(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】高圧複合容器
(51)【国際特許分類】
F17C 1/16 20060101AFI20230906BHJP
F17C 1/02 20060101ALI20230906BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
F17C1/16
F17C1/02
F16J12/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513822
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 CN2021114879
(87)【国際公開番号】W WO2022042668
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】202010888033.X
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514191184
【氏名又は名称】亜普汽車部件股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】YAPP AUTOMOTIVE SYSTEMS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】508th Yangzijiang South Road Yangzhou, Jiangsu 225009, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】姜 林
(72)【発明者】
【氏名】高 ▲とく▼俊
(72)【発明者】
【氏名】呂 昊
(72)【発明者】
【氏名】翁 益明
(72)【発明者】
【氏名】蘇 衛東
(72)【発明者】
【氏名】梁 新龍
(72)【発明者】
【氏名】胡 正云
(72)【発明者】
【氏名】楊 強
(72)【発明者】
【氏名】李 強
【テーマコード(参考)】
3E172
3J046
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172AB04
3E172BA01
3E172BB05
3E172BC01
3E172BC04
3E172BC07
3E172BC08
3E172BD03
3E172CA12
3E172CA21
3E172CA22
3E172DA90
3J046AA01
3J046BA02
3J046BD09
3J046CA03
3J046DA05
(57)【要約】
本発明は、少なくともプラスチックライナーに、プラスチックケース及びプラスチックケースによってゴム被覆された金属端部を有する高圧複合容器に関する。本技術案において、密封構造のプラスチックライナーは、プラスチックケースと金属端部のみで構成され、密封構造が簡潔である。金属端部とシリンダ開口バルブとが、共にシリンダ開口バルブのシールリングを圧縮することによって、シールリングに安定した圧縮量を形成させ、最終的に高圧ガスシリンダは優れた密封性能を有する。また、金属端部とプラスチックケースは、軸方向と周方向を問わず、位置決めが良好であり、高低圧及び温度が交番する場合、金属端部とプラスチックケースの相対位置が変化せず、プラスチックケースの密封面に変形と位置ずれが発生せず、最終的に高圧ガスシリンダは優れた耐高低圧力と温度交番性能を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧複合容器であって、
プラスチックケース及び前記プラスチックケースによってゴム被覆された金属端部を有するプラスチックライナーを備え、
前記金属端部は、第1のゴム被覆部と第2のゴム被覆部の2つのゴム被覆部を含み、第1のゴム被覆部は前記金属端部の外縁部に設置され、第2のゴム被覆部は前記金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔の下部に設置され、前記第2のゴム被覆部は、前記金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔に沿って設置された複数の平行な凹溝であり、
