(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】フルクタナーゼを含む口腔ケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/66 20060101AFI20230906BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230906BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230906BHJP
A61K 38/43 20060101ALI20230906BHJP
A61Q 11/02 20060101ALI20230906BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230906BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230906BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230906BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230906BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230906BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230906BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230906BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20230906BHJP
C12N 15/55 20060101ALN20230906BHJP
【FI】
A61K8/66 ZNA
A61Q11/00
A61P1/02
A61K38/43
A61Q11/02
A61P43/00 121
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/04
C12N9/16 Z
C12N15/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513243
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2021073296
(87)【国際公開番号】W WO2022043273
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500586299
【氏名又は名称】ノボザイムス アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ドロテア ラベントス セグラ
(72)【発明者】
【氏名】ロレーナ ゴンサレス,パルメン
(72)【発明者】
【氏名】イェスパ セーロモン
(72)【発明者】
【氏名】マルク ドミニク モラン
(72)【発明者】
【氏名】メデ ローセ ヤアアンスン
(72)【発明者】
【氏名】トマス トメースン ドゥアフース
(72)【発明者】
【氏名】マニシュ クマール ティワリ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA12
4C076AA16
4C076AA36
4C076AA49
4C076AA69
4C076BB22
4C076CC16
4C076DD21Q
4C076DD23Q
4C076DD26Q
4C076DD37Q
4C076DD38Q
4C076DD41Q
4C076DD49Q
4C076DD51Q
4C076FF36
4C076FF63
4C083AD471
4C083AD472
4C083CC41
4C083CC42
4C083DD15
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE32
4C083EE33
4C083FF01
4C084AA01
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4C084DC01
4C084MA17
4C084MA27
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4C084MA34
4C084MA35
4C084MA47
4C084MA57
4C084NA03
4C084NA05
4C084ZA671
4C084ZA672
4C084ZC751
(57)【要約】
本発明は、フルクタナーゼを含む口腔ケア組成物、前記組成物の薬剤としての使用、口腔疾患の治療における前記組成物の使用、ヒト又は動物対象への前記組成物の投与を含む治療方法、前記組成物とバイオフィルムを接触させることを含むバイオフィルムの除去方法、前記組成物、及びフルクタナーゼを含む部品のキットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物であって;前記フルクタナーゼが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する、口腔ケア組成物。
【請求項2】
前記フルクタナーゼが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、3つの酵素活性を有する、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項3】
前記フルクタナーゼが、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、及びフルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を含み、ここで、前記フルクタナーゼは、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、3つの多糖を分解する、請求項1~2のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項4】
前記フルクタナーゼが、以下:
a)配列番号1に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、前記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
b)配列番号2に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、前記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
c)配列番号3に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、前記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
d)配列番号4に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、前記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
e)配列番号5に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、前記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
f)配列番号6に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、前記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
g)配列番号7に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、前記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
並びに
h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリペプチドの断片であって、前記断片は、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、前記断片が、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有する断片
からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項5】
前記フルクタナーゼが、以下:
a)配列番号1を含むか、本質的にそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;
b)配列番号2を含むか、本質的にそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;
c)配列番号3を含むか、本質的にそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;
d)配列番号4を含むか、本質的にそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;
e)配列番号5を含むか、本質的にそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;
f)配列番号6を含むか、本質的にそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;及び
g)配列番号7を含むか、本質的にそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド
からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項6】
前記フルクタナーゼが、安息香酸塩(好ましくは、安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくは、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの他の酵素をさらに含み、好ましくは、前記少なくとも1つの他の酵素は、DNase、ディスパーシン(dispersin)、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、オキシドレダクターゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、及びリゾチームからなる群から選択され、最も好ましくは、前記少なくとも1つの他の酵素は、DNase又はムタナーゼである、請求項1~6のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項8】
内部口腔ケア組成物の形態;好ましくは、練り歯磨き、デンタルクリーム、洗口液、マウスリンス、ロゼンジ、トローチ、チューインガム、菓子、又はキャンディーの形態をした、請求項1~7のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項9】
外部口腔ケア組成物の形態;好ましくは、義歯洗浄液、義歯洗浄錠剤、又は義歯洗浄粉末の形態をした、請求項1~7のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項10】
薬剤として使用するための、請求項1~9のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項11】
口腔疾患の治療に使用するための;好ましくは、歯周病及び/又は齲蝕の治療に使用するための、請求項1~9のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項12】
ヒト又は動物対象の治療又は予防的処置を目的とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物の使用。
【請求項13】
前記ヒト又は動物対象の治療方法であって、前記方法が、請求項1~9のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物をヒト又は動物対象に投与することを含み;好ましくは、前記口腔ケア組成物が、前記対象の口腔に投与される、方法。
【請求項14】
バイオフィルムを除去する方法であって、前記口腔バイオフィルムを請求項1~9のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項15】
以下:
a)請求項1~9のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物と;
b)使用説明書
を含む部品のキット。
【請求項16】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するフルクタナーゼであって;ここで、前記ポリペプチドが、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み;且つ、前記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有する、フルクタナーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願は、コンピュータ読み取り可能フォームの配列表を含む。コンピュータ読み取り可能フォームは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、フルクタナーゼを含む口腔ケア組成物、前記組成物の薬剤としての使用、口腔疾患の治療における前記組成物の使用、ヒト又は動物対象への前記組成物の投与を含む治療方法、前記組成物と対象物を接触させることを含むバイオフィルムの除去方法、前記組成物、及びフルクタナーゼを含む部品のキットに関する。
【背景技術】
【0003】
バイオフィルムは、口腔の表面を含め、多くの様々な環境の固体表面上に存在する細菌の群である。口腔バイオフィルム、又は歯垢は、口腔の悪臭、脱塩、齲蝕、虫歯、歯牙脱落の可能性並びに歯周病(歯肉炎及び歯周炎)などの口腔の健康問題に関連する細菌の多くを含有している。
【0004】
口腔バイオフィルムの形成は、それぞれ、誘導期、成長期、及び定常状態として知られる3つの段階で発生する。誘導期では、唾液由来の糖タンパク質が、歯などの口腔表面に結合し、細菌の付着部位として機能するペリクルと呼ばれる構造を形成する。成長期では、共凝集、即ち、二次生着菌が一次生着菌に付着して、バイオフィルムの多様性が増大すると共に、バイオフィルムが成長及び成熟する原因となる。定常状態では、バイオフィルムの成長は遅くなり、最終的には停止する。この段階に基づく形成周期によって、バイオフィルムは複数の連続した層で存在するため、バイオフィルムの物理的な摩耗がより困難になる。
【0005】
バイオフィルム内で、常在する細菌細胞は、主に水、タンパク質、エキソ多糖類、リポ多糖類、脂質、界面活性剤、及び細胞外DNAからなる細胞外ポリマーマトリックス中に分布し、エキソ多糖類がバイオフィルムの乾燥重量の大部分を占めている(H.C.Flemming,and J.Wingender(2010),Nat.Rev.Microbiol.8,623-633)。エキソ多糖類は、主にグルコース及びフルクトースホモポリマーであり、(1-3)-α-D-グルカン、(1-4)-α-D-グルカン、(1-6)-α-D-グルカン及び(2-6)-β-D-フルクタンを含む。これらの多糖類は、レンサ球菌属菌(Streptococcus spp.)、ラクトバチルス属菌(Lactobacillus spp.)、アクチノマイセス属菌(Actinomyces spp.)などの口腔細菌から分泌されるグルコシルトランスフェラーゼ及びフルクトシルトランスフェラーゼによって摂取されたスクロースから合成される。ムタン及びデキストランは、歯垢の形成において特に重要なグルカンである。ムタンは、高度に分岐した構造であり、側鎖において(1-3)-α結合及び(1-6)-α-グリコシド結合で連結するグルコース分子から構成される主鎖を備える。デキストランも、その骨格及び側鎖に多数の連続した(1-6)-α-結合を含むグルコースの高分子量ポリマーであり、これは、(1-3)-α-結合から開始する(M.Pleszczynska et al.(2016),Biotechnol.Appl.Biochem.64(3),337-346)。フルクタンは、主に線状多糖類であり、主としてβ-(2,6)連結フルクトシル残基と、いくつかのβ-(2,1)連結分枝から構成される。
【0006】
抗菌剤に対する耐性の増大、並びにバイオフィルムの機械的特性のために、多くの既存の口腔ケア製品は、バイオフィルムの形成に対処し、関連する口腔の健康問題を軽減する上でかなり非効率的である。バイオフィルム除去のためには機械的摩耗に主眼がおかれた。しかし、このアプローチはバイオフィルムの多層性のために困難であり、例えば、歯を磨くことによりバイオフィルムを機械的に除去すると、バイオフィルムが付着及び拡大する口腔内の領域の広さ及び深さが増大し、そのため、問題の重大性を軽減するのではなく、むしろ増す可能性があるという事実によってさらに損なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
口腔疾患におけるバイオフィルムの重要な役割を考慮すれば、口腔バイオフィルムを効果的にターゲティングすることができる口腔ケア組成物が当技術分野で必要とさされる。国際公開第1997/38669号パンフレット(Novozymes)は、ムタナーゼ及びデキストラナーゼを含む口腔ケア組成物を記載し、国際公開第1998/57653号パンフレット(Novozymes)は、デキストラナーゼ及びプルラナーゼを含む口腔ケア組成物を提供し、国際公開第2000/17331号パンフレットは、パエニバチルス(Paenibacillus)フルクタナーゼを含む口腔ケア組成物を開示し、国際公開第2020/099490号パンフレット(Novozymes)は、ムタナーゼ及びDNaseを含む口腔ケア組成物を記載する。しかしながら、口腔バイオフィルムをより効果的に分解することができるさらに別の改善された口腔ケア組成物が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、口腔バイオフィルムの予防及び除去に有用なフルクタナーゼを含む口腔ケア組成物を提供する。
【0009】
第1の態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、且つモチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有する。
【0010】
第2の態様において、本発明は、薬剤として使用するための第1の態様に記載の組成物に関する。
【0011】
第3の態様において、本発明は、口腔疾患の治療に使用するための第1の態様に記載の組成物に関する。
【0012】
第4の態様において、本発明は、ヒト若しくは動物対象の治療又は予防的処置を目的とする第1の態様に記載の組成物の使用に関する。
【0013】
第5の態様において、本発明は、ヒト又は動物対象の治療方法に関し、この方法は、ヒト又は動物対象に第1の態様に記載の組成物を投与することを含む。
【0014】
第6の態様において、本発明は、口腔バイオフィルムを除去する方法に関し、この方法は、口腔バイオフィルムを第1の態様に記載の口腔用組成物と接触させることを含む。
【0015】
第7の態様において、本発明は、以下:
a)第1の態様に記載の口腔用組成物;及び
b)使用説明書
を含む部品のキットに関する。
【0016】
第8の態様において、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも60%の配列同一性を有するフルクタナーゼに関し;ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み;且つ、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有する。
【0017】
定義
クレード:「クレード」という用語は、共通の祖先にたどり着く相同的特徴に基づいて一緒にクラスター化されたポリペプチドの1群を意味する。ポリペプチドクレードは、系統樹として視覚化することができ、1クレードは、共通の祖先とその全ての直系の子孫から成るポリペプチドの1群である。系統樹のクレード内で1群(サブクレード)を形成するポリペプチドも共通の特性を共有し得るため、クレード内の他のポリペプチドより密接に関連している。
【0018】
義歯:「義歯」という用語は、義歯そのもの、並びにブレース、アライナ、リテーナなどを包含することを意味する。
【0019】
DNase:「DNase」という用語は、DNA骨格におけるホスホジエステル結合の加水分解切断を触媒し、こうしてDNAを分解するDNase(デオキシリボヌクレアーゼ)活性を有するポリペプチドを意味する。エキソデオキシリボヌクレアーゼは、DNA骨格の末端の残基を切断又はカットし、ここで、エンドデオキシリボヌクレアーゼは、DNA骨格内で切断又はカットする。DNaseは、二本鎖DNAのみを切断するか、又は二本鎖DNA及び一本鎖DNAを切断することができる。用語「DNases」及び「DNase活性を有するポリペプチド」という表現は、本出願全体を通して互換的に使用される。本発明の目的のために、DNase活性は、国際公開第2020/099491号パンフレットのアッセイI又はアッセイIIに記載の手順に従って決定され得る(後述の実施例において再現)。
【0020】
断片:「断片」という用語は、成熟ポリペプチド又はドメインのアミノ及び/又はカルボキシル末端に存在しない1つ以上のアミノ酸を有するポリペプチドを意味し、ここで、断片は、フルクタナーゼ活性を有する。
【0021】
フルクタナーゼ:「フルクタナーゼ」という用語は、フルクタン中のグリコシド結合の加水分解切断を触媒し、このようにしてフルクタンを分解するフルクタナーゼ活性を有するポリペプチドを意味する。用語「フルクタナーゼ」及び表現「フルクタナーゼ活性を有するポリペプチド」は、本出願全体を通して互換的に使用される。
【0022】
フルクタンは、特定のクラスのグラム陽性菌及びグラム陰性菌、例えば、バチルス属(Bacillus)、レンサ球菌属(Streptococcus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、エルウィニア属(Erwinia)及びアクチノマイセス属菌(Actinomyces)、並びにいくつかの真菌、例えば、アスペルギルス属(Aspergillus)及びペニシリウム属(Penicillium)に存在するフルクトース分子のポリマーである。細菌が産生するフルクタン分子は、主としてβ-(2,6)結合フルクトシル残基といくつかのβ-(2,1)結合分枝から構成される。一部のフルクタンは、レバンと呼ばれ、100,000フルクトシル単位を超える重合度(DP)に達する可能性がある。(Vijn and Smeekens,Plant Physiology 1999,Vol.120:351-359;Van den Ende,J Exp Bot.2018,Vol.69(18):4227-4231)。フルクタンの別の主要なタイプであるイヌリンは、主としてβ-(2,1)結合フルクトシル残基といくつかのβ-(2,6)結合分枝を含む。従って、フルクタナーゼは、フルクタン、レバン、及び/又はイヌリンを分解するポリペプチドであり、「フルクタナーゼ活性」という用語は、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及び/又はイヌリン分解活性を含む。加えて、多くのフルクタナーゼは、グルコースとフルクトースを含む二糖であるスクロースも分解する。従って、多くのフルクタナーゼは、スクロース分解活性も有する。本発明の目的のために、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性(即ち、酵素活性)は、後述の実施例4に記載の方法に従って測定され得る。
【0023】
本発明のフルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有する。
【0024】
好ましい実施形態では、フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有する。
【0025】
本発明のフルクタナーゼは、フルクトース含有多糖を加水分解する酵素を含むグリコシル加水分解酵素32(GH32)ファミリーに属する。GH32ファミリーには、イヌリナーゼ(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ(EC 3.2.1.153)、及びフルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ(EC 3.2.1.154)が含まれる。これらの酵素活性は、フルクトース含有多糖のフルクタン、レバン、及びイヌリンの分解をもたらす。
【0026】
従って、好ましい実施形態において、フルクタナーゼは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、及びフルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を含み、ここで、フルクタナーゼは、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、3つの多糖を分解する。
【0027】
フルクタナーゼは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し得る。エンド作用活性は、多糖基質のグリコシド結合のランダムな切断を意味するのに対し、エキソ作用活性は、フルクタナーゼが、多糖基質の非還元末端及び/又は還元末端から作用することを意味する。
【0028】
ムタナーゼ:「ムタナーゼ」という用語は、ムタンにおける-1,3-グリコシド結合の加水分解切断を触媒し、それによって、ムタンを分解するムタナーゼ活性を有するポリペプチドを意味する。用語「ムタナーゼ」及び「ムタナーゼ活性を有するポリペプチド」という表現は、本出願全体を通して互換的に使用される。本発明の目的のために、ムタナーゼ活性は、国際公開第2017/083228号パンフレット又はA.Wiater et al.,Mycological Research,vol.105,pp.1357-1363,2001に記載の手順に従って決定され得る。
【0029】
親又は親フルクタナーゼ:「親」又は「親フルクタナーゼ」という用語は、本発明の酵素変異体を産生するために改変が施されるフルクタナーゼを意味する。親は、天然に存在する(野生型)ポリペプチド又はその変異体若しくは断片であってもよい。
【0030】
配列同一性:2つのアミノ酸配列間又は2つのヌクレオチド配列間の関連性は、パラメータ「配列同一性」によって表される。
【0031】
本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、EMBOSSパッケージのニードル(Needle)プログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)、好ましくは、バージョン5.0.0以降に実装されるようなニードルマン-ウンシュアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を用いて決定される。使用されるパラメータは、ギャップオープンペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ0.5、及びEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識「最長同一性」(-nobriefオプションを用いて取得される)の出力が同一性(パーセント)として使用され、次のように計算される:
(同一残基×100)/(アラインメントの長さ-アラインメントのギャップの総数)
【0032】
