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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】基油生成のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C10G 45/64 20060101AFI20230906BHJP
   B01J 29/74 20060101ALI20230906BHJP
   B01J 29/80 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C10G45/64
B01J29/74 M
B01J29/80 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513653
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 US2021048167
(87)【国際公開番号】W WO2022047282
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/072,628
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バタチャリア、サブハシス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、イホア
(72)【発明者】
【氏名】レイ、グワン - ダオ
(72)【発明者】
【氏名】プラダン、アジット アール.
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA14
4G169BA01A
4G169BA02A
4G169BA04A
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC10B
4G169BC20A
4G169BC22A
4G169BC61A
4G169BC64A
4G169BC65A
4G169BC68A
4G169BC69A
4G169BC70A
4G169BC72A
4G169BC74A
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CC06
4G169DA06
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4G169EE08
4G169FA02
4G169FB67
4G169FC08
4G169ZA32A
4G169ZA32B
4G169ZD06
4G169ZF02A
4G169ZF04A
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF09B
4H129AA02
4H129CA08
4H129CA10
4H129CA13
4H129CA15
4H129CA18
4H129DA20
4H129KA11
4H129KB03
4H129KB04
4H129KC17X
4H129KC17Y
4H129KD06Y
4H129KD17X
4H129KD18X
4H129KD21X
4H129KD23X
4H129KD24X
4H129KD25X
4H129KD26X
4H129KD26Y
4H129KD31X
4H129NA32
4H129NA45
(57)【要約】
基油生成物を製造するための、ならびに基油の曇点及び流動点の特性を改善する一方で生成物収率も良好にするための、改善された方法及び触媒システム。当該方法及び触媒システムは、概して、SSZ-91触媒及びSSZ-32X触媒を含む層状触媒システムの使用を含み、当該触媒は、炭化水素供給原料を両方の触媒に順次接触させ、それにより、脱ろう基油生成物が得られるように配置されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油を含む脱ろう生成物の作製に有用な水素異性化の方法であって、
第一の生成物を生成するために、第一の水素異性化条件下で、炭化水素フィードを第一の水素異性化触媒に接触させることであって、
前記第一の水素異性化触媒が、周期表の7~10族及び14族から選択される少なくとも1つの修飾金属を含むSSZ-91モレキュラーシーブを含む、前記接触させることと、
第二の生成物を生成するために、第二の異性化条件下で、前記第一の生成物を第二の水素異性化触媒に接触させることであって、
前記第二の水素異性化触媒が、周期表の7~10族及び14族から選択される少なくとも1つの修飾金属を含むSSZ-32xモレキュラーシーブを含む、前記接触させることとを含む、前記方法。
【請求項2】