前記プラスチックケースは、前記第1のゴム被覆部の上下両面に第1のゴム被覆層が形成され、前記第2のゴム被覆部の内側に第2のゴム被覆層が形成され、前記第1のゴム被覆層と前記第2のゴム被覆層は移行層により接続され、
前記第1のゴム被覆層、前記第2のゴム被覆層及び前記移行層は、プラスチックケースの端部を形成するとともに、プラスチックケースの本体と一体構造に連接されて、プラスチックケースを形成することを特徴とする高圧複合容器。
【請求項2】
前記第1のゴム被覆部には、上下に貫通する第1のゴム被覆孔が設置され、ゴム被覆する過程において、プラスチックケース材料が第1のゴム被覆孔内に延伸し、第1のゴム被覆層の上下両面を接続する接続部を形成することを特徴とする請求項1に記載の高圧複合容器。
【請求項3】
前記金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔の周辺の下端面には、第2のゴム被覆孔が設置され、前記第2のゴム被覆孔が前記凹溝と連通することを特徴とする請求項1に記載の高圧複合容器。
【請求項4】
前記第2のゴム被覆部の最小直径は、前記金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔の直径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の高圧複合容器。
【請求項5】
前記第2のゴム被覆層の外面には、2つ以上の密封面が設けられ、2つ以上の密封面は同一平面に位置しないことを特徴とする請求項1に記載の高圧複合容器。
【請求項6】
前記プラスチックケースは、異なるキャリア高圧ガスの分子量の浸透特性に基づいて、PA、PE、PPA、PPS、ポリエステル、PP、POMまたはEVOHのうち1つまたは複数の組合せを含むがこれらに限定されない、現在工業で応用されている熱可塑性プラスチックを選択的に採用することを特徴とする請求項1に記載の高圧複合容器。
【請求項7】
前記プラスチックケースは、2層以上の前記熱可塑性プラスチック層により製造され、隣接する2層の熱可塑性プラスチック層の間には、ガスバリア層が設置されていることを特徴とする請求項6に記載の高圧複合容器。
【請求項8】
前記プラスチックライナーの外面には、繊維強化層が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の高圧複合容器。
【請求項9】
前記金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔内には、シリンダ開口バルブが設置され、前記シリンダ開口バルブの外側面と前記第2のゴム被覆層との間にシールリングが設置されていることを特徴とする請求項1に記載の高圧複合容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧複合容器の技術分野に関し、特に高圧ガスを充填するための高分子プラスチックライナー高圧複合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのタクシーは、燃料の代わりに圧縮天然ガス(CNG)に改装されており、一般的に、CNG高圧ガスシリンダの作動圧力は20MPaである。一部の自動車業者、AUDI及びGMなどは、CNGまたはCNGと燃油を混用した車両を普及している。そして、水素媒体電池を採用した自動車も現在のホットスポットになっており、水素貯蔵高圧ガスシリンダの作動圧力は一般的に35MPa、70MPaであり、70MPaのIV型シリンダ(高圧プラスチックライナー複合容器)は、現在の研究開発のホットスポットである。高圧ガスシリンダは、自動車用に加えて、他の分野でも十分に応用されており、例えば、ヨーロッパの一部の液化石油ガスは、プラスチックライナー複合容器(作動圧力は2MPa)を採用している。大量の高圧容器は、日常生活で広く使用されており、従来の純金属または金属ライナー複合容器は、重量が大きくて輸送しにくい問題が存在し、また、貯蔵圧力が高いほど、金属プラスチックライナーの製造プロセスが複雑になり、コストが高くなるとともに、高圧ガスにより腐食されるリスクもある。軽量化の要求を満たすために、高圧プラスチックライナーの複合容器が生成された。プラスチックの特性により、この種類の製品は耐腐食性、耐疲労性及び重量が軽いなどの優れた性能を備えており、主な製造業者はトヨタ、Hexagon(ノルウェー)、Quantum(米国)などである。