(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】C14脂肪酸およびその他の飽和脂肪酸を含む植物性脂肪組成物
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20230906BHJP
A23G 1/38 20060101ALI20230906BHJP
A23D 9/02 20060101ALI20230906BHJP
A21D 13/24 20170101ALI20230906BHJP
A21D 13/28 20170101ALI20230906BHJP
A21D 2/16 20060101ALI20230906BHJP
A23G 1/48 20060101ALI20230906BHJP
A23G 1/54 20060101ALI20230906BHJP
A21D 13/30 20170101ALI20230906BHJP
A23G 3/40 20060101ALI20230906BHJP
C11C 3/00 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A23D9/00 500
A23G1/38
A23D9/02
A21D13/24
A21D13/28
A21D2/16
A23G1/48
A23G1/54
A21D13/30
A23G3/40
C11C3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513596
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 SE2021050828
(87)【国際公開番号】W WO2022045952
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515062913
【氏名又は名称】エイエイケイ、アクチボラグ (ピーユービーエル)
【氏名又は名称原語表記】AAK AB (PUBL)
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】シモンセン ハナ ソラティ
(72)【発明者】
【氏名】アナスン モーデン ダウゴー
【テーマコード(参考)】
4B014
4B026
4B032
4H059
【Fターム(参考)】
4B014GB01
4B014GB02
4B014GG06
4B014GG07
4B014GG11
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4B032DP54
4B032DP59
4B032DP60
4H059BA26
4H059BA30
4H059BA33
4H059BB02
4H059BB03
4H059BB06
4H059BB07
4H059BC14
(57)【要約】
トリグリセリドの少なくとも一部がC14脂肪酸を含む、種々のトリグリセリドを含む植物性脂肪組成物が開示される。当該植物性脂肪組成物は、ベーカリー用途、乳製品用途、もしくは菓子用途において、またはチョコレートコーティングもしくはチョコレート類似コーティングにおいて使用するためのものである。植物性脂肪組成物を作製する方法も開示される。開示される植物性脂肪組成物は、費用効果の高い植物性脂肪組成物であることに加えて、1つの製品において組み合わされた、ココアバター代替脂(substitute)からの特性の一部とココアバター代用脂(replacer)からの特性の一部とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性脂肪組成物であって、
- 脂肪酸の総重量と比較して4重量%~50重量%のC14脂肪酸;
- 脂肪酸の総重量と比較して40重量%~95重量%の飽和脂肪酸;
- 0.40~1.00である、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比;
- トリグリセリドの総重量と比較して合計で15重量%~70重量%の、SatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;
- 1.0~5.0である、SatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比
を含み、
Satが、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸であり、Oがオレイン酸(C18:1)である、
植物性脂肪組成物。
【請求項2】
脂肪酸の総重量と比較して5重量%~40重量%のC14脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して5重量%~35重量%、例えば5重量%~30重量%、例えば6重量%~30重量%、例えば6重量%~25重量%、または例えば6重量%~20重量%のC14脂肪酸を含む、請求項1記載の植物性脂肪組成物。
【請求項3】
脂肪酸の総重量と比較して45重量%~95重量%の飽和脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して45重量%~90重量%、例えば50重量%~90重量%、例えば55重量%~90重量%、例えば60重量%~90重量%、例えば60重量%~85重量%、例えば60重量%~80重量%、例えば60重量%~75重量%、または例えば65重量%~75重量%の飽和脂肪酸を含む、前記請求項のいずれか一項記載の植物性脂肪組成物。
【請求項4】
C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比が、0.45~1.00、例えば0.50~1.00、例えば0.60~1.00、例えば0.70~1.00、または例えば0.70~0.90である、前記請求項のいずれか一項記載の植物性脂肪組成物。
【請求項5】
トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~70重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド、例えば、トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~65重量%、例えば20重量%~60重量%、例えば20重量%~55重量%の、SatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の植物性脂肪組成物。
【請求項6】
前記植物性脂肪組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比が、1.0~4.0、例えば1.0~3.0、例えば1.0~2.5、例えば1.2~2.5、または例えば1.4~2.5である、前記請求項のいずれか一項記載の植物性脂肪組成物。
【請求項7】
前記植物性脂肪組成物が、少なくとも第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物から構成され、該第1のトリグリセリド組成物が、グリセロール骨格上にランダムに分布した脂肪酸を含み、該第1のトリグリセリド組成物が
- 該第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して20重量%~90重量%のC14脂肪酸;
- 該第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で0重量%~50重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;
- 該第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して50重量%~100重量%の飽和脂肪酸;ならびに
- 0.40~1.00である、該第1のトリグリセリド組成物におけるC12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比
を含み、
該第2のトリグリセリド組成物が
- 該第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~80重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;
- 該第2のトリグリセリド組成物におけるトリグリセリドの総重量と比較して合計で30重量%~90重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;ならびに
- 1.0~5.0である、該第2のトリグリセリド組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比
を含み、
Satが、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸であり、Oがオレイン酸(C18:1)である、
前記請求項のいずれか一項記載の植物性脂肪組成物。
【請求項8】
前記第1のトリグリセリド組成物が、前記第1のトリグリセリド組成物および前記第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して5重量%~80重量%の量で含まれる、請求項7記載の植物性脂肪組成物。
【請求項9】
前記第2のトリグリセリド組成物が、前記第1のトリグリセリド組成物および前記第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して20重量%~95重量%の量で含まれる、請求項7または8記載の植物性脂肪組成物。
【請求項10】
非ラウリン系である、請求項1~9のいずれか一項記載の植物性脂肪組成物。
【請求項11】
ベーカリー用途、乳製品用途、もしくは菓子用途のための、またはビスケット用途、ケーキ用途、マフィン用途、ドーナツ用途、ペストリー用途、もしくはパン用途より選択されるベーカリー用途もしくは菓子用途などのベーカリー用途もしくは菓子用途のためのコーティングもしくはエンロービングにおける;またはベーカリーフィリングおよび菓子フィリングなどのフィリングにおける;またはチョコレートコーティングおよびチョコレート類似コーティングのための;または室温で塗ることができるチョコレートスプレッドもしくはチョコレート類似スプレッドのための、請求項1~10のいずれか一項記載の植物性脂肪組成物の使用。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項記載の植物性脂肪組成物を得る方法であって、第1のトリグリセリド組成物と第2のトリグリセリド組成物とを混合する工程を含み、
該第1のトリグリセリド組成物が、該第1のトリグリセリド組成物および該第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して5重量%~80重量%の量で添加され、該第2のトリグリセリド組成物が、該第1のトリグリセリド組成物および該第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して20重量%~95重量%の量で添加され、
該第1のトリグリセリド組成物が、グリセロール骨格上にランダムに分布した脂肪酸を含み、該第1のトリグリセリド組成物が
- 該第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して20重量%~90重量%のC14脂肪酸;
- 該第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で0重量%~50重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;
- 該第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して50重量%~100重量%の飽和脂肪酸;
- 0.40~1.00である、該第1のトリグリセリド組成物におけるC12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比
を含み、
該第2のトリグリセリド組成物が
- 該第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~80重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;
- 該第2のトリグリセリド組成物におけるトリグリセリドの総重量と比較して合計で30重量%~90重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;
- 1.0~5.0である、該第2のトリグリセリド組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比
を含み、
Satが、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸であり、Oがオレイン酸(C18:1)であり、それにより請求項1~9のいずれか一項記載の植物性脂肪組成物が得られる、方法。
【請求項13】
