(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】ガラス表面用のワイパーシステム
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
B60S1/62 120A
B60S1/62 110B
B60S1/62 110C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513681
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2021071411
(87)【国際公開番号】W WO2022043002
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン、ペレ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ブルタグノル
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、トレブー
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AC01
3D225AD22
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの本体(101)を備える、ガラス表面(211)のためのワイパーシステム(100)に関し、本体(101)は、ガラス表面(211)と接触するように設計された少なくとも1つのブレードラバーと、ガラス表面(211)に沿って本体(101)の直線運動を駆動するように構成された、始動用の少なくとも1つの埋め込み電動部材(120)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス表面(211)用のワイパーシステム(100)であって、
少なくとも1つの本体(101)を備え、
前記本体(101)は、
前記ガラス表面(211)と接触するように設計された少なくとも1つのブレードラバー(102)と、
前記ガラス表面(211)に沿って本体(101)の直線運動を駆動するように構成された、始動用の少なくとも1つの埋め込み電動部材(120)とを備える、ワイパーシステム(100)。
【請求項2】
始動用の部材(120)は、少なくとも1つの電動モータ(123)を備え、
前記本体(101)は、前記電動モータ(123)に電気エネルギーを供給することを可能にするように設計された少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵装置(128)を備える、請求項1に記載のワイパーシステム(100)。
【請求項3】
前記本体(101)は、前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵装置(128)に電気的に接続された少なくとも1つのコネクタ(121)を備え、
前記ワイパーシステム(100)は、前記少なくとも1つのコネクタ(121)に電気的に接続されるように構成された少なくとも1つの充電端子(122)を備える、請求項2に記載のワイパーシステム(100)。
【請求項4】
前記ワイパーシステム(100)は、前記ガラス表面(211)に対して前記ブレードラバー(102)を押すための少なくとも1つの押圧部材(130)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のワイパーシステム(100)。
【請求項5】
前記本体(101)のための少なくとも1つの固定案内手段(110)を備え、
この少なくとも1つの固定案内手段(110)は、少なくとも1つのノッチベルト(111)によって形成されており、
前記始動用の電動部材(120)は、少なくとも1つの電動モータと、前記電動モータ(123)によって回転駆動されるように設計された少なくとも1つの歯車(124)とを備え、
この少なくとも1つの歯車(124)は、前記少なくとも1つのノッチベルト(111)と係合する、請求項1から4のいずれか一項に記載のワイパーシステム(100)。
【請求項6】
前記ブレードラバー(102)を押すための前記押圧部材(130)は、前記少なくとも1つのノッチベルト(111)によって支承され、
前記ブレードラバー(102)を押すための前記押圧部材(130)は、前記少なくとも1つのノッチベルト(111)を伸長させるように設計された少なくとも1つの弾性復帰装置(131)を備え、
前記ノッチベルト(111)と係合した前記少なくとも1つの歯車(124)は、このノッチベルト(111)と前記ガラス表面(211)との間に配置される、請求項4および5に記載のワイパーシステム(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのノッチベルト(111)を引っ張るための少なくとも1つの緊張部材(140)を備え、
この緊張部材は、前記ガラス表面(211)に沿った前記本体(101)の変位の方向(S1、S2)に対して前記少なくとも1つの歯車(124)の上流に配置される、請求項5および6のいずれか一項に記載のワイパーシステム(100)。
【請求項8】
前記本体(101)のための少なくとも1つの固定案内手段(110)を備え、
前記ブレードラバー(102)は、前記ガラス表面(211)の前面(212)に押しつけられるように構成され、
前記少なくとも1つの固定案内手段(110)は、前記ガラス表面(211)の前記前面(212)に形成された少なくとも1つの溝(114)を備え、
始動用の部材(120)は、前記少なくとも1つの溝(114)に受容される少なくとも1つの転動部材(127)の回転を駆動するように設計された少なくとも1つの電動モータ(123)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のワイパーシステム(100)。
【請求項9】
前記ブレードラバー(102)を押すための前記押圧部材(130)は、前記本体(101)によって支承され、ローラ(138)が受容される少なくとも1つのハウジング(137)を画定する少なくとも1つのフック(132)を備え、
前記押圧部材(130)は、前記フック(132)によって支承される2つのピン(231)の間で伸長され、前記ローラ(138)のシャフト(230)と接触している少なくとも1つの弾性復帰部材(133)を備え、
前記ローラ(138)のこのシャフト(230)は、前記フック(132)の上壁(134)に形成された長孔(139)に沿って移動可能とされ、これは、前記本体(101)によって支承される前記ブレードラバー(102)が前記ガラス表面(211)の前記前面(212)に当接するような前記弾性復帰部材(133)の復帰効果の下で、前記ハウジング(137)を画定することに寄与する、請求項4および8に記載のワイパーシステム(100)。
【請求項10】
少なくとも1つの検出モジュール(210)と、
