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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】アルコール飲料を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/06 20060101AFI20230906BHJP
   C12G 3/055 20190101ALI20230906BHJP
【FI】
C12G3/06
C12G3/055
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514058
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 GB2021052085
(87)【国際公開番号】W WO2022043656
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】2013347.6
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523069393
【氏名又は名称】オーテット・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ORTET LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】バハティ,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4B115
【Fターム(参考)】
4B115LG02
4B115LH01
4B115LH12
4B115LP01
4B115LP02
(57)【要約】
アルコール飲料を製造する方法であって、前記方法が、順番に実行される以下のステップ:(a)21重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤を、細胞物質と少なくとも1:4の質量比で接触させることにより、エタノール濃度が20重量%以上である抽出混合物を形成させるステップ;(b)-114℃から5℃の温度で、前記抽出混合物中に存在する前記細胞物質のサイズを減少させるステップ;(c)適宜、-114℃から0℃の温度で15分間から5年間の時間、前記抽出混合物を維持するステップ;および(d)前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによってアルコール飲料を得るステップ;または前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、適宜、前記抽出混合物をさらに処理し、それによってアルコール飲料を得るステップを含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール飲料を製造する方法であって、前記方法が、順番に実行される以下のステップ:
(a)21重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤を、細胞物質と少なくとも1:4の質量比で接触させることにより、エタノール濃度が20重量%以上である抽出混合物を形成させるステップ;
(b)-114℃から5℃の温度で、前記抽出混合物中に存在する前記細胞物質のサイズを減少させるステップ;
(c)適宜、-114℃から0℃の温度で15分間から5年間の時間、前記抽出混合物を維持するステップ;および
(d)前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによってアルコール飲料を得るステップ;または前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、適宜、前記抽出混合物をさらに処理し、それによってアルコール飲料を得るステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記細胞物質が、一つ以上の植物、またはその成分もしくは抽出物を含み、好ましくは、前記一つ以上の植物またはその成分もしくは抽出物が、一つ以上の食用果実、野菜、ハーブ、スパイス、またはそれらの成分もしくは抽出物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体抽出剤が、40重量%から100重量%でエタノールを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体抽出剤が、60重量%から100重量%でエタノールを含み、好ましくは80重量%から100重量%でエタノールを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(i)前記液体抽出剤が、26重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、25重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において1:3から9999:1の質量比で接触する;好ましくは
(ii)前記液体抽出剤が、31重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、30重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において3:7から9999:1の質量比で接触する;より好ましくは
(iii)前記液体抽出剤が、36重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、35重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において7:13から9999:1の質量比で接触する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
(i)前記液体抽出剤が、41重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、40重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において2:3から9999:1の質量比で接触する;好ましくは
(ii)前記液体抽出剤が、51重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、50重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において1:1から9999:1の質量比で接触する;より好ましくは
(iii)前記液体抽出剤が、61重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、60重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において3:2から9999:1の質量比で接触する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
(i)前記液体抽出剤が、60重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、20重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において1:4から9999:1の質量比で接触する;好ましくは
(ii)前記液体抽出剤が、60重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、25重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において1:3から9999:1の質量比で接触する;より好ましくは
(iii)前記液体抽出剤が、60重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、30重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において3:7から9999:1の質量比で接触する;最も好ましくは
(iv)前記液体抽出剤が、60重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、35重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において7:13から9999:1の質量比で接触する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
(i)前記液体抽出剤が、60重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、40重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において2:3から9999:1の質量比で接触する;好ましくは
(ii)前記液体抽出剤が、70重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、40重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において2:3から9999:1の質量比で接触する;より好ましくは
(iii)前記液体抽出剤が、80重量%から100重量%でエタノールを含み;前記ステップ(a)で形成される抽出混合物が、40重量%以上でエタノールを含み;前記液体抽出剤および細胞物質が、ステップ(a)において2:3から9999:1の質量比で接触する、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記液体抽出剤が、水をさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(c)における維持が、1時間から168時間、好ましくは12時間から72時間、より好ましくは18時間から30時間の時間実行される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(c)における維持が、-114℃から-5℃、好ましくは-80℃から-10℃、より好ましくは-60℃から-15℃、最も好ましくは-35℃から-15℃の温度で実行される、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(b)が、最小の寸法が5mm以下、好ましくは2mm以下の粒子を含むように、一つ以上の生物、またはその成分もしくは抽出物のサイズを減少させるステップを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(b)が、溶解細胞を含むように、前記細胞物質を溶解するステップを含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞物質中に存在する細胞の少なくとも25%が溶解する、好ましくは存在する細胞の少なくとも50%が溶解する、より好ましくは存在する細胞の少なくとも75%が溶解する、最も好ましくは存在する細胞の少なくとも90%が溶解する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(b)が、-114℃から0℃、好ましくは-35℃から0℃、より好ましくは-35℃から-5℃、最も好ましくは-35℃から-10℃の温度で前記細胞物質のサイズを減少させるステップを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(b)が、前記細胞物質を混合するステップを含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記液体抽出剤が、ステップ(a)で前記細胞物質と接触するときに、-114℃から0℃、好ましくは-35℃から-5℃、より好ましくは-35℃から-10℃の温度である;好ましくは前記液体抽出剤および前記細胞物質が、ステップ(a)における接触時に、-114℃から0℃、好ましくは-35℃から-5℃、より好ましくは-35℃から-10℃の温度である、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記細胞物質が、ステップ(a)における前記液体抽出剤との接触時にすでに凍結されているか、またはステップ(a)の間に凍結される、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(a)に先立って、前記細胞物質のサイズが減らされ、適宜、細胞物質が、溶解細胞を含むように溶解され、適宜、前記細胞物質中に存在する細胞の少なくとも25%が溶解され、好ましくは存在する細胞の少なくとも50%、より好ましくは存在する細胞の少なくとも75%、最も好ましくは存在する細胞の少なくとも90%が溶解される、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離するステップ(d)が、前記抽出混合物を濾過するステップを含み、適宜、前記濾過するステップが、濾過の間、前記抽出混合物中に存在する前記細胞物質の固体部分を押すステップを含む、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記抽出混合物が、-114℃から5℃、好ましくは-50℃から0℃、より好ましくは-35℃から-5℃、最も好ましくは-35℃から-10℃の温度で濾過される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抽出混合物をさらに処理するステップが、前記抽出混合物を希釈するステップを含み、好ましくは前記抽出混合物をさらに処理するステップが、前記抽出混合物を氷で希釈するステップを含み、より好ましくは前記抽出混合物をさらに処理するステップが、前記抽出混合物を氷と混合するステップを含み、希釈後のエタノール濃度が、20重量%以上、好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40重量%以上である、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
希釈の間、前記抽出混合物が、-114℃から5℃、好ましくは-50℃から0℃、より好ましくは-35℃から-5℃、最も好ましくは-35℃から-10℃の温度である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記抽出混合物をさらに処理するステップが、前記抽出混合物を蒸留して前記アルコール飲料を得るステップを含み、好ましくは前記蒸留が、真空下で実行される、請求項1から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、二酸化炭素を前記抽出混合物に添加するステップをさらに含み、適宜、前記二酸化炭素が、前記抽出混合物に1:999から999:1の質量比(二酸化炭素の質量:前記抽出混合物の質量)で添加される、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