25重量%~70重量%、例えば25重量%~60重量%、例えば25重量%~50重量%、例えば25重量%~40重量%、例えば28重量%~40重量%の請求項1~10のいずれか一項記載の植物性脂肪組成物を含む、菓子またはチョコレートまたはチョコレート類似製品。
【請求項14】
0.1%~2%のソルビタントリステアレート(STS)を含む、請求項13記載の菓子またはチョコレート類似製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、トリグリセリドの少なくとも一部がC14脂肪酸を含む、種々のトリグリセリドを含む植物性脂肪組成物に関する。本発明は、ベーカリー用途、乳製品用途、もしくは菓子用途、またはチョコレートコーティングもしくはチョコレート類似コーティングにおける植物性脂肪組成物の使用、および該植物性脂肪組成物を作製する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
工業的なトランス不飽和脂肪酸の主な摂取源は、部分水素添加植物油である。食品供給からの部分水素添加植物油の除去は、実質的な健康上の利益をもたらすであろうと、World Health Organizationは主張している。
【0003】
2015年6月に、部分水素添加油(PHO)が、人間の食料において使用するために「一般的に安全と認められる(generally recognized as safe)」ものではないと決定された後、食品医薬品局は、2018年6月までに製品からそれらを除去するよう食料製造業者に要求した。
【0004】
欧州連合には、現在、食品中のトランス不飽和脂肪酸の含量を規制したり、その表示を要求したりする法律がない。従って、製品が部分水素添加油を含有する(従って、トランス不飽和脂肪酸を含有する可能性がある)場合、そのラベルは、そのことを示すが、その製品に存在するトランス不飽和脂肪酸の正確な量は示さないであろう。
【0005】
しかしながら、食料中の工業的に作製されたトランス不飽和脂肪酸に法的制限を設定するEU加盟国は増えてきており、これをEU全体の慣行として確立することを求める圧力が高まっている。ノントランス不飽和脂肪酸に関するこの法律の傾向は、EUおよび米国に存在するだけでなく、世界中に広がっている。ロシアでは、2018年1月から、法律によって、安全性パラメータ「脂肪酸のトランス異性体」が製品の脂肪含量の20%から2%に変更された。
【0006】
法律による高トランスココアバター代用脂(cocoa butter replacer、CBR)から低/無トランスCBRへの世界的な転換の増加は、高トランスCBRの菓子製造業者にとって、特に、そのような製品の優れた特性を維持しながらトランス含有用途を制限/排除するためには、大きな課題となるであろう。
【0007】
さらに、既に高トランスCBRから低トランスCBRソリューションに切り替えた顧客は、油脂製造業者からの種々のソリューションに完全には満足していないようである。
【0008】
高トランスCBRの使用には、短い固化時間、高い光沢、高いココアバター(CB)許容量、および非ラウリン性製品(即ち、脂肪酸がラウリン酸を含有しない)という長所があるが、高いトランス不飽和脂肪酸含量という明白な短所がある。
【0009】
低トランス(またはノントランス)CBRの使用には、トランス不飽和脂肪酸の含量が低いか、全くなく、CBと比較して類似した飽和脂肪酸含量を含有するという長所があるが、全て高トランスCBRと比較して、固化時間がより長く、最終製品の光沢がより少なく、ココアバター許容量がより低く、融解性がより乏しいという短所がある。
【0010】
ハイエンドのココアバター代替脂(cocoa butter substitute、CBS)の使用には、固化時間が極めて短く、最終製品の光沢が高く、融解性が良好であるという長所があるが、CB許容量が低く、SAFA量が90重量%以上と高く、ラウリン酸(C12:0)の量が比較的多いため、コンパウンドライン上の過程が十分に制御されない場合、石鹸臭のリスクの可能性があり、CBR製品へのCBS製品の混入のリスクのため、同じコンパウンドラインにおいてCBR製品とCBS製品とを交換するための柔軟性が乏しいという短所がある。
【0011】
上記の理由から、植物油製造業者は、現在、CBSからの最適な機能(例えば、速い固化時間および高い光沢)と、CBRからの魅力的な機能性(例えば、石鹸味のリスクがなく、SAFA含量がより低く、クリーンラベル(即ち、トランス不飽和脂肪酸の含量が低いか、全くないこと)を維持できる可能性があること)とを併せ持つことができる製品を探求している。
【0012】
従って、本発明の主な目的は、CBSからの最適な機能と、CBRからの魅力的な機能性とを併せ持つ植物性脂肪製品を提供することである。
【0013】
別の目的は、石鹸臭のリスクが低く、既に市販されているCBB製品と価格が比較可能である植物性脂肪製品であって、植物性脂肪組成物の形態であり、費用効果も高い植物性脂肪製品を提供することである。
【0014】
さらに別の目的は、そのような脂肪組成物の多数の用途を提供することである。
【発明の概要】
【0015】
第1の局面において、植物性脂肪組成物であって、脂肪酸の総重量と比較して4重量%~50重量%のC14脂肪酸;脂肪酸の総重量と比較して40重量%~95重量%の飽和脂肪酸;0.40~1.00である、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比;トリグリセリドの総重量と比較して合計で15重量%~70重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;1.0~5.0である、SatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比を含み、Satが、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸であり、Oがオレイン酸(C18:1)である、植物性脂肪組成物が、本明細書に開示される。
【0016】
本発明の植物性脂肪組成物は、速い結晶化速度および高い光沢などの、CBSからの特性の一部と;ラウリン酸(C12:0)ならびに低分子量脂肪酸(例えば、C10およびC8)の含量が比較的低いため、石鹸味のリスクがないか、または低いことなどの、CBRからの特性の一部との組み合わせを、1つの製品の中に有する。さらに、開示される植物性脂肪組成物は、現在市販されている製品と比較して少なくとも比較可能な価格を有する費用効果の高い植物性脂肪組成物でもある。
【0017】
第2の局面において、ベーカリー用途、乳製品用途、もしくは菓子用途のための、またはビスケット用途、ケーキ用途、マフィン用途、ドーナツ用途、ペストリー用途、もしくはパン用途より選択されるベーカリー用途もしくは菓子用途などのベーカリー用途もしくは菓子用途のためのコーティングもしくはエンロービングにおける;またはベーカリーフィリングおよび菓子フィリングなどのフィリングにおける;またはチョコレートコーティングおよびチョコレート類似コーティングのための;または室温で塗ることができるチョコレートスプレッドもしくはチョコレート類似スプレッドのための、第1の局面による植物性脂肪組成物の使用が、本明細書に開示される。
【0018】
第3の局面において、第1のトリグリセリド組成物と第2のトリグリセリド組成物とを混合する工程を含む、第1の局面による植物性脂肪組成物を得る方法であって、第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して5重量%~80重量%の量で添加され、第2のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して20重量%~95重量%の量で添加され;第1のトリグリセリド組成物が、グリセロール骨格上にランダムに分布した脂肪酸を含み、第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して20重量%~90重量%のC14脂肪酸;第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で0重量%~50重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して50重量%~100重量%の飽和脂肪酸;ならびに0.40~1.00である、第1のトリグリセリド組成物におけるC12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比を含み、第2のトリグリセリド組成物が、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~80重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;第2のトリグリセリド組成物におけるトリグリセリドの総重量と比較して合計で30重量%~90重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;ならびに1.0~5.0である、第2のトリグリセリド組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比を含み、Satが、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸であり、Oがオレイン酸(C18:1)であり、第1の局面による植物性脂肪組成物が得られる、方法が、本明細書に開示される。
【0019】
第4の局面において、25重量%~70重量%、例えば25重量%~60重量%、例えば25重量%~50重量%、例えば25重量%~40重量%、例えば28重量%~40重量%の第1の態様による植物性脂肪組成物を含む、菓子またはチョコレートまたはチョコレート類似製品が、本明細書に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本明細書において使用されるように、「植物性」という用語は、植物または単細胞生物に由来するものと理解される。従って、植物性脂肪または植物性トリグリセリドは、該トリグリセリドまたは脂肪を得るために使用された全ての脂肪酸が、植物または単細胞生物に由来するものである場合にも、植物性脂肪または植物性トリグリセリドとして理解されるべきである。
【0021】
飽和脂肪酸(SAFA)とは、最大数の水素原子が鎖内の各炭素原子に付着している、単結合によってつながれた炭素原子の鎖である。不飽和脂肪酸とは、水素原子の割り当てが完全には付着していない、単結合および変動する数の二重結合によってつながれた炭素原子の鎖である。不飽和酸は、シス型およびトランス型という2つの形態で存在し得る。二重結合は、トランスまたはシスの2つの可能な配置のうちの1つを示すことができる。トランス配置(トランス脂肪酸)においては、炭素鎖が二重結合の反対側から伸び、一方、シス配置(シス脂肪酸)においては、炭素鎖が二重結合の同じ側から伸びる。トランス脂肪酸は、より直線的な分子である。シス脂肪酸は、折れ曲がった分子である。
【0022】
本願において、「Sat」とは、飽和脂肪酸のサブグループを意味する。本明細書において「Sat」と呼ばれる飽和脂肪酸は、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸である。式SatSatO、SatOSat等のトリグリセリドに含まれ、SatOSatに対するSatSatOの比で言及される脂肪酸は、同一の飽和脂肪酸であってもよいし、異なる飽和脂肪酸であってもよい。Oは、不飽和脂肪酸であるオレイン酸である。
【0023】
AはX~Yであると記述する時などの、ある値が、ある範囲内にあるという用語法の使用は、値XおよびYの両方も、その範囲に含まれることを意味する。そのような範囲は、AはXからYまでの量であると記述する範囲と同様に開示されていると見なされる。その記載の一例として、0.40~1.00である、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比とは、0.40および1.00の両方が0.40から1.00までの範囲に含まれることを意味し、従って、両端を含むそのような範囲内の全ての数を開示している。他に特記されない限り、本明細書に開示される全ての範囲について、同様である。
【0024】
CXという命名法の使用は、脂肪酸がX個の炭素原子を含むことを意味し、例えば、C14脂肪酸は14個の炭素原子を有し、C16脂肪酸は16個の炭素原子を有する。
【0025】
CX:Yという命名法の使用は、脂肪酸がX個の炭素原子およびY個の二重結合を含むことを意味し、例えば、C14:0脂肪酸は14個の炭素原子および0個の二重結合を有し、C18:1脂肪酸は18個の炭素原子および1個の二重結合を有する。
【0026】
C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比とは、C14脂肪酸の重量をC12脂肪酸およびC14脂肪酸の重量の合計で割ったもの(C14/(C12+C14))を意味する。
【0027】
SatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比とは、SatSatOトリグリセリドの重量をSatOSatトリグリセリドの重量で割ったもの(SatSatO/SatOSat)を意味する。