請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つのワイパーシステム(100)とを備える運転支援装置(200)であって、
前記検出モジュール(210)は、少なくとも1つの運転支援センサと、前記検出モジュール(210)を閉じて前記少なくとも1つの運転支援センサを保護する少なくとも1つのガラス表面(211)とを備え、
前記ワイパーシステム(100)は、前記ガラス表面(211)を清掃するように構成される、運転支援装置(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車向けのワイパーシステムの分野に関する。より具体的には、本発明は、運転支援システムのセンサを保護するガラス表面を清掃することに特に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
車両、特に自動車は、とりわけ運転支援システムである、自動システムますます備えるようになっている。このような運転支援システムは、とりわけ、車両の周囲およびこの車両の外部のパラメータを検出するための1つ以上のモジュールと、こうして集められた情報を解釈し、この情報の結果としてなすべき決定を行うように構成された、少なくとも1つの制御ユニットとを備える。
【0003】
したがって、これらの検出モジュールが車両の寿命にわたって適切に動作していることを確認することが特に重要であることは理解されよう。とりわけ、これらの検出モジュールは、通常、車両の外側に配置され、例えばこの車両の車体上に担持されてもよく、例えば汚れて、場合によってはこれらの検出モジュールが情報を取得することが不可能ではないとしても困難になる可能性がある。したがって、岩屑、埃、有機物、または他の破壊的要素を効果的に除去することができるワイパーシステムを提供する必要がある。1つの解決策は、ガラス表面を掃引するためのシステムを設置することである。
【0004】
現在使用されているワイパーシステムは、従来、清掃すべきガラス表面と接触するブレードラバーを備えた少なくとも1つのワイパーブレードを備え、このワイパーブレードは、それ自体がモータ、例えば電動モータに接続されているワイパーアームを介して回転駆動される。
【0005】
現在使用されているワイパーシステムの1つの欠点は、それらの体積であり、とりわけこの体積は、ガラス表面の近傍に従来配置されている、ワイパーアームおよびモータの存在に起因する。
【0006】
ワイパーブレードが並進運動で駆動されるワイパーアームの端部に配置される、直線掃引ワイパーシステムも知られている。並進運動駆動手段は、ガラス表面の縁部に配置され、アームを押すラム、またはモータの回転運動をブレード支承アームの並進運動に変換するリンクロッドの適切なシステムに関連付けられた回転モータからなってもよい。これらの場合の各々において、清掃すべきガラス表面の周囲にわたる横方向の体積は重要であり、これは、特にこれらの検出モジュールの数が増加している状況で、上述のように検出モジュールに対して特に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこの文脈に含まれ、簡略化されたワイパーシステム、すなわち、部品点数が少なく、ワイパーシステムの総体積を低減することを可能にする配置を有するワイパーシステムを提案することによって、少なくとも言及された欠点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の1つの目的は、少なくとも1つの本体を備えるガラス表面用のワイパーシステムに関し、本体は、ガラス表面と接触するように設計された少なくとも1つのブレードラバーと、始動用の少なくとも1つの埋め込み電動部材とを備え、これはガラス表面に沿って本体の直線運動を駆動するように構成される。
【0009】
この事例では、「始動用の埋め込み電動部材」は、始動用の電動部材が、駆動に寄与する要素と同時に変位されるという事実を意味すると理解される。したがって、本発明によれば、始動用の電動部材は、ガラス表面に沿って、すなわちこのガラス表面に面して、本体、および本体によっても支承されるブレードラバーの変位を駆動するように設計される。始動用の電動部材は本体に埋め込まれているので、始動用のこの部材もまた全体としてガラス表面に沿って変位されることが理解されよう。ブレードラバーはガラス表面と接触して配置されるように設計されるので、本体の移動は、このブレードラバーがガラス表面を清掃するようにこれを掃引することを可能にすることが理解されよう。このような配置はまた、ガラス表面の周囲に、始動用の電動部材を受容するための専用の場所を提供する必要性を回避することによって、ワイパーシステムの体積を制限することを可能にする。
【0010】
「直線運動」は、並進運動、すなわち直線に沿った運動を意味すると理解される。したがって、ワイパーシステムの本体、ひいてはこれが支承するブレードラバーは、この直線に沿って、少なくとも第1の変位方向、および少なくとも第1の変位方向と反対の第2の変位方向に駆動されるように設計される。
【0011】
本発明の1つの特長によれば、ワイパーシステムは、ガラス表面に沿って本体の直線運動を案内するように構成された少なくとも1つの固定案内手段を備えてもよい。
【0012】
本発明の1つの特長によれば、始動用の部材は、少なくとも1つの電動モータを備え、本体は、電動モータに電気エネルギーを供給することを可能にするように設計された少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵装置を備える。有利には、本体は、少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵装置に電気的に接続された少なくとも1つのコネクタを備えてもよく、ワイパーシステムは、少なくとも1つのコネクタに電気的に接続されるように構成された少なくとも1つの充電端子を備える。この事例では、「電気エネルギー貯蔵装置」は、充電段階中に電気エネルギーを蓄積し、その後電動モータの回転を駆動するためにこの電気エネルギーを戻すように設計された装置を意味すると理解され、これはガラス表面を清掃する段階を実施することを可能にし、すなわち、本体を変位させ、こうしてブレードラバーによってこのガラス表面を掃引することを可能にする。新しい後続の清掃段階を可能にするために、電気エネルギー貯蔵装置は、それ自体が外部エネルギー源に電気的に接続されている充電端子を介して電気エネルギーを蓄積する新しい充電段階を実行しなければならない。これは、本発明の範囲を制限しない本発明の実施の一例に過ぎないことが理解されよう。例えば、電気エネルギー貯蔵装置は、所定数の清掃段階の完了後にのみ充電段階を実行するか、そうでなければこの充電段階は、本発明によるワイパーシステムを備えた車両が停止したときにのみ実施されるようになっていてもよい。
【0013】
本発明の1つの特長によれば、ワイパーシステムは、ガラス表面に対してブレードラバーを押しつけるための少なくとも1つの押圧部材を備える。有利には、このような押圧部材の存在は、ガラス表面に沿ったこのブレードラバーの変位にわたって効果的な掃引を保証することによって、本発明によるワイパーシステムによって行われる清掃の有効性を改善することを可能にする。
