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  • 特表-表面から病原体を除去する方法 図1
  • 特表-表面から病原体を除去する方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】表面から病原体を除去する方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20230906BHJP
   C09D 201/02 20060101ALI20230906BHJP
   D06M 13/47 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A61L2/18
C09D201/02
D06M13/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513584
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 IB2021057833
(87)【国際公開番号】W WO2022043913
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/072,761
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイル,アンドリュー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,ロバート エー.
【テーマコード(参考)】
4C058
4J038
4L033
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB07
4C058EE26
4C058JJ06
4C058JJ21
4C058JJ23
4J038DJ001
4J038GA09
4J038MA09
4J038NA12
4J038PC10
4L033AB07
4L033AC10
4L033BA88
(57)【要約】
表面から病原体を除去する方法が記載される。特に、グアニジニル含有ポリマーコーティングを含むワイプを用意することと、少なくとも1つの病原体に対する関連消毒時間tを有する液体消毒剤を用意することと、を含む方法が記載される。本方法は、放置時間に有意な関連誤差があっても安全なレベルの消毒を提供するのに役立ち得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面から病原体を除去する方法であって、
グアニジニル含有ポリマーコーティングを含むワイプを用意することと、
少なくとも1つの病原体に対する関連消毒時間を有する液体消毒剤を用意することと、
表面を、前記液体消毒剤を担持する前記ワイプと接触させることと、
前記液体消毒剤を、除去又は蒸発するまで、時間tにわたって前記表面と接触させることと、
を含み、
tが、関連誤差を伴う、前記少なくとも1つの病原体に対する前記関連消毒時間であり、
前記関連誤差が、前記少なくとも1つの病原体に対する前記関連消毒時間の±40%である、
方法。
【請求項2】
前記関連誤差が、前記少なくとも1つの病原体に対する前記関連消毒時間の±30%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関連誤差が、前記少なくとも1つの病原体に対する前記関連消毒時間の±20%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記関連誤差が、前記少なくとも1つの病原体に対する前記関連消毒時間の±10%である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記液体消毒剤が、適用時に前記ワイプに添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ワイプが、適用前に前記液体消毒剤を含浸される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記表面を前記ワイプと接触させる前に、前記液体消毒剤が前記表面に噴霧又は適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの病原体に対する前記関連消毒時間が、ASTM E1153-14によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの病原体に対する前記関連消毒時間が、AOAC 961.02によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの病原体に対する前記関連消毒時間が、政府規制機関に登録された時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの病原体に対する前記関連消毒時間が、6log消毒時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの病原体に対する前記関連消毒時間が、4log消毒時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記表面が非水平面である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記表面が非平坦面である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記グアニジニル含有ポリマーコーティングがカチオン性コーティングである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ワイプが、不織布を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記液体消毒剤が、少なくとも1つの他の病原体に対する第2の関連消毒時間を有し、前記少なくとも1つの他の病原体に対する関連消毒時間が、t未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記液体消毒剤が、第四級アンモニウム消毒剤である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