前記第一の触媒が、第一の10族金属と、任意選択で、周期表の7~10族及び14族金属から選択される第二の金属とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の触媒の前記第一の10族金属がPtを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記7族~10族及び14族金属が、Pt、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはこれらの組合せから選択される、請求項2~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第二の7族~10族及び14族金属が、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはこれらの組合せから選択される、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記SSZ-91モレキュラーシーブがZSM-48タイプゼオライト材料を含み、前記モレキュラーシーブが、
前記ZSM-48タイプ材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6、
0~3.5重量パーセントの量のEUOタイプ相、及び
1~8の平均アスペクト比を有する結晶を含む多結晶凝集形態を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記SSZ-91モレキュラーシーブが、
前記ZSM-48タイプ材料全体の少なくとも80%、もしくは90%のポリタイプ6、
0.1~2wt.%のEU-1、
1~5もしくは1~3の平均アスペクト比を有する結晶、
またはこれらの組合せを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の触媒及び/または前記第二の触媒の前記修飾金属の含量が、0.01~5.0wt.%、または0.01~2.0wt.%、または0.1~2.0wt.%(触媒の総重量基準)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第一及び/または前記第二の触媒が、前記修飾金属のうちの1つとしての0.01~1.0wt.%のPtならびに0.01~1.5wt.%の7~10族及び14族から選択される第二の金属、または0.3~1.0wt.%のPt及び0.03~1.0wt.%の第二の金属、または0.3~1.0wt.%のPt及び0.03~0.8wt.%の第二の金属を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の10族金属と、7~10族及び14族から選択される任意選択の前記第二の金属との比が、10:1~1:5、または3:1~1:3、または1:1~1:2の範囲である、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第一の触媒が、10族金属としてのPtを0.01~1.0wt.%または0.3~1.0wt.%の量で含み、7~10族及び14族金属としてのPd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはこれらの組合せから選択される第二の金属を0.01~1.5wt.%または0.03~0.8wt.%の量で含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記SSZ-91モレキュラーシーブの酸化ケイ素と酸化アルミニウムとのモル比が、40~220または50~220または40~200の範囲である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第一の触媒が、アルミナ、シリカ、チタニア、またはこれらの組合せから選択されるマトリックス材料をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の触媒が、0.01~5.0wt.%の前記修飾金属と、1~80wt.%の前記マトリックス材料と、0.1~99wt.%の前記SSZ-91モレキュラーシーブとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の異性化触媒と、前記第二の異性化触媒との重量比が、約10:1~1:10、または4:1~1:4、または1:1である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記炭化水素フィードが、ガス油、真空ガス油、常圧蒸留残油、真空残油、常圧蒸留物、重油、油、ろう及びパラフィン、使用済油、脱歴残油もしくは粗製油、熱もしくは触媒変換プロセスから生じるチャージ、シェール油、サイクル油:動物及び植物由来の脂肪、油、及びろう、石油及びスラックろう、またはこれらの組合せを含み、及び/または前記炭化水素フィードが、400~1300°Fもしくは500~1100°Fもしくは600~1050°Fの蒸留範囲で切断されたフィード炭化水素を含む、及び/または前記炭化水素フィードが、約3~30cStまたは約3.5~15cStのKV100範囲を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
曇点及び/または流動点が低下した基油生成物を生産するための方法であって、炭化水素フィードを請求項1~16のいずれか1項に記載の方法に供することを含む、前記方法。
【請求項18】