【0014】
本発明の第1の例示的な実施形態によれば、ワイパーシステムは、本体のための少なくとも1つの固定案内手段を備え、この少なくとも1つの固定案内手段は、少なくとも1つのノッチベルトによって形成されており、始動用の電動部材は、少なくとも電動モータと、電動モータによって回転駆動されるように設計された少なくとも1つの歯車とを備え、この少なくとも1つの歯車は、少なくとも1つのノッチベルトと係合する。この第1の例示的な実施形態の1つの特長によれば、少なくとも1つの歯車および少なくとも1つのノッチベルトは、これらの部品がラックピニオンタイプの接続で嵌合することができるようなサイズを有する。したがって、回転するにつれて、歯車は、これが係合するノッチベルトに沿って変位されることが理解されよう。この歯車はワイパーシステムの本体によって支承されるので、これは本体、したがってこれが支承するブレードラバーも本体とともに駆動する。任意選択的に、固定案内手段は、ガラス表面の両側に分配された2つのノッチベルトを備えてもよく、始動用の部材は、少なくとも2つの歯車を備えてもよく、各歯車は、ノッチベルトのうちの1つと係合する。有利には、このオプションによれば、2つの歯車は、電動モータがこれら2つの歯車の同時回転を駆動するように回転可能に接続されてもよく、こうしてガラス表面に沿った本体の滑らかな変位を保証する。
【0015】
第1の例示的な実施形態の特長によれば、ブレードラバーを押すための押圧部材は、少なくとも1つのノッチベルトによって支承され、ブレードラバーを押すための押圧部材は、少なくとも1つのノッチベルトを伸長させるように設計された少なくとも1つの弾性復帰装置を備え、ノッチベルトと係合した少なくとも1つの歯車は、このノッチベルトとガラス表面との間に配置される。ノッチベルトは弾性復帰装置によって伸長されるので、これはこのノッチベルトとガラス表面との間に介在する歯車に対して支承力を加え、これはこの歯車、ならびにこの歯車を支承する本体の残部をガラス表面に近づけることを可能にする。本体は同様にブレードラバーを支承するので、この押圧部材は、後者をガラス表面に対して押しつけることを可能にする。言い換えると、押圧部材は、この本体によって支承されるワイパーブレードがガラス表面と接触するように、本体をガラス表面に近づけることを可能にするように構成される。
【0016】
この第1の例示的な実施形態の別の特徴によれば、ワイパーシステムは、ガラス表面に沿った本体の変位の方向に対して歯車の上流に配置された少なくとも1つのノッチベルトに張力をかけるための少なくとも1つの緊張部材を備える。具体的には、ノッチベルトに沿った歯車の変位を可能にするために、このノッチベルトは、ラックとして機能するために、真っ直ぐで伸長されたままでなければならず、すなわち、歯車の変位の方向と平行な方向に延在しなければならないことが理解されよう。例えば、この少なくとも1つの緊張部材は、少なくとも1つの歯車の周りに配置された少なくとも1つのリングと、この少なくとも1つのリングから延在する少なくとも1つの第1のプレートおよび少なくとも1つの第2のプレートとを備え、少なくとも1つの第1のプレートおよび少なくとも1つの第2のプレートは、互いに離間して配置され、少なくとも1つのノッチベルトを受容するためのゾーンを画定する。これらの第1および第2のプレートは、2つの互いに平行な方向に延在し、これらの2つの方向は、歯車の変位の方向とも平行である。
【0017】
上述のように、本体は、少なくとも2つの反対の変位方向に変位されることが可能である。本発明の実装の例によれば、ワイパーシステムは少なくとも2つの緊張部材を有利に備えてもよく、第1の緊張部材は、本体の上流のノッチベルトをこの本体の変位の第1の方向に引っ張ることを可能にするように設計され、第2の緊張部材は、本体の上流のノッチベルトをこの本体の変位の第2の方向に引っ張ることを可能にするように設計される。任意選択的に、第1の緊張部材および第2の緊張部材は一体であってもよく、すなわち、第1の緊張部材および/または第2の緊張部材に損傷を引き起こすことなく分離されることが不可能な単一のアセンブリを形成してもよい。このオプションによれば、第1の緊張部材の第1のプレートおよび第2の緊張部材の第1のプレートは、本体の変位の方向に、歯車に面してこの歯車の両側に延在する、単一のプレートを形成する。有利には、これらの第1のプレートは、ノッチベルトに対する当接部を形成し、こうしてこのノッチベルトが歯車と接触したままになることを保証することができる。その一方で、このオプションによれば、第1の緊張部材の第2のプレートおよび第2の緊張部材の第2のプレートは、本体の変位の方向に、歯車の両側に分配される。言い換えると、第1および第2の緊張部材のこれらの第2のプレートは両方とも、歯車がこれらの第2のプレートの間に形成された空間内に延在するように、歯車の周りに配置されたリングから延在するが、互いに物理的にさらに離間しており、これによって、歯車の回転が妨げられないこと、およびこの歯車がノッチベルトに対して係合できることを保証することを可能にする。言い換えると、このオプションによれば、歯車およびノッチベルトは、第1および第2の緊張部材の2つの第2のプレート間で相互作用し、この相互作用は、このノッチベルトのためのエンドストップを形成するこれらの第1および第2の緊張部材の第1のプレートによって少なくとも部分的に保証され、こうして歯車からの係合解除を防止する。
【0018】
上述のように、第1の例示的な実施形態による固定案内手段は2つのノッチベルトを備えてもよく、その場合、ワイパーシステムは最大4つの緊張部材を備えてもよく、第1の緊張部材および第2の緊張部材は、上述のように2つの変位方向に第1のノッチベルトを引っ張ることに専念し、第3の緊張部材および第4の緊張部材は、この本体の変位の第1の方向および変位の第2の方向に本体の上流の第2のノッチベルトをそれぞれ引っ張ることに専念する。
【0019】
本発明の第2の例示的な実施形態によれば、ワイパーシステムは、本体のための少なくとも1つの固定案内手段を備え、ブレードラバーはガラス表面の前面に対して押しつけられるように構成され、少なくとも1つの固定案内手段は、ガラス表面の前面に形成された少なくとも1つの溝を備え、始動用の部材は、少なくとも1つの溝に受容される少なくとも1つの転動部材の回転を駆動するように設計された少なくとも1つの電動モータを備える。任意選択的に、固定案内手段は、ガラス表面の両側に分配された2つの溝を備えてもよく、始動用の部材は、少なくとも2つの転動部材を備えてもよく、各転動部材は2つの溝のうちの1つに受容される。有利には、このオプションによれば、2つの転動部材は、電動モータがこれら2つの転動部材の同時回転を駆動するように回転可能に接続されてもよく、こうしてガラス表面に沿った本体の滑らかな変位を保証する。これは1つの例示的な実施形態にすぎず、始動用の部材は本発明の範囲から逸脱することなく3つ以上の転動部材を備え得ることが理解されよう。
