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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】脂肪酸系除草剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/02 20060101AFI20230906BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A01N37/02
A01P13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513696
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 AU2021050981
(87)【国際公開番号】W WO2022040743
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】2020903066
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520431915
【氏名又は名称】コンタクト オーガニクス テクノロジーズ プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CONTACT ORGANICS TECHNOLOGIES PTY LTD
【住所又は居所原語表記】Suite 43,45 Riversdale Road,Hawthorn,Victoria 3122,AUSTRALIA
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ブリッグス, ウィリアム アーネスト
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB01
4H011BB06
4H011BC03
4H011BC18
4H011BC19
4H011DH02
(57)【要約】
酸性pHを有し、水、炭素数6~12の脂肪酸、アルコールアルコキシレート、疎水性液体、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマー、及びヒュームドシリカを含む除草剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性pHを有する除草剤組成物であって、
水、炭素数6~12の脂肪酸、アルコールアルコキシレート、疎水性液体、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマー、及びヒュームドシリカを含み、
上記組成物のpHは、上記pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しない、
除草剤組成物。
【請求項2】
水は約0.1重量%~約10重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項3】
水は約50重量%~約98重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項4】
水は約0.1重量%~約10重量%の範囲の量で存在し、炭素数6~12の脂肪酸は約30重量%~約60重量%の範囲の量で存在し、アルコールアルコキシレートは約10重量%~約25重量%の範囲の量で存在し、疎水性液体は約15重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは約0.001重量%~約0.01重量%の範囲の量で存在し、ヒュームドシリカは約0.001重量%~約0.01重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項5】
水は約50重量%~約98重量%の範囲の量で存在し、炭素数6~12の脂肪酸は約1重量%~約10重量%の範囲の量で存在し、アルコールアルコキシレートは約0.5重量%~約10重量%の範囲の量で存在し、疎水性液体は約0.1重量%~約10重量%の範囲の量で存在し、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは約0.0002重量%~約0.001重量%の範囲の量で存在し、ヒュームドシリカは約0.0003重量%~約0.001重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項6】
上記アルコールアルコキシレートは炭素数6~24のアルコールアルコキシレートである、請求項1~5のいずれか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項7】
上記アルコールアルコキシレートは、炭素数9~11のアルコールアルコキシレートと炭素数16~18のアルコールアルコキシレートとの混合物を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項8】
上記炭素数6~12の脂肪酸は、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、及びセバシン酸から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項9】
上記炭素数6~12の脂肪酸はノナン酸を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項10】
上記疎水性液体は、ピネン、ネロール、シトラール、メントール、リモネン、カレン、シネオール、カンフェン、ジペンテン、テルピノレン、及びこれらの組み合わせから選択される1種以上のテルペン類を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項11】
酢酸を更に含む請求項1~10のいずれか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の除草剤組成物を植物に接触させる工程を有する、植物を枯らす又はその生長を遅延させる方法。
【請求項13】
水、ヒュームドシリカ、及びpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含むシリカ含有水性組成物を提供する工程、
上記シリカ含有水性組成物をアルコールアルコキシレートと混合して、液状アルコールアルコキシレート含有組成物を形成する工程、及び
上記液状アルコールアルコキシレート含有組成物を炭素数6~12の脂肪酸及び疎水性液体と混合して、除草剤組成物を作製する工程
を有する除草剤組成物の調製方法であって、
このように作製された除草剤組成物は、上記pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しないような酸性pHを有する、
除草剤組成物の調製方法。
【請求項14】
上記シリカ含有水性組成物は、上記pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進するようなpHで提供される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記炭素数6~12の脂肪酸はノナン酸を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
作製された除草剤組成物を水及び酢酸と混合して、上記pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しないような酸性pHを有する使用準備済み除草剤組成物を得る、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して園芸、農業、及び望ましくない植物の生長の制御の分野に関する。本発明はとりわけ、脂肪酸系除草剤組成物、その調製方法、並びに植物を枯らす又はその生長を遅延させるためのその使用及び散布に関する。
【背景技術】
【0002】
除草剤を用いて望ましくない植物の生長を制御するのは、家庭園芸及び商業的農業のいずれにおいても普通のことである。また、除草剤は、公共施設等のインフラ周辺で望ましくない植物の生長を制御するのにも一般的に使用されている。
【0003】
現代の園芸/農業やインフラのメンテナンスにおいて必須とは言わないまでも有益であるものの、現在使用されている多くの除草剤の主な欠点は、人、動物、及び環境全般に対して毒性があることである。
【0004】
グリホサート(N-(ホスホノメチル)グリシン)は広く使用されている広域浸透性の除草剤及び植物乾燥剤である。効果的な除草剤であるにもかかわらず、その過度な使用が土地のグリホサート耐性を生じさせている。更に、その使用が環境及びヒトの健康に悪影響を及ぼしていることを示唆する証拠が山のようにある。結果として、現在、グリホサート系除草剤組成物の使用を禁止しようとする運動が世界中で高まっている。
【0005】
より環境にやさしい他の除草剤組成物も知られている。例えば、脂肪酸を含む組成物が除草作用を発揮することが示されている。散布すると、そのような組成物中の脂肪酸有効成分は極めて迅速に分解されて比較的毒性のない残留物となることが見出された。したがって、除草剤の有効成分として脂肪酸は有望なものである。しかしながら、推奨される薬量で使用する場合、従来の脂肪酸系除草剤組成物では、十分な除草作用を促進するためには、脂肪酸の濃度を比較的高くする必要がある場合が多い。例えば、そのような従来の組成物を散布する薬量は通常、脂肪酸として少なくとも30kg/ヘクタールである。また、従来の脂肪酸系除草剤組成物では、植物を効果的に制御するためには、頻回の散布が必要な場合が多い。有効物質の濃度をより高くし、且つより頻繁に散布する必要があると、このような除草剤組成物を使用することが経済的に魅力のないものとなる。脂肪酸は他の除草剤有効物質と比較して(天然由来であり生分解性であることから)環境への懸念が少ないにもかかわらず、所望の除草効果を達成するために比較的高濃度で使用することは、環境への懸念はないとしても、少なくとも経済的な障害となる。
【0006】
したがって、特に脂肪酸成分を低薬量で効果的に使用し、依然として効果的であると証明されるような、有効性が向上した脂肪酸系除草剤組成物を開発する機会が残されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、酸性pHを有する除草剤組成物であって、水、炭素数6~12の脂肪酸、アルコールアルコキシレート、疎水性液体、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマー、及びヒュームドシリカを含み、上記組成物のpHが、上記pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しない、除草剤組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、水、ヒュームドシリカ、及びpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含むシリカ含有水性組成物を提供する工程、上記シリカ含有水性組成物をアルコールアルコキシレートと混合して、液状アルコールアルコキシレート含有組成物を形成する工程、及び上記液状アルコールアルコキシレート含有組成物を炭素数6~12の脂肪酸及び疎水性液体と混合して、除草剤組成物を作製する工程を有する除草剤組成物の調製方法であって、このように作製された除草剤組成物は、上記pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しないような酸性pHを有する、除草剤組成物の調製方法を提供する。