前記供給原料の50~90%が、前記第一の触媒によって水添脱ろうされる、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記供給原料の約20%以上が、前記第二の触媒によって水添脱ろうされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記炭化水素フィードを前記第一の水素異性化触媒に接触させる前に、ハイドロトリートメント条件下で、前記供給原料をハイドロトリートメント触媒に接触させることをさらに含み、任意選択で、前記ハイドロトリートメント触媒が、約0.1~1wt.%のPt及び約0.2~1.5wt.%のPdを含む耐火性の無機酸化物材料を含むガード層触媒を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第一及び/または前記第二の生成物が、約2~30cStの範囲のKV100を有する1つ以上の基油生成物を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記基油生成物が、約-12℃以下の流動点を有する基油生成物と、約-35℃以下の流動点を有する基油生成物とを含み、及び/または前記基油生成物が、100℃で6~26cStの範囲の粘度を有する基油生成物と、100℃で1.5~5cSt、もしくは100℃で2~3cStの範囲の粘度を有する基油生成物とを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載の方法で使用するための前記第一及び前記第二の触媒を含む水素異性化触媒システムであって、前記第一の触媒が、約0.01~5.0wt.%の前記修飾金属、約1~99wt.%のマトリックス材料、及び約0.1~99wt.%の前記SSZ-91モレキュラーシーブ、または約0.01~5.0wt.%の前記修飾金属、約1~80wt.%のマトリックス材料、及び約5.0~85wt.%、もしくは約15~75wt.%の前記SSZ-91モレキュラーシーブを含む、前記水素異性化触媒システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第63/072,628号(2020年8月31日出願)の優先権の利益を主張するものであり、その開示内容は、全体として本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
層状触媒システムを用いて炭化水素供給原料から基油を生産するための方法及びシステム。
【背景技術】
【0003】
炭化水素供給原料から基油を生産するための水素異性化触媒脱ろうの方法は、水素の存在下で脱ろう触媒システムを含む反応器にフィードを導入することを含む。反応器内では、フィードは水素異性化脱ろう条件下で水素異性化触媒に接触して、異性化流が得られる。水素異性化は、芳香族ならびに残存する窒素及び硫黄を除去し、直鎖パラフィンを異性化して低温性質を改善する。異性化流を、さらに第二の反応器内でハイドロフィニッシング触媒に接触させて、基油生成物から任意の微量の芳香族、オレフィンを除去し、色などを改善することができる。ハイドロフィニッシングユニットは、アルミナ担体及び貴金属(典型的にはパラジウム、またはパラジウムと白金との組合せ)を含むハイドロフィニッシング触媒を含むことができる。
【0004】
典型的には、軽質基油及び重質基油の両方を製造するための脱ろうの方法は、軽質フィード及び重質フィードを同時に併給することによって行うことができる。しかし、典型的な水素異性化触媒脱ろうの方法においては、流動点/曇点が非常に低い脱ろうされた軽質生成物の仕様を満たすために動作温度を十分に上げなければならない。このような条件下では、重質留分が典型的には過剰に脱ろうされ、低分子量炭化水素(例えば、中間蒸留物及びさらに軽質のC4-生成物)が生産されることによる収率低下が引き起こされる。したがって、曇点及び流動点の特性が改善された基油生成物を生産する一方で、軽質、重質、及び基油生成物全体における生成物の収率も良好にするための、方法及び触媒システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ろう含有炭化水素供給原料を、概して流動点が低い及び/または曇点が低い基油を含むハイグレード生成物に変換する一方で粘度指数(VI)も高めるための、方法及び触媒システムに関するものである。このような方法では、複数の水素異性化脱ろう触媒を含む層状触媒システムが用いられる。水素異性化の方法により、脂肪族非分枝状パラフィン系炭化水素(n-パラフィン)がイソパラフィン及び環式種に変換され、それにより、基油生成物の流動点及び曇点が供給原料に比べて低下する。
【0006】
1つの態様において、本発明は水素異性化の方法を対象としており、この方法は、好適な炭化水素供給流のハイドロプロセシングを介し、基油を含む脱ろう生成物、特に、1つ以上の製品グレードの基油生成物を製造するのに有用である。必ずしも限定されるものではないが、本発明の目標のうちの1つは、基油生成物の曇点及び/または流動点を改善する一方で基油生成物の収率も良好にすることである。本方法は、概して、第一の生成物または生成物流を生成するために、第一の水素異性化条件下で、炭化水素フィードを第一の水素異性化触媒に接触させることであって、第一の水素異性化触媒が、周期表7族~10族及び14族から選択される少なくとも1つの修飾金属を含むSSZ-91モレキュラーシーブを含む、接触させることと、第二の生成物または生成物流を生成するために、第二の水素異性化条件下で、第一の生成物を第二の水素異性化触媒に接触させることであって、第二の水素異性化触媒が、周期表の7族~10族及び14族から選択される少なくとも1つの修飾金属を含むSSZ-32xモレキュラーシーブを含む、接触させることとを含む。