【0020】
本発明の適用の一例によれば、少なくとも1つの転動部材は、例えばホイールの形態をとってもよい。例えば、このホイールは、滑らかなホイールまたはテクスチャ加工されたホイールであってもよい。
【0021】
本発明の第2の例示的な実施形態によれば、ブレードラバーを押すための押圧部材は、本体によって支承され、ローラが受容される少なくとも1つのハウジングを画定する少なくとも1つのフックを備え、押圧部材は、フックによって支承される2つのピンの間で伸長され、ローラのシャフトと接触している少なくとも1つの弾性復帰部材を備え、ローラのこのシャフトは、フックの上壁に形成された長孔に沿って移動可能とされ、これは、本体によって支承されるブレードラバーがガラス表面の前面に当接するような弾性復帰部材の復帰効果の下で、ハウジングを画定することに寄与する。
【0022】
上述の例示的な実施形態のいずれか1つによれば、本体の変位の2つの反対の方向は、例えば、始動用の埋め込み電動部材の電動モータの回転方向を変更することによって実施されてもよい。
【0023】
本発明はまた、少なくとも1つの検出モジュールと、上述のような少なくとも1つのワイパーシステムとを備える運転支援装置にも関し、検出モジュールは、少なくとも1つの運転支援センサと、検出モジュールを閉じて少なくとも1つの運転支援センサを保護する少なくとも1つのガラス表面とを備え、ワイパーシステムは、ガラス表面を清掃するように構成される。
【0024】
本発明は最後に、上述のような少なくとも1つの運転支援装置を備える自動車に関する。
【0025】
さらなる特徴、詳細、および利点は、以下の図に示される様々な例示的な実施形態を参照して、指示によって以下に与えられる詳細な説明を読むことで、よりはっきりと明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1の例示的な実施形態による、少なくとも1つの検出モジュールおよび少なくとも1つのワイパーシステムを備える、本発明による運転支援装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示される第1の例示的な実施形態によるワイパーシステムの本体の斜視図である。
【
図3】本発明の第1の例示的な実施形態によるワイパーシステムの本体の部分上面図である。
【
図4】本発明の第2の例示的な実施形態による、少なくとも1つの検出モジュールおよび少なくとも1つのワイパーシステムを備える、本発明による運転支援装置の斜視図であり、このワイパーシステムの本体は、カバーによって閉じられたエンクロージャを備える。
【
図5】本発明の第2の例示的な実施形態によるワイパーシステムの正面図であり、ここでは本体のエンクロージャにはカバーがない。
【
図6】本発明の第2の例示的な実施形態によるワイパーシステムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の特徴、変形、および様々な実施形態は、これらが互いに両立しない、または排他的ではない限り、様々な組み合わせで互いに組み合わせられることが可能である。特に、特徴のこの選ばれたものが技術的利点を与えるのに、または本発明を従来技術と区別するのに十分である場合、記載される他の特徴から分離して、以下に記載される特徴の選ばれたもののみを備えると想定することが可能となる。
【0028】
図中、縦、横、側方、左、右、上、および下という用語は、本発明によるワイパーシステム100の三面体L、V、Tに関連する配向を指す。この基準系内で、縦軸Lは対象の物体の縦方向を表し、横軸Tは横方向を表し、垂直軸Vは垂直方向を表す。以下の説明では、「ワイパーブレード」および「ブレード」という用語は、「ワイパーアーム」および「アーム」という用語と同様に、交換可能に使用される。
【0029】
図1から
図3は、本発明の第1の例示的な実施形態によるワイパーシステム100を示し、
図4から
図6は、本発明の第2の例示的な実施形態によるワイパーシステム100を示す。まず、各々に固有の特徴が詳細に説明される前に、これら2つの例示的な実施形態に共通な特徴の説明が与えられる。
【0030】
図は、運転支援装置200に適用されるワイパーシステム100を示す。このような運転支援装置200は、本発明による少なくとも1つの検出モジュール210および少なくとも1つのワイパー装置100を備える。
【0031】
検出モジュール210は、少なくとも1つの運転支援センサ(図には見えず)と、検出モジュール210を閉じて少なくとも1つの運転支援センサを保護する少なくとも1つのガラス表面211とを備える。図示されるように、ワイパーシステム100は、より具体的には、この検出モジュール210のガラス表面211を清掃するように意図される。これは1つの例示的な実施形態にすぎず、ワイパーシステムは、本発明の範囲から逸脱することなく他のタイプのガラス表面を清掃するために使用され得ることが理解されよう。この事例では、「運転支援センサ」は、本発明による運転支援装置200がこうして取得されたデータを制御ユニットに送信するように意図される車両の外部の周囲に関するデータを取得するように構成された部材を意味すると理解され、その一方で制御ユニットは、受信したこの情報の結果として、車両操作をトリガまたは支援するための1つ以上の命令を発行するように構成される。
【0032】
この運転支援センサは、波放射、例えば電磁波放射を使用する検出部材であってもよく、すなわちこの検出部材は、波を放射する瞬間tとこの波が反射される瞬間t1との間の時間を測定することによって、任意の物体からこれを隔てる距離を評価するように構成される。したがって、検出部材は、少なくとも1つの波を放射するように構成された少なくとも1つの放射部材と、反射波を受信するように構成された少なくとも1つの受信部材とを備える。本発明の様々な例示的な実施形態によれば、これらの波は無線電波であってもよく、その場合、検出部材はRADAR(無線検出および測距:RAdio Detection And Ranging)部材と呼ばれ、そうでなければ光波、例えばレーザービームであってもよく、その場合、検出部材はLIDAR(光検出および測距:LIght Detection And Ranging)部材と呼ばれる。
【0033】
制御ユニットによる意思決定は、運転支援センサによって取得されるデータに直接依存するので、この運転支援センサがすべての環境下で最適に動作することができることが重要であることが理解されよう。有利には、検出モジュール210を閉じるガラス表面211は、この検出モジュール、より具体的にはこの検出モジュールの運転支援センサを、例えばまき散らされた砂利、または路上に存在し得る他の物体からの、とりわけ可能性のある外部攻撃から保護することを可能にする。本発明によるワイパーシステム100は、運転支援センサによって行われる画像の取得が妨げられないために、このガラス表面211が常にきれいであることを保証することを可能にする。
【0034】