【0009】
本発明は更に、本発明の方法に従って作製された除草剤組成物を提供する。
【0010】
本発明はまた、本発明に係る除草剤組成物を植物に接触させる工程を有する、植物を枯らす又はその生長を遅延させる方法を提供する。
【0011】
本発明は更に、ある場所の植物の生長を制御する方法であって、本発明に係る除草剤組成物を上記場所に散布する工程を有する方法を含む。
【0012】
本発明はまた、植物を枯らす又はその生長を遅延させるための、本発明に係る除草剤組成物の使用を提供する。
【0013】
本発明は更に、ある場所の植物の生長を制御するための、本発明に係る除草剤組成物の使用を提供する。
【0014】
驚くべきことに、本発明に係る除草剤組成物は、従来の脂肪酸系除草剤組成物と比べて、特に薬量を低く且つ散布頻度を少なくするニーズの点で、除草作用が向上することが分かった。
【0015】
とりわけ、従来の脂肪酸系除草剤組成物とは異なり、本発明に係るものは、1重量%又は2重量%という低い脂肪酸濃度で優れた除草作用を示すことができる。例えば、本発明に係る除草剤組成物は、脂肪酸として約15kg/ヘクタールである薬量で効果的に使用できる点で有利である。
【0016】
当然ながら、本発明に係る除草剤組成物は高い脂肪酸濃度で優れた除草作用を示すが、特に驚くべき且つ有利であるのは、脂肪酸濃度が低い場合の有効性である。
【0017】
理論に制限されることを望むものではないが、本発明に係る組成物の向上した除草作用は、組成物の構成成分の組み合わせが特殊だからだと考えられる。特に、組成物の脂肪酸以外の構成成分は、事実上、脂肪酸成分の除草作用を増進して、より生物学的に利用しやすくするためのアジュバントとして機能すると考えられる。
【0018】
同じく理論に制限されることを望むものではないが、本発明に係る除草剤組成物の炭素数6~12の脂肪酸成分は、従来の除草剤組成物を用いた場合とほとんど同じようにして植物組織のいわゆる「バーンダウン」を促進すると考えられる。しかしながら、驚くべきことに、本発明に係る組成物で使用するアジュバント成分は、脂肪酸成分の送達及び有効性を増進することで、脂肪酸をより低い濃度で使用しつつ依然として優れた除草作用を達成できることが分かった。
【0019】
組成物中のこのようなアジュバント成分、すなわち水、アルコールアルコキシレート、疎水性液体、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマー、及びヒュームドシリカが全体として、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しない酸性pHであると、脂肪酸成分を植物の表面に送達し、植物による脂肪酸成分の取り込みを増進する効果的な媒体になると考えられる。アジュバント成分は、個別に且つ/又は全体として1つ以上の方法で機能して、脂肪酸成分の送達を増進すると考えられる。
【0020】
例えば、アルコールアルコキシレートは少なくとも、植物に散布する前に(濃縮物又は噴霧準備済み組成物として)組成物を安定化しやすくするとともに、散布時に組成物が植物表面に付着しやすくする役割を担うと考えられる。
【0021】
疎水性液体は少なくとも、散布時に植物の表面から失われる組成物を最小限に抑え、且つ/又は植物表面にある蝋状のクチン皮膜を除去/分解しやすくして、乾燥及び/又は脂肪酸成分の植物組織への送達を促進すると考えられる。
【0022】
組成物が酸性pHであると、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーはそれ自体ヒドロゲルとして存在せず、付与する除草剤組成物の粘度の上昇も限られるので、噴霧等で容易に散布することが可能になる。しかしながら、少なくともアルカリ性樹液を有する植物に除草剤組成物を散布すると、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーがヒドロゲルに変化することで周囲の粘度を上昇させ、植物の代謝を大いに不安定にすると考えられる。これにより、植物は脂肪酸成分の影響をより受けやすくなると考えられる。また、除草剤組成物を製造するプロセスの少なくとも一部でpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを用いてヒドロゲルを生成することで、最終組成物中のヒュームドシリカの分散が高度に促進されやすくなる。
【0023】
組成物のヒュームドシリカ成分は、除草剤組成物の成分を植物組織へと輸送しやすくすると考えられる。ヒュームドシリカを除草剤組成物中で良好に分散した状態とすることは、除草剤組成物の成分を植物組織へと輸送しやすくするのに重要であると考えられる。
【0024】
驚くべきことに、組成物の全ての構成成分が全体として相乗的に作用して脂肪酸系除草剤組成物の除草効率を増進することが分かった。
【0025】
本発明に係る除草剤組成物中の構成成分の種類や、実際に使用される通常の当該成分の濃度の低さによって、組成物は経済的な面及び環境的な面でさらにより許容されるものとなる。
【0026】
以下では、本発明の他の態様及び実施形態をより詳細に検討する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は除草剤組成物を提供する。本明細書中、「除草剤」という語は、その従来の意味で理解され、植物を枯らす又は植物の生長を遅延させることができる1種以上の構成成分を含む組成物を定義すると意図される。除草剤の散布は一般に、1種以上の望ましくない植物種、例えば1種以上の雑草を枯らす又はその生長を遅延させるために行われる。したがって、「除草作用」という表現は、組成物が除草剤として作用して植物を枯らす又は植物の生長を遅延させる潜在的な又は実現された機能を指す。
【0028】
より詳細に検討するが、本発明に係る除草剤組成物は酸性pHを有する。組成物が酸性pHを有するとは、組成物のpHが7未満であることを意味する。
【0029】
本発明に係る除草剤組成物は非選択的除草剤として分類できる。この場合、「非選択的」という語は、除草剤が有効である植物種のスペクトルを指し、非選択的除草剤は、全てではないにしても大半の植物種に対して有効である。
【0030】
本発明に係る除草剤組成物が除草作用を示す一般的な植物種としては、一年生広葉雑草(blackberry nightshade、capeweed、burr medic、creeping oxalis、milk thistle、spear thistle、wireweed、pigweed、fat hen、shepherd′s purse、藻類、地衣類、苔類、蘚類等)及び一年生イネ科草本(一年生ライグラス等)、多年生広葉雑草(flatweed、hair hawkbit、lamb’s tongue、dandelion、evening primrose、bell vine、white clover等)及び多年生イネ科草木(couch grass、kikuyu、lovegrass、paspalum、volunteer wheat、及びperennial ryegrass等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明に係る除草剤組成物は液体ベースであり、従来の液体ベースの除草剤の散布手段を用いて標的となる植物又は場所へ簡便に散布できる。このような散布手段としては、噴霧、注入、又は擦り付け散布等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明に係る除草剤組成物は一般に、発芽後(すなわち、植物に直接散布する)除草剤として使用されることになる。
【0033】
本発明に係る除草剤組成物は通常、地上にある植物構造の少なくとも一部と接触するように散布されることになる。例えば、組成物を植物の葉及び/又は茎構造に散布してもよい。
【0034】
除草剤組成物は、所望の除草作用が得られるような構成成分の量及び濃度で使用される。所望の除草作用は、植物を枯らす又は単にその生長を遅延させることであってもよい。必要に応じて、除草剤組成物を植物又は場所に複数回散布して、所望の除草作用を得てもよい。
【0035】
当業者なら理解できる通り、所定の散布で使用する除草剤組成物中の構成成分の量及び濃度は、植物種や所望の除草作用の成果(すなわち、植物を枯らす又は単にその生長を遅延させること)等の複数の要因によって異なることになる。本明細書中の教示を考慮すれば、当業者は、所定の散布で使用する除草剤組成物中の構成成分の量及び濃度を容易に選択できるであろう。
【0036】
本発明に係る除草剤組成物は、意図する散布に応じてそのまま又は水で希釈して使用できる濃縮物として提供できる点で有利である。例えば、組成物の濃縮物形態を根域に注入するか又は切ったばかりの茎に直接散布して、ブラックベリーやランタナ等の堅木植物に使用してもよいし、濃縮物形態を水で希釈して、例えば広葉雑草又はイネ科草木等へ噴霧するのに使用してもよい。
【0037】
特に言及されない限り、本明細書中、「重量%」という表現は、除草剤組成物中に含まれる全ての成分の総重量に対する特定の成分の重量パーセントを意味すると意図される。
【0038】
本発明によれば、除草剤組成物は酸性pHを有する。酸性pHを有するとは、pHが7未満であることを意味する。逆に、アルカリ性又は塩基性pHという場合、pHが7より大きいことを意味する。
【0039】
一般に、除草剤組成物のpHは約2~約5又は約3~約4の範囲となる。
【0040】
以下でより詳細に検討するが、本発明に係る除草剤組成物はpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含む。更に、該酸性pHはpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しない。それどころか、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を起こすには、組成物のpHをよりアルカリ性にする(すなわち、アルカリ側の方向に動かす)必要がある。理論に制限されることを望むものではないが、組成物が酸性pHであると、ヒドロゲル形成ポリマーが非イオン化状態で存在し、結果としてそれ自体はヒドロゲルを形成しないと考えられる。しかしながら、組成物のpHがアルカリ性pH側へ上昇すると、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーがイオン化して、それにより膨潤及びヒドロゲルの形成が促進される。ヒドロゲルが形成されると、組成物及び/又は組成物が存在する液体環境の粘度が著しく上昇する。
【0041】
