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特表2023-539283LCフィルタを有する3レベルANPCコンバータのフェーズの自己試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】LCフィルタを有する3レベルANPCコンバータのフェーズの自己試験方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230906BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513639
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2021073996
(87)【国際公開番号】W WO2022049062
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】102020122770.1
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シュティッケルマン,ウーヴェ
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA28
5H770BA11
5H770DA32
5H770HA03Y
5H770LA00X
5H770LA01Y
5H770LA03Y
5H770LB05
(57)【要約】
ブリッジを有するインバータを試験する方法が開示されている。ブリッジは、中心点(M)を有する分割リンク回路の正側接続(DC+)と正側内部接続(PI)との間に配置された第1のスイッチ(T1)と、正側内部接続(PI)とブリッジ出力(BR)との間に配置された第2のスイッチ(T2)と、ブリッジ出力(BR)と負側内部接続(NI)との間に配置された第3のスイッチ(T3)と、負側内部接続(NI)と分割リンク回路の負側接続(DC-)との間に配置された第4のスイッチ(T4)と、中心点(M)と正側内部接続(PI)との間に配置された第5のスイッチ(T5)と、中心点(M)と負側内部接続(NI)との間に配置された第6のスイッチ(T6)とを備える。ブリッジ出力(BR)には、フィルタインダクタ(LF)とフィルタコンデンサ(CF)を有する電源フィルタが接続されている。本方法は、電源フィルタが接続されたブリッジ出力(BR)が、接続されたグリッドから絶縁されている間に、分割リンク回路にリンク回路電圧を印加するステップと、フィルタコンデンサ(CF)を完全に放電させるステップと、第1のスイッチ(T1)および第6のスイッチ(T6)を閉じ、第4のスイッチ(T4)および第5のスイッチ(T5)を開放するステップと、続いて、複数の短パルスを使用して第2のスイッチ(T2)をクロッキングするステップであって、短パルスのデューティサイクルが1%~5%に予め設定される、ステップと、クロッキングの後、フィルタコンデンサ(CF)で降下した電圧を測定するステップと、降下した電圧が、ウィンドウ上限およびウィンドウ下限を有する電圧ウィンドウの外にある場合に、ブリッジの故障状態を特定するステップとを備える。また、インバータも開示され、このインバータは、先行する請求項の何れか一項に記載の方法を実行し、故障状態が識別されない場合にのみインバータを接続グリッドに接続するように設計および設定された制御システムを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリッジを有するインバータを試験する方法であって、
前記ブリッジが、
-中心点(M)を有する分割リンク回路の正側接続(DC+)と正側内部接続(PI)との間に配置された第1のスイッチ(T1)と、
-正側内部接続(PI)とブリッジ出力(BR)との間に配置された第2のスイッチ(T2)と、
-ブリッジ出力(BR)と負側内部接続(NI)との間に配置された第3のスイッチ(T3)と、
-負側内部接続(NI)と分割リンク回路の負側接続(DC-)との間に配置された第4のスイッチ(T4)と、
-中心点(M)と正側内部接続(PI)との間に配置された第5のスイッチ(T5)と、
-中心点(M)と負側内部接続(NI)との間に配置された第6のスイッチ(T6)とを備え、
フィルタインダクタ(LF)とフィルタコンデンサ(CF)を有する電源フィルタが、ブリッジ出力(BR)に接続されており、
当該方法が、
-電源フィルタが接続されたブリッジ出力(BR)が、接続されたグリッドから絶縁されている間に、分割リンク回路にリンク回路電圧を印加するステップと、
-フィルタコンデンサ(CF)を完全に放電させるステップと、
-第1のスイッチ(T1)および第6のスイッチ(T6)を閉じ、第4のスイッチ(T4)および第5のスイッチ(T5)を開くステップと、
-続いて、複数の短パルスを使用して第2のスイッチ(T2)をクロッキングするステップであって、短パルスのデューティサイクルが1%~5%に設定される、ステップと、