本発明の目的のために、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の配列同一性は、EMBOSSパッケージのニードル(Needle)プログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000、前掲)、好ましくはバージョン5.0.0以降に実装されるニードルマン-ウンシュアルゴリズム(Needleman and Wunsch、1970、前掲)を用いて決定される。使用されるパラメータは、ギャップオープンペナルティ10、ギャップ拡張ペナルティ0.5、及びEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識「最長同一性」(-nobriefオプションを用いて取得される)の出力がパーセント恒等式として使用され、次のように計算される:
(同一デオキシリボヌクレオチド×100)/(アラインメントの長さ-アラインメントのギャップの総数)
【0033】
変異体:「変異体」という用語は、親フルクタナーゼと比較して1つ以上の位置における改変、即ち、置換、挿入、及び/又は欠失を含むフルクタナーゼを意味する。置換とは、或る位置を占めるアミノ酸を別のアミノ酸で置換することを意味する。欠失とは、或る位置を占めるアミノ酸の除去を意味し;挿入とは、或る位置を占めるアミノ酸に隣接して、且つその直後にアミノ酸を付加することを意味する。
【0034】
モチーフの命名法
本発明の目的のために、命名法[G/N]又は[GN]は、この位置のアミノ酸がグリシン(Gly、G)又はアスパラギン(Asn、N)であり得ることを意味する。同様に、命名法[T/D/S]又は[TDS]は、この位置のアミノ酸が、本明細書に記載されるような他の組合せについて、スレオニン(Thr、T)、アスパラギン酸(Asp、D)、又はセリン(Ser、S)などであり得ることを意味する。さらに特に限定しない限り、アミノ酸Xは、天然アミノ酸のいずれであってもよいように定義される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、nanoDSF計器を用いて生成された熱安定性データの例を示す。パネルAは、温度の関数として配列番号2について3回反復して得られたデータ(350nm:330nmでの蛍光発光の比)の一例である。パネルBは、パネルAの生データの一次導関数を示す。一次導関数プロットのピーク最大値は、Tmと呼ばれる熱変性遷移の中点に対応する。この例では、Tmは、66.1℃に対応し、3回反復において再現性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0036】
配列の概要
配列番号1は、ペニシリウム・オクロクロロン(Penicillium ochrochloron)から単離されたフルクタナーゼである。
配列番号2は、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)から単離されたフルクタナーゼである。
配列番号3は、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)S16から単離されたフルクタナーゼである。
配列番号4は、アルスロバクター属菌(Arthrobacter sp.)Leaf337から単離されたフルクタナーゼである。
配列番号5は、枯草菌(Bacillus subtilis)から単離されたフルクタナーゼである。
配列番号6は、フラボバクテリウム・バンパクエンセ(Flavobacterium banpakuense)から単離されたフルクタナーゼである。
配列番号7は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から単離されたフルクタナーゼである。
配列番号8は、配列番号2~6の発現中に用いられる分泌シグナルである。
配列番号9は、配列番号2~6の発現中に使用されるHisタグである。
配列番号10は、バチルス・シビ(Bacillus cibi)から単離されたDNaseである。
配列番号11は、トリコデルマ・ハルジアヌム(Trichoderma harzianum)から単離されたムタナーゼである。
配列番号12は、モチーフWMNDである。
配列番号13は、プライマーである。
配列番号14は、プライマーである。
配列番号15は、プライマーである。
配列番号16は、プライマーである。
【0037】
発明の詳細な説明
本発明は、口腔ケア用途に特に好適なフルクタナーゼを含む口腔ケア組成物に関する。これらのフルクタナーゼは、全て、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、且つ、配列モチーフWMND(配列番号12)を含む。これらのフルクタナーゼは、フルクトース含有多糖及び二糖であるフルクタン、レバン、イヌリン、及びスクロースを分解することができるため、これらは、口腔バイオフィルムの予防及び除去に極めて有効である。これらのフルクタナーゼが、特にフルクタン、レバン、及びイヌリンを分解する能力は、口腔バイオフィルムの予防及び除去に優れた効果をもたらすと推測される。さらに、これらのフルクタナーゼは、多様な口腔ケア成分と共配合すると安定性が高く、口腔ケア製剤における使用に極めて好適である。
【0038】
従って、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;ここで、フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有する。
【0039】
フルクタナーゼ
本発明に関連して、好適なフルクタナーゼは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、且つ、WMNDモチーフを含むグリコシルヒドロラーゼ32(GH32)ファミリーのものである。このようなフルクタナーゼは、一般に微生物起源のものであり、好ましくは細菌又は真菌起源のものである。
【0040】
一実施形態では、フルクタナーゼは、以下からなる群から選択される:
a)配列番号1に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
b)配列番号2に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
c)配列番号3に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
d)配列番号4に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
e)配列番号5に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
f)配列番号6に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
g)配列番号7に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリペプチドであって、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドが、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有するポリペプチド;
並びに
h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリペプチドの断片であって、前記断片は、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記断片が、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有する断片。
【0041】
一実施形態では、フルクタナーゼは、以下:
a)配列番号1を含むか、ほぼそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;
b)配列番号2を含むか、ほぼそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;
c)配列番号3を含むか、ほぼそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;
d)配列番号4を含むか、ほぼそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;
e)配列番号5を含むか、ほぼそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;
f)配列番号6を含むか、ほぼそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド;及び
g)配列番号7を含むか、ほぼそれから構成されるか、又はそれから構成されるポリペプチド
からなる群より選択される。
【0042】
フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。フルクタナーゼは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性、好ましくはエキソ作用活性を有し得る。好ましくは、フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、3つの酵素活性を有する。
【0043】
好ましくは、フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性を有する。
【0044】
好ましくは、フルクタナーゼは、フルクタン分解活性とレバン分解活性を有する。
【0045】
好ましくは、フルクタナーゼは、フルクタン分解活性とイヌリン分解活性を有する。
【0046】
好ましくは、フルクタナーゼは、レバン分解活性とイヌリン分解活性を有する。
【0047】
フルクタナーゼは、同等又は改善された酵素活性、とりわけ、また独立して、同等又は改善されたフルクタン分解活性、同等又は改善されたレバン分解活性、同等又は改善されたイヌリン分解活性、及び同等又は改善されたスクロース分解活性を有し得る。一部の実施形態では、少なくとも2つの酵素活性は、独立して、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含まず、WMNDクレードに属さず、且つ配列モチーフWMND(配列番号12)を含まないフルクタナーゼと比較して、同等であるか、又は改善されている。
【0048】
好ましくは、フルクタナーゼは、独立して、i)同等又は改善されたフルクタン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のフルクタン分解活性、ii)同等又は改善されたレバン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のレバン分解活性、iii)同等又は改善されたイヌリン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のイヌリン分解活性、及びiv)iii)同等又は改善されたスクロース分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはれ以上のスクロース分解活性を有する。
【0049】
好ましくは、フルクタナーゼは、独立して、i)同等又は改善されたフルクタン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のフルクタン分解活性、ii)同等又は改善されたレバン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のレバン分解活性、及びiii)同等又は改善されたイヌリン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のイヌリン分解活性を有する。
【0050】
好ましくは、フルクタナーゼは、独立して、i)同等又は改善されたフルクタン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のフルクタン分解活性、及びii)同等又は改善されたレバン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のレバン分解活性を有する。
【0051】
好ましくは、フルクタナーゼは、独立して、i)同等又は改善されたフルクタン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のフルクタン分解活性、及びii)同等又は改善されたイヌリン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のイヌリン分解活性を有する。
【0052】
好ましくは、フルクタナーゼは、独立して、i)同等又は改善されたレバン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のレバン分解活性、及びii)同等又は改善されたイヌリン分解活性、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上のイヌリン分解活性を有する。
【0053】
好ましくは、フルクタナーゼは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、及びフルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を含む。これらの酵素活性は全て、フルクトース含有多糖のフルクタン、レバン、及びイヌリンの分解を意味する。イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、及びフルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、若しくは6つの酵素活性は、独立して、同等か、又は改善され得、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上であり得る。一部の実施形態では、少なくとも2つの酵素活性は、独立して、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含まず、WMNDクレードに属さず、且つ、WMND配列モチーフ(配列番号12)を含まないフルクタナーゼと比較して、同等か、又は改善されている。
【0054】
フルクタナーゼは、口腔ケアに適した製剤及び/又はフォーマット、特に練り歯磨き、洗口液、ロゼンジ、ミント、ガム、キャンディーなどの製剤又はフォーマット中で極めて安定している。高い安定性は、例えば、同等又は改善された安定性であり、同等又は改善された物理的及び/若しくは化学的安定性であり得る。同等又は改善された化学的安定性、即ち、別の薬剤(例えば、別の酵素、有効成分、賦形剤、又は溶媒)の存在下での同等又は改善された安定性は、フルクタナーゼと他の薬剤が共製剤化及び/又は同時投与される場合、好ましくは共製剤時に生じ得る。
【0055】
本発明に関連して、「同等の化学的安定性」という用語は、特定の口腔ケア成分若しくは構成要素の存在下での(又は、言い換えれば、それと共製剤化された)フルクタナーゼの化学的安定性が、同じフルクタナーゼ単独(即ち、前記口腔ケア成分の非存在下で)の化学的安定性の+/-5%以内であることを意味する。
【0056】
本発明に関連して、「改善された化学的安定性」という用語は、特定の口腔ケア成分又は構成要素の存在下での(又は、言い換えれば、それと共製剤化された)フルクタナーゼの化学的安定性が、同じフルクタナーゼ単独(即ち、前記口腔ケア成分の非存在下で)の化学的安定性と比較して、5%超、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又はそれ以上さえ改善されることを意味する。
【0057】
本発明の目的のために、化学的安定性は、特定の口腔ケア成分の存在下での熱変性遷移中点(Tm)により定義される熱安定性として、以下の実施例3に従って決定され得る。
【0058】
一実施形態では、フルクタナーゼは、安息香酸塩(好ましくは、安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくは、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0059】
一実施形態では、フルクタナーゼは、安息香酸塩(例えば、安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸ナトリウム、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(例えば、フッ化ナトリウム)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0060】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、安息香酸塩、例えば、安息香酸ナトリウムを含み、フルクタナーゼは、安息香酸塩、例えば、安息香酸ナトリウムの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、0.01~5%安息香酸塩、より好ましくは0.05~2.5%安息香酸塩、さらに好ましくは0.1~1%安息香酸塩、最も好ましくは0.1~0.5%安息香酸塩の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、1~100mMの安息香酸塩、より好ましくは5~50mM安息香酸塩、最も好ましくは10~35mM安息香酸塩の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0061】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、アルギニンを含み、フルクタナーゼは、アルギニンの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、1~500mMアルギニン、より好ましくは25~250mMアルギニン、さらに好ましくは25~100mMアルギニン、最も好ましくは30~90mMアルギニンの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0062】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、EDTAを含み、フルクタナーゼは、EDTAの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、0.1~10mM EDTA、より好ましくは0.5~5mM EDTA、最も好ましくは1mM EDTAの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0063】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、エタノールを含み、フルクタナーゼは、エタノールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、0.1~20%エタノール、より好ましくは1~10%エタノール、さらに好ましくは2.5~7.5%エタノール、最も好ましくは5%エタノールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、1~100000mMエタノール、より好ましくは100~10000mMエタノール、最も好ましくは1000mMエタノールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0064】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、グリセロールを含み、フルクタナーゼは、グリセロールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、1~50%グリセロール、より好ましくは5~40%グリセロール、最も好ましくは10~30%グリセロールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、100~10000mMグリセロール、より好ましくは500~5000mMグリセロール、さらに好ましくは750~4000mMグリセロール、最も好ましくは1000~3250mMグリセロールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0065】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウムを含み、フルクタナーゼは、リン酸塩、例えば、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カリウムの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、1~50mMのリン酸塩、より好ましくは2.5~25mMのリン酸塩、さらに好ましくは5~10mMのリン酸塩の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0066】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、ソルビトールを含み、フルクタナーゼは、ソルビトールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、0.1~70%のソルビトール、より好ましくは1~60%のソルビトール、さらに好ましくは5~50%のソルビトール、最も好ましくは10~40%のソルビトールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、100~10000mMソルビトール、より好ましくは250~5000mMソルビトール、さらに好ましくは500~2500mMソルビトール、最も好ましくは550~2200mMソルビトールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0067】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、ソルビン酸塩、例えば、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、又はソルビン酸カルシウムを含み、フルクタナーゼは、ソルビン酸塩、例えば、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、若しくはソルビン酸カルシウムの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、0.01~5%ソルビン酸塩、より好ましくは0.05~2.5%ソルビン酸塩、さらに好ましくは0.1~1%ソルビン酸塩、最も好ましくは0.1~0.5%ソルビン酸塩の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、1~100mMソルビン酸塩、より好ましくは5~75mMソルビン酸塩、さらに好ましくは7.5~50mMソルビン酸塩、最も好ましくは10~35mMソルビン酸塩の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0068】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、フッ化物、例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズを含み、フルクタナーゼは、フッ化物、例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、若しくはフッ化第一スズの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、1~5000ppmフッ化物、より好ましくは500~2500ppmフッ化物、最も好ましくは1,000~1500ppmフッ化物の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、1~100mMフッ化物、より好ましくは5~75mMフッ化物、さらに好ましくは10~50mMフッ化物、最も好ましくは20~40mMフッ化物の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0069】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、過酸化物、例えば、過酸化水素を含み、フルクタナーゼは、過酸化物、例えば過酸化水素の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、1~1000mM過酸化物、より好ましくは50~750mM過酸化物、最も好ましくは100~500mM過酸化物の存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0070】
一実施形態では、口腔ケア組成物は、マンニトールを含み、フルクタナーゼは、マンニトールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。好ましくは、フルクタナーゼは、1~1000mMマンニトール、より好ましくは150~750mMマンニトール、最も好ましくは250~550mMマンニトールの存在下で、同等又は改善された化学的安定性を有する。
【0071】
フルクタナーゼは、口腔バイオフィルムを予防及び/又は除去する。一実施形態では、フルクタナーゼは、バイオフィルム予防について同等又は改善された効果、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上の効果を有する。好ましい実施形態では、フルクタナーゼは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含まず、WMNDクレードに属さず、且つ、WMND配列モチーフ(配列番号12)を含まないフルクタナーゼと比較して、バイオフィルム予防について同等又は改善された効果を有する。一実施形態では、フルクタナーゼは、バイオフィルム除去について同等又は改善された効果、例えば、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、若しくはそれ以上の効果を有する。好ましい実施形態では、フルクタナーゼは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含まず、WMNDクレードに属さず、且つ、WMND配列モチーフ(配列番号12)を含まないフルクタナーゼと比較して、バイオフィルム除去に同等又は改善された効果を有する。
【0072】
一態様において、本発明の口腔ケア組成物は、配列番号1に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドを含み、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、ペニシリウム属(Penicillium)から得ることができ、例えば、ペニシリウム・オクロクロロン(Penicillium ochrochloron)から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号1又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくは、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0073】
一態様において、本発明の口腔ケア組成物は、配列番号2に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドを含み、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バチルス属(Bacillus)から得ることができ、例えば、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号2又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0074】