本発明に係る除草剤組成物が、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しないような酸性pHを有するので、ヒドロゲル形成ポリマーは非ヒドロゲル状態で存在し、結果として、ポリマーが組成物に対して付与する粘度上昇効果は、無いにしても、限られる。したがって、組成物が上記の酸性状態であると、噴霧散布等の従来の手法で容易に散布することが可能になる。
【0042】
組成物の酸性は通常、組成物の1種以上の構成成分によって提供されることになる。例えば、脂肪酸成分及び/又はpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーによって、組成物の酸性pHを提供できる。
【0043】
あるいは、組成物の酸性pHを提供する又は提供しやすくする1種以上の他の成分が組成物に含まれてもよい。このような他の成分としては塩酸及び酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
一実施形態において、本発明に係る組成物は酢酸を含む。
【0045】
pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しないような酸性pHで本発明に係る除草剤組成物が維持される限り、組成物はpHを調整するための1種以上の添加剤を含んでいてもよい。例えば、組成物は、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム等)などといった従来のバッファ及び/又は塩基を含んでいてもよい。
【0046】
除草剤組成物のpHを調整することは、組成物を調製する方法において有用となる場合がある。この方法に関する更なる詳細は以下で概説する。
【0047】
一実施形態では、除草剤組成物の製造時にpHを調整する作用物質として水酸化ナトリウムを用いる。
【0048】
他の一実施形態において、本発明に係る除草剤組成物は水酸化カリウムを含まない。
【0049】
本発明に係る除草剤組成物は水を含む。一実施形態において、水は脱塩水である。
【0050】
含まれる水の量は一般に、約0.1重量%~約98重量%で変化することになる。
【0051】
当然ながら、組成物に含まれる水が少ないほど、より濃縮されることになる。組成物の濃度は、所定の散布に合わせて調整されることが多い。
【0052】
濃縮物という場合、除草剤組成物は通常、約10重量%未満、約7重量%未満、若しくは約5重量%未満の水、又は約2重量%未満の水を含むことになる。
【0053】
一実施形態において、水は、約10重量%未満、約7重量%未満、約5重量%未満、又は約2重量%未満の水の量で除草剤組成物中に存在する。
【0054】
別の一実施形態において、水は、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約7重量%、約0.1重量%~約5重量%、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約7重量%、又は約2重量%~約5重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0055】
以下で検討する通り、除草剤組成物は通常、濃縮物として製造した後、必要に応じて水で希釈してから使用することになる。
【0056】
意図した用途に応じて、約2重量%の水を含む濃縮物形態を追加した水で希釈して、例えば、水に対する上記濃縮物の比が例えば1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、更には最大で1:40の噴霧用作業組成物を提供できる。
【0057】
噴霧用作業組成物という場合、除草剤組成物は通常、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%の水を含むことになる。
【0058】
別の一実施形態において、水は、約50重量%~約98重量%、約70重量%~約98重量%、約80重量%~約98重量%、又は約85重量%~約95重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0059】
このような噴霧用作業組成物を調製する際、濃縮物組成物を希釈するのに使用する水の一部を酢酸に置き換えてもよい。例えば、本発明に係る噴霧用作業組成物は約1重量%~約6重量%の酢酸を含んでいてもよい。
【0060】
一実施形態において、本発明の方法に従って作製された除草剤組成物を水及び酢酸と混合して、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しないような酸性pHを有する使用準備済み除草剤組成物を得る。
【0061】
「使用準備済み」形態で提供される除草剤組成物とは、更に変更を加えることなく除草剤組成物を散布に使用できることを意味する。すなわち、除草剤組成物は、そのまま散布するのに好適な濃度でその構成成分を提供する。
【0062】
本発明に係る除草剤組成物は炭素数6~12の脂肪酸を含む。脂肪酸が「炭素数6~12」であるとは、6~12個の炭素原子を含むことを意味する。脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよく、直鎖脂肪酸であってもよく、分枝鎖脂肪酸であってもよい。
【0063】
組成物の脂肪酸成分は除草剤の重要な有効物質である。
【0064】
一実施形態において、脂肪酸は直鎖脂肪酸である。
【0065】
「脂肪酸」という場合、炭素鎖又は「脂肪族」成分がカルボン酸に共有結合しており、そのカルボン酸がプロトン化された状態である(すなわち、塩の状態ではない)ことを意味すると意図される。
【0066】
炭素数6~12の脂肪酸がカルボン酸形態である場合、除草剤組成物の水成分への溶解度はわずかであることを当業者なら理解できる。すなわち、脂肪酸成分は組成物中に主としてエマルジョンの油相として存在する。当該エマルジョンの安定化に関する更なる詳細は以下で検討する。
【0067】
それにもかかわらず、水への溶解度が低くても、炭素数6~12の脂肪酸の表面活性が高いことで、依然として除草剤組成物の酸性に寄与することが可能であることを当業者なら理解できる。とは言え、脂肪酸の炭素鎖長が炭素数12を超えてくると、水へのその溶解度が著しく低下し、そのような高級脂肪酸は水性系のpHに対して、無いにしても、ほとんど影響がないことも当業者なら理解できる。
【0068】
一実施形態において、炭素数6~12の脂肪酸は、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ノナン酸(ペラルゴン酸としても知られている)、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、及びセバシン酸から選択される。
【0069】
別の一実施形態において、脂肪酸は炭素数8~12の脂肪酸から選択される。
【0070】
他の一実施形態において、炭素数6~12の脂肪酸はノナン酸である。
【0071】
炭素数6~12の脂肪酸は一般に、約1重量%~約60重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在することになる。
【0072】
濃縮物という場合、除草剤組成物は通常、約30重量%超、約40重量%超、又は約50重量%超の炭素数6~12の脂肪酸を含むことになる。
【0073】
一実施形態において、炭素数6~12の脂肪酸は、約30重量%超、約40重量%超、又は約50重量%超の量で除草剤組成物中に存在する。
【0074】
別の一実施形態において、炭素数6~12の脂肪酸は、約30重量%~約60重量%、約40重量%~約60重量%、約50重量%~約60重量%、又は約55重量%~約60重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0075】
噴霧用作業組成物という場合、除草剤組成物は通常、約10重量%未満、約5重量%未満、又は約2重量%未満の炭素数6~12の脂肪酸を含むことになる。
【0076】
一実施形態において、除草剤組成物は、約10重量%未満、約5重量%未満、又は約2重量%未満の炭素数6~12の脂肪酸を含む。
【0077】
別の一実施形態において、炭素数6~12の脂肪酸は、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約3重量%、又は約1重量%~約2重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0078】
脂肪酸を含有するものも含めた多くの従来の除草剤組成物とは異なり、本発明に従って使用される除草剤の有効物質(すなわち脂肪酸)は酸形態(すなわち、塩としてではない)で提供されるため、水溶性は限られる。したがって、本発明に係る除草剤組成物は主にエマルジョンとして脂肪酸成分を提供する。これは、金属塩又はアンモニウム塩等として水溶性の高い形態の除草剤の有効物質を使用するのが通常である多くの従来の除草剤組成物とは対照的である。
【0079】
一実施形態において、除草剤組成物は、除草剤の有効物質の水溶性金属塩又はアンモニウム塩を含まない。
【0080】
別の一実施形態において、除草剤組成物がエマルジョンとして提供されることで、除草剤の有効物質が該エマルジョンの油相に配置される。
【0081】
本発明に係る除草剤組成物はまた、アルコールアルコキシレートを含む。
【0082】
組成物中のアルコールアルコキシレート成分は、エマルジョン形態の組成物を安定化させやすくする。
【0083】
アルコールアルコキシレートは、脂肪族アルコールのアルコキシル化に由来する非イオン性界面活性剤としてよく知られている。
【0084】
アルコールアルコキシレートの「アルコール」成分又は残基は一般に、炭素数6~24のアルコールとなる。このアルコール成分は直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい。一実施形態において、アルコール成分は直鎖状である。
【0085】
一実施形態において、アルコールアルコキシレートは炭素数6~24のアルコールアルコキシレートである。
【0086】
誤解を避けるために、炭素数6~24のアルコールアルコキシレートにおける「炭素数6~24」とは、アルコール残基中に存在する炭素原子をいうと意図される。
【0087】
アルコールアルコキシレートの「アルコキシレート」成分は、オキシアルキレン単位で構成されたオリゴマー又はポリマーを指す。アルコキシレート成分は分枝鎖状であっても直鎖状であってもよい。一実施形態において、アルコキシレート成分は直鎖状である。
【0088】
アルコールアルコキシレートを特徴付けるにあたっては、アルコキシレート成分を構成するオキシアルキレン単位の数を参照すると都合がよい場合がある。アルコキシレート成分は一般に、約4~約12個又は9~約12個のオキシアルキレン単位を含むことになる。
【0089】
アルコールアルコキシレートは、一般式:RO((CRO)H(式中、Rは炭素数6~24のアルキルである。R及びRはそれぞれ独立に水素及びアルキルから選択される。iは1~10の範囲の整数である。jは4~12の範囲の整数である。)で表すことができる。一般に、R及びRはそれぞれ独立に水素及び炭素数1~6のアルキルから選択され、iは2、3、及び4から選択される整数である。i>1の場合、各(CR)は同じであっても異なっていてもよい。例えば、オキシアルキレン単位がオキシエチレン単位である場合、R及びRはいずれも水素であり、i=2(すなわち-O(CH-)である。あるいは、オキシアルキレン単位がオキシプロピレン単位である場合、i=2であり、1つ目の「i」のR及びRはいずれも水素であり、2つ目の「i」のR及びRはそれぞれ水素及びメチル(すなわち、-OCHCH(CH)-)であってもよい。
