(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】GPR52モジュレーター化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 401/04 20060101AFI20230906BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20230906BHJP
C07D 491/044 20060101ALI20230906BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20230906BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230906BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20230906BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230906BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230906BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230906BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230906BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230906BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230906BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230906BHJP
A61P 5/06 20060101ALI20230906BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230906BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
C07D405/14
C07D491/044
A61K31/4439
A61P43/00 111
A61P25/18
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/14
A61P25/24
A61P25/22
A61P25/20
A61P25/16
A61P5/06
A61P35/00
A61P3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514050
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 GB2021052247
(87)【国際公開番号】W WO2022043714
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514120896
【氏名又は名称】ヘプタレス セラピューティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Heptares Therapeutics Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】バックネル,サラ・ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,スティーブン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,マイケル・アリステア
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB06
4C050CC19
4C050EE03
4C050FF10
4C050GG04
4C050HH04
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB02
4C063CC42
4C063CC72
4C063CC73
4C063DD12
4C063DD42
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086CB22
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA18
4C086ZA29
4C086ZA70
4C086ZB26
4C086ZC02
4C086ZC04
4C086ZC08
(57)【要約】
本明細書における開示は、式(1):
[式中、Q、V、L、W、R
1及びR
2は本明細書中に定義の通り]の化合物又はその塩と、GPR52受容体と関連する障害の治療、予防、改善、制御又はリスク低減におけるそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1a):
【化1】
[式中、
R
1は、H、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)C
1-3アルキル、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
3-6シクロアルキルであり;前記アルキル又はシクロアルキル基のいずれか一つの原子はOと交換されていてもよく;
R
2は、Hであり;
Qは、-CR
3R
4-、-CR
3R
4CR
5R
6-、-CR
3R
4CR
5R
6CR
7R
8-、-CR
3R
4OCR
5R
6-、-CR
3R
4CR
5R
6O-及び-CR
3R
4O-から選ばれ;
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、H及びC
1-3アルキルから独立に選ばれ;
Lは、CH
2、CHOH及びOから選ばれ;
そしてWは、6員の置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環である]の化合物、又はその塩。
【請求項2】
Wが、
【化2】
[式中、R
11、R
12及びR
13は、H、CN、ハロ、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及び1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルコキシから独立に選ばれ、前記アルキル又はアルコキシ基のいずれか一つの原子は、O、N、S及びそれらの酸化形から選ばれるヘテロ原子と交換されていてもよい]から選ばれる部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(2a):
【化3】
[式中、R
11、R
12及びR
13は、H、CN、ハロ、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及び1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルコキシから独立に選ばれ、前記アルキル又はアルコキシ基のいずれか一つの原子は、O、N、S及びそれらの酸化形から選ばれるヘテロ原子と交換されていてもよい]の化合物又はその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Qが、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2O-、-CH
2OCH
2-及び-CH
2O-から選ばれる、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Qが、-CH
2CH
2-である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
式(3a):
【化4】
[式中、R
11、R
12及びR
13は、H、CN、ハロ、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及び1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルコキシから独立に選ばれ、前記アルキル又はアルコキシ基のいずれか一つの原子は、O、N、S及びそれらの酸化形から選ばれるヘテロ原子と交換されていてもよい]の化合物又はその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R
1が、H、CH
3、C(O)CH
3、C(O)CH
2CH
3、C(O)CF
2H、C(O)CF
3、C(O)CFH
2、CH
2CH
2OCH
3、オキセタン及びオキソランから選ばれる、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
R
1が、C(O)CH
3である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式(4a):
【化5】
[式中、R
11、R
12及びR
13は、H、CN、ハロ、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及び1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルコキシから独立に選ばれ、前記アルキル又はアルコキシ基のいずれか一つの原子は、O、N、S及びそれらの酸化形から選ばれるヘテロ原子と交換されていてもよい]の化合物又はその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
LがCH
2である、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
R
11、R
12及びR
13が、H、F、CF
3、CF
2H、CFH
2及びOCF
2Hから独立に選ばれる、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
Wが
【化6】
からなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
式(5):
【化7】
の化合物又はその塩である、請求項1、7又は8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]プロパンアミド;
2,2-ジフルオロ-N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
2-フルオロ-N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-(1-{4-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピリジン-2-イル}-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル)アセトアミド;
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-N-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-N-(2-メトキシエチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-N-(オキセタン-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-N-(オキソラン-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
N-[1-(4-{[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[1-(4-{[3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロフェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[1-(4-{[3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロフェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(フルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン;
1-(4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン;
1-(4-(3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン;
(4R)-1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
(4S)-1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
N-[(4R)-1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[(4S)-1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[(4R)-1-(4-{[3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロフェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[(4S)-1-(4-{[3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロフェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
又はそれらの塩からなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
GPR52受容体モジュレーター活性を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
GPR52受容体アゴニストとして使用するための、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に定義された化合物と薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項18】
医薬に使用するための、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物又は請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
精神障害;神経精神障害;神経変性障害;精神病性障害;認知障害;神経認知障害;錐体外路障害;運動障害(movement disorders);運動障害(motor disorders);多動性運動障害;緊張病;気分障害;抑鬱障害;不安障害;強迫性障害(OCD);自閉症スペクトラム障害;抑鬱障害;視床下部障害;下垂体障害;プロラクチン関連障害;心的外傷又はストレス関連障害;秩序破壊的・衝動制御又は素行障害;睡眠覚醒障害;物質関連障害;嗜癖障害;行動障害;前頭葉の機能低下;漏斗下垂体神経路、中脳辺縁系神経路、中脳皮質神経路、又は黒質線条体神経路の異常;線条体の活性低下;皮質機能障害;神経認知機能障害又はそれに関連する状態もしくは症状の治療に使用するための、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物又は請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
障害又は症状が、統合失調症、鬱病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、全般性不安障害、強迫性障害(OCD)、パニック障害、双極性障害、依存症/衝動制御障害、自閉症スペクトラム障害、サイコシス、アンヘドニア、激越、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、血管性認知症、レビー小体病、前頭側頭型認知症、トゥレット症候群、高プロラクチン血症、下垂体腺腫、プロラクチノーマ、頭蓋咽頭腫、クッシング病、尿崩症、非機能性腫瘍、肥満、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、アカシジア及び連合運動、アテトーゼ、運動失調、バリスムス、片側バリズム、舞踏病、舞踏病アテトーゼ、ジスキネジア、遅発性ジスキネジア、神経遮断薬誘発性ジスキネジア、ミオクローヌス、ミラー運動障害、発作性運動誘発性ジスキネジア、むずむず脚症候群、けいれん、常同運動障害、常同症、チック症、振戦、ウィルソン病、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調感情障害、物質又は医薬品誘発性精神病性障害、妄想、幻覚、支離滅裂な思考、ひどく混乱した行動又は異常運動行動、緊張病、大うつ病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、物質又は医薬品誘発性の双極性障害及び関連障害、別の医学的状態による双極性障害及び関連障害、分離不安障害、場面緘黙症、限局性恐怖症、社会不安障害、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、物質又は医薬品誘発性不安障害、別の医学的状態による不安障害、譫妄、認知症(major neurocognitive disorder)、軽度認知障害、健忘症、認知症(dementia)、発達性協調運動障害、常同運動障害、脳卒中後の影響、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症、感情表現の減退、意欲消失、失語症及び非社会性(社会的引きこもり)から選ばれる、請求項19に記載の使用のための化合物又は組成物。