一態様において、本発明の口腔ケア組成物は、配列番号3に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドを含み、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バチルス属(Bacillus)から得ることができ、例えば、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、好ましくはバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)S16から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号3又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0075】
一態様において、本発明の口腔ケア組成物は、配列番号4に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドを含み、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、アルスロバクター属(Arthrobacter)から得ることができ、例えば、アルスロバクター属菌(Arthrobacter sp.)Leaf337から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号4又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号4と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0076】
一態様において、本発明の口腔ケア組成物は、配列番号5に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドを含み、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バチルス属(Bacillus)から得ることができ、例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号5又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号5と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0077】
一態様において、本発明の口腔ケア組成物は、配列番号6に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドを含み、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)から得ることができ、例えば、フラボバクテリウム・バンパクエンセ(Flavobacterium banpakuense)から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号6又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号6と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0078】
一態様において、本発明の口腔ケア組成物は、配列番号7に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドを含み、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、アスペルギルス属(Aspergillus)から得ることができ、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号7又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号7と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0079】
一態様において、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7からなる群より選択されるポリペプチドに対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有するフルクタナーゼに関し、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み;且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つの酵素活性を有する。
【0080】
一態様において、本発明は、以下:
a)配列番号1を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれから成るポリペプチド;
b)配列番号2を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれから成るポリペプチド;
c)配列番号3を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれから成るポリペプチド;
d)配列番号4を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれから成るポリペプチド;
e)配列番号5を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれから成るポリペプチド;
f)配列番号6を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれから成るポリペプチド;及び
g)配列番号7を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれから成るポリペプチド
からなる群より選択されるフルクタナーゼに関する。
【0081】
一態様において、本発明は、配列番号1に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドに関し、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、ペニシリウム属(Penicillium)から得ることができ、例えば、ペニシリウム・オクロクロロン(Penicillium ochrochloron)から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号1又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-βフルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0082】
一態様において、本発明は、配列番号2に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドに関し、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バチルス属(Bacillus)から得ることができ、例えば、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号2又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0083】
一態様において、本発明は、配列番号3に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドに関し、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バチルス属(Bacillus)から得ることができ、例えば、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、好ましくはバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)S16から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号3又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0084】
一態様において、本発明は、配列番号4に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドに関し、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、アルスロバクター属(Arthrobacter)から得ることができ、例えば、アルスロバクター属菌(Arthrobacter sp.)Leaf337から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号4又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号4と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0085】
一態様において、本発明は、配列番号5に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドに関し、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バチルス属(Bacillus)から得ることができ、例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号5又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号5と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0086】
一態様において、本発明は、配列番号6に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドに関し、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)から得ることができ、例えば、フラボバクテリウム・バンパクエンセ(Flavobacterium banpakuense)から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号6又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号6と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0087】
一態様において、本発明は、配列番号7に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%の配列同一性を有する、ポリペプチド、好ましくは単離又は精製されたポリペプチドに関し、ここで、上記ポリペプチドは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含み、且つ、上記ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、アスペルギルス属(Aspergillus)から得ることができ、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から得ることができる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタナーゼ活性を有する配列番号7又はその断片若しくは変異体を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれらから成る。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号7と最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、及びイヌリン分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば3つの酵素活性を有する。好ましくは、ポリペプチドは、エンド作用活性及び/又はエキソ作用活性を有し、最も好ましくはエキソ作用活性を有する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、イヌリナーゼ活性(EC 3.2.1.7)、2,6-β-フルクタン6-レバンビオヒドラーゼ活性(EC 3.2.1.64)、レバナーゼ活性(EC 3.2.1.65)、フルクタンβ-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.80)、フルクタンβ-(2,1)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.153)、フルクタンβ-(2,6)-フルクトシダーゼ活性(EC 3.2.1.154)からなる群から選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つの酵素活性を有し、且つ、フルクタン、レバン、及びイヌリンからなる群から選択される少なくとも2つの多糖を分解する。一実施形態では、ポリペプチドは、安息香酸塩(好ましくは安息香酸ナトリウム)、アルギニン、EDTA、エタノール、グリセロール、リン酸塩(好ましくはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム)、ソルビトール、ソルビン酸カリウム、フッ化物(好ましくは、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、又はフッ化第一スズ)、過酸化水素、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの口腔ケア成分の存在下で、同等又は改善された安定性を有する。一実施形態では、ポリペプチドは、バイオフィルム予防及び/若しくは除去について同等又は改善された効果を有する。
【0088】
口腔ケアに有益な効果を有する他の酵素
本発明の口腔ケア組成物はまた、口腔ケアに有益な効果を有する1つ以上のさらなる酵素を含み得る。
【0089】
従って、一態様において、本発明の口腔ケア組成物は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、WMNDクレードに属し、しかも、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と;(c)少なくとも1つの他の酵素と、を含み;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。好ましくは、少なくとも1つの他の酵素は、DNase、ディスパーシン(dispersin)、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、オキシドレダクターゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、及びリゾチームからなる群から選択される。
【0090】
一般に、選択された酵素の特性は、選択された口腔ケア組成物と適合性(即ち、pH最適、他の酵素成分及び非酵素成分との適合性など)であるべきであり、酵素は有効量で存在すべきである。
【0091】
本発明の組成物での使用に適したDNase、ディスパーシン(dispersin)、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、酸化還元酵素、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、及びリゾチームの例は、以下に記載されるもの並びに当技術分野で入手可能な他のものを含み、これらは、当業者によって容易に特定され得る。
【0092】
DNase
一態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)DNaseと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0093】
用語「DNase」は、DNA骨格におけるホスホジエステル結合の加水分解切断を触媒し、このようにしてDNAを分解するDNase(デオキシリボヌクレアーゼ)活性を有するポリペプチドを意味する。エキソデオキシリボヌクレアーゼは、DNA骨格の末端の残基を切断又はカットし、エンドデオキシリボヌクレアーゼは、DNA骨格内で切断又はカットする。DNaseは、二本鎖DNAのみを切断することもできるし、又は二本鎖DNA及び一本鎖DNAを切断することできる。
【0094】
好ましくは、DNaseは、酵素クラスE.C.3.1、好ましくはE.C.3.1.21、例えば、E.C.3.1.21.Xなど(X=1、2、3、4、5、6、7、8若しくは9)、或いは、例えば、デオキシリボヌクレアーゼI、デオキシリボヌクレアーゼIV、I型部位特異的デオキシリボヌクレアーゼ、II型部位特異的デオキシリボヌクレアーゼ、III型部位特異的デオキシリボヌクレアーゼ、CC優先エンド-デオキシリボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼV、T(4)デオキシリボヌクレアーゼII、T(4)デオキシリボヌクレアーゼIV又はE.C.3.1.22.Y(Y=1、2、4若しくは5)、例えば、デオキシリボヌクレアーゼII、アスペルギルス(Aspergillus)デオキシリボヌクレアーゼK(1)、クロスオーバージャンクションエンドデオキシリボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼXのいずれかから選択される。
【0095】
好ましくは、DNase活性を有するポリペプチドは、微生物から得られ、DNaseは、微生物酵素である。DNaseは、好ましくは真菌又は細菌起源のものである。
【0096】
DNaseは、バチルス属(Bacillus)、例えば、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス属菌(Bacillus sp.)-62451、バチルス・ホリコシイ(Bacillus horikoshii)、バチルス属菌(Bacillus sp.)-16840、バチルス属菌(Bacillus sp.)-62668、バチルス属菌(Bacillus sp.)-13395、バチルス・ホルネキアエ(Bacillus horneckiae)、バチルス属菌(Bacillus sp.)-11238、バチルス・シビ(Bacillus cibi)、バチルス・イドリエンシス(Bacillus idriensis)、バチルス属菌(Bacillus sp.)-62520、バチルス属菌(Bacillus sp.)-16840、バチルス属菌(Bacillus sp.)-62668、バチルス・アルジコラ(Bacillus algicola)、バチルス・ビエトナメンシス(Bacillus vietnamensis)、バチルス・ファジンポエンシス(Bacillus hwajinpoensis)、バチルス・インディカス(Bacillus indicus)、バチルス・マリスフラビ(Bacillus marisflavi)、バチルス・ルシフェレンシス(Bacillus luciferensis)、及びバチルス属菌(Bacillus sp.)SA2-6から取得可能であり得る。
【0097】
また、DNaseは、以下:ピレノケトプシス属菌(Pyrenochaetopsis sp.)、ビブリセア・フラボビレンス(Vibrissea flavovirens)、セトスファエリア・ロストラテ(Setosphaeria rostrate)、エンドフラグミエラ・バルディナ(Endophragmiella valdina)、コリネスポラ・カッシコラ(Corynespora cassiicola)、パラフォマ属菌(Paraphoma sp.)XZ1965、モニリニア・フルクティコラ(Monilinia fructicola)、カーブラリア・ルナタ(Curvularia lunata)、ペニシリウム・レティクリスポルム(Penicillium reticulisporum)、ペニシリウム・ケルセトルム(Penicillium quercetorum)、セトフェオスフェリア属菌(Setophaeosphaeria sp.)、アルテルナリア属(Alternaria)、アルテルナリア属菌(Alternaria sp.)XZ2545、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、ケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)、シタリジウム・サーモフィルム(Scytalidium thermophilum)、メタポコニア・スクラスポリア(Metapochonia suchlasporia)、ダルディニア・フィッサ(Daldinia fissa)、アクレモニウム属菌(Acremonium sp.)XZ2007、アクレモニウム属菌(Acremonium sp.)XZ2414、アクレモニウム・ジクロモスポラム(Acremonium dichromosporum)、サロクラジウム属菌(Sarocladium sp.)XZ2014、メタリジウム属菌(Metarhizium sp.)HNA15-2、ハナサナギタケ(Isaria tenuipe)、シタリジウム・サーキナタム(Scytalidium circinatum)、メタリジウム・レピディオタエ(Metarhizium lepidiotae)、サーモビスポラ・ビスポラ(Thermobispora bispora)、スポロルミア・フィメタリア(Sporormia fimetari)、ピクニディオフォラ cf.ディスペラ(Pycnidiophora cf.dispera)、環境サンプルD、環境サンプルO、バッカクキン科菌(Clavicipitaceae sp)-70249、ウエステルディケラ属菌(Westerdykella sp.)AS85-2、フミコロプシス・セファロスポリオイ(Humicolopsis cephalosporioides)、ネオサルトリア・マッサ(Neosartorya massa)、ルソエラ・インターメディア(Roussoella intermedia)、プレオスポラレス(Pleosporales)、フェオスファエリア(Phaeosphaeria)、又はディディモスファエリア・フチリス(Didymosphaeria futilis)のいずれかからも取得され得る。
【0098】
特に好ましい実施形態において、DNaseは、口腔ケア製剤、例えば、練り歯磨き、洗口液、ミント、トローチ、ガムなどにおいて、及び/又は口腔ケア成分、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、又はフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化カルシウム、若しくはフッ化第一スズなどのフッ化物源の存在下で、改善された安定性を示す。安定性が改善されたこのようなDNaseの例は、国際公開第2020/099491号パンフレットに開示されている。
【0099】
一実施形態では、DNaseは、バチルス属(Bacillus)から得ることができ、例えば、バチルス・シビ(Bacillus cibi)から取得可能であり、これは、配列番号10に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、且つ、DNase活性を有する。好ましい実施形態では、DNaseは、配列番号10に示されるポリペプチドと、最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸だけ異なる。好ましい実施形態において、DNaseは、配列番号10を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれから成る。
【0100】
ディスパーシン(dispersin)
一態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)ディスパーシンと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0101】
ディスパーシンは、ヘキソサミニダーゼ活性、好ましくは、ポリN-アセチルグルコサミン(PNAG)分解活性を有するポリペプチドである。一例は、グリコシドヒドロラーゼ20ファミリーに属するβ-N-アセチルグルコサミニダーゼであるディスパーシンB(DspB)である。ディスパーシンは、グラム陰性口腔内細菌である歯周病原因菌アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)によって産生される。ディスパーシンBは、バイオフィルム中に存在するアセチルグルコサミンポリマーのβ-1,6-グリコシド結合を特異的に加水分解するβ-ヘキソサミニダーゼである。好適なディスパーシンB及びその変異体は、国際公開第2014/061117号パンフレット及び同第2017/186936号パンフレットに記載されている。
【0102】
他の好適なディスパーシンとしては、ディスパーシン2及びその変異体(国際公開第2017/186936号パンフレット)、ディスパーシン5及びその変異体、並びにディスパーシン8及びその変異体が挙げられる。
【0103】
一実施形態では、本発明の組成物は、ディスパーシンB、ディスパーシン2、ディスパーシン5、及びディスパーシン8から選択されるディスパーシンを含む。
【0104】
一実施形態では、本発明の組成物は、ヘキソサミニダーゼ活性を有するポリペプチド、又はグリコシドヒドロラーゼファミリー20(GH20、www.cazy.org)に属する触媒ドメインを含むポリペプチドを含む。
【0105】
プロテアーゼ
一態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)プロテアーゼと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0106】
口腔ケアでは、プロテアーゼは唾液タンパク質を分解するが、この唾液タンパク質は、歯の表面に吸着して、口腔バイオフィルムの付着点として作用するペリクルを形成する。プロテアーゼはまた、細菌の細胞壁及び膜の構造成分の一部を形成するタンパク質も分解し得る。
【0107】
本発明の組成物に好適なプロテアーゼは、国際生化学・分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)(IUBMB)の推奨事項(1992)に従って酵素分類番号(Enzyme Classification number)(E.C.)3.4に分類される酵素である。例としては、下記の酵素分類(E.C.)番号:
3.4.11.5(プロリルアミノペプチダーゼ)、3.4.11.9(X-proアミノペプチダーゼ)、3.4.11.10(細菌性ロイシルアミノペプチダーゼ)、3.4.11.12(好熱性アミノペプチダーゼ)、3.4.11.15(リジルアミノペプチダーゼ)、3.4.11.17(トリプトファニルアミノペプチダーゼ)、3.4.11.18(メチオニルアミノペプチダーゼ)などの3.4.11(即ち、いわゆるアミノペプチダーゼ);
3.4.21.1(キモトリプシン)、3.4.21.4(トリプシン)、3.4.21.25(ククミシン)、3.4.21.32(ブラキウリン)、3.4.21.48(セレビシン)及び3.4.21.62(サブチリシン)などの3.4.21(即ち、いわゆるセリンエンドペプチダーゼ);
3.4.22.2(パパイン)、3.4.22.3(フィカイン)、3.4.22.6(キモパパイン)、3.4.22.7(アスクルパイン)、3.4.22.14(アクチニダイン)、3.4.22.30(カリカイン)及び3.4.22.31(アナナイン)などの3.4.22(即ち、いわゆるシステインエンドペプチダーゼ);
3.4.23.1(ペプシンA)、3.4.23.18(アスペルギロペプシンI)、3.4.23.20(ペニシロペプシン)及び3.4.23.25(サッカロペプシン)などの3.4.23(即ち、いわゆるアスパラギン酸エンドペプチダーゼ);並びに
3.4.24.28(バシロライシン)などの3.4.24(即ち、いわゆるメタロエンドペプチダーゼ)
に分類されるものから選択されるプロテアーゼが挙げられる。
【0108】