【0090】
オキシアルキレン単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシド等のアルキレンオキシドに由来していてもよい。
【0091】
一実施形態において、アルコールアルコキシレートはアルコールエトキシレートである。
【0092】
別の一実施形態において、アルコールアルコキシレートは炭素数6~24のアルコールエトキシレートである。
【0093】
本発明に従って使用されるアルコールアルコキシレートは相異なるアルコールアルコキシレートの混合物であってもよい。
【0094】
一実施形態において、アルコールアルコキシレートは相異なるアルコールアルコキシレートの混合物である。
【0095】
他の一実施形態において、アルコールアルコキシレートは、炭素数9~11のアルコールアルコキシレートと炭素数16~18のアルコールアルコキシレートとの混合物を含む。
【0096】
他の一実施形態において、アルコールアルコキシレートは、炭素数9~11のアルコールエトキシレートと炭素数18のアルコールエトキシレートとの混合物を含む。
【0097】
理論に制限されることを望むものではないが、炭素数9~11のアルコールアルコキシレートと炭素数16~18のアルコールアルコキシレートとの混合物を用いて本発明に係る除草剤組成物を配合した場合、組成物の優れた安定性及び散布性が付与されると考えられる。そのため、散布有効性の向上が得られると考えられる。
【0098】
アルコールアルコキシレートは一般に、約0.5重量%~約25重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在することになる。
【0099】
濃縮物という場合、除草剤組成物は通常、約10重量%超、約15重量%超、又は約20重量%超のアルコールアルコキシレートを含むことになる。
【0100】
一実施形態において、アルコールアルコキシレートは、約10重量%超、約15重量%超、又は約20重量%超の量で除草剤組成物中に存在する。
【0101】
別の一実施形態において、アルコールアルコキシレートは、約10重量%~約25重量%、約15重量%~約25重量%、又は約20重量%~約25重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0102】
噴霧用作業組成物という場合、除草剤組成物は通常、約10重量%未満、約5重量%未満、約2重量%未満、又は約1重量%未満のアルコールアルコキシレートを含むことになる。
【0103】
一実施形態において、除草剤組成物は、約10重量%未満、約5重量%未満、約2重量%未満、又は約1重量%のアルコールアルコキシレートを含む。
【0104】
別の一実施形態において、アルコールアルコキシレートは、約0.5重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、約0.5重量%~約3重量%、又は約0.5重量%~約2重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0105】
本発明に係る除草剤組成物が相異なるアルコールアルコキシレートの混合物を含む場合、これらは同じ量で存在していても異なる量で存在していてもよい。
【0106】
一実施形態において、除草剤組成物は、炭素数9~11のアルコールアルコキシレートと炭素数16~18のアルコールアルコキシレートとがそれぞれ約1:2の重量比で存在する混合物を含む。
【0107】
本発明に係る除草剤組成物は疎水性液体を含む。
【0108】
「疎水性液体」という表現は、(i)除草剤組成物を通常散布する温度、例えば少なくとも5℃、10℃、15℃、20℃、又は25℃で液体であり、(ii)水への溶解度がほとんど又は全くない物質を意味すると意図される。
【0109】
好適な疎水性液体の例としては、有機溶媒(キシレン、トルエン、炭素数5~12のアルカン等)、鉱油(パラフィンオイル等)、植物油(シードオイル及びテルペン類等)、石油留分(灯油、ミネラルスピリット、ホワイトスピリット、及びストッダード溶剤等)、動物油、及びこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
使用できる好適な植物油の例としては、メチル化シードオイル、アルキル化シードオイル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
一実施形態において、疎水性液体は1種以上のテルペン類を含む。
【0112】
使用できる好適なテルペン類の例としては、ピネン、ネロール、シトラール、メントール、リモネン、カレン、シネオール、カンフェン、ジペンテン、及びテルピノレン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
一実施形態において、疎水性液体は、ピネン、ネロール、シトラール、メントール、リモネン、カレン、シネオール、カンフェン、ジペンテン、テルピノレン、及びこれらの組み合わせから選択される1種以上のテルペン類を含む。
【0114】
別の一実施形態において、疎水性液体はジペンテン、ピネン、及びリモネンから選択される。
【0115】
テルペン類は、ガムテレピン、パイン油、ユーカリ油、針葉樹油、ティーツリー油、及びこれらの組み合わせ等の植物油の抽出物に由来するものが多いことを当業者なら理解できる。
【0116】
一実施形態において、除草剤組成物は、ガムテレピン、パイン油、ユーカリ油、針葉樹油、ティーツリー油、及びこれらの組み合わせのうち1種以上を含む。
【0117】
一実施形態において、除草剤組成物は、ガムテレピン、パイン油、ユーカリ油、針葉樹油、ティーツリー油、及びこれらの組み合わせのうち1種以上の抽出物に由来する1種以上のテルペン類を含む。
【0118】
疎水性液体は一般に、約0.1重量%~約30重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在することになる。
【0119】
濃縮物という場合、除草剤組成物は通常、約15重量%超、約20重量%超、又は約25重量%超の疎水性液体を含むことになる。
【0120】
一実施形態において、疎水性液体は、約15重量%超、約20重量%超、又は約25重量%超の量で除草剤組成物中に存在する。
【0121】
別の一実施形態において、疎水性液体は、約15重量%~約30重量%、20重量%~約30重量%、又は25重量%~約30重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0122】
噴霧用作業組成物という場合、除草剤組成物は通常、約10重量%未満、約5重量%未満、又は約2重量%未満の疎水性液体を含むことになる。
【0123】
一実施形態において、除草剤組成物は、約10重量%未満、約5重量%未満、又は約2重量%未満の疎水性液体を含む。
【0124】
別の一実施形態において、疎水性液体は、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.5重量%~約3重量%、又は約0.5重量%~約2重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0125】
除草剤組成物は更にpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含む。
【0126】
「pH感受性ヒドロゲル形成ポリマー」とは、pHの変化に応じてヒドロゲルを形成するポリマーを意味する。
【0127】
本発明に係る除草剤組成物は酸性pHを有する。該酸性pHにおいて、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーはヒドロゲル状ではない。すなわち、本発明に係る除草剤組成物は、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しないような酸性pHを有する。
【0128】
本発明に係る使用に好適なpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは通常、好適な酸性pHにおいて酸形態又はプロトン化形態(すなわち、非ヒドロゲル形態)で存在する複数の酸官能基(カルボン酸等)を含むことになる。このpHがアルカリ性pH側へ上昇すると、ポリマーの酸官能基がイオン化し、それによりヒドロゲルの形成を促進する。
【0129】
したがって、本発明に従って使用されるこのようなpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは通常、酸性pHにおいてヒドロゲル状ではない状態から、pHの上昇に応じてヒドロゲル状へと変化するものとなる。
【0130】
pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、例えば、約4超、約4.5超、約5超、約5.5超、約6超、約6.5超、又は7超のpHでヒドロゲルに変化してもよい。
【0131】
pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、例えば、約4~8、約4.5~7、約5~7、又は約5.5~7の範囲のpHでヒドロゲルに変化してもよい。
【0132】
pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーがpHの上昇に応じてヒドロゲルに変化することから、アルカリ性ヒドロゲル形成ポリマーということもできる。
【0133】
したがって、アルカリ性ヒドロゲル形成ポリマーは、pHがアルカリ性pH側へ上昇するのに応じてヒドロゲルに変化するpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーということもできるだろう。
【0134】
本発明に従って使用されるpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、ヒドロゲル形態で除草剤組成物中に存在しない。
【0135】
本発明に従って使用されるpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、除草剤組成物の酸性pHにおいて非ヒドロゲル形態で存在するように適宜選択されることになる。
【0136】
本発明に従って使用されるpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってもよい。
【0137】
本発明に従って使用されるpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、アクリル酸の重合残基を含んでいてもよい。
【0138】
pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは架橋度を有していてもよい。
【0139】