【請求項21】
障害又は症状が、統合失調症、鬱病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、全般性不安障害、強迫性障害(OCD)、パニック障害、双極性障害、依存症/衝動制御障害、自閉症スペクトラム障害、サイコシス、神経認知障害、譫妄、アンヘドニア、激越、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、血管性認知症、レビー小体病、前頭側頭型認知症、トゥレット症候群、高プロラクチン血症、肥満、及び心的外傷後ストレス障害(PTSD)から選ばれる、請求項19に記載の使用のための化合物又は組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規化合物、及びGタンパク質共役型受容体52(GPR52)モジュレーターとしてのそれらの使用に関する。本明細書中に記載の化合物は、GPR52受容体が関与している又はGPR52受容体の調節が有益でありうる疾患の治療又は予防に有用でありうる。本願はまた、これらの化合物を含む医薬組成物ならびにGPR52受容体が関与している疾患の予防又は治療におけるこれらの化合物及び組成物の製造及び使用にも向けられる。
【背景技術】
【0002】
Gタンパク質共役型受容体52(GPR52)は、恒常的活性型のGs共役型オーファン受容体で、線条体及び皮質に高発現している。線条体では、GPR52は、ドーパミンD2中型有棘ニューロン上だけに発現し、皮質では、ドーパミンD1受容体を発現している皮質錐体ニューロン上に見られる(Komatsuら,2014,PLoS One 9:e90134)。その局在性と機能的カップリングに基づいて、GPR52は、前頭葉-線条体及び辺縁系ドーパミンの調節に役割を果たしていることが提示されているので、神経精神障害の治療に有用性を有するとみられる。GPR52アゴニストは、統合失調症の治療に特に適切であると考えられており、D1シグナリングを増強することによって間接的に認知及び陰性症状を改善するが、線条体でD2媒介シグナリングを阻害することにより陽性症状を緩和するという仮説が立てられている。
【0003】
GPR52アゴニストは、中脳辺縁系神経路及び中脳皮質神経路の機能不全に関連する精神障害の治療に使用できる。例を挙げると、統合失調症の陽性症状、陰性症状及び認知症状、鬱病、注意欠陥多動性障害、不安障害(全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害)、双極性障害、依存症/衝動制御障害及び自閉症スペクトラム障害の治療などである。神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病など)の神経精神症状(例えば、サイコシス(精神症)、アンヘドニア(快感消失)、激越など)もGPR52アゴニストで治療できる。下垂体及び視床下部におけるGPR52の発現は、下垂体障害及び視床下部の障害におけるGPR52モジュレーターの有用性を示唆しており、GPR52アゴニストが高プロラクチン血症の治療に有用でありうることを示唆する前臨床エビデンスがある(Xiongら,2016,WO2016/176571)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許公開第WO2016/176571号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Komatsuら,2014,PLoS One 9:e90134
【発明の概要】
【0006】
本発明は、Gタンパク質共役型受容体52(GPR52)モジュレーターとしての活性を有する化合物を提供する。
【0007】
提供されるのは、式(1):
【0008】
【化1】
[式中、
R
1は、H、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)C
1-3アルキル、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
3-6シクロアルキルであり;前記アルキル又はシクロアルキル基のいずれか一つの原子はOと交換されていてもよく;
R
2は、H、又は1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-3アルキルであり;
Qは、-CR
3R
4-、-CR
3R
4CR
5R
6-、-CR
3R
4CR
5R
6CR
7R
8-、-CR
3R
4OCR
5R
6-、-CR
3R
4CR
5R
6O-及び-CR
3R
4O-から選ばれ;
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、H及びC
1-3アルキルから独立に選ばれ;
Vは、6員の、メタ位がLで置換された、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環であり;
Lは、CH
2、CHOH及びOから選ばれ;
そしてWは、6員の置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環である]の化合物、又はその塩である。
【0009】
本発明の化合物はGPR52モジュレーターとして使用できる。本発明の化合物はGPR52アゴニストとして使用できる。本発明の化合物は医薬の製造に使用できる。本化合物又は医薬は、GPR52受容体が関与する疾患又は障害の治療、予防、改善、制御又はリスク低減に使用するためのものでありうる。本化合物又は医薬は、GPR52受容体の調節が有益でありうる疾患又は障害の治療、予防、改善、制御又はリスク低減に使用するためのものでありうる。本発明の化合物は、精神障害(psychiatric disorders);神経精神障害;神経変性障害;精神病性障害(psychotic disorders);認知障害;神経認知障害;錐体外路障害;運動障害(movement disorders);運動障害(motor disorders);多動性運動障害(hyperkinetic movement disorders);緊張病(カタトニア);気分障害;抑鬱障害;不安障害;強迫性障害(OCD);自閉症スペクトラム障害;抑鬱障害;視床下部障害;下垂体障害;プロラクチン関連障害;心的外傷又はストレス関連障害;秩序破壊的・衝動制御又は素行障害;睡眠覚醒障害;物質関連障害;嗜癖障害;行動障害;前頭葉の機能低下;漏斗下垂体神経路、中脳辺縁系神経路、中脳皮質神経路、又は黒質線条体神経路の異常;線条体の活性低下;皮質機能障害;神経認知機能障害又はそれに関連する状態もしくは症状の治療に有用でありうる。
【0010】
本発明の化合物は、統合失調症、鬱病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、全般性不安障害、強迫性障害(OCD)、パニック障害、双極性障害、依存症/衝動制御障害、自閉症スペクトラム障害、サイコシス、アンヘドニア、激越、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、血管性認知症、レビー小体病、前頭側頭型認知症、トゥレット症候群、高プロラクチン血症、下垂体腺腫、プロラクチノーマ、頭蓋咽頭腫、クッシング病、尿崩症、非機能性腫瘍、肥満、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、アカシジア(静座不能)及び連合運動、アテトーゼ、運動失調、バリスムス(バリズム)、片側バリズム、舞踏病、舞踏病アテトーゼ、ジスキネジア、遅発性ジスキネジア、神経遮断薬誘発性ジスキネジア、ミオクローヌス、ミラー運動障害(mirror movement disorder)、発作性運動誘発性ジスキネジア、むずむず脚症候群、けいれん、常同運動障害、常同症、チック症、振戦、ウィルソン病、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調感情障害、物質又は医薬品誘発性精神病性障害、妄想、幻覚、支離滅裂な思考、ひどく混乱した行動又は異常運動行動、緊張病、大うつ病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、物質又は医薬品誘発性の双極性障害及び関連障害、別の医学的状態による双極性障害及び関連障害、分離不安障害、場面緘黙症、限局性恐怖症、社会不安障害、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、物質又は医薬品誘発性不安障害、別の医学的状態による不安障害、譫妄、認知症(major neurocognitive disorder)、軽度認知障害、健忘症、認知症(dementia)、発達性協調運動障害、常同運動障害、脳卒中後の影響、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症、感情表現の減退、意欲消失、失語症及び非社会性(社会的引きこもり)の治療に有用でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、カフェイン誘導性の自発運動亢進活性に及ぼす実施例2の異性体1(0.3、1、3及び10mg/kg、PO)による急性処置の効果を示す。カフェインに対する有意差は、† p<0.05、†† p<0.01、††† p<0.001として表されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は新規化合物に関する。本発明は、GPR52受容体のモジュレーターとしての新規化合物の使用にも関する。本発明はさらに、GPR52モジュレーターとして使用するための医薬の製造における新規化合物の使用にも関する。本発明の化合物はGPR52アゴニストとして使用できる。本化合物又は医薬は、GPR52受容体が関与する疾患又は障害の治療、予防、改善、制御又はリスク低減に使用するためのものでありうる。本化合物又は医薬は、GPR52受容体の調節が有益でありうる疾患又は障害の治療、予防、改善、制御又はリスク低減に使用するためのものでありうる。
【0013】
本発明はさらに、精神障害(psychiatric disorders);神経精神障害;神経変性障害;精神病性障害(psychotic disorders);認知障害;神経認知障害;錐体外路障害;運動障害(movement disorders);運動障害(motor disorders);多動性運動障害(hyperkinetic movement disorders);緊張病;気分障害;抑鬱障害;不安障害;強迫性障害(OCD);自閉症スペクトラム障害;抑鬱障害;プロラクチン関連障害;心的外傷又はストレス関連障害;秩序破壊的・衝動制御又は素行障害;睡眠覚醒障害;物質関連障害;嗜癖障害;行動障害;前頭葉の機能低下;漏斗下垂体神経路、中脳辺縁系神経路、中脳皮質神経路、又は黒質線条体神経路の異常;線条体の活性低下;皮質機能障害;神経認知機能障害又はそれに関連する状態もしくは症状の治療に有用でありうる化合物、組成物及び医薬に関する。
【0014】
提供されるのは、式(1):
【0015】
【化2】
[式中、
R
1は、H、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)C
1-3アルキル、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
3-6シクロアルキルであり;前記アルキル又はシクロアルキル基のいずれか一つの原子はOと交換されていてもよく;
R
2は、H、又は1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-3アルキルであり;
Qは、-CR
3R
4-、-CR
3R
4CR
5R
6-、-CR
3R
4CR
5R
6CR
7R
8-、-CR
3R
4OCR
5R
6-、-CR
3R
4CR
5R
6O-及び-CR
3R
4O-から選ばれ;
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、H及びC
1-3アルキルから独立に選ばれ;
Vは、6員の、メタ位がLで置換された、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環であり;
Lは、CH
2、CHOH及びOから選ばれ;
そしてWは、6員の置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環である]の化合物、又はその塩である。
【0016】
また、提供されるのは、式(1a):
【0017】
【化3】
[式中、
R
1は、H、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)C
1-3アルキル、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
3-6シクロアルキルであり;前記アルキル又はシクロアルキル基のいずれか一つの原子はOと交換されていてもよく;
R
2は、H、又は1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-3アルキルであり;
Qは、-CR
3R
4-、-CR
3R
4CR
5R
6-、-CR
3R
4CR
5R
6CR
7R
8-、-CR
3R
4OCR
5R
6-、-CR
3R
4CR
5R
6O-及び-CR
3R
4O-から選ばれ;
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、H及びC
1-3アルキルから独立に選ばれ;
Lは、CH
2、CHOH及びOから選ばれ;
そしてWは、6員の置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環である]の化合物、又はその塩である。
【0018】
また、提供されるのは、式(1a):
【0019】
【化4】
[式中、
R
1は、H、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC(O)C
1-3アルキル、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
3-6シクロアルキルであり;前記アルキル又はシクロアルキル基のいずれか一つの原子はOと交換されていてもよく;
R
2はHであり;
Qは、-CR
3R
4-、-CR
3R
4CR
5R
6-、-CR
3R
4CR
5R
6CR
7R
8-、-CR
3R
4OCR
5R
6-、-CR
3R
4CR
5R
6O-及び-CR
3R
4O-から選ばれ;
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、H及びC
1-3アルキルから独立に選ばれ;
Lは、CH
2、CHOH及びOから選ばれ;
そしてWは、6員の置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環である]の化合物、又はその塩である。
【0020】
本明細書に記載の化合物において、R1は、H、CH3、CF3、CHF2、CH2F、C(O)CH3、C(O)CH2CH3、C(O)CF2H、C(O)CF3、C(O)CFH2、CH2CH2OCH3、オキセタン及びオキソランから選ぶことができる。R1は、H、CH3、C(O)CH3、C(O)CH2CH3、C(O)CF2H、C(O)CF3、C(O)CFH2、CH2CH2OCH3、オキセタン及びオキソランから選ぶことができる。R1はC(O)CH3でありうる。
【0021】
本明細書に記載の化合物において、R2は、H、CH3、CF3、CHF2及びCH2Fから選ぶことができる。R2はHでありうる。
【0022】
本明細書に記載の化合物において、Qは、-CR3R4-、-CR3R4CR5R6-、-CR3R4CR5R6CR7R8-、-CR3R4OCR5R6-、-CR3R4CR5R6O-及び-CR3R4O-から選ぶことができ、前記式中、R3、R4、R5、R6、R7及びR8はHである。Qは、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2O-、-CH2OCH2-及び-CH2O-から選ぶことができる。Qは-CH2CH2-でありうる。
【0023】
本明細書に記載の化合物において、LはCH2でありうる。LはCHOHでありうる。LはOでありうる。
【0024】
本明細書に記載の化合物において、Vは、メタ位がLで置換された、置換されていてもよいフェニル又はピリジル環でありうる。
【0025】
Vは、
【0026】
【0027】
Vは、
【0028】
【0029】
本明細書に記載の化合物において、Wは、
【0030】
【化7】
でありうる。上記式中、各Bは、N、CR
11、CR
12又はCR
13から独立に選ばれ;前記式中、R
11、R
12及びR
13は、H、CN、ハロ、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及び1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルコキシから独立に選ばれ、前記アルキル又はアルコキシ基のいずれか一つの原子は、O、N、S及びそれらの酸化形から選ばれるヘテロ原子と交換されていてもよい。
