PE)、次いで内分泌前駆細胞(EP)に向け、最終的に、特許公報WO/2012/175633、WO2014/033322、WO2015/028614、WO2017/144695(参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、インスリン産生ベータ様細胞を生成した。
【表1】
移植後にインスリン発現および分泌に寄与する幹細胞由来細胞またはベータ様細胞の亜集団を特定するために、移植前の単一細胞RNAシークエンシングを使用して、8つの(改変された)分化プロトコルの各々から得られた細胞クラスターを分析した。細胞を、アクターゼ(Stem Cell Technologies)を使用して単一細胞に解離し、単一細胞についての遺伝子発現プロファイルを、RNAシークエンシングを使用して、プロトコル当たり2000~3000個の細胞について得た。ヒト膵島も、天然のヒトベータ細胞への参照として含んだ。すべての細胞についての遺伝子発現データを、すべての試料にわたって統合して、データを条件間で比較可能にし、類似の遺伝子発現プロファイルを有する細胞が、細胞を生成するために使用されるプロトコルとは独立してグループ化するように、次元削減およびクラスタリングを適用した。合計で26個の異なる細胞集団を特定し(図1b)、すべてのプロトコルが、非常に異なる比率で類似の細胞集団を生成したことを明らかにした(図1a)。天然のヒトベータ細胞(クラスター16)にほぼ類似した集団を特定するために、26個の特定されたクラスターの各々を、天然のベータ細胞遺伝子セットと比較し、クラスター14、15、および26は、ヒトベータ細胞クラスター(クラスター16)に類似したスコアを受け、したがって、最も天然のヒトベータ細胞に類似していたベータ様細胞集団として特定した(図2)。
【0203】
動物における移植後のインスリン発現を決定するために、8つの(改変された)分化プロトコルの各々を用いて得られた多数の分化細胞クラスター(3000pIEQに相当する)を、プロトコル当たり10匹の動物の群において、免疫不全SCID-ベージュマウスの腎臓被膜下に移植した。生着したヒト細胞からのインスリン分泌の測定として、ヒトC-ペプチドELISA(酵素結合免疫測定法)を使用して、移植の8週間後に血清試料中でヒトC-ペプチドレベルを測定した。クラスター14、15、および26の細胞のパーセンテージ(総細胞数のうち)に対して、移植された動物における平均循環ヒトC-ペプチドレベルをプロットすることによって、これらのクラスターにおける細胞のパーセンテージとインビボでのインスリン分泌との間に、正の相関が見られた(図6)。
【0204】
結論として、幹細胞由来細胞、すなわち、ベータ様細胞の亜集団のみが、天然のヒトベータ細胞に類似し、移植後にインスリン分泌に寄与することがわかった。この亜集団またはベータ様細胞(クラスター14、15、および26)を説明および特定する遺伝子のリストを、表1、2、および3に提供し、以下に提供する実施例2~4を参照されたい。この集団の特定および特徴付けは、幹細胞からベータ細胞への分化プロトコルの最適化、および最終的には高い有効性を有するベータ細胞療法、すなわち、血中グルコースを正常化する細胞の能力を得るために不可欠である。
【0205】
実施例2 従来のベータ細胞マーカーは、移植後のインスリン分泌を予測しない
従来のベータ細胞マーカーが、それ自体はインビボ有効性を予測しないことを示すために、8つの改変されたプロトコルから得られた細胞集団において、mRNAの検出のためのナノストリング、またはタンパク質の検出のためのフローサイトメトリーのいずれかを使用して、NKX6.1、PDX1、PAX4、NKX2.2、SYT13などの周知のベータ細胞マーカーの発現、ならびにPDX1+/NKX6.1+の共発現を測定した。これらのマーカーのいずれも、移植の8週後に動物の平均c-ペプチドレベルに正の相関しなかったことがわかった(図7および図8b、下部パネル)。
【0206】
単一細胞配列分析により、SLC30A8を含むベータ細胞に以前に関連していたいくつかのマーカーを特定した。これらのマーカーを以下の表2に列挙する。
【表2】
【0207】