一実施形態において、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、アクリル酸の重合残基及び必要に応じて1種以上のアクリル酸アルキルを含んでいる。
【0140】
好適なpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは市販のものを容易に使用できる。例えば、Carbopol(R)という名称でLubrizol社から販売されている。
【0141】
pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは一般に、約0.0002重量%~約0.01重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在することになる。
【0142】
濃縮物という場合、除草剤組成物は通常、約0.001重量%超、約0.005重量%超、又は約0.008重量%超のpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含むことになる。
【0143】
一実施形態において、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、約0.001重量%超、約0.005重量%超、又は約0.008重量%超の量で除草剤組成物中に存在する。
【0144】
別の一実施形態において、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、約0.001重量%~約0.01重量%、0.005重量%~約0.01重量%、又は0.008重量%~約0.01重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0145】
噴霧用作業組成物という場合、除草剤組成物は通常、約0.001重量%未満、約0.0006重量%未満、又は約0.0004重量%未満のpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含むことになる。
【0146】
一実施形態において、除草剤組成物は、約0.001重量%未満、約0.0006重量%未満、又は約0.0004重量%未満のpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含む。
【0147】
別の一実施形態において、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、約0.0002重量%~約0.001重量%、約0.0002重量%~約0.0006重量%、又は約0.0002重量%~約0.0004重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0148】
除草剤組成物はまた、ヒュームドシリカを含む。
【0149】
ヒュームドシリカは、ハロゲン化ケイ素化合物の炎熱分解や、石英砂が高温で気化されることによって生成されることが多い。得られたシリカ粒子は非常に小さく(一般に、一次粒径が約5~50nmの範囲)、表面積が大きい(一般に、約50~600m/gの範囲)。
【0150】
本発明に係る使用に好適なヒュームドシリカは、例えばXYSIL(R)という名称で販売されているもの等、市販のものを入手できる。
【0151】
一実施形態において、ヒュームドシリカは、一次粒径が約5nm~約20nmであり、表面積が100m/g~約350m/gである。
【0152】
ヒュームドシリカは一般に、約0.0003重量%~約0.01重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在することになる。
【0153】
濃縮物という場合、除草剤組成物は通常、約0.001重量%超、約0.004重量%超、又は約0.006重量%超のヒュームドシリカを含むことになる。
【0154】
一実施形態において、ヒュームドシリカは、約0.001重量%超、約0.004重量%超、又は約0.006重量%超の量で除草剤組成物中に存在する。
【0155】
別の一実施形態において、ヒュームドシリカは、約0.001重量%~約0.01重量%、0.004重量%~約0.01重量%、又は0.006重量%~約0.01重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0156】
噴霧用作業組成物という場合、除草剤組成物は通常、約0.001重量%未満、約0.0008重量%未満、又は約0.0006重量%未満のヒュームドシリカを含むことになる。
【0157】
一実施形態において、除草剤組成物は、約0.001重量%未満、約0.0008重量%未満、又は約0.0006重量%未満のヒュームドシリカを含む。
【0158】
一実施形態において、ヒュームドシリカは、約0.0003重量%~約0.001重量%、約0.0003重量%~約0.0008重量%、又は約0.0003重量%~約0.0006重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在する。
【0159】
ヒュームドシリカは一般に、略均一な分布物又は分散物として除草剤組成物中に存在することになる。
【0160】
除草剤組成物は、組成物の調製及び/又は散布を容易にする1種以上の他の成分を更に含んでいてもよい。
【0161】
例えば、除草剤組成物は、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム等)などといったpH調節剤を含んでいてもよい。
【0162】
一実施形態において、除草剤組成物は、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約7重量%、又は約0.1重量%~約5重量%の範囲の量の水;約30重量%~約60重量%、約40重量%~約60重量%、約50重量%~約60重量%、又は約55重量%~約60重量%の範囲の量の炭素数6~12の脂肪酸;約10重量%~約25重量%、約15重量%~約25重量%、又は約20重量%~約25重量%の範囲の量のアルコールアルコキシレート;約15重量%~約30重量%、20重量%~約30重量%、又は25重量%~約30重量%の範囲の量の疎水性液体;約0.001重量%~約0.01重量%、0.005重量%~約0.01重量%、又は0.008重量%~約0.01重量%の範囲の量のpH感受性ヒドロゲル形成ポリマー;及び約0.001重量%~約0.01重量%、0.004重量%~約0.01重量%、又は0.006重量%~約0.01重量%の範囲の量のヒュームドシリカを含む。
【0163】
別の一実施形態において、除草剤組成物は、約50重量%~約98重量%、約70重量%~約98重量%、約80重量%~約98重量%、又は約85重量%~約95重量%の範囲の量の水;約1重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約3重量%、又は約1重量%~約2重量%の範囲の量の炭素数6~12の脂肪酸;約0.5重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、約0.5重量%~約3重量%、又は約0.5重量%~約2重量%の範囲の量のアルコールアルコキシレート;約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.5重量%~約3重量%、又は約0.5重量%~約2重量%の範囲の量の疎水性液体;約0.0002重量%~約0.001重量%、約0.0002重量%~約0.0006重量%、又は約0.0002重量%~約0.0004重量%の範囲の量で除草剤組成物中に存在するpH感受性ヒドロゲル形成ポリマー;及び約0.0003重量%~約0.001重量%、約0.0003重量%~約0.0008重量%、又は約0.0003重量%~約0.0006重量%の範囲の量のヒュームドシリカを含む。
【0164】
本発明はまた、除草剤組成物を調製する方法を提供する。本方法は、水、ヒュームドシリカ、及びpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含むシリカ含有水性組成物を提供する工程を有する。
【0165】
シリカ含有水性組成物は一般に、約90重量%~約99.5重量%の水、約0.25重量%~約2.5重量%のヒュームドシリカ、及び約0.25重量%~約2.5重量%のpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含むことになる。
【0166】
一実施形態において、シリカ含有水性組成物は、約90重量%~約99.5重量%の水、約0.25重量%~約2.5重量%のヒュームドシリカ、及び約0.25重量%~約2.5重量%のpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含む。
【0167】
シリカ含有水性組成物は、水、ヒュームドシリカ、及びpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーを含む配合成分を容器内で混合して提供されてもよい。
【0168】
シリカ含有水性組成物はまた、pHを調整する成分等、1種以上の他の配合成分を含んでいてもよい。
【0169】
一実施形態において、シリカ含有水性組成物は、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加することでアルカリ性pH側へ上昇するpHを有する。
【0170】
pH調整試薬を使用する場合、約0.001重量%~約0.05重量%の範囲の量で投入してもよい。
【0171】
一実施形態では、pH調整試薬を用いてシリカ含有水性組成物のpHを上昇させる。
【0172】
通常、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーがヒドロゲルへ変化し始めるように組成物のpHを上昇させるために、シリカ含有水性組成物へのpH調整試薬の投入が行われることになる。すなわち、pH調整試薬を用いて、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーにヒドロゲルを形成させるpHまでシリカ含有水性組成物のpHを上昇させることになる。
【0173】
pHを上昇させるpH調整試薬は、アルカリ性pH調整試薬ということもできる。
【0174】
一実施形態では、約4超、約4.5超、約5超、約5.5超、約6超、約6.5超、又は7超までpHを上昇させるように、アルカリ性pH調整試薬をシリカ含有水性組成物へ投入する。
【0175】
別の一実施形態では、約4~8、約4.5~7、約5~7、又は約5.5~7の範囲にpHを上昇させるように、アルカリ性pH調整試薬をシリカ含有水性組成物へ投入する。
【0176】
他の一実施形態において、シリカ含有水性組成物は、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進するpHで提供される。
【0177】
一実施形態において、シリカ含有水性組成物は、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進するように、約4超、約4.5超、約5超、約5.5超、約6超、約6.5超、又は7超のpHで提供される。
【0178】