【0028】
本明細書において使用されるように、「%」または「百分率」は、他に示されない場合、重量百分率、即ち、重量%(wt.%またはwt.-%)に関する。
【0029】
本明細書において使用されるように、「植物油」および「植物性脂肪」は、他に特記されない限り、交換可能に使用される。
【0030】
本明細書において使用されるように、「単細胞油」という用語は、酵母、カビ(真菌)、細菌、および微細藻類の種である油性微生物に由来する油を意味する。これらの単細胞油は、細胞内で、大部分の場合、特定の増殖条件(例えば、窒素が制限されており、同時に炭素源が過剰である条件)で、定常増殖期に産生される。油性微生物の例は、モルチエレラ・アルピネア(Mortierella alpineea)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シゾキトリウム(Schizochytrium)、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)、クロレラ(Chlorella)、クリプテコジニウム・コーニ(Crypthecodinium cohnii)、シュワネラ(Shewanella)であるが、これらに限定されるわけではない。
【0031】
本明細書において使用されるように、「ココアバター代用脂」とは、ココアバターとは有意に異なるトリグリセリド組成を有する食用脂肪を意味するものとする。ココアバター代用脂は、そのトリグリセリド組成に高いトランス脂肪酸を含むこともあるし、低いトランス脂肪酸を含み、さらにはトランス脂肪酸を含まないこともある。ココアバター代用脂は、中程度~小さい比でのみココアバターと混合可能である。さらに、チョコレートとは対照的に、ココアバター代用脂ベースのコンパウンドは、許容される貯蔵寿命を有する最終製品を得るために、成形、コーティング、またはエンロービングの前に、テンパリングとして公知の異なる温度での処理を受ける必要がない。
【0032】
本明細書において使用されるように、「食用」とは、食料として、または乳製品もしくは菓子製品などの食品の一部として使用するために適当なものである。
【0033】
菓子分野の製品および方法については、"Chocolate,Cocoa and Confectionery",B.W.Minifie,Aspen Publishers Inc.,3.Edition 1999を参照すること。
【0034】
食品とは、人間が消費するための製品である。製品の重要な群は、ココアバターおよびココアバター類似脂肪が使用されているものである。
【0035】
チョコレートまたはチョコレート類似製品とは、少なくとも、チョコレートとして、またはチョコレートと共通の感覚的特徴、例えば、融解プロファイル、味等を有する菓子製品として、消費者が経験する製品を意味する。一部のチョコレートは、典型的には、実質的な量のココアバターを含み、一部のチョコレート類似製品は、例えば、ココアバターをココアバター同等品、ココアバター代替脂等に置き換えることによって、少量のココアバターを用いて、またはさらにはココアバターなしで作製され得る。さらに、多くのチョコレートまたはチョコレート類似製品は、ココアパウダーまたはカカオマスを含むが、典型的なホワイトチョコレートなどの一部のチョコレートまたはチョコレート類似製品は、ココアパウダーなしで、例えば、ココアバターからチョコレート味を取り出して作製され得る。国および/または地域によって、製品をチョコレートとして販売するためには、様々な制約が存在し得る。
【0036】
「含む(comprising)」または「含む(to comprise)」という用語は、記述された部分、工程、特色、または成分の存在を指定するものとして解釈されるべきであるが、1つまたは複数の付加的な部分、工程、特色、または成分の存在を排除するものではない。
【0037】
本明細書において使用されるように、「および/または」という用語は、合同的な使用(「および」)および排他的な使用(「または」)を意味するものとし、即ち、「Aおよび/またはB」は、「Aのみ、またはBのみ、またはAおよびBの両方」を意味するものとする。
【0038】
発明の詳細な説明
以下の態様を記載する時、本発明は、以下に記載される態様と、前記の開示された局面との全ての可能な組み合わせおよび並べ替えを構想する。
【0039】
本発明は、植物性脂肪組成物であって、脂肪酸の総重量と比較して4重量%~50重量%のC14脂肪酸;脂肪酸の総重量と比較して40重量%~95重量%の飽和脂肪酸;0.40~1.00である、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比;トリグリセリドの総重量と比較して合計で15重量%~70重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;1.0~5.0である、SatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比を含み、Satが、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸であり、Oがオレイン酸(C18:1)である、植物性脂肪組成物に関する。
【0040】
1つまたは複数の態様において、Satは、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より個々に選択される飽和脂肪酸である。
【0041】
C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される、とは、SatSatOおよびSatOSatの中の「Sat」が、同じ飽和脂肪酸より選択されることを意味し、即ち、SatSatOは、例えば、C16C16O(PPO)またはC18C18O(SSO)であり得る。C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より個々に選択される、とは、SatSatOおよびSatOSatの中の「Sat」が、それ自体、同じ飽和脂肪酸であるよう選択されないことを意味し、即ち、SatSatOは、例えば、C16C18O(PSO)またはC18C16O(SPO)であり得る。
【0042】
1つまたは複数の態様において、Satは、C16脂肪酸およびC18脂肪酸より選択される飽和脂肪酸である。
【0043】
1つまたは複数の態様において、Satは、C16脂肪酸およびC18脂肪酸より個々に選択される飽和脂肪酸である。
【0044】
1つまたは複数の態様において、C14脂肪酸は、飽和脂肪酸(C14:0)である。C14:0脂肪酸は、ミリスチン酸としても公知である。
【0045】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して5重量%~40重量%のC14脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して5重量%~35重量%、例えば5重量%~30重量%、例えば6重量%~30重量%、例えば6重量%~25重量%、または例えば6重量%~20重量%のC14脂肪酸を含む。
【0046】
脂肪酸の総重量と比較して5重量%~40重量%のC14脂肪酸とは、植物性脂肪組成物のトリグリセリドの中の脂肪酸の総重量の5%~40%が、C14脂肪酸に由来することを意味する。
【0047】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して6重量%~25重量%のC14脂肪酸を含む。1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して6重量%~20重量%のC14脂肪酸を含む。
【0048】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して45重量%~95重量%の飽和脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して45重量%~90重量%、例えば50重量%~90重量%、例えば55重量%~90重量%、例えば60重量%~90重量%、例えば60重量%~85重量%、例えば60重量%~80重量%、例えば60重量%~75重量%、または例えば65重量%~75重量%の飽和脂肪酸を含む。
【0049】
脂肪酸の総重量と比較して45重量%~95重量%の飽和脂肪酸とは、植物性脂肪組成物のトリグリセリドの中の脂肪酸の総重量の45%~95%が、飽和脂肪酸であることを意味する。飽和脂肪酸とは、前記の定義に従って、最大数の水素原子が鎖内の各炭素原子に付着している、単結合によってつながれた炭素原子の鎖である。
【0050】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して60重量%~75重量%の飽和脂肪酸を含む。1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して65重量%~75重量%の飽和脂肪酸を含む。
【0051】
1つまたは複数の態様において、飽和脂肪酸の量は、ココアバターの中の飽和脂肪酸の量と比較可能である。
【0052】
ココアバターと比較可能とは、植物性脂肪組成物における飽和脂肪酸レベルが、ココアバターに見出される飽和脂肪酸レベルと類似していることを意味する。ココアバターは、57%~64%の飽和脂肪酸および36%~43%の不飽和脂肪酸を含む。これは、1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物が、脂肪酸の総重量と比較して57重量%~64重量%の飽和脂肪酸を含むことを意味する。
【0053】
1つまたは複数の態様において、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比(C14/(C12+C14))は、0.45~1.00、例えば0.50~1.00、例えば0.60~1.00、例えば0.70~1.00、または例えば0.70~0.90である。1つまたは複数の態様において、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比は、0.50~1.00である。1つまたは複数の態様において、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比は、0.70~0.90である。
【0054】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~70重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド、例えば、トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~65重量%、例えば20重量%~60重量%、例えば20重量%~55重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリドを含む。
【0055】
トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~70重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリドとは、SatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリドの総量が、植物性脂肪組成物のトリグリセリドの総重量の20%~70%であることを意味する。
【0056】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~55重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリドを含む。
【0057】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比は、1.0~4.0、例えば1.0~3.0、例えば1.0~2.5、例えば1.2~2.5、または例えば1.4~2.5である。1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比は、1.4~2.5である。
【0058】
前記態様のいずれかにおいて、トリグリセリドの中のSatOSatに対するSatSatOの比は、1.0~5.0であってよく、ここで、SatSatOは、非対称異性体として2個の飽和脂肪酸および1個のオレイン酸(不飽和脂肪酸)を含む非対称ジ飽和トリグリセリドであり、SatOSatは、対称異性体として2個の飽和脂肪酸および1個のオレイン酸を含む対称ジ飽和トリグリセリドである。
【0059】
植物性組成物におけるSatSatO/SatOSat比は、測定/計算され得る。SatOSatに対するSatSatOの比とは、SatSatOトリグリセリドの重量をSatOSatトリグリセリドの重量で割ったもの(SatSatO/SatOSat)を意味し、ここで、Satは飽和脂肪酸を意味し、Oはオレイン酸を意味する。SatSatOは、飽和脂肪酸がsn1位およびsn2位を占め、オレイン酸がsn3位を占めるか;または飽和脂肪酸がsn2位およびsn3位を占め、オレイン酸がsn1位を占める非対称ジ飽和トリグリセリドである。SatOSatは、飽和脂肪酸がsn1位およびsn3位を占め、オレイン酸がsn2位を占める対称ジ飽和トリグリセリドである。