幹細胞由来細胞において、SLC30A8が別の周知のベータ細胞マーカーであるPDX1とどのように区別されるかを示すために、すべての特定されたクラスターにわたってそれらの発現を示した(図8a)。最もベータ様の細胞(クラスター14、15、および26)、ならびに天然のベータ細胞において、高発現のSLC30A8を発見し、クラスター24および25においてある程度の発現も発見し、これらは、GCGも発現する。対照的に、PDX1は、ベータ細胞ならびに最もベータ様の細胞(クラスター14、15および26)でも発現されるが、ほぼすべての他のクラスターでも発現される。SLC30A8およびPDX1が移植後のインスリン分泌にどのように相関するかを示すために、8つの改変されたプロトコルにおいてナノストリング上でSLC30A8およびPDX1 mRNA転写物のレベルを測定し、これを移植の8週間後のインビボでの平均C-ペプチドレベルに相関させた。移植後の循環ヒトC-ペプチドレベルに対して、SLC30A8が正に相関し(図8b、上部パネル)、一方で、PDX1が負に相関した(図8b、下部パネル)ことがわかった。ほぼすべての細胞クラスターにおけるPDX1の発現は、このマーカーがインビボインスリン分泌に負に相関する理由を説明する。PDX1は、天然のベータ細胞ならびに幹細胞培養物からの最もベータ様の細胞(クラスター14、15、および26の細胞)で発現されるが、他のクラスターにおける発現は、このマーカーが、移植後に完全に機能的なベータ細胞に成熟する細胞を特定することができないことを示す。ある特定の古典的なベータ細胞マーカーが、それ自体は移植後にインスリン分泌を予測しないことが示されるため、前述した表2に示されたマーカーの適用を新規であると考える。
【0208】
移植前後の細胞組成物をさらに評価するために、移植前のクラスターおよび移植後の生着ヒト細胞を有する腎臓切片に対して免疫組織化学(IHC)を行った。アルファ細胞およびベータ細胞を特定するために、従来のマーカーを使用し、C-ペプチド、NKX6.1、およびグルカゴンについて染色した。8つすべてのプロトコルから、高いパーセンテージの細胞が、移植前にC-pep/NKX6.1を共発現したが(図5、左パネル)、細胞のサブセットのみが、移植後にC-pep/NKX6.1のこの共発現を維持した(図5、右パネル)ことがわかった。
【0209】
結論として、ほとんどの従来のベータ細胞マーカーが、インビトロ幹細胞由来内分泌細胞培養から、移植後のインスリン分泌を予測しないことが示された。細胞スクリーニングまたは細胞選択のためのそれらの従来のマーカーの使用は、移植前のベータ細胞と類似し得るが、インビボ環境への曝露後にそれらの表現型が変化する、望ましくない細胞亜集団に向かって最適化をもたらす可能性がある。
【0210】
実施例3
幹細胞由来ベータ様細胞は、天然のベータ細胞と類似しているが同一ではない
天然のヒトベータ細胞ではなく、幹細胞由来ベータ様細胞で発現される遺伝子を特定するために、これらの幹細胞由来ベータ様細胞の遺伝子発現を、単一細胞RNAseqによって測定し、天然のヒトベータ細胞の遺伝子発現と比較した。
【0211】
天然のヒトベータ細胞の遺伝子発現を得るために、2つの異なるヒトドナーに由来する2つのヒト膵島試料から、単一細胞遺伝子発現データを一緒にプールした。天然のヒトベータ細胞である膵島内のそれらの細胞を特定するために、これらの試料からの各細胞を、天然の膵島サブタイプであるアルファ、ベータ、デルタ、イプシロン、ガンマ、導管(duct)、腺房、内皮、星、導管(ductal)、マクロファージ、マスト、およびシュワン細胞の遺伝子セットに対してスコアリングした(図3)。ベータ細胞についてスコアが最も高かった細胞を、クラスター14、15および26と比較するために一緒にクラスター化した。2つの群を比較すると、幹細胞由来ベータ様細胞に特有である遺伝子セットの特定につながった(表3)。
【表3】
【0212】
結論として、幹細胞由来ベータ様細胞をヒト天然ベータ細胞と区別する遺伝子を特定し、これらの細胞が、それらの天然の対応物と同一ではないことを示した。
【0213】
実施例4
ACVR1Cは、幹細胞由来ベータ細胞に新規の膵臓内分泌細胞のマーカーであり、その発現は、インビボでの成熟後のインスリン分泌に相関する
ACVR1Cは、クラスター14、15、および26において発現される新規の遺伝子のリスト上にあり(表4)、これらのクラスターは、すべてのクラスターの間で、天然のヒトベータ細胞に最も類似していると特定された。
【表4】
【0214】
実施例3に記載される方法を使用することによって、ACVR1Cは、クラスター14、15、および26における細胞の99%超で発現され、天然のヒトベータ細胞の80%で発現されなかったため、幹細胞由来ベータ様細胞に特有であると特定された。細胞の残りの20%は、低いACVR1C発現を示した(図9a)。ACVR1Cは、クラスター14、15、および16において高度に発現されたが、膵臓アルファ細胞および膵臓ソマトスタチン細胞などの他の膵臓内分泌サブタイプに位置する他のクラスターにおいてもある程度の発現を示した。(図9b)。ACVR1C発現が、インビボでのインスリン分泌に正に相関したことを示すために、ナノストリング上でACVR1C mRNA転写物のレベルを測定し、これを移植の8週間後のインビボでのc-ペプチドレベルの平均に相関させた(図9c)。