請求項20から25のいずれか1項に従属する場合、前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離するステップ(d)が、前記抽出混合物の濾過後に前記抽出混合物を混合するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アルコール飲料が、製造後に-114℃から5℃、好ましくは-50℃から0℃、より好ましくは-35℃から-5℃、最も好ましくは-35℃から-10℃の温度で保存される、好ましくは前記アルコール飲料が、酸素非存在下で保存される、請求項1から26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記アルコール飲料が、前記アルコール飲料が消費される少なくとも24時間、好ましくは12時間、より好ましくは4時間、最も好ましくは1時間前まで、5℃未満、好ましくは0℃未満の温度で維持される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(a)に先立って、前記細胞物質が、液体画分および固体パルプ画分にパルプ化または圧縮され、前記固体パルプ画分が、ステップ(a)において前記細胞物質として使用される、請求項1から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
ステップ(c)が、存在するならば、-35℃から-5℃の温度で前記抽出混合物を維持するステップを含み;ステップ(b)が、-35℃から0℃の温度で前記細胞物質のサイズを減少させるステップを含み;前記液体抽出剤および前記細胞物質が、ステップ(a)における接触時に-35℃から0℃の温度であり;前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離するステップ(d)が、-35℃から0℃の温度で前記抽出混合物を濾過するステップを含み;前記方法が、前記抽出混合物を希釈するステップまたは製造後に前記アルコール飲料を保存するステップをさらに含む場合、前記希釈および保存の両方が、-35℃から0℃で実行され;好ましくはステップ(c)が、存在するならば、-35℃から-15℃の温度で前記抽出混合物を維持するステップを含み;ステップ(b)が、-35℃から-5℃の温度で前記細胞物質のサイズを減少させるステップを含み;前記液体抽出剤および前記細胞物質が、ステップ(a)における接触時に-35℃から-5℃の温度であり;前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離するステップ(d)が、-35℃から-5℃の温度で前記抽出混合物を濾過するステップを含み;前記方法が、前記抽出混合物を希釈するステップまたは製造後に前記アルコール飲料を保存するステップをさらに含む場合、前記希釈および保存の両方が、-35℃から-5℃で実行される、請求項1から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、前記細胞物質、または前記固体パルプ画分の含水量を決定するステップをさらに含む、請求項1から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞物質または前記固体パルプ画分の含水量を決定する前記ステップが、前記細胞物質または前記固体パルプ画分をレンジ加熱し、それによってレンジ加熱済み物質を得るステップ、および前記レンジ加熱済み物質および前記細胞物質または前記固体パルプ画分との重量差を決定するステップを含み、ここで前記重量差が、前記細胞物質または前記固体パルプ画分の含水量を示す、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞物質または前記固体パルプ画分が、レンジ加熱する前に凍結されており、適宜、前記細胞物質または前記固体パルプ画分が、レンジ加熱開始時に-210℃から0℃の温度を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、前記細胞物質または前記固体パルプ画分の前記決定された含水量および前記液体抽出剤のエタノール濃度から、前記抽出混合物またはアルコール飲料のエタノール濃度を決定するステップをさらに含む、請求項31から33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記抽出混合物をさらに処理するステップが、前記抽出混合物を希釈するステップを含み、好ましくは前記抽出混合物をさらに処理するステップが、前記抽出混合物を氷で希釈するステップを含み、より好ましくは前記抽出混合物をさらに処理するステップが、前記抽出混合物を氷と混合するステップを含み、ここで前記方法が、前記アルコール飲料の望ましいエタノール濃度を得るために必要な希釈を決定するステップを含み、前記決定するステップが、前記液体抽出剤のエタノール濃度および前記細胞物質または前記固体パルプ画分の前記決定された含水量に基づく、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、前記抽出混合物またはアルコール飲料の望ましいアルコール濃度を達成するために、ステップ(a)で用いるための前記細胞物質または前記固体パルプ画分対ステップ(a)で用いるための前記液体抽出剤の重量比を決定するステップを含み、前記決定するステップが、前記液体抽出剤のエタノール濃度および前記細胞物質または前記固体パルプ画分の前記決定された含水量に基づく、請求項31から35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記アルコール飲料が、中性的な味わいのアルコール飲料を含む、請求項1から36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、消費のためのアルコール飲料を調製するステップをさらに含み、前記消費のためのアルコール飲料を調製するステップが、容器の中に前記アルコール飲料をビンづめし、密封するステップを含む、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
ヘッドスペース中の酸素濃度を最小限に抑えながら、前記アルコール飲料が、前記容器の中にビンづめされ、密封される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記消費のためのアルコール飲料を調製するステップが、0℃未満の温度で前記容器の封を切り、開封するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項1から40のいずれか1項に記載の方法によって得られる、または得ることができる、アルコール飲料。
【請求項42】
細胞物質からの風味供給化合物の抽出における、21重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤の使用であって、前記使用が、前記21重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤を、細胞物質と少なくとも1:4の質量比で接触させることにより、エタノール濃度が20重量%以上である抽出混合物を形成させるステップ;-114℃から5℃の温度で、前記抽出混合物中に存在する前記細胞物質のサイズを減少させるステップ;適宜、-114℃から0℃の温度で15分間から5年間の時間、前記抽出混合物を維持するステップ;および(i)前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによってアルコール飲料を得るステップ、または(ii)前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、適宜、前記抽出混合物をさらに処理し、それによってアルコール飲料を得るステップを含む、使用。
【請求項43】
前記液体抽出剤;抽出混合物;細胞物質;または使用が、請求項1から40のいずれか1項で定義される、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
望ましいアルコール濃度(w)のアルコール飲料を製造する方法であって、前記方法が、以下のステップ:
(i)細胞物質の含水量(x)を決定するステップ;
(ii)エタノールを含む、エタノール濃度(y)の液体抽出剤を供給するステップ;および
(iii)以下のいずれかのステップ:
(a)前記細胞物質および液体抽出剤を重量比(z)で接触させ、それによって前記望ましいアルコール濃度(w)のアルコール飲料を形成させるステップであって、前記重量比(z)が、前記決定された含水量(x)および前記エタノール濃度(y)に基づいて選択され、前記重量比(z)が、前記アルコール飲料の前記望ましいアルコール濃度(w)を得るために選択される、ステップ;
(b)前記細胞物質および液体抽出剤を重量比(z)で接触させ、それによって抽出混合物を形成させるステップであって、前記重量比(z)が、前記決定された含水量(x)および前記エタノール濃度(y)に基づいて選択され、前記重量比(z)が、前記アルコール飲料の前記望ましいアルコール濃度(w)を得るために選択される、ステップ;および前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによって前記望ましいアルコール濃度(w)のアルコール飲料を得るステップ;
(c)前記細胞物質および液体抽出剤を重量比(z)で接触させ、それによって抽出混合物を形成させるステップ;およびアルコール濃度(w)の前記アルコール飲料を得るために、一つ以上の追加物質を前記抽出混合物に重量比(v)で添加するステップ(ここで前記重量比(v)は、前記決定された含水量(x)、前記エタノール濃度(y)および前記重量比(z)に基づいて選択され、前記重量比(v)は、前記アルコール飲料の前記望ましいアルコール濃度(w)を得るために選択される);または
(d)前記細胞物質および液体抽出剤を重量比(z)で接触させ、それによって抽出混合物を形成させるステップ;前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離するステップ;およびアルコール濃度(w)の前記アルコール飲料を得るために、一つ以上の追加物質を前記抽出混合物に重量比(v)で添加するステップ(ここで前記重量比(v)は、前記決定された含水量(x)、前記エタノール濃度(y)および前記重量比(z)に基づいて選択され、前記重量比(v)は、前記アルコール飲料の前記望ましいアルコール濃度(w)を得るために選択される)
を含む、方法。
【請求項45】
以下のステップ:
(a)細胞物質の含水量を決定するステップ;
(b)以下のいずれかのステップ:
(i)前記細胞物質を、20重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤と接触させ、それによって抽出混合物を形成させるステップ;および前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによってアルコール飲料を得るステップ;または
(ii)前記細胞物質を、20重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤と接触させ、それによってアルコール飲料を形成させるステップ;および
(c)前記細胞物質の含水量および前記液体抽出剤の含水量に基づいて、前記アルコール飲料のアルコール濃度を決定するステップ
を含む、アルコール飲料を製造する方法。
【請求項46】
前記方法が、請求項1から40のいずれか1項でさらに定義される、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
20重量%から100重量%、より好ましくは30重量%から100重量%でアルコールを含むアルコール飲料を含む、容器であって、前記容器が、(i)前記容器内に含まれる前記アルコール飲料のアルコール重量含有量および/または(ii)中身のないときの前記容器の重量を明示するラベリングを含む、容器。
【請求項48】
(i)前記容器が、20mlから3000mlの総容量を有する;
(ii)前記アルコール飲料が、60重量%から100重量%、好ましくは96重量%から100重量%でアルコールを含む;
(iii)前記アルコール飲料が、中性的な味わいのアルコール飲料を含む;および/または
(iv)前記アルコール飲料が、請求項41に記載のものである、
請求項47に記載の容器。
【請求項49】
総容量が350mlから3000mlの密封された容器であって、前記容器が、60重量%から100重量%でアルコールを含むアルコール飲料を含み;前記容器が、大気圧および25℃において0.16xの水を前記容器に添加しても前記容器からあふれないような、重量xの前記アルコール飲料を含む、容器。
【請求項50】
前記容器が、大気圧および25℃において、0.31x;好ましくは0.53x;より好ましくは0.83xの水を前記容器に添加しても前記容器からあふれないような、重量xの前記アルコール飲料を含む、請求項49に記載の容器。
【請求項51】
前記アルコール飲料が、請求項41に記載のものである、請求項49または50に記載の容器。
【請求項52】
25重量%から100重量%でアルコールを含む中性的な味わいのアルコール飲料を含む、容器であって、前記容器が、王冠によって密封することができ、前記容器が、495nmから620nmの波長の光を反射する色ガラスを含む、容器。
【請求項53】
前記容器が、王冠で密封される、請求項52に記載の容器。
【請求項54】
前記容器が、栓(ストッパークロージャー)で密封される、請求項52に記載の容器。
【請求項55】
断熱物質を含むラベルをさらに含む、請求項52から54のいずれか1項に記載の容器。
【請求項56】
(i)前記アルコール飲料が、請求項41に記載のものであるか;または
(ii)前記アルコール飲料が、40重量%から100重量%、好ましくは60重量%から100重量%でアルコールを含む、
請求項52から55のいずれか1項に記載の容器。
【請求項57】
20重量%から100重量%でアルコールを含むアルコール飲料を含む、密封された容器であって、前記容器のヘッドスペースが、実質的に酸素を含まず、前記容器が、前記容器は0℃未満、好ましくは-10℃未満の温度で開封されるべきであるという指示のラベリングを含む、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール飲料を製造する方法の技術分野に関する。特に、本発明は、風味付けされたアルコール飲料の製造のための抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然資源に由来するフレーバーおよび香料物質は、数千年間にわたって記述されてきた。この業界内の世界市場は、2018年末に500億米ドルを超えていると推定された。一方で、アルコール飲料の世界市場自体は、1.5兆米ドルを超える価値があると推定される。
【0003】
風味付けされたスピリッツは、ますます人気の飲料である。風味付けされたスピリッツは、ミキサーなどの希釈成分を添加せずにストレートで飲まれてもよく、ミキサーと組み合わせて飲まれてもよい(例えば、風味付けされたジンとトニックの組み合わせ)。
【0004】
アルコール飲料業界において、風味付けされたスピリッツの生産は、しばしばマセレーションに長時間を要し、それはしばしば1年に及ぶことがある。マセレーションとは、長期間にわたって果実をアルコール中に放置する工程である。しばしば、アルコールはその後蒸留される。長期間のマセレーションは、需要の変化、保管コスト、保留されてないならば酒税コスト、および原料コストの増加に対応することを不可能にし、それらは全て、ビジネスに大きな制限をもたらし得る。品質を犠牲にすることなく、より短い時間で風味付けされたアルコール飲料を生産する方法は、長い間望ましいものだと考えられている。
【0005】
風味付けされたアルコール飲料は、合成芳香分子を用いて合成することができるが、合成芳香分子に関する懸念が高まっており、一つにはアレルギーの増加および消費者意識の高まりが原因である。それゆえ、アルコール飲料業界は、飲料に用いるための天然香味料の抽出にますます重点を置いている。
【0006】