【0007】
また、本発明は、本明細書に記載の方法で使用される第一及び第二の水素異性化触媒を含む水素異性化触媒システムも対象とする。システム内の第一の触媒は、概して、約0.01~5.0wt.%の修飾金属、約1~99wt.%のマトリックス材料、及び約0.1~99wt.%のSSZ-91モレキュラーシーブ、または約0.01~5.0wt.%の修飾金属、約1~80wt.%のマトリックス材料、及び約5.0~85wt.%もしくは約15~75wt.%のSSZ-91モレキュラーシーブを含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書には、1つ以上の態様の例示的な実施形態が示されているが、本開示の方法は、任意の数の技法を用いて実施してよい。本開示は、本明細書に例示及び記載されているいずれの例示的な設計及び実施形態も含め、本明細書に例示されている例示的または具体的な実施形態、図面及び技法に限定されず、添付の請求項の範囲内ならびにその均等物の全範囲内で改変してよい。
【0009】
別段に示されていない限り、本開示には、下記の用語、専門用語及び定義を適用する。用語が本開示で使用されているが、本明細書で具体的に定義されていない場合には、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd ed(1997)の定義を適用してよい。ただし、その定義が、本明細書におけるいずれかの他の開示内容もしくは適用される定義と矛盾しないか、またはその定義が適用されるいずれの請求項も不明確もしくは実施不能にしないことを条件とする。参照により本明細書に援用される任意の文書で示される任意の定義または用法が、本明細書で示される定義または用法と矛盾する範囲においては、本明細書で示される定義または用法が適用されるものと理解されたい。
【0010】
「API比重」とは、水に対する石油供給原料または生成物の比重を指し、ASTM D4052-11によって定量される。
【0011】
「ISO-VG」とは、工業用途に推奨される粘度分類を指し、IS03448:1992によって定義されている。
【0012】
「粘度指数」(VI)とは、潤滑油の温度依存性に相当し、ASTM D2270-10(E2011)によって定量される。
【0013】
「真空ガス油」(VGO)とは、粗製油真空蒸留の副産物であり、ハイドロプロセシングユニットまたは芳香族抽出器に送って基油にアップグレードすることができる。VGOは概して、0.101MPaにおいて343℃(649°F)~538℃(1000°F)の沸点範囲分布を有する炭化水素を含む。
【0014】
「処理」、「処理された」、「アップグレードする」、「アップグレードすること」、及び「アップグレードされた」は、石油供給原料とともに使用される場合、供給原料の分子量が低下した、供給原料の沸点範囲が低下した、アスファルテンの濃度が低下した、炭化水素フリーラジカルの濃度が低下した、及び/または不純物(例えば、硫黄、窒素、酸素、ハロゲン化物、及び金属)の量が減少した、ハイドロプロセシングに供されているもしくは供された供給原料、または結果として得られる材料もしくは粗生成物を表す。
【0015】
「ハイドロプロセシング」とは、炭素質の供給原料を、望ましくない不純物を除去するため及び/または所望の生成物に転化するために、高温及び高圧で水素及び触媒に接触させる方法を指す。ハイドロプロセシングの例としては、ハイドロクラッキング、ハイドロトリートメント、触媒的脱ろう、及びハイドロフィニッシングが挙げられる。
【0016】
「ハイドロクラッキング」とは、炭化水素のクラッキング/断片化(例えば、より重質の炭化水素をより軽質の炭化水素に転化すること、あるいは芳香族及び/またはシクロパラフィン(ナフテン)を非環式分枝状パラフィンに転化すること)に水素化及び脱水素化が付随する方法を指す。
【0017】
「ハイドロトリートメント」とは、硫黄及び/または窒素を含む炭化水素フィードを、典型的にはハイドロクラッキングとともに、硫黄及び/または窒素含量が低減した炭化水素生成物に変換する方法を指し、この方法により、(それぞれ)硫化水素及び/またはアンモニアが副産物として生成される。水素の存在下で実施されるこのような方法またはステップとしては、炭化水素供給原料の、及び/または供給原料中の不飽和化合物の水素化のための、構成要素(例えば、不純物)の水素脱硫、水素脱窒素、水素金属、及び/または水素脱芳香族が挙げられる。ハイドロトリートメントのタイプ及び反応条件に応じて、ハイドロトリートメント方法の生成物は、例えば、粘度、粘度指数、飽和含量、低温性質、揮発度、及び脱分極が改善していることがある。「ガード層」及び「ガード床」という用語は、本明細書では、ハイドロトリートメント触媒またはハイドロトリートメント触媒層を指すために同義的かつ互換的に使用することができる。ガード層は、炭化水素脱ろうのための触媒システムの構成要素とすることができ、少なくとも1つの水素異性化触媒の上流に配置することができる。
【0018】
「触媒的脱ろう」または水素異性化とは、水素の存在下で触媒に接触させることにより、直鎖パラフィンをより分岐したパラフィンに異性化する方法を指す。