関連するサブチリシンの例には、サブチリシンBPN’、サブチリシンアミロサッカリティカス、サブチリシン168、サブチリシンメセンテリコペプチダーゼ、サブチリシンカールスバーグ(Carlsberg)、サブチリシンDY、サブチリシン309、サブチリシン147、テルミターゼ、アクアリシン、バチルス(Bacillus)PB92プロテアーゼ、プロテイナーゼK、プロテアーゼTVV7、及びプロテアーゼTW3が含まれる。
【0109】
このような容易に入手可能な市販プロテアーゼの具体例としては、Esperase(商標)、Alcalase(商標)、NeutraseT(商標)、Dyrazym(商標)、Savinase(商標)、Pyrase(商標)、Pancreatic Trypsin NOVO(商標)(PTN)、Bio-FeedC Pro(商標)、Clear-Lens Pro(商標)、Maxtase(商標)、Maxacal(商標)、Maxapem(商標)、Opticlean(商標)、及びPurafect(商標)の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0110】
本発明の組成物に含まれるプロテアーゼはまた、前述したプロテアーゼの変異体も含むことが企図される。このようなプロテアーゼ変異体の例は、以下の文献に開示されている:欧州特許第130756号明細書;同第214435号明細書;国際公開第87/04461号パンフレット;同第87/05050号パンフレット;欧州特許第251446号明細書;同第260105号明細書;Thomas et al.,(1985),Nature 318,pp.75-376;Thomas et al.,(1987),J.Mol.Biol.193,pp.803-81;Russel et al.,(1987),Nature 328,p.496-500;国際公開第88/08028号パンフレット;同第88/08033号パンフレット;同第89/06279号パンフレット;同第91/00345号パンフレット;欧州特許第525610号明細書);及び国際公開第94/02618号パンフレット。
【0111】
プロテアーゼの活性は、“Methods of Enzymatic Analysis”,third edition,vol.5,1984,Verlag Chemie Weinheimに記載されている通りに決定することができる。
【0112】
リパーゼ
一態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)リパーゼと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0113】
口腔ケアにおいて、リパーゼは、細菌の細胞壁及び膜の構造成分の一部を形成する脂質を分解することにより、口腔細菌を標的にする。
【0114】
本発明の組成物に好適なリパーゼは、国際生化学・分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)(IUBMB)の推奨事項(1992)に従って酵素分類番号(E.C.)3.1.1(カルボン酸エステルヒドロラーゼ)に分類される酵素を含む。例としては、酵素分類(E.C.)番号3.1.1.3(トリアシルグリセロールリパーゼ)及び3.1.1.4(ホスホリパーゼA2)に分類されるものから選択されるリパーゼが挙げられる。
【0115】
好適なリパーゼの例としては、下記の微生物に由来するリパーゼが挙げられる:フミコラ(Humicola)、例えば、H.ブレビスポラ(H.brevispora)、H.ラヌギノサ(H.lanuginosa)、H.ブレビス変種サーモイデア(H.brevis var.thermoidea)及びH.インソレンス(H.insolens)(米国特許第4,810,414号明細書);シュードモナス属(Pseudomonas)、例えば、Ps.フラギ(Ps.fragi)、Ps.スタッツェリ(Ps.stutzeri)、Ps.セパシア(Ps.cepacia)及びPs.フルオレセンス(Ps.fluorscens)(国際公開第89/04361号パンフレット)、又はPs.プランタリイ(Ps.plantarii)若しくはPs.グランジオリ(Ps.gladioli)(米国特許第4,950,417号明細書)又はPs.アルカリゲネス(Ps.alcaligenes)及びPs.シュードアルカリゲネス(Ps.pseudoalcaligenes)(欧州特許第218 272号明細書)又はPs.メンドシナ(Ps.mendocina)(国際公開第88/09367号パンフレット;米国特許第5,389,536号明細書);フザリウム(Fusarium)、例えば、F.オキシスポラム(F.oxysporum)(欧州特許第130,064号明細書)又はF.ソラニ ピシ(F.solani pisi)(国際公開第90/09446号パンフレット);ムーコル(Mucor)(リゾムーコル(Rhizomucor)とも呼ばれる)、例えば、M.ミーヘイ(M.miehei)(欧州特許第238 023号明細書);クロモバクテリウム(Chromobacterium)(特に、C.ビスコサム(C.viscosum);アスペルギルス(Aspergillus)(特に、A.ニガー(A.niger));カンジダ(Candida)、例えば、C.シリンドラセア(C.cylindracea)(C.ルゴサ(C.rugosa)とも呼ばれる)又はC.アンタークティカ(C.antarctica)(国際公開第88/02775号パンフレット)又はC.アンタークティカ(C.antarctica)リパーゼA若しくはB(国際公開第94/01541号パンフレット及び同第89/02916号パンフレット);ゲオトリクム属(Geotricum)、例えば、G.カンジダム(G.candidum)(Schimada et al.,(1989),J.Biochem.,106,383-388);ペニシリウム(Penicillium)、例えば、P.カメンベルティ(P.camembertii)(Yamaguchi et al.,(1991),Gene 103,61-67);クモノスカビ(Rhizopus)、例えば、R.デレマー(R.delemar)(Hass et al.,(1991),Gene 109,107-113)又はR.ニベウス(R.niveus)(Kugimiya et al.,(1992)Biosci.Biotech.Biochem.56 716-719)若しくはR.オリザエ(R.oryzae);バチルス属(Bacillus)、例えば、枯草菌(B.subtilis)(Dartois et al.,(1993)Biochemica et Biophysica Acta 1131,253-260)又はB.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)(日本国特許第64/7744992号明細書)又はB.プミルス(B.pumilus)(国際公開第91/16422号パンフレット)。
【0116】
容易に入手可能な市販のリパーゼの具体例としては、Lipolase(商標)、Lipolase C Ultra(商標)、Lipozyme(商標)、Palatase(商標)、Novozym435(商標)、及びLecitase(商標)(Novozymes)の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0117】
他のリパーゼの例は、Lumafast(商標)、Genencor Int.Inc.のPs.メンドシアン(Ps.mendocian)リパーゼ;Lipomax(商標)、Gist Brocades/Genencor Int.Inc.のPs.シュードアルカリゲネス(Ps.pseudoalcaligenes)リパーゼ;;Unileverのフザリウム・ソラニ(Fusarium solani)リパーゼ(クチナーゼ):Solvay Enzymesのバチルス属菌(Bacillus sp.)リパーゼである。他のリパーゼは、他の会社から入手可能である。
【0118】
リパーゼ変異体も、本発明に好適なリパーゼとして企図されることを理解されたい。そのようなものの例は、例えば、国際公開第93/01285号パンフレット及び同第95/2261号パンフレットに記載されている。
【0119】
リパーゼの活性は、“Methods of Enzymatic Analysis”,Third Edition,1984,Verlag Chemie Weinhein,vol.4に記載されている通りに決定することができる。
【0120】
カルボヒドラーゼ
一態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)カルボヒドラーゼと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。好ましくは、カルボヒドラーゼは、α-アミラーゼである。
【0121】
カルボヒドラーゼは、特に、5員環構造及び6員環構造の炭水化物鎖(デンプンなど)を分解することができるあらゆる酵素(即ち、国際生化学・分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)(IUBMB)の推奨事項(1992)に従って酵素分類番号(E.C.)3.2(グリコシダーゼ)に分類される酵素)として定義され得る。こうした炭水化物構造は、口腔バイオフィルムの重要な構造成分である。
【0122】
例としては、下記の酵素分類(E.C.)番号:
α-アミラーゼ(3.2.1.1)β-アミラーゼ(3.2.1.2)、グルカン1,4-α-グルコシダーゼ(3.2.1.3)、セルラーゼ(3.2.1.4)、エンド-1,3(4)-β-グルカナーゼ(3.2.1.6)、エンド-1,4-β-キシラナーゼ(3.2.1.8)、デキストラナーゼ(3.2.1.11)、キチナーゼ(3.2.1.14)、ポリガラクツロナーゼ(3.2.1.15)、β-グルコシダーゼ(3.2.1.21)、α-ガラクトシダーゼ(3.2.1.22)、β-ガラクトシダーゼ(3.2.1.23)、アミロ-1,6-グルコシダーゼ(3.2.1.33)、キシラン1,4-β-キシロシダーゼ(3.2.1.37)、グルカンエンド-1,3-β-D-グルコシダーゼ(3.2.1.39)、α-デキストリンエンド-1,6-グルコシダーゼ(3.2.1.41)、スクロースα-グルコシダーゼ(3.2.1.48)、グルカンエンド-1,3-α-グルコシダーゼ(3.2.1.59)、グルカン1,4-β-グルコシダーゼ(3.2.1.74)、グルカンエンド-1,6-β-グルコシダーゼ(3.2.1.75)、アラビナンエンド-1,5-α-アラビノシダーゼ(3.2.1.99)、ラクターゼ(3.2.1.108)、キトナナーゼ(3.2.1.132)及びキシロースイソメラーゼ(5.3.1.5)
に分類されるものから選択されるカルボヒドラーゼ挙げられる。
【0123】
関連する糖質分解酵素の例としては、以下のものが挙げられる:トリコデルマ・ハルジアヌム(Trichoderma harzianum)由来のα-1,3-グルカナーゼ;ペシロマイセス(Paecilomyces)の株由来のα-1,6-グルカナーゼ;枯草菌(Bacillus subtilis)由来のβ-グルカナーゼ;フミコラ・インソレン(Humicola insolens)由来のベータグルカナーゼ;アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のβグルカナーゼ、トリコデルマ(Trichoderma)の株由来のβグルカナーゼ;オエルスコビア・キサンチネオリチカ(Oerskovia xanthineolytica)菌の株由来のβグルカナーゼ;アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のエキソ-1,4-α-D-グルコシダーゼ(グルコアミラーゼ);枯草菌(Bacillus subtilis)由来のαアミラーゼ;バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のα-アミラーゼ;バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来のα-アミラーゼ;アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のα-アミラーゼ;非病原性微生物由来のα-アミラーゼ;アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のα-ガラクトシダーゼ;フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)由来のペントサナーゼ、キシラナーゼ、セロビアス、セルラーゼ、及びヘミセルラーゼ;トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)由来のセルラーゼ;非病原性カビ由来のセルラーゼ;アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のペクチナーゼ、セルラーゼ、アラビナーゼ、及びヘミセルロース;ペニシリウム・リラシナム(Penicillium lilacinum)由来のデキストラナーゼ;非病原性カビ由来のエンドグルカナーゼ;バチルス・アシドプリチカス(Bacillus acidopullyticus)由来のプルラナーゼ;クルイベロ・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)由来のβ-ガラクトシダーゼ;トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)由来のキシラナーゼ。
【0124】
本発明の一実施形態において、デンプン修飾酵素は、CGTase(E.C.2.4.1.19)又はトランスグルコシダーゼ(2.4.1.18)である。
【0125】
デンプン修飾酵素がCGTaseである場合、バチルス・オートリチカス(Bacillus autolyticus)の株、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)の株、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)の株、バチルス・サーキュランスvar.アルカロフィルス(Bacillus circulans var.alkalophilus)の株、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)の株、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)の株、バチルス・ハロフィルス(Bacillus halophilus)の株、バチルス・マセランス(Bacillus macerans)の株、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)の株、バチルス・オベンシス(Bacillus ohbensis)の株、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophillus)の株、枯草菌(Bacillus subtilis)の株、クレグシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)の株、テルモアネロバクター・エタノリカス(Thermoanaerobacter ethanolicus)の株、テルモアネロバクター・フィンニ(Thermoanaerobacter finni)の株、クロストリジウム・テルモアミロリチカム(Clostridium thermoamylolyticum)の株、クロストリジウム・テルモサッカロリチカム(Clostridium thermosaccharolyticum)の株、又はテルモアネロバクテリウム・テルモスルフリゲネス(Thermoanaerobacterium thermosulfurigenes)の株に由来する。
【0126】
デンプン修飾酵素が、トランスグルコシダーゼである場合、これは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来であってもよい。
【0127】
本発明の別の実施形態において、口腔ケア組成物は、デンプン加水分解酵素を含む。これは、典型的には、細菌性α-アミラーゼ(BAN(商標)又はMaltogenase(商標)など)のようなα-アミラーゼ、又は枯草菌(Bacillus subtilis)由来のα-アミラーゼ;バチルス・アミロリケファシエンス(acillus amyloliquefaciens)由来のα-アミラーゼ;バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来のα-アミラーゼ;アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のα-アミラーゼ;又は非病原性微生物由来のα-アミラーゼであり得る。
【0128】
α-アミラーゼはまた、Fungamyl(商標)などの真菌性α-アミラーゼであってもよい。
【0129】
デンプン加水分解酵素は、本発明の別の実施形態では、枝切り酵素、特にPromozyme(商標)などのプルラナーゼ(E.C.3.2.1.41)であってもよい。
【0130】
好ましい実施形態では、口腔ケア組成物は、上記で定義した少なくとも1つのデンプン修飾酵素、特に、CGTase、並びにムタナーゼ及び/又はデキストラナーゼを含む。
【0131】
別の好ましい実施形態では、本発明の口腔ケア組成物は、上に定義した少なくとも1つのデンプンヒドロラーゼ、特に、細菌性α-アミラーゼ、並びにムタナーゼ及び/又はデキストラナーゼを含む。
【0132】
ムタナーゼは、トリコデルマ属菌(Trichoderma sp.)の株、とりわけ、T.ハルジアナム(T.harzianum)、特にT.ハルジアナム(T.harzianum)CBS 243.71に由来するものであってよい。
【0133】
デキストラナーゼは、ペシロマイセス属菌(Paecilomyces sp.)の株、とりわけ、ペシロマイセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)に由来し得る。
【0134】
デキストラナーゼ
一態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)デキストラナーゼと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0135】
デキストラナーゼは、口腔バイオフィルムの重要な構造成分である炭水化物分子を分解する。
【0136】
デキストラナーゼは、デキストラン中のα-1,6-グリコシド結合を分解するα-1,6-グルカナーゼ(1,6-α-D-グルカン-6-グルカノヒドロラーゼとしても知られている)である。いくつかの微生物は、デキストラナーゼを産生することができ、中でも、ペニシリウム属(Penicillium)、ペシロマイセス属(Paecilomyces)、アスペルギルス属(Aspergillus)、フザリウム属(Fusarium)、スピカリア属(Spicaria)、バーティシリウム属(Verticillium)、ヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)及びケトミウム属(Chaetomium)の真菌;ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、セルビブリオ属(Cellvibrio)、サイトファガ属(Cytophaga)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、アルスロバクター属(Arthrobacter)及びフラボバクテリウム属(Flavobacterium)の細菌、並びにリポマイセス・スターケイ属(Lipomyces starkeyi)などの酵母が挙げられる。
【0137】
市販品としては、ペニシリウム・リラシウム(Penicillium lilacium)株の発酵により産生されるノボザイム由来のデキストラナーゼ(商標)50 Lが挙げられる。デキストラナーゼ50 Lは、粗糖ジュース又はシロップ中のデキストランを分解するために、製糖業で使用される。
【0138】
ムタナーゼ
一態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)ムタナーゼと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0139】
ムタナーゼは、口腔バイオフィルムの重要な構造成分である炭水化物分子を分解する。
【0140】
ムタナーゼは、ムタン中の-1,3-グリコシド結合を分解する-1,3-グルカナーゼ(-1,3-グルカノヒドロラーゼとしても知られる)である。ムタナーゼは、トリコデルマ属(Trichoderma)(Hasegawa et al.,(1969),Journal of Biological Chemistry 244,p.5460-5470;Guggenheim and Haller,(1972),Journal of Dental Research 51,p.394-402)及びストレプトマイセス(Streptomyces)の株(Takehara et al.,(1981),Journal of Bacteriology 145,p.729-735)、クラドスポリウム・レジネ(Cladosporium resinae)(Hare et al.(1978),Carbohydrate Research 66,p.245-264)、シュードモナス属菌(Pseudomonas sp.)(米国特許第4,438,093号明細書)、フラボバクテリウム属菌(Flavobacterium sp.)(日本国特許第77038113号明細書)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)(日本国特許第63301788号明細書)及びアスペルギルス属菌(Aspergillus sp.)に由来するものであった。トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)由来のムタナーゼ遺伝子がクローニングされ、配列決定されている(日本国特許第4-58889/A号明細書)。
【0141】
本発明の口腔ケア組成物における使用に好適なムタナーゼは、トリコデルマ属(Trichoderma)、特にトリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)CBS 243.71(本明細書に配列番号11として開示される成熟ポリペプチド)などのトリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)の株、又はペニシリウム属(Penicillium)、特に、ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)NRRL 1768などのペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)の株、若しくはペニシリウム・リラシナム(Penicillium lilacinum)NRRL 896などのペニシリウム・リラシナム(Penicillium lilacinum)の株、若しくはペニシリウム・プルプロゲナム(Penicillium purpurogenum)CBS 238.95の株などのペニシリウム・プルプロゲナム(Penicillium purpurogenum)の株、又はシュードモナス属(Pseudomonas)の株、又はフラボバクテリウム属菌(Flavobacterium sp.)の株、又はバチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)の株又はアスペルギルス属菌(Aspergillus sp.)の株、又はストレプトマイセス属菌(Streptomyces sp.)の株を含む群からの糸状菌により産生され得る。
【0142】
ムタナーゼはまた、ペニシリウム・プルプロゲナム(Penicillium purpurogenum)由来であってもよい。
【0143】
米国特許4,353,981号明細書(Guggenheim et al.)は、歯垢の除去のためのトリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)CBS 243.71ムタナーゼ(本明細書に配列番号11として開示される成熟ポリペプチド)、ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)NRRL 1768ムタナーゼ及びペニシリウム・リラシナム(Penicillium lilacinum)NRRL 896ムタナーゼの使用を開示している。
【0144】
一実施形態では、ムタナーゼは、トリコデルマ(Trichoderma)から取得可能であり、例えば、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)から取得可能であり、配列番号11に対して少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、且つ、ムタナーゼ活性を有する。好ましい実施形態において、ムタナーゼは、配列番号11に示されるポリペプチドと、最大10アミノ酸、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10だけ異なる。好ましい実施形態において、ムタナーゼは、配列番号11を含むか、ほぼそれから成るか、又はそれから成る。
【0145】
酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ)
一態様において、本発明は(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)酸化還元酵素と;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。好ましくは、酸化還元酵素は、ラッカーゼ若しくはその関連酵素、オキシダーゼ、又はペルオキシダーゼである。
【0146】
酸化還元酵素は、酸化還元を触媒する酵素であり、歯を漂白することがわかっている。それらは、国際生化学・分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)(IUBMB)の推奨事項(1992)に従って、酵素分類番号(E.C.)1(酸化還元酵素)に分類されている。
【0147】
本発明によれば、次の3種類の酸化還元酵素:1)過酸化物(例えば、H2O2)を必要とせずに分子状酸素(O2)に作用して、水(H2O)を生成するラッカーゼ又はチロシナーゼなどの関連酵素;2)分子状酸素(O2)に作用し、過酸化物(H2O2)を生成するオキシダーゼ;並びに3)過酸化物(例えば、H2O2)に作用して、水(H2O)を生成するペルオキシダーゼが特に企図される。
【0148】
好ましい酸化還元酵素は、微生物起源のものであり、特に、副活性が一切ない組換え酵素及び/又は実質的に精製された酵素である。微生物酵素は、本発明と関連して、細菌、糸状菌又は酵母に由来する酵素を意味する。
【0149】
また、酸素(O2)に作用する酵素をアクセプターとして用いる場合には、前記酸素は、空気により供給される分子状酸素であってもよい。
【0150】
3種類の酵素の組合せを含む酵素系もまた、本発明の組成物に好適なものとして企図される。酵素系は、例えば、ラッカーゼ又は関連酵素と、オキシダーゼ;ラッカーゼ又は関連酵素と、ペルオキシダーゼ;ラッカーゼ若しくは関連酵素と、オキシダーゼと、ペルオキシダーゼ;又はオキシダーゼと、ペルオキシダーゼから構成されてもよい。
【0151】
ラッカーゼ及び関連酵素
一態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)ラッカーゼと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0152】
ラッカーゼ及び関連酵素の群に含まれる好適な酵素の例は、該当する揮発性硫黄化合物(VSC)及び窒素化合物を酸化することができるものであり、モノ及びジフェノールオキシダーゼ、例えば、カテコールオキシダーゼ(1.10.3.1)、ラッカーゼ(E.C.1.10.3.2)、チロシナーゼ(E.C.1.14.18.1)、及びビリルビンオキシダーゼ(E.C.1.3.3.5)である。
【0153】