ワイパーシステム100は、ガラス表面211に沿って移動可能な少なくとも1つの本体101と、少なくとも1つの固定案内手段110とを備える。本体101は、少なくとも1つのブレードラバーと、少なくとも1つの固定案内手段110に沿った本体101の移動を駆動するように構成された少なくとも1つの始動用の埋め込み電動部材120とを備える。この場合、「始動用の埋め込み電動部材」は、物体の運動を駆動するように構成され、この物体と同時に変位される部材を意味すると理解される。この事例では、始動用の部材120は、少なくともそれ自体の変位、ならびにこれがその一部である本体101の変位を駆動し、こうしてこの本体101によって同様に支承されるブレードラバーも駆動する。より具体的には、ブレードラバー102はガラス表面211に面して配置され、ワイパーシステム100は、有利には、このガラス表面211に対して押しつけるための少なくとも1つの押圧部材130を備える。
【0035】
本発明によれば、本体101は、ガラス表面211に面して直線運動で、すなわち直線と平行に、変位される。図示される例によれば、本体101は、図示される三面体の横軸Tと平行に変位される。始動用の電動部材120が埋め込まれているので、始動用のこの部材120もまたガラス表面211に面して直線運動で、この事例では横軸Tと平行な直線運動で、変位されることが理解されよう。有利には、運転支援センサによって取得された画像を受信する制御ユニットは、動作中のこの本体および始動用のこの埋め込み部材の存在がセンサを隠すのを防止するために、ガラス表面を清掃する段階の間、すなわち本体および始動用の埋め込み部材の存在がこの運転支援センサが配置されたガラス表面の前を移動する段階の間に取得された画像を処理するように構成されてもよい。
【0036】
図示される例によれば、始動用の部材120は、少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵装置128によって電力が供給される少なくとも1つの電動モータ123を備える。この場合、「電気エネルギー貯蔵装置」は、電気エネルギーを蓄積し、その後、電動モータ123の回転を駆動するためにこの電気エネルギーを戻すように設計された装置を意味すると理解される。
【0037】
電気エネルギー貯蔵装置128を充電することを可能にするために、始動用の部材120は、ワイパーシステム100の少なくとも1つの充電端子122に電気的に接続されるように設計された少なくとも1つのコネクタ121を有利に備えてもよく、この充電端子122自体は、ここでは図示されていない外部エネルギー源に電気的に接続される。したがって、ガラス表面211を清掃する必要があるとき、清掃段階が開始され、すなわち、始動用の部材120が起動され、その結果、このガラス表面211を清掃するためにこれに沿って、本体101の、ひいてはこれが支承するブレードラバー102の変位を駆動する。本発明によれば、ブレードラバーは、ガラス表面211を掃引することによってこれを清掃するように設計される。言い換えると、ブレードラバー、ひいてはこのワイパーブレードを支承する本体101は、少なくとも2つの反対の変位方向S1、S2でガラス表面211に沿って変位されるように設計される。例えば、本体101の変位の方向を変更することは、例えば始動用の埋め込み電動部材120の電動モータ123の回転方向を変更することによって実施されてもよい。
【0038】
清掃段階が終了すると、または決められた回数の清掃段階の完了時に、始動用の部材120は、コネクタ121が充電端子122と係合することを可能にし、こうして将来の清掃段階を開始することを考慮して電気エネルギー貯蔵装置が充電されることを保証するように、本体101の変位を駆動する。有利には、充電端子122は、充電段階において清掃装置200が画像の取得を妨げないように、検出モジュール210の横方向端部に、すなわちガラス表面211によって占有されるゾーンの外側に配置されてもよい。
【0039】
清掃段階は、例えば運転支援センサの制御ユニットによって命令されてもよい。例えば、運転支援センサがガラス表面211の埃の存在を検出すると、これは対応する情報を制御ユニットに送信するように構成されてもよく、その後この制御ユニットは、後者が清掃段階を開始することができるために、始動用の部材120に命令を発行するように構成される。埃が除去されると、運転支援センサは対応する情報を制御ユニットに送信し、その後これは、清掃段階を停止するために始動用の部材120に命令を発行する。既述のように、後者はその後、本体を「パーキング」位置と呼ばれる位置に駆動してもよく、ここでコネクタ121は充電端子122に引っかけられる。これは本発明の例示的な実施形態にすぎず、清掃段階は、本発明の範囲から逸脱することなく、車両のユーザ自身によって、またはセンサおよび/または独立した制御ユニットによって命令されてもよく、そうでなければ埃の検出とは無関係に、特定の間隔で、および/または車両が停止したときに、トリガまたは停止されてもよいことが理解されよう。
【0040】
ここでは図示されていない例示的な実施形態によれば、ワイパーシステムは充電端子122を有していなくてもよく、すると電気エネルギー貯蔵装置が変更されるかまたは車両とは無関係に充電される必要がある。
【0041】
図1から
図3を参照して、本発明の第1の例示的な実施形態によるワイパーシステム100がここで説明される。
【0042】
したがって、
図1は、本発明の第1の例示的な実施形態によるワイパーシステム100を備えた検出モジュール210の斜視図を示す。より具体的には、この
図1は、この検出モジュール210のガラス表面211を清掃する段階の間のワイパーシステム100を示す。
【0043】
この第1の例示的な実施形態によれば、固定案内手段110は、少なくとも1つのノッチベルト111を備える。図示される例によれば、固定案内手段110はより具体的には、ガラス表面211の両側に垂直に分配された2つのノッチベルト112、113を備える。したがって、上側ノッチベルト112と下側ノッチベルト113とは区別される。言い換えると、2つのノッチベルト112、113は、本体101および始動用の部材120が変位される横方向に直交する垂直方向でガラス表面211の両側に分配される。
【0044】
始動用の部材120は、少なくとも1つの電動モータ123と、電動モータ123によって回転駆動され、ノッチベルト111のうちの少なくとも1つのノッチと係合するように設計された少なくとも1つの歯車124とを備える。図示される例によれば、始動用の部材120は2つの歯車124を備え、少なくとも1つの上側歯車は上側ノッチベルト112のノッチと係合するように設計され、少なくとも1つの下側歯車は下側ノッチベルト113のノッチと係合するように設計される。本発明によれば、各歯車124およびこれが係合するノッチベルト111は、これらの部品がラックピニオンタイプの接続で嵌合することができるような寸法を有する。
【0045】