-クロッキングの後、フィルタコンデンサ(CF)で降下した電圧を測定するステップと、
-降下した電圧が、ウィンドウ上限およびウィンドウ下限を有する電圧ウィンドウの外にある場合に、ブリッジの故障状態を特定するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
-フィルタコンデンサ(CF)を完全に放電させるステップと、
-第1のスイッチ(T1)および第6のスイッチ(T6)が開いている間に、第4のスイッチ(T4)および第5のスイッチ(T5)を閉じるステップと、
-複数の短パルスを使用して第3のスイッチ(T3)をクロッキングするステップであって、短パルスのデューティサイクルが1%~5%である、ステップと、
-クロッキングの後、フィルタコンデンサ(CF)で降下した追加の電圧を測定するステップと、
-降下した追加の電圧が電圧ウィンドウの外にある場合に、ブリッジの故障状態を特定するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
第2のスイッチ(T2)のクロッキングの間、第3のスイッチ(T3)は開いたままであり、第2のスイッチ(T2)が、設定された数の短パルスでクロッキングされることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の方法において、
第3のスイッチ(T3)のクロッキングの間、第2のスイッチ(T2)は開いたままであり、第3のスイッチ(T3)が、設定された数の短パルスでクロッキングされることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の方法において、
第2のスイッチ(T2)をクロッキングする前に、負側内部接続(NI)と中心点(M)の電位が一致するか否かのチェックがあり、一致していない場合にブリッジの故障状態が特定されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項2~5の何れか一項に記載の方法において、
第3のスイッチ(T3)をクロッキングする前に、正側内部接続(PI)と中心点(M)の電位が一致するか否かのチェックがあり、一致していない場合にブリッジの故障状態が特定されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1、2、4~6の何れか一項に記載の方法において、
第2のスイッチ(T2)のクロッキングが、第3のスイッチ(T3)の相補的なクロッキングとともに実行されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項2、3、5~7の何れか一項に記載の方法において、
第3のスイッチ(T3)のクロッキングが、第2のスイッチ(T2)の相補的なクロッキングとともに実行されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の方法において、
インバータが複数のブリッジを備え、当該方法が、前記ブリッジの各々で順次実行されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の方法において、
フィルタコンデンサ(CF)が、第5のスイッチ(T5)と第2のスイッチ(T2)を同時に閉じることによって、または第6のスイッチ(T6)と第3のスイッチ(T3)を閉じることによって、または第5のスイッチ(T5)と第6のスイッチ(T6)を閉じることによって放電されることを特徴とする方法。
【請求項11】
ブリッジを有するインバータであって、
-中心点(M)を有する分割リンク回路の正側接続(DC+)と正側内部接続(PI)との間に配置された第1のスイッチ(T1)と、
-正側内部接続(PI)とブリッジ出力(BR)との間に配置された第2のスイッチ(T2)と、
-ブリッジ出力(BR)と負側内部接続(NI)との間に配置された第3のスイッチ(T3)と、
-負側内部接続(NI)と分割リンク回路の負側接続(DC-)との間に配置された第4のスイッチ(T4)と、
-中心点(M)と正側内部接続(PI)との間に配置された第5のスイッチ(T5)と、
-中心点(M)と負側内部接続(NI)との間に配置された第6のスイッチ(T6)とを備え、
前記ブリッジ出力(BR)に、フィルタインダクタ(LF)とフィルタコンデンサ(CF)を有する電源フィルタが接続された、インバータにおいて、
当該インバータがコントローラを有し、このコントローラが、請求項1~10の何れか一項に記載の方法を実行し、故障状態が検出されない場合にのみ当該インバータを接続グリッドに接続するように設計および構成されていることを特徴とするインバータ。
【請求項12】
請求項11に記載のインバータにおいて、