バーおよびレストランで生鮮青果物を用いて風味付けされたアルコール飲料を生産することは困難であり、この問題を解決するために、高価な実験室グレードの機器(高速遠心分離機およびロータリーエバポレーターなど)を採用している。しかしながら、必要な専門的な機器を得るコストおよび関連する追加の準備時間は、既存の飲料技術の利用を多くの職業人にとって達成不可能にしている。バーテンダーが他の場所で生産されたアルコール飲料に強く依存する場合、創造性はひどく制限される。これによって、専門的な機器を備えたスペースを貸し出すビジネスさえいくつか展開されており、不便であっても解決したいという明らかな願望を示している。
【0007】
新鮮な原料がバーおよびレストランで用いられる場合、原料の急速な劣化はしばしば食物廃棄につながる。これは持続可能性にとって望ましくないだけでなく、ビジネスコストおよびより高価な原料を用いるリスクの増加につながる。さらに、注文時に生鮮青果物を処理する必要があるため、サービス時間が増加し、それゆえ一定期間における売り上げは減少し、スタッフの要求は高くなる。
【0008】
したがって、典型的なレストラン、バーまたはキッチン環境にいながら、原料を処理し、飲料用の適当な媒質中に香味料を簡単に抽出する方法は、未だに他では達成されていない要望である。さらに、最高品質の芳香物質を得る能力は、常に香水業界における要望であり、これを試し、達成するための様々な技術の開発につながっている。
【0009】
当技術分野では、風味付けされたアルコール飲料を形成するために、天然の原料からアルコール中に香味料および芳香を効率的に抽出しようと試みる様々な方法が開発されている。
【0010】
既存の方法には、室温で果実およびリキュールをペクチン酵素と混合することが挙げられる。混合することで、溶液の温度が36℃を超える。酵素は、果実中に存在する構造ポリマーのペクチンを分解するのを助ける。混合後、溶液を4000gの力で約10から15分間遠心分離にかけて、固体を液体から分離する。果実由来の香味料がリキュール中に溶解する。
【0011】
別の方法には、75% ABVのエタノール含有量であるアルコールを室温で、フルーツジュースなどの薄いジュースに添加し、続いてやさしく混合して、ジュース中に存在するペクチンを凝集し、その後に凝集体から分離することができる透明な液体を得ることが挙げられる。透明な液体は、ジュースから抽出されたいくつかのフレーバー分子を含むアルコールである。
【0012】
別の方法もまた既知であり、そこでは果物などの細胞物質および液体を容器中に密封した後、急速に圧力を変化させる。この方法では、液体および細胞物質を高圧一酸化二窒素下に置き、細胞内の一酸化二窒素濃度を上昇させる。次に急速な減圧により、一酸化二窒素が細胞を破裂させ、細胞内のフレーバー分子が液体中に放出される。
【0013】
細胞物質をアルコールと接触させ、混合物を真空で密封することで、香味料を細胞物質から抽出する方法もまた、既知である。その後、フレーバー分子が細胞物質からアルコール中に抽出される。しかしながら、かかる抽出は、5℃より高い温度で行われ、一般に65℃の高さまで加熱される。フレーバー分子がエタノールによって細胞物質から抽出される速度が上がり、それゆえ抽出に必要な時間が最小化されるため、より高い温度が一般的に推奨される。
【0014】
別の方法には、室温で、アルコール中でハーブを混合することが挙げられる。混合することでハーブの表面積が増加し、ハーブからアルコール中への、フレーバー分子の抽出の効率が上がる。次に混合溶液を濾して固体を取り除き、風味付けされたアルコール飲料を得る。
【0015】
別の方法には、液体窒素を用いてハーブを凍結させることが挙げられる。凍結させることで、乳鉢で簡単に粉砕して表面積を大きくできるようにハーブを脆くする。次に室温のアルコールを粉砕したハーブに添加して、粉砕したハーブからアルコール中に香味料を抽出する。次にアルコールに酸、液糖などを添加してもよく、そこに水または氷を添加した後、これを揺すり、次に濾して、粉砕したハーブを取り除き、アルコール飲料を得る。
【0016】
ブレンダー処理および液体窒素処理の両方において、当技術分野における共通認識は、適切な時間内(例えば注文を受けてから飲料を調製するのに理想的には数分以内)にフレーバー分子をハーブから効率的に抽出するために、抽出に用いられるアルコールはできるだけ室温に近いということである。温度が温かいほど抽出率は高くなるが、温かい飲料は味の観点から明らかに望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の方法において、飲料の風味および芳香の品質は、抽出中および抽出後の両方で劣化するという発明者の認識に部分的に基づいている。
【0018】
飲料は、風味の劣化を最小限に抑えるために、調製後合理的に素早く出され、消費されなければならない。発明者は、飲料中に存在している細胞物質に由来する酵素によってフレーバー分子が分解されることで、この現象が急速に加速されることを理解している。例えば、実行される混合または粉砕処理は、細胞物質中に存在するフレーバー提供分子を、フレーバー提供分子を触媒および分解する酵素と接触させる。細胞物質が無傷の場合、フレーバー提供分子およびそれを分解する酵素は、一般に細胞の異なるオルガネラ内で見つかり、そのため互いに接触しないということが、アルコール飲料業界に理解されていない。混合などの上記の方法は、一般に細胞溶解を引き起こす。つまり、細胞の構造およびそのオルガネラが破壊される。これは、フレーバー提供分子を、それを分解する様々な酵素と接触させる。酵素はそれゆえ、フレーバー提供分子との反応を素早く触媒し、存在する風味を劣化させる。したがって、消費者が体験する風味付けされたアルコール飲料の風味はしばしば、風味が抽出された細胞物質の本当の風味を完全に代表しない。
【0019】
年数と値段の関係に加えて、木樽の中にスピリッツを寝かせるという伝統は、スピリッツが年数とともに良いものとなるというドグマにつながっている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の問題を理解し、発明者は、前記問題を軽減する方法を発明した。具体的には、発明者は、低温がタンパク質の立体構造的な形を変化させる、タンパク質の低温変性という現象を理解している。酵素は、その基質の反応を効率的に触媒するその立体配座構造に強く依存するタンパク質である。酵素構造の小さな変化は、それが反応を触媒する能力が、破壊されるか、または妨害されることを意味し得る。したがって、発明者は、細胞物質中に存在する酵素の構造を変性および変化させるため、つまり、酵素がフレーバー提供分子の反応を触媒するのを妨げるか、または防止するために、低温を用いることができるということを理解している。したがって、酵素が、そのフレーバー提供または色素提供分子基質と接触する場合、フレーバー提供または色素提供分子は、触媒されないか、分解されないか、またはそれらが触媒または分解される範囲が著しく減少する。
【0021】
本発明の第1の態様によると、それゆえアルコール飲料を製造する方法であって、前記方法が、順番に実行される以下のステップ:
(a)21重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤を、細胞物質と少なくとも1:4の質量比で接触させることにより、エタノール濃度が20重量%以上である抽出混合物を形成させるステップ;
(b)-114℃から5℃の温度で、前記抽出混合物中に存在する前記細胞物質のサイズを減少させるステップ;
(c)適宜、-114℃から0℃の温度で15分間から5年間、前記抽出混合物を維持するステップ;および
(d)前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによってアルコール飲料を得るステップ;または前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、適宜、前記抽出混合物をさらに処理し、それによってアルコール飲料を得るステップ
を含む、方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
細胞物質は、任意の適当な生物またはその成分もしくは抽出物、例えば、食べることができ、フレーバー提供分子を含む任意の生物を含み得る。好適には、一つ以上の生物は、一つ以上の多細胞生物を含む。しかしながら、酵母などの単細胞生物もまた、使用されることがある。一つ以上の生物は一つ以上の植物を含むことがより好ましいが、キノコなどの菌類もまた、使用されることがある。好ましくは、一つ以上の生物は、一つ以上の植物を含む。最も好ましくは、一つ以上の生物は、一つ以上の食用果実、野菜、ハーブまたはスパイスを含む。使用され得る生物の例には、イチゴ、ラズベリーおよびブルーベリーなどのベリー類が挙げられる。果実(マンゴー、リンゴ、バナナ、ピーチ、ナシ、プラム、オレンジ、ネクタリン、ブドウ、サクランボ、レモンおよびライムなど)もまた、使用され得る。ハーブの例には、バジル、タイムおよびローズマリーが挙げられる。ナツメグおよびクローブなどのスパイスもまた、使用されることがある。したがって、好ましい実施形態において、細胞物質は、一つ以上の食用果実、野菜、ハーブまたはスパイス、またはそれらの成分もしくは抽出物を含む。
【0023】
本明細書で使用される細胞物質という用語は、まだ生きている細胞物質、例えば生きている植物を包含する。しかしながら、本明細書で使用される細胞物質という用語は、植物またはその他の生物成分もしくは抽出物などの死んでいる細胞物質もまた、包含する。例えば、細胞物質という用語は、生きている無傷の生物(無傷の植物または取れたての植物成分など)を包含する。しかしながら、細胞物質という用語は、回収前に生きるのをやめているかもしれない(オークの木の外皮など)、または回収後に生きるのをやめているかもしれない植物の成分、および乾燥などのさらなる処理または加工を受けている細胞物質(例えばスパイスの場合)もまた、包含する。
【0024】
好ましくは、細胞物質は、少なくとも50重量%で、死んでいるか、または生きている無傷細胞を含む。例えば、細胞物質は、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%で、死んでいるか、または生きている無傷細胞を含むことがある。より好ましくは、細胞物質は、少なくとも75重量%で、死んでいるか、または生きている無傷細胞を含む。最も好ましくは、細胞物質は、少なくとも90重量%で、死んでいるか、または生きている無傷細胞を含む。
【0025】
あるいは、下記のさらなる詳細に記載の通り、細胞物質は、例えば、細胞物質が絞られるか、またはパルプ化され、固体パルプ画分および液体画分に分離される実施形態において、接触ステップ(a)の前に部分溶解を受けることがある。かかる実施形態において、接触ステップ(a)で使用される細胞物質は、上記の量よりも低い重量パーセントで、死んでいるか、または生きている無傷細胞を含むことがある。
【0026】
いくつかの実施形態において(細胞物質が接触ステップ(a)の前に溶解を受ける実施形態などにおいて)、接触ステップ(a)で使用される細胞物質は、好ましくは、溶解の間、50℃を超えて加熱されておらず、(i)ステップ(a)における接触から4時間以内に溶解されているか、または(ii)溶解後に凍結されており、ステップ(a)における抽出剤との接触まで凍結されたままでいるのいずれかである細胞を含む。あるいはまたはさらに、いくつかの実施形態において、好ましくは、接触ステップ(a)で使用される細胞物質は、ステップ(a)における抽出剤との接触時に、少なくとも50重量%で固体物質を含む。例えば、これらの実施形態において、接触ステップ(a)で使用される細胞物質は、ステップ(a)における抽出剤との接触時に、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%で固体物質を含むことがある。いくつかの実施形態において、細胞物質は、ステップ(a)における抽出剤との接触時に、少なくとも75重量%で固体物質を、より好ましくは少なくとも90重量%で固体物質を含み、接触ステップ(a)で使用される細胞物質は、溶解の間、50℃を超えて加熱されておらず、(i)ステップ(a)における接触から4時間以内に溶解されているか、または(ii)溶解後に凍結されており、ステップ(a)における抽出剤との接触まで凍結されたままでいるのいずれかである細胞を含む。本段落で使用される固体物質という用語は、物質の巨視的レオロジー特性に関して用いられ、物質の乾燥重量に関して用いられない。例えば、いくつかの例において、細胞物質を固体および液体画分に絞ることで得られる固体パルプ画分は、高い水分量を含むことがあるが、水がポリマーと結合していることもあり、巨視的に固体であるように見える。本段落の目的において、前記固体パルプ画分は、固体物質と呼ばれる。
【0027】
本発明の方法において、発明者は、抽出工程で使用される低温は、低温変性および細胞物質由来の酵素の活性低下により、フレーバー提供分子が酵素に触媒されるのを効率的に防止または阻害するが、細胞物質から液体抽出剤へのフレーバー提供分子の抽出速度は、低温により減少することを発見した。温度が高いほど、抽出速度が高くなり、それゆえ効率的な抽出が起きるのに必要な時間を最小化する。低い反応速度および抽出速度の問題は、表面積が大きくなるように細胞物質のサイズを減少させることで軽減され得るということが分かっている。表面積の増加は、それゆえ効率的な抽出に必要な時間を減少させ、低温の使用に関連する問題を軽減する。
【0028】
したがって、上に記載される通り、方法は、細胞物質のサイズを減少させるステップ(b)を含む。このステップは、接触ステップ(a)と適宜、-114℃から0℃の温度で15分間から5年間の時間、抽出混合物を維持するステップ(c)の間に、サイズの減少を含む。ステップ(b)に加えて、方法は、ステップ(a)の前に細胞物質のサイズを減少させるステップをさらに含むことがある。
【0029】
ステップ(b)は、最小の寸法が5mm以下、好ましくは2mm以下の粒子を含むように、細胞物質のサイズを減少させるステップを含むことがある。
【0030】
好ましくは、ステップ(b)は、溶解細胞を含むように、細胞物質を溶解するステップを含むことがある。一般に、細胞物質中に存在する細胞の少なくとも25%が溶解され、好ましくは存在する細胞の少なくとも50%が、より好ましくは存在する細胞の少なくとも75%が、最も好ましくは存在する細胞の少なくとも90%が、溶解される。
【0031】
一般に、ステップ(b)は、-114℃から5℃、好ましくは-114℃から0℃、より好ましくは-35℃から0℃、さらにより好ましくは-35℃から-5℃、最も好ましくは-35℃から-10℃の温度で、細胞物質のサイズを減少させるステップを含む。
【0032】
一般に、ステップ(b)は、細胞物質を混合するステップを含む。好ましくは、混合は、例えばわずか1分未満、好ましくは30秒未満などの短い時間行われる。混合時間は短い方が、溶解または細胞物質のサイズの減少に効果的だが、ペクチンなどのポリマーが大きく損傷するほど長くないので、より好ましい。ペクチンなどのポリマーは、アルコール飲料製品の透明度を高めることが分かっている。
【0033】
一般に、液体抽出剤は、ステップ(a)における細胞物質との接触時に、-114℃から5℃、好ましくは-114℃から0℃、より好ましくは-35℃から-5℃、最も好ましくは-35℃から-10℃の温度である。好ましくは、液体抽出剤および細胞物質は、ステップ(a)における接触時に、-114℃から0℃、好ましくは-35℃から-5℃、より好ましくは-35℃から-10℃の温度である。
【0034】
上記の低い温度でステップ(a)および(b)を行う利点は、溶解細胞物質が、溶解によって接触しているフレーバー提供分子と酵素の相互作用を最小限に抑えるように、低温で維持されることである。
【0035】