【0060】
【0061】
一般に、トリグリセリドは、立体特異的番号付けを表す「sn」表記を使用する。天然L-グリセロール誘導体のフィッシャー投影式においては、第2ヒドロキシル基がC-2の左側に示され;次いで、その上の炭素原子がC-1となり、下の炭素原子がC-3となる。接頭辞「sn」は、化合物の語幹名の前に置かれる。
【0062】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して6重量%~25重量%のC14脂肪酸;脂肪酸の総重量と比較して60重量%~75重量%の飽和脂肪酸;0.50~1.00である、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比;トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~55重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;1.4~2.5である、SatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比を含む。1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して6重量%~20重量%のC14脂肪酸;脂肪酸の総重量と比較して65重量%~75重量%の飽和脂肪酸;0.70~0.90である、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比;トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~55重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;1.4~2.5である、SatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比を含む。
【0063】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、20以下、例えば19以下、例えば18以下、例えば17以下、例えば16以下、または例えば15以下の、35℃における固体脂含量(SFC)値を有し、ここで、固体脂含量は、IUPAC 2.150aによって測定される。
【0064】
固体脂含量(SFC)とは、温度勾配上の全脂肪に対する結晶(固)相の脂肪の百分率(残りは液相)の尺度である。理論上、SFC値は、0から100までの任意の数であり得るが、その方法において使用される機器の検出限界のため、実際の範囲は、およそ0.5~98である。
【0065】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、20以上、例えば30以上、例えば40以上、例えば50以上、例えば60以上、例えば80以上、または例えば85以上の、20℃における固体脂含量(SFC)値を有し、ここで、固体脂含量はIUPAC 2.150aによって測定される。1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、20以下、例えば18以下、例えば16以下、例えば14以下、例えば12以下、または例えば10以下の、40℃における固体脂含量(SFC)値を有し、ここで、固体脂含量はIUPAC 2.150aによって測定される。
【0066】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、単細胞生物に由来しない。
【0067】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して20重量%以下のC12脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して18重量%以下、例えば16重量%以下、例えば14重量%以下、例えば12重量%以下、例えば10重量%以下、例えば7重量%以下、または例えば5重量%以下のC12脂肪酸を含む。
【0068】
脂肪酸の総重量と比較して20重量%以下のC12脂肪酸とは、植物性脂肪組成物のトリグリセリドの中の脂肪酸の総重量の20%以下がC12脂肪酸に由来することを意味する。
【0069】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、非ラウリン系であり、即ち、C12脂肪酸を含まない。
【0070】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して15重量%以下のトランス不飽和脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して10重量%以下、例えば5重量%以下、例えば2重量%以下、または例えば1重量%以下のトランス不飽和脂肪酸を含む。
【0071】
脂肪酸の総重量と比較して15重量%以下のトランス不飽和脂肪酸とは、植物性脂肪組成物のトリグリセリドの中の脂肪酸の総重量の15%以下が、トランス不飽和脂肪酸に由来することを意味する。
【0072】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、ノントランス植物性脂肪組成物である。
【0073】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、水素添加されていない。
【0074】
水素添加とは、不飽和脂肪酸を部分的に飽和させる過程である。水素添加されていない(Non-hydrogenated)とは、水素添加されていない(not hydrogenated)、または水素化されていない(un-hydrogenated)ことを意味する。不飽和脂肪酸を(例えば、触媒、水素、および熱の組み合わせを含む)水素添加の過程に供することによって、二重結合が開き、水素原子が炭素原子に結合し、従って、二重結合が飽和する。不飽和油の大部分は、そのまま(その二重結合構造に)残るか、または対応する飽和脂肪酸に変換されるが、二重結合の一部は、水素添加過程中に開き、次いで、別の二重結合配置で再び閉じられ、従って、シス脂肪酸をトランス脂肪酸に、またはトランス脂肪酸をシス脂肪酸に変換することがある。水素添加されていない植物性脂肪組成物とは、水素添加されていない脂肪酸のみを含む組成物であり、即ち、該組成物の中の脂肪酸に対して水素添加の過程が実施されていない。
【0075】
水素添加されていない植物性脂肪組成物である植物性脂肪組成物は、CBSからの特性とCBRからの特性の一部とを得ながらも、クリーンラベルを維持する植物性脂肪組成物である。
【0076】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して少なくとも5重量%の不飽和脂肪酸、例えば、不飽和脂肪酸の総重量と比較して少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%、または、例えば、少なくとも20重量%の不飽和脂肪酸を含む。
【0077】
脂肪酸の総重量と比較して少なくとも5重量%の不飽和脂肪酸とは、植物性脂肪組成物のトリグリセリドの中の脂肪酸の総重量の少なくとも20%が、不飽和脂肪酸に由来することを意味する。
【0078】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して60重量%以下の不飽和脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して50重量%以下、例えば40重量%以下、例えば30重量%以下、または例えば20重量%以下の不飽和脂肪酸を含む。1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して5重量%~60重量%の不飽和脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して10重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%、例えば15重量%~40重量%、例えば15重量%~35重量%、例えば20重量%~35重量%、または例えば25重量%~35重量%の不飽和脂肪酸を含む。
【0079】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して5重量%~60重量%のC16脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して10重量%~58重量%、例えば10重量%~56重量%、例えば10重量%~54重量%、例えば10重量%~52重量%、または例えば15重量%~52重量%のC16脂肪酸を含み、ここで、C16脂肪酸はC16:0(パルミチン酸)、C16:1(パルミトレイン酸)、またはそれらの組み合わせより選択される。
【0080】
5重量%~60重量%のC16脂肪酸とは、トリグリセリドの中の脂肪酸の総重量の5%~60%が、C16脂肪酸に由来することを意味し、ここで、C16脂肪酸はパルミチン酸、パルミトレイン酸、またはそれらの組み合わせより選択される。
【0081】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して5重量%~40重量%のC18脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して10重量%~40重量%、例えば15重量%~40重量%、例えば20重量%~40重量%のC18脂肪酸を含み、ここで、C18脂肪酸はC18:0(ステアリン酸)、C18:1(オレイン酸)、C18:2(リノール酸)、またはそれらの組み合わせより選択される。
【0082】
5重量%~60重量%のC18脂肪酸とは、トリグリセリドの中の脂肪酸の総重量の5%~60%が、C18脂肪酸に由来することを意味し、ここで、C18脂肪酸はステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、またはそれらの組み合わせより選択される。
【0083】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、脂肪酸の総重量と比較して0重量%~25重量%、例えば5%~25%、例えば5%~20%、または例えば10%~20%のステアリン酸(C18:0)を含む。
【0084】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、ココアバター代用脂(CBR)である。
【0085】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、少なくとも第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物から構成され、ここで、第1のトリグリセリド組成物は、グリセロール骨格上にランダムに分布した脂肪酸を含み、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して20重量%~90重量%のC14脂肪酸;第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で0重量%~50重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して50重量%~100重量%の飽和脂肪酸;ならびに0.40~1.00である、第1のトリグリセリド組成物におけるC12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比を含み、第2のトリグリセリド組成物は、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~80重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;第2のトリグリセリド組成物におけるトリグリセリドの総重量と比較して合計で30重量%~90重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;ならびに、1.0~5.0である、第2のトリグリセリド組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比を含み、SatはC16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸であり、Oはオレイン酸(C18:1)である。
【0086】
1つまたは複数の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して5重量%~80重量%の量である。
【0087】