【0031】
Wは、
【0032】
【化8】
から選ばれる部分でありうる。上記式中、R
11、R
12及びR
13は、H、CN、ハロ、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及び1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC
1-6アルコキシから独立に選ばれ、前記アルキル又はアルコキシ基のいずれか一つの原子は、O、N、S及びそれらの酸化形から選ばれるヘテロ原子と交換されていてもよい。
【0033】
Wは、
【0034】
【0035】
本明細書に記載の化合物において、R11、R12及びR13は、独立に、H、CN、F、Cl、メチル、シクロプロピル、CF3、CF2H、OCF2H、OCF3、OMe又はSO2Meでありうる。R11、R12及びR13は、H、F、CF3、CF2H、CFH2及びOCF2Hから独立に選ぶことができる。R11、R12及びR13は、H、F及びCF3から独立に選ぶことができる。
【0036】
本明細書に記載の化合物において、R11はHでありうる。R11はCNでありうる。R11はハロでありうる。R11はF又はClでありうる。R11はFでありうる。R11は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基であり得、前記C1-6アルキル基の一つの原子は、O、N、S及びそれらの酸化形から選ばれるヘテロ原子と交換されていてもよい。R11は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基でありうる。R11はC1-6アルキル基でありうる。R11は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいOC1-6アルキル基でありうる。R11はOC1-6アルキル基でありうる。R11は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいSO2C1-6アルキル基でありうる。R11はSO2C1-6アルキル基でありうる。R11は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC3-6シクロアルキル基でありうる。R11はC3-6シクロアルキル基でありうる。R11はHでありうる。R11はCNでありうる。R11はFでありうる。R11はClでありうる。R11はメチルでありうる。R11はシクロプロピルでありうる。R11はCF3でありうる。R11はOCF2Hでありうる。R11はSO2Meでありうる。R11はCF2Hでありうる。R11はCH2Fでありうる。R11はOMeでありうる。R11は、H、F、CF3、CF2H、CFH2又はOCF2Hでありうる。R11は、H、F又はCF3でありうる。
【0037】
本明細書に記載の化合物において、R12はHでありうる。R12はCNでありうる。R12はハロでありうる。R12はF又はClでありうる。R12はFでありうる。R12は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基であり得、前記C1-6アルキル基の一つの原子は、O、N、S及びそれらの酸化形から選ばれるヘテロ原子と交換されていてもよい。R12は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基でありうる。R12はC1-6アルキル基でありうる。R12は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいOC1-6アルキル基でありうる。R12はOC1-6アルキル基でありうる。R12は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいSO2C1-6アルキル基でありうる。R12はSO2C1-6アルキル基でありうる。R12は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC3-6シクロアルキル基でありうる。R12はC3-6シクロアルキル基でありうる。R12はHでありうる。R12はCNでありうる。R12はFでありうる。R12はClでありうる。R12はメチルでありうる。R12はシクロプロピルでありうる。R12はCF3でありうる。R12はOCF2Hでありうる。R12はSO2Meでありうる。R12はCF2Hでありうる。R12はCH2Fでありうる。R12はOMeでありうる。R12は、H、F、CF3、CF2H、CFH2又はOCF2Hでありうる。R12は、H、F又はCF3でありうる。
【0038】
本明細書に記載の化合物において、R13はHでありうる。R13はCNでありうる。R13はハロでありうる。R13はF又はClでありうる。R13はFでありうる。R13は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基であり得、前記C1-6アルキル基の一つの原子は、O、N、S及びそれらの酸化形から選ばれるヘテロ原子と交換されていてもよい。R13は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基でありうる。R13はC1-6アルキル基でありうる。R13は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいOC1-6アルキル基でありうる。R13はOC1-6アルキル基でありうる。R13は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいSO2C1-6アルキル基でありうる。R13はSO2C1-6アルキル基でありうる。R13は、1~6個のフッ素原子で置換されていてもよいC3-6シクロアルキル基でありうる。R13はC3-6シクロアルキル基でありうる。R13はHでありうる。R13はCNでありうる。R13はFでありうる。R13はClでありうる。R13はメチルでありうる。R13はシクロプロピルでありうる。R13はCF3でありうる。R13はOCF2Hでありうる。R13はSO2Meでありうる。R13はCF2Hでありうる。R13はCH2Fでありうる。R13はOMeでありうる。R13は、H、F、CF3、CF2H、CFH2又はOCF2Hでありうる。R13は、H、F又はCF3でありうる。
【0039】
特別な化合物は、式(2a)、(2b)又は(2c):
【0040】
【化10】
の化合物、又はそれらの塩を含む。上記式中、Q、L、R
1、R
2、R
11、R
12及びR
13は、上記定義の通りである。
【0041】
特別な化合物は、式(3a)、(3b)又は(3c):
【0042】
【化11】
の化合物、又はそれらの塩を含む。上記式中、L、R
1、R
2、R
11、R
12及びR
13は、上記定義の通りである。
【0043】
特別な化合物は、式(4a)、(4b)又は(4c):
【0044】
【化12】
の化合物、又はそれらの塩を含む。上記式中、L、R
11、R
12及びR
13は、上記定義の通りである。
【0045】
特別な化合物は、式(5):
【0046】
【化13】
の化合物、又はその塩を含む。上記式中、R
1及びR
2は上記定義の通りである。
【0047】
特別な化合物は、式(6a)、(6b)又は(6c):
【0048】
【化14】
の化合物、又はそれらの塩を含む。上記式中、R
1、R
2、R
11、R
12及びR
13は、上記定義の通りである。
【0049】
特別な化合物は、式(7a)、(7b)、(7c)、(7d)又は(7e):
【0050】
【化15】
の化合物、又はそれらの塩を含む。上記式中、Q、L、R
1、R
2、R
11、R
12及びR
13は、上記定義の通りである。
【0051】
また、式(1i)及び(1ii):
【0052】
【化16】
の化合物及びそれらの塩も含まれる。上記式中、Q、V、L、W、R
1及びR
2は、上記定義の通りである。
【0053】
また、式(1ai)及び(1aii):
【0054】
【化17】
の化合物及びそれらの塩も含まれる。上記式中、Q、L、W、R
1及びR
2は、上記定義の通りである。
【0055】
本化合物は、表1に示されているような実施例1~21のいずれか一つ又はその塩から選ぶことができる。
【0056】
本化合物は、
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]プロパンアミド;
2,2-ジフルオロ-N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
2-フルオロ-N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-(1-{4-[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピリジン-2-イル}-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル)アセトアミド;
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-N-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-N-(2-メトキシエチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-N-(オキセタン-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-N-(オキソラン-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
N-[1-(4-{[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[1-(4-{[3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロフェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[1-(4-{[3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロフェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(フルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
1-(4-{[3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロフェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-1,4,5,6-テトラヒドロシクロペンタ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン;
N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-1,4,5,6-テトラヒドロシクロペンタ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル]アセトアミド;
3-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,6,7,8-テトラヒドロ-3H-オキセピノ[3,4-d][1,2,3]トリアゾール-8-アミン;
N-[3-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,6,7,8-テトラヒドロ-3H-オキセピノ[3,4-d][1,2,3]トリアゾール-8-イル]アセトアミド;
1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,7,8-テトラヒドロ-1H-オキセピノ[4,5-d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン;
N-[1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,7,8-テトラヒドロ-1H-オキセピノ[4,5-d][1,2,3]トリアゾール-4-イル]アセトアミド;
1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン;
1-(4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン;
1-(4-(3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン;
(4R)-1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
(4S)-1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-アミン;
N-[(4R)-1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[(4S)-1-(4-{[3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[(4R)-1-(4-{[3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロフェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
N-[(4S)-1-(4-{[3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロフェニル]メチル}ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾール-4-イル]アセトアミド;
又はそれらの塩からなる群から選ぶことができる。
【0057】
本発明の更なる態様は、式(1)の化合物もしくはその塩又は式(1)の化合物を含む医薬組成物の、GPR52受容体モジュレーター又はGPR52受容体アゴニストとしての使用を含む。本発明の化合物はGPR52モジュレーターとして使用できる。本発明の化合物はGPR52アゴニストとして使用できる。本発明の化合物は、GPR52受容体の調節が有益でありうる疾患の治療又は予防に有用でありうる。
【0058】
本発明の化合物は、精神障害(psychiatric disorders);神経精神障害;神経変性障害;精神病性障害(psychotic disorders);認知障害;神経認知障害;錐体外路障害;運動障害(movement disorders);運動障害(motor disorders);多動性運動障害(hyperkinetic movement disorders);緊張病(カタトニア);気分障害;抑鬱障害;不安障害;強迫性障害(OCD);自閉症スペクトラム障害;抑鬱障害;視床下部障害;下垂体障害;プロラクチン関連障害;心的外傷又はストレス関連障害;秩序破壊的・衝動制御又は素行障害;睡眠覚醒障害;物質関連障害;嗜癖障害;行動障害;前頭葉の機能低下;漏斗下垂体神経路、中脳辺縁系神経路、中脳皮質神経路、又は黒質線条体神経路の異常;線条体の活性低下;皮質機能障害;神経認知機能障害又はそれに関連する状態もしくは症状の治療に使用できる。
【0059】
本発明の化合物は、統合失調症、鬱病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、全般性不安障害、強迫性障害(OCD)、パニック障害、双極性障害、依存症/衝動制御障害、自閉症スペクトラム障害、サイコシス、アンヘドニア、激越、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、血管性認知症、レビー小体病、前頭側頭型認知症、トゥレット症候群、高プロラクチン血症、下垂体腺腫、プロラクチノーマ、頭蓋咽頭腫、クッシング病、尿崩症、非機能性腫瘍、肥満、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、アカシジア(静座不能)及び連合運動、アテトーゼ、運動失調、バリスムス(バリズム)、片側バリズム、舞踏病、舞踏病アテトーゼ、ジスキネジア、遅発性ジスキネジア、神経遮断薬誘発性ジスキネジア、ミオクローヌス、ミラー運動障害(mirror movement disorder)、発作性運動誘発性ジスキネジア、むずむず脚症候群、けいれん、常同運動障害、常同症、チック症、振戦、ウィルソン病、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調感情障害、物質又は医薬品誘発性精神病性障害、妄想、幻覚、支離滅裂な思考、ひどく混乱した行動又は異常運動行動、緊張病、大うつ病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、物質又は医薬品誘発性の双極性障害及び関連障害、別の医学的状態による双極性障害及び関連障害、分離不安障害、場面緘黙症、限局性恐怖症、社会不安障害、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、物質又は医薬品誘発性不安障害、別の医学的状態による不安障害、譫妄、認知症(major neurocognitive disorder)、軽度認知障害、健忘症、認知症(dementia)、発達性協調運動障害、常同運動障害、脳卒中後の影響、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症、感情表現の減退、意欲消失、失語症及び非社会性(社会的引きこもり)の治療に使用できる。