一般に、細胞物質は、ステップ(a)における液体抽出剤との接触時にすでに凍結されているか、またはステップ(a)の間に凍結される。好ましくは、細胞物質は、ステップ(a)における液体抽出剤との接触時にすでに凍結されている。このステップは、様々な理由で非常に好ましいことが分かっている。ポリマー分子が細胞内に存在する場合、それは一般に、溶媒和/水和殻の形で水分子と結合している。抽出前の細胞物質の凍結は、ポリマーから水和殻の完全なまたは部分的な除去に役立ち、細胞内にその沈殿物を増加させることが分かっている。これは、フレーバー分子およびエタノール抽出溶媒と細胞ポリマーの結合を減少させ、それゆえ抽出の効率を高める。抽出前の細胞物質の凍結は、それゆえフレーバー濃度および製造工程の歩留まりを改善し、コストを削減することが分かっている。凍結は、細胞物質の構造をより脆くし、混合装置の回転軸に巻き付いて操作上の欠陥を作り出す細胞物質由来の繊維状物質を最小限に抑えもする。さらに、抽出前の細胞物質の凍結は、分離ステップ(d)をより効率的にすることが分かっている。例えば、抽出混合物を濾過する際に、細胞物質が事前に凍結されている場合、液体は、そうでない場合よりも効率的に抽出混合物から流れ出ることが分かっている。事前に凍結されていない場合、細胞物質は、より水和したポリマーネットワークを有し、液体はより流れ出しにくくなる。
【0036】
上に記載される通り、ステップ(b)に加えて、接触ステップ(a)の前に、細胞物質のサイズを減少させることがあり、適宜、細胞物質が、溶解細胞を含むように溶解され、適宜、細胞物質中に存在する細胞の少なくとも25%が溶解され、好ましくは存在する細胞の少なくとも50%、より好ましくは存在する細胞の少なくとも75%、最も好ましくは存在する細胞の少なくとも90%が溶解される。
【0037】
方法に使用される液体抽出剤は、21重量%から100重量%でエタノールを含む。好ましくは、液体抽出剤は、40重量%から100重量%でエタノールを、より好ましくは60重量%から100重量%でエタノールを、最も好ましくは80重量%から100重量%でエタノールを含む。より好ましい実施形態において、液体抽出剤は、水をさらに含む。液体抽出剤における高濃度のエタノールは、様々な理由で有利であることが分かっている。第一に、液体抽出剤におけるエタノールの濃度が高いということは、より多くの量の水を含む抽出剤と比較して、凝固点が低いことを意味する。凝固点を下げるということは、さらに低い温度で抽出を行うことができるということであり、上記の低温に関連する有益な効果がより効率的に実現され得ることを意味する。さらに、より高いアルコール含有量(例えば、効果的な凝固点降下に必要な含有量よりもさらに高い)を用いると、液体抽出剤の極性が減少することが分かっている。これは、低いアルコール含有量であれば溶解しているかもしれない抽出混合物からの望ましくない分子の沈殿を増加させることが分かっている。例えば、細胞物質の混合および溶解後に、抽出混合物の風味に寄与しない様々な生体分子などの多数の分子が、その中に存在することがある。より高いエタノール濃度は、前記分子の多くを凝集前に抽出混合物から沈殿させる。これは、前記分子が、分離ステップ(d)の間、単純濾過によって除去され得ることを意味し、前記分子がアルコール飲料中に存在するのが望ましくない場合、有利である。
【0038】
液体抽出剤および細胞物質は、少なくとも1:4の質量比で接触する。
【0039】
一般に、液体抽出剤および細胞物質は、1:4から9999:1の質量比で接触する。所定の抽出に使用する成分の特定の重量比は、抽出で用いられる特定の細胞物質に左右されるものである。例えば、ナツメグまたはクローブなどの乾燥スパイスの場合、液体抽出剤に対する細胞物質の重量比は、一般に非常に低くして用いられる。例えば果実の場合、重量比は、一般に高くして用いられる。
【0040】
形成される抽出混合物は、20重量%以上でエタノールを含む。一般に、抽出混合物は、20重量%から99.99重量%でエタノールを含む。好ましくは、抽出混合物は、20重量%から99重量%でエタノールを含む。より好ましくは、抽出混合物は、30重量%から99重量%でエタノールを含む。さらにより好ましくは、抽出混合物は、40重量%から99重量%でエタノールを含む。最も好ましくは、抽出混合物は、55重量%から99重量%でエタノールを含む。
【0041】
一般に、(i)液体抽出剤は、26重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、25重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、1:3から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。いくつかの実施形態において、(ii)液体抽出剤は、31重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、30重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、少なくとも3:7から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。いくつかの実施形態において、(iii)液体抽出剤は、36重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、35重量%以上でエタノールを含み、ここで液体抽出剤および細胞物質は、少なくとも7:13から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。
【0042】
好ましくは、(i)液体抽出剤は、41重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、40重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、2:3から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。いくつかのより好ましい実施形態において、(ii)液体抽出剤は、51重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、50重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、少なくとも1:1から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。いくつかのより好ましい実施形態において、(iii)液体抽出剤は、61重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、60重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、少なくとも3:2から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。
【0043】
いくつかの実施形態において、(i)液体抽出剤は、60重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、20重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、1:4から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。いくつかの実施形態において、(ii)液体抽出剤は、60重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、25重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、少なくとも1:3から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。いくつかの実施形態において、(iii)液体抽出剤は、60重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、30重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、少なくとも3:7から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。いくつかの実施形態において、(iv)液体抽出剤は、60重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、35重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、少なくとも7:13から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。
【0044】
より好ましくは、(i)液体抽出剤は、60重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、40重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、2:3から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。さらにより好ましくは、(ii)液体抽出剤は、70重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、40重量%以上でエタノールを含み、液体抽出剤および細胞物質は、少なくとも2:3から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。最も好ましくは、(iii)液体抽出剤は、80重量%から100重量%でエタノールを含み、ステップ(a)で形成される抽出混合物は、40重量%以上でエタノールを含み、ここで液体抽出剤および細胞物質は、少なくとも2:3から9999:1の質量比で、ステップ(a)において接触する。
【0045】
より好ましい実施形態において、方法は、-114℃から0℃の温度で15分間から5年間の時間、抽出混合物を維持するステップ(c)をさらに含む。
【0046】
好ましくは、ステップ(c)における維持は、1時間から168時間、好ましくは12時間から72時間、より好ましくは18時間から30時間の時間実行される。好ましくは、ステップ(c)における維持は、-114℃から-5℃、好ましくは-80℃から-10℃、より好ましくは-60℃から-15℃、最も好ましくは-35℃から-15℃の温度で実行される。
【0047】
好ましくは、抽出混合物は、抽出の時間ずっと、-114℃から0℃の温度で維持される。つまり、細胞物質が、抽出混合物中で液体抽出剤と接触する間、抽出混合物の温度は、どの時点であっても0℃を超えない。
【0048】
いくつかの実施形態において、抽出で使用される細胞物質のポリマー含有量が低い場合、ポリマー添加物が、抽出混合物に添加されることがある。これは、特定の物質の凝集を促進するために行われ、それによってアルコール飲料は透明になる。添加されることがある適当なポリマーの例には、ペクチンが挙げられる。
【0049】
一般に、細胞物質の一部または全部を抽出混合物から分離するステップ(d)は、抽出混合物を濾過するステップを含む。いくつかの実施形態において、濾過するステップは、濾過の間、抽出混合物中に存在する細胞物質の固体部分を押すステップを含む。これは、液体が濾過器を通過する速度を上げ、それによって熱伝達が起こり得る時間を減少させるために望ましいことがある。固体部分を押すステップもまた、凝集および収率を上げることが分かっている。好ましくは、抽出混合物は、-114℃から5℃、好ましくは-50℃から0℃、より好ましくは-35℃から-5℃、最も好ましくは-35℃から-10℃の温度で濾過される。これらの温度における濾過に関連する利点は、低温の使用に関連する上記の利点である。これらの低温における濾過のさらなる利点は、飲料の風味に寄与しない、抽出混合物中に存在する特定の分子を、濾過の前に固体として沈殿させることである。これらの分子は、濾過のために使用される低温、または保存ステップ(c)で使用される低温のいずれかにより、抽出混合物中で沈殿および懸濁することがある。これらの固体は、次に濾過によって除去され、アルコール飲料の透明度を高め得る。
【0050】
本発明の方法の任意の段階において、方法は、適宜、イオン化合物(塩化ナトリウムなどの塩など)を抽出混合物に、または液体抽出剤に、または細胞物質に添加するステップを含むこともある。かかるステップは、分離の際に抽出混合物から除去するのが望ましい、ポリマーなどの特定の固体の沈殿および凝集の増加をもたらす。一般に、イオン化合物は、方法のステップ(b)の前またはステップ(c)の後に添加される。抽出混合物が、さらなる処理の一部として蒸留される場合、イオン化合物は、アルコール飲料中に存在しないように、蒸留によって抽出混合物から効率的に分離され得る。
【0051】
一般に、抽出混合物をさらに処理するステップは、抽出混合物を希釈するステップを含み、ここで希釈後のエタノール濃度は、20重量%以上、好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40重量%以上である。好ましくは、抽出混合物をさらに処理するステップは、抽出混合物を氷で希釈するステップを含み、より好ましくは抽出混合物をさらに処理するステップは、抽出混合物を氷と混合するステップを含み、ここで希釈後のエタノール濃度は、20重量%以上、好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40重量%以上である。一般に、希釈の間、抽出混合物は、-114℃から5℃、好ましくは-50℃から0℃、より好ましくは-35℃から-5℃、最も好ましくは-35℃から-10℃の温度である。希釈は、例えば、アルコール飲料の望ましいアルコール濃度を達成するするのに望ましいことがある。氷による希釈は、水による希釈よりも特に好ましい。上記の理由のために、できる限り低い温度で飲料を維持し、0℃よりも上の温度に上げないことが望ましい。水によるエタノール希釈は、発熱過程であり、それゆえ抽出混合物の温度を上昇させる。反対に、氷による希釈は、氷融解の吸熱特性により、抽出混合物の温度をさらに低くする(希釈前の氷および抽出混合物の両方の温度よりも低い)。氷の融点は0℃であるが、氷は、融解時に、凝固点のより低い水/エタノール混合物が形成されるため、これより低い温度でも融解し得る。これと同じメカニズムが、細胞物質を前もって凍結させる場合、上記の細胞物質を混合するステップの間に起こり、混合により生じる摩擦による温度上昇を軽減するのを助け得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、製造方法は、蒸留ステップを含まない。蒸留を避けることが有利である。本発明の利点は、蒸留が必要でないことである。しかしながら、いくつかの実施形態において、蒸留は、それでも望ましい場合がある。したがって、いくつかの実施形態において、抽出混合物をさらに処理するステップは、抽出混合物を蒸留してアルコール飲料を得るステップを含み、好ましくはここで、蒸留は、真空下で実行される。より高い温度を避けるのが好ましいので、真空蒸留は好ましい。
【0053】
いくつかの実施形態において、方法は、二酸化炭素の抽出混合物への添加をさらに含み、適宜、ここで二酸化炭素は、1:999から999:1の質量比(二酸化炭素の質量:抽出混合物の質量)で、抽出混合物に添加される。二酸化炭素は、エタノール中、フレーバー提供分子の溶解度を変更する共溶媒として使用される。一般に、二酸化炭素は、エタノール中、フレーバー提供分子の溶解度を上昇させる。二酸化炭素は、水よりもエタノール中で溶けやすく、これは、エタノール中の二酸化炭素の濃度を同じ圧力でより高くすることができる(特にエタノール濃度が高いことを考慮して)ということを意味する。このこともまた、低温の使用によって助けられる。いくつかの実施形態において、細胞物質の一部または全部を抽出混合物から分離するステップ(d)は、抽出混合物の濾過後に抽出混合物を混合するステップを含む。混合するステップは、含まれるのであれば、希釈ステップの前、後、または最中に実行されることがある。混合するステップは、溶存二酸化炭素の抽出混合物からの放出を助ける。二酸化炭素を含むこともまた、そのごく一部が反応して炭酸を形成し、抽出混合物のpHを低下させ、それによって細胞物質の沈殿および凝集が促進され、濾過の改善につながるため、望ましいことがある。二酸化炭素は、抽出混合物の上にある気体酸素を置換するのに利用され、それゆえ液気界面における酸素濃度勾配が変化し、それによって抽出混合物中に溶解する可能性がある酸素濃度が平衡移動として変化する場合、酸化の減少もまた、助けることがある。
