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特表2023-539285可動性が制限された乗客のためのエレベータ動作デバイスを有するエレベータシステム
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  • 特表-可動性が制限された乗客のためのエレベータ動作デバイスを有するエレベータシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】可動性が制限された乗客のためのエレベータ動作デバイスを有するエレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20230906BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B3/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513652
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2021073486
(87)【国際公開番号】W WO2022043371
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20193679.6
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
3.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タイアナ,デニス
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303BA05
3F303DB26
3F502JA06
3F502JA17
3F502JA23
3F502MA16
3F502MA35
(57)【要約】
エレベータシステム(1)は、エレベータ動作デバイス(4)とアクティブ化デバイス(6)とを有する。エレベータ動作デバイス(4)は、エレベータ制御部(13)に接続され、フロア(L、L1)上に配置される。エレベータ動作デバイス(4)は、第1の無線デバイス(5)と、オーディオデバイス(9)と、乗客(P)の所望する行先フロアを入力し、進行情報を出力するタッチスクリーン(11)とを有する。アクティブ化デバイス(6)は、乗客(P)がアクセス可能な作動デバイス(38)と、第1の無線デバイス(5)との無線通信のための第2の無線デバイス(7)とを有し;エレベータ動作デバイス(4)の無線範囲内に配置される。作動デバイス(38)が乗客(P)によって作動されると、第2の無線デバイス(7)はアクティブ化無線信号を送信する。次いで、エレベータ動作デバイス(4)は、通常動作モードから、乗客(P)による呼び入力に対する動作命令が生成される特別動作モードに切り替わる。呼び入力が完了すると、通常動作モードに切り替わる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ制御部(13)によって制御されるエレベータ乗りかご(10)がフロア間(L、L1)で移動可能であるエレベータシステム(1)であって、
エレベータ制御部(13)に通信可能に接続され、フロア(L、L1)上に配置されるエレベータ動作デバイス(4)であって、第1の無線デバイス(5)と、オーディオデバイス(9)と、乗客(P)の所望する行先フロアを入力し、進行情報を出力するタッチセンシティブスクリーン(11)とを有するエレベータ動作デバイス(4)と、
乗客(P)がアクセス可能な作動デバイス(38)と、第1の無線デバイス(5)と無線通信するための第2の無線デバイス(7)とを有し、フロア(L、L1)のうちの1つの上で、そこに配置されたエレベータ動作デバイス(4)の無線範囲内に配置される、アクティブ化デバイス(6)とを備え、第2の無線デバイス(7)は、作動デバイス(38)が乗客(P)によって作動されるときにアクティブ化無線信号を送信するように構成され、
エレベータ動作デバイス(4)は、アクティブ化無線信号が第1の無線デバイス(5)によって受信されたときに通常動作モードから特別動作モードに切り換わり、特別動作モードにおいて、乗客(P)による呼び入力に対する動作命令を生成し、呼び入力が完了したときに通常動作モードに切り換わるように構成された、エレベータシステム(1)。
【請求項2】
エレベータ動作デバイス(4)が、オーディオデバイス(9)および/またはタッチセンシティブスクリーン(11)を通して呼び入力を確定するように構成された、請求項1に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項3】
動作命令が、オーディオデバイス(9)を通して通信される音声命令を含む、請求項1または2に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項4】
エレベータ動作デバイス(4)がハウジング(24)を有し、アクティブ化デバイス(6)がハウジング(36)を有し、アクティブ化デバイス(6)のハウジング(36)が、アクティブ化デバイス(6)の隣に存在するエレベータ動作デバイス(4)のハウジング(24)に隣接して配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項5】