当該インバータが複数のブリッジを有し、前記コントローラが、複数のブリッジの各々に対して順次前記方法を実行し、故障状態が検出されない場合にのみ当該インバータをグリッドに接続するように設計および構成されていることを特徴とするインバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータを試験する方法に関する。さらに、本願は、その試験方法を実行するように構成されたインバータに関する。
【背景技術】
【0002】
インバータは、とりわけ、太陽光発電機から直流として生成された電力を交流電力に変換して、それをACグリッドに供給するために使用される。この目的のために、インバータは1または複数のブリッジを有し、それらの部分が複数の半導体スイッチを含む。スイッチのクロッキングにより、直流接続に適用される電位が、ブリッジ出力に交互に印加される。ブリッジ出力は、電源フィルタを介してAC電圧グリッドの相に接続される。ブリッジには様々なトポロジーがあり、正電位または負電位を交互にブリッジ出力に印加するだけのシングルレベルトポロジーと、通常は分割リンク回路によって生成される追加の中間電位をブリッジ出力に印加するマルチレベルトポロジーとに区別される。このようなマルチレベルトポロジーの一実施形態は、ANPC(アクティブニュートラルポイントクランプ)トポロジーと呼ばれ、6つのスイッチを備え、そのスイッチの構成によってブリッジ出力の分割リンク回路の正電位、負電位、中心点電位を適用することができる。ANPCトポロジーは、特に効率の良いブリッジトポロジーである。
【0003】
効率とコストの観点から、このトポロジーでは、最大許容阻止電圧が直流接続に印加される入力電圧よりも低い半導体スイッチが使用されている。このため、このトポロジーは、全入力電圧がどのスイッチでも低下しないスイッチ構成でのみ動作する。既知の欠点は、ブリッジのスイッチの1つが故障した場合、特にブリッジスイッチの1つが永続的に導通する場合、実際に許容されるスイッチ構成が存在するにもかかわらず、1つのスイッチの故障により全入力電圧がまだ正常なスイッチに印加されることである。その結果、ブリッジ内部で続いて損傷が生じ、それによりインバータのブリッジスイッチや他のコンポーネントがさらに破壊される可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
よって、本発明の目的は、インバータが起動される前に、追加のブリッジスイッチや他のインバータコンポーネントを危険に曝すことなく、ブリッジスイッチの故障があるか否かを確認することが可能な方法を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法と、請求項11の特徴を有するインバータとによって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明に係る方法は、ブリッジを有するインバータに基づくものであり、ブリッジが、中心点を有する分割リンク回路の正側接続と正側内部接続との間に配置された第1のスイッチと、正側内部接続とブリッジ出力との間に配置された第2のスイッチと、ブリッジ出力と負側内部接続との間に配置された第3のスイッチと、負側内部接続と分割リンク回路の負側接続との間に配置された第4のスイッチとを有する。さらに、ブリッジは、中心点と正側内部接続との間に配置された第5のスイッチと、中心点と負側内部接続との間に配置された第6のスイッチとを有し、ブリッジ出力には、フィルタインダクタとフィルタコンデンサとを有する電源フィルタが接続されている。フィルタコンデンサは、リンク回路の中心点への接続によって接続することができる。このようなブリッジを有するインバータを試験するために、本発明に係る方法は、
-接続された電源フィルタを有するブリッジ出力が、接続されたグリッドから絶縁されている間に、分割リンク回路にリンク回路電圧を印加するステップと、
-フィルタコンデンサを完全に放電させるステップと、
-第4のスイッチおよび第5のスイッチが開いている間に、第1のスイッチおよび第6のスイッチを閉じるステップと、
-その後、複数の短パルスを使用して第2のスイッチをクロッキングするステップであって、短パルスのデューティサイクルが1%~5%に設定される、ステップと、
-クロッキングの後、フィルタコンデンサで降下した電圧を求めるステップと、