【0060】
本発明の化合物は、統合失調症、鬱病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、全般性不安障害、強迫性障害(OCD)、パニック障害、双極性障害、依存症/衝動制御障害、自閉症スペクトラム障害、サイコシス、神経認知障害、譫妄、アンヘドニア、激越、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、血管性認知症、レビー小体病、前頭側頭型認知症、トゥレット症候群、高プロラクチン血症、肥満及び心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療に使用できる。本発明の化合物は、統合失調症の治療に使用できる。
【0061】
定義
本願においては、別段の指示がない限り、下記の定義が適用される。
【0062】
本明細書中で使用されている用語“GPR52モジュレーター”は、GPR52受容体に結合し、その機能を調節する任意の化合物を指す。用語“モジュレーター”は、アゴニスト、部分アゴニスト及び逆アゴニスト(これらに限定されない)を含む様式による調節を含むと解釈されるべきである。
【0063】
式(1)の化合物を含む本明細書中に記載の化合物のいずれかの使用に関連して、用語“治療”は、問題の疾患又は障害に罹患している、又は罹患するリスクがある、又は潜在的に罹患するリスクがある対象に化合物を投与する何らかの形態の介入を記載するために使用される。従って、用語“治療”は、予防的(preventative,prophylactic)治療と、疾患又は障害の測定可能な又は検出可能な症状が呈示されている場合の治療の両方をカバーする。
【0064】
用語“有効治療量”(例えば、疾患又は状態の治療法に関連して)は、所望の治療効果を生ずるために有効な化合物の量のことを言う。例えば、状態が疼痛の場合、有効治療量は、所望レベルの疼痛緩和を提供するのに足る量である。所望レベルの疼痛緩和は、例えば、疼痛の完全除去又は疼痛の重症度の軽減でありうる。
【0065】
“アルキル”、“アルコキシ”、“アリール”、“ヘテロアリール”、及び“シクロアルキル”などの用語は、別段の指示がない限り、すべてそれらの従来の意味で使用される(例えば、IUPAC Gold Bookに定義のような)。任意の基に適用される“置換されていてもよい”とは、所望であれば前記基が、同じでも又は異なっていてもよい一つ又は複数の置換基で置換されていてもよいことを意味する。
【0066】
ヘテロ原子による炭素原子の交換の例は、-CH2-CH2-CH2-鎖の炭素原子を酸素又は硫黄と交換してエーテル-CH2-O-CH2-又はチオエーテル-CH2-S-CH2-を得る、基CH2-C≡C-Hの炭素原子を窒素と交換してニトリル(シアノ)基CH2-C≡Nを得る、基-CH2-CH2-CH2-の炭素原子をC=Oと交換してケトン-CH2-C(O)-CH2-を得る、基-CH2-CH=CH2の炭素原子をC=Oと交換してアルデヒド-CH2-C(O)Hを得る、基-CH2-CH2-CH3の炭素原子をOと交換してアルコール-CH2-CH2-CH2OHを得る、基-CH2-CH2-CH3の炭素原子をOと交換してエーテル-CH2-O-CH3を得る、基-CH2-CH2-CH3の炭素原子をSと交換してチオール-CH2-CH2-CH2SHを得る、基-CH2-CH2-CH2-の炭素原子をS=O又はSO2と交換してスルホキシド-CH2-S(O)-CH2-又はスルホン-CH2-S(O)2-CH2-を得る、-CH2-CH2-CH2-鎖の炭素原子をC(O)NHと交換してアミド-CH2-CH2-C(O)-NH-を得る、-CH2-CH2-CH2-鎖の炭素原子を窒素と交換してアミン-CH2-NH-CH2-を得る、そして-CH2-CH2-CH2-鎖の炭素原子をC(O)Oと交換してエステル(又はカルボン酸)-CH2-CH2-C(O)-O-を得る、などである。そのような各交換において、アルキル基の少なくとも1個の炭素原子は残らなくてはならない。
【0067】
記載されている任意の化合物がキラル中心を有する限り、本発明は、そのような化合物のすべての光学異性体にまで及び、それがラセミ化合物の形態であるか又は分割されたエナンチオマーの形態であるかを問わない。本明細書中に記載されている発明は、開示化合物のいずれかのすべての結晶形、溶媒和物及び水和物に関する(どのように製造されようとも)。本明細書中に開示された任意の化合物がカルボン酸又はアミノ基などの酸又は塩基中心を有する限り、前記化合物のすべての塩形は本発明に包含される。製薬学的用途の場合、その塩は薬学的に許容可能な塩と見なされるべきである。
【0068】
言及されうる塩又は薬学的に許容可能な塩は、酸付加塩及び塩基付加塩を含む。そのような塩は従来手段によって形成できる。例えば、化合物の遊離酸又は遊離塩基形を、1当量以上の適当な酸又は塩基と、任意に溶媒中、又は塩が不溶性の媒体中で反応させた後、前記溶媒又は前記媒体を標準技術を用いて(例えば、真空下で、凍結乾燥により、又はろ過により)除去することによる。塩は、塩の形態の化合物の対イオンを、例えば適切なイオン交換樹脂を用いて、別の対イオンと交換することによって製造することもできる。
【0069】
薬学的に許容可能な塩の例は、鉱酸及び有機酸から誘導される酸付加塩、及びナトリウム、マグネシウム、カリウム及びカルシウムなどの金属から誘導される塩を含む。
【0070】
酸付加塩の例は、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸)、アスコルビン酸(例えばL-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)樟脳酸、樟脳-スルホン酸、(+)-(1S)-樟脳-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸(例えばD-グルコン酸)、グルクロン酸(例えばD-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えばL-グルタミン酸)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば(+)-L-乳酸及び(±)-DL-乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸(例えば(-)-L-リンゴ酸)、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタリン酸、メタンスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸(例えば(+)-L-酒石酸)、チオシアン酸、ウンデシレン酸及び吉草酸と形成される酸付加塩を含む。
【0071】
化合物の任意の溶媒和物及びそれらの塩も包含される。好適な溶媒和物は、本発明の化合物の固体構造(例えば結晶構造)に、非毒性の薬学的に許容可能な溶媒(以下、溶媒和溶媒と呼ぶ)の分子を組み込むことによって形成される溶媒和物である。そのような溶媒の例は、水、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール及びブタノール)及びジメチルスルホキシドなどである。溶媒和物は、本発明の化合物を溶媒又は溶媒和溶媒を含有する溶媒の混合物で再結晶化することによって製造できる。溶媒和物が任意の所与の場合に形成されたかどうかは、化合物の結晶を、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)及びX線結晶構造解析などの周知の標準的な技術を用いて分析に付すことによって決定できる。
【0072】
溶媒和物は、化学量論的又は非化学量論的溶媒和物でありうる。特別な溶媒和物は水和物であり得、水和物の例は、半水和物、一水和物及び二水和物を含む。溶媒和物ならびにその製造及び特徴付けに使用される方法のより詳細な解説については、Brynら、Solid-State Chemistry of Drugs、第2版、出版SSCI,Inc,米国インディアナ州ウェストラファイエット、1999、ISBN 0-967-06710-3参照。
【0073】
本発明の文脈において、用語“医薬組成物”は、活性薬を含み、追加的に一つ又は複数の薬学的に許容可能な担体も含む組成物を意味する。前記組成物はさらに、投与様式及び剤形の性質に応じて、例えば、希釈剤、アジュバント、賦形剤、ビヒクル、保存剤、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、フレーバー剤、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤及び分散剤から選ばれる成分も含有しうる。前記組成物は、例えば、錠剤、糖衣錠、散剤、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁液を含む液体製剤、スプレー剤、吸入剤、錠剤、トローチ剤、エマルション剤、溶液剤、カシェ剤、顆粒剤、カプセル剤及び坐剤、ならびにリポソーム製剤を含む注射用液体製剤の形態をとりうる。
【0074】
本発明の化合物は一つ又は複数の同位体置換を含有していてもよく、特定の元素への言及は、その元素のすべての同位体をその範囲内に含む。例えば、水素への言及は、1H、2H(D)、及び3H(T)をその範囲内に含む。同様に、炭素及び酸素への言及は、それぞれ12C、13C及び14Cならびに16O及び18Oをそれらの範囲内に含む。同様に、特定の官能基への言及も、文脈上別の指示がない限り、同位体変化をその範囲内に含む。例えば、エチル基などのアルキル基又はメトキシ基などのアルコキシ基への言及も、例えば、全5個の水素原子がジュウテリウム同位体形であるエチル基(ペルジュウテロエチル基)又は全3個の水素原子がジュウテリウム同位体形であるメトキシ基(トリジュウテロメトキシ基)のように、基内の1個又は複数個の水素原子がジュウテリウム又はトリチウム同位体の形態である変化をカバーする。同位体は放射性でも又は非放射性でもよい。
【0075】
治療用量は、患者の要件、治療される状態の重症度、及び使用される化合物に応じて変動しうる。特定の状況に対する適正な用量の決定は当該技術分野の技能の範囲内である。一般的に、治療は、化合物の最適用量より少ない用量で開始される。その後、用量は、状況下での最適効果に到達するまで少しずつ増量される。便宜上、総日用量は、所望であれば、その一日の中で分割し、分割量で投与されてもよい。
【0076】
化合物の有効量の大きさは、当然ながら、治療される状態の重症度の性質、ならびに特定の化合物及びその投与経路に応じて変動する。適切な投与量の選択は、過度の負担なく当業者の能力の範囲内である。一般に、日用量範囲は、ヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約10μg~約30mg、好ましくはヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約50μg~約30mg、例えばヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約50μg~約10mg、例えばヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約100μg~約30mg、例えばヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約100μg~約10mg、最も好ましくはヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約100μg~約1mgでありうる。
【0077】
医薬製剤
活性化合物は、単独で投与することも可能であるが、医薬組成物(例えば製剤)として提供するのが好ましい。
【0078】
そこで、上記定義の式(1)の少なくとも一つの化合物と共に少なくとも一つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0079】
本組成物は錠剤組成物でありうる。本組成物はカプセル組成物でありうる。
【0080】
薬学的に許容可能な賦形剤(一つ又は複数)は、例えば、担体(例えば、固体、液体又は半固体の担体)、アジュバント、希釈剤(例えば、充填剤又は増量剤などの固体希釈剤;溶媒及び共溶媒などの液体希釈剤)、造粒剤、バインダ、流動助剤、コーティング剤、放出制御剤(例えば、放出遅延(retarding又はdelaying)ポリマー又はワックス)、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、滑沢剤、保存剤、抗真菌剤及び抗菌剤、抗酸化剤、緩衝剤、張度調整剤、増粘剤、フレーバー剤、甘味剤、色素、可塑剤、味マスキング剤、安定剤、又は医薬組成物に従来使用される任意のその他の賦形剤から選ぶことができる。
【0081】
本明細書中で使用されている用語“薬学的に許容可能な”とは、健全な医学的判断の範囲内で、過剰の毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題もしくは合併症なしに対象(例えばヒト対象)の組織と接触させて使用するのに適切な、合理的な利益/リスク比に見合う化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を意味する。各賦形剤は、製剤のその他の成分とも適合性があるという意味においても“許容可能”でなければならない。
【0082】
式(1)の化合物を含有する医薬組成物は公知技術に従って製剤化できる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company(米国ペンシルベニア州イーストン)参照。医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻腔内、気管支内、舌下、眼内、耳内、直腸内、膣内、又は経皮投与に適切な任意の形態でありうる。
【0083】
経口投与に適切な医薬剤形は、錠剤(コーティング錠又は非コーティング錠(素錠))、カプセル剤(硬質又は軟質シェル)、カプレット剤、ピル剤、トローチ剤、シロップ剤、溶液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤及び懸濁液剤、舌下錠、ウェハース剤又はバッカル(口内)パッチのようなパッチ剤などである。
【0084】
錠剤組成物は、単位用量の活性化合物と共に、不活性希釈剤又は担体、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトール又はマンニトールなどの糖又は糖アルコール;及び/又は非糖由来希釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、又はセルロースもしくはその誘導体、例えば、微結晶セルロース(MCC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びコーンスターチなどのデンプンを含有できる。錠剤は、結合剤及び顆粒化剤、例えばポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば架橋カルボキシメチルセルロースのような膨潤性架橋ポリマー)、滑沢剤(例えばステアリン酸塩)、保存剤(例えばパラベン)、抗酸化剤(例えばBHT)、緩衝剤(例えばリン酸又はクエン酸緩衝液)、及び発泡剤、例えばクエン酸塩/炭酸水素塩混合物のような標準成分も含有しうる。そのような賦形剤は周知であるので、本明細書で詳細に解説する必要はない。
【0085】
錠剤は、薬物を、胃液に接触するとすぐに放出するか(即時放出錠)又は長時間にわたってもしくはGI管の特定領域で制御された様式で放出する(制御放出錠)ように設計することができる。
【0086】
医薬組成物は、典型的にはおよそ1%(w/w)~およそ95%、好ましくは%(w/w)の活性成分と、99%(w/w)~5%(w/w)の薬学的に許容可能な賦形剤(例えば上記定義のような)又はそのような賦形剤の組合せとを含む。好ましくは、該組成物は、およそ20%(w/w)~およそ90%(w/w)の活性成分と、80%(w/w)~10%(w/w)の薬学的に許容可能な賦形剤又は賦形剤の組合せとを含む。医薬組成物は、およそ1%~およそ95%、好ましくはおよそ20%~およそ90%の活性成分を含む。本発明による医薬組成物は、例えば、アンプル、バイアル、坐剤、充填済みシリンジ、糖衣錠、散剤、錠剤又はカプセル剤の形態などの単位剤形でありうる。
【0087】
錠剤及びカプセル剤は、例えば、0~20%の崩壊剤、0~5%の滑沢剤、0~5%の流動助剤及び/又は0~99%(w/w)の充填剤/又は増量剤(投薬量に応じて)を含有しうる。それらは、0~10%(w/w)のポリマーバインダ、0~5%(w/w)の抗酸化剤、0~5%(w/w)の色素も含有しうる。徐放性錠剤はさらに、典型的には0~99%(w/w)の放出制御(例えば遅延)ポリマー(投薬量に応じて)を含有することになろう。錠剤又はカプセル剤のフィルムコートは、典型的には、0~10%(w/w)のポリマー、0~3%(w/w)の色素、及び/又は0~2%(w/w)の可塑剤を含有する。
【0088】
非経口製剤は、典型的には、0~20%(w/w)の緩衝液、0~50%(w/w)の共溶媒、及び/又は0~99%(w/w)の注射用水(WFI)を含有する(用量に応じて、及び凍結乾燥されている場合)。筋肉内デポ製剤は0~99%(w/w)のオイルも含有しうる。