【0054】
いくつかの実施形態において、最終飲料中のフレーバー分子の濃度を上げるために、方法のステップ(c)および(d)を数回繰り返し、それによって、これまでに抽出されていない細胞物質で数回抽出を実行することが望ましい場合がある。したがって、いくつかの実施形態において、二酸化炭素は、上記の方法および上記の量で、ステップ(a)において抽出混合物に添加され、ステップ(c)および(d)は、これまでに抽出されていない細胞物質で、1回または数回以上繰り返される。これらの実施形態において、繰り返されるステップ(c)における抽出混合物は、上記の方法でさらに二酸化炭素が添加される場合がある。これは、抽出混合物における十分な二酸化炭素濃度を確保する。
【0055】
一般に、アルコール飲料は、製造後に-114℃から5℃、好ましくは-50℃から0℃、より好ましくは-35℃から-5℃、最も好ましくは-35℃から-10℃の温度で保存され、好ましくはここで、前記アルコール飲料は、酸素非存在下で保存される
【0056】
いくつかの実施形態において、ステップ(a)に先立って、細胞物質は、液体画分および固体パルプ画分にパルプ化または圧縮され、ここで固体パルプ画分は、ステップ(a)において細胞物質として使用される。このステップは、例えば、細胞物質の含水量が高い場合、非常に好ましいことがある。生物が固体画分および液体画分にパルプ化、圧縮または搾汁される場合、先行技術の抽出方法が実行されている。しかしながら、前記既知の方法において、アルコール飲料に風味を与えるために、液体画分が重視されている。これらの方法において、固体パルプ画分は、一般に、ほとんど価値のない廃棄物と見なされ、捨てられる。発明者は、前記固体画分が実は、アルコール飲料に抽出することが望ましい大量のフレーバー提供分子を含むことを理解している。これは、スイカなどの含水量の高い細胞物質に特に当てはまる。上記のステップは、飲料製品の水および糖の含有量を減少させる抽出の前に、細胞物質の水および糖の含有量を減少させるのに有用である。かかるステップは、脂肪含有量の高い細胞物質(ナッツおよびオリーブなど)の場合、飲料の脂肪含有量を低下させるのにも使用され得る。
【0057】
発明者は、含水量を正確に決定することが難しく、それゆえ細胞物質からのフレーバー分子のエタノール抽出によって生産されるアルコール飲料のアルコール濃度を正確に決定することが難しいという当技術分野における問題もまた、理解している。フレーバー分子を細胞物質からエタノールに抽出する方法では、一般に、細胞物質由来の水は、最終的に抽出混合物およびアルコール飲料の中に行き着く。多成分性のアルコール飲料または抽出混合物を考えると、飲料の含水量を決定するための単純な分析機器の使用は、不可能である。したがって、多くのアルコール飲料会社は、非常に高価で複雑な分析機器に投資するか、またはサンプルを社外の研究所に送るかのいずれかを行うものである。これらの問題を認識しているため、発明者は、アルコール飲料の含水量を決定する正確で単純な方法を発明した。細胞物質由来の水が、最終的に抽出混合物の中に行き着く場合、時間とともにエタノール抽出はおよその平衡含水量に達するということに基づいて、発明者は、細胞物質の含水量を知ることによって、どれだけの量の細胞物質由来の水が、最終的に抽出混合物の中に行き着くのかを妥当な精度で決定することができるということを理解している。エタノール抽出剤の初期の含水量が既知である場合、アルコール飲料の水およびエタノール含有量は、それゆえ妥当な精度で決定され得る。この精度は、ポリマー分子の溶媒和/水和殻を減らす上記の低温および高エタノール濃度の利点によってさらに上がる。
【0058】
したがって、方法は、細胞物質、または固体パルプ画分の含水量を決定するステップをさらに含む。
【0059】
細胞物質の含水量は、入手可能な場合、発表データから決定することができるが、かかるデータは、必ずしも抽出で使用される具体的な細胞物質を代表しない。したがって、好ましい実施形態において、細胞物質の含水量を決定するステップは、抽出で使用される特定の細胞物質のサンプルの含水量を実測するステップを含む。例えば、ラズベリーなどのベリー類が抽出で使用される場合、ラズベリーの代表サンプルの含水量は、抽出で使用される他のベリー類の含水量の指標となるように決定され得る。含水量を決定するための伝統的な科学的方法は、しばしば長時間の脱水および専門的な機器を必要とし、実用的でない。発明者は、電子レンジを使用することで非常に素早く、簡単に含水量を決定することができるということを理解している。サンプルは、レンジ加熱される前に秤量され得る。レンジ加熱時の重量の変化は、失われたサンプルの含水量と関連する。したがって、細胞物質の含水量は、電子レンジを用いて簡単に決定することができる。
【0060】
したがって、好ましい実施形態において、細胞物質または固体パルプ画分の含水量を決定するステップは、細胞物質または固体パルプ画分をレンジ加熱し、それによってレンジ加熱済み物質を得るステップ、および前記レンジ加熱済み物質およびレンジ加熱前の前記細胞物質または前記固体パルプ画分との重量差を決定するステップを含み、ここで前記重量差が、前記細胞物質または前記固体パルプ画分の含水量を示す。
【0061】
発明者は、含水量を決定する上記のレンジ加熱法の精度は、前もって細胞物質を凍結させることでさらに向上し得るということをさらに理解している。凍結の間、水の結晶化により細胞構造が損傷され、レンジ加熱時に細胞から水が失われやすくなる。さらに、温度の低下は、細胞分子の結合水の量を減らし、これは前記水がレンジ加熱時に、より簡単に失われることを意味する。結果として、全ての水を細胞物質から追い出すのに必要なエネルギーがより少なく、これはより速く、より正確な結果を得ることができることを意味する。この方法を抽出の直前に実行することで、潜在的な水分の損失または(例えば、洗浄によって)細胞物質に導入された過剰な水分が計算に考慮されるため、より正確な結果を得ることができる。
【0062】
したがって、より好ましい実施形態において、細胞物質または固体パルプ画分は、レンジ加熱する前に凍結されており、適宜、前記細胞物質または前記固体パルプ画分は、レンジ加熱開始時に-210℃から0℃の温度を有する。
【0063】
細胞物質の含水量が決定されると、液体抽出剤のエタノール濃度が既知の場合、抽出混合物またはアルコール飲料製品のエタノール濃度は、簡単に決定され得る。
【0064】
したがって、好ましくは、方法は、細胞物質または固体パルプ画分の決定された含水量および液体抽出剤のエタノール濃度から、抽出混合物またはアルコール飲料のエタノール濃度を決定するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、液体抽出剤が、アルコール飲料を得るために分離後にさらに希釈される場合、上記の方法は、具体的に望ましいアルコール含有量のアルコール飲料を得るのに必要な希釈を決定するのに使用できる。したがって、いくつかの実施形態において、抽出混合物をさらに処理するステップは、抽出混合物を希釈するステップを含み、好ましくは抽出混合物をさらに処理するステップは、抽出混合物を氷で希釈するステップを含み、より好ましくは抽出混合物をさらに処理するステップは、抽出混合物を氷と混合するステップを含み、ここで方法は、アルコール飲料の望ましいエタノール濃度を得るために必要な希釈を決定するステップを含み、前記決定するステップは、液体抽出剤のエタノール濃度および細胞物質または固体パルプ画分の決定された含水量に基づく。
【0065】
あるいはまたはさらに、含水量を決定する上記の方法は、抽出混合物またはアルコール飲料の具体的なアルコール含有量を達成するために用いる細胞物質の量を決定するのに用いることができる。例えば、細胞物質の重量含水量が既知で、液体抽出剤のエタノール含有量が既知である場合、液体抽出剤の量に関連して使用するべき細胞物質の量を選択して、望ましいアルコール含有量および含水量のアルコール飲料を生産することができる。
【0066】
したがって、いくつかの実施形態において、方法は、抽出混合物またはアルコール飲料の望ましいアルコール濃度を達成するために、ステップ(a)で用いるための細胞物質または固体パルプ画分対ステップ(a)で用いるための液体抽出剤の重量比を決定するステップを含み、前記決定するステップは、前記液体抽出剤のエタノール濃度および前記細胞物質または前記固体パルプ画分の決定された含水量に基づく。
【0067】
本発明の方法のさらなる利点は、抽出工程のいかなるステップの間でも酵素の添加を必要としないことである。それゆえ、好ましくは、本発明の方法は、どの時点であっても、さらなる酵素またはその他の添加物を抽出混合物、アルコール飲料、液体抽出剤または細胞物質に添加するステップを含まない。これは、一般に、酵素を添加して抽出混合物または飲料中の反応を触媒し、より温かい温度を適用して反応速度を上げる、既知の先行技術と対照的である。本発明の方法は、それゆえ、調達するのが困難で、さらなる費用を負担させ、食事に関して要求がある一部の人にとって製品を不適当にし得る酵素およびその他の添加物を使用する必要なく、飲料を生産することができる。
【0068】
一般に、本発明の第1の態様の方法により生産されるアルコール飲料は、中性的な味わいのアルコール飲料を含む。中性的な味わいのアルコール飲料の例は、当技術分野で既知であり、ウォッカが挙げられる。本明細書で使用される「中性的な味わいのアルコール飲料」という用語は、(当然、本発明の方法により前記飲料に与えられる風味以外の)いかなる追加の風味も添加されていない、アルコール含有量の高い飲料(25重量パーセントよりも高いアルコール含有量の飲料など)を指すのに用いられる。一般に、本発明のアルコール飲料、および本発明の第1の態様の方法で用いるための液体抽出剤は、中性的な味わいのアルコール飲料である。
【0069】
非常に好ましい実施形態によると、本発明の第1の態様の方法は、アルコール飲料を製造する方法を含み、前記方法は、順番に実行される以下のステップ:
(a)60重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤を、細胞物質と少なくとも1:4の質量比で接触させることにより、エタノール濃度が20重量%以上である抽出混合物を形成させるステップであって、前記細胞物質が、一つ以上の食用果実、野菜、ハーブ、スパイス、またはそれらの成分、またはそれらの組み合わせを含む、ステップ;
(b)-114℃から5℃の温度で、前記抽出混合物中に存在する、前記一つ以上の食用果実、野菜、ハーブ、スパイス、またはそれらの成分、またはそれらの組み合わせのサイズを減少させるステップ;
(c)適宜、-114℃から-5℃、好ましくは-35℃から-5℃、より好ましくは-35℃から-15℃の温度で1時間から168時間の時間、前記抽出混合物を維持するステップ;および
(d)前記一つ以上の食用果実、野菜、ハーブ、スパイス、またはそれらの成分、またはそれらの組み合わせの一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによってアルコール飲料を得るステップ;または前記一つ以上の食用果実、野菜、ハーブ、スパイス、またはそれらの成分、またはそれらの組み合わせの一部または全部を前記抽出混合物から分離し、適宜、前記抽出混合物をさらに処理し、それによってアルコール飲料を得るステップ
を含む。
【0070】
これらの非常に好ましい実施形態において、一つ以上の食用果実、野菜、ハーブ、スパイス、またはそれらの成分、またはそれらの組み合わせは、ステップ(a)における液体抽出剤との接触時にすでに凍結されているか、またはステップ(a)の間に凍結される。
【0071】
好ましくは、ステップ(b)は、-35℃から0℃の温度で、一つ以上の食用果実、野菜、ハーブ、スパイス、またはそれらの成分、またはそれらの組み合わせのサイズを減少させるステップを含み、液体抽出剤および前記一つ以上の食用果実、野菜、ハーブ、スパイス、またはそれらの成分、またはそれらの組み合わせは、ステップ(a)における接触時に-35℃から0℃の温度であり、細胞物質の一部または全部を抽出混合物から分離するステップ(d)は、-35℃から0℃の温度で前記抽出混合物を濾過するステップを含み、方法が、前記抽出混合物を希釈するステップまたは製造後にアルコール飲料を保存するステップをさらに含む場合、希釈および保存の両方が、-35℃から0℃で実行される。
【0072】
さらにより好ましくは、ステップ(b)は、-35℃から-5℃の温度で、一つ以上の食用果実、野菜、ハーブ、スパイス、またはそれらの成分のサイズを減少させるステップを含み、液体抽出剤および前記一つ以上の食用果実、野菜、ハーブ、スパイス、またはそれらの成分、またはそれらの組み合わせは、ステップ(a)における接触時に-35℃から-5℃の温度であり、細胞物質の一部または全部を抽出混合物から分離するステップ(d)は、-35℃から-5℃の温度で前記抽出混合物を濾過するステップを含み、方法が、前記抽出混合物を希釈するステップまたは製造後にアルコール飲料を保存するステップをさらに含む場合、希釈および保存の両方が、-35℃から-5℃で実行される。
【0073】
方法は、消費のためのアルコール飲料を調製するステップをさらに含むことがある。例えば、アルコール飲料は、容器内に入れられることがある。より好ましい実施形態において、アルコール飲料は、容器の中にビンづめされ、密封される。より好ましくは、アルコール飲料は、ヘッドスペース中の酸素濃度が最小限になるように、容器の中にビンづめされ、密封される。
【0074】
いくつかの実施形態において、アルコール飲料を含む容器は、前記容器のヘッドスペース中に存在する酸素の量が少ない。いくつかの実施形態において、容器のヘッドスペースは、前記ヘッドスペース中に存在する気体の総体積の15体積%未満で酸素を含む。いくつかの実施形態において、容器のヘッドスペースは、実質的に酸素を含まない。いくつかの実施形態において、容器のヘッドスペースは、完全に酸素を含まない。いくつかの実施形態において、容器がアルコール飲料で満たされ、それから密封された直後の時点において、前記容器のヘッドスペースは、前記ヘッドスペース中に存在する気体の総体積の10体積%未満で酸素を含む。いくつかの実施形態において、容器がアルコール飲料で満たされ、それから密封された直後の時点において、前記容器のヘッドスペースは、前記ヘッドスペース中に存在する気体の総体積の5体積%未満で酸素を含む。いくつかの実施形態において、容器がアルコール飲料で満たされ、それから密封された直後の時点において、前記容器のヘッドスペースは、実質的に酸素を含まない。いくつかの実施形態において、容器がアルコール飲料で満たされ、それから密封された直後の時点において、前記容器のヘッドスペースは、完全に酸素を含まない。
【0075】
酸素が存在すると、飲料中に存在するフレーバー提供分子と反応し、飲料の風味を潜在的に劣化させると考えられるので、容器のヘッドスペースは酸素を含まないか、または酸素含有量が少ないことがより好ましい。
【0076】