表面から病原体を除去することは、空間を浄化及び/又は消毒する際の重要なステップである。病原体の除去は、伝染性疾患及び感染症の蔓延を制限するために不可欠である。特に自己複製病原体(例えば、細菌)の場合、不十分な除去は、病原因子の感染レベルの再確立をもたらし得る。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、本開示は、表面から病原体を除去する方法に関する。本方法は、グアニジニル含有ポリマーコーティングを含むワイプを用意することと、少なくとも1つの病原体に対する関連消毒時間(associated disinfection time)を有する液体消毒剤を用意することと、表面を、液体消毒剤を担持するワイプと接触させることと、液体消毒剤を、除去又は蒸発するまで、時間tにわたって表面と接触させることと、を含む。tは、関連誤差を伴う、少なくとも1つの病原体に対する関連消毒時間である。関連誤差は、少なくとも1つの病原体に対する関連消毒時間の±40%である。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本明細書に記載される表面から病原体を除去する方法の実施形態と、従来法との両方について、消毒効果と放置時間との関係を示すグラフである。
図2】液体消毒剤を担持するワイプと表面との接触を示す上面斜視概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
表面から病原体を除去することは、多くの状況において、感染因子からの疾患伝播の機会を減少させるための重要なステップである。病院又は他の医療施設などの状況では、消毒のレベル及び頻度は、政府規制によって指定されている場合がある。内部手順を遵守するために、指定された消毒効果の閾値(disinfection threshold)が必要とされる場合もある。当然、ロバストで効果的な消毒プログラムは、院内感染を最小限に抑えることによって、患者の転帰を改善し、医療施設の費用を削減することもできる。
【0005】
例えば、特定の消毒剤は、それに関連付けられたある特定の消毒時間を有し得る。市販の消毒剤は、典型的には、記載された消毒レベルに達するために、ある特定の時間(放置時間)にわたって表面と接触したままでなければならない。多くの状況において、この「殺菌効果(kill claim)」を満たすのに十分に長く消毒剤を表面と接触させておくことは、実際には困難であり得る。垂直な壁、又はドアノブ及びテーブル脚のような表面は、十分に長く湿潤状態を保つことが困難な場合がある。そして、十分な量が適用されない場合、消毒剤は、十分に長い放置時間になる前に蒸発し得る。
【0006】
実際には、善意による消毒レジメンは、意図された放置時間と実際の放置時間との間に有意な誤差を含む。室内の表面は同時に処理されない可能性が高く、時間の経過を追い続けることが困難な場合がある。液体消毒剤は、放置時間に達する前に不注意で拭き取られる場合がある。中断又は注意散漫により、思い違いが生じる場合がある。
【0007】
この誤差は、許容できないレベルの残留病原体のリスクを著しく増加させる場合がある。検査に不合格の場合、罰金若しくは他の処罰を受ける可能性がある、又は院内感染の割合が増加し得る。
【0008】
グアニジニル含有ポリマーコーティングを含むワイプを利用する本明細書に記載される方法は、意図しない不十分な消毒に対する追加の保護手段を提供し得る。本明細書に記載される方法は、放置時間における最大40%の誤差を許容し得る一方で、記載された放置時間に完全に、誤差なく(例えば、実験室環境)準拠した従来法の消毒レベルと一致するか又はそれを超える消毒レベルをなおも提供する。
【0009】
図1は、本明細書に記載される表面から病原体を除去する方法の実施形態と、従来法との両方について、消毒効果と放置時間との関係を示すグラフである。図1は、消毒効果対放置時間の典型的な曲線の一般化した例であることを意図している。この理由から、両方の軸は無単位である。従来法の曲線10は、特定の消毒剤の消毒効果(対数減少として)が放置時間に応じて増加することを示す。従来法の曲線10は、時間tにおいて消毒効果の閾値に達する。従来法の曲線10は、tよりもわずかに短い時間にわたって消毒効果の閾値を下回ることも認識され得る。消毒効果の閾値は、製品の管轄及び種類に基づいて変動する場合があり、例えば、6log減少(100万分の1又は99.9999%減少)が、市販の消毒剤に対する所望の閾値として一般的に使用される。4log、5log、又は更には6log超などの他の閾値が特定の消毒剤又は特定の環境と関連付けられてもよい。
【0010】