エレベータ動作デバイス(4)がハウジング(24)を有し、アクティブ化デバイス(6)がハウジング(44)を有し、アクティブ化デバイス(6)のハウジング(44)が、エレベータ動作デバイス(4)のハウジング(24)上に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項6】
アクティブ化デバイス(6)が、乗客側に識別デバイス(26)を有し、識別デバイスは、身体的制限を有する乗客(P)が使用するためのアクティブ化デバイス(6)を識別する、請求項1から5のいずれか一項に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項7】
アクティブ化デバイス(6)が、可聴位置信号を生成する音響信号発生器(42)を備える、請求項6に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項8】
タッチセンシティブスクリーン(11)が、行先フロアに割り当てられた入力フィールドを表示し、入力フィールドのうちの1つにおけるタッチを検出し、行先呼びに対して決定された進行情報を表示するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項9】
第2の無線デバイス(7)が、Bluetooth技術に従ってアクティブ化無線信号を送信するように構成され、第1の無線デバイス(5)が、Bluetooth技術に従ってアクティブ化無線信号を受信するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項10】
エレベータ制御部(13)が、特別動作モードにおいて、入力された呼びに対する進行情報を決定し、この決定された進行情報をエレベータ動作デバイス(4)によって乗客(P)に通信するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のエレベータシステム(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のエレベータシステム(1)を動作させるための方法であって、エレベータ制御部(13)に通信可能に接続されたエレベータ動作デバイス(4)がフロア(L、L1)上に配置され、アクティブ化デバイス(6)が、フロア(L、L1)のうちの1つの上で、そこに配置されたエレベータ動作デバイス(4)の無線範囲内に配置され、エレベータ動作デバイス(4)が、通常動作モードと特別動作モードとを備え、
アクティブ化デバイス(6)において乗客(P)によって開始されたアクティブ化信号をエレベータ動作デバイス(4)を介して受信することと、
アクティブ化信号を受信した後に、エレベータ動作デバイス(4)の特別動作モードをアクティブ化することであって、エレベータ動作デバイス(4)が通常動作モードから特別動作モードに切り替わる、ことと、
エレベータ動作デバイス(4)によって動作命令のためのルーチンを実行することであって、それにより、エレベータ動作デバイス(4)での呼び入力中に、エレベータ動作デバイス(4)が、アクティブ化信号を開始した乗客(P)を支援する、ことと、
乗客(P)による呼び入力の完了後に、エレベータ動作デバイス(4)により、エレベータ制御部(13)に行先呼びを送信することと、
エレベータ動作デバイス(4)を介して進行情報を通信することであって、進行情報が、エレベータ制御部(13)によって決定され、また行先呼びに対処するエレベータ乗りかご(10)を示す、ことと、
進行情報の通信が終了すると、エレベータ動作デバイス(4)の特別動作モードを非アクティブ化することであって、エレベータ動作デバイス(4)が特別動作モードから通常動作モードに切り替わる、ことと
を含む、方法。
【請求項12】
アクティブ化無線信号が、Bluetooth技術に従って第2の無線デバイス(7)によって放射され、アクティブ化無線信号が、Bluetooth技術に従って第1の無線デバイス(5)によって受信される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アクティブ化デバイス(6)の音響信号発生器(42)による可聴位置信号の生成をさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に説明される技術は、一般に、建物内のエレベータシステムに関する。本技術の設計実装は、詳細には、可動性が制限された乗客のためのエレベータ動作デバイスを備えたエレベータシステム、およびそのようなエレベータシステムを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステムを備えた建物では、乗客がエレベータを呼び出すことができるエレベータ動作デバイスが個々のフロア上に配置される。既知のエレベータシステムでは、フロア上に配置されたエレベータ動作デバイスは、乗客が所望の移動方向を入力できるように、上/下ボタンを有する。このエレベータ設備では、エレベータ乗りかご内に乗りかご動作デバイスがあり、これによってエレベータ乗りかご内の乗客は所望の行先フロアを入力することができる。他の既知のエレベータシステムでは、乗客は、そのフロアのエレベータ動作デバイスで行先フロアを既に入力することができる。この目的のために、エレベータシステムは行先呼び制御技術を装備しており、フロア上に配置されたエレベータ動作デバイスはそれぞれ、キーパッド、タッチセンシティブスクリーン、および/または行先フロアを入力するためのデータ取得デバイス(例えば、欧州特許第0699617号明細書から知られているRFIDカードリーダの形態)のいずれかを有する。