別の一実施形態において、シリカ含有水性組成物は、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進するように、約4~8、約4.5~7、約5~7、又は約5.5~7の範囲のpHで提供される。
【0179】
一実施形態において、シリカ含有水性組成物はアルカリ性pHを有する。
【0180】
pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーがヒドロゲルを形成するようにシリカ含有水性組成物のpHの上昇を促進することによって、ヒドロゲルの存在で該組成物が増粘する。シリカ含有水性組成物の粘度が上昇すると、ヒュームドシリカ粒子を組成物全体で略均一に分布させて維持しやすくなることが分かった。すなわち、ヒドロゲルが形成されると、シリカ含有水性組成物中のヒュームドシリカ粒子の望ましくない凝集を最小限に抑制又は防止しやすくなることが分かった。次いで、そのように増粘した状態で得られたシリカ含有水性組成物は、このように作製された除草剤組成物中のヒュームドシリカ粒子の優れた分散/分布を促進するような方法で除草剤組成物の他の構成成分と混合できる。
【0181】
このように増粘した状態のシリカ含有水性組成物を除草剤組成物の他の構成成分と混合しても、pH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形成を促進しないような酸性pHを有する最終除草剤組成物が提供されることが理解できる。すなわち、除草剤組成物の1種以上の他の構成成分によって、シリカ含有水性組成物に由来するpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーのヒドロゲル形態を非ヒドロゲル形態へ戻すのに十分な酸性度となる。
【0182】
除草剤組成物を調製する方法は、このように作製されたシリカ含有水性組成物をアルコールアルコキシレートと混合して、液状アルコールアルコキシレート含有組成物を形成する工程を有する。
【0183】
「液状」アルコールアルコキシレート含有組成物を形成するとは、組成物の少なくともアルコールアルコキシレート成分が液体状で存在することを意味する。本発明に係る使用に好適なアルコールアルコキシレートのなかには室温で固体として存在するものもあるので、シリカ含有水性組成物をアルコールアルコキシレートと混合する工程では、使用されるアルコールアルコキシレートを液体状にしやすくするように熱を加えることが必要な場合もある。
【0184】
一実施形態において、シリカ含有水性組成物をアルコールアルコキシレートと混合する工程は、熱を加えて実施する。
【0185】
使用するアルコールアルコキシレートの種類に応じて、1段階又は複数段階でシリカ含有水性組成物と混合してもよい。例えば、相異なるアルコールアルコキシレートの混合物を使用する場合、アルコールアルコキシレートの1種をシリカ含有水性組成物と混合してから、その後、異なるアルコールアルコキシレートを別途添加してもよい。
【0186】
アルコールアルコキシレートをシリカ含有水性組成物と混合する方法にかかわらず、次の工程に進む前に、添加したアルコールアルコキシレートを液体状にすることが重要となる。
【0187】
続いて、除草剤組成物を調製する方法は、このように作製された液状アルコールアルコキシレート含有組成物を炭素数6~12の脂肪酸及び疎水性液体と混合する工程を有する。
【0188】
脂肪酸成分及び疎水性液体成分は、別々に、順次、又は混合物として液状アルコールアルコキシレート含有組成物と混合してもよい。
【0189】
本発明の方法に従って1種以上の成分を添加する際、組成物をかく拌(攪拌等)及び/又は加熱して成分を混合及び/又は分散しやすくしてもよい。
【0190】
上述の通り、このように作製された除草剤組成物は酸性pHを有する。該酸性pHは、本質的には使用する全ての成分を混合する際に得られてもよい。あるいは、最終組成物が酸性pHを有することができるように調製中の任意の時点で組成物のpHを調整してもよい。
【0191】
例えば、脂肪酸成分及び/又はpH感受性ヒドロゲル形成ポリマーは、組成物の酸性pHを提供できる。
【0192】
あるいは、組成物の酸性pHを提供する又は提供しやすくする1種以上の他の成分を組成物に含有/投入してもよい。このような他の成分としては塩酸及び酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0193】
除草剤組成物の構成成分は、本発明の方法に従い、本明細書中に記載される成分濃度となるような任意の好適な量で混合してもよい。
【0194】
一般的に、除草剤組成物を調製する方法は、意図した用途で必要な作業組成物が得られるようにその後水で希釈される濃縮物が得られるような量で構成成分を混合する工程を含むことになる。
【0195】
一実施形態において、その後、このように作製された濃縮物は、意図した用途で必要な(すなわち、使用準備済みの)作業組成物が得られるように水及び酢酸の混合物で希釈する。
【0196】
一実施形態において、除草剤組成物を調製する方法は、約1重量%~約5重量%の量のシリカ含有水性組成物、約15重量%~約25重量%の量のアルコールアルコキシレート、約40重量%~約60重量%の量の炭素数6~12の脂肪酸、及び約20重量%~約40重量%の量の疎水性液体を一緒に混合する工程を有する。
【0197】
別の一実施形態において、除草剤組成物を調製する方法は、約1重量%~約5重量%の量のシリカ含有水性組成物、約15重量%~約25重量%の量のアルコールアルコキシレート、約40重量%~約60重量%の量の炭素数6~12の脂肪酸、約20重量%~約40重量%の量の疎水性液体、及び約0.01重量%~約1重量%の範囲の量の酢酸を一緒に混合する工程を有する。
【0198】
本発明は更に、本明細書中で記載した方法に従って作製された除草剤組成物を提供する。
【0199】
本発明はまた、植物を枯らす又はその生長を遅延させる方法であって、本発明に係る除草剤組成物を植物に接触させる工程を有する方法を提供する。
【0200】
本発明は更に、ある場所の植物の生長を制御する方法であって、本発明に係る除草剤組成物を上記場所に散布する工程を有する方法を提供する。
【0201】
本明細書中、「ある場所の植物の生長を制御する」という表現は、上記場所において植物の生長が遅延、阻害、又は防止されることを意味すると意図される。「場所」という語は、植物の生長が起こり得る任意の場所を意味すると意図される。例えば、場所は、植物が成長できる土壌領域、又は植物が成長できる表面であってもよい。
【0202】
本発明に係る除草剤組成物の植物との接触又は場所への散布は、除草剤組成物を散布する際の従来の手段で達成できる。例えば、除草剤組成物を植物又は場所へ直接擦り付け又は注入してもよい。あるいは、除草剤組成物を植物又は場所へ噴霧してもよい。
【0203】
本発明はまた、植物を枯らす又はその生長を遅延させるための本発明に係る除草剤組成物の使用を提供する。本発明は更に、ある場所の植物の生長を制御するための本発明に係る除草剤組成物の使用を提供する。
【0204】
本発明に係る除草剤組成物の使用は本明細書中で記載したように実施でき、当業者にはよく知られている。
【0205】
本明細書中、単独で又は化合物用語中で使用する「アルキル」という語は、直鎖、分枝鎖、又は環状アルキルを表し、好ましくは炭素数1~20、例えば炭素数1~10又は炭素数1~6のアルキルである。直鎖及び分枝鎖アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-プロピル、ヘキシル、4-メチルペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、1,2,2-トリメチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、ヘプチル、5-メチルヘキシル、1-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンチル、1,2-ジメチルペンチル、1,3-ジメチルペンチル、1,4-ジメチル-ペンチル、1,2,3-トリメチルブチル、1,1,2-トリメチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、オクチル、6-メチルヘプチル、1-メチルヘプチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ノニル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、又は7-メチルオクチル、1-、2-、3-、4-、又は5-エチルヘプチル、1-、2-、又は3-プロピルヘキシル、デシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、及び8-メチルノニル、1-、2-、3-、4-、5-、又は6-エチルオクチル、1-、2-、3-、又は4-プロピルヘプチル、ウンデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、又は9-メチルデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、又は7-エチルノニル、1-、2-、3-、4-、又は5-プロピルオクチル、1-、2-、又は3-ブチルヘプチル、1-ペンチルヘキシル、ドデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、又は10-メチルウンデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、又は8-エチルデシル、1-、2-、3-、4-、5-、又は6-プロピルノニル、1-、2-、3-、又は4-ブチルオクチル、1-2-ペンチルヘプチル等が挙げられる。環状アルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の単環又は多環アルキル基等が挙げられる。アルキル基を一般的に「プロピル」、「ブチル」等といった場合、必要に応じて直鎖、分枝鎖、及び環状アイソマーのうちのいずれかを指し得ると理解される。
【0206】
以下、非限定的な例を参照して本発明を説明する。
【実施例
【0207】
比較例1:組成物1
表1に表す配合に基づいて、ヒュームドシリカ、水、及びエトキシ化アルコールの分散液を調製した。ノナン酸及びパイン油を加えた。溶液を15分撹拌し、ナイロンフィルターでろ過した。得られた溶液を気密容器に封入して保管した。
【0208】
【表1】
【0209】
比較例2:組成物2
表2に表す配合に基づいて、ヒュームドシリカのエトキシ化アルコール分散液を調製した。ノナン酸及びパイン油を加えた。溶液を15分撹拌し、ナイロンフィルターでろ過した。得られた溶液を気密容器に封入して保管した。
【0210】
【表2】
【0211】
比較例3:組成物3
表3に表す配合に基づいて、ヒュームドシリカ、水、及びエトキシ化アルコールの分散液を調製した。ノナン酸及びジペンテンを加えた。溶液を15分撹拌し、ナイロンフィルターでろ過した。得られた溶液を気密容器に封入して保管した。
【0212】
【表3】
【0213】
比較例4:組成物4