第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して5重量%~80重量%の量である第1のトリグリセリド組成物とは、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の両方の総重量の5%~80%が、第1のトリグリセリド組成物に由来することを意味する。
【0088】
1つまたは複数の態様において、第2のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して20重量%~95重量%の量である。
【0089】
第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して20重量%~95重量%の量である第2のトリグリセリド組成物とは、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の両方の総重量の20%~95%が、第2のトリグリセリド組成物に由来することを意味する。
【0090】
第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物から構成される植物性脂肪組成物は、第1のトリグリセリド組成物が5%~80%の重量範囲にあり、第2のトリグリセリド組成物が20%~95%の重量範囲にある限り、第1のトリグリセリド組成物と第2のトリグリセリド組成物との混合の任意の組み合わせによって得られ得る。
【0091】
1つまたは複数の態様において、以下の態様によって例示されるように、第1および第2の組成物の総量は、100に等しい。
【0092】
1つまたは複数の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して5重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して95重量%の量である。これは、第1および第2のトリグリセリド組成物の組み合わせが、植物性脂肪組成物の100重量%を構成し、この重量の5%が第1の組成物に由来し、95%が第2の組成物に由来することを意味する。別の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して10重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して90重量%の量である。さらに別の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して15重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して85重量%の量である。さらに別の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して20重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して80重量%の量である。さらに別の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して80重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して20重量%の量である。1つまたは複数の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して75重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して25重量%の量である。別の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して70重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して30重量%の量である。さらに別の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して65重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して35重量%の量である。別の態様において、第1および第2のトリグリセリド組成物の組み合わせは、植物性脂肪組成物の100重量%を構成せず、最終的な植物性脂肪組成物を得るため、付加的な脂肪組成物が混合物に添加される。
【0093】
1つまたは複数の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して30重量%~80重量%のC14脂肪酸、例えば、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して30重量%~75重量%、例えば30重量%~70重量%、例えば30重量%~65重量%、例えば30重量%~60重量%、または例えば35重量%~60重量%のC14脂肪酸を含む。
【0094】
1つまたは複数の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で0重量%~40重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸、例えば、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で0重量%~30重量%、または例えば0重量%~10重量%の、飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸を含む。
【0095】
1つまたは複数の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して60重量%~100重量%の飽和脂肪酸、例えば、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して70重量%~100重量%、または例えば75重量%~100重量%の飽和脂肪酸を含む。
【0096】
1つまたは複数の態様において、第1のトリグリセリド組成物において、第1のトリグリセリド組成物におけるC12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比(C14/(C12/C14))は、0.45~1.00、例えば0.50~1.00、例えば0.55~1.00、または例えば0.70~1.00である。
【0097】
1つまたは複数の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して45重量%以下の飽和C12脂肪酸を含む。
【0098】
1つまたは複数の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して40重量%以下の飽和C12脂肪酸、例えば、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して35重量%以下、例えば30重量%以下、例えば25重量%以下、例えば20重量%以下、例えば15重量%以下、または例えば10重量%以下の飽和C12脂肪酸を含む。
【0099】
1つまたは複数の態様において、第1のトリグリセリド組成物は、バブサ(Babussa)油またはニクズク油より選択されない。
【0100】
1つまたは複数の態様において、第2のトリグリセリド組成物は、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~75重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸、例えば、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で35重量%~75重量%、例えば40重量%~75重量%、または例えば45重量%~75重量%の、飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸を含む。
【0101】
1つまたは複数の態様において、第2のトリグリセリド組成物は、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~80重量%の飽和C16脂肪酸および飽和C18脂肪酸、例えば、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~75重量%、例えば35重量%~75重量%、例えば40重量%~75重量%、または例えば45重量%~75重量%の、飽和C16脂肪酸および飽和C18脂肪酸を含む。
【0102】
1つまたは複数の態様において、第2のトリグリセリド組成物は、第2のトリグリセリド組成物におけるトリグリセリドの総重量と比較して合計で35重量%~90重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド、例えば、第2のトリグリセリド組成物におけるトリグリセリドの総重量と比較して合計で35重量%~85重量%、例えば40重量%~85重量%、例えば35重量%~80重量%、例えば40重量%~75重量%、例えば50重量%~75重量%、または例えば50重量%~70重量%の、SatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリドを含む。
【0103】
1つまたは複数の態様において、第2のトリグリセリド組成物において、第2のトリグリセリド組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比は、1.0~4.0、例えば1.5~4.0、例えば1.5~3.0、例えば1.5~2.5、例えば1.8~2.5である。
【0104】
1つまたは複数の態様において、第2のトリグリセリド組成物は、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して20重量%以下の飽和C12脂肪酸、例えば、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して15重量%以下、例えば10重量%以下、または例えば5重量%以下の飽和C12脂肪酸を含む。
【0105】
1つまたは複数の態様において、第2のトリグリセリド組成物は、パーム油、パーム油画分、シア油、シア油画分、またはそれらの組み合わせから得られる。
【0106】
1つまたは複数の態様において、植物性脂肪組成物は、ビスケット用途、ケーキ用途、マフィン用途、ドーナツ用途、ペストリー用途、またはパン用途などのベーカリー用途、乳製品用途、または菓子用途において使用するためのものである。別の態様において、植物性脂肪組成物は、チョコレートコーティングまたはチョコレート類似コーティングなどのチョコレート用途またはチョコレート類似用途の成形、コーティング、エンロービング、またはフィリングにおいて使用するためのものである。
【0107】
第2の局面による1つまたは複数の態様において、ベーカリー用途または菓子用途は、ビスケット用途、ケーキ用途、マフィン用途、ドーナツ用途、ペストリー用途、またはパン用途より選択される。
【0108】
植物性脂肪組成物が菓子またはチョコレート類似製品において使用するためのものである1つまたは複数の態様において、菓子またはチョコレート類似製品は、0.1%~2%のソルビタントリステアレート(STS)を含む。別の態様において、菓子またはチョコレート類似製品は、ソルビタントリステアレート(STS)を含まない。
【0109】
態様を記載する時、全ての可能な態様の組み合わせおよび並べ替えが明示的に記載されているわけではない。にも関わらず、ある特定の尺度(measures)が、相互に異なる従属請求項において列挙されているか、または異なる態様において記載されているという単なる事実は、これらの尺度の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。本発明は、記載された態様の全ての可能な組み合わせおよび並べ替えを構想する。
【0110】
本発明は、以下の非限定的な項においてさらに説明される。
【0111】
1. 植物性脂肪組成物であって、
- 脂肪酸の総重量と比較して4重量%~50重量%のC14脂肪酸;
- 脂肪酸の総重量と比較して40重量%~95重量%の飽和脂肪酸;
- 0.40~1.00である、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比;
- トリグリセリドの総重量と比較して合計で15重量%~70重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;
- 1.0~5.0である、SatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比
を含み、SatがC16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸であり、Oがオレイン酸(C18:1)である、植物性脂肪組成物。
【0112】
2. Satが、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より個々に選択される飽和脂肪酸である、項1に記載の植物性脂肪組成物。
【0113】
3. Satが、C16脂肪酸およびC18脂肪酸より選択される飽和脂肪酸である、項1に記載の植物性脂肪組成物。