【0003】
エレベータ動作デバイスは、可動性が制限された乗客であっても、便利で確実に動作可能でなければならない。身体障がいは、例えば、視覚、聴覚または身体の可動性に影響を及ぼし得る。これらの要件を満たすための様々な手法が知られている。エレベータ動作デバイスとしては、例えば、各々が特殊なボタン(例えば、車椅子のシンボル)を有するか、または表示するものが一般的に知られている。このボタンが作動されると、エレベータシステムは障がい者に優しい動作モードに切り替わる。加えて、例えば、欧州特許第2331443号明細書から、タッチセンシティブスクリーンを備えたエレベータ動作デバイスが、ある種の迷走運動がタッチスクリーン上で検出されたときに特別な入力モードに変化することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0699617号明細書
【特許文献2】欧州特許第2331443号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した手法は、身体障がいを有する乗客によるエレベータシステムの動作を容易にするが、それにもかかわらず、滑らかな表面を有するタッチセンシティブスクリーンは、特に視力が限られた乗客にとって動作において困難があり得る。したがって、動作を容易にする技術が必要とされている。
【0006】
本明細書に説明される技術の一態様は、エレベータ制御部によって制御されるエレベータ乗りかごがフロア間で移動されることができるエレベータシステムに関する。エレベータシステムは、エレベータ動作デバイスとアクティブ化デバイスとを備える。エレベータ動作デバイスは、エレベータ制御部に通信可能に接続され、フロア上に配置される。エレベータ動作デバイスは、第1の無線デバイスと、オーディオデバイスと、乗客の所望する行先フロアを入力し、進行情報を出力するタッチセンシティブスクリーンとを有する。アクティブ化デバイスは、乗客がアクセス可能な作動デバイスと、第1の無線デバイスと無線通信するための第2の無線デバイスとを有する。アクティブ化デバイスは、フロアのうちの1つの上で、そこに配置されたエレベータ動作デバイスの無線範囲内に配置され、第2の無線デバイスは、作動デバイスが乗客によって作動されるときにアクティブ化無線信号を送信するように構成される。エレベータ動作デバイスは、アクティブ化無線信号が第1の無線デバイスによって受信されると通常動作モードから特別動作モードに切り替わり、特別動作モードでは、乗客による呼び入力に対する動作命令を生成し、呼びが入力されると通常動作モードに切り替わるように構成される。
【0007】
本技術の別の態様は、エレベータ制御部に通信可能に接続されたエレベータ動作デバイスがフロア上に配置され、アクティブ化デバイスが、フロアのうちの1つの上で、そこに配置されたエレベータ動作デバイスの無線範囲内に配置された、エレベータシステムを動作させるための方法に関し、エレベータ動作デバイスは、通常動作モードおよび特別動作モードを有する。本方法は、エレベータ動作デバイスによる、アクティブ化デバイスにおいて乗客によって開始されたアクティブ化信号の受信を含む。アクティブ化信号を受信した後、エレベータ動作デバイスの特別動作モードがアクティブ化され、エレベータ動作デバイスは通常動作モードから特別動作モードに切り替わる。次いで、エレベータ動作デバイスは、動作命令のためのルーチンを実行し、それによって、エレベータ動作デバイスは、エレベータ動作デバイスでの呼び入力があった場合、アクティブ化信号を開始した乗客を支援する。乗客が呼び入力を終了すると、行先呼びがエレベータ動作デバイスによってエレベータ制御部に送信される。エレベータ動作デバイスは、乗客に進行情報を通信し、進行情報は、エレベータ制御部によって決定され、また行先呼びに対処するエレベータ乗りかごを示す。進行情報の通信が終了すると、エレベータ動作デバイスの特別動作モードが非アクティブ化され、エレベータ動作デバイスは、特別動作モードから通常動作モードに切り替わる。
【0008】
本明細書に説明される技術は、本明細書に説明される技術によるアクティブ化デバイスが、行先フロアがタッチセンシティブスクリーン(タッチスクリーン)上に入力される既知のエレベータ動作デバイスと組み合わせて有利に使用されることができるエレベータシステムを作り出す。前記タッチセンシティブスクリーンの使用は、特に視力が限られた乗客にとっては困難を伴う可能性がある。乗客、特に視力の弱い人にとって、本明細書に説明される技術は、タッチスクリーンを備えたエレベータ動作デバイスで所望の行先フロアが快適に入力され得るという利点を有する。アクティブ化デバイスは、例えば、行先呼び制御技術を有するエレベータシステムで使用されるように、そのような乗客がエレベータ動作デバイスの特別動作モードをアクティブ化することを可能にする。この特別動作モードでは、乗客は、呼び入力中に支援される。しかしながら、身体障がいのない乗客は、既に慣れているエレベータ動作デバイスを依然として使用することができる。
【0009】
エレベータ動作デバイスに関して、アクティブ化デバイスは拡張構成要素として見なされることができる。アクティブ化デバイスとエレベータ動作デバイスとの間の通信は無線で行われるため、設置労力はほとんど必要とされない。さらに、例示的な一実施形態では、既知の一般的に利用可能な無線技術、特にBluetooth技術が使用される。