表4に表す配合に基づいて、ヒュームドシリカ、水、及びエトキシ化C9~11アルコールの分散液を調製した。エトキシ化C18アルコールを40℃まで加熱して溶融させ、撹拌下で分散液に加えた。生成物を40℃まで加温してかく拌した。ノナン酸及びジペンテンを加えた。組成物を15分撹拌し、室温まで冷却してナイロンフィルターでろ過した。得られた生成物を気密容器に封入して保管した。
【0214】
【表4】
【0215】
比較例5:組成物5
表5に表す配合に基づいて、Carbopolアクリルポリマーの水&エトキシ化C9~11アルコール分散液を調製した。エトキシ化C18アルコールを40℃まで加熱して溶融させ、撹拌下で分散液に加えた。生成物を40℃まで加温してかく拌した。ノナン酸及びジペンテンを加えた。組成物を15分撹拌し、室温まで冷却してナイロンフィルターでろ過した。得られた生成物を気密容器に封入して保管した。
【0216】
【表5】
【0217】
実施例1:組成物6
表6に表す配合に基づき、撹拌下で水にヒュームドシリカ及びCarbopolアクリルポリマーを加えてシリカコロイド組成物を調製した。水酸化ナトリウム溶液を加えて液体のpHを5.5まで上昇させ、ヒドロゲルポリマーを形成して液体を増粘した。これにより、シリカを良好に分散した状態で維持しやすくなった。
【0218】
シリカコロイド組成物(表6)をエトキシ化C9~11アルコールに加えて表7の組成物を作製した。エトキシ化C18アルコールを40℃まで加熱して溶融させ、撹拌下で分散液に加えた。生成物を40℃まで加温してかく拌した。ノナン酸及び純粋なガムテレピンを加えた。組成物を15分撹拌し、室温まで冷却してナイロンフィルターでろ過した。得られた生成物は酸性pHを有しており、これを気密容器に封入して保管した。
【0219】
【表6】
【0220】
【表7】
【0221】
実施例2:組成物7
表8に表す配合に基づき、撹拌下で水にヒュームドシリカ及びCarbopolアクリルポリマーを加えてシリカコロイド組成物を調製した。水酸化ナトリウム溶液を加えて液体のpHを5.5まで上昇させ、ヒドロゲルポリマーを形成して液体を増粘した。これにより、シリカを良好に分散した状態で維持しやすくなった。
【0222】
シリカコロイド組成物(表8)をエトキシ化C12~14アルコールに加えて表9の組成物を作製した。エトキシ化C18アルコールを40℃まで加熱して溶融させ、撹拌下で分散液に加えた。生成物を40℃まで加温してかく拌した。ノナン酸及び純粋なガムテレピンを加えた。組成物を15分撹拌し、室温まで冷却してナイロンフィルターでろ過した。得られた生成物は酸性pHを有しており、これを気密容器に封入して保管した。
【0223】
【表8】
【0224】
【表9】
【0225】
実施例3:組成物8
表10に表す配合に基づき、撹拌下で水にヒュームドシリカ及びCarbopolアクリルポリマーを加えてシリカコロイド組成物を調製した。水酸化ナトリウム溶液を加えて液体のpHを5.5まで上昇させ、ヒドロゲルポリマーを形成して液体を増粘した。これにより、シリカを良好に分散した状態で維持しやすくなった。
【0226】
シリカコロイド組成物(表10)をエトキシ化C9~11アルコールに加えて表11の組成物を作製した。エトキシ化C18アルコールを40℃まで加熱して溶融させ、撹拌下で分散液に加えた。生成物を40℃まで加温してかく拌した。ノナン酸及びジペンテンを加えた。組成物を15分撹拌し、室温まで冷却してナイロンフィルターでろ過した。得られた生成物は酸性pHを有しており、これを気密容器に封入して保管した。
【0227】
【表10】
【0228】
【表11】
【0229】
実施例4:組成物9
表12に表す配合に基づき、低pHの噴霧用作業混合物である組成物9を調製した。酢酸を用いてエマルジョンのpHを低下させた。得られた生成物は酸性pHを有しており、これを気密容器に封入して保管した。
【0230】
【表12】
【0231】
実施例5:組成物1~9の野外散布
実施例5a:休耕地における雑草の制御に対する組成物1の有効性を評価する野外試験
【0232】
ビクトリア州で野外試験を実施して、休耕地における雑草の制御に対する組成物1(ノナン酸515.6g/L)の有効性を評価した。実施した処理では、水100Lあたり7Lの組成物1を噴霧散布体積1000L/haで、ランオフ点まで希薄噴霧して使用した。これを、噴霧散布体積を1000L/haの水とした又はランオフ点まで希薄噴霧したSlasher Weed Killer(ノナン酸525g/L、100Lあたり7L)及び未処理コントロールと比較した。
【0233】
広葉雑草種には、plantain(Plantago Major;PLANTA)、marshmallow(Malva parviflora;MALPO)、及びsowthistle(Sonchus oleraceus;SONOL)が含まれていた。イネ科雑草種には、annual bluegrass(Poa Annua;POAAN)のみが含まれていた。
【0234】
BBCH成長段階13~15の雑草に葉面散布を一回行った。散布後0日目(0DAA)及び27DAAにおいて処理散布前に雑草密度を評価した。7DAA、17DAA、及び27DAAにおいて雑草ブラウンアウトを評価した。
【0235】
7L/100Lの組成物1を噴霧体積1000L/haで散布又はランオフまで希薄噴霧したところ、休耕地における未処理コントロールと比較してPLANTA及びMALPAの顕著なブラウンアウトと、SONOL及びPOAANの顕著なブラウンアウト及び密度の低下が得られ、最も多い量及びランオフまでの希薄噴霧での散布は少ない量よりも概して優れていた。
【0236】
Slasher Weed Killerと比較した場合、組成物1は、PLANTA、MALPA、SONOL、及びPOAANの制御に対して有効性が5~10%低かった。
【0237】
実施例5b:休耕地における雑草の制御に対する組成物2、3、及び4の有効性を評価する野外試験
【0238】
ビクトリア州で野外試験を実施して、休耕地におけるbull thistle(Cirsium vulgare)、butter weed(Packera Glabella)、annual ryegrass(Lolium rigidum)、及びbermuda buttercup(Oxalis Pes-caprae)の制御に対して組成物2(ノナン酸含量:443.0g/L)、組成物3(ノナン酸含量:424.8g/L)、及び組成物4(ノナン酸含量:445.9g/L)を評価した。組成物2~4はそれぞれ、水100Lあたり7Lで、噴霧混合物として、フラットファンノズルを備えたブームスプレーにより、噴霧体積1000L/haでランオフ点まで散布した。組成物2~4を、総噴霧体積1000L/haでブームスプレーにより散布したSlasher Weed Killer(ノナン酸525g/L、100Lあたり7L)及び未処理コントロールと比較した。いずれの除草剤処理も、活発に生長している雑草に対して粗粒噴霧品質で散布した。散布時、bull thistle、butter weed、及びbermuda buttercupは5~6葉期であり、annual ryegrassは3~4葉期であった。
【0239】
散布後0日目(0DAA)において種ごとの噴霧前雑草数をカウントし、27DAAにおいて種ごとの生存雑草数を評価した。7DAA、14DAA、及び27DAAにおいて種ごとの雑草ブラウンアウトを評価した。
【0240】
組成物2(ノナン酸含量:443.0g/L)及び組成物3(ノナン酸含量:424.8g/L)は、同じ散布量のSlasher Weed Killerより効果が低かった(2~5%)。組成物2及び3を1000L/ha超で散布した場合、広葉雑草を制御でき、未処理コントロールと比較して、bull thistleを92%及び96%、butter weedを82%及び85%、bermuda buttercupを92%及び90%制御できた。annual ryegrassの制御にはそれほど効果がなく、14DAAにおいては良好なブラウンアウトであったものの、27DAAにおいては未処理コントロールと比較して40%及び45%の制御が記録された。
【0241】
組成物4(ノナン酸含量:445.9g/L)を1000L/haで散布した場合、広葉雑草の制御に効果的であり、未処理コントロールと比較して、bull thistleを完全に制御し、butter weedを93%制御し、bermuda buttercupを95%制御した。annual ryegrassの制御には効果が低く、14DAAにおいては優れたブラウンアウトであったものの、27DAAにおいては未処理コントロールと比較して60%の制御が記録された。
【0242】
組成物4は雑草ブラウンアウトについて強い量応答を示した。組成物4を1000L/ha超で散布した場合、Slasher Weed Killerと比較して、annual ryegrassの制御はやや劣り、広葉雑草の制御は同等であった。
【0243】
実施例5c:休耕地における雑草の制御に対する組成物5の有効性を評価する野外試験
【0244】
ビクトリア州で野外試験を実施して、休耕地における雑草の制御に対する組成物5(ノナン酸含量:445.9g/L)の有効性を評価した。処理には、水100Lあたり7Lの組成物5を噴霧散布体積1000L/haで用いた。処理を、噴霧散布体積を1000L/haの水とした100Lあたり7LのSlasher Weed Killer(ノナン酸525g/L)及び未処理コントロールと比較した。
【0245】
広葉雑草種には、prickly lettuce(Lactuca serriola)、hedge mustard(Sisymbrium officiale)、及びsowthistle(Sonchus oleraceus;SONOL)が含まれていた。イネ科雑草種には、buffalo grass(Stenotaphrum secundatum)のみが含まれていた。
【0246】
BBCH成長段階10~12の雑草に葉面散布を一回行った。散布後0日目(0DAA)及び27DAAにおいて処理散布前に雑草密度を評価した。7DAA、17DAA、及び27DAAにおいて雑草ブラウンアウトを評価した。
【0247】
7L/100Lの組成物5(ノナン酸含量:445.9g/L)を噴霧体積1000L/haで散布したところ、未処理コントロールと比較して、進行したブラウンアウト及び密度の低下がhedge mustard(87%)及びsowthistle(85%)について得られ、限られたブラウンアウト及び密度の低下がprickly lettuce(75%)及びbuffalo grass(77%)について得られた。
【0248】
hedge mustard、sowthistle、prickly lettuce、及びbuffalo grassの制御に対して、組成物5はSlasher Weed Killerよりも概して有効性が低かった。Slasherで達成されたブラウンアウト及び密度の低下は93~96%であった。
【0249】
実施例5d:休耕地における雑草の制御に対する組成物6、7、及び8の有効性を評価する野外試験
【0250】