純金属または金属ライニング複合容器に比べて、高圧プラスチックライナー複合容器の密封性を保証することがより厳しい。その主な原因は、プラスチックライナー・ハウジングと金属端部の材料が異なり(プラスチックライナーは、シリンダ開口バルブと密封接続される必要があるため、プラスチックライナーの端部が金属材料である必要がある)、ガスシリンダの繰り返し使用中に、プラスチックライナーと金属端部との接続が緩み、密封性能が低下することである。したがって、プラスチックケースと金属端部を優れた耐久性のある密封と耐ガス透過性能に形成することは、プラスチックライナーの高圧複合容器の突破しようとする核心技術である。
【0003】
現状に鑑み、金属端部とプラスチックライナーとの接続は研究のホットスポットと難点となっている。
図1は、金属端部01がプラスチックライナー02に取り付けられ、その後に繊維複合材料層03により巻き包まれて形成された高圧プラスチックライナー複合容器を示している。
図2は、端面の密封構造を説明する図である。金属端部01が大きな面でプラスチックライナーに接触することは、プロセス上不可能なことであり、すなわち、実行可能であってもコストが高い。この構造は、金属端部01とプラスチックライナー02の軸線に沿う位置制限を考慮していない。この構造は、巻きつける時にプラスチックライナーの内圧が絶えずに変化する充填圧力を考慮していないため、金属端部01とプラスチックライナーの接続部に隙間が発生し、漏れを引き起こす恐れがある。この構造は、ガスシリンダ開口が取り付けトルクを受ける時の位置制限を考慮しておらず、取り付けた後に金属端部01と繊維複合材料層03との結合強度が低下する。そして、この構造において、圧縮ガスの逃げ道Pが短いため、特に小分子ガスCNG、水素ガス、ヘリウムガス等の圧縮ガスが逃げるリスクを増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来のプラスチックケースと金属端部が高圧複合容器を繰り返し使用する過程において、密封性能、耐高低圧力及び温度交番性能が低下する課題を解決する高圧複合容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の技術案により実現される。
高圧複合容器は、プラスチックケース及び前記プラスチックケースによってゴム被覆された金属端部を有するプラスチックライナーを備える。
【0006】
前記金属端部は、第1のゴム被覆部と第2のゴム被覆部の2つのゴム被覆部を含み、第1のゴム被覆部は前記金属端部の外縁部に設置され、第2のゴム被覆部は前記金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔の下部に設置され、前記第2のゴム被覆部は、前記金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔に沿って設置された複数の平行な凹溝である。
【0007】
前記プラスチックケースは、前記第1のゴム被覆部の上下両面に第1のゴム被覆層が形成され、前記第2のゴム被覆部の内側に第2のゴム被覆層が形成され、前記第1のゴム被覆層と前記第2のゴム被覆層は移行層により接続される。
【0008】
前記第1のゴム被覆層、前記第2のゴム被覆層及び前記移行層は、プラスチックケースの端部を形成するとともに、プラスチックケースの本体と一体構造に連接されて、プラスチックケースを形成する。
【0009】
好ましくは、前記第1のゴム被覆部には、上下に貫通する第1のゴム被覆孔が設置され、ゴム被覆する過程において、プラスチックケースの材料が第1のゴム被覆孔内に延伸し、第1のゴム被覆層の上下両面を接続する接続部を形成する。
【0010】
好ましくは、前記金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔の周辺の下端面には、第2のゴム被覆孔が設置され、前記第2のゴム被覆孔が前記凹溝と連通する。
【0011】
好ましくは、前記第2のゴム被覆部の最小直径は、前記金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔の直径よりも大きい。
【0012】
好ましくは、前記第2のゴム被覆層の外面には、2つ以上の密封面が設けられ、2つ以上の密封面は同一平面に位置しない。
【0013】