【0215】
結論として、移植の8週間後のインビボC-ペプチドレベルに関する幹細胞由来ベータ様細胞の新規かつ特有のマーカーとして、ACVR1Cを特定した。C-ペプチドは、インスリンと等しい。ヒトC-ペプチドは、インスリンを用いた潜在的な外部から与えられた治療ではなく、移植細胞のみに由来する可能性があるため、測定される。したがって、ACVR1Cは、幹細胞由来ベータ様細胞に対するプロトコルを適格とし、かつ最適化するために使用され得る。
【0216】
実施例5
PCDH7は、最もベータ様の細胞集団に特異的である細胞外マーカーであり、PCP4は、細胞内マーカーである
PCDH7およびPCP4は両方とも、細胞クラスター14、15、および26において発現され(表4)、我々の単一細胞RNAシークエンシングデータセットにおけるクラスターは、すべてのクラスターの間で、天然のヒトベータ細胞に最も類似していると特定された。ACVR1Cと比較して、PCDH7およびPCP4は、クラスター14、15、および26に特異的である発現を示す。他の特定されたクラスターのいずれにおいても、PCDH7およびPCP4の発現は全くまたはほとんど見られない(図10a)。これらのマーカーの特異性は、それらのマーカーを移植後のインスリン分泌の予測に適したものにし、それらを品質マーカーとして使用するために、幹細胞由来ベータ様細胞を特定および定量化するために使用されるそれらの能力に溶出する。ACVR1Cに関して、ナノストリング上でPCDH7およびPCP4 mRNA転写物のレベルを測定し、これを移植の8週間後のインビボでのマウスにおける平均循環ヒトc-ペプチドレベルに相関させた(図10b)。両方のマーカーが、8週間後にインビボでのインスリン分泌に正に相関したことがわかった。
【0217】
PCDH7は、ほぼ幹細胞由来ベータ様細胞のみにおいて発現される細胞外マーカーとして特定されるため、異種細胞集団から幹細胞由来ベータ細胞を精製するためにさらに使用され得る。これは、さらなる特徴付けのために、または最終細胞療法製品の有効性および安全性を改善するために使用され得る。結論として、PCDH7およびPCP4を幹細胞由来ベータ細胞に特異的であると特定した。
【0218】
実施例6
G6PC2は、インビボインスリン産生ならびにインビトロインスリン放出に相関するマーカーである。幹細胞由来ベータ様細胞の追加の効力評価に使用され得るマーカーを特定するために、8つすべてのプロトコル改変について、インビトロでインスリンを分泌する細胞の能力を測定した。インスリン分泌を、灌流システムを使用して測定し、細胞に10mMのグルコースを最初に攻撃接種し、10mMのグルコース+1000nMのエキセンジン4での第2の攻撃接種が続き、IBMXおよびホルスコリンによる第3の攻撃接種が続いた。攻撃接種中に分泌されたインスリンの総量を、灌流曲線下面積として定義し、インビボインスリン産生に正に相関したマーカーに対してプロットした。G6PC2は、天然のヒトベータ細胞およびアルファ細胞(それぞれ、単一細胞RNAシークエンシングデータセットにおいて、クラスター16および22)、ならびに最もベータ様の細胞クラスター14、15、および26内の細胞のサブセットにおいて発現されることがわかった(図11a)。G6PC2発現が、インビボでのインスリン産生に正に相関したことを示すために、ナノストリング上でG6PC2 mRNA転写物のレベルを測定し、これを移植の8週間後のインビボでのc-ペプチドレベルの平均に相関させた(図11b)。最後に、インスリン分泌の潜在的な効力マーカーとしてのその使用を検証するために、G6PC2発現をインビトロインスリン分泌試験からの曲線下面積と比較した(図11c)。
【0219】
結論として、インビトロインスリン分泌に相関する幹細胞由来ベータ様細胞中で発現されるマーカーとして、GCPC2を特定し、したがって、インビトロ効力または幹細胞のベータ細胞へのインビトロ分化を測定するのに有用である。
【0220】
本発明のある特定の特徴が本明細書に例証および記載されているが、ここで、多くの修正、代用、変更、および均等物が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が本発明の真の趣旨の範囲内に含まれるすべての修正および変更を包含するよう意図されていることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】