【0089】
医薬製剤は、単一パッケージ、通常ブリスターパックに治療の全コースを含有する“患者パック(patient packs)”にして患者に提供されてもよい。
【0090】
式(1)の化合物は、一般的に単一剤形中に提供され、従って典型的には所望の生物活性レベルを提供するのに足る化合物を含有する。例えば、製剤は、1ナノグラム~2グラムの活性成分、例えば1ナノグラム~2ミリグラムの活性成分を含有しうる。これらの範囲内で化合物の特定の部分範囲は、0.1ミリグラム~2グラムの活性成分(より通常的には10ミリグラム~1グラム、例えば50ミリグラム~500ミリグラム)、又は1マイクログラム~20ミリグラム(例えば1マイクログラム~10ミリグラム、例えば0.1ミリグラム~2ミリグラムの活性成分)である。
【0091】
経口組成物の場合、単位剤形は1ミリグラム~2グラム、さらに典型的には10ミリグラム~1グラム、例えば50ミリグラム~1グラム、例えば100ミリグラム~1グラムの活性化合物を含有しうる。
【0092】
活性化合物は、それを必要とする患者(例えばヒト又は動物患者)に、所望の治療効果を達成するのに足る量(有効量)で投与される。投与される化合物の正確な量は、標準的な手順に従って監督医師が決定できる。
【実施例】
【0093】
次に、本発明を表1に示された下記実施例を参照しながら非制限的に説明する。NMRとLCMS特性は表3に示す。使用された中間体は表2に掲載する。
【0094】
表1 - 実施例
【0095】
【0096】
【0097】
【表1-3】
実施例1、2及び13は、キラル分離後、単一エナンチオマーとして得た(異性体1及び異性体2)。各個別エナンチオマーのデータを表3及び表4に提供する。しかしながら、単離種の絶対立体化学は当てがわなかった。他のすべての実施例化合物はエナンチオマーの混合物として得られ、キラル分離には付さななかった。実施例の構造が絶対立体化学を示さずに描かれている場合、両エナンチオマーとも開示の範囲内に含まれる。
【0098】
従って、実施例1-異性体1及び2の一方は、
【0099】
【0100】
【0101】
実施例2-異性体1及び2の一方は、
【0102】
【0103】
【0104】
実施例13-異性体1及び2の一方は、
【0105】
【0106】
【0107】
本発明の化合物の製造
式(1)の化合物は当業者に公知の合成法に従って製造できる。本発明も上記式(1)に定義の化合物の製造法を提供する。中間体が市販品の場合、それらは表3のケミカル・アブストラクツ・サービス(CAS)登録番号によって識別される。市販品でない場合、標準的変換を用いる中間体の合成を本明細書において詳述する。市販試薬はそれ以上の精製をせずに利用した。
【0108】
一般的手順
室温(rt)はおよそ20~27℃を指す。1H NMRスペクトルは、特に明記されない限り、典型的には400MHz、周囲温度で記録した。化学シフト値は百万分率(ppm)、すなわち(δ)値で表される。NMRシグナルの多重度については標準的な略語又はそれらの組合せが使用される。例えば、s=一重線、br=幅広線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、quin=五重線(クインテット)又はp=五重線(ペンテット)、h=七重線、dd=二重線の二重線、dt=三重線の二重線、m=多重線。結合定数はHzで測定されたJ値として記載する。NMR及び質量分析の結果は、バックグラウンドピークを考慮して補正された。クロマトグラフィーは、シリカ又はC18シリカを用いて実施され、陽圧(フラッシュクロマトグラフィー)条件下で実行されたカラムクロマトグラフィーを指す。
【0109】
LCMS法
LCMS実験は、エレクトロスプレー条件を用い、下記条件下で実施された(溶媒:A1=H2O中2mM酢酸アンモニウム及び0.1%ギ酸;A2=H2O中5mM酢酸アンモニウム;A3=2.5LのH2O+2.5mLのH2O中28%アンモニア溶液;A5=H2O中10mMのNH4HCO3;A6=0.2%のH2O中28%アンモニア溶液;A7=H2O中0.1%TFA;A8=H2O中5mMのNH4HCO3;A9=H2O中10mMの酢酸アンモニウム;B1=MeCN中0.1%ギ酸;B2=MeCN;B3=2.5LのMeCN+135mLのH2O+2.5mLのH2O中28%アンモニア溶液)。LCMSデータは、質量イオン、エレクトロスプレーモード(ポジティブ又はネガティブ)、リテンションタイム(実験テキスト及び表2);質量イオン、エレクトロスプレーモード(ポジティブ又はネガティブ)、リテンションタイム、およその純度(表3)のフォーマットで示される。
【0110】
方法1.機器:Hewlett Packard 1100、G1315A DAD付き、Micromass ZQ;カラム:Phenomenex Gemini-NX C18、3ミクロン、2.0×30mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A3中B3(%)]:0.00/2、0.10/2、8.40/95、10.00/95;注入量1μL;UV検出230~400nM;カラム温度45℃;流速1.5mL/分。
【0111】
方法2.機器:Agilent Technologies 1260 LC、Chemstationソフトウェア付き、ダイオードアレイ検出器、Agilent 6120 四重極 MS、APCI及びES源付き;カラム:Phenomenex Gemini-NX C18、3ミクロン、2×30mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A3中B3(%)]:0.00/2、0.10/2、8.40/95、10.0/95、10.1/2、12.0/2;注入量0.5μL;UV検出190-400nm;カラム温度40℃;流速1.5mL/分。
【0112】
方法3.機器:Waters Acquity UPLC、Waters 3100 PDA検出器、SQD;カラム:Acquity HSS-T3、1.8ミクロン、2.1×100mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A7中B2(%)]:0.0/10、1.00/10、2.00/15、4.50/55、6.00/90、8.00/90、9.00/10、10.00/10;注入量1μL;検出波長214nm;カラム温度30℃;流速0.3mL/分。
【0113】
方法4.機器:Agilent Technologies 1260 LC、Chemstationソフトウェア付き、ダイオードアレイ検出器、Agilent 6120 四重極 MS、APCI及びES源付き;カラム:Phenomenex Gemini-NX C18、3ミクロン、2×30mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A3中B3(%)]:0.00/5、2.00/95、2.50/95、2.60/5、3.00/5;注入量0.5μL;UV検出190-400nm;カラム温度40℃;流速1.5mL/分。
【0114】
方法5.機器:Waters Acquity UPLC、Waters 3100 PDA検出器、SQD;カラム:Acquity BEH C-18、1.7ミクロン、2.1×100mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A2中B2(%)]:0.00/2、2.00/2、7.00/50、8.50/80、9.50/2、10.0/2;注入量1μL;検出波長214nm;カラム温度30℃;流速0.3mL/分。
【0115】
方法6.機器:Agilent Technologies 1290 Infinity II シリーズ LC、6125 四重極 MSD SL;カラム:Zorbax XDB C18、5ミクロン;グラジエント[時間(分)/溶媒A4中B2(%)]:0.00/5、2.50/95、4.00/95、4.50/5、6.00/5;注入量1μL;UV検出210-400nm;カラム温度25℃;流速1.5mL/分。
【0116】
方法7.機器:Agilent Technologies 1290 Infinity II シリーズ LC、6125 四重極 MSD SL;カラム:Waters XBridgeC8 3.5ミクロン、4.6×50mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A1中B1(%)]:0.0/5、2.5/95、4.0/95、4.5/5、6.0/5;注入量1μL;UV検出210~400nM;カラム温度25℃;1.5mL/分。
【0117】
方法8.機器:Agilent Technologies 1290 Infinity II シリーズ LC、6125 四重極 MSD SL;カラム:Zorbax extend C18、5ミクロン、4.6×50mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A9中B2(%)]:0.0/10、4.0/95、5.0/95、5.5/5、6.0/5;注入量1μL;UV検出210-400nm;カラム温度25℃;流速1.2mL/分。
【0118】
方法9.機器:Waters Acquity UPLC、Waters 3100 PDA検出器、SQD;カラム:Acquity BEH C-18、1.7ミクロン、2.1×100mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A2中B2(%)]:0.00/5、0.25/5、1.50/35、2.50/95、3.20/95、3.60/5、4.00/5;注入量1μL;検出波長214nm;カラム温度35℃;流速3.20分まで0.6mL/分、その後0.8mL/分。
【0119】
方法10.機器:Waters Acquity H Class、Waters PDA検出器。SQD;カラム:Acquity BEH C-18、1.7ミクロン、2.1×50mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A1中B1(%)]:0.00/5、0.60/70、0.8/90、1.1/100、1.70/100、1.71/5、2.00/5;注入量1μL;検出波長200-400nm;カラム温度RT;流速0.60分まで0.55mL/分、その後0.80分まで0.60mL/分、その後1.71分まで0.65mL/分、その後0.55mL/分。
【0120】
GCMS法
GCMSデータは、質量イオン、エレクトロスプレーモード(ポジティブ又はネガティブ)、リテンションタイムのフォーマットで示される。
【0121】
方法1.機器:Agilent GCMS 7890B;カラム:HP-5ms UI (30m×250μm×0.25μm);入口温度:250℃;スプリット比:75:1;オーブン温度:50℃、保持時間3分;ランプ1:300℃まで40℃/分、保持時間2分;検出器温度:310℃;カラムフロー:2mL/分;エアフロー:300mL/分;H2フロー:40mL/分;メイクアップフロー(He):25mL/分;ソース温度:230℃。
【0122】
方法2.機器:Agilent GCMS 7890B;カラム:HP-5ms UI (30m×250μm×0.25μm);入口温度:250℃;スプリット比:75:1;オーブン温度:120℃、保持時間1分;ランプ1:300℃まで40℃/分、保持時間4分;検出器温度:310℃;カラムフロー:2mL/分;エアフロー:300mL/分;H2フロー:40mL/分;メイクアップフロー(He):25mL/分;ソース温度:230℃。
【0123】
MS法
方法1.データは、緩衝液を用いてUPLCカラムに4~6分間通した後、Waters QDA又はWaters SQD機器のいずれかで取得した。
【0124】
分取HPLC法
溶媒条件についてはLCMS法のセクション参照。
【0125】
方法1.機器:Waters 2767 自動精製;カラム:X-Bridge Shield C18 10ミクロン 19×250mm;グラジエント20分、溶媒A2中B2(%)は各実験ベースで変動(詳細については例示された手順参照)。
【0126】
方法2.機器:Gilson セミ分取HPLCシステム - 321ポンプ/171ダイオードアレイ検出器/GX-271液体ハンドラー;カラム:Phenomenex Gemini-NX C18 5ミクロン 30×100mm;グラジエント12.5分、溶媒A6中B2(%)は各実験ベースで変動(詳細については例示された手順参照)。
【0127】
方法3.機器:Waters 2767 自動精製;カラム:Xtimateヘキシルフェニル 10ミクロン 19×250mm;グラジエント18分、溶媒A7中B2(%)は各実験ベースで変動(詳細については例示された手順参照)。
【0128】
方法4.機器:Agilent Technologies 1260 Infinity II シリーズ LC/6125 四重極 MSD;カラム:Waters XBridge C8 5ミクロン 19×150mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A5中B2(%)]:0.0/10、15/95、18/95、19/10、21/10。
【0129】
キラルSFC法
方法1.機器:Sepiatec Prep SFC 100、Prep SFC 100制御ソフトウェア及びUV/Vis検出器付き;カラム:Lux C1 5ミクロン、21.2×250mm;共溶媒EtOH;カラム温度40℃;50mL/分。
【0130】
方法2.機器:Sepiatec Prep SFC 100、Prep SFC 100制御ソフトウェア及びUV/Vis検出器付き;カラム:Lux A1 5ミクロン、21.2×250mm;共溶媒IPA中0.2%NH3;カラム温度40℃;50mL/分。
【0131】
方法3.機器:Waters Acquity UPC2、Masslynxソフトウェア、PDA検出器及びQDa質量検出器付き;カラム:Lux A1 3ミクロン、2×50mm;共溶媒EtOH;カラム温度45℃;1.5mL/分。
【0132】
方法4.機器:Waters Acquity UPC2、Masslynxソフトウェア、PDA検出器及びQDa質量検出器付き;カラム:Lux A1 3ミクロン、2×50mm;共溶媒IPA;カラム温度45℃;1.5mL/分。
【0133】
方法5.機器:Sepiatec Prep SFC 100、Prep SFC 100制御ソフトウェア及びUV/Vis検出器付き;カラム:Lux C1 5ミクロン、21.2×250mm;共溶媒MeOH中0.2%NH3;カラム温度40℃;50mL/分。
【0134】
方法6.機器:Waters Acquity UPC2、Masslynxソフトウェア、PDA検出器及びQDa質量検出器付き;カラム:Lux C1 3ミクロン、2×50mm;共溶媒MeOH中0.1%NH3;カラム温度45℃;1.5mL/分。
【0135】
略語
aq=水性
Boc=tert-ブトキシカルボニル
DAST=(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリド
DavePhos=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル
dba=ジベンジリデンアセトン
DCM =ジクロロメタン
Dess-Martin=1,1,1-トリス(アセチルオキシ)-1,1-ジヒドロ-1,2-ベンゾヨードキソール-3-(1H)-オン
DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMSO=ジメチルスルホキシド
dppf=1,1’-フェロセンジイル-ビス(ジフェニルホスフィン)
ES=エレクトロスプレー
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エタノール
h=時間
HATU=1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシドヘキサフルオロホスフェート
IPA=i-プロピルアルコール
L=リットル
LC=液体クロマトグラフィー
LCMS=液体クロマトグラフィー質量分析
LiAlH4=水素化リチウムアルミニウム
MeCN=アセトニトリル
MeOH=メタノール
min =分
MS= 質量分析
NMP=1-メチル-2-ピロリジノン
NMR =核磁気共鳴
Pet-ether=石油エーテル
pin=ピナコラト
RT=室温
SPhos=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル
TEA=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
Ts=パラ-トルエンスルホニル
接頭辞のn-、s-、i-、t-及びtert-は、それらの通常の意味、すなわちノルマル、セカンダリー、イソ及びターシャリーの意味を持つ。
【0136】
中間体の合成
中間体1:1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン
【0137】
【化24】
工程1.(2-クロロピリジン-4-イル)ボロン酸(24.5g、156mmol)を、1-(ブロモメチル)-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン(40.0g、156mmol)の1,4-ジオキサン(450mL)/水(150mL)中溶液に加え、反応混合物をN
2で10分間パージした。炭酸カリウム(64.5g、467mmol)及びPdCl