-降下した電圧が、ウィンドウ上限およびウィンドウ下限を持つ電圧ウィンドウの外にある場合に、ブリッジの故障状態を特定するステップとを備える。ブリッジスイッチが完全に機能するとき、フィルタコンデンサは複数の短パルスによって、短パルスのデューティサイクルによって決まるリンク回路電圧のある割合の電圧まで充電される。同時に、このタイプのクロッキングにより、スイッチに障害が発生した場合でも、少なくとも関連するスイッチの破壊を引き起こすのに十分な時間、他のスイッチの何れにも完全なリンク回路電圧が存在しないことが保証される。これにより、ブリッジに損傷を与えることなく試験を実行することができる。第2のスイッチが開かれたときに、第2のスイッチにかかるリンク回路電圧全体が低下するような障害によって第6のスイッチが永続的に遮断されている場合であっても、この時間は低いデューティサイクルによって非常に短いため、第2のスイッチはそれでも保護される。ブリッジスイッチの1つに欠陥があり、その欠陥によりフィルタコンデンサが充電されないか、または変更された形で充電される場合、フィルタコンデンサで達成される電圧に基づいて、これを判定することができる。この場合、故障状態が検出され、それに応じてインバータは、例えば、起動を防止したり、あるいは特定されたエラーにもかかわらず許容され、追加のコンポーネントを危険に曝すことのないブリッジスイッチの起動のタイプを選択することによって、それに適切に対応する。インバータは、通常、その制御の一部としてフィルタコンデンサにおける電圧を特定するための手段を既に有している。
【0007】
本方法は、好ましくは、
-フィルタコンデンサを完全に放電させるステップと、
-第1のスイッチと第6のスイッチが開いている間に、第4のスイッチと第5のスイッチを閉じるステップと、
-複数の短パルスを使用して第3のスイッチをクロッキングするステップであって、短パルスのデューティサイクルが1%~5%である、ステップと、
-クロッキングの後、フィルタコンデンサで降下した追加の電圧を求めるステップと、
-降下した追加の電圧が電圧ウィンドウの外にある場合、ブリッジの故障状態を特定するステップと、によって補足される。
【0008】
これらの補足ステップは、正のリンク回路電圧の代わりに負のリンク回路電圧をクロック印加することによって、前述した方法のステップを繰り返すことに相当する。これらのステップにより、追加の潜在的なスイッチの障害が検出される。
【0009】
有利な態様では、第2のスイッチが、第3のスイッチの相補的なクロッキングでクロッキングされるか、または第3のスイッチが、第2のスイッチの相補的なクロッキングでクロッキングされる。代替的には、第2のスイッチをクロッキングしている間、第3のスイッチを開いたままにするか、または第3のスイッチをクロッキングしている間、第2のスイッチを開いたままにすることができる。この場合、第2のスイッチまたは第3のスイッチは、常に、設定された数の短パルスでクロッキングすることができる。
【0010】
本発明に係る試験方法の好ましい態様では、第2のスイッチをクロッキングする前に、負側内部接続と中心点の電位が一致するか否かのチェックがあり、または第3のスイッチをクロッキングする前に、正側内部接続と中心点の電位が一致するか否かのチェックがあり、一致が存在しない場合に、ブリッジの故障状態が常に特定される。
【0011】
インバータが複数のブリッジを有する場合、本発明に係る方法は、故障状態を排除するために、各ブリッジで連続的に実行されることが好ましい。それらのスイッチを有するすべてのブリッジがエラーなく機能するときにのみ、インバータの適切な動作が解放される。
【0012】
リンク回路の中心点への接続によって接続されているフィルタコンデンサの放電は、第5のスイッチと第2のスイッチを同時に閉じることによって、または第6のスイッチと第3のスイッチを閉じることによってトリガすることができる。代替的には、リンク回路の中心点への接続によって接続されるフィルタコンデンサの放電は、第5および第6のスイッチを同時に閉じることによっても行うことができる。
【0013】
別の態様では、本発明は、ブリッジを有するインバータに関するもので、ブリッジが、中心点を有する分割リンク回路の正側接続と正側内部接続との間に配置された第1のスイッチと、正側内部接続とブリッジ出力との間に配置された第2のスイッチと、ブリッジ出力と負側内部接続との間に配置された第3のスイッチと、負側内部接続と分割リンク回路の負側接続との間に配置された第4のスイッチと、中心点と正側内部接続との間に配置された第5のスイッチと、中心点と負側内部接続との間に配置された第6のスイッチとを有し、ブリッジ出力には、フィルタインダクタとフィルタコンデンサとを有する電源フィルタが接続されている。インバータは、上記方法を実行し、故障状態が検出されない場合にのみインバータを接続グリッドに接続するように設計および構成されたコントローラを有する。
【0014】
インバータは、複数のブリッジを有することができる。この場合、コントローラは、複数のブリッジの各々に対して連続的に上記方法を実行し、故障状態が検出されない場合にのみ、インバータをグリッドに接続するように設計および構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1図1は、フィルタコンデンサを放電させるためのブリッジの第1のスイッチ構成を示している。
図2図2は、フィルタコンデンサを相補的なクロック方式で充電するためのブリッジの第2のスイッチ構成を示している。
図3図3は、フィルタコンデンサを相補的なクロック方式で充電するためのタイミングスキームを示している。