【0114】
4. Satが、C16脂肪酸およびC18脂肪酸より個々に選択される飽和脂肪酸である、項3に記載の植物性脂肪組成物。
【0115】
5. 脂肪酸の総重量と比較して5重量%~40重量%のC14脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して5重量%~35重量%、例えば5重量%~30重量%、例えば6重量%~30重量%、例えば6重量%~25重量%、または例えば6重量%~20重量%のC14脂肪酸を含む、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0116】
6. 脂肪酸の総重量と比較して6重量%~25重量%のC14脂肪酸を含む、項5に記載の植物性脂肪組成物。
【0117】
7. 脂肪酸の総重量と比較して6重量%~20重量%のC14脂肪酸を含む、項5に記載の植物性脂肪組成物。
【0118】
8. 脂肪酸の総重量と比較して45重量%~95重量%の飽和脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して45重量%~90重量%、例えば50重量%~90重量%、例えば55重量%~90重量%、例えば60重量%~90重量%、例えば60重量%~85重量%、例えば60重量%~80重量%、例えば60重量%~75重量%、または例えば65重量%~75重量%の飽和脂肪酸を含む、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0119】
9. 脂肪酸の総重量と比較して60重量%~75重量%の飽和脂肪酸を含む、項8に記載の植物性脂肪組成物。
【0120】
10. 脂肪酸の総重量と比較して65重量%~75重量%の飽和脂肪酸を含む、項8に記載の植物性脂肪組成物。
【0121】
11. C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比が、0.45~1.00、例えば0.50~1.00、例えば0.60~1.00、例えば0.70~1.00、または例えば0.70~0.90である、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0122】
12. C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比が0.50~1.00である、項11に記載の植物性脂肪組成物。
【0123】
13. C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比が0.70~0.90である、項11に記載の植物性脂肪組成物。
【0124】
14. トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~70重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド、例えば、トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~65重量%、例えば20重量%~60重量%、例えば20重量%~55重量%の、SatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリドを含む、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0125】
15. トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~55重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリドを含む、項14に記載の植物性脂肪組成物。
【0126】
16. 植物性脂肪組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比が、1.0~4.0、例えば1.0~3.0、例えば1.0~2.5、例えば1.2~2.5、または例えば1.4~2.5である、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0127】
17. 植物性脂肪組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比が1.4~2.5である、項16に記載の植物性脂肪組成物。
【0128】
18. - 脂肪酸の総重量と比較して6重量%~25重量%のC14脂肪酸;
- 脂肪酸の総重量と比較して60重量%~75重量%の飽和脂肪酸;
- 0.50~1.00である、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比;
- トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~55重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;
- 1.4~2.5である、SatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比
を含む、項1に記載の植物性脂肪組成物。
【0129】
19. - 脂肪酸の総重量と比較して6重量%~20重量%のC14脂肪酸;
- 脂肪酸の総重量と比較して65重量%~75重量%の飽和脂肪酸;
- 0.70~0.90である、C12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比;
- トリグリセリドの総重量と比較して合計で20重量%~55重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;
- 1.4~2.5である、SatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比
を含む、項1に記載の植物性脂肪組成物。
【0130】
20. 前記植物性脂肪組成物が、20以下、例えば19以下、例えば18以下、例えば17以下、例えば16以下、または例えば15以下の、35℃における固体脂含量(SFC)値を有し、固体脂含量がIUPAC 2.150aによって測定される、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0131】
21. 前記植物性脂肪組成物が、20以上、例えば30以上、例えば40以上、例えば50以上、例えば60以上、例えば80以上、または例えば85以上の、20℃における固体脂含量(SFC)値を有し、固体脂含量がIUPAC 2.150aによって測定される、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0132】
22. 前記植物性脂肪組成物が、20以下、例えば18以下、例えば16以下、例えば14以下、例えば12以下、または例えば10以下の、40℃における固体脂含量(SFC)値を有し、固体脂含量がIUPAC 2.150aによって測定される、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0133】
23. 飽和脂肪酸の量がココアバターの中の飽和脂肪酸の量と比較可能である、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0134】
24. 単細胞生物に由来しない、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0135】
25. 脂肪酸の総重量と比較して20重量%以下のC12脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して18重量%以下、例えば16重量%以下、例えば14重量%以下、例えば12重量%以下、例えば10重量%以下、例えば7重量%以下、または例えば5重量%以下のC12脂肪酸を含む、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0136】
26. 脂肪酸の総重量と比較して15重量%以下のトランス不飽和脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して10重量%以下、例えば5重量%以下、例えば2重量%以下、または例えば1重量%以下のトランス不飽和脂肪酸を含む、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0137】
27. 水素添加されていない、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0138】
28. ノントランス植物性脂肪組成物である、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0139】
29. 脂肪酸の総重量と比較して少なくとも5重量%の不飽和脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して少なくとも10重量%、例えば、少なくとも15重量%、または、例えば、少なくとも20重量%の不飽和脂肪酸を含む、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0140】
30. 脂肪酸の総重量と比較して60重量%以下の不飽和脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して50重量%以下、例えば40重量%以下、例えば30重量%以下、または例えば20重量%以下の不飽和脂肪酸を含む、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0141】
31. 脂肪酸の総重量と比較して5重量%~60重量%の不飽和脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して10重量%~40重量%、例えば15重量%~40重量%、例えば15重量%~35重量%、例えば20重量%~35重量%、または例えば25重量%~35重量%の不飽和脂肪酸を含む、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0142】
32. 前記植物性脂肪組成物が、脂肪酸の総重量と比較して5重量%~60重量%のC16脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して10重量%~58重量%、例えば10重量%~56重量%、例えば10重量%~54重量%、例えば10重量%~52重量%、または例えば15重量%~52重量%のC16脂肪酸を含み、C16脂肪酸がC16:0(パルミチン酸)、C16:1(パルミトレイン酸)、またはそれらの組み合わせより選択される、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0143】
33. 前記植物性脂肪組成物が、脂肪酸の総重量と比較して5重量%~40重量%のC18脂肪酸、例えば、脂肪酸の総重量と比較して10重量%~40重量%、例えば15重量%~40重量%、例えば20重量%~40重量%のC18脂肪酸を含み、C18脂肪酸がC18:0(ステアリン酸)、C18:1(オレイン酸)、C18:2(リノール酸)、またはそれらの組み合わせより選択される、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0144】
34. 脂肪酸の総重量と比較して0重量%~25重量%、例えば5重量%~25重量%、例えば5重量%~20重量%、または例えば10重量%~20重量%のステアリン酸を含む、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0145】
35. ココアバター代用脂(CBR)である、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0146】
36. 前記植物性脂肪組成物が、少なくとも第1のトリグリセリド組成物と第2のトリグリセリド組成物とから構成され、
第1のトリグリセリド組成物が、グリセロール骨格上にランダムに分布した脂肪酸を含み、第1のトリグリセリド組成物が
- 第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して20重量%~90重量%のC14脂肪酸;
- 第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で0重量%~50重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;
- 第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して50重量%~100重量%の飽和脂肪酸;
- 0.40~1.00である、第1のトリグリセリド組成物におけるC12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比
を含み、
第2のトリグリセリド組成物が