2(dppf).DCM(6.35g、7.70mmol)を加え、得られた反応混合物を90℃で4時間加熱した。反応混合物をCeliteに通してろ過した後、それをEtOAc(400mL)で濯いだ。ろ液を水(400mL)で洗浄し、有機層を分離した。水性層をEtOAc(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中0-10%EtOAcで溶出して精製し、2-クロロ-4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジンを無色油として得た(34.5g、77%)。
LCMS (方法10): m/z 290.3, 292.3 (ES+), 1.39分時。
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 8.34 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.63-7.53 (m, 4H), 7.37 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.13 (s, 2H)。
【0138】
工程2.2-クロロ-4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン(25.0g、86.3mmol)を、3-アミノシクロヘキサ-2-エン-1-オン(11.5g、104mmol)のTHF(250mL)中撹拌溶液に加えた。反応混合物をN2で10分間パージし、Pd2(dba)3(3.95g、4.30mmol)、DavePhos(3.39g、8.63mmol)及びCs2CO3(70.3g、216mmol)を順に反応混合物に加えた。反応混合物を80℃で8時間加熱した後、Celiteに通してろ過した。ろ液をEtOAc(500mL)と水(400mL)との間で分配させた。有機層を分離し、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中0-100%EtOAcで溶出して精製し、3-((4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロヘキサ-2-エン-1-オンを褐色固体として得た(13.5g、43%)。
LCMS (方法10): m/z 365.3 (ES+), 1.26分時。
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ: 8.27 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.36-7.22 (m, 2H), 7.09 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 10.2 Hz, 2H), 6.79 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 6.39 (s, 1H), 4.04 (s, 2H), 2.60 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.45 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.11 (dd, J = 13.0, 6.6 Hz, 2H)。
【0139】
工程3.3-((4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)アミノ)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(10.0g、27.5mmol)を、ナトリウムtert-ブトキシド(3.96g、41.2mmol)のMeCN(350mL)中懸濁液にRTで加えた。トシルアジド(5.42g、36.6mmol)のMeCN(50mL)中溶液を滴加した。反応混合物をRTで12時間撹拌し、水(600mL)を加えた。水性層をEtOAc(3×600mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中0-50%EtOAcで溶出して精製し、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オンをオフホワイト色固体として得た(5.6g、52%)。データは表2。
【0140】
中間体2:2-フルオロ-4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン
【0141】
【化25】
1-(ブロモメチル)-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン(0.14mL、0.88mmol)を、2-フルオロピリジン-4-ボロン酸(150mg、1.06mmol)、炭酸カリウム(146mg、1.06mmol)及びPdCl
2(dppf).DCM(129mg、0.18mmol)の1,4-ジオキサン(4mL)/水(0.4mL)中懸濁液に加え、得られた反応混合物を80℃で2時間加熱した。反応混合物を水(6mL)とEtOAc(6mL)との間で分配させ、有機層を除去した。水性層をEtOAc(2×6mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(フェーズセパレーター)、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりi-ヘキサン中0-50%EtOAcで溶出して精製し、2-フルオロ-4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジンを黄色液体として得た(167mg、74%)。データは表2。
【0142】
中間体3:1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン
【0143】
【化26】
工程1.ヨウ素(0.260g、1mmol)を、シクロヘキサノン(2g、20mmol)と1,2-ジフェニルジスルファン(1.7g、80mmol)のDMSO(12mL)中撹拌混合物に加え、反応混合物を80℃で12時間加熱した。反応を水(100mL)の添加によりクエンチングし、水性層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na
2SO
4)、溶媒を真空下で除去して、2-(フェニルチオ)シクロヘキサ-2-エン-1-オンを黄色液体として得た(4.5g、粗製物)。この粗生成物はそれ以上の精製をせずに次の工程で使用した。
MS (方法1): m/z 205 (ES+)。
【0144】
工程2.過ヨウ素酸ナトリウム(9.39g、40mmol)を、2-(フェニルチオ)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(4.5g、22mmol)のMeOH(1.2mL)とH2O(12mL)中撹拌溶液に加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応を水(100mL)の添加によりクエンチングし、水性層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中30-35%EtOAcで溶出して精製し、2-(フェニルスルフィニル)シクロヘキサ-2-エン-1-オンをオレンジ色ゴムとして得た(2.1g、43%)。
MS (方法1): m/z 221 (ES+)。
【0145】
工程3.アジ化ナトリウム(324mg、4mmol)を、2-(フェニルスルフィニル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(1g、4mmol)のH2O(17mL)中撹拌溶液に加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を1N HCl(19mL)を使用してpH2に酸性化し、水(100mL)を加えた。水性層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去して、1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オンをオフホワイト色固体として得た(220mg、35%)。データは表2。
【0146】
中間体4:tert-ブチル (1-(4-ブロモピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)カルバメート
【0147】
【化27】
工程1.KOtBu(47.7g、426.0mmol)を、4-ブロモ-2-フルオロピリジン(25g、142mmol)と3-アミノシクロヘキサ-2-エン-1-オン(23.6g、213mmol)のNMP(300mL)中撹拌溶液に加え、得られた反応混合物を140℃で12時間加熱した。反応混合物を水(4×500mL)とEtOAc(2×200mL)との間で分配させた。合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、溶媒を真空下で除去して、3-((4-ブロモピリジン-2-イル)アミノ)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(5.1g、13%)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (方法6): m/z 267.0 (ES+), 1.38分時。
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 9.33 (s, 1H), 8.19 (d, J= 5.6 Hz, 1H), 7.25-7.20 (m, 2H), 6.86 (s, 1H), 2.70-2.50 (m, 2H), 2.34-2.19 (m, 2H), 2.00-1.58 (m, 2H)。
【0148】
工程2.TsN3(1.7mL、11.23mmol)及びNaOtBu(2.15mg、22.4mmol)を、3-((4-ブロモピリジン-2-イル)アミノ)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(2g、7.49mmol)のMeCN(40mL)中撹拌溶液に加え、得られた反応混合物をRTで1時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)とEtOAc(200mL)との間で分配させた。有機層を分離し、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーにより石油エーテル中0-25%EtOAcで溶出して精製し、1-(4-ブロモピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(1.1g、50%)を黄色固体として得た。
LCMS (方法6): m/z 293.0 (ES+), 1.74分時。
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.58-8.56 (m, 1H), 8.35 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.92-7.90 (m, 1H), 3.37-3.33 (m, 2H), 2.68-2.58 (m, 2H), 2.19-2.12 (m, 2H)。
【0149】
工程3.NH4OAc(2.62g、34.1mmol)とモレキュラーシーブ(2.62g)を、1-(4-ブロモピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(1g、3.41mmol)のMeOH(50mL)中撹拌溶液に加え、次いでNaBH3CN(0.641g、10.2mmol)を加え、得られた反応混合物を70℃で16時間加熱した。反応混合物をCeliteに通してろ過し、それをEtOAc(50mL)で濯いだ。ろ液を水(50mL)とEtOAc(50mL)との間で分配させた。有機層を分離し、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去して、1-(4-ブロモピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(1.01g、粗製物)を褐色ゴムとして得た。この粗材料はそれ以上の精製をせずに次の工程で使用した。
LCMS (方法6): m/z 294.0 (ES+), 1.03分時。
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.51-8.49 (m, 1H), 8.26-8.23 (m, 1H), 7.82-7.80 (m, 1H), 4.05 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 3.10-2.95 (m, 2H), 2.20-1.89 (m, 6H)。
【0150】
工程4.TEA(1.42mL、10.23mmol)を、1-(4-ブロモピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(1g、3.41mmol)のDCM(30mL)中撹拌溶液に加え、次いで(Boc)2O(1.48mL、6.82mmol)を加え、得られた反応混合物をRTで16時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)とDCM(50mL)との間で分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーにより石油エーテル中0-30%EtOAcで溶出して精製し、tert-ブチル (1-(4-ブロモピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)カルバメート(750mg、56%)を白色固体として得た。データは表2。
【0151】
中間体5:1-(クロロメチル)-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンゼン
【0152】
【化28】
工程1.LiAlH
4(THF中1.0M、7.0mL、7.0mmol)を、ジメチル 5-フルオロイソフタレート(3g、14.1mmol)のTHF(10mL)中撹拌溶液に0℃で加え、得られた反応混合物をRTで3時間撹拌した。反応混合物を1.5N HCl(50mL)でpH約7にまで中和し、反応混合物を水(100mL)とEtOAc(50mL)との間で分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(Na
2SO
4)、溶媒を真空下で除去して、メチル 3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート(1.12g、43%)を無色液体として得た。
GCMS (方法1): m/z 184.0 (ES+), 7.34分時。
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 7.79 (s, 1H), 7.55 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 5.49 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 4.58 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 3.87 (d, J = 2.4 Hz, 3H)。
【0153】
工程2.Dess-Martinペルヨージナン(2.3g、5.54mmol)を、メチル 3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート(510mg、2.77mmol)のDCM(10mL)中撹拌溶液に加え、得られた反応混合物をRTで2時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を真空下で濃縮した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中0-30%EtOAcで溶出して精製し、メチル 3-フルオロ-5-ホルミルベンゾエート(410mg、81%)を白色固体として得た。
GCMS (方法1): m/z 182.0 (ES+), 6.76分時。
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ: 10.08 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.33 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 8.05-8.04 (m, 2H), 3.92 (s, 3H)。
【0154】
工程3.DAST(0.44mL、3.37mmol)を、メチル 3-フルオロ-5-ホルミルベンゾエート(410mg、2.25mmol)の撹拌溶液に0℃で加え、得られた反応混合物をRTで2時間撹拌した。反応混合物を10%NaHCO3水溶液(20mL)でpH約7にまで中和し、反応混合物を水(100mL)とDCM(50mL)との間で分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中0-30%EtOAcで溶出して精製し、メチル 3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンゾエート(400mg、87%)を無色液体として得た。