【0010】
エレベータ動作デバイスと比較して、アクティブ化デバイスは機能が低減されており、アクティブ化信号が生成されて放射されればよい。アクティブ化デバイスの設計に応じて、音響信号発生器および/または照明デバイスが設けられ得る。したがって、本明細書に説明される技術によれば、アクティブ化デバイスは、技術的複雑性が低く、したがって安価でもある。
【0011】
例示的な一実施形態では、エレベータ動作デバイスおよび少なくとも1つのアクティブ化デバイスはそれぞれハウジングを有し、少なくとも1つのアクティブ化デバイスのハウジングは、前記アクティブ化デバイスの隣に存在するエレベータ動作デバイスのハウジングに隣接して配置される。アクティブ化デバイスのハウジングは、エレベータ動作デバイスのハウジング上に配置されることができる。例示的な一実施形態では、アクティブ化デバイスは、エレベータ動作デバイスの乗客側の前面に配置されることができる;例えば、エレベータ動作デバイスの前面に接着されることができる。これにより、少なくとも1つのアクティブ化デバイスは、エレベータ動作デバイスとは柔軟に独立して配置されることができる。ハウジングは、互いに接触してもよく、または互いにより大きいまたはより小さい距離に配置されてもよい。
【0012】
例示的な一実施形態ではアクティブ化デバイスが電気エネルギーのためのバッテリまたは別の形態の貯蔵部を装備しているという点で、配置に関する柔軟性ももたらされる。例示的な一実施形態では、アクティブ化デバイスは、電気力学的エネルギー変換器と共に押しボタンを装備する。押しボタンが押されると、電気力学的エネルギー変換器は、Bluetooth信号を送信するためのエネルギーを供給する。このため、アクティブ化デバイスは、電源用の別個の線を備える必要がない。
【0013】
改善された技術の様々な態様は、図面と併せて例示的な実施形態を参照して以下により詳細に説明される。各図において、同一要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】複数のフロアを有する建物内の状況の例とエレベータシステムの例の概略図である。
図2図1によるエレベータシステムにおいてフロア上に配置された例示的なエレベータ動作デバイスおよび例示的なアクティブ化デバイスの概略図である。
図3】エレベータシステムを動作させるための方法の例示的な実施形態の図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、エレベータシステム1が機能する複数のフロアL、L1を有する建物2内の状況の一例の概略図である。フロアLは、乗客Pが建物2にアクセスするときに入り、乗客が建物2から離れる場合にもそこを通る、建物2のエントランスホールとすることができる。乗客PがフロアLに入ると、建物2の各フロアL、L1は、適切なアクセス許可で、エレベータシステム1によってそのフロアから到達されることができる。説明のために、エレベータシステム1のうち、1つのみのエレベータ制御部13、駆動機14、懸架手段16(例えば、スチールケーブルまたはフラットベルト)、懸架手段16に懸架されてシャフト18内で移動可能なエレベータ乗りかご10(以下、乗りかご10とも称する)、ならびにいくつかのエレベータ動作デバイス4、4aおよびアクティブ化デバイス6が、図1に示されている。当業者は、エレベータシステム1が、群制御部によって制御される1つ以上のシャフト18内に複数の乗りかご10を備えることもできることを認識するであろう。(図1に示される)牽引エレベータの代わりに、エレベータシステム1は、1つ以上の油圧エレベータを有することもできる。
【0016】
エレベータシステム1は、上述したいずれかの制御技術(上/下制御部または行先呼び制御部)に従って構成され得る。当業者は、建物2内に実装された制御技術に応じて、エレベータ動作デバイス4、4aがそれに応じて構成および配置されることを認識するであろう。言及された制御技術は当業者に知られているので、詳細な説明は必要とは思われない;以下、これは、本明細書に説明される技術を理解するのに役立つと思われる範囲でのみ説明される。
【0017】
エレベータシステム1が行先呼び制御部を装備する場合、エレベータ動作デバイス4は、フロアL、L1上に配置され、通信ネットワーク22を介して行先呼び制御部12(DCC)に接続される。乗客Pは、フロアL、L1上のエレベータ動作デバイス4において、所望の行先フロアを入力することができる;乗客Pが行先フロアを入力した(すなわち、行先呼びの入力)後、乗り場フロアおよび行先フロアの情報が利用可能となる。乗り場フロアは、行先フロアが入力されるエレベータ動作デバイス4の場所によって規定される。行先呼び制御部12は、入力された行先呼びにエレベータ乗りかご10を割り振り、エレベータ制御部8は、行先呼びに応じて、割り振られたエレベータ乗りかご10の移動を制御する。乗りかご10の内部では、通常、行先フロアへの移動要求を入力することはできない;行先呼び制御部を備えるエレベータシステム1には、図1に破線で示す乗りかご10内のエレベータ動作デバイス4aおよびアクティブ化デバイス6が設けられていない。
【0018】