【0019】
「ハイドロフィニッシング」とは、微量の芳香族、オレフィン、カラーボディ、及び溶媒を除去することにより、酸化安定性、UV安定性、及び外観を改善することを意図した方法を指す。UV安定性とは、試験している炭化水素をUV光及び酸素に曝露したときの安定性を指す。不安定性は、視認可能な沈殿物が形成されたり(通常はHoc及び濁りとして見られる)、紫外線及び空気に曝露して色がより濃くなったりしたときに示される。ハイドロフィニッシングについての全般的な説明は、米国特許第3,852,207号及び同第4,673,487号に記載されている。
【0020】
「水素(Hydrogen)」または「水素(hydrogen)」という用語は、水素自体、及び/または水素源を提供する化合物(単数または複数)を指す。
【0021】
「カットポイント」とは、所定の分離度に達する真沸点(TBP)曲線上の温度を指す。
【0022】
「流動点」とは、制御された条件下で油が流れ始める温度を指す。流動点は、例えばASTM D5950によって定量することができる。
【0023】
「曇点」とは、潤滑基油試料が、指定された条件下で冷却されるのに伴ってヘイズを発生し始める温度を指す。潤滑基油の曇点は、その流動点に対し補完的である。曇点は、例えばASTM D5773によって定量することができる。
【0024】
「TBP」とは、炭化水素系フィードまたは生成物の沸点を指し、ASTM D2887-13による模擬蒸留(SimDist)によって定量される。
【0025】
「炭化水素系」、「炭化水素」、及び同様の用語は、炭素原子及び水素原子のみを含む化合物を指す。他の識別子を使用して、炭化水素中の特定の基の存在(存在する場合)を示すことができる(例えば、ハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の同等の数の水素原子を置き換える1つ以上のハロゲン原子の存在を示す)。
【0026】
「周期表」という用語は、2007年6月22日付のIUPAC元素周期表バージョンを指し、周期表族の番号付けスキームは、Chem.Eng.News,63(5),26-27(1985)に記載の通りである。「2族」とは、元素、化合物、またはイオン形態のいずれかにおけるIUPACの2族元素、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びこれらの組合せを指す。「7族」とは、元素、化合物、またはイオン形態におけるIUPACの7族元素、例えば、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、及びこれらの組合せを指す。「8族」とは、元素、化合物、またはイオン形態におけるIUPACの8族元素、例えば、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びこれらの組合せを指す。「9族」とは、元素、化合物、またはイオン形態のいずれかにおけるIUPACの9族元素、例えば、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及びこれらの組合せを指す。「10族」とは、元素、化合物、またはイオン形態のいずれかにおけるIUPACの10族元素、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びこれらの組合せを指す。「14族」とは、元素、化合物、またはイオン形態のいずれかにおけるIUPACの14族元素、例えば、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、及びこれらの組合せを指す。
【0027】
特に「触媒担体」という用語で使用される「担体」という用語は、触媒材料を固定する従来の材料を指し、典型的には高表面積を有する固体である。担体材料は、触媒反応において不活性であっても、または触媒反応に関与するものであってもよく、多孔性または非多孔性であってよい。典型的な触媒担体としては、様々な種類の炭素、アルミナ、シリカ、及びシリカ-アルミナ、例えば、非晶質シリカアルミネート、ゼオライト、アルミナ-ボリア、シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-アルミナ-チタニア、ならびにそれらに他のゼオライト及び他の複合酸化物を加えることによって得られる物質が挙げられる。
【0028】
「モレキュラーシーブ」とは、フレームワーク構造内に均一な分子寸法の孔を有する材料を指し、モレキュラーシーブのタイプに応じてある特定の分子のみがモレキュラーシーブの孔構造にアクセスでき、他の分子は、例えば分子サイズ及び/または反応性により排除される。「モレキュラーシーブ」及び「ゼオライト」は同義であり、(a)中間及び(b)最終または目標モレキュラーシーブ、ならびに(1)直接合成または(2)結晶化後処理(二次修飾)によって生成されたモレキュラーシーブが含まれる。二次合成技法は、ヘテロ原子の格子置換または他の技法によって、中間材料から目標材料の合成を可能にする。例えば、アルミノシリケートは、中間体のボロシリケートから、AlのBに対する結晶化後ヘテロ原子格子置換によって合成することができる。このような技法は、例えば米国特許第6,790,433号に記載のように知られている。ゼオライト、結晶アルミノホスフェート、及び結晶シリコアルミノホスフェートは、モレキュラーシーブの代表例である。