ビクトリア州で野外試験を実施して、休耕地におけるcommon mallow(malva neglecta)、prickly sowthistle(sonchus asper)、cape dandelion(arctotheca calendula)、及びannual bluegrass(poa annua)の制御に対して組成物6(ノナン酸含量:455.7g/L)、組成物7(ノナン酸含量:455.7g/L)、及び組成物8(ノナン酸含量:444.1g/L)を評価及び比較した。処理には、それぞれ水100Lあたり5Lで散布した組成物6~8を噴霧体積1000L/haで用いた。処理は、ホローコーンノズルを用い、噴霧体積1000L/haで、活発に生長しているBBCH成長段階10~14の雑草に対して葉面噴霧により行った。
【0251】
処理を、噴霧散布体積を1000L/haの水とした100Lあたり7LのSlasher Weed Killer(ノナン酸525g/L)及び未処理コントロールと比較した。
【0252】
散布後7日目(7DAA)、14DAA、及び28DAAにおいて雑草ブラウンアウトを評価し、28DAAにおいては雑草密度も評価した。
【0253】
水100Lあたり5Lの組成物6(ノナン酸含量:455.7g/L)及び組成物7(ノナン酸含量:455.7g/L)は、common mallow、prickly sowthistle、cape dandelion、及びannual bluegrassの制御に対して、水100Lあたり7LのSlasher Weed Killer(ノナン酸含量:525g/L)と少なくとも同じくらいの有効性であり、再生長率が低下した。水100Lあたり5Lの組成物8(ノナン酸含量:444.1g/L)は、水100Lあたり7LのSlasher Weed Killer(ノナン酸含量:525g/L)よりも顕著に有効性が高く、再生長率が低下した。
【0254】
1000L/haの場合、水100Lあたり5Lの組成物8は、common mallow、prickly sowthistle、cape dandelion、及びannual bluegrassを顕著に制御した。28DAAまでに、組成物8は、common mallowの93%、prickly sowthistle及びcape dandelionの100%のブラウンアウト、annual bluegrassの96%のブラウンアウトを達成した。
【0255】
水100Lあたり7LのSlasher Weed Killerは、common mallow、prickly sowthistle、cape dandelion、及びannual bluegrassを良好に制御した。28DAAまでに、Slasher Weed Killerは、common mallowの90%、prickly sowthistle及びcape dandelionの90%のブラウンアウト、annual bluegrassの88%のブラウンアウトを達成した。
【0256】
組成物6~8は、Slasher Weed Killerよりも少ない薬量で使用しても同等又はより良好な結果が得られた。
【0257】
実施例5e:休耕地における雑草の制御に対する除草剤組成物8の有効性を評価する野外試験
【0258】
南オーストラリア州で野外試験を実施して、brome grass(bromus sp.)、long fruited turnip(brassica tournefortii)、capeweed(arctotheca calendula)、sand rocket(diplotaxis tenuifolia)の制御に対して組成物8(ノナン酸含量:444.1g/L)を評価した。処理には、50mL/L(水)で散布した組成物8を噴霧体積約750L/ha及び1000L/haで用いた。組成物8による処理を、噴霧体積約1000L/haで70mL/Lで散布したSlasher Weed Killer(ノナン酸含量:525g/L)及び未処理コントロール(UTC)と比較した。処理は、広範囲フラットファンノズル(Lechler LU120-08ノズル)を用いて活発に生長している雑草に対して葉面噴霧により行った。
【0259】
散布後0日目(0DAA)及び27DAAにおいて処理散布前に雑草密度を評価した。7DAA、17DAA、及び27DAAにおいて雑草ブラウンアウトを評価した。
【0260】
組成物8(ノナン酸含量:444.1g/L)を50mL/L(水)で散布したところ、UTCと比較して、いずれの評価時点でも全ての雑草が顕著に制御された。28DAAまでに、組成物8は、750L/ha及び1000L/haの両方で全ての雑草について90%を超えるブラウンアウトを達成した。
【0261】
70mL/Lで散布したSlasher Weed Killerは、1000L/haの散布において、雑草のブラウンアウトが90%を超え、雑草を同程度に制御した。
【0262】
この野外試験から、休耕地における雑草の制御に効果的な除草剤としての組成物8の高い性能が示された。Slasher Weed Killerと比較して、有効成分であるノナン酸の濃度が低くても(組成物8が444.1g/Lに対し、Slasher Weed Killerが525g/L)、希釈率が高くても(組成物8が50g/Lに対し、Slasher Weed Killerが70g/L)、散布量が少なくても(組成物8が750L/haに対し、Slasher Weed Killerが1000L/ha)、組成物8はその性能を発揮した。Slasher Weed Killerではノナン酸が36.75kg/haの量であったのに対し、組成物8はノナン酸が16.65kg/haの量で効果的に雑草を制御できた。
【0263】
実施例5f:休耕地における雑草の制御に対する除草剤組成物9の有効性を評価する野外試験
【0264】
ニューサウスウェールズ州で野外試験を実施して、休耕地におけるblack grass(eragrostis setifolia)及びvolunteer canola(brassica napus)の制御に対して、50mL/L(水)(ノナン酸含量:噴霧混合物中21.1g/L)で散布した組成物8(ノナン酸含量:444.1g/L)及び組成物9の噴霧混合物(酢酸含量:60.0g/L、ノナン酸含量:20.3g/L)を評価及び比較した。処理を、70mL/L(水)(ノナン酸含量:噴霧混合物中34.3g/L)のSlasher Weed Killer(ノナン酸525g/L)及び未処理コントロール(UTC)と比較した。
【0265】
処理は、ホローコーンノズルを用いてランオフ点までの噴霧体積で、活発に生長しているBBCH成長段階10~14の雑草に対して葉面噴霧により行って、家庭菜園又はアメニティエリアでの散布をシミュレートした。
【0266】
7DAA(散布後日数)において雑草ブラウンアウト(未処理コントロールに対する目視%)を評価し、0DAA及び15DAAにおいて雑草密度(植物数/m)を評価した。
【0267】
組成物8(ノナン酸含量:444.1g/L)を50mL/L(水)(ノナン酸含量:噴霧混合物中21.1g/L)で散布したところ、UTCと比較して、いずれの評価時点でも全ての雑草を顕著に制御した。black grassのブラウンアウト(%葉面積)は、3DAA後で94%、7DAA後で94%であった。15DAA後のblack grass数(数/m)は、UTCが20であるのに対して6.5であった。volunteer canolaのブラウンアウト(%葉面積)は、3DAA後で99%、7DAA後で99%であった。15DAA後のvolunteer canola数(数/m)は、UTCが7.5であるのに対して0.4であった。
【0268】
組成物9の噴霧混合物(酢酸含量:60.0g/L、ノナン酸含量:20.3g/L)は、UTCと比較して、いずれの評価時点でも全ての雑草の制御に優れていた。black grassのブラウンアウト(%葉面積)は、3DAA後で100%、7DAA後で99%であった。15DAA後のblack grass数(数/m)は、UTCが20であるのに対して2.5であった。volunteer canolaのブラウンアウト(%葉面積)は、3DAA後で100%、7DAA後で100%であった。15DAA後のvolunteer canola数(数/m)は、UTCが7.5であるのに対して0であった。
【0269】
70mL/L(水)のSlasher Weed Killer(ノナン酸525g/L)は、UTCと比較して、いずれの評価時点でも全ての雑草を中程度に制御した。black grassのブラウンアウト(%葉面積)は、3DAA後で93%、7DAA後で76%であった。15DAA後のblack grass数(数/m)は、UTCが20であるのに対して12.8であった。volunteer canolaのブラウンアウト(%葉面積)は、3DAA後で98%、7DAA後で93%であった。15DAA後のvolunteer canola数(数/m)は、UTCが7.5であるのに対して0.3であった。
【0270】
ノナン酸のみを含む2つの噴霧混合物を比較したところ、組成物8(ノナン酸含量:444.1g/L)を50mL/L(水)(ノナン酸含量:噴霧混合物中21.1g/L)で散布した場合は、Slasher Weed Killer(ノナン酸525g/L)を70mL/L(水)(ノナン酸含量:噴霧混合物中34.3g/L)で散布した場合と比べて、有効成分であるノナン酸含量が、Slaserの34.3g/Lに対して21.1g/Lと低いにもかかわらず、雑草の制御が数値上は大きかった。black grassを根絶させる方が難しいことから、性能の差は特に明白である。15DAA後のblack grass数(数/m)は、Slasher Weed Killerが12.8、UTCが20であるのに対して、組成物8では6.5であった。
【0271】
組成物9の噴霧混合物(酢酸含量:60.0g/L、ノナン酸含量:20.3g/L)は、高性能な組成物8(ノナン酸含量:444.1g/L)を50mL/L(水)(ノナン酸含量:噴霧混合物中21.1g/L)で散布した場合及びSlasher Weed Killer(ノナン酸525g/L)を70mL/L(水)(ノナン酸含量:噴霧混合物中34.3g/L)で散布した場合と比較して、全ての雑草の制御が優れていた。black grassを根絶させる方が難しいことから、差は特に明白である。15DAA後のblack grass数(数/m)は、組成物8が6.5、Slasher Weed Killerが12.8、UTCが20であるのに対して、組成物9では2.5であった。
【0272】
本明細書においていずれの先行刊行物(若しくはそれに由来する情報)又はいずれの既知の事項への言及も、その先行刊行物(若しくはそれに由来する情報)又は既知の事項が、本明細書が関連する傾注分野における共通の一般知識の一部であると容認若しくは承認、又は何らか形で示唆しているとは見なされず、また見なされるべきではない。
【0273】
本明細書とこれに続く特許請求の範囲とにわたり、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「有する又は含む(comprise)」という語及び「有する又は含む(comprises)」や「有している又は含んでいる(comprising)」等の変化形は、述べられた整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を含むことを意味しているが、他のいかなる整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群も排除しないことが理解される。

【国際調査報告】