エレベータシステム1がオン/オフ制御部を装備している場合、エレベータ動作デバイス4は、乗客Pが所望の移動方向を入力することができるフロアL、L1上に配置される;図1に示す(フロア側の)エレベータ動作デバイス4は、2つの移動方向を表示するタッチセンシティブスクリーンで構成されてもよいし、2つの方向ボタンとして構成されてもよい。同じく図1に示す行先呼び制御部12は、上/下制御部を備えるエレベータシステム1には設けられていない。各フロアL、L1上のエレベータ動作デバイス4は、通信ネットワーク22を介してエレベータ制御部13に接続されている。そして、所望の行先フロアの入力が、乗りかご10内で、そこに配置されたエレベータ動作デバイス4aで行われる。通信線20は、(乗りかご側の)エレベータ動作デバイス4aをエレベータ制御部13に接続する。乗りかご10(したがって、乗り場フロア)の現在位置は、エレベータ制御部13に記憶されることができ;乗りかご10によって行われた最後の移動から導き出される。
【0019】
以下では、本明細書に説明される技術の例示的な実施形態の説明は、主に、行先呼び制御部を装備したエレベータシステム1に基づいている。乗客Pは、フロアL、L1上のエレベータ動作デバイス4において、所望の行先フロアL、L1を入力することができる。この目的のために、エレベータ動作デバイス4は、例えばタッチセンシティブスクリーン11をそれぞれ装備している;タッチセンシティブスクリーン11は、以下ではタッチスクリーン11とも呼ばれる。そのようなタッチスクリーン11の実施形態、および適用のためにそこで使用される技術、特にタッチスクリーン11のフラットユーザインターフェース上の表示および入力オプションは、当業者に知られている。例えば、エレベータ動作デバイス4は、行先フロア(例えば、個々の番号付けされたフィールドの形態で)および場合によっては関連するフロア固有の情報(例えば、レストラン、駐車場、玄関ホール)をユーザインターフェース上に表示することができる。エレベータ呼び出し(行先呼び)に対処するためにエレベータ呼び出しが割り振られた乗りかご10は、ユーザインターフェース上の表示によって、およびオーディオデバイス9を介した音声メッセージによって乗客Pに通信されることができる。
【0020】
本明細書に説明される技術によれば、エレベータ動作デバイス4は、エレベータ動作デバイス4のハウジング24内にタッチスクリーン11と共に配置された無線デバイス5を備え、アクティブ化デバイス6は、アクティブ化デバイス6のハウジング内に配置された無線デバイス7を備える。無線デバイス7は、アクティブ化デバイス6が乗客Pによって作動されるとアクティブ化無線信号を送信するように構成されている。無線デバイス7は、規定された無線範囲および方向内でアクティブ化無線信号が確実に受信され得るように選択された無線電力および指向特性でアクティブ化無線信号を送信する。エレベータ動作デバイス4の無線デバイス5は、無線範囲内に配置され、アクティブ化無線信号を受信するように構成される。例示的な一実施形態では、アクティブ化無線信号の送信および受信は、Bluetooth技術、例えばBluetooth Low-Energy(BLE)に従って行われる。当業者は、別の無線技術、例えばWi-Fi HaLow/IEEE802.11ahおよびZigbeeも実装され得ることを認識している。
【0021】
図1に示す状況では、本明細書に説明される技術が有利に使用されることができる。簡潔に要約すると、例として、本明細書に説明される技術は、特に視力が限られているまたは全盲である場合など、身体的制限を有する乗客Pが、タッチスクリーン11が呼び入力のために設けられているエレベータシステム1において、快適で確実にエレベータ呼び出しを入力することを可能にする。しかしながら、身体障がいのない乗客Pは、行先呼び制御技術を有する既知のエレベータシステム1から知っているエレベータ動作デバイス4を引き続き使用することができる。例えば盲人の乗客Pは、アクティブ化デバイス6のうちの1つに誘導されてもよい。この目的のために、例えば、低クロック周波数(例えば、約1~4Hzまたはそれより低い周波数)を有するクロック式高調波サウンド信号を生成する音響信号発生器、および/または、例えば、光学的および触覚的にコントラストのあるグランドインディケータ(溝付き、およびこぶのあるパネル)からなる触覚グランド誘導システムを備える盲人誘導システムが設けられ得る。
【0022】
乗客Pは、アクティブ化デバイス6を作動させると、アクティブ化無線信号を送り、その結果、エレベータ動作デバイス4は、通常動作モードから特別動作モードに切り替わる。通常動作モードでは、エレベータ動作デバイス4は、例えば、乗客Pが情報をタッチして読み取ることで既知の動作が可能なグラフィカルユーザインターフェースを生成する。特別動作モードでは、エレベータ動作デバイス4は、乗客Pによる呼び入力に対する動作命令を生成する。アクティブ化デバイス6は、エレベータ動作デバイス4に、またはエレベータ動作デバイス4内に配置される。したがって、乗客Pがアクティブ化デバイス6を作動させるとき、乗客Pもエレベータ動作デバイス4に、またはその近くに位置する。したがって、エレベータ動作デバイス4によって生成された動作命令は、乗客Pによって知覚され得;特に、聞かれ得る。乗客Pが動作命令に従い、それに応じてエレベータ動作デバイス4と対話する場合、したがって、乗客Pは、呼び入力中に支援される。乗客Pへの進行情報(例えば、どの乗りかご10が割り振られているか、乗り場フロアへの到着時間、および/またはエレベータ動作デバイス4の場所を起点として乗ることができる場所)の送信によって呼び入力が完了すると、エレベータ動作デバイス4は通常動作モードに切り替わり戻る。