曲線100は、本明細書に記載される方法を表す。グアニジニル含有ポリマーコーティングを含むワイプの提供における。曲線は、概して従来法の曲線100と同じ形状であるが、表面からの病原体の初期の除去は、曲線100が、関連放置時間tの前後の時間範囲にわたって消毒効果の閾値を上回ることを意味する。特定の用途、及び特定の消毒剤に応じて、実際の放置時間tに関連する誤差は、特定の病原体に対する関連消毒時間の±40%であり得る。一部の実施形態では、関連誤差は、±30%であり得る。一部の実施形態では、関連誤差は、±20%であり得る。一部の実施形態では、関連誤差は、±10%であり得る。
【0011】
消毒剤に対する関連消毒時間は、典型的には、1つ以上の標準的な方法による試験に基づいて登録された値である。例えば、関連消毒時間は、ASTM E1153-14によって決定されていてもよい(又は決定されてもよい)。一部の実施形態では、関連消毒時間は、AOAC 961.02によって決定されていてもよい(又は決定されてもよい)。
【0012】
図2は、液体消毒剤を担持するワイプと表面との接触を示す上面斜視概略図である。グアニジニル含有ポリマーコーティングを含むワイプ210は、表面230に接触される。液体消毒剤220は、表面230と接触させた状態で放置される。
【0013】
ワイプ210は、任意の好適なワイプ又は布であり得る。一部の実施形態では、ワイプ210は使い捨てワイプである。完全な洗濯手順を用いても、いくらかの生菌数の病原菌がワイプ上に残ることが多いことから、使い捨てワイプはある特定の利点を有する。したがって、使い捨てワイプは、表面間、部屋間、又は清掃セッション間の交差汚染のリスクを排除する。
【0014】
一部の実施形態では、ワイプは、不織布基材又は布地を含む。好適な不織布の例としては、これらに限定されるものではないが、メルトブロー布地、スパンボンド布地、カード布地、湿式布地、及びエアレイド布地が挙げられる。一部の実施形態では、ワイプは織布基材を含む。一部の実施形態では、ワイプは、スポンジ又はセルロース基材を含む。基材としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリオレフィン、ポリ(イソプレン)、ポリ(ブタジエン)、フッ素化ポリマー、塩素化ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(スルホン)、ポリ(ビニルアセテート)、ビニルアセテートのコポリマー、例えばポリ(エチレン)-co-ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、及びポリ(カーボネート)、ポリウレタン及びセルロース系材料などの有機ポリマー材料を挙げることができる。好適なポリオレフィンとしては、これらに限定されるものではないが、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(1-ブテン)、エチレンとプロピレンとのコポリマー、αオレフィンコポリマー(例えば、エチレン又はプロピレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及び1-デセンとのコポリマー)、ポリ(エチレン-co-1-ブテン)及びポリ(エチレン-co-1-ブテン-co-1-ヘキセン)が挙げられる。好適なフッ素化ポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、フッ化ビニリデンのコポリマー(例えばポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)、及びクロロトリフルオロエチレンのコポリマー(例えばポリ(エチレン-co-クロロトリフルオロエチレン)が挙げられる。好適なポリアミドとしては、これらに限定されるものではないが、ポリ(イミノアジポイルイミノヘキサメチレン)、ポリ(イミノアジポイルイミノデカメチレン)、及びポリカプロラクタムが挙げられる。好適なポリイミドとしては、これに限定されるものではないが、ポリ(ピロメリットイミド)が挙げられる。好適なポリ(エーテルスルホン)としては、これらに限定されるものではないが、ポリ(ジフェニルエーテルスルホン)及びポリ(ジフェニルスルホン-co-ジフェニレンオキシドスルホン)が挙げられる。好適なビニルアセテートのコポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、ポリ(エチレン-co-ビニルアセテート)、及びコポリマー中でアセテート基のうちの少なくとも一部が加水分解され、各種のポリ(ビニルアルコール)を生成するようなコポリマーが挙げられる。好適なセルロース系材料としては、綿、レーヨン、及びこれらのブレンドが挙げられる。一部の実施形態では、基材は、プロピレンポリマー(例えば、ホモポリマー又はコポリマー)から形成される。ポリプロピレンポリマー、特にポリプロピレンホモポリマーは、非毒性、不活性、低コスト、及びそれが押出成形され、成形され、物品に形成され得る容易性などの特性により、一部の用途に特に望ましくなり得る。ポリプロピレンポリマーは、例えば、織繊維又は不織繊維の多孔質シートに形成することができる。
【0015】
一部の実施形態では、ワイプ210は、手で操作するのに快適なサイズに対応する個別の使い捨てサイズのシートである。一部の実施形態では、ワイプ210は、所望の長さのシートに切断又は分離されてもよい連続又は長尺ロール(extended roll)で提供される。一部の実施形態では、ワイプ210は、使用の準備ができたときにワイプを使用可能な部分へと分離する簡単な方法を提供するミシン目又は他の容易に引き裂くことができる機構を含む長尺ロールである。ワイプ210は、任意の好適な形状、サイズ、及び厚さであり得る。