ラッカーゼは、o-ジフェノール並びにp-ジフェノールを酸化し、対応するキノンを形成する。チロシナーゼ及びカテコールオキシダーゼは、o-ジフェノール中のモノフェノールのヒドロキシル化及びo-キノン中のo-ジフェノールの酸化を触媒する。
【0154】
ラッカーゼは、通常、好適な供与体、好ましくはクロロゲン酸と共に適用される。
【0155】
本発明の組成物に適したラッカーゼは、タマチョレイタケ属菌(Polyporus sp.)の株、特にポリポラス・ピンシタス(Polyporus pinsitus)(別名:フルイカワラタケ(Trametes villosa))又はカワラタケ(Polyporus versicolor)の株、又はマイセリオフィソラ属菌(Myceliophthora sp.)の株、例えば、M.サーオフィラ(M.thermophila)又はリゾクトニア属菌(Rhizoctonia sp.)の株、特にリゾクトニア・プラティコラ(Rhizoctonia praticola)又はリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)の株、又はスキタリジウム属菌(Scytalidium sp.)の株、特にS.サーモフィリウム(S.thermophilium,)、又はピリキュラリア属菌(Pyricularia sp.)の株、特にイネいもち病菌(Pyricularia oryzae)、又はヒトヨタケ属菌(Coprinus sp.)の株、例えばC.シネレウス(C.cinereus)に由来するものであり得る。ラッカーゼはまた、真菌、例えば、モリノカレバタケ属(Collybia)、フォルネス属(Fornes)、レンチヌス属(Lentinus)、ヒラタケ属(Pleurotus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ニューロスポラ属(Neurospora)、ポドスポラ属(Podospora)、フレビア属(Phlebia)、例えば、P.ラジアータ(P.radiata)(国際公開第92/01046号パンフレット)、カワラタケ属菌(Coriolus)、例えば、アラゲカワラタケ(C.hirsitus)(特開平2-238885号公報)、及びボトリティス(Botrytis)に由来するものであってもよい。
【0156】
本発明の好ましい実施形態において、ラッカーゼは、マイセリオフィソラ属菌(Myceliophthora sp.)の株に由来し、特に、国際公開第1995/33836号パンフレットに記載のマイセリオフィソラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)ラッカーゼである。
【0157】
ビリルビンオキシダーゼは、クワ暗斑病菌(M.verrucaria)の株などのミロセシウム属菌(Myrothecium)の株に由来するものであってよい。
【0158】
ペルオキシダーゼ
一態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)ペルオキシダーゼと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0159】
ペルオキシダーゼは、望ましい結果、即ち悪臭の除去又は少なくとも低減を達成するために、H2O2又はオキシダーゼのいずれかと組み合わせて使用する必要がある。
【0160】
好適なペルオキシダーゼは、アクセプターとして過酸化物に作用する酵素群、例えば、E.C.1.11.1、特にペルオキシダーゼ(E.C.1.11.1.7)において見出すことができる。
【0161】
アクセプターとして過酸化物に作用する好適な酵素の具体例としては、真菌種ヒトヨタケ属(Coprinus)の株、特に、コプリヌス・シネレウス(Coprinus cinereus)又はコプリヌス・マクロリズス(Coprinus macrorhizus)の株、又は細菌属バチルス(Bacillus)の株、特にバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)の株に由来するペルオキシダーゼが挙げられる。
【0162】
ハロペルオキシダーゼもまた、本発明によれば好適である。ハロペルオキシダーゼは、過酸化水素の存在下で、ハロゲン化物、即ち塩化物、臭化物、及びヨウ化物を対応する次亜ハロゲン酸に酸化することができる酵素のクラスを形成する。適切なハロペルオキシダーゼは、カーブラリア属菌(Curvularia sp.)、特にC.ベルキュロサ(C.verruculosa)から取得が可能である。
【0163】
オキシダーゼ
一態様において、本発明は(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)オキシダーゼと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0164】
過酸化物(H2O2)を生成するオキシダーゼは、悪臭を除去又は少なくとも低減することができるように、ペルオキシダーゼと組み合わせて使用する必要がある。好適なオキシダーゼとしては、グルコースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.4)、ヘキソースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.5)、L-アミノ酸オキシダーゼ(E.C.1.4.3.2)、キシリトールオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.9)、ピラノースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.10)、アルコールオキシダーゼ(E.C.1.1.3.13)が挙げられる。
【0165】
L-アミノ酸オキシダーゼを用いる場合、トリコデルマ属菌(Trichoderma sp.)、例えば、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)(国際公開第1994/25574号パンフレットに記載のL-アミノ酸オキシダーゼなど)、又はトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)などに由来するものであってもよい。
【0166】
適切なグルコースオキシダーゼは、アスペルギルス属菌(Aspergillus sp.)、例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の株、又はクラドスポリウム属菌(Cladosporium sp.)、特にクラドスポリウム・オキシスポラム(Cladosporium oxysporum)の株に由来するものであってよい。
【0167】
紅藻類コンドルス・クリスプス(Chondrus crispus)(一般には、アイリッシュモスとして知られている)由来のヘキソースオキシダーゼ(Sullivan and lkawa,(1973),Biochim.Biophys.Acta 309,p.11-22;lkawa,(1982),Meth.in Enzymol.89,Carbohydrate Metabolism Part D,145-149)は、D-グルコース、D-ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、D-グルコース6-リン酸塩、D-マンノース、2-デオキシ-D-グルコール、2-デオキシ-D-ガラクトース、D-フカーゼ、D-グルクロン酸、及びD-キシロースなどの多種多様な炭水化物を酸化する。
【0168】
紅藻類イリドフィカス・フラシズム(Iridophycus flaccidum)は、いくつかの異なる単糖及び二糖を酸化する容易に抽出可能なヘキソースオキシダーゼを産生する(Bean and Hassid,(1956),J.Biol.Chem 218,p.425;Rand et al.(1972),J.Food Science 37,p.698-710)。
【0169】
別の好適な酵素群は、酸素の存在下でキシリトール、D-ソルビトール、D-ガラクチトール、D-マンニトール及びD-アラビニトールを酸化するキシリトールオキシダーゼ(日本国特許第80892242号明細書に開示される)である。キシリトールオキシダーゼは、ストレプトマイセス属菌(Streptomyces sp.)の株(例えば、ストレプトマイセス(Streptomyces)IKD472、FERM P-14339)の株から得ることができる。前記酵素は、最適pH7.5を有し、pH5.5~10.5、及び65℃以下の温度で安定である。
【0170】
リゾチーム
一態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)リゾチームと;(c)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0171】
本発明の組成物に適したリゾチームには、EC 3.2.1.17に分類されるものが含まれる。リゾチームは、ムラミダーゼとも呼ばれ、ウイルス、植物、昆虫、鳥類、爬虫類、及び哺乳類などの多くの生物において天然に存在する。哺乳動物では、リゾチームは、鼻汁、唾液、涙、腸内容物、尿及び乳汁から単離されている。この酵素は、N-アセチルムラミン酸の炭素数1とN-アセチル-D-グルコサミンの炭素数4との間のグリコシド結合を切断する。インビボでは、これら2つの炭水化物が重合して、多くの微生物の細胞壁多糖類を形成する。細菌のペプチドグリカンを分解する能力があるため、リゾチームは、抗菌剤として機能する。
【0172】
リゾチームは、5つの異なる配糖体ヒドロラーゼ(GH)ファミリー(CAZy、www.cazy.org):ニワトリ卵白リゾチーム(GH22)、ガチョウ卵白リゾチーム(GH23)、バクテリオファージT4リゾチーム(GH24)、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)鞭毛タンパク質(GH73)、及びカラロプシス(Chalaropsis)リゾチーム(GH25)に分類されている。GH23及びGH24ファミリーのリゾチームは、主にバクテリオファージ由来のものが知られており、近年、真菌中に同定されている。リゾチームファミリーGH25は、他のリゾチームファミリーと構造的に無関係であることがわかっている。ニワトリ卵白から抽出されたリゾチームは、市販されている一次産品である。
【0173】
本発明の組成物に関して、好ましいリゾチームは、GH22リゾチーム、GH23リゾチーム、GH24リゾチーム、GH73リゾチーム、及びGH25リゾチームから選択され得る。好ましくは、リゾチームは、GH25リゾチームである。GH25リゾチームの例は、例えば、国際公開第2013/076253号パンフレット、同第2005/080559号パンフレット、PCT/CN2017/117753号明細書、及びPCT/CN2017/117765号明細書に見出すことができる。
【0174】
口腔ケアの成分及びフォーマット
本発明の口腔ケア組成物は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含み;ここで、上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0175】
口腔ケア成分は、口腔ケア組成物の種類、並びに口腔ケア組成物の所望の特性及び/又は活性に応じて変化し得る。本発明の目的のために、用語「成分」及び「構成要素」は、口腔ケア組成物に関して互換的に使用される。
【0176】
本発明の口腔ケア組成物は、口腔内のバイオフィルム、例えば、歯、口腔の軟部組織、及び口腔内の義歯に常在するバイオフィルムを除去するように設計された、練り歯磨き、デンタルクリーム、洗口液、マウスリンス、ロゼンジ、トローチ、チューインガム、菓子、キャンディーなどを含む内部口腔ケア組成物であり得る。
【0177】
本発明の口腔ケア組成物は、洗浄のために口腔から取り出された義歯からバイオフィルムを除去するように設計された、義歯洗浄液、義歯洗浄錠剤、義歯洗浄粉末などの外部口腔ケア組成物であり得る。
【0178】
好ましい実施形態において、前記口腔ケア組成物は、内部口腔ケア組成物であり、少なくとも1つの口腔ケア成分は、以下:研磨剤、保湿剤、溶媒、増粘剤、結合剤、緩衝剤、発泡剤、発泡調節剤、甘味剤、軟化剤、可塑化剤、香味剤、着色剤、治療薬、抗菌剤、歯石除去剤、フッ化物源、防腐剤、洗剤、界面活性剤、着色剤、緩衝剤、軟化剤、可塑剤、増白剤、漂白剤、ガムベース成分、増量剤からなる群から選択される。
【0179】
本明細書に挙げた口腔ケア成分は、機能性に従って一般的な小見出しにより分類されるが、これは、当業者によって理解されるように、成分が追加の機能性を含み得ることから、制限として解釈されるべきではない。
【0180】
練り歯磨き、デンタルクリーム、洗口液、及びマウスリンス
練り歯磨き、デンタルクリーム、洗口液、及びマウスリンスの形態をした本発明の内部口腔ケア組成物は、以下のカテゴリーから選択される成分及び/又は物質を含み得る。
【0181】
【0182】
【0183】
練り歯磨き
練り歯磨き及びデンタルクリーム/ゲルは、通常、研磨剤、溶媒、保湿剤、洗剤/界面活性剤、増粘剤及び結合剤、緩衝剤、香味剤、甘味剤、フッ化物源、治療薬、酵素、着色剤、及び防腐剤を含む。
【0184】
好ましい実施形態では、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む、練り歯磨き又はデンタルクリームの形態をした口腔ケア組成物に関し;ここで、上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有し、上記少なくとも1つの口腔ケア成分は、下記成分から選択される。
【0185】
【0186】
【0187】
本発明の口腔ケア組成物は、下記の成分(最終練り歯磨き組成物の重量%):
研磨剤:10~70%
保湿剤:0~80%
増粘剤:0.1~20%
結合剤:0.01~10%
甘味剤:0.1~5%
発泡剤:0~15%
フルクタナーゼ:0.01~10%
口腔に対する作用を有するその他の酵素:0.01~20%
を含む練り歯磨きであり得る。
【0188】
洗口液
歯垢除去液を含む本発明の洗口液及びマウスリンスは、典型的には、フルクタナーゼ、キャリア液、洗剤/界面活性剤、緩衝剤、香味剤、保湿剤、甘味剤、治療薬、フッ化物源、着色剤、保存剤、及び酵素を含む。
【0189】
好ましい実施形態では、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む、洗口液又はマウスリンスの形態をした口腔ケア組成物に関し;ここで、上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有し、上記少なくとも1つの口腔ケア成分は、下記成分から選択される。
【0190】
【0191】
本発明の口腔ケア組成物は、下記成分(最終洗口液組成物の重量%):
水:0~70%
エタノール:0~20%
保湿剤:0~20%
界面活性剤:0~2%
フルクタナーゼ:0.01~10%
口腔に対する作用を有する酵素:0.01~20%
他の成分:0~2%(例えば、香料、甘味料、フッ化物源)
を含む洗口液であり得る。
【0192】
洗口液組成物は、適切な緩衝剤、例えば、pH範囲6~7.5のクエン酸ナトリウム又はリン酸塩で緩衝してもよい。
【0193】
練り歯磨き、デンタルクリーム、洗口液、及びマウスリンスに好適な関連する口腔ケア成分は、以下にさらに詳しく説明する。当業者は、口腔ケア組成物の種類、並びに特定の口腔ケア組成物の所望の特性及び/又は活性に応じて口腔ケア成分を変更することができる。口腔ケア組成物は、記載される成分を必ずしも全て含むとは限らない。
【0194】
研磨剤
本発明の口腔ケア組成物に研磨材を含有させてもよい。本発明によれば、前記研磨材としては、アルミナ及びその水和物、例えば、α-アルミナ三水和物など、三ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、アルミノケイ酸塩、例えば、焼成ケイ酸アルミニウム及びケイ酸アルミニウムなど、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ベントナイト、二酸化ケイ素、重炭酸ナトリウム、並びにまた粉末プラスチック、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、粉末ポリエチレン、シリカキセロゲル、ヒドロゲル及びエアロゲル、並びに同等物が挙げられる。
【0195】
また、研磨剤として好適なのは、ピロリン酸カルシウム、水不溶性アルカリメタリン酸塩、ポリメタリン酸塩、リン酸二カルシウム及び/又はその二水和物、オルトリン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、粒子状ハイドロキシアパタイトなどである。また、これらの物質の混合物を使用することもできる。
【0196】
歯のエナメル質や象牙質を過度に摩耗させることなく、優れた歯の洗浄及び研磨性能を有し、しかも、金属イオンやフッ化物などの他の考えられる成分との適合性が良好であるという特有の利点のために、様々な種類の歯科用シリカ研磨剤が好ましい。
【0197】
口腔ケア組成物に応じて、研磨剤製品は、0~70重量%、好ましくは1%~70%で存在し得る。
【0198】
練り歯磨きの場合、研磨材の含有率は、典型的に、最終練り歯磨き製品の10重量%~70重量%の範囲にある。
【0199】
保湿剤
保湿剤は、例えば、練り歯磨きなどからの水分の消失を防ぎ、空気に曝露されたときの練り歯磨きの硬化を回避するために使用される。いくつかの保湿剤はまた、練り歯磨き及び洗口液組成物に望ましい風味の甘さを付与する。本発明による口腔ケア組成物における使用に好適な保湿剤としては、下記の化合物及びそれらの混合物が挙げられる:グリセロール、ポリオール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、水素化部分加水分解多糖類など、ヤシ脂肪酸、N-メチル-タウリンのアミド、及びプルロニック(登録商標)。
【0200】
保湿剤は、一般に、0重量%~80重量%、好ましくは5~70重量%で存在する。
【0201】
増粘剤/結合剤
好適な増粘剤及び/又は結合剤としては、シリカ、デンプン、トラガントガム、キサンタンガム、カラヤガム、カラギーナン(アイリッシュモスの抽出物)、アラビアゴム、アルギン酸塩、ペクチン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルプロピルセルロース、ポリアクリル酸及びその塩、ポリビニルピロリドン及びカルボキシビニルポリマー、並びに非晶質シリカ化合物などの無機増粘剤が挙げられる。これらの薬剤は、本発明の口腔ケア組成物を安定化させる。
【0202】
増粘剤は、練り歯磨き、デンタルクリーム及びゲル、並びに洗口液中に0.1~20重量%の量で、また、結合剤は、最終製品の0.01~10重量%の範囲で存在し得る。
【0203】
発泡剤及び発泡調節剤
発砲剤石鹸として、陰イオン、陽イオン、非イオン、両性及び/又は双生イオン界面活性剤を、単独で又は組み合わせて使用することができる。これらは、最終製品の0%~15%、好ましくは0.1%~13%、より好ましくは0.25重量%~10重量%のレベルで存在し得る。界面活性剤は、口腔ケア組成物に含まれる酵素及び他の成分に対して不活化作用を及ぼさない範囲に限り好適である。有用な界面活性剤としては、陰イオン、非イオン、及び両性化合物が挙げられ、陰イオン化合物が好ましい。
【0204】
好適な界面活性剤の例としては、以下のものが挙げられる:高級アルキル硫酸塩の塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、又はアルキル基中に8~18個の炭素原子を有する他の好適なアルキル硫酸塩;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、高級脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの塩、例えば、ヤシモノグリセリドスルホン酸ナトリウム、又は10~18個の炭素原子の脂肪酸の他の適切なスルホン化モノグリセリド;高級脂肪酸、例えば、炭素原子数12~16の酸のアミドと、低級脂肪族アミノ酸との塩、例えば、ナトリウム-N-メチル-N-パルミトイルタウリド、N-ラウロイル-、N-ミリストイル-及びN-パルミトイルサルコシンナトリウム;そのような脂肪酸と同位体酸又はグリセロール一硫酸塩とのエステルの塩;水素化ヤシ油脂肪酸の一硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩など;オレフィンスルホン酸塩、例えば、アルケンスルホン酸塩、即ち、分子の炭素鎖中に12~16個の炭素原子を有するアルケンスルホン酸塩の塩又はそれらの混合物;並びに高級脂肪酸の石鹸、例えば、12~18個の炭素原子、例えば、ヤシ脂肪酸の石鹸。
【0205】
塩のカチオンは、ナトリウム、カリウム又はモノ、ジ若しくはトリエタノールアミンであり得る。非イオン性界面活性剤としては、スクロース/脂肪酸エステル、マルトース/脂肪酸エステル、マルチトール/脂肪酸エステル、マルトトリイトール/脂肪酸エステル、マルトテトライトール/脂肪酸エステル、マルトペンタイトール/脂肪酸エステル、マルトヘキサイトール/脂肪酸エステル、マホヘプタイトール/脂肪酸エステル、ソルビタン/脂肪酸エステル、ラクトース/脂肪酸エステル、ラクチノース/脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン/脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタン/脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン/硬化ヒマシ油、及びポリグリセリン/脂肪酸エステルであり得る。
【0206】
最も好ましいのは、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びラウリルサルコシン酸ナトリウムである。
【0207】
好ましい発泡調節剤としては、ポリエチレングリコールがある。
【0208】
発泡剤及び発泡調節剤は、0重量%~15重量%、好ましくは、0.01重量%~10重量%の量で存在してよい。
【0209】
甘味剤
適切な甘味剤として、限定するものではないが、サッカリン及びその水溶性塩、デキストロース、スクロース、ラクトース、マルトース、レブロース、アスパルテーム、シクラメート塩、D-トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセスルファム、ステビオシド、レバウジオシド、グリチルリチン、ペラルチン、ソーマチン、p-メトキシシンナムアルデヒド、加水分解水添デンプン、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0210】
甘味料は、0.001重量%~60重量%、好ましくは、0.01重量%~50重量%の量で存在してよい。
【0211】
香味剤
香味剤は、通常、0.01重量%~約5重量%、特に、0.1重量%~5重量%のような少量で存在する。本発明に使用され得る香料として、限定するものではないが、ウィンターグリーンオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、クローブバッド(clove bud)オイル、メントール、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、カッシア、1-inenthvlアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α-イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、クランベリー、プロペニルグエトール、シナモン、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4-シス-ヘプテナール、ジアセチル、メチルパラ-tert-ブチルフェニルアセテート、カルボン(carvone)、シネオール、メントン、シンナムアルデヒド、リモネン、オシメン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、酢酸メチル、酢酸シトロネリル、メチルオイゲノール、リナロール、チモール、ローズマリー油、ピメント油、珪藻土油、ユーカリ油、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0212】
また、冷却剤も香味剤系の一部であるか、又は組成物に個別に添加されてもよい。本組成物における好ましい冷却剤は、パラメンタンカルボキシアミド剤、例えば、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(「WS-3」として商業的に知られている)、メントール、3-1-メントキシプロパン-1,2-ジオール(「TK-10」)、メントングリセロールアセタール(「MGA」)、メンチル乳酸塩及びこれらの混合物である。
【0213】
増白/漂白剤
増白/漂白剤にはH2O2が含まれ、最終組成物の重量に基づいて計算される5%未満、好ましくは0.05~4%の量で添加することができる。
【0214】
本発明により含有され得る他の漂白成分としては、ペルオキシ二リン酸塩、尿素、過酸化物、金属過酸化物、例えば、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、過酸化ストロンチウム、過酸化マグネシウム、次亜塩素酸塩、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、並びに過ホウ酸塩、過ケイ酸塩(persilicate)、過リン酸塩及び過炭酸塩の塩、例えば、過ホウ酸ナトリウム、過ケイ酸カリウム及び過炭酸ナトリウムが挙げられる。過酸化物化合物は、トリフェニルメタン染料、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)又はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などのキレート剤又は酸化防止剤の添加により安定化することができる。
【0215】
溶媒
溶媒は、通常、組成物が、例えば、練り歯磨き、デンタルクリーム若しくはゲルの場合に、組成物に流動性形態を付与するのに十分な量で、又は例えば、洗口液若しくはマウスリンスの場合、組成物の他の成分を溶解させるのに十分な量で本発明の組成物に添加される。
【0216】
好適な溶媒としては、水、エタノール及び水/エタノール混合物が挙げられ、これらは0.1%~70%の量で存在し得る。
【0217】
抗菌剤
本発明はまた、水溶性抗菌剤、例えば、クロルヘキシジン、トリクロサン、ジグルコネート、ヘキセチジン、アレキシジン、第四級アンモニウム抗菌化合物も含み、さらには、特定の金属イオン、例えば、亜鉛、銅、銀及び第一スズ(例えば、亜鉛、銅及び塩化第一スズ、並びに硝酸銀)の水溶性供給源も含まれ得る。
【0218】
難溶性亜鉛塩、例えばクエン酸亜鉛、亜鉛C14-アルキルマレイン酸塩、安息香酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、炭酸亜鉛も、唾液中のこれらの亜鉛塩の緩徐な溶解によって亜鉛イオンの抗菌効果を持続させるために、本発明の組成物中に含有させることができる。
【0219】
抗菌剤は、0重量%~50重量%、好ましくは0.01重量%~40重量%、最も好ましくは0.1重量%~30重量%の量で存在し得る。
【0220】
歯石除去剤
本発明の組成物は、ピロリン酸、例えば、ピロリン酸二ナトリウム、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、及びこれらの混合物のいずれかを含む無機リン歯石除去剤などの歯石除去剤を含んでもよい。
【0221】
歯石除去剤として作用し得る有機リン化合物としては、ポリホスホン酸塩、例えば、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸二ナトリウム(EHDP)、メタンジホスホン酸、及び2-ホスホノブタン-1 2,4-トリカルボン酸が挙げられる。
【0222】
歯石除去剤は、0重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%の量で存在することができる。
【0223】
防腐剤