【0023】
図1および特定の実施形態の両方において、乗客側のアクティブ化デバイス6は、識別デバイス26で構成されることができる。識別デバイス26は、例えば、身体障がいを有する乗客Pに対するその意図された用途を識別するために、ユーザインターフェース上に車椅子用のシンボルまたは他のマーキングを有することができる。実施形態に応じて、識別デバイス26は、例えばユーザインターフェースを照明するために、図2に示す照明デバイス44を備えることができる。さらに、図2にも示されている音響信号発生器42は、識別デバイス26に含まれると理解することができる。
【0024】
図2は、図1によるエレベータシステム1のフロアL、L1で使用され得るエレベータ動作デバイス4およびアクティブ化デバイス6の例示的な実施形態の概略図を示す。エレベータ動作デバイス6は、通信ネットワーク22を介してエレベータ制御部13(EC/DCC)に通信可能に接続されている。エレベータ動作デバイス4は、ハウジング24を有し、それによって、エレベータ動作デバイス4は、建物の壁、エレベータのドアフレームに配置されるか、または床に立つことができる。アクティブ化デバイス6は、建物の壁、エレベータのドアフレームに、またはエレベータ動作デバイス4にもしくはその上に配置されることができるハウジング36を有する。エレベータ乗りかご10において、エレベータ動作デバイス4aが、かご室内壁、またはエレベータ動作デバイス4aにもしくはその上に配置される。当業者であれば、エレベータ動作デバイス4およびアクティブ化デバイス6が建物の壁またはフロア側のエレベータドアのドアフレームに設置されるとき、ハウジング24、36が省略される可能性があることを認識するであろう。当業者はまた、エレベータ動作デバイス4およびアクティブ化デバイス6が、使いやすいかまたは規格によって規定された高さに配置されていることを認識するであろう。
【0025】
図示の例示的な実施形態では、タッチスクリーン11、中央制御および処理デバイス32(CPU)、照明デバイス34、(例えば、電気音響トランスデューサを備える)オーディオデバイス9 および通信デバイス30(PoE、パワーオーバーイーサネット)は、エレベータ動作デバイス4のハウジング24内に配置されている。また、ハウジング24内には、アクティブ化無線信号を受信(RX)する無線デバイス5が配置されている。中央制御および処理デバイス32は、エレベータ動作デバイス4の動作およびタスクを保証するために、言及された構成要素に通信可能に接続される。
【0026】
タッチスクリーン11は、タッチスクリーン11の動作を制御し、とりわけユーザインターフェースを生成するプロセッサ28を備える。透明なガラスパネル(図示せず)がタッチスクリーン11を覆っているので、ユーザインターフェース上に示される入力フィールドは乗客に見える。プロセッサ28は、中央制御および処理デバイス32に接続されており、例えば乗客Pが指で入力フィールドに触れると信号を生成する。入力フィールドは行先フロアに割り振られ、フロア固有の情報も表示することが可能である。タッチスクリーンの構造および機能は当業者に知られており、したがって、さらなる説明は必要ではないようである。
【0027】
照明デバイス34は、エレベータ動作デバイス4のユーザインターフェースの全体またはその一部の領域のみを照明する役割を果たす。中央制御および処理デバイス32によって制御されて、照明デバイス34は、表示された入力フィールドが、特に不十分な照明条件において、(視覚障がい者ではない)乗客Pによって知覚され得るようにユーザインターフェースを照明することができる。照明デバイス34は、例えば、エレベータ呼び出しの入力を確定するために、ユーザインターフェースまたは個々の入力フィールドを色付きの光で照明することもできる。例示的な一実施形態では、照明デバイス34は、1つ以上のLED光源を備える。
【0028】
エレベータ動作デバイス4では、乗客は、表示された入力ボタンのうちの1つをタッチすることで行先フロアを選択し、したがって所望の行先フロアへのエレベータ呼び出し(行先呼び)を入力することができる。乗りかご10がこの行先呼びに割り振られると、中央制御および処理デバイス32は、行先呼びに応答する乗りかご10の識別子(例えば、文字または数字)および場合によっては方向情報をユーザインターフェース28に表示するために、タッチスクリーン11(またはそのプロセッサ28)を作動させる。さらに、中央制御および処理デバイス32は、対応する音声メッセージ(例えば、乗りかごおよび方向情報)を生成するためにオーディオデバイス9を作動させることができる。これは、特に、呼び入力の後に建物内で自分自身の位置を知る際に視力が限られている乗客Pを助ける。
【0029】
無線デバイス5は、アクティブ化無線信号を受信し、それを電気アクティブ化信号に変換し、それを中央制御および処理デバイス32に転送するように構成される。中央制御および処理デバイス32は、それがアクティブ化信号であることを認識すると、エレベータ動作デバイス4を通常動作モードから特別動作モードに切り替える。特別動作モードでは、中央制御および処理デバイス32は、図3に関連して本説明の他の箇所で説明するように、規定され記憶されたルーチンを実行する。
【0030】