図4図4は、フィルタコンデンサをシングルクロック方式で充電するためのブリッジの第3のスイッチ構成を示している。
図5図5は、フィルタコンデンサを相補的なクロック方式で充電するためのブリッジの第4のスイッチ構成を示している。
図6図6は、本発明に係る方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、ブリッジの出力でフィルタコンデンサCFを放電するために使用されるようなANPCブリッジのスイッチ構成を示している。ANPCブリッジは、入力側が分割リンク回路に接続されており、この分割リンク回路は、正側接続DC+に接続された第1のリンク回路コンデンサC1と、負極接続DC-に接続された第2のリンク回路コンデンサC2とを備え、それらが中心点Mを介して相互に直列接続されている。正側接続DC+と負極接続DC-との間には、逆並列還流ダイオードダイオードD1を有する第1のスイッチT1、逆並列還流ダイオードダイオードD2を有する第2のスイッチT2、逆並列還流ダイオードダイオードD3を有する第3のスイッチT3、逆並列還流ダイオードダイオードD4を有する第4のスイッチT4の直列回路が配置されている。第1のスイッチT1および第4のスイッチT4はIGBTトランジスタとして設計され、第2のスイッチT2および第3のスイッチT3はMOSFETトランジスタとして設計されている。中心点Mは、第5のスイッチT5を介して、第1のスイッチT1と第2のスイッチT2との間の正側内部接続PIに接続されている。さらに、中心点Mは、第6のスイッチT6を介して、第3のスイッチT3と第4のスイッチT4との間の負側内部接続NIに接続されている。第5のスイッチT5と第6のスイッチT6も同様にIGBTトランジスタとして設計されている。第2のスイッチT2と第3のスイッチT3との間に配置されたブリッジ出力BRには、交流電圧出力ACでフィルタリングされた出力電圧を与えるために、フィルタインダクタLFとフィルタコンデンサCFとを有する出力フィルタが接続されている。
【0017】
フィルタコンデンサCFを放電するために、第3のトランジスタT3および第6のトランジスタT6が導通状態に切り替えられ、ブリッジの他のすべてのトランジスタが遮断状態に切り替えられる。その結果、フィルタコンデンサCFは、フィルタインダクタLFを介して短絡される。第3のスイッチT3および第6のスイッチT6の代わりに、第2のスイッチT2および第5のスイッチT5を介して、または第5のスイッチT5および第6のスイッチT6を介して、フィルタコンデンサCFを放電することも可能である。完全な放電、すなわちゼロの電圧への放電は、存在し得る無視できる残留電圧までの放電も含む。
【0018】
図2は、フィルタコンデンサCFを試験電圧まで相補的なクロック方式で充電するためのブリッジの第2のスイッチ構成を示している。この場合、第1のスイッチT1および第6のスイッチT6が導通状態に切り替えられ、第5のスイッチT5および第4のスイッチT4が遮断状態に切り替えられる。その後、第2のスイッチT2は、デューティサイクルが1%~5%の短パルスにより高い周波数でクロッキングされる。第3のスイッチT3は、第2のスイッチT2と相補的にクロッキングされる。これにより、第2のスイッチT2の導通フェーズにおいて、第1のリンク回路コンデンサC1およびフィルタインダクタLFを介してフィルタコンデンサCFが充電され、第3のスイッチT3の導通フェーズにおいて再び部分的に放電される。このクロッキングの結果、フィルタコンデンサCFには時間的に平均化されたDC電圧が印加され、このDC電圧が、第1のDCリンクコンデンサC1の電圧とデューティサイクルの積に相当する。第2のスイッチT2および第3のスイッチT3のクロッキングが終了した後、フィルタコンデンサCFの電圧が上記関係で決まる電圧ウィンドウ内にあるか否かのチェックが行われる。そうでない場合、ブリッジのスイッチのうちの1つが故障していると結論付けられ、ブリッジの故障状態が特定される。
【0019】
上述したブリッジの相補的クロッキングのタイミングスキームは、図3にさらに詳細に示されている。図面の最上部には、第1のスイッチT1のスイッチング状態が、第2のスイッチT2のスイッチング状態、第3のスイッチT3のスイッチング状態、第6のスイッチT6のスイッチング状態とともに、x軸の時間tの関数として示されている。y軸の数値は、遮断スイッチ状態を0、導通スイッチ状態を1としている。
【0020】
図3の図面の最下部には、フィルタコンデンサCFにおける電圧Uの時間特性がプロットされている。フィルタコンデンサCFの電圧がゼロである放電フェーズEPの完了後、第2のスイッチT2の短パルスによるクロッキングと第3のスイッチT3の相補的なクロッキングにより、充電フェーズLPが続く。このフェーズでは、電圧Uが漸近的に最終値に近づき、スイッチのエラーフリー機能を検証するために、後続の試験フェーズPPにおいて、ウィンドウ上限および下限を有する許容電圧ウィンドウと比較される。
【0021】