好適な防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、クエン酸、クエン酸カルシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0224】
防腐剤は、0重量%~40重量%、好ましくは0.01重量%~30重量%の量で存在することができる。
【0225】
フッ化物源
本発明の組成物は、フッ化物源として使用することができる成分も含み得る。好ましい可溶性フッ化物源としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第一スズ、フッ化インジウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム、フッ化亜鉛、フッ化リチウム、フッ化アルミニウム、リン酸酸性フッ化物、二フッ化アンモニウム、四フッ化チタン、及びアミンフッ化物が挙げられる。
【0226】
特に好ましいのは、フッ化ナトリウム及びモノフルオロリン酸ナトリウムである。
【0227】
フッ化物源は、0重量%~20重量%、好ましくは0.01重量%~15重量%、最も好ましくは0.1重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0228】
好ましい実施形態において、少なくとも1つの口腔ケア成分は、フッ化物源であり;好ましくは、フッ化物源は、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化第一スズ、又はモノフルオロリン酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0229】
着色剤
本発明の口腔ケア組成物に好適な着色剤又は顔料は、無毒で水不溶性の無機顔料、例えば、二酸化チタン及び酸化クロムグリーン、ウルトラマリンブルー及びピンク並びに酸化鉄、さらには、アルミナ上にFD&C染料のカルシウム塩若しくはアルミニウム塩を延ばすことによって調製された水不溶性染料レーキ、例えば、FD&C緑色1号レーキ、FD&C青色2号レーキ、FD&C赤色30号レーキ、FD&C黄色16号レーキ、及びFD&C黄色10号などが挙げられる。
【0230】
好ましい乳白剤は、二酸化チタンである。
【0231】
着色剤は、0重量%~20重量%、好ましくは、0.01重量%~15重量%、最も好ましくは0.1重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0232】
緩衝剤
本発明の口腔ケア組成物はまた、緩衝剤、即ち、pH調整剤、例えば、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、イミダゾール、及びこれらの混合物を含み得る。
【0233】
具体的な緩衝剤としては、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、炭酸ナトリウム、イミダゾール、ピロリン酸塩、クエン酸ナトリウム、塩酸、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、リン酸及びこれらの混合物が挙げられる。
【0234】
緩衝剤は、0重量%~10重量%、好ましくは0.01重量%~5重量%の量で存在し得る。
【0235】
チューインガム
本発明による口腔用組成物がチューインガムである場合、これは、任意の公知のタイプのチューインガム、例えば、任意選択でコーティングされたチューインガム片、並びにスティック又は意図される用途に応じて任意の所望の形状を付与されたチューインガムであってよい。チューインガム調製物は、風船ガム品質を含む任意の品質のものであってよい。
【0236】
好ましい実施形態において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含むチューインガムの形態の口腔ケア組成物に関し;フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有し;少なくとも1種の口腔ケア成分が、エラストマー、軟化剤、可塑化剤、乳化剤、ワックス、着色剤、甘味剤、香味剤、増量剤、及び増粘剤から選択される。
【0237】
ガムベース成分
チューインガムは、伝統的に、水不溶性又はベース部分と、香味剤、甘味剤、及び着色剤を含む水溶性部分とからなると考えられている。ガムのガムベース部分は、最終製品に咀嚼特性を付与する咀嚼物質である。これは、香料と甘味料の放出プロファイルを規定し、ガム製品において重要な役割を果たす。香料、甘味料及び着色料は、チューインガムの感覚的アピールの側面を付与するものとして考えることができる。本発明によるチューインガム調製物に使用されるチューインガムベースに関する制限はない。例えば、Dansk Tyggegummi Fabrik A/S,L.A.Dreyfus又はCafasa Gum SIAから入手可能な従来のチューインガムベースが通常好適であるが、特別に作製された配合物を使用することもできる。配合は、所望されるチューインガムの種類又は所望される構造の種類に応じて変動する。ガムベースの好適な原材料は、U.S.Chewing Gum Base Regulations-Code of Federal Regulations,Title 21,Section 172,615、及び他の国内及び国際リスト(又はポジティブリスト)に従う物質を含み、そうしたものとして、エラストマー、樹脂、ワックス、ポリ酢酸ビニル、油、脂肪、乳化剤、充填剤及び酸化防止剤が挙げられる。
【0238】
ガムベースは、通常、最終製品の15~90重量%、好ましくは30~40重量%、より好ましくは5~25重量%を含む。
【0239】
エラストマーは、咀嚼、弾力性、又は反発力をベースに付与し、最終チューインガムの泡及びフレーバー放出を制御する。これらは、当技術分野において公知の任意の水不溶性ポリマーであってよい。それらは、いずれも天然及び合成のスチレン・ブタジエンコポリマー(SBR)及び非SBRタイプを含む。天然エラストマーの例として、限定するものではないが、ゴムラテックス(天然ゴム)及びグアユールなどのゴム、並びにガム、例えば、チクル、ジェルトン、バラタ、グッタペルカ(guttapercha)、レチカプシ(lechi caspi)、ソルバ、クラウンガム、ビワ(nispero)、ロシディンハ(rosidinha)、ペリロ、ニガーグッタ(niger gutta)、ツヌ(tunu)、グッタカイ(gutta kay)、ペンデア(pendare)、レチェデバカ(leche de vaca)、チクイブル(chiquibul)、クラウンガムなど、及びそれらの混合物が挙げられる。合成エラストマーの例として、限定するものではないが、ポリイソブチレン、イソブチレン-イソプレンコポリマー(ブチルゴム)、ポリエチレン、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエンコポリマー、ポリイソプレンなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0240】
ガムベース組成物に使用されるエラストマー(ゴム)の量は、例えば用いられるガムベースのタイプ(粘着性、又は一般的、風船若しくは標準)、所望されるガムベース組成物の粘稠度、及び最終チューインガム製品の製造のために組成物に用いられる他の成分などの様々な因子に応じて大きく変動する。一般的に、エラストマーは、ガムベース組成物の総重量に基づいて、約15重量%~約60重量%、好ましくは約25重量%~約30重量%の量でガムベース組成物中に存在する。
【0241】
エラストマー溶剤は、エラストマー成分を軟化又は可塑化するのを助ける。そのようにすることで、それらは、咀嚼に対して嵩高さを付与する。
【0242】
エラストマー溶剤として、限定するものではないが、天然ロジンエステル、及び例えばテルペンの合成誘導体が挙げられる。本明細書で用いるのに好適なエラストマー溶剤の例としては、トールオイル油ロジンエステル;部分的に水素化されたウッドロジン及びガムロジン;ウッドロジン及びガムロジンのグリセロールエステル、部分的に水素化されたウッドロジン/ガムロジン、部分的に二量体化されたウッドロジン及びガムロジン、重合ウッドロジン及びガムロジン、並びにトール油ロジン;ウッドロジンの脱臭グリセロールエステル;ウッドロジン及びガムロジンのペンタエリトルトールエステル;部分的に水素化されたウッドロジン及びガムロジン;部分的に水素化されたウッドロジンのメチルエステル;ロジンのメチルエステル、グリセロールエステル及びペンタエリトルトールエステル、並びに例えば、水素化、二量体化、及び重合ロジンなどの修飾ロジン;例えば、α-ピネン又はβ-ピネンのポリマー、テルペン炭化水素樹脂などのテルペン樹脂;ポリテルペン;及び同等物、並びにそれらの混合物が挙げられる。エラストマー溶剤は、ガムベース組成物の約2重量%~約40重量%、好ましくは約7重量%~約15重量%の量で、ガムベース組成物中に使用することができる。
【0243】
ポリ酢酸ビニルは、ガムベースに伸縮性又は弾性を付与する。それらはまた、咀嚼嵩高さ(chew bulkiness)、軟らかさ及び泡、親水性及びフレーバー放出にも影響を与える。
【0244】
ガムベース組成物中に存在する異なる分子量のポリ酢酸ビニルの量は、例えば、完全性(integrity)、軟らかさ、咀嚼嵩高さ、被膜形成能、親水性、及びフレーバー放出のような所望の咀嚼特性を有する最終チューインガムを提供するのに有効であるべきである。ガムベース組成物に用いられるポリ酢酸ビニルの総量は、通常、ガムベース組成物の総重量に基づいて、約45重量%~約92重量%である。ビニルポリマーは、約2000Da~約95,000Daの範囲の分子量を有し得る。
【0245】
典型的には、低分子量ポリ酢酸ビニルは、約2,000Da~約14,000Daの重量平均分子量を有する。中分子量ポリ酢酸ビニルは、典型的には、約15,000Da~55,000Daの重量平均分子量を有する。高分子量ポリ酢酸ビニルは、典型的には、55,000Da~約95,000Daの重量平均分子量を有するが、500,000Da程度であってもよい。
【0246】
ワックス、脂肪、及び油はエラストマー混合物を可塑化し、ガムベースの弾力性を向上させる。ワックスは、軟らかい又はしっかりした噛み心地を提供し、フレーバー放出に影響を与え、また、ガムベースに嵩高さと滑らかさを付与することができる。脂肪及び油は軟らかい噛み心地を提供する。脂肪、油及び蝋を単独で、又は組み合わせて用いてもよいし、又はガムベースは、蝋非含有ガムベースであってもよい。
【0247】
使用される場合、蝋は、鉱物、動物、植物又は合成起源のものであってよい。鉱物ワックスの非限定的な例としては、例えば、パラフィン及び微結晶蝋のような石油蝋が挙げられ、動物性蝋としては蜜蝋が、植物性蝋としては、カルナウバ、キャンデリア(candellila)、米糠、アフリカハネガヤ(esparto)、亜麻及びサトウキビが挙げられ、また、合成蝋としては、フィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)合成によって製造されるもの、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0248】
ガム組成物に使用できる好適な油脂としては、水素化又は部分的に水素化された植物性脂肪又は動物性脂肪、例えば、綿実油、大豆油、ヤシ油、パーム種油、牛脂、水素化牛脂、ラード、ココアバター、ラノリンなど;脂肪酸、例えば、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、カプリル酸、デカン酸又はエステル、並びにステアリン酸ナトリウム及びステアリン酸カリウムのような塩が挙げられる。使用される場合、これらの成分は、一般に、ガム組成物の約7重量%以下、好ましくは、ガム組成物の約3.5重量%以下の量で存在する。
【0249】
軟化剤として好ましいのは、水素化植物油であり、単独で又は組み合わせて使用することができる大豆油及び綿実油が挙げられる。これらの軟化剤は、良好な食感及び軟らかい咀嚼特性を有するガムベース組成物を提供する。これらの軟化剤は、一般に、ガムベース組成物の約5重量%~約14重量%の量で使用される。
【0250】
乳化剤は、ガムベース組成物の非混和性成分を単一の安定系に分散させるのを助ける。乳化剤は、ガムベースに親水性を付与し、樹脂及びポリ酢酸ビニルの可塑化を助ける。それらはまた、ベースの柔軟性及びベースの泡の特徴にも影響を及ぼす。典型的な乳化剤としては、アセチル化モノグリセリド、モノステアリン酸グリセリル、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、モノステアリン酸プロピレングリコール、レシチン、トリアセチン、三酢酸グリセリルなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0251】
好ましい乳化剤は、モノステアリン酸グリセリル及びアセチル化モノグリセリドである。これらは、可塑化剤として作用する。乳化剤は、ガムベース組成物の約2重量%~約15重量%、好ましくは、ガムベース組成物の約7重量%~約11重量%の量で使用され得る。
【0252】
脂肪、油、蝋、乳化剤及び特定の糖増量剤は、多くの場合、一緒に分類されて、軟化剤と呼ばれる。これらの成分の分子量は低いため、軟化剤は、ガムベースの基本構造に浸透して、それを可塑性、且つ低粘性にすることができる。上記の有用な可塑剤及び軟化剤としては、ラノリン、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、三酢酸グリセリル、グリセリルレシチン、モノステアリン酸グリセリル、ノナステアリン酸プロピレングリコール、アセチル化モノグリセリド、グリセリン、非水素化綿実油などの完全不飽和植物油、水素化植物油、石油ワックス、モノステアリン酸ソルビタン、牛脂など、及びこれらの混合物、さらには、高果糖コーンシロップ、コーンシロップ、ソルビトール溶液、加水分解水添デンプンなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0253】
存在する軟化剤の量は、最終チューインガムに所望の咀嚼嵩高さ及び軟らかさを付与するのに有効な量とするべきである。軟化剤として使用する場合、これらの物質は、一般に、ガムベース組成物の約25%重量以下、好ましくは約1重量%~約17重量%の量でガムベース組成物に使用される。
【0254】
ガムベースは、さらに界面活性剤を含有してもよい。好適な界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリエチレン(4)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン、(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノラウレートなどが挙げられる。存在する界面活性剤の量は、最終チューインガムに所望の軟らかさを付与するのに有効であるべきである。典型的には、界面活性剤は、ガムベースの総重量に基づき、約0.5重量%~約3.0重量%の量でベース中に使用される。
【0255】
本発明のガムベース組成物は、増量剤と呼ばれることもある有効量の充填剤を含んでもよい。これらの材料は、堅さ及び嵩を追加し、チューインガムの食感と及びフレーバー放出に影響を与える。有用な充填剤としては、有機及び無機化合物(ミネラルアジュバント)、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、粉砕石灰石、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、セルロースポリマー、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、テール(tale)、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウムなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの充填剤又はアジュバントは、様々な量でガムベース組成物中に使用することができる。存在する充填剤の量は、最終チューインガムに所望のフレーバー放出及び完全性を付与するのに有効なものにすべきである。典型的には、充填剤は、ガムベース組成物の約1重量%~約40重量%、好ましくは約5重量%~約20重量%の量でガムベース組成物中に使用される。
【0256】
ガムベースはまた、改善された安定性を提供し、油味を低減すると共に、より長い貯蔵寿命を付与するために抗酸化剤を含んでもよい。抗酸化剤の典型的な非限定的例は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピルである。また、これらの混合物を使用してもよい。
【0257】
その他のガム成分
チューインガム組成物中の残りの成分は、従来通りであり、通常、最終製品の10~85重量%を占める。
【0258】
その例は、チューインガムに通常使用される種類及び量の甘味剤、軟化剤、着色剤、増量剤、増粘剤、及び香味剤である。
【0259】
好適な香味剤は、天然及び人工の香料など、当業者に周知の香料である。これらの香味剤は、合成香味油及び香味芳香族化合物並びに/又は植物、葉、花、果実などに由来する油、オレオレジン及び抽出物、並びにこれらの組合せから選択することができる。非限定的な代表的香味油としては、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーン油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、オールスパイス油、セージ油、メース、ビターアーモンド油、及びカシア油が挙げられる。他の有用な香味剤は、バニラなどの人工、天然及び合成のフルーツ香料、及びレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類油、並びにリンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどのフルーツエッセンスである。これらの香味剤は、液体又は固体の形態で使用することができ、個別に又は混合して使用してもよい。一般的に使用される香料としては、個別に又は混合して使用されるかにかかわらず、ペパーミントなどのミント、メントール、人工バニラ、シナモン誘導体、及び様々なフルーツ香料が挙げられる。
【0260】
他の有用な香味剤としては、アルデヒド及びエステル、例えば、酢酸シンナミル、シンナムアルデヒド、クエン酸ジエチルアセタール、酢酸ジヒドロカルビル、ギ酸オイゲニル、p-メチルアニソールなどが使用され得る。一般に、任意の香味剤又は食品添加物を使用してよい。
【0261】
アルデヒド香味剤のさらなる例として、限定するものではないが、アセトアルデヒド(リンゴ)、ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド)、アニスアルデヒド(甘草、アニス)、シンナムアルデヒド(シナモン)、シトラール、即ち、α-シトラール(レモン、ライム)、ネラール、即ち、β-シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロープ、即ち、ピペロナール(バニラ、クリーム)、バニリン(バニラ、クリーム)、α-アミルシンナムアルデヒド(スパイシーフルーティー香料)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラール(多種)、デカナール(柑橘類)、アルデヒドC-8(柑橘類)、アルデヒドC-9(柑橘類)、アルデヒドC-12(柑橘類)、2-エチルブチルアルデヒド(ベリー類)、ヘキセナール、即ち、トランス-2-ヘキセナール(ベリー類)、トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド)、ベラトルアルデヒド(バニラ)、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、即ち、メロン(メロン)、2,6-ジメチルオクタナール(グリーンフルーツ)、及び2-ドデセナール(柑橘類、マンダリン)、チェリー、ブドウ、イチゴのショートケーキ、これらの混合物並びに同等物が挙げられる。
【0262】
本明細書で使用される香味剤の量は、通常、最終チューインガム組成物のタイプ、個々のフレーバー、使用されるガム、及び所望されるフレーバーの強度などの要因に応じて、嗜好の問題である。従って、香味剤の量は、最終製品において所望の結果を得るように変動させてもよく、そのような変動は、過度の実験を必要とすることなく、当業者の能力の範囲内である。ガム組成物において、香味剤は、一般に、チューインガム組成物の約0.02重量%~約5重量%の量で存在する。
【0263】
チューインガム組成物は、一般に増量剤を含む。これらの増量剤(bulking agent)(カーダー、増量剤(extender))は水溶性であってもよく、限定するものではないが、以下:単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、及びこれらの混合物;ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、イソマルト(Suddeutsche Zuckerにより商品名Palatinit(商標)で製造される、α-D-グルコピラノシル-1,6-マンニトールとα-D-グルコピラノシル-1,6-ソルビトールのラセミ混合物)、グリセロール、アスパルテーム、Lycasin(登録商標)グリセロール、ガラクチトールアセスルファムK、サッカリン及びその塩、シクラメート及びその塩、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、グリチルリチン酸及びその塩、ソーマンチン及びスクラロース、並びにこれらの混合物又は他の適切な甘味料との混合物、マルトデキストリン;加水分解水添デンプン;水素化ヘキソース;水素化二糖類;ミネラル、例えば、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、リン酸二カルシウム、セルロース類など、並びにこれらの混合物からなる群から選択される増量剤が挙げられる。増量剤は、チューインガム組成物の約60重量%以下の量、好ましくは、約25重量%~約60重量%の量で使用することができる。
【0264】
チューインガム組成物はまた、高甘味度甘味剤(甘味料)を含んでもよい。高甘味度甘味剤は、スクロースよりも実質的に高い甘味度を有する。好適な高甘味度甘味料の例として、以下のものが挙げられる:
a)水溶性天然高甘味度甘味料、例えば、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、グリチルリチン、ジヒドロフラベノール、及びL-アミノジカルボン酸アミノアルコン酸エステルアミド、例えば、米国特許第4,619,834号明細書に開示されているもの、及びこれらの混合物;
b)ナトリウム又はカルシウムサッカリン塩、シクラミン酸塩などの可溶性サッカリン、3,4-ジヒドロ-6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシドのナトリウム塩、アンモニウム塩若しくはカルシウム塩、3,4-ジヒドロ-6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシド(アセスルファム-K)のカリウム塩、サッカリンの遊離酸形態など、及びこれらの混合物を含む、水溶性人工甘味料;
c)L-アスパラギン酸由来の甘味料、例えば1-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)及び米国特許第3,492,131号明細書に記載の物質、L-α-アスパルチル-N-(2,2,4,4-テトラメチル-3-チエタニル)-D-アラニンアミド水和物(アリテーム)、L-アスパルチル-L-フェニルグリセリン及びL-アスパルチル-L-2,5-ジヒドロフェニル-グリシンのメチルエステル、L-アスパルチル-2.5-ジヒドロ-L-フェニルアラニン、L-アスパルチル-L-(1-シクロヘキセン)-アラニンなど、及びこれらの混合物を含む、ジペプチドベースの甘味料;
d)天然に存在する水溶性甘味料から誘導される水溶性の高甘味度甘味料、例えば、通常の糖(スクロース)の塩素化誘導体、例えば、クロロデオキシスクロース若しくはクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体などのクロロデオキシ糖誘導体(例えば、Sucralose(登録商標)の製品名で知られる);クロロデオキシスクロース及びクロロデオキシガラクトスクロース誘導体の例は、限定されないが、以下:1-クロロ-1’-デオキシスクロース;4-クロロ-4-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル-α-D-フルクトフラノシド、又は4-クロロ-4-デオキシガラクトスクロース;4-クロロ-4-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル-1-クロロ-デオキシ-β-D-フルクトフラノシド、又は4,1’-ジクロロ-4,1’-ジデオキシガラクトスクロース;1’,6’-ジクロロ-1’,6’-ジデオキシスクロース;4-クロロ-4-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシド1-1,6-ジクロロ-1,6-ジデオキシ-β-D-フルクトフラノシド、又は4,1’,6’-トリクロロ-4,1’,6’-トリデオキシガラクトスクロース;4,6-ジクロロ-4,6-ジデオキシ-α-D-ガラクトピラノシル-6-クロロ-6-デオキシ-β-D-フルクトフラノシド、又は4,6,6’-トリクロロ-4,6,6’-トリデオキシガラクトスクロース;6,1’,6’-トリクロロ-6,1’,6’-トリデオキシスクロース;4,6-ジクロロ-4,6-ジデオキシ-α-D-ガラクトピラノシル-1,6-ジクロロ-1,6-ジデオキシ-β-D-フルクトフラノシド、又は4,6,1’,6’-テトラクロロ-4,6,1’,6’-テトラデオキシガラクト-スクロース;4,6,1’,6’-テトラデオキシ-スクロース、及びこれらの混合物を含み;並びに
e)タウマコッカス・ダニクリイ(Thaumaoccous daniclii)(ソーマチンI及びII)などのタンパク質ベースの高甘味度甘味料。チューインガム組成物に使用される甘味料の量は、具体的なチューインガムについて選択された甘味料に応じて変動する。従って、いずれか所与の甘味料について、所望のレベルの甘味度を付与するのに十分な量の甘味料が使用される。前述した糖類甘味料及び糖アルコールは、通常、チューインガム組成物の総重量に基づき、約1重量%~約70重量%の量、好ましくは約40重量%~約50重量%の量で使用される。上記の高甘味度甘味料は、通常、チューインガム組成物の総重量に基づき、約1重量%以下、好ましくは、約0.05重量%~約0.4重量%の量で使用される。
【0265】
本発明において有用な着色剤は、所望の色を生成するのに有効な量で使用される。これらの着色剤は、ガム組成物の約6重量%以下の量で配合され得る顔料を含む。好ましい顔料である二酸化チタンは、ガム組成物の約2重量%以下、好ましくは約1重量%未満の量で含有させることができる。着色料はまた、食品、薬剤及び化粧品用途に適した天然の食品着色料及び染料も含み得る。これらの着色料は、F.D.&C.染料及びレーキとして知られている。前述の用途に許容される材料は、水溶性であることが好ましい。例示的な非限定的例としては、5,5-インジゴチンジスルホン酸の二ナトリウム塩であるF.D.& C.青色2号として知られるインジゴ染料がある。同様に、F.D.& C.緑色1号として知られる染料は、トリフェニルメタン染料を含み、4-[4-(N-エチル-N-p-スルホニウムベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]-[1-(N-エチル-N-p-スルホニウムベンジル)-δ-2,5-シクロ-ヘキサジエンイミン]の一ナトリウム塩である。
【0266】