エレベータ動作デバイス4の例示的な実施形態では、呼び入力の代替または追加の可能性が提供され得る。この可能性では、乗客Pの携帯通信デバイス(例えば、移動無線デバイス/携帯電話、スマートフォン、タブレットPC)が呼び入力に使用されることができ、無線デバイス5と通信デバイスとの間の通信も、例えば上述のBluetooth技術に従って行われる。
【0031】
図示の例示的な実施形態では、無線デバイス7、音響信号発生器42、プロセッサ40、作動デバイス38、および(任意選択の)照明デバイス44は、アクティブ化デバイス6のハウジング36内に配置されている。プロセッサ40は、指定された構成要素に直接的または間接的に接続される;例えば、作動デバイス38が乗客Pによって作動されたときに作動信号を生成すると、プロセッサ40は無線デバイス7を制御する。次いで、無線デバイス7は、アクティブ化信号を送る。
【0032】
例示的な一実施形態では、プロセッサ40は、可聴サウンド信号を生成するように音響信号発生器42を制御する。サウンド信号は、例えば、低いクロック周波数を有するクロック式高調波(可聴)サウンド信号とすることができる。盲人を支援する分野では、例えば、約1~4Hzのクロック周波数を有するサウンド信号を生成する音響信号発生器が知られている。サウンド信号は位置信号として機能し、それに基づいて乗客Pは空間内で自分自身の位置を知り、信号発生器42の方向に移動することができる。
【0033】
例示的な一実施形態では、作動デバイス38の機能および無線デバイス7の機能は、モジュール、例えば、BLE(Bluetooth)技術に従って構成された押しボタン送信機モジュール(ドイツのEnOcean GmbH社のPTM 215B)に統合されてもよい。このモジュールは、複数の押しボタンまたはトグルスイッチと、Bluetooth無線デバイスと、モジュールにエネルギーを供給するために設けられた、電気力学的エネルギー変換器とを有する。押しボタンのうちの1つが押されると、電気力学的エネルギー変換器は、Bluetooth信号を送信するためのエネルギーを供給する。当業者は、例えば、押しボタンが押されておらず、電気力学的エネルギー変換器が電気エネルギーを供給していない場合でも、音響信号発生器42および場合によっては(任意選択の)照明デバイス44を動作させるために、アクティブ化デバイス6にバッテリがさらに設けられることができることを認識している。
【0034】
通信ネットワーク22は、エレベータ動作デバイス4をエレベータ制御部13に接続し、したがってエレベータ制御部13とエレベータ動作デバイス4との間の通信を可能にする。この通信のために、エレベータ動作デバイス4およびエレベータ制御部13は、通信ネットワーク22に直接的または間接的に接続されてもよい。通信ネットワーク22は、通信バスシステム、個々のデータ線、またはそれらの組み合わせを含むことができる。通信ネットワーク22の実装形態に応じて、個々のアドレスおよび/または識別子をエレベータ制御部13および各エレベータ動作デバイス4に割り振ることができ、その結果、例えば、エレベータ制御部13は、目標とする方法で所望のエレベータ動作デバイス4にメッセージを送ることができる。通信は、有線通信のためのプロトコル、例えばイーサネットプロトコルに従って行うことができる。上述したように、例示的な一実施形態では、エレベータ動作デバイス4には、通信ネットワーク22(PoE)を介して電気エネルギーが供給される。
【0035】
エレベータシステム1の上述した基本的なシステム構成要素およびそれらの機能を理解して、図1に示すエレベータシステム1、特にそのエレベータ動作デバイス4のうちの1つを動作させるための方法の一例を、図3を参照して以下に説明する。図3は、本方法のフローチャートの一例を示す図であり;ステップS1で開始し、ステップS10で終了する。当業者であれば、これらのステップへの分割は一例であり、これらのステップのうちの1つ以上を1つ以上のサブステップに分割することができ、あるいはいくつかのステップを1つのステップに組み合わせることができることを認識するであろう。
【0036】
この方法は、言及された視覚障がいの1つを有する乗客Pを参照して説明される。ここでは、乗客Pは、フロアL、L1上に既に配置されており、そこに配置されたアクティブ化デバイス6に到達でき;例えば、乗客Pは、このフロアL、L1から行先フロアL、L1に搬送されるためにエレベータを使用したいので、前記サウンド信号および/または盲人誘導システムの助けを借りてアクティブ化デバイス6まで移動していた、と仮定される。図1に示すように、エレベータ動作デバイス4は、アクティブ化デバイス6に近接して配置されている。エレベータシステム1は、行先呼び制御部を装備し、それに従ってエレベータ動作デバイス4のユーザインターフェースは、例えば、行先フロアに対応する番号付けされた入力フィールドおよび場合によっては関連するフロア固有の情報を示す。エレベータ動作デバイス4は通常動作モードにあり、図3ではステップS2によって示されている;フローチャートの別の表現では、ステップS2を省略することさえもできる。
【0037】
乗客Pがアクティブ化デバイス6、特にその作動デバイス38を作動させると、無線デバイス7はアクティブ化信号を送る。ステップS3において、エレベータ動作デバイス4の無線デバイス5は、アクティブ化信号を受信する。例示的な一実施形態では、アクティブ化信号は、受信したアクティブ化信号が別のBluetooth送信機からではなく、隣接して配置されたアクティブ化デバイス6から発信されていることをエレベータ動作デバイス4が明確に認識するように、符号化されることができ、および/または識別子を含むことができる。