【0016】
ワイプ210は、グアニジニル含有ポリマーコーティングを含む。グアニジニル含有ポリマーコーティングは、カチオン性ポリマーコーティングであってもよい。グアニジニル基は、ポリマー中の任意の位置に位置し得る。ほとんどの実施形態では、グアニジニル基は、ポリマーの主鎖に結合したペンダント基の一部である。しかしながら、一部の実施形態では、グアニジニル基は、ポリマーの主鎖の一部である。本明細書で使用される場合、「グアニジニル」という用語は、式-NR-C(=NR)-NRの基を指す。グアニジニル基がペンダント基の一部である場合、基Rは、水素、C~C12(ヘテロ)アルキル、又はC~C12(ヘテロ)アリールを指す。グアニジニル基がポリマーの主鎖の一部である場合、基Rは、ポリマー鎖の残基を指すことができる。各基Rは、独立して、水素、C~C12(ヘテロ)アルキル、又はC~C12(ヘテロ)アリールである。基Rは、水素、C~C12(ヘテロ)アルキル、C~C12(ヘテロ)アリール、又は式-N(Rの基である。グアニジニル基は、式-NR-C(=NR)-NR-C(=NR)-NR(式中、基R、R、及びRは、上記で定義されたものと同じである)のものであるビグアニジニル基の一部であり得る。グアニジル含有ポリマーは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,087,405号(Swansonら)に記載されている。
【0017】
液体消毒剤220は、ワイプによって担持される。好適な消毒剤としては、低級アルコール、酸化剤(例えば、過酸化水素、過酢酸、次亜塩素酸ナトリウムなど)、フェノール類、及び第四級アンモニウム化合物が挙げられる。そのような消毒剤は、ASTM E1153-14又はAOAC 961.02などの試験方法によって測定又は決定されたときに、少なくとも1つの病原体に対する所望のレベルの消毒(例えば、6log減少)を提供するために必要とされる、関連放置時間を有する。例えば、第四級アンモニウム消毒剤(「quat」消毒剤)に関連する典型的な放置時間は、10分であり得る。液体消毒剤は、すぐに使用できる形式で提供されても、使用前に水で希釈される濃縮物として提供されてもよい。一部の実施形態では、液体消毒剤は、適用時にワイプに添加される。例えば、液体消毒剤はスプレー又は噴出ディスペンサーで提供され、適用時に添加されてもよい。一部の実施形態では、ワイプは、適用時よりも前に液体消毒剤を含浸される。例えば、ワイプは、消毒剤で予め湿らせて包装することができるか、又は液体消毒剤を受け入れるバケツに入れて提供することができ、その結果、ワイプは、液体消毒剤を含浸された状態で分配される。
【0018】
表面230は、任意の好適な表面であり得る。表面230は、調理台、ドア、壁、又は床などの硬質の非多孔質表面であってもよい。多孔質表面又は吸収性表面(例えば、カーペット、室内装飾材料、又は寝具)などの他の表面が、消毒剤に応じて、適切となり得る。
【0019】
ワイプ210は、適用時に液体消毒剤220を表面230上に残し、t-誤差~t+誤差にわたって放置され、ここでtは、少なくとも1つの病原体に対する特定の液体消毒剤に関連する消毒時間であり、誤差は関連誤差であって、一部の実施形態では、最大で±40%である。
【0020】
図面中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図面中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。本発明は、前述した特定の実施形態に限定されると考えてはならないが、それは、そのような実施形態が、本発明の種々の態様の説明を容易にするために詳細に記載されているためである。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される本発明の範囲内に含まれる様々な変形形態、同等のプロセス、及び代替的デバイスを含めた、本発明の全ての態様を包含するものと理解されるべきである。
【実施例
【0021】
本開示の目的及び利点を以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例に記載の特定の材料及びその量並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものと解釈されるべきではない。
【0022】
別段の記載がない限り、実施例及び本明細書の残りの箇所における全ての部、百分率、比などは重量によるものであり、実施例において用いられる全ての試薬は、例えば、Sigma-Aldrich,St Louis,MOなどの一般化学品供給業者から入手したもの、若しくは入手可能なものであるか、又は従来法によって合成することができる。以下の略語が本節で使用される:L=リットル、mL=ミリリットル、min=分、hr=時間、g=グラム、”=インチ、cm=センチメートル、℃=摂氏度、gsm=グラム毎平方メートル、MW=分子量、rpm=回転毎分。別段の記載がない限り、実施例及び本明細書の残りの箇所における全ての部、百分率、比などは重量によるものである。
【表1】
【0023】
試験方法
微生物汚染表面からの微生物の除去の試験方法
試験方法は、米国特許第10,087,405号(Swansonら)に記載されているように実施したが、以下の変更を加えた。
【0024】
クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)ATCC3584胞子の代わりに、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC6538を、トリプシンスパイブロス(Becton,Dickinson and Company,Franklin Lakes,NJ)培地中、200rpmで振盪しながら、37℃の温度で一晩(少なくとも20時間)培養した。一晩培養した培養液(5mL)を14,000rpmで1分間遠心分離した。ペレットを乱さずに上清をピペットで除去し、5mLのバターフィールド緩衝液(3M Co.,St Paul,MN)で置き換えた。遠心分離及び緩衝液交換を更に2回繰り返した(合計3回のバターフィールド緩衝液でのすすぎ)。最後のすすぎステップで、緩衝液をピペットで除去し、汚れの負荷(soil load)として25%ウシ胎児血清(Gibco,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を含有するバターフィールド緩衝液(5mL)で置き換えた。100マイクロリットルの細菌原液を接種し、拭き取りの前に各表面上で乾燥させた。
【0025】
消毒剤溶液を、ワイプの重量の2.0~3.5倍の負荷重量で、プラスチック袋内の不織布又はワイプに添加した。例えば、2倍の負荷は、ワイプ1グラム当たり溶液2グラムであった。ハンドローラーを使用して、消毒剤溶液をプラスチック袋内の不織布全体に広げた。
【0026】
これらの実験に使用した中和ブロスは、Dey-Engley中和ブロス(Becton,Dickinson and Company,Franklin Lakes,NJ)であった。
【0027】
これらの実験では細菌胞子を使用しなかったので、熱ショック処理は実施しなかった。
【0028】
滅菌バターフィールド緩衝液(9mLフリップトップチューブ、3M Co.,St.Paul,MNから入手可能)を使用して、1:10~1:100,000,000の希釈系列を調製した。
【0029】
調製例1.25%グアニル化ポリエチレンイミン(25%G-PEI)
750,000MWのポリエチレンイミン(2037.1グラムの33%w/w水溶液、BASF Lupasol PS)及び蒸留水(約1000g)を、オーバーヘッド撹拌器を備えた12L容器に投入した。O-メチルイソ尿素ヘミサルフェート(481.1グラム、Alfa Aesar)を上記容器に添加し、十分な脱イオン水を添加して、総重量をおよそ4017グラムにした。反応混合物を周囲温度で一晩(約22時間)撹拌した。NMR分光法による分析は、グアニジンに変換されたポリエチレンイミンのアミン基の25%(主に第一級アミン基)を有する所望の生成物への変換を示した。固形分の割合は、Ohaus水分天秤(Ohaus Corporation,Parsippany,NJから入手したモデル番号MB35)を使用して24.6%であると決定された。この溶液のpHは、調節しなかった。
【0030】
実施例1.BUDGEで架橋された25%G-PEIコーティングされた不織布
グアニル化ポリエチレンイミン(GPEI;40.65グラム、固形分24.6重量%)を、蒸留水を用いて250グラムまで希釈し(溶液A)、ブタンジオールジグリシジルエーテル(4.65グラム;TCI Lot URWDG-DH)を、蒸留水で250グラムまで希釈した(溶液B)。溶液AとBとを手動で激しく混合した。得られた混合物は、2%G-PEIと、利用可能なアミンの20%と反応するのに十分な架橋剤とを含有していた。コーティング溶液(15mL)を、不織布シート(10”×12”(25.4cm×30.5cm)シート;SONTARA 8004、54gsm、100%PET)が入ったプラスチック袋に添加した。プラスチック袋を閉じ、ローラーを用いて溶液を不織布に染み込ませた。湿潤した不織布をアルミニウムパンに移し、110℃で20分間乾燥した。重量増加をコーティングの前後に測定した。合計30枚の不織布シートをコーティングした。
【0031】
比較例1.コーティングされていないワイプ
G-PEIとBUDGEとの混合物でコーティングされていないSontara 8004不織布。
【0032】
実施例2.第四級アンモニウム化合物含有消毒剤
3M HB Quat Disinfectant Cleaner Concentrate 25A(3M Co.,St.Paul,MN)を、製造業者の指示に従って、蒸留水を用いて1:365の濃度希釈比で希釈した。黄色ブドウ球菌に対する3M HB Quat Disinfectant Cleaner Concentrate 25Aの関連6log消毒時間は10分である。実施例1及び比較例1の不織布に、ワイプの重量の2.0~3.5倍の負荷をかけた。回収対照は8.30logであり、検出限界は1.0logであった。試験した個別の各ワイプについて、拭き取り後に表面が乾燥するのに要した時間及び対数減少を表1に報告する。
【表2】
【0033】
実施例3.チモール含有消毒剤
Benefect Botanical Disinfectant (Benefect Corporation,Ontario,Canada)を、すぐに使用できる溶液で入手した。黄色ブドウ球菌に対するBenefect Botanical Disinfectantの5log消毒時間は10分と公表されている。実施例1及び比較例1の不織布に、ワイプの重量の2.0~3.5倍の負荷をかけた。回収対照は8.31logであり、検出限界は1.0logであった。試験した個別の各ワイプについて、拭き取り後に表面が乾燥するのに要した時間及び対数減少を表2に報告する。
【表3】
図1
図2
【国際調査報告】