図4に示す代替的なスイッチ構成は、第3のスイッチT3が相補的にクロッキングされるのではなく、遮断状態に切り替えられるという点で、フィルタコンデンサCFを充電するための図2に示すスイッチ構成と異なる。これにより、第2のスイッチT2の短パルス間にフィルタコンデンサCFが放電するのが防止され、その結果、この間、第3のスイッチT3、第6のスイッチT6およびフィルタコンデンサCFによって形成されるフリーホイール経路を介してのみ、フィルタインダクタLFに流れる電流が減少する。その結果、フィルタコンデンサにかかる電圧は、各短パルスで段階的に増加するため、このスイッチ構成におけるブリッジスイッチの試験方法において、フィルタコンデンサCFの充電フェーズは、設定された数の短パルスの後または設定された充電時間の後に終了し、その後、フィルタコンデンサCFの電圧がブリッジスイッチ状態を確認するために測定されることになる。
【0022】
図5に示す代替的なスイッチ構成は、フィルタコンデンサCFが第2のリンク回路コンデンサC2を介して逆極性で充電されるという点で、フィルタコンデンサCFを充電するための図2に示すスイッチ構成と異なる。代替的には、または好ましくは、図2に示すスイッチ構成に加えて、ブリッジの他のスイッチをその機能に関してチェックすることができるため、このスイッチ構成を試験方法のフレームワーク内で使用することができる。この場合、第4のスイッチT4および第5のスイッチT5は導通状態に切り替えられ、第6のスイッチT6および第1のスイッチT1は遮断状態に切り替えられる。そして、第3のスイッチT3は、デューティサイクルが1%~5%の短パルスにより高周波数でクロッキングされる。第2のスイッチT2は、第3のスイッチT3と相補的にクロッキングされる。当然のことながら、上記のようなスイッチ構成を変更して、第2のスイッチT2が相補的にクロッキングされるのではなく、遮断状態に切り替えられるようにすることも考えられる。
【0023】
最後に、図6は、ブリッジを有するインバータを試験するための本発明に係る方法のフローチャートを示している。第1のステップS1では、例えばインバータのDC電圧接続DC+、DC-にDC電源を接続することにより、インバータの分割リンク回路にリンク回路電圧が印加される。この場合、電源フィルタが接続されたブリッジ出力は、依然としてAC電圧グリッドから切り離されたままである。第2のステップS2では、電源フィルタのフィルタコンデンサが完全に放電される。この放電は、分割リンク回路の中心点からブリッジ出力BRまで導電経路が形成されるスイッチ構成で、ブリッジが操作されることによって引き起こされる。なお、第1のステップS1と第2のステップS2の実行順序は任意である。
【0024】
続く第3のステップS3では、第1のスイッチT1および第6のスイッチT6が閉じられ、第4のスイッチT4および第5のスイッチT5が開かれる。その結果、ブリッジの正側内部接続PIには正側リンク回路電位が印加され、負側内部接続NIには中心点電位が印加される。第4のステップS4では、引き続き、複数の短パルスを用いて第2のスイッチT2がクロックキングされる。ここで、短パルスのデューティサイクルは1%~5%に設定される。
【0025】
最後の第5のステップS5では、フィルタコンデンサにおいて降下した電圧がクロッキングの後に求められ、ここで、降下した電圧が、ウィンドウ上限およびウィンドウ下限を有する電圧ウィンドウの外にある場合、ブリッジの故障状態が特定される。
【0026】
インバータが複数のブリッジ、例えば接続されたAC電圧グリッドの各相について、別個または共通の電源フィルタを介してAC電圧グリッドの相に接続される1または複数のブリッジを有する場合、本方法はブリッジの各々に対して順次実行することが可能である。本方法は、インバータのブリッジまたは他のコンポーネントの追加の故障パターンに対する追加の試験ルーチンによって補完することができる。特定された故障状態を検証するために、本方法を複数回実行することもできる。
【0027】
本方法によりブリッジの故障状態が特定された場合、様々な方法で対応することが可能である。例えば、AC電圧グリッドへのインバータの接続を阻止することができ、インバータを作動停止したオープンブリッジで動作させることができ、または関連するブリッジに対して制限付きで動作させることができるような制御を選択することができる。さらに、故障状態は、上位レベルの制御エンティティに伝達することができる。
【符号の説明】
【0028】
DC+,DC- 接続
C1,C2 リンク回路コンデンサ
M 中心点
T1-T6 スイッチ
D1-D6 ダイオード
BR ブリッジ出力
PI,NI 内部接続
LF フィルタインダクタ
CF フィルタコンデンサ
AC AC電圧出力
S1 ステップ
LP 充電フェーズ
EP 放電フェーズ
PP 試験フェーズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】