上述のように、ブレードラバー102は、ガラス表面211に面して配置される。歯車124は電動モータ123によって回転駆動され、この回転は、これらの歯車124が、こちらは固定されているノッチベルト111の各々に沿って変位されることを可能にする。ブレードラバー102および始動用120の部材120は両方ともワイパーシステム100の本体101の一部であり、ノッチベルト111に沿った始動用のこの部材120の歯車124の変位はまた、ガラス表面211に沿って直線的にワイパーブレードの変位を駆動する。以下で詳細に説明されるように、押圧部材130の作用は、ブレードラバーがガラス表面211を拭き取り、こうしてそこにあった可能性のある埃を取り除くことができるように、ガラス表面211に対するこのブレードラバーの接触を保証することを可能にする。より具体的には、ブレードラバー102は、このガラス表面211の前面212と接触して配置される。
【0046】
本発明の第1の例示的な実施形態によれば、ブレードラバーを押すための押圧部材130は、ガラス表面211に対して(1つまたは複数の)ノッチベルト111を押しつけるように設計された少なくとも1つの弾性復帰装置131の形態をとる。より具体的には、各ノッチベルト111は、本発明によるワイパーシステムを備えた車両の内側に向かって延在する、すなわちガラス表面211の前面212から離れる少なくとも1つの自由端を有する、この場合はロッド215によって支承される戻り要素、例えばプーリの周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。図示されるように、弾性復帰装置131はこの自由端に固定される。
【0047】
ここで図示される例によれば、押圧部材130はより具体的には、ガラス表面211に対して上側ノッチベルト112を押しつける傾向がある少なくとも1つの第1の弾性復帰装置131と、このガラス表面211に対して下側ノッチベルト113を押しつける傾向がある少なくとも1つの第2の弾性復帰装置(ここでは見えず)とを備える。例えば、第1および/または第2の弾性復帰装置131は各々、対象のノッチベルトの自由端を車両の内側に向かって引く傾向がある引張ばねの形態をとってもよい。
【0048】
これらのノッチベルト111のノッチはガラス表面211に面し、したがってこれらのノッチと係合する歯車124は、ガラス表面211と対象のノッチベルト111との間に介在する。この配置の結果、上述の弾性復帰部材131によってもたらされた、ガラス表面211に対するノッチベルト111の押しつけは、ガラス表面211に対して本体101、具体的にはこの本体101によって支承されるブレードラバーを間接的に押しつけることを可能にする。
【0049】
これらのノッチベルト111に沿ったこれらの歯車124の滑らかで連続的な変位を保証し、こうしてガラス表面211を清掃する段階の間に運転支援センサによる画像の取得を妨げることを回避するために、これらのノッチベルト111は、歯車124の変位方向に対してこれらの歯車124の少なくとも上流で、歯車124の変位方向と平行に延在する、ラックと同様の直線部分を形成するように伸長されなければならない。この目的のために、ワイパーシステム100は、そのノッチベルト111の各々に関連付けられた少なくとも1つの緊張部材140を備える。
【0050】
図示される例では、とりわけ
図2に見られるように、ワイパーシステム100は、本体101の変位の第1の方向S1への上側ノッチベルト112の張力を保証するように設計された少なくとも1つの第1の緊張部材141と、本体101の変位の第2の方向S2への上側ノッチベルト112の張力を保証するように設計された少なくとも1つの第2の緊張部材142と、本体101の変位の第1の方向S1への下側ノッチベルト113の張力を保証するように設計された少なくとも1つの第3の緊張部材143と、本体101の変位の第2の方向S2への下側ノッチベルト113の張力を保証するように設計された少なくとも1つの第4の緊張部材144とを備える。これらの緊張部材は、
図3を参照して以下でより詳細に説明される。
【0051】
図2は、本発明の第1の例示的な実施形態によるワイパーシステムの本体101の斜視図を示す。より具体的には、この
図2は、ガラス表面から見た本体101を示し、したがってブレードラバー102を見えるようにしている。図示されるように、ブレードラバー102はベース103によって支承され、これ自体が本体101に固定される。このベース103は、少なくとも1つの主壁104および少なくとも2つのフランジ105を備え、その各々は主壁104の横方向縁部106から延在する。主壁104の「横方向縁部」は、この主壁104の、図示される三面体の横軸Tに沿った、横方向寸法を区切る縁部を意味すると理解される。したがって、第1のフランジ105aは主壁104の第1の横方向縁部106aから延在し、その一方で第2のフランジ105bは、この主壁104の第2の横方向縁部106bから延在する。
【0052】
主壁104は、主壁104の横方向縁部106の各々と平行な、または実質的に平行な垂直方向に延在し、ブレードラバー102を受容する、少なくとも1つのスロット107を有する。ここで図示される例によれば、このスロット107は、この主壁104の2つの垂直縁部108の間で、ベース103の主壁104の全高にわたって、すなわち垂直軸Vと平行に測定されたこの主壁104の全寸法にわたって延在する。言い換えると、図示される例では、スロット107は、この主壁104の下側垂直縁部108aおよび上側垂直縁部108bに開口している。有利には、このような構成は、清掃すべきガラス表面の効果的な清掃を保証するように、ブレードラバー102が過度に摩耗したときにこれを交換することを可能にする。代替として、スロットは、本発明の範囲から逸脱することなく、ベースの主壁の垂直縁部の一方または他方のみに開口してもよい。
【0053】
例えば、ブレードラバー102は、ヒンジによって互いに接続されたヒールおよび拭き取りリップ117を備える。拭き取りリップ117は、拭き取られるガラス表面と接触するように設計されたこのブレードラバー102の部分を形成し、ヒールは、ブレードラバー102がベース103に保持されることを保証する。任意選択的に、本体101に対するブレードラバー102の意図しない垂直変位を回避するために、ベース103の主壁104の内面に対してヒールを所定位置に係止するための手段が提供されてもよい。拭き取りリップ117は、例えば
図2および
図3で見ることができ、その一方でヒール118は、
図3でのみ見ることができる。ヒールと拭き取りリップとの間に形成されたヒンジは、この拭き取りリップ117が撓むことを可能にし、その結果、拭き取られるガラス表面を上述の2つの反対の方向に掃引することを可能にする。
【0054】