【0029】
本開示では、組成物、及び方法またはプロセスが、様々な構成要素またはステップを「含む」という観点で説明されている場合が多いが、その組成物及び方法は、別段の記載のない限り、その様々な構成要素またはステップ「から本質的になっても」よいし、またはその様々な構成要素またはステップ「からなっても」よい。
【0030】
「a」、「an」及び「the」という用語は、複数形の代替案、例えば、少なくとも1つを含むように意図されている。例えば、「a」の付された遷移金属または「an」の付されたアルカリ金属という開示内容は、別段の定めのない限り、1つの遷移金属またはアルカリ金属、あるいは2つ以上の遷移金属もしくはアルカリ金属の混合物、または2つ以上の遷移金属もしくはアルカリ金属を組み合わせたものを含むように意図されている。
【0031】
発明を実施するための形態及び特許請求の範囲内の全ての数値は、「約」または「およそ」によって示された値が修飾され、当業者によって予想されるであろう実験誤差及び変動を考慮に入れている。
【0032】
1つの態様において、本発明は、基油を含む脱ろう生成物の製造に有用な水素異性化の方法であり、本方法は、第一の生成物を生成するために、第一の水素異性化条件下で、炭化水素フィードを第一の水素異性化触媒に接触させることであって、第一の水素異性化触媒が、周期表7族~10族及び14族から選択される少なくとも1つの修飾金属を含むSSZ-91モレキュラーシーブを含む、接触させることと、第二の生成物を生成するために、第二の水素異性化条件下で、第一の生成物を第二の水素異性化触媒に接触させることであって、第二の水素異性化触媒が、周期表の7族~10族及び14族から選択される少なくとも1つの修飾金属を含むSSZ-32xモレキュラーシーブを含む、接触させることとを含む。
【0033】
第一の水素異性化触媒で使用されるSSZ-91モレキュラーシーブは、例えば、米国特許第9,802,830号、同第9,920,260号、同第10,618,816号、及びWO2017/034823に記載されている。SSZ-91モレキュラーシーブは、概してZSM-48タイプゼオライト材料を含み、当該モレキュラーシーブは、ZSM-48タイプ材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6、0~3.5重量パーセントの量のEUOタイプ相、及び1~8の平均アスペクト比を有する結晶を含む多結晶凝集形態を有する。SSZ-91モレキュラーシーブの酸化ケイ素:酸化アルミニウムのモル比は、40~220または50~220または40~200の範囲とすることができる。前述の特許は、SSZ-91シーブ、その調製方法、及びそこから形成される触媒に関する追加的な詳細を提供する。
【0034】
第二の水素異性化触媒で使用されるSSZ-32Xモレキュラーシーブは、例えば、米国特許第7390763号、同第7468126号、同第8790507号、同第9677016号、及びWO2012/005981、WO2018/093511に記載されている。SSZ-32Xモレキュラーシーブは、概して小さな結晶を含む中間孔径ゼオライトである。
【0035】
第一の触媒及び第二の触媒の各々は、周期表の7族~10族及び14族金属から選択される活性金属を含む。第一の(SSZ-91)触媒は、有利には、第一の10族金属、ならびに任意選択で、周期表の7~10族及び14族金属から選択される第二の金属を含むことができる。10族金属は、例えば、白金、パラジウム、またはこれらの組合せとすることができ、任意選択でニッケルを有する。白金は、いくつかの態様ではそれ自体が好適である。限定されるものではないが、7族~10族及び14族の金属は、より狭義には、Pt、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはこれらの組合せから選択することができる。また、第二の金属は、より狭く第二の7族~10族から選択されてもよく、14族金属は、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはこれらの組合せから選択される。より具体的な場合には、第一の触媒は、10族金属としてのPtを0.01~1.0wt.%または0.3~1.0wt.%の量で含み、7~10族及び14族金属としてのPd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはこれらの組合せから選択される第二の金属を0.01~1.5wt.%または0.03~0.8wt.%の量で含むことができる。
【0036】
また、第二の(SSZ-32X)触媒は、有利には、第一の10族金属、ならびに任意選択で、周期表の7~10族及び14族金属から選択される第二の金属も含むことができる。また、第二の触媒は、第一の金属(例えば、10族金属)に加えて本明細書に記載の2族金属、及び任意選択の第二の金属を含むことができる。10族金属は、例えば、白金、パラジウム、またはこれらの組合せとすることができ、任意選択でニッケル及び/または2族金属を有する。白金は、いくつかの態様ではそれ自体が好適であり、またはマグネシウムなどの2族金属との組合せで好適である。限定されるものではないが、7族~10族及び14族の金属は、より狭義には、Pt、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはこれらの組合せから選択することができる。また、第二の金属は、より狭く第二の7族~10族から選択されてもよく、14族金属は、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはこれらの組合せから選択される。