いくつかの実施形態において、消費のためのアルコール飲料を調製するステップは、0℃未満、好ましくは-10℃未満の温度で容器の封を切り、開封するステップをさらに含む。理論に制限されないならば、容器が開封され、アルコール飲料が酸素に晒されるとき、温度が低いほど、フレーバー提供分子を反応させ、劣化させる、酸素が関わる分解反応を阻害または妨害すると考えられる。いくつかの実施形態において、容器は、前記容器は0℃未満、好ましくは-10℃未満の温度で開封されるべきであるという指示のラベリングを含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(a)の前に、液体抽出剤を総容量が350mlから3000mlの容器の中に提供するステップをさらに含むことがあり、前記容器は、大気圧および25℃において0.16xの水を前記容器に添加しても前記容器からあふれないような、重量xの液体抽出剤を含み、適宜、容器内でステップ(a)および/または(c)の全部または一部を実行する。いくつかの実施形態において、方法は、ステップ(d)の後に、アルコール飲料をステップ(a)の前に液体抽出剤が提供される容器と同じ総容量の密封された容器の中に提供するステップをさらに含むことがある。一般に、この容器は、ステップ(a)の前に液体抽出剤が提供されるものと同じ容器である。
【0078】
上記の実施形態において、液体抽出剤がステップ(a)の前に容器の中に提供される場合、前記容器は、好ましくは、大気圧および25℃において、0.31x;より好ましくは0.53x;最も好ましくは0.83xの水を前記容器に添加しても前記容器からあふれないような、重量xの前記液体抽出剤を含む。
【0079】
本発明の第2の態様によると、本発明の方法によって得られる、または得ることができるアルコール飲料が提供される。
【0080】
本発明のアルコール飲料が製造された後は、前記飲料はすぐに消費されてもよく、保存されてもよい。本発明の飲料が、消費前に保存される場合、前記飲料は、好ましくは5℃未満、より好ましくは0℃未満の温度で保存される。低温での保存の利点は、上記のものと同じである。例えば分離ステップでアルコール飲料から除去されていない任意の酵素は、低温で不活性化されたままであるか、または活性が低下したままであり、そのため飲料中に存在するフレーバー分子の反応を触媒しない。したがって、好ましくは、飲料は-20℃未満の温度で保存される。
【0081】
飲料は、例えば水またはミキサー(例えば、コカ・コーラ、レモネード、トニックなど)などのその他の原料などでさらに希釈されることなく消費され得る。あるいは、消費前にアルコール飲料を希釈することが望ましい場合がある。
【0082】
いくつかの実施形態において、本発明のアルコール飲料は、風味付けされたオイルインフュージョンを形成するために、オイルと混合されることがある。分離後、このオイルは、食品の調理に使用され得る。
【0083】
本発明の第3の態様によると、細胞物質からの風味供給化合物の抽出における、21重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤の使用であって、前記使用が、前記21重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤を、細胞物質と少なくとも1:4の質量比で接触させることにより、エタノール濃度が20重量%以上である抽出混合物を形成させるステップ;-114℃から5℃の温度で、前記抽出混合物中に存在する前記細胞物質のサイズを減少させるステップ;適宜、-114℃から0℃の温度で15分間から5年間の時間、前記抽出混合物を維持するステップ;および(i)前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによってアルコール飲料を得るステップ、または(ii)前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、適宜、前記抽出混合物をさらに処理し、それによってアルコール飲料を得るステップを含む、使用が提供される。
【0084】
好ましくは、使用、液体抽出剤、抽出混合物または細胞物質は、本発明の第1の態様に従って上記の通りである。
【0085】
本明細書で使用されるフレーバー提供分子または風味供給化合物という用語は、細胞物質に特定の風味および/または芳香を与える、前記細胞物質中に存在する有機分子を指して使用される。かかる分子は、当技術分野で一般に芳香分子と呼ばれる。したがって、フレーバー提供分子は、好ましくは芳香分子を含む。特定の風味または芳香をもたらすために、分子は一般に、鼻上部の嗅覚系に運ばれ、風味または匂いとして検出されるために、十分に揮発性である必要がある。それゆえ、かかる分子は一般に、分子量が低い(例えば分子量が300未満など)。したがって、より好ましい実施形態において、フレーバー提供分子は、分子量が300未満の芳香分子を含む。
【0086】
本発明の第4の態様によると、望ましいアルコール濃度(w)のアルコール飲料を製造する方法であって、前記方法が、以下のステップ:
(i)細胞物質の含水量(x)を決定するステップ;
(ii)エタノールを含む、エタノール濃度(y)の液体抽出剤を供給するステップ;および
(iii)以下のいずれかのステップ:
(a)前記細胞物質および液体抽出剤を重量比(z)で接触させ、それによって前記望ましいアルコール濃度(w)のアルコール飲料を形成させるステップであって、前記重量比(z)が、前記決定された含水量(x)および前記エタノール濃度(y)に基づいて選択され、前記重量比(z)が、前記アルコール飲料の前記望ましいアルコール濃度(w)を得るために選択される、ステップ;
(b)前記細胞物質および液体抽出剤を重量比(z)で接触させ、それによって抽出混合物を形成させるステップであって、前記重量比(z)が、前記決定された含水量(x)および前記エタノール濃度(y)に基づいて選択され、前記重量比(z)が、前記アルコール飲料の前記望ましいアルコール濃度(w)を得るために選択される、ステップ;および前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによって前記望ましいアルコール濃度(w)のアルコール飲料を得るステップ;
(c)前記細胞物質および液体抽出剤を重量比(z)で接触させ、それによって抽出混合物を形成させるステップ;およびアルコール濃度(w)の前記アルコール飲料を得るために、一つ以上の追加物質を前記抽出混合物に重量比(v)で添加するステップ(ここで前記重量比(v)は、前記決定された含水量(x)、前記エタノール濃度(y)および前記重量比(z)に基づいて選択され、前記重量比(v)は、前記アルコール飲料の前記望ましいアルコール濃度(w)を得るために選択される);または
(d)前記細胞物質および液体抽出剤を重量比(z)で接触させ、それによって抽出混合物を形成させるステップ;前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離するステップ;およびアルコール濃度(w)の前記アルコール飲料を得るために、一つ以上の追加物質を前記抽出混合物に重量比(v)で添加するステップ(ここで前記重量比(v)は、前記決定された含水量(x)、前記エタノール濃度(y)および前記重量比(z)に基づいて選択され、前記重量比(v)は、前記アルコール飲料の前記望ましいアルコール濃度(w)を得るために選択される)
を含む、方法が提供される。
【0087】
好ましくは、ステップ(c)および(d)における一つ以上の追加物質は、水、糖、塩、酸またはそれらの組み合わせを含む。好ましくは、一つ以上の物質は、水を含む。
【0088】
ステップ(c)および(d)が実行される方法の実施形態において、方法の決定するステップ(i)が、細胞物質(一つ以上の生物またはその成分もしくは抽出物)および液体抽出剤を重量比(z)で接触させるステップの前に実行されることは、より好ましいが、必須ではない。例えば、重量比(z)で接触させるステップの後、接触させるステップで使われていない細胞物質の分離サンプルは、含水量の決定のために使用できる。細胞物質の含水量の決定の後、抽出混合物は次に、望ましいエタノール濃度(w)のアルコール飲料を得るために、水などの追加物質が重量比(v)で添加され得る。本明細書で記載される重量比(v)は、それゆえ一つ以上の追加物質対それが添加される抽出混合物の重量の重量比を指す。
【0089】
本発明の第5の態様によると、以下のステップ:
(a)細胞物質の含水量を決定するステップ;
(b)以下のいずれかのステップ:
(i)前記細胞物質を、20重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤と接触させ、それによって抽出混合物を形成させるステップ;および前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによってアルコール飲料を得るステップ;または
(ii)前記細胞物質を、20重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤と接触させ、それによってアルコール飲料を形成させるステップ;および
(c)前記細胞物質の含水量および前記液体抽出剤の含水量に基づいて、前記アルコール飲料のアルコール濃度を決定するステップ
を含む、アルコール飲料を製造する方法が提供される。
【0090】
いくつかの実施形態において、方法のステップ(a)から(c)は、連続的に実行される。しかしながら、これは必須ではない。いくつかの実施形態において、ステップ(a)および(c)は、ステップ(b)の後または間に実行されることがある。かかる実施形態において、方法で使用される細胞物質の含水量は、決定され、この決定は次に、アルコール飲料のアルコール含有量を決定するのに使用される。例えば、数片の果実(例えば、ブドウ、イチゴ、ラズベリーなど)は、接触させるステップ(b)で使用できる。代表サンプルとしての数片の果実(例えばブドウまたはラズベリーなど)は次に、決定するステップ(a)で使用でき、その後、この決定は、ステップ(b)で形成されるアルコール飲料のアルコール含有量を決定するのに使用できる。
【0091】
好ましくは、本発明の第4および第5の態様の製造方法は、本発明の第1の態様に従って上記の通りである。決定するステップもまた、本発明の第1の態様に従って上記の通りである。
【0092】
細胞物質の含水量を決定するステップの前に、前記細胞物質は、液体画分および固体パルプ画分にパルプ化または圧縮され、前記固体パルプ画分は、決定するステップ(a)において細胞物質成分または抽出物として使用されることがある。
【0093】
好ましくは、細胞物質または固体パルプ画分の含水量を決定するステップは、前記細胞物質または前記固体パルプ画分をレンジ加熱し、それによってレンジ加熱済み物質を得るステップ、および前記レンジ加熱済み物質および前記細胞物質または前記固体パルプ画分との重量差を前もって決定するステップを含み、ここで前記重量差は、前記細胞物質または前記固体パルプ画分の含水量を示す。好ましくは、細胞物質または固体パルプ画分は、レンジ加熱する前に凍結されており、適宜、前記細胞物質または前記固体パルプ画分は、レンジ加熱開始時に210℃から0℃の温度を有する。
【0094】
本発明の第4および第5の態様の方法において、アルコール飲料は、飲料の望ましいアルコール濃度を得るために、さらに希釈されることがある。好ましくは、アルコール飲料を希釈するステップは、アルコール飲料を氷で希釈するステップを含み、より好ましくは、アルコール飲料をさらに処理するステップは、アルコール飲料を氷と混合するステップを含む。方法は、アルコール飲料の望ましいエタノール濃度を得るために必要な希釈を決定するステップを含む。あるいはまたはさらに、方法は、糖などの一つ以上の物質のアルコール飲料への添加を含むことがある。いくつかの実施形態において、添加される糖の量は、アルコール飲料の決定されたアルコール濃度に基づく。
【0095】
アルコール飲料のアルコール重量を決定する能力または特定の望ましいアルコール重量含有量のアルコール飲料を得る能力は、抽出混合物が、効率的な濾過にとって十分高いアルコール含有量を有することを保証するので、本発明の方法における、濾過による分離ステップの実行にとって特に有益であることが、発明者により発見されている。上記の通り、抽出混合物中のポリマーの凝集は、アルコール濃度が低いほど起こりにくく、これは、その濾過による抽出混合物からの効率的な分離の達成がより困難であることを意味する。アルコール重量を算出する能力もまた、高価な分析機器を回避できるため有用である。特定の濃度を得るのに必要な、正確な希釈もまた、簡単に決定することができ、アルコール飲料の原価が算出される。さらに、飲料が消費前に低温で保存される場合、正確なアルコール重量濃度が分かれば、飲料を凍結させるような低すぎる温度で飲料を保存せずに済む。より低温であることがより好ましいが、飲料が凍結するほど低温ではない。凝固点はアルコール濃度の影響を受けるので、アルコール重量含有量を知ることで保存を最適化することができる。
【0096】
エタノール/水混合物のアルコール重量を知ることは、様々な理由で非常に有用であるということが、発明者によって理解されている。一般に、アルコール飲料は、アルコール体積含有量を示すラベリング付きで販売される。アルコール重量を知ることは、アルコール飲料が本発明の第1の態様の方法において液体抽出剤として使用される場合、特に有用である。例えば、非線形な体積関係のために複雑な式またはルックアップテーブルを使うことなく、抽出パラメータ、飲料パラメータおよび最終的なアルコール濃度の算出を達成できる。
【0097】
アルコール飲料容器上にアルコール重量を提示することは、飲料が本発明の第1の態様で液体抽出剤として使用される場合、利点をもたらすことが分かっている。例えば、アルコール重量を知ることは、凍結させることなく抽出を実行できる最低温度を決定でき、高収率を達成するのに十分な凝集を行うことができるということを意味する。
【0098】
アルコール重量の提示は、抽出物および飲料の両方を作る間、より扱いにくい体積測定と比較して、はかりを用いる正確で簡易的な測定もまた、可能にする。
【0099】
それゆえ、本発明の第6の態様によると、20重量%から100重量%、より好ましくは30重量%から100重量%でアルコールを含むアルコール飲料を含む、容器であって、前記容器が、(i)前記容器内に含まれる前記アルコール飲料のアルコール重量含有量および/または(ii)中身のないときの前記容器の重量を明示するラベリングを含む、容器が提供される。
【0100】
本発明の第7の態様によると、20重量%から100重量%、より好ましくは30重量%から100重量%でアルコールを含むアルコール飲料であって、前記アルコール飲料が、(i)前記アルコール飲料のアルコール重量含有量および/または(ii)中身のないときの容器の重量を明示するラベリングを含む前記容器内に含まれる、アルコール飲料が提供される。
【0101】
本発明の第6の態様の容器または本発明の第7の態様のアルコール飲料は、以下の特徴:
(i)前記容器が、20mlから3000mlの総容量を有する;
(ii)前記アルコール飲料が、60重量%から100重量%、好ましくは96重量%から100重量%でアルコールを含む;
(iii)前記アルコール飲料が、中性的な味わいのアルコール飲料を含む;および/または
(iv)前記アルコール飲料が、本発明の第2の態様に記載のものである
のうちのいずれか一つ以上を含み得る。
【0102】
好ましい実施形態において、ラベリングは、(i)容器内のアルコール飲料のアルコール重量含有量および(ii)中身のないときの前記容器の重量の両方を明示する。中身のないときの容器の重量を知ることもまた、容器内の飲料のアルコール重量含有量と組み合わせて知られている場合、またはそれ自体で知られている場合、特に有用である。例えば、どれだけ多くの飲料が本発明の第1の態様に記載の方法によって製造されたかを決定でき、これはポアコスト(pour cost)の決定を可能にする。任意のサービスの間に、どれだけさらに多くの飲料を飲料ビンから生産することができるかを決定するために、残りの飲料重量を算出することもできる。残りの飲料重量は、在庫調査の間に決定することもできる。