ベース103のフランジ105は、電動モータ123のケーシング125の両側に延在することに留意されたい。より具体的には、これらのフランジ105は、少なくとも1つのステータおよび少なくとも1つのロータを収容するケーシング125の第1の部分125aの両側に延在し、ステータは、例えば、電気が供給されたときにロータの回転を駆動することができる磁場を生成するように構成された少なくとも1つのコイルがその回りに巻き付けられた金属体によって形成される。その一方でロータは、歯車124に回転可能に接続される。言い換えると、上側歯車124aおよび下側歯車124bは同時に回転駆動され、こうしてワイパーシステム100の本体101の滑らかで均一な変位を保証する。このような運動は、有利には、本発明によるワイパーシステムを備えた検出モジュールの運転支援センサによって行われる画像の取得を妨げないことを可能にし、したがって、関連する制御ユニットは、適切な画像処理によって、取得された各画像から本体をより良好に消去することができる。したがって、画像の取得はより信頼性が高くなり、こうしてこの検出モジュールを備えた車両のユーザの安全性を保証する。
【0055】
ケーシング125は、電気エネルギー貯蔵装置を収容し、この貯蔵装置を上述の充電端子に電気的に接続することを可能にするコネクタ121も保護する、少なくとも1つの第2の部分125bも備える。例えば、ケーシング125は一体であってもよく、すなわち、このケーシング125の第1の部分125aおよび/または第2の部分125bに損傷を引き起こすことなく分離されることが不可能な単一のアセンブリを形成することができる。
【0056】
上述のように、本発明の第1の例示的な実施形態によるワイパーシステム100は、ノッチベルトを引っ張るための4つの緊張部材140を備える。これらの緊張部材140は、ラックピニオンタイプの嵌合構成において、これらのノッチベルトによって形成された案内手段に沿った本体101の滑らかな変位を保証するために、これらのノッチベルトの最低レベルの張力を保証するように構成される。結果として、第1の緊張部材141および第2の緊張部材142は上側歯車124aの近傍に配置されるが、その一方で第3の緊張部材143および第4の緊張部材144は、下側歯車124bの近傍に配置される。
【0057】
図3は、第1の例示的な実施形態によるワイパーシステム100の本体101の部分上面図であり、
図3には示されていない上側ノッチベルトを引っ張るための第1の緊張部材141および第2の緊張部材142を特に明確に示している。上述のように、上側ノッチベルトを引っ張るための第1の緊張部材141および第2の緊張部材142は、ワイパーシステムの本体の変位方向で、上側歯車124aの両側に分配される。したがって、本体の変位の第1の方向S1において、第1の緊張部材141は上側歯車124aの上流に配置され、第2の緊張部材142はこの上側歯車124aの下流に配置されるが、本体の変位の第2の方向S2では、第1の緊張部材141は上側歯車124aの下流に配置され、第2の緊張部材142はこの上側歯車124aの上流に配置される。
【0058】
これらの緊張部材141、142は両方とも、上側歯車124aの周りに配置されたリング145から延在する。例えば、このリング145は、電動モータのケーシング125に、より具体的には、このケーシング125の第1の部分125aの垂直端部に固定されることが可能である。第1の緊張部材141および第2の緊張部材142は各々、少なくとも1つの第1のプレート146および少なくとも1つの第2のプレート147を備え、これらは、上側ノッチベルトを受容するための受容ゾーン148を形成するように離間している。
【0059】
これらの緊張部材141、142の第1のプレート146および第2のプレート147は、それぞれ少なくとも1つの直線部分146a、147a、およびそれぞれ少なくとも1つの傾斜部分146b、147bを備える。図示される例では、各傾斜部分146b、147bは、対応するプレート146、147の直線部分146a、147aと連続している。直線部分146a、147aは、2つの平行な横方向の直線で延在するが、傾斜部分146b、147bは互いに離れる方に延在する。したがって、これらの傾斜部分146b、147bは、プレート146、147の各々の直線部分146a、147aによって区切られる受容ゾーン148の部分に向かってこのノッチベルトを案内することを可能にする上側ノッチベルトを案内するための案内部材を形成する。受容ゾーン148に入ると、上側ノッチベルトの縦方向移動、すなわち縦軸Lと平行な移動は、プレート146、147の各々の直線部分146a、147aによって制限される。したがって、上側ノッチベルトが、この上側ノッチベルトに沿ったこの本体101の変位の方向で、本体101の少なくとも上流では直線であることが保証される。
【0060】
上述のように、第1の緊張部材141は、本体101の変位の第1の方向S1で上側歯車124aの上流に配置され、その一方で第3の緊張部材143は、本体101の変位の第2の方向S2で上側歯車124aの上流に配置される。
【0061】
ここで図示される例示的な実施形態によれば、第1および第2の緊張部材141、142の第1のプレート146は一体であり、すなわちこれらは、これらのプレート146のうちの少なくとも1つに損傷を引き起こすことなく分離されることが不可能な単一のアセンブリを形成する。対照的に、これらの第1および第2の緊張部材141、142の第2のプレート147は別個であり、互いに離れている。したがって、より具体的には、少なくとも1つの空間149が緊張部材141、142の2つの第2のプレート147の間に形成され、上側歯車124aは、これらの第2のプレート147の間でこの空間149を通って延在する。
【0062】
したがって、有利には、上側歯車124aは、この図示される例では、2つの第2のプレート147の間に延在し、これらの2つの第2のプレート147の間に形成された空間149に面する上側ノッチベルトと係合する。言い換えると、上側歯車124aと上側ノッチベルトとの間の嵌合ゾーンは、2つの第2のプレート147の間に作り出された空間149に面してこのように形成される。その一方で、第1および第2の緊張部材141、142の第1のプレート146は単一のアセンブリを形成し、この嵌合ゾーン内で合流する。有利には、第1および第2の緊張部材141、142の第1のプレート146の間の接合は、このようにして、上側歯車124aが上側ノッチベルトと係合することができることを保証するのに寄与する上側ノッチベルトの停止ゾーンを形成する。
【0063】
下側ノッチベルト113を引っ張るための第3および第4の緊張部材143、144は、第1および第2の緊張部材141、142と構造的に同一であるため、直前に与えられた説明は、これらの第3および第4の緊張部材が下側歯車の近傍に配置され、下側ノッチベルトが引っ張られることを保証することができるという事実を除いて、これらの第3および第4の緊張部材に直接適用し直されることが可能である。
【0064】
上述のように、この
図3もまた、ブレードラバー102の拭き取りリップ117およびヒール118を明確に示している。
【0065】
図4から
図6を参照して、本発明の第2の例示的な実施形態によるワイパーシステムが、ここでより詳細に説明される。
【0066】