GCMS (方法2): m/z 204.0 (ES+), 2.36分時。
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.99 (s, 1H), 7.89 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.80 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.35-6.98 (m, 1H), 3.91 (s, 3H)。
【0155】
工程4.LiAlH4(THF中2.0M、0.45mL、0.90mmol)を、メチル 3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンゾエート(390mg、1.81mmol)のTHF(10mL)中撹拌溶液に0℃で加え、得られた反応混合物をRTで1時間撹拌した。反応混合物を1.5N HCl(50mL)でpH約7にまで中和した後、水(100mL)とEtOAc(50mL)との間で分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去して、(3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロフェニル)メタノール(230mg、72%)を無色液体として得た。
GCMS (方法2): m/z 176.0 (ES+), 6.36分時。
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ: 7.39 (s, 1H), 7.32-7.29 (m, 3H), 5.46 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 4.57 (t, J = 6.4 Hz, 2H)。
【0156】
工程5.塩化チオニル(3mL、43.2mmol)を、(3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロフェニル)メタノール(170mg、0.96mmol)のクロロホルム(10mL)中撹拌溶液にRTで加え、得られた反応混合物を65℃で12時間加熱した。反応混合物を10%NaHCO3水溶液(20mL)でpH約7になるまで中和した後、水(50mL)とEtOAc(50mL)との間で分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(Na2SO4)溶媒を真空下で除去して、1-(クロロメチル)-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンゼン(170mg、粗製物)を無色液体として得た。この粗材料はそれ以上の精製をせずに次の工程で使用した。データは表2。
【0157】
中間体6:1-(クロロメチル)-3-フルオロ-5-(フルオロメチル)ベンゼン
【0158】
【化29】
標記化合物(220mg、19%)を、ジメチル 5-フルオロイソフタレート(2.68g、12.6mmol)から、中間体5の工程1、3、4及び5の方法を用い、4工程で製造した。工程4の完了後、DCM(50mL)と10%NaHCO
3水溶液(25mL)との間で分配させることにより標記化合物を無色油として単離した。有機層を分離し、乾燥させ(Na
2SO
4)、溶媒を真空下で除去した。データは表2。
【0159】
実施例の合成
実施例の製造のための典型的な手順は、以下の実施例の製造の手順1~9によって例示されているとおりである。
【0160】
手順1:
実施例1、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン
【0161】
【化30】
酢酸アンモニウム(1.18g、15.4mmol)を、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(中間体1、400mg、1.02mmol)のMeOH(10mL)中撹拌溶液に加え、反応混合物をRTで16時間撹拌した。次に、NaBH
3CN(193mg、3.07mmol)を加え、反応混合物を70℃で16時間加熱した。溶媒を真空下で除去し、残渣をNaHCO
3水溶液(30mL)でクエンチングした。水性層をEtOAc(3×30mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na
2SO
4)、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりDCM中3-6%MeOHで溶出して精製し、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(200mg、47%)を褐色半固体として得た。少量(30mg)を分取HPLCによりさらに精製し(方法2 - 40~70%グラジエント)、標記化合物(11mg)を得た。データは表3。
【0162】
手順2:
実施例2、N-(1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)アセトアミド
【0163】
【化31】
ピリジン(0.15mL、1.9mmol)及びAc
2O(0.1mL)を、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(実施例1、75mg、0.19mmol)のDCM(3mL)中撹拌溶液に加え、反応混合物を0℃で3時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をEt
2Oとヘキサンで粉砕して精製し、N-(1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)アセトアミド(21mg、25%)を白色固体として得た。データは表3。
【0164】
手順3:
実施例3、N-(1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)プロピオンアミド
【0165】
【化32】
1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(実施例1、50mg、0.13mmol)、HATU(58mg、0.15mmol)、プロピオン酸(0.01mL、0.14mmol)及びDIPEA(0.03mL、0.15mmol)をDCM(5mL)に加え、反応混合物をRTで3時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(30mL)と飽和NaHCO
3水溶液(30mL)との間で分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO
4)、溶媒を真空下で除去した。残渣をEt
2Oで粉砕し、N-(1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)プロピオンアミド(32mg、56%)を得た。データは表3。
【0166】
手順4:
実施例6、N-(1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)アセトアミド
【0167】
【化33】
工程1.3-アミノシクロヘキサ-2-エン-1-オン(632mg、5.68mmol)を、2-ブロモ-4-フルオロピリジン(1.00g、5.68mmol)の1,4-ジオキサン(3.00mL)中撹拌溶液に加えた。反応混合物をアルゴンで10分間脱気し、PdCl
2(dppf)(371mg、0.455mmol)、K
3PO
4(3.62g、17mmol)及びSPhos(117mg、0.284mmol)を反応混合物に加えた。反応混合物を120℃で16時間加熱した後、水(20mL)でクエンチングし、水性層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりDCM中0-5%MeOHで溶出して精製し、3-((4-フルオロピリジン-2-イル)アミノ)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(400mg、32%)を白色固体として得た。
LCMS (方法9): m/z 207.1 (ES+), 1.18分時。
【0168】
工程2.3-((4-フルオロピリジン-2-イル)アミノ)シクロヘキサ-2-エン-1-オン(300mg、1.45mmol)のMeCN(8mL)中溶液を、ナトリウムtert-ブトキシド(212mg、2.18mmol)のMeCN(9mL)中懸濁液に滴加した。RTで30分間撹拌後、トシルアジド(373mg、1.89mmol)のMeCN(3mL)中溶液を滴加した。反応混合物をRTで1時間撹拌し、水(20mL)を加えた。水性層をEtOAc(2×30mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中30-40%EtOAcで溶出して精製し、1-(4-フルオロピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(200mg、57%)を褐色固体として得た。LCMS (方法9): m/z 233.2 (ES+), 1.38分時。
【0169】
工程3.K2CO3(143mg、1.03mmol)を、3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノール(155mg、0.86mmol)のMeCN(4mL)中撹拌溶液に加え、反応混合物をRTで10分間撹拌した。次に1-(4-フルオロピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(200mg、0.86mmol)を加え、反応混合物を100℃で24時間加熱した。反応混合物を水(20mL)に注ぎ、水性層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去して、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(230mg、粗製物)を黄色固体として得た。この粗材料はそれ以上の精製をせずに次の工程で使用した。
LCMS (方法9): m/z 393.0 (ES+), 2.36分時。
【0170】
工程4.酢酸アンモニウム(147mg、1.9mmol)を、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(75mg、0.19mmol)のMeOH(3mL)中撹拌溶液に加え、反応混合物をRTで16時間撹拌した。次に、NaBH3CN(36mg、0.57mmol)を0℃で加え、反応混合物を65℃で16時間加熱した。溶媒を真空下で除去し、残渣をNaHCO3水溶液(20mL)でクエンチングした。水性層をDCM中10%MeOH(2×30mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去して、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(実施例22)(73mg、粗製物)を褐色ゴムとして得た。この粗材料はそれ以上の精製をせずに次の工程で使用した。
LCMS:記録せず
工程5.ピリジン(0.07mL、0.91mmol)及びAc2O(0.05mL、0.54mmol)を、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(72mg、0.18mmol)のDCM(4mL)中撹拌溶液に0℃で加えた。反応混合物をRTで16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中70-80%EtOAcで溶出して精製し、N-(1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)アセトアミド(15mg、19%)を白色固体として得た。データは表3。
【0171】
手順5:
実施例7、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-N-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン
【0172】
【化34】
Ti(OiPr)
4(155mg、0.53mmol)を、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(中間体1、70mg、0.18mmol)とメチルアミンヒドロクロリド(33mg、1.08mmol)のDCM(2.9mL)中撹拌溶液に加え、反応混合物を0℃で4時間撹拌した。Na(OAc)
3BH(113mg、0.53mmol)を0℃で加え、反応混合物をRTで16時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液(7.2mL)でクエンチングした。水性層をDCM(2×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na
2SO
4)、溶媒を真空下で除去した。残渣を分取HPLC(方法1 - 10~75%グラジエント)により精製し、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-N-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(47mg、65%)を白色半固体として得た。データは表3。
【0173】
手順6:
実施例9、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-N-(オキセタン-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン
【0174】
【化35】
10%パラジウム担持炭素(13mg)及び酢酸(0.02mL)を、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(中間体1、100mg、0.26mmol)と3-オキセタンアミン(112mg、1.54mmol)のEtOH(0.78mL)中撹拌溶液に加えた。反応混合物をH
2下RTで16時間撹拌した。反応混合物をCeliteのパッドに通してろ過し、それをEtOHで2回洗浄した。溶媒を真空下で除去した。残渣を分取HPLC(方法1 - 10~85%グラジエント)により精製して、1-(4-(3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-N-(オキセタン-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(19mg、17%)を無色半固体として得た。データは表3。
【0175】
手順7:
実施例11、N-(1-(4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)アセトアミド
【0176】
【化36】
工程1.2-フルオロ-4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン(中間体2、465mg、1.82mmol)を、1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(中間体3、250mg、1.82mmol)に加え、反応混合物を135℃で16時間加熱した。反応混合物を5%MeOH/DCM(10mL)中に溶解し、溶媒を真空下で除去して、1-(4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(100mg、粗製物)を得た。この粗材料はそれ以上の精製をせずに次の工程で使用した。
MS (方法1): m/z 373 (ES+)。
【0177】
工程2.ZnCl2(493mg、3.62mmol)を、1-(4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-オン(450mg、1.20mmol)と酢酸アンモニウム(924mg、12mmol)のMeOH(12mL)中撹拌溶液に加え、反応混合物をRTで7時間撹拌した。NaBH3CN(224mg、3.62mmol)を加え、反応混合物を80℃で16時間加熱した。反応混合物をNaHCO3水溶液(30mL)でクエンチングし、水性層をEtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去して、1-(4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(実施例23)(400mg、粗製物)を褐色ゲルとして得た。この粗材料はそれ以上の精製をせずに次の工程で使用した。
MS (方法1): m/z 374 (ES+)。
【0178】
工程3.ピリジン(0.8mL、10.7mmol)及びAc2O(1.01mL、10.7mmol)を、1-(4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(400mg、1.07mmol)のDCM(6mL)中撹拌溶液に加え、反応混合物をRTで1時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を分取HPLC(方法3 - 40~50%グラジエント)により精製して、N-(1-(4-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)アセトアミド(30mg、6%)を白色固体として得た。データは表3。
【0179】