【0103】
本発明の第8の態様によると、総容量が350mlから3000mlの密封された容器であって、前記容器が、60重量%から100重量%でアルコールを含むアルコール飲料を含み;前記容器が、大気圧および25℃において0.16xの水を前記容器に添加しても前記容器からあふれないような、重量xの前記アルコール飲料を含む、容器が提供される。
【0104】
本発明の第9の態様によると、本発明の第8の態様に記載の容器内に含まれるアルコール飲料が提供される。
【0105】
本発明の文脈で本明細書において使用される、密封された容器という用語は、アルコール飲料の製造およびビンづめの最終ステップの一つとして、アルコール飲料で満たされ、それから密封された飲料容器を指すのに使用される。かかる飲料容器の封は、容器を開封することで不可逆的に破壊できる。かかる飲料容器は、その後閉じることができるが(例えば蓋の適用により)、飲料容器の最初の開封が封を不可逆的に破壊するので、飲料容器を再び密封することはできない。本明細書で使用される密封された容器という用語はそれゆえ、例えば、ねじ込み式の蓋(screwable lid)またはボトルストッパーの適用によって再び閉じられる前に開封されたことがある飲料容器を指すのに使用されない。密封されたという用語はそれゆえ、容器内にアルコール飲料をビンづめする最終段階の間に容器に適用される、不可逆的な封を指す。
【0106】
本発明の第8の態様の容器または本発明の第9の態様のアルコール飲料は、好ましくは、大気圧および25℃において、0.31x;好ましくは0.53x;より好ましくは0.83xの水を前記容器に添加しても前記容器からあふれないような、重量xの前記アルコール飲料を含む。
【0107】
好ましくは、本発明の第8の態様の容器内の飲料または本発明の第9の態様のアルコール飲料は、本発明の第2の態様に記載のアルコール飲料である。
【0108】
好ましくは、容器はビンである。
【0109】
前記容器の使用は、本発明の方法で用いられる場合、例えば、本発明の第1の態様の維持するステップ(c)において抽出混合物を入れておくのに、または本発明の第1の態様の方法で用いるための液体抽出剤を入れておくのに有利であることが分かっている。特に、本発明の容器は、本発明の方法で使用する前に液体抽出剤を入れておくのに非常に有用であることが分かっている。容器は次に、その体積のために、維持するステップ(c)の間、抽出混合物を入れておくのに用いることもできる。容器は次に、一度生産されたアルコール飲料を入れておくこともできる。
【0110】
生産されたアルコール飲料または抽出混合物は、例えば、細胞物質の希釈または添加のために、一般に最初の液体抽出剤の体積よりも大きな体積を有するものである。液体抽出剤、抽出混合物およびアルコール飲料のそれぞれを入れておくためのさらなる貯蔵容器の使用は、それゆえ回避できる。さらに、液体抽出剤および製造されたアルコール飲料に一貫した美的外観を提供することができる。さらなる利点として、抽出パラメータ、飲料パラメータおよび原料の詳細を容器のラベルに明示することができる。
【0111】
したがって、本発明の第10の態様によると、アルコール飲料を製造する方法であって、前記方法が、以下のステップ:
(a)60重量%から100重量%でエタノールを含む液体抽出剤を、細胞物質と接触させ、それによって抽出混合物を形成させるステップ;
(b)適宜、15分間から5年間の時間、前記抽出混合物を維持するステップ;
(c)前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、それによってアルコール飲料を得るステップ;または前記細胞物質の一部または全部を前記抽出混合物から分離し、適宜、前記抽出混合物をさらに処理し、それによってアルコール飲料を得るステップ
を含む、方法が提供され、ここで、(i)ステップ(a)の前に、前記液体抽出剤は、総容量が350mlから3000mlの容器の中に提供され、前記容器は、大気圧および25℃において0.16xの水を前記容器に添加しても前記容器からあふれないような、重量xの前記液体抽出剤を含み;適宜、(ii)前記方法は、ステップ(a)の前に前記液体抽出剤が提供される前記容器と同じ総容量の容器の中に、前記アルコール飲料を提供するステップをさらに含み、好ましくは、前記容器は、ステップ(a)の前に前記液体抽出剤が提供されるものと同じ容器である。
【0112】
好ましくは、上記の段落に記載される特徴(i)および(ii)は、方法の中に存在する。
【0113】
好ましくは、方法は、ステップ(a)および(b)の全部または一部を容器内で実行することをさらに含む。
【0114】
好ましくは、接触させるステップ(b)は、-114℃から0℃の温度で15分間から5年間の時間、抽出混合物を維持するステップを含む。
【0115】
好ましくは、方法は、本発明の第1の態様に従って上記の通りである。
【0116】
上記の実施形態において、液体抽出剤が、ステップ(a)の前に容器の中に提供される場合、前記容器は、好ましくは、大気圧および25℃において、0.31x;より好ましくは0.53x;最も好ましくは0.83xの水を前記容器に添加しても前記容器からあふれないような、重量xの前記液体抽出剤を含む。
【0117】
特定の飲料容器の使用は、本発明のアルコール飲料、本発明の第1の態様の方法で用いるための液体抽出剤、または本発明の第1の態様の方法における抽出混合物を入れておくのに、特に有用であるということもまた、発明者により見出されている。いくつかの実施形態において、同じ容器は、液体抽出剤の収容および保存、抽出混合物の低温での保存、ならびに一度生産されたアルコール飲料の収容および提供のために用いることができる。
【0118】
それゆえ、本発明の第11の態様によると、25重量%から100重量%でアルコールを含む中性的な味わいのアルコール飲料を含む、容器であって、前記容器が、王冠によって密封することができ、前記容器が、495nmから620nmの波長の光を反射する色ガラスを含む、容器が提供される。
【0119】
本発明の第12の態様によると、25重量%から100重量%でアルコールを含む中性的な味わいのアルコール飲料であって、前記アルコール飲料が、王冠によって密封することができる容器内に含まれ、前記容器が、495nmから620nmの波長の光を反射する色ガラスを含む、アルコール飲料が提供される。
【0120】
好ましくは、容器は王冠によって密封される。あるいは、容器は栓(ストッパークロージャー)で密封される。
【0121】
より好ましくは、容器は王冠で密封され、前記王冠が取り除かれた後は、栓(ストッパークロージャー)で密封されるのに適している。
【0122】
栓(ストッパー)の使用は、コルクまたはガラスによる密封を可能にし、それゆえプラスチックの使用を回避でき、閉じやすさおよびリサイクル可能性をもたらすことができるため、有利である。王冠の使用は、炭酸抽出工程で用いるための高い圧力を保持する。王冠の使用は、一度容器が開封された飲料を再びビンづめするための再使用もまた可能にし、保存の間、酸素侵入および酸化反応を最小限に抑えもする。
【0123】
容器は、好ましくは王冠の下にリップもまた、含む。この構造は、液体がガラスから滴り落ちるようにし、液体がビンの側面を流れ落ちる原因となる表面張力によって生じる、いかなる問題を回避する。
【0124】
好ましくは、容器は、断熱物質を含むラベルをさらに含む。この特徴は、容器が0℃未満で保存されている場合、取扱者を過度に低い温度にさらすことなく容器を保持できるということを意味するので、特に有用である。
【0125】
好ましくは、ラベルはコーティングされていない。好ましくは、ラベルは、ラベルを効率的に容器に貼ることができるように、インクまたは別のマーカーで書き込むことができる(例えば抽出パラメータまたはその他の製品の詳細が書かれる)。好ましくは、容器の内部の内容物を視覚的に検査することができるように、ラベルは、隙間(1cmの隙間など)を許容するように構成される。好ましくは、ラベルは、ラベルへの書き込みを援助および容易にするために、マス目がデザインされた背景を有する。
【0126】
好ましくは、容器は、シャンパンボトルである。無印のボトルデザインの使用は、製造の容易さおよび単純性を高める。
【0127】
容器は、495nmから620nmの波長の光を反射する色ガラスを含む。結果として、容器は、緑色または褐色または赤色の外観をしている。
【0128】
本発明の容器が、飲料に炭酸ガスが入れられる、本発明の第2の態様に記載のアルコール飲料を含む場合、特に有用であることが分かっている。容器は、本発明の第1の態様の方法において、維持するステップ(c)の間、抽出混合物を入れておくのにもまた、特に有用であり、ここで、このステップの間中または一部の期間、前記抽出混合物に炭酸ガスが入れられる。緑色または褐色または赤色ガラスの使用は、アルコール飲料または抽出混合物中に存在するフレーバー分子を損傷し得る、光による反応を低下させる。王冠の使用もまた、容器が、液体抽出剤および抽出混合物および/または一度生産されたアルコール飲料を保存するのに用いられる場合、再びビンづめすることを可能にするため、非常に有用である。王冠の使用は、炭酸抽出もまた可能にする。
【0129】
好ましくは、アルコール飲料は、以下の特徴:
(i)前記アルコール飲料が、本発明の第2の態様に記載のものである;および/または
(ii)前記アルコール飲料が、40重量%から100重量%、好ましくは60重量%から100重量%でアルコールを含む
のうちの一つ以上を含む。
【0130】
好ましくは、本発明の第11および第12の態様で使用されるアルコール飲料は、本発明の第1の態様に記載の方法によって製造されるか、または本発明の第2の態様に記載のものである。
【0131】
上記の通り、酸素濃度を最小限に抑えながら、または少なくとも容器のヘッドスペース中に酸素が存在しない状態で、アルコール飲料を容器の中にビンづめすることが有利であるということが分かっている。容器の中に密封されたアルコール飲料が開封され、それゆえ飲料が酸素にさらされる場合、前記容器は、上で詳述されるように、0℃未満の温度で開封されるのが有利であるということがさらに分かっている。
【0132】
したがって、本発明の第13の態様によると、20重量%から100重量%でアルコールを含むアルコール飲料を含む、容器であって、前記容器のヘッドスペースが、実質的に酸素を含まず、好ましくは完全に酸素を含まず、前記容器が、前記容器は0℃未満、好ましくは-10℃未満の温度で開封されるべきであるという指示のラベリングを含む、容器が提供される。より好ましい実施形態において、容器のヘッドスペースは、前記ヘッドスペース中に存在する気体の総体積の15体積%以下で酸素を含み、より好ましくは、容器のヘッドスペースは、前記ヘッドスペース中に存在する気体の総体積の10体積%以下で酸素を含み、最も好ましくは、容器のヘッドスペースは、前記ヘッドスペース中に存在する気体の総体積の5体積%以下で酸素を含む。本明細書で使用されるヘッドスペースという用語は、気体を含み、容器の下部に存在する液体の上に位置する、満たされ、密封された容器の部分を指すのに用いられる。
【0133】
本発明の第14の態様によると、20重量%から100重量%でアルコールを含むアルコール飲料であって、前記アルコール飲料が、容器内に密封され、前記容器のヘッドスペースが、実質的に酸素を含まず、好ましくは完全に酸素を含まず、前記容器が、前記容器は0℃未満、好ましくは-10℃未満の温度で開封されるべきであるという指示のラベリングを含む、アルコール飲料が提供される。
【0134】
容器は、当技術分野で既知の方法を用いて、酸素非存在下でアルコール飲料をビンづめし、密封することができる。
【0135】
本発明の第6、第8、第11および第13の態様の容器は、本発明の異なる態様に記載の容器に関して記載される特徴のいずれかを含むことがある。例えば、本発明の第8の態様に記載の容器は、本発明の異なる態様の文脈で記載される特徴(例えば本発明の第6の態様に記載の容器など)を含むことがある。同様に、本発明の第7、第9、第12および第14の態様に記載のアルコール飲料は、本発明の異なる態様に記載のアルコール飲料に関して記載される特徴のいずれかを含むことがある。例えば、本発明の第12の態様に記載のアルコール飲料は、本発明の異なる態様の文脈で記載される特徴(例えば本発明の第9の態様に記載のアルコール飲料など)を含むことがある。
【0136】
本発明の詳細な説明
当技術分野で既知の、天然の原料のエタノール抽出のための特定の方法とは異なり、本発明の方法は、当技術分野で既知の標準的なキッチン機器で実行することができ、高価な実験室グレードの分析機器および調製機器の使用を回避することができる。
【0137】
例えば、規定温度への原料の凍結および冷却ならびに前記温度での原料の維持は、キッチンで見られる、一般に入手可能な冷凍庫および冷蔵庫で行うことができる。混合または溶解ステップは、標準的なブレンダーおよびフードプロセッサーで行うことができる。固体パルプ画分および液体画分を作るための絞るステップは、一般的なキッチンジューサーまたはパルプ化装置で行うことができる。分離ステップは、キッチンで用いるために設計された一般的な濾過装置で行うことができる。蒸留および炭酸化ステップは、当技術分野で既知の標準的な機器を用いて行うことができる。標準的な電子レンジおよびキッチンスケールは、含水量分析および秤量ステップに用いることができる。それぞれの処理工程を実行するのに適する容器もまた、当技術分野で既知である。一般に、標準的なキッチングレードのガラス製品(ガラス飲料ビンおよび容器など)は、原料の保存および接触に使用されることがある。
【0138】
特定の抽出工程で用いるエタノール対細胞物質の特定の重量比;抽出前の最適な細胞物質の前処理(サイズの減少など);および所定の抽出のための適切な時間は、風味が抽出されている具体的な細胞物質の性質に左右されるものである。適切な重量比、抽出時間、および任意の最適な前処理は、意図および所定の細胞物質原料の既知の特性に基づいて選択されるものである。例えば、乾燥スパイス(ナツメグまたはクローブなど)または強烈な風味を持つその他の原料(ハーブなど)の抽出について、エタノールに対する原料の重量比は、一般に低くして用いられる。それほど強烈でない風味については、より高い重量比が、より好ましい。体積に対する表面積の比がもともと小さい原料(リンゴ、オレンジおよびその他の果実など)は、一般にエタノール液体抽出剤との接触前または後のいずれかでサイズを減少させられる。抽出で用いるための固体画分を得るための、原料のパルプ化および圧縮は、一般に水、糖または脂肪の含有量がより多い原料(メロン、マンゴー、オリーブ、種子またはナッツなど)に対して行われる。
【実施例
【0139】
以下の方法は、本発明の方法の例である。しかしながら、本発明は、かかる方法に限定されず、適当な修正および改変は、方法に対して望み通りになされることがある。
【0140】
実施例1
以下の方法ステップが、本発明の好ましい方法の例として実行されることがある。
a)分離後および分離中の最小エタノール濃度を超えないように、抽出混合物中の細胞物質について、可能な濃度範囲を算出する。範囲から細胞物質濃度を決定する。
b)分離後に希釈を行うべきであれば、アルコール飲料中のエタノール濃度の可能な範囲を算出する。範囲からアルコール飲料のエタノール濃度を決定する。
c)抽出剤の重量との掛け算で必要な細胞物質の重量を決定する値である細胞比を算出する。抽出剤は前もって秤量されるので、後で必要な細胞物質の重量を算出する。
d)抽出剤のラベルに抽出パラメータの注釈をつける。
e)細胞物質を0℃から5℃の温度に冷蔵する。
f)細胞物質を冷水で徹底的に洗浄し、昆虫、農薬および土を取り除く。
g)細胞物質を抽出に望ましい細胞に分離する。