【0037】
第一の触媒及び/第二の触媒中の金属含量は、典型的に有用な範囲で変化させることができ、例えば、第一の触媒及び/または第二の触媒における修飾金属含量は、0.01~5.0wt.%または0.01~2.0wt.%または0.1~2.0wt.%(触媒総重量基準)とすることができる。いくつかの場合において、第一及び/または第二の触媒は、修飾金属のうちの1つとしての0.01~1.0wt.%のPtならびに第7~10族及び14族から選択される0.01~1.5wt.%の第二の金属、または0.3~1.0wt.%のPt及び0.03~1.0wt.%の第二の金属、または0.3~1.0wt.%のPt及び0.03~0.8wt.%の第二の金属を含む。いくつかの場合において、第一の10族金属と、7~10族及び14族から選択される任意選択の第二の金属との比は、10:1~1:5、または3:1~1:3、または1:1~1:2の範囲とすることができる。
【0038】
第一の触媒及び第二の触媒はさらに、アルミナ、シリカ、チタニア、またはこれらの組合せから選択されるマトリックス材料を含むことができる。具体的なより多くの場合において、第一の触媒は、0.01~5.0wt.%の修飾金属、1~99wt.%のマトリックス材料、及び0.1~99wt.%のSSZ-91モレキュラーシーブを含み、及び/または第一の異性化触媒と、第二の異性化触媒との重量比は、約10:1~1:10、または4:1~1:4、または1:1である。
【0039】
炭化水素フィードは、概して、様々な基油供給原料から選択することができ、有利には、ガス油、真空ガス油、常圧蒸留残油、真空残油、常圧蒸留物、重油、油、ろう及びパラフィン、使用済油、脱歴残油もしくは粗製油、熱もしくは触媒変換プロセスから生じるチャージ、シェール油、サイクル油、動物及び植物由来の脂肪、油、及びろう、石油及びスラックろう、またはこれらの組合せを含む。また、炭化水素フィードは、400~1300°F、または500~1100°F、または600~1050°Fの蒸留範囲で切断されたフィード炭化水素を含んでもよく、及び/または炭化水素フィードは、約3~30cStまたは約3.5~15cStの範囲のKV100(100℃における動粘度)を有する。
【0040】
いくつかの場合において、第一の触媒及び第二の触媒によって行われる脱ろうの比率を広い範囲で変化させることができ、例えば、本方法及び層状触媒システムを使用して、供給原料の50~90%を第一の触媒によって脱ろうし、及び/または供給原料の約20%以上を第二の触媒によって脱ろうすることができる。
【0041】
第一及び/または第二の生成物、あるいは生成物流を使用して、1つ以上の基油生成物を生成して、例えば、約2~30cStの範囲のKV100を有する複数のグレードを生成することができる。このような基油生成物は、約-12℃以下の流動点を有する基油生成物と、約-35℃以下の流動点を有する基油生成物とを含み、及び/または当該基油生成物は、100℃で6~26cStの範囲の粘度を有する基油生成物と、100℃で1.5~5cSt、もしくは100℃で2~3cStの範囲の粘度を有する基油生成物とを含む。
【0042】
また、本方法及びシステムは、追加の方法ステップ、またはシステム構成要素と組み合わせてもよく、例えば、供給原料は、炭化水素フィードを第一の水素異性化触媒に接触させる前に、ハイドロトリートメント触媒を用いてハイドロトリートメント条件に供することができ、任意選択で、ハイドロトリートメント触媒は、約0.1~1wt.%のPt及び約0.2~1.5wt.%のPdを含む耐火性の無機酸化物材料を含むガード層触媒を含む。
【0043】
本発明の方法及び触媒によってもたらされる利点に含まれるものとしては、層状システムを用いて生成される生成物の曇点及び/または流動点が、層状触媒システムを使用しない点のみ異なる同じ方法(すなわち、第一または第二の触媒のみが使用される方法)に比べて低下することが挙げられる。
【0044】
実際には、脱ろうは主に、基油からろうを除去することにより、基油の流動点を低下させる及び/または曇点を低下させるために使用される。典型的には、脱ろうは、ろうを処理するために触媒プロセスを使用し、脱ろうフィードは、概して脱ろうの前にアップグレードして、粘度指数を高め、芳香族及びヘテロ原子含量を減少させ、脱ろうフィード中の低沸点の構成要素を低減する。いくつかの脱ろう触媒は、ろう分子をクラッキングして低分子量の分子にすることにより、ろう変換反応を達成する。他の脱ろうの方法は、ろうの異性化により、プロセスに対する炭化水素フィードに含まれるろうを変換して、異性化されていない分子対応物よりも流動点が低い異性化分子を生成する場合がある。本明細書で使用する場合、異性化は、触媒的異性化条件下においてろう分子異性化で水素を使用するための水素異性化の方法を包含する。
【0045】