この第2の例示的な実施形態によれば、固定案内手段110は、ガラス表面211の厚みに形成された少なくとも1つの溝114の形態をとる。言い換えると、この第2の例示的な実施形態によれば、ワイパーシステム100の一部である固定案内手段110は、ガラス表面211上に形成される。図示される例によれば、固定案内手段110は、より具体的には、垂直軸Vに沿って、すなわち、ガラス表面211に沿った本体101の変位の方向に直交する方向に沿って、清掃すべきガラス表面211の両側に分配された、少なくとも1つの上側溝115および少なくとも1つの下側溝116の形態をとる。この第2の例示的な実施形態によるワイパーシステム100の本体101は、少なくとも1つの電動モータおよび電気エネルギー貯蔵装置を収容する、少なくとも1つのエンクロージャ126を備える。
【0067】
その一方で、始動用の部材120は、電動モータと、電動モータによって回転駆動されるように設計された少なくとも1つの転動部材127、有利には複数の転動部材127とを備える。図示される例によれば、始動用の部材120は、固定案内手段110の2つの溝114に受容される少なくとも4つの転動部材127を備える。したがって、上側溝115内に受容される2つの上側転動部材127aと、下側溝116内に受容される2つの下側転動部材(
図4には見えず)との間で区別される。より具体的には、上述の溝114の各々を区切る縁部は、清掃すべきガラス表面211に沿って、本体101の、ひいてはこの本体101によって支承されるブレードラバーの変位を可能にするように、これらの転動部材127を案内することを可能にする。例えば、これらの転動部材127は、滑らかな、またはテクスチャ加工されたホイールの形態をとってもよい。説明の残りの部分では、「転動部材127」および「ホイール127」という用語は交換可能に使用される。
【0068】
ガラス表面211に対して本体101を、ひいてはこれを支承するブレードラバーを押すための押圧部材130は、この第2の例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの弾性復帰部材133を備えた少なくとも1つのフック132を備える。この押圧部材130の構造および動作は、
図6を参照して、以下でより詳細に説明される。
【0069】
図5は、第2の例示的な実施形態によるワイパーシステム100の本体101を示し、この本体101のエンクロージャ126のカバーは取り外されている。したがって、この
図5は、電動モータ123と、この電動モータ123に電力を供給することを可能にする電気エネルギー貯蔵装置128とを明確に示している。図示されていないが、少なくとも1つの電機接続部材、例えばケーブルが、電気エネルギー貯蔵装置128を上述のコネクタ121に接続することを可能にする。
【0070】
ホイール127は、対になって回転可能に接続され、こうして2対のホイールを作り出し、各々が、上側ホイール127aのうちの1つと下側ホイール127bのうちの1つとで構成される。同じ対のホイール127は、ホイールから実質的に等距離で、その中心に歯付きピニオンを支承する車軸を介して連結される。
【0071】
電動モータ123は、上述の電動モータと同様であり、この場合のロータは、1対のホイールに関連付けられた車軸によって支承される歯付きピニオンと相互作用するように構成された、少なくとも1つのエンドレススクリュー、有利にはロータの両側に設けられた2つのエンドレススクリューに接続される。エンドレススクリューを回転させることで、歯付きピニオンを介して車軸を回転させ、したがって、車軸に関連付けられたホイールを回転させる。上記と同じ方法で、下側の滑らかなホイール127bを駆動するのと同時に上側ホイール127aを駆動することで、本体101の均一で滑らかな移動を保証することを可能にし、これによって、本発明によるワイパーシステムを備えた検出モジュールの運転支援センサが画像を連続的に取得することを保証することに寄与する。
【0072】
一方で、
図6は、本発明の第2の例示的な実施形態によるワイパーシステム100の本体101の側面図を示す。
【0073】
図示されるように、エンクロージャ126は、少なくとも1つの面で開放している少なくとも1つの実質的に平行六面体のベース126aを備え、この開放面はカバー126bによって閉じられる。図示されるように、このカバー126bは、コネクタ121の両側に分配された少なくとも2つの固定タブ126cによってベース126a上に保持される。有利には、少なくとも2つの他の固定タブもまた、ベース126aの反対側に配置される。
【0074】
この
図6はまた、本体101を押すための押圧部材130を明確に示している。上述のように、押圧部材130は、第2の例示的な実施形態によれば、エンクロージャ126のベース126aから延在する少なくとも1つのフック132を備える。より具体的には、このフック132は、上側の滑らかなホイール127aの間から始まる少なくとも1つの上壁134と、少なくとも1つの下壁135とを備え、これらの壁は、少なくとも1つの湾曲壁136によって互いに接続される。フック132の壁134、135、136は、ガラス表面211の下面213、すなわち、ガラス表面211の前面212の反対方向に面するこのガラス表面211の面に当接する少なくとも1つのローラ138が受容される、ハウジング137を画定する。言い換えると、ガラス表面211の上縁部214の近傍で、このガラス表面211は、ローラ138と上側ホイール127aとの間に挟まれる。
【0075】
長孔139は、このフック132の上壁134に形成され、ローラ138のシャフト230は、この長孔139を通って延在する。少なくとも2つのピン231もまたフック132の下壁135および上壁134を接続し、これらの2つのピン231は、上壁134を超えて下壁135から離れる方にそれぞれ延在する。
【0076】
図示されるように、弾性復帰部材133は、ローラ138のシャフト230に当接して、2つのピン231の間に配置される。したがって、弾性復帰部材133は張力を受けており、その初期位置に戻る傾向があり、したがって、本体101、ひいてはこれが支承するブレードラバーをガラス表面211の前面212の近くに移動させる傾向があるフック132の2つのピン231に対する力を生成する。したがって、ブレードラバーは清掃すべきガラス表面211と常に接触していることが保証される。
【0077】
上記の説明から、本発明は、現在使用されているワイパーシステムに対して少ない体積を依然として有しながらこのガラス表面の効果的な清掃を保証する、ガラス表面用のワイパーシステム、例えば検出モジュールを提案することが理解されよう。
【0078】
しかしながら、本発明は、本明細書に記載および図示される手段および構成に限定されず、任意の同等の手段および構成、またはこのような手段のあらゆる技術的に機能的な組み合わせにも及ぶ。具体的には、ガラス表面に対してブレードラバーを押すための押圧部材の、固定案内手段の、および始動用の部材の形態および配置は、これらが上述の機能を実行する限りにおいて、本発明に損害を与えることなく修正され得る。
【国際調査報告】