- 第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~80重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;
- 第2のトリグリセリド組成物におけるトリグリセリドの総重量と比較して合計で30重量%~90重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;
- 1.0~5.0である、第2のトリグリセリド組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比
を含み、
Satが、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸であり、Oがオレイン酸(C18:1)である、
前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0147】
37. 第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して5重量%~80重量%の量で含まれる、項36に記載の植物性脂肪組成物。
【0148】
38. 第2のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して20重量%~95重量%の量で含まれる、項36~37のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0149】
39. 第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して5重量%、例えば10重量%、例えば15重量%、または例えば20重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して95重量%、例えば90重量%、例えば85重量%、または例えば82重量%の量である、項36~38のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0150】
40. 第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して10重量%、例えば15重量%、または例えば20重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して90重量%、例えば85重量%、または例えば80重量%の量である、項36~38のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0151】
41. 第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して80重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して20重量%の量である、項36~38のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0152】
42. 第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して75重量%の量であり、第2のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して25重量%の量である、項36~38のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0153】
43. 第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して30重量%~80重量%のC14脂肪酸、例えば、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して30重量%~75重量%、例えば30重量%~70重量%、例えば30重量%~65重量%、例えば30重量%~60重量%、または例えば35重量%~60重量%のC14脂肪酸を含む、項36~42のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0154】
44. 第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で0重量%~40重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸、例えば、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で0重量%~30重量%または例えば0重量%~10重量%の、飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸を含む、項36~43のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0155】
45. 第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して60重量%~100重量%の飽和脂肪酸、例えば、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して70重量%~100重量%、または例えば75重量%~100重量%の飽和脂肪酸を含む、項36~44のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0156】
46. 第1のトリグリセリド組成物において、第1のトリグリセリド組成物におけるC12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比が、0.45~1.00、例えば0.50~1.00、例えば0.55~1.00、または例えば0.70~1.00である、項36~45のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0157】
47. 第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して45重量%以下の飽和C12脂肪酸を含む、項36~46のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0158】
48. 第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して40重量%以下の飽和C12脂肪酸、例えば、第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して35重量%以下、例えば30重量%以下、例えば25重量%以下、例えば20重量%以下、例えば15重量%以下、または例えば10重量%以下の飽和C12脂肪酸を含む、項36~47のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0159】
49. 第1のトリグリセリド組成物がバブサ油またはニクズク油より選択されない、項36~48のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0160】
50. 第2のトリグリセリド組成物が、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~75重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸、例えば、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で35重量%~75重量%、例えば40重量%~75重量%、または例えば45重量%~75重量%の、飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸を含む、項36~49のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0161】
51. 第2のトリグリセリド組成物が、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~80重量%の飽和C16脂肪酸およびC18脂肪酸、例えば、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~75重量%、例えば35重量%~75重量%、例えば40重量%~75重量%、または例えば45重量%~75重量%の飽和C16脂肪酸および飽和C18脂肪酸を含む、項36~50のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0162】
52. 第2のトリグリセリド組成物が、第2のトリグリセリド組成物におけるトリグリセリドの総重量と比較して合計で35重量%~90重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド、例えば、第2のトリグリセリド組成物におけるトリグリセリドの総重量と比較して合計で35重量%~85重量%、例えば40重量%~85重量%、例えば35重量%~80重量%、例えば40重量%~75重量%、例えば50重量%~75重量%、または例えば50重量%~70重量%の、SatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリドを含む、項36~51のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0163】
53. 第2のトリグリセリド組成物において、第2のトリグリセリド組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比が、1.0~4.0、例えば1.5~4.0、例えば1.5~3.0、例えば1.5~2.5、例えば1.8~2.5である、項36~52のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0164】
54. 第2のトリグリセリド組成物が、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して20重量%以下の飽和C12脂肪酸、例えば、第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して15重量%以下、例えば10重量%以下、または例えば5重量%以下の飽和C12脂肪酸を含む、項36~53のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0165】
55. 第2のトリグリセリド組成物が、パーム油、パーム油画分、シア油、シア油画分、またはそれらの組み合わせから得られる、項36~54のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0166】
56. 非ラウリン系である、項1~55のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0167】
57. ベーカリー用途、乳製品用途、または菓子用途において使用するための、前記項のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0168】
58. ベーカリー用途または菓子用途が、ビスケット用途、ケーキ用途、マフィン用途、ドーナツ用途、ペストリー用途、またはパン用途より選択される、項57に記載の植物性脂肪組成物。
【0169】
59. チョコレート用途またはチョコレート類似用途の成形、コーティング、エンロービング、またはフィリングにおいて使用するための、項1~56のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0170】
60. チョコレートコーティングまたはチョコレート類似コーティングとして使用するための、項1~56のいずれかに記載の植物性脂肪組成物。
【0171】
61. ベーカリー用途、乳製品用途、または菓子用途のための、項1~60のいずれかに記載の植物性脂肪組成物の使用。
【0172】
62. ベーカリー用途または菓子用途のためのコーティングまたはエンロービングにおける、項1~60のいずれかに記載の植物性脂肪組成物の使用。
【0173】
63. ベーカリー用途または菓子用途が、ビスケット用途、ケーキ用途、マフィン用途、ドーナツ用途、ペストリー用途、またはパン用途より選択される、項61~62のいずれかに記載の植物性脂肪組成物の使用。
【0174】
64. ベーカリーフィリングおよび菓子フィリングなどのフィリングにおける、項1~60のいずれかに記載の植物性脂肪組成物の使用。
【0175】
65. チョコレートコーティングおよびチョコレート類似コーティングのための、項1~60のいずれかに記載の植物性脂肪組成物の使用。
【0176】
66. 加工食品の製造のための、項1~60のいずれかに記載の植物性脂肪組成物の使用。
【0177】
67. 食品に配合される脂肪成分としての、前記項1~60のいずれかに記載の植物性脂肪組成物の使用。
【0178】
68. 室温で塗ることができるチョコレートスプレッドまたはチョコレート類似スプレッドのための、前記項1~60のいずれかに記載の植物性脂肪組成物の使用。