水添脱ろう条件は、概して、使用フィード、使用触媒、所望の収率、及び所望される基油の性質に依存する。典型的な条件には、500°F~775°F(260℃~413℃)の温度、15psig~3000psig(0.10MPa~20.68MPa)の温度、0.25hr-1~20hr-1のLHSV、及び2000SCF/bbl~30,000SCF/bbl(356~5340m/mフィード)の水素/フィード比率が含まれる。概して、水素は生成物から分離し、異性化ゾーンに再利用する。概して、本発明の脱ろうの方法は、水素の存在下で実施される。典型的には、水素と炭化水素との比は、炭化水素1バレル当たり約2000~約10,000標準立方フィートH、通常は炭化水素1バレル当たり約2500~約5000標準立方フィートHの範囲とすることができる。上記の条件は、ハイドロトリートメントゾーンのハイドロトリートメント条件に加えて、第一の触媒及び第二の触媒の水素異性化条件にも適用することができる。好適な脱ろうの条件及び方法は、例えば、米国特許第5,135,638号、同第5,282,958号、及び同第7,282,134号に記載されている。
【0046】
層状触媒システムは、概して、SSZ-91を含む第一の触媒と、SSZ-32Xを含む第二の触媒とを含み、供給原料がSSZ-32X触媒に接触する前にSSZ-91触媒に接触するように配置されている。第一及び第二の触媒は、同じ反応器に含まれても、別々の反応器に含まれてもよい。追加の処理ステップ及び触媒が、例えば、記載されたハイドロトリートメント触媒(複数可)/ステップ、ガード層、及び/またはハイドロフィニッシング触媒(複数可)/ステップのように含まれてもよい。
【実施例
【0047】
実施例1:脱ろう触媒の調製
以下のようにして水素異性化触媒Aを調製した:小結晶SSZ-32xをアルミナと複合化して、45wt.%のゼオライトを含む混合物を得、この混合物を従来の手順(本明細書で引用した特許に記載)に従って押出、乾燥、及び焼成した。乾燥及び焼成した押出物に、白金及びマグネシウムの両方を含む溶液を含浸させた。全体の白金担持量は0.325wt.%、マグネシウム担持量は2.5wt.%であった。
【0048】
水素異性化触媒Bを触媒Aについて記載されているように調製して、65wt.%のSSZ-91を含む混合物を得た。乾燥及び焼成した押出物に白金を含浸させて、0.6wt.%の白金担持量を得た。
【0049】
実施例2(比較例):触媒Aのみ
反応は、触媒Aを用いた記載の構成によるマイクロユニットで実施し、2100psigの総圧力下で作動させた。フィードを導入する前に、標準的な還元手順(本明細書で引用した特許に記載)によって触媒を活性化した。次いでフィード(フィードI)を1.2のLHSVで脱ろう反応器に通した。フィードIの性質を表1に示す。水素:油の比率は約3000scfbであった。基油生成物を、蒸留セクションを通じて燃料から分離した。生成物の流動点、曇点、粘度、粘度指数、simdist特性について分析した。
【表1】
【0050】
実施例3(比較例):触媒Bのみ
実施例3は、実施例2と同じ条件に従い、触媒Aを使用せず触媒Bのみを使用することによって行った。
【0051】
実施例4:層状触媒B/触媒A
実施例4は、実施例3と同じ条件に従い、上部に55vol%の触媒B、続いて45vol%の触媒Aを有する層状触媒システムを使用することによって行った。実施例2~4で得られた結果の比較を表2に示す。
【表2】
【0052】
表2に示すように、層状システムは、活性が改善した触媒Aシステムに比べて、高い12cSt基油収率を維持した。さらに重要なことに、12cSt生成物において同様の流動点目標に到達した場合、2cSt生成物の流動点が4℃改善したことであり、これは、低い低温性質の要件(複数可)を満たすために重要である。
【0053】
実施例5
実施例5は、実施例3と同じ条件に従い、上部に55vol%の触媒B、続いて45vol%の触媒を有する層状触媒システムを使用して、表3に示す性質を有するフィード(フィードII)を処理することによって行った。
【0054】
基油生成物の生成結果を表4に示す。そこから分かるであろうように、重質生成物10cStの流動点が-16℃に達したとき、軽質基油4cSt生成物は-40℃の流動点及び-34℃の曇点に達する。
【表3】

【表4】
【0055】
実施例6
実施例6は、実施例3と同じ条件に従い、上部に76vol%の触媒B、続いて24vol%の触媒Aを有する層状触媒システムを使用して、表5に示す性質を有するフィード(フィードIII)を処理することによって行った。重質生成物8cStの流動点が-19℃に達したとき、軽質基油生成物2cStは-41℃の流動点及び-34℃の曇点に達した。
【表5】

【表6-1】

【表6-2】
【0056】
本発明の1つ以上の実施形態についての上記の説明は、主に例示目的のためであり、本発明の本質を引き続き組み込む変形形態が使用されてもよいことが認識されている。本発明の範囲を判断する際には、下記の請求項を参照すべきである。
【0057】
米国特許の実施慣行の目的上、及び認められる場合には、その他の特許庁においては、本発明の上記の説明で引用したいずれの特許及び刊行物も、それらに含まれるいずれかの情報が、上記の開示内容と整合し及び/または上記の開示内容を補う限りにおいては、参照により、本明細書に援用される。

【国際調査報告】