好ましくは、前記プラスチックケースは、異なるキャリア高圧ガスの分子量の浸透特性に基づいて、PA、PE、PPA、PPS、ポリエステル、PP、POMまたはEVOHのうち1つまたは複数の組合せを含むがこれらに限定されない、現在工業で応用されている熱可塑性プラスチックを選択的に採用する。
【0014】
好ましくは、前記プラスチックケースは、2層以上の前記熱可塑性プラスチック層により製造され、隣接する2層の熱可塑性プラスチック層の間には、ガスバリア層が設置されている。
【0015】
好ましくは、前記プラスチックライナーの外面には、繊維強化層が設置されている。
【0016】
好ましくは、在前記金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔内には、シリンダ開口バルブが設置され、前記シリンダ開口バルブの外側面と前記第2のゴム被覆層との間にシールリングが設置されている。
【発明の効果】
【0017】
本技術案における密封構造のプラスチックライナーは、プラスチックケースと金属端部のみで構成され、密封構造が簡潔である。金属端部とシリンダ開口バルブとが、共にシリンダ開口バルブのシールリングを圧縮することによって、シールリングに安定した圧縮量を形成させ、最終的に高圧ガスシリンダは優れた密封性能を有する。また、金属端部とプラスチックケースは、軸方向と周方向を問わず、位置決めが良好であり、高低圧及び温度が交番する場合、金属端部とプラスチックケースの相対位置が変化せず、プラスチックケースの密封面に変形と位置ずれが発生せず、最終的に高圧ガスシリンダは優れた耐高低圧力と温度交番性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来技術の高圧プラスチックライナー複合容器を示す模式図である。
【
図2】
図1のA部位における密封構造を拡大して示す模式図である。
【
図4】本発明の金属端部の構造を示す模式図である。
【
図5】本発明の金属端部において他の方向の構造を示す模式図である。
【
図8】金属端部領域のゴム被覆構造を示す模式図である。
【
図10】プラスチックライナーの外側に繊維強化層を巻き付けた構造を示す模式図である。
【
図11】シールリング付きのシリンダ開口バルブを装着した構造を示す模式図である。
【
図12】本発明の他の金属端部のゴム被覆構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施例により本発明の技術案を詳細に説明するが、以下の実施例は例示的なものであり、本発明の技術案を解釈及び説明するためにのみ用いることができ、本発明の技術案に対する制限と解釈することはできない。
【0020】
図3に示すように、本願の目的は、プラスチックライナーを備える高圧ガス状媒体を貯蔵するための高圧複合容器1を提供する。この高圧複合容器はプラスチックライナーを備え、プラスチックライナーは、プラスチックケース3及び金属端部2がゴム被覆構造により構成される。その後、プラスチックライナーの外側には、繊維強化層4が巻きつけられるとともに、金属端部のシリンダ開口バルブ取り付け孔23内には、一定のシステム機能を有するシールリング6付きのシリンダ開口バルブ5を設置する。
【0021】
貯蔵するガスの種類については、本願で制限する必要がない。高圧貯蔵する必要がある全てのガスは、いずれも本願の高圧複合容器に適用することができ、例えば、水素ガス、CNG、ヘリウムガス、窒素ガス等の、圧力が1MPaより大きく、例えば、10MPa、20MPa、30MPa、50MPa、70MPa、80MPaまたはより高い圧力が挙げられ、プラスチックケースの材質及び金属端部が対応する耐圧程度に達することが前提である。
【0022】
本願の技術案の高圧複合容器1において、プラスチックライナーの外側に繊維強化層を巻き付けることは、従来の高圧複合容器における一般的な技術である。ここでは、高圧複合容器も繊維増加層を含み、かつプラスチックライナーの外側に巻き付ける必要があることのみを言及する。具体的に、繊維強化層にどのような繊維を使用するか、繊維と配合する樹脂は、熱可塑性樹脂であるか熱硬化性樹脂であるかは、いずれも企業の生産の需要に応じて選択することができ、本願の技術案の実現には影響を与えない。同様に、繊維強化層の巻き方または巻き方法も本願では説明しない。
【0023】