増粘剤の例としては、メチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、キサンタンガム、ゼラチン、キャロブ(carob)、トラガカント、及びローカストビーン、レシチン及びモノステアリン酸グリセリルなどの乳化剤、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸などの酸味料、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0267】
ガムベースへの使用に好適なものとして前述した可塑剤、軟化剤、乳化剤、蝋、及び抗酸化剤も、チューインガム組成物に使用され得る。
【0268】
活性ガム成分
チューインガムの形態の本発明の口腔ケア組成物はまた、抗菌剤、亜鉛塩、フッ化物、及び尿素などの様々な有効成分を含有してもよい。
【0269】
さらに、本発明による口腔用組成物は、所望であれば、任意の他の活性成分、例えば抗齲蝕剤、歯石除去剤(anti-calculus agent)、抗歯石形成剤、抗歯周剤、抗真菌剤、抗喫煙剤、抗感冒剤、歯肉炎に対する薬剤等を含むことができる。
【0270】
組成物に使用される抗菌剤は、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化セチルピリジニウム)及び置換グアニジン、例えばクロルヘキシジン及び対応する化合物アレキシジンなどの多種多様なカチオン性抗菌剤のいずれであってもよい。カチオン性抗菌剤の混合物も本発明で使用され得る。
【0271】
抗菌性第四級アンモニウム化合物は、第四級窒素上の置換基の1つ又は2つが、約8~20、典型的には10~18個の炭素原子の炭素鎖長を有する(典型的にはアルキル基)のに対し、残りの置換基(典型的にはアルキル基又はベンジル基)は、例えば、1~7個の炭素原子のように、より少数の炭素原子、典型的にはメチル又はエチル基を有するものを含む。臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、塩化テトラデシルエチルピリジニウム、臭化ドデシルジメチル(2-フェノキシエチル)アンモニウム、塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化5-アミノ-1,3-ビス2-エチル-ヘキシル)-5-メチルヘキサヒドロピリミジン及び塩化ベンゼトニウムは、典型的な第四級アンモニウム抗菌剤の例である。他の化合物は、Baileyによる1980年6月3日の米国特許第4,206,215号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているようなビス[4-(R-アミノ)-1-ピリジニウム]アルカンである。ピリジニウム化合物は、好ましい第四級アンモニウム化合物である。
【0272】
カチオン性抗菌剤は、一般に、約0.02%~約1%、好ましくは約0.3%~約0.7%、最も好ましくは約0.3%~約0.5%のレベルで本組成物に使用される。
【0273】
易溶性亜鉛塩としては、原則として、任意の生理学的に許容される無機酸又は有機酸の易溶性亜鉛塩を使用することが可能であり、前記塩は、亜鉛イオンを放出することができ、且つ、食品、化粧品又は医薬品などの意図される使用について承認されている。非限定的な例は、例えば、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛並びにこれらの混合物である。これらの塩の中でも、酢酸亜鉛が好ましい。
【0274】
使用される亜鉛塩は、適切な期間内に目的とする用途のために効率的な量の亜鉛イオンの口腔内での放出を確実にするように、易溶性でなければならない。
【0275】
有利には、亜鉛塩は、0.001~1.25重量%の量で口腔組成物中に存在する。使用される量は、投与形態や用途によって異なり、用途のために効率的な量の亜鉛イオンが放出されるように調整される。
【0276】
食味マスキング塩としては、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム及び生理学的に許容されるアルカリ金属、アルカリ土類金属及び/又は炭酸アンモニウムから選択される少なくとも1種の塩を用いる。
【0277】
アルカリ金属は、特に、ナトリウム又はカリウムであり、アルカリ土類金属は、有利には、カルシウム又はマグネシウムである。特に好ましい食味マスキング塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム並びにこれらの混合物である。
【0278】
食味マスキング塩は、口腔組成物に有利には、0.05~6.25重量%、より好ましくは0.25~3.50重量%、例えば0.50~2.50重量%の量で有利に使用される。
【0279】
亜鉛の食味をマスキングするための食味マスキング塩の使用量は、ケース毎に、当業者が決定することができ、該当する特定の亜鉛塩及び選択された投与形態に左右される。
【0280】
尿素は、飲食後に歯垢中に生成される酸を中和するための抗齲蝕性物質として使用される。尿素以外に、組成物は、口内で優勢な条件下で尿素を放出することができる薬理学的に許容される物質も含有することができる。その例としては、尿素と、硫酸マグネシウム、リン酸カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機化合物との塩及び付加化合物がある。
【0281】
本発明による組成物の尿素含有量は、0.05重量%~80重量%の間、好ましくは0.2重量%~25重量%の間で変動する。
【0282】
チューインガム組成物は、当業者には周知の標準的な技術及び装置を用いて調製することができる。本発明に従い有用な装置は、混合及び叩解装置も同様に備える。
【0283】
ロゼンジ及びトローチ
ロゼンジは、口又は咽頭内で舐めて、そこで保持することを目的とした風味付けされた医薬剤形である。それらは、ビタミン、抗生物質、防腐剤、局所麻酔薬、抗ヒスタミン薬、充血除去剤、コルチコステロイド、収斂剤、鎮痛剤、芳香剤、保護剤、又はこれらの成分の組合せを含み得る。ロゼンジは、様々な形状を呈し得るが、最も一般的なのは、平らな、円形、八角形、及び両凸形である。桿剤と呼ばれる別のタイプは、短い棒又は円柱の形状をしている。トローチと呼ばれる軟らかい種類のロゼンジは、ゼラチン又はグリセロゼラチンベース、又はアカシア、スクロース、及び水のベース中の薬剤で構成されている(H.A.Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Volume 1(1980),Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.)。
【0284】
好ましい実施形態において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかもWMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含むロゼンジ又はトローチの形態の口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば少なくとも3つ又は4つの酵素活性を有し;少なくとも1種の口腔ケア成分は、潤滑剤、増量剤、甘味剤、及び香味剤から選択される。
【0285】
潤滑剤
圧縮ロゼンジの製造における潤滑剤の使用は、それが形成されるダイからのロゼンジの放出を促進することを目的とする。本発明で使用される潤滑剤は、帯電しておらず、且つ、カチオン性抗菌剤と干渉(例えば、複合体化)しない固体材料である。この材料は、好ましくは水不溶性であるべきである。これらの要件を満たす1種の好適な材料は、非毒性炭化水素脂肪又は誘導体である。例としては、水素化牛脂及び硬化植物油が挙げられる。また、ポリエチレングリコールも、それらが固体材料である(一般に、4000Da~6000Daの範囲の分子量を有することを意味する)限り、潤滑剤として使用してもよい。これらの材料は、以下に記載するように充填剤としても使用することができる。
【0286】
潤滑剤の混合物を本発明で使用してもよい。潤滑剤は、約0.1%~約4.0%、好ましくは約0.5%~約2%のレベルで使用される。
【0287】
ロゼンジビヒクル
用語「ロゼンジビヒクル」は、本明細書において、活性成分、例えばフルクタナーゼ、他の酵素、及び治療薬、並びに潤滑剤を担持する物質を示すために使用される。これらの材料は、増量剤又は充填剤としても知られる。ビヒクルは、非齲蝕性であるため、ビヒクルは、スクロース及び同様の物質を含有すべきではない。
【0288】
許容される充填材料としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコール及び非齲蝕性デキストランが挙げられる。充填剤は、単独で、又は組み合わせて使用することができる。
【0289】
マンニトールは、天然に存在する糖アルコールであり、微粉末として入手可能である。それは、スクロースの約50%の甘味度しかない。しかし、マンニトールの溶液の負の熱(negative heat)により、ロゼンジが溶解するときに口内に心地よい冷感を付与することができる。
【0290】
ソルビトールは、マンニトールの化学異性体であり、同程度の甘さを有する。その溶液の熱は、負であり、口内に心地よい、冷たい感覚も提供する。ソルビトールは、流動性顆粒又は結晶性粉末のいずれかとして入手可能である。ポリエチレングリコール(PEG)も本組成物に使用することができる。これらの材料は、一般化式HOCH2(CH2OCH2)nCH2OHを有するエチレンオキシドのポリマーである。PEGを単独で使用することは好ましくないが、他の充填剤と組み合わせて使用することは許容される。最も望ましいと認められる分子量は、4000Da~6000Daである。
【0291】
充填剤は、一般に、約85%~約99.8%、好ましくは約90%~約98%、最も好ましくは約94%~約97%のレベルで本発明で使用される。
【0292】
その他のロゼンジ成分
許容されるロゼンジは、上に概説したように、活性成分、潤滑剤及び充填材料だけを使用して製造することができる。しかし、ロゼンジを審美的な観点からより許容可能にするために、一般に、噴霧乾燥若しくはカプセル化された香料又は適切な希釈剤に吸着させた液体香料などの物質を含有させる。噴霧乾燥又はカプセル化された香料が好ましい。好適な香料としては、ペパーミントのオイル、ウィンターグリーンのオイル、ササフラスのオイル、スペアミントのオイル、クローブのオイルが挙げられる。甘味剤もまた、本組成物への使用に許容される。好適な薬剤としては、アスパルテーム、アセスルファム、サッカリン、デキストロース及びレブロースが挙げられる。甘味剤及び香味剤は、一般に、本発明の組成物中に、約0.1%~約2%、好ましくは約0.25%~約1.5%のレベルで使用される。
【0293】
また、さらに抗齲蝕効果をもたらすために、約0.0025重量%~約5.0重量%、好ましくは約0.005重量%~約2.0重量%のフッ化物濃度を付与するのに十分な量で本ロゼンジ中に存在する水溶性フッ化物化合物の固体形態を有することも許容される。好ましいフッ化物は、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化インジウム及びモノフルオロリン酸ナトリウムである。ロゼンジは、抗菌剤、亜鉛塩、フッ化物、及び尿素などの様々な有効成分(前掲)も含有してよい。
【0294】
菓子及びキャンディー
好ましい実施形態において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかもWMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む菓子又はキャンディーの形態の口腔ケア組成物に関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有し;少なくとも1種の口腔ケア成分は、着色剤、甘味剤、香味剤、及び油変性剤から選択される。
【0295】
菓子製剤の調製は歴史的によく知られており、何年にもわたってほとんど変わっていない。菓子は、「ハード」菓子又は「ソフト」菓子のいずれかに分類されている。本発明の揮発性油変性剤は、従来のハード及びソフト菓子に変性剤を混ぜ合わせることにより含有させることができる。
【0296】
ハード菓子は、従来の手段によって加工及び配合され得る。一般に、ハード菓子は、砂糖と他の炭水化物増量剤の混合物から成るベースを有し、これは非晶質又はガラス状に保持される。この形態は、一般に、約0.5%~約1.5%の水分を有する糖の固体シロップと考えられる。そのような材料は、通常、最終組成物の重量基準で、約92%以下のコーンシロップ、約55%以下の砂糖及び約0.1%~約5%の水を含有する。シロップ成分は、一般に、フルクトースを多く含むコーンシロップから調製されるが、他の材料を含有してもよい。さらに、香味料、甘味料、酸味料、着色料などの成分も添加してもよい。
【0297】
このような菓子は、ファイヤークッカー、バキュームクッカー、及び高速大気調理器とも呼ばれるスクレープドサーフェースクッカーを使用するものなど、従来の方法により常用的に調製することができる。
【0298】
ファイヤークッカーは、キャンディーベースを調製する伝統的な方法を必要とする。この方法では、増量剤が溶解するまで釜内で薬剤を加熱することにより、所望の量の炭水化物増量剤を水に溶解させる。次いで、追加の増量剤を添加してもよく、145~156℃の最終温度が達成されるまで調理を続ける。次に、バッチを冷却し、プラスチック様の塊を形成して、香料、着色料などの添加剤を取り込ませる。
【0299】
高速大気調理器は、ビート交換器表面を使用して、熱交換面にキャンディーの膜を延ばすステップを含み、キャンディーは、数分で165~170℃に加熱される。次いで、キャンディーを100~120℃まで急速に冷却し、香料、着色料などの添加剤の取り込みを可能にするプラスチック状の塊を形成する。
【0300】
真空調理器では、炭水化物増量剤を125~132℃に沸騰させ、真空を適用し、それ以上加熱することなく、追加の水を沸騰させる。調理が完了したら、塊は半固体となり、プラスチック様の粘稠度を有する。この時点で、香料、着色料、及び他の添加剤を、常用的な機械的混合操作により塊状に混ぜ合わせる。
【0301】
ハード菓子の従来の製造中に香料、着色料、その他の添加剤を均一に混合するために必要な最適な混合は、材料の均一な分布を得るのに必要な時間によって決定される。通常、4~10分の混合時間が許容可能であることが判明している。
【0302】
キャンディーの塊が適切に焼き戻されたら、作業可能な部分にカットするか、又は所望の形状に成形することができる。所望の最終生成物の形状及びサイズに応じて、様々な成形技術を使用することができる。ハード菓子の組成及び調製に関する一般的な論述は、H.A.Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Volume 1(1980),Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.に見出すことができる。
【0303】
本発明に従い有用な装置は、菓子製造技術において周知の調理及び混合装置を含み、具体的な装置の選択は、当業者には明らかであろう。対照的に、圧縮タブレット菓子は、特定の材料を含み、圧力下で様々な構造に成形される。
【0304】
これらの菓子は、一般に、組成物の約95重量%以下の量の糖、並びに結合剤及び潤滑剤のような典型的な錠剤賦形剤並びに香味剤、着色料などを含有する。ハード菓子と同様に、ソフト菓子も本発明に使用することができる。ヌガーなどのソフト菓子の調製は、2つの主成分、即ち、(1)コーンシロップなどの高沸点シロップ、又は加水分解水添デンプンなどと、(2)一般に卵アルブミン、ゼラチン、大豆由来化合物などの植物性タンパク質、乳タンパク質などのシュガーレスミルク由来化合物、及びこれらの混合物から調製される、比較的軽い食感のフラッペとの組合せのような従来の方法を含む。フラッペは、一般に比較的軽く、例えば、密度は約0.5~約0.7グラム/ccの範囲であり得る。
【0305】
菓子の香味成分は、関連する苦味又は他の不快な後味を有する香料である。これらの香味成分は、植物、葉、花、果実、シチュー及びこれらの組合せに由来する、天然及び合成香味液体、例えば、揮発性油、合成香味油、香味付け芳香剤及び油、液体、オレオレジン又は抽出物から選択することができる。揮発性油の非限定的な代表例としては、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーンの油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、メントール、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、オールスパイス油、セージ油、メースエキス、ビターアーモンド油、及びカシア油が挙げられる。加えて、菓子は、バニラなどのフルーツ香料をはじめとする人工、天然若しくは合成香料、並びにレモン、オレンジ、ブドウ、ライム、及びグレープフルーツなどの柑橘類油、さらには、リンゴ、ナシ、ピーチ、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどのフルーツエッセンスを個別に及び混合して含有してもよい。
【0306】
他の有用な香味剤としては、アルデヒド及びエステル、例えば、ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド)、シトラール、即ち、α-シトラール(レモン、ライム)、ネラール、即ち、β-シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、アルデヒドC-8(柑橘類)、アルデヒドC-9(柑橘類)、アルデヒドC-12(柑橘類)、トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド)、2,6-ジメチル-オクタナール(グリーンフルーツ)、及び2-ドデセナール(柑橘類、マンダリン)、これらの混合物などが挙げられる。
【0307】
甘味料が使用される場合、本発明は、天然及び人工甘味料の両方を含む、当技術分野で公知の甘味料の含有を企図する。甘味料は、以下の非限定的なリストから選択することができる:糖、例えば、スクロース、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、及びそれらの混合物、サッカリン及びその各種塩、例えばナトリウム塩若しくはカルシウム塩など;シクラミン酸及びその各種塩、例えば、ナトリウム塩など;ジペプチド甘味料、例えば、アスパルテーム、ジヒドラカルコン化合物、グリシルリチン;ステビア・レバウディアナ(Stevia Rebaudiana)(ステビオシド);スクロースのクロロ誘導体;ジヒドロフラビノール;ヒドロキシグアイアコールエステル;L-アミノジカルボン酸gem-ジアミン;L-アミノジカルボン酸アミノアルケン酸エステルアミド;並びに糖アルコール、例えば、ソルビトール、ソルビトールシロップ、マンニトール、キシリトールなど。また、下記合成甘味料:3,6-ジヒドロ-6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシド、特に、カリウム(アセスルファム-K)、それらのナトリウム及びカルシウム塩も考えられる。
【0308】
また、菓子は着色料を含有してもよい。着色料は、食品、薬剤及び化粧品用途に適した多数の染料のいずれかから選択することができ、FD&C染料などとして知られている。前述した使用範囲に許容される材料は、水溶性であることが好ましい。例示的な例としては、5,5’-インジゴチンジスルホン酸の二ナトリウム塩であるFD&C青色2号として知られるインジゴイド染料が挙げられる。同様に、FD&C緑色1号として知られる染料は、トリフェニルメタン染料を含み、4-[4-N-エチル-p-スルホベンジルアミノ)ジフェニルメチラン]-[1-(N-エチル-N-p-スルホニウムベンジル)-2-5-シクロヘキサジエンイミン]の一ナトリウム塩である。全てのFD&C及びD&C染料とそれに対応する化学構造の十分な詳述は、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technologyの第5巻に見出すことができる。
【0309】
菓子はまた、トウガラシオレオレジンなどの揮発性油変性剤を含有してもよい。油変性剤は、口腔内の個別の成分として検出されない量で存在するが、それにもかかわらず、揮発性油の感覚性知覚を改変する能力を有する。
【0310】
油変性剤は、菓子の約1~約150ppmの量で存在する。トウガラシは、カプシクム・ミニマム(Capsicum minimum)、カプシクム・フルテッセンス(Capsicum frutescens)、カプシクム・アンヌーム(Capsicum annuum)、及び同様の品種から入手可能である。商業的には、トウガラシの果実は、唐辛子又はコショウと呼ばれている。これらの果実は、刺激性、辛味、特徴的な臭いの強力な効果で知られている。
【0311】
菓子圧縮タブレット製剤に関しては、これらは、タブレット造粒ベース並びに甘味料及び香料などの各種添加剤を含有するであろう。使用されるタブレット造粒ベースは、使用されるベースの種類、所望の破砕性、及び最終製品を製造するために使用される他の成分などの要因に応じて変化する。これらの菓子は一般に、組成物の95重量%以下の量の糖を含有する。
【0312】
菓子圧縮タブレットは、結合剤又は潤滑剤などのタブレット賦形剤、並びに香味剤、着色剤、さらには揮発性油及び揮発性油変性剤をさらに含み得る。
【0313】
これらの菓子に関して実施し得る変更は広範囲であり、特に追加の組成物充填剤、香味剤の使用、着色剤の使用などに関して当業者の能力の範囲内にある。
【0314】
外部口腔ケア組成物
外部口腔ケア製剤、例えば、義歯洗浄液、義歯洗浄錠剤、義歯洗浄粉末などは、以下のカテゴリーから選択される成分及び/又は物質を含み得る。
【0315】
【0316】
好ましい実施形態において、少なくとも口腔ケア成分は、キャリア液、消毒剤及び漂白剤、洗浄剤、洗浄剤及び界面活性剤、発泡剤、防腐剤、並びに香味剤からなる群から選択される。
【0317】
その他の口腔ケア組成物
本発明の口腔用組成物はまた、歯のクリーニングでの使用に適したフィラメント、例えば、デンタルフロスとして有用なフィラメントに含有させてもよい。好ましくは、口腔ケア組成物は、フィラメントの外側にコーティングされる。従って、好ましい実施形態において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかもWMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物を含むフィラメントに関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ又は4つの酵素活性を有し;上記フィラメントは、歯のクリーニングに適している。
【0318】
本発明の口腔ケア組成物はまた、動物用おやつ(animal treat)に含有させてもよく、それにより、動物の口腔の健康を改善するために使用され得る。従って、好ましい実施形態では、本発明は、動物用おやつの形態の本発明の口腔ケア組成物に関する。
【0319】
好ましくは、動物用おやつはペット用おやつである。最も好ましくは、動物用おやつは、犬用おやつである。
【0320】
口腔用組成物は、動物用おやつの外側表面にコーティングしてもよいし、他のおやつ成分と混合してもよいし、又はおやつの内部区画内に含有させてもよい。好ましくは、口腔ケア組成物は、おやつの内部区画に含有させる。
【0321】
好適なタイプの動物用おやつ並びにそのようなおやつを作製するための方法は、当業者に周知であり、例えば、欧州特許第0258037A2号明細書、米国特許第4,892,748B2号明細書、及び同第8,496,985B2号明細書に記載されている。
【0322】
別の態様において、本発明は、(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物を含む動物用おやつに関し;上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0323】
好ましくは、動物用おやつは、ペット用おやつである。最も好ましくは、動物用おやつは、犬用おやつである。
【0324】
口腔用組成物は、動物用おやつの外側表面にコーティングしてもよいし、他のおやつ成分と混合してもよいし、又はおやつの内部区画内に含有させてもよい。好ましくは、口腔ケア組成物は、おやつの内部区画に含有させる。
【0325】
口腔疾患の治療
本発明の口腔ケア組成物は、バイオフィルムの除去が望まれる口腔疾患の治療での使用に好適である。本発明の組成物は、歯周病及び齲蝕を治療するのに特に適している。
【0326】
歯肉疾患としても知られる歯周病は、細菌感染とその後の検査及び歯の周囲の組織へのバイオフィルムの蓄積によって引き起こされる一連の炎症状態である。歯周病は、重症度に関して、以下のカテゴリー:歯肉炎(プラーク誘発性歯肉炎など)、慢性歯周炎、侵襲性歯周炎、全身性疾患の症状としての歯周炎、壊死性潰瘍性歯肉炎/歯周炎、歯周組織の膿瘍、及び歯周-歯内複合病変に分類され得る。歯周病は、さらに、患部の範囲に応じて、局所的又は広汎型のいずれかとみなされ得る。
【0327】
虫歯又は歯腔としても知られる齲蝕は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)及び一部のラクトバチルス属(Lactobacillus)種など、口腔内に常在する特定のバイオフィルム形成細菌によって放出される乳酸などの有機酸に起因する。齲蝕は、歯の周囲の組織の炎症、歯の喪失、感染又は膿瘍の形成などのさらなる合併症に関連し得る。齲蝕は、例えば、G.V.Black分類(クラスI、II、III、IV、V、及びVI)に従って、位置、病因、進行速度、及び患部硬組織により分類することができる。
【0328】
一態様において、本発明は、薬剤として使用するための、以下:
(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;
(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;
ここで、上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0329】
一態様において、本発明は、口腔疾患の治療に使用するための、以下:
(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;
(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;
ここで、上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0330】
好ましい実施形態では、本発明は、歯周病及び/又は齲蝕の治療に使用するための、以下:
(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;
(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;
ここで、上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0331】
一態様において、本発明は、ヒト若しくは動物対象の治療又は予防的処置を目的とする、以下:
(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;
(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物に関し;
ここで、上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。
【0332】
一態様において、本発明は、ヒト又は動物対象の治療方法に関し、この方法は、以下:
(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;
(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物をヒト又は動物対象に投与することを含み;
ここで、上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。好ましくは、口腔ケア組成物が、前記対象の口腔に投与される。
【0333】