【0038】
エレベータ動作デバイス4は、受信したアクティブ化信号に応答して、ステップS4において、通常動作モードから特別動作モードに切り替わる。特別動作モードにおいて、オーディオデバイス9は、一実施形態において、音声出力および音声入力のためにアクティブ化されることができる。別の例示的な実施形態では、オーディオデバイス9に加えて、またはこれに代えて、タッチスクリーン11が、文字および/またはジェスチャ認識のためにアクティブ化されることができる。
【0039】
特別動作モードでは、エレベータ動作デバイス4は、ステップS5において、動作命令のためのルーチンを実行する。動作命令は、例えば、オーディオデバイス9からなり、1つ以上の(記憶された)音声メッセージによって、乗客Pに挨拶し、乗客Pがどこにいるかを知らせ、所望の行先フロアを数字またはフロア固有のインディケーション(例えば、レストラン、駐車場、玄関ホール)として話すように促す。オーディオデバイス9には、そのような音声入力のための音声認識モジュールが装備され得る。オーディオデバイス9によって生成された音声メッセージは、認識された行先フロアを乗客Pに通知し、これを確定するか、または行先フロアを繰り返すように乗客Pに促すことができる。
【0040】
例示的な一実施形態では、オーディオデバイス9は、現在のフロアから到達可能なフロアを示す音声メッセージを生成することができ、乗客Pは、例えば「停止」などと言って所望の行先フロアで反応する。このような音声メッセージに連動して、現在アナウンスされているフロアが表示され、乗客Pが所望の行先フロアでタッチスクリーン11に触れるように促されるように、タッチスクリーン11が制御されることができる。
【0041】
一実施形態では、音声メッセージは、認証の証明を作り出すように乗客Pに促すことができる。認証の証明は、例えば、RFIDトランスポンダが統合された、または光コード(例えば、バーコードまたはQRコード)が表されたカード状キャリアの形態で構成されることができる。音声メッセージはまた、認証の証明がエレベータ動作デバイス4のどこに示されるべきかを示すことができる。認証の証明に基づいて、規定された行先フロアへの行先呼びがトリガされることができる。
【0042】
例示的な一実施形態では、動作命令は、乗客Pにタッチスクリーン11にタッチし、指で所望の行先フロアの番号またはフロア固有の情報(例えば、レストラン)を書き込むように促すオーディオデバイス9からなることができる。タッチスクリーン11もしくはそれを制御するプロセッサ28および/または中央制御デバイス32は、そのような形態の文字または筆記認識用に構成される。オーディオデバイス9によって生成された音声メッセージは、認識された行先フロアを乗客Pに通知し、これを確定するか、または新しい入力を行うように乗客Pに促すことができる。
【0043】
ステップS6では、呼び入力が完了したか否かが確認される。例示的な一実施形態では、乗客Pが、自分が行い、オーディオデバイス9によって認識された音声入力または文字入力を確定したときに、呼び入力が終了したと見なされる。この場合、方法はYES分岐に沿ってステップS7に進み、そうでなければNO分岐に沿ってステップS5に戻る。
【0044】
ステップS7では、エレベータ動作デバイス4からエレベータ制御部13に行先呼びが送信される。行先呼びが受信されると、乗り場フロアおよび行先フロアに関する情報が利用可能であるため、割り振りアルゴリズムはこの情報を使用して、この移動のための乗りかご10を選択して割り振ることができる。図1に示す例示的な実施形態では、行先呼び制御部12は、行先呼びを受信する。そのような割り振りアルゴリズムは、例えば欧州特許第1276691号明細書から当業者に知られている。当業者であれば、エレベータシステム1の設計に応じて、割り振りアルゴリズムは、例えば欧州特許第1276691号明細書に説明されているように、フロア側のエレベータ動作デバイス4の関与を伴って実行することもできることを認識するであろう。どのエレベータ乗りかご10に決定されたかは、進行情報としてエレベータ動作デバイス4に送信される。エレベータシステム1の構成に応じて、進行情報は、例えば、そのフロアに乗りかご10の到着が予想されるときなどの、追加の情報を含むことができる。制御システム8は、とりわけ、割り振られた乗りかご10が行先呼びに従って移動されるように、駆動機14を制御する。
【0045】
ステップS8では、エレベータ動作デバイス4を用いて乗客Pに進行情報が通信される。オーディオデバイス9は、この目的のために対応する音声メッセージを生成することができる。エレベータシステム1および建物に応じて、音声メッセージは、経路または方向の情報(例えば、左に、右に)も含むことができる。エレベータ動作デバイス4は、乗客Pに対する進行情報の通信を自動的にまたは要求に応じて繰り返すように構成されることができる。
【0046】
ステップS9において、エレベータ動作デバイス4は、特別動作モードから通常動作モードに切り替わり戻る。例示的な一実施形態では、切り替えは、ステップS8で進行情報が通信された後、指定された期間が経過すると行われる。方法はステップS10で終了する。
図1
図2
図3
【国際調査報告】