高圧複合容器1には、シリンダ開口バルブ5が設置されており、シリンダ開口バルブの構造または機能は、高圧複合容器の応用場所によって異なり、それに含まれる相応する機能性システムは、本願の保護範囲に含まれない。本願の技術案において、重要なのは、プラスチックライナーの密封構造技術に関し、プラスチックライナーと配合するように、シリンダ開口バルブ及びそのシールリングに対して一定の改良があり、具体的な改良は後に説明する。
【0024】
本技術案の重点は、プラスチックライナーの密封構造にある。当業者は、容器内に貯蔵された高圧ガスがバルブを通じて漏れるだけでなく、高圧の場合にも容器の容器壁及び容器の2つの部分の接続箇所を通じて漏出が発生し、影響が出ることが明らかである。本願の技術案は、まさにプラスチックライナーの密封に対する改良である。
【0025】
図4~
図7に示すように、本願のプラスチックライナーは特定の金属端部2を使用する。本願の金属端部2は、金属端部本体21を含み、貫通するシリンダ開口バルブ取り付け孔23が金属端部本体の軸方向に沿って設置され、金属端部本体21の外側面の中部において、一回りのリンク状の延伸部22が径方向に沿って延伸し、延伸部の厚さは、金属端部本体から外へ延伸するときの厚さから徐々に薄くなる。
【0026】
延伸部22の外縁の上面には、延伸部の一回りよりも低い略円環状の第1のゴム被覆部24が設置される。第1のゴム被覆部には、4~10個の上下が貫通する第1のゴム被覆孔25が設置されており、第1のゴム被覆孔の孔径は5~10mmである。
【0027】
シリンダ開口バルブ取り付け孔23には、最上部のガイド角部を計算しないで、上から下に少なくとも第1の取り付け孔231、第2の取り付け孔232及び第3の取り付け孔が含まれる。ここで、第2の取り付け孔の孔径は最小で、第3の取り付け孔の孔径が最大である。第3の取り付け孔、すなわち本願の第2のゴム被覆部は、第3の取り付け孔内に複数の平行な凹溝271が設置され、本実施例では3つの凹溝が設置されている。
【0028】
本シリンダ開口バルブ取り付け孔の周辺には、軸方向の第2のゴム被覆孔26が4~10個設置され、各第2のゴム被覆孔26はいずれも凹溝271と連通される。
【0029】
金属端部は、異なるキャリアガス媒体の耐腐食性及び耐高圧性能に応じて、金属で製造されることが好ましいく、例えば、耐水素ガス腐食性に合致するために、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属材料を使用する。
【0030】
図8と9に示すように、プラスチックケース3と金属端部2はゴム被覆することにより結合され、プラスチックライナーを形成する。具体には、金属端部をインサート部材として、射出成形の過程において、ゴム成型されたプラスチックケースを射出することにより、金属端部の第1のゴム被覆部24と第2のゴム被覆部27をプラスチック材料で充分に包み込む。
【0031】
本願において、異なるキャリア高圧ガスの分子量の浸透特性に基づいて、例えば、PA、PE、PPA、PPS、ポリエステル、PP、POM、EVOH等を現在工業で応用されている熱可塑性プラスチックを選択的に採用する。同時に、プラスチックケースも上述のような材料の多層熱可塑性材料層を採用することができ、隣接する2層の熱可塑性材料層の間にガスバリア層が設置されて、水素分子等のキャリアガス小分子が材料から浸透することを防止する。
【0032】
前記プラスチックケース2は、前記第1のゴム被覆部24の上下両面に第1のゴム被覆層32が形成され、前記第2のゴム被覆部27の内側には第2のゴム被覆層33が形成され、前記第1のゴム被覆層32と前記第2のゴム被覆層33が移行層34により接続されている。
【0033】
前記第1のゴム被覆層32、前記第2のゴム被覆層33及び前記移行層34は、プラスチックケースの端部を形成し、プラスチックケースの本体と一体構造に連接され、プラスチックケースを形成する。
【0034】
ゴム被覆する過程において、プラスチックケースの材質は第1のゴム被覆孔内に延伸し、第1のゴム被覆層の上下両面を接続する接続部31を形成する。プラスチックケースの材料は第2のゴム被覆孔内に延伸し、同時に第2のゴム被覆部の凹溝内にゴム被覆し、第2のゴム被覆孔内のプラスチックケース材質と一体構造に接続され、金属端部とプラスチックケースとの間の回動または軸方向の変位に起因する密封部位の密封失効を避けるように、金属端部とロック構造を形成する。