一態様において、本発明は、口腔バイオフィルムを除去する方法に関し、この方法は、以下:(a)GH32ドメイン、GH32Cドメインを含み、しかも、WMNDクレードに属し、且つ、モチーフWMND(配列番号12)を含むフルクタナーゼと;(b)少なくとも1つの口腔ケア成分と、を含む口腔ケア組成物をバイオフィルムと接触させることを含み;ここで、上記フルクタナーゼは、フルクタン分解活性、レバン分解活性、イヌリン分解活性、及びスクロース分解活性からなる群より選択される少なくとも2つ、例えば、少なくとも3つ、又は4つの酵素活性を有する。一実施形態では、口腔ケア組成物は、外部口腔ケア組成物であり、バイオフィルムは、対象物上に位置し;好ましくは、対象物は義歯である。一実施形態では、対象物は、口腔の内部又は外部に位置する。
【実施例】
【0334】
アッセイ
DNase活性アッセイ1
供給業者からのマニュアルに従って調製したMethyl Green(BD,Franklin Lakes,NJ,USA)を含むDNase試験寒天で、DNase活性を決定した。簡単に説明すると、21gの寒天を500mlの水に溶解させた後、121℃で15分間オートクレーブ処理した。オートクレーブ処理した寒天を水浴中で48℃の温度にし、20mlの寒天をペトリ皿に注ぎ、室温でo/nのインキュベーションにより固化させた。固化した寒天プレートに、5μlの酵素溶液を添加し、スポットした酵素溶液の周囲に無色ゾーンとしてDNase活性を観察する。
【0335】
DNase活性アッセイ2
供給業者のマニュアルに従って、DNaseAlert Kit(11-02-01-04、IDT Integrated DNA Technologies)を用いて、DNase活性を決定した。簡単に説明すると、マイクロタイタープレート内で95μlのDNaseサンプルを5μlの基質と混合した後、BMG LabtechのClariostarマイクロタイターリーダーを用いて蛍光を直ちに測定した(536nm励起、556nm発光)。
【0336】
実施例1:フルクタナーゼのクローニング及び発現
配列番号2~6
配列番号2及び配列番号6をコードするDNAを、それぞれ米国で採取したバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)及びフラボバクテリウム・バンパクエンセ(Flavobacterium banpakuense)の株から単離した(表1参照)。上記株からの染色体DNAを、次世代シーケンシング技術を用いる全ゲノムシーケンシングに付した。CAZyデータベース(www.cazy.org、Lombard V,et al.2014,Nucleic Acids Res 42:D490-D495)で定義されているように、グリコシルヒドロラーゼドメインを含むタンパク質配列について、ゲノム配列を解析した。グリコシド加水分解酵素ファミリーGH32ドメインを含む配列(GH32、CAZy database、www.cazy.org、Lombard V,et al.2014,Nucleic Acids Res 42:D490-D495)をゲノム中で同定した。
【0337】
バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、アルスロバクター属菌(Arthrobacter sp.)Leaf337及び枯草菌(Bacillus subtilis)の株にそれぞれ由来する配列番号3、配列番号4、及び配列番号5をコードするDNAを公開データベースで同定した(表1参照)。
【0338】
配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6をコードするDNAは、Twist Bioscienceから合成遺伝子として順序付けられた。合成DNA断片を、BsaI及びT4 DNAリガーゼ酵素を用いた標準的なGolden Gateクローニング法によって、国際公開第2012/025577号パンフレットに記載のバチルス属(Bacillus)発現ベクターに指向的にアセンブリングした。簡単に説明すると、上記遺伝子の成熟ペプチドをコードするDNAを、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)分泌シグナル(BcSP;下記アミノ酸配列を有する:MKKPLGKIVASTALLISVAFSSSIASA(配列番号8)にフレーム内でクローニングした。遺伝子中の天然分泌シグナルをBcSPで置換した。BcSP配列の下流に、親和性タグ配列を導入して、精製プロセスを容易にした(Hisタグ;下記アミノ酸配列を有する:HHHHHHPR、配列番号9)。従って、発現された遺伝子は、BcSP配列、次にHisタグ配列、続いて成熟フルクタナーゼ配列を含んでいた。
【0339】
最終発現プラスミドを枯草菌(Bacillus subtilis)発現宿主に形質転換した。この遺伝子は、形質転換時に、枯草菌(Bacillus subtilis)宿主細胞ゲノム中に相同組換えにより組み込まれた。遺伝子構築物を、トリプルプロモーター系の制御下で発現させた(国際公開第1999/43835号パンフレットに記載の通り)。クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子をマーカーとして用いた(Diderichsen et al.,1993,Plasmid 30:312-315に記載の通り)。1ml当たり6マイクログラムのクロラムフェニコールを補充したLB培地寒天上で、形質転換体を選択した。発現構築物を含有する1つの組換え枯草菌(Bacillus subtilis)クローンを選択し、回転振盪テーブルにて、各々100mlの酵母エキスベースの培地を含む500mlのバッフル付き三角フラスコ内で培養した。30℃~37℃で3~5日間培養した後、遠心分離により上清を含む酵素を回収し、5mLのHisTrap Excelカラム(GE Healthcare Life Sciences)でNi2+を金属イオンとして用いる固定化金属クロマトグラフィー(IMAC)によるHisタグ精製により酵素を精製した。精製は、pH7で実施し、結合したタンパク質をイミダゾールで溶出した。精製酵素の純度をSDS-PAGEで確認し、50mM HEPES、100mM NaCl、pH7.0でのバッファー交換後、酵素の濃度を280nmでの吸光度により測定した。
【0340】
配列番号1及び配列番号7
配列番号1のクローニング及び発現は、配列特異的プライマー配列番号13及び配列番号14を用いて、国際公開第2018/113745号パンフレットの実施例14に記載のように実施し、次に、国際公開第2018/113745号パンフレットの実施例2に記載の通りに調製されたP.オクロクロロン(P.ochrochloron)由来のgDNAを用いて、PCR増幅を行った。
【0341】
配列番号7のクローニング及び発現は、ColS1300株と、niiA/niiD遺伝子座に組み込むための3つの重複する断片を用いる米国特許第2019/0225988号明細書に記載の戦略を使用して実施した。配列番号7をコードする遺伝子に対応する中間断片を、国際公開第2018/113745号パンフレットの実施例2に記載のように調製したA.ニガー(A.niger)gDNAから、配列番号15及び配列番号16のプライマーを用いてPCR増幅した。
【0342】
精製
発酵ブロスからの配列番号1~7の回収のために、疎水性相互作用クロマトグラフィー精製を使用した:硫酸アンモニウムを最終濃度1.8Mまで添加し、サンプルを30分間攪拌した後、0.2μMメンブレンを介した最終ろ過ステップに付した。サンプルをAekta Explorer上の5ml HiTrap(商標)Phenyl(HS)カラムに適用した。ローディングの前に、50mM HEPES+1.8M AMS pH7を含む5カラム容量(CV)でカラムを平衡化した。未結合物質を除去するために、サンプル適用後にカラムを5CVの50mM HEPES+1.8M AMS pH7で洗浄した。標的タンパク質は、50mM HEPES+20%エタノールpH7を用いて、カラムから10mlループに溶出した。ループから、サンプルを約50mLの脱塩カラム(HiPrep(商標)26/10脱塩)にロードし、3CVの50mM HEPES+100mM NaCl pH7.0で平衡化した後、サンプルを適用した。標的タンパク質をループから、50mM HEPES+100mM NaCl pH7.0を含む脱塩カラムに移した。ピーク分画に基づいて標的タンパク質を溶出して、1本のチューブ中でサンプルを取得した。流量は10ml/分であった。A280分析により濃度推定値を、また、SDS-PAGE分析によりサンプルの純度を取得した。
【0343】
【0344】
実施例2:系統樹及びクレードの構築
GH32系統樹
GH32ドメインを含む本発明のポリペプチド配列の系統樹を、CAZYに定義されるように構築した(Lombard,Henrissat et al,2014.The carbohydrate-active enzymes database(CAZy)in 2013.Nucleic Acids Res.42,http://www.cazy.org/)。系統樹は、少なくとも1つのGH32ドメインを含む成熟ポリペプチド配列の多重アラインメントから構築した。配列は、MUSCLEアルゴリズムバージョン3.8.31(Edgar,2004.Nucleic Acids Research 32(5):1792-1797)を用いて配列をアラインメントした後、FastTreeバージョン2.1.8(Price et al.,2010,PloS one 5(3))を用いて系統樹を構築し、iTOL(Letunic & Bork,2007.Bioinformatics 23(1):127-128)を使用して視覚化した。
【0345】
PfamドメインID PF08244(The Pfam protein families database:towards a more sustainable future:R.D.Finn,P.Coggill,R.Y.Eberhardt,S.R.Eddy,J.Mistry,A.L.Mitchell,S.C.Potter,M.Punta,M.Qureshi,A.Sangrador-Vegas,G.A.Salazar,J.Tate,A.Bateman,Nucleic Acids Research(2016)Database Issue 44:D279-D285)により定義されるように、GH32ドメインを含むポリペプチドのサブセットも、グリコシル加水分解酵素ファミリー32C末端ドメインを含有する。本発明の全てのポリペプチドが、GH32ドメイン、並びにグリコシル加水分解酵素ファミリー32C末端ドメインを含有する。グリコシル加水分解酵素ファミリー32C末端ドメインは、GH32Cドメインと表記される。一例として、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来の配列番号2において、GH32Cドメインは328位から483位に位置する。
【0346】
WMNDクレードの生成
前述のように生成した系統樹を用いて、GH32ドメインとGH32Cドメインを含むポリペプチドを、個別のポリペプチド配列クレードに分離することができる。これらのクラスターは、GH32及びGH32Cドメインの含有だけではなく、1つ以上の短鎖配列モチーフによっても定義される。
【0347】
GH32ドメイン並びにGH32Cドメインの含有に加えて、フルクタナーゼは、WMNDクレードに属する。WMNDクレードのフルクタナーゼは、GH32ドメイン、GH32Cドメインを含有すると共に、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)フルクタナーゼ(配列番号2)の22位から25位のアミノ酸WMND(Trp-Met-Asn-Asp)に対応するモチーフWMND(配列番号12)を含む。25位のアスパラギン酸は、活性部位の一部である(W.Lammens et al.(2009),Journal of Experimental Botany,60(3),727-740)。
【0348】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7の全てがWMDクレードに属し、しかも、GH32ドメイン、GH32Cドメイン、及びモチーフWMNDを含む(下記表2参照)。
【0349】
【0350】
実施例3:口腔ケア成分の存在下での熱安定性
熱安定性測定のための口腔ケア製剤の調製
口腔ケア製品製剤及び選択した口腔ケア市販品において一般に使用される濃度範囲内の、広く使用される口腔ケア組成物成分の存在下で、フルクタナーゼの熱変性遷移中点(Tm)を測定した。Tmパラメータは、これが、折り畳みタンパク質分子と折り畳み不全タンパク質分子の同等集団が存在する温度であることから、熱安定性を評価するために使用した。Tmは、熱安定性を評価する際に広く受け入れられているパラメータである。
【0351】
【0352】
高純度且つバイオテクノロジーグレードの試薬を様々な供給業者から入手し、MilliQ水を用いてストック溶液を新しく調製した。これらの製剤用化学物質及びそのストック並びにTm測定に用いる最終濃度を表3に列挙する。
【0353】
フルクタナーゼの精製調製物をストック濃度2mg/mlに希釈した後、個別の口腔ケア成分、クエン酸リン酸緩衝液(マッキルベイン(McIlvaine)緩衝液)及びMilliQ水から構成されるモデル口腔ケア製剤でさらに10倍希釈したが、これは、最終タンパク質濃度0.2mg/mlに相当する。希釈物は全て、最終容量70μlの384ウェル小容量ディープウェルプレート(Greiner Bio-One International、商品番号784201)内で調製し、熱安定性測定に使用した。
【0354】
各フルクタナーゼのTm測定は、pH5.0及びpH6.0のマッキルベイン緩衝液を用いて口腔の生理的pH範囲近傍で行った。51.50mlの0.2M Na2HPO4と48.50mlの0.1Mクエン酸を混合することにより、100mlのマッキルベイン緩衝液pH5.0を調製し、63.15mlの0.2M Na2HPO4と36.85mlの0.1Mクエン酸を混合することにより、pH6.0マッキルベイン緩衝液を調製した。
【0355】
熱安定性測定
熱安定性測定は、キャピラリーベースナノ示差走査蛍光計器(nanoDSF);Prometheus NT.Plex(NanoTemper Technologies GmbH,Muenchen,Germany)を用いて実施した。NanoTemper Technologies製の標準的なnanoDSFグレードのキャピラリーチップ(Cat#:PR-AC002)を使用した。
【0356】
フルクタナーゼサンプルを毛細管現象によってキャピラリーにロードした(各サンプルを3回反復)。330及び350nmでの発光強度は、十分なシグナルを確実にするように計器のLEDパワーを変更することにより最適化した。330及び350nmでの蛍光シグナルを温度の関数として連続的にモニターした(熱変性のために使用される加熱速度は、20℃~95℃まで毎分3.3℃であった)。データは、製造者により提供されたPR.StabilityAnalysis 1.1.0.11077ソフトウエアを使用して解析した。解析は、モデル依存性ではなく、単純に、Tmとして定義される近似熱変性遷移中点に対応する一次導関数のピーク最大値を取得する(
図1を参照)。
【0357】
熱安定性データの再現性
図1は、nanoDSF計器を使用して生成された熱安定性データの例を示す。パネルAは、温度の関数として、配列番号2について3回反復で得られたデータ(350nm:330nmでの蛍光発光の比)の一例である。パネルBは、パネルAの生データの一次導関数を示す。一次導関数プロットのピーク最大値は、Tmと呼ばれる熱変性遷移の中点に対応する。この例では、Tmは、pH5.0で66.1℃に相当し、3回の反復内で再現性が高い。
【0358】
図1に示すデータは、nanoDSFを用いて広く使用されている口腔ケア成分の存在下で、フルクタナーゼについて生成されたデータのタイプの例である。全ての場合において、データは、明瞭な変性遷移と共に、一次導関数に明確なピークを示し、再現性が高かった。
【0359】
結果
表4は、pH5.0での3回反復測定から得られたフルクタナーゼの平均Tm値を示す。pH6.0で行った同様の測定結果を表5に示す。
【0360】
表4及び表5に示すデータから、フルクタナーゼは、フッ化ナトリウム、アルギニン、過酸化水素を含め、口腔ケアで使用される多数の製剤成分の存在下で、同等又は改善された熱安定性を有することが明らかである。これに関連して、「同等の化学的安定性」という用語は、口腔ケア成分と共配合されたフルクタナーゼのTm値が、同じフルクタナーゼ単独(即ち、対照)のTm値の+/-5%以内であることを意味し、「改善された化学的安定性」という用語は、口腔ケア成分と共配合されたフルクタナーゼのTm値が、同じフルクタナーゼ単独(即ち、対照)のTm値と比較して、5%超、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又はそれ以上増加することを意味する。
【0361】
過酸化水素によってもたらされる有害な化学反応にもかかわらず、表4及び表5は、フルクタナーゼが、高過酸化水素濃度及び低過酸化水素濃度の両方で良好な熱安定性を呈示することを示している。
【0362】
さらに、個別に評価された全ての製剤成分は、対照と比較して、試験したpH範囲全体にわたり熱安定性に悪影響を及ぼさないことが明らかである(表4及び表5)。
【0363】
まとめると、この実施例で提示されたデータは、これらのフルクタナーゼが、広く使用されている口腔ケア成分の存在下で、高い熱安定性を有することから、それらは一般的な口腔ケア製剤と適合性になることを明瞭に示している。
【0364】
【0365】
【0366】
実施例4:フルクタナーゼ活性アッセイ
アッセイの説明
フルクタナーゼを4つの異なる基質:
1)スクロース(1%w/v-CHE02134、500mgを50mLのMilliQ水に添加)
2)フルクタン(Megazyme K-FRUCHK、3mgを25mMユニバーサルバッファー、pH6(酢酸、MES、HEPES、グリシン)に最終容量300μLまで溶解させる)
3)イヌリン(チコリの根由来;Megazyme P-INULのDP2-60、0.1%w/v、10mgを10mLのMilliQ水に添加)
4)レバン(Megazyme P-levan、3mgを25mMユニバーサルバッファー、pH6(酢酸、MES、HEPES、グリシン)に最終容量300μLまで溶解させる)
と一緒にインキュベートした。
【0367】
各サンプルを25mMユニバーサルバッファーpH6(酢酸、MES、HEPES、及びグリシン)に10倍希釈した。サンプルを最終濃度50ppm(0.05mg/mL)になるように添加した。フルクタナーゼを含むサンプルとそれぞれの基質を37℃、1400rpmで60分間インキュベートし、酵素を添加していないサンプルを基質対照として使用した。
【0368】
インキュベーション後、サンプルを室温で16100×Gで5分間スピンダウンした。上清を、1)液体クロマトグラフィー及び2)還元糖アッセイにより、以下のように分析した:
1)PD10カラム(ThermoFisher Scientific)を備えるDionex IC300システムで、下記勾配を使用して、液体クロマトグラフィーを実施した。
【0369】
【0370】
フルクトース及びグルコース(Sigma)を標準基準として使用した。フルクトース放出は、液体クロマトグラフィーによってナノクーロン/分(nC*min)の面積として測定した。この場合、面積は、フルクトース放出に比例する。
【0371】
2)還元糖アッセイでは、50gの酒石酸ナトリウムカリウム(酒石酸K-Na、Merck 8087)と20gのNaOH(Merck 1.06498)を1Lの水に計量して導入することにより、作業バッファーを調製した。
【0372】
PAHBAH試薬とも呼ばれる還元剤については、15mlのバッファーに225mgのPAHBAHを計量して導入することにより、PAHBAH(4-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、Sigma H-9882)の溶液を調製した。
【0373】
比色反応は、75μLの各サンプル上清をPCRプレートに移し、150μLのPAHBAH試薬を添加することによって実施した。PCR機において95℃で10分間インキュベートした後、150μLの各サンプルをマイクロタイタープレートに移し、405nmでの吸光度(A405)を読み取った。
【0374】
結果
液体クロマトグラフィーと比色還元末端の2つの異なるアッセイは、評価されたフルクタナーゼが、高レベルの活性でフルクタンを加水分解できることを証明した。これらのフルクタナーゼは、フルクタン、レバン、及びイヌリンのうち少なくとも2つを含め、試験した4つの基質のうち少なくとも2つを分解することができる。フルクタナーゼは、単糖フルクトースを生成することができ、これは、エキソ作用機構を示している。
【0375】
【0376】
実施例5:単一種及び複数種バイオフィルム予防アッセイ
フルクタナーゼのサブセットを、それらが口腔バイオフィルムの形成を防ぐ能力についてさらに評価した。バイオフィルム形成に対する予防効果は、96ウェルマイクロタイタープレート内で成長させた3つの異なるバイオフィルムについて評価した。2つのバイオフィルムは、それぞれ、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)UA159とストレプトコッカス・ドワネイ(Streptococcus downei)DSM5635の単一種バイオフィルムであり、1つは、3つの歯科病原体S.ミュータンス(S.mutans)UA159、アクチノマイセス・ネルスンディ(Actinomyces naeslundii)ATCC 12104、及びストレプトコッカス・オラリス(Streptococcus oralis)ATCC 35037から成る混合種バイオフィルムであった(H.Koo et al.,Journal of Bacteriology 2010;K.B.Ahn et al.,PLoS ONE,2018;H.M.Nassar and R.L.Gregory,Journal of Oral Microbiology,2017)。
【0377】
96ウェルマイクロタイタープレート(Nunclon Delta surface,ThermoScientific #167008)に、S.ミュータンス(S.mutans)UA159、S.ドワネイ(S.downei)DSM5635、又はS.ミュータンス(S.mutans)UA159、A.ネルスンディ(A.naeslundii)ATCC 12104、及びS.オラリス(S.oralis)ATCC 35037の混合物のいずれかの1×107CFU/ml細菌接種材料を含む75μlのトリプチカーゼダイズブロス(TSB)+1%スクロースを充填した。フルクタナーゼ処理サンプルの場合、バッファー(50mM HEPES、100mM NaCl、pH7)中の酵素溶液25μlを添加して、最終濃度80ppmを得た。対照処理サンプルについては、酵素溶液を緩衝液(50mM HEPES、100mM NaCl、pH7)で置換した。
【0378】
プレートを嫌気条件下、ThermoFisher Scientific Rectangular AnaeroBox(商標)容器(2.5L、#AN0025A)中で、振盪せずに37℃で21時間インキュベートした。酵素及び対照サンプルを8回反復で評価した。
【0379】
インキュベーション後、100μlの0.9%NaClによる2回の穏やかな洗浄により浮遊細菌を除去し、0.95%クリスタルバイオレット溶液でバイオフィルムを室温にて15分間染色した。プレートを100μLの0.9%NaClで2回すすぎ、付着した色染料を96%エタノール及び0.1%酢酸の水溶液に溶解させた。マイクロプレートリーダーSpectraMax M3,Molecular Deviceを用い、吸光度を600nmで測定した。
【0380】
データ処理に際し、吸光度は、酵素又はバッファー処理後に残存するバイオフィルムの程度に比例するとみなした。結果はバイオフィルム予防のパーセンテージとして表し、次のように計算した:
100-((A600nm酵素処理サンプル)/(A600nmバッファー対照処理サンプル)×100)
(式中、A600nmは、酵素又はバッファー処理サンプルいずれかの600nmで測定された8つの吸光度の平均を指す)。結果を以下の表6~8に記載する。
【0381】
【0382】
【0383】
【0384】
上の表6~8からわかるように、配列番号1及び配列番号2のフルクタナーゼは、既知の歯科病原体によって形成される、単一種バイオフィルム(それぞれ、S.ミュータンス(S.mutans)及びS.ドワネイ(S.downei))並びに複数種バイオフィルム(S.ミュータンス(S.mutans)、S.オラリス(S.oralis)、及びA.ネルスンディ(A.naeslundii))の形成に対して予防効果がある。
【0385】
実施例6:ヒト唾液バイオフィルム予防アッセイ
フルクタナーゼを、それがヒト唾液からバイオフィルム成長を防ぐ能力について評価した。バイオフィルム予防アッセイは、国際公開第2020/099490号パンフレットに記載の方法に従い、いくつかの変更を加えて実施した。簡単に説明すると、フルクタナーゼ処理サンプルは、マッキルベイン(McIIvaine)バッファー(pH6)(12.63mlの0.2M Na2HPO4+7.37mlの0.1Mクエン酸を混合することにより調製)中の40ppmの酵素溶液を調製して作製し、対照処理サンプルは、マッキルベイン(McIIvaine)バッファー(pH6)から構成された。酵素及び対照サンプルは、8回反復で評価した。
【0386】
データ処理に際し、吸光度は、酵素又はバッファー処理後に残存するバイオフィルムの程度に比例するとみなした。バイオフィルム予防のパーセンテージは、次のように計算した:
100-((A600nm酵素処理サンプル)/(A600nmバッファー対照処理サンプル)×100)
(式中、A600nmは、SpectraMax M3、Molecular Devicesを用い、酵素又はバッファー処理サンプルいずれかについて600nmで実施された8つの吸光度測定値の平均を指す)。結果を以下の表9に記載する。
【0387】
【0388】
表9からわかるように、フルクタナーゼは、ヒト唾液からのバイオフィルム成長を予防することができる。
【0389】
実施例7:ヒト唾液バイオフィルム除去アッセイ
配列番号2のフルクタナーゼを、成長したバイオフィルムをヒト唾液から除去するその能力について評価した。バイオフィルム除去アッセイは、国際公開第2020/099490号パンフレットに記載の方法に従い、いくつかの変更を加えて実施した。簡単に説明すると、フルクタナーゼ処理サンプルは、50mM HEPES、100mM NaCl(pH7)中20ppmの酵素溶液を調製することにより作製し、対照処理サンプルは、50mM HEPES、100mM、NaCl pH7から構成された。酵素及び対照サンプルは、4回の反復で評価した。
【0390】
データ処理に際し、吸光度は、酵素又はバッファー処理後に残存するバイオフィルムの程度に比例するとみなした。バイオフィルム除去のパーセンテージは、次のように計算した:
100-((A600nm酵素処理サンプル)/(A600nmバッファー対照処理サンプル)×100)
(式中、A600nmは、SpectraMax M3、Molecular Devicesを用い、酵素又はバッファー処理サンプルいずれかについて600nmで測定された4つの吸光度の平均を指す)。結果を以下の表10に記載する。
【0391】
【0392】
表10からわかるように、フルクタナーゼ(配列番号2により例示)は、ヒト唾液から増殖したバイオフィルムを除去することができる。
【0393】
本明細書に記載及び請求される本発明は、本明細書に開示される特定の態様によって範囲が限定されるべきではない。何故なら、これらの態様は、本発明のいくつかの態様の例示として意図されるためである。任意の同等の態様は、本発明の範囲内であることが意図される。実際に、本明細書に示され、記載されたものに加えて、以上の説明から、本発明の様々な改変が当業者に明らかになるであろう。このような改変も、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。矛盾する場合、定義を含む本開示が優先されるものとする。
【配列表】
【国際調査報告】