【0179】
69. 第1のトリグリセリド組成物と第2のトリグリセリド組成物とを混合する工程を含む、項1~60のいずれかに記載の植物性脂肪組成物を得る方法であって、第1のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して5重量%~80重量%の量で添加され、第2のトリグリセリド組成物が、第1のトリグリセリド組成物および第2のトリグリセリド組成物の合計の総重量と比較して20重量%~95重量%の量で添加され;
第1のトリグリセリド組成物が、グリセロール骨格上にランダムに分布した脂肪酸を含み、第1のトリグリセリド組成物が
- 第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して20重量%~90重量%のC14脂肪酸;
- 第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で0重量%~50重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;
- 第1のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して50重量%~100重量%の飽和脂肪酸;ならびに
- 0.40~1.00である、第1のトリグリセリド組成物におけるC12脂肪酸およびC14脂肪酸の総重量に対するC14脂肪酸の重量の比
を含み、
第2のトリグリセリド組成物が
- 第2のトリグリセリド組成物における脂肪酸の総重量と比較して合計で30重量%~80重量%の飽和C16脂肪酸、飽和C18脂肪酸、飽和C20脂肪酸、飽和C22脂肪酸、飽和C24脂肪酸;
- 第2のトリグリセリド組成物におけるトリグリセリドの総重量と比較して合計で30重量%~90重量%のSatSatOトリグリセリドおよびSatOSatトリグリセリド;ならびに
- 1.0~5.0である、第2のトリグリセリド組成物におけるSatOSatトリグリセリドの重量に対するSatSatOトリグリセリドの重量の比
を含み、
Satが、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、および/またはC24脂肪酸より選択される飽和脂肪酸であり、Oがオレイン酸(C18:1)であり、項1~59のいずれかに記載の植物性脂肪組成物が得られる、方法。
【0180】
70. 25重量%~70重量%、例えば25重量%~60重量%、例えば25重量%~50重量%、例えば25重量%~40重量%、例えば28重量%~40重量%の項1~59のいずれかに記載の植物性脂肪組成物を含む、菓子またはチョコレートまたはチョコレート類似製品。
【0181】
71. 0.1%~2%のソルビタントリステアレート(STS)を含む、項70に記載の菓子またはチョコレート類似製品。
【0182】
以下の実施例によって本発明をさらに例示するが、実施例は、保護の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【実施例】
【0183】
実施例1:遊離脂肪酸によるグリセロールのエステル化
表1による反応混合物を提供するため、グリセロールと脂肪酸とを混合した。反応混合物を、真空インレット、コールドトラップ、および70℃に加熱されたコンデンサーを備えた6L三口フラスコに置いた。反応混合物を、およそ100~150mbarの減圧下で、30分以内で170℃まで加熱した。反応混合物を170~180℃で7時間維持し、その間、反応時間が進むにつれて圧力を段階的に33mbarまで低下させた。次いで、温度を210℃まで上昇させた。温度が210℃に達した後、反応混合物を2時間保持した。減圧下で、240℃で、過剰の遊離脂肪酸を反応混合物から留去した。粗製油を漂白し、濾過し、脱臭した後に、最終的な植物性脂肪組成物を得た。
【0184】
表1は、第1のトリグリセリド組成物の原材料組成、遊離脂肪酸組成、および固体脂含量(SFC)を示す。
【0185】
【0186】
植物性脂肪組成物の脂肪酸組成は、IUPAC 2.301(メチル化)およびIUPAC 2.304(GLC)を使用して分析される。固体脂含量(SFC)は、IUPAC 2.150aに従って測定される。
【0187】
試料D、E、およびFは全て、100%のSAFA含量を有するが、試料Dについては、試料EおよびFと比較して、特に、35℃以上で、SFCプロファイルが有意に低い。これは、EおよびFと比較して有意に異なる試料Dの脂肪酸組成によって説明され得る。EおよびFと比較したDの違いは、脂肪酸の種類およびその割合である。しかしながら、EおよびFは、有意に異なる脂肪酸組成を有するにも関わらず、類似したSFCプロファイルを示す。試料D~Fを試料Aと比較することによって分かるように、SAFA含量の100%から78.9%(試料A)への低下は、試料の融解性を有意に改善することができる。
【0188】
表2は、第2のトリグリセリド組成物のトリグリセリド組成物の詳細を示す。P、O、およびSは、それぞれ、パルミチン酸、オレイン酸、およびステアリン酸を表す。
【0189】
【0190】
植物性脂肪組成物の脂肪酸組成は、IUPAC 2.301(メチル化)を使用して分析される。植物性脂肪組成物のトリグリセリド組成は、AOCS Ce 5b-89を使用して分析される。固体脂含量(SFC)は、IUPAC 2.150aに従って測定される。
【0191】
表3は、表中の量に従って第1のトリグリセリド組成物を第2のトリグリセリド組成物と混合した後の植物性脂肪組成物の脂肪酸組成および固体脂含量を示す。使用された基準物は、AAKの市販の非水素化(non-hydro)CBRであるAkopol(商標)NH 53である。
【0192】
(表3)
*Satは飽和脂肪酸C16:0~C24:0の合計である。
【0193】
植物性脂肪組成物の脂肪酸組成は、IUPAC 2.301(メチル化)を使用して分析される。植物性脂肪組成物のトリグリセリド組成は、AOCS Ce 5b-89を使用して分析される。固体脂含量(SFC)は、IUPAC 2.150aに従って測定される。
【0194】
実施例2:ダークチョコレート類似コンパウンドのレシピおよび製造
表4は、ダークチョコレートコンパウンドのレシピを示す。
【0195】
【0196】
実施例3:植物性脂肪組成物A1、A2、A3、E1、F1、および基準物の結晶化速度
表4に与えられたレシピに従って、それぞれ、表3の植物性脂肪組成物A1、A2、A3、E1、F1、および基準物(Akopol(商標)NH 53)を使用して、6つの異なるダークチョコレート類似コンパウンドを作製した。
【0197】
ダークチョコレート類似コンパウンドを作製するための全成分を、Hobart N-50ミキサーで65℃で10分間混合し、Buhler SDY-300 3ロールリファイナーでおよそ20μの粒径にリファイニングした。その後、ダークコンパウンドを、Hobartミキサーで65℃で6時間コンチングした。
【0198】
ビスケット上のダークコンパウンドコーティングについての結晶化速度の評価:
上記のように生成されたダークチョコレート類似コンパウンドコーティングによって、ビスケットをコーティングした。Nielsenエンロービング機において45℃でコーティングを実施した後、15℃、12℃、および15℃の温度の3ゾーン冷却トンネルにおいて15分間冷却した。冷却期間の直後にコーティングを評価した。ビスケット上のダークコンパウンドコーティングは、特定の冷却時間で主観的に評価され、コーティングは、以下のスコアスケーリングに従って評価される。
1. コーティングは、ビスケットの一部分においてはまだ液体であるが、半固体化している部分もある。
2. コーティング全体が半固体化しているが、極めて粘着性があり、極めて柔らかい。ビスケット上に液体コーティング部分はない。
3. コーティング全体が固体化しているが、コーティングはまだ粘着性があり、柔らかく、包装できる状態ではない。
4. コーティング全体が硬く、粘着性がない。製品を包装することが可能である。
【0199】
スコア値4は、コーティングされたビスケットがフローパッキングが可能な状態であることを示すため、最も重要なスコアである。ビスケットのコンパウンドコーティングについての結晶化速度の結果を、表5に例示する。
【0200】
(表5)基準物と比較した、植物性脂肪組成物を用いて作られたダークチョコレート類似コンパウンドコーティングの結晶化速度
【0201】
5A1、5A2、および5A3のダークコンパウンドは全て、それぞれ、20%、50%、および70%の異なる比のTAG組成物Aから構成されている。結果は、植物性脂肪組成物の中に20%~70%の第1のトリグリセリド組成物を含めることによって、結晶化速度が有意に改善され得ることを示している。植物性脂肪組成物E1およびF1の中に、わずか20%の第1のトリグリセリド組成物を含めることによって、基準物と比較して有意に速い結晶化速度がもたらされた。スコア4に到達するまでの差は、5分もの大きさである。5E1および5F1のものと比較可能なSAFA含量および類似した結晶化速度を有するコンパウンド5A2は、50%の第1のトリグリセリド組成物を含有し、それに対して、コンパウンド5E1および5F1においては20%である。
【0202】
実施例6:コンパウンドタブレットの固体化時間
チョコレート類似コンパウンドを45℃で50gの型に移した後、それぞれ、15℃、12℃、および15℃の温度を有する3ゾーン冷却トンネルにおいて30分間冷却した。冷却期間の直後にタブレットを評価した。100%固体化しておらず、従って、型から外せなかったタブレットについては、冷却を繰り返した。表6は、チョコレート類似コンパウンドタブレットの固体化時間の結果を要約したものである。
【0203】
(表6)基準物と比較した、植物性脂肪組成物を用いて作製されたダークチョコレート類似コンパウンドタブレットの固体化時間
【0204】
結果は、植物性脂肪組成物A2、D1、E1、およびF1を用いて作製されたコンパウンドタブレットが、有意に優れた性能を示し、固体化時間が基準物と比較して半分であったことを示している。
【0205】
実施例7:コンパウンドタブレットのテクスチャ分析
実施例6に従って作製されたチョコレート類似コンパウンドタブレットを、合計60分間冷却(完全固体化)した後、20℃の温度で1週間保管した。テクスチャ測定を、プローブP2Nおよび5mmのペネトレーションを備えたテクスチャ分析器XT2iを使用して20℃で実施した。表7は、グラム単位で測定された貫通力の5回の測定の平均値を示す。
【0206】
(表7)基準物と比較した、チョコレート類似コンパウンドタブレットにおいて測定されたテクスチャ
【0207】
結果は、植物性脂肪組成物D1、E1、およびF1を用いて作られたコンパウンドタブレットの、基準物と比較して有意に高いテクスチャを示す。6D1、6E1、および6F1と比較した、コンパウンドタブレット6A2のより低いテクスチャは、脂肪酸組成によって説明され得る。植物性脂肪組成物A2は、コンパウンドタブレットの有意に速い結晶化速度および有意に速い固体化をもたらしたが、基準物と比較して低いテクスチャを有する(高いテクスチャが好ましい)。従って、植物性脂肪組成物の選択は、最終的な植物性脂肪組成物における第1のトリグリセリド組成物の割合と、その性能との妥協点であり得る。(より低いSAFA含量、例えば、試料Aの場合、78.9%を有する)第1のトリグリセリド組成物のより高い含量を含めることが重要な因子である場合には、テクスチャの低下を予想するべきである。しかしながら、最終植物性脂肪組成物における、わずか20%の、100重量%SAFAを含む第1のトリグリセリド組成物(試料D、E、およびF)は、コンパウンドタブレット6A2および基準物の両方と比較して、コンパウンドタブレットの有意に速い結晶化速度および固体化をもたらしただけでなく、有意に高いテクスチャももたらす。
【0208】
実施例8:植物性脂肪組成物A2、D1、E1、F1、および基準物のブルーム試験
50gの成形されたタブレットおよびコーティングされたビスケットを、植物性脂肪組成物A2、D1、E1、F1、および基準物を用いて作製した。タブレットおよびコーティングされたビスケットの両方を、3ゾーン冷却トンネルで、15℃、続いて12℃、最後に15℃の温度で30分間冷却した。20℃で2日間保管した後、ブルーム試験のため、試料をブルームキャビネットに移動させた。タブレットおよびコーティングされたビスケットを、以下の条件に従って試験した。
【0209】
タブレット:
- 15℃の等温
- 20℃の等温
【0210】
コーティングされたビスケット:
- 15℃の等温
- 20℃の等温
- 23℃の等温
【0211】
表8は、植物性脂肪組成物A2、D1、E1、F1、および基準物を用いて作製されたタブレットおよびコーティングされたビスケットについてのブルーム試験結果を例示する。
【0212】
(表8)タブレットおよびコーティングされたビスケットについてのブルーム結果
【0213】
結果は、基準脂肪を用いて作られたコーティングされたビスケットは、15℃で10週間保管された後に既にブルームを起こしているが、他の全ての試料は、有意に長い時間、耐ブルーム性であることを示した。
【国際調査報告】