【0035】
本願の他の実施例において、金属端部200は、第1のゴム被覆部201と第2のゴム被覆部202を含み、第1のゴム被覆部に第1のゴム被覆孔を設置せず、第2のゴム被覆部に第2のゴム被覆孔が設置されておらず、プラスチックケース300は金属端部に対して直接にゴム被覆する。その最終のゴム被覆構造は
図12に示されている。
【0036】
本願のプラスチックケース材料は、第2のゴム被覆部の外面に、上から下にそれぞれ第1の密封面331、第2の密封面332及び第3の密封面333の3つの密封面が形成され、且つ3つの密封面は同一平面に位置しない。本願の他の実施例において、密封面の具体的な数は、具体的な製造プロセスと製品の実際の密封部位の需要に応じて決定される。
【0037】
図10に示すように、高圧複合容器を強化し、内部高圧ガスの圧力に抵抗するように、プラスチックライナーの外面に繊維強化層4を巻き付ける。
【0038】
図11に示すように、シールリング6付きのシリンダ開口バルブ5を装着するために、本技術案では、シリンダ開口バルブとプラスチックケースをシールリングを介して直接密封し、且つシールリングに一定の圧縮作用が発生し、従来のプラスチックライナー構造がまず金属端部とプラスチックケースによって密封され、その後、シリンダ開口バルブと金属端部によって密封される2回の密封を回避し、それによって、形成される密封性能が比較的に悪い問題を回避する。
【0039】
シールリングの材料は、FKM、EPDM、FVMQ、PTFE、シリコン樹脂などを優先的に選択して使用し、耐水素腐食性と耐低温特性のために、FKM、EPDM、PTFEなどを優先的に選択する。
【0040】
プラスチックケース3は、第2のゴム被覆層に3つの密封面を形成し、これによって、シリンダ開口バルブの軸方向と異なる位置の2つのシールリングの密封の需要に適合することができ、密封性能をさらに向上させることができる。また、高圧複合容器に対して過程密封検査時に、密封プラグなどの密封要件を提供することによって、過程検査中に密封位置で密封面の損傷が発生した後、シリンダ開口バルブの密封に提供され、最終製品の密封性能が減衰する問題が引き起こすのを避けることができる。
【0041】
この密封構造のプラスチックライナーは、プラスチックケースと金属端部のみで構成され、密封構造が簡潔である。金属端部とシリンダ開口バルブとが、共にシリンダ開口バルブのシールリングを圧縮することによって、シールリングに安定した圧縮量を形成させ、最終的に高圧ガスシリンダは優れた密封性能を有する。また、金属端部とプラスチックケースは、軸方向と周方向を問わず、位置決めが良好であり、高低圧及び温度が交番する場合、金属端部とプラスチックケースの相対位置が変化せず、プラスチックケースの密封面に変形と位置ずれが発生せず、最終的に高圧ガスシリンダは優れた耐高低圧力と温度交番性能を有する。
【0042】
最終に、高圧複合容器を使用する過程において、キャリアされた高圧ガス媒体の漏れを防止し、高圧容器の使用の安全性を確保すると共に、エネルギーを節約し、環境を保護する。また、優れた耐久性により、高圧複合容器の使用寿命を増加させる。
【0043】
以上は、本発明の具体的な実施形態のみであり、本発明の保護範囲はこれによって限定されず、創造的な労働によらず考えられるいずれの変化または置換は、本発明の保護範囲に含まれるべきであり、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に限定される保護範囲に基準とすべきである。
【符号の説明】
【0044】
01 金属端部
02 プラスチックライナー
03 繊維複合材料層
1 高圧複合容器
2 金属端部
21 金属端部本体
22 延伸部
23 シリンダ開口バルブ取り付け孔
231 第1の取り付け孔
232 第2の取り付け孔
24 第1のゴム被覆部
25 第1のゴム被覆孔
26 第2のゴム被覆孔
27 第2のゴム被覆部
271 凹溝
3 プラスチックケース
31 接続部
32 第1のゴム被覆層
33 第2のゴム被覆層
331 第1の密封面
332 第2の密封面
333 第3の密封面
34 移行層
4 繊維強化層
5 シリンダ開口バルブ
6 シールリング
200 金属端部
201 第1のゴム被覆部
202 第2のゴム被覆部
300 プラスチックケース
【国際調査報告】