手順8:
実施例12、N-(1-(4-(3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)アセトアミド
【0180】
【化37】
工程1.KOAc(264mg、2.69mmol)及び[B(pin)]
2(354mg、1.4mmol)を、tert-ブチル (1-(4-ブロモピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)カルバメート(425mg、1.07mmol)の1,4-ジオキサン(20mL)中撹拌溶液にRTで加え、次いでPdCl
2(dppf).DCM(44mg、0.053mmol)を加えた。得られた反応混合物を90℃で12時間加熱した。反応混合物をCeliteに通してろ過し、これを1,4-ジオキサン(40mL)で洗浄した。ろ液を真空下で濃縮し、(2-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)ピリジン-4-イル)ボロン酸(900mg、粗製物)を褐色ゴムとして得た。この粗材料はそれ以上の精製をせずに次の工程で使用した。
LCMS (方法6): m/z 360.1 (ES+), 1.70分時。
【0181】
工程2.K2CO3(161mg、1.167mmol)を、(2-(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)ピリジン-4-イル)ボロン酸(140mg、粗製物)と1-(ブロモメチル)-3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロベンゼン(99mg、0.389mmol)の1,4-ジオキサン(5mL)中脱気溶液に加え、次いでPd(dppf)Cl2・DCM(31mg、0.0389mmol)を加え、得られた反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応混合物をCeliteに通してろ過し、これを1,4-ジオキサン(10mL)で洗浄した。ろ液を真空下で濃縮した。残渣をグラジエントフラッシュカラムクロマトグラフィーにより石油エーテル中0-40%EtOAcで溶出して精製し、tert-ブチル (1-(4-(3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)カルバメート(80mg、42%)を褐色ゴムとして得た。
LCMS (方法6): m/z 490.1 (ES+), 2.69分時。
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.49 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.48-7.45 (m, 1H), 7.29-7.00 (m, 5H), 4.82-4.76 (m, 1H), 4.02 (s, 2H), 3.06-2.90 (m, 2H), 1.99-1.75 (m, 4H), 1.43 (s, 9H)。
【0182】
工程3.tert-ブチル (1-(4-(3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)カルバメート(80mg、0.163mmol)のDCM中20%TFA(10mL)中懸濁液をRTで2時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をEtOAc(10mL)と10%NaHCO3水溶液(10mL)との間で分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去して、1-(4-(3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(実施例24)(55mg、87%)を無色ゴムとして得た。
LCMS (方法7): m/z 390.0 (ES+), 2.23分時
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.48-7.44 (m, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.21-7.00 (m, 3H), 4.16 (s, 2 H), 4.15-4.11 (m, 1H), 3.05-2.97 (m, 2H), 1.99-1.91 (m, 2H), 1.74-1.58 (m, 2H)。2つの交換可能なプロトンは観察されず。
【0183】
工程4.TEA(14mg、0.141mmol)を、1-(4-(3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン(55mg、0.141mmol)のDCM(5mL)中撹拌溶液に0℃で加え、次いで塩化アセチル(11mg、0.141mmol)を加えた。得られた反応混合物をRTで30分間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を分取HPLC(方法4)により精製した。溶媒を真空下で除去し、残渣を水(10mL)とDCM(10mL)との間で分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去して、N-(1-(4-(3-(ジフルオロメトキシ)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)アセトアミド(14mg、23%)をオフホワイト色固体として得た。データは表3。
【0184】
手順9:
実施例13、N-(1-(4-(3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)アセトアミド
【0185】
【化38】
工程1及び2.tert-ブチル (1-(4-(3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)カルバメート(120mg、47%)を、tert-ブチル (1-(4-ブロモピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)カルバメート(中間体4、425mg、1.07mmol)及び1-(クロロメチル)-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンゼン(中間体5、200mg、1.03mmol)から、手順8の工程1及び2の方法を用いて製造した。
LCMS (方法6): m/z 474.1 (ES+), 2.60分時。
1H NMR: (400 MHz, CDCl
3) δ: 8.43 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.17-7.13 (m, 3H), 7.06-7.02 (m, 1H), 6.63 (t, J = 56.0 Hz, 1H), 5.03-4.93 (m, 1H), 4.13 (s, 2H), 2.00-1.85 (m, 2H), 1.65-1.40 (m, 4H), 1.13 (s, 9H)。1つの交換可能なプロトンは観察されず。
【0186】
工程3.1,4-ジオキサン中4NのHCl(5mL)を、tert-ブチル (1-(4-(3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)カルバメート(120mg、0.253mmol)の1,4-ジオキサン(5mL)中懸濁液に加え、得られた反応混合物をRTで2時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮して、1-(4-(3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン塩化水素(実施例15)(80mg、77%)を無色ゴムとして得た。
LCMS (方法8): m/z 374.1 (ES+), 1.35分時。
1H NMR: (300 MHz, DMSO-d6) δ: 8.55-8.45 (m, 3H), 8.03 (s, 1H), 7.51-7.45 (m, 4H), 7.34-7.31 (m, 1H), 7.03 (t, J = 55.2 Hz, 1H), 4.65-4.55 (m, 1H), 4.25 (s, 2H), 3.70-3.50 (m, 2H), 2.20-2.00 (m, 4H)。
【0187】
工程4.N-(1-(4-(3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-イル)アセトアミド(16mg、20%)を、1-(4-(3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロベンジル)ピリジン-2-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-4-アミン塩化水素(80mg、0.20mmol)から、手順8の工程4の方法を用いて製造した。データは表3。
【0188】
上記手順によって製造された更なる実施例についての詳細は表3に示す。
【0189】
表2 - 中間体
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【表3-5】
生物活性
GPR52アゴニスト機能的cAMPアッセイ
HEKf懸濁細胞に、0.1%v/vのヒトGPR52発現BacMamウイルス(哺乳動物遺伝子発現用に設計された改変バキュロウイルス)を24時間感染させた。BacMam感染後、細胞を遠心分離(335g、5分)によりペレット化し、細胞凍結培地(Sigma)中に再懸濁し、必要になるまで-150℃で凍結した。実験当日、DMSO中に調製されたGPR52化合物希釈液をLabCyte ECHO音響ディスペンサーによりプロキシプレート(PerkinElmer)にスタンピングした。凍結細胞を解凍し、0.5mMの3-イソ-ブチル-1-メチルキサンチン(IBMX、Sigma)を含有するアッセイ刺激緩衝液(Cisbio)中に再懸濁し、ウェルあたり2000細胞の密度を達成した。Multidrop Combi Reagent Dispenser(ThermoFisher)を用いて10μlの細胞をアッセイプレートに加えた後、遠心分離にかけた(335g、1分)。細胞を化合物と共に37℃で30分間インキュベートした後、製造業者の説明書に従って調製されたcAMP検出試薬(HiRange cAMPキット、Cisbio)を加えた。プレートを室温で1時間振盪した後、PHERAstar FSプレートリーダー(BMG Labtech)で標準的なHTRF設定を用いて読み取った。HTRF比は、アクセプター発光(665nm)をドナー発光(620nm)で割って10,000をかけることによって求めた。データをDMSO(0%)及び最大3-(2-(3-クロロ-5-フルオロベンジル)ベンゾ[b]チオフェン-7-イル)-N-(2-メトキシエチル)ベンズアミド(化合物7m、J.Med.Chem.,2014,57,5226収載)応答(100%)に対して正規化し、4パラメータロジスティックフィットに当てはめて、アゴニストのpEC
50及び最大応答を生成した。これらを以下の表4に示す。
【0197】
表4 - GPR52 pEC
50
データ
【0198】
【表4】
薬物動態プロファイル
実施例2の薬物動態プロファイルを雄のSprague-Dawleyラットで静脈内(IV)及び経口(per os、PO)送達経路により評価した。本発明の実施例2の薬物動態データ(平均値±標準偏差)の詳細は表5に示す。
【0199】
方法:薬物動態分析のために、体重200~230gの範囲の3匹の雄Sprague-Dawleyラットの群に、表5に明記されている用量、用量体積及びビヒクルを用いて、実施例2をIV又はPO経路により単回投与した。投与後、血液サンプルを、連続的な尾静脈採血により、数回の時点で採取し(IV投与の場合、投与前、2分、5分、15分、30分、1時間、3時間、6時間、12時間及び24時間、PO投与の場合、投与前、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間及び24時間)、遠心分離して血漿を分離し、LC-MS/MSにより分析した。WinNonlin v8.2統計ソフトウェア(Pharsight Corporation、米国カリフォルニア州)を用い、ノンコンパートメント解析を用いて薬物動態パラメータを生成した。
【0200】
脳移行性
IV投与後の実施例2の脳移行性を評価するために、血漿と脳暴露について評価した。ラットの血漿及び脳ホモジネートにおける結合を実験的に決定した後、脳血漿間非結合型濃度比(unbound brain-to-plasma ratio)(Kp,uu)を計算した。詳細を表5に示す。
【0201】
方法:脳移行性を評価するために、雄のSprague-Dawleyラット(n=3)に、IV経路で1mg/kg用量(10%DMAC+10%Solutol HS15+80%生理食塩水中に調剤)を1回投与した。投与10分後、動物を屠殺し、脳を摘出して2体積(w/v)の50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)でホモジナイズし、LC-MS/MSによって分析した。血液サンプルを尾静脈採血により同じ時点で取り出し、LC-MS/MSにより血漿を分析した。
【0202】
脳血漿間非結合型濃度比(Kp,uu)の計算を可能にするために、ラットの血漿及び脳ホモジネートにおける試験化合物の結合を迅速平衡透析法(Rapid Equilibrium Dialysis)(RED)を用いて実施した。DMSO中に調製された試験化合物(最終1μM、0.2%DMSO)を、(i)希釈されていない雄Sprague-Dawleyラット血漿及び(ii)2体積(w/v)のリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)でホモジナイズされたラット脳組織に加え、リン酸緩衝液に対して37℃で5時間透析した。インキュベーション後、各血漿/脳及び緩衝液コンパートメントの中身を取り出し、等量の対照透析緩衝液又は血漿/脳と混合して、分析のためにマトリックス類似性を維持した。次に、分析用内部標準(試験化合物対内部標準の比率の導出を可能にする)を含有するアセトニトリルを添加してタンパク質を沈殿させ、遠心分離して上清を取り出し、LC-MS/MSにより分析した。血漿及び脳の非結合型分率(Fu)を下記式を用いて計算した後、それを使用して全血漿及び脳濃度を補正し、Kp,uuを導き出した。
結合型分率=(全血漿又は脳比率)-(全緩衝液比率)/全血漿又は脳比率
非結合型分率(Fu,脳又は血漿)=1-結合型分率
脳結合アッセイにおける希釈の補正:
非希釈Fu,脳=(1/希釈倍率)/((1/Fu希釈))-1)+(1/希釈倍率)
ここで、希釈倍率=4
表5 - 実施例2の薬物動態データ
【0203】
【表5】
ラットにおけるカフェイン誘導性自発運動活性の減退
非選択的アデノシン受容体アンタゴニストであるカフェインは、主にA
2A受容体の遮断によって齧歯類の自発運動活性(locomotor activity)を増大させる精神刺激薬である(Br.J.Pharmacol.,2000,129,1465)。これらの受容体は、大脳基底核の間接経路のGABA作動性線条体淡蒼球ニューロンの終末に密に発現しており、そこにはドーパミンD2受容体も共発現している(J.Comp.Neurol.,1998,401,163;J.Comp.Neurol.,2001,431,331)。A
2A受容体の強直活性化(Tonic activation)は、D2受容体のドーパミンに対する親和性を低下させるので、A
2A受容体のアンタゴニズムはドーパミン作動性シグナリングを促進する(Curr.Pharm.Des.,2008,14,1468)。いくつかの抗精神病薬は、カフェインによって誘導される自発運動亢進(hyperlocomotion)を遮断することが示されている(Pharmacol.Biochem.Behav.,1994,47,89;Naunyn-Schmiedeberg’s Arch.Pharmacol.,2016,389,11)。
【0204】
雄のSprague-Dawleyラット(200~250g)をグループに分け、12時間の明/暗サイクル(07:00に点灯)、21±2℃の周囲温度、標準的なペレット飼料及び自由摂取水で飼育した。試験は(明暗サイクルの)明期で実施した。実験当日、動物を自発運動ケージに60分間慣らした。その後、動物にビヒクル又は実施例2の異性体1(0.1、0.3、1及び3mg/kg)を経口経路により投与し、適切な自発運動ケージに戻した。実施例2の異性体1は、10%DMAC、10%solutol(Kolliphor HS15)及び80%水(v/v/v)のビヒクル中に調剤された。60分後、動物にビヒクル(生理食塩水)又はカフェイン(15mg/kg)を皮下経路により投与した。自発運動活性はカフェイン処置後2時間の間評価した。データは、逆変換平均(back-transformed means)であり、試験化合物又はビヒクルによる処置前30分間間の(運動)活性における処置群間の差を調整した(n=10~12)。解析は、一般線形モデルにより、処置、コホート及びラックを因子として用いて実施した。SEMは統計モデルの残差から計算した。実施例2の異性体1をウィリアムズ検定によりカフェインと比較した。
【0205】
図1に示されているように、実施例2の異性体1による処置は、カフェイン誘導性の自発運動亢進応答に用量依存性の低下を引き起こし、3及び10mg/kgで全時点にわたって統計学的有意に達している。
【国際調査報告】