h)抽出用の細胞を検量する。
i)抽出用の細胞を凍結させる。
j)水分析用の代表的な細胞サンプルを検量する。
k)抽出用の細胞と同じ条件で水分析用の代表的な細胞サンプルを凍結させる。
l)抽出剤のビンを0℃未満に冷やす。
m)はかりをゼロに設定する。
n)空の耐熱容器を秤量する。
о)水分析用の細胞サンプルを容器に添加し、再び秤量する。
p)乾燥し、脆くなるまで、またはさらなるレンジ加熱時に重量の持続的な減少が見られなくなるまで、全出力でレンジ加熱する。
q)乾燥した細胞サンプルおよび容器を秤量する。
r)細胞の含水量を算出する。
s)抽出エタノール濃度を算出する。
t)希釈率を算出する。
u)抽出剤のラベルに抽出パラメータの注釈をつける。
v)抽出装置を0℃未満に冷やす。必要ならば、氷および水を混合し、混合物を冷却に用いる。熱伝導を起こさせるために最低でも数分待つ。使用前に混合物を廃棄する。
w)前もって秤量した抽出剤のビンの中身を全て冷蔵から直接ブレンダーに流し込む。空のビンを0℃未満で冷やす。この前もって秤量した抽出剤は、希釈してもビンからあふれないように、既に計算されている。
x)前もって秤量した凍結細胞を、可能ならばそれが抽出剤に浸かるように添加する。
y)混合物を均質な液体として振る舞わせるために、約5秒間、または細胞を細かく切るのに足りるだけの時間、低速で混合する。
z)この後すぐに、高速で約5秒混合する。
aa)細胞が沈降し、注ぐのを妨げる前に、すぐにデカントする。これが起こると、計算上のエタノール濃度平衡に到達しないことがある。流し込み、デカント、および洗浄を行いやすくするために、冷却された不活性な口の広い容器を用いる。
bb)容器を密封し、望ましい抽出期間の間、これを0℃未満で冷やす。
cc)望ましい抽出期間の終了直前に、分離装置を0℃未満に冷やす。必要ならば、氷および水を混合し、混合物を冷却に用いる。熱伝導を起こさせるために最低でも数分待つ。使用前に混合物を廃棄する。
dd)望ましい抽出期間の後に、抽出混合物を冷蔵から取り出す。
ee)いくつかの分離が通常起こるので、回して沈殿を再懸濁し、全て注ぎ出されるようにする。
ff)ブレンダーの水入れをはかりの上に置く。はかりがリセットされる場合に備えて重量を記録する。はかりの読みが0.0グラムになるように風袋の重さを量る。
gg)ナイロン製の75ミクロンフィルターバッグを水入れの上に置き、抽出混合物を注いでこれに通す。パウダーフリーのニトリル手袋を装着しながら、バッグを絞って残留物をほとんど粉状にする。
hh)フィルターバッグを取り除き、重量を記録する。
ii)必要な氷の重量を算出する。この計算は、濾過した抽出物の重量と希釈率を掛け算することでなされる。
jj)算出された重量の氷を添加し、それぞれの氷の破片が数ミリメートルほどの大きさになるまで、およそ数秒間、濾過した抽出物とともに低速で混合する。
kk)空の抽出剤のビンを冷蔵から取り出す。熱質量は、ブラストフリーザーまたはその他の急冷法を必要とせずに、デカントの際に抽出物温度の急速な低下を助ける。光による反応を最小限に抑えるために、適切な範囲内の色ガラスであることが望ましい。
ll)じょうごを用いて、アルコール飲料をビンの中に注ぐ。
mm)栓で密封し、冷蔵でビンを冷やす。適宜、酸素を置換して、酸化をさらに最小限に抑える。容易に調達可能な気体には、CO、N、NOおよびArが挙げられる。
nn)適宜、第2のより精密な濾過ステップを行い、残存する沈殿物を減らす。濾紙は、この目的に十分な濾材となり得る。
оо)アルコール飲料の入ったビンを秤量し、空のビンの重量を用いて原価および一人分の量を算出する。
pp)理想的には、0℃未満で保存する。そうでないならば、酸素を除去し、開封前に温度を0℃未満に下げる。
【0141】
実施例2
以下の方法ステップは、本発明の好ましい方法の例として実行されることがある。以下の方法は、固体パルプ部分が抽出前に細胞物質から分離され、固体パルプ画分が抽出に用いられる場合の例である。
a)細胞物質を0℃から5℃の温度に冷蔵する。
b)抽出装置を0℃未満に冷やす。必要ならば、氷および水を混合し、混合物を冷却に用いる。熱伝導を起こさせるために最低でも数分待つ。使用前に混合物を廃棄する。
c)細胞物質を冷水で徹底的に洗浄し、昆虫、農薬および土を取り除く。
d)細胞物質を抽出に望ましい細胞に分離する。
e)容易にジューサーを通過するような大きさに細胞を切る。理想的には、スチールの潜在的な酸化を避けるためにセラミックナイフを用い、細胞の損傷を最小限に抑えるために、その切れ味が良いことを確認する。
f)細胞を絞り始める。
g)開始時に、水分析を実行するためにパルプの代表サンプルを取り出す。
h)サンプルを分析している間、細胞を絞り続ける。こうすることで酸化を最小限に抑え、時間を節約する。
i)はかりをゼロに設定する。
j)空の耐熱容器を秤量する。
k)水分析用の細胞サンプルを容器に添加し、再び秤量する。
l)乾燥し、脆くなるまで、またはさらなるレンジ加熱時に重量の持続的な減少が見られなくなるまで、全出力でレンジ加熱する。
m)乾燥した細胞サンプルおよび容器を秤量する。
n)細胞の含水量を算出する。
о)アルコール飲料のエタノール濃度を決定する。
p)抽出剤の重量との掛け算で必要な細胞物質の重量を決定する値である細胞比を算出する。抽出剤は前もって秤量されるので、後で必要な細胞物質の重量を算出する。
q)抽出剤のラベルに抽出パラメータの注釈をつける。
r)前もって秤量した抽出剤のビンの中身を全て冷蔵から直接ブレンダーに流し込む。空のビンを0℃未満で冷やす。この前もって秤量した抽出剤は、希釈してもビンからあふれないように、既に計算されている。
s)算出された量の固体パルプ細胞画分を抽出剤の中に量り取り、可能ならばそれが抽出剤に浸かるようにする。
t)混合物を均質な液体として振る舞わせるために、約5秒間、または細胞を細かく切るのに足りるだけの時間、低速で混合する。
u)この後すぐに、高速で約5秒混合する。
v)細胞が沈降し、注ぐのを妨げる前に、すぐにデカントする。これが起こると、計算上のエタノール濃度平衡に到達しないことがある。流し込み、デカント、および洗浄を行いやすくするために、冷却された不活性な口の広い容器を用いる。
w)容器を密封し、望ましい抽出期間の間、これを0℃未満で冷やす。
x)望ましい抽出期間の終了直前に、分離装置を0℃未満に冷やす。必要ならば、氷および水を混合し、混合物を冷却に用いる。熱伝導を起こさせるために最低でも数分待つ。使用前に混合物を廃棄する。
y)望ましい抽出期間の後に、抽出物を冷蔵から取り出す。
z)いくつかの分離が通常起こるので、回して沈殿を再懸濁し、全て注ぎ出されるようにする。
aa)ナイロン製の75ミクロンフィルターバッグを容器の上に置き、抽出物を注いでこれに通す。パウダーフリーのニトリル手袋を装着しながら、バッグを絞って残留物をほとんど粉状にする。
bb)空の抽出剤のビンを冷蔵から取り出す。熱質量は、ブラストフリーザーまたはその他の急冷法を必要とせずに、デカントの際に抽出物温度の急速な低下を助ける。光による反応を最小限に抑えるために、適切な範囲内の色ガラスであることが望ましい。
cc)じょうごを用いて、アルコール飲料をビンの中に注ぐ。
dd)栓で密封し、0℃未満でビンを冷やす。適宜、酸素を置換して、酸化をさらに最小限に抑える。容易に調達可能な気体には、CO、N、NOおよびArが挙げられる。
ee)適宜、第2のより精密な濾過ステップを行い、残存する沈殿物を減らす。濾紙は、この目的に十分な濾材となり得る。
ff)アルコール飲料の入ったビンを秤量し、空のビンの重量を用いて原価および一人分の量を算出する。
gg)理想的には、0℃未満で保存する。そうでないならば、酸素を除去し、開封前に温度を0℃未満に下げる。
【0142】
実施例3
以下の方法ステップは、本発明の好ましい方法の例として実行されることがある。以下の方法は、二酸化炭素が抽出において共溶媒として用いられる場合の例である。
a)分離後および分離中の最小エタノール濃度を超えないように、抽出混合物中の細胞物質について、可能な濃度範囲を算出する。範囲から細胞物質濃度を決定する。
b)分離後に希釈を行うべきであれば、アルコール飲料中のエタノール濃度の可能な範囲を算出する。範囲からアルコール飲料のエタノール濃度を決定する。
c)抽出剤の重量との掛け算で必要な細胞物質の重量を決定する値である細胞比を算出する。抽出剤は前もって秤量されるので、後で必要な細胞物質の重量を算出する。
d)抽出剤のラベルに抽出パラメータの注釈をつける。
e)細胞物質を0℃から5℃の温度に冷蔵する。
f)細胞物質を冷水で徹底的に洗浄し、昆虫、農薬および土を取り除く。
g)細胞物質を抽出に望ましい細胞に分離する。
h)抽出用の細胞を検量する。
i)抽出用の細胞を凍結させる。
j)水分析用の代表的な細胞サンプルを検量する。
k)抽出用の細胞と同じ条件で水分析用の代表的な細胞サンプルを凍結させる。
l)抽出剤のビンを0℃未満に冷やす。
m)はかりをゼロに設定する。
n)空の耐熱容器を秤量する。
о)水分析用の細胞サンプルを容器に添加し、再び秤量する。
p)乾燥し、脆くなるまで、またはさらなるレンジ加熱時に重量の持続的な減少が見られなくなるまで、全出力でレンジ加熱する。
q)乾燥した細胞サンプルおよび容器を秤量する。
r)細胞の含水量を算出する。
s)抽出エタノール濃度を算出する。
t)希釈率を算出する。
u)抽出剤のラベルに抽出パラメータの注釈をつける。
v)抽出装置を0℃未満に冷やす。必要ならば、氷および水を混合し、混合物を冷却に用いる。熱伝導を起こさせるために最低でも数分待つ。使用前に混合物を廃棄する。
w)前もって秤量した抽出剤のビンの中身を全て冷蔵から直接ブレンダーに流し込む。空のビンを0℃未満で冷やす。この前もって秤量した抽出剤は、希釈してもビンからあふれないように、既に計算されている。
x)前もって秤量した凍結細胞を、可能ならばそれが抽出剤に浸かるように添加する。
y)混合物を均質な液体として振る舞わせるために、約5秒間、または細胞を細かく切るのに足りるだけの時間、低速で混合する。
z)この後すぐに、高速で約5秒混合する。
aa)細胞が沈降し、注ぐのを妨げる前に、圧力定格容器にすぐにデカントする。これが起こると、計算上のエタノール濃度平衡に到達しないことがある。
bb)容器を密閉し、安全性限界の範囲内で二酸化炭素を加える。好ましくは、空隙をパージするために圧力を解放し、二酸化炭素の添加を繰り返す。
cc)容器の低温を維持するか、または圧力定格ビンの中にデカントし、蓋をかぶせ、望ましい抽出期間の間、0℃未満で冷やす。デカントすることで、装置を容易に冷却できない場合、または装置の利用に制限がある場合に、抽出期間をより長くすることができる。
dd)望ましい抽出期間の終了直前に、分離装置を0℃未満に冷やす。必要ならば、氷および水を混合し、混合物を冷却に用いる。熱伝導を起こさせるために最低でも数分待つ。使用前に混合物を廃棄する。
ee)望ましい抽出期間の後に、抽出混合物を冷蔵から取り出し、二酸化炭素加圧を解放する。
ff)いくつかの分離が通常起こるので、回して沈殿を再懸濁し、全て注ぎ出されるようにする。
gg)ブレンダーの水入れをはかりの上に置く。はかりがリセットされる場合に備えて重量を記録する。はかりの読みが0.0グラムになるように風袋の重さを量る。
hh)ナイロン製の75ミクロンフィルターバッグを水入れの上に置き、抽出混合物を注いでこれに通す。パウダーフリーのニトリル手袋を装着しながら、バッグを絞って残留物をほとんど粉状にする。
ii)フィルターバッグを取り除き、重量を記録する。
jj)必要な氷の重量を算出する。この計算は、濾過した抽出物の重量と希釈率を掛け算することでなされる。
kk)算出された重量の氷を添加し、それぞれの氷の破片が数ミリメートルほどの大きさになるまで、およそ数秒間、濾過した抽出物とともに低速で混合する。希釈が必要でない場合、この混合ステップは、それでも溶存二酸化炭素濃度を急速に減少させるのに望ましい。
ll)空の抽出剤のビンを冷蔵から取り出す。熱質量は、ブラストフリーザーまたはその他の急冷法を必要とせずに、デカントの際に抽出物温度の急速な低下を助ける。光による反応を最小限に抑えるために、適切な範囲内の色ガラスであることが望ましい。
mm)じょうごを用いて、アルコール飲料をビンの中に注ぐ。
nn)栓で密封し、冷蔵でビンを冷やす。適宜、酸素を置換して、酸化をさらに最小限に抑える。容易に調達可能な気体には、CO、N、NOおよびArが挙げられる。
оо)適宜、第2のより精密な濾過ステップを行い、残存する沈殿物を減らす。濾紙は、この目的に十分な濾材となり得る。
pp)アルコール飲料の入ったビンを秤量し、空のビンの重量を用いて原価および一人分の量を算出する。
qq)理想的には、0℃未満で保存する。そうでないならば、酸素を除去し、開封前に温度を0℃未満に下げる。
【0143】
実施例4
以下の方法ステップは、本発明の方法の例として実行されることがある。以下の方法ステップは、分離後、アルコール飲料を生産するために抽出混合物を蒸留する場合の本発明の方法の例である。
a)細胞物質濃度を決定する。
b)アルコール飲料のエタノール濃度を決定する。抽出剤の重量との掛け算で必要な細胞物質の重量を決定する値である細胞比を算出する。抽出剤は前もって秤量されるので、後で必要な細胞物質の重量を算出する。
c)細胞物質を0℃から5℃の温度に冷蔵する。
d)細胞物質を冷水で徹底的に洗浄し、昆虫、農薬および土を取り除く。
e)細胞物質を抽出に望ましい細胞に分離する。
f)抽出用の細胞を検量する。
g)抽出用の細胞を凍結させる。
h)抽出剤のビンを0℃未満に冷やす。
i)抽出装置を0℃未満に冷やす。必要ならば、氷および水を混合し、混合物を冷却に用いる。熱伝導を起こさせるために最低でも数分待つ。使用前に混合物を廃棄する。
j)前もって秤量した抽出剤のビンの中身を全て冷蔵から直接ブレンダーに流し込む。空のビンを0℃未満で冷やす。この前もって秤量した抽出剤は、希釈してもビンからあふれないように、既に計算されている。
k)前もって秤量した凍結細胞を、可能ならばそれが抽出剤に浸かるように添加する。
l)適宜、塩化ナトリウムなどのイオン化合物を添加する。
m)混合物を均質な液体として振る舞わせるために、約5秒間、または細胞を細かく切るのに足りるだけの時間、低速で混合する。
n)この後すぐに、高速で約5秒混合する。
о)細胞が沈降し、注ぐのを妨げる前に、すぐにデカントする。流し込み、デカント、および洗浄を行いやすくするために、冷却された不活性な口の広い容器を用いる。
p)容器を密封し、望ましい抽出期間の間、これを0℃未満で冷やす。
q)望ましい抽出期間の後に、抽出混合物を冷蔵から取り出す。
r)いくつかの分離が通常起こるので、回して沈殿を再懸濁し、全て注ぎ出されるようにする。
s)真空蒸留する。
t)蒸留物のエタノール濃度および重量を測定する。
u)必要な希釈を算出する。
v)算出された重量を氷の形で添加し、それぞれの氷の破片が数ミリメートルほどの大きさになるまで、およそ数秒間、濾過した抽出物とともに低速で混合する。あるいは、細胞物質濃度を下げるべきである場合、冷却したエタノール溶液を添加する(高濃度の蒸留物を作り出す工程が、蒸留効率を上げるために採用されることがある)。蒸留後の低温は、必要ではないが、より好ましい。
w)空の抽出剤のビンを冷蔵から取り出す。熱質量は、ブラストフリーザーまたはその他の急冷法を必要とせずに、デカントの際に抽出物温度の急速な低下を助ける。光による反応を最小限に抑えるために、適切な範囲内の色ガラスであることが望ましい。
x)じょうごを用いて、アルコール飲料をビンの中に注ぐ。
y)栓で密封し、冷蔵でビンを冷やす。適宜、酸素を置換して、酸化をさらに最小限に抑える。容易に調達可能な気体には、CO、N、NOおよびArが挙げられる。
z)アルコール飲料の入ったビンを秤量し、空のビンの重量を用いて原価および一人分の量を算出する。
aa)理想的には、0℃未満で保存する。そうでないならば、酸素を除去し、開封前に温度を0℃未満に下げる。
【国際調査報告】